約 1,446,431 件
https://w.atwiki.jp/student_rowa/pages/64.html
仲間を求めて ◆ORLXhoTwxA 朝焼けに染まる森、それに両脇を挟まれた道を杉村弘樹はひた走っていた。耳をそばだて注意深く、しかし大胆に突き進む。 これが危険な行為である事を弘樹は承知していた。辺りは森に覆われており、身を隠す場所が幾らでもあるため待ち伏せされる他、様々な危険性があるからだ。しかしながらこのプログラムにおいて安全な場所は存在しないのだ。となれば多少のリスクを覚悟して、少しでも仲間と合流する確立を上げるために、こうやって比較的見晴らしのいい道路を進む事にした。 なにか探知機のようなものがあれば、こんな事をせずに済むのだが無いものねだりをしてもはじまらない。しかし、遮蔽物が多い森の中を進むよりも、こちらの開けた道を進む方が安全なのではないか、そんな事を感じさせるほどに辺りは静寂に包まれていた。 今、弘樹が向かっているのは鷹野神社である。地図やコンパスで現在地を確認したところ、そこから地図に載っている中で一番近く、人が集まりそうな場所がそこだからだ。 神社に着いた後、もし誰もいないようであれば平瀬村か氷川村のどちらかに向かう予定だ。 とにかく人の多い場所に行って、早くみんなと合流しなければとそれだけを考えて―― ふと、頭に二人の少女の姿が思い浮かぶ。そしてみんなには悪いが彼女達がこのプログラムに巻き込まれずに済んで本当に良かったと心の底から、そう思った。 多分、彼女達が一緒に巻き込まれていたら――あまり変わらないか。きっと今と変わらずにこの島を駆け回っていただろうなと、そんな事を考えて走りつづけた。 そして道なりに進みつづけ山の麓の近くに来た時、道沿いに朽ち果てた小屋があるのを視認した。少し考えて、なにか有用な道具がありはしないかと思い、それに近づく事にした。相変わらず周囲一帯は静かであるが一応、警戒しながらそれに近づいて中を伺ってみる。やはり人の気配は無い。周囲に気を張りながら小屋に上がり込んで中を物色してみたが、古い新聞紙や廃 材ばかりで特に目ぼしいものは見つからなかった。包丁などの刃物も見つかったのだがどれも錆だらけでとても使えそうに無い。 「ん?」 外に出て、また走り出そうとした時、あるものが目に付いた。 それはなんの変哲も無い竹。だいたい、自分の身長よりやや小さめに切り取られた竹が数本、壁に立て掛けてある。物干し竿かなにかに使われたのだろうか。埃を被ったそれを一本手にとって軽く振り回してみる。細く、軽く、しなやかなそれを弘樹は持って行くことにした。 弘樹は少林寺拳法を習っているのだが、修練する過程で棍術をかじった事があるので素手でいるよりは幾分かマシだろうと考えたのだ。 こんな理不尽な催しに、誰かが進んで参加しているなどと考えたくは無いがそれでも自衛の為、仲間を守る為の手段は必要であった。そう、これは守る為の武器なのだ。 人を殺すという、その一点においては弘樹は充分過ぎるものを支給されている。 それはAK47、カラシニコフとも呼ばれるロシア製の突撃銃だ。 七原たちと一緒に見た映画から得た知識しかないが、弘樹はこの銃の事を知っている。これが使い方次第で容易に人間を物言わぬ肉塊に変えることもだ。 だからこれを使う事はできない。弘樹はこのプログラムに乗る気はないのだから。 しっかりと棒を握り締めて神社に向かって走り出す。仲間たちとの再会を果たすために。 そして弘樹の予想通りに彼の姿を目にする者がいた。ただし城岩中学の同級生ではなく、彼から大分離れた場所にいるのではあったが。 彼女、桑原鞘子は弘樹が走っていた道の山側、弘樹が走っていた道路を一望できる、鷹野神社付近の高台に身を伏せていた。そして支給された双眼鏡を首にかけ、それを使い室江高校の人間を探して辺りをきょろきょろと見回し、弘樹の姿を目にしたのだ。 遠くかすかにしか見えないが確かに黒い学生服が見える。どうやらこちらに近づいている様だ。 (うーん、どうしようかなー。あれって男の子だよねー。でも制服からしてうちの生徒じゃないからダン君じゃ無さそうだし、なにより大きさが違うし) もしかしたらみんなの事を何か知っているかもしれない。だから会って話をしたいのだが、あの男が殺し合いに積極的に参加している可能性がないとはいえない。そんな場合の対抗手段、レミントンM700を支給されてはいるのだが、 (こんなごついの扱えるわけないじゃないの、はぁ……。そもそも使う気なんて無いし。あの人、なんか棒みたいなのもってるし、私も竹刀とか木刀とかだったらよかったのになー) 全長一メートルを越すその銃はデイパックに入りきらず、口を出して周りを威圧し、その重量は4キロほどもあり鞘子の行動を制限する。そして当然ながらこんなライフル銃をただの女子高生が上手く取りまわせる筈も無い。正直な話、戦力としてはあまり期待できそうに無かった。 さらにもう一つの支給品、頭に被った66式鉄帽もかなりの重量があり、いくら剣道で鍛えているいっても流石にこれらを持って長時間移動するのはなかなか厳しいものがある。もし襲われた場合、鞘子は荷物を持って逃げ切る自信が無い。だからこそ慎重にならざるをえないのだ。 頭に被った帽子というよりもヘルメットといった感じの鉄帽を撫でながら考える。危険を承知で男と接触してみるか、それともこのままゆっくりと動き、周囲を伺いながらみんなを探すか。彼女の選択は―― 【G-7 道路/一日目 朝】 【杉村弘樹@バトル・ロワイアル】 【状態】:健康 【装備】:棒(竹) 【所持品】:支給品一式、AK47(30/30)、 AK47の予備マガジン×2、ランダム支給品0~2 【思考・行動】 1:鷹野神社に向かう 2:七原達と合流したい 3:銃はできるだけ使わない 【G-6 神社付近/一日目 朝】 【桑原鞘子@BAMBOO BLADE】 【状態】:健康 【装備】:双眼鏡、66式鉄帽 【所持品】:支給品一式、レミントンM700(5/5) 予備弾丸20 【思考・行動】 1:男に接触してみようか? それとも無視して仲間を探そうか? 2:なにか棒状のものが欲しい。できれば竹刀 18:ジレンマ 投下順で読む 20:スーパーダン英雄譚――開幕 15:黄金の風 時系列順で読む 22:戦いの海へ ▲
https://w.atwiki.jp/loli-syota-rowa/pages/748.html
死者を求めて ◆S4WDIYQkX. 「うん、そう。その代わりに、なんだけどね……」 リリスは切り出した。 QBを手伝い死体を捜す代わりに、得たい物が有る。 リリスが得たい物。 「出来ればご褒美に渡すはずのそれ、ちょっと欲しいかなって」 それは、力。 例えばQBが三名殺人者達に与えるご褒美の支給品。 これを得られれば。 それを使いこなせれば、リリスは今よりその分だけ強くなれる計算だ。 「…………………………ソレハダメ、ダッタトオモウ」 「幾つか入ってるでしょ? 足りなくなったら補給に行けば良いじゃない」 「…………」 リリスの提案に黙り込む。 QBの知性はそれほど高くないが、それでも幾らか考えられる事はあった。 バレなければ叱られないのだ。 今の作業が遅れたのも喧嘩を売ってきた参加者をついつい捕食してしまった為で、 その殺害もQBではなく他の参加者がやった事にしている。 それはやらかした後で取り繕うという拙い浅知恵に過ぎないが、 僅かであれ知能を持っているのは本当なのだ。 リリスはそれに自ら条件を付ける事で誘いをかける。 「三人殺しで最高三つ入ってるのがもらえるんだから、一人調べる事に中身一つだけとか。 ほら、ジェダ様だってその場のノリでご褒美あげるって決めてたじゃない」 「ア、ソッカ」 QBはリリスの提案を受け入れた。 おとなはこどもたちのおてほんです。 わるいこにしないようがんばりましょう。 「うん。じゃあ二人教えてあげる。ニアと、グリーンは、死んだよ。 両方とも間違いないから」 「リリスニハナシヲキクダケデイイッテイワレタノ、ニアダケ」 「だからそれを手伝ってあげるんじゃない。代わりにあたしが見てあげる。 それにQB、死体が目の前に有ったら食べちゃうでしょ。それは……ダメ」 「ワカッタ」 QBはコクリと頷き、見つかった死者たちの情報を念話でジェダに送信した。 これで最優先の三人の内、野上葵とニアは見つかった事になる。 それより後回しの五人も一人は判明して、残るはヴィクトリア、古手梨花、ククリ、金糸雀だ。 最優先の一人にして北東市街で死んだ事しか判らない太刀川ミミの捜索は厄介だが、 全員は見つからない捜索とも言われている。 「ねえ、残りは何処で死んだのか判る?」 「フルデリカハ、ジンジャニウマッテル。ホカハ、ホクトウノマチ」 「じゃあ神社はあたしが調べてあげる。ね、それじゃ」 リリスは手を差し出した。 ニアとグリーンで二人分。 「シキュウヒン、フタツ?」 「うん。グリーンとニアで二人教えたでしょ?」 支給品の代わりに回復や情報を貰えるよう交渉しても良かった。 しかし回復は必要になった時で良いし、情報は別の見込みがあった。 だから死亡者確認の見返りに支給品を求めたリリスに、QBは二つの品を取り出した。 一つ目はカードである。 効果はそのままカードに表記されていた。 リリスは首を傾げながら、それを使ってみた。 現れたのはリリスと同族にも思える、小悪魔の幻影だ。 幻影の小悪魔はリリスにパチリとウインクした。 それを見た瞬間、リリスの内から鮮烈な感覚が弾けた。 「ん……っ」 それは恐らく我を忘れる程の快感だったのだろう。 滂沱の涙を流し、噎び泣き、喘ぎ、体液を噴出させる程に強い快感だったはずだ。 麻薬の様に根深く心の中枢まで犯し尽くす、魔性の快楽であったはずだ。 ウインクを受けた者が人であれば、だが。 リリスは快感に身を震わせながらも、膝を崩す事も思考を鈍らせる事も無かった。 リリスは夢魔なのだから。 彼女に取って快感を得る行為は栄養の摂取に伴なう物であり、要するに味か食感のような物だ。 精気を伴わない中身の無い快感なんてノンカロリーで虚しいだけだった。 味はするのに何も食べた気がしない、ガムみたいな物である。 (『小悪魔のウインク』、かあ。どう使えばいいんだろ。 何度でも出てきてくれるっていうけど、自分に使っても意味は無いよね。 ……敵に使えば良いのかな?) 使えなくもないだろう。 カードを発動させてからウインクまでにタイムラグは有るけれど、 その間だってリリスが動けないわけではない。 ソウルフラッシュを遅く撃つように使えば、強力な牽制技として戦術に組み込めるはずだった。 しかし。 (でもこの位じゃ牽制にもならないよね) すぐに、落胆と共にカードを仕舞い込んでしまった。 リリスが自分に使ってみた感想は『ちょっと驚く程度で大した物でもない』という所だ。 人間であれば完全に翻弄し動きも思考も止める事が出来るだろう事に気づかない。 増してやこの世界は外見判別で子供を集められた場所であり、 この感覚は肉体が成熟してからでなければ本来甘受できない感覚であり、 即ち幼くして苦難の人生を歩んだ者も、未成熟な肉体で永遠を生きる者さえも耐性の無い、 ほぼ全ての者にとって痛みの様に耐える事すら出来ない未体験の激感であった事に気づける筈もない。 小悪魔のウインクはハズレとして仕舞い込まれた。 もう一つは、黒鉄の銃だった。 替えの弾装やら何やらまで付いている。 早速壁に向けて引き金を引いてみた。 弾丸は入っているみたいなのに、何も起きない。 「……って、またおもちゃなの?」 この島に降り立った直後の繰り返しだ。 安全装置が掛かったままである事に気づかない。 リリスは落胆とともに黒鉄の銃をランドセルに仕舞い込み────。 (……待って) その手を、止めた。 思考を、止めなかった。 グリーンを撃ち殺したように、この島にはちゃんと本物の銃も支給されている。 きっと、たくさん。 それなのに二度に渡っておもちゃの銃を引くなんて事、ありえるだろうか? リリスは諦めずに銃の細部を観察し始めた。 引き金やグリップ、銃口。 銃口の中のライフリングに、グリップの細工、引き金の色つやまで。 ……すぐに、重心の横についた小さな可動部に気がついた。 安全装置を外して、引き金を引いた。 