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【1F】 弓道場にはコードの練習をする人が 【中庭】 教会閉店中 【B1F】 いろんな人と会話ならここ 【二階】 図書館で調べ物 【三階】 教職員などのNPC多数 【1F】 弓道場にはコードの練習をする人が ┏━━━━━┳━━━━━┳━━━━━┳━┳━━┳━━━━┳━━━━━┳━━━━━┳━┓ ┏━━━━━┓┃ ┃ ┃ ┃階┃ ┃ ┃ ┃ ┃倉┃ ┃ 教 会 ┃┃ 1-A教室 ┃ 1-B教室 ┃ 保健室 ┃段┃ ┃購買部 ┃ 1-C教室 ┃ 1-D教室 ┃庫┃ ┗━━──━┛┣─━━━─┻─━━━─┻─━━━─┻─┛ ┗━──━┻─━━━─┻─━━━─┻━┫ ┏━━┓┃ │ ┃噴水┃┃ 廊下 │ ┗━━┛┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┳──────┳━━━━━━━━━━━━━━━━┛【中庭】 ┃ 玄 関 ┃ ┗━━──━━┛ ┏━━━━━━┳━━━━━━┓ ┃.. 弓道場 .. .│ ◎┃ │ │ ◎┃ ┃ │ ◎┃ ┃ │ ◎┃ ┃ │ ◎┃ ┃ │ ◎┃ ┃ │ ◎┃ ┗━━━━━━┻━━━━━━┛ ◎:的━━━━━━━━━━━━━━━━━━┤ 校 門 ├━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【中庭】 教会閉店中 ■■:椅子 ┓ ┏━━━━━━━━┓┃ ┃ ┃┃ ┃■■■ ■■■┃┃ ┃ ┃┃ ┃■■■ ■■■┃┃ ┃ ┃┃ ┃■■■ ■■■┃┃ ┃ ┃┃ ┃ 教会 .┃┃ ┗━━━──━━━┛┃┃ ┏━━━━┓│ ┃ 噴水 ┃│←校舎【1F】へ ┃ ┃┃ ┗━━━━┛┃┃┛ 【B1F】 いろんな人と会話ならここ □□:机┏━━━━━┳━━━━━━━━━━━┳━┓┃ │ □□ □□ .┃階┃┃ │ │段┃┃ 厨房 │ □□ □□ .┗━┫┃ │ 食堂 .┃┃ │ □□ □□ .┃┗━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━┛ 【二階】 図書館で調べ物 ▽▽:掲示板┏━━━━━┳━━━━━┳━━━━━┳━┳━━┳━━━━━┳━━━━━┳━━━━━┳┓┃ ┃ ┃ ┃階┃▽▽┃ ┃ ┃ ┃│←アリーナ入り口┃ 2-A教室 ┃ 2-B教室 ┃ 生徒会室 ┃段┃ ┃ 図書室 ┃ 2-C教室 ┃ 2-D教室 ┃┃┣─━━━─┻─━━━─┻─━━━─┻─┛ ┗─━━━─┻─━━━─┻─━━━─┛┃┃ ┃┃ 廊下 ┃┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ┃ 踊り場 .┃ ┗━━──━━┛ 【三階】 教職員などのNPC多数 ┏━━━━━┳━━━━━┳━━━━━┳━┳━━━┳━━━━━┳━━━━━┳━━━━━┓┃ ┃ ┃ ┃階┃ ┃ ┃ ┃ ┃┃ 3-A教室 ┃ 3-B教室 ┃ 職員室 ┃段┃ ┃ 視聴覚室 ┃ 3-C教室 ┃ 3-D教室 ┃┣─━━━─┻─━━━─┻─━━━─┻─┛ ┗─━━━─┻─━━━─┻─━━━─┫┃ ┃┃ 廊下 ┃┗━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ┃ 踊り場 .┃ ┗━━──━━┛
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前ページ次ページ村企画 なつやすみの とあるひに がっこうへいらした みなさん あっと たいへん じげんが ゆがんで いますよ?? なんということでしょう! きみたちは 悪霊の手によって 古くてボロい旧校舎に閉じ込められた! 一人目の生者が無惨に斬り刻まれた。 悪霊の仕業だ。 きみたちのなかに、取り憑かれたやつが居る。 闘う為の力には、もう目醒めているはずだ。 探し出して、殺せ。 それしか“此処”を出る方法は 無い。 イメージテーマ:BGM02/コープスパーティー 旧校舎の悪霊 この村は終了しました! ご参加ありがとうございました。 旧校舎の悪霊 [#vb4ec8c2] 諸注意 [#tf761ef2] 処刑襲撃設定および指針 [#y60dfa75] ローカルルール/世界観 [#zb1c03a4] 新校舎 [#g5e83663] 旧校舎 [#g51681be] 役職設定 [#i2ae6d69] 【村人陣営】 [#uf85b211] 【人狼陣営:人】 [#w18a7fee] 【人狼陣営:狼】 [#h2dde2eb] 【恩恵】 [#n02e0651] 【見物人】 [#p8fe37a5] 進行 [#se90811d] プロローグ [#m5a6f69c] 一日目以降 [#z0d31ef5] 墓下 [#w1db2e1a] エピローグ [#se524375] 一応参加COとかするとこ [#nc6e58fd] なにかあれば。 [#u1eb9664] 村建て人 あさくら 開催国 人狼議事 perjury rulez 種別 ホラー猟奇グロ村と見せかけた 超能力バトル完全RP村 更新間隔 48h気が済んだらコミット 発言制限 促しあり・いっぱい キャラセット 私立七転学園 募集人数 ダ込み13人まで 編成 ダ鳴鳴占導犬王病贄依半騎智/恩恵:光の輪 更新時刻 丑三つ時(午前3時くらい) 開催時期 7/16(土)村建て・7/19(火)開始 役職希望 有効/ランダム禁止 閲覧制限 たぶん グロ注意 悪霊ホラー とみせかけて ぐろぐろ猟奇殺人事件 とみせかけて 超能力青春バトル!!!!!!!! で、最終的には ザ☆ハッピー☆エンド☆ヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノ 諸注意 村の設定など一部にコープスパーティーの世界観をパクインスパイヤ!した部分がありますが、元ネタを知らなくてもなんら問題ありません。 世界観の枠を突き抜けるようなネタ発言やAAなどの使用は禁止です。 中の人発言は灰かメモのみで。 ただし赤での襲撃先相談だけは、やむを得ない場合は中身記号付きで可。 メモでのRPの事前打ち合わせは非推奨です。 事後のフォローはありありです。 地上でどんな死に方しても、実際に死ぬことはありません。禁止です。 どうせならぱーっと無残に死んでみるのをオススメします。 でも嫌なことはNGなどではっきりさせておくとなおよろし。 ちょっとくらいのすれ違いや無茶振りにも寛大に。でもほどほどに。 処刑襲撃設定および指針 処刑=闘ったりして、死ぬ 襲撃=悪霊に殺されて、死ぬ どちらもPL視点優先で。 フラグが見えなかったら、がんばって! 気づいたら青い世界が広がってても、泣いちゃだめ。 ローカルルール/世界観 舞台は日本のとある私立高校です。 PCは和名をお奨めします。 肩書きは無視しても構いません。 (教師だけど生徒として使いたい!など。) 女子はセーラー服(色は上白、襟とスカート青で統一します。+黄色のリボンタイ)、男子は学ラン(ワイシャツ)。制服の左胸には学年・組・苗字がわかるネームプレート付き。 学年指定ジャージや部活のジャージなんかもあります。前者は学年ごとに色が異なり、やっぱり左胸に苗字の刺繍あり。後者に関しては言ったもん勝ち。 夏休み中に学校を訪れる理由さえあれば、本校の生徒でなくとも構いません。 敷地内には、現在使われている新校舎と、閉鎖された旧校舎が存在します。 新校舎 30年前に完成した新しい校舎です。鉄筋コンクリート製で、5階建てです。 構造などは言ったもん勝ちです。必要とあれば容赦なく増築してください。 旧校舎 80年ほど前から使われていた古い校舎です。木造4階建てです。 近日中に取り壊しが決定しており、中へ入ることはできません。古くてボロいです。 古くてボロい旧校舎MAP 4階 階段 屋上 → → → 屋上 階段 音楽室 3階 校長室 WC 階段 三年一組 三年二組 三年三組 三年四組 あかずの教室 渡り廊下 階段 図書室 2階 職員室 WC 階段 二年一組 二年二組 二年三組 二年四組 二年九組 渡り廊下 階段 理科室 1階 昇降口 医務室 WC 階段 一年一組 一年二組 一年三組 一年四組 空き教室 渡り廊下 階段 宿直室 体育館 WC 焼却炉 トイレ 男女共に 1〜3階に 1つずつ さらに、体育館と焼却炉の間(屋外)に 1つ あります。 教室 全学年 一組〜四組まで 1階には 札の掛かっていない 空き教室が 1つ 2階には 二年九組の札の掛かった 教室が 1つ 3階には 扉に板の打ち付けられた あかずの教室が 1つ 階段 教室側と 渡り廊下の向こうの体育館側に 1つずつ 3階 体育館側には 音楽室へ続く階段が 3階 教室側には 屋上へ続く階段が…… あるはずなのですが、 セメントで埋められ 壁になっています 理科室 人体模型の うつろな瞳が あなたをじっと 見ています。 ………… あれ ? いま うごい 役職設定 詳しい設定は引いた人にお任せ。 他の役職の設定を確定させるような描写は控えるよう、お願いいたします。 【村人陣営】 きみたちは悪霊の手によって この旧校舎に閉じ込められた生者だ。 “此処”から出るには、悪霊を倒すしかない。 きみたちは“此処”で未知なる能力に目醒める。仲間と共に、悪霊に立ち向かえ。 でも、仲間割れしてもいいのよ。 共鳴者:共鳴者だけの秘密会話(共鳴)が出来る。 占い師:毎夜、ひとりを占い、人間か人狼かを判別する。 導師:処刑死・突然死した者の役職を判別できる。 人犬:襲撃されても、1日だけ生き長らえる。 王子様:処刑対象になると、1回だけ、処刑が取りやめになる。 病人:殺害されたとき、相手を無能状態にする。 生贄:処刑の最多得票者が複数になった場合、処刑されるが、翌日の処刑対象を指定できる。 きみたちは“此処”が幻想のなかだとは、けっして気づかない。 けっして気づけない。 【人狼陣営:人】 きみたちは悪霊の手によって この旧校舎に閉じ込められた生者だ。 悪霊と闘うか。それとも手を組むか。決めるのは、きみだ。 きみたちは“此処”で未知なる能力に目醒める。使い方は、きみ次第だ。 システム的には人狼陣営ですが、この村では生者側にも悪霊側にも属しません。 好きな方に自由に肩入れしてしまいましょう。 ただし半狼が人狼になれば、完全に悪霊側となります。 人形使い:ダミーの口を借り、喋ることができる。 半狼:襲撃されると人狼になり、人狼陣営に変わる。 きみたちは“此処”が幻想のなかだとは、けっして気づかない。 けっして気づけない。 【人狼陣営:狼】 きみたちは悪霊だ。罪もない生者たちを“此処”へ閉じ込め、取り憑いた悪霊だ。 きみたちは『いつ』『どうして』悪霊になったのか。くだらない理由でも、思い出せなくとも構わない。 ただ一ついえることは、きみたちは 『 いま 』 とても退屈だ。 「狼の囁き」は「悪霊同士の会話」です。 取り憑かれている生者はそれに気づいていても、気づかなくてもどちらでも構いません。 悪霊は処刑・襲撃や無能状態になることで、一旦生者から離れます。(囁きが使えなくなるため) しかし悪霊が離れたあとも、取り憑かれていた生者には何故か悪霊の声が聴こえます。(赤ログは閲覧出来るため) 首無騎士:人狼仲間でも襲撃対象にできる。 智狼:仲間や自分が殺害した人物の持つ役職がわかる。 きみたちは“此処”が幻想のなかだと知っている。 ――けれど、バラしてしまっては面白味がないだろう? 【恩恵】 旧校舎を彷徨っているのは、なにも悪い霊だけじゃない。 この光の輪はどこからともなく現れ、またどこかへ消えてゆくだろう。 ――たまにはきみの言うことも聞いてくれるかもしれない。 光の輪:渡した相手を襲撃から守る。ひとり、1回まで。 (※譲渡先はPL視点>PC視点で) 【見物人】 きみにはなんの力もない。けれど、安心するがいい。 すべてが終わるそのときまで、皆と一緒に居られるのだから。 村建てが入ります。 幻想の世界へ連れて来られたものの、精神が耐え切れず、悪霊の手がのびる間もなく即死してしまう残念な人です。 その後は墓下へやってくる他の生者たちと同じです。 進行 プロローグ 夏休みのある日、何故かあなたは学校へやって来ました。 何故でしょう。それは、人それぞれ。 現実の新校舎が舞台です。なんか理由つけて学校へ来てください。 服装は、生徒は制服か学年(もしくは部活)指定のジャージ。あとの方はご自由に。 一日目以降 ふと、鳴るはずのない古いチャイムの音が聴こえます。それも、あなたのすぐ傍で。 気がつくと、そこは朽ちかけた木造の体育館の中。 旧校舎の昇降口はかたく閉ざされ、開きません。歪んだ窓も開くどころか、割れもしないのです。 あなたは、“此処”に閉じ込められたことを知ります。 舞台は悪霊が作り出した、幻想のなかの旧校舎。精神だけが閉じ込められてしまいます。 人狼含め全員がなんらかの超能力的なふしぎぱわーに目醒めます。 攻撃手段でも、そうでなくとも構いません。目醒める能力は1つだけです。 役職と能力は関係あってもなくても、どちらでも構いません。 生者に取り憑いた悪霊たちのほかにも、多数の低級な悪霊たちが彷徨っています。 それらは不可解な現象を引き起こしたり、時には生者に襲い掛かることもあるかもしれません。 見物人がどこかで死んでます。天声アナウンスあり。 ダミー殺害については天声なしです。地上の描写にお任せします。 悪霊による殺戮の魔の手と、それに抗う生者たちの闘いが始まります。 墓下 気がつくと、あなたは元居た場所に立っています。 ただし、足元に自分の身体が転がっています。 幻想の世界で死んでしまった生者たちの精神は、現実の新校舎にある自分の身体のもとへと戻ってきます。 ただし、幻想の旧校舎にはあなたの死体がそのまま残っています。 声を出したり、動き回ったり、ものに触れたり、ひと通りいつもと同じ行動は出来ます。が、そこで寝ている自分の身体にだけは触れられず、元に戻ることも出来ません。 他の人の精神体に触れることもできますが、身体の方にはやっぱり触れられません。 教室に置かれているテレビなどを点ければ、幻想世界の死闘の様子が映し出されます。 旧校舎へ侵入することは、やっぱり無理です。 しかし中を覗くことが出来れば、人影はおろか怪しい気配すらないことに気がつくでしょう。 エピローグ 悪霊さんたちも気が済んだのか、すべてが元通りに。 じゃ、なかよく おうちにかえろーね! せんせい、さよーなら! みなさん、さよーなら! 一応参加COとかするとこ だいたいの人数さえ把握できればおkです お名前とか 01 ダミーさん 02 飛び入り02 03 匿名参 04 すべりこみ 05 匿名死後 06 匿名躯 07 匿名滑り込み 08 匿名八番街 09 匿名駆けこみ 10 匿名滑り込み 11 匿名XI 12 匿名1 13 十三日の匿名 見物席 むらたて なにかあれば。 な、なにが起こったのか・・・!! 満員御礼、ありがとうございます! -- あさくら@むらたて すみません、7/22村立てを希望していた匿名1です。もし可能ならば、1〜2日開始を遅らせていただければ嬉しいです。我侭言って申し訳ありません。 -- 匿名1 1日2日程度の微調整なら可能ですよー。了解しました。 ずれると都合の悪くなる方はいらっしゃいませんか? -- あさくら@むらたて 20日開始なら大丈夫ですが、それ以降だと無理かもしれません。 -- 匿名名なし すみません、逆に20日以降開始となると厳しいです。皆さんであわせてください。場合によっては取り消します~ -- 匿名 二つお伺いしたいです。本筋は超能力バトルとのことですが、トイレから謎の声が!とかの怪奇現象を表で描写するのはOKでしょうか?(特に村陣営がやっても大丈夫なのか気になります) また取り憑いている悪霊以外にも、雑魚敵ポジションとして襲いかかってくる霊を登場させるのは可ですか? -- とくめい 了解しました。 1日ずらして 7/16村建て・7/19開始 でも大丈夫でしょうか? -- あさくら@むらたて とくめいさん>どちらも問題ありません。 特に強い悪霊が人狼で、他にも色んな霊がいる、といった認識で大丈夫です。その他の霊は役職関わらず自由に動かして構いません。 但し、人狼役の設定を確定するような描写は人狼本人以外の方は控えるようお願い致します。 -- あさくら@むらたて 村建て日&開始日をずらしていただきありがとうございます。助かります。ご迷惑をおかけします。 -- 匿名1 ごめんなさい。ちょっとこちらの都合で、日程的に苦しいことが判明しましたので、CO取り消させていただきます。ご迷惑おかけしますがよろしくお願いします。 -- 匿名名なし 申し訳ありません。参加できなくなりました。コープスパーティ(Dante版)やって入りたかった想いを昇華させます。 -- 匿名死 匿名名なしさん・匿名死さん>了解しました。ぜひ、無料で遊べる旧作で監禁ライフをお楽しみください・・・! -- あさくら@むらたて 飛び入り枠は無いのでしょうか? -- 通りすがり 通りすがりさん>飛び入り枠を設ける予定は、現在のところありません。申し訳ございませんー。 -- あさくら@むらたて ごめんなさい、急用が入ってしまった為、参加が不可能になってしまいました。名簿からは名前を削除しておきます。間際になって、本当にごめんなさい! -- 匿名棟 通りすがりに枠が空いていたので滑り込みしました。 -- 匿名10 すいません、急用の為に参加が不可能になってしまいました……名簿からは名前を消しておきますね、急な話ですが、申し訳ありません。 -- 匿名s ふと見たらあいてたので滑り込みズサーしました。 -- 飛び入り02 16日のいつ頃村建てでしょうか? -- 匿名ー 0時頃には村建て予定でーす。 入村パスは0時半頃にはこちらに記載します。 -- あさくら@むらたて ↑補足。1時間後の0時です。 -- あさくら@むらたて すみません…箱トラブルと急な予定のために参加が難しくなってしまい、名前を削除させていただきました。村が建ってからのキャンセルでご迷惑をおかけして、本当に申し訳ありません。 -- 匿名九組 ・・・参加してる村がエピ入ってる場合でも、二重ログインになるのかな。微妙なラインだし、やめといた方がいいのかなぁ… -- 多重ログインとは、一人で複数のIDを用いて、一つの村の中に複数のキャラで入村することです。 掛け持ち(いくつかの村に同時に入村している状態)については、自己判断でお願いいたしますー。 -- あさくら@むらたて エピがほぼ終わり次第入村で、参加希望だけさせてもらう事にします。・・・問題ありと判断したら蹴ってください -- 匿名駆けこみ 名前 コメント 前ページ次ページ村企画
