約 488 件
https://w.atwiki.jp/internetkyogakusys/pages/450.html
(6)漢文の試験について 島田氏 多くの受験者は地方の独学受験者であるが、この科は相当参考書も多いから、文部省指定の書目をばこれ等の参考書によって勉強したら相当学力もつくと思う。そこで漢文研究の根本ともいうべきは、四書を熟読玩味し殆んど暗記するまでに徹底させることだ。これは支那の文学・哲学の根本になっている。 復文の研究には児島さんの漢文典の概念をしっかり入れて置いて、四書を書き下したものを原文に依って練習したら先ずよかろう。 設問の準備としては、支那の歴史の概念を捉えて、支那文学・哲学を研究する順序がよいと思う。それは問題の表面に表われるものは、主として文学・哲学といったものであるが、時の観念からそれ等を歴史に結び付けることが順序でなければならぬからだ。受験者の大きな欠点は、歴史の概念に乏しい点にある。之は人に教える上に於ても必要な知識なのだから、十分注意されたいものである。 最後に口述試験の注意にもなろうから言うて置くが、正直に而も明瞭に考えるが得策である。例えば何々を知っているかと聞いて見ると、嘗て読んだこともなく知らぬことをば、如何にも知って居るかの如く答えるものがある。併し委員の方では、其の辺のことは大抵知って居るので、之を胡麻化そうとしても徒労であるばかりでなく、その人の成績の上にも人格の上にも関係することだから、男らしく知らざることを知らずと答える方が遥かによいのである。それから受験者の答えが曖昧だから正確の方へ導いて行く為「こうだろう」と問い返すと、受験者の方ではこれは反対の事を言っているのだろうと変にとって「否」と答えるものがある。委員の方では落第させようとして受験者のあら捜しをするのではなく、全く受験者の立場に同情して、出来るだけ救済して上げようとする考から、不審の点を正したり或る時は救い舟を出したりなどして居る。実際地方の受験者が予備に通って本試験に上京して落ちるのは残念であろう。子を思う親の心である。時に落第にするも孔明涙をふるってするので、之はどうすることも出来ないのである。 【八】最近出題の傾向 各方面から出題傾向の研究を行って見たいと思う。 1.漢文解釈予備試験出題の傾向 書名 大学 中庸 論語 孟子 十八史略 八家文 史記 小学 唐詩選 古文真宝 回 (年度) 26(大正元) 〇 〇 〇 〇 27(二年) 〇 〇 〇 〇 28(三年) 〇 〇 〇 29(四年) 〇 〇 〇 〇 〇 30(五年) 〇 〇 〇 〇 31(六年) 〇 〇 〇 〇 〇 32(七年) 〇 〇 〇 〇 〇 33(八年) 〇 〇 〇 〇 34(九年) 〇 〇 〇 35(十年) 〇 〇 〇 〇 36(十一年) 〇 〇 〇 〇 37(十一年) 〇 〇 〇 〇 〇 38(十二年) 〇 〇 〇 〇 〇 39(十二年) 〇 〇 〇 〇 40(十三年) 〇 〇 〇 〇 41(十三年) 〇 〇 〇 〇 42(十四年) 〇 〇 〇 〇 〇 43(十四年) 〇 〇 〇 〇 〇 44(昭和元) 〇 〇 〇 〇 〇 45(元) 〇 〇 〇 〇 〇 〇 47(二年) 〇 〇 〇 49(三年) 〇 〇 〇 〇 〇 51(四年) 〇 〇 〇 〇 〇 〇 53(五年) 〇 〇 〇 〇 〇 55(六年) 〇 〇 〇 2.漢文解釈本試験出題の傾向 書名 左伝 八家文 史記 韓非子 古文真宝 支那時文 中庸 大学 ●論語 〇孟子 回 (年度) 26(大正元) 〇 〇 〇 27(二年) 〇 〇 〇 28(三年) 〇 〇 〇 29(四年) 〇 〇 〇 30(五年) 〇 〇 〇 31(六年) 〇 〇 〇 〇 32(七年) 〇 〇 〇 〇 33(八年) 〇 〇 〇 34(九年) 〇 〇 〇 35(十年) 〇 〇 〇 36(十一年) 〇 〇 〇 37(十一年) 〇 〇 〇 38(十二年) 〇 〇 〇 39(十二年) 〇 〇 〇 40(十三年) 〇 〇 ● 41(十三年) 〇 〇 42(十四年) 〇 〇 〇 〇 43(十四年) 〇 〇 〇 44(昭和元) 〇 〇 45(元) 〇 〇 〇 47(二年) 〇 〇 〇 49(三年) 〇 〇 〇 51(四年) 〇 〇 〇 〇 53(五年) 〇 〇 〇 55(六年) 3.口述試験出題の例 書名 論語 孟子 大学 中庸 回 (年度) 51回(昭和四) 〇 〇 〇 49回(三) 〇 〇 〇 これは一二の実例を示しただけで分るから、これだけにして置く。最近ずっと四書集註から出て居る。 4.復文出題の傾向 書名 大学 中庸 論語 孟子 八家文 回 (年度) 53(昭和五年) 〇 51(四年) 〇 49(三年) 〇 47(二年) 〇 45(元年) 〇 〇 44(元年) 〇 〇 43(大正十四年) 〇 〇 〇 42(十四年) 〇 〇 以上の、(1)(2)(3)をよく観察して見て次の表が出来上がる。最近10ヶ年のもの。 書名 予備試験 本試験 口述試験 復文 計 大学 2 1 ● 3 中庸 2 ● 2 論語 10 1 ● 3 14 孟子 7 3 ● 9 19 十八史略 5 5 八家文 4 5 1 10 史記 0 小学 2 2 唐詩選 15 15 古文真宝 1 1 左伝 9 9 韓非子 3 3 口述試験問題が手許に無いので正確な数が出ないが大体の見当だけはつくと思う。論語と唐詩選の数は出題回数で無くて、問題数によって計算した。 〇予備試験に必ず出る書 唐詩選 孟 子 論 語 欠かさず出るもの 十八史略 八 家 文 殆んど毎回出るもの 大学 中庸 次に出るもの。 小 学 古文真宝 割合が少い 〇本試験に出るもの 支那時文 これは一回も欠かさず出る。 左 伝 本試験の中心となるもの。最も多く出る。 韓 非 子 左伝に次ぐ中心書。 八家文 史 記 欠かさず出るもの 論語 孟子 最近よく出される 〇口述試験に出るもの 先ず四書集註で独占の形である。恐らく当分はこのままで進むものと思う。即ち白文を読み、講義するのを主眼とするのである。 〇各書の出る個所 〔唐詩選〕 全巻に亙って出されて居るが、古詩の中の長いものは出されない。絶句は矢張り一番多い。 五言古詩…3 七言古詩…1 五言律…6 五言排率…1 七言率…7 五言絶句…5 七言絶句…16 この中で同一の詩が二回出題されたのも相当あるから、出された回数にすると多い。 最近十二年間の傾向を見ると、 回 五言古詩 七言古詩 五言律 五言排律 七言率 五言絶句 七言絶句 38 観猟 度桑乾 39 登古鄴城 40 岳陽楼 41 罷相作 従軍行 42 春夜落城、憶兄弟 43 懐張子房 44 兗州城 45 詠史 度桑乾 47 和賈至 49 三閭廟 与廬員外 51 赴北庭秋下荊門 53 逢侠者 塞下曲 これで見ると最近の傾向は七言絶句と五言絶句とから各一題苑出されているのが普通の様である。時には受験者の裏をかいて、七言率や五言律から出すこともあるが、それ等は却って平易なものである。(昭和六年には七言絶句から二題出た) 〔四書〕 全部から出る。而してよく見ると篇によって数回出たのや出ない処もある。けれどもこれは厚薄なしに万遍なく研究し、復習の時に、よく出そうな処をやるとよいと思う。 最近十ヶ年を調べて見ると、 回 (年度) 大学 中庸 論語 孟子 40(大正十三年) 小人間居 尽心上 41(十三年) 雍也 42(十四年) 堯舜師天下 尽心 43(十四年) 〇 〇 〇 44(昭和元年) 君子専徳情 〇 〇 45(元年) 〇 〇 47(二年) 離婁下 49(三年) 子路問 憲問 51(四年) 公冶長・衛霊公 万草下 53(五年) 泰伯 〇 何にしても本書は予備の中心書である。 〔十八史略〕 よく読んで人名地名などを知って置くことである。これが分らぬでは基礎がないと言うことになる。全部の通読は望ましいがさてそんな余裕もあるまい。 最近出題傾向を調べると、 (44) 昭和元年 李沆為相時 ( ) (47) 二年 隗囂 (光武紀) (49) 三年 孝章皇帝 (東漢孝章紀) (51) 四年 曹彬 (宋太祖紀) (53) 五年 唐荘皇帝 (唐荘宗皇帝) 初巻の方から余り出たことがない。大抵中頃以後が多く出題される。先ず漢以後だ。それかと言って初めの方も忽に出来ない。日本の古事記に相当する部分も支那を知る為に必要だから。 〔唐宋八家文〕 予備にも本試にも漢文にも至る処に出題される。程度が丁度文検受験者位に格恰の書である。同じ文が三回も繰り返されたなどがあり、二回目は珍しく無い位である。 最近の出題傾向を一つ調べて見よう。 回 (年度) 蘇軾 蘇轍 欧陽修 王安石 40(大正十三年) 決雍蔽 41(十三年) 九曲亭記 43(十四年) 李氏山房… 上梅直… 尽心 44(昭和元年) 蘇氏文集序 45(元年) (赤壁賦) 無沮善 47(二年) 敦教化 49(三年) 上仁宋皇帝 51(四年) 送除無党 53(五年) 答呉克秀才 蘇軾のものが最近一番多く出されている。43回の如きは予試にも本試にも共に蘇軾のものが出された。 次は欧陽修となって居るが、柳宗元、韓愈も従前は多く出題されたのである。 赤壁賦は古文真宝の方であるが作者が同じであるから参考までに括弧して入れたのである。 〔史記〕 勿論列伝だけでよいが、項羽の処は見て置く方がよいと思う。最近は余り出されないが見て置くことは必要だ。 〔小学〕 41回・42回と続けざまに出題されて、小学の必要を思わせたが、又でなくなった。善行、嘉言などから出て居る。 〔古文真宝〕 八家文の重複するものもあり、余り回数多くは出ないが、名篇を集めて居るのだから読んで面白い。 大体以上は予備試験に主として出るものであったが、以下本試にのみ出題される左伝韓非子に就いて述べてみよう。 〔左伝〕 何回も繰り返す通り漢文科本試験は本書の十分なる読解力養成のみにて事足る位のもので、中心書中の中心書である。 毎回欠かさず出される。最近の様子を見ると、 (40回) 大正十三年 昭公三年 (41回) 大正十三年 昭公五年 (42回) 大正十四年 僖公九年 (43回) 大正十四年 僖公二十七年 (44回) 昭和元年 昭公八年 (47回) 昭和二年 僖公四年 (49回) 昭和三年 昭公二十年 (51回) 昭和四年 宣公十五年 これまでの出題は昭公と僖公とからばかり出題されて殆んど交互に出される有様であったが、51回には宣公から出された。 今各篇回数を第1回から調べて見ると、 隠公…1 荘公…1 閔公…0 僖公…7 文公…1 宣公…1 成公…3 襄公…8 昭公…8 定公…0 哀公…0 となる。昭公・襄公・僖公などは最も注意して熟読反復すべきであろう。 〔韓非子〕 左伝の出題されない時にはきっと出される位、重要なるものである。 31回から八回程連続的に出題され毎回欠かさなかったが、最近少し出る率が少なくなって居る。而し近くその反動で又連続的に出されるものと思われる。 解老、孤憤、外儲説右上、顕学、外儲説、六反、姦劫弑臣、外儲説、孤憤。 31回以後の出題個所を列記したのであるが、これから観察しても外儲説3、孤憤1、其他1宛であるが名高い個所から出題されている。 その他、説難、難言、難勢、五蠧、心度、安危、説林などは名高いが、全部読むとよい。 5.設問出題の傾向 回 (年度) 予備試験 本試験 39(十二年) 頼義の日本外史、張載の西銘 イ、許愼、鄭玄 ロ、本朝文粋 靖献遺言 40(十三年) 曹操父子の事跡、知行合一 イ、中唐の誠 ロ、宋濂、高啓 41(十三年) 蒙求、井田 一、朱陸学派の異同 二、方苞(望渓)、王士禎(漁洋) 42(十四年) 三綱五常、四六文 一、漢初ノ黄老 二、桐城派ノ文章 43(十四年) 濂洛関閩ノ学、建安ノ七子 一、楊子法言ト文中子 二、絶律排律古詩ノ形式上ノ区別 44(昭和元) 三体詩、古文真宝、訓詁学ト性理学 一、刑名学 二、文学史上ニ於ケル司馬光 45(元) 小学及近思録、淮南子、文中子 孔頴達、朱彝尊、駢儷文 47(二年) 格物致知、呂氏春秋、文心彫龍 孔子ノ仁ト墨翟ノ兼愛トノ異同、建安ノ文学 49(三年) 柳宗元、新井白石 風雅頌、説文 51(四年) 孝経、資治通鑑、文献通考 董仲舒、初唐四傑 漢文科としての設問は支那哲学史、支那文学史、国文学史などから出題される。上述の表で分る様に予備試験には、我が国の漢学者、漢書等に就いて時々出ることもあるが、多くは支那の、著書、学者、儒学上の術語、哲学等に就いて出される。本試験は多く支那のものばかりである。 最近のものを表示すると、 予備試験 本試験 人名 19 15 書名 13 4 術語 8 6 井田の如きは政治に関しての事であるが、その当時の社会を知るにはこれ位の事を知って置く必要があると言うことになるのであろう。此処に術語と書いたが、寧ろ哲学思想の説明とした方がよいかも知れぬ。しかし大体の見当はこの数字からつくと思う。 6.作文出題の傾向 本試験の漢作文の課題のみを列挙する。最近のものから既往へ遡って行くことにする。 迎教育勅語渙発四十年恭書所蔵(53回) 見利思義説(51回) 恭観今上即位図書感(49回) 仁者有勇説(47回) 過則勿憚改説(45回) 忠恕説(44回) 有文事者必有武備説(43回) 智仁勇説(42回) 読韓非子(41回) 君子不器説(40回) 剛健説(39回) 温故知新説(38回) 大勇説(37回) 論語などのなかにあって名高く誰でも知って居る様な言葉が題となる。41回・49回は別として其他は同一である。儒学張りにカンカンの堅い文章を作って復文して漢文にすればよい。 最近の傾向は時事問題を取り入れる様になって来た。即ち御大典の秋には今上即位図云々が出、勅語渙発四十年にはそれに関したものが出る類である。 【九】口述試験の研究 1 口述試験 私の漢文科を受験した時には、二百五十余名が本試を受けて、口述試験に残った者は僅か六十三名であった様に記憶して居る。その口述試験にも無事通過したものは五十名で十三名程は瀬戸際で脊負い投げを喰った。思い諦め様にも諦められなかったであろうと思う。斯う考えて来ると口述試験は総仕上げと言うことになるから、一層重要性を帯びて来る訳である。口述試験研究の忽諸に附すべからざるは自明の理である。 而しそれをよく仔細に観察するならば三種の段階のあることに気づくだろう。 (1)筆記試験が上々で口述の成績如何に関係せず合格の確定して居る者。 (2)筆記試験が中位であるが口述の成績に依って合否の確定する者。 (3)筆記試験が不出来であったが、口述試験の成績が非常によくば救われるもの。 この中言わずと知れた(2)(3)に相当する者は全力を傾注してこの難関突破を試みるべきである。だからと言って二日や三日で口述試験の準備が出来る筈がない。前以て十分の注意を払って置くべきだ。譬え(1)に該当するものでも、よいのに越したことはない。散々味噌をつけたら発表までの幾日かを煩悶懊悩で送らねばならぬことになる。 2 口述試験の準備 最近の出題傾向で述べた様に、近年は殆んど毎年連続的に四書集註から出題される。それで試験委員の談話中にもあった様に、その白文の問題を約十分間位の下読の後は、委員の前に出て、読み且つ講義させられる訳であるから、集註の何処から出されても十分講義の出来る様になって置くことが必要だ。 四書集註は委しく言えば、 大学章句、中庸章句、論語集註、孟子集註、 のことである。宋の大儒朱熹の著であって参考書としては、四書集註(上海本)などはよい。白文で出題されるものと全く同じものであるから。 而し手に入り易いこと、研究に便なることから言えば、 漢文大系本 四書 簡野道明氏著補註 学庸章句 〃 論語集註 〃 孟子集註 が手に入り易く見易い訳である。 3 口述試験に対しての注意 知らぬことは知らぬでよいから曖昧な答をしてはならない。真実の自分の力を見て頂く心算でなければならぬ。胡麻化そうとしても天下の学者を対手にして仲々胡麻化し終せるものではない。 言語は明晰に出来るだけ丁重な言葉を使う様に注意せなければならぬ。 4 口述試験の実際 二三受験者の実記を拝借しよう。私の時のことは朧気にしか記憶がないので生々しいものの方が役に立つと思われるから。 〇 二十一日再び上京した。 例の宿に着いて、明日国語の口述に出るのだと言う方と話して居ると、其の日漢文の口述に出た方が試験場から帰って来られた。 問題は論語の註であった。学政篇(「為政篇」の誤り?)の 孟武伯問孝子曰父母唯其疾之憂 武伯懿子之子名彘言父母愛子之心無所不至唯恐其有疾病常以為憂也人子体此而以父母之心為心則凡所以守其身者自不容於不謹矣豈不可以為孝乎旧説人子能使父母不以其陷於不義為憂而獨以其疾為憂乃可謂孝亦通 で不容於不謹が読み得ないで困ったと語られた。 いよいよ二十二日、口述試験の日である。七時に神田の店を出て試験場たる高等師範学校に向った。電車の中でやがて来ん口述受験の実際を想像しながら、試験場に着いて見るともう既に七八名の受験者が来て居た。 漢文大系の註を読んでいる者、簡野先生の論語集註を読んで居る者、全くの試験気分である。段々と受験者が集った。全部で二十六七人も居たであろう。中に婦人が二人見えた。何れも二十一歳と言う方。やがて時間が来ると試験監督が来て、受験者の各に受験願書が渡された。 抽籤で受験順が定められた。暫くすると一番が呼び出された。 「少し控目にして呉れ。君が余り出来がよいと後の我々が大いに困るから。」 「一番は必ず合格だから、安心して不出来にやって呉れ」などと揶揄半分の言葉に送られて一番が出て行った。 二番三番四番と順々に呼び出されて、遂に自分の番が来た。 グッとドアを押して内に入った。見ると検定委員の先生が二人並んで居られる。二人とも何れが誰か分らぬ。一礼して願書を一人の先生に差し出した。 検定委員の先生の前に出る前に十五分間準備室で問題の下調べをさせられる。下調べと言っても何も参考書もある訳ではない。読めるか否か質問されそうな箇所の答え方位を考えるに過ぎない。 問題は論語である。公冶長篇である。 宰予昼寝子曰朽木不可雕也糞土之牆不可朽也於予與何誅 范氏曰君子之於学惟日孜孜斃而後已惟恐其不及也宰予昼寝自棄孰甚焉故夫子責之胡氏曰宰予不能以志帥気居然而倦是宴安之気勝儆戒之志惰也古之聖賢未嘗不以懈惰荒寧為懼勤勵不息自彊此孔子所以深責宰予也 読みだけは通ったが如何なる質問をされるか不安でたまらぬ。范氏とは誰か胡氏とは誰か詳かでない。 「それを読んで御覧なさい。」 と一人の先生が言われた。 始めから終りまで調子よく音に抑揚をつけて一回読んだ。読み返りにも成績の如何は関係する筈だと常に考えて居たので、下調べの際此の点に十分注意して準備して置いた。読方に誤りは無かったと見えて読み直しを命ぜられなかった。 「講義して御覧。」 と言われて、文字通り講義した。 これから一問一答。 「『以志帥気』を今一回詳しく講義しなさい。」 講義する。 「今講義中に志気之帥という語が出たが、それは何にあるか。」 「孟子にあります。」 「志と気との関係を言って御覧。」 長々しく説明したが、自分ながら徹底した説明ではないと思った。 「気のつく語を挙げて御覧。」 「気象、勝気、陽気、元気、活気。」 「ここの気はその元気に当ると思えばよい。」と教えて下さった。 「宴安の気とはどういうことか。」 説明する。 「自強不息という語を何かで読んだことがあるか。」 「戊申詔書にあります。」 「何から出た語か。」 「易にあると言うことですが、よく調べて見たことはありません。」 「よく読めました。もうよろしいです。」 といわれて立上がって一礼して室を出た。(牧羊生) 〇 口述は十二月二十二日に大塚の高師で行われました。私は第三日でした。当時の手記がありますのでそのまま次に掲載いたします。 宰予昼寝子曰朽木不可雕也糞土之牆不可朽也於予與何誅 范氏曰君子之於学惟日孜孜斃而後已惟恐其不及也宰予昼寝自棄孰甚焉故夫子責之胡氏曰宰予不能以志帥気居然而倦是宴安之気勝儆戒之志惰也古之聖賢未嘗不以懈惰荒寧為懼勤励不息自彊此孔子所以深責宰予也 〇「読んで下さい。」 「ハイ。」 〇「註の処だけ解釈して下さい。」 「ハイ。」 〇「あなたは古之聖賢云々の所を、為懼から返って読みましたが、それでは後の続工合変ではありませんか…そして勤励やまずんば自ら強しと読んだようですが、自ら強しとはどんなことですか。」 