約 233,548 件
https://w.atwiki.jp/nekomimi-mirror/pages/661.html
太陽と月と星がある 第21.5話 小雪のちらつく日、寒さの余りコタツに入ったまま動かなくなっても美形な人を眺めながらミカンを食べていると騒がしい物音と共にジャックさんがやって来ました。 雪で頭が白くなっているのでタオルを渡そうとしたら、耳をプルプルされ水飛沫が飛びました。 不快です。 「教育に悪いのでそういう行為は慎んでください」 「あーうんうん、ごめんごめん」 全然悪く思ってなさそうです。 仕方なく、垂れた耳をタオルで擦ると耳の毛が毛羽立ちました。 ……全部毛羽立てたらどうなるのか興味が有ります。 ゴシゴシしておきます。 「てゆーか、ジャック何しにきたのさ」 サフがコタツから頭だけを出してそう言うと、チェルも真似して同じように頭だけ出しました。 ちなみに2人とも尻尾がはみだしていますが、可愛いので黙っておくことにします。 「実はね!今日凄い事を知ったんだよ!なんでキヨちゃん教えてくれなかったんだいっセップンの日だよ!」 実に晴れやかな顔をする顔傷黒ウサギ28歳。 「セップン?」 興味が湧いたのか、のそのそとコタツから這い出してくるお子様2人。 ……御主人様は、瞼を閉じたまま身動きひとつしません。 「セップンの日は凄いよー!何せセップンだからね!黒くて太くて長いものを××したり、おマメを歳の数だけ××たりするというスペシャルイベントなんだよ!」 「××って何」 サフはモコモコの将来が楽しみなイヌ少年ですが、最近視力が落ちているのか目つきが悪いです。 眼鏡の心配をした方がいいかもしれません。 「それ楽しいの?」 濡れたコートを這い登り、首に手を回し背中に垂れ下がるチェル。 「そりゃー楽しいよ!ね!キヨちゃん!」 「……それ以上曲解したら、ひいらぎで叩きますよ?もしくはいわしの頭でこう……くィっと」 何故かサフの尻尾が内側に丸め込まれました。 「節分とは、無病息災を祈って豆を食べたり恵方巻きを食べる行事です」 「お前のやる行事は食べるばかりだな」 御主人様がぼそりと呟くのは聞こえなかった事にします。 一方、言いだしっぺのジャックさんはプール開き前のプールの水のような濁りきった眼で目の前のどんぶりを見つめています。 緑色なのでピッタリの表現です。 恵方巻きがいいかと思いましたが、お酢苦手みたいなので豆にしたわけですが。 「あの…歳の数だけ徹夜でおマメを食べちゃうぞ☆って……」 「歳の数だけ食べてください。品薄だったので、色々混ざってますけど」 どんぶり山盛りのマメを見て、御主人様は眼を逸らしました。 そら豆そっくりだけど倍以上の大きさのものや、縞模様の豆なんかが混ざってますが、なんら問題ありません。 いや別に投げてもよかったんだけど。 大変関係ないことですが、……御主人様のターバンの下には角があります。 御主人様は別に豆料理が嫌いじゃないのでまったく無関係なんですが! 「女の子がビキニ姿でダーリンって呼んでくれる行事だよね?」 「無関係です」 「今から流行を作ろうよ。春に向けて予約受付中らしいよ?」 何の。 「ねぇがっくんもしたいよね?マメプレイ」 ぽりぽりと豆を食べながら御主人様を見つめると、御主人様も何も言わずに豆を食べ始めました。 中々、結構な勢いで食べています。 一体いくつ食べる気なんでしょうか。 ていうか、御主人様いくつなんだろう……精々、三十四十ぐらいだと思うんですけど……。 「サフわん、マメプレイやりたいよね?」 「ちー食べ過ぎて鼻血出すよ。この前もピーナッツ食べて」 「うるさいバカフサー!」 チューチューワンワンと大変賑やかです。 可愛いなぁ。 「キヨカ」 「なんででしょうか」 なんでしょう。御主人様が真面目な顔です。……美形です。 「ちゃんと間違いなく歳の数食べるんだぞ」 「はぁ」 ……御主人様は、じっと私の顔を睨んだあと、再び豆を食べ始めました。 なんなんでしょうか。 「ねぇキヨちゃん」 「なんですか?」 今度はジャックさんです。 「今夜オレとマメプレッ」 最後まで言う前に、座った眼のサフが落花生(殻つき)をジャックさんに投げつけ始め、それに眼を輝かせたチェルが加わりました。 飛び交う落花生。 こぼれる色とりどりのマメ。 ぶつからない様に身を屈めてマメを食べる私と御主人様。 ふと目が合い、どちらともなく笑いがこみ上げてきました。 こんな日がずっと続けばいいのに。
https://w.atwiki.jp/schwarze-katze/pages/567.html
太陽と月と星がある 第一話 現在の私の御主人様は非常に良い人です。 なにせ三食食事させてくれるし、噛まないし掻かないし、サンドバック兼枕にもしない、非常に良い人です。 その旨を先日お酒を飲んだ拍子にうっかり本人に告げた所、それ以上喋るなと言われました。 何か逆鱗に触れたようです。 実はやろう思っていたのを釘を刺す形になっていたのだったら、複雑です。 そういうわけでここ三日程、必要事項以外、御主人様とは口を利いていません。 今朝も非常に緊迫した空気を醸し出し、大変居心地が悪い感じになってしまいました。 真冬の砂漠へ散策しに来た御主人様が私を拾って一ヶ月程になります。 まぁ、拾ったちょっと珍しいペットに飽きるのには十分な期間です。 私にとっては中々有意義かつ、目の保養でしたが…。 なんと御主人様は下半身がヘビ尻尾という、ゲームのイベントボス的逸材ですが、上半身は美少年です。 直接聞いてはいませんが、おそらくマダラというやつなんでしょう。 これだけは絶対に秘密ですが、思わず見蕩れるくらい整った顔立ちの冷血美少年です。 五年後が非常に楽しみです。 見られないと思いますけど。 しかも中々良い手をしています。 男性の手に、あんなに鱗が映えるとは想像もしていませんでした。 もちろん鱗に覆われた尻尾も長くて力強くイイ尻尾です。触りたくなります。 チラ見した腹筋も中々でした。 この世界、ヒトかマダラか女性でなくては、もじゃっていない腹筋を見る機会はありませんから、すごい目の保養です。 と、いうわけで、現場は見ていませんがおそらくモテまくり。無論男女問わず。 きっと色々な面で不自由が無いと思われます。 つまり、ヒトを飼うメリットが存在しないのです。 ヒトはヒトなりになんか違う良さがあるとかなんとかという話は聞きましたが…触感とか、味とか。 それに私だって一応ハタチ前ですから、今後の期待を込めて、外見だってなんとかすれば見られないこともナイと思いたい。 いえ、ウサ耳ロリ巨乳やらネコ耳熟れ美女やら、イヌ耳美少女がごろごろしている世界では下層だと思いますけど。 顔には傷無いし。灯り消せば、そんなに気にならないと、思いたい。 マグロじゃありませんよ。それなりにメスヒト的夜の技能持ちですから、出来るはずです。 ゲロ吐いて血も吐くぐらいは、調教されたし。 ただ、命の恩人でもあるしと思って、予めがっかりしないように細々と不備な点を自己申告をしたのがマズかったのか。 言わなければ良かったのかもしれませんが、偽装はよくありません。 それに仮にも命の恩人へそういう嘘をつくのも憚られます。 しかしながら、ただ単に治した人曰く「ぐっちゃんぐちゃんのばきばきで十一分の十ぐらい死んでる」状態だったそうなので、 子供が家畜の屠殺を見て肉を食べられ無くなるのと同じ状態なのかもしれません。 というわけで、まだシてないし。 だとしたら、若いだけで使い道の無い傷物中古のメスヒトなんか転売ぐらいしか用途がありません。 今更ペットはないでしょうから、魔法実験用とか。 ヒト専娼館はノルマがきついので勘弁して欲しいです。 牧場というのもありますが、それは考えないことにします。 だとしたら噂で聞く食用か。 拾われてから骸骨にヒトカワスーツ着用状態から筋皮骨衛門へ進化した程度なので、この線は微妙です。 出汁しか取れません。…笑える。 あれ、という事は、下層じゃなくて最下層かな。でもほらガリ専とか、ね? 落ちる前はダイエットに励んでたくらいぷにぷにだったなのになぁ…。 まぁ、今更どうでもいい事ですけど…。 「お帰りなさいませ、御主人様」 御主人様が非常に険悪な表情を浮かべています。 この御主人様はペットに御主人様と呼ばれるのを嫌がるという、特殊な人です。 確かに一般生活を営んでいる時に呼ばれたら、恥ずかしいものがあります。多分。 というわけで、こちらとしても色々妥協して他の人が居ない時だけ、御主人様と呼ぶようにしています。 しかし今日は同伴でした。 ウサギです。黒くて耳が垂れていて顔に傷があります。 ぐっちょんぐっちょんばっきばきだった私を治した医者のジャックさんです。腕がいいらしいです。 友達かライバルに白っぽくて目つきが悪いのがいるかどうかは聞いていません。 「いらっしゃいませ、ジャックさん。ちょうど良かった。もうすぐ晩御飯できますよ」 毛だらけの顔が笑みの形になりました。 「やっぱ、ヒトメイドもえるー」 最近、ヒトオタとかいうのが流行しているらしいです。 習慣風俗や、えーとタイヤキとかカラオケじゃなくて、ヒト単体に萌えを感じるらしいです。 眼鏡っことか、ツンデレとかショタとか。いわゆる…属性萌え? 正直二足歩行ケモノがモエーとか叫ぶのはキモいと思いますが、それで痛い事をされないヒトが増えるならいい事です。 「さーて、キミちゃんの傷の経過はどうかなー?」 ヒト如きが「そこは怪我していません」などと言えるはずもなく。 つーか、キヨカです。 様々な部分をもふられたり引っ張られたり触られている間、床の木目を数えていると強い視線を感じたので首を捻ると御主人様がめっちゃ睨んでいました。 上は美少年ですが、基本ヘビなので大変迫力があります。 目から怪光線が出たら多分死ぬレベル。 待たされている事に苛立っているのかもしれません。 先に行ってしまってもいいのに律儀に居る所が、真面目というか、なんと言うか。 何か言おうと思いましたが、喋るなと言われたことを思いだして口を閉じると、ふさふさした感触に頬擦りされました、 兎のヒゲって、結構硬くて頬がちくちくします。 目の近くに歯が当たると脈拍が速くなります。 顔って噛まれると凄い腫れるんですよね、目が見えなくなるのは、怖い。 まだ怖いものが残っていたらしい自分に驚きつつ、体を引き剥がす努力をしてみましたが無駄でした。 ジャックさん、がっちりキープし過ぎです。 「じゃ、オレ帰るから!いいお土産をありがとう~」 片腕で持ち上げられ小脇に抱えられ、そのまま引きずられました。 ジャックさん、夜だというのにテンション高いです。 しかも話が見えません。 ジャックさんは晩御飯まだ食べてないのに帰るようです。 アレ? お土産って、私? 慌てて御主人様を見ましたが御主人様は無表情、何も言いません。 私も何も言えません。 売らずに譲るのは予想外でした。 せめて先に一言教えて欲しかったと思わなくもないですが、ただのヒトに親切に教える義理もないし…。 まぁ売っても価格つくか微妙だから仕方ないし、市場は寒いのでそれはそれで…まぁ今更どうでもいい事です。 あーサフとチェルには何も言ってないな。 二人ともテレビに夢中だから仕方ないか。…あ 「すみません、鍋に火をかけたままなので、ちょっと待って下さい」 ジャックさんの動きが止まり手を放されたので台所へ向かおうとしたら御主人様に無言でチョップ喰らいました。 ジャックさんは壁に縋りつきながらヒーヒー言ってます。 私はおでこを抱えてしゃがみこみました。 痛い。 「なんかもっと他に言うことないのか!なんか言え!馬鹿かっ」 尻尾の先でぺしぺし頭を叩かれつつ怒鳴られました。 尻尾の先だとあまり痛くは無いのですが、重いので長い事されると頭がくらくらします。 クッションで叩きあいをした状態、というのが近い表現です。 頭の上でひよこが回っています。 私の脳味噌も回っています。 何言ってんでしょうか、この御主人様。 意味不明です。 不意に胸元を掴まれ、引き寄せられました。 ずいぶん、顔が近いように感じます。 やっぱり犬歯というか、牙には毒があるのかなぁ…。 「オイ、鍋の火を気にする前に俺になんか言うことがあるだろう!言え!」 ぺしぺしが止まったのでやっと話せるようになったものの、頭に血が上らず視界がぼやけて見えます。 「しかし、オマエはもう喋るな、と」 霞む視界で御主人様の眉間に皺が寄るのを把握。 相当怒っているようです。 私のせい、…なんだろうなぁ。 御主人様が手を放して一言何か呟きましたが、良く聞こえませんでした。 