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6 加賀見の校舎の有栖様 sage New! 2008/05/18(日) 19 02 46 ID xouxRRrb ぴんぽんぱんぽーん。 『二年C組の来栖川 白兎(くるすがわ はくと)君、二年C組の来栖川 白兎君。 生徒会長がお呼びです。至急、生徒会長室に向かうように。 繰り返します。二年C組の来栖川 白兎君、二年C組の来栖川 白兎君。 お姉様がお呼びです。直ちに生徒会長室へ向かって下さい』 ぴんぽんぱん、 『・・・・・・はぁ』 ぽーーーーんん。 昼休み。 談笑と興奮、次の授業への僅かな憂鬱と倦怠の空気に包まれた、 私立加賀見(かがみ)高校の二年C組教室。 最後に謎の嘆息を残して終わった放送に、まさに来栖川 白兎その人である僕は伏せていた机から顔を上げる。 「・・・うわぁ」 と同時に周囲から穏やかではない視線が突き刺さるのを感じた。 放送で呼び出された当人をぐるりと取り囲む目、目、目。 クラス中の瞳という瞳が僕一点に集中している。 どれもこれも目蓋を半ばまで下げていて、持ち主の不機嫌なこと請け合いだ。 全員が早く行け、と促している。 流石にいたたまれなくなって無言で立ち上がると、一緒に移動した視線が背中や首筋を撫でるのが分かった。 「う」 蛇が這うみたいな気持ちの悪いぞくぞくが首筋から上がってくる。 進路上で必要最低限に僕を避けるクラスメイト達を背に廊下に出ると、 同じ目をした隣のクラスの生徒やたまたまここを通っていた先輩後輩に出迎えられた。 早足から駆け足へ。自然に速くなる足を意識して加速させ、僕は呼び出された場所へと急ぐ。 ことの原因、僕を呼び出した張本人である姉さんの下へと。 7 加賀見の校舎の有栖様 sage New! 2008/05/18(日) 19 03 41 ID xouxRRrb その部屋に入った時、初めに聞こえたのはカンッ、という甲高い音だった。 「あら。白兎、もう来てくれたのね。嬉しいわ。 山根も思ったより仕事が早いのね。あとで褒めておかなくちゃ」 赤いソファと精緻な彫刻が施された机と椅子に、何冊もの蔵書を飲み込んだ本棚。 加賀見高校に一つしかない生徒『会長』室で、僕を迎えた姉さんが柔らかく微笑む。 備え付けられた天窓から降り注ぐ光の中央に立つ姉さんを収めた視界の中、 その手首から先が霞んだかと思うと、もう一度カンッと音が鳴った。 「丁度この暇潰しにも飽きてきた頃だったの。 さっきから全然反応がなくてね。いい加減、物理的にクビにしてやろうか迷っていたところ」 言い終えてから、また音が響く。光を反射して輝く銀色の刃が視界を走った。 姉さんの投げたナイフで示された先、通常の教室に倍する広さを誇る生徒会長室の壁に、 ピンで縫い止められたみたいに磔になった人が見える。 死体の白線をなぞるように突き刺さった無数のナイフ。 そんな凶器の群に囲まれた、女性用の落ち着いた紫色のスーツに包まれた姿。 項垂れた状態で髪に隠された顔は見えないけど、どこか見覚えのある雰囲気の女性だ。 「三月(みつき)先生・・・?」 「そうね」 疑問の割合が多い声に、低く短く、姉さんが答える。 「正解よ白兎、見事にね。けれど感心しないわ。私の前に立って、まさか最初の言葉が他の女の名だなんて。 ましてやそれが、課題や罰を口実に貴方と二人きりになろうとしていた無能愚劣な担任の名前。 悲しいわね。たとえ騎士の剣(つるぎ)でも、きっとこうまで私の心を裂けはしない」 憂鬱そうに言いながらゆっくりと、指に刃を握った手が上がる。唸りに似た風切り音。 投擲されたナイフが銀光を引いて輝きながら宙を滑った。一瞬の後、これまでで一番高い音が鳴る。 「ほら見て頂戴。涙の海に揺られるあまり、自慢のナイフも外れてしまう」 僅かに刃先のブレた凶器は冷たい壁に拒絶され、三月先生の下に溜まった液体の中で水音に沈んだ。 「これは慰めが必要だわ」 その光景に気を取られて反応が遅れる。 近付いた声に振り向いた先、拗ねたような顔をした姉さんがいた。じっと僕を見上げる二つの瞳。 反射的に、硬くなった体が後ろへ下がろうとする。 それよりも早く回された両手が僕の背を撫で、抱き寄せられた胸を姉さんの額が擦った。 「ね、姉さん」 開いた口から、決して姉さんが名前を教えてくれない、だけど確かに匂う香水の香りが入って鼻腔を通る。 香水になって棘の抜けた上品な薔薇の香り。 漂ってくる姉さんのお気に入りの香気に包まれ、意識から遠のく抵抗を忘れかけたぎりぎりの所ではっとする。 慌てて視線を下に向けようと転じた視界は、だけど唇に添えられた細い指によって止められた。 「もう。白兎ったらいけない子。 何度も何度も私が注意をしているのに、いつも兎のような駆け足でそれを忘れてしまう」 背中に触れたままの姉さんの腕に込められる力が強くなり、 唇に別れを告げた指が五本に増えて首を撫で、僕の強張りを解きながら二人の高さを合わせる。 8 加賀見の校舎の有栖様 sage New! 2008/05/18(日) 19 04 38 ID xouxRRrb 「や・く・そ・く。 二人きりの時は、名前で呼んでくれなくてはイヤよ?」 薔薇にない甘さを含んだ吐息が耳に吹きかけられた。くすくすと笑う声が聞こえて、柔らかい拘束が解かれる。 離れた姿を追うと、大きくない歩幅で一歩だけ下がった姉さんが険のない目で僕を見詰めていた。 「さ、白兎。私の可愛く愛しい弟────────最初に私にかけるべき言葉はなあに?」 空間の中央に降る光を背にした姉さんが問う。 左右へと伸ばされた手に、肩にかかって背中まで流れる茶色の髪が揺れた。 童女のように無邪気な顔で僕を促す姉さんの声に怒りはない。 あくまでも無垢にこちらの返答を待つ姿が、僕の良心に似た何かを突いた。 「分かったよ・・・・・・有栖(ありす)」 「うふ」 最初から勝負にする気もなかった根競べがそれで終わり、軍配は姉さんの方に上がる。 何時だったか。もう何年も前に交わした、と言うよりも誓わされた約束。 決して忘れていたわけではないそれを口にした僕に、姉さんは花開く笑みで応えた。 「うふふふふ」 来栖川 有栖。僕より一つ年上の姉。私立加賀見高校三年生にして生徒会長。 僕の対となる、どこぞの作家好きの両親が付けた名前を持つ女性。 「ああ。幸せだわ、幸せだわ。何て甘美なのかしら。名前で呼び合う二人、まるで恋人のようよ。 どんなに上等な詩でもこうまで私の心は満たせない。白兎、貴方は本当に私を不思議の国に呼び込む案内人ね。 罪な子だわ。気が狂ってしまいそうよ。I am getting mad as a hatter!」 最後に高い鳥のような叫び。 気狂いを鳴き上げた姉さんが手を広げて踊り出し、喜びに合わせて動く体で薔薇の香りを撒いていく。 広くても閉ざされた生徒会長室。 振り撒かれる香気は密室の中で段々と濃く強く積み重なり、 僕には芳香の渦の中心で舞い踊る姉さんそのものが薔薇の花に感じられる。 背中までを覆う薄く色の抜けた茶色の長髪に、全体を赤くした加賀見高校の制服。 動作に合わせて揺れる胸の薔薇飾りと、舞に合わせてくるくるとスカートの上で曲線を描く茨を模した装飾。 レースでティアラの形を付けたヘッドドレスが左右に踊る。 その姿は、きっと一歩でも校舎の外に出れば奇異の目で見られるだろう。 薔薇に染めた衣装の奇抜と物言いの異様。下手をすれば官憲の世話になる可能性すらある。 なのに。狂気的でさえある姉さんのその姿は、何故だかひどく美しいものに見えた。 普通なら間違いなく指差される衣装に身を包んで、だけど姉さんは少しも物怖じしない。 畏れも遠慮も憚りもなく、ただ自分の思う様に振舞っている。 何も言えずに見守るだけの僕の前に存在する不思議な、不可侵の荘厳さ。 降り注ぐ光を浴びて、聳え立つ本棚の城壁を背にくるくると踊り狂う姉さん。 さながら女王のように誰も寄せ付けずステージを独占する姿に、ふと教室を出る時に浴びた視線を思い出す。 クラスメイトの目に光っていた嫉妬と羨望と、畏敬。 姉さんに呼ばれて行く僕へ向けた敵意に近い視線と、僕越しに姉さんを見る瞳に浮かぶ憧れと敬意。 姉さんが全生徒の頂点に立つ生徒会長、であると同時に生徒会長室なんて物を作れる権力を持った唯一の人物、 この私立加賀見高校の理事長を務める人物だからというだけでは絶対にないだろう。 学業、運動、芸術。姉さんの優秀さを示す功績は、校長室に無数のトロフィーや賞状として並んでいる。 形に残らない成果を上げた活動も数多い。 集団での行事や活動でも、リーダーとして多くの活躍を見せたと聞いている。 能力と人格と、容姿。人間の三要素を揃えた姉さんの影響力は必然に大きい。 僕と姉さんの周囲に限定しても、死んだ両親の保険金から始めて財産を築いたのもそうだし、 姉さんが中学生の時に買い上げたこの学校を数年で並以上の進学女子高にしたのも、 そこに特例として僕を入学させた上で周囲から反発を買わずに未だにお姉様と呼び慕われていることもそうだ。 通称『加賀見のアリス』、来栖川 有栖。 天才で、綺麗で、完璧で、欠点の無い────────なのに確かに何処かが壊れた、僕の姉さん。 9 加賀見の校舎の有栖様 sage New! 2008/05/18(日) 19 06 25 ID xouxRRrb コンコン。 唐突に。 そんな姉さんのダンスが止められた。僕が閉めた扉にノックを二回。 二人目の誰かの訪れに、姉さんは彫像のように停止する。それで生徒会長室から音が消えた。 木製の隔たりを経た向こうにいる誰かが応答を待ちながら気配を探る沈黙の中、 姉さんの瞳だけがすっと僕の背後を向く。 「誰かしら?」 上げられていた手が下がる。同時に室内の気温が冷え込んだみたいに僕の肌が震えた。 頬の横を貫く姉さんの視線に阻まれて、振り向くことが出来ない。 「あ、あの・・・山根ですっ、お姉様」 返答に続いて、せめてもと凝らした耳がドアノブの回転音を捉えた。 姉さんの許可なく開かれた扉から来訪者の入る気配がして、内蔵を回されたような感覚が僕の中に広がっていく。 届かない背後へと向かわせていた瞳を前に戻すと、姉さんが薄く笑っているのが見えた。 まるでチェシャ猫のように。 「そ、そのぅ・・・・・・言いつけの通りにしましたので、ご報告に」 一度言葉が揺れて、視線が僕の背を這うのを感じた。 「弟さんを呼べばよろしかったんですよね・・・?」 暗くなった生徒会長室に自信のなさそうな質問が淡く木霊する。 溶け消えた声の後には、よく聞くと微かに乱れた息遣いが続いていた。 もしかするとあの放送を終えてから文字通りに駆けつけたのかもしれない。 機材の使用前後の手続きや、使い終わってからの礼もあったのだろう。 せめてもう少し早く、或いはゆっくりと片付けてから来てくれていれば。そう考えずにはいられなかった。 「そうね」 僕が三月先生の名前を呼んだ時と同じ、いやそれ以上に低くなった姉さんの声。 「その通りだわ。ご苦労だったわね、山根」 山根と呼ばれた人が労いの言葉に喜色ばむのが分かる。 「────────それで?」 「え?」 続く姉さんの言葉に強張るのも。 「それで、それがどうかしたのかしら?」 「え? お、お姉様・・・?」 彼女の困惑が伝わって来る。理由は理解出来た。おそらく、期待していたのだろう。 最初、僕がここに来た時に姉さんが口にした『ご褒美』とやらを。 姉さんも、それを期待した相手の働きを予想してそれらしいことを口にしたはずだ。 彼女の真剣さとは違う、きっと欠伸のような気軽さで。 10 加賀見の校舎の有栖様 sage New! 2008/05/18(日) 19 07 37 ID xouxRRrb 「分からないかしら。 それと貴女が今ここにいる、私と白兎との逢瀬を邪魔している理由に何の関連があるのかと訊ねているのよ」 「お、逢瀬・・・? いえあのっ、でもっ・・・・・・だって、お姉様が働き次第では褒めて下さるってさっき・・・!」 僕を挟んで言葉を交わす二人の雰囲気が変わっていく。 片方は意味の分からない状況に荒立ち、もう片方は全てを知っていながら凍りそうに冷たく。 深まった姉さんの笑みに、僕の周囲までが急速に熱を失うのを感じた。 「ああ。そう、そういうことね。なるほど」 頷いてから一歩、舞踏の間に開いた距離に姉さんが踏み出す。僕の方へと。 「これはとんだ期待外れだわ。 貴女はそこそこに優秀だからそれなりに私を理解していると思っていたけれど。どうやら買い被りだったようね」 足音はない。 床に敷かれた絨毯に受け止められる姉さんの重さは、血を吸ったような赤色の中に柔らかく沈んでいた。 耳が痛くなる沈黙を、音もなく姉さんは歩む。茨の飾りを揺らめかせ、薔薇の香りを引き連れて。 「なら教えて上げましょう」 その台詞と共に伸ばされた手を、今度は避けようとすることなく受け容れる。 擦れ合う制服の音が聞こえるくらいに静かだった。 頭一つ分以上も低い姉さんに抱き締められた僕は、下を向くべきか迷ってからそのまま抱き返す。 姉さんの顔は見えない。 「っ!?」 小さく、彼女が大きな驚きを呑む気配がした。 「ふふ。ちゃんと分かってくれているのね。有難う、白兎」 礼を言った姉さんが吐息と赤花の匂いを残して離れる。 「さ。これで理解出来たでしょう?」 恥じるでもなく、憚るでもなく。どころか誇らしげに弟と抱擁を交わして見せた姉さんが言った。 「私が何より優先する白兎と、白兎を誰より愛している私と。 それ以外に、私にとって重要な『何か誰か』がこの場にあると思って?」 多分、姿の見えない彼女と姉さんの身長にそれ程の差はないのだろうけど。 笑みを浮かべながら語り続ける姉さんは、何故か相手を見下ろしているように見えた。 「つまりは邪魔なの。貴女」 「そんっ・・・!?」 言いかけて、言い切れない言葉。叫ぼうとした彼女に、制服の内側に手を入れた姉さんがそれを取り出す。 木のグリップの中央を縦に走る溝。そこに鈍い金属の光を収めた、長方形に丸みを加えた物体。 「だからね? 早くここから出て行ってくれないかしら」 相手の言葉を断ち切った空間に響く鋭い音。 本来なら女子高生には似つかわしくない折り畳みナイフが、姉さんの腕の一振りでカチリと刃を噛み合せて固定した。 振り切られた腕が、見せ付けるような余韻を持ってゆっくりと上がる。 