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プラネット・ゆース ~ドスまりさ~ 12KB 観察 パロディ ドスまりさ 自然界 独自設定 環境番組風 二行作 ゆっくりの知られざる生態に迫る『YHKスペシャル プラネット・ゆース』。 本日は、その第三夜です。 第一夜は、wiki 594。第二夜は、wiki 675にて公開致しました。 一話完結ものに付き、未読でも、支障はありません。 内容には、『独自設定』『ネタ被りの可能性』『虐描写の物足りなさ』が含まれています。 ご容赦下さいますよう、よろしくお願い致します。 当局は、ゆ虐専門チャンネルではありません。 ゆ虐専門は『ゆナッフTV』を、すっきりーに関しては『パラダイゆch』をご利用下さい。 『YHKスペシャル プラネット・ゆース 第三夜 ~ドスまりさ たったひとつのゆっくりプレイス~』 広い岸壁。遥か上空からの映像です。 灰色の岩々に紛れるように、2つの黒い何かが見えます。 それは、まりさのお帽子。 ドスまりさの親子が、海を見ています。 何も、美しい景色に酔いしれているわけではありません。 親ドスが天気を読み、それを子ドスに教えているのです。 雨に弱いゆっくりにとって、天候はまさに死活問題。 群れを治めるドスまりさにとって、天気予報は必修科目です。 これから、このドス親子は旅に出ます。 一見地味な、天候の予測。 実はそれこそ、大冒険の始まりでもあるのです。 ドスまりさ。 ゆっくりの長となる生き物です。 近年、人里に下りてきては被害をもたらす、ドゲスや無能ドス。 これらは、正確には、ドスまりさではありません。 ドゲス等は、生物学的には、変異型大まりさ種と呼ばれます。 環境の変化等による突然変異によって、ドス化するので、こう呼ばれます。 変異は、身体能力の大幅な向上を促します。 しかし、思考能力の向上には、教育や経験が必要となります。 経験を伴わない肉体の躍進は、当然、慢心を呼び起こします。 これが、ドゲスに到るメカニズムなのです。 対して、先祖代々の餡統により、ドスとなるものがいます。 これが、本来のドスまりさです。 変異型と区別して、純ドスとも呼ばれます。 純ドスは総じて聡明です。 群れを正しく導き、特に天敵や脅威には敏感に反応します。 そのため、人間の前に姿を現すことは、ありません。 森の奥深くや、険しい山々に身を潜め、群れと共に生活しています。 こちらから、純ドスに接触を試みる研究者もいます。 しかし直接、コンタクトに成功したものは、いません。 これほどまでに警戒心の強い、純ドス。 カメラでの撮影は、不可能とされてきました。 それを可能にしたのは、人工衛星。 ゆーグル社の協力を得て、最新の超高感度カメラによる撮影を行いました。 人工物には繊細に反応する、純ドス。 そんな彼らでも、上空500kmからの視線を、感じることはできません。 最先端技術を投入して行われた、純ドス撮影計画。 しかし、実際にその姿をとらえるまでに、3年の歳月を要しました。 海にたたずむ、純ドスの親子。 この何気ない映像こそ、世界初の快挙なのです。 翌日。 ドスの親子が、驚くべき行動に出ます。 少し低くなっている岸辺に、2匹のドスが移動しました。 波しぶきがかかっていますが、お構いなしです。 なんと、親子は、大事なはずのお帽子を、海に降ろしました。 大小の帽子が、仲良く波間に浮かんでいます。 長い棒を、2つの口がくわえました。 そして、海へ向かって、飛びます。 一家心中ではありません。 驚くべきことに、2匹のドスまりさは、お帽子の上に下り立ちます。 そのまま、口から伸びる棒をオールとして、沖へ漕ぎ出すのです。 まるで、水上まりさのように。 ドスまりさ親子の旅。 それは、航海です。 あなたはきっと、こう思ったことでしょう。 ドスまりさの巨体を、あんなお帽子程度の浮力で、支えられるのか、と。 水上まりさとお帽子の関係は、ゆっくりの謎として、よく語られます。 明らかに、質量と浮力がつりあっていないからです。 ここに未検証ながら、ある仮説があります。 お帽子内部にはガスが溜まっている、という説です。 密封されたペットボトルは、見た目以上の浮力を持ちます。 水難事故の際、浮き輪の代わりに使用されるほどです。 そして、水上まりさとお帽子は、ぴったりと密着しています。 頭からお帽子を離さない時と、同じような接着作用が働いているのです。 つまり、水上まりさは、ちょっとした浮き輪の上に乗っていることになります。 気体である以上、空気が抜けて帽子が萎んでいくことも、考えられます。 そのため、まりさのあにゃる部分から、ガスが補充され続けているのではないか。 研究者の中には、そんな考えを持つ者もいます。 お帽子内部のガスの成分に、着目する人もいます。 驚くべき性質を持つ、未知のガスであるという、期待です。 しかし、水上まりさの脆弱さ故、調査は難航しています。 ドスまりささえ支える、お帽子の謎。 ゆっくりはまだまだ、ミステリーに包まれた存在なのです。 ドスまりさ親子の旅は、続きます。 沿岸部から出た彼らは、外洋に到り、さらに沖を目指します。 その時速は約4km。 人間の散歩と同じ速度です。 空は快晴。波は穏か。ドスにとっては、絶好の航海日和。 恐らくは、そんな天候を選んでいたのでしょう。 このような環境は、旅の終わりまで、続きました。 時折、海水が跳ねて、ドスゆっくりの皮膚にかかります。 しかし陽光が、あっという間に、それを乾かしていきます。 海の色が、深くなりました。 ここまで来ると、海の生き物の姿が、消え始めます。 シャチも出ません。 外洋は、まさに、海の砂漠。 2匹のドスは、オールを漕ぎ続けます。 休みなく続くその行為は、激しい疲労を伴うことでしょう。 しかし、親子の表情は、意外にゆっくりしています。 夜になりました。 2匹のドスは身を寄せ合います。 不思議にも、饅頭の塊は、少しづつ、沖へ沖へと流れていきます。 彼らは海流さえ、味方にしているのでしょうか。 暗くなると、ドスまりさの姿が、闇に溶けてしまいます。 衛星に取り付けられた赤外線カメラが、僅かにその輪郭を写すのみです。 オールだけは、離していないようです。 ゆっくりの歯は、意外に強いものです。 根野菜を噛み、棒を口でつかみ、オールにしたり、敵と戦ったりもします。 しかし、ゆっくりの顎に当たる部分には、骨がありません。 これでは、噛む力に負けて、歯がポロポロと抜け落ちそうなものです。 ドスまりさが眠りに付いている間に、その秘密を解き明かすことにしましょう。 ゆっくりの口の中にある白いものを、私達もゆっくりも、『歯』と読んでいます。 饅頭生物はそれを使い、咀嚼だけではなく、手の代わりに色々なものを扱います。 ですが、ゆっくりを研究する人々は、それが歯ではないことを、知っています。 実際には、爪に近いものです。 ゆっくりの『歯』は奥に行くにつれ、丸い曲線を描き、根元は外皮に直結しています。 他の動物と違い、口の中の皮から直接、生えてきているのです。 『歯』自体の強度は弱いものの、緩やかに湾曲した形状がバネとなり、衝撃を和らげています。 この弓なりの形は、グリップを強める効果もあるのです。 下の『歯』を支える皮膚は、あんよ周辺のもので、ゆっくりの中では一番頑丈な部分です。 この下顎ともいえる部位が、ゆっくりの噛む力の源となります。 いわゆるテコの原理を応用し、時には『歯』の強度をはるかに越えるものさえ、噛み切ります。 栓抜きを思い浮かべれば、分かりやすいかもしれません。 野生ゆに、硬いダイコンなどが食べられてしまうのは、このせいです。 ドス種のあんよは、巨大な重量を引き受けるほどの、頑丈さを誇っています。 それに連なる『歯』もまた、連日のオール漕ぎを苦にしない、強さを持っているのです。 外皮部分に深刻なダメージを受けると、『歯』も同時に機能を失います。 しかも抜け落ちる時は根元から剥離してしまうので、再生することもできません。 口からポロポロとこぼれ落ちる白いものを見て、誰もが『歯』だと思ってしまいがちです。 あらゆる常識に囚われないことが、ゆっくり研究の基本なのです。 ドス親子の旅は、2日間に及びました。 その行程はおよそ100km。 フェリーなら2時間程度の道のりですが、ゆっくりにとっては、命がけの航海です。 ある場所で、2匹のドスまりさは静止します。 おさげにオールを絡ませ固定し、留まる体勢に入りました。 そこは一見、何もない、単なる海のど真ん中に見えます。 解析の結果、ここはあらゆる水の流れが及ばない位置だということが分かりました。 波さえ穏かであれば、いつまでもそこで漂っていられる場所です。 ここに来て、彼らがまず行ったこと。 それは、平凡な、すーりすーりでした。 暖かな日差しの中、ゆっくりと、愛情を確かめ合っています。 それが一段落すると、口をパクパクと開き合います。 おうたを歌っているようです。 衛星カメラからの映像のため、音声は取れていません。 しかし、そのゆっくりとした表情は、俯瞰視点にも関わらず、鮮明に分かります。 ゆーグル社クルーの、技術の賜物です。 この光景だけ切り取れば、水上まりさ親子の、何でもないスキンシップに見えます。 実はこれこそが、危険を冒してまで旅をしてきた、ドス親子の目的なのです。 純ドスは、ゆっくりの長です。 それは、ゆん生の全てを、他のゆっくりに捧げることを意味します。 ドスとなったが最後、自分がゆっくりすることは、叶わないのです。 ドスはその巨体故、自然の驚異に、最もさらされます。 それにも増して恐ろしいのは、人間です。 発見次第、駆除されてしまうことを、純ドスのまりさは知っているのです。 これらの危機から群れと自分を守るため、純ドスは絶えず緊張していなければなりません。 どこかでこっそりゆっくりしようにも、特性が邪魔をします。 ドスのゆっくりオーラが、他のゆっくりを呼び寄せてしまうのです。 純ドスがゆっくりできる条件とは、ゆっくりにも、人間にも、天候にも邪魔をされないこと。 そんな条件を満たした数少ない場所が、ここ、外洋のど真ん中なのです。 大海原は砂漠や極北ほど過酷ではなく、遥か沖に到れば、生き物の数も少なくなります。 しかも今、ドス親子がいる周辺は、船舶の航行ルート等からも外れています。 母なる海。 それこそが、ドスまりさの、たったひとつのゆっくりプレイスなのです。 一昼夜かけて、他愛もない行為は繰り返されました。 変化は、翌朝、やってきました。 親ドスが、穏かな笑みを浮かべ、空を見ています。 子ドスは、泣いていました。 大きな方のドスが、おさげを振り上げました。 今まで旅を共にしてきた、ひとつのオールが、あらぬ方向へ飛ばされ、流されます。 親まりさが、目を閉じました。 金髪が風になびき、笑顔が、より鮮やかになります。 子ドスが、驚くべき行動に出ます。 そよぐ金髪ごと、親の頭部を、かじりました。 止めどなく涙を流しながら、まりさは、咀嚼します。 子は親を、食べ続けました。 時折、嗚咽しているのでしょう。 口の中の餡子が、ポロポロと海の中へ落ちていきます。 どんなに自分が減っていっても、苦悶ひとつ、親まりさは表しません。 笑み結ばれたままの口元が、人間の目には、より凄惨なものに見えてしまいます。 恐らく、親ドスは幸せなのでしょう。 それは同時に、中身がパサパサしておいしくないことも意味します。 この共食い行為には、どんな意味があるのでしょう。 世話品大学の滋賀博士は、こう分析しました。 「この一連の行為は、親ドスから子ドスへの、継承の儀式のようなものです。 子が親を生きたまま食べることにより、記憶餡を直接取り込むことができます。 経験と記憶が、完璧に受け継がれるのです。 純ドスが、ゆっくり種としては考えれないほど賢いことも、これで説明が付きます。 もうひとつ、考えられることがあります。 それは、食べることそのものを、忌避させることです。 純ドスには、あらゆるゆっくりが許されず、食事も例外ではありません。 第一、あれだけの巨体です。 無計画に食事すれば、あっというまに群れ全体が飢えるでしょう。 だからこそ、ここで食事そのものへの、トラウマを植えつけているのです。 もしかしたら、このたった一回の食事が、ドス一生分のカロリーとなるのかもしれません」 遂に親ドスの体が、半分以下になりました。 残された口元は未だ笑っています。 もう、生きてはいないでしょう。 子ドスは、泣き止んでいます。 記憶餡が、吸収・継承されたようです。 たったひとつになったドスが、再びオールをくわえます。 棒の先で、半分になった饅頭を突き、海へ落としました。 深い深い海底へ沈んでいく、親まりさ。 もしかしたら、たくさんのドスが、こうやって溶けていったのかもしれません。 新しいドスが、器用に親のお帽子をオールにひっかけて、被ります。 もし不意に雨が襲ってきたとしても、多少は防ぐことができるでしょう。 やや小ぶりだった子ドスの体は、一回り大きくなっていました。 その表皮も海と潮風にさらされて、厚く丈夫になっています。 ドスは、来た道を戻っていきます。 群れに、帰るのです。 陸にあんよを付き、群れへ入った瞬間から、ドスとしての生活が始まります。 とても、過酷なものです。 それでもドスまりさは、耐え続けることでしょう。 いつの日か、愛する我が子と共に、再びゆっくりプレイスを訪れる時まで。 偉大なる親と同じ場所に、還る日を夢見ながら。 『YHKスペシャル プラネット・ゆース 第三夜 ~ドスまりさ たったひとつのゆっくりプレイス~』 製作: YHK(ゆっくり放送協会) カメラ: 脳内 音楽: 脳内 特殊: 脳内 協力: ゆーグル 世話品大学 脚本・語り: 二行 収録: 餡小話 ふたばSS@WIKI 『プラネット・ゆース』第三夜、いかがでしたでしょうか。 次回の放送は、未定です。 取材が進み次第、公開して参ります。 リクエスト等ありましたら、是非、お寄せ下さい。 ありがとうございました。 (終) 【過去作】 ふたば系ゆっくりいじめ 833 俺持ってんの1円じゃなくて・・・ ふたば系ゆっくりいじめ 796 Detroit Yugyaku City 2 ふたば系ゆっくりいじめ 675 プラネット・ゆース ~きめぇ丸~ ふたば系ゆっくりいじめ 666 チューチューラブリームニムニムラムラプリンプリンボロンあにゃるぺーろぺーろ ふたば系ゆっくりいじめ 658 緊急特別SS ゆっくり割れる窓ガラスさんの謎 ふたば系ゆっくりいじめ 629 極上のすっきりプレイス(餡子ンペ09) ふたば系ゆっくりいじめ 594 プラネット・ゆース ふたば系ゆっくりいじめ 560 なずーりんに祝福を(餡子ンペ09) ふたば系ゆっくりいじめ 497 DYC ふたば系ゆっくりいじめ 453 空から降る100万のぷくー ふたば系ゆっくりいじめ 428 はげの行進 ふたば系ゆっくりいじめ 402 れいむ・マスト・ダイ(後編) ふたば系ゆっくりいじめ 379 れいむ・マスト・ダイ(前編) nue059 「スキャット・ゆん・ジョン」 nue022 「ゆナッフTV」 nue009 「ブラックペーパー・チャイルド」 二行の作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る よく考えられた話だなぁ とてもゆっくりできました -- 2012-06-23 20 36 26 最初に書いてたけど、ほんとにゆ虐成分薄いなぁ。 まさにゆっくりを生き物としてとらえてるのが良い。 けどもう少し苦行がほしかった・・・そんな風に思うのは俺が末期だからですね、わかります 最近はゆっくりが幸せそうにしているだけで潰したくなるorz -- 2011-10-29 01 20 07 おお、こういうドスは良いなぁ… 親の深い愛情を感じるよ。 ドスがゆっくりするのは本当に大変何だなぁ -- 2010-11-12 18 47 39 面白かった -- 2010-06-14 00 27 30 いいなぁ、好きだ、こういうの -- 2010-04-07 14 46 59
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今まで書いたもの ゆっくりいじめ系2831~2832 ツンデレ ※ゲスれいむいじめ ※今回はいじめなし 母性 「おなきゃがすいちゃよ!ゆっくちさせちぇにぇっ!!」 「ゆぅぅ……おちびちゃん、ゆっくりがまんしてね……… きょうのぶんはもうたべちゃったよ………」 「じゃあもっちょもってきちぇにぇ!!ぐじゅはきりゃいになりゅよっ!!」 「ごめんね、おちびちゃん、ごめんね……… もうないんだよ……あしたになるまでゆっくりまとうね」 「はあぁぁ!?にゃにいっちぇるにょおおおぉぉ!!? にゃんでれいみゅががみゃんしなきゃいけにゃいのおぉぉ!? れいみゅはきゃわいいこどみょなんだよ!!かわいがらにゃいといけにゃいんだよっ!!」 「ゆっぐ………おちびちゃんはかわいいよ……… かわいいおちびちゃん………でも、でも………」 「きゃわいいれいみゅをゆっくちさせりゅのはあちゃりまえでしょおおぉ!? こどみょをうんだりゃゆっくちさせりゅのがぎみゅだよぉ!!」 「ゆぅ………ごめんねおちびちゃん…… やくたたずのおかあさんを、ゆるじでね………ゆぐっ……えぐっ」 「ぐずのおきゃあしゃんはゆっくちちにぇ!!」 「おでがいじばず!!あがぢゃんをだずげでぐだざい!!」 庭に転がりこんできたのは、ぼろぼろのれいむ親子だった。 縁側で夕涼みをしていた俺の前に這いずってきたそのれいむは、 口の中に含んでいた自分の娘、赤れいむを吐き出して地べたに置き、 俺を見上げて涙ながらの懇願をしてきた。 泥や雨、涙やしーしーにまみれてまだらに汚れた、傷跡だらけのれいむ。 ゆっくりにとっては過酷な環境である街に、必死にしがみついて這いずる野良ゆっくりの一匹だった。 (そもそも、ゆっくりがゆっくりできる環境は自然界にはまずないが) 吐き出された赤れいむはぐったりとしており、ほとんど動かなかったが、どうやら生きているらしい。 「どっでもがわいい、ゆっぐじじだいいごなんでず!! でいぶはどうなっでもいいでず!!ゆっぐじでぎなぐじでぼいいでず!! でも!!おぢびぢゃんをっ!!どうがおぢびじゃんをゆっぐりざぜであげでぐだざいいぃぃ!!」 野良にしては(人間基準で)礼儀正しいゆっくりだった。 「ゆっくりできなくしてもいいです」と言ったことから推して、 人間が、人によってはゆっくりを虐待する者もいると知ってのことらしい。 それでも子供を助けるために賭けに出た。よほど切羽詰まっているようだ。 もっとも、切羽詰まっていない野良ゆっくりなど構造上存在しない。 「だいぜづな、だいぜづな、でいぶのざいごのごどぼなんでずっ!! でいぶはもうごどぼがうべばぜん!!にんげんざんに、ゆぐっ、まむまむざんをづぶざればじだ!! だぐざんいだおぢびぢゃんぼっ!!みんなずっどゆっぐじじばじだ!!」 俺が黙っていると、勝手に身の上話を始めだした。 暇を持て余していたところでもあり、少し興味も沸いたので耳を傾けてみる。 「でいぶはがいゆっぐりでじだ!!おにいざんにがっでもらっでばじだ!! でぼ、でいぶがばりざどずっぎりじぢゃっで、おにいざんがおごっで、まむまむをづぶざればじだ!! にどど、あがぢゃんをうばだいで、あがぢゃんもごろぜばいいっでいわればじだ!! だげどでいぶはっ、あがぢゃんをづれでっ、だげど、だげど、 でいぶはあがぢゃんだぢをゆっぐりざぜであげられだぐでっ!!ゆびゃああああぁぁぁ!!!」 よくわからん。 何度も繰り返し説明させているうちに、だいたいの事情は呑み込めてきた。 ゆっくりは性欲が強く多産で、母性愛が強い。 特にれいむ種においてはその傾向が顕著だ。 それゆえ、飼いゆっくりにはみだりに子供を作らせないのが鉄則である。 子供を作ってしまったゆっくりは、子供を溺愛し、すべての行動原理をそこに置く。 飼い主との関係はないがしろにされ、躾けてきた行儀作法も水泡に帰す。 ゆっくりの中で、同居する人間は「家族」から「世話役」、悪くすると「ペット」やら「奴隷」に格下げされ、 そうして人間に対する態度がぞんざいになり横柄になっていったゆっくりは、 人間の生活にうるおいを与えるペットとしての意義を失い、人間にとっては苛立たしいだけの存在になり下がる。 