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久々の晴天のうだるような暑さの中、仕事を終えて帰ってきた。 「おかりなさーい。」 いつものように玄関で俺を向かえる蒼星石、 しかし今日は心なしか口調が明るいようだ。 「それじゃあ、ご飯用意するからそっちで待ってて。」 それから程なくしてすぐに夕食が並べられた。 「いただきまぁーす!」 「いただきます、しっかし本当に、暑くて嫌になるよ。」 「そんなことないよ、洗濯物が乾くし、気持ちいいよ!」 どうやらこの晴天で洗濯物を処理できたのがご機嫌の理由らしい。 「確かに、雨でずっと溜まってたからな。」 ここ数日、家の中もジメジメしていた。 「ついでに俺も溜まってるし。」 冗談半分で一言、しかし蒼星石は食事をのどに詰まらせ、 どうにか飲み込んでから本気で反論してきた。 「よ、よく言うよ!一昨日だって・・・おかげで大変なんだよ! 汗とか・・・・汗とかで必要以上にジメジメするんだから!」 「まぁでも必要なことだからしょうがないだろ?」 「そういう事言ってるんじゃないよ!」 そんなやり取りの後、食事を終えて風呂に入る事にした。 「ごちそうさま、風呂入ってくるな。」 「あ、マスター、僕も入っていい?」 「珍しいな、じゃあ先入ってるからな。」 「うん、後で行くから待っててね。」 風呂場にはバスタオルが不自然に高く積まれていて、 それが少し気になったが、素通りして風呂に入り、蒼星石を待った。 「入るよー。」 蒼星石がタオルを巻いて入ってきた。 「背中流すね、そっち向いてて。」 今日はいたずらしようとも思わず、素直にやってもらった。 「よし、終わったよ。」 「おう、サンキュ、じゃあ今度は俺が頭洗ってやるな。」 「いいの?じゃあお願い。」 お互い位置を入れ替え、俺は蒼星石の髪を優しく洗い、 泡を流した後に頭をくしゃくしゃに撫でてやった。 「うわわっ!もう、しょうがないなぁ。」 まんざらでもなさそうな蒼星石、それから二人で湯船に浸かった。 俺は蒼星石と一緒に風呂から出て、積まれていたバスタオルを一枚取った。 そして蒼星石もタオルを取るのかと思ったが、思いっきりそこに飛び込んだ。 「はぁぁ・・・ふかふかだよマスター。」 「一緒に入ったのはそのためか?」 「まぁそれもあるけど、気分がよかったから一緒に入りたくてね。」 風呂から出た後、蒼星石は先に寝ると言って上に行った。 俺もテレビを見て早めに寝ようと思い、寝室へ向かった。 ベッドの毛布をまくると、何とそこには蒼星石が入っていた。 「ふぁ・・・ごめんなさい・・・気持ちよくてつい・・・」 「気にするな、一緒に寝るか?」 「うん、ふかふかの布団とマスターに包まれてたら・・・よく眠れそう・・・」 そう言ってる間にも蒼星石はまどろんでいき、 俺もそんな蒼星石を見ていると徐々に眠くなり、二人してすぐ眠りに付いた。
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生徒名簿 > 周圭斗 >[夜の公園]周圭斗(SR) [夜の公園]周圭斗(SR) 攻魅力 2839 守魅力 2620 攻M 9127 守M 8425 コスト 14 卒業祝い 20000メン [夜の公園]周圭斗+(SR) 攻魅力 3407 守魅力 3144 攻2M 13381 守2M 12352 コスト 14 卒業祝い 30000メン [不味いジュース]周圭斗(SSR) 攻魅力 4258 守魅力 3931 攻4M 20114 守4M 18566 攻3M 19663 守3M 17973 コスト 14 卒業祝い 60000メン アピール 具合悪いときに何? さっさと終わらせて。 └全タイプの攻魅力大UP ストーリー 幻想メリーゴーランド 入手方法 プレミアムキューピッド(低確率) 台詞 ボイス +... ステップ1 おしゃべりタイム 夜の公園は、悪くないね。 おしゃべりタイム 何? もしかして怖いの? おしゃべりタイム アンタの怖がってる顔、いいね。 デート電話コメント デートって、勿論……夜だよね? は? 昼間? ボクを殺す気なの? 夜じゃないと行かない。 カレ自慢アピール 具合悪いときに何? さっさと終わらせて。 ステップ2 おしゃべりタイム ひっつかないでよ。暑苦しい。 おしゃべりタイム ……そこまで離れなくていい。 おしゃべりタイム 極端過ぎるんだけど。バカなの? デート電話コメント うるさいところとか、眩しいところ……じゃなかったら行ってあげてもいいよ。感謝してよね。 カレ自慢アピール 具合悪いときに何? さっさと終わらせて。 ステップ3〜 好感度レベルMAX 損得無しに傍に居たいって言うなら、アンタは奇特以外の何物でもないね。そんなアンタの相手をできるのは、ボクくらいだよ。 おしゃべりタイム(ステップ3〜4) ひっつかないでよ。暑苦しい。 おしゃべりタイム(ステップ3〜4) ……そこまで離れなくていい。 おしゃべりタイム(ステップ3〜4) 極端過ぎるんだけど。バカなの? おしゃべりタイム(ステップ5〜7) お化けが出たらいいんだけど。 おしゃべりタイム(ステップ5〜7) ……本気にしないでくれる? おしゃべりタイム(ステップ5〜7) お化けなんて信じてないよ。 おしゃべりタイム(ステップ8) 不審者とか、出るかもね。 おしゃべりタイム(ステップ8) 何か出たらアンタが退治して。 おしゃべりタイム(ステップ8) 特別に褒めてあげてもいいよ。 デート電話コメント(ステップ2〜4) うるさいところとか、眩しいところ……じゃなかったら行ってあげてもいいよ。感謝してよね。 デート電話コメント(ステップ5〜7) 行ってあげてもいいけど、貧血起こしたら看病してよね。悲鳴上げて騒いだりしたら許さない。 デート電話コメント(ステップ8) 貧血気味だから家から出たくないんだけど。ああ……アンタがボクの家に来るなら、構わないよ。 デート電話コメント(ステップ8) アンタが家まで迎えに来て、台車で運んでくれるならいいけど。……本気にしないでくれる? デート電話コメント(ステップ8) めんどくさい。動きたくない。ダルい。……何もしなくていいなら、行ってあげてもいいけど。 カレ自慢アピール 具合悪いときに何? さっさと終わらせて。 マイページ +... ステップ1 電話、出るの遅すぎ。もたもたしないでよ。 ひとりで公園にいるから、急いで来て……。 早く来なよ。ボクがどうなってもいいわけ? ステップ2〜3 つべこべ言わずにボクの傍にいなよ。 気分悪い……。ちょっと、なんとかしてよ。 この公園には、ボクとアンタしかいないよ。 ステップ4〜5 アンタは特別にボクの傍に置いてあげる。 親がボクの心配なんてするわけないでしょ。 ……暗い場所にひとりでいると、落ち着く。 ステップ6〜7 アンタが買ってきた飲み物、もういらない。 相変わらず、アンタを見てると飽きないよ。 なに恥ずかしがってるの? バカみたい。 ステップ8 ……アンタも今日のこと、忘れないで。 アンタのその情けない顔、もっと見せてよ ……過去の記憶より、アンタのほうがマシ。 早く、ボクのことが好きだって言いなよ。 ボク以外の奴に優しくしないでよね。 登校 +... 朝 ステップ1 どこがいい天気なわけ? 寒くて倒れそうだよ。 ……気が変わった。今日はやっぱり家で寝るよ。 気分悪くなってきた……。少し静かにしてくれる? ステップ2〜4 毎朝同じ時間に起きて、学校に行って、よく飽きないね。 アンタ、いつも笑ってるよね。何がそんなに楽しいわけ? 午前中の授業はサボるから、アンタも付き合いなよ。 ステップ5〜7 ねえ、アンタはボクが学校に来なかったら悲しい? 