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中二病でも殺しあい! (登場人物) 富樫勇太、とがめ 『 ようこそ諸君。 君たちはまだ見ぬ何かを、説明のつかぬ神秘を求めている。 だからこそ、この書物を手にしたのだ。 それでは本邦初公開、ことの始終を読み聞かせしよう。 嘘まやかしは一切ない。 全てはこの恐怖の殺人遊戯を生き延びた哀れな人々の証言に基づいたもの。 …そして、それはこれを綴った筆者自身も体験した出来事。 さあ、もうこれ以上隠しておくことはできない。 果たして諸君らの心臓はこの悪夢の如し衝撃に耐えることができるだろうか。 この殺し合い―――ふぁいなる・うぉーずの真実を…。』 「―ー以上が冒頭の書き出しだ。“だーくふれいむますたー”勇太よ。お主はどう感想を抱いた?初見の読者ならさぞ恐れおののく入りではなかろうか?そうであろう?」 「…いや、どうって…。とりあえず、僕の名前は全部伏せてくださいよ?!」 殺人遊戯ファイナル・ウォーズ(仮称)…。 江戸の世に生きし奇策師・とがめは同じく不運にもこのゲームに巻き込まれた現代の学生・富樫と同行することとなりました。 果たして、二人はどんな体験をしていくのやら。 そして、とがめはここから生還し、この体験を綴った本を書くことができるのやら。 ──なんて。まあこんな書き出しで、こんなところから。 碇ゲンドウ主催・まるでB級映画のような殺人ゲーム。 シン・アニメキャラバトルロワイヤル【刀語の巻】、始まり始まり♪でございます。 ■ ■ 無人島。 島といえば、海です。つまり、今回の舞台は浜風が涼しい波打ち際の様子。 「殺し合いって…中二全開だな、こりゃ」 荷物を色々いじくりながら、体育座りの一人の男子がぶつくさと呟いておりました。 ────彼を形容するなら『普通の男子高校生』でしょう。やや癖毛のある茶髪の、しわのない制服を纏う標準的な体型。 外見、そして中身までも普通の富樫 勇太。それが、彼の名前でした。 彼が行っているのはこの殺し合いの場で誰もが必ずと行う支給品確認。 バッグの中の銃を取り出すや「俺の武器…モーゼル?馴染みあるモノを用意しやがってな…」──等というようにツッコミをぼやいていました。 次に取り出したのは参加者名簿。 それを目にした途端、彼の表情はどこか決心したような顔つきに変貌します。 「六花、待ってろ…絶対動くんじゃないぞ」 六花──とは勇太と共に生活をする女学生・小鳥遊六花のことで、いわば恋人のような人間です。 彼女がこの殺人鬼がうろつくゲームに参加させられていると情報を得た彼は立ち上がり始めます。彼女を守るために──。 「あーーーー~っ、面倒だ…!あいつ絶対にマジになって他の人たちに迷惑かけるぞ!」 否。 彼女から参加者を守るために。 この殺し合いをエイプリルフールな冗談としか考えていない勇太は、中二病で暴走するであろう彼女を止めに動いたのでした。 「おまけに七宮に凸守って…知り合いの常識人0じゃないか!こんなだだっ広い島でどこにいるか分からないっていうのに…あーーーーーーー…」 面倒だ。──と。 彼は困り果てたご様子でした。 そんな時です。 「そなた、場が場だ。私を決して恨むでないぞ。」 「…………!」 勇太の背後で甲高い女性の声が発せられました。 やや驚きつつ振り返る勇太。 その女性の一番の特徴といったら一片の曇りもないほどに白い伸ばした髪でしょう。 釣り目で、見るからに気の強そうな顔立ちのその若い女性。彼女は刀をこちらに向けていたのです。──刃長四尺反り一寸足らずの細い刀を。 「富岳三十六刀候が一人、壬生傘麻呂の初期作品だ。見るからに戦とは無縁の平民であるそなたを殺めるのに勿体ない刀であるが、まぁしばし斬られる光悦に浸るといい。」 「え? ふがく?? あの―、なんですか?」 「返答など期待しておらぬわっ! いざ参る! ちぇりおーーーーーーーーーっ」 威勢のいい掛け声と共に勇太に向かって女は刀を振り上げました。 どうやら彼女は、前述通り勇太がバカにしていた―殺し合いにマジになっちゃう<マーダー>な人のようです。 突如の襲撃に勇太は思わずたじろぎ、身を引きます。 「わ、わっ! やめてくださいよ!!」 勇太が反射的に掌を前に出したちょうど、「ぎゃふん!」という発声と共に彼女が倒れ伏しました。 それは、単に彼女の足元に張り出した小岩に足を取られて、無様に顔から地面に叩きつけられただけだったのですが、 「お、お主…わ、私になんの奇術をかけたっ?!!」 「は? はぁ…?」 勇太が手を出したタイミングと転ぶタイミングがたまたま合致しただけあって、彼の気功でねじ伏せられたと彼女の脳内は導き出してしまいました。 これが、平成を生きる男・富樫 勇太と江戸を生きる奇策師――とがめの出会いであったのです。 ■ ■ (奴は、見た目じゃ分からぬが、例えば「合気道」に似た未知の武術の持ち主…。下手に動くことは私の危機となろう…。) 「ま、待て。そなた、不相応にも挑んだ私が悪かった。一旦話し合おう、話を」 「いやいや! 何もしないですよ! あなたが勝手に転んだだけですって」 戦意喪失。 不戦勝。 目の前の男子にとがめはひたすら弁解を繰り返しました。 江戸の浮世を生きしとがめにとって、現代の高校生スタイルである勇太の恰好が不気味に思えたのでしょう。 彼女曰くつかみどころのないこの男に必死で弁舌を繰り広げました。 「確かに、私は力は懦弱に等しい! 例えば土佐のノラ犬と決闘したら浄土行き間違いなしと自他ともに認めるわけだ。」 「──だが、だが、だ! それにしても一切触れず、ちょっと手をかざしただけで倒すことができるとはお主は本気で何者だ!」 「石かなんかにつまずいたんじゃないでしょう! 大体お主って…僕は富樫勇太っていうんですよ」 「お、お、おう! 勇太とやら! 名乗りが遅れたな、わ、私はとがめ!」 「はぁ? と、十亀…? (沖縄の人か…?)」 「すっとぼける余裕がある点、勇太はよほどの強者と見た! そなた、私と組んで天下を取らないか?」 「天下?? 色々大丈夫ですか?!」 「ほー、ほうほう! そうであろうそうであろう! それはこの世に生を受けたからには当然天下を欲するものだ。野心の強さを恥じることは無い。先の大乱も記憶に新しいが…」 「────ってえ、大丈夫だわい!! 大丈夫とは頭の話をしとるのかー! 勇太!」 大焦りで命乞いに似た弁解をするとがめに、勇太は頭を抱えてしまいました。 なんだか勝手に話を薦められ、天下布武がどうの将軍がどうのだのと、彼からしたら参ったものでしょう。 (…なんだこれは?) とりあえず黙って話に頷く勇太。 やがて、彼はある結論に至るわけです。 中二病という多感な時期を過ごした彼だからこそ見抜いたとがめの本質を。 (中二病、だな。)―――と。 しかも、 (変化球の)―――と。 要約するととがめは、自分を江戸時代のおサムライさんと思ってる特殊な中二病患者で、六花らと同じ問題児参加者の一人ではないかと。 実際は、参戦した時代の相違からなる誤解だったのですが、現実主義の勇太はそう解釈をしました。 中二病ならマジになる必要ないよな、と本気にしなくなった勇太。 (やれやれ…仕方ないな。) 普段から世話役として六花の相手をしてあげてる彼は、とがめに“合わせる”ことにするようです。 「ハーーーーーーーーッハッハッハッハッハァーーーーッ!!!! よくぞ我が正体を見破ってくれたなッ、とがめよッ!! 我は漆黒の勇者にして堕天王【ダーク・フレイムマスター】ッ!! 貴様の命など取るに足らんが勝者の特権として、私の僕<しもべ>となるが良いッ!!!!」 「──さあ、両腕両足となり我を支えるのだッ!! ハアアアアアアーーーーーーーーハッハハッハッハッハッハァァァァァッ!!!!!!!!!」 「な、ななななな、なんだ!? おのれはぁぁぁーーーーーーーっ!!?!?!?」 ■ ■ ──冒頭の文章はここから数十分後の話であったのです。 こうして心を中二に偽装した勇太とそれに敗けた女・とがめはともに行動することになりました。 行く先も、行く末もとがめはまだ知らぬふぁいなる・うぉーずの旅に。待ち受けるのは鬼か邪か。 ──素性不明な魔導師<だーくふれいむますたー>と共に。 ファイナル・ウォーズ、今宵のお楽しみはここまでにございます。 【H9/1日目/深夜】 【富樫勇太@中二病でも恋がしたい!】 [状態]:健康 [装備]:モーゼル@実在の銃 [道具]:食料一式(未確認) [思考]基本:六花、七宮、凸守を探す 1:とがめさんの相手は面倒だ… 2:中二病の相手は面倒だ… 3:間違いなくマジでとらえてる六花を探す [備考] ※バトルロワイヤルを質の悪い冗談と思っています。本気にしていません。 ※とがめを江戸かぶれの中二病と思っています。 【とがめ@刀語】 [状態]:額にコブ [装備]:壬生傘麻呂の刀@刀語 [道具]:食料一式(未確認) [思考]基本:なんとしてでも生き残る 1:体験記を綴る 2:ダークフレイムマスターには逆らわない 3:勇太、掴みどころのない奴…! [備考] ※勇太を超能力者のようなものと認識しています。 ※参戦時期は長髪の頃、七実死亡前の旅の道中のどこかです。 ←前回 登場人物 次回→ 000:FINAL WARS 002:Re;Re;私しかいない街 富樫勇太 000:FINAL WARS とがめ
