約 488 件
https://w.atwiki.jp/deruta_sanbaka/pages/158.html
「これが私の最高傑作! ゴーレム=スーパーエリス×モトハル、略してエリハルさ!」 「「「「趣味悪っ!!!」」」」 「こいつはエリスのパワー、モトハルのスピードを併せ持ったゴーレムさ。覚悟するんだね!」 シェリーの奥の手、エリハルと当麻達の大晦日最後のバトルが幕を開ける! 「やっちまいな!!エリハル!!」 ゴーレムエリハルが拳銃を持ってる浜面の右肩を襲う。 「グハッ!!」 「おい、浜面!!大丈夫か!!」 「…なんとかな」 「ほう、さすがは幻想殺しの友人、タフなモンだ…。だがゴム弾のお返しはまだ終わってないよ!!」 浜面の右手は使い物にならない。肝心の拳銃も浜面から離れている。 そんな事お構い無しにエリハルは容赦ない速さで右腕を振り上げて浜面を襲う。 が、 「エリハル!?どうした!?」 そのエリハルの右腕が止まっていた。 「あのねえ、私だって戦うヒロインよ?」 まさに勝ち誇った顔で笑う美琴、 「お前!!いったい何をした!?」 「教えると思う?」 その瞬間エリハルが崩れ始めた。 「な!?」 エリハルの右腕があった場所に上条当麻がいた。 「残念だったなシェリー、本物の土御門の拳はこんなちっぽけなモンじゃねぇぞ。ちゃんと芯が通ってんだよ!!」 「チィッ!!」 「俺の事忘れてないか?」 落ちていくシェリーの前に浜面仕上がいた。 「なっ!?」 「歯を食いしばっとけゴスロリ女!!」 バコォン!!浜面の左拳が炸裂した。 シェリーが意識を失っていくと同時に土のドームが崩れていった。 この時、年末の世界大戦が本当に終わった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― ここで二つ種明かし、まず一つ目、なぜエリハルが動かなくなかったかというと美琴の能力の一つ、磁力を操る能力である。 エリハルは周りの土で出来ていたがその中に砂鉄が混ざっていたのである。その状態であれば美琴はエリハルを自由に操ることができる。 次に浜面が突如落ちていくシェリーの目の前に現れたのは特別な理由は何もなく、ただ単に絹旗が投げただけである。 「ったく、浜面は超目立ちたがり屋です。」 「だって俺殴られるだけじゃ滝壺に会わせる顔がねえよ。」 「元から滝壺さんに合わせる顔なんて無いでしょう。」 「もう一回言ってみろ!!」 「元から滝壺さんに合わせる顔なんて無いでしょう。浜面のくせに超生意気です。」 「…すいませんでした。」 「まあまあ、彼女の前でカッコつけたいのは万国共通だぞ?」 「確かに当麻かっこよかった♪」 「ありがとな美琴♪」 「どういたしまして当麻♪」 チュッ、レロレロレロ… 「ったくカミやん、こんな状況でよくそんなこと出来るにゃー。心配して損したぜい。」 「…ん、って土御門いつの間に!?」 「ドームが崩れた時からだぜい。いちゃいちゃしていて気がつかなかったのかにゃー?」 「全くだァ、もうちょっとボロボロになってろっつーの」 「またまたそんな事言っちゃってー、ってミサカはミサカは『急いで充電しやがれェ!!』って言ってたあなたのことを指差してみたり!!」 「余計なコト言ってンじゃねェ!!」 「だからチョップはやめてー!!ってミサカはミサカは訴えてみる~!!」 「そういえば海原は?」 「エツァリは何故か病院に行ってしまったよ。」 「ひょっとして俺達のせいかァ?」 「チョットやりすぎたかにゃー。」 海原は、グループ+ショチトルからの制裁で学園都市のいつもの病院に搬送された。 また、いつのまにか上琴の周りにグループ(海原以外)+打ち止め+ショチトルが集まっていた。 そして、話は土御門がいる前でシェリーが作ったモトハルのことを話しはじめた。 「それにしてもあのモトハルってゴーレム、意外と似てたよなー」 「ああ、しかも土御門並みに強くって焦ったぜ。ま、俺達の敵じゃなかったけどな」 シェリーが自ら制御していたモトハルと戦っていた当麻と浜面はモトハルの性能を素直に認めていた。 一方、トラップとして現れたモトハル(シェリー曰く劣化モトハル)を相手にしていた一方通行、結標、ショチトルの反応は酷かった。 「似てるのは顔だけだったなァ。しかもあの土御門の顔だから思いっきりブチ壊せていいストレス解消になったぜ」 「でも良く見ると土御門と色々と違ってる、というかギリギリ似てる程度のそっくりさんって感じね。首だけ『座標移動』ですっ飛ばすのって癖になりそう♪」 「エツァリはいつもより張り切ってたな。私は特に気にしていなかったが。楽しかったことは否定しない」 グループのメンバーとショチトルの感想に打ちひしがれた土御門は月夜に泣きつく。 「うわ~~ん、月夜~、みんながオレのこといじめるにゃ~」 「はいはい泣かないの。それに日頃からみんなに悪いことしてるからあんな風に言われるんだよ? 元春も反省しなさい」 「にゃ~、月夜がそうゆうなら。にしても、何でオレをモチーフにしてたんだ?」 「簡単な話さ。私のゴーレムの戦闘スタイルに一番適してるのが土御門、あんただからだよ」 和やかムードの当麻一行の雰囲気を壊したのは、意識を取り戻したシェリーだった。 立ち上がるシェリーに当麻達は警戒を強めるが、土御門がそれを制する。 「みんな安心していい。シェリーには戦う力も残ってないしそもそも他の奴らと違って俺達、というか美琴ちゃんを抹殺する気無かっただろ?」 「はあああああああああっ!」×当麻一行-土御門 「気付いてたのか、さすがは必要悪の教会きってのトリックスター土御門といった所だね。いつから気付いてた?」 「お前さんが敵として現れた時から引っかかってはいた。オレの知ってるシェリーなら俺達を廃病院に誘い込んだ時点で廃病院ごと俺達を潰してる筈だからな」 土御門のシリアスな部分を知らない者達は彼の頭の冴えにただ驚くばかりである。 そして土御門は「それに」と呟くと、さらなる仮説を立て始める。 「シェリーが本気で戦争、戦いを起こすならもっと派手に、それこそこの付近一帯で地獄絵図に変えるくらいのことはやるからな。一度は学園都市でテロ起こしてるんだぜい、シェリーは」 「あーーーっ! 思い出しましたわ! この方、わたくしを白昼堂々と襲い、お姉さまの超電磁砲にやられたテロリストではありませんの!」 「そういえば……。あの時と出してるものが違うから気付かなかったわ……」 「気付くのが遅いんだよ、ったく。それにしてもエリハルには改良の余地有りか。新しい人型ゴーレムってのは意外と難しいもんだ。レポート書くの面倒だな」 自分は最初から気付いていたのに、美琴と黒子が気付いていなかったことにシェリーは呆れながら首をコキコキと鳴らす。 その後でシェリーが言ったレポートのフレーズに引っかかりを覚えた土御門が尋ねる。 「ちょっと待つぜよ! レポートって何のことだにゃー? ……まさかシェリー、お前さん」 「ああ、私は最初からオルソラ率いる部隊には入っていないのさ。目的は新しいゴーレムの試験運用で今回はイギリス清教から正式に許可を貰ってる」 「じゃ、じゃあどうしてオルソラ達と一緒に行動……いや、その方が都合がいいってわけか。まったく大したタマだよお前さんは」 シェリーの告白に驚いたのは土御門だけではなく、残る当麻一行も驚きを隠せない。 そこへ更なる驚きをもたらす言葉を今度はオルソラが発する。 「シェリーさんは私のお願いを聞いてくださった、それはそれは友達思いの優しい方なのでございます。それにしても聞いていた話と随分違いましたわね」 「へ? オルソラ、違うって何のことだ?」 「あなた様の恋人のみさかさんでございます。とても素晴らしいお方でございましたわよ。ええ、友情に厚いお嬢さんでした」 「……いや、そこはいいから。それで何が違うっていうんだ?」 「あんたの恋人の評判だよ、幻想殺し。私達が聞いていたのとは全く違って驚いたよ。ま、おかげでやる気が多少は湧いたからいいんだけど」 オルソラ、それにシェリーが言った美琴についての評判について尋ねた当麻。 二人は多少迷いながらも当麻、それに美琴には怒らないことを約束させて話し出した。 「私が聞いたのは幻想殺しの女が科学の力を使って洗脳とか、無理やり脅して恋人にしたとか、そんな感じだな」 「私の方はとうまさんを寝取ったとか(ピー!)してとうまさんを(ピー!)したとかでした。だからこそ私はとうまさんと結婚しようと事を起こしたのでございますわ。あら?」 シェリーの方はともかく、オルソラの(ピー!)の部分、いわゆるHで卑猥で過激な言葉を聞いた上琴は顔を真っ赤にさせて呆然としていた。 他のメンバーも耐性が無い者は上琴と同じ反応を、そうでない者は呆れたといった感じの反応だ(打ち止めは一方通行に耳を塞がれて聞いていない)。 ショックから立ち直った当麻が怒ることも忘れて尋ねたこと、それは、 「……と、ところでさ、その噂の出所って誰だか分かるか?(大本は多分……)」 「私も直接聞いたわけじゃないからね。なんかどんどん噂に尾ひれが付いたって感じはしてたな」 「同じくでございます。それを受けてシスターや魔術師の皆さんがとうまさんと私の結婚を望んでいたのでございましょう」 「(オルソラの話は流そう)それで? 結局誰なんだ?」 「「禁書目録(でございます)」」 予想が当たった当麻だが、こんなに嬉しくない的中があるだろうかと思い始めてきた。 「やっぱりか…」 予想が当たった当麻はげんなりしていた。 「にゃ~。カミやん…同情するぜぃ… で、オルソラ?禁書目録はどこに居るんだ?」 「私は知らないのでございますわ。」 「ロンドンじゃないのか?必要悪の教会で見かけたぞ。」 オルソラの代わりにシェリーが答える。 「にゃ~。ね~ちんにも確認してみるにゃ~。」 土御門が携帯を取り出す。 「ねーちん、禁書目録の居場所は分かるかにゃー?」 『インデックスですか、それが…日本に居るらしいんです』 「なぜ日本に居ると言えるんだにゃー?」 『5000人の魔術師とシスターの中にステイルが紛れていたんです』 「ってか何でステイルまで居るんだ?」 『ステイルの話によると『インデックスに巻き込まれた』とのことで』 「そういうことか。でもそうなるとステイルと一緒に捕まったんじゃないのかにゃー?」 『捕まった者達の中にインデックスは居ませんでした』 「何ですと!」 『しかもステイルの話だと『神奈川に行って来ると言って空港から去ったよ』と言ってました』 「まじかにゃー」 『私達も1箇所以外探したのですが見つからなくて』 「一応聞くけどその1箇所とは………」 『上琴の家です』 「えらいこっちゃー」 「インデックスは何処にいるんだ?」 「カミやん、これ聞いて八つ当たりしないと約束してくれるかにゃー?」 「?ああ、約束する。」 「実はだにゃー……」 ただいま説明中… ただいま説明中… 「「「「「「「「「「「「何ですとーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」」」」」」」」」」」」 「土御門、どういう事だ!?」 「俺に当たられても困るぜい!!」 「どうしてあのシスターに私達の新居が分かったのかしら?」 「野生のカンだと思うよ?」 「それで納得しちまった自分に失望した……。」 「私も……。」 ちなみにインデックスが上琴の新居が分かったと言うと…… クリスマスの後イギリスに戻ったのだが、ステイルと一緒にローラのところに用事があってそこでローラの部屋に落ちていたパーティの招待状を見てしまったからだ。 もちろんその中には一応パーティーの場所が変わっても良いように上琴の新居の場所が書いてあったのだ。 「これからどうすればいいんだぁぁぁぁぁぁぁ」 「とりあえず落ち着けカミやんとりあえずカギを掛けてあるから中には入れないにゃー」 「でもどうせ外で待っているんだろ」 「多分な。それでも新居に戻らないといけないにゃー」 「不幸だー」 「そんなこと言ってないでさっさと行くにゃー」 ということで5カップルは上琴の新居に向うのだった。 そして日付が大晦日から正月、つまり新年を迎えてしまったことにようやく気付く。 戦いも終わって無事に正月を迎えられると思っていた5バカップルは、帰ったらインデックスが居ると思うと憂鬱な気分になった。 「ま、とりあえず家に帰って年越し……しちまったけど蕎麦を食べるぜい」 「あー、そういやこのドタバタですっかり忘れてた。俺と美琴の愛が詰まった蕎麦、みんなで食べるんだったな。というわけでここで解散といこうぜ」 当麻は気持ちを切り替えて皆それぞれに帰る場所に戻るように促す。 オルソラと精鋭の魔術師&シスター30名は大人しく帰国、シェリーも付き添う形で空港に向かう。 「みさかさん。あなたみたいな方がとうまさんの恋人で安心したのでございます。これから生まれる新しい命、大切に育んで下さいませ」 「産まれませんから! そもそも作ってもいませんから! 作るとしてもちゃんと二人で責任取れるようになってからですから!」 オルソラのペースに最初から最後まで、しかも最後は乱されまくってとんでもないことを言っている美琴を当麻が宥めてオルソラに別れの挨拶をした。 シェリーもオルソラの後に付いて行こうとしたが、立ち止まって浜面の方へと歩み寄った。 「あんたの拳、なかなか効いたよ。まあ幻想殺しほどじゃないけどね。約束だ、名前覚えてやるから教えろよ」 「勝ったのに何でこんなに上から目線? まあ、いいけど。俺の名前は浜面仕上だ、忘れんなよ!」 「約束だからな。ちゃんと覚えててやるよ浜面仕上。じゃあまたな。そこの可愛い彼女、大事にしろよ」 浜面の後ろからこっちをジーッと見てる滝壺と目が合ったシェリーは、優しく微笑んだ後でオルソラ達と共に帰って行った。 結標とショチトルは、当麻と土御門から海原をこっちに来させないように何度も念押ししてくるのでうんざりしつつも了承し、学園都市へと戻って行った。 残ったのは5バカップルと絹旗と対馬で、対馬は神裂と合流する為にここを離れようとするが絹旗は、 「絹旗、あなたも私達と来る? それともみんなと一緒にお正月を過ごす?」 「何だ絹旗、俺達に気でも遣ってるのか? 大丈夫だ、お前も俺と美琴の義妹なんだから歓迎するゴフッ!」 「……超幻想殺しお兄ちゃん、私達妹のことは名前で呼ぶって約束したのに超酷いです。だから超幻想殺しお兄ちゃん達とじゃなくてママさん達とお正月を超過ごします!」 「ご、ごめん絹は……最愛。って、結局帰る方向は同じかよ! じゃあさ、機嫌直ったらこっちに来いよ。待ってるから」 「しょ、しょうがない超お兄ちゃんですね。名前で呼んでくれましたし、初詣までには超機嫌直ってるでしょうからそれまで超待ってるんですよ!」 対馬の一押し、それと当麻効果(?)で素直に上琴の両親の家に向かうことを決意する。 5バカップルが上琴新居に帰る為に歩き始めた頃、空港では一つの珍事が起きていた。 『神裂さんから報告がありまして、当麻お兄ちゃん達を襲った本隊の皆さんも無事投降、そちらに向かっているとのことです』 「分かった。……それにしても君がこちら側の事情を知って、それでもこうやって私達のフォローをしてるのは不思議な気分だね、初春さん」 『私もです。あのパーティーで知り合った騎士団長さんとこうして、こんなことを話してるなんて』 空港にいた騎士団長は初春からの報告を聞きながら、彼女とは奇妙な縁があると思っていた。 建宮が見ていたら嫉妬で怒り狂いかねない二人の電話のやり取りに割って入ったのは、今回の功労者の一人でもあるウィリアムだった。 「それより我々はいつまでこうしてこの粗忽者達の監視を続けるのであるか?」 「そう言うなウィリアム。間もなくロンドンからの回収班が到着するはずだ。そうだね? 初春さん」 『はい。超音速旅客機が数機、そちらに向かっています。それとアックア、もうウィリアムさんでいいですね。驚かないで聞いて下さい」 名前で呼ばれたウィリアムは少し途惑いつつも、初春の申し訳無さそうな声に疑問を感じていた。 初春からもたらされた情報はウィリアムをこの上なく驚愕させるものだった。 『その超音速旅客機に第三王女、ヴィリアンさんが乗っているそうです』 「なっ! どうしてヴィリアンが日本に向かってるのであるか! そもそも公務はいいのであるか!」 『女王陛下自ら迎えに行って来いって仰ったらしく、公務も一人王女が居なくたって何とかなるって楽しげに送り出したようです』 (言いかねないな、あの女王なら。ウィリアムには同情すべきかどうか迷う所だな) ウィリアムと初春が話していると、一機の超音速旅客機が到着した。 嫌な予感がしつつもウィリアムは超音速旅客機から降りてきた女性を見て逃げようとするが、 「ウィリアムのバカーーーーッ! 人の顔見るなり逃げるなんてーーーッ!」 「うがっ! い、痛いのである! ヴィリアン、旅行鞄は投げる物でないのである!」 「細かいことは気にしないの! じゃあ早速向かいましょう♪」 「向かうとは? 我らはロンドンに戻るのではないのであるか?」 ウィリアムの疑問を解消したのはヴィリアンではなく、とても楽しげな初春の声だった。 『あー、言い忘れてましたけどヴィリアンさんに頼まれて混浴温泉のある超高級老舗旅館の予約、しかも離れで5泊6日で取っておきました♪』 「ありがとう初春♪ というわけでウィリアム、クリスマスの時は上手く煙に巻かれましたが今回は逃がしません! 私達の愛、きっちりと育みましょう♪」 「ちょ、落ち着くであるヴィリアン。騎士団長、あの少女と話をさせるのである!」 「初春さんなら電話を切ったぞ。彼女もこちら側のために一生懸命動いてくれてるんだ。責めてやるなウィリアム」 「行きましょウィリアム、私達の婚前旅行にっ!」 ヴィリアンに引かれて去っていくウィリアムの姿を騎士団長は笑いを堪えながらも姿が見えなくなるまで見送った。 二人が去った後で騎士団長は真面目な顔に戻ると、自分の仕事へと戻って行った。 一方、上琴新居に徒歩で向かっていたインデックスだが、彼女にとって予想外の出来事が待っていた。 「え?何なんだよこの家は?」 インデックスが驚くのも無理はない。何せ上琴の新居はそこら辺の家の三倍もあるのだから(しかも周りの家も相当大きい)。 「にしてもとうまと短髪遅いんだよ……帰って来たら噛み殺し確定なんだよ……」 その頃の上琴達は…… 「食料はどれだけ買っておいた方がいいと思う?」 「そうだな……、俺達は明後日辺りに帰るし……春休みまでは母さん達が来るから……これぐらいでいいんじゃないか?」 「カミやん、これっぽっちの食料なんて家に帰ったら暴食シスターに1人で全部食われちまうぜい?」 「同感だなァ…」 「帰った時にあの真っ白シスターがいたら半殺しでいいんじゃない?」 「発想が犯罪的ですの……」 買い物が買い終わって歩いている途中…… 「何か大晦日は休んだ気がしないし、帰ったらインデックスが待っているし不幸だー」 「当麻、なんか最近『不幸だー』を使う回数増えてきてない?」 「なんか少しだけ3ヶ月前のカミやんに戻ってきたにゃー」 「ホンマやー。なんか懐かしい気がするわー」 「うるせー」 「そういえばさっきから気になってたんだけどインデックスって誰?」 浜面が質問してきた。 「インデックスとはな、暴食が取り柄の2ヶ月前までカミやんと同居していたシスターだにゃー」 「でどういう関係だったの?」 「それわなーぶごっ!」 上条は土御門が変なことを言いそうだったので、殴った。 「まだ何も言ってないにゃー」 「お前のことだから変なことを言いそうだったから」 「オレってそんなに信用無い?」 「「「「「「「「「うん」」」」」」」」」 「ひどいにゃー」 一方、家の前で待っていたインデックスは…… 「zzzzzzzzzおなかいっぱいzzzzz」 眠ってしまった。 土御門が誤解を招く発言を言わせない為に、 嫌々ながらも上条はインデックスの説明を浜面にしながら歩いていた。 「~っというわけなのですよ。」 「おお。そんな事が… え?でも話を聞いた限りだととりあえず食べ物をあげれば落ち着くのか?」 「無理(だ)(だね)(だにゃ~)(かな)(なァ)(かもってミサカは略)(ですわね)(やろ)」 暴食シスターの恐怖を知らない浜面と滝壺はキョトンとしてる。 (ちなみに白井や白雪、打ち止めも修学旅行での体験でどのくらい危険かは分かっている) 「っと、そろそろ着くにゃ~。」 新年早々5カップルが上琴新居宅前で見たものとは… 「にゃー、カミやんはどうやら幸運の女神に愛されてるみたいだぜい?」 「…本当に心の奥底からそう思うのですが」 「zzzzzzzzzおなかいっぱいzzzzz」 「気持ちよさそうに寝てンなァ…」 「でもどないするん?このシスターはんこのままここで寝かせとくわけにはいかんやろ?」 「俺的にはこの小さな体に大量の食料がはいるとは思えないのだが…」 「「「「「「「「恐ろしいことに入るんだよ…!!」」」」」」」」 「「よく分かりました…。」」 「まあ禁書目録はこっちに来ている騎士団長にでも回収させるにゃー。ピピピのピッと、」 もしもーし?と電話をかけてる間に… 「…なんだかとってもいちゃいちゃを見せ付けられてる気がするんだよ…」 「「「「「「「「「起きたーーーー!!!!」」」」」」」」」 当麻達が帰って来たことによって眠りから醒めたインデックスだが、どうにも力が入っていない様子。 しかし目の前の暴食シスター覚醒に冷静さを欠いている当麻達はそのことに気付かない。 「落ち着け、落ち着くんだインデックス! 新年早々俺を噛んだって美味しくないぞ!」 「うん、とうまが美味しくないのは当たり前なんだよ。私には人肉を食べたいなんて衝動は無いんだから」 「その割には私の頭をガッツリと噛んでたような気がするんだけど……」 「短髪……そうなんだよ! 私はとうまと短髪を懲らしめる為にここに来たんだよ! 明けましておめでとうそしていただきます!」 インデックスによる上琴咀嚼ショーが始まるかと思われたが二人に飛びつこうとした途端、インデックスが倒れた。 倒れたインデックスからは『ギュルルルルルル! ゴゴゴゴゴゴッ! ゴギュルルルルルルッ!』というとても腹が鳴く音とは思えない音が聞こえてくる。 「イ、インデックス、さん?」 「お、お腹空きすぎてか、体に力がは、入らないんだよ……」 「そういえばねーちんが空港からこっちに向かったって言ってたけど禁書目録、お前さんどうやってここまで来たんだ?」 「あ、当たり前のことを聞かないでほ、欲しいかも。と、徒歩なんだよ……。おまけに何も食べてないからお腹がペ、ペッコペコで……」 土御門はインデックスの答えが予想通りだと分かるとすぐさまどこかへ連絡を取ろうと携帯を取り出す。 しかし連絡を取ろうとしている人物が視界に入ると、その人物を大声で呼ぶ。 「おっ、ステイルお迎えご苦労さんにゃー♪ お目当てのお姫様ならここでお腹空かせてダウンしてるぜい」 「すまない土御門。その子を取り逃がしたのは僕の落ち度だ。……ってどうしてみんな僕を怖い目で見る?」 「テメェそいつの仲間なんだよなァ? だったら俺達を襲った奴らの仲間ってことだ、違うか?」 「襲った……? ち、違う! 僕はその子に無理やり付き合わされただけだ! それに僕たち二人はオルソラの部隊には数えられていない!」 ステイルの言うことが信じられない当麻一行はそれぞれに戦闘態勢を取り、ステイルに対して身構える。 それを阻止したのはこういった方面ではめっぽう頭が切れる土御門だった。 「みんな待ってくれ。ステイルの言ってることは本当だ。オルソラ達は禁書目録の居場所を知らなかった、つまりオルソラ達の部隊には入っていない」 「ですがその殿方がそこのチビガキと共謀してあの部隊に潜り込んで、抜け駆けしていた可能性も否定できませんわ」 「それも心配いらない。ねーちんがステイル本人から巻き込まれたって証言を聞いている。潜り込んだのは事実だとしても、ステイルは最初から禁書目録を止める為に付いて来たと考えていい」 「……それでも僕が止められなかったことには変わりは無い。アックアに吹っ飛ばされなければこんなことには……くそっ」 土御門の推測が正しいと分かると残りの面々は少しだけ彼の評価を戻すことにした。 ウィリアムの強さをよく知っている当麻と土御門はウィリアムの攻撃に巻き込まれたステイルに心底同情した。 「それでこの二人どうする? 何だったら母さん達に引き取ってもらおうか?」 「それなんだけどさ、当麻。この二人も私達の家に迎えてあげない? お客さんとして」 「「「「「「「「「「「はあああああああああああああっ!!!!」」」」」」」」」」」 美琴の提案に当麻達バカップルサイドだけでなくインデックスとステイルも驚きを隠せない。 本当なら有無を言わせず却下するのだが、美琴の決意を秘めた表情に当麻が敵うはずも無く、 「分かった、美琴がそう言うなら。いざとなったら俺が護ってやるからな」 美琴のお願いを受け入れ、インデックスとステイルは上琴新居に客人として迎え入れられることに。 「(何だか情けをかけられた感じなんだよ…)」 「(インデックス、そんな事言うもんじゃない!!実際今夜は泊めて貰う場所が見つかってないんだ!!)」 「(そうは言ってもとうまを科学の力で洗脳した短髪には何か裏があるに違いないんだよ!!)」 「(科学の力でもそこまで出来ないんじゃないかな…)」 ボソボソ話している二人に気づいたのか美琴がこんな事をいった。 「そんなにお腹空いてるの?こんな事もあろうかと思ってアンタのために結構食料買ってきたんだけどなー?」 その言葉を聞いた瞬間インデックスの態度が豹変する。 「短髪サマ!!私は短髪サマを誤解していたんだよ!!だからご飯を!!」 「短髪短髪って、それがアンタの礼儀なわけ?名前で呼びなさい。」 「ハハー!!みことサマ!!」 「それでよろしい!!」 美琴は珍獣暴食シスターをうまく手なずけていた。 「化学の力は本当に洗脳出来るのかもしれないね…」 ステイルは知らない、学園都市には似たような装置があることを。 「それじゃあ中に入りましょうか」 「分かりましたなんだよ!!みことサマー!!」 「土御門のやつ、いきなり電話を切るとは失礼だな」 「騎士団長、どうかされましたか?」 土御門から電話をもらった騎士団長だが、いきなり電話を切ったことに少し怒っていた。 実はインデックスが目覚めたことで慌てて土御門が電話を不本意にも切ってしまったのだが、そんなことは知る良しも無い。 騎士団長と合流した神裂、建宮は連行されていくオルソラの部隊を呆れ顔で眺めていた(途中で合流した対馬は浦上と共に五和の監視の為学園都市に) 「それにしてもよくこれだけの人数が集まったものなのよ。みんな暇人なのか、それとも上条当麻のフラグ体質の業なのか、判断に難しい所なのよな」 「ですがこれでしばらくは彼女達も大人しくなるでしょう。初春がシェリー、インデックス、ステイル以外は全員一ヶ月は日本への入国は禁止の方向に動いてくれていますし」 初春の名前が神裂の口から出た後で、騎士団長がそのことについて楽しげに話し出す。 「それにしてもまさかあの初春さんが魔術側に協力してくれるとはな。本当に世界というのは面白いものだ。そうは思わないか?」 「面白いのかはさて置き、科学側の初春が私達魔術側の人間の為に動いてくれるのはいいことだと思います。両者の関係も変わるかもしれませんし」 「うむ、その為にまず飾利姫のパートナーとしてこの建宮斎字が魔術側の代表としてあだだだだっ!」 科学と魔術の関係の好転を願う神裂の発言を台無しにした建宮を彼女のワイヤーが容赦なく縛り上げる。 そして建宮をそのまましばらく放置することを決定すると、神裂と騎士団長は自分達の仕事を再開させるのだった。 その頃、上琴新居に客人として迎え入れられたインデックスとステイルは新居の内部にただただ驚いていた。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/402.html
「これが私の最高傑作! ゴーレム=スーパーエリス×モトハル、略してエリハルさ!」 「「「「趣味悪っ!!!」」」」 「こいつはエリスのパワー、モトハルのスピードを併せ持ったゴーレムさ。覚悟するんだね!」 シェリーの奥の手、エリハルと当麻達の大晦日最後のバトルが幕を開ける! 「やっちまいな!!エリハル!!」 ゴーレムエリハルが拳銃を持ってる浜面の右肩を襲う。 「グハッ!!」 「おい、浜面!!大丈夫か!!」 「…なんとかな」 「ほう、さすがは幻想殺しの友人、タフなモンだ…。だがゴム弾のお返しはまだ終わってないよ!!」 浜面の右手は使い物にならない。肝心の拳銃も浜面から離れている。 そんな事お構い無しにエリハルは容赦ない速さで右腕を振り上げて浜面を襲う。 が、 「エリハル!?どうした!?」 そのエリハルの右腕が止まっていた。 「あのねえ、私だって戦うヒロインよ?」 まさに勝ち誇った顔で笑う美琴、 「お前!!いったい何をした!?」 「教えると思う?」 その瞬間エリハルが崩れ始めた。 「な!?」 エリハルの右腕があった場所に上条当麻がいた。 「残念だったなシェリー、本物の土御門の拳はこんなちっぽけなモンじゃねぇぞ。ちゃんと芯が通ってんだよ!!」 「チィッ!!」 「俺の事忘れてないか?」 落ちていくシェリーの前に浜面仕上がいた。 「なっ!?」 「歯を食いしばっとけゴスロリ女!!」 バコォン!!浜面の左拳が炸裂した。 シェリーが意識を失っていくと同時に土のドームが崩れていった。 この時、年末の世界大戦が本当に終わった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― ここで二つ種明かし、まず一つ目、なぜエリハルが動かなくなかったかというと美琴の能力の一つ、磁力を操る能力である。 エリハルは周りの土で出来ていたがその中に砂鉄が混ざっていたのである。その状態であれば美琴はエリハルを自由に操ることができる。 次に浜面が突如落ちていくシェリーの目の前に現れたのは特別な理由は何もなく、ただ単に絹旗が投げただけである。 「ったく、浜面は超目立ちたがり屋です。」 「だって俺殴られるだけじゃ滝壺に会わせる顔がねえよ。」 「元から滝壺さんに合わせる顔なんて無いでしょう。」 「もう一回言ってみろ!!」 「元から滝壺さんに合わせる顔なんて無いでしょう。浜面のくせに超生意気です。」 「…すいませんでした。」 「まあまあ、彼女の前でカッコつけたいのは万国共通だぞ?」 「確かに当麻かっこよかった♪」 「ありがとな美琴♪」 「どういたしまして当麻♪」 チュッ、レロレロレロ… 「ったくカミやん、こんな状況でよくそんなこと出来るにゃー。心配して損したぜい。」 「…ん、って土御門いつの間に!?」 「ドームが崩れた時からだぜい。いちゃいちゃしていて気がつかなかったのかにゃー?」 「全くだァ、もうちょっとボロボロになってろっつーの」 「またまたそんな事言っちゃってー、ってミサカはミサカは『急いで充電しやがれェ!!』って言ってたあなたのことを指差してみたり!!」 「余計なコト言ってンじゃねェ!!」 「だからチョップはやめてー!!ってミサカはミサカは訴えてみる~!!」 「そういえば海原は?」 「エツァリは何故か病院に行ってしまったよ。」 「ひょっとして俺達のせいかァ?」 「チョットやりすぎたかにゃー。」 海原は、グループ+ショチトルからの制裁で学園都市のいつもの病院に搬送された。 また、いつのまにか上琴の周りにグループ(海原以外)+打ち止め+ショチトルが集まっていた。 そして、話は土御門がいる前でシェリーが作ったモトハルのことを話しはじめた。 「それにしてもあのモトハルってゴーレム、意外と似てたよなー」 「ああ、しかも土御門並みに強くって焦ったぜ。ま、俺達の敵じゃなかったけどな」 シェリーが自ら制御していたモトハルと戦っていた当麻と浜面はモトハルの性能を素直に認めていた。 一方、トラップとして現れたモトハル(シェリー曰く劣化モトハル)を相手にしていた一方通行、結標、ショチトルの反応は酷かった。 「似てるのは顔だけだったなァ。しかもあの土御門の顔だから思いっきりブチ壊せていいストレス解消になったぜ」 「でも良く見ると土御門と色々と違ってる、というかギリギリ似てる程度のそっくりさんって感じね。首だけ『座標移動』ですっ飛ばすのって癖になりそう♪」 「エツァリはいつもより張り切ってたな。私は特に気にしていなかったが。楽しかったことは否定しない」 グループのメンバーとショチトルの感想に打ちひしがれた土御門は月夜に泣きつく。 「うわ~~ん、月夜~、みんながオレのこといじめるにゃ~」 「はいはい泣かないの。それに日頃からみんなに悪いことしてるからあんな風に言われるんだよ? 元春も反省しなさい」 「にゃ~、月夜がそうゆうなら。にしても、何でオレをモチーフにしてたんだ?」 「簡単な話さ。私のゴーレムの戦闘スタイルに一番適してるのが土御門、あんただからだよ」 和やかムードの当麻一行の雰囲気を壊したのは、意識を取り戻したシェリーだった。 立ち上がるシェリーに当麻達は警戒を強めるが、土御門がそれを制する。 「みんな安心していい。シェリーには戦う力も残ってないしそもそも他の奴らと違って俺達、というか美琴ちゃんを抹殺する気無かっただろ?」 「はあああああああああっ!」×当麻一行-土御門 「気付いてたのか、さすがは必要悪の教会きってのトリックスター土御門といった所だね。いつから気付いてた?」 「お前さんが敵として現れた時から引っかかってはいた。オレの知ってるシェリーなら俺達を廃病院に誘い込んだ時点で廃病院ごと俺達を潰してる筈だからな」 土御門のシリアスな部分を知らない者達は彼の頭の冴えにただ驚くばかりである。 そして土御門は「それに」と呟くと、さらなる仮説を立て始める。 「シェリーが本気で戦争、戦いを起こすならもっと派手に、それこそこの付近一帯で地獄絵図に変えるくらいのことはやるからな。一度は学園都市でテロ起こしてるんだぜい、シェリーは」 「あーーーっ! 思い出しましたわ! この方、わたくしを白昼堂々と襲い、お姉さまの超電磁砲にやられたテロリストではありませんの!」 「そういえば……。あの時と出してるものが違うから気付かなかったわ……」 「気付くのが遅いんだよ、ったく。それにしてもエリハルには改良の余地有りか。新しい人型ゴーレムってのは意外と難しいもんだ。レポート書くの面倒だな」 自分は最初から気付いていたのに、美琴と黒子が気付いていなかったことにシェリーは呆れながら首をコキコキと鳴らす。 その後でシェリーが言ったレポートのフレーズに引っかかりを覚えた土御門が尋ねる。 「ちょっと待つぜよ! レポートって何のことだにゃー? ……まさかシェリー、お前さん」 「ああ、私は最初からオルソラ率いる部隊には入っていないのさ。目的は新しいゴーレムの試験運用で今回はイギリス清教から正式に許可を貰ってる」 「じゃ、じゃあどうしてオルソラ達と一緒に行動……いや、その方が都合がいいってわけか。まったく大したタマだよお前さんは」 シェリーの告白に驚いたのは土御門だけではなく、残る当麻一行も驚きを隠せない。 そこへ更なる驚きをもたらす言葉を今度はオルソラが発する。 「シェリーさんは私のお願いを聞いてくださった、それはそれは友達思いの優しい方なのでございます。それにしても聞いていた話と随分違いましたわね」 「へ? オルソラ、違うって何のことだ?」 「あなた様の恋人のみさかさんでございます。とても素晴らしいお方でございましたわよ。ええ、友情に厚いお嬢さんでした」 「……いや、そこはいいから。それで何が違うっていうんだ?」 「あんたの恋人の評判だよ、幻想殺し。私達が聞いていたのとは全く違って驚いたよ。ま、おかげでやる気が多少は湧いたからいいんだけど」 オルソラ、それにシェリーが言った美琴についての評判について尋ねた当麻。 二人は多少迷いながらも当麻、それに美琴には怒らないことを約束させて話し出した。 「私が聞いたのは幻想殺しの女が科学の力を使って洗脳とか、無理やり脅して恋人にしたとか、そんな感じだな」 「私の方はとうまさんを寝取ったとか(ピー!)してとうまさんを(ピー!)したとかでした。だからこそ私はとうまさんと結婚しようと事を起こしたのでございますわ。あら?」 シェリーの方はともかく、オルソラの(ピー!)の部分、いわゆるHで卑猥で過激な言葉を聞いた上琴は顔を真っ赤にさせて呆然としていた。 他のメンバーも耐性が無い者は上琴と同じ反応を、そうでない者は呆れたといった感じの反応だ(打ち止めは一方通行に耳を塞がれて聞いていない)。 ショックから立ち直った当麻が怒ることも忘れて尋ねたこと、それは、 「……と、ところでさ、その噂の出所って誰だか分かるか?(大本は多分……)」 「私も直接聞いたわけじゃないからね。なんかどんどん噂に尾ひれが付いたって感じはしてたな」 「同じくでございます。それを受けてシスターや魔術師の皆さんがとうまさんと私の結婚を望んでいたのでございましょう」 「(オルソラの話は流そう)それで? 結局誰なんだ?」 「「禁書目録(でございます)」」 予想が当たった当麻だが、こんなに嬉しくない的中があるだろうかと思い始めてきた。 「やっぱりか…」 予想が当たった当麻はげんなりしていた。 「にゃ~。カミやん…同情するぜぃ… で、オルソラ?禁書目録はどこに居るんだ?」 「私は知らないのでございますわ。」 「ロンドンじゃないのか?必要悪の教会で見かけたぞ。」 オルソラの代わりにシェリーが答える。 「にゃ~。ね~ちんにも確認してみるにゃ~。」 土御門が携帯を取り出す。 「ねーちん、禁書目録の居場所は分かるかにゃー?」 『インデックスですか、それが…日本に居るらしいんです』 「なぜ日本に居ると言えるんだにゃー?」 『5000人の魔術師とシスターの中にステイルが紛れていたんです』 「ってか何でステイルまで居るんだ?」 『ステイルの話によると『インデックスに巻き込まれた』とのことで』 「そういうことか。でもそうなるとステイルと一緒に捕まったんじゃないのかにゃー?」 『捕まった者達の中にインデックスは居ませんでした』 「何ですと!」 『しかもステイルの話だと『神奈川に行って来ると言って空港から去ったよ』と言ってました』 「まじかにゃー」 『私達も1箇所以外探したのですが見つからなくて』 「一応聞くけどその1箇所とは………」 『上琴の家です』 「えらいこっちゃー」 「インデックスは何処にいるんだ?」 「カミやん、これ聞いて八つ当たりしないと約束してくれるかにゃー?」 「?ああ、約束する。」 「実はだにゃー……」 ただいま説明中… ただいま説明中… 「「「「「「「「「「「「何ですとーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」」」」」」」」」」」」 「土御門、どういう事だ!?」 「俺に当たられても困るぜい!!」 「どうしてあのシスターに私達の新居が分かったのかしら?」 「野生のカンだと思うよ?」 「それで納得しちまった自分に失望した……。」 「私も……。」 ちなみにインデックスが上琴の新居が分かったと言うと…… クリスマスの後イギリスに戻ったのだが、ステイルと一緒にローラのところに用事があってそこでローラの部屋に落ちていたパーティの招待状を見てしまったからだ。 もちろんその中には一応パーティーの場所が変わっても良いように上琴の新居の場所が書いてあったのだ。 「これからどうすればいいんだぁぁぁぁぁぁぁ」 「とりあえず落ち着けカミやんとりあえずカギを掛けてあるから中には入れないにゃー」 「でもどうせ外で待っているんだろ」 「多分な。それでも新居に戻らないといけないにゃー」 「不幸だー」 「そんなこと言ってないでさっさと行くにゃー」 ということで5カップルは上琴の新居に向うのだった。 そして日付が大晦日から正月、つまり新年を迎えてしまったことにようやく気付く。 戦いも終わって無事に正月を迎えられると思っていた5バカップルは、帰ったらインデックスが居ると思うと憂鬱な気分になった。 「ま、とりあえず家に帰って年越し……しちまったけど蕎麦を食べるぜい」 「あー、そういやこのドタバタですっかり忘れてた。俺と美琴の愛が詰まった蕎麦、みんなで食べるんだったな。というわけでここで解散といこうぜ」 当麻は気持ちを切り替えて皆それぞれに帰る場所に戻るように促す。 オルソラと精鋭の魔術師&シスター30名は大人しく帰国、シェリーも付き添う形で空港に向かう。 「みさかさん。あなたみたいな方がとうまさんの恋人で安心したのでございます。これから生まれる新しい命、大切に育んで下さいませ」 「産まれませんから! そもそも作ってもいませんから! 作るとしてもちゃんと二人で責任取れるようになってからですから!」 オルソラのペースに最初から最後まで、しかも最後は乱されまくってとんでもないことを言っている美琴を当麻が宥めてオルソラに別れの挨拶をした。 シェリーもオルソラの後に付いて行こうとしたが、立ち止まって浜面の方へと歩み寄った。 「あんたの拳、なかなか効いたよ。まあ幻想殺しほどじゃないけどね。約束だ、名前覚えてやるから教えろよ」 「勝ったのに何でこんなに上から目線? まあ、いいけど。俺の名前は浜面仕上だ、忘れんなよ!」 「約束だからな。ちゃんと覚えててやるよ浜面仕上。じゃあまたな。そこの可愛い彼女、大事にしろよ」 浜面の後ろからこっちをジーッと見てる滝壺と目が合ったシェリーは、優しく微笑んだ後でオルソラ達と共に帰って行った。 結標とショチトルは、当麻と土御門から海原をこっちに来させないように何度も念押ししてくるのでうんざりしつつも了承し、学園都市へと戻って行った。 残ったのは5バカップルと絹旗と対馬で、対馬は神裂と合流する為にここを離れようとするが絹旗は、 「絹旗、あなたも私達と来る? それともみんなと一緒にお正月を過ごす?」 「何だ絹旗、俺達に気でも遣ってるのか? 大丈夫だ、お前も俺と美琴の義妹なんだから歓迎するゴフッ!」 「……超幻想殺しお兄ちゃん、私達妹のことは名前で呼ぶって約束したのに超酷いです。だから超幻想殺しお兄ちゃん達とじゃなくてママさん達とお正月を超過ごします!」 「ご、ごめん絹は……最愛。って、結局帰る方向は同じかよ! じゃあさ、機嫌直ったらこっちに来いよ。待ってるから」 「しょ、しょうがない超お兄ちゃんですね。名前で呼んでくれましたし、初詣までには超機嫌直ってるでしょうからそれまで超待ってるんですよ!」 対馬の一押し、それと当麻効果(?)で素直に上琴の両親の家に向かうことを決意する。 