銃弾はあっさりと射出され、壁を穿った。 「そっか、そういう事だったんだ」 きっとあの時も、同じ事だったのだろう。 ささやかな達成感と共に引き金を引く。 引き金を引く。 引き金を引く。 五発、六発、七発。 十一発、十二発、十三発。 カチリという音が弾切れを報せた。 「……あれ、これだけ?」 最初に入っていた弾倉はもう無くなってしまった。 十三発。 それがこの銃に入れておける弾数だった。 替えの弾倉は二つ有ったが、それ以前の問題にも気づいてしまう。 リリスは試射をした壁を見て、がっくりと項垂れた。 (うぅ、銃って打てば当たるものじゃなかったんだ) 標的を見つめる視力も反動に負けない握力も十分だったはずなのだが、当たり具合はイマイチだ。 この数mの距離で動かない相手の体の何処かになら当たったといえなくもないが、 自分と同じ位の速さで動いてる相手にならこの距離ですら当たらない。 文字通り零距離で撃ち込まなければ当たらないだろう。 第一零距離なら普通に翼で斬った方が威力抜群だ。 人の達人はこれを遠くの相手に当てられるのだという。 そう思うと感嘆すら感じてしまう。 人間って凄い。 「リリス、コレモ」 「へ?」 QBがもう三発、弾丸を差し出してきた。 どうやらランドセルの中にバラで入っていたらしい。 違和感があった。 (なんで他の弾倉と別になってるんだろう?) よくよく見ればその弾丸は材質も違うようで、何かが奇妙だった。 得体の知れない強烈な力を秘めている気がした。 礼を言いつつ弾丸を受け取ると、その内の一発だけを銃に篭める。 壁を、撃ってみた。 引き金を引いた。 その瞬間。 予想だにしない閃光と轟音が鳴り響いた。 思わず上げた悲鳴が爆音に掻き消される。 全身が後方へと押し流される。 銃が、ものすごい力でリリスの体を押して来ているのだ。 さっき撃った時にも有った反動だと理解し、その桁違いの出力に当惑し、必死に床を踏み締めた。 耐えられなかった。 ふっと。 体が浮く。 跳ね飛ばされ反対側の壁に叩きつけられる。 銃を押さえ込みながら、強引に羽と足で着“壁”する。 肌が粟立つ奇妙な感覚が全身を襲う。 視界を塗り潰す閃光はしかしほんの一瞬で途絶えて。 ぽっかり穴の空いた向かいの壁を目にした。 「………………なにこれ?」 リリスが握る銃の名はブラックバレル・レプリカという。 とある世界における魔術教会三大部門の一つ、アトラス院に封印されし七大兵器の一つ、 ブラックバレル──のレプリカである。 ブラックバレルとは“天寿”の概念武装であり、対象の寿命に比例した毒素を発揮する。 即ちブラックバレルから放たれた弾丸は吸血鬼など不老の存在に絶大な破壊力を発揮するのだ。 しかし所詮はレプリカでもある。 レプリカから放たれる銃弾は確かに“天寿”の特性を備えていたし、 吸血鬼にも通用する有効な武器ではあったが、そこまででしかなかった。 吸血鬼にもダメージを与えられるが必殺には程遠い、その程度の武器だった。 だが、その威力では足りない怪物に対した所有者、シオンという娘は一つの工夫を付け足した。 彼女を怪物から庇って散った友人の武器、別の概念武装の欠片を銃弾に加工したのだ。 吸血鬼に対する純粋な滅びの概念武装、正式外典「ガマリエル」の欠片。 模造品と、欠片。 その二つを組み合わせた威力が本来の物に匹敵するかは判らない。 いや、恐らくは到底届くまい。 それでもこの融合により、ブラックバレル・レプリカは強大な出力を発揮出来るようになった。 弾丸ではなく極太のビームと化したその銃撃は、物理的な破壊力だけでも相当な物だ。 地面を撃てば人が埋まるほどの穴が開く。 特性が牙を剥く吸血鬼ならば、直撃して耐えられる者など数える程だった。 ……逆に言うならば、数える程には居るのであるが。 「えーっと……大当たりなんだよね、これ」 リリスは唖然となりながら呟いた。 残り二発しか無いとはいえ、この銃弾をこの銃から撃てば物凄い破壊力を発揮出来るらしい。 そう認識しながらも自信なさげに呟くのは、やはり当てる自信が無いからである。 本来の所有者シオンは強靱で細い糸、エーテライトを使い自身の体を固定する事で横に撃っていた。 そうでなければ相手を上空に弾きあげ、反動を地面へ逃がせるようにして真上に向けて撃っていた。 シオンとてただの人ではなく、肉体は半ば程度に吸血鬼化していたのだが、 それでもそこまでしなければ撃てないほど反動が凄まじいのだ。 半分どころか完全に人外であるリリスは、当然の事ながらシオンより遥かに固く銃把を握れる。 しかしリリスには銃を撃った経験がまるで無い。 反動をどう逃がせば良いのかすら判らない。 これでは反動に吹き飛ばされるのも当然だと言える。 今さっきのは咄嗟の事だったにせよ、構えて撃っても抑えきれるものだろうか。 些か戸惑いつつも、リリスはブラックバレル・レプリカを仕舞い込んだ。 強力な武器には違いないが、文字通りの切り札なのだ。 何時どんなタイミングでどう使えば良いのかを考えあぐねていた。 落ち着こうと一息を吐いて、それから。 リリスはQBに質問を投げかけた。 「ところでさ、QBを倒すなんて一体誰がやったの?」 「レミリア」 「へぇ、どんな奴?」 「ジェダサマ、ヴァンパイアッテイッテタ」 QBはリリスの問いに躊躇う様子も無く答えた。 それはそうだ。 QBにとってこれは、話して良いと言われたリリスとの会話の延長にすぎない。 ご褒美を消費までしないと与えていけない情報とは認識していなかった。 リリスはこれを見込んで取引で情報を求めようとしなかったのだ。 ジェダが『会話を許した』リリスだけに生まれた特例であった。 「ああ、ヴァンパイアって事は夜は強くなるんだ。どこでやられたの?」 「ホクトウノマチ」 そしてやはり北東の町。 どうやら北東の町では本当に様々な事が起きたらしい。 「それならやっぱり北東は手伝えないね。あたしはそいつが近づいてきてもわかんないし」 北東の町でなく神社を手伝うと言っておいて良かった。 それから、今のは先にQBが何処でやられたか聞くべきだったのだと気づく。 (焦っちゃダメだよね。順番を考えなきゃ) リリスの思考は未だ拙い。 理詰めで積み重ねる思考には未熟なのだ。 時折驚くほどの閃きを見せたかと思えば、元のままの愚かしさも見せる。 不安定な閃き。 不完全だからこそ成長し続ける者。 今のリリスはそんな存在だ。 「でもよくQBを倒せたね、そいつ。QBって制限も無くていつも通りなんでしょ?」 いつも通り、という言葉にQBは少し頭を傾げた。 当然だろう。 もし制限が掛かっていたとしてもQBは気づかないだろう。 リリスは聞き方を変えた。 「ねえ、そいつはどんな力を使うの?」 「ケンヲモッテタ。ツエヲモッテタ」 「……それだけ?」 「ソレダケ」 なんとも身も蓋もない返答であった。 QBにしてみればやはり当たり前の話なのだ。 QBよりはかなり遅いが相当な速さで空中戦が出来る事など自分と比較して特筆する事でも無いし、 腹に大きな風穴を空けても戦い続けた事だってダークストーカーなら驚く程でもない。 魔法を使った事も、その位は『よくある魔性の力』の一種でしかない。 QBの目からすればレミリアこそ普通の敵であり、特筆すべき事など何も無かった。 逆に言えば満月の夜に辛うじてとはいえ、普通に敵しえたレミリアが異常なのだ。 リリスはうーんと考えてその意味を解釈する。 具体的にどう強くて、どんな戦い方をしてQBを倒したのかは想像の外だ。 だから本質的な部分だけを探し出す。 (えーっと、つまり実力でQBを倒したって事なのかなあ?) レミリアは単純に強いのだと判断する。 ならばどうすれば良いかは明白だ。 それはブラックバレルを当てれば良いとかそういうものではない。 QBに勝った程なら、必殺の一撃も避けるなり弾くなりしてしまうだろう。 単純に強いとはそういう事だ。 考えるべきはどう攻撃を当てどう攻撃を凌ぐか、即ちどう戦うかなのだ。 リリスが出した結論は。 (それじゃ、からめ手を考えれば良い……んだよね?) 肉体的に脆弱でありながらリリスを篭絡したグリーンやニアのような力である。 夢魔としてのトリッキーな強さを手に入れる。 これまでは感覚で行ってきた戦いをもう一段階進化させる。 リリスが掴むべきはそんな強さなのだろう。 (うう、むずかしそう。ほんとにあたしにできるかな) 不安になる。 少し、身震いする。 だけど腕に嵌めた首輪がしゃらんと鳴って。 想いを、思い出した。 (違う、できるかじゃない。やらなきゃいけないんだ) この想いの答えに辿り着く為には、それしかない。 哀しみがリリスの意思を支えてくれる。 優勝して、神体の中のグリーンと言葉を交わしたい。 その答えが失恋だったとしても、その答えを受け止めたい。 想いが、思考を磨き上げていく。 (そもそもあたしにニアと同じ、戦う前に勝つなんてこと出来るわけがない。 真似するだけで同じになれるわけがないもん。 けどあたしには正面からでも戦える力がある。 だから多分、ほんの少し有利に戦えるようにすれば十分なんだ。 隙を作ったり、相手の切り札を出させないだけで。 グリーンの指示を受けていた時みたいに、あたしの力をぜんぶ出せるようにするだけで。 今はまだどうすればそんな風に出来るかも判らないけど、でも) 指針は、定まった。 どんな未来を目指せば良いかの指針は。 「……リリス?」 「ううん、なんでもない。 QBは一回中身を補充してきた方が良いと思うよ。 殆ど入って無いランドセルをあげても可哀想でしょ?」 もしかすると次をリリスが引く可能性も有るのだし。 「神社に埋められてる……古手梨花だっけ。そっちを確認したらまたちょうだいね」 QBがコクリコクリと頷く。 リリスはなんとなしに、呟いた。 「それにしてもこのご褒美っていうの、便利だよね。 ジェダ様の言うとおりいっぱい殺せば強くなれて、もっと殺せるんだから。 だからジェダ様も認めたのかな? あ、考えたのは別の子だっけ?」 「………………」 QBはその話には興味が無い。 ご褒美ランドセルの中身を補充するにしてもそのままにしても、その後は北東の街だ。 そこへ飛んで行き、言われた死体を捜す事しか目的には無い。 話を訊いて良いと言われたリリス以外の子供は、ご褒美を要求されなければ関係の無い存在だ。 だから何の義理も無くて。 「そう、あいつ。太った、白い男の子…………そうか、あの時に見てたんだ……。 グリーンを殺したあいつ、今頃、どこに居るんだろ」 「ソコ」 あっさり答えた。 「……え?」 誰よりもリリスが唖然となった。 QBは、壁を指差している。 隣の部屋とを隔てる、壁。 誰も居ない壁際……いや、壁に空いた穴。 バレルレプリカによる空いた、隣の部屋に繋がる穴。 その穴の向こうから、ビクッと気配が漏れた。 カサカサと走り去る音が響く。 リリスはハッとなり部屋の壁に突撃し、その勢いのまま隣室へと転がり込んだ。 その部屋の、窓際には。 グリーンが撃たれた時、顔だけで振り向いた時に見た。 最初の会場でご褒美の交渉を求めた時に見た。 肉まんみたいな少年の姿があった。 「ま、待て、暴力はいけないぞ、暴力は」 あたふたと慌てた様子で変な挙動を見せる。 だらだら脂汗を流しながら、自分は無力と言うかのように両手を上げる。 「話しあおうじゃないか。暴力はんたーいっ!」 怯えて、命乞いをする、無様で小さくて太った肉の塊。 それはとてもみっともないちっぽけな姿で。 どうしてだろう。 リリスの胸の奥からは吹き出す感情は、憎しみではなかった。 グリーンの姿が脳裏を過ぎる。 それはどれも、宝石みたいにきらきらと輝く思い出だった。 綺麗な事ばかりじゃない、ニアと会ってからは何かすれ違いも有ったはずだ。 豚にされた時のグリーンは、大好きな事は変わらないけど言葉をかけてくれなくて苦しくなった。 なのに、そんな光景は一つも浮かばなかった。 胸の奥から浮かぶグリーンの姿はどれも、輝いていた。 頭脳明晰で、リリスには思いつきもしない発想をくれて、 彼の言うとおりにしている間は全てが上手く行っていた。 力じゃまるで大した事無いのに、すごい人だった。 それが、目の前の肉まんみたいな子供に殺された。 そいつの撃ったらしい銃弾でグリーンは死んだ。 あっさりと。 ほんとうに、すごい人だったのに。 ずっと離れたくないって思えた人なのに。 