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発売日 2000年7月14日 ブランド Ather タグ 2000年7月ゲーム 2000年ゲーム Ather キャスト スタッフ 原画:きみづか葵 メイン背景原画/CG:不祥 サブ背景原画:秋野こおろぎ,黒川利考,きみづか葵 サブ背景CG:秋野こおろぎ,七雲ゆうき,yoyoy CG:秋野こおろぎ,七雲ゆうき,yoyoy,御子石勇太 プログラム:よこちん 音楽:石川智久 メインシナリオ:御子石勇太 シナリオサポート:秋野こおろぎ,七雲ゆうき スクリプト:F・W・N,御子石勇太 カード原画:内村かなめ,h_k,CARNELIAN,こ~ちゃ,GPX-TAKA,ちょも,蓮見江蘭,みずのまこと,山羊山,ライテストスター OP・ED作成:秋野こおろぎ 画面デザイン:七雲ゆうき,yoyoy,御子石勇太 ディレクター:御子石勇太 プロデューサー:御子石勇太 デバッグ:エーテルスタッフ 制作:エーテル 発売・販売:アセンブラージュ(株) オープニングテーマ 「ココロノカタチ」 作詞:松井洋平 作曲:石川智久 歌:後藤美由紀 エンディングテーマ 「Everytime,Everywhere」 作詞:松井洋平 作曲:石川智久 歌:北田真由味
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起きて開口一番が絶叫である。 そしてピンク色の髪は寝癖でボサボサで、服装はパジャマのまま…。 「むにゃ~……? なに~?」 「おはよー……って、あむちゃん遅刻!?」 「あむちゃん、初めての遅刻ですぅ~」 『アンタたち、うるさーい!』 「あ、あむちゃんまってよー!」 「置いてかないでー!」 「ですぅ~!」 とラン、ミキ、スゥは口々に言いながら学校へ向かった。 学校へ行く途中、男の子を見かける。 『あの子・・・あたしと同じみたい・・・』 亜夢はその男の子が気になりつつ、学校へ向かった。 学校では遅刻せずにギリギリで、疲れてしまった。 体育館では唯世から新しいガーディアンを紹介した 新しいガーディアンはさっき見かけた男の子だった。 『それでは朝のガーディアン集会をはじめます。でははじめに新ガーディアンを発表します』 『桜井勇太君。』 『桜井勇太?優亜ちゃんの弟じゃないの?』 あむは小声で言った 『そうみたいらしいよ、日奈森さん』 唯世は小声で答えてくれた 『あの子が?』 勇太は素直に答えてくれた。 『はい』 放課後のガーディアンのお茶会では、唯世君達は会議をしていた。 ロイヤルガーデンには、勿論あの男の子もいたのだ。 唯世君は勇太君とあたしで×たま狩りをすることに… まだ会ったことないのに…あたしは大丈夫かなぁと思った 『へ!?』 『わかったよ、行くよ…亜夢ちゃん』 『う…うん』 あたしは一つ疑問があった、勇太君は本当優亜ちゃんの弟なのか 『勇太君、あのさ・・・ 優亜ちゃんの弟?』 『そうだよ、お姉ちゃんもキャラ持ちだよ』 「亜夢ちゃん、いたよ、×たま・・・」 『ホントだ!ラン!キャラなり』 『あむちゃん。ランはあみちゃんとお留守番だから、ランは使えないよ!」 「そうだった!ミキ!」 『何やってんだよ、早くしないと僕たちやられるぞ!』 あたしは勇太君と一緒に×たまを狩ることになった。 果たして、どうなることか?
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九門賜城(くもんしき)。 某市郊外にある城趾だ。 堅牢な山城の性質と、権威を示すかのように美しい平城の性質を併せ持つ、 天下の名城として知られている。 某市随一の観光名所であり、毎年数万人の観光客が訪れる。 壇勇太郎の一家もそのうちの4人だった。 去年の夏、うだるような暑さの中歩いたこの石畳を、勇太郎は覚えている。 目を閉じれば、天守閣から見えた街並みと青空と家族の楽しそうな声が脳裏に蘇る。 (ここが、家族で最後に旅行した場所なんだよな。) ポイントを抑えてバッチリ復讐(習)だ。 真剣ゼミ(セミナリオ・デ・エスパーダ)は過去のことは教えてくれない。 だから、自分で定期的に思い出す必要がある。 目を開けて、現実を見据える。 冬も終わりに近づいているが、まだ空気は冷たい。 森の木々が月明りすら遮り、辺りは漆黒の闇に包まれている。 遊歩道に設けられた電灯が唯一の照明だ。 「よぉし、やってやるか!」 深呼吸をして、勇太郎は観光客用に設けられたベンチから腰を上げた。 対戦相手の足音が聞こえたからである。 程なくしてから、ビジネスマン風の本棚を背負った中肉中背の男が、 城の大手門の階段から登ってきた。 「復讐は完ペキだ!あとは…死圏(しけん)を突破するだけだぜッ!!」 石北快慶も同様に、城の石段を登りながら復習していた。 『仕事の前に、過去の仕事を思い返してシミュレーションしろ。 ――成功の絶対法則・リマ哲学 5章2節――』 脚を持ち上げ、一段登る。 範囲内の武装を強制解除する“絶刀界(ぜっとかい)”を駆使する魔人を、 拳の打ち合いの末に屠った。 もう一段。 他者を操作し、その身体と魂を眷属にする魔人能力“幽鬼庵(ゆうきあん)”を持つ、 裏社会の顔役を眷属諸共滅ぼした。 もう一段。 他者から受ける軽蔑と嫌悪を火力に変える魔人能力、“炎上・E(えんじょい)”で殺人を楽しんだ男を、 多大なる犠牲を払って斃した。 成功するたびに、石北は幸せを手に入れた。 家を手に入れた。友人を手に入れた。名声を手に入れた。金を手に入れた。 そして、家族を手に入れた。 (私には成功(これ)しかない。) 築いた成功と屍の山の感触を確かめる様に、足を踏みしめながら石段を上っていく。 (この方法でしか家族を喜ばせられない。家族を養えない。) (家族を取り戻せない。) 最後の一段を登り切る。 そこには彼の対戦相手である少年が、城を背にして待っていた。 深呼吸して、頭を下げる。 「私、魔人専門の暗殺業を営んでおります、石北快慶……と申します。 どうぞよろしくお願いします。」 『挨拶は全ての基本 ――自分を変えるために今からできること 2章6節――』 頭を下げながら、相手の死角となった懐でメモを取り、 『やるべき事をメモに取れ! ――30年後、行動力のない人間は絶滅する! 1節4章――』 増強された行動力で駆ける。 闘いは、石北快慶の挨拶と奇襲から始まった。 [闘いに勝つ] とメモを取りながら、石北快慶は駆けた勢いのまま壇勇太郎の胴を狙った鋭い蹴りを放つ。 ピシ、と空気が割れる音がした。 常人ならば脚の軌跡すら、下手すれば自分が攻撃されたことにすら気づかずに臓器不全を起こすであろう一撃。 しかし、 蹴り足は勇太郎の持つ剣に阻まれていた。 「それは、ゼミでやったところだぜ。」 勇太郎は剣を返し、反撃。差し出された足の膝から下を両断せんという試み。 それより一瞬だけ早く石北は蹴り足を引き、辛うじてそれを回避した。 わずか一合の応酬で、石北は目の前の少年が自分と同じ高意識者(ハイソサエティスト)であることに気が付いた。 そして少年の魔人能力が、““成功力””に直結する何かであるという確信も同時に得た。 通常、この齢の少年が高意識者(ハイソサエティスト)になることは非常に難しい。 子供は大人よりも青春の謳歌に忙しく、放課後や夕食前にわずかに空いた時間も、 ベッドに寝っ転がってダラダラしたり、友人との会話や遊びに注ぎ込んでしまうため、 ““成功力””を育みにくいのだ。 だからこそ、魔人能力が彼の““成功力””を支える要因になっているのではと推測したのである。 『窮地の中で“いいこと探し”をしよう ——人生のトラブルシューティング 4章2節――』 剣と拳ではリーチに数倍の差がある。 勇太郎から離れれば離れるほど不利になるだろう。 考え得る限りでまず最高の形で繰り出した奇襲は成就しなかったが、距離を詰めることには成功した。 であれば――この状態を維持したまま攻めるべし。 石北は左ポケットに右手を突っ込んで腰を落とした。 ひゅう と息を吸って、右手を抜く。 