約 2,981,628 件
https://w.atwiki.jp/1000ed/pages/199.html
冬馬981~990 お互い仕事が忙しくて会うのは夕方近くになってからだった。 私達は模擬店やクラスの出し物をぐるっと見て周り、中庭のベンチに腰を下ろした。 「さっきのチョコバナナ、美味しかったなー」 「また買って来ましょうか?」 「お腹いっぱい。さすがに食べられないよ」 満腹になったお腹を左右にさする。 スカートがきついから明日からダイエットだ。 「どれも美味しかったけど、一番は修二くんのクラスの焼きそばかな。目玉焼きまで乗ってたよね」 「確かに、とても美味しかったです」 「折角修二くんの姿を見に行ったのに。居なくて残念だったな」 「彼が大人しく模擬店の店番をするとは思えません」 「それもそうだね」 女の子に声をかけながら校内で遊び歩いているのだろう。 ジッとできないのが修二くんらしい。 香織ちゃんと隆はまだクラスのお化け屋敷でお化けになりきっているはず。 一郎くんは委員長として放送の仕事をしているに違いない。 秋の乾いた風が緩く吹き木の葉が音を立てる。 オレンジ色の弱い木漏れ日が足元で揺れた。 もう一時間もすればこのお祭りも終わる。 「文化祭、約束通りまわれて良かったね」 「はい。指切りしましたから」 「私からのお願いは全部守ってくれたね。ほんと、ありがとう」 私のお礼の言葉に冬馬先輩は首を振る。 「軟禁中ずっと力の訓練をし続けていたと春樹さんが言っていました。愛菜の頑張りのお陰です」 「最初の記憶しかないんだけどね」 「愛菜が諦めずにいてくれたから、僕も約束を果たす事ができたのです」 私達は元の時間軸に戻ってきた。 もうループする事はないだろう。 チャララ〜♪ その時、私の携帯の着信が鳴った。 着信のディスプレイが春樹になっている。 「もしもし春樹?」 『姉さん、文化祭はどう?』 「楽しいよ。今、冬馬先輩と露店を見てまわってきたんだ」 『食べ過ぎないでよ。姉さんはすぐ調子に乗るから』 「き、気を付けます」 『まぁ楽しそうで良かったよ』 「あのね、春樹。誰も……殺したりしてないよね」 『当たり前だろ。もう生き返らないんだから』 「家には帰ってこられるよね」 『それは当分無理だと思う。まだやり残した事が山ほどあるからね』 「そっか。なるべく早く帰ってきてね」 『分かった。また連絡するよ』 私は通話を終了すると思わずため息を漏らしてしまう。 「春樹さんはどうでしたか?」 「うん。声は元気そうだったよ」 戻って来る直前のループの世界で、春樹は助けに来ないで欲しいと私達に言った。 自分の父や兄のゴタゴタは春樹自身で決着をつけたいそうだ。 時間は元通り動きだし、お義母さんにアップルティーを飲ませ眠らせた所まで戻ってきた。 そして一部始終を神器のみんなに伝えた。 春樹の願いを尊重して研究所には行かず、今日の文化祭も最初から参加することができたのだった。 「心配ですか?」 「こうやって連絡もくれるから大丈夫だよ」 「一人でやりたいというのも春樹さんなりのけじめなのでしょう」 (春樹なりのけじめか……) 私には言わなくちゃいけない事がある。 私自身のけじめだと思って勇気を出して口を開く。 「あのね、冬馬先輩」 「なんでしょうか」 「今の私の力を使えば……冬馬先輩の寿命を伸ばす事もできるよ」 (言ってしまった) 言いたくても言えなかった。 以前のように思慮が足りないと突き放されるのが怖かった。 力を手にした瞬間、一番最初に思ったのは冬馬先輩の延命の事だった。 この力はそのために使うと決めていた。 「力ですか。具体的にはどうやって伸ばすのですか?」 「私の胡蝶の夢を使うんだよ。冬馬先輩が生まれる前まで戻るんだ」 冬馬先輩の身体が短命の原因なら方法はそれしかない。 学校中、お祭りを惜しむような喧騒と熱気が渦巻いている。 でも私達の周りだけは静寂に包まれていた。 冬馬先輩の答えを待つ間、自分の呼吸まで聞こえた気がした。 「やめておきましょう」 冬馬先輩は静かに言った。 穏やかな言い方の中にも決然とした意思を感じる。 「どうして!?」 「この体も僕の一部。僕であるために必要なものですから」 「冬馬先輩であるために必要なもの……」 「僕はこの体で生まれてきた。辛い事の方が多かった気がしますが、便利な事も良かった事も沢山あります」 「………」 「もし胡蝶の夢で普通の体を手にしたとすれば……それはもう僕では無い気がするのです」 「…………」 「命が尽きる瞬間まで僕は僕でありたい。だから、愛菜の提案は受け入れられない」 (そんな) 誰だって死にたくないはずだ。 延命のチャンスがあるなら飛びついて掴みたいと思うに決まってる。 (私への気持ち、もっと強いと思ってた) 今回の件で希望を失いかけても、先輩のために頑張れた。 絶対に失いたくなかった。 でも冬馬先輩は違う。 チャンスがあってもそれを掴みさえしない。 「そう……」 「せっかくの申し出ですが」 「先輩が嫌なら仕方ないよ」 「すみません」 「謝らないで、余計に悲しくなるから」 私は涙がこぼれないように目を伏せる。 目の裏が滲んだように痛み出す。 (泣いちゃだめ。先輩を困らせちゃう) その時、蓄積された記憶の一部が瞼の裏で甦る。 「この仏教というのは、興味深い教えだな」 帝はしみじみと竹簡を見ながら、呟いている。 「どういった内容なんですか?」 「うーん。色々なことが書いてあるな」 「色々……」 「一言でいうと、心の在り方を説いている……というところだ」 「心の在り方?」 「個である意識の問題かな。たとえば、思うようにならない苦しみがあるだろう?」 「はい」 (災厄に疫病……思うようにならないことばかり) 「なぜ苦しむのか。それは、比べているんだ。思い通りになった自分と。そして嘆く」 「なんとなく……わかります」 「苦しむことも嘆くことも比べる事自体が無意味なんだ。自分自身も原因と結果の一つに過ぎないのだから。その大きな流れの中で自分は生かされている。けれど、自分の行いもまた原因を作り結果を生む。だから、身の丈にあった出来ることを精一杯すればいい。要約すればそんな感じだろうな」 その記憶は目の前からフッと消えた。 (どうしてこの記憶が……) 私は瞼を開く。 「どうされましたか?」 固まっていた私を心配そうに覗き込んでいた。 「ごめん。今……壱与の記憶が不意に出てきたんだよ」 「壱与の記憶ですか?」 「うん。