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わたしがいなくなれば 『よかった』 とあなたは笑うのでしょう 『お前が大事』 とかいうけど 嘘じゃないの? 本当に辛いときには 目を背けて 助けてくれなかったくせに 『あなたには悩み事がなくていいわね』 その言葉が胸に突き刺さる なにもわかってない わたしが消えれば楽になるんだろ? 素直に言ってくれればいいのに そしたら身勝手なわたしはきえるから 身勝手なあなたたちの前から邪魔なわたしは消えるから
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【希望の姫と勇敢なる騎士の純愛の行方とこれから】 日が傾き、月が地平線の端から曲線を出す頃。 空が淡い虹色へと彩られ、世界が最も美しく見える時のことだった。 ある丘の上に、ふたつの人影。 ひとつは少女。 夜に行われる宴のためか、シンプルな白いドレスを着て、黒髪の中に赤いカチューシャを覗かしている。 ひとつは青年。 こちらも宴のためだろうか、いつもの彼とは打って変わって、黒いタキシードを着こなしている。そして、金髪の上にはシルクハットを。 と。 先にしばらく続いた沈黙を破ったのは、少女だった。 「・・・・あの、チェインさん」 「何だ?」 「此処に呼び出した理由のことなんですけど。私に話したいお話って、何ですか?」 「・・・・ああ、まあ・・・・は、話っていっても、直ぐに、終わる・・・・はず」 そしてチェインはアブソーの方へ向き直ると、一度大きく深呼吸をして、 「コアの中でも、言おうとしたことなんだけどよ・・・・お、俺はお前の、こ、ことが――」 そこまで、チェインは言いかけて。 アブソーの顔が赤いことに気付いた。 最初は夕日のせいかと思ったが、確かにそれはアブソーの体温によるものだと気付いたので、チェインは慌てて、 「アブソー、お前もしかして、熱なのか!?」 早口で言いながら、アブソーの頭を掴んで、優しく己の額とアブソーの額をくっつける。 刹那。 「ちぇ、チェインさん、近いです!」 と、すぐ目の前から大きな声。 「・・・・・・・・あ」 アブソーの言葉にチェインも今の状況に気付き、顔をさらに赤らめながらアブソーから離れる。 お互いの間にしばし、気まずい雰囲気が流れ。 唐突にアブソーが口を開いた。 「私も実は、チェインさんにお話したいことがあるんです」 アブソーはそして、チェインの碧眼を真っ直ぐに見つめて、 「これから私は、クルー・G・アブソーと名乗ることにしました」 ちなみにGはガディスのGです、と。 アブソーは微笑みながら付け加えた。 「・・・・おい、アブソー・・・・それってどういう意味だ?」 「此処に――妖精界にずっと居たいという意味です。人間界にも友達がいます、別れてしまうのは悲しいです。だけど、それ以上に、此処にいたいという気持ちが在るんです―― ――チェインさん、私は貴方に伝えたい事があります」 そこで、クルーにMr.鈍感と言われていた彼は、やっと、気付いた。 彼女の顔が赤い、その理由に。 「あの、私、実はチェインさんのことが――」 「好きだ」 「・・・・え?」 「好き、だ」 「え、あの、チェインさん」 「お前のことが好きなんだ、アブソー」 俺は、アブソーという人を愛しいと思っているんだ。 いままでも、これからも。 ずっと、そう思ってる。 優しい風邪が、チェインの金髪を揺らす。 暖かい夕日が、アブソーの頬を照らす。 この時、誰の眼から見ても、世界は平和で満ちていると、そう思うだろう。 希望の女神が幸せそうに笑ったのだから。 「チェインさん、私も貴方が好きです」 +++ そして、並んだふたつの人影が一層長くなった時のこと。 「――――あ」 アブソーは、立ち止まり。 家の影に隠れている、黒猫をくいいるように見つめる。 黒猫の眼は、異様に赤かった。 「ん? どうしたアブソー? もうすぐで宴が始まっちまうぞ」 「・・・・いえ、何でもありません」 「何でもない、って・・・・アブソー、何で笑ってんだ?」 「ふふふ。ちゃんと希望があるんだと思って」 「・・・・?」 チェインは首を傾げながらも、アブソーと再び並んで歩き出した。 と。 アブソーは嬉しそうに、呟く。 「ノヴァ叔母さんはもういないけど、それでも、人生を楽しむ希望はありますよね――ビーさん」 二人の背後で黒猫は答えるように、にゃあと鳴いたのだった。 それはひとつの果実から 終 End....