5バカップルが上琴新居に帰る為に歩き始めた頃、空港では一つの珍事が起きていた。 『神裂さんから報告がありまして、当麻お兄ちゃん達を襲った本隊の皆さんも無事投降、そちらに向かっているとのことです』 「分かった。……それにしても君がこちら側の事情を知って、それでもこうやって私達のフォローをしてるのは不思議な気分だね、初春さん」 『私もです。あのパーティーで知り合った騎士団長さんとこうして、こんなことを話してるなんて』 空港にいた騎士団長は初春からの報告を聞きながら、彼女とは奇妙な縁があると思っていた。 建宮が見ていたら嫉妬で怒り狂いかねない二人の電話のやり取りに割って入ったのは、今回の功労者の一人でもあるウィリアムだった。 「それより我々はいつまでこうしてこの粗忽者達の監視を続けるのであるか?」 「そう言うなウィリアム。間もなくロンドンからの回収班が到着するはずだ。そうだね? 初春さん」 『はい。超音速旅客機が数機、そちらに向かっています。それとアックア、もうウィリアムさんでいいですね。驚かないで聞いて下さい」 名前で呼ばれたウィリアムは少し途惑いつつも、初春の申し訳無さそうな声に疑問を感じていた。 初春からもたらされた情報はウィリアムをこの上なく驚愕させるものだった。 『その超音速旅客機に第三王女、ヴィリアンさんが乗っているそうです』 「なっ! どうしてヴィリアンが日本に向かってるのであるか! そもそも公務はいいのであるか!」 『女王陛下自ら迎えに行って来いって仰ったらしく、公務も一人王女が居なくたって何とかなるって楽しげに送り出したようです』 (言いかねないな、あの女王なら。ウィリアムには同情すべきかどうか迷う所だな) ウィリアムと初春が話していると、一機の超音速旅客機が到着した。 嫌な予感がしつつもウィリアムは超音速旅客機から降りてきた女性を見て逃げようとするが、 「ウィリアムのバカーーーーッ! 人の顔見るなり逃げるなんてーーーッ!」 「うがっ! い、痛いのである! ヴィリアン、旅行鞄は投げる物でないのである!」 「細かいことは気にしないの! じゃあ早速向かいましょう♪」 「向かうとは? 我らはロンドンに戻るのではないのであるか?」 ウィリアムの疑問を解消したのはヴィリアンではなく、とても楽しげな初春の声だった。 『あー、言い忘れてましたけどヴィリアンさんに頼まれて混浴温泉のある超高級老舗旅館の予約、しかも離れで5泊6日で取っておきました♪』 「ありがとう初春♪ というわけでウィリアム、クリスマスの時は上手く煙に巻かれましたが今回は逃がしません! 私達の愛、きっちりと育みましょう♪」 「ちょ、落ち着くであるヴィリアン。騎士団長、あの少女と話をさせるのである!」 「初春さんなら電話を切ったぞ。彼女もこちら側のために一生懸命動いてくれてるんだ。責めてやるなウィリアム」 「行きましょウィリアム、私達の婚前旅行にっ!」 ヴィリアンに引かれて去っていくウィリアムの姿を騎士団長は笑いを堪えながらも姿が見えなくなるまで見送った。 二人が去った後で騎士団長は真面目な顔に戻ると、自分の仕事へと戻って行った。 一方、上琴新居に徒歩で向かっていたインデックスだが、彼女にとって予想外の出来事が待っていた。 「え?何なんだよこの家は?」 インデックスが驚くのも無理はない。何せ上琴の新居はそこら辺の家の三倍もあるのだから(しかも周りの家も相当大きい)。 「にしてもとうまと短髪遅いんだよ……帰って来たら噛み殺し確定なんだよ……」 その頃の上琴達は…… 「食料はどれだけ買っておいた方がいいと思う?」 「そうだな……、俺達は明後日辺りに帰るし……春休みまでは母さん達が来るから……これぐらいでいいんじゃないか?」 「カミやん、これっぽっちの食料なんて家に帰ったら暴食シスターに1人で全部食われちまうぜい?」 「同感だなァ…」 「帰った時にあの真っ白シスターがいたら半殺しでいいんじゃない?」 「発想が犯罪的ですの……」 買い物が買い終わって歩いている途中…… 「何か大晦日は休んだ気がしないし、帰ったらインデックスが待っているし不幸だー」 「当麻、なんか最近『不幸だー』を使う回数増えてきてない?」 「なんか少しだけ3ヶ月前のカミやんに戻ってきたにゃー」 「ホンマやー。なんか懐かしい気がするわー」 「うるせー」 「そういえばさっきから気になってたんだけどインデックスって誰?」 浜面が質問してきた。 「インデックスとはな、暴食が取り柄の2ヶ月前までカミやんと同居していたシスターだにゃー」 「でどういう関係だったの?」 「それわなーぶごっ!」 上条は土御門が変なことを言いそうだったので、殴った。 「まだ何も言ってないにゃー」 「お前のことだから変なことを言いそうだったから」 「オレってそんなに信用無い?」 「「「「「「「「「うん」」」」」」」」」 「ひどいにゃー」 一方、家の前で待っていたインデックスは…… 「zzzzzzzzzおなかいっぱいzzzzz」 眠ってしまった。 土御門が誤解を招く発言を言わせない為に、 嫌々ながらも上条はインデックスの説明を浜面にしながら歩いていた。 「~っというわけなのですよ。」 「おお。そんな事が… え?でも話を聞いた限りだととりあえず食べ物をあげれば落ち着くのか?」 「無理(だ)(だね)(だにゃ~)(かな)(なァ)(かもってミサカは略)(ですわね)(やろ)」 暴食シスターの恐怖を知らない浜面と滝壺はキョトンとしてる。 (ちなみに白井や白雪、打ち止めも修学旅行での体験でどのくらい危険かは分かっている) 「っと、そろそろ着くにゃ~。」 新年早々5カップルが上琴新居宅前で見たものとは… 「にゃー、カミやんはどうやら幸運の女神に愛されてるみたいだぜい?」 「…本当に心の奥底からそう思うのですが」 「zzzzzzzzzおなかいっぱいzzzzz」 「気持ちよさそうに寝てンなァ…」 「でもどないするん?このシスターはんこのままここで寝かせとくわけにはいかんやろ?」 「俺的にはこの小さな体に大量の食料がはいるとは思えないのだが…」 「「「「「「「「恐ろしいことに入るんだよ…!!」」」」」」」」 「「よく分かりました…。」」 「まあ禁書目録はこっちに来ている騎士団長にでも回収させるにゃー。ピピピのピッと、」 もしもーし?と電話をかけてる間に… 「…なんだかとってもいちゃいちゃを見せ付けられてる気がするんだよ…」 「「「「「「「「「起きたーーーー!!!!」」」」」」」」」 当麻達が帰って来たことによって眠りから醒めたインデックスだが、どうにも力が入っていない様子。 しかし目の前の暴食シスター覚醒に冷静さを欠いている当麻達はそのことに気付かない。 「落ち着け、落ち着くんだインデックス! 新年早々俺を噛んだって美味しくないぞ!」 「うん、とうまが美味しくないのは当たり前なんだよ。私には人肉を食べたいなんて衝動は無いんだから」 「その割には私の頭をガッツリと噛んでたような気がするんだけど……」 「短髪……そうなんだよ! 私はとうまと短髪を懲らしめる為にここに来たんだよ! 明けましておめでとうそしていただきます!」 インデックスによる上琴咀嚼ショーが始まるかと思われたが二人に飛びつこうとした途端、インデックスが倒れた。 倒れたインデックスからは『ギュルルルルルル! ゴゴゴゴゴゴッ! ゴギュルルルルルルッ!』というとても腹が鳴く音とは思えない音が聞こえてくる。 「イ、インデックス、さん?」 「お、お腹空きすぎてか、体に力がは、入らないんだよ……」 「そういえばねーちんが空港からこっちに向かったって言ってたけど禁書目録、お前さんどうやってここまで来たんだ?」 「あ、当たり前のことを聞かないでほ、欲しいかも。と、徒歩なんだよ……。おまけに何も食べてないからお腹がペ、ペッコペコで……」 土御門はインデックスの答えが予想通りだと分かるとすぐさまどこかへ連絡を取ろうと携帯を取り出す。 しかし連絡を取ろうとしている人物が視界に入ると、その人物を大声で呼ぶ。 「おっ、ステイルお迎えご苦労さんにゃー♪ お目当てのお姫様ならここでお腹空かせてダウンしてるぜい」 「すまない土御門。その子を取り逃がしたのは僕の落ち度だ。……ってどうしてみんな僕を怖い目で見る?」 「テメェそいつの仲間なんだよなァ? だったら俺達を襲った奴らの仲間ってことだ、違うか?」 「襲った……? ち、違う! 僕はその子に無理やり付き合わされただけだ! それに僕たち二人はオルソラの部隊には数えられていない!」 ステイルの言うことが信じられない当麻一行はそれぞれに戦闘態勢を取り、ステイルに対して身構える。 それを阻止したのはこういった方面ではめっぽう頭が切れる土御門だった。 「みんな待ってくれ。ステイルの言ってることは本当だ。オルソラ達は禁書目録の居場所を知らなかった、つまりオルソラ達の部隊には入っていない」 「ですがその殿方がそこのチビガキと共謀してあの部隊に潜り込んで、抜け駆けしていた可能性も否定できませんわ」 「それも心配いらない。ねーちんがステイル本人から巻き込まれたって証言を聞いている。潜り込んだのは事実だとしても、ステイルは最初から禁書目録を止める為に付いて来たと考えていい」 「……それでも僕が止められなかったことには変わりは無い。アックアに吹っ飛ばされなければこんなことには……くそっ」 土御門の推測が正しいと分かると残りの面々は少しだけ彼の評価を戻すことにした。 ウィリアムの強さをよく知っている当麻と土御門はウィリアムの攻撃に巻き込まれたステイルに心底同情した。 「それでこの二人どうする? 何だったら母さん達に引き取ってもらおうか?」 「それなんだけどさ、当麻。この二人も私達の家に迎えてあげない? お客さんとして」 「「「「「「「「「「「はあああああああああああああっ!!!!」」」」」」」」」」」 美琴の提案に当麻達バカップルサイドだけでなくインデックスとステイルも驚きを隠せない。 本当なら有無を言わせず却下するのだが、美琴の決意を秘めた表情に当麻が敵うはずも無く、 「分かった、美琴がそう言うなら。いざとなったら俺が護ってやるからな」 美琴のお願いを受け入れ、インデックスとステイルは上琴新居に客人として迎え入れられることに。 「(何だか情けをかけられた感じなんだよ…)」 「(インデックス、そんな事言うもんじゃない!!実際今夜は泊めて貰う場所が見つかってないんだ!!)」 「(そうは言ってもとうまを科学の力で洗脳した短髪には何か裏があるに違いないんだよ!!)」 「(科学の力でもそこまで出来ないんじゃないかな…)」 ボソボソ話している二人に気づいたのか美琴がこんな事をいった。 「そんなにお腹空いてるの?こんな事もあろうかと思ってアンタのために結構食料買ってきたんだけどなー?」 その言葉を聞いた瞬間インデックスの態度が豹変する。 「短髪サマ!!私は短髪サマを誤解していたんだよ!!だからご飯を!!」 「短髪短髪って、それがアンタの礼儀なわけ?名前で呼びなさい。」 「ハハー!!みことサマ!!」 「それでよろしい!!」 美琴は珍獣暴食シスターをうまく手なずけていた。 「化学の力は本当に洗脳出来るのかもしれないね…」 ステイルは知らない、学園都市には似たような装置があることを。 「それじゃあ中に入りましょうか」 「分かりましたなんだよ!!みことサマー!!」 「土御門のやつ、いきなり電話を切るとは失礼だな」 「騎士団長、どうかされましたか?」 土御門から電話をもらった騎士団長だが、いきなり電話を切ったことに少し怒っていた。 実はインデックスが目覚めたことで慌てて土御門が電話を不本意にも切ってしまったのだが、そんなことは知る良しも無い。 騎士団長と合流した神裂、建宮は連行されていくオルソラの部隊を呆れ顔で眺めていた(途中で合流した対馬は浦上と共に五和の監視の為学園都市に) 「それにしてもよくこれだけの人数が集まったものなのよ。みんな暇人なのか、それとも上条当麻のフラグ体質の業なのか、判断に難しい所なのよな」 「ですがこれでしばらくは彼女達も大人しくなるでしょう。初春がシェリー、インデックス、ステイル以外は全員一ヶ月は日本への入国は禁止の方向に動いてくれていますし」 初春の名前が神裂の口から出た後で、騎士団長がそのことについて楽しげに話し出す。 「それにしてもまさかあの初春さんが魔術側に協力してくれるとはな。本当に世界というのは面白いものだ。そうは思わないか?」 「面白いのかはさて置き、科学側の初春が私達魔術側の人間の為に動いてくれるのはいいことだと思います。両者の関係も変わるかもしれませんし」 「うむ、その為にまず飾利姫のパートナーとしてこの建宮斎字が魔術側の代表としてあだだだだっ!」 科学と魔術の関係の好転を願う神裂の発言を台無しにした建宮を彼女のワイヤーが容赦なく縛り上げる。 そして建宮をそのまましばらく放置することを決定すると、神裂と騎士団長は自分達の仕事を再開させるのだった。 その頃、上琴新居に客人として迎え入れられたインデックスとステイルは新居の内部にただただ驚いていた。
https://w.atwiki.jp/index-ss/pages/1586.html
「ってぇ、あの野郎……あちこち噛みやがって……」 上条は全身に残っている歯形を擦り、夜の道を歩いていた。 コンビニの袋を下げ、自分の寮の下まで辿りついた時、上条は妙な不安に襲われていた。 首を捻りつつ、エレベータに乗り込み、ボタンを操作する。 初めは無視していた根拠すらないその不安が一気に首をもたげたのは、ほど近い川沿いに雷光にも似た閃光を見たときであった。 「なんだ、ありゃぁ?」 上条は廊下から身体を乗り出す様にして、その閃光の消えて行く様子を見た。 (どこかで………つい最近、どこかで見た気が………) 上条は記憶を懐古する。 脳細胞の、本当に端っこにあるような、何かが引っかかるような、その程度の記憶を。 (御坂の電撃じゃない………なにかの、魔術みてぇな) 上条はそこまで思い出すと、寮の部屋に飛び込む。 「インデックスは……い、ない?」 部屋の中に白いシスターの姿はない。 (小萌先生のところか? それとも―――) 上条の脳裏に、最悪の事態が浮かぶ。 「インデックス!!」 コンビニの袋を部屋に投げ捨て、上条は駆け出した。 上条が部屋を飛び出した頃、インデックスは河川敷付近を走っていた。 「この辺だったと思うんだけど……」 ちょうど上条がコンビニへと出かけたとき、インデックスは学園都市の異変を感じていた。 「魔力の流れが集まってる……見たことないものかも」 インデックスはキョロキョロと辺りを見回し、魔力の根源を探る。 学園都市中にやんわりと漂っている魔力に混じって、別の魔力の後も残っていた。 「誰か魔術師同士が戦ってたみたいなんだよ………」 「おや―――」 後ろからの声に、インデックスは警戒心を抱きながらも振り返る。 敵意のない声の主は、『妹達』と呼ばれるクローンのうちの一人だった。 「あなたはあの人と一緒にいるシスターではありませんか、とミサカは確認します」 「クールビューティーが何をしてるのかな?」 「いえ、ミサカ達はお世話になっている人の指示である物を回収しに来ただけです、とミサカは報告します」 御坂妹は挙動不審なシスターに首を傾げつつ答える。 インデックスは御坂妹の話をほとんど聞いていないようなくらい、周囲に気を回していた。 「どうかしたのですか?」 「ううん、なんでもない。束ねられた魔力の足跡は……向こうに行ってるのかな」 そういうと白いフードをたなびかせ、インデックスは踵を返して駆けて行く。 「何だったのでしょうか?」 「そんなことよりも運ぶのを手伝ってください10032号、とミサカ19090号は荷物の重さに嘆息します」 御坂妹は振り返り、自分と同じ姿をした少女に囲まれた物体に目をやる。 白い布で覆われた細長く3メートル程の物体。 「丁重に扱ってください。ただの鉄槍ではないらしいので、とミサカは進言します」 「この辺だとは、思うんだけどな」 インデックスが御坂妹と遭遇していたころ、上条はそこから少し上流に登った所に辿りついていた。 「インデックスは………いねぇか」 キョロキョロと辺りを見回し、人影を探す。 探していたシスターさんどころか、魔術師と思しき姿すら見えない。 「ちくしょうっ!!」 上条は川沿いに目をやりながら地を蹴る。 どちらに走ればいいのかは分からなかったが、なんとなく、駆けださなければいけないような気がした。 「とりあえず、むこ―――っ!?」 どんっ、と柔らかい何かに激突したような衝撃を受け、上条は体勢を崩す。 ちょうど人とぶつかったような衝撃に、若干慌てながら、上条は顔の前で両手を合わせた。 「すいません、前見てなくて―――?」 誰も、いない。 上条はキョトン、とした顔で周りを見る。 少なくとも周囲に誰かが居る気配はない。 「? おかしいな………」 確実に『誰か』とぶつかったはずなのだが、上条は首を捻る。 ぶつかった事もスルー出来るくらいに急いでいた人なのだろうか。 人にぶつかるようなことがあれば、大概は不幸な目にあう上条にとって、何もないのは最高に幸せではある。 「なんだ? 気味わりぃな……」 上条が何気なく右手を上げ、頭を描こうとしたとき。 バギンッ! という何かが壊れるような音が周囲に響く。 「っ!?」 上条の目が驚愕に見開かれる。 慌てたように右手を振り抜く。何かの布のようなものに引っかかったような感触が上条の手に残る。 「あーあー、ニーベルンゲンに伝わる隠れ蓑だって聞いてたんですけど………偽物つかませれたかな?」 楽しげな、それでいて背筋を凍らせるような女の声。 殺気をはらんだようなその声の主は、ゆっくりと黒いコートだった物を捨てる。 「ふむふむ。なるほど、そういうことですか」 冷たい視線が、上条へと向けられる。 「な、なんなんだよ………」 彼女の目にあったのは、ただ単純なる興味だった。 友達や、恋人や、憧れの人へ向けるような興味ではなく、もっと単純な。 小さな子供が、与えられた新しい玩具に向けるような、興味に満ち溢れた視線。 「やぁやぁ、まさかこんなに簡単に遭えるとは思ってなかったですよ、『幻想殺し』。いや、上条くん?」 「て、テメェ………」 上条は奥歯を噛みしめる。 身体の中に危険度を指すメーターでもあれば、確実に振り切っていたであろう。 「魔術師か?」 「ふふふ―――」 上条の問いに、パウラは嘲笑した。 魔術師、という呼ばれ方に不満を抱くような、くすぐったがるような、そんな表情を浮かべている。 「個人的なこだわりなんですけどね―――」 パウラは右面についた仮面に手を添える。 暗い中に赤く光る目のような光点が、点であるにもかかわらずドロドロとした血の流れを感じさせる不気味なものだった。 「科学者、って呼んでくれた方がしっくりくるんですけどもね。あ、パウラでも良いですよ? 愛を込めてくれれば」 そう言って、パウラはニヤリと口角をあげる。 背筋が凍るような言葉に、上条は足が震えるのを感じた。 「科学者………パウラ………アンタ、もしかして」 「っと、もしかして、ということは……もうアレからお聞きになったみたいですね」 それは好都合だ、と言わんばかりにパウラは懐から小さな槍を取り出す。 「その右腕、提供してもらえませんか?」 ダンッ! という地面を蹴る音がしたかと思えば、パウラは2、3メートルあった距離を一瞬でゼロにすると、上条へと刃物を向ける。 「くそっ!!」 連日の戦闘で動きの悪い身体を殆ど引きずるようにして、上条はその一撃を横っ飛びにかわす。 対象のいなくなった刃物が空を切る――――――筈だった。 「つっ!?」 上条は自分の腹部にかすかながら痛みを感じる。 バッサリと切られた服の奥に、赤黒い血がにじむのが見えた。 (傷が開いた!?) 上条は一瞬、傷口へと気を取られた視線を、パウラへと戻す。 相変わらず笑っている彼女の手には、血で彩られた槍状の刃物が握られていた。 (かわしきれなかった?) 自分の身体が100%思い通りに動いていないのは分かってはいたが、それでもさっきくらいの一撃なら問題はなかったはずだった。 上条は思う。 科学者と名乗るだけあって、戦闘には余りにも『緩慢にみえる』その一撃は、図らずも喧嘩慣れしている上条には余裕をもって回避できる攻撃であったはずだと。 理解を超えた何か、が混在している。 その事実に上条が気付いたとほぼ同時に、パウラは楽しげに口を開いた。 「私の姿がどう見えてますかね、上条くん」 ゆらり、と、陽炎のようにパウラの姿が消える。 声だけが聞こえる方には、何の影さえも見えない。 (何か、仕掛けが………霊装はどれだ?) 幾つか心当たりはある。 壊れたはずの黒いコート。血のような赤で光る目。そして、持っている小さな槍。 「見えてるものがすべてじゃない、なんて哲学的な事を言うつもりはないですがね」 「うあっ!?」 『消えているように見えた』パウラは、上条のすぐ後ろに姿を現すと、持っている刃物を振るう。 「っ、うおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっ!!」 怯みかけた心を立て直し、上条は右手を握る。 異能の力に対し、絶対の効果を発揮する『幻想殺し』を、パウラの持つ槍へと照準を合わせる。 固く握られた右手は、槍を掠めるような軌跡を描き、拳を向けられた槍の切っ先は、上条の右頬を切る。 赤い血が飛び散り、上条の右手と右頬に鋭利な切り傷が真っ直ぐな線となり現れる。 「狙いは良かったと思いますけどね? 残念、コレには魔術要素はないんです」 してやったり、という満足げな表情で、パウラは上条を見下すように笑っている。 「異能の力以外は、打ち消せないんですよねぇ?」 「…………………………………」 上条は口をつぐんだまま自らの右手に、ちらりと視線を向ける。 ポタポタと滴り落ちる血が、地面に染みを作っていく。 (傷は深くねぇみたいでよかった……) 刃物に対し、掠めただけで済んだその傷は、上条にとって継承と呼べる程度のものであった。 だが、『もし右手で、真正面から槍を受けていたら』―――――。 今頃、右腕は血だらけになっていただろう。 (結果的にはいい結果、ってことなんだろうけどな………) 上条は右手を握りしめ、また開く。 (まだアイツの魔術の正体は掴んでねぇ……けど、恐らくは何らかの方法で『光を捻じ曲げ』てる) 上条はつい最近のありがたーい補習で聞いた、小さな先生の言葉を思い出す。 「いいですかー、上条ちゃん。五感を誤魔化す能力にも幾つかあります。気配を断つ『視覚阻害(ダミーチェック)』、光そのものを捻じ曲げてしまう『偏光能力(トリックアート)』、その他にも―――』 (『偏光能力』に似た効果の魔術だと思うんだが………くそっ) 上条は奥歯を噛みしめる。 今目の前に立っているように『みえる』パウラが、本物かどうかすら分からない。 右手で触れることが出来れば、打開策は発見されるかもしれないものの、『見えない物と闘う』なんていうことはまさに雲をつかむような話だった。 その実験がてら少しずらして攻撃してみたら、今回のパウラは見えるままが実像だった。 (いっそずっと使ってくれてた方が分かりやすくていいんだけどな) 息を整え、唯一の対抗手段となりうる右手を握る。 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」 上条は真っ直ぐに、パウラがいるように見える場所へと駆ける。 勘でしかないその行為は、判断ミスであれば命取りではある。 それでも、上条は動くしかなかった。 ニタリと笑うパウラの手に握られた刃物が月光に煌めく。 現か幻か。 上条には分からない。 上条の突き出した右手よりも早く、刃が振り下ろされる。 「ここは………」 無機質な白い天井が眼に入る。 寝かされているベッドは移動可能なパイプ式で、どう考えても寮の一室にあるようなものではない。 上半身を起こし、布団の中から腕を取り出す。 「っ! と……」 その行為に妙な重さを感じ、雨宮は視線を向ける。 月明かりに照らし出されたのは黒い髪と泣き腫らした痕の残る顔だった。 「気が付いたかい?」 ふと、病室の扉が開き、低い声が響く。 見舞いの女の子を起こさないよう程度に留められた声の主は、カエルのような顔の医師だった。 「術中からずっと心配してくれてたみたいだよ?」 「…………そうですか」 雨宮は佐天の頭の上に手をそえる。 寝息で軽く上下するその肩は、彼女が生きていることを実感させるものだった。 数秒だけ、柔らかな目で彼女を見ていた雨宮は、病室に入ってきた医師に目を戻す。 「生きてるんですね、俺」 「どうやったかまでは知らないけどね。その子が言うには、青い服の外人に助けてもらったらしいね。いきなり屋上に患者が現れるなんて初めてだったね?」 はて、とでもいうかのように、医師は手を顎に添える。 深く考えているのかいないのかもわからない、読めない表情だった。 「さて、本題だけどね」 「なんですか?」 佐天の頭から手を離し、雨宮はベッドから下りる。 軽く体を動かしてみるも、動きに問題はなさそうだ。 「レベル4であるはずの君が、能力開発も受けていない体だったって言う事には触れないでおくよ?」 「沢山の妹さんを紹介して、案内までしてくれた貴方が知らなかったと」 「あの時は『まだ』患者さんじゃなかったからね? それより、話を進めるけどいいかな?」 表情一つ変えないで、カエル顔の医師は続ける。 「IDを持たない人間がこの街の外を囲んで何やらお祭りをしているらしいんだね」 「なるほど。それに乗り込んで一緒に踊って来い、ってことですか」 雨宮は着ていた手術衣を脱ぐと、隣に畳まれていた学生服に袖を通す。 「ちなみに、街の中の不審者にはあの少年と小さいシスターさんがお話してるみたいだよ?」 「上条とインデックスか………俺も、どうして貴方がそこまで知ってるのかは聞きませんよ」 雨宮は着替え終わると、その場を病室の扉へと向かう。 「その子、疲れてると思うんで寝かせてあげて下さい。あと、起きたら『ありがとう』って伝えてもらえるとありがたいです」 「自分で言えば良いじゃないのかな?」 「そうですね。縁があれば、そうします」 雨宮が扉を開いた先、廊下には白い布で覆われたものを持った妹達が控えていた。 「恩に着るよ」 「いえ、以前、最後までご案内出来なかったお詫びとでもとってください、とミサカは頭を下げます」 雨宮はその布を投げ、その場から駆けだす。 殺せない槍を手に、胸に刻んだ願いを行使する為に。 「刃の軌道を上に! 斬撃を停止し、その正体を現せ!」 上条の右の方から、透き通るような声が響く。 その瞬間、刃を持つパウラの左腕が跳ね上がり、見えていた姿が蜃気楼のようにぶれる。 「なっ!?」 新たに現れた『本当の』パウラの姿は、驚愕の表情で彩られていた。 上条は思い切り腰を捻り直し、右腕を振るう。 「うおおおおおおおおおッ!!」 渾身の力で振るわれた右腕は的確にパウラの左頬を射抜く。 「がぁっ!?」 パウラの身体が宙を舞う。 地面を転がり、2、3メートル先で横たわっている。動く気配はない。 「とうま!」 「やっぱり、さっきのはインデックスか………わりぃ、助かった」 上条の元にインデックスがパタパタと駆け寄ってくる。 「とうま! また一人で無茶したんだね」 「はぁ、そう言うお前も一人で行こうとしてたんじゃねぇかよ」 「もうっ! 私はともかく、とうまは魔術とは無関係のはずなんだよ」 インデックスが頬を膨らませ、上条の背をバシバシと叩く。 「いてぇよ!」 「ふふん。これに懲りたらもう部屋で大人しくしてると良いんだよ」 「つうか、テメェ一人じゃどうしようもなかったじゃねぇか!!」 上条はポカポカと殴ってくるインデックスの両手を捉える。 「ふ、は、ははははははははははっ!!」 「ッ―――!!」 2、3メートル先。 横たわっていた筈のパウラが楽しそうに笑っている。 その顔から白い面は取れ、血にような赤い義眼がおどろおどろしく光っている。 「戦闘中に、女の子と談笑? いやいや、緊張感が足りないんじゃないかな、上条くん」 「テメェ…………ノビてたんじゃねぇのかよ」 上条は右手をさっと、インデックスの前に伸ばす。 攻撃が飛んでくる気配はない。 「まぁさか、禁書目録がやってくるとは思いませんでしたけど。そういえば、貴方が管理者だったんですよね、迂闊でした」 「むぅ、なんだか馬鹿にされたような気はするけど。そんな事より、貴女は誰で何が目的なのかな?」 相変わらず余裕を絶やさない笑みで笑うパウラは、ゆっくりと口を開く。 「そうですねぇ。そこの『幻想殺し』を解剖する、ですかね? なんなら、貴女もバラしましょうか?」 「そんな物騒なことを言って! この術式の匂いはローマ正教の魔術師だね」 「さすがは、イギリス清教が作った魔導書図書館ですか………まぁ、『そんなもの』を生み出す英国も他人のことは言えないでしょうよ」 今にも飛び出していきそうなインデックスを抑え、上条はパウラの右目を見る。 負の感情を全て混ぜ合わせたようなその色は、猟奇的であり、残虐的であり、絶望的であった。 「私の術式がバレても困るので、さっさと片づけちゃいましょうか」 にやり、と笑ったパウラの声は、あろうことかすぐ後ろから聞こえた。 今までのような幻影を利用したようなものではなく、純粋な移動速度の速さ。 それは聖人である神裂やアックアさえも彷彿とさせるような、おおよそ常人離れしたものだった。 「インデック―――!?」 上条がそれに反応したときには、インデックスの身体は宙を舞い、上条の腹部に重い拳が入っていた。 「がっ、はぁ!?」 女性の腕の力では考えられないほどの力だった。 「あはははは。いやいや、流石は学園都市、良いものがいっぱい落ちてましてね?」 まるでプレゼンでもするかのように話す。 「『幻想御手』でしたっけ?」 「テメェ………まさか」 地面に叩きつけられた上条は、その体勢のままパウラを見上げる。 「皮肉なもんですよねぇ、まさか『魔術御手』なんて名前にされるとは思いませんでしたけど」 そう言って、ポケットから音楽用のデータスティックを取り出す。 「上条くんは確か錬金術師と面識があるはずですよね?」 「!?」 「アウレオルス=イザード………あの錬金術師が何か関係があるっていうの?」 すぐ横からインデックスが噛みつく。 「さすがは禁書目録。この手の話は食い付きがいいですね」 パウラは蔑むような目で、インデックスを見ている。 「『グレゴリオの聖歌隊』」 「!!」 パウラの呟きに、インデックスが目を見開く。 (グレゴリオ……アウレオルス………) 上条はその場に立ちあがり、記憶を遡る。 (ステイルにその効果の説明を聞いた気が………) 「確か、多数の祈りを集めることによる―――」 「そう、3333人の祈りを集めることによって発動させる大魔術。アウレオルスはそれを応用して、大勢の学生に詠唱させることで強大な防衛を張ってたんだよ」 「その通り。上条くんも覚えてるとは意外でしたけどね」 パウラは右手で持っていたメモリースティックを握りつぶす。 グシャリ、と音を立てて破壊されたそれは、小さな破片となって地面に落ちていく。 「学生に撒いたのは混乱を招く為ではなく、あくまで下準備ですね。もっとも、それ以外の純粋なる魔術師を使ってブーストもしていますが」 「その学生による詠唱で肉体強化の補助魔術を常時展開している、ってとこだね。周りから流れてくる魔力の流れはそのせいなんだよ」 「………って、ことはなんだ? 『魔術御手』を使ったやつは魔術を使わされてる、ってことかよ?」 「そう、なるね」 「ふざけんな―――」 上条は歯噛みする。 能力者は魔術を使えない。 土御門元春がどうなった。『偽・聖歌隊』の学生がどうなった。 上条の脳裏に、赤い血が蘇る。 「アイツらが何をしたってんだよ! 何にも関係ねぇだろうが!!」 上条は咆哮する。 目の前の理不尽さに愕然としながら、その右手を握りしめる。 「テメェの利益の為なら他人がどうなってもいいってのかよ! 傷ついた他人の上に立っておいて、それで信者を救えるって、胸を張れるのかよ!」 上条は真っ直ぐに、パウラへと言葉をぶつける。 彼女は表情を崩さない。 あくまでそれが当然であるとでも言うかのように。 悠然と笑っている。 「いいぜ………テメェがそんな考え方を曲げねぇってんなら、その幻想をぶち殺す!」 上条は身をかがめ、地面を蹴る。 「そんな身体で、ワタシに勝てるとでも?」 上条の突き出した拳をなんなく受け止め、パウラは不敵に笑う。 突っ込んできた上条の勢いをそのまま利用し、反対側へと投げ飛ばす。 「くっ!!」 地面に叩きつけられ、上条は背中にビリビリとした痛みを感じる。刹那、顔をしかめている間もなく地面を横に転がる。 上条がその場を離れた瞬間、パウラの足が地面へとめり込む。 「観念してください。命までとは言いませんよ。後方のアックアも言っていたでしょう?」 パウラは上条に左手を向ける。 カッ、といきなり照明用のライトでもぶち当てられたような閃光が上条の視界を覆う。 「ぐううぁぁっ!?」 バギンッ!! と、反射的にかざした右手が何かを掻き消す。 「あはっ! いいね、便利な能力ですね」 「ごっはぁぁぁっ」 パウラは上条の脇腹に蹴りを入れると、一足飛びでインデックスの元へと移動する。 「こうすれば、どうなるかな?」 「んにゃぁ!?」 パウラはその右腕をインデックスの首に回し、左手で彼女の首元に刃物を向ける。 「インデックス!!」 「とうま! 私の事は大丈夫だから、こんな奴の言う事なんか聞いちゃいけないんだよ」 パウラに抑えられたまま、インデックスが叫ぶ。 上条はどうする事も出来ないまま、歯を食いしばる。 「まぁ、別に動くなとは言いませんよ?」 悪戯っぽくパウラが微笑む。 その表情には可愛気と言うものは存在しない、純粋なる悪意から来るものだった。 「私を人質にでもとったつもりかもしれないけど―――」 インデックスは大きく息を吸い込むと、お腹の底から空気を吐き出すように叫ぶ。 「右腕の拘束を解除!」 ――――――『強制詠唱』 先程、上条への斬撃の軌道を捻じ曲げたインデックスの扱う技術は、不意を突きさえすれば、パウラ本人の意思に関わらずその行動を操作できるものだった。 だが――― 「『強制詠唱』ねぇ………」 「な、なんで!?」 相変わらず、しっかりとインデックスを拘束したまま、パウラは不敵に笑う。 「さて、『禁書目録』に問題です。ワタシは一体何の魔術を得意としているでしょうか?」 左手に持った小さな刃物を器用に回し、パウラはインデックスから上条へと視線を移す。 「テメェ、インデックスを離しやがれ!」 「あっはっは。 ハイ、そうですね、って離す奴がいますか? 貴方はともかく、少なくとも『禁書目録』は貰って行きたいんですけども」 「がぁぁぁぁぁぁッ!!」 パウラが視線を外した瞬間、インデックスはその大きな口を開けると、自らを拘束していた右腕にかぶりつく。 ガギンッ! という甲高い音が聞こえ、インデックスの顔が苦痛に歪む。 「残念でした。生憎、ワタシの右腕は義手ですよ?」 涙を浮かべたインデックスを蔑むような目で見る。 「で、答えは分かったかな? ヒントはワタシの魔法名、『unda447』。英語にするなら『Wave』というところですね」 「!!――――――波動か」 捕らえられたインデックスに代わり、上条が答える。 「さっきの『強制詠唱』を無効化したのも音の波を捻じ曲げたからなんだね」 「その通り」 術式の秘密を暴かれたというのに、どこか嬉しそうな顔でパウラは続ける。 「上条くんの思った通りだと思いますよ? ワタシの姿が見えたり見えなかったりしたのも、波を捻じ曲げただけです」 「いいのかよ……困るんじゃなかったのか?」 「科学者たるもの、他人に自分の研究成果をプレゼン出来たときが華ですからね」 パウラは表情を崩さない。 上条との間合いを計りつつ、不敵に笑うだけだった。 誰もいない学園都市の闇を切り裂いて、科学と魔術に染まった人間が宙を舞う。 ビルからビルへと飛び回り、一直線に学園都市の外を目指す。 (魔力の流れの中心部は……あっちか) 感覚を研ぎ澄まし、流れている魔力の出所を探る。 (それにしても………『グレゴリオの聖歌隊』の紛い物まで持ち出してくるとは―――) 雨宮は学園都市のあちこちから集約されている微小な魔力を感じつつ、下唇を噛む。 少しだけ速度を速める。 目指す先はローマ正教の魔術師の集まっているだろう地点。 (集約した術式を束ねてんのか………) あちこちに居る学生が詠唱した魔術を一旦集約し、そこからパウラの元へと送り届ける。 ズレやラグを修正する変電所のような機関を担う部分がある。 (そこを叩けば―――) 「少なくとも、彼女の戦力は大きく削れますね」 「!!」 不意に横から飛んできた声に、雨宮はゆらりと視線を向ける。 「神裂さんか」 大きな日本刀を携えた神裂火織が雨宮に速度を合わせるように隣を駆ける。 「同じ方へ走っているところを見ると、貴方もあの術式の阻止に?」 「…………」 雨宮は神裂を一瞥するだけで何も答えない。答える必要がない、とでもいうかのように視線を前方へと戻す。 「協力に感謝しますよ」 「別に協力するわけじゃないですよ。俺は俺のやりたい事をやるだけです」 すぐ近くに見えてきた学園都市の防壁を確認する。 警備が厳しくなっている様子はない。 「それより、神裂さん。インデックスの元へ行かなくていいんですか?」 「行きたくないと言えば嘘になりますが、先に片づけることもありますし―――」 神裂は一瞬、躊躇うように言葉を飲み込む。 「あの少年を、上条当麻を信用していますから」 柔らかく微笑む。 その顔は子を慈しむ母のような、愛する人を見る少女のような顔だった。 (これが天草式の女教皇様、ね………) 意外な一面もあるんだねー、と失礼極まりない感想を抱きつつ、最後にビルの端から学園都市の壁へと飛ぶ。 「貴方だって、同じでしょう?」 「なにがです?」 「貴方だって上条当麻を信頼しているからこそ、こっちに来たんじゃないですか?」 警備ロボットの走るレールを踏みつぶし、学園都市の外部の空を二つの影が舞う。 「ええ―――」 ズドォォンッ! と人間が落ちたにしては大きすぎる音を響かせ、敵の本丸へと突撃する。 変電所を構築していた魔術師群が驚きの声をあげ、身を固める。 「友達、ですからね」 殺せない槍を振るい、儀式場ごと群がっていた魔術師を薙ぎ倒す。 二人の聖人による一方的な殲滅戦が始まった。 「っ!!」 その異変に初めに気付いたのはインデックスだった。 パウラへと常に供給されていた魔力の流れがぷつり、と切れる。 原因も、その意図さえも、インデックスには掴めない。 それでも、この瞬間が『聖人級の戦力に対し自分たちが対抗できる瞬間』である事実には変わりない。 「ッ!?」 パウラの顔に初めて驚愕の色が浮かぶ。 自分の用意していた戦力の要が破られた事によるショックは思いの外大きかったようだ。 「そんな―――」 パウラの手から刃物が零れ落ち、地面にぶつかる。 その瞬間だった。 物陰から飛び出してきた白い影がパウラの右腕を吹き飛ばし、捕らえられていたインデックスを解き放つ。 「やっと出てこれたのよな」 クワガタみたいな黒い髪に、異常に長い靴紐。下げられた扇風機に、握られたフランベルジェ。 なにからなにまで異常な格好をした男が上条の前に立っていた。 「お前………」 「覚えてくれてたんならそれでいいのよな。本当はもっと早く助太刀したかったんだけどよ。禁書目録が捕らえられてる上に、聖人級の戦力と来たもんだ」 チャンスが来るまで待ってんってことよ、天草式の教皇代理・建宮斎字は弁明する。 パウラから逃げてくるインデックスを庇うようにして、建宮はパウラへと剣を向ける。 「助かったんだよ」 「禁書目録の保護を最優先、ってのが女教皇からのご命令だったんでな。手荒になっちまったが勘忍してくれると嬉しいのよ」 インデックスが無事であることに安堵しつつ、上条は建宮の隣に立つ。 「わりぃ、助かったよ」 「礼を言われるようなことじゃねぇのよな。むしろこっちが一般人を巻き込んだことに謝るってのが筋ってもんなのよ」 驚愕のまま固まっていたパウラがよろよろとふらつく。 信じられないような顔で建宮を見ていた。 「聖人一人なら返り討ちにできるくらいの戦力は置いておいたのですが………」 神裂一人で殴りこんでも返り討ちにできるくらいの、対聖人用装備は整えておいた、その筈だった。 魔力の中継点を狙われることは想定の範囲内であり、そこに襲撃を掛けるであろうイギリス清教の切り札となる神裂対策も万全。 パウラの作戦は完璧である筈だった。 「二人、いたとしたら?」 建宮は口を開く。 「まさか………あの、実験動物が」 パウラは苦虫を噛み潰したような顔で奥歯を噛む。 「あの時殺し損ねたアイツがっ! またもワタシの邪魔をするってのかぁぁぁぁ!!」 さっきまでの不気味なまでの冷静さをかなぐり捨て、パウラは激昂する。 人工聖人、雨宮照が生きているという事実は、パウラの計画にとって大きな誤算だった。 自らの『作品』となるはずのそれは、結果として自らを滅ぼしかねない存在となり、二度も殺し損ねることになった。 一度目は生み出した瞬間。 二度目は復讐を遂げようとした瞬間。 どちらも視界の端に飛び込んでくるのは、青い影。 「アックアァァァァァァァァァァァァ!!」 地獄の底から湧きあがるかのような、恨みの込もった叫びが夜の街に響く。 「観念するのよな」 建宮は真っ直ぐに、フランベルジェの切っ先をパウラへと向ける。 「……………」 強化術式を失ったパウラに、勝てる手段は残されていない。 時間をかければ二人の聖人はあっという間にこの場に辿り着くだろう。 残された選択肢は、一つしかない。 「一旦、引かせていただきます」 「させると思ってんのか」 建宮は一直線にパウラの懐へと飛び込むと振りかぶった剣を振るう。 ガギィンッ! と金属同士がぶつかった音が響く。 僅かに残された義手の部分で、フランベルジェの切っ先を受け止めたパウラは左手でポケットからパンパイプを取り出す。 「ワタシの勝ちとは言いませんが―――」 パウラが口にあてたその笛からは何も聞こえない。 透明な音色に合わせるかのように、彼女の姿が、音が、存在感までもが透けていく。 「―――負けることはしない主義ですから」 怪しい声だけが響く。 パウラの赤く光る義眼だけが宙に浮いている。 「そんなことで、許されるわけがねぇだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 バギンッ!! 何かが破壊される音が鳴る。 見えない何かが吹き飛び、街灯の柱へと激突する。 複雑に組まれていたパンパイプがバラバラに弾け、消えかかっていたパウラが姿を現す。 完全に気を失い、微動だにしない彼女に建宮が近づいていく。 赤い義眼にが入り、バラバラと崩れ落ちていく。 「これで終わりよな」 なにやら魔術を施したのだろうか。 建宮が投げた紐でパウラの身体が拘束されていく。 「終わった、のか」 上条は安堵のため息をつく。 後ろから駆けよってきたインデックスの笑いかけたところで、上条の視界はブラックアウトした。 上条が目覚めたとき、既に変わらない日常が戻ってきていた。 唯一いつもと違う点と言えば、自分の身体が寮のベッドの上にあることで、普段それを占拠しているシスターさんはベッドにもたれかかるように眠っていた。 「…………なんだったんだろうな」 昨夜のことが夢であったかのような、はっきりしない頭に喝を入れようと洗面台へと赴く。 何も変わらない、それでいて何処か腑抜けた自分の顔が鏡に映っていた。 その日、社長出勤で三時限目からの登校を決めると、雨宮の姿は見あたらない。 小萌先生曰く、急な引っ越しが決まったらしい。何処に行ったのかさえ分からないという。 土御門によると、『魔術御手』の影響下にあった学生は散り散りに行動していた天草式の面々によって無事保護されていたらしい。 『なんでお前が知っているんだ』というツッコミは胸にしまい、上条は溜息をつく。 「まったく、お前はまた裏で暗躍してたのか?」 「どうかにゃー? まぁ、色々とお仕事があったことは否定しないぜよ」 威張るような顔を見せる土御門に一発くれてやろうと思い、右手を握ったところで上条は思いとどまる。 「そういえば、アイツは?」 「アイツじゃ分かんないぜよ」 「雨宮、あれは何処に行ったんだよ?」 上条の疑問に、土御門は視線を逸らし、窓の外を見る。 釣られるようにして、上条もその方向に目をやる。 広がっている校庭には学生たちが歩いているだけだった。 「アイツは『一応』ローマ正教の人間だからにゃー。イギリス清教に属する土御門さんはあんまり詳しくなんです」 「思いっきり知ってます、って目してたぞ」 上条は視線を土御門の緊張感のない顔に向ける。 土御門はふざけた表情を崩さないまま、言葉を続ける。 「カミやんが心配するようなことじゃないんだぜい。縁があればまた会えるぜよ」 学園都市の上は、今日も青空が広がっていた。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/2373.html