ゆっくりをペットとして飼う際には、ゆっくりショップの店員からこの点を厳重注意されるのが普通だ。 さてこのれいむは、どうやら人間に飼われていたものの、 野良ゆっくりとすっきりをして出産してしまい、それが飼い主の逆鱗に触れたようだ。 そして去勢された。 汚れていてよくわからなかったが、見ると確かに、れいむのまむまむは焼き潰されているらしい。 黒い焦げ跡が残っているあたり、元飼い主は素人、ゆっくりに対する姿勢もいい加減なものだったようだ。 父親の野良まりさは早々に潰されたということだ。 去勢されたれいむは、子供をすべて殺すことを宣告されたか、あるいは強要されたか、 どちらにせよ子を見捨てるのを拒否し、子供たちを連れて家を飛び出し、野良ゆっくりとなることを自ら選んだ。 三つ以上の数が数えられないゆっくりの言うことだから、子供の正確な総数はわからないが、 曰く、車に轢かれた。 曰く、排水溝に吸いこまれていった。 曰く、野良猫にいじめ殺された。 曰く、カラスにつつき殺された。 曰く、迷子になり、見つからなかった。 曰く、レイパーにすっきり殺された。 曰く、餓死した。 以上七通りの死因を述べてきたので、それぞれ一匹ずつ死んだとすると最低八匹、 ぴったり一匹ずつということもないだろうから、恐らくは十匹以上の子供をぞろぞろ引き連れていたのだろう。 それだけの子供を都会で養っていけると考えるあたり、やはりペットショップ生まれの根っからの飼いゆっくりのようだ。 残り二匹になっていた子供の片割れが餓死し、 最後の一匹となったこの赤れいむも、今にも餓死寸前のようだ。 進退極まったれいむは、とうとう人間に助けを求めるしかなくなったというわけだ。 「おぢびぢゃんだげでいいんでずっ!! どうが、どうが、がっでぐだざい!!おにいざんのぺっどにじであげでぐだざいいい!!」 涙を滂沱と垂れ流し、地面に額をこすりつけてれいむは叫んでいた。 少し悩んだ。 俺自身は、ゆっくりにそれほど関心を持ってはいなかった。 別にとりたててかわいいとも、いじめたいとも思わない。 まして、このれいむの身の上話に心を打たれたわけでもない。 あえて理由をひねり出すなら、退屈しのぎ、だったのだと思う。 「あじがどうございばず!!あじがどうございばず!!あじがどうございばず!!ぼんどうにあじがどうございばずううう!!!」 うるさいので親れいむに黙るよう指示してから、赤れいむの治療を始める。 といっても外傷はとくにないようなので、餌を食わせるだけだが。 定番のオレンジジュースをスプーンで口に運び、流し込んでやる。 ややあってからぴくりと反応し、すぐに目を開けてごくごくと飲みくだしはじめた。 「うみゃっ!あみゃ!あみゃっ!うみぇっ!!めちゃうみぇっ!!」 飲みながら喋り始め、周囲にオレンジジュースの飛沫をまき散らしたので、 その後は皿に注いだジュースを勝手に飲ませる。 「れいみゅのあみゃあみゃだよっ!!もっちょちょうだいにぇ!!」 尻をぶりぶり振りながら皿に頭を突っ込み、べちゃべちゃ舌ですくい上げる赤れいむ。 「おぢびぢゃっ!!おぢびぢゃあああああんっ!!ゆっぐじじでね!!ゆっぐじじでいっでねええええええ!!!」 嬉し涙をまき散らして叫び続ける母れいむに向かって、俺は念を押した。 「言っとくけど、俺はそんなに手をかける気はないからな。 餌ぐらいはやるけど、後は勝手にゆっくりしてろ。俺のゆっくりの邪魔はするなよ」 「ゆっぐじりがいじばじだ!!」 母れいむの方は、今のところ俺に感謝し、服従の意志の表明に余念がないようだ。 「お前らのゆっくりプレイスはここだ」 庭に面したベランダに二匹を放してやり、俺はそう言ってやった。 「雨が降ったらこの中に入れ」 五年前、飼っていた犬が大往生を遂げてからずっと物置で眠っていたケージをベランダに運び込んでやった。 ケージの中には毛布まで敷いてある。 「この窓から内側は俺のゆっくりプレイスだから入ってくるなよ。 勝手に入ってきたり、うるさく騒いだりしたらゆっくりできなくさせるぞ」 「ゆひぃっ………わ、わがりばじだ!」 人間の怖さを知っているゆっくりは扱いやすい。 母れいむは徹頭徹尾、素直に俺の言うことに従う姿勢でいる。 「ゆゆぅ~ん!!ゆっくちできりゅよぉ!! ゆっ!きめちゃよ!!きょきょをれいみゅのゆっくちぷれいちゅにすりゅよっ!!」 病み上がりの赤れいむのほうは、まるで話を聞いていないらしく、 このベランダでぴょんぴょん跳ねて騒いだあげくにおうち宣言を始めていた。 「ゆうぅぅ!?おちびちゃっ!そんなこといったらゆっくりできないよ!! おにいさんにおれいをいってねっ!!」 「じゃあな。用があったら呼べよ、話によっちゃ相談に乗ってやるから」 焦る母れいむだったが、俺はそこまでで切り上げてベランダに面した窓を閉めた。 周囲を柵で囲われた幅1メートル、横2メートル程度のベランダ、そして犬用のケージとエサ皿。 これからはこれがこの親子の世界のすべてになる。 これ以上とくに干渉する気はなかったし、家に入れる気もない。 それでも、野良を経験してきた親子にとっては極上のゆっくりプレイスのはずだ。 「ゆ~ん♪ゆんゆん♪ゆゆ~ん♪」 「おきゃーしゃんのおうちゃ、とっちぇもゆっくちしちぇるよっ!!」 飼いゆっくりなりに声量をセーブした歌を歌う母れいむの周りを、赤れいむがぴょんぴょん跳ね回っていた。 夜中にカーテンを開いて覗いてみると、ケージの中で毛布に座り、弛緩して眠っている親子が見えた。 いや、母れいむの方は起きていた。 ゆぴぃゆぴぃと涎をたらして眠っている赤れいむの頬を優しく舐めながら、母れいむはぶつぶつと呟いている。 「おちびちゃんだけは…………おちびちゃんだけは、おかあさんがまもってあげるからね…………!」 それを見ながら、俺は自分の方針は正当なものだったのだろうと確信した。 手間をかけるのが面倒、ということもあったが、 やはり家族を持ってしまったゆっくりに深く関わっても損をするだけなのだ。 こちらが下手に関わりを持とうとしたところで、ゆっくりにとってはせいぜい、 「おちびちゃんを世話してくれる人」「おちびちゃんのためにこの人間さんを怒らせないようにしないと」であり、 すでに閉じた世界の周りでこちらが空回りするだけの結果にしかならない。 ゆっくりにとっては子供のためのゆっくりプレイス。 こちらは、ちょっとした暇つぶしの生き物観察。 その程度の関係であり、それ以上踏み込む気はなかった。 母れいむが連れてきた赤れいむは、どうやら姉妹の中でも末っ子だったらしく、 めいっぱい甘やかされて育ってきたようだ。 毎日我侭を言い、母親を困らせていた。 「おぼうちしゃん!!おぼうちしゃんにのせちぇえええ! おぼうちしゃんでおしょらとびちゃああい!!」 「ゆうぅ……おかあさんにはおぼうしさんがないんだよ…… おちびちゃん、ゆっくりりかいしてね…………」 「やじゃやじゃやじゃやじゃやじゃ!!おぼうちしゃんやっちぇくれなきゃやじゃああ!!」 転がってじたばたと尻を床に打ちつけ、駄々をこねる赤れいむ。 どうやら、赤れいむが要求しているのは、 成体まりさの帽子の鍔の上に乗って運んでもらう遊びらしい。 生まれた直後、父親のまりさにやってもらっていたのだろう。 「おぼうちしゃんやっちぇくれにゃいおきゃーしゃんはゆっくちできにゃいよっ!! おちょーしゃんじゃなくちぇおきゃーしゃんがしにぇばよかっちゃんだぁぁ!!」 そう言われた母れいむは目に涙を浮かべ、ついに折れた。 自分の頭の上に赤れいむを乗せ、そろりそろりと這いはじめる。 帽子の鍔のような平面のない球体の上ではバランスがとりにくい。 赤れいむを落とさないように慎重に這いずる母れいむの上で、 赤れいむはぴょんぴょん跳ねながら騒ぎ、母親を叱咤していた。 「ゆっ!!ゆっ!!ゆっくちゆっくちっ!! もっちょはやきゅはしっちぇにぇ!!おちょーしゃんはもっちょはやくてゆっくちできちゃよっ!!」 「お、おかあさん、ゆっ、くりがん、ばるよ……!」 赤れいむが好き勝手にぴょんぴょん跳ねるたびに、母れいむの頭部が微妙に圧迫されて言葉が途切れる。 落とさないように、同時に早く走ろうとして、ゆっくり相応に不器用な母れいむはついに赤れいむを落としてしまった。 ベランダの上にころんと転がった赤れいむは泣き叫び始めた。 「ゆっびゃああああぁぁぁああ!!!いっぢゃああああぁぁぁいいいいいぃぃぃ~~~!!!」 「お、おちびちゃあああん!!」 思いきりタメを作りながらの、おそろしく大袈裟な泣き声をあげてじたばた暴れる赤れいむを前に、 母れいむはおろおろ涙目になりながら舌を伸ばして舐めようとする。 「いちゃああああい!!いちゃあああああい!!! おきゃーしゃんがおとしちゃあぁぁ!!おきゃーしゃんがいちゃいいちゃいしちゃあああぁぁ!!!」 「ごめんね!!ごめんね!!おちびちゃんごめんねええぇぇぇ!!!」 「はやきゅぺーりょぺーりょしちぇねえぇぇ!! ゆっ!!いちゃいよっ!!もっちょやしゃしくぺーりょぺーりょしちぇねぇぇ!!」 何だろうな、こいつは。 毎日朝晩に一回ずつ、餌皿に安価なゆっくりフードを入れてベランダに置いてやる。 「ゆっ!じじい!おそしゅぎりゅよ!! れいみゅのごひゃんしゃんだきゃらにぇっ!!」 餌皿が置かれるか置かれないかというところで跳ね寄り、ほぼ自分と同程度の体積がある餌にかぶりつく。 母れいむはこちらに向かって申し訳なさそうに詫び、お礼の言葉を口にすると、 あとは自分の目の前で振られるわが子の尻を目を細めて眺めている。 初めのころは、赤れいむが俺に対して暴言を吐くたびに母れいむが狼狽して叱りつけていたが、 俺が気にしていないようだとわかるとそう強くは言わなくなった。 それでも、赤れいむのぶんまで自分が感謝の意を伝えようという誠意は見える。 「むーちゃむーちゃ!!うみぇっ!!めっちゃうみぇっ!!じぇんぶれいみゅのだよっ!!うみぇっ!!ぱねぇ!!」 むしろ、問題は母れいむのほうだった。 毎日、赤れいむが時間をかけて食べるのをただ見ているだけで、自分はほとんど食べようとしない。 せいぜい、舌でひとすくいふたすくい相伴する程度で、それでさえ赤れいむが躍起になって噛みつく。 「ゆっ!!おきゃーしゃんはあちょでたべちぇにぇ!!きゃわいいれいみゅがゆっくちしてきゃらだよっ!!」 残り物を喰えと言うのであるが、赤れいむが食べ残したことはほとんどない。 毎日そんな様子なので、俺はさすがに少々心配になった。 母れいむだけを家に入れ、餌皿にゆっくりフードを入れて差し出してやる。 しかし、母れいむはなかなか口をつけようとしなかった。 「ゆゆぅ………おにいさん、ゆっくりありがとうございます」 「遠慮しないで食っていいんだぞ。今のままじゃお前、飢え死にするんじゃないか? お前が死んだら子供だってゆっくりできないだろ」 「れいむはまだがまんできるから……」 「いいから食えって」 「ゆぅ………おにいさん、べらんださんでたべてもいい?」 「いや、だってそれじゃお前」 「れいむちゃんとたべるよ。ゆっくりありがとう、おにいさん」 ゆっくりフードの詰まった餌皿をベランダに引きずっていく親れいむに対してそれ以上強くは言えず、 俺は窓を開けてやるほかなかった。 窓を閉めると、背後からキンキンと声が響いてきた。 「ゆっ!!まだかくしちぇたんだにぇっ!! おきゃーしゃんはくいいじがはりしゅぎだよ!!はやきゅれいみゅによこしちぇにぇっ!!」 「ゆっくちしてにゃいのりゃがいりゅよ!!ばーきゃ♪ばぁ~きゃ♪」 野良ゆっくりが外を通りがかると、赤れいむはぴょんぴょん跳ねて悪罵を浴びせる。 「ここはゆっくちしちぇるよ!!おみゃえたちはいりぇてあげにゃいよっ!!」 「ゆううぅぅ!!むかつくくそちびなんだぜぇぇ!!」 野良ゆっくりが激昂して飛びかかろうとするが、柵に遮られて庭には入ってこれない。 がんがん柵に体当たりする野良に向かって、赤れいむはいよいよ調子づいて挑発を繰り返す。 「おお、きょわいきょわい!!れいみゅはゆっくちぷれいちゅでゆっくちしゅるよ~☆ うみぇっ!!めっちゃうっみぇ!!しこう!!きゅうきょく!!」 わざわざ見せつけるようにゆっくりフードを食べてみせる。 「きゃわいいれいみゅのすーぱーうんうんたいみゅをゆっくちみちぇいっちぇにぇっ!!」 尻を突き出してうんうんをひり出し、べろべろと舌を出してみせる。 「ゆぐがあああああぁぁぁ!!でてこい!!くそちびいいぃぃ!!」 野良生活で心身ともに疲弊しているところに、飼いゆっくり、しかも子供に見下された野良ゆっくりは、 涙さえ流しながら叫び散らし、柵に体当たりし続け、大抵は騒いでいるところを通行人に蹴り飛ばされるか連れていかれる。 「ゆぷぷぅ~☆ゆっくちしてにゃいからしょうなるんだよ!! おきゃーしゃん!!くちゃいからかたじゅけてにぇっ!!」 今しがたひり出されたわが子のうんうんを、母れいむはぺーろぺーろと口に運びはじめる。 辺り構わず排便するわりに悪臭に神経質な子供のために、母れいむは毎日便を掃除していた。 俺はむしろ感嘆しながら、興味深く見ていた。 母性が強いと言われるゆっくりにしても、異常なほどの甘やかしようだ。 なぜこれほどにずるずると甘やかして育てているのか。 いや、これでは育てているとは言えまい。かしずき、世話しているだけだ。 自分なりにいろいろと考えてみる。 人間なら、子供の将来のために、辛い思いをさせてでも厳しくしつけることもあるが、 生存率が低く、無事に明日を迎えられるかもわからない都会の野良ゆっくりにとっては、 「将来」という概念そのものが希薄で、今日ゆっくりさせることしか考えられないのか。 生殖器を破壊され、二度と妊娠、出産ができなくなった今、 最後の子供となったこの赤れいむに対する思い入れは、俺には思いも及ばないほど強いのだろう。 そのほかにもいろいろと要因はあるようだが、どうやら決定的なのは次の理由らしかった。 「おねーちゃんがしんだのはおきゃーしゃんのしぇいだよっ!!」 赤れいむがきんきん叫び散らしている。 今日は珍しく、行儀の悪い言葉遣いを母れいむが子供にやんわりと注意したのだが、 柔らかい口調にも関わらず、赤れいむはたちまち癇癪を起した。 「やしゃしいおねーちゃんも!ちゅよいおねーちゃんも!かっきょいいおねーちゃんも! ゆっくちしたおねーちゃんがたくしゃんいちゃのに!! おきゃーしゃんのいうこちょをきいてちゃからしんじゃったんだよっ!!」 「ゆううぅぅ!!ごべんね!!ごべんねぇぇぇ!!」 「にゃんでおねーちゃんをたしゅけなきゃったのっ!? おきゃーしゃんはれいみゅたちがきゃわいくにゃいんだねっ!!」 「ちがうの!!ちがうのおぉぉ!!れいむのおちびちゃんたちはせかいいちかわいいよおぉぉ!!」 「こどみょをきゃわいがらにゃいおやのいうこちょにゃんかきけにゃいよ!!」 どうも嫌な具合に頭のいいこの赤れいむは、 自分の姉たちが死んだ責任を全力で母親になすりつけ、ことあるごとに責め立てているらしい。 人のいい、もといゆっくりのいい母れいむの方も心底そう思っているらしく、 言われるたびに委縮し、必死に詫び続けているのだった。 そういう母親の姿を見てとると、赤れいむはすばやく要求に切り替える。 「いいわけはききちゃくにゃいよっ!!わりゅいとおもうにゃらあみゃあみゃよこしちぇにぇっ!!」 「ごべんね、ごべんねぇぇ……あまあまはないんだよぉ……」 「きゃわいいこどみょのためにあみゃあみゃもよういできにゃいにゃんて、ばきゃなの!?ちぬのっ!? こどみょをうんだんだきゃらゆっくちさしぇるせきにんがありゅよっ!! できにゃいにゃらなんじぇこどみょをうんだにょっ!?ぐじゅっ!!やくたたじゅっ!!」 「ごべんなざい……ごべんなざいぃ…………だめなおがあざんをゆるじでねえぇ………ゆっぐ、ひぐっ……」 「ないちぇるひみゃがあっちゃらあみゃあみゃもっちぇこいいぃぃ!!!」 最悪の親子関係だった。子もひどければ親もひどい。 とはいえその印象は、人間の俺から見た場合の話。 ゆっくりにとってはどういう親子関係がベストなのかはわからないし、知ったことではない。 とりあえず見ているぶんにはけっこう面白い。俺もなかなか悪趣味だ。 およそ十日ほどが経ち、 毎日自分の体積とほぼ同程度の餌を貪っていた赤れいむが早々に成長して成体近いサイズになった頃、 この親子関係は、あっけなく幕切れを迎えた。 「うみぇっ!!めっちゃうっみぇ!!まじうめぇ!!ぱねぇ!!あみゃあみゃ!!あみゃあみゃ!!ぺーろぺーろ!!」 昼時、子れいむのけたたましい声が聞こえてきた。 まだ餌の時間じゃないし、ましてあまあまなどはやっていない。 何事かと思ってカーテンを引くと、想像を超えた光景がそこにあった。 「おちびちゃん、ゆっくりしていってね………」 「うるちゃいよっ!!しじゅかにしちぇにぇ!!ぺーろ!!ぺーろ!!うっめぱねぇっ!!」 母れいむがベランダの床に横たわっている。 その顎のあたりに、子れいむが一心不乱に吸いついていた。 その周囲の床には、茶褐色の餡子の跡がこびりついている。 状況はすぐに掴めた。 子供にあまあまを要求されつづけた母れいむが、ついに自分の餡子を差し出したのだ。 自ら噛み千切ったのだろうか、丁度まむまむの辺りが大きく裂けて内部の餡子を露出させており、 子れいむはその餡子をすすっているのだった。 地獄のような光景だった。 俺はベランダに出ると、ぜいぜいと息を切らしている母れいむに話しかけた。 「おい、何やってるんだよ」 「ゆ………おにい、さん………ゆっくり……していって…………ね」 「俺はゆっくりしてるよ。それよりお前、死んじゃうぞ」 「ゆ…………いいんだよ………おちびちゃん、ゆっくり………していってね………」 育児放棄、ということなのかな。 子供にあまあまをあげる、という名目で正当化し、この母れいむは自殺して楽になることを選んだらしい。 「ゆぐっ!………ゆぎぃぃ!!」 母れいむの体がびくん、と震える。 見ると、子れいむが母親の傷口を押し広げて頭を突っ込み、さらに餡子を掻き出そうとしていた。 「じっとしちぇちぇにぇっ!!きゃわいいれいみゅがむーちゃむーちゃできにゃいよっ!!」 「ゆぎいぃぃ!!ゆぐう!!ゆうぎぎぎぎぎぎぎぎぎいいいいい!!!」 白目を剥いて歯茎をむき出し、全身に汗のような体液をじんわり滴らせながら母れいむは必死に堪える。 臓腑をえぐり出される苦痛をも耐え忍ぼうとする根性はたいしたものだ。 その物凄い光景を目の当たりにしながら、俺はふと思いついたことがあった。 れいむ種の母性愛を試してみたくなったのだ。 俺は携帯電話を取り出し、カメラを向けた。 「おい、お前」 舌鼓を打ちながら糞尿にまみれた尻をぶんぶん振り、子れいむは俺を見向きもしない。 「おい、ちょっと」 俺は子れいむを掴み、強引にこちらを向かせた。 「ゆぐっ!?にゃにするにょぉぉ!?くちょじじいぃぃ!! きゃわいいれいみゅのしゅーぱーむちゃむちゃたいみゅをじゃまちにゃいでにぇっ!! こりぇはめいりぇいだよっ!!!」 「お前、自分が何食ってるのかわかってるのか?」 「ゆっ!?おきゃーしゃんのあみゃあみゃだよっ!! みちぇわきゃらにゃいにょ!?あっ!ばきゃだきゃらわきゃらにゃいんだにぇっ!!ゆぷぷー☆あわれあわれ!!」 「でも、それ食ってたらお母さんが痛いだろ」 「ゆふんっ!!きゃわいいれいみゅのためにがみゃんすりゅのはとうぜんだよっ!!」 顎を反らし、馬鹿にしたように鼻息を吹く。 「いや、お前のほうがもう少し我慢すれば、お母さんももうちょっとゆっくりできるんじゃないかと思ってさ」 「はああぁぁ!?にゃんでれいみゅががみゃんしゅるにょおおぉ!? れいみゅはおにゃかぺきょぺきょにゃんだよっ!? あみゃあみゃをたべにゃいとれいみゅがゆっくちできにゃいんだよおぉ!?にゃにかんがえちぇるにょ!こにょぐじゅっ!!」 「お母さんをゆっくりさせてあげようとか思わないのか?」 「そんなこちょどうでもいいでしょおおぉ!!? れいみゅはかわいいかわいいおちびちゃんにゃんだよっ!! こどみょをうんだおやは、じぶんがゆっくちできにゃくてもこどみょをゆっくちさせなくちゃいけにゃいんだよっ!! こどみょをゆっくちさせられにゃいおやはくじゅだよ!!おきゃーしゃんのこちょだきゃらにぇっ!!」 息も絶え絶えの母親に向かって子れいむは言い捨てた。 母れいむのほうは目の焦点も定まらず、かすかに痙攣していた。 「お母さん、死んじゃうぞ?」 