11 加賀見の校舎の有栖様 sage New! 2008/05/18(日) 19 08 55 ID xouxRRrb 「それとも」 姉さんが、笑った。 「 そ ん な に 私 に 殺 さ れ た い ? 」 銀光が走る。 「ひぃぃいいいいいいっっ!?」 顔の横を通った風と、硬質な音にドアノブの回転音。 その三つに遠ざかる悲鳴を足した四つが過ぎてから、また僕の周囲に静寂が戻った。 12 加賀見の校舎の有栖様 sage New! 2008/05/18(日) 19 10 14 ID xouxRRrb 「ごめんなさい、白兎。見苦しいモノを見せたわね」 山根、と呼ばれた彼女が去ってから。珍しく困ったみたいな顔をした姉さんが頭を下げた。 「別にいいよ、姉さ────────んぐ」 また、唇を押される。 「・・・・・・気にしないで、有栖」 「そうさせてもうらうわ」 要求に従って訂正すると、指と一緒に体も離れた。 「それにしても」 間合いを計るように姉さんが口を開く。 「あの娘があんなに使えなかったとは思わなかったわ。あとでしっかりと始末をしておかないと」 物理的にクビにすることではないだろう。おそらく。 「まあいいわ。この程度、私達の愛の前には障害になり得ない」 姉さんが軽く手を打ち鳴らす。 「さて。白兎、貴方を呼んだのは他でもないわ」 引き寄せられた視線が、そこだけ僕と同じ色をした瞳に絡め取られた。 「結局はあの山根もそうだったけれど、生徒会に思いの外使える人材が集まらなくてね。 朝から書類の整理に難儀してストレスが溜まってしまったわ。ストレスの解消には好きなことをするのが一番。 そう思って貴方を呼んだのよ」 細く、薔薇や茨の装飾に反して白い肌の腕が僕へと伸ばされる。 「おいで、白兎。貴方の大好きな赤く色付いた人参はここよ。 愛し合う二人が揃ってすることは、必然に当然にたった一つだわ」 誘われて巣穴から伸びた手が掴まれた。そのまま引っ張られ、危うく足を踏み外しそうになりながら歩み寄る。 「さあ、白兎。私の可愛らしく素敵な弟。 それでは十分に存分に────────私とイチャイチャしましょう?」 キーーーンコーーーーンカーーーーーンコーーーーーン。 キーーーンコーーーーンカーーーーーンコーーーーーンン。 予鈴が鳴った。午後の授業を控えた学び舎に鐘の音が隅々まで響き渡り、次の授業への準備を催促する。 教室移動を終えていない生徒の胸に早鐘を鳴らす警告は、生徒会長室にも容赦なく伝わる。 「・・・・・・残念だわ」 悔しげに姉さんが呟く。 「本当、いつだって神様は気が利かないものね。雑用を押し付ける意地悪な女達に、魔法の終わる十二時の鐘。 愛し合う運命にある二人の逢瀬には、いつも無粋な邪魔が入ってしまう」 興醒めだわ、と付け足してから僕を見上げた。 13 加賀見の校舎の有栖様 sage New! 2008/05/18(日) 19 11 18 ID xouxRRrb 「仕方がないわね。愛する弟の学業に支障をきたさせる訳にはいかないもの。 でも・・・・・・せめて口直しは欲しいわね」 つ、と唇が寄せられる。 「白兎。キスを、してくれないかしら?」 「ね・・・・・・有栖?」 流石にぎょっとする。そんな僕を見てくすくすと姉さんは声を立てた。 下を向いて、手で上品に口元を隠してから一頻り笑って顔を上げる。 「ごめんなさい。でも相変わらず恥ずかしがり屋なのね。ふふ。 可愛いけれど、男子たる者、女性の誘いは受けておくものよ? 女の方からこんなことを願うだなんて、本当は私も恥じているのだから」 言われて見ると、確かに姉さんの頬は薄く薔薇色に色付いていた。 姉さんの恥ずかしがっている姿なんて滅多に見ない。 「でも、やっぱり恥ずかしいよ、有栖」 とは言え、それとこれとは別の問題。 姉さんの頼みを断るのは気だけでなく血の気が引くが、姉さんと違ってすぐに応じられるほど僕は■■ていない。 「・・・・・・そう。うふふ、いいわ。今はその瞳だけで許して上げる。イケズな白兎も愛らしいもの」 幸い、姉さんは強くは求めずにいてくれた。 「でも」 そう思った僕の左胸。心臓の上に、手が当てられる。 「ねえ白兎。 あなたが胸に抱えたこの心臓(トケイ)は、一体いつになったら高鳴りを始めてくれるのかしら?」 「有栖・・・?」 どこか、これまでと響きの違う声。何かに突き動かされた、確かに絡め取られていた僕の視線が姉さんの瞳を通り抜けた。 「もう何年になるかしら。貴方が私をそう呼ぶように、私が貴方にそう呼ばせてから」 上げられた姉さんの手が、端から指を折っていく。 「一年? 二年? 三年・・・・・・? 思えば長いものね」 数えて五本。作った拳が解かれ、花開いた五指が僕の顔に添えられた。 「もうそれだけの間、私は白兎、貴方に焦がれていることになる。 いいえ。違うわね。本当はそれよりも、ずっとずっと昔から。 外を駆け回る貴方の姿を、窓辺から見詰めていたあの懐かしい過去から」 弱弱しい拘束に引かれて、誘われるままに姉さんの顔に近付いていく。 14 加賀見の校舎の有栖様 sage New! 2008/05/18(日) 19 12 25 ID xouxRRrb 「いつになれば、貴方は私が貴方を想う程に私を想ってくれるのかしら? そのために、私は何をすればいいのかしら?」 途中で片方の手が落とされた。軽快な金属音が響いて、姉さんの手にもう一度ナイフの輝きが握られる。 僕を覗き込む姉さんの首筋を、浅く刃が撫でた。 「私がここに赤い線を引けばいい? 或いは貴方の兵士となって、貴方に近付く者を皆殺しにすればいい? それとも、あそこで寝ている女のトランプみたいに薄い胸を貫いて、 私の隅々までを林檎のように染めてしまえばいいのかしら? そうすれば、貴方は私を、私と貴方だけで閉ざした鏡の国へ案内してくれる?」 カンッ、という甲高い音。虚空に幾筋かの傷を刻んだ刃が、いまだ磔になっている三月先生の頭上を刺し貫いた。 「ね、白兎。もしもそれが叶うのなら、私は本当に何だって出来てしまうのよ? 私が求めるのは女王を守る騎士ではなく、この身を貪ってくれる魔獣(ジャバウォック)なのだから。 焦らすのはいいけれど、あまり意地悪をして待たせ過ぎてはダメ。 熟れ過ぎた林檎は腐れるの。乙女の心はハンプティ・ダンプティのように繊細で脆いもの。 どうかそれだけは憶えていてね? たとえこの身が砕けようとも、私の愛は永遠だけど」 「有────────」 キーーーンコーーーーンカーーーーーンコーーーーーン。 鐘が鳴る。気付けば、五時限目の授業が始まる時間だった。 「・・・・・・戯言が過ぎたわね。 ごめんなさい、白兎。貴方を遅刻させてしまうことになったわ。私、駄目な姉ね」 呟くように零した姉さんが、僕に背を向ける。赤い色の絨毯の上。 しずしずと音もなく歩む制服の背が遠ざかった。微かな移り香だけが、僕の傍に漂う。 「もう行きなさい。時間にだらしのない教師が担当なら、授業の開始には間に合うこともあるでしょう。 私も後片付けを済ませたら行くとするわ」 「あ・・・・・・うん」 脳裏に、姉さんに憧れているクラスメイト達の目が浮かぶ。 確かに、姉さんに呼ばれただけでなく昼休みが終わっても一緒にいたとなったら問題かもしれない。 「それじゃあ姉さん・・・・・・また後で」 ちらりとこっちを見た姉さんに手を振ってから扉へ向かう。訂正を求める声はなかった。 ドアノブを回し、僕の身長より高い重厚な出入り口を開け放つ。 体の向きを入れ替えて閉める最中に中を見ると、姉さんは笑顔で手を振ってくれていた。 扉が閉まる。 「ふう」 隔てられた向こう側に一つ息を吐いて、早足で歩き出す。背にした生徒会長室が見えなくなった頃、聞きなれた担任の声が廊下に響いた気がした。
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「う~ん・・・やっぱりどう考えても足りないや」 部費について悩む蒼星石、そこに悪魔の影が忍びよる。 「何か悩み事かね?」 「あ、校長、どう考えても部費が足りないので悩んでいるんですよ」 それを聞いてニヤリと微笑む悪魔・・・のようなローゼン。 おそらく新しい暇つぶしでも思いついたのだろう。 「仕事を一つ頼まれてくれれば、部費の方はなんとかしてあげようか?」 それを聞いた蒼星石は飛び上がりたくなるほど喜んだが、一応感情を抑えておいた。 「仕事ってなんですか?」 「旧校舎にある書類を持ってきてもらいたいのだ、どうやら封鎖の時に持ち出すのを忘れてしまっているようなのでね」 有栖学園の旧校舎とは、生徒の間では有名な心霊スポットだ。 別に過去に事件があったわけでもないのだが、いつの間にかそんな噂がたっている。 もちろんこの事は蒼星石も知っている、だが、彼女にとって自分より生徒を優先するのは当然だった。 「わかりました、その書類はどこにあるんですか?」 「2階の資料室だよ、多分机の上に置いてあると思うから」 ローゼンは任せたよ、とだけ残し、職員室を後にする。 蒼星石は旧校舎の鍵を持ち、旧校舎へと向かった。 「大丈夫・・・ゆ、幽霊なんているわけないよ・・・」 自分にそう言い聞かせながら旧校舎へと入っていく蒼星石。 旧校舎の中は流石というほど荒れている、おそらく生徒が侵入し、遊んでいたのだろう。 しかし、今の蒼星石にそんな冷静な判断が出来るはずがなかった。 時刻はもう夕方の6時、灯りは手に持っている懐中電灯のみ、そんな状況じゃ怖くない方が異常だ。 ふと、懐中電灯の明かりとは違う、別の光が見える、それはゆらゆらと揺れている。 「だ、誰かいるのかい・・・?」 恐る恐る声をかけてみるが、当然のごとく返事は返ってこない。 蒼星石は正直今すぐ逃げ出したかった、足も震えている。 「だ、だめだ・・・僕がここで逃げたら、生徒達が・・・」 蒼星石を動かしているもの、それは教師としての誇り、生徒への愛情のみだった。 意を決して前に進む蒼星石、いつの間にか謎の光は消えている。 「き、きっと幻だったんだ・・・」 そう思い込み、前に進んでいく、途中何度かラップ音が聞こえたが、それをなんとかクリアし、資料室に到着した。 「や、やっとこれで帰れる・・・」 書類を手に持ち、ドアに手をかける・・・だが、ドアはびくともしない。 「え・・・う、嘘だよね?な、何で開かないのさ・・・」 ガチャガチャと何度もドアノブを捻るが、ドアが動く気配一向に無かった。 突然、部屋の外から呪ってやるという声が聞こえた、その瞬間蒼星石の中で何かが切れた。 「ぐすっ・・・こ、怖いよぉ・・・」 どんなに強くても、どんなに女子からモテても、やはり女性である事に変わりはない。 どれだけボーイッシュな性格でも、か弱き女性なのだ。 それから10分ほどが経過した。 「こっの・・・馬鹿校長!!何してやがるですかぁ!!」 轟音とともに開け放たれるドア、そこに立っていたのは翠星石だった。 「す、翠星石・・・?」 「大丈夫だったですかぁ?」 蒼星石はたまらなくなり翠星石に抱きつく。 「怖かったよぉ・・・」 「もう大丈夫ですぅ、翠星石がついてるですよぅ」 翠星石はとある生徒から蒼星石が旧校舎に入り、それを追うようにして校長も入っていったことを聞かされここにきたのだった。 蒼星石を職員室まで送り届けた後、翠星石はローゼンを捕まえる。 「よくも蒼星石をいじめやがったですねぇ!他のやつはいくらいじめても構わないですぅ・・・ 翠星石がいじめられても構わないですぅ・・・だけど、蒼星石をいじめるやつだけは絶対に許さないですぅ!!」 ローゼンの前にいるのは普段よく知る翠星石ではなかった。 「翠星石は本気で怒ってるですぅ!おめぇを血祭りにあげたいぐらいですぅ! だけど翠星石は大人だからおめぇを血祭りにあげるのは勘弁してやるですぅ」 そう言って翠星石は携帯を取り出す。 「もしもし?雪華綺晶ですかぁ?新しい射的の的が手に入ったので是非使ってほしいですぅ」 その後一ヶ月間、ローゼンは射的の的として射的部の部室に放置された。
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旧校舎の保健室 セーラー少女、三年中山涼海と一年間宮紫歩。 そんやまさんのも合わせて読まれると爛れます。 身体が、熱い。 平熱が低く、ちょっとの疲労で紫歩は熱を出す。ふつうなら大したことがない体温でも、慣れない身からすれば、それは苦痛でしかなかった。 原因は好きな人とのデートだ。緊張した。めちゃくちゃ緊張した。生徒会長にまとわりつく、じゃじゃ馬な姫だとか魔女という噂は大勢の女所帯、あちらこちらで立っているが実際のところ紫歩は恋愛ごとに初心者だった。 中学の時も悪くなってゆく家庭環境のことで頭がいっぱいで、言い寄ってきた男子にも惹かれず、同級生である雑賀瑞生のそばの居心地の良さに、思わず、付き合うならあんたとがいいわ、と言って盛大に顔を顰めさせたこともあった。 件の好きな人と行ったのは安いファミレスだった。紫歩は家族と来たことがない喧騒の中で、目を輝かせた。 物珍しそうにしている紫歩に、想い人は何食べる? と優しくしてくれた。会話だって楽しかった。離れがたかった。 結果として紫歩は現在、微熱でふらふらしている。体力と気力のなさに、本人が驚いていた。 さて、どうするか。放課後であるのだし、家に帰る必要性は紫歩にはなかった。誰かと放課後遊ぶ約束も今日は取り付けていない。 鍵が壊れていることに先生たちは気が付いていない旧校舎にするりと身体は吸い込まれる。木造とはいえ、味がある。ただ耐震性の問題で新たに無骨な新校舎に生まれ変わっただけの話だ。 一階の廊下の端には、保健室がある。埃臭いシーツなことさえ我慢すれば、充分に眠れる。 なんなら勝手に洗って干してしまおうか、とすら考えている。 そして実行してしまった。 この学校は今時珍しいくらい品行方正で、悪巧みを考えない生徒で溢れていた。それは入学してから半年間で、おおよそ掴めた。 遠くから、けたたましいエンジン音が聞こえる。 鈴木美馬だな、と軽く舌打ちした。そんな破天荒なことをする馬鹿は彼女以外に居ない。珍しくバイク通学が許可されているとはいえ、誰が敷地内に、校舎内に乗り込むというのだ。えびちゃんと、からかわれている、あの可愛らしい少女に詰め寄っているのだろう。元気なら喧嘩を売りに行きたかったが、今は無理だ。 部屋に足を踏み入れ、窓が開け放たれ、新鮮な外の空気が吹き込んでいること、隠しきれない煙草のにおいに、紫歩は息を止めた。 「中山涼海ね?」 「ちゅんちゅん。三年生の先輩に生意気だな」 「たった二歳差がなんだっていうの? 喫煙だなんて何一つメリットがないことをしているあなたを敬えだなんて、馬鹿馬鹿しいわ」 ずいぶんと重そうなにおいだった。一瞬で身体にまとわりつくような。窓際で吸う涼海の手元に置かれた薄黄色のパッケージ。校内清掃で拾ったことがある。12mmだなんていう、肺が食道が気管が、すべて悲鳴をあげるだろうニコチンの量だ。 途端に、涼海が激しく咳き込みだす。噎せやすい体質だから、紫歩はその苦しさが少しだけわかる。 涙目になり、顔が赤くなり、視界がチカチカすることくらい。 ぜぇはあと肩で息をしながら、思わず足で踏み潰した煙草を虚しそうに涼海は見つめていた。 「口寂しいからって吸うなら、キスしてもらえばいいじゃない」 「誰に」 「あなたが好きなほうに。本多涼でも、鈴木美馬でも」 「ぽんとも美馬とも、そんなんじゃないよ。ぼくは」 「片想いって、一番楽しいと思わない? 相手に勝手に夢を見て、相手とのこれからを考えて。終わることも、始まることもない、その関係」 「ぼくには、お姫様が何を言いたいのかわからない」 「誰がお姫様ですって」 「生徒会長のお姫様。間宮紫歩」 気まぐれにトローチを涼海は口の中に放り込んだ。くしゃくしゃになったゴールデンバットのケースも、ポケットに入れられる。どことなく美術部の腐れ縁に似たその光に透ける髪色に、女を感じさせないマニッシュな着こなし。すずめは確かに可愛らしい見た目をしているし、目の前の彼女に愛されるだけの要素はあるように窺えた。 紫歩が言っているのは、ほとんどはったりだった。なにも、彼女たちのことに詳しくはない。 涼海の虚しい目を避けるように、埃臭いベッドの中に潜り込んだ。 出て行く様子もなく、ただ、彼女は黄昏ているようだ。 遠くから聞こえるエンジン音に何か思うところがあるのかもしれなかった。 −−あれは、あなたを探しているんじゃないの。 そんな言葉すら、野暮に思えた。 通称、ぽん軒という中華料理屋で鍋を振るう本多涼を知り、そこでバイトする美馬と出会った。みな、同じ高校の生徒だというのもあるし、先から常連だった甲埜美南が全員をつないだ。美馬が家にいても暇だろうから、と連れてきていたのが涼海だった。 