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それはまさに一瞬。 それまでの経験を全て 一気に覆されてしまった。 ココロが反応する。 そっか、こういうことか。 今までのは、ただの戯れだったんだ。 恋してた気になってただけ。 人を好きになってると、 そんな気になっていただけだったんだ。 だって、ほら。 ね? 理屈なんかじゃなく 理由だってない いや、そんなの必要ない。 ただ、わかっただけ。 この人なんだ、と。 高校に入学して3度目の春。 風の強い日で 桜の花びらがヒラヒラと舞っていた。 あまりにキレイだったから ヒラヒラと舞い踊るそれに 誘われるように 部活を抜け出した。 たどり着いたそこには 見かけない姿。 すらっと伸びた腕。 キレイな指先でフレームを作って 桜の木を見上げていた。 桜色舞う空間。 手足は、白く長い。 さらさらと、黒く長い髪が風に揺れていた。 あまりに幻想的なその光景は 確実に、ココロの中に なにか、を 刻み込んだ。 振り返った彼女と視線が交わる。 「こんにちは」 ふわっとした笑顔は、とてもやわらかかった。 でも、なぜだかその瞳は、少し赤かった。 「…こん、にちは」 「立派な桜の木だよね」 「あ、はい。うちの学校の自慢の一つでもあるから」 「うん…」 そういうと、彼女はまた視線を桜に戻す。 自分のいるところからじゃ 表情は見れなかった。 けど・・・ 「あ、職員室ってどこなのかな?」 「え、えっと、あの一番手前にみえてる校舎の2階です」 「そっか、ありがとう」 「いえ…」 「じゃ、またね」 そう言って、あたしの横を すり抜けて、彼女は立ち去った。 しばらく立ち尽くしていた。 夢か現かわかんなかった。 徐々に、頭がはっきりしていった。 心臓がドキドキしていた。 そっか、そういうこと、か・・・ これは、間違いなく現実、だ。 …ん? 「またね」って言った? そのナゾは、数日後の始業式で解けた。 新任の教師を紹介する舞台の上に 彼女の姿があった。 —・・・先生、だったんだ… でも、そんなことより先に あたしの中にあった事実。 彼女に堕ちてしまった、ということ。 先生? もうあの時から、逆らえない運命だったんだよ。。。
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めぐろン 携帯画像 都道府県 東京都 肩書き 株式会社クロア キャラクター 公式サイト http //meguron.com/ 解説 3月27日(サクラの日)に生まれた桜の木の妖精。スイーツ好きな女の子。めぐろンにふれると恋が成就するというラッキーパワーがある。 攻略難易度 ★★★中。目黒区内のイベントにて。 名刺の有無 ? 狙い目イベント イベント情報
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毎日moeはしてました。 ダンス58包帯ジャスタンの安定性がマジヤベー。 暗黒とりたいけどなにかを削って入れ替えてするのがつらいので結局とれないです。 moeのスキル850はマジ神。 あと桜の木中央にPOPしてるけど冬に海くるっていってたの忘れたの? 来年の冬なの?????????????????? おわり。 海来ないからカドゥスで遊びます。
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ステージ紹介 攻略 メイツ プレゼント ステージ紹介 スタート場所 行動範囲 制限時間 橋の近く ヒヨドリ台 4分 巻き込んだ物がお金になる。よって高級な物を中心に巻き込むと良い感じ。塊が大きすぎると消滅するものもあるので注意。 攻略 クリア 100点の目安 120点の目安 1円以上 ¥10,000,000以上 ¥15,000,000以上 スタート地点後ろ、竹にぶつかるとオオバンが3枚落ちてくる。 スタート地点の下り坂を下りた先、桜の木にぶつかると指輪ケース複数とエメラルド1個が降ってくる。 町の魚屋さんにシャチホコが3個、すぐ近くの干しわかめの上にルビー 駅前の電柱近くの能面かぶった女の人にぶつかると能面が取れる。高級品。 校庭を周回するランナーの眼前に金メダル。位置が高くなったので塊が小さい時はジャンプで取る。 マンション付近の公園、新郎(新婦?)の手にダイヤモンドあり。さらにそこの池にシャチホコ、新婦(新郎?)の隣に着物(99999円) 2m以上の大きさで陸橋付近のハートを取れば桜の木に隠れているお宝と地面に埋まった冠が取れる。 ハートの近くでお好み焼きを出している人の足元に金メダルがある 橋の下に優勝カップがある 道路を走るスクーター、お堂の釣鐘、民家の壁の鹿首や金庫はかなり高い。 スタート地点から直進、ガードレールを越えてその下の風船にエメラルドがある。