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-人間組使用可能原曲- +博麗霊夢 永夜の報い ~ Imperishable Night 少女綺想曲 ~ Capriccio 春色小径 ~ Colorful Path 二色蓮花蝶 ~ Ancients +霧雨魔理沙 永夜の報い ~ Imperishable Night 恋色マスタースパーク オリエンタルダークフライト 恋色マジック ルーズレイン メイガスナイト +十六夜咲夜 メイドと血の懐中時計 月時計 ~ ルナ・ダイアル フラワリングナイト +東風谷早苗 少女が見た日本の原風景 信仰は儚き人間の為に +稗田阿求 ジャパニーズサーガ 阿礼の子供 +宇佐見蓮子 少女秘封倶楽部 月の妖鳥、化猫の幻 +マエリベリー・ハーン 少女秘封倶楽部 月の妖鳥、化猫の幻 魔術師メリー +綿月豊姫 綿月のスペルカード ~ Lunatic Blue +綿月依姫 綿月のスペルカード ~ Lunatic Blue +比那名居天子 有頂天変 ~ Wonderful Heaven +八意永琳 ヴォヤージュ1969 千年幻想郷 ~ History of the Moon ヴォヤージュ1970 +蓬莱山輝夜 ヴォヤージュ1969 竹取飛翔 ~ Lunatic Princess ヴォヤージュ1970 +藤原妹紅 エクステンドアッシュ ~ 蓬莱人 月まで届け、不死の煙 +魂魄妖夢 東方妖々夢 ~ Ancient Temple 広有射怪鳥事 ~ Till When? +上白沢慧音 懐かしき東方の血 ~ Old World プレインエイジア +パチュリー・ノーレッジ ラクトガール ~ 少女密室 +アリス・マーガトロイド ブクレシュティの人形師 人形裁判 ~ 人の形弄びし少女 the Grimoire of Alice +聖白蓮 法界の火 感情の摩天楼 ~ Cosmic Mind +秋静葉 人恋し神様 ~ Romantic Fall +秋穣子 稲田姫様に叱られるから +鍵山雛 厄神様の通り道 ~ Dark Road 運命のダークサイド +八坂神奈子 御柱の墓場 ~ Grave of Being 神さびた古戦場 ~ Suwa Foughten Field +洩矢諏訪子 明日ハレの日、ケの昨日 ネイティブフェイス +西行寺幽々子 アルティメットトゥルース 幽雅に咲かせ、墨染の桜 ~ Border of Life ボーダーオブライフ +プリズムリバー三姉妹/ルナサ・メルラン・リリカ 幽霊楽団 ~ Phantom Ensemble +村紗水蜜 幽霊客船の時空を越えた旅 キャプテン・ムラサ +河城にとり 神々が恋した幻想郷 芥川龍之介の河童 ~ Candid Friend +伊吹萃香 御伽の国の鬼が島 ~ Missing Power 砕月 +星熊勇儀 旧地獄街道を行く 華のさかづき大江山 +小野塚小町 彼岸帰航 ~ Riverside View +四季映姫・ヤマザナドゥ 六十年目の東方裁判 ~ Fate of Sixty Years +その他の曲 萃夢想 夏明き 永夜抄 ~ Eastern Night. 月見草 Eternal Dream 東方妖怪小町 封印されし神々 麓の神社 神は恵みの雨を降らす ~ Sylphid Dream 緋想天 幼心地の有頂天 空に浮かぶ物体X 君はあの影を見たか 悠久の蒸気機関 戻る
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Natural☆High サークル:Natural☆High Number Track Name Arranger Lyrics Vocal Original Works Original Tune Length 01 青空を舞う龍の影 n@gi - - 東方星蓮船 青空の影 [-- --] 02 曼珠沙華 n@gi りか りか 蓮台野夜行 月の妖鳥、化猫の幻 [-- --] 03 幻想ブン屋 綾 綾 りか 東方文花帖 風神少女 [-- --] 04 幻想の舞踏 ゆうり ゆうり りか 東方紅魔郷 亡き王女の為のセプテット [-- --] 05 未確認破壊少女 n@gi りか りか 東方紅魔郷 U.N.オーエンは彼女なのか? [-- --] 詳細 コミックマーケット77(2009/12/30)にて頒布 イベント価格:?円 ショップ価格:なし レビュー 名前 コメント
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『マエリベリー・ハーン』 【?】?-? ??????? ―――私は星を見ていた。 廃れた石段から仰ぐ満点の星空は、地平線から天頂にかけて光の砂粒のように広がっている。 光害のない澄んだ空気の空に広がる星の海を見ていると、日常の悩みしがらみなんかすっかり忘れてしまいそう。 持参してきた温かいお茶を水筒の容器に注ぐと、コポコポと小気味良い音と共に湯気が立ち昇った。 フーフーと息を吹きかけ、少し冷ます。私はちょっぴり猫舌なの。 チラリと腕時計に目をやる。いつかの誕生日記念に親友から贈られた大切な時計だ。 針は23時32分を過ぎたところで、私はいつもの事だと分かっていながらもいつも通りの溜息を吐く。 そんな私の姿を見計らったかのタイミングで、この静かな空間に似つかわしくない露骨な足音と聞き慣れた元気溌剌な声が響いた。 「やー遅れちゃったよ、メンゴメンゴ! 今日は2分19秒の遅刻かな?」 神社の石段の下から駆け上がってきたのは、我が親友であり相棒でもある宇佐見蓮子のバイタリティー溢れる姿。 トレードマークであるいつもの黒い帽子と赤いネクタイに、今日はマフラーとカーディガンを着こなしてのスタイルだ。 蓮子と待ち合わせをすると毎回私が彼女を待つ羽目になるのはもはや秘封倶楽部の風物詩であり、今夜もやっぱり私はこの寒空の下で体を擦りながら暇を潰すことになった。 「あのね蓮子、人がシャーベットアイスになりそうな気温の中待ってたっていうのに、第一声がその台詞なの?」 「だから謝ったじゃないー。お詫びにさ、ホラ! シャーベットじゃないけどアイス買ってきたんだ。一緒に食べようよ」 とても反省しているようには見えない態度で蓮子は私にストロベリーのカップアイスを手渡した。 大晦日の深夜、この寒空の下で私は何故コンビニアイスを食べなくっちゃあいけないのだろう。せめて体が温まる物をお土産に選んで欲しかった。 「寒いからこそのアイスじゃないの」とは蓮子の弁。わからないでもないけど、この仕打ちはあんまりよね。 大体、時間が正確にわかる能力を持ってるクセに、そのうえで遅刻するとは宝の持ち腐れとしか言えない。 そろそろわざとやってるんじゃないかと思えてきた。 「まぁまぁ、せっかくの年越しなんだしいつまでもむくれてるとキュートなお顔が台無しだゾ♪」 ちょっぴりムカついたのでほっぺをひっぱたいてやろうかという思考が過ぎったけど、それはやめにしてアイスの蓋を顔面に投げ付けてやった。 好物のストロベリー味といえど真冬に食べるのはやっぱりふさわしくない。せっかくだから頂くけど。 …あ、美味しい。 「あはは。メリーったらわかりやすいよねー。じゃ、私も頂きますか! 横失礼~」 袋からバニラアイスとついでにお酒を取り出しながら蓮子は私の隣に腰掛けた。 それから、私たちは何も言わずお互い同時に空を見上げた。 数瞬の静寂。 今日は12月31日。大晦日だ。 この場所は都心から少し外れた場所にある、寂れた神社の境内。 長い長い石段を上がった先にある、私たち2人だけが知ってる秘密のスポット。 眼下には都会の人工光群。真上には自然の光輝。人工と自然の境目に位置するこの場所は私のお気に入りだった。 石階段を一段一段上がるたびに有像と混沌から解き放たれ、朧気で虚ろな境界線へと踏み込んでいくこの感覚。 だからなのか、この場所は『結界』の紐がゆるい。 この世のどこかであり、どこでもない世界に近しい場所。 そんな魅力的な土地で私と蓮子は、毎年正月を迎える。 「これから毎年ここで年を越そうよ!」そう言い始めたのは確か蓮子の方からだったかな。 それからは毎年この場所にお互い集まって、夢を語ったり、次に行くオカルトスポットなんかを決めたり、安物のお酒を呑み交わしたりするようになった。 今年も終わりが近づいて、いつもの様にこの場所へと赴いて。 いつもと同じ様に蓮子が遅刻して。 いつもの同じ様な会話をして。 いつもと同じ様に笑い合って。 ―――あれ? いつもと同じなはずなのに、いつもとは何かが違う『違和感』。 どうしてだろう? だって今蓮子としているこの会話もいつもと同じ普通の会話なのに。 お昼にカフェで食べたフルーツパフェの話だとか、蓮子と一緒に行ったハーブティのお店の話だとか。 全部いつも通り。大学のカフェで蓮子と話すような内容と何ひとつ変わらないのに。 だってこの後、きっと蓮子はいつも通りのくだらない話をしだすわ。 昨日はそんなに呑んでいないはずなのに妙に頭がズキズキするだとか、本当にどうでもいい話をきっとしだす。 あれ? どうして私は蓮子がこの後話し出す内容がわかっちゃったのかしら? …そうだ。『違和感』の正体はこれよ。 さっきから私は、蓮子と会話する内容がなんとなくわかっちゃってるんだ。 次に行くオカルトスポットの場所も、明日の初詣はどうするかっていう内容も、全部、ぜーんぶ私にはわかってる。 あらかじめ未来の記憶を刷り込まされたような、デジャヴ…みたいな感覚? だから、私の目の前で喋り続ける蓮子は次にきっとこう言うわ。 「……うぅ、頭痛い。おっかしいなぁ、昨日はそんなに呑んでいないはずなのに」 私の予想通り、蓮子が頭を押さえながらぼやいた。 ああ、そうか。これはもしかしなくても、夢なんだ。 そろそろ年も移り変わろうかという間際になって、私は驚くほど素直にその認識を受け入れた。 そうよ、これは夢。全て私の幻想なんだわ。 だってそうじゃなきゃ説明が付かないんだもの。 私の右手にいつの間にかあの『白楼剣』が握られているなんて。 直後に、ガチャンと空にヒビが入った。 世界から急速に色が失われ始めていく。 夜空の光も。眼下の喧騒も。目の前の蓮子からも。 世界がモノクロに混ざり、『ねずみ色』の境目へと吸い込まれていく。 カランカランと、握っていた白楼剣が音を立てて落ちてしまった。 「ねぇメリーどうしたの? 顔色悪いわよ、あなたも二日酔い?」 気付けば私の体は汗でグッショリ濡れていた。 俯く私を、蓮子が心配そうに覗き込んでいる。 私は…私はこの場所を知っている! このねずみ色の世界を知っている! 「…メリー。具合が優れないようなら少し眠る? 私の膝を貸しても良いよ、返すなら」 冗談じゃないわ。この寒空の下で眠ったらそれこそ二度と起きられない。何言ってるの蓮子。 「それもそうね。じゃあそろそろ『起きる』? こんな世界、つまんないでしょう?」 ……? 『起きる』ですって? 本当に何を言い出すのよ蓮子。 ……あぁそうよね。やっぱりここは夢の世界なんだ。 でも、やっぱり私はこの場所を知っているわ。 白黒テレビ色の竹林。表情が真っ黒いシルエットに覆われたポルナレフさん。彼の額に潜むドス黒い『芽』。 私は、またしてもこの世界に放り込まれている。このままだと… 「そうね。このままだとメリーが目覚めなくなっちゃうわね。 だったらさ……『こっち』に来なよ、メリー。抗うことなんてないわよ。 『なるようにしかならない』という力には無理に逆らっちゃ駄目なんだから」 口に微笑を掲げた蓮子が、蹲る私を見下しながら手を差し伸べている。 思わずその手を取りそうになった。 どこかで除夜の鐘が鳴り響いている。 視界の端に映った腕時計の針は、零時を回っていた。 「Happy New year! おめでとうメリー! そして Happy New world! 『新たな世界』よ! こっちへおいでよメリー!」 いつかどこかで聞いたことがある、そんな言葉だった。 どこだろう……? どこで聞いたんだっけ…… 視界がグルングルンと揺れる。 虚無の星空が私をジッと見つめていた。 あまりの居心地の悪さに、私は蓮子の手を取ろうと腕を伸ばし―― カタン 右手が地面に転がっていた白楼剣に触れた。 「さぁ、目を覚ますのよ 夢は現実に変わるもの 夢の世界を現実に変えるのよ。 ……そうでしょう、メリー?」 私の友達―――宇佐見蓮子の言葉が、脳内を駆け巡る。 軋む頭で、私は無意識に白楼剣を拾い上げた。 「なんなら、試しにその剣で私の『芽』を貫いてみる…? 私、メリーになら何されてもいい か も 」 そう言って蓮子は帽子を脱ぎ捨て、その綺麗な髪を私の前にさらけ出した。 蓮子の瞳は、いまやなんの光も映さない真っ黒な虚無に纏われている。 彼女の両手が私の肩を掴んで離さない。私は生まれて初めて、蓮子の事を『怖い』と感じてしまった。 蓮子の瞳に吸い込まれそうな感覚に陥る。 ダメだ。私は彼女に抗えない。彼女の世界を、壊せない。 いつの間にか私の頬には雫が伝わっていた。 なんで…? 蓮子の事が怖いから? ううん、違うわ。私はきっと――― 「嬉しいわメリー。私のために泣いてくれてるの? 私だって…泣きたいぐらい嬉しいんだよ? だって貴方とまた生きて出会うことが出来たんだもの!」 え…? 本当、に…? 貴方も、私のために涙を流してくれるの? 「あ…あぁ…! 蓮子…っ! 蓮子ぉ…! 私…っ、わたしも…嬉しいの! 蓮子に、ずっと会いたかった…! 生きて……また貴方と話したかったの……っ!」 「うん……メリー。私もだよ。私もずっとメリーとこうして話したかったんだよ? もう離さないわ。メリー。貴方だけは……二度と誰にも 渡 さ な い 」 カラン カラン カランカラン カラン 指からすり落ちていくように、白楼剣が石段の下まで転げ落ちていく。 でも、そんなことはもうどうだっていいの。 だって、こうしてまた蓮子と再会出来たんだもの! あぁ…ありがとう……! 神様がいるのなら、本当にありがとう! ひどく涙を流しながら私たちは、互いに抱擁し合った。 さっきは蓮子の事を怖いなんて思ったはずなのに、今ではむしろ何よりも愛おしく感じた。 蓮子の髪の匂いがスゥ…と鼻腔をくすぐる。蓮子の腕が私の背中を強く抱きしめる。 そして私の意識は 黒く、深い深淵の底に堕ちていった。 幻想なんかじゃない。これこそが、幸福という名の現なんだ。 ―――最後にそんなことを思いながら、私の意識はそこで暗転した。 男のけたたましい雄叫びがほんの僅かに聴こえた、気がした。 ★ ★ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ★ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ Chapter.1 『銀屑のはぐれ星』 『ジャン・ピエール・ポルナレフ』 【早朝】D-6 迷いの竹林 「本当に、君たちには申し訳ないことをしてしまった。 頭を下げて赦されるものではないとは分かっているが、この罪を償えるものならなんだってしよう」 白銀の戦士、ジャン・ピエール・ポルナレフは物堅い謝罪と共に、この場の全員に向けて深く頭を下げた。 彼の目の前にはつい先刻、激しい争闘を繰り広げた相手らが様々な胸中を抱えながら黙して見据える。 西行寺幽々子は似合わぬ厳格の表情で、彼の下げた頭頂を凝視しており、 稗田阿求は幽々子の後ろに隠れるようにして、多少不安かつ怯えの色を見せており、 豊聡耳神子は瞳を閉じ、腕を組んだまま動かず、 ジャイロ・ツェペリは彼らとは少し距離を置いた位置の木の幹に身体を預け、 マエリベリー・ハーンは地面に膝を落とし、何やら形容し難い表情で彼を見つめており、 その傍らの地面の下にはツェペリの亡骸が既に埋まっていた。 ―――沈思黙考。 深い深い静寂の中、ポルナレフはただジッと頭を下げ続けた。 その場にいる誰もが言葉を発することを淀ませる。 無理もない話だ。ポルナレフはついさっきまで彼らを追い詰めていた敵。 幽々子の全身を刻み付け、瀕死状態にまで至らせ。 その凶刃は結果的にツェペリの命までをも奪い。 様々な修羅と偶然を突き抜け、尊い犠牲を出しながらの苦しい勝利。 そんな死闘を演じ合った相手が昏睡から醒めた途端、のうのうと謝っているのだ。 無論、それは本来のポルナレフの意するところではなく、彼の額に巣食っていた邪悪の根源『肉の芽』による支配だという事などは全員理解もしていた。 真の悪は背後で糸を操っていた『DIO』であり、ポルナレフこそ被害者であったことに些かの間違いも無い。 そんなことはわかっている。わかっているが、誰しもがその事実を割り切れない。 ポルナレフは確かに、ツェペリという一粒の光明を潰してしまったのだ。その事実に善心も悪意も関係ない。 特に…ツェペリを心の拠り所として大きく信頼していたメリーの喪失の痛みたるや、計り知れないものであった。 今でこそ気持ちは落ち着いているものの、彼を喪った直後は消沈して塞ぎこみ、心が安定するのに幾分の時間を必要としたほど。 この数時間で起こった悲劇は、只の少女であるメリーには重すぎた。 (……当然の帰結だ。これも全ては俺の心が未熟だったせい。DIOの恐怖に屈服した俺という『負け犬』が起こした惨劇……) ―――赦される、筈もない。 頭を垂らしたままグッと唇を噛み締めて、ポルナレフは心の奥底から悔いた。 先刻の戦いから暫くの時が経ち、昏睡から目を覚ましたポルナレフは彼ら5人と真の意味で対峙する。 意識を覚醒させた時には既に、偽りの剣と正しき拳を交えた相手はこの世から去っていた。 亡骸は土に埋められ、愛用していたハットをそっと置き伏せただけの、簡素な墓。 目の前にある其れを、ポルナレフは直視できなかった。 支配されていた間の記憶は、存在していた。間違いなく、己が手をかけたのだ。 状況を全て理解した途端、頭を鈍器で殴られたような重い衝撃が走った。 自分は何ということをしてしまったのだ。 悔しさと罪悪感で心が濁っていく。唯一の救いは、幽々子と呼ばれた淑女の命があったことだろう。 彼女にも大変なことをしてしまった。自分の信じてきた『騎士道精神』が、音をたてて崩れ去っていくようだった。 弱き心が引き起こした惨事に、こうしてただひたすらと頭を下げるのみの自分に腹を立て、情けなく、無様だと感じた。 それでも、もしそんな愚かな自分が赦されたのならば。 あわよくば、せめて彼ら彼女らをこの先、護ってあげたい。 自分の信じてきた『騎士道精神』を、もう一度だけ自分自身に信じさせてほしいと、心から願う。 実に都合の良い、希望的観測。 ありえない。