約 488 件
https://w.atwiki.jp/seisoku-index/pages/1082.html
8月19日午前12時00分、『猟犬部隊』32番待機所 もしかしたら、想像出来ない光景かもしれない。 彼らを知っているものなら、尚更に。 「うん、美味しいんだよ! この唐揚げがもっと欲しいかも!」 「ちょっとは遠慮しろ、クソガキ」 「むー。そういうあまただって肉ばっか食べてると思うけど!」 「あの……べーしっくも……もうちょっと欲しいです」 「……ん」 大皿に乗っている唐揚げを、木原が3つほど『管理個体』の皿に取り分ける。 それを見て怒り心頭になったのはインデックスだ。 「な、何でベーシックには甘いのかな!?」 キーキーと怒る彼女だが、右隣に座っていたエツァリが唐揚げを渡したことで機嫌を回復させた。 「ありがとうなんだよ、エツァリ」 「いえいえ。他に何か食べたいものはありませんか?」 「えーと、そっちの海鮮サラダが食べたいな!」 「はい、どうぞ」 ニコニコ顔でサラダを持ってくるエツァリに、ショチトルが静かに声をかける。 「エ、エツァリ。その……私にも少しくれないか?」 「分かりました。ではお皿を出して下さいショチトル」 エツァリとインデックスの話が終わったので、彼女の左にいるステイルがここぞとばかりに酢豚を差し出した。 「インデックス、こっちも欲しいだろう?」 「あ、それも大好きなんだよ!」 「良かった。たくさん食べてくれ」 「…………何なの、この空気」 「知らん」 この場にある大量の料理を作ったナンシーの独り言に、向かいに座るマイクがそっけなく返答。 そう、彼らは完全無欠に昼食中だった。 意外に思うかもしれないが、『対魔術師用特別編成隊』は基本的に全員で食事を取る。 その為、待機所の食堂は賑やかなものとなっていた。 現在ここに居ないのは、研究が大詰めを迎えてフィーバーしているテレスティーナだけだ。 ※木原が帰ってきたため、寮監は帰宅している 「木山センセ、そこの塩取ってくれる?」 「これか」 「ありがとー」 「しかしヴェーラ、私を先生と言うのは止してくれないか」 「えー。じゃあ木山ちゃん?」 「……もういい。好きに呼びたまえ」 各自バラバラに食事をしないのは、敵対勢力を警戒しての事だ。 魔術師と戦っている以上、いつ攫われたり入れ替わったりされるか分からない。 個人行動を極力減らすことで、その危険性を避けようというのがその理由である。 ――ただし、これは建前だ。 実際はもっとシンプルな理由が存在している。 すなわち、インデックスに外食させていては無駄に資金が吹っ飛ぶから。 どうせなら全員で揃って食事をして、時間の無駄を省きたいと言うのもある。 故に彼らは、食事を当番制で用意しているのだ。 ちなみに。 リーダーの木原は、肉以外を決して料理しようとしなかったので当番から外された。 8月19日午後4時00分、学園都市統括理事会 ――『あの異端児、随分と面倒な事をしおって。幾らの経済損失を被ると思っておる!』 ――『ふむ。しかしこのデモは、些か不可解と言わざるをえないだろう』 ――『その通りです。わたくしはあらゆる角度から大衆心理分析を行いましたが、この抗議活動は不自然極まりないと結論付けます』 ――『んで、どーするよ? 一々叩き潰すのは手間だぜ』 ――『……面倒はキライ……』 ――『それについては、木原数多から報告がある』 ――『ほう。打開策を提案してきおったか?』 ――『現刻から72時間以内にこの状況を改善する、と』 ――『なに……?』 ――『本気なのか?』 ――『実に面白いですね。わたくし達は静観していろと言う事でしょうか』 ――『ただし、条件があるらしい』 木原が提示した条件を、統括理事会の一人が読み上げる。 その条件を認めるか否か、彼らは1時間ほど悩んだ。 そして、結論が出る。 ――『じゃあよォ、この提案を承諾するっつー事でいいな?』 ――『異議なし』 ――『異議なし』 ――『異議なし』 ――『異議なし』 ――『異議なし』 ――『ここに統括理事会の合議が成立した。異端児の成果を期待するとしようかの』 8月19日午後2時00分、『猟犬部隊』32番待機所 統括理事会が会議を開く2時間前。 会議室に呼び集められたのは、インデックスやエツァリ、ショチトルにステイルといった魔術師だ。 「やっぱり、今回使われている霊装は……『C文書』の可能性が一番高いんだよ」 木原から事の次第を聞いたインデックスは、ハッキリそう言った。 「教皇が宣言したことを強制的に『正しい』と信じさせる。それこそ信じられねぇ話だな」 「む、疑うの?」 「まさか。それぐらい出鱈目なモノじゃなきゃ、今回の不自然なデモは説明出来ねーよ」 感心したように言う木原を、黙っていたショチトルが睨みつけた。 「それでどうするのだ? C文書はバチカンに設置して使う霊装なのだろう?」 「……」 「まさかこの状況で、再びバチカンへ行く気か?」 「……それなんだけどよ」 「本当に、C文書は“バチカンだけ”でしか扱えないのか?」 木原の問いかけに、インデックスはどういう事?と首を傾ける。 「あのローマ教皇の態度を見る限り、こんなデモを起こすとは考えにくいだろ」 「それは……」 バチカンで対峙した時、ローマ教皇はどんな態度だったか。 ――「止まってもらおうか。貴様をこのまま放置しておけば、いずれ大きな災厄となるだろう」 ――「貴様の身柄を拘束し、学園都市統括理事会との交渉材料にする。私は争いを望まない」 (そうだ。学園都市を潰す為に信徒を利用すると言うのは、ローマ教皇の行動パターンと一致しない) (それにあの会談からわずか2日しか経ってねぇ) (うんざりするほど大勢いる枢機卿の意見が、こうも早く纏まるとも思えねーし) (恐らくは、そういう正規のルートを飛び越えたところでこの霊装は使われた) (じゃなきゃこのスピードは説明がつかないしな) (それが出来るのは、間違いなくあの『フィアンマ』とか言う奴の同類だろう) (……可能性としちゃ、十分考えられる) そこまで考えた木原は、インデックスにこう問いかけた。 「なあ、仮にC文書をバチカン以外で扱うとしたら、どこが考えられる?」 アビニョンの名が挙げられたのは、それから10分後だ。 さらにそれから30分ほど費やして、木原は自らの考えの裏付けを取った。 アビニョン周辺の航空写真、物資の移動記録、バチカンからの渡航記録等。 それらを分析した結果、木原はC文書がバチカンではなくそこにあると判断する。 「完成したクローンの初陣に丁度いい。世界を混乱させるローマ正教の野望を、打ち砕こうじゃねーか」 「しかし、堂々と兵士を――それもクローンを――フランスへ送り込むなど不可能では?」 エツァリが疑問を呈する。 それに同意して、ショチトルも首を縦に振る。 「エツァリの言う通りだ。あの地域は今も暴動が続いているんだぞ」 「いやいや、そこは学園都市ならではのやり方があるから心配すんなって」 「……?」 「俺は、今学園都市を出る訳にいかないから……作戦の指揮をマイクに任せよう」 「エツァリとショチトルは、同行して指示に従え。いいな?」 こうして、『アビニョン攻略作戦』が始まった。 8月19日午後6時00分、同時刻、天草式十字凄教のとある拠点 「教皇代理、全ての準備は整いました」 「……そうか。なあ対馬、俺は今でも信じられんのよ」 「私もです。まさか、あの方が……我らの女教皇が、殺されたなどと……!」 その言葉を聞いて、教皇代理と呼ばれた男が拳を握る。 「この身を焦がすような怒り、抑えようにも抑えられんのよな」 「はい」 「木原数多。この男だけは、俺の手で――」 その先を言う前に、天草式のメンバー50人が彼の前に姿を見せた。 同じ気持ちを抱く仲間を前にして、教皇代理――建宮斎字(たてみやさいじ)は厳然と告げる。 「行くぞ。我らが敵の待つ、学園都市に」 同時刻、胤河製薬学園都市支店 統括理事会の許可を得た木原は、木山を連れて製薬会社を訪れた。 「何故、私まで連れてきたのかね?」 「ここにはよぉ、木山ちゃんが会いたい人間がいるんだわ」 「……誰の事だい?」 「もーすぐ会えるから、ちょっと我慢しろって」 はぐらかされた木山は、大して期待もせずに木原の後に従う。 (どうせ、教え子に再会させるつもりもあるまい) (この男に期待したところで、裏切られるのが関の山だろうしな) そんな事を思っていると、やがて2人は研究棟の地下3階へ到着した。 不可解な事に、そこはまるで牢獄のように鉄格子が一面に並んでいる。 「なんだここは? まるで牢屋じゃないか」 「大正解だぜ木山ちゃん。ここは悪人を閉じ込める牢屋なんだよ」 その時だ。 フロアの一番奥。頑丈な鉄格子の向こうから、場違いに楽しそうな声が届いたのは。 「おや、まさか君が来るとは……会えて嬉しいよ、木山君」 そのおぞましい声を聞いて、木山は失神するかと思った。 自分にとって、絶対に忘れられない人間の声。 全ての悲劇の発端が、そこに監禁されて笑っている。 「き、はら、幻生――!?」
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/836.html
その頃、残りの七人はと言うと、 「アン?」 「どうしたの?てミサカはミサカはあなたが何を見てるか聞いてみる」 ここは『ボーリングフロア』、レーンは十六レーンと言う数だ。一方通行、打ち止め、半蔵、郭はその第十三レーンを使っている。 「別に、ナンでもねェよ」 「それならよそ見しないでミサカの初投球見ててよね!!て。ミサカはミサカはあなたに忠告してみる!!」 「ハイハイ、頑張れよォ」 「よし!!それじゃあミサカのミサカの初投球!!ミサカ、いっきまーす!!ってミサカはミサカは思いっきり投げてみる!!」 そして打ち止めは思いっきり…………………………………………ガーター…… 「な!!有り得ない有り得ない!!ってミサカはミサカは二球目行きますって気合いを入れてみたり!!」 だがまたしてもガーター…… 「何で何で何で!?ってミサカはミサカはうなだれてみたり~」 「はっはっは!!アホ毛氏もまだまだですね!!さてここは私に任せてください!!」 ミサカのこれはアホ毛じゃない!!と言ってるが端から聞いちゃいない。 「郭!!行きます!!」 ボールがものすごい勢いで転がっている。 そして………………………………………………見事ストライク!! 「こんなもんですね、半蔵様~♪」 「よしよし、それじゃ次はアクセラな」 「ハイハイ、わかったよ」 そんなダルそうなことを言いながらもきちっとしたフォームである。 (一方通行……行きまァすッ!!) 一方通行、ボーリングの玉のベクトルを操作して見事ストライク。 「おーっ! きれいなフォームでストライクだねってミサカはミサカはあなたのカッコよさにはしゃいでみたり♪」 「ま、まァ俺にかかればざっとこンなモンだ。言っとくが能力は使ってねェからな。これは俺個人の実力ってやつだァ」 (*1) 一方通行は打ち止めにカッコつけたくて能力を使ってない風に言い、打ち止めはそれを信じるが半郭にはバレバレだったりする。 第13レーンではほのぼのとした雰囲気でボーリングを楽しんでいたが、第10レーンはそうでもない雰囲気が。 ボーリングフロアの第10レーン、そこには佐天、絹旗、建宮がいた。 「くっ、このような場所があるのならマイボール、マイシューズ、マイグローブを持ってくれば良かったのよ……」 「建宮さんってボーリング好きなんですか? 暑苦しい髪型のくせして」 「おうよ! わしのアベレージは280だから得意と自負してるよな。……って佐天、お前さんさっきキツイこと言わなかったか?」 「気のせいじゃないですか?」 佐天は初春から真実を聞き出すまで、建宮にきつく当たることを決意していたりする。 そこに元から建宮にキツイ絹旗が二人に声をかけ、一投目を投げることを宣言する。 「二人ともー、今から私が投げますから超見てて下さいよー」 「ゴメンゴメン。頑張れ最愛ー♪」 「涙子の応援でやる気超アップです! では……建宮と浜面超死にやがれですーーーーーーーーーっ!」 絹旗の一投目、ボーリングの玉を転がさず、ブン投げて見事にストライク。 『窒素装甲』を使用して投げたにも関わらず、レーンもピンも無事なことに普通ならツッコむのだが、別のことに建宮がツッコむ。 「ちょっと待てーーーーっ! 今の掛け声おかしいのよ! わしと茶色いのに死ねとか冗談にしてはきっついのよね!」 「そうだよ最愛。建宮さんはともかく浜面さんに死ねってのはあんまりだよ」 「これはボーリングのスコアアップに超必要な掛け声なんですよ、涙子。これでスコアアップ超間違いなしです」 気のせいではなく佐天が明らかに自分に対して厳しいと思った建宮、ちょっとだけ泣きそうになった。 続けて佐天の番だが、佐天は絹旗が言った通りに自分も掛け声を言いながら転がす。 「建宮さんの頭、つるっパゲになっちゃえーーーーーーーーっ!」 「おおっ超見事にストライクですよ! やりましたね涙子♪」 「いえーいっ♪」 佐天のストライクに絹旗がハイタッチを求めると彼女もまたそれを受け入れる。 二人の掛け声に落ち込みつつも、建宮はプロも褒めるような綺麗なフォームで投球、見事にストライクを決める。 「おーっ、ボーリング好きを自称するだけあってフォームに超無駄がない感じですね。やるじゃないですか建宮みたいなモンが」 「(これを飾利姫を見せたかったのよ……。そしてこの建宮斎字をカッコいいと抱きついて)ぬおっ! な、何しやがる!」 「ゴメンなさーい♪ ちょっと手がすべっちゃってー♪ 何となく建宮さんが妙なこと考えてると思ったらつい♪」 妄想してる建宮に容赦無くボーリングの玉を放る佐天に、建宮も絹旗も何があったのか気になったが怖くて聞けなかった。 そして佐天は決意する、とりあえずこのボーリングで建宮に勝利することを。 その頃、卓球場にいる浜滝、インデックス、ステイルはというと、土白にあのメモを言う事を忘れて、卓球をしていた。 「そういえば何でここに来たんだにゃー?」 「確かに。他の部屋にも卓球場があるのになんで私たちと一緒の部屋に入ってきたの?」 土白は他の部屋にも卓球場があるのに四人は、何で土白がいる部屋に入ってきたのか疑問に思った。 「あ、すっかり忘れてた。俺たちはお前らを探してたんだった。」 「で、俺たちに何の用件ぜよ?」 「用件って言ってもこのメモを見せに来ただけなんだけどな。」 浜面がそういうと、土白にメモを渡した。 そして数分後、読み終わった二人はと言うと… 「まさか、あの両親が俺たちの事まで考えてくれるとは思わなかったにゃー。」 「そうね、ここまで言われると嬉しいよ。」 「カミやんと友達になれて良かったにゃー。」 「なんだか私嬉しくて泣けてきたよ~」 土白がメモの感想を言ってたら月夜の目から涙が出てきていた。 「感動しているところ悪いけどよ、俺と滝壺は一方通行達の所にそのメモを見せに行ってくるからそのメモ返してくれないか?」 「分かったにゃー。」 と言うと、土御門は浜面にメモを返した。 「じゃあ俺達は行ってくるので。」 と浜滝がドアを開けたら、そこには上琴、初春、神裂、シェリー、ヴィリアンが居た。 「よっ、今からアクセラのところに行くところだ」 「んじゃ頼むぞ浜面」 「任せとけって」 レベル0の会話が終わるとそれぞれ会いにいくやつの元へ歩いていった。 「にゃー、これはどうもお招きいただきありがとうございますにゃー」 「いやー、ここは色んな意味で最高だねー」 何やかんや話していると。 「で、何のご用かにゃー?」 「用ってわけでもないのよね……」 「上条さん的には自分の家でブラブラしようかと思ってるんですけどねー?」 「確かにここは広そうですから、確かにいいかもしれませんね」 「では飾利、『バッティングフロア』なんてどうでしょう?」 「いやいや、そこは『創作フロア』だろ」 ……またシスコン達の醜い争いが始まった。 「そういやヴィリアン、アックア……いや、ウィリアムどうした?」 「ウィリアムなら先ほど少々荒れてる方々を……」 そのタイミングにドアが開いた、ウィリアムである。 「勝手に上がらせてもらった、謝罪をするのである」 「まあいいっていいって」 そんな光景を見ながらも抱きつかれながらも話しかけられてる初春は。 (どうしてこんなグットタイミングで出てこれたんだろう……) それは宇宙の法則と答えておこう。 「おーい! みんなー、見せたいものがあるんだけどよー……ってどうしたんだ? みんな」 「はまづら、きっとあそこのレーンのせい」 ボウリングフロアにやって来た浜滝、目的はもちろん美鈴のメッセージを見せる為だがやけに静かなことに疑問を持つ。 