「学問が深くなって自身が強くなることです。」 後にして思えば出鱈目に自ら呆れる。 〇「強しの字は他に読み方はありませんか。」 先生はツトムと読ませるつもりらしかった。然し之も後の祭り。 「自強と読めます。」 〇「すると、勤励、不息、自強と同じ意味の字で、三つも並んで居ますが、古の聖賢はそれをやるのですか、やらぬのですか。」 「やるのです。」 小学生の如し、苦しい答。 〇「そうすると…」 「古の聖賢はまだかつて…自強せずんばあらず。」 やっと正しく読む。 〇「宴安の気とは何ですか。」 「楽しみ安んずる事です。」 総じて私の答は学問的でなく、余りに常識的であることに気がつく。 〇「何かの本で見ましたか。」 「わかりません。」 〇「きっと読んだ筈ですよ。」 「わかりません。」 〇「左伝にあるのですね。以志帥気とはどんな意味ですか。」 「自分のやろうとする心で、安逸の気を戒めるのです。」 〇「こんな言葉を何かの本で見ましたか。」 「孟子にありました。」 〇「どんな言葉でしたか。」 「………」 〇「それ志は。」 「それ志は気の帥なりです。」 〇「支那の論語の註にどんなのがありますか。」 余りの意外な問にはっとして、 「鄭玄…」 〇「鄭玄のもありましたが滅びましたね。その他は。」 「何晏。」 私は此の際、此の言葉が出たのを全く天佑だと思っている。まぐれ当りだった。 〇「そう、何晏の本の名は。」 「わかりません。」 〇「論語集解ですね。日本の徳川時代の学者では。」 「伊藤仁斎。」 〇「何と言う本を書きましたか。」 「………」 〇「もう一人。」 「荻生徂徠が居ります。」 〇「本の名は。」 ウッカリして、 「大学解。」 〇「それは大学でしょう。論語では。」 上っているのに気がついて苦笑。 「論語徴。」 〇「仁斎は別号を何といいました。」 「………」 〇「古学先生ですね、だから。」 「………」 〇「論語古義ですね。此の註(机の問題を指す)は集註から取ったのですが、これは誰が書いたのですか。」 「南宋の朱熹です。」 〇「朱子の本とそれ以前の本と別つ時に何と呼びますか。」 「新註と古註といいます。」 〇「そうですね。あなたは読む力は可成りよく出来ていますが、(愚考するに、此のお言葉が真実だと己惚れさして頂くならば、それは筆記の訓点がよかった意味であろうか。口述では前記の如く深い痛手を負っている。)まだ広く本を読んでいない様ですから、今後は益々広く読まれるように進まれたらよいでしょう。よろしゅう御座います。」(約十五分) 朱註は昨年出ましたので、今年はまさかと思いましたので、下読の時ギクリと来ました。大系本でも少くとも四書位はみっしりやって置くとどんなに力強いだろうと思いました。今顧みればよくまあこんな成績で合格したものだったと自分乍ら不思議な感じがします。(大和 瑞穂氏) 〇 二十一日。昨日来の雨名残りなく霽(は)れて、年晩の陽はうらうらと大東京の街々を恵み深く照らしている。 我等の身の上にも幸あれ。 八時までに今日の受験者二十三名が全部高師東館階上の控室に集った。若い人も老いた人も、誰もが一様に一様の緊張と不安との中に漂うている。 やがて時間が来た。例の如く受験上の諸注意があってから、願書類を還付されて、いよいよ抽籤。 かくて銘々の順番になるまでは、思い出したようにストウブの傍に寄り寄り、試験上の雑談が始まるが、それもしばらくして、何時止むとなくヒッソリとなる。受験の重苦しい空気が偲ばれる。 一番二番が呼び出された。又一しきり問題の予想で花が咲いたが、まもなく元の様に皆は四書に集註本に眼が吸い取られて終う。十八史略本を持って来た自分には、不安でたまらない。幸にも同郷のYさんの所持本を拾読みさせて戴く。 十一時近く、いよいよ自分の順番が来た。最後の審判だ。一種悲壮な感がする。下調室に入る。どんな問題だろう。 机上の問題紙を見る。意外!!意外!!又しても孟子離婁章からである。 孟子曰。人之所以異於禽獣者幾希。庶民去之。君子存之。 幾希少也。庶衆也。人物之生。同得天地之理以為性。同得天地之気以為形。其不同者。独人於其間得形気之正。而能有以全其性。為少異耳。雖曰少異。然人物之所以分。実在於此。衆人不知此而去之。則名雖為人。而実無以異於禽獣。君子知此而存之。是以戦兢惕厲。而卒能有以全其所受之理也。 時間は二十分。下調には充分であるが、疑問の解釈は出来る筈がない。疑問は疑問として、室外に出て廊下で待つ事凡そ二十分位。 前番者の帰って来るのに入り代って試験委員室に赴く。 ドアーを開けて入ると、其処に委員の先生お二人が腰を掛けて居られた。一礼をして書類を差出し、前の机に腰を掛ける。 机の上には下調室同様の印刷した問題紙が載せられてある。 委「それを読んで御覧なさい。」 私「孟子曰く、人の禽獣に異なる所以の者は少し。庶民は之を去り、君子は之を存す。幾希は少なり。庶は衆なり。人物の生るるや、同じく天地の理を得て以て性と為し、同じく天地の気を得て以て形と為す。其の同じからざる者は、独り人の其の問に於いて刑気の正を得、而して能く以て其の性を完うし、少異を為す有るのみ。少異と曰うと雖も、然も人物の分る、所以、実に此にあり。衆人は此を知らずして之を去る。則ち名人為すと雖も、而れども実は以て禽獣に異なる無し。君子は此を知りて之を存す。ここを以て戦兢惕厲、而して卒に能く以て其の受くる所の理を全うする有るなり。」 下調の時、幾希は殆(ほと)んど希(まれ)なりと読むのではないかと、大分迷ったのだが自身がつかなかったので、註に従って読んで終った。 次に而能有以全其性、為少異耳のところを而能有㆔以全㆓其性㆒、為㆓少異㆒耳とするか四五回も繰り返したのだが、前の通り読んで終った。 委「中学生に教える積りで、其の語の所を解釈して御覧なさい。」 私は極めて卑怯な態度であったが、出来るだけ万全策を取るつもりで、字面を辿り辿り表面的な解釈をして行った。自分としても情けなくもあり、不満足に堪えなかったが、漸くにして渋り渋り為し終った時、実際冷汗の背を湿らすを禁ぜざるを得なかった。 委「第×行目のところ(而能有以全其性の項)何と読むかね。」 前に読んだのが悪かったのだなと感じたが、下調に迷った事を言って、両方を読んで見た。そうすると「どちらがよいと思うか」と仰言られたので、後者に決めた。又、 委「其の性を全うする有ってかね。」 と念を押されたので、 私「其の性を全うする有り、と致します。」 委「そうだね。その方が口調も良くて宜しい。」 委「人物とは何かね。」 私「人間以外この世に生存する生物をいいます。」 委「では樹木などをもいうのか。」 私「イーエ、漢文に禽獣などとありますから、主として禽獣を指しているものと思います。」 委「天地の理を得て以て性を為すとあるが、其の天地の理とは何をいうのか。」 是には私も内心困ったなと思った。下調の時も、天地の理や天地の気を質問されたら、どう答えようかと全く見当がつかずに終ったのであったから、最早絶体絶命の至り、仕方がない。 私「此の天地間に一環する道理だと思います。」 委「一貫する道理とは何か。」 私「孟子でいう本然の性ともいう可きものでありますまいか。」 だんだんと脱線して行く。 委「本然の性とは何か。」 どこまでも追究される。 私「すべての道義の根本となる誠などそうだろうと思います。」 委「イヤ、もっと哲学的に説明して欲しいのだ。」 私「どうも判然と分りかねます。」 到頭兜を脱ぐ。 委「じゃ、性とは何か。」 私「性質と言う様なものです。」 委「性質とはどういうものか。」 私「宋代の学問でいった性理学などでの道心人心を指していうのでありますまいか。」 薄氷を踏む気持―いや全くもう淵に陥込んでいるのかも知れぬ。 委「質とはどういう事か。」 私「本然の性に対して、外界の事情、境遇に依って左右され動揺させられる人心の如きものの、由って来る所のものだと思います。」 自分でも何が何やらさっぱりわからぬ。 委「本然の性の對して、他の之に対するものは。」 私「気稟の性。」 委「イーヤ、考え出せぬかナ………気質の性じゃ。」 委「これらについては、もっとよく調べる必要があるね。」 全く四分五裂、答弁の形をなして居ない。此の頃尚追究を重ねられた様に思うが、記憶が明瞭でないので省略する。 委「衆人不知此而去之の之は何か。」 私「少異だと思います。」 委「君子知此而存之の之は何か。」 私「同じく、人と禽獣との異なる点、少異だろうと思います。」 委「戦兢の意義は?」 私「戦々兢々の意味です。」 委「其の意味は。」 私「戦々兢々薄氷を踏む如しなど言いますから、小心翼々、よく注意深く慎重の態度を取る事と思います。」 委「戦の意味は―兢―の意味は―其の出典は。」 続々と質問される。 委「惕厲の意味はどうかね。」 私「よくわかりません。惕は怵惕の惕ですから、慈しむでないか知らと思いますし、厲は励と同じだと思います。それで、めぐみ励むの意と思います。」 委「怵惕という意は。」 私「怵惕惻隠の心など云いますから、矢張りメグムと思います。」 委「委怵も惕と同じ意味かなァ。」 委「孟子は何で調べたか。」 私「大体漢文大系を中心としました。」 委「それじゃ、是は分る筈だがね。しかしここでは之が一番むずかしい語だな。易経から出た語じゃ。」 委「それじゃよろしい。」 是で漸々にして口述が終って、外に出たが、全く以てお話にもならぬ。 ホッと息はついたものの、自分の心の中には、黒雲のような苦しいわだかまりが、次から次へと拡大されて行く。 歳の幕の午下りの陽は、暖に何のくったくも無さそうに煦々と輝いている。往来の人の顔ものどかに見える。けれど自分の胸に―ああ遠く此処まで来て、そして最後のどたん場で、総てを水泡に帰せしめられるのかと思うと、自然に目頭の熱くなるのを感ぜずには居られなかった。唯自分として口述については、筆答試験を受ける以上に実力の涵養は肝要だと、此度という此度は泌々と体験したのであった。(扇濱生) 【一〇】 断想 「資格取っても就職口が無い」 と心配して遊んで居る隙に一頁でもよいから参考書を読め。資格が取れたなら活路は自ずから開ける。 遅疑逡巡して居る人は一生敗者として世を渡る人だ。 □ 朗らかな心でありたい。生き甲斐を感じて生活したい。酔生夢死に近い生活は自己への冒涜だ。 □ 朝顔が美しい花を咲かせて居る。蝉は朝早くからセッセと鳴いている。ー凡てが自己拡張に懸命の努力だ。朝寝と昼寝に過ごしてよかろうか。 □ 寸言を拾録する。 ×怠らず行かば千里の外も見ん牛のよし遅くとも。 ×努力なくんば安楽なく休息なし。 ×自ら労せずして獲る所の者は一も貴ぶに足るものなし。 ×才は天より受くと雖も之を完成するは自修の功に由るなり。天分を惜しまずして人力を尽すべきなり。 ×如何に弱き人と雖も其の全力を単一の目的に集注すれば必ずその事を成し得べし。点滴も絶えず墜つれば巌をもうがつ。 ×人生は労力を費やさざる人には一物をも与えず。 ×懶惰(らんだ)の頭脳は悪魔の工場なり。 ×起てる農夫は坐せる紳士よりも高し。 ×明日為すべき事は今日之を成せ。 ×天は万物を人に与えずして働きに与うるものなり。 ×仕事をば追うて仕事に追わるるな。 ×唯進みて誤り倒るるも起き上がりて更に進め。 ×男らしき仕事とは汝のなし能う事を全力を尽して為す事である。 ×憂き事の尚此の上に積もれかし限ある身の力ためさん。 ×気根強きものは勝ち弱きは敗けるべし。 ×勤勉の人は万物を化して黄金となす術あり光陰と雖も亦之を黄金に化すべし。 × 物に退屈するな。 × 努力の手は成功をつかむ。 × 努力は天才に勝つ。 □ 初めて文検に取り掛かる人は、雲梯に登る位に過大視する。通過して安易なのに驚いてからは常識程度だと思う様になる。只自己の力を信ずべきだ。 誰しも己惚れない人は無い。それで居て文検は到底取れぬと始めから諦めて見向きもせぬ人がある。矛盾も甚だしいでないか。 骨折って苦労して永年かかっても合格せぬ位なら始めから手をつけぬ方が得だ・・・と言う。一体その損得は何を標準に言うのだろうか。 □ 学校騒動があって十三名一度に馘首されることになった。退職すべき理由が出ないからと言って頑張ったのがたった一人だけ。其他は威嚇されて早速退職願を出して終った。「二級飛ばしてやるから」「何とか就職の方も考えてやるから」と言ったのは其の時だけであった。経済的に窮乏でビクビクした連中は退職後四ヶ月の今日、まだ退職給与金に有りつかず、今更腰の弱かった事を後悔もし憤慨もして居る。 正しい理論を主張し得るのも結局金があってのことだ。これが無くては何時も御無理御尤で終らねば ならぬ。 □ 卒業早々貯金しようなどと思う者には研究心が起らぬ。新刊の書物を欲しいが金が惜しいと思う位では研究も何も出来そうなことはない。そんな人には昇級も遅く結局金の出来るのが遅い。世の中は面白いものだ。「急がば回れ」は瀬田の唐橋だけではない。 研究心の旺盛なものは新刊書を買うにも金は入る事は入るが、よい地位にどんどん昇って結局は寿命も永く、研究せぬ者が僅かの小銭を貯えて首になる頃には大校長で収まって居られる。 □ 一日の業務を終えて床に就く時、今日一日ほんとに緊張した心持で過し得たかと考えた時、満足して安らかな眠りにつける人は幾んど有るまい。 やろうと思えば未だ未だやれたのに怠けて遊んで終ったり、或は全く無為に過して居たことに気付くことだろう。 緊張した生活、はち切れそうな充実した一日一日の集積ーそれがその人一生の功績事業となるのだ。 ともすれば逃げて行く時を十分活用せなければならぬ。「秒に鞭うて!!」は慥に至言だ。 □ 就蓐(就寝)する時、一日の働きを反省して満足してニッコリとして眠れる人は幸福である。無反省に寝入って終う人は向上なき人である。反省した結果焦慮する人は向上しつつある人である。 大不満家であれ!!大野心家であれ!!大空想家であれ。若い者でありながら、小じんまりとまとまった様なものは恐るるに足らぬ。一生を平凡に過す人間だ。 【一一】 受験者談話室 ―受験記― はしがき 勉強に倦んだ時、勉強に嫌気がさした時、受験などにこの青春を浪費(?)して終ってたまるものかと思われた時、二度目でも三度目でもよいから此の辺を繙(ひもと)いて見られたい。「これではならぬ。やろう!!」ときっと奮起されるであろうから。 此処へは「文検世界」や「文検受験生」などへ掲載された血の記録、熱血の迸(ほとばし)りを転載することにする。筆者諸君も後輩への刺激発奮剤となる点に於いて無断転載を諒とされたい。最初の私の述懐から始める。 1 過ぎ行くもの 「小さき足跡」 至って平凡に小さい足跡を残して来たに過ぎない私であるが、有りのままに過去を語り、現代を話し、更に未来をも考えて見たいと思う。 私は大正六年和歌山県師範学校を卒業した。そして海辺の一小村に教鞭を執る身となったが、其の一ヶ年の生活は先ず無自覚の一星霜であった。始めて教え児に接し我が担任の一学級を思いのままに活動せしめることに依って生ずる歓喜に心を打ち顫(ふる)わしめて夢の如き一歳の日子を過した。他を顧みる余裕も無く、只児童と一緒になって楽しい月日を費やした。 翌年家兄の死に依って私は家庭の関係上故郷の山村に奉職することになった。旧友の多い故山に入っては、全くの村人と化して終って囲碁や将棋やさては浄瑠璃などに熱中して、真の教育者からは稍縁遠いものになって行った。これには種々の原因もあったのだが、一つは家庭の鉄鎖に縛られて故山に蟄居せねばならぬ運命づけられたことに起因して居たのである。 斯くして貴かるべき二三年は過ぎ、新刊の書は読むでなく、徒らに新聞小説を唯一の読物として退歩廃頽の日を送って居た。けれどもこの頃何とはなしに生活に興味が無く緊張の無い其の日暮しで、何日も何日も心が満たされなかった。 忘れもせぬ大正十二年末の冬休みの時であった。 雪の日に炉辺で黙然として居る処へ、校友会誌が投げ込まれた。封切る隙ももどかしく同級生の動静を見た。―××が師範の訓導に、〇〇が中学校の教諭に、△△が女学校の教師に、それぞれに行く可き道を見出して邁進して居た。 その時に「これではならぬ!」と思わず叫んだ。卒業後の四年間に或る者は文検に合格し、或る者は研究を積んで附属に入って居る。それに自分は何たる事だ。無意義にも等しい無自覚な日を過して何の向上も無く、何の希望も無く漫然としてその日その日を糊塗して居る。何たる惨めさだ!!。これではならぬと躍り上がったのである。 早速三里ばかりの川下に友を訪ねた。じっとして居られなかったからである。友は喜んで迎えて呉れた。私は此処でも更に「これではならぬ」と叫ばざるを得なかった。と言うのは新聞の連載小説以外に読書もしなかった自分の眼を、彼の書棚から、哲学、宗教、其の他新刊の教育関係図書が金色燦然としてずらり行列して驚かしたからである。 私は有りのままに自分の考を話した。向上したい。よりよき緊張の生活に入りたい。生き甲斐のある生活がしたい。それには如何なる努力をしたらよいであろうかと相談した。友は言った。「附属の訓導に行くか。文検取るかだ。この二つ以外に進む道は先ず無いよ。」 二人で久しい間語り合って別れる時、私は文検を受けることに決心すると告げて別れた。 〔悲しい哉。薄志弱行の我〕 教育を受けようか、修身にしようか、それとも数学にしようか、国語にしようかなどと考え迷った。何れも皆自身の無いものばかりであるが、国語は何となしに深くやったら面白そうな気がした。迷い迷いつつも早速、早稲田の講義録を注文した。毎月二冊宛送られた。始めの中は待ち受けて居て読破した。三ヶ月目四ヶ月目になると、先の分をまだ一頁も読んで居ないのに後の分が来ると言う始末で、見るのさえ厭になって来た。 ―会誌を見た時に起った興奮は早や醒めて終ったのである。― けれどもポケットへは毎時講義を入れて置いた。読む為では無く、虚栄からである。これ位の物は読んで居るぞと広告する為にである。隙の時にはそれでも思い出して一頁二頁と拾読みをした。 斯くして一年は文検受検を覚悟しながら、中止の形で過ぎて終った。四月が来た。同級生はどんどんと昇級した。けれども怠けて居る私は矢張り本の黙阿弥であった。而も分教場へ左遷せられた。 如何に薄志弱行の私も奮起せざるを得ぬことになった。朝から晩まで一人教員室に呆然と座って居るだけでは堪えきれなくなった。 新刊書の濫読となり、講義録の精読となり夜も昼も読書した。柳子厚の墓誌銘などを読んで柳州の名声を博したのは永州に左遷せられたことに起因して居ると云う様な所に至ると、恰も子厚にでもなったつもりで大いに共鳴したものである。 十二年郡教育会に「読方研究会」があって会員研究発表があったが、其の際に日頃濫読したところを以て「読むの本質」と題して研究発表をした。その為と言うのでもあるまいが、同級生などの推薦もあって翌年附属訓導として抜かれた。 国語主任としての傍、受験準備をして翌十四年に予試本試ともに合格した。 〔現代の生活〕 文検に合格すると同時に、「官報で見たが自分の学校へ来て呉れないか」と五箇所ばかりから手紙を貰った。今ならば就職難であろうが、十四年の私の時などは何処へでも行けた。しかし私は中学校へ出る考は毛頭なかった。文検を目指した理由は中等教員になるに非ずして、多少認められるには文検を取るか附属訓導になるか、何れかを選ばなければならなかったからである。その上八年余りもやって来た初等教育界に対しては十二分の未練執着があったので、惜しい気がしたが、友人達の勧告もあり、国語そのものの面白さも稍々分って来た時なので、愈々決心して中等教員の末班を汚すに至った。 かくて十四年秋T中学校教諭拝命。昭和二年漢文科合格。翌三年初夏現在校Y中学校に転任。そして現代に及んで居る。未だに国漢科の末席を汚すの光栄に浴して居る。 〔勉強の傍ら著書] 師範在学中から詩に興味を持って居たので、唐詩選の平易な講義を思い付いて着手した。 而し浅学非才の事とて意の如くならず、諸先輩の説を自己の脳力で咀嚼出来るだけして、それを最も了解し易く書いて行った。殊に早稲田の講義録に出たものは、そのままそっくり之に倣ったものなどもある。斯くて一学期中に纏め上げて昭和二年の秋出したが、一ヶ月足らずで三版を出し、三年で九版を出し非常な好評を得た。勿論宇野博士の序文のお陰であると思うが、又内容が繁簡その要を得て居ることにもよるだろうと自惚れている。「唐詩選詳解」と題する本で大同館から出した。 