仏教についてお話をしていたよ」 「そうですか。帝は渡来人が持ち込んだ仏教に強く傾倒していましたから」 「冬馬先輩は宗教とかは詳しいの?」 「僕ですか……教科書での知識程度ですし、そもそも興味もないです」 「私も。お経なんてお墓参りとか法事くらいだよ」 私達のような学生は勉強や部活に忙しくてそれどころでは無い。 どっちかというと年配の人の方が熱心というイメージだ。 (でも……この考え方、冬馬先輩そのものなんじゃ……) 冬馬先輩は他人を見下したり羨む事はない。 だから間違った事をしてしまっても絶対に責任転嫁しない。 それは自分の過ちも全て自身で受け入れる。 とても勇気がいることだ。 目の前のことを投げ出したりせず、いつも真剣に取り組んでいた。 ありのままを受け入れて、その中で答えを探す。 冬馬先輩そのままだ。 「身の丈に合ったできる事を精一杯すればいい。そう帝は言っていたよ」 「とてもいい言葉だと思います」 「やっぱり冬馬先輩の心に響くんだ」 「響くかどうかは分かりません。ただ、僕はいつもそう在りたいと思っていたようにも感じます。漠然とですが理想に近いと感じました」 (冬馬先輩と帝はやっぱり同じ魂なんだね) 冬馬先輩の理想と私の願いは交わらない。 悲しいけど仕方ない事だ。 私の願いを押し付けるのはただのエゴだ。 冬馬先輩の命は冬馬先輩のもの。 他人があれこれ指図する事はできない。 「それが冬馬先輩の答えなんだね」 「はい」 「わかった。さっきはごめんね、取り乱して」 「いいえ、大丈夫です」 「じゃあ気を取り直して残りの文化祭を思い切り楽しまなくちゃね!」 (あとたった5年。せめて笑顔でいなくちゃ) 辛かった事が多かった分、楽しい思い出を沢山残してあげたい。 それが私に唯一できる事だ。 「愛菜」 「どうしたの? 冬馬先輩」 「無理して笑わなくてもいいですよ」 冬馬先輩は私をジッと見つめて言う。 その声はいつになく優しい。 「無理なんてしてないよ」 「しています。僕の前では肩の力を抜いてください」 そう言うと、冬馬先輩は私の肩をそっと抱いた。 引き寄せられて、隔てていた空間がゼロになる。 「と、冬馬先輩」 「神にも等しい存在ですが、愛菜は愛菜です。だから、もっと甘えてください」 制服越しからでも先輩の体温が伝わってくる。 どちらともなく手を重ねた。 「冬馬先輩、暖かいね」 「愛菜は僕より冷たいです」 「それは体温が低くなったせいだよ。私、もう人じゃないから」 指先でベンチの周りに遮断の結界を張る。 そして冬馬先輩の薄めの唇にそっと触れた。 「これは印ですか」 冬馬先輩も自身の唇を触って気づいたようだ。 「そうだよ。冬馬先輩が甘えていいって言うからお願いしようと思って」 「この印は……封手ですね」 「私は弱虫だから、きっとまた胡蝶の夢を使いたくなってしまうと思う」 5年後、また先輩に会いたいと願ってしまうだろう。 でもそれは冬馬先輩の意思に反する。 「冬馬先輩に封じてもらいたいんだ」 胡蝶の夢をうまく扱える自信がない。 かといって自分自身で封じてしまうとなると、その勇気も無い。 (違う……) 封じてもらいたいなら別の手段だってある。 こんなのただの言い訳だ。 「私、冬馬先輩にキスしてもらいたい。この方法なら封印してもきっと後悔しないと思うんだ」 「愛菜」 「冬馬先輩、大好き。だから……お願い」 先輩はうなずくと、私の両頬に手を添えた。 「……愛菜、少し震えています」 「初めてだから緊張しちゃってるんだ」 「僕も初めてで……やり方がよくわからないです」 (冬馬先輩も初めてなんだ) 恋愛の経験値は冬馬先輩も私と同じようなものらしい。 肩を抱いたり手を繋いだり自然体でしてくる冬馬先輩。 まるで恋愛の手練のような大胆さだけど、単に人との距離感がわからなくて心のままに言ったり行動しているだけな気もする。 (そういえば恥ずかしいって感情もよく分からないって言ってたっけ) 「もしかして、キスの意味が分からないって事?」 私の言葉で、先輩は頬に触れていた手を離す。 「唇同士の接触だろうと考えていました。違ったでしょうか」 「正解だけど……そういえば以前冬馬先輩とキスについて話したよね。覚えてる?」 「はっきり覚えています。あれは愛菜がまじないにキスが必要なのかと質問をした。だからそれに答えました」 「確か、粘膜が……とか言っていたよね」 「口腔内の歯以外は全て粘膜で覆われています。口と口が触れ合えば少なからず粘膜の接触があるかもしれないと言ったのです」 (どうしよう) わかってくれてはいる。 冬馬先輩の解釈は間違ってはいないけど、圧倒的に想いが足りない気がする。 だったら方法を変えてみるしかない。 「じゃあ、唇でおまじないするのはどう? だったらやり方も分かるよね」 「契約も唇でするので要領はわかります」 「前回教えてもらったおまじないは生霊に取り憑かれないための魔封じだったよね」 「そうです。ファントムが襲ってきたので愛菜の家族に被害を出さないように教えたのです」 「今の私に魔封じは必要ないから、別のおまじないがいいね」 おまじないは自然現象を利用した術のようなはっきりした効果は出ない。 特に訓練を積んでいなくてもできるのが特徴だ。 約束や祈りに近いかもしれない。 「別のまじないですか」 「冬馬先輩は何を願う? なんでもいいよ」 「何でも……」 「うん。冬馬先輩がこうしたいなって事でいいよ」 冬馬先輩は考えていた。 太陽がもう少しで沈む。 藍色の東の空から夜が訪れ始めている。 しばらくして、うつむいていた顔を上げる。 「僕は……決めました」 「私も決めたよ」 おまじないは叶うまで心の中に留めておくと効果が高い。 せっかく込めた念が言霊に乗せると霧散してしまう事がある。 (私は冬馬先輩の幸せを願おう) 先輩を待つようにゆっくり目を閉じる。 すると両肩にそっと手を添えられる。 そして温もりが遠慮がちに触れる。 『僕の愛しい人が末長く幸せでありますように』 冬馬先輩の切ないまでの想いが私に流れ込んでくる。 この瞬間、胡蝶の夢は使えなくなった。 (大丈夫。冬馬先輩となら絶対に幸せなはずだから) ありったけの気持ちを込めて、私は冬馬先輩の幸せを願った。 ##### 原稿とゲラ刷りを見比べて赤ペンでチェックを入れていく。 最初は本当に未熟で仕事を斡旋してくれるお義母さんや出版社の方々にたくさん迷惑をかけてきた。 出産を期にフリーになり、校正校閲だけで親子が暮らせていけるほどの収入を得ることができるようになった。 