喉渇いた。なんかあったかい飲み物買ってきてよ。 追い払うのも疲れる。勝手に傍にいればいいでしょ。 ステップ8 アンタに寄りかかって休憩するから、動かないでよね。 アンタを見てたら、悩むのがバカバカしくなってきたよ。 ときどき、アンタを無性に泣かせたくなるんだよね。 他の奴らよりは、アンタはいくらかマシかもね。 ボクの見てないところで、他の奴と仲良くしないでよね。 放課後 ステップ1 クラスメイトのバカ話に付き合って、疲れないわけ? 家に帰っても暇だし、今日は特別に学校にいてあげるよ。 保健室で仮眠を取るんだから、ついて来ないでよね。 ステップ2〜4 今日は図書館で勉強するの? どうせ無駄な努力だよ。 美術準備室に行く。あそこなら、たぶん誰も来ないから。 先生に呼び止められても、ボクは見てないって言って。 ステップ5〜7 うるさいな。これから寝るんだからついてこないで……。 ボクと一緒にいたいなら、アンタも授業をサボりなよ。 ボクとお昼が食べたいんでしょ?素直になりなよ。 ステップ8 明日の弁当はレバーを入れてきて。これは命令だよ。 アンタって変な奴だよね。見てて恥ずかしくなるよ。 アンタの弁当を床に落としたら、泣いてくれる? 言っとくけど、優しくされても礼なんて言わないから。 少し昼寝する。アンタの膝、枕代わりに使ってあげるよ。 夜 ステップ1 明日は家で寝てるから、学校に来なくても騒がないでよ。 なんか、めまいがしてきた……。今日は早く帰る。 なに? どこに寄り道しようとボクの勝手でしょ。 ステップ2〜4 帰り道もボクに付きまとうとか、どういうつもり? ボクが疲れてる? アンタの相手してて疲れたんだよ。 うるさい虫がいる夏に比べたら、冬のほうがマシかもね。 ステップ5〜7 勝手に帰ろうとしないでよ。ボクと話したくないわけ? こういう夜は……昔のことを思い出してうんざりするよ。 暗闇が怖いの?ふーん、ボクは嫌いじゃないけどね。 ステップ8 公園に行くよ。……どこの公園って、決まってるでしょ? 人のことジロジロ見ないでよ……。気持ち悪い。 ボクの許可なしにどこかへ行ったら、許さないからね。 ボクを遊園地に連れて行きなよ。どうせ暇でしょ? 油断してるとキスするよ。……それとも、してほしいの? デートの約束 +... [部分編集] ステップ1 うざいから、いちいち大丈夫とか聞かないでくれる? 時間がもったいないから早く話しなよ。 デートって、勿論……夜だよね? は? 昼間? ボクを殺す気なの? 夜じゃないと行かない。 じゃあ、その日はたくさん昼寝しておいて。ボクと逢ってる最中で寝たりしたら許さないから。 ステップ2〜4 仕方ないから出てあげるよ。学校で会ったときに、しつこく付きまとわれても面倒だからね。 うるさいところとか、眩しいところ……じゃなかったら行ってあげてもいいよ。感謝してよね。 なんでアンタの予定に合せなきゃいけないの? まあ、その日はボクも空いてるからいいけどね。 ステップ5〜7 さっさと話しなよ。ボクの時間を奪うんだから、くだらない用だったら許さないからね。 行ってあげてもいいけど、貧血起こしたら看病してよね。悲鳴上げて騒いだりしたら許さない。 わかった、空けておいてあげる……。行き先は全部アンタに任せるから、せいぜい頑張りなよ。 ステップ8(1) 用件ぐらいは聞いてあげるよ。ボクに電話してくるなんて、アンタってホントに変わり者だよね。 アンタが家まで迎えに来て、台車で運んでくれるならいいけど。……本気にしないでくれる? 特別に時間を作ってあげるよ。……先に言っておくけど、つまらなかったら途中で帰るから。 ステップ8(2) なに?人がせっかく昼寝してるのに……。いいから話しなよ。アンタのせいで目が冴えたから。 貧血気味だから家から出たくないんだけど。ああ……アンタがボクの家に来るなら、構わないよ。 ふーん、ホントに来る気なんだ……? 別にいいけど、油断してると後悔することになるよ。 ステップ8(3) ……待ちくたびれたよ。せっかくボクが暇なのに、どうして電話してこないわけ? 早く話して。 めんどくさい。動きたくない。ダルい。……何もしなくていいなら、行ってあげてもいいけど。 じゃあ、その日は家まで迎えに来てよ。アンタが誘って来たんだから、それぐらい当然でしょ? デートコメント +... どいつもこいつもバカな顔してるね……。これだから街を歩くのは嫌いなんだよ。 アンタが1番バカっぽい……。そんな笑顔、ボク以外の奴には絶対見せないでよね。 カレ自慢 +... 対決画面 ステップ1 少しは空気を読んでくれない? ステップ2〜4 ……いい加減にしてくれる? ステップ5〜7 ボクのことは、ほっといてよ。 ステップ8 アンタは、ボクの後ろにいなよ。 勝利 ステップ1 弱すぎて話にならないんだけど……。よくこんな実力で勝負しようと思ったね。 ステップ2〜3 ……勝手に心配しないでくれる? あんな奴にボクが負けるわけないでしょ。 ステップ4〜5 アンタの応援なんて全然聞こえなかったよ。次はもっと大きな声でやってよね。 ステップ6〜7 守ってあげたんだし、お礼はしてもらうから。どうやってあんたを泣かせようかな。 ステップ8 絡まれないようにもっとボクの傍に来なよ。あんな奴の相手、もうしたくないからね。 ステップ8 別にアンタのために勝負したわけじゃない。ほら、さっさとデートの続きをするよ。 敗北 ステップ1 ……いつものボクなら負けてない。今日はたまたま調子が悪かったんだよ。 ステップ2〜3 なんであんな奴の相手しなきゃならないわけ? バカバカしくて話にならないよ。 ステップ4〜5 なに、ボクの責任だって言いたいの? アンタの応援が足りなかったからでしょ。 ステップ6〜7 この程度のことでボクが落ち込むわけないでしょ……。だから、ほっといてよ。 ステップ8 次は勝つから、メソメソしないでよ。アンタを泣かせるのはボクの役目なんだからね。 ステップ8 デートの邪魔をするとか、ホントあり得ない……。次は絶対あいつを泣かせるよ。 アルバイト +... ステップ1 疲れた……。仕事は全部アンタに任せるから、残りの時間は向こうで休憩してるよ。 ステップ2〜7 別に金に困ってるわけじゃない。アンタがミスしてへこんでる姿を見たかっただけ。 ステップ8 仕事なんてどれもくだらないけど、アンタがいれば少しはマシになりそうだね。 好感度MAX +... ボクのことを心配するのはアンタくらいだよ。ボク自身、身体の心配なんてしてないし。 貧血なんか日常茶飯事なのに、アンタはいちいち大袈裟に心配して…変な女。 ねぇ、なんでボクに構うの? ボクに構っても得なんて1つもないと思うんだけど。 損得無しに傍に居たいって言うなら、アンタは奇特以外の何物でもないね。そんなアンタの相手をできるのは、ボクくらいだよ。