私は毎時、少しなりとも自分の力で出来るだけの事をして、独学者の好伴侶となり、よき道連れとなり、慰安者となりたいと心がけて居る。今の処私としては最も平易にして能率を挙げ得る参考書を書くことだけが与えられた仕事の様に思うので勉強の傍ら書き纏めて居る。 漢文科を受験した時に、史記・八家・左伝のよい選択のないのにはほとほと閉口した。漢文大系に依っても漢籍国字解本によっても、少年漢文叢書によっても、時間さえかけたら十分勉強は出来るのであるが、何がさて短時間で最も能率の多いやりかたをしようとするのであるから、あの全釈では手間取って仕方が無い。左伝をやるにさえ二三年の日子を費やして終う。殊に印刷其の物の体裁が頗る読みづらく出来ているので、内容は非常に親切に説かれて居るけれども読むのに倦怠を生じて仕方がない。それ等を思って「唐宋八家文詳解」「左伝詳解」を出した。左伝は今春二月に出したばかりであり八家文の方は既に再販を出した。両書ともに精髄を抜いてあの大冊の講義を見なくとも、此の一冊で十分事足りる様に仕上げた。 そんな理由から「十八史略詳解」も啓文社から発行した。大いに実力を涵養し独学者の倦まず撓まず勉強出来る様に工夫した。今後とも著述を続けて行き度いと思って居る。 [これから?] 目下私は第三次計画に取り掛かって居る。(第一次は国語、第二次は漢文、第三次は高等教員。)何時の日に成功を見得るであろうか。私如き駑馬は如何に鞭うてどもかの峻峰を攀(よ)じ得ぬかも知れない。けれども孜々として勤め、汲々としていそしんだら、やがては高嶺に立って玲瓏たる月光を仰ぐことが出来るものと信ずる。それを楽しみとして零細の時間をコツコツとして机に向って居る。 年若い人々の合格談を聞かされる度毎に、本気になって勉強に取り掛かることの遅かった事を悔いつつ、遅れ走せながら進みたいと努力して居る。 2 本試験征服記 〔卒業早々受験〕 大正十二年岡山師範二部卒業後少々無謀とは思いましたが、翌十三年国漢科を受験した。僥倖にも予試に合格しました。本試は無論失敗に終りました。翌十四年四月から現在のA中学に職を奉ずることになりまして、勉学上にも何かと便宜を得同年夏の本試に国語科に合格しました。 併しそれと同時に少し健康を損ねましたので、漢文をやりたいと思いながらも、はかばかしい勉強は出来ませんでした。殊に少々酒を飲むことなんか覚えて来まして、十五年の暮から昭和二年一ぱいは全然駄目でした。 愈々本気になって、漢文科の準備にとりかかったのは昭和三年一月からでした。大体のプランを立てて同年十二月まで文字通り専念にやりました。好きな庭球や散歩なんかも殆んど中止の形で必勝を期して読みました。併し十二月の本試はまだまだ時文の研究が不十分であった為と漢作文が稍々出鱈目であった為失敗しました。 翌四年は今まで郷里へ帰して置いた妻子を引き寄せて再び庭球生活を始めるやら、五月には足部の腫物のため病院通いをするやら、夏には母の重病続いて父の死等で随分ゴタゴタしましたので、可なり苦しい勉強をしなければなりませんでした。取り分け父の死に際会した時なんかは落胆も手伝って今年はとても落ちついた気持で準備なんか出来ない。一層のこと受験を中止しようかとまで思ったのでした。併し九月半ば頃その方もどうやら一段落ついたものですから又思い直して準備にとりかかりました。 十二月十日上京するまで可なり真面目に読みました。こんな有様で五十一回の本試に幸にも合格する事が出来た訳なんです。漢文科を稍々真面目にやり出してから二ケ月かかった訳です。半ヶ年か一ヶ年少々の準備で合格せられます人々のことを思って誠におはずかしい次第です。以上大体私の通って来た道を述べましたから次に貧弱ながら私の準備法を述べさしていただきます。 読みもしない本を羅列することは而後受験せらるる人々に対して親切でないと思いますから、ここには私の実際参考に供した書籍につき、ありのままに申述べることにいたします。これっぱかしの本を読んでパスするのかと読者の皆様が不思議にお思いになる位しか読んでいない私です。無論多くのものを読むと言うことは結構な事と存じますが、併しここにあげましたものだけを精読すれば合格する程度の実力は十分に養えることと信じます。 (一)解釈方面 A 左伝 〇共益商社 高等漢文読本七 〇鹽谷博士 左伝新鈔 〇瀧澤良芳 左伝選釈 〇少年叢書 春秋左氏伝講義 右の内高等漢文を中心にやります。これは白文ですから(もっとも白文ともうしましても句読点だけはわりますが)始は少し骨が折れますが最初からこれで練って行きました。少年叢書を参考にしながら難解な処は余白へドンドン書き込むのです。 併し返点送仮名は絶対につけません。少くも試験前これを見れば九分通りは了解出来るまで反復練習するのです。そしてこの本以外で大事な個所がありますからそれを新鈔と選釈で補います。大系本を一読したいとは思いましたが、何分時間の余裕もなし、それにこれでウンと白文練習をやって置けば左伝は大凡そ読みこなすことが出来ると考えましたので止しました。 B 韓非子 〇共益商社 高等漢文読本八 〇吉波彦作 韓非子詳解 吉波氏のものは実にいいと思います。これを中心にやりました。二三回精読すれば大体理解出来ます。高等漢文は少し量が少いので最後に復習的に見ました。併し左伝と同じく白文ですから実力を試すには手頃のいい本です。 C 史記 〇共益商社 高等漢文読本四 〇漢文大系 史記列伝 〇二大漢籍 史記列伝及項羽本紀 高等漢文を中心にやりました。やはり白文ですからウンと力がつきます。分らない文を大系本や国字解本で見る程度にするのです。項羽本紀は無論入れてありますし、列伝全部はありませんけれ共これだけのものを理解して居れば他は十中八九分通り読解出来ます。 D 四書 四書の必要なことは予備本試共通です。四書は必ず予備のものなど独り合点することは甚だ無謀なことです。徹頭徹尾やりました。 〇宇野博士 四書講義大学 〇宇野博士 四書講義中庸 〇簡野道明 論語解義 〇簡野道明 孟子通解 右のものを先ず精読してから左記のものをやりました。これは朱註によったものですから口述の準備として甚だ必要です。 〇簡野道明 補註学庸章句 〇簡野道明 補註論語集註 〇簡野道明 孟子集註 尚復文漢作文の準備にもなると思いまして大学論語孟子の前半を白文として筆写しました。 E 時文 〇田井嘉藤治 最近支那時文実鑑 〇吉波彦作 漢文 白文訓読復文作文 研究要訣 吉波氏の時文篇は全部精読し、時文実鑑は三分の二位まで研究しました。この外に昨夏広島県教育会主催の国漢講習会で斯波教授の講習を受けました。 F 八家文 最近八家文の読方が殆んど毎回本試に出されます。併し試験に出される程度のものでしたら以上AからFまでのものを精読していれば別にやらなくとも大体は読解出来ます。私は本試受験に際しては八家文として大部なものは読みませんでした。只 塚本哲三 漢文解釈法 の中の八家文の部を白文について見ただけです。予備の時読んだ記憶も多少はあったかも分りませんが本試には二度とも八家文の読方には苦しみませんでした。併し余裕があれば次の本位は見ておくといいと思います。 〇鹽谷博士 唐宋八大家文鈔 (二)設問方面 A 文学史 〇児島博士 支那文学史綱 〇西澤道寛 支那文学概説 〇橘文七 支那文学史要 〇石川誠 漢文科研究者の為に 児島博士の著を精読し、次いで西澤氏のものを一読しました。試験前になってから橘氏のものと石川氏のものを中心に只管暗記につとめました。この二書はノート代用として誠にいいと思います。合格するだけの力をつける点から考えますと後の二著を精読するのみで十分と思います。 B 哲学史 〇宇野博士 支那哲学史講話 哲学史はこれ一冊を精読しただけでした。これだけで十分と思います。併し性理学の研究なんかには、朱子の近思録を読んで置くと口述の場合なんかに非常に役に立つことを感じました。お恥かしい次第ですが、私はこれを読んで居なかった為、口述の時まごつきました。委員の先生もこれを読む様に親切にお教え下さいました。 今後の受験を希望される皆様は通読だけでもなさいます様切にお勧めいたします。 C 文法 〇児島博士 漢文典 〇佐々木藤之助 漢文典 児島博士の著を中心として佐々木氏の著を一読しました。尚吉波彦作氏の「漢文研究要訣」中の白文訓読篇は大いに参考になります。精読すべきだと思います。 D 其の他 〇鹽谷博士 支那文学概論講話 〇石川誠 漢文科研究者の為に 鹽谷博士の著は大変分り易く書かれていますので、一読するだけで大抵理解出来ます。石川氏の著の中で第一巻の汎論と第二巻の漢文学概論亦一読を要します。作詩法としては次のものを一読しました。 〇森槐南 作詩法講話 (三)漢作文 〇吉波彦作 漢文研究要訣 まとまったものとして見たのはこれ一冊です。併し真面目にこれを研究すれば大いに見る所があります。何を言っても作文は自ら作ることです。既往の題をとらえて一つでも多く作る努力を惜しんではならないと思います。私は約三十題ばかり作って見ました。作ったら唯我独尊をきめこまずにその道の人に必ず見ていただくことが何よりも肝要と思います。前述の佐々木氏の漢文典中には漢作文上の要領を可なり親切に述べてあります。 尚私は半分位読んだだけでしたが次の書に就いて漢作文の要領を会得すべきだと思います。 〇高於菟三 漢作文作法要義 (四)問題集其他 〇霜島勇気男 高等漢文漢語詳解 〇瀧澤良芳 国語漢文科問題詳解 〇中等学校漢文教科書 三・四・五の巻 右は必ず一読すべきです。殊に漢文科教科書は徹底的に研究すべきです。私は富山房の服部博士のものによりました。 以上大体私の準備法に就いて申述べました。月並的な方法で別にこれというべきものはございません。併し多少でも受験の皆様に参考になることが出来ますれば嬉しく存じます。 合格したにつけても父にこのよろこびを分つことが出来ない事を非常に悲しく思います(岡山、岩佐氏) 3 漢文科受験準備時代を語る ◇神の試練 今年失敗すればもう受験は放擲(ほうてき)しようと思っていた予試であった。それが国語の方は可成り出来て、最も得意であるべき筈の漢文が思いがけぬ不成績に終ってしまった。もう駄目だと思った。 受験最後の日、恩顧を受けている人に私は手紙を出した。 「私の将来を決定する受験は全然失敗になって終ったらしい」と。それからの懊悩は友人達が心配して呉れる程に甚だしいものだった。少年時代からの逆境は随分苦しいものであったけれども、併し努力に相応して漸次光明の域に近づいて居る様に思って居た私は、「失敗は幸福の基」と言うよりも「私に失敗なる語無し、世人の所謂失敗なるものは、幸福の一部分なり」とも考えて居た。私の堅く心に銘じて居た信念でもあった。 故に如何なる苦境の立っても決して失望はしなかった。苦しいとも思われなかった。不平や噴怨もなかった。一昨年昨年本試に二回落ちても落胆しなかった。努力すれば運命の神は決して自分を見捨てはしない。失敗があってもそれは神はより大いなる幸福を与えて呉れる為の一の試練に過ぎないのだ。かくて私は一切を運命の手に任せてしまっていた楽天的運命論者だったのだ。 それが昨年三月のある機縁から信仰の団体と交渉を持つ様になり、宗教から見て運命論の極めて幼稚なものであることを知った。運命の神といった程度のところに安住して居る自分をつまらなく思って一文字に宗教へ走った。 併し小さい理知と懐疑は遂に徹底した信仰を私に許さなかった。為に安心する境地を全然失って終った訳だ。恰度(ちょうど)その頃の予試の不成績だった。暗い将来を思って泣いた。過去の逆境を呪って身をたぎらせた。 勿論本試の準備には少しも手をつけない。私は只管何も考えまいと務めた。殆んど馬鹿になり切って日がたった。所が思いがけなく予試の合格である。本試までに後二十日程しかない。短い時日だ。 併し私のからだには力が漲(みなぎ)って来た。やるのだ。 ◇祝賀会 それから懸命の準備に取りかかった。国漢兩科を出題していたが、国語に二分の力をさき、残りの力を漢文に注いで、悪戦苦闘の日をつづけて行った。 一身の興廃此の一戦に在りの緊張、今度こそ必ず合格してみせるの意気を以ての奮戦であった。筆答試験の日が来た。八分通りの安心を抱いて即日三島の震災の地に走り恩人の許に労力を捧げて数日過ぎた。帰京して口述をうけ、幾分の不安があったが、大して悲観もせず、発表の日を待ち、遂に合格の吉報に接することが出来た。此の日天気晴朗とでも言いたい気分だった。友人達が集って祝賀会を開いて呉れた席上私は私の通って来た十五年間の受験生活を回想した。波高しの苦しい過去であった。併し今はその波瀾重畳の過去に却って懐かしさを感ずるのだった。 ◇受験生活十五箇年 小学を出る時、当時の私の村が専門学校出一人、中学校数名位のものであった為に、別に中学入試の熱望もなく、又貧の為のあきらめも手伝って何の苦しみも不平もなく当然の事として高等科へ進んだ。その時恩師は私の為に中学講義録を取って下さった。 それが私の受験生活の発端だった。 専検へ、専検へ、これを目標にして高等科を卒業して神社の小使になった。それから神戸へ出て歯科医の書生にそれから郵便局の事務員、外国商館の給仕へと、食う為の職業に転々して行った。 その内に私は私の頭脳を余り信じ過ぎて居たことを知った。全くの独学に英語はリーダー四で、代数は級数、幾何は立体で行きづまらせてしまった。私自身に愛想をつかせて専検を放棄してしまった。 十八の秋会社員にでもなるのだと考えて、三ヵ月の準備で商業会議所の試験を受けて一科だけ合格した。先ずこれからと思っていたその翌年の二月、父の死にあって帰郷し、兎も角一人して食う道を見つけなければならなかった時、幸に恩師の厚情によって一ルンベンは小学校の代用教員に採用されて、十九の四月初めて教壇に立った。 その五月尋淮を受けて合格したが、師範出ではない為の苦痛を味わいつつ又その為に一層の努力をしながら、先生で満足しきれない寂しい日を続けて、教師生活五年の日は過ぎた。その間に尋正の受験に二回行ったが、一回はその地の図書館で小説に読み耽り、一回は一燈園へ走って、勿論合格することは出来なかった。 あせっている中、某専門学校の入学試験を受けて見る気になった。十日間を山奥の家へと閉じこもって準備した程度の力で、それでも汽車賃を工面して上京した。課目は国漢だけであるが、日本外史と徒然草を読まなかった私には難問揃いであった。併し幸にビリの方から近い成績で入学することが出来た。先輩の好意で金は某会から借りることに話がついた。 順風に帆をあげる幸運にめぐまれて意気揚々、学校生活に一歩を入れた。小学校教員免許状を有する者は卒業後漢文科高等教員の無試験検定の特典を受ける資格ありとの規則書を信じて入学後の私は幸運であった。六年後の輝かしい生活を想像して居た。私を尋淮である故に軽蔑していた小学校時代の同輩に対しての事も思った。光明にからだを包まれて一年は過ぎた。 一年過ぎて幸福から絶望の谷間へ私はつき落されなければならなかった。規則書の小学校教員免許状のうちに尋淮免許状は入って居なかったのである。為に卒業後の特典は全然私には与えられない。怒って見てもどうにもならないのだ。今までの時間と金との空費、併し退学すれば借金一時払いの義務がある。といって此の先在学して何の効果があるのだ。進退に迷ったが結局在学することに定めて終った。在学中に中等教員の資格をとれば卒業後の特典をうけることが出来るかも知れぬとの頼りないことを便りとして文検への進路を辿ることに決意した。 又これから受験生活がつづくのだ。やれ!元気よくやれ。学生であり独学生である私の生活が、それから慌ただしく続いて行った。入学した翌年千葉県へ小准を受けに行って体操で味噌をつけて帰った。その秋山梨へ行って時間に遅れて逃げ帰った。 その翌年東京府の小准をうけ、長躯して奈良三重に転戦した。いずれも筆答にパスしたが、東京府の体操実地にだけ出席して合格し、二県のは棄権して終った。 その四月皇典研究所の神職試験をうけて筆答にパスしたのは、私の受験史の道草だった。七月末東京府の発表があって、愈々予備試験へ取りかかる。本もない金もない。数冊の本のみによって予試を受け、僥倖にも合格、本試筆答も通過、破竹の勢いで口述に突進して功を一簣に欠いてしまった。これでいい。落胆もしない。失望もするな。 翌年二回目の本試筆答は切り抜けた。今年こそはは決死の覚悟で、口述へ進んだ。結果は多少楽観して居たにも拘らず、万事休すの悲運に遭遇せなければならなかった。 愈々翌年二回目の受験だ。今度合格しなければ、もう私の受験生活におさらばを告げてしまうのだ。この意気で昨年の一月を迎えていながら準備に手をつけないで七月まで過ぎて了った。 八月の夏休を知己の家の留守番に組まれたを幸、毎日五時間を準備の時間にあて、克明に勉強して行った。予試を受けて後からの事は初に記した通り、再言する必要はない。 ◇無試験制度 小学校教員時代に私の編輯して居た文集に、「卒業生諸君に」と題して「学校は時間と金との浪費所である」と書いたことがある。現代学生生活をやって居ることから考えると独学時代のこの言葉は、全く当って居るとも言えないが、誤って居るとも言えぬ。独学によって受験する人々は、学校に入ることを羨望せないで、真の自己の力によって免許状を獲得すべきだ。無試験の特典ある学校にいてこんなこと言うのも変であるが、学校卒業生に与えられる無試験検定制度も全廃するのが至当だと私は思っている。 学校出の智識は広い。けれども浅い。又狭くて浅いのも多い。私の知人にも無資格で入って無試験の特典が与えられぬ男がいる。その男より以下の成績の多くの者が卒業の時には得々として免許状を持って行くことなど、どう考えても不合理な話だ。 ◇参考書 準備と受験の実際を記すことは、私が一方学校生活をやって居る為、一般独学者諸氏の参考にはなるまいと思う。ただ受験に用いた書名だけをつらねて置くことにする。 予備試験(国語は除く) 四書 少年叢書四書講義 宇野博士著大学・中庸、四書集註(上海本) 十八史略 漢籍国字解、箋註十八史略、少年叢書 唐詩選 漢文大系 八家文 漢文大系 設問 支那文学史綱、支那哲学史講話、漢文捷径、漢文科研究者のために 本試験 左伝 少年叢書、春秋左氏伝校本、春秋左伝(上海本) 史記 少年叢書、史記評林 韓非子 韓非子集解(上海本)、韓非子講義、韓非子詳解 時文 支那時文教程 設問 予試と同じ 口述 四書大全、東洋通史 最後に私は明治三十六年生れ、兵庫県宍粟郡は私の郷里である。同郡は文検熱の盛んなところ、若し同郡の人で本誌の読者があれば健闘と成功を祈って止まない。(黒郎生) 4 恵まれざるの記 〔一将成功万骨枯〕若し断章主義を以てすれば自分は万卒の仲間に当たる、失敗者成功之母也の西諺から言えば、失敗何んぞ敢えて悲しむに足りない。然しながら功を誇るは易く恥を露すを好まぬが人情だ。漢書に覆車之戒あり、詩に曰わずや他山之石可以攻玉と。 予備試験を終った其の夜、私は士気を鼓舞するために、安井息軒先生の三熟記を読んだ。そうして本試準備のプランを立てた。十二月二十五日まで七十八日。この間に史記、八家文、左傳、韓非子を読まねばならぬ。設問作文もやらねばならぬ。思えば多忙の事なる哉と嘆息せざるを得なかった。過にして九月までは渾身の勇気が凡て是れ予試に注がれてあったからだ。 〔本試への準備〕この七十八日を三期に分けて見た。 第一期 読解 第二期 時文 作文 第三期 設問 既出問題研究 読解で骨を折ったのは左傳だった。尤も私は先輩からの注意で、「予試と本試との間に期間が短いから予備の準備前に必らず本試の参考書の一つだけは後で見なくともよいという程度に実力を附けて置け」と言われたので、昨年十月から本年一月まで四月刊間、左傳を抄録し、且つ先輩から白文課題で採点して頂いて居たが、恥しい事には韓非子はまだ一度も目を通して居ない。八家文と史記とは中学の四五年の漢文を受け持った事があるので、どうやら一通りは見ている訳だった。 漢作文には一番苦しんだ。山下賎夫氏の復文の系統的練習と、吉波彦作氏の漢文研究要訣をやって、高於菟三氏の漢文作法要義を一通り見て、皆川淇園の習文録を少し許りやった。 韓非子は吉波氏の韓非子詳解を読んで菁萃録韓非子で整理した。 十一月十二日、官報は本試験の日割を示して呉れた。見ると漢文筆答試験は十二月十四日である。