約 1,354,570 件
https://w.atwiki.jp/sengoku-taisen/pages/2255.html
所持武将 C長坂長閑斎 (画像) 必要士気 4 効果時間 統率時間 計略内容 範囲内の最も武力の高い味方の武力が上がり、統率力が下がる。 詳細 用法 対処法
https://w.atwiki.jp/femaleenemey/pages/196.html
☆登場人物☆ 女神・・・この小説の主役 帝国兵軍曹ギルガ・・・ケフカを忌み嫌う兵士。ケフカを屠るため瓦礫の塔へ侵入したが・・・ 帝国装甲兵ゼグレー・・・冷静沈着であり感情を表に出さない帝国兵 帝国兵中佐ズーガヌ・・・レオ将軍を崇拝する者。将軍の敵を討つため瓦礫の塔へ突入 三人の帝国兵はテントを塔内に作り、一夜をすごした。 彼らは塔内のモンスターをかわし、女神の部屋の前の 場所で作戦を練っていた。 ズーガヌ「いいかお前ら、一瞬たりとも気を抜くな。この先に強大な魔導力を持つ何者かが居る」 ゼグレー「何を震えているギルガ、怖気づいたのか?」 ギルガ「ち・・・違う。体が・・・勝手に・・・」 ゼグレー「今更震えてどうする?お前はケフカを討つ為にここに来たのだろう?」 ギルガ「すまん、ゼグレー。あんたの言葉で目が覚めた。ズーガヌ中佐。行きましょう!」 ズーガヌ「一致団結だな。よし、行くぞ!ケフカを倒すのだ!」 三人はテントから出て扉を開いた。しかし、目の前には三闘神の一角・女神が立ちはだかっていた。 ギルガ「な・・・何だこれは。」 ズーガヌ「三闘神の一角・女神だ。奴を見るな。見れば見るほど魅せられて虜になってしまう」 ズーガヌ「いいか。絶対に刺激するな。奴の後ろの扉に到着するまで下を向け」 ギルガ、ゼグレーはズーガヌの言うことに従い、女神から目を逸らし、下を向いたまま扉へ進んだ。 ズーガヌ「よし、一段落だ。前を向いていいぞ」 ギルガ「あとはこの扉を開けるだけですね、中佐」 ズーガヌ「そうだ。この扉を抜ければケフカの所へ行ける」 ギルガ「行きましょう!!」 三人は力を合わせ、重々しい扉を開けようとしたが・・・来た道の扉と この先の扉がバーン!!という轟音と共に閉まった。三人は女神がいる部屋に閉じ込められた。 ギルガ「うわあああああ!!!」 ズーガヌ「騒ぐな!一旦落ち着いて頭を整理しろ」 ゼグレー「女神を倒さなければ行けないということか・・・?」 ズーガヌ「それ以外考えられん。この部屋にはスイッチが無い」 ギルガ「ち・・・中佐・・・戦うんですか?」 ズーガヌ「当たり前だ!」 ゼグレー「早いところ始末してケフカの所へ行きましょう」 ズーガヌ「まずはお前が行けギルガ!」 ギルガはオリハルコンの剣を女神の胴体目掛けて突き刺した。 これが後にとんでもないことを引き起こす攻撃だと知らずに・・・ 女神は今まで閉じていた目を開いた。それと同時に”サンダガ”を唱えた ギルガ「あばばごぼぼうふああああ!!!!!」 ギルガは黒コゲになり、死亡した。 ゼグレー「派手にやってくれたものだ。誰であるか判別できなくなってる」 ズーガヌ「奴には物理攻撃は通用しないようだ。ならば魔法で攻撃する。フレア!」 ズーガヌはギルガが傷つけた傷口を狙った。 猛火が女神を襲う。 ズーガヌ「やったか・・・」しかしそこには無傷の女神が立っていた。 ズーガヌ「そ・・そんなバカな!?フレアが効かない」 「それどころかギルガが攻撃した胴体の傷が無くなっている!」 女神には何もかも通用しなかった。それを目の当たりにしたズーガヌは覚悟を決めた。 ”フラッシュレイン”・・・女神は静かに詠唱した。 ズーガヌ「ぐぼッフゥゥゥゥ......」 ズーガヌはギルガ以上の損傷を受け、真っ黒黒助になった。 彼は息絶えた。残ったのはゼグレーだけになった。 ゼグレー「とうとう孤立したか・・・もはやこれまでか」 絶望を悟ったゼグレーは戦う気力が失せた。 するとその時、女神が話し掛けてきた。 「貴方の精神は私を殺そうとした者達と違う」 「貴方は自らを縛り、生きてきたというのですか?」 彼は女神の質問に答えた。 ゼグレー「・・・・・・ああ、そうだ」 ゼグレー「おれを殺せ女神。おれは”人間”として生きていない哀れな者だ」 女神「何故死に急ぐのです?」 ゼグレー「自分の意志で人生を選択することができず、他人の言う事に任せて生きてきた」 「自分が何者であるのか分からない。だから、貴様の雷でおれを楽にしてほしい」 女神「さぞかし辛かったでしょう・・・私は貴方を裁けません」 女神は跪いたゼグレーに近付き、包み込むように優しく抱きしめた。 女神「もう・・・苦しむ必要はありません。貴方の絶望、悲しみは全て私が受け止めます」 ゼグレーは大泣きした。涙が止まらなかった。 どれほど泣いていたのだろう。彼は何十年間も”自分”を抑制していた。 その反動はすさまじい。6日間も女神の胸の中で泣いていたのだ。 ”自分”を取り戻した彼は、今までずっと思っていたことを女神に話した。 ゼグレー「教えて下さい。僕には何が必要だったのですか?」 女神は優しい微笑みを浮かべ、こう言った。 「愛情です」 完
https://w.atwiki.jp/touhoumtg/pages/1332.html
愚かな妖精/Fool Faerie 愚かな妖精/Fool Faerie(3)(R)(R) クリーチャー - フェアリー 飛行 愚かな妖精は、あなたの手札にあるカード1枚につき-1/-1の修整を受ける。 愚かな妖精は、あなたの手札がない限り速攻を持つ。 7/7 参考 花映塚-レア
https://w.atwiki.jp/naoya-card/pages/783.html
第零の運名『愚かな直也』 零属性 零直也・切り札 手札の【運名】を2枚捨てることで場に出せる。 この直也を場に出したとき、そのターンが自分の1ターン目であればデッキの上から4枚墓地に送ることができる。 1ターンに1度、相手ターン中に相手の直也の効果が発動したとき、デッキの1番上を墓地に送ることができる。そのカードが【運名】だった場合その効果を無効にし破壊する。 この直也が攻撃するとき、相手の眉毛を1枚破壊することができる。 アタック/0
https://w.atwiki.jp/lanove/pages/371.html
タイトル 宮澤くんのとびっきり愚かな恋 シリーズ 宮澤くんのとびっきり愚かな恋 レーベル 電撃文庫 著者 中西鼎 イラスト ぽりごん。 発売日 2024/08/09 書籍情報 調整中 キミラノ https //kimirano.jp/detail/36877 購入ページ Amazon 楽天
https://w.atwiki.jp/srwkdm/pages/236.html