専門学校に入ってすぐ適性がないかもと後悔した事もあったけど、子供を抱えての在宅ワークはありがたい事だと度々気付かされる。 (お義母さんには足を向けて寝られないくらい。本当に感謝しかないよ) 「ただいま、母さん」 元気のない声で息子の和馬が帰ってきた。 学校で何か嫌な事でもあったのかもしれない。 「おかえり、冷蔵庫にプリンがあるからね」 声だけかけてまた仕事の続きをしようと鉛筆を持つ。 (少し声に元気がなかったような……) 私は立ち上がって、ダイニングに向かった。 「ねえ、学校で嫌な事でもあった?」 対面の椅子に腰掛けて私は尋ねる。 「別に、いつも通りだけど」 11歳になって色々隠す事が増えてきた。 ほんの少し前までは聞いて聞いてと学校での色々な出来事を喜んで話してくれのに。 成長を感じられる反面、できた距離に戸惑ってしまう事もある。 「いつもより元気がないような気がするんだよね」 「まぁ学校で少しね」 「何があったの?」 「大げさなものじゃないんだ。ただ今日、社会の時間に親の仕事をレポートにする授業をやったんだ。僕はもちろん母さんの仕事をレポートにして提出したよ。でも母親より父親のことを書く友達の方が多くてさ。なんだかなぁて」 食べかけのプリンをスプーンでつついてそのまま置いてしまった。 (好きなプリンを食べ残すなんて、やっぱり落ち込んでる) 「お父さんがいないのは、やっぱり寂しい?」 「小さい時は寂しかったけど、今はあんまり感じないかな。実際、写真でしか見た事ないから」 冬馬先輩は和馬がお腹の中にいる最中に息を引き取った。 だから親子で直接会った事はない。 「そうだよね。写真でみてこの人が父親かって思うしかないもんね」 「本当に寂しいとか悲しい訳じゃないよ。春樹おじさんは色々な所に連れてってくれるしゲームも買ってくれるから好きだし。おじいちゃんとおばあちゃんも家に遊びに行けばお菓子もジュースも食べ放題だしね」 (みんな和馬に甘すぎなんだよね) チェストの上には写真立てがある。 お腹の大きくなった私とお腹に手を添える冬馬先輩。 先輩の顔は誰が見ても笑顔だ。 「和馬のお父さんね。笑顔を作るのがすごく下手だったんだよ」 「そうなの? あの写真はいつも笑ってるのに?」 和馬は写真立てを眺めて呟く。 普段は日常に追われてなかなか父親について話すこともなかった。 案外、いい機会なのかもしれない。 「出会った頃なんて無表情で何しても笑わないんだよ。くすぐっても平気だったんだって」 「変わってるね」 「確かに変わり者だったかも」 「へんなの。母さんはそんな父さんのどこか良かったの?」 「優しくて強くて、カッコ良いところかな」 「ふーん」 「恋人にして欲しいって告白したのも結婚したいって言ったのも全部お母さんからだった」 当時の出来事に思いを馳せる。 あの頃の私はまだ若くて、とにかくがむしゃらに追いかけていた。 冬馬先輩は情緒が乏しかったり知らない事も多かったけど、精神的には私よりずっと大人だったと思う。 研究施設生まれの冬馬先輩に戸籍が無かった、なんてトラブルもあったけどいまでは良い思い出だ。 「そうだ。ちょっと待ってて」 隣室の和室に向うと小さな仏壇の前に正座する。 静かに目を閉じて手を合わせた。 そして引き出しから細長い封筒を取り出す。 「きっともう分かってくれると思うから、持っていくね」 あの写真立ての写真を撮った日、この封筒を渡された。 子供に渡して欲しいと頼まれたのだ。 (11歳なら読めるし、理解できるよね) テーブルに戻って、和馬に何も書かれていない真っ白な封筒を手渡す。 「何、これ」 「多分手紙だと思う。大きくなったら子供に渡して欲しいってお父さんから頼まれたの。和馬も高学年だし、もういいかなって」 「父さんからの……」 不意に渡される父親からのメッセージ。 「僕が読んでいいの?」 「もちろん」 和馬は慎重に封筒を開ける。 緊張しているのか、顔がこわばっている。 「怖かったらもう少し大きくなってからでもいいよ」 まだ小学生には早かったかな、と思い声をかけた。 「大丈夫。僕、読んでみたい。父さんがどんな人なのか知りたい」 封筒から便箋が一枚出てくる。 意外と枚数は少ないようだ。 「『和馬へ』って書いてある。すごく綺麗な字だね」 「ものすごく記憶力がいい人だったから綺麗な字を模倣して書いたんだと思うよ。普段の字はあんまり上手じゃなかったから」 「どういう事?」 「見たもの、聞いたものを簡単に記憶できたみたい。すごいよね」 「本当に?」 「うん。お母さんも最初は驚いたもの」 「それ、完全なチートじゃない。なんで僕は父さんに似なかったのかな」 「ごめんね。平凡なお母さんに似ちゃったね」 冬馬先輩の特殊な身体の事はずっと言わないつもりだ。 実際、和馬は小学生の頃の私より断然優秀だった。 運動も勉強も苦労しているのを見たことがない。 父親がいなくても周りが大切にしてくれるから真っ直ぐ素直に育っている。 もしも冬馬先輩が普通の環境で育っていたら、和馬のように明るく誰からも愛される子供だったのかもしれない。 和馬は便箋を開いて、静かに読み始めた。 黒目が横にスライドして、それが左右に動いている。 真剣に読んでいる様子がこちらにも伝わってきた。 「読んだよ」 「どうだった?」 「和馬って名前、父さんがつけたんだね」 「そうだよ。お腹のエコーで男の子って分かったから。お父さんの冬馬の馬っていう字。それを一文字入れたかったんだって」 親の文字を入れると親より出世できないと言われたりするけど、冬馬先輩はせめて自分の一文字を子供の名前として刻んでおきたかったのだろう。 「最後にお母さんをよろしく頼みますって書いてあった。すごいドラマみたいな感じかと思ったけど、案外、普通だった」 和馬は読んだ便箋を封筒にもどそうした所で「あっ」と声を出した。 「まだ便箋が入ってる。『愛菜へ』だって。母さん、愛菜って呼び捨てにされてたんだね」 父と母のプライベートを始めて覗き見たのが嬉しかったのか、和馬はニヤニヤと冷やかすようにこちらを見た。 「うるさいなぁ。いいでしょ、別に」 「耳まで赤くなってるし」 「少しだまっていなさい。お母さんはこれから大切なお手紙を読むんだから」 母の威厳を使って無理矢理息子を黙らせる。 便箋に書いてある『愛菜へ』の文字を指でなぞる。 それだけで胸が一杯になってしまいそうだ。 「母さんのそんな嬉しそうな顔、始めて見たよ。