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・期待を裏切られた的なコメがあったので、anko1456のおまけ ・エロ要素無し・パロディ要素あり。 元ネタを知らなくても楽しめるようにはなっております。 『続・奇跡の公園』 D.O ここは、田舎というほど田舎でもなく、ごくごく普通の町の公園。 樹林公園などと呼ばれていることからもわかるように、 まばらに木が植えられ、芝生の緑も心地よい、人工的な自然が作られた公園だ。 人間の町では常に死のふちへ立たされるゆっくり達も、 この公園の中でだけは、故郷の山の自然を感じながら暮らすことが出来る。 いわゆるゆっくりプレイス・・・。 いつからであろうか、この公園が『きせきのこうえん』と呼ばれるようになったのは。 公園のゆっくり達が病に苦しむ時期になると、フラリとやってくる一人のお兄さん。 彼は、ゆっくりの万病に効く薬によって、公園に住む全てのゆっくりを病から助けだしてくれた。 ゆっくり達は、今では信仰にも近い想いで、お兄さんに感謝するのだ。 おにいさん、ありがとう。 おにいさん、ゆっくりしていってね。 おにいさん。 おにいさん。 おにいさん・・・・・・。 ----------------------------------------------- 春も終わりの頃。 ここは【奇跡の公園】からすぐ近くにある、小ざっぱりとした空き地だ。 野良ゆっくりが土管の中やらプレハブの裏やらにちょこちょこと住み着いている。 ぽゆゆ~んっ!! 「ゆぴぇぇっ!?」 その空き地内にゆっくりの体当たりの音、そして悲鳴が響いた。 「な、なんなの?またありすなの!?」 ゆっくり達の視線が集中する先には、興奮しきった表情の、一匹のありすがいた。 「むほぉぉ、むほぉぉぉ、どうしたの、れいむ!かかってきなさい!!」 「ゆひぃ、いぢゃいぃ・・・。」 「どうせありすは、もうすぐしぬのよ!!すきかってにいきてやるわぁっ!!」 「ゆぅぅ、ごはんのよこどりは、ゆっくりしてないよぉ・・・。」 れいむのもみあげには、一匹のイモムシ。 どうやらこれを、ありすが力ずくで奪おうとしているらしい。 「「「ゆわぁぁあ!またありすがあばれてるよ!!にげてね!みんなにげてね!!」」」 空き地は大して広くもなければ、住み着くゆっくりも少数なので、争い事など滅多に起きない。 馴れない争いに周囲のゆっくり達もすっかり怯えて、あっという間に空き地は大騒ぎになってしまった。 そこに、ちょっとした異変が起こった。 公園内では見たことのない一匹の野良まりさが、 まるでそこで、何も起きていないかのように近づいて行ったのである。 「ゆゆっ!?あぶないよ!ゆっくりとまってね!」 皆止めに入るが、野良まりさはためらいもせずに、争うありすとれいむの間に入っていく。 そして・・・ 「むーしゃむーしゃ、しあわせー。」 「「・・・どうしてたべちゃうのぉぉおお!?」」 争いの元凶、イモムシさんを横取りして美味しく頂いてしまった。 「む、むきゅ~。いいどきょうしてるわ。」 「ゆふん。まりさはけんかなんて、こわくないのぜ!ゆっへん!」 いまだ呆然としているれいむとありすを尻目に、空き地長のぱちぇと野良まりさは、 和やかムードでお話を始める。 「それにしても、なにがあったのぜ?ちょっとありすもやりすぎなのぜ。」 「むきゅきゅ、しょうがないのよ。あのありす、【きせきのこうえん】の、いきのこりなんだもの。」 「ゆゆっ!?」 そこで、初めて野良まりさが驚きの表情を浮かべる。 それはそうだ。 野良まりさの目的地こそ、今やゆっくりの楽園と名高い【奇跡の公園】だったのだから。 と、その時、談笑しているぱちぇと野良まりさの間に、先ほどのありすが飛び出してきた。 「むほぉぉっ!!ありすのいもむ『どむっ!!』ゆびぇぇ!?」 「ゆっゆっゆ!せんてひっしょうなのぜ!!」 さすがに野良まりさも容赦ない。 ありすが話している間に、さっさと一撃体当たりを入れて、黙らせてしまった。 「いもむしさんなんて、どうでもいいのぜ!そんなことより、【きせきのこうえん】のことをきかせるのぜ!!」 「むほぉ・・・むほぉ・・・わ、わかったわ・・・」 ゆっくりと話をするときは、とりあえず一撃入れて力の差をわからせてからの方が良い。 人間でもよく使う手段によって、野良まりさは、ありすから話を引き出すことに成功したのであった。 「あ・・・あのこうえんは・・・」 ----------------------------------------------- あれは越冬よりも前、秋よりも、夏よりも前の、春だったわ・・・ あの公園は、たくさんのゆっくりが住んでいたんだけど、 おちびちゃん達はほとんど全員が、それに、ありすみたいなおとなのゆっくりもたくさん、病気になってしまっていたの。 そんな時に、あのお兄さんがやってきたのよ。 お兄さんは、白いお薬をたくさん持ってきてくれて、病気のおちびちゃん達に飲ませてくれたの。 ありすも、おちびちゃん達もみんな、みんな元気になったわ。 ・・・・・・。 でも!お兄さんは突然変わってしまったのよ!! あの、ゆっくりしたお兄さんは突然、虐待鬼意山になってしまったの! お兄さんはありす達を『かわいそうな野良』って呼んで、次から次へと酷い事をしたの! 公園は・・・公園は、ゆっくりプレイスじゃなくなったわ・・・・ 嘘?嘘じゃないわ! だって、ありすもお兄さんに体をいじられて、こう言われちゃったのよ! 『ありす、お前は、産まれて3回目の越冬を迎えることなく、死ぬ。』って・・・ ----------------------------------------------- 「た、たすけて・・・ありす、もう2かい、えっとうしちゃったのよ・・・」 「そ、そんなのうそなのぜ!?おにいさんが、かってなことをいってるだけなのぜ!」 「いや・・・いやぁ、ありす、まだしにたくないぃぃ・・・むほぉぉおお!!」 その時、ありすはついに恐怖に耐えられなくなり、 野良まりさを弾き飛ばすようにして走り去ってしまった。 そして、空き地から転げだすように道路に飛び出した瞬間、 ぐしゃんっ!!・・・・ブロロロロ・・・・ ありすは、道路を走り抜ける自動車に踏み潰され、その命を散らせたのであった。 お兄さんの予言どおり、3回目の越冬を迎えることなく・・・・・・ 「む、むきゅぅ・・・ほんとに、しんじゃったわ・・・」 「「「わからないよー。」」」 周囲にいたゆっくり達も、あまりの恐怖に表情が定まらず、プルプルと震えるばかり。 だが、百戦錬磨の野良まりさだけは、ありすの遺体から視線をそらさず、 そして、ぱちぇに話しかけた。 「ぱちぇ・・・おにいさんのおうち、どこだかしってるのぜ?」 「え、ええ、あのおにいさんなら、よくみかけるから、おうちならわかるわ・・・むきゅ!?」 野良まりさの表情は、決意を固めたゆっくりの表情そのものであった。 「まりさは・・・まりさは、おにいさんをたいじするのぜ!!」 ----------------------------------------------- ここは、先ほど話題になった鬼意山宅。 魔王の城のようなものではもちろんなく、 ごく普通の木造2階建て住宅である。 だが、その1階にある和室では、ゆっくり用の小さな手術台があり、 そこには恐らく公園の野良であろう、一匹のみょんが寝かせられていた。 みょんは逃げようと体を捻るが、ベッドに皮ベルトでくくりつけられているため、逃げられない。 「フ・・・心配するな。新しい治療法の究明だ。」 「な、なにするみょん?やめるみょん!ゆっくりできないみょーん!!」 みちっ!・・・みちみちみちっ!! 鬼意山の指が、みょんのお腹を突き破り、中の餡子をこねくり回している。 「み・・・みょっ!?ごぼぉっ!?ごぼごぼごぼ・・・」 そして、鬼意山が指を抜くと、不思議なことにその傷口はあっという間に塞がった。 だが、傷一つ無いにも関わらず、みょんの口からは大量の餡子が吹き出し続ける。 やがて吐餡は収まったものの、みょんは2割方小さくしぼみ、しゃべる事も出来ないほどに憔悴してしまった。 「ふむ・・・俺の求める治療法には程遠い。」 鬼意山は、不吉な笑みを浮かべる・・・。 ----------------------------------------------- ガシャーンッ!! その鬼意山宅に、窓ガラスの割れる音が響いた。 「フッフフ・・・玄関から来ればいいものを。