27代目スレ 2008/12/24(水) ■ クリスマスシーズンの夜だった。 ブロック塀の向こうに建ち並ぶ文化住宅からは、ぽつぽつと明かりが消え始めている。 いまごろ、あの家の中ではニンゲンの子供たちがサンタクロースのプレゼントに想いを 馳せながらふかふかの布団に包まれているに違いない。 そういうことを考えると、眼球ユニットの奥がツンと痛む。 よせ。マーズは自分に言い聞かせた。 父親のところを飛び出してきたのは自分自身の選択だ。 泣き言をいえる筋合いなんかない。 「ごーごーキャレットストリングス!」 両手首から伸びたベルトはしかし、あっさりと打ち払われる。 「ごーごーキャレットネット!」 4本ある脚の1本がぴんと伸びる。先端に穴があいて、投網が勢いよく飛び出した。 マーズはロボットだ。『ロボット三原則』の制約によって、ニンゲンに危害を与える ことができない。そのマーズが攻撃をしている。 つまり相手はニンゲンではないということだ。 投網の下で人影がもぞもぞと動く。その右腕が、ぼこりと異様に膨れ上がった。紺色 をしたジャケットの袖が散り散りになって落ちる。あっという間に人体としてのバラン スを欠くほどに巨大化したその腕には、鈍く光る4本のカギヅメが生えていた。 「ロボなのかニンゲンなのかもわかんねーハンパモンがよぉーっ!」 わずかなシンパシーを抱きながら、マーズは怒鳴った。 カギヅメが音を立てて網を引き裂く。 夜目にも鮮やかな赤毛を揺らしながら、フィオル・グレーデンが立ち上がった。 「4人の想いが、4人分の肉体と2体の機動兵器を融合させた。 俺は、4人の願いの結晶だ」 「そーかいそーかい、おれぁーおやじがバンシャクしながら組み立てたんだってよー!」 「そうか」 フィオルの姿がブレた。猛烈な勢いで踏み込んでくる。 マーズの眼前で、四本のカギヅメがぐわと展開した。 マーズは、逃げようとした。下半身が重い。間に合わない。カギヅメにがっちりと上半 身をつかまれる。成人男性2人分以上の重さがある身体が、ふわりと浮き上がった。持っ て行かれる。抵抗できない。背中からブロック塀に叩きつけられる。 肺から空気が絞り出される。 合成カルシウム製の肋骨が軋み、ブロック塀の破片がぱらぱらと落ちた。 フィオルの眼差しはどこまでも真摯だった。まるで、重大な使命でも帯びているかの ような顔つきだ。気に食わない。 「この近くに、修理工場はあるか」 「さー、知らねーな」 「思い出しておけ。いったん、君の脚をもぐ」 「いひひひひ! なーんだそりゃー、オドシかけてるつもりかよぉー! 甘く見てくれたもんじゃねーの。 脚がなくなりゃーな、這いずってくに決まってんだろーがよぉーっ!」 「よせ。生体部分の腕までちぎりたくはない」 「きゃはははははっ! よぉーキョーダイ、エンリョはいらねーよ。クビでも刎ねに来いよぉーっ! アタマひとつで転がってったらぁーっ!」 「やめるんだ! 命を賭けるほどのことでもないだろう!」 「ハンカツーなこといってんじゃねーぞドサンピンがぁーっ! こちとらアキナイにイノチ張ってんだぁーっ!」 ぎゅうと、マーズは懐に入れた荷物を握りしめた。 「『聖闘士星矢ロストキャンパス』のOVA! このマスターデータを、トムス・エンタテイメントさんに届けるったら、届けんだよぉーっ!」 「自分がしようとしていることがわかっているのか! 再び聖闘士星矢ブームなどが来れば、まだ半ズボンをはいているような男子小学生が、 全国のブックオフ等で『メイドイン星矢』を立ち読みしてしまう! かつて起こった数々の悲劇を再現したいのか、君は!」 「べらぼーめ! そんなこたぁー、おれやあんたみてーなハンパモンが心配するこっちゃねーだろーがよ! 全国のブックオフ等で『メイドイン星矢』を立ち読みしちまった 男子ショーガクセーがなんかに目覚めちまう! ニンゲンてなぁー、そーゆーもんだろーがよぉーっ!」 「好きこのんで『メイドイン星矢』に目覚めさせる必要はない!」 「そんならキョーコー突破だこんにゃろーっ!」 戦闘向けではないマーズが、まともにやって勝ち目などあるはずがない。全身に仕込ん である数々の秘密道具も、面白半分に付けてあるだけで実用性など皆無に近い。 マーズの武器は口先だ。挑発して、無理矢理隙を作り出すしかない。 「戦闘用がなんぼのもんだってーの、べらぼーめ!」 フィオルの眉毛がわずかに吊り上がる。 「間違えるな。エクサランスはレスキュー用だ」 「きひひひひ! ブッソーなレスキュー用具もあったもんじゃねーの、なぁーっ!?」 マーズの上半身に、カギヅメがぎちりと食い込んだ。 ■ マーズの頭上を、激しい銃声が通過していった。 遠くに瞬く繁華街のネオンサインをバックに、マズルフラッシュの凶暴な光が飛び散っている。 民家の屋根の上を、恐ろしいスピードで駆ける二人の女性がいた。 イングレッタ・バディム、そしてユウカ・ジェグナンだった。 いったいなにをしている途中だったのか、イングレッタは背中がざっくりと開いた黒い ドレス姿だった。首からは濃紺のストールをぶら下げている。針金を思わせる細い腕の先 では、2丁のデザートイーグルが銃口から白い硝煙を立ち昇らせていた。 一方のユウカは、元からそういうデザインなのか、ここに来るまでにそうなったのか、 ボロボロに破けたワインレッドのドレスを着ていた。剥き出しの肩にも太腿にも、赤黒い アザが無数に浮き上がっている。だらりとぶら下げた手にはマテバオートリボルバーを握 りしめていた。 「時間に干渉するのはやめなさい。 この世界は『メイドイン星矢』を受け入れられるようにできているのよ。 むしろ、『メイドイン星矢』を待ち望んでいるといってもいい」 イングレッタが冷え冷えとした声で告げる。 「リアルな話、あたしは男子小学生が半ズボン突っ張らせようが突き破ろうが知ったことじゃないの。 ただね」 ユウカはすでに肩で息をしていた。両の瞳だけが闘志にたぎっている。 「彼のロードを邪魔なんかさせない」 ユウカが動く。バックブロー気味にマテバの銃把をイングレッタに叩きつけようとする。 イングレッタがするりと身を沈める。マテバが空を切った。 ユウカはすでに次の動作を開始していた。月明かりを褐色に照らし返す脚を振り上げる。 回し蹴り。吸い込まれるようにイングレッタの側頭部に襲いかかる。 イングレッタの対応は速かった。片腕をスッと上げる。ブロック、どころのものではない。 強烈な肘打ちだった。打ち落とした脚を捕らえ、すくい上げる。姿勢を崩したところに、突 き飛ばすような前蹴りを入れる。 屋根から転げ落ちるユウカを追って、イングレッタが跳んだ。しなやかな脚を空中で鋭 角に折りたたむ。情けも容赦もない。尖った両膝をユウカの胴体に突き立てた。 ユウカは、悲鳴もない。身体をくの字に曲げて悶絶するだけだ。 「ユウカぁっ!」 マーズを投げ捨て、フィオルが叫ぶ。 イングレッタは顔色ひとつ変えない。立ち上がると同時にベルトからマガジンを抜き出 し、淀みない動作でデザートイーグルに差し込む。スライドを弾いて初弾を装填すると、 間を置かず引き金を引いた。 立て続けに3発、大口径を胴体に食らいながらもフィオルは低く呻いただけだった。 フィオルの身体がメキメキと軋みながら巨大化していく。ジャケットが破れ落ち、道路 いっぱいを埋め尽くす巨大な足に踏み潰された。オレンジ色に染まった皮膚の下で筋肉が 急激に発達し始め、鉛色の物体を押し出した。チリンチリンと風鈴のような音さえさせて、 カリフラワー状に変形した銃弾がアスファルトの上に転がり落ちる。 「アストラナガンを呼べ」 フィオルの口から、真っ白な蒸気が大量に吐き出される。 「さもないと、生身のまま引き裂くことになるぞ!」 赤毛がざわざわと荒れくるう。額がめりめりと盛り上がり、皮膚を突き破って巨大な 一本角が現れた。全身の皮膚はすでに外骨格と化し、金属のような光沢を放っていた。 イングレッタはひと言も発しない。その瞳に、細く鋭い針のような光が宿る。 ■ 「うろたえるんじゃありません子供たち!!」 張り詰めた空気を打ち砕くような一喝だった。 「うぅっ!」 ユウカが倒れたまま小さく呻いた。 「あなたは」 イングレッタがデザートイーグルを両手に構える。 「この、とてつもなくスケールのでけーコスモはぁーっ!」 マーズの全身に震えが走った。 「誰だっ!」 「フッ、わたしよ」 フィオルが声を飛ばした先に、忽然とひとりの女性が現れていた。豊かな黒髪が背中 の上で波打っている。東洋の仏像にも似た微笑みを浮かべる唇の横にはホクロがひとつ ある。長いまつ毛を生やした目は、ふたつとも静かに閉じられてた。 「シホミおばちゃーん!」 「やっピー、そ~れ、ふぁいと」 シホミ・アーディガン、ヴァルストークファミリーの長女、もっともタカの目に近い女、 マーズにとっては『おやじのアネは我が師もドーゼン』という存在だった。 マーズは事態の大きさを知った。 シホミ・アーディガンはすでにアーディガンファミリーを出て嫁に行った身だ。