本当に父さんが好きだったんだね」 「だった、じゃないよ。今も大好きだから」 「大好きね。まさか僕より……とか言わないよね」 和馬は遠慮がちに上目遣いで尋ねてきた。 身長も私に近づく勢いだけど、まだまだ幼さも残っている。 「どっちも一番だから比べられないよ。お母さんは欲張りだからね」 「なんかそれ、ズルくない?」 「ズルくて結構です。ところで、これ別の部屋で読んできてもいい?」 「いいよ。僕、プリン食べてからここで宿題やってるね」 和馬は残したプリンを勢いよく食べ出す。 冬馬先輩からの手紙のおかげで父親の姿を再確認できたようだ。 普通だったなんて言っていたけど、嬉しかったに違いない。 憂いが晴れて食欲が出てきたのだろう。 私は和馬を残して和室に移動する。 後ろ手でふすまを閉めると、ふぅと息をついた。 (まさか私にまで手紙を残してくれていたなんて思いもしなかった) 「愛菜へ……か」 11年ぶりに名前を読んでもらえた、その喜びを噛み締める。 私は深呼吸すると、便箋をそっと広げた。 『親愛なる愛菜へ この手紙を読んでいる頃、もう僕はこの世には居ないと思います。 いくつか死ぬ前に伝えなければならないので筆を執りました。 まず愛菜のご両親には感謝しかありません。 愛菜のご両親には就職するつもりだった僕に大学に行く事を勧めてもらい、大学院の費用まで援助して頂きました。 お陰で恩師や友人、沢山の素晴らしい人達に出会うことができました。 愛菜にはその感謝の意をぜひご両親に伝えてもらいたいのです。 よろしくお願いします。 それに関わる事ですが、高校の文化祭で3年の有志でデリバリーをした時のリーダーを務めていた男を愛菜は覚えているでしょうか。 名前は友山と言うのですが、偶然にも大学も研究室も同じになったので僕が死んだ後の事後処理を頼むことにしました。 というのも兼ねてからの研究対象だった固形化電池の特許申請の際、僕の名前を末席に記載して頂けることになったからです。 その友山と特許事務所の方がみえたら相続の話なので、愛菜が相続人となってください。生まれてくる子供の養育費の足しになればと思っています』 私は便箋から一旦顔を上げる。 (何で、今更こんな) もっと早く読みたかった。 それしか言えない。 前半のうちの両親の話は良しとするにしても。 問題は後半だ。 さかのぼる事、15年前。 「愛菜、何か困っている事はありませんか?」 文化祭も終わり、一週ほど経った時に突然そう聞かれた。 ちょうど携帯が古くなってきたから携帯のバッテリーがヘタって困っていると答えた。 すると冬馬先輩は工学部のある大学を受験し合格した。 そして月日は経ち、お葬式から数日経った頃、友山という冬馬先輩の友人から電話がかかってきた。 何も聞かされていなかった私は仰天するばかりだった。 友山さんから冬馬先輩の事を色々教えてもらった。 先輩が実はとても優秀な研究者で教授や企業から何度も留学を勧められていた事。 それを全部断っていた事。 次々と私の知らない冬馬先輩の姿を知らされることになった。 「あいつは常識の通じない変人でしたが天才でした。冬馬の発案した固形化電池はこれからの未来をもっと明るくするでしょう」 友山さんは冬馬先輩をそう評した。 今の私のスマホには冬馬先輩の研究していた電池が入っている。 そしてうちの両親に学費も返すことができ、マンションも購入することができた。 (養育費のだけじゃなく私が働かなくてもいいほど経済的に余裕あるよ、冬馬先輩。それにしてもこの手紙、亡くなる直後に読んで欲しかったんじゃ……) 私は再び便箋に目を落とした。 『ここからは僕の過去を振り返りながら書きます。 自叙伝というか覚え書き程度なので、流し読み程度に読み飛ばしてください。 僕の人生を振り返っていくと、最初の思い出は幼少期の頃の事です。 現実を直視できず心を閉じていたのでハッキリとは思い出せませんが、あの頃の僕は常に死を考えていたように思います。 死んで楽になりたい、ただそれだけを祈っていました。 次に思い出されるのは愛菜のお母様のことです。 死を望み、人を憎み続けていた僕を救ってくれた大切な人です。 僕が言葉を覚えたのも彼女のおかげです。 本当の母親ではありませんが、幼い僕は心の中だけで「お母さん」と呼んでいました。 人生で恩人と呼べる人は沢山いますが、彼女こそ人間らしさを与えてくれた僕の原点です。 僕は能力そのものが本当は嫌いです。 でもずっと、なぜ嫌悪してしまうのかはっきりしませんでした。 それでも宿命には従うつもりでした。 理由はごく単純なものです。 自分で考える事を完全に放棄していたからです。 剣だから戦えるはずだ。神器だから巫女を守れるはずだ。 そう言われるから従う。 「お母さん」の本当の娘、神託の巫女と契約することを決めました。 夢でみる壱与という夫婦同然だった相手の生まれ変わり。 大切な恩人の娘。 ある意味、因縁の塊です。 失礼があってはいけないといつも気を張っていました。 それでも侮られると契約に障りがあるので、常時平静を装っていました。 ですが至る所でボロが出ていたようにも思います。 それと同時に落胆したのも覚えています。 考えが浅く、そのくせ首を突っ込みたがる性格に苛立ちさえ感じていました。 苛立ちを覚える一方で親しみのようなものが次第に芽生えていきました。 契約の時に一部心を共有したせいもあり、愛菜の感情が色となって流れ込んで来ることがあったのです。 色とりどりのそれらを見るのか好きで、興味を持ちました。 そして僕自身も知らぬ間に、愛菜の感情に感化されていったのです。 まるで自分が自分ではなくなるような不思議な感覚がしました。 苛立ちは焦燥や嫉妬に。 親しみは愛情になっていく。 ぼやけて白黒に霞んでいた世界に、差し色が少しずつ足されていったのはとても刺激的でした。 先程も書いたように、本当は能力そのものに嫌悪していました。 今ならその理由が分かります。 何にも縛られる事のない自由が欲しかったのです。 僕は多くの能力者である仲間を無秩序に殺戮していった罪人です。 そんな僕が幸せになってもいいのか。 家族を持っていいのか。 自由を謳歌していいのか。 その度に自問自答してきました。 死の足音が大きくなってきた最近ですが、それほど恐怖は感じていません。 ただ妻の愛菜とまだ見ぬ和馬という名の息子を置いて先に旅立たなければならない事は、身を引き裂かれる思いです。 感情が希薄な頃に僕はよく愛菜に「守る」という言葉を使っていました。 