約 1,876 件
https://w.atwiki.jp/renjodatabase/pages/291.html
【このページは『落日の門』の重大なネタバレです】 『落日の門』の全体像がわかりにくいので時系列と相関図をまとめました。 ミスがあったらコメントで指摘をお願いします。 時系列 年 月日・時期 出来事 明治41年 桂木謙太郎が下働きの娘との間に作った子、村橋暁介として群馬で誕生 「落日の門」 大正2年 藤森鷹雄、新潟にてスエの第二子として誕生 「火の密通」 大正5年 村橋暁介、桂木謙太郎の手引きで軍人夫婦の家へ養子に出される 「落日の門」 新潟の地主・根萩家に岳史誕生。母・ゑん死去 「家路」 根萩岳史、母の病の遺伝を恐られ、連隊の隣の廃院にスエとともに入れられる 大正6年 スエの夫・弥介、長女サワとともに入水自殺 大正14年 9歳の岳史とスエの間に根萩貞夫誕生 昭和4年 『菊浪』に滝本ヤス代誕生 「残菊」 昭和10年 初秋 桂木綾子、安田一義を訪ね、村橋との間の仲立ちを依頼 「火の密通」 晩秋 村橋暁介、桂木綾子と出会う 「落日の門」 末 スエ、安田に藤森の写真を渡す 「火の密通」 昭和11年 2月21日 村橋、安田によって襲撃計画から外される 「落日の門」 2月22日 綾子、村橋を訪ねる 2月25日 藤森、村橋に決行が今夜であることをほのめかす 安田保子、村橋を訪ねる。村橋、保子に手紙を託す 村橋、桂木邸を訪問。桂木謙太郎から真実を告げられ、発砲して逃走 村橋、連隊に安田を訪ね、もみ合いの末に撃たれる スエ、連隊に安田を訪ね、藤森に取り次ぎを求める 「火の密通」 2月26日 閣僚襲撃が決行される その数日後 安田、藤森ら逮捕 7月5日 安田、藤森ら事件の首謀者に死刑判決が下る 「夕かげろう」 7月7日 安田重希、保子に兄の死刑判決を告げる 7月8日 保子、重希とともに安田に面会。白扇で離縁の希望を伝える 綾子の母、藤森の母を名乗り藤森に面会 「火の密通」 7月10日 保子、再び安田に面会。離縁についての返事を得る。 「夕かげろう」 7月11日 綾子とその母、再び藤森に面会、真実を告げる 「火の密通」 重希、一人で安田と面会。位牌の日付を2月26日にしてほしいと頼まれる 7月12日 処刑当日。保子、梅吉を訪問後、自宅にて自害 「夕かげろう」 昭和12年 2月26日 重希、兄の墓の前で桂木綾子と出会う 「火の密通」 戦中 村橋、綾子と結婚。綾子、初夜の晩に村橋を刺す 「残菊」 昭和20年 終戦。スエ死去。岳史、貞夫と兄弟として再会 「家路」 昭和25,6年頃 ミネ(綾子)、反物の行商として『菊浪』に出入りし始める 「残菊」 昭和33年 2月26日 『菊浪』最終営業日。ミネ(綾子)、『菊浪』で安田重希と密会 昭和63年 根萩貞夫、68歳(実年齢63歳)で死去 「家路」 相関図 「残菊」の仮名との対照表 本名 「残菊」での仮名 村橋暁介 早瀬郷介 桂木綾子 芝木静子(ミネ) 桂木謙太郎 芝木敬太郎 安田一義 松田一継 安田保子 松田頼子 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/pikumayo/pages/35.html
1日 藤森朔夜 3日 ナージャ・アシュ 7日 ガルダ・ヴォルフラム 7日 日向真白 7日 ロザリー・カセレス 9日 ルーネ・リペライズ 10日 秋月陽菜 12日 幸村表裏 17日 梁雄柑矢 19日 アコニテ=ルー 20日 エミリオ=クラウディル 20日 月岡満蔵 20日 ニール・ラター 28日 橘華耶 29日 白鳥マリア 29日 ベティ=グロリア=カルディコット
https://w.atwiki.jp/dixa/pages/68.html
古典期アテネの政治と社会 古典期アテネの政治と社会 著:伊藤 貞夫 レポート作成に大変役立ちました ありがとうございます
https://w.atwiki.jp/jhs-rowa/pages/132.html
救われぬものに救いの手を ◆jN9It4nQEM 「人間とは浅ましい、醜い生き物だ」 ロベルト・ハイドンは両手を広げ、役者のように芝居がかった口調で言葉を紡ぐ。 自分の勝利以外は見えない、聞こえない。 最強の能力者という肩書きは伊達ではないと態度で物語っている。 まるで、神の如き振る舞いだ。その余裕たっぷりなロベルトを彼らはこう思うのだ。 「ハッ! ざけてんやないで!!!」 ――潰したいと! 「ふん、気に入らんな。人間というもの、一括りを醜いとぬかすか」 「いいオトコもたくさんいるのに失礼しちゃうわね」 佐野が手ぬぐいを鉄に変え、数本のブーメランを投擲。 ブーメランの群れは俊敏にロベルトを襲うが、彼は避けるまでもなくただ微笑むのみ。 理想を現実に変える能力によって、最強の鎧を身につけた今の自分は腕を振るだけで弾き返すことができる。 鉄だろうと神器だろうと、彼を貫くものは存在しない。弾かれたブーメランを一瞥もせずに口元を歪め、嘲笑う。 「手ぬぐいを鉄に変える能力だっけ? そんなちっぽけな能力で僕に傷が付けられると思わないでほしいな」 「ならば、更なる研鑽を持った一撃で崩すのみ!」 「……っ!?」 その最強の余裕からか、いつの間にかに接近していた真田に視線を合わせるのが遅れてしまった。 いやいや、おかしい。数秒間目をそらしていただけで離れていた距離がこうも縮まるはずがない。 迸る木刀を避けながら、ロベルトは必死に思考を重ねるが、真田の速さは一向に解明できない。 「崩せるものかっ! 君に何がわかる! 僕の苦しみはそんな簡単に消えるものじゃない! いつだってそうだ、人は超常の力を恐れる! 石を投げて、気持ち悪いと喚き散らす!」 「確かにそのような人間もいるかもしれん。だが、全ての人間がそうだとは限らん。 貴様に対しても、手を伸ばしてきた人はいるはずだ」 「戯言を! きっと内では打算ばかりのエゴしかない醜い存在なんだよ、人間は!」 真田の言葉を皮切りに、ふつふつと自分の中で憎しみが表に出始める。 人間は醜い、滅ぼすべきだと。彼の中の天界人の血が彼らの怨嗟に悲鳴を上げている。 「だから、殺す! 人間は滅ぶべきなんだよ!」 ロベルトは木刀を躱した瞬間、電光石火を足に装着し真田から距離を取った。 真田達と言葉を交わしていいると自分がわからなくなってしまう。故に、神器による殲滅を。 電光石火を解除して、掌に力を溜め、鉄を放とうとした瞬間。 「あら、アタシを忘れてないかしら?」 「ぐっ……!」 真田と佐野から離れたと思ったら今度は気持ち悪いオカマ男が背後に迫り、拳を彼の顔に叩きこんでいた。 顔面は服に覆われていない為に鈍い痛みが普通に通ってしまう。 次いで放たれる蹴りを後ろへと跳躍することで躱すが、間髪入れずに佐野がブーメランを投擲。 ロベルトは常に動かざるを得ない状況へと陥っていく。 押されている。最強であるロベルトが劣勢を強いられている。 それは、彼のプライドを逆なでするには十分すぎるぐらいに怒りと焦りを高まらせた。 (くそっ! くそっ! 何なんだよ!) 此処に至るまで、ロベルトは自分の能力に頼りながら戦ってきた。 それは、最強の能力に頼りきりの力任せの戦いであり、追い詰められた経験はほぼ皆無に等しい。 要するに、彼は戦闘経験が圧倒的に不足しているのだ。 持っている能力が最強であっても、使い手の経験が不足していれば宝の持ち腐れである。 「へっ、焦ってるんやないか? ロベルトォ!」 能力頼りにせず、自らの知能で能力者の闘いを勝ち抜いてきた佐野。 弛まぬ訓練を常に行うことで自らを高め続けてきた真田。 アウトローの集団に身を委ね、喧嘩に明け暮れて、バトル・ロワイアルという空間でも自分を見失わなかった月岡。 無敵とも言える能力に胡座をかいていたロベルトに全く敵わないということがあろうか! 「ふざけるなっ! 訳がわからないよ、お前らはそんなにも他人を信じられる訳はなんだ! どうして、簡単に背中を預けられる! ああ、おかしいんだよ、人間はもっと醜いはずなのに!」 汗ばむ額を服の袖で拭いながら、ロベルトは大きな声で叫ぶ。 おかしいのは僕じゃない、世界の方だ。彼らが狂っているんだ。 正義は此方にあり、決して人間を滅ぼすという選択肢は間違っていないはずなのに。 何故、彼らはこうも眩い輝きを見せつけてくれるのだろう。 「答えろ、答えてくれ! 君達は何を想って! 何を考えて! 人間を信じることができる!」 「ん? そんなん簡単やろ? 世の中そんなに捨てたもんじゃないって思っとるからや」 「しれたこと。世界は広い、姑息な輩も数多くいるが、それと同等に真っ直ぐな者達もいる。 少なくとも、俺が知っている中にいるからな。安心して、肩を並べられる」 「アタシもアナタと同じ人間不信みたいなものだったけどね。でも、イイ男ってのはやっぱいるもんなのよ。 