線路にオニキスがある。フリマのワゴンの上にもある。フリマ前のフードコート裏のごみにスイサイガがある。 富井商店という店にぶつかると、横からオオバン3枚がおちて来る。でかいすいかのある店の中のマツの1つからオオバンがついた招き猫が落ちてくる。 ルビーを乗せたオキアガリコボシが道路でうろうろしている。 スタート地点付近の神社の前に掛け軸3枚、フリーマーケットの線路側のおばあちゃんの後ろのマツに掛け軸1枚 ルビーなどの小さい指輪は2mくらいで消えてしまう メイツ 名前 場所 モード オデオン 校庭の受付 何でも プレゼント プレゼント 場所 部位 モード カツラ 校庭に入って右奥の、山積みになったダンボールの裏側
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まだ緑が残る、海に臨む静かな港町。 街の中心にあるのは、大きな桜の木と緑の丘。 春になると、街はピンク一色。 今年もまた、その季節がやってくる・・・ 数年ぶりに戻ってきた、主人公。 桜木の中で過ごす、新たな学園生活。 再会した幼馴染に誘われ、入会したサークル。 そのサークルで出会う、多くの仲間たち。 これから始まるのは、主人公とその仲間たちとの温かい物語。 どんな1年間が繰り広げられるのだろう? ---桜の咲く季節に
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もうすぐお花見シーズン。 日本三大桜のひとつ、福島県の三春滝桜をご存知ですか? 三春滝桜は樹齢1000年にもなる、とても大きな桜の木です。 毎年三春滝桜の開花時期になると、全国から観光客が訪れ、その数はなんと10万人以上。 そしてものすごい渋滞ができてしまいます。 なぜ滝桜という名前なのかと言うと、しだれ桜が滝のように見えるから、だそうです。 三春町はもともと城下町で、今もたくさんのお寺などが残っています。 今年のお花見は、少し遠出するのもいいかもしれません。 三春滝桜
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桜花七剣人 [解説] 剣匠ジョウセンに直接師事した七人の剣豪で、桜の木のもと互いに武の頂きに至らんと誓い合った逸話からこう呼ばれるようになった。 独自の流派を開く者、道場を開き富を得るもの、ひたすらに武の頂きに挑み続けるもの、傭兵として名を挙げるもの、七人それぞれ違う道を歩んでいるようだ。
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今年も満開のサクラを見上げる。 この学校のサクラは立派だね? もう二度と会えない、あなたに話しかける。 教師になって3年目。 あなたが叶えられなかった夢を生きることで 少しでも、あなたに近づきたかった 一緒にいたかった、、 愚かなあたし。 ヒラヒラ、ヒラヒラ。 宙を彷徨うその花びらは まるで、ゆかのココロそのもののようで・・ そっと手を伸ばし 指先でフレームを作る。 あとで、写真撮ろうっと。 そして、今度見せてあげよう。。。 ふと、背後に誰かの気配。 振り返ると・・・ 心臓がとまるかと、思った。 いや、、違う。 一瞬の戸惑い。でもすぐに 自分を取り戻す。 さらっと、ジャージを着こなしたその子は ボーイッシュながらも、女の子、で。 キレイな、大きな瞳。 「こんにちは」 きっと涙目になってるや・・ 気づかれないように、笑顔を浮かべる。 「…こん、にちは」 「立派な桜の木だよね」 「あ、はい。うちの学校の自慢の一つでもあるから」 自慢、、、か。 「うん…」 桜の木を見上げる。 彼も、、母校の桜を自慢に思っていた。 この学校ほど、立派なものではなかったし、 きっと、そう思ってたのは、彼だけ、だっただろう。。。 それでも、あの人にとっては、 大好きな、自慢、だったんだ・・・ あ、ダメだ・・ 「あ、職員室ってどこなのかな?」 キモチを切り替える。 「え、えっと、あの一番手前にみえてる校舎の2階です」 「そっか、ありがとう」 「いえ…」 「じゃ、またね」 自然と洩れた一言。 驚いた。 もちろん きっと、この学校の生徒なんだろうから 『またね』、で間違いはない。 けど、 そうじゃなくって・・ きっとまた 引き寄せられる そう思ったんだ。。。 てのは、言いすぎ、、かな? でもね、 ほんと また会える、、、、会いたい、、、、 そう思ったんだ。 そんな自分に驚いた。 のっち? 今思えば、 あなたは、すっと ゆかのココロの中に入ってきたのに、ね。 なんで、もっと早く気付けなかったんだろう? うぅん、 もっとはやく、素直になれていれば、、、 あなたをあんなに、傷つけることもなかったのにね。