抱き締めたいってだけじゃなくて、抱き締めて欲しいって思った人なのに。 こんな奴に殺された。 期待外れ? どうして? 目の前の奴がどんな奴でも関係無いはずなのに。 コイツは、グリーンを殺した奴だ。 それだけが判ればリリスにとって関係無い話のはずなのに。 どうしてこんなに。 憎いのでも殺したいのでもなく。 ただただ腹が立つのか。 「わああああああああああああああああああああああああああっ」 気づけばリリスは、喉の奥から絶叫を上げて突撃していた。 そして刃に変えた翼を力いっぱい振り抜いた。 作戦も予測も無くて、ただ純粋に力強くて速い攻撃だった。 それよりも肉まんが窓から体を踊らせる方が早かった。 「え?」 肉まんは飛べる能力が有った様子も無く、落ちて行った。 リリスは理解できずにただただ困惑を浮かべて。 ガシャンと、下の方から響いた音を耳にする。 よく見れば、窓際にはロープが括りつけられていた。 慌てて下を覗き込むと、下の方の部屋の窓が割れていた。 どうやらそこから別の部屋に移ったらしい。 更にそっちの方でドタドタと騒がしい音が聞こえてきた。 肉まんはみっともなく逃げていく。 なるほど、それは賢い選択なのだろう。 逃げる算段もそれなりに立てているのだろう。 だけどリリスにはどうしてか、追いかけるつもりにすらなれなかった。 だって。 (……いいや、あんな奴) どうしてか、そんな想いが込み上げてしまったから。 あんな奴がグリーンを殺した事は絶対に許せないけれど、 それを追い掛け回して殺すことに必死になる自分を想像したら、なんだか。 くだらないと思えてしまった。 湧き上がった熱情も見る見るうちに褪めていく。 それよりも行動すべきなのだろうと思考する。 あんな奴に構うよりも行動して、グリーンの魂に一秒でも早く辿り着くべきだろう。 その為にみんな殺していけば良いだけだと、そう思う。 最早リリスの眼中には太った少年の事など無くて、腕に飾った二つの首輪だけが映っていた。 目尻が濡れていた。 (……早く、会いたい) いつの間にか傍に居たQBが、ポツリと言った。 「リリスハ、フルデリカヲサガス」 「…………うん。そうだよ」 それだけを確認すると、QBはそっけなく飛び去った。 QBにはリリスが涙を零す理由も、それがどういう意味なのか理解する知能も無い。 リリスが約束を守ってくれるならそれだけで十分だった。 リリスにも自分がどうして泣いているのか判らなかった。 だけどリリスには一つだけ理解出来る知能があった。 この涙はグリーンを想っているからなのだろう、と。 (行こう) 想いを確かめようと、前に進み始めた。 行動を再開した。 QBから非正規のご褒美も正規のご褒美も貰って、もっともっと強くなるために。 振り返らず進んでいこう。 改めて、強く思った。 【C-6/ラブホテル/2日目/黎明】 【リリス@ヴァンパイアセイヴァー】 [状態]:右足と左腕にレーザー痕。顔に酷い腫れ。全身打撲。(以上全て応急手当済み) 疲労(小)。全身に軽度の火傷。額に浅い切り傷。背中に打撲。 微かな哀しみとすっきりと澄み渡った決意。『考え』る事に目覚めた。 [装備]:首輪×2(グリーンとニアのもの。腕輪のように両腕に通している) [道具]:基本支給品二式(ランドセルは男物)、眠り火×8@落第忍者乱太郎、魔女の媚薬@H×H、 メタちゃん(メタモン)@ポケットモンスターSPECIAL、きせかえカメラ(充電済)@ドラえもん モンスターボール@ポケットモンスターSPECIAL 、小悪魔のウインク@H×H、 ブラックバレル・レプリカ(13/13)@メルティブラッド(予備弾倉×1、ガマリエル弾×2) [思考]:力を付けなきゃ。もっと強くならなきゃ。 第一行動方針:神社に向かい埋葬されているはずの古手梨花の死体を捜す。 第二行動方針:Q-Beeに協力。その恩賞として色々得る。 基本行動方針:優勝して、グリーンの魂ともう一度語り合う。もう「遊び」に夢中になったりはしない。 [備考]: 荷物の中の『魔女の媚薬@H×H』には説明書がついていません。 Q-Beeからジェダに命じられた任務の内容を聞きました。 【Q-Bee@ヴァンパイアハンター】 [状態]:健康、疲労(中) [装備]:不明(なし?) [道具]:ご褒美ランドセル(不明支給品0~1(ただし補給する?)) [思考]:テツダイ…… 第一行動方針:北東市街地の死体を捜しに行く。 第二行動方針:ジェダの指令をこなす 第三行動方針:(……ゴハン) 基本行動方針:本能に逆らえる範囲内で、ジェダの指令を忠実にこなす [備考]:野上葵、ニア、グリーンの死体の存在を確認しました。 ジェダには内緒で少しの間休憩をとりました。 キルアの殺害者を弥彦に偽装する事にしました。 肉まんことパタリロは息を潜めて、リリスとQBが飛び去って行くのを見送った。 ふむと首を傾げ、考え込む。 予測した内容は、当たったような当たらなかったようなびみょーな結果になった。 パタリロの予測は、リリスがジェダの手を離れているのではないかという物だ。 リリスがあの青年、グリーン(とリリスが言っていた)に重大な内情なりを話してしまい、 それによりジェダはリリス達に刺客を差し向け、 人目に付かせずそれを果たす為に雨を降らせたのではないか、という推測である。 最初、QBがその場所に居た事は予想を裏付ける物に思えた。 ジェダから放たれたQBがリリスを殺しに来たのだと。 しかしどうも様子がおかしい。 リリスはQBに死体捜しを手伝うからご褒美をなどと言っていた。 グリーンは既に死んでいたというのだ。 いち早くジェダに始末された後という可能性も有りえたが、それにしたってQBは何をしに来たのだろう。 大体もしそうならQBが死体を捜す理由が無い。 (戸棚に隠されたお菓子をこっそりと食べてもばれなければOK、というのは合ってたみたいだが) QBもリリスを始末しようという様子では無かった。 むしろリリスに秘密裏の任務を申し付けに来たように思える。 残念ながら部屋の壁がいやんばかんを漏らさない防音壁であるせいで最初の方は パタリロの耳を持ってしても聞き取りにくかったのだが、QBがリリスに何か用が有って来て、 リリスはその代わりにご褒美を要求したようだ、という所までは把握出来た。 具体的に誰の死体を捜しているのかも。 (しかし死体捜しとはけったいだなあ。 野上葵とニアと太刀川ミミが最優先で、 他にグリーン、ヴィクトリア、古手梨花、ククリ、金糸雀も見つけないといけないというが。 なんでそんなにあくせく死体を捜しているんだ?) まさか死亡確認を目視で行っていたのだろうか。 QBはご褒美を配達に飛び回っているわけだし有り得るのかもしれないが。 とりあえず、死体はほぼ聞き覚えが無い者ばかりだ。 もしかするとグリーンは自分の仕業かもしれないが、他は一体なんなのか。 (何がなんだかさっぱりだが、どうやら重要な死体みたいだな) 例えばQBの先回りをして死体を調べたりすれば何か判るだろうか。 だがQBは物凄い速さで飛んで行ってしまった。 あれの先回りを出来るとは思えない。 どうにかならない物か。 もう一つ奇妙なのは、追いかけられなかった事だ。 途中で銃を撃たれた時はあわや気づかれたのかと慌てたし、 髪の先っちょを焼き焦がしてぶっぱなされたなんだかよく判らない砲撃には死んだかと思ったが、 その後に追撃もなく、本当にただの試し撃ちで気づかれなかったのかと胸をなでおろしたものの…… そんなワケは無く、やっぱり気づかれていたらしい。 にも関わらずQBもリリスも話が一段落するまで動かなかった。 リリスは穴を抜けて襲って来たが、攻撃は真っ直で甘かったし、追っても来なかった。 もしもパタリロがグリーンを殺したというのなら、リリスにとって仇である筈なのだが。 (元々グリーンって奴とは仲が悪かったのかな? そういえばあの時も口ゲンカをしていた気がする。 ジェダに言われたら普通に切り捨てられる程度の奴だったとか。 しかしそれにしたって聞かせてくれた理由がよくわからん。 もしかしてジェダの奴、配下にも裏切られてるんじゃなかろーな?) 故意に聞かせてくれたとすればそう考える事もできる。 QBやリリスは先程の情報をパタリロに漏らす事で何かを狙っているのだと。 バレたら不味いからそれなりに殺そうとはするだろうけど、本気ではない。 既にジェダを見限っていて、この殺し合いを破綻させようとしているのだ。 穴を空けたのも話がよく聞こえるようにというまごころだ。 割と筋が通る気もしてきた。 「もしそうだとしたら、期待に答えてやらんとな」 やはり先ほど聞かされた情報から何かを読み取らなければならない。 考え中。 考え中。 考え中………………。 「って、どんな奴かもわからん死体をどう考えろとゆーんだ!!」 わかるわけがない。 パタリロは死んだ者達がどんな事をして何時何処で誰にどんな風に殺されかかも知らないのだ。 これでは考察の立てようも無い。 とにかく情報を集めなければにっちもさっちも行かないのだ。 「追いかけるのも手か」 QBの向かった北東市街地はともかく、リリスの向かった中央部なら行けなくもない。 どうせ間に合わないだろうが、痕跡を調べるなり出来るコトも有るだろう。 ただし目撃情報を聞くのは難しいが。 参加者の殆どに警戒されているという条件が厳しい。 信頼してもらうための土産話も殆ど無い。 だって土産話になる考察をする為の情報が集まらないんだもの。 如何せん、何を考えるにも情報が足りなすぎる。 その上に仲間が居ないのだ。 マー詰んでるね。 モー詰んでます。 「くそー、ほんとなんて事をしてしまったんだぼくはー!?」 どったんばったん思い悩むパタリロ。 最初の会場であんなに堂々と取引をしてしまった事による孤立無援が痛すぎる。 この状態で出来る情報収集なんて盗み聞きくらいのもんだ。 ほんとにもうどうしてくれようこの事態。 「……待てよ? そういえばあいつ、グリーンを殺したのはぼくだって言ってたな」 ふとリリスの言葉を思い出す。 やっぱり間違いなくあの時の銃撃でグリーンは死んだのだ。 とすればグリーンの死体はあの辺りに有る筈だ。 もしかしたら建物の中に運び込まれたかもしれないが、血まみれビショ濡れ汚れ有りの死体である。 道路の痕跡は綺麗さっぱり洗い流されても、建物の入り口を見れば濡れた物を引きずった跡が残る。 周囲の建物を虱潰しに見ていくのは相当面倒くさいが、見つけられなくもないだろう。 埋められていたら厄介だが、とりあえずは考えないでおく。 たぶん、大丈夫のはずだ。 古手梨花は神社に埋められているってわざわざ言っていたし、グリーンの方は埋まってないだろう。 グリーンの死体を見れば、どうしてQBがそれらの死体を確認していたのか、 どうしてわざわざ死亡確認をしていたのか判るかもしれない。 「よし、善は急げだ。早速捜しに行こう」 カサカサと音を立てて走り出す。 未だ止む気配の無い雨の下、パタリロは死体を捜しに駆け出した。 【C-6/市街地/2日目/黎明】 【パタリロ=ド=マリネール8世@パタリロ!】 [状態] 頭にたんこぶ、ずぶ濡れ [装備] S W M29(残弾4/6発)@BLACK LAGOON、 ヘルメスドライブ@武装錬金(破損中・核鉄状態、使用登録者アリサ) [道具] 支給品一式(食料なし)、44マグナム予備弾17発(ローダー付き) せんべい、お茶菓子、コーヒー豆、がらくたがいくつか ミニ八卦炉@東方Project、クロウカード『翔』@カードキャプターさくら、 エーテライト×2@MELTY BLOOD、はやての左腕 [思考] それにしてもひどい雨だ。 第一行動方針:グリーンの死体を捜索する。 第二行動方針:首輪の調達。藤木あたりが候補。 第三行動方針:調達した首輪を調べたい。道具や設備も確保したい。 第四行動方針:他にも対主催として有用な情報を得て、自分を信用してもらう材料とする。 第五行動方針:弥彦と千秋にはあう確率は低いと判断。でもできれば再開したい 第六行動方針:仲間集めは、慎重にしたほうがいいかな…… 第七行動方針:暇ができたらはやての腕を埋葬してやる。 基本行動方針:好戦的な相手には応戦する。自分を騙そうとする相手には容赦しない。 最終行動方針:ジェダを倒してお宝ガッポリ。その後に時間移動で事件を根本から解決する。 [備考] 自分が受けている能力制限の範囲について大体理解しています。 弥彦を完全には信用していません。簡単に情報交換済みです。 よつばと藤木の死の真相について大雑把にですが勘付いて、千秋を少し疑っています。 キルアとエヴァが少なくとも今の自分にとっては危険人物であると判断しました。どちらも、名前は知りません。 自分が誰からも警戒されている存在だと、改めて把握しました。 リリスとQ-Beeが内心ではジェダを裏切りわざと会話を聞かせたのだと考えています。 【小悪魔のウインク@HUNTER×HUNTER】 「このウインクを受けた者は、この世のものとは思えないほどの絶頂感を味わうことができる。 何度でも現れてウインクしてくれるが、中毒に注意。」(カード原文より) グリードアイランドのカード。 現れてウインクをしてくれる小悪魔に実体は無い物とする。 【ブラックバレル・レプリカ@メルティブラッド】 魔術協会三大部門の一つであるアトラス院に展示される七大兵器の一つであるブラックバレル、の模造品。 “天寿”の概念武装であり、その生命の寿命に比例した毒素(攻撃力)を発揮する。 ただし通常弾では吸血鬼にも一応通用する程度の模様。 外見は自動拳銃で、通常弾(十三発)のカートリッジ三本と、 対吸血鬼の純粋な滅びの概念武装である槍鍵ガマリエルの破片から作られた特殊弾三発が付属する。 特殊弾の射撃は銃弾ではなく太いビーム砲撃と化す。 本来の所有者シオンは横に撃つ時エーテライトで固定して撃っており、 基本的には相手を跳ね上げて真上に撃つ事から、強烈な反動があるようだ。 ただしシオンの身体能力は、元が運動不足で、半吸血鬼化して多少は人外という微妙な程度。 ≪267 彼女たちはこの島から逃れたい 時系列順に読む 269 優しい微笑みを浮かべて≫ ≪267 彼女たちはこの島から逃れたい 投下順に読む 269 優しい微笑みを浮かべて≫ ≪261 壁に耳あり障子に目あり リリスの登場SSを読む 274 目撃者と追跡者≫ パタリロの登場SSを読む 270 口のない死人はよく喋る≫
https://w.atwiki.jp/gensouiri/pages/505.html
力を求めて幻想入り 動画リンク コメント 力を求めて幻想入り 384人目の幻想入り 作者 翡翠 ひとこと 多くの人が楽しめる物語を目指して頑張りますので、今後よろしくお願いします。 主人公 名前:瑪瑙 性別:男 年齢:18歳位 動画リンク 新作 一話 コメント・レビュー 名前 コメント すべてのコメントを見る ※この作品のレビューを募集しています。レビューについては、こちらをご覧下さい。
https://w.atwiki.jp/giurasu/pages/1520.html
公式ページ 食堂のおばちゃんが新しい果実を発見したとのことで、それを貰うためにポルタネを集めることに。 クエスト 幻の果実を求めて HR 2~ エリア 彩の滝 メインターゲット ポルタネ12個の納品 特殊条件 防具貸与:ブートFシリーズ ポルタネは植物シンボルから採取可能。 支給品に採取アイテムが色々あるが、特に使う必要はない。 採取系スキルは貸与防具に一通り揃っている。 ちなみにこの防具、デザイン自体は多数流用されているので見慣れている人も多いだろうが、 2007年秋に行われたキャラ追加キャンペーンの報酬という超マイナー品である。 報酬としてアイルー印の果実*10が確定。 2回クリアすればHR・辿異両方の武器を作れる。 武器 「まるで果実なライトボウガン」らしいが外見と性能はゲーム内で確かめようとのこと。 ネタバレ HR武器 イエロー・バナナ 攻撃力242 会心率100% リロード:やや速い 反動:中 レア度5 最終強化LV5の性能 辿異武器 イエロー・バナーナ 攻撃力588 会心率100% リロード:速い 反動:中 閃転強化+1 11周年イベ武器なので★4まで強化可能で↑は最終強化の性能。 正体は特大バナナ。攻撃力は低めだが会心率100%と閃転強化で補っている。 Gzはかかるがバレルを付けると面白いことになるので必見。ぜひ2本揃えて別のバレルを付けたい。 ちなみにHRから参加可能だが、辿異武器しか存在しない模様。 通常の武器生産10ページ当たりにHR版。 七夕イベ同様、限定素材がない状態で工房メニューを開くと イベント武器が表示されない仕様。不親切な・・
https://w.atwiki.jp/animerowa-2nd/pages/110.html
光を求めて影は ◆ZJTBOvEGT. 「どうしろってのよ」 前方に広がる昏い川を見下ろしながら、鴇羽舞衣は嘆息した。 どんな望みも叶えてやる…あの男はそう言っていたが、だからなんだというのか。 そんなものは、すでに失ったというのに。 腕の中から巧海が消えてなくなった瞬間に、たったひとつ抱き続けた願いは消え失せたのだ。 母に託された分まで、弟に幸せを。 欲しいものはそれだけだった。 だからもう、なにもないのだ。 自分には、なにもない… (お姉ちゃんの、本当に欲しいものは、なに?) 「なんにもない、なんにも、ないよ」 望むもの、欲しいもののために殺し合え。 今更、そんなことを言われたって。 戦う理由も、生き抜く理由も、今の舞衣にはなかった。 歩き出す。どこに行く気か、自分でもわかりはしない。 なにをしていいのか全然わからないし、考えることも億劫だった。 とにかく今は歩きたい。雨の中、ついさっきまでそうやっていたように。 その途中いきなり意識が途切れたと思ったら、こんな所に飛ばされて、 濡れた制服もそのままに舞衣は今ここに立っている。 そういえば、殺し合いの説明を受けたときにも、たくさんの人がいたっけか。 あの人達は一体どうするのだろうか…殺し合いに、乗る? 乗らない? 乗っている人間が近くにいたら、自分はきっと殺される。 わかっていても、それをどうこうする意志がこれっぽちも湧いてこない現実。 もしかしたら、死んでしまうのもそれはそれでいいかも知れないとすら思ってしまっているのだ。 巧海は死んだ。命も、殺した。 自分だけ生きているのは、おかしい。 この思考に脈絡はない。ただ、そう思ってしまうだけだ。 鴇羽舞衣は致命的な空っぽに侵されつつあった。 だから、出会い頭にナイフを突きつけられたとて、大して驚きもしなかった。 「う、うわぁぁぁっ」 路地裏の曲がり角で出くわした少年はひきつった悲鳴を上げ、 持っていたナイフを突き出してきたのだ。 上半身裸の上に薄汚いジャンパーを羽織った少年。 「う、う、動くなよ、本気だぞ」 年下か。背は舞衣よりわずかに低い。 がちがちと奥歯を鳴らしながら目玉をひんむき、上目づかいで見上げていた。 まったく、ひどい顔である。 従わない理由も思いつかないので、舞衣は素直に動きを止め、 少年の次の言葉を待つことにする。 「き、きみは、殺し合いに、乗っているのか?」 「…乗ってないわよ」 正直な答えである。 もう、乗る意味がないのだから。 というか、どうでもいい。 「そ、それじゃあ、見せてよ」 「なにをよ」 「乗ってない証拠だよっ。 カバン遠くに捨てろよ、武器入ってんだろぉ」 言われてみれば、そんなものもあったか。 いつの間にか持たされていたデイバッグの存在を思い出し、 やたらめったら怒鳴り声を上げる少年の指示に従い、脇に放り捨てる。 「これでいい?」 「ああ」 少年はうなずいた、が、ナイフを下ろさない。 突きつけた姿勢のまま、一分ほど経過してしまう。 「用がないなら、あたしは」 「ま、待て」 威嚇するように、ナイフで刺すような仕草を見せる少年。 だがその腕もがたがたと震え、いまにも舞衣を制するそれを取り落としてしまいそうな有様。 見ているうちに頬から、鼻から汗が垂れ、呼吸の乱れも始まった。 「まだ武器を隠してたら…隠し…隠してるだろ。 出せよ、武器…出してくれよ」 冷めた頭で舞衣は思う。 ああ、こいつは同じだ。 HiME同士の戦いに追い込まれ始めた頃のあたし達と同じだと。 誰かが誰かを狙ってると思ったら安心できなくなる。 そう、こいつの場合、たとえるなら…菊川雪乃と同じ。 考えてみれば当然も当然。 今ここがまさに、最後の一人になるまで戦わされる殺し合いの舞台なのだから。 ここにいるということは、イコール、例外なく自分達と似たような境遇にあるということ。 「あんた、この殺し合いを、どうしたいの」 ふとした興味で聞いてみる。 いきなりこんなところに放り込まれて、 どういう答えを出して、何をしようとしているのか。 答えることなく、少年は激昂した。 「武器を出せって言ってるだろぉ!」 「もう、ないわよ」 カグツチとエレメントのことは、説明したところで仕方あるまい。 どうせ手渡すこともできないし、使って抵抗する気もとくにないのだ。 もう、いろんな意味でつかれきっているのである。 「どうして出さないんだよ。 武器、出せよ…おれ、本気だぞ。 出さなかったら、おれ、あんたを」 「殺せばいいじゃない」 そこでついつい言ってしまった舞衣のなにげない一言は、少年を滑稽なほどにうろたえさせた。 目玉などは、ほとんど飛び出していたと言っていい。 勢いがつきすぎたしゃっくりのあまり、一人で呼吸困難におちいって死んでしまうかと思われた。 それでもナイフは放さない。放せないのか。 「うっ、ぐっ、ひぐっ…」 「あたしを殺せば、それっきりじゃない。 それで安心じゃない」 早く死ぬか、後で死ぬか。 今の舞衣にとっては、所詮その程度の差でしかないこと。 戦わないなら死ぬだけで、そして、今の自分に戦う意志はないのだ。 ただ、武器を出せだの、隠してないかだの… 聞きたいのは、そんな言葉じゃない。 だから、重ねて同じ問いを投げかけた。 「あんた、この殺し合いを、どうしたいの」 「…ぶっつぶすんだよ。 こんな、こんなくそったれた戦いなんか。 あ、あに…兄貴なら、絶対そうする」 やっと、答える気になってくれたらしい。 呼吸を少しずつ整えて、一言一言、確かめるように言葉をつむいでいく少年。 (あたしが聞きたいのは、あんたの答えよ) そう思った舞衣ではあったが、 ひとつの単語に反応せざるをえなかった。 彼女の今日までの人生がそうさせたのだ。 「あにき?」 「そうだ、兄貴だ。 螺旋王に殺された、おれの兄貴だ」 「ラセンオウ…あいつに? じゃあ、最初に殺された、あの変な白い…」 「違う、あんなのと一緒にするな!」 「…ごめん」 少年が目の色を変えた。 舞衣も思わず謝ってしまう。 「兄貴は、おれに空を見せてくれたんだ。 ひとりじゃなんにもできないおれを、いつも笑ってはげましてくれたんだ。 だから、おれ、兄貴のぶんまで兄貴にならなきゃ」 怒りの余韻のままに吐き出されていく想いの羅列は、 舞衣の脳裏に否応なく一人の少年の姿を描き出させていく。 (いつだってあたしは、あの子のために笑顔でいた) 「兄貴は絶対、願い事なんかにつられて誰かを殺したりしない。 願い事は自分でつかむ、兄貴なら。 みんな助けて、みんな仲間にして、みんな大グレン団に引き入れて、 螺旋王をぶん殴りに行くに決まってるんだ…なのに」 想いはそのまま、少年にとっては涙となった。 くやしい涙か。かなしい涙か。 「おれ、こわいんだよ。 戦わなきゃ、戦いを止めなきゃ、仲間を作らなきゃ… あんたを信じなきゃいけないのに、おれ、こわいんだ」 いまだナイフは突きつけたまま、うつむいてぽろぽろとアスファルトを濡らす、 弟と同じくらいの年頃の少年の姿は、舞衣に。 (お姉ちゃんが、重いんだ) 巧海の姿を、重ね見させた。 守りきれず、目の前で天に散っていった弟、巧海の姿を。 …それでいいのか? 自分は今、この少年を弟の代用品にでもしようとしているのではないか? 巧海とすごしてきた日々は、そんなにも安っぽいものだったのか? 今見たものは、巧海にとっても、少年にとっても、侮辱そのものではないか? 多数の否定的見解が頭の中を右から左へ去来する。 これ以上、関わらないで去ってしまえ。 思考の世界では最終的にそれが支配的となったが、 わずかな少数派の掲げた主張が、舞衣の動きを決定づけた。 「鴇羽、舞衣」 「え?」 「あたしの名前。あなたは?」 「…………」 「信じてもいいよ、あたしのこと」 少年が自分に対してやったようなことを何度も繰り返し続ければ、 彼は間違いなく死ぬ。殺される。それも遠からずだ。 今の自分になら、それを止めてやることができる。 彼自身も明らかに誰かの助けを求めていて… なにより、自分自身、少しでも弟の姿を重ねてしまった相手が死ぬのは絶対、嫌だ。 だから、舞衣は。 「…シモン」 シモンの決意に乗ることにした。 【A-6 警察署付近 一日目 深夜】 【シモン@天元突破グレンラガン】 [状態]:健康 [装備]:フィーロのナイフ@BACCANO バッカーノ! [道具]:デイバッグ、支給品一式(ランダムアイテム0~2つ) [思考] 基本:兄貴のように大グレン団を結成し、螺旋王を倒す 1:まず舞衣と話し合う [備考] ※カミナの死後から、それを乗り越える直前までの時期のどこかから参戦しています。 ※かなり疑心暗鬼気味ですが、舞衣はある程度信用したようです。 ※文字が読めないため、名簿や地図の確認は不可能だと思われます。 【鴇羽舞衣@舞-HiME】 [状態]:精神的消耗、ずぶ濡れ [装備]: [道具]:デイバッグ、支給品一式(ランダムアイテム1~3つ) [思考] 基本:シモンを手伝う 1:まずはシモンと話し合い [備考] ※巧海が死に、自分が命を殺したと思い込んだ直後(黎人に会う前)からの参戦です。 ※「巧海を生き返す」ためゲームに乗るという手には、まだ思考が及んでいません。 ※カグツチが出せないことに気づいていません。 時系列順で読む Back 藤乃静留が修羅にならなかった理由(ワケ) Next 復活のマオ 投下順で読む Back 藤乃静留が修羅にならなかった理由(ワケ) Next 復活のマオ シモン 043 失ったもの/失いたくないもの 鴇羽舞衣 043 失ったもの/失いたくないもの