紫歩は、場の空気というものに非常に敏感だった。ラーメンを美味しく食べながらも、三人の軽快なトークに、何か引っかかるものを感じた。 美南に連れられてやってきたのは、五月ごろだったか。次は美術部の腐れ縁と来るか、と思っている中で、紫歩は自分の中に美南への想いがあることを自覚していた。 隣でエビチリをちまちま食べる自分の視線と、あの三人が互いに向ける自然の色は、おんなじだった。 三角関係、か。 きっと報われない。誰か一人は不幸になる。だったら一生、終わりも始まりもない緩やかな関係の中で朽ちてゆけばいいのだ。 なんら親しくない人間たちの恋模様など知ったこっちゃない、と思えど、気にはなっていた。 そのうち、紫歩は思い詰めるあまり心因性の摂食障害を患った。傾向は中学の頃からあったが、倒れるまでになったのは、ひとえに美南への恋に苦しんだからだ。 素直になれない。息が詰まるほどの優しさに、息ができなくなる。永遠なんてあるのだろうか、彼女の優しさは恋情なのだろうか。 目の前に現れた脆い脆い穴だらけの自分に向けられた憐憫ではなかろうか。 考えてみても答えが出なくて、将来を悲観して、夜中に涙する。 人を信じること、が紫歩は苦手だった。信じたって裏切られるばかりだ。 それならば信じなければいい。ほんのちょっと、相手が自分と距離を置こうとすれば容赦なく縁を断つ。 傷つかないために。泣かないために。 欠陥だと指摘されても構わない。それは紫歩の髪の毛が明るめの茶だったり、目の色もずいぶんと明るいことと同じものだ。 自分を守るために虚飾は派手派手しく、毒々しくなってゆく。 甘い家庭で育てられた、わがままな娘。 そう見られることが、いっそ嬉しかった。 甘やかされたかった。 見放されたくなんてなかった。 身に余るだけのバイタリティーは紫歩の心を蝕む。 助けて、と言える相手がいなかった。誰がこんな自分を受け止めてくれるというのだ。 相手に、何がしてやれる? フェアじゃない関係は紫歩の中で、いびつなものとして扱われる。 髪の毛を手で触る癖がやめられない。 空っぽの冷蔵庫の前で、ヨーグルトだけで紫歩はカロリーを得るようになっていた。 あの三人のことを私は笑えないな、とぼやけてゆく中華料理屋が目に浮かんだ。 食べられない以上、足は遠のいたし、誘ってくれる美南も不調を察したらしい。 美術部の腐れ縁は、ただ黙って紫歩の止まり木になっていた。 小柄な美南とは反対に、すらりと背の高い彼女は、紫歩の支えだった。魔法のように描かれる絵を見ていたら、紫歩はすべてを忘れられた。 夏を経て、紫歩がようやく人並みに食べられるまでに回復したのは、止まり木がただただ温かったのと、美南の想いがこちらに届いたからだった。どこか無機物めいていた美南が、確かな熱をもって、紫歩の気持ちを受け入れた、ような気がする。 理由は定かではない。思ってもみない幸福に、今もまだ、紫歩は浮かれている。 そしてまだ、信じられないでいる。気のせいだ、自分が夢見ているのは虹のような幻覚なのだ、と。確かめるのも怖くて、何も訊けない。 自分があまりに熱心に想うから、向こうがこちらにほだされたのでは、とも考え込んでしまうのだ。 美南には未来がある。自分なんかと付き合うメリットが、見えない。 夜も眠れない不安に、告白することもできなければ、させる雰囲気をも壊すようになっている。 目の前の少女は沈み込んでいる。どうにもならない状況に、きっと疲れている。 昼休み、放送室から届く気の抜けた緩い校内放送は、言わば相手へのラブレターなのか、と紫歩はぼんやり感じる。 彼女たちはあと半年も経たないうちに、この学校から飛び立っていく運命だ。居候生活だなんだと聞いているが、その関係が今後どうなるのか、聞ける雰囲気ではなかった。 涼海は、のんびりとした喋りの陰に、わざわざあの馬から隠れてまで、煙草を吸っている。 どんよりとしたものを感じた。雨が降る前の、黒い雲めいた。 鳥は、濡れないためにその羽根に油をまとっているという。今の彼女はその油を失っているように見えた。ぐっしょりと海水にでも浸かったかのように、鳥なのに羽ばたくことも許されず、鳥かごの中に閉じ込められている。 雑菌を恐れるあまり、誰も彼女には触れてやらない。可愛がるくせに。 これ以上の飼い殺しがあるだろうか。 「ねえ、中山涼海」 「なに」 「あなたたちのこと、小説にしてもいいかしら」 「……ちゅんちゅん。ぼくたちのこと? なにも面白くないよ」 「だからいいの」 「自分のことでも書いてなよ、お姫様」 「その呼び方は好きじゃないわ。それに、私小説なんて流行ってないし、恥ずかしいだけ」 「いいよ。ぼくは。他の二人が、なんて言うか」 「どうせ読まないでしょう? なにかに載せるためじゃないの。ただ、書きたいだけ」 ふぅん。 どうでもよさそうに涼海は頷いた。また、ひとつ煙草を取り出して、ライターで火をつける。 部屋にまた濃厚な煙が広がる。 今日は絶対に好きな人と会わないように帰ろう、と決意しながら、なぜか熱っぽさが吹き飛んだことに気づく。 目を閉じて、寝ているふりを続けながら、そばにいる彼女の健やかさを願った。 とてもとても、無責任な祈りだった。
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【密室からの脱出】インテンス総合【旧校舎の少女】 http //toro.2ch.net/test/read.cgi/handygame/1343871264/ 89 名前:枯れた名無しの水平思考[sage] 投稿日:2012/07/25(水) 11 01 52.60 ID MB3S41Re0 (PC) 旧校舎難しくね? ヒント見たら怪しい所を探せだってw 270 名前:枯れた名無しの水平思考[sage] 投稿日:2012/07/27(金) 15 33 33.51 ID 1i+/dDc30 [1/2] (PC) 旧校舎面白いな 271 名前:枯れた名無しの水平思考[sage] 投稿日:2012/07/27(金) 15 46 29.32 ID d73D7v+A0 (PC) 旧校舎は今まで多くの脱出ゲーを作って来たインテンスだけに、 UIがちょっと惜しいのにも厳しくなってしまう所だ 具体的には、所持アイテムを調べたら持ってる扱いにならなくなる所と、 歯車はドラッグで移動させて欲しかった所 806 名前:枯れた名無しの水平思考[sage] 投稿日:2012/08/01(水) 11 01 52.25 ID h5iR2Dot0 (PC) 旧校舎やった人、感想教えてください 815 名前:枯れた名無しの水平思考[sage] 投稿日:2012/08/01(水) 11 22 33.97 ID swTo2T5E0 [2/4] (PC) 806 まだ1章が終わったところだけど悪くないよ。よくある脱出ゲームではあるけど 見えてる範囲だと4章立てなのかな? 2章以降のボリュームはわからないけど第1章は割とサクサク終わった まず先に体験版やってみた方がいい 824 名前:枯れた名無しの水平思考[sage] 投稿日:2012/08/01(水) 15 27 48.12 ID jKYnyNjv0 [1/3] (PC) 旧校舎の少女終わったー クリアまで約4時間ってとこ 一つ謎が分からなくて総当りやっちまったけど、後は悩むことなくサクサク 詰まるとまったくヒントがなくて、進めないのが厳しいな 828 名前:枯れた名無しの水平思考[sage] 投稿日:2012/08/01(水) 15 51 43.60 ID swTo2T5E0 [4/4] (PC) 824 メニューの中にヒントの項目があったよ ヒント使ってないから中身まではわからないけど 834 名前:枯れた名無しの水平思考[sage] 投稿日:2012/08/01(水) 17 25 38.36 ID jKYnyNjv0 [2/3] (PC) 828 ヒントあったのか、気がつかなかったわ サンクス 今、バックログの秘密に気づいて2周目中 これは熱い 844 名前:枯れた名無しの水平思考[sage] 投稿日:2012/08/01(水) 19 14 35.83 ID jKYnyNjv0 [3/3] (PC) 旧校舎、2周目って言っても俺が勝手にやってるだけで 仕掛けとか全部同じだぞ パス知ってるとかなりショートカットできるが 1つ気になるのがこのバックログの仕様は最初からなのか 一度クリアしないと、こうならないのかが分からんけどな 854 名前:枯れた名無しの水平思考[sage] 投稿日:2012/08/01(水) 20 27 19.38 ID j6lXMBIu0 (PC) 旧校舎をクリアしたら公式HPに行くことをお勧めする・・・・ ただし、口に液体を含んだまま見に行ってはいけない 857 名前:枯れた名無しの水平思考[sage] 投稿日:2012/08/01(水) 21 11 11.10 ID kkeo15dtO [1/2] (携帯) 旧校舎の少女クリアしたが、分岐ってないのかな なんか謎が全て解明されず、脱出して終わってしまった あと主人公のヒロインの他に千波っていう 清純派美少女が道中に同行してくるけどあまりに空気過ぎる 会話でたまにセリフが出て「あっ、そういえばいたな…」的な 感想は700円にしてはかなり丁寧に作ってある、分解も面白い ただ、ボリュームはご愛嬌の700円っ事で 862 名前:枯れた名無しの水平思考[sage] 投稿日:2012/08/01(水) 21 59 34.34 ID g0OBTCe/0 (PC) 857 千波ちゃんは旧校舎の少女 ラストで匂わせるような描写があった 空気なのは若留以外に見えてなかったからだと思う (確認してないから違ったらごめん) 865 名前:枯れた名無しの水平思考[sage] 投稿日:2012/08/01(水) 22 18 57.88 ID vs3yu+vk0 [2/3] (PC) 844 俺が4章の後半で気付いた時には既にその仕様だったなぁ 最初からだったかどうかは自身ない あと 862も勘違いしてるからED後の会話をバックログでよく見てみるんだ 876 名前:枯れた名無しの水平思考[sage] 投稿日:2012/08/01(水) 23 09 03.53 ID vs3yu+vk0 [3/3] (PC) まさかワイリーの正体がエイリアンだったとはな・・・ まぁ、旧校舎はストーリー面除いてもそこそこ面白いよ。ネタバレされたのは残念だが。 何でもドライバーでバラバラにしようとした経験のある人には特におすすめ 878 名前:枯れた名無しの水平思考[sage] 投稿日:2012/08/01(水) 23 16 50.20 ID +Fs8uqkW0 (PC) 旧校舎の少女クリア 問題のパターンが思ったよりも多彩で面白かった 詰まってもヒントを選ぶごとにヒントが分かりやすくなるのは良かった 893 名前:枯れた名無しの水平思考[sage] 投稿日:2012/08/02(木) 00 12 44.90 ID njA2Vghy0 [1/3] (PC) 旧校舎はパズルとか脱出的な要素は面白かったけどストーリーは微妙だったなあ 伏線が露骨というか、描写がわかりやすいというか、閉じ込められてんのにイチャついてんじゃねえバカップルっていう (以下ネタバレ含むため一文字ずらし) あとラストのあれはつまり「きはえそうずけはうばえはちもはくきう」だったってことかね だけど実際には「こあちうぎたあじうなふたあじうはひじみぬひうてとよえろうむちうぬにれくけう」だったと 895 名前:枯れた名無しの水平思考[sage] 投稿日:2012/08/02(木) 00 37 08.00 ID GbF4P1x20 [2/5] (PC) 893 読みにくいわw (以下ネタバレ逆さ読み) あれは「IAKIONUODIUUKIJ」で合ってると思うけど、それとあれを結びつけると、 「IKKINAYIJOMONETEKUSAT」が良く分からない事になるし、 バックログを読むと「UTBUODNNEKKKIJAGIMANIT」なので、 単に「YUUGOUSITEBAKETEDETA ATEDETEKABETISUOGUUY」と考えた方がしっくり来るんじゃないかって気がするけど、 まだ読み返してないから細かい所は良く分からんね。 897 名前:枯れた名無しの水平思考[sage] 投稿日:2012/08/02(木) 00 53 24.72 ID njA2Vghy0 [2/3] (PC) 895 アレに「ADNOKIOYAMETITOINANA」って書いてあったから、 「IANAHEDUTUBUODNEKKIJAHIMANIT」と思うよ 「URENEDABOSONIAKIKARAKIAKATATA」 っていう描写があったから、「ATTANAAETISUODASAGIAKIKNNEZUUG,ETETENEDAKANONIAKIK」んじゃないかな 894 名前:枯れた名無しの水平思考[sage] 投稿日:2012/08/02(木) 00 31 18.78 ID BJhPtq5H0 (PC) 旧校舎のネタバレっつっても、完全オマケ要素のネタバレなんで 知ってても充分本編は楽しめるぞ さらに言うと、ここまでのネタバレ発言のみを見た場合 勘違いしている可能性が高い てなわけで、続編出て欲しいんで援護しとく 900 名前:枯れた名無しの水平思考[sage] 投稿日:2012/08/02(木) 05 57 28.34 ID UpObmH2CO [1/2] (携帯) 携帯からでごめん 旧校舎の4章、マンホールのパスが本気でわからん 誰か教えてください スレチだったならスマン
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脱出アドベンチャー 旧校舎の少女 part67-172~180 172 :脱出アドベンチャー 旧校舎の少女:2014/06/21(土) 15 36 20.54 ID atpCchLv0 未解決リストの3DS「脱出アドベンチャー 旧校舎の少女」 まとめてみたので投下します 要約が苦手なのでやや長いです 【登場人物】 ◆時野若留(ときの・わかる) 主人公。時計屋の祖父と二人暮らしの高校一年生。分解と読書とオカルトが大好きな眼鏡っ娘。 時計修理用の工具が収められた、超高性能腕時計「クロノテクト」を常に身に着けている。 好奇心旺盛な性格で、ひとたび夢中になると周りが見えなくなる。 入学して以来、校内のあちこちで囁かれる噂「学園七不思議」の謎を追うのに夢中。 ◆鍛冶野彦道(かじの・ひこみち) 若留の幼馴染で同級生。商店街のパチンコ屋の息子。 超常現象の類は全く信じていないが、賭け事に関するジンクスは別腹。10面ダイスをいつも持ち歩いている。 面倒くさがり屋の不良少年だが、暴走しがちな若留のストッパー役でもある。 ◆須佐見秀ノ介(すさみ・しゅうのすけ) 若留と彦道のクラスにやってきた転入生。眼鏡2号。 落ち着いた雰囲気の少年だが、身体が弱いらしく授業も休みがち。 若留が追う「学園七不思議」について独自に調べている。 ◆千波鏡華(ちなみ・きょうか) 若留のクラスメイト。黒髪ロング美少女。 控えめな性格で、ちょっと道に迷いやすい迷子体質。 鈴のついた髪留めを着けている。 【用語】 ◆クロノテクト 若留が身に着けている腕時計。見た目は結構ごつい。 内部にはルーペ、精密ドライバー、オープナーナイフが四次元ポケットの如く収納されている。 ◆私立逢魔学園高校(しりつ・おうまがくえんこうこう) 若留達が通う高校。なんと山の中にある。 裏山の方へ行くと旧校舎がまだほとんど当時のまま残されている。 今回の物語はこの旧校舎が舞台。 173 :脱出アドベンチャー 旧校舎の少女:2014/06/21(土) 15 38 13.80 ID atpCchLv0 ◆Chapter1・開錠 -The beginning- とある春の日の朝。ホームルームが始まる前の早い時間に、時野若留は学園七不思議のひとつ『開かずの間』の調査のた めに旧校舎の図書室へ足を運んでいた。 図書室の奥まで行くと、噂通りドアノブも取っ手も無いドアに辿り着く。 若留は好奇心のままに扉付近を探索し、ついに鍵を見つけて扉を開ける事に成功する。 扉の奥は、カビ臭い書庫のような部屋だった。 埃が積もり、じめっとした空気に思わず顔をしかめる。光源は高窓から差し込む日の光のみで、部屋の奥までは見渡せな い。 辺りを観察している途中、若留は何かに気づいて顔を輝かせる。机の上に、古びたからくり時計が置いてあったのだ。 オカルトと同様時計も大好きな若留は、嬉々として時計の観察を始めようとする。