ふざけてる。手前勝手甚だしい。 なんだ、俺は結局自分のことしか考えてないじゃないか。 何が騎士道精神。何が護ってあげたい、だ。 つまるところ俺はこれまで培ってきた騎士道を裏切りたくないから、正当化したいがために彼らを護りたいだのと宣っているんだ。 そんな独り善がりな気持ちで彼らに……ツェペリさんに赦してもらおうなどとは、エゴが過ぎるぜ…。 ―――やはりこのポルナレフ……彼らとは共に居られない。このまま潔く去り、せめてあのDIOを討って自決するとしよう。 それが俺なりのケジメ。せめてもの『贖罪』って奴、だな……。 ガサリと、草の根を踏む音が耳に聞こえた。 足取りは重く、小鹿のように朦朧とした間隔でこちらに迫る。 顔を伏せたままのポルナレフに小さな影が落ちた。 「顔を上げてください、ポルナレフさん」 メリーの果敢無げな声が、ポルナレフの脳を僅かに揺らす。 怒り、非難……そんな咎のような感情などではなく。 ほんの些々たる励の意が、その言葉には確かに混じっていた。 「……『勇気を持ち、自分の可能性を信じてほしい』。これはツェペリさんが亡くなる間際に遺してくれた言葉です。 あなたは今、己の罪に苛まれ、苦しんでいるのでしょう。DIOに利用され、ただ言われるがままに私達を襲ってしまった。 きっと本来のポルナレフさんはとても気高く、誇り持った男の人なんだと伺えます。 それだけに、今の自分が許せない。赦されてはいけない。だから悔やんでいる。 もしかしたら……ツェペリさんの死をこの場の誰よりも悲しんでいるのは、ポルナレフさんなのかもしれません」 ツェペリの死を、ポルナレフが悲しんでいる。 それはいかにも的を射た発言で、それ故にポルナレフは困惑した。 さっき会ったばかりの、ろくすっぽ会話もしたこと無いような少女に内心を見抜かれていることに。 ポルナレフは思わず面食らったような表情でメリーを見上げる。 「すごく…わかったような事を言っているのだと思います。私にはあなたの気持ちが理解出来る、なんてとても言えません。 ですが私はあなたが、ここに居る誰よりも『正しいことの白』の中に居るということが、よくわかるんです。 ……どうか、『立ち上がる勇気』を持ってください。あなたにはまだ、たくさんの『可能性』があると思います」 メリーが無意識の内に侵入したポルナレフの肉の芽の『境目』の世界。 そこで彼女が見たものはモノクロの竹林の、『白』のポルナレフ。そして『黒』のDIO。 あまりにもドス黒く邪悪に彩られたDIOの黒は、正しき白のポルナレフを喰らい尽くすように覆ってしまった。 その直前に見たポルナレフの顔はシルエットのように黒く塗りつぶされていて表情がわからなかったが、 今になって思えばメリーには彼が泣いているかのようにも見えたのだ。 「ああ。この人の心は本当に優しい精神をしていて、きっと正しい人間なんだわ」などと一瞬のうちに思いもしたが、それ以上の思考は直後に現われたDIOが許さなかった。 その一瞬の狭間に感じたメリーの予感は、『境目を観測できる力』を持つ彼女にとって真にリアルな感情で彼女に痛感させた。 ポルナレフの意識下に精神を置いたメリーだったが故に、彼が持つ本来の心…いわば『黄金の精神』がメリーの心にも直接伝わったのだ。 そんなメリーがこれ以上、ポルナレフを咎める筈もなく。 「ポルナレフさん。あなたは幽々子さんの胡蝶の弾幕を、恐れることなく飛び越えてきました。それは『勇気』です。 そしてあなたはまだ生きているじゃないですか。生きるということは、それだけで大きな『可能性』…なんだと私は思います」 ツェペリの掲げた『勇気』と『可能性』は確かにポルナレフの精神にも燻ることなく存在していた。 「まぁ、そのどちらも私には欠けているんですけどね」とメリーは一言付け加える。 そんなことはない。そんなわけが、なかった。 幽々子が倒れたあの時、メリーは白楼剣を握り締め全力で立ち向かったではないか。 それが勇気と言わずして何だ。彼女は、恐怖しながらもなお自分の信じられる可能性を突き進んだのではないのか。 メリーの足が一歩近づき、その手がポルナレフの目の前に差し向けられる。 「一緒に『立ち向かい』ましょう。私もポルナレフさんも、きっとまだまだ『途中』なのだと思います。 ツェペリさんの生き方を受け継いで、これがその最初の一歩。私達には、あなたの力が必要です」 メリーから差し出された右手を目にし、静かに果てていくだけだったポルナレフの心の奥から何かが込み上げる。 彼女は笑っていた。 拠り所を失ったばかりなのに、彼女はポルナレフを必要だと言ってくれたのだ。 内心に宿っていた動揺がスゥ…と氷解していく。 自分がこの10年間で積み上げてきた剣は、精神は、今確かに必要とされていた。 思えば妹を殺されたあの日から、ポルナレフは常に孤独であった。 妹の無念を晴らすべく、ただそのためのみに己の精神を磨き上げてきた。 辛いと感じたことは、ある。 その度に孤独に磨り減らされた心が、復讐心を糧に燃え上がった。 怨毒の鎖に絡まれた心の行き着く先に、平穏など無いと理解もしていた。 仇敵に然るべき報復を与えた後に、自分を受け入れてくれる居場所など最早ありはしないと、覚悟もしていた。 ポルナレフには、真の意味での友も仲間も持ち得ることが出来なかったのだ。 「俺…は……、必要とされている、のか…? こんな俺にも、居場所があって…いいのか…?」 その呟きはすぐに霧散しそうなほどにか細く口から漏れた。 メリーの手を取るものか、未だ迷いはある。 だが、彼の眼には仄かな『光』が灯り始めているようだった。 その時、それまでは黙して語ることは無かった西行寺幽々子がすくりと立ち上がった。 まるで重力など存在しないようなフワフワした足取りで彼女はメリーの横に立ち、ポンとその手をメリーの肩に添える。 「Mr. ポルナレフ? 貴方にとっても二度目の講演になるのだけど」と前置きし、彼女はいつものようにあっけらかんとした口ぶりで語り始めた。 「人間って困難に衝突した時、二つの選択肢があると思うの。『立ち向かう』か『立ち止まる』かの二択ね」 幽々子が語り始めた内容は、かつてツェペリがポルナレフに向けて放った主張。 DIOの支配を受けていたポルナレフの記憶にも、彼の勇猛たる弁はしっかり張り付いている。 「で、貴方って確か妹さん?の仇を討つ為に今までを生きてきたって言ってたわね。 これから言うことは決して貴方の生き方を侮辱するわけでも否定するわけでも無い」 彼女が今から何を言おうとしているのか、ポルナレフには何となくわかってしまった。 何も初めてではない。こんな理屈は今までに何度も人から諭されてきたのだから。 それを予感してなお、ポルナレフは幽々子の語りを聞き入れる。 彼女が纏う不思議な空気はなんというか、人を穏やかな気持ちにさせてくれるのだ。 「妹さんの無念を晴らすためにひたすら剣を磨いてきた。おそらく1年や2年なんてものではない日々、それのみに没頭したのでしょう。 でも復讐の心に駆られたところで、貴方の魂は永遠に休まることは無い。確実に地獄行きね」 亡霊の姫である私が言うと説得力あるでしょ?などと彼女はおちゃらけて付け加える。 そんな冗句を無視し、ポルナレフは視線を鋭く変えて言い放った。 「……俺に復讐をやめろって言うんなら、残念だがお姫様。そんな台詞は耳にタコが出来るぐれーに聞いたぜ」 「いえいえまさか。復讐上等。仇討上等よ。心に怨み辛みを遺したまま死なれても厄介な悪霊と化すだけ。 それならばいっそスカッと無念を晴らし、心の蟠りも柵もぜーんぶ斎戒させた方が後世のためにもなるわ。 ―――でも、それは果たしてツェペリの言ったような『人間賛歌』を謳歌することになるのかしらね?」 「……煙に巻くような言い回しはやめて、そろそろハッキリ言って貰いたい」 「ええ言うわ。そんなんじゃあ貴方、永遠に『立ち止まった』まんまよ。DIOと一緒。 宝の持ち腐れとはこのことね。剣が泣いてるわ」 幽々子の言い草はどこか飄々としていたが、その言葉は確かにポルナレフの心を強く揺さぶった。 まるで死んだツェペリが彼女の口を借りて叱っているようだった。 これにはポルナレフも怒気を強めて反論する。 「俺に、どうしろと言うのだ…! 唯一の肉親である妹は辱めを受けて殺された! この無念を…俺は誰に向ければいいッ!? 俺は何処に向かって『立ち向かえ』ばいいッ!? 俺の剣は何のためにあるのだッ!!」 「貴方の剣は弱き者たちを護る為にあるのよ、ポルナレフ」 実に簡単な事のように幽々子は答を出した。 あまりにも自然に、緩やかな口調で返されたのでポルナレフも一瞬言葉に詰まる。 「貴方はきっと、これまでの人生を孤独と共に過ごしてきたのでしょう。 多分、その剣で誰かを護るなんて考えもしなかったんじゃないかしら? だったら私が貴方の剣に意義を…『生命』を与えてやるわ。もう一度言うわね」 ―――貴方の剣、私たちの為に使って貰います。貴方の居場所は、今日からここよ。 その亡霊姫の言葉は、これまで孤独に生きてきたポルナレフにとっては大きく意味のある言葉となった。 思えば、姿すら知らない仇を仮想の敵と見定め、何年も何年もひたすらに剣を振ってきた。 その年月の中で、意思の在る相手とも剣を交わした経験は当然ある。 だがその剣先は結局、何処とも向けられることなく虚空に浮くのみであったのだ。 自分の振るう剣に意義があるとすれば、それは憎しみの相手を斬り刻んだその瞬間だけ。 それはつまり、自身の写し身である『銀の戦車』に意義など在って無いようなものなのだ。 ポルナレフは時々、そんなことを思うようになっていた。 今日まで。今のこの瞬間まで。 だがそんな孤独を、メリーと幽々子は言葉一つでいとも容易く振り払ってくれた。 内側から錆びかけていた剣に、矜持と居場所を与えてくれた。 ポルナレフの胸中は号泣していた。絶叫していた。感動していた。 自尊心からか、その感情を面に出すことはどうにか抑えた。女の前で泣くなどという事は、彼は恥だと思っているからだ。 感動のあまり顔を俯けるポルナレフに対して、幽々子は更に語る。 「貴方…自分の『プライド』を護る為には痛みを避けないタイプでしょう? 誇り高い殿方は好きだけど、でも躍起になっちゃダメ。貴方はきっと、さっきまでこう考えていた。 『自分の犯した罪の贖罪、それはDIOを討ち取ることで初めて達成される』……ひょっとして相討ちにでもなるつもりだったんじゃない?」 そうだ。それは確かに幽々子の指摘通りだった。 もしもポルナレフがこの場の誰からも拒絶され赦しを得ることが出来なかったのなら、せめて諸悪の根源DIOをひとりででも倒し、その後は自決するつもりだったのだ。 しかしその図星を気取られる訳にもいかなかった。男として、これ以上情けないところを剥がされたくないという思いもあった。 だがポルナレフのその最終防壁は意外な角度から攻撃された。 これまで目を瞑って押し黙っていた豊聡耳神子が、突拍子なく腕を解いて沈黙を破ってきたのだ。 「君の無機質的な欲は最初から聴こえていたわ、ポルナレフ。 『こんな自分が赦される筈も無い』『この無念はDIOを倒して初めて浄化される』……とね」 「……アンタは?」 「豊聡耳神子。西洋人には馴染みの無い名前だろうけど、ただの高名な宗教家よ」 「……成るほど。それで、アンタは俺に一体何を説いてくれるんだ?」 「君の自己犠牲溢れる心には道徳家としても一理無くは無いけど、一言だけ言わせて貰う。 今の君がひとりだと考えるのは間違いよ。君の事を思っている人がこの世に誰もいないと考えるのは違う。 君は既に私の仲間。マエリベリーや幽々子の仲間なんだから。勿論、阿求とかもね」 「えっ! ……あ、そ、そうですよ、ポルナレフさん! あなたの剣はとても頼りになります、から……?」 いきなり笑顔で話を振られた阿求は、しどろもどろになりながらも何とか言葉を捻り出した。 阿求の本音としては、ツェペリに手を下したポルナレフについては、やはりまだ多少の恐怖心は残っていた。 だが、それすらもこの太子様には見抜かれている上で理解を求められているのだと、阿求は抵抗を諦める。 阿求自身の選択は今なお『感情』よりも『理性』を取らざるを得なかったのだ。 そんな彼女の内なる葛藤に気付いてか気付かずか、神子は意味深な笑みを作りながら話を戻す。 「―――まっ! そーいう事よ、ポルナレフ。 『得る』ために、人は競う。君がこれから先、『何か』を得たいと言うのなら、その磨き上げた剣術で私たちを護って欲しい。 これは君が眠っている間に決めた、私たち全員の総意よ」 「ていうか、オレには何も話振らねーのかよ…」 ジャイロが端でひっそりと不満を漏らす。 神子はそれを華麗に無視すると、壇上から退場していく演説家のように成し遂げた表情でトコトコと元の位置に戻った。 ポルナレフはまた、押し黙った。 もはや虚勢も意地も張れぬ。DIOと相討ちしてでも、という自己満足な逃げ道も塞がれた。 ボロボロと剥がれ落ちていく驕りと見栄で塗り固められた、錆び付いていくだけだった精神の殻が浮き出る。 殻の中から現われたモノは白銀のように煌びやかで、矜持を見出すことが出来た新たな精神世界。 ポルナレフは笑った。 妹が殺されたあの日から、心の底から笑える日が来たのは初めてのように感じる。 メリーがもう一度前に進み出て、その手が彼の前に再び差し出された。 その新たな希望を、今度は迷うことなく手に取る。 「よろしくお願いします、ポルナレフさん」 メリーが微笑む。 「あんた達の命、俺に預からせてくれ」 つられてポルナレフも屈託無く笑う。 誰かを護る為の剣など、考えもしなかった。 ポルナレフにはそれがこの世の何よりも素晴らしいことのように思え、また笑みが零れる。 彼の怨恨に満ちていた人生が、心が、一瞬の内に晴れ渡るようだった。 勿論、妹の件は未だに心のしこりとなって拭い切れない。元よりそれほど凄まじい執念と覚悟を固めた決意だ。 だが、それでも。 恐らくこれなんだ。俺が求めていたのは。 ああ……俺が憧れて、恋焦がれて、でも心のどこかでは無理だと諦めた。 俺は『復讐者』だ。俺の剣はまさしく不倶戴天の敵を串刺しにしてやる事のみに磨きをかけてきた。 そんな俺が、自分のことしか考えられなかった俺が、誰かの為に剣を振るうってのも――― ―――案外、悪くねーかもしれねぇなァ…… 邪悪の人形にまで堕とされていた心は、光を取り戻し始めた。 その小さな光明は、男が本来持っていた『黄金の精神』へと成長し、尊い正義の心を滾らせた。 ウィル・A・ツェペリの掲げた『勇気』は、『可能性』は、確かにこの男にも受け継がれたに違いない。 ジャン・ピエール・ポルナレフはその日、幼き頃に憧れたコミック・ヒーローの世界へと踏み込むことが出来た。 Chapter.1 『銀屑のはぐれ星』 END TO BE CONTINUED… ☆ ★ ☆ ☆ ★ ☆ ★ ★ ☆ ☆ Chapter.2 『記憶する幻想郷』 おはようございます、稗田阿求です。 この手記を御覧になっている貴方のお時間帯がいつなのかは計り様がないのですが、私の感覚では朝なのでとりあえずは“おはよう”なのです。 とは言っても貴方からすればさっきぶりなのかもしれません。まあそこはあしからず。 さて、この数時間で色々な事が起こりました。 肉の芽の支配から解かれたポルナレフさんを仲間に迎え入れたり、最初の放送が始まったり、幽々子さんが大変な状態になったり…… あっ、この項を貴方が読んでいる時点ではまだ放送の事は書き記しておりませんでしたね。そこは追々。 私も暇を見つけては筆を走らせたりもしていますが、正直怖いんです。 これを書いている今にも、何かが襲ってきそうな気がして、手記が途中で終わっちゃうなんて事になったら…… そんなことを考えるようになってきました。 ……ごめんなさい。前置きがくどいと読みたくもなくなりますよね。 モタモタすることもありませんし、早速書き記していきましょう。 それでは、素敵な貴方に安全なバトロワライ……もういいか。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 『稗田阿求』 【早朝】D-6 迷いの竹林 「それでは……行ってきます、ツェペリさん。どうか安らかに眠ってください」 手を合わせ幾秒かの祈りを捧げた私とメリーさんは、そっとツェペリさんのお墓の前から立ち上がる。 竹の大群から漏れ出した斑の朝光が、彼の象徴たるハットに注ぎ込まれ反射を繰り返しています。 もうすぐ放送の時間。おそらく、ツェペリさんの名前が呼ばれることでしょう。 それを聴いた私やメリーさんは果たして平静でいられるのでしょうか。 ……いえ、私はともかくメリーさんは強い娘です。きっと彼の死を受け入れていることでしょう。 危惧していることはそれだけではありません。 考えたくもない事ですけど、放送で呼ばれる名前はもっと……もっと多いと思います。 そこに私たちの友人、知り合いや仲間の名が呼ばれない保障などあるのでしょうか。 私たちの誰かが取り乱さない保障などあるのでしょうか。 少なくとも、私自身は誰の名前が呼ばれようとも取り乱すことはないと思っています。 薄情な女……と、つくづく自分でも痛感します。 だって私はあの時、幽々子さんを一度『捨てた』。 あの方がそう願ったとはいえ、私の理性は冷たい選択を選んでしまったのだ。 しかもあんな危険な場にメリーさんを置いて、醜く浅ましくそのまま馬を走らせて逃げた。 結果的にはその選択が在ったからこそ、こうして私たちは生きてこの場にいる。 でも結局メリーさんとはあれ以来、会話らしい会話をしていません。 仲直り、と言うとケンカしたみたいですけど、それは私の思い違いかもしれませんね。 私ばかりが空回りして、生き方を見出せずに、彼女との距離を自ら遠ざかっている。 そんな気がしてなりません。 「あの、阿求さん」 って、は…ハイッ! ななななんでしょうかメリーさん! 横に並んでいたメリーさんが急にこちらの顔を覗きこんで話しかけて来た。 突然だったのでつい情けない反応をしちゃったけど、ここは咳払いをして落ち着かせる。 彼女はひと呼吸置いて、どこかソワソワしながらもゆっくり語りだした。 「あの……貴方が今思い悩んでいる事はわかります。大体の事は、神子さんから聞いたから」 向こうで神子さんがチラチラと(意地の悪い笑みで)こちらを気にしている。 あの方は恩人でもあるけど、今だけはちょっぴりイラッとしました。 結局、最後まで彼女の世話になってしまうのですねと、せめてもの抵抗に私は溜息を吐いた。 「あの、阿求さん! ありがとうございますッ!!」 …………え? メリーさんがいきなり深いお辞儀をしながら私にお礼を言ってきた。 