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「ゆ~♪ゆ~♪」 なんの変哲も無い一般的な1人暮らしの男性の部屋。 ここでなんの不自由も感じた事のない子ありすが歌っていた。その隣で男が掃除をしている。 ありすは生まれてからここでずっと過ごしてきた子ゆっくりだ。 シルバーバッジも持っているれっきとした飼いゆっくりだった。 このありすは外でゆっくりを見ても、自分がソイツらと同じ生き物だという事がわからない。 自分を人間だと思っているのだ。 目の前で掃除をしている男の子供なのだという意識が強く根付いていた。 そういった思考は彼が植えつけたわけではなく、 単純に親ゆっくりや、他の友達になるはずだったゆっくりの存在がまるまる欠落していたからだった。 「さて、と」 彼が掃除の手を止め、時計を見たのが見えた。 ありすはそれを自分のごはんの合図だと知っている。 これが人間の子供だったら、いつもとは違う雰囲気をもっと敏感に感じ取ったに違いない。 何しろありすに一度も目を向けなかったのだから。 しかしありすは不安や不満を感じる事はなかった。 「ゆ♪おにいさんそろそろごはんのじかんだよ!」 「すまんなぁ。今俺が何やってるかわかるか?」 「ゆゆ?ゆ~ん。わかったよ!おそうじだよ!」 良く答えられたでしょ!褒めて!という顔をするありす。 いつもだったら「ありすは偉いね!」と言いながら、彼は撫でてくれる。 ありすはそれが大好きだった。 ざらざらしてる手だけど、暖かくて、それがとても嬉しかった。 しかし、今日はその手もやってこなかった。 ……あれ?どうして?おにいさんがありすはいいこだねってほめてくれないよ? ありすが怪訝そうな顔をしていると、彼はやっとありすの方を向いた。 これといって温度のある表情をしていない。 もくもくと作業をこなすだけと決め付けたような顔だ。 そこに少し色が入った。めんどくさそうな、ありすが初めて見る顔だった。 けれど、それに意味があるだなんて、考えもしない。 彼が突然喋り出した。 「お兄さんね、遠い所に行かなきゃいけないんだ」 「ゆゆ?とおいところ?とおいところってなぁに?」 要らない本を縛って並べる。 その作業をしながら彼は答えた。先ほどと同じ、温度の無い表情で。 「引越しさ」 「ひっこし?ゆゆぅ?ありすひっこしなんてしらないよ?ごはんもってきてね」 「こらこら、人に質問をしたら、お願いは一番最後に言いなさいって教えたよね。これが最後なんだからしっかりやろうね」 「ゆ?さいご?」 「ああ。その引越し先ね、ペット禁止なんだって」 「ぺっときんし?ああ!ありすしってるよ!いぬさんとか、ねこさんといっしょにすめないんだよ!」 またもありすは得意気に、目を閉じて丸々とした胸であろう部分を反らして見せた。答えは会心の出来。 お兄さんがこれで褒めてくれないわけがない。 彼はありすに聞こえるか聞こえないかの所でため息を吐いて、頭を掻いた。 「うん。正解。つまりお前を連れてけないんだなぁ。コレが」 あくまでも軽く言い放った。 「ありすを?どうちて?」 「ん?だって今お前自分で答え言ったじゃんか。ペットが一緒に住めない部屋に越すんだって」 「???」 「あー、やっぱりか。薄々なぁ、そういう誤解をしてるんじゃないかと思ったんだが。だから結構頻繁に外に連れてったりしてたんだが……お前、自分を人間だと思ってる?」 彼の顔には失意の色が見え始めた。ありすにも少し、様子がおかしいのがわかる。 「ゆぅう!?どういうこと?ありすはとかいはでにんげんだよ!」 「とかいは……都会派ねぇ。そんな言葉教えてないんだけどね。」 「ゆ!ありすはがんばってるよ!」 「うんうん。確かに良く頑張ってるよ。でもね、とかいはって言葉がお前から自然に出てきちゃう事自体、凄い問題なんだわ。いや、その部分は別に問題じゃない。つまり、それが現実だって事なんだよなぁ」 うんうん、とワザとらしくひとりごちる男。 ありすには全然話が見えない。 「おにいさん、よくわからないよ!」 「いや、だから、お前がゆっくりだって事がハッキリしてるって事。とかいはって言った時点で」 「ゆゆぅ?なんでありすがとかいはだとおにいさんがこまるの?」 「全然困らないよ。今言っただろ。お前がゆっくりだって事」 「おにいさん、よくわからないよ。どうしてありすがゆっくりだといけないの?」 その言葉を聞いて、彼は一瞬動きが止まった。沈黙は一瞬で、その間にどういった思案が駆け巡ったのかはわからない。 「ゆっくりだと、いけないなんて事はないよ。でも次に越す所がペット禁止だから、お前を連れて行けないの」 「ゆぅ……」 「はぁ、わからない?」 わけのわからない事の目白押しだった。初めて聞くような言葉、そして初めての雰囲気。しかもなんとなく悪い予感がしてくる。 ありすはその雰囲気をなんとかなくそうとした。 「わからないよ!ごはんがまだだよ!ぷんぷん。おにいさんはきょうわけのわからないことばっかりいうよ!ゆゆっ!?」 ありすの視界が突然空に浮いた。 「ゆぅ~っ!おそらをとんでるみたい!」 ありすはおにいさんが遊んでくれる時、こうなる事を良く知っていた。 視界が安定すると、そこには大きな笑顔のお兄さんがいつもいるのだ。 嬉しいと、カチューシャがぴこぴこ動く。それもお兄さんは可愛いと言ってくれた。 自分はこの人にとって自慢の子供なのだ、といつも信じる事ができた。 けれど、今日は勝手が違った。そこには氷のような、崖のような表情をした彼しかおらず、ありすのカチューシャは元気なく静まってしまった。 「ゆっ……おにいさん、なんだかこわいよ」 ありすは彼の掌の上で、小さく縮こまっている。それを一撫ですると、少し落ち着いたように見えた。 彼はありすを見据えて、少し黙った。 「ええとね。ありすはね、ゆっくりなの。そしてゆっくりはね、ペットなの」 「……むむむ、むずかしいよ!もっとゆっくりしゃべってね!」 「ありす、ゆっくりって知ってる?」 「しってるよ!ゆっくりしていってね!」 「そうじゃなくて。ゆっくりのことだよ」 「ゆぅ!ゆっくりってあのばかなこたちでしょ?ゆ~ゆ~いってて、いつもゆっくり!っていってるばかなこたちだよね!とかいはのにんげんとしてはゆるせないたいどだよ!」 「……そんな事ないよ。だってお前もその子達と一緒だもん。何度か言ってきたのに結局わかってくれなかったんだね」 「ゆ……?おにいさんなにいってるの?ありすはおにいさんのこどもだよ」 「う~ん、違うよ」 「ゆっ……?ゆそ……」 「あれ?なるほど、そこがお前のアイデンティティだったのか。うんうん。なるほど。そうだよ、お前は俺の子供じゃない。だからお前は人間じゃないんだ。何度も教えたよね。ちゃんと聞いてくれなかったよね」 「ゆっ、ゆぇ……ゆぇえええええん!おにいさんがへんなこといっていじめるよ~!」 「へんなことじゃなくて、ほんとうだよ。じゃあ、ちょっと待ってて」 彼はそう言うと、そそくさと家を出てしまった。 ――ありすがないても、なにもしてくれない。 数分後、彼は手元に小さなれいむを抱えてきていた。 「ゆゆっ!綺麗なおうちだね、ここはれいむのゆっくりぷれいすにしてあげるよ!」 「ハイハイ」 「ゆぅう!おにいさん!ゆっくりはゆっくりできないよ!やばんないきものはとかいはとはいっしょにすごせないんだよ!おにいさんもゆっくりできなくなるよ!」 「ハイハイ」 「ゆゆゆ!?そこにいるのはありすだね!にんげんにかわれてるありすなんてゆっくりしね!」 「ゆうう!れいむこそゆっくりしね!」 「なぁ、れいむ」 「ゆゆ?なぁに?おじさん」 「あのありす、何に見える?」 「おじさんばかなの?ありすはありすだよ!ひきょうなれいぱーのありすだよ!」 「れい……ぱー?」 ありすは耳慣れない言葉を復唱すると、首を捻った。 「まぁ、そんな言葉はどうでも良いんだ。れいむ、俺が聞いてるのはだよ?このありすはお前と同じゆっくりか?って事なんだよ」 「おじさんはじんせいやりなおしたほうがいいよ!そんなことがわからないなんてばかだよ!」 「そうだね。だからこのありすに教えてあげて欲しいんだよ。俺に代わってね」 「しょうがないね!おしえてあげるよ!そこのありす!ありすはれいむたちとおなじゆっくりだよ!でもありすはれいぱーだかられいむよりかくしただよ!みんなからきらわれてるよ!」 「ハイ、注釈もありがとうございました」 「ゆっへん!れいむのすご、ぎゃぶっ!」 れいむが胸を反らせた所で、彼は床に叩きつけて絶命させた。びたん、という重めの音がした後、れいむは餡子を拡散させて動かないただのゴミへと姿を変えた。 「あああ、ありすは……ありすが……ゆっくり……」 「そうそう。わかった?」 「そんなわけないよ、ありすはにんげんだよ、おにいさんのこど――」 「しつこいな。お前は俺の子供なんかじゃねぇって!」 「ゆふっ、ゆぇえ???」 「すまん、取り乱した。とにかくお前は俺の子供じゃないし、人間だって事も100パーありえない。それどころかお前には自分がさっきバカにしたゆっくりなんだって事をわかってもらいたいんだ」 「ありすは!ゆっくりじゃないよ!おにいさん、しんじてよ!」 「信じるよ。お前がゆっくりだって事をね。あ~あ、マジで飼うんじゃなかった。ハンパに情があるから余計捨て辛い」 「すて?……すて?ありすを?すてる?」 「ああ。そういう事。お前はペットだから次の家には連れてけねーの」 「ゆゆゆ……ゆっくりはペットじゃないよ……、それに、ありすはにんげ……」 「だからぁ!お前はゆっくりだし、ゆっくりはペットなの!!」 「ゆぎゃっ!!」 ありすは突然視界が暗転したように感じた。 「ゆえっ!?ゆえええ?なんで!?どぼぢだの?おにいさんだいじょうぶ!?」 急に来た衝撃で、とっさに彼の事を案じたのだった。 ぼやけた視界の中で徐々にお兄さんの姿がハッキリとしてくる。 顔をはたかれたのだ。 彼は奇妙な顔をしていた。 痛みを堪えるような、悲しみに堪えるような、怒っているような。 ありすは生まれて初めて彼に恐怖に近いものを感じていた。 その表情、雰囲気、人間の子供ならばその変貌をもっと早く感じ取り、泣いていたはずだ。 それだけの変化がありすの前にあった。 しかしありすはゆっくりだった。 ありすの中では、彼がゆっくりできない存在に、まだなっていない。 だから「怖い」とはっきり感じられない。 彼は悔やむような目をした。 仮にも今まで過ごしてきたありすに対して、手を上げてしまったのだ。 「俺が殴ったんだよ」 「ゆぎぃっ!どぼぢで!?おにいさん、どぼぢでぇ゛え゛え゛!?」 ありすは必死で彼に自分の気持ちを「説明」した。 けれどもそれは彼に届かない。 彼はもう決めてしまっていたのだ。 もう少し物分りが良ければ、騙されたままでいられたのに。 お兄さんは目を反らして、少しだけ息を吸った。 「お前を引き取ってくれそうなヤツが回りに1人もいなかったんだ。だから」 ごめんね。 ありすは雑草の生い茂る、空き地に居た。 あの後の事は全く覚えていない。 考える事で頭が一杯で。 いや、考える事なんて、ゆっくりにあるんだろうか。 それは漠然としたイメージの連続と印象。 見た物は正確に覚えていない。 許容量なんて元々あって無いようなモノだ。 扱う情報の重さが増えれば簡単に底が抜けてしまう。 そう、彼と過ごした時間、ありすにとってそれは全てだったのだ。 呆然とした顔のまま、バッジの無いありすになっていた。 ありすは、だれなの? 数時間経ち、周りに野良ゆっくりがたかってきて、ようやく意識を取り戻した。 周りの雑草の、背が高いな、とありすは思った。 それを遮るようにして肌色な3匹の野良ゆっくりがいる。 「ゆゆぅ?なにこのありす?ぼーっとしてるよ?」 「あんまりみないありすだね、どこのこなの?かわれてるゆっくりならゆっくりさせてあげないよ」 「ゆぅう!ずいぶんとかいはなありすね。とってもきれいだわ」 「ゆぅ……?なぁに?ありすになにかようなの?」 ちかくにいるのはれいむとまりさ、そして自分と同じ種類のゆっくり、ありすだった。 野良生活が長いのだろう。肌は水分が大分欠けているようで、表面はパサついているように見える。 チリやゴミで汚れているまりさは仲間のありすに喋りかける。 「ゆゆぅ!?ありす?こんなのがありすのとかいはなの!?」 「そうよ!かみがとってもきれいだわ!はだもつるつるよ!おなじありすとしてなかまにいれてあげてもいいわ!」 野良ありすは、自分を見て、同じありすだと言う。 少しだけありすの頭に、お兄さんの言葉がよぎる。 自分がゆっくりだと、言われたような覚えがある。 そんなこと、ないよ?ありすはゆっくりじゃないよ。 ゆぅう、だって、こんなにきたなくないよ? そんな小さな反抗が、無駄な事を言わせた。 「さんにんともきたないね、そんなのとかいはじゃないわ」 「ゆゆぅ?このありすひどいこだよ!」 「ゆーっ!いらいらするありすだね!それにばっじがないよ!このありす」 「すてられありすなの?それじゃあとかいはじゃないわ!かわれてたゆっくりとつきあうのはとかいはのすることじゃないもの」 「あははは!ばかありすなんだね!」 「きれいでも、すてられたらばかだよ!まりさはかわいいからかわれてたらすてられないよ!ありすはのろまさんだね!」 「いっしゅんでもこのこをとかいはだとおもったわたしがばかだったわ!」 「ゆべぇっ!どぼっ!どぼぢで!?」 草むらで3匹の体当たりが始まった。空き地の外からはそれが見えない。 子ゆっくり達にとって、この空間は林や森と同じ意味を持っていた。 ゆっくりは弱い者苛めが大好きだ。 いつでも、どこでも、自分より弱いと思ったものに対しては徹底的に苛める。 誰にも見られないのなら尚更良い。 すてられたありすにしても、同じゆっくりを認められず、バカにしていた。 飼い主がそんな気持ちを持っていなかったのにも関わらず。 幾度も幾度も体当たりをされている内に、ありすは小さな擦り傷だらけになっていく。 勿論数分で治るような傷ばかりだが、傷がついていく事に胸が痛くなる。 綺麗だ、可愛いと言われた自分の体にどんどん傷がついていく。 「ばーかばーか!」 「ばかなこはしね!」 「とかいはじゃないからしんだほうがいいわ!」 「どぼぢであ゛り゛ずが!ごん゛な゛め゛にあ゛う゛の!?ゆ゛っく゛り゛でき゛ない゛よー!」 心も薄汚れた野良ゆっくりにありすは蹂躙されていくのだった。 しかし、野良ゆっくり達の攻撃がリズムに乗ってきたために、徐々にありすの様子が変わり始めた。 「んぉ?ほぉおお?」 「あっ!」 「まずいよ!」 「とかいはとしていやなてんかいになりそうね!」 「なっ、なぁにこれっ!んほ、んほぉおおおおお!げっ、げひんなこえがでるよ!んほぉおおお!」 リズムのある攻撃が振動となってありすの本能を開いてしまったのだ。 ありすの本能。見境なくゆっくりを襲ってしまう性。 飼いゆっくりであれば自制できるよう育つのだろうが、 如何せんこのありすはさっき捨てられたばかりで、自分が誰なのか、何なのか、混乱している状態だった。 そんな時のこの3匹の攻撃は、ありすの持っていた本能を呼び覚ますのに十分な程心にダメージを与えた。 3匹は逃げる体勢になったが、間に合わない。 同じ体格なら、この状態のありすに速度でも、体力でも、敵わないのだ。 「れいぱーだ!」 「こどもができちゃううううう!しんじゃううううう!」 「ゆっくりとかいはとしてにげるわ!」 「にっ、にがさないわよぉおおお!なっ、な゛んで!?なぁに゛ごれっ!んほぉおお!」 いまだ混乱する自分らしさ。汚い自分。傷ついた自分。 それがお兄さんと捨てられたイメージと結びついた。 真っ暗闇に性欲という光が差し込んだ。 勿論この子ありすにそんな感覚が理解できるはずもない。 けれど、その精神的な情動を、正しいとありすは思った。 この自分の猛りを静めてくれさえすれば、もうどうでも良い。 それがすなわち光なのだ。 自分の目指す光。自分を導く光。 それが他の個体の未来を打ち消す闇になろうとも良い。 だって、ありすは人間なのだから。 「もうどうでもいいわぁ~!あなたたちかわいいわよぉ~!!」 「ゆぅううっ!ゆっくりできないよー!」 「んほ、んほ、んほぉおおおーーー!さんにんともせっきょくてきなんだからぁ~!しょうがないからだいてあげるわぁ~!」 「ゆゆぅう!?どうやってうごいでる゛の゛ぉ゛~!?ゆっぐり゛でぎない゛よ゛ぉ~!お゛い゛つ゛め゛ら゛れ゛る゛よ゛ぉ゛お゛!!!!!お゛う゛ぢがえ゛る゛う゛う゛う゛うぅぅ゛うう゛う!!!!!!」 泣いても、無駄だった。 発情したありすは、混乱した3匹を的確に袋小路へ追い詰め、徹底的に襲った。 「んほぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」 空き地に、様子のおかしいありすがいた。 目はとても穏やかなようでいて、とても真っ暗だった。 近づいてみると、マーブルのようで、たくさんの色彩が混ざっていた。 刻々と移り変わる瞳で、ありすは目の隅にある黒ずんだものについて思案を始めた。 あれはなに? そして目の前には、精気を失ってしぼみはじめている、茎がたくさんたくさんついている、変なスポンジのような何かがいる。 じぶんのくちからへんなこえがでてる。 あと、うごいてる。たくさんたくさん。ふしぎ。ちょっととかいは? 「んほぉおおおおおおおおお!」 この目の前にいる何かを、先ほどまで喋ったり、追いかけていたりしたような気がする。 ありすは、少しずつ冷静になってきていた。 とかいはでにんげんのわたしが、おいかけっこなんかしないわ。 ところで、ここはどこ? おにいさんはどこにいるの? ありすは、おなかすいたよ。 おにいさん、どこにいるの? ありす、さみしいよ。 おにいさん、おにいさん。ありすさみし……、 あれ?ありすって……、だれだっけ? ありすはゆっくりだよ。ありすはゆっくりじゃないよ。 あれ?あれれれ?ゆぅうう。ありす?そんなこしらない。 おにいさん、たすけて 「んほぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!すっきりー!!」 「うっわ、きもちわりぃ、近所迷惑なんだよ!」 その声はありすを数時間前に捨てた彼だった。 裏手にある空き地で、自分が捨てたのと同種の声が聞こえた事に堪えきれなかったのだ。 しかも、その声はありすを飼う人間として一番聞きたくない言葉、声の羅列でもあった。 「やっぱり、こんなトコにアイツ捨てなきゃよかった。今からでも遅くない。住む家変えよう。それでアイツも連れてこう。ありすー!どこにいるんだー!?」 「はぁ、はぁ、にんげんはゆっくりできないわー!」 ありすは家にいた頃と全く違う表情を浮かべていた。 本能にインプットされている言葉が口から出る度に、ありすは煩悶する。 しかし、そんな気持ちが彼に伝わるわけがない。 「はぁあ、こんなんだから野良はなぁ。ちゃんと育てれば可愛いのに。あれ?こいつ犯してたの、ありすじゃないか!俺のありすじゃ……ないな。これは。んで勿論この汚いのも俺のありすなワケがないし。汚いし」 ち、ちがうの!わたしが、おにいさんの…… 「おにいさん……!ここはありすのゆっくりぷれいすだよ!ゆっくりでていかないととかいはじゃないわ!」 考えているのとは全く違う言葉が口から何度も出た。 彼の顔が、自分を見る目が、以前と全く異なっている事にも気付いている。 だからこそ、心で念じれば彼に届くと思った。 情事に汚れきったぐちゃぐちゃの体で、 前とは比べようもない程の醜悪な顔で。 この顔を見ればわかるでしょう、と。 でも、その顔は、情事を通り過ぎたたくさんのありすのうちの一匹でしかなかった。 彼はそれを可哀想な顔で見つめる。 「俺のありすが被害にあっちゃうかもしれないから、しょうがない。ごめんな。ありす、大丈夫かなぁ」 彼は意を決すると、足を軽く振り抜いて、目の前の発情した「野良」ありすの頭部を刈り取った。 「ゆっ!」 ありすには、その行動が信じられないほどスローに見えた。 キラキラと光の粒が見えるような気がした。 足が近づいて、殆ど真っ暗になった時、少しずつ視線もズレていくのを感じた。 下半身が心なしか頼りない気がする。 自分の重さを全く感じない。青空。 空ろな思考の最後に見えたのは、彼の複雑そうな、残念そうな顔だった。 ありすはちょっぴり、嬉しい気がした。 千切れた頭部は奥にぺちゃり、と情けなく弱弱しい音を立てて落ち、胴体からは黄色のクリームが流れた。 彼は自分の手が汚れるのも構わずに、それを慣れない手つきでスーパーの空き袋に入れると、他の3体の黒ずんだ体も袋に詰めた。 空き地ではずっとありすを呼ぶ声がしていた。 祝☆ゆっくりを狩る者さん復活!
