約 488 件
https://w.atwiki.jp/bonjiro/pages/37.html
結標「ちょっと今のこの子の発言は何!?クローンというのは建て前で実は この二人の子供!?あんたらやっちゃてたの!?」 二人は何のことだ?と思ったがすぐに理解して、顔を赤くした。 上琴「「まだやってないわ!!」」 しかし、ショチトルはすこし気になることがあった。 ショチトル「『まだ』と言うことは、これからやるつもりか?」 上琴「「……まあゆくゆくは(////)」」 一青結シ「「「「ブハアアアアアアアアアア!!??」」」」これには一方通行も 吹いた。 一方通行「ダメだァ…こいつら白昼堂々とデレたじゃすまないこと 言いやがった…。」 海原「僕は御坂さんを守ってくれといったんです!!汚せなんていってません!!」 上条「おい!俺を本気で殺そうとするな!!さっさとその物騒なもんしまえ!!」 海原「いえ、僕はやめません!!」 上条「人の物を壊すのは気が引けるが…、とりゃ!!」パキン!! 海原「ああ!!これ手に入れるの大変なんですよ!?」 美琴「え?今なんでこわれた?当麻って確か超能力しか打ち消せないんじゃ…?」 上条「そんなもの関係ないわ!」 海原「こうなったら、原典を使うしか…。」 上条「ええ!!なんでお前がそんな物騒なもん…て待てよ!!お前原典使って 体のほう大丈夫なのかよ!!」 海原「特に問題ありません。それに僕はどうやら原典に好かれてるようでして 二冊ほど所持していますよ。」 上条「二冊も!?ま、まあインデックスもああ見えて十万三千冊の魔道書記憶 してるし、不思議じゃないか。」 ショチトル「いや、禁書目録は例外中の例外だ。」 あれはだな…とショチトルは説明し始めるが、 打ち止め「あの三人ってオカルトマニアなの?ってミサカはミサカはママに 問いかけてみる。」 美琴「その前に話が脱線してる気がするんだけど…。」 結標「そうなのよ、私も魔術っていまいちわかんないのよね…。」 一方通行「グループ入ってから俺も知ったんだけどよォ、魔術師ってやれる こと多すぎだろォがよォ。変装したり光線出したりよォ。」 御坂姉妹「「?????」」 二人の疑問にすら付いていけない御坂姉妹だったのでした。 ~数分後~ 上条「は~、なるほどね~」 どうやらショチトル&海原のQ&Aが終わったらしい。 美琴「あ・ん・た・は!その議題は彼女を待たせるほどのものかああああ!!」ビリビリ!! 上条「すいませんでしたああああああああああ!」ちゃっかり無効化 美琴「ったく当麻ったら…、ん!」そういいながらあごを上げる。 美琴「今ここでしてくれたら許してあげる…。」 上条は少し驚いたが、彼女を前に待たせてしまったのだからしょうがない。 上条「…ったく、美琴には逆らえないな…。」 チュ 二人は長いキスをした。 打ち止め「なんでミサカに見せてくれないの!!ってミサカはミサカは露出狂 に講義してみる!!」 結標「露出狂いうな!!それに子供にはまだはやい!!」 一方通行「バカップルにもほどがあるぜェ…。」 海原「御坂さんが…御坂さんがああ!!」 ショチトル「お前には私がいるだろうが!!」 そしてお決まりの 「エツァリおにいちゃん…。」 そんなこんなうるさいが、 上条と美琴はお構いなしに二人のキスの時間を楽しんでいる。 結局上条は美琴に魔術を軽―く説明する羽目に… 美琴「ふーん、じゃぁ当麻の右手が打ち消せないものって何?」 一方「俺のベクトル操作なしの拳とかどうだァ?」 打ち止め「やめなさいってミサカはミサカはこのロリコンを止めてみるっ!!」 一方「誰がロリコンだァ!?」 結標「全く…バカばっかり…って」 彼女の視線の先にはショチトルに唇を奪われ凍っている海原の姿が。結標以外気が付いていない。と、その時上条が返事をした。 上条「運命の赤い糸とかじゃね?」美琴「ふふふ、そうよねー。」 海シ一打結「「「「「ブハァ!」」」」」 結標「アンタらデレデレしすぎ!!って!!!!」 結標が見たのはまたもキスしている上琴の姿であった。 一方「…なァ、俺ら食い終わったし、どっか行かねェか?」 結標「異議なし。さあ行くわよ海原。」 海原「上条当麻ぁあああああ!!!!!覚えてろおおおお!!!」 ショチトル「お兄ちゃん落ち着いて。」ズルズル 海原を引きずって立ち上がる。 打ち止め「やだーってミサカはミサカはっ!!」一方通行に引きずられる。 上条「あれ??いつの間にかあいつらいなくなったぞ。」 美琴「まあいいじゃない別に。それより早く食べて次行こっ」 建宮「……あの二人すげー」 浦上「!!何すかそのコメント!!??しかも口調忘れてますよ建宮さん!!!」 建宮「ぬっ!!いかんいかん、建宮斎字これしきで我を忘れてはいかんのよな!!」 浦上「…………さっき忘れてましたけどね。…ん?さっきの御嬢さんがたの一人が倒れてますよっ!!」 15072号「しっかりしなさい!!とミサカはミサカの頬を叩いてみます。」 10032号「よくも立ってられますね。とミサカはミサカの落ち着きに驚愕します。」 10090号「積極的になったオリジナルは止められないのです。とミサカはミサカに客観的事実を伝えます。」 10032号「あの方をあきらめろという事ですか!?とミサカは戦慄します。」 15072号「ハッキリ言ってあの方に執着しているのはあなただけですよ。とミサカはミサカの出遅れをあざ笑います。」 10090号「それは言いすぎですよ。とミサカはミサカを諭しつつ、最近付き合いだしたあの青年の事を思い出してうっとりします。」 白井「ところで次はどこまいりますの?」ここは第3エリア。 青ピ「せやなー。アレなんかどう!?」 何だかんだ言ってこっちのカップルも順調である。と、そこに 土御門「よう、青ピー」 白雪「よっすー」 この二人もやってきた。 青ピ「よう、土御門はん。カミやんと一緒じゃないん?」 土御門「にゃー。暑過ぎてあの二人の周囲500メートルは危険だぜい。」 白雪「ホントだよー。あの二人、北極の氷でも全部溶かせるんじゃないかなあ。」 白井「そそ、そんなにすごい事になってますの!?」 白雪「そりゃあもう。見てただけでも3分はのりづけしてたよー。」 土御門「嫌5分だにゃー。」白雪「10分くらいかもー」 白井が倒れて青ピの介抱を受けることになったのは言うまでもない。 こちら、上琴空間… 美琴「はい、あ~ん♪」 当麻「あ~む!」ぱく! 美琴「おいしい?」 当麻「美琴が食べさせてくれると、甘味が増すよ。」 美琴「(////)当麻ったら…はずかしいよ(////)」 当麻「いいだろ別にじゃ次お前な」パクッ 美琴「ちょ…なんでポテト当麻が銜えてるのよ!!」 当麻「ん」あごを突き出す 美琴「当麻ったら…」チュ この後二人は、こんな会話をばっかりしてポテト1セットであらゆる意味で満腹になった。 建宮「…もうこんな『らぶらぶ♪』じゃ、誰も止めることができないのよねええええええええ ええええええええええええええええええええええええええええええ!!」興奮状態 浦上「…あの御坂美琴って女 恋人→通い妻→お泊り→同妻 ほんでもって結婚ですよ絶対!!」妄想状態 10032号「あいつら…ミサカたちの三分の二が新しい出会いを求めているとは薄情者達だと とミサカは切れてみます。そしてお姉様を暗殺し、あの人の心と体はミサカがいただくとミサカは ここに宣言します…」 建宮「この子の執念もなかなかのものなのよね…」 打ち止め「やだ!ってミサカはミサカはパパとママのデレデレップリを見るんだ!!」 一方通行「いい加減諦めろォ!!」 海原「そうだ一方通行さんあれでも使いますか?」 一方通行「お、てめェにしちゃ気が利くなあれ使うかァ!!」 「あれ」とはなにか? 何の事はない。睡眠薬である。 海原が目くばせすると、ショチトルがふっと打ち止めの背後にまわり… 打ち止め「Zzzzzz」 一方「早ェなこいつ。こンなに効くンは初めてだァ。」 ショチトル「いや、それにしても効き過ぎだ。ここの所寝てなかったのではないか?」 結標「それとも誰かさんが寝かせなかったとか?」 海原「なるほど。やはり土御門さんはあの称号をお譲りすべきでしょうねえ。」 一方「……てめェら何こっち見てンだァ?」 海シ結「「「このロリコン軍曹がっ」」」 一方「だから違うって言ってンだろうがァ!!」 海シ結「「「静かになさい!!」」」 結標「さもないとこの子が起きちゃうでしょうが。」 海原「さて、では寝てしまったこの子をどうしましょう?」 ショチトル「やはりここは保護者が責任を持っておぶるべきだと思う。」 一方「……そう言う事になンのかよォ……」 結標「文句でも?」 一方「ねェよ。」ふてくされた顔で言いつつ彼は寝てしまった打ち止めをおぶる。 まあ次のアトラクションで起きンだろ。にしてもコイツ軽いなァとかもいながら。 それを見た結標が一言 「なかなかお似合いよ。アクセラレータ。」 一方「うっせェ。」 海原「おや?赤くなってませんか?」 一方「なってねェ!」両手がふさがっていて思うように反撃できず、この後アクセラレータはグループの面々に散々いじられるのであった。 その頃ミサカネットワーク 先ごろ公開の某映画よろしく御坂15072号が緊急決議第177号を出した。 「ミサカ全軍を挙げての10032号の暴走阻止を決意する」 妹達「「「「「「ラジャー!!!」」」」」」 10090号「10090号より報告。10032号は現在オリジナルたちの東北東560メートルにあり。狙撃準備に入っているのを確認。これよりミサカは10032号を止めるための戦闘行動に入るっ!!」ダダダダッバンバン! 15072号「近辺にいるミサカ18052号・20000号は10090号の援護にまわれ。その他の遊園地内のミサカは現在地点にて別命あるまで待機。」 妹達「「「「「「了解。」」」」」」 15072号「では10032号。最後通牒です。オリジナルへの破壊行動を速やかに停止しなさい。」 10032号「拒否します。とミサカはネットワークからの切断を企図します。」ズダダダダッ 10090号「あの人は喜びませんよ。とミサカは弾倉を交換しながら諭します。」バン!! 10032「なっ!」ドゴン!! 15072号「10090号の言うとおりです。人を想うというのはその方の幸せを願う事。いまの10032号の行動はそれに反しています。とミサカは説得します。」パンパン! 10032号「………それでは…」 18052号「隙ありっ!!とミサカは10032号に対して睡眠弾を撃ち込みます。」パン! 10032号「うぐっ!!ひ、卑怯なとミサカは断固抗議、し……Zzzzz」バタッ 15072号「18052号、よくやりました。とミサカは作戦通りうまく言ったことにホッとします。」 20000号「腹黒っ!!とミサカは戦慄します!!」 15072号「兵は奇道なり。とミサカは決め台詞をはきます。」
https://w.atwiki.jp/deruta_sanbaka/pages/58.html
結標「ちょっと今のこの子の発言は何!?クローンというのは建て前で実は この二人の子供!?あんたらやっちゃてたの!?」 二人は何のことだ?と思ったがすぐに理解して、顔を赤くした。 上琴「「まだやってないわ!!」」 しかし、ショチトルはすこし気になることがあった。 ショチトル「『まだ』と言うことは、これからやるつもりか?」 上琴「「……まあゆくゆくは(////)」」 一青結シ「「「「ブハアアアアアアアアアア!!??」」」」これには一方通行も 吹いた。 一方通行「ダメだァ…こいつら白昼堂々とデレたじゃすまないこと 言いやがった…。」 海原「僕は御坂さんを守ってくれといったんです!!汚せなんていってません!!」 上条「おい!俺を本気で殺そうとするな!!さっさとその物騒なもんしまえ!!」 海原「いえ、僕はやめません!!」 上条「人の物を壊すのは気が引けるが…、とりゃ!!」パキン!! 海原「ああ!!これ手に入れるの大変なんですよ!?」 美琴「え?今なんでこわれた?当麻って確か超能力しか打ち消せないんじゃ…?」 上条「そんなもの関係ないわ!」 海原「こうなったら、原典を使うしか…。」 上条「ええ!!なんでお前がそんな物騒なもん…て待てよ!!お前原典使って 体のほう大丈夫なのかよ!!」 海原「特に問題ありません。それに僕はどうやら原典に好かれてるようでして 二冊ほど所持していますよ。」 上条「二冊も!?ま、まあインデックスもああ見えて十万三千冊の魔道書記憶 してるし、不思議じゃないか。」 ショチトル「いや、禁書目録は例外中の例外だ。」 あれはだな…とショチトルは説明し始めるが、 打ち止め「あの三人ってオカルトマニアなの?ってミサカはミサカはママに 問いかけてみる。」 美琴「その前に話が脱線してる気がするんだけど…。」 結標「そうなのよ、私も魔術っていまいちわかんないのよね…。」 一方通行「グループ入ってから俺も知ったんだけどよォ、魔術師ってやれる こと多すぎだろォがよォ。変装したり光線出したりよォ。」 御坂姉妹「「?????」」 二人の疑問にすら付いていけない御坂姉妹だったのでした。 ~数分後~ 上条「は~、なるほどね~」 どうやらショチトル&海原のQ&Aが終わったらしい。 美琴「あ・ん・た・は!その議題は彼女を待たせるほどのものかああああ!!」ビリビリ!! 上条「すいませんでしたああああああああああ!」ちゃっかり無効化 美琴「ったく当麻ったら…、ん!」そういいながらあごを上げる。 美琴「今ここでしてくれたら許してあげる…。」 上条は少し驚いたが、彼女を前に待たせてしまったのだからしょうがない。 上条「…ったく、美琴には逆らえないな…。」 チュ 二人は長いキスをした。 打ち止め「なんでミサカに見せてくれないの!!ってミサカはミサカは露出狂 に講義してみる!!」 結標「露出狂いうな!!それに子供にはまだはやい!!」 一方通行「バカップルにもほどがあるぜェ…。」 海原「御坂さんが…御坂さんがああ!!」 ショチトル「お前には私がいるだろうが!!」 そしてお決まりの 「エツァリおにいちゃん…。」 そんなこんなうるさいが、 上条と美琴はお構いなしに二人のキスの時間を楽しんでいる。 結局上条は美琴に魔術を軽―く説明する羽目に… 美琴「ふーん、じゃぁ当麻の右手が打ち消せないものって何?」 一方「俺のベクトル操作なしの拳とかどうだァ?」 打ち止め「やめなさいってミサカはミサカはこのロリコンを止めてみるっ!!」 一方「誰がロリコンだァ!?」 結標「全く…バカばっかり…って」 彼女の視線の先にはショチトルに唇を奪われ凍っている海原の姿が。結標以外気が付いていない。と、その時上条が返事をした。 上条「運命の赤い糸とかじゃね?」美琴「ふふふ、そうよねー。」 海シ一打結「「「「「ブハァ!」」」」」 結標「アンタらデレデレしすぎ!!って!!!!」 結標が見たのはまたもキスしている上琴の姿であった。 一方「…なァ、俺ら食い終わったし、どっか行かねェか?」 結標「異議なし。さあ行くわよ海原。」 海原「上条当麻ぁあああああ!!!!!覚えてろおおおお!!!」 ショチトル「お兄ちゃん落ち着いて。」ズルズル 海原を引きずって立ち上がる。 打ち止め「やだーってミサカはミサカはっ!!」一方通行に引きずられる。 上条「あれ??いつの間にかあいつらいなくなったぞ。」 美琴「まあいいじゃない別に。それより早く食べて次行こっ」 建宮「……あの二人すげー」 浦上「!!何すかそのコメント!!??しかも口調忘れてますよ建宮さん!!!」 建宮「ぬっ!!いかんいかん、建宮斎字これしきで我を忘れてはいかんのよな!!」 浦上「…………さっき忘れてましたけどね。…ん?さっきの御嬢さんがたの一人が倒れてますよっ!!」 15072号「しっかりしなさい!!とミサカはミサカの頬を叩いてみます。」 10032号「よくも立ってられますね。とミサカはミサカの落ち着きに驚愕します。」 10090号「積極的になったオリジナルは止められないのです。とミサカはミサカに客観的事実を伝えます。」 10032号「あの方をあきらめろという事ですか!?とミサカは戦慄します。」 15072号「ハッキリ言ってあの方に執着しているのはあなただけですよ。とミサカはミサカの出遅れをあざ笑います。」 10090号「それは言いすぎですよ。とミサカはミサカを諭しつつ、最近付き合いだしたあの青年の事を思い出してうっとりします。」 白井「ところで次はどこまいりますの?」ここは第3エリア。 青ピ「せやなー。アレなんかどう!?」 何だかんだ言ってこっちのカップルも順調である。と、そこに 土御門「よう、青ピー」 白雪「よっすー」 この二人もやってきた。 青ピ「よう、土御門はん。カミやんと一緒じゃないん?」 土御門「にゃー。暑過ぎてあの二人の周囲500メートルは危険だぜい。」 白雪「ホントだよー。あの二人、北極の氷でも全部溶かせるんじゃないかなあ。」 白井「そそ、そんなにすごい事になってますの!?」 白雪「そりゃあもう。見てただけでも3分はのりづけしてたよー。」 土御門「嫌5分だにゃー。」白雪「10分くらいかもー」 白井が倒れて青ピの介抱を受けることになったのは言うまでもない。 こちら、上琴空間… 美琴「はい、あ~ん♪」 当麻「あ~む!」ぱく! 美琴「おいしい?」 当麻「美琴が食べさせてくれると、甘味が増すよ。」 美琴「(////)当麻ったら…はずかしいよ(////)」 当麻「いいだろ別にじゃ次お前な」パクッ 美琴「ちょ…なんでポテト当麻が銜えてるのよ!!」 