「ゆゆっ!!」 子れいむは親れいむの顔に向きなおり、満面の笑顔で言い放った。 「おきゃーしゃんはきゃわいいれいみゅのためにゆっくちちんでにぇっ!!」 「お…………ちびちゃ………ん………」 「ゆっ?いまごりょいやがっちぇももうおちょいよっ!! あみゃあみゃをあげりゅっていっちゃのはおきゃーしゃんだきゃらにぇっ!!」 「あ……まあま………ゆっくりでき……る?」 「ゆふぅ~☆れいみゅはぐりゅめだきゃらこんなんじゃじぇんじぇんまんぞきゅできにゃいよっ!! でみょしかたなきゅたべちぇあげりゅんだきゃらにぇっ!!ゆっくちかんしゃしちぇにぇ!!」 「ごべんね………おちび………ちゃん………… だめな………おかあさんで……ごべん…………ね…………ゆぎぃ!!!」 母親が言い終わらぬうちに、子れいむが再び傷口をほじり始めた。 想像するに、甘やかされて育てられた野良生活のあいだ、 母親から「おちびちゃんはいちばんかわいいよ」「おちびちゃんがゆっくりできればおかあさんはしあわせだよ」 といった類の睦言を吹き込まれ続け、この子れいむは自意識を肥大させていったのだろう。 子を溺愛しすぎる親は、子には愛されない。 その点は人間と同じらしい。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 母れいむの命は一日もたなかった。 ほじるほどに甘味を増す餡子に夢中で、ひたすら奥へ奥へと掘り進んでいった子れいむは、 母れいむの体内で、早々に中枢餡に噛みついていた。 命を司る中枢餡を貪り食われ、母れいむは最後の痙攣を始めていた。 びくんびくんと全身を激しく波打たせながら、表情は弛緩して涎を垂らしている。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ、お゛に゛っ、ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っお゛っ」 しかし、注意深く観察していると、何事か意味のある言葉を発しようとしているらしかった。 俺はその顔に耳を近づけて聞いた。 「何だ?俺に何か言いたいのか?」 「お゛に゛っ、ゆ゛っ、お゛に゛い゛ざっゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っお゛ぢっお゛ぢびぢゃっ、 お゛でゆ゛っゆ゛っ、お゛でがっじばっゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 まあ予想通りだ。 俺に子れいむを押し付けて死んでいこうというつもりらしい。 わが身を子に食わせる母性愛はたいしたものだが、それ以外の点ではやはりゆっくりだ。 とはいえ、俺の目から見ても、この母親が無理に生きながらえたところで何がどうなるわけでもなさそうだ。 賭けではあるが、意外とこいつなりにベストの選択をしたのかもしれない。 まあ、俺は引き受けてやることにした。 「ああ。あとは俺に任せろ」 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ…………」 母れいむが俺の言葉を認識できたかどうかはわからない。 ともかく、母れいむはほどなくして息を引き取った。 「お前のお母さん、死んだぞ」 死骸の中からもぞもぞ這い出てきた子れいむに向かって、俺は教えてやった。 「ゆっ!?ゆぴゃぴゃぴゃ!!いいきみだよっ!! きゃわいいれいみゅをきゃわいがらにゃいくじゅおやはゆっくちちんでにぇっ!!」 子れいむはせせら笑い、母親の亡骸の上でぴょんぴょん飛び跳ね始めた。 皮が破れ、餡子が漏れ出し、母親はどんどん原形を失っていく。 母親の餡子はまだまだたっぷりある。しばらくは餌の必要はなさそうだ。 ゆっくり相手に約束などしたつもりはないが、一応は引き取る形になったこの子れいむ。 サイズはすっかり成体に近く、母親を食いつくすころには完全に成体になるだろう。 甘やかされきって育ち、いまだに赤ゆっくり言葉の抜けないこの子れいむを相手に、 俺は少し考えていることがあった。 続く? このSSに感想をつける
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ジェットコースター殺人事件 社長令嬢誘拐事件 アイドル密室殺人事件 大都会暗号マップ事件 新幹線大爆破事件 バレンタイン殺人事件 月いちプレゼント脅迫事件 美術館オーナー殺人事件 天下一夜祭殺人事件 事件ファイル1~9のどのアニメを見たことがある? 選択肢 投票 ジェットコースター殺人事件 (20) 社長令嬢誘拐事件 (5) アイドル密室殺人事件 (3) 大都会暗号マップ事件 (4) 新幹線大爆破事件 (11) バレンタイン殺人事件 (3) 月いちプレゼント脅迫事件 (3) 美術館オーナー殺人事件 (7) 天下一夜祭殺人事件 (6)
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ゆっくりいじめ系3234 ゆん生リセット •初投稿です。本当にありがとうございました。 •俺設定の嵐です。本当にありがとう(ry •実験あきと名乗らせてもらいます。本当に(ry •文章が乱れているかも知れません。h(ry ゆっくりの記憶は、中枢餡の周りにある、『記憶餡』と呼ばれる部分にあるそうだ。 そこで、少し実験。 ゆっくりの『記憶餡』だけを入れ替えて、 ゆっくりの記憶を綺麗さっぱりと消してしまおう。 まず、家に転がっていたクソ饅頭を足焼き。 ジューーッ 「まりさのしゅんっそくの(ry」 おお、テンプレテンプレww そうしたらバキュームと粒餡、しぼり袋を用意。そしてバキュームを… そぉいっ!!!! ドスッ!!! 「ゆぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっッッッッッッくぁwせdrftgyふじこlp~~~!!!!?」 うわ…思わず引いてしまった。これまで見てきたより凄い顔だ… 「ゆひー…ゆひー…まりさのあにゃるさんがー………」 やったね!これでもう、うんうんが出来ないよ!! …それは置いといて……バキューム発動!! 「ゆのqづっhfをうえh@いうぃあjぉxに¥ おうのじぇふぉsんd%(°▽°)」 (まりさのあんこさんがががががががgゆぴー!ゆきゃっゆぴぴゃー♪) なんか顔文字が出ていたような気がするが、無視していく。 どんどんと吸われる、餡子。どんどん無くなっていく、大事な記憶。 中枢餡がどうにかなる前に、さっさと新品の餡子を入れていく。 にゅるー… 「~~~~~~~~~~~~!!? ゆぴぃ!?ゆんやーゆんやー!!ゆぴょっ!??」 ま、あにゃるに異物が挿し込まれたら、誰でもそうなるわな…。 幼児化してるな、よしよし。 それを確認したら、しぼり袋を抜き、小麦粉と水の生地をあにゃるに塗る。 そうしたら、うんうん穴を空ける。 まだ皮が癒着していないのか、悲鳴は全くない。 さっき『もう、うんうんが出来ない』と言ったな… あれは(ry ………まりさを確認する。 「ゆ?ゆっきゅりちちぇいっちぇね!!」 「まりしゃはまりしゃだよ!おにーしゃんはゆっきゅりできりゅひと?」 そーだよー、ゆっくりできるよー(棒) 実験成功!! どうやらまりさ(まりしゃ)は記憶餡が殆ど無くなったため、 精神が赤ちゃんになった様だ。 それでもちゃんと喋れるのは、本能によるものだろう。 ま、ゆっくりしてけ。 …番のクソれいむの元へと連れていく。 「ばりざーーーーー!!!ぶじだっだん゛だね゛ーーーー!!!!!!」 「ゆ?はじめてみりゅゆっくちだよ?ゆっくりちていっちぇにぇ!!」 「え…………………………?」 れいむの絶望の顔がなんか凄かったので、思い切りゲラゲラ笑ってしまった。 もちろんれいむとの記憶は綺麗さっぱり………。 「わらわ……ない………で……ね…………?」 絶望しながら対応してくれるクソれいむさんマジリスペクトですwww 「まり………ざ………?」 「ゆっゆっゆー♪ゆーゆーゆー♪ゆっきゅちしていっちぇねー♪」 「れいむ……は…れいむ………だよ………?」 「れいみゅっていうんだにぇ!ゆっきゅちしていっちぇね、れーみゅ!!」 「……がえぜぇ…」 「れ゛い゛むのばりざを……」 「がえぜぇぇ…………!!!!」 と、このようにゆっくりのゆん生をリセットできた。 これをうまく使えば、どんなゲスでも善良に出来るかもしれない。 デメリットは、中身は幼児化しているが、外見はただの成体だ。 何とかして精神だけは大人に出来るようにしたいところである。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ おまけ。 更に、これを応用して記憶を移し替えてみよう。 「じじいーーーー!!!!もどにもどぜーーーー!!!じnゆぶぎゅっ!?」 「でいぶのあんごがーーーー!!???ゆっゆっゆっゆ……………ゆぴぃ…ゆぴぴ……」 「ゆ?ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ」 「だぜーーーーーー!!?れーみゅのなかにはいってくるなのぜーーー!??」 「………………ゆ?まりさはまりさなのぜ。ゆっくりしていってね!!」 「…………じじいーーーー!!!(イラッ)あnゆぎょあっ!!!???」 移植成功!! ついでに潰してしまったが、 やっぱり、れいむはリアクションが良くて美味しいな。 それは置いといて、上手くいけば加工所に行かなくても記憶操作もできそうだ!! 記憶餡を混ぜれば普通に喋るめーりんとか、とかいはけんじゃ()とか、面白いことも出来そうだぜ☆ その後、他の種でもこの実験が行われ続け… 「えーきたんいんしたお!!!」 「わふ!!じゃおわふじゃおじゃおーん!!わふじゃわふわふっ!!!」 「めんどい…でもわかるよー…わかるけどめんどい………」 よく考えたら、これ、食べれなくね……? ただし、チョコシチューは意外と美味しかったそうです。 (みんなは真似しないでね!!) ………………………………………………………………………………………………………………………………………… かぐやの中身ってシチューか…? 選択肢 投票 しあわせー! (4) それなりー (6) つぎにきたいするよ! (0)
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とくべつなあまあま 12KB 虐待 理不尽 野良ゆ 都会 現代 虐待人間 あっさりしみじみ虐待 ※独自設定垂れ流し ※ゆっくりが悲鳴ひとつあげないぬる虐待 「おはようございます。今日もですか?」 秋を終えつつある、早朝の街。静寂と寒さに張りつめた街の中。 新聞配達の青年に呼び止められ、年老いた男は振り返った。 「おお、おはよう。わしは今日も公園に行くところじゃよ」 にこやかに老人は答えた。 青年の視線は男の肩掛けのバッグへと向く。バッグの口からはペットショップの包装が見 える。 「正直言って、俺はどうかと思うんですけどね、あいつらに餌やるのって。あいつら、全 然かわいくないし」 「そうかのう。じゃがの、わしはあいつらがどうにも好きななんじゃよ……好きで好きで たまらないんじゃよ……」 老人はにこりと笑った。 穏和な、人のいい笑顔。それなのに、なにか青年は寒気を覚えた。理由がわからないその 感覚に、青年はしばし戸惑う。 「それじゃあの。お仕事、かんばってのう」 会釈をし、老人は去っていった。 青年はぶるり、と身を震わした。どうやら汗をかいていたところに立ち止まったものだか ら、身体が冷えたらしい。そのための寒気に違いない。だって寒気を感じる理由がない。 あんな人のいい老人は今時滅多にいないのだ。 それにしても、と青年は思う。 本当に変わった人だ。毎週日曜日、こんな朝っぱらからわざわざ公園に行って、ゆっくり に餌をくれてやるなんて、と。 とくべつなあまあま 「ゆゆ! おじいさんがきたよ!」 「おじいさん! ゆうう! ゆっくりー!」 「ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね!」 街の一角にある自然公園。噴水のある広場は、早朝にも関わらず賑わっていた。 れいむ、まりさ、ぱちゅりー、ありす。大小さまざまなゆっくりたちがひしめいていた。 歓迎の言葉に、老人はにこやかに笑った。 生首饅頭ナマモノ、ゆっくり。その突然の登場から、五十年以上が経とうとしていた。 当初は身の程をわきまえない言動に迷惑な行動、異常な繁殖力と人々を悩ませたモノだっ た。だが、苛烈な駆除の繰り返しによって、人間に迷惑をかけるゲスゆっくりは街中には ほとんどいなくなった。 こうして老人を迎えるゆっくりたちも、野良生活に肌や髪やおかざりは薄汚れているもの の、その瞳は澄んで輝いている。 「さあ、今日もおいしいごはんを持ってきたぞい」 「ゆっくりーっ!」 「おじいさん、ありがとう!」 「ゆっくいしていってね! ゆっくりしていってね!」 老人が肩掛けのバッグからペットショップの袋――その中におさめられたゆっくりフード を取り出すと、ゆっくりたちは喜びの声を上げた。 老人は毎週日曜の早朝、こうして公園にやってきてはゆっくりたちに餌を与えているのだ。 初めはほとんどのゆっくりが老人の呼びかけに応えなかった。 世にゆっくりが現れ始めた頃と違い、現在の野良ゆっくりは警戒心が強く、人前に姿を現 すことは滅多にない。人前に不用意に姿を見せる愚かなゲスや間抜けなゆっくりが淘汰さ れ、利口なゆっくりが生き残った結果だ。 だが、老人は辛抱強く、毎週決まった時間にやってきてはゆっくりに餌を与えてきた。や がて、こうしてたくさんのゆっくりたちがここに姿を現すようになったのだ。 「さあ、食べなさい」 老人がゆっくりフードをばらまくと、ゆっくりが群がって食べ出す。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!」 「おかーしゃん、とってもおいちぃにぇ!」 「ゆうう、とってもゆっくいしたごはんさんだよおおお!」 老人は手慣れたものだ。ゆっくりたちが食べやすいよう、ゆっくりフードを満遍なく手際 よくばらまいていく。 その様は花咲かじいさんを思わせた。花咲かじいさんは灰をまいて枯れ木に花をさかせた が、この老人はゆっくりフードをまいて野良ゆっくりに笑顔を咲かせている。 野良ゆっくりの生活が過酷なのは今も昔も変わらない。老人の持ってきたゆっくりフード は高級なものではない。それでも野良が滅多に口にすることのできない、栄養満点でゆっ くりの舌を肥えさせすぎることなく食欲と満足感を与える逸品だ。 やがて、老人の持ってきた全てのゆっくりフードは食べ尽くされた。 「おいしかったね! ゆっくりできるね!」 「ゆうう、ゆっくり~」 「みんな、おじいさんにおれいをいおうね!」 ゆっくりたちは一週間ぶりの満足感に浸りながら、それでも感謝の気持ちは忘れていなか った。 「おじいさんありがとう! ゆっくりしていってね!」 何十匹ものゆっくりがきちんとそろってお礼を言う。こうしたとき、全員そろって一言一 句乱れることなく言えるのはゆっくりの特徴だ。 「みんな、今日もとってもいい子たちじゃのう。ゆっくりしているのう」 そんなたくさんの感謝の言葉に、おじいさんはにこにこと柔和な笑みを返す。そのゆっく りとした様子に、ゆっくりたちはますますゆっくりするのだった。 そして、ゆっくりたちはじっと老人を見つめる。その瞳は期待の光で輝いている。 「それじゃあいつもどおり、この中の一匹だけに『とくべつなあまあま』をあげるぞい!」 「ゆわああああああああい!」 老人の言葉にゆっくりたちは色めきたった。 老人はいつもゆっくりフードを与えた後、こうして一匹だけに『とくべつなあまあま』を くれるのだ。 ゆっくりたちはじっと黙って老人を見つめる。自分によこせと騒いだりする悪いゆっくり は決して選ばれない。だからゆっくりたちは静かにじっと、待ち続ける。 そんなゆっくりたちを、老人は一匹ずつじっくり眺めていく。 そして、ついに決めた。 「……よし、今日はそこのれいむにしようかのう」 「ゆうう! おじいさん、ありがとう!」 「よかったね! れいむ!」 「ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね!」 喜びに震えるれいむ。周りのゆっくりたちも自分のことのように喜ぶ。現在の野良には善 良な個体が多い。ゆっくりは弱くて脆い。過酷な野良生活で生き残るには協力が必須であ り、身勝手なゲスが淘汰されたためである。 老人は選び出したれいむを優しく持ち上げた。 「ゆ~、おそらをとんでいるみたい~♪」 現在の街に隠れすむ野良は、人間にこうしてやさしく持ち上げてもらうことなど滅多にな い。浮遊感にれいむはご満悦なご様子だった。 そのしあわせな光景に、まわりのゆっくりたちもまた微笑んだ。 そして、老人はゆっくりたちの並ぶ前に立つ。 「さあ、れいむ。おくちを大きく開けるんじゃ」 「ゆ! ゆっくりりかいしたよ。あ~ん……」 ゆっくりたちからはれいむの後頭部しか見えない。だからいつも、ゆっくりたちは選ばれ たゆっくりがどんなものをもらっているのか知らない。 『とくべつなあまあま』が、なんであるか知らない。 選ばれたれいむは、どきどきしながら口を開け、今か今かと待っていた。 夢にまでみた『とくべつなあまあま』。それはいったいどんなにおいしいのだろう。どれ ほど「しあわせー」なのだろう。れいむの餡子脳はしあわせな想像で沸騰してしまいそう だった。 だから、次に起きたことをまったく理解できなかった。 老人の手が素早く喉の奥まで滑り込んできた。 ゆ、と声を上げる間もなく、手はれいむの舌の根本を掴んだ。 そして、れいむの舌はぐるりとねじられ、ぶつりと根元からちぎられた。 「~~~~~~~~~~っ!」 れいむは悲鳴を上げようとした。 しかし、老人に阻まれた。舌をねじってちぎった手はすでにれいむのあたまのてっぺんに ある。その手と、れいむのあんよを持った手。それらに上下から押さえつけられて、口を 開けられなくなってしまったのだ。 声をあげる代わりに、れいむは震えで苦痛を示した。 震えは二つの動きから成った。 一つは、激痛による痙攣のビクンッ、ビクンッ、という動き。 もう一つは、ちぎられたばかりの舌が口の中で暴れて、口の中でぶつかって生じる振動に よるビクッ、ビクッという動き。 ビクンッ、ビクンッ、ビクッ。ビクンッ、ビクンッ、ビクッ。ビクッ、ビクッ、ビクンッ。 二種類の動きからなる奇妙な震えだった。 モミアゲもめちゃくちゃに動いている。 そんなれいむに、老人はそっと囁いた。 「……おくちをぎゅっと閉じるんじゃ。そうせんと、舌さんが二度とくっつかなくなるぞ」 れいむの餡子脳は痛みの激しさと唐突さのあまり、現状をうまく認識できないでいた。 れいむを見つめる老人は、いつもの微笑みを浮かべている。ゆっくりしている。ゆっくり の本能はよりゆっくりとしたことを優先する。だから、わけがわからなかったけれど、老 人の言葉を信じてぎゅっと口を閉じた。それでも痛くてたまらなくて、れいむはぼろぼろ と大粒の涙を流した。 れいむが口をしっかり閉めたことを確認すると、老人はすばやくれいむのりぼんに安全ピ ンをつけた。 そして、れいむをくるりと反転させ、ゆっくりたちへと向けさせた。 「みんな! 『とくべつなあまあま』を食べて、れいむは泣くほどおいしいと言っておる ぞ!」 「ゆううう、れいむ! よかったね!」 「ゆっくり! ゆっくりしてるね!」 激痛の震えも、苦痛の涙も、なにが起きたか見ていないゆっくりたちには伝わらない。信 頼している優しい老人の言葉の通り、れいむがゆっくりしているものと信じ込んでいる。 「……はやくおうちに帰るんじゃ。おうちでゆっくりせんと、舌さんはくっつかんぞ?」 ほかのゆっくりに聞こえないよう囁くと、老人はれいむを石畳の上に降ろした。 激痛に苦しむれいむは、老人の言葉だけを頼りに一目散で駆けだした。泣きながら、震え ながら、まるで痛みから逃げようとするように必死に跳ねていった。 「ゆうう! れいむとってもげんきだよ!」 「あまあま、とってもおいしかったんだね! よかったね!」 それを見るゆっくりたちはのんきな様子だった。 