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(投稿者:神父) 1945年3月。 グロースヴァントの山腹を下る雪解け水は土壌を泥濘と化し、毎年の事ながら陸軍の移動を困難にしていた。 この戦線を押さえている中央軍集団の輸送中隊に所属するクルト・アッシュ上等運転兵は、 少しでも気を抜けばその瞬間にスタックしようとするシュタイアー1500兵員輸送車を苦労して操っていた。 85馬力の大出力と四輪駆動をもってしても、沼地と言っても過言ではない段階の路面を突破する事は難しかった。 泥濘期にまともに山麓を走る事ができるのは半装軌(ハルプケッテン)車以上の車両に限られる。 このように苛立った精神状態では、彼女を初めて見た時の感想が「変な奴がいるなあ」であったとしても仕方のない事だろう。 実際、彼女は奇怪な格好をしていた。 黒いSSの制服の上からフライトジャケットを着込み、眼帯をつけているところまではまだいい。傷痍軍人はそれほど珍しいわけでもない。 しかし黒髪の半分が脱色され、背中から奇妙な片翼を生やし、さらに身の丈の倍に達さんとする高射砲を担いでいるとなれば話は別だ。 どう考えても100kg、いや200kgを下る事はない機関砲を一人で担いで歩くなど、真っ当な人間の業ではない。 クルトは比較的地盤のまともな場所に車を止め、その人影に向かって身を乗り出して手を振った。 「あのう、すみません! MAIDの方ですか?」 彼女はくるぶしまで泥に埋まりながら歩を進めていたが、彼の声に顔を上げた。 泥の中を長時間歩いてきた人間特有の、疲れきったやるせない表情だ。 「そうだが、何の用だ?」 眼帯に覆われた右目の下にはざっくりと何かに切られたような傷跡があり、彼女が口を開くとその傷跡が引きつれた。 クルトは輸送中隊の隊長からの命令を思い出し、尋ねた。 「イェリコ……という空戦MAIDを探しているのですが、ご存知ありませんか?」 彼女はその言葉を聞いて残された片目をしばたき、ややあってから「私の事だが」と言った。 クルトは面食らった―――無理もない事だ。空戦MAIDと言えば華麗に空を舞う天使であって、泥にまみれて歩いてくるものではない。 彼は慌てて腕を斜めに掲げて敬礼し、命令内容を伝えた。 「し……失礼しました、自分はアッシュ上等運転兵であります。イェリコ、あなたを野戦司令部までお連れするように命じられております」 「そうか、迎えを出してくれたのか。では、ありがたく乗せてもらうとしよう。砲を後部座席に置いても構わないか?」 「手伝います」 クルトは運転席から飛び降りてイェリコに手を貸し、オープントップの後部座席に高射砲を押し込んだ。 近付いてよく観察すると、イェリコは右足を引きずっていた……膝から下が義足なのだ。 肩にかけていた弾薬箱まで載せ終えると、彼女は足を引きずりながら助手席へ乗り込み、義翼が当たらないように背もたれに寄りかかった。 小気味よく関節を鳴らし、盛大に伸びをする。 遠慮会釈のない彼女の態度を横目で見つつ、彼はシュタイアーをUターンさせた。 「ううむ……アッシュ、私のためにわざわざ輸送車を出したのか?」 「ええ、そういう事になります。……空戦MAIDだと聞いておりますが、何故空を飛んで移動しないのです?」 「うん? ああ、最近疲れがちでな……飛んだ後は特にだ。前線に到着したはいいが戦えない、という状態では困るだろう」 「なるほど……」 「……ああ、済まないが、少し眠らせてくれるか? 司令部についたら起こしてくれ」 「わかりました」 イェリコは腕組みをして目を閉じたかと思うと、瞬く間に寝息を立て始めた。クルトの返事が聞こえたかどうかすら怪しい。 彼は驚嘆しながら、かつて訓練キャンプで聞いた「眠れる時に眠り、食べられる時に食べよ」という言葉を思い出していた。 食べる方も同じくらい貪欲なのだろうか? ……そうに違いないと、彼は半ば確信していた。 