惚れた男が皆真っ直ぐでかっこいいから、アタシにも手を差し伸べてくれるイケメンなのよねぇ。 なら、そんなイケメンな人達に少しでも近づきたいってのも乙女心なのよ」 「……いい男と背中を預けることに何の関係があるんや」 「関係大有りよォ~。そんなイケメンに尽くす乙女ってのも素敵じゃない?」 「よくわからんが、貴様は柱になるということでいいのだろう」 三者三様にロベルトの問いに答えを返す。 それは彼がこれまで出会ってきた人間とは違う真っ直ぐの瞳。 小さな頃、友達に裏切られて人間に絶望したロベルトにとってありえないもの。 だから、ロベルトはますます人間についてわからなくなってしまう。 彼らの言葉によって、彼の抱く人間を滅ぼすという願いに亀裂が入っていく。 何よりも願っていたはずなのに、ヒビが生まれている。 彼らの濁りのない意志がロベルトの心を徐々に解きほぐしていった。 「嘘だ、嘘だ! 僕の見てきた人間は醜くて、自分のことしか考えていなかった!」 「ちゃうやろ、ロベルト。その答えは間違っとる。それにな、人間っていうもんは変わろうと思えば変わっていくもんなんや」 「簡単に掌クルクル~って感じかしら? アタシも同じようなものだしねっ」 「たるんどる、男なら真っ直ぐといかんか! それに、貴様もだ。貴様が思う程、人間は浅ましくはない。 貴様の勝手な価値観だけで俺達を測るな。貴様の方こそ、見誤っているのではないか!」 弾かれる鉄槍とブーメラン、神器を出す隙間さえ与えない連続攻撃。 距離を取って放とうにも、真田が雷を思わせる光速で迫ってくる。 そして、真田を何とかやり過ごしても月岡か佐野が彼の意識を刈り取ろうと間合いに入る。 このままだと敗北してしまう。 最強であるはずの自分が人間相手に膝を屈してもいいのか? 否。まだ、終わりじゃない。 戦って人間を滅ぼすまで、ロベルトの歩みは止まってはならないのだから。 「違う、違うっっっっ! 人間は、滅ぼすべきなんだ! ああ、そうさ! もしも、人間が正しいというのなら! どうして! どうして……っ!」 ロベルトは認めない。真っ直ぐに立っている彼らを。 認めてしまったら、今まで自分が歩んできた道は何だったのか。 積み重ねてきた憎しみが全て無駄になってしまうのではないか。 そんなこと、彼は認めない、認めてなるものか。 考えれば考える程に、迷いの螺旋へと思考が落ちていく。 「あの時、僕を救けてくれなかったんだよ! 僕を救けてくれたのは同じ天界人である父さんだけだったのに!」 もはや今のロベルトになりふりを構う余裕はなかった。 そして、彼の口走っている言葉が理不尽な論調であることはロベルトにもわかっている。 彼らは自分とは違う国に住んでいて、助けることなんて不可能だった。 支離滅裂な論理、自分でも何を言っているのかわからない。 「僕はただ、普通に友達と暮らしてければ……満足だったのに」 思い浮かべるのは小さな頃。誰からも恐れられた自分に笑いかけてくれたごく一部の友達。 彼らは超常の力を持つ自分に対して、笑いかけてくれた。小さな手を取って街中を駆けまわったりもした。 楽しかった。 本当の友達だと思っていた。 彼らと一緒に過ごす時間はかけがえのないものだって感じていた。 「だけど、全部嘘だった。分かり合えることなんてない、僕を体の良い壁役のような扱いにしてたのが真実さ。 大人も子供も人間の誰も彼もが僕を忌避の目で見ていた。僕を僕として見てくれた人は誰もいない」 そんな刹那の楽園は偽りだった。結局、ロベルトは孤独だった。 あの時、差し伸べてくれた手は嘘だったのか? あの時、見せてくれた笑顔は打算しかなかったのか? その答えは今でもわからないけれど、人間を滅ぼすという願いは、その時から自分の全てとさえ感じられた。 だって、その願いは比類なきものだから。 ロベルトの根幹、今までを支えている心臓のようなものだから。 「僕は譲れない。譲ってたまるか。止めれるものか」 「……むっつりとニヤニヤ笑ってた前よかずっとわかりやすいで、今のお前。 その上で、俺の本心を言ったる。ふざけんなよ、馬鹿野郎ッ!」 「……っ!?」 「確かにお前は俺なんか考えもつかんような苦しい目にもあったんやろうな。 人間を憎んで滅ぼしたいって思えるぐらいに」 想いの弾丸全て吐き出したロベルトに対して、佐野は再び答えを返す。 佐野も能力者の闘いで色々な人間を見てきた。 ロベルト十団のように身勝手な願いを叶えようとした人間達だって多く見てきた。 彼の願いは理解できなくもないのだ。 だけど、理解できるが故に、否定する。 「人間は弱いんや。ロベルト、お前の言う通りクソみてーな奴等が多い。 せやけどな、人間皆がクソっていうんはおかしいやろ? その中には優しい奴だっておるんや」 ――お前が俺に思い出させてくれたんや、赤座。 彼女の優しさがあったからこそ、佐野はここにいる。 一つの選択肢が違っていれば、ロベルト側にいてもおかしくなかった佐野を、此方側へと戻してくれたあかりの意志に殉じる為に。 だからこそ。彼の側に立っていた可能性を孕んでいる佐野がロベルトを止めなければならない。 鏡写しの自分を救うことで、あかりの分まで笑顔を増やすことが、今の佐野が抱く願い。 「なぁ、ロベルト。意地張っとらんで素直になってみたらどうなんや? 救けてほしいなら救けてって言えばええ! 手を握ってほしいなら手を伸ばせばええ。 まー、伸ばさんでもな……その手、絶対に離さんぐらい強く握りしめたるけどなぁ!」 佐野は手ぬぐいの束を幾層のブーメランへと変化させ、投擲。 オールレンジから刃を疾走らせ、ロベルトの行動を封じる。 だが、その程度で封じられていたら最強は名乗れない。 疾走する刃を弾きながらも、ロベルトは能力を併用して鉄を放つ。 絶対命中を付加させた完全無欠の砲弾だ。 縦横無尽に駆ける砲弾が三人に命中し、地面へと縛り付ける。 「認め、ない! 僕は手を伸ばさない! 救いなんて、君達に頭を垂れるなんてするか!」 「あの、ねぇ、別にそんなことを、アタシ達は望んじゃいないわよ」 ゴホゴホと痛みに身を捩らせながら、月岡が立ち上がる。 ふらふらになりながらも、ロベルトの方をしっかりと見つめ、ゆっくりと言葉を放つ。 「アナタ、勘違いしてるわ。頭を垂れる必要なんてないの。 アタシ達は対等な関係。同じ学生でしょ? 馬鹿な夢を一緒に追いかける友達になろうって言ってるのよ」 月岡が髪を整え直しながらゆっくりとロベルトへと近寄っていく。 説得なんて柄じゃないし、自分でも馬鹿なことをしている自覚があるけれど。 「後ろ暗いこともあるでしょうけどね。それも含めてアナタなの。ね、手を伸ばしてみない?」 ――手塚クンならこうするわ。なら、アタシも同じ。 バロウとの闘いでも手塚は最後まで仲間と敵のことを案じていた。 自分の信念に従って、その生命が潰えるまで彼は彼のまま、真っ直ぐな姿勢で前を向いていた。 そんな姿に、月岡は憧れて今までの生き方を変えようと決意したのだから。 「やめろ、やめろ……! これ以上、僕に近づくなぁぁぁぁああああっ!」 だから、今度こそ。あの時、成し得なかった事をやってみせる。 例え、この身尽き果てようとも、惚れた男に並び立てる乙女へと。 眼前に見えるドリル状の突起――百鬼夜行が自分を貫こうとしても、その意志は変わらない。 (ごめんなさい、手塚クン……アタシもそっちに行くわ……) 数秒後に自分は死ぬ。それでも、後悔はない。 惚れた男と同じ道を歩めたならば本望だ。 しかし、百鬼夜行が貫いたのは月岡ではなく。 「ア、アナタっ」 (い、ったいなぁ……! 鉄板仕込んどいたはずなんやけど……こうも、簡単に貫かれるなんて、な) 佐野が寸前で月岡を突き飛ばし、代わりに百鬼夜行を受け止めていたのである。 腹部には鉄に変えた手ぬぐいを仕込んでいたのだが、鉄程度の防御で防げると思っていた佐野が甘かった。 百鬼夜行は鉄を貫き、胴体を貫通している。 きっと、自分は長くない。口から吐き出された血の量が死を予感させる。 「せや、けどっ! 今が、チャンスやで……武士兄ちゃんっ!」 佐野の途切れ途切れの声と同時に地を駆ける男が一人。 真田である。 月岡と佐野が注意を惹きつけている内に、ロベルトとの距離は縮まっていた。 そして、その速さは雷の如く。普通に疾走るのなど比にもならない。 遠距離ならともかく、接近すれば戦える。 真田は足に力を込め、更なる加速を身体に加えていく。 「ロベルトォォォォォオオオオ!!!!!!!」 「……っ! 来るなって、言ってるだろ!」 ロベルトは一旦、百鬼夜行を解除。そして、佐野へと向けていた掌を真田へと変える。 加えて、能力による絶対破砕、絶対命中の特性を付与し、鉄の弾丸を放つ。 如何に真田が雷を超える速さを持ち、未来予知を狂わせようとも弾丸の道筋は変わらない。 能力の通り、弾丸は確かに真田へとぶち当たる。 