窓から入るとは、ゆっくりは未だに成長していないらしいな。」 鬼意山が音のした和室へ向かうと、そこには一匹の精悍な野良まりさがいた。 無論、ぱちゅりーに案内された、あの野良まりさである。 「どうして・・・どうしてかわっちゃったのぜ、おにいさん。」 「ん~?なんのことかな?フフフ・・・」 野良まりさは、信じられなかった。 なぜなら、この野良まりさこそ、かつてお兄さんにお薬をもらい、 死の病から救われた赤ゆっくりの一匹だったのだから。 その後、同年代の多くの赤ゆっくり達は、事故や事故や事故などでこの世から去っていったが、 この野良まりさだけは幸運にも生き延び、立派なおとなのゆっくりとなって公園から旅立った。 そしてこのたび両親に、旅先で出来た自分の家族を紹介するため、この公園へと戻ってきたのである。 ちなみに、家族は旅の途中で全員事故死した。 「おにいさんにもらったおくすり・・・ずっとかんしゃしてたのぜ。なのに・・・」 その言葉を聴いた瞬間、先ほどまで不快な笑みを浮かべていたお兄さんが、 その表情に怒りをにじませる。 「薬・・・また薬か。所詮、お前らには言葉で言っても無駄だな。」 そして、両手にボクシンググローブを付け、 野良まりさに陰惨極まる笑みを向けると、野良まりさの挑戦を受けるように、大声で言い放ったのであった。 「フフフ・・・かかって来るがいい、まりさよ!この私の愛で魂、とくと味あわせてくれるわ!!」 ぽふっ!もにゅもにゅ・・・ぽむんっ! 「ゆぅぅ!おにいさんは、ゆっくりゆるさないよ!ゆぁああ!!」 「ウワハハハハ!どうだ、私が開発した最強の愛でアイテム『ぽふぽふさん』の威力はぁ!!」 「ゆぎぎぎ!ま、まりさのたいあたりがぜんぜんきかないよ!?どうしてぇぇぇええ!?」 鬼意山の両手にはめられたボクシンググローブこそ、16オンスグローブの外側を、 羽毛布団から取り出した大量の羽毛で包み込んだ特注品、商品名【ぽふぽふさん】であった。 鬼意山が、主として活発すぎる飼いまりさを、 かすり傷一つ付けずに遊ばせてあげるために考案した愛でアイテムである。 「ゆぅぅぅ・・・ぎ、ぎぼぢいいぃぃ・・・」 「フフフ。そうだ。私こそが真の愛でお兄さん。 お薬を与えるお兄さんの方がゆっくりできるなど、片腹痛いわ。」 ・・・・・・。 「ゆ?・・・お、おにいさんは、おくすりを・・・?」 それは、並みのゆっくりならば気づかない違和感だった。 だが、野良まりさはそこそこ賢い部類であり、だからこそ気づく。 お兄さんは、お薬をくれたお兄さんだったはず。 なのに、どうしてお薬をくれるお兄さんのことを悪く言うの? 「お、おにいさん・・・まさか・・・?」 「気づいたか。そうだ!俺はお前らにお薬をやったお兄さんなどではない!! 髪型をそっくりにしただけの、別人なんだよ!!フハハハハハ!! だが、気づいてももう遅い、まりさよ!お前は【ぽふぽふさん】によって、俺の愛に包み込まれたのだぁっ!!」 野良まりさは、鬼意山の【ぽふぽふさん】から繰り出される渾身の愛撫の前に、 わずかに残された意識で反論することしかできない。 「フフフ。さあ、もっとゆっくりするがいい。フハハハハハ!!」 「ゆ、こ、こんなの・・・ほんとうのゆっくりじゃ、ないよぉ・・・」 「ほ・・・ほざけぇええ!!誰も俺のことはわかっちゃいねぇんだ!!」 今なお反論する気力のある野良まりさに対して、鬼意山はさらにまくし立てる。 「俺は、どんなゆっくりでもゆっくりさせることが出来る天才だ!! だが、どのゆっくりも俺を認めようとせん!!公園のゆっくり達も、俺の天分を認めようとしなかった!!」 「そ、それで、こうえんのみんなを・・・えいえんにゆっくりさせたの・・・?」 「何のことだ!?もう一度言う!俺は天才だ!!」 もふっ! 鬼意山はすでに骨抜き状態の野良まりさを【ぽふぽふさん】で包み込み、さらにゆっくりさせ続ける。 「フハハ!俺が作った愛でアイテムの前には、威勢のいい野良まりさでもこのザマだ! 俺を認めなかったゆっくり共を、愛でて愛でて愛で尽してやるわ~!! そして可愛い可愛いゆっくり共が俺に媚びるのだ!!媚びろ~、媚びろ~!!」 「ゆ・・・ゆぁぁああああ!!!」 その時、野良まりさが【ぽふぽふさん】に包まれてから初めて、 力のこもった声を発した。 「ゆぎぎぎぎぎぎ・・・・!!ゆぁぁああぁっ!!」 「ば、バカな!!俺の愛から逃れるとは・・・こんな!?」 そして、しゅぽーん!と鬼意山の愛撫からすり抜けた野良まりさは、 鬼意山に対して言い放った。 「もし・・・もしこれが、ほんとうの『ゆっくり』だったら、まりさでもずっとゆっくりしてたにちがいないのぜ!!」 「うくくっ!?俺の愛が間違っているとでも言うのか!?俺が劣ると・・・そんなわけは無い!!」 鬼意山は【ぽふぽふさん】を手から外し、腰にぶら下げてあったヘアーブラシを握ると、 再び野良まりさに襲いかかった。 しゅっ!しゅっ!さらさらぁ~ん 「ゆゆっ!?まりさのかみのけが、さらさらになったのぜ!?」 「くらえっ!!ゆっくりの髪の毛を考える、至高のヘアーブラシ【さらさらへあーさん】の威力を!!」 「ゆふぅ~ん、ゆっく・・・こんなのには、まけないのぜぇ!!」 「バカなぁぁぁああ!?」 まりさはもはや、鬼意山のあらゆる愛で攻撃を跳ね返す。 自慢の愛でアイテムが空振りに終わった鬼意山に打つ手は無かった・・・。 野良まりさに完全敗北した鬼意山は、頭を抱えながら叫ぶ。 「なぜだぁっ!?なぜヤツを認めて、この俺を認めねえんだ!!」 「どうして、あのおにいさんになりすましたりしたのぜ?」 「ふぅっ・・・ナゼだと?や・・・ヤツは、ヤツはこの俺の、この俺様の顔を叩きやがったんだぁぁああ!!」 ----------------------------------------------- それは、昨年の春の事だった。 ヤツは・・・お薬お兄さんは、あの【奇跡の公園】で、救世主としてあがめられ、 ゆっくり達の尊敬と信頼を一身に集めていた。 「フッ・・・奇跡か。そのくらいの事、俺にもできる!!!」 俺は、ゆっくりを愛し、そしてゆっくりに愛されたいと思い、意気揚々と公園に乗り込んだのだ。 そして、一匹の息も絶え絶えなれいむを見つけ、さっそく自分で編み出した治療法を施すことにした。 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・」 「ほぉ。腹の調子が悪いのか。どれ、俺が治してやろう。」 「ゆぅ・・・?やめてね。れいむには、おにいさんがおくすりを・・・」 「心配するな。俺は天才だ。俺に不可能は無い!!!」 みちっ!・・・みちみちみちっ!! そして俺は、指でれいむのお腹を突き破り、中の餡子をこねくり回した。 それは、ゆっくりの餡子を直接刺激して、悪くなった餡子を吐き出させ、 あとでオレンジジュースを飲ませて新鮮な餡子を補充すると言う、 多少の苦痛は伴っても、完全な健康を取り戻させることができる治療法だ。 「ゆぎぇっ・・・ぎびぇぇぇ・・・」 「ん?間違ったかな?」 ただし、たまに失敗するが。 「な・・・何を!?」 その時通りがかったのが、ゆっくり達にお薬だと言って単なる栄養剤をばら撒く、 あのお薬お兄さんだ! 「どけっ!!」 バシッ!! 「・・・・・・・!!・・・!!」 アイツは、アイツは・・・ 「ああ・・・俺の、俺の顔を、顔を・・・俺の天才の顔を!!」 俺の顔に平手打ちをかましやがったんだ!! そして、俺が治療中だったれいむの腹にオレンジジュースをぶっかけて、 「もう大丈夫だ。」 あんな事を言いやがった!! 大丈夫なわけねえ!!俺の見立てでは、あのれいむは餡子の劣化で、一月も生きられなかったんだ! だから、痛い思いさせてでも、古い餡子を取り除かなきゃならなかったんだあ!! 