が、故障しているのか、ゼンマイを巻 いても動かない。 今度はこの場で時計を分解し始める若留。 得意げに腕に巻いている時計「クロノテクト」から次々と工具を出し、あっという間に修理してしまう。 組み立ててゼンマイを巻くと、からくりが動きだし、小窓がぱかっと開いた。 中から出てきた物をつまみ出すと、模様が描かれた小さな箱のような物だと分かる。 これは一体何だろうかと首をひねっていると、若留の耳に突如奇妙な音が聞こえた。 低く唸るような、呼吸のような奇妙な音。か細い小さな音だったが、あまりの不気味さに思わず身震いする。 ふと腕時計を見ると、もう8時を回っていた。 このままではホームルームに間に合わなくなってしまう。急いで部屋から出ようとした若留だったが、先程通った扉はビ クともしない。 閉じ込められてしまったのだ。 血の気が引き、開かない扉から過去のトラウマが呼び起されそうになったところで、慌てて首を振る。 「冷静になれ、私!まずは助けを呼んで……」 しかし、携帯は何故か圏外。本校舎とは距離がある旧校舎、しかも図書室の奥という場所では、大声を出しても助けが来 る可能性は低い。 とにかく、今やれるだけの事はやらなければならない。気を取り直して部屋内の探索を始める。 しばしの探索のあと、なんとか扉を開けることに成功した若留。 ほっとして図書室から廊下へ出ると、誰かの気配と物音。 突然の気配に思わず図書室を振り向く。老朽化のためか、棚から本が崩れ落ちているのが見えた。物音はこれだったのだ ろうか。 と、その時廊下側から声をかけられる。 そこにいたのはクラスメイトの千波鏡華だった。安堵する若留。 「心臓飛び出るかと思ったよ」 「それはこっちのセリフだよー」 「千波も探検しに来てたの?それとも迷子?」 などと会話しつつ、はっとして時計を見る。8時20分。このままだと遅刻だ。 予鈴の音をバックに、慌てて旧校舎を飛び出す若留と千波。 その背中をじっと見つめる人物がいた事に、若留は気づかなかった。 174 :脱出アドベンチャー 旧校舎の少女:2014/06/21(土) 15 40 46.01 ID atpCchLv0 メモ帳からコピペしたらチャプター1の改行おかしくなってしまった 申し訳ない ◆Chapter2・怪談 -Upstairs- 全力疾走の甲斐あって、なんとかホームルームに間に合った若留。 席につくと、後ろの席から声をかけられる。若留の幼馴染、鍛冶野彦道だ。 傍から見ればリア充爆発しろとでも言いたくなるようなやり取りの後、チャイムの音が鳴り、ホームルームが始まる。 担任が出欠を取る中、教室後方の扉が開き、須佐見秀ノ介が入ってきた。 遅刻してきた生徒に口を開きかけた教師だったが、それが須佐見だと分かると言葉を濁す。 須佐見は持病の療養のために都会からこちらへ越してきている。 そのため遅刻や早退の許可を取ってあるのだが、それ以前に理事長の孫という事もあり、教師側も強く出られない。 そんな事は全く気にせず、須佐見と仲良くしたい若留。反対に彦道は、そんな転校生が気に食わない様子だ。 ホームルームが終わり、若留は彦道に朝の出来事を話すが、テンションの高い若留に反して彦道は「立入禁止だろ」と呆れる。 普段は校則も守らない彦道だが、若留に対してはやけにうるさくなるのだ。 そんな彦道とは対照的に、須佐見はいつも物腰柔らかで優しい。 『開かずの間』の情報をくれたのも元は須佐見だったのだ。若留はお礼を言い、千波と一緒になって須佐見の情報収集能力を褒める。 元々、この町には昔から都市伝説等の伝承が異常な程多い。 学園の理事長の息子とあってか、須佐見は最近越してきたばかりにも関わらず、学園にまつわる怪談や噂を熟知している。 だからこそ若留は、『開かずの間』で聞いた妙な音について、須佐見に相談する事にした。 その話に思い当たる事があるのか、須佐見は黒い手帳を取り出し、それは七不思議の一つ『不気味な音』だろうと推察を述べる。 須佐見が言うには、この学園の七不思議は ・聞く者を冥界へ誘う『不気味な音』 ・図書室の『開かずの間』 ・存在しないはずの『幻の四階』 ・気づくと一人増えている『6人の壁画』 ・永遠に彷徨い続けている『旧校舎の少女』 この5つを基本に、残り2つは話によってよく入れ替わっているという。 「もしかしたらその壁画、見たことあるかも。前に迷った時に」と呟く千波。 『開かずの間』だけでなく、『幻の四階』や『6人の壁画』も実在するかもしれない。千波の言葉に、俄然テンションが上がる若留。 その時ふいに、若留は今朝手に入れた小さな箱の存在を思い出した。もしかしたら開けられるかもしれない。 箱に描かれた謎を解くと、からくりでも仕込んであったのか、中から小さなフクロウの形をした駒が出てきた。 須佐見はそれを見て、家の書斎の本に似た物を見たと言う。若留は駒と箱を須佐見に預け、調べてもらうように頼む。 須佐見は箱を受け取り、持っていた黒い手帳を閉じる。その時、手帳から一枚の写真が落ちた。 半分に折れた写真に、中学生くらいの女の子が写っている。 「須佐見君、これ落としたよ」 突如、まるで見られたくなかったかのように反射的にそれを奪い返す須佐見。 よほど大切な人の写真らしい。須佐見もはっとして謝ると、写真を手帳にしっかりと挟んだ。 放課後、若留は自宅の時計店に帰宅。カウンター横の椅子に座り、しばし店内の時計の音に耳を傾ける。 両親が事故で亡くなり、祖父に引き取られてから十年。それ以来ずっと若留は時計に囲まれて暮らしている。分解もその頃から大好きだった。 祖父と学校の事などを話しながら、若留は今日の出来事を思い出す。 須佐見が教えてくれた七不思議が気になる。旧校舎は三階建だ。『幻の四階』は本当にあるのだろうか。 それに、あの『開かずの間』に入った時、若留は違和感を感じていた。高窓から差し込むわずかな日光や、空気の感じ。 だがその日は結局違和感の正体に気づけなかった。 175 :脱出アドベンチャー 旧校舎の少女:2014/06/21(土) 15 42 45.99 ID atpCchLv0 その翌日。休日だが、若留は制服を着て再びあの旧校舎を訪れていた。結局気になって、また探索するつもりだった。 電気のスイッチや蛇口を触ると、何故か電気は通っているし、きれいな水が出るのも確認できた。 旧校舎は幾度にも渡って継ぎはぎのように改築を繰り返しているらしいが、一階はあまり改築されていないのか老朽化が激しい。 床を踏み抜かないように慎重に進もうと決意した時、低く唸る音が耳に届く。七不思議のひとつ『不気味な音』だ。 不快としか言いようのない不協和音に、若留の歩みが遅くなる。 その時、突然若留の肩に誰かの手が乗せられた。 驚いた拍子に床を踏み抜いてしまい、足を取られそうになったところで引き寄せられ、なんとか事なきを得る。 手の主は彦道だった。若留の祖父から、制服で出かけたと聞いて旧校舎だろうと踏んで来てくれたのだ。 おまけに千波まで着いてきている。 色々うるさく言われて止められると思ったが、どうやら彦道は若留の探索に協力してくれるらしい。 若留が、自分の手帳に校舎内の見取り図を描いていき、ひとまず二階を探索してみようと階段へ向かおうとした矢先。 木の軋むような――明らかに床を踏みしめる小さな音が聞こえる。 「私達以外にも誰かいる!」 正体を突き止めようと、若留は咄嗟に階段を駆け上る。人影が見えた。きっと、図書室で感じた人の気配とはあの人だろう。 階段を駆け上ると、二階に辿り着いた瞬間廊下の先で防火シャッターが下りた。 追い付いてきた彦道と千波に人影の事を話す若留。正体を確かめるためにも、周囲を探索して防火シャッターを開ける。 シャッターの向こう側には、廊下を曲がった先に鉄の壁があって進めなくなっている。 こんなに重い扉が閉じるような音は無かったし、他に道は無い。ここまでは一本道で、教室にも誰もいなかった。 仕方なく二階の見取り図を書き出す。ここは一階と比べると近代風の造りになっていて、床もしっかりしている。 人影に関してはひとまず置いておいて、三階へ向かう。 『幻の四階』の手がかりがないかと三階を捜索する若留だったが、いくら探しても上への階段など見つからない。 若留と千波が教室をくまなく探索するなか、彦道は手伝うわけでもなくただついてくるだけだ。 若留は気分を変えるために階段に座り込み、見取り図を見直す。すると突然、彦道が若留を呼んで廊下に連れ出す。 いぶかしがる若留を後目に、彦道はポケットからパチンコ玉を取り出すと床に置いた。みるみるうちに加速し、廊下の端まで勢いよく転がっていく。 どうやらこの校舎は一見同じ高さのように見えて、端と端でかなりズレがある構造になっているようだ。 ということは、上の階も存在しているはずだ。探索を続けていくうちに、ついに若留達は隠し階段を見つけた。 図書室で感じた光や空気の違和感は、図書室自体が半分地下にあったからだった。 隠し階段を上ると、七不思議通りの『幻の四階』と呼べるフロアがあった。 辺りを見渡すと、若留はそこに壁画を見つける。しかし七不思議通りの『6人』ではなく、5人しかいない壁画だった。 ひとまず壁画は置いておいて、その横にある扉を開ける。 扉の先はただの屋上だった。いつの間にかすっかり空は赤くなっている。遅くならない内に引き上げようと彦道が提案した時。 背後で扉の閉まる音がした。慌てて開けようにも、しっかりと鍵まで閉められてしまっている。 若留達はどうにか中に戻ろうと、屋上を探索する。 探索の途中、ボイラー室で若留が不用意にスイッチを触ってしまい、壊れたボイラーの騒音が鳴りだす。 止めるためには暗証番号が必要らしい。慌てる若留や千波とは反対に、彦道は冷静に10面ダイスを取り出し、振った。 そしてその出目を入力すると――あっさりと機械の騒音は止まる。 「運も実力のうちってやつだな」と涼しい顔の彦道に、「あんたのサイコロの方がよっぽど非科学的じゃないの」と突っ込む若留。 その後色々と探索をし、無事に非難口から校舎内に戻る事が出来た。 先程の場所まで戻ってくると、壁画がいつのまにか5人から6人に増えている。 はしゃいでいる若留に、扉を閉めた奴がまだいるかもしれないと警告する彦道。 だが時は既に遅かった。気体の吹き出すような音の後、鼻をつく匂いがする。急な吐き気と息苦しさに襲われ、若留達は倒れてしまう。 遠くなる意識の中、若留は誰かに見下ろされているのを感じ――そのまま気を失った。 176 :脱出アドベンチャー 旧校舎の少女:2014/06/21(土) 15 46 08.37 ID atpCchLv0 ◆Chapter3・記憶 -Reminiscence- 雨が降り注ぐ中、小さな女の子が泣いていた。両親を呼びながら、膝を抱えて泣き続けている。 今にも消えてしまいそうな儚ささえ感じる少女の姿に、少年はどうすることもできない。 ただ、あの子の涙を止めたいがために、傘を投げだし、走り出す。 気が付くと、彦道は見知らぬ部屋にいた。 五感が戻ってきて、最初に感じたのは吐き気と異様な寒さ。頭も重く、息をするのもやっとだ。 それから自分の置かれた状況を確認し、絶句した。右足が結束バンドのような物で縛られ、配管に固定されている。 拘束具も配管も頑丈で、どんなに動かしても取れそうにない。 そこで、若留が近くにいない事にようやく気が付いた。一体どれ程の時間気を失っていたのか。若留は無事なのか。 とにかく何とかしてこの部屋から出なければならない。若留と出会った時の事を思い出して、彦道は逆に冷静さを取り戻す。 手の届く範囲で部屋内を探索し、時にはダイスと自分の強運に頼りながらも、なんとか拘束を解く事に成功する。 一方、若留の方も意識を取り戻す。見知らぬ部屋は荒れていて、窓には板が打ちつけられ、外の様子は分からない。 ガスの影響で体調も悪い。錯乱し、取り乱す若留。 両親が亡くなって一人ぼっちになった頃と同じくらいの不安感。ガスの後遺症もあってか、再度意識を失う。 夢の中。真っ暗な闇の中、若留は一人で泣いていた。 孤独と不安に押しつぶされて泣いていると、そこに光が差し込む。 誰かに名前を呼ばれる。この声は―― 彦道の声で、若留は目を覚ました。 合流できた事でやっと若留は冷静さを取り戻し、部屋の探索を始める。 電子ロックで閉じられている扉を分解し、なんとか部屋を脱出した二人は、別の場所にいたらしい千波とも合流する。 窓の外を見ると、すっかり日が落ちてしまっていた。 彦道に指摘され、ここが旧校舎の二階だと気付く若留。見取り図を見ながら位置を確認している若留を後目に、彦道は階段へ向かう。 どうやらこんな目に会わせた人間に怒りを抱いているようだ。どんどん先に進んでいく。 隠し階段を上って再び四階へ行くと、例の壁画が再び5人になっていた。 パズルのように石版をスライドさせ、5人の人物像を6人に見えるように動かすと、壁画が動き出した。 古い校舎には似つかわしくない機械の仕掛けに、若留は呆気に取られる。 その扉の向こうから、聞き覚えのある声が聞こえ、若留は固まった。 呆然とする若留をかばうようにして、彦道が警戒心も顕に彼の名を呼ぶ。 「やっぱりお前だったんだな――須佐見」 そこにいたのは、冷たい目をした若留達のクラスメイトだった。 177 :脱出アドベンチャー 旧校舎の少女:2014/06/21(土) 15 47 46.21 ID atpCchLv0 ◆Chapter4・真相 -Deep level- 「なんだ、気づいてたんだ。鍛冶野君も人が悪いな」 余裕のある笑みで機械扉から出てくる須佐見。対する彦道は冷静だ。 人影の正体には、意識を失う直前に気づいたのだと言う。須佐見は鬱陶しそうに彦道を睨みつける。 その様子を見た若留は、あの穏やかなクラスメイトがこんなに冷たい態度を取っている事がまだ信じられずにいた。 「須佐見君も七不思議の事調べに来たんでしょう?」 わずかな希望にすがって質問するが、あっけなく否定される。 『開かずの間』から入手したフクロウの駒は、ここのマスターキーだと言う須佐見。 これが欲しくて、最初から若留を利用していたのだ。もちろん、持病でこちらに越してきたというのも嘘だった。 これ以上ついて来られるのも面倒だと、再びあのガスを撒こうとする須佐見。が、彦道は瞬時にその意図を見抜き、須佐見を蹴り飛ばした。更に数回殴る。須佐見自身が「成分もよく分かっていない」らしいガスを撒いて、一歩間違えたら死んでいたかもしれない。 心の底から須佐見を友人だと思っていた若留にそんな仕打ちをした事を、彦道は怒っているのだ。 争いの最中、見覚えのある写真が若留の足元に落ちる。 「それに触るな!」 怒りを顕にする須佐見。写真に映る少女は、どことなく須佐見と似ている。妹だろうか。 「もしかして、この子のためにこんな事を?」 問いかけると、図星だったらしい。須佐見は黙ってしまった。 大切な人のために何かしたいという思いはよく分かる。だから、こんな事はもうやめよう、と諭す若留。 幼い頃、大切な人――両親を目の前にして、何も出来なかった過去を思い出す。 歪んだ車のドアの向こうで、血まみれの両親が若留に逃げるようにと叫んでいる。 何をしても開かない扉は幼い若留にはどうしようもなくて、助けを呼ぼうと遠くまで走って、その後爆発音を聞いた。 長い間その過去を引きずっていたが、祖父や彦道に救われて気づいた。 「誰かを助けるために、誰かを犠牲にするのは間違っている」 道具のように利用された事実は勿論覆せないが、それでも教室で楽しそうに話していた表情が全部嘘だったなんて認めない、と若留は強い口調で言い切る。 こんな自分を許すつもりなのかと嘲笑う須佐見に、若留は笑顔を浮かべる。 「私は須佐見君のした事を許さないよ。須佐見君…ううん、秀ノ介君。これからも、私達は対等な友達だよ。友達だから、本気で怒ってるんだよ」 若留のまっすぐな言葉に、須佐見は写真の人物と若留を重ね合わせたようだった。 喧嘩も収まったところで、若留は須佐見の目的を聞き出す。 乗りかかった船とばかりに、須佐見の目的を手伝うつもりのようだ。理由を聞かれ、「その方が面白そうだから」と笑顔で答える若留に、二人は呆気にとられるしかない。 かくして、この場にいる全員で壁画の奥の小部屋――エレベーターへと向かうのだった。 地下に向かうエレベーターの中で、ここに来た目的を話しはじめる須佐見。 祖父の書斎で見つけたノートに、この町や学園について書き記されていた。 人口や歴史、言い伝えの数々。伝説を元に、この地で幾度も行われた様々な実験について。 もしこのノートに書かれている事が事実ならば、大切な人を助けられるかもしれない。 