その原因は第10レーンの佐天、絹旗、建宮の緊迫した空気と全員のスコアにあった。 「静かになるのも当然ですよ。だってあの三人、今までパーフェクトなんですから」 浜滝に説明したのは上琴達からいつの間にか離れたレッサーで、目的は絹旗に会う為だったりする。 レッサーを連れて一打、半郭のいる第13レーンへ向かった浜滝は、このレーンのゲームが既に終了していることに気付く。 「よっアクセラ。……ってパーフェクトかよ! すげーじゃねーか!」 「まァそうなンだけどよォ……。アイツらに比べると大したことねェ気がすンだよなァ……」 こちらのレーンで一方通行が何気にパーフェクト(スコア300)を決めていたりする。 ちなみに半蔵は238、郭は157、打ち止めは33というスコアでゲームは終了している。 「大したことねえってお前、あっちはまだゲーム終ってねぇだろ? あいつらの何が凄いんだよ?」 「見てりゃ分かる」 一方通行がそうまで言うので浜面も第10レーンに注目することにした。 ボウリングフロアにいる人間から注目を集めていることにも気付かない佐天、絹旗、建宮が迎える第9フレーム。 「こ、ここまで来たら超負けたくないですね。いきます! 浜面と建宮のくせに超生意気なので顔面殴りたいですーーーーーーーっ!」 絹旗の殺人投球が炸裂、見事にストライク。 次の佐天は絹旗とハイタッチをした後で真剣な表情で構える。 「建宮さんなんかセクハラで訴えられちゃえーーーーーーーーーーーーっ!!」 魂の叫びと共に投げられたボールは綺麗なラインを描き、こちらもストライク。 建宮が手を差し出すと、佐天は力いっぱい差し出された手を叩く。 (いつつ……。まったく絹旗はともかく佐天が殺気立ってる理由が分からんのよ。だが! わしも負けてはおれん! 飾利姫にわしのスコアを褒めてもらう為にも!) そして建宮も他の二人と比べて地味ながらも、プロ並みの綺麗なフォームの投球でストライク、パーフェクト続行中である(他の二人同様に)。 そんな三人を初めて見る浜滝とレッサー、滝壺とレッサーは驚きで言葉にならないが浜面だけはツッコミを入れる。 「おいいいいいいいいいいっ! 絹旗のやつ何言ってんの! あれ明らかに俺と建宮への罵詈雑言じゃねーか!」 「アレなんてずいぶんとマシなんだよってミサカはミサカは今までの絹旗の言った言葉を思い返してみたり」 「今のがマシなのかよ! くっそー、絹旗のやつ、あそこまで言うことねーじゃねーか……」 絹旗に対して愚痴を言う浜面の肩に優しく手を置いたのは半蔵だが、郭、一方通行と共に慰めにならない慰めを受ける。 「浜面、気にすんな。絹旗の脳内ランキングじゃお前は別段格下って位置づけられてるだけだろ。俺は違うから安心しろよ?」 「そんなに落ち込まないで下さい浜面氏。絹旗氏の考え、分からなくもないですけど気にしなければいいだけの話です」 「まあ、何だ。お前だけダントツで扱い悪いってわけじゃねェンだから落ち込むなよ。……仕方ねェことだけどよォ」 三人の無自覚の追い込みに浜面が更に落ち込むのを見て、滝壺が優しく彼を慰める。 レッサーが密かに仲が良くなった滝壺を応援するなか、運命の(?)第10フレームが幕を開ける。 絹旗は今までのように浜面と建宮に対する不満や悪口を言いながら投げようとした。 「よーっし! 最終フレーム、とっておきの超ひどい言葉で投げますよー! 浜づ」 「おっ! 最愛のやつパーフェクトじゃねーか! 最愛頑張れよー!」 「お、お兄ちゃんっ! ……あっ」 ところがボウリングフロアにやって来た当麻の応援に緊張、ガターを叩き出してしまう。 二投目も当麻の視線が気になり、今までのような掛け声は出せなくなり力を発揮できず5ピン倒すの精一杯で最終スコア275で終了。 「くうっ……。お兄ちゃんの目が超気になって力が発揮できませんでした。涙子、せめて建宮には超勝って下さいね!」 「まっかせて!(さすがに当麻兄さんと美琴姉さんの前じゃあんなことは言えないからなぁ……。あたしもちょっと厳しいかも)」 絹旗にはああ言ったものの、佐天も上琴の目の前ではあんなことは言えないので不安になっていた(美琴も当麻と一緒に来ていたのだ)。 しかし絹旗ほどの緊張は無かったので、スペアとその後で8ピン倒して最終スコアは288。 それを見た建宮は条件は厳しいと思いつつも、勝利の可能性が高くなったことを確信する。 「(ふっ、今日はパーフェクト行ける気がするのよね! そして飾利姫にこのスコアを捧げるよな!)さあ、勝利の投球を今こ」 「うわー、広いんですねボウリングフロアって。あ、見て下さいヴィリアン姉さま。建宮さんが投げる所ですよ」 「本当ですね。今までパーフェクトとは凄いんですね、建宮は」 ところがそこに突然現れた初春のお陰(?)で一気に緊張、ガターに直接ボールを叩き込んでしまう。 ちなみに神裂とシェリーは喧嘩と言う名の卓球勝負の真っ最中(ウィリアムが審判、インデックスとステイル、土白が観客で)。 (ま、まさか、か、飾利姫の視線でここまで自分の体がままならなくなるものなのか……! くっ、まともに動け、わしの体よ!) 「……あれ? 建宮さん、急に動きが悪くなりましたね。建宮さーん、大丈夫ですかー?」 初春が心配してくれることも今の建宮、いいかっこしたいという欲望に取り憑かれた状態では逆効果。 プロ並みの綺麗なフォームは見る影も無く、二投目もガターに叩き込み最終スコアは270ながらも三人の中では最下位に。 「どう飾利? あたし建宮さんに勝ったよ! すごいでしょ?」 「え? ええ、凄いですけど……どうかしたんですか涙子さん?」 建宮にボウリングで勝利したことを勝ち誇る佐天を初春は不思議に思っていた。 そこで佐天はことのついでに初春に聞きたかったことを聞く為にヴィリアンから初春を引き剥がす。 「な、何をするのですか! 飾利は今、私と一緒に……」 「ゴメンなさいヴィリアンさん! 今から飾利ととっても大事な話があるんです! 後でちゃんと返しますから少し待ってて下さい!」 佐天の真剣な表情にヴィリアンは何も言えず、初春を彼女に預けることに。 初春を引っ張って別のフロアに移動する為にボウリングフロアから出る前に佐天特製金属バットを突きつけて宣告する。 「今から飾利とすっごく重要な話が有ります。絶対に誰も後を尾けたり盗み聞きしないで下さい! もしそれらをやってるって分かったらコレで頭割りますからね!」 その宣告に上琴はおろか、その場に居た全員が納得せざるを得なかった。 こうして佐天は初春を連れて、誰も居なさそうなフロアを探しに行くのだった。
https://w.atwiki.jp/index-ss/pages/1304.html
『とある覚悟の魔術結社』 第1章 始まりの休日 break_holiday 11月某日 日本 学園都市 第七学区 男子寮 本日は土曜日、学園都市は休日でそろそろテストの時期かなと、ちょっと危機感を持っている生徒が多数いるこのとき、 とある高校生は家電製品とにらめっこしていた。 「…………消費が速すぎる、ってか小麦粉かさ増し大作戦がやくにたたないじゃねぇか――――。」 叫んでいる少年の名は、上条当麻。ごくごく普通の学園都市の少年である。 よくトラブルに巻き込まれたり、日常的に不幸な目にあっているので普通と言い難いが…。 そんな上条当麻は家庭の経済事情を回復するため居候の大食いシスターに対抗して、 小麦粉による手作りうどん、ピザ、簡単なパン、などの小麦製の料理による大食い対抗策を用意した。 だが、量の増えた食事に素早く対応し小麦粉料理とその具材までたいらげ、シスターさんは量の多い食事に期待するようになってしまったのだ。 その右手には『幻想殺し』という変わったチカラがあるのだが、この事態には全く役に立たないのである。 「…………ふっ、くよくよしたって始まらねぇ。」 半ばあきらめ………9割あきらめ状態の調子で発する言葉は、かなり弱弱しかった。 一方、その原因の居候。真っ白で豪華な(安全ピンがあるため、そう見えづらいが。)修道服を身にまとった銀髪碧眼の少女、インデックスが申し訳なさそうに言う。 「ごめんね、とうま。やりすぎちゃったかも。……とうまの周りがすごく黒く見えるんだよ。」 インデックスは流石に悪いと思っているのか謝罪を口にしていた。 本人も、当麻が、朝早くにがんばってうどんを作ったりしていたところを見ていたので、少し後ろめたいのだ。 作った本人の苦労が、一瞬(文字どうり)で消し去られてしまったのだから。 最も、散々食べまくってしまったにもかかわらず、今ようやくそう思ったわけだが。 上条は普段聞かないその言葉を聞いて少し気を許したのか少し間をおいてこんなことを言った。 「もういいよ、ってか、せっかくの休日だし買い物ついでに一緒に遊びに行くか?」 「いくいくー。スフィンクスもいっしょにねー。」 パァッと負の表情から、天真爛漫な満開の笑顔になった。当麻はそれを見て、まあ、いいかな とも思った。 「じゃあ、今日は近所のスーパーじゃなくて大きめのデパートにするか。」 「でぱーと♪でぱーと♪」 (インデックスも気分を良くしたことだし、まあ大目に見るか。………食材の調達は慎重にしないとな。まあ、ちょっとは一緒に楽しんでいくか。) こうして上条当麻とインデックスは、デパートへ食料調達も兼ねてあそびに出かけたのだった。 窓のないビルその中で巨大なビーカーの中に人間はいた。 男にも女にも大人にも子供にも聖人にも囚人にも見える人間が。 その前に、虚空から人影が二つ現れた。 学園都市のエージェントであり、イギリス清教 必要悪の教会 所属の魔術師でもある男 土御門元春と学園都市の大能力者であり窓のないビルの案内人『座標移動』結標淡希。 結標は、その能力ですぐにその場からいなくなった。 残った土御門は話す。魔術師の顔で。 「何が起こっているか分かっているな。…少しヤバい状態だ、何が起こるか分からない。早急に手を打て、アレイスター。」 少し焦り気味な口調だった。いつ爆発するか分からない爆弾があるかのように。 「まあ、いい気分ではないな。ただそこまで焦ることでもなかろう。だが、やつらも手を出しづらい状況をうまく作ったものだな。」 「あれだけ『滞空回線』(アンダーライン)を、ばら撒いておきながら学園都市内で察知できなかったのか?」 「やつらは学園都市内ではなく、主に外に出て活動していたそうだ。あと今回の件は、『幻想殺し』と『禁書目録』にも協力してもらう必要があるだろう。」 「ふん、俺は今から出るぞ、何かが起こる前に阻止する。ただ、学園都市と同じでイギリス清教も手を出しにくい。今回は戦闘ではなく、あくまで調査だからな。だが、」 そこからは、怒りがこもった感情(もの)が感じられる。 「これにお前の言うプランが、組み込まれているのならいい加減にしろ。これ以上、表の友人に手を出すな。」 「前に別の男にも似たような事を言われたよ。それに、今回の出来事は計画外だ。私の仕組んだことではない。」 それを聞いても、土御門はどこか納得のいかない表情だった。 「ああ、今回はそういうことにしておこう。とりあえず俺は出る。異存ないな?」 「構わんよ。この面倒な状態もさっさと片づけたいからね。」 そして土御門は行った、残ったアレイスターは 「計画外ではあるが、プランは短縮できそうだな。」 アレイスターは笑う、男にも女にも大人にも子供にも聖人にも囚人にも見える表情で。 数時間前 英国 聖ジョージ大聖堂 「学園都市へ向かうのですか?」 少女の名は五和、イギリス清教 必要悪の教会 天草式十字凄教所属の魔術師である。 「ええ今回は、私はおろかステイルや建宮も動けません。今回は、調査という形ですから。先ほど土御門にも連絡を入れました。」 答えた女性は、神裂火織。新生天草式十字凄教の女教皇様(プリエステス)であり、世界に二十人といない聖人である。その会話の中にはもう一人いる。 「今回は、五和に任せるしかないのよな。事態が事態だ、あまり周りは騒いでもらっちゃ困るよな。」 その、男の名は建宮斎字。天草式十字凄教の魔術師で、神裂がいないときは教皇代理。 メンバーのまとめ役も担う男だ。 「あと、五和が向かうのは学園都市じゃなくてその近くの普通の空港。そっちの方が都合がいい、おっと忘れるとこだったよな。」 「「?」」 普通の空港へ向かうことは知っていた二人だったが、その次の言葉は聞かされていなかった。 「五和と一緒に向かうのはもう一人いる。本人の希望もあってな、イギリス清教ではないが今回は特例だ。」 「誰ですか?」 五和は聞く。かえって来た言葉は…… 「それは、――――なのよな。」 「ええ――――!!」「何ですって!!」 二人の女性は、普段からは想像もできない大声をあげた。 無理もないだろう、その人物は二人も知っている人物だったのだから。 正確には話だけは聞いているが正解だが。 (………がんばります。) 恋する少女は、ひそかに決意するのだった。 学園都市 第七学区 常磐台学生寮前 学園都市の五本指、名門常磐台中学校の学生寮の前に二人の少女がいた。 一人は『空間移動』のチカラを持つ大能力者、一人は『超電磁砲』と呼ばれる超能力者。 普通、寮の前で立ち続けることはないだろう。 なぜ立っているかと言うと、単純に待ち合わせをしているからなのである。 「御坂さーん。」 少女に向けて、甘ったるい声が響く。待ち合わせをしていた友人の声だった。 「あっ、佐天さん 初春さんこっちこっち。」 「こちらですのよ。」 合流したので早速目的地へ向かう。目的地へは徒歩。 ちょっと遠いが歩いていけない距離ではないからだ。 その間、女の子特有の何気ない会話をしながら歩いていく。 「そういえば御坂さん、」 「なに?佐天さん。」 「初春から聞きましたよー、ある男子高校生とデートに出かけたとか。さっすが大人ですねー せ ん ぱ い。」 「で、デートって、た、ただの罰ゲームよ。ほ、ほら大覇星祭の。」 「そういえばお姉さま、いったいあの後何をしたんですの。……もしかして、もうあんなことやこんなことも………きぃー、あの類人猿がぁああ。」 「なにもないわよ!何であのバカと、そ、そんな状態にならなきゃいけないのよ。結局あの後はぐらかされたのよ。くっ、思い出したら腹が立ってきた。今度会ったら覚えてらっしゃいよ、あのクソバカぁー。」 「み、御坂さん落ち付いて、そんな強い電撃を人に向けて撃ったら死んじゃいますよー。白井さんも、その怖いオーラを何とかしてください。」 「無理だと思うよ初春。二人とも、もう何も聞こえてないと思うから…。」 この二人がこんなに取り乱すなんて、いったいどうゆう人なんだろうと二人は思ったが口に出すと突っ込みが返ってきそうだったのでやめといた。 あまり刺激しない方がいいだろう。 そして、興奮していた二人も落ち着いてきて会話が再開される。 「で、初春にはそういう恋愛じみた話って聞かないよねー。」 「むぅ、佐天さんだってそうじゃないですか。人のこと言えません。」 「初春のくせにー、このっ。」 ガバッ、と初春にスカートめくりをするものの、初春はとっさにガードすることができた。 結果的に太ももまで見えるものだったが。阻止はできた。 「っ―――、危ない。スカートめくりはもうやめてくださいよー、佐天さーん。」 「まあまあ、挨拶みたいなもんだし。」 「ハッ、では私もお姉さまにするのも挨拶ということに……。」 「なるわけないでしょ。」 ズガンッ。 「アォ!」 自業自得である。 (そろそろ何かに目覚めそうだ…。)という心配を御坂はちょっと本気で最近している。 「あ、あの、い、今から向かうデパートって、学園都市の中でもトップ5に入るほど大きいとこみたいですよ。」 「佐天さんは、どこを見てみたいですか?」 「うーん、服だと御坂さん達は無理だし………御坂さん達はどこがいいですか?」 「私はあそこにある、スポーツセンターがいいかな。お金払ったら遊び放題だし。」 「わたくしは、パジャマや下着などを見て回りたいですね。」 「じゃあ、スポーツセンターの次は昼食、デザートを食べて、デパート内のセブンスミストの支店に向かうということでいいですか。」 「なーんか、初春の私情が混じってたみたいだけどそれでOK。お二人はどうですか?」 「いいわよ。」 「構いませんわ。」 平和な時間を過ごす少女たちは向かう、ショッピングをするためにとある少年も向かうデパートへと。 「着いたー。」 第一声を放つインデックスの横で上条は思う。 (…………でけぇ…。) それもそのはず、学園都市の数あるデパートの中でも大きさならば第4位、総売上 第2位、利用客数第1位という最大級のデパートなのだから。 「じゃあインデックス、昼飯の前にどこ行きたい?」 「うーん、お昼ごはんの前なら…げーむせんたーがいい!」 うーん、と上条は少し考える。ゲームセンターはお金のコントロールがしやすい。 そこでうまくお金を浮かせば、昼食をランチバイキングにして普通に満腹になるまで食べさせるより安く済むようにできるだろう。 考え終わった上条は言う。 「よし、じゃあそうすっか。勝負とするか?インデックス。」 「のぞむところなんだよ!とうま、絶対負けないんだからねー。」 なにをー、とちょっとけんか腰気味ながらでも楽しそうな二人は中に入って行った。 その様子を見ている二人の視線にも気付かずに…。