当麻「ん」あごを突き出す 美琴「当麻ったら…」チュ この後二人は、こんな会話をばっかりしてポテト1セットであらゆる意味で満腹になった。 建宮「…もうこんな『らぶらぶ♪』じゃ、誰も止めることができないのよねええええええええ ええええええええええええええええええええええええええええええ!!」興奮状態 浦上「…あの御坂美琴って女 恋人→通い妻→お泊り→同妻 ほんでもって結婚ですよ絶対!!」妄想状態 10032号「あいつら…ミサカたちの三分の二が新しい出会いを求めているとは薄情者達だと とミサカは切れてみます。そしてお姉様を暗殺し、あの人の心と体はミサカがいただくとミサカは ここに宣言します…」 建宮「この子の執念もなかなかのものなのよね…」 打ち止め「やだ!ってミサカはミサカはパパとママのデレデレップリを見るんだ!!」 一方通行「いい加減諦めろォ!!」 海原「そうだ一方通行さんあれでも使いますか?」 一方通行「お、てめェにしちゃ気が利くなあれ使うかァ!!」 「あれ」とはなにか? 何の事はない。睡眠薬である。 海原が目くばせすると、ショチトルがふっと打ち止めの背後にまわり… 打ち止め「Zzzzzz」 一方「早ェなこいつ。こンなに効くンは初めてだァ。」 ショチトル「いや、それにしても効き過ぎだ。ここの所寝てなかったのではないか?」 結標「それとも誰かさんが寝かせなかったとか?」 海原「なるほど。やはり土御門さんはあの称号をお譲りすべきでしょうねえ。」 一方「……てめェら何こっち見てンだァ?」 海シ結「「「このロリコン軍曹がっ」」」 一方「だから違うって言ってンだろうがァ!!」 海シ結「「「静かになさい!!」」」 結標「さもないとこの子が起きちゃうでしょうが。」 海原「さて、では寝てしまったこの子をどうしましょう?」 ショチトル「やはりここは保護者が責任を持っておぶるべきだと思う。」 一方「……そう言う事になンのかよォ……」 結標「文句でも?」 一方「ねェよ。」ふてくされた顔で言いつつ彼は寝てしまった打ち止めをおぶる。 まあ次のアトラクションで起きンだろ。にしてもコイツ軽いなァとかもいながら。 それを見た結標が一言 「なかなかお似合いよ。アクセラレータ。」 一方「うっせェ。」 海原「おや?赤くなってませんか?」 一方「なってねェ!」両手がふさがっていて思うように反撃できず、この後アクセラレータはグループの面々に散々いじられるのであった。 その頃ミサカネットワーク 先ごろ公開の某映画よろしく御坂15072号が緊急決議第177号を出した。 「ミサカ全軍を挙げての10032号の暴走阻止を決意する」 妹達「「「「「「ラジャー!!!」」」」」」 10090号「10090号より報告。10032号は現在オリジナルたちの東北東560メートルにあり。狙撃準備に入っているのを確認。これよりミサカは10032号を止めるための戦闘行動に入るっ!!」ダダダダッバンバン! 15072号「近辺にいるミサカ18052号・20000号は10090号の援護にまわれ。その他の遊園地内のミサカは現在地点にて別命あるまで待機。」 妹達「「「「「「了解。」」」」」」 15072号「では10032号。最後通牒です。オリジナルへの破壊行動を速やかに停止しなさい。」 10032号「拒否します。とミサカはネットワークからの切断を企図します。」ズダダダダッ 10090号「あの人は喜びませんよ。とミサカは弾倉を交換しながら諭します。」バン!! 10032「なっ!」ドゴン!! 15072号「10090号の言うとおりです。人を想うというのはその方の幸せを願う事。いまの10032号の行動はそれに反しています。とミサカは説得します。」パンパン! 10032号「………それでは…」 18052号「隙ありっ!!とミサカは10032号に対して睡眠弾を撃ち込みます。」パン! 10032号「うぐっ!!ひ、卑怯なとミサカは断固抗議、し……Zzzzz」バタッ 15072号「18052号、よくやりました。とミサカは作戦通りうまく言ったことにホッとします。」 20000号「腹黒っ!!てミサカは戦慄します!!」 15072号「兵は奇道なり。とミサカは決め台詞をはきます。」
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/976.html
自分が押しに弱い性格だとは思っていないが、 一方通行は流れに押される形でオルソラの目指していた女子寮へ招待されていた。 出されたコーヒーを飲みながらオルソラ保護の経緯について説明する。 相手をしたのは先程オルソラを迎えに来たシェリーという女性だ。 ゴスロリチックな服装に全方向へ広がるワイルドな長髪と、 なかなかにエキセントリックな見た目だが、これでも修道女らしい。 「ミルクはいかがでございますか?」 「いらねェ」 オルソラがにこやかに勧めてくれたが、一方通行は一言で辞退した。 「で、テメェは本当に私達の敵じゃないのね?」 「むしろこっちがそっちの身の潔白を証明してほしいンだがな」 「お互い疑ってちゃキリがねえな。オルソラは信用してるみたいだけれど」 ぽりぽりと頭を掻いて、シェリーは足を組み直した。 「学園都市の人間だそうだけど、こんな所まで何しに来たの?」 「そこの修道女を送りにだろォが」 「分かった分かった。質問を変えるわよ。英国に何しに来やがった?」 コロコロと男性口調と女性口調が入れ替わる。どうも統一感がない。 シェリーという女性も癖のある人物だった。 ただ、一方通行も自分が美しい言葉遣いをしているとは思っていないので、 口調に関しては特に文句はなかった。 「何しにねェ……俺がソレに答えてどォなる?」 「逆に答えないとどうなるか教えてやろうか?」 「ミルクはいかがでございますか?」 「おもしれェ。ミルクはいらねェ。手取り足取り教えてもらおォじゃねェか」 「エリスの手足はちょっとデケエぞ? 潰されても泣くなよ」 「ではカップを動かさないで下さいでございますよー」 「ハッ。サイズがでけェくれェでこの俺を潰せると……おい! ミルクいらねェっつってンだろ!」 勝手に注がれそうになったので、会話が一時中断した。 「……世界各国に監禁されてるガキ共がいるンだよ。当然英国にもな。 そいつらを解放してンだ」 手でコーヒーカップに蓋をしながら、一方通行は白状した。 迫り来るミルクとの格闘に疲れて、情報の秘匿にまで頭が回らなくなってしまったのである。 この状態でも油断は出来ない。 手にミルクが降り注がれることもあり得るのだから。 「世界各国ですって? そんな大規模なことが出来る組織はそうそうねえぞ」 「ローマ正教っつったかな。少しずつだが情報は集めてる。奴らの目的も分かって来た」 「ローマ正教!」 シェリーは思わずオルソラを振り返る。 彼女は今でこそイギリス清教のシスターだが、かつてはローマ正教に属していたのだ。 「オルソラ、何か知ってる?」 「はい、お砂糖ならこちらに用意しているのでございますよ」 (入れさせねェ) 「砂糖はどうでも良いんだよ。ローマ正教が集団で人攫いやってるらしいけど、聞いたことはある?」 「人攫い、でございますか……? それは、多少後ろ暗いこともやっているとは存じておりますが……」 集団で世界中となると、オルソラも流石に心当たりがないらしい。 という情報を得るのに十五分掛かった。 「何か嘘臭い話だな」 「わざわざ無関係の奴に信じてもらいてェとは思ってねェよ。学園都市はそォでなくても忙しいンだ」 「忙しい?」 「とある学生がな、 禁書目録が必要悪の教会の裏切り者の集団に連れ去られ、 助けに向かった仲間二人も捕えられて、 それを助けにいった仲間の集団がまとめて捕虜にされて、 そいつらに恩のある修道女が犯人たちを説得に行って迷子になって行方不明、 探しに行ったイギリス清教の部隊が罠にハマって捕獲され、 一方その頃とある学校ではある教師の家に生徒が遊びに行ったら先生も同居人の女子高生も見当たらず、 それを探しに行った女子生徒自身も帰って来ないし、 それを心配して探しに行った男子生徒も帰って来ないし、 立ち上がって捜索に当たった女子生徒も戻らないし、 出発前に女子生徒ら相談を受けた女教師も行方不明になって、 探しに行った同居人が全員消え、 その内の二人の調査に当たった一万人がいきなり連絡不能になり、 それを知った超電磁砲が探しに行って何者かに拉致され、 追いかけて行った風紀委員の後輩とその友達が誘拐され、 超電磁砲のファンの少年とその義妹がやはり彼女を探しに行って帰って来ず、 所変わって暗部では新生アイテムの四人が軒並み行方不明、 スクールの残党が音信不通、 忍者が二人地味に消えて、 ついでに最近科学の天使の目撃情報がめっきり減ってるらしいし、 海を越えてイギリスでは女王と王女三人と騎士団長が正体不明の誰かに拘束され、 魔術の小組織の四人が消息を絶ち、 イタリアでは『神の右席』とかいうのの三人が縛りあげられて ローマ教皇が何者かに誘拐されて ロシアでも修道女が一人忽然と姿を消し、 エリザリーナ独立国同盟では代表者が出かけたっきりいなくなり、 あと飼い猫を何日か前から見かけなった とかで今も駆け回ってンだよ」 シェリーとオルソラは、ポカーンとしていた。 先に立ち直ったのはオルソラだ。 普段から割とぽかんとしているからだろう。 「それは何だか、上条様みたいな学生様でございますねえ」 彼女のその小さな一言で。 かちり、と、場の人間の関係が噛み合った。 「……言われてみればそうね」 「何だって、上条? オマエ知ってンのか」 「! あなた様はご存知なのでございますか?」 「……」 「……」 上条の知り合いだと名乗り合ったことで、一方通行とシェリーは取り敢えず相手を信用する気になった。 上条のお陰、ということになってしまうのだろうか。 オルソラ以外は納得いかない気分だったものの、緊張の解けた雰囲気で対話が再開された。 コーヒーはミルクと砂糖の六度の襲撃から見事守られたが、冷めた。 「つまりあの坊や、オルソラやアニェーゼ達まで助けようとしてるってことなのね」 シェリーが確認するように呟き、口を閉じる。 会話が途切れた隙に、オルソラが頬笑みながら一方通行に声を掛けた。 「一方通行さん、レモンはいかがでございますか?」 「あの野郎には関わりたくはねェンだがな。レモンはいらねェ。(レモン?) 俺に因縁のあるガキ共までアイツの守る対象に加えられそォになってたから、手を引かせたンだよ」 「それを言うなら、イギリス清教の奴らだって……」 シェリーはしばし黙りこみ、口元に手を当てて何か考えていた。 そして、何事が決心したように頷く。 オルソラの方を見て、唇を開いた。 「上条当麻に連絡は取れる?」 「あ、私番号を教えてもらったのでございますよ」 「これ以上借りを作りたくねえからな。 イギリス清教に関係する人間はイギリス清教が片を付ける。 だから手を出すなって伝えて頂戴」 「といっても、今動けるのはシェリーさんと私くらいなのでございますが……」 「テメェはここから一歩も動くな」 最大主教は健康そのものだが、どうにも当てにならない。 よってここでまともに活動できるのはシェリーのみである。 だが臆さない。彼女は常に一人ではない。 頼もしいパートナーがいるのだ。 そのあたりの事情をよく知らない一方通行は、彼女たちの様子を黙って眺めていた。 コーヒーを啜る。 「すっぺェ!!!」 いつの間にか、彼のカップに薄切りのレモンが浮いていた。 二分ほどして。 通話を終えたオルソラが、にこにこ微笑みながら二人のもとへ帰って来た。 「お留守番の女性の方に事情を説明して来たのでございますよ」 「そりゃ留守番電話サービスだ。ちゃンと録音できてりゃ伝わるだろ」 かなり不安だが、そこまで一方通行が面倒を見る義理はない。 「じゃァ……」 やっと妹達の解放作業に戻ろうと席を立つ一方通行に、シェリーが声を掛けて来た。 「行くの?」 「ざっと四千件ほど野暮用が残ってンだよ。のンびりコーヒー飲ンでる場合じゃねェ」 向きを変え、歩き出す。 挨拶もせず出口へ向かう彼に、シェリーは最後に一言、伝言を頼んだ。 「今度あいつに会ったらさ、言っておいて。どうもありがとう、死ねって」 「……おォ」 どうも、統一感のない女である。 そこで、 「あ!!」 突然叫び声を上げたのはオルソラだ。 珍しく驚いた顔をして、周囲をきょろきょろ見回している。 「どうした?」 シェリーが警戒心を顕にした表情で、おっとりシスターさんの驚愕の顔を見つめて尋ねた。 オルソラは応えて言った。 「私、いつの間に寮へ帰って来たのでございましょう?」 「!?」 「!?」 !? ■■■■救助リスト(抜粋)■■■■ ===イギリス清教=== 必要悪の教会 禁書目録 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 ステイル=マグヌス 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 ロンドン女子寮 神裂火織 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 オルソラ=アクィナス 【解決済】 天草式十字凄教 建宮斎字 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 浦上 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 五和 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 牛深 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 香焼 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 諫早 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 野母崎 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 対馬 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 他44名 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 アニェーゼ部隊 アニェーゼ=サンクティス 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 シスタールチア 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 シスターアンジェレネ 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】 他約200名 【救助立候補:シェリー=クロムウェル】
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/2781.html