でも「守る」と上辺をなぞって言っていただけだったに過ぎません。 むしろ僕の方が愛菜に守られていたような気がします。 僕は無責任な男です。 そして未練がましい男です。 愛菜と和馬を最後まで「守る」ことさえできなかった男です。 それでも渇望していた自由を手に入れた。 惜しみない愛情を妻から貰った。 沢山の人達が支えてくれた。 僕は僕の生に意味があったと胸を張って言えます。 愛菜、今まで僕を好きでいてくれてありがとう。 笑えない僕に笑顔を教えてくれた人。 あなたは僕の希望そのものでした。 僕の愛しい家族が末長く幸せであることを祈ります。 御門冬馬』 (ずるい……今更、もっと好きにさせてどうするの?) 会いたい。 今すぐにあの大きな胸に飛び込みたい。 薄い紙切れを抱き締める。 クシャと音が鳴り、慌てて畳の上で伸ばす。 (こんな紙切れじゃ頼りなさすぎるよ……) 畳の上に涙がこぼれ落ちる。 ポタポタと丸いシミが増えていく。 「もう終わった? 宿題の答え合わせしてよ」 和馬が和室のふすまを開けて入ってくる。 そして驚きの顔に変わっていく。 「母さん、泣いてるの?」 子供の前で泣いていた事に気付いて、焦って涙を拭う。 それでも次々と溢れ出て、止める事ができない。 「ごめ……ん。びっくり……させ……ちゃったね」 すると和馬が私の目の前に立つとギュッと手を伸ばしてきた。 まだ薄い肩に額がぶつかる。 「さっき父さんの手紙に書いてあったんだ。母さんは泣き虫だから僕の代わりに抱きしめてあげてくださいって」 「……お父さんが?」 「泣いた母さんなんて見た事ないのに……って思ってたけどこうなる事が分かってたのかな。まるでエスパーみたいだね」 (冬馬先輩、心配しないで。私も和馬も幸せだよ) 本当は人間に能力なんて必要ない。 心を動かす強さは術を使った力なんかじゃない。 そう冬馬先輩は言っていた。 (確かに、その通りだよ) 私は力の限り和馬を抱き締める。 私と冬馬先輩、二人の宝物。 「母さん、ちょっと苦しい……」 「愛してる、和馬」 (そして愛してるよ、冬馬先輩。また来世で) きっとまた会える、そんな気がした。
https://w.atwiki.jp/welovejapan/pages/526.html
【社会】「パチンコに復讐したかった」という理由で、パチンコ店の客を刺殺した無職(35)を起訴 - 大阪 http //kamome.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1284642692/36 36 名前:名無しさん@十一周年[] 投稿日:2010/09/16(木) 22 26 00 ID 1UQyqEZJP パチンコをやめろ/高山正之(ジャーナリスト) マッカーサーは戦後の日本で過去に例のない専制と独裁政治を展開した。 彼はまず罪を犯した米兵への裁判権を日本に放棄させ、新聞が米兵の犯罪を報道する ことも禁止された。おかげで米兵は強姦も強盗もし放題、殺人も構わなかった。調達庁の 調べでは占領期間中2500人が殺された。 彼の占領政策の柱は、日本人の誇りを奪い堕落させ2度と白人支配の脅威にならない ようにすることだった。そのために東京裁判で日本を侵略国家に仕立て、 A級戦犯はわざ と皇太子殿下の誕生日に死刑を執行した。横須賀港にあった戦艦三笠はいかがわしい ダンスホールに改造された。 日本では賭博は禁止だったが、マッカーサーは朝鮮人が国に帰還するまでのあいだ、 パチンコ屋をやることを日本政府に認めさせた。 賭けごとは日本人の堕落を促すと読んだためだ。さらに彼は、軍歌いっさい厳禁のなか でパチンコ屋に限って軍艦マーチを流すことを認めた。どこまでも日本を貶めた。 パチンコで日本人を堕落させる計画は彼の期待以上にうまくいった。なぜなら朝鮮人は 帰還しないでパチンコとともに日本に居座ったからだ。経営者の95%が朝鮮人という業界は、 日本人の射幸心をあおっていまも年商20兆円を稼きだしている。 対支那のODA総計6兆円をはるかに凌ぐ上がりは南北朝鮮を潤し、社民党への献金から 北の核開発までを支えてきた。 一方、日本ではパチンコ屋の駐車場で子供が蒸し殺される悲劇が続く。3年前の一斉巡回 で56人の乳幼児が蒸し焼き寸前で救出された。借金漬けの主婦が売春に走り、景品交換所 では強盗殺人事件が後を絶たない。 松戸市の市営住宅で火事があり、3人の子供が焼け死んだ。23歳の母はそのときパチンコ に熱中していた。マッカーサーの思うとおり日本人は堕落した。百害あって一利もない違法 パチンコはまだ廃止もされず、悲劇を生みつづけ、南北朝鮮だけが笑っている。
https://w.atwiki.jp/mountgolira/pages/27.html
【アベノミクスまとめ】 ・実質賃金低下 ・給与総額過去最低 ・経常黒字過去最小 ・貿易赤字過去最大 ・企業倒産件数増加 ・鉱工業生産マイナス ・機械受注マイナス ・住宅着工件数減少 ・生活保護過去最多 ・完全失業率増加 ・非正規の割合過去最大 ・国富600兆円消失 ・国の借金過去最大 ・円安で物価高騰 ・増税ラッシュ ・公共料金値上げ -- (名無しさん) 2014-09-25 00 30 45 なんか基本無料のゲームって、日本のIT業界がブラック派遣ばかりになってるのと似たような物を感じる このままじゃあっという間に崩壊しそう -- (名無しさん) 2014-09-29 21 57 11 自民は●騒動の時に、ν速で●ばら撒いて自分達に都合がいいスレ立てしてたとか暴露されたしな その後で馬鹿を連続してやったりして、そこでようやく阿呆共も「全然愛国でもなんでもねえ!」と気が付いたが後の祭り 選挙前に既に経団連に「俺ら政権取り返したら中韓にまた土下座しますんで」とやってた政党が愛国な訳ねーだろ -- (名無しさん) 2014-10-03 20 36 42 ちんぽ -- (名無しさん) 2014-10-05 21 17 27 ちんぽ -- (名無しさん) 2014-10-05 21 17 45 ちんぽ -- (名無しさん) 2014-10-05 21 19 10
https://w.atwiki.jp/lcfrontier/pages/13.html