「この程度で、俺が止められる、ものかぁぁぁぁああああっ!!!」 しかし、真田は退かない。 鉄の衝撃で頭部からは血が流れ出し、両目が塞がれても。 手に持つ木刀が何処かに吹き飛んで、武器がなくなろうとも。 彼の両足はまだしっかりと力を伴っている。彼の両手はまだ、誰かの手を掴み取ることができる。 ならば、それでいい。この体が動く限り、真田弦一郎という男はどこまでも疾走るのだから。 そして、ロベルトとの距離が手と手を繋ぐことができるまでに縮め、真田はしっかりと両手で彼の肩を掴む。 鉄を受けたとは思えない、しっかりとした力が肩にかかる。 「何で、倒れないんだよ。血が、すごく出てるんだぞ?」 「しれたこと、其処に、俺が貫くべき想いがあるからだ。あいつらは貴様に手を伸ばすと言った。 ならば、俺も伸ばそう。やり直せる、同じ道を歩めると何度でも言ってやる。 それにだ、血が流れる程度で、俺は止まらんぞ?」 垂れ流れる血でロベルトの顔が見えないが、心の目ではしっかりと映る。 彼が泣いている姿が。もがき苦しみながらも手を伸ばそうかと躊躇する姿が。 どうも、自分は他人には厳しいつもりなのに肝心な所で甘くなってしまう。 手を伸ばし、一緒に歩めやしないかと考えてしまう。 「無理だ、無理だよ……僕はもう人を殺している。佐野君も直に死んでしまう。君達を散々に嬲ったのは僕なんだぞ!?」 「それでも! お前に手を伸ばす! 救いに来たぞ、と叫ぼう! まだ、間に合うと俺は信じる!」 「は。ははっ、馬鹿、じゃないの……」 「目の前で苦しむ者を救えるなら馬鹿でも構わん。俺はな……今からでも、共に歩めると信じているぞ。後は、貴様次第だ」 「僕、次第だって?」 「この手を取れ。貴様が、やり直したいと願うなら。もう一度、世界を広げたいと思ったなら」 「…………正直、人間はまだ好きにはなれない。滅ぼそうという考えは完全には捨てきれない。 だけど、君達みたいな人は信じてもいいかもしれない。ちょっとだけど、思ったんだ。 それでも、僕は君の手を取ってもいいのかい?」 「いいに決まってるだろう。人はいきなり変われん。少しずつ、世界を見ていけばいいさ。存外に貴様を包む世界は醜くもないぞ」 ニヤリと、口を釣り上げて笑う真田に、ロベルトは躊躇しながらも困ったように、薄っすらと微笑みを見せる。 「へっ。こうして見ると、ロベルトも普通の中学生やな」 「そうねぇ。でも、今の方が素敵よ? 押し殺していない分、彼らしさがとってもキュートで」 「……お前も、変わってんなぁ」 「ちょっと、乙女に向かって変わってるとは何よ、もう! それよりも、アナタは大丈夫なの?」 「大丈夫とは言えへん……はよ、出血を止めへんとな」 真田達が笑う姿を遠目で見ていた佐野達も釣られて笑い声を上げる。 たくさんの血を流し、あかりのような犠牲を生んだロベルトの襲撃だったけれど。伸ばした手は掴まれることなく、地に落ちたけれど。 最後に伸ばした手だけは掴み返してくれたじゃないか。 絶望ばかりの世界でも希望は存在すると立証できたじゃないか。 (やったで、赤座。俺はお前のようにやれたで……) これから先もこのようにうまくいくとは限らない。 今は四人全員五体満足で生きているが、の誰かが死ぬ可能性だって低くはない。 それでも、今は。今だけは、この充実感に身を委ねたい。 救われぬものに救いの手を伸ばせたことが、嬉しくて。 じれったい暑さを生み出している太陽が、自分達を祝福していると信じられた。 【C-6/ホテル内ロビー跡地/一日目・昼間】 【佐野清一郎@うえきの法則】 [状態]:ダメージ(大)、腹部脇貫通痕(応急処置をしないと死にます) [装備]:殺人日記@未来日記、月島狩人の犬@未来日記 [道具]:基本支給品一式、ロンギヌスの槍(仮)@ヱヴァンゲリヲン新劇場版 、手ぬぐいの詰まった箱@うえきの法則 基本行動方針:もう殺さない 1:休みたい、傷の手当をしたい。 2:赤座あかりの遺志を無駄にしない [備考] 殺人日記の日記所有者となったため、佐野の携帯電話が殺人日記になりました。 殺人日記を破壊されると死亡します。 『強くなりたい』という願望が芽生えつつあります。 月島狩人の犬は、ある程度の指示に従う模様。ただし飼育日記を介していないので、犬からの意思は伝わりません。 【真田弦一郎@テニスの王子様】 [状態]:ダメージ(大)、頭部出血(この影響で視界不明瞭) [装備]:木刀@GTO [道具]:基本支給品一式、不明支給品0~1、赤外線暗視スコープ@テニスの王子様 基本行動方針:殺し合いには乗らない。皆で這いあがる道を探す 1:ロベルトと共に這い上がる。 2:知り合いと合流する。特に赤也に関しては不安。 3:秋瀬或の『友人』に会えたら、伝言を伝える。 [備考] 手塚の遺言を受け取りました。 秋瀬或からデウスをめぐる殺し合いのことを聞きました。(ただし未来日記の存在や、天野雪輝をはじめ知人の具体的情報は教えられていません) 【月岡彰@バトルロワイアル】 [状態]:ダメージ(大) [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、不明支給品0~2、 警備ロボット@とある科学の超電磁砲、タバコ×3箱(1本消費)@現地調達 基本行動方針:アタシは――手塚クンの意思を継ぐわ 1:こういう熱い友情も素敵! 2:手塚の意思を汲み、越前リョーマ、跡部景吾、遠山金太郎、切原赤也と合流する。 3:桐山クンにはあんまり会いたくないわ…。 [備考] 秋瀬或からデウスをめぐる殺し合いのことを聞きました。(ただし未来日記の存在や、天野雪輝をはじめ知人の具体的情報は教えられていません) 【ロベルト・ハイドン@うえきの法則】 [状態]:神器十数発(寿命十数年分)消費 (新たに4年分消費)、全身に打撲と軽度の火傷、額から出血 [装備]: 衣服に能力発動(決して破損しない) [道具]:基本支給品一式、不明支給品(0~1) 、風紀委員の盾@とある科学の超電磁砲 基本行動方針:人を信じてみるのも、悪くないのかもしれない。 1:まだ、答えは出ないけれど……今は、人を信じてみたい。 [備考] ※参戦時期は、ドグラマンションに植木たちを招く直前です。 ※御手洗から浦飯幽助、桑原和真のことを簡単に聞きました。 ※何らかの理由で十ツ星神器“魔王”が出せないと知りました。(能力制限には気づいていません) [備考] ホテル内ロビーは半壊しました。 桐山和雄の支給品全ては、爆破により破壊されました。 飼育日記の犬は、一匹をのぞいて全滅しました。 真田達の足元に飛んできたロケット弾が炎を吹き散らすまでは、信じられたのだ。 「やっぱり、人間は……醜いじゃないか」 真田が咄嗟に伸ばした手は、空を掴むのみ。 血塗れの視界に存在するのは、爆発を一手に受けるロベルトの姿。 悔しそうに、悲しそうに。泣き笑いを見せるロベルトが最後にそっと囁いた言葉は、爆炎に消える。 これより先は、嘘に潰される希望の饗宴。 誰一人。救われることは、ない。 ###### 「…………ぁ」 地面から吹き出した灼炎の熱風が身体を焦がす。 余りにも突然のことで、真田は声が出なかった。 何故、自分は宙に浮いている? 爆風がいきなり来たのは? 宙から地面へと転がり、熱に焼かれた身体に衝撃が突き刺さる。 決して出すまいと思っていた苦悶の声が喉から漏れ出した。 「ロベ、ルト……月岡……っ、佐、野……」 立ち上がらなければ。爆発により即死しないだけ、奇跡的だ。 肉体が限界を越えようとも、前を向かなければ。 自分は救うと、這い上がると誓ったのだから。 仲間を護る、それが真田弦一郎が貫く意志。 真田は、横に転がっていた木刀を手探りで拾う。 そして、それを支えに、ふらふらになりながらも何とか立ち上がる。 見える世界は薄暗く、血で汚れた目はハッキリとした姿を映さない。 「何処、にいる! 生きてるなら返事をしろ!」 だが、この耳はまだ音を拾えている。 爆音で傷ついた現状でも、誰かの声を聞くことができるなら、十全だ。 「ゲホッ、コホッアタシ達『はっ! バーーーーーカ!!!!! お前以外全員ぶっ殺したってのォ!!!! 生きてるのはテメエだけだ! 悔しいか?? なぁなぁ、悔しいか???? 悔しいなら決めてみせろよ、仇討ちってもんをさぁ!!!!』……ちょっ!」 「貴様……貴様ぁぁぁぁあああああああぁぁぁああああああああああああっっっ!!!!」 ああ、聞こえた。確かにこの耳に届いたとも。 自分達を後ろから陥れた下手人の『声』が! 許せない、許せるものか。 やっと、ロベルトは人を信じようと思えたのだ。 救けて、と真田達に言えるようになったのだ。 それを横から割り込む無粋な真似をした下手人だけは、許せない。 「貴様だけは! 貴様、だけは――――! その根性、叩き斬る!!!!」 軋む足も、流れだす血も、火傷でかぶれた肌も、小さな雑音と下手人の大きな罵声も。 