「やべーキラちゃん超ウケる」 「キヨカです」 ジャックさんは笑いすぎて耳ひっくり返ってるし。内側ピンク。 あ、鍋忘れてた。鍋! 慌てて立ち上がったらそのままよろけて、更に爆笑されました。 床冷たいです。 ジャックさんは床をバンバン叩いて悶えています。 からかわれてた…という事なんでしょうか? ウサギのセンスはよくわかりません。 でも視界の隅で御主人様もちょっと笑っていたので良しとします。 せっかく作ったトマト風味のごった煮スープがちょっと焦げてしまってブルーな気持ちです。 ジャックさんは肉や魚は固体じゃなければいいとの事なので、肉だけ除いて食べてもらっています。 色々リクエストしては批評してくれるので、楽です。 女体盛りといわれた時は、衛生上の理由で却下したのもいい思い出です。 御主人様曰く「居候」の雑種イヌのサフとスナネズミのチェルは成長期なので色々食べさせなくてはいけないのですが、何を作っても食欲優先で文句は出ないので楽です。 相応しい分量を作る以外は。 鍋を通常より持つ時間が多いので、腕力がついた気がします。 一方、御主人様は何を作っても何も言わずに食べます。 口に合わないのかもしれません。 私の調理レベルは中学校までなので、確かに低レベルです。 一応、魔洸調理器具の使い方は一通り知っているものの、不安が拭えません。 しかもレシピもないし、しょうゆも味噌もないし。 ラーメン食べたいなぁ…うどんも食べたい。わかめと豆腐の味噌汁も。カレーライスとか、お雑煮とか。 前は取り合えず食べられればいいだったのが、最近は欲が出ているようです。 ……自戒しなくては。 「あの、何かリクエストありますか?作れるかわかりませんが」 御主人様はスープに沈んだ芋を潰したまま答えず。 味、気に食わなかったんでしょうか。 早く食べないと冷めますよ。 冷めたらもっと味が落ちると思いますが。 「はーいがっくんあーんっ」 すごく楽しそうに湯気を立てた肉をフォークで刺し、御主人様に勧めるジャックさん。 がっくんと言うのは、御主人様の愛称らしいです。 ガエスタルだからがっくん。 安直。 正直、呼びにくい名前なので無理もありませんが。 「自分で食え」 「じゃあサフわん、あーん」 「あーんっ」 ジャックさんは男性です。 サフも私より実年齢は高くとも子供ですが男性です。 まぁ、ウサギだから気にする方がおかしいのか…。 「あーちーもっちょーだいっ!」 チェルは小麦色の髪に砂色の耳と尻尾の小さな女の子です。 ネズミはヒトと同じくらいの寿命だそうなので、大体幼稚園児くらい。 そのわりに身体能力ハンパありませんが、思考や行動は大差ありません。見ていてちょっと面白い。 「キヨカったまねぎあげるっあーんっ」 さりげなく自分が嫌いなものを渡してくるあたり、本当に面白いです。 「チェル、それ残したら今度倍食べさすぞ」 御主人様が家主というより保護者というか、お父さんぽいのも面白いです。 言動だけ見ると兄弟のようなのに、御主人様が明らかに数段上なのが面白いというか。 しみじみそう思っていると、今度は私が睨まれました。 「お口に合いませんでしたか?」 恐る恐る訊ねると御主人様は首を振り、すっかり冷めたスープを一口。 「お前はもっと食え」 「あーキオちゃんはもっと食うべき。もっと脂肪つけて。肉食べて肉」 脂肪…。 今日の調理に使った肉の正体を私は知りません。 ただの赤身肉。 四足なのか、二本なのか、それとも羽があるのか…。 以前よく言われた脅し文句は、『牧場かそれとも…』 ヒトって希少らしいですが、それってどれくらいなんでしょうね。 最高級黒毛和牛とか、そういうレベルでしょうか。 音楽と美食に囲まれたメタボ生活なら諦めつくのかなぁ…。 「ところで獅子の国ではネコを食べるという噂ですが、他種はカニバリズム適用外なんでしょうか?」 「オレ、肉食わないからわかんなーい。別の意味では全種族食うけど。はいキヨちゃん、あーん」 ふと思った事を口に出したら御主人様に睨まれました。 ご飯中にする言葉ではありませんでしたね。反省。 トマト美味しいです。 「かにぼり?カニが食べるの?」 「ちーうになら食べたよ。砂漠で、おかあさんとおとうさんがいたとき」 「うに?」 「とげが生えてて、おいしい」 良く判らない会話を交わすお子様二人。 ジャックさんが砂漠でうに?とか呟くと御主人様が平然と頷いていたあたり、この世界はすごいなーとおもいました。 砂漠産うに 地底湖とかで海に繋がってるとか、そういうのなんでしょうね、きっと。 美味しいのかなぁ、砂漠産うに。 お寿司、食べたいなぁ…。
https://w.atwiki.jp/nekomimi-mirror/pages/516.html
太陽と月と星がある 第二話 冬のある日、御主人様が鉢植えを持って帰ってきた。 赤い素焼きの鉢に黒い土が詰められ、紙製の札が刺してある。 小学校でこういうの育てたな、とふと思い出した。 あの青いプラスチックの鉢植えは、まだあるだろうか。 もう、捨てられてしまっただろうか。 「日の当たる所におき、土が乾いたら水をやるように」 小さなメモを読み上げる御主人様。 一番安全そうなキッチンの窓際に、その小さな鉢を置いた。 毎朝様子を見て、少しだけ霧吹きで水をかけた。 一週間後、芽が出た。 頼りない小さな芽が今にも枯れてしまいそうで、触れることも出来ない。 毎朝、御主人様に聞こえないように小さな声でおはようと挨拶した。 はっぱがだんだん伸びてきて、細い茎が風に揺れて折れそうなので風の当たらない所に移動させた。 日のある時間が少しずつ増えてきて、部屋の中はどこにおいても日が当たるようになってきた。 いつも同じ場所じゃきっと退屈だろうから、時々場所を変えると潰しそうになった御主人様に怒られた。 そのうちつぼみが膨らんできて、少し色づいた。 ある朝、花はきれいに咲いていた。 たんぽぽだった。 思い出より少し濃い黄色い花を見て、息をするのが苦しくなった。 御主人様は今日も私の後ろで、新聞を読むフリをしている。
https://w.atwiki.jp/anisonsetlist/pages/55.html
開催日:2006年8月12日 会場:ZEPP TOKYO 出演者 影山ヒロノブ 遠藤正明 きただにひろし ゆかいな仲間たち 石田燿子 近江知永 奥井雅美 OTAKU NOT DEAD UNPLUGGED + 徳永愛 サイキックラバー 下川みくに 野川さくら 松澤由美 美郷あき 栗林みな実 福山芳樹 鷲崎健 セットリスト CHA-LA HEAD-CHA-LA / 影山ヒロノブ@亀仙流道着、遠藤正明@スパイダーマン、きただにひろし@ワンピースのルフィ 爆竜戦隊アバレンジャー / 影山ヒロノブ@亀仙流道着、遠藤正明@スパイダーマン、きただにひろし@ワンピースのルフィ ウィーアー! / 影山ヒロノブ@亀仙流道着、遠藤正明@スパイダーマン、きただにひろし@ワンピースのルフィ 空にかける橋 / 奥井雅美@これが私の御主人様メイド服 永遠の花 / 石田耀子@これが私の御主人様メイド服 WALKING THROUGH THE EMPTY AGE / 石田耀子@これが私の御主人様メイド服 Float~空の彼方で~ / 近江知永@これが私の御主人様メイド服 Memorial Song / 近江知永@これが私の御主人様メイド服、奥井雅美@これが私の御主人様メイド服、石田耀子@これが私の御主人様メイド服 秋葉原のブルース / 鷲崎健@作務衣(麦人) ザッツマイ ナンバー / 鷲崎健@作務衣(麦人) tomorrow / 下川みくに@女医 想い出がいっぱい / 下川みくに@女医 地球ぎ / 松澤由美@アブリル・ラヴィーン Dearest / 松澤由美@アブリル・ラヴィーン キングゲイナー・オーバー! / OTAKU NOT DEAD + 徳永愛 ハレ晴レユカイ / OTAKU NOT DEAD + 徳永愛 君が空だった / 美郷あき@チアガール 明日をとめないで / 美郷あき@チアガール Good morning~にゃっほー~ / 野川さくら@体育服&ジャージ オアシス / 野川さくら@体育服&ジャージ 時をかける少女 / YOFFY@地球連邦軍女性制服、JOE@コギャル 冒険者ON THE ROAD / YOFFY@地球連邦軍女性制服、JOE@コギャル、近江知永@スクールランブル女子制服(城戸円) 真夏のBirthday / 栗林みな実@白陵大付属柊学園女子夏服 Shining☆Days / 栗林みな実@白陵大付属柊学園女子夏服 Believe yourself / 栗林みな実@白陵大付属柊学園女子夏服、奥井雅美@白陵大付属柊学園女子夏服 ねここしゃん / 福山芳樹@新撰組 星空のレクイエム / 福山芳樹@新撰組、影山ヒロノブ DRAGON / JAM Project Peaceful One / JAM Project アンコール 宇宙は僕らを待っている / 出演者全員
https://w.atwiki.jp/schwarze-katze/pages/568.html
太陽と月と星がある 第二話 冬のある日、御主人様が鉢植えを持って帰ってきた。 赤い素焼きの鉢に黒い土が詰められ、紙製の札が刺してある。 小学校でこういうの育てたな、とふと思い出した。 あの青いプラスチックの鉢植えは、まだあるだろうか。 もう、捨てられてしまっただろうか。 「日の当たる所におき、土が乾いたら水をやるように」 小さなメモを読み上げる御主人様。 一番安全そうなキッチンの窓際に、その小さな鉢を置いた。 毎朝様子を見て、少しだけ霧吹きで水をかけた。 一週間後、芽が出た。 頼りない小さな芽が今にも枯れてしまいそうで、触れることも出来ない。 毎朝、御主人様に聞こえないように小さな声でおはようと挨拶した。 はっぱがだんだん伸びてきて、細い茎が風に揺れて折れそうなので風の当たらない所に移動させた。 日のある時間が少しずつ増えてきて、部屋の中はどこにおいても日が当たるようになってきた。 いつも同じ場所じゃきっと退屈だろうから、時々場所を変えると潰しそうになった御主人様に怒られた。 そのうちつぼみが膨らんできて、少し色づいた。 ある朝、花はきれいに咲いていた。 たんぽぽだった。 思い出より少し濃い黄色い花を見て、息をするのが苦しくなった。 御主人様は今日も私の後ろで、新聞を読むフリをしている。
https://w.atwiki.jp/nekomimi-mirror/pages/514.html
太陽と月と星がある 第一話 現在の私の御主人様は非常に良い人です。 なにせ三食食事させてくれるし、噛まないし掻かないし、サンドバック兼枕にもしない、非常に良い人です。 その旨を先日お酒を飲んだ拍子にうっかり本人に告げた所、それ以上喋るなと言われました。 何か逆鱗に触れたようです。 実はやろう思っていたのを釘を刺す形になっていたのだったら、複雑です。 そういうわけでここ三日程、必要事項以外、御主人様とは口を利いていません。 今朝も非常に緊迫した空気を醸し出し、大変居心地が悪い感じになってしまいました。 真冬の砂漠へ散策しに来た御主人様が私を拾って一ヶ月程になります。 まぁ、拾ったちょっと珍しいペットに飽きるのには十分な期間です。 私にとっては中々有意義かつ、目の保養でしたが…。 なんと御主人様は下半身がヘビ尻尾という、ゲームのイベントボス的逸材ですが、上半身は美少年です。 直接聞いてはいませんが、おそらくマダラというやつなんでしょう。 これだけは絶対に秘密ですが、思わず見蕩れるくらい整った顔立ちの冷血美少年です。 五年後が非常に楽しみです。 見られないと思いますけど。 しかも中々良い手をしています。 男性の手に、あんなに鱗が映えるとは想像もしていませんでした。 もちろん鱗に覆われた尻尾も長くて力強くイイ尻尾です。触りたくなります。 チラ見した腹筋も中々でした。 この世界、ヒトかマダラか女性でなくては、もじゃっていない腹筋を見る機会はありませんから、すごい目の保養です。 と、いうわけで、現場は見ていませんがおそらくモテまくり。無論男女問わず。 きっと色々な面で不自由が無いと思われます。 つまり、ヒトを飼うメリットが存在しないのです。 ヒトはヒトなりになんか違う良さがあるとかなんとかという話は聞きましたが…触感とか、味とか。 それに私だって一応ハタチ前ですから、今後の期待を込めて、外見だってなんとかすれば見られないこともナイと思いたい。 いえ、ウサ耳ロリ巨乳やらネコ耳熟れ美女やら、イヌ耳美少女がごろごろしている世界では下層だと思いますけど。 顔には傷無いし。