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前ページ次ページNeverwinter Nights - Deekin in Halkeginia ディーキン、ルイズ、タバサの3人は、調べた本を手早く元に戻すと、キュルケたちが発見したというものを検分しに向かった。 道中で、お互いが発見したものやそれを見つけるに至った経緯についての情報交換をする。 「ふうん……、タバサのお父様はそんな手の込んだことをしてまで、隠れて遺跡の捜索を? それは、確かに妙な話ね……。『虚無』かあ、ありえそうね」 そう言いながら、キュルケが詳しく説明してくれたところによると……。 彼女らのチームが発見したのは、いわゆる“隠し通路”のようなものらしい。 キュルケらがある客間を調べている最中に、トーマスは唐突に留め金を外すようにして、ある戸棚の横の金具をずらした。 そして、キュルケとシルフィードの目の前で、その戸棚を横にスライドさせてみせた。 その奥には、ほとんど空っぽではあったが、小さな隠し部屋があった。 彼は懐かしそうな目をしながら説明してくれた。 「驚かれましたか。このお屋敷には、こういった隠し部屋や秘密の収納スペースがいくつもあるのですよ。 時代のある建物で、優秀な固定化が施されているがために立て直しの必要もなかったことから、多くは忘れられているようですがね」 腕白な少年だった頃からこの屋敷に住んでいた彼は、あちこちを探検して回っていた時、偶然にこれを発見したのだ。 それからは宝探し気分でわくわくしながら屋敷中を調べて回り、他にもいくつかの隠し部屋や秘密の引き出しなどを見つけ出した。 いずれも使われなくなって久しいらしく、残念ながら宝などは見つからなかったが……。 彼はそれらの存在を自分だけの秘密にしておいて、タバサとの追いかけっこや手品のタネなどに活用していたのだ、という。 「……そんなの、聞いてない」 何回やっても彼に勝てない、タネを見抜けないと、当時はずいぶんと悔しい思いをさせられたものだったが……。 まさか、そんなものを使っていただなんて。 「ずるい」 タバサが少しばかり不機嫌そうな様子でそう呟いたのを聞いて、キュルケは苦笑した。 この小さな友人は、その寡黙で淡泊そうな態度に似合わず、なかなかに負けず嫌いなところがあるのだ。 だからきっと、昔もむきになって彼に勝とうと頑張っていたのだろう。 それが今になって事実を知らされて、そんなインチキで昔の自分は悔しい思いをさせられたのか、と根に持っているに違いない。 しかし、トーマスはトーマスで、優秀なタバサに追いつかれまいとして一生懸命だったという。 『僭越ながら当時の私は、お嬢さまに年下の兄弟に対するような想いを持っておりましたから。 ずっと尊敬され続ける兄の立場でありたいと、今思えば畏れ多いことを考えて……。 それで、お嬢様は優秀な方でしたので、少しくらいずるをしてでも絶対に後れは取るまいと、幼稚な意地を張ってしまって……』 彼は、お嬢さまには内緒にしてくださいね、と、少しきまり悪そうに微笑みながら、そうこぼしていた。 平民とはいえ、実に精悍で、かつ可愛らしいところもあるいい男だった。 彼がタバサの兄上なら、婿にすれば自分はタバサのお姉さんになるわけよねー、などと、しばしたわいのない妄想をしたものである。 「まあまあ……、ほんの子どもの頃の話じゃないの。 それに、あなただってこの屋敷にずっと住んでたけど知らなかったようなものを見つけた、その観察力はすごいじゃない。 おまけに小さい子がそんな大発見をしたら、普通は自慢して回りたくもなるでしょうに。 それをずっと秘密にできたってのも、それだけでなかなか大したものよ?」 「……そうかもしれない」 親友に諭されてそう認めながらも、タバサはまだ少しぶすっとした様子だった。 キュルケはそんな親友の頭を撫でながら、しばし感慨に浸った。 (この子が、こんなに素直に感情を表に出して見せるようになるなんてね……) まだ親しくし始めて間もないルイズあたりから見ると、これまで通りの無表情で大差ないようにしか感じないのだろうが。 彼女を知って長いキュルケから見れば、少し前からは想像もできないほど情動を素直に表に出すようになっている。 父親が思っていたような人物ではないかもしれないと知って落ち込むのではないかとも案じていたのだが、どうやら大丈夫のようだ。 内心複雑なものは当然あるのだろうが、今は孤独に戦っていた以前とは違い、周囲に多くの人がいてくれるからだろう。 「……で、さっきの話に戻るけど。 そのトーマスの話を聞いて、私はぴんときたわけよ。 タバサのお父上の秘密が今でもまだこの屋敷内に残ってるとするなら、そういう場所に違いない、ってね」 それらの場所は、おそらく非常時の避難場所や隠し財産の保管庫などとして、過去の屋敷の主たちが用意したものであろう。 シャルル大公は屋敷の正当な継承者であり、トーマスと同様に幼い頃からこの場所に親しんで、隅々まで知り尽くしてもいたはずだ。 ならば、今ではほとんど知る者がいない隠し部屋や秘密の収納場所のことも、把握していた可能性は高い。 トーマスが知っている限りの隠し部屋や収納スペースには、当時からめぼしいものは何もなかった、とのことだが。 それは大公がその場所のことをちゃんと知っていて、価値のあるものはみな他所に移してしまったからだ、とも考えられる。 それに少年時代のトーマスとて、貴族の私室などの一部の場所には、おいそれと立ち入ることはできなかったはずだ。 もしかしたらそういった場所には、トーマスもまだ発見していない更なる秘密の小部屋や物置などが存在しているかも知れない。 「そういうわけで、私たちがまず調べるべきは、そういったものの有無だって思ったのよね。 それで、シエスタたちのチームと一回合流して。屋敷に詳しいタバサのお母上やペルスランに、何か知らないかを聞いてみたの……」 キュルケに質問された2人は、しばらく考え込んでいたが……。 やがて、ペルスランが答えた。 「もし……、仮に、そういったものがあるのだとすれば。 それはあるいは、私どもが立ち入りを禁じられていた、旦那様の私室のどれかにあるのではないかと……。 旦那様は生前、研究中の魔法の実験器具などがあって危ないからと、いくつかの部屋に関しては片付けは無用と命じられていました。 常に鍵がかかっておりましたので、旦那様の他は、もちろんトーマスも含めて、誰も中には入っていなかったはずです。 今に至るまで私は、お言いつけを守って、それらの部屋の中には入ってみてはおりません」 「それよ! その場所を調べる許可を頂けるかしら?」 キュルケがそう頼むと、オルレアン公夫人は頷いて許可を出してくれた。 立ち入りを禁じた張本人である大公の亡き今、許可を出す権利はその妻である彼女にある。 そこで、キュルケらは早速、全員でもってその立ち入り禁止だったという場所を調べに向かったのである。 かつてはそれらの部屋は、優秀なメイジであったシャルル大公自身の手による『ロック』の呪文で守られていたという。 だが、大公の死後に立ち入り調査を行った王宮の手の者によって既に解除されていたものか、今では中に入るのに何の障害も無かった。 そこは確かに、魔法の研究用の実験室や、その関係の器具や書類を保管しておく専用の書斎等であったようだった。 しかし、薬品棚にも器具庫にも、書棚にも実験用テーブルにも、今ではほとんど何も物は残っていなかった。 おそらく大公の実験成果や有用な魔法道具類は、すべて王宮側が差し押さえて持ち去ってしまったのだろう。 「無駄足だったかしらね……」 長年人が立ち入っていなかったせいでひどく埃っぽい机の上を指でなぞって跡をつけながら、キュルケは退屈そうにぼやいた。 せっかくいいアイディアが浮かんだと思ったが、この部屋は完全に物色され尽くしているようだ。 これでは、たとえ隠し扉や秘密の引き出しなどがあったとしても、そこもとうに荒らされているかも知れない。 「それでも、一応は調べてみるべきかしら。埃まみれになりそうで、嫌だけど」 キュルケが憂鬱そうに呟いた時、オルレアン公夫人が進み出た。 「いえ、隠れた空間があるかどうかくらいでしたら。あなたたちにご迷惑をかけなくとも、私が……」 夫人はそう言って杖を振ると、部屋の中にほんの微かな、風の流れを巻き起こした。 それから目を閉じて、部屋の中をゆっくりと、壁に沿って歩き始める。 それを見て、キュルケは彼女が何をしようとしているのかを理解した。 隠れた空間がどこかにあれば、その空間につながる微細な隙間に風が入り込み、僅かなりとも不自然な大気の流れが起こるはず。 部屋の中に魔法で風の流れを起こすことで、それを感知しようというのだろう。 また、たとえそのような隙間が完全に密閉されていて、風の流れに変化が起こらないとしても……。 部屋の中を歩いて、その振動の伝わり方、足音の響き方を調べることでも、未知の空間が壁の奥にあるかどうかがわかるはずだ。 もっとも、そんな微妙な空気の流れや、建物を伝わる振動の違和感などを感知するのは、並みのメイジには到底不可能なことだ。 相当に優れた『風』や『土』の使い手だけが、そういったものを捉えられるほどに鋭敏な感覚を備えている。 夫人には、そのいずれをもを捉えられるという、確固たる自信があるのだろう。 (さすがに、タバサの母親だけのことはあるわね……) キュルケ自身、若くしてトライアングル・クラスとなった、優れた才覚を持つメイジではある。 しかし、彼女には今のところ、『火』以外の呪文を使うことがほとんどできない。 元々彼女は新興国であるゲルマニアの貴族であり、血統という点では王族であるルイズやタバサに劣っている。 そういった先天的な才能の差を埋め、メイジとしてのランクをいち早く上げるために、己の系統一本に絞って訓練してきたことの代償だ。 もっとも、キュルケは自分の系統に確固たる自信を持っており、他系統が扱えないことに劣等感を覚えたことはなかった。 タバサのようにより多芸なメイジと比べても、自分の方が劣っていると感じたことはないのだ。 自分は『火』なら同年代の誰にも負けないし、それだけでどんな相手とでも渡り合ってみせる。 事実、以前にタバサと手合せをした時も、魔力では互角だった。 数多くの修羅場をくぐってきたという彼女にも、自分は少なくとも、得意分野で戦えば引けを取らなかったのだ。 それに、自分にはメイジとしての能力だけではなく、男たちを虜にする色香もあるし、社交面や商業の分野での才能もある。 一方で、タバサにはそういったものはないだろうが、ひたすら本を読んで蓄えた膨大な知識がある。 だから、彼女に勝っているとは思わないが、負けているとも思わない。 ただ得意な分野が異なるだけだ。 (まっ、私にもああいうことができれば便利だとは思うけどね……。 人間には向き不向きってもんがあるし、無い物ねだりをしても仕方がないわ。お任せしときましょ) さておき、念入りに部屋の中を検分した夫人は、ひとつの本棚の前で足を止めた。 「……この棚の奥に、何か隠れた空間があるのを感じますわ」 「オオ、そんな風に大勢で協力して見つけ出したんだね? やっぱり、みんなを連れてきてよかったよ。 頼もしい仲間がいないと、冒険ってうまくいかないものなの!」 本当に嬉しそうにそういうディーキンの方を見て、キュルケも微笑んだ。 「そうよね。ディー君が誘ってくれたおかげで、私もタバサの役に立てて嬉しいわ」 自分の得意な分野で仲間たちに貢献して、代わりに苦手な分野では、それが得意な他の仲間に頼ればいい……。 ディーキンと同じく、キュルケも素直にそう考えることのできる人物だった。 少し前までの一人で何でもやろうとしていたタバサとは逆で、冒険者向きな性格だと言えるだろう。 「ふうん……、それで、あんたたちはその研究室で隠し部屋だか隠し倉庫だかを発見した、ってわけね。 私たちを呼んだのは、一緒に調べてみてくれってこと?」 そんなルイズの問いに、キュルケは肩を竦めた。 「さあ、それが問題なのよね……。 実を言うと、一緒に調べる前にちょっと問題があって、あなたたちの力を借りたいの。 場所はわかったけど、まだ中には入れてないのよね」 隠し部屋の位置を特定したキュルケらは、しかしそこを開く方法について頭を悩ませていた。 まずは『ディテクト・マジック』をかけてみたが、反応はなかったので、魔法の仕掛けではないようだ。 おそらくは機械式の仕掛けで、トーマスが見せてくれた隠し部屋と同じく、どこかに扉を開く機構が隠されているのだろう……。 そこまでは予想がついたものの、肝心のその仕掛けが一向に見つからなかった。 隠し部屋があるという本棚の近くを念入りに調べてみたが、何も発見することはできなかったのである。 「もしかしたら、扉を開く仕掛けは用心のために、どこか遠くに離して作ってあるのかも……」 キュルケはそう予想したが、では一体どこかといわれると、何もわからなかった。 一行の中に、そんな複雑な機構に詳しい者は誰もいない。 「場所はわかってるんだし、いっそ奥に入るために、この本棚を壊してしまいましょうか?」 そう提案してもみたが、それには夫人が難色を示した。 「……夫は、慎重な人でした。そんな乱暴な侵入には、なにか対策をしているかも知れません。 そうでなくても、中にあるのが何かわからないのですから、あまり乱暴な事をしては台無しになってしまうかも……」 「うーん、それもそうか……」 そんな風にみんなで頭を悩ませていたところで、今度はシルフィードとシエスタが声を上げた。 「きゅい、シルフィにはよくわかんないけど、それならお姉さまをお呼びして聞いてみたらいいんじゃないのね? お姉さまはこのお屋敷に長いこと暮らしておられたんですもの、何か閃かれるかも知れないわ!」 「その……、先生にもお話してみてはどうでしょうか? 先生はあちこちを冒険してこられた方ですし、たくさんのことができるみたいですから……。 もしかしたら、どうにかしてくださるかも」 「……ってことで、あなたたちを呼んだわけよ」 ちょうど事の次第を説明し終えたあたりで問題の研究室に着き、キュルケはディーキンらを、件の本棚の前に案内した。 近くにはトーマスらもいて、部屋のあちこちをまだ調べている最中だった。 ディーキンはその前に、研究室の床に描かれた消えかけた魔方陣の痕のようなものに目を止めて、少し考え込んでいた。 だが、じきに切り上げてキュルケの後に続いた。 「さあ、何かできそうだったら、ちょっと調べてみてくれないかしら?」 「…………」 キュルケに促されて、タバサは部屋のあちこちを見渡しながら考え込んだ。 この部屋には、小さい頃に父に何度か入れてもらった覚えがある。 とはいえ、当然その時は隠し扉など開いてはいなかったわけで、面白い試作の魔法の道具や演示実験を父に見せてもらった程度だ。 扉を開くための手掛かりになりそうなことを知らないか、などと言われても……。 そう思っていたところで、ディーキンがとことこと本棚の前に進み出た。 「ここに、扉があるんだね? それだけわかってれば大丈夫なの、ディーキンが開け方を調べてみるよ!」 あっさりとそう言って荷物袋の中から細いワンドを一本取り出すと、皆が見守る中で扉に向けて振り、一言呪文を唱えた。 「《エンタヒック・イフニリー》」 そして、しばらく精神を集中して、じっと本棚の方を見つめる……。 すると《隠し扉の感知(ディテクト・シークレット・ドアーズ)》の効果で、たちどころに隠し扉の開き方が頭の中に浮かんできた。 ディーキンはそれから、おもむろに翼を羽ばたかせて天井の近くに浮き上がると、一本の柱の傍に近づいた。 その柱の上端近くについている目立たない燭台の影に、隠し扉を作動させるためのトリガーとなる金具が取り付けられていた。 この金具はメイジならば『フライ』の呪文で傍に行って簡単に動かせるが、下からでは柱と燭台の影になって見えないようになっている。 存在を知らない者には、まず見つけられないだろう。 ディーキンがその金具に手をかけて左に回すと、本棚が鈍い音を立てて横にスライドしていった。 奥には、地下へと続く暗い階段が伸びている。 「さっすが! ディー君は頼りになるわねー」 ハルケギニアでは未知の呪文であったが、キュルケにはもはやいちいち呪文の原理などを問いただす気も無いようだ。 そういうものだとして受け入れているらしい。 「それじゃ早速、レッツ・ラ・ゴーと行こうじゃないの!」 そういって階段に踏み込もうとするキュルケの腕を、タバサが掴んで引き留めた。 「待って」 「……タバサ? どうかしたの?」 「奥に、まだ何があるかわからない」 タバサには、以前にこの部屋に来た時、ガーゴイルやゴーレムのような魔法生物らしきものを見かけた覚えがあった。 用心深く賢明な父のことだ、それらの守護者を隠し扉のさらに奥に配置しているくらいのことは、いかにもありえそうに思えた。 「あまり大勢で行かない方がいいかもしれない。 特に、戦う力のない者には、部屋の外に残ってもらった方がいい」 一行は、この中では近接戦闘に最も長けていると思われるディーキンを先頭に、注意深くゆっくりと階段を下りていった。 各自が光源を持ち、周囲に警戒を払っている。 タバサの進言を容れて、シルフィード、ペルスラン、トーマス、それにオルレアン公夫人は、部屋の外に残る事となった。 夫人は娘の身を案じてついていきたがったのだが、タバサ自身が病み上がりの母親の身を案じ、説得して残ってもらうことにしたのである。 それに、夫人はメイジとしての技量は高いが、こういった調査や戦いなどには慣れていない。 トーマスには、彼らの護衛を頼んでおいた。 「……この通路は、なんなのかしらね。ただの隠し部屋用のスペースにしては、あんまり道が長すぎるわ。 避難用の抜け道と、隠し部屋を兼ねたようなものかしら? いえ、随分幅の広い通路だし、もしかしたら兵隊を移動させるために使ったとか……」 曲がりくねった階段を降り、湿っぽい土のにおいがする通路を進みながら、キュルケがそんな意見を呟いた。 暗くてじめじめした通路だが、狭苦しくはなく、むしろ意外なほどに広い。 あの屋敷の地下に、まさかこんなに広い空洞があったなどとは、実に意外だった。 「そうかも……」 タバサが短く応じる。 彼女も、自分の長年暮らしてきた屋敷の地下にこんな秘密の通路があるなどとは露知らなかった。 「……オ、扉があるよ」 先頭を行くディーキンの目に、通路の行き止まりにある大きい重たそうな金属の扉が見えた。 扉にはガリアの紋章である、交差した二本の杖が描かれている。 扉の先は、どこに通じているのだろうか? 早速扉に手をかけて開こうとしたのは、ディーキンにしては不用意な行動だっただろう。 その途端に、どこからともなく重苦しい低い声が響いた。 『――――合言葉は?』 「……えっ?」 ディーキンは、突然そんなことを聞かれてひどく狼狽した。 合言葉? そんなものは知らない。 さすがに、この場で即座にそれを調べられそうな方法なども、思いつかない。 思い切り泡を食ってしまって、咄嗟に答えた。 「アー……、その、合言葉? ええと、ディーキンは、その、ちょっと調べに戻っちゃ、ダメ……かな?」 「今のは正しい合言葉じゃないわね」 キュルケがディーキンをじとっとした目で見ながら、胸の谷間から杖を引き抜いて、想定される面倒な事態に備えた。 まあ、自分だって合言葉などわからないのだし、やむを得ないが……。 『――――正しい合言葉が、言えぬのであれば』 重苦しく響く声がそう言うのを聞いて、ディーキンはいっそう焦って言葉を続けた。 「アア、待って、待って! ディーキンは思い出したの、ええと、たぶん……」 僅かな間があって。 「……ダ、ダブルゼータはおおまぬけ! ……とかじゃない、かな? きっと……」 「絶対違う」 タバサは淡々とした調子でそう言うと、杖を構えて散開し、周囲を警戒する。 案の定、扉からは無慈悲な答えが返ってきた。 『――――侵入者には、死を!』 「……うう、ディーキンは申し訳ないの……」 ディーキンも駄目そうなのを確認すると、いささかしょんぼりした様子ながら、扉の前から飛び退いてエンセリックを構える。 「し、仕方ないですよ、先生。落ち込まないでください!」 「まあ、合言葉なんて言われてもわかるわけないけど……。 それにしてももうちょっと、それらしい言葉がありそうなもんじゃないの?」 シエスタとルイズもそれぞれに広がって、周囲を警戒する。 次の瞬間、通路のあちこちの壁面が崩れ、その中に潜んでいた恐ろしい守護者たちが一行に襲い掛かってきた! 前ページ次ページNeverwinter Nights - Deekin in Halkeginia
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< 【back】 凛々18日のss 「初めてのプリクラが、これとはなあ」 などと声に出してみるが、顔がにやけてしまうのには変わりない。 昨日から思い出すたんびにこれだ、まるで思春期の中二じゃないか。 などと考えるがそうだ俺一応思春期の真っ直中じゃん、じゃあ仕方ない仕方ないと言い聞かせつつ、もう一度白水の感触を思い出してみる。 柔らかい唇。それも不意の。そして赤面。 恥ずかしいやら嬉しいやらで、自分の気持ちに整理がつかない。 そう言えば、『仕切り直して』なんてあっさりした口ぶりとは云え、整理がつかないのは白水だって同じはずなのだ。 『男とは』初めてだと言った。 俺なんて人間とするの自体初めてだよ、キスなんて。 キス。「キス、したんだよなぁ」と呟きながらプリクラをかざしてみる。 ベッドに寝転がったまんま天井へ向いた顔の先には、目をひんむいた白水と俺の紛う事なき接吻の証。 「はは、青春かっつうの」 コンコンと云う突然の音で心臓がぶっ飛びそうになる。 「うぉわっ」ノックの主は言うまでもなく姉さんだが、俺の口はそんなの関係無しに恐怖映画の如き悲鳴をあげた。 そうしてプリクラを反射的にズボンの後ろポッケへ突っ込む。 「うおわ?」 訝しげな顔で部屋に入ってくる姉さん。 返事はあってもなくても構わないらしい。 俺のプライベートなんてもの、此処には存在しないのだなぁ。 「やあ姉さん、どうしたの」と表面は取り繕って声を返すが、姉さんの眼光はまるでこちらの動揺を見透かしたかのように鋭い。 「どうしたのって、お昼の時間だからそろそろご飯の支度……って思ったんだけど。 そういう稔くんがどうしたの?」やはりバレている。 そういえば俺、姉さんへ満足に隠し事できた試しが無い。 言葉につまる。 返事が何も思いつかないって訳じゃない、下手に口を開くといつもボロが出るのだ。ってなんで俺慌ててんの。 そうだ、姉さんにファーストキスの事知られたくないんだよ。いやだからなんでそうまで秘密にしたがるの俺。 いいじゃんいいじゃん、実の姉にキスの思い出知られたって。そんなのもう恥ずかしがる様な年でもないだろ、とか何とか思いながらやっぱり口を開けずにいる。 「む~っ、稔くん何か隠し事してるでしょ! なに、何かやましい事でもあるの? お姉ちゃんにちゃんと教えなさい!」あらま、どうしましょ。動転する俺。 こうなると追求モードの姉さんはあの手この手で俺を吐かせにかかるのだ。 もうごまかしとか何とか言ってられない、ひとまずこの場を逃れなくては。 腰に手をあててぷんすかしている姉さんを目前に考えていると、電話が鳴る。 携帯のディスプレイには"ドクオ"の文字。 空気の読める男、毒男。 成長したなぁお前なんて思ってる余裕も無い。 「姉さん、ごめん」速攻携帯に出た。 さしもの姉さんも電話の邪魔まではしない、半目で睨みながらも一旦は黙ってくれる。 「もしもし、ドクオ?」「もしもしじゃねえよ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」 なんだコイツどうした、今日はいつも以上にキレキレだ。 「おい何いきなり電話口で泣き叫んでんの。びっくりするじゃん。 なに、俺おどかしたくてかけてきたの」 「ちげーよバーカ、昨日のゲーセンの事だよこの野郎!」「うげ」 なに、なんで?なんでこいつが昨日の事で電話掛けてくんの?やっぱり空気の読めない男。 というかなんで昨日の事知ってんの。 「なんで昨日の事知ってんの?」思った言葉がそのまま口をついて出た。 「昨日のこと?」姉さんがますます訝しげな顔をするので慌てて取り繕う「あーおほんっ、ちなみにお前どこまで、 その、見てたってっ言うっかっ」しまった。つい喉がつっかえてしまった。姉さんの射抜くような視線が痛い。 「どこまでも何も、おめーらがいちゃいちゃキスして仲良くゲーセン出てったとこまでだよ!」 うええええ。こいつあの時の会話聞いてたのか。 「こっちが一人寂しくゲームやってりゃなんだ、お前らカップルでゲーセンになんか入りやがって。 俺たち一人もんのゲーマーを笑いに来たんだろ、えぇっ!そうなんだろオイ!」 駄目だ。一方的にまくし立ててくる。 ドクオは完全に被害者意識の固まりへ変じていた。 「ショックで家帰って寝込んで、今起きたばっかだよバーカ!ムカムカしたんで寝覚めに速攻電凸だ文句あるか!あぁっ!!!」「あー、本当に?そりゃ仕方ないな」 「あ?仕方ないっておま」 「いやいやいや、そうかしこまるなよ。俺とお前の仲だろ。分かった、今すぐ行くわ」 「オイッ!?お前、さっきから何言っ」 「そうだなー、今からだと……後15分ぐらい?で着くと思うから。ああ、気にすんなって。んじゃな、待っててな」プッ。 電話を切って、さり気に完全マナーモードへ。 ドクオが折り返し掛けてくるが、完全モードでは一切の外観的挙動が生じないよう設定されている。 そのままズボンの後ろポケットに突っ込み、次いで壁掛けのハンガーからコートを引きはがすように下ろして姉さんへ向き合う「ごめん姉さん、俺急用ができたから」 「ちょ、ちょっと稔くん!まだお姉ちゃんのお話が」 「親友のピンチなんだ。本当にごめん、お昼ご飯はインスタントででも適当に繕って。 俺、一刻も早くあいつの元へ向かってやんないと」とかなんか言って、姉さんの脇をすり抜け一気に玄関へ。 「――あっ!稔くーん、待ちなさいっ!」突然の事で数秒ロスしてしまった姉さんを間一髪振り切り、外へと駆け出る。 「夕飯までには戻るからー!」 んで見事離脱に成功、俺はこうして公園遊歩道の直中にいる。 姉さんが意地になって追いかけてくるんじゃないか?と思うと気が気で無かったが、流石にそこまではやらないらしい。 パニックになった時は静かな風景に入り浸るのが一番良い。 てな感じで小綺麗な道を文字通り遊歩すると、色々な人達が視界を横切っていく。 健康目的と云った風で散歩に"勤しむ"老人達。 時折後ろ向きに歩いてくるのもあるが、あれは普段使わない筋肉を鍛えるためなんだろう。 メットにゴーグルでマウンテンバイクだか何だかを駆って走り抜けていく青年。 サイクリング、いいねえ。ああして風を切って緑の中を行けば自分のもやもやした感情も一歩先へと進められそうだ。 しかし今の俺には二本の足しか無いので、んじゃぁ走るかって勢い立った所で前方から学生風のカップル。 やっぱり止めた。彼らの前で駆け出すのがなんとなく気恥ずかしい。 あっ。いけないいけない。 自然へ浸ろうと公園まで来たのに、人目なんて些細な物を気にしてなんになる。 俺は雄大な眺めと一体化するのだ。無我の境地。頭からっぽ。 姉さんへの言い訳どうしよ。毒男もフォローしてやった方がいいかなぁ。 なんて、悟りからはほど遠い、悩みの渦へと足を踏み入れかけたもんだから、道先に幻覚が見える。 晴れた公園のベンチで読書する眼鏡の美少女。 そよ風に浮きかけた頁を手で抑える仕草が様になっている。 大変な妄想に取り憑かれてしまった、あれでは委員長そっくりじゃあないか。 なんか前にもこんな事あったような。 って空想少女が俺を見て驚いた風に頭を下げる。 あれ。え。本物じゃん、この委員長。 「こんにちは。びっくりしました、藤宮君が目の前を歩いてくるものですから」 「ああ、いや、俺の方こそ驚いた。こんにちは委員長」 このまま通り過ぎるのもおかしいので、取りあえず隣に腰を掛けてみる。 おや。そうした先から腰の引けてしまう俺。 なんで?って、考えてみたら委員長への返事保留にしてあるんだよ。 なんてこった、新たな悩みの種を見つけてしまった。減らすべき荷物を増やしてしまってますます重い。 なもんだから口まで重くなって、"こんにちは"から二の句が継げない。 「今日は良い天気ですね。空気は冷たいですが、お日様の光がじんわりと包み込んでくれているようで。 こういう日には外へ出て本を読みたくなるんです」 微妙な空気を嫌ったのは同じなんだろう、委員長の方から話を振ってくれる。ありがたや。 「へえ。でも何となく分かる様な気もするよ。 インドアな趣味をアウトドアに楽しむって、いつもと違った感覚が味わえるんだろうね多分」 「ええ、本当に。日の真下で読むと、同じ場面でも受ける印象が違ってきたりするんですよ」 「なるほどね」 「そうなんだ」 「へえー」 「ふんふんふん」 ってなに委員長にばかり振らせてるんだ。 むしろ俺の方から応えてやらなきゃならんだろ、保留なままの告白に。 とは思うが、自分の気持ちもあやふやなのに、いい加減な回答を出す訳にいかない。 あやふや。まてよ。何であやふやなままなの俺。 委員長を彼女として見られるのか。そこだけはっきりさせたらいい事なのに。 感性に従えば、答えなんてすぐに出せるはず。なのに迷っているんだよ。 迷い。他に気になる娘、とか? 例えば。白水――「あの」「うひゃい」本日二度目の奇声。 「うひゃい?」 「あいや、はい、はい。何でしょうか委員長」 「ええ、あの。 少々差し出がましいのですが……もし宜しければ先日のご返事をお聞かせ願えたら、なんて思いまして」 キタッ。きたきた。 そうだよそろそろ応えないとまずいよなぁ、って頭じゃ分かっていても口は動かない。 第一その頭だってまだ答えが出せていないのだ。 沈黙。気まずい。 「あっ。いえ、いいんです。お時間が必要なようでしたら、ご返事の整うまで。ゆっくりと考えて頂ければ。 答えは、いつか必ず出るものですから」 「ああ、うん。もうちょっとだけ……ごめん」 なっさけないなあ。告白してくれたヒトにはっきりと返事のできない男。 そういうシチュエーションってドラマみたいに画面一つ隔てた存在だと思ってたのに、よもや自分が巻き込まれようとは。 ああいう男にはなるまいと思ってただろお前。と自分へ活を入れるが、そうそう悟りが得られるものでもない。 相変わらず迷いの渦の中をさまよっているだけだ。迷い。さっき、その根源がちらと見えたような。 そうだ白水。白水だって?