今は考えない。この時だけ、今この瞬間だけは。 真田弦一郎は刃を振るう鬼となろう。 ただ、この木刀で下手人を斬り捨てることを脳に刻む! 「動く、ことッ!!!! 雷霆の、如しぃいっ!!!!!!!」 本来、この技はテニスをする為に編み出した技だ。 奥義である『風林火陰山雷』は、誰かを傷つける技ではない。 暴力に使うなど、真田としても強い拒否感がある。 しかし、そのリミッターは下手人の嘲笑、爆発による深い怪我の影響で完全に外れている。 加えて、両目は血で汚れ、誰が誰であるか分別をつけることは不可能だ。 頼りになるのは下手人の罵声のみ。声以外で人を判断できる材料が、ない。 「この一撃に、沈め……っ!」 怒りで冷静さを失った真田は気づかない。 手に持った木刀を振るう先にいる人が――。 「待って、真田クン!!」 「…………な、に?」 ――月岡彰だということに。 だが、気づいた時にはもう手遅れだった。振るった木刀は速度を増し、月岡の腹部に吸い込まれていく。 ぐしゃりと、肉が潰れる音が響いた。声を上げることすらできず、血を吐きながら月岡は地面へと倒れこんだ。 血で赤く染まった視界に見えるのは血塗れで動かない月岡、悔しそうに顔を怒りに歪める佐野。 そして。 「ロベ、ルト」 真田を庇ったのだろう、もはや判別不可能にまで焼かれた顔と傷一つない服を身に付けたロベルトだった肉塊。 目に映る光景は、絶望だった。 這い上がることができない、地獄だった。 「――――――――!」 哭いた。声にならない大声で、哭いた。 謝罪した。何度も、何度も。声が枯れるまで。 仲間を殺してしまった自分が憎かった。 意思を貫くと言っておきながら、ただ場を掻き回しただけのこの身体を引き裂きたかった。 再び、爆炎に包まれ身体が焼かれようとも、叫び声を止めることはなかった。 死ぬ最後の瞬間まで。誰一人救えなかった両手を。殺人者でしかない血塗れの両手を。天に伸ばして。 真田弦一郎は哭き続けた。 「悪いな。ぶっちゃけると、こうするしかお前らは殺せなかったんだよ」 真っ直ぐの意志は、嘘に塗り潰される。 ###### 「この糞野郎が……! 正々堂々と戦えや……っ!」 深い傷を負っていた佐野は見ていることしかできなかった。 最初に真田達が爆炎に包まれて吹き飛んだ。 そして、ロベルトは真田を庇って爆発を一手に受けた。 この時点では佐野達も現状が掴めずにただ硬直していた。 しかし、二人はすぐに切り替える。 襲撃者が現れた。ならば、何とか二人を助け出し、逃げなければ。 そう思い、炎に濡れながらも何とか立ち上がった真田の元へと声をかけようとした瞬間。 「仕方ねぇだろ、俺は弱い。お前ら相手に真正面から戦うなんてできるかよ」 宗屋ヒデヨシが月岡に『声』を貼りつけたのだ。 佐野は知る由もないが、ヒデヨシが持つ能力は声を似顔絵に変える能力。 撹乱を主な使い道とするこの力は奇襲には打ってつけである。 現に、真田はこの声に騙されて、月岡に木刀を叩きつけたのだから。 意気消沈し、哭き続けていた真田をこのヒデヨシが止めとばかりにロケット弾を撃ちこんだ時、佐野は何も出来なかった。 仲間が死にゆくのを黙って見ているしかなかった。 「どこまでも、腐ってやがるなぁ……!」 「仕方ねぇだろ、これは救う為に必要な過程なんだ。ぶっちゃけ、俺だって本当は殺りたくなかった。 でも、こいつらは今殺しとかねぇと後々厄介だ。そうだろ? だから、戻ってきたんだ」 「ざけんなや……! んなことで殺されてたまるか!」 傷の手当をしていなかった佐野は起き上がることすらままならない。 肝心な時に何もできない自分に腹が立つ。 何故、もっと周りを見ていなかった。殺し合いなのだ、この場は。ヒデヨシみたいなゲス野郎がいることを、頭に入れなかった佐野達のミスだ。 とことん卑怯に狙い撃ってくるヒデヨシに佐野は歯を食いしばり、険しい視線を送る。 「……っ、ぁ」 「ん? まだ生きてるのか? 畜生、アレでもう終わったと思っていたのに……」 瞬間。今までびくりとも動かなかった月岡の体が微かに動く。 真田の『雷』だけでは死ななかったのか、ふるふると震えながら小さな呻き声を上げる。 それをみたヒデヨシが、真田の焼死体の近くに転がっているデイバッグを漁り、拳銃を取り出した。 そして、銃口が藻掻き苦しんでいる月岡へと向けられる。 「丁度いいもんを見つけたし、殺さないとな。全てをチャラにして、救わねぇと。やりたくねぇけど、やらねぇと。 ごめんな。後できっと救うから。俺か植木が優勝したら元通りになっからさ」 佐野は動かない身体に無理矢理力を入れ、這いながらもヒデヨシへと手を伸ばす。 これ以上、奪う必要なんてないはずだ。もう、自分達は戦えないはずだ。 だから、その銃口を納めてくれ。 「おい、待てや……! 待て、待つんやぁ!!!! やめろ!! やめ」 言葉の末まで、ヒデヨシは待ってくれなかった。 引き金かけられた指は引かれ、銃口から発射された弾丸は月岡の頭を粉々に打ち砕いた。 また、一人。目の前で仲間が死んだ。 数分前まで笑っていた空間が、今では自分とヒデヨシ以外は二度と動かない死の空間と化している。 「……俺は、なにも、護れへん、かった、のか?」 「佐野なら絶対に死なねぇと思ってたけど、やっぱ殺し合いなんだな……。 畜生、まさかこんなことになるなんてぶっちゃけ想像もしなかったぜ」 憎い。憎い。 今なら、憎しみだけで人を殺せると思うぐらいに脳が沸騰している。 (力を寄越せぇぇぇぇっ!! こいつを殺せるだけの力を! 俺に寄越せ! 許さへん、絶対に! 俺が、殺す! 強く、なりたいんや! 早く!) せめて、仲間の敵を討てるだけの能力を。 このペテン師を殺して、これ以上の被害を拡大させないだけの能力を。 『強くなりたい』という意志が、佐野の頭に充満した。 そして、その渇望が佐野の能力をレベル2へと押し上げる。 本人は気づきもしないが、彼の願いが強固なものとなって能力を変質させたのだ。 (戦え! 戦え! 俺と、戦えや! 謝っても許さん! 絶対に殺してやる! だから、こっち向けや! 俺の方を見ろや! ヒデヨシぃぃぃぃぃぃぃッッッ!!!) だが、その時は余りにも遅すぎた。 もう声も出せない程に、佐野は消耗していたのだから。 ロベルト戦から出血を止めずにいたツケが此処で回ってきたのだ。 意識こそあるが、身体はもう動かない。 もはや、憎しみの意識を抱くだけ。佐野の命は尽き果てている。 届かない憎しみと後悔の怨嗟を上げながら、孤独に死ぬ。 仲間を失い、思い出した優しさも消え去り、全てを奪われた佐野清一郎の最後は、嘘に潰される。 ###### 佐野清一郎が繋いだ道も。 真田弦一郎が貫いた意志も。 ロベルト・ハイドンが掴み取った世界も。 月岡彰が受け継いだ想いも。 あったはずの希望を踏み潰し、ヒデヨシは前を向く。 全てを殺し、全てを救う為に。 「間違ってねぇ、俺は間違ってねぇよ。全員救えるなら、こうする方が正しいんだ。 俺か植木が勝ち抜いた先にこそ、『正義』はあるんだから」 【佐野清一郎@うえきの法則 死亡】 【ロベルト・ハイドン@うえきの法則 死亡】 【真田弦一郎@テニスの王子様 死亡】 【月岡彰@バトルロワイアル 死亡】 【残り 26人】 【C-6/ホテル内ロビー跡地/一日目・昼間】 【宗屋ヒデヨシ@うえきの法則】 [状態]:冷静 [装備]:無差別日記@未来日記、パンツァーファウストIII(0/1)予備カートリッジ×2、コルトパイソン(5/6) 予備弾×30 [道具]:基本支給品一式(携帯電話は他に1機)、『無差別日記』契約の電話番号が書かれた紙@未来日記、不明支給品0~1 基本行動方針:植木か自分が優勝して 、神の力で全てをチャラにする 1:騙して、後ろから殺すことをメインに駆け回る。 [備考] 無差別日記と契約しました。 ※基本支給品一式×4、不明支給品0~3 、風紀委員の盾@とある科学の超電磁砲 警備ロボット@とある科学の超電磁砲、タバコ×3箱(1本消費)@現地調達、木刀@GTO 赤外線暗視スコープ@テニスの王子様、殺人日記@未来日記、月島狩人の犬@未来日記、 決して破損しない衣服、ロンギヌスの槍(仮)@ヱヴァンゲリヲン新劇場版 、 手ぬぐいの詰まった箱@うえきの法則がヒデヨシの近くに転がっています。 【パンツァーファウストIII】 宗屋ヒデヨシに支給。ドイツのデュナミトノーベル社が開発した携帯式対戦車擲弾発射器。 戦車を正面から撃破できる強力な貫通力を持ち、人員携帯型ロケット弾としては最大級の貫通力がある。取り扱いも簡単である。 【コルトパイソン】 真田弦一郎に支給。1955年にコルト社が「.357マグナム弾を発射できる」高級リボルバーである。 Back 100%中学生 投下順 悪魔にだって友情はあるんだ Back 100%中学生 時系列順 悪魔にだって友情はあるんだ しあわせギフト(後編) 宗屋ヒデヨシ 悪魔にだって友情はあるんだ しあわせギフト(後編) ロベルト・ハイドン GAME OVER しあわせギフト(後編) 佐野清一郎 GAME OVER しあわせギフト(後編) 真田弦一郎 GAME OVER しあわせギフト(後編) 月岡彰 GAME OVER