とある世界の名作劇場「人魚姫っぽい何か」 ふかいふかい うみのそこに、サンゴと コハクで いろどられた にんぎょたちの おうこくが ありました。そのくにの おうさまには 6にんの うつくしい ひめが おりました。長女 「お茶を淹れたのでございますよ」いちばんうえの おひめさまは、ミディアムヘアのきんぱつで おっとりとしたせいかく。そして きょにゅう でした。次女 「いつもいつも申し訳ありません、姉上」にばんめの おひめさまは、くろかみポニーテールで こしには「しちてんしちとう」という とてもながい にほんとうをさげ、そして きょにゅう でした。三女 「そんなことはメイド達にでもやらせればいいと思うけど」さんばんめの おひめさまは、このくにの ちゅうすうきかんの ブレインを つとめ、そして きょにゅう でした。四女 「ちょっと姉さん! 私の分は紅茶じゃなくて、『ムサシノ牛乳』にしてって何回言えば分かるの!?」よんばんめの おひめさまは、このくにで いちばんの おまつり 「だいはせいさい」の じっこういいん です。そして きょにゅう でした。五女 「あ、あの…私もお手伝いします」ごばんめの おひめさまは、きょすうがっく・ごぎょうきかんの かぎにして、じんこうてんし ヒューズ=カザキリの しょうたい。そして きょにゅう でした。さいごに すえっこの にんじょひめは、れべる5の のうちょくしゃで、さいきょうむてきの でんげきひめ。ただし ざんねんにゅう でした。人魚姫 「残念乳って何!!? なにこの腹の立つ紹介のされかた!!」ちなみに、これだけ こだくさんなのは、このくにの おうさまが 「ミスタースキャンダル」の いみょうをもつ こうしょくおう だったからです。人魚姫 「どうでもいいわよ! その情報いる!?」にんぎょの せかいでは、15さいになると うみのうえにすむ にんげんたちの せかいを みることを ゆるされます。すえっこの にんぎょひめは、いつも おねえさんたちに きかされてきた にんげんたちの せかいを、いつか じぶんのめで みてみたいと、 いつも その ないむねを ときめかせて いたのです。人魚姫 「はぁ…私も早く15歳になんないかなぁ……それとこの語り手は、いつかぶん殴る」そうするうちに にんぎょひめも ついに15さいの たんじょうびをむかえ、うみのうえに でることが ゆるされたのです。ひめは ワクワクしながら うえへとのぼり、かいめんから かおをだしました。にんげんの せかいで はじめてみたものは、おおきな おおきな こおりのふね。そのなも 「アドリアかいのじょおう」 でした。人魚姫 「へぇ~…人間ってこんなモノまで造るのね~……」きょうみを そそられた にんぎょひめは、ふねの かんぱんから そっと なかのようすを のぞいてみました。どうやら パーティーを しているらしく、きれいな ドレスを きかざった ひとたちが ダンスを しています。そして たのしい おんがくも きこえてきます。『放て 心ー にきざんーだ ゆーめを 未来さえ おーきーざーりーにしてー♪』人魚姫 「…何かこの曲、すっごい聞き覚えあるんだけど………」 パーティーのなかには とても ふこうそうな ツンツンあたまの しょうねんが おりました。そのしょうねんは、なんと このパーティーの しゅやくの おうじさま でした。じつは このパーティー、おうじさまの 16さいの たんじょうびを いわう、たんじょうびパーティー だったのです。にんぎょひめは ひとめで そのおうじさまに こいを してしまいました。人魚姫 「こここ恋ぃぃぃ!!? べ、べべ、別にそんなんじゃないわよ!! ただちょっと気になっただけって言うか…その…だから……」ひとめで そのおうじさまに こいを してしまいました。人魚姫 「だ、だから…ちが、違うんにゃから……そんなんじゃ…にゃいんだから………」こいを してしまいました。人魚姫 「………ぁぅ…………」すると そのときです。とつぜん そらのようすが かわり、ぼうふうが ふきあれ おおあめが ふってきました。あらしです。ふねは おおきく ゆれました。が、ふこうちゅうのさいわい とでも いいますか、ゆれは したものの、ふねは てんぷく することも なく、じょうきゃくや せんいんたちも みんな ぶじでした。ただひとり おうじさまを のぞいては。なぜ おうじさま ひとりだけ たすからなかったのか、それは かれが 「ふこうたいしつ」 だったからです。おうじさまは うみへと ふりおとされて しまいました。このままでは うみの もくずとなり、サメにでも くわれて、このあたりは リアルないみで ちのうみと かすでしょう。人魚姫 「大変!!」にんぎょひめは あわてて おうじさまを だきかかえ、いみべへと はこびました。ですが、おうじさまの ふこうは まだまだ つづきます。なんと いきを していなかったのです。人魚姫 「どどどどどどうしよう!!!!?」やっぱ ここは じんこうこきゅう しか ないんじゃね?人魚姫 「なっ!!! ばっ!!! で、できる訳ないでしょ!!!」はずかしがっている ばあいでは ありません。ひとの いのちが かかっているのです。ましてや このおかたは、このくにの おうじさまです。しなせる わけには いきません。人魚姫 「そ、そりゃ…そうだけど……でも…あの……」にんぎょひめは おうじさまを みごろしに するのでしょうか。ああ なんてヒドイ。 まるで おにのこです。 きっと ぜんせは なのある あくま だったに ちがいないでしょう。人魚姫 「わわ分かったわよ!! や、や、やればいいんでしょやれば!!!」かくごを きめた にんぎょひめは、たかなる むねを おさえながら おうじさまの くちびるを みつめます。そして ゆっくりを かおを ちかづけて―――人魚姫 「ふにゃー」王子 「ぅおぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!!!!!」ほうでん しました。はずかしさが げんかいを こえたのでしょう。ですが そのおかげで、おうじさまも いきを ふきかえしたのです。けっかオーライ というヤツです。たぶん。 おうじさまが めを さますのと どうじに、わかいむすめが はしって きました。むすめは ふたえまぶたが とくちょうてきで、なぜか おしぼりを もっていました。そして かくれきょにゅう でした。にんぎょひめは、「にんげんに みつかったら マズイ!」 とおもい、いそいで うみへ とびこみました。けっして むすめの むねの ボリュームに あっとうされて にげだしたのでは ありません。若い娘 「あ、あの大丈夫ですか…? よかったらこのおしぼり使ってください」王子 「…ん……あ…? アンタが…助けてくれたの……か?」どうやら おうじさまは このむすめに たすけられたと かんちがい したようです。にんぎょひめは はらが たちましたが、ここで じぶんがたすけた などといえば、にんぎょであることも ばれてしまいます。にんぎょひめは しぶしぶ かいていへと かえって いきました。ですが かえったあとも、あの おうじさまの ことが わすれられません。人魚姫 「ったくもうあの馬鹿! ちったあ私の存在に気付きなさいよね!! あんなに近くにいたのに、なにスルーしてんのよ!! あああム・カ・つ・く~~~!!!」ばれたら いけないのに すこしくらいは きづいてほしい。そんな おとめごころです。と、そのとき にんぎょひめに ある めいあんが うかびます。人魚姫 「そっか! 人間になれば堂々と会いに行けるじゃない」そうおもった にんぎょひめは、まじょの ところに いきました。人魚姫 「魔女さーん! いますかー? ちょっと相談があるんですけどー」魔女 「お姉さんに何か御用かしら?」まじょは ショートハンドと よばれる かんいてきな まどうしょを つかい、「あるく18きん」の いみょうをもつ てんさいまじゅつしです。そして ばくにゅう でした。人魚姫 「何でどいつもこいつも乳がデカイのよ!! ニュキョウしかいないんかこの世界はあああ!!!」魔女 「あら、小さい方が感じやすいのよ?」なんの はなしを しているのでしょう。魔女 「それで相談っていうのは? 舌の絡ませ方から×××のくわえ方、 ××をした時の××××の入れ方まで、お姉さん何でも教えちゃうわよ?」人魚姫 「あ…い、いや…そういうのじゃないんですけど……」ほんとうは ちょっと きょうみが あるけど、いまは それどころでは ありません。そういう ちしきが ひつように なるのは、おうじさまと むすばれた あとのはなしです。にんぎょひめは これまでのことを まじょに はなしました。魔女 「……なるほどね。愛する王子様の為に人間になりたいなんて、お姫様も可愛いじゃない。 確かに魚の下半身じゃあ、人間と×××する時に不便ですものね」まじょは、どうしても はなしを そっちへと もっていこうとします。さすがは あるく18きんです。ですが、そうは いいながらも やはり かのじょは てんさいまじゅつしです。たんごちょうのような かみを くちにくわえ じゅもんを となえると、みるみるうちに にんぎょひめの おひれは にんげんの あしへと かわっていきます。そして まじょは さいごに こう いいました。魔女 「それじゃあ願いを叶えたご褒美として、お姫様の能力を封じさせてもらうわね」人魚姫 「……へ? 声を奪うんじゃなくて?」魔女 「だって、能力がお姫様にとっての一番のアイデンティティでしょ? 声じゃなくて」人魚姫 「いや…まぁ…そうですけど……」こうして にんげんのあしと ひきかえに、にんぎょひめは こえ ではなく のうりょくを うばわれてしまいました。そして その ほうほうとは、魔女 「キャパシティダウン、スイッチオン! これでお姫様は、感電プレイができなくなっちゃったわね」人魚姫 「……………」いがいと かがくてきな ほうほうでした。 にんげんに なった にんぎょひめは、もういちど いとしの おうじさまに あうべく、かれの すむ おしろへと やってきました。人魚姫 「たのもー!!」どうじょうやぶりの ような あいさつを すると、ふたりの もんばんが やってきました。門番A 「誰じゃん?」もんばんAは みどりいろの ジャージを きた じょせいでした。もんばんと いうよりは、けいびいん といった かんじです。アンチな スキルです。そして おっぱい でした。人魚姫 「えっと…王子に用があって来たんですけど……」門番A 「またじゃん? 王子に会いに来る女の子は、今月だけで9970人目じゃん! しかも皆、同じ顔ってどういうことじゃんよー」どうやら おうじさまは とても おモテに なられあそばされるようです。しねばいいのに。にんぎょひめと おなじかおを もつ 9969にんの おんなのこの ことは、あえて スルー しましょう。人魚姫 「やっぱり…ダメですかね?」門番A 「いや、通っていいじゃん」にんぎょひめは あっさりと もんを くぐれました。このしろの セキュリティに ぎもんが のこります。門番B 「その辺は抜かりないわ。ざっと透視した感じ、怪しい物は持ってないみたいだから」もんばんBは セミロングヘアに メガネを かけた じょせいで、レベル3の とうしのうりょくしゃ でした。もんばんと いうよりは ふうきいいん といった かんじです。ジャッジで メントです。そして おっぱい でした。もんばんたちに あんないされ、むっぱいな にんぎょひめは おうじさまの へやへと とおされました。人魚姫 「誰が無ッパイよ!!! ちったぁあるわああぁぁ!!!」王子 「え、え~と……ワタクシにどのような御用があるのでせう…?」とつぜん へやに やってきて、わけの わからんことを さけぶ みしらぬ じょせいに、おうじさまも ドンびきです。人魚姫 「あっ!? あ、えと…こ、ここで働きたいんだけど……」王子 「あぁなんだ、ウチでバイトする人か。いいよ。つっても、あんまり給料よくねーけどな。ウチ貧乏だから」こうして にんぎょひめは、はれて おうじさまの ちかくで はたらくことを ゆるされたのです。ちなみに、おしろ なのに びんぼうとは これいかに。じつは このおしろには、かんぜんきおくのうりょくしゃの めしつかいが いるのですが、めしつかいとは なばかりで、めしをつかう のではなく、めしをくらう のが もっぱら そのこの しごとでした。おかげで おしろの エンゲルけいすうは、どえらい ことに なっていたのです。ですが かのじょの あたまのなかには 10まん3000さつの まどうしょがあり むげに することも できず、さらに そのこを ごえいする、タバコを くわえた あかげの しんぷの そんざいが、やっかいさに わをかけて いたのでした。ながながと せつめいした このせってい。こんご いっさい、ものがたりに かんけい ないので あしからず。人魚姫 「じゃあいらないわよ!!!」 にんぎょひめが はたらいていると、おしろの なかで あのときの わかいむすめを はっけんしました。どうやら かのじょも、あのいっけんいらい おしろに つかえて いるようです。むすめは なにやら だれかと おはなしを しているようです。若い娘 「で、ですから、やや、やっぱりやめましょうよ!」天の声 『これはチャンスなのよ!! それとも五和は、上条当麻と結ばれたくないのか!?』若い娘 「でで、でも何だか漁夫の利を得るみたいで気が引けて……」天の声 『何言ってんのよ! 元々王子と最終的に結ばれるのは五和の役どころなのよ! だからこれは、ストーリー上必要なことであって、五和が気にすることは何もないのよな!!』若い娘 「ストーリー上……そ、そうですよね!! わわわ私! 頑張ります!!」天の声 『ん! その意気なのよ!』メタはつげん れんぱつの かいわ でしたが、にんぎょひめは とんでもないことを きいてしまいました。このままでは、おうじと あのむすめが けっこん してしまいます。なんとか しなくては なりません。と、そのときです。おしろの へいしが むすめの ところに やってきました。兵士 「娘よ、王子がお呼びである。大至急来てほしいとのことであるが、よろしいか?」若い娘 「だだだだだ大丈夫です!!!!!」ついに きました。おうじさまの プロポーズです。このままでは バッドエンド ちょっこうです。こえが だせず ごかいを とけなかった にんぎょひめが、さいしゅうてきに あわとなって きえる。それが ほんらいの にんぎょひめです。ですが、ここからが この にんぎょひめの ぎゃくてんげきです。若い娘 「お、おおお、王子様!!! おは、お話とはなな何でしょうか!!?」王子 「実は…ずっと言えなかったんだけどさ……」人魚姫 「ちょ~~~っと待ったああああああ!!!」そう、この にんぎょひめは、こえを うばわれては いないのです。つまり ごかいを とくことが できるのです。さあ だいどんでんがえしを みせてやりましょう。人魚姫 「アンタねぇ、ずっと勘違いしてるみたいだけど、アンタ助けたの私だからね!?」王子 「………え? ええっ!!? そうなのか!?」人魚姫 「そうよ! その子は、アンタを助けた時にたまたま近くにいただけ。そうでしょ?」若い娘 「うぅ……そうです………すみません………」王子 「そうだったのか……アンタが………」おうじさまは にんぎょひめを みつめます。そのひとみからは なにか かたい けついのようなものが みられました。王子 「あの…さ。俺を助けてくれた人に言おうって決めてたことがあるんだけど…… その……聞いてくれるか…? 俺の…気持ち……」ですが そのときです。おうじさまの みぎてが にんぎょひめの あしに ふれてしまいました。イマジンブレイカー。もんどうむようで いのうの ちからを うちけす そのみぎては、とうぜん にんぎょひめに かかった まほうも とかしてしまいます。そして それは こいの おわりを いみ するものでした――― にんぎょひめの あしは、さかなの おひれへと かわって……いや、もとに もどってしまいました。王子 「!!! 人魚……だったのか………」人魚姫 「………あ~あ、ばれちゃったらしょうがないわね。そうよ。私は人魚の王国の6番目の姫。 ま、それなりに楽しかったけど、私のことは忘れてちょうだい。私もアンタのことは忘れるから」にんぎょと にんげんが むすばれることは ありません。そして むすばれなければ にんぎょひめは あわと なって きえてしまいます。やはり ひげきを まのがれることは できないのでしょうか……ですが めに なみだを ためて、せいいっぱいの つよがりを いう にんぎょひめを みておうじさまは かたく こぶしを にぎります。王子 「…忘れろってなんだよ……忘れられる訳ないだろっ!!!」人魚姫 「でも! 見て分かるでしょ!? 私は人魚でアンタは人間!! どうしようもないじゃない!!! アンタの…気持ちはうれしいよ……でも…でもさ―――」王子 「関係あるか!!!」さあ ここからは、フラグメイカーである おうじさま おとくいの おせっきょうタイムです。王子 「人魚と人間だから何だってんだ!! 俺は俺だしアンタはアンタだろ!? ただ生まれた場所が違うってだけじゃねーか! 現に俺たちは今、同じ場所に立ってんだろ! そりゃ全てを分かり合おうなんて無理だろうさ。でもそんなのは人間同士だろうが同じだ! 人間と人魚が特別なんじゃない、どこにでもある当たり前のことなんだよ! そんなくだらねぇことで、俺のアンタへの想いまで否定させねぇ!! それでもアンタが勝手に諦めるってんなら…… 俺はその幻想をぶち殺す!!」人魚姫 「!!!!!」にんぎょひめは かおを まっかにして、はりさけそうな しんぞうを おさえました。もう ふたりを はばむ ものは なにも ありません。おうしさまは じぶんの きもちを つたえるため、ゆっくりと くちを ひらきました。王子 「聞いてくれよ…俺の気持ち……」にんぎょひめは むごんで うなづきました。こえに だしたら きぜつ してしまいそうで。王子 「まずは……その…ありがとな。アンタがいなけりゃ俺は死んでたかもしれない。 それで…肝心の…話なんだけど……… 褒美は何がいい?」人魚姫 「……………………は?」王子 「だから褒美だよ。俺を助けてくれた褒美。まぁ、さっきも言ったけどウチ財政難だから、大したモンは出せないけど…… 人魚の好物ってーと、やっぱキュウリか? あ、いやそれは河童だったっけ?」人魚姫 「………ちょろっと待って……じゃあ何? アンタの気持ちって……」王子 「そりゃ感謝してるよ。今ありがとうっつったろ?」人魚姫 「………プロポーズは……?」王子 「??? 何のこっちゃ分からんが…」人魚姫 「………………………」おうじさまは フラグメイカー であるとどうじに フラグブレイカー でもあったのです。にんぎょひめが おもいえがいていた 「おうじさまと けっこんして ハッピーエンド になる」 という げんそうをよこくどおり みごとに ぶちころして くれました。にんぎょひめの あたまから バチバチと ひばなが はじけとびます。おきづきとは おもいますが、いちおう いいます。オチです。人魚姫 「な・ん・じゃ・そ・りゃ~~~~~!!!!!!!!! ラストのシリアス返せゴルァァァ!!!!!」王子 「ぇぇぇええええ!!? てか能力封じられてんじゃなかったっけ!? キャパシティダウンどうしたんだよ!!!」人魚姫 「んなモン、電源切りゃいいだけでしょうが!!!」王子 「ぇぇぇええええ!!? ひっでぇ、何だよそれ!!! やりたい放題かよ!!! てかマジでやめて!!! そんな何本もの電撃の槍、王子さんの右手一本じゃ防ぎきれませんのことよ!! 死んじゃう!!! 俺死んじゃうから!!!!!」人魚姫 「何回も言ってんでしょ!!! 一・遍・死ねえええええ!!!」王子 「ギャー!! 結局これかよ!!! 不幸~だぁ~!!!!!」こうして おうじさまは またもや おいかけられる はめに なったのでした。めでたしめでたし。 CAST人魚姫 御坂美琴王子 上条当麻人魚サイド王様 ロベルト=カッツェ長女 オルソラ=アクィナス次女 神裂火織三女 雲川芹亜四女 吹寄制理五女 風斬氷華魔女 オリアナ=トムソン海の生き物役の シェリー=クロムウェル ルチア アンジェレネエキストラの エリザード リメリア キャーリサ ヴァリアンみなさん 騎士団長 サーシャ=クロイツェフ ワシリーサ レッサー ベイロープ フロリス ランシス レイヴィニア=バードウェイ パトリシア=バードウェイ マーク=スペース ショチトル トチトリ フィアンマ オッレルス シルビア その他 魔術サイドのみなさん人間サイド若い娘 五和門番A 黄泉川愛穂門番B 固法美偉召使い インデックス召使いの護衛 ステイル=マグヌス天の声 建宮斎字兵士 ウィリアム=オルウェル人魚姫と同じ顔の ミサカ10032号~ミサカ20000号女の子たち誕生日パーティー 土御門元春 青髪ピアス 姫神秋沙 月詠小萌でのエキストラの 白井黒子 婚后光子 食蜂操折 寮監みなさん 初春飾利 佐天涙子 春上衿衣 木山春生 服部半蔵 郭 土御門舞夏 雲川鞠亜 削板軍覇 一方通行 打ち止め 番外個体 海原光貴 結標淡希 麦野沈利 滝壺理后 絹旗最愛 フレメア=セイヴェルン その他 科学サイドのみなさんアドリア海の女王製作総指揮 ビアージオ=ブゾーニ製作協力 ヴェント動力源 アニェーゼ=サンクティス挿入歌 「only my railgun」雑用全般 浜面仕上便所掃除 テッラ企画・脚本・監督 アレイスター=クロウリー助監督 ローラ=スチュアート エイワス製作 上琴推進委員会 -おまけ-かぐやひめは 5にんの わかものに いいました。かぐや姫 「……アンタ達の気持ちは分かったわ。 じゃあ、今から私が言う品物を持ってきた人と結婚してあげる」ですが かぐやひめが ほしいと いったものは、まどうしょ、レムナント、りょうかんのメガネ、エイワスのくびなど、どれもこれも てにいれるのが こんなんな ちんぴんばかりです。4にんの わかものは こまって しまいました。そして 5にんめの わかものには、かぐや姫 「ア、アンタは…そうね……そこのコンビニで缶コーヒーでも買ってきて」若者E 「あれっ? 俺だけ条件軽くねぇか?」かぐや姫 「き、ききき気のせいよ!!! べべ、別にアンタの…およ…お嫁さんになりたいから軽くしたとか、 全然そんなんじゃないんだからねっ!!?」そして その 1じかんご。若者A 「どうぞ、姫のご所望の品です。どうやら自分は原典に好かれる性質【たち】のようですね」若者B 「やりましたわお姉様!! 結標の野郎から残骸を分捕ってきましたの!!! これでお姉様とわたくしは………はああああんお姉ぇぇぇ様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」若者C 「りょ、りょ、寮監のメガネです!! いいい命懸けで取ってきましたよ御坂さん!」若者D 「エイワスの首や。これでええねんな? 約束通り、ボクのお嫁さんになってもらうで」わかものたちは つぎつぎと ちんぴんを さしだしました。いやはや しゅうねんとは おそろしい ものです。かぐや姫 「いやいやいや!! 何で全員持ってこれるのよ!! 特に4番目!!!」若者D 「愛と欲望の力や」そして かんじんの 5にんめはというと……若者E 「不幸だ……コンビ二15軒くらい回ったんだけど、どこもコーヒー売り切れだった……… 買い占めてるヤツでもいるんじゃねぇか…?」かぐや姫 「何でアンタだけ持ってきてないんじゃボケェェェェェ!!!!!」おしまい CASTかぐや姫 御坂美琴若者E 上条当麻若者A 海原光貴若者B 白井黒子若者C 薄絹休味若者D 青髪ピアスコーヒー 一方通行買い占めた人
https://w.atwiki.jp/index-ss/pages/1467.html
「ってぇ、あの野郎……あちこち噛みやがって……」 上条は全身に残っている歯形を擦り、夜の道を歩いていた。 コンビニの袋を下げ、自分の寮の下まで辿りついた時、上条は妙な不安に襲われていた。 首を捻りつつ、エレベータに乗り込み、ボタンを操作する。 初めは無視していた根拠すらないその不安が一気に首をもたげたのは、ほど近い川沿いに雷光にも似た閃光を見たときであった。 「なんだ、ありゃぁ?」 上条は廊下から身体を乗り出す様にして、その閃光の消えて行く様子を見た。 (どこかで………つい最近、どこかで見た気が………) 上条は記憶を懐古する。 脳細胞の、本当に端っこにあるような、何かが引っかかるような、その程度の記憶を。 (御坂の電撃じゃない………なにかの、魔術みてぇな) 上条はそこまで思い出すと、寮の部屋に飛び込む。 「インデックスは……い、ない?」 部屋の中に白いシスターの姿はない。 (小萌先生のところか? それとも―――) 上条の脳裏に、最悪の事態が浮かぶ。 「インデックス!!」 コンビニの袋を部屋に投げ捨て、上条は駆け出した。 上条が部屋を飛び出した頃、インデックスは河川敷付近を走っていた。 「この辺だったと思うんだけど……」 ちょうど上条がコンビニへと出かけたとき、インデックスは学園都市の異変を感じていた。 「魔力の流れが集まってる……見たことないものかも」 インデックスはキョロキョロと辺りを見回し、魔力の根源を探る。 学園都市中にやんわりと漂っている魔力に混じって、別の魔力の後も残っていた。 「誰か魔術師同士が戦ってたみたいなんだよ………」 「おや―――」 後ろからの声に、インデックスは警戒心を抱きながらも振り返る。 敵意のない声の主は、『妹達』と呼ばれるクローンのうちの一人だった。 「あなたはあの人と一緒にいるシスターではありませんか、とミサカは確認します」 「クールビューティーが何をしてるのかな?」 「いえ、ミサカ達はお世話になっている人の指示である物を回収しに来ただけです、とミサカは報告します」 御坂妹は挙動不審なシスターに首を傾げつつ答える。 インデックスは御坂妹の話をほとんど聞いていないようなくらい、周囲に気を回していた。 「どうかしたのですか?」 「ううん、なんでもない。束ねられた魔力の足跡は……向こうに行ってるのかな」 そういうと白いフードをたなびかせ、インデックスは踵を返して駆けて行く。 「何だったのでしょうか?」 「そんなことよりも運ぶのを手伝ってください10032号、とミサカ19090号は荷物の重さに嘆息します」 御坂妹は振り返り、自分と同じ姿をした少女に囲まれた物体に目をやる。 白い布で覆われた細長く3メートル程の物体。 「丁重に扱ってください。ただの鉄槍ではないらしいので、とミサカは進言します」 「この辺だとは、思うんだけどな」 インデックスが御坂妹と遭遇していたころ、上条はそこから少し上流に登った所に辿りついていた。 「インデックスは………いねぇか」 キョロキョロと辺りを見回し、人影を探す。 探していたシスターさんどころか、魔術師と思しき姿すら見えない。 「ちくしょうっ!!」 上条は川沿いに目をやりながら地を蹴る。 どちらに走ればいいのかは分からなかったが、なんとなく、駆けださなければいけないような気がした。 「とりあえず、むこ―――っ!?」 どんっ、と柔らかい何かに激突したような衝撃を受け、上条は体勢を崩す。 ちょうど人とぶつかったような衝撃に、若干慌てながら、上条は顔の前で両手を合わせた。 「すいません、前見てなくて―――?」 誰も、いない。 上条はキョトン、とした顔で周りを見る。 少なくとも周囲に誰かが居る気配はない。 「? おかしいな………」 確実に『誰か』とぶつかったはずなのだが、上条は首を捻る。 ぶつかった事もスルー出来るくらいに急いでいた人なのだろうか。 人にぶつかるようなことがあれば、大概は不幸な目にあう上条にとって、何もないのは最高に幸せではある。 「なんだ? 気味わりぃな……」 上条が何気なく右手を上げ、頭を描こうとしたとき。 バギンッ! という何かが壊れるような音が周囲に響く。 「っ!?」 上条の目が驚愕に見開かれる。 慌てたように右手を振り抜く。何かの布のようなものに引っかかったような感触が上条の手に残る。 「あーあー、ニーベルンゲンに伝わる隠れ蓑だって聞いてたんですけど………偽物つかませれたかな?」 楽しげな、それでいて背筋を凍らせるような女の声。 殺気をはらんだようなその声の主は、ゆっくりと黒いコートだった物を捨てる。 「ふむふむ。なるほど、そういうことですか」 冷たい視線が、上条へと向けられる。 「な、なんなんだよ………」 彼女の目にあったのは、ただ単純なる興味だった。 友達や、恋人や、憧れの人へ向けるような興味ではなく、もっと単純な。 小さな子供が、与えられた新しい玩具に向けるような、興味に満ち溢れた視線。 「やぁやぁ、まさかこんなに簡単に遭えるとは思ってなかったですよ、『幻想殺し』。いや、上条くん?」 「て、テメェ………」 上条は奥歯を噛みしめる。 身体の中に危険度を指すメーターでもあれば、確実に振り切っていたであろう。 「魔術師か?」 「ふふふ―――」 上条の問いに、パウラは嘲笑した。 魔術師、という呼ばれ方に不満を抱くような、くすぐったがるような、そんな表情を浮かべている。 「個人的なこだわりなんですけどね―――」 パウラは右面についた仮面に手を添える。 暗い中に赤く光る目のような光点が、点であるにもかかわらずドロドロとした血の流れを感じさせる不気味なものだった。 「科学者、って呼んでくれた方がしっくりくるんですけどもね。あ、パウラでも良いですよ? 愛を込めてくれれば」 そう言って、パウラはニヤリと口角をあげる。 背筋が凍るような言葉に、上条は足が震えるのを感じた。 「科学者………パウラ………アンタ、もしかして」 「っと、もしかして、ということは……もうアレからお聞きになったみたいですね」 それは好都合だ、と言わんばかりにパウラは懐から小さな槍を取り出す。 「その右腕、提供してもらえませんか?」 ダンッ! という地面を蹴る音がしたかと思えば、パウラは2、3メートルあった距離を一瞬でゼロにすると、上条へと刃物を向ける。 「くそっ!!」 連日の戦闘で動きの悪い身体を殆ど引きずるようにして、上条はその一撃を横っ飛びにかわす。 対象のいなくなった刃物が空を切る――――――筈だった。 「つっ!?」 上条は自分の腹部にかすかながら痛みを感じる。 バッサリと切られた服の奥に、赤黒い血がにじむのが見えた。 (傷が開いた!?) 上条は一瞬、傷口へと気を取られた視線を、パウラへと戻す。 相変わらず笑っている彼女の手には、血で彩られた槍状の刃物が握られていた。 (かわしきれなかった?) 自分の身体が100%思い通りに動いていないのは分かってはいたが、それでもさっきくらいの一撃なら問題はなかったはずだった。 上条は思う。 科学者と名乗るだけあって、戦闘には余りにも『緩慢にみえる』その一撃は、図らずも喧嘩慣れしている上条には余裕をもって回避できる攻撃であったはずだと。 理解を超えた何か、が混在している。 その事実に上条が気付いたとほぼ同時に、パウラは楽しげに口を開いた。 「私の姿がどう見えてますかね、上条くん」 ゆらり、と、陽炎のようにパウラの姿が消える。 声だけが聞こえる方には、何の影さえも見えない。 (何か、仕掛けが………霊装はどれだ?) 幾つか心当たりはある。 壊れたはずの黒いコート。血のような赤で光る目。そして、持っている小さな槍。 「見えてるものがすべてじゃない、なんて哲学的な事を言うつもりはないですがね」 「うあっ!?」 『消えているように見えた』パウラは、上条のすぐ後ろに姿を現すと、持っている刃物を振るう。 「っ、うおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっ!!」 怯みかけた心を立て直し、上条は右手を握る。 異能の力に対し、絶対の効果を発揮する『幻想殺し』を、パウラの持つ槍へと照準を合わせる。 固く握られた右手は、槍を掠めるような軌跡を描き、拳を向けられた槍の切っ先は、上条の右頬を切る。 赤い血が飛び散り、上条の右手と右頬に鋭利な切り傷が真っ直ぐな線となり現れる。 「狙いは良かったと思いますけどね? 残念、コレには魔術要素はないんです」 してやったり、という満足げな表情で、パウラは上条を見下すように笑っている。 「異能の力以外は、打ち消せないんですよねぇ?」 「…………………………………」 上条は口をつぐんだまま自らの右手に、ちらりと視線を向ける。 ポタポタと滴り落ちる血が、地面に染みを作っていく。 (傷は深くねぇみたいでよかった……) 刃物に対し、掠めただけで済んだその傷は、上条にとって継承と呼べる程度のものであった。 だが、『もし右手で、真正面から槍を受けていたら』―――――。 今頃、右腕は血だらけになっていただろう。 (結果的にはいい結果、ってことなんだろうけどな………) 上条は右手を握りしめ、また開く。 (まだアイツの魔術の正体は掴んでねぇ……けど、恐らくは何らかの方法で『光を捻じ曲げ』てる) 上条はつい最近のありがたーい補習で聞いた、小さな先生の言葉を思い出す。 「いいですかー、上条ちゃん。五感を誤魔化す能力にも幾つかあります。気配を断つ『視覚阻害(ダミーチェック)』、光そのものを捻じ曲げてしまう『偏光能力(トリックアート)』、その他にも―――』 (『偏光能力』に似た効果の魔術だと思うんだが………くそっ) 上条は奥歯を噛みしめる。 今目の前に立っているように『みえる』パウラが、本物かどうかすら分からない。 右手で触れることが出来れば、打開策は発見されるかもしれないものの、『見えない物と闘う』なんていうことはまさに雲をつかむような話だった。 その実験がてら少しずらして攻撃してみたら、今回のパウラは見えるままが実像だった。 (いっそずっと使ってくれてた方が分かりやすくていいんだけどな) 息を整え、唯一の対抗手段となりうる右手を握る。 「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」 上条は真っ直ぐに、パウラがいるように見える場所へと駆ける。 勘でしかないその行為は、判断ミスであれば命取りではある。 それでも、上条は動くしかなかった。 ニタリと笑うパウラの手に握られた刃物が月光に煌めく。 現か幻か。 上条には分からない。 上条の突き出した右手よりも早く、刃が振り下ろされる。 「ここは………」 無機質な白い天井が眼に入る。 寝かされているベッドは移動可能なパイプ式で、どう考えても寮の一室にあるようなものではない。 上半身を起こし、布団の中から腕を取り出す。 「っ! と……」 その行為に妙な重さを感じ、雨宮は視線を向ける。 月明かりに照らし出されたのは黒い髪と泣き腫らした痕の残る顔だった。 「気が付いたかい?」 ふと、病室の扉が開き、低い声が響く。 見舞いの女の子を起こさないよう程度に留められた声の主は、カエルのような顔の医師だった。 「術中からずっと心配してくれてたみたいだよ?」 「…………そうですか」 雨宮は佐天の頭の上に手をそえる。 寝息で軽く上下するその肩は、彼女が生きていることを実感させるものだった。 数秒だけ、柔らかな目で彼女を見ていた雨宮は、病室に入ってきた医師に目を戻す。 「生きてるんですね、俺」 「どうやったかまでは知らないけどね。その子が言うには、青い服の外人に助けてもらったらしいね。いきなり屋上に患者が現れるなんて初めてだったね?」 はて、とでもいうかのように、医師は手を顎に添える。 深く考えているのかいないのかもわからない、読めない表情だった。 「さて、本題だけどね」 「なんですか?」 佐天の頭から手を離し、雨宮はベッドから下りる。 軽く体を動かしてみるも、動きに問題はなさそうだ。 「レベル4であるはずの君が、能力開発も受けていない体だったって言う事には触れないでおくよ?」 「沢山の妹さんを紹介して、案内までしてくれた貴方が知らなかったと」 「あの時は『まだ』患者さんじゃなかったからね? それより、話を進めるけどいいかな?」 表情一つ変えないで、カエル顔の医師は続ける。 「IDを持たない人間がこの街の外を囲んで何やらお祭りをしているらしいんだね」 「なるほど。それに乗り込んで一緒に踊って来い、ってことですか」 雨宮は着ていた手術衣を脱ぐと、隣に畳まれていた学生服に袖を通す。 「ちなみに、街の中の不審者にはあの少年と小さいシスターさんがお話してるみたいだよ?」 「上条とインデックスか………俺も、どうして貴方がそこまで知ってるのかは聞きませんよ」 雨宮は着替え終わると、その場を病室の扉へと向かう。 「その子、疲れてると思うんで寝かせてあげて下さい。あと、起きたら『ありがとう』って伝えてもらえるとありがたいです」 「自分で言えば良いじゃないのかな?」 「そうですね。縁があれば、そうします」 雨宮が扉を開いた先、廊下には白い布で覆われたものを持った妹達が控えていた。 「恩に着るよ」 「いえ、以前、最後までご案内出来なかったお詫びとでもとってください、とミサカは頭を下げます」 雨宮はその布を投げ、その場から駆けだす。 殺せない槍を手に、胸に刻んだ願いを行使する為に。 「刃の軌道を上に! 斬撃を停止し、その正体を現せ!」 上条の右の方から、透き通るような声が響く。 その瞬間、刃を持つパウラの左腕が跳ね上がり、見えていた姿が蜃気楼のようにぶれる。 「なっ!?」 新たに現れた『本当の』パウラの姿は、驚愕の表情で彩られていた。 上条は思い切り腰を捻り直し、右腕を振るう。 「うおおおおおおおおおッ!!」 渾身の力で振るわれた右腕は的確にパウラの左頬を射抜く。 「がぁっ!?」 パウラの身体が宙を舞う。 地面を転がり、2、3メートル先で横たわっている。動く気配はない。 「とうま!」 「やっぱり、さっきのはインデックスか………わりぃ、助かった」 上条の元にインデックスがパタパタと駆け寄ってくる。 「とうま! また一人で無茶したんだね」 「はぁ、そう言うお前も一人で行こうとしてたんじゃねぇかよ」 「もうっ! 私はともかく、とうまは魔術とは無関係のはずなんだよ」 インデックスが頬を膨らませ、上条の背をバシバシと叩く。 「いてぇよ!」 「ふふん。これに懲りたらもう部屋で大人しくしてると良いんだよ」 「つうか、テメェ一人じゃどうしようもなかったじゃねぇか!!」 上条はポカポカと殴ってくるインデックスの両手を捉える。 「ふ、は、ははははははははははっ!!」 「ッ―――!!」 2、3メートル先。 横たわっていた筈のパウラが楽しそうに笑っている。 その顔から白い面は取れ、血にような赤い義眼がおどろおどろしく光っている。 「戦闘中に、女の子と談笑? いやいや、緊張感が足りないんじゃないかな、上条くん」 「テメェ…………ノビてたんじゃねぇのかよ」 上条は右手をさっと、インデックスの前に伸ばす。 攻撃が飛んでくる気配はない。 「まぁさか、禁書目録がやってくるとは思いませんでしたけど。そういえば、貴方が管理者だったんですよね、迂闊でした」 「むぅ、なんだか馬鹿にされたような気はするけど。そんな事より、貴女は誰で何が目的なのかな?」 相変わらず余裕を絶やさない笑みで笑うパウラは、ゆっくりと口を開く。 「そうですねぇ。そこの『幻想殺し』を解剖する、ですかね? なんなら、貴女もバラしましょうか?」 「そんな物騒なことを言って! この術式の匂いはローマ正教の魔術師だね」 「さすがは、イギリス清教が作った魔導書図書館ですか………まぁ、『そんなもの』を生み出す英国も他人のことは言えないでしょうよ」 今にも飛び出していきそうなインデックスを抑え、上条はパウラの右目を見る。 負の感情を全て混ぜ合わせたようなその色は、猟奇的であり、残虐的であり、絶望的であった。 