俺は、白水と委員長との間で迷っているのか。あのガチレズ撫子と。 なんてこった。 しかしそれはおそらく真実なのだ。 あのキス、それが俺に返事を止まらせている。 それに男は汚物だなんて顔しながら、俺にだけは結構まともに接してくれる所が、その落差がむしろ可愛いっていうか。 えっ。"可愛い"って? オーケー分かった、そこは認めざるを得ない。 それにあのルックス、肌の白さ、線の細い撫子ぶり。外見だけなら文句のつけようもない。 でもそれを言ったら委員長だって負けないくらい可愛い。オーノー、どうすればいいんだ。すまない毒男。 なんてまたパニックに陥ったもんだから、無用な静寂が二人の間に訪れる。 バカバカ俺のバカ。黙りこくってたら委員長だって困るだろ。 「あの」そんな俺を見かねてか、またも委員長から話しかけてくれる。 眼鏡の奥にはこちらを労る風な瞳。本当に駄目男だなぁ、俺。 その瞳がすっと細められて「ただ――もし私を選んで頂けなかったとしても。それでも、"お友達"であり続けてはもらえないでしょうか……?」 「え?ああ、そりゃ勿論」そんなの断る理由がない。 委員長はそもそも人として尊敬できるお方なのだ。 日向先生に二人して振り回される中、何度彼女に助けて貰った事か。 「――良かった。そうですよね、藤宮君が私を裏切るはず無いですもの」 あれ。今、さらりと重い事を言われた気がする。 「それで、差し出がましいついでと言っては何なのですが……藤宮君の携帯の番号を教えては頂けないでしょうか?」 「ん、ああ。そっか、まだ教えてなかったんだっけ」 委員長との距離感を考えたら、携帯の番号やアドレスを交換してたっておかしくない。……よな。 うん。すまない毒男。 な感じで、腰を浮かせて携帯を後ろポケットから取り出すと、合わせてシート状の物がひらり足下へ舞い落ちる。 「あ。何か落としまし――」あっ。うわぉう。 やってしまった。すっかり忘れていた。 委員長の手元には俺と白水のファーストキス、その劇的瞬間が。 目をまん丸に見開いて固まる委員長。 薄く閉じた唇に風でそよぐ髪が相まって、まるでギリシアの彫刻のよう。 「あーっ。いや、それはね。 ちょっとした事故っていうか、うん。 話せば長くなるんだけど」 「――そういう事だったんですか」 「え」 まん丸だった目は元に戻り、けれど眼光は研がれた刃物のように鋭い。 んで顔だけこっち向いて、なのに"俺"を見ていない。 ちょっと怖いよ。こんな委員長を見るの初めてだ。 裁きの神を模した像が人々を威圧するのと同じく、目の前の彼女は俺を圧殺せんばかりだ。 「あの、委員長……?」 「藤宮君」 「はい」 思わず声がかしこまる。 委員長は右手で左のおさげをくりくりしながら、「大丈夫ですよ。私、ちゃんと分かってますから」 「え」 俺まだ何も説明してないけど。 でも委員長の顔はなにかの境地へ至ったかのように、ある種すがすがしい。 「いやいやいや、ちょっと待ってね委員長。 これね、白水を社会勉強でゲーセンへ連れてった時に撮ったんだけど。 たまたまお互いが同時に振り向いたもんだから、なんというか、事故で偶発的な口づけっぽい何かにっていうか」 その後おでこにキスした事は黙っておこう。だって怖いし。 ああ。俺ってこんなどうしようもないヤツだったっけ? 「たまたま?」 「そう!たまたまなの、ほんと」 「それで……どうしてその"たまたま"を、今も持ち歩いていたんでしょう」 こちらを探るような言葉遣い。 嫌だな。背筋をナメクジが這ってるみたいだ。こんなの委員長らしくないよ。 「んあ、それね。家出る前にたまたま手にした所へ、たまたま姉さんが入ってきて、たまたま毒男が電話してきたが故の、たまたまなのでありまして」 「はあ……やはり"たまたま"ですか」 「"たまたま"なんですよ」 「そうですか」 言って、委員長はまた左のお下げを弄りまわす。 そうして少し俯いていたかと思うと、急に顔を上げて「藤宮くん、私今日はもう帰りますね」「え?」 とか驚いてる暇もなく、本をバックへ仕舞い込んでベンチを立つ委員長。 突然の事で言葉もない俺を尻目に、 「藤宮くん」 「はい」 「私、頑張りますから」 「はい?」 そのままこっちを振り返りもせず、足早に去っていく。 頑張る。って、何を? あいや、ここで頑張るっていったら告白絡みの事か。 そうか。そうに決まってるじゃん。察しわりー、俺。 でもあそこで頑張るなんて言葉が出るのは、つまりは白水との事をバリバリに誤解されているって訳なのだ。 「まずったなぁ……」 口に出してはみるが状況は何も変わらない。 けれどあの様子じゃ変に言い繕った所で、疑いをますます深めてしまうだけだろう。 行き場を無くした携帯電話が右手の中でずしりと重い。気分まで重くなってくる。 そろそろ腹が空いても良い頃なのに、全く食欲の湧いてこない事に気が付く。 弱い日差しの中を、ベンチへ腰掛けたままぼうっとする俺。 「街へ気張らしにでもいくかなぁ……」 呟いてみるが、なんというか腰と、ポケットに仕舞い直したプリクラシートが重くて、なかなか立ち上がれない。 結局家へ戻ったのは夜の七時前だった。 姉さんは『ごはんまーだー!?』を繰り返すばかりで、昼間の事を追求してこなかった。 俺の顔を見て何か察してくれたのかも知れない。 持つべきは気遣いの出来た姉。ありがたや。 毒男?もうどうでもいいや、放っとこ。 (以下、背景暗転) 暗い、寝室の中央で、わたくしはベッドの上に身を横たえておりました。 もうすぐ夜中の0時でしょうか。 明日は学校だというのに、まだ眠りへ就く事ができずにいるのです。 昨日――あるいはもう一昨日になるのかも知れません、藤宮に連れられて行ったゲームセンターの喧騒が、まだ耳に染み着いているかのようです。 それは今までのわたくしと無縁の場所で、全く新しい体験に自身、戸惑いを覚える所もありました。 ですが、同時に純粋な"遊び"へ触れた喜びの勝る部分があるようにも思います。 わたくしの父は『厳格が服を着て歩いている』と周囲に評される人で、その厳しさと気難しさは己のみならず、家族である母とわたくしへ向けられる事もしばしばでした。 わたくしの母も負けず劣らずの厳格な家柄に育ったのですが、父に比べれば幾分か緩やかな気質を生来持ち合わせていたようです。 わたくしがまだ幼かった頃、どうしても洋食のオムライスが食べたいと駄々をこねた事がありました。 父は和食以外を認めない人でしたから、家の食卓にオムライスが上る事は無論あり得ないのです。 そればかりか、家族が洋食を口にするのにも良い顔をしませんでした。 母はそれを見かね、文具を買いに行くと父へ告げて、わたくしと二人きりで街に出掛けました。 もちろんそれは口実なのです。 母は街中で適当な鉛筆やら消しゴムやらを買い揃えた後、一軒のレストランへわたくしを連れて行きました。 そこでわたくしは生まれて初めてオムライスというものを口にしたのです。 学友が生き生きした目で語ってくれた味、そのとき思い浮かべた空想上の美味しさが、確かにそこにはありました。 『お父さんには内緒よ』と微笑んでくれた母の顔を今でも思い出す事ができます。 父に外食を気取られぬよう、その日の夕飯を無理矢理胃の中へ押し込んだのも、今となっては良い思い出です。 そんな母も、父の厳粛さに面と向かって異を唱える事はありませんでした。 そのような環境に育ったわたくしは、ゲームやカラオケといった遊びに無縁の生活を送ってきました。 友人達とのプリクラ撮りに付き合った事はありますし、携帯電話をインターネットへ繋げたりもします。 ですが、"遊ぶ時間があるなら習い事をせよ"というのが父の、ひいては家の方針でした。 ですから、藤宮との社会見学はわたくしにとって、ちょっとした冒険の様なものでもありました。 実を言えば父には『百合と図書館で勉強をしに行く』と嘘をついて家を出たのです。 そうした経緯は、かえって遊びの喜楽というものを引き立たせてくれたようにも思います。 ゲームセンターで起こったアクシデントは、完全にわたくしの不意をついたものでした。 藤宮には少し気を許しすぎていたかも知れません。 けれども変な所で単純というか素直な性格に、どうにも邪険にしきれない部分があるのは事実でした。 ですがまさか、男性と口づけする日がやってこようとは――わたくし自身、想像だにすらしませんでした。 唇とは男性のそれも変わらず柔らかいのですね。 それは確かにわたくしを混乱させましたが、更なる混乱を生んだのはその後の自分の行動でした。 『仕切り直し』の名目とはいえ、藤宮に再び口づけをせがんだのですから。 あまりに突然のトラブルで、少しどうかしていたのでしょうか。 結局口づけは額に為されたのですが、その感触はやはり柔らかで、わたくしが今まで想像してきた男性というものから 大きくかけ離れていたものですから、更にどうかしてしまったのでしょう。 もう一日以上が経つというのに、まるで初恋の瞬間のように胸が疼いて、夜も満足に寝付けないのです。 初恋。 恋、藤宮に? まさか、ですわね。 そうして、わたくしは初恋の人の顔を思い浮かべました。 「百合……」 そっと、暗闇にその名を呟いてみると、冷えきったはずの部屋の空気が、わたくしを毛布でくるむかの如く穏やかな気配へ変じていきました。 百合の事を考えるだけで、わたくしはいつでも幸せな気分に浸れました。 あの美しい黒髪を撫でた感触が、今にも手に蘇ってきそうです。 けれども同時に、それはわたくしの忌まわしい記憶――過去の後悔を、この胸の奥底に浮かび上がらせもするのです。 初恋の日。 後悔の日。 どうしても切り離せない思い出が碇となって、わたくしを当て所のない情動の中に留まらせているのかも知れません。 ようやく眠くなってきたようです。 閉じた瞼の裏側で睡魔の闇が一層の濃さを増しました。 眠りに落ちる寸前、わたくしは百合の幼い泣き顔を思い浮かべました。 今夜もまたあの夢を見るのでしょうか。 百合―― < 【back】
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「ゆ~♪ゆ~♪」 なんの変哲も無い一般的な1人暮らしの男性の部屋。 ここでなんの不自由も感じた事のない子ありすが歌っていた。その隣で男が掃除をしている。 ありすは生まれてからここでずっと過ごしてきた子ゆっくりだ。 シルバーバッジも持っているれっきとした飼いゆっくりだった。 このありすは外でゆっくりを見ても、自分がソイツらと同じ生き物だという事がわからない。 自分を人間だと思っているのだ。 目の前で掃除をしている男の子供なのだという意識が強く根付いていた。 そういった思考は彼が植えつけたわけではなく、 単純に親ゆっくりや、他の友達になるはずだったゆっくりの存在がまるまる欠落していたからだった。 「さて、と」 彼が掃除の手を止め、時計を見たのが見えた。 ありすはそれを自分のごはんの合図だと知っている。 これが人間の子供だったら、いつもとは違う雰囲気をもっと敏感に感じ取ったに違いない。 何しろありすに一度も目を向けなかったのだから。 しかしありすは不安や不満を感じる事はなかった。 「ゆ♪おにいさんそろそろごはんのじかんだよ!」 「すまんなぁ。今俺が何やってるかわかるか?」 「ゆゆ?ゆ~ん。わかったよ!おそうじだよ!」 良く答えられたでしょ!褒めて!という顔をするありす。 いつもだったら「ありすは偉いね!」と言いながら、彼は撫でてくれる。 ありすはそれが大好きだった。 ざらざらしてる手だけど、暖かくて、それがとても嬉しかった。 しかし、今日はその手もやってこなかった。 ……あれ?どうして?おにいさんがありすはいいこだねってほめてくれないよ? ありすが怪訝そうな顔をしていると、彼はやっとありすの方を向いた。 これといって温度のある表情をしていない。 もくもくと作業をこなすだけと決め付けたような顔だ。 そこに少し色が入った。めんどくさそうな、ありすが初めて見る顔だった。 けれど、それに意味があるだなんて、考えもしない。 彼が突然喋り出した。 「お兄さんね、遠い所に行かなきゃいけないんだ」 「ゆゆ?とおいところ?とおいところってなぁに?」 要らない本を縛って並べる。 その作業をしながら彼は答えた。先ほどと同じ、温度の無い表情で。 「引越しさ」 「ひっこし?ゆゆぅ?ありすひっこしなんてしらないよ?ごはんもってきてね」 「こらこら、人に質問をしたら、お願いは一番最後に言いなさいって教えたよね。これが最後なんだからしっかりやろうね」 「ゆ?さいご?」 「ああ。その引越し先ね、ペット禁止なんだって」 「ぺっときんし?ああ!ありすしってるよ!いぬさんとか、ねこさんといっしょにすめないんだよ!」 またもありすは得意気に、目を閉じて丸々とした胸であろう部分を反らして見せた。答えは会心の出来。 お兄さんがこれで褒めてくれないわけがない。 彼はありすに聞こえるか聞こえないかの所でため息を吐いて、頭を掻いた。 「うん。正解。つまりお前を連れてけないんだなぁ。コレが」 あくまでも軽く言い放った。 「ありすを?どうちて?」 「ん?だって今お前自分で答え言ったじゃんか。ペットが一緒に住めない部屋に越すんだって」 「???」 「あー、やっぱりか。薄々なぁ、そういう誤解をしてるんじゃないかと思ったんだが。だから結構頻繁に外に連れてったりしてたんだが……お前、自分を人間だと思ってる?」 彼の顔には失意の色が見え始めた。ありすにも少し、様子がおかしいのがわかる。 「ゆぅう!?どういうこと?ありすはとかいはでにんげんだよ!」 「とかいは……都会派ねぇ。そんな言葉教えてないんだけどね。」 「ゆ!ありすはがんばってるよ!」 「うんうん。確かに良く頑張ってるよ。でもね、とかいはって言葉がお前から自然に出てきちゃう事自体、凄い問題なんだわ。いや、その部分は別に問題じゃない。つまり、それが現実だって事なんだよなぁ」 うんうん、とワザとらしくひとりごちる男。 ありすには全然話が見えない。 「おにいさん、よくわからないよ!」 「いや、だから、お前がゆっくりだって事がハッキリしてるって事。とかいはって言った時点で」 「ゆゆぅ?なんでありすがとかいはだとおにいさんがこまるの?」 「全然困らないよ。今言っただろ。お前がゆっくりだって事」 「おにいさん、よくわからないよ。どうしてありすがゆっくりだといけないの?」 その言葉を聞いて、彼は一瞬動きが止まった。沈黙は一瞬で、その間にどういった思案が駆け巡ったのかはわからない。 「ゆっくりだと、いけないなんて事はないよ。でも次に越す所がペット禁止だから、お前を連れて行けないの」 「ゆぅ……」 「はぁ、わからない?」 わけのわからない事の目白押しだった。初めて聞くような言葉、そして初めての雰囲気。しかもなんとなく悪い予感がしてくる。 ありすはその雰囲気をなんとかなくそうとした。 「わからないよ!ごはんがまだだよ!ぷんぷん。おにいさんはきょうわけのわからないことばっかりいうよ!ゆゆっ!?」 ありすの視界が突然空に浮いた。 「ゆぅ~っ!おそらをとんでるみたい!」 ありすはおにいさんが遊んでくれる時、こうなる事を良く知っていた。 視界が安定すると、そこには大きな笑顔のお兄さんがいつもいるのだ。 嬉しいと、カチューシャがぴこぴこ動く。それもお兄さんは可愛いと言ってくれた。 自分はこの人にとって自慢の子供なのだ、といつも信じる事ができた。 けれど、今日は勝手が違った。そこには氷のような、崖のような表情をした彼しかおらず、ありすのカチューシャは元気なく静まってしまった。 「ゆっ……おにいさん、なんだかこわいよ」 ありすは彼の掌の上で、小さく縮こまっている。それを一撫ですると、少し落ち着いたように見えた。 彼はありすを見据えて、少し黙った。 「ええとね。ありすはね、ゆっくりなの。そしてゆっくりはね、ペットなの」 「……むむむ、むずかしいよ!もっとゆっくりしゃべってね!」 「ありす、ゆっくりって知ってる?」 「しってるよ!ゆっくりしていってね!」 「そうじゃなくて。ゆっくりのことだよ」 「ゆぅ!ゆっくりってあのばかなこたちでしょ?ゆ~ゆ~いってて、いつもゆっくり!っていってるばかなこたちだよね!とかいはのにんげんとしてはゆるせないたいどだよ!」 「……そんな事ないよ。だってお前もその子達と一緒だもん。何度か言ってきたのに結局わかってくれなかったんだね」 「ゆ……?おにいさんなにいってるの?ありすはおにいさんのこどもだよ」 「う~ん、違うよ」 「ゆっ……?ゆそ……」 「あれ?なるほど、そこがお前のアイデンティティだったのか。うんうん。なるほど。そうだよ、お前は俺の子供じゃない。だからお前は人間じゃないんだ。何度も教えたよね。ちゃんと聞いてくれなかったよね」 「ゆっ、ゆぇ……ゆぇえええええん!おにいさんがへんなこといっていじめるよ~!」 「へんなことじゃなくて、ほんとうだよ。じゃあ、ちょっと待ってて」 彼はそう言うと、そそくさと家を出てしまった。 ――ありすがないても、なにもしてくれない。 数分後、彼は手元に小さなれいむを抱えてきていた。 「ゆゆっ!綺麗なおうちだね、ここはれいむのゆっくりぷれいすにしてあげるよ!」 「ハイハイ」 「ゆぅう!おにいさん!ゆっくりはゆっくりできないよ!やばんないきものはとかいはとはいっしょにすごせないんだよ!おにいさんもゆっくりできなくなるよ!」 「ハイハイ」 「ゆゆゆ!?そこにいるのはありすだね!にんげんにかわれてるありすなんてゆっくりしね!」 「ゆうう!れいむこそゆっくりしね!」 「なぁ、れいむ」 「ゆゆ?なぁに?おじさん」 「あのありす、何に見える?」 「おじさんばかなの?ありすはありすだよ!ひきょうなれいぱーのありすだよ!」 「れい……ぱー?」 ありすは耳慣れない言葉を復唱すると、首を捻った。 「まぁ、そんな言葉はどうでも良いんだ。れいむ、俺が聞いてるのはだよ?このありすはお前と同じゆっくりか?って事なんだよ」 「おじさんはじんせいやりなおしたほうがいいよ!そんなことがわからないなんてばかだよ!」 「そうだね。だからこのありすに教えてあげて欲しいんだよ。俺に代わってね」 「しょうがないね!おしえてあげるよ!そこのありす!ありすはれいむたちとおなじゆっくりだよ!でもありすはれいぱーだかられいむよりかくしただよ!みんなからきらわれてるよ!」 「ハイ、注釈もありがとうございました」 「ゆっへん!れいむのすご、ぎゃぶっ!」 れいむが胸を反らせた所で、彼は床に叩きつけて絶命させた。びたん、という重めの音がした後、れいむは餡子を拡散させて動かないただのゴミへと姿を変えた。 「あああ、ありすは……ありすが……ゆっくり……」 「そうそう。わかった?」 「そんなわけないよ、ありすはにんげんだよ、おにいさんのこど――」 「しつこいな。お前は俺の子供なんかじゃねぇって!」 「ゆふっ、ゆぇえ???」 「すまん、取り乱した。とにかくお前は俺の子供じゃないし、人間だって事も100パーありえない。それどころかお前には自分がさっきバカにしたゆっくりなんだって事をわかってもらいたいんだ」 「ありすは!ゆっくりじゃないよ!おにいさん、しんじてよ!」 「信じるよ。お前がゆっくりだって事をね。あ~あ、マジで飼うんじゃなかった。ハンパに情があるから余計捨て辛い」 「すて?……すて?ありすを?すてる?」 「ああ。そういう事。お前はペットだから次の家には連れてけねーの」 「ゆゆゆ……ゆっくりはペットじゃないよ……、それに、ありすはにんげ……」 「だからぁ!お前はゆっくりだし、ゆっくりはペットなの!!」 「ゆぎゃっ!!」 ありすは突然視界が暗転したように感じた。 「ゆえっ!?ゆえええ?なんで!?どぼぢだの?おにいさんだいじょうぶ!?」 急に来た衝撃で、とっさに彼の事を案じたのだった。 ぼやけた視界の中で徐々にお兄さんの姿がハッキリとしてくる。 顔をはたかれたのだ。 彼は奇妙な顔をしていた。 痛みを堪えるような、悲しみに堪えるような、怒っているような。 ありすは生まれて初めて彼に恐怖に近いものを感じていた。 その表情、雰囲気、人間の子供ならばその変貌をもっと早く感じ取り、泣いていたはずだ。 それだけの変化がありすの前にあった。 しかしありすはゆっくりだった。 ありすの中では、彼がゆっくりできない存在に、まだなっていない。 だから「怖い」とはっきり感じられない。 彼は悔やむような目をした。 仮にも今まで過ごしてきたありすに対して、手を上げてしまったのだ。 「俺が殴ったんだよ」 「ゆぎぃっ!どぼぢで!?おにいさん、どぼぢでぇ゛え゛え゛!?」 ありすは必死で彼に自分の気持ちを「説明」した。 けれどもそれは彼に届かない。 彼はもう決めてしまっていたのだ。 もう少し物分りが良ければ、騙されたままでいられたのに。 お兄さんは目を反らして、少しだけ息を吸った。 「お前を引き取ってくれそうなヤツが回りに1人もいなかったんだ。だから」 ごめんね。 ありすは雑草の生い茂る、空き地に居た。 あの後の事は全く覚えていない。 考える事で頭が一杯で。 いや、考える事なんて、ゆっくりにあるんだろうか。 それは漠然としたイメージの連続と印象。 見た物は正確に覚えていない。 許容量なんて元々あって無いようなモノだ。 扱う情報の重さが増えれば簡単に底が抜けてしまう。 そう、彼と過ごした時間、ありすにとってそれは全てだったのだ。 呆然とした顔のまま、バッジの無いありすになっていた。 ありすは、だれなの? 数時間経ち、周りに野良ゆっくりがたかってきて、ようやく意識を取り戻した。 周りの雑草の、背が高いな、とありすは思った。 それを遮るようにして肌色な3匹の野良ゆっくりがいる。 「ゆゆぅ?なにこのありす?ぼーっとしてるよ?」 「あんまりみないありすだね、どこのこなの?かわれてるゆっくりならゆっくりさせてあげないよ」 「ゆぅう!ずいぶんとかいはなありすね。とってもきれいだわ」 「ゆぅ……?なぁに?ありすになにかようなの?」 ちかくにいるのはれいむとまりさ、そして自分と同じ種類のゆっくり、ありすだった。 野良生活が長いのだろう。肌は水分が大分欠けているようで、表面はパサついているように見える。 チリやゴミで汚れているまりさは仲間のありすに喋りかける。 「ゆゆぅ!?ありす?こんなのがありすのとかいはなの!?」 「そうよ!かみがとってもきれいだわ!はだもつるつるよ!おなじありすとしてなかまにいれてあげてもいいわ!」 野良ありすは、自分を見て、同じありすだと言う。 少しだけありすの頭に、お兄さんの言葉がよぎる。 自分がゆっくりだと、言われたような覚えがある。 そんなこと、ないよ?ありすはゆっくりじゃないよ。 ゆぅう、だって、こんなにきたなくないよ? そんな小さな反抗が、無駄な事を言わせた。 「さんにんともきたないね、そんなのとかいはじゃないわ」 「ゆゆぅ?このありすひどいこだよ!」 「ゆーっ!いらいらするありすだね!それにばっじがないよ!このありす」 「すてられありすなの?それじゃあとかいはじゃないわ!かわれてたゆっくりとつきあうのはとかいはのすることじゃないもの」 「あははは!ばかありすなんだね!」 「きれいでも、すてられたらばかだよ!まりさはかわいいからかわれてたらすてられないよ!ありすはのろまさんだね!」 「いっしゅんでもこのこをとかいはだとおもったわたしがばかだったわ!」 「ゆべぇっ!どぼっ!どぼぢで!?」 草むらで3匹の体当たりが始まった。空き地の外からはそれが見えない。 子ゆっくり達にとって、この空間は林や森と同じ意味を持っていた。 ゆっくりは弱い者苛めが大好きだ。 いつでも、どこでも、自分より弱いと思ったものに対しては徹底的に苛める。 誰にも見られないのなら尚更良い。 すてられたありすにしても、同じゆっくりを認められず、バカにしていた。 飼い主がそんな気持ちを持っていなかったのにも関わらず。 幾度も幾度も体当たりをされている内に、ありすは小さな擦り傷だらけになっていく。 勿論数分で治るような傷ばかりだが、傷がついていく事に胸が痛くなる。 綺麗だ、可愛いと言われた自分の体にどんどん傷がついていく。 「ばーかばーか!」 「ばかなこはしね!」 「とかいはじゃないからしんだほうがいいわ!」 「どぼぢであ゛り゛ずが!ごん゛な゛め゛にあ゛う゛の!?ゆ゛っく゛り゛でき゛ない゛よー!」 心も薄汚れた野良ゆっくりにありすは蹂躙されていくのだった。 しかし、野良ゆっくり達の攻撃がリズムに乗ってきたために、徐々にありすの様子が変わり始めた。 「んぉ?ほぉおお?」 「あっ!」 「まずいよ!」 「とかいはとしていやなてんかいになりそうね!」 「なっ、なぁにこれっ!んほ、んほぉおおおおお!げっ、げひんなこえがでるよ!んほぉおおお!」 リズムのある攻撃が振動となってありすの本能を開いてしまったのだ。 ありすの本能。見境なくゆっくりを襲ってしまう性。 飼いゆっくりであれば自制できるよう育つのだろうが、 如何せんこのありすはさっき捨てられたばかりで、自分が誰なのか、何なのか、混乱している状態だった。 そんな時のこの3匹の攻撃は、ありすの持っていた本能を呼び覚ますのに十分な程心にダメージを与えた。 3匹は逃げる体勢になったが、間に合わない。 同じ体格なら、この状態のありすに速度でも、体力でも、敵わないのだ。 「れいぱーだ!」 「こどもができちゃううううう!しんじゃううううう!」 「ゆっくりとかいはとしてにげるわ!」 「にっ、にがさないわよぉおおお!なっ、な゛んで!?なぁに゛ごれっ!んほぉおお!」 いまだ混乱する自分らしさ。汚い自分。傷ついた自分。 それがお兄さんと捨てられたイメージと結びついた。 真っ暗闇に性欲という光が差し込んだ。 勿論この子ありすにそんな感覚が理解できるはずもない。 けれど、その精神的な情動を、正しいとありすは思った。 この自分の猛りを静めてくれさえすれば、もうどうでも良い。 それがすなわち光なのだ。 自分の目指す光。自分を導く光。 それが他の個体の未来を打ち消す闇になろうとも良い。 だって、ありすは人間なのだから。 「もうどうでもいいわぁ~!あなたたちかわいいわよぉ~!!」 「ゆぅううっ!ゆっくりできないよー!」 「んほ、んほ、んほぉおおおーーー!さんにんともせっきょくてきなんだからぁ~!しょうがないからだいてあげるわぁ~!」 「ゆゆぅう!?どうやってうごいでる゛の゛ぉ゛~!?ゆっぐり゛でぎない゛よ゛ぉ~!お゛い゛つ゛め゛ら゛れ゛る゛よ゛ぉ゛お゛!!!!!お゛う゛ぢがえ゛る゛う゛う゛う゛うぅぅ゛うう゛う!!!!!!」 泣いても、無駄だった。 発情したありすは、混乱した3匹を的確に袋小路へ追い詰め、徹底的に襲った。 「んほぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」 空き地に、様子のおかしいありすがいた。 目はとても穏やかなようでいて、とても真っ暗だった。 近づいてみると、マーブルのようで、たくさんの色彩が混ざっていた。 刻々と移り変わる瞳で、ありすは目の隅にある黒ずんだものについて思案を始めた。 あれはなに? そして目の前には、精気を失ってしぼみはじめている、茎がたくさんたくさんついている、変なスポンジのような何かがいる。 じぶんのくちからへんなこえがでてる。 あと、うごいてる。たくさんたくさん。ふしぎ。ちょっととかいは? 「んほぉおおおおおおおおお!」 この目の前にいる何かを、先ほどまで喋ったり、追いかけていたりしたような気がする。 ありすは、少しずつ冷静になってきていた。 とかいはでにんげんのわたしが、おいかけっこなんかしないわ。 ところで、ここはどこ? おにいさんはどこにいるの? ありすは、おなかすいたよ。 おにいさん、どこにいるの? ありす、さみしいよ。 おにいさん、おにいさん。ありすさみし……、 あれ?ありすって……、だれだっけ? ありすはゆっくりだよ。ありすはゆっくりじゃないよ。 あれ?あれれれ?ゆぅうう。ありす?そんなこしらない。 おにいさん、たすけて 「んほぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!すっきりー!!」 「うっわ、きもちわりぃ、近所迷惑なんだよ!」 その声はありすを数時間前に捨てた彼だった。 裏手にある空き地で、自分が捨てたのと同種の声が聞こえた事に堪えきれなかったのだ。 しかも、その声はありすを飼う人間として一番聞きたくない言葉、声の羅列でもあった。 「やっぱり、こんなトコにアイツ捨てなきゃよかった。今からでも遅くない。住む家変えよう。それでアイツも連れてこう。ありすー!どこにいるんだー!?」 「はぁ、はぁ、にんげんはゆっくりできないわー!」 ありすは家にいた頃と全く違う表情を浮かべていた。 本能にインプットされている言葉が口から出る度に、ありすは煩悶する。 しかし、そんな気持ちが彼に伝わるわけがない。 「はぁあ、こんなんだから野良はなぁ。ちゃんと育てれば可愛いのに。あれ?こいつ犯してたの、ありすじゃないか!俺のありすじゃ……ないな。これは。んで勿論この汚いのも俺のありすなワケがないし。汚いし」 ち、ちがうの!わたしが、おにいさんの…… 「おにいさん……!ここはありすのゆっくりぷれいすだよ!ゆっくりでていかないととかいはじゃないわ!」 考えているのとは全く違う言葉が口から何度も出た。 彼の顔が、自分を見る目が、以前と全く異なっている事にも気付いている。 だからこそ、心で念じれば彼に届くと思った。 情事に汚れきったぐちゃぐちゃの体で、 前とは比べようもない程の醜悪な顔で。 この顔を見ればわかるでしょう、と。 でも、その顔は、情事を通り過ぎたたくさんのありすのうちの一匹でしかなかった。 彼はそれを可哀想な顔で見つめる。 「俺のありすが被害にあっちゃうかもしれないから、しょうがない。ごめんな。ありす、大丈夫かなぁ」 彼は意を決すると、足を軽く振り抜いて、目の前の発情した「野良」ありすの頭部を刈り取った。 「ゆっ!」 ありすには、その行動が信じられないほどスローに見えた。 キラキラと光の粒が見えるような気がした。 足が近づいて、殆ど真っ暗になった時、少しずつ視線もズレていくのを感じた。 下半身が心なしか頼りない気がする。 自分の重さを全く感じない。青空。 空ろな思考の最後に見えたのは、彼の複雑そうな、残念そうな顔だった。 ありすはちょっぴり、嬉しい気がした。 千切れた頭部は奥にぺちゃり、と情けなく弱弱しい音を立てて落ち、胴体からは黄色のクリームが流れた。 彼は自分の手が汚れるのも構わずに、それを慣れない手つきでスーパーの空き袋に入れると、他の3体の黒ずんだ体も袋に詰めた。 空き地ではずっとありすを呼ぶ声がしていた。 祝☆ゆっくりを狩る者さん復活!