これは何度も見たことのある、ありふれた光景なのだった。 「さあ、おまえらももう帰るんじゃ。あんまりここでゆっくりしとると、怖いおにいさん が来るかもしれんでのう」 老人の言葉が締めになった。 「おじいさん、ありがとう!」 「おいしかったよ、おじいさん!」 「おじいさん、ゆっくりしていってね!」 感謝の言葉を残し、ゆっくりたちはそれぞれ散っていった。ゆっくりにしてはなかなか素 早いその様子は、街に住む野良ならでは、と言った感じだった。 老人は満足げにそんな様子を眺めた。 「さて、わしも帰るかのう」 そして、老人も歩きだした。 腰をたたきながら気怠げに、しかしその顔には晴れわたった笑みをたたえて。 老人は、若い頃からゆっくりの虐待を趣味としていた。その趣味は長続きし、老後もゆっ くりを虐待して過ごそうと考えていた。 だが、それは難しかった。 老人は身よりのない独り身、年金でどうにかこうにか細々と暮らすといった感じだった。 そうすると、ゆっくりが手に入らない。昔はゆっくりなど簡単に捕まえられたものだが、 最近は野良も警戒心を増してすっかり姿を見かけなくなってしまった。野生のゆっくりを 捕まえる為に山へ入るというのも老いた身には厳しい。ペットショップの安売り品を買う にしても、収入が限られた今ではあまり気軽には買えない。 ゆっくりは二匹いれば簡単に増やせるものの、維持費がかかるし手間もかかる。 そもそも、若い頃のように凝った派手な虐待は、老骨には厳しく、楽しさより大変という 念が強かった。 そこで考えたのがこの虐待だ。 毎週決まった曜日、決まった時間に野良があつまるよう餌付けする。ばらまく餌はペット ショップの特売品で、金は大してかからない。 そして、集まったゆっくりのうち一匹だけ選び、舌を根本からひっこ抜き、おうちに帰ら せる。このとき「口を開けずおうちでゆっくりすれば治る」と吹き込む。それはあくまで その場で悲鳴を上げず、とっととおうちへ帰らせるためだ。いくらゆっくりが思いこみの ナマモノと言っても、そんなことで引っこ抜かれた舌が治るはずもない。 ゆっくりの舌は人間の手にあたる。それを失うのは野良としては致命的だ。 また、舌は食べ物をのどの奥まで送り込む役目も持っている。それが根本から無くなるの だから、ものを食べることすらできなくなる。 窮状を仲間に訴えようにも舌がないのだからまともに喋れない。たとえ口の中を調べられ、 舌がないことに仲間が気づいたとしても、老人に結びつく可能性は低い。そのためにすぐ に家に帰らせたのだ。真相が発覚するまでの時間差が老人の原因だと考えさせるのを阻害 する。 そのため、老人はツガイのいない、独り身のゆっくりを選ぶ。虐待経験の長い老人は見た だけでそのくらいは区別がつく。 老人の予測では、舌を抜かれたゆっくりは、ほとんどが激痛のまま誰に助けも求められず ひっそりと死ぬ。 毎回目印に安全ピンを飾りにつけてやるが、今までそれをつけたゆっくりが日曜の朝、公 園に再びやってきたことはない。 「そういえば、あいつは違ったのう……」 老人が思いだしたのは、ある街角で襲いかかってきたまりさだ。おぼうしの安全ピンは間 違いなく老人のつけたものだった。 そのときは、たまたま近くを通りかかった「親切な青年」がゆっくりをたたきつぶしてく れた。 声にならない悲鳴を上げ、無念の籠もった目を向けながら、まったく関係のない人間につ ぶされるまりさ――その光景は、自分で虐待するのとはまた違った悦びを老人に感じさせ てくれた。 「またああいうことがあれば楽しいんじゃがのう」 老人は笑みを深くした。 毎週日曜の早朝。ゆっくりの舌を引き抜く。 次の日曜まで、舌を抜かれたゆっくりがどう苦しむか想像して楽しむ。 それが老人の今の虐待。 大して金もかからず、老いた身でも無理なくでき、しかも長期間にわたって続けられる、 のんびりとした虐待。 退屈で暇な時間の多い老人の生活を潤す、甘み。 老人にとっての、それが『とくべつなあまあま』だった。 了 by触発あき ・過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 163 バトルゆ虐! ふたば系ゆっくりいじめ 172 とてもゆっくりした蛇口 ふたば系ゆっくりいじめ 180 ゆっくりばけてでるよ! ふたば系ゆっくりいじめ 181 ゆっくりばけてでるよ!後日談 ふたば系ゆっくりいじめ 199 ゆっくりたねをまいてね! ふたば系ゆっくりいじめ 201 ゆっくりはじけてね! ふたば系ゆっくりいじめ 204 餡小話の感想れいむ・その後 ふたば系ゆっくりいじめ 211 むかしなつかしゆーどろ遊び ふたば系ゆっくりいじめ 213 制裁は誰がために ふたば系ゆっくりいじめ 233 どすらりー ふたば系ゆっくりいじめ 465 おぼうしをおいかけて ふたば系ゆっくりいじめ 469 おぼうしをぶん投げて ふたば系ゆっくりいじめ 478 おぼうしのなかにあったもの ふたば系ゆっくりいじめ 513 ネリアン ふたば系ゆっくりいじめ 534 ラストれいむロストホープ ふたば系ゆっくりいじめ 537 地べたを這いずる饅頭の瞳に映る世界 ふたば系ゆっくりいじめ 574 けがれなきゆっくりパーク ふたば系ゆっくりいじめ 596 復讐の為の人生なんて nue010 anko705のあの人の人生 上記より前の過去作品一覧は下記作品に収録 ふたば系ゆっくりいじめ 151 ゆっくりみわけてね! 触発あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る じいさんwwwwwwwwwwwwww -- 2015-11-29 09 06 45 老後はこんな感じに生きたいな。 …まずゆっくりがいない訳だが。 -- 2012-10-18 01 09 56 じいさんに乾杯 -- 2012-07-23 15 07 48 じいさん、先輩すぎるwww -- 2012-07-20 23 16 51 いつか家族持ちのゆっくりを虐待する術も編み出してほしいな。 -- 2011-03-05 00 11 52 しぶいなあ、大人の虐待だね -- 2011-03-04 15 46 35 なるほど、ゆっくりフードは寄せ餌なのかw 家庭をもってるゆっくりには無害で優しいおじーさんなんだろうな~ -- 2010-10-19 17 46 55 ゆっくりした虐待だなぁ じいちゃん長生きしていってね!! -- 2010-09-30 06 34 12 ゆっくりできないくそじじいはえんまさまにしたさんをひっこぬかれてね!! -- 2010-07-17 03 11 43 こういうのいいなあ・・・。 -- 2010-06-10 01 48 00
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ゆプセルトイ 2KB 小ネタ 赤子・子供 なんとなく小ネタが浮かんだので書いてみました 注意 ・変な解釈や駄文を多く含みます。 ・誤字・脱字が多くて申し訳ありません。 ・人様のネタを使っている可能性があります。 ・今回は虐めていないかもしれません。 短く終わらせるはずだった加工所のふらんちゃん編が書いているとどんどん長くなってしまいました。 描きにくくなってきたので、とりあえず、短いのを1つ書いてみます。 今までの ふたば系ゆっくりいじめ 801 農業学生とゆっくり01 ふたば系ゆっくりいじめ 811 農業学生とゆっくり02 ふたば系ゆっくりいじめ 858 農業学生とゆっくり03 ふたば系ゆっくりいじめ 891 職業見学 加工所のふらんちゃん 前編 ふたば系ゆっくりいじめ 1013 職業見学 加工所のふらんちゃん 中編 【ゆプセルトイ】 あるところにゆっくりがいた。 そのゆっくりは、もうすぐ生まれるようである。 「ゆふふ!ゆっくりかわいくうまれりゅよ! しょしたら、おかあしゃんとおちょうしゃんにしゅりしゅりしてもらうんだ!」 生まれた後の幸せな生活を想像した。 『おちびちゃん、ゆっくりしていってね!』 「もうしゅぐゆっくりできるよ!」 時々、“ゆっくりしていってね!”と聞こえてくる。 このゆっくりは母親か父親が自分と周りにいる妹達に挨拶しているんだと思った。 このゆっくりには生まれたら妹達になるゆっくりが多くいた。 妹達は自分とは似てないゆっくりが多くいた。 しかし、例え違った種族でもみんなでゆっくりしたいと願っている。 周りが揺れだす。 そのゆっくりは喜んだ。 次は自分の順番だから。 「おねえしゃんににゃりゅよ。いもうとたちもゆっくりでてきちぇね!」 最後に妹になるゆっくりたちに挨拶をした。 再会を約束したものなのかもしれない。 このゆっくりは外に希望を持っていた。 お母さんやお父さんが待っている。 多くの姉達が祝福してくれる。 まだ見ぬ番と、ゆっくりして、赤ちゃんを産む。 その希望を持って外に発射した。 「ゆっくりしちぇいってにぇ!」 そのゆっくりは知らなかった。 自分がゆプセルトイの景品であることに。 自分がゲームセンターにいることに。 外からの“ゆっくりしていってね!”は声ゆの声であることに。 これには赤ゆっくりがランダムで入っている。 基本種が多いが希少種も入っている。 ゲーム感覚でやっている人も値段が高い希少種を狙っている人もいる。 好きなゆっくりならば、飼いゆっくりとして飼われる。 しかし、嫌いならばその場で殺されるか、家で虐待される。 願うことなら、さっきのゆっくりがゆプセルトイをしている人の好みであることだけだ。 急に浮かんだネタを使ってみました。 私は飼いゆっくりがほしいです。 めーりんとゆうか、ふらんと一緒に生活がしたいです。 でもみまさまとの飼いゆっくりライフならちょっと見たいかも 挿絵 by車田あき トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ↓×4 おもちゃが付属しているなら食玩扱い、ゆっくり単体なら自動販売機の部類になるだろう。 どっちにしても割高な印象だな~。通常種1匹に100円以上払いたくないww -- 2018-01-19 02 06 07 自分はちぇん、ゆうか -- 2016-12-14 15 40 57 虐待用か愛で用どっちの方が持って変えられんの多いんだろう -- 2016-05-29 17 32 17 ふらんを特に飼いたいお -- 2016-05-20 16 19 31 これは食えるから食玩扱いになるのかな -- 2014-12-08 22 25 05 やってみたいwww -- 2014-11-17 22 01 30 子供は当たりがあるおもちゃ兼お菓子の感覚で買うんだろうな -- 2011-10-07 17 18 01 うわーwww(たぶん)100円で赤ゆ買えるとかwやってみたいwwww -- 2011-09-25 13 08 32 希少種ほぴぃ;; -- 2010-12-12 13 54 22 れいむ(ハズレ)率が高そうだな -- 2010-08-09 18 08 16
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※ あなたの八雲紫に対するイメージを大きく損ねる可能性があります。 ※ 八雲紫と八雲藍と橙がマヨヒガの屋敷に住んでいます。二次設定余裕でした。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― マヨヒガの食卓。橙がご飯にがっついている。あまり行儀が良いとは言えない。 でも、私が注意する必要は無いの。 「落ち着いて食べなさい、橙。ご飯は逃げないから」 「はぁい」 そういう仕事は藍の役目。面倒見がいいのよね、特に橙に対しては。 藍の式だから藍が世話をしている、と言えばそれまでだけど、生憎私は式である藍の世話なんてした覚えが無い。 「藍ったら、そうしていると橙の母親みたいよ」 「え……藍様が、お母さん?」 キョトンとする橙と、ポカンとする藍。ほら、そっくりじゃない。 「い、いやいや……そんな立派なものじゃないですよ、紫様」 またまた。否定してるけど、本当は満更でも無いでしょう? 「お母さん……私も、藍様がお母さんだったら嬉しいです!」 「え……そ、そうかな? でも、私なんか……」 「ううん、藍様じゃなきゃ嫌です」 イイハナシダナー。 「……ありがとう、橙……」 ほーら泣くわよ、すぐ泣くわよ。いつの間にそんなに人間みたいになってしまったのかしら。 でも、藍の気持ちが分からなくもない。私だって、橙にお母さんと言われたら嬉しいかもしれない。 「橙、ちなみに私はどう思う? 橙にとって、私は何かしら?」 お姉ちゃん……は無理があるわよね、やっぱり。 「う~ん……」 何かしら。赤の他人とか言われたら少し悲しいかも。やっぱりお母さん…… 「あ! おばあちゃんです!」 …………!? 「お、おばあちゃん!?」 「プッ」 おばあちゃん……流石に傷ついた。大妖怪と言われる程長生きしてるのは確かだけど。 藍は笑いをこらえている。人事だと思って……私、一応あなたの主人なんだけど。 「だって紫様、寝てる時間長いし」 それは、あれぐらい寝ないと体力が……あ、それは老化しているということなのかしら。 そういえば、冬眠の時間もここ数十年で結構長くなったような気が…… 「家事は藍様に任せっきりだし」 言われてみれば……橙にとっての母親が藍で、その藍に世話を任せている私は確かに祖母の位置に…… 「お説教好きだし」 歳をとって誰かの上に立つようになると自然とそうなるの! 幽々子とか閻魔様とか! 「ククッ……まあ控え目に見ても、私の姉というところでしょう……プスー」 ねぇ藍、そんなにおかしい? 笑いたかったらこらえなくても良いわよ? どうせ後のお仕置きは決定してるから。 「でも……私が藍の姉? それって橙から見ると……」 「おばさんだね!」 「ブフッ!」 藍がついにふきだした。おばさん……おばあちゃんよりはマシだけど、おばさん…… いいわよ、笑いなさいよ藍、いくらでも。どうせ私はおばさんよ、若くないわよ。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― それから数日。私が人里に行くと、何やらおかしな話になっていた。 あの話がどこをどう広まったのかは知らないけど、行く先々で変に気を遣われる。 おそらく藍や橙が、人里でこの間の話をしたのでしょう。「お年寄り」として扱われているような気がする。 それにしても、随分と歪曲されて伝えられているみたい。噂話なんて尾ひれがついて当然なのだけど、 「八雲紫は人の助け無しでは生活もままならない程年老いた」というのはあんまりでは無いかしら。 当然この噂話は、私がよく知っている人間や妖怪にも伝わっていた。 「ゆ……紫!? 何してるんだ、一人で歩いちゃダメだろ!」 魔理沙。要介護のおばあちゃんだと思われているらしい。 「さっさと復活しないと、幻想郷を貰ってしまうわよ?」 吸血鬼。病気にかかったとでも聞いたのだろうか。 「あら、八雲のおばさまじゃない。ご機嫌いかが?」 幽々子。おばさんとして扱われただけ、まだマシかもしれない。 「あの、師匠が一回顔出せって……」 兎。あの月人がそんな事を言うとは。歳をとったら検査ぐらいしろという事? 「酒は百薬の長だよ。飲んでればきっと治るさ」 萃香。なぜ悲しそうに言うの? 私は不治の病にでもかかったの? 「あんたには緋想の剣よりもこっちの方がお似合いよ!」 比那名居の天人。ぶっきらぼうに(高そうな)杖を渡された。 「紫……私達が初めて会った時の事覚えてる? あの時は敵同士で……」 霊夢。普段そっけない彼女がまさかの思い出話。どうやら霊夢の中の私は風前の灯らしい。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― それからしばらくして、文々。新聞に『幻想郷の大妖怪、八雲紫健在!』という記事が載った。 載ったというか、あの天狗を脅して載せた。こうでもしないと、皆の誤解を解く事はできないでしょうし。 ところがこれで一件落着かと思ったら、意外と文々。新聞の購読者が少なくてあまり効果は無かったみたい。 あの天狗、こんな時くらい役に立ちなさい。 ……結局、良い解決法は見つからないまま。 最悪の場合、「元気ですよー」と言いながら幻想郷を飛び回るしかない。リリーホワイトじゃあるまいし…… ~ おわり ~ ※ ゆかりんかわいいよ ゆかりんかわいいよ いぢめなのにかわいいだと・・・ けしからん、もっとやれ! -- 名無しさん (2009-04-05 02 11 12) 和むねぇ -- 名無しさん (2009-04-06 22 58 24) みんな優しいな。式以外は。 -- 名無しさん (2009-04-07 12 36 07) リリーパープルですね、わかります -- 名無しさん (2009-04-20 10 19 18) いや、おばあちゃんだからシルバーだな -- 名無しさん (2009-04-21 06 20 52) だれうま -- 名無しさん (2009-05-30 23 36 44) 優しさが痛いんだろうな -- 名無しさん (2009-05-30 23 37 35) これはイジメというか愛されているなwww -- 名無しさん (2009-06-06 11 07 28) いじめじゃないけどいじめみたいな、そんなかんじ -- 名無しさん (2009-06-06 18 51 40) ババア俺だk…(ぴちゅーん) -- 名無しさん (2009-06-08 14 10 34) リリーシルバーwww それにしてもゆかりん人気あるんだなw -- 名無しさん (2009-07-23 01 19 56) いぢめで可愛いと思わされたのは初めてかもしれんw -- 名無しさん (2009-07-25 07 23 43) いぢめネタで最初から最後まで安心して読めるなんて… -- 名無しさん (2009-07-26 00 15 53) リリーシルバーが通った後は見るも無惨な荒野 -- 名無しさん (2010-01-07 09 13 17) しかし皆さん、リリーシルバーってうけますねそれ(爆笑)。 シルバーってバァバァとか老人って意味ですよね? リリーバァバァ!! だははは! -- 外道 (2010-01-08 09 04 49) ↑死んだな。 -- 名無しさん (2010-01-08 11 17 40) ああ。 -- 名無しさん (2010-01-09 16 31 53) 外道ェ… -- 人狼 (2010-04-01 10 09 38) ( 罪) 華麗臭が! -- 名無しさん (2010-04-01 10 38 08) ( 罪) 浄土宗が! -- 名無しさん (2010-04-01 11 02 57) ( 罪) 少女臭が! -- Aーfd (2010-04-01 16 46 03) なんという団結力、圧倒的ではないか我が軍は でもきっと俺が藍様なら藍様と同じ反応をするだろうなw -- 名無しさん (2010-05-06 01 03 34) だるばむ -- 名無しさん (2010-08-19 20 19 26) だるばむとか書いてすみませんでした -- 名無しさん (2010-09-28 16 17 45) 何があったw -- 名無しさん (2010-10-07 20 27 20) リリーだるばむ -- 名無しさん (2011-06-07 23 16 10) 亡くなった婆ちゃん思い出した。オマイラ、婆ちゃんじいちゃんを大事にしろし -- 名無しさん (2011-06-11 21 28 51) これはいい -- 名無しさん (2014-03-13 17 12 58) 『小森のおばちゃまこんばんは』ならぬ、『八雲のおばちゃまこんばんは』 ……なんか違う気がする。 -- 名無しさん (2015-10-05 16 12 59) イイハナシダナーですでに吹いた -- 名無しさん (2016-02-11 19 58 28) 泣いてます♪泣いてます♪紫のおばちゃん泣いてます♪ -- 名無しさん (2016-05-10 19 54 33) 見事なまでのゆかりイジリだw -- 名無しさん (2017-02-03 02 12 56) 最後のリリーホワイトのくだりでふいたw -- ロリこん (2018-01-14 14 04 27) 久々に笑えるイジメを見た……ゆかりん可愛いよ -- 名無しさん (2020-03-14 14 09 23) 名前 コメント