灯り消せば、そんなに気にならないと、思いたい。 マグロじゃありませんよ。それなりにメスヒト的夜の技能持ちですから、出来るはずです。 ゲロ吐いて血も吐くぐらいは、……調教、されたし。 ただ、命の恩人でもあるしと思って、予めがっかりしないように細々と不備な点を自己申告をしたのがマズかったのか。 言わなければ良かったのかもしれませんが、偽装はよくありません。 それに仮にも命の恩人へそういう嘘をつくのも憚られます。 しかしながら、ただ単に治した人曰く「ぐっちゃんぐちゃんのばきばきで十一分の十ぐらい死んでる」状態だったそうなので、子供が家畜の屠殺を見て肉を食べられ無くなるのと同じ状態なのかもしれません。 というわけで、まだシてないし。 だとしたら、若いだけで使い道の無い傷物中古のメスヒトなんか転売ぐらいしか用途がありません。 今更ペットはないでしょうから、魔法実験用とか。 ヒト専娼館はノルマがきついので勘弁して欲しいです。 牧場というのもありますが、それは考えないことにします。 だとしたら、噂で聞く食用か。 拾われてから骸骨にヒトカワスーツ着用状態から筋皮骨衛門へ進化した程度なので、この線は微妙です。 出汁しか取れません。……笑える。 あれ、という事は、下層じゃなくて最下層かな。でもほらガリ専とか、ね? 落ちる前はダイエットに励んでたくらいぷにぷにだったなのになぁ…。 まぁ、今更……どうでもいい事ですけど…… 「お帰りなさいませ、御主人様」 御主人様が非常に険悪な表情を浮かべています。 この御主人様はペットに御主人様と呼ばれるのを嫌がるという、特殊な人です。 確かに一般生活を営んでいる時に呼ばれたら、恥ずかしいものがあります。多分。 というわけで、こちらとしても色々妥協して他の人が居ない時だけ、御主人様と呼ぶようにしています。 しかし今日は同伴でした。 ウサギです。黒くて耳が垂れていて顔に傷があります。 ぐっちょんぐっちょんばっきばきだった私を治した医者のジャックさんです。腕がいいらしいです。 友達かライバルに白っぽくて目つきが悪いのがいるかどうかは聞いていません。 「いらっしゃいませ、ジャックさん。ちょうど良かった。もうすぐ晩御飯できますよ」 毛だらけの顔が笑みの形になりました。 「やっぱ、ヒトメイドもえるー」 最近、ヒトオタとかいうのが流行しているらしいです。 習慣風俗や、えーとタイヤキとかカラオケじゃなくて、ヒト単体に萌えを感じるらしいです。 眼鏡っことか、ツンデレとかショタとか。いわゆる…属性萌え? 正直二足歩行ケモノがモエーとか叫ぶのはキモいと思いますが、それで痛い事をされないヒトが増えるならいい事です。 「さーて、キミちゃんの傷の経過はどうかなー?」 ヒト如きが「そこは怪我していません」などと言えるはずもなく。 つーか、キヨカです。 様々な部分をもふられたり引っ張られたり触られている間、床の木目を数えていると強い視線を感じたので首を捻ると御主人様がめっちゃ睨んでいました。 上は美少年ですが、基本ヘビなので大変迫力があります。 目から怪光線が出たら多分死ぬレベル。 待たされている事に苛立っているのかもしれません。 先に行ってしまってもいいのに律儀に居る所が、真面目というか、なんと言うか。 何か言おうと思いましたが、喋るなと言われたことを思いだして口を閉じると、ふさふさした感触に頬擦りされました、 兎のヒゲって、結構硬くて頬がちくちくします。 目の近くに歯が当たると脈拍が速くなります。 顔って噛まれると凄い腫れるんですよね、目が見えなくなるのは、怖い。 まだ怖いものが残っていたらしい自分に驚きつつ、体を引き剥がす努力をしてみましたが無駄でした。 ジャックさん、がっちりキープし過ぎです。 「じゃ、オレ帰るから!いいお土産をありがとう~」 片腕で持ち上げられ小脇に抱えられ、そのまま引きずられました。 ジャックさん、夜だというのにテンション高いです。 しかも話が見えません。 ジャックさんは晩御飯まだ食べてないのに帰るようです。 ……アレ? お土産って、……私のこと? 慌てて御主人様を見ましたが御主人様は無表情のまま、何も言いません。 私も何も言えません。 売らずに譲るのは予想外でした。 せめて先に一言教えて欲しかったと思わなくもないですが、ただのヒトに親切に教える義理もないし……。 まぁ売っても価格つくか微妙だから仕方ないし、市場は寒いのでそれはそれで…まぁ……今更、どうでもいい事です。 あー……サフとチェルには何も言ってないな。 二人ともテレビに夢中だから仕方ないか。…あ 「すみません、鍋に火をかけたままなので、ちょっと待って下さい」 ジャックさんの動きが止まり手を放されたので台所へ向かおうとしたら御主人様に無言でチョップ喰らいました。 ジャックさんは壁に縋りつきながらヒーヒー言ってます。 私はおでこを抱えてしゃがみこみました。 痛い。 「なんかもっと他に言うことないのか!なんか言え!馬鹿かっ」 尻尾の先でぺしぺし頭を叩かれつつ怒鳴られました。 尻尾の先だとあまり痛くは無いのですが、重いので長い事されると頭がくらくらします。 クッションで叩きあいをした状態、というのが近い表現です。 頭の上でひよこが回っています。 私の脳味噌も回っています。 何言ってんでしょうか、この御主人様。 意味不明です。 不意に胸元を掴まれ、引き寄せられました。 ずいぶん、顔が近いように感じます。 やっぱり犬歯というか、牙には毒があるのかなぁ……。 「オイ、鍋の火を気にする前に俺になんか言うことがあるだろう!言え!」 ぺしぺしが止まったのでやっと話せるようになったものの、頭に血が上らず視界がぼやけて見えます。 「しかし、オマエはもう喋るな、と」 霞む視界で御主人様の眉間に皺が寄るのを把握。 相当怒っているようです。 何故かわからないけど私のせい、……なんだろうなぁ。 御主人様が手を放して一言何か呟きましたが、良く聞こえませんでした。 「やべーキラちゃん超ウケる」 「キヨカです」 ジャックさんは笑いすぎて耳ひっくり返ってるし。内側ピンク。 あ、鍋忘れてた。鍋! 慌てて立ち上がったらそのままよろけて、更に爆笑されました。 床、冷たいです。 ジャックさんは床をバンバン叩いて悶えています。 2人にからかわれてた……という事なんでしょうか? ウサギのセンスはよくわかりません。 でも視界の隅で御主人様もちょっと笑っていたので良しとします。 *** せっかく作ったトマト風味のごった煮スープがちょっと焦げてしまってブルーな気持ちです。 ジャックさんは肉や魚は固体じゃなければいいとの事なので、肉だけ除いて食べてもらっています。 色々リクエストしては批評してくれるので、楽です。 女体盛りといわれた時は、衛生上の理由で却下したのもいい思い出です。 御主人様曰く「居候」の雑種イヌのサフとスナネズミのチェルは成長期なので色々食べさせなくてはいけないのですが、何を作っても食欲優先で文句は出ないので楽です。 相応しい分量を作る以外は。 鍋を通常より持つ時間が多いので、腕力がついた気がします。 一方、御主人様は何を作っても何も言わずに食べます。 口に合わないのかもしれません。 私の調理レベルは中学校までなので、確かに低レベルです。 一応、魔洸調理器具の使い方は一通り知っているものの、不安が拭えません。 しかもレシピもないし、しょうゆも味噌もないし。 ラーメン食べたいなぁ…うどんも食べたい。わかめと豆腐の味噌汁も。カレーライスとか、お雑煮とか。 前は取り合えず食べられればいいだったのが、最近は欲が出ているようです。 ……自戒しなくては。 「あの、何かリクエストありますか?作れるかわかりませんが」 御主人様はスープに沈んだ芋を潰したまま答えず。 味、気に食わなかったんでしょうか。 早く食べないと冷めますよ。 冷めたらもっと味が落ちると思いますが。 「はーいがっくんあーんっ」 すごく楽しそうに湯気を立てた肉をフォークで刺し、御主人様に勧めるジャックさん。 がっくんと言うのは、御主人様の愛称らしいです。 ガエスタルだからがっくん。 安直。 正直、呼びにくい名前なので無理もありませんが。 「自分で食え」 「じゃあサフわん、あーん」 「あーんっ」 ジャックさんは男性です。 サフも私より実年齢は高くとも子供ですが男性です。 まぁ、ウサギだから気にする方がおかしいのか…。 「あーちーもっちょーだいっ!」 チェルは小麦色の髪に砂色の耳と尻尾の小さな女の子です。 ネズミはヒトと同じくらいの寿命だそうなので、大体幼稚園児くらい。 そのわりに身体能力ハンパありませんが、思考や行動は大差ありません。見ていてちょっと面白い。 「キヨカったまねぎあげるっあーんっ」 さりげなく自分が嫌いなものを渡してくるあたり、本当に面白いです。 「チェル、それ残したら今度倍食べさすぞ」 御主人様が家主というより保護者というか、お父さんぽいのも面白いです。 言動だけ見ると兄弟のようなのに、御主人様が明らかに数段上なのが面白いというか。 しみじみそう思っていると、今度は私が睨まれました。 「お口に合いませんでしたか?」 恐る恐る訊ねると御主人様は首を振り、すっかり冷めたスープを一口。 「お前はもっと食え」 「あーキオちゃんはもっと食うべき。もっと脂肪つけて。肉食べて肉」 脂肪……。 今日の調理に使った肉の正体を私は知りません。 ただの赤身肉。 四足なのか、二本なのか、それとも羽があるのか……。 以前よく言われた脅し文句は、『牧場かそれとも…』 ヒトって希少らしいですが、それってどれくらいなんでしょうね。 最高級黒毛和牛とか、そういうレベルでしょうか。 音楽と美食に囲まれたメタボ生活なら諦めつくのかなぁ……。 「ところで獅子の国ではネコを食べるという噂ですが、他種はカニバリズム適用外なんでしょうか?」 「オレ、肉食わないからわかんなーい。別の意味では全種族食うけど。はいキヨちゃん、あーん」 ふと思った事を口に出したら御主人様に睨まれました。 ご飯中にする言葉ではありませんでしたね。反省。 トマト美味しいです。 「かにぼり?カニが食べるの?」 「ちーうになら食べたよ。砂漠で、おかあさんとおとうさんがいたとき」 「うに?」 「とげが生えてて、おいしい」 良く判らない会話を交わすお子様二人。 ジャックさんが砂漠でうに?とか呟くと御主人様が平然と頷いていたあたり、この世界はすごいなーとおもいました。 砂漠産うに 地底湖とかで海に繋がってるとか、そういうのなんでしょうね、きっと。 美味しいのかなぁ、砂漠産うに。 お寿司、食べたいなぁ……。
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/2597.html
443 名前:触雷! ◆0jC/tVr8LQ[sage] 投稿日:2013/04/15(月) 01 25 11 ID 3MdClp9o [2/6] ※マジキチ注意 「はあ……ご主人様。魔女なんているはずありませんでしょう?」 「!!!」 姉羅々(しらら)の言葉を聞いて、僕の頭の中に、衝撃プラスいろんなものが舞い込んだ。 まずは、『やっぱり常識的に考えてみたら、そりゃそうだよね』という思い。 あるいは、『魔女の呪いだと信じてここまでついてきたのに、騙すなんて酷いじゃないか』という思い。 どう感じるのが正解なのか、頭が混乱したが、とにかく聞いてみた。 「じゃ、じゃあ……なんで、なんで魔女の呪いなんて嘘ついたの……?」 「嘘ではありませんわ。御主人様にこの場所まで来ていただくための、方便ですわよ」 「ど、どこが嘘と違うんだよ……そもそもこの建物って一体……?」 「私の所有している館ですが? 前にお話ししたかと」 答えたのは紅麗亜(くれあ)だった。僕は頭が、さらにくらくらする。 「……さっき、お姉様って言ってたよね? まさか姉羅々って紅麗亜の……」 「改めまして、紬屋詩宝様」 姉羅々は僕から少し離れると、優雅に一礼して言った。 「わたくし、本当の名前を神添(かみぞい)姉羅々と申しますわ。紅麗亜の妹にして、本日より詩宝様の身の回りのお世話から性欲処理までを一手に引き受ける、従順なメイドでございますわ」 「うわあああ……」 もうどこにも疑う余地はなかった。僕は紅麗亜の妹の姉羅々に騙され、紅麗亜の所有するこの館まで誘拐されてしまったのだ。 「……一体、どうやってうちの学校の先生に?」 咄嗟に浮かんだ疑問を口にする。(紅麗亜は、「何が一手に、だ。メインの御奉仕は私が……」と言っていたが、聞いている余裕は僕にはなかった。) 「おほほほほ……校長と教育委員の素行を極秘に調べて、援助交際の事実を押さえて脅迫しましたら、簡単に学校に潜り込ませてもらえましたわ。