シュタイアーに備えられた通信機がノイズ交じりに何事かをがなり立てる耳障りな音でイェリコは目を覚ました。 左を見ると、クルトが通信機のダイアルに手を伸ばして調整しようとしている。 彼女は「運転に集中しろ」と言うと手早くダイアルを回し、数度の試行でチャンネルを合わせる事に成功した。 「……ッ……ル4より司令部! タンカーを含む敵主力が警戒線を突破、現在遅滞戦闘中! 救援乞う!」 クルトは「もう始まったのか」と呟き、イェリコの方を振り向いてぎょっとした。 彼女は後部座席との間の仕切りを土足で乗り越え、高射砲を検分していた。 「……イェリコ?」 「司令部まであとどのくらいだ」 「さ……30分ほどですが」 「出るぞ」 思わず聞き返そうとしたクルトの耳に、通信機から一際大きな叫びが飛び込んできた。 「ヨハン! ヨハン、弾だ、弾をくれ! 奴ら……」 不気味な、Gの擦過音とも雄叫びともつかない音がその声を塗り潰し、さらにノイズがすべてを覆った。 クルトの背筋に寒気が走った。 「まるで、奴らの勝ち鬨のようだ……」 「ふん、もう勝った気でいるのか。では、教育してやるとしよう」 弾薬箱を担ぎ上げ、高射砲につけたスリングベルトを肩にかける。 イェリコは後部座席の上に立ち上がり、義翼を開いた。 「アッシュ、私は先に上がったと司令部に伝えてくれ。……なかなか悪くない運転だったぞ、兄弟」 「え? あ……はい、諒解しました」 クルトが返事をしたかしないかのうちに、彼女の背中から飛翔翼が出現した―――まずは黒い左翼が、そして咳き込むような音とともに白い右翼が。 獰猛な笑みを浮かべて「離陸が不安定でな、少し頭を引っ込めた方がいい」と言うと、彼女はシュタイアーを蹴りつけて飛び上がった。 板バネが悲鳴を上げ、クルトは軋るステアリングと格闘し―――気がついた時にはイェリコは見えなくなっていた。 結局シュタイアーはスタックしてしまい、彼はこの奇妙な出会いをいささか不愉快な思いで締めくくる事になった。 彼は嘆息し、野戦司令部へ連絡を取るべく通信機に取り組み始めた。 「……本当に変な人―――人じゃないな、MAIDか―――だなあ」 彼は知らなかった。 『ジレーネ』と呼ばれた急降下爆撃の怪物の事を。 被撃墜と戦線復帰を繰り返しながら恐るべき量のスコアを積み上げた近接航空支援の魔王の事を。 やがてGの頭上には妖魔の叫び(ジレーネンゲホイル)が響き渡り、そしてあらゆる意味で彼らを終わらせる事を。 そう、彼女は来たのだ。 SirenenGeheul BACK NEXT
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お姉ちゃんが来たアニメ公式/Wikipedia 話数:全12話 放送時期:2014年01月~放送中 関連作品: ■劇伴音楽 羽鳥風画(studio CHANT) ■主題歌主題歌 ▽第1話~第8話 「Piece」富樫美鈴 作詞:富樫美鈴 作曲・編曲・音楽:羽鳥風画 音楽制作:studio CHANT挿入歌 ▽第1話~第8話 なし。
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初めて来た方へ Q. ここって何なの? A.ジムリーダーが滞在しており、バトルを募集しています。 挑戦者はジムリーダーに勝つことで、立派なポケモントレーナーに成長することを目的としています。 Q. じゃぁ最強なんだ。 A.ポケモンの世界では「最強」という言葉は存在しません。 それと、PBGは強いジムリーダーがいるとは言い切れません。 あくまでジムは強さの象徴ではなく、挑戦者を強くする為にあるものと考えていただければと。 Q.どうやってバトルするの???? A.スレでジムリーダーが募集を開始するので、好きなリーダーを指名して対戦を申し込んで下さい。 ○ ジムリーダーの仕事 1週間に一度はwifi対戦をする。 50フラットの6on6を必ず挑戦できるようにする。 出来る限り挑戦者のバトルの向上に役立つようにする。