仙台―ソウルの定期便が9月25日再開されます。 韓国のアシアナ航空が、東日本大震災の影響で運休している仙台空港とソウルを結ぶ国際定期便を9月25日に再開させるそうです。 仙台―ソウル線は、震災前は週7往復の運航でした。 今後は、まず火、木、日曜の週3往復運航する見通しだそうです。 震災前に6路線あった仙台空港発着の国際定期便は、現在、ユナイテッド航空が10月からグアム線を再開させる方針で、ソウル線と合わせ2路線で復活のめどが立ったことになります。 東北は、夏を過ぎてからが、観光のシーズンですね。紅葉がきれいです。 このような復活が、東北の支援につながっていくと思います。 以上、うれしいニュースでした。 プレミアムアイラッシュエッセンス プレミアムアイラッシュエッセンスでまつげ発毛 アクアクララの評判 クリクラの口コミ
https://w.atwiki.jp/akatonbowiki/pages/3727.html
このページはこちらに移転しました 三兆円 作曲/ tdrk 土地が買える 家が買える 車が買える テレビが買える 寿司もたらふく 肉もたらふく 株も権力も 夢も人望も 好きなだけ 買えるよ 君の好きなもの 買えるよ 独り占め できるよ 僕の遺産で 買えるよ
https://w.atwiki.jp/kurorekisi/pages/136.html
(シーン:ルーシィ敗北の真意) 【背景:ルーシィ自室、魔王の居城】 【立ち絵:ルーシィ、ミレイア、四天王】 【BGM:自室用BGM、決戦用戦闘BGM】 【背景:ルーシィ自室】 【BGM:部屋】 「そういや、魔王に負けた負けたっていうけど、どういう風にやられたんだ?」 「うっ……」 「命だけは助かったんだよな。魔王って案外慈悲深いのか?」 「慈悲深くなんてないよ! ボクは魔王のせいで……ボクは……」 ルーシィは目じりに涙を浮かべて、拳を握り締めた。 (ヤバス……選択肢まちがったか!?) 念のために言っておくが、選択肢なんてなかったぞ。 「あんな屈辱、後にも先にもなかったよ……」 ルーシィは魔王城での思い出したくもなかった死闘を思い出していた。場面転換 【背景:魔王の居城】 【BGM:戦闘】 「魔王ミレイア! お前の手下たちは全部ボクが倒したぞ! 覚悟を決めて出て来い!!」 ルーシィはロストルムを携え、いかにもラスボスが待ち構えていそうな両開きの扉を開け放ち言い放つ。 「うふふ……遅かったわね、勇者ルーシィ」 「魔王……!!」 そこには想像通り、玉座に深く腰掛けた妖艶な美女――魔王ミレイア(お姉さんVer)が待ち構えていた。 だが、ルーシィの想像外の展開もまた待ち受けていた。 「おっおっ。噂通りの超絶美少女ですお^^^^」 「ほほう……噂に違わぬ、いいおっぱいですね……( ゚∀゚)o彡゜」 「俺の食指はピクリとも働かないぜ……」 「………」 ミレイアの玉座の横には、いかにも屈強そうな4人の魔族が付き従っていた。 魔王四天王の、それぞれ順にブン・ブブーン、ジョルジュ・ド・ニープル、アーヴェ・グッドマン、ラーレ・ベアである。 「ひとつ訂正させてもらうわ。私の手下はまだ4人いるわ。それも飛び切り優秀なのがね」 妖艶に口の端を吊り上げ微笑むミレイア。 「くっ……誤算!」 「ひとりで乗り込んできた度胸は誉めてあげる。でも……あなた、人徳ないんじゃないのぉ?」 「う、うっさいやい!!」 「魔王に人徳で負けてるようじゃ、勇者失格ねぇ。それじゃあ私に勝てないわよ?」 ミレイアは四天王を順に眺め、勝ち誇ったように笑う。 「うるさいうるさい! やってみないとわかんないだろ!!」 図星を指されたルーシィの怒りが爆発し、戦いの火蓋は切って落とされた。 (暗転) 「あうううっ!!」 2ゲットを取れそうな勢いでズサーっと床を転げるルーシィ。 やはり、5対1では勝負にならなかったようだ。 「無様ね。さて、どうしてくれようかしら……殺すのは簡単だけど」 ミレイアがくすくす笑いながら四天王に目配せする。 「おいらに! おいらに任せてほしいお!!」 「いえ、ここは私が……」 「俺に任せてもらえれば、面白い光景を見せてやれるぜ?」 「……興味ないな」 四天王がそれぞれ、ミレイアの意図を察して発言する。 「そうね。それじゃあ……」 選択肢 1:ブンに任せる 2:ジョルジュに任せる 3:ベアに任せる 4:アーヴェに任せる@wikiへ
https://w.atwiki.jp/1000ed/pages/165.html
春樹971~980 やっとすべての仕事が終わった。 一年生の教室がある一階で立ち止まる。 春樹との約束の時間前だけどお母さんの言葉も気になったからだ。 (おもしろいって何だろ。ここが春樹の教室か) 「ロイヤル喫茶か……」 煌びやかな看板にベル○ラ風の文字で書いてある。 どうりで春樹が来て欲しくなそうに不機嫌な顔をしたはずだ。 「結構まだ並んでる人いるんだな……」 締め切られた教室のドアにはズラッと15人ほど並んでいる。 おとぎ話を思わせる雰囲気のせいか圧倒的に女子率が高い。 並んでいる女子生徒達は楽しみなのか大きな声で談笑している。 春樹に連絡する時間前だし、最後尾に一人寂しくポツンと並んだ。 「あなた。春樹くんのお姉さんですわよね」 真後ろから高圧的な声がして振り向くと、腕を組んだ桐原さんが立っていた。 「桐原さん……だったよね」 「やっぱりそうですわね。その地味で暗い感じはそうではないかと思ったのですわ」 (地味で暗い……) 悪気があって言った訳ではないと思いたい。 私は気を取り直して桐原さんに向かい合った。 「桐原さんのクラスはロイヤル喫茶なのにドレスじゃないんだね」 桐原さんはいつも通りの制服を着ている。 ロイヤルで豪華なドレスも上手に着こなせそうなのにもったいない。 「うちのクラスは王子の格好をした男子がもてなしてくれるの。女子は裏方で私は衣装担当。 ちなみに春樹くんの服は私が特別に仕立てされせたものよ。他とは段違いの出来ですわ」 (仕立てさせたもの……) 自分で作った訳ではなさそうだ。 プロにでも頼んだのだろうか。 詳しく尋ねようとも思ったけれど、話が長くなりそうなので聞かなかった事にする。 「春樹は教室の中?」 「ええ。でも一番人気の王子だから指名出来るかは分からないわ」 「そっか。少し時間もあるから待ってみるよ」 「一人でよっぽどお暇なのね」 「まぁ春樹に会えなくても雰囲気だけでも楽しむよ」 そう言ってまた最後尾に並びなおす。 「ちょっと待ってくださいます? 春樹くんのお姉さん」 桐原さんにはまだ言いたい事があるのようだ。 