俄然、私の計画に驚異と齟齬とを来した。それはプログラムよりも十日間も短縮されたからであった。だから大車輪大急行でやらねばならなかった。越えて十六日の官報は漢文予備試験の合格者の名を発表し、辛じて驥尾に附することができた。 十二月九日、私は指導を受けた先輩に、匏有苦葉、済有深渉、深則広浅則掲の賦を送って非常の決心を示し、自ら背水の陣を布き、東都を指して勇ましくも進軍の門出に上ったのである。 郊外の親戚の家は閑静で、勉強には此の上もなく好かった。私は先輩の意見を聞いて、一室に雑居させられる様な旅館生活には足を入れずに只一人静かに読書に耽って、暁燈燭只管参考書に親しむことができた。 〔本試験筆答の日〕愈々明日に迫った。いつもよりは早く床に入ったが、夜半夢破られて眠れなかった。八家文や韓非子の既出問題に一通り目を通して試験場に向った。電車の中では、共益社の高等漢文読本巻之七の左傳を見て居た。試験場についた頃は未だ開始の時間に間があったので受験者は余り集って居なかった。定刻近くなると、試験監督からの訓示があって、薄暗い場内にパッと点いた時、思わず私は胸のときめくを覚えた。 私は場内を一瞥して見た。白髪禿頭の老翁もあれば美髯紅顔の士もあり彩とりどりの裡に、万緑叢中紅二点を発見し有髪紳士を後に瞠著たらしめた。これでは緊褌一番せねばならぬと考えた。見ると其の一人は今春或女学校で確かにお目に懸った方。あの時ストーブの傍で韓非子詳解を見て居られた方だった。顔見知りと言っては外にも一人美しいカイゼル髪の有る中学校の退役大尉、この人は去年も受けられたそうで、彼と同僚の私の先輩からその時の本試の問題を知らして戴いた事があったが、不幸にして尊名を知らなかった。 受験者凡て百三十五名、机を見ると鹿子斑の欠席はあるが、満堂是一騎当千の闘士かと思うて貧弱な自分の力を顧みた時一種の戦慄を感ぜざるを得なかった。 やがて答案用紙と問題とが配られる。一渡り目を通す。孟子、左傳、八家文、時文設問、作文、都合六題。 第一に意外々々。出ると思った韓非子は意地悪く出ないで、出ないと思った(予試の復文に出て居たから)孟子の離婁が出た。先ず句読訓点をつける。次に解釈、最初の規矩方円之至也、聖人人倫之至也の至を至宝と解した。これは註の至極也に気がつかなかった誤りだ。それから欲レ為レ君尽二君道一、欲レ為レ臣尽二臣道一の欲の管到を間違えて、 欲三為レ君尽二君道一、欲三為レ臣尽二臣道一 と書いて終った。これは文法を思い出さぬ失敗だった。我ながらルーズの感がする。実際を言うと、孟子の出題は実に意外だった。それは四書は予備の時に見ただけだったから。これで見ても四書は徹底的にやらねばならぬ。 第二が左傳、宣公十五年楚子園宋之條、支那の鳥居強右衛門たる解揚の処だ。霧島勇気男氏の「高等漢文漢語詳解」で確かに見た事がある既出問題だし、漢文講座に飯島忠夫氏の訳があったことを想出す。先ず読方から始めて句読点をつける。ヤマが三つ四つある。最後の、下臣護考(ママ)。死又何求。楚子舎之以帰。に至ってトント詰って了った。考の字がどうしても訓めない、仕方がない。「下臣死を獲考(ママ)せり、又何ぞ求めん。楚子之を舎るして以て帰らしむ」と無理に訓んだ。思えば是れが致命傷だった。後になって註をよく読んでいなかったことを悔いた。考成也以率也とある。ああしまった。註なくば漢文なしだ。漢文はどうしても原書に親しんで註をよく読まなくてはならぬ。 第三は八家文、欧陽脩の送除無党南帰序だ。是は昨日既出問題集で読んだ所だ。これで見ても機尾出問題は忽にしてはならぬ。何となれば既出問題は大抵参考書中の名文のエキスであるからだ。 第四は時文、これは只管漢文講座の内田復氏の時文と吉波彦作氏の漢文研究要訣を読んだ丈けで、先輩から借りた山田岳陽氏の支那時文釈義は只拾い読みをしたばかりで大なる自信がなかったが、ヤマは人名の係り工合と、弁公処接洽一功…だけだったので辛うじて仮名交り文に直した。以上一通り読方を終えて解釈を書き終った時は、もう二時間半を費やして了っていた。 第五は設問、(一)董仲舒(二)初唐四傑 (二)は既出問題だ。既出問題の設問は全部答案用紙に抄録していたので直ぐに書けた。児島氏の支那文学史綱と宮崎来城の作詩術に負う処が多かった。 (一)の問題には全く面喰った。時代を前漢の武帝のことを後漢の武帝の時代などと間違って書いたり、賢良対策などはテンデ思い出せなかったりしたが、宇野博士の支那哲学概論と早大プリントの牧野氏の支那経学史とによって儒道二教の融和を計った人だったことだけを記したが、著書の春秋繁露はどうしても思出せなかった。陸賈の新語と間違えて書いたりもした。凡そ三行許り。自分ながら何と貧弱な答案だろうと思った。 第六、最後に漢作文だ。題は見利思義説だ。一寸手が出ない、時間を見ると余す処一時間この時自分は文章軌範巻五の小序にあった、場屋中日晷有限、巧遅者不如拙速を想出さずには居られなかった。構想凡そ二十分、勇を揮って筆を呵す。 見利思義議 天下誰有不謂利者哉。利也者厚生也。利而無義不可以称利也。余嘗読論語。至子罕言利与命与仁。慨然嘆息矣。方今世人。汲々栖々営利之務。不日不索利。故見利敏而喩義迂焉。是以将相之尊、受縲絏之辱。如斯者見利而為有勇。見義而為無勇。昔日顔子在陋巷不改其楽。孔子曰不義富且貴、於我如浮雲。可以為箴矣。 やっとの事で書き上げた時、与えられた四時間半の時間は遠慮もなく去って「起立」の声が鋭く耳に響いた。ああ運命は遂に決したのだ。読み返す時間さえない。況んや熟慮推敲の時をやだ。 〔万事窮矣〕斯くして不安の数日は過ぎた。私は答案の模様を先輩のY氏とS氏とに送って合否如何を待った。Y氏からは「大丈夫」と書いてあった。S氏からは「神ならぬ身にて到底判断を下し得ぬ処に候も多分合格すべしと愚考仕候」とあったが心配して居た漢作文だけは両氏とも褒めてくれた。 十九日午後四時は成績発表の時刻だったので、雨の文部省前には受験者が黒山の様だった。悲喜交至のシーンが展開されていた。自分は静かな足取で掲示板に近づいた。不幸にして口述受験中に自分の番号を見出すことが出来なかった。万事窮矣。 然し私は徒らに悲観しなかった。帰りの電車の中では徐ろに袖珍本の四書集註を繙くことが出来た程我ながら不思議な位ゆとりがあった。 老詩人からは私の失敗を弔せずして却って祝して来た。友人からは鼓舞激励の手紙が着いた。私は涙を以て此等に感謝した。 やがて自分の寓居に戻った時、書斎は雪で包まれて居た。私は寂しく独り此の詩を吟んだ。 関レ戸且忘名利心。四隣人定夜沈沈 草堂埋雪年将レ暮。独対二寒燈思古今一。 来るべき庚午の歳yお。 我は捲土重来の意気と鎧袖一触の勇気とを以て、無駄なく、無理なく怠らず、本試の鉄壁に邁進せんとして居る。 最後に言いたい事は、受験後の友人の談話によると、漢文科の授点法は総点三百点読解二百四十点、作文設問六十点だそうであることである。(五一回失敗生) 5 半ヶ年合格 〔はしがき〕私は昭和三年度に国語科を合格し、昭和四年又僥倖にも漢文科を合格した訳でありますが、その実白状しますと其の間四年度第一次に柄にもない習字科の受験をしましたから―但し失敗でした。努力と時間は国語の二三倍は使って居ますが―漢文科の準備はその予試後から着手したので正味半ヶ年の準備しか出来なかった訳です。でもその半ヶ年は随分心身共酷使無理をしたものですが、とにかく普通の頭と健康の持主ならば半ヶ年でどうか準備が出来ることを体験上で信ずるものであります。 然かるに国語科有資格者にして運の悪い方になると三四度も遠い国から多大の経費と日子を費して上京なさり失敗の恨を繰り返されている方のあるのは衷心同情に耐えないと共に、其処には屹度何等か準備上について欠陥のあることを思わされるのであります。ついては此処に私の体験上気づいたことや又準備の実際を赤裸々に告白し、受験生活に対して幾分の参考の資ともなればと思って敢えて誌上を汚す次第であります。 〔参考書の選定〕誰も言う常套句ですが、それだけ又動かすことの出来ない真理があると思います。書物あさりや濫読はやめて良書を精読することです。選定については雑誌を通じたり又本人についたりして経験者の指導を受けるのがよいと思います。但し試験合格を標準として。 〔研究の順序〕暗記的である設問はなるべく受験近くに、而して読解物を先にし、又同じ解釈物にしても思想の基礎をなす四書を先とし、左傳、韓非、八家、時文という順序がよいと思います。八家文は大部なものですが、其れ迄の書物が十分に咀嚼出来実力さえついて居れば、大系本によって恰も小説でも読んで行く様にさっさと渉るものであります。時文も同様です。古文によって白文が可なりにこなせるだけに実力がついて居れば、あとは二三の書物によって時文としての、特殊の用字熟語を一二千当って置けばよい様です。 〔作戦三分に実力七分〕作戦倒れは禁物、大体に於いて実力主義をとるのがよいと思います。と云って例えば左傳に於て二三行で終っている断片や又随処に出て来る易的の解や甚しきは経の部までも一々繰り返し読んで居てはまた受験としては迂なものだと思います。其処には三分の作戦が肝要。之を解釈物について具体的に申しますと、 1過去の問題により出題傾向を呑み込むこと。 2第一回は全部を丁寧に読んで行き、其の際出題されそうな処を片端から符号をつけて置き、二回目からはその個所のみを繰り返し読むこと。かくする時は頁数に於いて左傳は約四分の一、韓非は二分の一弱に整理することが出来ます。 〔設問〕に於いても 1出題傾向に就いて研究 2合格程度の深さに於いて確実に 3哲学史、文学史、文学概論、書籍解題等各別々に問題化した一覧表によって整理すること 等の様にやるのが得策です。 〔一気呵成〕誰の頭でも既得のことをぐんぐん忘れて行って居るものです。而して忘れる量が日月と正比例するものです。故に一気呵成にやることです。試験間近く頑張りがどんなに価値大なるかを小生一流の算式で表わしますと 平常時の収得量を10とす(大体時間4時間の勉強として) 試験間近の収得量を20と仮定す(毎日8時間の勉強として) 毎日の忘れる量を5と仮定す(実際1年も前にやったら此位である) 試験に於ける価値―平常時=10-5=5 ―試験時=20-0=20 価値上の此値=20÷5=4 即ち試験間近の一日は一年も前にやる四日分にも相当することになるのである。私はもっと無理して日に十時間から十二時間位までやりましたから一日分がこの算式で行くと或は五六日に相当したようなことも少くなかったかと思います。之が合格の秘訣とも言えるかと思います。 〔解釈物の重視〕之さえしっかりやって置けば、設問が少々しくじっても大した問題でない様です。殊に四書と左傳は最も重要視すべき様です。四書は朱註の白文によりて註まで自由自在にこなしておくことが肝要です。近年口述にはずっと朱註が出題されます。序に参考書としては博文館の漢文叢書中の四書(三冊)がよいです。之は朱註に又毛利貞齋が註をしたもので日本訳です。特におすすめします。 〔半ヶ年戦跡一覧表〕以上の考と作戦計画のもとに私が半ヶ年奮戦した実際を一覧表にして示して見ます。 第一回読破日 書名 頁数 読破回数 備考 自五、一七 漢文學び方の研究(西脇) 二四〇 二 至五、二一 復文の系統的練習(山下) 一七六 二 自五、二二 大學(宇野本) 二八二 三 中庸(宇野本) 二五二 三 論語(三島本) 四三八 三 孟子(簡野本) 一〇二五 三 自七、二七 四書朱註(白文) 三七五 一 自七、二八 至八、二〇 韓非子(国字解本) 二四四三 五 大系本参照して 自一〇、五 八家文(笠松本) 六七八 一 韓欧三蘇のみ 至一〇、二〇 八家文(大系本) 一三一七 一 自九、二一 時文(早大講義録) 一三〇 一 時文(吉波氏本) 一三〇 二 時文のところのみ 時文(時文実鑑) 三九七 一 自一〇、二一 至一一、二八 左傳、韓非子、四書時文の復習 自一一、二九 支那哲學史(宇野本) 三三九 一 至一〇、四 四書研究(教育學術會本) 四一二 一 参考までに 至一二、二 支那哲學概論(宇野本) 二三九 一 自一二、三 支那文學史(児島本) 三八一 一 至一二。六 漢文研究者のために 四九六 一 文學概論書籍解題として 自一二、七 至一二、一三 解釈物の総復習 自一二、一一 至一二、一三 設問の総復習 自一二、一五 至一二、二一 四書朱註(博文館本) 二八八三 一 孟子は時間がなくて出来なかった 附記 1十二月六日上京、旅館での一週間の勉強は最も価値大であった。 2作文は文法さえ徹底して四書がこなれていたら大したことはない様です。私は試験前日四五時間を費やして吉波本の白文時文云々の作文十四五篇をよみ、自分で三文作ってみたのみであった。 3文法設問の各項は国語科予試の際整理したノートがあったので大助かり。 4七月末から八月末までは大阪府下の能勢妙見山に避暑(毎日最高二十三四度)し専念左傳研究に没頭大体こんな次第であります。何分皆様の健康と御成功を祈って筆を擱くことにします(大谷氏)。 6 六十三歳にて合格 (一)受験前の経歴及境遇 余は山陰道の一部市に生れたものなるが、父は維新の改革の為に潘録に離れ、余の小学校に入りし頃は其の生活もまだ甚しく逼迫せざりしも、四ヶ年の小学課程を卒えて県の師範の附属校中等科に入る頃より漸時左前となりたれば、学校に行きて何でも勉強して偉いものにならねばならぬと思いながらも春さきになると、武者紙鳶を揚げることが至って大好きなる故に、通学せずして野原にて人の紙鳶をかりて揚げ、無我夢中になりて喜んで居りしが、一度より二度、二度より三度と度重なるに従い遂に学校行きは嫌になり、雨天の際には人通の少い家の檐下(のきした)にて落つる雨滴にて、真黒になりし草紙を無茶に濡らして持ち帰りしが、或時祖母より手習草紙を出せと言わるるにより、「何するものか」と怪しみながら、祖母のなす処を見れば、指先を濡し草子の上を擦りしに、水のみ着きしのみなれば大いに叱られしことを今以て記憶せり。之を以て大いに恐れ明日は進まぬ足を強いて前に出して、努めて学校に行きしに、悪太郎の生徒数人、余を見るや否や、「あのバカめが、何を思い出したか来やがった」と、こんな調子なるを以て、二三時間たったかたたぬに帰りて遊びたりき。かかる怠惰放縦の結果は、学年試験に落第となり、受持教員の申渡しによりて退校させらるることになりたり。是余が十一歳の時なりき。 父は余の退校を命ぜられしを以て大いに怒り勘当すべしと言って青筋を立て頭上より湯気を立てて怒鳴りしも、余を熱愛せる伯母は之を気の毒に思い、幸に伯母の家に道春點の論語近藤圭造氏(?)の十八史略、唐詩選などがありしを以て、誰に問う人もなく、画字引と首っ引して、苦心惨憺して精進せり。かくの如き独学にても、勉強すれば、大なり小なりの本の意味も分って来るにより「漢文は面白いものだ」という念生じ来れり。諺に曰く「好きこそ物の上手なれ」と、好ければそれに親しむし、親しめば種々とより多く分って来る。そうなると愈々面白くなるといった調子になりき。 (二)受験の動機 かくの如くして徐々に漢文を研究する中に、十七歳の時に小学校授業生の試験を受けて幸に首席にパスせしを以て、愈々学問することに興味を覚え、殊に漢文は余の学問の中心となり、恰も蝸牛の歩みを続くる如く徐々に研究を続くる中に文検制度発布せられしを以て一つ是非やっつけようと決心せり。 (三)準備期間と準備法 何分に授業生の初任給は四円五十銭にて、当今とは違って其の当時は昇給など二三年に一回といった位で、両親を養って行かねばならず、研究すべき本代などは残る筈なく、よしそれが有りしとても、当時は本屋に思わしき本もなく、例の外史や四書などを幾回も幾回も復習して、読書百遍意自通の独学的苦行を続けて、忘れぬようにし、又読書癖をつけようとせしものなりき。殊に現今と違って文検受験生向きの雑誌とて一冊もなき時代なれば僅に供覧せる本を独学にて辿り行くと言った調子なりき。故に準備法と言った如きもの先ず無しといって可なり。 明治三十二年島根県師範学校第二種講習所に入りて十ケ月講習を修了して初めて尋正の資格を得しが、文検に没頭すれば、何処の学校へ行きても、腰掛教員として、多大の圧迫を受け、その為に、学校の勤務時間には絶対に研究書を読まざる事になし、宿或は学校の宿直室に於いて密に研究せむとすれば来客ありと言った風にて、実に弱らされたり。 殊に兵庫県に大正五年度に入りしより、一層この圧迫を感ずること甚しかりき。 而して大正十二年十月を以て小学校教員の職を退きし以後は、其境遇は全く波瀾重畳真に私自身生きた小説と思う位なり。 東京に出でしは大正十四年の四月と思うが或は新聞配達となり或は筆生となり、或は外交員となり、あらゆる苦心刻骨の境遇にぷつかっても一心未だ嘗て一日たりとも文検一件を忘れず。唯だ最初文検決意の時より一回にて国漢ともに合格せむと望みしが、国漢二科を出願して国語は予試だけパスせしも、本試に落ちしは、所謂流星光底長蛇を逸すのそれよりも尚残念なりき。 その文検決志の年より合格せし期間を通算すれば、驚く勿れ三十七八年の星霜を経過せしものなり。而して準備法は別に記述すべきことなく、唯だ漢文の指定必読書を中心として、精深に研究せりというに尽く。 (四)参考書と其の読破要領 参考書は各文献雑誌にて教えられし良書を選んで、講読し、尚足らずと思う点は、図書館に行きて適当と思わるる書物をあさりて補足したりき。読破要領と云うものは無し。何分青年時代より精深に研究する癖つきしを以て甚しき遅読性なれば、指定書の研究に多大の日時を費やして所謂要領のよい受験勉強などせむとすること能わざりき。 (五)受験直前の準備法 国語科も漢文科とともに、東華堂発行の文部省教員検定受験案内(国語及漢文科)によりて、出題せられし書目の統計をとりで(予試本試とも此の方法による)その最高点のもの程、注意して徹底的に読解することにせり。併かくすれば時間を非常に取るを以て、最初の一回は精深に研究して不審の所、記憶し易からざる所は、しるしをつけ置き、二回目の復習にも其の個所を解釈して見、解釈がつけば、そのしるしを消して更に他のかかる個所に進みて同一方法にて研究するが良法なりと思う。更に委しく言えば余は参考書の註釈を本文の傍に書いて記憶することにせしが、かくすれば覚ゆることはよく覚ゆるが、それでも時間が立てば忘却すること少なからず、寧ろ二回三回四回と前記の方法にて多読することが得策なりとするものなり(老儒生)。 結び 奮闘の血涙史を読んで血を湧き立たせない者は酔生夢死の徒だ。我々は一分一秒も軽忽にしてはならない。 「やればきっと誰にでも出来る。」この信念で飽くまでも戦って欲しい。 もう一息と言う処まで進んで置きながら絶望して断念する様な人々の多いことを衷心から遺憾に思う。 やろう! やろう! 人生は死ぬまで奮闘してこそ価値がある。無意義な灰色の生活などは呪われてあれ。 https //web.archive.org/web/20160324130551/http //www.geocities.jp/shou_ryuu_dou/bunken_kanbunka_hyoudai.htm
https://w.atwiki.jp/yukimi0/pages/24.html