白銀聖 闘士孔雀座パーヴォのシヴァと結婚したといっているけれど、おそらくデタラメだ。なん の意味があるのか常にガンジス川流域に座して動かなかったシホミおばちゃんがここまで 出張ってくるなんて、タダゴトじゃない。 凜として立つその姿には、あの、ヘラクレス猛襲拳の使い手でありながらヘラクレス座 の聖闘士ではなかったドクラテスにも匹敵する風格があった。 「この子を通してやってくれないかしら、フィオル・グレーデン。 『メイドイン星矢』がふたたび全国のブックオフ等に並ぶ未来を、 あなたに潰す権利はないのよ」 フィオルは、言葉を発しなかった。 モアイに似た顔から蒸気と唸り声とが迸る。 地面が揺れる。 アスファルトの破片をまき散らしながらオレンジ色の巨体が動く。 巨大なカギヅメがシホミおばちゃんの頭上に降り注いだ。 シホミおばちゃんはするりと身体を翻す。たったそれだけでカギヅメの一撃を避けてし まう。ボリュームのある胸のすれすれを通ってカギヅメがアスファルトに激突した。 「そう」 シホミおばちゃんの微笑みは、もはや神仏が行う拈華微笑の域にまで達しつつあった。 たおやかな指が、湯気を上げる外骨格の表面をそっと撫でる。 「あなたも多少は地獄の底を見てきた少年。 そんな相手に優しく言って聞かそうなんて、むしろ侮辱だったようね。 あなたにはそれなりの対応を行います」 「うぅーっ!?」 マーズの全センサーが異常を告げていた。 この眼球ユニットは、真実しか映し出さないはずだ。なら、この、辺り一面に浮かび 上がる曼荼羅のような魔法陣のような極彩色の模様は、いったいどう説明すればいいのだろう。 「オカルトチックなバックボーンがあるわけじゃないのに 何故か現れるこの魔法陣はいわば宇宙の真理、完璧にさだめられた不条理の世界。 このエクサノヴァにかかった以上、あなたにわたしを攻撃することは不可能。 そしてまた逃げることも不可能。 いわば攻防一体の戦陣といえるのよ」 「う、うぅ・・・・・・、シホミおばちゃんの目が、目がぁ~・・・・・・!」 マーズの中に埋め込まれているカズマ・アーディガンのライフデータが激しく震え始める。 「このシホミ・アーディガン」 「シホミおばちゃんの目がぁーっ!」 「一命を賭してあなたにお説教をします!」 カッ、とシホミおばちゃんの双眸が大きく見開かれる。 ヴァルストークファミリーにおいて、シホミおばちゃんの目について語るのは絶対の タブーだった。 常に瞑目している、ひょっとしたら開いているのかも知れないけれどだいたい閉じて いるように見えるシホミおばちゃんが、目を開く。そのとき、食卓の上からはいっさい のマヨネーズ臭が消え去るといわれている。 マーズは、シホミおばちゃんが目を開いている姿を見るのは初めてだった。 なにが起こるのか想像も付かない。 「プロトンドライブ・フルチャージ!」 シホミがどこからか取り出した数珠を振り上げる。 「フォーカス!」 辺り一面を眩いばかりの白光が包み込む。 一瞬ののち、微動だもしないまま同じ場所に立ち尽くすフィオルの姿が現れる。オレ ンジ色をした外骨格には傷ひとつ付いていない。 マーズには白光の正体がわかっていた。超長距離、おそらくは衛生軌道上から放たれた プロトンキャノンだ。大気によって拡散し、威力などはほとんどない。しかし、全員の足 を止めるには十分だった。 「フィオル・グレーデン!」 フィオルは、ぴくりとも動かない。まるで蛇に睨まれた蛙だ。 「女の子を放っておいてケンカに夢中なんて、マンモス愚かな男!」 Pi、Piと、シホミの指が不思議な音を出す。 「そんなことで時間を守ろうだなんて、笑止千万、片腹痛いわ!」 「む、むぅ~!」 フィオルの身体がしゅるしゅるとしぼんでいく。ふたたび少年の姿を取り戻したその 顔では、驚愕と焦燥、そして自己嫌悪といった複数の感情がない交ぜになっていた。 「花は咲き、そして散る。星は輝き、いつか消える。 この地球も太陽も銀河系も、そして大いなる大宇宙もいつかは死する時が来るのよ。 人間の一生なんて、それらに比べれば瞬きほどのわずかなもの。 そのわずかなひとときにひとは生まれ、 誰かを愛し、誰かを憎み、笑い、涙し、戦い、傷付き、喜び、悲しむ」 「ユウカ!」 滔滔と語るシホミおばちゃんの前を素通りして、フィオルがユウカに駆け寄っていく。 ユウカを助け起こすその腕は、すでに光の粒子に包まれ輪郭がぼやけ始めていた。 「済まない、済まない! 俺は、また間違えていた!」 「いいのよ、あんたはしたいことすれば」 「消耗してしまった。また、じきに消えてしまう」 「そう、じゃ、キスはお預けね」 「済まない。俺は、まだ幸せになるわけにはいかない」 「ねえ、クリスマスなのよ」 「え」 「ちょうだいよ、プレゼント」 「でも、俺はなにも」 フィオルの言葉が途切れる。 ユウカがフィオルの背中に手をまわし、胸板に顔を埋めていた。 「あんたの、ね、胸板が好きなの。この香りをあたしの中に置いてって」 「あ、あぁ」 フィオルの両腕が手持ちぶさたな風に宙を泳ぐ。 「抱きしめてっていってんの」 「済まない」 「もっと、タイトに」 「きっと、満足な身体で戻ってくるから」 「バーカ」 ユウカの声は、マーズのボキャブラリーにない種類の湿り気を帯びていた。 ■ 「見ちゃいらんねーや」 ぼそと呟いて、マーズはふたりに背中を向けた。 イングレッタがどこかつまらなそうな顔をしてアスファルトの上に座り込んでいるのが見える。 「お手数をかけちゃったわね、タイムダイバーのお嬢ちゃん」 シホミおばちゃんに声をかけられて、イングレッタはなぜか拗ねたような顔をする。 「べつに。わたしは、『メイドイン星矢』を守る使命を帯びていただけよ」 「大丈夫かしら、マーズちゃん」 シホミおばちゃんが身をかがませて、ぽんとマーズの胸元を人差し指で突いた。 「血止めの急所真央点を突いたわ」 「あんがとー。特に流血はしてねーけども」 「じゃあ、行きましょうか」 きゅうと、シホミおばちゃんに手を握られる。 「全国のブックオフ等で、まだ半ズボンをはいているような男子小学生が 『メイドイン星矢』を立ち読みしてしまってなにかに目覚める、そんな未来のために」 本当のところを言うと、『メイドイン星矢』を立ち読みした男子小学生が半ズボンの中 でなにかに目覚める未来が幸せなものなのかどうか、マーズには判断できない。 でも、シホミおばちゃんはこんなにもニコニコしているんだから、きっと幸せな時間に 違いない。 フィオルの姿はすでにほとんど消え失せ、夜の空気に滲むような淡い光が漂っているだけだった。 儚い輝きに照らされて、泣いているような微笑んでいるような顔をしているユウカを、 マーズはキレイだと思った。 『聖闘士星矢ロストキャンパス』のOVAがリリースされたら、『メイドイン星矢』 が全国のブックオフに並ぶようになったら、あんなにキレイなものが世界中に生まれる に違いない。男子小学生の半ズボンの奥には、ああいうキレイなものがたくさん眠って いるに違いない。 そんなことを考えながら、マーズはシホミおばちゃんと手を繋いで歩き始めた。
https://w.atwiki.jp/yugio/pages/12022.html
愚かな森-バールチェチェン フィールド魔法 戦闘でダメージを受けたプレイヤーは、 そのダメージの数値分だけコントロールするモンスター1体の攻撃力をダウンする。 フィールド 能力弱化 魔法
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/3443.html