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大学最後の春休み、つかさはもう社会人、みゆきは大学院に進学すると言っていた。こなたと私は来年卒業だ。まさかこなたが留年しないでここまでくるとは思わなかった。 日下部と同じ大学だったのが幸いしたのか。否、いまだにジャンケンでレポートの書く順番をやっているみたいだし、全く変わっていない。 今日は高校時代の友人とお花見をする……とは言っても集まったのはいつもの四人だけ。いつも集まりはいいはずなのだが何故か今日に限っては用事が重なったようだ。 『花見』 こなた「ここなんかいいね」 こなたはシートを広げ始めた。 かがみ「まてまて、なんでいつもそうなのよ、まだ誰もそこが良いって言ってないでしょ」 いつもこなたは勝手に物事を進めてしまう。よく考えもしないで。昔からいつもそう。もっと良い場所があるに違いない。もう少し探してからでも遅くはない。 つかさ「でも、ここが一番いいかも」 みゆき「そうですね」 つかさとみゆきが賛同した。 かがみ「まだ良い場所がきっとあるわ」 私は少し向きになった。そんな私を尻目につかさは私の後ろを指差した。振り返ると太い幹が私の目に飛び込んだ。視界を塞ぐような太さ。見上げると空を覆い隠すように 枝を広げその枝に淡い桃色の花が咲き乱れている。ソメイヨシノ。今まで見たことのないスケールだった。八分咲きと言った所か、その迫力と美しさに私は言葉を失った。 この公園は何度も来ているのにこんな木があったなんて。私はそのままこなたの敷いたシートに腰を下ろした。つかさは早速作ってきた料理を並べ始めた。 もちろん私も手伝った。そこにみゆきが手作りのクッキーを添えた。 こなた「やっほー、さすがつかさだね、とっても美味しそうだ、みゆきさんも手作り感が出てていいね、この変なのはかがみの?」 かがみ「変なので悪かったな、こなたは何を持ってきた」 こなた「花見と言ったらこれしかないでしょ」 こなたはかばんを開けてビンを取り出した。焼酎、日本酒、ビール……お酒。 こなた「かがみ、よその目は、もう私たちは二十歳過ぎてるからダメとは言わせないよ」 私が何を言うのか先読みしたようだ。お酒を持ってきたのを怒っているとでも思ったのか。私の言いたいのはそんな事じゃない。 かがみ「あんたそんなに持ってきて全部飲むつもりなのか、このメンバーに酒豪がどこにいる」 こなた「まあまあ、余ったら持って帰ればいいんだし、つかさ、みゆきさん飲む?」 つかさ「折角だからもらっちゃおうかな~」 みゆき「料理もあることですし……いただきます」 つかさは紙コップを人数分並べた。こなたはそこに景気よく日本酒を注ぎ始めた。こなたの態度がなぜかムカついた。 こなた「皆で乾杯しよう~」 三人は紙コップを手に持った。 こなた「かがみ、コップを持って、乾杯の音頭とってよ」 皆の視線が私に集まる。 かがみ「私は飲まないからこなたがしなさいよ」 こなた「ちぇ、かがみは付き合い悪いね、私たちだけで飲もう」 こなた・つかさ・みゆき「かんぱい~」 こなた達はコップのお酒を飲み始めた。つかさの作った料理が次々と配られる。私は少し離れて桜の木を眺めていた。 お酒は別に飲めない訳ではない。飲む気分になれないだけ。心配なのはつかさだ。つかさがお酒を飲んでいる所を見たのは一回もない。飲み方を知っているのか。 もっともつかさはもう社会人だ。そのくらいの嗜みは心得ているだろう。そうは言ってもほんの数年前まで高校生だった私達、もうお酒を飲み交わす歳になったのか。 咲き乱れている桜、小学校、中学校、高校、そして大学。幾度となくこの花を見ている。毎年毎年。私は幼少の頃の自分を思い出して物思いに耽っていた。 どのくらい経ったか。おそらく一時間は経っていないだろう。楽しげに会話が弾んでいるこなた達。笑い声が私の耳に入ってきた。 一人で物思いの耽るのも飽きた頃。私はこなた達の方に目線を向けた。ふとつかさの顔を見た。酒で酔っているのか顔が、特に頬がほんのりと赤くなっている。 唇もこの公園に来るときよりも赤く見える。口紅を塗っているみたいだった。目も少し潤んでいるように見える。ドッキっとした。艶やかだ。 女の私から見ても嫉妬するくらい色っぽく見える。あれがつかさなのか。違う。そこに居たのは大人の女性、つかさだった。 それに引き換え私は、こなたが私の言うことを聞かないだけでふて腐れて……子供の様だ。自分が情けなくなってきた。 みゆき「かがみさん」 声のする方を向いた。どうやらこなたとつかさの会話に付いていけなくなったみたいだ。みゆきの持っているコップには殆どお酒が残っていない。 私はお酒の入ったビンを持ってみゆきに差し出した。みゆきも持っていたコップを私に差し出す。 みゆき「かがみさんの姿があまりに悲しげでした、大丈夫ですか」 妹を見て嫉妬していたなんていえる筈もない。 