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NAME ルンシィ JOB 青魔導師兼料理人 POSITION 味方 LEVEL 初期25 キャラ説明 キマイラの亜種、超珍獣「キモイラ」(キモイラはとてつもなく美しくなれる「生きた宝石」(キモイラの肉のこと)を所持している。)に会う夢を追いかけ長い旅を続ける「オカマ」。 バイクからヘリまで操縦できる。 操縦しているときに言う口癖は、「ハワイで親父に習ったから。死んどけあのクズ…」 料理が得意。 敵の使った魔法を習得することが可能。 武器は【アヤメ小太刀】、奥の手は【名刀・チキンナイフ】。ナイフをよく使いこなす。バイクで平気で人をはねる。 メイド姿で、「自分が最も賢く頼れる主人」と豪語する。 ある良家の後継ぎであったが男のくせに料理ばかりして背が低い事で父親と喧嘩し家を飛び出し、そのあと女装(オカマ)に目覚める。 かなりの毒舌をまき散らし人を見下すような会話をする。どこかデレを思わせるそぶりを見せる。が、オカマ。口調は「ルンシィは~だにょ。」。毒舌は、「首くくれにょ」、「水面から二度と上がってこなくていいから。」、「地獄に親戚が働いてるから紹介してあげるにょ。」、「帰れ、下衆。下衆の分際でしゃしゃんな。」、「桜とは似て似つかぬほどに汚い肉片を飛ばしてお散りなさい」など。 なんやかんや、もったいぶりながら、自分でやろうとするし、助けちゃうタイプ。 青魔法は相手が技を使った時「レシピ」(本のようなもの)に「発動材料」が記載される。それを「ミキサー・ボルボックス」と呼ばれる小さいボックスに発動材料を入れて、振り、できた液体を飲みほし、青魔法を使う事ができる。(生物能力データを採取、発動することによって技を使うことができる。) ただしレシピに載っている発動材料がないとき、青魔法は使えない 発動材料とはモンスター(今回の場合主にユッシー)を倒した時に出てくるアイテムのこと。カッパの皿とかドラゴンの髭とか。 生き別れの弟に「モグライス」がいる。 自由気ままに旅をする孤高のオカマであり、食材を求めグルメな旅を続ける。 実はあまり魔王には興味無いが、たいていどこも探し回ってるので、魔王領にキモイラがいるのではないかと睨んでいる。
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「忠秀様、少々席を外します」 そう言い残し吉祥は母家に向かった パァァンと破壊音を立て、自室の障子を開けた 無残にも大破した障子を見ながら穏は冷や汗を流した 「来い」 「はい…」 いつもより数倍低い吉祥の声に若干ビビりながら おずおずと後に続き店に向かった 「忠秀様、吉祥と名乗ったのはこの男ではないでしょうか」 「あぁ!そうだ!この男に間違いない」 吉祥に思いっきり抓られしかたなしに再度自己紹介 「…桐生…穏です。…いてっ」 「桐生…諏雅宮上皇の…嫡子か?」 「……えぇ」 若干、目を逸らしてたらまた吉祥に抓られた あー…忘れてた事言いやがって… 「穏殿…ですな?先は助けて頂いたこと、感謝の次第…」 「あ、いや、その…」 「礼がしたい。是非、江戸城に登城していただたい」 「えーっと…あの…いや…」 お礼だとかそんなのが苦手な俺 焦って吉祥に視線を向けた すると吉祥は誰もが見とれる綺麗な笑顔をつくり 「忠秀様、穏は礼が欲しく助けたのではないとわたくしに申しておりました。故、忠秀様のお言葉だけで有り難いと…」 吉祥の弁解に必死に頷いた 「そうであったか。無理に云うてすまなかった」 そう言って忠秀は爽やかに笑った 「ところで二人はワシと年近いと思ったのだが…」 「穏も私も17ですが」 「やはりそうか!ならワシの友になってくれぬか?!城には友もおらずつまらぬ。だからなっ!」 「だそうだ。