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長の役割 41KB 虐待-普通 自業自得 実験・改造 群れ 赤子・子供 現代 独自設定 お話長めです 緑溢れる山を飛び回るゆっくり達。 狩りに向かう大黒柱のお目当ては、近くに生えた美味しい木の実。 豊富な栄養を蓄えた木の実をツガイと赤ゆに与えてゆっくりとした日々を生きる。 その群れの長は、紫髪のぱちゅりー。 月のお飾りが帽子に煌く、頭脳明晰なゆっくりだ。 「れいむのあかちゃんっかわいいでしょっ!?」 「まりさのあかちゃんも、かわいいんだぜっ!」 「ありすのとかいはなあかちゃん、とってもすてきだわっ!」 「……むきゅ~っ」 長が住む巣穴の近辺では出産ラッシュを迎えていた。 何処を見ても、赤ゆ自慢の家族で溢れかえっている。 とても幸せそうな表情を浮かべた群れのゆっくり達。 この出産ラッシュの原因は美味しい木の実が関連していると思われる。 豊富な栄養を定期的に摂取できる環境になると、安心して繁殖行動をとる固体は多い。 「…こまったわ。どうしたらいいのかしら?」 賑やかな喧騒の中で、ぱちゅりーは頭を伏せて小さく唸る。 今、この群れに起きている重大な危機の訪れを嘆いていた。 「むーしゃむーしゃ! しあわせ~っ!」 「れいむっ! それは、まりさのだよっ!? かってにとらないでねっ!」 「れいむは、にんっしんっ! しているんだよっ!? たべないとしんじゃうでしよぉおぉおっ゛!? まりさはばかなのっ? しぬのっ!?」 「まりさだって、おなかぐーぐーなんだぜっ!? あかちゃんが、たべたいってささやいているんだぜっ!!」 頭に生えた茎を左右に揺らしながら喧嘩を始めたれいむとまりさ。 小さな木の実を奪い合っているようだ。 どちらも必死の形相で互いに一歩も譲らない。 小規模な争いが、群れの各地で勃発していた。 先発で誕生した食欲旺盛な赤ゆ達が木の実を欲望のままに食らい尽くした結果、 必然的に山の食料は枯渇していき、親の口に入る栄養は日に日に少なくなっていったのだ。 お腹を空かせたゆっくり達は森に溢れ、いーらいーらを溜めて争いを繰り広げる群れの一部。 それを解決させる手段となる食べ物を狩るのは現状では難しい。 ぱちゅりーが納める群れは、壊滅を仄めかす食糧不足の初期段階に立たされていた。 この森に住む群れの一派、元は全てが街野良だった。 長であるぱちゅりーも例外では無い。 つい最近の出来事、ぱちゅりーは飼い主の家で粗相をして捨てられた。 ダンボールに入れられて、寒い風が吹き付ける路地裏に投棄された。 飼いゆ用に育てられたぱちゅは、多少丈夫な体の構造をしている。 そして、生きてゆっくりしたい!と、言う未練を断ち切れず、街を徘徊して糧を得る日々。 這いずり回って生きて行く事に疲れきったぱちゅりーは、ある噂を耳にする。 『ゆっくりぷれいすにいこうっ!』 その言葉を発するゆっくり達に着いていけば幸せが訪れる。 疲れていたぱちゅりーは、藁にも縋る気持ちで声を上げるゆっくりを探し始める。 それは、意外と早く見つかった。 体を黒くしたゆっくりの集団。 大きさは成体から赤ゆまで満遍なく揃った街野良の集まり。 希望に胸を膨らませながら、大移動をしているゆっくり達。 集団が辿り着いた場所は、都会から少し離れた山の奥。 美味しい木の実が成り茂る理想卿。 ここには、自分達を脅かす人間も存在しない。 「「「 ここをゆっくりぷれいすにするよっ! 」」」 大勢の発した声が、上空の広い空に吸い込まれていく。 ビルなどは無い。視界に飛び込むのは穏やかな緑。 排ガスの臭いなどはしない。感じるのは地面から香る土の匂いだけ。 それぞれ、意気揚揚と森に散らばった。 久しぶりにお腹いっぱいに食べたゆっくり達は、大きな群れを形成していく。 長を決める際、紫色の髪を地面に広げたぱちゅりーに白羽の矢が立つ。 決め手は、木の実を数えるときに、三以上数える頭の良さを見せ付けた事だろう。 群れの中に、ぱちゅりー種は一体しか居ないのも、高評価だったのかもしれない。 任命されたぱちゅは、少し照れながら長の役職に付いた。 それが、つい数週間前の出来事。 無尽蔵にあるかと思われた美味しい木の実は、数えられる位にしか残されていない。 子を優先して木の実を与えていた親達は、日が経つごとに痩せ細っていた。 「ゆっくりたべてねっ? たべないとしんじゃうよっ!」 早い時期に食べる物が無くなったと認識した親達の一部は、 巣穴近辺に生えていた雑草を刈り取って赤ゆ達に与える。 むちゃむちゃと噛んで柔らかくする事もなく、雑草を無造作に床に広げた。 唾液を混ぜて甘く感じさせる努力も行わないお粗末な昼ご飯。 雑草は何時も与えて貰っている黒い木の実とは外観は違っていたのだが、 世の中にある物は、全て甘い物だと誤認していた赤ゆ達は、一切迷い無く頬張ってしまった。 雑草を口に含んだ赤ゆは、強い苦味と噛み切れない繊維の硬さを鮮明に感じ取る。 「「「…ぐぎゅっ、にぎゃいよぉおっ゛!? ゆげぇえっ゛!」」」 「うわぁああっ!? しっかりしてぇえぇええっ゛おちびちゃあぁああんっ゛!」 げろりと吐き出した赤ゆ。 その吐射総量は、明らかに摂取した雑草の大きさを簡単に上回る。 不味さにビックリして体の内部に入れてしまったのだろう。 体を形成する餡子が、ゆっくり出来ない成分に犯されて外部に排出を要求している。 それは全く留まることを知らず、赤ゆの小さな体から餡子を搾り出していく。 「「「…ゆっ…もっぢょ…ゆっぐぢ……ゆげぇえぇっ゛」」」 「おちびちゃぁああぁあああああああああんっ゛!?」 また、赤ゆが数体天に召された。 完全なる親の過失。 しかし、親は解らない。 与えてはいけない毒物を理解していないのだ。 今までの街野良環境とは全く違った森の中。 過酷な野良生活を辿ってきた親ならば、苦い草も我慢すれば多少は食べられ事を知っている。 しかし、黒い木の実しか食べていない新生児のゆっくりは苦味に耐えられない。 直ぐに弱って死んでしまう。 しかし、甘い食べ物を探そうにも、美味しそうな果物は頭の遥か上方に実っている。 これまで容易に狩れる黒い木の実を主食にして来た元野良ゆっくり達の群れ。 野良で会得した狩りはゴミ漁りが中心だったので、果物を落とす方法は思いつかない群れの面々。 群れのゆっくり達の狩れる物、食べれる物は、黒い木の実だけ。 今まで完全に偏った食生活を送って来たのだ。 「…むきゅ~っ」 遠くで聞こえた親の悲鳴を聞きながら、長のぱちゅりーは考えている。 「ぱっくーんっ! しっ…しあわせ――っ!?」 「ゆああぁあああっ゛!? まじざとあかちゃんのぉあまあまさんがぁああぁあっ゛!」 緑色の茎を頭に実らせたゆっくり達は争いを終えた。 勝者となったれいむは、お口に木の実を含んで飲み込んだ。 れいむは黒い木の実を食べて元気いっぱい。 それを見たまりさは大号泣。 ありすは虚ろな目をしながら奥で倒れていた。 ピクリともしない危険な状況。 これらは、第三世代の認可を受けたゆっくり達だ。 先程の苦い草で昇天した赤ゆは第一世代に入る。 長の了承を取らなければ、親は新しい赤ゆを作ることは許されない。 群れの長であるぱちゅりーは、申請に認可を与える役割を担っていた。 しかし、ぱちゅは強く頼まれると嫌とは言えない性格をしている。 それに加えて森の現状など把握していなかった。 元街野良なのだ。 物は数える事は出来ても、森の無害食材などサッパリわからない。 理想郷としていた山が、牙を剥いて群れに襲い掛かってきた。 「ゆっくりそだってねっ! れいむのかわいいあかちゃん、げんきにそだってねっ」 「ゆわぁあぁあああんっ゛! おながずいだぁあぁああああっ゛!? れいむのばかああああっ゛!」 まりさは泣きながられいむに突進する。 小さく跳ね飛ばされたれいむは、負けじと応戦した。 巣の内部は醜い修羅場と化す。 これが、群れの現状だ。 一刻の猶予も残されていない。 「…むきゅっ、けつっだんっ! するときなのね…」 ぱちゅりーは決意を込めた眼差しで地面に開かれた手紙を見下ろす。 奥歯を噛み締めながら、苦々しい顔で全身を軽く縦に振った。 山に移り住んだ群れは人間達を受け入れない。 自分達を捨てた人間などは、神聖なるゆっくりぷれいすに踏み入れる事を許さない。 長のぱちゅりーは、この提案を即決で容認する。 群れを集め、特訓した攻撃方法は、華麗なるぷくーっ!。 空気をいっぱい吸い込み、丸々と膨らんだ体で威嚇を行う方法だ。 『これ以上何かすると、群れで痛い目をあわせるよっ!?』 ぷくーには、そう言う最終警告も含まれている。 今まで領域に進入した人間達は、" ぷくーっ! " と、威嚇すると情けなく逃げていった。 撃退した群れは愉快に笑いながら互いに健闘を称えあう。 自分達を苦しめてきた人間は、こんなに弱いものだったのかと語り出す。 捨てた飼い主に復讐をするべきだの意見も群れの中で飛び交った。 しかし、野良を捨てて野生を選んだ群れのゆっくりは、寛大な心を持って元飼い主を許す。 それに、この場所を移動している隙をついて、他の野良に取られてしまう可能性も危惧された。 主に後者の問題を考慮して群れは復讐を断念する。 せめて、復讐の代わりに得たこの理想郷は死守せねばならない。 群れのゆっくり達は、その思いを強めて進入者を全て排除してきた。 「ゆっくりかんしゃしてねっ!? おさが、じきじきにおはなしをしてあげるよっ!」 「こうえいにおもってねっ!? あまあまもくれてもいいよっ!」 「とかいはなありすについてきなさいっ! れつをみだしてはだめよっ!?」 「ほっほっほ。元気じゃのう」 れいむ達の後方に年老いたお爺さんが続く。 お爺さんの側には、黒服を着た青年と、家政婦の衣装を身に纏った女性が寄添っていた。 一団が進む山道には、ぷくっと膨れたゆっくり達の列が並び、歩いて来た人間達を威嚇している。 「むきゅっ! よくきたわね。わたしがおさのぱちゅりーよっ」 この群れの状況を打破するために、人間と交渉の場を設けたぱちゅりー。 頭に深く被っていた帽子の隙間から覗くお手紙。 手紙には、" おはなしをしませんか? " との文面が達筆で描かれていた。 本音は人間を森に入れたくは無かった。 だが、長は致し方ない事だと思っているのだろう。 群れのとの問題を照らし合わせての苦渋の決断。 全滅は、なんとしても避けたい事柄だったのだから。 会議をする場所に選ばれたのは、長が住む巣穴外の大きな野外広場。 広場上空に覆う緑色の葉で編まれた屋根は、とてもゆっくり出来ると評判だった。 長が中央の石に座る。 お爺さんは近くの大きな石に腰掛けた。 寡黙な青年は後方で待機。 これから群れの食糧供給を中心とした、重要な会議が行われる。 「むきゅっ! これは、とってもゆっくりできる、ていっあんっなのよっ!」 ぱちゅりーは、息を荒げながらお爺さんに迫る。 ある程度の譲著は行ったと言わんばかりの表情だ。 それを聞いていたお爺さんは笑顔を崩さない。 「ほっほっほ。面白い事を言うもんじゃのう」 お爺さんの側に寄添う青年の指先は、滑らかに動き続けていた。 ぱちゅりーの提案事項を手帳に記録しているようだ。 書き終えた手帳の中身を見たお爺さんは、細く開けた瞳を長に向けて再度確認を行う。 「まずは…、山の管理について。じゃったかの?」 「そうよっ! ぱちゅりーたちのゆうしゅうなむれが、やまをきれいにしてあげるわっ!」 「それの見返りとして、美味しい木の実を寄越せと?」 「むきゅっ! おなかをすかしては、うごけないわっ! とうぜんのけんりねっ!」 「更に、赤ゆ達の保護もして欲しいと?」 「とうぜんねっ! ゆうっしゅうっ! で、すてきなむれのあかちゃんたちなのよっ? ほごするのは、あたりまえのことだと、ゆっくりにんしきしてほしいわっ!」 黒服の青年は手帳を閉じてから、一歩後方へと下がる。 お爺さんは大きな石に腰掛けたまま、両目を瞑り考え込む。 長のぱちゅりーは、自信に満ち溢れた表情を崩さない。 提案を飲むのは当然の流れだと盲信していた。 「却下じゃな」 「むきゅっ!?」 目を開いたお爺さんは、開口一番で拒否を進言。 それを受けた長の両眼は驚きで見開かれる。 周辺に寄添う親衛隊も同様の表情を浮かべて固まった。 「どうしてっ!? こんなにゆっくりできる、ていっあんっさんでしょっ!」 「ほっほっほ。どう考えてもおかしいのは明白。受ける理由は無いのぉ」 強めの口調で畳み掛ける群れの長。 それを受け流すような、淡々とした人間の行動が気に入らないらしい。 長と親衛隊の面々は、お爺さんを囲むように陣形を展開していく。 「ようきゅうを、ゆっくりのみなさいっ! いたいめにあいたくはないでしょっ!?」 「脅しをするのかい? それは、ゆっくり出来ないのぉ」 ニヤリと笑ったお爺さん。 黒服の青年は、何時の間にかお爺さんの側に寄添っていた。 「ゆっくりできないにんげんさんは、むれの " いだいさ " を、りかいしてねっ!?」 ぱちゅりーを含む数体のゆっくりは、口を大きく開けて空気を吸い込んでいく。 大気を内部へと充填し、思いっきり膨れ上がった群れのゆっくり達。 「「「 ぷく――っ!! 」」」 最終警告を伴なう威嚇行動。 今、群れはゆん生で最高のぷくーを人間に炸裂させた。 「ほっほっほ。……それで?」 「ぷっ!?」 冷たい言葉を口にするお爺さん。 群れの長と親衛隊は、膨れたまま固まった。 「交渉決裂、じゃな」 お爺さんは、軽く手を上に移動させた。 それを確認した青年は、速やかに通信機器を取り出して連絡を取り始める。 電話向こうで会話していた女性の了承の声を最後に通信は途絶えた。 「「「 ――ゆんやぁああああっ゛!? 」」」 「「「 やめてぇえぇえええっ゛!? 」」」 その直後、山道で甲高い悲鳴が湧き上がる。 群れのゆっくり達は、膨れた姿のままあっさりと捕まって、麻袋の中に収納されていく。 「「「 ここは、せまくてゆっくりできないっ! 」」」 「「「 もう、おうちかえるぅうううぅっ゛!? 」」」 狭い袋の中で暴れるゆっくり達。 圧殺をなるべく防ぐ対処法として、大きさごとに分けて袋詰。 それを実行しているのは、黒服を着た数人の男達。 家政婦の衣装を着た女性が指揮をして迅速な作業を行っている。 「「「 ゆーゆーっ!? 」」」 赤ゆ達は透明な箱へと纏めて収納された後、丁重に運ばれていく。 その魔の手は、長であるぱちゅりーの巣穴まで伸びていた。 長を守るために駆け出した親衛隊達。 「「「 うわぁあああああっ゛!? 」」」 あっさりと御用。 麻袋の中にみっちりと詰まった親衛隊達は泣きながら退場。 他の群れゆっくり同様に乱暴な扱いを受けながら運ばれていく。 「むきゅっ!? ふしゅるるる~っ!」 空気を吐き出して威嚇行動を辞めようとしたその時、 体から完全に空気を抜ききる前に、口に湿布状の物体を貼られて排気を止められてしまう。 長の周辺には、濃厚なオレンジの香りが漂い始めた。 これは、オレンジエキスがたっぷり含まれている医療用シート。 瀕死のゆっくりでも、瞬時に息を吹き返す栄養分を蓄えている。 「むぎゅっ!? むぎゅぅうぅうっ゛!」 暴れる長を持ち上げた黒服の青年。 音も無く忍び寄って、黄色いシートを長のお口に張り付けたのは、この寡黙な青年だ。 目線にまで持ち上げられたぱちゅりーを見たお爺さんは、 満足そうに首を縦に振った後、年寄り臭いかけ声を放ちながら重い腰を上げる。 「ほっほっほ。さて、いきますかのぉ」 捕らえた群れの長と一緒に山道を下る。 シートを貼られて栄養過多になった元気漲る群れの長。 脱出しようと暴れるが、青年の掴む手は決して緩まない。 そのまま、大きな出来事も無く、奇妙な御一行は山道を進んでいった 山の麓に聳え立つ建物。 ここは、町外れにある敷地を贅沢に使った広大な研究施設。 素晴らしい総面積を誇る建造物は、遠くからでも良く目立つ。 (ぱちゅりーはおさなのよっ! あやまっても、ぜったいゆるさないわっ!) 長い廊下を進むぱちゅりー。 その口元には黄色いシートが貼られて、言葉を発することは出来ない。 ぱちゅは、むーむーと唸る声しか外部に漏れない、静音仕様に生まれ変わった。 あんよに食い込む青年の両手。 どれだけ暴れても逃れることは出来ない。 それでいて、食い込みすぎて肌を突き破ることは決して無い。 この技術は当然のスキルと言わんばかりに、冷静な顔を崩すことはしなかった。 (ゆっくりさせなさいっ! どうして、いうことがわからないのっ!?) 涙を流しながら訴えているぱちゅりー。 その声は届かない。 しかし、笑顔を浮かべたお爺さんは優しく語り掛ける。 「ゆっくりさせなさい。じゃろ? ほっほっほ。ゆっくりはそれしか言えないからのぉ」 ぱちゅりーは首を縦に振る。 冷静になったぱちゅりーは、アレだけ空いていたお腹が満たされているのを感じていた。 貼られたシートは鬱陶しいの一言に限る。 しかし、このシートから湧き出る元気成分が体に吸収されていくことは明白。 これを群れ全体に提供をしてくれるのならば、維持など楽勝と考えているぱちゅりー。 その後、腹を見せるように仰け反った。 泣き顔から一転して良い笑顔を見せる群れの長。 浮かべた笑顔は、打算的な希望の現れだったのだ。 「ほっほっほ。ここを見てみなさい」 お爺さんはガラスの扉を指し示す。 ぱちゅりーに拒否権などは無い。 強制的に運ばれて内部を見ることになるだろう。 しかし、未来の希望に満ち溢れたぱちゅりーは、疑いの欠片も見せずにガラスの向こう側を眺めてしまう。 向こう側には、見知った群れの仲間達。 その全てが泣き顔以外の顔を浮かべていない混沌たる世界。 地面に敷き詰められた土を齧って掘り下げる群れの面々。 必死な形相をしながら上目使いで見つめる先には、透明ケースに入れられた我が子の姿。 「「「 いま、ゆっくりたすけてあげるからねっ!? 」」」 群れのゆっくり達は、叫びながら深い穴を掘っていく。 その一部始終を見ていた長のぱちゅりー。 思い描いていた未来と現実の差が大きすぎる為にフリーズ中。 両目を極限まで開き、食い入るように見入っていた。 「これが、お前のお仲間さんじゃ」 ぱちゅりーは、その声に釣られるように視線をお爺さんへと移す。 お爺さんの表情は微笑から変わらない。 (どういうごどなのおおぉおおぉっ゛!?) 状況を理解した長は、くぐもった声を漏らしながら暴れ始めた。 目の前の人間を少しでも信じた自分を悔いているに違いない。 群れと同じ熱い涙を頬に流しながら、仲間の開放を訴えるぱちゅりー。 「素晴らしいじゃろ? ゆっくりの有効活用じゃ。コスト削減とも言えるかのぉ」 お爺さんは黒い木の実を取り出す。 それを群れの長に見せ付けた後、ガラス向こうのゆっくり達を指差す。 「あいつらが材料じゃ」 事も無げに言うお爺さん。 群れの長は信じない。 そんな共食い行為など、簡単に認められる訳は無いのだ。 元は飼いゆだった経歴を持つゆっくり程、その思考は根強く残っている。 教育過程での必須科目にされているためだ。 共食いと合わせて他のゆっくりを噛む行為はいけない事だと教え込まれてきた。 この教育が災いして、先発野良に遅れをとる固体も多い。 今、生き残っている野良達は、ある種の強運を持った固体と言えなくも無い。 「信用していない顔をしているのぉ? まあ良い、まあ良い」 小さな木の実を懐にしまうお爺さん。 ガラス向こうで繰り広げられている、地獄の鑑賞会はまだまだ続く。 群れの長はここから逃げられそうも無い。 広い室内で一心不乱に掘り進むゆっくり達。 土は柔らかいのだが、石交じりで歯にはとっても優しくない。 「いだいぃいぃいっ゛!? まじざのおくばさんが、ばっきんしちゃったぁあああっ゛!」 「れいむのまえばさんっ、どこいったのっ゛! ゆっくりかくれないで、おかおをだしてねっ!?」 ボロボロと口から歯の欠片を零すまりさ。 その横では、前歯を欠いた間抜けな表情をしているれいむが、顔を地面に擦りつけながら探索中。 前歯の発見はとても困難だろう。 今から、掘った穴を直ぐに埋めなければいけないのだから。 「おらぁあああっ゛! 掘ったら、さっさと埋めろぉおおっ゛!?」 野太い声をした監守はゆっくり達に激を飛ばす。 