前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある科学の執行部員 第2章(1) 「なンだァ、今日も超電磁砲の愛妻弁当かよ」 上条が広げた弁当を見て一方通行はからかうように言った。 青髪ピアスは上条の弁当を見てハンカチを銜えながら涙を流し、 土御門は何故か学園都市に侵入した魔術師に向けるような殺気を放っている。 上条は普段この三人と昼食を共にすることが殆どだ。 そして上条は特に意に介した様子も無く嬉しそうに言った。 「いやー、美琴が毎日弁当を作ってくれるお陰で昼休みに飢えることもないし、 おまけに待ち合わせに間に合うように部屋を出るから遅刻することもない。 上条さんとしては大助かりですよ」 上条の話はそこから自然な惚気話へと発展していく。 先日、上条から結婚を前提とした交際を申し込まれた美琴は上機嫌な日々が続いていた。 特に態度などに変化があったわけではないが、付き合いの長い上条には分かる。 そして美琴から昼食の弁当と夕食は毎日作ってあげたいと提案があったのだ。 『な、何よ、将来は朝食も含めて全部作ってあげるんだからいいじゃない!? それとも私が作った料理が食べられないって言うの?』 と、これまたテンプレ通りの言葉に押し切られた上条は 素直に美琴の厚意を受け取っているのだった。 一緒に並んで学校に登校するなど、前に比べてより恋人らしくなった関係に 上条と美琴は気恥ずかしさを感じながらも充実した日々を送っている。 ちなみに上条の惚気話を聞いた三人は… 「くっ、これだからリア充は嫌いだ。 男の友情なんて簡単に捨て去っていきやがる」 と、青髪ピアスは関西弁を用いるのを忘れ去り、 「俺には舞夏がいるから何も問題はないはずにゃー。 でもこの敗北感は何ぜよ? 教えてくれ、舞夏ーーーー!?」 と、土御門は奇声を発して、 「あン、何だか妙ォにこのコーヒーは甘く感じやがるなァ?」 と、一方通行は無糖のブラックコーヒーを片手に首を傾げている。 そして一方通行は自分が話を振ったことに責任を感じたのか、 話題を変えるべく自身は初めて参加する大覇星祭について話を始める。 「それよりも大覇星祭ってェのは、毎年こンなに面倒臭ェもンなのか? 正直放課後の準備とか、かったるくて仕方ねェンだが…」 「まあこんなもんじゃないかにゃー」 土御門が何処か面倒臭そうに言うと上条と青髪ピアスは相槌を打つ。 「まあ中学と高校じゃモチベーションが違うって部分も少なからずあるな。 特にウチのクラスは吹寄が運営委員をやってて張り切ってるっていうのもあるし…」 「でも実際の本番は暑さにやられて、だらけてしまうことが大半やな」 「あー、分かる分かる。 特に開会式なんかは地獄だよな」 一方通行は三人の話を聞いて、大覇星祭はやはり面倒臭いものだと偏見を持ってしまう。 吹寄あたりが聞いたら怒りそうな話だが、 どういうわけか仲のいい番外個体と転入してきたばかりの姫神と一緒に席を外している。 そんなこんなで四人の平和な昼休みは過ぎ去っていく。 しかし上条には放課後、思いも寄らぬ『執行部』としての仕事が待っているのだった。 放課後になり『執行部』の仕事が非番だった上条と美琴は共に夕食の買出しをし、 二人で並んで上条の部屋へと向かっていた。 するとエレベーターから降りた途端に甘ったるい匂いが漂ってきた。 顔をしかめる美琴とは対照的に、上条はその匂いに覚えがあった。 部屋に向かって走り出す上条の後を美琴も追う。 そして上条の部屋にいた人物は思った通りの人間だった。 「ステイル!!」 「やあ、待っていたよ上条当麻」 明らかに訝しげにステイルを見つめている美琴に上条は事情を説明する。 「前にインデックスっていう女の子について話したことがあっただろう? その時に一緒に戦ったイギリス清教の神父だ」 「…はじめまして、御坂美琴です」 先日のシェリー=クロムウェルの件もあってか、 イギリス清教と聞いても不信感が拭えないのだろう。 美琴の声音にはまだ警戒している様子が滲み出ていた。 それを悟ってかステイルの言葉にはいつもの刺々しさはあまり感じられなかった。 「先日のシェリー=クロムウェルの件はすまなかったね。 ただ彼女…いや僕達全体にも色々と問題があるのも事実なんだ。 許してくれとは言わないが、事情を察してもらえると嬉しいよ」 「イギリスは今どんな状態なんだ?」 「はっきり言って良い状態とは言い難いね。 本格的な戦闘こそ起こっていないが、各地で魔術師同士の小競り合いが続いている」 「そうか…」 「今日は君達に依頼があって来た。 学園都市の上の人間には既に話をつけてあるから心配しなくていいよ」 「依頼ですか?」 「そういえば美琴は初めてだったな。 偶にこうやってイギリス清教から直々依頼がくることがあるんだよ」 「今回はオルソラ=アクィナスという修道女を攫って来て欲しい」 「何者だ?」 「ローマ正教のシスターで何でも『法の書』の解読に成功したらしい」 「…」 上条はステイルの言葉に押し黙る。 美琴はそんな上条の様子を不思議に思うが、上条の代わりにステイルと会話を続ける。 「『法の書』って何なんですか?」 「僕達の世界で『伝説級の魔術師』と言われる エドワード=アレクサンダーによって書かれた魔道書だよ。 人間には使えない『天使の術式』が記されているとか、 解読と同時に十字教の時代が終わるとか、色々といわくが尽きない代物でね。 ローマ正教に兵器として利用されると厄介だから、 君達の手でオルソラ=アクィナスを回収してもらいたいんだ。 流石にバチカン図書館にある『法の書』自体はどうしようもないからね」 「オルソラは今何処に?」 今まで口を閉じていた上条が仕事の時の顔つきと口調になってステイルに尋ねた。 「どうやら天草式と呼ばれる魔術師の集団に拉致されて日本にいるらしい。 天草式の目的が僕達と同じローマ正教の戦力の補充の阻止だったらいいけど、 そればかりは話を聞いてみないと何とも言えないからね。 僕達イギリス清教は表立ってローマ正教と対立するわけにはいかないから、 学園都市の対魔術師のエキスパートである君達『執行部』に依頼することになった。 全て任せきりにするのは心苦しいが、よろしく頼むよ」 「…分かった」 上条と美琴は天草式のいると思われる大まかな位置をステイルから聞き、 今後の取り決めを行うと学園都市の外に向かって歩き出すのだった。 「美琴、天草式っていうのは相当手強いみたいだ。 何せローマ正教の部隊から一人の人間を奪取できるくらいだからな。 俺と違って美琴は対複数の魔術師との戦闘に慣れてない。 今回は基本的に俺を前衛として美琴は後方からの支援に徹するんだ」 「私だって当麻の隣で戦えるわよ」 「これは『執行部』の上司としての命令だ。 命令を破るなら『執行部』を抜けてもらう、分かったな」 「…分かった」 美琴は何処か不満が残るようだったが渋々といった様子で頷いた。 本当は美琴も分かっていた。 上条は『執行部』の名を出したものの、本当は恋人の自分の身を気遣っていることを… そして自分がまだ上条の隣で戦うには実力不足だということも… すると突然、美琴の前髪からバチンと静電気のようなものが飛び出した。 「どうやら当たりのようだな」 今のは今のが『人払い』という人間の感覚や認識に影響を及ぼす術式の効果と、 美琴の能力の制御法が競合を起こした結果、軽く美琴の能力が暴走したものだった。 実はこれか魔術師のねぐらを探すのに役立つ。 上条は『幻想殺し』という異能を打ち消す右手を持つため、 例え『人払い』という術式が張り巡らされていても 気付かず通り抜けてしまうことが殆どだった。 その場合、例え魔術師が近くに潜伏していても見逃してしまうことが多い。 しかし美琴と行動を共にすることで、そういった術式にも気付くことが出来るのだった。 「話し合いで済めばいいが上手くいかなかった場合、 俺が囮になって敵を引き付けるから、美琴は電磁波のレーダーで敵の動きと オルソラが囚われていると思われる場所の特定を急いでくれ」 「うん!!」 そして上条と美琴の共同任務が幕を開けるのだった。 結果として話し合いは決裂に終わった。 というよりも話し合いに至る前に天草式が襲ってきた。 『人払い』の術式を抜けられたことにより焦りが生じたらしい。 「くっ!?」 しかし上条に攻撃を仕掛けたはいいが、約50人にも上る天草式の戦闘メンバーは 一人しかいない上条相手に苦戦を強いられていた。 天草式は幕府の迫害から逃れつつも十字教を信仰するために仏教や神道で カモフラージュに『偽装』を重ねた宗派であり多角宗教融合型十字教とも称される。 用いる戦術もまさしく『偽装』で、 本命かと思えばフェイントで、フェイクかと思えば本物の魔術が襲ってくる。 よって天草式の術式を初見、しかも何の知識もなしに見切るのは不可能に近い。 にも拘らず上条は正確に物理攻撃と魔術による攻撃を見抜き、 確実に攻撃を仕掛けダメージを与えてくる。 それは上条の長年に渡る戦闘訓練と幾多に渡る魔術師との戦闘経験が生む技能だった。 「全員、下がるのよな!! ここは俺が引き受けるからオルソラ嬢の護衛に就け!! 敵がこの男一人とは限らないのよな」 恐らく天草式の代表であろうクワガタみたいな髪型をした男が言った。 まだ意識を失っていなかった数人の天草式の少年少女達が走り出す。 上条は心の中で毒づく。 天草式は決して弱くない。 実際に上条も壁を背にして直接相手にする人数を極力抑えて戦っていた。 このレベルの相手が五人以上いたら美琴も苦戦を強いられるに違いない。 上条は走り去った少年少女達の後を追いかけようとしたが、 その前に天草式の首領の男が立ち塞がる。 「まさかこれほどの男が科学側にいるとは思わなかったのよな。 名乗らせて貰おうか、天草式教皇代理の建宮斎字だ」 「…学園都市『執行部』の上条当麻だ。 話を聞いてくれ!! 俺はオルソラを保護してイギリス清教に匿ってもらおうとしてるだけだ。 別にお前達と争うつもりはない!!」 「必要以上に我らを傷つけようとしないお前さんの戦い方を見てれば、 お前さんが信頼に足る人間だということは分かるのよな。 だがイギリス清教を必要以上に信頼するなと女教皇様から言われてるのでな」 「…」 上条は建宮の言葉を否定することが出来ない。 上条自身が個人的な知り合いはともかく、イギリス清教のトップを信頼してないからだ。 上条と建宮は互いに睨み合い、相手の出方を模索する。 しかし二人の間に流れていた沈黙を突き破るように、辺りに爆発音が鳴り響いた。 「何だ!?」 互いに仲間の身を案じた上条と建宮は顔を見合わせると、 共に爆発が起こった場所へと走り出すのだった。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある科学の執行部員
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/473.html
場所は上条達の教室に戻って… 「じゃあこのあとはシステムスキャンですので早めに集合してくださいね」 小萌先生はHRが終わった後、教室を出た。 そして上条は凍った二人の氷を割った。 「何なんだこの学校は……」 「浜面これがうちのクラスだ。基本、小萌先生を泣かしたり寝てたりしたらみんなから襲撃されるされるからな。まあ、さっきのはまだマシだ」 「これ以上酷いことされるのかよ!!」 「浜面、こいつら知り合いなのか?」 「まあな。ちなみにこっちが上条当麻」 「よろしくな半蔵」 「こっちが土御門元春」 「よろしくにゃー」 「こっちが○○○○。通称青髪ピアス」 「よろしくなー半蔵はん」 「で、こっちが一方通行。通称アクセラ」 「っておい、いつの間にアクセラになってンだよォ!!」 気付くの遅いと思うんだけど… 「浜面、俺が知らない間にこんなに知り合い居たんだな」 「まあな、ってそろそろ行かないと」 そう言って、上条たちは集合場所に向うのだった。 「つっても皆アクセラ以外はレベル0の普通の高校生、だからシステムスキャンの意味無いけどにゃー。」 お前のどこが普通の高校生だッ!!と、心の中で突っ込む上条とアクセラ 「でもコイツの右手は『異能の力なら善悪関わらず打ち消す問答無用の能力』だろうがよォ、俺の能力だってぶち壊して今じゃ他人に演算任せてる身だァ。」 「いや、それは俺のせいじゃないだろ?」 「学園都市最強を倒したレベル0ってお前!?」 「ああ、まあルール違反の能力にはルール違反の能力ってな。でもそれ以外には何の役にも立たない普通の右手だ。」 「んじゃこの中で普通の高校生って言ったら誰だよ?」 「「ボク(オレだぜい)」」 「「お前らのどこが普通だよ!?」」 「まず青髪ピアス!!お前の女の守備範囲は異常だ!!」 「何甘いことゆうてますねん。ボクは――――」 「「「「言わんでよろしい!!」」」」 「おい!!すんげー気になるんだけど!?」 バカ共が騒いでいる時に白雪達は 「みんなー、なんでそんな目で睨んでくるのー?」 「このシステムスキャンで白雪の今のレベルがようやく分かる、分かるんだけど……(暴走が怖いんだよな……)」 「分かるけどどうかした上条くん? もしかして私がレベル5になるとか思ってるなら買いかぶりすぎだよ」 ((((状況次第だと行くだろ、絶対))))) そう、今回一番注目されているのは最近、というか土御門と恋人になって以来、能力が進化してる月夜だった。 土御門絡みだと特に力を発揮する彼女なのでどう転ぶのか分からないが、もしかしたらという可能性もある。 するとそこへ、この高校に全く縁の無さそうな人物が現れる。 「おー上条当麻に土御門とその彼女さん、それに青いのに白いのに茶色いのー、久しぶりなのよな」 集合場所に向かってる途中、前方から建宮が挨拶をしてきたことに驚く当麻達(半蔵は除く)。 とりあえず青ピ、一方通行、月夜、浜面、半蔵を先に集合場所へ向かわせた後で当麻と土御門は人の居ない場所に建宮を連れ込む。 「建宮、どうしてあんたがここにいるんだ! もしかして魔術師がこの学校を狙ってるのか?」 「落ち着くにゃーカミやん。天草式学園都市支部から何人かウチの学校で働くって説明したぜよ。もう忘れたのか?」 「……そういえば」 当麻は数日前に土御門から言われたことを思い出し、自分の記憶力の悪さをちょっと嘆いた。 そんな当麻を尻目に土御門は一番聞きたいことを建宮に尋ねる。 「ところで建宮。ここに勤めるのってお前さんだけってことは無いよな? そんなむさ苦しい展開はゴメンだぜい」 「むさ苦しくて悪かったのよ。残念ながらここに勤めるのは俺一人なのよな。まあ、ここは他のどこよりも安全だから守り甲斐は無いのよね」 「じゃあ神裂達はどこか別の場所で働いてるのか?」 当麻に神裂達について聞かれた建宮だが、その表情はかなり悔しそうだった。 理由を聞かれてもいないのに、建宮は今回の件についての説明を始める。 「今回、我ら天草式学園都市支部がこうして働いてるのは仮の姿なのよ。本当は上条当麻、お前さんやその仲間達を守るのが目的なのよな」 「成程。カミやんにとっては仲間を人質に取られる方が効果は大きいからな。それなら納得だぜい。でもどうしてそんなに悔しそうにしてるにゃー?」 「よくぞ聞いてくれた! 本当なら俺だって飾利姫をお守りしたかったのよな! こんな所で食堂のおじさんなんてやってられないのよ!」 ((最低だコイツ……)) 天草式学園都市支部の目的に感心した二人だったが、その後の建宮の態度にはかなりムカッときている。 しかしそんな態度はおくびにも出さず、当麻は残りのメンバーのことを尋ねる。 「ところでさ、他のメンバーはどこで働いてるんだ?」 「対馬と浦上は確か常盤台の寮で働くとか言ってたのよ。プリエステスはう、羨ましいことに飾利姫の学校に歳ごまかして教師として潜り込んだのよな!」 「(ねーちん、そこまでして……)なあ建宮、五和はどうしたにゃー?」 前日の件で土御門は神裂の初春に対する思い入れの強さを感じていたが、そこまでやるとは予想の範囲外だったようだ。 五和について聞かれた建宮だが、その表情には明らかに呆れが浮かんでいた。 「もともと働き口に関しては飾利姫が紹介してくれたのよ。でも五和のやつは何故か飾利姫を嫌っててな、警護対象を守ることを放棄したのよね」 (五和が初春ちゃんを嫌う理由は……考えるまでもないか。ま、こればっかりは時間が解決してくれるから放っとくか) 「でも飾利姫はそんな五和にある学校を紹介したのよ。確か……メイド育成学校の繚乱家政女学校の講師だったのよね」 「にゃんですとーーーーっ! ま、舞夏の学校で五和が働くとかありえないだろっ! いやでも五和の家事スキルを考えると……」 土御門は五和と義妹の舞夏が同じ場所にいることに一抹の不安を覚えるが、深く考える間もなくシステムスキャン開始の時間が迫っていた。 「土御門、そろそろ俺達も行かないと遅刻するぞ! じゃあ建宮、悪いけど俺達行くよ」 「すまんが詳しい事情とかは後で聞くことにするぜよ! 後で食堂に顔出すにゃー!」 「おーっ! 食堂のおじさんこと建宮斎字はいつでもお前さん方を歓迎するのよな♪」 慌てて集合場所へ向かう当麻と土御門を見送った後で建宮も食堂へと向かうことにした。 そして当麻と土御門が合流したことで色々と注目されているシステムスキャンが開始されることに。 「んじゃ、システムスキャンを始めるじゃんよ。各自各々の能力のシステムスキャンの場所に行ってくるじゃんよ!!」 「「「「「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」」」」」 システムスキャンは学校全体で行う行事である。しかし滝壺は例外であった。 「よみかわ、実は私、能力使うと副作用でかなりヤバい」 「ああ、そうだったじゃんよ、んじゃ…保健室は電極と薬だったじゃん。教室は念力系のシステムスキャン…じゃあ滝壺は食堂で待機じゃん。」 「わかった」 そう言うわけで滝壺は食堂にいた。 「あれ?滝壺なのよね。」 「たてみや、ういはるをストーカーするなら学校が違うよ?」 「そんな奴いたら斬り殺してるけど違うのよな。しばらく仕事で学園都市に居ることなったからついでにバイトなのよね。」 「たてみやの仕事は副業ありなの?」 「というか副業してないと意味が無いのよね。」 「?」 てな感じで建宮で時間を潰している滝壺なのであった。 そして期待の白雪は… 「とりゃー!!」 掛け声は実に可愛らしいが能力はとても恐ろしかった。 吹雪を出した時のために能力専用温度計を出した結果、 「これは寒い…」 そう言って木山に服を着せる程である。温度は 「マイナス五十℃だと……どうりで寒いわけだ……。」 更には 「とりゃー!!」 高さ11mを超える巨大氷人形を作ったり。 「とりゃー!!」 その巨大氷人形を絶対零度で粉々にしたり。 「とりゃー!!」 落ちてくる氷の破片から守る為に周りや自分の身に氷の固いドームなどを作ったり。 「とりゃー!!」 氷の剣を作ったりとメチャクチャ凄かった。 ―――――――――――――――――――――――― 「ふう、やりすぎたかな~?最後の剣ってちょっと調子乗っちゃったかな?」 「その前にスゴいよ月夜ちゃん!!絶対レベル5行くって!!」 「いやー、そんな事ないよ赤音ちゃん。そんなの絶対行かないって、大体冬休みにあんまり能力使ってないし」 これは嘘である。実際に雪を降らして雪合戦していたりする。(最後ら辺は能力のぶつけ合いだったりするが…) 「にゃー、ったく月夜は頭が下がるぜい。こんなのがオレの彼女だと思うともったいない気がするぜい。」 「元春!!…どこから見てた…?」 「氷の剣を振り回してキメポーズしてる所からだにゃー。」 「わ、忘れろー!!」 「いやだにゃーあの剣、デザインカッコいいから誉めに来ただけだぜい?さすが月夜、ドンだけスゴいんだにゃー!!って」 「(元春にカッコいいって誉められた!!)別に大した事じゃないって!!普通だよ!?いたって普通!!」 照れ隠しで言った言葉なのだが何故か土御門がションボリタイムに入っていた。 