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/7270.html
autolink() LB/W21-004 カード名:“秘密”を求めて 鈴 カテゴリ:キャラクター 色:黄 レベル:1 コスト:1 トリガー:1 パワー:2000 ソウル:1 特徴:《動物》? 【永】他のあなたの前列の中央の枠のキャラに、パワーを+1500。 【自】相手のキャラが、控え室から手札に戻った時、あなたは自分の山札の上から1枚を、ストック置場に置いてよい。 レノンが手紙持ってきたぞ! 久しぶりだな! レアリティ:R illust. 13/05/20 今日のカード。
https://w.atwiki.jp/masoukishin/pages/214.html
第40話「最強を求めて」 第40話「最強を求めて」勝利条件 敗北条件 強化パーツ獲得条件 出撃ユニット 敵データ 攻略アドバイス イベント 戦闘会話 補足 次シナリオ 勝利条件 ロイズの撃墜↓(ロイズ撃墜後) ソーンの撃墜または撃退 敗北条件 エラン、マサキ、オキュラ、セレマいずれかの撃墜 強化パーツ獲得条件 なし 出撃ユニット 初期 機体 操者 備考 初期味方 サイバスター マサキ ゼルヴォイド エラン スヴェンド・デルツ オキュラ スヴェンド・デルツ セレマ 任意×10 初期敵 輕裝式ヂーヱン×6 ヴォルクルス教徒 多極式ボーヰン×6 邪霊 モーヴァ ピレイル ギュヰリ ロイズ 敵増援 機体 操者 備考 敵増援1 輕裝式ヂーヱン ヴォルクルス教徒 無限増援 敵増援2 アンビロウム ソーン 敵データ 初期 機体名 操者 LV 精霊 HP 最大射程(P) 獲得資金 配置数 備考 多極式ボーヰン 邪霊 38 無 26760 6(6) 13900 6 - 輕裝式ヂーヱン ヴォルクルス教徒 38 無 13390 6(6) 7500 6 - モーヴァ ピレイル 40 無 64100 6(6) 34200 1 ギュヰリ ロイズ 39 無 34710 5(5) 17000 1 敵増援1 機体名 操者 LV 精霊 HP 最大射程(P) 獲得資金 配置数 備考 輕裝式ヂーヱン ヴォルクルス教徒 38 無 13420 6(6) 7500 1 - 敵増援2 機体名 操者 LV 精霊 HP 最大射程(P) 獲得資金 配置数 備考 アンビロウム ソーン 40 炎 217380 8(5) 34364 1 - 攻略アドバイス マップ概要最初の相手は初期配置の敵機と無限増援のヂーヱン。 全滅させると、第2陣でアンビロウムが出現。撤退or撃墜させるとクリア。 ボーヰン6機最初にボーヰン6機の相手をするのがこのマップの最も難しいところ。 乗り切ってしまえばあとは楽。精神コマンド活用で切り抜けよう。 ヂーヱンも移動してくるので、4PPまでには全滅させたいところ。 ヂーヱン3EPから4機が移動開始。 4EPに残り2機が行動開始。 5ターン目から毎PPに1機の無限増援がある。 ボーヰン撃破後は無限増援を捌きつつ、モーヴァとギュヰリ撃破を狙おう。 無限増援を利用して気力、資金、撃墜数などを稼ぐのもいい。 モーヴァ初期位置から動かない。 射程内に入った場合は攻撃を仕掛けてくる。 ギュヰリ撃墜時に残っていた場合は撤退する。 ギュヰリ初期位置から動かない。 射程内に入った場合は攻撃を仕掛けてくる。 射程3以上の射撃武器で攻撃する必要がある。 射程3以上でも格闘武器では攻撃することができない。 アンビロウムギュヰリ撃破後に出現。 改造度が6%(1段階)になっているが、ほぼ前回と同様と思っていい。 HPが50%未満になると撤退する。 今回も撃墜は可能。注意点は「ソーンの目的」や「滅ぼされし一族」とほぼ同じ。 目安のHPは110031(50.62%)なら撤退せず、107804(49.59%)なら撤退する。 イベント ヂーヱン無限増援5PP以降の奇数PP、敵増援でヂーヱン1機がギュヰリの北側に出現。 6PP以降の偶数PP、敵増援でヂーヱン1機がギュヰリの南側に出現。 ギュヰリ撃墜時敵増援でアンビロウムがマップ中央西の祭壇に出現する。 ヴォルクルス教団の機体が残っていた場合はすべて撤退する。 ゼルヴォイド、オキュラ機、セレマ機がマップ中央西の祭壇へ移動。さらにHPが全回復する。 エランの気力が+50になり、ゼルヴォイドがポゼッション状態になる。 勝利条件が変更される。 ヂーヱン無限増援がストップする。 マップクリア時ポゼッション後のゼルヴォイドの武器に夢想千鳥舞が追加される。 次マップ以降でゼルヴォイドは任意ポゼッションができるようになる。 戦闘会話 ソーンVSマサキ ソーンVSガエン ソーンVSエラン ソーンVSオキュラ ソーンVSセレマ 補足 ギュヰリ撃墜時にモーヴァが残っている場合はピレイルのセリフがある。 次シナリオ 「シュウの指す行方」
https://w.atwiki.jp/nikuq-niuniu/pages/855.html
浄罪の地を求めて 依頼主 :ジェアンテル(黒衣森:南部森林 X21-Y21) 受注条件:吟遊詩人レベル45~ 概要 :ジェアンテルは、冒険者に頼みたいことがあるようだ。 ジェアンテル 「この老いぼれが罪深き愚者と知ってなお、 わが願いを聞いてくれるのだな・・・・・・感謝する。 願いというのは、ほかでもない。 お主の詩歌を、わしに聴かせてほしいのだ・・・・・・。」 (聴かせてあげますか?) (いいえ) @@@@@@@@@@ (はい) ジェアンテル 「・・・・・・素晴らしい。ここまで、よくついてきてくれた。 先日、お主に同行した真の目的は、 お主の成長を確認することだったのだ。 そして今、お主の詩歌を聴き・・・・・・確信を持った。 お主は、弓術と詩歌のいずれも、わしを超えつつある。 わしがお主へ教えられることなぞ、もういくらもない。 今こそ、お主に「吟遊詩人の装束」を託そう。 それらは、古の吟遊詩人が、 「時神アルジク」への祈りを込めてこしらえた逸品・・・・・・。 黒衣森で、わしが初めてプクノ・ポキと出会ったときに、 あやつから託されたものだ。 「吟遊詩人の証」とともにな。 プクノ・ポキは「装束が持つべき者を選ぶ」などと言い、 強引に押し付けてきたのだが・・・・・・。 わしは「中央高地の惨劇」を引き起こした。 その後は、罪の重さから逃れたい一心で・・・・・・ 死地を求め、ひたすらエオルゼアをさまよいつづけた。 装束が持つべき者を選ぶのならば、選んでみせよ・・・・・・と、 行く先々で「吟遊詩人の装束」を 「古びた麻袋」に包んで、隠し置きながら。 仲間を救えぬ、吟遊詩人の無力さに絶望し・・・・・・ すべてが疎ましく、何もかも消し去りたい一心だったのだ。 「吟遊詩人の装束」を真にまとう者が現れるなど、 考えもしなかった・・・・・・実に愚かな男よ・・・・・・。 そのため、お主に託したい「装束」は散逸しており、 しかも、在処はいずれも危険な地ばかり。 詳細は、お主の地図に印をつけておこう。 この道のりは、辛く厳しいだろうが・・・・・・ わが愚行も、アルジクの導きかもしれぬと思えるのだ。 お主という吟遊詩人が、成長の糧とするためのな・・・・・・。 ・・・・・・わしは確信しつつあるのだよ。 プクノ・ポキが言う「装束が選ぶ持つべき者」とは、 お主であるとな・・・・・・。 わしのこの想いを、お主自身の手で証明してみせてくれ。 4つの「装束」を集めたら、わしに見せにくるのだぞ。 ♪時神アルジクよ 季節のうつろいを引き戻し・・・・・・♪ ♪かつてみた戦いを 我と この者に語りたまえ・・・・・・♪」 クォーリーミルの西にいるジェアンテルに報告 ジェアンテル 「おお、戻ったか。 見事に4つの「装束」を集めたのだな! やはり、お主が「持つべき者」であったか・・・・・・。 お主と出会い、お主と同じ時を過ごしたことで、 わしは新たに多くを学び、そして救われた。 おかげで、数十年来できずにいた決意を固めることができた。 わしの準備が終わったら、お主にも明かそう。 それまで、鍛錬を積んでおいてくれ。」
https://w.atwiki.jp/shibumakubungei/pages/104.html
意味を求めて タイトル:意味を求めて 作者:鹿尾菜 掲載号:2013年新歓号、2013年初夏号、2013年夏号、2013年ハロウィン号 ジャンプ用:(1),(2),(3),(4) (1) 「はぁ、はぁ」 僕は、高橋俊哉(たかはし しゅんや)。坂の上の月見坂高校に通っている高校一年生で、もうすぐ二年になる。って、なんで自己紹介してんだ? そんな暇じゃない! 僕はこの学校にバスで通ってるのだが入学してから初めて寝坊して、いつものバスに乗れなかったのだ。つまり…… 「遅刻なんてするもんかぁぁぁ!」 ……今までの遅刻0記録を更新すべく全力疾走中である。なんでこんなに坂がきついのかね? こんなところに学校建てるなんて決めた人はどんな神経しているのだろうかね? 急な坂道を上って疲れたせいなのだろうか、もうすぐ通い始めて一年経つのに今更な事を考えてしまう。幸いなことに僕のクラスは昇降口から一番近いので何とか間に合いそうだ。僕の本気見せちゃうよ? ギリギリ間に合うか間に合わないかのタイミングで坂の上の校門を通過する。そのまま速度を落とさずに昇降口へ飛び込む。我がクラスの靴箱は入ってから3つ目。最短距離でターンし、皮靴を脱ぎ、靴箱に入れ、上履きを取り出し、足を入れる。ここまで約10秒。かなりの好タイム。そのままクラスへゴール! やりました! 高橋選手、見事に世界新記録で堂々の金メダル! おっと? ここで担任が到着した模様です! まさに神タイミングです! ……間に合ってよかったなぁ。 「お前にしてはギリギリだな」 こいつは友達の桜城友都(さくらぎ ゆういち)。この高校に入って初めてできた友達だ。 「あぁ。ちっと人助けを」 「嘘はよくないぜ? お前そんな奴じゃないだろ」余計な御世話だよ。 「本当は?」どうしても言わせたいらしい。 「お前は友達をなんだと思っているんだ? いつものバス乗り遅れただけだよ! 悪かったな!」 「まぁまぁ怒るなよ」 「怒ってなんかねーし」ちょっと怒ってるが。 「そうか? 鬼が、鬼ヶ島の領土をめぐって桃太郎と争ってる時の顔に似てるぞ?」どうしてかこいつと喋ってると怒る気が失せる。というか何を言ってるんだか理解できない。 「どんなストーリーだよ、それ」でもなんかなんて言えばいいかわからないが、いい奴だ。 