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autolink GG/S23-T13 GG/S23-100 カード名:宇宙から来た少年 カテゴリ:クライマックス 色:青 トリガー:2 【自】 このカードが手札からクライマックス置場に置かれた時、あなたは自分の控え室の青のカードを1枚まで選び、ストック置場に置き、自分のキャラすべてに、そのターン中、ソウルを+1。 レド「チェインバー!」 レアリティ:TD CC illust. ・対応キャラ カード名 レベル/コスト スペック 色 船上での生活 レド 2/2 8000/2/1 青
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森から来た少年 題名:森から来た少年 原題:The Boy From The Woods (2020) 著者:ハーラン・コーベン Harlan Coben 訳者:田口俊樹 発行:小学館文庫 2022.1.12 初版 価格:¥1,260 前作『ランナウェイ』の主人公サイモン・グリーン、またこちらも前作に登場した女性弁護士ヘスターのTV番組収録シーンが序盤に展開する。ヘスターおばあちゃんは、本作では何と、そのままダブル主人公の一翼を担ってしまう。サイモン・グリーンの事件『ランナウェイ』と、本書は時期的にかぶっているらしい。 連作ではないのだろうが、ファンサービスか、作者の遊び心なのだろう。ちなみにハーラン・コーベンのノン・シリーズ2001年作品『唇を閉ざせ』では50代のへスターが登場するらしい。へスター・ファンとしては、件の作品は早速取り寄せねばならないだろう。 前作に続き、本書も全編に渡って作者の遊び心に満ち溢れているように見える。むしろ、それこそが円熟期とも言えるハーラン・コーベンの真骨頂なのかもしれない。 『ランナウェイ』では十代男女の殺し屋コンビ、アッシュとディーディーの殺人街道が、本編とは何の関わりもないかのように、本編に挿入されていた。そうした独特な場面転換によるあの不思議な構成は本作でも生かされている。 多数の多次元的な物語が、一つの小説のうちに交互に展開されるというディープかつ卍な構造が、徐々に全体を縦糸と横糸で編み上げてゆく構成と相まって、総体的に何とも言えぬ緊張感をじわじわともたらしてゆく。視点の転換。仕掛けられたいくつもの伏線と意外性。 本書のタイトルともなる主人公、その名もワイルドは、6歳から8歳と思われ、文明と離れた森の中で育った野生の少年として発見されたにせよ、本作スタート時点は、その34年後、文明社会に馴染み切った中年の男性として登場する。元は野生の生い立ちであったにせよ、今では孤独という名のこれ以上ない警戒心を抱え込んで、先端技術である警備システム、スマホと種々のアプリ、機械類など、野性とは真逆と思われるあまりに現代的な道具を駆使するテクニカルな隠遁者のような生活を送っている。 生活各所における警戒心と緊張と危機管理意識の細やかさは並ではない。日々の生活は、ゆるめては緊張させ、またゆるめる。異性との楽しみ、文化・技術への渇望、そうしたことへの躊躇は見えない。発達した独立自我のリズムで奏でられる見事な生活を信条としているかに見える。 一方で描かれるのは彼の生きる世界が、多くの瑕疵で綻びを産んでいる事実。少年少女たちの間で生まれる差別、虐め、失踪、暴力。大統領選を見据える野望を持つ男。取り巻き連のそれぞれの立場。TVメディア。メディアを操る者たち。過去の殺人。人種差別を下地とする冤罪事件。あってはならぬ悪と、未だ遂げられずにいる正義。本書のなかの世界は、様々な矛盾と不安定ささで燻り過ぎている。 野生の少年であった今や中年男のワイルドは、その中でひたすら優しさと明るさを維持しているかに見える。