https://w.atwiki.jp/deruze/pages/157.html
笑う死神 C-3地区にひっそりと佇むバー。 そこに、日野貞夫は居た。 彼は、カウンターに置かれた小さなラジオから聞こえる音に耳を傾けている。 ラジオの中央部には、薄い赤色の光を放っている小さな鉱石がはめ込まれていた。 ――はめ込まれた石の名は「霊石」。 ――その正体は、死した者達の思念の塊。 ――ラジオの名は「霊石ラジオ」。 ――霊石に封じ込められた思念を開放する。 ラジオから流れるのは、耳障りなノイズのみ。 だが、日野がそれの電源を落とす気配はない。 まるで何かを待っているかのようだ。 ………しばらくして、ラジオは唐突に言葉を発し始めた。 ――嘆くように。 ――呻くように。 ――叫ぶように。 ……………モウ…………逃ゲラレナイ……… …………「サイレントヒル」…………… ………………新タナ「ルール」……… ………殺セ…………………殺セ………… ………裏切レ……奪エ………… ……滅セヨ……全テ………… …………帰レルノハ………一人……… ………ラジオから、何も聞こえなくなった。 日野は無言のままラジオの電源を落とす。 そして、ラジオのすぐ傍に置いておいた羊皮紙を手に取った。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ル ー ル 1. 殺 せ この街から生きて帰りたいのなら、皆殺して最後の一人になること。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 羊皮紙に書かれている事は、ラジオの音声とほぼ同じ、「殺し合い」に関する物だ。 そこに書かれたルールを確認し終わった直後に、日野は確信した。 この地に存在する者を殺せば脱出できる、と。 ラジオを学生鞄にしまい、出口に向かって歩き始めた。 武器として使用するであろうアイスピックも既に調達し終えている。 ここにはもう、用はない。 ……外に出る理由は当然、「狩り」を行なう為。 「人を殺し尽せば脱出できる」。 それはつまり、人殺しが許されているという事でもあるのだ。 殺し合い……あぁ、なんて素晴らしいのだろうか! 「…………ヒヒ……」 神に祈らなければならない…。 ――この「楽園」に連れてきてくれた事に! 「…………ヒャーハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!」 【C-3/バー内部/一日目夕方】 【日野貞夫@学校であった怖い話】 [状態]:健康 [装備]:学生服 [道具]:学生鞄(中身は不明)、アイスピック数本@現実、霊石ラジオ@零~赤い蝶~ 薄赤茶色に光る鉱石@オリジナル [思考・状況] 基本方針:殺人クラブ部長として、殺人を思う存分楽しむ。 1:皆殺し 【薄赤茶色に光る鉱石@オリジナル】 霊石の一種。 薄赤茶色の光を放っている。 霊石ラジオを使う事で霊の声を聞く事が可能。 声の主が誰なのかは不明。 back 目次へ next 見つからない 時系列順・目次 追跡者 見つからない 投下順・目次 サイレン一周目 back キャラ追跡表 next ― 日野貞夫 悪鬼がとおる
https://w.atwiki.jp/jhs-rowa/pages/51.html
Boy meets Girl and Gay ◆j1I31zelYA 「あらあら、タバコの自動販売機があるわ。前のプログラムと違って、気が効いてるじゃない」 海洋研究所の敷地に小さな喫煙スペースを見つけて、いそいそと腰を落ちつけた。 ふぅ、と人ごこちついたところで、背負っていたディパックを降ろす。 まずは、全ての参加者が等しくする行動――支給品の確認が待っていた。 二度目であるだけに、その行動を行おうという頭の切り替えは速い。 そう、『突然に殺し合いを強制されて、配られた支給品を確認する』という行為を一生のうちで経験する人などほとんどいないだろうけど、彼――もしくは彼女にとっては二回目だった。 「アタシ、死んだはずなのよねぇ……」 本人の記憶が正しければ、彼――月岡彰は、バトルロワイアルに巻き込まれて死んでいる。 死の記憶は、ごくあっさりとしたものだった。 というか、死を迎える一瞬前まで、彼は自分が死にかけていることにすら気づいていなかった。 くぐもったドン! という音。それが、最後に知覚していた全てだった。 記憶はそこでとぎれているが、きっと、首輪が爆破されて死んだということなのだろう。 「『神様の力』ってやつを使えば、死んだ人でも生き返らせることができるのかしら。 優勝の報酬は大きそうだし、見せしめで殺されちゃうコもいないし、前の『プログラム』よりは人道的かもしれないわねぇ」 『人道的な殺し合い』という言葉が、ちょっとおかしかった。 考えにふけりながらも、手を動かすことは忘れない。 ディパックの中を探ると、すべすべした金属のようなものにぶつかった。 拳銃ではないようだが、どうも平べったくて、つかむ部分が見当たらない。 思い切って、ディパックをひっくり返してみる。 食料やペットボトルがバラバラと転がり落ちて来ることを彰は予期したが、しかしそうはならなかった。 にゅっ 「きゃあっ」 どこ○もドアを取り出す、ネコ型ロボットの映像が近いかもしれない。 明らかにディパックには入りきらない大きさの円筒が、ディパックの口からするすると吐き出されたのだ。 「ゴミ箱……かしら」 銀色の光沢をはなつ、奇妙な円筒だった。 脚部には三つのタイヤが取り付けられ、上の方にはカメラのようなレンズ。 「武器じゃなさそうね。……他に色々と突っ込みどころもあるけど」 透明なレンズが、じっと彰を見つめている。 ……まぁ、使い道が分からないなら無視しよう。 「それにしても……ポケットに小銭ぐらいは持ち歩いておくんだったわね。せっかく眼の前にタバコがあるのに」 月岡彰は重度のヘビースモーカーである。 前回のバトルロワイアルでは、桐山和雄を尾行していたせいで自由に喫煙できなくて、苦しい想いをしたものだ。 その経験があるが為に、今回のバトルロワイアルでタバコの自動販売機を眼の前にして、抑えきれない喫煙欲が湧きあがりつつあった。 「……誰も見てないし、別に壊したっていいわよね。 殺し合いの会場なんだから、どう使ったっていいはずだし」 こういうお行儀の悪い真似はあんまり好きじゃないんだけど、と片足を振り抜き、 ――ガスッ! 渾身の蹴りを叩きつけると、面白いように自動販売機は震動した。 ぽろぽろと、受け取り口からタバコがこぼれだしてくる。 やった。案外簡単なのね。 ヴァージニア・メンソールがないのは残念だけど、と彰はタバコを拾い上げ、 ――ウーウーウーウー!! ウーウーウーウー!! 救急車のサイレンを攻撃的にやかましくしたような、甲高い音が一帯に響いた。 しかもその音は、彰に支給された円筒から発生しているのだった。 なに、この音。 緊急事態(エマージェンシー)ってやつ? 『自動販売機Dー3。不具合を確認。不具合を確認。器物損壊の疑いがあります。器物損壊の疑いがあります』 機械的な音声が状況を解説してくれる。 うーうー、とやかましいサイレンを鳴らして、ゴミ箱からにゅっと伸びるアーム。 すうっと前傾の姿勢になって攻撃態勢を取る。 その攻撃対象は、もちろん彰であるわけで、 彰は逃げた。 ロボットは追いかけて来る。 まるで宙に浮いているかのように、滑らかにスピーディーに地面を駆ける。 捕まったらどういうことになるのか。 それは分からないけど、良い予感はしなかった。 何の変哲もない円筒であるはずなのに、怖い。 言葉の通じなさそうなところが怖い。無駄に怖い。 「ちょ、ちょっと何なのよぉ~。確かに未成年の喫煙はいけないことだけどぉ~っ! それぐらい誰でもやってるじゃないっ!! 三村くんはスポーツマンだから吸わないけどっ!」 聞いてもいない好みの男性の特徴をまくしたてながら、逃げる。逃げる。 なんで生活必需品の調達をしていただけなのに、こんな支給品に追い回されなければならないのか。 ロボットは速い。振り切ることができない。 真夜中の研究所中庭を駆けながら、彰は焦った。 なにより、追尾するロボットのサイレンが問題だった。 静かな広い施設で、こんなけたたましい音を立てるものに追われて、目立たないわけがない。 もし、桐山和雄のような人物にこの音を聴きつけられたら――。 「ぎにゃぁぁぁ~っ!」 ほうら言わんこっちゃない。 