「おーい、早く席に着けー。HR始めるぞー」担任がまだ立っている生徒に呼びかける。 「ほら席に着けよ」 桜城を追っ払った所で、僕も席に着く。担任が点呼を始める。 やっぱり僕、人助けなんてする柄じゃないって思われているのかな。桜城が何気なく言ったのであろう言葉を思い出す。突然だが僕はいつも面白くてポジティブなキャラを演じている。いや、正確には“演じていた”なのかもしれない。最近はどっちなのかさえ分からなくなってきた。 そして、そんな自分が一番嫌いだった。 “生きる”ってなんだろう。“生きてる”意味ってなんだろう。ふと気が付くと、そう考えている。答えなどないのかもしれない。“生きる”って本当になんだろう…… 「…………い、……おい、高橋!」 「は、はい!」俺なんか悪いことしたか? 「返事ぐらいしろ! 点呼中だぞ!」そうだった。すっかり忘れていた。 「考え事でもしていたのか? 珍しい」みんながどっと笑う。 「いやぁ、あんなことやこんなことを……ね?」またクラスがどっと笑う。そう、いつも通りの光景……。 「何を言ってるんだか。まぁいい。次、寺内!」 「はいっ」 やっぱり考え事なんてするキャラじゃないって思われてんだな、僕って……何考えてんだかね、僕は。よーし、授業の準備っと。 その日の午前もいつも通り授業でもふざけ、皆を笑わせて過ごした。そのまま4時限目が終わり、購買部へパン争奪戦に向かうものや、持ってきた弁当を教室で友達と喋りながら食べるものがいる中、僕はみんなに気付かれることなく教室を抜け出し、一人屋上に向け階段を上っていた。 屋上に行くのは高校入学当初に、偽の自分を演じるのに精一杯だった頃からの習慣である。今となっては“昼休みには高橋に声をかけない”というのが我がクラスの暗黙のルールとなっていた。もしかして宇宙との交信をしているのではないか、などという噂まで流れて“ミステリアスで面白い奴”ということになっている節もある。……宇宙と交信なんてする訳ないでしょうが。桜城もこの事には触れない。あいつは勘が悪いように見えて勘がいいから何かしら感じているのかもしれない。 この屋上はいつも解放されているのだがベンチもなければ花もないただの狭い空間なので、来る者はいない。大体の人は外で走り回るか教室でゲームしている(校則では禁止されているが校則を破りたくなる年頃なんだろう)かである。つまりここは完全に一人の空間である。 扉から屋上に出て、壁に付いている足場を上り一番高い場所にのぼる 「うぅ~ん! 今日は曇りか。」いつも通りに誰も来ない屋上で自分だけの場所のように寝ころび、空を見上げた。 僕は元々、無口な方で自己主張ができず中学校の頃いじめられていた。いじめられていたといっても暴力される訳ではなく、話しかけようと集団に近づくとなにも言わずばらばらに散ってまた別の場所で喋ったり、子供のようなくだらないいたずらを毎日のようにされて困っている僕を遠くで見て笑っていた。ある意味暴力よりもきつかったかもしれない。 「まぁ、気持ちいいからいいか」コンクリートから冷たさを感じる。 でも僕はある時からそんな人たちを別に憎まなかった。確かに嫌ではあったが、人間関係を築く上である者を敵として皆でグループになり、必死に関係を保とうとすると思ったからだ。その敵がたまたま僕だった、というだけだと思った。それは自分がいじめられていることに対する言い訳だったのかもしれない。でもこういう考えに至らなかったら……今はもういないかもしれない。 「風が寒いなぁ。もう一枚着て来れば良かった」意味もなく雲の数を数える。 でも結局、今僕もいじめこそしてないがみんなの機嫌を取って関係を保とうと必死になっているのだ、僕をいじめていた人たちのように……。皮肉と言うかなんというか……。言ってしまえば今、昔とは違う孤独感を感じている。誰も本当の僕を見ていない。弱虫で無口でつまらない存在。それが僕。陽気で授業中でもみんなの調子を取っているのは僕ではない“僕”。偽の“僕”と言う殻の中に一人。たった一人。 「早く春にならないかな」周りを見渡すと裸木ばかりだ。 親はもう死んだ。なんだ? その感情のこもってない言葉は、という人もいるだろうがそう言うしかない。母は僕が産まれた直後に死んだ。そういう事実しか僕は知らない。父は男手ひとつで小学6年生まで育ててくれたが、そこまでいろいろと溜め込んでいたらしく病気で死んだ。父にはお世話になったと思うが、何を言おうが帰ってこない。死んですぐは悲しんだがいつまでも引きずっていても仕方がないと思った。 「春と言えばもう一年経つのかぁ」風が少し強く吹いた。 その後父方の叔父の家に住んだが、実の子でもない僕を兄の残したお荷物のように扱った。僕も特に何も言わず家にも学校にも居場所がなくなった。何度も死のうと思った。生きている意味が分からなかった。でもその度にいずれ何かが起きると信じ、死ぬのをやめた。中学を卒業すると同時に叔父がアパートを借り僕をそこに追い出す形で引っ越させた。つまり今、すべてにおいて孤独だった。 ここから飛ぼうかな。誰か悲しむのかな? いや、すぐに忘れてまた日常が始まるのだろう。その問いに意味がないことを知っていながらも問わずにはいられない。 「……いい事、あるよね?」空に問いかける。もちろん答えはない。そして思うのだ。自分は何を求めているのか、と。いつか起きると信じる“何か”のはなんなのか、と。 キーンコーンカーンコーン 「やばっ! 授業始まる!」僕はいつの間にか流れ出していた涙をぬぐい、偽りの日常へと戻った。 「起りーつ、れーい」とめんどくさそうに日直が言う。 「「「さよーならー」」」その声に続き続き皆も、こちらもめんどくさそうに、言う。 適当なあいさつの後、人それぞれの行動に移る。職員室に帰っていく担任、部活着に着替える者、だるそうに掃除に向かう者。その中で、 「あー、今日も授業終わったー!」桜城がこっちにくる。 「今日も一杯行きますか?」僕は酒を飲むジェスチャーをする。毎日行われる儀式的な物。 「未成年の飲酒は厳禁ですぜ、旦那ぁ」笑いながら桜城が返す。 「じゃっ、普通に帰るかぁ」 「おう! 俺たちみたいな帰宅部はとっとと引き上げるぞ」と桜城が教室から出ていく。 「おい、待てよ!」あわてて背中を追いかける。 そのまま冗談をいいながら二人で坂を下る。坂を下ってすぐのバス停でバスを待つ。 「でさでさ、そいつなんて言ったと思う?」桜城が聞いてくる。 「俺が分かる訳無いだろ。早く言えよ」別に聞きたいわけじゃないが聞き返す。 「そいつさぁ……」 こいつなら相談できるかな? ふと考える。でも何を相談するんだ? 今の僕を理解できる人がいてほしい。でも何を言えば? 何をされたいんだ? 理解されて何になるんだ? 「おい、聞いてんのかよ?」毎日無限ループのように繰り返している思考を断ち切られる。 「あぁ、ごめん」 「もしかして、」 ……え? まさか……。 「あの前の女子に見惚れてたのか?」とそこを歩いている女子高生を指さす。 ……だよな。というか僕は何を期待していたんだ? 「そうそう、あいついい体してんなと思ってね」適当に嘘をつく。 「お巡りさん、こっちです!」そのことを分かっているんだか、分かっていないんだか冗談で返してくる。そして二人で大笑いする。 僕は、何が、どのように、なってほしいのだろう、か。 時間通りにバスが来てうちの学校の帰宅部組を乗っけていく。桜城は2つ目、僕は5つ目で降りる。桜城が降りてから、僕はまた一人になる。ふと窓から外を見るとハトが飛んでいた。 あいつらはいいなぁ。大空を自由に飛べて、何にも縛られないで。なんで人間は脳が発達しちゃったんだろうね。発達してなかったら同族同士が敵になることも、なんで生きているのか考えることもなかったのに。 「えー、次は月見東です」 もう降りる所についてしまった。どうせ家帰っても宿題やるだけだし、ちょっと寄り道しようかな。 そう思ってそこから近くの広場に来た時だった。それは本当に偶然だった。特に意味もなく広場の隣にある、商店街の方を向いた時だった。少し離れていた所にいる男の上着の中に何かが見えた。よく目を凝らしてみるとそれは男が隠すように持っていた……サバイバルナイフ。 おいおい、まさか最近よくある通り魔事件の犯人か? 警察に言った方がいいのか? なんでこんな人気のない所を選んだんだ? なにしたらいいんだ? 僕はプチパニックに陥っていた。もう一度、見間違えかも知れないと思い見てみると、やっぱり見間違えではない。 標的を探しているのか、うろうろしてあたりを見回している。幸い広場には誰もいない。興奮だか恐怖だかでナイフの刃が上下しているように見える。 慣れていないのか……? もしかして模倣犯なのか? どちらにしろ、警察に連絡しなきゃ。 こういう時に限って必要なものがないものだ。……バックの中をいくら探しても携帯がない。そういえば家に置きっぱなしだった。なんてタイミングが悪いんだ! バックから目を上げ、男を探すと、男は何かに狙いを定めたかのように歩き始めた所だった。男の足が震えている気がしなくもない。その目の先を追ってみると、そこにはさっきまでその男以外誰もいなかった広場を通りかかったのであろう中学生とみられる女子が歩いていた。あろうことかイヤホンをつけ何かを聞きながら、携帯をいじっている。大声を出しても聞こえないだろうし、犯人を余計に刺激しかねない。今から助けを呼んでも間に合わないだろう。周りには僕しかいない。 ……行くしかない。もしかしたら自分が刺される結果になるかもしれないが、これを無視したら一生後悔する、絶対に。何にも夢がない僕が身代わりになって夢を持っているかもしれない、やりたい事があるかもしれない彼女が生き残るのなら、むしろ万歳だ。 不思議とまったく恐怖は感じなかった。逆に僕のおかげで彼女が助かったらようやく生きていた意味になるという喜びに似た感情しか感じなかった。 僕は走る、名前も知らない彼女を助けるために。男は追うのに、中学生は携帯に、夢中でどちらも僕の存在には気づかない。 僕は走る、そこに答えがあるのではないかと希望を抱き。3人の距離がだんだん詰まっていく。 僕は走る、生きているという事に対して意味を見出す為に。間に合うかギリギリのタイミング。 とても長く走っているような気がしたがナイフが見える距離だからそこまで離れてはいないはずだ。スローモーションで見ているかのような感覚。まだ、間に合う。 ここからいろんなことが起きた。男が上着からナイフを出し、刺す構えに入る。僕が中学生の肩を持ち、手前に引く。そのまま手前に倒し、その勢いで僕が中学生のいた場所に飛び出る。男が驚愕の目をして、しかしナイフを止めることなく前に突き出す。状況が理解できない中学生が、音にならない悲鳴を上げる。ナイフは止まらない。 ブスッ 冷たい何かが僕の腹に侵入してくる、とても気持ちが悪い。激しい痛みを感じ、すぐ感覚がなくなる。温かい液体がにじみ出る。覚悟はしていたが体験した事がない感覚に強烈な嘔吐感に襲われる。立っていることができなくその場に倒れこむ。その時ナイフが男によって引き抜かれた。今までにじみ出る程度だった血が流れ出る。さっきとは違う消失感と言うべきであるのだろうか、そんな感覚襲われる。男はやっぱり模倣犯だったのだろうか刺した本人が一番驚き、恐怖し、そして興奮していた。意識が朦朧としてきた。見える景色がぶれて、地面に倒れたまま動けない。力を振り絞って男の方を見ると、余程すごい顔をしていたのか、またも驚き、恐怖し、そして優越感とも達成感とも言えぬ顔をし、走り去っていった。 消えかける意識の中、何を言ってるかわからなかったが、中学生の声が聞こえた気がした。 良かった。助けることができた。こんな状態になった今、しかしそれが何よりも嬉しかった。 「……だ、い……じょ、ぶ……だっ……た? ……よ、か……」った。言い終わる前に目の前が真っ暗になった。 (2) 「……っん?」あれ……ここ何処? 家では無さそうだ。何処かのベッドに寝ているらしい。まず起きるか、と思って上半身を上げようとすると、 「……っ!」なんだ? この痛み、というか違和感は。いつもの腹痛とは違ったむずむずする感じ。 そっと刺激しないように体を上げると、そこは病院のベッドだということに気付いた。点滴がポタポタと音を立てている。