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感情動詞の用法 感情を表す動詞の使い方は2つある。 無生物主語を置く Nawek salkon xailu sui meifexa mea.(新しい服を着て私は嬉しくなった) 動詞の後ろにoqiをつけて繋げる Elth shi bostoma oqi qneikulil cis chokumau.(彼は兄にばかにされて怒っている) 後者は前者の方法では主語が長くなってしまう場合によく用いられる。 複合語の作り方 fifinia(春)とkesepos(野菜)を繋げて「春野菜」という複合語を作ることを例にする 1,先の単語を中性形にする 元々中性形の場合はそのままでよい fifinis kesepos 2,両方同じ子音で終わっている場合は先の単語のそれを取り除く fifini kesepos 3,間のスペースを取り除く fifinikesepos 4,できた文字列が10字を超えている場合は間にオヴィアを入れる fifini-kesepos 他にも書きたいことが見つかったら追加します
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概略 ライブ♪アリーナとは? セッションの種類ライブセッションAUTOモード スペシャルセッション ドリームセッション プライベートセッション アシスト部員 イベント報酬 ライブ♪アリーナ交換所 概略 2020年10月から実装されました。 開催期間:毎月末日 16時~翌月25日 24時 + 過去の開催履歴 シーズン1 第1回 開催時期:2020年10月31日~11月25日 イベント名:銀河の乙女アンドロメダ 主な報酬:【称号】銀河の乙女アンドロメダ、UR上原歩夢(スクフェスシリーズ感謝祭2020衣装) 第2回 開催時期:2020年11月30日~12月25日 イベント名:シリウスってシリアスみたい 主な報酬:【称号】シリウスってシリアスみたい、UR中須かすみ(スクフェスシリーズ感謝祭2020衣装) 第3回 開催時期:2020年12月31日~2021年1月25日 イベント名:モー突進!タウロスダッシュ、第1回 ランキングマッチ 主な報酬:【称号】モー突進!タウロスダッシュ、UR桜坂しずく(スクフェスシリーズ感謝祭2020衣装) ランキングマッチ報酬:【称号】シーズン1デビュー、シーズン1ルーキー、シーズン1エリート、シーズン1メジャー、シーズン1スター、シーズン1レジェンド 第4回 開催時期:2021年1月31日~2月25日 イベント名:足りないふたごのチョコレート 主な報酬:【称号】足りないふたごのチョコレート、UR朝香果林(スクフェスシリーズ感謝祭2020衣装) 第5回 開催時期:2021年2月28日~3月25日 イベント名:オトメ爛漫、春一番 主な報酬:【称号】オトメ爛漫、春一番、UR宮下愛(スクフェスシリーズ感謝祭2020衣装) シーズン2 シーズン1からの変更点:機能の改修と変更・交換所のリニューアル・デイリーとマンスリーランキング報酬の受取方法変更 第6回 開催時期:2021年3月31日~4月25日 イベント名:ポラリスショータイム! 主な報酬:【称号】ポラリスショータイム!、UR近江彼方(スクフェスシリーズ感謝祭2020衣装) 第7回 開催時期:2021年4月30日~5月25日 イベント名:獅子もときめくってホントなの? 主な報酬:【称号】獅子もときめくってホントなの?、UR優木せつ菜(スクフェスシリーズ感謝祭2020衣装) 第8回 開催時期:2021年5月31日~6月25日 イベント名:白(みるく)のハートを射抜いちゃえ! 主な報酬:【称号】白のハートを射抜いちゃえ!、URエマ・ヴェルデ(スクフェスシリーズ感謝祭2020衣装) 第9回 開催時期:2021年6月30日~7月25日 イベント名:届いて!短冊レター 主な報酬:【称号】届いて!短冊レター、UR天王寺璃奈(スクフェスシリーズ感謝祭2020衣装) 第10回 開催時期:2021年7月31日~8月25日 イベント名:イルカに会いたい!ワクワク体験♪ 主な報酬:【称号】イルカに会いたい!ワクワク体験♪、UR上原歩夢(ラブライブ!シリーズ9周年 セガコラボカフェ) 第11回 開催時期:2021年8月31日~9月25日 イベント名:みちゃった!?ホントのお姫さま 主な報酬:【称号】みちゃった!?ホントのお姫さま、UR中須かすみ(ラブライブ!シリーズ9周年 セガコラボカフェ) 第12回 開催時期:2021年9月30日~10月25日 イベント名:やさしさはきつね日和!? 主な報酬:【称号】やさしさはきつね日和!?、UR桜坂しずく(ラブライブ!シリーズ9周年 セガコラボカフェ) シーズン3 シーズン2からの変更点:ステージ追加(50→100)、各種セッション報酬・ランキング報酬・交換所リニューアル、SPセッションクリアに必要なスコアが上昇 第13回 開催時期:2021年10月31日~11月25日 イベント名:ペンタス・フェスティバル 主な報酬:【称号】ペンタス・フェスティバル、【称号】PERSONA 25th Anniversary、UR絢瀬絵里(「ペルソナ」シリーズコラボ編 キャンペーンガール) ペルソナシリーズコラボ仕様 第14回 開催時期:2021年11月30日~12月25日 イベント名:灯そう!聖なる気持ち 主な報酬:【称号】灯そう!聖なる気持ち、UR朝香果林(ラブライブ!シリーズ9周年 セガコラボカフェ) 第15回 開催時期:2021年12月31日~2022年1月25日 イベント名:キズナでつながるゆく年くる年 主な報酬:【称号】キズナでつながるゆく年くる年、UR宮下愛(ラブライブ!シリーズ9周年 セガコラボカフェ) 前回からの変更点:ドロップするSIスキルが一新、称号獲得の緩和(50→30) 第16回 開催時期:2022年1月31日~2月21日(終了時間前倒し) イベント名:まごころバレンタイン! 主な報酬:【称号】まごころバレンタイン!、UR近江彼方(ラブライブ!シリーズ9周年 セガコラボカフェ) 前回からの変更点:獲得切手の減少、テンションゲージの増加(SPセッションへの移行緩和)、ロイヤルエキスパートの緩和(ステージ80→50)、デバフ削除(ドリームセッションは普段通り発生する) 第17回 開催時期:2022年2月28日~3月25日 イベント名:驚き!桃の木!大人気!? 主な報酬:【称号】驚き!桃の木!大人気!?、UR優木せつ菜(ラブライブ!シリーズ9周年 セガコラボカフェ) 前回からの変更点:ドリームセッションのスキップ機能追加、デハフが復活 第18回 開催時期 前半戦:2022年4月1日~4月12日 後半戦:2022年4月14日~4月25日 イベント名:Nunnally in School Idol Festival 主な報酬 前半戦:【称号】コードギアス 15th Anniversary、【背景】不思議な学園~Aqours~、UR高海千歌(「コードギアス」コラボ編 キャンペーンガール) 前半戦:【称号】Nunnally in School Idol Festival、【背景】不思議な学園~μ's~、UR高海千歌(「コードギアス」コラボ編 キャンペーンガール) コードギアスコラボ仕様。 前半戦・後半戦の二部構成(いずれも全60ステージ) シーズン4 シーズン3からの変更点:各種セッション報酬・交換所のアイテム変更、SPセッションクリアに必要なスコアが上昇 第19回 開催時期:2022年4月30日~5月25日 イベント名:ぴっかぴかの中のぴっかぴか 主な報酬:【称号】ぴっかぴかの中のぴっかぴか、URエマ・ヴェルデ(ラブライブ!シリーズ9周年 セガコラボカフェ) 第20回 開催時期:2022年5月31日~6月25日 イベント名:ミライへアクセス 主な報酬:【称号】ミライへアクセス、UR天王寺璃奈(ラブライブ!シリーズ9周年 セガコラボカフェ) 第21回 開催時期:2022年6月30日~7月25日 イベント名:夢叶える日まで 主な報酬:【称号】夢叶える日まで、UR上原歩夢(オールスターズプロローグ衣装) 第22回 開催時期:2022年7月31日~8月25日 イベント名:鏡の中の私 主な報酬:【称号】鏡の中の私、UR中須かすみ(オールスターズプロローグ衣装) メンバー専用SIスキルのラインナップ:μ's2年生とAqours2年生のプティと無印 第23回 開催時期:2022年8月31日~9月25日 イベント名:重なるストーリー 主な報酬:【称号】重なるストーリー、UR桜坂しずく(オールスターズプロローグ衣装) メンバー専用SIスキルのラインナップ:μ's1年生とAqours1年生のプティと無印 第24回 開催時期:2022年9月30日~10月25日 イベント名:全ては私のために 主な報酬:【称号】全ては私のために、UR朝香果林(オールスターズプロローグ衣装) メンバー専用SIスキルのラインナップ:μ's3年生とAqours3年生のプティと無印 シーズン5 第25回 開催時期:2022年10月31日~11月25日 イベント名:お祭り・バリエーション 主な報酬:【称号】お祭り・バリエーション、UR宮下愛(オールスターズプロローグ衣装) メンバー専用SIスキルのラインナップ:μ's2年生とAqours2年生のミディとグラン 第26回 開催時期:2022年11月30日~12月25日 イベント名:夢と夢のおはなし 主な報酬:【称号】夢と夢のおはなし、UR近江彼方(オールスターズプロローグ衣装) メンバー専用SIスキルのラインナップ:μ's1年生とAqours1年生のミディとグラン ライブ♪アリーナとは? ライブをプレイし、そのスコアで勝敗を競うイベントです。 「スコアマッチ」「なかよしマッチ」のようにリアルタイムでマッチングするのではなく、予め用意されたデータとスコアを競うことになります。 セッションの種類 ライブセッション テンションゲージがMAXになっていない時にプレイ可能なモードです。 消費LPはクラスや難易度を問わず1になります。 他のプレイヤーの「うでまえチェック」で記録されたユニットが5つ提示されるので、その中の1つを対戦相手に選んでライブを開始します。 コラボイベントでは原作キャラ+4つのユニットになります。 原作キャラの強さは一定になります。 どの相手を選んだ場合でも報酬は同じなので、できるだけ弱い相手を選ぶと良いでしょう。 自身のうでまえデータが使用されると結果に応じたデザイン切手が貰えることができます。 勝利するとテンションゲージが大きく上昇。敗北した場合でもテンションゲージが少しだけ上昇します。 またライブセッション以外のライブでも上昇します。 通常ライブ、イベントライブ、リズミックカーニバル、うでまえチャレンジが対象です。 結果やクラスに応じたデザイン切手が貰えることができます。 「スクフェスライブサポートPASS」を購入していれば獲得切手が2倍になります。 AUTOモード ライブセッションのみ使用可能。 攻略中の楽曲のうでまえデータがあるとAUTOモードが使用可能になります。(*1)(*2) うでまえデータを再現して自動プレイができます。 AUTOモードは1日につき10回まで利用できます。 利用可能回数が0になった場合、ラブカストーン1個を消費して利用可能回数を残り10回まで回復させることができます。 「スクフェスライブサポートPASS」を購入していればAUTOモードを無制限に利用できるようになります。 スペシャルセッション テンションゲージがMAXになっている時、ライブセッションの代わりにプレイ可能なモードです。 転入生が相手になり、目標スコア以上でライブを成功させることでセッション成功となります。(*3) ステージによっては「体力減少(ストレス)」「特技発動率減少(ショック)」といった、ライブを不利にするデバフが発生する場合があります。レアリティが高いほど効果が強くなります。 失敗するとテンションゲージがゼロになり、最大まで溜めると再戦できるようになります。 現在にいるクラスに限り、クリア済みのステージをプレイできるようになります。 ただし、クリア済みのステージでは初回報酬を貰えることはできません。 そのクラスでのスペシャルセッション成功回数が10の倍数になると、より上位のクラスに行くことができるようになります。 上位のクラスほど、提示される楽曲の難易度や、セッション成功するためのスコア量、セッション成功時の報酬の質や量が上昇します。 現在よりも下のクラスに移動することはできません。 難易度は選択できますが、ステージを進むにつれて下位の難易度は選択できなくなります。 ステージ99クリア後は、ライブセッションはステージ100の楽曲に固定されます。 第26回まではMASTERはスイングアイコンが存在する楽曲が一切出現しませんでしたが、第27回からはスイングアイコンが存在する楽曲も再び出現するようになりました。 第19回~ クラス ステージ 楽曲基本難易度 SPセッション消費LP 備考 ルーキー 1~10 NORMAL LP5 一部のステージは上位の難易度しか選べない ノービス 11~20 NORMAL LP10 アドバンス 21~30 HARD LP15 エキスパート 31~50 HARD LP25 ロイヤルエキスパート 51~100 51~79:EXPERT80~100:MASTER LP25 楽曲は1~30のローテーションステージ数の下一桁が5と0でデバフ発生5は体力減少(ストレス)0は特技発動確率減少(ショック)進むにつれてレアリティアップ(効果上昇)一部のステージは上位の難易度しか選べない 101 MASTER 基本は100と同じスペシャルセッションは51~99のステージを選択できる + 第18回 ライブセッションは前半戦ではAqours楽曲(難易度固定)、後半戦ではμ's楽曲(難易度固定)になっており、イベントページに遷移するたびに再抽選されます。 スペシャルセッションは奇数のステージでは「COLORS」、偶数のステージでは「勇侠青春謳」になります。 ライブセッションの固定対戦相手は直前のスペシャルセッションで対戦した相手になります。 ステージ11以降の末尾に5と0が付くステージのスペシャルセッションではデバフが発生するようになります。またいつもより効果が強めになっており、ステージを進むたびにレアリティがアップし効果が強くなります。 クラス ステージ 楽曲基本難易度 SPセッション消費LP 備考 ルーキー 1~10 NORMAL 1~5:LP56~10:LP15 ライブセッションは難易度変更不可一部のステージのスペシャルセッションは上位の難易度しか選べない ノービス 11~20 NORMAL LP15 アドバンス 21~30 HARD LP15 エキスパート 31~40 HARD LP25 ロイヤルエキスパート 41~60 41~49:HARD50~54:EXPERT55~60:MASTER LP25 61 MASTER 60と同じスペシャルセッションは41~59のステージを選択できる + 第17回 クラス ステージ 楽曲基本難易度 SPセッション消費LP 備考 ルーキー 1~10 NORMAL 1~5:LP56~10:LP15 一部のステージは上位の難易度しか選べない ノービス 11~20 NORMAL LP15 アドバンス 21~30 HARD LP15 エキスパート 31~50 HARD LP25 楽曲は1~30のローテーション ロイヤルエキスパート 51~100 51~80:EXPERT81~100:MASTER LP25 楽曲は1~30のローテーションステージ数の下一桁が5と0でデバフ発生5は体力減少(ストレス)0は特技発動確率減少(ショック)進むにつれてレアリティアップ(効果上昇) 101 Deep Resonance固定、デバフあり(URショック)ステージ51~100を選択できない + 第16回 クラス ステージ 楽曲基本難易度 SPセッション消費LP 備考 ルーキー 1~10 NORMAL 1~5:LP56~10:LP15 一部のステージは上位の難易度しか選べない ノービス 11~20 NORMAL LP15 アドバンス 21~30 HARD LP15 エキスパート 31~50 HARD LP25 選曲がランダム ロイヤルエキスパート 51~100 MASTER LP25 一部のステージはEXPERTも選択可能(条件あり)選曲がランダム 101 DROPOUT!?固定ステージ51~100を選択できない + 第15回 クラス ステージ 楽曲基本難易度 SPセッション消費LP 備考 ルーキー 1~10 NORMAL 1~5:LP56~10:LP15 一部のステージは上位の難易度しか選べないデバフは一部のステージで発生 ノービス 11~20 11~16:NORMAL17~20:HARD LP15 アドバンス 21~30 21~29:HARD30:EXPERT LP15 エキスパート 31~80 EXPERT LP25 一部のステージはHARDも選択可能選曲とデバフ発生がランダム ロイヤルエキスパート 81~100 MASTER LP25 一部のステージはEXPERTも選択可能選曲とデバフ発生がランダム 101 選曲がランダム(一度のみ。2回目以降は1回目と同じ曲)デバフが必ず発生ステージ81~100を選択できない + 第14回 クラス ステージ 楽曲基本難易度 SPセッション消費LP 備考 ルーキー 1~10 NORMAL 1~5:LP56~10:LP15 一部のステージは上位の難易度しか選べないデバフは一部のステージで発生 ノービス 11~20 11~16:NORMAL17~20:HARD LP15 アドバンス 21~30 21~29:HARD30:EXPERT LP15 エキスパート 31~80 EXPERT LP25 選曲とデバフ発生がランダム ロイヤルエキスパート 81~100 MASTER LP25 101 選曲とデバフ発生がランダム2回目以降は同じ楽曲とデバフ発生になる(*4)ステージ81~100を選択できない + 第13回 クラス ステージ 楽曲基本難易度 SPセッション消費LP 備考 ルーキー 1~10 NORMAL 1~5:LP56~10:LP15 Burn My Dread ノービス 11~20 11~16:NORMAL17~20:HARD LP15 Pursuing My True Self アドバンス 21~30 21~29:HARD30:EXPERT LP15 Wake Up, Get Up, Get Out There エキスパート 31~80 EXPERT LP25 31~40と61~70はBurn My Dread (Short Ver.)41~50と71~80はPursuing My True Self (Short Ver.)51~60はWake Up, Get Up, Get Out There (Short Ver.) ロイヤルエキスパート 81~100 MASTER LP25 81~90はWake Up, Get Up, Get Out There (Short Ver.)91~93はBurn My Dread94~96はPursuing My True Self97~100はWake Up, Get Up, Get Out There 101 Burn My Dread(ピュア)固定ステージ81~100を選択できない + 第6回~第12回 クラス ステージ 楽曲基本難易度 SPセッション消費LP ルーキー 1~10 NORMAL 1~5:LP56~10:LP15 ノービス 11~20 11~14:NORMAL15~20:HARD LP15 アドバンス 21~30 21~24:HARD25~30:EXPERT LP15 エキスパート 31~40 EXPERT LP25 ロイヤルエキスパート 41~50 MASTER LP25 ドリームセッション クラスが「エキスパート」以上の時にライブセッションでライブを成功させると稀に特別な対戦相手が出現します。(*5) 対戦相手はA-RISE(綺羅ツバサ、統堂英玲奈、優木あんじゅ)またはSaint Snow(鹿角聖良、鹿角理亜)のメンバーからランダムで選ばれます。 ドリームセッションは30分の制限時間があり、いくつかのプレイ制限が課されます。 成功すると大量のデザイン切手と上位レアリティのライブ♪アリーナ専用SIスキルを獲得できます。 第17回からスキップ機能が導入されました。 制限名 マーク 説明・備考 コンティニュー禁止 ×印を記されたラブカストーン ライブ失敗時にコンティニューができなくなる。 指定グループのみ 丸枠にグループロゴ 指定グループのメンバーのみの編成でないとライブプレイ不可。メンバーの重複は可能。 2人以上禁止 ×印を記された2個の部員マーク 同一部員No.の部員を2人以上で編成しているとライブプレイ不可。 メンバー全員 丸枠に「メンバー全員」の文字ピンク:μ's 青:Aqours 指定グループのメンバー全員の編成でないとライブプレイ不可。 プライベートセッション 「うでまえID」を入力し、指定の友達やライバルと挑戦するセッションです。 うでまえIDはうでまえチェックの画面右上部に表示される「ID発行」ボタンをタップすると発行されます。 成功してもテンションゲージの上昇や報酬はありません。 イベント終了後でも遊べることができます。 アシスト部員 指定された部員が持っています。 効果は2種類あります。 効果1はセッション成功時に獲得できる報酬の出現率がアップ。(対象の部員はアイコン下部に〇%と記載されている) 効果2はセッション成功時に獲得できる報酬が1枠増え、低確率で出現します。(対象の部員はアイコン右上に♪マークが記載されている) ただし、効果1は適用されませんが効果2を複数入れると重複されます。 イベントごとに対象の部員は変わりますので開催時にどんな部員が対象になっているのかをご確認してください。 イベント報酬 スペシャルセッション達成報酬 イベント期間中、スペシャルセッションを初成功するたびにプレゼントボックスに付与されます。 一度クリアしたステージを再度クリアしても報酬は貰えることはできません。 第25回~ 報酬 獲得可能ステージ ラブカストーン 1個:1、6、11、16、21、26、31、362個:41、46、51、563個:61、664個:71、765個:81、86、91、96合計50個 MAXアップジュエル:1個 3、23、33 シュガーポット[LP50%]:3個 28 イベントストーリー解放キー:7個 18 Gアップのお守り:3個 2 EXPアップのお守り:3個 7 絆ptアップのお守り:3個 12 RANKアップジュエル[3A]:3個 5、15合計6個 RANKアップジュエル[4A]:1個 64、69、74合計3個 RANKアップジュエル[5A]:1個 100 シール:3枚 8、13、43合計9枚 Sシール:1枚 38、48、72、77、82合計5枚 SSシール:1枚 79、87、92合計3枚 Uシール:1枚 97 補助チケット 1枚:53、58、632枚:68、73、783枚:83、885枚:93、98合計25枚 SR以上確定チケット:1枚 10、20、35、55、59、84、89合計7枚 SSR以上確定チケット:1枚 25、45、94合計3枚 UR確定勧誘チケット:1枚 99 SSR転入生:1人 40 R深山聡子:5人 4 R山内奈々子:5人 9 R笹原京子:5人 14 SRアルパカ[白]:3匹 27 SRしいたけ:3匹 22 SRマンマル:3匹 17 SR山田博子:1人 34、54合計2人 SSR絢瀬亜里沙:1人 47、67合計2人 SR佐藤洋子:1人 29、49合計2人 SSR渡辺月:1人 42、62合計2人 SR夏川マイ:1人 24、44合計2人 SSR川本美里:1人 37、57合計2人 SR理事長:1人 19、39合計2人 SSR澁谷ありあ:1人 32、52合計2人 URにこの母:1人 85 URことりの母:1人 75 UR真姫の母:1人 65 UR穂乃果の母:1人 95 UR高海美渡:1人 80 UR高海志満:1人 70 UR梨子の母:1人 60 UR千歌の母:1人 90 URかのんの母:1人 50 【称号】 30 + 第19回~第24回 報酬 獲得可能ステージ ラブカストーン 1個:1、6、11、16、21、26、31、362個:41、46、51、563個:61、664個:71、765個:81、86、91、96合計50個 シュガーシロップ[LP5]:50個 3 シュガーキューブ[LP50]:5個 23 シュガーポット[LP50%]:3個 28 シュガーポット[LP100%]:1個 33 イベントストーリー解放キー:7個 18 Gアップのお守り:3個 2 EXPアップのお守り:3個 7 絆ptアップのお守り:3個 12 RANKアップジュエル[3A]:3個 5、15合計6個 RANKアップジュエル[4A]:1個 64、69、74合計3個 RANKアップジュエル[5A]:1個 100 シール:3枚 8、13、43合計9枚 Sシール:1枚 38、48、72、77、82合計5枚 SSシール:1枚 79、87、92合計3枚 Uシール:1枚 97 補助チケット 1枚:53、58、632枚:68、73、783枚:83、885枚:93、98合計25枚 SR以上確定チケット:1枚 10、20、35、55、59、84、89合計7枚 SSR以上確定チケット:1枚 25、45、94合計3枚 UR確定勧誘チケット:1枚 99 SSR転入生:1人 40 R深山聡子:5人 4 R山内奈々子:5人 9 R笹原京子:5人 14 SRアルパカ[白]:3匹 27 SRしいたけ:3匹 22 SRマンマル:3匹 17 SR山田博子:1人 34、54合計2人 SSR絢瀬亜里沙:1人 47、67合計2人 SR佐藤洋子:1人 29、49合計2人 SSR渡辺月:1人 42、62合計2人 SR夏川マイ:1人 24、44合計2人 SSR川本美里:1人 37、57合計2人 SR理事長:1人 19、39合計2人 SSR澁谷ありあ:1人 32、52合計2人 URにこの母:1人 85 URことりの母:1人 75 UR真姫の母:1人 65 UR穂乃果の母:1人 95 UR高海美渡:1人 80 UR高海志満:1人 70 UR梨子の母:1人 60 UR千歌の母:1人 90 URかのんの母:1人 50 【称号】 30 + 第18回 前半・後半ともに同じ報酬です。