わけのわからない私は間抜けな反応をしたのかもしれない。 「あの時、幽々子さんが倒れた時……私は自棄になってたわ。 貴方が神子さんやジャイロさんを連れてきてくれなければ、私も幽々子さんも肉の芽に支配されたポルナレフさんに殺されてたと思う。 それなのに私……今までお礼すらせずに泣いてばかりで……ごめんなさいッ!」 もう一度深い礼と共にメリーさんは頭を下げた。 ……なんだ、やっぱり私が空回ってただけなんだ。 メリーさんに恨まれていてもおかしくないと、勝手に思い込んでいた。 彼女を死地に一人残して逃げ出した私は、彼女に責められて当然なんだと思い込んでいた。 でも、違った。彼女はこんなにも草原のように広々とした心を持っていたんだ。 瞬間、私の心に溜まり積もっていた不安、歯痒さが幾分か溶けた。 鉛を付けられたみたいに気だるかった気持ちがスッと軽くなった。 「メリーさん、どうか頭を上げて? 私の方こそ……ごめんなさいっ! 私、貴方を見捨てるような真似を……」 「い、いえいえ! だけど結果的には阿求さんのおかげで私たちは……!」 「いえいえいえ! そんなのはただの結果論ですし、メリーさんの勇気があったからこそ……」 互いに顔を紅く染めるほどの、敬虔の応酬。 少しの間の後、私たちは同時に噴きだしました。 なんか、さっきまで悩んでたことが馬鹿らしいです。 「ふふ……ねぇ、阿求さん?」 「はい」 「私たち、もうお友達よね?」 「はい。 ………ええッ!?」 あまりに自然に飛び出たその単語。思わず変な声が出ちゃいました。 妖怪も月までブッ飛ぶ衝撃、って奴でしょうか。 あわあわと動揺する私を見ながらメリーさんはなんだか意地悪な笑みを漏らしています。あ、この人たぶんSの素質ある。 「私ね、子供の頃から友達とか殆ど居なくて……多分、こんな能力を持ってるせいでしょうね。クラスでもずっと浮いてたわ。 でも、大学に入って…あ、大学ってのはおっきな寺子屋みたいな施設のことね。で、そこで蓮子と初めて出会ったの」 蓮子……さっき言ってた御友人、宇佐見蓮子さんのこと、ですね。 「蓮子と友達になって、秘封倶楽部を作って、それから私たちは色んな場所へ行ったわ。 一緒にいるのが、すっごく楽しくて…あの娘と一緒なら、どこでも最高に楽しい。 あの娘ほど気の置けない親友はいないの。 ……貴方には、そんな人がいるかしら?」 頭の中を一番に過ぎったのは親しき友人、本居小鈴の笑顔。 歳も近く、親友と言ってもいいのかもしれない。 でも……私は何となく、その名前を出すのを一瞬躊躇してしまった。 その無言をどう受け取ったか、メリーさんはちょっぴり大人っぽい微笑を湛えながら話し続ける。 「蓮子のおかげで私にも少しずつ友達が増えてきて、性格も随分明るくなった、と思う。 ねえ阿求さん。友達ってとっても素敵なのね。そのことに気付くのに、私は少し遅くなっちゃった。 でも、だからこそ、私は貴方と友達になりたい。心からそう思うわ」 私より年上で背も高いメリーさんは、少しだけ目を落としながら互いに体を向け合いました。 その言葉にまたしても頬の熱を感じてきた私とは違って、今度の彼女は大人の雰囲気、というやつでしょうか。なんだか余裕ある佇まいを感じます。 その姿を見てほんのちょっぴり対抗心、みたいなものを燃やした私は子供っぽいと思いつつ、少しだけ意地悪な言い方をしてしまいました。 「私と友達になりたいのなら条件がありますよ、メリーさん?」 「あら?」 この台詞を聞いても不快な表情も驚くような仕草も特にしないメリーさん。 やっぱりなんだか大人だなぁ。 ……むぅ、ちょっと憧れちゃいます。 「私のことは『阿求』と、呼び捨てで呼んでください。さん付けなんて余所余所しいですからね」 「あらら、じゃあ私からも条件があるわね」 これは私にも予想が付きます。 きっとメリーさん……いや、メリーは次にこんな条件を出すでしょう。 「私のことは『メリー』と呼んで。友達をさん付けなんて水臭いもの」 「あはは。それじゃあ、よろしくお願いします。メリー」 「ええ。よろしくね、阿求」 私たちはお互い、心から笑いあいました。 この地獄のような世界でも、友達が出来た。 それってなんて素晴らしいことなのでしょう。 ツェペリさんも空の上から私たちに向けて微笑んでくれてるような気がします。 「今度、阿求にも蓮子を紹介するわね♪ 貴方もきっと彼女を好きになると思うわ」 それは……とっても素敵ですね。 もしここから生きて帰れたら、私もメリーに小鈴を紹介しよう、かな。 なんとなくですけど、小鈴と蓮子さんは気が合うのだと思います。 ……ふふ♪ ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ さて、いかがでしたでしょうか? ……いかがでしたでしょうか、なんて聞かれても困りますよね。 なんだか私の独り善がりというか、自叙伝みたいな物になってきました。 メリーと本当の友人となれたこと。実は結構(というかかなり?)嬉しいんですよ? 最初にこの会場で目を覚ました時、私の心は恐怖と絶望に飲み込まれていました。 孤独の恐怖。泣きたくなるほどの絶望。 そんな中で幽々子さんと出会い、メリーやツェペリさんと共にポルナレフさんと戦って(私は大したことしてないけど)、 神子さんジャイロさんが助けに来てくれて……そして、友達が出来た。 皮肉なことにこの非道なるゲームのおかげで私は『絆』を作ることが出来たんだと思います。 そしてそんな『絆』を綴っていくのがきっとこの手記、なのでしょうね。 今はただの紙ですけど、その内この手記にも何か『名前』を付けた方が格好も付くかもしれません。 鈴奈庵で借りた外の世界で最も売れた(らしい)ベストセラー本によると、こう記されてありました。 ヨハネによる福音書 第一章2‐3節『言は初めに神様と ともにあり 全てのものは これによってできた』 いわゆる『言霊』みたいなものでもあり、なんにでも『名前』はあるものです。 だから私はこの手記にも名を付けてあげるべき、なのだと思います。 ……まぁ、今はちょっと思い付かないので、とりあえず手記の続きでも綴っていこうかな。 そうですねぇ……、そういえば私、ずっと気になってる方がいたんですよ。 あの人は一体何者なんだろう…って。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 「え? 神子さんが何者か、ですか?」 「あぁ、そうだぜ。他人の欲の声を聴くだとか、ついでにあの底意地ワリー性格が天性から来る性格なのかとかな」 私たち一行はポルナレフさんを迎え入れ、とりあえずこの迷いの竹林を出るために道なき道を歩いていました。 先頭はポルナレフさんと幽々子さんが警戒しながら歩き、私やメリーみたいに力の弱い人は真ん中。 最も警戒が難しいことを理由に、最後尾の警戒は神子さんとジャイロさん自らが買って出てくれたというわけです。 で、そんな大切な任を放棄してジャイロさんはいきなり私に近寄って神子さんのことを聞いてきました。 「……私からすればジャイロさんの方が何者なのかがずっと気になってるんですが」 「オレはただの医師だ(副業ではな)。それよりあの妙チクリン女だぜ。 さっきからあの野郎、オレの事を上から目線でやれチクチクといびってきやがる。 そろそろあのセンス悪い髪型ごと上から踏みつけてやりたいね。馬で」 毅然な態度でジャイロさんは言いたいこと言ってます。正直、気持ちは少―しわかりますが。 「陰口は陰で話すものよジャイロォ?」 「ウッセ! どこで話したって聴こえてるんだろ地獄耳」 後方から神子さんがジト目でジャイロさんと、ついでに私も睨まれました。 心の声がしっかり届いてしまったようです。本当にメンドクサ…おっとっと。 しかしなんというか……神子さんから2人のお話を聞いた時にも思いましたが、水と油といいますか、 犬猿の仲、というよりはジャイロさんが一方的に馬鹿にされてる印象を受けます。 とばっちりを喰らうのは嫌なので、形式だけでもフォローしときますか。 「あの方は基本篤実なお人ですけど、一度舐められたら一生からかわれますよ。お気の毒でしたね」 「いやいやそんなことないわよ阿求。私はジャイロという人間をひとりの対等な存在として……」 「テメっ! さっきからそればっかじゃねーかよ! ったく、うさんくせー宗教家がいたもんだぜ」 「宗教を悪く言うものじゃないし、私のことを悪く言うのはもっとNGよジャイロ。『敬意を払う』って言ってくれたのはありゃ嘘かしら?」 「あっ出た! それだよそれッ! 困った時はその台詞ッ! 仕舞いにゃ蹴飛ばすぞこのヤロー!」 やんややんやとジャイロさんが意地になり、それを神子さんが更に焚きつける。 水と油、というよりは火と油ですね。この漫才にもそろそろ見飽きました。 「ふふ。ジャイロさんと神子さんって仲が良いんですね」 横に並んで歩くメリーが、檻の中のお猿さんのケンカを眺めるような目で上品に笑ってます。他人事だと思って… 「でも、そういえば私もジャイロさんや神子さんのことよく知らないんですよね。ねぇ阿求?」 え、何でそこで私に振るの。本人が居るんだから直接聞けば良いのに。 でもまあ、そうですね。私から言える事といえば…… 「神子さんは『厩』から生まれたという逸話もある、結構すごい聖人らしいですよ」 「へぇ? なんか意外ですね。私は人を出生で判断したりはしないですけど、なんか…………意外ですね?」 あっ、メリーが一瞬顔を歪ませたのを私は見逃しませんでしたよ。 珍しい私の攻撃が意外にも効いたのか、神子さんがほんの少し動揺しながら否定してきた。 「ちょちょ…! ま、待ちなさい阿求? 高貴な私がそんな臭うところで生まれたわけがないでしょう。 いいですか? 新人さんの教育には節度と慥かさを以って教授するべきです。しかも稗田の立場なら尚更であり―――」 「―――その『聖人』ってとこなんだがな……」 捲くし立てるように反論する神子さんの言葉を遮ったのは、ジャイロさんの低い呟き。 今までの彼が纏っていた空気、とでも言うのでしょうか。それが一段重くなった気がしました。 「あら……? 最初に言いませんでしたっけ、私が豊聡耳皇子――かの『聖徳太子』なる聖人だって」 えーそれ言ってないんですか。いの一番に言うべき肩書きのような。 ほら、メリーも口元を手で押さえて驚いてますよ。 「いや、聞いたには聞いたんだがよ……悪いが未だ信じられねーんだよなァー」 ジャイロさん、言っちゃいました。どうやら御二人が信頼しあってるというのは嘘だったようですね。 でもそんなこと言ったらまた神子さんが…… 「…………ジャ・イ・ロォ~~~? 君はまたしても鉄球を放り投げられたいようね? ……そのダサい帽子の上に」 あーあー言わんこっちゃないですよ。 神子さんの背後に『 ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ 』みたいな擬音が見えるようです。 「大体神子が何百年も前の人間だったってンなら何で今も生きてんだよ? 神や妖怪じゃあるまいしよォー」 「ですから私は『聖人』だと言いましたでしょう。それにずっと生きてたわけではなく、ついこの間長い眠りから醒めたところです。 『聖人』とは死後、2度の奇跡を起こした人物を言うみたいですが、私が蘇った時点で充分奇跡なのよ。 第一、その規定は外界の人間が勝手に創立した形式のようなもので、主観的見解に基づく判断です。要するに聖人は聖人です」 蘇ったのなら死後も何もないじゃないですか、って突っ込むのは野暮なんですかね。最後もなんか強引だったし。 「いや……まぁ、悪いな神子。お前を疑っちまった。どうもオレは『聖人』って言葉に敏感になってるらしい」 「……君のそーいう素直に謝るところは私も好きだけど、どうやら『ワケあり』のようね。 まさかとは思うけど、聖人の知り合いが私以外にも居たりとか?」 「……これは部外者が軽々しく踏み込んでいい問題じゃねえ。オレらには計り知れない……巨大な闇の真実だ」 「聖人の存在はいつの世も闇に隠れたりはしない。絶対にね。それに私だって正真正銘の聖人仲間よ」 「…………駄目だ、言えるわけがねぇ。 ……つっても、お前には隠し事は出来ねぇみてーだがな」 「――――――ッ!!! なん、という……ッ! これは……また、『超大物』が出てきたわね……!」 ……驚いた。あの豊聡耳神子が、見たことないような蒼白な顔で冷や汗を流してます。 彼女、一体ジャイロさんの心の中の『何を』聴いてしまったのでしょうか? ジャイロさんの知る聖人とは一体どなたの事なんでしょう。 私としても俄然興味はありますが、知るのが少し怖くもなってきました。 ジャイロさんを巻き込む『闇』……、彼は自分をただの医師だと言っていましたが、あの鉄球の技術といい、不思議な人物です。 確かにこれは部外者が軽々に触れられる話ではないのかもしれません。 「オレはスティール・ボール・ラン・レースに出場し、友人ジョニィと共に聖人の遺体を集めていた。言えるのはそれだけだ」 「―――なるほど、ね……、その遺体が全て揃えば恐らく、それはあらゆる人間から『尊敬される遺体』となるでしょう。 『尊敬』は『繁栄』だもの。遺体を揃えた人間は間違いなく真の『力』と『永遠の王国』を手にすることが出来る。 全く……私の最終目標である『不老不死』すら程度の低い、ちっぽけな話に聞こえるわね」 神子さんが立ち止まり、竹林の群を見上げます。 一風に揺られザワザワと自然の音色を奏でる彼らの姿がまるで己の生命力を誇示してるように見えて、神子さんも思わずその音楽に耳を傾けているのでしょうか。 その情景に見惚れてか、私も彼女に倣って竹林の新緑を仰ぎ、そのままの時間が過ぎ去ろうとした頃。 虫の鳴くような呟きが、メリーの口から漏れたのです。 「すてぃーるぼーるらんレース……? どこかで聞いたような……」 あれ? 知ってるんですかメリーさん。 「んーー確か昔、世界史の授業で習った気がするわ」 昔……? ジャイロさんの口ぶりからすれば、SBRレースはつい最近の催しみたいですけど。 「あ……そうだったわね、言うのを忘れてた。 これは私の推察なんだけど、どうも私たちはお互い違う時間軸からこの会場へ呼び出されてるみたいなの。 ツェペリさんとの会話で偶然気付けたのだけど、私の生まれた時代はかつてレースが行われた時代の遥か後だもん」 ええ! 初耳ですよそれ!? 「違う時間軸、ねぇ。充分あり得る現象だとは思ってたわ。 ジャイロの言っていたヴァレンタインの『平行世界移動能力』然り、名簿に死者の名が記載されていた事実然り。 つまりジャイロとマエリベリーが住んでいた世界は時代こそ違うけど、同一線上……のモノだと考えても良さそうね」 神子さんが顎に手をやり、なにやら納得したように顔を頷かせていた。 こんな時、思考が柔らかい人は尊敬できる。 「なぁなぁメリー。SBRレースで優勝した奴の名前って覚えてるのか?」 えぇ? そーいうのって聞いちゃってもいいんですかジャイロさん。 なんかズルイ気が…… 「ごめんなさいジャイロさん、そこまではちょっと……思い出せそうにないです」 申し訳なさそうな顔でメリーもやんわりと謝った。 ジャイロさんもちょっとした興味で聞いただけらしく、大して言及せずに会話も終了した。 丁度その時、前方を歩いていた幽々子さんがこちらを振り向いて呼びかけてくれました。 「みんなー、ようやく竹林を抜けたみたいよー」 その声で私たち4人が同時に前を見やる。 鬱蒼と生い茂った竹群の世界から解放され、東から昇ってくる朝光が視界を塗りつぶす。 目の前には一本の川があり、そのせせらぎだけがこの静寂なる空間を絶えず流れている。 思えば、随分長くこの竹林に閉じ込められていた気がします。 この開けた視界に広がる清清しい自然も、幻想郷の住人にとっては当たり前の景色だったはずなのに。 空に浮き上がりゆく太陽が、私たちを出迎えるみたいに荘厳たる煌きを放ち続けていました。 私はそれを見て一言だけ、 「あぁ、この場所に帰ってきたんですね」なんて見当違いの郷愁を口にしそうになりました。 でも、帰ってきたのではありません。私たちはきっと……これから立ち向かっていくのでしょう。 地獄の使者が迎えに現われたかのように、『ソレ』は突如響いてきたのですから。 『マイクテスト、マイクテスト……』 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ これで、ひとまず筆を置いておきます。 私はこの後に起こったことを恐らくずっと忘れないでしょう。 あの主催の凍り付くような声が、今でも頭の中を離れません。 まだたったの6時間ですが、間違いなく自分の人生の中で最も恐ろしい6時間だったと思います。 ……でも、私には友が、仲間が居てくれています。 みなさん本当に優しくて、私には過ぎた人たちです。 私が決める運命。私の道というのは何なのか。 答えは、まだ分かりません。 でも、今この瞬間にある『絆』を、私は守りたい。 絆を紡いでいきたい。 これはきっと、そのための手記。 叶うことなら、私の大切な友達がずっと笑顔でいられますように。 それでは、また。 Chapter.2 『記憶する幻想郷』 END TO BE CONTINUED… ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ★ ☆ ☆ ☆ ☆ Chapter.3 『墨染の桜、不修多羅に舞いて』 『西行寺幽々子』 【朝】E-6 迷いの竹林前 『―――――― 魂 魄 妖 夢 』 ―――ぇ……っ………… 不明瞭な、呟きとも取れぬ僅かばかりの音が幽々子のイチゴの様に鮮やかな唇からそっと吐き出された。 軽快なトーンとは裏腹に、男の読み上げる内容はまさしくこの世のあらゆる不吉を象徴したモノ。 点鬼簿を読み上げる死神の如く、主催者荒木の声が続々と死者の名を連ねていくその中に。 天衣無縫の亡霊、西行寺幽々子の最も愛する従者の名はあった。 「……? 幽々子さん……?」 放送を聞き逃さぬよう、荒々しくもしっかりとメモ書きを綴っていたポルナレフの心配する声が彼女にかかる。 続いて阿求がハッとしたように幽々子へと振り向いた。 彼女のその様は名簿へと目を落としたまま、焦点は一向に動かずに震えていた。 「……ぁ…ぅ、…う、そ……よね……? ねぇ……今の、名前……ようむ、って……聞き間違い、よね……っ?」 瞬間、この場の全員が理解する。 彼女に、彼女の愛する者の身に、何があったのか。 「……ねぇ! ポルナレフ! 今のッ! 私の聞き間違いよねッ!? 何かの間違いなのよねッ!? 妖夢は……ッ! 