その手には、万年筆。 『思いついたことは出来るだけ早くメモを取れ! ――アナタをレベルアップさせる30の方法 5章1節――』 メモで““行動力””を上げる方法は、両手が完全に埋まってしまうことがデメリットだ。 しかし、メモと攻撃を同時に行う抜け道も存在する。 相手の身体に直接メモを書き込むのである。 閃光射手矢(フラッシュアイデア) 雷霆のような速度で万年筆が放たれる。 左脇から右肩への逆袈裟に一撃。 ペン先を返し、首を狩るかのような横薙ぎの一撃。 最後に一歩踏み込みながら、顔面を狙った突きの一撃。 一撃でも躱し損ねれば、血で染まった赤ペンに、死に至る“間違い”を先生のごとく教授されたことだろう。 しかし、 「そこも、ゼミで視た。」 勇太郎は一撃目を後退して躱し、身体を沈めて二撃目を避け、三撃目を剣の腹で受けた。 そのまま万年筆を弾き、空いた石北の胴に剣を振るう。 鮮血が舞った。 寸前で後退して致命傷は回避したが、剣はたやすく肉を断ち、石北を流血せしめた。 石北は傷口を手で抑えながら、体勢を立て直すべくさらに一、二歩後退した。 手傷を負ったが、石北は自身の仮説に半ば確信を得た。 『まずは自分から相手に話しかけよう。 ――心理学から見た人脈術 1章6節――』 「予習、しましたね。」 ““人脈力””を操作し、流血を抑えるために石北は勇太郎に問いかける。 高意識者(ハイソサエティスト)とはすなわち成功要因をより多く持つ選ばれし者である。 学生の域を大きく上回る壇勇太郎の““成功力””。 そしてあまりにも正確な攻撃への反応。 そこから推測される魔人能力は、予知能力だ。 先見の明は高意識者(ハイソサエティスト)の中でも最上位の能力であり、 現代で体得した者はビル・ゲイツとスティーブ・ジョブスの二名しかいない。 勇太郎は特に隠すことなく応える。 「へへ、真剣ゼミ(セミナリオ・デ・エスパーダ)のおかげさ!」 「何を犠牲にしましたか?」 「1日30分、スキマ時間を有効活用して真剣ゼミ(セミナリオ・デ・エスパーダ)と向き合ってる。」 「……そこまでする理由はなんですか?」 「“予讐”して、家族を取り戻すためさ。」 家族。 石北は目の前の少年に、これから斃すべき相手に親近感を抱いた。 「私も同じです。」 それと同時に、自分も相手も譲る気はないということを再確認した。 「同じか。」 「はい。同じです。」 「それはゼミじゃ分からなかったな。」 勇太郎は剣を握り直す。 真剣ゼミに分かるのは、自分に迫る危機だけだ。 他者の危機や想いまでは予習出来ない。 意思も、願いも同じ。 だが、難関を超え、死圏を突破するのは一人だけ。 いつの間にか、石北の流血は止まっていた。 濡れた石畳を踏みしめながら、石北は拳を構えた。 九門賜城(くもんしき) 城内 二人の戦場は城の中、天守閣まで移動していた。 狭く暗い室内で、白刃が月の光を反射して煌めく。 火花が散ったのは、刃とペン先がぶつかり合ったせいだろう。 石北が戦場を移動した理由は、剣の可動域を制限するためだけではない。 勇太郎が闇に隠れた柱や壁にぶつからない様に小さく構えているのに対し、 石北はまるで見えないそれらを把握しているかのように、自然に構えを取っている。 実際に、石北は見えている。 『現場を歩け! ――「見える化」して身に着ける現場力 2章5節――』 事前に城の敷地を歩き回り、““見える化””しておいたのだ。 思い通りに動けない勇太郎をよそに、石北の姿が闇の中に溶ける。 セルフコントロール。 呼吸も、心臓の音さえも殺し、闇の中から勇太郎に接近。 横合いから首筋を狙って、万年筆による刺突を繰り出す。 今度はペン先に黒いインクを塗布している。 攻撃が““見える””のなら、““見えない化””すればよい。 ギィ ン ッ ! 金属音に静寂が破られる。 剣で万年筆を止めた勇太郎が、闇の中に目を向ける。 「ゼミでやった通りだぜ。ここで受ければ、ニガテ克服(ぼうぎょ)プランも進路別(さくてき)プランも両立できる!」 剣を横に大きく振るう。 後退して回避するが、石北の背中のすぐ後ろには壁。 今度は石北が追い詰められる番だ。 「ここだッ!」 引いた“横線”を目途に石北の居場所を推定する。 天守閣の角。 教科書(ゼミ)通りに、裂帛の気合を以て逃げ場所に剣を振り下ろす。 (ここだ。) 石北も心の中で、同様の台詞を吐いた。 “予測(Predict)” 石北に未来を予知することは出来ない。 だが、未来を“限定”することは出来る。 攻撃が不発に終われば必ず勇太郎はこちらを捕捉し、反撃に移るだろう。 この場所に追い詰められれば、決め手は“縦線”になるはずだ。 “防御(Defence)” 体を半回転させ、勇太郎に背を向ける。 『知識は活用して初めて役に立つ ――日本人の8割はアウトプットが足りない 4章1節――』 背負った本棚に収められた知識の壁が、斬撃を遮る。 “確保(Capture)” そのままもう半回転。 本の頁と背表紙が剣を絡め取り、勇太郎の手から奪い去る。 “攻撃(Attack)” 勢いを保ったまま、胴廻し回転蹴り。 高意識者(ハイソサエティスト)の間では、““PDCAサイクル””と呼ばれる絶技。 石北が戦場を移動した理由は、剣の可動域を制限するためだけではない。 予知していても見えない技を放つため。 そして、予知していても防げない技を放つためである。 蹴り足が勇太郎の頭部を捉える。 (獲った。) 成功の手ごたえがあった。 意識を刈り取るまでには至らぬも、思考を停止させるのには十分な一撃。 このまま追撃すべし。 石北が着地し、拳を構えた瞬間―― 左足が沈む。 「なにっ」 石北が足を挫いたのでも、勇太郎が反撃したわけでもない。 天守閣それ自体が揺らいでいる。 顔を上げた石北はすぐに原因に思い至った。 先ほどの攻防で、石北を追い詰めるために放った勇太郎の横薙ぎが、柱を両断していたのだ。 「ゼミでやった通りなら、」 血を床に吐きながら、勇太郎が呟く。 「その位置は助からない。」 石北が体勢を直す前に、天井が破れ、瓦礫が降って来る。 魔人と言えど、肉体を強化する特殊な能力を持ってない限りは、耐久力は人間と同じだ。 位置エネルギーを伴った硬い石と木材は、人体を破壊するに十分な威力を持っている。 「ゴメンな。でも、俺どうしてもやりたいんだ。予讐。」 石北の頭部を、瓦礫が強かに打ち付ける。 強い耳鳴りの音と共に、勇太郎の声も、姿も““見えない化””された。 数秒、あるいは数十秒の微睡みを経て、石北は目を醒ます。 冷たい風が瓦礫でずたずたにされた身体を苛む。 天守閣は完全に崩れ、辺りに夜空が広がっていた。 視線を下げる。 勇太郎が瓦礫の中から剣を探しているのが見える。 負けた、と石北は思った。 内臓が破れ、大量に出血している。 手足も満足に動かせず、瓦礫を払いのけることすらままならない。 『失敗を引きずるな。次へ向かえ! ——人生を歩く40のルール 5章1節——』 石北を導く““成功力””も、こう提案する。 全てを白紙(ゼロベース)にしてやり直せ、と。 失敗も成功の源だ。 家族はまた探せばいい。 リスケして、次はもっとうまくやればいい。 「………。」 石北は、脳内で『人生を歩く40のルール』を破り捨てた。 代わりに、別の本を開く。 『ストレスを感じた時はレバーを食え ――生活は食から変えろ 5章3節――』 冷え切った手を自らの破れた腹部にやり、肝臓を千切って口に放り込む。 痛みと共にマイナス思考が消え去っていく。 負けた、と石北は思った。 だが、これから勝つ、とも思った。 勇太郎が瓦礫に埋もれた真剣ゼミ(セミナリオ・デ・エスパーダ)を手にした瞬間、ひやりと背筋に悪寒が走った。 危機が迫っているという証だ。 勇太郎が振り返ると、石北が瓦礫を押しのけて立ち上がってきた。 勇太郎は少しだけ驚いた後、納得した。 「よほど大事なんだな、家族の事。」 自分も同じ願いを持っているから。 たとえどんなに身体が傷つこうとも、家族を取り戻せるなら自分も立ち上がっただろう。 「はい。」 「やっぱ、同じだ。」 勇太郎が微笑む。 石北もそれを見て、微笑んだ。 『目標を周りに宣言しろ! ——行動できる人間になろう 2章3節——』 「……今から、あなたに攻撃します。」 メモ用紙は夜風に乗って、紙吹雪となって空を舞っている。 千切れた自己啓発本の頁も同様だ。 もうメモで““行動力””を上げる方法は使えない。 「正確には、あなたの剣を攻撃します。 あなた単独で予知が出来るのであれば、私が意識を失っていること、 危険がないこと、止めを刺すのに支障がないことも分かっていたはずです。 にも関わらず、あなたは剣の捜索を優先しました。 私はあなたの持つ剣こそが予習の鍵なのでは、と踏んでいます。 