教員免許は元々持っておりましたし」 「嘆かわし過ぎる……」 僕は泣いた。 「さあ、くだらない話はもう終わりですわ。奴隷契約書のサインも済んでおりますし、メイドの職務の一環として、性欲処理の御奉仕をさせていただきますわよ」 そう言うと姉羅々は、自分のブラウスの胸の部分を掴んで左右にビリビリと破り、大玉スイカのような乳房を丸出しにした。そして僕の頭の方からかがみ込み、胸を僕の顔に押し当てる。 「ムグッ!」 「おほほほ……御主人様。姉羅々のメイドおっぱい、堪能してくださいましね」 ギリギリ息ができる程度の圧力で押し付けられるおっぱいに埋もれながら、僕はもがいた。苦しいので、両手で姉羅々の体を押し返そうとしたが全然動かないし、腰には紅麗亜が馬乗りになっているため、体をよじることもできない。 「んんっ!」 444 名前:触雷! ◆0jC/tVr8LQ[sage] 投稿日:2013/04/15(月) 01 26 52 ID 3MdClp9o [3/6] 「ほほほほ……御主人様。こういうのはいかがですか?」 姉羅々は僕から少し離れると、体をゆすって乳房を僕の顔にべちべちとぶつけてきた。 一方、僕の股間の方はというと、いつしかまた、生温かい感触に包まれていた。どうやら紅麗亜が腰を下ろして、勃起した僕のおちんちんをまた性器に飲み込んだらしい。 しつこいようだけど、こんな状況で反応してしまう、自分の体が恨めしい。紅麗亜は腰を小刻みに動かしながら、「あ……ああ……」と声を出し始めた。 ――でも、このまま流されちゃ駄目だ…… 2人に攻め立てられながら、僕は最後の反抗を決意した。とんでもなく酷い状態に追い込まれたけれども、言うべきことは言わなくては。 「し、姉羅々……」 「はい。御主人様ぁ……あんっ、乳首が擦れて気持ちいい……」 「さっき姉羅々と書いた契約書だけど、あれは無効だと思う……」 「何ですって?」 途端に、僕の顔に姉羅々の重い乳房が、きつく押し付けられた。おっぱいの肉で口と鼻がふさがれ、完全に息ができなくなる。 「~~~!!!」 「いくら御主人様でも、言っていいことと悪いことがありますわよ? わたくし達の間に交わされた、あの主従契約が無効だなんて……」 「~!」 窒息死しかねないので、僕は姉羅々の体を平手で叩き、降参の意思表示をした。ようやく、空気の出入りする隙間を開けてもらえる。 「あ、あの、あの契約書は、僕に魔女の呪いがかかってて、それを解くために契約が必要って前提だったよね? 魔女の呪いが嘘だったんだから、契約も無効のはずじゃ……」 「甘いですわね。御主人様」 片方の乳房を手で支え、乳首を僕の口に押し込みながら、姉羅々は言った。 「んがっ!」 「あの契約書のどこに、魔女の呪いのことが書かれているんですの? 契約は書面に書かれたことが全て。それが近代社会のルールというものですわ。書いてもいないことを持ち出してウジウジ言うなんて、そんなことでは生き馬の目を抜くグローバル社会でやっていけませんわよ。あんっ……姉羅々の奴隷乳首、そんなに噛んじゃ嫌ですわあ……」 「れ、れも……」 僕はまだ抵抗した。今のままではグローバル社会どころか、この館の外の日本社会に出られるかどうかも分からない。 やっとのことで姉羅々のおっぱいを口から離し、僕は言った。 「でも……そもそも……奴隷契約っていうのが憲法に違反してるんだから、無効だと思う訳で……」 「御主人様!!」 今度は紅麗亜が爆発した。そうだった。奴隷契約の無効を言い出したら、紅麗亜との契約もナシになるんだった。 「なんという世間知らずの知ったかぶりを! 憲法で禁じられているのは、本人の意に反した奴隷的拘束です! 私のように、完全に自分の意思で全てを捧げて隷属するのは問題ないのです!」 「そ、そうなの……?」 「そうです! 御主人様はもう、御自分の頭で考えないでください! 全てメイドの言う通りにしてください!」 445 名前:触雷! ◆0jC/tVr8LQ[sage] 投稿日:2013/04/15(月) 01 27 30 ID 3MdClp9o [4/6] 「ううう……」 納得できないものが残るが、有効な反論が僕には思い付かなかった。元々そこまで憲法に詳しいわけじゃなく、学校で習ったことを聞きかじりで言っただけだったし。 「よろしいですね? 御主人様」 「ええと、あの……うわっ!」 突然、おちんちんが強い力で締め付けられた。紅麗亜が性器に力をこめたのだ。潰されそうなほどではないが、ちょっと痛い。 「い、痛いよ紅麗亜……」 「御主人様が、ろくでもない駄々をこねられるからです。反省されるまで、抜かせて差し上げません。もっとも、一生この私、牛おっぱいマゾメイド紅麗亜の膣におちんぽをぶち込んでいたい、と仰るなら構いません、というよりむしろ大歓迎ですが……んんっ、やはり御主人様のおちんぽはいいです……」 そう言って、ビクビクと体を痙攣させる紅麗亜。そんなことになったら、どこからおしっこしたらいいんだ。でも、一度言い出したら聞かない紅麗亜なら、やりかねないと思った。 「……わ、分かった。分かったよ……」 「ああ気持ちいい……何がお分かりになったのですか?」 「け、けい、契約はその、とりあえず、暫定的に、ひとまずは有効という案を前向きに検討……んぐぁっ!」 「「御主人様」」 紅麗亜の膣を締める圧力が、今までと比較にならないほど強くなった。 姉羅々が僕の顔に、左右のおっぱいを押し付け、呼吸を全く不可能にした。 「~~!!」 僕はパニックになった。おちんちんを潰されながらの酸欠死という、人類史にも稀であろう無様な死に方を回避すべく、慌てて2人の体を叩いて、降伏を表明する。 ありがたいことに、2人は力を緩めてくれたが、僕への追及は全然緩めてくれなかった。 「では御主人様。世迷い言はそれくらいにして、もう一度どうぞ。ああ……」 「けい、契約は有効です……」 もう無理だった。 口でも腕力でも、僕が全然敵わない相手が、それも2人、本気で向かって来てはどうにもならなかった。 「あああ……ではお尋ねします。この私、神添紅麗亜はあなた様の何ですか?」 「え、ええと……雇ってるメイドさん……」 すると紅麗亜は、溜息をついて言った。 「はあ……30点。落第です」 「なんで!?」 「私がいかに御主人様に絶対服従し、あらゆる権利とプライドを放棄して御奉仕するか、十分に表現されていないからです。せめて、『何をされても拒否権のない肉奴隷メイド』くらいは言っていただきたかったのですが。ああ……あああ……」 「く、紅麗亜は僕に何をされても拒否できない肉奴隷メイド……」 「あ……あああっ! 御主人様。心地よい響きです……」 446 名前:触雷! ◆0jC/tVr8LQ[sage] 投稿日:2013/04/15(月) 01 29 15 ID 3MdClp9o [5/6] 姉羅々のおっぱいが邪魔で表情は見えないが、紅麗亜の機嫌が、急によくなったような気がした。すると今度は、姉羅々が口を開いた。 「御主人様。わたくしにも言ってくださいまし」 「し、姉羅々も僕に逆らえない性欲処理奴隷メイド……」 「ああんっ! そんな風に御主人様に言われたら、それだけでいってしまいますわぁ……」 姉羅々がどっと、僕の方に体重を預けてきた。また呼吸をふさがれては敵わないので、顔を横に向けて空気の通り道を確保する僕。 「…………」 「…………」 「…………」 僕達3人は、しばらくそうして動かずにいたが、やがて腰を前後に動かしながら、紅麗亜が言った。 「ああ……さて、姉羅々。話も終わったことだし、そろそろ御主人様から離れろ。私はこれから、御主人様を雌蟲に奪われた償いをするため、御主人様から鬼畜極まる調教をしていただくからな。ああ……」 「あら、それでしたらわたくしも調教を受けますわ。わたくしも魔女の呪いだなんて幼稚な嘘をついたお仕置きを、御主人様にしていただきたいですわ」 「駄目だ。あああ……今日はお前の時間はもう終わった。大体お前は、さっきから当たり前のように御主人様に乳を差し上げていたが、全体の90%の時間は、あ……長姉である私が御主人様に御奉仕する決まりだ……ああ気持ちいい……」 「そんな! 横暴ですわ! 雌蟲から御主人様を取り戻してきたわたくしが、90%の時間を受け持つのが筋ですわ!」 何か揉め始めた。紅麗亜は僕のおちんちんを膣に入れて腰を振りながら、姉羅々はおもむろに下着を脱いでから僕の顔に股間を押し付けて座り、言い争いを始める。 「あ……仕方がない女だな。ここは姉である私が特別に広い度量を見せて、80%に譲歩してやろう。お前は20%だ……」 「あんっ……どこが広い度量ですの? そんなの全然譲歩していませんわ。わたくしが85%、お姉様が15%。これが妥当な線というものですわ……」 「つくづく業突張りな女だな、お前は……ああ……仕方がないから75%に負けてやる。そっちは25%だ……」 「お話になりませんわね。あんっ……80%で妥協しますわ。お姉様には20%差し上げますわ……」 「むむむ……では28%くれてやる。どうだ……?」 「嫌ですわ。お姉様は25%で我慢してくださいまし……」 「お前が29%……」 「お姉様が27%……」 「29.5%だ……」 「27.2%ですわ……」 細かい数字が出てきてよく分からないけど、2人がお互いに譲る幅がどんどん狭くなってきているのは分かった。 いつ果てるとも知れない競り合いの声を聞きながら、僕は毎度のように、意識を闇へと沈めた。
https://w.atwiki.jp/yuukyuu1/pages/24.html
暇だったのでつい・・・ 情報系 『始めはみんな『使い魔』なんだって~』 『種族は50種類以上あるよ~^^』 『特殊効果は10種類以上あるかもかもかも^^』 『ボクのレベルはね~200まで上がるんだよ!?』 『ご主人様^^ボクね~転生をいっぱいすると強くなるんだよ♪』 『ご主人様が固定すると・・・。ボクは強くなれないんだ・・。』 『転生はご主人様が転職したタイミングでしちゃうかもね♪』 『ボクの特殊効果でね・・・。ご主人様が強くなることもあるんだよ^^』 『ボクの特殊効果はね~^^出るのかなぁ^^』 『ボクね~ 前の弟達と違ってね。不老不死になったんだよ^^』 『拾えるネタアイテムの中にも使い道があるものがあるかも~^^』 『どこでもドアってね~^^ うふ♪(* ̄ー ̄)v』 『ご主人様のPASSは他人にわかりにくいようになってる? なってないのだったらちゃんと変えましょうね^^』 問いかけ系 『ん?御主人様?贈り物が欲しいの? じゃあ 美味しい物をいっぱい食べさせて~~~^^』 『規約とか読んでる?』 『違反は駄目よ?』 『ねぇねぇ^^人間ってどうして生きているの?』 『御主人様の尊敬する人は?』 『御主人様って・・・ボクのファン?』 『御主人様・・・貧乏なの?』 『御主人様・・・金を稼がないの?』 『御主人様・・・。ボクの名前は御主人様の恋人の名前なの?』 『ご主人様も不老不死なの?』 『御主人様って・・・雑魚?』 『ご主人様って、この世界で一番強いの?』 『ご主人様って、侵略は大好き?』 『ご主人様の夢って何ですか??』 『ご主人様って毎日私に逢いに来てくれる?』 『私の目標は、ご主人様より強くなって・・・・。 ご主人様って立場になってみたいなぁ~^^いつかなれるかな?』 『ご主人様・・・。私が死ぬ時最後まで見ててくれる?』 その他系 『おい・・・。うぅ。。。ボクにそんな酷い事を言えないよ~』 『御主人様~?って呼んでみた^^』 『ご主人様かわいい~』 『ご主人様ってかっこいいね♪』 『ご主人様って、ちゃんとお風呂に入ってる? とっても臭うよ・・・(^0_0^)』 『くん( ̄(OO) ̄)くん( ̄(oo) ̄) |・-・) |-・;)|・;) |;) | ( ̄¬ ̄) ジュル・・・ご主人様を食べちゃいます^^』 『ビールが飲みたい!!!!!! あの人みたいに酒乱になっちゃったのかなぁ~?』 『私の為に真レアを持ってきて~~~~~☆』 『幻魔の街で何かお土産買ってきて~☆』 『御主人様・・・。ボクの為に働いてください^^』 『御主人様・・・ボクを世界一のお嫁にしてください!!』 『御主人様・・・ボクを世界一のペットにしてください!!』 『ネズミ様みたいにエッチになりたくないなぁ~。』 『ご主人様って・・・。』 『ご主人様って私の身体が目当てだったのね (▼、▼メ)』 『φ( ̄Д ̄ )ホォホォ・・・ご主人様はエッチなのか¢(ーー;メモシトク・・・』 『私・・・。