妖夢が私を残して逝っちゃうなんて、有り得ないものッ!! そうでしょうッ!? ねぇ阿求!!」 段々と荒くなる口調に、普段の物腰柔らかな彼女の面影は失われていった。 いきり立ち、ポルナレフの胸倉を掴み、かつてなく取り乱す亡霊の姫君の姿に、誰一人声をかけられなかった。 予測していなかったわけではない。 起こり得た事態だと、いずれ至る現実だと、誰しもが心の底に予想していた悲劇だった。 親しき者の死。そんな悲しい出来事が、必ず近く訪れる。 だが、だからこそ人は禍を見ぬフリをする。来たる未来から顔を背けようとする。 都合の良い物事の側面だけを見ようとし、幸せのみを追求する。 不幸な事故にあった他人の記事を、『自分でなくて良かった』と安堵し、気楽に考え、すぐに脳裏から消去する。 故にこの場の6人も、心のどこかでは親しい者に対して『きっと大丈夫だ』と根拠のない平穏を望んでいたのだろう。 『アイツなら大丈夫だ』『彼女ならきっと生きている』『死んでいるはずがない』 そこに至る要因は信頼か、不安の裏返しか、それは各々で違ってくる。 だが現実は非情であった。 「ねぇ! どうして誰も何も言わないのよ! それともやっぱり今のは聞き間違い!? そうよ、きっとそうに決まってる! だって私ここに来てまだ一度もあの子と話してないし、それに妖夢だってきっと私を探して―――」 「―――気の毒だが幽々子。 ……放送で呼ばれたのは確かに『魂魄妖夢』の名よ。彼女は死んだ」 狼狽する幽々子の言葉を遮ったのは、豊聡耳神子の冷静な声。 滲む瞳を閉じ、いや、いや…と耳を塞ぐ幽々子。 だがどんなに声を拒絶したところで、頭の中では今なお主催の忌まわしげな演説が脳を揺らしている。 「魂魄妖夢では力が至らなかった。序のふるいに掛けられ、落とされてしまった。そういう事になるんだ」 神子の語りかけは温情でも憐憫でもなく、決定された事実を淡々と述べただけだった。 「おい、神子…!」 これにはジャイロも声を荒げる。 ここに来ての『亀裂』……メリーも阿求も、そんな不安を心に抱く。 だが神子はそんな彼女らの憂慮を払拭させるかのように、凱旋将軍を思わせる立ち振る舞いで幽々子の傍まで歩を進め、蹲る彼女へ向けて言い放った。 「西行寺幽々子。君は誰だ?」 顔を伏せる幽々子の後頭部に、天資英邁の仙人が言の葉をぶつける。 幽々子は、答えない。 「……ならば私が代わりに答えよう。 貴様は白玉楼の、幽冥楼閣の佳麗なる姫君ではなかったのか? 蒼天の幽玄剣士、魂魄妖夢の敬慕する唯一無二の存在ではなかったのか!」 幽々子の肩が僅かに揺らいだ。 「私は妖夢をよくは知らない。だが君は彼女を誰よりも知っているはずだ。 ならば彼女がこの舞台に立たされた時、何よりも優先し、誰よりも護ることを考えた人物が居たことぐらいは容易く察せるだろう」 幽々子の嗚咽は、止まっていた。 「そんな彼女が今の君を見たら、彼女は呆れるか? 失望するか?」 ―――しない、わね。きっと…… 「声に出しなさい! 西行寺幽々子ッ!」 「……あの娘なら、私に対して落胆の念を持つよりも……きっと何より最初に自分を恥じる、でしょう。 『幽々子様を悲しませたのは己の未熟のせいだ』って……、愚直なあの娘のことだもの、きっと最期まで使命に殉じようとした…… それすら全う出来ずに逝っちゃって……哀しかったでしょうね…っ……悔しかったでしょうね……っ!」 「ならば妖夢の魂が安らかに眠れる方法とは何だ? 妖夢の望みとは何だ! 主である貴様が為すべき事とは何だッ!」 「私が……為すべき、こと…………」 「そうだ。そして今ッ! この死合の世界には『2種類』の存在しか居ないッ! 『立ち上がった者』と『立ち止まる者』だッ! 貴様はどちらだッ!?」 「…………ゎ、たし……は…………っ……」 苦悩し、儚げを絵に描いたように弱弱しくなる幽々子に、ポルナレフと渡り合った時のような覇気は無い。 それほどまでに幽々子の心の比重では妖夢の存在が占めていた。本人も気付かぬうちに。 神子は膝を折り、そんな幽々子の震える両肩に手を掛ける。 「……泣くなとは言わないわ。精神を落ち着かせる時間も大切だもの。でもこれだけは言わせて貰うわね。 君は既に一度“死んだ身”。亡霊として、と言う意味でなくこのバトルロワイヤルの悪意に、DIOの邪悪に殺されたばかり。 そんな君の魂をもう一度だけ反魂させてくれたのがツェペリさんなのよ。 彼は再び『可能性』の火を君の命に灯した。その意味を、よく考えなさい」 最後にそれだけを言うと、神子は立ち上がって何事も無かったかのように元の位置に座り、名簿を手に取った。 伏し目がかった幽々子の瞳に、未だ光は戻らない。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 「アンタ、意外とイイとこあんだな。 ……悪ィな、さっきはアンタを『冷たい女だ』と思っちまった」 放送も終わり、暫しの休憩を取っていた神子の下にジャイロが寄る。 彼の顔は穏やかであり、またどこか申し訳なさそうな表情も交えていた。 「いえいえ。仏教の目指すところとは一切の苦しみからの解放。 私は幽々子の苦しみを根本から取り除くことは出来ません。言葉で人を導くというのは……本当に難しいことです」 「そうだな……オレにも導いていかなきゃいけねえ友がいたよ」 「ジョニィ・ジョースターですね」 「ああ……。もっともそいつは自分の力で立ち上がり、そしていつの間にかオレと肩並べて走るようになってた。 きっとアイツはすぐにオレを追い越すだろう。その成長を見届けるのが……オレの最後の役目ってワケさ」 最後とは何の意味だろう。 神子がそう思うよりも早く、ジャイロの心の声が素早く耳に雪崩れ込む。 ジャイロ・ツェペリという男がこのゲームに参加させられる前、親友とひとつの『約束』を交わし、最終決戦に挑もうとした気持ちが。 彼はもしかしてその『敵』と死ぬ覚悟を持ってぶつかるつもりだったのでは……、そこまで理解し、すぐに頭を揺らし耳当てを押さえた。 (これは……私如きが軽々と触れていい気持ちではないわね……。彼を侮辱する行為になってしまう) この時ばかりは自らの能力を恨み、聴かなかった事にした。 侘びとして本心からの気持ちを、神子は送った。 「会えるといいですね。友人に」 「ああ。……会えるさ」 二人は小さく笑い合い、また絆を深めることが出来た。 少なくとも、神子はそう感じた。 「もしよォ、ジョニィの奴に会えたらお前のことを紹介してやらねーとな」 「おや。おやおやおや。これは随分と気が早いわねぇ。ジャイロは私をなんて紹介するつもりかしら?」 「アホかッ! 友人としてに決まってんだろーがッ! 話に流れで分かんだろォーがそれくらいッ!」 「おやァ~~? 私は『そんなこと』一言も言ってないのだけど、ジャイロは一体『何を』考えてたのかしらね? ん?」 「お~ま~え~なァァアア~~~~! やっぱ紹介してやらねーーッ!!」 「クク……! いやぁ、ほんっと…おも、しろい……わねぇ、ジャイロは……! クスクス……!」 朝焼けの草原に聖徳道士の忍び笑いと、鉄球使いの拗ねた叫びが響き渡った。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 「大丈夫かしら、幽々子さん……」 ちょこんと石に座り、神子から借りた名簿を自身の名簿に写し書きながらメリーはそんなことを呟く。 さきほどの幽々子の一件から放送のメモどころではなかった一行は、こうしてひとりずつ神子の名簿を回しながら死亡者のメモを書き写していた。 十人の人間の話を同時に聞くことができる神子の耳だけが、揉め事の中でもしっかりと放送内容を記憶していたのだ。 「大丈夫ですよ、きっと。あの方はとっても強くて凄いですから、立ち直れる人だと私は信じています」 阿求はそんなメリーの不安を杞憂だと聞かせるように、精一杯の笑顔を作って見せる。 そんな彼女の優しさにメリーはまた、薄く微笑んだ。 やがて全てのメモを取り終えたメリーはペンを置き、ポツポツと語り始める。 「……ねえ、阿求。私って多分ひどい女だと思うわ」 「……どうしてそう思うのですか」 「幽々子さんがあんな事になっているというのに、今の私の心の中は安堵の気持ちで一杯なのよ。 親友の蓮子の名前は放送で呼ばれることは無かった。そのことに私は今、心の底から安心してしまっているの。 確かにツェペリさんの名前が名簿にあることは……凄く悲しいと感じてる。でもそれ以上にメリーの無事を喜ぶ自分もいる。 幽々子さんは大切な人を亡くしたばかりだというのに……これが自分本位でなくて何だというの?」 その告白に阿求はどんな返答をするべきか一瞬悩んだが、同時に納得出来た気持ちでもあった。 人里に住居を構える阿求は九代目稗田家の当主という立場を担ってはいたが、神々や妖怪と親交がそれほど深くはない。 並居る屈指の妖怪共々ですら6時間の間にこうも脱落していく様に恐怖こそ覚えれ、死別に嘆くほど親しい存在がいたわけではない。 精々が友人、上白沢慧音の名が呼ばれなかったことに安堵したぐらいだ。 それはつまるところ、 「メリー、その感情は人間なら…ううん、良心を持つ者なら妖怪だって誰だって持ち得て当然の感情だと思います。 友人や身内、愛する人が無事で良かった。そう思うのは当たり前なのです。私だってそうです。 だからメリーが気に病む必要は無いはずですよ」 今の自分に言えることの精一杯だった。 阿求は当たり前の事を当たり前に述べただけ。なけなしの勇気付けだ。 それでもメリーが少しだって元気になれるなら。 あの豊聡耳神子の求心力ほどとはいかずとも、少しだってメリーの顔を前に向けられるのなら。 微力ながら、メリーの力になってあげたい。 そして勿論、幽々子の力にもなってあげたい。 阿求は本心からそう願う。 「……うん。そうよね、貴方の言う通りよね。 ありがとう、阿求。私、ここに来て随分弱気になってたみたい」 「私なんかで宜しければいつでもご相談に乗りますよ?」 二人は小さく笑い合い、また絆を深めることが出来た。 少なくとも、阿求はそう感じた。 『―――ズキュウウゥン♪』 不意に阿求の荷物から響く、この世界に似つかわしくない陽気で奇妙な電子音。 思わずビクリと反応した阿求は何事かと、おそるおそる自分のデイパックへと手を入れた。 スマートフォンだ。音の発信源は確かにこの機械からだった。 一応の操作は何とか覚えた阿求だったが、未だ用途の掴めぬ現代機器の取り扱いには苦戦するばかり。 だがそこで、このメンバー唯一の現代人であるメリーは彼女の持つ支給品に興味を示した。 「あら? それ、古い型だけど『スマホ』じゃない。それが阿求の支給品?」 「『すまほ』…? メリーはこの機械を知っているのですか?」 「知ってるも何も、私達の世界でスマホを知らない原始人は居ないわよ。それは結構古いタイプみたいだけど」 もしかして遠回しに馬鹿にされたのだろうか。 ちょっぴり不満を抱えながら阿求は専門家に機器を手渡すことにした。 メリーは手馴れた手つきでスイスイと画面を弄り、ものの数秒かからずに音の正体をあっさりと突き止める。 「……どうやらメールが届いたみたい。差出人は……『姫海棠はたて』? これは……メールマガジンね」 スマホだのメールだのと、次々に知らない単語が飛び出してくる。 だが阿求はたった一つ、『姫海棠はたて』の名は知っていた。 そういえばあの鴉天狗も『花果子念報』なる低級新聞を発刊していた気がする。 よくわからないが、そのスマホなる機器の画面で彼女の新聞が見れるということだろうか。 だとすればビバ・人類の進化。外の世界では思った以上に技術進歩の発達が著しいらしい。 「――――――っ!! ぇ……こ、れ……、この…ひとって……っ!」 画面を見たメリーの顔が一瞬にして蒼白となる。 只事ではない事態を感じた阿求は反射的に画面を覗き込んだ。 「え……っ! この人、メリー……いや、………八雲紫、さま……!?」 その画面に写っていた人物は、スマホを持つ人物と瓜二つの――― ―――八雲紫が、魂魄妖夢を射殺するその瞬間だった。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 「私ねぇ、妖夢と会えたら貴方をあの娘の師匠にさせようかな、なんて思ってたわ……。 貴方の剣術って凄かったじゃない? きっと妖夢の良い訓練相手になると思ってたのよ……」 「いや俺なんて……精々が炎なんかを斬れるぐらいで、ケーキのロウソクに火を灯す時ぐらいしか役立ちませんよ」 「……炎を? 凄いじゃない、人間が雨を斬るのにも三十年かかると言われてるわ。益々妖夢の師匠にはピッタリね……」 「……俺もその妖夢さんと剣を交えてみたかったですよ」 「ふふ……そうね。 ……『世の中を思えばなべて散る花の わが身をさてもいづちかもせむ』、か」 ―――それはどんな意味なのですか。 異国の詩に興味を示したポルナレフは、けれどもそんな疑問の言葉を投げ掛けることすら憚られた。 謳う幽々子の横顔があまりにも儚げで、それは吹けば消え去るほどに、または蜻蛉のように繊細な表情だったからだ。 この世に存在する限りは人とは儚いもの。 きっと、どこへ行くことも出来ない。 華麗なる蝶が如く、幽々子はそんな詩を口ずさんだ。 三角座りのまま消沈の解けぬ幽々子は、愚痴を零すように細々と隣のポルナレフへ語りを続ける。 ポルナレフはそれを真剣に聞き入れ、幽々子の気が済むまで優しく傍で見守っていた。 狂った己の凶行を止め、『矜持』と『居場所』を与えてくれた華胥なる亡霊、西行寺幽々子には恩がある。 それを省いても、彼女にはつい護ってあげたくなるような空気を醸し出していた。 ―――きっと彼女を慕っていたという従者も、彼女を真摯に尊敬していたのだ。 「その妖夢って子は、貴女の大切な人だったんですね」 「……家族、かしら。娘といっても良いのかもしれないわね……」 その容姿すら知らぬ半人半霊の気持ちに同調し、ポルナレフは心から想う。 俺は妖夢ではない。彼女の代わりに幽々子さんの支えになる事など、出来よう筈が無い。 だが俺は戦士だ。幽々子さんを護る『盾』ではなく、敵を斬り裂く『剣』として彼女を護る。 家族を失った幽々子さんへの恩を返す唯一の使命こそがそれなのだ。 魂魄妖夢の無念を晴らすべく、彼女の『魂の剣』は俺こそが受け継がなくてはならないッ! おこがましい気持ちだと思われようが、そいつが俺の『騎士道』なんだッ! 俺がこれから振る剣は、妖夢の剣だと思えッ! 俺に斬れねぇーモノなんぞ、あんまりねぇぜッ!! 「―――ふふっ」 幽々子が聊かに笑った。 「ふ…っ、ふふふ……。貴方、面白いわねぇ。今の、声に出てたわよ……? ホント、そーいう愚直なとこ、あの娘にそっくり」 「え……えぇ! で、出てました、か……? いや、恥ずかしいな……あはは……」 二人は小さく笑い合い、ほんの少しだけ幽々子の気持ちを救うことが出来た。 少なくとも、ポルナレフはそう感じた。 「メリー!? どうしたんですかッ!?」 背中から聞こえてきた阿求の驚く声に、ポルナレフと幽々子が同時に振り向く。 メリーが何事か蹲っていた。阿求が彼女の背中を揺すっている。 「どうした!? メリーに何かあったのか阿求ちゃん!!」 ポルナレフが慌てて駆け寄ろうとするが、メリーはよろよろと立ち上がりながらそれを制する。 「大丈夫、です……ただの、立ち眩みですから……!」 「ほ、ほんとに……? でもスマホの画面を見た瞬間、急に……―――っ!」 そこまで言いかけて阿求は思い出した。 先刻、ポルナレフを支配していた肉の芽をメリーが覗き見た瞬間。 阿求が何の気無しに『八雲紫』の名を口にした瞬間。 メリーの意識は混濁し、境界の世界へと旅立ったことに。 (わわ……! しまった私としたことが! メリーには『八雲紫』様に通ずる語句や光景はNGだと幽々子さんに言われたというのに!) まさかスマートフォンの画面にかの大妖怪、八雲紫の姿が写し出されていたとは露にも思わない阿求は自らの失態を恥じた。 それを見てしまったことをきっかけとし、メリーはまたしても深く昏睡してしまうところだった。 しかしさっきの画面に写されていたのは確かに……紫だった。しかも見るもおぞましい光景として。 (紫様がまさかあんなことを……? ううん、きっと……きっと何かの間違いに決まってる!) あの方は『あのようなこと』を仕出かす御方じゃない。 首を振り、先ほどの画面の光景を即座に否定する阿求。 それよりもまずは、メリーの体調の心配をせねば。 「本当に大丈夫ですか? 少し横になった方が良いかもしれません」 「……うん。でも、本当に大したことないのよ。だから心配しなくても良いわ」 「きっと疲れが溜まってたんだろう。もう少し落ち着ける場所を探して、ゆっくり休もう」 ポルナレフもメリーを心配して肩を貸す。 阿求はその様子に少しだけ安心し、さきほどのスマートフォンの『記事内容』をこれからどうみんなに説明するかを悩み始め、 「――――――ゆ、かり…………?」 幽々子が地面に落ちたスマートフォンを拾い上げている姿を目撃し―――絶句した。 画面には幽々子の無二の親友が、幽々子の誰よりも愛しい従者を撃ち殺す残虐な記事が眩く写し出されていた。 Chapter.3 『墨染の桜、不修多羅に舞いて』 END TO BE CONTINUED… 中編へ⇒DAY DREAM ~ 天満月の妖鳥、化猫の幻想 中
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A Secret Adventure 原曲 ヒロシゲ36号 ~ Neo SuperExpress/月の妖鳥、化猫の幻 Vocal めらみぽっぷ/紫月菜乃 Lyric RD-Sounds 概要 秘封倶楽部の二人がいつものように意気揚々と夜の町を抜け出していく。 秘封関連の曲はいくつかのCDで収録されているが歌詞の内容からこの曲が始点という説が有力。 喩にて2期オープニングとの呼び声高い楽曲が発表されたため1期オープニングと言われることとなった。 小ネタ RD氏のブログ内でこの曲の楽譜がDLできる。2011年8月の記事を密やかに冒険してみよう。 コメント 楽譜のページ消えた? -- 名無しさん (2019-07-11 15 47 23) 名前 コメント