(称号と背景以外) 報酬 獲得可能ステージ ラブカストーン 1個:1、6、2個:11、163個:21、264個:31、365個:41、4610個:51、56合計50個二部合計100個 シュガーシロップ[LP5]:50個 3二部合計100個 シュガーキューブ[LP50]:5個 17二部合計10個 シュガーポット[LP50%]:3個 22二部合計6個 シュガーポット[LP100%]:1個 27二部合計2個 イベントストーリー解放キー:7個 5二部合計14個 Gアップのお守り:3個 2二部合計6個 EXPアップのお守り:3個 7二部合計6個 絆ptアップのお守り:3個 12二部合計6個 RANKアップジュエル[3A]:3個 32二部合計6個 RANKアップジュエル[4A]:1個 42二部合計2個 RANKアップジュエル[5A]:1個 60二部合計2個 シール:3枚 8二部合計6枚 Sシール:1枚 23二部合計2枚 SSシール:1枚 52二部合計2枚 Uシール:1枚 55二部合計2枚 補助チケット 1枚:332枚:383枚:434枚:485枚:5310枚:58合計25枚二部合計50枚 SR以上確定チケット:1枚 10二部合計2枚 SSR以上確定チケット:1枚 35、40、45合計3枚二部合計6枚 UR確定勧誘チケット:1枚 50二部合計2枚 SRアルパカ[白]:3匹 4二部合計6匹 SRしいたけ:3匹 9二部合計6匹 SRマンマル:3匹 13二部合計6匹 SR山田博子:2人 14二部合計4人 SSR絢瀬亜里沙:2人 15二部合計4人 SR佐藤洋子:2人 18二部合計4人 SSR渡辺月:2人 19二部合計4人 SR夏川マイ:2人 24二部合計4人 SSR川本美里:2人 25二部合計4人 SR理事長:2人 28二部合計4人 SSR澁谷ありあ:2人 29二部合計4人 URにこの母:1人 39二部合計2人 URことりの母:1人 37二部合計2人 UR真姫の母:1人 34二部合計2人 UR穂乃果の母:1人 54二部合計2人 UR高海美渡:1人 49二部合計2人 UR高海志満:1人 47二部合計2人 UR梨子の母:1人 44二部合計2人 UR千歌の母:1人 57二部合計2人 URかのんの母:1人 59二部合計2人 【称号】コードギアス 15th Anniversary(前半戦)【背景】不思議な学園~μ's~(後半戦) 20 【背景】不思議な学園~Aqours~(前半戦)【称号】Nunnally in School Idol Festival(後半戦) 30 + 第13回~第17回 報酬 獲得可能ステージ ラブカストーン 1個:1、6、11、16、21、26、31、36、41、462個:51、563個:61、664個:71、765個:81、866個:91、96合計50個 シュガーシロップ[LP5]:50個 3 シュガーキューブ[LP50]:5個 27 シュガーポット[LP50%]:3個 28 シュガーポット[LP100%]:1個 29 イベントストーリー解放キー:7個 18 Gアップのお守り:3個 22 EXPアップのお守り:3個 23 絆ptアップのお守り:3個 24 RANKアップジュエル[3A]:3個 64、69、74、79合計12個 RANKアップジュエル[4A]:1個 84、89、94合計3個 RANKアップジュエル[5A]:1個 99 シール:3枚 4、37、52、54、57合計15枚 Sシール:1枚 47、59、62、67、72合計5枚 SSシール:1枚 77、82、87、92、97合計5枚 Uシール:1枚 95 補助チケット 1枚:53、58、632枚:68、73、783枚:83、885枚:93、98合計25枚 SR以上確定チケット:1枚 5、10、15、20、35、45、60、70合計8枚 SSR以上確定チケット:1枚 25、40、80、90合計4枚 UR確定勧誘チケット:1枚 100 SSR転入生:1人 50 Rアルパカ[白]:10匹 2 R深山聡子:5人 7 R山内奈々子:5人 8 R笹原京子:5人 9 R矢澤ここあ:5人 12 R矢澤虎太郎:5人 13 R矢澤こころ:5人 14 Rアルパカ[茶]:5匹 17 SRアルパカ[白]:3匹 19 SRヒデコ:1人 32、42合計2人 SRフミコ:1人 33、43合計2人 SRミカ:1人 34、44合計2人 SR山田博子:1人 38、48合計2人 SSR絢瀬亜里沙:1人 39、49合計2人 URにこの母:1人 55 URことりの母:1人 65 UR真姫の母:1人 75 UR穂乃果の母:1人 85 【称号】 30 + 第13回・第14回のステージ30・50報酬 開催回 ステージ30 ステージ50 第13回 【称号】ペンタス・フェスティバル 【称号】PERSONA 25th Anniversary 第14回 SSR川本美里:1人 【称号】灯そう!聖なる気持ち + 第1回~第12回 条件 報酬 1回 ラブカストーン:5個 2回 ラブカストーン:1個 3回 4回 5回 ラブカストーン:2個 6回 ラブカストーン:1個 7回 8回 9回 10回 勧誘チケット:1枚 11回 ラブカストーン:2個 12回 ラブカストーン:1個 13回 14回 15回 ラブカストーン:3個 16回 ラブカストーン:1個 17回 18回 19回 勧誘チケット:1枚 20回 ラブカストーン:3個 21回 ラブカストーン:1個 22回 23回 24回 25回 ラブカストーン:4個 26回 ラブカストーン:1個 27回 28回 29回 30回 ラブカストーン:10個 31回 SSR川本美里:1人 32回 SSシール:1枚 33回 SRヒデコ:1人 34回 SRフミコ:1人 35回 SSR渡辺月:1人 36回 SSシール:1枚 37回 SRミカ:1人 38回 SR山田博子:1人 39回 SSR絢瀬亜里沙:1人 40回 SSシール:1枚 41回 SSR川本美里:3人 42回 SSシール:1枚 43回 SRよしみ:1人 44回 SRいつき:1人 45回 SSR渡辺月:3人 46回 SSシール:1枚 47回 SRむつ:2人 48回 SR佐藤洋子:2人 49回 SSR絢瀬亜里沙:3人 50回 【称号】(称号名) ドリームセッション成功報酬 イベント期間中、ドリームセッションを初成功するたびに直接付与されます。 デザイン切手はイベントごとに変わります。 LPを100消費すると獲得量が4倍になります。 「スクフェスライブサポートPASS」があれば2倍になります。(LP100消費で8倍) 第22回~ 条件 報酬デザイン切手 1~45回 50000個~490000個(10000個刻み) 46~85回 500000個 86~100回 1000000個 + 第19回~第21回 条件 報酬デザイン切手 1~9回 50000個~450000個(50000個刻み) 10~85回 500000個 86~100回 1000000個 + 第18回 条件 報酬デザイン切手 1~5回 10000個~50000個(10000個刻み) 6~10回 60000個~100000個(10000個刻み) 11~100回 500000個 + 第14回~第17回 条件 報酬デザイン切手 1~30回 10000個~300000個(10000個刻み) 31~35回 320000個 36~40回 340000個 41~45回 370000個 46~50回 400000個 51~55回 450000個 56~60回 500000個 61~65回 550000個 66~70回 600000個 71~75回 650000個 76~80回 700000個 81~85回 750000個 86~90回 800000個 91~95回 850000個 96~100回 900000個 + 第13回 条件 報酬デザイン切手 1~5回 20000個 6~10回 40000個 11~15回 60000個 16~20回 80000個 21~25回 100000個 26~30回 130000個 31~35回 160000個 36~40回 190000個 41~45回 220000個 46~50回 250000個 51~55回 280000個 56~60回 310000個 61~65回 340000個 66~70回 370000個 71~75回 400000個 76~80回 450000個 81~85回 500000個 86~90回 550000個 91~95回 600000個 96~100回 650000個 + 第1回~第12回 条件 報酬 1回 デザイン切手:10000個 2回 デザイン切手:20000個 3回 デザイン切手:30000個 4回 デザイン切手:40000個 5回 デザイン切手:50000個 デイリーランキング報酬 イベント期間中の毎日、6つの項目の順位に応じて報酬が配布されます。 翌日になるとプレゼントボックスに付与されます。 第5回までは翌々日になるまでにイベントTOP画面に遷移しないと受け取ることができない仕様でした。 第13回~ 項目 条件 報酬 備考 累計SPセッション成功 1~10000位 RANKアップジュエル[1A]:3個RANKアップジュエル[2A]:1個シュガーシロップ[LP5]:50個Gアップのお守り:1個 ドリームセッションも対象 累計ハート回復 RANKアップジュエル[2A]:3個RANKアップジュエル[3A]:1個シュガーシロップ[LP5]:50個絆ptアップのお守り:1個 「体力回復」特技の特殊効果のハートを指している。当該特技を持つ部員またはアクセサリーが必要 累計ライブセッション成功 RANKアップジュエル[1A]:3個RANKアップジュエル[2A]:1個シュガーシロップ[LP5]:50個Gアップのお守り:1個 累計スコア RANKアップジュエル[3A]:3個RANKアップジュエル[4A]:1個シュガーシロップ[LP5]:50個絆ptアップのお守り:1個 累計ALL PERFECT RANKアップジュエル[3A]:3個RANKアップジュエル[4A]:1個シュガーシロップ[LP5]:50個EXPアップのお守り:1個 ロングアイコンは始点・終点の両方でPERFECT判定を出さなければならない。 累計SIスキル発動 RANKアップジュエル[3A]:3個RANKアップジュエル[4A]:1個シュガーシロップ[LP5]:50個EXPアップのお守り:1個 ライブ♪アリーナ専用SIスキルを指している。ボーナススコアで算出。 + 第1回~第12回 項目 条件 報酬 累計SPセッション成功 1~10000位 RANKアップジュエル[1A]:3個RANKアップジュエル[2A]:1個 累計ハート回復 累計ライブセッション成功 累計スコア RANKアップジュエル[3A]:3個RANKアップジュエル[4A]:1個 累計ALL PERFECT 累計SIスキル発動 ライブセッションランキング報酬(マンスリー報酬) イベント期間終了後、最終クラスと順位に応じて報酬が配布されます。 イベント終了後、プレゼントボックスに付与されます。 第5回までは次回のイベント開催までにイベントTOP画面に遷移しないと受け取ることができない仕様でした。 第13回~ クラス 条件 報酬 ロイヤルエキスパート 各クラス1~1000000位 UR部員:2人SSR以上確定チケット:1枚SR以上確定チケット:2枚補助チケット:5枚SR以上特技サポート勧誘チケット:5枚 エキスパート UR部員:1人SSR以上確定チケット:1枚SR以上確定チケット:2枚補助チケット:3枚SR以上特技サポート勧誘チケット:3枚 アドバンス SSR以上確定チケット:1枚SR以上確定チケット:2枚補助チケット:3枚SR以上特技サポート勧誘チケット:3枚 ノービス SR以上確定チケット:2枚補助チケット:2枚SR以上特技サポート勧誘チケット:2枚 ルーキー SR以上確定チケット:1枚補助チケット:1枚SR以上特技サポート勧誘チケット:1枚 ノービス以上で昇格したばかりだとランキングが前のクラスのままになっています。 一度、プライベートセッションを除くセッションをすれば現在のクラスのランキングに登録されます。 + 第1回~第12回 クラス 条件 報酬 ロイヤルエキスパート 各クラス1~1000000位 UR部員:2人SSR転入生:2人補助チケット:5枚 エキスパート UR部員:1人SSR転入生:1人補助チケット:3枚 アドバンス SSR転入生:1人補助チケット:3枚 ノービス 勧誘チケット:2枚補助チケット:3枚 ルーキー 勧誘チケット:1枚補助チケット:1枚 ライブ♪アリーナ交換所 ライブセッションやドリームセッションで獲得したデザイン切手を消費してアイテムと交換できる機能です。 交換期間:毎月末日 16時~翌月末日 16時 デザイン切手は次回開催時に持ち越すことはできません。 メンバー専用SIスキル(第22回~) 開催する時期によりラインナップが異なります。 第25回からミディとグランが追加されました。 全4ランクがラインナップされることはありません。 名前 必要切手 交換回数 【属性】(メンバー象徴)SIスキル・プティ 各メンバー・属性1200000 各メンバー・属性1個 【属性】(メンバー象徴)SIスキル 各メンバー・属性1400000 【属性】(メンバー象徴)SIスキル・ミディ 各メンバー・属性1300000 【属性】(メンバー象徴)SIスキル・グラン 各メンバー・属性2000000 全交換するのには 必要切手数×メンバー数×属性 プティ:1,200,000×6×3=21,600,000 ミディ:1,300,000×6×3=23,400,000 無印:1,400,000×6×3=25,200,000 グラン:2,000,000×6×3=36,000,000 合計 ドリームセッションの目安回数(以下DS。スクフェスライブサポートPASS無し、LP4倍消費) プティ+無印=46,800,000、DS約46回 ミディ+グラン=59,400,000、DS約52回 ラインナップ履歴 通常はプティと無印、太字はミディとグランの2種がラインナップ 1年生:23・26 2年生:22・25 3年生:24 第19回~ 名前 必要切手 交換回数 Nコーラス 1875 64 Nパレード Nハーモニー[μ's] Nハーモニー[Aqours] Nパーティ Nスタイル[スマイル] Nスタイル[ピュア] Nスタイル[クール] Nスライド 3750 Nテンション Nクロック[μ's] Nクロック[Aqours] Nポリシー Nバランス[スマイル] Nバランス[ピュア] Nバランス[クール] Nテンポ Nフレッシュ Rコーラス 3750 32 Rパレード Rハーモニー[μ's] Rハーモニー[Aqours] Rパーティ Rスタイル[スマイル] Rスタイル[ピュア] Rスタイル[クール] Rスライド 7500 Rテンション Rクロック[μ's] Rクロック[Aqours] Rポリシー Rバランス[スマイル] Rバランス[ピュア] Rバランス[クール] Rテンポ Rフレッシュ SRコーラス 15000 16 SRパレード SRハーモニー[μ's] SRハーモニー[Aqours] SRパーティ SRスタイル[スマイル] SRスタイル[ピュア] SRスタイル[クール] SRスライド 30000 SRテンション SRクロック[μ's] SRクロック[Aqours] SRポリシー SRバランス[スマイル] SRバランス[ピュア] SRバランス[クール] SRテンポ SRフレッシュ SSRコーラス 30000 8 SSRパレード SSRハーモニー[μ's] SSRハーモニー[Aqours] SSRパーティ SSRスタイル[スマイル] SSRスタイル[ピュア] SSRスタイル[クール] SSRスライド 60000 SSRテンション SSRクロック[μ's] SSRクロック[Aqours] SSRポリシー SSRバランス[スマイル] SSRバランス[ピュア] SSRバランス[クール] SSRテンポ SSRフレッシュ シュガーシロップ[LP5] 25 100 シュガーキューブ[LP50] 250 45 シュガーポット[LP50%] 1250 25 シュガーポット[LP100%] 2500 10 シール 10000 35 EXPアップのお守り 2500 12 Gアップのお守り 絆アップのお守り イベントストーリー解放キー 30000 30 補助チケット 500000 3 SR以上特技サポート勧誘チケット 125000 10 Nアルパカの子ども 250 90 Rアルパカ[白] 1250 30 Rアルパカ[茶] 7500 10 SRアルパカ[白] 7500 10 R深山聡子 3125 20 R山内奈々子 R笹原京子 R矢澤ここあ 7500 10 R矢澤虎太郎 R矢澤こころ SRミカ 75000 5 SRフミコ SRヒデコ SR山田博子 Nしいたけの子ども 250 90 Nわたあめ Nあんこ Rしいたけ 1250 30 SRしいたけ 7500 10 Rうちっちー 1250 30 SRよしみ 75000 5 SRいつき SRむつ SR佐藤洋子 + 第13回~第18回 名前 必要切手 交換回数 Nコーラス 18750 64 Nパレード Nハーモニー[μ's] Nハーモニー[Aqours] Nパーティ Nスタイル[スマイル] Nスタイル[ピュア] Nスタイル[クール] Rコーラス 35000 32 Rパレード Rハーモニー[μ's] Rハーモニー[Aqours] Rパーティ Rスタイル[スマイル] Rスタイル[ピュア] Rスタイル[クール] SRコーラス 150000 16 SRパレード SRハーモニー[μ's] SRハーモニー[Aqours] SRパーティ SRスタイル[スマイル] SRスタイル[ピュア] SRスタイル[クール] SSRコーラス 300000 8 SSRパレード SSRハーモニー[μ's] SSRハーモニー[Aqours] SSRパーティ SSRスタイル[スマイル] SSRスタイル[ピュア] SSRスタイル[クール] シュガーシロップ[LP5] 25 100 シュガーキューブ[LP50] 250 45 シュガーポット[LP50%] 1250 25 シュガーポット[LP100%] 2500 10 シール 10000 35 EXPアップのお守り 2500 12 Gアップのお守り 絆アップのお守り イベントストーリー解放キー 30000 30 補助チケット 500000 3 SR以上特技サポート勧誘チケット 125000 10 Nアルパカの子ども 250 90 Rアルパカ[白] 1250 30 Rアルパカ[茶] 7500 10 SRアルパカ[白] 7500 10 R深山聡子 3125 20 R山内奈々子 R笹原京子 R矢澤ここあ 7500 10 R矢澤虎太郎 R矢澤こころ SRミカ 75000 5 SRフミコ SRヒデコ SR山田博子 Nしいたけの子ども 250 90 Nわたあめ Nあんこ Rしいたけ 1250 30 SRしいたけ 7500 10 Rうちっちー 1250 30 SRよしみ 75000 5 SRいつき SRむつ SR佐藤洋子 + 第18回限定 前半戦 名前 必要切手 交換回数 UR黒の皇子 1200000 1 URランスロットの開発者[Aqours] UR嘘なき世界の約束[スマイル] UR嘘なき世界の約束[ピュア] UR嘘なき世界の約束[クール] SSR生徒会副会長 300000 8 SSR死にたがり SSRマッドサイエンティスト[Aqours] SSR時間停止の暗殺者 SSRふたごの裏切り[スマイル] SSRふたごの裏切り[ピュア] SSRふたごの裏切り[クール] SSR純血派の指揮官 SSR情動を求めし者 後半戦 名前 必要切手 交換回数 UR黒の皇子 1200000 1 UR白き騎士 UR捨てられたボロ雑巾 URギアス・キャンセラー UR帝国の宰相 SSR生徒会副会長 300000 8 SSR死にたがり SSRマッドサイエンティスト[Aqours] SSR時間停止の暗殺者 SSRふたごの裏切り[スマイル] SSRふたごの裏切り[ピュア] SSRふたごの裏切り[クール] SSR純血派の指揮官 SSR情動を求めし者 + 第13回限定 名前 必要切手 交換回数 SSRトパーズ 300000 8 SSRオパール SSRターコイズ[μ's] SSRスモーキークォーツ SSRハウライト[スマイル] SSRハウライト[ピュア] SSRハウライト[クール] SSRオニキス SSRスファレライト + 第6回~第12回 名前 必要切手 交換回数 Nパレード 18750 50 Rパレード 35000 10 SRパレード 150000 1 SSRパレード 300000 1 シュガーシロップ[LP5] 25 100 シュガーキューブ[LP50] 250 10 シュガーポット[LP50%] 1250 5 シュガーポット[LP100%] 2500 1 シール 10000 10 EXPアップのお守り 2500 3 Gアップのお守り 絆アップのお守り イベントストーリー解放キー 30000 1 補助チケット 500000 1 SR以上特技サポート勧誘チケット 125000 1 Nアルパカの子ども 250 5 Rアルパカ[白] 1250 3 Rアルパカ[茶] 7500 3 SRアルパカ[白] 7500 1 R深山聡子 3125 3 R山内奈々子 R笹原京子 R矢澤ここあ 7500 3 R矢澤虎太郎 R矢澤こころ SRミカ 75000 1 SRフミコ SRヒデコ SR山田博子 Nしいたけの子ども 250 5 Nわたあめ Nあんこ Rしいたけ 1250 3 SRしいたけ 7500 1 Rうちっちー 1250 1 SRよしみ 75000 1 SRいつき SRむつ SR佐藤洋子
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愛想こそないけれど、「一見しただけでは」確かにごく普通のシスターだったのだ。 だが自分を始めとした仲間達数人は、それ以降の数日の旅路でそんな認識をたやすくひっくり返されることになる。 まず初日、戦闘終了後に回復の為と進呈されたグミによって、彼女はあっさり『いけすかない女』認定された。あれだけ舌を蹂躙する味でありながら しっかりTPが回復するというのはどうなのだろうか。 あまりの辛さにのたうつ自分達に、仕掛けた本人は特に大笑いすることもなく、ただ『知り合いの王女に教わった調合法だけどこんなに上手くいくなんてね』と、 感心しているのかそうでないのかわからない口調で平然とのたまった。 そして次、情報収集の為に立ち寄ったカジノで、よりにもよって自分達全員(の装備品)をチップにした非合法ブラックジャックなどというものに挑んだ時には、 (スリーセブンで圧勝したとはいえ)本気で息の根を止めようかとも思った。護衛対象―――即ち顧客でなければ、呪文の一発や二発でも かましてやりたいと強く願った瞬間である。 そして、彼女の顔をマトモに見た最後の日のことだけは、割と鮮明に覚えてる。 『―――あら、お姫様。夜更かしはお肌の大敵なんじゃなかったかしら?』 一緒に迎えた幾度目かの野営の夜、火の番を交代している時に、ふと目を覚ましていたらしい彼女とかち合った。 普段は日頃からの仕打ちも相俟って、考えうる限りの悪口雑言を繰り広げていたロッタではある。が、その時はやたら眠かったことも ありいつもの憎まれ口も互いになりを潜めたのか、その夜だけは珍しく―――まるで普通の友人同士のように話し込んでいた。 あの時の「彼女」も、多分それなりに開襟を開いてくれていたのではないかと思う。目に見えて声を立てて笑ったりなどしなかったが、 けれどそれまで話さなかったような『夢』を語ってくれるぐらいには。 「信じてくれなくてもいいけど、『それ』はそういう職業なのよ」 思えば、掴もうとすると手品のようにその手を音もなくすり抜けるような少女だった。 年相応に泣いたり怒ったり泣いたり、情動を発露するという行為には縁遠いと思っていたけれど、その時だけは夢物語のような 途方もない夢想を仰ぐ子供のように見えた。 まあ、そんな感傷を抱いたのも一瞬だけで、あとは彼女の傍若無人ぶりに振り回される忙しい日々の中に置き去りにされていった訳だが。 何故今になって、そんなどうでもいいとすら思っていた筈の記憶を思い出したのかと言えば――― 脂汗を浮かべ、壁に張り付いた『彼女』が引きつった眼差しでこちらを見据えている。 「・・・・・・もう一度確認するわよ。難聴になったつもりはないけど、気のせいかしら今あなたの言ったことが物っっっ凄く理解しづらいのよ。 ―――明確に、そして誠実に答えてくれないかしら?」 感情的になってはいけない。交渉というのは何を言われようと先に我を忘れた方が負けである。元より僧侶とは慈悲深さと寛容を旨とする生業だ、 決して路肩の通り魔みたいに「ついカッとなって」みたいな展開になってはいけないのである。 だが、追いつめられ脂汗を浮かべた少女本人もそれ以外に答えようがないのだ。答えようがないからこそ、繰り返してしまう。ロッタの逆鱗を刺激したその一言。 「・・・・・・どちら様、でしたっけ?」 「・・・・・・光よ 命を糧とし彼の者を打ち」 「ストップストップ!ロッタ、はやまらないで杖を構えないでそしておもむろに術を詠唱し始めないでぇぇぇっ!」 八割方本気で目の前の少女に術をぶち込もうとしたロッタと、それを羽交い締めにして押さえる仲間達によるどんちゃん騒ぎに対し、 診療所の主たるアニーが柳眉を吊り上がらせて雷を落とすまでそう長くは掛からなかった。 とりあえず、ベッドで寝入っている患者の少女の身内を呼びに行かせるという名目で春香を一旦退席させた アニー女史の英断は正しかったといえる。一応、さっきまでヒートアップしていたロッタの頭も大分冷えつつあったのだから。 「―――『あの』ラクリマ修道会ですか?・・・・・・それはまた」 そのキーワードを口にした瞬間、ゴリゴリと延べ棒で薬草をすりつぶしいたアニーは目を丸くした。 「そんな高貴な出の方とは思いもしませんでした・・・・・・それにしては随分としょみ―――親しみやすい感じの方でしたので」 「別に言い繕わなくてもいいわよ」 世界全土、とまではいかずとも、依頼主の高名は届く所には届いているようだった。それだけに、そんな大口からの依頼を こんな形で『失敗』させてしまうかも知れない現状を鑑みると頭痛を覚えてしまう。 「まず、当の本人―――天海春香さんは、貴方方とは面識がないと言い張って、更にはシスターでなく 『東京』と呼ばれる遠い異国から来た、と主張しておられるようです」 「・・・・・・そうね。そこら辺をどうにかしないといつまでも話が進まないんだけど・・・・・・」 アニーは作業の手を休めると、コホンと咳払いしつつ神妙に告げる。 「春香さんは、さっきポルカの森でエッグベアに襲われているところをファラさんに助けられ、村へ案内されたそうです。 ただ・・・・・・どういう経緯で出来た傷かはわかりませんが、頭部を少し打っていたので、さっき私がここで治療しました」 頭部、と聞いてロッタの眉間の皺が深くなる。治癒魔法もそれなりに普及している昨今ではあるが、やはり頭というのは非常にデリケートな部位だ。 非常に不躾だが機械などでいう『不具合』のようなものが彼女の身に起きた結果が、さっきのあの不毛な問答になったという線も充分にありうるのだ。 事態の深刻さを改めて噛みしめるように、カノンノもまた己の足下を見て俯いて、 「・・・・・・だから、あそこまで様子がおかしくなっちゃったのかな・・・・・・?」 「・・・・・・あの、つかぬことを聞きますけど『あそこまで』なんて言われるほど様子がおかしいんですか? 私も少し話した程度ですが、普通の娘さんのように感じたんですけど」 そうだ、アニーに『ファラの保護者に知らせてほしい』という口実を与えられ出ていくまで、彼女は一貫して『普通の女の子』 だった―――普通の女の子『過ぎた』。 「・・・・・・そうね。例えば世界に仇なす伝説の魔王が突然引退宣言して「普通の女の子に戻りまーす!」、なんて宣言したらどう思う? ・・・・・・私達にとってそれと同じなのよ、あの娘の今の変貌ぶりは」 「・・・・・・・・・」 どんな所業を犯せばあそこまで言われるのだろうか、とアリアリと浮かんでいる瞳である。 