その話を聞いたあたりで、エレベーターが止まる。扉が開き、異様な物が目に入る。 大きく書かれた「4」の文字。そして頑丈で重厚な鉄の扉。 扉の向こうから聞こえてくる、七不思議の『不気味な音』 扉にはパズルや暗号が3つ仕掛けられている。皆で知恵を寄せ合いながら、暗号を解いていく。 全ての仕掛けを解き、ようやく扉が開いた。 178 :脱出アドベンチャー 旧校舎の少女:2014/06/21(土) 15 49 05.75 ID atpCchLv0 中には怪しげな実験器具や機械類、書類が散乱していて、奥には「繭」と書かれた巨大な卵のような白い機械が鎮座している。 触れてみると、まだその機械は動いているようでわずかに熱を帯びており、奇妙な音を発している。 七不思議の『不気味な音』の正体は、この機械が発生源だったらしい。 須佐見が傍のレバーを動かしてみるが、全く反応はない。これが須佐見の探している物かどうかも良く分からないらしく、ひとまず一行は部屋を探索する事に。 振り向いて入口の方を見ると、壁の一角に赤い字で「たすけて」といくつも殴り書きされている。 その足元には随分古びた学生鞄が落ちていた。若留達の学校の鞄だ。 中には可愛い日記帳が入っている。序盤は入学したばかりの女生徒の前向きな日記になっているが、後半からはこの部屋に迷い込んでしまったという記述になっている。 最後には「もっとみんなと遊びたかった」「たすけて」と締めくくられている。 これが七不思議の『旧校舎の少女』の噂の元になった生徒なのだろう。 落ちている研究レポートは、研究員による日誌のような形で遺されている。 ・『繭』はあらゆる病を治す可能性のある機械である ・初めての動物実験に黒猫を使おうとしたが機械の数値が不安定になり、実験が一時中止となった ・実験の被検体は「どこにでもいるし、どこにもいない」存在になって今も彷徨い続けている。 ・上位次元というものがあるとするならば、その存在を知覚できるかもしれない。 その後、上層部と連絡がつかなくなり、計画は凍結。 「第四区画」と呼ばれるこの研究所が封印される事になったようだ。 探索を進めて、ついに若留達は『繭』を開けて中を覗く。 しかし中は空っぽ。『不気味な音』も止まり、『繭』は完全に停止していた。 どうやらこれは須佐見の探していた物では無かったらしい。 無駄足だったようで、がっかりする一行。そろそろ本格的に帰らなければならない頃合いだろう。 引き返そうとしたが、扉が完全に閉まっていて、出られなくなってしまっていた。 何を試してもビクともしない扉を前に、みんな疲労していた。だが、諦めるわけにはいかない。 若留は少女の日記の存在を思い出し、ページを捲った。 迷い込んだ女の子は、この部屋のどこにもいない。だったら、きっとどこかから抜け出したのだ。 よく耳を澄ませると、わずかに聞こえる水の音。そこで若留は思い出す。 図書室のじめじめした空気。蛇口をひねるときれいな水が出てきた事から、旧校舎の下には地下水が流れていて、この研究所はそこから水を引いているのではないかと推理する。 もしかしたら地下水路があって、そこから出られるかもしれない。 再び部屋をくまなく探索し、マンホールを見つける一行。地下水路へと抜け、暗く長い水路をひたすらに歩く。 出てきた先は、あの『開かずの間』だった。外へと飛び出し、朝日を浴びながら一行は脱力してその場に仰向けになる。 あの不思議な場所から、生きて脱出できた解放感を噛みしめながら。 179 :脱出アドベンチャー 旧校舎の少女:2014/06/21(土) 15 54 51.98 ID atpCchLv0 ◆ED後 月曜日の放課後。掃除当番の若留は、「おじいちゃんにげんこつもらった」と千波にしょんぼりとしながら報告していた。 あの事件以来、彦道は須佐見をあだ名で呼び始め、須佐見の方も彦道を呼び捨てにしている。 少しずつではあるが、若留も含めた三人の関係はいい方向に変化しつつある。 しかし若留は、七不思議の噂についてどうしても納得できない点があった。 七不思議のほとんどが説明のつく物であったが、『旧校舎の少女』だけは行方が分からないままだ。 何故あんな場所に少女は迷い込んだのか。その後脱出できたのか。 「千波はどう思う?」 「わかんない。でもきっと、どこかで笑ってるんじゃないかな」 千波の言葉を受けながら教室の窓から外を眺めていると、廊下から声が聞こえてくる。ゴミ捨てに行っていた男子二人が帰って来たらしい。 若留は二人に駆け寄り、他愛も無い談笑をしながら帰り支度を始める。 教室を出る際、少しの間ぼんやりする若留。が、彦道に呼ばれ、すぐに我に返って後を追う。須佐見は若留に尋ねる。 「他に誰かいたのかい?」 「ううん、なにか忘れ物ないかと思って」 教室には若留以外誰もいなかったはずだ。何か本当に忘れたような気がした、と言えば、案外抜けているところがあるからと二人にからかわれる。 夕焼けの中、あの事件以来互いが大切な友人となった三人は、仲良く並んで帰路についたのだった。 【まとめ】 好奇心旺盛で機械の分解が大好きな少女・若留は、転入生の須佐見に聞いた情報を元に学園の七不思議の謎を追いかける 。 幼馴染の彦道と共に協力しながら旧校舎を探索するが、旧校舎に隠された研究室が目的だった須佐見に何度か妨害を受ける。 最終的には須佐見とも和解し、共に地下の研究室を探る。が、須佐見の目的の物では無かったらしく、無駄足に終わる。 そこで閉じ込められるというアクシデントはあったものの、なんとか無事に脱出して、三人は友情を深めたのだった。 もう一人女の子がいたって? 最初からこの三人しかいませんでしたよ? 嘘だと思うならバックログで会話を確認してみるといいよ 180 :脱出アドベンチャー 旧校舎の少女:2014/06/21(土) 15 55 58.65 ID atpCchLv0 以上で終わりです 研究所の謎については今回だけでは全貌は分かりません 現在シリーズは4つ出ていますが、恐らく次で全て明かされるかな?という感じです 普通の現代ミステリーかと思いきや、謎の組織や不思議な力が存在していたりして、全体的にだいぶオカルト寄り ジュブナイルとか90年代の少女小説っぽい雰囲気が好きならオススメ
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脱出アドベンチャー 旧校舎の少女 part67-172~180 172 :脱出アドベンチャー 旧校舎の少女:2014/06/21(土) 15 36 20.54 ID atpCchLv0 未解決リストの3DS「脱出アドベンチャー 旧校舎の少女」 まとめてみたので投下します 要約が苦手なのでやや長いです 【登場人物】 ◆時野若留(ときの・わかる) 主人公。時計屋の祖父と二人暮らしの高校一年生。分解と読書とオカルトが大好きな眼鏡っ娘。 時計修理用の工具が収められた、超高性能腕時計「クロノテクト」を常に身に着けている。 好奇心旺盛な性格で、ひとたび夢中になると周りが見えなくなる。 入学して以来、校内のあちこちで囁かれる噂「学園七不思議」の謎を追うのに夢中。 ◆鍛冶野彦道(かじの・ひこみち) 若留の幼馴染で同級生。商店街のパチンコ屋の息子。 超常現象の類は全く信じていないが、賭け事に関するジンクスは別腹。10面ダイスをいつも持ち歩いている。 面倒くさがり屋の不良少年だが、暴走しがちな若留のストッパー役でもある。 ◆須佐見秀ノ介(すさみ・しゅうのすけ) 若留と彦道のクラスにやってきた転入生。眼鏡2号。 落ち着いた雰囲気の少年だが、身体が弱いらしく授業も休みがち。 若留が追う「学園七不思議」について独自に調べている。 ◆千波鏡華(ちなみ・きょうか) 若留のクラスメイト。黒髪ロング美少女。 控えめな性格で、ちょっと道に迷いやすい迷子体質。 鈴のついた髪留めを着けている。 【用語】 ◆クロノテクト 若留が身に着けている腕時計。見た目は結構ごつい。 内部にはルーペ、精密ドライバー、オープナーナイフが四次元ポケットの如く収納されている。 ◆私立逢魔学園高校(しりつ・おうまがくえんこうこう) 若留達が通う高校。なんと山の中にある。 裏山の方へ行くと旧校舎がまだほとんど当時のまま残されている。 今回の物語はこの旧校舎が舞台。 173 :脱出アドベンチャー 旧校舎の少女:2014/06/21(土) 15 38 13.80 ID atpCchLv0 ◆Chapter1・開錠 -The beginning- とある春の日の朝。ホームルームが始まる前の早い時間に、時野若留は学園七不思議のひとつ『開かずの間』の調査のた めに旧校舎の図書室へ足を運んでいた。 図書室の奥まで行くと、噂通りドアノブも取っ手も無いドアに辿り着く。 若留は好奇心のままに扉付近を探索し、ついに鍵を見つけて扉を開ける事に成功する。 扉の奥は、カビ臭い書庫のような部屋だった。 埃が積もり、じめっとした空気に思わず顔をしかめる。光源は高窓から差し込む日の光のみで、部屋の奥までは見渡せな い。 辺りを観察している途中、若留は何かに気づいて顔を輝かせる。机の上に、古びたからくり時計が置いてあったのだ。 オカルトと同様時計も大好きな若留は、嬉々として時計の観察を始めようとする。が、故障しているのか、ゼンマイを巻 いても動かない。 今度はこの場で時計を分解し始める若留。 得意げに腕に巻いている時計「クロノテクト」から次々と工具を出し、あっという間に修理してしまう。 組み立ててゼンマイを巻くと、からくりが動きだし、小窓がぱかっと開いた。 中から出てきた物をつまみ出すと、模様が描かれた小さな箱のような物だと分かる。 これは一体何だろうかと首をひねっていると、若留の耳に突如奇妙な音が聞こえた。 低く唸るような、呼吸のような奇妙な音。か細い小さな音だったが、あまりの不気味さに思わず身震いする。 ふと腕時計を見ると、もう8時を回っていた。 このままではホームルームに間に合わなくなってしまう。急いで部屋から出ようとした若留だったが、先程通った扉はビ クともしない。 閉じ込められてしまったのだ。 血の気が引き、開かない扉から過去のトラウマが呼び起されそうになったところで、慌てて首を振る。 「冷静になれ、私!まずは助けを呼んで……」 しかし、携帯は何故か圏外。本校舎とは距離がある旧校舎、しかも図書室の奥という場所では、大声を出しても助けが来 る可能性は低い。 とにかく、今やれるだけの事はやらなければならない。気を取り直して部屋内の探索を始める。 しばしの探索のあと、なんとか扉を開けることに成功した若留。 ほっとして図書室から廊下へ出ると、誰かの気配と物音。 突然の気配に思わず図書室を振り向く。老朽化のためか、棚から本が崩れ落ちているのが見えた。物音はこれだったのだ ろうか。 と、その時廊下側から声をかけられる。 そこにいたのはクラスメイトの千波鏡華だった。安堵する若留。 「心臓飛び出るかと思ったよ」 「それはこっちのセリフだよー」 「千波も探検しに来てたの?それとも迷子?」 などと会話しつつ、はっとして時計を見る。8時20分。このままだと遅刻だ。 予鈴の音をバックに、慌てて旧校舎を飛び出す若留と千波。 その背中をじっと見つめる人物がいた事に、若留は気づかなかった。 174 :脱出アドベンチャー 旧校舎の少女:2014/06/21(土) 15 40 46.01 ID atpCchLv0 メモ帳からコピペしたらチャプター1の改行おかしくなってしまった 申し訳ない ◆Chapter2・怪談 -Upstairs- 全力疾走の甲斐あって、なんとかホームルームに間に合った若留。 席につくと、後ろの席から声をかけられる。若留の幼馴染、鍛冶野彦道だ。 傍から見ればリア充爆発しろとでも言いたくなるようなやり取りの後、チャイムの音が鳴り、ホームルームが始まる。 担任が出欠を取る中、教室後方の扉が開き、須佐見秀ノ介が入ってきた。 遅刻してきた生徒に口を開きかけた教師だったが、それが須佐見だと分かると言葉を濁す。 須佐見は持病の療養のために都会からこちらへ越してきている。 そのため遅刻や早退の許可を取ってあるのだが、それ以前に理事長の孫という事もあり、教師側も強く出られない。 そんな事は全く気にせず、須佐見と仲良くしたい若留。反対に彦道は、そんな転校生が気に食わない様子だ。 ホームルームが終わり、若留は彦道に朝の出来事を話すが、テンションの高い若留に反して彦道は「立入禁止だろ」と呆れる。 普段は校則も守らない彦道だが、若留に対してはやけにうるさくなるのだ。 そんな彦道とは対照的に、須佐見はいつも物腰柔らかで優しい。 『開かずの間』の情報をくれたのも元は須佐見だったのだ。若留はお礼を言い、千波と一緒になって須佐見の情報収集能力を褒める。 元々、この町には昔から都市伝説等の伝承が異常な程多い。 学園の理事長の息子とあってか、須佐見は最近越してきたばかりにも関わらず、学園にまつわる怪談や噂を熟知している。 だからこそ若留は、『開かずの間』で聞いた妙な音について、須佐見に相談する事にした。 その話に思い当たる事があるのか、須佐見は黒い手帳を取り出し、それは七不思議の一つ『不気味な音』だろうと推察を述べる。 須佐見が言うには、この学園の七不思議は ・聞く者を冥界へ誘う『不気味な音』 ・図書室の『開かずの間』 ・存在しないはずの『幻の四階』 ・気づくと一人増えている『6人の壁画』 ・永遠に彷徨い続けている『旧校舎の少女』 この5つを基本に、残り2つは話によってよく入れ替わっているという。 「もしかしたらその壁画、見たことあるかも。前に迷った時に」と呟く千波。 『開かずの間』だけでなく、『幻の四階』や『6人の壁画』も実在するかもしれない。千波の言葉に、俄然テンションが上がる若留。 その時ふいに、若留は今朝手に入れた小さな箱の存在を思い出した。もしかしたら開けられるかもしれない。 箱に描かれた謎を解くと、からくりでも仕込んであったのか、中から小さなフクロウの形をした駒が出てきた。 須佐見はそれを見て、家の書斎の本に似た物を見たと言う。若留は駒と箱を須佐見に預け、調べてもらうように頼む。 須佐見は箱を受け取り、持っていた黒い手帳を閉じる。その時、手帳から一枚の写真が落ちた。 半分に折れた写真に、中学生くらいの女の子が写っている。 「須佐見君、これ落としたよ」 突如、まるで見られたくなかったかのように反射的にそれを奪い返す須佐見。 よほど大切な人の写真らしい。須佐見もはっとして謝ると、写真を手帳にしっかりと挟んだ。 放課後、若留は自宅の時計店に帰宅。カウンター横の椅子に座り、しばし店内の時計の音に耳を傾ける。 両親が事故で亡くなり、祖父に引き取られてから十年。それ以来ずっと若留は時計に囲まれて暮らしている。分解もその頃から大好きだった。 祖父と学校の事などを話しながら、若留は今日の出来事を思い出す。 須佐見が教えてくれた七不思議が気になる。旧校舎は三階建だ。『幻の四階』は本当にあるのだろうか。 それに、あの『開かずの間』に入った時、若留は違和感を感じていた。高窓から差し込むわずかな日光や、空気の感じ。 だがその日は結局違和感の正体に気づけなかった。 175 :脱出アドベンチャー 旧校舎の少女:2014/06/21(土) 15 42 45.99 ID atpCchLv0 その翌日。休日だが、若留は制服を着て再びあの旧校舎を訪れていた。結局気になって、また探索するつもりだった。 電気のスイッチや蛇口を触ると、何故か電気は通っているし、きれいな水が出るのも確認できた。 旧校舎は幾度にも渡って継ぎはぎのように改築を繰り返しているらしいが、一階はあまり改築されていないのか老朽化が激しい。 床を踏み抜かないように慎重に進もうと決意した時、低く唸る音が耳に届く。七不思議のひとつ『不気味な音』だ。 不快としか言いようのない不協和音に、若留の歩みが遅くなる。 その時、突然若留の肩に誰かの手が乗せられた。 驚いた拍子に床を踏み抜いてしまい、足を取られそうになったところで引き寄せられ、なんとか事なきを得る。 手の主は彦道だった。若留の祖父から、制服で出かけたと聞いて旧校舎だろうと踏んで来てくれたのだ。 おまけに千波まで着いてきている。 色々うるさく言われて止められると思ったが、どうやら彦道は若留の探索に協力してくれるらしい。 若留が、自分の手帳に校舎内の見取り図を描いていき、ひとまず二階を探索してみようと階段へ向かおうとした矢先。 木の軋むような――明らかに床を踏みしめる小さな音が聞こえる。 「私達以外にも誰かいる!」 正体を突き止めようと、若留は咄嗟に階段を駆け上る。人影が見えた。