かくも頼もしく信じられるキャラクターの存在が、ともすればダークになりがちな作品を救済していくように見える。それは作者の優しさなんだろうとも思える。だからこそ多くの布石を回収してゆくストレートでカタルシス豊富な揚力があるのだろう、本作には。 本書ではワイルドと同等、あるいはそれ以上に印象的な闘志を見せるヘスターが目立つ。前作『ランナウェイ』でも頼り甲斐のあるベテラン弁護士として活躍して見せた彼女は本書ではワイルドと主役を分け合う存在感と魅力に満ちている。ハーラン・コーベンの最大の創造力を形に表した存在として、象徴的な存在だと思う。 本日、札幌オンライン読書会で様々な情報を仕入れました。ハーラン・コーベン初心者としては相当参考にさせて頂きました。深謝。 (2022.03.12)
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遅れて来た作品 (プレイヤー) あれ、なんだろう……これは俳句?募集は締め切ったはずなのに ひまり 柿熟れし いくら熟れども 腹は下さず 作:穏紅狼 (プレイヤー) 柊さんの俳句とほぼ被ってるし、そもそも締め切りに間に合って無いし、残念だなぁ (プレイヤー) でも何かしらの作品を残したと言う事はもう立ち直ったのかな ひまり なにをしておるのじゃ (プレイヤー) ひまり様、これです、穏紅狼さんの俳句が今頃届きまして ひまり どれどれ……ううむ、内容や背景が絡み合い残念な色合いを帯びておるな (プレイヤー) 全面的に同意ですが、以前お見かけした時は酷く落ち込んでましたし (プレイヤー) どうやら元気になってくれたみたいで、僕としては嬉しいです ひまり うむ、あの鬱陶しさも繰り返せば癖になってくるからのう ひまり 本調子とまでは行かぬようじゃが、このまま励んで欲しいもんじゃな 次へ 一覧に戻る
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345 名前:彼方より来た姉 ◆lnx8.6adM2 [sage] 投稿日:2007/06/03(日) 03 49 34 ID sieKQt3d 今思い返せば姉さんは変わった、 より率直に僕の心情を吐露するのならおかしな人だった。 姉木 想火(あねき そうか)。 優秀で優麗。 誰よりも賢く誰よりも強く誰よりも美しく誰よりも僕を愛してくれた姉さん。 どんな時でも僕の傍にいた姉さん。 いつも僕を傍に置いていた姉さん。 朝起きれば傍らに、食事の時は前に、道を歩けば隣に、帰り道は横に。 対等な時は僕の腕を取り僕の手を握り僕と指を絡め僕の顔を見詰め僕の歩幅で歩き、 甘える時は僕の頭を抱き僕の背を撫で僕の胸に触れ僕の首筋を吸い僕の頬に口付け、 ある時には僕の喜びを共に喜び僕の怒りを共に怒り僕の哀しみで共に哀しみ僕の楽しみで共に楽しんだ、 僕よりも僕に詳しく、 僕よりも僕に真剣で、 僕よりも僕を愛する、姉さん。 何処にいても何時であっても何をしていてもどんな事情があっても、 半身のように影さながらに僕の傍にいた姉さん。 その、常に傍らにあった姿を疎ましく、いつも注がれる愛情を煩わしく思い始めたのはいつだったか。 「ふーっ。取り敢えずはこれで一段落、かな」 少ない荷物を開封し終えて、一息付く。 狭っ苦しい、だけど余分な物が何一つ存在しないボロアパートの一室。 僕は受験を期に引越して来た、今日から我が家となる場所で伸びをした。 家を出ようと思ったきっかけは両親の一言だった。 受験を期に自立しろ、と。 ただそれはきっかけであって直接の原因ではない。 姉さん。 実の姉から離れること。それが目的で、長年考えてきたことだった。 両親の言葉は、その時期を早めた程度のものでしかない。 むしろ有り難いくらいだった。 或いは、両親も姉さんのことに頭を悩まさせ、 姉さんから僕を引き離そうとしたのかもしれない。 姉さんは完璧だ。 何でも出来る。何でもこなせる。 家族と比較すれば鳶が鷹をどころかミジンコが人間を生む。 