「どうせオレなんかスプーンも曲げられないレベル0ですよにゃー、月夜とは住む世界が違うぜい…」 「ギャー!!ごめん!!元春ごめーん!!」 そんなバカップルを見て茜川は思う。 ――――学校でイチャイチャすんな!!そんなんなら私にいい男紹介しろ!! と。 「やれやれ、いったいどうしたもんかにゃー……」 恋人の月夜から離れた土御門は浮かない顔で彼女を見つめている。 それに気付いた一方通行は友人(?)としてグループのメンバーとして、そして暗部を知る人間として話しかける。 「アイツ、あのままいったら間違いなく8人目のレベル5になンだろうな。そしたらアレイスターや他の奴等に利用されるのは目に見えてンぞ」 「分かってるさ。だからオレは今、迷ってる。月夜を遠ざけるべきか否かをな。あいつにオレ達の世界は苛烈過ぎる」 「はっ! テメェにしちゃあ弱気な台詞吐くじゃねェか。素直に全部話しちまえよ、そうすりゃ楽になれンぞォ?」 一方通行の物言いに激怒した土御門は一方通行の胸倉を掴んで壁に叩きつける。 その様子に気付いた者達は驚くが、土御門の作り笑顔を見ていつものじゃれ合いと思うとそれ以上は追求しなかった。 冷静になった土御門が一方通行を離すと、一方通行は背中を打ち付けられた痛みが無くなるのを感じた後でアドバイスをする。 「アイツはウチのクソガキと違う。一人でも戦える力を持ってる。だったら巻き込ンであいつを抱えながら戦えよ。テメェがその気になりゃ出来ンだろ?」 「……実を言うとな、オルソラの乱からオレ達の事情を月夜が知りたがってるんだ。今までは何とかはぐらかしてきたが頃合いなのかもしれないな……。忠告感謝する、アクセラ」 「そンなンじゃねェよ。ただそうした方がまだマシだって思っただけだ。それにアイツがこっちでもテメェに付いてたら楽が出来そうなンでなァ」 土御門は目の前の意地の悪い仲間に心底感謝すると同時に月夜に全てを打ち明け、彼女を護り抜く為に戦うことを誓うのだった。 ようやくシリアスモードから脱出した土御門と一方通行は、また能力披露を始めた月夜を眺めていた。 「……どうでもいいけどよ、アイツ遊ンでねェか?」 「氷で色んなもん作ってる時点で遊んでる以外の選択肢は無いと思うぜよ。ああゆう月夜もまた可愛いにゃー♪」 「ほう、あの少女は君と恋人なのか。なかなかアンバランスなカップルだな、実に興味深い」 土御門と一方通行はいつの間にか横にいた木山に驚き、警戒を強めるが彼女に敵意が無いことを察知すると警戒を緩める。 「そんな怖い目で見ないでくれるかな。私はこれでも君達と同じで真っ当な人間じゃないからね。あの花飾りの少女から聞いてたのとは随分と違うようだが」 「おい土御門……今、コイツの口からアイツっぽい人間の特徴が出たのは気のせいだよなァ? それってつまり」 「アクセラは察しが良くて助かるにゃー♪ 初春ちゃんもオルソラの乱以来、オレ達側の事情を知って動いてくれる人間になってるぜよ」 「……あの野郎、そこまでいかれてンのかよ。アイツ、ますます厄介な人間になってねェか?」 目の前の少年二人が自分を無視して、初春のことで話し合いを始めたのを木山は黙って眺めていることにした。
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/473.html
9月27日(午後5時45分)、女王艦隊の一隻 フルチューニングが船に乗り移った直後、凄まじい破壊音と共にヴィーゴ橋が破壊された。 それでもこの船は、わずかに速度を落とす事も無く海へ向かって進んでいく。 「うわあ、とうまー!」 「きゃあああ!」 「っ危ない!」 その衝撃で外に吹き飛ばされそうになるインデックスとオルソラを、フルチューニングの鋼糸が絡めとる。 ギリギリ間に合ったことにホッとしながら、フルチューニングは2人を甲板へ降ろした。 「ありがとうございます、レイさん」 「た、助かったんだよ…」 お礼を言う2人の後ろから、上条が咳き込みながら現れた。 「マジでありがとうな…にしても、この船は一体どこに向かう気だ?」 その問いに答えたのは、バタバタという複数の人間の足音だった。 「探せ。奴らはこの中に乗っているはずだ!」 それに続くように響く男の怒鳴り声を聞いて、フルチューニングは焦り出す。 「マズイですね。レイたちを捕まえようとして、大勢の人間が探し回ってます」 「くそ…こうも暗いと、飛び込む訳にはいかねえし…」 上条が周りを見回しながら、困ったように呟いた。 (…建宮さんたちが来るまで、後15分以上…) (幸い、この船はバカでかいですし…オルソラさんたちはどこかに隠れるべきでしょう) そうフルチューニングが結論するよりも早く。 上条がインデックスとオルソラの手を引っ張って、走り出した。 「船の中に行くしかねえな。ここにいたら間違いなく見つかっちまう。隠れてチャンスを窺おう」 「では、ここでレイは別行動をとります」 「え?」 その言葉を聞いて、上条が思わず立ち止まる。 心配そうに見つめてくる3人に、フルチューニングはあえて明るく言った。 「流石に4人で行動すれば目立ちますから」 「でもよ…」 「大丈夫です、レイには能力も鋼糸もあります」 「それに、議論している暇は無さそうですよ?」 徐々に近づいてくる敵の足音が、上条の迷いを断ち切らせた。 「分かった、うまく逃げろよ!」 「それはこちらのセリフです」 その言葉を最後に、フルチューニングは鋼糸を使った高速移動を開始する。 上条がこの判断を後悔するのは、それからしばらく後のことだった。 9月27日(午後5時50分)、旗艦『アドリア海の女王』 フルチューニングが隠れながら情報収集を開始してわずか5分。 危険を冒して『アドリア海の女王』まで来たためか、あっという間に情報は集まった。 (まさかここで、アニェーゼ部隊の修道女たちが働かされていたなんて…) (しかもここにいる連中の話を聞く限り、どうもアニェーゼさんは魔術の“検体”として使われるみたいです) (脳を破壊され、ただ心臓を動かすだけの廃人にされる…) その趣味の悪さに、フルチューニングが笑みを浮かべる。 (…良い勝負ですね) (2万体のクローンを簡単に殺す『科学者』と、人を平気で廃人にする『魔術師』) (本当にどっちも救われない!!) (ですが、アニェーゼさんがその犠牲になるというのなら、レイはそれを助けなくてはいけません) そう決意するフルチューニングの背後で、パキパキという奇妙な音が聞こえてきた。 振り返って良く見てみると、アーチ状の氷の橋がこの旗艦と護衛艦を繋げたらしい。 「アニェーゼ…!?」 「あの時の能力者じゃないですか…まあ、天草式のあなたならオルソラと一緒に居てもちっともおかしくありませんがね」 「そんな事より!早くここから逃げないといけません!」 「…何だ、あなたは知っちまったんですか?『刻限のロザリオ』のことを」 平然と言い放つアニェーゼに、フルチューニングが詰め寄った。 「それが分かっているなら、どうしてここに来たんですか!」 「それが分かっているからですよ」 尚も表情を変えないアニェーゼ。 黙り込むフルチューニングに、追い打ちをかけるように説明する。 「ついさっき、オルソラたちには頼み事をしましてね」 「頼み事?」 「脱獄して捕まった、シスター・ルチアとアンジェレネの救出ですよ」 「……」 「それをやりやすくするために、陽動しなくちゃならねえからここまで来たんです」 「そんな!…聞いた限り、あの術式は」 「廃人になる、ですか。十分承知ですよ、んなこたぁ」 アニェーゼが、何でも無いかのように語る。 「ですが、その術式に適合しているのは私だけなんでね」 「私が逃げたら、すぐにバレちまうんですよ。…だから私だけは、逃げる訳にはいかねえんです」 (自分が廃人になるのを覚悟で、陽動に…!?) (どうしてそこまで…) 慄然とするフルチューニングの脳裏に、あの日対峙した記憶が蘇る。 ――「こちとら、その神様にテメェの想像出来ねえようなどん底から拾い上げてもらったんですよ!」 ――「そのおかげで“こいつら”とも出会えたんです…」 ――「その十字教を台無しにするような裏切り者を、逃がす訳にはいかねえって分かりませんかねぇ!?」 (そうか、この人にも…) (何が何でも守りたい、大切な仲間が…) (それが分かった以上…) 「アニェーゼさん」 「まだ何か?」 「“救われぬ者に救いの手を”…今、レイには戦う理由が出来ました」 「はぁ!?正気ですか!」 「もちろんです」 「以前私が、あなたたちに何をしたのか忘れちまったとでも?」 「今は関係ありません。前回助けたかったのはオルソラさんで、今回助けたいのはアニェーゼさんです」 「…そりゃー無理ってもんです」 「その通りだ、シスター・アニェーゼ」 「!?」 突然。2人の会話に割って入るように、重たそうな法衣を着た男が姿を見せた。 「ビショップ・ビアージオ…!」 その姿を見て、アニェーゼが苦い声で呻く。 対し、フルチューニングは動揺を見せずに向き合った。 「あなたがここの責任者ですか」 「…ふん。報告は聞いている。忌々しい能力者め」 「しかも神を否定する身でありながら、魔術を扱う事が出来るらしいな?」 「レイ自身は神様を否定した事などありませんが?」 「何も分かっておらぬな。その存在自体が神への冒涜なのだよ」 いささかの揺らぎも見せずに答えるビアージオに、フルチューニングは溜息を洩らす。 「どうしてこういう人種は話し合いが出来ないんでしょうかね」 「所詮猿に、我ら人の真似ごとは出来ないという事だな」 そして、ビアージオは首にかけていた十字架を取り出した。 「まあいい。何故君が魔術を使えるのかは、ゆっくりと調べさせてもらおう」 「!」 フルチューニングが反応するよりも早く。 「――十字架は悪性の拒絶を示す」 ゴッ!!と膨張した十字架が、フルチューニングの体に直撃し、一瞬でその意識を奪い取った。 同時刻、女王艦隊の一隻 侵入者を迎撃するための氷の鎧。 それは船の一部がその形を変えた、極めて高い破壊能力を持つ番人だ。 その無敵の番人が、ここでは悉く沈黙している。 理由は1つ。その鎧にオイルパステルで描かれた魔法陣だった。 「くだらない」 「こうも簡単に“接続”を分断できるなんてな…」 「さて、と」 金髪で褐色の肌。着古したようなゴスロリドレスを纏う魔術師。 シェリー・クロムウェルは退屈そうに首をコキリと回した。 「あの馬鹿はどこかしらね?」 9月27日(午後6時00分)、旗艦『アドリア海の女王』船底のとある一室 フルチューニングが目を覚ましたその場所は、ひどく静かだった。 その静寂の中で、フルチューニングは仰向けに寝かされている。 (ここは…?) (痛っ) (硬いベッドの上でしょうか?) 状況を把握するため、起き上ろうとするフルチューニング。 だが、上体をわずかに浮かせたところで両腕に激痛が走る。 (うああ!…レイの腕が…) (いえ、腕だけでなく足も…!) フルチューニングの四肢が、氷のベッドに半分以上埋まっていたからだ。 そこから無理やり抜こうとしても、たったの1ミリも動かす事は出来なかった。 (最悪ですね) (レイは、あの男に捕まったって事ですか) (…近くに鋼糸は見当たらないですし、電撃で破壊を…) 自分が感電する事も恐れず、フルチューニングは能力を使おうとする。 だが… 「発動しない!?」 何故か、一向に電撃は発生しなかった。 思わぬ事態に混乱するフルチューニングに、男の笑い声が届く。 「無駄な事は止めたまえよ。その寝台は特殊でね、雷を無効化させる」 いつの間に部屋に入ってきたのか、ビアージオが嘲るように断言した。 「聞いても分からぬだろうが、教えてやろう」 「その寝台には、聖ニコラオスの伝承に則った術式が組み込んである」 「?」 「聖ニコラオスは、エルサレムへ行く途中で恐ろしい雷雨を鎮めてみせた」 「つまり神に逆らう雷は、この術式の前では全てその力を失うという訳だよ」 「そんな、レイの電撃は魔術ではないのに…!」 「“同じ事”だ、罪人」 「この術式が無効化するのは、『電気の流れ』そのものなのだから」 その言葉に、フルチューニングは愕然とする。 つまり今、自分に武器は一つも無いという事ではないか。 (何という失態…!) この場における優位性を自覚しているビアージオが、ゆっくりとフルチューニングに近づく。 そして一言の警告も無く、フルチューニングの右腕を叩き折った。 「あああああァ――――!?」 フルチューニングの二の腕が、それを見た人間に寒気を与えるほどグシャリと歪んだ。 その光景を見て、それでもビアージオは表情を一切変えることなく淡々と告げる。 「喚くな、耳障りだ」 「グ…あああああ…」 「大体、貴様がこれから受ける苦しみは、この比では無いというのに」 その言葉と同時、数人の『職制者』と呼ばれるビアージオの部下が部屋に入ってきた。 彼ら職制者が、痛みに呻くフルチューニングを無視して魔術の準備に取り掛かる。 「殺しても構わん」 「この罪人が魔術を使える理由を、明らかにさえすればな」 そう言って立ち去ろうとするビアージオだが、小さな声がその足を止めた。 「それ、が…あなたの、やり方…ですか…!」 「違うな。少しは聖書から学べ」 「敵対する者を苛烈に裁くのは、我が主の御業だ」 「いいえ…」 「なに?」 「これは、単に…あなたが、リョナ趣味に…走る、変態だと…言う事、です」 「…喚くな、と言ったはずだが?」 ビアージオが完全に無表情になり、首にかかっているネックレスを弄る。 するとフルチューニングを拘束していた寝台が、両足をさらに強く締め付けた。 その痛みでもはや言葉も発する事が出来ないフルチューニングから、コヒュー、と息だけが漏れる。 そして―――彼女の絶望はまだ終わらなかった。 『報告します。侵入者の乗っていた三七番艦を撃沈しました』 ビアージオの持つ十字架から、信じられないような報告の声が聞こえてくる。 僅かな力を振り絞り、フルチューニングが問いかけた。 「ま、さか…?」 「ふん。君と一緒に入り込んだネズミ共は、全員船ごと海へ沈んだようだな」 「嘘…」 完全にフルチューニングへ興味を無くしたビアージオが、無慈悲に指示を飛ばす。 「念のため、砲撃はまだ続けろ」 『了解』 「全く、下らないな。…わたしはシスター・アニェーゼの所へ行く」 その言葉を残して、ビアージオは部屋を後にする。 部屋に残った職制者が、フルチューニングの知らない魔術儀式の準備を始めた。 「よし、使徒トマスの術式『聖痕の確認』を開始する」 「こいつの体を、バラバラに引き裂くぞ」 狂気の時間は、始まったばかりだった。 同時刻、天草式の上下艦 海へ投げ出された修道女やオルソラ、ルチア、アンジェレネ、インデックス、そして上条当麻。 彼らを海中から拾い上げた天草式十字凄教の教皇代理、建宮斎字は全員が目を覚ますのを待っていた。 その隣では、五和が心配そうに看病をしている。 建宮が五和の肩をポン、と叩いた。 「落ち着け五和、もうすぐ目を覚ますだろうよ」 「はい…」 その言葉通り、インデックスと上条がゆっくりと目を開ける。 「た、建宮、斎字か?」 上条の声に、インデックスも頷いた。 「天草式の教皇代理さんなんだよ…」 「その通りだ。今は手前にイギリス清教所属ってつくけどよ」 上条が安堵して、周りをキョロキョロと見まわした。 「そうか、天草式がオルソラの引越しの手伝いに来ていたっけか…」 「そうだ、オルソラ達は!?」 「海に落ちた人間は、一応全員拾っておいたのよ。身元が分かっているのはオルソラ、ルチア、アンジェレネ。他にローマ正教の修道女も」 「そうか、良かった」 ところが、その言葉を聞いてインデックスが声を上げた。 「…ねえ、レイは?」 「あれ?…そういや、レイはどこだよ?」 上条の何気ない質問に、天草式の全員がザワリ、と雰囲気を変える。 戸惑う上条に、建宮が詰め寄った。 「どういう事だ?」 「へ?」 「レイは、イギリス清教との連絡役として、拠点で待機するよう伝えているのよな」 「何言ってんだ?レイは俺たちと一緒にあの船にいたんだけど…」 五和が驚いて大声を上げる。 「じゃあ、まさかレイちゃんは!?」 上条の答えに、顔を青ざめていた建宮が静かに呟いた。 「まさか、今もあの船の中にいるってことか…!?」 建宮がその事実を知った時、事態はすでに最悪の展開を迎えていた。 9月27日(午後6時30分)、キオッジアのソット・マリーナ 海に落ちた全員が意識を取り戻したので、天草式は一旦上陸して夕食をとる事になった。 慌ててフルチューニングを助けに行こうとするみんなを、建宮が止めたからである。 それは上条にとって意外な事に思えた。この中で建宮こそが、一番彼女の身を心配しているように見受けられたからだ。 「なあ、本当にすぐ行かなくていいのかよ?」 「…」 「アイツが捕まったかどうか分からねーけど、一刻も早く行ってやった方が良いんじゃねーか?」 「今すぐ行っても無駄なのよ」 上条の訴えを、建宮は一言で切り捨てた。 「我らがさんざんかき回した後なのよな。警戒態勢を解くために、時間を置かなくちゃならねえ」 「でもよ…」 「今行ったところで、ガッチリ待ち構えた敵さんに全員殺されるのがオチよな」 「そうなれば、誰がレイを助けられるのよ?」 沈黙する上条を、イタリアの海風が包む。まるでその熱を冷ましてくれるかのように。 「それに、ああ見えてレイは優秀だ。…きっと大丈夫に決まっている」 そう言われて、上条は今度こそ言い返すのを止めた。 建宮の必死な言葉に説得されたからではない。 