CE74、5月メサイア戦が終了し、時の議長ギルバート=デュランダルがメサイヤにて死亡。 同日プラントにてクライン派がクーデターを起こし、プラントを掌握する。 そして、オーブ連合首長国代表首長カガリ=ユラ=アスハ、メサイア戦の勝利とプラント併合宣言を出す。通称「併合演説」と呼ばれるものである。 地球では、東ユーラシア地域(ガルナハン地域を含む)が一斉蜂起し東ユーラシア共和国樹立を宣言。 ユーラシア連邦は内戦が深刻化していった。また、赤道連合内部でも、権力争い、強制労働に借り出された住民の決起等内乱が起きていた。 CE74、6月プラントはオーブの直轄地として組み込まれる。またザフト兵として軍務にいたものは一旦、軍属を解除され、ある者は先の大戦で被害をうけたコロニーの復旧に向かい、ある者はプラントの為再び戦うこともあるかもしれないと一時の休息をとり、ある者はラクスの元で戦うことを選び、そして、ある者は野に下った。 同月、オーブ連合首長国より新たな国際組織「統一連合」の枠組みが提唱され、それに合わせ、統一安全保障条約機構を作成。賛同国を募る。 元々親オーブのスカンジナビア王国、親プラント派だった大洋州連合、北アフリカ共同体などが加盟する。プラントが併合されたことで、月中立都市郡も参加を表明。 ジャンク屋組合は、表立った表明は見せなかったが、もともとラクスとのパイプは強く、協力を惜しまなかった。 ユーラシア連邦、赤道連合は内戦中でそれどころではなく、大西洋連合は参加表明せず。一時期世界の中心であった大西洋連邦は、統一連合、ひいてはオーブに対して不満を募らせる。 独立国家となっていたアメノミハシラ、独立心の高いムスリム共同体や東アジア共和国、南アフリカ統一機構などは静観の構え。 CE74、8月中旬、大西洋連邦、オーブに対して宣戦布告。理由は先の対戦中、幾度無く戦時中に現れ、テロ活動をおこなってきたAAを自軍に取り込んだオーブはテロ支援国家であり、世界の平和を乱す原因であるというものだった。 裏には、オーブの復興が終わっていないこと、プラントを併合したとはいえザフト軍はオーブ体制に今だ組み込まれていなく、その数は多くないこと。 メサイヤ戦で活躍したMSは脅威だが、その支援装備は地球上では使えないこと、また宇宙の艦隊は壊滅状態にあったが、地上の大西洋連合軍は十分にそろっており、今この時に叩いておかないと、世界の覇権がオーブに移動してしまうのを恐れたことを考慮したものだった。 9月最初の週、南大西洋海戦で大西洋連邦のオーブ侵攻軍壊滅。 オーブの軍は確かに疲弊していたが、ラクスたちの率いる軍を過小評価したことが原因だった。 9月中旬、ハワイ沖会戦でも大西洋連邦軍は破れる。 9月下旬、かろうじて残っていた大西洋連邦宇宙軍をプラントへ向けて奇襲を行うが、オーブ・ザフト軍に撃退される。 10月初旬~中旬、オーブ・大西洋連邦の戦いは地上へと動き、宇宙では大西洋連邦宇宙艦隊を降伏へと追いやっていた。この時点で大西洋連邦は制宙権を完全に失った。 10月下旬、大西洋連邦政府内部でエターナリストによるクーデター勃発。臨時政府が樹立。 11月初旬、大西洋連邦臨時政府とオーブ間にて講和成立。支配圏は以前のまま。 12月初旬、南アメリカ合衆国、東アジア共和国、統一連合への参加を表明。 CE75、1月オーブ軍の一部、特にオーブ独立艦隊がNGO組織として独自の行動を起こすこととなる。名称は「ピース・ガーディアン」 指揮するのはラクス=クライン。統一連合内部に議席・発言権を持ちながらそれらは行使せず、世界平和のために行動してゆく。 1月下旬、態度を明らかにしていなかった南アフリカ統一機構、統一連合へと参加を表明。 CE75、2月ムスリム共同体、統一連合への参加は表明する。が、あくまで世界情勢を見ていただけで、積極的なものではなかった。 CE75、3月PGは赤道連合の内戦地域で活動していた。非戦闘地域を回り人々の楽しみになればとコンサートを開き、また内乱自体に介入はしないものの非戦闘員に危害が加えられそうになれば、PGを使い内乱軍を叩き返した。 各地の人々は、救難活動を行いながら、慰安コンサートを開き、危害を加えるものは排除するラクスに、平和の歌姫としての信仰を集めてゆく。 また、そうしたラクスの行動にあわせて、内乱は鎮圧化していき、3月下旬内乱が終了し、統一連合への参加を赤道連合は表明する。 CE75、4月、旧ヘリオポリスを改修したコロニー「イザナギ」が、アメノミハシラの手によって完成する。また同時に統一連合への参加を表明する。 CE75、5月PGは内乱中のユーラシア連邦地域でその姿を見ることができた。 東ユーラシア共和国、統一連合への参加を表明。それにあわせオーブ軍が内乱へと介入してゆく。PG、統一連合に参加したことで応援にかけつけたオーブ軍との連携もあり、最終的にはユーラシア連邦は、東西に分かれることとなった。また同月末、西ユーラシア連邦政府に対しクーデターがおき、政府は打倒される。西ユーラシア暫定政府樹立。 CE75、6月世界情勢に合わせるように、大西洋連邦で、統一連合加盟に対して選挙が実施される。結果は僅差で加盟賛成が上回り、加盟にむけて動き出す。 CE75、7月、西ユーラシア新政府、大西洋連合が統一連合へと加盟。 この時をもって、世界のすべての国々が統一連合へと加盟したのである。またこの時点をもって、会議にて「統一地球圏連合」へと名称を変化させる。 CE75、8月統一地球圏連合となっての、第一回総会が開催される。その中でラクス=クラインが主席に選出されるが、彼女はこれを固辞。代わってカガリ=ユラ=アスハがその任につくこととなった。 CE75、9月初旬、ラクスに何とか報いたいとするカガリと、そのカリスマ性を取り逃がしてはならないとする、各国の思惑で統一地球圏連合特別顧問の案が発表され、ラクス=クラインが就任することとなる。また、それに合わせNGO組織であったPGは、特別顧問「平和の使者」直属の近衛軍として再編される。 CE75、9月下旬、組織が形作られていく中で、新たに地球上に統一国家を作ろうという動きがでてくる。統一地球圏連合政府樹立。ようやくなった世界的平和の土壌。これを恒久的なものにしようとするものであった。率先してその礎になろうとオーブという国は統一地球圏連合政府下における国となる。 だがこれは、各国の主権返上を含む案であったために、議会は加熱する。特に、やっと独立を勝ち取った西ユーラシア新政府の反応は過激であった。 各国の代表者は、賛成派もいれば反対派もいた。反対派は、激発した 西ユーラシア新政府の結果をみて行動をしようと静観の立場だった。 CE75、10月、議会、もしくは私的な懇談会で西ユーラシア代表と議論を重ねるが、西ユーラシアは態度を硬化させ、ラクスが今、平和へと世界が変わろうとしている中で、なぜそれに参加できないのかと問うも議論は平行線のまま、ラクスが何度も話し合いの場を持つものの、西ユーラシアの統一世界連合への脱退が避けられないところまできていた。 また、その中で自国の混乱から立ち直れない赤道連合は、最初に主権返上を申し入れ受理されていた。 10月下旬、最後の西ユーラシア新代表とラクスとの会談。 「どうして、世界が平和へと向かうこの時に、そのような態度をとられるのです」 「我々は独立を旨として行動してきた。この上主権返上などといったふざけた案は参加しかねる」 「確かに改めるべき事は多いかもしれません。 ですが世界が平和へと動こうという今、何故そんなに態度を頑なにされますか?」 「平和は我々も望むところ。だが、地球規模の統一国家などいう絵空事には付き合いきれない」 「それが世界の平和を生み出すための最善の道ではありませんか?先の大戦を見てください。各国が勝手な理屈で動く限り平和はなりませんわ」 「ラクス=クライン、あなたの理想は立派だが、それでは国は動かん」 「私はもう人と人の憎しみの連鎖を見たくありません。 だから私は戦うと決めたのです。なぜ、平和への道を躓かせるようなことをおっしゃるのです」 「若きラクス嬢とは、これ以上の会談は無意味だ」 「なぜ、そんなことをおっしゃいます。そのような行動は、世界の平和を乱すこととなることがどうして分かっていただけませんか?」 「我々は我々の理想で行動してきた。誰かにきめてもらう必要はない」 「私は世界の平和を願っています」 「…我々もだ」 「では何故!?」 「これ以上の議論は不要だろう。お互いの正義にのっとって行動すればいい」 「…貴方がたの行動は世界を再び戦乱へと向かわせる一歩となりかねないのに どうして。世界がやっと一つになろうとしているのにどうして」 「…(分からないのだな、彼女には)」 「戦場で会おう」 CE75、11月、西ユーラシア新政府は、世界平和への道を乱すものとして打倒され、その地域は、統一地球圏連合政府の直轄地となる。 またこの頃、統一地球圏連合政府の諸組織は完成を見る。 西ユーラシア地域の状況をみて、反対派は表立った行動を控える。 CE75、12月、BCや旧ロゴスに連なるものが次々に逮捕、弾圧され、その中心的役割を担ったのが、後の治安警察省長官ゲイハルト=ライヒだった。 (時期的には12月~5月くらいまで) CE76、1月、正式に統一連合軍が発足し、地上軍司令にレドニル=キサカ大将、宇宙軍司令にムゥ=ラ=フラガ中将(このあと大将に昇進)が就く。 CE76、2月、戦乱を起こさないための抑止力として、統一連合軍、PGの軍備拡張が進められていく。 CE76、10月、総会がパリにて開催される。首都オロファト(ヤラファス島)以外では初の総会。 旧西ユーラシア連邦ビル、現在は統一地球圏連合政府パリ政府ビルにて爆破テロ発生。 死者153名、負傷者1200名あまりの大惨事となる。テロの翌日「ローゼンクロイツ」と名乗る組織より犯行声明が出される。 ユーラシア地域全域に影響を持つ組織であり、どうやら西ユーラシア新政府の残党が多数含まれるようであるという噂が囁かれ、75年11月の強制直轄地編入のことを思い出す者もいた。 CE76、10月下旬、パリ総会の中で、テロ打倒を訴え、治安警察省の設置予算請求をなどを含めた補正予算案が提出される。 CE76,11月中旬、補正予算案可決。治安警察省発足。長官はゲイハルト=ライヒとなる。 11月下旬、スカンジナビア王国のリンデマン外相、ペテルブルグにて爆弾テロの犠牲となる。「バルト独立同盟」より犯行声明。 CE77、1月頃、各国代表が平和への利権を求め、国内政治に目を向けない態度に南米、中東、北アフリカなど各地でレジスタンスが決起していく。 CE77、2月、治安警察省から、独自の軍部隊を持てるようにとの提案がある。これに関して、統一連合軍、国防省から軍の組織の礎をそこなうとの意見が噴出するが、最終的に治安警察省に軍部隊を持つことが承認される。ここに統一連合軍と治安警察省との間に亀裂が生まれることとなる。 CE77、3月、南アメリカの対テロ特殊部隊隊長エドワード=ハレルソン少佐、部下十数名を連れレジスタンスに身を投じる。 CE77、4月開発中であったGWE-X001Aエターナルフリーダムがロールアウト。 その力は凄まじく、初戦で最大クラスのレジスタンスであったバルト独立同盟の戦闘部隊を3日で完全に殲滅。これ以降しばらくレジスタンスは完全に沈黙し地下に潜ることとなる。 CE77、5月南半球が記録的な大干ばつによる食糧危機に陥る。統一世界連合は北半球の全国家に備蓄穀物の放出を要求。それとあわせて食料プラントをフル稼働させ、どうにか餓死者は出さずに解決する。 CE77、6月大洋州連合、大西洋連邦にて主権返上の意向を表明する。 両国家とも世論が真っ二つに割れ、大洋州連合は3ヶ月後に国民投票で決まることになり、大西洋連邦は、大統領選挙を待つこととなった。 CE77、7月、スカンジナビア王国、主権返上する意向を示し。国民は歓喜と熱狂でこれを支持。 CE77、9月、大洋州連合にて主権返上の是非を問う国民投票実施、結果は主権返上が58%となり主権返上へと向けて動き出すこととなる。 CE77、10月、今度は北半球が記録的な冷夏となり、またも食糧危機に陥る。再び食料プラントをフル稼働させ乗り切ろうとしたが、追いつかずに多数の餓死者が出る。特に東ユーラシア地域が深刻で、ここだけで飢え、感染症などで100万人以上が死亡。北半球全体で200万人以上が死亡したとされる(統一政府推計。後の史家の計算によると500万人が死亡したとも)。 これにより、統一地球圏連合政府に各国の人々に表立って、また裏で、軍備拡張に予算を費やし、生活福祉に予算の投入が足りなかったことに対する不満がでる。 CE77、11月大洋州連合の78年からの統一世界地球圏政府の編入が正式に決定される。 CE78、1月シドニーにて、爆弾テロ発生。「オセアニア解放軍」より犯行声明。 1月下旬、プラント駐留の宇宙第二艦隊の一部が叛乱。統一連合軍宇宙軍との交戦状態に陥る。 CE78、2月初旬、反乱軍、宇宙第二艦隊撃破。 また地上では東ユーラシア最大のレジスタンス組織ローゼンクロイツが再び各地で決起。 周辺の組織を吸収合併しながら進軍を開始。ローゼンクロイツ、キエフ、ワルシャワ、モスクワ占領。 2月中旬、反乱軍、宇宙軍第一艦隊、第三艦隊との決戦に敗れ全滅。 ローゼンクロイツ、ベルリン、ペテルブルグ占領。東ユーラシア政府高官はパリに亡命し臨時政府を立てる。 2月下旬、東ユーラシアへ統一連合軍地上部隊の精鋭が集結。東ユーラシア反攻作戦開始。 CE78、3月初旬、南米解放同盟、武装闘争を再開。統一連合軍はベルリン奪還。 中旬、ワルシャワ奪還。東ユーラシア政府高官帰国。 下旬、キエフ奪還。ローゼンクロイツ、占領地を手放し再び地下に潜る。 CE78、4月、ローゼンクロイツの構成員、幹部、スポンサーが次々逮捕され、壊滅的な打撃を受ける。 また4月中旬、南米解放同盟、武力闘争を再び停止する旨の声明を出す。 CE78、5月、ラクス=クラインの演説(通称:平和の演説)。テロリストに対してテロ活動の停止を、各国には統一国家樹立への協力を訴える。 CE78、6月、イラン高原で赤い三日月が独立闘争開始。 CE78、7月、大西洋連邦大統領選挙でイギリス・カナダ閥のレノン(エターナリスト)がアメリカ閥のジョンソン(穏健派反エターナリスト)に敗北。 CE78、8月北アフリカでサハラ解放の虎、再び独立闘争開始。 CE78、9月オノゴロにて統一地球圏連合政府樹立3周年記念式典。 同時に戦勝記念館も開館。 連合政府首席カガリ・ユラ・アスハ暗殺未遂事件発生。(第1話) そして、Revivalの世界へ・・・ (この時点で主権返上国は、オーブ首長国連邦、赤道連合、西ユーラシア新政府(強制返上)、スカンジナビア王国、大洋州連合。また主権返上していない国はアメノミハシラ、東ユーラシア共和国、北アフリカ共同体、南アフリカ統一機構、大西洋連邦、南アメリカ合衆国、ムスリム共同体、東アジア共和国) 年表 年号 月 出来事 CE74 5月 メサイア攻防戦終結。併合演説。東ユーラシア共和国樹立 6月 プラント併合実施。統一連合枠組み提唱。統一安全保障条約機構樹立 8月 大西洋連合、オーブに宣戦布告 9月 大西洋連合オーブ侵攻、ハワイ沖会戦、プラント侵攻全てに敗北 10月 大西洋連合エターナリストによるクーデター勃発。臨時政府発足 11月 大西洋連合臨時政府とオーブで講和成立 12月 南アメリカ合衆国、東アジア共和国、統一連合へ参加 CE75 1月 ピースガーディアン発足。南アフリカ統一機構、統一連合へと参加 2月 ムスリム共同体、統一連合への参加 3月 内戦の沈静化に伴い、赤道連合が統一連合に参加 4月 ヘリオポリスにイザナギ完成。統一連合参加 5月 東ユーラシア共和国、統一連合に参加。同時にレジスタンスに対する圧力激化 西ユーラシア暫定政府樹立 7月 大西洋連合、西ユーラシア新政府、統一連合参加 統一連合、名称を「統一地球圏連合」に改称 9月 ピースガーディアン、近衛兵化 オーブ主権返上 10月 赤道連合主権返上 西ユーラシア代表とラクスの会談決裂 11月 西ユーラシアに対する武力行使により西ユーラシアが統一連合直轄地になる 12月 旧ロゴス弾圧。ライヒ活躍 CE76 1月 統一連合軍発足 10月 統一連合総会パリにて実施。「ローゼンクロイツ」による爆破テロ 11月 治安警察省設立 ペテルブルグで「バルト独立同盟」がテロ CE77 2月 治安警察省、独自に軍備開始 4月 「バルト独立同盟」壊滅。エターナルフリーダムによる武力解決 5月 南半球の飢饉に対応するため北半球の各政府に備蓄食料調達要求 6月 大洋州連合、大西洋連邦にて主権返上に対する国民投票実施 7月 スカンジナビア王国主権返上 9月 大西洋連邦にて主権返上 10月 ユーラシアで歴史的飢饉発生。餓死者500万人 CE78 1月 大洋州連合、統一地球圏連合参加 シドニー爆破テロ。「オセアニア解放軍」 プラントで宇宙第二艦隊の反乱 2月 反乱軍鎮圧 ローゼンクロイツ、ベルリン、ペテルブルグ占領 東ユーラシア政府高官はパリに亡命し臨時政府樹立 3月 南米解放同盟、武装闘争を再開 統一連合軍がベルリン、ワルシャワ、キエフ奪還。東ユーラシア政府高官帰国 4月 ローゼンクロイツ壊滅的打撃。南米解放同盟活動停止 5月 「平和の演説」がラクスにより実施 6月 イラン高原で赤い三日月が独立闘争開始 8月 北アフリカでサハラ解放の虎、再び独立闘争開始 9月 9月オノゴロにて統一地球圏連合政府樹立3周年記念式典 連合政府首席カガリ・ユラ・アスハ暗殺未遂事件発生。(第1話)
https://w.atwiki.jp/revival/pages/388.html
CE74、5月メサイア戦が終了し、時の議長ギルバート=デュランダルがメサイアにて死亡。 同日プラントにてクライン派がクーデターを起こし、プラントを掌握する。 そして、オーブ連合首長国代表首長カガリ=ユラ=アスハ、メサイア戦の勝利とプラント併合宣言を出す。通称「併合演説」と呼ばれるものである。 地球では、東ユーラシア地域(ガルナハン地域を含む)が一斉蜂起し東ユーラシア共和国樹立を宣言。 ユーラシア連邦は内戦が深刻化していった。また、赤道連合内部でも、権力争い、強制労働に借り出された住民の決起等内乱が起きていた。 CE74、6月プラントはオーブの直轄地として組み込まれる。またザフト兵として軍務にいたものは一旦、軍属を解除され、ある者は先の大戦で被害をうけたコロニーの復旧に向かい、ある者はプラントの為再び戦うこともあるかもしれないと一時の休息をとり、ある者はラクスの元で戦うことを選び、そして、ある者は野に下った。 同月、オーブ連合首長国より新たな国際組織「統一連合」の枠組みが提唱され、それに合わせ、統一安全保障条約機構を作成。賛同国を募る。 元々親オーブのスカンジナビア王国、親プラント派だった大洋州連合、北アフリカ共同体などが加盟する。プラントが併合されたことで、月中立都市郡も参加を表明。 ジャンク屋組合は、表立った表明は見せなかったが、もともとラクスとのパイプは強く、協力を惜しまなかった。 ユーラシア連邦、赤道連合は内戦中でそれどころではなく、大西洋連合は参加表明せず。一時期世界の中心であった大西洋連邦は、統一連合、ひいてはオーブに対して不満を募らせる。 独立国家となっていたアメノミハシラ、独立心の高いムスリム共同体や東アジア共和国、南アフリカ統一機構などは静観の構え。 CE74、8月中旬、大西洋連邦、オーブに対して宣戦布告。理由は先の対戦中、幾度無く戦時中に現れ、テロ活動をおこなってきたAAを自軍に取り込んだオーブはテロ支援国家であり、世界の平和を乱す原因であるというものだった。 裏には、オーブの復興が終わっていないこと、プラントを併合したとはいえザフト軍はオーブ体制に今だ組み込まれていなく、その数は多くないこと。 メサイヤ戦で活躍したMSは脅威だが、その支援装備は地球上では使えないこと、また宇宙の艦隊は壊滅状態にあったが、地上の大西洋連合軍は十分にそろっており、今この時に叩いておかないと、世界の覇権がオーブに移動してしまうのを恐れたことを考慮したものだった。 9月最初の週、南大西洋海戦で大西洋連邦のオーブ侵攻軍壊滅。 オーブの軍は確かに疲弊していたが、ラクスたちの率いる軍を過小評価したことが原因だった。 9月中旬、ハワイ沖会戦でも大西洋連邦軍は破れる。 9月下旬、かろうじて残っていた大西洋連邦宇宙軍をプラントへ向けて奇襲を行うが、オーブ・ザフト軍に撃退される。 10月初旬~中旬、オーブ・大西洋連邦の戦いは地上へと動き、宇宙では大西洋連邦宇宙艦隊を降伏へと追いやっていた。この時点で大西洋連邦は制宙権を完全に失った。 10月下旬、大西洋連邦政府内部でエターナリストによるクーデター勃発。臨時政府が樹立。 11月初旬、大西洋連邦臨時政府とオーブ間にて講和成立。支配圏は以前のまま。 12月初旬、南アメリカ合衆国、東アジア共和国、統一連合への参加を表明。 CE75、1月オーブ軍の一部、特にオーブ独立艦隊がNGO組織として独自の行動を起こすこととなる。名称は「ピース・ガーディアン」 指揮するのはラクス=クライン。統一連合内部に議席・発言権を持ちながらそれらは行使せず、世界平和のために行動してゆく。 1月下旬、態度を明らかにしていなかった南アフリカ統一機構、統一連合へと参加を表明。 CE75、2月ムスリム共同体、統一連合への参加は表明する。