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DAY DREAM ~ 天満月の妖鳥、化猫の幻想 中⇐中編から ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ Chapter.5 『DEAD DREAM』 『ジャン・ピエール・ポルナレフ』 【朝】E-6 太陽の畑 攻防は十分にも及ばぬほどに僅かなもの。 しかし、ポルナレフと蓮子、剣と剣のぶつかり合いは優に千を越えるほどの斬り合いによって今なお続いていた。 その卓越した技量の剣撃は、離れた場所で戦いを見守る阿求の目には無数の火花が散っているほどの錯覚を起こす。 「ポルナレフさん……! メリー……!」 戦う力を持たない阿求には手を組んで祈ることしか出来ない。 肉の芽に支配されていたポルナレフが、今度はメリーを救うために剣を振るっている。 その相手はあろうことか、メリーの親友である宇佐見蓮子その人だ。 蓮子の額の芽を直視し、気絶してしまったメリーを後ろに下げた蓮子。 その瞬間、戦いが始まってしまった。 ああ、運命というものはどこまで残酷なのだろう。 どうして蓮子までもがDIOの支配を宿してしまったのか。 どうして蓮子がメリーを連れ去ろうとしているのか。 阿求には何も分からない。 何も分からないから、祈るしか出来ない。 「ホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラアアァァァーーーーーーーーーーッッッ!!!!」 ポルナレフが高らかに咆え続け、『シルバー・チャリオッツ』の剣を目に見えぬ速度で突く! 突く! 突く! 突く! 対する蓮子は涼しい顔で『アヌビス神』の刀を以っていなし続ける。 その後ろでは気を失ったメリーの身体をヨーヨーマッが支え、観戦していた。 「さっきから全く手加減ナシですか。私、これでもメリーの親友なんですよ?」 「やかましいッ!! お前の芽を潰して、目を覚まさせてやるって言ってんだーーーッ!!」 「私に手を出せばメリーは殺すと言った筈ですが」 「お前たちは明らかにメリーを攫うために近づいてきた! そのお前らが簡単にメリーを傷付けるわきゃねーからな! ハッタリだろーがッ!」 「……ただのアホじゃあなさそうね」 凄まじい剣の嵐の中、2人の言葉が交わう。 しかし、徐々にポルナレフの剣が押され始めた。 ポルナレフは手加減などしているつもりは無いが、恩人であるメリーの親友を斬り付ける事にはやはり抵抗があった。 対して蓮子はポルナレフを完全に殺す気で刀を振るっている。 その意識の差が2人に優劣を付け始めた。 そして蓮子の操る刀のスタンド『アヌビス神』の特性も、蓮子優勢の一因を語っている。 (いいゼいいゼ蓮子の嬢ちゃん!! そのままクソッタレポルナレフを百枚にオロしちまおうぜェーーーッ!!!) 「……戦ってるのはあくまで私の身体よ。あまり無茶をさせすぎないで欲しいんだけど」 (おっと女の子の蓮子ちゃんにゃあやっぱキツイかい? だが安心しろォ! 俺様はことポルナレフにおいてはもう負ける気しねェーッ!) 蓮子の意識がDIOによって支配されている以上、アヌビス神がDIOの支配を上書きすることは出来なかった。 故に蓮子がアヌビス神を握っていても、彼女の意識が刀に支配されることはない。 しかしアヌビス神の能力が蓮子を剣の達人へと変貌させ、ポルナレフをも上回る剣士を誕生させた。 そしてアヌビス神の『一度受けた攻撃を憶える能力』は、長期戦になるほどポルナレフにとって絶対的不利。 蓮子の手数がポルナレフを上回り始める。 (ウーーッシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャァーーーッ!!) 「く……ッ! やはりコイツの刀! さっきからだんだん『強くなって』きてやがる……ッ!」 劣勢を悟り狼狽するポルナレフは、一度大きく間合いを取る。 既に彼の肉体の所々には刀の切り傷があった。 対する蓮子の身体には……一切の傷が無い。 剣と剣による正面からの斬り合い。 その結果、目に見えて蓮子に軍配が上がり始めている。 ポルナレフの心には焦りと屈辱がざわめきたっていた。 (クソ……ッ! あの妙な刀も恐らくスタンド……! こんな女の子にいい様にあしらわれるなんざ、俺のプライドが許さねえぜ! だがどうする……!? このスタンド、相当強い……!) 荒い息遣いを隠すように顔の汗を拭う。 最早単純な力や技術押しでは敵わなくなってきた。 『敗北』の二文字が頭を過ぎる。 (負け……だと!? 俺が負けりゃあ誰がメリーを救う! 女一人護れねえで何が騎士道だ! 皆の命を護ってみせると……誓ったばかりじゃねえかッ!) 例え死んでも護り通すものがあった。 それは自尊心や自己満足などではない、彼にとってはかけがえのないモノ。 再び『シルバー・チャリオッツ』の剣を構える。 蓮子の構えは素人そのものであったが、あの妖刀から生み出される攻撃の軌道はまるで読めない。 恐らくあの刀のスタンドに『意思』のようなものがあって、それが蓮子を突き動かしているのだとポルナレフは当たりをつける。 『刀さえ破壊できれば』……そう思索していたその時。 「蓮子ちゃ~~~ん! ただいまぁ♪」 場にそぐわぬ締まりない声で青娥が戻ってきた。 「おかえりなさ……わ。どうしたんですかその右手とお腹の怪我。まさか『失敗』ですか?」 「いえいえ、ちゃあんと『仕掛けて』きたわよぉ♪ でも、ちょっと反撃されちゃってねぇ…… 蓮子ちゃんの方もメリーちゃんは確保できたみたいね。よぉお~~~しよしよしよしよしよしよし♪」 「やめてください……。目的を果たしたならさっさと行きましょう」 (青娥……ッ! じゃあジャイロと神子はやられたのか……!?) 青娥は怪我こそしていたが、彼女がここに居るということはジャイロと神子はどうなったのか。 こんなふざけた女1人にあの2人がやられたとは考えたくなかったが、この青娥という女はどうも底知れぬモノを感じる。 しかし万が一彼らが敗北したのなら、今度この2人と対峙するのはこの自分だ。 緊張と戦慄の汗がポルナレフを伝う。 その動揺を打ち払い、チャリオッツの剣を一振りして敵に向けた。 「おい、テメエらッ!! ジャイロ達をどうした!? メリーを何処へ連れて行く気だッ!?」 「悪いですがポルナレフさん。勝負はここでお開きです。 私たちが貴方に直接手を下す必要は『無くなりました』から」 「ごめんなさいねぇポルナレフさん? 急ぐ用事が出来てしまいましたので。 それにジャイロさん“は”まだ生きていますわ。早く会いに行ってあげた方がよろしいかと」 そう吐き捨てた後、青娥と蓮子はメリーを連れてあっさりと踵を返していく。 「待ちやがれッ! そう簡単に逃げられてたまるかッ!」 それを見逃すわけにはいかないポルナレフは追おうと駆けた。 その時、足元に小さな缶の様なものが転がっていることに気付く。 次の瞬間、辺りを覆う爆音と衝撃。 凄まじい爆音にたち眩み、膝を突かずにはいられなかった。 青娥の放った『音響爆弾』がポルナレフの視界と聴覚を奪い、暫くの間その行動を封じたのだ。 彼が何とか立ち上がれた時には、既に彼女らの姿は見えなかった。 「………クソッ!! 何やってるんだ俺はッ!!」 呆然と立ち竦んだ後、悔やむ様に足踏みするポルナレフ。 とにかく後を追わなければ……! そう思ったのも束の間。 「あ……ぁ、ポルナレフさん……!」 陰ながら戦いを見ていた阿求がよそよそと現れた。 彼女はおよそ半泣きになってポルナレフに駆け寄り、その場でくたっと腰を抜かしてしまう。 「ポルナレフさん……メリーが、メリーがぁ……!」 「阿求ちゃん、大丈夫だ。メリーは俺がすぐに助けに行く! だから泣かないでくれ!」 「グス……っ、はい……」 震える阿求の頭を撫で、笑顔を作って勇気付ける。 しかしメリーを攫われたことによる自責の念は拭えない。 とにかく、今はすぐさま敵を追わなくてはならない一刻を争う状況。 それに青娥が最後に放った言葉も気になる。 「阿求ちゃん! 俺はジャイロ達の様子を見てくる! ……幽々子さんを頼む!」 眠る幽々子を阿求に任せ、ポルナレフは仲間の元へと飛び出した。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 「……青娥さん、その傷は大丈夫なんですか?」 「……正直、ちょっと危ないかも。早いとこ治療しないと死んじゃうわ」 「簡単に治療できるような軽い怪我には見えませんが」 「大丈夫大丈夫♪ 仙人にはキョンシーを使っての蘇生術もあるんだから! その辺の死体の肉体を使えば治療出来るわよ~」 「……私の身体を治療には使わないでくださいよ」 「あははバレちゃったぁ~? まぁ仙人ジョークは置いといて、早くここから逃げ出さないと巻き込まれちゃうわ」 「スタンドDISCを欲しがってた割には『アレ』、あっさりと使っちゃうんですね」 「だって~、流石の私でもあんなのいらないわよぉ。 『死ななきゃ能力が発動しない』なんて全然面白くないじゃない? だから死ぬ直前の豊聡耳様の頭に差し込んできちゃったわ♪」 「……青娥さんって本当に容赦ナシですよね」 「豊聡耳様の欲も私に負けず劣らず巨大ですのよ。 遍く全ての生き物は欲によってこの世に産まれ、そして最期には欲によって朽ちるのです。 ……あの方の最期の欲は凡庸でもあり、高潔でもあり……だからこそ本当に美しかった」 「分かったような分からないような。 まあ、とにかくその傷を治療したら早くDIO様の元へ急ぎましょう。 ……ヨーヨーマッ。しっかりメリーを運んでね。私の友達に傷でも付けたら怒るわよ?」 『かしこまりましたァ、ご主人様』 【E-6 北の平原/午前】 【霍青娥@東方神霊廟】 [状態]:疲労(中)、右手欠損、右脇腹損傷、全身に唾液での溶解痕あり(傷は深くは無い)、衣装ボロボロ [装備]:S W M500(残弾3/5)、スタンドDISC「オアシス」@ジョジョ第5部、河童の光学迷彩スーツ(バッテリー60%)@東方風神録 [道具]:双眼鏡@現実、500S Wマグナム弾(13発)、催涙スプレー@現実、音響爆弾(残1/3)@現実、基本支給品×5 [思考・状況] 基本行動方針:気の赴くままに行動する。 1:DIOの王者の風格に魅了。彼の計画を手伝う。 2:死体の肉体を使って身体の治療。その後メリーを連れて紅魔館へ帰還。 3:会場内のスタンドDISCの収集。ある程度集まったらDIO様にプレゼント♪ 4:八雲紫とメリーの関係に興味。 5:あの『相手を本にするスタンド使い』に会うのはもうコリゴリだわ。 6:時間があれば芳香も探してみる。 [備考] ※参戦時期は神霊廟以降です。 ※制限の度合いは後の書き手さんにお任せします。 ※光学迷彩スーツのバッテリーは30分前後で切れてしまいます。充電切れになった際は1時間後に再び使用可能になるようです。 ※DIOに魅入ってしまいましたが、ジョルノのことは(一応)興味を持っています。 【宇佐見蓮子@秘封倶楽部】 [状態]:疲労(中)、肉の芽の支配 [装備]:アヌビス神@ジョジョ第3部、スタンドDISC「ヨーヨーマッ」@ジョジョ第6部 [道具]:基本支給品、食糧複数 [思考・状況] 基本行動方針:DIOの命令に従う。 1:DIOの命令通り、メリーを紅魔館まで連れて来る。 2:青娥やアヌビス神と協力し、邪魔者は排除する。 [備考] ※参戦時期は少なくとも『卯酉東海道』の後です。 ※ジョニィとは、ジャイロの名前(本名にあらず)の情報を共有しました。 ※「星を見ただけで今の時間が分かり、月を見ただけで今居る場所が分かる程度の能力」は会場内でも効果を発揮します。 ※アヌビス神の支配の上から、DIOの肉の芽の支配が上書きされています。 現在アヌビス神は『咲夜のナイフ格闘』『止まった時の中で動く』『星の白金のパワーとスピード』『銀の戦車の剣術』を『憶えて』います。 【マエリベリー・ハーン@秘封倶楽部】 [状態]:気絶中(蓮子の肉の芽の中?) [装備]:なし [道具]:八雲紫の傘@東方妖々夢、星熊杯@東方地霊殿、基本支給品 [思考・状況] 基本行動方針:蓮子と一緒に此処から脱出する。ツェペリさんの『勇気』と『可能性』を信じる生き方を受け継ぐ。 1:蓮子……どうして? 2:八雲紫に会いたい。 [備考] ※参戦時期は少なくとも『伊弉諾物質』の後です。 ※『境目』が存在するものに対して不安定ながら入り込むことができます。 その際、夢の世界で体験したことは全て現実の自分に返ってくるようです。 ※ツェペリとジョナサン・ジョースター、ロバート・E・O・スピードワゴンの情報を共有しました。 ※ツェペリとの時間軸の違いに気づきました。 ※竹林で落とした八雲紫の傘と星熊杯を回収しました。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ それは本体の『死』をトリガーとし、殺されることによって初めて発現するエネルギー。 瀕死であった神子が気付かぬ内に頭に仕込まれ、そしてその悪夢の『スタンド』はこの世に顕現してしまった。 永永無窮のエネルギー。 空空漠漠の射程距離。 電光石火の牙。 この世のあらゆる狂気と絶望を体現したかのような禍々しさは、死によってその存在を確立させた。 無我の悪魔であり、最早食べることのみを機能として動き出した不死のスタンド。 ―――そのスタンドの名は、 ―――――― ――― ― ウジュル、ウジュル。 そんな不気味な『食事』の音を、ジャイロは呆然と立ち竦みながら耳に入れていた。 喰われているのは、千切れ飛んだ自分の右腕だ。 喰っているのは、『骨』とも『肉塊』とも形容し難い『ナニカ』。 散らし尽くされた大量の向日葵の残骸。 その上を紅色で彩るように流れる鮮血。 その上でハイエナが血肉を貪るように一心に続けられる食事。 ウジュル、ウジュウジュウジュウジュウジュルルルル。 血液が逆流を開始するように、失った右腕から血のシャワーが噴き出る。 遅れてポツポツと、顔中から汗がドッと染み出してくる。 グラリと視界が揺れ、倒れそうになった足を必死に持ちこたえた。 目の前で行われている晩餐から、視線が外せない。 ふと、蠢く『ナニカ』の傍の地面に目が行った。 血文字だ。血によって何か書かれていた。 『敵スタンドの名はノトーリアス・B・I・G』 『助けてくれ』 『お願いだ』 『神子が死体になってしまった』 『喰われるのは嫌だ』 『神子はカワイソーにゾウキンのように捨てられた』 『殺されることによって初めて作動するエネルギー 死体だからもう殺すことはできない』 『もう助からない』 『死ぬ前に』 『故郷ネアポリスの ピッツァが食べたい』 ―――『ジャイロ・ツェペリ』――― (敵……スタンド……? 『ノトーリアス・B・I・G』……だと?) 誰が書いたモノだこれは。 誰の攻撃だこれは。 死体……? 喰われるだと……? 目の前の『コイツ』が書きやがったのか? それとも……オレか? コイツが美味そうに喰ってんのは、オレの『腕』か? これは、スタンド攻撃…… 殺されることによって初めて作動するエネルギー……だと。 まさか、神子のスタンド……? 違う。 「―――あ」 短く零れ落ちた呟き。 それと同時に、残った左腕で腰のホルダーから鉄球を取り出す。 「―――ッッッッの女ァァァァァアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!!!!」 怒りが爆発した。 これが誰の攻撃によるものか、考えるまでも無い。 あの邪仙・霍青娥の攻撃は終わっていなかった。 奴は逃げ去る直前、最後の最後で神子に『何か』したのだ。 死ぬことによって発現するスタンド。 そんな悪魔のようなカラクリを、奴は神子に植え付けて逃げ去った。 奴はあろうことか、神子の死を『利用』したッ! この上ない、『生』への冒涜だッ! 絶対に、絶対に許さねェッ!! 「何喰ってんだテメエエエエェェェェェーーーーーーーーーッッッ!!!!!!」 左手で鉄球を投げるモーションを取る。 未だに視界は青娥の催涙スプレーにより完調ではない。 若干の視界の滲みでも、黄金長方形のスケールの読み取りを狂わせてしまう。 そんなことは関係あるかとでも言いたげに、ジャイロは手に持つ鉄球を回転させ…… 『食事中』だった敵スタンドが、突然ジャイロの振りかぶった左腕目掛けて飛んできた。 (な……にィィーーーッ!? なんだコイツ!? 目標をオレの腕にいきなり変えやがったッ!) 死ぬことで発現する能力。言うなれば『本体』のいないスタンドだ。 本体がいないのに、自分の攻撃が『見えている』? ありえない。ならば考えられることはひとつしかない。 コイツは何かを『探知』し、それに向かって自動的に攻撃する『自動操縦型スタンド』だッ! しかし……! (避けるのが間に合わねえッ! 『速い』ぞコイツ!) 左腕もが敵の餌食になることを覚悟したジャイロだったが、 ―――敵は何故かジャイロの『腕』ではなく、手に持った『鉄球』へと喰らいついた。 思わず鉄球を手放す。敵スタンドはそのまま回転する鉄球を覆い尽くすように隙間無く齧り付いた。 不可解ではあったが、自分が鉄球すら握れない身体になるのはとりあえず免れたらしい。 だが、今度は肝心要の鉄球が奪われてしまった。 肉と骨を混ぜ合わせた悪趣味なオブジェのようなスライム型の『ナニカ』が、ボリボリと音をたてて鉄球を喰らい尽くしていく。 身体から失われていく血液が止まってくれない。 霞みゆく思考の中、必死に考えを巡らせる。 敵本体は居ない。 鉄球も無い。 どうする。この『化物』を完全に殺害するにはどうすればいい? 「く………ッ!」 打開策が思い付かない。 こんな時、ジャイロの傍にはいつもジョニィ・ジョースターが付いていた。 ジャイロが危機に陥った時にはジョニィが。ジョニィが危機に陥った時にはジャイロが。 2人は互いに助け合い、笑い合い、そして長い長いレースの道のりを常に隣同士で走ってきた。 そのジョニィもここには居ない。今は居ない相棒を考えてもどうにもならない事態なのだ。 赤いマントも腰のサーベルも、何の装備も無い状態で暴れ牛の前に投げ出された闘牛士。 そんな闘牛士が選択し得る行動など、みっともなく無様に闘技場から逃げ出すことだけだ。 ―――今ならコイツから逃げられるかもしれない。 今にして思えば青娥があっさりと逃走を選んだのは、このスタンドの攻撃に巻き込まれないからだった。 しかし仮に逃げたとして、果たしてその行為は正解なのか。 最悪、向こうにいるポルナレフやメリーたちを巻き込む形になってしまいかねない。 そもそもポルナレフたちは無事なのだろうか? 青娥には仲間もいた。そいつに襲われていないだろうか。 やはり向こうも心配だ。この化物とあの青娥は後で必ずブッ殺すとして、今はコイツから距離を置きたい。 ジャイロがそう結論付け、ゆっくりとこの場から離れようとした瞬間…… またもや敵スタンドが食事をやめ、高速で突っ込んでくる! この敵の攻撃条件が掴めない。