かがみ「桜を見ていたらなんか昔を思い出しちゃってね」 みゆき「そうですか」 みゆきも酔っている。でもつかさほど変わっては見えない。みゆきは私の注いだお酒を飲むと桜の木を見つめた。 みゆき「このソメイヨシノ、かなりの樹齢のようですが、本来ソメイヨシノはそんなに寿命は他の木に比べると長くはないのです、人間と同じくらいの寿命で枯れてしまう ものもあるそうですよ、この桜は人の手を加えられて大事にされているみたいですね」 かがみ「どうして寿命が短いのよ、葉よりも先に花を咲かすから負担がかかるのか?」 みゆき「それなら桃等も同じです、おそらくソメイヨシノは品種的に弱いのかもしれません、しかしこの桜は別物のようです」 かがみ「命を削ってまで毎年花を咲かすなんて、私たちの為に毎年」 みゆき「どうでしょうか、桜は別に私達人間の為に花を咲かせている訳ではありませんよ、植物が花を咲かすのは、私たちが呼吸するように、食事をするように、 自然の営みにすぎません、私達人間が勝手に綺麗だと思っているに過ぎません」 酔っていてもみゆきはみゆきか、しかしみゆきはこんな皮肉じみた話し方はしない。 かがみ「どうしたのよ、みゆきらしくないわよ」 突然みゆきの目から涙が出てきた。 みゆき「来年になれば学生は私一人になってしまいます、またこのように皆さんが集まってくれるでしょうか、現に日下部さんやみなみは…… 私達は学生のように自由でいられなくなります、何時の間にか疎遠になって忘れ去れるのではないかと」 日下部達が来られない理由はみゆきだって知っているはず。今更そんな事で泣くなんて。みゆきの涙の量は増えるばかり。まさかみゆきは泣き上戸なのか。 かがみ「だからこうして集まってるんでしょ、折角のお花見が台無しになっちゃうじゃない、私も飲ませてもらうわ、一緒に飲もう」 私は既にお酒が注がれたコップを手に取った。みゆきの潤んだ目が私を見ている。コップを口に近づけようとした時だった。突然後ろから誰かに抱きつかれた。 こなた「かがみ~助けて!!」 手に持っていたコップを溢しそうになった。コップを置いてこなたの方を向いた。こなたの顔は真っ赤だ。飲みすぎなのは一目瞭然。 かがみ「絡むなら後にしてくれ、今はみゆきと話しているところだ」 こなた「だって、つかさが、つかさが……」 必死に助けを求めている。私はつかさを見た。つかさは酒の瓶を持っていた。中身は八割くらい無くなっている。まさかつかさとこなたであれだけの量を飲んだのか。 あれほど艶やかだったつかさの表情は一変しこなたと同じように顔は真っ赤だ。これではただの酔っ払いじゃないか。 つかさ「私のお酒が飲めないって言うの、こなちゃん、早くコップ出して」 こなた「だ、だからもう飲めないって……許して~」 どうしてそうなった。経過を見ていないがつかさは酒癖が悪いのが今分かった。 つかさ「だーめ、許さない」 つかさは強引にコップに酒を注ごうとしているが目標が定まらず酒がシートに零れた。私はつかさから瓶を奪い取った。つかさは私を睨み付けた。 つかさ「お姉ちゃん邪魔しないで、私はこなちゃんと飲んでいるの、こなちゃんがいっぱい飲ませるから今度はこなちゃんの番だよ」 かがみ「こなた、あんた無理やり飲ませたのか」 こなた「知らない、知らないよ~」 もはや二人とも話をするような常態じゃない。私は二人の間に割って止めた。みゆきは更に泣き出した。私は三人の酔っ払いの世話をする羽目になった。 三人は静かに眠りについている。暴れるつかさ、泣きじゃくるみゆき、つかさから逃げようとするこなた、一人、一人言い聞かせて落ち着かせた。 こういった宴会で貧乏くじを引くのは決まって素面の人と相場は決まっている。私もさっさと飲んでいればよかった。今更後悔しても遅いか。 ふと周りを見回した。そこには私達と同じような光景があった。叫んでいる人、踊っている人、寝ている人もいる。男性だけの集団、女性だけの集団、 家族連れもいるみたいだ。よく見ると桜の木は他にあるのにこの大木を囲うように集っている。 私はもう一度桜の巨木を見上げた。見事という他はない。今まで見てきたどの桜よりも立派で美しい。しかし良く見てみると所々の枝に花が付いていない箇所があった。 かなりの樹齢のせいなのか。この桜はあと何回こうやって花を咲かせてくれるのだろうか。また見たい。いや。まだ見ていたい。来年も、少なくとも私が生きている間は 生きていて欲しい。そんな気分にしてくれる不思議な桜の木。込み上げてくる感情があった。みゆき……。みゆきも私と同じ気持ちだったのか。 またここで私達とこの桜を見たい。そう思ったのか。泣き上戸じゃなかった。泣かせてくれるじゃない。 暫く私は時間を忘れて老いた桜の木を見ていた。 こなた「つかさ~」 寝言を言っているのか。こなたを見た。その寝顔は穏やかそのものだ。つかさに絡まれていたとは思えない。こなたは何故無理に酒をすすめたんだ。 先につかさが潰れると思ったのか。