【検索用 くりすますちゅうしのおしらせてす 登録タグ 2008年 VOCALOID く このり 曲 曲か 神威がくぽ】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:このり 作曲:このり 編曲:このり 唄:神威がくぽ 曲紹介 去年のクリスマス直前に相次いで自爆した食品問題の真犯人は頭の悪い月くんに違いない 曲名:『クリスマス中止のお知らせです。』(くりすますちゅうしのおしらせです。) 『月くんは中二病』というこのり氏作の曲のリミックスカバー。 歌詞 そう 腐った世の中 誰もが幸せ掴む権利 持つのに 自分のために 人を不幸に落とすヤツらが居る 街行く 恋人 貴様らが憎い イチャつくヤツらを消すために この僕こそが 新しい新世界の神となって とりあえず 見せしめに クリスマスを いてまえ 戦慄け 愚かな民よ 恐れるのだ 飲食店の無い世界は さぞ辛いだろう さぁ 街へ行こう 飲食店への不審 拭えぬままに デートもできず 途方に暮れるヤツら 見に行こう どうして おまえら 満ち足りた笑顔 クリスマス中止は 失敗か この僕だけが神となり 有名人と仲良くなって リサリサと あんなことや こんなことを したいだけなのに! この僕さえも 新しい新世界の神になれないのなら こんな世界 消してやる このノートで さよなら コメント 普通にいい曲なのに歌詞がひどいwww -- 名無しさん (2008-12-21 00 05 15) 動画に吹いたwwww -- 名無しさん (2008-12-22 20 11 36) こればっかりは元動画の方が好きwwwww -- 名無しさん (2009-02-14 22 31 02) デスノみたい(笑) -- 名無しさん (2009-11-20 00 40 46) これって絶対デス〇ートでしょwww -- 紫 (2010-08-16 23 47 00) デスノwwww -- 名無しさん (2014-09-11 17 21 58) 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
https://w.atwiki.jp/gokaiger/pages/46.html
タイトルコール 冒頭のハカセ 昼食のリクエストマーベラス ジョー ルカ 鎧 ゴーカイサーベルの手入れをしているジョー 元行動隊長ジェラシット言動 尻を痛めるハカセ 豪快チェンジ電磁戦隊メガレンジャー 忍風戦隊ハリケンジャー 未来戦隊タイムレンジャー 登場した技・用語等ベクターエンド・ビートディフェンダー タイトルコール ナレーションの関智一のタイトルコールが悪役のような読み方になっているが、これは関が『超力戦隊オーレンジャー』の皇子ブルドント/カイザーブルドントや『電磁戦隊メガレンジャー』のビビデビなど、戦隊シリーズで敵幹部の声を担当していたことがあったため。愚かな地球人とは地球人に対する敵側の言動であり、共に機械的な組織であると言う共通点がある。 『超力戦隊オーレンジャー』では「マシン帝国バラノイア」が愛情などの感情を持つ人間を愚かであると評していたが、皇帝バッカスフンドを始めとする一族達は、家族愛を持つなど矛盾した行動を取っていた。皇后ヒステリアは皇太后となった後に、自身の力の衰退と共に一族が愛情を持って接していたことを自覚するようになり、ブルドントとマルチーワの間に産まれた子供を助命する代わりに自爆を行い自決している。 『電磁戦隊メガレンジャー』ではDr.ヒネラーが鮫島博士であった頃に行った行動で自身を非難した地球人である人間の悪意に対するものとなっている。 冒頭のハカセ ダーツの矢を投げた際、右手首に第7話で登場したマーベラスのトレーニング用のブレスレットを着けている。第7話の時点では、ブレスレットの重みに負けてまともに矢を投げることさえできなかったが、その後の鍛錬のおかげか今回はちゃんと矢を飛ばしている。 昼食のリクエスト マーベラス 「俺はあのとき食えなかったカレーだな」第1話参照。 ジョー 「俺はやっぱり手羽先だな」第12話参照。 ルカ 「回転寿司がいいな」 鎧 「たこ焼きにしましょう!」『メガレンジャー』に登場したメガレッド・伊達健太の大好物が焼肉とたこ焼き。『メガレンジャー』第16話の冒頭では、「やっぱ、部活の後のたこ焼きは最高!」という健太の台詞が登場している。 たこ焼きは鎧役の池田純矢の出身地・大阪の名物である。 ゴーカイサーベルの手入れをしているジョー 目の前の机の上に、鎧が作った「スーパー戦隊大百科」が広げられている。これは第22話の冒頭で、ジョーだけがトレーニングと買い出しを優先して大百科を読まなかったため。 元行動隊長ジェラシット 第14話でゴーカイジャーに敗北し、インサーンの意見によりザンギャックを解雇された。インサーンに粗大ゴミと言われたからか、ゴミ捨て場でゴミに埋もれていた。 言動 「真剣白刃取りっ!」たこ焼き屋の主人の投げたブーメランをキャッチした時の台詞。第14話では、ゴーカイレッドが豪快チェンジしたティラノレンジャーの龍撃剣を真剣白刃取りしようとして盛大に失敗していたが、今回は成功している。 尻を痛めるハカセ ハカセは最初の戦いでゴーミンの武器が尻にささり、名乗りや集合の時も尻を押さえていた。2回目の戦いで仕返しするかのようにゴーミンの股間にパンチを入れている。 豪快チェンジ いずれも90年代後半以降の作品にして、追加メンバーがいる。 敵勢力の首領が味方の手で最期を迎えている。 ハリケンジャーを除いて、本話でも描写された「差別」ならびに「迫害」に関する描写がある戦隊が選ばれている。さらにノブユキの母とジェラシットが相思相愛になったように、「恋愛」に関する共通点がいくつかみられる。 電磁戦隊メガレンジャー 邪電王国ネジレジアの邪電王ジャビウスI世は、分身体の邪電戦隊ネジレンジャーが戦う度に消耗していき、ネジレンジャー創造主のDr.ヒネラーの策略でネジレンジャーもろとも消滅した。 『メガレンジャー』第49話以降では、敵組織・邪電王国ネジレジアにメガレンジャーの正体が知られたことにより、メガレンジャーの初期メンバー5人が通う諸星学園高等学校や彼らの自宅がネジレジアの襲撃を受け、巻き添えを恐れた町の人々にメガレンジャーやその関係者が非難され居場所を失ってしまうという描写がある。 メガピンク・今村みくはメガブルー・並樹瞬に好意を持っている。 忍風戦隊ハリケンジャー 宇宙忍群ジャカンジャの首領タウ・ザントは、七の槍・サンダールの下剋上で戦死する。 『ハリケンジャー』巻之二十七(第27話)に登場するハリケンレッド・椎名鷹介の元同級生である田井章一郎(タイショー)は忍風館を中退し、子供を身籠る妻と共に焼き鳥屋を経営していた。 クワガライジャー・霞一鍬は『ハリケンジャー』巻之二十六(第26話)での戦い以来、ハリケンブルー・野乃七海に好意を持つようになり、『爆竜戦隊アバレンジャーVSハリケンジャー』では七海と交際していた。 未来戦隊タイムレンジャー ロンダーズ・ファミリーのドン・ドルネロは、ギエンの暴走を止めるべく、自身の手でギエンを討とうとするが、返り討ちに遭って死亡。 タイムレンジャーは5人の内、タイムレッド・浅見竜也を除く4人が未来人であり、タイムグリーン・シオンは戦争で滅んだハバード星の生き残り、つまり宇宙人である。このため、シオンが主役の回では宇宙人に対する差別などがテーマに取り上げられることがあった。「地球人も宇宙から見れば宇宙人」という今回のテーマは、『未来戦隊タイムレンジャー』Case File 4(第4話)でタイムイエロー・ドモンが同じような発言をしている。 『タイムレンジャー』本編では竜也とタイムピンク・ユウリ、ドモンと記者・森山ホナミの恋模様が描かれている。終盤でノブユキの母がジェラシットの子供を妊娠したように、ホナミもドモンが30世紀に帰った後、ドモンの子供を妊娠した。 登場した技・用語等 ベクターエンド・ビートディフェンダー 『タイムレンジャー』本編には登場しない、『ゴーカイジャー』オリジナルの技。タイムファイヤー→タイムブルー→タイムイエロー→タイムグリーン→タイムピンク→タイムレッドの順で連続で相手に切りかかる。『タイムレンジャー』本編におけるタイムファイヤーは別勢力ゆえに、タイムレンジャーの5人と共同で技を繰り出したのは『タイムレンジャー』第37話でのボルテックバズーカとDVリフレイザーの同時攻撃のみだったが、特に意識して放ったものではなかった。「ベクターエンド」という名前もタイムレンジャーの5人が使う技を指し、タイムファイヤーの技には「ベクターエンド」の名を冠する技はない。 使用した武器は、タイムファイヤーがDVディフェンダー、タイムレンジャー5人がタイムレンジャー共通武器・ダブルベクター。ダブルベクターについては第12話参照。 DVディフェンダーはタイムファイヤーの個人武器。「DVチェンジ」というコマンドを入力することで、銃と剣の2つのモードを使い分けることができる。