そう告げる建宮が、思いつめた表情で拳を握っているのに気づいたからである。 (そうか、本当は…) (建宮こそが、今すぐに助けに行ってやりたいんだ…) (なのに、確実にアイツを助けるために、あんな顔をして耐えている) 上条は、その事に気づかなかった自分を責める。 その様子を見て、建宮が困ったようにヘラリと笑った。 「さあさあ、食事の準備も出来たし、食べながら打ち合わせをするのよな」 建宮たちが、食事をしながら情報整理と作戦会議を始めた頃。 1つの人影が、こっそりとその場を抜け出した。 そして女王艦隊へ向かって走り出そうとして―― 「どこへ行くのかしら?」 別の人影に、その動きを止められた。 「…邪魔をする気すか?」 「あなた1人が突っ込んで、何か解決出来るの?…香焼」 香焼と呼ばれた少年が、ギリ、と歯噛みして振り返る。 「お節介は要らないすよ、対馬先輩」 「…馬鹿ね、そのお節介が私たちの生き方じゃないの」 女性らしく柔らかな仕草で、対馬が香焼の頭を撫でた。 その思わぬ反応に、香焼は動きをピタリと止める。 そして目を潤ませると、対馬にギュッとしがみ付いた。 「どうしよう…レイが、レイが…!」 「落ち着きなさい」 「けど、レイは今もあの船に!…きっと、捕まって…」 「教皇代理も言っていたでしょう。今行っても殺されるだけだわ」 「ヒック…そんな…でも、早く助けなきゃ…グス…」 「あの子を助けたいのは、みんな一緒よ」 「ううう…」 対馬が優しく説得するが、香焼は涙を拭うと怒りの表情を見せた。 「だったら、何でもっと早く…!」 「だからそれは…」 「結局、教皇代理は臆病ってことじゃないすか!」 「…何ですって?」 「だから、レイをすぐに助けないんだ!」 香焼の言葉に、対馬は彼以上の怒りを露わにした。 「もう一回言ってみなさい!!」 対馬が、先ほどとは打って変わって荒々しく香焼を突き飛ばし、彼の顔に平手打ちを喰らわした。 「つ、しま先輩…」 ジンジンと痛む左頬を、香焼が呆然とさする。 「香焼、あなたは教皇代理の顔をちゃんと見たの!?」 「え…」 「あんなに悔しそうな、辛そうな表情をしていたじゃない!」 そう叫ぶ対馬に、香焼が目を見開いた。 叫んで落ち着くことが出来たのか、静かに対馬が語る。 「助けたいから、すぐに危険へ飛び込む。それは確かに勇気がいるけど、ある意味楽な事なのよ」 「…っ」 「だって、自分の気持ちに正直に動くことほど、簡単な事は無いんだから」 そして対馬は、どこか遠くを見つめるように暗い空を見上げる。 「ねえ香焼。どうして今みんなで策を練っていると思うの?」 「そ、れは…」 「今救出のために突撃したら、レイを助ける前に殺される。そうしたらレイも死ぬの」 「!」 「教皇代理は、何が何でもレイを助けたいと思ってる」 「その為に歯を食いしばって耐えるあの人を、臆病呼ばわりなんて許さないわよ?」 それだけ言うと、対馬は自分の席へ戻って行った。 やがて香焼も、その後を追いかけるために走り出した。 同時刻、旗艦『アドリア海の女王』船底のとある一室 使徒トマスの術式『聖痕の確認』の開始から30分ほど立った今、フルチューニングは無言だった。 ただしそれは、彼女が無事だからではない。 今まで叫びすぎて、既に喉が潰れていたからであった。 「……!」 「次、お前は右腕を」 「了解した」 フルチューニングを囲む職制者が、淡々と“作業”を続ける。 その作業とは、自らの手を直接フルチューニングの体内に貫通させ、魔術の痕跡を探るというものだった。 今フルチューニングの右腕と、左の脇腹には彼らの腕が埋まってゴソゴソと蠢いている。 この貫通を可能にする、同化術式こそが『聖痕の確認』であった。 フルチューニングが知らない事だが(知りたくもないだろうが)、 かつて使徒トマスがキリストの復活を信じるために、キリストの脇腹の傷口に自分の手を差し込んだという伝承を元にしている。 この術式で、フルチューニングは職制者の手が体内に入ってきても無事でいられる。 ただし、この術式は痛みは欠片も消さない。 体に異物が入るその激痛を、抵抗せずに受け入れるしかないフルチューニングは、すでに精神状態が危険な域に達していた。 「また有った。これだから科学は…」 そう吐き捨てて、職制者がフルチューニングの右腕から取り出した謎のパーツを引きちぎって取り出した。 レベル5を目指すため、天井亜雄が取り付けた能力強化用部品である。 職制者は『魔術師』であって『科学者』ではない。 その部品の意味を理解することも無く、ひたすらに見つけては引きちぎって取り出すのを繰り返す。 (あ、るいは…) (レイが…魔術を使える、理由なんて…) (…本当は、どうでも…良いのかも、しれません) また一つ、レイから無造作に部品が投げ捨てられる。 (…五和さん…香焼…対馬さん…上条当麻…師匠…) (それに…) (建宮さん…助けてください…会いたいです) そう願うフルチューニングの耳に、幻聴が聞こえてきた。 ――我らが女教皇から得た教えは? ――救われぬ者に救いの手を!!! その幻聴に、フルチューニングは力無く微笑んだ。 思わず動きを止める職制者たち。 (そう言えば、元々レイは魔術結社に売られて、こうされる運命でしたね) (あの時。天草式のみなさんに助けてもらった時は、どうして五和さんが怒るのか理解できませんでした) (…その理由が分かる今になって、こんな状況になるなんて…これが皮肉というものでしょうか) フルチューニングも、職制者も気づかなかった。 ちょうどまさに同じタイミングで、天草式が同じ言葉を大声で宣言している事を。 自分の足元で、ゴーレム・エリスの目が睨みつけるように職制者を見ている事も。 9月27日(午後7時00分)、天草式の上下艦 建宮は、180センチもあるフランベルジェを片手で軽々と引っ提げて甲板に立っていた。 その見つめる先には、女王艦隊の大軍勢が君臨している。 (…ちくしょう…) (レイが指示通り拠点に向かったか、あの時ちゃんと確認さえしていれば…) (そんな当たり前の事も忘れちまうとは…この建宮斎字は何を府抜けてんのよ!?) (全く、こんなんで教皇代理って言うんだから笑わせるのよな…) そう自嘲する建宮の目は、恐ろしいほど剣呑に光っている。 (もうこれ以上、ミスは許されねえ) (待っていろ、レイ。今迎えに行くから) 全員の準備が出来た事を確認すると、建宮は紙束を海へ投げ込んだ。 水を吸った紙が、瞬く間に帆船になる。その数は50ほどだろうか。 「こっちも大艦隊かよ。これなら女王艦隊にだって、正面からぶつかれんじゃねえのか?」 呆れながら話す上条に、建宮は首を横に振った。 「それは買い被り過ぎってヤツよ。これは女王艦隊と違って軍艦じゃないからな」 「…そんなモンを用意してどうするんだ?」 建宮は不敵に笑って告げた。 「海で戦うのは軍艦だけじゃねえのよ」 「?」 こうして、天草式十字凄教が最も得意とする『海戦』が始まった。 かつて敵対したアニェーゼを、そして大切な仲間を助けるために。 同時刻、旗艦『アドリア海の女王』船底のとある一室 大量に用意した帆船を、女王艦隊に接近させ『火船』として自爆させる。 海中には、無人の上下艦を囮として配置しておく。 さらに『火船』の振りをした一隻に天草式の本隊が隠れて、一気に女王艦隊へ飛び移る。 天草式の用意した、大胆な囮作戦は成功した。 「何だ、この音は…?」 「敵襲か!?」 部屋の中まで響く戦闘音に、職制者たちが警戒をする。 (…?) (な、にが…) 意識が朦朧としているフルチューニングも、その振動を感じ取った。 だが、すでに目を開ける事も出来ない彼女は、再び何も考えられなくなっていく。 天草式の戦闘員は50人余。その中で、香焼は最も年齢の若いグループの1人だ。 日々の鍛錬をこなしているとはいえ、その戦闘力は建宮などに比べるとはるかに劣る。 だが、只一つ。 香焼は、天草式の中で自分が一番だというモノを持っていた。 それはスピードである。 小柄な体格に、武器は小さな短剣。 破壊力を犠牲にした結果、彼は誰よりも早く動く事ができる。 だからこそ、偶然とはいえ香焼は一番に到着出来たのかも知れない。 フルチューニングが捕まっている部屋に。 (ここにも魔術の痕跡…) (もしかしたら、レイはここに?) アニェーゼのいる隣の部屋と違い、防御術式の施されていない扉を強引に開ける。 そこで香焼が見たものは、氷の寝台に拘束され、意識の無いフルチューニングだった。 しかもフルチューニングの周りには、彼女から摘出したらしき血塗れの物体が散乱している。 「て、メェ…!」 香焼の体全体が、感じた事の無い怒りで染まる。 「ここにまで侵入者が来たか」 「迎撃しろ、殺すのだ」 慌てもしない職制者に、我を忘れた香焼が襲いかかった。 「レイに何してるんすか!!!!!」 けれども、その刃は職制者まで届かない。 突如出現した2体の守護氷像が、その攻撃を阻んだからだ。 「邪魔する気すか!?」 それでも香焼は短剣を振りまわすが、氷像を砕くにはあまりに非力だった。 「クソ…」 徐々に追い詰められ、ついに香焼は膝をつく。 それでも、燃えるような目で氷像を睨みつけた。 「異端者が…そこで死ぬと良い!」 職制者の言葉に反応し、氷像が棍棒を香焼へ振り下ろす。 (ちくしょう、レイ…!) 「――心の底からつっまんねえモンをこの俺に見せんじゃねえのよ!!」 その棍棒が直撃する刹那。建宮の振るうフランベルジェが、棍棒を氷像の腕ごと粉砕した。 「レイ!助けに来たぞ!」 「教皇代理…どうしてここにいるんすか…?」 敵の修道女部隊をこの旗艦から引き離すため、現在天草式の主力は護衛艦を移動しながら時間を稼いでいるはずである。 当然建宮も、主力の1人としてそうしているはずだった。 「対馬と五和に、とっととレイを助けろと背中を押されてな」 「あの2人が…」 建宮がその場からいなくなれば、当然五和たちの負担は激増する。 それでも、2人は笑って建宮を送り出した。 ならば。 その思いに応える事ができなければ、今度こそ教皇代理失格だ。 「…で、これは一体どういう事なのよ?」 仲間の後押しを受けた建宮が、低い声で職制者に問う。 グッタリとしたフルチューニングから目を一時も離さず、建宮は脇に居たもう一体の氷像を破壊する。 一歩一歩職制者に近づく建宮の姿に、香焼は安堵と無力感を感じていた。 (やっぱり、まだまだ“遠い”って事すかね) (…悔しいなあ) だが、近づく建宮を見て、職制者たちはそれでも余裕だった。 「異端者に対し、『聖痕の確認』を執り行っただけだ」 「お前たちを排除した後、さらにコイツを詳しく調べる必要があるがな」 その嘲るような言葉に、建宮と香焼が顔色を変える。 「そんな事を、この俺が許すと本当に思うのか?」 「レイをこんな目にあわせて…絶対許さないからな!」 立ちあがって短剣を握り締める香焼と、フランベルジェを構えた建宮。 その2人を見て、職制者たちは尚も慌てない。 「潰せ」 その号令に応じて、今度は10体以上の氷像が部屋に現れた。 しかもそのうちの一体は、剣をフルチューニングの頭の真上にかざしている。 「抵抗すれば、もちろんコイツの命は無い」 「素直に降伏し、神の審判を待て」 人質を取られ、天草式の2人は身動きが取れなくなった。 揺らぐ意識の中、フルチューニングは確かに聞きたかった声を聞いた。 ――レイ!助けに来たぞ! (…建宮さんの声) (レイを、助けに…?) 自分の目で姿を確認する事は出来ないが、確かに建宮の声だった。 (それに、香焼も一緒…) (天草式のみんなが女王艦隊へ乗り込んできたのでしょうか…) (アニェーゼさんは、まだ無事ですか…?) 助けに来てくれた事にホッとするフルチューニングだったが、そこへ恐ろしい宣告が聞こえてきた。 (まさか、レイを人質に…!?) (ダメですダメです、絶対ダメです!) (建宮さんや香焼が、レイの所為で死ぬなんて、絶対許される事ではありません!!) (早く2人は逃げてください!) (みんなに恩返しできないまま死ぬのは嫌ですが、レイなんかの為に2人が死ぬのはもっと嫌です!) そう叫びたくなるフルチューニングだが、今の彼女は喉が潰れ声など出るはずもない。 どうにもならない状況に彼女が絶望したその時。 「――Intimus115(わが身の全ては亡き友のために)!」 この場にいる人間では、フルチューニングだけが知っている魔術師の声が響いた。 そして溶けた天井からこの部屋に降り立ったシェリーが、フルチューニングを狙う氷像へ稲妻のように魔法陣を書き込んだ。 「これで今からアンタはエリス。…さあ、存分に破壊しな!」 ゴォォォン!と唸りをあげて、ゴーレム・エリスとなった氷像が周りの氷像を粉砕して回る。 その破片を吸収し同化して、あっという間に巨大な氷のゴーレムが誕生した。 「馬鹿な!?」 「何故守護氷像を操れる!?」 初めて動揺を見せる職制者に、シェリーは何でもないかの様に告げた。 「護衛艦の一隻に籠って、2時間も術式の分析をした結果よ」 「すでにこの魔法陣の刻まれた所は、その属性を『水』から『地』へと書き換えてあるのさ」 誰1人気づかなかったが、フルチューニングがいるこの部屋は、すでに“外側”からシェリーの魔法陣が刻まれていた。 「そして地は私の味方。しからば地に囲われし闇の底は我が領域」 歌うように告げるシェリーの目には、建宮たちに勝るとも劣らない怒りが宿っていた。
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/1128.html
482 : 1 ◆weh0ormOQI [sage]:2011/06/09(木) 23 10 28.64 ID gbNAPBf30 こっそり自分用にまとめた俺設定(笑)を直して投下 そういうの要らないです、って方はスルー推奨 ステイル=マグヌス(24歳) イギリス清教第零聖堂区、『必要悪の教会(ネセサリウス)』所属の魔術師。 一度も触れなかったけど実は事実上のリーダー。 その割にはロンドンの防衛と最大主教の護衛を一人で背負いこんでいたお馬鹿さん。 イギリスが誇るメインツッコミとしての技術と胃薬の量だけが日々増加し続ける苦労人。 あ、一応魔術の腕も上がってますよ?(笑) チート術式をいくつか新たに修得しているが、基本は努力の人。 原作中で上条さんの右手の最初(だよね?)の餌食になった故か、結構なフラグ体質に。 最大主教とは上司と部下の関係から抜け出しそうであと一歩踏ん切りがつかないため、 周囲からは相当まどろっこしがられている。 実のところ当初からの彼女のアプローチは全て意識した上でかわし続けていた。ヘタレ。 が、最近はそれもやめたようである。 インデックス=ライブロラム=プロヒビットラム (26歳 ※ローラの申告による) 英国三派閥が一、清教派ことイギリス清教のトップたる最大主教(アークビショップ)。 頭に宿す『禁書目録』は健在で、最大主教としての公務のかたわら、 『原典』を危険度の低い『偽書』に編纂する作業に携わっている。 童顔とそれに似合わぬナイスバディで本人の知らぬところで着々と信者を増やしているが、 大食いも相変わらず。イギリス清教の緊縮財政にはかなり苦しめられている。自業自得。 護衛の魔術師とは上司と部下の関係から抜け出しそうであと一歩踏ん切りがつかないため、 周囲からは相当まどろっこしがられている。 上条さん限定だった攻撃性はステイルに対してはやや大人しめ。それをどう見るべきか。 実のところステイル以上のヘタレかも。 が、無自覚にイチャつくことも最近増えてきた。 神裂火織(旧姓 28歳) イギリス清教傘下、天草式十字凄教の女教皇(プリエステス)。 騎士派の長である騎士団長の妻として、清教派とのパイプ役も兼ねている。 聖人としての能力はもちろん健在で現在ロンドンNo.1の実力者。 原作では和食にはある程度の腕を見せるが、 1のせいで洋食がダメダメにされてしまう。 舞夏の指導でようやく産業廃棄物を産み出せる程度の腕前にはなった。 ステインの微妙な関係に最近やっと気付いた困ったさん。姉のように二人を見守る。 フルネームで呼びたいときに呼べない人その一。 土御門元春(26歳) イギリス清教第零聖堂区、『必要悪の教会』のNo.2。 卓越した頭脳と交渉力、そしてスパイ能力を生かして世界を股にかけるスーパーエージェント。 が、おちゃらけた態度のせいで周りからは畏怖はされても敬意は持たれない。 学園都市での長いスパイ活動は既に終え、 現在は基本的にロンドンで妻となった元義妹といちゃいちゃしながら暮らしている。 イギリスのメイン孔明でもあり、現在の矛先はもちろんステイル。 ご存じ禁書の名ユーティリティープレイヤー。 土御門舞夏(24歳 ※原作では13~15?) 最大主教の御側付きメイドで、かつての義兄と籍を入れている。 しかし相変わらず呼称は(少なくとも人前では)「兄貴」。 原作では科学魔術どちらの裏事情も知らないとされるが、本作では魔術サイドの事は承知している。 『ランベスの宮』の雑事をほぼ一人で担当するスーパーメイド。 掃除ロボに乗っての移動はやめたらしい。 フィアンマ(年齢不詳 30代?) 現在は旅の修道士にでもなるのだろうか。あとメイド喫茶チェーンの経営者。 おそらく最もキャラ崩壊させられた人。 今後の見せ場も予定してるのでファンの方は許して。 上条当麻(26歳) 我らがヒーロー。現在の職業は学園都市のお偉いさん。 台詞のみでの登場にも関わらず、 1は常に彼の存在を感じていました。 つまるところステインにとってのラスボス的存在。いや別に本人は何もしてませんけど。 