「私の術式がバレても困るので、さっさと片づけちゃいましょうか」 にやり、と笑ったパウラの声は、あろうことかすぐ後ろから聞こえた。 今までのような幻影を利用したようなものではなく、純粋な移動速度の速さ。 それは聖人である神裂やアックアさえも彷彿とさせるような、おおよそ常人離れしたものだった。 「インデック―――!?」 上条がそれに反応したときには、インデックスの身体は宙を舞い、上条の腹部に重い拳が入っていた。 「がっ、はぁ!?」 女性の腕の力では考えられないほどの力だった。 「あはははは。いやいや、流石は学園都市、良いものがいっぱい落ちてましてね?」 まるでプレゼンでもするかのように話す。 「『幻想御手』でしたっけ?」 「テメェ………まさか」 地面に叩きつけられた上条は、その体勢のままパウラを見上げる。 「皮肉なもんですよねぇ、まさか『魔術御手』なんて名前にされるとは思いませんでしたけど」 そう言って、ポケットから音楽用のデータスティックを取り出す。 「上条くんは確か錬金術師と面識があるはずですよね?」 「!?」 「アウレオルス=イザード………あの錬金術師が何か関係があるっていうの?」 すぐ横からインデックスが噛みつく。 「さすがは禁書目録。この手の話は食い付きがいいですね」 パウラは蔑むような目で、インデックスを見ている。 「『グレゴリオの聖歌隊』」 「!!」 パウラの呟きに、インデックスが目を見開く。 (グレゴリオ……アウレオルス………) 上条はその場に立ちあがり、記憶を遡る。 (ステイルにその効果の説明を聞いた気が………) 「確か、多数の祈りを集めることによる―――」 「そう、3333人の祈りを集めることによって発動させる大魔術。アウレオルスはそれを応用して、大勢の学生に詠唱させることで強大な防衛を張ってたんだよ」 「その通り。上条くんも覚えてるとは意外でしたけどね」 パウラは右手で持っていたメモリースティックを握りつぶす。 グシャリ、と音を立てて破壊されたそれは、小さな破片となって地面に落ちていく。 「学生に撒いたのは混乱を招く為ではなく、あくまで下準備ですね。もっとも、それ以外の純粋なる魔術師を使ってブーストもしていますが」 「その学生による詠唱で肉体強化の補助魔術を常時展開している、ってとこだね。周りから流れてくる魔力の流れはそのせいなんだよ」 「………って、ことはなんだ? 『魔術御手』を使ったやつは魔術を使わされてる、ってことかよ?」 「そう、なるね」 「ふざけんな―――」 上条は歯噛みする。 能力者は魔術を使えない。 土御門元春がどうなった。『偽・聖歌隊』の学生がどうなった。 上条の脳裏に、赤い血が蘇る。 「アイツらが何をしたってんだよ! 何にも関係ねぇだろうが!!」 上条は咆哮する。 目の前の理不尽さに愕然としながら、その右手を握りしめる。 「テメェの利益の為なら他人がどうなってもいいってのかよ! 傷ついた他人の上に立っておいて、それで信者を救えるって、胸を張れるのかよ!」 上条は真っ直ぐに、パウラへと言葉をぶつける。 彼女は表情を崩さない。 あくまでそれが当然であるとでも言うかのように。 悠然と笑っている。 「いいぜ………テメェがそんな考え方を曲げねぇってんなら、その幻想をぶち殺す!」 上条は身をかがめ、地面を蹴る。 「そんな身体で、ワタシに勝てるとでも?」 上条の突き出した拳をなんなく受け止め、パウラは不敵に笑う。 突っ込んできた上条の勢いをそのまま利用し、反対側へと投げ飛ばす。 「くっ!!」 地面に叩きつけられ、上条は背中にビリビリとした痛みを感じる。刹那、顔をしかめている間もなく地面を横に転がる。 上条がその場を離れた瞬間、パウラの足が地面へとめり込む。 「観念してください。命までとは言いませんよ。後方のアックアも言っていたでしょう?」 パウラは上条に左手を向ける。 カッ、といきなり照明用のライトでもぶち当てられたような閃光が上条の視界を覆う。 「ぐううぁぁっ!?」 バギンッ!! と、反射的にかざした右手が何かを掻き消す。 「あはっ! いいね、便利な能力ですね」 「ごっはぁぁぁっ」 パウラは上条の脇腹に蹴りを入れると、一足飛びでインデックスの元へと移動する。 「こうすれば、どうなるかな?」 「んにゃぁ!?」 パウラはその右腕をインデックスの首に回し、左手で彼女の首元に刃物を向ける。 「インデックス!!」 「とうま! 私の事は大丈夫だから、こんな奴の言う事なんか聞いちゃいけないんだよ」 パウラに抑えられたまま、インデックスが叫ぶ。 上条はどうする事も出来ないまま、歯を食いしばる。 「まぁ、別に動くなとは言いませんよ?」 悪戯っぽくパウラが微笑む。 その表情には可愛気と言うものは存在しない、純粋なる悪意から来るものだった。 「私を人質にでもとったつもりかもしれないけど―――」 インデックスは大きく息を吸い込むと、お腹の底から空気を吐き出すように叫ぶ。 「右腕の拘束を解除!」 ――――――『強制詠唱』 先程、上条への斬撃の軌道を捻じ曲げたインデックスの扱う技術は、不意を突きさえすれば、パウラ本人の意思に関わらずその行動を操作できるものだった。 だが――― 「『強制詠唱』ねぇ………」 「な、なんで!?」 相変わらず、しっかりとインデックスを拘束したまま、パウラは不敵に笑う。 「さて、『禁書目録』に問題です。ワタシは一体何の魔術を得意としているでしょうか?」 左手に持った小さな刃物を器用に回し、パウラはインデックスから上条へと視線を移す。 「テメェ、インデックスを離しやがれ!」 「あっはっは。 ハイ、そうですね、って離す奴がいますか? 貴方はともかく、少なくとも『禁書目録』は貰って行きたいんですけども」 「がぁぁぁぁぁぁッ!!」 パウラが視線を外した瞬間、インデックスはその大きな口を開けると、自らを拘束していた右腕にかぶりつく。 ガギンッ! という甲高い音が聞こえ、インデックスの顔が苦痛に歪む。 「残念でした。生憎、ワタシの右腕は義手ですよ?」 涙を浮かべたインデックスを蔑むような目で見る。 「で、答えは分かったかな? ヒントはワタシの魔法名、『unda447』。英語にするなら『Wave』というところですね」 「!!――――――波動か」 捕らえられたインデックスに代わり、上条が答える。 「さっきの『強制詠唱』を無効化したのも音の波を捻じ曲げたからなんだね」 「その通り」 術式の秘密を暴かれたというのに、どこか嬉しそうな顔でパウラは続ける。 「上条くんの思った通りだと思いますよ? ワタシの姿が見えたり見えなかったりしたのも、波を捻じ曲げただけです」 「いいのかよ……困るんじゃなかったのか?」 「科学者たるもの、他人に自分の研究成果をプレゼン出来たときが華ですからね」 パウラは表情を崩さない。 上条との間合いを計りつつ、不敵に笑うだけだった。 誰もいない学園都市の闇を切り裂いて、科学と魔術に染まった人間が宙を舞う。 ビルからビルへと飛び回り、一直線に学園都市の外を目指す。 (魔力の流れの中心部は……あっちか) 感覚を研ぎ澄まし、流れている魔力の出所を探る。 (それにしても………『グレゴリオの聖歌隊』の紛い物まで持ち出してくるとは―――) 雨宮は学園都市のあちこちから集約されている微小な魔力を感じつつ、下唇を噛む。 少しだけ速度を速める。 目指す先はローマ正教の魔術師の集まっているだろう地点。 (集約した術式を束ねてんのか………) あちこちに居る学生が詠唱した魔術を一旦集約し、そこからパウラの元へと送り届ける。 ズレやラグを修正する変電所のような機関を担う部分がある。 (そこを叩けば―――) 「少なくとも、彼女の戦力は大きく削れますね」 「!!」 不意に横から飛んできた声に、雨宮はゆらりと視線を向ける。 「神裂さんか」 大きな日本刀を携えた神裂火織が雨宮に速度を合わせるように隣を駆ける。 「同じ方へ走っているところを見ると、貴方もあの術式の阻止に?」 「…………」 雨宮は神裂を一瞥するだけで何も答えない。答える必要がない、とでもいうかのように視線を前方へと戻す。 「協力に感謝しますよ」 「別に協力するわけじゃないですよ。俺は俺のやりたい事をやるだけです」 すぐ近くに見えてきた学園都市の防壁を確認する。 警備が厳しくなっている様子はない。 「それより、神裂さん。インデックスの元へ行かなくていいんですか?」 「行きたくないと言えば嘘になりますが、先に片づけることもありますし―――」 神裂は一瞬、躊躇うように言葉を飲み込む。 「あの少年を、上条当麻を信用していますから」 柔らかく微笑む。 その顔は子を慈しむ母のような、愛する人を見る少女のような顔だった。 (これが天草式の女教皇様、ね………) 意外な一面もあるんだねー、と失礼極まりない感想を抱きつつ、最後にビルの端から学園都市の壁へと飛ぶ。 「貴方だって、同じでしょう?」 「なにがです?」 「貴方だって上条当麻を信頼しているからこそ、こっちに来たんじゃないですか?」 警備ロボットの走るレールを踏みつぶし、学園都市の外部の空を二つの影が舞う。 「ええ―――」 ズドォォンッ! と人間が落ちたにしては大きすぎる音を響かせ、敵の本丸へと突撃する。 変電所を構築していた魔術師群が驚きの声をあげ、身を固める。 「友達、ですからね」 殺せない槍を振るい、儀式場ごと群がっていた魔術師を薙ぎ倒す。 二人の聖人による一方的な殲滅戦が始まった。 「っ!!」 その異変に初めに気付いたのはインデックスだった。 パウラへと常に供給されていた魔力の流れがぷつり、と切れる。 原因も、その意図さえも、インデックスには掴めない。 それでも、この瞬間が『聖人級の戦力に対し自分たちが対抗できる瞬間』である事実には変わりない。 「ッ!?」 パウラの顔に初めて驚愕の色が浮かぶ。 自分の用意していた戦力の要が破られた事によるショックは思いの外大きかったようだ。 「そんな―――」 パウラの手から刃物が零れ落ち、地面にぶつかる。 その瞬間だった。 物陰から飛び出してきた白い影がパウラの右腕を吹き飛ばし、捕らえられていたインデックスを解き放つ。 「やっと出てこれたのよな」 クワガタみたいな黒い髪に、異常に長い靴紐。下げられた扇風機に、握られたフランベルジェ。 なにからなにまで異常な格好をした男が上条の前に立っていた。 「お前………」 「覚えてくれてたんならそれでいいのよな。本当はもっと早く助太刀したかったんだけどよ。禁書目録が捕らえられてる上に、聖人級の戦力と来たもんだ」 チャンスが来るまで待ってんってことよ、天草式の教皇代理・建宮斎字は弁明する。 パウラから逃げてくるインデックスを庇うようにして、建宮はパウラへと剣を向ける。 「助かったんだよ」 「禁書目録の保護を最優先、ってのが女教皇からのご命令だったんでな。手荒になっちまったが勘忍してくれると嬉しいのよ」 インデックスが無事であることに安堵しつつ、上条は建宮の隣に立つ。 「わりぃ、助かったよ」 「礼を言われるようなことじゃねぇのよな。むしろこっちが一般人を巻き込んだことに謝るってのが筋ってもんなのよ」 驚愕のまま固まっていたパウラがよろよろとふらつく。 信じられないような顔で建宮を見ていた。 「聖人一人なら返り討ちにできるくらいの戦力は置いておいたのですが………」 神裂一人で殴りこんでも返り討ちにできるくらいの、対聖人用装備は整えておいた、その筈だった。 魔力の中継点を狙われることは想定の範囲内であり、そこに襲撃を掛けるであろうイギリス清教の切り札となる神裂対策も万全。 パウラの作戦は完璧である筈だった。 「二人、いたとしたら?」 建宮は口を開く。 「まさか………あの、実験動物が」 パウラは苦虫を噛み潰したような顔で奥歯を噛む。 「あの時殺し損ねたアイツがっ! またもワタシの邪魔をするってのかぁぁぁぁ!!」 さっきまでの不気味なまでの冷静さをかなぐり捨て、パウラは激昂する。 人工聖人、雨宮照が生きているという事実は、パウラの計画にとって大きな誤算だった。 自らの『作品』となるはずのそれは、結果として自らを滅ぼしかねない存在となり、二度も殺し損ねることになった。 一度目は生み出した瞬間。 二度目は復讐を遂げようとした瞬間。 どちらも視界の端に飛び込んでくるのは、青い影。 「アックアァァァァァァァァァァァァ!!」 地獄の底から湧きあがるかのような、恨みの込もった叫びが夜の街に響く。 「観念するのよな」 建宮は真っ直ぐに、フランベルジェの切っ先をパウラへと向ける。 「……………」 強化術式を失ったパウラに、勝てる手段は残されていない。 時間をかければ二人の聖人はあっという間にこの場に辿り着くだろう。 残された選択肢は、一つしかない。 「一旦、引かせていただきます」 「させると思ってんのか」 建宮は一直線にパウラの懐へと飛び込むと振りかぶった剣を振るう。 ガギィンッ! と金属同士がぶつかった音が響く。 僅かに残された義手の部分で、フランベルジェの切っ先を受け止めたパウラは左手でポケットからパンパイプを取り出す。 「ワタシの勝ちとは言いませんが―――」 パウラが口にあてたその笛からは何も聞こえない。 透明な音色に合わせるかのように、彼女の姿が、音が、存在感までもが透けていく。 「―――負けることはしない主義ですから」 怪しい声だけが響く。 パウラの赤く光る義眼だけが宙に浮いている。 「そんなことで、許されるわけがねぇだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 バギンッ!! 何かが破壊される音が鳴る。 見えない何かが吹き飛び、街灯の柱へと激突する。 複雑に組まれていたパンパイプがバラバラに弾け、消えかかっていたパウラが姿を現す。 完全に気を失い、微動だにしない彼女に建宮が近づいていく。 赤い義眼にが入り、バラバラと崩れ落ちていく。 「これで終わりよな」 なにやら魔術を施したのだろうか。 建宮が投げた紐でパウラの身体が拘束されていく。 「終わった、のか」 上条は安堵のため息をつく。 後ろから駆けよってきたインデックスの笑いかけたところで、上条の視界はブラックアウトした。 上条が目覚めたとき、既に変わらない日常が戻ってきていた。 唯一いつもと違う点と言えば、自分の身体が寮のベッドの上にあることで、普段それを占拠しているシスターさんはベッドにもたれかかるように眠っていた。 「…………なんだったんだろうな」 昨夜のことが夢であったかのような、はっきりしない頭に喝を入れようと洗面台へと赴く。 何も変わらない、それでいて何処か腑抜けた自分の顔が鏡に映っていた。 その日、社長出勤で三時限目からの登校を決めると、雨宮の姿は見あたらない。 小萌先生曰く、急な引っ越しが決まったらしい。何処に行ったのかさえ分からないという。 土御門によると、『魔術御手』の影響下にあった学生は散り散りに行動していた天草式の面々によって無事保護されていたらしい。 『なんでお前が知っているんだ』というツッコミは胸にしまい、上条は溜息をつく。 「まったく、お前はまた裏で暗躍してたのか?」 「どうかにゃー? まぁ、色々とお仕事があったことは否定しないぜよ」 威張るような顔を見せる土御門に一発くれてやろうと思い、右手を握ったところで上条は思いとどまる。 「そういえば、アイツは?」 「アイツじゃ分かんないぜよ」 「雨宮、あれは何処に行ったんだよ?」 上条の疑問に、土御門は視線を逸らし、窓の外を見る。 釣られるようにして、上条もその方向に目をやる。 広がっている校庭には学生たちが歩いているだけだった。 「アイツは『一応』ローマ正教の人間だからにゃー。イギリス清教に属する土御門さんはあんまり詳しくなんです」 「思いっきり知ってます、って目してたぞ」 上条は視線を土御門の緊張感のない顔に向ける。 土御門はふざけた表情を崩さないまま、言葉を続ける。 「カミやんが心配するようなことじゃないんだぜい。縁があればまた会えるぜよ」 学園都市の上は、今日も青空が広がっていた。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/1404.html
あの、言葉 をもう一度 -Christmas Night- 3 (後編) 「えっと、ちょっと聞いていい?」 もうじき(学舎の園の)入り口だな、と上条が口にするより早く、美琴が上条に問いかけた。「ん? 何だ?」「今日、その……もしこの約束なかったら、何してたの?」「んー、その手伝ってた教会で、そのままパーティーに参加して飲み食いってとこじゃねえかなあ。誘われたけど、お前との約束あったし」「あら、……悪かった、わね」「ま、あっちは大勢でやってるし、俺がいねえからどうこうってのもねえよ。……たぶん」「そっか……」 上条は思い出していた。夜は女子中学生と約束があると漏らしたがために、お馴染みのシスター達に監禁されそうになったのだ。這々の体で逃げ出してきたが……。 美琴もまた、思いを巡らす。(間違いない、きっとみんなコイツに残っていて欲しかったはず……) 逆の立場だったら、自分ならもうパーティどころではない。誰かと約束があるなんて聞かされようものなら。 今、こうやって一緒にいられるのも、あのアルバイトを決めた日、ポケットにあった100円玉が、――もし逆の目だったら、自動販売機の前に行くこともなく……今頃ベッドの上で三角座りでもしていたかもしれない。 幸運。これは相当幸運だったと思っていい。美琴は今の幸せをかみ締めた。 しかし、その幸せの反面として、新たな不安も生まれている。この帰り道、上条にしがみついて考えていたこと。 自分の中にある、まだ眠っている、体裁を打ち破るほどの莫大な感情―― 今なら分かる。あの『恋じゃない』と否定していた心は、……それ自体に意味はなく、ただ『上条の事を考えている至福のひととき』の一つに過ぎないという事を。意味があるとすれば、心が彼に向かいすぎないように調整していた、程度のものだろう。 だが、今日こうやって始終しがみついて……この居心地の良さを、身体が覚えてしまった。特に、心にぽっかり穴が空いたところに、こんなに甘いモノが流れこんできたのである。――ひとたまりもなかった。 不安。 この眠っている感情、……もはや薄皮一枚の状態だが、もう押さえ込める自信がない。 次に感情が高ぶったら、自分は…… と、そこで美琴は何とか我に返り、軽く首を振った。これ以上は、きっと彼も拒絶する。――それは、お互い不幸なだけだ。 自信のある無しではない。押さえ込まなければ、今度こそ関係が壊れる。もうあのバイト先での思いは、二度としたくない。 美琴は自分の中の不純なモノを吐き出すかのようにため息をつくと、上条を見上げて話しかけた。「と、ところでさ。ちょっと、あの、いつもの自販機のとこ、寄っていいかな」 広い学舎の園の前を通り過ぎ、上条の高校との分岐点が見えてきていた。 その分岐点を、高校側に少し歩けば、あのいつもの自動販売機がある。「いいけど、門限大丈夫か?」「大丈夫、すぐ済むから」 少しルートを外れ、自動販売機の場所まで歩く。 アルバイトの相談をしたテーブルの前まで来ると、ようやく美琴は絡めていた腕を放し、上条を解放した。「飲み物でも買うのか?」 上条はう~~~ん、と伸びをしている。「ううん、ちょっと待って」 美琴はカバンをあのテーブルの上に置き……ごそごそとラッピングされた袋を取り出した。 おずおずと、上条の真正面からプレゼントを差し出す。街灯と自動販売機の灯りで、暗すぎるということは無い。「はい、これ。ここで今日の約束した時、私言ったでしょ、『褒めてあげる』って。これがご褒美、ね!」「えっ……いやいや、俺なにも用意してねえ!」「クリスマスのプレゼント交換じゃないってば。ご褒美だって言ってんでしょ」 うわ参ったな……と上条は躊躇っていたが、頬をポリポリ掻きながらも受け取った。「サ、サンキューな。開けていいか?」「う、うん。気に入ってくれると、いいんだけど」 丁寧にシールをはがし、そろそろと中身を取り出す。……上条が低く唸った。「お、お前これ……最新のアレじゃねえか!」「えへへ、これならアンタも持ってなさそうだったし」「持ってるわけねえだろ! ……シャレなんねーぞ……」 それは手袋だった。 しかし、最新のアレ、というだけあって学園都市最新技術が盛り込まれているシロモノで、この高機能手袋は極薄なのに防寒性・耐衝撃吸収を兼ね備えており、更に……「なんだこれ……ものの数秒で装着感無くなったぞ……すげえ」 早速右手にだけ装着した上条は再度唸る。「私の水着もそうなんだけど、その装着感無くなるのって、良し悪しな気もするけどね」 学芸都市でも着た美琴の競技タイプ水着も、高性能な中でも、着ていると装着感が無くなるというのが性能の一つとして挙げられている。本当に何も着ていないような気分になるのだ。「お前これは……いやもちろん嬉しいけど、ちょっと行き過ぎじゃねーか?」 値段は今日のバイト代で賄えるレベルではないはずだ。「アンタね、その右手で色んな人救ってきてんじゃないの? どうせこれからも酷使するんだろうし、せめてそれでちょっとは守りなさいな、ってね」「…………、」 上条は包装紙をコートのポケットにしまい込み、両手にきっちり手袋をはめ直し、にぎにぎと感触を確かめた。「マジですげえな……ありがたく受け取るけどさ、俺お前にこのレベルのお返し、なにもできねえよ……」「だからご褒美だと何度言ったら。……それにお返しって話なら、私に言わせりゃこんなの、アンタへの借りの足しにもなってないわよ? ただ市販品買っただけだもん」「借り、って……お前ひょっとしてシスターズかなんかの話してんのか? あれは俺が好き勝手やっただけじゃねーか」「それだけじゃ、ない。色々よ、色々。……アンタが好き勝手と言うなら、私もこうやって好き勝手にやる、それでいいでしょ?」「あーもうお前は! 何でこういう、いやそりゃ嬉しいけど、……うーん……」 上条的には、両親からの高校入学祝い級とも言える破壊力を持った品であった。 友人間のプレゼントのレベルではない。「……罰ゲームと一緒だけどさ、何でも言うこと聞くから、何か言え」「え……?」 上条には、もうこれしかなかった。「ご褒美なのは分かった。ありがたく受け取る。で、それはそれとして、お前には世話になってるし、……俺もお前にプレゼントしたい。出来ることなら何でもやってやる」 今日の御坂美琴の行動はちょっと読めない。よって、こういう「何でもやってやる」は結構危険な賭けであった。 しかし、日を改めてプレゼント返しをしようにも、ちょっとこれはマトモに返せない。金欠は解決していないのだ。 美琴は考え込むかのように俯いてしまっている。 しばし、二人の間に静寂が流れた。自販機の内部の音だけがやけに響く。 しかし思ったより早く、美琴が沈黙を破った。「じゃあ、……お言葉に甘えて……」(!? 早い! この展開を読んでた……ってのは無いか。てーことはつまり……) ひょっとして常日頃、俺に期待してる事がある? 今思いついたのではなく、前々から考えていた事。……そして言い出せなかった事。なんだか重くて、実現が厳しそうな予感がする。 だが上条は、動揺を押し隠しつつ、頷きながら言葉を促した。「出来ることなら、すぐ約束してやる。言っちまえ」「……その……アンタが前に言ってた言葉を、聞かせて欲しいな……ってのは、ダメ?」――言葉。(何だ!? でも、言ったことのある言葉、なら問題ねえ、よな……?) 二度と口にしたくないほどクサイ言葉があったかどうか思い出そうとする上条。あの橋の上では結構言っちゃった感はあるが、切羽詰った状況であまり明確に覚えていない。 しかし、ここで嫌なことに思い当たった。(まさか……記憶喪失前、とんでもねーこと口走ったとかじゃねーだろうな、俺? ひょっとして、俺がコイツをナンパしたのが出会いで、その時のセリフ……ってのもあり得るんじゃねーか!?)「そ、それでいいならお安い御用、と言いたいけど……、いつ、どこでの話だ?」 不安が何だか膨らんでくる。上条は俯き加減に視線をそらしたままの美琴に、おそるおそる問いかけた。「……夏休み、最後の日。」 夏休み最後の日。(偽デートやった日か! 何か言ったか俺……? そういえば夜も歩道橋で会ったっけ)「その……工事現場で、海原光貴に……、いつでもどこでも駆けつけて、って言ってたじゃない? 同じ言葉を、私にも……」「…………、って!」 今の言葉が上条の脳に時間をかけて染み込み……、そして上条に驚愕の声を上げさせた。 確かにあの時、御坂美琴が落ちてくる鉄骨の軌道を変えてくれたような記憶がある。――しかし、粉塵の舞い散る中、そんな聞こえるほど近くに居た、と!?「ちょ、ちょーっと待て! あ、あれ聞こえてたのかお前!」 美琴はこくん、と頷いた。そして、上条に顔を向ける。「かすかに、ね。だからいつかちゃんと、……あの、言葉……をもう一度、って」 上条は頭を抱えた!「バカお前、あんなの本人目の前に言えるかっ! あ、あれはつまり……アイツとの約束であり、俺の誓いで、しか……!」「……ダメ?」「…………、」 美琴は、上条をじっと見つめていた。 だが、引きつった上条の顔を見るとまた、うつむいてしまった。「ダメなら……いい。……アンタが何かお返ししようとしてくれた、その気持ちで十分。……帰ろっか、もうここからは一人で」「待て待て!」 チェックメイト。急にしぼんでしまった様な美琴を見てしまったからには、このまま帰るという選択肢はあり得なかった。「け、結論を早まんな! よりによって、何だってその言葉なん……だ?」「…………、」「い、いや、あのな? 言葉なら言える、恥ずいけど言える。でも、めちゃくちゃ上っ面な台詞になるぞ? 何かこう、お前が敢えてそれを選んだ理由とか教えてくれるとかしねえと……」「…………、」「やっぱり、言葉ってのは感情を込めて、じゃねえと、さ……今のままじゃ、言い方悪いけど、『言わされた』みたいになっちまう」 自動販売機のヴ…ンといった稼動音だけが、しばし二人の間の静寂を取り持った。 やがて美琴が、ぽつりとつぶやきだした。「……私とアンタって、肝心なところで縁が、ないのかな、って」「……はい?」 思ってもみない言葉に、上条は戸惑う。 美琴が顔を上げた。何か覚悟を決めたような表情をしている。「アンタってさ、私をほんとスルーするよね。無視じゃなく、視界に入ってない類の」「してねえよ、と言いたいトコですけど……」「今日アンタがバイトに来なくってさ、……色々考えさせられたのよ。そういや、メールは届いた試しないし、電話は肝心なところでブチブチ切れるし、恋人ごっこでも罰ゲームでも途中で邪魔されるし、他にも色々。……これはひょっとして、何かあるんじゃないかって」 これは確かに上条も不思議に思っていた。美琴とはいつも尻切れトンボな形で話が終わるのだ。 美琴は上条を見つめたまま――たまに視線を下に落としたりもしつつ、淡々と話す。「でも、シスターズの件や残骸事件の時は、そういう妙な妨害無かったしなあ、と思ったとき、気づいたの。あの2つの事件は、アンタの視点からしてみたら、あくまであの子や黒子が主役だったのよね。あくまで私は、オマケ、だった」 確かに、命の危険という意味では、主役は御坂妹であり、白井黒子であった。だが、美琴がオマケというほどに低いわけではない、と上条は思ったが、口には出さずに美琴の言葉をじっと聞いていた。 ちょっと間を開けて、美琴は改めて口を開く。「ではここで問題です。御坂美琴が一人単身でどうしようもないピンチになったとき、どうなるでしょう? 私が主役だったなら?」「…………!」「……なんかさ、アンタは来ない気がするの。今までの経緯を考えると、アンタは私をスルーしちゃう、と思うのよ……」 美琴の声のトーンが落ちる。「何なの……かしらね。アンタの右手は、私の電撃を防ぐのに飽きて、私との縁をぶった切ろうとしてるのかもね。私が死んじゃえば、防ぐ必要も無くなるものね。……冗談よ」 口を開きかけた上条を、美琴は制した。「……アンタも知ってるかな。学園都市のLV5が次々におかしくなっていってる、って話。噂じゃ五体満足な状態でもないって聞くし」 上条の脳裏に、ロシアでのアクセラレータの姿が思い浮かぶ。苦悩と狂気に彩られた、上条に向けた総攻撃……確かに、正常ではなかった。「私も、アンタがいなかったら、そうなってたと思う。精神的にか、物理的にかはともかくね……。でもまた、いつか……きっと何かに巻き込まれる。もう予想ってか、確信に近いわね」「…………、」「だから、さ」 美琴の声が……鼻声になった。「直接、あの言葉をもう一度……、と思ったの。……今のままじゃ、『お前だけは助けない』って言われてる気分でさ。……つらいじゃない、そんなのって」「御坂……」 美琴は俯いた。かすかに涙目になってしまったのを隠すかのように。「言っとくけど、アンタが来る来ないは本題じゃないわよ? 私は独りでやるもの。ただ、……どうせスルーされるって思って戦うのと、ギリギリまで諦めなければアンタが来るかもと思って戦うのと、どっちがいい? って話でさ……」 声のトーンは戻ったが、幾分自嘲気味に美琴は続けた。「これが理由。……あんまり言うもんじゃないわよね、白けちゃったかな。やっぱり言わなくていいわ、帰……」 美琴の言葉は、そこで途切れた。――上条が、美琴の頭の上に、優しく右手を乗せたためだ。「分かった分かった。お前またややこしいこと考えてやがんなあ……」「…………!」 上条はつぶやき、俯いた美琴の頭を優しく撫でる。美琴は胸の前に両手を揃えたまま、硬直していた。「縁……ね。俺は相当お前との縁は、あると思ってるけどな」 頭の上に乗せた右手を、上条は美琴の左肩に移動させた。手を頭から外せば美琴が顔を上げるかと思ったが、美琴は俯いたまま、上条を見ようとしない。「……ど、どこが……よ」「例えばあのバイトの話、ここで偶然会ったのが始まりじゃねーか。あれが縁じゃなかったら何なんだ? それに、今日の21 00の電話もそうだよ。肝心な電話が切れるっつー話も、微妙だよなこれで」「…………、」「そして、お前、今日ずーっと俺にしがみついてたけど、誰かに邪魔されたか? 妹も、白井も来なかったぞ?」「それは……」「それにそもそも、携帯のペア契約だの、両親の面あわせだの、……これで縁がないとか言うのかよ、お前は?」「だ、だから、縁自体はそれなりだとは思うけど、肝心な時、って話よ!」 美琴は小さく抗議した。「ま、確かに言われてみれば、俺とお前の繋がりみたいなのが、妙な力で邪魔されてるような感じは否定しねえ。お前のピンチに気づかないかもしれねえ」 でもな御坂、と上条は言葉を継いだ。「――お前には周りの奴らが居る。御坂妹が、白井が、皆がいるじゃねえか。そいつらがきっと俺に教えてくれる。お前は、独りじゃねえんだからさ。で、俺が――」(直接言う事による『責任』と、その『覚悟』――! ちっと重いが、まあ構わねえ!) 上条はもう一方の掌で美琴の肩を掴み、心のなかで誓いを新たにした。 両肩を上条にしっかりと掴まれた美琴。その『意思』を感じ取った少女は、弾かれるように顔を上げ、目の前の少年を見つめ――「いつでも、どこでも、誰からも。何度でも駆けつけて、お前を守ってやる。御坂美琴の世界を守ってやる」 上条ははっきりと、美琴を見つめ返しながら、言い切った。「…………!」「お前ホントどうしたんだよ今日は。イブだからっておセンチになりすぎだぞ、……って!」 上条は言葉に詰まった。 御坂美琴が――目を見開いたまま瞬きもせず、瞳から涙をぽろぽろ落し出した、から。 引き結んだ口元を、わずかに震わせながら。「だあー、泣くな! お、お前、今日は何だってそんな、おん……」――女の子みたいに。 言葉を飲み込み、美琴を改めてじっと見つめた。 女の子みたいに、しがみついたり、泣いたり。 そもそもコイツ、泣き顔見られたのを心底嫌がってなかったか? しがみつくってのも、明日以降からかわれる事を考えれば、本来ありえない事だ。からかわれると、とにかくムキになる性格だったはずだ。 今日は、クリスマスイブに乗じて『女の子らしく』しているのかと思っていたが、……そうではなく、ひょっとしたら。 上条の心に、フッ……と湧き上がる、思い。 今日の、この甘えたで泣き虫の姿が、御坂美琴の本来の姿……? 普段はLV5のプライドもあって弱さを見せまい、と……?(い、いや、そういう判断はあとでいいや! まずコイツどーすっか?) 上条は両手を離して一歩踏み込むと、美琴の左側から右肩を抱いた。(こうやって抱き抱えるようにしてやれば、ちょっとは落ち着くかな? 正面から抱きしめたら、表情わかんねえし……) 空いた左手でポケットをまさぐり、ハンカチを取り出した。 正面に上条がいなくなったせいか、やや視線は下におとしつつも、涙をぬぐおうとせず心ここにあらず、といった風である。美琴の目の下に、上条はそっとハンカチを当ててやる。「お前、マフラーぐしょぐしょになるぞ……台詞もどういうか分かってんのに、なんでそんなに……」 ようやく美琴がぴくりと動いた。 ゆっくりと、左側にいる上条へ顔を向ける。(うっ……!) 上条の身体を、電気のようなものが貫いた。決して、美琴の直接的な電撃ではなく。 見つめてきた美琴の潤んだ瞳、唇から視線が外せない。さっき真正面からの時は焦点があっていなかった感じだったが、今は、はっきりと上条を見つめている。(な、なんだこの空気は、……!)「……ぁ」 ありがとう、と言おうとしたのか。声にならずに美琴の唇だけがかすかに動く。 美琴の潤んだ瞳がとろん、と―― マズイ――! この顔の距離、顔の角度、……後は、少女が目を閉じようものなら。(ま、待て御坂。そこで目を閉じたら、『そういう』空気になっちまう! お、俺たちは『そういう』関係、じゃ……!) 美琴は、『あの言葉』を聞いてから、――感動して何も考えられなくなっていた。 自分が涙を流していることも、気づいていない。 そして、頬になにか布のようなものが当てられる感触で、ようやく我に返った。 左側に気配を感じて、ゆっくり顔を向けると、心配そうに見下ろす、『アイツ』の姿が。――何か言わなきゃ。 口を動かすが、出てこない。 それよりも、そんなに見つめられると、眩しくて……嬉しくて、幸せで……目を開けてらんない…… 美琴はゆっくりと目を閉じた。 上条はその美琴の幸せそうに目を閉じた顔を見て、吸い寄せられるように、唇を近づけ―― ビービービービービービー!!!「うわわわっ!?」「きゃっ!?」 突然の警報音に、二人とも思わず抱き合った!「な、なんだっ!?」「…………!」「じ、自販機か。何で警報が……?」 二人して自販機を見つめるも、何で鳴っているのか皆目見当がつかない。 上条も美琴も、一気に現実世界に引き戻された。(……た、確かにキスしそうな空気だったが、そこに完璧なタイミングの警報って何だよ……、って!)(し、幸せな気分に浸ってたのに、なんなのよこれ! コイツ絶対なんかあるわよ、間違いない! って!) 二人は同時にばっ! と離れた。「は、はは……」 さっきの危うい空気と、おもいっきり抱きしめあった状況に、赤面する二人。 甘い空気が吹き飛ばされ、仕切り直すにもこんな警報音の下ではあり得ない。 が、やにわに上条は美琴の手を差し伸べた。「……?」「と、とりあえず行くぞ。ここに居たらマズイ!」「! そ、そうね。通りの道まで戻りましょ!」 美琴は頷いて上条の手を取った。抱きしめあった後では、手を握るなど照れもなく出来るから不思議なものである。 上条は逆の手でテーブルの上の美琴のカバンを掴む。「カバンはとりあえず持つ! 行くぞ!」 巻き添えはゴメンとばかり、二人は逃げ出した。「……お前、やっぱ、自販機、蹴りすぎだ、ろ! 反撃だな、ありゃ!」「ば、馬鹿! んな、訳、ないでしょ! あ、警備、ロボットが」 走りながら途切れ途切れに会話していると、警備ロボットとすれ違った。あと30秒判断が遅れていたら、面倒な事になった事だろう。「とりあえず、あの、高架下、へ!」「う、うん!」 二人は頷きあうと、手をつないだまま走り続けた。 ◇ ◇ ◇ はーっ、はーっ。 高架下で足を止めた二人は、とりあえず息を整えていた。……手は握ったまま。(……御坂は手を離す気はないみたいだな。ああもう、今日はこのお嬢様の好きにさせとこう!) そんなことよりも、上条にとっては実際問題、キスしかけた自分の心理状態のほうが問題だった。(ぐうう、中学生相手に俺は……! な、流されたとはいえ、キスしてたら大問題だったろ俺! ううう……) 自称硬派が聞いてあきれる。 上条は美琴に気取られぬよう、そっとため息をついた。 一方、美琴は、思い出していた。『いつでも、どこでも、誰からも。何度でも駆けつけて、お前を守ってやる。御坂美琴の世界を守ってやる』 美琴にしっかり刻み込まれたこの言葉。 恋人でもないのに、現実的でもないのに、誓ってくれた上条の真意は分からない。 でも、真意を上条に問おうとして表に出せば、きっと『薄れる』。 描いた絵を解説して貰う必要はない、こちらは感じ取るだけでいい。感じたままに、心の奥底に、丁寧にしまい込んでおけば――。 この言葉があれば、明日からもきっと大丈夫だ。感情のコントロールができないと不安がる必要は、もうない。 美琴は、自分の中に芯のようなものができたことを感じ取っていた。物理的に上条にすがるのではなく、この芯にすがれば良い。(勇気を出して、言ってもらって良かった……) 繋げた手をぎゅっと握りしめた。「ああ、もう大丈夫か? じゃあ行くか。マジで門限きつそうだな」「正直、テレポートでもないと無理ね。まあでも叱られりゃ済む話だし。あ、ごめんカバン持つね」 自分のカバンを受け取って、一歩歩みだしたところで、美琴は足を止めた。「御坂?」 上条は、うつむいている美琴をいぶかしがる。「あの、さ……」「な、なんだ?」「自分で贈っておいてナンだけどさ。……手袋外して欲しいかな、って」 そう言って、美琴は手を離した。真っ赤な顔が見て取れる。 上条は、まじまじと繋いでいた手を見つめる。超薄手の特製手袋。(コイツは……いやもう敢えて言おう。マジで可愛いかもしれん! 今日だけかもしれねえけど!) 丁寧に手袋を外してポケットにしまい、上条は改めて手を横に差し出した。 美琴も、改めて上条の、素手を握る。「やっぱ、違うね」「ああ……お前手、冷えてんじゃねーか。手袋じゃわかんなかったぞ」「さすが防寒仕様ねえ」 走ったとはいえ、数分の短距離だ。手が温もるほどではない。 しょうがねえな、と上条はつぶやき、美琴の手を握ったまま自分のコートのポケットに手を入れた。 そして美琴を引っ張るように、歩き出す。「き、気のきいたことするじゃない」「あの繁華街でな、こうしてたカップルがいたんだよ」「か、カップルって……」「今更カップル云々で意識してんじゃねーよ。ずっとしがみついてたクセに」 美琴はカーッと赤くなりつつも、黙ってはいなかった。「な、何よ。アンタだって、さっき私が眼を閉じてた時に、何しようとしてたのよ!」「え、いや、何も! 何もしてませんですことよ?」「へー。すっごいニンニク臭いのが、濃厚に感じ取れたんだけど? あれは気のせいだったんだ?」「き、気のせいだ! 元々距離近かったんだから、ソレのせいだ!」 美琴はむーっと上条を睨んでいたが、やがてぽつりとつぶやいた。「……次は、そういう匂いのしないとこ、行こうね」「へ?」「何でもないっ!」 顔を赤くして顔を背けてしまった。 上条はそんな美琴の様子を見て、ははっ、と笑う。コイツこんなにいいキャラしてたんだな、と。「……じゃあ、次お前が選べ。ラーメンは俺が選んだしな」「……よ、よーし。きょ、今日のバイト代使いきれるとこ探してくるから、待ってなさい!」「つ、次は奢る必要ねえよ!」「アンタが私の初アルバイト代で奢れって言ったもん! まだ契約は終わってないんだから!」「こ、この……泣き虫娘が!」「あーっ、そん……」 不意に美琴の声が途切れた。「え?」 上条が思わず声を出した。 そこにいたはずの御坂美琴が、消えていた。 いきなり握っていた左手から、感触が消えた。 思わず振り返ると、そこには。「門限ですわよ、お・ね・え・さ・ま?」 これは門限破りか、と白井黒子がやきもきして探しにきたのだ。「ちょ、ちょっと黒子!?」「問答無用ですの!」 思いっきり白井黒子が睨んできたかと思うと、美琴と黒子の姿はかき消えた。「……ここでようやく、邪魔、か」 上条が小さくつぶやいた。 本当に彼女とは二人でいると、無難には終わらねーなと改めて思う。「ま、今日は御坂の……違った一面が見れたって事、でいいか。結構可愛らしい面があるってこったな」 フッとイルミネーションでの浮いた台詞や、キスしかけた事を思い出す。(くっ……アイツよりまず俺だ。いつもの上条さんに戻らねーと、明日からアイツの顔見れねー……) 上条はブンブンと首を振った。 携帯を取り出し、時計を見た。あと2分ほどで23時だ。(……ま、門限に間に合うなら白井に感謝しなくちゃ、だろう) 上条は天を見上げる。(さーって帰って寝るか。明日も補習だし、……って?) 黒かったので、至近距離まで気付かなかった。上から黒い網が降ってきたのである!「何だーっ!?」 網に絡まってもがく上条。機を同じくして、四方から現れたのは。一人の男と、数人の修道服の女たち。「た、建宮! 何のつもりだテメエ!」 クワガタみたいな光沢のある尖った髪に、ぶかぶかのシャツやジーンズ。首には小型扇風機を四つほど紐を通して引っ掛けてある――そう、建宮斎字である。 建宮は答えず、修道服の女たちに合図する。わらわらと上条に群がり、網で綺麗に巻きあげてしまった。 上条も女相手では無茶な抵抗もできず、ほとんどなされるがままであった。「な、何のつもりだ、と……」 建宮が不機嫌そうに口を開く。「……まあ積もる話はオルソラ教会に戻ってからなのよな」「へ?」「こちらのパーティを抜けだして、女子中学生とクリスマスデートとあっては、そのままにしておけんのよ」「な……に……?」「ああ、さっきは邪魔してすまなかったのよなあ。自販機を誤作動させるタイミングは我ながら完璧! と思ったものよ」「てっ、テメエ……、全部見て……?」 建宮は上条の呻きには反応せず、修道服の女たちに頷く。「さて、二人の関係を洗いざらい吐いてもらうのよ。科学の方に調査が及んでいなかったのは不覚。まさかインデックスの他にいようとは思わなかったのよな」「ちょ、ちょっと待て……」「では戻るとするのよ!」 女たちに担ぎ上げられた上条当麻は、思わずつぶやいた。「俺を、いつでも、どこでも、誰からも。何度でも駆けつけて、守ってくれる人はいねえのかなあ? 不幸だ……」 上条当麻のクリスマス・ナイトは、まだ終わらない――。fin.