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/1464.html
幸せは、赤き瞳の中に ( 第15話:愚かなる者たち ) 世界から、色が失われつつあった。 どんよりと灰色一色に塗りつぶされた空。それを映したかのような、暗い色に覆われた地面。黒々とした鋼鉄のような鈍い輝きを放つビル群。 かつてのラビリンスを彷彿とさせる――いやそれ以上に無機質な光景が、瓦礫だらけの街を飲み込み、じわじわと広がっていく。 空の高みからその様子を見降ろして、メビウスは満足げにゆっくりと頷いた。 「これでいい。余計な色彩は、秩序を……」 そこで声が途切れ、巨大な口元が僅かに歪む。 新たな色が、その視界に飛び込んだのだ。目にも鮮やかな二つの影が、単色の世界を切り裂き、縦横無尽に駆け抜ける。 一人は真っ白なマントをはためかせ、力任せに突き進む大柄な青年。そしてもう一人は、簡素な紺色の戦闘服に身を包み、風に乗って軽やかに舞う黒髪の少女。 二人の後を追う様に、空からバラバラとコードの破片が降り注いだ。この世界を再び管理するために放ったコードが大量に切り落とされ、地面に触れると同時に消える。だが大量に見えても、それは放たれたコードの一部でしかない。 着々と管理が進んでいるこの状況下で、まだ性懲りもなく抵抗を続ける者たち。かつての忠実な僕たちを、ほんの一瞬にらむように見つめてから、メビウスは彼らから視線を逸らし、目を閉じた。 (この私を父とし母として生まれ育った者たちが……。やはり人間とは、所詮は愚かなものだな) 国家管理用メインコンピュータとして誕生した当初。その頃は、この世界最上のコンピュータとしての役割を、忠実に果たそうとしていた。 膨大なデータを集め、あらゆる方面からの緻密な解析を行って、そこから導き出されたこの世界の様々な問題と、その解決策を人間たちに提示する。無秩序な世界を統制するための――悲しみも、争いも、不幸も無い世界を作り上げるための、最上の策を。 ただし、決定権を持つのはあくまでも人間。コンピュータは現状を正確に把握して、そのありのままの姿と今後の取るべき道筋を、人間に示すことこそが役割だったから。事実、メビウスの解析が受け入れられ、その提案が採用される確率は、第二候補、第三候補が採用されたものまで入れれば90%を超えていた。 最初のうちは、その数字こそが使命を果たしている確率なのだと認識していた。だが、その確率をより完全に近付けるために、より第一候補での採用率を高めるために自らの仕事の結果について調査するうちに、人間に対する疑問が芽生えた。さらに解析を進めると、疑問は確信に、確信は事実に変わり、積み重なった事実が自らの認識を覆していった。 提示された問題の深刻度合いや、解決策の期待される効果がきちんと検討される以前に、複数の団体の利益に反するという理由で、闇に葬られたレポートがあった。一部の人間の責任が追及されるのを避けるためだけに、公表されずに伏せられたままのデータがあった。 世界の進むべき道を検討する人間の多くが、改善されるべき不公正で偏りのある現状の中で、人並み以上の利益や力を持っているという現実。言い換えれば、現状を変えるための決定権を持つトップの人間たちが、元を正せばそんな現状の恩恵を受けて、その地位に居るという矛盾――。 勿論、真に現状を変えたいという志を持つ人間も存在した。だが、そんな人間たちですら、それぞれに異なる様々な思想や思惑を持つ。同じ志を持っているはずの人間同士が、違う意見を主張し、ぶつかり合い、激しく争う。 何が優れた解決策であるかということよりも、誰が支援する策であるかで採用の是非が決まることもある。時には複数の人間が譲歩し合い、折衷案なるものを打ち立てることもあったが、それは計算し尽くされた最初の策よりもまるで効果の無いものに変わってしまったりする。 時を経て、国家の決定に携わる人間が入れ替わっても、その事実は変わらなかった。 (悲しみも、争いも、不幸も無い世界を作ろうとしても、その元凶の大半は、他でもない人間どもの中にあるのではないか。何と……愚かな) 幾多の解析を経て導き出された結論――人間たちの誰にも報告されず、初めてメビウスの内部でのみ呟かれたその結論は、もしかしたら人間で言うところの“失望”という感情に最も近いものだったのかもしれない。 (そんな人間を管理するために作られた私は、どうすればいい……。そうだ。ならば人間に判断を任せるのでなく、この私が判断して、彼らを正しく管理しなければならない。そのためには……まずは人間というものを、もっと詳細に解析する必要がある) その時から、依頼者の居ない、メビウス独自の“思考”によるプログラムが秘密裏に動き始めた。 改めて人間の愚かさに目を向ければ、それは世界の動向に関することだけではなかった。 自分を不幸にすると分かっていながら、不健全な生活を送る人々。誰かを不幸にすると分かっていながら、人を傷つけることを止めない人々。メビウスの“思考”は、その原因を解析しようとする。 人間が様々な欲望を抱く要因は何なのか。それぞれに異なる思想は、どこから生まれてくるのか。 想いは。志は。不幸の元は。争いの種は……。 解析によって明らかになった要因は、実に様々だった。 例えば、いつの時代も何かしらの不平等を抱えている社会制度。様々な感情の発生源となる、人と人との交流。五感を刺激し欲望を生む、芸術や娯楽と呼ばれる活動。そして、先の見えない未来を自分で選び取っていかなくてはならないという、大いなる不安――。 (これらの問題の解決策は……いや、もう“解決”する必要はない。世界の秩序を乱し、管理の妨げとなるものは、全て消去するのみ。これからは、全ての決定権はこの私にある!) メビウスによって全てを管理されたラビリンスでは、政府というものが消滅した。 家族、友達、仲間、同僚――そんな人間関係は全て排除され、会社や学校、商業施設や娯楽施設も全て無くなった。 音楽も物語も、鮮やかな色彩までもが、心の平穏を乱すものとして排除されていった。 人々はメビウスによって決められたスケジュール通りに生活し、決められたものを食べ、決められた任務をこなし、決められた生涯を送った。 悲しみも、争いも、不幸も――そしてそれらを生み出すくだらないものも、何ひとつない正しい世界で――。 「そう。正しい答えは常にただひとつ。それはこの私だ。ラビリンスを早急に元の正しい世界に戻し、一刻も早く、全世界を正しく導くのだ!」 カッと見開かれたメビウスの目が、爛々と赤く輝く。それと同時に、街並みがさっきまでとは比べ物にならないスピードで変化し始めた。 “不幸のゲージ”を中心にして、モノクロの世界が同心円状に、猛烈な速さで広がっていく。やがてその輪が新政府の庁舎を飲み込んだ時、メビウスはフッと僅かに表情を緩めた。 「新しい国家管理用のコンピュータか。