きっと、図書室で感じた人の気配とはあの人だろう。 階段を駆け上ると、二階に辿り着いた瞬間廊下の先で防火シャッターが下りた。 追い付いてきた彦道と千波に人影の事を話す若留。正体を確かめるためにも、周囲を探索して防火シャッターを開ける。 シャッターの向こう側には、廊下を曲がった先に鉄の壁があって進めなくなっている。 こんなに重い扉が閉じるような音は無かったし、他に道は無い。ここまでは一本道で、教室にも誰もいなかった。 仕方なく二階の見取り図を書き出す。ここは一階と比べると近代風の造りになっていて、床もしっかりしている。 人影に関してはひとまず置いておいて、三階へ向かう。 『幻の四階』の手がかりがないかと三階を捜索する若留だったが、いくら探しても上への階段など見つからない。 若留と千波が教室をくまなく探索するなか、彦道は手伝うわけでもなくただついてくるだけだ。 若留は気分を変えるために階段に座り込み、見取り図を見直す。すると突然、彦道が若留を呼んで廊下に連れ出す。 いぶかしがる若留を後目に、彦道はポケットからパチンコ玉を取り出すと床に置いた。みるみるうちに加速し、廊下の端まで勢いよく転がっていく。 どうやらこの校舎は一見同じ高さのように見えて、端と端でかなりズレがある構造になっているようだ。 ということは、上の階も存在しているはずだ。探索を続けていくうちに、ついに若留達は隠し階段を見つけた。 図書室で感じた光や空気の違和感は、図書室自体が半分地下にあったからだった。 隠し階段を上ると、七不思議通りの『幻の四階』と呼べるフロアがあった。 辺りを見渡すと、若留はそこに壁画を見つける。しかし七不思議通りの『6人』ではなく、5人しかいない壁画だった。 ひとまず壁画は置いておいて、その横にある扉を開ける。 扉の先はただの屋上だった。いつの間にかすっかり空は赤くなっている。遅くならない内に引き上げようと彦道が提案した時。 背後で扉の閉まる音がした。慌てて開けようにも、しっかりと鍵まで閉められてしまっている。 若留達はどうにか中に戻ろうと、屋上を探索する。 探索の途中、ボイラー室で若留が不用意にスイッチを触ってしまい、壊れたボイラーの騒音が鳴りだす。 止めるためには暗証番号が必要らしい。慌てる若留や千波とは反対に、彦道は冷静に10面ダイスを取り出し、振った。 そしてその出目を入力すると――あっさりと機械の騒音は止まる。 「運も実力のうちってやつだな」と涼しい顔の彦道に、「あんたのサイコロの方がよっぽど非科学的じゃないの」と突っ込む若留。 その後色々と探索をし、無事に非難口から校舎内に戻る事が出来た。 先程の場所まで戻ってくると、壁画がいつのまにか5人から6人に増えている。 はしゃいでいる若留に、扉を閉めた奴がまだいるかもしれないと警告する彦道。 だが時は既に遅かった。気体の吹き出すような音の後、鼻をつく匂いがする。急な吐き気と息苦しさに襲われ、若留達は倒れてしまう。 遠くなる意識の中、若留は誰かに見下ろされているのを感じ――そのまま気を失った。 176 :脱出アドベンチャー 旧校舎の少女:2014/06/21(土) 15 46 08.37 ID atpCchLv0 ◆Chapter3・記憶 -Reminiscence- 雨が降り注ぐ中、小さな女の子が泣いていた。両親を呼びながら、膝を抱えて泣き続けている。 今にも消えてしまいそうな儚ささえ感じる少女の姿に、少年はどうすることもできない。 ただ、あの子の涙を止めたいがために、傘を投げだし、走り出す。 気が付くと、彦道は見知らぬ部屋にいた。 五感が戻ってきて、最初に感じたのは吐き気と異様な寒さ。頭も重く、息をするのもやっとだ。 それから自分の置かれた状況を確認し、絶句した。右足が結束バンドのような物で縛られ、配管に固定されている。 拘束具も配管も頑丈で、どんなに動かしても取れそうにない。 そこで、若留が近くにいない事にようやく気が付いた。一体どれ程の時間気を失っていたのか。若留は無事なのか。 とにかく何とかしてこの部屋から出なければならない。若留と出会った時の事を思い出して、彦道は逆に冷静さを取り戻す。 手の届く範囲で部屋内を探索し、時にはダイスと自分の強運に頼りながらも、なんとか拘束を解く事に成功する。 一方、若留の方も意識を取り戻す。見知らぬ部屋は荒れていて、窓には板が打ちつけられ、外の様子は分からない。 ガスの影響で体調も悪い。錯乱し、取り乱す若留。 両親が亡くなって一人ぼっちになった頃と同じくらいの不安感。ガスの後遺症もあってか、再度意識を失う。 夢の中。真っ暗な闇の中、若留は一人で泣いていた。 孤独と不安に押しつぶされて泣いていると、そこに光が差し込む。 誰かに名前を呼ばれる。この声は―― 彦道の声で、若留は目を覚ました。 合流できた事でやっと若留は冷静さを取り戻し、部屋の探索を始める。 電子ロックで閉じられている扉を分解し、なんとか部屋を脱出した二人は、別の場所にいたらしい千波とも合流する。 窓の外を見ると、すっかり日が落ちてしまっていた。 彦道に指摘され、ここが旧校舎の二階だと気付く若留。見取り図を見ながら位置を確認している若留を後目に、彦道は階段へ向かう。 どうやらこんな目に会わせた人間に怒りを抱いているようだ。どんどん先に進んでいく。 隠し階段を上って再び四階へ行くと、例の壁画が再び5人になっていた。 パズルのように石版をスライドさせ、5人の人物像を6人に見えるように動かすと、壁画が動き出した。 古い校舎には似つかわしくない機械の仕掛けに、若留は呆気に取られる。 その扉の向こうから、聞き覚えのある声が聞こえ、若留は固まった。 呆然とする若留をかばうようにして、彦道が警戒心も顕に彼の名を呼ぶ。 「やっぱりお前だったんだな――須佐見」 そこにいたのは、冷たい目をした若留達のクラスメイトだった。 177 :脱出アドベンチャー 旧校舎の少女:2014/06/21(土) 15 47 46.21 ID atpCchLv0 ◆Chapter4・真相 -Deep level- 「なんだ、気づいてたんだ。鍛冶野君も人が悪いな」 余裕のある笑みで機械扉から出てくる須佐見。対する彦道は冷静だ。 人影の正体には、意識を失う直前に気づいたのだと言う。須佐見は鬱陶しそうに彦道を睨みつける。 その様子を見た若留は、あの穏やかなクラスメイトがこんなに冷たい態度を取っている事がまだ信じられずにいた。 「須佐見君も七不思議の事調べに来たんでしょう?」 わずかな希望にすがって質問するが、あっけなく否定される。 『開かずの間』から入手したフクロウの駒は、ここのマスターキーだと言う須佐見。 これが欲しくて、最初から若留を利用していたのだ。もちろん、持病でこちらに越してきたというのも嘘だった。 これ以上ついて来られるのも面倒だと、再びあのガスを撒こうとする須佐見。が、彦道は瞬時にその意図を見抜き、須佐見を蹴り飛ばした。更に数回殴る。須佐見自身が「成分もよく分かっていない」らしいガスを撒いて、一歩間違えたら死んでいたかもしれない。 心の底から須佐見を友人だと思っていた若留にそんな仕打ちをした事を、彦道は怒っているのだ。 争いの最中、見覚えのある写真が若留の足元に落ちる。 「それに触るな!」 怒りを顕にする須佐見。写真に映る少女は、どことなく須佐見と似ている。妹だろうか。 「もしかして、この子のためにこんな事を?」 問いかけると、図星だったらしい。須佐見は黙ってしまった。 大切な人のために何かしたいという思いはよく分かる。だから、こんな事はもうやめよう、と諭す若留。 幼い頃、大切な人――両親を目の前にして、何も出来なかった過去を思い出す。 歪んだ車のドアの向こうで、血まみれの両親が若留に逃げるようにと叫んでいる。 何をしても開かない扉は幼い若留にはどうしようもなくて、助けを呼ぼうと遠くまで走って、その後爆発音を聞いた。 長い間その過去を引きずっていたが、祖父や彦道に救われて気づいた。 「誰かを助けるために、誰かを犠牲にするのは間違っている」 道具のように利用された事実は勿論覆せないが、それでも教室で楽しそうに話していた表情が全部嘘だったなんて認めない、と若留は強い口調で言い切る。 こんな自分を許すつもりなのかと嘲笑う須佐見に、若留は笑顔を浮かべる。 「私は須佐見君のした事を許さないよ。須佐見君…ううん、秀ノ介君。これからも、私達は対等な友達だよ。友達だから、本気で怒ってるんだよ」 若留のまっすぐな言葉に、須佐見は写真の人物と若留を重ね合わせたようだった。 喧嘩も収まったところで、若留は須佐見の目的を聞き出す。 乗りかかった船とばかりに、須佐見の目的を手伝うつもりのようだ。理由を聞かれ、「その方が面白そうだから」と笑顔で答える若留に、二人は呆気にとられるしかない。 かくして、この場にいる全員で壁画の奥の小部屋――エレベーターへと向かうのだった。 地下に向かうエレベーターの中で、ここに来た目的を話しはじめる須佐見。 祖父の書斎で見つけたノートに、この町や学園について書き記されていた。 人口や歴史、言い伝えの数々。伝説を元に、この地で幾度も行われた様々な実験について。 もしこのノートに書かれている事が事実ならば、大切な人を助けられるかもしれない。 その話を聞いたあたりで、エレベーターが止まる。扉が開き、異様な物が目に入る。 大きく書かれた「4」の文字。そして頑丈で重厚な鉄の扉。 扉の向こうから聞こえてくる、七不思議の『不気味な音』 扉にはパズルや暗号が3つ仕掛けられている。皆で知恵を寄せ合いながら、暗号を解いていく。 全ての仕掛けを解き、ようやく扉が開いた。 178 :脱出アドベンチャー 旧校舎の少女:2014/06/21(土) 15 49 05.75 ID atpCchLv0 中には怪しげな実験器具や機械類、書類が散乱していて、奥には「繭」と書かれた巨大な卵のような白い機械が鎮座している。 触れてみると、まだその機械は動いているようでわずかに熱を帯びており、奇妙な音を発している。 七不思議の『不気味な音』の正体は、この機械が発生源だったらしい。 須佐見が傍のレバーを動かしてみるが、全く反応はない。これが須佐見の探している物かどうかも良く分からないらしく、ひとまず一行は部屋を探索する事に。 振り向いて入口の方を見ると、壁の一角に赤い字で「たすけて」といくつも殴り書きされている。 その足元には随分古びた学生鞄が落ちていた。若留達の学校の鞄だ。 中には可愛い日記帳が入っている。序盤は入学したばかりの女生徒の前向きな日記になっているが、後半からはこの部屋に迷い込んでしまったという記述になっている。 最後には「もっとみんなと遊びたかった」「たすけて」と締めくくられている。 これが七不思議の『旧校舎の少女』の噂の元になった生徒なのだろう。 落ちている研究レポートは、研究員による日誌のような形で遺されている。 ・『繭』はあらゆる病を治す可能性のある機械である ・初めての動物実験に黒猫を使おうとしたが機械の数値が不安定になり、実験が一時中止となった ・実験の被検体は「どこにでもいるし、どこにもいない」存在になって今も彷徨い続けている。 ・上位次元というものがあるとするならば、その存在を知覚できるかもしれない。 その後、上層部と連絡がつかなくなり、計画は凍結。 「第四区画」と呼ばれるこの研究所が封印される事になったようだ。 探索を進めて、ついに若留達は『繭』を開けて中を覗く。 しかし中は空っぽ。『不気味な音』も止まり、『繭』は完全に停止していた。 どうやらこれは須佐見の探していた物では無かったらしい。 無駄足だったようで、がっかりする一行。そろそろ本格的に帰らなければならない頃合いだろう。 引き返そうとしたが、扉が完全に閉まっていて、出られなくなってしまっていた。 何を試してもビクともしない扉を前に、みんな疲労していた。だが、諦めるわけにはいかない。 若留は少女の日記の存在を思い出し、ページを捲った。 迷い込んだ女の子は、この部屋のどこにもいない。だったら、きっとどこかから抜け出したのだ。 よく耳を澄ませると、わずかに聞こえる水の音。そこで若留は思い出す。 図書室のじめじめした空気。蛇口をひねるときれいな水が出てきた事から、旧校舎の下には地下水が流れていて、この研究所はそこから水を引いているのではないかと推理する。 もしかしたら地下水路があって、そこから出られるかもしれない。 再び部屋をくまなく探索し、マンホールを見つける一行。地下水路へと抜け、暗く長い水路をひたすらに歩く。 出てきた先は、あの『開かずの間』だった。外へと飛び出し、朝日を浴びながら一行は脱力してその場に仰向けになる。 あの不思議な場所から、生きて脱出できた解放感を噛みしめながら。 179 :脱出アドベンチャー 旧校舎の少女:2014/06/21(土) 15 54 51.98 ID atpCchLv0 ◆ED後 月曜日の放課後。掃除当番の若留は、「おじいちゃんにげんこつもらった」と千波にしょんぼりとしながら報告していた。 あの事件以来、彦道は須佐見をあだ名で呼び始め、須佐見の方も彦道を呼び捨てにしている。 少しずつではあるが、若留も含めた三人の関係はいい方向に変化しつつある。 しかし若留は、七不思議の噂についてどうしても納得できない点があった。 七不思議のほとんどが説明のつく物であったが、『旧校舎の少女』だけは行方が分からないままだ。 何故あんな場所に少女は迷い込んだのか。その後脱出できたのか。 「千波はどう思う?」 「わかんない。でもきっと、どこかで笑ってるんじゃないかな」 千波の言葉を受けながら教室の窓から外を眺めていると、廊下から声が聞こえてくる。ゴミ捨てに行っていた男子二人が帰って来たらしい。 若留は二人に駆け寄り、他愛も無い談笑をしながら帰り支度を始める。 教室を出る際、少しの間ぼんやりする若留。が、彦道に呼ばれ、すぐに我に返って後を追う。須佐見は若留に尋ねる。 「他に誰かいたのかい?」 「ううん、なにか忘れ物ないかと思って」 教室には若留以外誰もいなかったはずだ。何か本当に忘れたような気がした、と言えば、案外抜けているところがあるからと二人にからかわれる。 夕焼けの中、あの事件以来互いが大切な友人となった三人は、仲良く並んで帰路についたのだった。 【まとめ】 好奇心旺盛で機械の分解が大好きな少女・若留は、転入生の須佐見に聞いた情報を元に学園の七不思議の謎を追いかける 。 幼馴染の彦道と共に協力しながら旧校舎を探索するが、旧校舎に隠された研究室が目的だった須佐見に何度か妨害を受ける。 最終的には須佐見とも和解し、共に地下の研究室を探る。が、須佐見の目的の物では無かったらしく、無駄足に終わる。 そこで閉じ込められるというアクシデントはあったものの、なんとか無事に脱出して、三人は友情を深めたのだった。 もう一人女の子がいたって? 最初からこの三人しかいませんでしたよ? 嘘だと思うならバックログで会話を確認してみるといいよ 180 :脱出アドベンチャー 旧校舎の少女:2014/06/21(土) 15 55 58.65 ID atpCchLv0 以上で終わりです 研究所の謎については今回だけでは全貌は分かりません 現在シリーズは4つ出ていますが、恐らく次で全て明かされるかな?という感じです 普通の現代ミステリーかと思いきや、謎の組織や不思議な力が存在していたりして、全体的にだいぶオカルト寄り ジュブナイルとか90年代の少女小説っぽい雰囲気が好きならオススメ