穏」 吉祥に話を振られなんとか落ち着いた俺は大きく息をはき 「いーんじゃねーの?俺は大歓迎」 「俺も異存はないな」 「なら二人は俺の友だな!今度、城に遊びに来い!!歓迎する!」 その言葉に吉祥と二人で笑った 忠秀とも打ち解け、しばらく母家で語り合ったのち忠秀は 城に帰っていった その夜、いつものように夕餉をすませ 酒を持ち、吉祥の部屋に行こうとすると帳場の平八が 廊下を走って来た 「ご、御前…!!」 「あ?平八、どうした」 「み、み、満松屋で!店のもんがみんな死んでたそうで!」 「なっ…要は…要はどうした!」 「それがっ…満松屋の若旦那だけが見当たらねぇって話でさぁ!!」 その話を聞いて、酒を捨て吉祥の部屋に急いだ 付け替えられた障子を開け部屋に飛び込んだ 「…穏?」 「…吉祥っ!満松屋とっ…要が…!」 【真逆の出来事】
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神は、地上に火、水、風、緑、光、地、知識の賢者を遣わした。 賢者たちの統治は地上人の光になると神は信じて・・・。 賢者たちの統治は百年の時まで続いた。 賢者たちの住まう塔を慌ただしく進む水の賢者、ミリス。 透き通る水のような袖を翻して、美しい髪を靡かせ、重々しい扉を押しあけた。 「エルノーヴァ!炎狐人が彩魚人を攻め入るの!なんとかしてちょうだい!」 部屋に座っていた賢者たちがざわついた。 上座に座っていた知識の賢者エルノーヴァが閉じていた目を開き、緑の眼が覗かせた。 「またですか・・・。今度は私には止められません。火の賢者ヒュールドランに任せましょう。 ですが、今回きりです。今度はそうはいきません。依存はありませんね?」 誰も依存は言わなかった。 「では、ヒュールドラン。行ってきてください。」 席に座っていた赤毛の炎のような紅い眼した青年が立ち上がり、 「はい。では、失礼します。」 エルノーヴァに一礼をして青年は退室してしまった。 ミリスは定位置につくと、エルノーヴァに言った。 「エルノーヴァ、地上人は争いばかりする。最近は酷くなってくるばかりではないですか。」 「でも、私たちの使命は彼らを統治すること。これでいいのです。滅ぼすことではないのです。」 緑の賢者、エノリスはエルノーヴァに聞いた。 「エルノーヴァは争いを止める方法は分からないの?」 「私はそんなことは知りえません。彼らに因縁があるにしろ、ないにしろ、関係ないこと。 いけないことを神の代わりに躾けるのが我らの使命です。」 「そうなのかな?」 「事実そうじゃないんですか?私たちにできるのはこれだけなんですから。」 「でも、躾けるのとは違うんじゃない?どちらかというと、義務付ける感じね。」 今まで黙っていた風の賢者、ヨーゼフは耳を澄ませていた手を下ろした。 「天上で争いが起こると風が言っている。」 「ヨーゼフ、神はなんと?」 「止めようとなさっています。ですが、様子は芳しくありません。」 エルノーヴァは溜め息をついて、窓を見上げた。 「世界のバランスが可笑しくなっているのですか?天上人が争いなど・・・。」 これが波乱の始まり。 そう、まだ始まりでしかなくて、大きな波紋はまだまだある。
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架空の世界には架空だけでなく現実が入り混じる―― ――それを語るのを許されたのは我ら語り手のみ 「ロア、ロアってば起きて」 とある小さな町の、とある小さな一軒家から溢れた最初の朝の一言。 その声は温もりに溢れているようで、けれど何処か呆れと怒りが混じった声だった。 その黒髪の声の主は何度呼びかけても反応がないのを確かめると、 唐突に布団をひっくり返す。ドスっという音と共に落ちた布団からは、 白髪の主――ロアネール(ロア)が顔を出す。 