https://w.atwiki.jp/allrowa/pages/265.html
刀剣類 天叢雲剣 @古事記 【詳細】 三種の神器のひとつで、またの名を草薙剣。 現在では熱田神宮の御神体として祀られている正真正銘本物の神剣。 スサノオがヤマタノオロチを退治した際に尾から出てきたと伝えられている。 長さは2尺8寸(約85cm)ほどで、全体的に白っぽく、刃先は菖蒲の葉に似ている。 【本ロワでは】 東方不敗への支給品。 参戦時期がもう少し後だったら源義経が泣いて欲しがったかも。 エクスカリバー @Fate/stay night 【詳細】 セイバーが使用する宝具。 【本ロワでは】 クレア・スタンフィールドへの支給品。 大型トマホーク @現実 【詳細】 北アメリカのインディアンが使う斧(トマホーク)の大型版。 【本ロワでは】 竜宮レナへの支給品。 格さんの刀 @水戸黄門 【詳細】 水戸黄門に仕えるおなじみ渥美格之進(通称「格さん」)が持っている刀。 たぶん普通の日本刀。 ただ格さんは柔術(関口流)の使い手なので、戦闘シーンでは主に柔術で戦う。 【本ロワでは】 ◆6/WWxs9O1s氏@テラカオスへの支給品。 下人殺害に使用。 ククリ刀 @バッカーノ 【詳細】 ネパールのグルカ族をはじめとする諸種族、そしてインドで使用する短剣。凹状に湾曲した刀身が特徴。 バッカーノでは、2002【Bside】に出てくるエイジングというキャラの専用武器。 重量一貫程(4kg)で刃渡り三尺弱(80cm) 【本ロワでは】 室賀豹馬への支給品。ムラサーミャ&コチーテと交換の形で現在は枢木スザクが所持。 くりからのつるぎ+62 @真女神転生if… 【詳細】 正式名称「倶梨伽羅の剣」。本編において最強の剣らしい。 【本ロワでは】 カムパネルラへの支給品・装備品。 1日目朝、高嶺響の七色光線によって消滅した。 古青江 @School Days 【詳細】 平安時代から鎌倉中期に作られた日本刀。物によっては数百万の値が付くこともあるらしい。 「School Days」の外伝「Summer Days」で、桂言葉がこの刀を使用している。 【本ロワでは】 アリオトの支給品。現在は高嶺響が所持。 コチーテ @バッカーノ 【詳細】 マリア・バルセリートが使用する武器。祖父の形見。 【本ロワでは】 枢木スザクへの支給品。ククリ刀と交換の形で現在は室賀豹馬が所持。 逆刃刀・真打ち@多ジャンルバトルロワイアル 【詳細】 『るろうに剣心~明治剣客浪漫譚~』に出てくる緋村剣心の愛刀。 通常の日本刀とは峰と刃が逆になっている。 【本ロワでは】 海賊マークへの支給品。現在は帝が所持。 狭霧嘉麻屋のハサミとナイフ @オリロワ 【詳細】 12人を殺害し死刑判決を下された猟奇殺人犯・狭霧嘉麻屋が使用していた凶器。 【本ロワでは】 狭霧嘉麻屋への支給品。 サバイバルナイフ 【詳細】 軍事行動中において遭難などで他の装備を失った場合、それのみで生存を計る(→サバイバル)目的で設計された、大型のシースナイフ。 【本ロワでは】 零崎人識の装備品。 爆弾の爆発に巻き込まれて消滅していなければ、今も死体とともにE-3下着店入口にあると思われる。 三属の剣(流星虫寄生) @バロック 【詳細】 炎・氷・雷の三つの属性を持ち、さらに剣と持ち主の攻撃速度を上昇させる流星虫という寄生虫も付いている剣。 【本ロワでは】 命名神マリナンに仕える神官への支給品。 たぶん今もE-6怪しい洞窟の外に死体とともに放置されている。 後にMAXが拾った。 ジェイソンの斧 @金田一少年の事件簿 【詳細】 「ファイル6 悲恋湖伝説殺人事件」の犯人・ジェイソンが使用した凶器。 最終的に4人もの生き血を浴びているはず。 【本ロワでは】 秋月茗子への支給品。 秋月の死後、ユーフェミア・リ・ブリタニアが拾った。 スザクと戦っていた時に持っていた豪華な剣 @コードギアス 反逆のルルーシュ 【詳細】 たぶん、TURN20『皇帝 失格』(R2 20話)でビスマルク・ヴァルトシュタインが、当時の皇帝シャルル・ジ・ブリタニアを殺しに来た枢木スザクと戦った時に持っていた剣のこと。 【本ロワでは】 ビスマルク・ヴァルトシュタインへの支給品・装備品。 ジェレミア・ゴットバルトとの戦闘で破損したため、ジェレミアに放棄された。 太刀 @現実 【詳細】 日本刀のうち刃長がおおむね2尺(約60cm)以上で、刃を下向きにして、下緒(太刀緒)を用いて腰から下げるかたちで佩用(はいよう)する太刀拵(たちこしらえ)のものを指す。 【本ロワでは】 阿魔野邪鬼への支給品・装備品。 ダモクレスの剣 【詳細】 シラクサの僭主ディオニソスの廷臣ダモクレスが王を戒めるために玉座の上に吊るした剣。 その由来から「王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)」に入っていても不思議ではない一品のような気がする。 【本ロワでは】 哀川潤への支給品。 ガウェイン自爆に巻き込まれて消滅していなければF-6に落ちているはず。 どうのつるぎ @ドラゴンクエスト6 【詳細】 多くの人が序盤でお世話になる、ドラクエのレギュラー武器。切れ味はあまりよくない。 【本ロワでは】 ああああへの支給品・装備品。 登山ナイフ 【詳細】 登山用のナイフ……というわけでもない。 実は用途の面から見ると登山ナイフという分類はなく、本来は「アウトドアナイフ」という非常に広範囲で曖昧な分類が存在する。 「登山ナイフ」という区分はナイフメーカーもナイフ愛好家も当の登山家さえ使わない。 【本ロワでは】 キリコ=キュービィへの支給品。 鉈 @現実 【詳細】 林業や狩猟などの山林で働く人々の用途に適した刃物の類。枝打ち、木を削る、雑草を払う、動物を解体するなどの目的で使われる。斧、包丁、鎌、刀剣以外の大型刃物を総称して鉈という場合が多い。 基本的には下記の物。 片手持ちに適する 刀身が厚く丈夫である 刃渡りは10cmから40cm程度 【本ロワでは】 スペードの2への支給品。 『贄殿遮那』 @灼眼のシャナ 【詳細】 シャナの刀。シャナの名前はこの刀の名前から悠二が命名。 【本ロワでは】 源義経への支給品。 C-6で義経が阿魔野邪鬼に殺害された後どうなったかは不明。 二期最終回でルルーシュに突き刺されたやたら豪華な装飾の剣 @コードギアス 反逆のルルーシュ 【詳細】 TURN25『Re;』(R2最終回)において、ゼロに扮した枢木スザクが神聖ブリタニア帝国99代皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアを殺害するのに用いた剣。 これ以前の話で皇帝ルルーシュが持ってた剣と同じに見えるような、見えないような…… 【本ロワでは】 ケットシーへの支給品。 六条御息所がいらないと判断し、イフリートの焔によって燃やされてしまった。 バタフライナイフ 【詳細】 フォールディングナイフ(折り畳みナイフ)の一種。 一枚のブレード(刀身)に、溝のついた二分割されたグリップ (柄) がついており、ブレードを上下からはさむように収納するのが特徴。開く際には二つのグリップがそれぞれブレード根本のピンを中心に約180度回転する。 【本ロワでは】 本郷猛への支給品。 ハマノツルギ @魔法先生ネギま! 【詳細】 神楽坂明日菜のアーティファクト(専用マジックアイテム)。魔法無効化能力を持った巨大な剣。 【本ロワでは】 雪広あやかへの支給品。 バヨネット×10 @HELLSING 【詳細】 アーカードの宿敵であるイスカリオテ機関の化物専門殺し屋、アンデルセン神父が愛用する武器。 【本ロワでは】 狭霧嘉麻屋への支給品。 ペットショップにいた犬以外の動物すべてで試し斬りをした。 そんなに試さなくてもいいと思う…… ヒノカグツチ (@真女神転生if…) 【詳細】 おそらく真女神転生if中で最強の剣…らしい。 【本ロワでは】 赤根沢玲子(レイコ)への支給品・装備品。 可憐殺害に使用。 小規模イデに突き立てた結果、使用できない状態になり、現在はハクオロの死体とともにB-5ペットショップ内に放置されている。 ブライオン @LIVEALIVE 【詳細】 LIVEALIVE中世編に登場する最強の武器。オルステッドが勇者ハッシュに託された剣。 【本ロワでは】 しんのゆうしゃへの支給品。 フランベルジェ @とある魔術の禁書目録 【詳細】 建宮斎字のもの。 180cmほどの両手持ちの長剣で刀身が波打っている。 【本ロワでは】 ハオ(プリンセス・ハオ)への支給品。 命名神マリナンと鈴木イチロウ、マイキーの殺害に使用される。 その後、片桐唯との戦闘で破壊された。 紅桜 @カオスロワ 【詳細】 元は銀魂に出てくる妖刀。 戦闘の経緯をデータ化して学習を積む事で能力を向上させていく、まさしく生きた刀。 生半可な精神だと意識が乗っ取られる。 【本ロワでは】 椎名桜子への支給品。後にルガールが入手。 ムラサーミャ @バッカーノ 【詳細】 マリア・バルセリートが使用する武器。祖父の形見。 【本ロワでは】 枢木スザクへの支給品。ククリ刀と交換の形で現在は室賀豹馬が所持。 ライトセーバー 【詳細】 映画『スター・ウォーズ』シリーズ中で、ジェダイ騎士、シスの暗黒卿が用いる架空の武器。 外観は全長30センチ程の棒状の器具であり、起動すると先端に長さ1メートル程の光り輝く刀身が生成される。この光刃は超高温の熱エネルギーを発しており、殆どの物質を容易に切断する事が出来る他、レーザーやビームの類に干渉し弾道を逸らす事も可能となっている。 【本ロワでは】 ジェレミア・ゴットバルトへの支給品・装備品。 ビスマルク・ヴァルトシュタインとの戦闘で破損したため放棄された。 雷鳴の剣 @ドラゴンクエスト6 【詳細】 アークボルトの王家に伝わる剣。ドランゴを退治したテリーがもらっていった。 【本ロワでは】 剣菱悠理への支給品・装備品。現在はハオが所持。 竜宮レナの鉈 @ひぐらしのなく頃に 【詳細】 竜宮レナが持っていた鉈。 【本ロワでは】 沙英への支給品。沙英を殺害したユーフェミア・リ・ブリタニアが回収し、天童世死見殺害に使用。 その後、1日目朝に遭遇した本郷猛に破壊される。 脇差 @現実 【詳細】 主兵装(本差)が破損などにより使えない時に使用される予備の武器を指す。現在は日本刀の打刀(うちがたな)の大小拵えの小刀(しょうとう)をいうことが多い。 【本ロワでは】 阿魔野邪鬼への支給品・装備品。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/2527.html
前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある世界の名作劇場 眠れる森の美女とかそんな感じ あれから 100ねんが たちました。 イバラに つつまれた おしろは、いまだ ねむりから さめてはいません。 そんな あるひの ことです。おしろに ちかづく ひとりの おうじさまが おりました。 王子 「はぁ…はぁ……ふ、不幸だ……俺は何回追いかけられなきゃならないんだよ……」 おうじさまは いままで シンデレラやら しらゆきひめやら、 かずかずの じょせいから おいかけられて きたのです。じごうじとくじゃ ボケ。 王子 「ちょっと…休憩……」 そういって おうじさまは、ちかくにあった おおきな イバラに よりかかろうと てを のばします。 しかし そのみぎてが ふれた しゅんかん、よりかかろうとしてた イバラは あとかたもなく きえ、 バランスを くずした おうじさまは そのまま ころんで しまいました。 王子 「いってー! 何だこれ!? 右手が反応したって事は、異能の力でできた植物なのか!?」 そうです。おうじさまの みぎてには イマジn…… まぁ この せつめいは いいか。みんな しってるし。 そして 13ばんめの まほうつかいの まじゅつで つくられた イバラは、おうじさまの みぎてで きえてしまうのです。 おうじさまは イバラを けしながら おくへと すすんでみました。 すると りっぱな おしろを みつけます。おうじさまは おしろの とびらの まえにたつと、 王子 「ごめんくださ~い! 宅急便で~す! 印鑑かサインお願いしま~す!」 と、ひとボケ かましました。ですが なかから こえは きこえてきません。 るすなのか、それとも おうじさまの ボケが そうとう つまらなかったのか、どちらでしょう。 おうじさまが とびらを おしてみると、ギギィと おとを たてて ひらきます。 王子 「……無用心だな」 そのまま おうじさまは、おしろの なかに はいっていきました。おまえも かってに はいるなよ、ひとんちなのに。 ですが おしろのなかは おかしなことに だれひとり おきているひとが いなかったのです。 王子 「…昼寝中? いやいや、そんな訳ないよな。やっぱこれも魔術なのかな」 そして おうじさまは、おひめさまが ねむる へやにも はいりました。 おひめさまの あまりの うつくしさに、おうじさまは 王子 「あれ? 何かデジャヴ? 前にもあったな、こんな事」 うつくしさに おうじさまは、おもわず キスを 王子 「やっぱアレか? 以前みたいに右手で触れれば起きるのか?」 おもわず キスを しようと…しようと……するばめん でしょうが!!! 野次馬A 「……する場面でしょうが!!!」 野次馬B 「そうですよ! また同じオチにしてどうするんですか!」 王子 「えっ!! なになに、誰!?」 それは いぜん、てんとうむしのサンバを うたっていた ふたりぐみでした。 くわしくは 「しらゆきひめふうのモノ」を さんしょう。 野次馬A 「いいですか! その右手は封印です! その人はキスしなきゃ目覚めません!! 絶対に!!!」 王子 「いや、でも、その方が早いし確実だし…」 野次馬B 「駄目ですよ! 前はそのせいで、 ハッピーだかバッドだか、よく分からない終わり方になっちゃったんですから! 今度こそ、きちんと終わらせてください!!」 王子 「わ、分かったよ……」 ついに おうじさまは おひめさまと キス することを こころに きめました。 おうじさまも おひめさまも おかおが まっかです。 おひめさま、ねてんじゃねーのかよ。 おうじさまは なまつばを のみこみます。おひめさまも くちびるが かすかに ふるえています。 はにしろ このふたり、おたがいに ファーストキスなのです。それはもう ドきんちょう しているのです。 「ドッドッドッドッ」と、まわりにまで ふたりの しんぞうの おとが きこえてきます。 ですが、そのときです。やっと エンディングを むかえる このどたんばで、 「ちょっと待ったー!!!」と さけぶ ものたちが あらわれました。 ねるとんとか、いまの わかいこは しらねーよ。 王子 「だ、だ、誰だよ! やっと決心がついたってのに……」 アステカ王子 「自分はアステカ王子。みs…姫の呪いは自分が解きます」 王子 「アステカ!? アステカって王政だったのか!? いや、俺も詳しくは知らんからアレだけど!」 ジャッジメント王子 「わたくしはジャッジメント王子! お姉様の唇はわたくしのモノですの!!!」 王子 「王子っつーか女だろ!!!」 変態王子 「ボクは紳士王子。ぶっちゃけ女の子やったら誰でもええで」 王子 「最っっっ低だな!! 役名と違うし!!」 削板 「俺の名前は削板軍覇だ。ここらで美味いラーメン屋があると聞いたんだが、知らないか?」 王子 「関係ない人混じってるよ! お前誰だよ!」 さぁ ひとりの おひめさまを めぐる、おうじさまたちの ちでちをあらう バトルロイヤルの かいまくです。 