「どうしたの? もしかして何か私に用だった?」 「当たり前でしょう。わたくしが用もないのにあなたなんかに話しかけるはずないじゃありませんか」 「そうなの? ごめん」 悪い事をしているつもりはないけれど、なんとなく謝ってしまった。 列に並んだままだと都合が悪いのか、桐原さんは周りを見回していた。 込み入った話かなと感じた私は、空き教室を探す。 「ここに入ろうか」 「ええ。その方が都合が良いわ」 カーテンで締め切られた薄暗い部屋に二人で入った。 「……それで私に何か用かな」 「わたくし、今日限りでこの学校を転校することになりましたの」 「え? 今日限り?」 転校だけでも珍しい事なのに、学期の途中で変わるなんて聞いた事がない。 よほどの事情があるのだろうか。 「随分急な転校だね。お家の都合?」 「春樹くんとはこれで終わりですの……だからこの学校に居る必要も無くなりましたから……」 強気な桐原さんにしては言葉を濁す。 終わりという単語が気になって聞き返す。 「終わりってどういう事?」 「わたくしの父が婚約は破談だから戻って来なさいと言ってきましたの。 あの家はもう駄目だと」 「あの家って……もしかして」 「その顔。あなたもしかして春樹くんのお父様が亡くなられたのを知りませんの?」 「亡くなったの?」 「ええ。新聞でも取り上げられてましたわよ」 (そっか。父親の力を奪った秋人さんの能力も私に移ったから、生かされていた父親も……) 私が力をすべて請け負ったせいで高村家の状況が変わり始めたようだ。 「それでわたくしだけではなく、お付きの友也も一緒に転校することになりましたの」 (友也……って?) 一瞬考えて、春樹が一番仲が良かった友達の名前だと思い出す。 「友也くんって春樹の親友だよね」 「そうね。二人は昔からとても気が合うようね」 「でも……確か桐原さんの彼氏だよね」 私の言葉に桐原さんは一瞬目を丸くしてから可笑しそうに笑い出した。 「まぁ、友也が本当の彼氏のわけないでしょう」 「そうなの?」 「常に一緒に居た方が都合が良いからで、ただの方便よ。 四六時中お付きの者が居るなんて庶民の学校ではおかしいでしょう」 「カモフラージュって事?」 「そうね。そもそも友也とでは釣り合いが取れないわ」 「さっきから友也くんをお付きの者っていっているけど……それって」 「わたくしの家の執事長の息子なの。何かと不便だろうとお父様が勝手によこしたのよ」 (じゃあ桐原さんは二股していた訳じゃないってことか) 突然の桐原さんの来訪の時、私と隆は二人の関係を勝手に勘ぐった。 そして友達の友達に恋をした二股女子と結論付けた。 春樹はその事に否定も肯定もしなかった。 桐原さんの話をすることは過去を話す事になるから、春樹は知らぬ振りを通したのかもしれない。 「そうなんだ……知らなかったよ」 「そういう事で私も友也も今日でこの学校とはお別なのよ」 「せっかく桐原さんとお友達になれそうだったのに、転校なんて寂しくなるね」 「貧相な庶民の暮らしに触れるのも良い経験でしたわ。ただ春樹くんの事だけ心配で」 (春樹が心配?) 「どうして春樹が心配なの?」 「あなた本当に何も知らないのね。高村の息がかかった施設に家宅捜索が入ってるのよ。 お父様は高村は見限られたって仰っていたわ」 (力が無くなって権力も失ったのかな。散々悪い事をしてきたから制裁を受けるってことなのかも) 「そこであなたにお願いがあるのだけれど」 桐原さんは私に向き直ると、私を正面から見る。 「悔しいけれど、わたくしが居ない間、あなたが春樹くんを支えてあげてちょうだい」 「私が……」 「幼稚舎から懇意のわたくしや友也も居なくなって、生家は滅茶苦茶。 きっと心中穏やかじゃないはずよ」 「そうだよね」 「春樹くんにとって一番身近な人はあなただから頼むのよ。不本意ですけれど」 桐原さんは春樹を追いかけてこの学校までやってきたのかもしれない。 昔の春樹と同じ学校に通っている令嬢がわざわざ公立を選ぶなんておかしい。 「あのね、桐原さん」 私も桐原さんにしっかり向き直って話しかける。 「桐原さんは春樹が大好きなんだよね」 「なっ。ば、馬鹿じゃありませんのっ」 桐原さんは顔を真っ赤にしてうろたえる。 「じゃあ好きじゃないの? 春樹を追いかけてこの高校選んだんでしょ? お菓子作ってきたりしたよね」 「それは婚約者だからで……」 「でも春樹は大堂の姓に変わっているよ」 「正当な継承者は春樹くんだから必ず戻って来ると皆おっしゃっていたわ」 一生懸命なのか声がどんどん大きくなっている。 桐原さんは昨日までの私みたいだ。 自分の気持ちに素直になれず、世間体や弱い気持ちを盾に取って誤魔化している。 「私はね、春樹が大好きだよ」 自分でも驚くほど穏やかな気持ちで言えた。 「いきなり何を仰っているの?」 「いつの間にか家族としてよりも異性として好きになってしまったんだね」 「……は?」 「それで昨日、春樹に好きだって言ったんだ」 春樹には周りに黙っているように言われた。 だけど、桐原さんには本当のことを伝えたい。 「姉なのにおかしいよね」 「…………」 「春樹もその気持ちに応えてくれたよ」 桐原さんが息を飲むのが分かる。 驚きで桐原さんは言葉にならないようだった。 学校から去っていく桐原さんにわざわざ言う事じゃないかもしれない。 ひどく残酷な事をしているかもしれない。 「…………」 「私、桐原さんの事少し苦手だった。けど、本当に友達になりたいと思ってるんだ」 「……さっきから……何が仰りたいの?」 搾り出すように掠れた声で桐原さんは尋ねる。 私よりずっと前から春樹を想っていたのだろう。 恋敵から両思いになったと宣言されれば声だって出ないに決まってる。 「私はね、春樹の事は任せてって言いたいんだよ」 「………」 「さっき私に春樹を頼んだでしょ?」 「……そう……ですけど……」 「私を頼ろうとしてくれた桐原さんの気持ちがうれしかった。本当に」 悔しいのか悲しいのか、桐原さんの目から涙が零れ落ちる。 私はその涙を眺めながら、淡々と言葉を続ける。 「酷い事を言っているよね。知らなければただ学校から去るだけで済んだんだもん」 「本当……に」 また桐原さんの頬に涙が伝っている。 「今までの事なかれ主義の私だったら黙っていたと思う。 だけどそれじゃ任せてもらっても、桐原さんはまた心配になるかもしれない」 「…………」 「心残りはここに置いていって欲しいんだ。 