あなたの剣を破壊したのち、あなたの命を絶ちます。」 『結論、理由、総論の順番は必ず守ろう ——ミーティング巧者への道 2章1節——』 ゆえに、宣言した。 勇太郎は“殺す”と宣言されたにも関わらず、不思議と相手を恨む気にはなれなかった。 石北も同様だ。 敗北したとしても、勇太郎を恨む気にはならないだろう。 似た者同士の両者は、似た願いを胸に、正反対の構えを取った。 勇太郎は上段、剣を高く掲げる。 石北は低く腰を落とし、万年筆を順手に握る。 風が、吹いた。 真剣ゼミ(セミナリオ・デ・エスパーダ)の切っ先に、風で舞ったメモ用紙が当たった。 それが合図だった。 石北は踏み込み、万年筆を振るう。 真剣ゼミ(セミナリオ・デ・エスパーダ)が危機を察知し、勇太郎に“問”という形で教える。 問1.目の前から万年筆を持ったかいけい君が時速110kmで向かってきます。ゆうたろう君の行動として最も適切なものを、次の(ア)~(エ)の中から選んでください。 問2.かいけい君がゆうたろう君を攻撃する際、突きを多用する理由を30字以内で説明しなさい。 勇太郎は万年筆をいなし、捌き、避ける。 宣言されている以上、剣で受けることは出来るだけ避けなければならない。 『常に対案を考え、用意しておこう。 ——明日から変わる!ミーティング必勝術 2章1節——』 反撃は不可能だ。 捌いてもそれを補うように、別の攻撃が矢継ぎ早に飛んでくる。 完全にイニシアチブを取られている。 この猛攻の濁流が過ぎ去るまで耐える他ない。 が、石北の負傷を見るに長くは続かないはずだ。 勇太郎は1日30分の予習復習を思い出しながら、繰り出される問題に答え続ける。 石北は血を流しながら身体を動かす。 ““人脈力””を止血に回すリソースはない。 命が尽きる前に、ASAPで、持てる全てを用いて真剣ゼミ(セミナリオ・デ・エスパーダ)を破壊する。 問3.かいけい君は破裂した腹部の動脈から400ml失血しています。かいけい君がさらに攻撃を続行した場合、活動限界はいつになるでしょう。 「死ぬまで、だよな?」 その言葉に、石北は刺突で応える。 避け切れない。勇太郎は剣で受ける。① 問4.下線部①で、ゆうたろう君は万年筆を剣で受けていますが、どうしてそうしたのでしょう。20字以内で説明しなさい。 「『剣で受けなければ致命傷になると考えたから』、ですね。」 問題を見てもいないのに、今度は石北が解答する。 常人ならば意識を失っていてもおかしくない出血量。 しかし、石北快慶は意識が高い。 ゆえに、意識だけは失わない。 猛攻は続く。 剣とペン先がぶつかる金属音に、異音が混じり始めた。 問5.かいけい君は合計で24回、真剣ゼミを攻撃しています。真剣ゼミが攻撃に耐えられるのはあと何回でしょう。 真剣ゼミが警告を発する。 石北が腰を捻りながら低く構えている。 (一回だ。) 心の中で解答して、勇太郎は剣を引く。 やられる前にやる。 予讐が大事であることは勇太郎が一番よく知っている。 両者が同時に得物を振るう。 真剣ゼミ(セミナリオ・デ・エスパーダ)が唸りを上げ、石北の首に迫る。 鉄の質量と抗いがたき威力を持った、掘削機(ドリル)のような突き。 “頚惨(けいさん)パワーアップドリル” 万年筆が流星の如き速度で腰から抜かれ、真剣ゼミに迫る。 圧倒的なレスポンスが結果に―― “彗星(コミット)” 衝突。 先ほどよりも大きな異音と閃光が生まれる。 {問6.■■――――― 勇太郎の中から、問題文を読み上げる声が消えた。 ペンが剣を両断し、切っ先が天守閣の瓦礫の上に落ちる。 『ペンは剣よりも強し。 ——リシュリューあるいは謀略 第2幕第2場——』 勇太郎は真剣ゼミ(セミナリオ・デ・エスパーダ)を退会した。 だが、まだ大会は終わりではない。 折れたままの剣で攻撃を続行する。 (継続が大事だ。) 真剣ゼミ(セミナリオ・デ・エスパーダ)を握ってから、毎日30分を費やして気付き学んだ信念だ。 それは退会しても忘れることはない。 『問6.勝つのはどちらでしょう。』 自らに問いかけた勇太郎が叫ぶ。 「勝つのは、俺だ!!」 石北は勇太郎の一撃を万年筆で受けて、逸らす。 折れた剣は万年筆を砕きながら肩を深く抉り、上段に抜けていく。 がら空きになった胴に飛び込む。 踏み込んで、自らの““成功力””を練り上げて両掌に集中させる。 生活の質と能力の開発を両立する、高意識者(ハイソサエティスト)の基本にして必殺の型。 足元の瓦が砕ける音と、空気が割れる音がした。 “双牙(マルチタスク)” 両掌が勇太郎の胸部にめり込む。 勇太郎の動きが、糸の切れた人形のように止まった。 つ、と口の端から血が零れる。 「不合格(まけ)かな。」 勇太郎の呟きに、石北が頷く。 「悔しいな。」 その言葉を最期に、勇太郎は崩れ落ちた。 石北は子どもの頭を撫でる様に、勇太郎の瞼を閉じてやった。 死圏(しけん)は終わった。 合格者(しょうしゃ)が夜空を見上げる。 「すまない。私には――成功(これ)しか出来ないんだ。」 その呟きに、月と星だけが静かに聞き入っていた。
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前ページ次ページ我が心、君知らず 我が心、君知らず 前編 「うわぁ、ホント背伸びたねぇ! 久しぶり、勇太! 元気だった?」 五年ぶりに出会った従姉(いとこ)の笑みに、前もって身構えていたにも関わらず、勇太は動揺を抑え切れなかった。 ◇ ◆ ◇ 並行する異世界の戦国乱世を救った二人の従姉弟。彼らが自分たちのあるべき世界へと帰ってきてから一年後。母の病をきっかけに伯母夫婦の家に預けられていた勇太は、母の快癒と同時に帰郷することになった。 「ちょっと寂しくなるなぁ~。でも、休みになった遊びに行くとか来るとか、会おうと思えば会えるもんね!」 精一杯の笑みでそう送り出した真弓の言葉の裏には、きっともう、一生会う事はできない仲間たちの存在があって。 「そうだな、真弓が寂しくなったら会いに来てやるよ」 勇太の中にもその仲間たちの存在はあったから、そう小憎たらしい笑みで答えてやることができたけど。 以前から異能を持っていた勇太は無論、彼(か)の乱世で異能に目覚めた真弓も、“日常(せかい)”を守る慌しい生活から、互いの元に足を運ぶ暇を作れない生活になっていたのだ。 電話やメール、時折手紙なども交え、交流が途切れることはなかったけれど、直接会う事はできない。 写真越しに見る、受話器越しに聞く、従姉の姿と声。どこか実直すぎて危なっかしい“少女”から、真っ直ぐな芯はそのままに、“女”としての柔らかなまろみを帯びて。時を経るごとに綺麗になって。 そのくせ、彼女の中の自分の扱いは、声変わりしても、成長した自身の写真(すがた)を送っても、ずっと“小さく生意気で可愛い従弟”のまま、変わらなくて。 そのことに、じりじりと灼けるような感情が勇太の胸を焦がす。 会えない彼(か)の人の面影を追うそのもどかしさは、まるで、異形の狼として永い時を流離(さすら)っていた頃のようで。 そしてその感情は、ついに三ヶ月前、ある報せによって臨界へと達した。 真弓が、たまたま遭遇したジャームと一人で交戦し、危うく死に掛けた、と。 辛うじて助かったものの、一歩間違えれば、命を落とすか正気を失うかの瀬戸際だった、と。 UGN越しに知ったその事実に、勇太は一瞬本気で視界が真っ暗になった。 自分が傍にいないうちに、どこの馬の骨とも知らない輩に、彼女が永久に奪われるところだったのだ。 ───真弓(アイツ)は、自分(オレ)が守るンだ! 胸のうちで弾けた思い(叫び)は、数百年抱き続けた想い。 ───真弓(あの女)は、自分(ワシ)のものだ! かつて一つになった大神(イクフサ)の名残が、胸のうちで咆える。 胸のうちで弾けた二つの思いは、何が何でも彼女の元に、と己を急かす。勇太は、その思いに違わず行動を開始した。 そして、現在――高校進学前の春休み。真弓の地元の高校に進学を決めた勇太は、それを理由に天野家に下宿することとなったのだった。 ◇ ◆ ◇ 再び天野家へと越してきた自分を玄関先で出迎えたのは、五年ぶりに直(じか)で見る愛しい女(ひと)の笑みで。 その威力を十分予測して身構えていたというのに、勇太は思い切り動揺してしまった。 地元の大学に在学中の、今年で二十二になる彼女。かつてと変わらない、澄んだ明るい笑みを浮かべた容貌は、しかし、かつてはなかった“女性”の色香を確かに湛えていて。 自身の頬が朱に染まるのが鏡を見ずとも知れて、勇太は己の顔を彼女から隠すため、真っ直ぐに向けられた笑みから視線を逸らしてそっぽを向いた。 