なんだこれ。 野次馬A 「ちょちょちょ、待ってくださいよ! 何なんですかこれ!」 ジャッジメント王子 「お止めにならないでくださいまし。 これだけは…お姉様とのベーゼだけは誰にも譲れませんのおおおぉぉぉ!!!」 王子 「え? それでオッケーなら俺はもう帰っちゃって良い?」 ??? 「男女のペアじゃなきゃ駄目だっつってんでしょ!!」 どこからともなく ツッコミが はいります。 おひめさまの ほうから きこえた きがしますが、かのじょは ねむっているはずなので きのせいでしょう。 アステカ王子 「貴方がやらないのであれば、自分がやりますよ」 そういって、アステカおうじは てを あげました。 ジャッジメント王子 「それならばわたくしが!!」 変態王子 「いやいや、ここはボクが!」 削板 「何だか分からんが俺もやるぞ!」 おうじたちは つぎつぎに てを あげはじめます。この おやくそくの ながれに、 おうじさまの げいにんだましい(?)に ひが つきました。 王子 「じゃあ俺がやるよ!」 つぎに おまえたちは 「どうぞどうぞ」 という。 王子×3+削板 「「「「どうぞどうぞ……ハッ!!」」」」 こうして、おひめさまに キスをする おうじさまが きまりました。 ほんとうに なんだったんだ、このくだり。 しきりなおしです。 おうじさまは なまつばを のみこみます。おひめさまも くちびるが かすかに ふるえています。 はにしろ このふたり、おたがいに ファーストキスなのです。それはもう ドきんちょう しているのです。 「ドッドッドッドッ」と、まわりにまで ふたりの しんぞうの おとが きこえてきます。 王子 「じゃ、じゃあ……その…い、いくぞ……?」 おうじさまの といかけに、おひめさまは てを ギュッと にぎったまま、コクンと うなづきました。 かんっぜんに うごいたけど、 だれも そのことを ツッコミません。めんどいから。 そして おうじさまは おひめさまに――― 「チュッ……」 キスをしました。 おでこに。 野次馬A 「お~~で~~こ~~!? 普通口でしょ!! おでこって…幼稚園児じゃないんですから!」 王子 「い、いやいやいや! 口はさすがにハードル高いって!!」 野次馬B 「でもそれじゃあ、お姫様は目覚めないんじゃないんですか?」 王子 「そ、そうかな……」 すると そのときです。ねむっていた おひめさまが、ゆっくりと おきあがります。 おきちゃったよ くちじゃないのに。 ですが そのちょくご、 姫 「……………ふ……ふにゃー」 ふたたび きぜつ しました。しかも ほうでんしながら。 王子 「うおーい!! 誰か何とかしろー!!」 ジャッジメント王子 「では今度こそわたくしが、お姉様にお目覚めのキッスを!!」 アステカ王子 「いやいや自分が!」 変態王子 「ほんならボクが!」 削板 「じゃあ俺が!」 野次馬A 「だったらあたしがやります!」 野次馬B 「じゃ、じゃあ私も!」 魔法使いM 「それならオレがやるぜい」 魔法使いE 「では私がやるである」 魔法使いF 「俺様がやるよ」 王 「ここは僕の出番だね?」 料理番 「私がするのでごさいますよ」 「俺が!」 「俺が!」 「私が!」 「俺が!」 「私が!」 「私が!」 「僕が!」 「ミサカが!」 王子 「そんなに言うなら俺がやるよ」 全員 「「「「「どうぞどうぞ」」」」」 こうして、ついでに まほうがとけた おしろの ひとたちと いっしょに、 おうじさまと おひめさまは しあわせに くらしたのでした。 めでたしめでたし。 姫 「ふにゃー」 王子 「何だこのオチ!」 CAST 姫 御坂美琴 王子 上条当麻 王 冥土帰し 魔法使いA オッレレス 魔法使いB シルビア 魔法使いC ブリュンヒルド=エイクトベル 魔法使いD ヴェント 魔法使いE アックア 魔法使いF フィアンマ 魔法使いG マリアン=スリンゲナイヤー 魔法使いH トール 魔法使いI 投擲の槌 魔法使いJ ローラ=スチュアート 魔法使いK インデックス(自動書記) 魔法使いL 神の力【ガブリエル】 魔法使いM 土御門元春 野次馬A 佐天涙子 野次馬B 初春飾利 アステカ王子 海原光貴(エツァリ) ジャッジメント王子 白井黒子 変態王子 青髪ピアス 削板 削板軍覇 サイボーグ 黒夜海鳥 クローン 番外個体 料理番 オルソラ=アクィナス 人工天使 風斬氷華(ヒューズ=カザキリ) イノケンティウス 魔女狩りの王 誕生日パーティーでの エリザード リメリア キャーリサ ヴァリアン エキストラのみなさん 騎士団長 ヴィース=ワインレッド リドヴィア=ロレンツェッティ ビアージオ=ブゾーニ ワシリーサ サーシャ=クロイツェフ レッサー ベイローブ ランシス フロリス レイヴィニア=バードウェイ マーク=スペース その他 魔術サイドのみなさん 城の中の 姫神秋沙 吹寄制理 雲川芹亜 雲川鞠亜 月詠小萌 エキストラのみなさん 黄泉川 愛穂 土御門 舞夏 木原数多 木原乱数 木原円周 木原病理 テレスティーナ=木原=ライフライン 結標淡希 砂皿緻密 心理定規 芳川桔梗 婚后光子 食蜂操祈 固法美偉 アケミ むーちゃん マコちん その他 科学サイドのみなさん イノケンティウスを 出してた人 ステイル=マグヌス 改造茶箪笥 サンドリヨン 雑用請負係「はまづら団」 団長 浜面仕上 副団長A フレメア=セイヴェルン 副団長B 打ち止め 副団長C フロイライン=クロイトゥーネ 平団員 垣根帝督(カブトムシ05) 団長の嫁 滝壺理后 団長の相棒 服部半蔵 団長の相棒の相棒 郭 副団長Aの保護者 駒場利得 副団長Bの保護者 一方通行 副団長Aの姉 フレンダ=セイヴェルン 団長の上司 絹旗最愛 団長の主人 麦野沈利 ビラ配り テッラ 姫役として乱入しようとした人 五和 それを止めた人 建宮斎字 牛深 香焼 諫早 野母崎 対馬 それを見て説教した人 神裂火織 仲裁に入った人 上条当麻 そこでまた好感度が上がった人 五和 そしてイライラした人 御坂美琴 企画・脚本・監督・演出・編集 アレイスター=クロウリー 制作 上琴推進委員会 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある世界の名作劇場
https://w.atwiki.jp/index-ss/pages/645.html
9月。 夏の間、恵みとなっていた日差しも少しずつ短くなっている今日この頃、人通りの無い道路を一人の少女が歩いていた。 時刻は午前……というよりも早朝の4時過ぎ、もう少しすればウォーキングなどに勤しむ人の姿もちらほら見かけるようになるだろうが、さすがにこのような時間帯では見かけることは無い。 あまり一人身で出歩きたくなるような雰囲気ではない筈なのだが、歩いている少女は上機嫌である。 こみ上げてくる笑みを抑えようとしているが失敗しているために口元には笑みが浮かび、足取りは実に軽やかである。 手に持つのはキャスター付きの大き目のトラベルバッグ。それをガロガロと引きながら一路目指すはパディントン駅。 歩きながらチラ、と横にある鞄を見る。正確にはその中に入っている物を。 思えば苦労の連続だった。 まず、目的のために必要なものを調べ上げることから始まった。 そして、それを手に入れるためにさらに多くの下準備が必要とされた。 無論、ここまで来れたのは自分一人の力だけではない。 自分の願いのため、多くの仲間が走り回ってくれた。 人から見れば、取るに足りない願いと一蹴されてもおかしくないそれのために、一丸となって……。 ならば、その想いに応えるためにも自分は必ず、この計画を成功させよう。 そう思い、決意も新たに歩む少女に対し、声が掛かる。 「……どこへ行くつもりですか、五和?」 その声に、ビクリと体を震わせる五和と呼ばれた少女。 歩みを止めた体をぎちぎちと音が出そうなくらいに強張らせながら振り返ると、そこには予想していたとおりの姿があった。 「プ、女教皇(プリエステス)様………」 洩れ出た言葉に対して、返ってくる言葉は素っ気無いものであった。 「ですから、わたしはもはや天草式を抜けた身だと言った筈です。そのような称号で呼ぶのはもうやめなさい」 元天草式十字凄教女教皇、神裂火織はそう言いながら、五和に近づいてくる。 「ふむ。なにやらこれと同じような遣り取りを以前したような覚えがあるのですが、あなたは覚えていますか?」 呼びかけは軽いものだが、こちらを射るように見つめる眼は彼女が本気であることを示している。 「そうでしたあれは確か7月の七夕の時分ですあなた方がロンドン中を巻き込んで起こした騒ぎであの時は本当に大変でした」 ぱっと見では分かりにくいが、語る言葉の声色が平坦なことから神裂がかなり限界に来ているであろうことが想定される。 というかマジで怖い。 見据えられている五和は先程から身じろぎ出来ないでいる。 そんな五和に向かって神裂は続けていく。 「さてそう言えばあの騒ぎを引き起こした責任としてあなた方天草式には罰則が与えられていたはずですが間違いはありませんでしたね?」 質問、というよりはもはや単なる確認作業のようなものとして喋り続ける神裂。 そう、確かに七月におけるとある騒ぎの責任として天草式のメンバーには二ヶ月間の謹慎処分が下されている。 その間は自分達が寝起きしているアパートメントに掛けられているような結界のような恒常的な術式を除き、外部での術式の使用を禁じられていたのだった。 もっとも、『必要悪の教会(ネセサリウス)』としては出来ればアパートメントに閉じ込めておきたかったのだが、地域住民の人気スポットであるスシレストラン 『AMAKUSA』 が持つ人気の高さから店舗の営業を認めざるをえなかったという逸話がある。 それはともかく。 「は、はい。確かにそうですけど罰則として与えられた謹慎処分は昨日で終わっています。別に問題は無い、筈です、けどぉ……」 弁論を試みるも神裂を前に語尾が尻すぼみになっていく。 と、 「ところで、ここロンドンにはイギリスが世界に誇るキュー王立植物園があるそうなのですが」 唐突に話題を変える神裂。 ジーンズのポケットから何やら紙を取り出し、そこに書かれているメモを読み上げていく。 「117㌶の美しく整えられた植物園の中に4万種以上の生きた植物が集められているそうです。知っていましたか?」 そして、チラと五和の方を見、そのまま続けていく。 「そこで昨晩から今日の未明に掛けて、ちょっとした騒ぎがあったそうです。閉園時間をかなり過ぎた頃に外部から何者かが侵入。人的被害は無し、展示してあったキク科の植え込みの周りに複数の足跡があった事からあるいは貴重種を狙った窃盗かとも思われたようですが物的被害も無し。それとは別口でカワハジカミの木の周りにも同じように足跡があったそうですがこちらも植えられていた木に被害は無かったそうです」 話を聞いている五和の顔は徐々に強張っていく。 「そ、そうですか……。被害が無くてよかったですね……」 「そうですね。直接的な被害は無かったそうですが、気になる事がある、と」 「な、何でしょうか……?」 五和の言葉に、ええ、と答えるとメモをポケットにしまうと改めて五和を見据えて、 「キクの花からは夜露が残らずなくなっており、カワハジカミの木の周りだけは何故か下草一つ無いくらいに綺麗になっていたそうです」 その言葉に、大きくビクリと体を震わす五和。 「さて、ここで最初の質問をもう一度しますが五和、あなたはどこへ行くつもりですか? いえ、さらに尋ねるならそこにある荷物を持って何をするつもりなのですか?」 「えーっと、ですね……」 「補足しておくなら私は今非常にイライラしていますのでつまらない言い訳はやめてさっさとその鞄を開けなさい!」 「は、はいぃぃっっ!!」 訂正。もはや質問ではなく尋問になっています。 さて、神裂に言われて五和が開いたトラベルバッグからは出てくる出てくる、大量のお絞りが蓋を開けた瞬間まるでビックリ箱のように飛び出し、二人の周りに雨のように降り注ぐ。 あわわ、と言いながら慌てて片付けようとしている五和を横目に、頭の上に乗っかったお絞りの一つを片手でどけながら、 「……まったく、どんな術式を組み込んでいたらこんな騒ぎになるのですか……?」 その言葉にキョトンとしながら五和は、 「え? いえ、この鞄自体には何も術式を使ってませんけど?」 「どう考えてもおかしいでしょうこのお絞りの量は!!」 見れば、お絞りの山はトラベルバッグと同じかそれ以上の嵩があり、尚且つそれらは今外に出ているだけで鞄の中にはまだ残りがある、という状態だった。 「む、待ちなさい!」 その鞄の中にある残りの中に、目当てのものを見つけたらしく手を突っ込む神裂。 そして取り出したのは、大き目のペットボトルに入った水と手のひら大の布の袋。 さらに目を向ければ、鞄の中にはまだ数本のペットボトルが入っていた。 「さて、ここまで証拠が揃いましたが、一応聞いておきましょう。あなたはこれで何をするつもりだったんですか?」 「そ、それは…………」 「答えられないようであればこれから天草式のメンバー全員を拘束した後、しかるべき尋問を行わなければならないのですが」 その言葉に顔色を変える五和。 「……っ、い、言いますっ、言いますからっ!」 「ではどうぞ」 暫く躊躇していたが、やがて観念したのかぼそぼそと語りだす。 「…………しの…………に、……うよう…………す……」 「なんですか? はっきりと言ってください」 「……が、学園都市の、カミジョウさんに重陽のお祝いをしに行くつもりだったんです!!」 顔を真っ赤にしながら、半ば自棄になったように声を張り上げる五和。 それに対して神裂は呆気に取られ、目をパチクリさせながら尋ねる。 「……えっと、また、ですか……?」 なんだか緊張がほだされてしまったのか、それとも別の理由からか、途端にがらりと態度が変わる神裂の言葉に、 「またって何ですか!? 私がこういうことをするのは可笑しいですか!?」 「いえ、可笑しくは無い、筈……?」 何だかあやふやになる神裂に対し、先程までのおびえた様子は何処へやら、猛然と食って掛かる五和。というか、いつの間にか様付けじゃなくなってます。 「大体、女教皇(プリエステス)は何にも行動しないからってわたしの邪魔をするのはやめてください!!」 「なっ! わ、私が何の行動をしていないというのですか!?」 「惚けないで下さい! 女教皇(プリエステス)があの人のことを想っているのはみんな知ってるんですから!! なのに自分が何も出来ないからって人の邪魔をするなんてやめてください!」 「私がいつあの少年のことを想っているというのですか!? そんな根も葉もないことを!!」 真っ赤になって否定にかかる神裂。 その後もギャイギャイと大声で騒ぐ二人。もはや天草式の元トップと一メンバー、あるいは『必要悪の教会(ネセサリウス)』の一員とそれに詰問されている魔術師といった姿ではない。 その騒ぎはやがて空が白み始め、夜が明けだして辺りにちらほらと人の姿が見え出した頃にようやく終わる。 「はっ! い、いけない! こんなことをしている場合じゃないです!」 言うが早いか辺りに散らばるお絞りを素早く鞄に詰め直すとそれを引いて走り出す五和。 「あ、こら、待ちなさい! まだ話は終わっていません!」 「待ちません! ただでさえ日本とこっちとじゃ時差があるから早くに動こうと思っていたのにこんな卑怯な手で邪魔しようとする女教皇(プリエステス)様の言葉なんか聞きませんよーだ!!」 微妙な捨て台詞を残して走り去る五和を見ながら置いていかれる神裂。下を向くと何やらぶつぶつと呟いていたがやがてゆらりと顔を上げて言い放つ。 「いいでしょう。卑怯と呼ばれて大人しく引き下がっていたのでは聖人の名折れです。覚悟していなさい五和、今日あなたが言い放った言葉を必ずや後悔させてあげましょう。…………ともあれ、今最初にすべきことはあのような誤解を招く噂を流した張本人にその責任を取らせるべきでしょうか? ふ、ふふ、ふふふ、今日の七点七刀は鞘の滑りが一段と良い様に感じます。…………覚悟していなさい建宮斎字、ふ、ふふふ……」 その日ロンドン市内では何故か幾つかの建物に損壊が出る等の被害があったそうだが、不思議なことに公式には何も記録されていないという。 一方、日本に向けての飛行機の中でようやく自分が神裂に対してどんなことをしでかしたのか思い至った五和だが、さらなる騒ぎに巻き込まれることになるのはまた別の話である。 ところで、イギリスと日本との時差については思い至ったようではあるが、イギリスから日本へ向かう場合にかかる時間というものを考慮に入れていたのかどうかの結果を五和が知ることになるのは、日本の空港に降り立ってからのことである……。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/2727.html