そう言えるほどに優秀で、かつ非の打ち所のない人格者。 ただ、そこに僕と言う要素が絡まりさえしなければ。 姉さんはブラコンだ。それも過分に過大、過度で重度の行き過ぎた。 僕が何処に行くにも付いてくるし、僕が何をしていても横に居る。 僕を叱ることこそあるが基本的にはだだ甘で、 べったりどころか離れている時間の方が少ない。 それでいて勉強も運動も社交も何もかもあっさりと完璧にしてしまう。 僕が幼い頃はそれでも良かった。 だが、弟はいつまでも弟だとしても子供で在り続ける訳ではない。 人間、成長すれば物の見方も変わってくる。 傍に居るという心強さは煩わしさへ。有り難かった愛情は耐え難い重さへ。 どうしようもなく変化していく。 姉さんが嫌いなのではない。 しかし、姉さんが僕に向ける想いは大きく、そして重い。劣等感もある。 自分より賢く、強く、美しく、優しく、人に好かれ、何一つ欠点のない人間が居れば、 それも絶えず傍に居続ければ、自分と比較せずにはいられない。 劣等感。 誰もが姉さんと僕を比べて首を傾げるし、でなくても僕自身が比較してしまう。 本当に姉弟か、と。 同時に、姉さんの青春を時間を才能を可能性を、僕如きのために浪費させるのも良くないと思うのだ。 僕に構う時間を他の事に使えば、姉さんは直にでも偉業の一つでも打ち立ててしまえるだろう。 それが勿体なく、申し訳ない。 自分がひどく罪深いことをしている人間のような気分になる。姉さんは否定するだろうけど。 346 名前:彼方より来た姉 ◆lnx8.6adM2 [sage] 投稿日:2007/06/03(日) 03 50 36 ID sieKQt3d 「少し休む・・・ついでに夕飯も食べて来ようか」 だからこそ、僕は家を出た。 理由を問い質す姉さんに答え、 引き止める姉さんに決意を語り、 それを許さない姉さんを説き伏せ、 わあわあ泣きじゃくる姉さんを宥め、 腕に縋りついてくる姉さんを振り払い、 抜け殻のようになった姉さんの姿を背に、 僕は後ろ髪を引かれながら姉さんと別れた。 それから一週間程。 僕は新学期を前に、残り少ない春休みの一日を部屋の整理に当てている。 と言ってももともとかなり荷物が少なく、朝から取り掛かっているおかげでもう粗方済んだ。 時刻は既に夕刻。 休憩がてら早めの夕飯をとったとして、夜には終わるだろう。 そう思い、数歩の距離にある古びたドアへ足を向ける。 ぴんぽーん、とどこか間の抜けた音が鳴った。 「・・・・・・あれ?」 誰、いや何だろうか。 僕は引っ越したばかり、荷物も届いたのは今朝だ。 個人情報の保護が叫ばれる昨今、まさかこの早さで新聞の勧誘やテレビの集金もないだろう。 どちらにせよ前者は取る積もりも余裕もないし、後者は設置さえしていない。 此処は住人も少ないのでお隣さんもいない。 友人知人が訪ねて来る可能性も、その他色々な事情から皆無と断言出来る。 両親以外で、僕の引越し先を知っている人間はいないのだ。 新学期もまだで、新しい友人も作っていない。 「管理人さんかな?」 妥当なのはそれか。 払うものは払ったので可能性は低いが。 言い忘れた注意でもあるのかも。 そう判断してドアへ向かう。 ガチャリと、かけた鍵の開く音がした。 「え?」 ばん、とドアが開かれる。 差し込む夕日を背に、細めた目に浮かぶ輪郭。 見覚えのあるそれは。 「蒼河(そうか)ちゃんっ!」 女性特有の、そして特に聞き慣れた高音で名を呼ばれた。 決して男らしくはない名前。 姉さんが強行に主張して名付けたと言う僕の、姉さんと同じ名前。 僕に対してその呼び方をするのは一人しかいない。 「え!? 姉さ────────」 「蒼河ちゃん蒼河ちゃん蒼河ちゃんっ!」 タックル。 跳び込んで来た姉さんに押し倒され、強かに後頭部を打つ。 347 名前:彼方より来た姉 ◆lnx8.6adM2 [sage] 投稿日:2007/06/03(日) 03 52 23 ID sieKQt3d 「ああ・・・蒼河ちゃんだ。