疲れたようにため息をついていると、カノンノがコソコソと声を潜めて、 「・・・・・・ロッタ。これからどうする・・・・・・?」 「・・・・・・とりあえず、一旦リーダーに報告して指示を仰ぐしかないでしょう」 嘆息して、事態の複雑さに改めて目眩を覚えた。あのように人格までも変化してしまっては、どんな風に接していけばいいものかわからない。 「いや、そうじゃなくて・・・・・・」 透き通った湖面のような瞳が、迷うようにソワソワと宙を見つめる。 いつもなら、言いたいことがあるならハッキリ言え、とでも叱り飛ばしているところだが、場所は病人も寝ている診療所である。 唇を引き結んで次の言葉を待っていると、 「大丈夫なの、ロッタ?」 ―――魔物との戦闘でヘマをやらかし、多少深手を負った時にかけられた労りと似た響きだった。 訳もなく胸を走った動揺を悟られぬように、彼女から背を向けて、 「何って―――何がよ」 呟き返す声は震えていなかっただろうか。 だが、強気を装ったそれに動じることもなく、カノンノは次の一言を――― 「・・・・・・そういえば、もう一人のお仲間の方はどちらへ?」 言うより前に、サラリとアニーが指摘した事実に固まった。 じー。 「・・・・・・あー、あの・・・・・・」 じー。 「そ、そんなに見られると穴が開いちゃうかなー、なんて・・・・・・」 「・・・・・・?開いてないよ?」 ―――どうしてこうなった。 変な癖っ気のある輝く金髪、ノースリーブの赤い上衣によって浮き彫りになった体躯は若干小柄だが、 腰に提げた物騒な得物(剣)が妙に不釣り合いな気もした。 職業柄、『見られる」』ことには慣れているつもりだったが、こんな風にひたすら無心に見つめられ続けると妙に緊張感が増す。 ある意味彼の三大審査員と対面した時以上のプレッシャーだ。 「・・・・・・春香は、戻りたくないの?」 「い、いや!?そういう訳じゃ・・・・・・」 ―――いや、すぐにでも戻らない時点でそう主張しているも同然か。胸中で思い返すが、そんな春香の胸中とは裏腹に、少年――― 名乗ったところによるとロア・ナシオンは相も変わらず静かに澄んだ瞳でこちらを見つめる。 一人診療所を出てリッドを呼びに行ったものの、既に彼は村人からの報を受け診療所に向かっていた、とのことだった。 文字通り骨折り損だった訳だが、かといってまだ今の「現実」と向き合おうという覚悟が固まった訳ではなく、 結果、無意味にそこいらをぶらつくより他なかった。・・・・・・ある意味状況は、『ここ』へ迷い込む前と似たものになったといえる。 「・・・・・・ロア君、だよね。その・・・・・・何で私に付いてきてくれたの?」 原因その1は質問に対して、コクリと首を傾げる。見た感じ春香と同年代のようにも見えるが、妙に幼い仕草だった。 だが、少なくとも見かけ通りの人物でないことは何となくわかる。身についた習性は裏切らないのか、いつものように転んだところにサッと ナチュラルに手を差し伸べられるまで、彼の接近に全く気づけなかったのだから。 そして、それまで無心に春香の横顔を見ていたロアは、その質問にしばし沈黙したかと思うとおもむろにドサッ、と草むらに身を投げ出して、 「目玉焼きって、塩と胡椒以外に何かかけたりする?」 「・・・・・・は?」 答えをもらえるどころかいきなり何だ、と自分でもわかってしまう位に目を丸くした。 「ひょっとして、目玉焼きもわからなかった?」 「い、いやわかる、わかるよ?・・・・・・でも、どっちかっていうと何もかけないでパンに載せるっていうのが好きかな」 そっか、と頷いてから、何だ次は自分の好みの調味料を話し出すのかとも思ったが、 「前に、カノンノから・・・・・・さっき一緒にいた僕の仲間から見せてもらった本に、サニーサイドアップっていう 光線を目から出すどこかの勇者のお話っていうのがあったんだ」 「・・・・・・」 何だろう、彼が語るのはあくまでも異世界の寓話なんだから春香が知っている訳がない、と思うのに。 今、猛烈に内容にすごい既視感を覚えた気がした。 「・・・・・・長い三つ編みの女の子が焼芋(スイート・ポテト)とか叫んでる場面も出てきた?」 「あれ、知ってるの?」 「・・・・・・うん、知ってるけどこれ以上詳しい話はやめた方がいい気がするんだ。何ていうか、お互いの世界観的に」 乾いた笑いで誤魔化す春香の顔を再度、ジッと瞬きもせずに見つめる。そして、ゆっくりとそれまでどこか茫洋としていた口調に、わずかな確信を滲ませて、 「・・・・・・ホントにそういう呪文があるって最初は信じてたんだ。カノンノの本は僕には教科書代わりだったから、 実際に食べ物としてテーブルに出てきた時にはちょっとビックリして」 へ、と言葉には出さずに口を半開きにする。それに気づいているのかいないのか、補足するように彼は淡々と続けた。 「僕の時は、そんな風に色々カノンノや皆が話しかけてくれて、そのお陰で僕も―――まだわからないことも多いけど、出来ることが多くなってきたけど。 本当に、君は違う場所から来ただけで忘れた訳でもないのなら、必要なかったのかな」 僕の時。そして、何だか小動物を目の前にそていると相手に思わせるような、無垢な仕草や口調。躊躇いが胸に生まれながらも、春香は核心を問いただす。 「・・・・・・えっと、君は・・・・・・ロア君は」 「拾われたのは、半年位前になる。それより前のことは、わからないんだ」 ―――彼は、『本物」』らしい。他2人にしてみれば、中身が変なことになっている『自分』とは違い、純粋な意味で。 (・・・・・・ああ、そっか) 表情自体に変化はないながらも、彼なりに気を遣って―――励ましも兼ねて普通に話そうとしてくれているんだと。情けないことに、その時になってようやく理解出来た。 「・・・・・・あの、詳しく聞けなかったけど。私って、ロア君達の仲間か何かだったの?」 「ううん」 そうかぶりを振ってから、彼はポツリポツリとだが説明してくれた。 早急に行かねばならぬ場所があり、でもさっき熊モドキことエッグベアと対面したように一人歩きなど以ての外の世界観だから、 彼らの所属する『ギルド』に護衛を依頼してきたのだと。 「・・・・・・ごめん、さっきからチラホラ耳にしてるんだけど、その『ギルド』って一体・・・・・・」 「―――僕もあまりまだわかってないけど、最近では嵐で瓦が壊れちゃった屋根を修理したり、後はオタオタやピヨピヨの着ぐるみを被って、 町の子供達に『こういう危険な生き物がいっぱいいるから外にはあんまり出ないように』っていうお芝居を―――」 「ギルドの存在意義を誤解されるような説明の仕方はやめてもらえないかしら!?」 上擦った声で割って入ってきた声に、思わずビクリと肩を戦慄かせた。 恐る恐る振り向いてみれば、そこには王冠を戴いた頭に手を当て、頭痛でも起こしているようなポーズで仁王立ちするボブカットの少女。 「・・・・・・ギルドはまあ、何でも屋の代名詞のようなものだけど、一般的には人々に依頼されて魔物を討伐したり、危険な土地へ資材採取に赴いていったり。 ある程度の実力を持った冒険者達が集って、普通の人には危険な依頼を完遂することが主な役割よ」 ほえー、と人形のように頷く春香の姿を、一瞬疲れたように一瞥しながら、その視線をぼんやり突っ立っている仲間の少年の方へと向けて、 「ロア、あなたどういうつもり?」 「ちょっと目玉焼きとスイートポテトの話をしてたんだ」 「・・・・・・ふざけてるの?」 怒りのパラメータを一気に増大させるロッタに、これ以上やばいことになる前にと割って入ったのは春香だった。 「と、ところでさ!・・・・・・あなたの名前、ちゃんと聞いてなかったけど、何ていうんだっけ。教えてもらってもいいかなー・・・・・・なんて」 正直、何を言おうと発言しているのが「春香」であるだけで噴火しそうなこの少女を相手にするのは正直怖じ気がなくもなかったが、意を決したように尋ねてみる。 だが、予想していたような例えるなら伊織並みの罵倒が返ることはなく、凛々しく細められた彼女の視線は、真っ直ぐに春香の全身を射抜く。 「・・・・・・ロッタ。ヴォルフィアナ首都城下町の冒険者ギルド『モンデンキント』に所属してる僧侶よ。・・・・・・他、後は好きに自己紹介して」 「・・・・・・ロッタったらもう・・・・・・あ、ごめん。私はカノンノ。カノンノ・イアハート、職業は一応魔法剣士だよ」 ペコリ、と頭を下げると、椰子の木のように結い上げられた桃色の髪がふわっ、と揺れた。 涼しげなノースリーブワンピースが快活な印象を与える少女で、ロッタに比べれば幾分か穏健派のようにも見えた。 「・・・・・・さっきは私達も大人気なかったわ。一応今の貴女にしてみれば、見知らぬ他人に過ぎないというのに」 「・・・・・・怒ってるのはロッタだけだったような」 ボソリと呟くロアの口を、カノンノが静かに塞いでみせた。それをむすっとした目で流してから、ロッタは改めてゴホンと咳払いして、 「とりあえず、改めて貴女自身の話を聞かせてもらえないかしら」 「・・・・・・へ?」 「貴女にしてみれば、私達どころかこの土地全てが全くの未知のものだってことは、さっきの口振りでわかった」 眼差しこそきつそうに見えるが、そこにはさっきまでの荒々しい怒りはない。 「正直、どこまで理解出来るかはわからないけど、『貴女』の身上を噛み砕いて説明してほしいの。 ・・・・・・正直今のあなたの状態は、他人から見れば気がふれているように見えてしまいかねないけど、話さないままでいるよりは 私達としても何か修道会の人達にフォロー出来るかも知れないし」 改めて見渡した周囲には、藁の積まれた荷車を重たげに引く牛や、どこからか積んできた稲穂を手に走り回る子供達。 自分は今確かにここを生きている。でも彼らと過ごした記憶はない。 不安だらけなことには変わらないけど、でもひとつだけわかる。 何となくだけど、友達になれる気がすると。 「―――わかった。ええっと、とりあえず始めに言うと、私はシスターじゃなくて・・・・・・」 「―――おい新入り!そろそろ休憩入るぞ、しっかり身体休めとけ」 「―――はい、ではお先に」 ―――参った。いや非常に。 フロランタン村若衆による男臭い空気に満ちた(こう表現すると彼自身も多少うんざりしてくるが)、祭りの設営現場のぐ近く。 都からやって来た祭の設営支援スタッフとして入り込んでいた青年は、その悪意があるとしか思えない偶然に珍しく渋面を作っていた。 頭に被った日除け用タオルは顔半分を覆い、土埃にまみれたタンクトップにツナギなどという、美意識的に考えて平素では絶対しない 格好に身をやつしている、ということもあるが。 「よりにもよって、こんな時にねぇ」 この世界で会えるなんて予想はしていなかったが、服装云々を抜きにしても出来ればこんな形でまみえたくはなかった。出会うならもっと、 街角でバッタリとか平和的かつロマンスのある形が良かったのだが、これではどう足掻いても物騒なことになりそうだ。 「・・・・・・ごめんなさい、こういう時どんな顔すればいいのかわからないの」 「ちょっ、それ遠回しに『笑ってもいいか』って訊いないかなぁ!?」 理由はわからないが、噛み砕いてアイドルという職業に就いていること、そしてアイドルの委細について 説明を聞いた僧侶の少女に、そんなにべもない言葉でバッサリ一蹴され、涙目になっている知り合いがいた。非常に残念ながら、 見間違いじゃないらしい。 そりゃ最近では半ばバラドルみたいな扱いされてるけど、あそこまで言われる程だろうか―――とちょっと気の毒になる。 「仲がいいのは結構だけど、こうなるとやり辛くなっちゃうなぁ」 「・・・・・・おい、何ブツブツ言ってるんだよ」 ポーズではなく本心からの苦笑いでひとりごちていると、やがて同じように潜伏していた同僚がやって来た。 それが同じ事情を抱える仲間であったことに軽く口の端を上げると、 「いやー・・・・・・目標を見つけたはいいんだけど、こういう時に会いたくない子が一緒でね」 「はぁ?おい、何いっ・・・・・・―――!?」 顎で促したその先にいた存在に気づいて、彼の言葉が一端途切れる。 筆舌に尽くしがたい驚愕が、振り向きもしないのに伝わってくるようだった。 流石に声は控えているが、こちらへ近寄って動揺のあまり襟首を引っ掴んで乱暴に引き寄せると、 「―――な、何であいつが!?おい、まさかアイツもギルドのメンバーだっていうんじゃ」 「いや、幸いなことにただの顧客らしいし、僕らが『引っ張る』理由はないよ。・・・・・・ただ、ちょっと彼女の場合 ややこしいことになってるみたいだけど」 コッソリと聞いていた経緯をザッと説明すると、案の定予想していた通りの渋面を作る。 「盗み聞きかよ、あんまいい趣味じゃねえな。・・・・・・要するに何だ?アイツ、こっちでの記憶だけ抜け落ちてる状態なのか?」 「まあそういうことになるかな。・・・・・・けど、彼らも報告で聞いていたよりもいい子達みたいだね。荒唐無稽だってわかってる筈なのに、 何だかんだで受け入れてくれてるみたいだ」 ―――参った。重ねて言うが、本当に。 多分、それは彼も―――冬馬も同じことだろう。 商売敵同士彼女とは取り立てて親しい間柄という訳ではない。 向こう側において、一見平凡でありながら舞台の上では一番の強敵であると看做している存在だった。 歌うことの楽しみや喜びを、誰かと分かちあうことを何よりも尊ぶ、まだ荒削りな原石ではあるがアイドルという言葉を体現したような少女。 これで彼女にここでの記憶が―――この不穏な世界で一個の生命として根を下ろした彼女であれば、まだ躊躇いはなかったかも知れない。 だが、目の前にいるのは『765プロ』の天海春香だ。誰かの血を流すような悪意や脅威とは、無縁の場所にいる、『向こう側』の。 「・・・・・・夕刻までには確保するようにって言われてるけど、出来れば彼女から離れるのを待つ方向でいかないか?」 「―――努力はするさ。まあ、俺とお前でかかりゃどうにか出来るだろ」 嫌な方向に強くなったものだな、と。冬馬の横顔を見ているとそう思う。いばる上司に顎でこき使われる縦社会も同然の騎士の世界よりも、 丁度目の前の『確保対象』のような―――何にも縛られぬ立場で信念の為剣を振るえていれば、よっぽど『らしかった』気がするが、 貧乏籤を引きやすいのだろうか。 同時に、大袈裟な身振り手振りで何とか説明している『彼女』に視線を馳せる。 こっちとあっちが溶け合った時の混乱具合は、自分も冬馬も身をもって思い知っている。それが彼女の場合、向こう側での意識しかない状態で この世界に放り出されたも同然の状態では、立ち振る舞い方もままならないだろうに。 ―――そんな状態で出来た友人を、いきなり取り上げるようで申し訳ないが。 「―――これが、こっちでの俺達の仕事なんだよね。ごめんね、春香ちゃん」 ギルド『モンデンキント』構成員の、無力化及び確保。 祭の前準備という賑やかな空気とは似つかわしくないそんな任務を負った伊集院北斗は、 どうか彼女に見つからないことを切に願いつつ――― 服の下に隠した得物に手を伸ばしていた。
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前ページ次ページゼロのロリカード 「もう・・・・・・30年にも、なるのねぇ」 ルイズはしみじみと呟いた。思い返せば光陰矢の如し。 ジョゼフの死。ガリア国内の混乱。タバサの女王即位。タバサの母の心の治癒。 重体で寝たきりになったヴィットーリオ教皇が語った、滅亡の精霊石とハルケギニアの危機。 新たな虚無の担い手であるタバサの生き別れた妹。エルフ達との交渉。 容易には語り尽くせないほど――――――本当に様々なことがあった。 苦難も多かったものの、それら全てを踏破し、乗り越えてきた。 そして今がある。世界全体が落ち着いてきて、平和な日々が送られつつある。 「そうさな、存外に時間が掛かったものよ」 アーカードも同意する。生まれてからもう600年ほどは経つだろうか。 そんな長い長い人生の中の僅か1/20。ハルケギニアへと召喚されてからほんの30年。 だがそれは最も激動と言える、密度の高い、充実した時間であった。 「相棒とも、随分と長い付き合いになっちまったなあ」 千年単位で生きるデルフリンガーにとって、使い手である人間に使われる時間は短い。 粗雑に扱われることもあったが、それでもアーカードとの時間は楽しいものであった。 そしてそんな付き合いは・・・・・・これからも長く続いていくだろう。 人間と吸血鬼と剣。傍から見ればおかしな組み合わせで思い出話に花を咲かせる。 一夜を通して語り続け、既に空も白み始めていた。 「この間なんか鏡を見たら、小ジワがあってショックだったわ。その点吸血鬼はいいわよね」 「ははっ、なんだったら血でも吸おうか?」 「そうねぇ・・・・・・、それもいいかも知れないわね」 アーカードとルイズは微笑み合う。冗談の言い合いも慣れたもの。 「・・・・・・さて、と。それじゃ私はそろそろ行くとしよう」 アーカードは窓の外を見ながら、少し散歩にでも出てくるような調子で言った。 「えぇ、それじゃ・・・・・・また」 それに対しルイズは、非常に穏やかな心地で答えた。 「あぁ、またな」 アーカードが簡単に別れの挨拶を告げ、部屋から出て行く。 ほんのそれだけで二人の別れの儀式は終わり。 それにアーカードが言うには――――――しばしのお別れ。 「いってらっしゃい、伯爵」 ◇ 城の中庭に出ると、待ち構えていたように風韻竜が降りて来る。 「時間ピッタリ」 竜の背中に乗ったから青髪の女性が長髪を靡かせて言う。 「わざわざ出向いてもらってすまんな。シャルロット、シルフィード。」 アーカードは重力のくびきを感じさせない軽やかさで地面を蹴り、ふわりとシルフィードの上に乗った。 同時にシルフィードは一度だけ嘶くと、空へと飛び上がる。 「別に構わない、丁度良い気分転換にもなるし。それと・・・・・・」 シャルロットはアーカードの言葉を聞き咎める。 「私はタバサで良いって何度言ったらわかるの?」 元は人形の名。復讐を誓い、騎士の称号を得た時にシャルロットの名を捨て、タバサを名乗った。 今は正式にシャルロットへと戻しているが、昔馴染みの友相手にはタバサの方が良かった。 「ははっ、許せタバサ。上に立つ者の責務を忘れんが為にもな」 「国へ戻れば嫌でも言われるし、こういう時くらいは昔の名が良いわ」 タバサは嘆息を吐きつつ、続ける。 「でも・・・・・・そろそろ、正式に王位を譲って隠居したい気分」 「それはいいのね。それでシルフィと一緒に、こうして日がな一日空の散歩するがいいのね」 ガリアも落ち着き、昔以上に豊かになってきている。 もう自分の役目は十分に果たしたと言っても良い。 「世継ぎは?」 「妹の子がいる」 「ふむ、あの月目の小僧との子か」 アーカードは思い出しながら言う。 「小僧、ね。あれほどの才覚で成り上がったと言うのに・・・・・・まっ貴方からすればみんな子供か」 「んむ。お前達はまだまだ若輩よ」 タバサは「ふふっ」と笑う。 アーカードからすれば、例え100歳の老人でも子供なのだろう。 「にしても、上に立つにはまだ若いのではないか?」 確かまだ20歳ちょっとくらいと記憶していた。 ガリアの頂点に立つにしては、まだまだ足りないだろう。 「私が女王になった時はもっと若かった。ガリアが荒れたから仕方なかった部分もあったけれど。 それにまだまだ現役で頑張っているアンリエッタ女王陛下も、当時若くして王になったでしょ。 確かに不安はあるけれど、ジョゼットもジュリオもいる。イザベラも補佐するだろうし、大丈夫だと思う」 「まぁ私も昔は若くして王になったし、そんなものか」 尤もその時は、大して経ずに王座から転落したが・・・・・・。 「・・・・・・えっと確か、トリスタニアに寄るんだった?」 「んむ」 「ちゃんと向かってるのね。全く、近頃のお姉さまは忘れっぽいのね、シルフィとの約束もよく忘れるのね」 タバサは心外だとばかりに、半眼になる。 「別に、一応確認しただけ。・・・・・・それにそもそも、シルフィードとは約束した覚えもない」 「お姉さまは昔っからいつもそうなのね。でももう慣れたものなのね」 「ふっ、心労か?」 「だから違う。ま・・・・・・心労があるのは否定しないけど」 元々王という立場は自分に向いていない。 平和になった今でも、女王という地位は堅苦っしくてかなわない。 自分できちんと見聞きし考え、判断を下すという気質の所為で余計な苦労をしたものだった。 「それで、さっさと隠居したいわけか」 「・・・・・・否定はしない」 「隠居して、本読み三昧か?」 「もちろん」 タバサの根っこの部分は変わっていない。 女王になってからは、空いた時間も殆ど学術書ばかりを読み漁っていた。 引退すれば何の気兼ねをすることもなく、自由に本を読める。 「まっ機会があれば、私の世界の本を持ってきてやろう。・・・・・・尤も読む為には、文字を覚えねばならんがの」 「それくらいは問題ない。むしろその程度で色々な本を読めるなら願ったり叶ったり。 他の世界の読書をしながら余生を過ごせるなんて最高。・・・・・・それで、どんな本を持ってきてくれるの?」 「そうさなぁ、さしあたって・・・・・・」 アーカードは少し考えると、含み笑いを込めて言った。 「"ブラム・ストーカー"をおすすめしようか」 ◇ トリスタニア王宮で、アーカードはアンリエッタ女王陛下と謁見する。 外交上の問題として非公式での訪問になる為、現ガリア王であるタバサとシルフィードは外で待っていた。 「朝早くからすまんの」 「いえ、お気になさらず。・・・・・・それにしても、あなた"も"本当に変わりませんね」 久し振りにアーカードの顔を見て、溜息を吐くようにアンリエッタは言った。 時間を空けて会うからこそ、認識させられる現実。 「アニエスもそうですが、吸血鬼というものが時折羨ましく思います」 そう言いながら、アンリエッタは従者へと視線を移す。 常に一緒だから普段は気にしないものの、アニエスはずっと変わらぬ姿で仕えてくれている。 女であれば一度は思う、永遠の美。いつまでも美しくありたいという願望。 不老不死の化物はそれを可能とする禁断の果実。 それを享受したいとまでは思わないが、時の流れに移ろわず囚われないことに憧れるのもまた事実。 「フッ、貴方は30年前の様なおてんばのままだ、お嬢さん」 アーカードは素直に、嘘のない言葉を紡ぐ。 「貴方は今こそが確実に美しく、そしてこれからも一層美しくなるのだよ、女王」 姿形など瑣末なこと。気高き精神を備えた人間は、例外なく美しく素晴らしい。 「ふふっ、そうですか。あなたが言うのなら・・・・・・そうなのでしょうね」 軽い挨拶がわりの話を終えたところで、アンリエッタは本題へと入る。 「それで・・・・・・今日は何か、用件があると伺いましたが?」 アーカードから改まっての用向き。 ただ話したいとかであれば、食事でも用意させるところであるし。 時間の都合に関しても、強引にだってつけるところだった。 だが、正式な手続きの上での謁見の申し出だったのである。 「陛下から授かっていた騎士の称号。これを返上したいと存じます」 アーカードはそれまでの態度とは打って変わってかしこまると、シュヴァリエのマントを差し出す。 「はぁ・・・・・・何故でしょうか」 アンリエッタは首を傾げる。 持っていて困るものでもないし、アーカードが突然言うからには何かしら理由があるのだろう。 「んむ、何かしら便利だろうと思って今まではありがたく頂戴していたがの。 一代限りのシュヴァリエの名を、不老の化物である私がずっと持っているのはマズかろう。 私が死なぬ限り年金を払い続けねばならん。つまりこの国が滅びるまで、払い続けねばならんことになる」 アーカードはまた普段の調子に戻ると、冗談交じりにそう言った。 実際的にはアニエスにしろ、途中で何がしかの措置があるだろうが、その手間を一つ省くというもの。 今の内に返してしまえば、後々に至って余計な手続きをしなくて済む。 「それに元々私はただの走狗に過ぎん。まっ、領地と伯爵位の方はありがたく貰って置くがの」 いずれは国へと返すか、ラ・ヴァリエール家にでも譲渡することになろうが、まだそれは早い。 少なくとも見知った人物が死に切るまでの間は、帰るべき家は残しておきたいし、実際にルイズも城に残っている。 「なるほど、そういうことでしたら・・・・・・わかりました」 アンリエッタは納得して、アーカードからシュヴァリエのマントを受け取る。 「これから暇ですか?」 アンリエッタはアーカードに尋ねる。 折角だからと、このまま一緒に食事でもしたかった。 「いや、これから所用がある。それに人を待たせているのでな」 「・・・・・・そうですか、ではまた日を改めて」 「んむ、それじゃ失礼する」 アーカードは踵を返して歩きながら、アニエスへと念話を送る。 (これからも女王に良く仕えるようにの) (・・・・・・?はぁ・・・・・・まぁ、昔からそうしていますが) アニエスは心の中で疑問符を浮かべた。何故わざわざそんなことを言ったのか。 まるでこれから死に逝く者が告げる言葉のような・・・・・・そんな雰囲気を感じ取る。 (これから何か・・・・・・あるのですか?マスター) アーカードは歩みを止めることなく、念話を返す。 (ん~・・・・・・そうさのう、お前に知ってもらっておけば便利かもな) (一体何でしょうか) (血族たるお前は、私の存在を知覚出来るだろう?もしも私が死んだと感じたら、その時は皆によろしく言っておいてくれ) (はぁ・・・・・・?) アニエスは心底馬鹿馬鹿しいと感じた。 殺したって死なぬようなアーカードが死ぬわけはないと。 (決着をつけねばならぬ相手が・・・・・・いるのでな) (・・・・・・なるほど、了解しました) アニエスはアーカードの心情を察し、納得の上で承諾する。 アーカードをして、敗北して死ぬやも知れぬという相手。 それを止めようなどとは微塵にも思わない。 死んだら悲しむ者がいるだろうとか、命を懸けてまで闘う理由はあるのかだとか。 安っぽい言葉で汚すことは憚られる。 かつて己が想っていた復讐と一緒で、当人にとって何物にも代え難きものだろう。 (その・・・・・・何と言えば良いかわかりませんが、御達者で) (あぁ、息災での) ◇ 二人の男が立っている――――――。 一人は30年前からも、そのさらに56年前からも・・・・・・姿が変わらぬ化物。"人狼"。 86年も前にその男・・・・・・"大尉"と、戦った。その時は雌雄を決すまでには至らず、共に生きている。 30年前には大尉の所属していた少佐率いる最後の大隊の連中と、利害の一致により一時的な協力関係にもなった。 浅からぬ関係。だからこそ、より一層の意義が見出せる。 「決着をつけよう」 大尉とは別の、もう一人の男が言う。 黒を基調としたストライプパターンのシャツに黒いベスト。 黒いパンツに黒いネクタイ。暗がりに溶け込むような、全身黒ずくめな姿。 片眼鏡をつけ、髪をバックにまとめて結った、精悍な顔立ちの男。 実肉体年齢は四十を軽く超えるものの、20歳ほどは年若く見える。 その身は人間でありながら、一分の隙も無く鍛え上げられ、今この時が間違いなく最盛期と言えた。 大尉は静かに・・・・・・表情に出さずに喜んだ。 待ち望んだ。ずっと待ち望んできた。己を打ち倒してくれる"人間"。 それが目の前の男、"ウォルター・C・ドルネーズ"。 様々な因縁を含めた上で、これ以上ない極上の相手。 「貴様は本命の前の・・・・・・前菜に過ぎない。が、決死の覚悟で臨もう」 ウォルターの夢は、大尉を踏み越えた先にある。 その夢の真なる成就の為に、大尉は闘っておかねばならない相手。 大尉に負けるようでは、その先の・・・・・・アーカードにも勝てるわけはない。 不死身の化物など今や存在せず、くだばるまで殺す。 