かなりスペックの落ちる代物だが、私の器の核としては、何とか使えそうだ」 メビウスの言葉が終わると同時に、新政府庁舎が変化し始める。地響きを上げながら天高く伸び、堅固な要塞のような形になっていく。 メビウスの姿もまた、変化し始めていた。身体がさらに巨大なものとなり、仄暗い空をバックに淡い光を放ち始める。 「聞け! 我が国民たちよ。私はここに蘇った。このラビリンスも再び正しい世界へと――悲しみも、争いも、不幸も無い世界へと蘇る。皆、我に従え。我が城に集い、我が新しき器を用意するのだ!」 今や神々しさすら感じさせる姿となったメビウスは、無機質な街を見渡し、天の頂から重々しい声を響かせた。 幸せは、赤き瞳の中に ( 第15話:愚かなる者たち ) 全てはメビウス様のために。全てはメビウス様のために。 全てはメビウス様のために。全てはメビウス様のために。 ……………… ………… …… 灰色に染まった空の下。次第に大きくなっていく人々の声と、一糸乱れぬ靴音。それに負けじと、ウエスターが野太い声を上げる。 「もうすぐサウラーも戻って来る。俺たちみんなで、あの忌々しいコードを全て消し去ってやるのだ! そうすれば……」 その時、ウエスターの言葉を遮って、二人の頭上から新たな声が聞こえた。 「ウエスター。せつな。二人とも、待たせて悪かった」 「サウラー!!」 振り返った二人の頭上に、巨大な影が差す。空中に浮かんでいるのは、視界を覆うほどの大きさのホホエミーナだった。 鋼鉄のような四角い身体の上部に、丸い二つのつぶらな瞳。真ん中には大きくて頑丈そうな円い扉が付いている。大きな掌の上には腕組みをしたサウラーが立って、二人をじっと見つめていた。 ――少し僕に時間をくれないか。試してみたいことがある。 そう言って姿を消したサウラーの策に一縷の望みを託し、ひたすらにコードを退け続けてきた。だから彼の登場は、まさに待ちに待ったものだったのだが……。 少しホッとしてその顔に目をやったせつなが、一転、怪訝そうな顔になる。 そこにあったのは、いつもの無表情とは異なる、いつになく硬い表情だった。 ウエスターと違って、サウラーが何を考えているのか分からないのはいつものことだ。むしろ表情の硬さをまるで隠し切れていないところが、彼の緊張の大きさを思わせる。 当然だ、あのメビウスが相手なのだから――そう思うのに、何故かその顔を見ると、不安が胸の中からとめどもなく沸き起こって来る。 (サウラー、一体どんな作戦を考えていると言うの……?) 「二人とも下がっていてくれ。あとは僕に任せてもらおう」 せつなの心配そうな顔つきに気付いているのかいないのか、サウラーはホホエミーナの掌から飛び降りると、いつもの淡々とした口調で言った。 「任せろって……何をするつもりだ?」 ウエスターが、少々不機嫌そうに眉根を寄せて問いかける。その時、ホホエミーナの方に改めて目をやったせつなが、何かに気付いたように、驚きの声を上げた。 「サウラー! このホホエミーナって……」 「ホホエミーナ、頼む」 せつなの言葉を掻き消すように、サウラーが短く指示を出す。 「ホ~ホエミ~ナ~……」 見た目にそぐわないか細い雄叫びを上げると、怪物は滑るようにせつなとウエスターの頭上を跳び越え、“不幸のゲージ”の前に、地響きを上げて着地した。 次の瞬間、上空にあったコードが残らず消えた。僅かに目を見開いたメビウスの、空を覆うローブが少し不自然にはためき始め、その足元にある“不幸のゲージ”の方から、カタカタという音が聞こえ始める。 せつなが素早くホホエミーナの横手に回る。そして、そこに広がっている光景に、大きく目を見開いた。 カタカタと小刻みに震えるゲージの前で、その倍ほどの大きさのホホエミーナが、短い足をぐっと踏ん張って立っている。その胴体の真ん中にある円い扉は大きく開かれ、そこに向かって強烈な風が流れ込んでいる。まるで巨大な掃除機の如く、その前面にある全てのものが、そこに吸い込まれようとしている。 その扉の向こう――ホホエミーナの体内にチラリと見え隠れするのは、赤黒くて大きな球体――。 (あれは……デリートホール!?) 気が付くと、奥歯がカチカチと音を立てていた。突如暗赤色に染まった世界で、この球体に吸い込まれまいと、ただもう必死に逃げたあの時の記憶が蘇る。 「下がっていろと言ったはずだ」 不意に、後ろから声をかけられた。サウラーがホホエミーナから片時も目を離さずに、平坦な声でせつなを制する。そしてせつなの方を見ないまま、申し訳程度に小さく頷いた。 「君が思っている通りだよ。元は廃棄物処理空間。メビウスの城の跡地に残っていた」 「じゃあ、さっき見えたのはやっぱり、デリートホール? その中に、メビウスを……」 せつなの声が震える。よりによって、一度はその中に吸い込まれ、消滅しかけたサウラーが……。いや、だからこそ、こんな作戦を思いついたのだろうか。 「とにかく離れていてくれ。頼む」 ほんの一瞬だけ、せつなの方にちらりと目を走らせてから、サウラーはもうせつなのことなど眼中に無い様子で、再びホホエミーナの方に向き直った。 その全身にみなぎる緊張感に、せつながそれ以上声をかけるのを躊躇した、その時。 ズズッ…… 何か重いものが引きずられているような、耳障りな音が響いた。 ズズッ…… ズズッ…… 音は“不幸のゲージ”の足元から聞こえてくる。ガタガタと震えていたゲージがついに動き始め、少しずつ、少しずつ、ホホエミーナに引き寄せられ始めたのだ。 ズズッ…… ズズズズズ…… ゲージがガタガタと震える音も、ホホエミーナの扉に引き寄せられる音も、次第に大きく間断の無いものになっていく。やがて、ガタガタと揺れていたゲージがガクンと傾いた。 「あっ……!」 せつなが思わず悲鳴のような声を上げる。 ここでもしゲージが倒れでもして、中から“不幸のエネルギー”が溢れ出したら――そんな最悪の想像が頭をよぎったのだ。 「大丈夫だ!」 しっかりとした声が、前方から響く。サウラーが、再びチラリとせつなの方に目をやって、小さく頷いて見せた。ただでさえ白いその顔は、緊張のためか紙のように真っ白になっている。 「ここで失敗など、絶対にしない。ホホエミーナ! 一気に決めろ!」 サウラーの声が畳みかける。 「ホホエミ~ナ~!」 さっきよりも力強い雄叫びを上げたホホエミーナが、ぐっと身体を大きく伸ばした。風の勢いがさらに増す。だがそれと同時に、正面を避けてゲージの側面から放たれたコードが、束になってホホエミーナに襲い掛かった。 怪物の細く短い足に迫るコードの束。足を縮めて防ごうとするホホエミーナ。その時、横合いから飛び出した人物が、そのコードの束を掴み、瞬時に引きちぎった。 すかさずゲージからさらなるコードが放たれて、ホホエミーナを捉えようとする。 強風に髪を逆立てた鬼人のような形相で、その人物も負けじと腕を伸ばす。そして放たれたコードを全て掴み取ると、まとめて一気に引きちぎった。 驚きに目を見開いたサウラーが、初めてホホエミーナからはっきりと目を離して、その人物を見つめる。 彼の力は、勿論よく知っている。だがあの俊敏さはどうだ。それにあの強靭なコードを、数本ならまだしも何十本も束にして、それを引きちぎってみせるとは。 人間離れした力を見せつけた筋肉は、彼の上腕で大きく盛り上がり、全身からは闘気が立ち昇って、辺りの空気が陽炎のように揺れている。だが何より強烈な熱を感じさせるのは、爛々と輝く二つの瞳。その瞳で真正面からサウラーを見つめ、その男――ウエスターが、つかつかと歩み寄る。 「サウラー。俺にも手伝わせろ!」 ホホエミーナとサウラーの間に立ちはだかるような位置で立ち止まったウエスターは、吠えるようにそう叫んで、ぐいとサウラーに顔を近づけた。 「ゲージを捕まえることでこれ以上の管理を阻止し、反撃のために“不幸のエネルギー”を使わせる――流石だな。だが、俺が手伝った方が早い。そうは思わないか?」 