「あったりめぇだろ! オレ、もう今年十六になんだぞ? それで小学校の頃のままとかありえねぇだろ」 ぶっきらぼうに告げて、テンポ良く返されるだろう彼女の言葉を待って――しばらく待っても来ない彼女の返答に、訝しくなって視線を戻す。 見れば、彼女は何故かひどく驚いたように目を見開いて固まっていた。 「……真弓?」 「――え!? あ、ごめん!」 声をかけると、我に返ったように息を吹き返して詫びてくる。それから、少し照れたように頭を掻いて、彼女は言った。 「いや、電話でわかってたつもりなんだけど、生で聞くとやっぱり全然違うね~。声、結構低くなっててびっくりしちゃった」 男の人みたい、と言われて、思わず勇太は顔が奇妙に歪むのを堪えることができなかった。 “男”と意識されるのは歓迎すべき事態だろうが、今更そう言われるほど、これまでは全く意識されてなかったのだと思うと些か凹む。 はあ、と一つ深い溜息をついて、勇太は靴を脱いだ。 「……上がンぞ」 「あ、ごめんね、玄関先で長々――っとと、言い忘れてた」 言って、思い出したように手を打つと、真弓は上がり框を踏んだ勇太に一言。 「――おかえり、勇太」 その一言に、勇太は一瞬目を見開いて動きを止めて――框に両足を上げると、微笑って応えた。 「――ただいま」 しばし真弓は目を見開いて、そんな勇太をじっと見つめ―― 「……背、微妙に抜かれた……」 顔を逸らし、そう、ふてたような声で告げた。 ◇ ◆ ◇ 「……こんな狭かったっけ、この部屋」 これからの自室となる、かつても一年間自室として与えられていた部屋を見渡して、勇太は思わずぽつりと呟いた。 先に送っておいた未整理の荷のせいもあろうが、それを差し置いても、かつてより狭くなった気がする。 「それは勇太の方が大きくなったんだよ。自分の視線の高さが変われば、見え方も変わるって」 「あ、なるほど――って、おま、何やってンだ!?」 真弓の声に頷きつつ振り返って、勇太は思わず声を荒げた。 そこには、いつの間にやら荷を解きにかかっている真弓の姿。 「何って……片付けの手伝いだけど?」 「そうじゃねぇよ、そりゃ見りゃわかるよ! 勝手に人の荷物いじるなっつってンだ!」 きょとんとした真弓に、返す声が思わず上擦る。思春期の少年として、当然の反応だった。 もっとも勇太は、同年代の同性が好む『異性に見つかると非常に気まずい』類の代物には興味がない。心底惚れた相手がいるのに、よく知りもしない見た目だけ綺麗な女を眺め回しても、楽しくも何ともないからだ。 それでも、以前は友人から押し付けられたものをいくつかは所持していたが、それらはこちらに越す際に全部処分した。その点では、荷の中身を見られたところで問題はないのだが。 荷物の中には、当然衣服が――下に着込むものも含めて、入っているのだ。 その辺りは、寧ろ真弓の方が気まずくなるのではないだろうか。というか、それに出くわした時に彼女が平然としていた場合、それはそれで意識されていないという意味で、勇太の方がショックであるし。 「つか、別に手伝いなんかいいって! お前病み上がりだろうが!」 思わずそう怒鳴れば、真弓は心底驚いたように目を見開いた。 「え――それ、誰から……」 「いくら支部違うったって、親戚同士で同じUGN(そしき)にいるんだから、話入ってこない方がおかしいだろ」 呆然とした声に、些か件のある声で返せば、彼女は、あう、と呻く。 「……そりゃそうだよねぇ……かっこ悪いからあんまり聞かせたくなかったんだけど」 情けなさそうに頭を掻く従姉に、勇太は口には出さずに「うそつけ」と呟いた。 彼女は外聞なぞ気にしない。自身の体裁など取り繕わない。怪我のことを伏せていたのは、ただただ心配をかけまいという思いからだけで。 けれど、そんな風に気遣われ、頼ってもらえない、彼女の中の自身の立ち位置が、勇太には腹立たしい。 「でも、三ヶ月も前の話だよ。もう全然平気! へっちゃら!」 「三ヶ月前っつったって、その三ヶ月間もどうせちゃんと休んじゃいなかったンだろーが」 勇太のツッコみに、力こぶを作って見せていた真弓は、う、と呻いて固まった。 事情を知らない家族や学校の友人の前では、いつも通りに振舞い続けていただろうし、彼女の性格からして、動けるようになった途端にUGNの仕事にも復帰したに違いないのだ。 ジト目で睨む従弟の視線に、真弓は気まずそうな表情でしばらく沈黙していたが、ふと気がついたように訊いた。 「……もしかして勇太、UGNに、あたしのフォロー役頼まれたとか?」 「……ま、それもあるけどな」 そっぽを向いて、勇太は答える。 実際、勇太が土壇場で進路変更できたのは、UGNの力添えがあってのことだ。 真弓の所属するK市支部は、もともと人材不足気味だった。そこにきて、応援が遅れたがゆえの、エージェントの負傷。そこでK市支部は他の支部に応援を要請し、それに勇太が飛びついたのだ。 「……ごめん、あっちで高校受かってたんでしょ?」 「べっつに~? 家から近いってんで選んだ学校だし。新しく決まった学校の方が登校楽だし」 萎れる真弓に、勇太はどうでもいいような口調で告げる。しかし、真弓の表情は晴れない。 「けど、あっちに友達もいたでしょう? それに、彼女とかもいたんじゃないの?」 遠距離恋愛になっちゃうじゃない、と気遣わしげな声音で告げられた言葉。 その言葉に、勇太は思わず硬直した。 「……勇太?」 こちらの気配に気付いたのか、真弓から案じる声音が掛かる。そこには、“可愛い従弟”を気にかける色しかなくて。 ───オレは、そこまでお前にとって“男”じゃないのか。 そんな平然と『彼女』の存在を問えるほど。その恋路を気にかけられるほど。 そう思った瞬間、勇太の中で何かが切れた。 「いねぇよそんなもんッ!」 思わず噛み付くように咆える。突然の大音声に、真弓が身を竦めた。 「ゆ、勇太……?」 「いねぇよ! いるわけねぇだろ!――なんでわかんねぇンだよ!」 勢いのまま、真弓を追い込むように歩み寄る。彼女は驚いたように後退って、その背が壁に当たった。 壁際に追い込んだ彼女の顔の左右に両手をついて、告げる。 「――オレはもう、真弓の“可愛い従弟”じゃ、足りない」 その言葉に、覗き込んだ彼女の瞳が見開かれる。 「そんなンじゃ――ずっと昔から足りなかったンだよッ!」 叫んで、無理やり引き剥がすように壁についた手を離し、彼女を視界から外すために踵を返す。 「……出てってくれ。これ以上ここにいられると、オレ、真弓に何するかわかんねぇから」 「……ゆ、勇太――」 「――いいから出てってくれよッ!」 何か言いかけた真弓の言葉を遮って、叫ぶ。 ややあって、おずおずと背後の気配が動き――しばしして、右手の戸が開いて、閉じられた。 彼女の気配が、小走りに去っていく。 「――バカか、オレはッ……!」 呻いて、目の前の、彼女が解きかけていった荷をぶん殴る。 衣服しか入っていない、柔らかい荷のはずなのに――殴った拳は、酷く痛かった。 ◇ ◆ ◇ ───どうしよう。 その思いだけが、足早に勇太の部屋から離れる真弓の胸の内を、ぐるぐると渦巻いていた。 小さい頃から知っている従弟。生意気だけど可愛くて、ぶっきらぼうな言動の裏に、こちらを慕ってくれている気配がだだ漏れで。 そう、慕ってくれてるのは知っていた。けれどそれは、ただ小さな男の子特有の『年上のお姉さんへの憧れ』だと思っていた。 誰もが一度は罹る麻疹のような、時が経てば自然に冷める初恋とも言えない様な感情(もの)だと思っていた。 そう、思っていたのに。 さっき、自分を壁際に追い詰めて、覗き込んできた彼の目は、 ───本気の、目だった。 本気で焦がれる“女”に向ける、“男”の目で。 「……あんなの、勇太じゃないよ……」 思わず零れた呟きは、我知らず震えていた。 怖いのか、悲しいのか、よくわからない。ただ、泣きそうに声が震える。 ───あんな勇太は、知らない。あたしの知ってる勇太じゃない。 知らない“男”になってしまった従弟から逃げるように、真弓はそのまま家を飛び出した。 ◇ ◆ ◇ 「どういうことだよ、それ!?」 白い応接間に、勇太の怒声が響いた。 真弓と気まずい別れ方をした後、多くない荷物をざっと片付けた勇太は、自身の転属先となったUGN支部へ挨拶に顔を出した。 応対したK市支部長は、挨拶のあと出し抜けに、『天野さんが狙われています』と勇太に告げたのだ。 「“傀儡師”――先日、天野さんを瀕死に追いやったジャームのコードネームです。血を操る能力からして、ブラム=ストーカーだと思われます」 血を操る傀儡使い。その言葉に、かつて異形の狼であった頃、幾度も死合い、共闘し、好敵手と認めた男の顔が浮かんで消える。 あの男と同じような能力者が、真弓を殺しかけた。――そのことに、怒りが相乗されて、視界が赤く染まったような錯覚を覚える。 「……そいつは、真弓がぶっ倒したんじゃねぇのかよ?」 