学園都市編ではレギュラー…………になれるかな? 上条美琴(24歳) 我らがレールガン。現在の職業は研究者。ちなみに一児の母。 インデックスとはいろいろあったが今では良き友人。 っていうかこの夫婦周りの人間関係と来たらもうね。おかげで話の幅も広げやすいですけど。 女なのにフラグ体質かもしれない。 建宮斎字(30代?) 天草式十字凄教の元教皇代理。 とは言え、かんざきさんも結構複雑な身分なので変わらずメンバーのまとめ役である。 五和はいまだに上条さんラブだと思ってる。 五和(20代後半) 天草式十字凄教の一員。 なんか苦労してるが、結局この人の場合もハッキリ言葉にしないのが原因である。 1的に結婚させなかったのは「五和」が名字なのか名前なのかさえ定かでないから。かも。 ウィリアム=オルウェル(旧姓 40代) 英国王室第二王妹の婿。地位的には騎士団の特別指南役。 二重聖人としての力は失ったが長年の経験とたゆまぬ研鑽により今なお相当の実力者。 ステイルより多分強い。フルネームで呼べなくなった人その二。 ヴィリアン(34歳) 英国王室第二王妹。インデックスとは友人。 何気に夫とお盛んでもうじき四人目を出産する。 騎士団長(40代) 英国三派閥が一、騎士派のトップ。イギリスの元祖苦労人。 妻とは結婚して数年経つが、子供はまだ。そろそろかも。でも無理かも。 アニェーゼ=サンクティス(24歳 ※原作ではインデックスより少し下の外見) ロンドン在住『アニェーゼ部隊』のリーダー。 いまだイギリス清教傘下に入ったつもりは無いらしい。 部下が何人か寿除隊している。結婚願望あり。でもドSが災いして独身。 ルチア(20代) 『アニェーゼ部隊』所属のシスター。 リーダーとは違い純粋に色ボケしてきたシスターどもを嘆いている。 でもまあ少しは丸くなったかも。 アンジェレネ(20代) 『アニェーゼ部隊』所属のシスター。 いつの間にやらヘタレ神父にフラグを建てられていた。が、諦め気味でもある。 下手するとステイルより年上の可能性も。禁書だし。 ミサカ13857号(10歳 外見24歳) 『アニェーゼ部隊』所属のシスター。ドSらしい。 1オリジナル。 どのような経緯で入隊したのかは不明。考えてない。能力者なので魔術はもちろん使えない。 クランス=R=ツァールスキー(25歳 ※原作で外見15歳くらい) ロシア成教のトップ、総大主教。サーシャと婚約中。 キャラ崩壊というかキャラ捏造。口調だけは原作準拠のはず。 サーシャ=クロイツェフ(23歳) ロシア成教『殲滅白書(Annihilatus)』のリーダー兼総大主教補佐。 あれよあれよと言う間に婚約中の身になってしまった。でもまんざらでもない。 ロシア成教のメイン(と言うかオンリー)ツッコミ。 ワシリーサ(一応30代後半?) ロシア成教『殲滅白書』の特別顧問。事実上のトップ。 サーシャ同様にクランスも溺愛。ちょっと危ない趣味のオバサン。お婆さんの可能性も。 ローラ=スチュアート(26^2より上? そうでもない? 年齢不詳) 前最大主教で現在は隠居の身。あちこちを遊び歩いているらしい。 『インデックスと母娘』説も界隈にはある。彼女に注ぐ愛情は本物か、それとも…………? ちなみにインデックスは、ステイルにフラグを建てられているのでは、と見ている。 エリザード(60歳前後) 前英国女王で現在は隠居の身。 最近はネトゲにハマっているらしい。大丈夫か英国王室。 またようやく出来た孫も溺愛中。重度のババ馬鹿。 レッサー(20代前半) 予備軍から結社になった『新たなる光』のメンバー。 『イギリスのためになること』という行動理念は変わらず、必ずしもステイル達の味方ではない。 かつては内心ビクビクだった色仕掛けにも年季が入ってきた。 キャーリサ(ギリギリ30代) 英国王室第一王妹。いまだ未婚。 さすがに歳なのかんざきさんに実力で抜かれてしまった。 何かしらの反動が出たのか、母親ほどではないが姉馬鹿伯母馬鹿に。 リメエア(40代中盤) 英国三派閥が一つ王室派の、そして英国のトップ女王陛下(クイーンレグナント)。 肩書の割に出番は少ない。キャラ掴みにくい。 いちおう一般男性と結婚済み。子供もちゃんといる。 シェリー=クロムウェル(30代後半) 『必要悪の教会』所属の魔術師。未婚、と言うか結婚願望なし。 インデックスの編纂作業を補佐するのが主業務。たまに王立美術院で教鞭も執る芸術家。 オルソラとは付き合いの長い漫才コンビ。 オルソラ=アクィナス(20代? ※原作に記述無し?) イギリス清教所属のシスターにして、暗号解読官。こちらも未婚。 会話の異次元ぶりがやばい。ジョジョのラスボスになれる能力。 だと言うのになぜか優秀な交渉力を有するため、土御門に代わって各国を飛び回ることも。 でもなぜジンバブエに行ってたのかはイギリス清教七不思議の一つ。 エツァリ(20代中盤 ※本物海原は原作で15歳) アステカの魔術師、というより『魔導師』。『必要悪の教会』所属になった。 美琴を見守ることに区切りを付け、ショチトルたちを守るためにかつての同僚と取引をする。 最後の最後でインデックスに説教もして見せた。 本領を見せる機会は無かったがステイルの胃薬増量に貢献できる逸材。 ショチトル(20代中盤) アステカの元魔術師。寮に入ったがじき専業主婦になるかも。 身体は完治したが魔術行使はややトラウマ気味で、これからは一般人に。 数少ないツッコミサイド。しかし天然ボケも入っている。 トチトリ(20代中盤) アステカの元魔術師。男子寮の寮母さんにでもなろうかと思案中。 ショチトルとの差別化に悩まされた人。ちょっと悪戯好きのお姉さんタイプに落ち着いた。 ミサカ17000号(10歳 外見24歳) イギリス清教女子寮の管理人。原作組。 1がすっかりその存在を忘れてた人。 上条刀夜(50代? ※原作に記述無し?) 外資系企業の営業担当で、結構なエリート。孫が出来ても相変わらずの元祖旗立男。 インデックスとは何度も顔を合わせており、娘のように思っている。 無茶苦茶な登場をしておいて美味しい所をかっさらっていくあたり、まさに親子。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/471.html
今日から新学期、朝の登校中である。 「だあー!!今日から新学期だ!!とてつもなく不幸な気がしますが美琴がいるので頑張れます!!」 「朝から嬉しい事言ってもキスしかしないわよ!!ん……………ふぁ♪」 「ん!!ったくお前がしたいだけだろ?」 「悪い?当麻とキスすると幸せにな気持ちになるんだもん!!」 「そんな事力説されたら俺が喜んちまうだろうが!!」 「「………………」」 「「えへへへへへへ♪」」 と、そんな所にもう一組のバカップルが…… 「にゃー朝からのろけまくってるにゃー」 「本当、私達ほどじゃないけどねー♪」 「全くだにゃー!!」 チュッレロレロレロ… 他のバカップル共は……… 「ほらほらみんな起きろーっ! 打ち止め以外は今日から学校なんだから遅刻は許さないじゃんよ!」 「朝からうるさいわよ愛穂。まだ早いじゃないの……」 「いや芳川、お前も今日から先公だろうがァ。そンなンでやってけるのかよ?」 「むしろミサカが一人ぼっちで寂しいってミサカはミサカはしょげてみたり」 一打、黄泉川、芳川が住んでるマンションの一室ではこんなやり取りが行われていた。 しょんぼりする打ち止めを一方通行があやす姿を大人二人が冷やかすのはもはや恒例行事となりつつある。 「グッモーーーーーーーーーーーニンでっすわーーーーーっ!! ○○様、黒子の純潔を今日こそ奪ってくださいなっ!」 「朝から何言うてんの黒子はん! そっちも始業式あるんやからさっさと学校にこ、コラ! 服をいそいそと脱いだらアカン!」 青黒の二人は青ピの部屋で今日も絶賛格闘中。 「はまづら起きて、そろそろ学校だよ。さすがに転入初日に遅刻はまずい」 「ん~~~~~、じゃあ滝壺がキスしてくれたら起きる~~~」 「分かった、はまづらがそう望むのなら」 そう言って滝壺は浜面にキスすると浜面は元気良く起き上がり、身支度を整え始める。 それぞれが健全な始業式の朝を迎えていると、上琴と土白の前に情報屋の姿が見える。 「おはよう情報屋」 「か、上条達か、おはよう。俺、ちょっと用事あるから先行くな」 「あっ、行っちゃった。あの人が噂の情報屋って人なの? 何だか話に聞いたのと違って大人しいわね」 「そうだね。元春は何か知らない?」 「いいや全然(まさか昨日のがここまで効果覿面とは予想外だったな……)」 情報屋のあまりの大人しさに驚きを隠せない上琴と月夜。 唯一、事情を知っている土御門は昨日のことを思い返していた。 3学期が始まる前日、紫木友こと情報屋はとあるマンションの一室に呼び出されていた。 情報屋は生まれて初めて貰ったラブレターに浮かれてこのマンションに入ったのだが、浮かれ気分はそこまで。 目の前にいる花飾りを付けた少女はともかく、彼の後ろに立っているポニーテールの美女から放たれる殺気に冷や汗ダラダラである。 「……えっと、君は確かジャッジメントの初春飾利さんだよね。どうして俺を呼び出したのかな?」 情報屋はこんな状況下でも相手の情報を得ようと動くが彼は知らない、この場にいる者達がいかに危険かということを。 「簡単なことです、情報屋さんこと紫木友さん。あなたが掴んでる当麻お兄ちゃん達の情報、他の誰にもばらさないで下さい」 「それだけ? だったら約束するよ、俺はこの情報を他の誰にもばらしたりしない」 「良かった、紫木さんが話の分かる人で。余計な忠告はしないで済みそうですね、火織お姉ちゃん」 「ええ飾利。彼のような一般人を私達の世界に引き込むのは忍びないですからね」 ちなみに初春と神裂、正月からこの期間にかけてお互いを飾利、火織お姉ちゃんと呼び合う仲になっている。 情報屋は神裂の台詞にピンと来るものを感じてすぐさまそのことを聞き出そうとするが、彼はこのことを後に死ぬほど後悔する。 「あのさ、君達の世界ってどうゆうこと? もしかして何か凄いことがあったりするの?」 「……答えてもいいんですけど、殺される覚悟はありますか? その覚悟が無いのなら止めた方がいいです」 「こ、殺されるってじょ、冗談きついなぁ……(あれ? 『思考漏洩』が通じない? どうゆうことだ?)」 「冗談じゃないんですよ、これが。ちなみにあなたの『思考漏洩』は私には通用しません♪ 何故か精神系の能力と相性バッチリなんです」 情報屋は自分の能力が通用しないことにパニックになり、目の前の少女が恐ろしいものにしか映らなくなっていた。 そんな情報屋の心情を知ってか知らずか、初春は目の前の少年を追い詰める。 「それにしてもレベルを偽るなんて良くありませんよ? 相手を油断させて情報を聞き出す、実に紫木さんらしいやり方だと思いますけど」 「ど、どうしてそのことを知ってる! いったい君は、いや君達は一体何者なんだ!」 「ここに来てまだ能力を使うその精神力、大したものです。ですけどそれ以上はおススメしませんよ? 現にホラ♪」 情報屋が初春の指差す方を振り返ると、そこには七天七刀をいつでも抜刀できるように準備している神裂がいた。 生まれて初めて感じる『本物の殺気』に気絶しそうになりながらも、情報屋としての矜持が彼を踏み止まらせる。 「もう一度だけ言います。これ以上当麻お兄ちゃん達の情報を掴んでもばらさない、私達の世界への深入りは止めて下さい。さもないと」 「ど、どうなるって言うんだ? まさか漫画みたく消すとか言わないよな?」 「私達は言いませんよ、私達は。でも一方通行さんと土御門さん、あの二人は一切の迷いも無く殺しますよ? 大事なものを守る為なら」 情報屋は独自の情報で一方通行の危険性を良く知っていただけに、初春の言葉に嘘は無いと確信を得る。 そして観念して、初春の言葉を受け入れることにした情報屋は最後に初春に尋ねる。 「ねえ初春さん。もし、もしだよ、俺が約束を破ったらどうする?」 「知ってます? 人ってありとあらゆる権利を奪うだけで殺されたも同然なんですよ♪」 「ご、ごめんなさーーーーーいっ!!」 初春の言葉に情報屋はここに来て初めての戦慄を感じると、猛ダッシュで部屋を後にした。 情報屋が居なくなったのを確認すると、初春は肩の力を抜いた脱力した。 「はあ~~~~~~~~~っ、疲れた~~~~~~~~。やっぱりこういった演技って慣れないですよ~」 「お疲れ様でした飾利。ですがあなたの脅し、とても慣れていないように見えましたがもしかして慣れているんですか?」 「な、慣れてなんかないですよーーーっ! でもこれで紫木さんが深入りしなくなってくれればいいんですけど」 情報屋の為、そして当麻達の安寧の為に初春は慣れない『人を脅す』という行為を演じていたのだ。 初春と神裂が話していると隣からステイル、土御門、建宮が現れる(ステイルと初春は前日に顔合わせ終了)。 「甘いんじゃないかな。記憶を消すべきだと思うよ、僕は。彼のような好奇心の塊はいずれ同じ過ちを繰り返す」 「そいつはオレ達にとって上手くないにゃー。情報屋はあくまでただの学生。こっちの情報が残りそうな真似は控えるべきぜよ」 「土御門の言う通りなのよステイル。それにこれは飾利姫と土御門のあの少年を思っての考え。我らの情報が漏れないなら甘い手段も悪くないのよな」 情報屋を脅して魔術側ならびに科学側の闇から引き離すことを考えたのは土御門、そして事情を聞いた初春だった。 初春に関しては当麻達の関係を乱されたくないという理由の方が少しではあるが強かったりする。 そんな中、初春は不思議に思っていたことを土御門に尋ねる。 「でも土御門さん、どうして私にこの役をやらせたんですか? 土御門さんの方が効率良くやれそうな気がしますけど」 「あいつの『思考漏洩』にかかってこれ以上余計な情報を漏らしたくなかったにゃー。それに初春ちゃんは俺を騙した前科があるから適任なんだぜい」 「ぜ、前科って酷いですよ土御門さん!」 土御門にからかわれむくれる初春を神裂、ステイル、建宮は微笑ましく見つめていた。 「本当にあんな子が僕らのサポートをしてくれるとはね。彼女の覚悟は既に聞いているが、とてもそんな風には見えないから不思議だよ」 「フッフッフッ、お前さんは飾利姫の良さを分かってないのよステイル。今からこの建宮斎字が一から百まで教えあだだだだだっ!」 「建宮、少し黙りなさい。ですが飾利は見た目で判断すると痛い目に遭いますよ。ステイル、これから彼女とも付き合いが長くなるのですから覚えておきなさい」 「了解。初春飾利か……上条当麻並みのお人好しだな」 神裂のワイヤーで縛られて転がされてる建宮を視界の外に追い出して、ステイルはとあるマンションの一室を後にした。 土御門は月夜とのデート、初春は佐天と絹旗と遊ぶ約束があるのでステイルよりやや遅れてマンションを後にした。 ちなみにこのマンション、天草式学園都市支部のアジトの一つで神裂と建宮は明日の予定についての話し合いがあるので残ることに。 「初春ちゃんは改めてカミやん並みにバカみたいなお人好しだとオレは確信したぜい」 「……それって褒めてます?」 「褒めてるぜよ、十二分に。とりあえず言えることはお前さんは敵には回したくないってことだにゃー」 「それは私も同感です♪ でも土御門さんとはなんだかんだで敵同士にはならない気がしますけど」 初春の予感に土御門も感じ入ることがあるのか、その予感を素直に受け入れることに。 それぞれの目的地に向かうために二人は別々の道を行ったことで『情報屋抑制計画』はここに終わりを迎えるのだった。 「元春、元春ってば!」 「あ、ああ悪い悪い。どうかしたかにゃー?」 「どうかしたかじゃないよ。ほら見てよ、あれ」 昨日のことを思い返してるうちにボーっとしていた土御門は月夜に呼ばれてようやく気付いた。 目の前で上琴が残念な美女にして当麻達の高校の新任教師、木山春生が服を脱ぎかけているのを必死に止めていることに。 「暑い…」 「夏なら分かりますけど!!いえ夏でも分かりませんけどいい加減脱ぎ癖直してください!!」 「変な目で見られてますから!!ちょっと俺が何か変な目で見られてるんですが!?」 「何ぜよ?あの露出狂?」 「それがあの人うちの学校の新しい先生なんだって。」 「にゃんれすと!?それじゃ初出勤でいきなり逮捕と言うオチか!?」 「本当に有り得るかも!!ねえねえねえねえねえねえ!!」 「にゃーやめろ!!やめてクレー!!そんなに速く揺らしたら吐いちゃうぜよ!!」 「分かった。でもどうしよう?」 「あの人何故か暑がってるから月夜が氷付けにしたらいいんじゃないかにゃー?」 土御門は冗談半分で言ったのだが、 「成る程!!流石元春!!とりゃー!!」 「ええー!?真面目にやっちゃったのかよ!?」 驚きで喋り方忘れてるぜ?土御門君。 そして木山は上条 美琴に被害なく、無事(?)に凍った。 その後、三人(美琴は途中で常盤台に行かせた)で学校まで運んだのは言うまでもない。 「えっと……氷付けになってる人はうちの学校の新しい先生なんですよー。白雪ちゃんなんで氷付けにしちゃったんですか?」 「それがこの人いきなり服を脱ぎ出したんです!!」 「あー…彼女そういう人でしたね。まあそこは先生の友達ということで許してやって下さいですー」 「あれ?そっちの木山先生は飾利が紹介したんじゃありませんでしたっけ?」 「上条ちゃんよく知ってますねー。また旗でも挙げたんですか?」 「いや、義妹です。」 「か、上条ちゃんがとうとう義妹属性に!?」 「取り敢えずそこはスルーして話を進めて下さいにゃー」 「分かりました。木山先生は確かに風紀委員の初春さんからの紹介があって、偶然知り合いだったものですから先生が木山先生と知り合いなのはおかしくないのです。」 まあ納得は出来るのだが紹介したのが初春じゃ少し疑ってしまう。 「取り敢えず上条ちゃん、木山先生の氷をどうにかしてほしいんですよ。」 「あーはいはーい」 上条は手袋(月夜に借りた。途中で溶けてしまったら大変な事になるから。)を外して氷に触れる。ピキンッ!!と氷が割れる音がした。 「酷い目にあった…」 「お疲れ様でしたー」 「暑い。」 「「「「「「待てーっ!!!!!!」」」」」」 新学期初日は何やら凄そうである。 始業式にやることは定型化されている。 意味が無い校長の訓示と新任教師の紹介である。