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/444.html
──10月── 佐天「ふんふふーんー♪」 初春「随分とご機嫌ですね佐天さん」 佐天「ふっふっふー、そうご機嫌なのだよ初春くーん」 初春「はぁ、あまり聞きたくないんですけど何かあったんですか?」 佐天「分からないのかね初春君!!」 初春「??」 佐天「こないだの侵入者騒ぎでッ!!中間試験がなくなったのだぞ!!これが嬉しくなくて何なのだー!!」 初春「は、はぁ……、でも佐天さん」 佐天「んー?」 初春「中間試験が無くなったって事は、期末試験で全ての成績が決まるから寧ろ喜ばしいことではないと思うのですが」 佐天「へ?」 初春「単純に考えて中間試験分の範囲も含まれての期末試験ですから……」 佐天「…………。」 初春「今からちょくちょく勉強しとかないと不味いんじゃないですかね」 佐天「は、はは……」 佐天「初春さん……いや初春様……」 初春「まぁ佐天さんが入院してた分のノートくらいは見せてあげますから安心してください」 佐天「初春ぅ~やっぱ持つべきは友よね!!さすが今日のパンツはクマちゃんなだけあるね!!」 初春「さ、佐天さんっ///……もういいです!!ノート見せてあげないっ!」 佐天「えぇ~!!そんなー初春んー謝るからーごめんねごめんねー、あははー」 ──学生寮── 佐天「……、はぁ」 溜息をつく 幸せが逃げてしまうから溜息なんかしちゃダメですよと当麻さんに言ったのを思い出す。 あぁあれはもう2ヶ月前だっけ── 佐天「はぁ……流石にこれは溜息が漏れちゃうよね……」ピト 彼女の右手には毎朝お世話になっている目覚まし時計。 その目覚まし時計は一定の間隔で時刻を刻んでいく正常な時計だ。 その正常な時計こそ異常だった。 ──佐天涙子の右手は対象の大きさ、複雑さにもよるがこの程度の時計なら1分ほど時間を静止させることが出来る。 佐天「やっぱ出来ない……。あの日以来能力が使えない──」 ヴェントが学園都市に攻め込んできた次の日能力を使おうとしたところ、何も起きなかった。 時間を遅くさせるどころか、時を止める及び範囲指定の時止めも使うことが出来ない。 少し前に右手の事に気付く直前に能力の使用が制限されていたことがあったが それは入院による体力の低下が直接的な原因だったと思う、それに あの時は制限されていたとはいえ、少しは能力が使えたのだから。 佐天「──無能力者、か……」 佐天「こんなことを誰に相談したら良いんだろう?」 佐天「あたしが時を止める能力を持っていたことを知っている人自体が少ないし……」 佐天「当麻さん……はダメか、当てにならない。だとすると御坂さんしか居ないよね」ピピピ 佐天「あ、もしもし御坂さんですか?夜分遅くに申し訳ないんですが……少し相談があるんです」 御坂『あー気にしなくていいわよそんな事ーで、何かあったの?』 佐天「ちょっとあたしの能力についてなんですが……」 御坂『……、そうねぇ……今から会えないかしら?』 佐天「え、今からですか?」 御坂『まぁ明日でもいいんだけど、まだ完全下校時刻になってないしね』 佐天「分かりました、じゃあいつものファミレスでお願いします」 御坂『オッケー、じゃあね』 佐天「っと……ちょっと厚着していこうかな」 さーて、何着て行こうかなー この前セブンスミストで初春と一緒に買ったノルディック柄のニットワンピにー デニムのショートパンツとーうーん……。 あ!そうそうブラックのナウシカブーツ買ったんだった♪ トットットッと学生寮をオニューの服で景気良く佐天涙子だが 佐天「ふー、無理に明るくしても……なぁー」 佐天「あれだけ憧れてた超能力者から一気に無能力者、か……」 佐天「──ん?あぁ……」 佐天涙子が見上げた先には飛行船が有り、ソコには毎日のニュースが流れている。 そこには世界中で反科学デモを行っているローマ正教徒達が映されていた。 佐天「──科学的超能力開発機関である世界最大の宗教団体ローマ正教ねぇ……」 魔術の存在を知っている自分だからこそ、あのニュースが嘘を言っているのだと理解できるが 果たして無能力者で魔術について全く知らない自分が居たら……、あれを信じでしまうのだろう。 ??「そう、そのローマ正教についてお話があるのです」 いつの間にそこに居たのだろうか スーツを着て柔和な笑みを浮かべた自分より少し年齢が上の少年が佐天涙子の後ろに立っていた。 佐天「!! あなたは一体?」 佐天「ていうか何時からソコに」 ??「まぁ自分のことは特に気にしていただかなくて結構です」 ??「そうですね、しいて言うなら統括理事会の関係者とでも言っておきましょうか」 佐天「統括理事会の関係者があたしみたいな中学生に一体何の用ですか?」 ??「そう警戒しないで頂きたいものですが、まぁこの状況じゃ警戒するなってほうが無理な話ですよね」 佐天「それで、一体何の用なんですか?」 ??「そうですね、初めにお話したローマ正教に関することで統括理事会長から貴女に依頼があるようです」 佐天「依頼って……?」 ??「いま世界中でローマ正教徒達によるデモ活動が行われていることはご存知ですよね?」 佐天「はぁ……まぁこれだけニュースでやっていれば」 ??「そこで騒ぎの中心点であるフランスに飛んで欲しいんです」 佐天「は?フランス??あたしパスポートとか持ってな──」 ??「極秘裏に行って頂く形になりますのでパスポートは不要です」 佐天「いやいやいやいやいや、あたしなんかがデモ活動を止めるなんて──」 ??「今起きているデモ活動が、とある人物によって起こされているとしたら?」 佐天「へ?」 ??「【神の右席】である【左方のテッラ】という人物が今回の突如起こった世界中のデモ活動の犯人です」 佐天「!!──神の……右席……」 ??「はい、先日の学園都市へ侵入したヴェントの仲間でありローマ正教の秘密兵器です」 ??「自分も噂程度にしか聞いたことがないので相手がどういった【魔術】を使うのかは分かりませんが」 佐天「魔術ってあなたは──」 ??「自分についての素性はとにかく明かせないのでその質問にはお答えしかねます」 佐天「……、それであたしはフランスに飛んでどうすればいいの」 ??「現地に科学サイドではなく魔術サイドの人たちを用意させてますので、そこでお聞きください」 ??「他に何か質問はありますか?」 佐天「あっ、もう一つだけあります──」 佐天「あたしこれから御坂さんとファミレスで合う予定だったんで、御坂さんにお断りの連絡を代わりにして置いてください」 登場からずっと柔和な笑みを崩さなかった男が、御坂という単語を聞いただけでその笑みが崩れる。 ていうか焦っている。 ??「みみ、御坂さんですか……、はは……わかりました……い、いや待てよ……」ブツブツ ただこちらとしては御坂さんにファミレスでの件を断る旨を伝えてくれさえすれば構わないのだが。 ブツブツ言いながら焦った表情の男は笑顔になったと思ったら急に焦った表情を浮かべたりと急がしそうである。 佐天「あ、あの……それでフランスにはいつ行くんですか?明日とかなら御坂さんに断りの件必要ないんだけど」 ??「あっ、そ、そうですね!!フランスには【今から】行ってもらう事になってます」 ??「車も準備してあるのでご安心ください」 男が指差す方向には停車しているいかにも、な黒塗りなワゴン車がとめてあった。 そのワゴン車に向かって歩き出そうと思ったが──。 ??「あ、少し待ってください、ちょっとこちらの不手際で数分ほど待っていただかないと困るんです」 佐天「ん?すぐには行けないんですか?」 ??「え、えぇ……あなたから頼まれた任務を遂行しなければならないので」キリッ 佐天「は?」 ??「では少々お待ちください、飛行機までの案内人はサラシを撒いた女の人がくるのでそれを待っていてください」 そういって男は少し離れたところで携帯電話を取り出して誰かにかけ始める。 会話はあまり聞こえないが、先ほどの男は電話先の相手にかなり丁寧に頼み込んでいるようだ。 ていうか聞こえてくる会話にショタとか小学生の男の子とデートとかあるんですけど。 ──数分後── ??「こんばんは紹介されてるとは思うけど私が案内人よ、さぁ行きましょうか」 佐天「あ、はい……(本当にサラシ撒いてる女の人キター)」 ??「ま、といっても車にのって貰って空港まで案内するだけだから別に私じゃなくても良かったのだけれどね」 佐天「は、はぁ……」 ??「頼まれちゃったししょうがなくね。さ、車に乗りましょ」 そういって車内へと移動する。 佐天「あ、お姉さんが運転するんじゃないんですね」 ??「そうね、別に私が運転しても良いんだけれど」 佐天「というか今からフランスに行ったとして到着は何時になるんですか?」 ??「えぇっとちょっと待ってね……今資料を見るわ」ガサゴソ ??「あら……?お嬢ちゃん残念ね──」 佐天「へ?何が残念なんですか?」 ??「フランス到着はおおよそ一時間後よ、時速7000Kmでる飛行機で出発ですって」 ??「乗り心地は多分最悪でしょうから今から物を食べるのはよしといたほうがいいわね」クスクス 佐天「な、な……7000Km……」 佐天「ふ、不幸だ……」 ──学園都市・第二十三学区── ??「さぁ着いたわ、あそこにあるのがアナタが今から乗る時速7000Kmに到達する飛行機よ」 ??「まぁもっともあれを飛行機と呼ぶのかは疑問なんだけれど」 佐天「……ゴクリ」 ??「まぁ頑張ってね、それとえーっと何々?ふーん」 佐天「何ですか……?」 ??「あったあった、これか。アナタ飛行機に乗ったらコレを着用してね」 佐天「リュック??何ですかこれ?」 ??「ん?パラシュートじゃない?使い方は知らなくても勝手に開くようになってるから心配しなくてもいいわよ」 佐天「パ、パラシュートォォォォ!?」 ??「ま、諦めてさっさと飛行機に乗った乗った」 佐天「第二十三学区かぁ、大覇星祭を思い出すなぁ」 佐天「オリアナさんどうなったんだろ──それにしても……」 佐天「乗客はあたし一人……言われるがままにパラシュートまでつけて……」 佐天「時速7000Km……一体どんな」ガタン 佐天「うおっと……滑走路へと動き出した──ん?」 佐天「ちょっと待って……、あたしって今右手の能力ないんじゃ──」 滑走路へ入り加速し始めた機内で佐天涙子はそれ以上の言葉を紡ぐことは出来なかった。 ──一時間後のフランス── ??「お、ホントに降ってきたのよ」 ??「親方空から女の子がーってか?」 ??「まぁ何にせよ早めに回収してC文書の調査に戻らないといけないのよな」 佐天「イヤァァァァァァァァァ怖いィィィィィィ」 ??「へいオーラーイ、オーラーイ」 佐天「どいてくださぁぁぁぁぁぁぁい」ゲシッ ??「ぎゃぁぁぁぁぁ」 ドサァァァァ 佐天「いてて……、着地できた……ん?」 佐天「足元に居るこのクワガタみたいなおじさんは誰だろう」 ??「おじさんじゃないのよ……、天草式の建宮斎字っていうのよ」 佐天「あ、もしかして現地の案内人って言う」 建宮「そうなのよ、これから佐天さんには我々天草式の調査に手伝ってもらうのよ」 佐天「は、はぁ分かりました、でまず何をすればいいんですか?」 建宮「まず……どいて欲しいのよ……」 ────────────── 佐天涙子が降ってきた場所では少々目立ちすぎるとの事なので 建宮に連れられ路地裏へと足を運ぶ。 建宮「さて、お嬢ちゃんが佐天涙子ちゃんなのよね?」 佐天「あ、はい」 建宮「わざわざフランスにまで来てもらった理由は分かるか?」 佐天「いえ、それが……なんとなく程度にしか……」 建宮「まぁそれは想定の範囲内なのよ、落ち込むことはない」 建宮「まず、世界各地で起こっている暴動は【C文書】という霊装による魔術によって引き起こされているのよ」 佐天「は、はぁ……」 建宮「その【C文書】って霊装を操ってる奴がここ、フランスのアビニョンにいるってことなのよ」 佐天「えっと……つまりその霊装を破壊するのが──」 建宮「そう、今回の目的でもある」 佐天「目的“でも”って事は他になにか?」 建宮「そのC文書を破壊するのには佐天さんの力を借りる訳だけれども」 建宮「その霊装を操ってる奴も懲らしめないといけないわけよ」 佐天「あっ、なるほど」 建宮「アビニョンに居るのは五和と俺の二人だけだから心もとないと思うが頼むのよ」 建宮「まぁ五和は他に仕事があるんでこっちに合流はできそうにないのよ」 佐天「わかりました、でもテッラの使う魔術とかって……そのC文書以外に何か分かるんですか?」 建宮「──なんだって?」 佐天「いえ、ですから【左方のテッラ】の使う魔術が知りたいなぁって」 建宮「テッラ?お嬢ちゃん一体何を言っているのよ」 佐天「あ、あの?今回の事件の首謀者であるテッラについてですけど……」 建宮「事件の首謀者……だと?お嬢ちゃん一体どこでそんな情報を?」 佐天「えっと、学園都市であたしをここまで誘導した男の人が言ってましたけど……」 建宮「──なるほど、お嬢ちゃん」 佐天「へ?何ですか?」 建宮「助かった、礼をいうのよ」 佐天「え?え?……良く分からないんですけど」 建宮「俺たちはこの世界各地で起こっている暴動はC文書という霊装によって起こされていると特定はしたのよ」 建宮「だが、そのC文書を操っている奴はまだ不明。テッラなんて──」 ぶわっ、という音と共に路地裏の壁が崩れる。 建宮を狙ったのか、路地裏の壁が何者かの攻撃によって崩れたようだ。 佐天「建宮さん!!」 建宮「大丈夫なのよ、心配ない」 ??「うーんちゃちゃっと終わらせて次に向かいたいところなんですが」 建宮「誰なのよ、影からこそこそ狙うなんて。ローマ正教徒か?」 ??「まぁ違いは有りませんがどうせなら先ほど貴方が仰った名前で呼んで欲しいものですがねー」 建宮「なに──?」 テッラ「どうも、今回の暴動の首謀者の神の右席、左方のテッラです」 建宮「──へぇ……、俺の行動を嗅ぎ付けて始末しに来たって訳か?」 テッラ「面白い冗談ですねー。貴方みたいな異教の猿を相手にするのは三下のすること。私の目的は一つですよ」 テッラ「そこの佐天涙子とかいう小賢しい小娘を殺害しに来ただけです」 佐天「!!」 建宮「させると思うか?」 テッラ「別に抵抗してもらって構わないのですが、いささか私も予定があるんですよ」 テッラ「この後ちょっとした暇潰しに出かけなければなりませんのでねー」 建宮「はっ、つまり俺たちは暇潰し以下の相手って事か?」 テッラ「貴方がそこの佐天涙子を庇うならお相手しますけどねー。しかしその娘に庇う価値などありませんよ?」 建宮「あ?何を──」 テッラ「そうでしょう?“何の力も持たない”佐天涙子さん?」 佐天「──ッ!!どうしてそれを!?」 テッラ「アックアに聞きましてねー、貴女の能力についてとその限界について」 佐天「限界ですって?」 テッラ「おやおや。何も知らないのですか?自身の能力がどのようなものなのか」 佐天「…………」 テッラ「元々ですねー貴女の右手に時を止める能力なんか目覚めるわけがないんですよ」 佐天「──は?」 テッラ「しかし厄介ですよねー、御使堕しというモノは」 佐天「御使堕し……?」 テッラ「そうですよ御使堕しの影響で貴女はその右手に“時を止める能力”が身についてしまった」 建宮「なんだって──?」 建宮「あの術によってそんな事が起こりえるなんてありえないのよ」 テッラ「まぁ貴方達に詳しく教える義理も必要もないんで──」 佐天「それで!!どうしたらあたしの能力は元に戻るんですか!!」 テッラ「教えるとでも思いますかー?思ったのなら相当なお馬鹿さんですねー」 建宮「チッ、嬢ちゃんは逃げろコイツは俺がやるのよ」 テッラ「ほぉ、楽しませてくれると嬉しいのですが」 建宮「ハッ言ってろォォォ!!」 どこに隠し持っていたのか建宮は波をうっている剣を取り出し テッラに思い切り振り下ろす── テッラ「優先する。──剣を下位に、空気を上位に」 建宮が振り下ろした剣はテッラに届くことなく空中で止まった。 まるで何かの壁に阻まれたように。 テッラ「まぁアニューゼ部隊を数十人で互角以上の戦いをしたとしても一人ではこの程度でしょうねー」 テッラ「しかしながら貴方達が何十人居ようと相手になりませんがね、この左方のテッラは」 佐天「建宮さん!!」 建宮「何してるのよ!!早く逃げろ!!」 テッラ「逃げても構いませんよ。できるものならばですけどねー」 テッラ「さてと、そろそろ死にますか?佐天涙子──」 PiPiPi テッラ「む?……、はぁ……命拾いしましたね佐天涙子」 建宮「なに!?」 テッラ「思いのほか上条当麻がC文書のパイプラインの存在に気がつきましてねー」 テッラ「そちらのほうが厄介なので今回は見逃してあげますよ」 佐天「──ッ!!」 テッラ「幻想殺しと違って今の貴女は何の能力も持たぬただの小娘。いつでも殺せますしねー」 テッラ「では。またお会いしたときはよろしくお願いしますね」 言うが早いかテッラは足早に路地裏を去っていく。 しばらく剣を構えて警戒態勢をとっていた建宮だが、追撃がない事を確認し剣をおろす 建宮「──行ったみたいだな……」 佐天「そ、そのようですけど……」 建宮「で、アイツが言ってた能力が使えないってのは本当か?」 佐天「…………」 建宮「黙ってちゃ分からないのよ」 佐天「す、すいません!!…………」 建宮「いつから使えなくなったのよ?」 佐天「こないだ学園都市を襲撃したヴェントを撤退させた日以来……」 建宮「まっ、無いなら無いでいいのよ!元々天草式のメンバーと上条当麻で解決する予定の問題だったわけだし」ニカッ 佐天「で、でも今テッラが──」 建宮「魔術に疎い上条当麻だけなら多少危険かもしれないのよ」 建宮「でも今は魔術に詳しいさっき言った天草式の五和を付き人とさせてるのよ」 佐天「で、でも!!相手は訳の分からない魔術を使って──」 建宮「確かに危険ではある、だが俺たち天草式のメンバーは無理はしないのよ」 建宮「撤退するのが最善ならば撤退するし、勝ちに拘る阿呆ではないのよ」 建宮「それにアイツの魔術はある程度は分かったのよ」 佐天「あの時間だけで何か分かったんですか?」 建宮「あぁ、恐らく奴の魔術は物の優先順位を変更する魔術なのよ」 建宮「そんな魔術が使えるとはにわかには信じ難いが──」 ??「おや、そこに居るのはブラザーではないですか。こんな所で何をしているのですか?とミサカは尋ねます」 佐天「えっ!?妹さん??どうしてここに──」 ミサカ「はぁ、それはこちらのセリフなんですけど……いいでしょう説明してあげます」 ミサカ「元々妹達は世界各地に調整のために散らばってますし、フランスにだって学園都市に協力している機関はあるわけで」 ミサカ「まぁその機関はフランスのアングレームに在るんですが、とミサカは補足説明をします」 ミサカ「あ、因みに検体番号は一三〇七二号です、とミサカはさらに補足説明をします」 佐天「あ、ある程度は分かったけど……それでもどうしてそのアングレームの機関からアビニョンのここに?」 ミサカ「あぁ単純な事です────」 ──もうすぐこちらのアビニョン旧市街へ学園都市が侵攻を始めるからですよ。 佐天「なっ、学園都市が!?それでどうして妹さんが──」 ミサカ「そりゃ戦力としてでしょうね、とミサカは簡潔に答えます」 佐天「そんな……!!そんなこと──」 ミサカ「ですが先程も言ったようにミサカは治療中の身ですので実戦投下はまず無いでしょうが」 建宮「二人で話してるところ何やら悪いんだが、佐天涙子ちゃんこの娘は誰なのよ?」 佐天「あたしの友達です」 建宮「ということは、味方なのよな?」 ミサカ「……、まぁクワガタ頭の味方といえるのかは疑問ですが……味方です」 建宮「それで学園都市様はこのアビニョンを侵攻するってどういうことなのよ」 ミサカ「私には詳しく作戦が聞かされていないのでなんとも言えません、とミサカは少々落胆の色を見せながら答えます」 ミサカ「ですが、ここの宗教団体が国際法に触れる特別破壊兵器を生産してるとの事で私が呼び出されたと聞きました」 建宮「なるほどね……」 佐天「建宮さん!!あたし達も急がないと──」 建宮「そうだな、動くなら早いほうがいいのよ。行こうかお嬢ちゃん」 ミサカ「そうですね行きましょう」 佐天「へ?」 ミサカ「ん?とミサカは自分の行動に何か不思議な点があったのかとお尋ねします」 佐天「いやいやいやいや、妹さんは学園都市の機関で身柄を──」 ミサカ「心配要りません、ある程度の自由は保障されていますし」 ミサカ「それにブラザーがここに居るという事は何やら事情があるのでしょう?」 佐天「ま、まぁ……そうなんですけど」 ミサカ「なら戦力は多いほうがいいと思いませんか?」 佐天「──で、でも!!あたしは妹さんに傷ついて欲しくないし……それに治療中なんじゃ!!」 建宮「戦力は多いほうがいい、それには同意なのよ」 佐天「建宮さん!!どうして!!」 建宮「おい、そこのお嬢ちゃんは超能力が使えるのよね?」 ミサカ「はい、レベル3程度の電力使いです」 ミサカ「あと私はそこのお嬢ちゃんではなくミサカ一三〇七二号です、とミサカはクワガタ頭に突っかかります」 建宮「オーケーオーケー、了解なのよ。なら付いてくるのよ」 佐天「どうして!!いくら能力者だからといって──」 建宮「人数は多いほうがいいのよ、左方のテッラの魔術には穴があるのよ」 佐天「あ、穴?それは一体──……?」 建宮「それについては場所を移してから話すのよ。ここはもう直ぐ戦場になる」 建宮「移動しよう、今後について色々と考えなければならないのよ」 建宮「それでいいな?ミサカちゃんと佐天ちゃん?」 佐天「は、はぁ……」 ミサカ「イエッサーです、クワガタ頭」 ──隠れ家的な喫茶店── ミサカ「ほお……何やら物々しい雰囲気の喫茶店ですね、とミサカは辺りを見て言います」 建宮「まぁここは暴動に巻き込まれた人たちの治療所も兼ねているのよ」 建宮「多少アレな雰囲気は我慢して欲しいのよ」 佐天「……、それでテッラの魔術の穴って一体何なんですか?」 建宮「恐らくアイツの魔術は【光の処刑】だ、物の優先順位を選択できる魔術なのよ」 佐天「それはさっき分かりましたけど──」 建宮「そこで、だ。アイツは複数の物を選択できるのかって疑問なのよ」 佐天「あ……」 建宮「答えは恐らく出来ない。アイツには物量作戦が有効だろうのよ」 ミサカ「あ、あの魔術とか何言ってるんですか?頭沸いてるのですか?と、ミサカはクワガタ頭に冷めた目線を投げかけます」 建宮「──、そこでこのお嬢ちゃんなのよ。電力使いということなら攻撃パターンも複数あるだろうしな」 ミサカ「お嬢ちゃんじゃ──」 建宮「ははっ、すまんなミサカちゃん。つまりミサカちゃんと俺でテッラを追い詰める」 佐天「で、でもテッラは今何処に──」 建宮「恐らく教皇庁宮殿だろう。あそこにC文書があることは分かってるのよ」 建宮「今は暴動の所為で教皇庁宮殿に近づくのは難しいが、学園都市が侵攻を開始した混乱に乗じて行くのよ」 佐天「な、なるほど……そ、それであたしは何をすれば──」 建宮「能力が使えないってのなら戦場に連れて行ったら死ぬだけなのよ。だからここで待ってて欲しいのよ」 佐天「──そ、そんな!!あたしはテッラにまだ聞きたいことがっ……」 建宮「厳しいことを言うかもしれないが、お嬢ちゃんがテッラと戦うとなったら何ができるのよ?」 佐天「ッ!!それは……」 建宮「そういうことなのよ……フランスまで来てもらって何も出来ないのはこっちとしても心苦しいのよ」 建宮「けどわかって欲しいのよ、テッラから聞きたいことは身柄を拘束してからでも遅くは無いのよ」 ミサカ「少々良いでしょうか?とミサカはクワガタ頭に問いかけます」 建宮「何なのよ?」 ミサカ「学園都市の侵攻の混乱に乗じるなら急がないと行けませんね」 建宮「──ッ!?まさかもう直ぐ始まるってか!?」 ミサカ「はい、まもなくというか後8秒後ですけど」 言うが早いか、遠くのほうで銃声が聞こえ始めた。 暴徒達による銃声でないと確信できるのは 暴徒達が銃を所持してはいないという情報があるからだ。 建宮「クッ!!始まったのか、早いのよ……」 建宮「行くのよミサカちゃん!!作戦は向かいながら話すのよ!!」 ミサカ「最終確認ですブラザー、とミサカはブラザーへ向かって質問を投げかけます」 佐天「ッ!何ですか?妹さん」 ミサカ「このクワガタ頭のことは信用してもいいんでしょうか?」 佐天「大丈夫……あたしが保障する……」 ミサカ「了解しました。ブラザーはそこで待っていてください、すぐに暴動を止めてきますから」ダッ 喫茶店から勢い良く出て行く建宮と妹達のミサカ一三〇七二号の二人。 彼らはこの後教皇庁宮殿へ向かい、テッラと対決するのだろう。 あたしは…………。 何の能力を持たないあたしは唯の中学生。 能力を持つ前の中学生活はどうだったんだっけ──……。 毎日の暮らしの中では他の中学生と変わらない。 授業で寝ていれば怒られて、悪戯をすれば叱られて、良い事をすれば褒められる。 学校へ行き勉強したり、友達と一緒にショッピングしたり、ゲームセンターで遊んだりする、そんな中学生。 一日は早く、夜の眠りは平和で暖かい。 時を止める能力も、右手の事もまだ知らなかったから──。 今も友達の初春とどこかで遊んでいたのだろうか。 でも知ってしまった。右手の能力も。 今世界で起こっている暴動がテッラによって起こされていることも!! ──いいのか?こんな所で無力を嘆いていて!! 佐天「──そんなのっ!!わかん、ないよ!!」グスッ 佐天「行ってもあたしには何も出来ないんだから……」 佐天「お願い!!お願いだから──今だけでもいいから!!」 佐天涙子はテーブルにおいてあったコップの中の水を右手へと垂らす。 佐天「お願いします……神様どうか……あたしに力を──」 泣きながらお願いしても……、 右手へ垂らした水はそのまま右手をつたって床に落ちるばかり。 それを見て更に涙が出てくるばかり。 右手に能力は──ない。 佐天「うぅ……どうしてっ!!どうして……」 佐天「どうして……」 涙する日本人を見て喫茶店の人はどう思っているのだろうか。 暴動が怖くて泣いている中学生にしか見られていないのだろうな、と心のどこかでそう思う。 しかし泣いている小娘のあたしに流暢な日本語で話しかけてくる男が居た。 ??「どうして泣いてるんだい?お嬢ちゃん……怖いのか?」 あまりに流暢な日本語だったため吃驚して話しかけてきた男をちらりと見る。 どうやら日本人のようだ、パッっと見た感じはワイルドという言葉がぴったりな風貌の男だった。 佐天「グスッ……おじさんは一体……」 ??「まぁ俺は旅するコンサルタントだそんな気にすることは無い」 ??「ただ俺は世界に足りないものを示すだけだ」 ??「そんなわけでふと立ち寄った喫茶店で泣いてる日本人中学生が居たら話しかけるしかないだろう」 ??「それで、どうして泣いていたんだ?」 ??「よけりゃ俺に教えちゃくれないか」 佐天涙子は走っていた。 先ほどの喫茶店を飛び出し、一つの目的の為に。 さっきの男に諭された訳ではないだろうが、きっかけには、決意には、決断するきっかけにはなった。 ──力なんか関係ない。したいことを決断することが大事なんだよ、お嬢ちゃん今君はどうしたいんだ? 息を切らしながらも教皇庁宮殿へ向かう佐天涙子の手には金属バットが握られている。 佐天「はっはっ、うー、真っ直ぐ教皇庁宮殿へ向かおうにもーぐうー」 無理も無い、今のアビニョンは学園都市の駆動鎧が暴徒達を抑えるためにそこら中にいるのだ。 彼らの目に留まれば佐天涙子も暴徒達の例に違わず銃で撃たれて気絶させられるだろう。 それに混乱している暴徒達にも気をつけないといけなかった。 日本人であるというだけで、彼らは襲い掛かってくるのだから。 佐天「何とか──何とか路地裏を使ったりで向かってるけど!!」 佐天「くそぅ……距離的にはそうでもないのに……!!」 佐天涙子の見つめる先には教皇庁宮殿がある──。 それはゴッ!!という轟音と共に爆発した。 ────────────────────────────── ゴッ!!という音と共に教皇庁宮殿が爆発したようだ。 こちらにまで衝撃が伝わってくる。 建宮「あれは!?そうか学園都市の攻撃か!!」 ミサカ「話には聞いたことがありますが、恐らくアレは大陸切断用ブレードでしょうね」 建宮「そうか……。もう一度作戦を言うのよ!!」 建宮「俺が前衛として剣を使ってさっき教えた特徴のテッラと言う男に切りかかるのよ」 建宮「それにミサカは俺の剣に電気を帯びさせて欲しい!!」 建宮「時には直接電撃や電撃の槍もしくは周りの建物を壊して牽制してもらってもいいのよ!!」 ミサカ「何回も確認するような作戦ではありません。一度で十分です、とミサカは自身の記憶能力の高さをアピールします」 建宮「そりゃ、いい。ははは……来たぞアイツがテッラだ」 テッラ「チッ、C文書をクソ猿に壊された後にまたクソ猿ですか面倒ですねー」 建宮「おいおい、随分とボロボロじゃないのよ、どうしたのよその顔の痣は」 建宮「上条当麻にやられた後か?なら一気に行かせて貰うのよ!!」 テッラ「ドイツもコイツも舐めてくれますね!!異教のクソ猿共がぁぁぁぁ!!」 ブワッとテッラから白い粉末の小麦粉が舞い、それはギロチンの形を成した。 そしてそのギロチンを容赦なく建宮へ横に薙ぐ。 だが建宮はコレをジャンプして避け、波をうっている剣をテッラに振り下ろす。 テッラ「無駄なんですよぉ!!」 テッラ「優先する。剣を下位に、人肌を上位に──」 余裕を持ってテッラは対応する。 剣はテッラに傷一つつけることが出来ずに止まる、が。 テッラ「ぐ、がぁぁぁぁ!!な、何を!?」パチパチ テッラ「こ、これは……電気!?そんなものでこの私を攻略した気になっちゃ困りますよ!!」 建宮「はっ、そう言ってられるかな?行くのよ!!左方のテッラ!!」 テッラ「そんな小細工が!!通用するほど神の右席は甘くないんですよ!!」 先ほどと同じように、建宮は剣を振り下ろす。 テッラ「優先する。──剣を下位に、外壁を上位に」 テッラ「ふん、電撃の魔法を帯びた剣をわざわざ受けなくても──」 テッラはそれ以上の言葉を発することが出来なかった。 正確にテッラ自身の体に容赦なく銃撃による攻撃が来たからだ。 テッラ「ぐっ……(何ぃ?この辺にあの学園都市の駆動鎧は居ないはずですし、それにこれは──)」 テッラ「(ゴム弾?誰が──)」 建宮と対峙した時を思い出す。 傍に佐天涙子じゃなく、他の小娘が居なかったか? テッラ「がぁぁぁぁぁぁ!!舐めるなよクソ猿がぁぁぁぁあぁ!!」 テッラ「(そうか、この電気はあいつの魔術じゃなく──)」 テッラ「(居た、あの小娘の魔術によるものですね?何故マシンガンを持っているのは疑問ですが)」 ───────────────────────── 目指していた教皇庁宮殿が爆発した。 あれは一体全体どういうことなのだろう? 考えていてもしょうがないので佐天涙子は走っていたが。 その時視界の端で青白い閃光が見えた気がした。 佐天「!?妹さんの電撃!?あっちか──」 先ほどの路地裏から少し離れた少し広めの道路にテッラと建宮は居た。 テッラたちは佐天涙子に気付いてはいない様だ。 それから車の陰からマシンガンを構えたミサカが少し見えている。 テッラ「先ずはそこの面倒な小娘を攻略するとしましょう!!」 テッラ「優先する。──車を下位に、小麦粉を上位に」 ミサカが身を隠していた車がバラバラに吹き飛ぶ。 ミサカは吹き飛んだ車を確認後、直ぐにその場を離れようとするが、小麦粉のギロチンが迫り──。 ミサカは一瞬だけ、走馬灯と呼ばれるものを見た気がした。 実験のこと、佐天涙子との出会い、上条当麻との出会い。 他の中学生と比べたらはるかに少ない人生経験。 その走馬灯を見ている視界のなかで──── ────確認したのは、切り離されて舞い上がった、自分の右腕。 テッラと呼ばれた男が笑っている。 男の武器であると思われる、白いギロチンのような武器が崩れゆく自身に迫ってくる。 その視界の端 ──あぁ、どうして どうして貴女がここに居るのですかブラザー そう言葉を発しようとしたが崩れいく体ではその言葉を発せず、認識するだけで精一杯だった。 テッラ「ふん、止めです──」 建宮「うおおぉぉぉォォォ!!」 ミサカの右腕が切り飛ばされるのを確認後、建宮はテッラに飛び掛る。 矢のような速度でテッラに駆け、波打つ剣をテッラへと振り下ろすが テッラ「まったく、アナタは次に始末してあげるというのに、死に急ぐとは笑えますねー」ドカッ 建宮「がっ、ハッ──」 振り下ろされる剣を体をひねり軽く避け、建宮へ踵落としの要領で蹴りをかます。 建宮はその蹴りを受け、二、三度地面をバウンドし、沈黙する。 テッラ「所詮はクソ猿の悪知恵といったところですか、私には遠く及びませんよ」 テッラ「では、死んでください────」 カラン テッラ「!?」バッ ──感じたのは違和感、それも建宮やミサカのいる前方からではなく、後方から 振り向けば、自分が殺害しようとしていた上条当麻ではないほうの標的である 佐天涙子が立っていた。 ブラックのナウシカブーツに、デニムのショートパンツそしてノルディック柄のニットワンピを着ている彼女が立っている。 彼女の足元には金属バットが落ちているが、どうみても佐天涙子、彼女だ。 だが── テッラ「な、何なんですか貴女は!!」 佐天「────────。」 テッラ「だから何だと聞いているのですよ!!貴女のその【左腕】と【頭上の輪】は──!!」 異様。 その言葉に尽きるだろう。 先の服装に、長いストレートの黒髪。 ここまではテッラの知る彼女と同じ。 しかし 彼女の双眸からは真っ赤に輝く涙がとめどなく流れ落ち、地面に触れると同時に消えていく。 彼女の頭上には半透明の……言われなければ気づかない程度ではあるが、半透明な輪が存在し── ──そして彼女の左腕は 鈍い灰色の光を放つ、羽根に覆われていた── テッラ「(何だ、何なんですかコレは──!!これではまるで──)」 テッラ「(報告にあった学園都市の天使のようでは──!!)」 テッラ「ば、馬鹿な!!貴女の右手の能力はただ単純に 御使堕しによって神の力が流れてしまっただけの筈!!」 テッラ「こんな結果になる訳が──!!」 佐天「────────」フラァ テッラ「(来る──!!)」 テッラ「なっ……?」 確かに彼女はこちらへ向かって一歩を踏み出したはず。 しかしその一歩目 その足が地面に触れる寸前に彼女が消えた。 テッラ「一体何ですかこれは────!!」 テッラ「(目は離していなかった。しかし佐天涙子は消えた?まさか……まさか……)」 テッラは恐る恐る後ろを振り返る。 そこには血の海が広がっているはず。 テッラ自身がその光の処刑により切り落とした少女の右腕が転がっているはずなのに── 佐天「────────」フラァ…… テッラ「あ……、そんな──こんな馬鹿な事が……」 佐天涙子はテッラの後ろで倒れているミサカの傍に立っていた。 血溜まりに沈むミサカの傷口に【左手】で触れる。 血が、ミサカの傷口へと戻っていく。 奇妙な光景だった。 まるでビデオの逆再生のような出来事が目の前で起こる。 辺りに飛び散った血は床に付着していたはずの血も残さずミサカへと逆流していき ──そして最後には 切り飛ばされた、ミサカの右腕が、先の血のように傷口へと── テッラ「優先する。──佐天涙子を下位に、小麦粉を上位に」 ズバァ!!と佐天涙子目掛け小麦粉のギロチンを振るうテッラだが 小麦粉の攻撃により佐天涙子が傷つくことは、なかった。 佐天「────────?」 首を傾げる仕草をする彼女を見て奇妙な感覚に襲われる。 人に限りなく近い外見のロボットが気味が悪いように 目の前の彼女はどこか奇妙だ。 まるでナニかが人間の真似をしているような──。 先ほどから口は動いているのだが、言葉だけが聞こえてこない。 確かに喋っているような口の動きなのにも関わらず── この奇妙な感覚が恐怖と呼ばれる感情だとテッラは気付けなかった。 佐天「────────」ユラァ… テッラ「(来るッ!!)