本当に蒼河ちゃんだ。 蒼河ちゃんの肌、蒼河ちゃんの体温、蒼河ちゃんの匂い。 蒼河ちゃんの────汗」 「っつぅ・・・姉さん? 一体、どうして此処に・・・ぅうっ!?」 冷房のない部屋の中の作業、首筋に滲んだ汗を舐め取られる。 犬猫のそれと違ってゆっくりと丁寧に、撫でるように擦り付けるように舐め上げられた。 堪らず声が出る。 くっ、と反射的に上向いた背と首が戻ると、嬉しそうな姉さんの瞳と目が合った。 「久し振り蒼河ちゃん。本当に久し振り、蒼河ちゃん。 どうして一週間もお姉ちゃんの傍からいなくなったの? 蒼河ちゃんの姿が見えなくて声が聞けなくて肌に触れられなくて匂いを嗅げなくてキスが出来なくて、 お姉ちゃん死ぬかと────ううん、死んだかと思っちゃった」 「ね、姉さん、それは説明・・・いやそれよりどうして此処に? いやそもそもどうやって鍵を?」 「うふふ。だって家族だもの。お姉ちゃんは蒼河ちゃんのお姉ちゃんだもの。 合鍵を借りるくらい簡単だよ。 それに、知ってるでしょ? 物理的だろうと電子的だろうと、お姉ちゃんの前には鍵なんて飾りです。 住所も、一週間あればテロ組織の拠点まで見つけられるよ」 背中から倒れた状態のままの僕に抱きつき、 胸板に顔を擦りつけながら上目で姉さんは言った。 確かに過去、姉さんにはありとあらゆる自室の鍵を無力化されている。 ついでに、回答を一つ先回りされた。 姉さんに、此処の住所は教えていない。 両親に口止めもしていたが、無駄だったようだ。 姉さんは呆れるほど優秀で、怖ろしいほど完璧で、信じられないほど完全だが、 僕に関係することでは特にその能力を発揮する。 説得にばかり意識を裂いて、後のことを失念していた。 他の事には万事において大した関心を向けない姉さんだが、 僕の事にだけは親のように過保護で、家族のように心配性で、恋人のように盲目的で、 決して諦めたまま終わる人ではなかったのだ。 「蒼河ちゃんが何処に居ても一緒、何をしても一緒、どんなことあっても一緒。 それがお姉ちゃんだもの。 誰にも邪魔はさせない。 誰の邪魔でも許さない。 誰が邪魔でも関係ない。 それが、お姉ちゃんだもの。でも・・・・・・今度のは、ちょっと辛かったなぁ。 ねえ蒼河ちゃん。ねえねえ蒼河ちゃん。 何がいけなかったのかな? 何が足りなかったのかな? 何が、行き過ぎたのかな? ねえ教えてよ、蒼河ちゃん。 お姉ちゃん、あれから考えたんだ。蒼河ちゃんがお姉ちゃんから離れようとしたのは何でかなって。 でもね。考えても答えは出なかったの。ダメだよね? 天才とか色々言われていても、お姉ちゃん、蒼河ちゃんの事が関わると何も分からなくなっちゃうの。 だから、ね。蒼河ちゃんが教えてくれないかな? 駄目な所は直すから。直せない部分は切り捨てるから。 たとえそれが何であろうと、お姉ちゃんは蒼河ちゃんのためなら────」 「ストップ! 姉さんそこまでっ! とりあえず一旦体を退かせて欲しい。 ドアが開いたままだし万一見られでもしたら・・・うん?」 348 名前:彼方より来た姉 ◆lnx8.6adM2 [sage] 投稿日:2007/06/03(日) 03 54 47 ID sieKQt3d 姉さんの細い肩に手をかけて引き剥がす。 姉さんの技量なら難なく僕の抵抗を無にできるはずだが、 言葉を切ってあっさりと退いてくれた。 こういう所は本当に優しいというか押しが弱い。 唯一、僕から距離を取る事だけは絶対に了承してくれないけど。 「ねえ、姉さん。アレは何かな・・・?」 姉さんが体を退かせてくれたお陰で見えるようになった視界の中に、妙な物がある。 旅行用のキャリーケースだ。それもかなり大きい。 「ああ、アレ? アレは私の荷物だよ蒼河ちゃん」 「え・・・荷物? ちょ、ちょっと姉さんどういう事!? まさか此処に住む積もり?」 「うん、そうだよ」 頷き、当たり前じゃないそんな事お姉ちゃんは蒼河ちゃんの傍に居るんだから何があってもずっと、 と姉さんは言うが冗談じゃない。 