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/1126.html
一ヶ月後 聖ジョージ大聖堂 大広間 建宮「えーそれではお集まりの皆さん、この不肖建宮斎字が音頭を取らせていただくのよ!」 レッサー「よっ、やれやれ!」 建宮「ロンドンの街を守り切った我々と、新たな三人の仲間、そしてなにより――」 天草式「「「なによりー!?」」」 建宮「我らが麗しきアークビ「『私の』くぁいいインデックスの誕生日に、カンパーイ! なりしよ!!」 あああああぁぁぁぁ!? なにするのよなー!!」 「「「「「「カンパーイ!!!」」」」」」 建宮「oh……」 五和「げ、元気出してください建宮さん。おしぼりいりますか?」 建宮「おお五和……今の俺の癒しはお前だけなのよ…………」 五和「ほ、ほ、ほ、本当ですか!? 私、建宮さんのお役に立てて……?」 建宮「そのとーり! さあその『隠れてない巨乳』に顔を埋めさせてほs」 シンクノソラー ステ「どいつもこいつも、主賓そっちのけで騒いでるな……」 イン「みんな楽しそうだから、別にいいんだよ!」 ステ「こう言っちゃなんだが、貴女の誕生日に括られて歓迎会をされるあの三人だって……」 元春「本人たちは一向に気にしてないからいいんだぜい」 火織「……結局のところ、財政難が一番の原因なわけですが」 ステ「…………」 元春「………………」 イン「なななななんで、私の方を見るのかな!?」 元春「その豊かな胸に手を当てて考えるぜよ……誕生日おめでとう」 火織「とりあえず一日五食はやめましょうね……誕生日おめでとう」 ステ「ダイエットの成果はどうなったのかな……誕生日おめでとう」 イン「とってつけたような祝いの言葉はやめて欲しいかも!?」 火織「おや……ステイル?」 イン「どうかしたかい」 ステ「今、インデックスに敬語を使ってませんでしたよね?」 イン(何で……!) ステ(こんな時だけ鋭いんだ…………!) 元春「ほう、ねーちんにしてはなかなか早かったぜよ」 火織「なんですか……また私だけ気付いてなかったとかですか……」ズーン 元春「いやいや、なかなか尻尾を出さないようにはしてるから、皆そんなには気付いてないにゃー」 ステ「べっ、別に前から敬語が外れる事は珍しくなかっただろう!」アセ イン「そっ、そうかも! 二人きりの時は普通がいい、なんて頼んだわけじゃ」アセアセ ステ「ホントに隠す気があるのか貴女はァーーーーッッ!!!」 ステ「くそ、油断したか……」 火織「別に堂々としていれば良いでしょう」 イン「そ、その。私が、恥ずかしいって言ったから……」 元春「上司と部下になる前はタメだったろうが」 ステ「そこらへんの女心ってヤツは僕にもよくわからないがね…… まあ、最大主教が望むのなら、僕は何だってするよ」 イン「あぅ……」カァ 元春「見事なカミやん病だ……殴りたくなってきた」ウズウズ 火織「でもその割に名前は呼ばないのですね?」 ステ「…………」 イン「…………」 元春「……どうやらそこは地雷原だ、ねーちん」 火織「?」 元春「さて、いつまでもお邪魔するのもなんだし」 火織「そうですね、後は若い二人に……」 ステ「たいした歳の差でもないだろうが二十八歳!」 火織「冗談ですよ。来客に挨拶するのもあなた方の務めでしょう」 元春「(オレは冗談を言った覚えはないですたい)だな、会場を回って見せつけて来い」 ステイン「「何をだ(かな)!?」」 元春&火織( (それをだよ) ) 移動開始………… ガヤガヤ ワイワイ ステ「……回るのはいいが、ドンチャン騒ぎで皆こっちには見向きもしないね」スタスタ イン「皆嬉しそうだから別にいいかも。…………あ、あれ!」ヒョコヒョコ ステ「アレ? ……………………さて、ではアチラに……」 クランス「おおインデックス! この度は誠に目出たいな!」 ステ「なんで居るんだよッ!! おかしいだろロシア成教!!!」 クラ「友人の生誕日を祝いに来て何が悪いんだ?」 ステ「いや、外交上いろいろあるでしょう? 其方のブレーンだって……。 …………ブレーンからしてアレだったな」 アニェーゼ「アレってのは、あっちでばか騒ぎの中心に居るアレのことですかい?」 イチバンタテミヤ! フリーキックヤルノヨナー! オナジクイチバンワシリーサ! キックサレルボールヤッリマース! ステ「…………」 イン「……なんでもありなのかな、あの人」 サーシャ「第一の懇願ですが見ないで聞かないで触らないでください! ロシアの恥ですあれはッ!!」 アニ「……ああ、あれが『カナミンスーツのワシリーサ』ってワケですか」 サー「第一の質問ですがまたかあのバカ上司ィィィーーーーッッ!!!!」 ステ(安定感があるいい人材だ……) イン(ステイルの目がプレミアリーグの監督みたいになってるんだよ……) イン「あれ? そう言えばなんでアニェーゼが二人と一緒なの?」 ステ「そういえば……何かつながりがあったのかい君たち?」 アニ「よくわかんねーですけど、あのアロハ野郎にお偉いさんだからって 案内役を押し付けられちまったんですよ。こちとら初対面だってのに」 サー「…………!! 第一の解答ですがその通りです! 私たちに特に面識などありません!」 クラ「きゅ、急にどうしたんだサーシャ?」 アニ「サーシャ…………?」 サー(うわあああぁぁぁ!) アニ「ああ、ああ。なぁるほどぉ……」ニヤ イン(あ、スイッチ入った) サー「だ、第二の質問ですがその凶悪な顔はなんですか!?」 ステ(待て落ち着け、これは土御門の罠だ) アニ「そうそう、その口調で気付くべきでしたねぇぇ…… 痴女としか思えない拘束服のサーシャ=クロイツェフさぁん?」ニタニタ イン「…………拘束服?」 ステ「………………痴女?」 サー「いやあぁぁぁあぁぁ!!!!! 第二と第三と第四の懇願です、お願いだから黙ってください!!!」 クラ「ん? あれはあれで可愛かったじゃないか、サーシャ」キョトン サー「え…………」キュン アニ「……チッ。予想外の展開になりやがりましたね。 はぁ……どいつもこいつも……」デアイガホシイ ステ「だいたいにして頬を染める場面とは違うだろう、これは」 イン「ちっちっ、そこが乙女心の難しさなんだよステイル」 ステ「貴女は全世界の乙女に謝るべきだと思うね」 クラ「ああ失礼した。すっかり遅れたが誕生日おめでとう、インデックス」 サー「……ハッ! だ、第一の祝辞ですが、おめでとうございます」 アニ「ああ、私もまだ言ってやせんでしたね。おめでとうございます、最大主教」 イン「ふふふ、ありがとう!」 クラ「……『ありがとう』とは紛れもなくこちらの台詞だ」 サー「第二の解答ですが、私を長年の悩みから救ってくれたのは、貴方です。 なんと、お礼を言えば良いのか…………」 ステ「…………」 イン「サーシャがお礼を言うべきなのは、クランスのはずなんだよ。 あんなに頭を下げられたら、断れるはずないもん。 ほーんと、サーシャは愛されてるかも」ニヤニヤ アニ「ほほう、愛されてるんですかい」ニタニタ ステ(シスター・アンジェレネを呼んでおくべきか……) サー「………………えーっと、その……第三の解答ですが」 ステイン「「?」」 アニ(おや、またしても予想外の反応) クラ「待てサーシャ、そこから先は私の口から話そう」 サー「クランスさま…………」 ステ(十秒後に何をしてるか予想のつく自分が嫌だ) イン「どうしたの?」 クラ「実はだな…………」 クラ「私とサーシャは今、結婚を前提にお付き合いを」 ステ「進展が速すぎるだろッッ!! とりあえず僕たちに謝ってくれ 1!!!」 メンゴメンゴ(笑) ステ「ちくしょおおおぉぉーーーーっっ!!!!」 イン(ステイルはいったい何と闘ってるんだろう……) 移動中………… 五和「はああぁぁぁ………………何であの人はいつも『ああ』なんでしょう…………」グビグビ アンジェレネ「だ、大丈夫ですか五和さん……? ……はぁ」ゴクゴク 五和「大丈夫じゃないですぅ……。あなたの方こそ元気がないですよぉ……」プハァ アン「うう……だってあの二人、割って入る隙がますます無くなってるんです……」ハァァ オルソラ「まあまあ、二人とも夜更かししては美容にいけないとあれほど……」 ステ「……それは一カ月以上前の話題だった気がするんだが」フー アン「あ! ふぁ、ふぁ、神父ステイル!」 イン「…………私もいるかも」 五和「あーこれは最大主教! おたんじょうびー、おめれとうございます!」 アン「お、おめでとうございます。……上手く、やってますか?」 イン「…………うん。ごめんは言えないけど、ありがとうねアンジェレネ。いつわも……」 オル「あら、十七歳の誕生日誠におめでとうございます、最大主教様」 イン「……」 ステ「…………」 五和「………………」 アン「……………………え、永遠の十七歳だったんですか? 最大主教」 イン「それはしいなの事なんだよ!」 ステ「なかったことにしよう。うん、絶対その方がいい」 アン「そうですね……」 オル「?」 イン「じゃあ↓から仕切り直しかも!」 ステ「それで貴女は、なにをくだを巻いていたんだ?」 五和「……わかってるんでしょおぉ……教皇代理の事ですぅぅぅ……」 アン「相当出来あがっちゃってますね……」 オル「おしぼりなど如何でございましょう?」 ステ(キャラまでぶれ始めた) 五和「…………オルソラさん! あなたもずるいんですよぉ!!!」 オル「え? え?」 アン「ど、どうしちゃったんですか五和さん?」 イン「いつわはネジが飛ぶと誰よりも怖いって天草式の皆が言ってたんだよ、そういえば」 ステ(別に平常運転でも相当なものだが……) オル「わ、私何か、五和さんのお気に障ることを…………?」ワタワタ 五和「だって、だってだって!!」 五和「オルソラさん、建宮さんにお姫様だっこされてたじゃないですかぁぁ!!!」 「「「!!??」」」 オル「え? ヴィリアン王女様がなにか……?」 「「「………………」」」 ステ「……ゴッホン! あ、あの男、オルソラ狙いだったのか…………!?」 アン「そ、そんなシーン見たことないですよ!」 イン「…………ううん、私のデータベースに一件だけヒットしたんだよ」 ステ「なん…………だと………………?」 五和「そーですぅ!! 私は忘れてませんよぉ………… 十年前のあの日、オルソラ教会でのことをぉ!!!!」 「「………………は?」」 イン「詳しく知りたい人はアニメⅡ期のDVD二巻を見てね!!」 ステ「まさかの販促!?」 移動中………… トチトリ「しかしあれだな、管理人さんとそちらのシスターさんは本当に瓜二つだ」 13857「こんなドジっ子と一緒にされるとは心外です、とミサカは悲しきDNAの悪戯を嘆きます」 17000「いったい誰がドジっ子だと言うのです、とミサカは失礼極まりない発言に憤慨します」 13857「お義兄様の好みの属性を獲得しようと『寮母さん』などにうつつを抜かしているから お姉様に先を越されたのだ、とミサカは17000号の本末転倒ぶりを嘲笑います」 17000「アニェーゼさんに感化されて特殊性癖をゲットしてしまった13857号よりは 遥かにマシです! とミサカは(ry」 13857「どどどどうやってミサカがドSって証拠だよ! とミサカは(ry」 トチ「……仲の良い姉妹だなぁ」 イン「もう、また喧嘩してるの二人とも?」 ステ「彼女らのコレはじゃれ合いだろう。もう見飽きたよ」 トチ「おや、最大主教にステイルさん」 ステ「すまないね。せっかくの歓迎会がこんな節操のないもので」 トチ「ははは、貴方も意外に律義な人だな。こんな会を催してもらえるだけで私達は満足さ」 ステ「フッ……成程。確かに本人がそういうなら仕方がないね」 トチ「その通りだとも。さ、一杯どうだ?」 イン「…………」 妹達( (また始まった…………) ) ステ「お言葉に甘えたいところだが、遠慮するよ。……最大主教の身は素面でないと守れない」 トチ「ほほう、見上げた男ぶりじゃないか。なあ最大主教?」 イン「す、すているのバカ……!」 13857「お義兄様とは一味違う所を見せてくれますね、とミサカは微妙に惜しがります」 17000「なにが惜しいのでしょう、とミサカは修羅場を誘発しかねない 13857号の腹黒さに戦慄します」 ステ(SPが酒を飲まないのはごく普通のことだと思うんだけどね) トチ「いやあ済まない。普段からバカップルを見慣れてるものだから、 私もうっぷんが溜まっていたのかもしれないな」 イン(普段からアレなんだ……) トチ「とにかくこの場はあなたへの祝いが先だろう。 誕生日おめでとう、あなたの前途に我らの神の祝福を」 妹達「「お誕生日、おめでとうございます」」 イン「あ、あはは……。ありがとう、みんな」 ステ(他宗教の祝福は……まあ無粋なことか) 13857「ああそうです、最大主教」 イン「え? まだ何かあるの?」 17000「後ほどスペシャルなプレゼントをお渡しするのでご期待ください、 とミサカはあえて今出さずに勿体ぶります」 ステイン「「?」」 移動中………… 建宮「おらおらアックアさんよぉ! この建宮斎字の酒が飲めないっていうのよなぁ!?」 ウィリアム「す、少し落ち着くのである建宮! おい貴様ら、コイツを止めないか!」 牛深「ええー」 野母崎「やだよ、建宮さん酔うと見境つかなくなるしー」 対馬「そうね……五和に変に誤解されて聖人崩し喰らいたくないし……」 諫早「このまま行けばその対象はウィリアムさんになるのかな」 ウィ「わっ、私はもうとっくに聖人ではない! というか貴様らもしかして、まだ十年前の事を根に持っt」 香焼「きょ、今日のポニーテールは反則的なまでに似合ってるっすよ///」 浦上「///」 ウィ「人の話を聞けーーーっ!!」 ステ「…………行こうか、最大主教」 イン「うーん、ちょっと可哀想だけど。関わるとめんどくさそうかも」 天草式「あ、お誕生日おめでとうございまーす(なのよなー)」フリフリ イン「ありがとなんだよー」フリフリ ステ「テキトーだな……」スタスタ ウィ「待て、助けなくても良いから、せめて祝いぐらいはさせるのである! って行くな! ぬうう、誕生日おめでとおおおおおおおおっっ!!!」 イン「ありがとねー」ヒョコヒョコ ステ「ヒーローェ……」ホロリ 移動中………… ヴィリアン「あら? 今ウィリアムの声が……?」 リメエア「間違いようのない野太い声ね……まあ大丈夫でしょう」 キャーリサ「そうそう。そんな事よりも腹の子の為に食べるべきなの、ヴィリアン」 ステ「立食パーティだってのに椅子持ち込んでるのもいるし……」 キャ「妊婦が居るんだ、大目に見るし」 イン「ヴィリアン! もう出歩いて平気なの?」 ヴィ「ふふ、心配してくれてありがとう。安定期に入ったから大丈夫ですよ」 リメ「さすがに四度目ともなると肝の据わり方が違うわね。……誰かさんと違って」 キャ「妹の心配をしてなにが悪いとゆーの姉上!?」 ヴィ「もう、姉君ったら……」テレ リメ「自分が婚期を逃しているという事実をまず心配なさい」 ステ「すっかり姉馬鹿伯母馬鹿だな……どうしてこうなった」 ヴィ「でも、私はとても幸せです。こんなに家族に想ってもらえて。 ……昔は、夢に過ぎないと思っていた光景ですから……」 キャ「…………」 リメ「…………」 イン「ヴィリアン、良かったね……」 ヴィ「まあいけない、私の事ばかりかまってもらって。 今日はおめでとうございます、インデックス」 キャ「そう言えばそうだったし。おめでとう」 リメ「おめでとう、最大主教。これからも共に英国を支えて行きましょう」 イン「ありがとうございます。不束者だけど、よろしくお願いするんだよ!」 ステ(今のはわざとなのか……?) ヴィ「それに私も幸せだけど、今のあなたも幸せそうですよ、インデックス?」 イン「そ、そうかな…………」チラッ ステ「………………」ポリポリ キャ「横の甲斐性なしが我慢ならなくなったら私の所に連れて来い。 カーテナ(欠片)で根性を叩きなおしてやるし」 ステ「……どうぞ御随意に。例え大天使が相手だろうと僕の意志は揺るがない」 ヴィ「あら」 キャ「おお」 イン「」 リメ「だからキャーリサ、貴女は四十路手前の自分を顧みなさい……」ハァ 移動中………… ステ「…………あれもスルーしたいんだが」 イン「……どうしよっかなーなんだよ」 エリザード「ほーれじゃんじゃん持ってこーい!!」ヤッホーイ! ローラ「良き飲みっぷりであることよエリザード様! 私も負けてられなし……!」ウズウズ ワシリーサ「んねぇねぇ聞いてるオジサーン? サーシャちゃんがね、 私の可愛いサーシャちゃんがお嫁さんに……ウッウウウッ」ガクガク 騎士団長「」シーン ステ「騎士団長が尊い犠牲に……」アーメン イン「無事主の御許に辿りつかん事を……」アーメン ロー「あああ! インデックスーーー!! ってわわっ!?」