やはり彰の他にも誰かが、この施設にいたのだ。 しかも悲鳴だった。前方から聞こえた。 パニックになった野良猫のような、奇声じみた悲鳴だった。 彼女も襲われている? だとしたら大・大・大ピンチだ。 殺し合いに乗った人間と、なぜだかロボットに挟み撃ちにされるなんて。 どうしよう。 どこかの建物に逃げ込むか。 それとも両者の中間点にある十字路で左右に折れるか。 前者を選ぶとしたら、向こうの襲撃者の顔くらいは確認したかった。 建物内を移動する最中にふいと出くわしたらたまらない。 街頭に照らされて、追われる方の少女の姿がくっきりする。 白いブラウスにネクタイ、チェックのスカートをはいた少女だった。 大人びた顔立ちにかかる、赤いフレームのメガネが薄暗い中でも目立った。 「そこのひとどいて~っ! もしくはコイツを代りに引き受けて~」 かなり酷いことを叫びながら、メガネ少女が近づいて来る。 そう言われても、彰にだって余裕はない。 余裕があれば助けたのかと問われると、たぶん助けなかったと思うけど。 そんな少女を襲っているのは誰だ。 彰は、その更に背後に目をこらした。 「ナフナフナファーッ!!」 『顔のついた果物』に、追いかけられていた。 バレーボールのような大きさに、彫りが深く刻まれた『顔』。 ガッチンガッチンと、鋭い牙を打ちならして迫って来る。 「はァ!?」 思考停止。 気づけば2人は十字路を同じ方向に曲がり、ロボットと『果物』から共に逃げていた。 「なになになんなのぉあれぇ~っ!?」 「知らないっ! ディパック開けたら出てきたの! って言うか、そっちこそあのロボット何ぃ~っ! くっそぉ、エヴァがあれば踏みつぶしてやるのにぃ~っ!」 後ろを振り返れば、ウーウー警報を鳴らすロボットとナフナフ吠える果物(?)が仲良く並走して追って来る。 これじゃあギャグ漫画のワンシーンじゃない、と彰は悪態をついていた。 そこに―― ――ひとつの影が、横切った。 青いジャージを着た、背の高い男だった。 彰たちと謎の生物の中間地点――彰たちを守るような位置にすっくと立つ。 ちょっとあなた、と彰は声をかけようとして、 ひゅん 素振りみたいな動きで、男が『何か』を振った。 とてもキレイな動きだった。何かの球技をやっている人なのだろうか。 スポッ そして、男に突撃しようとしていたロボットと果物は、消えた。 手品のように、ぱっと消失していた。 男は振り抜いたその手に、支給されたディパックをぶらさげていた。 ああ、そうか。 ディパックからにゅるっと出て来たのだから、ディパックに戻してしまえばよかったんだ。 実に鮮やかな手際だった。 あまりにも単純な、しかし鮮やかな手際に、彰は思わず見惚れてしまう。 隣の少女も、似たような塩梅でへたりこんでいた。 そんな2人に、男は堂々と無警戒に近づいて来た。 「お前たち、大丈夫か?」 まぁ、本来なら『危険人物ではなさそうだ』と安心したり、あるいは『この男は本当に安全な人物か?』と疑ったりするところ。 しかしこの時、彰が思ったのは、 (あら、いい男。 三村クンみたいにキザなタイプじゃないけど、なかなかのイケメンだわ) というものだった。 ◆ どうしてこうなった。 支給品を確認しようとしただけなのに、どうしてその支給品に襲われなければならないのか。 そんな理不尽な想いで逃走していたところを、通りすがりのメガネの男に助けられて、しばらく後。 マリと助けてくれた男ともう一人の男――というかオカマは、総合研究棟の受付裏側の、ちょっと人目にとまりにくいスペースで話し合いをしていた。 殺し合いの真っ最中に、偶然出会ってすぐに話し合いに移行する3人の男女。 本当なら、不審とか不信がありそうな場面だけれど、あまりそういうのはなかった。 人間には、空気を読むスキルというものがある。 あれだけ気恥ずかしくバタバタした後に、『さぁオレが生きる為に死んでくれ』などとシリアスに言いだす者がいたら、そいつはよっぽど度胸がある奴に違いない。 少なくとも、気まずさに耐えきれるという意味で。 そういうわけなので、話題は自然と『さっきのアレは何だったんだ』というところから始まった。 答えは、マリのディパックの中にあった。 「あった。説明書はっけーん」 「まずそっちを読んでから支給品を出しなさいよ」 オカマちゃん――月岡彰というらしい、の突っ込みが飛んでくる。 「だって、ディパックをごそごそしてたら怒って飛び出してきたんだもん」 そこにはこう書かれていた。 『眠れる果実(スリーピング・フルーツ) 天界の限られた島に自生している果物。 眠られているところを起こされると、凶暴化する。 ディパックに入っている間は眠っているので、他の荷物を荒らされる心配はありません』 えーと……これで『説明』をしたつもりなんでしょうか。この説明書は。 それを読んだ三人の間に、しばらく沈黙が流れる。 「“天界”とは何だ?」 当然の、しかし言い出しにくい疑問を口に出したのは、手塚国光だった。 「天界って言われてもねぇ……」 「言われてもにゃあ……」 答えなど持ちようがなく、三人はこれを『常識外の産物』として片付けた。 そしてもうひとつの『常識外の産物』。 こちらに説明書はなかった。ただ、円筒のてっぺんにラベルが貼ってあった。 『学園都市の警備ロボット』と書かれていた。 「説明不十分だな」 「こういうのにこそ説明書が必要じゃない。だいたい『学園都市』ってどこよ」 「こんなハイテクなロボット、ユーロでも第三新東京市でも見たことないね」 「「『第三新東京市』?」」 こうして、他の2人が『第三新東京市を知らない』ということが分かってしまったわけで。 しばらく、喧々諤々の常識議論が行われることになった。 その結果、分かったのは『全員、住んでいる常識がバラバラだ』ということ。 まず、手塚と月岡の住んでいる日本では、『セカンドインパクト』が起こっていない。 海も青いまま。 だから首都は東京のままだし、エヴァも当然存在しない。 信じがたい話だが、そんな世界に生まれなくてよかったとマリは思う。 エヴァがないなんて。 ここで、月岡彰の住む『日本』が、『大東亜共和国』という国名になっていることも公開された。 国勢がどうも色々違うらしいけど、そういうのはすっ飛ばして。 学生である彰にとっての重大事は『プログラム』という『戦闘シュミレーション』の存在であるらしい。 そこでは、まさに今この場でマリたちがやらされているような『殺し合い』を、なんと中学のクラス単位でやらされるらしいのだ。 今しているように支給品を配られて、今と同じように首に首輪をつけられて。 なんちゅー国家だ。 月岡は、そのプログラムに巻き込まれた最中から、ここに連れて来られたらしい。 「確かにあたしは首輪を爆発させられて死んだはずなのよね。 本当に、どうしてこんなところに来てるのかしら……あ、ちなみにアタシはその時ひとりも殺してないから。本当よ。信じてね」 ……死んだはずなのに生き返ってるって。 これ以上、頭が痛くなる事実を増やさないでほしい。 一方で手塚国光の世界には、どちらも無かった。 セカンドインパクトも起こらなければ、大東亜政府の独裁もない。 それだけ聞いたところでは、一番に平凡で平和な世界だ。 そこで彼は、毎日いかにも青春らしく部活動に精を出していたのだという。 ただし、ある意味で一番の驚愕をもたらす事実が待っていた。 「「部活……って、手塚さん、学生だったの!?」」 「中学生だ……」 これが一番、信じられなかったかもしれない。 そういうたくさんの事実が一度に判明してしまった。 これが信じられないなら、3人のうち少なくとも2人には、重度の空想癖か妄想璧があることになってしまう。 『セカンドインパクトの起こらなかった日本』とは……。 もしかしてもしかして、『いわゆるパラレルワールドってやつ?』と感じ取りながらも、それを言い出すのには勇気がいった。 いやいやそんなSFみたいな、という内心の声が聞こえるせいだろう。 それは、他の2人にとっても同じだと思う。 『知識』として『情報』を獲得したが、それを『受け入れる』となると時間が必要。 そんな感じの認識なのだった。 「それで? 手塚くんたちはこれからどうするつもりなのかにゃ?」 問いかけてみると、手塚のきっぱりした即答が返って来た。 「さきほど挙げた仲間を探す。越前以外は他校の生徒だが、それなりに付き合いは深い。 どいつも殺し合いに乗るような連中ではないからな。 ……そう言えば、お前たちに知り合いはいないのか?」 「いないねぇ。こちとら、第三新東京に越してきたばっかりだし。 もしかしたら来てるかもって人には心当たりあるけど、わたし、その子の名前知らないし」 使徒から東京を守るエヴァンゲリオンに乗っているパイロットだというのは、一応伏せる。 仮にも、ユーロからこっそり密入国した身分なのだ。世界が違うかもしれないとはいえ、隠しておいた方がいいと思った。 