「き、きさまぁ!!俺を、この俺を誰だと思ってるんだぁぁああ!!」 2秒後、俺はお薬お兄さんに、計28発の拳を叩きこまれ、動向を見守るゆっくり達の中に崩れ落ちた。 お薬お兄さんは吐き捨てるように言った! 「天才だか何だか知らねえがな。人のエモノ・・・患者に手を出すな。」 それに合わせ、周囲で見守っていたゆっくり達も、口々に叫んだ! 「そうだよ!とっととでていってね!」 「わからないよー。ぎゃくたいおにいさんなんだねー。」 「むほぉ!?ゆっくりぷれいすに、はいってこないでね!」 「はやくうせるみょん!」 それは・・・それは、俺の望む姿ではなかった・・・ 「ぐっ!?ぐぐぐぐぐ・・・・・うぁぁああああ!!」 ----------------------------------------------- 「アイツは、アイツは間違いなく獲物と言いやがった!アイツは虐待鬼意山に違いねえんだ!! いや、虐待鬼意山は許せんが、ホントにそうかは確認できてねぇ。それはとりあえず、しょうがねえ! だが・・・だが、それ以上に、虐待鬼意山っぽいクセに、俺よりゆっくりに好かれてるのが、我慢ならねえんだ!!」 鬼意山はもはや涙目である。 つまり、お薬お兄さんみたいに慕って欲しかっただけらしい。 正直、さっきのお話を聞いていると、野良まりさの良心がシクシクと痛んできていた。 だが、たとえ追い打ちだとしても、野良まりさは、一言だけ、言わずにはいられなかった。 「おしつけのゆっくりは、ゆっくりできないのぜ。」 「・・・なぁぁぁああああああああああああ!?」 あれからどれほど時間が経っただろうか。 鬼意山は床にひれ伏し、涙で水たまりを作りながら、未だに動かない。 野良まりさはその間に、鬼意山のゆっくり治療室にある、病室(と言う名の檻)から、 鬼意山の治療を受けたゆっくり達を出してあげていた。 当然、鬼意山は悪人でないことも伝えてあげる。 「みょーん。そうだったみょん?どうりで、からだがかるいみょん!!」 ぽゆんっ!ぽゆんっ!と元気に跳ねるみょん。 このみょんは、先ほど鬼意山の治療を受けていたみょんだ。 悪い餡子を吐き出し終えたときは2割ほど体積が減っていたみょんも、 今ではジュースと輸餡のおかげで、すっかり元通りだった。 いや、健康な餡子だけになったことで、おそらく寿命も大幅に伸びたことだろう。 「でも、おにいさん。」 「・・・・・・何だ?・・・グスッ。」 「どうしてありすに、あんなゆっくりできないこと、いったのぜ?」 「?」 あの台詞、 『ありす、お前は、産まれて3回目の越冬を迎えることなく、死ぬ。』 という台詞の事だ。 それに対する鬼意山の答えは、あっさりしたものであった。 要するに、もう寿命ギリギリまでカスタードが悪くなっていたありすを治療して、 もうひと冬越えられるくらいまで回復させた時に、 『もう一回くらいは春を迎えられるよ。よかったね。』 というような内容を、鬼意山風にありすに伝えただけだったのであった。 重ね重ね、残念な鬼意山である。 そして、全てが解決した(完全な誤解だったのだが)。 十分に涙を流し、すっきりした表情の鬼意山は、 だがしかし、まだ自分の愛でテクニックを諦めきれていないらしく、 野良まりさに語りかける。 「お前の言葉に嘘が無いか、最後に一つだけ、最後の切り札を試させてくれ・・・。 俺の愛で方が、押し付けであるという証拠を、見せてほしい。そうすれば・・・俺も諦めがつく。」 「ゆっくりうけてたつよ!」 すると、鬼意山は突然、上半身裸になり、野良まりさに対して叫んだ。 その胸には・・・ 「見ろ!ゆっくりが女性の胸の感触に弱い事など研究し尽くしているんだぁ!! この豊胸手術によって作り上げた胸に飛び込んでくるがいい!!」 Hカップの見事な巨乳が・・・ 「・・・・・・きもちわるいのぜ。」 無論一蹴された。 「うわらばっ!?」 ----------------------------------------------- 長い・・・長い闘いであった。 いつの間にか外は夕暮れ、空は赤から紫へと色を変えながら、辺りを闇に包みこみ始めていた。 野良まりさは、やるべき事を終えたという表情で、鬼意山に別れを告げる。 「じゃあ、まりさはいくのぜ。おにいさんが、ゆっくりしたおにいさんだって、みんなにおしえてあげるのぜ。」 「・・・・・・頼む。」 「みょーん。みょんもそうするみょん。」 「・・・・・・ありがと。」 鬼意山は相変わらずゲッソリしているものの、まりさ達の優しい言葉によって、ほんの少し心の力を回復させたようだ。 「みょんは、もうすこしここにいるみょん。おにいさん、じつはけっこういいひとだみょん。」 「・・・ありがと・・・うぅ・・・。」 「ゆ!じゃあ、まりさは、こうえんのみんなにおにいさんのこと、おしえてあげられたら・・・またあそびにくるのぜ!」 「・・・じゃあ。ゆっくりヨロシク。」 野良まりさは、ぽよん、ぽよんと玄関を出て、また鬼意山の方を振り返り、一言だけ言った。 「おにいさん!ゆっく『ぐしゃっ!・・・ブロロロロ・・・』・・・・」 その時、野良まりさのいた場所を、一台のトラックが通過していった。 道路には、自動車のタイヤに潰された饅頭の、餡子の跡だけが広がっていった。 「な・・・なぜ仲良くなったゆっくりばかりがこんな目に・・・天才の、この俺の友達ばかりが、なぜだぁぁああ!?」 ちなみに翌日にはみょんも交通事故に遭い、永遠にゆっくりした。 鬼意山を理解してくれるゆっくりは、こうして再び、地上から消え失せたのである。 ----------------------------------------------- ちなみにその頃、お薬をゆっくり達に配っていたお兄さん、観察鬼意山はというと・・・ 「はあ・・・まったく、余計な事しやがって。勝手に事故死するから面白えんだろうが。ったく。」 こちらはこちらで迷惑していた。 まあ、まさしくプロゆっくり医師級の技術の持ち主から治療を受けられるというのに、 必死で逃げまどうゆっくり達の表情を見るのは、それはそれで愉快なモノではあったが・・・。 餡小話掲載作品 町れいむ一家の四季シリーズ→休止中につき、anko1374にてご確認あれ anko238.txt ぱちゅりおばさんの事件簿 anko394.txt ゆっくりちるのの生態 anko970.txt ごく普通のゆっくりショップ anko989.txt ゆっくり向けの節分 anko1042.txt みんな大好きゆレンタイン anko1052.txt 暇つぶし anko1061.txt 軽いイタズラ anko1136.txt お誕生日おめでとう! anko1149.txt ゆっくり工作セット anko1269.txt 愛でたいお姉さん anko1283.txt ありすの婚活 anko1363.txt 野良も色々 anko1367.txt 労働の意義 anko1374.txt anko1379.txt ドス対処法 anko1388.txt 赤い風船に乗せて anko1393.txt ゆっクリニックへようこそ anko1433.txt 良好な関係 anko1451.txt 余計なお世話 anko1457.txt anko1467.txt 奇跡の公園