トタトタガバッ イン「あわわ! 危ないんだよローラ! 歳を考えなきゃ!」フラフラ ステ「クソッ、感付いたか女狐が……!」チッ ロー「…………本人の前でする言い草でなきにつきよ……」シクシク ロー「と、とにかく! 二十六歳の誕生日おめでとう、インデックス」 イン「えへへー。ありがとう、ローラ」 ステ(年齢にせよ誕生日にせよ、この女の申告だという点が気に入らないんだよな……) エリ「おや、主役のご登場か。今日はめでたいね、インデックス」 ワシ「あらぁインデックスちゃん、お誕生日おめでとー☆ …………ああサーシャちゃん、クランスちゃぁん……。 もう子供じゃないのねぇ…………うっ、ぐすっ」ビシバシ 団長「…………お、おめでとう。最、大主、教……。 これか、らも……妻、と仲良、く……………………」パタッ イン「うん、うん! とっても嬉しいかも!!」 ステ(…………まあ、いいか。……?) ロー「」チョイチョイ ステ「はあぁ………………なんですか、手短にお願いしますよ」プカー ロー「どうである、青少年? 新たな一歩は踏み出せし?」 ステ「…………あの聖堂、カメラも監視術式も無いはずなんですが」 ロー「なんとステイル! 神の御前でナニに及んだとヒャアアァァッッ!?」ボボウッ! ステ「次に言ったらその阿呆な長髪を焼き尽くしますよ……」ユラリ ロー「今のだけで三十センチは減りたりよ!?」 ロー「それはさておき。壁を一つ、乗り越えた感じでありて?」 ステ「……別に、そのような」 ロー「どのみち、上条刀夜には感謝せねばならなし。 ……あの子の父親役を出来る者は、ロンドンにはおらぬのだから」 ステ「…………母親役だって、居るわけじゃあない」 ロー「……えぇ、そうね」 ステ「話はそれで終わりですか?」 ロー「手短に済ませいと言ったのはそっちにつきよ。 まあ、まだまだこれから、と言う事ね?」 ステ「貴女に言われるまでもない事ですね」 イン「むー! またローラとお喋りしてるのすている!?」 ステ「おっと。では僕は行きますよ」 ロー「ええ、頑張りなさい」 ステ「フン……」スタスタ 「ええ、ええ。まだまだ、これからよ? ステイル…………」 移動中………… イン「あ、レッサーが何か始めるかも」 ステ(イノケンステンバーイ) レッサー「あっはっはっ!! さーさお集まりの皆さん、見たいですかー? 私のスカートの中身、今日はなんとノー」 ステ「よさんかァァッッ!!!!」ゴオウッ! ルチア「おやめなさい、破廉恥なッ!!」ドグシャァッ! レッ「んぎゃぁぁっっ!!!」 シェリー「あーあ、レッサーが『✝レッサー』になっちまった」 ショチトル「だ、大丈夫なのかコレ!?」 ルチ「気にする必要はありません、こんな喋る15禁」 ステ「すぐに蘇るよ。レッサーだからね」 ショ「そ、それにしてもやり過ぎてるように……これ、ただの肉塊じゃぁ」 シェ「アンタも心配性ねえ。だったらやるか? 蘇生の儀式」 イン「うむ! では準備を始めるんだよ」 ショ「じゅ、十字教にはそんな秘術が!?」 ルチ(純真な子羊ですね…………) イン「それじゃあいくよ……」 ショ「」ゴクリ イン「ささやき」 ステ「いのり」 シェ「えいしょう」 ルチ「ねんじろ!」 ショ「……」 レッ「 レッサー は まいそう されます 」 レッ「…………じゃあないでしょうがあああぁぁぁ!!!」ガバァ! ショ「おお! 本当に蘇るなんて!!」キラキラ ルチ(心が痛い) シェ「なるほど、ツッコミはツッコミでも純真無垢なのねこの子……」 イン「ステイルとは大違いなんだよ」 ステ「おい待て」 レッ「ステイルを差し置いてツッコミに回るとは何たる不覚…………。 それはさておき、本日はおめでとうございます最大主教」 ルチ「おめでとうございます。我らの主に感謝いたしましょう」 シェ「おめでとさん。また一つ三十路に近づいたわね」ククク ルチ「シェリーさん! 主より命を授かった聖なる日をそのように……!」 イン「る、ルチア。そんなに目くじら立てなくてもいいんだよ?」 ステ「いつもの軽口だろう、全く生真面目にすぎるね」ハッ ( ( ( (アンタが言うな) ) ) ) ステ「…………?」 ショ「おめでとう、インデックス。……そして、ありがとう」 イン「こちらこそ。……私の力で、誰かを救えるんだって思えたから。 だから、私もあなたに救われたんだよ」 ステ(『救い』…………か) ショ「これからの、あなたに貰った人生を力の限りに生きる。 それで、あなたも喜んでくれるだろうか? ……エツァリは、私と共に生きてくれるのだろうか?」 イン「一個目の解答は、必要ないよね。……そして二個目の答えは、私にはあげられないよ。 ショチトルが、自分で掴みとらなくちゃ意味ないの。頑張ってね」ニコッ ショ「わかり、ました…………。ありがとうございます、最大主教」 イン「もう! だからインデックスでいいって言ったかも!」 ショ「あ、いやその、つい! あまりにあなたが、その、眩しかったから……」 イン「く、口説かれてるのかな私!? で、でも、私には他に心に決めた人が……」モジモジ ショ「ちが、ちがぁーーーう! 私にだってそんな趣味はなーーーいっ!!」 ワーワー ギャーギャー シェ「……ごく稀にだけど、あの子からはオルソラとはまた別の神々しさを感じるんだよな。 むかし私、インデックスの命を思いっきり狙ってた筈なんだけど」 ルチ「私とて、かつて最大主教に刃を向けた身ですが…………。 どこぞのウニ頭同様、ああもサッパリ許されるとそれはそれでむず痒いものがあります」 ステ「…………そんなことはないさ」 ルチ「え?」 ステ「彼女もまた、人並の苦悩に焼かれ、当たり前の感情に左右される人間だ。 人の上に立つ者として、それを衆民に見せてはいけないのだろうが……」 レッ「……だったら、貴方がその受け皿になる、ぐらいの気概を見せたらどうなんですか?」 ステ「当然やるさ。僕は彼女の心まで守り抜きたい。 しかし、それは一人で背負い込めばいい、という問題でもない。 …………僕では受け止められないモノも、あるんだ」 シェ「それで? 私らにどうして欲しい訳?」 ステ「僕が言えた事ではないのはわかってる。だが…………」 レッ「まどろっこしいですね。良いんですよ? 遠慮なく言ってくれて」 ステ「……時々で良いんだ。彼女の中に、踏み込んでやってくれ。 それで彼女は、少なからず救われるかもしれない」 ルチ「……立場と言うものがありますから、一歩引いていた事は否めません」 シェ「確かになぁ。親しみやすいヤツだけど、 奥にまでズケズケ入っちまうのは違うかな、とは思ってたよ」 レッ「別に私は仕事上の付き合い、ビジネスライクな関係しか持ってないですしー?」 ステ「…………そ、そうか……」 レッ「――まあでも、素直になれない神父さんが多少なりとも自分を曝け出したんです。 私たちも負けてられませんね」 ルチ「迷える子羊……いえ、迷える友人の支えになるのは、主ではなく私の意志です」 シェ「私はどう足掻いても長い付き合いになるんだ。それとなく気を掛けてやるわよ」 ステ「……………………ありがとう」 レッ「あーーーーーっ!! やばい、今のでサブイボバリバリですよ!! おおサムイサムイ」 ステ「なんだと貴様ぁっ!?」 ルチ「明らかにキャラに合っていなかった事も否めませんね。嘆かわしいことです」 ステ「キャラ否定!?」 シェ「っていうか赤髪黒尽くめって時点で『キャラ作り頑張ってます』オーラ出てない?」 ステ「貴様が言うなゴスロリィーーーーーッッ!!!!!」 ショ「あ、あっちは賑やかだな……あはは」ビクビク イン「……まーたレディーに囲まれてイチャコラしてるんだよ…………」ブツブツ ショ(怖いよぉ…………) 移動中………… ステ「あらかた、挨拶は済んだかな」スタスタ イン「あと残ってるのは…………。いた、ね」ヒョコヒョコ エツァリ「どうも最大主教。この度は誠におめでとうございます」ペコリ イン「どういたしまして。…………ごめんねステイル、ちょっといいかな?」 エツ「おや?」 ステ「……ああ。では僕は、向こうに行っているよ」 スタスタ エツ「……一体どうしました?」 イン「私に、話があるんだよね?」 エツ「これはこれは……一月も前の事を、よく記憶して……。いや、愚問でしたねこれは」 イン「私は、『忘れない』よ。 ……今までの事も、これからあなたが語る言葉の一欠けらも、逃さずに」 エツ「そうですか……」 「では、お話しましょう。自分の『約束』について」
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/1082.html
8月19日午前12時00分、『猟犬部隊』32番待機所 もしかしたら、想像出来ない光景かもしれない。 彼らを知っているものなら、尚更に。 「うん、美味しいんだよ! この唐揚げがもっと欲しいかも!」 「ちょっとは遠慮しろ、クソガキ」 「むー。そういうあまただって肉ばっか食べてると思うけど!」 「あの……べーしっくも……もうちょっと欲しいです」 「……ん」 大皿に乗っている唐揚げを、木原が3つほど『管理個体』の皿に取り分ける。 それを見て怒り心頭になったのはインデックスだ。 「な、何でベーシックには甘いのかな!?」 キーキーと怒る彼女だが、右隣に座っていたエツァリが唐揚げを渡したことで機嫌を回復させた。 「ありがとうなんだよ、エツァリ」 「いえいえ。他に何か食べたいものはありませんか?」 「えーと、そっちの海鮮サラダが食べたいな!」 「はい、どうぞ」 ニコニコ顔でサラダを持ってくるエツァリに、ショチトルが静かに声をかける。 「エ、エツァリ。その……私にも少しくれないか?」 「分かりました。ではお皿を出して下さいショチトル」 エツァリとインデックスの話が終わったので、彼女の左にいるステイルがここぞとばかりに酢豚を差し出した。 「インデックス、こっちも欲しいだろう?」 「あ、それも大好きなんだよ!」 「良かった。たくさん食べてくれ」 「…………何なの、この空気」 「知らん」 この場にある大量の料理を作ったナンシーの独り言に、向かいに座るマイクがそっけなく返答。 そう、彼らは完全無欠に昼食中だった。 意外に思うかもしれないが、『対魔術師用特別編成隊』は基本的に全員で食事を取る。 その為、待機所の食堂は賑やかなものとなっていた。 現在ここに居ないのは、研究が大詰めを迎えてフィーバーしているテレスティーナだけだ。 ※木原が帰ってきたため、寮監は帰宅している 「木山センセ、そこの塩取ってくれる?」 「これか」 「ありがとー」 「しかしヴェーラ、私を先生と言うのは止してくれないか」 「えー。じゃあ木山ちゃん?」 「……もういい。好きに呼びたまえ」 各自バラバラに食事をしないのは、敵対勢力を警戒しての事だ。 魔術師と戦っている以上、いつ攫われたり入れ替わったりされるか分からない。 個人行動を極力減らすことで、その危険性を避けようというのがその理由である。 ――ただし、これは建前だ。 実際はもっとシンプルな理由が存在している。 すなわち、インデックスに外食させていては無駄に資金が吹っ飛ぶから。 どうせなら全員で揃って食事をして、時間の無駄を省きたいと言うのもある。 故に彼らは、食事を当番制で用意しているのだ。 ちなみに。 リーダーの木原は、肉以外を決して料理しようとしなかったので当番から外された。 8月19日午後4時00分、学園都市統括理事会 ――『あの異端児、随分と面倒な事をしおって。幾らの経済損失を被ると思っておる!』 ――『ふむ。しかしこのデモは、些か不可解と言わざるをえないだろう』 ――『その通りです。わたくしはあらゆる角度から大衆心理分析を行いましたが、この抗議活動は不自然極まりないと結論付けます』 ――『んで、どーするよ? 一々叩き潰すのは手間だぜ』 ――『……面倒はキライ……』 ――『それについては、木原数多から報告がある』 ――『ほう。打開策を提案してきおったか?』 ――『現刻から72時間以内にこの状況を改善する、と』 ――『なに……?』 ――『本気なのか?』 ――『実に面白いですね。わたくし達は静観していろと言う事でしょうか』 ――『ただし、条件があるらしい』 木原が提示した条件を、統括理事会の一人が読み上げる。 その条件を認めるか否か、彼らは1時間ほど悩んだ。 そして、結論が出る。 ――『じゃあよォ、この提案を承諾するっつー事でいいな?』 ――『異議なし』 ――『異議なし』 ――『異議なし』 ――『異議なし』 ――『異議なし』 ――『ここに統括理事会の合議が成立した。異端児の成果を期待するとしようかの』 8月19日午後2時00分、『猟犬部隊』32番待機所 統括理事会が会議を開く2時間前。 会議室に呼び集められたのは、インデックスやエツァリ、ショチトルにステイルといった魔術師だ。 「やっぱり、今回使われている霊装は……『C文書』の可能性が一番高いんだよ」 木原から事の次第を聞いたインデックスは、ハッキリそう言った。 「教皇が宣言したことを強制的に『正しい』と信じさせる。それこそ信じられねぇ話だな」 「む、疑うの?」 「まさか。それぐらい出鱈目なモノじゃなきゃ、今回の不自然なデモは説明出来ねーよ」 感心したように言う木原を、黙っていたショチトルが睨みつけた。 「それでどうするのだ? C文書はバチカンに設置して使う霊装なのだろう?」 「……」 「まさかこの状況で、再びバチカンへ行く気か?」 「……それなんだけどよ」 「本当に、C文書は“バチカンだけ”でしか扱えないのか?」 木原の問いかけに、インデックスはどういう事?と首を傾ける。 「あのローマ教皇の態度を見る限り、こんなデモを起こすとは考えにくいだろ」 「それは……」 バチカンで対峙した時、ローマ教皇はどんな態度だったか。 ――「止まってもらおうか。貴様をこのまま放置しておけば、いずれ大きな災厄となるだろう」 ――「貴様の身柄を拘束し、学園都市統括理事会との交渉材料にする。私は争いを望まない」 (そうだ。学園都市を潰す為に信徒を利用すると言うのは、ローマ教皇の行動パターンと一致しない) (それにあの会談からわずか2日しか経ってねぇ) (うんざりするほど大勢いる枢機卿の意見が、こうも早く纏まるとも思えねーし) (恐らくは、そういう正規のルートを飛び越えたところでこの霊装は使われた) (じゃなきゃこのスピードは説明がつかないしな) (それが出来るのは、間違いなくあの『フィアンマ』とか言う奴の同類だろう) (……可能性としちゃ、十分考えられる) そこまで考えた木原は、インデックスにこう問いかけた。 「なあ、仮にC文書をバチカン以外で扱うとしたら、どこが考えられる?」 アビニョンの名が挙げられたのは、それから10分後だ。 さらにそれから30分ほど費やして、木原は自らの考えの裏付けを取った。 アビニョン周辺の航空写真、物資の移動記録、バチカンからの渡航記録等。 それらを分析した結果、木原はC文書がバチカンではなくそこにあると判断する。 「完成したクローンの初陣に丁度いい。世界を混乱させるローマ正教の野望を、打ち砕こうじゃねーか」 「しかし、堂々と兵士を――それもクローンを――フランスへ送り込むなど不可能では?」 エツァリが疑問を呈する。 それに同意して、ショチトルも首を縦に振る。 「エツァリの言う通りだ。あの地域は今も暴動が続いているんだぞ」 「いやいや、そこは学園都市ならではのやり方があるから心配すんなって」 「……?」 「俺は、今学園都市を出る訳にいかないから……作戦の指揮をマイクに任せよう」 「エツァリとショチトルは、同行して指示に従え。いいな?」 こうして、『アビニョン攻略作戦』が始まった。 8月19日午後6時00分、同時刻、天草式十字凄教のとある拠点 「教皇代理、全ての準備は整いました」 「……そうか。なあ対馬、俺は今でも信じられんのよ」 「私もです。まさか、あの方が……我らの女教皇が、殺されたなどと……!」 その言葉を聞いて、教皇代理と呼ばれた男が拳を握る。 「この身を焦がすような怒り、抑えようにも抑えられんのよな」 「はい」 「木原数多。この男だけは、俺の手で――」 その先を言う前に、天草式のメンバー50人が彼の前に姿を見せた。 同じ気持ちを抱く仲間を前にして、教皇代理――建宮斎字(たてみやさいじ)は厳然と告げる。 「行くぞ。我らが敵の待つ、学園都市に」 同時刻、胤河製薬学園都市支店 統括理事会の許可を得た木原は、木山を連れて製薬会社を訪れた。 「何故、私まで連れてきたのかね?」 「ここにはよぉ、木山ちゃんが会いたい人間がいるんだわ」 「……誰の事だい?」 「もーすぐ会えるから、ちょっと我慢しろって」 はぐらかされた木山は、大して期待もせずに木原の後に従う。 (どうせ、教え子に再会させるつもりもあるまい) (この男に期待したところで、裏切られるのが関の山だろうしな) そんな事を思っていると、やがて2人は研究棟の地下3階へ到着した。 不可解な事に、そこはまるで牢獄のように鉄格子が一面に並んでいる。 「なんだここは? まるで牢屋じゃないか」 「大正解だぜ木山ちゃん。ここは悪人を閉じ込める牢屋なんだよ」 その時だ。 フロアの一番奥。頑丈な鉄格子の向こうから、場違いに楽しそうな声が届いたのは。 「おや、まさか君が来るとは……会えて嬉しいよ、木山君」 そのおぞましい声を聞いて、木山は失神するかと思った。 自分にとって、絶対に忘れられない人間の声。 全ての悲劇の発端が、そこに監禁されて笑っている。 「き、はら、幻生――!?」