手に持った鞭を地面で打ち鳴らし、群れの内部に一瞬で緊張感を植え付ける。 それでも躊躇するゆっくり達に対しての脅しは簡単だ。 「おらおらぁあぁぁっ゛! 赤ゆ達が死んじまうぞっ? それでも、ゆっくり出来るのかぁあっ!?」 「「「 ゆっくりできないいいいいっ゛!? 」」」 涙を流しながら掘った穴を即座に埋める群れのゆっくり達。 全ては赤ゆを助けるための行動だ。 かわいそうに泣き喚く赤ゆ達の声は、母性本能をダイレクトに刺激していた。 ここに収納されてから掘ったり埋めたりを繰り返してきた群れの集団。 赤ゆを取り戻すために、一生懸命土木作業を頑張るゆっくり達。 メインで使うのは頑丈な前歯。 しかし、焦りながら掘り進めていく過程で、大きな石を口中の奥に取り入れてしまうミスを連発。 勢い余って噛み締めた際に、真っ白奥歯を誤って砕くゆっくり達が続出したのだ。 「「「 ゆぐぁあぁあっ゛!? いだいぃいぃいっ゛! 」」」 歯の砕けた箇所目掛けて、大きな土砂が飛び込む。 これは、歯が完全に抜けた方がマシとも思える、耐えがたい苦痛をゆっくり達に与えた。 舌を奥歯に乗せて土砂を取ろうとするのだが、食い込んだ石は動く気配を見せない。 逆に押し込む形になって、自爆による激痛をその身で受ける羽目になった。 「痛いなら俺が抜いてやるよっ!」 痛みで身をよじるまりさに近づく監守。 その手には巨大なペンチが握られていた。 「だだだだっ! だいじょうぶだよっ!? まりさは、へいきだよっ!」 「遠慮するなよっ? 俺は名医なんだぜっ! 心配には及ばねぇっ!」 ガッシリと頭をホールドアップ。 まりさは逃げ出すことが出来ない。 「なおったよっ! まりさのおくばさんは、へいわになったとつうたつをうけたんだよっ!?」 「意味わかんねよっ!? どれどれ…? ヒャッハーッ!? 大穴奥歯たまんねぇーっ!」 鼻息を荒くした監守の顔がまりさに接近する。 まりさは、生温い風を受けて気持ち悪くなる感情を打ち払うかのように、 目線の下から見える大きなペンチ。それが口中へと侵入した時、全身の感覚は恐怖のみに支配されていくのを自覚した。 「我慢できねぇっ!? ヒャッハーッ!」 「おげべぶえぇっ゛!?」 奥歯をペンチで挟んで強引に抜き取られたまりさ。 詰まった土砂の痛みは確かに無くなった。 しかし、今度は抜歯の激痛がまりさを襲う。 「ゆぎゃぁあぁあああっ゛! いだいぃいいぃいっ゛!?」 土の上を転がるまりさ。 痛みに耐えるその姿を見ている赤ゆ達は、ストレスを感じて吐き出した。 吐いた赤ゆを心配した群れのゆっくり達は騒ぎ出す。 赤ちゃんが死んでしまうと、口々に喚き始める。 「さっさと埋めろやぁあっ!? お前等の歯も抜いてやろうかあっ!」 恐怖を感じたゆっくり達は、埋める作業へと戻る。 まりさと同様に、身をよじらすゆっくりに飛んで行って抜歯を行う。 それを見た赤ゆが吐き出す。 また、激を飛ばして~、の繰り返し。 「早くしないと赤ゆ達はしんじまうぞぉっ!? あと、三回掘って埋めろぉっ!」 「「「 ゆっくりできないいいいいいいっ゛!? 」」」 赤ゆ達の足元には黄色いシートが敷かれてあって死ぬことは無い。 いや、死ぬことは許されない。 赤ゆ達は、大事な生餌なのだから。 いっぱい焦らして濃厚な甘味を内部に蓄えていくゆっくり達。 親子の再会は、大きな箱の中で確定済みだった。 互いに餡子の塊となって混じり合うその日まではお預けだ。 赤ゆ達を返してくれると信じながら、親達は穴を掘って埋め続ける。 全く報われることの無い希望を目標に変えて。 ただ、ひたすらに地面を穿る群れの姿。 「赤ゆを盾にすると、大概の願いは聞き届けてくれるのじゃ」 見放した赤ゆ達には、トコトン厳しく卑劣な選択も辞さないゆっくり達。 それが、奪われた悲劇の赤ちゃんになると、親は取り返すために全力を尽くす行動を見せる。 自分が決めた判断以外で不慮に居なくなる選択は、気にいらないと思っているのだろうか? それとも、可愛い赤ちゃんを目の前で奪われると、母性本能が極限まで増幅される為なのだろうか? 詳しくは解らない。 でも、この状態のゆっくり達はとても扱いやすい。 命令通りに動いてくれる。 「どうじゃな? 理解は出来たかのぉ? ゆっくりの長よ」 ぱちゅりーは、嗚咽を漏らしながら泣いていた。 シートに含まれた豊富な栄養が、ぱちゅりーの生クリームを絶え間なく刺激する。 お爺さんの緩やかな説明を少しだけ理解した。 赤ゆを粗末に扱っていると言う部分だけは理解したのだ。 群れの長は、赤ゆに非道な行いをする人間を強く睨む。 その視線を軽く受け流したお爺さんは、黒服の青年に目配せをする。 青年は携帯を使わず、無線で内部に居る監守へ連絡を早急に伝えた。 ガラス向こうの監守は頷いて、赤ゆ達が満載に詰められている透明ケースへと足を運ぶ。 その中から、一体の赤ゆを摘んで持ち上げた。 『おら~っ! この赤ゆを返して欲しいかーっ!?』 『ゆっ!? それは、れいむのあかちゃんだよっ! かわいすぎてごめんねっ!?』 見せびらかすように頭上に振り上げた赤れいむ。 それに素早く反応したのは、少し遠く居た親れいむだった。 『かえしてねっ! れいむのあかちゃんかえしてねっ!?』 持ち場を離れて勝手に接近して来た親れいむ。 監守の足元で、世話しなく跳ね続ける。 『そうだ、まりさの赤ちゃんも返してやってもいいぞ?』 『ゆっ!? ほんとにっ!』 側に居た無関係なまりさに声を掛けるお兄さん。 まりさは、降って湧いたような幸運に、嬉しそうな表情を顔に浮かべた。 お兄さんは、手に持った赤れいむをまりさが掘っていた穴の中に投入する。 土色に体を染めていく赤れいむ。 穴の中で苦しそうにもがくが、土の壁は脆く這い上がることは出来ない。 よじ登っては、仰向けに転がる事を繰り返していた。 『そいつを埋めろ。完全に穴を埋めたとき、まりさの赤ちゃんは返してやる』 『ゆゆゆっ゛!?』 過酷な条件を突きつけられたまりさは固まる。 視線の先で蠢くのは、他ゆっくりの赤子。 しかし、" これを埋めれば……" との考えが、まりさを惑わせる。 静かに足を穴の縁に移動させるまりさ。 掘って積まれた土山を、少しずつ穴の内部へと流し込む。 『まりさのあかちゃんは、いきるけんりがあるんだよ! しらないあかちゃんは、ゆっくりしんでねっ!?』 『ゆっくちーっ! ゆえぇえ~んっ゛!?』 見知らぬ赤ゆの代償を持って、自分の赤ゆを救う。 まりさは、この赤れいむを生贄に選んだのだ。 虚ろな瞳でお得意の責任転化を実行中。 これは、非道な役割を行う際に、自分へのストレスを軽減させるテクニックの一つ。 赤れいむの体に土砂が降り注ぐ。 全身は埋まってしまった。 『しらないあかゆを、せいっさいっしたよっ! まりさにのあかちゃんは……』 『れいむの、かわいすぎるあかちゃんをうめたまりさはっ! ゆっくりぜずにしねぇええぇええっ゛!?』 最高の笑顔を浮かべて振り向いたまりさの体に、肌色の物体が突貫を行う。 大きな口でまりさの頬を噛み締めた親れいむ。 赤れいむを目の前で埋められた状況を見せ付けられて、怒り心頭のご様子。 ガッシリと食い込んだ前歯の力を緩める気は無いとの気迫が漲っている。 『いだいいいっ゛!? まじざの、やわらかほっぺさんがぁあっ゛!』 まりさは号泣しながらお尻をバタつかせる。 お尻をビチビチと世話しなく振る度に、れいむの前歯は頬の内部へ食い込んでいく。 『れいむっ゛ゆっくりゆるしてねっ!? あれは、できごころだったんだぜっ!』 『ゆっくり……』 『だがら、おくちをあけてねっ!? まりさのほっぺださんが、ちぎれじゃうよぉおおっ゛!』 『ゆっくりせずに……まりさはしんでねっ!』 がぶりと音を立てたれいむの前歯。 噛み締めていたまりさのホッペに歪な歯形を残す。 大きな致命傷を与えられたまりさは、ふらふらとおぼつかない足で地面を迷走し始める。 積み上げた土砂に躓いて顔面から転倒したまりさ。 その衝撃で、頬の大穴から内部の餡子が大量に流出して足元に広がる。 体を何度か小さく弾ませた後、一際大きく跳ね上がったのを最後に完全停止。 透明なケース内部で、ガラスに張り付くようにしながら状況を目視していた、まりさ似の赤ちゃんが餡子を吐き出す。 まりさは、可愛い赤ちゃんが見ている前で、……死んだ。 『ごべんねっ! ごべんねっぇええっ゛!? がだぎはどっだよぉおぉぉぉっ゛!』 まりさを噛み殺した親れいむは、赤れいむが埋まった穴を覗き込みながら泣いていた。 赤ちゃんを助けられなかった自分の不甲斐なさに溢れる涙が止まらない。 今は亡き最愛の赤ちゃんに片方の仇を討った事を報告した。 『残念だったなっ! れいむは親としてどうなのよ?』 『じじいが、れいぶをおさえていたから、うごけなかったんでしょおおぉおっ゛!?』 赤れいむが埋められた瞬間に駆け出したれいむ。 しかし、監守の大きな足で踏まれたれいむは、自由に動くことが出来なくなってしまった。 目の前で埋められていく我が子を見ながら悲痛を訴えたれいむ。 拘束を解かれたときには、既に赤れいむは全身を埋められていた。 まりさに制裁を与えて殺すことを瞬時に決める。 不意をついのて完全制覇。 これに調子づいたれいむは、監守に向かって接近していく。 『…つぎは、じじいのばんだよ? こうかいしながら、ゆっくりせずにしんでねっ!』 『おい? そこで何か動かなかったか』 赤れいむが死ぬ原因を作り出した、もう片方の仇を倒すために駆け出したれいむの足が急ブレーキ。 監守は赤れいむが埋まっている穴を指を挿しながら大声を上げていた。 『早くしないと助からないんじゃないか? ほら、早く早くっ!』 『ゆっ! ゆゆゆっ!?』 埋められた赤れいむを助ける為に、大きな口を開けて土砂を頬張る親れいむ。 しかし、先程の堀り埋め作業感覚で乱暴に噛み締める大失態。 直後、親れいむの顔が歪みだす。 舌を口内で動かし何かを確認している。 疑惑が確信に変わる。れいむの顔色も青へと変わる。 悪い夢であって欲しいと願いながら地面に内容物を広げる親れいむ。 その視線は、黒い塊に釘付けとなる。 『…ゆっ、ゆぁあっ゛? ゆ…、あああぁああっ!?』 『噛み殺しやがった! なんて、残酷な仕打ちをするのだろう!?』 監守はまるで悲劇が起きたようなオーバーリアクションをとり始めた。 れいむは黒目を激しく振動させる。 体の震えは増すばかり。 『…あがぢゃん……あがぢゃん、ごべんねぇええぇえっ゛!? ゆっぐぢぃゆるじでねぇええぇえっ゛! 』 『あーあ、赤ちゃん殺しのゆっくりなんて最低だよな。子育て上手とか良く言えるもんだよ』 『ゆわぁあああんっ゛!? ごべんなざいっ! ごべんなざぁああぁあああいいっ゛!?』 『赤ちゃん殺しをしたゲスは、ゆっくりせずに死んでね?』 監守は掘られていた穴にれいむを落とす。 斜め上方を見つめるれいむの瞳には、今は亡き可愛い赤ちゃんの幻覚が映る。 五割増に美化された森の生活が餡子脳で展開されていく。 赤ちゃんを自らの歯で磨り潰したれいむは、薄ら笑いを浮かべながら短く声を呟き始める。 『――ゆげっ゛! ゆげへっ!?』 短く乾いた笑い声を漏らす。 目の前に居た赤ゆを奪い返せず、止めを刺した母親失格の重い烙印は、 れいむの体内にある大切な部分を完全に焼き切ってしまった。 『おらーっ! てめぇらもこうなりたいのかーっ!? さっさと、穴を埋めやがれっ!』 『『 ゆっぐぢりがいじだよっ!? 』』 凄惨な現場を特等席で見ていた他のゆっくり達は、慌てて掘った穴を埋め始めた。 作業効率は以前と比べて格段にあがっている。 これからも掘って埋める作業を繰り返すことだろう。 翁は杖を廊下に打ち付けて、群れの長であるぱちゅりーと向かい合う。 ぱちゅりーは、ガラスの奥で繰り広げられている地獄を垣間見た恐怖で涙が止まらない。 「あのゆっくり達は、赤ゆを返してくれると信じているんじゃのぉ」 (むきゅ……!?) 長い顎鬚を細い指先で触れながら楽しそうに語りだす。 口元を黄色いシートで塞がれいるぱちゅは、もごもごと呟きながら青年の胸元で暴れていた。 「ほっほっほ。あの子らは、" 第二世代 " なんじゃろ? 長が許可すると赤子を成せる群れの約束事。なかなか、面白い仕組みを考えるのぉ」 群れの決まりを人間が知っている訳が無い。 この人間の言っている事は、何かの間違いだ。 迷いを宿したぱちゅりーの抵抗は、段々と緩やかに治まっていく。 「ワシは何でも知っておるぞ? ゆっくりプレイス宣言から長任命。 第三世代には木の実が枯渇して食糧難。そして、ワシらとの会談の場を嫌々ながら設けた事もな。 やっぱり、物の数しか解らないゆっくりには、長は重荷じゃったのかのぉ?」 翁は笑いながら嬉しそうに微笑む。 ぱちゅりーは顔を青くして押し黙っていた。 「あの子らは、じっくりと甘味を増した後で、赤ゆとの感動の再開を果たす。 ほれ、見えるじゃろ? あそこの大きなミキサーの中でな」 今まで見ていたガラス内の施設を、翁達は数段高い所から見下ろしていた。 視線を右へ向けると奥には巨大な機械が口を開けている。 その中に、別のゆっくり集団が放り込まれていた。 (…むきゅーっ! まりさーっ! ありすーっ!?) 投げ込まれるゆっくりを見たぱちゅは、いきなり体をくねらせながら暴れ出す。 群れを結成した際の古い顔馴染が、小さな赤子と一緒に銀色の内部へと消えていく。 「あれは、第一世代のようじゃの。針で全身を貫く物理的な刺激を与えたメンバーじゃ。 とりあえず、すぴーど優先で初期餌を作らないと、計画に支障が出るのからのぉ」 機械は大きな振動音を奏でた後、緩やかに内部が回転していく。 蓋を締められてしまったので、内部の詳しい様子は解らない。 苦しむ声も翁達の所までは聞こえてこなかった。 しかし、透明な確認窓から覗く流れる餡子の塊は、ぱちゅに絶望的な状況を伝えてくる。 (みゅぎゅーっ゛!? おざのめいれいよぉおっ゛! あれをどめなざあぁあいっ゛!?」 泣きながら停止を求める群れの長。 翁に付き添う寡黙な青年、側に佇む家政婦の女性は、その声を聞き流す。 ここは、翁が納める群れの中。 ぱちゅに誰も従うはずは無い。 作業を終えた機械は、小さな塊を横の出口から排出していく。 それは、ぱちゅが良く知っている森の恵み。 美味しくて、とってもゆっくり出来る黒い木の実さんだった。 「ぱちゅりーくん。これで、理解したかね? 黒い木の実は、君達の仲間で作られていたんだよ」 翁は懐から黒いお菓子の塊を取り出しながら楽しそうに語り始める。 ぱちゅりーは、理解したくない事実を、理解してしまった。 廊下を歩く翁達。 ぱちゅりーは、泣き疲れてぐったりしていた。 「先日は、我が子を賭けたゆっくり同士のデスマッチを行ったのじゃよ。 でも、失敗したと報告を受けたのぉ。ぐちゃぐちゃに散らばって回収が大変だったらしいからの」 ほっほっほ。翁は楽しそうに思い出を語り出す。 ぱちゅは相手にせずに黙秘を決め込んだ。 シートからは絶えず栄養が流れ込み、体の状態に異常は見受けられない。 (ちゃんすをまって、……まちへとにげるわっ!) 野心を持ちながら転機を伺う群れの長。 しかし、その機会は永遠に訪れないことを、ぱちゅりーは直ぐに認識する。 絶望の未来はそう遠くない。 「さて、次はここじゃ」 翁御一行は、次の会場へと足を踏み入れる。 この室内も見下ろし式の視察部屋になっていた。 広い作業場の中で、第三世代のゆっくり達が群がっている。 第三世代は、子作りの認可を得たのは最近なので、赤ゆを茎に実らせた状態で収容されてきた。 今か今かと赤ゆが誕生するのを心待ちにしていた幸せいっぱいの親達は……、 「あぁあああっ゛!? あがぢゃん、うばれでごないでねっ!」 「うばれじゃでばだよっ゛! おかあざんおごるよっ゛! あっあっ!? だべぇええっ゛!」 「あんよざんっうごいでねっ!? どぼじで、まじざのいうごど、ぎいでぐれないのおおぉおっ゛!」 「あがぢゃんがぁああっ゛!? ごんなのとかいはじゃないわぁああっ゛!?」 現在、生まれてくる赤ゆ達を必死の形相で睨んでいた。 頭上の茎から生まれ落ちると鉄板に触れて焼け死ぬ運命を回避することは難しい。 ならば、生まれてくるのを拒むしかない。 「ほっほっほ。やっぱり、焼くのは良い。 加減を調節すれば、ゆっくりを即死させることなく、内部と外部に異常を与えて活動を制限させる。 これほど、扱いやすい糖度増しの方法はないのぉ」 第三世代は、床に敷かれた鉄板の上でもがき苦しんでいた。 餌に釣られてまんまと中心に誘き寄せられた第三世代達は、 空に浮かぶ餌目掛けて体を伸ばしながら、舌を絡ませようとしている最中に火を入れられた。 中心に纏まっていた第三世代達は、徐々に襲い来る足下の熱気に耐えられなくなり、急いで脱出を計った。 しかし、四方を壁に囲まれた為、何処にも逃げ場なく焦りだす。 困ったあげく、側に居た他ゆの頭に体を乗せて、熱さから逃れる足場を作り始める非道な輩も少なくは無かった。 だが、そんな輩は悲惨な末路を迎える。 バランスを失って転げた落ちた時に、背中や逆さまになって頭を焼かれる個体が続出した。 翁達が見下ろす第三世代の焼き具合の割合は、足底4割、他所3割、残りは絶命か虫の息と言った所だろう。 (やべでぇええっ゛!? おざに、こんなものみせないでぇええっ゛!) 栄養を多く含んだ涙が流れ落ちる。 新たな地獄を見下ろしながらぱちゅは悲痛に身を捩じらせて抵抗していた。 ぱちゅの両眼は、女性の両手で強制的に開放されている。 拒否を理由に瞳を閉じることは許されない。 見ている最中にも、凄惨な状況は続く。 茎から生まれた赤ゆ達は、熱気立ち込める鉄板の上に垂直落下。 『ゆっくち、うみゃれぇるよっ!?』 などと、叫んでいるお気楽な固体も見受けられた。 生まれる直前までは目を瞑っているので、外界を確認できないからだと予想される。 茎から離れた瞬間に世界を認識する赤ゆ達。 そこは、熱気漂う暖かい季節などではなく、命を瞬時に奪う鉄板地獄。 着地するまでの短い飛翔中だけが悲劇を回避できる唯一の時間帯。 「あじゆっうっ゛!? ゆぎゅうっ゛!」 「ゆっぐぢっ゛! ゆっぐぢいいいぃぃぃっ゛!?」 「ゆぎゃぁあああぁあっ゛!」 なすすべなく落ちて命の危機に瀕する赤ゆ達。 様々な箇所から鉄板に張り付いて、全身を赤く染めた後、墨色に姿を変えていく。 親達は涙を流しながら赤ゆ達に呼ぶかける。 今、第三世代達を口にしたら、とても凶悪な甘さになっているだろう。 「ゆっくりうけとめたよっ! もうはなさないよっ!?」 「ゆーん! ゆーんっ!?」 中には、茎から滞空している赤ゆを舌で包み込んだ兵も存在する。 強い母の愛が成せる技だ。 「ゆっくり……おくちか、あたまにのせるよっ! ゆぎぎぎぎっ!?」 「ゆえーんっ゛! ゆえぇえええんっ゛!?」 舌に力を込めて赤ゆを持ち上げる。 体力は残り少ない。 全身全霊を込めて赤ゆの幸せな未来を掴み取ろうとしていた。 「ゆぇえーんっ゛!? あちゅいよぉぉおっ゛!」 「お、おちびちゃんっおとなしくしててねっ!? ゆっくりしてよぉおおおっ゛!」 鉄板から立ち上る熱気を浴びた赤ゆは暴れ出す。 包まれていた親の舌は、上下に激しく揺れ始めた。 最後の赤ちゃんを守るために、綱渡りのような緊張感で救出作戦を行う親ゆっくり。 しかし、幸福な未来など、針の隙間さえも存在しなかった。 つるりと舌から滑り落ちた赤ゆは、鉄板の上へと落下する。 「「うわぁああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ゛!?」」 予想道理の残酷な結末を迎えた第三世代の親と赤ゆは、絶叫を合わせながら悲痛と不運を訴えた。 目の前で炭と化していく新生児を見ながら、自分を二の次にして助け出そうとする涙ぐましい母の愛。 しかし、既に足は動かず、舌は鉄板に張り付いてしまいどうにもならない。 その無力な母の頭の茎から、体を小刻みに振動させた後、産声を上げながら新たな命がこの世に誕生する。 幸せな未来など影も形も存在しない、鉄板が織り成す灼熱地獄の世界へ赤ゆは落ちていく。 ぱちゅは見ていた。 あの日、巣穴の近所にいた第三世代の親を瞳で捉えていた。 れいむとまりさとありす。 黒い木の実を奪い合っていた新しい母達は、見るも無残な容貌になっていた。 甘い実をたっぷり食べて、色艶が良かったもちもちホッペは真っ黒に焦げている。 ありすに至っては前面が焼かれていて、顔を確認できない。 ドロドロに溶けた金髪は体に絡み付いている。 