湧き上がる怒りを押し殺して、低く問う。少なくとも、勇太は以前の支部でそう聞いた。 「ええ、そう思っていました。しかし、天野さんが倒したのはどうやら傀儡だったようで。――“傀儡師”と思われるジャームが、ここ一ヶ月で度々目撃されています。しかも、真弓さんの生活圏内で」 その言葉尻に重なり、ぎり、という妙な音が響く。それが、自身の噛み締めた奥歯が立てた音だと気付いて、勇太は忌々しそうに舌打ちした。 そうして、吐き捨てるように確認する。 「復讐――か?」 「おそらくは。――当人にも気をつけるよう言ってはありますが、南方くんも、“傀儡師”の件に片がつくまでは、天野さんの身辺を気にかけてあげて下さい」 支部長の言葉に、勇太は強く頷いた。――言われるまでもない。 今日の一件で、気まずくなってしまったけれど、嫌われてしまったかもしれないけれど。 これからも、いつまで経っても、彼女にとって自分は、“可愛い従弟”のままかもしれないけれど。 そんなことは、関係ない。 数百年もの間、変わらず抱き続けたこの想い。今更、この程度で揺らぐものか。 ───真弓は、オレが守るンだ。 決意も新たに支部を辞去すると、荷の片付けなどで来るの自体が遅かったのもあり、もう既に夜半に近かった。 歓迎のご馳走を作ると張り切っていた伯母に、今晩は要らないので明日に、と告げて出て来て正解だった。そんなことを思いつつ、コンビニで適当に晩飯を調達して、家路へと急ぐ。 「ただいま~」 「あ、お帰り、勇太君。遅かったわねぇ」 まだ居間にいたらしい伯母が、わざわざ顔を出して出迎えてくれた。 「あ~、すんません、来て早々」 「勇太君ももう高校生だもんねぇ。こっちのお友達とは久しぶりだろうし、今日は大目に見てあげるわ」 次からは流石にこんな遅くまではダメよ? と悪戯っぽく告げられて、勇太は思わず曖昧な笑みで俯く。――UGN(しごと)の関係上、それは難しい。 と、その拍子に、玄関に並んだ靴の違和感に気付く。 「……真弓は?」 「ああ、あの子もねぇ。大学の友達に誘われたとかで、合コンですって。日付変わる前に帰ってきなさいとは言ってあるんだけど……もう成人だしねぇ」 その言葉に、勇太は大きく目を見開いた。 ───真弓が、合コン? どこぞの馬の骨とも知れぬ野郎共から、好色の視線に晒されるような席に。 そのことに、かっと血の気が上って――次いで、そんなことよりも危険な事態に思い至って、今度は血の気が引いた。 ───今、真弓は、命を狙われている。 こんな夜更けに出歩くなど、狙って下さいと言うようなものではないか。 「――あンの馬鹿ッ!」 思わず叫んで、コンビニの袋を放り出すと、勇太は踵を返す。 「ゆ、勇太君!?」 驚いた伯母の声も振り切って、全力で勇太は駆け出した。 ◇ ◆ ◇ 「――真弓~、どしたの~?」 掛けられた声に、はっと我に返って真弓は顔をあげた。 「あ、ごめん、なんでもないよ」 「も~、珍しく合コン(こういうとこ)出てきたと思ったら、上の空で。もったいないよ~」 隣に座った幹事の女友達が、ばしばしと肩を叩くのに、何とか笑顔を返す。 「うん、そうだね。いい加減、彼氏いない暦イコール年齢は、記録更新ストップしないとね!」 「――意外ですね、あなたのように綺麗な人が」 わざとおどけた声で宣言すれば、向かいから落ち着いたテノールの声がかかった。 真弓と友人は驚いてそちらを見やり――真弓は、声の主の姿に更に目を見開く。 細面の、物腰の柔らかい印象を受ける青年。その風貌は、まるで―― 「――浄ノ進さん……」 「え?」 声の主は、きょとんと目を見開く。真弓は我に返ると、慌てて頭を振った。 「あ、ごめんなさい! 知ってる人と、よく似てたから、つい!」 「ああ、それで。ですが、残念ながら僕の名前はジョウノシンじゃなくて、太一といいます。三条太一」 気にした風もなくにこりと微笑する太一に、真弓も慌てて名乗り返した。 「あ、天野真弓です」 「ええ、知ってます。最初の自己紹介の時に覚えましたから」 笑顔で返される。暗に自分が上の空だったことを指摘された気がして、真弓は思わず俯いた。 「いえ、お気になさらず。僕もあんまりこういう席には興味なくて、上の空になるのわかりますし。――でも、今日は来て良かったです」 あなたに会えたので、と臆面もなく笑顔で告げられて、真弓はどう反応していいかわからない。 ともすれば気障に聞こえる台詞も、柔らかな口調で告げられるとそう聞こえない。かつて共に戦った青年と面影が、真弓に好印象を与えているのも確かだろうが。 「いえ、あの……どうも……」 赤面して、よくわからない言葉を返すのでいっぱいいっぱい。そんな様子を微笑ましげに見つめられて、真弓は余計に気恥ずかしくなった。 「天野さんは、今時珍しいくらい、心根の綺麗な方ですね」 「でっしょ~? でもねぇ、綺麗過ぎてフツーの男じゃ近づきにくいみたいで。なんていうの? 高嶺の花?」 太一へ友人がそんな風に返すのに、真弓は目を見開く。 「えぇっ!? そんなことないよ、何言ってるの!」 「『何言ってるの』はこっちの台詞~。真弓、ピュアすぎるから気付いてないだけで、あんたムチャクチャモテてんだよ?」 友人のその言葉に、真弓は思わず硬直した。 ───あたしが気付いてなかっただけで――勇太は、ずっと、想っててくれたのに。 自分は、それにどう返していいのかもわからなくて。顔を合わせたくないというだけで、今日たまたま誘われたこの席に、逃げるように参加して。 ───あたし、逃げないって、約束したのに。 彼が小さな可愛い従弟だった頃、そう、確かに約束したのに。 「――ごめん、帰る!」 「え、何いきなり!?」 驚く友人の声を振り切って、真弓は店を飛び出した。 早く帰らなければ――その一念で近道しようと裏路地に入った真弓に、後ろから声がかかる。 「――天野さん!」 「え――三条さん?」 振り返った先にいた太一に、真弓は目を見開く。 「忘れ物です。――というか、こんな時間に女性の一人歩きは危険ですよ」 差し出された鞄に、真弓は身一つで飛び出してきたことに今更気付き、自身の迂闊さに赤面した。 「あ……すいません。でも、大丈夫ですから」 「ダメですよ、送ります。最近何かと物騒ですから」 鞄を受け取りながら返すと、太一は険しい顔で頭を振る。その様子に、送り狼のような下心は感じられない。 しかし、最近物騒、というその言葉に、真弓は更に自身の迂闊さに気付いた。 ───あたし、狙われてるんだった。 勇太のことでいっぱいいっぱいになって、失念していた。一人歩きは確かに拙い。 かといって、一般人の太一が一緒では余計に危険だ。しかしこの様子では、彼は何が何でも真弓を送るといって聞かないだろう。 「え~と……じゃあ、迎え呼びます。三条さんにこれ以上、お手数掛けられませんから」 言って、届けてもらった荷から携帯を取り出す。 一瞬迷って――それでも、その番号を呼び出した。 呼び出し音が一回、そして二回目が鳴りきる前に、 『――真弓ッ!?』 「ゆ、勇太?」 余りに速攻で繋がったことに目を白黒させつつ、真弓は従弟に告げる。気まずさから口早に、用件だけ。 「ごめん、あたし今、一人歩き拙いから迎え来てもらえる? 場所は駅裏の――」 と、場所を告げかけた時、ブッ……と通話が切れた。一瞬、余りに虫のいい頼みに従弟が怒って切ったのかと思ったが、違う。 街の喧騒が切り取られ、辺りに沈黙が満ちる。 視界の端で、三条の身体が、糸の切れた人形のようにその場に倒れ伏した。 「――ワーディング……!」 真弓のその声に答えるように、路地奥の暗闇が、一つの人影を成す。 「……久しぶり……やぁっと会えたねぇ、真弓……」 闇に溶けるような黒装束――歌舞伎の黒子のような姿をしたその影は、若さも老いも、性別さえも感じられない、面妖な声で告げた。 前ページ次ページ我が心、君知らず