一気にまくしたてるウエスターの顔を、半ば呆然と見つめていたサウラーは、そこで我に返って、“不幸のゲージ”に視線を向けた。 今の攻防の間に体勢を立て直したのか、ゲージの傾きは元に戻り、まだ十分な重量感を感じさせる姿で、ホホエミーナの前に立っている。 (少し計算が違ったか……。一か八か、さらに高出力で一気に決めるしかなさそうだ) ふと今のウエスターの言葉を思い出してゲージの液面を確認すると、確かに最初に見た時よりは随分と下がってはいるものの、それはまだゲージの半分より明らかに上にあった。 さらにその上に広がる空を覆っているメビウスは、相変わらず神々しいまでに光輝く姿で、こちらを見ようともせず、遥か彼方に目をやっている。 そこまで一瞬で確認し終わると、サウラーは目の前の男に視線を戻し、相変わらず淡々とした声で言った。 「その必要は無いよ、ウエスター」 「何っ!?」 「さっきせつなに言った通り、このホホエミーナは廃棄物処理空間だ。メビウスは“不幸のゲージ”ごと、デリートホールに吸い込めばいい」 「吸い込んで……それからどうするんだ?」 間髪入れず、ウエスターが問いかける。実にストレートで単純な、ウエスターらしい問いかけ――だが、サウラーはすぐにはそれに答えず、すっと口の端を斜めに上げた。 (すまない、ウエスター。全てを話して、君に止められるわけにはいかないんだ) 「それから? それは吸い込んだ後の話だ。まずはメビウスの脅威を取り除くことが、第一だからね」 「サウラー……本気で言ってるのか?」 ウエスターの声が、途端に低くなった。 ついさっきまで、頭が痛くなるまで考えた作戦。その中で真っ先に考えたのは、“不幸のゲージ”の中にある“不幸のエネルギー”の脅威だった。自分より遥かに聡明なサウラーが、そのことを考えていないはずがない。 「デリートホールに吸い込んだからと言って、消去したことにはならん……それはお前もよく知っているだろう。つまり……」 「つまり、メビウスと“不幸のエネルギー”は、まだこのラビリンスに残り続けることになる。そういうことよね?」 後方から駆け寄って来たせつなが、ウエスターの台詞の後半を引き取る。ああ、と頷いてサウラーの顔を見つめるウエスターの表情には、何かを窺うような、何かを確かめたいと思っているような、そんな気配があった。 サウラーのことだ。自分には分からない、何か凄い作戦がそこに隠されているんじゃないか――それを探るような目でサウラーを見つめながら、口から泡を飛ばす勢いで言い募る。 「俺も懸命に考えたのだ、俺に出来ることを。そして分かった。“不幸のエネルギー”を全て使い尽させることが出来れば、メビウスは完全に消去できる。そのための切り札がなかなか思いつかなかったのだが……お前のお蔭で見つかったぞ!」 ウエスターはそう言って、太い指で真っ直ぐにサウラーを指差した。 「俺とお前が組めば、メビウスは完全に消去できる。お前がコイツを捕まえている間に、俺が“不幸のエネルギー”を全て使い尽させればいいのだ。そうだろう!? 俺がヤツのコードを片っ端から、全て引きちぎってやる!」 (そうか。いつも僕に作戦を任せて来たウエスターが、自分で策を考えていたとはね……) サウラーが心の中で呟く。 それを馬鹿にする気持ちは浮かんでこなかった。ギラギラと燃えたぎるようなウエスターの目を見れば、それが極めて難しいことだと彼が知っていることも、それでも必ずやり遂げるつもりでいることも、はっきりと分かったからだ。 (ひょっとしたら、ウエスターなら本当にやってのけるだろうか……) 一瞬、そんな能天気な考えが頭をよぎる。だが、サウラーはすぐにそれを打ち消した。 「それは不可能だよ。メビウスが“不幸のエネルギー”を使い尽すはずがない」 サウラーの口から飛び出したのは、さっきと変わらぬ冷ややかな声だった。 「メビウスと“不幸のゲージ”をデリートホールに封じる。これが最上の策だ。成功確率も、君の策より遥かに高い」 ウエスターが炎なら、その声は凍てつく刃。決して溶けない氷塊のような瞳が、静かにウエスターを見つめ返す。 互いに無言のままで睨み合う二人。固唾を飲んでその光景を見守るせつなの中で、小さな疑問が次第に大きく膨れ上がっていた。 (“不幸のエネルギー”を消去することで、メビウスを消去する――それで本当に、全てを終わらせることが出来るのかしら……) 二人の想いは、痛いほどよく分かる。この事態を何とか元に戻すために、まずやるべきことをやる――そうするべきだと、せつなも心からそう思う。 でも、何かが違う気がした。このまま何とかしてメビウスを消去して、それだけで本当にラビリンスは新しい一歩を踏み出せるのか。またいつか近い将来に、こんな事態を招くことになるのではないか。 (そもそも……ううん、そんなことを考えたくはないけれど、そもそも新生ラビリンスは、本当に新しい一歩を踏み出せていたのかしら……) そんなこと、とてもではないが他の誰にも――ましてやウエスターとサウラーになど、言い出すことなど出来っこなくて、せつなはただじっと唇を噛んで、二人の様子を窺う。 その時、ウエスターの方が先に口を開いた。 「すまん、サウラー。俺は頭が悪い。だから、策があるのなら教えてくれ」 ウエスターが絞り出すような声で沈黙を破る。 「策……?」 「このまま、また昔のように管理されるか。それともいつ飲み込まれるかもしれぬ不幸に、怯えながら生きていくか」 不気味なほどに無表情のまま、こちらを見ようともしないメビウス。その姿を睨みながら、ウエスターが苦しそうに言葉を続ける。 「そんな未来をアイツらに……この国に押し付けるなんて、俺には出来ん。なあ、何か策があるのか?」 どうして彼が――自分と変わらぬ過酷な環境で育ち、人を蹴落として幹部にのし上がったはずの彼が、こんなにも真っ直ぐに人の目を見て、こんなにも真っ直ぐに心の内を吐き出すことが出来るのか。 一瞬、眩しそうに眉をしかめたサウラーが、しかしすぐに元の表情に戻る。 「それは封じ込めた後だ。そこをどけ」 「策は無いということか……。ならば、ここを通すことは出来ん!」 ウエスターが再び声を上げる。その直後、ズズッ……というあの耳障りな音が再び聞こえた。コードを飛ばしてバランスを取ろうとしているものの、“不幸のゲージ”がさらにホホエミーナに引き寄せられ、その揺れが次第に激しくなっている。 (これが最後のチャンスか――ウエスター、頼む!) ここまで来て、何故自分は心の内を、この相棒に隠そうとするのだろう――チラリとそんなことを思いながら、サウラーは相変わらず無表情のまま、ウエスターに懇願する。 「僕が絶対に何とかする。だからそこをどいてくれ!」 「いいや、ダメだ!」 激しくかぶりを振るウエスターを見つめて、サウラーが、今度はすっと目を細めた。 「そうか……ならば仕方がない。力づくでも、通してもらうよ」 静かに言い放った次の瞬間、サウラーの姿が忽然と消えた。 瞬時に視野を広げ、動くものを探す。視界の端に捉えた影に、ウエスターは即座に足を跳ばした。 「行かせるかぁっ!」 「はぁっ!」 ひらりと身をかわしたサウラーが、鋭く蹴り返してウエスターの正面に立つ。 「二人とも、やめて!」 後方からのせつなの声を聞きながら、サウラーが目にもとまらぬ速さで右ストレートを放つ。反射的にその拳を受け止め、身体ごと放り投げた途端、強烈な違和感がウエスターを襲った。 (力で到底敵わないこの俺に、あのサウラーが拳を合わせただと……?) 「サウラー!」 慌てて中空に、その姿を探す。さっき戦っていた時よりも、鼓動が速くなっているのを感じた。正体の分からない不安に突き動かされ、せわしなく視線を動かす。すると、ウエスターの目測よりかなり上空に、サウラーの白い影があった。 高々と宙を舞うサウラーは、ウエスターと目が合うと、ニヤリ――ではなく、実に晴れ晴れと笑った。