大尉も、アーカードも、この『死神』が打ち倒す。 大尉はコートを脱ぐと、フワリッと投げる。 それが地面に落ちた時、戦闘開始の合図となった。 大尉は霧が如く散逸し、ウォルターの糸を張り巡らせた結界を無視して一気に間合いを詰める。 ブワッとウォルターに圧力が迫り、同時に大尉は実体化しつつ、運動エネルギーを一点に集約させたキックを放つ。 上方から振り下ろされる――――全てを破砕せんとする――――蹴りを、ウォルターは左に身を躱しつつ避ける。 轟音を立てながら地表をめくり上げる大尉の蹴りは、僅かにウォルターの右頬を掠るだけにとどまる。 回避されたことに驚きも見せず、大尉は着地から間髪入れずに躯を捻りながら右手で裏拳を放った。 ウォルターは大尉の拳をのけぞりながら躱すと、そのまま連続でバック転しつつ、糸で大尉を強襲する。 大尉は迫り来る糸をバックステップで回避ながら、再度攻撃する為の十分な間合いを取った。 大尉は一足飛びで開いた相対距離を、一瞬で反転してゼロへと縮める。 張られる糸を霧散して抜けて、大きく振りかぶった右拳をウォルター目掛けて打ち下ろす。 同時にウォルターも攻勢へと出る。待ち構えていたように制空圏踏み込むと、大尉の体を糸で絡め取る。 間断なく――――右打ち下ろしが決まるよりも一手早く――――大尉を最大威力で投げ飛ばした。 振り回して叩き付けた感触を、糸から微細に感じ取る。 するとすぐに糸から抜ける手応えがあり、程なくして土埃が消えると大尉が何事もなく立っていた。 ウォルターは確信する。数合闘り終えても、何ら問題無い。昔とは・・・・・・違う。 今のところ大尉にダメージこそないが、内容的には負けていない。 己の強さを確かめたかった・・・・・・。全力で戦うことで得られる充実感、陶酔感。 (上等・・・・・・) だがこのまま長引けば化物である大尉の方が有利。故にこれ以上時間を掛けるつもりはない。 ここまでは己の強さの確認であり、同時に大尉の攻撃とパターンの様子見。 ――――――大尉を捕えられるのは、実体化する一瞬のみ。 その刹那の瞬間に、用意した切り札を使う。"大尉"、即ち"人狼"への特効。 ウォルターの気負いを敏感に感じ取り、大尉は巨大な狼へと姿を変える。 完全なる全身全霊のぶつかり合い。ウォルターと大尉、それぞれの殺意と眼光が終結を予感させた。 大尉は四足で大地に根を張るように踏みしめる。 ウォルターはひたすら落ち着いた心地で集中する。 無形と化した大尉の加速、そして突進。実体化と同時に牙を剥き出しにその顎門を開く。 ウォルターを丸ごと噛み砕き、飲み込まんとする大尉を、糸を巡らせ雁字搦めにして止める。 後ろに退き跳びながら、ウォルターはオーケストラのクライマックス演奏の様に腕を振るい続ける。 瞬きするよりも短い時間の中で、巧みな糸で編み込むように絡め取る。 あっという間に、大尉は大地に縫い付けられる。 糸は実体化した刹那を逃さず、大尉の躯中に何重もの糸が巻かれる。 しかし決して止まらない。勢いは減衰しつつも、大尉は前へ進み続ける。飛び退くウォルターへと追い縋る。 ウォルターは全力で縛り続けるも、大尉の牙が瞬時に眼前へと迫って来る。 全力対全力。力の限りを尽くした上で・・・・・・大尉が勝る。 であるならば、大尉は実体を霧散させる必要もない。このまま相手を噛み殺して終わりである。 ウォルターは無意識に舌打ちをし、咄嗟に右腕を差し出した。 大尉の口腔に差し込まれる右手、同時に糸が大尉の口中からその顎門をも絡め取った。 ウォルターの唇の端から血が滴り落ちる。 己の歯を使ってまで糸を噛み締め、限界以上の力で以て抑えて大尉を止めていた。 ギチギチに縛られる大尉の姿は、さしずめグレイプニルに囚われた魔狼を彷彿とさせる。 しかし完全に束縛することは出来ていない。 突進は止まったものの、大尉の顎は少しずつ閉じられていく。 「ッ・・・・・・」 ウォルターから声にならない呻きが漏れる。大尉の牙がウォルターの右腕に喰い込んでいく。 そのまま完全に噛み千切ろうとするのは明白で、既に肉を貫き骨まで達しようとしていた。 (だが、今はまだ生憎と・・・・・・私の右腕をくれてやるわけにはいかん) 当然、決死の覚悟で戦っている。 しかしそれでも、その先に待つアーカードと闘う為には、手足はおろかその指すら犠牲にするわけにはいかない。 狂おしいほどの意志が、ウォルターに活力を与える。 力を振り絞る。限界を超えたさらにその先。力を捻り出す。 僅かに指一本動かすだけに過ぎない力。だがそれだけで十分だった。 一瞬にして右手から伸びた"銀糸"は、勢いを持って大尉の体内を走る。 人狼を殺し得る唯一の"銀"。真っ直ぐに大尉の心臓へと到達した銀糸は、そのまま化物を打ち倒すに至る。 心臓を貫き切断された大尉の狼の体が・・・・・・少しずつ小さくなり、ウォルターは右腕を引き抜く。 そのまま人間の姿へと戻った大尉は、夜明けの空を見上げて倒れた。 「ハアッ・・・・・・ハア・・・・・・」 ウォルターは呼吸を荒く、大尉を見下ろしながら勝利の余韻に浸る。 銀糸は強度に問題がある故に、通常の攻防で使うことは出来ない。 これ見よがしに使えば、大尉の警戒も誘ってしまう。だからこそ、ここぞという時に使う切り札。 紙一重。だが勝ちは勝ち。 ウォルターは出血の激しい右腕を、糸で縫合する。 そして眼前の事実を自分自身で再確認するように、ウォルターは大尉へ告げる。 「・・・・・・私の、勝ちだ」 虚空を見つめる大尉の顔に笑みが浮かんだ。 いつだって無表情、感情の無かった瞳にともった一筋の情動。 全身全霊で負けた。相手に合わせた土俵でもなく、互いの全力で以て破られた。 これ以上ない、これ以上望むべくもない・・・・・・最高の幕引き。 待ち望んだ、ずっと待ち望んできた。 幾星霜の時を経て、ようやく叶った。万願成就の夢が真なる意味で叶った。 化物として・・・・・・強き人間に打ち倒された。 大尉は声無く哄笑する・・・・・・純真無垢な笑顔で。 体が燃え盛る。炎は狼の姿を形作り、歓喜の咆哮をあげるように一層舞い上がる。 燃える、大尉の世界が燃えて落ちる。終わりがないと錯覚するほどに燃えゆく――――――。 ウォルターは葉巻を取り出すと口にくわえた。 そして大尉から噴き出し、包み込み、立ち昇る炎で葉巻に火をつける。 弔いのように一度だけ煙を吐き出すと、踵を返して大尉と夜明けの空を背に歩き出す。 ウォルターに感慨は無い。ただ化物を一匹殺しただけ。 HELLSINGのゴミ処理屋時代に、飽きるほどにやってきたこと。 (いよいよか・・・・・・) 長かった30年の時。ようやく双方の準備が整った。 あの日――――ジョゼフの死んだあの決戦の日――――の言葉。 ヨルムンガントを破壊され、アーカードに敗れ、そして言われた。 「勝負をしてやる」と。 ジョゼフを裏切るかわりの報酬。 アーカードとの闘争を諦めて、死すら厭わなかったあの時。その言葉は救いそのものだった。 本当なら少佐のように、己の手で零号開放をさせて打ち倒したかったが、贅沢は言ってられない。 だから妥協した。そして・・・・・・今がある。 アーカードは自身の中の命を殺し尽くし、待ちに待った時がやってくる。 いつから願っていただろうか。いつの間にか願っていただろう。 年を経るにつれてその想いは増し、澱のように溜まりゆく気持ちに、何とか折り合いをつけ、ヘルシング家に仕え続けた。 初恋に焦がれる乙女が如く・・・・・・闘争を欲しながら、気付けば後悔の日々。 そして長かった人生の苦悩も、今度こそ解消出来る。 身も心も『死神』に。長く見続けていた夢を・・・・・・アーカードをこの手で殺す。 † (良かったね、大尉・・・・・・) 闘争を遠く観察していたシュレディンガーは、天に昇るように燃え上がる炎を見つめ続ける。 大尉の果たした本懐を、まるで自分のことのように喜ぶ。 意志を持つ自己観測する『シュレディンガーの猫』。 存在自体があやふやな、確率の世界を跳ね回る一匹のチェシャ猫。 自分自身を認識する限り、どこにでもいてどこにもいない。 生死から解き放たれた彼は、世界を観察する。 傍観者であると同時に、時として、場を、流れを、引っ掻き回して楽しむトリックスター。 元の世界に戻ることも出来る。それでもこのハルケギニアにずっとシュレディンガーはいた。 大尉が死した今、もうこの世界に留まる理由も完全に無くなった。 そしてこれから自分の辿る道はもう決めている――――――。 (残る楽しみは二つ・・・・・・かな) シュレディンガーは消え行く炎を眺め終えると、霞の様に姿を消した。 前ページ次ページゼロのロリカード
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月明かりに照らされた石造りの河岸をふたつの影が歩いていた。 河を越えた先、遙か東岸に広がるだろう古都ローマの遺跡や町並みは夜闇に深く沈み、水底の見えない深い河は音もなく静かに流れている。 この夜が永遠に続きそうな錯覚さえする、静かな世界。 ふと、ふたつの影のうち、闇よりなお暗い気配を持つ男が気まぐれのように呟いた。 ――色々な文献を読んで興味深く思ったことのひとつなんだが。 ――川は、死者と生者の世界の境目だという。 思索に耽る者特有の緩やかさで、黄金にも似た荘厳なバリトンが闇に溶ける。 傍らを歩く男に向けられているのか、それとも単なる独りごとなのか。判然としないながら、形よく肉感的な唇から詩を紡ぐように軽やかに言の葉が散る。 ――陽の昇る東を生者の都、陽の沈む西を死者の都としたのは古代エジプトの神話だが、キリスト教においても東には特別な意味がある。 ――君は、キリスト教徒かい? 傍らを歩く男――マッシモ・ヴォルペは、突然の問いかけに少し考え込む素振りを見せ、微かに首を振った。否定とも肯定とも取れない、曖昧な仕草。 「そうだ、と言えばそうだし、そうでないと言えばそうではないな」 「答えになっていないよ、マッシモ」 言いながらも、問いの答えに気を悪くした風もない男――DIOは、歩みを止めず愉快そうにマッシモに一瞥をくれた。 妖しく艶めかしい眼差しは、血のように赤く毒のように甘い。心の底まで見透かす、射抜くような視線。 しかしマッシモは物怖じする様子もなく平坦な声で続けた。 「救いもしない神なんぞ信じちゃいない」 「だろうと思った」 気安い友人に向けるように、DIOはくつくつと笑って見せる。月光にけぶる黄金の髪が、青いほど白い頬に細く影を落とす。ある種の宗教画めいたそれにもマッシモは無感動な面持ちを崩さず、のろのろと歩調を合わせていた。 奇妙な関係だった。 ひとつ掛け違えれば、捕食者と哀れな餌という一時的な関係にしかならなかっただろう。 しかし運命はそうならなかった。互いが互いに興味を抱いている、その一点。そしてそのたった一つの引力で、二人は道行を共にしている。 月明かりだけが頼りの散策の道すがら、様々なことをDIOは語った。ときに饒舌に、ときに沈黙を交え。そしてマッシモも、問われては答え、また考えた。教師とその弟子のようでもあったし、友人になる過程を踏んでいるかのようでもあった。 たった三人、血を分けた親兄弟よりも密に支え合って生きていた仲間たちにしか許さなかった心が、闇を纏う美貌の不死王によって少しずつ浸食されている。 そして、その浸食は癒しにも似ていた。乾きひび割れた大地に染み込む水のように、DIOの言葉と思考は全てを亡くしたマッシモの裡にじわりじわりと染み込んでいく。 「DIO。そろそろ目的地を教えてくれてもいいんじゃあないか?」 「おや。とっくに気づいていると思っていたんだが」 刹那、交わる視線。 友人と呼ぶには短すぎる時間、しかし無関係というには長すぎる時間。共にした時ゆえに、マッシモはDIOの言わんとするところを察した。 「この先にある刑務所……か?」 「残念、少し違う」 ――だが、そこに寄ろうとは思ってた。半分は正解だな、マッシモ。 甘い甘い声音がマッシモの耳をくすぐる。酷く耳触りのいいそれを心地よいと感じ始めている自身に、マッシモは薄々気づいていた。 「市街地で見つけられたのは、君と首輪をつけた参加者ひとりきりだ。適当に歩いていれば誰がしかと接触できるかと思ったが、どうも人の気配がしない。手近にある建物から見てみようと思ってね。 本当に誰かがいるかどうかなんて期待しちゃいない。ちょっとした確認みたいなものだよ。 それに、刑務所なんて他に見る機会もなかっただろう?」 ジョークのつもりか、悪戯っぽくDIOが笑いかける。そろそろ、闇の中にもその広大な建物が見え始めていた。 地図からも察せられたが、実物はちょっとしたテーマパークくらいありそうな大きさだ。おそらく街中と同様に人などいないだろうが、あの大きさの建物を調べるのはえらく骨が折れそうだった。 「死ぬより縁がないと思ってたところだな」 マッシモはひとつ息を吐いてひとりごちた。 ◆ DIOがマッシモ・ヴォルペに語った数々の思索と過去における出来事の一端は、真実ではあれど全容ではなかった。当たり前と言えば当たり前だろう、出会った端から一切合切全てを曝け出すなんて、トチ狂った精神的露出狂か白痴の善人くらいなものだ。どちらも似たようなものである。 だが、全てではなくとも真実ではある。DIOは注意深くマッシモを観察していた。 マッシモが自ら語ったことは少なかったが、ゼロではない。人となりを理解するにつれ、よりマッシモへの興味は深くなった。 何より、マッシモはDIOに対して恐怖や畏敬、およそ『友人』関係を築くにあたり差しさわりある感情を抱いていない。人の血を啜る人ならぬ化け物と理解してなお、マッシモはありのままのDIOを見ている。 これは『彼』以来のことかもしれない――DIOはふと思う。 アメリカに住む、かの『友人』と、最後に言葉を交わしたのはいつだったか。 つい先日だった気もするし、遙か遠い昔にも思える。彼との時間は得難く貴重なひと時だった。 その心安らかさ、気安さには及ばないまでも、マッシモとのひと時はDIOの抱える鬱屈を大いに紛らわせた。 (思った以上に良い拾い物をしたものだ) 『天国へ行く方法』は、DIOにとっての至上命題。マッシモ・ヴォルペはその良き担い手となってくれるだろう。 ジョースターの血族の抹殺は、いわば『天国』へ行くための道程に纏いつくささやかな障害に過ぎない。 肩の付け根にある『星』は、依然変わりなくジョースターの存在を知らせている。意識を向ければチリチリとささくれだつように、その気配を感じている。いずれは処分せねばなるまいが、それに付随して気になることもあった。 ジョジョと承太郎の死をこの目で確認した。だが、少なくとも『ジョジョは既に死んでいる』はずだった。他ならぬこの肉体こそがジョジョのそれであるのだから。 奇妙なことは他にもある。『星』の示すジョースターの血統……部下に調べさせた限りでは、ジョセフ・ジョースター、ホリィ・空条、空条承太郎、該当者はその三名のはずだった。 そして承太郎は死んだ。ならば、この気配はなんだというのだろう。『星』は片手の指では間に合わぬ数の気配に疼いている。 (放送後に、名簿の配布があると言っていたな) 主催者を名乗る老人はそう告げていた。ならば、それを確認してから動いても遅くはない。 ささくれる『星』を一撫でして、そう結論付ける。 優先されるのは『天国』だ。得難い能力を持つ者に出会えた引力をもって、DIOはますますその思いを強めていた。 そこまで思考を纏めたところで、ふと微かな臭いを感じて立ち止まった。唐突に立ち止まったせいで少し先んじたマッシモが足を止め、訝しげにDIOを見やっている。 「どうした?」 「ふむ……君にはわからないか」 ――血の匂いだ。 吸血鬼になってからというもの、こと血に関しては煩くなった。人が嗜好品を吟味するにも似ているが、それ以外は口にできても体が受け付けないのだからある意味では必然か。 マッシモはDIOの意図を理解したようで、周囲に視線を走らせている。だが、人あらざるDIOの眼にすらかからない何者かが、人の身であるマッシモに捉えられるはずもない。 「死臭もするな。それも古くない……」 言う間にも、臭気はどんどん強まっている。マッシモも気づいたのか、警戒もあらわに眉を顰めている。 そして、奇妙な光景が二人の目に映った。 ひたひたという足音と、ずるずると引きずるような足音。なにもないはずのそこに浮かび上がる、血のマスク。 真っ赤な口が、ニタリと吊りあがった。 「……ッ!?」 「屍生人……とは少々趣が違うな。スタンド能力か」 絶句するマッシモとは対照的に、DIOはごく冷静にそれらを観察している。 辺りに溢れる死臭と濃厚な血臭は、間違いなく目前にいるだろう『動く死体』から発せられていた。笑ったことからも、ある程度の自意識は残っていると推察する。 周辺にスタンド使いらしき姿が無いことは『世界』の目を通しても確認済み。使い手当人すら透明にする能力であるとも考えられるが、どちらにせよ武器であるだろうこの死体を処分すれば、直接出てくるか逃走せざるを得なくなる。 目の前の死体の挙動はどう見ても『餌を前にした駄犬』そのもの。知能の低い屍生人にもよく見られた傾向だ。 自意識の残る透明な死体を操る、少しばかり興味をそそられる能力ではある。だが、せっかくの『友人』を危険に晒してまで欲しいものでもない。 立ちはだかるのであれば排除するまで。 「残念だが、運が無かったな」 聞こえているのか居ないのか、ニタニタと笑っていた真っ赤な口が拭いとられるように消えていった。 ◆ スポーツ・マックスは、とてもとても乾いていた。 リビング・デッド――生ける屍。かの刑務所で神父より与えられたスタンド能力『リンプ・ビズキット』によって肥大した食欲を持て余したまま彷徨う透明ゾンビと化した彼に、元ギャングの伊達男ぶりは見る影もない。 老婆ひとり『喰った』ところで、乾きはいよいよ増すばかり。おまけにあたりはだだっぴろい野原で、人っ子ひとり見当たらない。 何かを忘れている気もするが、思い出すより乾きが先だ。 ――ああ、喉が渇いた。カラカラだ。 乾いて乾いて仕方がない。しかし、かといってどこに向かえばいいという単純な目的も思いつかない。屍と化したスポーツ・マックスに残されているのは『食べたい』という原始的で強大な欲求だけ。 彼の後をついて回る、哀れに従う生ける屍――己が喰った老婆すら、彼の目には止まらない。意識の端にもかからない。 仮に彼が何かを思ったところで、老婆の魂はここより失われて久しく、そのか細いぼろきれのような肉体はリンプ・ビズキットの能力によって保たれているに過ぎないのだが。 当てもないひとりとひとり、ふらふらと彷徨っていたところで、ようやく次の獲物を見つけることができた。 ――男、男ふたり。 ――片っぽはあんまり美味そうじゃあないが、あの金髪は悪くない。 ――あぁ、喉が渇いた。 ――男のくせに、そこらのビッチよりよっぽどキレイなツラしてやがる。 ――あぁ、もう、カラカラだ。 ――早く早く早くッ! そのキレイなツラに齧り付いてッ! 脳ミソを喰らいたいィッ! スポーツ・マックスは思わず垂れそうになった涎を拭う――既に死んでいる彼から生体特有の分泌物がでるわけはなく、拭われたのは先の犠牲者であるエンヤ・ガイルの生乾きの血液と脳漿だったが――と、乾きに任せてむしゃぶりつくように飛び掛かった。 「世界」 飛びつき、今まさに食らいつかんとした男が告げた一言で、スポーツ・マックスの第二の生は終わりを告げた。 否、終わったことすらも理解できていなかったかもしれない。 静止した時の中では、思うことすら許されない。死してなお死ぬ――それにすら気付けないスポーツ・マックスの魂は、果たしてどこへ行くのだろう。 ◆ DIOにとって、死体が動いていることはなんら不可思議な現象ではない。 百年にも及ぶ海底での眠りにつく以前にも部下として使っていた憶えはあるし、死体を操る能力を持つ老婆もひとり知っている。ただ、今回のケースが”当の死体が見えない”少しばかり特殊なケースだったというだけだ。 見えないのならば、どちらかが対象を捕捉した時点で時を止めればいい。 どちらを狙っているのかは定かでなかったが、DIOが促したことでマッシモも警戒をしていた。致命的な攻撃はそうそう食らわないだろうと大雑把にあたりをつけ、透明な死体が自身に触れた時点で『世界』を発動した。 「死体を操り、また透明にする能力……か。悪くない能力だ。 だが、無知とは悲しいな……貴様の敗因はただひとつ、このDIOを狙ったこと」 無造作に腕に浅く刺さった金属を引き抜いて投げ捨てる。掴んだ形状から察するにハサミのようだ。 不快ではあるが、この程度の傷は怪我のうちにも入らない。先だっての『食事』も幸いし、傷痕は瞬く間に跡形もなく消える。 跡らしい跡は衣装に残った破れ目だけだ。 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!」 目の前の空間へと――そこには死体が居る――『世界』のラッシュを叩きこむ。黄金色の闘士が主の意志の下、あまりの速さに無数にも映る力強い拳を繰り出す。骨が砕け、肉が弾け、形状が失われていく。 不快な死体が人としての原型も留めずグチャグチャに潰れていく感触がスタンド越しに拳に伝わった。 操り人形も、原型すら留めなければ操れまい。 そこでふと中空に妙なものが飛び出たことが目にとまり、DIOは『世界』の拳を停止した。 「……!?」 『それ』が何なのかを確認した瞬間、DIOは久方ぶりに驚愕していた。 記憶の海から引っ張り出した『それ』の印象と、透明な死体から飛び出た『それ』は、あまりにもよく似通っていた。似ていた、というより『それ』はそのものだった。 不自然に浮かぶ二枚の『それ』を手に取り、まじまじと眺め、ぽつりと呟く。 「まさか……君も、ここに呼ばれているのか……?」 プッチ。 ――そして時は動き出す。 ◆ マッシモには、何がなんだかわからなかった。 何者かが襲いかかってきたことだけは辛うじて理解していた。マッシモの足首に、異様な力でしがみついてきた透明な何かが居た。 だが、マッシモが己のスタンドを発現させるより先にDIOが『世界』と呟いた瞬間、恐ろしい握力で握り潰さんばかりにしがみついていた何者かは、煙かまやかしかのように消えてしまった。 残るのは、確かに掴まれたという足首の鈍いしびればかり。 あたりを漂っていた血臭も、今やかすかな残滓を残すのみ。 不意にカシャンと硬質な音を立てて、何かが石畳に落ちた。月明かりに鈍く光る金属の首輪。己らの首に付けられているものと相違ないだろう。 マッシモは俯いて何やら考え込んでいるDIOをちらりと見て、首輪を気にする素振りもないことを確認すると嘆息しながらその首輪を拾い上げた。 「参加者、だったみたいだな」 首輪だけが落ちているということは、おそらくDIOによって頭を吹っ飛ばされたか何かしたのだろう。純粋な膂力によるものか、それともスタンドの能力によるものか、どちらにせよ恐るべき力には変わりない。 だが、理解すら及ばない恐るべき力を見せつけられて尚、DIOに対しての恐怖は無かった。マッシモにとって恐怖の定義は仲間を失うことだったし、そしてそれは既に失ってしまったものである。ゆえに恐怖という感情はなかった。 不可解だったのは、心の奥底に微かに湧きおこった歓喜。 ブッ殺してスカッとした、とか、殺されなくてよかった、などという矮小で利己的なものではない。そんなものは端からマッシモの裡に存在していない。殺して当然だし、殺されてもまた当然。殺し合いは彼の日常の一端に属している。 ならば何に『歓び』を覚えたというのか。 「……おい、DIO?」 相変わらず沈黙したままの彼に、しびれを切らして再度声をかける。首輪が転がっていたということは、襲撃者を処分したということだろうと思っていたが、もしや未だ何らかの攻撃を受け続けているのだろうか。 仮定は想像を引き起こし、想像は感情を引きずり出す。 首輪のことから、襲撃者は一人だと思っていた。だが、その前提すら何の保証もないものだ。ここは殺人遊戯場に等しく、いつ何どきどんな悪意がばっくりと口を開けて待ち構えているのかも定かでない。 かつてマッシモの大切な仲間だった少女――アンジェリカのように、姿を見せる必要のない広範囲型のスタンド能力だとしたら? すぐには認識できない攻撃があるということをマッシモは知っている。 背筋が総毛立った。 「ッDIO!」 「……そんなに呼ばなくとも聞こえているよ」 実に面倒くさそうに、気怠げに、こともなげに、マッシモが呼びかけたその人は俯けていた面を上げた。ピジョンブラッドの如く美しい真紅の瞳が、駄々っ子を叱るように眇められている。 そこでようやくマッシモは気づいた。今や全ての情動の端が、この異形の帝王たる麗人に繋がりつつあるという揺るがしがたい事実に。 「何というか……すごく、気になることがあるんだ。少し時間もかかるかもしれない。 歩き回って君も疲れただろう? 丁度いいから刑務所で休憩でもしようじゃあないか」 耳朶をくすぐる声音が心地よい。 これは毒だ。抗いようもなく染みこむ甘い毒。もう囚われて抜け出せない。 先程の悪寒は既に別の何かに姿を変えている。『この人に見捨てられ、殺されるのだけはいやだ』ふとそんな思いが脳裏を過ぎった。 「あ、ああ……構わない」 「それは首輪か? ふむ……それも、少し調べたい。いいだろ?」 「ああ……」 「なんだよ、ヘンなヤツだな」 言葉ほどには気にするふうもなく、鷹揚とした微笑みを浮かべ、DIOは手に持った円盤状の何かを玩ぶようにいじくっている。 「別に、なんでもない……DIO、それは何だ?」 「これか? DISCだよ」 DISCだという奇妙な円盤状のそれを、DIOは詳しくは語らずやけに大切そうにデイパックへとしまいこんだ。 それが何を意味するものなのか、きっとDIOは知っているのだろう。せっついたところで話してもらえないのならば、マッシモは餌を待つ犬のように、ただひたすら主の気まぐれを待つよりない。 人と人でないもの。被食者と捕食者。敵。友人、そして。 この僅かな間に、マッシモと彼の間には幾つの関係が築かれたのだろう。 奇妙な、関係だった。 首輪とDISC以外に特に目を惹かれる物もなく、やがて二人は連れだって目的の地であるGDS刑務所に向かった。 「なあ、マッシモ……東には特別な意味がある、と言ったのを覚えているか?」 不意に、DIOが問いかける。ついぞ聞き覚えのない、酷く真剣な声色だった。 マッシモは暫し逡巡し、肯定するように頷いて見せる。それを確認してDIOはこう続けた。 「キリストの経典の一部にある、東の果てにあるという幸福の地エデンなる『天国』は、あくまでも伝承の中のものでしかない。 エデンがどこかに実在するとは到底思えないし、それが土地や場所である必然性は全くない。 だが、『天国』が存在するという事実を告げていると、私は思う。 伝承とは戯曲化された歴史に他ならない。ならば何を主眼に置いて戯曲としているのか? ……精神の向かう所だと、私は考える。物質的なものでは本当の幸福は得られない。 『天国』は物質的なものではなく、精神の力によりもたらされる。本当の幸福がそこにはある。 精神の力はスタンドの力であり、その行きつく先が『天国』。 真の勝利者とは『天国』を見た者の事だ……どんな犠牲を払っても、私はそこへ行く」 熱っぽく語られた一言一句、全て漏らさず理解できたとは到底言い難かった。 むしろ、理解できるほうがどうかしているんじゃあないかとすらマッシモは思ったのだ。 ただ、その狂おしい程の情熱だけは理解することができた。強大な力を持ち、不死の肉体を持ち、何を憂えることもなさそうなこの帝王然とした彼が、唯一欲し、求める果てが『天国』なのだろう。 「そのために、俺が必要だと?」 DIOは無言の肯定を見せ、ふと遠くを見るような眼差しをした。 「彼が……私のもう一人の友人が、ここにいるのなら。 『天国の時』は近いだろう」 果たしてその時に何が起こるのか。 神の名を冠する不死の王の傍らに、敬虔な殉教者のように男はひっそりと添っていた。 【スポーツ・マックス 死亡】 【残り 104人】 【E-3 西部、ティベレ川河岸/一日目 黎明】 【DIO】 [時間軸] 三部。細かくは不明だが、少なくとも一度は肉の芽を引き抜かれている。 [スタンド] 『世界(ザ・ワールド)』 [状態] 健康 [装備] なし [道具] 基本支給品×2、麻薬チームの資料@恥知らずのパープルヘイズ、地下地図@オリジナル、リンプ・ビズキットのDISC、スポーツ・マックスの記憶DISC、ランダム支給品1~2(確認済み) [思考・状況 基本行動方針:帝王たる自分が三日以内に死ぬなど欠片も思っていないので、『殺し合い』における行動方針などない。 なのでいつもと変わらず、『天国』に向かう方法について考えつつ、ジョースター一族の人間を見つければ殺害。 もちろん必要になれば『食事』を取る。 1.我が友プッチもこの場にいるのか? DISCで確認しなければ…。 2.適当に移動して情報を集める。日が昇りそうになったら地下に向かう。 3.マッシモ・ヴォルペに興味。 4.首輪は煩わしいので外せるものか調べてみよう。 【マッシモ・ヴォルペ】 [時間軸] 殺人ウイルスに蝕まれている最中。 [スタンド] 『マニック・デプレッション』 [状態] 健康 [装備] なし [道具] 基本支給品、大量の塩@四部、注射器@現実、スポーツ・マックスの首輪 [思考・状況]基本行動方針:特になかったが、DIOに興味。 1.DIOと行動。 2.天国を見るというDIOの情熱を理解。 3.しかし天国そのものについては理解不能。 投下順で読む 前へ 戻る 次へ 時系列順で読む 前へ 戻る 次へ キャラを追って読む 前話 登場キャラクター 次話 026 TRIP HEAVEN DIO 081 計画 041 少女ルーシーとネクロファンタジア スポーツ・マックス GAME OVER 026 TRIP HEAVEN マッシモ・ヴォルペ 081 計画