前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある二人は反逆者 第5章 ①潮風の香り 上条と美琴が学園都市からの飛行機に乗り辿り着いたのは、北イタリアのマルコポーロ国際空港だ。 今回の旅行の目玉であるヴェネツィアの対岸に当たるイタリア本島にある国際空港で時おり風に乗って潮の香りが漂ってくる。 上条も美琴も二人で初めて向かった旅行が海外旅行ということもあり、半ば新婚旅行のような気分で臨んでいる。 しかし上条と美琴の旅行は出鼻から挫かれることになった。 「来ないな…」 「…そうね」 今回の旅行は自由行動というわけではなくツアー式の団体で行動する旅行になっている。 しかしながら集合時間になっても他の客どころかガイドすら現れない。 よくツアー旅行で遅刻すると遅刻者を拍手で迎えるという話があるが今更大勢で遅刻してこられて拍手しても、 嫌味ではなく本当に歓迎されていると勘違いされてしまいそうなものである。 初めは心地よく感じていた潮の香りも段々と生暖かい風と共に鬱陶しくなってくるのだった。 そんな中でもしっかりと手を握っているのが如何にもこの二人らしいのだが… 「だからあの女は早計過ぎると言ったのである」 何処か遠くから日本語が聞こえてきた気がするが、恐らく気のせいだろう。 そんな中、何処か辛そうにしている美琴の顔を見てあることを思いつく。 「なあ、いつまで経っても来ないあっちが悪いんだし二人きりで観光しちまわないか?」 「えっ?」 「イタリア語が話せる美琴に頼りっぱなしっていうのは情けないが、二人きりのほうが自由に回れるし。 泊まる場所は確保されてるんだから取り合えず荷物はホテルに預けてさ。 いつまでも待ち惚けを喰らってたって時間が勿体無いよ、せっかくの旅行なんだしさ」 上条の提案に美琴はしばし考え込むが、やがて上条の考えに賛同したように頷く。 本来なら重大なマナー違反なのだが二時間も待ち惚けを喰らっていたら、そういう考えに行き着くのも仕方なかった。 ガイドもなしに海外を学生二人で歩くのはそれなりに危険が伴うのだが、その点は非常に優秀な美琴がいるので問題なかった。 そうして二人の北イタリア観光が始まるところだったのだが、 ガイドが来ないのとは別の意味で新たな問題の火種に火がつこうとしていた。 取り合えず二人は無事にホテルに向かいチェックインすることに成功していた。 ホテルのある場所はキオッジアと呼ばれる小さな漁師町だった。 キオッジア自体には特に観光名所はないのだが、ヴェネツィア本島に泊まるより夜の遊びに向かうのには便利らしい。 とかいいつつもキオッジアからヴェネツィアに向かうのは少々ややこしい経路を通らなければならなかった。 まだギリギリ昼前の時間だったので観光は午後からにして、取り合えずキオッジア内で昼食をとることにした。 しかしその選択が二人の運命を大きく変えることになる。 「あれ、何で我らの恩人の上条当麻がここにいるのよな?」 割と最近聞いたばかりの日本人の声が聞こえ、上条は美琴と手を繋ぎながら歩くスピードを早める。 「ちょっといいの?」 「何となくだが関わったらこの旅行が潰れる、そんな気がする」 しかし声の主が諦めることはない。 「ここで恩人に恩を返さずに別れたら、天草式の名折れよな。 全員で上条当麻をひっ捕らえるぞ!!」 次の瞬間、上条たちは数人の日本人に囲まれる。 「うっ、せっかくの旅行が…」 「素直に挨拶したほうがいいんじゃない?」 上条は肩を落としながら美琴の言葉に頷く。 そして上条が振り返った先にいたのは、髪をクワガタのようにセットした男…建宮斎字だった。 「ここであったが百年目、せっかくの機会だし恩を少しずつ返させてもらうのよな」 建宮は上条と美琴に向かってニカっと歯を見せて笑う。 人のことは言えないが何処か言葉遣いがおかしくないかと心の中でツッコミを入れながら、 上条は建宮に向かって片手をあげて挨拶を返す。 そして天草式に連れられて上条と美琴はキオッジアにある建物の一つに向かうのだった。 建物の中に入ると天草式と同時期に知り合ったシスターのオルソラに迎え入れられた。 話によるとキオッジアはオルソラがローマ正教に所属していた時の地元のような場所であるらしい。 所属していたというのは今はオルソラはローマ正教に所属していない。 例の法の書を解読したというオルソラを巡る事件は、謎の男による仲裁でオルソラの捕縛の命は撤回された。 しかしそのままオルソラがローマ正教に所属しているわけにもいかず、 オルソラと天草式の身柄は同じ十字教の宗教団体であるイギリス清教に引き渡された。 どうやら二つの組織のトップ同士による表では行えないような取引があったらしかった。 実はオルソラの暗号の解読方法が間違いだったこともあって、 オルソラも天草式も特に問題なく日々の生活を送っているとのことだった。 上条が何故これだけの情報を知っているかというと、 ローマ正教のシスターであるアニューゼに痛めつけられていた少女…五和にメールでその後の経緯を聞いていたからだ。 魔術サイドのことにはあまり深く関われない上条もオルソラと天草式の無事を確認できて安心していたのだった。 そして上条にメールを送っていた五和はというと…相も変わらず上条に向けて熱い視線を送っていた。 しかし上条の手は美琴としっかり握られている。 助けた少女と交流を持つくらいは大目に見るが、上条を譲る気は全くない。 何となく美琴と五和の間で火花が散っているようにも見えるが、 当の上条は至って美琴一筋であるため特に問題は起きるはずがないのだった。 外野から押し倒せや既成事実など不穏な空気を纏う言葉も聞こえてくるが上条は無視を決め込んでいた。 「それであなた様は美琴さんと一緒に旅行にやって来たと?」 「ああ、それで美琴と一緒に食事できる場所を探してたら建宮に捕まったんだ」 「でしたら是非引越しの手伝いをして頂きたいのでございますよ」 「あのー、オルソラ。 俺達は旅行で遊びに来たって言ったばかりなんだけど…」 「半日じゃどうせヴェネツィアを完全に見て回ることはできないでございますよ。 手伝ってくださったら昼食と夕食もご馳走しますし、 地元の人間だからこそ知っているお勧めの観光地の巡り方やお店を紹介してあげられるのでございますが…」 「当麻、ここで会ったのも何かの縁だし手伝ってあげましょうよ。 それに色々ともらったほうが行動の指針も立てやすくなるし」 「美琴がいいなら俺はそれで構わないけどさ」 「尻に敷かれてるのでございますね」 「余計なお世話だ!!」 「では片づけを始める前に昼食にするのでございますよ」 「それじゃあ私も…」 「今日はお二人を歓迎する意味も含めていますから、ゆっくりしていてございませんか? 地元の料理をご馳走するでございますから」 「そうですか? それじゃあお言葉に甘えさせていただきます」 結果としてオルソラの食事をご馳走になったのは大正解だった。 先日オルソラの味付けに違和感を感じたのもよく考えれば、違う食文化で暮らしているのだから当たり前といえたかもしれなかった。 オルソラ曰く有りあわせののもので手早く作っただけらしいが、特に出されたボンゴレのスパゲッティは本場の味がするのだった。 美琴は早速オルソラに詳しいレシピを聞いている。 美琴が自分のためにレシピを増やそうとしてくれていることが分かったので、 上条はそんなちょっとしたことにも幸せを感じるのだった。 しかし引越しの片付けが終わりに近付いた時にハプニングは起こった。 片づけを行っている内に体が汚れてしまった皆は先に女子からシャワーを浴びることになった。 そんな中一枚の絵皿のしまい忘れが発覚して新聞紙に包もうとするが、部屋の中の新聞紙はちょうど切れていた。 そして先ほど新聞紙のストックがあると言われた場所に上条は向かった。 恩人を言いながらも上条をさり気なくこき使う天草式の連中に何か釈然としないものを感じながらも、 上条は新聞紙を探して奥にある部屋の一室の扉をさり気なく開いた。 そしてそこにいたのは… 「え?」 一糸纏わぬ姿でシャワーを浴びている美琴だった。 美琴以外の女性なら上条はすぐに目を逸らし土下座か何かして謝っただろう。 しかし上条はそういった行動に出ることが出来なかった。 「綺麗だ…」 上条は美琴の裸が放つ魅力に見惚れてしまっていた。 美琴も顔を赤くしているものの不思議と嫌な感じはしない。 「ご、ゴメン!!」 しばらく見つめあった後、冷静さを取り戻した上条は謝ると急いでドアを閉める。 やがてシャワーを浴び終え戻ってきた美琴も、上条とまともに顔を合わせることが出来ないのだった その夜、上条たちの知らぬところでローマ正教が編成していた魔術による艦隊が全滅した。 圧倒的な力による破壊に氷で出来た艦隊は今や見る影もなく、いくつかの氷の塊が海に浮いているだけである。 その氷の上に一人の少年が佇んでいた。 少年はつまらなそうに海の藻屑となった艦隊があった場所を見つめている。 すると少年の携帯が同僚からの連絡を告げた。 (終わったみたいね) 「何で分かるんだ?」 (流石のあなたでも仕事中は電話に出ることは出来ないでしょ) 「…違いねえ」 (どうしたの、何処か不機嫌そうだけど?) 「別に…」 少年には暴れたりないという気持ちが強かった。 今までずっと裏方に回ってきた。 そしてようやく自分にも力を試せる機会が巡ってきたというのに、相手の頭は小物臭がする雑魚でしかなかった。 そしてそれ以上に… (そういえば利用されていた200人を超えるシスターの部隊とやらはどうなったの?) 「殺すにも値しない奴らだったから、直接手を下しちゃいねえよ。 まあ氷の船と一緒に海に沈んだ奴らはいるかもしれねえが」 (怒ってるの?) かつて少年はこの世界の在り方に疑問を持った。 自分は力を持っていた。 でも周りの人間達はゴミ屑を処理するかのように毎日着実に減っていった。 命って何だ、能力って何だ? 皮肉にもそう思える少年には力が備わっており、少年は周りの友人達を救うために戦った。 しかし待っていたのは圧倒的な力による蹂躙だった。 そして少年の大事なものは全て消え去り、少年の信念は折れていた。 そうあの時までは… 少年にとって学園都市第一位は侮蔑の対象でしかなかった。 力に何の疑問も抱かずに弱者を蹂躙していく。 かつての少年だったら例え敵う可能性が低くとも立ち向かっていっただろう。 しかし少年の信念は折れていた。 少年に学園都市第一位に立ち向かう気概はなかった。 だが一人の右手に少しばかり特別な力を持つ少年は学園都市最強の化け物に怯むことなく立ち向かった。 かつての自分と同じ圧倒的な存在に挑む幻想殺し… 一つ少年と違ったのはいくら傷つけられても幻想殺しの信念は折れなかったことだ。 そこに自分は少しばかりの希望を見た。 そして幻想殺しがかつての自分と同じ道を辿ろうとしていることを知った。 気付くと幻想殺しの戦いを見て、自分の折れた信念に一本の筋が通っていた。 「別に怒ってないさ、ただ弱者はいつも利用され捨てられる。 それは何処の国でも、どの組織でも変わらねえってことを実感しただけだ」 (…) 少年は幻想殺しに協力者と名乗った。 本当は仲間だと名乗りたかったところだが、統括理事長の影響下にある以上そうもいかなかった。 統括理事長は遊んでいる。 何やら崇高な目的があるらしいが、少年から見たら命をチップにする性質の悪い賭け事のようにしか見えない。 それに統括理事長は自分を取るに足らないものだと思っているらしい。 だからこれまでもある程度の自由が認められてきた。 今回は統括理事長からの命令で動いていたが、それは流石に科学の産物が全て消える事態は放っておけなかったからだ。 「別に俺がそこら中に散らばる小石のような存在だって構わない、今更周りからの評価なんて気にしねえ。 だが覚えておけ、アレイスター。 一度砕けた俺の信念に常識は通用しねえぞ」 携帯を切った誰もいない海に向かって吐き捨てるように呟いた少年の背中には6枚の天使の羽のようなものが展開される。 そして少年はもう一人の協力者との接触場所へと飛び立つのだった。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある二人は反逆者
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/1292.html
「へぇー、当麻がピッチャーか……なら私の【超電磁砲(レールガン)】を球にでもする?」 「やめて下さい美琴さん!!そんなことしたら上条さん死んじゃいます!!」 「冗談に決まってるでしょ?私は当麻に手なんてあげられないもん♪」 怒った時は例外だけどなァ。と、一方通行は激しくつっこみたかったが、この家で下手なことを言うと生き地獄を味わうのでやめた。 「なんであなたがピッチャーじゃないの?ってミサカはミサカは疑問に思ってみたり」 「あン?ンなもン無理に決まってンだろォが。俺が投げたら腕が飛ぶだろォが」 「でもパパなら右手d 「無理だから!!俺死んじゃうから!!」 打ち止めが土御門と同じことをいいそうになったが、それを上条がすかさず止める。 だが一方通行はニヤリと笑い、カレーを口に含んだ。それはそれはおいしいそうに。 「上条、俺に投げさs 「上条さん死んじゃうから却下!!俺さっきからこれしか言ってなくね!?」 あわれ上条、お前はいつも生死を生き返りしている。 「なんかひどい!!上条さん怒りますよ!?」 「それだけは勘弁してくだせェ……」 ――――――――――― 上琴、一打が笑いあってる一方、浜滝はというと 「おい!麦野のやつここら一帯を焼き尽くすつもりじゃないだろうな!?そんなことしたら生き残れても見つかっちまう!!」 「大丈夫、はまづら。みつかったら私がどうにかしてあげる」 「おおぉ!!滝壷だけだー!俺のことを助けてくれるのは!俺はもう一生、滝壷さんを放しません!」 麦野に追われながらの危機的状況でもいちゃついていた。 「なぁに、いちゃついてんだ、は~まづらぁ。滝壺も」 「うわ!む、麦野!?滝壺、逃げるぞ!」 「おい、逃げるなよ浜面ぁ。私と楽しい事したいだろ~?」 「したくねぇよ!お前の頭はそればっかだな、おい!!」 浜面たちは逃げ回ったり、かくれたりしながら麦野を遠ざけたところで浜面を探していた半郭に偶然会い、間一髪助けられた。 「浜面こっちだ!」 浜滝はとっさに呼ばれ半郭に呼ばれた方向に飛び込んだ。 「助かったぁ~。半蔵サンキュー」 「いいって、お礼を言われるほどたいしたことしてねからな」 「そうか?まあいい。それよりどうしようかこれから」 「まだむぎのにかざりがついてるかも。だってここにむぎののAIM拡散力場が近づいてきてるみたい」 滝壺は少し使えるようになった能力で麦野の接近を感じていた。 「浜面の匂いがここら辺からするねぇ」 「こわっ! あいつ何かすっげーこと言ってんだけど!」 「でもはまづら、これでむぎのにういはるが付いていないことが分かった。それだけでも大収穫」 麦野は匂いとか言っていたけど実際はそんなものではなく、単なる勘なのだがそれでもその索敵能力は目を見張るものがあった。 現に麦野と浜滝&半郭の距離はお互いの声が届くほどにしか離れていないのだ(浜滝は小声で会話中)。 「にしてもこのままってのもなぁ。郭、前に使った睡眠作用のある煙幕弾は無いのか?」 「す、すみません半蔵様……。あれは元々一つしか作ってなくて前に使ったので最後なんです」 「……終わった。俺、今度こそ色んな意味で麦野に喰われまくるんだ……。ん? 携帯の着信音?」 「はまづら、どうやらむぎのの携帯みたい」 動きを止めて面倒くさそうに電話に出る麦野に気付かれないように観察する浜滝&半郭。 麦野の電話相手、声こそ聞こえないが彼女が出した名前に四人は驚かされることになる。 「もしもし誰よ? そろそろって時に……って初春か。えっ、やり過ぎ? そろそろ揉み消しも厳しくなる、ねぇ。そりゃ悪かったわ、ゴメンね」 「は? 今日は大人しく帰れって? それはいくらアンタの頼みでも……頼む! それだけは止めて! 分かった、今日は大人しく帰るわ!」 