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【ダンジョン ショートカットメニュー/ 編集】 SF 北の洞窟 ごろベース 砂漠の廃ビル地帯 南の風穴 ごろ本山 BG研究所 砂漠のへそ コンビナート ネクロハイツ 透明化試験場跡地 ごろアリーナタワー GW 湾岸ビルA棟 湾岸ビルB棟 湾岸ビルC棟 無人化試験ビル 水際研究所 アリ塚 無敵車両センター 爆発物廃棄場 GUNSHOP鷹富士 防空研究所 天候制御研究所 ハラショービル 無敵鉄道組合本部 超未来発電所 TN 海辺の岩窟 溶岩洞 月影60ビル 海浜工場地帯A 海浜工場地帯B 海浜工場地帯C 孤島の社 別荘跡地 人類海軍ビルA 人類海軍ビルB 人類海軍ビルC 人類海軍ビルD ごろ砦A ごろ砦B ごろ砦C ごろ砦D ごろ砦E GZ ガンズ&ハイレグ シェルターC05 人類陸軍ビルA 人類陸軍ビルB 人類陸軍ビルC 人類陸軍ビルD GZ-UG01出入り口A GZ-UG01出入り口B momo sキッチン ヘル・ジム ヴリトラベース LL 廃校・校舎 廃校・車庫 HC工房 航空工場跡地 埋もれた駐車場 忘却ビル SG 駆露夢砦・い 駆露夢砦・ろ 駆露夢砦・は 装甲神社A 装甲神社B 装甲神社C 大菩薩塔 島の洞窟 ノヅチの洞 駆露夢城 蓮華堂 各地 廃倉庫 SS 忍びの塔 GD 五十六重の塔 ごろの館 WM ブラッドプール? YOROI屋 廃校・校舎 探索情報 発掘品 装備品性能 コメント(ダンジョンページ共通) 廃校・校舎 学校施設の跡地、その1。 戦車ルルベルが眠る『廃校・車庫(LL X 36 Y 01)』を発見するためには ここのフロア7で鍵を発見しなければならない。 また鍵の他には学校関連のメタルくじ袋や個性的な装備品が手に入る。 フロア7にはクエスト対象でもある賞金首『シンディ』が生息しているが 遭遇率は低く、首尾よく戦闘に入っても即座に逃げてしまう事が多々。 探索中は戦車を持ち込めないので討伐には根気が要る。 (LL X 35 Y 01) 【全7フロア】 戦車進入不可 フロア モンスター名 取得アイテム 補足 上 中 下 フロア1 スイーパーLV105 20mmバルカン+1 ジャンクL ジャンクM 出現:1-2 スイーパーLV111 出現:1-1 スイーパーLV118 出現:1-1 スイーパーLV122 出現:1-1 フロア2 アシッドアントLV130 ローヤルゼリー ネオクチクラ アリのミツ 出現:1-3 サムライアリLV127 士魂のかけら・在 ローヤルゼリー ネオクチクラ 出現:0-2 アシッドアントLV135 ローヤルゼリー ネオクチクラ アリのミツ 出現:0-1 出現:- フロア3 サムライアリLV131 士魂のかけら・前 ローヤルゼリー ネオクチクラ 出現:1-3 デビルバエLV130 巨大複眼 ハエの羽根 中和剤 出現:0-2 アシッドアントLV140 ローヤルゼリー ネオクチクラ アリのミツ 出現:0-1 出現:- フロア4 サムライアリLV136 士魂のかけら・臨 ローヤルゼリー ネオクチクラ 出現:1-3 デビルバエLV124 巨大複眼 ハエの羽根 中和剤 出現:0-2 デビルバエLV136 出現:0-1 出現:- フロア5 スイーパーLV129 20mmバルカン+1 ジャンクL ジャンクM 出現:1-2 スイーパーLV135 出現:0-1 スイーパーLV143 出現:1-2 スイーパーLV147 出現:0-1 フロア6 空飛ぶマシンガンLV122 ジャンクXL ジャンクL 金属片 出現:1-2 空飛ぶギロチンLV122 ジャンクXXL 謎の浮遊装置 ジャンクXL 出現:1-2 出現:- 出現:- フロア7 シンディ 出現:1-1 出現:- 出現:- 出現:- 探索情報 フロア 発見アイテム 次フロアへの探索回数 備考 フロア1 反抗パイプ 40回 フロア2 20回 フロア3 備品袋B 20回 フロア4 20回 フロア5 備品袋A 20回 フロア6 妖刀七不思議 30回 フロア7 廃校車庫の鍵 10回 発掘品 名前 種類 備考 備品袋A 人間道具 最大6個まで取得可能?美化ほうき、教育バット、委員長モーゼル、園芸部スコップ、風紀刀、執行部ライフルのどれか1つ入り 備品袋B 人間道具 最大5個まで取得可能?指定水着袋part1、指定水着袋part2、水泳袋、体操袋part1、制服袋part1のどれか1つ入り 廃校車庫の鍵 人間道具 捨てられないもの廃校・車庫を発見する際に所持している必要がある 名前 種類 対 属 性能 装備対象 備考 反抗パイプ 人間武器・白兵 単2-5 破壊 攻+1200 HMST- 妖刀七不思議 人間武器・白兵 単1-7 - 攻+3280 防+150 命+250 回-160 幸-220 行+300 --S-- 装備品性能 名前 種類 対 属 分類 性能 職業 備考 委員長モーゼル 人間武器 グ4-6 - 射撃 攻+800 行+400 HMST- 風紀刀 人間武器 全1 破 白兵 攻+1100 防+100 HMST- 執行部ライフル 人間武器 グ4 - 射撃 攻+800 防+100 命+200 行+100 HMST- 美化ほうき 人間武器 グ1-4 - 白兵 攻+800 防+200 命+100 行+100 HMST- 園芸部スコップ 人間武器 単2-3 - 白兵 攻+450 防+420 命+180 行+150 HMST- 装備中は採掘量1.05倍 コメント(ダンジョンページ共通) 編集が苦手な方はこちらからどうぞ 古いコメントは過去ログに格納されます。 駆露夢砦・い 紙縒・鞘 発掘品の性能 防御+4じゃなくて 防御+1です - 名無しさん 2013-05-05 20 53 38 装甲神社C フロア20 スケジューラーによる19回探索で終わらず、さらに手動1回探索で終了 - 名無しさん 2013-06-09 18 21 58 ↑勘違いでした - 名無しさん 2013-06-09 19 16 37 島の洞窟 フロア7は12から1回ずつやったところ14回でした。 - 名無しさん 2013-08-29 13 38 17 センゲンX40Y18 朧車出現 - 名無しさん 2013-08-30 18 39 03 駆露夢城フロア1 31回 - 名無しさん 2013-08-31 14 21 39 フロア2 25-28回 - 名無しさん 2013-08-31 15 42 34 フロア3 19-20回 - 名無しさん 2013-08-31 17 08 35 フロア38 5回 - 名無しさん 2013-09-02 17 57 28 ノヅチの洞 フロア19 10回目の探索で次フロアへ - 名無しさん 2013-09-03 00 47 33 駆露夢城フロア37 7回以下で次へ - 名無しさん 2013-09-05 04 30 14 駆露夢城フロア23 13回で次でした - 名無しさん 2013-09-05 17 28 53 駆露夢城フロア23 11~12回で次へ - 名無しさん 2013-09-05 22 26 07 ミス!! - 名無しさん 2013-09-05 22 27 47 駆露夢城フロア37、5回で次へ。もっと少なくなる可能性あり - 名無しさん 2013-09-08 04 51 36 駆露夢城フロア1 30回でも次へ もっと低いかも - 名無しさん 2013-09-14 11 45 14 30だった - 名無しさん 2013-09-15 19 59 46 駆露夢城フロア35・36 共に探索5回設定で次のフロアへ - 名無しさん 2013-09-16 22 58 45 もっと少なくなる可能性もあるかも - 名無しさん 2013-09-16 22 59 37 駆露夢城フロア29 12回とありますが11回で次フロアへ行ったのですが、12回で間違いないでしょうか? - 名無しさん 2013-09-19 20 50 10 すいません。勘違いしてました - 名無しさん 2013-09-19 20 54 28 超未来発電所 フロア9でパンフレット片取得。求人チラシみたいな物。 - 名無しさん 2013-10-17 18 45 10 超未来発電所 フロア10・11 探索11~15回で次フロアへいく模様。 - 名無しさん 2013-10-17 21 08 21 節電BEM 超未来発電所28F - 名無しさん 2013-10-18 00 39 22 超未来発電所 フロア13で謎のコインAを複数取得。 - 名無しさん 2013-10-18 03 23 50 超未来発電所 フロア25 15回 敵構成は7-24F同様 - 名無しさん 2013-10-18 13 05 53 超未来発電所 フロア26 15回 敵構成は7-24F同様 - 名無しさん 2013-10-18 13 44 44 超未来発電所 謎のコインA・B共に取得数10個までの可能性あり。 - 名無しさん 2013-10-19 22 41 47 名前
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脱出アドベンチャー 旧校舎の少女 【だっしゅつあどべんちゃー きゅうこうしゃのしょうじょ】 ジャンル 脱出ゲーム 対応機種 ニンテンドー3DS メディア ダウンロード 発売元 アークシステムワークス 開発元 インテンス 発売日 2012年8月1日 定価 734円(税込) プレイ人数 1人 セーブデータ 1個 レーティング CERO B(12歳以上対象) 判定 なし ポイント アイテムを改造・修理できる登場人物消化不良気味なシナリオ 概要 登場人物 システム 評価点 賛否両論点 問題点 総評 概要 アークシステムワークスの脱出ADVの第一作。 時計や機械の分解が大好きな女子高生を主人公に、学校にある旧校舎での冒険を描く。 登場人物 時野若留 本作の主人公で、赤ぶち眼鏡をした女子高生。若留は「わかる」と読む。 両親が事故で他界しており、祖父が時計屋に引き取られる。本人も時計の修理技師の資格を有している。中学のときは内気な性格だったが、現在では若干無鉄砲な性格になっている。 時計修理用の工具を内蔵する特別な腕時計をしている。腕時計からは必要に応じて、精密ドライバー・ルーペ・こじあけ用のナイフが出てくる。 鍛冶野彦道 幼馴染。けだるげでだらしない雰囲気をしているが熱血漢で道理の通らない話しを嫌う。 若留の心理面の弱さを理解しており、大事なときには付き従うパートナーのような存在。 ゲーム中でも、体格の良さや力を活かした行動をしてくれる。 千波鏡華 大人しめの同級生。若留の旧校舎探索に同行する。 須佐見秀ノ介 静養のための転入してきた、理知的な眼鏡の男子学生。とある家族の写真を大切に持ち歩いているようだが…。 システム 物語を読むパートと、パズルを解くパートと分かれている。 各自登場人物が、身上の話やこれからの目的を語ったり行動するパートを読んだ後、閉所や閉ざされた扉からの脱出を試みるパズルパートを交互に繰り返す内容。 十字ボタンの上入力することで、常にバックログ確認可能。下入力で、既読箇所を早送りできる。 密室の調査 脱出パートでは、基本見回し可能な開かずの間をタッチペンで探索することになる。 基本、3DS下画面に表示される部屋の怪しい箇所・気になる箇所をタッチしていく。 そしてアイテムを回収・行使したり、扉に秘められたギミックを解除して先に進むという流れ。 持ち物 攻略中に拾ったアイテムは、持ち物の一覧から確認できる。 持ち物は「観察」「手に持つ」「他のアイテムと合体させる」のいずれかができる。 手に持った状態で適切な場所を調べると使うことができる。画面右上に、現在何のアイテムをもっているかが表示される。 持ち物を観察することで、登場人物たちが先に進むには何が必要なのか閃いたり、アイテムそのものを分解・修理する画面に移行することもある。 アイテムの分解・修理 特定の物体を調べると移行する。物体を画面いっぱいに観察しながら何かしらの操作をするモード。 タッチ操作を活用して、ねじを外して分解したり、心臓部を観察して修理をしたりなどできる。 修理などの目的達成で、適宜上記の密室探索のパートへともどる。 その他 全4章で最後にセーブしたところからスタートするか、あるいは一度クリアした章の最初からチャプターセレクト可能。 ストーリーチャートは1本道。寄り道のために別の謎を解くといったことは無い。 原則いつであっても、Startボタンをおすとセーブできる。またセーブ画面にてヒントを閲覧可能。ヒントを選ぶと若留たちが攻略方法に関して、何かしらのヒントを喋る。 評価点 各キャラクターのかけあい ひとつのアイテムを調べるにあたっても、各キャラクターが掛け合いをするのでゲームが殺風景にはならない。 またアイテムや怪しい場所を2回目以降調べると、こういった攻略に直接関係の無い会話も省略され端的になる。逆に2回目以降に重要なヒントを言うこともある。 主人公の若留は、とりあえず怪しい物事には片っ端からトライしてみる性格があり、無鉄砲なところが鼻につくプレイヤーはいるかもしれないが、システム面でプレイヤーに対して不利益をもたらすことは原則なく、ゲームの進捗に一役は買っている。 ゲームタイトルについて タイトルにもなっている「旧校舎の少女」についてはゲームシステムを利用したからくりが仕込まれている。からくりについては気づいた人からは概ね好評。 アイテムを分解・修理できる 主人公が機械に強く、さらには機械をいじくるための道具一式を所持している、という設定は脱出ゲームとしては案外珍しい。ドライバーも標準装備として持っているので、ドライバーを探すという他ゲームでありがちな工程をスルーできるのはある意味斬新。 本作は手に入れたアイテムそのものを、分解したり内蔵されているパズルを解いてみたりとできるので、プレイ中のアクセントにはなっている。 タッチという簡単な操作だけで、機械内部を結構細かく動かせるのもポイント。 中断のしやすさ いつでも(イベントや会話中であっても)Startボタンでセーブ可能。 賛否両論点 ヒントがあまり役に立たないことが多い。 「どこかまだ調べてない場所を探して見たらどうか」といったものが多く、的確なヒントを出すのは特定のパズルを解いている時のみ。謎解きゲーである以上、完全な答えを出してしまうのも問題だが。 シナリオが全体的に急展開 値段相応の短めなシナリオの中で多少強引に起承転結を作ろうとしている事もあり、説明不足だったり心情の変化に違和感を感じるような展開も多い。 ただ短い中にしっかりシナリオが詰まっているとも言え、シナリオ展開が間延びする事なく最後まで楽しめるシナリオになっている。 未解決の謎が多い ホラー寄りのシナリオという事もあり、そういうものでは定番である残った謎で後を引くような終わり方となっている。 どうしてもこういった展開については、それが味と取る人と、中途半端でもやもやするという人で意見は分かれる要素。 最終的にこのシリーズは7作目まで続いたこともあり、本作で振った伏線については凡そ続編で解決したものの、一部は明確な答えが出ないままとなっている。 問題点 描写不足が感じられるキャラクター達 + ネタバレ注意 悪役となる人物の描写が安定していない 序盤から妙に怪しい雰囲気を醸し出し、中盤で毒ガス攻撃して監禁してきたかと思ったら、主人公の説得であっさりと主人公サイドに鞍替えしたりと、行動に一貫性が無いように見える。 内面でかなり悩んでいたのは読み取れるが、それにしても極端すぎる展開は気になりやすい。 もう一人についても本作時点ではキャラ描写が薄い。 かっこいい回想シーンが描かれたりはするのだが、終盤は謎を解く若留や事件に深く関わる犯人と異なり、若留の為についてきている形である為、半ば蚊帳の外に追いやられてしまう。 タイトルギミックへの誘導が甘く、全く気づけないプレイヤーが発生 ゲーム中で気づけなくてもシナリオ上で違和感を感じてクリア後に調べて気づいて驚いたという声もあるが、逆に言えば明確な答えをゲーム中で気づけない人は最後まで気づけない。 ホラー要素のあるゲームでは謎を残すのも定番だが、そもそもギミックの存在にすら気づかせないのはゲーム構成に問題があると言える。多少強引にでもギミックへ誘導すべきだっただろう。 + ギミックのネタバレ注意 タイトルの「旧校舎の少女」に関して、バックログにギミックが仕込まれている。 主要人物に一人、人外の存在が紛れ込んでいる。 当該人物は主人公以外との会話が成立していなかったり(他の人物は主人公だけに話しかけている)、「数人寄れば文殊の知恵」のように違和感のある言葉が使われているが、これをバックログで確認すると、該当人物が存在していなかったり、代わりにある動物の存在が描写されていたり、「三人寄れば文殊の知恵」と正しい言葉が使われている等、「バックログが本来の出来事」というギミック。 ただし、バックログは使わない人は全く使わない機能である為、最後までバックログを見ず、シナリオが変だとは思ったがギミックの存在に全く気付かなかったというプレイヤーもいた。 また、このギミックの都合上、間違えて読み飛ばした場合に読み飛ばした部分を確認しようと思っても変化部分は確認できないという本来のバックログ機能に求められる物が欠けている問題もある。 一部の謎解きの判定がシビア 特に3DS画面の端っこに描かれているネジはタッチペンに反応しにくく外しづらい。 総評 機械に強い主人公を引っさげ、アイテムを直接分解修理できる脱出ADV。寄り道要素はなく、価格相応に小粒で無難にまとまっている一作である。全体的にストーリーは急ぎ足で、舞台となる旧校舎について謎は多く残る。