これじゃあ本末転倒以前の問題だ。 住み慣れた家を出てわざわざ引越しやその他色々な苦労や金を使ってまで姉さんから離れたのに。 「ね、姉さん。でも悪いけど此処は姉さんと二人で住めるほど広くはないし」 「お姉ちゃんは蒼河ちゃんが傍に居るなら住む場所なんて何処でもいいよ」 一蹴された。 「御飯は今まで通りに全部お姉ちゃんが作るし、蒼河ちゃんがいれば娯楽なんて要らない。 布団は蒼河ちゃんに抱き締めて貰うから別にいいし、此処の広さでも二人は並べるから。 住所と一緒に此処がどんな部屋のかも調査済み。お姉ちゃんは一向に構わないよ」 「う・・・あう・・・」 まずい。 完全に姉さんのペースだ。このままでは引越しも終わらない内に事が終わってしてしまう。 そう思った時。 「それに、いざとなったら引っ越せばいいし」 「いや、それは無理だよ姉さん。 僕はもうお金がないし、幾らか出して貰ったばかりだから父さん達ももう協力してくれないよ」 「ふふ・・・そっか。蒼河ちゃんは知らないよね。知っているはずがないよね?」 そう言って、身を起こすとぱっとキャリーケースの下へ歩く。 「お姉ちゃん、ちょっと訂正するね。 これは蒼河ちゃんとお姉ちゃん、二人の荷物だったよ」 告げて、笑みと共に開かれたそれから。 ボトボトと、札束が落ちた。 「お金なら沢山あるの。 蒼河ちゃんと買い物に行ったりするのはいいけど、毎回お金を下ろすのも面倒だしその時間が勿体ないから、 そのまま持って来ちゃった。お姉ちゃん、カードは持ってなかいし」 厚みから言って、テープで纏められたそれは一束辺り百万円。 せいぜいがテレビでしか見たことのない代物だ。 349 名前:彼方より来た姉 ◆lnx8.6adM2 [sage] 投稿日:2007/06/03(日) 03 56 54 ID sieKQt3d 「姉、さん。どうしたの? そのお金」 まさか姉さんが偽札に手を出したはずもない。 稼ごうと思えば、姉さんならゼロから始めても幾らでも稼げるだろう。 だが、それにしても額が大き過ぎる。 はちきれたようにケースの圧力から開放された札束は幾つかが安いアパートの床に転がり、 ケースの内部には落ちた分の何十倍という数が詰め込まれている。 姉さんがわざわざ所得を僕に隠していたはずもない。 そもそも、能力はあっても僕と要る時間を減らさないために姉さんはろくに働いていなかった。 それでも人並みには稼いでいたとは言え、この一週間足らずでどうやって。 「保険金」 姉さんはどうでもいい事のように呟いた。 「これはお父さんとお母さんが死んだから貰った保険金なの。 教えたら蒼河ちゃんは泣いちゃうと思ったから、直ぐには教えなかったけど。 蒼河ちゃんがお家を出て行った二日後くらいかな。 お父さん達が落ち込んでるお姉ちゃんを見て気分転換させるために連れ出したドライブ先で、 二人とも死んじゃった。 体を縦に引き裂かれたみたいになって。 お父さん達が、蒼河ちゃんとお姉ちゃんの間を引き裂こうとしたみたいに」 「・・・・・・ぇ」 多分、上手く声は出なかったと思う。 姉さんは僕に嘘は言わない。真実を語らない事はあっても、嘘だけはつかない。 だけど、僕は姉さんの甘い声で語られる情報を認識出来なくて。 「あ、やっぱり悲しい? そうだよね。 お姉ちゃんも、蒼河ちゃんを産んでくれたお母さんとお父さんには感謝してるし。 でも・・・その死を悲しんでばかりもいられないんだよ?」 姉さん。 姉さんは、僕に何を言っているんだ。 「これから、蒼河ちゃんとお姉ちゃんは二人で生きて行かなくちゃいけないの。 このお金はそのために、 蒼河ちゃんとお姉ちゃんの生活のためにお父さん達が残してくれたんだから。 だからお姉ちゃんも、直ぐに手に入るように手配したし。 あ、でも蒼河ちゃんは気にせず使っていいからね? お姉ちゃんが適当に増やすから。株なり何なりで。 蒼河ちゃんが欲しい物を買うためだったら、お姉ちゃんいくらでも頑張っちゃう。 ・・・・・・でもね、蒼河ちゃん。その前に一つだけ言っておきたい事があるの。 聞いてくれる?」 350 名前:彼方より来た姉 ◆lnx8.6adM2 [sage] 投稿日:2007/06/03(日) 03 59 27 ID sieKQt3d 「・・・・・・」 僕は、反応、出来たのかどうか分からない。 だが姉さんは僕の瞳を嬉しそうにしばらく見詰めた後、笑うように唇を開いた。 「お父さん達が死んじゃって、蒼河ちゃんとお姉ちゃんは二人だけ。 たった二人だけ残された家族なの。 ねえ、分かる? この意味が。 残された家族は、身を寄せ合って生きて行かないといけないの。 もう二度と引き裂かれたりしないように。もっともっとお互いを大事にするために。 だから。だからね、蒼河ちゃん?」 姉さんが喋っている。 姉さんの話を信じるなら、もう僕に唯一人だけ残された家族である姉さんが。 「お姉ちゃんともっと仲良くなろう? 居なくなった人間の分だけより強く、より深く、より太く、家族の、姉弟の絆を作ろう? そうしてお姉ちゃんと蒼河ちゃんだけでずっと、ずぅっといつまでも寄り添って生きて行こう? だって────」 最後、ふわりと歩き出したかと思うと姉さんは僕の前に屈んで。 「お姉ちゃんと蒼河ちゃんは血の繋がった姉弟だもの」 僕と唇を合わせて、微笑んだ。
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過去から来た亡霊 変革の反旗 OPERATION O-87 赤 1-2-0 C (常時):《R》自軍本国の下のカード1枚を見て、元の本国の上に移す。 内部調査とは逆に、本国の下のカードを上に移すことができるオペレーション。ただし、本国の上に戻すのは強制である。一応、2枚置いたり、敵軍帰還ステップ、自軍リロールフェイズと連続して起動すれば本国操作が可能だが、そのために使うなら内部調査のほうが優秀である。 しかし、本国の下のカードをサーチする効果はかなり珍しく、ゴットン・ゴー《19th》や、不整地オペレーションと相性がいい。むしろ、それらのためのオペレーションであると言える。
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来たぞお前らぁ 「来たぞお前らぁ」とは、世界を獲りに行く漢の雄叫びである。 主に『星のカービィ スーパーデラックス』RTAにおいてニンジャ壁抜けなど難所を突破した際にぷーれが放つ言葉。 ぷーれの世界を待ち侘びるリスナーに向けた言葉であり、自身へ向けた激励でもある。 また、他ゲームにおいてもボスを撃破した時などに「一発!」と同様に用いられる。 その際にはリスナーからも「来たぞお前らぁ」「今日なのか?」というようなコメントが打たれる。 一連の流れの元ネタは同ゲームのRTA走者である青色氏の口癖、及びリスナーのコメント。 当初はネタ気味に言われていたが、何度か繰り返しているうちにぷーれ枠でも定着した。
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始めて来た方へ Q.ここって何なの? A.ジムリーダーが滞在しており、バトルを募集しています。 挑戦者はジムリーダーに勝つことで、立派なポケモントレーナーに成長することを目的としています。 Q.じゃぁ最強なんだ。 A.ポケモンの世界では「最強」という言葉は存在しません。 それと、PBGは強いジムリーダーがいるとは言い切れません。 あくまでジムは強さの象徴ではなく、挑戦者を強くする為にあるものと考えていただければと。 Q.どうやってバトルするの???? A.スレでジムリーダーが募集を開始するので、好きなリーダーを指名して対戦を申し込んで下さい。 ○ジムリーダーの仕事 1週間に一度はwifi対戦をする。 50フラットの6on6を必ず挑戦できるようにする。 50フラットの3on3を必ず挑戦できるようにする。