今になって思えばつかさは社会に出て酒を飲む機会はいくらでもあったはず。こなた、つかさに勝負を挑んだのは失敗だったわね。 それとも私と同じようにつかさに嫉妬したのか。それに酒は競って飲むものではない。私は自分に注がれた酒の入ったコップを手に取った。私にとってはこの位の量で丁度いい。 まったく、飲みたい時に私の友達は先に酔いつぶれちゃって。私はため息をついた。 コップの酒を飲もうとした。コップの中に一枚の桜の花びらが浮いていた。 桜の木はこなた達の代わりに私に付き合ってくれるとでも……。普段の私ならそんな考えなんかしない。でも今の私はそんな自分を否定しない。 コップに酒を注ぎ桜の木の根元にそっと置いた。 来年、きっとここに来る。つかさ達も来る。そして来られなかった友人も連れてくる。約束します。だから貴方もまた綺麗な花を咲かせて。 「乾杯」 桜の老木に向かって乾杯をした。 つかさ達が目覚めたらお花見のやり直しをするか。お酒の無い本当のお花見をね。 終 コメント・感想フォーム 名前 コメント これ、すごくイイね。 -- 名無し (2011-04-12 15 24 18)
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春の陽光、桜舞い散る記憶無き思い出の場所で プッ、プッ、プッ・・・。私―泉こなたは、唇に舞い落ちて来る桜の花弁を息で吹飛ばしていた。うん、まぁ、そんな格好つけた言い方してもしょうがないんだけどね。 今日は、四月なのにとっても暖かくてこうやって桜の木の下で寝転がっているのも悪くない。この桜の下は、お父さんとお母さんの思い出の場所なんだそうだ。私が生まれて、それからほんの少しの間だけれど、私とお母さんとお父さんと三人で、良くここにきて、私はお母さんに抱かれて、お母さんとお父さんは、この桜の木に寄りかかって舞い散る桜を眺めていたらしい。あーでも、写真を見る限りじゃ、お母さんの膝枕で眠っているお父さんしかないから、その辺はちょっと怪しいもんだね。 ま、そうは言っても、今隣にお父さんがいるわけじゃないけどね。隣にいるのはお母さんかな。お母さんが気に入っていて良く被っていた麦藁帽子。白いリボンがくるっと巻いてあって帽子の鍔が大きめなのがちょっと特徴的。もっとも、リボンの色は沢山あって、その中で一番のお気に入りをお父さんに借りてきたんだけどね。 あぁ、お父さんがいないのは、前もって言っておいたのに原稿が間に合わなかったから。今頃、担当さんと一緒にホテルで缶詰してるんだ。まぁ、私にしてみれば、お父さんには悪いけど、その方が都合がいいんだけどね。 にしても、待てど待てど、私の待ち人はやって来てくれない。春一番は冷たいけれど、今日の風は、とても暖かくて優しい。その優しい風が吹くたびに、桜の花弁が舞い落ちる様子は、とても美しいと思う。 でも、一人・・・いや一応お母さんも一緒の気分だけど、いつも私に遅刻するなという貴女はどうして来ない。 そもそも、ここは貴女方、姉妹の小さい頃の遊び場だったらしいのに。迷ったのかなぁ・・・いやーさすがに、かがみが迷うとは思えない。腕時計を見るとまだ約束の時間よりは二十分早い。ようするに、私が早く来過ぎただけなのだ。 いやまぁ、かがみだけ早めに呼び出したのだよ。ここってちょっとしたハイキングみたいな道のりで、あんまり人もいないから、つかさやみゆきさんには桜餅とお弁当を頼んだわけで・・・かがみには悪いけど、つかさのおいしい桜餅が食べたいからね、お弁当も同じでネ。 風が吹けば、桜の匂いと花弁が流れてくる。閉じていた目を開いて、見上げると一体どれだけの月日をここで過ごして来たのか分からない位、立派で大きな桜の木が枝一杯に花を付けていた。 ちょっとしたハイキングというには、ちゃんと理由がある。ここ、山というほどではないけど、高台の上なんだよね。流石に山頂でもないし、十五分も歩けばコンビニだってある。お父さんやお母さんが来ていた頃は、もう少し賑やかだったらしい。 まぁ、お花見のシーズンだしね。それにしても、幾ら綺麗でも一人でボーっと見ているのは流石に飽きてくる。おまけにこの何とも言えぬ柔らかで暖かな陽光の下・・・私は自分の事を悪戯好きの狐だと思っている。つかさは、子犬かな?みゆきさんは、牛だね。かがみは・・・ウサギかな?意地っ張りだけど、寂しがり屋なのに素直じゃない所が可愛いと思うわけでして。今度、そんな話をしてみようかな。かがみはきっと、真っ赤になって否定すると思うけどね。想像しただけで、ツンでデレなダブルコンボのかがみんゴチソウサマです。 かがみ~、かがみ~ん、かがみ様~。心の中で呼んでみるけど変事は無い、当たり前だけどさ。早めに来てくれないかなぁ、かがみと少しでいいから二人きりで居たいから。