「もぉー、ユウリってば毎回こんな風に起こさないでよー」 ユウリと呼ばれた黒髪の主――ユウリス(ユウリ)は彼女と同じ顔に 困ったような苦笑を浮かべると、冷たく、けれど熱の籠もった毒舌を彼女に吐き出す。 「大体ロアのが悪いんだよ?僕に毎朝、朝食掃除洗濯その他の仕事させてるくせに 君を起こせと?体は一つしかないんだよ?わかる??」 「私は夕方の仕事だってしてるじゃない。それに体が一つしかない事だってわかるわよ」 ロアはいきなりの言葉攻めに反論する。が、ユウリの言葉には毎朝ノックダウンしてしまう。 「僕だって夕方、それに夜してるよ?それにわかってるなら、僕を使わないでよ、ね?」 「ぅー……」 今日の朝もユウリの勝ち。6連勝。ロアは唇を尖らせると、もぞもぞと布団から這い出る。 それが二人の日常、顔そっくりな二人の始まりの朝。こうも似ているのに違う二人の違い。 ――この食い違い血の繋がりあろうとも 全てが似るわけではないまして双子であろうとも―― end
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どうも。 スロウ摩ですv(・v・)v 軽い自己紹介↓v(・v・)v 今、受験生。 後二週間くらいで公立入試。 受かるか心配。 愛用の香水:犬の匂い 愛用の手:右手 愛用の目:右目の視力が天使に奪われつつある。メガネは絶対につけないよ。 どちらかとゆーと:年下好き。 ぶぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺっぺっっっっぺぺぺぺぺえっっぺ
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「な・・・・・・に・・・・・・?」今まで光を失っていた男の目に、力が戻った。 星光(シングァン)は言った。「カ.マをかけてみたが、図星か」男は目を大きく見開いたまま何も言わない。 星光は挑発するように片眉を上げた。「刺客が拷.問を受けてまで守ろうとするもの。忠誠か、そうでなけ れば家族くらいのものだ。貴様は誰かの盾では無さそうだ。ならば忠誠ではないだろうな」 男は震える唇から言葉を搾り出した。「貴様・・・・・・何をするつもりだ・・・・・・!」「言っただろう?お前が協 力的なら、助けてやると言っているんだ。」「助けるだと・・・・・・どういう意味だ」星光はフンと鼻を鳴らして 言った。「しらばっくれるな。貴様の主人に、家族を人質に取られているんだろう。例え死.んでも口を割ら ぬようにな。貴様の態度によっては俺が保護してやってもいい。一生貴様の主人が手を触れられぬよう 俺の庇護下に置いてやる」 男は眉間にギュっと皺を寄せていた。しかし、それは拷問の痛みのためではなかった。 「信じられるものか・・・・・・そんなことが」「信じる信じないは貴様の勝手だ。だが、どちらにしろお前は 協力しざるを得ないぞ」「・・・・・・何?」 そのときだった。隣の部屋から声が聞こえた。まぎれもない、聞きなれた女と赤ん坊の声・・・・・・。 星光は肩をすくめて言った。「さっきお前が口を滑らしてから、外の部下に合図を出した。優秀な情報網 を持って俺は幸せ者だ」 また女の声が言った。「あの……そろそろ教えてはいただけませんか?突然つれてこられて混乱して おります」それに答える星光の兵士の声「すぐに分かる。もう少し待て」星光引き取って言った。「貴様の 態度次第だがな」 男は歯をギリギリと音がするほどかみ締めた。「なんという汚い男だ・・・・・・これが一国の皇子とはな」 星光派バ.カにするように笑った。「お前の言う汚い皇子を汚いやり口で消そうとしたのは誰だったか」 男は星光を睨みつけた。従わなければ妻と子は間違いなく殺.されるだろう。それは間違いなかった。 もう男に選択の余地は無かった。 