ご主人様の子供を妊娠しちゃった(#^_^#)』 『ご主人様なんか・・・・。嫌いだ~~~~(ノ_<。)ビェェン』 『御主人様・・・もうあなたの元には居たくありません(ノ_・。)』 『ご主人様~^^一時間毎にキスして下さいね^^』 『愛のチョコを食べると体力と精力が付くのよ^^』 『私の好きな人・・・・。それは秘密ディ━d(・ω・`*)━ス!!!』 『早くボクもご主人様の役に立つ種族になりたいなぁ』 『やっとボク達もご主人様の役に立てる時が来たよーー^^』 『ねぇねぇ~。待ち遠しかった?』 『人間になりたいよ~』 『ご主人様~!!私を最後まで見守ってくださいね。』 顔文字系 『o(*・ω・)ノァィ』 『(●´艸)ンプ』 『(〃▽〃)キャー♪』 『( ゚ω゚) ダボーイ』 『。゚(゚*ω⊂ グスン』 『(*´д`*)ハァハァ』 『ヽ(`Д´)ノ飯クレヨ』 『(σ・∀・)σYO♪』 『(´・д・`) ヤダw』 『(*・∀・*)エッチー!!』 『(* ω )=3ヘックション!』 『かわいくない('A`)』 『(´゚ω゚) ;*.' ;ブッ』 『@(*ノωノ)@イヤ~ン』 『σ(^τ゜ )アッカンベー』 『ヒソヒソ( ゚д゚)ヤダァ(゚д゚ )ネェ』 『(ノ・∀ヽ*))((*ノ∀・ヽ)キャッ』 『il||li (つω-`*)il||li』 『(ノ´▽`)ノオオオオッ♪』 『ヽ( ´ ▽ ‘ )ノ ハーイ』 『(#`皿´) ムキーーーー!』 『・・・・・・・・・・・・・・・』 『オ∃ヨヨョョ。+゚(ノд`o)゚+。ョョヨヨ∃オ』 『ヽ(;´Д`)ノわらいすぎた~っ!!』 『┳┳ ヽ(^▽^ゞ) ゴハンゴハン♪』 『こんにゃ~vヽ(∇<*ヽ)(ノ* ▽)ノ』 『( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ー ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)ノやぁ♪』 『プシュー( --)/占==3(。^。) 殺虫剤』 『ビビデバビデ(*゚ω゚) ;*.' ;ブッ!!w』 『(゜Д゜屮)屮(゜Д゜屮)屮(゜Д゜屮)屮』 『きもぃきもぃ オ∃ヨヨョョ。+゚(ノд`o)゚+。ョョヨヨ∃オ』 『ゎぁぃ♪ ヾ(*⌒∇⌒)八(⌒∇⌒*)ツ ゎぁぃ♪』 『(* ̄0 ̄*)ノ口 をーい、オヤジッ!もう一杯!!』 『♪\( ──────── 。 ──────── )やぁ』 『カメハメハー!! ( *゜ロ゜)ハ ⊂☆===≡≡≡)))☆』 『(σ‐ ̄)ホジホジ ウリャ(  ̄∇ ̄)_ペタ(・°△°)ヒイイ』 『ヽ(*⌒∇⌒*)ノ ・'゜☆。. ・'゜★。. ・'゜☆。ワーイ!!』 『(゚д゚(。_。(゚д゚(。_。(゚д゚(。_。(゚д゚(。_。(゚д゚(。_。(゚д゚ )スペシャルウンウンw』 『・・・( ´,_ゝ`)クッククク・・・( ´∀`)フハハハハ・・・( ゚∀゚)ハァーハッハッハッハ!!』 『(σ・∀・)σYO♪ヽ(・ω・ヽ*)チェケ♪(*σ゜ω゜)σラッチョ♪』 『ゴムゴムノパンチ!o(⌒∇)=━━━━━━━━━━━━━━━○★)゜O゜)/』 おまけ 『σ(・ω・*)ンート…今ひらめかにゃぃw』 なんとか種類別に分けてみました。 紛らわしいのが数種類ありましたorz ペットのLvや種族によって言わない台詞などがあるんでしょうか?・・・ ほかにもあった場合はコメントの方におねがいします^^ 『(゚д゚(。_。(゚д゚(。_。(゚д゚(。_。(゚д゚(。_。(゚д゚(。_。(゚д゚ )スペシャルウンウンw』 -- 顔文字系 (2008-02-04 13 24 51)(済) 『こんにゃ~vヽ(∇<*ヽ)(ノ* ▽)ノ』 顔文字系でしょうか? -- ソニア (2008-06-11 14 04 52) ペットのLvが201まだ上がりましたw その時の忠誠度は【------】と表示。 -- 鬼毘天 (2009-05-08 15 13 30) 名前 コメント ペット屋『子猫』は戦歴が1000?を超えたら町の施設の一番下に出現します。 ペットの忠誠度 1Lv【忠誠ってなに?】 40Lv【見直したぜ!!】 60Lv【良いやつだな!!】 80Lv【信頼しても良いのか?】 100Lv【お前と一緒で良かったよ!】 150Lv【一生付いていくぜ】 ペットの種類 使い魔 ゴブリン フェアリー ピエット ナマケモノ ワントリック ユグニート エルモニー ケツァール ケツァールと言う種族を確認しました -- 種類追加 (2008-02-02 01 43 02)(済) 忠誠度20lv⇒少し見直したぜ! -- 匿名希望 (2008-06-14 16 12 48) 「紅」と「ヘカトンケイル」の2つ種族を確認してます^^ -- カシス (2008-11-09 18 11 32) シルフの種族を確認しましたw -- 玲汰 (2009-04-17 16 00 37) 名前 コメント - -
https://w.atwiki.jp/nekomimi-mirror/pages/412.html
獅子国伝奇外伝 第1話 「にひひ~」 ご主人様が、腕組みをして満足そうな笑顔を俺に向けている。 「ほんっと弱いなぁ、キョータは。そんなんじゃ、ボクの相手はつとまんないよ」 その……ライオンと素手で戦って勝てというほうが無理です、ご主人様。 「ん~? あ、もしかして……」 ご主人様が、何かに気づいたように、少しいたずらっぽい笑顔を近づけてくる。 「ボクとえっちなことがしたくて、わざと負けてるとか?」 「なわけあるkぁだだだだだっ!」 なわけあるか、と言おうとして顔を上げたら、全身に激痛が走った。 「ん~? な・わ・け・あ・る・って言った?」 (なわけねえだろ……) と、言いたいけど痛くて言葉が出ない。それをみて、うんうんとうなづきながら俺を見下ろしてにひひと笑う。 「ん~そかそか~仕方ないよね、キョータも年頃の男の子なんだし、ましてやボクみたいな美少女がそばにいるんだもんねぇ……」 (自分で言うな) 言葉が出ないので心の中で反論する。 「ん~……ボクも罪な女の子だよねぇ……キョータの理性を奪い取って、こんなことまでさせちゃうんだから……」 (理性が吹っ飛んでるのはあんただ) ……まあ、百歩下がって、その……その、まあ、ケダモノにしてはかわいいんじゃないかとは思わなくもないというかなんと言うか…… 「……まあ、その……運が悪かったと思ってあきらめろ」 いかにもかわいそうなものを見る目つきで、フェイレンさんが俺に声をかけてくる。 漫画で見るような、ライオンが胴着を着た姿。いかにも強そうながっちりとした体つきで、この道場でもたぶん五本の指に入るくらいには強い。 けど、優しいしこの世界のこととかもいろいろ教えてくれる物知りな人。 「運命を受け入れた方が幸せなこともあります」 無感情な声が背後から。白いチャイナドレスを着た、俺と同じヒトの女の子。 ミコトっていう名前らしい。フェイレンさんの召使で、俺がいる「道場」医務室で手伝いとかしてる。 正直、彼女のことはよく知らないし、あの子も自分のことは話したがらない。 ただ、フェイレンさんと出会う前はあまり幸せじゃなかったらしい。 「もぅ、ほんとにいじらしいなぁキョータは」 そう言って、頬を染めながら体をくねらせるご主人様。頭の中では今頃、今夜どうやって食べようかと妄想をたくましくしてるに違いない。 「治療、終わりました」 ミコトちゃんがそういって包帯をきゅっと縛る。……まあ、どうせあと数時間もしたら全部ご主人様に剥ぎ取られるんだけど。 「そうか。よし……」 フェイレンさんが近づいてきて、手のひらを全身の痣に当てる。 掌から暖かい感触が流れ込んでくる。気功なんて、元の世界にいたときは信じちゃいなかったけど、こうして何度も受けていると、本当にそういうのも存在するんだと認めざるを得ない。 「よし、これで大丈夫だ」 そう言ってフェイレンさんが手を離す。御主人様にボコられた全身の痛みがきれいに消えている。 「ん、終わった?」 「ああ」 「じゃあ、連れて行くね」 そういうなり、有無を言わさず俺の腕をつかむ。 (……おれ……あと何年生きられるんだろう……) 引っ張られながら、ふとそんなことを思った。 「どなどなど~な~ど~な~子牛を乗~せて~」 ミコトちゃんの歌声が、医務室の方から聞こえてきた。 なんであなたはそんな不吉な歌を歌いますか。 ご主人様の部屋。 道場主の一人娘だけあって広くて、家具も豪華。 「じゃあ、約束どおり今日もキョータがボクのドレイね」 約束。組み手で負けたほうがその日一日、相手の言う事を何でも聞くっていう約束なんだけど…… それは約束じゃなくて一方的な決定って言うんだと思います、ご主人様。 だいたい俺に拒否権ないし。 「ほら、返事は?」 「はいはい」 「はいは一つ」 「はぁい」 投げやりに返事する。もうどうでもいい。 「もぉ……ムードを削ぐなぁ。ドレイのくせに生意気だぞ」 ご主人様がそういいながら不機嫌そうに俺を見る。 「俺はまだドレイになると認めた覚えはない」 ていうか、いつの間に俺はご主人様の所有物に決まったんだ? ていうかこの世界に人権とか職業選択の自由というものはないのか? 「まだ言ってる」 そう言って、ご主人様から俺の横に来て腕をからめてくる。 「でもこおいうのって、つんでれって言うんだよね」 ツンデレ……って、この世界のどこでそんな言葉を覚えたんですか、このご主人様は。 「本当はボクに気があるのに、わざとツンツンした態度を取ってボクの気を向かせようってんだよね」 違います。ていうか断じて違う。んなわけあるか。 「ん~そーいうところがカワイイんだよねぇ~」 そういって、また首をぷるぷる振って身悶えてる。 「ほらほら、全部わかってるからはやくはやく」 そう言って、俺を押し倒すようにベッドの上に。何がわかってるのかは聞かないことにする。 包帯でぐるぐる巻きになった俺に馬乗りになって、ご主人様が俺の服を脱がせていく。 「ねえ、抵抗とかしないの?」 「しません」 どうせ押し倒されるに決まってる。まだ夜は長いのに、そんなところで無駄に体力を消耗するわけにはいかない。 でもご主人様は、俺の答えに全然違ったことを思ってるらしい。 「そっかぁ……ってことは、やっぱり一刻も早く、ボクとえっちなことがしたいんだ」 「あのなぁ……」 もう反論する気力もない。 そんな俺をベッドの上で転がしながら、ご主人様が容赦なく胴着を脱がせていく。 しかも例によって、たったいま巻かれた包帯まで。 「にひひ~」 人を素っ裸に剥いておいて、ご主人様が嬉しそうな声を上げる。 ご主人様は金糸の刺繍がついたチャイナドレス姿。 褐色のショートカットの間から、丸い猫耳が二つ。 耳さえなかったら、普通にスタイル抜群の美少女というか……その、確かに俺の好みというか……いやいや、きっと気の迷いだ。 「ほらほら~見たいんでしょ? ボクのハダカ」 挑発的な顔でそういいながら、ちらちらとチャイナドレスのスリットを揺らす。 「ああ、見たいからさっさと脱げ」 「む゛~~……ほんっとにキョータはムードがないんだからぁ」 不満げなご主人様。悪いがこっちも付き合ってる余裕はない。 体力の消耗、それ以上に精神力の消耗との8時間耐久レースだ。 そういいながらも、チャイナドレスを脱ぎだすご主人様。 ちらちらとこっちに流し目を送りながら、ゆっくりと、人の目の前で脱ぎ始める。 「…………」 ついつい見てしまう俺が情けない。 いや、確かにいいスタイルしてるんだ。ボクとか言ってるくせに。 その、別に獣の毛が生えてるわけでもない……ていうかほんと、体つき自体は人間、それもグラビアアイドル顔負けなんだよ。 「ほらほら~見てる見てる~」 そう言って、嬉しそうな声をあげて喜ぶご主人様。 「う、うるさいな……いいからさっさと脱げよ」 顔をそむけてそう言う。逆効果かもしれないが、なりふりかまっていられない。 「あははっ、照れてる照れてる」 「……ぅるさい」 「でも、ほんとカワイイよね、キョータくんって」 「……男がカワイイって言われても嬉しくない」 その言葉に、くすりとご主人様が笑う。 「オトコじゃなくて、オトコノコでしょ」 そういいながら、上半身だけ脱いだ半脱ぎのチャイナドレス姿で御主人様が胸を押し付けてくる。 「うわっ!」 びっくりしてのけぞる。その表情を見て、ご主人様が笑う。 「ほらほら~。やっぱりオトコノコだ」 「……」 顔が赤くなっているのが自分でもわかる。いや、普通健全な男ならいきなり女の子に胸を押し付けられて驚かないはずがない。 