都会派な赤ゆは既に全滅しているようだった。 「さてと、…頃合じゃのう あーあっ、えー、ゆっくり諸君!」 翁は差し出されたマイクに声を通す。 鉄板に焼かれながらも存命していた第三世代は揃って顔を上げた。 「「「たずげでねっ゛!? ここから、だずげでねっ゛! あぢゅいよぉおおぉおっ゛!?」」」 悲鳴を上げる第三世代。 それぞれの口調は微妙に違ってはいた。 要約すれば、この地獄からの救援依頼。 それを無視して翁は用件を伝えていく。 「ここに居るぱちゅりーくんは解るかね? この度、森の長を辞退して我々の仲間となった事を伝える! 過去を捨てる条件を快く承諾してくれた。君達は砕いて有効活用させてもらおうかのぅ」 ぱちゅりーは固まる。 寝耳に水の言葉だった。 翁の発表した内容は、森の長であるぱちゅりーが、群れを裏切って人間の仲間になったと言う事を意味していた。 鉄板の上に居る第三世代の反応は様々だ。 疑う者、信じない者、罵倒する輩と千差万別な纏まりの無い集団。 その纏まりの無かった集団は、翁が行った作戦の一部であっさりと騙される。 「嘘ではないぞ? ほれ、待遇もバッチリじゃ」 口が塞がれて抱きかかえられたぱちゅりーの横に、銀製のトレイが横付けされる。 女性が差し出したトレイの上には、美味しそうなお菓子が山のように盛られていた。 しかし、これは先程の第一世代を加工して作られた食品。 側に居たぱちゅりーは、盛られた黒い塊に拒否反応を示していた。 だが、遠めで見ている鉄板乗りには解らない。 待遇の違いに腹を立てて、その怒りは天をつく程に膨れ上がっていく。 そして、第三世代の心は一つになる。 群れの長、ぱちゅりー。 我々を人間に売り、自分だけゆっくり出来る楽なゆん生を選択したのだと。 「「「――――――――――――――っ!!!」」」 施設の内部が第三世代の罵倒で揺れる。 口汚い言葉の全てが、長に対する非難の声だった。 鉄板に落ちる赤ゆを放棄して思いの丈をぶちまける第三世代。 (……むぎゅうううっ゛!?) ぱちゅりーは否定したい気持ちでいっぱいだった。 群れを裏切った行為は何一つしていないと。 先程の脱走計画も気の迷いだった。 人間に頼った自分が愚かだったのだ。 そう心で反省しているぱちゅりー。 しかし、思いは群れに届かない。 「ふむふむ。解りましたよ、ぱちゅりーくん」 翁はわざとらしく頷いた後で軽く右手を上げる。 それを確認したスタッフは、鉄板の温度調整レバーを最大にまで切り替えた。 「「「ゆっ゛ぎゃぁあああああああぁぁぁぁぁぁぁっ゛!?」」」 白い煙が立ち昇り、苦悶の表情で焼かれていく第三世代。 外皮が墨色に変わっても、短時間ならば中にある餡子に支障は無い。 最後までゆっくり出来る安らかな気持ちを何一つ与えずに殺しきる。 「ぱちゅりーくんのプレゼントだそうだ。 ありがたく思いながら、ゆっくりと味わいなさい」 「「「 ――は、じねぇえええぇえええええええっ゛!? 」」」 声を揃えての断末魔。 それは、ぱちゅりーの記憶に焼きついた。 恐怖と不甲斐なさで震えが止まらない。 「…処理を」 寡黙な青年が言葉を口にする。 スタッフに向けて残骸に対する今後の指示をしているようだ。 そして、抱えていたぱちゅりーも差し出す。 群れの長は、白服を着た研究員に委ねられた。 「それでは、ぱちゅりーくん。" また、あとで "」 翁から言葉を掛けられたぱちゅは、両開きの頑丈な扉の奥へと姿を消した。 精神的苦痛を与えられた群れの長。 疲労は見えるが、衰弱はしていない。 ぱちゅの命を支えていた口に貼られた湿布のような小さなシートは、 オレンジエキスを濃縮して栄養を与え続けて延命措置をとる医療品だった。 しかし、そのエキスは枯れ切って本来の役割を果たさない。 今からぱちゅりーに致命的な事が行われても、助けてはくれないだろう。 「…んっ! んんんっ!?」 口を塞ぐシートの表面から苦しそうな声が漏れてくる。 ぱちゅりーは手術台の上に寝かされて、体を黒いゴムで縛られていた。 脱出しようと試みるが、体は左右にも振ることは出来ない捕縛状態。 「んぐっちゅ゛!?」 まむまむとあにゃるに異物を挿入された。 その器具は、鋭い返しが付いた特注品。 抜けないことを前提に作られた道具は、体内の壁へと鋭く突き刺さる。 今までのゆん生で受けたことが無い激痛に悶えるぱちゅりー。 『赤ちゃんを作れなくなった!?』 ぱちゅはそんな的外れで暢気なことを考えている。 赤ちゃんを心配している場合ではないのだ。 (むきゅうぅうっ゛!? あんよさんがいだぁああぁああいっ゛!) 研究員は、注射器のような物をぱちゅの足裏へと突き刺した。 ゆっくりの足裏はびちびちと元気に動くのでしっかりと抑えてから針先を注入。 傷が広がってしまうと美しい物は作れない。 (むぎゅうっ゛! ばぢゅのなかみがっ゛! みゅぎゅううっ゛!?) じゅるじゅると音を立てて吸引開始。 ぱちゅりーの中に詰まっている生クリームは、床に置かれた小さなタンク内部へと移動していく。 (ばぢゅのながみっ! がえじでぇええっ゛! がえじでよぉおおぉおっ゛!?) 膨らんでいたお腹の部分が、みるみる内に萎んでいった。 内容物を吸い取られていく苦痛に耐え切れず、ストレス過多で吐いてしまう。 しかし、口に貼られたシートに邪魔されて流出を食い止められてしまい、頬を大きく膨らませた。 (…ゆ……むきゅあっぁ゛) 浮かんでは消えていく走馬灯。 飼いゆから始まって、些細なことで捨てられた不幸なゆん生。 その後訪れた森の生活は、とってもゆっくり出来た。 ずっと続くと思っていた。 でも…、群れは引き裂かれて人間に加工されてしまった。 人間はゆっくり出来ない。 関わってしまうから、こんな目に合ってしまうのだ。 ならば、それを提案したのは誰だったのか? それは群れの長を勤めるぱちゅりーだった。 自ら進んで人間に交渉と言う話し合いの場を作れば円滑に進むと思っていたのだ。 間違った自信をつけて慢心したぱちゅりーは、群れを壊滅に追い込んだ張本人。 (ああああああああああああああああああああああっ!?) その反省も記憶も。 奇麗サッパリに小さな容器に移された。 内容物を全て吸い取られたぱちゅりーは、ぺらぺらの皮になって手術台に横たわる。 少し膨れていたぷくーの面影は完全に無くなった。 一人の研究員が、ぱちゅりーの全てが詰まった容器を持ち上げて搬送準備を行う。 今から、この生クリームも加工されて黒い木の実の一部となる。 もし、ゆっくりの記憶が内容物に情報として蓄積されているのならば、この吸い取られた生クリームにも残っているはず。 機械の内部で再開した群れのゆっくり達に、ぱちゅりーは責めたてられる事だろう。 この原因を作ったのは長のせいだと決め付けて数で威圧を与える。 そんな身勝手な群れの姿が容易に想像できるのだ。 大きな部屋の豪華なソファーに翁が座る。 目の前に森の様子を映すモニターが数台設置されていた。 各ポイントには、水分を乾燥させて特別な加工をした黒い木の実を器具に取り付けている。 これを好んで食べる個体は、周辺の草や虫など見向きもしなくなる。 山の恵みと安定は常に保たれるのだ。 街の野良対策の一環で始めたこのプロジェクトに自分の土地を提供した。 山の一部に収容して、一網打尽にする計画を主とした県の試み。 これは、餓死を見据えた長期的な作戦にすると、共食いによって延命される為に見直された新しい計画。 「翁」 一言呟いた青年が入室した。 大きなトレイを両手で持ち上げている。 その上には、剥製と姿を変えたぱちゅりーが鎮座していた。 「ほっほっほ。ぱちゅりーくん、またあったのぉ」 嬉しそうに笑い出す。 翁は仕事をしながら趣味を満喫していた。 趣味は、群れの頂点に立つ歴代長の剥製集め。 この部屋の特設スペースには、数代に渡る個性豊かな加工済みの長が陳列していた。 青年は、新しいコレクションを台座の上に乗せる。 「ぱちゅりーくん。野生ごっこは、楽しかったかね?」 その問いに群れの長は答えなかった。 でも、少し悲しそうな表情をしたのは気のせいだろうか? 物言わぬぱちゅりーは、前回に群れの長を勤めたゆっくりの隣へと腰を落ち着けて、静かに佇んでいた。 ・翁の役割のお話 県に限らず時々無駄に思える政策を行う ・一部他作者様の設定をお借りしています 過去作 ふたば系ゆっくりいじめ 859 ほりはり ふたば系ゆっくりいじめ 814 ばうんてぃはんたー 希少種狩り ふたば系ゆっくりいじめ 802 我らっ!すっきりーっ!を熱く語る ふたば系ゆっくりいじめ 779 そうだ、駆除しよう ふたば系ゆっくりいじめ 764 たまたま ふたば系ゆっくりいじめ 752 おらべならい ふたば系ゆっくりいじめ 742 お呼び出し ふたば系ゆっくりいじめ 718 完全予約制 ふたば系ゆっくりいじめ 710 基本種 ふんどしれいむの復讐 ふたば系ゆっくりいじめ 683 あんらっき~を乗り越えて ふたば系ゆっくりいじめ 665 基本種 れいむの受難 ふたば系ゆっくりいじめ 638 ばうんてぃはんたー ふたば系ゆっくりいじめ 612 かってにはえてくる ふたば系ゆっくりいじめ 593 迷作劇場 ふたば系ゆっくりいじめ 572 ぎゃんぶらー ふたば系ゆっくりいじめ 507 火の用心 ふたば系ゆっくりいじめ 500 駄目だよ? ふたば系ゆっくりいじめ 458 ドゲスー ふたば系ゆっくりいじめ 449 希少種の価値 2 ふたば系ゆっくりいじめ 448 希少種の価値 1,5 ふたば系ゆっくりいじめ 443 希少種の価値 ふたば系ゆっくりいじめ 398 ゆっくり達を必殺技で葬る物語 ふたば系ゆっくりいじめ 382 穴だらけの計画とその代償 ・他、7点 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 何でゆっくりは人間様と対等と勘違いするんだろな -- 2016-02-07 21 50 45 ↓↓だから黒い実で舌を肥えさせたんだろ -- 2016-01-08 23 10 19 単に村を挙げて大規模な虐待をしてたのか それとも何か意図があったのか。山の資源を食い荒らされないためかな -- 2010-11-23 20 32 42 なるほど、黒い木の実でゆっくりを偏食にさせるのか。 街野良に対してのみ友好な戦術っぽいなー コスト高そうな気がするし、雑草等食べれる親ゆっくりには効かなさそうな気がするよー -- 2010-11-17 22 07 22 創造性のないコメントだな、つまらないっつーんなら理由ぐらい挙げろ それとも内容が理解できないくらい頭が悪いの? -- 2010-07-26 11 21 17 で? -- 2010-07-09 03 49 06
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木の根元に作られた巣の中で、ゆっくりの子供達が遊んでいる。 4匹居るれいむはゆーゆーと音程を無視した歌を歌い、 2匹居るまりさはそう広くない巣の中でぐるぐると追いかけっこをしている。 前を跳ねるまりさが息を上げて速度を落とすと、追いかけて来たまりさが後頭部にのしかかる。 逃げようとする動きと押さえつけようとする動きが、次第にすりすりへと変わって行き じきに満足したまりさ達は走り混んだ疲れからぽてっと座ると、空腹を訴え始めた。 「ゆぅ、おなかちゅいたよ!」 「ごはんたべちゃい!」 子供達はまだ赤ちゃんゆっくりより少し大きいくらいのサイズで、 体内に栄養を多く溜め込んで置くことが出来ない。 加減を知らず遊びたいだけ遊んだまりさ達の体力は、 既に放っておけば命にかかわる所まで消費されていた。 「ゆゆ…でもごはんがにゃいよ?」 「おかあしゃんがごはんをとってくりゅよ、がまんしちぇね」 「がみゃんできにゃいよ! ゆあ゛ぁぁぁぁん!」 体力を温存しようとせずに騒がしく泣き出すまりさに、つられてれいむ達の目にも涙がこみ上げてくる。 この巣には食料の備蓄が無く、小さい子供は外に生える草の存在を教えられていない上 危ないので巣から出ないよう親から強く言われている。 何の打開策も持たない子供達は、ただ泣くことしか出来ない。 子供達の泣き声の合唱が巣の外にも漏れて聞こえ始めると、程なくして1匹のゆっくりが飛び込んできた。 「ゆっ! ゆっくりかえってきたよ! ゆっくりなきやんでね!」 「ゆうっ! おかあしゃんおかえりなしゃい!」 「ゆあぁぁん! おにゃかしゅいたよ!」 「ゆっくりごはんたべさしぇてにぇ!」 「ゆ! ゆっくりたべてね!」 帰ってきたゆっくりを見るなり子供達は泣き止み、すぐにごはんの催促を始める。 催促を受けた母親、成体のゆっくりれいむが膨らんだ頬からゆべぇ、と食料を吐き出すと 子供達が群がり見る見るうちに平らげていく。 「がつがつ、むっちゃむっちゃ! がつがつ、むっちゃむっちゃ!」 「ゆっ! まりしゃばっかりじゅるいよ! れーみゅのぶんものこしちぇね!」 「「むっちゃむっちゃ、むっちゃむっちゃ!」」 走り回って体力を消費していたまりさ達は一心不乱にがつがつと食い漁り、 取り分がなくなっては困るとれいむ達も競うように掻き込む。 まりさ種と比べ狩りが得意ではなく、物を運ぶ手段も口に含むしかないれいむが持ち帰った食料は 6匹の子供に食べさせるにはまったく足りていなかった。 「ゆゆっ、もっとたべちゃいよ! ごはんちょいだいね!」 「おかーしゃんごはんちょうだい!」 「じぇんじぇんたりにゃいよ!」 「ゆっ、す、すぐとってくるからゆっくりまっててね!」 次々と不満を漏らす子供達に、親れいむはまた狩りに出かけて食料を取ってくると伝え 全然ゆっくりすること無く巣から飛び出して行く。 この家族は片親だった。数日前巣にやって来た人間が親まりさを連れ去ってしまい、 それまで親まりさが担当していた食料集めを親れいむがしなくてはいけなくなった。 その結果、親れいむが狩りに出ている間に子供達を見る者がいなくなると、 体力の温存を考えられない子供達は疲れきるまで遊び、 親が残していた備蓄を2日もせずに食い尽くしてしまう。 親れいむは巣と狩場を1日に何往復もし、夜が来たら泥のように眠る生活を続けていたのだった。 親れいむが再び狩りに出かけ、残された子供達が少しだけ回復した体力を また遊びで消耗しようとし始めた時、巣の入り口の偽装ががさがさと外され 人間がぬっと顔を覗かせた。 「ゆゆっ?」 「やあ、ゆっくりしていってね」 「「ゆっくりしていっちぇね!」」 子供達が本能からの挨拶を返すと、人間は入り口の前に ゆっくりの入った透明な箱を移動させ子供達に見せる。 「ゆゆっ! おとーしゃん!?」 「ゆっ! ゆっくりあいたかったよ!」 箱の中に入っていたのはこの家族の父親役であるゆっくりまりさだった。 この箱を持ってきたのは数日前に親まりさをさらって行った人間なのだが、 その時巣の奥に隠れていた子供達は人間の姿も見ておらず、声すらも覚えていない。 「それじゃあお父さんを中に入れるよ」 「あぶないからゆっくりはなれてね!」 「「ゆゆっ」」 人間が箱を巣の中に押し込み、まりさの顔が巣の外側を向くように回転させると、 箱を巣の中の壁に少し寄せて手を離した。箱に轢かれないよう離れていた子供達も、 箱が止まったと見るやわらわらと集まり親まりさとの再会に顔を輝かせる。 「ゆっ! おうちにかえしてくれてありがとう!」 「「ありがちょう!」」 「ああ、良かったな」 親まりさが人間にお礼を言うと、子供達も揃ってお礼を言ってくる。 ほほえましい光景に人間が満足げに微笑んでいると、 1匹の子れいむが箱に入ったままの親まりさに疑問の声を上げた。 「ゆ? にゃんでおとうしゃん、そこからでちぇこにゃいの?」 「ゆゆっ?」 「ゆ、まりしゃおとーしゃんとすりすりしちゃいよ!」 「だ、だめだよ、すりすりはしたいけど、はこからでたらゆっくりできないよ」 スキンシップを望む子まりさからの要求に、箱から出ることを即座に拒む親まりさ。 ゆっくりから見ても異常な姿に、子供達の間に動揺が広がる。 「ゆっ? …でもおとうしゃん、うごきにくそうだよ?」 「だいじょうぶだよ、このはこのなかはすごくゆっくりできるよ」 「ゆゆっ?」 親まりさの入っている箱は前後の幅と高さに若干の余裕があるが、 左右の幅が成体ゆっくりの幅よりも若干短い。 親まりさは左右の壁から挟まれて若干変形し、中での方向転換すら 出来なさそうであるが、それでもゆっくり出来ると言う。 ゆっくり出来ると言う言葉に、子供達は目をキラキラさせながら箱の回りを跳ねて 入り口を探すが、四方の壁に子ゆっくりが入れるような穴は無い。 親まりさの背面の壁に蝶番と取っ手があり、引けば開くようになっているが 子ゆっくりの高さでは取っ手を掴む事が出来ず、また使い方もわからないようだ。 「おとーしゃんばっかりじゅるいよ、まりしゃもゆっくりしたいよ!」 「れーみゅもゆっくちちたい! にゃかにいれてにぇ!」 「ゆゆっ、このはこのなかはまりさでいっぱいだよ!」 子供達が揃って、ぷくっと頬を膨らませた所で、 ずっと様子を眺めていた人間がここぞとばかりに声を掛ける。 「ゆっくり出来る箱に入りたいのかな? 箱ならいっぱいあるよ」 「ゆっ! はこしゃんちょうだいね」 「まりしゃもほしいよ!」 「よし、それじゃ入れてあげるから、ゆっくり並んでね」 「ゆっきゅりならぶよ!」 並ぶよ!と言いながら我先にと一気に跳ねてくる子供達をひょいひょいと摘み上げると、 天井の板が無い子ゆっくりサイズの箱に次々と入れて行く。 この箱は親まりさの物とは違い、背面に蝶番で開くドアが無いが 前後、左右共に若干の余裕がある広さで方向転換くらいなら可能である。 「ゆゆっ、ひんやりしちぇきもちいいよ」 「ゆっきゅりできりゅね!」 6匹の子供達全員を箱に入れると、開いた天井にぴったりなサイズの透明な板を乗せて行き、 手のひらでしっかりとはめ込み蓋をして巣の中に戻してやる。 全員を横一列に並べて、親まりさと同じように巣の外側を前面にしてあげると、 最初はひんやりとした壁に頬をつけて楽しんでいた子供達も圧迫感を訴え始めた。 広さに若干の余裕があるとは言え、飛び跳ねれば天井に頭をぶつける程度には狭いのだ。 「ゆゆ、せまいよ、おしょとにだしてにぇ!」 「ゆっくりできにゃいよ!」 「そう言ってるがまりさ、箱の外に出たいか?」 「ゆっ! でたくないよ、はこのなかのほうがゆっくりできるよ!」 「「ゆゆっ!?」」 自分達の箱よりも窮屈そうで、左右の壁に若干潰されているのに 平然とゆっくり出来ると言い放つ親まりさに、驚きの声を上げる子供達。 「お父さんはこんなにゆっくり出来てるのに、これくらいでゆっくり出来ないなんて 君達はゆっくり出来ないゆっくりなのかな?」 「ゆゆ、そ、そんにゃことにゃいよ!」 「れーみゅはゆっくりちてるよ!」 「そうだよ、はこのなかはとってもゆっくりできるよ、ゆっくりりかいしてね」 「ゆ、ゆっくりできりゅ…?」 「ゆっくりりかいしゅるよ…」 子供達は人間と親まりさ両方から否定されて困惑してしまう。 「いやー、まりさは本当にゆっくりしてるね」 「ゆっ、このなかでゆっくりできないなんておかしいよ!」 「本当に素晴らしいゆっくりだ、ゆっくりゆっくり」 「ゆっ! まりしゃもゆっくりしてりゅよ!」 「れーみゅだってゆっきゅりしちぇるもん」 目の前で繰り広げられる、箱の中はゆっくり出来ると言う胡散臭い会話に 子供達もゆっくり出来ると思い込んで行く。 その様子を見た人間は、「それじゃ、ゆっくりしてってね!」と言い残すと そそくさと立ち去って行った。 突然の行動に後に残された子供達は呆然とするが、親まりさが目を細めて ゆっくりしているのを見ると、自分達もゆっくりして母親の帰りを待つ事にした。 * この親まりさが箱の中でゆっくり出来ているのは、数日前に連れ去られた 人間の家での生活に起因している。 家族の元に返せと喚くまりさを連れ帰るや否や、背面にドアの開いた透明な箱に押し込むと、 まりさは窮屈な箱の中でずりずりと後退し、背中でドアを押し開けて箱から出ようとする。 「ゆぐぐ…ひどいよ! ゆっくりあやまっべぇっ!!?」 まりさが箱の外に出たら、木製のパドルで頬を叩く。 薄く平べったい板状のパドルは、叩いた力が広く分散する為皮も破れず 致命傷にはならないが、大きな打撃音と皮の表面に残る痛みがまりさに恐怖を植えつける。 