そして、そこにいる人を見てすべてを思い出した。そこにはあの中学生と思われる子が疲れたのか、椅子で寝ていた。 「僕、い……生きてたのか……」なんというか、実感がわかない。あの出来事がとても昔にあったことのように感じる。 それにしても僕よく生きてたなぁ。腹に違和感があるがそれぐらいで、もう危険な状態ではないだろうことを感じる。変な言い方だけど刺された所がよかったのかな。 むやみに動くことはしないがいいと思い、じっとしていた。と言ってもこんな経験初めてだから何をすればいいのかわからない(何故か医者を呼ぶという発想には至らなかった)。とりあえずこの子を起こすのも悪いので見つめることにした。 こんな近くで女の子の顔見たことなかったからなんだかドキドキするな。もしかしてずっといてくれたのかな? 名前なんて言うんだろう? 今何歳なのかな? 中学生だとは思うけど何年かな? と、くだらないことを考えながら十分ぐらいたった。特にやることもなく暇で、その上目の前に女の子が寝ている。……健全な男子には軽い拷問だと思う。 頬柔らかそうだなぁ。す、少しぐらい触っていいよね? プニッ なんですかこの柔らかい頬は! と調子に乗って触っていると、 「……んっ、ふぁー……っ!」あ、起きた。 すると無言でこぶしを握って―― 「待った、待った! 俺怪我人だから!」 「だからって寝ているか弱い女の子の頬を触っていいことにはなりませんよ、えっと……」怒られた。というかこぶしを握りながら“か弱い”って言われても、ねぇ? 「高橋だよ」 「高橋さん! 二度としないでくださいね!」とても怒っていらっしゃる。まずは落ち着かせなければ。 「わ、わかったよ。わかったから落ち着けって。」 「あ、……すいません、つい……助けてもらったのに失礼ですよね」落ち込んじゃった。 「いや触ってた俺が悪いんだって」 「まぁ、そうですね」と顔を上げた。 「……」心に何か突き刺さったような音がした気がする。 「それより今回は本当にありがとうございました。おかげでどこも怪我をしないで済みました。私がメールをしながら周りに注意せず歩いていたばっかりに……こんなことになってしまって……」すこし涙ぐんでいる。感情が豊かなというかなんというか。いじり甲斐がありそう……って何を考えてるんだか。でも、不思議と喋っているだけで落ち着く感じ。今まで感じたことないものだ。 「俺は大丈夫だから、ね? 泣かないで?」 「高橋さんのおかげです。本当にありがとうございました」と、深くお辞儀をされる。今までこんなにも他人に感謝されたことがなかったのでとてもいい気持ちになった。何かを見つけた気がする。僕のおかげ……か。いい響きだな。 「顔をあげて、えっと……」 「相川咲です。」顔を上げて言う。咲……か。いい名前だな。 「じゃあ相川さん、もう歩きながらメールをしちゃダメだよ?わかった?」 「絶対にしません! 誓います! ハリセンボン食べます!」 「絶対ね、俺も何度も助けられるわけじゃないから」少し笑いながら言う。ていうかハリセンボン食べるじゃなくて針千本飲むの間違いでは? 「はい」ようやく彼女も笑ってくれた。 少しして医者が来て、傷があと少しで重要な臓器に達していた事や、彼女がすぐ救急車を呼んだおかげで一秒も無駄にせず治療を施せた事、血はたまたますぐに用意できるものがあり、輸血がすぐ行えていろんな意味で幸運だった事を聞かされた。どうやら医療費は彼女の家族が出してくれるようだった。 その後警察が来ていろいろ聞かれた。覚えていることは全て話したし、その他の目撃証言があるらしく、捕まるのはすぐだろうとの事だ。連続通り魔とは方法が違ったり、エリアも違ったりと違いがいっぱいあるようで(あまりニュースを見ていなかったからよく知らなかった)、同一犯ではなく模倣犯であろう、と警察も考えているようだ。 警察が帰ってからも相川さんと少し話した。簡単な自己紹介や(僕はやっていないが)部活、最近はまっていることなどいろんな話をした。そして忘れた頃に何回も謝られたり感謝の言葉を言われたりした。そして、 「では私は行きますね」おもむろに彼女は立ち上がった。 「そうかぁ、もうちょっと喋りたかったなぁ」 「じゃあメアド交換しましょう。それなら喋れるから」と携帯を取り出した。 「いいの? じゃ……」と言いかけて、思い出した。そういえば家だったな、携帯。 「携帯は家にあるからここに書いておいてくれるかな」近くにあったメモ用紙のようなものを指す。 「……これでいいですね。本当にありがとうございました」また深くお辞儀をする。お辞儀ってすごい。気持ちがすごく伝わってくる。 「帰り道気を付けてね」 「はい。お見舞いにまた来ますね」と笑顔で出て行った。 「うん、またね」 彼女が出ていった。一人になる。いつもならまたあの僕が現れるのだが、そんなことはなかった。というか、そんな僕はもういなくなっていた。 そんな事よりさっきの顔と言葉が頭から離れなかった。惚れたわけではない。さっきの心から僕に(自分でいうのもなんだが)感謝していた顔。そして……“ありがとう”。 そうして何かを掴みそうなところで、外から声が聞こえた。 「ここか? ここだな。」この声は…… 「高橋さんよー、桜城様がお見舞いに来てやったぜ」……桜城だ。 「すいません、あいにく友達にそんな人はいないのですが、どちら様でしょうか?」冗談で返す。 「おいおい薄情だな、ってもしかして記憶喪失か? そうなのか? そうなんだな!」心配しているんだか、ふざけてんだか。 「病院で大声出すんじゃねーよ、腹刺されて記憶失う奴が何処にいんだよ、ばーか」ここは病院なのでここらへんで切っておく。 「覚えてんじゃねーかよ、それにしてもお前が命懸けで人助けとはねぇ? あれか地震雷火事親父か?」それ絶対意味違うだろ。いうならせめて“地震の前触れか?”だろうが。まぁ、冗談言って暗い気分にさせないっていう桜城なりの優しさなのかもしれないが、真意の程は分からない。 「何言ってんだお前? 俺は正義の味方タカハシレンジャーのホワイトだぞ?」声を抑え目で冗談を言う。 「ホワイトとかいんのかよ、絶対薄いキャラだろ」 「白だってやるときゃやるんだよ。豆腐ビームで一撃さ!」 「なんだそれ。俺には効果抜群だな」と笑って返す。 そしてその後学校のことやくだらない話をいつもみたいに喋った。しかしコイツはほんと……一緒にいると楽というか。そして五分程喋った後急に、 「とりあえず俺忙しいから帰るな」はい? 桜城さん? まだ五分しか? 来たのはありがたいけど……え? 「もう帰るのかよ。お前は台風か?」 「俺は特急列車だぜー。次は終点俺の家ぇー、俺の家ぇー」何を言っているんだか。 「何言ってんだお前、とうとう頭のねじ外れたか?」 「将来は新幹線の運転手になったるわー」そうしてしゅぽしゅぽと言いながら歩き回った。……それ新幹線じゃないし。それにしても将来……か。 「お前が運転手の新幹線には乗りたくないな。てか小学生かよ」と皮肉を込めて言う。 「そゆことでー」気にせず行ってしまった。でもこんな短い間だったけど元気にしてくれる桜城はいい奴だ、と今更“親友”の良さに気付く。 そう言えばあいつが俺に声かけてきたんだっけ。ふと入学式の日を思い出す。僕は中学のようにならないように“オモシロキャラ”で通そうと思っていたのはいいが、元はそんなキャラでもないので何をすればいいのかわからなく、そんな時声をかけてきたのがあいつだ。 入学式が終わりみんなでしゃべる時間があったとき突然、 “俺は夢の世界からやってきた道化師だ”と言ってきた。何を言ってるんだろうと思ったがチャンスだと思い、 “俺もだ……もしかして向かいの家のやつか?”と返した。とっさに浮かんだことを言っただけだが、 “そうだったな! 名前は確か……”乗ってきた。 “高橋だ” “そうだそうだ! 俺は桜城だ。見たことがあると思ったら向かいだったか!” “そうだ!……”と何を言えばいいのか詰まってしまったが、 “……ふふっ。お前とは気が合いそうだ。これからもよろしくな”と言ってくれた。 これが初めての会話だ。今考えてみると初対面でこんな事を言ってくる桜城は相当変わってる、と言うか狂ってる。でも僕が戸惑っていることにでも気付いたのだろうか、皆にも言っているのだろうか。まぁどちらにしろ、このおかげでどうにでもなれって開き直って、どうにでもなれ精神で今に至っているのは間違え無いのだが。 「いつもありがと、な」もう姿がない“親友”に言った。 (3) その後、毎日のように桜城と相川さんが交代で(たまたまそういう周期になったようだ。桜城に変な噂をされないから幸運だろう)お見舞いに来てくれた。その間に、うちの学校は男女問わずサッカーなどのスポーツに秀でている人をスポーツ特待生として迎えているのだが、相川さんもそのスポーツ特待生であることと、今年の4月から同じ学校になることを知った。その事を聞いた僕はなんだかとても申し訳ない気持ちになった。そして昔の自分をひどく軽蔑した。こんなにも自分の夢に向かって毎日頑張っている人がいるのにもかかわらず、僕は何もせずただ“いい事”を待っていただけだった。こう思うことができたのも相川さんのおかげだ。彼女は会うたびありがとうと言うのだが、本当に言うべきなのは俺の方なのに……まだ一度も言ったことがない。 若いからなのか順調に回復し、終業式には出られそうだ。結局お見舞いに来たのは相川さんと、桜城を始めとしたクラスメイトだけだった。叔父は連絡すらよこさなかった。僕がこんなことになったことを知っているのかどうかもわからない。だけれどまったく嫌な気持ちにはならなかった。一人じゃない。それだけで十分だった。今僕の心は言葉にできない充実感で満たされている。 一人じゃ、ない。 何週間ぶりの登校だろう、数える気が起きない。輸血が早かったとはいえ最低限だったので血の量が生活に支障を及ぼさない量になるまでが長かった。長らく運動をしてなかった故に筋力が落ちていて坂は走っては登れなかった。でも心の中ではスキップしていた。こんな気持ちのいい登校は初めてだ。クラスのみんなが寄せ書きをしてくれた、僕の事を考えて。僕の心配をしてくれる人がこんなにもいた。自殺していたらみんなを傷つけていたところだった。でも今僕は、生きている。生きている。 「はぁ、はぁ」やっぱりこんなところに建てる校長はどうかしている。まぁこの場所を決めたのが校長かどうかなんて知らないが。 今日は筋力の事もあり少し早く来た、というか早すぎた。朝の点呼まであと三十分。 「……暇だ」 暇なので、もう気づいたら一年もいるこの学校を見て回ることにした、といっても行く場所は一つだけなのだが。 もう一年経つのか。孤独からの脱出がしたくて、偽の自分を演じる事しか思い浮かばなくて、桜城のおかげで馴染めて、でも本当の自分が埋もれていって、新しい孤独感を感じるようになって、そんな一年だった。 でも最後にとても“いい事”があった。彼女に出会った。彼女に出会ってあの顔を見て何かを感じた。 腹にむずむずする感覚を覚えながら梯子をのぼる。一番高いところに立ってあたりを見渡す。 「ふぅ、着いた。ちょっと疲れたな」 この一年お世話になった屋上に感謝の意を持ちつつ今日も横たわる。というか朝もここの扉開いてんだな。まぁ深くは考えないが。 「一年、か」 この場所が無かったらどうなっていたのだろうか。不意にそんなことを考える。ここに来るのは何故だったのだろう。別に来なくてもよかったとも思える。ここに来たからといって大きく変わったことはなかったはずだ。偽りの日常はいつか日常になり、偽りの自分はいずれ本当の自分になっていくだろう。誰も変化に気付かないで時は流れるだろう。 「そろそろ桜だな」 でも僕はその答えを知っている。自分が無くなるような気がして嫌だったのだ。怖かったのだ。ここに来ないと本当の自分を忘れてしまう、そんな感情があった。結局僕は、僕なのだ。自分を失ったらもう自分ではない。 「少し温かくもなって来たな」 人によって生き甲斐は違う。彼女のようにスポーツに打ち込む者、勉強して自分の好きなものを究める者、芸術で自分を表現する者、いろいろな人がいる。僕はどうしたいのだろうか。 “ありがとう” あの時の顔。何か……すごく、なんというか、表現しにくいが、綺麗だった。温かみを感じた。すごく気持ちよかった。