そして麦野はそのまま大人しく帰って行った、明らかに残念そうな表情をして。 四人、特に浜滝は麦野に自分達の情報をリークした初春がどうして麦野を止めてくれたのかさっぱり理解出来なかったが、真実を知るのは少し先の話である。 ともあれこれで今日の麦野は終わったので浜滝は一安心して帰ろうとしたが、 「浜面、明日絶対に朝練来いよ! そうじゃ無かったらお前とんでもない目に遭うんだからな! あと、額はどっちみち覚悟しとけよ」 半蔵の謎の言葉を聞いて明日が来るのが怖くなった浜面なのであった。 ―――――――――― 「あァ、今日は上条達のトコに泊まっから心配すンな。打ち止めの着替えは御坂のガキの頃のおさがりがあるから問題ねェよ。じゃあな」 一方で打ち止めと一緒に上琴ハウスに泊まることを決めた一方通行、保護者の黄泉川との話し合いをちょうど終えた所だった。 晩ご飯の後片付けをしている美琴&打ち止めの後ろ姿を幸せそうに見つめる当麻&一方通行、そこに幸せムードをぶち壊す土御門からの電話が当麻に入った。 上条は土御門とわかると、この至福の時間をじゃまする土御門に一つの返事を用意して電話に出た。 「『明日覚悟しとけ』」 あれ?と、上条と土御門は首を同時に傾げた。どうやら考えていることは同じらしい。 上条は伝えたい事は伝えたし、このまま切っても良いのだが、この発言をした土御門も気になる。 だか土御門から電話が切れてしまった。 「……まあいっか」 「土御門のヤツ何ていったかァ?」 「明日覚悟しとけみたいなこと言ってた」 「あっそ」 二人は電話に気にする事無く、愛しい人を見つめるのだった。 ―――――――――――― そして土御門はと言うと、 「……忠告してやったのに何で同じこと言われたのかにゃー?」 「上条君なんて言ってたの?」 横にいる月夜が土御門に聞いてきた。 「同じこと言いやがったぜい。でも、どうしてかにゃー?」 「あー、たぶん、近くに美琴ちゃんがいるんだよ。愛の巣を邪魔されたからじゃないかな?」 「マジかよ・・・。これはやばいぜい」 土御門は恐怖した。邪魔した自分が明日どうなるか。だが上条は自分と同じ事を言っていた事に気が行ってしまいそんなことは忘れていた。 ―――――――― 「申し訳ないのよ飾利姫。この建宮斎字、学校のある日は姫のお弁当を作ると言っておきながら……!」 「い、いいですよ! そんなに謝らなくても。確かに建宮さんのお弁当が食べられないのは残念ですけど、お仕事なら仕方有りませんから」 「仕事っつーか何つーか、急に早まった球技大会の朝練で腹空かせた生徒のメシを作るっつー緊急の炊き出しだから一概に仕事とは言えんのよね」 こちらは教会の食堂、食事を終えた義妹トリオ、神裂、シェリー、建宮が食後のお茶を楽しんでいた。 ちなみにインデックスはここでの食堂を前菜(オードブル)と称した後でメインは喰わせ殺しと言って外出、ステイルは付き添いと言う名の財布役である。 「あの妙に手の込んだ、しかも美味しいお弁当作ってたの建宮だったんだ……。その顔でタコさんウインナーとかって思うと引くわ」 「涙子に不快な思いをさせるなんて建宮のくせに超生意気です。よって建宮に謝罪を超要求します」 「日に日にわしへの対応が酷くなってるな、お前さん方……。というわけで飾利姫! このブロークンハートを貴女の癒しでゲフンッ!」 ドサクサに紛れて初春との触れ合いを求めた建宮、あえなく神裂、シェリー、佐天、絹旗の息の合った拳骨で撃沈。 ピクピクしてる建宮を見てオロオロしている初春の注意を別に逸らす為に神裂が球技大会について話し出す。 「しかし上条当麻の高校ではもう球技大会ですか。私達は来月だというのに」 「そうなんですか?」 「ええ。ですが飾利、安心して下さい。運動が苦手な貴女の為に私が思う存分フォローをしますから♪」 「絶対に止めて下さい! 火織お姉ちゃんの気持ちだけで充分ですから! これ以上は目立ちたくないんです!」 初春に怒られてしょげている神裂、本当にどっちが姉か分からない二人である。 佐天は初春に今でも充分目立ってるって言いたかったが、それを言ったら初春が確実に落ち込むので口にはせず、代わりに気になることを尋ねた。 「でもどうして当麻兄さんの高校の球技大会、早まったんだろうね? 飾利、何か知ってる?」 「何でも当麻お兄ちゃんの高校の入学式のいざこざを早くに決着を着けるのが目的みたいですよ」 (そういやあハイドン達が襲ってきた日に何かゴタゴタしてたな、あそこ。……そうだ!) ここでシェリーが得意気な表情である提案を持ちかけた。 「なあ飾利。明日の放課後、幻想殺しの学校に行ってみないか? 球技大会ってやつの練習してるだろうから冷やかしにさ」 「明日は確かジャッジメントのお仕事は休みですから大丈夫ですよ。涙子さんも最愛さんも火織お姉ちゃんも一緒でいいですよね?」 「まあ、佐天と絹旗なら文句は無えけど……。神裂、てめぇは喜んで辞退するよな? ていうかしろ」 「ふざけるのも大概にして下さいよ、シェリー。ですが私も学校の仕事がありますから一緒というわけにはいきません。ですが! 必ず駆けつけますからね!」 本当なら初春という唯一無二の親友と二人っきりが良かったシェリーだが佐天と絹旗なら仕方ないと思い、素直に受け入れた。 しかし神裂の途中参加に舌打ちをしたシェリーにイラッと来た神裂がガンの飛ばし合いを始める(初春の手前、暴力は振るえない)。 大人げない二人をスルーする形で佐天がふと思った疑問を口にする。 「あ、でもそうすると待ち合わせはどこにしよっか? 無難にうちの学校前でいいよね?」 「そうですね、その方がいいです。最愛さんはシェリーさんと一緒に放課後になったら来てくれればいいですから」 「ああ、私に待ち合わせは超不要です。何故なら待ち合わせする必要が超無くなるからです♪」 絹旗の言葉に疑問を抱いた初春と佐天、二人の疑問が解決するのは明日になってからのことである。 ―――――――――― そして時間は経過し午後10時、上琴ハウスではとある問題が浮上していた。 「今日はパパとママと一緒に入りたいってミサカはミサカは30回目のおねだりを諦めることなく続けてみる!」 「だからそれは駄目だって言ってるでしょ! 当麻と一緒のお風呂に入っていいのは私だけなんだから!」 その問題とはお風呂のことだったが、そのことを気にしているのは美琴と一打だけだったりする。 当麻は打ち止めと一緒にお風呂に入ってもいいとか思っているが、その理由はあくまで夫婦の予行演習という高校生らしからぬ(?)ものだった。 一人沈黙を守っている一方通行だが彼の頭の中では色々と悶々とした思いが渦巻いていた。 (いくら上条が御坂一筋だからっつっても所詮は一匹の獣。打ち止めに欲情しねェとは限らねェ! むしろ欲情しねェ方がオカシイだろォが!) 「アクセラ? 大丈夫か?」 「(だからってどうすンだ? 俺が打ち止めと一緒に入るって言うのか? ンなのただのサカリのついた猿じゃねェかァ! ならいっそのこと)お、俺も一緒に入るぜ。……なーンてなァ」 思考の最後の部分を一方通行がつい口にしてしまったことで当麻も、喧嘩中の美琴と打ち止めも動きを止めてしまった。 一方通行の失言にいち早く反応したのは当麻で、彼の後頭部に“ゴドンッ!”と大きな音を響かせるほどの右ストレートを喰らわせた。 今日最後に一方通行が見たもの、それは自分の言葉にドン引きしている美琴と打ち止めの怯えの視線だった。 「ったくこのムッツリは何をほざきやがるんだ……。で、結局どうすんだ? 二人とも」 「そうねぇ、ずーっとこのままってわけにもいかないし……。打ち止め、アンタどうしても私と当麻と一緒にお風呂入りたい?」 「そんなの当然だよってミサカはミサカはなおもママに食い下がってうわわっ! ミ、ミサカの目の前が急に真っ暗になったよってミサカはミサカはパニックになる!」 打ち止めの視界を遮ったのは美琴が何故か持っていたアイマスクで、パニックになってる打ち止めのアイマスクを取るとこんな約束を交わされることに。 「一緒にお風呂に入ってもいいけど当麻の裸だけは絶対に見ないように! アイマスクは私の許可なく勝手に動かさないこと、分かった?」 「何だか釈然としないけど今日の所はこれで我慢するってミサカはミサカはママの妥協案を受け入れるついでに今度はアイマスク無しがいいってパパに頼んでみたり♪」 「そうだな~、美琴がもう少しやきもち焼きじゃ無くなったら考えても……スミマセンゴメンナサイミコトサン、イマノハカルイジョークデス」 美琴と打ち止めと一緒にお風呂に入ることに抵抗の無い当麻が前向きな意見を言おうとしたが、涙目で殺気を向けてきた美琴の前に否定せざるを得ない結果に。 アイマスクで目隠しをされている打ち止めを美琴が抱きかかえてお風呂(地下室のではない)に向かう途中で打ち止めが、 「そういえばパパとママって一緒にお風呂に何度か入ってるみたいだけどお互いの裸はもう慣れっこなんだねってミサカはミサカは昔の二人を考えると成長したなって思ったり」 などと言った結果、打ち止めが居る状態での混浴は初めてのことだったのでもの凄く意識してしまうことに。 第三者と一緒のお風呂は過去にバレンタインでポリアモリーカップルで経験済みだが、その時はお互いのカップルのことは殆ど気にしていなかった。 しかし目隠しはしていても無垢なる打ち止めの存在は上琴に何とも言えない緊張感を、特に美琴に与える羽目に。 「ラ、ラシュト、オ、オーダーのみ、見てるみゃえでと、とととうみゃのお、お風呂……ふ、ふに」 「わーーーーーっ! 美琴ストップストーーーーーーップ! 漏電無し! 気にしすぎダメ! 分かるよな?」 「ひゃ、ひゃいっ! わ、わわわわわたし、が、頑張るっ! だからと、とうみゃもが、頑張って!」 自分の目の前でテンぱる美琴を懐かしいと思いながらも、当麻は一人で頑張ろうと決意する。 その日、当麻はお風呂に入ったにもかかわらず疲れが全く取れた気にはなれなかったという。
https://w.atwiki.jp/indexorichara/pages/651.html
第6話「再会はゴミ捨ての後に」 イギリス・ロンドン某所 レンガに囲まれた6畳ぐらいの狭い部屋。壁には見るだけでも痛くなる数々の拷問器具が所狭しと並べられており、そのいくつかには血で錆び付いたものもある。レンガのグレーという配色は部屋全体に冷たさを感じさせるが、周囲に灯された。周囲の拷問器具から鉄や血の匂いがする。 尼乃昂焚は縛られた状態で部屋の中心にある三角木馬の上に座らされ、股の裂けるような痛みに耐えている。 彼の目の前には布が全滅5秒前の黒革ボンテージ服の歩くポルノのような少女が火の灯ったロウソクを持ち、虫けらを見る様な目でこちらを見ていた。 「今、なんて言った?もう一度、聞いてあげるから言ってみて下さい。」 「いや、だから“チェンジ”って言った。どんなにエロチックな格好をしたとしても俺の性的嗜好はボンキュッボンな大人の女性であって、発展途上やつるぺたを好むロリコン趣味などないという事実に変わりは無い。それに残念ながら俺はSM趣味は持ち合わせていない。」 そんなことを云々と聞かされた少女はロウソクを昂焚に向けて傾ける。 「もし、君がどうしてもSMプレイをしたいというのなら、俺は“攻められる”より“攻める”方をやりたい。というか、ヴィジュアル的に君の方が攻められる方が良いと思う。『白濁!囚われた奴隷少女!~鬼畜サラリーマンの終わりなき○○~』みたいなシチュエーションで・・・~~~~~~!!?」 突如、何の断りも無く少女は昂焚の膝元にロウを垂らした。ドロドロに溶けたロウがポタポタと昂焚の膝や太股に落ちて行き、スーツ越しでも伝わるその高熱に昂焚は声も出せなかった。 「ここをSMクラブか何かと勘違いしているの?だとしたら、随分と幸せな思考回路ですね。」 「しかしこのような状況になったら、現実逃避の一つや二つしたっ~~~~!!!」 再び、昂焚の足に新鮮熱々のロウソクが垂らされる。 「余計なことは喋るな。あなたは私が欲しがっている情報を吐けばいいんです。」 何度も垂らされるロウソクと三角木馬による激痛で昂焚は少し疲れ気味だった。 「本来なら情報を喋るだけの肉塊にするのだけど、最大主教《アークビショップ》に“彼の場合は穏便に済ませけりなるものよ。”と言われていますんで・・・」 (これで・・・穏便?) 昂焚は「お前、穏便と言う言葉をもう一度国語辞典で調べてみろ。」と言いたかったが、次はどのような拷問を与えられるか分からない。彼女に怒りの火をつけるのはあまり宜しくないと思った。 「そういえば、自己紹介がまだだったわ。私はハーティ=ブレッティンガム。必要悪の教会で拷問官を務めています。」 「俺は―――――「喋らなくていいです。」 昂焚の自己紹介を制止し、ハーティは手に持っていたロウソクを台の上に置き、どこからか紙の束を取り出した。それに目を遣り、その紙の内容を読み上げる。 「尼乃昂焚。29歳。日本人。5歳の頃に事故で両親を亡くし、その後は十字教系統の児童養護施設に預けられるが、十字教の教理に反する言動が多かったために別の児童養護施設に預けられて育つ。吾潟大学人文社会学部歴史文化学科を卒業後、遺された親の遺産で世界を転々とする。4年前の北アフリカで起きた『便所に群がるシスター事件』を発端とし、数々の怪事件に関与。使徒十字《クローチェディピエトロ》の一件に関わった疑いもあり、追手である冠華霧壱を気絶させて彼の干し首全てに油性ペン(学園都市製の消えないアレ)で落書きを施した。」 (まぁ、その点については“よくやった”と言いましょう。調子に乗った彼には灸を据えたわけですし・・・。) 「また、ヴィルジール=ブラッドコードをはじめとするイルミナティ幹部とも交流があり、先日、ミュンヘンにおけるホテル火災・美術館前広場の破壊・空港の輸送機爆発にも関与している。これで間違いないですね?」 「必要悪の教会はいつからストーカー集団に変わったんだ?」 昂焚の発言にムカッと来たのか、ハーティはロウソクを持ち、火を昂焚の顔へと近付ける。ロウソクに灯る火がチリチリと昂焚の前髪を焦がしていた。 「ごめんね。おにいさんがぜんぶわるかったよ。」 「分かったのならそれでいいわ。では、ここから本題に入りましょう。」 そう言って、彼女はギザギザが錆びた切れ味の悪そうなノコギリを取り出し、昂焚に微笑みかけた。 ロンドン・日本人街 ロンドンに立ち並ぶ伝統建築と日本でよく見かける現代的な看板や広告が並ぶ文化が混沌としつつも整然としている市街を2人の女性が人混みを蹴散らしながら疾走していた。 「こっちに来んじゃね―――――――――――――――――――――――――――!!!」 ―――と叫びながら必死に逃げる長槍を持ったラテン系美女。 「知っていますか?この星は黄土色のクワガタムシが地下を這いまわっいて、大量の卵を生みつけているんですよ。卵が放つ莫大なエネルギーを陸海空全てを制したダマスカス色のイカが餌として食べているのですが、食べきれずに残った分が火山噴火として地表に出てくるのです。このクワガタムシの卵こそ、神が『人類はこれで卵かけご飯を食べるべきだ』という啓示なのですよ。」 ―――と電波を垂れ流し、踊りながら追いかける(黙っていれば)東洋系美女くずれ。 「そんな気持ち悪い卵かけご飯食えるか―――――――――――!!!」 狂女の電波に対していちいちツッコミを入れながら全力で走り続けたが、足を止めて踵を返す。 「もう怒った!マジギレだ!てめぇはここでぶっ潰す!!」 そう叫び、ユマは人のいない脇道へと入って言った。狂女もそれに付いて行く。 そして、ある程度、奥に突き進んだところで踵を返し、担いでいた2m近い槍に巻かれている布を剥ぎ取った。 白日の元に晒されたユマの槍は黒曜石で出来ており、黒く半透明で光沢のある槍が太陽の光を反射して輝いていた。まるで稲妻のように屈曲した刺先には季節違いの霜と氷に包まれ、氷自体が刃を形成していた。槍全体からドライアイスのように冷気が放たれ、そこに存在するだけで気温を10℃も下げそうな勢いだった。 「悪ぃが、速攻で――――――――――!?」 突然、ユマの下腹部に衝撃が走る。棒状のもので叩かれ、その勢いで彼女は数メートルも飛ばされて路頭のゴミ箱に激突する。 (な・・・何だ!?今の!?) ユマが顔を上げると、すぐ目の前は竹刀の先端だった。 ユマの目の前にいる女性は彼女に竹刀の矛先を向け、凛々しく美しい佇んでいた。その顔から表情は読み取れない。言うなれば無念無想の無我の境地。色で例えるのなら透明そのものだった。そして、その美しさはまさしく“無”から来ていた。 