「アタシはクラスメイトが何人か参加してるかな。 でも、そんなに付き合い良い方じゃなかったから、そんな深く知ってる仲じゃないわよ。 手塚くんみたいにきっぱり信頼できるとか言えないわ。 一応、仲良しグループのリーダーだった桐山クンってかっこいいい男の子がいるんだけど……」 月岡は妙に女っぽい仕草で、そっけなく肩をすくめてみせた。 「顔を合わせづらいのよねぇ~。アタシ、前のプログラムでその桐山くんに殺されちゃったから」 これにはさすがに、二人ともかける言葉を持たなかった。 桐山くんに会ったら逃げた方がいいわよ。あたしもあんまり会いたくないし、と付け加える。 「これからのことか……そうね。アタシは手塚クンと一緒に行っていい? さっきの情報交換で、もっと情報が必要だって分かったし。手を組んだ方が生き残るのに有利そうだしね」 「ああ。こちらは別にかまわないが」 「うん、そっか。情報提供ありがとね。じゃあわたしも行くわ」 必要最低限のことは聞けた。 マリはすっくと立ち上がった。 「真希波、どこへ?」 「こう、皆でつるむのってキャラじゃないんだよね。 今までだって大人たちの間に混じって、人には言えない事をやってきたしさ。 わたしは一人で動く方が、性に合ってるかなって。」 「しかし、一人きりで行動するのは危険だぞ」 「別に、スタンドプレーに走ろうっていうわけじゃないよ。 手塚クンたちには探してる仲間がいるんでしょ。途中でそういう知り合いに会ったら、キミのことを教えてあげる。 こっからだと、北の山と南に行くルートがあるから、アタシは北の方に行ってみるよ。 二手に分かれて探した方が効率的でしょ? 違う?」 我ながら正論だった。手塚もこれには反論できないでいる。 しかし、それでも渋い顔をしたままだ。ひょっとしたら、これが地顔なのかもしれないけど。 やはり男2人、女1人というチーム分けは、男子として良心の呵責を感じるのだろう。 「行かせてあげればいいんじゃないの?」 もう1人の男――正確にはオカマちゃんが、助け舟を出してくれた。 「アタシも不良グループにいたから分かるけど、一匹オオカミになった方が逆に落ちつけるって人はいるものよ。 それに、一人でいたって三人でいたって、危ない時は危ないわ。遠くから一方的に狙撃される場合だってあるし」 やはり、経験者の言葉には重みがある。 「それに、こういうサバイバルだと、男よりオンナの方が有利だったりするのよ。女の子の方が基礎体力があるもの」 ……オカマちゃんに言われると、説得力があるようなないような。 しかし、一人の方が落ちつくというのも、けっこう当てはまるところがあった。 マリは、基本的に戦うことが好きだ。 別に人殺しは好きではないけど、使徒と戦う時などは、けっこう戦闘狂というか、イッちゃった状態になっているらしい。客観視はできないのだが。 別に、『戦う時の顔』になるのが嫌ではない。それに、見られるのが嫌でもないのだ。 ただ、自分の中にそういう『本性』があるとなると、やっぱりそれを知られた時の対応に困るというか、 あるいはチームプレイには慣れていないというか……胸の中に、もぞもぞと面妖なざわめきが発生してしまう。 ようするに、ただでさえ慣れない環境にいるのだから、これ以上慣れないことを背負いたくはないというマイペースが心底にあった。 ……だからといって、1人でどうしようというアテがあるわけでもないのだが。 いや、アテと言えないが『気にかかること』ならあった。 第10使徒と交戦した時に出会った、エヴァパイロットのはずの男の子。 エヴァに乗りたくないと胸がしめつけられるような顔で言っていたのが、不思議と興味をひかれた。 もしかしたら、彼が呼ばれているかもしれない。 そういう予感があった。 でも、外見だけしか分からない。 そもそもここにいるのかすら、分からない。 そもそも、友人でも何でもない。二回ほど会話を交わした程度の関係だ。 そんな、限りなく縁の薄い人間を探すのに、手塚たちの手を煩わせるわけにいかないというのが、もうひとつの大きな理由。 「どうしてもというなら、止めることはできないな……。なら、せめて集合場所を決めておけ」 「第三放送の時間に、病院ってことでいいんじゃない? あんまりすぐ集合すると、地図の端に行ってたりしたら帰って来るのが面倒になるし。 怪我して病院から動けない間に集合時間が来て……ってこともあるかもしれないし」 「おーけー!」 手塚もどうにか折れた。 「それじゃあね~。月岡くんたちも、頑張って生き残ろうね!」 「もっちろん! アタシだって死ぬ気はないわよ~。まだまだ生きてやりたいこといっぱいあるんだもん」 「おー! こっちだって死ぬつもりはないぜ!」 オンナ同士(?)で高らかに激励を交わす。 名残りを惜しむのも手早くすませ、マリは広がる夜空の下へと出た。 1人で見上げる夜空は、広い。 第三新東京で、一人で双眼鏡片手に見上げていた青空を思い出した。 そう、あの時も1人の時間だった。 「殺しいあいかー、まいったな……でも、できるだけのことはするしかないよね」 戦うことは大好きだし、痛いのだってある意味楽しめる。 でも、人を殺したりするのは趣味じゃない。 だけど、だからって流されるままじっとしてても、何も動かない。 いじけていたって、何も解決しない。 たとえエヴァがなくたって自分らしく、適当にやってみるしかないんだろう。 いつもどおり、好戦的に打たれづよく、それでいてほどほどにズルくいい加減に、立ちまわって生き延びて生還してみせる。 「しっあわっせは~ あ~るいてこ~ないっ だ~から あ~るいて、ゆっくんっだね~」 そうだ、歩いて行かなきゃ。 どこにたどり着くのか分からなくても、歩かなきゃ。 歩くのを止めたら、きっと幸せにはたどり着けないんだ。 【D-4/海洋研究所付近/一日目・深夜】 【真希波・マリ・イラストリアス@エヴァンゲリオン新劇場版】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、不明支給品0~2、 眠れる果実(スリーピングフルーツ)@うえきの法則 基本行動方針:生還してまたエヴァに乗る。 1:北の方に行ってみようかな。 2:気分の向くままに行動。とりあえず、自分から人を殺すことはしない。 3:エヴァのパイロットだった男の子が来ているのか気になる。 4:越前、跡部、真田、切原、遠山に会ったら、手塚のことを伝える。第三放送時に病院で集合。 5:桐山和雄には警戒。 [備考] ※参戦時期は、二号機の中でシンジと会話を交わした直後です。 ※手塚国光、月岡彰と簡単な情報交換を行いました。互いの世界と知り合いをおおざっぱに把握しています。(ただし碇シンジのことは教えていません) ◆ そうだ、生きてやりたいことはいっぱいある。 ……一度死んだのに生き意地が汚いとか、言わないでね。 前回で死んだ時は、それこそあっという間に終わっていたのだから。 死を実感する暇などなかった。 だから、二度目の死を受け入れるつもりもない。 「さて、オレたちもそろそろ移動すべきだな。この海洋研究所は見ていない場所も多いが、どうする?」 「アレだけ走りまわったんだから、誰かいたら見に来てるんじゃない? もう他に人はいないと思うわよ」 「それもそうだな。なら真希波に言われたとおり、南方の施設から探していこう」 淡々と予定を語る手塚を、彰はほれぼれと見ていた。 こんな状況でも顔色ひとつ変えないポーカーフェイスに、『こいつなら何かやってくれるんじゃないか』という感じで滲み出るオーラ。 彰は父親の仕事の関係上、『できる大人』と接する機会が多い。 桐山和雄のように、独特の『カリスマ』を持つ人間を見抜く目は、同年代の少年よりはるかに発達していた。 だから手塚国光という中学生に、かなりの高評価をつける。 桐山和雄レベルとはいかないが、他の桐山ファミリー――沼井充や笹川竜平たち――などよりは、よほど使える人材と思えた。 しかも、基本的に仲間思いで責任感も強そうだ。 生き延びる上では、それなりに優秀なパートナーになるだろう。 オンナとして(そう、女として)男を見る眼とは別の眼で、彰はそういう損得勘定もしっかりと計算していた。 優勝候補筆頭の桐山和雄を尾行し、最後に桐山だけを殺して優勝するという、シンプルで単純な方法は失敗した。 それは、彰が桐山のことをまだまだ舐めていたからだ。そこは反省しよう。 そして、その簡単な方法が使えないとしたら、今度はどういう方法を取るか。 だったら、徒党を組んで他人と協調した方がいい。 その方が、生き延びる確率はむしろ上がる。 別に、積極的に殺し合わなくても生き残ることはできるのだ。 以前にも『バトルロワイアル』に参加した彰は、それを知っている。 桐山和雄やその他の乗ったクラスメイトのように、必ず何人かは殺し合いに乗った人間が現れる。 