うおおおおおォォォ!!」 テッラ「優先する!!──人体を上位に、佐天涙子を下位に!!」 ピタリ、と羽根を纏う左腕は止まる。 テッラの体に傷一つ無い。 テッラ「防いだ……?ふ、ふふふ……ククク……やはり私の光の処刑は──」タラァ テッラ「な、何ですか……?ま、まさか──」ダラ テッラの頬に伝うこの赤い液体は── この液体は……!! 佐天「──────、守」 一歩、テッラへと踏み出す。 テッラ「血ですか……?な、何故……」ザッ 後退の、一歩目は警戒 佐天「──妹───、fgt」 二歩目 テッラ「佐天涙子は攻撃を止めたのではなく攻撃をしていた──!?」ザッ 二歩目は忌避 佐天「──傷、許──。」 三歩目の敵意 テッラ「いや、まさか“時”を──」ザ 三歩目は恐── ──ガァン!!という音と共に現れたのは……。 アックア「流石に事情が変わったのである、撤退するぞテッラ」 テッラ「アックア!!貴方がいればこの化物を──」 アックア「撤退すると言っているのである。これは右方のフィアンマの命令でもある」 テッラ「ぐ、でも私達二人がかりなら──」 アックア「…………」 テッラ「アックア!」 アックア「佐天涙子、であったか」 佐天「────────」ピク アックア「此度の事は謝るのである。だから今回は見逃して欲しいのである」 テッラ「アックア!!何を……ッ!!異教のクソ猿に頭を下げるなんて」 佐天「──み、の──が、す?」スゥ アックア「貴様の友人には手は出さないのである」 佐天「──!!」 アックア「……、では」ダッ 言うが早いかアックアはテッラを乱暴に抱え、その場を去る。 取り残されたのは、傷が全て無くなった意識の無いミサカと、一部始終をぼやけた視界で見ていた建宮と 佐天涙子だけだった。 佐天涙子の頭上にあった輪は溶け、真っ赤な涙もいつの間にか消え 柔らかな鈍色の光を放っていた左腕の羽根も消えて──。 そして佐天涙子は意識を失ったのかその場に倒れる。 ──窓のないビル── アレイスター「…………」 ??「ふふ、君がそのような表情をするのはいつぶりだろうなアレイスター」 アレイスター「貴方かエイワス」 エイワス「覗き見か?どうやらhg黒shytの現出が知覚できたので着てみればおやおや」 エイワス「成る程。上条当麻や一方通行のdqmnytか。だが発現させるには少々早すぎだな」 アレイスター「長年こういった計画をしていると、イレギュラーこそが娯楽になるのですよ」 エイワス「ふ、まぁどうでもいいがな……」 エイワス「佐天涙子、か……中々興味深い。あの状況下でdqmnytするとは」 エイワス「しかし不完全すぎる、それで良いのか?」 アレイスター「計画なら何個もある。所詮アレは使い捨てのようなものですよ」 エイワス「ふっ、そうか……(アレイスターめ今回も焦っているな)」 ────────────────────────────────── ──バチカン、聖ピエトロ大聖堂── テッラ「何故あの場で撤退を?」 アックア「アレと戦うには準備も情報も何もかもが乏しすぎなのである」 テッラ「私達二人なら──」 アックア「これを見るのである」 テッラ「アックア?その指……どうしたんですか?」 アックア「……、佐天涙子がお前へ攻撃をしただろう」 アックア「あの一撃の軌道を替えるために支払った犠牲なのである」 テッラ「(あのアックアが攻撃を逸らして指を骨折……?)」 テッラ「……、分かりました。あの撤退については納得しました」 テッラ「アックアは何故ここへ?」 アックア「貴様に少し話があってな」テッラ「何ですか?」 アックア「何、簡単なことだ。貴様にしか使えない光の処刑。その照準調整のための報告についてだ」 テッラ「あぁ……観光客とローマ近辺の子供達を使ってますね。取り立てて騒ぐことですか?」 テッラは饒舌にペラペラと異教徒は人間ではないだとか大層な平等を唱えている。 アックアの目が細くなっていることに気付かずに。 アックア「そうか……その術式を携えた頃より調整を行っていたということだな?」 テッラ「えぇそうです。さぁそこをどいてください、やるべき事が山積みですよ」 テッラ「先ずはあの佐天涙子の対策から。幻想殺しについては少々後回しでもいいでしょうし──」 アックア「いや、その前にやっておく事がある」 轟ッ!! ────────────────────────────────────────────────── 十月九日といえば学園都市の独立記念日である。 この日は学園都市は祝日となる。 つまり学校はお休みってだけのお話です。 ──とある病院── 佐天「……っ!────ここは?」 佐天「あたしは確かアビニョンにいた筈……」 時間は深夜だろうか、辺りは暗い。 照明の明かりは無いが、ここは病院。 そこは分かるが──しかし……。 佐天「ここは学園都市か──」 医者「うん、そうだね。つい先ほど君をこの学園都市に移させて貰ったんだね」 佐天「あなたは確か──」 医者「ここの病院の医者さ。それ以上でも以下でもない」 佐天「……、鏡」 医者「うん?鏡……?」 佐天「鏡、ありますか? 無いなら今のあたしの姿はお医者さんにどう写ってますか?」 医者「──、普通の女の子に見えるけどね。それでは納得しないかもしれないから鏡を用意しよう」 佐天「お願いします」 ──フランスでの出来事は事細かに覚えている。 テッラの事、妹さんの事、あたしの事。 佐天「あと、ミサカさん……いえ──ミサカ一三〇七二号さんはいらっしゃいますか?」 医者「──あぁ……彼女も君と一緒にこの病院へ移されている」 医者「怪我は無いし、意識もハッキリしている。後で会いに行ってあげるといい」 佐天「ありがとうございます……」 チラリ、と佐天涙子は自分の左腕を患者服をまくって眺める。 そこには何の変哲の無い普通の左腕。 あの時の左腕ではない。 それに自分が学園都市に搬送されていることについても不思議とは思わない。 何故なら書庫上では無能力者とはいえ、学園都市のカリキュラムを受けた身なのだから。 ただ── 佐天「ただ、あたしが無能力者では無いって事は学園都市は気づいてる」 スゥ──と自分の左手で夜風に揺れるカーテンに触れると それは揺れていたその時のまま静止している。 佐天「左手、か──」 コンコン 医者「手鏡ならあったけれど、もっと大きな鏡がいいのならトイレに行くといいね」 佐天「いえ、十分です。ありがとうございます」 自分の目で確認できない部位といえば多々あるが、この場合は── 佐天「(顔も、頭上も異変なし。つまりあたしは人間って事よね)」 佐天「ありがとうございました。この鏡お返ししますね」 医者「あぁ、どういたしまして」 佐天「今は夜ですけれど、退院してもいいですか?」 医者「──、夜は危ないから明日にでも退院したらどうかな?」 佐天「明日ですか……学校の準備が──」 医者「明日は十月九日、学園都市の独立記念日だから祝日だね」 佐天「成る程!なら今晩はここの病院に居ますかねー」 医者「そうするといい。あの子達も喜ぶ」 佐天「妹さん達と会うのに今とかは無理ですかね?」 医者「もう深夜だ。明日にしてくれると助かるね」 佐天「分かりました、では明日……」 医者「あぁ。そうするといい、今夜はゆっくり休むといいね」 先ほどまで意識は無かったのにも関わらず ベッドに寝転がり目を閉じると次第に眠気が襲ってきた。 佐天「(──これから……)」 これからのこと、学園都市の狙いを考えたり 自分の体に起こった事を思い出したり当麻さんの事を思ったり 様々な事を思いながらも佐天涙子は夢の世界へと旅立ち始める。 ──自分の左手の新たな能力を確信しつつ。
https://w.atwiki.jp/index-ss/pages/1192.html
Ⅴ 幻想(ゆめ)を見る。 それは、 とても哀しい現実(ゆめ)だった。 全てが壊れて。 全てが無くなって。 全てが遠ざかって。 そして、 自分は、 その全てを起こして。 全てを失った。 何もかも。 仲間も。愛も。友情も。自分も。体も。意識も。心も。 幻想も。 力も。 そして、 世界は、 終焉を迎えた。 Ⅵ 「…はえ?」 思わず、上条は声を上げる。 目を開けると、移ったのは見慣れた天井。 そして、首を回すと。 移ったのは、見慣れた―――― ギュゴォッ! と、上条は首を瞬間的に元に戻す。 そして、冷静になってみると、その視線の先には、 歯をギラつかせたインデックスが。 「…あ、あのー?」 上条が、防御態勢をとりつつ言う。 「わ、わたくしめは、注射をうたれて寝ていたわけでして… つまり、この不可解な現象にわたくしめは関与していないわけでして… そして、あなたのお怒りも緩和されないわけでして?」 最後だけ、ちょっと理解不能な文章になった。 だが、それでも目の前のシスターは、コクンと頷く。 そして、 「と――――う―――――ま―――――ぁ!!!!」 そう叫び、インデックスが飛びかか―――― 「…?」 ろうとした時。 上条の横で、『何か』が動いた。 それは、この不幸の根源。 つまり、常盤台中学のエースで、超能力者(レベル5)の第3位で、つまり、 「…って!ちょっとあんたねぇッ!?」 御坂美琴だった。 なぜか、さっきまで上条と同じベッドですやすやとかわいい寝息をたてて寝ていた少女だ。 そんな可憐な美少女に、上条は思わず言った。 「ってか!全てお前のせいだからっ!?まずこの不可解な現象がおきた理由を説ぐはぁッ!?」 発言途中でインデックスに頭を噛み付かれる上条。 「え、あ、え…?私??」 途中までの発言に、戸惑う美琴。 その仕草が、なんともいえないほどかわいい。だから言った。 「すみませんっ!?なんでもいいからこの怒りボルテージMAXのシスターさんを引き剥がしてもらえませんでしょうかマジで!!」 そう叫んだ。 だって、生命の危機が現在進行形で訪れているのだ。そんな状況下で、かわいいとか可憐だとかもう関係ないよねーッ!!と上条は勝手に決め付ける。 その叫びに美琴は、 「言われなくともッ!」 と、なぜかやる気満々な声で答え、インデックスを剥がし始める。だがしかし、インデックスのあごの力が異様に強く、引き剥がせないどころかインデックスの顎が少し動いて更なる激痛が上条の体を支配する。 「-^~っ:ぉ。・っ!?」 理解できるはずがない言語を放つ上条。 それを見た美琴は、 「え?逆効果!?」 とっさに力を抜く。だが、体にかかる力がなくなったためか、やっぱりインデックスの噛み付きレベルが一つ上がってしまう。 もはや声も出せない上条。 「ちょ、もうッ!」 そう美琴が言い、少し強めの電流をインデックスに浴びせる。インデックスが少しふらっと揺れ、噛み付きから解放された上条が叫ぶ。 「だぁ!俺は今回の戦いであんまり怪我しなくて優秀だったなぁー、なんて思ったら次はこれかよっ!? てか、俺の怪我の大半はお前のせいな気がするぞインデックス!」 「な、なにを言うのかなとうま!?そもそも、とうまが無駄な事件に首を突っ込むからいけないんだよッ!」 「の前に、あたしへの感謝の気持ちはないわけなの!?」 上条とインデックスの声量に負けじと、美琴も声のボリュームを上げる。 「あ、ありがとな」 適当に言う上条。というか、この惨事はお前のせいじゃねぇの?といいたかったところなのだが。 そして、その言葉を言った次の瞬間。 「何故お姉様が感謝の言葉をかけられ、何故私にはそれがないのですか?と、ミサカは暗に『私にも言え』と強制します」 「どういう理論だよそれ!?ってか、何もしてないのに感謝の言葉をかけられてもうれしくないだろ!」 「いいえぜんぜんっ!全く持ってうれしい限りですがっ!」 と、御坂妹に続いて病室の扉をぶち壊すような勢いで入ってくる少女。 「五和!?なんでここに?」 「説明は後回し!とりあえず今はッ!」 「なにが、とりあえず今は、よ!新参者は引っ込んでなさい!!」 「それだったら、短髪も新参者かも!」 「ふふ。あんたは知らないだろうけど、実は私たちは前から関係があったのよ」 「確かにそうだけど!事実だけど受け取れる意味がちょっとヤバい気がするのですがっ!?」 なんかヒートアップしていく彼女たちの会話に一声適当に入れ、上条はとりあえず会話から外れる。 (…さっきの夢…は?) 確か、起きる前までやけに現実的な夢を見ていた…気がする。 しかし、ぜんぜん内容が思い出せない。分かるのは、とてつもなく悪い夢。さっきみたいな展開でもいいから、何でもいいからその夢から覚めたい、と思ってしまうほどの。 確か、 自分が笑っていて、 周りの人が泣いていて、 周りの人が泣きながら俺に襲い掛かってきて、 そして自分は――――― (…だめだ。なんか思い出せねぇ) 上条は頭に手を当てかけ、その手を引っ込める。 (まぁ、思い出せない夢より) と、上条は目の前の『惨事』を見つめる。 (――――目の前の事件…か) ため息をつき、そして、 「…そういえば、何でこんなことなってんだ…?」 その後の、上条とほかの面々の壮絶なる争いを書くといろんな意味で凄いことになるので、省略する。 とりあえず、今は昼。 そして、場所は、 「…俺、何でこんなとこいるんだ…?」 このごろ疑問系ばかりだな、と感じる上条。しかし、分からないものは分からないのだから仕方がない。 「私たち、天草式十字凄教以上の組織の中心人物が、なに言ってるんですか」 五和が、少しだけ呆れたような感じで言う。 「『上条勢力』ねぇ…実感が沸かない」 あの後、五和からいろいろと話を聞いた。 まず、五和がいきなり病室に殴りこんできた理由(上条を巡る、という意味ではない)。 今回の先頭のことを、学園都市はイギリス清教伝えたらしい。 すると、イギリス清教からの増援がよこされることになった。 その増援が、天草式十字凄教、元アニェーゼ部隊だそうだ。 そして、それらと今回の戦闘にかかわった面々で、作戦会議みたいなものを行うらしい。 「…へぇ」 適当に上条が相槌を打ったところで、とある男を見つけた。 確か名前は、 「…海原、光貴?」 8月31日に、美琴をデートに誘って上条を襲った人物だ。 その海原が、隣にいる神裂クラスに露出度の高い女と話している。そしてその女の隣には、一方通行(アクセラレータ)。 「…何なんだ、あいつら」 なんとも分かんない面子だ、と上条が思ったところで。 美琴がその女を思いっきり睨み付けているのを視界が捕らえた。 「…」 上条は、ぎこちなく視線をはずす。 あれはマズい。絶対マジだ。たまに見る美琴のマジの目だ。対一方通行(アクセラレータ)のときに見たあの目だ。 …この作戦会議とやらが終わるまで、あの女の人が消し炭になっていないことを上条は天に願った。 と、そこで。 『時間となりました』 いきなり、部屋一帯に声が響いた。 「…時間?」 「ええ。あれ、聞いてませんでした?」 それに上条は、無言で頷く。 てか、五和の話が本当だとしたら、一つの組織の中心人物にそんな重要なことを教えないってのはどういうことだ、と上条は思う。 そんな上条の思いを無視し、また声が響く。 『それでは、ただいまより対反乱因子作戦会議を行います』 「反乱因子?」 上条が、そのワードに反応を表す。 『垣根聖督の戦力の超能力者(レベル5)、絶対能力者(レベル6)、および聖督本人を指します』 「ふーん…」 適当に受け流した上条、 だったのだが。 「…ハァッ!?」 大部分の科学サイドの面々が声を上げる。 「…?どうしたのよ?」 天草式教皇代理である、クワガタのような髪形をした建宮斎字が問う。 「ちょ、え!?もう一回、今の部分!!」 美琴が、かなりおかしい日本語で叫ぶ。 しかし、機械の方はそれで通じたようだ。 機械は、やはりまるで感情のない声で言う。 『垣根聖督の戦力の超能力者(レベル5)、絶対能力者(レベル6)、および聖督本人を指します』 もう一度、丸々同じことを発言した。 それに科学サイド側は、 「…レ、ベル…6?」 海原、一方通行(アクセラレータ)と話していた、裸の上半身に淡い色の布、制服であろうブレザーを着込んでミニスカート、というある種神裂クラスの女が言った。 「…絶対、能力者…」 その言葉に、一方通行(アクセラレータ)さえも驚きの表情を隠しきれていない。 「その情報は、確かなものなのでしょうか?と、ミサカは機械相手に質問を投げかけます」 妹達(シスターズ)を代表している、御坂妹が問いかける。 『この情報が正確なものである確率は、かなり高いとされます。前回の戦闘において、大能力者(レベル4)の空間移動者(テレポーター)、白井黒子が倒した超能力者(レベル5)の話だと、垣根聖督は絶対能力者(レベル6)を所持しているそうです。数は未明』 淡々とした声で言う機械。 「…神ならぬ身にて天上の意思にたどり着くもの」 打ち止め(ラストオーダー)が、機械のような合成音ではなく、人間らしい高低がある声で言った。 「何で、そんなことがわかるのかしら?相手には、精神系能力者もいるのよ。もしかしたら、あの子の頭にそんな事を無理矢理インプットさせただけかもしれないじゃない」 「それはありえないわね」 美琴が、ほんの少しの可能性を提示したところで、突然女の声にさえぎられる。 ほとんどの人間の視線が、会議室につながる扉に向かう。 その扉を開け放ち、中に入ってきたのは、 「ッ!心理掌握(メンタルアウト)!?」 「あら。そんな能力で呼ぶのではなく、ちゃんと名前で呼んで欲しいものね。超電磁砲(レールガン)」 常盤台中学の制服を着た、縦長の黒髪ストレート、楚々とした表情を浮かべる少女が言った。 「まさか、あんた勝手に黒子の記憶を――――」 「勝手とは人聞きの悪い。私は、学園都市上層部の方に協力したまでよ」 美琴を見下すように、心理掌握(メンタルアウト)、と呼ばれた彼女は視線を下げる。 「…なぁ。心理掌握(メンタルアウト)、って何だよ?」 上条が、小さな声で御坂妹に問う。 だが、それは本人に聞こえたらしい。 「!?あ、あなた、この『心理掌握(メンタルアウト)』こと長谷田鏡子を知らないと!?それでも学園都市に在住する生徒かしらッ!?」 凄い勢いで、鏡子とやらにまくし立てられた。 「…いや…知らないものは知らないけど」 引き気味に上条は言う。というか、常盤台の制服を着ている時点で、自分の方が立場上なんじゃね? 能力云々の前に人間として俺のほうが上じゃね?と上条は思うのだが、 「…超能力者(レベル5)第5位を、あんたは知らないの…?」 美琴に呆れた声で言われて、初めて上条は驚きの声を上げた。 「…呆れた」 そう、鏡子が言う。 (いやってかっ!あれ、お嬢様ってみんなこんな口調なの?俺の知ってるお嬢様っていったら、美琴に白井、それにこの人しかいないんだけど…白井は口調は丁寧だけど、性格があれだし…あれ?マジでお嬢様ってこんなモン??) と上条が、あまりのショックにどうでもいいことを考え始める。 「…あんたね。そんなことにショック受けんなら、あんたがあいつを倒したときのショックはどれくらいのモンなのよ?」 美琴が、一方通行(アクセラレータ)の方を首で指しながら言う。 「そういえば…ぶっちゃけ、超能力者(レベル5)っつわれてもな…」 と、いきなり平静を装う上条。 それに鏡子は、 「はぁ!?何ですのその反応は!…って、え…?まさか、あ、なたが、一方通行(アクセラレータ)を …倒した、お方…?」 発言の途中あたりから、疑問文になった言葉。 それに上条は、 「あ、一方通行(アクセラレータ)。お前、倒された経験って俺にだけ?」 「ぶっ殺すぞ」 いきなり話を振られた一方通行(アクセラレータ)だが、もういつもどおりに戻っている。 「…まぁ、お前にだけ、って言えばそうなるか」 一方通行(アクセラレータ)が思案気な顔になり、言った。 「…?」 その、そういえば2,3回倒されたっけ?のような発言に首をかしげる上条。 一方通行(アクセラレータ)の能力は絶大だ。それこそ、上条のようなレイギュラーな能力を持ってても勝てるかどうか怪しい程度。正直、あのときの勝利は―――― 「あ、あなたがあの『上条当麻』様ですかッ!!??」 「はいぅ!?」 思考の途中で、いきなり大声を出されてビクる上条。 発言の主である鏡子の方を振り返ると、 上条の不幸センサーがビビッと警戒態勢を知らせる警報を鳴らした。 つまり、 「あ…ッ!い、今までの無礼な言葉遣い、まことに申し訳ございませんっ!わ、わたくしとしたことが…」 なぜか一瞬で顔を赤らめ、上条に対して考えられない口調になった鏡子が写った。 それが意味することとは、 「インデックス!?私はこの件に関しては本当に関与――――?」 いつものようにインデックスが噛み付いてきて、美琴がビリビリを飛ばしてきて…という日常(不幸)を予想して右手を突き出し、左手で頭を庇う、という体制を一瞬で完成させた上条が、いつになく無反応な彼女たちに対して不信感をあらわにする。 「んー。これくらいなら、別に何の問題もないんだよ」 「てか、これくらいで問題になるんだったら、とっくに誰かとデキチャッてるわよ」 「…?」 上条をめぐる乙女関係を代表して二人の美少女が答える。そして、その乙女関係に混ざっている少女たちは、うんうんと頷いている。 一文目の前半部分については、上条には全く自覚がないのだが。 「な、なにをっ!?このわたくしを見てそんな発言が!?」 と、鏡子が二人の発言を受けて胸を張る。 上条が改めて鏡子をしげしげと眺めてみると、 足は結構美脚。スタイルもかなりのもの。顔は、まあまあ整っている。 普通にモテるくらいかなー、と適当に上条は予想する。 「どっ、どうですか上条様ッ!?」 そんな上条の反応を見て、鏡子がいきなり接近してくる。 「いや…どう、と言われても…」 苦笑い、愛想笑いが混じった笑みを浮かべ、鏡子から顔を背ける上条。 「ほら。あんたには到底手の届かない男なのよ、そいつは」 「でも本人には自覚がないんだけどね。…自覚があったらあったでそれは怖いんだよ」 予想してましたー、と二人の少女が言う。 「な、何故っ!?何故わたくしの百戦錬磨の恋愛テクが通用しないんですのッ!?」 「百戦錬磨ぁ?そんなんじゃ通用しないわよ」 美琴が、かわいそうなものを見るような目で鏡子を眺める。 … 「あ、あのー?これは、いったい何の…?」 と、今までの不可思議現象(ドッキリ)を見てきた上条が言う。 「ほーら。自覚がないんですよ」 今度は、隣に座っている五和が苦笑混じりに言った。 「だ、だから何の話を…」 五和に言葉を返しながらも、『ドッキリ大成功!』と赤字で書かれているであろうプレートを探す上条。 「…な、ならばわたくしの能力でッ!」 「はいはいー。当麻、ずっと頭に右手当ててなさい」 どうでもいい、とでも言いたげにざっくばらんに言葉を放つ美琴。 「え?あ、はい??」 いまいち理解しがたいが、とりあえずそれにしたがってみる上条。 「何を?そんな手など、わたくしの能力の前には壁にもなりませんのよ」 フン、と鼻で笑う鏡子。 「どうかしらね?こいつが、どうやって学園都市最強を倒したと思う?」 鏡子の行動を受け、嘲笑するような表情になる美琴。 「いや、あの。俺、さっきからずっと疎外感を感じちゃってるのですが」 上条が、不安げに美琴に説明を求める。 だが、その説明が来る前に。 バギン! 上条の頭の辺りから、幻想殺し(イマジンブレイカー)が反応したときになる音がした。 「え?」 それに真っ先に声を上げたのは、鏡子だった。上条には、その音を聞いた瞬間、全てが理解できたからだ。 「何ですか、その音は…まぁ、とりあえず演算は完璧ですから、もう上条様はわたくしのものですがっッ!」 そういい、高笑いする鏡子。 「あー、ちょっとそこそこ」 やはり、かわいそうなものを見るような目で鏡子を見ていた美琴が言う。 「何ですか?今更になって帰してくれ、なんて聞きつけませんのよ。その前に、別にそういう関係であった経歴は無さそうですがね!」 同じく高笑いする鏡子。 それに、もはや何もいえなくなった美琴が、 「…あんたの口から言ってやりなさい」 上条を、どうしようもない表情で見ていった。 「あの…何が起こったのかは理解できてんだけど、何で起こったのか理解できないんだけど?」 「それはそれで逆に良いんです、と、ミサカは唐突に会話に混ざり言います」 上条の発言に即答する、御坂妹。 「…とりあえず、こっちか」 なんか、ものすごく重大なことを見落としているような気もするが、とりあえず鏡子の方に向き直る。 「あ、あのー…お取り込み中申し訳ございませんが」 もはや高笑いから、黒子の本質を表したときのような表情になっていた鏡子の前に立ち、言う。 「多分、その『心理掌握(メンタルアウト)』っていうの、効いてないよ」 その上条の発言を聞いた瞬間、鏡子は、 「ッ!?な、何故!?制御下にある上条様から、何故そんな言葉がッ!?」 なんか、急に取り乱す鏡子。 「あー、俺の右手。幻想殺し(イマジンブレイカー)ってんだけど、これが触れた全ての『異能の力』は問答無用で消去されるから」 「…」 その言葉に、反応できない鏡子。 学園都市最強を倒した男。 そんな人間から放たれる言葉には、信憑性があった。だから鏡子は黙ったのだ。 「…いろんな意味で、あんたには無理よ?」 美琴が、鏡子に止めを刺すように言う。 それに鏡子は、 「…ってか、何やってんだよ?」 「んあ?」 と、上条は予想していなかった声に振り向く。 (…待てよ。またさっきの展開とおんなじ、なんてことはない…よな?普通に男っぽかったし… ッ!?ま、まずい…白井のことを思い出してしまった…) 美琴の苦悩を、本格的に理解できるんじゃないか、と感じる上条。 だがしかし、現実は別にそう危惧すべきことは起こっていなかった。 つまり、 「へぇ。あんたが『一方通行(アクセラレータ)』を潰した男、ってか?」 「いやっ!今度はそっち!?学園都市最強を倒した男を倒せば俺が学園都市最強だぁぁぁぁぁっ!!! って思考の持ち主さんですかッ!!?」 そういうことである。 …実際問題、そんなことにはなっていないのだが、上条の脳はすでにショートしている。 「…?学園都市最強を倒したところで、じゃあそいつが最強ね、なんていくはずねぇだろ」 あっさりかえされる上条。 それに、え?てことは、なんかいきなりバトろうぜ!な展開は無しッ!?と、あらぬことを想像していた上条の表情が瞬間的に明るくなる。 「…チッ」 だが、とある白髪の最強少年のあからさまな舌打ちにより、上条の笑顔は凍りつく。 「おおー、いるとは聞いていたけど…なんかこれは面倒くさい気がするぞ?」 と、一方通行(アクセラレータ)を見つけた少年が苦笑いとともに言う。 「…長点上機学園2年、葛城妖夜」 「おお、学園都市最強に覚えられてるとは。なんか光栄だなあ」 妖夜、とか言われた少年は、一方通行(アクセラレータ)に笑みを返す。 「馬鹿が。知らない方がおかしいだろォが」 「まぁ、そういうことだな」 「…はい?」 と、二人の会話に何か不穏なものを感じてしまう上条。 「超能力者(レベル5)、『肉体変化(メタモルフォーゼ)』さンよォ」 「はいでましたよなんかよく分からんフラグッ!?俺はそんなもの全然希望してないんだけどッ!!」 「…?何言ってんだ…??」 妖夜なる者が、不思議そうに聞き返す。 「…なんというか…とりあえず」 上条が、息を吸い込み、 「不幸なんですわたし」 「どこら辺が不幸なんですか…?」 隣の五和が、なぜか頭を抱えてため息をつく。 「もはや口癖なっているそうですが…一般人から見ればよほどの幸運なのでは?」 ものすごい幸運を持って生まれた、『聖人』たる神裂が言う。 「…どこをどう見れば?」 「どんな角度から見ても、よ」 美琴が、やはり少し疲れたような表情で言ってくる。 「いやあのですね。わたくしは1週間に100回くらい殺されかけた経験があるきがするのですが」 上条が言っているのは、英国での騒乱、それに続いた対フィアンマ戦のことだ。 それに、インデックスがつっつきを入れた。 「それはただ単にとうまがでしゃばるからなんだよ」 「でしゃばらなければならない理由の大半のあなたが言うことじゃありませんよインデックスさん」 冷静なコメントを返す上条。 「…それにしても、本当に『不幸だ』と感じてらっしゃるのですか?」 部屋の隅っこでなんか錯乱しかけていた鏡子が、平静を取り戻しつつ言う。 「…えと、あの。全員そろって俺の不幸全否定ですか?」 上条が、不幸の原因であるらしい右手を見つつ、言う。 「さっきから話が全然掴めねぇんだけど…とりあえず、『こっち』の方を進めようぜ?」 妖夜が、自分の後ろを振り返りながら言う。 「…まだ、なんかあんのか…?」 上条が、やはり自分は不幸だ、と再確認しながら言った。 「ん?話は終わったのか?俺は他人の色恋沙汰とかに首を突っ込むほど曲がってないぞ」 唐突に、芯が通っているような声が響く。 「超能力者(レベル5)、『念動砲弾(アタッククラッシュ)』こと削板軍覇だ」 「…」 それに、上条は、 「御坂を皮切りに…なんでこう次々と超能力者(レベル5)とあってしまうんだ俺…まさか、全員妹達(シスターズ)関連なのかおいッ!?」 もうあまりの自分の不幸さに、勝手に人にその不幸の原因を作ってしまう。 「ちょ、なにそれ!?確かに、わたし、一方通行(アクセラレータ)はそうだけど!ほかは関係ないじゃないッ!!」 それに、もちろん美琴は反論する。 しかし、妹達(シスターズ)ではなく美琴関連なら、一方通行(アクセラレータ)はさながら、心理掌握(メンタルアウト)とはかなりの関係を持ち、肉体変化(メタモルフォーゼ)とは大覇星祭のとき一戦交え、念動砲弾(アタッククラッシュ)は美琴の知らないところで妹達(シスターズ)とほんの少し関わりを持っている。 つまり、今この場に集っている超能力者(レベル5)は全て美琴に関わっている、と言える。 別にここがそれを認識しているわけではないのだが、この場にいる美琴を除いた超能力者(レベル5)+上条が、 「…ハァ」 「なっ…何よそのため息!?」 美琴がやはり突っかかってくる。 が、そこで、 「とりあえず、話を進めてもよろしいでしょうか」 突然、声が響く。 「戦闘可能な超能力者(レベル5)が集い、紹介も済みましたので」 「そういえば…これって、作戦会議、なんだったっけ?」 上条が、機械の声に反応して言う。 「はい。まだそろっていないメンバーもいますが、時間がかかるとのことですので」 そこで機械は、一度音を切って少し間を置く。 「それでは、会議を進めてもよろしいでしょうか?」 機械が問いかけるが、返事をするものなど一人もいない…わけではなく、打ち止め(ラストオーダー)が『オーケーだよー』とか意味が分からないはずなのに言っていた。 機械は打ち止め(ラストオーダー)の声を無視して言う。 「それでは、改めて…ただ今より、対反乱因子作戦会議を始めさせてもらいます」
https://w.atwiki.jp/99772200/pages/90.html