もう一度言われたい。そう感じたし今も感じている。 「卒業、ね。三年とはほとんど交流なかったから全然実感わかないな」 犠牲を払ってでもあの顔が見たい。これが感じた“何か”だ。それほど澄みきった顔だった。そうだ、澄みきっていた。これが正しいかもしれない。 「僕には僕を祝ってくれるような後輩ができるかな……っとそろそろ時間か」と梯子に手をかける 漠然としてて何を最初すればいいのかわからないが目標はできた。一瞬下を見て、でもすぐ教室へ歩き始めた。落ちようなんて気は起きなかった。 終業式から暇な春休みを過ごし、すぐ始業式になった。春休みはあの子とメールしたり、宿題したり、いきなり桜城が来たりとダラダラしていた。やっぱり叔父から連絡はなかった。 そして新クラスの発表だ。……お、桜城と同じとこか。正直言って嬉しい。 「おーう、久しぶりー」噂をすればってやつか? 「おーう、って昨日遊んだばっかだろ」 「そうだったけか? 知らんなー」相変わらずの調子だ。 「そーか、俺は昨日別人と遊んでいたんだな。なら昨日約束した物はお前じゃなくてそいつに渡さきゃな」こちらもいつもの感じで乗る。 「おいおい、そらぁやめてくれ。俺が悪かったよぉー。それよりもってきてくれたのか!」 「まあ、約束だったしな。ほれ」なんか読みたい漫画があったらしい。 「おおおお! 持つべきは親友だな!」教室のニューメンバーがイタイモノを見るような目をしている。クラス変わったっていうのにほんとコイツは。でも、親友か……なんか照れるな。まあ顔には出さんが。これでも演技には慣れてるんでね。 「いきなり大きな声を出すなよ。びっくりするだろ」そんなことを言いつつ、いつも通りのこいつを見てホッ、としている俺がいる。 「すまんすまん、この漫画今、俺の中で期待度ナンバーワンなんだよぉ。お前どう思った?」 「お、おもしろいんじゃね?」実を言うと全然面白くなかった。どこが面白いんだ?って感じ。お試しで買ってみただけだったし。 今後買うことはないだろう。 「おうおう、わかる奴はわかるんだよなぁ。そうだ、今年もよろしくなあ」 「またお前かよぉ。ついてないなぁ」なんて言いながら嬉しいのは秘密だ。 「ひっでぇ。じゃあ俺もそうだしー」 「じゃあってなんだよ。それよりそろそろHRだぞ」 「また先生あいつかぁ、まあいいけど。ほら席座ろうぜ」 「俺が先に言ったんだがな」そうだっけか? と言って席へ座った。 フュー となりを風が通りすぎる。でも冷たくない、春の風だ。 始業式はだらだらとした校長の話をウトウトしながら聞き流して、気づいたら終わっていた。もちろん今いるのはここ、屋上だ。やっぱり落ち着くのだ。 いい天気のせいか何だか眠くなってきた。少し寝ようと思ったその時、 カンッ、カンッ と誰かが昇ってくる音がした。 おいおい、もしかして先生か? まずいぞ。鍵などはなかったとはいえ勝手に入っていることには違いはない。 なんて一人であたふたしていると、 「あ、本当にここにいたんですね! 先輩のクラス行っても居なかったので、桜城先輩? っていう人に聞いたら多分ここだって言われたので来てみました」彼女だった。そう言えば昨日が入学式だったはずだ。 「なんだ、相川さんか。先生かと思ってドキドキしちゃったよ」 「あ、すいません。もしかしてお邪魔でしたか?」 「いやいや、寝ようとしてただけだし。とりあえずここ座ってよ」と隣を指さす。 「では失礼します。それにしてもいい眺めですね」 「教室にいないときは大体ここにいるんだ」 「どうしてここに来るんですか?」 その時、 「相川さん、聞いてほしい話があるんだ」その言葉は無意識に口から出ていた。 このもやもやした気持ちを彼女に話そうと思った。ほかの人には言えないけれど彼女なら言える気がする。その先の答えも…… 「どうしたんですか、改まって」彼女は何のことかわからないような顔をしている。 「俺はね、」 「もしかしていつもの冗談ですか? 俺はスーパーヒーローなんだとか……」そうか、いつもそんなこと言ってたっけ。でも今回は違う。 「いや、僕はね」その瞬間彼女は黙った。いつもとは違うと感じたらしい。 「あの事件の前まで生きる希望がなかった。突然言われても困るだろうけどそうだったんだ。親もいなかったし、親戚には邪魔者扱いされるし。学校でも偽りの自分を演じてたんだ」彼女は急な話に驚いてるようだが、それを言葉には出さなかった。 ごめん、相川さん。でも少しだけ、聞いてくれるだけでいいから。 「でもあの事件があって、運よく助けることが出来て、相川さんに“ありがとう”って言われた。あの時すごく、なんていうか……今までに感じたことのない……喜び、そう喜びを感じたんだ」彼女は黙って話を聞いている。 「こんなことを相川さんに言うのも変かもしれないけどあの顔がまた見てみたいと思ったんだ。将来に希望なんてなかったけど、その時確かに……なんていうか……」ああ、このあとだ。僕は何がしたいんだ。 「えっと……」 「いいんじゃないですか」不意に口を開いた。 「え?」 「つまり人に感謝されるようなことがしたいっていうことでしょう? そういう職業に就きたいっていうことでしょう?」 「そこまでじゃないけど、そういうことかな」そうだ。そういうことか。 「深く考えなくていいと思いますよ。自分のやりたいことは自分が一番わかってるものですから」そうだ。自分は自分が一番知っている。 「そうだね、ありがとう。話聞いてくれて。あと……今までも」ようやく言えた。 「どういたしまして。でもお世話になってるのは私も同じですよ。いつもありがとうございます。そしてこれからも」 「よろしくね」相談してよかった。もやもやが一瞬で吹き飛んだ。 「でも」 「でも?」 「なんか初めて本当の先輩を知った気がします」どういうことだろうか。 「そう?」 「そうですよ。なんかわざと明るくしてたみたい」なんだ、バレてたのか。なんだか笑えるな。 「つまらなかった?」 「そういう意味じゃないですけど、なんか知れてよかったです」 「なんだよ、それ」でもなんとなくわかる気がした。 空を見上げた。となりでも相川さんが空を見ている。無意識に手が伸びていた。そして相川さんも握り返してくれた。 今年度がはじまる。 空はどこまでも続いている。 (4) 男が暗闇を駆け抜けた。何かに取り憑かれたかのように、ただひたすらに走っている。しかし急ぎすぎてか足が噛み合わず、彼が思っているほど速度が出ていない。 とうとう男は足がつんのめって転んだ。 カツン、カツン その後ろから忍び寄る影。少女に見える。が、男はその少女に怯えていた。 少女の手にはナイフが握られていた。 「こっちに来るなあ、来るな、来るなあああ」 しかし少女は何も聞こえなかったかのように歩みを進める。そしてナイフを突き出して言い放った―― 「死ね」 「うわあああああああ」情けない声が図書館に響き渡った。 「ちょ、何そんな大きい声出してんのよ、桜城。外出るわよ」予想外の声に驚いたのか、慌てた彼女に手を引かれて外に出た。 図書館の自動ドアを抜けた瞬間にびゅー、と生温かい風が体を包んだ。 「ってお前が悪いんだろ。あんなの読んでる最中に耳元で、さらにナイスタイミングな時に『死ね』って言うから」 「そもそも何であれ読んでるのよ。私ちゃんとカバンに入れといたわよ。勝手に読んでるのが悪いと思うんだけど」とこっちを睨んでくる。たしかにそうだ。ちらっと二つ折にしたプリントが見えたから興味本位で読んでしまったのは確かだ。 「あー、そんなことよりさアイス食わない?」 「そんなことって……いいの?」 「いいよいいよ、おごるよ、あはは、はは」こいつは甘いものとかが好きだからとりえずこういっとけば何とかなる。……だけどお金あったっけか? 「あっと、えーっと、お金無い……かも」 「は? 一回おごるって言ってくれたのにおごらないと食の神から天罰おとされるわよ」 「食の神って、食の悪魔のことだろ……」 「だれのこといってるの?」 冷めた笑顔がこわい……無言の威圧とはこのことか。 結局ポケットの中にたまたま入っていたお金で買わされてしまった。 「でさ」ペロペロとアイスを舐めながら、彼女は言った。 「なに?」その前になぜ俺はアイスがないのだ。 「あれ、どう思う?」 「ああ、あれお前が書いたんじゃなかったの? 誰が書いたの?」 「えーっと、いいからどう思う?」 なんか様子が変だな、と思ったが思ったことをいうことにした。 「なんていうかな。なにか伝えたいんだろうけど、よく分からなかったわ」 「……」どこか一瞬さびしげな顔になった気がした。 「ん? どうした?」 「うんん、なんでもない」気のせいだったのかいつもの顔に戻る。 「そうか、でさ昨日さ……」 そう。俺は気づかなかったのだ。何を伝えたいかを……。 ガシャン 皿が落ちて割れる音がする。いや、正確に言うと落ちたのではなく、投げた皿が割れた音だ。机の上に置いてあった食器を全て床に落とす。もちろんその上に盛られていた料理も、床にばらまかれた。 「何をやってるんだお前は!」この声はあの憎い父の声だ。 「止めてえええ!」この情けない叫びは母のものだ。 うるさい。だまれ。おまえらに何がわかる。私の何を知っている。 私はそこにあった植木を乱暴に倒した。 消えろ。消えろ。消えろ! 朝。クラス内はいつも騒がしい。そう、吐き気がするぐらいに。それにどこか息をしにくい。この空間にいる事だけで窒息死しそうだ。いや圧死かもしれない。この空気につぶされて……逃げたい。帰りたい。でも帰る場所は? そんなの……ない。 その時彼が教室に入ってきた。桜城だ。入ってきた瞬間、さっきの押しつぶされた空気が散って行った。彼はほかの人とは違う。一緒にいても苦しくない。唯一の居場所……そういっても過言ではない気がする。でもそう思われてると知ったら彼も迷惑だろうな……私なんかに…… 彼はクラスの男子と楽しそうに喋っていた。彼はクラスの人気者。それに比べ私は一人座って、誰とも話さずに、ただ彼を見つめていた。私はクラスのいらないもの。一緒にいていい二人ではない。でも…… 「よお、神津。おはよー」でも彼は私に声をかけてくれる。 「おはよう、この前はアイスありがと」 「ん、今度からは買うことにならないように努力するわ」と笑って言う。 「えー買ってくれてもいいじゃん」 「貯金がなくなるだろうが。ああそうだ。前さ――」 彼と話してると、ここが教室だということを忘れられる。心で思ってることを口に出せる。楽しい。でも…… 言葉に言い表せない、どこか矛盾したような感情に、私は拘束されていた。なんで私はいつもこうなんだろう。 今入ってきたニュースです。また通り魔事件が発生しました。しかし今まで全く目撃情報がなかった犯人について、今回は目撃情報がありました。犯人は男ではない可能性が出てきました。目撃者によると犯人が逃げる際、顔を隠すために着用していたと思われる覆面の隙間から女性のような長い髪が出ていたのを見たとのことです。 「あの子はどうしてあんな子に育ったのでしょうか」 「姉はあんなに優秀だというのにあいつときたら……」 「教育は間違ってなかったはずよ、姉は優秀なんだから。あの子が悪いんだわ」 「そうだ、お前は悪くないよ。あいつがいけないんだ……一家の恥だ」 夜も深くなってきた頃、私は家ではなく人気のない道に一人で立っていた。いや、全く人気がないわけではない。 目の前に一人だけ人がいる なぜか私は笑っていた。
https://w.atwiki.jp/ddff_orique/pages/225.html
【登録タグ さ クジャ】 【タイトル】最高のPを求めて 【概要】クリスタルを探し旅を続けるバッツとジタン。そんな彼らのとある話を聞いていたクジャはとんでもない行動にでる! 【対象】ちょっとかわった設定も大丈夫な方。 【バトル】かなり簡単なはずです。3戦目だけは、勝敗に関わらず話が進みます。 【作者より】クジャと言えばアレって事で作ってみました。 【コード】0000-1065-7325-1113 【作者名】 平和な世界 コメント タイトルと概要から勝手にどたばたコメディだと予想していたので、最後の展開に意表を突かれました。個人的に省略されたバッツの話の内容がとっても気になりますw -- 名無しさん (2011-06-06 23 59 56) 名前 コメント