月岡彰1人が積極的に乗らなくても、放送で名前は呼ばれていくことだろう。 それに彰は、自分から手を汚すようなことを好まない。 倫理と言う意味ではなく、美学という意味で。 ただし、自分から襲われた場合、殺さなきゃ死んでしまう場合は別だ。 その『殺さなきゃいけない場合』が来た時の躊躇は、人よりずっと少ないかもしれないけど。 (だから『殺さなきゃいけない時』が来るまでは、よろしくねっ、手塚くん……) 月岡彰は『生き残る為に有利だから』、仲間を作るという選択をした。 嘘はついていない。 それはつまり、手塚と組んでいる間も、『生き残るのに有利になるように』動くということだ。 そんな彰の真意を知らず、手塚は呑気なことを真面目に言った。 「そう言えば、研究施設らしく、あちこちにアナウンスがあったな。だとしたら、放送室で呼びかけてみるのはどうだろう。 これだけの広さがある施設なら、外にもある程度聞こえるだろうから、人を呼べるかもしれな――」 「だめーっ! それはダメよ、手塚クン。ダメ、絶対」 「なぜだ?」 「前の『プログラム』で拡声器を使った人が、酷いことになったから」 【D-4/海洋研究所前/一日目・深夜】 【手塚国光@テニスの王子様】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、不明支給品1~3 基本行動方針:殺し合いには乗らずに脱出。 1:そうなのか……。 2:気のせいか? 月岡からやけに視線を感じる……。 3:月岡と共に海洋研究所以南を探索。第三放送時に病院で真希波と待ち合わせ。 4:越前、および他校生との合流。 5:桐山和雄には警戒。 [備考] ※月岡彰、真希波・マリと、簡単な情報交換を行いました。互いの世界と知り合いを、おおざっぱに把握しています。 【月岡彰@バトルロワイアル】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、不明支給品0~2、 警備ロボット@とある科学の超電磁砲、タバコ×3箱@現地調達 基本行動方針:生き残る。 1:ここは経験者として、ちゃんと注意しなくちゃね。 2:手塚クン、老け顔だけどなかなかカッコいいじゃない。 3:手塚クンと共に海洋研究所以南を探索。 4:桐山クンにはあんまり会いたくないわ…。 [備考] ※手塚国光、真希波・マリと、簡単な情報交換を行いました。互いの世界と知り合いを、おおざっぱに把握しています。 【警備ロボット@とある科学の超電磁砲】 月岡彰に支給。 自動販売機の破壊を見過ごせない学園都市の忠臣。 警備員(アンチスキル)に狙撃の際の遮蔽物として扱われていたり、銀行強盗の現行犯に向かって行ったりと、意外と出番は多い。 本来は学園都市のコンピュータによって制御されているはずなのだが、 このロワではどこから電波を受けて動いているのか不明。 【眠れる果実(スリーピングフルーツ)@うえきの法則】 真希波・マリ・イラストリアスに支給。 天界の“眠れる果実島”に自生している果物。 大きさはバレーボールサイズほど。 眠りから起こされると凶暴化し、鋭い牙をむいてどこまでも追いかける。 このロワでは、ディパックの中にしまわれている限りは眠っている。 ディパックから取り出してすぐに敵に投げつければ、相手を襲う武器として使えなくもない…? Back 神様ゲーム 投下順 Mole Town Prisoner Back 神様ゲーム 時系列順 Mole Town Prisoner START 月岡彰 Lonesome Diamond START 真希波・マリ・イラストリアス とある七人の接触交戦【エンカウント】(前編) START 手塚国光 Lonesome Diamond
https://w.atwiki.jp/spas/pages/537.html
新潟県をお気に入りに追加 順不同 五頭温泉郷 今板温泉 六日町温泉 出湯温泉 咲花温泉 塩の湯温泉 姫川温泉 山北ゆり花温泉 岩室温泉 広田温泉 弥彦温泉 月岡温泉 村杉温泉 松之山温泉 池の平温泉 湯之谷温泉郷 湯田上温泉 瀬波温泉 焼山温泉 燕温泉 笹倉温泉 蒲原温泉 蓬平温泉 蓮華温泉 西谷温泉 貝掛温泉 赤倉温泉 越後湯沢温泉 越後長野温泉 関温泉 雨飾温泉 鵜の浜温泉 ページ先頭へ
https://w.atwiki.jp/jojoson/pages/160.html
※更新した際は、更新報告ページまで連絡お願いします。 ●目次● ●追加用テンプレ● 空条承太郎 ⇔ 【空条承太郎~vocal on~】 承太郎の頬も染めてみた 承太郎のテーマ作ってみた(ジョジョ) 撲殺天使承太郎ちゃん(歌詞のみ) (MAD?)飛ベ!イギー「ハートを止めるっきゃねえ」(替え歌歌詞つき) 『ラフ・メイカー(Ver.承太郎)』作ってみた 『恋心/KOI-GOKORO(Ver.承)』作ってみた 【思いついて】 おしえておじいちゃん ver.3部 【作ってみた】 NEXT STAGE スタープラチナ ⇔ 【スタープラチナ~vocal on~】 【ジョジョMAD】グレートプラチナ【歌ってみて】 承太郎、DIO ⇔ 【承太郎、DIO~vocal on~】 承太郎とDIOは因縁の戦いに決着をつけていきました エジプトの少年ジョジョ-歌なしver.- 承太郎、花京院 ⇔ 【承太郎、花京院~vocal on~】 『くだらない唄(Ver.花+承)』作ってみた ジョセフ ⇔ 【ジョセフ~vocal on~】 ハーミットおじいちゃん(コンピューターおばあちゃん ジョジョ) ハーミットおじいちゃん カラオケ版 【ABYSS】Arkでジョジョ三部作ってみた【歌詞のみ】 わしにはマゴとムスメだけ(ジョジョ3部 歌詞のみ) 空条貞夫 Just the only name ~3部?貞夫さんのための替え歌~ 追加用テンプレ 新しい動画を追加する際は編集ページを開いて、以下の『』内をコピペしてご使用ください。 『|【動画の名前】 nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) |【動画の名前】 nicovideoエラー ( 正しい動画URLを入力してください. ) |』
https://w.atwiki.jp/yhe_00975/pages/18.html
(無題) -- ?月岡 彩? 2006-10-22 22 52 17 ぉ久しぶりです?今度練習見に行きますね??? どうしても、教えてほしいやつが2名います。どうか、彩の技術を見せてやってください。【みておぼえるのが一番なので】 -- みや (2006-10-23 12 35 33) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/fullgenre/pages/147.html
バトルロワイアルからの支給品 ベレッタM92F 銭形警部に支給 9mm口径の半自動拳銃。 原作では三村信史に支給された。 防弾チョッキ 蒼星石に支給 ベスト状の身体防護服。 原作では織田敏憲に支給された。 イングラムM10 瀬田宗次郎に支給 軍用サブマシンガン。 漫画版では桐山和雄に支給された。 織田のバイオリン 千草貴子に支給 織田敏憲のバイオリン。 S&W M10 杉下右京に支給 38口径の回転式拳銃。 S&W社を代表する名銃である。 シアン化カリウム+外れ武器三点セット 亀山薫 に支給 『特別付録・シアン化カリウム』というラベルシールの貼られた透明の袋に入った毒薬。 毒薬の存在を隠すための外れ支給品が他に3つも付いてきた。 付いてきたのは三味線糸、小型液晶テレビ入りポテチ、タオル。 三味線糸 亀山薫に支給 シアン化カリウムに付いてきたハズレ支給品。 農作業用の鎌 水銀燈に支給 普通の鎌。 コルトパイソン 桐山和雄に支給 357マグナム弾を使用する回転式拳銃。 鉈 レイ・ラングレンに支給 普通の鉈。ひぐらしの鉈とは何の関係も無い。 軽トラック ストレイト・クーガーに支給 普通の軽トラ。 三村信史特性爆弾セット 泉こなたに支給 名前通り三村信史が作中で使用した爆弾+α。 内容は爆弾、台車、滑車、タコ糸、ガムテープ、ゴミ袋、ボイスコンバーター、ロープ三百メートル 爆弾以外の道具は、信史がプログラムのある施設に爆弾を投下しよう集めた物。 ちなみにボイスコンバーターとは、パーティーなどで使用される変声用のスプレーのことである。 バージニア・メンソール ストレイト・クーガーに支給 ヅキこと月岡彰が愛用するタバコ。 一箱二十本入りでZIPPOライターとセットで5箱支給。 主に女性向けの銘柄として売られている。 レミントン・デリンジャー 次元大介が警察署内で発見。 原作では月岡彰に支給された銃。 作中の描写通り非常に小さく携帯性に優れるが、ニ発しか装填することができない。