「純情だなぁ、キョータくんは」 「……ご、ごしゅじんさまが変なんだっ」 声が上ずってる。やばい。どう考えても意識してるのがモロにばれる。 「んふふ~~」 不気味な笑い声。 「ドレイのくせにそんなこというなんて、生意気だぞぉ」 そう言って、今度は力づくで俺を押し倒す。 馬乗りになって、両手で俺の両手を押さえつける。 つまり、その…… 上半身裸で、そんなことをされてるわけだから…… 「ち、ちょっと待った……」 目の前にある二つのふくらみから必死に眼をそむけて言う。 「だぁめ」 そお言って、そのままぱたんと俺の上に体をおしつけてくる。 「ち、ちょっと、ちょっと待てって……」 体をばたつかせるけど、俺より小柄なご主人様のどこにこんな力がってくらいの力で両手を押さえられてて身動きできない。 で、その状態で俺の顔にご主人様の胸のふくらみが…… ふに。 「や、やめろって……」 しぼりだすように声をだす。頬にやわらかい感触が伝わってくるだけで、心臓がばくばく鳴っている。 「ほらほら~」 いたずらっぽく言いながら、ご主人様が体を左右に揺らす。そのたびに、そのやわらかい感触が左右に動く。時々こりこりとした硬い物が当たるのってたぶん…… 「だ、だから、その……」 「降参する?」 ご主人様の声。 「降参って、何が……」 「ひとつ、キョータくんはまだまだ純情なオトコノコです。ふたつ、キョータくんはボクのドレイです。みっつ、キョータくんはボクのことが大好きです。全部認める?」 「ま、まて、最後の一つは……」 「違うとはいわせないぞぉ」 「で、でも……」 「でも、じゃない」 そういって、また、すりすりと。 そのたびに鼓動が早まって、下半身がやばいことになってるのがわかる。 「わ、わかったから離せよっ!」 「認める?」 すりすり。 「み、認めるから!」 「じゃあ反芻」 「って、待……いや待て、言うから、言うから離せっ!」 「ちゃんとキョータくんが自分の口で言うのが先だよ」 すりすりすりすり。もう言うから許して。俺の理性が音を立てて崩れてるのがわかるから。 「ひとつ、俺はガキだ、ふたつ、俺はご主人様のドレイだ、三つ、俺はごしゅ……」 やばい、三つ目だけはどうしてもいえない。ていうか、言ったらその瞬間にこっちの心臓が止まる。 「ほらほら、まだ最後の一つが言えてないよ~」 「ま、待て、その、それだけは勘弁……」 「だぁめ。ドレイならちゃんとゴシュジンサマの言うことを聞く」 そう言って、また胸を押し付けてくる。俺が発狂寸前まで理性が壊れかかってるとわかっててやってるに違いない。 「……そ、その……」 「なぁに?」 ご主人様の声。何とか言い訳しようとして言う。 「……いや、その……そういうのって、もう少しムードのある空間でいうものじゃないか?」 「……ぷっ」 頭の上から、吹き出したような声がする。 「あははははっ、キョータくんがムードなんてこと言うなんて~」 そういいながら、やっと顔の上から胸を離す。 「ぷはっ……」 息をついた俺の顔を、ご主人様が見ている。 「……なんだよ」 強がってそう言ってみるけど、たぶん今、俺の顔は真っ赤になってるに違いない。 いや、もっとやばいのはむき出しの下半身なわけで。 「キョータくんのそんなところが、ボクは好きだよ」 「!」 あっさりと言われて、心臓が爆発しそうになる。 「だって、そーでなきゃ、こんなことしないよ」 そういって、また体を押し付けてくる。 ちゅ。 横を向いた俺の頬に、唇が触れる。 「そ、その……さあ」 「なに?」 唇を離した御主人様が、耳元でたずねてくる。 「俺……その」 「なぁに?」 熱い息が頬にかかる。そのたびに、心臓がばくばく鳴るのがわかる。 「……いいや、御主人様のドレイで」 そう言って、正面を向く。目の前に、頬を染めた御主人様の顔。 ボーイッシュな美少女。至近距離で見ると、耳とか気にならない。 「好きにしてくれ」 「いいの?」 「ああ」 こうなったら、堕ちるところまで堕ちてやる。 御主人様の顔が、俺の顔に近づく。 「今日は、ドレイと御主人様だけど」 ちゅ。 御主人様が、舌を絡めてくる。 両手を押さえつけていた腕が、首に巻きつけられる。 熱い息が鼻腔をくすぐる。 だから、俺も。 あふれてくる欲望に任せて、御主人様の首と背に腕を回す。 こちらからも舌をからみつかせ、きゅっと抱き寄せる。 やわらかい肉体の感触が腕に、そして俺の上に伝わってくる。 いつの間にか、どちらからともなく脚も絡みつかせている。 半脱ぎのままのチャイナドレスが邪魔だけど、それはこれが終わったら脱がせる。 しばらく舌を絡ませてから、どちらからともなく離す。 唾液の糸が、俺たちの唇をつなぐ。 「明日からは違うよ」 「何が?」 「キョータくんはボクのものだけど、ボクもキョータくんのモノ」 「……?」 「ボクのこと、キョータくんの好きにしていいよ」 「って……」 「もう、ニブいなぁ」 そう言って、ぷぅと口を尖らせる。妙にコドモっぽいけど、でもかわいい。 「いいもん。いつか絶対、キョータくんに好きだっていわせてやるんだから」 「……言うだけなら、今すぐだって言えるけどな」 「さっきは言えなかったじゃない」 「う……」 「それとも、今なら言える?」 「い、いえるさ……その…………………」 言おうとするが、なんか心臓の調子が悪いというか。なんか心拍数が倍ぐらいになってるし。 「んふふ。やっぱりオトコノコだねぇ」 「……ぅるさい」 「やっぱり、おねーさんがリードしなきゃだめか」 「……おねーさんって言えるような精神年齢じゃねえだろ」 「あぁーっ、言ったなぁ!」 上にのしかかってくる。 「んぷっ……ち、ちょっと、待て、その、怪我が……」 「キョータくんが悪い!」 「わ、わかった、その、謝る、謝るから!」 その言葉に、やっと体を離す。 「でも、謝ってもオシオキは必要だよね」 「お、おしおきってなんだよ……」 「これ」 馬乗り状態から体を横にずらした御主人様が、すっかり硬くなった俺の肉棒を指でつつく。 「って、それ!」 「ほらほら、今日はまだボクのドレイなんだから抵抗禁止だよ」 そういいながら、俺の両足を持って、ベッドに腰掛けるような体制にさせる。 「ゴシュジンサマにひどいこと言ったんだから、とーぜんカラダで償ってもらわなきゃね」 そう言うなり、ぱくりと俺のを口にくわえる。 「っ……」 舌が、筋を下から上へとなぞり上げる。 柔らかい唇が前後に動き、包み込むようにこする。 「っ、その……っっ……」 何か言おうとするけど、何か言うより先に暴発しそうな気がする。 ていうか、間違いなく暴発する。 いくらなんでもそれはヤバいというか。 人のそんな苦しみをよそに、御主人様はちろちろと舌を這わせて、くちゅくちゅと音を立てて俺の肉棒を吸っている。 くちゅ……ちゅる……ぴちゅ……と、さっきから濡れた音がしている。 マジでやばい。ていうか、このご主人様、ボクとか言って子供みたいな精神年齢のくせして、所詮ケモノ娘のくせして反則級に上手い。 「んふぅ……」 御主人様が、拷問をやめて肉棒から口を離す。 「は、はぁ……はぁ……」 荒い息を吐く。 「ふふ……ガマンしてたでしょ、キョータくん」 「……わ、わかってたんなら……」 「ボクの顔に出したりできないって思ってたんでしょ」 「わかってたんなら……」 「だからオシオキなんだよ。キョータくんがガマンできなくなるまで、ボクはやめないからね」 そう言って、また俺の肉棒をくわえる。 くちゅ、くちゅ、ちゅぱっ…… 「っ、待て、さっきより……っっっ!」 口の動きが激しい。 御主人様の唇が俺の肉棒上下から強く押し当てられ、舌は蛇のように絡みつき、そして喉の奥から吸い込むように動く。 「だ、だから、よせって……っ!」 御主人様の両腕が、俺の腰に回されて逃げられないようにしている。 「……やめ、その、っくっ、っっ、んうっっっ!!」 もう限界だった。 意識がはじけ飛んで、俺はご主人様の口の中に欲望をすべて吐き出した…… 「ん……」 口元をぬぐう御主人様。白い液体が、唇のふちを濡らしている。 「…………」 呆然としている俺。そんな俺を、御主人様はじーっと見ている。 「気持ちよかった?」 「……死ぬほど」 その言葉に、またうんうんと子供っぽい満足な笑顔で何度もうなづく。 「ん~そかそか~。修行のかいあったな~」 修行してたんですか、御主人様。 「ガマンしてるキョータくんの声、すっごくえっちだったな……」 「……っっ!」 「でもね、こんなんじゃ許さないんだからね」 怖いことを言い出す。 「……」 「ボクなしじゃ生きていけないようにしてやるんだから」 ……なんですかその恐ろしい宣告は。 「こっからが本番だからね」 そういいながら、御主人様はチャイナドレスと下着を全部脱ぐ。 全身に何もまとわない御主人様。うっすらと汗ばみ、桃色に染まった体が異様に色っぽい。 俺の理性のタガが、何かぎしぎしと悲鳴を上げているのがわかる。 「キョータくんはボクだけのもの」 そういいながら、裸体を押し付けてくる御主人様。 「そして、ボクもキョータくんだけのもの」 体温の温かみと鼓動が、汗ばんだ肌から直に伝わってくる。 「絶対に離さないんだからね」 「……はいはい」 「はいは一回」 「いやだ、って言ったら?」 わざと、そう聞いてみる。 「そんなこといったら……」 ちょっと、困ったような顔。そんな御主人様に、こちらからキスをする。 「っ……」 そして、すぐに離す。驚いたような顔が目の前にある。 「もぅ……」 怒ったような声。 「今日はまだ、キョータくんはボクのドレイなんだよ」 「そうだったな」 「む゛ぅ~~罰として、明日立てないようにしてやるんだから」 「……い、いや、それはちょっと……」 「何か文句あるの?」 「いろいろと」 「却下」 そう言って、また御主人様は抱き合っていた肌を離す。そして、俺を仰向けに寝かせて、その上に。 ぬちゅと、濡れた音がして俺と御主人様のカラダが?がる。 「痛くないよね?」 「それは、俺が聞く言葉だと思うが」 「だって……キョータくん、コドモだし」 「お互い様だ」 違いない。御主人様もぜんぜん子供だけど、俺だって……何のことはない、あっさりその気にさせられて、ガキもいいところだ。 でも、それはそれで悪くないかもと思う。 「じゃあ、始めるよ……っっ……」 御主人様が、体を動かし始める。 きゅっと締まった感触が上下に動く。 「っ……んんっ……キョータくん……だいじょうぶ……?」 「っ……そ、そっちこそ……」 「ボ、ボクはへいきだもんっ……キョータくんこそ、コドモのくせに……」 妙に強がったような返事が帰ってくる。それがなんとなくおかしい。 けど、こっちも笑ってる余裕なんて全然ない。ていうかどう考えても一回出してる俺のほうがやばい。 まあ、それでも。 「んっ……んあっ、ああんっ……」 えっちぃ声を上げて、たわわな胸をぷるんぷるんと揺らしながら悶える御主人様の姿はとてつもなく色っぽくてかわいい。 「んっ……キョータくんっ、キョータくんっ……」 「どうした?」 「……ボ、ボク、ボクっ……キョータくんに……こんなえっちなところみられてる……っ、ああんっ……」 髪を振り乱して、汗を散らしながら悶える御主人様。潤んだ熱っぽい眼が、俺を見ている。 もっとも、それを鑑賞できるほど俺に余裕があるわけでもない。 ていうか。 御主人様が乱れてるその一番色っぽい時に、先に暴発して台無しにしたのは俺だったりするわけで。 「……キョータくん……」 「悪い」 「二回も出しちゃうなんて……そんなに、ボクが色っぽかったんだ?」 「……ああ」 さすがに認めるしかない。ていうか絶対にこの上手さは反則だ。 「そっかぁ~~」 満面の笑み。 「キョータくん、もうボクから離れられないよね」 「離す気もないくせに」 「へへ~んっ、当然でしょ」 「で」 「何?」 怪訝そうなご主人様に、そろそろ反撃を試みる。 「俺だけ二回出して、御主人様はまだイッてないんじゃあ気の毒だなぁ」 「き、気の毒って……その、ボクは……」 「二回はイカせてあげないと不公平、そうだろ?」 「で、でも、ボク……っ、その、そこはダメっ……」 俺の指が、御主人様の大切な場所にもぐりこむ。 「指で悪いけど」 くちゅ…… 「んっ……」 御主人様の体が大きくのけぞる。 腰にもう一方の手を巻きつけて、、無理やり引き寄せる。 ちゅくと、片方の乳首を吸う。 「んっ、だ、ダメぇっ……」 口では嫌がってるけど、カラダは本気では嫌がってないのがわかる。 「だ、ダメだってのにぃ……」 その声が、だんだん弱弱しくなっていく。 それにあわせて、蜜があふれて指に絡みつく。 ひくひくと秘肉がうごめいて、指を締め付け、奥にいざなおうとする。 「ぼ、ボク、別にっ、感じてなんかないんだからっ……」 その言葉とは裏腹に、体のほうはずいぶんと貪欲に指と舌を求めている。 「……ぼ、ボク……キョータくんなんかに気持ちよくさせられるほど……コドモじゃないんだからっ……」 強がる御主人様の秘肉に、指をくいと押し込んでみた。 「にゃあっ!」 御主人様が猫のような悲鳴を上げてのけぞる。その体をまた力づくで抱き寄せるとさらに責める。 「っ、いやっ、やぁぁっ……」 ぷるぷると痙攣する御主人様。それを無視して、さらに指を動かす。 「やあぁぁぁぁっ!」 悲鳴とともに、御主人様が大きく震え、そして大量の潮を吹いて果てた。 「……キョータくんのくせに」 「ん?」 睨み付ける御主人様。でもその頬は赤い。 「ボクをこんな目に合わせるなんて百年早い」 「百年たったら死んでる」 「……ボクの許可なくこんなことするなんて生意気だ」 「俺はご主人様のものだけど、ご主人様も俺のもの、だろ?」 「……それはそうだけど」 「じゃあ、問題ないよな」 ぱたん。 「……って、どうしてキョータくんがボクの上になってるの?」 「あと一回あるだろ」 「……っ!」 「今度は、指じゃないから」 「……キョータくんのバカ」 ぷいと、ご主人様がそっぽを向く。 こんな表情もかわいいと、俺は思った。