あ、でも、それならお母さんの帽子を持ってきたのは失敗だったかなぁ・・・娘が女の子とつき合っているなんて、許してくれるかな? かがみと付き合ってからどれ位たったかな?まだ三ヶ月位はたったかも知れない。でも私達は、デートとかそういう事をしてはいない。つかさやみゆきさんを蔑ろにしたくないから。二人は私達のことを受け入れてくれた、凄く感謝してる。 でも、たまに、たまにだけどかがみと二人きりになりたいと欲張ってしまう事がある。かがみもそういう時があるみたい。ふぁ~ぁ~、ん~、かがみが来る前に眠っちゃいそうだなぁ。どうして今日はこんなにも暖かくて、優しい日差しなんだろう。それでも起きていなくちゃ、かがみと二人きりになりたくて企画した休日の過ごし方なんだから。 お花見なんてただの口実。ううん、ただ桜を見て、四人でお弁当や桜餅を食べて、それから喋って・・・そんな何時もの時間。学校のお昼と変わらないかもしれない。桜の花を見ながらだからお花見といえばそうかも知れないけど、たった一本の立派な桜があるだけ。 まぁ、公園なんだけどさ、一応・・・。今時芝生のある公園って結構珍しいかも、というか、これはもしや雑草かな? 「シートくらい引きなさいよ。背中にヤバイモノが付いても着替えないでしょ」 目を再び閉じていた私にそんな言葉をかけてくれるのはたった一人だけ。目を開ければほら、そこには、待ち人がいた。 風が吹き、今日はストレートにして来てもらった、かがみの髪の毛が桜の花弁とともに舞う。それはとても幻想的で、綺麗だった・・・見とれてしまう程に。 「んー?どうしたの、こなた。シートくらい引きましょ。一応場所取りって役目なんだから」 かがみは私の顔を覗き込む。このまま顔を上げたらキスしちゃうかな。そしたら、怒るかな、どうだろ。せっかくのチャンス・・・キスなんて私が告白した時以来してない。どうしようかなぁ、そんな風に考えを巡らせてしまったのが仇になった。かがみは、私の少し横にシートを引いて、桜の幹にもたれ掛かる様にして座ってしまった。 「あんたも、こっちこない?」 「かがみがこっちに来てくれない?」 「あははっ、絶対やだ。何か企んでる顔してるから」 笑いながら、その手には引っかからないわよ、そんな事を言っている。まぁ、かがみがこっちにきたら飛びついてやろうとは思ってたけどさ、それはお互い楽しい事だからいいじゃん? 「でも、髪をリボンで結わないで外出するのは久しぶりだわね」 いやーそれだけ長い髪だと顔に掛かったりしそうなのに、サラサラと顔に掛からずに風に揺られる髪、空気読んでますな。口に出して言ったら、またからかってうんだからって怒るもしれないけど、今日のかがみは桜の花に負けず劣らず綺麗だなぁ。 「なーに?こっち見てニヤニヤして、薄気味悪いわねぇ」 そんな事を言いながら、優しげな微笑を浮かべて私の事を見てるかがみ。言葉に悪意は無いんだ。まぁ、ちょっと無遠慮な言葉だけど、でもそれが私達の距離だから。 「いや~こうやって二人きりになれる時間ってさ、久しぶりだなぁって。・・・まぁ、お母さんのお気に入りの帽子を持ってきちゃったから、お母さんもいるかも知れないけどさ」 「そうねー、四人でいる時間は長いけど、二人ってのは結構久しぶりね・・・。あぁ、でもあんたのお母さんが一緒かもしれないなら二人きりでもないのか」 私は、かがみの言葉を聞きながらゆっくりと起き上がる。相変わらず桜の花は、緩やかな風の中で舞っている。だから少し位、ね? 「こなた?どうしたの」 「いやーこういう時は目を瞑るものだよ、かがみんや」 「な、あんた。ここがどういう・・・」 分かってる。ここは外で人目がある所、幸い今は誰も近くにはいないけれど、もしかしたら誰か見ている人の一人位は居るかもしれない。でも、どうでもよかった。 私は、かがみの言葉が終わる前に唇を塞いだ。今は何だかそういう気分だったから。でも、キスをしているのに目を瞑ってくれないかがみに私は、お母さんの帽子を被せる。鍔が広いからもっとくっ付かなくちゃ行けなくて、かがみも観念したように私の背中に優しく手を当ててくれる。 長いキスだった。特別なキスだったわけじゃない、ただ唇を重ねていただけ。さすがに私も場所はわきまえるからね。それにそういうのは、もうちょっと時間が必要かな・・・。ゆっくりと唇を離すと、かがみは耳まで真っ赤かで、たぶんそれはきっと私も同じ。桜の香りのするキスだったね。 「・・・あんたねぇ、誰かが見てたらどうするのよ、全く」 「そんなの気にしてたらこの先大変だよ~」 「いや、場所位わきまえろと言ってるのよ」 「今は何言っても説得力ないよ~、かがみん。顔真っ赤、あはははっ」 「それはあんたも同じだ!」 私はかがみの膝の上に頭を乗せる。そのまま顔が隠れるようにかがみのお腹の辺りに顔をくっ付けた。 「そんなことしても耳が真っ赤なのは丸見えよ」 「いや~、かがみ程では」 「う、うるさいわね」 二人きりになれても、何時もみたいなやり取りは変わらない。