空が薄明るくなったころ、星光と紅兎は星光の宮へ戻る道をゆっくりと歩いていた。紅兎には星光が数 時間前に比べ相当やつれたように見えた。眼は落ち窪み隈が出来ている。足取りもなんとなくフラフラと 頼りない。それに、明け方の光にぼんやりと照らされているにしても、顔があまりにも青白かった。 刺客の男から聞きだした情報か、はたまたその直後の男の処刑に立ち会ったせいか、何がこの若い皇 子をここまでやつれさせたのか、紅兎にはわからなかった。 「紅兎」星光が急に立ち止って言った。「俺は正しいことをしたと思うか?」紅兎は答えなかったが、星光 は構わず続けた。「分からないんだ。あの男を殺.す必要があったのか、あそこまで苦しめてまで聞き出 す必要があったのか。俺の手には、お前の太刀でやつの指を切り落としたときの感触がまだ残ってる。 戦場で人を斬るのとは違う、斬らなくともよかったもしれない指だ」星光の手は震えていた。紅兎は思っ た。この皇子はあまりにも優しすぎる。 「・・・・・・恐れながら、殿下」紅兎は言った。「あくまで個人的見解としては、殿下は必要なことをなさった と思っております。全てが、御身を傷付けた賊を引きずり出すために、必要なことでした」紅兎が言うと 星光は自嘲気味に笑って言った。 「俺の身か・・・・・・何の役にも立たない第二皇子を傷付けたために、奴は殺.され、これから何人も 死.ぬのか」星光はまた歩き出した。紅兎はゆっくりと思考を巡らしながら、その小さな背を追った。 NEXT 12話
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【名前】 ダル 【性別】 男 【職業】 アクアリウム学校3年 【ES色】 青(大分黒っぽい) 【サモン】 木刀 キャラ紹介- ビジュアル:天パ、髭面。かなりゴツイ。右目が一重ゆえ、右目だけ若干細目。 制服については、だらしなく着崩している。 ベルト代りに、剣帯をつけている。 性格:能天気、面倒くさがり屋、楽天家。 自分のやりたいことしか興味を持たず、興味のない授業や話しのときは専ら寝ている。 赤点ギリギリで進級してきた問題児。 親類のショウとは、相対的。 入学当初は、かなり期待されていたらしい。 年々黒くなるESは仕様。 サモンの木刀はかなり使えるが、実技の授業以外で出したことがほとんどない。 ただ、サモンをだす瞬間だけ、ESが綺麗な青になる。 実家は神主と軍人の家系らしいが、事実関係は不明。 兵学を修めているので、指揮術には定評あり。 親類のショウとは、学年を超えて交流をしている。 其の為、ニ年生と勘違いされる事が多々ある。 一応寮長。 口癖:「やれやれ……」
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男はまだ走っていた。 だが、一行として住宅街から抜けることができなかった。 息が白い。空気が澄んだ・・むしろ沈んでしまった夜空が星を一杯に散りばめられていた。 走るのに少し余裕を見つけてしまったのか、男は夜空を見上げた。それはトウキョウとは思えないような夜空だった。 「美しい夜空だ。」男はそう呟いてしまった。 だんだん足が止まっていくのを感じた。だが、止めようとは思わない。無気力に体が夜空に持っていかれてしまったのだ。 そう、空さえも誘惑の悪魔と化していたのだ。 嗚呼、このまま終わってしまうのだろうか・・そう心が囃す・・だが、冷え切ってしまった体が動こうとしない。さっきまで滾らせた汗が冷えに冷えた。寒い。美しい。疲れた・・重く圧し掛かる無常感・・ だが突如!! 「ゥヒィッ!アヒアィ~ァ~~!!」 謎の悲鳴が聞こえた!!男はビクリと震え上がった。 後ろを向くと、一人の電柱によしかかった『酔っ払い』がいた。 男は野良犬が立小便しているような目で酔っ払いを見た。 酔っ払いはとうとう精神破損してしまったのか、倒れた。 