https://w.atwiki.jp/nekomimi-mirror/pages/614.html
太陽と月と星がある 第十七話 最近、帰宅した時の御主人様の機嫌がいい。 とてもいい。 ひょっとして仕事でいいことがあるんだろうか。 それとも……。 試読用と赤く印字された新聞を開くと三面を飾るのは、『けん☆どる ナリタ 引退!!!』という文字と剣を咥えた血まみれの青年の写真。 ボロ布同然の服と、半分ほど千切れた左腕と、嫌な方向を向いたままの右手。 髪の上に獣の耳はなく、尻尾も無い。 ヒト、だ。 ヒト同士を闘技場で戦わせる…K-1とか、ああいう感じのものの有名な選手だった らしい。 過去形。 ヒトの値段は高く、それなのに命の価値はとことん低い。 ……まぁ、どうせそんなもんですけど。 記事を流し読みした所、彼は今後後進指導にあたる予定。 オーナーの元には、優秀な子種を求めて大量の 縁談 が申し込まれて―――― 「キヨちゃぁぁああああんっ!」 タックルを喰らって、ついでに新聞を取られる。 「もう、なんなんですか!お茶にはまだ早いですよ」 勢いよく椅子から落とされたせいでお尻が少し痛い。 スカートと髪を直して、意図的に肩をすくめる。 深緑色の瞳に、自分の顔が映っているのが見えたので唇を曲げてみる。 短く刈られた髪の下から覗く、血の気の失せた顔暗い眼。 ――― 大量の 縁談 が ――― こちら生まれなら免疫があるし、容姿が整っていて才能があって最初から立場を弁えている…… 「だってぇーそなんあ新聞よりもっと俺に熱い眼を注いで。もっと過激に!もっと激しく!」 しっかりと新聞を抱きしめて、くねくねしながら気持ち悪いことを言うジャックさん。 先程のは、毎朝NEWニャン新聞……カツスポのライバル紙…みたいなものです。 ジャックさんが取っているのはカツスポの方。 勧誘の人が置いていったのを読んでいたらこのザマです。 細かいことを追求していくと疲れるので、考えるのを止めてリクエスト通り白衣のジャックさんを上から下までじっくりと眺めました。 相変わらず毛がふわふわしていて、無駄に暑そう……。 「あ、その眼は止めっダメ!そんな眼で見られたらオレ!あっ!」 気持ち悪いので床でのた打ち回る白衣からそっと目を逸らし、窓の外に眼をやりました。 相変わらず、外は暑そうです。 今日も医院は閑古鳥。 暑いのでみんな昼間は外に出たくないらしく、最近は熱射病で運ばれてくるイヌがせいぜいです。 あと換気忘れて室内で熱射病とか。 日が落ちれば多少は常連さんが来るのですが……。 暇過ぎてやることも無いしなぁ……ジャックさんをほっといてもろくな事にならないし……。 そうだ。 「ジャックさん、暇なら私の髪の毛切ってくれませんか?」 *** 襟首がちくちくします。 まだ湿り気の残った髪が気恥ずかしい。 なんとなくショーウィンドを確認しては手櫛で梳いていると、反対側から見たことのある女の子がこちらを見ているのに気がつきました。 確か、サフの彼女の。 「ニキさん」 相変わらず可愛らしい。……いいなぁ。 白い髪には前髪がジャマなのか花柄のピンで留められ、夏らしいフリルっぽいノースリーブにハーフパンツ、長めの尻尾がちょっと膨らんでいます。 かわいい。 「…どうも」 「こんにちは、おひさしぶりです」 何故、一歩下がるんだろう……。 彼女は周囲を見渡すと、ちょっと嫌そうな感じで口を開きました。 「あの、サフって今日…」 「確か、魔法を習いに行くって行ってましたよ」 遊ぶ約束でもあったのか、耳がぺったりして、露骨にがっかりした姿。 ラブラブですか。いいですね。 「そろそろ終わる時間だと思うから……」 「…どうも」 警戒されているんでしょうか。上から下までじっくり眺められ、非常に居心地が悪いです。 なんか、悪いことしたかな……。 「髪留め、可愛いですね」 場を和まそうと取りあえず口にした言葉に、ニキさんの顔が一瞬緩みました。 「よく似合ってます」 「サフに貰ったんだ」 「へぇー意外とセンスいいんですねー。知りませんでした。凄く可愛いですよ。服にも似合ってるし」 ニキさんは髪留めに手をやり、尻尾をくねらして恥ずかしそうな表情になりました。 「マジでそう思う?」 「思います」 この表情は、見覚えがあります。 好きな人が出来たと報告してきた友達と同じ表情です。 「で、でもアンタもサフになんか貰ったことあるんだろ?」 くわっと眼を見開き、表情が一変しました。感情が豊かなことは確かです。 というか、話題いきなり飛んでいませんか?なんでそうなるんだろう……。 「ないですよ?」 ニキさんの返事を聞く前に不意に影が差し、頭の上に重さを感じて見上げるとほっぺたをむにむにされました。 「キヨカ、見つけた」 「リーィエさん?」 み、みえない……。 いや、そこぐりぐりしないでください。だめそこいたきもちいい。 「ジャックに聞いて追いかけた」 ぐにぐにむにむに 「ちょ、オレが話してんだけど、今大事な話してるとこなんだけど!ねぇ今のマジ?ホント?嘘じゃないよな?だってサフってみんなに優しいじゃん?」 ニキさんに腕を引っ張られました。 大事な話だったのか……。 「こちらも大事な話がある」 首に手を回され、そのまま引きずられそうです。 女性二人とはいえ、密着されるとそれなりに暑苦しいものがあります。 私を挟んで、よくわからない会話を続けるお二人。 あーリィエさん、つなぎなのによくわかる柔らかい感触が凄く羨ましいです……。 ニキさんはー…今後に期待ですけど、可愛いし…いいなぁ2人とも可愛く綺麗で。 御主人様もこういう子がいいんだろうなぁ……。 こういう風だったら、よかったんだろうなぁ……。 話しながら、腕を引くニキさんと首に回した手を離さないリーィエさん。 どうなるかといえうと、私がうまいこと首を締められたかたちになります。 なんでこっちの人って、首を狙うのでしょうか……。 暑さと酸欠で薄れ行く意識の中、2人が言い争う声がぼんやりと聞こえました。 *** 「つか、キヨカがウサギのクセに地味だから逆に疑わしいっていうかさーだから、そのー…にゃー…ぁ」 「見苦しい嫉妬」 「普通思うだろ!ウサギだし。そっそういうのを好きなのを引っ掛ける罠だって思うじゃん!」 「そこまでは思わない」 「オレはそう思ったの!ねーちゃんだって言ってたし」 「シスコン」 「うっさいヤマネコ女!」 「ご注文のカキ氷三点お持ちしましたー」 「自分は女ではないと自覚しているのだな」 「ありがとうございますーそれはこっち、これはあっちです」 「どこがだ!そっちこそおっさんみたいな格好のクセに!」 「ごゆっくりどうぞー」 「これは仕事着。君が着るとマダラと誤解されるので勧めない」 「にゃー!!むかつくー!キヨカも!笑ってないでなんか言えよ!!」 初対面なはずなのに、非常に楽しそうな2人。 私は無言で小倉をかき混ぜました。 ニキさんはレモン、リーィエさんはイチゴ練乳。 2人はお互いの様子を伺いつつカキ氷に手を伸ばします。 一口食べて頬を緩め、もう一口食べてから同時に頭を抱え悶えました。 わりと面白いです。 「つ、つかさ。だって、キヨカだって超地味じゃん。メイドみてぇだからさ、そういうの好きなのかと思うじゃん。ワナだと思うじゃん。もっと普通なの着ればいいのに」 何をいわれたのか理解できずに一瞬そのままになり、それから首を傾げてみた。 「地味?」 リーィエさんにまで頷かれました。 正直、ヒラヒラでスケスケなのばかり着てたからこれぐらいで十分……まぁ、興味が無いわけではないんですが……。 第一、私はメイドというか家政婦というか……ペットみたいなものなわけで。 ジャックさんからお給料をもらうようになったといっても、御主人様に養っていただいてる身の上で贅沢とか……。 それに……その……。 「私には……似合いませんから」 ちょっと気まずいので笑顔を作って茶化した瞬間、椅子が引っ繰り返る音とどたばたとした騒がしい気配が喫茶店内に響きました。 「衛生兵ーっ衛生兵ー!誰か!恋に効くクスリかバカにつける薬を!」 「もう駄目だ、ヘンリー頼む、オレの代わりに…あ、あの娘の…」 「判った!デートに誘っとく!」 「しっねぇええ!」 ……路上パフォーマンスというのでしょうか。 ネコの青年達が小芝居をしています。 あまり他の人をじろじろと見るのも失礼だという事を思い出し、続きが気になりつつむりやり首を戻すとリーィエさんは夢をみているような表情を浮かべていました。 「リーィエさん?」 「ああ、うん」 瞬きし、やけに慌てた仕草をするリーィエさん。頬がちょっと赤い。 ニキさんは小芝居している青年達とリーィエさんを呆れた目で見てから、深く溜息をつきました。 「そういえば、お二人とも何か話があるって言ってませんでしたっけ?」 「あ、そうだ忘れてた。あのさぁ、なんでキヨカってサフと暮らしてんだよ。キョーダイならウサギ男と住めばいいじゃん」 先に口を開いたのは、ニキさん。 テーブルに手を着き、覗き込むようにしてこちらを詰問してきました。 「サフと暮らしているんじゃなくて、あの人に住まわせてもらってるんですよ」 ニキさんが口を開けたまま動かなくなったので、小倉を掬って、口の中に入れてあげました。 白い尻尾がぶわっと逆立ち、涙目で睨んでいます。 「あんこ苦手?」 こくこくと頷く姿が、可愛らしい。 一生懸命飲み込もうとする姿を見て、何故か胸がきゅんとしました。 「キヨカ、私にも」 「あーん」 クールな人がお茶目な事をするのも相当可愛らしいものがあります。 「はい、キヨカあーん」 ちらりとこちらを見たウェイターさんの鼻先や耳の内側がピンクになるのがみえました。 気持ちはわかります。 あ、練乳も美味しいしレモンもいいなー。 「それで、リーィエさんの御用は?」 私より背が高いのに上目遣いされました。 やけに胸がどきどきします。 「試合、何故来ない」 「え、あー ……」 リーィエさんとは以前、拳闘の試合を見に行くという約束をした覚えがあります。 確かに、行くつもりでした。 でも、……。 私は言葉に詰まり、濡れたガラスの容器を見つめました。 「ごめんなさい」 本当は、私はここにだって居るべきじゃないんです。 御主人様の許可も得ず何かしたら、御主人様が不快に思うかもしれません。 不快に思って、私を売ろうと思うかもしれません。 できるだけ長く飼ってもらうには、失点を少しでも減らさなくてはいけません。 もっと働いて、できればお金も稼いで、御主人様に今みたいに飼ってる方が得だと思ってもらわなくてはいけません。 でないと…… 「すみません、用事思い出したので先に失礼しますね」 思ったより、椅子が派手に鳴った。 喫茶店のある通りは、衣料品店が立ち並びおしゃれな格好をした人々で溢れています。 ショーウィンドで着飾って並ぶマネキンには、大きな耳や尻尾や羽が当然のようについています。 だって、ここは日本じゃないから。 ヒトで中古の私には、こっちの服装は似合わない。 綺麗な服を着たって、褒めてもらえるわけじゃないし、そもそも服だって買えばお金が掛かるし。 今だって、ジャックさんにお給料を戴けるのだって奇跡みたいなものなんだし。 私なんか、他のお金を稼ぐ方法も……無いわけじゃないけど、きっとムリだし。 