私達は付き合ったからと言って特別に何かが変わったわけではなかった。まぁ、初めての恋人が、かがみなわけだから、変わるものかどうかわからないんだけどさ。いや、どちらかと言えば、あえて二人きりになる時間を減らしたという意味では、変わったのかも知れない。あまり一緒に寄り道しなくなったしさ。するにしてもつかさも一緒とかね。みゆきさんは、場所と距離の関係でなかなか難しいんだけど、それでも笑顔で付き合ってくれたりする。 二人には感謝してる。二人が味方でいてくれなかったら、私達の想いは雨が降った後の桜の花見たいに散ってしまったのだろうから。 それでも、世間の目は単純に怖かった。今のでそういうのが少しでも、吹っ切れればいいと思うけど、そう上手く行く訳じゃない。 心と体はお互い近くにあるのに、それを隔てる壁はあまりにも大きいから。だから、たまに無性にかがみに甘えたくなってしまう。こんなに近いのに、顔を近づければさっきみたいにキスだって出来るのに・・・でも、そんな私達を隔てる壁は、それを遠距離の恋の様に恋しくて寂しくさせてしまう位、大きいんだ。 「かがみの膝枕って気持ちいいね~」 「そう?あんたらしくない素直な感想ね。何かしら一言、憎まれ口が付いてくるかと思ったけど」 だって、さっきから頭撫でてくれてるし、本当に気持ちよくって・・・幸せをかみ締めたまま眠っちゃいたい。そんな事を思っていたからだろうか、私は本当に眠ってしまったんだ。 ◆ 「こなたぁ~?」 こいつ寝やがった。起こそうかと思ったけど、寝顔が可愛くてそのまま寝かせておいてやることにした。まさか、早めに私を呼んだのは丁度良い枕を得るためじゃなかろうな。 「場所取りって言ったって、誰もいないじゃない」 ここは公園のはずだが、子供の姿一つ無い。お花見のシーズンなのに、こんなにも大きくて立派な桜の下でお花見をしようと思う人影も無い。どう考えても場所取りしなくても、絶対に開いてる場所じゃないか?ここは。 それにしても立派な桜よね。うちの近くにこんな立派な桜があったなんて、しらなかったな、正確には余り近いともいえないけど。でも、つかさは良く知ってる場所だって行ってたな。あの子はこんな所までフラフラと遊びに来ていたのか。そういえば、秘密の遊び場はおねえちゃんにも教えてあげないってたまに何処かに出かけていたなぁ。 しかし、どこまでが近所でどこまでが遠方なのかしら。 「全く・・・気持ち良さそうな寝顔して・・・。でも、膝枕ってされてるほうも心地良いって言うけど、してる方も結構心地いいのよね」 だから起こしたくないな。少しだけの幸せな時間を、一秒でも長く感じていたいな、そんな風に思う。誰に呟くわけでもない、聞いているのは風と桜の木だけ、寂しげな独り言ではないんだ。だって、好きな人はここにいるのだから。 「おや、ずいぶん久方ぶりだねぇ」 「えっ?」 一人の老婆に急に声をかけられたので、私は素っ頓狂な声を上げた。ちょっと悲鳴に近かったかも知れないが、そんな私の声を聞いてもこなたは全く起きる様子を見せない。 「風の噂じゃぁ、亡くなったと聞いとったが・・・やっぱり、風の噂は頼りにならんのぅ」 老婆は一人、話を進めていく。私には誰の事だかわからなかった。 「あの、たぶん人違いだと思います・・・」 遠慮がちにそう言うと、老婆は、悲しそうな目で私を見ていた。 「そうかい。そういえば、髪の色も違うし、あの子どもの様な旦那さんもいないのぅ。そうかい、勘違いだったかい、それはすまなかったねぇ」 「あの、誰の事なんですか?」 「さぁ、名前は知らんが、随分前には、あんたの膝の上で眠っている子の様な感じの髪の色をした夫婦が、小さい赤ん坊を連れて、毎年花見に来てたんでね。でもなぁ、ある年を境に来なくなって、風の噂で奥さんが亡くなったと聞いたんだけど、やっぱりそうなんだねぇ。その帽子とあの時の赤ん坊の子にその子が良く似ていたから見間違ってしまったみたいだねぇ」 もしかして、それはこなたの母親のかなたさんと父親のそうじろうさんなのでは無いだろうか。いや、違うかな・・・まぁ、私には確かめる術がない。知っているとすれば、この桜の木だろうか。 「しかし、最近は若く見えるんだねぇ。それはあんたの子どもさんかい?小学生位かねぇ」 いやいやいや、違いますから。私はまだ子どもなんて・・・それにここで眠っているのは恋人で、なんて言えるわけも無く、友人というのもどこか切なかったので、私は、その言葉には、曖昧に笑い返すことしか出来なかった。 「あんたは、体は丈夫な方かい?」 「えっ、あ、はい。割と」 「そうかい、そうかい。風の噂の通りだとしたら、あの赤ん坊の子は母親の事を余り知らないだろうから・・・あんたは、その子の傍にずっと居られるといいねぇ」 その言葉には何故かすっと、言葉がでた。 「はい、ずっと傍に居られる様にしていきたいですね~」 私の言葉にニコリと微笑むと老婆は行ってしまった。