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230 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/12/19(水) 15 14 25 ID 3R9/Bv8L 10年ちょい前くらいの皆を夕暮れ時の公園に集めてみる 入りたての剣道部の練習で疲れ果ててベンチでヘタり込むコジロー 入院してるお母さんに花を摘んであげるタマキ 砂場で芸術的な城をこさえるキリノ うっかりそれをぶっこわすサヤ コタローを散歩に連れて来て、ダンくんに驚くミヤミヤ まずコタローに驚いてるユージ そうと知らずにブランコで大回転中のダンくん おさんぽ中に持病の癪を起こして苦しむじいちゃんにわたわたするさとりん 231 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/12/19(水) 16 04 35 ID W4SsoVhO なんか、城壊されたキリノは別にどって事ないのだが うっかり壊してしまったサヤの方が傷付いてそう 234 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/12/19(水) 18 05 46 ID 9+z6eMMN 231 「ごめんよぉっ、すぐに直すから…あああ…」 サヤんが必死に元に戻そうとするけど どんどん原型をとどめなくなって行くキリノのお城(既に前衛芸術)。 「いいって、いいってー、あははは」 「ごめん…ほんとにごめんね…」 案外そんなのがキリサヤ初めての出会いだったり。 266 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/12/20(木) 01 07 22 ID 2IFOWkw8 230以下を、コジロー視点で。 でももし本当に母校が鎌倉(鎌崎)ならチャリ通はムリがあるなぁ。 (ああ、こんな子供が遊ぶような公園で何してんだ俺?) ―――死ぬほど、だるい。まさか高校の剣道部の稽古がここまできついとは。 流石に着替えるまで体力はもったが、遠く離れた家まで帰り着く体力は既に無く。 仕方ないのでチャリ停めて小休止…のはずだったんだが。 「おにーさん、ちょっと手伝ってよ」 …ヘンなお子様に声を掛けられた。 どう見ても小学校低学年、下手すりゃ幼稚園児か? 金髪のその子は、後ろでなんだか泣いてる赤髪の子のお姉さん…ではなさそうだ。友達かな? しかし知らない高校生に声を掛けるとは、物怖じしないヤツだな。 というか、誰かに見られると俺の方がやばくないだろうか、この状況。 まあ無視するのも感じ悪いし、尋ね返してみる。 「…なにをだ?」 「この子がね、あたしの作ってたお城こわしちゃって。 あっ、ううん、あたしは怒ってないんだけど、この子が泣いちゃって… それでね、お城作りなおしたら泣き止んでくれるかなって」 「うっ、うっうぅ…ごめんねえ、ごめんね…」 「もぉ、いいって言ってるのに~、で、どう?おにいさん」 ん~む、俺とそれとどういう関係が?…つか、メチャクチャよく出来た子だな… 俺の小さい頃なんかもっとスゲーいい加減だったと思うんだが。まぁ、いいや。 「…まあ、それくらいなら」 「ありがとう!」 * * * * * その後、金髪のコは、そこいらで花を摘んでいた子や、何か変な動物の散歩に来ていた子、 その変な動物にしか見えない(!)男の子、それを見て驚いていた地味な子らにも所構わず声をかけまくり、 一大プロジェクトを始動させようとしていた。 俺もなぜか勧誘までさせられ…と言うか、たまたま近くで苦しそうにしていた爺さんを見つけたので 少し背中をさすってやると落ち着いたらしく、そのお孫さんらしき眼鏡のお嬢ちゃんも協力してくれる事になった。 かくして「砂場のお城再建プロジェクト」は始まったのだ。まずはリーダー…金髪のコの説明から。 「えっと、こんなのをつくってたんだけど…」 ……そう言いながら砂場に描かれる、極難解なる幾何学模様。 その場にいる俺も含めた全員がぽかーんとなる中、 リーダーはお構い無しに説明を続けようとする…が、さすがにそこは年長者としてストップだ。 「ちょっ、ちょっと難しくないか?時間も遅いし、もうちょっと簡単なのでいいだろ」 「ん~、え~と、それでもだいじょうぶ?」 「ぐずっ… うん…!(こくこく)」 ようやく、半べそ位に落ち着いて来た赤髪の子が頷くと、金髪のコは満面の笑みで答える。 「じゃあ、みんなの好きなかたちで!」 『おー!』 267 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/12/20(木) 01 07 53 ID 2IFOWkw8 * * * * * ―――――作業も始めてしまうと早いものだ。 男の子の…えっと、地味な方の子は俺の指示通りに砂堅め用の水を汲みに行き、 ピンクの髪の子は渋りながらも、ペットと同じ顔の男の子の言う事はよく聞いてくれているらしい。 眼鏡の子はちょっとうっかりさんらしく、何度か失敗しながらも一生懸命塔を拵えてくれている。 肝心の金髪と赤髪の子は…どうやら仲直り(?)しつつあるようだ。別に元々ケンカしてた訳でもなさそうなんだがな? …さて、俺の方も負けてはおれん。昔取った杵柄だぜ。いいかい地味な男の子。 「こーやって、濡らした砂入れた小さいバケツの外側からな、空気を抜いてやるんだ。 そうすりゃ砂が硬くなっていい土ができる。その上からキメの細かい砂を一杯コーティングしてやる。」 「へえー、おじさん詳しいんですね」 「おじさんじゃねえよ!」 まったく。誰の為にこんな事やってると… ってか、ほんとに誰の為だよ俺? とか俺が考えてる内に、各々の持ち場も8割がた完成しつつあるようだ。 …そこに今まで居なかった、花を摘んでた女の子が大きな花冠を作って飾ってくれる。 「あの…おかあさんのぶん、できちゃったから、あまりだけど…」 うーん、この子も、かなりよく出来た子だな。日本の将来は明るいぜ。 ともあれ殺風景だった城も一気に華やぎ、ゴールも目前だ。 「…できたぁ!!」 リーダー…金髪のコが声をあげる。 と同時に、誰からというでもなく、拍手が巻き起こる。 「ありがとう!えへへ…もう、つらくないよね?」 「ふぇ~ん、ありがとぉ~」 「ありゃりゃ、泣きんぼさんだねえ…よしよし、いいこいいこ。 でも、あたしも、ありがとうなの! えっと、おなまえ…」 「…サヤ!くわばらさやこだから、サヤでいいよ!」 「うん!あたしキリノ。ちばきりの!」 うーむ、感動的なシーンだ。 写真でも撮っておきたいが…と思ったら。 眼鏡の子のお爺さんが目の幅ほどの涙を流しながら孫とその仲間を撮り続けている。元気だなジジイ。 …じゃあ、まぁ、俺はもういいか。解散だな解散、とそそくさに帰ろうとすると、本日二度目のお声が掛かる。 「あっ、おにーさん待って!」 「…何だ?まだ俺になにか用か?」 達成感と共に襲ってくる累積疲労。そういや俺は疲れてたんだった… そんな俺の不躾な対応にも関わらずその子…きりのちゃんは続ける。 「ちょっと耳貸して?」 「?? あぁ、いーけど」 屈み込み、顔を近付けると…む、なんか俺の頬に触れるものが。 ”ちゅっ”とか音がしたような、ってオイッ!! ―――それは、まごうことなき…漫画とかでよく見る「ほっぺにキス」その物だった。 多少照れ気味にうつむきながら、きりのちゃんが再び口を開く。 「今日はおにーさんのおかげだからね、お礼だよ? …ありがとうっ!てへへ」 「……おっ、おう…」 …ぬあぁぁー、バカか俺は!?あんな小さい子になにをドキドキしてるんだ? そこからの帰り道は気が気でなく、商店街の通りでは何度人を轢死しかけたことだったか… * * * * * ――――さて、時は現代、昼休み前。 道場で寝転がりながら、高校時代を思い出す道すがら。 そんなような事もあったな… としみじみ思い返してみる。 あれからもう10年、か。道理で親父もお袋も老けるわけだよ。 「あぁ、あん時のガキ共、今頃どうしてるんだろうな?」 流れに乗ってふと記憶を辿る。 出来事は大体覚えてるのだが…流石に名前とかまではきつい。 何か、リーダー格だったあの子はこう…喉まで出掛かっちゃいるんだが。ううむ。 月乃だか小手美だか竜胆だとかそんな変な名前だったんだよなあ、ええいくそ。 ……下らん事で思い悩んでいると、もう昼練の時間だ。 ずかずかやって来るキリノとサヤのいつもの元気のいい話し声がここまで聞こえてくる。 「あのさぁサヤぁ、覚えてる? 昔ね、あたし達が初めて会った時にさあ。 変なおじさんいなかったっけ?覚えてない?」 「覚えてる!覚えてるよー!いたよねえ?」 「なんだかねー、ふと思い出しちゃってねえ…今、どうしてるんだろうね?」 ―――――ちょ、ちょっと待て。それって……! (その後コジローは、東宅から偶然出て来たアルバムにより、言い逃れ様の無いロリコンとしての謗りを受ける事になるのだが…それもまた別の話。) [終]