ご飯を食べさせてもらえて、寝るところがあって、少しは役に立ってる。 十分私は幸せ。 あとどれくらいこうしていられるのかわからないけど、私は幸せ。 ヒトだっていう事を隠しておけば、みんな普通の人みたいに接してくれる。 ヒトだからって蔑まれたりしない。 だから大丈夫。私は幸せ。 石畳の隙間の雑草を眺めながら、何度も自分に言い聞かせる。 私は、しあわせ。だから…… 「あのさ、この前、川行った時の」 耳元で急に声を掛けられて、とっさに掴まれた腕を振り解こうとしたらニキさんでした。 「ごめんなさい。ちょっと…驚いて」 驚いた顔をしているニキさんに謝る。 「あ、ああ」 こくこくと頷き隣りを歩きだす彼女に内心首を捻り、捉まれた指先をちょっとだけ握り返す。 「オレ、米苦手だったんだけど意見変わったかも」 何の話かわからずに首を傾げると、ニキさんは白い耳の内側をほんのりピンクに染め、ちょっと恥ずかしそうにした。 「おにぎり」 最近わかったのですが、御主人様もサフもジャックさんも和食より洋食派です。 チェルは何を食べても美味しいというので、あまり参考になりません。作り甲斐はありますが……。 「アレ、美味かったよ。オレああいうの結構好きかも」 そういって指を握り、ちらりと笑いました。 友達の笑い方に、よく似ていました。 辛いときに隣に居てくれた友達に似ていました。 「…ありがとう」 ニキさんはこちらから目を逸らし、ショーウィンドのマネキンを指差しはしゃいだ声でその服装のよさを力説しはじめました。 「そういう顔はしない方が良い」 不意に頬を引っ張られ、焦る。 引っ張ったのはいつの間にか後ろに居たリーィエさん。 さすがネコ科、足音が全然聞こえませんでした。 「色々釣れてしまうから、ダメ」 やけに真面目な顔をしています。 「ちゅれるって」 引っ張られた箇所を撫でてつつ尋ねると、ニキさんとリーィエさんは顔を見合わせ深刻な表情を浮かべました。 「念の為に聞くけど、キヨカって付き合ったことあるよな?」 「つきあう?」 「男でも女でもいいけどーそのアレ、恋人とか」 男性経験ならありますよ。死ぬほど。 とは言えないので曖昧に笑うと、再び2人は顔を見合わせました。 「あのヘビ男との関係は?」 「家主さん」 御主人様とは言えませんので。 「掃除、苦手みたいなので、居させてもらってるし…掃除くらいじゃ全然足りないんで他の事もしてますけど」 何故かニキさんの表情が引き攣りました。 「オレ…よくわかんないけど、そういうのってよくないんじゃないかな…ねーちゃんも身体は大事にするべきだって言ってたし……」 俯いて私の肩に手を置きぼそぼそと喋っています。 「ジャックん所住めばいいのに?」 「血の繋がり、有りませんので……」 形容し難い表情を浮かべたリーィエさんはニキさんを物陰に引っ張り込み、何やら二人で言い争いを始めました。 夕暮れ時、帰宅を急ぐ人々から不審そうな視線が集まるのがよくわかります。 今夜は何にしよう。コロッケでいいかな。キャベツっぽいの買わなきゃ。 「なー、キヨカぁ」 口元に泡が付いてるニキさんとリーィエさんが耳をピンと立ててこちらを見ました。 二人とも目が笑っていません。 「あのヘビと実際どうなんだよ…してたり、するの?アレと。ウロコだし、毒あるよなアレ」 物凄く真剣な眼差しで詰め寄るニキさん。鼻がくっつきそう。 私は口元に軽く人差し指を押し当て 「 ひ・み・つ 」 そう囁くと、リーィエさんが妙な声を上げて鼻を押さえました。 「いつでもウチに来ていい。むしろ一緒に住もう。そんな横暴な男は捨てるべき!掃除しなくても人は死なない!」 そういって私の頭に手を伸ばすリーィエさん。 そして……むぎゅっと……。 ……ちょっと巨乳好きの気持ちがわかってしまいました。 「リー、キモい」 ニキさんの呆れた声。 「友達だから問題はない」 「いや鼻血ぐらい拭けよ…」 あのー……私、いつまでこうしてればいいんだろう……。 どうしても帰るのかと執拗に引き止めるリーィエさんを振り切り、夕食の買い物を済ます頃には二つの月が空に輝きだしていました。 *** 普段よりもかなり遅く帰宅した御主人様の機嫌は、ここ一ヶ月内で一番最悪でした。 何か嫌な事でもあったのか、いわゆる殺気…みたいなものが漂っているような気がします。 早めに晩御飯にして良かった。 2人とももう寝ちゃってるから、もし御主人様が怒る事があっても2人には見られなくて済むし……。 「お疲れ様でした。残業ですか?」 御主人様は返事をせず自室へ向かいました。 どうやら、そうとう嫌な事があったようです。 キッチンに入り、晩酌の準備。 凶悪犯罪者フェイスなトカゲ男から、美貌のボスモンスターに戻った御主人様は疲れた様子で椅子に腰掛け小皿満載のテーブルを一瞥してから目付きを悪くしてこちらを見ました。 「なんだこれ」 「嫌いでしたか?これ」 御主人様に内緒で購入しておいたおつまみとかなんですが。 「買った覚えはないぞ」 そういって指されたのは地味な容器に入った赤いお酒。 砂漠でしかとれない実をお酒にしたとかで、ワインよりも透明度が高い赤色は、なんとなくアセロラを思い出します。 「というか、売ってないだろう」 「酒屋さんでお願いしたら売ってくれました」 御主人様は私とお酒を交互に見て、眉間に皺を寄せました。 「嫌いでしたか」 しょうがないので片そうとしたら、手首を掴まれました。 「お願いって、なにか変な事とか、されてないだろうな」 変な事って。 ナニ。 私の困惑に気がついたのか、御主人様は尻尾の先を床にぴしぴしと叩きつけ、こちらから顔をそむけるとつまみに手を出し始めました。 てゆうか、これだけ色々用意したのに、一番最初に手を出すのがカエル……。 そりゃ、好き好きですけど……。 卵料理とか鳥とか漬物とか色々あるのに……。 「カロティポは、久し振りに見たな」 あ。御主人様笑いました。 何千回でも言いますが、御主人様は美形なので、何をしてても美形ですので笑っても当然美形です。 ……あ、壁ちょっと汚れてるから、掃除しなきゃ。 「これは、客に出すものだ」 ……ぬ? 御主人様が隣の椅子を叩いたので取り合えず、腰掛けます。 お酒、喜んでもらえたみたいです。 「あとは…祝いのときか」 「砂漠の名物辞典にはそんな事書いてありませんでしたが」 うっかり漏らした呟きが聞こえてしまったらしく、御主人様はお酒と私を交互にみて顔を逸らしました。 「今日呑むのには勿体無いな。いつものを頼む」 私は頷いて買ってきた分を片し、いつもの方を準備します。 「今日は、映画を観てきた」 なにやら話し出す御主人様に耳を傾けつつ、お酌する私。 「映画……ですか」 そりゃ、御主人様だって息抜きが必要だって事ぐらいわかります。 ペットごときが御主人様の交友関係を気にする必要だってありません。 ……少なくとも、ジャックさんと見に行ったわけではないのくらい、想像がつくだけです。 「非常に胸糞悪い内容だった」 で、機嫌が悪かったと。 なら、一緒に行った人ともあんまり盛り上がっていないって、思ってもいいんでしょうか。 ちゃんと帰ってきたし……。 いいなぁ……御主人様と映画。 「どんなジャンルですか?恋愛?アクション?まさか特撮?」 あ、御主人様がすごい無表情です。 無言でぱりぱりと干し海老みたいなのを食べ、ちらりとこちらを見てから目を逸らしました。 「女優が……」 固唾を呑んで御主人様の口元を見つめる私。 「お前に似てた」 思わず俯いて、膝の上に載せた指先を睨みました。 マニキュアも何もしていない短い爪に、指先も少しざらざらしています。 ちょっと……不機嫌だった理由が、私だと暗に言われたような気がしただけです。 居ると不快だとか、見た目が悪いとか まだ 言われたわけじゃないし……。 ……貞子みたいな人が出る映画だったらどうしよ。オバケ似とか、へこむ。 明日の仕度でもしておこうと椅子をずらし、席を立とうとしたら物凄い目で睨まれました。 一体何を考えているのか……。 無言の圧力のようなモノを感じ、仕方なく夜食用のパンとナイフを手に取り席に戻ります。 御主人様が好きなのは、柔らかくて軽い食パンではなく、円形の固くて分厚くて重いパンです。 ナイフで切ろうとすると、やたらとパン屑がこぼれ薄切りではない何かになるタイプ。初めて切ろうとした時、台形になったのもいい思い出です。 それにつまみとして出したサラミやチーズや野菜類を挟んだものを作ったはしから食べていく御主人様。 「ヒトオタクが作った映画とかでな。酷かった」 御主人様はソーセージを食べながらそう言って、なんだかどこか痛いような表情を浮かべていました。 「ノンフィクションですか?」 トマトの輪切りをぱくりと飲み込み、首を横に振る御主人様。 「なら、今度から観なければいいじゃありませんか」 御主人様の健啖ぶりを半ば呆れながら眺めていると、目の前にフォークで刺した香草入りハムを突き出されました。 「食え」 「もう晩御飯は戴きましたので、これ以上食べたら太ります」 「太れ」 理不尽発言来ました。 「太っても巨乳にはなりません」 私がそう返そうと口を開くと、無理やり押し込まれました。 フォアグラですか、と言いたくなったのを堪えてもぐもぐしながら見れば、御主人様はどことなく満足げな雰囲気を漂わせています。 最近、機嫌の緩急が激しすぎるんじゃないでしょうか。 それとも、私が御主人様のことをわかってきただけなんだろうか……。 「美味かった」 「お粗末さまです」 大半が空っぽになったお皿を見て、まだ皿洗いという自分の仕事が残っていることがわかってほっとする。 まだ、私は役に立つから大丈夫。 片そうと席を立ち、御主人様に背を向けると急に引き寄せられました。 「 」 耳元で囁くのも止めてください。よく聞こえないから。 私、体重増えたので重いのになんでそうあっさりと持ち上げますか。 内腿を尻尾で触るの止めてください。背中をそんな風に触らないで下さい。 服の中に指を差し入れられて、冷たい指先に心臓が鷲掴みにされる。 間近な顔から目を逸らし、恐る恐る肩に腕を回してみた。 少し冷たい温度を頬で感じながらイヌに比べれば相当薄い御主人様のニオイを嗅ぐ。 これ、アレですよね? 夜だし?その、なんか……溜まったもの的な? デートに失敗して、お預け食わされちゃったし……とか? 違ったらどうしよう。 そしたらこっちが飢えてるみたいで凄くイヤなんですけど…だって最初の頃に聞いても普通に迷惑がられてただけだったのに。 あれから、少しは私の身体はマシになってるんだろうか。 それこそ安物のマネキンみたいな固くて棒みたいな状況から、ちょっとはその……女らしく? 一応、女優さんに似てるって言われたし……。 外見じゃなくて、役柄の事だったらどうしようとか色々考えつつ、唾を飲み込んで何とか声を絞り出す。 「あの……」 首に顔を埋めていた御主人様がこちらを見た。 御主人様の眼は、暗い所だと瞳孔が広がってヒトの眼に良く似たふうになる。 「触るだけで、いいんですか」 返事の代わりに噛むのは止めましょう。 舐めるのもダメです。 吸うのも絡ませるのもよくありません。 言って下さい。ちゃんと。 どうすればいいのか、わからないから。 不意に顔が離され、見上げれば御主人様の目線は私の後方を見つめていました。 つられて振り返ると、じっとこちらを見つめるチェルの姿が眼に入ります。 飛び跳ねる心臓をなだめて深呼吸。 「2人とも、なにしてるの?」 鋭い質問に返す言葉も無く、私は胸元のボタンをそっと直し御主人様は際どい所に潜り込んでいた尻尾をさり気無く解き始めました。 そっと降りてから、念の真似に御主人様の服装を確認し、チェルを手招きします。 早くも飛び跳ねている柔らかな髪を手で撫でつけ、パジャマの襟を直し、泣いた跡が付いた目元を触りました。 「怖い夢みたの?」 唇をかみ締めて頷く小さな身体を抱き上げた。 思ったより、重くて少しふらつく。 ―――あとどれくらい、こうしてあげられるんだろう。 背中に回された小さな手の温度が下がらない内に早くベッドに戻してあげようと思い、御主人様の方を振り返る。 「では、先に休まさせていただきますので」 御主人様、口が半開きです。 「普通」 私に抱かれたままのチェルが解かれた私の髪の毛をちょっと握りました。耳元で聞こえる小さなあくび。 「また後で、じゃないのか」 時刻は深夜を回っています。 御主人様は明日もお仕事です。 早く寝ないと、明日に差し障ります。 「お皿はそのままで結構ですので」 ずりおちそうなチェルを頑張って抱き直す。 「それでは」 小さな温かい指と、歯磨き粉の甘い匂い。 「おやすみなさい」