次に攻撃を受けたら間違いなくやられる。 防御も反撃も出来ない。万事休すか。 絶望的な死を覚悟したジャイロだったが、敵は何故か“ジャイロの横をすり抜け”見当違いの方向へと飛んでいった。 驚くジャイロの見つめる先、そこには…… 「ジャイロォッ! 大丈夫かッ!?」 ポルナレフがこちらへと向かって走って来ていた。 「ポルナレフゥゥゥウウウウーーーーーッッ!!!!! こっちへ来るんじゃねェェエエエーーーーーーーーーッッッッ!!!!!」 ガバリと、巨大な鮫のように大口を開いて飛び向かう敵スタンド。 ジャイロの叫びはこの状況の緊迫さを表しており、自身に危険極まりない何かが迫っていることを瞬時に悟り、 何より目の前に迫る怪物がポルナレフにかつてない危険信号を与えていた。 全身の毛が逆立つほどの『脅威』を眼前の化物から感じ取ったポルナレフは咄嗟にスタンドを展開。 『シルバー・チャリオッツ』の一閃を繰り出す! ―――が! 目で捉える事も困難なチャリオッツの剣撃を、敵スタンドは形態を変化させて容易に掴んだ。 アメーバを思わせる半固体状の敵スタンドがチャリオッツの剣先を飲み込み始め、徐々に徐々にチャリオッツ本体へと蝕んでいく。 その薄気味悪い外殻以上に、ポルナレフはこの化物の『スピード』に何より恐れを抱いた。 自分のチャリオッツの剣術、特にその攻撃のスピードには誰にも負けない自信があった彼であった。 そのチャリオッツの至近距離からの攻撃をあっさりと捕らえ、今こうしてじわじわと敵の魔の手が伸びて来ている。 自信すらへし折られそうな敵の超絶なスピードに、ポルナレフは恐怖し慄く。 「ジャ……ジャイロォッ!! 何だこの化物はッ!? とんでもねえ動きしたぞ今ッ!!」 言い終わらない内にも敵スタンドが剣を完全に飲み込み、続いてチャリオッツ本体に飛び掛った! 先程よりも化物の体積が『増えている』。肉もスタンドも飲み込み、大きく成長していっている。 そして次にこの化物はチャリオッツに喰らい付き、それはすなわち本体であるポルナレフへのどうしようもないダメージへと繋がる! 「――――ガ、ハッ!」 「ポルナレフウウウゥゥーーーーーッ!!!」 近距離での白兵戦ならばポルナレフのシルバー・チャリオッツを凌駕するスタンドなどはそうそういない。 そのポルナレフが何も出来ずに易々と懐に潜りこまれたのだ。 当人は勿論、それはジャイロにとってもかつて味わったことの無い最悪の相手だと痛感する。 化物がチャリオッツの胸部をガツガツと喰い、吸収していく。血反吐を吐くポルナレフ。 ジャイロは考えるよりも先に、地面に落ちていた鉄球を拾った! 化物に喰われ尽くされたそれはもう球体と呼ぶには些か不似合いであり、既に鉄球としての戦闘能力が失われている。 それでも強引に回転させ、絶体絶命のポルナレフを救うためにジャイロはもう一度投擲を試みるしかなかった。 ポルナレフの皮膚が見る見るうちに喰われていき、辺りにおぞましい悲鳴が轟く。 ジャイロの手から鉄球が離れる直前。 ポルナレフを喰らっていた敵スタンドが、今度はその心臓を標的と定め魔手を伸ばしたその瞬間。 ―――敵スタンドは突然チャリオッツから興味を失ったように離れ、そのまま上空へと飛んでいってしまった。 あまりに不意の奇行。 何かに反応していったのか、敵の姿が暁光の空へと消えていく。 それに安心したのか、ガクリと膝を突いたポルナレフだったが幸いにして命はあった。 「……ッ!? な、何だァあの化物ヤローは? 散々暴れまわった挙句、とっとと逃げちまいやがったぞ……」 「くっ……ハァ…ハァ……! ジャ、イロ……今の奴は……? それに……」 ―――神子は何処にいる……? ジャイロは当然その質問を予想していたが、いざ聞かれるとやはり口篭る。 その様子を一目見、ポルナレフも瞬時に理解した。彼女の身に何があったかを。 2人の間には一瞬の沈黙が流れたが、時は一刻を争う事態だという事も理解していた。 神子と青娥の戦いの瑣末、現れた蓮子に拉致されたメリー、今しがた襲われた怪物スタンド…… 事は既にして、抜き差しならない状況にまで追い込まれている。 それを互いに確認し合えば、最早為すべき事は理解、共鳴した。 青娥をブッ飛ばして、メリーを救出する。 つまるところ、今一番に為すべき目的はそれに間違いない。 ジャイロは己の失態で神子を失い。 ポルナレフは己の未熟でメリーを攫われ。 男はふつふつと心に闘争心を滾らせる。 互いに「すまなかった」とは言葉にしない。 ゴタゴタぬかす暇があったらとっとと追うぞと言わんばかりの鋭い瞳を燃やし。 青娥達の去っていった方向を目に定めて――― 「うおおおぉぉぉぉーーーーーーーーッッッ!?!?」 「きゃああああああああああぁぁぁぁッッッ!?!?」 ド ォ ォ オ オ ー ー ン ッ !! ―――その方向、正確に言えば更にその上空から悲鳴と地鳴りと共に2人の男女が降ってきた。 「おわあッ!? な、なんだあ……ッ!?」 「さっきの化物スタンドかッ!?」 すぐに戦闘の姿勢をとったポルナレフとジャイロ。 目の前の土埃の向こうに先の敵スタンドの姿を仮想し、神経を集中。 落下の衝撃で発生した軽いクレーターと煙幕が、中々敵の姿を見せてくれない。 ゴクリと唾を飲み込む音が聞こえた。タラリと緊張の汗が一粒滴る。 十数秒ほど空気が硬直した中、ついに晴れた土埃から覗かせた者は…… 「むきゅ~~~……。 痛ったぁ~~~……む、無茶しすぎですよぉ……!」 「東風谷、さん……重い、です……」 「あ! す、すみません……! ……って、重いってなんですか重いって! 私はこれでも日々苦労しながら健康と食事量との戦いを続け、先日やっっっと3キロのダイエットに……」 現れた少年と少女は、静かなる情熱の緑と鮮やかなる華麗の緑。 『奇跡の少女』東風谷早苗と、 「―――花京院、典明……!」 「……ポル、ナレフ?」 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ★ ★ 『花京院典明』 【朝】E-6 太陽の畑 近隣上空 もうどれほどになるだろうか。 朝靄の冷たい風を頬に受けながら、この悠久なる大地の空を飛び続けるのは。 星と太陽が入れ替わり、この世界の朝を初めて体験する花京院典明は、目の前の少女の風に靡く後頭部を見つめながらそう思った。 たまに地上を見下ろせば自然豊富な大地の美しさを感受し、思わず感嘆の息を漏らす事もここ数度。 よくよく考えてみれば自分は滅多に出来ない体験をしているのかもしれない。 飛行機から地上を見下ろす時とはまた違った感動が心に浮かび出てくるのを、外界の人間である花京院が止める事叶うわけもなく。 すぐにその考えを不謹慎だと振り飛ばし、また目前へと視線を戻す。 自分らの真下では今も殺戮が行われているかもと考えると、楽観的な思考など邪念として捨て払わずにはいられなかった。 先程からこの『オンバシラ』は轟々と突き進み、だが緩やかに湾曲したり高度を上げ下げしたりと忙しない。 目標人物である『八坂神奈子』の姿など一向に見つからず、花京院の心には次第に焦燥心が生まれてくる。 巨大な森林上空を走ったり、気になる所では館の隣で何かが燃えている光景まで目撃した。 それでもこの高度、このスピードで豆粒ほどに小さな人物ひとりを見逃すことなく飛行を続けるのは至難だ。 上空を飛行し続けるこのオンバシラの舵取り役は目下の所、目の前の東風谷早苗なる少女が握っていた。 というよりは、オンバシラの操作など不可能である花京院には黙って乗客で在り続けることしか出来ない。 元より彼は無理を言って彼女に付いて来た身。自分がどうこう口出しできる立場では無いのだ。 だから、これまでの空路を殆どの会話もなく、飛んできた。 気まずさも当然あったが、それ以上に花京院は早苗を信用して相乗りしているのだ。 だがその信用も数分、数十分経つにつれると段々疑心が生まれてくる。 その内花京院は早苗を怪しむようになっていた。 こちらからでは彼女の顔色を窺うことは出来ないが、その後ろ姿からでも確固たる信念は知れる。 迷うことなくこの空のサーフィンを決行した彼女だ。早苗という少女はあらゆる意味で真っ直ぐな少女だった。 それでも、『もしかして』……『まさかとは思うが』…… そんな懸念が花京院の心の大部分を占めるようになった頃。 とうとう花京院は意を決して、兼ねてより口には出すまいと忍んできた『質問』をぶつけることにした。 「あの、東風谷さん」 「………何ですか、花京院くん? 喋ると舌、噛みますよ」 「僕は君を信頼してこのオンバシラへと乗り込みました。だから今まで敢えて聞かなかったのですが……」 「…………」 「―――八坂神奈子の逃げた方向、勿論知った上で追跡してるんですよね?」 「…………………………………………」 その溜め息が漏れるほどに長い長い無言は、花京院の『疑問』を『確信』へと変えるのには充分過ぎる時間だった。 「…………あのですね、東風谷さん」 「だってっ!! 仕方ないじゃないですか!!! 煙幕が晴れた時には神奈子様の姿はすでに見えなかったんですからっ!!! それにそれに! 勝手に付いて来たのは花京院くんであって、それはいわゆる自己責任って奴で!! えっとえっと………つまり~~~~~っっ!!!」 「つまり、八坂神奈子の逃げた先の見当は全く付かない、ということですね?」 「はいッッッッ!!!!!!」 今までの捜索は一体なんだったのだろう。 近年稀に見るほどに良い返事を耳に入れながら、花京院は額に手を当てて呆れる仕草をひとつ。 「あの、どうしてそれをもっと早く言ってくれなかったのですか……?」 「だ、だってだって背中の花京院くんの視線が段々プレッシャーに感じてきちゃって、言うに言い出せなかったんですよ~っ!!」 自分はそれほど眼力を発していたのだろうか。 どうやら東風谷早苗という人物は思ったよりもずっと天然だったらしい。 「……戻りましょう。もうかなりの距離を飛んで来てしまっています。このままだと会場の『外』に出かねません」 この会場に『外』などあるのだろうかと、ふと思ってしまう。 だがこのままエリア外から出てしまえば最悪、脳内爆弾が発動しかねない。 時間のロス。それだけの事だと自分に言い聞かせ、溜息を漏らすのは我慢した。 ……………………? 花京院の案に、早苗がまたもや無言になる。 それを訝しげていると、早苗がゆっくりと、かつ半涙目でこちらへと振り返った。 その年相応の乙女らしい仕草に花京院は不覚にも、少しだけ鼓動が早まった気がした。 「…………戻れません」 「……………………はい?」 「このオンバシラ、スピードはありますけど小回りが殆ど効かないんです! このままゆったりと旋回してれば会場外へはみ出しちゃいますよぉ~~~っ!!」 どうやら鼓動が早まったのは別の意味だったようだ。 「な……なんですってッ! じゃ、じゃあ今すぐ降りてくださいッ!! 下手すれば僕達、文字通りの『自爆』ですよッ!?」 「お……降りるって、どうすればいいんでしょう……?」 目眩がした。 この両の足にしっかりとネジが張り付いていなければ、確実に自分の体はヒモ無しバンジーを体験していただろう。 「き、君は何も考えずに操縦していたのか!?」 「ご、ごめんなさわわぁ~~~ん!!! ででででも大丈夫ですっ! オンバシラに注いでいる霊力の注入をやめれば……」 「……着陸はどうするのです?」 「…………………………」 自分が目覚めた時に感じたこの少女への『女神』のようなイメージ像が、派手な音をたててバラバラと崩れてゆく。 「じょ、冗談じゃあないぞ! こんな馬鹿みたいな事故で死んでしまうなんて僕はごめんだ!」 「あーーー!!! なんか私のせいにしてる流れですけど、勝手に付いて来たのは花京院くんなんですからね!? どんな結果になっても責任持てませんって私言いましたからね!?」 「それにしたってこんな結果になるなんて思わないでしょう! そもそも東風谷さんが黙っているのが悪いわけで―――」 ド ガ ン ッ !! 互いにいがみ合う中、突如響く轟音。 続いて足元を大きく揺らすほどの振動が2人を正気にさせた。 「……ッ!? なんだ今の揺れは……!?」 「わ、わかりません……。それに気のせいか、スピードも高度も『落ちて』いるような……」 言われてみれば段々とオンバシラの速度が落ちてきている。 花京院の額に嫌な汗が流れた。乗った乗り物が墜落するジンクスが、まさかあの血統から自分にも移ったんじゃないだろうか。 「東風谷さん、態勢を立て直してください! どんどん落ちているぞッ!」 「やってますが……駄目ですッ! 調整が出来な―――」 不意に早苗の声が止まった。 見れば、彼女はこちらを振り向きながら固まっている。 「……東風谷さん?」 「……花京院くん。 ……う、後ろ」 後方を指差しながら彼女は引き攣っている。 その指の指す方向を花京院はおそるおそる……振り返った。 爆進するオンバシラの最後尾。 ピタリと張り付くように―――『ソレ』は居た。 ウネウネと蠢き合う皮膚。腐ったスライム状の形態。 丸い目の中には光も焦点も無く、不気味な唸り声が歯の揃った口腔から響いてくる。 バスケットボールほどの大きさはあるだろうか。いや、僅かにだが成長している様子が見られた。 『喰って』いるのだ。このオンバシラから湧き出るエネルギーを。 このエイリアンのようにグロテスクな風貌を見て、花京院は直感する。 「スタンド……!? 地上から乗り込んできたのかッ!」 だとすれば本体はどこから操っている? 飛行するオンバシラに飛びついてくるなど相当なスピードと射程距離のスタンドだ。 (僕達を攻撃するつもりか!? しかしコイツ……何か『ヤバイ』ぞッ! 嫌な禍々しさだ……!) オンバシラの速度が落ちているのは間違いなくコイツの仕業だ。 すぐにコイツを倒さないとこのままでは墜落してしまう! 思うが否や、花京院は即座に攻撃に移った! 「エメラルド・スプラーーーーッシュ!!!!」 散弾銃のように発射された煌びやかな弾幕は、後尾にしがみつく敵目掛けて光を放ちながら飛んでいく。 この至近距離でこれだけの数の攻撃を躱すことなど到底不可能。花京院はそう思った。 しかし攻撃が命中する前に敵スタンドは形態を変化し、数本の触手のような物でなんとエメラルド・スプラッシュの弾幕を全て掴み取ったのだ。 「GYYYYAAHHHHHHHHHHHHーーーーーーーーーッ!!!!!」 猛獣のような咆哮。花京院は背筋を凍らせる。 今のありえぬ動き。1つ2つ弾くならともかく、コイツは放った弾幕全てを『掴んだ』のだ。 とても遠隔操作のスタンドとは思えない正確な動きと超スピード。まともに戦えば負傷必須だ。 (……おかしい、理屈に合わないぞ。これほどのスピードと正確性、本体がどこか近くに潜んでないと納得出来ない……!) 空を飛んでいるのにどこか『近く』? やはり妙だ。この速度と高度を飛ぶオンバシラの上まで地上から遠隔操作する者など…… それにさっきのコイツの動き、どこかで本体が見ていないと反応できるようなスピードではない……! いや、『探知』か……? コイツは僕達の『何か』を探知して、『自動的』に攻撃してるんじゃあ? 『自動操縦』! だから遠隔操作でもあんなスピーディな動きが出来るッ! 「か…花京院くんッ! もう無理です! 墜落しますッ!」 「東風谷さんッ! 足に固定させた『ネジ』を外すんです! 早くッ!」 今はこの敵よりもまずは無事に着地出来ることが重要だ。 早苗は言われたとおりに『ナット・キング・コール』でオンバシラと足を固定させたネジを外し、2人の足を自由にさせた。 「それで、この後はどうするんですか!? 花京院くん!」 「今すぐオンバシラの飛行を止めて下さい! 着地は僕が何とかします!」 「………ッ!」 焦りつつも言われた通り、オンバシラへの霊力の注入をストップする。 一瞬だけ重力から解放された感覚を味わい、次の瞬間2人の体はオンバシラと共に地上へと真っ逆さまに落ち始める。 だがこの敵はその程度では追跡をやめない。 張り付いていたオンバシラから離れ、空中を落ちながら花京院へとその邪悪な牙を向けて飛びかかった! 「き、来ましたよーッ!? こんな空中でどうやって追い払うんですかッ!?」 「エメラルド・スプラッシュで駄目なら粉々にするしかありませんッ! 東風谷さん、オンバシラを持ってください!」 花京院の意図が分かったのか、すぐに早苗は共に落下するオンバシラを脇で抱え込み、再び最大の霊力を込め始めた。 「メ…『メテオリックオンバシラァァーーーーッ!!!』」 軍艦の大砲を思わせる強力無比な巨大光弾が花京院に飛びかかる敵スタンドを丸々飲み込んだ。 「GYAHHHHHHHHHッッッ!!!!!!」 白光のレーザーに焼き尽くされ、その悪魔のスタンドは粉々に消滅する。 喜ぶ間も無く、撃ち込んだ反動で吹き飛ばされる早苗。 「きゃあああああぁぁぁーーーーーーーッ!?!?!?」 「東風谷さんッ!! 掴まって下さいッ!」 絶叫する早苗をスタンドで掴んで抱き寄せ、花京院は更にハイエロファント・グリーンを展開させた。 スタンドをヒモ状に細く分け、何重にも薄く重ね合わせる。 やがて出来たそれをマットの代わりとし、自分たちの下に敷く。 多少の空気抵抗も生まれ、落下の速度を減少させてくれる。 すぐ真下の地上では、黄色い草原が広がっていた。地図によれば確かここは『太陽の畑』と書かれた向日葵畑。 花を潰してしまうのは心痛いが、土も柔らかいだろう。死ぬことはないはずだ。 花京院は広げたスタンドのマットを今度は何重にも網のように重ね、『ネット』を生成。 落下の衝撃に備え、早苗を抱きしめる腕に一層力を込めた。 そして――― 「うおおおぉぉぉぉーーーーーーーーッッッ!?!?」 「きゃああああああああああぁぁぁぁッッッ!?!?」 ド ォ ォ オ オ ー ー ン ッ !! 早苗の奇跡を操る力かは定かではないが、2人は無事に怪我なく『着陸』した。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 「―――花京院、典明……!」 「……ポル、ナレフ?」 2人の男が向き合っていた。 それは遥か遠いエジプトへの路を共に旅してきたかけがえのない仲間。 花京院の感覚ではつい数時間別れていただけに過ぎないが、実に数年ぶりの再会のようにも思えた。 思いがけない『友』との出会いに、花京院の心もすぐに喜びで満ちる。 「ポルナレフ! 心配したぞ! だが…あぁ、無事で本当に良かった……!」 落下の衝撃で多少ふらついたが、花京院はすぐにポルナレフへと駆け寄った。 しかし、 「それ以上近づくなッ! 俺の許可なく足を動かせば瞬間、細切れにしてやるからな。まず色々質問させてもらうぜ」 2人の間には、致命的な『ズレ』があった。 