風が舞って桜の花が一瞬視界を隠した後にはもう、老婆の背中は見えなかった。誰だったんだろうか、こなたなら知ってるかな、それともそれを知っているのはもう、この桜だけなのかも。そんな事を思っていると、 「ずっと傍に居てくれるの?」 何時から起きてたのか、こなたがそう呟いた。 「あんたが望むならね」 「そりゃ望むさ、もう力一杯ね~」 「じゃぁ、傍に居られるかもしれないわね」 私の言葉にこなたは満足した様子で、体を起こした。が、やっぱり名残惜しかったのか、すぐに膝の上に戻ってきた。 「まさか、お父さんとお母さんを知ってる人が居たなんてね~」 膝の上にぐりぐりと猫のように頭を擦り付けながらこなたが呟いた。 「あんた、何時から起きてたんだ・・・起きてたんなら、少し位助け舟を出してくれてもいいじゃない」 そんなこなたの頭を撫でる。本当に子どもみたいな事をするな。だから子ども扱いしてやろう。母親が子どもをあやす様に頭を優しく撫でると、それはそれで、嬉しいらしく、こなたは気持ち良さそうな表情を浮かべていた。 「んー、途中からだけど。私もあの人の事は知らないな。たぶんお父さんも知らないと思うよ、お花見に来て、お弁当食べたらお母さんの膝の上で寝てたって言ってたし」 「それでいいのか、泉家・・・」 「だから、あの人の事を知ってるのは、この桜とお母さんだけだね。どっちにも聞けないけどさ」 こなたが、ほんの少し憂いに満ちた表情で桜の木を見上げていた。だからだろうか、私は余計な事を言ってしまう。 「そう。まぁ、あんたのお母さんに私達の事がばれたらきっと、私は嫌われるわよね」 世間に認められない恋だもの、きっと嫌がると思う。 「どうだろうねぇ、でも、お母さんならたぶん納得してくれたと思うよ」 こなたの言葉に呼応するかのように風がざぁっと強く吹いて一面桜の花が舞う。私はその隙に最初のお返しだといわんばかりに膝の上に寝転がっていたこなたの顔を上に向けて、軽くその唇を奪った。 「・・・かがみって大胆になったね」 こなたが真っ赤になってまた私の膝に顔をうずめる、今度は勝ったな。 「誰かさんのおかげでね」 そう、自分でも驚くほど優しげな声で呟いた。きっと今の笑顔も柔らかいものになっているだろう。 私達はずっと傍にいる。そこに大きくて頑丈な壁があったとしても、傍に居続ければ、その壁だって氷が水になって溶けてしまう様に、いずれは溶けてなくなる事を信じて。 桜の花が、私達の上に舞い落ちて来る。気持ちの良い風と桜の甘い匂い。 それは、この桜の木が、ずっと傍に居られる様にと、私達を祝福してくれている様だった。何よりも綺麗で、そして嬉しい気分にさせてくれた。 その気持ちはこなたも同じようだった。こなたが私の肩と桜の木に体を預ける。私も、少し離していた体を桜の木に預ける。 そして、手を繋いで片手を胸に当てて祈る。ずっと傍に居られますようにと。 まるで子どもがするおまじない。けれど、この桜の木の下ならそんな稚拙なおまじないも意味があるように感じて、胸が熱くなる。 おまじないの終わりにどちらからともなく、ほんの一瞬、短い、三度目の・・・キスをした。 「お、お姉ちゃんにこなちゃん!?だ、大胆だね」 「ふふふっ。あらあら、ちょっと来るのが早すぎましたね、つかささん」 この二人に見られたのは果たして偶然なのか、それともこのおまじないの見届け人に桜の木が選んだのかはわからなかった。 不思議と私もこなたも赤くはならなかった。ただ、お互い優しげな表情で微笑んだだけで、だから余計につかさが真っ赤になってしまって、せっかく持ってきた桜餅の入った重箱を持ったまま、ひっくり返えりそうになって、それをみゆきに受け止められる。 そして、誰からとも無く笑いあう、とても幸せなもう一つの時間。 私達はもう一つ願う。四人がずっと傍にいられるようにと。 それは、ずっと一緒という意味じゃなくて、心がずっと一緒にありますようにという意味で。 それに答えて応援してくれる様に桜の木が花弁を数枚、私達の上に零した。 コメントフォーム 名前 コメント 優しいなぁ…。 なんだか良いですね。 -- 名無しさん (2010-07-08 20 27 33) ほのぼのしてていいです -- 名無しさん (2010-06-01 17 25 35) 照れくさそうだけど誇らしげなこな&かがとそれを優しく暖かく包むようなみゆきさんとつかさ… 舞い散る桜吹雪の中のほのぼのとしたシーンが目に浮かぶようです。 -- こなかがは正義ッ! (2009-03-19 01 39 45) 最後のシーンが目に浮かぶようです。GJ -- 名無しさん (2009-03-19 01 02 38) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください。コンペでの得票とは関係がありません)