「ゆびゅ、やめべっ、やめでべぇっ!」 パアンパアンと数回頬を叩いてから箱の中に押し込んでやると、 しばらくはパドルを恐れて箱の中で震えているが、まりさの視界に入らない位置に移動すると 「そろーり、そろーり」と声を上げながら脱出を試みる。 そうして箱から出る度にパドルで頬を叩いては箱に押し戻し続けると、 箱の外ではゆっくり出来ない、と言うトラウマがまりさの餡子に刻み込まれる。 それと同時に、箱の中ならゆっくり出来る、と言う記憶も植えつけてやる。 箱の前面の下側、まりさの口の前には横にスライド出来る小さな窓があり、 内側にだけ取っ手が付いている。舌を使って窓を開ければご飯が食べられる事を教え、 実際にくず野菜を与えてやる事で、野生では味わえない食事にまりさは涙する。 「むーしゃ、むーしゃ…しあわせー!!」 箱の外に出れば痛い板で叩かれる、と言う恐怖とのギャップから、 おいしい食事を食べられる箱の中がゆっくりぷれいすであると、まりさの餡子に強く印象付けられた。 元居た巣では備蓄した食糧が無くなり、親れいむが餌集めに奔走している間、 まりさは安全な箱の中でゆっくりした生活を満喫していたのである。 * 「ゆっくりおかえりなさい!」 「「ゆっくりおかえりなしゃい!」」 「ど、どうなってるの…?」 くたくたになりながら餌集めから帰ってきたれいむは、目の前の状況に困惑していた。 元々いい加減だった入り口の偽装は取り外され、巣の中では居なくなったはずのまりさと、 6匹の子供達が1列に並んで皆一様に透明な箱に入っている。 「ゆ! まりさ、どうしたの!?」 「ゆっくりかえってきたよ!」 「ゆゆ! どうしてみんな、はこにはいってるの!?」 「ゆっくりできるからいれてもらったんだよ!」 「「ゆっくりしちぇるよ!」」 「ゆ、ゆううっ!?」 一番端の箱に入っている親まりさに跳ね寄り、何があったのか聞くが ゆっくりに正確な説明を求めても、まずまともな返事は返って来ない。 つがいのまりさが帰って来たことは嬉しいが、あまりにも異常な事態は 親れいむの限りなく狭い理解の範疇を大きく逸脱していた。 「ゆゆっ、まりしゃおなかがしゅいたよ」 「ゆっきゅりごはんちょうだいね!」 「ゆ! まりさもごはんがほしいよ!」 満足のいく食事を取れていなかった子供達は、母親が持ち帰った食事の催促を始め、 親まりさもなんとなくで一緒に食事を求める。 母れいむも狩りに出た目的を思い出し、その場にゆべぇ、と餌を吐き出すと 子供達は餌に飛びつこうと跳ねるが揃って天井に頭をぶつけてしまう。 「ゆびぇっ! でりゃれにゃいよぉぉ!?」 「どうちたらいいのぉぉぉ!?」 「ゆっ! だいじょうぶだよ!」 親まりさの上げた声に子供達がそちらを見ると、まりさは箱の前面にずりずりと近づき 板の下方にある小さな取っ手に舌を引っ掛け、食事用の窓をスライドさせて開ける。 「こうすればごはんをたべられるよ、ゆっくりあけてね!」 「ゆっ、ゆっくりりかいしちゃよ!」 見れば子供達の箱の前面にも、親まりさの箱と同様に小さな窓があり、 内側に付いた取っ手で開けられるようになっていた。 親まりさは子供達が窓を開けたのを確認すると、 「ゆ! れいむ、ゆっくりごはんをもってきてね!」 と親れいむに声を掛ける。れいむも状況を理解しそれぞれの箱の窓の前に食事を運びだした。 食事用の窓が開くとは言え、箱自体を動かせない為近くまで食事を運ばないと食べられないのだ。 「「むっちゃ、むっちゃ、ちあわちぇ!」」 「むーしゃ、むーしゃ…」 子供達は遊んで体力を消耗する前に箱に詰められた為それなりに満足し、 親まりさもくず野菜と比べると味は落ちるがそこまで空腹でもなかった為、 眉をひそめながらも苦情は言わない。 人間の家での生活で、餌を持ってくる相手に苦情を言うと お仕置きをされると理解していたからである。 親れいむは子供達が問題なく食事を取れる事に少し安心し、また親まりさの帰還に胸を撫で下ろした。 狩りの上手なまりさが帰って来たので、後は箱から出せば前の生活に戻れる。 箱が絶対に開かない可能性など、れいむの餡子には浮かんで来なかった。 「ゆっ、まりさがかえってきてよかったよ」 「ゆ、まりさもかえってこれてうれしいよ!」 「それじゃ、つぎからはまりさがかりにいってね!」 「ゆゆっ!? はこのそとはゆっくりできないよ!」 「なにいってるの? ゆっくりしないではこからでてね!」 連日の狩りの疲れからストレスの溜まっていたれいむは、理解出来ないことを言い出す 親まりさにぷくぅと頬を膨らませ、出口が無いかと箱の回りを調べ出す。 広くは無い巣穴に一列に並んでいる為、箱と箱の間には成体が通り抜けられる程の幅がなく、 親まりさの箱の隣に居た子れいむの箱を押しのけながら親れいむは後ろに回り込んだ。 「ゆゆうっ!? お、おかーしゃんにゃにしゅるの…?」 「ゆ゛…ゆ゛え゛えぇぇぇぇん」 「うるさいよ! ゆっくりだまっててね!!」 「「ゆ゛っっ!?」」 「れ、れいむ、ゆっくりおちついてね?」 箱ごと押しのけられた子れいむは大きな揺れに怯え、 他の子供達も親れいむが発する険悪ムードに耐え切れず泣き出すが、 ストレスの溜まっていた親れいむは強く怒鳴りつけてしまう。 「ゆっ、はやくでてきてね!」 「ゆゆっ、あけないでね! ゆっくりできないよ!」 親まりさの箱の背面にドアを見つけた親れいむが、取っ手に舌を絡めてドアを開けると 背中に空気の流れを感じたまりさは落ち着けない様子で怯えだす。 一向に出てこようとしないまりさの様子にれいむは痺れを切らせ、 まりさの長い髪に噛み付いて引っ張り出した。 「ゆ゛っ、ぐり、ででぎで、ねっ!?」 「やめでぇぇぇ! いだいのやだぁぁぁぁぁ!」 木の板で叩かれる恐怖が蘇った親まりさは、ただでさえ狭い左右の壁に 突っ張るように体を変形させ、箱から引っ張り出されないよう抵抗する。 「いだい! いだい! ひっぱらないでねぇぇ!?」 「いだいなら、ででぎでねぇっ!?」 親まりさも親れいむも、どちらも全く引かず力比べを続けていると、 まりさの頭部がめりめりと音を立てはじめる。 「ゆ゛っ!? や゛めでね? や゛め゛ぎゃぁぁぁぁぁっ!!!」 「ゆべっ! ゆゆ…ま、まりざぁぁ!?」 引っ張られる力に耐え切られずに、親まりさの後頭部がびりっと音を立てて裂けると、 急に抵抗が無くなった為親れいむは後ろに勢い良く倒れる。 痛がりながら起き上がった親れいむが見たものは、まりさの後頭部に出来た大きな裂け目と そこからぼとぼととこぼれる餡子であった。 子供達も絶句し、目と口を一杯に広げてぶるぶると震えている。 「ど、どぼ、じ、で…」 「まっ、まりざ、まりざ!」 裂け目から勢い良く餡子を漏らし、まりさは痙攣しながらぱくぱくと口を開閉させる。 親れいむは慌ててまりさに近寄るものの、おろおろするばかりで何も出来ないまま、 まりさは動かなくなってしまった。 一部始終を見ていた子供達も、目の前で繰り広げられた親同士のゆっくり殺しに 盛大に泣き出してしまう。 「おとーしゃぁぁぁぁん!」 「ゆ゛あ゛ぁぁぁぁん!!」 「おきゃあしゃんのばきゃぁぁぁぁぁ!」 「おかーしゃんにゃんておかーしゃんじゃないよぉぉぉ!」 「ゆ……ゆ……」 自分でつがいのまりさを殺してしまったれいむは、辛い狩りから開放される喜びから一気に突き落とされ、 子供からの罵倒に反論することも出来ず、白目を向いて気を失う。 散々泣いた子供達も次第に泣き疲れて眠り、騒がしかった巣からは寝息だけが聞こえるようになった。 数日が経過したが、巣の中は散々なものだった。 一際大きな箱には後頭部の裂けたまりさの死体が放置されており、 6匹居る子供は全て、ほとんど空間に余裕の無い箱に閉じ込められている。 「ゆっくりいってくるよ」 「……」 既に偽装が外しっぱなしになっている入り口から、親れいむがとぼとぼと出て行く。 子供達は目の前で親まりさを殺した親れいむに一切口を効いてくれなくなり、 代わりにじっとりと恨みのこもった視線を返して来るのみである。 食事だけは窓を開けてもくもくと平らげるが、しあわせー!の一言も無い。 元々母性の強いれいむは、パートナーを失った上で子供まで捨てることが出来ず、 前以上に疲れを感じる狩りの連続に体力だけでなく、希望もすり減らして行く。 幸い子供達は無駄に体力を消耗する遊びすらも出来ない為、 狩りが上手ではないれいむでも食糧難に陥る事は無くなったが、 順調に成長して行く子供達の体は、もう狭い箱の中で余裕が無くなっている。 このままでは子供達がゆっくり出来なくなる。 餡子の中に何か恐ろしい考えがよぎるが、ゆっくりの頭では どのようにして子供がゆっくり出来なくなるのか具体的な想像が出来ず、 れいむは餡子内に広がる焦りを払うようにぶるぶるっと震える。 「ゆ…ゆっくりかえるよ!」 頬に食料を溜めたれいむは、何かに追われるように家路を急ぐのだった。 おわり。 その他の作品。 ゆっくりいじめ系791 ゆっくりと瓶 (fuku2335.txt) ゆっくりいじめ系813 赤ちゃんのお帽子 (fuku2368.txt) ゆっくりいじめ系822 ドスの中身 (fuku2386.txt) ゆっくりいじめ系851 どちらかのお帽子 (fuku2437.txt) ゆっくりいじめ系873 べたべたのお肌 (fuku2467.txt) ゆっくりいじめ系940 三角の頭巾 (fuku2628.txt) ゆっくりいじめ系1026 ゆっくり宅に挨拶 (fuku2789.txt) ゆっくりいじめ系1027 ゆっくりの救急車 (fuku2790.txt) ゆっくりいじめ系1062 甘い言葉 (fuku2852.txt) ゆっくりいじめ小ネタ151 みょん語体 (fuku2670.txt) お帽子の人 このSSに感想を付ける
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「ゆっくりひな」 ~~3ヶ月前~~ ゆっくりひなを飼いたかった私は、川原に来ていた。 川原に来た理由は特に無い。ここにいなければ、次は、森に行く予定だった。 ゆっくりは水に弱いせいか、川原にはゆっくりの姿が見えない。 「くるくるー」 あきらめて帰ろうとすると妙な声が聞こえた。 声が聞こえたほうは葦だと思われる草に囲まれるあたりだ。 葦だと思う植物を掻き分けて進むと、ゆっくりがいた。 緑色の髪と特徴的なリボンと宙に浮きながらくるくる回っていることから、そのゆっくりはゆっくりひなだと思う。 確信が持てないのは、珍しく胴付きであること、それと大きさがやけに小さいからだ。A4サイズの単行本くらいの大きさだ。 普通の胴付きはその倍くらいの大きさはある。 じろじろ見ていると、こちらに気づいたそのゆっくりが声をかけてきた。 「どーしたのおにーしゃん?厄をすってほしいの?」 どこか、舌ったらずな感じで、そう言った。 その台詞でこのゆっくりがひなだと確信した。 ゆっくりひなには、とある特徴がある。 厄 (ゆっくりできないもの、環境ホルモン等の汚染物質、他人の不幸など) を集めて自身の中に溜めることができるのだ。 溜めた厄は川に流したり、地面に穴を掘って埋めたりしているらしい。 厄を集めると言うことは、周りのゆっくりにとっては、ゆっくりできるはずだが、 たいていの場合は、他のゆっくりは、ゆっくりひなに近寄ろうとしない。 ―――ゆっくりひなに触ると厄が移るのだ。 そのため、ゆっくりひなのほとんどは、孤独に生活している。 私は、ゆっくりひなに手を伸ばした。 「やめて!!さわらにゃいで!!」 いきなり拒絶された。・・・が無視して近づく、 「これいじょうちかよったら、おにーしゃんにも、厄がうつっちゃう!!」 無視して近づいて、ゆっくりひなの頭をなでてみる。 「ごめんにゃさい、おにーしゃんに厄がうつっちゃった。・・・でもうれしい。こんなにやさしくされたのはじめて・・・」 頭をなで続けてみた。 「ひな、もうだみぇ、おにーしゃんがいないとゆっくりできない」 「私の家に来ないか」 私は、そう提案してみた。 「いいのおにーしゃん、ひな、おにーしゃんといてもいいの?」 「私は構わないさ」 「ありがとう、いっしょにゆっくりしましょう!」 ひなは大粒の涙を浮かべながらそういった。 こうして、私は、ゆっくりひなと生活することになった。 ちなみに、このときゆっくりひなが集めていたのは、漆らしく、 手がかぶれたのは、ひなには内緒だ。 ~~現在~~ ゆっくりひなは、実にかわいい。 くるくるまわっている姿は、かわいい。 クッキーを両手でつかんで食べてる姿も、かわいい。 ひなの全てがかわいい。 だから、これからする行動もきっとかわいいはずだ、見なくてはならない。 数分前、ひなは、 「厄をながしてくりゅのー」 と言って、トイレに入っていった。 話は変わるが、ひなの厄で手がかぶれた私は、ひなに厄を集める事を禁止している。 ひなは、 「厄をあつめにゃいと、おにーしゃんがゆっくりできにゃいの」 と言っていたが、 ひなのあごを小指で軽く持ち上げながら、 「ひなに厄を集めさせる為に一緒になった訳じゃない」 と説得したら、顔を真っ赤にしながら、納得してくれた。これでひなに触っても大丈夫。 とは言えひなの厄を集める能力は、本人の意識外でも少し働いてるらしく、 1、2ヶ月に一度無意識に集めた厄をトイレに流している。 私は一度、どうやって厄をながしているのか、見せてほしい是非といったが、 顔を真っ赤にしながら 「はずかしいかりゃ、それだけはだめー」 と言われた。 むりやり見るという選択肢もあるが、無理やりはよくない。 事は、エレガントに紳士的に行うのが、私のモットーだ。 そんなわけで、私は、ひなの入っているトイレのドアに耳をくっつけて中の音を聞いている。 時折「くるくるー」と聞こえるが、それだけで中で何をしているかはわからない。それが逆に私の想像を掻き立てる。 (くそっ、どうしてトイレにドアがついているんだ!!) ご丁寧にトイレの鍵までかけている。 (教えたわけでもないのに、鍵をかけられるなんてひなは賢いな) トイレのドアの鍵を「うんしょ!、うんしょ!」とかけているひなを幻視していると、・・・思い出した。 (そうだ!!こんなこともあろうかと盗撮用のビデオカメラを買ったんだった。) 私は、しまってあるはずの押入れの中をがさごそと漁って目的のものを見つけた。 (電池は?・・・ある!) 私は、トイレの前まで移動した。 (トイレの下にビデオカメラを差し込む隙間は?・・・ある!!ある!!) 私は、運命の神様に感謝した。感謝だけでは足りなかったので運命の神様がいそうな方向に3度ほど土下座した。 そうして、いざ事に及ぼうとした私は、ある事を思い出した。 (確かこのビデオカメラには録画用のアタッチメントもあったはずだ。) あまりに事がうまく行き過ぎていたのでそのことを忘れていた。 (ひなのかわいい姿を一度見ただけで満足できるか?・・・否!!録画していつもなんどでも楽しむべきだ!) 私は、急いで押入れに戻り、アタッチメントを探し始めた。がこういうときに限って見つからない。 時計を見ると、ひながトイレに入ってから5分ほど経過していた。 もうすぐ、ひなの厄流しが終わってしまう。 「どこだ!どこだ!どこだ!どこにやった!!」 アタッチメントさえあれば、ひなのかわいい(はずの)厄流しを永遠に楽しめるのに。 「おにーしゃん、なにさがしてるのー」 「ひなのかわいい姿を録画できるビデオカメラさ」 「ビデオカメラならこっちにありゅよー」 「ああ、そっちにあったか」 いつの間にか、ひなの厄流しが終わっていた。 私は、トイレに入って号泣した。泣いたというか、むしろ鳴いた。 生まれて初めて男泣きした。 ~~翌日~~ 夢の中でも、昨日の失敗を悔やんでたらしく、目元には、涙のあとがあった。 時刻は6:55分目覚ましの鳴る5分前だ。 微妙すぎる時間に起きた私は、まだ寝ているであろう、ひなの寝顔を見に行った。 かわいい、実にかわいい。 ひなはくーくーとかわいい寝息を立てている。 ひなは私が作った、簡易ベットで寝ている。中身を限界まで入れたティッシュの箱を布で覆ったものだ。 布団は、厚手のハンカチをそのまま利用している。 このまま時間が止まればいいのに。と私が本気で思っていると、目覚ましのアラームが鳴った。 俺には、時を止める事はできないようだ。 「ん~、あさ~」 ひなが目をこすりながら、起きた。 ちなみに、この時すでに私は、台所に行き、朝食を作りはじめている。 ひなの寝起きは、実に興味深いが、私がじっと眺めているところをひなに知られるといい気持ちはしないだろう。 だから、私は眺めていなかったかのように振舞う。 朝食も終わり、着替え等、朝のしたくも終わると、家を出るまでの間は、 ひなか、テレビを見て過ごす。 今日は、ひなを見ることにする。 「くるくるー、くるくるー」 ひなは、そう言いながら宙に浮きながら、くるくる回っている。 ところで、ゆっくりふらんや、れみりあなんかが、空を飛ぶのは羽があるからと言う理由でなっとくできるが、 羽も無いひなはなぜ宙に浮けるのだろうか、 本人に聞いてみた。 「うかんでにゃいと、くるくるーってできにゃいからだよ」 と答えてくれた。理由になってない。かわいいから許す。 くるくる回っているひなを見ている私は、ある事を思いついた。 早速実行する。 くるくる回っているひなの体を両手で優しく包んで回るのをやめさせる。 「?どーしたの、おにーしゃん」 「なんでもない」 と言って、手を離す。 「へんにゃ、おにーしゃん?」 そう言って、ひなはくるくる回りだす。 しばらくしたら、また、両手で優しく包んで回るのをやめさせる。 それを、何度も繰り返す。 何度も繰り返す。 繰り返す。 「もう!おにーしゃんやめてね!!ぷくー」 そう言って、ひなは、ほほを膨らませた。 私を、途方も無い悲しみを襲ったが、ひなかわいいよ。 「わかった、もう邪魔しない」 私は、そう言うと腹ばいになって腕を胸の下に持ってきた。猫の箱座りみたいに。 「これでもう、邪魔できないよ」 それを聞いてひなは、すぐには、邪魔できないことを確認してから、 またくるくる回りだした。 「くるくるー、くるくるー」 少し、警戒していたがすぐに、楽しそうに回りだした。 計画通りだ。ひなは、いまこちらに注意を払っていない。 もう、くるくるを止められないと思っているからだ。 しかし、私の目的は、くるくるを止めることではない。 現在、私のだいたい70cmほど前方 高さはだいたい40cmの辺りにひなはいる。 そう、この位置ならひなのスカートの中が良く見えるのだ。 「くるくるー、くるくるー」 ひなのかわいい笑顔が見える。 「くるくるー、くるくるー」 回った拍子にスカートがめくれ上がり、すらっと白くてきれいな足が見える。 (あと・・・あともう少しだ!) 「くるくるー、くるくるー」 ふっくらとしたきれいな太ももが見える。 (あともう少しで、ひなの聖少女領域が拝める!) しかし、太ももから上を拝むことはできない。 見えそうだが重力にしたがって降りてくるスカートがいいところで邪魔をする。 (私のプランには、間違いはなかった。・・・間違っているのは世界のほうだ!!) 私が、世界と世界を作った神に頭の中で文句を言っていると、 「くるくるー、くるく・・・おにーしゃんそろそろじかんじゃない」 ひなはくるくる回るのをやめて、床に下りながらそういった。 「なんてこった!!ちくしょうめ!!」 私は、あきらめて、荷物を持って玄関に向かう。 「おにーしゃんいってらっしゃーい」 ひなが私を見送っている。 「・・・ああ、行って来る」 「あっ、おにーしゃん」 そう言って、ひなは、私のほほの辺りに浮いてきた。 「どうしたんだ」 ひなは、私の疑問に答えずに、 私のほほに 「ちゅ」 キスをした。 (!?!!??!!!っな!!) 「えへへー、いってらっしゃいおにーしゃん」 「うむ」 内心の動揺を悟られないようにこれだけ返事をした。 私は、駅までの道をスキップしていた。 周囲の目など気にならない。 私は、大声で叫んでいた。 「ヒャッハー!!幸せだー!!」 ~ あ ~ と ~ が ~ き ~ 主人公はたっぷり変態なことしてるけど、 ばれてないからいじめじゃないのかもしれない いじめと言うのは、 いじめる側と、いじめられる側のどちらかが認識して初めていじめになるのだと 書いてて思った。 さんきゅ~ふぉ~り~でぃんぐ このSSに感想をつける