花京院の足が止まる。 「ポルナレフ……!? 何を突然言い出す?」 「貴様はジョースター一行の花京院典明だったか? 悪いが俺はよく知りもしねー奴をそう易々と近づけるほどアホじゃねーぜ。 まず、何だっていきなり空から降ってきやがる? 人間大砲の練習でもしていたか?」 ポルナレフはそう制し、『シルバー・チャリオッツ』の剣を向けてきた。それは間違いなく花京院もよく知るスタンドの姿だ。 だからこそ花京院は余計に混乱する。ポルナレフが今放った言葉の意味がよく分からなかった。 「おいポルナレフ! お前はジャン・ピエール・ポルナレフだろう!? 僕のことを忘れたとでも言うのか!?」 「あぁ? だから花京院典明だろう? 随分馴れ馴れしい奴だな」 「ポルナレフ……? 何だ、コイツらお前の知っている奴か?」 「あの……花京院くん? どうしましたか? ポルナレフさんって、確か花京院くんのお仲間でしたよね……?」 相方の様子にジャイロと早苗も疑問を投げてきた。 花京院は動揺する。まるで自分の事を殆ど知らないかのようなポルナレフの口ぶり。 これでは自分の気が違っているみたいではないか。 だが事実、彼は僕をよくは知らないと言い、僕だけが彼を仲間として見ている。 これはどういうことだ? この一方通行の理解はどう解釈すればいい? まさかコイツ、足を滑らせて頭でも打って……いやいや、彼は確かにマヌケな所はあるがそこまでマヌケでもない、と思う。 目の前のポルナレフの瞳には、嘘や演技の色は見えない。それは確かに『警戒』しているような目をしていた。 花京院は混乱を極める頭をどうにかして冷静に考え、ひとつずつ順序立てて考えることにした。 もし考えを誤れば最悪、花京院は仲間の手によって斬り裂かれることになりかねない。 落ち着いて、ロジックを組み立てるように思考する。 そもそも不可解なのはあの『名簿』と支給品の『記憶DISC』だ。 死んだ者の名が載る参加者名簿。未来の承太郎の記憶。 荒木と太田が『時間を操る』能力を有している可能性は最初に考察したばかりだが、しかしそんなことが本当にありえるのか? いや、これを確かめる簡単な方法があった。 「ポルナレフ……。ひとつ聞きたいが、君はこの会場に連れて来られる前、『何処』に居た?」 「……おい、質問してるのはこっちだぜ。次ナメた口きくと八つ裂きにして―――」 「―――頼む。答えて欲しい。 ……ポルナレフ」 深く頭を下げる花京院を見て、ポルナレフは何故だか答えなくてはいけない。そんな気持ちになった。 「……中国のタイガーバームガーデン。そこで『魔術師の赤』のアヴドゥルや貴様たちと戦おうとしていた。 次の瞬間、俺は気付いたらここに連れてこられていた。これがお気に召す回答か?」 バラバラだったピースがカチリと組み合った。 それと同時に花京院は途方も無い脱力感に覆われ、目の前が真っ暗になった。 ここにいるポルナレフは確かに花京院の知る男であり、そして花京院の知らない男だった。 50日間に渡るエジプトへの旅は花京院にとって、そしてその仲間達にとって何にも代えがたい物となった。 しかしこのポルナレフはその思い出も、絆も、一切を持ち合わせていないポルナレフ。 友情を何よりも大切に想う花京院にとってその事実は、この上なく辛い衝撃を与えた。 「そう、か……そうか……。君は……僕の知っているポルナレフでは、なかったのか……」 「……花京院典明、アンタ…俺のことを知っているのか……?」 項垂れる花京院を見て、流石にポルナレフも違和感を覚えてきた。 何か会話が噛み合わない。まるで自分と花京院が友人同士だと言わんばかりだ。 重苦しい雰囲気が漂う中、ポルナレフの後ろに立つジャイロが口を開く。 「おいお前さん、あんたこのポルナレフをよく知っているみたいだな? ……オレにも何となく察しがついてきたぜ。神子やメリーが話していたな。 このゲームの参加者はどうも『違う時間軸から連れてこられた』と……。 オレの言いたいこと分かるかポルナレフ?」 「………!」 ジャイロの言葉を受け、ポルナレフにもようやく察してきた。 DIOの支配から解かれたとはいえ、この花京院はポルナレフの最後の記憶の上では敵ではあった。 今のポルナレフの居場所は、幽々子やメリーらの隣であることは間違いない。花京院は自分からすれば赤の他人も同然。 だがこの花京院の表情は、何か自分達の間にどうしようもない『ズレ』が存在するのではと思わせるには充分だった。 こんな時、どうすればいいのか分からない。 だがこのままでは『納得』することも出来ない。 ポルナレフという男は、花京院と同じ様に友情を何よりも大切に想う人間だったからだ。 「……花京院典明。次は俺の質問だ。 ……俺はあんたにとって『何だ』?」 答えを聞くのが少し恐ろしくもあった。 もしもポルナレフの想像している通りの答えだったならば、2人の中で決定的な『何か』が壊れてしまう気がする。 それでも聞かないわけにはいかない。それがポルナレフにとっての『納得』であった。 伏せていた顔を上げた花京院の表情はとても辛そうであり、それがポルナレフには泣いて見えた。 「―――このDISCを頭に挿してください。それで全てが……理解出来るはずです」 しかし花京院が次に言った言葉は、ポルナレフの予想にしない内容だった。 そう言って差し出された彼の手には1枚の『DISC』。円盤だ。 わけがわからなかったが、花京院の目は至って真面目である。 怪しみながらもポルナレフはそのDISCを受け取り、躊躇しながらそれを頭に挿して――― ―――そして、一瞬で全て理解出来た。 未来の空条承太郎の記憶。その中に眠る50日の旅が鮮明にポルナレフの中に蘇る。 いや、それはここにいるポルナレフ自身体験したことの無い、いわば偽りの記憶。 未来のポルナレフが体験するはずだった数々の出来事が、まるで走馬灯のように頭に流れ込んでくる。 ―――『いっておくがジョースターさんッ! 俺はこのままおめおめと逃げ出すことはしねーからなッ!』 ―――『僕もポルナレフと同じ気持ちです』 ―――『いやだッ! 俺は逃げることだけはできねえッ! アヴドゥルとイギーは俺のために死んだッ!』 ―――『承太郎……この旅行は…実に楽しかったなあ……色んなことがあった…』 ―――『まったく、フフフフフ…。本当に…楽しかった…50日間じゃったよ』 ―――『花京院! イギー! アヴドゥル! 終わったよ……』 ―――『つらいことがたくさんあったが…でも楽しかったよ。みんながいたからこの旅は楽しかった』 ―――『そうだな……楽しかった…心からそう思う…』 ―――『それじゃあな!! しみったれたじいさん! 長生きしろよ! そしてそのケチな孫よ! 俺のこと忘れるなよ!』 ―――『また会おうッ! わしのことが嫌いじゃあなけりゃあな! …マヌケ面ァ!』 ―――『忘れたくてもそんなキャラクターしてねえぜ…てめーはよ。元気でな……』 ―――『あばよ……』 映像はそこで途切れた。 否。堪らなくなってポルナレフが自ら取り出した。 所詮は他人の記憶。自分が体験したものではない。 だが空条承太郎というかけがえのない仲間の記憶は、DISCによってポルナレフの脳にリアルな感情と情景をもたらした。 ポルナレフには気の知れた友人などは居ない。 復讐に身を委ね、孤独に生きてきたといっても良いだろう。 だが確かに……確かに自分には仲間が居た。友人が居た。想い出があった。 孤独だった自分の人生には、何よりも大切な『居場所』があったのだ。 それを知れただけで、失った幸せを取り戻せた感覚になれた。 彼は同時に恥じた。 仕方の無いこととはいえ、目の前の花京院との友情を侮辱したも同然だったのだから。 しかしこんな自分が許されるのなら、もう一度。 「すまねえ……! す、まなかった……『花京院』……っ! 俺は……おれは……っ」 もう一度だけ、『友』でいて欲しい。 涙を流しながら懇願するポルナレフの姿に、花京院は。 「……これは、『仲直りの握手』だ。 ……ポルナレフ」 涙を溜めた笑みを浮かべながら、腕を差し出す。 その言葉の意味はかつての花京院とポルナレフの2人しか知らない、深い意味となるもの。 故にDISCにも存在しなかったその記憶が無い今のポルナレフでは、その言葉の真の意味は計れない。 しかし不思議なことにポルナレフには、その『仲直りの握手』が2人にとって大きな意味となることが何となく分かった。 ポルナレフは間を置かず、その握手に応えた。 嗚咽を流し震える友の肩を、花京院は優しく叩く。 はぐれた銀屑の星は、いま再びかつての煌きを取り戻した。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 「そうか……、じゃあ君はこのままメリーさんを助けに行くのだな」 「ああ! お前の事も心配だが、彼女達も俺の『居場所』に違いねえ! そこだけは曲げられねえぜ!」 「フフ……。やはりポルナレフはポルナレフのままだな。いつもの真っ直ぐな君だ」 「あー? なにワケのわからねえこと言ってんだよ花京院」 あれからすぐにお互いの状況を簡潔に話し、4人は状況を再確認した。 青娥急襲のこと。神子の死。攫われたメリー。 八坂神奈子を探してこの地まで来たこと。途中謎のスタンドに襲われたこと。 ポルナレフとジャイロはすぐにメリーの救出に向かうという。 花京院は仲間として彼らに同行したい気持ちもあったが…… チラリとジャイロの傷の手当をしている早苗の方を振り向く。 ジャイロの千切れた右腕は、早苗の『ナット・キング・コール』によって応急の接合処置は施されている。 所々喰われた肉片の欠損は目立つがこれで以前のように鉄球を投げられるはずだ。 手持ちの止血剤でジャイロの手当てをしながら早苗は花京院の視線に気付き、申し訳なさそうな顔をした。 「私も出来ればメリーさんの救出をお手伝いしたい所ですが……私にはやるべきことがあるんです。 すみません。でも花京院くんが御友人を協力したいのであれば私は止めたりなんかしません」 花京院と早苗の方も、やるべき使命はあった。 逃げた神奈子を追い、その凶行を止める。 花京院の天秤は多少揺らいだが、それでもポルナレフの事を信頼して、こう言った。 「ポルナレフ。僕たちの方も優先すべきことがあります。ですから残念ですが、君の方を手伝うことは難しいようです」 「ああ。お前ならそう言うと思ったよ。 ……早苗ちゃん、しっかり守れよ」 「君こそ、メリーさんを絶対救ってくださいね」 まるで昔からの親友同士のような会話。 そんな台詞にポルナレフは心の中が温かくなる。 「さあ、オレの方も治療は終わったぜ。そうと決まったらさっさと行くぞ、ポルナレフ ……神子の仇は絶対に取らなくちゃならねえからな」 ジャイロが繋ぎ終えた右腕をグルングルン回しながら歩き始める。 ポルナレフもすぐにそれに倣い、覚悟を固めた。 神子を失った事実は、ポルナレフにも大きな衝撃を与えたのだ。 これ以上、誰も失わせない。そんな覚悟で2人は歩き出す。 「花京院くん。 ……私達もそろそろ」 「……ええ」 こんな狂ったゲームの中でも、彼らには彼らの道がある。 願わくばもう一度、彼らの道と僕らの道が交差することを願って…… ポルナレフたちを見送りながら、すぐに自分達もここを発つため落ちたオンバシラを拾うために振り返った ―――時だった。 「―――東風谷さん。振り返らないで下さい。 ……ゆっくりです。ゆっくりこっちへ、歩いて来て下さい……!」 花京院の顔色が激変した。 早苗の、いや早苗の『後方』を凝視しながらゆっくりと手を差し出している。 その様子に早苗はただならぬ予感を感じ、冷や汗を流しながら―――後ろを振り返った。 「GYYYYYAAHHHHHHHHHHーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」 そこには再び悪魔が居た。 さっきよりも更なる巨大な姿で、その獰猛な牙を早苗に光らせて。 「ひ………っ!!」 「東風谷さんそこを決して動くなッ!!! こいつは何かを『探知』してそれに向かって動いているッ! ポルナレフゥーーーッ!! ジャイロォーーーッ!! さっきのスタンドだァーーーッ!!」 すぐさまポルナレフとジャイロを呼び戻し、花京院は思考を開始する。 この怪物はバラバラになってなどいなかった。 その不死なるスタンドの僅かな破片がオンバシラへと取り憑いたまま、再生と構成を繰り返しながら巨大化していたのだ。 オンバシラに溜まった膨大な霊力を取り込み、自分の物にして再び復活した。 全く不死身なスタンドだ。こんな敵をどうやって倒せばいいのか。 ジャイロ曰く、このスタンドは本体が既に死亡しているという今までの常識を覆すスタンド。 ならばやはり『自動的』! コイツは何を探知して動いているッ!? ジャイロは最初、コイツは回転する鉄球に向かって攻撃してきたと言う。 そして次に走り寄って来たポルナレフを襲い。 窮地の所を今度は空に向かって飛んでいった。 恐らく飛行する僕たちを感知して! 最後に飛び降りた僕たちに反応し、オンバシラを離れて攻撃してきた。 もう確実だ……! コイツの探知している物が分かった! 「おい、花京院……このバケモン、さっきよりデカくなってねーか?」 「おい……おいおいおいおいおいこんな奴どーやって倒すんだ?」 「ポルナレフ、ジャイロ。よく聞いてください。コイツは恐らく『動いているもの』を最優先で攻撃してきます。 それもその速度が速ければ速いほど、より速いスピードで追いついて来るのでしょう。 至近距離でのエメラルド・スプラッシュも全て受け止められたんだ。絶対に素早く動いてはいけませんよ……!」 花京院、ポルナレフ、ジャイロが3人並ぶように戦闘態勢をとった。 花京院たちと敵との間に挟まれるような形で、固まって動けない早苗が膝を振るわせる。 「東風谷さん、ゆっくりです……! そこからナメクジのようにゆっくりとこちらへ戻って来てください……!」 「なななナメクジって、この状況でそんな悠長な……!」 「早苗ちゃん早く! いや、遅く! 中国人のする太極拳のようにゆっくりとだぞ……!」 「…ポルナレフ、君たちはすぐにメリーさんの元へ向かってください。コイツは僕と東風谷さんで何とか……」 「バーーーカ! 俺を舐めてんじゃねえぞ、お前達だけで戦わせるわけにはいかねえだろーが! みんなでコイツを『秒殺』してすぐにメリーを追うぜ!」 今やこの怪物は人間大ほどの大きさにまで巨大化している。オンバシラの無尽蔵なエネルギーを取り込んで成長したのだろう。 果たしてこんな敵が倒せるのか……? だが花京院らが旅した中で、無理だ無謀だのなんて言葉は無かった。 コイツはこの世から消さなければならないッ! 『法皇』と、『銀の戦車』と、『鉄球』を構え、不死の化物との戦いが始まった。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 【E-6 太陽の畑/午前】 【花京院典明@ジョジョの奇妙な冒険 第3部 スターダストクルセイダース】 [状態]:体力消費(中)、右脇腹に大きな負傷(止血済み) [装備]:なし [道具]:空条承太郎の記憶DISC@ジョジョ第6部、不明支給品0~1(現実のもの、本人確認済み)、基本支給品×2(本人の物とプロシュートの物) [思考・状況] 基本行動方針:承太郎らと合流し、荒木・太田に反抗する 1:目の前のスタンドを倒す。 2:東風谷さんに協力し、八坂神奈子を止める。 3:承太郎、ジョセフたちと合流したい。 4:このDISCの記憶は真実?嘘だとは思えないが…… 5:4に確信を持ちたいため、できればDISCの記憶にある人物たちとも会ってみたい(ただし危険人物には要注意) 6:青娥、蓮子らを警戒。 [備考] ※参戦時期はDIOの館に乗り込む直前です。 ※空条承太郎の記憶DISC@ジョジョ第6部を使用しました。 これにより第6部でホワイトスネイクに記憶を奪われるまでの承太郎の記憶を読み取りました。が、DISCの内容すべてが真実かどうかについて確信は持ってません。 ※荒木、もしくは太田に「時間に干渉する能力」があるかもしれないと推測していますが、あくまで推測止まりです。 ※「ハイエロファントグリーン」の射程距離は半径100メートル程です。 ※ポルナレフらと軽く情報交換をしました。 【東風谷早苗@東方風神録】 [状態]:体力消費(中)、霊力消費(中)、精神疲労(小)、右掌に裂傷(止血済み)、全身に多少の打撲と擦り傷(止血済み) [装備]:御柱@東方風神録、スタンドDISC「ナット・キング・コール」@ジョジョ第8部 [道具]:止血剤@現実、十六夜咲夜のナイフセット@東方紅魔郷、基本支給品×2(本人の物と美鈴の物) [思考・状況] 基本行動方針:異変解決。この殺し合いを、そして神奈子を止める。 1:後ろのスタンドをどうにかする。取り込まれたオンバシラも取り返したい。 2:『愛する家族』として、神奈子様を絶対に止める。…私がやらなければ、殺してでも。無関係の人はなるべく巻き込みたくない。 3:殺し合いを打破する為の手段を捜す。仲間を集める。 4:諏訪子様に会って神奈子様の事を伝えたい。 5:3の為に異変解決を生業とする霊夢さんや魔理沙さんに共闘を持ちかける? 6:自分の弱さを乗り越える…こんな私に、出来るだろうか。 7:青娥、蓮子らを警戒。 [備考] ※参戦時期は少なくとも星蓮船の後です。 ※ポルナレフらと軽く情報交換をしました。 【ジャン・ピエール・ポルナレフ@第3部 スターダストクルセイダース】 [状態]:疲労(中)、身体数箇所に切り傷、胸部へのダメージ(止血済み) [装備]:なし [道具]:基本支給品 [思考・状況] 基本行動方針:メリーや幽々子らを護り通し、協力していく。 1:メリー救出。 2:花京院たちと協力してこの敵を秒殺する! 3:仲間を護る。 4:DIOやその一派は必ずブッ潰す! 5:八坂神奈子は警戒。 [備考] ※参戦時期は香港でジョースター一行と遭遇し、アヴドゥルと決闘する直前です。 ※空条承太郎の記憶DISC@ジョジョ第6部を使用しました。3部ラストの承太郎の記憶まで読み取りました。 ※はたての新聞を読みました。 【ジャイロ・ツェペリ@第7部 スティール・ボール・ラン】 [状態]:疲労(中)、身体の数箇所に酸による火傷、涙と洟水(現在ほぼ沈静)、右腕欠損(ネジで固定) [装備]:ナズーリンのペンデュラム@東方星蓮船 、ジャイロの鉄球@ジョジョ第7部(欠損多し) [道具]:ヴァルキリー@ジョジョ第7部、基本支給品 [思考・状況] 基本行動方針:ジョニィと合流し、主催者を倒す 1:目の前のスタンドを倒す。 