ユマは大和撫子と言う言葉はこの女性の為にあるのではないかと思えるほどだった。そのあまりの美しさに同性でありながらも見惚れてしまい、目を奪われていた。 だが良く見ると彼女の服装はつけてないはいてないの魔改造巫女装束という電波攪乱狂女と同じ格好だった。顔立ちも目や髪形も考えれば彼女と同じだ。 (どどどどど同一人物――――――――――――――――――――――――――――――っ!?) あまりにの衝撃的な超魔改造ビフォーアフターにユマは空いた口が塞がらなかった。 そんな彼女のリアクションお構いなしに、狂女改め美女は竹刀を引き、再びユマに向けて突き穿つ。 竹刀はユマから反れて彼女の耳を掠ったところで彼女の背を支えていたゴミ箱に穴を開けた。 「!?」 はっと気付いたところでユマは立ち上がって逃げ、再び美女から距離を取る。竹刀では届かず、ユマの槍型の霊装「イツラコリウキの氷槍」ならギリギリ届く距離だ。槍を振り回すには道も十分な広さだった。 ユマは槍を構え、じっと相手の出方を窺う。一見冷静に見える行動だったが、彼女の思考は恐怖と焦燥感で溢れそうだった。 (ヤバい・・・。あの女はヤバ過ぎる・・・。電波とかそんなものはまだ可愛い方だ。) 美女はゴミ箱から竹刀を抜くと、竹刀が折れ曲がっていることを気にせずに何事も無かったかのように再びユマと対峙する。 (まずあの攻撃速度・・・、有り得ねぇ。聖人としか思えねぇよ!殺気も予備動作も感じられなかった!さっきのだって槍の冷気で竹刀を捻じ曲げなかったら、脳味噌の風通しがよくなってた!!) ユマが唾を飲み込み、槍を強く握った。 (一か八か、こいつでやるしかない!!) そして、覚悟を決めた・・・・。 ユマが槍から右手を離し、石突に近い箇所を持っていた左手を振るう。 弧を描くように振られた槍からは一気に冷気が放出され、瞬く間に霜と冷気に包まれた空間が出来上がった。半径10mと範囲はとても狭い。 かつてトラウィスカルパンテクウトリは太陽に挑むために自らの槍を投げたが、返り討ちにあって槍を頭に突き刺さられた。その結果、イツラコリウキになったという伝説がある。自らを返り討ちにした太陽と言う強大な存在の前では氷結の神も委縮する様だ。 (かつて挑んだ太陽がある中だと・・・氷陣もこれが限界か・・・。) ユマは呼吸と心臓を整え、聴覚を研ぎ澄ます。 冷気によって創り上げられた陣地はイツラコリウキの「全てを冷気で曲げる者」という異名通り、陣地内の物体の全てがユマの意志通りに捻じ曲げることが出来る。だが、それと同時にイツラコリウキの伝承通りに彼女は一時的に視力を犠牲にすることとなる。 そのため、彼女は周囲に放った冷気の温度の変化と音を情報源として周囲の状況を把握している。 「さぁ、どっからでもかかって来な。」 ユマの挑発に乗ったのか、美女は竹刀を構えると、縮地で一気に距離を詰めた。氷陣の内部に突入した瞬間、一気にユマへと折れた竹刀の先端を伸ばし、一気に彼女の腹部を突いた。 (やっぱり早すぎる!!) 自身が冷気の温度変化や音を認知する前に美女は彼女へと攻撃を与えたのだ。音は秒速340m。美女が氷陣の中に入った時に聞こえる霜を踏む音をユマの耳が感知するまでには0.03秒。それ以上の速さで氷陣の5mを突きぬけたのだ (曲げろ曲げろ曲げろ曲げろ曲げろ曲げろ曲げろ曲げろ曲げろ曲げろ曲げろ曲げろぉぉぉぉ!!) ユマが激痛で意識を失いかける中、必死に冷気に命じていた。 グリッ・・・コキン・・・・ 何かが外れる様な不吉な音と共に「ぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!!」と鼓膜を張り裂く叫び声が聞こえた。 ユマは腹部の激痛に耐えながらも氷陣を解除し、視力を取り戻した。目の前には絶対に有り得ない方向に折れ曲がった右腕を抑えながら、女性が上げちゃいけないグロい悲鳴を上げ、女性としてアウトな表情を浮かべていた。 そして、その光景を見たユマも女性としてアウトな行為に奔ろうとしていた。 先ほどの美女改め再び狂女の攻撃を腹部に2度も喰らい、その衝撃で吐きそうだったのだ。 「おぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」 胃の内容物を大地へ還元《リバース》してしまったのだ。なんという残念過ぎて玉に致命傷な美人だちの光景だった。 そんな中、一組の男女が2人に近付いて来た。 「こりゃあ、面倒な状態になってるのよな。」 「あの・・・大丈夫ですか?」 一通り、吐瀉物を吐き終えたユマの背後から話しかける。 「あぁ?」 ユマは睨みつけるように振り向く。戦いのダメージや電波による精神的ダメージその他もろもろによって気分は最悪だった。その元凶である女を倒しても結局は魔術で腕の骨を折っただけで自分としては何ら実感は無かった。とにかく鬱憤は晴らし切れていなかった。 振り向いた先には一組の男女がいた。年齢は15~16歳ぐらいの巨乳の少女とダボダボな服を着たクワガタのような頭をした男だ。逆光のせいでシルエットしか分からない。 「守音原の方を看るから、五和はそっちの方を頼むのよな。」 「はい。教皇代理。」 真っ黒な髪をワックスで固め、左右の上方へと追いやったクワガタヘアーの男がそう言って、骨が折れてもがく狂女の方へと向かった。 五和と呼ばれた少女は二重瞼が印象的なショートカット娘だ。袖無しシャツの下からでも分かる控えめに激しく自己主張する胸に目が行く。「私の方が大きい」とユマは微かな優越感を感じたのは内緒だ。 「あ、今、丁度おしぼり持ってるんで良かったらどうぞ。」 少女に渡された温かいホカホカお絞で口周りを拭き、ユマは立ち上がった。 「あんがとな。」 そう言って、自分が使ったお絞を返す。 立ち上がり、再び少女と対面する。背は自分より低く、スタイルが良い。胸も大きい。ここまでは一般的な見解だ。だが、それ以上のことがある。彼女の肉付きは背や元々の骨格の違いがあるものの、自分と似ているのだ。互いに細身であるから素人には分からないだろうが、槍を振るう人間独特の筋肉の付き方というものがある。自分もこの少女もそうなのだ。 (それに私の睨みにもビクりとしなかった。こいつは、それなりの修羅場を潜り抜けている・・・。) あれこれ考えていると、クワガタ頭の男が守音原を肩に抱えながら、こちらにやって来た。 守根原の方は痛みに声を上げる体力と気力を失ったのか、無気力なまま身体は完全に男に預けていた。半開きの口から涎がポタポタと垂れており、彼のダボダボで今にも足を引っかけそうなズボンに落ちていた。 「そっちは大丈夫そうなのよな。」 男に問いかけに五和は「はい。」と答えた。 「あんたら・・・その格好・・・」 ユマは男にささやかな警戒心を抱いていた。彼の服がそうなのだ。ダボダボで動き辛そうなのは気にしない。魔術師なんて一般の目から見ればヘンテコな格好をしているのなんて珍しく無い。だが、彼の服には大きな十字模様が入っていた。かつての天敵であるスペイン星教ら十字教のシンボルだ。 「まぁ、隠す義理は無いのよな。俺は建宮斎字。イギリス清教傘下天草式十字凄教の教皇代理なのよな。」 「初めまして。五和です。」 男は少し砕けた感じで、少女は礼儀正しく頭を下げて自己紹介した。 「ユマだ。ユマ=ヴェンチェス=バルムブロジオ。今はフリーの魔術師だ。今、人を探しているんだ。」 そう言って、ユマは1枚の写真をポケットから取り出した。 古い色褪せた写真だ。数年前のものなのだが、ずっとユマのショートパンツのポケットに入れられたままだったため、保存状態は最悪だ。そのため、十数年前の写真のようにも思える。 20歳前後の東洋人の男と10歳前後のラテン系の少女が2人して映っている。少女がカメラを持ち、無理やり男を抱き寄せて自画撮りしていた。少女の表情は子供らしく太陽のように明るい。対して、男の方は混沌としている。明るいわけでも暗いわけでもない。少女に襟首を掴まれて突然引き寄せられたことに少し驚いている様子だった。 「この日本人の男を探してるんだ。名前はアマノ・タカヤ。漢字は難しいから分からない。こっちに来てるって聞いたんだが・・・」 写真を見た建宮はすぐにピンと来た。 (あ・・・・ゲテモノメイド服シリーズの職人に依頼した時にすれ違ったのよな・・・・。) それは遡ること数日前、たった一人でローマ正教のアニェーゼ部隊相手に喧嘩を売った男“上条当麻”に好意を抱いた五和嬢のために、建宮斎字はかつて五和が購入を躊躇った“大精霊チラメイド”を調達するために奔走していた。 ロンドン在住のデザイナーの元に(教皇代理の職権濫用で入手した)五和の身体データを持ち寄り、彼女のサイズピッタリの大精霊チラメイドを作るように依頼していた。 建宮がデザイナーの元に訪れた時、丁度、アトリエの入り口で尼乃昂焚とすれ違った。 あまりにも不自然過ぎるダボダボ服と人間がまるまる一人入っていそうな棺桶トランクを担ぐ姿、互いに怪しく、同時に「あ、こいつ魔術師だな。」と思った。しかし、それぞれに用事があったため、それほど気には留めなかったのだ。 (言うべき・・・なのよなぁ?けど、言ったら五和にチラメイドのことがバレるかもしれないのよな。) 言うべきか、言わざるべきか・・・ まぁ、言ったとしてもそれはユマが得た情報よりも古いため、役に立たないのが事実ではある。 「ん~。私は見かけませんでしたね。教皇代理は?」 「えっ!?いや・・・俺も見てないのよな。」 2人(特に建宮)は申し訳なさそうな顔でユマを見つめた。 「そうか。じゃあ、他をあたる。」 そう言って、ユマは槍を断熱素材の布で包むと、2人に背を向けてどこかへと行ってしまった。 ハーティちゃんのDOKI☆DOKI☆ごうもんしつ!(命名:尼乃昂焚) ロウソクが灯り、不気味な拷問器具を照らす隔離空間。 「ぐぁぁぁぁっ・・・・ぐへっ!」 ハーティに責められ続け、ありとあらゆる拷問器具で生かす殺さずの生き地獄の中にいた昂焚は完全に精神が摩耗していた。服と肉体は鞭やロウソク、火炙り、ノコギリによってボロボロになり、血反吐を吐くたびに拷問器具を血で汚した罰として更に責められる。 生きているのか死んでいるのかと問われれば、生きていると答えられる。だが、いっそのこと殺してあげた方がどれほどの救いだろうか。 拷問と言うのは殺害の手段ではない。絶対的な力と恐怖によって答えを導く手段である。プロの拷問官であるハーティが相手を殺すようなことをするわけない。 そしてハーティは苦しむ昂焚を冷徹な眼差しで見下していた。 「もう一度確認するわ。イルミナティのメンバーは全員で680人。666人の構成員と13人の幹部、1人のリーダーで構成されていて、常にその人数で固定されている。これで間違いないですね?」 「ああ・・・・・。間違いない。」 昂焚は口から滝のように血を流しながら、必死に唇を動かしていた。 「イルミナティの13人の幹部で名前が判明しているのは6名。ニコライ=エンデ、メイラ=ゴールドラッシュ、ミランダ=ベネット、ルシアン=ハースト、ヴィルジール=ブラッドコード、箕田美繰。」 そして、ハーティは確認のために昂焚から得た情報を次々と読み上げる。 「メイラは金銭魔術、ミランダは黙示録の四騎士、ルシアンは風の魔術、箕田は黄泉軍と黄泉醜女、これで間違いないですね?」 「ああ。間違いない。」 「他に言って無いことは?言わないと寿命を縮めますよ。」 「もう全て喋った。」 昂焚は必死に正直に答えたが、まだ得た情報に満足していないハーティは昂焚の太股に五寸釘を打ち込んだ。 「ぐあああああああああああああああああああああっっ!!!!」 普段の飄々とした姿の欠片も無い。苦悶に満ちた叫びだった。 「20本程度で叫んでどうするの?約束を破ったら針を千本も飲まされるのが日本人でしょう?」 昂焚は(いや、マジで千本も飲まされるわけじゃないから。それくらいの覚悟でやれって意味だから。)とツッコミを入れる体力も、ましてやそれを考える余裕すら無かった。 目の前の痛みを処理するだけで脳が精一杯だったのだ。 「さて、次は・・・・」 ハーティが新たな拷問器具を部屋の片隅から取り出そうとした時、拷問部屋の扉がノックされる。 大事な大事な拷問タイムを邪魔されたハーティは少し不機嫌な顔で扉の窓を開け、そこから目を覗かせる。 「誰なの?今は重要な任務中なんですよ。」 「私だよ。私。」 扉の向こうからは10代真っ只中の少女の声が聞こえる。 「いや、だから名前を・・・」 「バルバラだよ。バルバラ=キャンピオン。前に会ったでしょ?最大主教に様子を見て来いって頼まれたの。」 バルバラという名前を聞くと、ハーティは思い鋼鉄の扉を開けた。それと同時にバルバラ=キャンピオンは口元にハンカチを抑えながら拷問部屋の中を覗いた。 金髪碧眼の少女だ。身長一六七センチ。胸は可もなく不可も無く普通だ。黒の修道服をミニスカワンピっぽく加工した形の服装。太腿の半ばまでカバーしているぴっちりした黒ハイソックスを装備している。フードは被っているが前髪は出してるし肩に髪かけてるしとシスターらしさは皆無だ。 拷問室に漂う血と鉄の匂いが嫌なのか、少し訝しそうな表情で昂焚の様子を見た。それと同時にバルバラは顔が真っ青になった。 「あまり良い気分はしないでしょ?これからは拷問部屋をそう気安く覗かないでください。」 「いや、そういうことじゃなくて・・・」 バルバラはハーティの手を掴んで彼女を拷問室の外へと引きだした。 そして、再び拷問室の重い扉が閉じられ、昂焚は取り残された。同時に拷問が終わるのかと安堵し、そのまま気を失った。 一方、拷問室の前でハーティとバルバラは向かい合うように立っていた。 「ねぇ、ハーティ。最大主教からの命令、覚えてる?」 「勿論、覚えているわ。“彼の場合は穏便に済ませけりなるものよ。”でしょう?」 「うん。―――――――――――どう見たって、やり過ぎだろ!あれ、拷問だよね!?どう見ても拷問だよね!?」 「ええ。拷問ですが?」 「最大主教は『穏便に』って言ったのよ!『穏便に』って!」 「だから、穏便にしたわ。本来は情報を引き出すだけの肉塊にするところをまだ五体満足で許しているんですから。社会復帰は不可能だけど、死人のように生きていけるでしょう。」 「あんたは辞書で“穏便”って言葉を調べてきなさ――――――――――いっ!!穏便って言ったら、普通は問い詰めたり、せいぜい尋問がギリギリセーフラインでしょ!!」 バルバラの主張に対し、ハーティは「え?拷問はアウトなの?」と言いたそうな顔をしていた。無論、バルバラもそれを読み取っていた。 「拷問は確実にア・ウ・ト!ヤバいよ!これ最大主教にバレたら・・・・」 自分で言っておきながら、何故か自分まで最大主教からお仕置きを受ける光景を想像し、バルバラは震え上がる。 ハーティも最大主教の恐ろしさは理解しているようで、徐々に顔を真っ青にしていった。冷徹な拷問官である表情を崩さなくてもその目は完全に踊っていた。 「情報の漏えいを恐れた尼乃昂焚が舌を噛み切って自殺した。私が拷問官であることを知っていたため、拷問されると勘違いしたのなら、理由も大丈夫でしょう。」 「いや、それ絶対無理よ!どう見たって、舌噛み切って無いじゃん!全身ズタボロじゃん!『自決する為に勝手に百万回切腹しました。』なんて言い訳しても無理だよ!」 「じゃあ、どうすれば・・・」 バレれば明日の朝日を拝むことさえできないかもしれない。必死になって2人は対策を練る。 「あ、良いこと思いついたわ。」 「バルバラ。それは名案ですか?」 「ええ。知り合いに記憶に関する魔術に詳しい奴がいるの。そいつに頼んで記憶を消してもらって、後は私らがこいつを道端に放り捨てるの。」 「なるほど、そうすれば、私は穏便に彼を尋問したことになり、彼の傷は道で暴漢に襲われたことにするのですね。」 「そうと決まれば、すぐ実行!善(?)は急げってね!」 2人は完全犯罪を企てると、すぐに気絶した昂焚を死体を入れるための袋に詰め込み、すぐにバルバラの知り合いにところに向かった。 そして、深夜 人目を気にしながらサングラスとトレンチコートという「いかにも怪しいファッション」で闇夜のロンドンを駆け抜ける2人。ハーティとバルバラは2人掛かりで昂焚の入った袋を抱えてコソコソと走っていた。とにかく怪しいし、ハーティに至ってはコートの中身が8割裸の超露出ボンテージなのもあって、本当の変態さんのようだ。 「それにしても記憶の消去に随分と手間がかかったわ。もう日が落ちてるじゃないですか。」 「仕方ないでしょ。記憶に関する魔術はデリケートなんだから。あと消去じゃなくて喪失。記憶喪失と同じ状態にしただけだから。」 「記憶喪失にしただけでも恩の字ね。彼の記憶が戻るまでに証拠を隠滅できる時間が稼げたのですから、良いでしょう。」 「じゃあ、この辺に捨てておこうか。この辺りはライダースの縄張りだから、あいつらがやったことにすれば大丈夫。」 そう言って、寝袋から血まみれになった昂焚を取り出した2人は道端に彼を放置しようとする。 すると、ハーティは遠くから誰か来るのを感じ取る。 「誰か来るわ。隠した方が良いでしょう。」 「え?マジ?」 2人はどこか隠す場所を必死に探すと、人間が一人入りそうなゴミ箱を発見する。 「ここに突っ込んじゃえ!」 昂焚の手足を折り曲げ、無理やりゴミ箱に突っ込んだ2人はそそくさにその場から退散した。 「謝罪は出来ないが、治療費と慰謝料は受け取ってください。」 そう言ってハーティは新作拷問道具を買うために組んだ予算を一緒にゴミ箱に放り込んだ。これは彼女なりの謝罪だった。 それから数分後、2人がそそくさに退散する原因となった人間がやって来た。 フラフラと千鳥足で歩く酔っ払いだ。泣き上戸なのか、何かを嘆いている。それはユマだった。 天草式の2人から別れた後、めげずに昂焚を捜し続けたのだが、倒した不良の仲間に追い回されたり、バスに撥ねられそうになって避けたら川の中に落ちたり、警官に遭う度に職務質問されたり、鉄骨の雨が降ったりと不幸が相次ぎ、バーでヤケ酒を飲みまくっていたのだ。 「昂焚ぁ~!どこにいるんだよぉ~!寂しいよぉ~、会いたいよ・・・うっ・・・うっ・・・」 今にも泣きそうな、そして同時に吐きそうだった。 (ヤバい・・・。飲み過ぎた。ちょっと吐いとこう。) そう思い、よたよた歩きでゴミ箱に近付くと、ユマはゴミ箱を開けた。 その中には血まみれの男と札束が詰められていた。尋常な光景ではない。だが、ユマは少し驚くだけで、むしろ懐かしんでいた。 (懐かしいな・・・。昂焚が私を見つけた時もこんな感じだったのか・・・。) ユマはゴミ箱を倒し、男を引きずりだす。 「!?」 そこでユマは気付いた。 似ている。いや、同じだ。顔立ちも、体格も、服装も、目も、何もかもがあの時と同じだった。 「やっと・・・やっと見つ――――――――― おぇぇぇぇぇぇぇぇぇ・・・・」 我慢できませんでした。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/537.html