が、あくまで世界情勢を見ていただけで、積極的なものではなかった。 CE75、3月PGは赤道連合の内戦地域で活動していた。非戦闘地域を回り人々の楽しみになればとコンサートを開き、また内乱自体に介入はしないものの非戦闘員に危害が加えられそうになれば、PGを使い内乱軍を叩き返した。 各地の人々は、救難活動を行いながら、慰安コンサートを開き、危害を加えるものは排除するラクスに、平和の歌姫としての信仰を集めてゆく。 また、そうしたラクスの行動にあわせて、内乱は鎮圧化していき、3月下旬内乱が終了し、統一連合への参加を赤道連合は表明する。 CE75、4月、旧ヘリオポリスを改修したコロニー「イザナギ」が、アメノミハシラの手によって完成する。また同時に統一連合への参加を表明する。 CE75、5月PGは内乱中のユーラシア連邦地域でその姿を見ることができた。 東ユーラシア共和国、統一連合への参加を表明。それにあわせオーブ軍が内乱へと介入してゆく。PG、統一連合に参加したことで応援にかけつけたオーブ軍との連携もあり、最終的にはユーラシア連邦は、東西に分かれることとなった。また同月末、西ユーラシア連邦政府に対しクーデターがおき、政府は打倒される。西ユーラシア暫定政府樹立。 CE75、6月世界情勢に合わせるように、大西洋連邦で、統一連合加盟に対して選挙が実施される。結果は僅差で加盟賛成が上回り、加盟にむけて動き出す。 CE75、7月、西ユーラシア新政府、大西洋連合が統一連合へと加盟。 この時をもって、世界のすべての国々が統一連合へと加盟したのである。またこの時点をもって、会議にて「統一地球圏連合」へと名称を変化させる。 CE75、8月統一地球圏連合となっての、第一回総会が開催される。その中でラクス=クラインが主席に選出されるが、彼女はこれを固辞。代わってカガリ=ユラ=アスハがその任につくこととなった。 CE75、9月初旬、ラクスに何とか報いたいとするカガリと、そのカリスマ性を取り逃がしてはならないとする、各国の思惑で統一地球圏連合特別顧問の案が発表され、ラクス=クラインが就任することとなる。また、それに合わせNGO組織であったPGは、特別顧問「平和の使者」直属の近衛軍として再編される。 CE75、9月下旬、組織が形作られていく中で、新たに地球上に統一国家を作ろうという動きがでてくる。統一地球圏連合政府樹立。ようやくなった世界的平和の土壌。これを恒久的なものにしようとするものであった。率先してその礎になろうとオーブという国は統一地球圏連合政府下における国となる。 だがこれは、各国の主権返上を含む案であったために、議会は加熱する。特に、やっと独立を勝ち取った西ユーラシア新政府の反応は過激であった。 各国の代表者は、賛成派もいれば反対派もいた。反対派は、激発した 西ユーラシア新政府の結果をみて行動をしようと静観の立場だった。 CE75、10月、議会、もしくは私的な懇談会で西ユーラシア代表と議論を重ねるが、西ユーラシアは態度を硬化させ、ラクスが今、平和へと世界が変わろうとしている中で、なぜそれに参加できないのかと問うも議論は平行線のまま、ラクスが何度も話し合いの場を持つものの、西ユーラシアの統一世界連合への脱退が避けられないところまできていた。 また、その中で自国の混乱から立ち直れない赤道連合は、最初に主権返上を申し入れ受理されていた。 10月下旬、最後の西ユーラシア新代表とラクスとの会談。 「どうして、世界が平和へと向かうこの時に、そのような態度をとられるのです」 「我々は独立を旨として行動してきた。この上主権返上などといったふざけた案は参加しかねる」 「確かに改めるべき事は多いかもしれません。 ですが世界が平和へと動こうという今、何故そんなに態度を頑なにされますか?」 「平和は我々も望むところ。だが、地球規模の統一国家などいう絵空事には付き合いきれない」 「それが世界の平和を生み出すための最善の道ではありませんか?先の大戦を見てください。各国が勝手な理屈で動く限り平和はなりませんわ」 「ラクス=クライン、あなたの理想は立派だが、それでは国は動かん」 「私はもう人と人の憎しみの連鎖を見たくありません。 だから私は戦うと決めたのです。なぜ、平和への道を躓かせるようなことをおっしゃるのです」 「若きラクス嬢とは、これ以上の会談は無意味だ」 「なぜ、そんなことをおっしゃいます。そのような行動は、世界の平和を乱すこととなることがどうして分かっていただけませんか?」 「我々は我々の理想で行動してきた。誰かにきめてもらう必要はない」 「私は世界の平和を願っています」 「…我々もだ」 「では何故!?」 「これ以上の議論は不要だろう。お互いの正義にのっとって行動すればいい」 「…貴方がたの行動は世界を再び戦乱へと向かわせる一歩となりかねないのに どうして。世界がやっと一つになろうとしているのにどうして」 「…(分からないのだな、彼女には)」 「戦場で会おう」 CE75、11月、西ユーラシア新政府は、世界平和への道を乱すものとして打倒され、その地域は、統一地球圏連合政府の直轄地となる。 またこの頃、統一地球圏連合政府の諸組織は完成を見る。 西ユーラシア地域の状況をみて、反対派は表立った行動を控える。 CE75、12月、BCや旧ロゴスに連なるものが次々に逮捕、弾圧され、その中心的役割を担ったのが、後の治安警察省長官ゲイハルト=ライヒだった。 (時期的には12月~5月くらいまで) CE76、1月、正式に統一連合軍が発足し、地上軍司令にレドニル=キサカ大将、宇宙軍司令にムゥ=ラ=フラガ中将(このあと大将に昇進)が就く。 CE76、2月、戦乱を起こさないための抑止力として、統一連合軍、PGの軍備拡張が進められていく。 CE76、10月、総会がパリにて開催される。首都オロファト(ヤラファス島)以外では初の総会。 旧西ユーラシア連邦ビル、現在は統一地球圏連合政府パリ政府ビルにて爆破テロ発生。 死者153名、負傷者1200名あまりの大惨事となる。テロの翌日「ローゼンクロイツ」と名乗る組織より犯行声明が出される。 ユーラシア地域全域に影響を持つ組織であり、どうやら西ユーラシア新政府の残党が多数含まれるようであるという噂が囁かれ、75年11月の強制直轄地編入のことを思い出す者もいた。 CE76、10月下旬、パリ総会の中で、テロ打倒を訴え、治安警察省の設置予算請求をなどを含めた補正予算案が提出される。 CE76,11月中旬、補正予算案可決。治安警察省発足。長官はゲイハルト=ライヒとなる。 11月下旬、スカンジナビア王国のリンデマン外相、ペテルブルグにて爆弾テロの犠牲となる。「バルト独立同盟」より犯行声明。 CE77、1月頃、各国代表が平和への利権を求め、国内政治に目を向けない態度に南米、中東、北アフリカなど各地でレジスタンスが決起していく。 CE77、2月、治安警察省から、独自の軍部隊を持てるようにとの提案がある。これに関して、統一連合軍、国防省から軍の組織の礎をそこなうとの意見が噴出するが、最終的に治安警察省に軍部隊を持つことが承認される。ここに統一連合軍と治安警察省との間に亀裂が生まれることとなる。 CE77、3月、南アメリカの対テロ特殊部隊隊長エドワード=ハレルソン少佐、部下十数名を連れレジスタンスに身を投じる。 CE77、4月開発中であったGWE-X001Aエターナルフリーダムがロールアウト。 その力は凄まじく、初戦で最大クラスのレジスタンスであったバルト独立同盟の戦闘部隊を3日で完全に殲滅。これ以降しばらくレジスタンスは完全に沈黙し地下に潜ることとなる。 CE77、5月南半球が記録的な大干ばつによる食糧危機に陥る。統一世界連合は北半球の全国家に備蓄穀物の放出を要求。それとあわせて食料プラントをフル稼働させ、どうにか餓死者は出さずに解決する。 CE77、6月大洋州連合、大西洋連邦にて主権返上の意向を表明する。 両国家とも世論が真っ二つに割れ、大洋州連合は3ヶ月後に国民投票で決まることになり、大西洋連邦は、大統領選挙を待つこととなった。 CE77、7月、スカンジナビア王国、主権返上する意向を示し。国民は歓喜と熱狂でこれを支持。 CE77、9月、大洋州連合にて主権返上の是非を問う国民投票実施、結果は主権返上が58%となり主権返上へと向けて動き出すこととなる。 CE77、10月、今度は北半球が記録的な冷夏となり、またも食糧危機に陥る。再び食料プラントをフル稼働させ乗り切ろうとしたが、追いつかずに多数の餓死者が出る。特に東ユーラシア地域が深刻で、ここだけで飢え、感染症などで100万人以上が死亡。北半球全体で200万人以上が死亡したとされる(統一政府推計。後の史家の計算によると500万人が死亡したとも)。 これにより、統一地球圏連合政府に各国の人々に表立って、また裏で、軍備拡張に予算を費やし、生活福祉に予算の投入が足りなかったことに対する不満がでる。 CE77、11月大洋州連合の78年からの統一世界地球圏政府の編入が正式に決定される。 CE78、1月シドニーにて、爆弾テロ発生。「オセアニア解放軍」より犯行声明。 1月下旬、プラント駐留の宇宙第二艦隊の一部が叛乱。統一連合軍宇宙軍との交戦状態に陥る。 CE78、2月初旬、反乱軍、宇宙第二艦隊撃破。 また地上では東ユーラシア最大のレジスタンス組織ローゼンクロイツが再び各地で決起。 周辺の組織を吸収合併しながら進軍を開始。ローゼンクロイツ、キエフ、ワルシャワ、モスクワ占領。 2月中旬、反乱軍、宇宙軍第一艦隊、第三艦隊との決戦に敗れ全滅。 ローゼンクロイツ、ベルリン、ペテルブルグ占領。東ユーラシア政府高官はパリに亡命し臨時政府を立てる。 2月下旬、東ユーラシアへ統一連合軍地上部隊の精鋭が集結。東ユーラシア反攻作戦開始。 CE78、3月初旬、南米解放同盟、武装闘争を再開。統一連合軍はベルリン奪還。 中旬、ワルシャワ奪還。東ユーラシア政府高官帰国。 下旬、キエフ奪還。ローゼンクロイツ、占領地を手放し再び地下に潜る。 CE78、4月、ローゼンクロイツの構成員、幹部、スポンサーが次々逮捕され、壊滅的な打撃を受ける。 また4月中旬、南米解放同盟、武力闘争を再び停止する旨の声明を出す。 CE78、5月、ラクス=クラインの演説(通称:平和の演説)。テロリストに対してテロ活動の停止を、各国には統一国家樹立への協力を訴える。 CE78、6月、イラン高原で赤い三日月が独立闘争開始。 CE78、7月、大西洋連邦大統領選挙でイギリス・カナダ閥のレノン(エターナリスト)がアメリカ閥のジョンソン(穏健派反エターナリスト)に敗北。 CE78、8月北アフリカでサハラ解放の虎、再び独立闘争開始。 CE78、9月オノゴロにて統一地球圏連合政府樹立3周年記念式典。 同時に戦勝記念館も開館。 連合政府首席カガリ・ユラ・アスハ暗殺未遂事件発生。(第1話) そして、Revivalの世界へ・・・ (この時点で主権返上国は、オーブ首長国連邦、赤道連合、西ユーラシア新政府(強制返上)、スカンジナビア王国、大洋州連合。また主権返上していない国はアメノミハシラ、東ユーラシア共和国、北アフリカ共同体、南アフリカ統一機構、大西洋連邦、南アメリカ合衆国、ムスリム共同体、東アジア共和国) 年表 年号 月 出来事 CE74 5月 メサイア攻防戦終結。併合演説。東ユーラシア共和国樹立 6月 プラント併合実施。統一連合枠組み提唱。統一安全保障条約機構樹立 8月 大西洋連合、オーブに宣戦布告 9月 大西洋連合オーブ侵攻、ハワイ沖会戦、プラント侵攻全てに敗北 10月 大西洋連合エターナリストによるクーデター勃発。臨時政府発足 11月 大西洋連合臨時政府とオーブで講和成立 12月 南アメリカ合衆国、東アジア共和国、統一連合へ参加 CE75 1月 ピースガーディアン発足。南アフリカ統一機構、統一連合へと参加 2月 ムスリム共同体、統一連合への参加 3月 内戦の沈静化に伴い、赤道連合が統一連合に参加 4月 ヘリオポリスにイザナギ完成。統一連合参加 5月 東ユーラシア共和国、統一連合に参加。同時にレジスタンスに対する圧力激化 西ユーラシア暫定政府樹立 7月 大西洋連合、西ユーラシア新政府、統一連合参加 統一連合、名称を「統一地球圏連合」に改称 9月 ピースガーディアン、近衛兵化 オーブ主権返上 10月 赤道連合主権返上 西ユーラシア代表とラクスの会談決裂 11月 西ユーラシアに対する武力行使により西ユーラシアが統一連合直轄地になる 12月 旧ロゴス弾圧。ライヒ活躍 CE76 1月 統一連合軍発足 10月 統一連合総会パリにて実施。「ローゼンクロイツ」による爆破テロ 11月 治安警察省設立 ペテルブルグで「バルト独立同盟」がテロ CE77 2月 治安警察省、独自に軍備開始 4月 「バルト独立同盟」壊滅。エターナルフリーダムによる武力解決 5月 南半球の飢饉に対応するため北半球の各政府に備蓄食料調達要求 6月 大洋州連合、大西洋連邦にて主権返上に対する国民投票実施 7月 スカンジナビア王国主権返上 9月 大西洋連邦にて主権返上 10月 ユーラシアで歴史的飢饉発生。餓死者500万人 CE78 1月 大洋州連合、統一地球圏連合参加 シドニー爆破テロ。「オセアニア解放軍」 プラントで宇宙第二艦隊の反乱 2月 反乱軍鎮圧 ローゼンクロイツ、ベルリン、ペテルブルグ占領 東ユーラシア政府高官はパリに亡命し臨時政府樹立 3月 南米解放同盟、武装闘争を再開 統一連合軍がベルリン、ワルシャワ、キエフ奪還。東ユーラシア政府高官帰国 4月 ローゼンクロイツ壊滅的打撃。南米解放同盟活動停止 5月 「平和の演説」がラクスにより実施 6月 イラン高原で赤い三日月が独立闘争開始 8月 北アフリカでサハラ解放の虎、再び独立闘争開始 9月 9月オノゴロにて統一地球圏連合政府樹立3周年記念式典 連合政府首席カガリ・ユラ・アスハ暗殺未遂事件発生。(第1話)
https://w.atwiki.jp/scarboroughfair/pages/21.html
☤ ジブリ映画とオカルティズム ③ ナウシカ編 番外編: 北欧、聖書、日本の “地母神神話” ☤ ガイア、レア、ヘラ、アテナ、デメテル、イシス、 ユノ、ミネルヴァ、アスタルテ、キュベレイ、イシュタル、イナンナ…… …… 地中海沿岸世界には様々な地母神が存在する。 ここでは番外編として、前章では述べなかった オリエント以外の地域の地母神神話を取り上げよう。 なお、このページはあくまで神話的考察がメインの番外編であり ジブリ考察はほとんどない。 …… 北欧神話。 スカンディナビアやバルト地方に住む北ゲルマン人の間で 語り継がれていた物語である。 この神話に見られる最大の特徴として、ラグナロクという 最終戦争によって神々が世界もろとも滅び去る点がある。 この神話の中にも、女神フレイヤ、そして美しきバルドルを中心とした 地母神神話特有のパターンが見られる。 …… フレイヤ。 美と豊穣を司る北欧神話の太母。 女性の美徳と悪徳を全て内包した女神で、非常に美しく、 自由奔放な性格で、欲望のまま行動し、性的に奔放であった。 彼女はデメテルの娘とされるアルテミス、またヘカテーや エウロパ、ディアナなどと同じく、魔術と死を司る月の女神でもある。 …… フレイヤは最高神オーディンと死者を平等に分け合う権利を持つ。 その性質が酷似している事から、オーディンの妻である女神フリッグとは、 同じ女神の別の時期の名前であり、2柱は同一存在だった可能性があるという。 …… ある意味フレイヤは、日本神話の伊邪那美命とよく似た属性を持つ女神である。 伊邪那美は姿を消した古代神に代わる最高神伊邪那岐の妻であり、 豊穣の女神であり、同時に死の女神でもあるからだ。 日本神話にも地母神のエピソードが見られるが、それについてはまた後に述べる。 ☤ さて、前章で述べたように、ギリシアの最高神ゼウスと 大地の女神デメテルの間に、ペルセフォネという美しい娘がいた。 彼女の死が世界の歯車を狂わせ、大地の荒廃を齎したように、 北欧神話にも最高神オーディンと女神フリッグの間に 死と再生を経験する息子がいる。 …… バルドル。 神々の中で最も美しく光り輝く美貌と白い睫毛を持ち、 万人に愛される光の神。 ある意味女性的な存在でもある。 …… 彼は不死に近い存在であったが、ある時邪悪な神ロキが 盲目のホズを誑かして彼を殺してしまう。 母なる女神フリッグはこれを悲しみ、死の国の女王ヘルに遣いをやって バルドルを生き返らせて欲しいと頼む。 …… 全世界のあらゆる生物がバルドルの死を嘆き悲しんだが、 邪神ロキの奸計によって彼の蘇生は失敗し、世界は光を失う。 そしてこれを契機として、ありとあらゆるものが死を迎える 大戦争「神々の黄昏(ラグナロク)」を迎える事となる。 …… この辺りはデメテルの娘が死に、生き返らせて欲しいと 遣いをやって冥王に頼むが、冥王の奸計で失敗し、 その結果地上が稔りを失ったくだりとそっくりだ。 …… そしてラグナロックによって神々を含む殆どの生物が死に絶え、 一度世界は滅ぶのだが、新たな大地が創造され、 バルドルは再び蘇る。 …… あたかも、デメテルの娘が冥界から生者の世界に現れるとともに、 大地が稔りを取り戻したように、世界はバルドルと共に蘇るのだ。 ☤ ギリシア、エジプト、北欧の例を挙げたように、 こうした死と復活、それに伴う世界再生の神話は広く見られる。 …… こんにちの世界で最も有名な神話は何か? と言うと勿論 『聖書』 であろうが、この聖書の イエス・キリストの伝記もまた、実は地母神神話の一種なのである。 …… 福音書によると、イエスは原初の父なる神の子であり、 また「アブラハム以前からわたしはある」と宣言したように、 イスラエルの絶対神であるヤハウェ (=「私はある」の意) が 受肉した姿でもあったという。 …… (また、十字架の罪状版「ユダヤの王ナザレのイエス」の 頭4文字を並べてもヤハウェになる) …… そのイエスはサタンに魂を売ったユダの奸計により死亡する。 結果、日蝕でもないのに突如世界が闇に閉ざされ、 悪霊が冥府から黄泉返って跳梁跋扈し 母マリアと、実質上のイエスの妻であるという、 娼婦マグダラのマリアが大きく嘆き悲しむ。 …… なお、ただの人間に過ぎない母マリアが神聖化されたのは、 土着の異教時代の地母神信仰がキリスト教と渾淆した結果で、 “聖母”マリア崇拝とは、形を変えた地母神信仰に他ならない。 …… それから3日後、墓穴を塞ぐ岩戸を二体の天使が開け、 イエスは二人のマリアの前に復活した姿を現し、彼女を悲しみから立ち返らせる。 死と再生という地母神神話の1つ目のモチーフがここに見て取れる。 ☤ イエスは僅かなパンと魚を大量に増やし、 飢えた多くの信徒たちを満足させた豊穣神でもある。 パンは教義、魚は信徒の暗喩であり、 彼は古代世界において地上に“種”を撒く者であった。 …… 同時に「ヨハネの黙示録」によると、 末日こと“収穫”の季節に、巨大な鎌で 世界中の人々の魂を刈り取る死神でもあり、 来世においては、死者の裁きを行う冥府の王でもある。 …… 地上という「畑」に於いて、人類は時代の最後に 原罪による絶滅と魂の死が義務づけられていた。 いわば“冬”の季節である。 …… しかしイエスの死による犧牲とその復活によって、 人間の魂は審判後の復活と永遠の光の時代の到来が約束されたのだという。 いわば新たな“春”の時代の到来を約束する契約である。 地母神神話の2つ目のモチーフがここに見て取れる。 …… デメテルなどの地母神神話が地上の季節の変遷を示しているのに対し、 聖書の地母神神話は植物の冬の死と春の再生に準えて、 人類の魂の死と復活を説いているのが特徴だ。 …… さて、福音という名の種を撒き終えたイエスは、 その後弟子たちの前に姿を見せたものの、再臨を約束すると、 「収穫の時」が訪れるまで、昇天して地上から消え去ってしまう。 (ある意味2度目の死であるといえる) …… 聖書の最終章である『ヨハネの黙示録』によると、 それから遥かに歳月の過ぎた終末の時代、 サタンの奸計により人々は堕落しきり、大きな戦争を繰り返す。 …… しかし混沌と絶望の中で約束通りイエスが地上に再臨する。 (ある意味2度目の復活とも言える) …… 彼はメギドの丘に於ける第一次最終戦争後、 多くの者たちが死に絶えた世界を新たに生まれ変わらせ、 光と愛と秩序に満ちたものへと再生させ、 新たな王国を築き上げるのだという。 …… あたかも北欧の地母神神話だ。 未曾有の最終戦争ラグナロックが終わり、死したるバルドルが蘇るとともに、 世界が再生される物語。 ここに地母神神話の3つの目のモチーフが見て取れるのである。 この手の地母神神話は世界中にあり、日本人の大部分が何も意識せず見ている 「ナウシカ」もまた、そのパターンを踏襲した現代の「神話」であるのだ。 (なお、クリスマスも地母神神話の一種である) ☞ クリスマスと地母神神話 ☤ ユーラシア大陸の西側、中東や欧州における地母神神話はこれまで見た通りだ。 だが、大陸を挟んだ遠い東の涯に位置する、この日本にも地母神神話が見られる。 『記紀』である。 この中には伊邪那美命と天照大御神という2柱の地母神が登場する。 …… 人間すらまだいない開闢の時代、姿を消したそれまでの神々に代わり、 神世七代の最後に現れた伊邪那岐命と、その妻伊邪那美命。 伊邪那美は豊穣と多産を司る大地の神で、夫と共に日本列島を作り出し、 更に山・海など森羅万象の神々を産んだ。 …… 伊邪那美は最後に炎の神である火之迦具土神を産み、 その際の火傷が元で死亡するが、 夫である伊邪那岐命は彼女を生き返らせるため、冥府である黄泉の国に向かう。 …… 何とか冥府下りをして伊邪那美と再会したものの、 伊邪那美は既に冥府の食物を口にしており、 生き返る事ができなくなっていた。 それどころか彼女は死を司る冥界の女王となっており、 後世「黄泉津大神」「道敷大神」などと呼ばれるようになる。 …… 伊邪那美は地上の人間を一日1000人殺す事を声を大にして宣言した。 つまり大地に稔りを齎す地母神であった彼女は その死によつて地上の多くの生命を刈り取る惡神へと変貌したわけである。 …… 対して伊邪那岐は1日1500人の生命を産む事を宣言し、地上に戻る。 彼は黄泉の穢れを祓うために禊を行っところ、 左目から太陽の神である天照大御神、右目から月の神である月讀命、 鼻から海と冥府の神となる荒神・建速須佐之男命といった三貴子が誕生する。 …… 天照大御神は植物を生育させ豊かな稔りを齎す太陽神で、かつ女神である。 これにより大地母神の死と死神化によって荒廃する事となった地上は“蘇った”。 …… なお、伊邪那岐の禊によって生まれた三兄弟は天界、海界、 黄泉の国を統べるようになったが、 この辺りはギリシア神話で、ゼウス、ポセイドン、ハデスの三兄弟が 天界、海界、冥界を統治した話に似ている。 さらにエジプト神話で、冥府に落ちた豊穣神を伴侶が蘇えらせようとした結果、 その子である右目が太陽、左目が月の太陽神・ホルスが 世界を統治したという話にもそっくりである。 ☤ 記紀にはまた別の地母神のエピソードがある。 遥かな太古の時代、天照大御神は天界である高天原を統治していた。 しかしそこへ弟の邪神でありトリックスターである 建速須佐之男命がやってきた。 彼は黄泉の国へ行くことを志向していた。 …… これに対し、弟が天界を奪いに来たものとみなした天照は、 武装し軍隊を率いて対峙した。 天照の玉からは5柱の男神が生まれ、須佐之男の剣からは3柱の男神が生まれた。 …… 天照の玉からは6柱の神が生まれたという説もあり、 つまり互いの子の比率はだいたい天照2:須佐之男1となる。 …… その後須佐之男は高天原で散々暴れまわり、甚大な被害を出した挙句 髪や髭を毟られ、手足の爪も剥がされ、天界を追放されてしまった。 …… その後彼は地上で夫婦を誑かす大蛇を討ち 黄泉の国の入口に近い場所に住んだという。 ☤ ユダヤ・キリスト教にも似たような伝説がある。 天地が創造されていなかった開闢の時代、 天界に於いて最高の能力と地位を持っていたサマエル(毒の天使の意)という天使長が その傲慢さゆえに自らが神にならんとして、天界に大戦争を起こした。 サマエルは中世ヨーロッパにおいては「光を運ぶ者」を意味する ルチフェロと呼ばれるようになり、やがてこれが転訛した ルシフェル(堕天後はルシファー)という名が人口に膾炙するようになる。 …… ルシフェルは天使の3分の1を籠絡し、 これを率いて神 (御父の子イエス) の軍勢と対峙した。 つまり互いの軍勢の比率は約イエス2:ルシフェル1となる。 その後ルシフェルの軍は天界で散々暴れまわった挙句 ミカエルに討たれ、天界を追放されてしまった。 …… ルシファーはサタンとも呼ばれ、象徴として蛇や竜としても描かれる。 天界にいられなくなったルシファーは楽園に隠れ住んだが、 人間の夫婦を誑かした罪で神によって罰され、手足をもぎ取られて 蛇のように地を這って生きねばならない呪いをかけられたという。 …… ルシファーの物語と須佐之男の物語は非常に似ている。 須佐之男は伊邪那岐から天界を受け継いだ天照の対極の存在であり、 悪神である伊邪那美に同調し、冥府に近い根の国を領地とする。 …… 『根の国』とは、北欧神話に於いては宇宙樹ユグドラシルの根にあるという、 魔神ロキの娘が治める死者の国であり、大蛇ニーズヘッドが根を齧っている。 ユダヤの『生命の樹』に於いても根の国は霊的階層の最下位に位置する領域である。 根の国は悪霊の住まいであり、その王であるサタンの領地である。 …… 神道は原始的な多神教を基盤に持つ宗教で、 一神教に見られる、いわゆる 『悪魔』 と呼ばれる存在はいない。 しかし最もそれに近い存在と言えばこの須佐之男だろう。 …… その悪神と英雄、二つの顔を持つ性格は、同じく多神教であるインド神話の、 最高神であるブラフマーに叛き、首の3分の1(4 2)を手にしたエピソードを持つ、 トリックスターでありシヴァ神にもよく似ている。 ☤ 記紀の話を続けよう。 地母神の神話は死したる神の復活とともに 大地が稔りを取り戻す話であるが、 記紀に於いても、同じエピソードが見られる。 …… 須佐之男が天界で暴れている間、 天照は機織りの神殿に籠もっていた。 そこへ須佐之男が皮を剥いだ駒を投げ込み、 驚いた機織女の一人がオサ(機織りの道具)で 陰部を突いて死んでしまう。 …… それを見ていた天照は須佐之男を畏れ、 天の磐屋の中に隠れてしまった。 太陽神が消え去った事で世界は闇に覆われ 怨念のような声が満ち、多くの災いが起こったという。 …… あたかも、悪紙によってペルセフォネが突然冥界に消え それを女神デメテルが嘆き悲んだ結果、大地が稔りを結ばず 荒廃したという、ギリシア神話のような話である。 …… 似たような話は箸墓古墳の主であるとも言われる 倭迹迹日百襲媛命(やまとととひももそひめのみこと)にも見られる。 巫女である彼女は大物主神 (須佐之男の息子)と 結婚したが、夫の正体が蛇であると知ると、 驚きのあまり陰部を突いて死んでしまったという話だ。 …… いずれにせよ、須佐之男(蛇)本人かその眷属によって 高貴な神職の女が死んでしまうという点は同じである。 そしてこの時死んだ機織女は、日本書紀では稚日女尊 (わかひるめのみこと)=太陽神の巫女となっているが、 実は天照本人であるらしい。 …… 昔から高貴な身分の方が死ぬ事を「お隠れになる」という。 天照が磐戸に隠れたとは彼女が須佐之男によって殺され、 岩穴に葬られた事の暗喩なのである。 ☤ さて、記紀に於いては天照の死により世界が暗黒に包まれてしまった。 これを嘆き悲しんだ神々は、何とかして天照を磐戸から出そうと── 死の国から生き返らせようとした。 …… 多くの神々が集まって見守る中、 常世国の長鳴鳥というニワトリを集めて鳴かせ、 墓穴の前で天細女命(アメノウズメノミコト)に裸踊りをさせた。 …… 怪訝に思った天照が墓穴の中から磐戸を僅かに空けて外を覗いたところ、 ウズメは言った。 「貴方に増して尊い神がいらっしゃる。それで皆が笑っているのだ」と。 すかさず天太玉命(あめのふとだまのみこと)が木に架けられた鏡を差し出した。 …… いったい誰の事かと天照が鏡を覗き込んだところ、 そこに映し出されているのは自身の顔だった。 その隙に天手力男神 (アメノタヂカラオ) が磐戸を開いて 天照を墓穴から引きずり出し、世界に光が取り戻されたという。 ☤ この話は先に述べた、聖書に隠された地母神神話とソックリである。 まず蛇であるサタンの奸計によりイエスは捕らえられる。 …… イエスは聖書において「義の太陽」とも称される太陽神であるが 鶏が3度鳴いた後に、彼は多くの人々が見守る中、磔刑に処される。 彼が事切れた際に天地が暗黒に包まれ、死霊が蘇って跳梁跋扈したという。 …… その後彼は巨大な岩で蓋をした洞窟に葬られる。 聖日明けに娼婦であるマグダラのマリアがイエスの墓穴を訪ねたところ、 2人の天使が墓穴を塞ぐ大岩を開けていた。 後にマリアは永遠の命を得た復活したイエスと出会い、 弟子たちはイエスの復活を大いに喜んだ。 …… 『記紀』に於いて磐戸の前で淫らな踊りを踊った神の名はウズメ。 「ウズの女」をさす名である。 聖書において岩の墓穴に向かったマグダラのマリアは、娼婦であり、 イシュ(アラム語でイエスの事)のオンナであった。 …… イエスの死の前に鶏が3度も鳴いたが、同様に記紀でも 天照大の墓穴の前で鶏が何度も鳴いている。 …… イエスの墓穴をこじ空けたのは2人の天使であったが、 天照の磐戸をこじ空けたのも、天照の臣下である2柱の神である。 …… 天照は木に架けられた鏡に自らの顔を映した。 臣下たちは鏡に映ったそれを「この世で最も尊い神」だと崇拝した。 …… 鏡とは日輪=太陽神の象徴でもあり、それが木に架けられたというのは イエス自身が木に架けられた (磔刑に処された)事のメタファーである。 記紀の神々(=天照の信徒たち)は、磐戸の外側で 磔刑のイエスを拝んでいたのである。 ☤ また、鏡に映された存在は左右が反転して映る。 人々は本物の天照とは別にそれを拝んでいた。 …… 本来男神であり、姿を隠した託宣神である天照大御神が、 その巫女であり、表に出て言葉を伝える大日孁貴と習合され 女神として描かれているのは、この左右反転の暗号による。 性別を反転させると男が女になり、従属を反転させると 主神が隠れて代弁者の巫女が神そのものになるからだ。 …… 天照が磐戸に隠れた(葬られた)後に地上は暗黒に包まれた。 太陽が出ていなければ草木は育たず、永遠に稔りを結ばぬままであった。 しかしそうした不毛の時期にありながら、死したる女神が復活し、 大地は再び稔りを取り戻した。 天照大御神の岩戸隠れの伝説とは、長い長いシルクロードを渡り 形を変えて伝わった地母神神話なのである。 …… 天照大御神の正体とは、ユーラシア大陸の 西の涯に於いて祭られていた蛇の化身である託宣神アポロンであり、 さらにいえば一度死して蘇った絶対神イエス・キリストである。 …… それは『古事記』『日本書紀』という書物が、よく調べれば解る通り 天地創造から天皇家の家系図に至るまで、 各所が聖書と対応して作られており、同じ記述が多々見られる事からもわかる。 …… 大秦国(ローマ帝国)からシルクロードを通じて中国に伝わった、 ネストリウス派以前の原始キリスト教やギリシア神話。 それを携わって日本に渡来した、秦氏と呼ばれる集団が 記紀の編纂に深く携わっている。 …… 彼らの手によって、様々な神話と歴史が渾淆されて 作り出された書物か『古事記』なのである。 ☤ なお、地母神とは、豊かな恵みを齎すと同時に、 その多くが戦争と死を司る女神でもある。 …… 地母神とされたイシュタル、イナンナ、パラス・アテナ、ミネルヴァ、 ディアナ、伊邪那美、果ては“死神”イエス・キリスト。 ナウシカという作品にも、こうした戦争を司る女が登場する。 トルメキアの第三王女にして、稀代の軍人であるクシャナである。 …… クシャナは当初ナウシカの敵として登場し、対立するが、 次第にナウシカの思想とカリスマに惹かれていき、 彼女を認め、共同戦線を張る。 しまいには土鬼の墓所での騒動を経て、ナウシカを 新たな王とすら認めたきらいさえある。 …… 王位継承者である三双王子は1人が戦死、2人が行方不明になってしまい、 父であるヴ王も臨終の際に彼女に王位を譲る事を宣言している。 そうした女王になれる身でありながら、クシャナはトルメキアの 王位には即かず、生涯代王に留まった。 心の中に、すでに主君と言える存在を持っているというのである。 …… これは彼女が、一神教の象徴でもある墓所の主が潰えた後、 ナウシカ教こと地母神信仰に染まった事を意味しているものと思われる。 …… 地母神は古来より死と破壊、慈悲と豊穣の双つの顔を持っていた。 慈悲と豊穣の顔がナウシカであるのなら、 彼女は死と破壊の顔である。 それを示すように、クシャナ (Cusiana) という名は ナウシカ (Nausicaa)のアナグラムであり、同一の要素から構成されている。 二人は同一の存在の別の顔でもあるのだ。 ☤ 古代世界を支配していた地母神信仰。 しかしある時期強力な一神教が誕生し、旧宗教を排除していった。 …… それにより地母神信仰の時代である古代は終わりを告げるが、 地母神の神話の流れを汲む物語は、その後も脈々と生み出された。 広義では「花咲か爺さん」や「白雪姫」もこの類に入る。 …… そして現在の日本に於いて最大の知名度と人気を誇る 新時代の地母神神話── それこそが『風の谷のナウシカ』であるのだ。 …… ナウシカをはじめとするジブリ映画とは、表向きは娯楽作品であるのだが その実復興異教主義者(Neo-Paganism)であろう宮崎駿を“教祖”として、 日本中の児童にスプリンクラー式に幼少からその思想を植え付けるための、 布教映画でもあるのである。 ☞ナウシカ編その④ 父なる神と母なる神の対決 (作成中) ☞ジブリ考察その⑤ ラピュタ&ポニョ編……………… ───────────────────────────────────── Amazon: 風の谷のナウシカ 全7巻箱入りセット「トルメキア戦役バージョン」 風の谷のナウシカ全7巻セット ―アニメージュコミックスワイド判 (アニメージュコミックスワイド版) 宮崎駿マンガ論―『風の谷のナウシカ』精読 ユリイカ1997年8月臨時増刊号 総特集=宮崎駿の世界 映画 風の谷のナウシカ GUIDEBOOK 復刻版(ロマンアルバム) END
https://w.atwiki.jp/h_session/pages/8215.html
【コンセンサス】×、△、○、◎で記入をお願いします。()内はPCコンセンサスとなります。 [純愛]○(○) [妊娠]△(△) [強姦]○(△) [寝取られ]△(○) [同性愛]◎(○) [異性愛]○(○) [異種姦]○(○) [獣姦]×(○) [尿意]○(○) [便意]×(×) [SM]○(◯) [グロ]×(○) 【特筆欄】 思いっきり痛いのはダメ。 【ガープス・魔物娘図鑑キャラクターシート】 キャラクター名 トリシャ・ホーキング/Tricia Hawking プレイヤー名 めがねまん 種族 ダンピール 性別 女性 実年齢 95 外見年齢 19 出身地 どこかの魔界 使用合計CP 653/659 容貌 可憐 異種への感情 友好 【能力値】 能力 数値 CP 体力 12 20 敏捷 16 80 知力 15 60 生命 12 20 合計 180 【HP・疲労点】 HP 80 疲労点 10 【移動力】 基本移動力 (16+12)/4=7 修正 1.125 合計 8.125 【荷重】 無荷 軽荷 並荷 重荷 超重荷 10 20 30 60 100 【基本戦闘力】 《基本殺傷力》 突き 1D-1 振り 1D+2 《基本能動防御》 避け 10 受け 12 止め - 【武器と装備】 名称 攻撃 致傷力 射程 受け LV 詳細 武器の手 切り 1D+27 C~2 12 20 武器の手 刺し 1D+24 C~2 12 20 【防御判定系】 防具名称 能動 受動 防御判定 ドッジ 避け 3 13 武器の手 受け 3 15 【防護点】 妖力 何にでも 5 【特徴や癖、及び妖力】 名称 CP 参照 備考 《必須の特徴》 魔王の加護 30 容姿/可憐 15 人間への感情/友好 -20 《魔物娘セット》 特殊な背景/魔物である 20 長命 5 B92 敵/主神(稀) -10 名声/反応修正-3 -7.5 主神の信者/大集団/必ず気づく 《ダンピール種セット》 退魔の力 18 Lv1 《個別の特徴》 意思の強さ 10 B98 Lv3 限定-10%(性的な判定に無効) 我慢強さ 10 B102 好色 -15 B111 義務感 -5 B139 仲間や親友 義務感 -5 B139 魔物によって不当に扱われる人間 追加HP 34 Y119 68点 受動防御 75 Y138 3点 防護点(なんでも) 20 Y142 5点 闇視 25 Y148 武器の手/分離型 92 Y160 Lv24 限定0%(両手持ち) 超反射神経 60 Y174 神聖に弱い -15 Y182 レベル3 音波振動に弱い -30 Y182 レベル3 科学に弱い -30 Y182 レベル3 人間変身 15 Y 限定-50%(変身に時間がかかるLv5) 視覚鋭敏 6 レベル3 海獣ライド 15 (後述) 《癖》 素直になれない人を応援したがる -1 開放的 -1 エッチが好き -1 身体を動かすのが好き -1 公衆の場でのセクハラに弱い -1 紅茶中毒 -1 性的に流されやすい -1 《総計》 +CP 450 -CP -144.5 (内必須・癖の-CPは-44.5) 合計CP 305.5 ☆海獣ライド(妖力) 海獣をどこからともなく呼び出し乗りこなす能力。 海獣は[[ライダー]]との信頼と絆の力により、成長していくという。 この妖力は水中のみ発動できる。この妖力を使用しているとき、そのキャラクターには部位:海獣が追加される。 部位:海獣は命中修正+1、HPの半分のダメージを受けると治療するまで使用不可となる。 この妖力を使用しているとき、水中行動、高速泳法Lv1を取得しているものとして扱い、息を止めていられる時間が20分となる。 また、海獣ライド時のみの限定を-30%の限定と この限定は水中での活動に関するものと、角、牙にのみ使用できる。 【妖術、呪文】 名称 Lv 威力 CP PG 肉体・精神 備考 《魔物娘セット》 性吸収 8 1 3.5 精神(生命) 《妖術》 金縛り 15 10 104 Y257 肉体 CP増減±0%(瞬間+20% 射程短縮-10% 全力のみ-10%) 【シーリング・レイ】剣先から閃光が迸り、身体の動きを封じる術 《総計》 合計CP 107.5 【技能】 名称 Lv CP PG 肉体精神/易並至難 《魔物娘セット》 性的魅力 11 1 B220 精神/並(生命) 《個別の技能》 獣医 12 0.5 B163 精神/難 歌唱 11 0.5 B166 肉体/易(生命) 軽業 13 0.5 B169 肉体/難 呼吸法 12 0.5 B170 肉体/至難 水泳 15 0.5 B170 肉体/易 ランニング 9 0.5 B173 肉体/難(生命) 弩 16 1 B173 肉体/易 準備/弩 17 0.5 B178 肉体/易 準備/武器の手 17 0.5 B178 肉体/易 準備/剣 17 0.5 B178 肉体/易 フェンシング 16 2 B181 肉体/並 医師 12 0.5 B196 精神/難 応急処置 14 0.5 B196 精神/易 追跡 13 0.5 B200 精神/並 動植物知識 12 0.5 B201 精神/難 登攀 14 0.5 B201 肉体/並 採掘 13 0.5 B209 精神/並 神秘学 13 0.5 B211 精神/並 言いくるめ 13 0.5 B215 精神/並 演技 13 0.5 B216 精神/並 外交 12 0.5 B217 精神/難 社交 10 0.5 B218 肉体/並(生命) 礼儀作法 14 0.5 B223 精神/易 嘘発見 12 0.5 B225 精神/難 交渉 13 0.5 B227 精神/並 忍び 15 1 B227 肉体/並 探索 15 1 B229 精神/易 尾行 13 0.5 B232 精神/並 罠 14 1 B233 精神/並 武器の手 20 24 Y160 肉体/並 歌唱 11 0.5 肉体/易(生命) 軽業 13 0.5 肉体/難 生存/森 13 0.5 B199 精神/並 生存/山岳 13 0.5 B199 精神/並 生存/島・海岸 13 0.5 B199 精神/並 地域知識/魔界都市 14 0.5 B221 精神/易 《総計》 合計CP 45 【所持品】 名称 重量 説明 手袋 マジックアイテム化(後述) 黒焔の剣 (後述) リュックサック 1.5 20kgまで 必需品セット 軽い 小型ナイフ 0.5 水袋 軽い 4リットルまで 小袋 軽い 1.5kgまで 防寒着 メルティ・ラヴ×3 軽い ストイック・ラヴ×3 軽い サイレント・ラヴ×3 軽い 携帯食糧×45 0.2×n 2G 高級携帯食料 100Gもする。