咄嗟に男は酔っ払いに肩を貸した。 電柱までの足、2,3歩を動かしたのは男が困ってる人を放っておけない性格からだった。 女がただの平サラである男を好きになった理由はそこにあった。故に男は首をかしげ、愛した女がよっぽどのことがない限り振るはずがない。そう思っていた。 やがて酔っ払いは酔っ払いらしいシャックリをして、 「兄ちゃん・・ヒヒ・・今日の空はきれいだねえ・・やがて明けようって言うのに、まだ夜空が太陽を制している。」 男は妙に意味深なことを言った後、突拍子もなくさらに甲高く叫んだ。 「知ってるかぁ?年末までに3つの願い事をやっておくと神さんが、イィイヒィィ~~事してくれるんだと。。」 あまりに欠落した言葉たちの寄せ集めだったが、男はその言葉に似たことを聞いたことがある。 それは女との結婚式の最中だった。 男は教会で女の着替えたウェンディングドレスに舌鼓していた。男にとっては良い意味だった。得に何の問題もなく、家族の承認を得て、そして、暖簾 に手押しの幸せな未来がやってくるのだ。だが、それが現実でも一瞬一瞬が男にとっての語りつくせない幸せとは感動、楽しみ、次期に実る新たな生命・・数え 切れないものばかり・・コレもその一瞬だった。 教会の表口に誰でもどうぞ?っと言うように雑誌のように置いてある、【聖書】が目に留まった。 その中の第何章かは忘れたが、ペラペラめくりその一文に、 「天国に行き、生き返るときは神に3つの願い事を言う。それが生まれ変わって記憶のない身体で叶えれば、もう一度、生まれ変わる・・・」と。 「そうか・・」 男は一人夜が明けかけた空に呟いた。 「俺は今知ったんだ・・いや、思い出したんだ。俺は3つ願いを叶える!」 酔っ払いはまだ起きていた。黙ってその独り言を聞き終えたのか、 「んじゃぁ、何かしらねぇが・・もう正月だけど・・まだぁ、、俺には間に合う気がするんだわぁ・・頑張れよぉ・・う~っひ!」 最後に8秒にも及ぶゲップを浴びせ、酔っ払いは去った。酔っ払いが去った背からサンシャインが追いかけていった。 「もう、時間は過ぎてる・・でも、やらなければ!」 男にまた火がついた。何かさっきとは違う火だ。 靴はまだボロボロじゃない。息も出来る。眼鏡はもうこの際捨てよう。ネクタイも上着も要らない! 太陽を見つめ、男は光の中に足を伸ばした。 男は走った。 走り抜けた。小さな小道、デコボコ小砂利道、倒したゴミ箱、群がる烏、猫踏んじゃった。 男は感じてきた。男は『何とかハイ』と呼ばれる状態になったのだ。気持ちよくて仕方がない。正直名前などどうでも良い!疲れなど何処吹く風、男は無敵だ! そして、とうとう住宅街を抜けた。 そこにはタクシーが一台止まっていた。 ドライバーが暇そうにしてる。すると、男にドライバーは気付いたのか、 「乗ってくかい?」 と一言。 これに乗れば男は無事に着ける。 だが、男は自分の中でそれを否定した。何とかハイが胸を打つのか、それとも別のものか・・男は利益である、理性を尊重し、 「はい。」 と言ってしまった。 「乗りなぁ。」 ドライバーはスイッチを押し、助手席のドアを開けた。 助手席からは、臭いがした。あの酔っ払いの臭いだ! 「やっぱ臭いますかい?前の人が中国人か!って言うぐれぃ、良くゲップをしたもんで。」 男はドアを閉めた。 「止めるんですかい?」 ドライバーは少しがっかりした顔で男を見た。 「申し訳ございませんが・・」 「やっぱ、臭いもんナァ・・いい!いい!すまんって!」 ドライバーは身振り手振りでそんな事を言った。慣れているのか良く作られた作り笑いだった。 「私は走ります。それに意味があるのだと思うのです!」 酔っ払いは天使だった・・ 男が女に真実を尋ねること、娘たちと三人で御節を食べること、そして走りぬくこと。それが男の願いだったのだ! 男は最後のクラウチング体勢を切って走り始めた。