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#blognavi 秋のしょぼ降る雨の土曜日。 夏、子供たちの歓声で溢れかえっていたお日様公園の噴水も 今日は自分の水音を聴いているだけ。 うふふ、誰もいない雨の公園は 独り占めできるからけっこう好き。(クラ~い) おっ?! 隣の独身寮がもう一棟建て増しされるんだ。 7階建てかぁ、 ここからの空、ちょっぴり狭くなるね。 カテゴリ [公園] - trackback- 2009年10月04日 15 08 04 名前 コメント #blognavi
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近所の公園と言っても結構クヌギの木があり、夏には格好の採集スポットになっているところです。通称「ローラー公園」 夏には当然の如くライバルも多く、かなりの確率で他の採集者と鉢合わせなんて事に・・・ 今回はその公園に転がっているクヌギの枝、とは言っても太さは10cmはあるのですが、の材割をしました。 恐らくこの材は風により樹から落ちたもので周囲には同じような太さの枝が転がっていました。 枝の側面には食痕がありこの中にいる住人の大体の予想は立っていましたが、こういったのも飼育してみようと思い鉈で割る。 割ること5分、予想していた個体が姿を見せました。 予想の通りで「カミキリムシ」の幼虫でした。 ただ、この個体はスグに潜ってしまい取り出せなかったので材を適度な大きさにしてそのまま持ち帰ることに。 それに大抵の飼育記を見るとそのまま持ち帰った材で飼育してるみたいですし。 その後もう一本割ったところもう一匹出てきたのでこちらもお持ち帰りに。 クワは取れませんでしたがボウズではなかったので良かったですかね? 今回の幼虫は2007/02/22 採取の幼虫にて飼育報告します。
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『雪の公園で』 9KB 虐待 野良ゆ 失礼します。 『雪の公園で』 過去作 anko4445 anko4449 anko4452 anko4456 anko4461 anko4464 anko4475 anko4494 anko4497 いつも通り読みづらいです。 「ゆびえええええええん! しゃむいのじぇええええええ!」 まりさは、そんな泣き声で目覚めた。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ! ……しゃむいいいいいいい!」 目覚めの挨拶に、二つの返事。まりさの番であるれいむと、子の赤まりさのものだ。 とそこまでを確認して、 「ゆ! おちび!」 まりさはようやく、泣いているのが我が子であることに気づいた。 「いますーりすーりしてやるのぜ!」 れいむはまりさの挨拶で目覚めたばかりなのだろう、まだ動かない。 だからまりさは、直ぐに赤まりさに身を寄せる。 すーりすーりはゆっくりにとって親愛の情を示す行為だが、暖をとるために使うことも多い。 と言うより、秋が深まり冷えてくるとそちらの目的が強くなる。 「ゆううううう……しゃむいのじぇ……」 幾分かはましになったのか、泣き止む赤まりさ。 「ゆ! おちびちゃん、れいむもすーりすーりするよ!」 「れいむ、おちびをたのむのぜ」 そこにれいむが加わると、まりさは赤まりさをれいむに任せ、ダンボール製のおうちの出入口へと向かう。 ――が。 「ゆ、っぐ……どあさんは、ゆっくりしないであくのぜ……」 そこが、開かない。 それでもまりさが力の限り押していくと、それはやや歪みながら、隙間程度に開いた。 と同時に、真っ白いものが流れ込んでくる。 「ゆひぃ!」 それが体に触れた瞬間、まりさは冷たさに悲鳴を上げた。 雪だ。 なんとおうちの出入り口は、雪によって埋まっていた。 「きょうも、ゆきさんがいじわるしてるのぜ……」 それを見て、半ば諦めたような調子でまりさが言う。 そして帽子から木の枝を出すと、それをおうちの隙間に突っ込み、雪を掘り始めた。 「おかーしゃ、まりちゃ、おにゃかしゅいたのじぇ……」 背後で、弱々しい声。 「ゆ……ごめんねおちびちゃん、ごはんさんはきのうのよるたべたぶんでなくなっちゃったんだよ……」 「ゆぅ……ごはんしゃん……むーちゃむーちゃしたいのじぇ……」 「ごめんね……きっとおなかいっぱいむーしゃむーしゃできるからね……」 慰めるれいむの声も、沈んでいる。 それを聞きながら無言で雪を掘るまりさは、無力感に打ちのめされていた。 このまりさは、野良としてはそこそこ優秀だった(ただ、冬に子供がいる時点で程度は知れるだろう)。 野良という厳しい環境の中で、毎日一家が食べていけるだけの食料を用意し、結構な蓄えもあった。 しかし雪がおうちを塞ぐようになってから、それは一変した。 どうにか雪を退かし、狩場(ゴミ捨て場である)に向かった時には、既に糧となるゴミはない。 ならばと公園内で草を探そうにも、地面は雪の下。 そんな日が数日続けば、赤ゆっくりのいる家だ、蓄えなどすぐに無くなってしまう。 さらに言えば、そのことをれいむが責めようとしないのが、さらに辛かった。 だからこそ、まりさは一心に雪を掘る。 しかしその努力も虚しく、ようやくまりさがおうちから出られた頃には、既に日は登りつつあった。 森林などに住む「野生ゆっくり」と街や公園など人間の生活圏内に住む「野良ゆっくり」は、同じ「ゆっくり」というナマモノに分類されてこそいるが、その生態は異なる。 その例としてよく挙げられるのが、「えっとう」の存在だ。 これは秋のうちに食料を蓄え、巣穴に篭って冬を越す――ごく限られた、温暖な地域に住む一部のものを除き、野生ゆっくりならば必ず行う(そして多くが失敗する)としてよく知られた習性である。 しかし、野良ゆっくりはそうした行動を行わない。 理由としては、人間が出す生ゴミなどを主食としているため、「食料の手に入らない時期」というものが存在しないから、というのが定説である。 一冬を越せるだけの食料を集める手段、それだけの量を安全に蓄える場所がないから、との理由も、付随するものとして挙げられる。 つまり、野良ゆっくりにとって「えっとう」とはする必要がないしできない、というわけだ。 しかし、このまりさが住む街では、違う。 この時期、この街の気温は平均して0℃前後。 ゆっくりが言うところの「ふーかふーかさん」や「ぽーかぽーかさん」、すなわち防寒具や暖房を使えない野良ゆっくり達には、この寒さは耐え難い。 また例年人間の膝上程まで積もる雪は、ゆっくりにしてみれば凄まじい量だ。 