桐原さんは未だに春樹の事を『高村春樹』だと思っているから」 「……もう違うことくらい……わたくしだって」 桐原さんはハンカチで目を被う。 「私の一番の心配は生家の呪縛から完全に抜け出せないことだよ。 実の兄が……秋人さんが犯罪者になる可能性が高いなら尚更だよ」 「……………」 「桐原さん。春樹はもう『大堂春樹』だから。 二度と高村の名前を出したりしないで。それができないなら関わらないで欲しい」 「…………」 「私が未来はずっと明るいって思える様に変えるよ。春樹とならきっと出来るはずだから」 私はハッキリと桐原さんに伝える。 多くは語れないけれど、私の言いたい事は伝わっていると信じたい。 すると目を覆う桐原さんの横にすっと立った人物が静かに言った。 「お嬢様、もうお嬢様の完敗でしょう」 いつの間に空き教室へ入ったのだろう。 春樹とお友達で桐原さんの付き人の友也くんが立っている。 友也くんは半そでの制服を着ていた。 薄着なのは紺のカーディガンを桐原さんの頭からそっと被せたから。 きっと泣き顔を見せたくないであろう桐原さんへの配慮だろう。 「分かってもらいたくてキツイ言い方だったよね。ごめんなさい」 私は紺色のおばけのようになった桐原さんに謝る。 「桐原さん、本当にごめんなさい」 泣かせてしまったのでもう一度謝る。 それでも桐原さんの返事は無かった。 「お嬢様はこうなるともう話し掛けても応えてはくれません」 「そうなんだ……」 「愛菜さん久しぶりです」 「友也くん……半年前に家に遊びに来てくれたよね」 「はい。その節はお邪魔しました」 友也くんは礼儀正しく挨拶をした。 「友也くん。桐原さんと転校しちゃうんだね」 「はい。お嬢様は海外留学へ出ることになりました。僕も同行します」 「そっか。寂しくなるね」 「転校を春樹もとても残念だと言ってくれました」 「親友だもんね」 「子供の時も変わった奴で身分とか性別とかに偏見なくて皆に平等で。 だから僕も友達になれたんです」 「そうなんだ」 「頑固な所もあるけど、本当に良い奴なんです」 友也くんは親愛をこめて言っている。 とても良好な関係だったんだろう。 「それではお嬢様の機嫌もここでは直りそうにないので失礼しますね」 友也くんは桐原さんを連れて出て行こうとする。 (本当に行っちゃうんだ……) 本当は桐原さんと友達になりたかった。 だけど押し黙ったままではとても無理そうだ。 「あの、私は『春樹のお姉さん』って呼ばれるより愛菜って呼んでもらえるほうが好きなんだ。 その……お友達になるのは無理……かな」 偶然同じ人を好きになった。 でもまだ桐原さんの事はほとんど知らない。 もっと色々話してみたかった。 すると紺色のおばけがユラリと動いて、友也くんにそっと耳打ちする。 「お嬢様は落ち着いたら手紙を 書くと言っています」 「よかった……」 「中にカミソリを仕込むのが今から楽しみだとも言っていましたよ」 友也くんは笑いをこらえて言い終えると、桐原さんと薄暗い教室を出て行った。 次へ春樹990~1000
https://w.atwiki.jp/kk0201kk0714/pages/2393.html
アーティスト:MISIA レベル:5 作詞:MISIA 作曲:松原憲 歌唱範囲:1番サビ (今夜夢の中〜) 地声最高音:hiB (こんや夢の中)※頻出 裏声最高音:hiE (あなたの肩に)※hiD#と共に1箇所のみ 2002年に発売されたMISIAの10枚目のシングル。自身も出演している、キリン「RAKUDA」CMソング。フジテレビ系ドラマ『恋愛偏差値』主題歌。 hiBといった中高音が頻出し体力が削られる中訪れる、最高音hiEに向かって上がり、そこからまた下がる階段状のメロディが本曲1番の難所。他にも「信じてもいいよ 昔の話を」といった若干忙しい独特なリズムや、「心の奥には」といった音程の揺れも随所にある。バラード曲でスローテンポではあるが、このように難所が点在しているため、レベル5の中では難易度が高い曲となっている。
https://w.atwiki.jp/mahjlocal/pages/152.html
読み とうほくしんかんせん 正式名称 別名 和了り飜 役満(門前のみ) 役満 牌例 123456789東東北北ロン北 解説 東と北で1面子と雀頭を作り、残り3面子で一気通貫を作る。 一気通貫は索子でなければならないとするルール、東と北の双ポン待ちでなければならないとするルールもある。 成分分析 東北新幹線の34%は赤い何かで出来ています。東北新幹線の32%はやましさで出来ています。東北新幹線の21%は厳しさで出来ています。東北新幹線の11%は月の光で出来ています。東北新幹線の1%は波動で出来ています。東北新幹線の1%は言葉で出来ています。 下位役 上位役 複合の制限 採用状況 参照 東北新幹線グリーン車 外部リンク 中国語版Wikipedia 日本麻將的和牌牌型列表 ローカル役にもかかわらず堂々と掲載されている。除去されたようです( 当時の版 )。
https://w.atwiki.jp/exvs2xb/pages/599.html
設置店舗(公式サイト) : 設置店舗情報|北海道・東北|信越・北陸|関東|埼玉|千葉|東京23区|東京都下|神奈川|東海|愛知|近畿|大阪|中国・四国|九州 北海道・東北の稼動店舗の詳細を取り扱うページです。気軽に情報提供お願いします。 記載されている情報は確認年月日現在のものです。最新の情報は各店舗にお問い合わせ下さい。 配置について筐…筐体イ…椅子ラ…ライブモニター煙…喫煙所 北海道 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 コメント欄 北海道 青森県 岩手県 宮城県 ■店舗名:タイトーステーション仙台名掛丁(公式サイト) ◆確認年月日: ◆所在地:宮城県 仙台市青葉区 中央 1-7-13 ◆アクセス:仙台駅西口最寄りのアーケードハピナ名掛丁にあり ◆営業:9 00~24 00 ◆設置:トライアド4台 対人専4台 ◆詳細:平日日中時間貸しあり ■VIVI仙台 ■ゲームセンター東部 ■セガ名取 ■仙台エフワン ■GAMEBANK(富谷) ■大河原フォルテ ■一番町タイトーステーション→2021年6月1日時点:閉店した模様 秋田県 山形県 福島県 コメント欄 編集に関する議論にお役立て下さい 名前 コメント すべてのコメントを見る