# 06/10/14 オリアナ追加 # 07/12/02 左方のテッラ追加 # 11/01/16 木原、ヴェント、駒場、スキルアウト(ザコ)、アックア追加 #2巻まで。とりあえずデータとしてどういう形になるか分からないものは参考用として置いときます。 #アウレオルス=ダミーは本体とメッセ共有ということで。 上条当麻 回避, ……あー、またか 回避, ――ええい! 回避, ……つか、俺が何したってんだよう 回避, 大体、どいつもこいつもおかしいんだよ 回避, おいおいおいおい! 回避, あん? 回避, ……分かってんだよ、分かってんだけど独り言にしねーと消化できねーんだよう 回避, はぁ!? 回避, ……、は? 回避, なんじゃそりゃあ!! ありえねえっ!! 回避, ……、うわぁ 回避, ま、そりゃそーだわな 回避, ……って何だよそれ、きっかけは些細な事でしたってオチか? 回避, …………あれ? 回避, 分かっ……謝る、謝るから! 回避, ちょっと待てよ 回避, ??? 回避, ……、あー、何だかなぁ 回避, ……何だったんだろうな? 回避, あれ? 何だろう? 哀しくないのに涙が出るよお母さん 回避, ……ていうか、ナニ考えてんだか 回避, 一体全体何なんだよこりゃあ!! 回避, ったく、参ったぜ 回避, 見くびってんじゃねえ 回避, ぁ。――――オオッ!! 回避, 冷静になれよ、冷静に考えてみろよ! 回避, あの、もしかして……本気で怒って、ます? 回避, んな……っ!? 回避, 何やってんだアンタ? 回避, 何だそりゃ? 偽装能力か? 回避, うわーっ! コイツ本当に何も考えてねーっ! 回避, こんなもん、いちいち相手にしてられっか!? 回避, くる……!? 回避, 馬鹿、野朗……ッ! ふざっけんじゃねえぞ! 回避, ……お前、良い人? ダメージ小, くそっ! くそっ! ダメージ小, うう、不幸だーっ! ダメージ小, ……いや、こんなもんだってなァ分かってんだけど、分かってんだけどさあ ダメージ小, げっ! ダメージ小, ……くっ、む、ムカつく ダメージ小, 痛ったー…… ダメージ小, ……あーくそ ダメージ小, ……なんていうか、不幸だ ダメージ小, ふ、ざけんなよ! ダメージ小, ……やられた ダメージ小, うっ!? ダメージ小, ……テメェ、本気か、それ? ダメージ小, うわっ、ちょ…… ダメージ中, うわっうわっ……! ダメージ中, あーもうちくしょー不幸すぎますーっ!! ダメージ中, ち、ちくしょう……なんだって俺はこんな事に青春かけなきゃなんねーんだよう! ダメージ中, 死ぬ! ホントに死ぬ! ホントに死ぬかと思った! きゃーっ!! ダメージ中, なん……ッ! ダメージ中, ……、不幸だ ダメージ中, うう、ぐすっ……ふ、不幸だ……こんなのと関わったばっかりに ダメージ中, や……めろ、やめろっ! くそっ!! ダメージ中, 何をビビってやがんだ―― ダメージ中, ちっくしょう! ダメージ中, お、おおあっ!! ダメージ中, なんて、こった…… ダメージ中, ……どうして? ダメージ中, な、め――やがって ダメージ中, まずいっ……!! ダメージ中, くそったれが……ッ!! ダメージ中, ……うっ、なんかリアルに鬱モードに入っちまった ダメージ中, ……いい加減にしろよ、テメェ ダメージ中, 落ち着け……落ち着けッ ダメージ大, く、くそ…… ダメージ大, …………ッ!! ダメージ大, ――て、メェ ダメージ大, ……ぁ、かっ! ダメージ大, ぎゃあああああ!! ふ、不幸だぁあああああ!! ダメージ大, あ……? ダメージ大, ヤ、バ…… ダメージ大, ひっ、わああああああああああ!! ダメージ大, おおっ、ぁあああああああ!! ダメージ大, ごっ……ぁ……ッ!? ダメージ大, そ、んな…… ダメージ大, うる、せえよ…… ダメージ大, ま、てよ…… ダメージ大, がっ……!? ダメージ大, はぁ……ハァ……ッ! ダメージ大, ぐっ……く、そ! ダメージ大, ま、ず……ッ! ダメージ大, くそ、冗談じゃねえ! こんな時、こんな状況で、リタイヤなんかできるか! 破壊, なんていうか、不幸っつーか……ついてねーよな 破壊, ……ぐ、ぅ、ぅ、ぅぅぉぉおおおおおおおぁぁぁあああああああああ! 破壊, ち、くしょ……ぁああああああああ!! 射程外, うるっせぇ! ぶん殴られねえだけ感謝しやがれサル並野朗! 攻撃, オマエ、本当についてねーよ 攻撃, ……さて、っと 攻撃, ナメたプライドごと口を封じて構わねーか? 攻撃, うるせーばか 攻撃, まったく救いようがねーな!! 攻撃, ばっかやろうが!! 攻撃, 邪魔だ 攻撃, このままほっとく訳にもいかねえんだよな 攻撃, 悪りぃな 攻撃, ざっけんなよ、テメェ!! 攻撃, くそったれが…… 攻撃, それじゃ、潰すぜ 攻撃, いける……っ! 攻撃, ……しッ! #幻想殺し, んなに珍しいモンか、超能力なんて #幻想殺し, えっとな、この右手。 あ、ちなみに俺のは合成着色じゃなくて天然素材なんだけど #幻想殺し, この右手で触ると……それが異能の力なら、神の奇跡だって打ち消せる #幻想殺し, それが本っっっ当に『異能の力』だってんなら、俺の右手が触れただけで木っ端微塵、って訳だな? #幻想殺し, マジメにやってもいいんかよ? #幻想殺し, まずは、その幻想をぶち殺す!! #幻想殺し, ……く、そ。 掌の、感覚が――ッ! #幻想殺し, 消せる……ッ! 禁書目録(自動書記) 回避, リンクしました ダメージ小, 構いません、再生可能です ダメージ小, 術式の構成を暴き、対侵入者用の特定魔術を組み上げます ダメージ小, 防壁を傷つけた魔術の術式を逆算……失敗 ダメージ中, 警告、禁書目録の『首輪』、第一から第三まで全結界の貫通を確認 ダメージ中, 再生準備……失敗 ダメージ大, ――ありえません ダメージ大, 出血に伴い、体内の生命力が流出しつつあります ダメージ大, 現状を維持すれば、およそ十五分後に私は必要最低限の生命力を失い、絶命します 破壊, 警、こく、最終……章……第、零――……『 首輪、』致命的な、破壊……再生、不可……消 射程外, 攻撃, この場における最良の選択肢は、あなたがここから立ち去ることです 攻撃, 失敗はあなたの肉体の破壊と死亡を意味している、と告げています、お気をつけください 攻撃, 現状、十万三千冊の『書庫』の保護のため、侵入者の迎撃を優先します 攻撃, 侵入者を破壊します 御坂美琴 回避, ん? 回避, ったく、何やってんのよアンタ 回避, アンタもバカにしてるわよね 回避, はぁ? 回避, ――は、笑わせるわね 回避, あれー? 回避(対ザコ), 何の力もない無能力者相手に気張ると思ってんの? ダメージ小, ~~ッ!! ダメージ小, ちょ、ちょっとアンタ! ダメージ小, いっ!? ダメージ小, ぉゴフぅ ダメージ小, くっ…… ダメージ小, だあああああああ ダメージ小, はー……まずったわ ダメージ中, ぐぁッ ダメージ中, やばっ! ダメージ中, ぐ……ッ!! ダメージ中, ちょ、ちょっとアンタ! ダメージ中, しまった、そーくるかっ ダメージ中, ふーん、ケンカ売ってるんだ? ダメージ中, やっぱそんなに甘くない……か ダメージ大, ……マジ? ダメージ大, が……ッ! ダメージ大, しまっ……た ダメージ大, (マッズイわね……) ダメージ大, (しまったっ! 油断した!!) 破壊, こ、こんなところで…… 破壊, ま、まさかやられた……?! 脱出, 一時撤退するわよ 脱出, だーっ、やっぱやめ。離れろっ、離れろっ 射程外, ……近寄ったら覚えてなさい 射程外, ボコる。アンタはボコると今決めた 射程外(対子供), おるぁ!! ちくしょうこのクソガキ止まれやこの逃げ足王!! かけ声, ………… かけ声, いくわよっ! かけ声, 覚悟はいいかしら かけ声, こっちがやる事に変わりはないんだから かけ声, 私にケンカを売るなんて、いい度胸してるわねっ! かけ声, アンタがムカつくから悪いのよっ! かけ声(対強敵), 私は、自分より強い『人間』が許せないの。.それだけあれば理由は充分 かけ声(対ザコ), 弱者の料理法ぐらい覚えてるわよ かけ声(対男性), この野郎! かけ声(対弱点=機), 最先端がこのザマじゃ泣けてくるわね かけ声(反撃), アンタよアンタ! 止まりなさいってば!! かけ声(反撃), っざけてんじゃねーぞ、アンタぁ!! かけ声(反撃), アンタがムカつくから悪いのよ! かけ声(反撃), 手を出してくるってことは当然反撃される覚悟もあるのね? 格闘, ちぇいさーっ! 格闘, ぬグッ! 格闘, おらぁ! 攻撃(オゾンガス), 強烈な酸化で脆くなるわよ 攻撃(オゾンガス), 大気から分子を奪うとね……こうなるのよっ! 攻撃(砂鉄の剣), これ高速で振動してるからかなり斬れるわよ 攻撃(砂鉄の剣), 砂鉄が振動してチェーンソーみたいになってるから 攻撃(砂鉄の鞭), こんな事もできるんだからっ 攻撃(砂鉄の鞭), 貫けっ! 拘束しろっ! ……あとなんだっけ? 攻撃(クラッキング), 任せて、こういうの得意なの 攻撃(クラッキング), 電子使いにとってコンピューターなんて……っ! 攻撃(接触電撃), うかつに触ると危ないわよ……っ! 攻撃(接触電撃), 直接電流を流せばいくらなんでも効くでしょっ! 攻撃(大電撃), ……黒焦げになりなさいっ! 攻撃(大電撃), 抵抗したって……強引に吹き飛ばすっ!! 攻撃(超電磁砲), これが私の代名詞よっ! 受けなさい……っ!! 攻撃(超電磁砲), こんなコインでも、音速の三倍で飛ばせばそこそこ威力が出るのよね 攻撃(超電磁砲), たかがゲームセンターのコインよ、ただ速度は音速の3倍だけどね……っ! 攻撃(超電磁砲), ねぇ、超電磁砲って言葉、知ってる?;理屈はリニアモーターカーと一緒でね、.超強力な電磁石を使って金属の砲弾を打ち出す艦載兵器なんだけど;――こういうのらしいのよね 攻撃(超電磁砲)(対AIMバースト), こんなとこで苦しんでないでとっとと帰んなさい 攻撃(落雷), 私の全てを出しきったの全身全霊の攻撃…… 攻撃(落雷), ずっと心のどこかでブレーキをかけてたのかもね 攻撃(対上条当麻), ちゃんと私の相手をしろ――――――っ! 攻撃(対上条当麻), 私が一番ムカツクのは……オマエだああああッ! 攻撃(対一方通行(常時反射)), 何でこんな計画に加担したの……? 攻撃(対一方通行(常時反射)), こんなイカレた計画に協力する理由はない!? ステイル=マグヌス 回避, うん? 回避, うんうんうん、これはまた随分と派手にやっちゃって 回避, ……まったく 回避, ご苦労様、お疲れ様、残念だったね 回避, ふむ 回避, 凄いよ、君ってば戦闘センスの天才だね! だけど経験が足りないかな 回避, ……楽しそうだよね 回避, ふん、それで? 回避, あっはっは、これは面白い事を 回避, 何を驚いているんだ? 回避, なるほどね 回避, ……第一チェックポイント通過って感じ? 回避, お前、何だってこんな無駄な事をしてるんだい? 回避, 何を驚いてるんだ? ダメージ小, ま、そんな程度じゃ千回やっても勝てないって事だよ ダメージ小, チッ!! ダメージ小, くそ、何をやっている!! ダメージ小, その慢心が己の身を滅ぼすなら構わないというか僕としてはバンザイだけど ダメージ小, ……あてられたかな? ダメージ小, 一体お前に何ができる? ダメージ中, この期に及んでまだ悪あがきを――! ダメージ中, なぜ、何故!? ダメージ中, 冗談で言ってられる内は、幸せだったんだけどね ダメージ中, くっ…… ダメージ中, ……つまり君は僕にケンカを売っていると、そう意訳して構わない訳かな? ダメージ大, ……な ダメージ大, まさか、まさか! ダメージ大, ぐっ、ぬうう……ッ!? 破壊, ば、か――――な? 破壊, 射程外, 敵、も……対等の条件である事を祈るしか、ないね 射程外, な……、オイ逃げるな! 攻撃, 嫌だな、そんな目で見られても困るんだけどね 攻撃, やりすぎたか、な? 攻撃, は、はは、あはははははははは! 攻撃, 笑うな、ぶっ殺すぞ 攻撃, まったく、世話が焼ける 攻撃, 死者を送るのは神父の役目だ 攻撃, お気の毒に、カカシ君 攻撃, 呑まれてくれれば大助かりだけどね 攻撃, お前と僕じゃ足止めにもならない事ぐらい分かるだろう? 攻撃, 悪いけど引っ込んでてくれないかな? #攻撃, 炎よ―― #攻撃, ――巨人に苦痛の贈り物を #攻撃, 世界を構築する五大元素の一つ、偉大なる始まりの炎よ ;それは命を育む恵みの光にして、邪悪を罰する裁きの光なり ;それは穏やかな幸福を満たすと同時、冷たき闇を滅する凍える不幸なり ;その名は炎、その役は剣 ;顕現せよ、我が身を喰らいて力を為せ――ッ! #攻撃, 灰は灰に―― ;――塵は塵に―― ;――――吸血殺しの紅十字! 神裂火織 回避, 複雑な気持ちですか? 回避, 絵空事を 回避, 何があなたをそこまで駆り立てるのかは分かりませんが…… 回避, 何ですか? 回避, もう、良いでしょう? 切り払い, 切り払い, ダメージ小, ご心配はなさらずに ダメージ小, ダメージ小, ダメージ中, そんな、なんで…… ダメージ中, ダメージ中, ダメージ大, ……何が ダメージ大, ダメージ大, 破壊, ……もう耐えられません 破壊, 射程外, 攻撃, ……できれば、もう一つの名は語りたくないのですが 攻撃, 仕方がありません 攻撃, 私から注意を逸らせば、辿る道は絶命のみです 攻撃, 分かって、いただけましたか? 攻撃, 七閃, 人はこれを瞬殺と呼びます、あるいは必殺でも間違いではありませんが 七閃, 七閃 アウレオルス=イザード 回避, 全然 回避, 自然、何を驚いている? 回避, そら、貴様も獲物を出せ 回避, ……、必然、失笑! 回避, 私に何か落ち度でもあるのか? 回避, は、愉快、はは、愉快! 回避, 判然としないが、貴様は一体何を焦っている? 回避, 当然、疑問は湧いて出るだろうが答える義務もなし 回避, だから、何故気づかんのだ? ダメージ小, 貴様 ダメージ小, ぬっ……!? ダメージ小, まったく、どこまでも、邪魔ばかり……ッ ダメージ小, 憮然、つまらんな ダメージ小, 当然、そこに一縷の望みを抱くだろうが、私の敵ではない ダメージ中, くそ、くそっ! ダメージ中, は、何だこれは? ダメージ中, ……悄然、なん、だ、それは? ダメージ中, く、そ…… ダメージ中, 馬鹿な、ありえん! ダメージ大, な…… ダメージ大, ぅ、あ…… ダメージ大, 私は完璧なはずだ ダメージ大, ぐっ……!? き、さまァ!! ダメージ大, ぐおおおっ!! ダメージ大, がっ、あああああああああああ!! ダメージ大, 唖、然……、このままでは、殺 ダメージ大, う、ぅぅううううううッ!! 破壊, ぅ、が、が、がぁあああああああああああああああああああ! 破壊, 悄然、失策……ッ!! 破壊, ぃ、ぎ、た――助、て 射程外, な――んだ、それは? 攻撃, 厳然、貴様ーッ! 攻撃, 防御は無効、逃避も不可能 攻撃, 私はまだ食い足りん 攻撃, 五秒前までの貴様の態度、あれは万死で済まされるものではない 攻撃, 当、然――絶命! 攻撃, この魔術医師にその全てを解き明かさせよ! 攻撃, はは、破壊だ破壊、破壊の破壊を破壊と破壊!! 攻撃, 寛然、仔細ない、すぐにそちらへ向かおう 攻撃, 必然、こんな所へ時間を割く余裕もなし 攻撃, は、ははははははははははははは!! 攻撃, 簡単には殺さん、じっくり私を楽しませろ! 瞬間練金, リメン―― マグナ!! 瞬間練金, 我が役は錬金の師。 その名の由来、当然分からんとは言わせんよ 瞬間練金, 我が『瞬間練金』はわずかでも傷つけたモノを即座に強制変換する 瞬間練金, 必然、『瞬間練金』の前では愕然せざるを得んようだが、これで終わらせる 瞬間練金, 必然全てを溶かし尽くしてくれる……っ!! 瞬間練金, 必然、我が『瞬間練金』は数ある錬金の理想のカタチ 暗器銃, 銃をこの手に 、弾丸は魔弾 、用途は射出 暗器銃, 人間の動体視力を超える速度で射出せよ 暗器銃, この手には暗器銃 、用途は射出 、合図と共に準備を完遂せよ 暗器銃, 暗器銃、その刀身を旋回射出せよ 暗器銃, 用途は破砕 、単発銃本来の目的に従い 、獲物の頭蓋を砕くために射出せよ 暗器銃乱射, 十の暗器銃にて、連続射出の用意 暗器銃乱射, 準備は万端 、十の暗器銃 、同時射出を開始せよ 暗器銃乱射, 用途は乱射 、十の暗器銃を一斉射出せよ ## 3巻 一方通行 回避, 何だよ何だ何ですかァこの無様は? 回避, ……遅っせェなァ ダメージ小, イイねイイね最っ高だねェオマエ! オマエきっちり俺の敵やってンじゃン! ダメージ小, ……、ヘェ。オマエ、面白ェな―――― ダメージ小, ――――オマエ、本当に面白ェわ ダメージ中, ごぶぁ!? ダメージ中, チッ、吼えてンじゃねえぞ三下がァ! ダメージ中(対無属性), あ、は? い、たい。なな、何だよそりゃあ? 面白ェ、ははは、ちくしょう。イイぜ、最っ高にイイねェ。愉快に素敵にキマっちまったぞ、オマエはァ! ダメージ中(対突属性), ちっくしょ、何だ? オマエ何だよその変な動きは! ウナギじゃねェンだからウネウネ逃げてンじゃねェ! ダメージ中(対上条当麻), ……っ! く、は、面白ェ、何なンだよその右手は! ダメージ大, クソ。クソォ! クソォオオオオオオオ!! ダメージ大, はっ……ハァ……!? ダメージ大, 面白ェよ、オマエ―――.―――最っ高に面白ェぞ、オマエ! 破壊, ………………ッ! 射程外, あァ!? 射程外, おいおいオマエ一体何を期待してるンだっつの、どれだけ時間稼いだ所で奇跡なンざ起きるわきゃねェだろ、あァ! 射程外, つっまンねェヤロウだなオマエ、ンな事やったって無駄なンだっつの分っかンねェかなァってか俺はこれから延々とオマエの悪あがきに付き合ってくってのか、ありえねェ! 反射(ベクトル変換), ハッハァ! ンなモン利くと思ってンのかァ? せめてやるならこンぐれェにしろ……ってンだよォ!! 反射(ベクトル変換), ハッ、図に乗ってンじゃねェぞ格下が。オマエじゃ俺に届きゃしねェよ、足止めすらできやしねェ 反射(ベクトル変換), ……、ふん 当て身技(逆流), オマエが不用意に俺の体に触れたら最期、オマエは全身の血管と内蔵を根こそぎ爆破して果てるって事なんだけどさァ、そこントコ正しく理解してたのか? 攻撃, ハッ、何だァ無策にのこのこ歩いてきやがって。ンなに痛みが好きならたっぷり鳴かせてやるから今から喉飴でも舐めてろ! 攻撃, おら、死ぬ気で避けなきゃホントに死ンじまうぞォ! 攻撃, 全っ然、足りてねェ。オマエ、そンな速度じゃ100万年遅せェっつってンだよォ! 攻撃, アッハァ! ほら、遅せェ、遅せェ、全然遅せェ! 狩人を楽しませるならキツネになれよ、食われるためのブタで止まってンじゃねェぞ三下ァ!! 攻撃, おら、余所見たァ余裕だなオイ! ンなに死にたきゃギネスに載っちまうぐれェ愉快な死体に変えちまおうかァ!! 暴風, くかきけこかかきくけききこかかきくここくけけけこきくかくけけこかくけきかこけききくくくききかきくこくくけくかきくこけくけくきくくきこきかかか―――――――――ッ!! 暴風, 殺せェ――――ッ!! 高電離気体, 空気を圧縮、圧縮、圧縮ねェ。はン、そうか。イイぜェ、愉快な事思いついた # オマエ、ナニサマ? 誰に牙剥いてっか分かって口開いてンだろうなァ、オイ # オマエ、何なンだよ。カミサマ気取りですか、笑えねえ # 何だ、ちくしょう。何だってオマエにはただの一発も当たンねェンだよ、ちくしょう! ## 4巻 土御門元春 回避, ちょっとばかり好戦的すぎるにゃーですよ? 回避, 困ったモンだぜい 回避, どうしたもんかにゃー 回避, とにかく無駄が多いぜよ 回避, ここですにゃー 回避, さあ、どうする? ダメージ小, ちっ、つまらんヤツめ ダメージ小, いちいち気にすることでもないぜよ ダメージ小, やめとけよ、怪我するだけだぞ ダメージ小, 分かってないな。それでは駄目なんだよ ダメージ小, ……、へぇ ダメージ小, 笑わせる.この程度でオレに勝利できるとでも? ダメージ中, くっ、なかなか厳しい人生だにゃー ダメージ中, そりゃありえないぜい ダメージ中, ぶごはっ! ダメージ中, いいぜ、認める.これよりお前は土御門元春の『敵』だ ダメージ大, さぁって、まずい事になってきたぜいまずい事になってきたぜい ダメージ大, 過ぎたる失策は忘却すべし、 頭を切り替えポジティブ思考 ダメージ大, 偶然にしてもあまりにも素晴らしすぎる 破壊, ここは一度引くべきだぜい、 これ以上は深入りだ 射程外, さて、具体的に敵戦力を考えようぜい 射程外, はてさて、困った事になったぜい 攻撃, 逃がさん!! 攻撃, さて、『審問』でも開始すっか 攻撃, なめてくれるなよ 攻撃, やめとけよ、もう遅い 攻撃, こんな状態で仕事をしろだなんて面白い注文をつけてくる 攻撃, 一〇秒。 .耐えることができたら、誉めてやる 攻撃, 無駄、人体には構造的に絶対に鍛えられない場所が存在する 攻撃, こちらの持ち玉も少ない事だし、強攻策を取らせてもらう 攻撃(対上条当麻), ふっふっふ.魅惑の裏切りタイムスタートだぜよ 攻撃(対上条当麻), 寝ていろ、素人が 攻撃(対火野神作), こんの、 ――――サイコ野朗!! 射撃, オレの専門は風水 .そして風水とは、部屋の間取りや家具の配置によって回路を作り上げる魔術の事だ 射撃, 風水ってのは大地の『気』をエネルギーに式を動かす #攻撃(対上条当麻), キサマ!誰がシスコン軍曹だ! #攻撃(対上条当麻), やめろ探るなそれ以上一言でもしゃべりやがったらぶっ殺して差し上げるぜいっ!! #赤ノ式, たまには慣れない赤ノ式というのも乙なものだ #量がそれなりだが軽度改竄が大部分を占める ## 5巻 闇咲逢魔 回避, ――――こちらだ 回避, 手短に済ます。遊びに付き合う気はない 回避, かいくぐるまで 回避, 百も承知 回避, ……、ふん ダメージ小, ふむ ダメージ小, うむ? ダメージ小, この結果は少々予想外だが、無益な殺生が減るなら喜ぼう ダメージ中, チッ ダメージ中, ほう、驚いたな ダメージ中, なるほど ダメージ大, こんな簡単な事でつまずく訳にはいかない。こんなつまらない事で諦める訳にはいかない。それだけだ ダメージ大, ……、悪いのか。たとえ、この命と引き換えにしてでも、誰かを守りたいと思うのは、悪い事なのか ダメージ大, ぼごっ、げぶあ!? 破壊, はは、何だ。私の人生は挫折ばかりだ 破壊, ただ一つ、それだけの事、だったのだが、なぁ…… 破壊, な、あ……、馬鹿な 射程外, ふむ。まだ遠い、か 射程外, ……、いない? かけ声, ……、そこか 風魔の弦, 風魔の弦 衝打の弦, 衝打の弦 断魔の弦, 断魔の弦 透魔の弦, 透魔の弦 発進, いざ戦場へ 偵察, 捜魔の弦 ## 7巻 アニェーゼ=サンクティス 回避, あなたの遊びに付き合ってる暇なんてないんです 回避, あらまぁ、どうしちまったんですか? 忘れ物ですか、お駄賃が欲しいとか? 回避, ったく、本当に馬鹿も馬鹿、大馬鹿ですね 回避, 騒いでんじゃないですよ 回避, 努力しようと頑張ってる最中申し訳ありませんけど ダメージ小, ハッ!! 何ですかぁそれは ダメージ小, 意味がないからやめときなさい ダメージ小, ふん ダメージ中, き、サマ、何の真似だ、これはァ――――ッ!! ダメージ中, おも、しろい、ですよ、あなた ダメージ中, チィッ! ダメージ中, なっ!? ダメージ中, ……、面白い、じゃないですか ダメージ大, (どうする……、何を―――どうすれば……ッ) ダメージ大, (方法は――タイミングは、武器は……踏み込みは、……何をどう選べば良い!!) ダメージ大, (何を…… 何をすれば――) 破壊, ぁ、うァァああああああああああああ!? 射程外, どこから攻撃を仕掛けてやがるんですか……ッ!! 射程外, 逃げられやしませんよ。そういう風に出来ちまってんです、このくそったれな世界は 攻撃, ったく、手間ぁかけさせちゃあ駄目でしょう? 私も含めて皆さんお忙しんですよ、残念ながら 攻撃, 怠惰は罪ですからね、ここは一つ.あなたの幻想を打ち砕いて手慰みといきましょうか! 攻撃, 神に祈らないくせに神の恵みを受けている。そんなのは許されやしないんです 攻撃, っつーか邪魔だなぁ。文句を言わずにさっさと流れ作業で死んでくださいってば 攻撃(蓮の杖), 高位聖職者が持つ司祭杖ってのは.敵の鎧を叩き潰すのに使ってたメイスって武器が.変化しちまったものなんですよ 攻撃(蓮の杖), 殴るための道具を殴るために使って何が悪いんですかね 攻撃(蓮の杖), はは、それにしても平和と秩序の象徴が鋼の棍棒ってのは笑っちまいますが 攻撃(偶像の理論), 万物照応。五大の素の五。.平和と秩序の象徴『司教杖』を展開;偶像の一。神の子と十字架の法則に従い、.異なる物を異なる者を接続せよ 攻撃(偶像の理論), 天草式のヤツらが使ってた地図の術式に似てるってのが気に食いませんけどね。.コイツを傷つけると連動して他の物に傷がつく。;こんな風にね、っと! 建宮斎字 回避, くっく。なぁにをやっとんのよ 回避, やるってんなら仕方がねえ。今日がお前さんの命日だ 回避, いやいや。そうそう簡単に上手くいかれては困るよなぁ? 回避(対男性), いかんよなぁ、そんなんじゃ女の一人も守れんぞ 回避(対ステイル=マグヌス), おら、英国紳士の誇りはどこ行った? この建宮斎字に見せてみろ ダメージ小, ナメてんのかテメェは ダメージ小, 基本的な対衝撃術式は戦闘前から張ってあるから問題ないのよ ダメージ小, ……。何なのよ、こりゃあ ダメージ小, 何だってのよ ダメージ中, チッ……!? ダメージ中, くそ ダメージ中, なめ、てんじゃ……ッ!! ダメージ大, な……? に、が――――ッ!? ダメージ大, な、ぁ、対衝撃用術式が、貫かれ……!? 破壊, ……無念だなぁ 破壊, が、ば……ッ!! 攻撃, ふっ!! 攻撃, しっ!! 攻撃, よし、もらった! 攻撃(反撃), ふっ!! 攻撃(反撃), しっ!! 攻撃(反撃), よし、もらった! 攻撃(反撃), 思い切り反撃してやろうじゃねえのよ……ッ!! ## 9・10巻 オリアナ=トムソン 回避, ああーっと 回避, よいしょっと 回避, ダ・メ・よ 回避, だらしがないわね 回避, 駄目よー気を抜いちゃ 回避, それでお姉さんと渡り合おうっていうのは、背伸びも良い所じゃない? 回避, お粗末がすぎるわね 回避, 遅いわね ダメージ小, それだけでは、お姉さんの手管には敵わないわよ? ダメージ小, ――上出来でした、といった所かしら。ただ、攻撃される事に慣れているお姉さんにはまだまだ欲求不満が募るレベルだけど ダメージ小, あン、叩くのは趣味じゃないって目で言われてもね ダメージ小, お姉さんは多少過激な遊びもオーケーだから、腰が砕けるまで付き合ってあげるわよん ダメージ小, この程度なら決定的な脅威にはならないわ。息切れだって起こさないレベルよ ダメージ小, あらまあ。片手間で満足させられるほど、お姉さんは感じやすくはないわよ? ダメージ中, やっぱり甘くはないわね……っと ダメージ中, ……、これは。予想外の展開、かな ダメージ中, な、んで……ッ!? ダメージ中, ふ、ふふ。乱暴なんだから ダメージ中, あはは! そういう乱暴な若さっていうのも、お姉さんは嫌いじゃないわ!! ダメージ中, 見た目によらず……激しい運動もオーケーな人だったのかしら? ダメージ大, まず……ッ! ダメージ大, ご…ぁ……ァああッ!! ダメージ大, 読めない……ッ!? ダメージ大, ひ……ぁが……ッ!! ダメージ大, 負け、る……? わた、し、は……もう、負ける? ダメージ大, 誰か明確なルールを作ってください。皆を幸せにして、もう誰も価値観の齟齬が生み出す悲劇になんて巻きこまれないような、そんな最高の世界を!! ダメージ大, なん……ですって!? 破壊, ま、さか…… 破壊, 基、準点、どうするの…… お、姉さん、は、絶対の基準点が、欲しくて…… 射程外, ……分かっちゃいたけど、待つっていうのも大変よねぇ 射程外, さてさて、ここはどう動こうかなぁ 射程外(対男性), 男の子の一人よがりな運動は相手に嫌われちゃうぞ? 攻撃, お姉さん、あなたを潰しに来ちゃいました♪ 攻撃, あなたはここで砕かれなさい 攻撃, とにかく必ずぶち当てる! お姉さんの手管で腰を抜かしてあげるわよん!! 格闘, あら、良い位置に頭が♪ 格闘, とうっ♪ 射撃, なかなか刺激的な切れ味でしょう? 射撃, んふ 射撃, さあ。これで終わりよ!! かけ声, 立ち止まり、妥協すれば迷わず負けると自覚しているからこそ、お姉さんは永遠に上へ進むのよん。――初心、忘るべからず、ってね かけ声, 燃えてくるのはこれからよん かけ声, これで決着をつける かけ声(対強敵), 私の名は『礎を担いし者』。……宣言したからには、必ず勝たせてもらうわね。その完全性こそが礼儀だと思っているから かけ声(瀕死), 勝つのよ…… 勝って、答えを作ってみせる! 私は、私の名は――.――礎を担いし者!! 影の剣, お次は影の剣。飽きさせないわよ? 明色の切断斧, 次に放つは赤色で描く風の象徴、角度にしてジャスト0度のコンユンクティオ、総ページ数にして五七七枚目の使い捨て魔道書、『明色の切断斧』 『All_of_Symbol』, 我が身に宿る全ての才能に告げる――――;――――その全霊を解放し目の前の敵を討て!! ## 11巻 ビアージオ=ブゾーニ 回避, 接触は許さん 回避, ……ふむ 回避, ハハっ! やめておけ 回避, くっくっ。やめておけと言ったはずだがな 回避, わたしも伊達に司教など務めていない 回避, ハハッ! 何のつもりだ! 回避(対上条当麻), 所詮は異教の猿に、人の言葉は通じないか ダメージ小, まったく、手間がかかる ダメージ小, 真面目にやっているのは分かるが、まずは学べ ダメージ小, わたしを殺す気なら大聖堂を爆破するつもりで来い!;イギリス清教には『歩く教会』があるが、あんな物がなくともわたしは一人で聖域に匹敵するのだからな!! ダメージ小, ……、何の真似だ ダメージ小, 生温いな ダメージ中, 主の意向に反する意志を示すとは ダメージ中, 多少目障りだが、絶対的な影響というほどではないな ダメージ中, 抵抗する気か? それとも自由を奪って欲しいか ダメージ中, そうか…… 意思を変更しよう。やはり、障害は小さくとも潰しておくべきだ ダメージ中, 舐めた、口を…… 利いてんじゃねえぞォおおッ!! ダメージ中, ッ!! ダメージ大, サルどもが、ドイツもコイツも人の言葉でわめきやがって…… ダメージ大, ぐ、ぶあァ!? ダメージ大, コ、イツ――ッ!! ダメージ大(対上条当麻), キ、サマ。異教のサルが―――ッ!! ダメージ大(対上条当麻), ……、その顔だ。その不屈こそが我々の脅威なのだよ。 破壊, しまっ……ッ!? 破壊, ……だから嫌だったんだ。くそ、あの野郎。何がローマ正教の歴史に残る大義だ…… 射程外, わたしは面倒くさいのは大嫌いなんだ 射程外, 焦がれるのはもうたくさんだ。わたしを我慢で殺す気か 射程外, ……、逃れられるとは思うな 迎撃, 接触は許さん 迎撃, 承服できないな 迎撃, くっくっ。やめておけと言ったはずだがな 迎撃, わたしも伊達に司教など務めていない シールド防御(十字架), ―――十字架は悪性の拒絶を示す シールド防御(十字架), 教会の屋根に立つ十字架は、外敵を廃し内部に安全地帯を作るための役割を持つ。―――このように かけ声, このビアージオ=ブゾーニが主の敵に引導を渡そう かけ声, 手っ取り早く潰すとしよう かけ声, 暴れるなと言った筈だが かけ声, 終わりだ かけ声, 神にとって不利益を生む者がいるのなら、それを排除する事に不備などない かけ声, わたしは十字架が持つ複数の意味を解放することで様々な力を振るえるのだ 拒絶の十字架, ―――十字架は悪性の拒絶を示す!! 拒絶の十字架, 聖マルガリタは悪竜に飲み込まれた時も、十字架を巨大化させる事でその腹を内側から破ったそうだ。―――このように 拒絶の十字架, その悪性は我が十字架が拒絶する 重き十字架, 十字架はその重きにおいて人の驕りを直す性質を持つ 重き十字架, 怪力で知られた若き聖クリストフォルスは背負った『神の子』の重さに屈服しかけた。―――そう、このように 重き十字架, ―――十字架はその重きをもって驕りを正す!! シモンが背負いし十字架, ―――シモンは『神の子』の十字架を背負う シモンが背負いし十字架, ―――シモンは『神の子』の十字架を背負うッ!! ## 12・13巻 木原数多 回避, 甘々だぜェ! 回避, 分かってねえな。俺には通用しねえんだよ。.安い演出だってのが丸分かりだボケ 回避, よぉーし調子が出てきた! 俺ぁエンジンようやく温まってきたけどテメェはどうだよ!? 回避(対強敵), ははっ、スゲーなオイ! 回避(対銃属性), ちゃーんと狙って撃てよぉ! じゃねーとみんなの迷惑だぜぇ!! 回避(対一方通行), どうした小僧ォ!! 回避(対一方通行(13巻)), カッコイーッ!! 一皮剥けやがって、惚れちゃいそーだぜ一方通行!! ダメージ小, おいおい。テメェ、状況判断能力が壊れちまってんのか ダメージ小(対瀕死), そのまま沈んでろ! テメェみたいのがベタベタ歩くと周りが汚れちまうんだよお!! ダメージ小(対瀕死), そぉーだよなぁ!! そんな簡単に倒れちまったらつまんねーもんなぁ! サービス精神旺盛で助かるぜぇ! ダメージ中, チッ! ダメージ中, なめやが……ッ!! ダメージ中, ……面白れェ ダメージ中, こ、この野郎…… ダメージ中(対一方通行), ふざ、っけんじゃねえぞこの廃人野郎ぉ!! ダメージ中(対一方通行), こんの、クソガ、キ……ッ!! ダメージ大, 殺す ダメージ大, おおおっ!? ダメージ大, ふざけやがって、ここで殺してやる!! ダメージ大, 馬鹿にしやがって。殺してやる、絶対ぶっ殺してやる。 ダメージ大(対一方通行), おおぁ、響かねえぞ小僧ォああああッ!! ダメージ大(対一方通行(黒い翼)), どうなってんだよ、その背中から生えてる真っ黒な翼はァあああ!? ダメージ大(対一方通行(黒い翼)), 新たな制御領域の拡大<クリアランス>の取得だと。こいつ『自分だけの現実』<パーソナルリアリティ>に何の数値を入力した……;一体どことの通信手段を確立しやがったんだ!? 破壊, が、ぁ―――ッ!? 脱出, くそ、何でこんな事になってんだ。床を這いずる理由が全く浮かばねえ…… 射程外, まあ良い。こっちはこっちの事をやるだけだ 射程外, さっさと動いてさっさと終わらせるか 攻撃, 死体<オブジェ>ってのは、殺してナンボなんだよ。息の根を止めるってなぁ、彫刻の顔を仕上げるようなモンだ 攻撃, ぎゃはは!! このクソ野郎が! どの面下げて俺の前に立ってんだぁ!? 攻撃, あははぎゃははあはははッ!! 攻撃(対瀕死), ほぉーら、次はテメェの番だ。天国ってのがあるかどうか、今からくだらねえ事でも考えてやがれ!! 射撃(携行型対戦車ミサイル), あばよクソ野郎! 黒焦げにしてやらぁ!! 攻撃(対一方通行), 元気かなーん、一方通行。ぎゃははははっ!! 攻撃(対一方通行), テメェのオブジェはギャラリーに飾る段階じゃねえ。適当に石を削ってその辺に投げっ放したぁどういう了見だコラ;そんじゃ肉塊に対して失礼じゃねーかよー? 攻撃(対一方通行), テメェにお手本ってのを見せてやる。キレーなお肉の作り方ってのを教えてやるよ 攻撃(対一方通行(13巻)), テメェさぁ、もしかして自分で自分をすげー格好良いとか思ってんのか?;ぎゃはは! ふざけんじゃねえよ! テメェは一生泥ン中だ! 這いずっても這い上がっても泥まみれなんだよ!! 格闘(対一方通行(13巻)), こっちも今までテメェにゃムカつきっ放しだったんだ。銃なんか使わねえよ。殺す前に拳でたぁっぷりと沈めてやるぜええええええええ!! 携行型対戦車ミサイル(対一方通行), あばよクソ野郎! その白い体ァ黒焦げにしてやらぁ!! 手榴弾, ……ちょっと面白くしてやるからさぁ、もっとやる気出してくれよ 攻撃(とどめ)(対ザコ), さようなら子犬ちゃん、あなたの事ァ二秒ぐらいは忘れませんってなぁ!! 前方のヴェント 回避, やめとくコトね 回避, ぎゃははははははっ!! たっのしぃーい!! 回避, ハハッ!! 回避(対ヒューズ=カザキリ), あの野郎…… アレイスターッ!! 回避(対ヒューズ=カザキリ), ……殺してやる。そうか。これが虚数学区・五行機関の全貌ってコトか! ナメやがって。そうまでして私達を貶めたいかぁああああああああああああッ!! ダメージ小, なるほどなるほど ダメージ小, はは、さっきから面倒臭いわねぇ!! ダメージ小, わざわざ殺されに来たってコト? ダメージ小(対上条当麻), ハハッ、流石はウワサの右手。よく頑張ってついてくるねぇ!! ダメージ小(対上条当麻), 幻想殺し、って言ったっけ? その右手、報告にあった通り効き目バツグンみたいねぇ。所々に織り交ぜてる私の『本命』が全く効いてないわー ダメージ小(対ヒューズ=カザキリ), あの野郎…… アレイスターッ!! ダメージ小(対ヒューズ=カザキリ), ……殺してやる。そうか。これが虚数学区・五行機関の全貌ってコトか! ナメやがって。そうまでして私達を貶めたいかぁああああああああああああッ!! ダメージ中, くそ…… ダメージ中, ……関係、ない。何が出てこようが、私は目的を果たすだけってコトよ ダメージ中, げほっ……。クソ、出力が落ちてやがる…… ダメージ中(対突属性), やっぱ近づかれて、こっちが得するコトはなさそうね…… ダメージ中(対武属性), やっぱ近づかれて、こっちが得するコトはなさそうね…… ダメージ中(対接属性), やっぱ近づかれて、こっちが得するコトはなさそうね…… ダメージ中(対上条当麻), 気持ち悪い右腕ぶら下げて、どこまで私を笑わせりゃ気が済むのかしらぁ!? ダメージ中(対ヒューズ=カザキリ), あの野郎…… アレイスターッ!! ダメージ中(対ヒューズ=カザキリ), ……殺してやる。そうか。これが虚数学区・五行機関の全貌ってコトか! ナメやがって。そうまでして私達を貶めたいかぁああああああああああああッ!! ダメージ大, 私は科学が嫌い! 科学が憎い!!.私をこんな風にした科学が嫌い!.私の弟を見殺しにした科学が憎い!! ダメージ大, げうっ!? ダメージ大, 『神の右席』を……ナメてんじゃねえぞおおお!! ダメージ大, ふざけんじゃ、ないわよ…… ダメージ大, 私は科学が嫌いで科学が憎い!.科学ってのがそんなに冷たいものなら、全部ぶち壊して、もっと暖かい法則で世界を満たしてやる;ソレが弟の未来を食い潰した私の義務だ!! ダメージ大(対ヒューズ=カザキリ), あの野郎…… アレイスターッ!! ダメージ大(対ヒューズ=カザキリ), ……殺してやる。そうか。これが虚数学区・五行機関の全貌ってコトか! ナメやがって。そうまでして私達を貶めたいかぁああああああああああああッ!! 破壊, ……ッ!! 射程外, 反則じゃない? 射程外, ハッアァーイ♪ びっくりしちゃったカナ。怖がってないで出ておいでー? 射程外, ハハッ。怖がってるなぁ。 射程外, こっちにも事情があるからさー、あんまり言うコト聞いてくれないとー;グッチャグチャの塊にすんぞコラ 射程外, あらん。何だか面倒臭くなってきちゃったなオイ 射程外, ムカつく野郎だわ 射程外(対ザコ), テメェみたいな小物は後回しだ 射程外(対木原数多), アンタ本当に性根が腐ってるわね。少なくとも、私と同じくらいには 射程外(対ヒューズ=カザキリ), 貴様達のやってるコトを、私達は認めない!! 攻撃, 緊張しなくても大丈夫ダヨ? 痛みなんか感じるヒマもないんだから 攻撃, 吹っ飛べコラ!! 攻撃, ふっ!! 攻撃, (科学は、キライ。科学は、ニクイ) 攻撃, おおおアっ!! 攻撃, 私は科学が人を救うなんて信じない。.私は『神の右席』を利用してでも科学を潰したいほど憎んでんのよ!! 攻撃(対上条当麻), 目標発見。まぁそんなワケで、さっさとぶっ殺されろ上条当麻 攻撃(対上条当麻), ……よし、試してみるか 攻撃(対上条当麻), 自分の価値に気づきなさいなー。私の目的は上条当麻。それ以外は全部おまけ。あの禁書目録ですら、アンタに比べりゃ軽いってコトよ 攻撃(対上条当麻), 極端な発言をしてあげよう。