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新人シンガーに迫る闇 勇太くんを救え! 歌怪盗からの予告状 悩める新人シンガー クールな私立探偵 闇化と望み 倉坂ひなを救え! 新人シンガーに迫る闇 クエスト名 消費体力 WAVE 出現敵色 ドロップ 備考 新人シンガーに迫る闇-1 5 3 赤 - - 新人シンガーに迫る闇-2 5 3 赤 - - 新人シンガーに迫る闇-3 5 4 赤 - - 勇太くんを救え! クエスト名 消費体力 WAVE 出現敵色 ドロップ 備考 勇太くんを救え!-1 5 3 緑 - - 勇太くんを救え!-2 5 3 緑 - - 勇太くんを救え!-3 6 4 緑 倉坂勇太☆3 - 歌怪盗からの予告状 クエスト名 消費体力 WAVE 出現敵色 ドロップ 備考 歌怪盗からの予告状-1 5 3 黄 - - 歌怪盗からの予告状-2 5 3 黄 - - 歌怪盗からの予告状-3 5 4 黄 - - 悩める新人シンガー クエスト名 消費体力 WAVE 出現敵色 ドロップ 備考 悩める新人シンガー-1 5 3 青 - - 悩める新人シンガー-2 5 3 青 - - 悩める新人シンガー-3 5 4 青 - - クールな私立探偵 クエスト名 消費体力 WAVE 出現敵色 ドロップ 備考 クールな私立探偵-1 5 3 白 - - クールな私立探偵-2 5 3 白 - - クールな私立探偵-3 6 4 白 ソーニャ・ギリンガム☆3 - 闇化と望み クエスト名 消費体力 WAVE 出現敵色 ドロップ 備考 闇化と望み-1 5 3 黒 - - 闇化と望み-2 5 3 黒 - - 闇化と望み-3 5 4 黒 - - 倉坂ひなを救え! クエスト名 消費体力 WAVE 出現敵色 ドロップ 備考 倉坂ひなを救え!-1 6 3 全色 - - 倉坂ひなを救え!-2 6 3 全色 - - 倉坂ひなを救え!-3 6 3 全色 - - 倉坂ひなを救え!-4 7 4 全色 倉坂ひな☆3 -
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だだっ広いホールに正装の男や瀟洒なドレスを着た男女が料理の置かれた無数のテーブルにそれぞれ集まっておしゃべりをしている。 今日はサイ・レントという富豪をしのぶ会であり、世界的富豪であり自分の多額のお金を様々な事に投資して使い切りたかったが、結局、逆に大儲けしてしまった残念な富豪で、そのお金は今、世界の三大組織とも言われるグランジ、レインディアーズ、ヒリングデーモンへと流れている。 その経緯はサイ・レントの育てていた義理の娘――正確には孫娘と言った方が良い歳の離れ方だが――であるソフィア・アターラロがそれぞれの組織に居るデイブ・グロリア、空条 彼方、エンシューと親交があったことからこれがされたとも言われる。 彼女の行為は批判も多いが賛同も多い。それだけ彼らの組織にお世話になっている人々が多いのだろう。 会場の隅のテーブルの近く、壁に寄り掛かってワイングラスを傾ける青年が居た。 純白のタキシードを着て赤ワインを飲む姿はいかにも様になっているが、左胸にある注射器を持った悪魔の刺繍が近づく女性をゼロにさせていた。 ヒリング・デーモンの小沢 勇太郎である。 ヒリングデーモン、と言えばラスト・サンライズかロバート・ラスターだがもともと主要戦闘員が少ないため世間の常識としてヒリングデーモン主要メンバーである彼の顔と名前は憶えられていた。 傍らには先ほどまで珍しくパイロットスーツでなくドレスを着たエンシューが居たのだがソフィア・アターラロに連れて行かれてしまった。 「……せっかく、デッドマンに頼まれごとをされたのに」 そう独り言を言って彼は肩をすくめた。 同僚のデッドマンはドレス姿のエンシューの写真を頼んだのである。 「まったく、彼らしいと言えば彼らしいが、自分で撮ればいいのに」 ふと、勇太郎はざわざわと群衆が二つに分かれるのがわかった。もともと人が多いわけではないが、明らかに何かを避けているような人の流れに彼は眉をひそめた。 「あっ……」 群衆を二つに分けていたのは一人の男だった。 男の方がこちらに気づき、勇太郎は軽く右手を挙げて応える。 「こんばんは。健太郎さん。スーツお似合いですよ」 紺色の高そうなスーツを着た青年が渋い顔をする。 「落ち着かないな……」 三大組織の一角、レインディアーズに所属する蓮田 健太郎はため息をついた。 「俺はお前みたいにそう言う場になれてないんだ」 「僕だって大分ご無沙汰してました。でも、久しぶりに美味しいお酒が飲めてラッキーですよ」 「そりゃよかった。お前以外は居ないのか?」 健太郎はあたりをきょろきょろ見渡した。 「さっきまでエンシューが居ました。珍しくドレスなんて着て」 「それは見たかったな」 ウエイターの持っているお盆からドリンクを受け取った健太郎が笑う。 「そのスーツはアイリーンさんの見立てですか」 「あぁ。昨日ムリヤリ買い物に連れかれて……。一回しか着ないようなものをわざわざ買わされたよ」 「ははは、これが終わったらプレゼントしたらどうですか? そのスーツ。絶対喜びますよ」 違う意味で、とは言えないが。 「まあ、あいつシュッとしてるから似合いそうではあるが……」 「あっはっは」 かわいそうな麗人、アイリーンに同情しながら勇太郎は聞く。 「健太郎さんこそ一人ですか? 空条さんは……」 「……あいつが、来ると思うか?」 健太郎のあきれ返ったようなその無表情に勇太郎は黙ってしまった。空条という少女はレインディアーズに所属しているのだが残念なことにパジャマ以外の恰好を見たことがない。 「はは……」 勇太郎が苦笑すると健太郎に声がかかった。 「あ、ケンちゃん」 声の先に居たのは修道服を着た少女だった。ソフィア・アターラロの募金先は非常に多いので修道女が居ても問題はない。 「エルドラド? なんでお前が?」 赤毛の修道女はぴこぴこ近づいてくる。 「なんか、ルディの関係らしいけど、恥ずかしがって出てこなくなっちゃった」 そこでふと勇太郎は彼女がロバートに関連していた事を思い出した。 「はじめまして、お嬢さん」 勇太郎は視線を少女に合わせてお辞儀する。 「あ、ヒリングデーモンの小沢さんでしょ?」 「はい。小沢勇太郎と言います」 「大変ね。お父さんのせいで」 勇太郎の笑顔が一瞬だけひきつった。 「えぇ。父には困ったものです」 彼の父、小沢太郎は今や悪徳政治家の典型で、しかもなぜか起訴されてない事でも有名だった。おそらく裁判所を買収しているらしいがTVでもそのことはタブーだった。 「私は……、ユートピア。よろしくね」 「ユートピア……。だからあだ名がエルドラド?」 エルドラドと言えばガリア教に出てくる理想郷の代名詞である。 「えぇ、そうよ」 ユートピアの横で健太郎が何かやりにくそうな顔をしていた。 それを聞こうとした時に、入口側がわあっとなり、立ち上がりながらそちらに顔を向けると、見覚えのある青い着物を着た女がこちらに歩いて来ていた。 女性はみんな、ほとんどドレスを着ているため彼女の恰好が珍しいのもあるし、彼女はなでしこのような女性だというのを勇太郎はよく知っている。 切れ味のいい刃物みたいな女。レインディアーズの桐山 鉄乃だった。 「……」 勇太郎はちょうど隣を通りかかったウエイターにワイングラスを渡し、彼女に近づいていく。 「どうも、お久しぶりです鉄乃さん」 紳士的なお辞儀をすると鉄乃の顔が明らかに曇った。 「……勇太郎か」 「えぇ。今日もお美しいことで」 笑顔で飄々という勇太郎に鉄乃は憮然とした表情になった。 「お前といると、落ち着かないんだが」 「ありゃ、冷たい。僕としてはいつも鉄乃さんと一緒に居たいんですけど」 「そう言うセリフをよく真顔で言えるな……。お前は」 頬をひきつらせながら鉄乃が言う。 「どうせほかの――」 鉄乃の言葉をかき消すように音楽が鳴り響いた。会場の奥のステージの垂れ幕の奥からオーケストラが現れてゆったりとした音楽を響かせている。 それをきっかけに各々が踊りだした。 「……鉄乃さん」 勇太郎は鉄乃の手をぱっととって踊りの輪に無理やり連れだした。 「おい、勇太郎っ! 私はダンスなんて踊ったこと……!」 「大丈夫大丈夫。案外勝手に体が動きます」 「お嬢さんお嬢さん」 音楽の鳴る中、健太郎とユートピアが話をしていると、そんな声がかかった。 ユートピアが振り向いた先にはゴスロリに鼻眼鏡という奇妙な格好の少女が居た。 「ムスタング……」 健太郎が眼を丸くして呟くと、ユートピアは何かに引き寄せられるようにムスタングに近づいていった。 「踊りましょ?」 ムスタングが、先ほどとはどこか雰囲気が違う声で言う。 「うん。僕、よくわかんないからポーリーがリードして」 エルドラドが少し恥ずかしそうに言うとポーリーはふふふ、とおかしそうに笑う。 「わかったわ」 二人は手を取り合って踊りの輪の中に入っていった。 残された健太郎は厳しい顔で 「……あのメガネで踊るのか……?」 と呟いた。