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2012年期待の新人50選 【初音ミク】フィノ【オリジナル曲】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19543934 2012年01月01日 18 48 初投稿 アーティスト名:六 ────────────────────────────── 憂鬱な感じのメロディーに引き込まれる。 = credit = 作詞/作曲/動画: 六 【鏡音リン】晴れ、心模様は曇り。【オリジナル曲】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19294304 2012年01月17日 06 24 初投稿 アーティスト名:charly2 ────────────────────────────── 貴方の全部が、私を創る全て。切ないロックバラード。 = credit = 作詞/作曲: charly2 絵:辻織 【GUMI】夢幻の彼方へ【オリジナル曲】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19340474 2012年01月17日 22 00 初投稿 アーティスト名:パイナ ────────────────────────────── メロディーちょいシブめのR B。 = credit = 作詞/作曲: パイナ 絵:にせ , 水面鏡 , みかんみかみか , 半兵衛p , Jyakuya , 黒狐 , 29面相 【GUMI】阻碍-ディセンブロイル【オリジナルPV】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19058176 2012年01月22日 20 46 初投稿 アーティスト名:*Luna ────────────────────────────── 物語音楽、能力者シリーズの開演。 = credit = 作詞/作曲:Luna ピアノ:中学の友達 絵:たゆや , のら 動画: Not-116 【IA】SUPER WORLD【オリジナル曲】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm16801812 2012年01月27日 12 20 初投稿 アーティスト名:SNRatio ────────────────────────────── バリバリのテクノサウンド。踊れる曲だと思います。 = credit = 作詞:牡丹 作曲: GaSHOT@SNRatio 編曲:桜乃@SNRatio , GaSHOT 絵:Duca 動画:HDLV 【初音ミク】鬼ごっこ -tiggy tag-【オリジナルPV】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm16896636 2012年02月06日 20 29 初投稿(代理アップ) アーティスト名:ChiefMeat ────────────────────────────── R Bチックな音を2stepのテンポに乗せた、癖があるけれどもノリの良い曲。 = credit = 作詞/作曲:ChiefMeat 動画: Natika 【初音ミクDark】子供 http //www.nicovideo.jp/watch/sm17965949 2012年02月08日 15 22 初投稿 アーティスト名:ice ────────────────────────────── 淡泊に刻むリズムトラックとギターリフが印象に残る。 = credit = 作詞/作曲: iceP 写真: 2sun 【巡音ルカ】solitude【オリジナルPV付】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm17690576 2012年02月12日 13 14 初投稿 アーティスト名:向日葵 紅蓮(バベルP) ────────────────────────────── ジャジーな雰囲気がたまらない、ゆったりとした大人のR B。 = credit = 作詞/作曲/ギター: 向日葵 紅蓮(バベルP) エレピ/編曲/マスタリング: 紅松 弥知 絵:sara 動画: Not-116 【初音ミク】GALAXY KISSING MELODY → SPACE TRAVELLERS【オリジナルPV】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18408012 2012年02月14日 15 27 初投稿 アーティスト名:L anochip(らのちっぷ) ────────────────────────────── 光速で宇宙を駆け抜けるかのような、疾走感あふれるドラムンベース。 = credit = 作詞/作曲/動画: L anochip 【GUMI】砂【オリジナル】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18919560 2012年02月22日 02 35 初投稿 アーティスト名:snsn ────────────────────────────── ゆらゆらっとした感じが心地よいです。 = credit = 作詞/作曲: snsn 【GUMI】ひと夏【オリジナル曲】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18850504 2012年02月22日 22 35 初投稿 アーティスト名:さたな ────────────────────────────── 夏の終わり、残暑に送る爽やかなVOCAROCK! = credit = 作詞/メロディ/ドラムパターン:きりり 作曲/編曲: さたな 絵:梅太郎 【初音ミクオリジナル曲】 今では 【PV】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm17106242 2012年02月28日 22 47 初投稿 アーティスト名:y0c1e ────────────────────────────── 処々に散りばめられたグリッチノイズのエッセンスがにくいエレクトロニカ。 = credit = 作詞/作曲: y0c1e 動画:Taiyo Yamamoto 【GUMI】 pierrot 【オリジナル曲】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19036505 2012年03月05日 19 09 初投稿 アーティスト名:melancholy (推薦すべき不運なP) ────────────────────────────── 本心を伝えるのは辛いよね。切ないGUMIロック。 = credit = 作詞/作曲: melancholy (推薦すべき不運なP) 絵:山梔子(くちなし) , さきどろ , かなん 動画:イーガマ ブレラグレア/GUMI* http //www.nicovideo.jp/watch/sm19491384 2012年03月09日 20 13 初投稿 アーティスト名:REW ────────────────────────────── 好きすぎて、さよならなんて出来ないよ。 = credit = 作詞/作曲: REW 動画:ひなお La Mersonnalite【初音ミクオリジナル】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm17201734 2012年03月09日 22 22 初投稿 アーティスト名:紅松 弥知(迷夢P) ────────────────────────────── テーマの「二重人格」と「海」に則り、変拍子を活かして二面性を見せる曲。 = credit = 作詞/作曲: 紅松 弥知 絵:音治 (おとはる) 【GUMI】シュールレアリスム【オリジナル】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19302333 2012年03月14日 02 39 初投稿 アーティスト名:わさび ────────────────────────────── 荒削りな感じで、熱いロックです。 = credit = 作詞/作曲: わさび 絵:みやま 【IA】symphony【オリジナル曲】ちゅららてぃら http //www.nicovideo.jp/watch/sm17480367 2012年03月18日 03 20 初投稿 アーティスト名:tkc ────────────────────────────── 伸びやかな歌声がふわりと聞き手の心を包む、春のバラード。 = credit = 作詞/作曲: tkc 動画:HAL 【蒼姫ラピス】凪音迷彩【オリジナルPV】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19163981 2012年04月06日 23 55 初投稿 アーティスト名:みくにゆきなか ────────────────────────────── ノスタルジックな詞が心をくすぐる。 = credit = 作詞/作曲/動画: みくにゆきなか 絵: きゃらあい 【GUMI】ランジェリー【オリジナル曲】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18193577 2012年05月02日 11 13 初投稿 アーティスト名:U-Z(ランジェP) ────────────────────────────── 純粋な恋心とエロをつなぐ、この絶妙な感じ・・・!!! = credit = 作詞/作曲/編曲: U-Z(ランジェP) 絵:HIKO 動画: チョメ 【ルカオリジナル曲】Whiteout Ecstacy http //www.nicovideo.jp/watch/sm19565308 2012年05月02日 17 13 初投稿 アーティスト名:一譲はかる ────────────────────────────── ゆったりと、まったりと官能の渦に引き込む"大人"なルカ曲。 = credit = 作詞/作曲/動画: 一譲はかる 【結月ゆかり】僕のついた最後の嘘【オリジナル】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm17770186 2012年05月08日 18 20 初投稿 アーティスト名:毒蒟蒻P ────────────────────────────── ジワリと胸に滲んでいくような切なさ。 = credit = 作詞/作曲: 毒蒟蒻P 百の孤独 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19607862 2012年05月15日 20 32 初投稿 アーティスト名:うきねむる ────────────────────────────── 街は孤独な人で溢れている。心の隙間に風がそよぐ。 = credit = 作詞/作曲/動画: うきねむる 【GUMI Native】 傘 【オリジナル】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18389498 2012年05月19日 16 28 初投稿 アーティスト名:nAn(ナン) ────────────────────────────── 哀愁漂うメロディーが素敵です。 = credit = 作詞/作曲: nAn(ナン) 【初音ミク/ 滲音かこい】RE-OVERDOSE (Full)【オリジナル】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm17937399 2012年05月27日 05 05 初投稿 アーティスト名:highcolor_sunz(ハイカラさん) ────────────────────────────── フレーズの繰り返しがやたら心地よいです。 = credit = 作詞/作曲:highcolor_sunz(ハイカラさん) 絵:むぎこ 【GUMI V3】螺旋階段49解【オリジナル】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18069742 2012年06月11日 18 39 初投稿 アーティスト名:swolz ────────────────────────────── チップチューンと不可思議な歌詞が癖になる。 = credit = 作詞/作曲/絵/動画:swolz 【GUMI Native】 Hide and Escape 【オリジナル曲】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18105441 2012年06月16日 01 23 初投稿 アーティスト名:のなぷらす ────────────────────────────── サビのメロディーがキャッチーで良い。 = credit = 作詞/作曲: のなぷらす 絵:辻織 【IA】 残る夏に花束を 【オリジナル曲】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18111199 2012年06月16日 19 25 初投稿 アーティスト名:nodoka ────────────────────────────── アコギが美しい!ノスタルジックなバラード。 = credit = 作詞/作曲: nodoka 絵:乾 大和 【鏡音リン】自殺系男子【オリジナル曲PV】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18138987 2012年06月19日 19 41 初投稿 アーティスト名:テヅカ ────────────────────────────── 気だるげな歌い方をさせてるところが好き。 = credit = 作詞/作曲/編曲:テヅカ 絵/動画: △○□× 【初音ミク】あなたしか見えなくて 〜絵師募集〜 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18146498 2012年06月20日 18 49 初投稿 アーティスト名:eteclcy ────────────────────────────── 爽やかR B。間奏にギターソロを入れてるところが素敵だなぁ、と。 = credit = 作詞/作曲:eteclcy 【GUMI】絵に描いた恋【オリジナル0o0】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19019328 2012年06月25日 07 52 初投稿 アーティスト名:0o0(ミツオ) ────────────────────────────── 小説連動型の作品。ファンタジックな恋物語。 = credit = 作詞/作曲: 0o0(ミツオ) 絵:pen 【初音ミク】白昼夢【オリジナル曲】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19585787 2012年06月29日 21 22 初投稿 アーティスト名:KTKT ────────────────────────────── 一曲で何度も美味しい。そんな感じ。 = credit = 作詞: amia+ 作曲: KTKT 絵:とらこ 【GUMI】 残存潜在感情論 【オリジナル】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19210615 2012年07月06日 23 38 初投稿 アーティスト名:alphacist ────────────────────────────── ベースかっけぇ! = credit = 作詞/作曲: alphacist 初音ミク オリジナル曲 『アンダワ』 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18306495 2012年07月09日 18 07 初投稿 アーティスト名:日向電工 ────────────────────────────── 言葉選びに不思議な世界観を感じる。 = credit = 作詞/作曲/動画: 日向電工 ■[情動クラシック]≫feat.初音ミク http //www.nicovideo.jp/watch/sm18337672 2012年07月13日 18 19 初投稿 アーティスト名:アテコスリ ────────────────────────────── 「どーにもこーにもならないわ♪」 = credit = 作詞/作曲: アテコスリ 動画:born エンコード:rococo 【初音ミク】リミットブレイカー【オリジナル曲・PV付】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18435682 2012年07月24日 21 54 初投稿 アーティスト名:Xenon(キマグレP) ────────────────────────────── 素直に感情を言葉に表した詞が心を揺さぶる。 = credit = 作詞/作曲/編曲/マスタリング/動画: Xenon(キマグレP) 【GUMI】吐き出す【オリジナル曲】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19439632 2012年07月31日 19 28 初投稿 アーティスト名:100回嘔吐 ────────────────────────────── 二酸化炭素を吐き出す白い煙の貴方と、私。 = credit = 作詞/作曲/編曲: 100回嘔吐 絵:月見里春 【GUMI】幻の海【オリジナル曲】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18531301 2012年08月05日 01 06 初投稿 アーティスト名:coro ────────────────────────────── メロディーが洒落てるというか、美しい。 = credit = 作詞/作曲/ギター: coro 絵:ねむたがり 【GUMI】悪鬼あざみうた【オリジナル】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18893889 2012年08月21日 03 05頃 初投稿(初作品『沈丁花のうら』削除のため不詳) アーティスト名:宮下 遊 ────────────────────────────── 鬼の祭囃子のような、テンポ良いけどどこか不安になる和風曲。 = credit = 作詞/作曲/絵/動画: 宮下 遊 【初音ミクSweet】未来とかそういう話【オリジナル】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19324800 2012年09月11日 20 59 初投稿 アーティスト名:risou(ちんまりP) ────────────────────────────── 不満や痛みのエッセンスを歌に乗せて… = credit = 作詞/作曲: risou(ちんまりP) 絵:am 【IA】Walking on Sunshine【オリジナル曲】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19542290 2012年09月15日 16 50 初投稿 アーティスト名:むつきれびん ────────────────────────────── 爽快な晴れ空の下、散歩のお供にこの曲を。 = credit = 作詞:あきてる 作曲: むつきれびん 絵:まりる 動画:piro 【初音ミク】SHINY【オリジナル曲】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18891506 2012年09月16日 00 17 初投稿 アーティスト名:ジュニア(井草聖二) ────────────────────────────── ソロギタリストが本職の御方、流石のギターパート。 = credit = 作詞/作曲/絵: ジュニア(井草聖二) 【初音ミク】 フライト 【オリジナル】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19261314 2012年09月23日 15 20 初投稿 アーティスト名:バイカP ────────────────────────────── また出会う日を願って… sm18954989のアフターストーリーと思えないくらい爽やかな曲。 = credit = 作詞/作曲: バイカP 絵:壁Neko ベース:金子 ドラム(監修):Akun 【GUMI】 アザレア 【オリジナル】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19185880 2012年09月23日 16 00 初投稿 アーティスト名:ぼんやり ────────────────────────────── 愛してくれる人が傍にいる喜び。爽やかで優しいロック。 = credit = 作詞/作曲: ぼんやり 【GUMI】Changing The World【オリジナル】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19184107 2012年09月27日 18 47 初投稿 アーティスト名:DAGGER ────────────────────────────── 二人の想いを一つにして、世界を変える。 = credit = 作詞/作曲: DAGGER 絵:れな 【GUMI】 モノクロームトレイン 【オリジナルPV】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19132262 2012年10月16日 14 14 初投稿 アーティスト名:ttmywrk(とてもやわらか) ────────────────────────────── 『4つ打ち歌謡曲』確かに… = credit = 作詞:優夜 作曲: ttmywrk(とてもやわらか) 絵:はむす太 動画: くまっぷねっと 【初音ミク】 恋するミクジェンヌ 【オリジナル】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19293292 2012年11月06日 18 34 初投稿 アーティスト名:nonno ────────────────────────────── おやじギャグをお洒落に操るセンスが凄い。 = credit = 作詞/作曲: nonno 絵:何色 【鏡音リン・レンAppend】 Encoded Password 【オリジナルPV】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19340125 2012年11月12日 19 37 初投稿 アーティスト名:syo ────────────────────────────── どうやって君に伝える?どうやったら君は知る? = credit = 作詞/作曲/編曲: syo 絵:こうこ 動画: 涼 【GUMI】ネバーエンディングストーリー【オリジナル曲】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19359980 2012年11月15日 18 26 初投稿 アーティスト名:pinkpong ────────────────────────────── ハンズクラップやたら気持ちいい。 = credit = 作詞/作曲/編曲:pinkpong 絵:アクア☆ミ 【初音ミク】EmotionalMusic【オリジナル曲】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19373683 2012年11月17日 16 22 初投稿 アーティスト名:羽丘淳 ────────────────────────────── 疾走感あるテクノポップ。どことなくボカロ黎明期を思い出します。 = credit = 作詞/作曲: 羽丘淳 絵:潮音 【ギャラ子】Baby,Kiss Me【オリジナル曲】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19528892 2012年12月08日 12 08 初投稿 アーティスト名:おくみゅう ────────────────────────────── 恋する乙女のキュートR B。 = credit = 作詞/作曲/編曲: おくみゅう ギャラ子調声: てぃあら 上記の50選まとめ 【ニコニコ動画】