我々は、日本という一国家を消滅させてでもアンタを殺すわよ 攻撃(対上条当麻), アンタは二〇億人から狙われる身なのよ 攻撃(反撃)(対上条当麻), まぁ、こっちの標的はアンタなワケだし、異教の猿に煩わされんのもムカつくし、素直に逃げないってんなら狙いやすくて大助かりなんだけどさぁ!! 攻撃(反撃)(対上条当麻), 自分の価値に気づきなさいなー。私の目的は上条当麻。それ以外は全部おまけ。あの禁書目録ですら、アンタに比べりゃ軽いってコトよ 攻撃(反撃)(対上条当麻), アンタは二〇億人から狙われる身なのよ 攻撃(対ヒューズ=カザキリ), 貴様達のやってるコトを、私達は認めない!! 攻撃(対ヒューズ=カザキリ), 科学は私達の道を奪い、その上、救いの術だと思っていた聖書まで、こうして冒涜で塗り潰そうとしてる! 所詮、科学の本質なんてこんなモノよ。人の邪魔しかしない!! 一方通行(黒い翼) 回避, ………………! ダメージ小, ………………! ダメージ中, ………………! ダメージ大, ………………! 破壊, ……………… 攻撃, ……………… 攻撃(対木原数多), 木ィィ原ァァあああああああああああああああああああああああッ!! 不可視の力(とどめ)(対木原数多), ihbf殺wq ## SS 駒場利徳 回避, ……遅いぞ 回避, 驚くなよ…… こちらだって真面目にやるさ 回避, ……不満そうな顔をするな 回避, ……当たらんよ 回避(対超属性), 貴様のような化け物と戦うんだ。これぐらいの準備があっても良いだろう……? 回避(対結標淡希), 俺は上品な葡萄酒よりも、安酒の方が好みでな。コルク抜きなど、もらった所で使い道がない ダメージ小, 痛みを与えるつもりはない、と。……涙が出るな ダメージ小, 俺を殺すつもりなら、貴様は対装甲兵器用の重火器を用意するべきだった…… ダメージ小, ふん ダメージ小, ……その程度では、この俺を止める事はできない ダメージ小, ……無様だな ダメージ中, ……少しは加減して欲しいものだな ダメージ中, ……チッ!! ダメージ中, くっ…… ダメージ中, 厄介な力だ ダメージ中(対超属性), 厄介な力だ。いや、まぁ……そうだな。厄介以上に憎らしい ダメージ中(対結標淡希), 座標移動か……。厄介な力だ ダメージ中(対一方通行), ……一方通行……。これは欲を張らずに資金を捨てて逃げるべきだった。こんな大物まで来ているとは ダメージ中(対一方通行), 一方通行……か。随分と有名人がやってきたものだが…… ダメージ大, ふ…… この程度の覚悟は、決まっている…… 無能力者の身で、貴様のような化け物どもと戦うと誓った時からな ダメージ大, ぐァあああああああッ!? ダメージ大, ご、ぼっ!? 破壊, ……ま、さか…… 破壊, ふん。場違いな行動を取り続ければ、いずれこういう結末を招くとは分かっていたが…… 攻撃, 早急に決着をつけよう…… 俺の前には。やるべき事が山積しているのでな!! 攻撃(反撃), お返ししよう 射撃, ……真っ赤に弾けろ 射撃(演算銃器), 俺の演算銃器は鋼鉄を撃ち抜く事もできれば……豆腐の中に弾を残す事もできる。好みの死に方があるなら早めに言え。……マニュアル操作なら大抵の死体を作る自信がある…… 射撃(対瀕死), ……チェックメイトだ…… 射撃(対瀕死), 最期に選べ……。どこを撃ち抜いて殺して欲しい 自爆, 手土産だ。この無様な光景を胸に刻んでおけ スキルアウト(ザコ) 回避, 路地裏で能力者達と渡り合うには、それなりの肉体作りが必要なんだよ 回避, まったく馬鹿だよな。そこらのスポーツ選手と同じ事やってんのに、誰にも褒められねえんだからよお!! ダメージ小, テメェは何なんだよ ダメージ小, くそ……雑な戦い方しやがって ダメージ中, くそがぁ!! ダメージ中, てっ、テメェ!! ダメージ中, ……後がねえ。俺達には後がねえんだ。 ダメージ大, オイ、冗談だろ―――ッ!? ダメージ大, 俺達はどうすりゃ良いんだちくしょう…… ダメージ大, 俺達には後がねえ。依頼をこなさなくっちゃならねえんだ…… ダメージ大(対上条当麻), ふざけんな…… 馬鹿にしやがって、無能力のくせに、ろくな力も持ってないくせに、俺達を馬鹿にしやがってええええええええええええッ!! 破壊, がっ!? テメェ、待っ―― 破壊, あがあああッ!! 射程外, 嵌められたのか……? 射程外, ちくしょう、誰だ!? 攻撃, 仕方ねえだろ、こうでもしねえと俺達無能力者は生きていけねえんだ! 攻撃, どこへ行っても馬鹿にされて、居場所を作れば全部壊されて。……そんな状況で、他人を食い物にする以外に、無能力者にどんな道があるっつーんだ!? 攻撃, 黙れ!! 格闘, たまんねえなオイ。殴り殺さなくちゃ気が済まねえよ ## 14巻 左方のテッラ 回避, おやおや。どうしたのですか 回避, 存分に挑戦し、存分に諦めてください。こちらとしても、そういう展開の方が面白くて大好きなんでね 回避, 遠慮なさらず、存分に玉砕してください 回避, 甘いんですがねえ!! ダメージ小, 多少は期待もしていたんですがねー ダメージ小, それほどでもないようで ダメージ小, 正直に言って、がっかりしましたよ ダメージ小, まさか、それで私に勝てるとは思っていませんよねー? ダメージ小, もっと私を楽しませてください。 ダメージ小, これでは『調整』の参考にもならないんですが ダメージ小, まさかと思いますが、それでおしまいなんて考えてはいませんよねー? ダメージ小, まさか。今のが打開策という訳ではありませんよねー? ダメージ小, そんなオモチャで私を叩けるとでも? ダメージ小, だから何だと言うのです ダメージ小, 私を止める事はできないんですがねー ダメージ小, ま、こんな所でしょうかねー ダメージ小(対瀕死), おや勇ましい ダメージ中, なるほど。そうきましたか ダメージ中, これは少々厄介な事になりそうですねー ダメージ中, やられましたねー ダメージ中, 本気という訳ですか ダメージ中, その程度で敗北するほど、左方のテッラは甘くはないんですがねえ!! ダメージ大, 救いが欲しいのですよ。そして救いを与えたい。神のプランが完璧であっても、我々人間が神の期待以下ならば全てはご破算だ! ダメージ大, 私は知りたいのですよ!! 現状の人類は『神聖の国』で争いをしてしまわないのか。そしてもししてしまうのならば、審判の日までに皆をどのような方向に導き直せば良いのかをねえ!! ダメージ大, な…… ダメージ大(対上条当麻), はは、なるほど。確かに幻想殺しは我々とは相性が悪い。何でもかんでも無効化してくれて、まったく自分達の努力を否定されているような気分ですよ 破壊, 何だ、このふざけた結果は…… 破壊, お……ぁ……? 射程外, しかし、さて、どうしましょうか 射程外, 時間を与えましょうか 射程外, まったく面倒な連中です 射程外, まったく、人間の術式を扱えないっていう私の『体質』も問題ですね 射程外, なるほど、それは困りました 阻止(光の処刑), ―――優先する 阻止(光の処刑), 優先する。―――人体を上位に 阻止(光の処刑), この私の前では強さ弱さなど関係ありません。そもそも、その『順番』を制御できるのですからねー 阻止(光の処刑), 『神の右席』に太刀打ちできると思っている事が、すでに間違いという訳です 阻止(光の処刑)(対武属性), 優先する。―――刃を下位に、人肌を上位に 阻止(光の処刑)(対魔属性), 優先する。―――魔術を下位に、人肌を上位に 阻止(光の処刑)(対術属性), 優先する。―――魔術を下位に、人肌を上位に 阻止(光の処刑)(対銃属性), 優先する。―――弾丸を下位に、人肌を上位に 攻撃, 暇潰しにでも付き合っていただきましょうかねー 攻撃, 少しは楽しませていただけるとありがたいのですが 攻撃, ふん 攻撃, パーっと散らせてあげますよ 攻撃, 待つのも面倒ですし、こちらから行きましょうか、ね!! かけ声(動きを下位に), - 動きを下位に, 優先する。―――刃の動きを下位に 動きを下位に(対空中), 優先する。―――刃の動きを下位に、空気を上位に 動きを下位に(対地上), 優先する。―――刃の動きを下位に、空気を上位に 動きを下位に(対水中), 優先する。―――刃の動きを下位に、水を上位に かけ声, やっと私の出番がきたようです かけ声, 少しは楽しませていただけるとありがたいのですが かけ声, パーっと散らせてあげますよ かけ声, 待つのも面倒ですし、こちらから行きましょうか、ね!! 光の処刑<大気>, 優先する。―――大気を下位に、小麦粉を上位に 光の処刑, 優先する。―――刃の動きを上位に 光の処刑, 優先する。―――人肉を下位に、小麦粉を上位に ## 16巻 後方のアックア 回避, 無駄である 回避, ふん 回避, この後方のアックアを、そこらの「神の右席」如きと同列に見てくれるなよ 回避, 逆転のチャンスなど、ない 回避(対高命中率), ――だが、それでも遅いのである ダメージ小, ――率直に言おう。もう少しまともな選択はなかったのかね ダメージ小, 策を練る必要は感じられない ダメージ小, もう良いか ダメージ小, ふむ、勇ましい限りだが、その言動を現実的な実力として見せてほしいものである ダメージ小, つまらん。もう限界であるか ダメージ小(対神裂火織), もう終わりかね、極東の聖人 ダメージ中, 良い度胸である ダメージ中, 肩を慣らすにはちょうど良いのである ダメージ中, (私の速度に、ついてきただと……?) ダメージ中, (なるほど、そう来るのであるか……ッ!?) ダメージ中, 良い動きである ダメージ中, 大したものである ダメージ大, ……ッ!! ダメージ大, ……素晴らしい。敵ながら見事である ダメージ大, な、に……? ダメージ大, そんなもので私を超えられるとでも思ったのであるか!! ダメージ大, ……面白い。$(相手ユニット)であるか。その名は我が胸に刻むに値するものとする!! ダメージ大, 貴様ら!! 破壊, お、おおおおおおおおおおおおおッ!? 射程外, ふん、性急過ぎたかな 射程外, なるほど 射程外, ……しかし、案外馬鹿ではないようだ 射程外, 小細工を…… 攻撃, 傭兵の流儀というものを紹介してやるのである 攻撃, ここだ 攻撃, 仕方がない。死を望むなら、波間に消えると良いのである 攻撃, 覚悟しろ。我が戦場に立つというのなら、蹴散らす他に道はない!! 攻撃, ふっ!! 攻撃(対神裂火織), 見せてみろ、極東の聖人。口先だけの言葉ではない。その刃に籠めた理由を、ただ無言のままに示して見せろ かけ声, さて、小手調べはこの辺りにしておこう かけ声, さて。何秒保つか楽しみである かけ声(反撃), 良いものを見せてもらったのである。こちらも返礼をしよう 聖母の慈悲, ――聖母の慈悲は厳罰を和らげる」. SIZE=6 T H M I M S S P /SIZE COLOR=#FFFFFF ;時に、神の理に直訴するこの力. SIZE=6 T C T C D B P T T R O G. /SIZE 慈悲に包まれ天へと昇れ!!」. SIZE=5 B W I M A A T H COLOR=#FFFFFF
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/3570.html
前ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/こぼれ話 御坂シスターズinロシアこぼれ話 美琴「ほへぇ。久しぶりね。こぼれ話」 上条「それは俺が入院してたからだな。前回のこぼれ話の後、酷い目に合ったんで回復にここまでかかっちまったんだよ」 美琴「ま、まあ……そう、かな?」 上条「おいこら何目を逸らしてやがる。そういやテメエ、あん時助けてくれなかったよな?」 美琴「お、男が女に助けてもらうって何かカッコ悪くない? アンタ、どっちかってーと、そう考えてる節があるし」 上条「そりゃ時と場合による。前回は助けてほしかったですねー」 ??「そろそろゲスト紹介してくんないかな? 何かこのままだとおねーたまとヒーローさんのピロートークが永遠と続きそうなんだけど」 美琴「って、どこがピロートークなのよ!?/// 例えにしても完全に的外れなまでに間違ってるわよ!!///」 ??「ほへ? お姉様って『ピロートーク』の意味が分かるの、ってミサカはミサカはお姉様に言葉の意味を尋ねてみたり」 美琴「……ま、まだアンタには早いわよ! そういう話!!///」 上条「あん? 今回のゲストって番外個体と打ち止めなのか?」 番外「そりゃロシア編と言えば当然だね。くぅ! やっと正式ゲストで呼ばれたよ!! ちなみに最終信号、ピロートークってのはこういう意味」(MNW配信開始) 打止「はわわわわわ!! そんな細かくなくていいし、前の段階から流さなくていいから!! ってミサカはミサカは思いっきり顔をゆでダコにしてみる!!」 ??「打ち止めに余計な事吹き込ンでンじゃねェよ!!!」 番外「おっと。もんのすごい場外からどこぞのロリコンが叫んでるから、最終信号弄りはこの辺で止めておくね。ギャッハ☆」 上条「度胸あるなぁ…」 美琴「はぁ……相変わらずねぇ……この性悪女。とと、それともう一人いるわよ今回」 上条「へ? そんなに多いの? 誰?」 ??「こんにちは。そして初めまして。今日はよろしくお願いいたします、とミサカは丁寧にお辞儀をしながら入室します」 上条「あれ? 御坂妹、だよな? どうしたんだその格好? いつもの常盤台の制服じゃなくて、何だかロシアっぽい暖かそうな格好をしているが……つーか、御坂妹なら何度か来てるだろ? 初めましてって何だよ」 美琴「あははは。やっぱ初見だと見分けつかないよねー。その子は普段どことなく私たちに絡んでくるあの子じゃないわよ。てことで今回はこういう表記ね」 妹達「はい。ミサカはロシア在住のミサカ一〇七七七号です、とミサカは改めて自己紹介します」 上条「い、いちまんななひゃくななじゅうなな? いちまんななひゃくななじゅうなな? いちまんななひゃくななじゅうななって何だ? 御坂妹、お前は何を言ってるんだ?」 妹達「これまた随分懐かしいネタですね、とミサカは関西圏にある某県立高校を中心に巻き起こったエンドレスエイトを思い出しながらツッコミを入れます。それと、設定をお忘れですか? とミサカは問いかけます。ミサカたちは実験の後、学園都市に十人ほど残して世界中にばらまかれたのです、とミサカは簡単に説明します。それにしてもMNWを介して拝見するのと、生で拝見するのとではやはりかなりの違いがありますね、とミサカは憧れの貴方と出会えたことに至上の幸福を感じます。ぽっ」 上条「お、おう。よろしくな……(って、待て待てこれ以上近づかないでくれないかな? その、きみのねーちゃんがだな――って、あれ? だんまり? 顔は少し不機嫌だけど) 美琴(はぁ……MNWがあってもこの子自身は初めてコイツと逢う訳だし、それをやっかんじゃ、こっちの方が悪者になっちゃうもんなぁ……) 打止「さっすがお姉様。ミサカたちは遺伝子レベルじゃ同質でも一人一人を個々として扱ってるから妹を立ててるってことだね、ってミサカはミサカはお姉様の行動に感激してみたり」 美琴「まあ……ね……」 番外「ほほぉ。てことは一〇七七七号。今日ならおねーたまは多少ヒーローさんに何しても寛容になってくれるかもよ?」 妹達「そうなのですか? では、初めてお会いした記念にこうやって手を握るくらいはOKですか、とミサカは彼の手を優しく両手で包みこみます」 上条「ひぃやああああああ!」 美琴「ぬ、ぐ……」 上条「お、落ち着け御坂……な? な? って、そう言えば今回ってロシア編なんだよな? 何でゲストがこの三人な訳? 禁書的には三大主人公の一方通行と浜面の方がいいんじゃね?」 打止「はまづら? 誰ソレ? ってミサカはミサカは素朴な疑問を抱いてみたり。ちなみに一方通行は今日はお留守番だよ、ってミサカはミサカは報告してみる」 番外「番犬は鎖に繋いでお家で大人しくさせとかないとね!」 (その頃の黄泉川宅) 一方「黄泉川は仕事、芳川は就活、で、あのウルセエ二人がいねェンだし、ゆっくりさせてもうらおうと思ったのによォ……」 (再びスタジオ) 美琴「ふーん。あのもやしが来ない細かい理由は聞くつもりないし来ないなら来ないでそれは嬉しいわ。で、はまづらって誰? そんなの居たっけ?」 上条「スキルアウト崩れで暗部の使いっ走りに転落した後、シンデレラストーリーのように主人公までの階段を駆け上がった奴なんだけどなぁ……てかお前と番外個体はハワイで会ってるだろ……」 美琴「あー、言われてみれば」 番外「そういや居たね。そんなモブキャラ」 上条「一応モブじゃないんだけど、モブとまで言うか……?」 「ここで耳寄りなお知らせがあります。スカートの下から『尻尾』を伸ばしているわたくしレッサーですが、実はスカートの下はスパッツではなく直パンツです」 「その何の役にも立たねえ情報を渡されて俺にどうしろってんだ!?」 美琴「……………」 打止「……………」 妹達「……………」 上条「ああっ!? 女性達からの視線が痛い! 上条さん、否定したのに!」 番外「どうしろも何も、この状況で男がやる事って言ったら一つでしょ」 上条「その一つはやっちゃいけない事なの!」 妹達「下着が見たいのでしたらミサカがいつでも見せてあげますよ、とミサカはスカートをたくし上げて縞パンをあらわにします」 美琴「だーっ! しまえしまえ! ったく、どうしてアンタ達はそう羞恥心が薄いのよ!」 妹達「そう言えばMNWからの情報によりますとお姉様は下着の上に短パンを穿いているそうですね、とミサカはお姉様の脆弱さに笑いがこみ上げてきます」 美琴「公衆の面前でパンツをひけらかす方がどうかと思うんですけど!?」 番外「で? 肝心のヒーローさんはぶっちゃけどうなの? おねーたまみたいに完全ガードしてんのと、このレッサーって人や一〇七七七号みたいな丸出しなの」 上条「それどうしても言わないとイケナイ事か!?」 打止「……ミサカはゲコ太のパンツ穿いてるけど見る? ってミサカはミサカは男の人がどうしてこんな物を見たいのかよく分からないけど」 上条「………いや、打ち止めのは色んな意味でヤバイから本当にやめとこ」 「色目使ってんだから反応しろよ!! とっとと押し倒せば既成事実になってイギリスのための尖兵一丁上がりになるのに!!」 ―――― 「は、はうあーっ!?」 「っ!? ど、どうしたのよ五和?」 奇行に驚く建宮斎字に、五和はおどおどした調子でゆっくりと目を逸らし、 「い、いえ……。その、何か、嫌な予感が……」 美琴「は、はうあーっ!?」 番外「おっ、こっちでも嫌な予感がしてる人がいるねぇ」 打止「リアクションも五和って人と同じだね、ってミサカはミサカは相槌を打ってみる」 上条「五和も御坂も、何をそんなに驚いてんだ?」 妹達「おおっふ…他のミサカ達から話は聞いていましたが噂に違わぬ鈍感っぷりですね、とミサカはこれを攻略しなきゃならないのかと溜息を吐きます」 番外「まぁ一部ではある種の名物になってるくらいだからね、この鈍感さは。おねーたまもこのレッサーって人を見習って、もうちょっと攻めたらどうなん?」 美琴「せせせ攻めるって何をよ! 何をどう攻めるってのよ! か、関係ないじゃない!」 打止「そしてこれがお姉様名物ツンデレって奴なんだよね! ってミサカはミサカは解説してみる!」 美琴はモバイルとは別の、携帯電話に目をやる。 ゲコ太のくっついてる携帯電話だ。 とあるツンツン頭の少年の番号に何度か掛けているのだが、全く繋がる様子がなかった。 番外「ニマニマニマ。ちなみに何で『何度か』かけたのかにゃー?」 美琴「ふっ。悪いけど、アンタが思い描いている幻想はぶち壊してあげる。こん時はコイツがクーデター真っ只中のロンドンに居たって聞いてたから心配だっただけなのよね。知り合いが危険な状況下にいるって分かってるんだから、そりゃ何度か掛けるわよ。これはコイツじゃなくても私の友人知人が相手なら、絶対そうするものなの。人としてね」 打止「あー分かる分かる、ってミサカはミサカはお姉様に同意していみたり。でも、繋がらないことの方が圧倒的に多いんだよね、ってミサカはミサカは苦笑いしてみる」 妹達「ところでお姉様。どうして、お姉様はこの人の番号を知っているのですか? とミサカは問いかけます」 美琴「そ、それはその……!/// えっとなんて言うか……!?///」 上条「そりゃあ、俺と御坂の携帯はペア契約になってるからだな。だからほれ、俺の携帯にもカエルのストラップが付いてるぜ――って、ちょっと待った。お前、御坂妹の妹ならMNWで知ってんじゃね?」 妹達「お姉様の面白リアクションを引き出すためにすっとぼけて問いかけました、とミサカは衝撃の事実を暴露します」 美琴「って、うぉぉぉぉぉいいいいいいいいいいいいいいいい!!」 番外「そういやこの子も天然だけど結構辛辣だったっけ」 打止「……ロシアって土壌だとミサカたちの性格はみんなこうなるのかな? ってミサカはミサカはちょっと慄いてみたり」 御坂美琴は九月にあった大規模な体育祭『大覇星祭』で、上条当麻の学校の競技を観戦した事がある。 番外「わ~お。おねーたまってば、そんな面白そうな事してたんだ」 美琴「はいはいその辺りのくだりは散々やったから、過去のこぼれ話を読んでね」 妹達「さりげなく宣伝を入れてきましたね、とミサカは感心します」 番外「ちぇー。おねーたまってば反応悪」 美琴「ふっふーん。それくらいの煽り、○天さんから散々あったんで免疫が出てきてんのよ」 番外「ん? 何その人、ぜひミサカのおトモダチにしたいんだけど」 美琴「そそそそそそそそそれはだめ!! だってアンタたちまだ学園都市の機密事項だし、その人は普通の学園都市の学生だし!!」 妹達「? なんだかお姉様が否定しているのは学園都市機密事項以外の理由が混ざっている気がするのですが? とミサカは疑問を抱きます」 上条「というか、佐○さんが御坂をさんざん煽ってんのは原作【禁書目録】の話じゃないよな。この話の趣旨的には原作【禁書目録】で話しよーぜ」 番外「はうむ……正論……」 妹達「解りました、とミサカは疑問を胸にしまって首肯します」 美琴(よっしゃーナイスよアンタ! 今この時だけは褒めてあげる!!) 打止「それで罰ゲームをやって、さっき言ってたペア契約の話に繋がるんだよね! ってミサカはミサカは下位個体達の会話から得た情報をひけらかしてみる!」 上条「そう言えばその罰ゲームん時に初めて打ち止めと会ったんだよな」 美琴「あーあー私との罰ゲームの筈なのに、私がちょっと目を離した隙にどういう訳かアンタが私の妹二人と両手に花状態でデレッデレしてた時ね! 私との罰ゲームなのにね!」 上条「デレッデレなんてしてなかったし、何でそれで御坂がイッライラしてんだよ!?」 美琴「はぁっ!? イッライラなんてしてないんですけど!?」 上条「してんじゃん!? 頭がバッチバチ鳴ってんじゃん!?」 打止「これが学園都市名物ツンデレ―――」 美琴「それはもういいから!」 ニュース番組の中では、アナウンサーが雪のロシアの状況を説明している。生中継というテロップはないので、少し前に撮影されたものだろう。 その画面の端に、小さく誰かが映っていた。 ズボンのポケットからゲコ太のストラップをぶら下げている、あのツンツン頭の少年は、一体どこの誰だっけ? 美琴「えっと……/// さっきも見せてもらったけど、アンタって、そのストラップいつも付けてくれてたんだ……///」 上条「まあな。せっかくもらったものなんだし付けないのは勿体ねーじゃん」 美琴「そ、そう……///」 番外「はぁ……なにこのラブコメ波動……(ただしおねーたまのみ)」 打止「番外個体はこういうほんわかした空気が苦手そうだもんね、ってミサカはミサカはあなたの心中を読んでみたり。でもミサカはほっこりできて嬉しかったり、ってミサカはミサカは少しお姉様を羨んでみる」 妹達「……海外組のミサカに、はたしていつチャンスが訪れるのでしょうか、とミサカはため息を吐きます」 上条「だって、俺、お金なくてストラップを買えないし、周りが皆付けてるの羨ましいところもあったから、本当は結構嬉しいんだぜコレ」 美琴「そ、そうかな……?///」 上条「でもなぁ。なぁんか、周りに評判良くないんだよ。男子からはキッツイ目を向けられるし、女子からはどんよりした視線を感じるし、やっぱこのカエルのストラップって高校生が付けるものじゃないってことなのかね?」 美琴「そ、そんなことない……!/// に、似合ってると思うし可愛いじゃない……!///」 上条「そうかなぁ?」 番外「どうやらヒーローさんの周りはあのストラップがどういう意味のものか分かってるみたいだね♪」 妹達「ゲコ太ストラップなんてそうそうないでしょうから、モロバレなのでしょう、とミサカは推理してみます」 打止「あの人の周りの反応を聞いて番外個体が活き活きしてきた!? ってミサカはミサカはムンクの叫びの顔になってみたり!」 一方通行は雪の中を走っていた。 獲物を追うためではない。目的地を目指して疾走しているわけでもない。 逃げるために。 あの学園都市第一位のレベル5が、打ち止めを抱えて逃亡のために走っていた。 恐ろしい。 彼は素直にそう思う。 木原数多よりも。 垣根提督よりも。 エイワスよりも。 あの少年よりも。 背後に迫るこの敵は、ある意味において、一方通行の価値観を支えている柱のようなものを一撃で揺さぶるほど、圧倒的に恐ろしすぎる。 上条「ほへぇ。知らない名前テンコ盛りだけど、雰囲気から察するにその知らない名前たちも結構強いんだろうけど、あいつをここまで恐れさせる相手って誰だ? あいつが恐怖のあまり逃げ出す相手ってどんだけ凄いんだよ」 打止「ちなみに、『あの少年』はあなたのことなんだよ、ってミサかはミサカはご丁寧に教えてあげてみたり」 上条「え? 俺、一方通行に恐れられてんの? 何で?」 妹達「正確には、『憧れられている』ですけどね、とミサカは本人がいれば全力で否定しそうなことをさらりと告げます」 美琴「それはともかく、この一方通行が恐れている相手に興味あるわね。人間ならお友達になりたいかも。でも女の子限定」 打止「あー、とミサカはミサカは目を泳がせてみたり」 妹達「気持ちは分かります、とミサカは相槌をうちつつお姉様から目を逸らします」 上条「相変わらず、あいつのことになると隠そうともせずにキッパリ嫌うよな、お前って。打ち止めと御坂妹の妹が呆れてんじゃねえか」 番外「……」 「やっほう。殺しに来たよ、第一位。ミサカは戦争の行方なんか興味ない。そういう風なオーダーはインプットされていない。ミサカの目的は第一位の抹殺のみ。ミサカはそのためだけに、わざわざ培養機の中から放り出されたんだからね」 美琴「って、アンタなんかい番外個体!! てことはこれ、アンタの初登場シーン紹介じゃない!!」 番外「そういうことよん♪ 本来の流れを変えちゃってるから余計緊迫感あるよね、この場面」 打止「学園都市も結構エグイことするよね、ってミサカはミサカはちょっと困った笑顔になってみたり」 妹達「モヤシのトラウマをものの見事に抉ってきています、とミサカは少しほくそ笑みます」 上条「ちょっ!? ミサカネットワークつーか、御坂の遺伝子が結構番外個体の言葉に賛同してません!?」 番外「そりゃまあ、ミサカはミサカネットワークから悪意を特化して抽出しているわけだしね。あとヒーローさんに言っとくけど、ミサカたちが『人間らしくなっていく』っというのは何も幸福とか喜びとかのプラス方向の感情だけを身に付けていくってことじゃないから。憤怒、憎悪、嫉妬っていうマイナス方向の感情も身に付けていくからそこんとこヨロシク」 上条「ん? まあそりゃそうだろ。けど、俺は別に心配してないぜ」 番外「あれ? 肯定するの?」 上条「そういうのも全部ひっくるめて『人間』だろ? つっても、お前や打ち止めも含めて、妹達は『御坂美琴の遺伝子』から培養されてっから、根っこは良い奴だって解ってるから心配してないってだけだ。お前らは道を踏み外さないって確信を持っている」 打止「おぉ! ヒーローさんが何気にお姉様を持ち上げている! ってミサカはミサカは歓喜してみたり!!」 番外「うぅ……何でだろ……今のヒーローさんの言葉を思いっきり否定したいのにできないなんてミサカらしくないにゃー……」 妹達「どうしましたお姉様? 顔に暗い影が差しているうえにミサカたちから目を逸らしているようですが? とミサカはきょとんとして問いかけます」 美琴「……いや、ちょっとアンタたち全員が眩しすぎて……」(理由は新約15巻参照) ニュース内のロシアからの映像の端に、あの少年を確認できた。やはり、日本にはいないのだ。しかも、よりにもよってこの戦争の中で、最も危険な場所をノコノコ歩いている。 上条「ノコノコって…そんな馬鹿みたいな言い方…」 美琴「事実でしょうが。何、戦場をお散歩気分で歩いてんのよ」 番外「にしてもこんな小っさい画面でよく見つけられたね」 美琴「コイツの髪型は遠くからでも目立つのよ。無駄にツンツンしてるから」 打止「え、それだけの理由で? ってミサカはミサカは首を傾げながら追及してみる」 美琴「それだけって…逆に他にどんな理由があるってのよ?」 打止「いやだから、好きな人なら遠くからでも確にもぐまがふがほごっ!!?」 妹達「ふぃ~危ない危ない、とミサカは上位個体が余計な事を言う前に両手でその口を塞ぎました」 番外「結構な所まで喋ってたっぽいけど」 上条「え? え? 何どうしたの急に? 全然聞こえないんだけど?」 美琴「あ、あ、危なかった…と、私は打ち止めが余計な事を言う前から嫌な予感がして両手でコイツの耳を塞いでたわ///」 幻想殺しというのは、あの少年の事だろう。そんな能力の名前を口に出していたのは、何となく覚えている。 美琴「ぶっちゃけアンタのその能力って何なの? ただ能力を打ち消すだけかと思ったら、大覇星祭の時は変な龍を出してたし、かと思ったら消滅した右手は再生してるし」 上条「それがなぁ…俺にもサッパリなんだよな。テッラが言うには、俺も記憶をなくす前なら何か知ってたらしいんだけど…」 妹達「メタな発言ですが原作者がまだその答えを出してないのに、このこぼれ話を書いてる連中が分かる訳ないですよね、とミサカは身も蓋もない事を言います」 美琴「……他の子もそうだったけど、こぼれ話での妹達はホント空気を壊すのが好きよね…」 上条「ま、まぁ異能の力を打ち消す能力って事で一先ずはそれでいいんじゃないか?」 番外「そだね。おねーたま的にはそれだけで特別な存在になるから」 美琴「ぶっふぉう!!? ココココイツが特別な存在とか何言っちゃってんのよ!!? ただちょっと気になる存在ってだけだからっ!///」 打止「えっと…それ全く同じ意味だよお姉様、ってミサカはミサカはいつもはボケ役なのにツッコミに回ってみる」 ……かつて、絶対能力進化計画で『妹達』が虐殺されるのを防ぐため、あの少年は命を賭けて、学園都市の大きな闇に立ち向かってくれた。 ―――― あの少年には大きな借りがある。 いい加減に少しはそれを返しても良いかなと、走りながら美琴は思う。 上条「神裂も似たような事を言ってたけどさ、俺は別に貸しを作ったとか思ってないぞ? 妹達の件だって俺がただやりたいようにやっただけなんだから、御坂が責任を負う必要だって無いし」 美琴「ホントにアンタは…当たり前みたいにそういう事を言うんだから…///」 妹達「計画の当事者としてはその言葉は口説き文句以外の何者でもありませんね、とミサカはキュンキュンきている胸を押さえながら返事をします///」 上条「…?」 番外「でもさー、借りがあると思ってるなら他に返しようもあると思うんだよね」 打止「例えばどんな風に? ってミサカはミサカは興味津々に尋ねてみる!」 番外「そりゃヒーローさんだって一応は健全な男子高校生な訳っしょ? おねーたまみたいなリアルJCなら、体を張った返し方くらいある訳よ。例えば前に偶然ネットで見つけたこの薄い本みたいに…」(MNW配信開始) 打止「きゃわわわわっ!!! ここ、これはちょっとミサカには早すぎるかも、ってミサカはミサカは二度目のゆでダコ状態にいいいいいいい!!!」 妹達「お、お姉様とこの人がそんな格好で組んず解れつ…えっ、そんな所にそんな物を!? しかも更にそんな事までしてしまうだと!? とミサカは鼻息荒く実況します!!」 美琴「え、えっ!? ちょ、ネットワーク内の私はコイツに何してんの!? どんな事して借りを返してるってのよ!? どんな格好で、どこに何を、どんな事までしてるってのよおおおおお!!!?///」 上条「あ、上条さんだけ置いてけぼりパターン入った」 「ロシアまで行ってちょうだい。本来通りの仕事をしてくれれば褒めてあげる」 上条「お前これハイジャッ…」 美琴「き、緊急事態だったから仕方ないの!」 番外「そうそう。一刻も早く愛しのあの人に会う為には手段なんて選んでいられなかったもんね。ギャッハ☆」 打止「なにそれ素敵! ってミサカはミサカはおとぎばなしみたいな展開に目をキラキラさせてみる!」 妹達「そんな夢のあるシチュエーションじゃねーよ、とミサカは水を差します」 美琴「て言うか。だだっ誰が愛しのあの人よ!!? 確かにコイツがいつ危ない目に遭うか分かんなかったから急いでたけど、べ、べ、別に早く会いたいからとか…そ…そんなんじゃ…ないし……///」 上条「そっか…心配してくれてたんだな。ありがとな、御坂」 妹達「くっ…お姉様がツンデレてるので大丈夫かと思いきや別の角度から好感度が上がってしまいましたか、とミサカは爪を噛んで出遅れた事を後悔します」 上条「っと、今回はここまでか?」 美琴「ロシア編は原作3本分あるからね。こぼれ話も3回くらいに分けるんじゃないかしら?」 妹達「ゲストはどうなるのですか、とミサカは次回以降のミサカの出番を全裸待機中です」 上条「こらこらセリフだけで姿が見えないからって適当な事を言うんじゃありません。服ちゃんと着てるでしょうが」 妹達「ミサカはあなたの前でなら脱いでも構わないのですが、とミサカは割りとマジな顔で答えます」 上条「はいはい、それはどうもねー」 妹達「冗談だと思われてる…とミサカは…」 美琴「コイツの鈍感さをナメたアンタが悪いわよ。で、話を元に戻すけどゲストってどうなのかしら?」 番外「ん~…今回と変わんないんじゃない? ミサカ達、ロシア編でのヒロインポジだし」 上条「浜面んとこの彼女の立場は…」 打止「う~ん…ここはあなたとお姉様が中心のスレッドだから、それとはあまり関係がないヒロインさんは申し訳ないけど出番がないと思うの、ってミサカはミサカはドライでクールな意見を述べて大人な女性を演出してみたり」 妹達「せめて、あなたかお姉様と少しでも絡んでいるシーンがあればレッサーとかいう人と同じで出番もあったかもしれませんが、まったくノータッチですから仕方がないです、とミサカは事務的に述べます」 上条「いや……その理屈だとお前ら【打ち止めと番外個体】もゲストで来てるのおかしくね?」 美琴「何言ってんの。そっちの子もそうだけど、この子たちも『私の遺伝子』で生まれてきてんのよ。妹達の一人が私と絡んでるなら、この子たちも絡んでることになるってこと。確か、ずいぶん前のこぼれ話でも同じこと言わなかった?」 上条「あー……そういや確か言ってたな。残骸の時のやつで」 番外「それに何つっても『いちゃいちゃSS』だもんね~ヒーローさんと『ミサカ』以外は部外者ってか? ギャハハハ☆」 美琴「余計な事は言わなくてもいいからっ!///」 上条「そっか。じゃあいつになるかは分からないけど、次もこのメンバーでお送りしますって事で」 美琴「そ、そうね。またお会いしましょう。さようならー」 前ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/こぼれ話