「くそっ、一体どうすれば…」 浜面が絹旗との戦い方を考えていた。 浜面は今、絹旗から見つからないように路地裏を通ってうまく逃げたのだ。 (絹旗の能力は、窒素を使って物を動かすことが多いから物がないところに向かえば何とかなるか?) 浜面が作戦を実行するために、路地裏から出たら… 「あれ、浜面さんじゃないですか。」 突如自分の名前が呼ばれて一瞬ビックリしたが、その声は神裂にお姫様抱っこされている初春からの声だった。 「こんなところから出て来て何しているんですか?それと最愛と白井さんに会いませんでしたか?」 「今、絹旗から逃げてきたんだよ!」 「そうだったんですか。ということは白井さんにも会ったんですよね。二人はどうでしたか?」 「仲が悪すぎだよ。さっきまであの二人、本気で戦ってたんだからな」 「「「えええええええええ!!!!!!??????」」」 「な、何でそんなことになっていたんですか!?」 「えーと………」 浜面は初春、佐天、神裂に黒子が来てからのことを全て話した。 「そういうことだったんですね」 「まーな。ってそろそろ行かないと絹旗に見つかっちまうんだが…」 その時!! 「やっと超見つけました…ってなぜ飾利達と一緒に居るんですか!?」 絹旗に見つかってしまった。 「変態ジャッジメントの白井さんを超倒して後は浜面だけだったのに……。まさか飾利達と合流して超チクるとは許し難いですね」 「ま、待て絹旗! 誤解だ誤解! こいつらとはたまたま会っただけだ! まあ、確かにお前らの喧嘩は話しちまったけど……」 「それを世間様では超チクるって言うんですよ! 浜面、今日が浜面の超命日…………か、飾利?」 絹旗の振り上げる拳が眼前で止まったことを不思議に思った浜面はおそるおそる、彼女が名前を呼んだ人物の方へと目をやった。 そこには悲しげに目に涙を溜めていた初春とそれを見てオロオロしてるだけの神裂と佐天の姿があった。 「どうして、ぐずっ、どうして最愛さんは、白井さんと、えぐっ、仲良くして、くれないんですか?」 「あ、そ、それはですね、私と白井さんは飾利達と違って、ちょ、超馬が合わないというか……」 「最愛さんもし、白井さんもわ、私の大切なひ、人なのに、ひぐっ……。だ、だからな、仲良くしてもらいたいのにう、うわ~~~~~~ん!」 浜面のことはそっちのけで初春は絹旗から改めて黒子と喧嘩して倒したことを聞いて、ショックで泣き出してしまう。 初春の横では泣いてる彼女の涙をハンカチで拭く佐天と、必死に宥めている神裂の姿があるがどこか萌えてる感じがするのは気のせいだと浜面は思うことにした。 この瞬間、絹旗は浜面への怒りも黒子を嫌う気持ちをスッパリ忘れて初春の元へと走り頭を下げる。 「ごめんなさいっ! 飾利にそんな思いをさせるつもりは超無かったんです! お願いですから超泣き止んで下さい!」 「じゃ、じゃあし、白井さんと、えぐっ、な、仲良くし、して、ぐずっ、くれますか?」 「そ、それはいくら飾利の超頼みでもあ痛っ!!」 泣いている初春の頼み、いくら親友にして義理の姉妹の頼みといえども即答できる内容ではないので言葉を濁す絹旗に佐天のチョップが脳天に炸裂する。 相手が佐天なので怒れない絹旗を初春、神裂、佐天の視線が更に追いつめる。 「絹旗、ここは飾利の願いを汲んであげて下さい。私としてもあなたと白井黒子が仲が悪いのは好ましくありませんし」 「あのさぁ最愛、白井さんはちょっと変わってるけど打ち解ければいい人だよ。あたしも飾利と同じ気持ち。白井さんと仲良くして欲しいな♪」 「……か、飾利は私が白井さんとちょ、超仲良くするって言ったらゆ、許してくれますか? も、もちろん確証は超出来ませんけど……」 神裂と佐天の言葉に心を揺さぶられた絹旗が初春に今度こそ黒子と仲良くなる努力をする旨を聞き、泣いたまま頷くことに。 その際、神裂や佐天のように初春の泣き顔に萌えたなどとは口が裂けても言えなかった。 「とりあえずこれで全ての問題は解決しましたが飾利がこの状態では巡回は難しいですね」 「じゃああたしが白井さんに連絡しておきますよ。その間、あたしたちは飾利の気持ちを落ち着かせる方向で」 「私、超頑張りますから! 飾利が泣き止むまで超一生懸命頑張りますから!」 そして2姉妹+神裂は初春が泣くのを完全に止める為にその場を後にした、浜面を一人残して。 「な、何だったんだ今の? つーか俺の存在って何なんだよ! にしてもあの絹旗がすぐさま大人しくなるなんて初春ちゃんってすげーな」 ちょうどその時、土御門からパーティーの開始時間が午後5時から午後8時に変更になったという内容のメールが入ってきた。 ちなみに浜面だけでなく他のパーティー参加者にも同じ内容のメールが送られているのは言うまでも無い。 「今の時間はっと……まだ3時か。時間がたっぷり空いちまったな。滝壺を迎えに行ってデートにでもしゃれ込むとすっか」 浜面は自分を狩る会のメンバーが周りにいないことを確認した後で、公園に置いてきた滝壺を迎えに行った。 同じ頃、浜面にやられた青ピが黒子を介抱している最中だった。 「黒子はん大丈夫でっか?」 「わたくし、肉体的ダメージよりも精神的ダメージの方が強いですわ……まさか一日に二人に負けるなんて……」 「捕まったら最後、極悪非道のテレポーターの汚名が無くなったんやからええやないか。」 「しかしあの二人には負けたく有りませんでしたのに……ハァ」 (でも浜面はんめっちゃ強いなあ。本当にデシ入りでもしよかなあ?) 青髪ピアスは浜面程の策士なら本当にレベル5に倒したかもしれないと思った。一方黒子は (ぐふふふ…○○様が黒子を労わって下さっている…更には○○様の膝枕!!ここは天国ですの!?そう!!天国に違い有りませんわ!!) 変態的妄想全開だった。 そんなことしていると、黒子に電話が掛かってきた。 「こんないい時に誰から…って佐天さん?」 電話に出ると、初春が泣いている声が聞こえた。 「もしもし佐天さん、いったい何の用ですか?それとどうして初春が泣いているんですの?」 『白井さん、飾利が泣いている原因は白井さんと最愛なんですよ』 「どうしてわたくしと絹旗が原因なんですの?」 佐天は、黒子と絹旗が原因なのか話した。 「そうだったんですの。(だから絹旗と組ませたのですか。)それで、わたくしはどうすれば…」 『とりあえずそこで待っててください。あたしたちがそっちに行きますから』 「分かりましたの」 そう言って電話を切った。 「黒子はん一体なんの電話やったの?」 「佐天さんからここで待って欲しいという事だったんですけど…(一体、絹旗とどうやって仲良くすればいいんですの?)」 「そんなことなん?まあええわ。とりあえずここで待ってればいいんやな」 「そういうことですの」 黒子はなぜか青ピに初春達がここに来るのか言わなかった。 そして数分後、初春達がやって来た。 「「……………………」」 初春達が黒子達と合流してすでに20分、黒子と絹旗は公園の広場で向かい合いながらもだんまりを続けていた。 その様子を佐天と青ピは10分経った時点で買ってきた菓子を食べながら、初春は神裂の膝の上に座らされたまま眺めていた。 「二人とも全く動かないどころか喋らないですね。あ、そのポッキー下さい」 「じゃあボクはそっちのポテチを。せやけどしゃあないって。ついさっきまでケンカしとって仲直りちゅうのも……ご、ゴメンな初春はん」 「二人は仲良くなります! 今はちょっと切っ掛けが掴めないだけですから!」 「飾利の言う通りです。あの二人、似てないようで似てますよ。多分ですけど」 初春の責めるような視線と神裂の微妙に無責任な発言、それに黒子と絹旗の雰囲気に青ピは疲れ始めていた。 その一方で黒子と絹旗の心の中ではこんな葛藤が続いていた。 (何でわたくしがこんなチンチクリンと仲良くしなくてはいけませんの? ですが初春を困らせるのはわたくしの本意ではございませんし。悪い人では無いのでしょうけど……) (……私だって白井さんと超こんな雰囲気は御免ですよ。それにこれ以上飾利を超泣かせたくありませんから仲良くしようとは思ってますけど……) (*1) 二人に必要なもの、それは意地を張ることを潔く止めることだけだった。 そして長きに渡る沈黙を破ったのは絹旗だった。 「し、白井さん。今までのことは超大目に見てやりますから仲良くしようじゃありませんか。さあ、超謝って下さい」 「(こ、このガキャ……)わたくしも大人げなかったですわ。絹旗さんのようなお子様相手にはもっと寛大になるべきでした。さあ、黒子に謝って下さいな」 「(ちょ、超ムカつく!)先に超謝るのはそっちです。飾利のたっての超頼みですから仲良くしてやろうっていうんですよ。変態が先に超謝罪するんです!」 「(げ、限界ですわ……)こちらも初春がピーピー泣くから仕方なく譲歩してやったというのに……。あなたが黒子に額を地面にこすり付けて土下座したら許して差し上げますわよ」 意地っ張りかつ口の悪さならトップクラスの二人、結局仲直りどころかますます悪化していった。 悪化したのは二人の仲だけでなく、初春の方も悪化し始めている。 「ど、どうして、どうしてお、お二人はぐずっ、な、仲良く、で、出来ないんです……ひぐっ」 「ちょっと飾利落ち着いて! 泣くのダメ! 泣いたらあたし達の身が持たないから! 白井さんも最愛もケンカストーップ!」 「駄目です佐天。あの二人には私達の声は届いていません! このまま喧嘩したら飾利が……白井黒子の恋人! あなたが何とかしなさい!」 「ちょ、何やのその無茶振り! ボクかてあないな黒子はん止める術なんて無いで! って何か凄い勢いで近づいてへん?」 初春の涙腺が決壊寸前なのを感じ取った3人は何とかしようと考えるが、はっきり言って無力以外の何物でもなかった。 そこへ青ピが指差す方向を見やると、そこにはフランベルジェを携えた鬼の形相をした建宮が迫っているのが見える。 後ろでは黄泉川と鉄装が慌てて追っかけているが、その二人に気付くのは全てが終わってからだったりする。 「殺す! 殺す! 殺す! 殺す! ぶっ殺す! 飾利姫に悲しみの涙を流させる奴は誰だろうとぶち殺す!!」 この時既に建宮には初春の泣き姿以外は目に入っていないという、かなりやばい状況になっていた。 修羅と化した建宮に気付いた黒子と絹旗、ここで初めて思いが一つになり奇跡とも呼べる息のあったコンビネーションを披露することに。 「今までのことは超すみませんでした!!」「こちらこそ、今までのことはすみませんでしたの!!」 絹旗と黒子は、建宮からの殺気がはかりしれなくすごかったので、お互いに土下座で謝っていた。 「二人ともさすがです!土下座までして謝るなんて♪」 初春は二人が仲良くしたので、泣き止んでいた。 そして… 「飾利姫が泣き止んだから今回は許すけど、次また飾利姫を泣かしたらただじゃ済まないことを胆に銘じるのよ」 建宮は初春が泣き止んだから、とりあえずフランベルジェをしまった。 「建宮、いきなりどこかに行くんじゃないじゃん」 「すみませんなのよね」 「ほら、パトロールの続きじゃん」 「分かったのよね」 そう言って、建宮、黄泉川、鉄装はパトロールの為どっかに行ってしまった。 ちなみに、建宮が遠くから『飾利姫、今度また何かあったらこの建宮斎字に言うのよね』と言っていたのだが全く聞こえてなかった。 「それにしても二人がすごく仲良くなって良かったです♪」 「いえいえ、そんなことは超言いすぎです」 「そうですわよ。初春はちょっと大げさすぎますわよ」 この二人、さっきの件ですこし仲良くなっていた。 ちなみに、この二人がパーティでさらに仲良くなるとはまだ知らない。 その頃、お昼を食べ終わった上琴は 「いやー、上条さんは愛も一杯腹一杯ですよ!!」 「それは良かった♪じゃあ口直しに、ん……………ふぁ♪」 「ったく、美琴は甘えん坊さんだな」 「いいでしょ別に♪」 「そうだな、それくらい俺の事愛してくれてるって事だもんな。」 「当麻…」 「美琴…」 二人はゆっくりと口付けをした。今したばっかりだろうが…本当に呆れるバカップルである。(旗男狩りする野郎共の気持ちがよくわかる。) 「ふぁ…♪」 「あのさあ美琴」 「ん?なあに当麻?」 「美琴が彼女になってからさ、上条さんの不幸指数が下がったんですよ。まるでお前が俺の幸運の女神みたいにさ。」 「それなら良かった♪私も嬉しい…」 「ありがとうな、美琴…」 「当麻…」 「美琴…」 この二人は熱すぎる。よく過ちを犯さないのが不思議な位であった。(約3分に三回もキスをしている)このバカップル…負け犬達からは恨まれてもおかしくないだろう。 そのころ浜面は、滝壷と合流していた。 「はまづら、遅い」 「ごめん滝壷、ちょっと寄り道していて」 なぜ浜面が遅れたのかと言うと… 初春達と離れたあと、そのまま滝壷のところに向かおうとしたが、仲が悪かった絹旗と黒子の謝るところを見たくなり、初春達に気付かれない様に遠くで聞こえる場所から聞いていたのだ。 ちなみに、二人が謝った後に戻ろうとした時、浜面はパトロールを再開した建宮達に会ったんだけど、そのときは何も無かったんだが、このことがパーティの時に浜面の危機的状況になるんだが、浜面はまだ知らない。 「げ、もう四時か。まだお昼食ってなかったな。時間は遅いけど、お昼にするか」 「わたしもさすがにおなか減った」 そういうことで、浜滝は時間が遅いがお昼にした。 そのころの青黒はというと… 「○○様、どこに行きましょうか?」 「黒子はん、ちょっと近づきすぎまへんか?」 「だって、○○様にもっと近づきたいいんですの」 黒子は、青ピに近づきたいがために、体からべったりくっついていたのだ。 ちなみに、初春達とは今は別である。 理由は、初春と神裂はこのあと大事な用があるというので二人と別れ、絹旗と佐天は友達同士でどっかに行ってしまった。 「あれ、あそこにいるのは…」 「つっちー達やな。あそこで何してるんや?」 「さあ、何しているんでしょうか?」 「ちょっと近くまで行ってみよか」 そういうことで、青黒は土白がなにをしているのか気になって近くに行ってみた。 また、土白が何をしていたかというと…