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『東京カーチェイス』-4 作者・ユガミ博士 1014 デッカールーム*** 陸「勇太君、そしてブレイブポリスの諸君、この前の事件はよくやって くれた。地球署のドギー・クルーガー署長からも感謝のメッセージが 届いていたよ」 勇太「ありがとうございます、加賀美総監」 デッカード「これも、アルカディアや都内の所轄の警察官の皆さんのおかげです」 後日、勇太達は、加賀美総監から先日の事件について感謝の言葉が 送られた。 ドリルボーイ「でも、この前の事件は凄かったね。特にあのボーゾックの 暴走車を止める所♪」 マクレーン「ええ、さすがは美幸さんと夏実さんですね」 ガンマックス「あの姉ちゃん達を知っているのか?」 マクレーン「はい、御2人は以前自衛隊に出向していた事がありまして その事を、尾上一佐から教えていただきました」 マクレーンは自衛隊の一等陸佐である尾上せいあによって、以前から 辻本&小早川コンビについて知っていた。 シャドウ丸「そうでなくても、あの2人は警察内部でも有名だからなあ。 それに一緒に追跡していたのは新葛飾署の始末書で有名な 両津巡査長に、交機の本田、墨東の白き鷹・中嶋剣、 泉川署の若菜陽子...これに特車2課の大田巡査を加えれば 名物警官オールスターズになったんだがなあ」 ダンプソン「戻っていたのでありますか。シャドウ丸」 勇太「お帰り、シャドウ丸」 シャドウ丸「戻ってまいりました、チビボス殿」 勇太「また、チビボスって言う~」 いつの間にかデッカールームに戻っていた忍者刑事・シャドウ丸が 両津達名物警官の事を口にする。そして、シャドウ丸はからかい半分で 勇太に帰還の挨拶をする。 陸「ご苦労、シャドウ丸君。調査を頼んでいた地球教についてだが...」 シャドウ丸「...こちらが、地球教に関わっていると思われる人物のリスト です。もっとも、三輪防人以下ロゴスの息がかかっていた連中が 日本から撤退したゴタゴタに便乗して、逃げたのが大半ですがね」 シャドウ丸は加賀美総監からの任務で、地球教に関する極秘調査を 行っていて、その調査したデータを加賀美総監に渡す。 陸「ご苦労...ブレイバーズが発足され、現在多くの組織が一丸となって 巨悪から人々を守ろうとしている。我々警視庁も足並みを揃えて、 犯罪から人々の平和を守るのだ!」 ブレイブポリス一同「はい!」 陸「そこでだ、近々ブレイバーズに参加する少年少女の交流を目的とした 南の島でのキャンプが行われるという...警視庁を代表して勇太君も 参加してみないか?」 勇太「僕がですか?」 陸「うむ、それに参加する子供達も君の友人が多い。きっと楽しいキャンプ となるだろう」 勇太「...分かりました、友永勇太キャンプに参加します!」 加賀美総監から、キャンプについて聞かされた勇太は少し考え、 ビシッと敬礼して参加する事を決めた。 陸「はっはっは、そうかしこまらなくてもいいよ」 デッカード「...大丈夫か、勇太?」 パワージョー「もしかしたら、幽霊がでるかもしれねえぞ~」 勇太「もう、大丈夫だって!脅かさないでよ」 勇太が南の島に行くというので、デッカードは心配してパワージョーは 幽霊のモノマネをして勇太をからかうが、勇太は大丈夫だからと キャンプの参加を決めるのであった。 1015 亀有公園前派出所*** 大原部長「先日の暴走事件解決に際し、よくやった両津」 両津「はっ、ありがとうございます。これも一重に私の警官としての血が 騒いだ事によるものだと自負しています」 中川「...そんな先輩に頼みがあるのですが」 両津「わしに?」 亀有公園前派出所でも、両津は大原部長からこの前の事件で 「よくやった」と褒められていた。そこに中川から両津に頼みがあるという。 両津「何ぃ~、わしにキャンプの手伝いをしてくれだと?」 中川「はい、先輩なら以前にも子供達のキャンプを立派に引き受けて くれたので、僕の会社がスポンサーをしているブレイバーズの キャンプのスタッフをお願いしたいのです。勿論、お礼は出します」 両津「例のヒーロー軍団か...」 麗子「引き受けたら、両ちゃん」 大原部長「こういう時こそ、お前の出番だぞ!」 両津「...よし、分かった引き受けてやる。その代わりちゃんと礼は はずめよ!」 両津は中川からのキャンプのスタッフをしてほしいという依頼を 引き受けた。 中川「分かってます。それサポートとして、ボルボさんと左近寺さんにも お願いしますので」 両津「確かに...あの2人なら何かあっても生きていけるだろうなぁ。 (特にボルボ...)」 本田「大変だ、両津の旦那!...左近寺さんが足を骨折しました!」 両津「何だと!?」 両津の他にも中川はボルボと左近寺にもスタッフを頼もうとした矢先、 本田が白バイで駆けつけて、左近寺が足を負傷した事を伝える。 (因みに白バイに乗っていたが、降りたので口調が変わった) 新葛飾署*** 左近寺「...スマン。うっかり足を踏み損ねて、階段から落ちてこの様だ」 両津「何をやっているんだ、お前は!」 足の負傷を聞きつけて、両津達は右足を包帯でギブスをしている 左近寺の下へと駆けつける。 中川「困りましたね」 ボルボ「う~む」 ジョディー「ハ~イ、どうしたの?」 ボルボ「あっ、ジョディー来ていたのか!?」ドキ どうしようかと悩んでいた時に、ボルボの彼女で現役のアメリカ海軍で あるジョディー・爆竜・カレンがたまたま新葛飾署に遊びに来ていた。 ジョディーの登場に思わずボルボはドキっとする。 両津「そうだ、ジョディーに頼もう!」 ボルボ「えっ!?」 両津はジョディーのサバイバル技術を思い出し、事情を説明する。 ジョディー「OK、その頼み引き受けるわ!」 両津「本当か!」 中川「ありがとうございます!」 ボルボ「...いいのか、ジョディー?」 ジョディー「Ofcource 腕が鳴るわ。...それに年の離れた友人から 面白い子がスタッフに参加するって聞いたしね」 ボルボ「?」 事情を聞いたジョディーは、快く了承する。どうやら、このキャンプに ついては知っていたらしい。 果たして南の島のキャンプで、どのようなメンバーが集まり どのような展開が待っているのであろうか? 1016 ○加賀美陸警視総監→ブレイブポリスに労いの言葉を送る。また、 シャドウ丸から地球教に関する情報を手に入れる。 ○友永勇太→キャンプの参加を決める。 ○シャドウ丸→調査していた地球教に関する情報を渡す。 ○両津勘吉→中川から、キャンプのスタッフを頼まれ引き受ける。 ○中川圭一→両津にキャンプのスタッフを頼む。 ○本田速人→左近寺が負傷した事を伝える。 ○左近寺竜之介→足を負傷する。 ○ボルボ西郷→キャンプのスタッフをする事になる。 ○ジョディー・爆竜・カレン→事情を聞いて、キャンプのスタッフを引き受ける。 【今回の新登場】 ○シャドウ丸(勇者警察ジェイデッカー) ブレイブポリス所属の忍者刑事。ニヒルで一匹狼を気取るが 実は寂しがりやな所がある性格をしている。覆面パトカー、 ジェット機、警察犬、戦車、ブレイブキャノンといった多段変形が できる。犬ではなく狼だと名乗り、勇太の姉・友永あずきにだけは 頭が上がらない。勇太を「チビボス」と呼ぶ。 ○ジョディー・爆竜・カレン(こちら葛飾区亀有公園前派出所) アメリカ海軍の所属する爆竜大佐の娘。ボルボのガールフレンドであり、 空母カール・ヴィソンで発艦士官をしている。母親に似て、巨乳ブロンド 美女でボルボの交際相手だが、女性免疫が無いので、目に毒である。 プロ級の料理の腕前を持ち、一時期演歌歌手デビューをしている。
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名前 七宮 智音 出典 中二病でも恋がしたい!戀 性別 ♀ 声優 長妻樹里(咲の小瀬川白望、ゆゆゆの三好夏凜等) 参照 https //www.nicovideo.jp/watch/sm22727564 年齢 17 外見 リボンのツインテ 性格 明るい(【ソフィアリング・SP・サターン7世】) 一人称 私 にーはっはっは! 富樫勇太の中学時代の同級生で、魔法魔王少女「ソフィアリング・SP・サターン7世」を名乗る中二病の女子。 アニメでは第2期3話から登場。 勇太にとっては憧れの対象で、中二病を患ったきっかけとなった人物。 「自らの中二病を自覚しながらも貫き通す」という意志を持ち、勇太からは「中二病の究極体」と評される。 実は勇太へ恋愛感情を抱いている。 富樫→勇者(呼称)。中学時代の中二仲間。 小鳥遊→中二仲間。
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発売日 1999年2月26日 ブランド Ather タグ 1999年2月ゲーム 1999年ゲーム Ather キャスト スタッフ 企画・原案:御子石勇太 原画:きみづか葵 シナリオ:御子石勇太,F.W.N プログラム協力:GEN CG:醍拉祇 SYSTEM inc.,秋野こおろぎ,七雲ゆうき,御子石勇太 音楽:中鳥,くるがみ龍 音声協力:さゆりんとゆかいな仲間達 技術雑用(笑):Mar スペシャルサンクス:M氏 Directed by 御子石勇太 Produced by くるがみ龍