人間で言えば、2メートル弱級の豪雪にも等しい。 そんな、野生ならば確実に「えっとう」を決め込む環境の中で、この街の野良ゆっくり達は活動しているのだ。 まりさがいつも行くゴミ捨て場には、既に何もなかった。 そうだろうと覚悟してはいたが、覚悟があろうとなかろうと、まりさにとってゆっくりできない事実に変化はない。 「ゆう、いったい、どうすればいいのぜ……」 沈んで帰ってきたまりさを、おうちの前で出迎えたのは、うず高く積み上げられた雪の山だった。 まりさがおうちを戻ってくる、少し前。 「おちびちゃん、さむいさむいさんはゆっくりできないから、すーりすーりしようね!」 れいむと赤まりさはすーりすーりを繰り返していた。 すーりすーりで体温が保たれれば、わずかでも餡子の消費を抑えることができる。 「ゆう、わかったのじぇ……おにゃかしゅいたのじぇ……」 とは言え、それは延命策に過ぎない。 食べなければ、結局赤まりさの空腹は収まらないのだ。 (ゆぅ……まりさ、はやくかえってきてね……) そう思いながら、れいむがおうちの「どあさん」に目を向けた瞬間。 ズン、という衝撃とともに、おうち全体が大きく揺れた。 「ゆひぃ!?」「ゆぴっ!?」 悲鳴を上げるれいむ達の餡子に、声が届く。 「なんだこれ……ゆっくりの巣か?」 開かれた「どあさん」から、人間の顔が覗いた。 ニット帽を目深にかぶった、目つきの悪い青年だ。 「に、にんげんさん!? ここはれいむたちのおうちだよ! いじわるしないでね!」 「あーはいはいわかったよ」 青年は適当に答えると、「どあさん」を閉じる。 れいむが安堵したのも束の間、今度はおうち全体が持ち上げられた。 「おしょらをとんぢぇるみたい!」 「なんなの? なんなのおおおおおおおお!?」 あまりのことに混乱するれいむ。 「ったく……。この公園、ゆっくりのゴミ箱ないんだよな……すんませーん、ゴミ捨ててきますー」 そんな中の様子などどうでもいいと言わんばかりに、青年は他の人たちに声をかけ、ゆっくり用のゴミ箱を探しに行った。 この青年は、近所の住民だ。 まりさたちが住んでいた公園は、青年のような有志によって、こまめに雪かきが行われている。 ……ただ、雪かきをする場合最大の問題となるのが、片付けた雪の置き場所、である。 これは基本的に、目立たず邪魔にならないような場所にまとめて置かれるが――その条件を満たす場所は、ゆっくりがおうちを作る場所とほぼ一致する。 結果どうなるかといえば、これまで「邪魔にはならない」「探さなければ見つからない」という消極的な理由で放置されていたゆっくりのおうちも、 その理由の両方を同時に失い、このれいむ達のように撤去されるのである。 ただそれでも、このれいむ達は幸運な部類だったかもしれない。 見つけたのが妙に近所づきあいが良くこうしたボランティアには必ず参加するモヒカン頭の鬼威惨だったならどうなっていたかは言うまでもないし、 わざわざ汚いダンボールを片付けたがらないような人間だったなら、集められた雪で生き埋めにされてしまっただろうから。 時間はわずかに進み、現在。 「れいむうううううう! おちびいいいいいいいいいい! いまたすけるのぜえええええええ!」 そんな事情を知らないまりさは、半狂乱で雪を掘る。 しかしそうして騒いでいれば、人間に見つかってしまうのは当然だ。 「ヒャッハー! クソ饅頭は虐待だー!」 そして残念なことに、まりさを見つけたのはモヒカン頭で、冬だというのに上半身裸に革ジャンの鬼威惨だった。 まりさは知っていた。 この格好をした鬼威惨に関わってしまったゆっくりは、例外なく地獄と呼ぶことすら生温い目に会うことを。 そして、まりさは感じた。 鬼威惨が幾多のゆっくりを殺してきた証、隠しようのない死臭を。 「ばりざはゆっぐりじないでにげるんだぜえええええええ!?」 家族を助けるという使命をあっという間に放棄して、逃げ出すまりさ。 「逃がさないよおおおおおお!?」 「おぞらをどんでるびだいいいいいいいいいい!?」 しかしその決断も虚しく、あっけなく、一歩も動いていない鬼威惨に捕まってしまった。 「おでがいじばずううううう! ばなじでぐだざいいいいい! ばりざばだじにだぐないいいいいいい!」 「安心してね! お兄さんは優しいから、『死にたくない』って言ってるうちは殺さないよ! それに今は雪かきで忙しいから、逃げられないようにあんよを焼くだけにするよ!」 「ゆんやあああああああああああ!」 鬼威惨は、ポケットからライターを取り出し、まりさのあんよに近づける。 「やべでえええええええええええ!あづいあづいばゆっぐりでぎないいいいいいいい!」 もるんもるんと全身をくねらせ振り回しながら泣き喚くまりさ。 「モヒカンのお兄ちゃん!」 しかし。その時響いた声が、まりさの危機を救った。 「ヒャッハー! 何かな!?」 鬼威惨は火を消し、声の方を振り返る。 そこには、小学生ほどの子供が二人、お兄さんを見上げていた。 「そのゆっくり、俺たちに貸してくれないかなあ?」 「いいけど、何に使うのかな?」 「うん、ちょっとこっち来て!」 鬼威惨が子供達に手を引かれていくと、そこには大きな雪玉があった。 両脇に、逆ハの字型になるよう刺さっている木の枝。 鬼威惨に向いている側には、黒く丸っこい石が、縦に三つ、等間隔で埋め込まれている。 どう見ても、未完成の雪だるま、である。 上部に大きなツララが、太いほうが上になるように刺さっていることを除けば、だが。 そして、それを前にして、鬼威惨は全てを察した。 「あのね――」 「皆まで言わなくていいよ! こうするんだね――ヒャッハアアアアアアア!」 鬼威惨は実に楽しそうな、そして童心に返ったように無邪気な、満面の笑みを浮かべながら、ツララの上にまりさを突き立てた。 「ゆぎぃいいああああああああああああああああああああああああ!」 尋常でないまりさの悲鳴。 「いだいいだいいだいいいいいいいいいいいいい! だずげでえええええええええええええええええ!」 「よーしっ、ゆっくり雪だるま、かんせーい」 それをBGMにして、三人はハイタッチを交わした。 夜。 (ゆ……ざぶい、ざぶいのぜ……) 雪だるまに乗せられたままのまりさは、身を切るような寒さに震えていた。 体は、動かせない。 自慢だったあんよは、ツララによって引き裂かれる事を恐れて留まっていたら、結局凍りついて動かすことそのものができなくなってしまった。 口は、うるさいからと鬼威惨に焼き塞がれてしまい、助けを呼ぶこともできない。 たとえ呼べたとしても、助けに来てくれるゆっくりがいたかは定かでないが。 何も出来ないまりさは、体が外側から凍りついていく苦しみをひたすら味わい続け――やがて、永遠にゆっくりした。 やがて朝になり、朝日に照らされたまりさの顔は、苦悶の表情のままに、凍っていた。 後書き この間実家に帰った時、本文中に書いたような理由で「この辺にゆっくりがいたら、この時期生きていけなくね?」と思って書き出したのですが、気がついたらこんな話でした。 本来書くはずだった、「雪が積もっている中で暮らす野良ゆっくり」みたいな話も、そのうち書くつもりです。 「anko4494 痛みを喚ぶ者」「anko4497 ゆんビックキューブ」に挿絵をいただき、ありがとうございます。 ねんがんの さしえさんを てにいれたのぜ! な、なにをするゆんやー より面白い作品が書けるよう、精進します。
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100000004 隠れ道/ピグの公園2 <出現モンスター> 青キノコ ツノキノコ <NPC> なし <ポータル> 隠れ道/ピグの公園1 隠れ道/民家 ←ヘネシスに戻る