2:メリーを救出。 3:青娥をブッ飛ばし神子の仇はとる。バックにDioか大統領? 4:ジョニィや博麗の巫女らを探し出す。 5:リンゴォ、ディエゴ、ヴァレンタイン、八坂神奈子は警戒。 [備考] ※参戦時期はSBR19巻、ジョニィと秘密を共有した直後です。 ※豊聡耳神子と博麗霊夢、八坂神奈子、聖白蓮、霍青娥の情報を共有しました。 ※はたての新聞を読みました。 ※E-6 太陽の畑に豊聡耳神子の死体が置かれています。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 「ポ……ポルナレフさんッ! ジャイロさぁーんッ!!」 「……っ!? 阿求!? 来るなッ!! 危険だッ!!」 動けば殺られる膠着状態が少し続いた中、遠くから阿求が駆け寄ってきた。 その様子は周章狼狽といった感じで、躓きそうになりながら慌てて向かって来ている。 ポルナレフは阿求を近づかせまいと大声で叫んだが、彼女はそれどころではないほどに取り乱していた。 「ごめんなさいッ!! わ、私のせいで…私が止めるべきだったのに……ッ!」 要領無く、なんとも的を射ない言葉だったが、ポルナレフは直感的に嫌な予感がした。 「―――幽々子さんが……っ! 幽々子、さんが……っ!」 「―――な、に……? 幽々子さんが、どうしたって……!?」 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ ひた、ひた、ひた。 行き処を見失った亡霊のように。 死してなお動き続ける亡者のように。 空虚を宿した瞳で、取り留めの無い足取りで、目覚めた女は歩く。 力無くだらんとぶら下げた右腕には従者の愛刀。 この刀で誰を斬らんとするのか。 何も、何も分からない。 彼女には、何を信じて良いのか分からない。 ただひとつ。 『彼女』に会わなければ。 その想いひとつで、泳ぐように進む。 「ゆかり…………あなた、いま………どこに…いるの………? ねえ、……ゆかり………どうして……」 Chapter.5 『DEAD DREAM』 END 【E-6 北の平原/午前】 【西行寺幽々子@東方妖々夢】 [状態]:茫然自失、霊力消費(小)、疲労(小)、左腕を縦に両断(完治) [装備]:白楼剣@東方妖々夢 [道具]:基本支給品 [思考・状況] 基本行動方針:殺し合いには乗らない。しかし… 1:紫に会って真偽を問う。 ※参戦時期は神霊廟以降です。 ※『死を操る程度の能力』について彼女なりに調べていました。 ※波紋の力が継承されたかどうかは後の書き手の方に任せます。 ※左腕に負った傷は治りましたが、何らかの後遺症が残るかもしれません。 【稗田阿求@東方求聞史紀】 [状態]:疲労(中)、自身の在り方への不安 [装備]:なし [道具]:スマートフォン@現実、生命探知機@現実、エイジャの赤石@ジョジョ第2部、稗田阿求の手記@現地調達、基本支給品 [思考・状況] 基本行動方針:殺し合いはしたくない。自身の在り方を模索する。 1:私なりの生き方を見つける。 2:メリーを助けたい。 3:幽々子さんも追わなきゃ…! 4:主催に抗えるかは解らないが、それでも自分が出来る限りやれることを頑張りたい。 5:荒木飛呂彦、太田順也は一体何者? 6:手記に名前を付けたい。 [備考] ※参戦時期は『東方求聞口授』の三者会談以降です。 ※神子が死んだことはまだ知りません。 ※はたての新聞を読みました。 ○支給品紹介 <催涙スプレー@現実> 魂魄妖夢に支給。 相手の顔面に向けて噴射する小型スプレーの防犯・護身グッズ。 カプサイシンを主成分としたOCガス(トウガラシスプレー)がスプレー缶より勢いよく噴射される。 これを顔面にスプレーされると皮膚や粘膜にヒリヒリとした痛みが走り、咳き込んだり涙が止まらなくなるなどといった症状が現れる。 <音響爆弾@現実> 星熊 勇儀に支給。 3個セットの非破壊・非致死性手榴弾。安全ピンを抜いて数秒後に爆発する。 爆発時の爆音・閃光により、付近の者に一時的な眩暈、難聴、耳鳴りなどの症状を起こす。 <スタンドDISC「ノトーリアス・B・I・G」@ジョジョ第5部> 破壊力:A スピード:∞ 射程距離:∞ 持続力:∞ 精密動作性:E 成長性:A 魂魄妖夢に支給。 自動操縦型のスタンド。本体が死亡することによって初めて発現する。 本体がいないため射程距離がなく、肉体やスタンドなどのエネルギーを取り込んでいくので持続力も無限大である。 またエネルギーを取り込む度に巨大化していく。 近くにあるものの中で『最も速く』動くものをそれと同じスピードで最優先に追跡し攻撃するが、逆に速く動きさえしなければ攻撃されることもない。 細切れになっても破壊されても永遠に再生を繰り返し、実質的には不死のスタンド。完全殺害不可能。 105:人妖彼岸之想塚 投下順 107:大脱走 105:人妖彼岸之想塚 時系列順 107:大脱走 073:戦車おとこにひそむめ、境界むすめのみるゆめ 稗田阿求 109:母なる坤神よ、友と共に 073:戦車おとこにひそむめ、境界むすめのみるゆめ 西行寺幽々子 135:亡我郷 -自尽- 073:戦車おとこにひそむめ、境界むすめのみるゆめ マエリベリー・ハーン 118:紅蒼の双つ星 ― ばいばいベイビィ ― 096:カーニバルの主題による人形のためのいびつな幻想曲 宇佐見蓮子 118:紅蒼の双つ星 ― ばいばいベイビィ ― 096:カーニバルの主題による人形のためのいびつな幻想曲 霍青娥 118:紅蒼の双つ星 ― ばいばいベイビィ ― 094:Green,Green 東風谷早苗 109:母なる坤神よ、友と共に 094:Green,Green 花京院典明 109:母なる坤神よ、友と共に 073:戦車おとこにひそむめ、境界むすめのみるゆめ ジャン・ピエール・ポルナレフ 109:母なる坤神よ、友と共に 073:戦車おとこにひそむめ、境界むすめのみるゆめ ジャイロ・ツェペリ 109:母なる坤神よ、友と共に 073:戦車おとこにひそむめ、境界むすめのみるゆめ 豊聡耳神子 死亡
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東方幻樂編曲集第弐集 舞 -MAI- サークル:Alstroemeria Records Number Track Name Arranger Original Works Original Tune Length 01 上海紅茶館 Masayoshi Minoshima 東方紅魔郷 上海紅茶館 ~ Chinese Tea [4 25] 02 ラクトガール~少女密室 ラクトガール ~ 少女密室 [4 10] 03 ツェペシュの幼き末裔 ツェペシュの幼き末裔 [5 00] 04 少女秘封倶楽部 蓮台野夜行 少女秘封倶楽部 [4 45] 05 古の冥界寺 古の冥界寺 [6 01] 06 月の妖鳥、化猫の幻 月の妖鳥、化猫の幻 [4 53] 07 もう歌しか聞こえない 東方永夜抄 もう歌しか聞こえない [4 11] 08 永夜の報い 永夜の報い ~ Imperishable Night [4 25] 09 恋色マスタースパーク 恋色マスタースパーク [4 52] 10 千年幻想郷 千年幻想郷 ~ History of the Moon [4 32] 詳細 コミックマーケット67(2004/12/30)にて初頒布 イベント価格:1,000円 ショップ価格:1,575円 レビュー 原曲ちょい維持系ダンストランスアレンジ。禅-ZEN-の方よりも心持ちビートが利いて太めなトランスではあるが、やはりどうしても全体的にぬるさを感じてしまう。やぼったいトランス、という表現はやや行き過ぎかもしれないが、「かっこよさ」が感じられないという意味ではそういう言い方もあり得るか、とにかく通して平板で、盛り上がりもキレも勘所もほとんどない、ただ淡々とトランスし続けるタイトルである。どれも同じに聴こえるので、クラブでかけるにも余り適さないように思えるほどである。これじゃ盛り上がろうにも盛り上がれない。価格的にも安いとは言えないので、こういう手のゆるいトランスが好きな人ならばともかく、そうでないならば個人的にはお勧めはすることはないだろう。 -- 電波? (2006-09-29 03 26 04) う~ん…8、9、10以外はほとんど印象に残らなかった…。 8、9、10はアップテンポなアレンジで嫌いではないが、いまひとつ迫力に欠ける。 でもそういうアレンジだと思って聴くと、好きになってきたりもする。アラ不思議。 -- ひず (2008-05-01 01 04 03) だめだ…俺にはこういう繰り返し過多は耐えられん…。 箕島さんは昔の方がよかったなぁ…。 -- 名無しさん (2009-04-14 22 17 08) 満足できるレベルではないかな… 全体的に作りこみが甘いというか詰めが甘いというか… そんな感じ 唯一「惜しい」と感じたのはTr.1 サビのピアノが雰囲気ぶち壊しなのはもったいない。 同人にポール・ヴァン・ダイクみたいなクォリティを求めてはいませんが、 力量はあるんだからがんばればもう少し出来るハズ トランスとはどういうものなのか、もう少し勉強してほしい 別に新たなるジャンルを開拓しようとしてるんじゃないだろうし… -- 名無しさん (2009-06-28 17 04 35) 名前 コメント
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STREET3115 サークル:梶迫小道具店 Number Track Name Arranger Lyrics Vocal Original Works Original Tune Length 01 Ticket to Mesmerizing Journey 梶迫迅八 - Atorichi-se 未知の花 魅知の旅 未知の花 魅知の旅 [05 36] 02 Wanton sporting - Atorichi-se五条孤萩 夢違科学世紀 童祭 ~ Innocent Treasures [05 21] 03 Perceptible world - Atorichi-se 蓮台野夜行 月の妖鳥、化猫の幻 [06 45] 04 Non-sensory world - Atorichi-se 大空魔術 天空のグリニッジ [03 40] 05 World s end of conceptual - Atorichi-se 大空魔術 大空魔術 ~ Magical Astronomy [04 31] 06 Landscape with mille-feuille(rework) 梶迫迅八 Atorichi-se 大空魔術 衛星カフェテラス [05 22] 07 Ticket to Mesmerizing Journey(org mix) - - 未知の花 魅知の旅 未知の花 魅知の旅 [05 38] 08 Wanton sporting(org mix) - - 夢違科学世紀 童祭 ~ Innocent Treasures [07 22] 09 Perceptible world(org mix) - - 蓮台野夜行 月の妖鳥、化猫の幻 [06 03] 10 Non-sensory world(org mix) - - 大空魔術 天空のグリニッジ [05 25] 11 World s end of conceptual(org mix) - - 大空魔術 大空魔術 ~ Magical Astronomy [05 47] 12 Landscape with mille-feuille(rework/org mix) - - 大空魔術 衛星カフェテラス [05 23] 13 Vell el mar(Groovetune "Last Stand" remix) - - 卯酉東海道 最も澄みわたる空と海 [06 42] 詳細 コミックマーケット81(2011/12/30)にて頒布 イベント価格:1,000円 ショップ価格:1,200円(税込:1,260円) レビュー 普通の音楽CDと違い、ストーリー付きドラマCD風という少し風変わりな趣向のアルバム。 あくまでドラマCD”風”なので、語りパートは少なめ。むしろ秘法倶楽部アレンジを楽しむ為のオマケのようなモノと捉えた方が良いだろう。 とはいえ、物語内容は秘法倶楽部の2人による皮肉の効いた日常ジョーク会話で展開されており、中々引き寄せられる感じで実に面白かった。 声担当のアトリ氏とチセ氏は声優経験が浅いのか最初の方はややぎこちなく聞こえるが、次第に落ち着いた演技になる。(どちらかといえば、店長?の声が貫禄ありすぎて若干浮いていたのが残念) お話自体は、結構いい終わり方をしていたので、Tr6後のミックスパートはもしかしたら蛇足気味だったかも… 他でも指摘されていたが、CDジャケットが帯を収納出来ない形式になっている為、同人コレクターからすれば手間を掛けさせられるCDなのかも。 -- 名無しさん (2013-09-29 01 06 59) 名前 コメント
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****************建造物*********************** 熱田神宮の中は、朝霧の巫女が熱田神宮を舞台にしていると聞いたのでまぁ資料?として読んでおくと良いかも。 空間の描写はとりあえず曖昧でも良し。描いても良いけど絵の描きやすさによって実際に書くときに勝手に改編することもあり得るので そこら辺は勘弁。 ****************人妖************************: === 宇佐見 蓮子 === 読み:うさみ れんこ 種族:人間 能力:星を見ただけで今の時間が分かり、月を見ただけで今居る場所が分かる程度の能力 テーマ曲: 少女秘封倶楽部 月の妖鳥、化猫の幻 出演: 『蓮台野夜行 〜 Ghostly Field Club.』 『夢違科学世紀 〜 Changeability of Strange Dream.』 『卯酉東海道 〜 Retrospective 53 minutes.』 『大空魔術 〜 Magical Astronomy.』 幻想郷の外(近未来)の大学生。境目を暴くオカルトサークル『秘封倶楽部』のメンバー。 超統一物理学を専攻し、「ひも」の研究をしている(現実の物理学にも、超弦理論という分野がある)。 メリーと同じく京都に住むが、実家は東京にあるらしい。 空を見ただけで今の時間と今居る場所が分かるが、メリーとの待ち合わせには遅刻する。 === マエリベリー・ハーン === 英字 :Maribel Han 種族 :人間 能力 :結界が見える程度の能力(境界を操る程度の能力?) テーマ曲: 少女秘封倶楽部 魔術師メリー 月の妖鳥、化猫の幻 出演: 『蓮台野夜行 〜 Ghostly Field Club.』 『夢違科学世紀 〜 Changeability of Strange Dream.』 『卯酉東海道 〜 Retrospective 53 minutes.』 『大空魔術 〜 Magical Astronomy.』 『求聞史紀』 『求聞史紀』の「未解決資料」には、「数百年前に竹林で拾われたメモ」 (p.158) が収録されており 、誰が書いたかは明言されていないものの、 メモには「天然の筍も手に入った」という記述(『夢違科学世紀』でもメリーは「夢の中」で筍を拾い、現実世界に持ち帰っている)や、宇佐見 蓮子の名前がある。 幻想郷の外(近未来)の大学生。境目を暴くオカルトサークル『秘封倶楽部』のメンバー。 相対性精神学を専攻している。音楽CDの舞台となっている時代では日本の首都となっている京都に住む。 蓮子には愛称である「メリー」と呼ばれている。ちなみにフルネームが明かされたのは『夢違科学世紀』から。 「結界が見える程度の能力」を持つが、『夢違科学世紀』では夢の中で幻想郷へ飛んでいたらしく、 話を聞いた蓮子は『境界を操る程度の能力に変わりつつあるのではないか』と危惧していた。 因みに「ラフカディオ=ハーン(小泉八雲の旧名)」のように「八雲」との関係を匂わせる部分もある。 Wikipediaより転載 他に分からないことが有れば 幻想情報局-イザヨイネット- を参考に。
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幻想語。(ゆめがたり) サークル:TUMENECO Number Track Name Arranger Lyrics Vocal Original Works Original Tune Length 01 ユメガタリ remix tomoya ななつめ yukina 蓮台野夜行 少女秘封倶楽部 [-- --] 02 ポラリス tomoya ななつめ yukina 卯酉東海道 ヒロシゲ36号 ~ Neo Super-Express [-- --] 03 東の果てのその果てで tomoya ななつめ yukina 蓮台野夜行 魔術師メリー [-- --] 月の妖鳥、化猫の幻 夢違科学世紀 夢と現の境界 04 永遠幻想 tomoya ななつめ yukina 蓮台野夜行 幻想の永遠祭 [-- --] 詳細 境界から視えた外界?(2010/11/28)にて頒布 イベント価格:700円 ショップ価格:998円(税込) レビュー
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シーリング ソフィエット サークル:ヘ蝶々 Number Track Name Arranger Original Works Original Tune Length 01 ゆられてひとり にぬきボム 蓮台野夜行 夜のデンデラ野を逝く [03 47] 02 サークル スキャニング! にぬきボム 蓮台野夜行 少女秘封倶楽部 [03 41] 03 アストロ マグス にぬきボム 蓮台野夜行 月の妖鳥、化猫の幻 [03 08] 04 ファン ストレンジ にぬきボム 夢違科学世紀 科学世紀の少年少女 [05 05] 05 シーリング ソフィエット にぬきボム 夢違科学世紀 夢と現の境界 [03 22] 06 いつものふたり にぬきボム 卯酉東海道 ヒロシゲ36号 ~ Neo Super-Express [03 14] 詳細 秘封倶楽部楽曲アレンジCD 科学世紀のカフェテラス(2011/2/20)にて頒布 イベント価格:500円 レビュー 名前 コメント