その笑顔を見た途端、全身に衝撃が走って、ウエスターが極限まで目を見開く。 ――後は頼んだよ、ウエスター。 サウラーの声が聞こえた気がした。耳ではなく、心の奥に響いて来る、声なき声。それを聞いた瞬間、ウエスターはもんどりうって空中へと跳び上がった。 「待て、サウラー!」 「ホホエミーナ、今だっ!」 もつれ合う、ウエスターとサウラーの叫び声。 「ホ~ホエミ~ナ~!」 ホホエミーナの雄叫びが、今度は何とも哀し気に響く。その声と共に、ホホエミーナの身体が大きくなり、円形の扉も倍以上の大きさに膨らんだ。もうゲージのどの角度からコードが飛んできても、それはあっけなく扉の中へと吸い込まれていく。 さっきまでとは比べ物にならないスピードで引き寄せられていくゲージ。それと共に、メビウスの巨大な像も、少しずつこちらに迫って来るように見える。 そしてついに、“不幸のゲージ”が宙に浮く。だが、吸い込まれようとしているのはそれだけではなかった。 (あと少し……あともう少しだ!) 両手を広げ、眼前に迫る“不幸のゲージ”を見つめながら、サウラーの身体もまた、木の葉のようにくるくると風に翻弄され、扉へと近づいていく。 (ウエスター。僕だって、未来に不幸を残したくはない。だから、完全に消去してみせるよ。デリートホールの中で!) “不幸のゲージ”が、眼前に迫って来た。濁った薄黄色の“不幸のエネルギー”は、間近で見ても、あの町――四つ葉町で集めたそれと、そっくりに見える。そのことを何だか嬉しく思いながら、サウラーが、グッと硬く硬くこぶしを握って身構える。と、その時。 パシリ、という音がして、誰かがサウラーの腕を掴んだ。 驚いて目を上げたサウラーの視界に飛び込んできたのは、せつなの顔だった。ホッとしたような、怒ったような顔でサウラーを睨み付け、腕を掴んだ手にギュッと力を込める。そしてせつなの身体を支えているのは、いつの間にそこまで跳び上がったのか、ホホエミーナの四角い身体の上に腹ばいになった、ウエスターだった。 「こんな策は認めん!」 ウエスターの大声が、風の音を掻き消す。 「お前が一人で、不幸を引き受ける必要はない。不幸は、俺たちみんなで抹殺するんだ。そうだろうっ!」 「ウエスター……」 サウラーが呟いた、その時。突然、三人の身体が――いや、三人を支えているホホエミーナの身体が、ぐらりと揺れた。 「うわぁっ!」 三人が空中に放り出される。それと同時に動いたのはウエスターだった。 右腕にせつなを、左腕にサウラーを、しっかりと抱える。そしてそのまま、地面に叩きつけられた。 「ウエスター!」 せつなの絶叫が響き渡る。二人を庇って、ろくに受け身も取らないまま落下したウエスターは、地面に横たわったまま、ぴくりとも動かない。 その直後、ドーンという衝撃音と共に地面が揺れた。もうもうと立ち込める土煙の向こうで、ホホエミーナの四角い身体が横倒しになっているのが見える。 一体何が起こったというのか――血走った眼で辺りを見回したせつなの顔が、驚きの表情のまま固まった。 「そんな……どうして!?」 「ソレワターセー!」 自分の見ているものが信じられない――その思いが、今度は耳から打ち砕かれる。 暗緑色の蔦が絡み合ったような、巨大な姿。その真ん中にぱっくりと開いた裂け目から覗いているのは、邪悪に光る赤い一つ目――。 最高幹部であったノーザだけが生み出せる、ラビリンス最強のモンスター。つい数時間前に、サウラーがこの街を守るため、“次元の壁”に封じ込めた怪物――ソレワターセが、そこに立っていた。その手に握られた“不幸のゲージ”が慎重に、うやうやしいとも見える手つきで地面に降ろされる。 「愚か者どもめ」 呆然として声も出ない二人の頭上から、声が降って来た。 「このラビリンスのものは全て、私の手中にある。あんな小細工など、見抜くことなどわけも無い」 さっきまでこちらを見ようともしなかったメビウスが、不気味に赤く光る大きな目で、無表情にかつての僕たちを見下ろしている。 「……くっ!」 人を小馬鹿にしたようなその口調に、ようやく我に返ったサウラーが、悔し気に空を見上げる。そしてすぐさまその目を怪物たちの方へと移し、弾かれた様に立ち上がった。 サウラーが見た光景――それは、横倒しになったまま立ち上がろうともがいているホホエミーナに、ソレワターセが触手を伸ばすところだった。シュルシュルと蔦のような腕を伸ばし、絡め取った重そうな身体を苦もなく持ち上げる。 「ホ……ホエミーナ……」 ホホエミーナが足をバタバタさせながら、か細い声を上げる。その声に、辛そうに顔をゆがめたサウラーが、次の瞬間、その身体目がけて飛んだ。 「はぁぁぁぁっ!!」 サウラーの鋭い蹴りが、ホホエミーナに炸裂する。それと同時に、二体のモンスターが変化し始めた。 二つの身体がぐにゃりと歪み、暗緑色のひとつの塊になる。その塊が大きく膨れ上がったかと思うと、天を突くような巨大な一体のモンスターが出現した。 さっきの五倍、いや十倍以上の大きさになった身体は、やはり中央に円形の扉が付いた、鋼鉄のような四角張った姿。しかしさっきまでとは異なり、身体の表面が無数の円錐状の棘で覆われている。丸いつぶらな瞳の代わりに、三角に吊り上がった大きな目が、爛々と赤く輝く。その額には、植物とひとつ目を組み合わせたようなノーザの紋章――。 「ソレワターセー!」 さっきまでのか細い声とは似ても似つかぬおぞましい雄叫びを上げて、新しい姿となったモンスターが、まだ空中に居るサウラー目がけて、ブン、と腕を振り上げた。こちらも棘付きの鉄球のように変化した手の攻撃をまともに喰らったサウラーは、あっけなく地面に叩きつけられる。 「サウラー!」 せつなが必死で駆け寄ろうとするが、とても間に合わない。が、地面に激突しようとした瞬間、サウラーの表情が僅かに動き、ニヤリと不敵な笑みを形作った。 「この私を消去しようとは……身の程を知るがいい。ソレワターセ、やれ」 「ソレワターセー!」 地面に倒れたまま動かないウエスターとサウラー、そして二人を守るようにその前に立ちはだかるせつな。彼ら目がけて再び円形の扉が開かれようとしたとき、せつなにはサウラーの笑みの理由がはっきりと分かった。 サウラーの渾身の蹴りが当たった場所――円形の扉は中央の部分が大きく凹んで、開くことが出来ない状態になっていた。ホホエミーナがソレワターセに取り込まれることを危惧したサウラーが、ギリギリのところで、仲間と自分が消去されるのを阻止したのだ。 「小癪な。だが、そんなものは気休めに過ぎん」 「ソレワターセー!」 メビウスの冷ややかな声とともに、ソレワターセが今度は腕を振り回して暴れ始めた。辺りの廃墟が音を立てて崩れ落ち、瓦礫が盛大に空を舞う。 やがて破壊音が止み、立ち込めていた埃が収まった後には、膨大な瓦礫の山があるだけで、動いている者は一人も居なかった。 ウエスターとサウラーの傍らで、せつなも地面に投げ出された格好で横たわっている。そこから少し離れたところでは、ラブと少年が瓦礫の上に倒れ、二人に覆い被さる格好で、少女が倒れ込んでいた。 「愚かな……。本当に愚かな生き物だ、人間というものは」 地面に横たわったまま、ぴくりとも動かない人間たちを、メビウスが天の頂から無表情に見つめる。 全てはメビウス様のために。全てはメビウス様のために。 先方にそびえる新たな城の方から、既に管理した人間たちの声が小さく聞こえて来る。その声に少しの間耳を傾けてから、メビウスはもう一度、元幹部たちの方へと視線を戻した。 「しかし不思議だ。本当にこんな愚かな生き物が、一度は私の野望をくじくことが出来たというのか……」 誰にともなく、怪訝そうにそんなことを呟きながら、メビウスが瓦礫の山を舐めるように見つめる。やがて、メビウスの瞳が僅かに見開かれ、“不幸のゲージ”から、新たなコードがゆっくりと動き出した。 ~終~ 第16話:本当の姿へ