美味い 女体化薬×4 搾精器官薬×4 イルカの首飾り ショタにプレゼントされた 高級デザートチケット×4 100G相当 命の神の聖遺物(髪) なんだっけこれ? 帽子の羽飾り 魔化アイテム(韋駄天1、充電1 750エネルギー) 合計 2.0 ☆手袋 トリシャと溶け合った手袋、その手袋は感触を遮ることはなく、体温を直に伝える。 手袋をしている時、手先を使った作業の敏捷力判定に+3のボーナスを得る。 こういった行為に限り、技能なし値を計算する時は敏捷力を最低でも12と見なすことができる。 また、この手袋をしている時に限り、薬品を細剣を通して注入することができる。 この効果を使用するためには事前に手袋に薬品を吸わせる必要がある。この行為には3分が掛かり、触れているだけで効果がある薬 品の場合はその薬品の効果をトリシャも受ける。(10分間手を浸け続けることができればこの効果の使用は可能) トリシャの武器の手を通じて行われる攻撃で相手にHPダメージを与えた場合、相手にその薬品を呑ませたと見なすことができる。 また、相手がこの効果を受け入れる場合はHPダメージは必要ない。 CP15点換算。 ☆黒焔の剣・改 武器の手をオフにし、この剣を装備した状態で武器の手を発動すると、黒炎の剣の[[データ]]が武器の手のデータになり、以下の能力が追加される。本来の武器の手は出てこない。 <相手の受動防御と防護点を2点無視する><武器の手によるダメージが+3される。これによって限界を超えてもよい> <武器の手によるダメージに熱属性を追加で与え、更に防護点を貫通した場合、4点の熱による追加ダメージを与える。この効果はオフにしてもいい> 【所持金】 13308G 【名誉点・コネクション】 名称 名誉点 備考 残名誉点 1276 最前線の村長ザルツ 200 コネ・顔見知り エイギスの自警団長 100 コネ・顔見知り 自警団の朴念仁メレイン 10 コネ・顔見知り <黄泉帰り> 50 特殊称号 《総計》 1586点 + 【キャラ設定】 身長168、3サイズが92/59/88、緑色の髪をポニーテールに纏めた女の子。 のんびりヴァンパイアを狩りつつ旅をしていたが、たまには腰を落ち着けてみようと冒険者になる事にした。 素直な気持ちで、アタックアタック! その後ダンジョンで触手に捕まりバストが108cmまで増えたり、アルスの嫁になったりしたけど元気でやってます。 + 【セッション履歴】 ●2012/10/2 【機械の竜】 GM タツノオト メンバー 鎬(司書)フォウミ(クロ)トリシャ(メガネマン) 取得CP 6 報酬 一人2000G ●まとめ 2012/10/28 【人間牧場】 GM 龍の音 メンバー:トリシャ(メガネマン)ベスパ(西)フィアンマ(クロ)雪花(司書) 取得CP:7 報酬:1500G ●まとめ 2012/11/5 【魔宝石とワームの巣】 GM 龍の音 メンバー イルム(九尾)レイ(ジュネ)トリシャ(メガネマン)フォウミ(クロ)レチュリー(西) 取得CP 6 報酬:一人1900G(加工代引いてあります)+魔界銀とミスリルの混合物の鉱脈の情報 ●まとめ 2012/11/14 【触手の森に行ったらいつの間にかインキュバスになっていた】 GM 龍の音 メンバー トリシャ(メガネマン) 取得CP 7 報酬 1000G+【魔界ハーブ:メルティ・ラヴ、ストイック・ラヴ、サイレント・ラヴ】各3つ ●まとめ 2012/12/29 【冬山のトランスジェンダー】 GM 龍の音 メンバー トリミー(みつき)トリシャ(メガネマン)アレイヤ(ジュネ) 取得CP 6 報酬 各1000G 各自●女体化薬(300G)4つ ●搾精器官薬(200G)4つ(合計2000G)購入 取得名声:50 ★オリジナルアイテム:女体化薬 概要:小瓶に入った赤い薬 売値:マーケットが秘匿されていて売れない 重量:軽い 男性のみに効果がある、男性を美少女化させる。変質したサキュバスの魔力を使っているため、アルプとなった姿に近くなる。 美少女化している男性の膣に後述する搾精器官を挿入することで精を吸収することができる。効果時間は半日。 効果時間中に搾精器官を使用して仕掛けられた相手の精吸収の威力レベルを+1換算する。 ★オリジナルアイテム:搾精器官薬 概要:小瓶に入った青い薬 売値:マーケットが秘匿されていて売れない 重量:軽い 男性、女性、魔物を問わずに効果がある。飲むとペニス状の搾精器官を股間に相当する場所に生やす。効果は半日。 この搾精器官を膣に挿入することによって相手の精を吸収する。 上記の女体化薬を使用した男性に挿入することで濃厚な精を摂取できる。 普通の人間女性に挿入すると体内の精が一気に吸収されることで魔物化が急激に進む。 魔物に挿入しても何の効果も得られないが、相手の中に出された精を吸収前なら奪い取ることができる。 ●まとめ 2012/12/31 【魔王の年越し料理】 GM 龍の音 メンバー フォルス(西)ラピスラズリ(ジュネ)鎬(司書)トリシャ(メガネマン) 取得CP 6 報酬 2500G 名声 70点 ●森のせっしょういし PL :トリシャ・ミズチ・アリス・トリミー GM :SIX CP :6 報酬 :1000G 名誉 :60 その他: トリシャ:キス魔(責)+1/くすぐり中毒(受)+2 ●まとめ 2013/1/28 【黒い子猫の大冒険】 GM 龍の音 メンバー:トリシャ(メガネマン) 取得CP 6 報酬 1000G+イルカの首飾り 取得名誉点 50点 ●まとめ 2013/3/6 【スローリムの巨大蟻】 GM 龍の音 メンバー トリシャ(メガネマン) 取得CP 6 報酬 2000G+ホルスタウロスのミルク 取得名誉点 50点 ●2013/03/06 もりのせいじょうか GM:clo 参加者:ユーディット(clo) エイス(みつき) トリシャ(めがねまん) 獲得CP:6点 報酬:1550G 名誉点:60 ●まとめ 2013/3/30 【洞窟の残党掃討】 GM 龍の音 メンバー ユキ(みつき)鎬(司書)フォウミ(クロ)トリシャ(メガネマン) 取得CP 6 報酬 一人3500G 名誉点 一人70点(軍の依頼による) ●2012/06/16 【黒い悪魔祓い】 GM:clo 参加者:アザリー(ゆうやん)、トリシャ(めがねまん) 獲得CP:6点 報酬:1000G+高級デザートチケット(100G相当)4枚 名誉点:100点 ●2012/07/06 【中古品の塔】 GM:clo 参加者:ミスティ(SIX)、イム(龍の音)、トリシャ(めがねまん) 獲得CP:6点 報酬:2000G 名誉点:50点 ●まとめ 2012/11/5 【魔宝石とワームの巣】 GM 龍の音 メンバー イルム(九尾)レイ(ジュネ)トリシャ(メガネマン)フォウミ(クロ)レチュリー(西) 取得CP 6 報酬:一人1900G(加工代引いてあります)+魔界銀とミスリルの混合物の鉱脈の情報 ●2014/01/23 【ユメのカケラ】 GM:clo 参加者:鎬(司書)、トリシャ(めがねまん) 獲得CP:12点 報酬:0G+【命の神の聖遺物(髪)】(二人分) 名誉点:50点 ●まとめ 2014/10/08 【羞恥の波動】 GM 龍の音 メンバー トリシャ(メガネマン) 取得CP 12 取得名誉点 50点 報酬 1500G ●2014/10/17 【とある仙人と剣士の一幕】 GM:clo 参加者:ヴェルトレット(ゆうやん)、みずち(龍の音)、レイ(じゅね)、トリシャ(めがねまん) 獲得CP:12点 報酬:一人250G 名誉点:50点 ●まとめ 2014/10/18 【神域】 GM:龍の音 メンバー:フォウミ(クロ)ソール(九尾)トリシャ(メガネマン)ササラ(マヤ)鎬(司書)ミスティ(SIX) 取得CP 15(ただし全てマジックアイテム化、総CPには加算してください) 取得名誉点:100 報酬:後日詳細 トリシャ 手袋 トリシャと溶け合った手袋、その手袋は感触を遮ることはなく、体温を直に伝える。 手袋をしている時、手先を使った作業の敏捷力判定に+3のボーナスを得る。 こういった行為に限り、技能なし値を計算する時は敏捷力を最低でも12と見なすことができる。 また、この手袋をしている時に限り、薬品を細剣を通して注入することができる。 この効果を使用するためには事前に手袋に薬品を吸わせる必要がある。この行為には3分が掛かり、触れているだけで効果がある薬品の場合はその薬品の効果をトリシャも受ける。(10分間手を浸け続けることができればこの効果の使用は可能) トリシャの武器の手を通じて行われる攻撃で相手にHPダメージを与えた場合、相手にその薬品を呑ませたと見なすことができる。 また、相手がこの効果を受け入れる場合はHPダメージは必要ない。 ●2015/06/06 【悪魔の棲む塔―下層階】 GM:clo 参加者:ロメリア(龍の音)、イルム(きゅうび)、トリシャ(めがねまん) 獲得CP:12点 報酬:250G+【★モートランのガラスの破片】 名誉点:0点 ■名称:モートランのガラスの破片 ▼外見:古いガラス製の鏡の欠片。その表面は、墨を流したように闇だけを映し出している。 ◇解説:これは、彼方の領域と関連のある遺跡から発掘された鏡の欠片であり、現実と悪夢を繋ぐ裂け目の様に視界の隅でゆらゆらとその輪郭は揺れ動く。 ▼データ: ≪悪夢の雫≫ このアイテムを通じて<誘眠>の妖術を使った場合、その術は自動的に変化属性を獲得し、対象は変化属性の効果を直視したのと同様に恐怖判定を+5修正で行わなければならない。 同一の対象には1日1回限り有効なのは変わらない。 ≪幻想境界≫ 破片を保有していると、眠っていない相手の深層心理に対して<ドリームワールド>を発動し、<集合的無意識の領域>に直接アクセスを行う事が可能となる。 この力を用いれば、他に誰もおらずとも自分自身の精神を媒介に<集合的無意識の領域>へ入り込む事も可能である。 逆に<集合的無意識の領域>に住まうものはこの破片に惹きつけられる。このことは地上界で持ち主にちょっとしたトラブルを引き起こすかもしれない。 ▽市場取引価格:15000G(取引不可)、軽い ●2015/06/04 【悪魔の棲む塔―中層階】 GM:clo 参加者:ロメリア(龍の音)、トリシャ(めがねまん) 獲得CP:12点 報酬:0G+★黒焔の剣(売却価格17500G) 名誉点:0点 ■名称:黒焔の剣 ▼外見:漆黒の金属で作られた、2m程度の長さの剣 ◇解説:古代の妖魔たちが住まう砦にて、地獄の業火によって鍛えられた刃。その刀身はいかな熱によっても傷つかず、吹き上がる黒い炎は触れる物を全てを焼き焦がす。 ▼データ: ≪暗き炎≫ 武器の手をオフにし、この剣を装備した状態で武器の手を発動すると、黒炎の剣のデータが武器の手のデータになり、以下の能力が追加される。本来の武器の手は出てこない。 <相手の受動防御と防護点を2点無視する><武器の手によるダメージに熱属性を与え、更に防護点を貫通した場合、2点の熱による追加ダメージを与える> ▽市場取引価格:35000G、2㎏ ●2015/04/17 【茸工房運営中】 GM:clo 参加者:クリス(ベル) トリシャ(めがねまん) 虎之助(ゆうやん) 獲得CP:12点 報酬:0G+<魔力>の霊薬と<背徳>の霊薬一人1本ずつ 名誉点:50点 『魔力』 塗薬 目標は1D+1時間の間、「魔法の素質」が+1レベルされます(素質が無くても1レベルになるので、マナが「並」でも呪文が使えるようになります)。この効果で魔法の素質のレベルを3を超えて伸ばす事も可能です。 但し、目標は常に体を駆け巡る、本来の身の丈に合わない過剰な魔力の影響で発情状態になります。性欲過多があるならば、持続時間中は常時発動したままになります。また、理性的でない誘惑に対しての抵抗には 更に-3のペナルティを受けます。 売却価格:1400G 『背徳』 全ての形態(今回は塗薬として配布) 『魔力』の霊薬の副作用のみを抽出し、濃縮した霊薬です。目標は1D時間(煙薬なら1D分間)の間、理性的でない誘惑を行う際に技能に+3、抵抗する際に意思に-3の修正を受けます。 情報伝達系呪文や精神操作系呪文への抵抗にも-3されます。性欲過多があるならば、持続時間中は常時発動したままになります。この霊薬は4服まで同時に使用できます。 売却価格:600G ●2015/06/10 【辻斬り日和】 GM:clo 参加者:トリシャ(めがねまん) 虎之助(ゆうやん) 獲得CP:12点 報酬:2500G 名誉点:30点 ●2016/06/21【片割れは封じられていた】 GM Librarian 参加者 フォウミ(clo)、ジーン(west_117)、トリシャ(meganeman)、アレイヤ(june)、常磐(bell) 獲得CP 12点 報酬:一人0G 名誉点 "深海の巨人"撃破(+100),50 ●2016/11/27 【温泉都市の怪異】 GM:clo 参加者:虎之助(ゆうやん) トリシャ(めがねまん) 獲得CP:12点 報酬:2000G+温泉都市の温泉フリーパス(1年分) 名誉点:50点 ●まとめ 2016/12/13 【海獣ライド!】 GM tatunooto メンバー:トリシャ(メガネマン) 取得CP:15 取得名声:0 報酬:-5000G(受講料) 〇海獣ライド(妖力) 取得CP 15 海獣をどこからともなく呼び出し乗りこなす能力。 海獣はライダーとの信頼と絆の力により、成長していくという。 この妖力は水中のみ発動できる。この妖力を使用しているとき、そのキャラクターには部位:海獣が追加される。 部位:海獣は命中修正+1、HPの半分のダメージを受けると治療するまで使用不可となる。 この妖力を使用しているとき、水中行動、高速泳法Lv1を取得しているものとして扱い、息を止めていられる時間が20分となる。 また、海獣ライド時のみの限定を-30%の限定と この限定は水中での活動に関するものと、角、牙にのみ使用できる。 ●まとめ 2017/01/04 【酉の少女】 GM 龍の音 メンバー:トリシャ(メガネマン) 取得CP 12 取得名声 50 報酬 1000G ●2017/01/08 【魔薬の行方】 GM:clo 参加者:ノア(西) トリシャ(めがねまん) 獲得CP:12点 報酬:2000G 名誉点:50点 ●2017/01/23 【鉱山に潜むもの】 GM:clo 参加者:みずち(龍の音) トリシャ(めがねまん) 獲得CP:12点 報酬:6000G 名誉点:50点 ●まとめ 2017/03/10 【乳神ホルスタウロス】 GM 龍の音 メンバー クリス(ベル)トリシャ(めがねまん) 取得CP 13 取得名声 0 報酬 なし ●まとめ 2017/03/13 【箱の中身】 GM tatunooto メンバー トリシャ(メガネマン)アリス(くろ) 取得CP 12 取得名声 30 報酬:なし アリス 産卵経験+1【尿道鋭敏Lv1】【母体紋Lv1】【異種産卵Lv1】 トリシャ 産卵経験+1【クリトリス鋭敏Lv1】【クリトリス肥大化Lv1】【母体紋Lv1】【異種産卵Lv1】 ●2017/05/26 【冥府下り】 GM:clo 参加者:鎬(司書) 虎之助(ゆうやん) イム(龍の音) ノア(にし) トリシャ(めがねまん) 獲得CP:12点 報酬:0G 名誉点:50点+特殊称号<黄泉帰り(50点)> ●2017/05/28 【狩人の追撃】 GM:clo 参加者:鎬(司書) 虎之助(ゆうやん) ノア(にし) トリシャ(めがねまん) 獲得CP:12点 報酬:0G+★劫火の竜王の鱗(ノア)+★黒焔の剣強化(トリシャ)+★宇宙卵(虎之助) 名誉点:50点 ★黒焔の剣・改 ▼効果: 武器の手をオフにし、この剣を装備した状態で武器の手を発動すると、黒炎の剣のデータが武器の手のデータになり、以下の能力が追加される。本来の武器の手は出てこない。 <相手の受動防御と防護点を2点無視する><武器の手によるダメージが+3される。これによって限界を超えてもよい> <武器の手によるダメージに熱属性を追加で与え、更に防護点を貫通した場合、4点の熱による追加ダメージを与える。この効果はオフにしてもいい>
https://w.atwiki.jp/asamikuchisaki/pages/35.html
こうきゅう 全文字数 ひらがな 表記 うきゆ+必要文字 うきゆ+必要文字数 意味 6 こうりゅうき 項劉記 り 1 光栄の発売した歴史シミュレーションゲーム。☆ 7 こうきゅうほう 恒久法 ほ 1 有効期間が指定されていない法律。 こうせいきゅう 高青邱 せい 2 中国元末明初の詩人、高啓の号。☆ ごうそっきゅう 豪速球 そつ 2 スピードの早い投球。 8 こうきゅうはまき 高級葉巻 はま 2 「口先番長」に登場するアイテム。 こうしゅうきゅう 広州級駆逐艦 し 1 中国人民解放軍海軍のミサイル駆逐艦の艦級。 10 こーひーぎゅうにゅう コーヒー牛乳 ひに 2 牛乳にコーヒーや砂糖で味付けした飲料。 こうきょう 全文字数 ひらがな 表記 きよう+必要文字 きよう+必要文字数 意味 6 こうぎょうか 工業化 か 1 産業構造において第一次産業から第二次産業に転換すること。 こうきょうし 交響詩 し 1 標題音楽の一種。→こうきょうじぎょう こうきょうそ 高教組 そ 1 日本高等学校教職員組合の略称。☆ こうぎょうち 工業地 ち 1 工業活動に使われる土地。 こうりょうき 黄竜旗 り 1 中国清朝の国旗。☆ 6 こうしょうき 孔祥熙 し 1 中華民国の財政家。☆→こうきょうじぎょう こせんきょう 跨線橋 せ 1 鉄道線路の上を横切って架けた橋。☆ 7 こうきょうさい 公共債 さい 2 国や地方自治体などが発行する債権。☆ こうきょうせい 公共性 せい 2 広く社会一般に関わる性質。 こうぎょうほう 鉱業法 ほ 1 鉱業に関する法律。1950年制定。 こうぎょうぼき 工業簿記 ほ 1 簿記の一種。 * こうとうきょう 喉頭鏡 と 1 喉頭部観察のための器具。 8 こうぎょうきかく 工業規格 かく 2 工業製品の品質などを保証するために定めた基準。 こうきょうきょく 交響曲 く 1 主に管弦楽によって演奏される大規模な楽曲。 9 こうきょうじぎょう 公共事業 し 1 政府や地方団体が提供する事業。 こうきょうほうそう 公共放送 ほそ 2 営利を目的としない放送。 こうぎょうようすい 工業用水 すい 2 工業の過程で使用される水。 こうしゅう 全文字数 ひらがな 表記 うしゆ+必要文字 うしゆ+必要文字数 意味 6 こうしゅうし 広州市 - 0 中国広東省の省都。→こうしゅうしゅう こうしゅうじ 興宗寺 - 0 福井県福井市にある浄土真宗本願寺派の寺院。→こうしゅうしゅう こうじゅうじ 紅十字 - 0 ☆中国の赤十字社。→こうしゅうしゅう 7 こうしゅうかい 講習会 かい 2 学問や技芸などを学ぶ会。 こうしゅうせい 光周性 せい 2 昼と夜の長さに応じて生物が示す性質。☆ 8 こうしゅうきゅう 広州級 き 1 中国人民解放軍海軍のミサイル駆逐艦。 こうしゅうしゅう 洪州宗 - 0 唐代の禅宗の一派。 こうしゅうでんわ 公衆電話 てわ 2 町中や施設に設置され、不特定多数が利用できる電話。 こうしゅうにゅう 高収入 に 1 収入が高いこと。 こうしゅうりゅう 甲州流 り 1 軍学の一派。武田家の軍学を元に作られた。☆ 9 こうしゅうじんじゃ 光州神社 や 1 韓国光州市にあった神社。 こんじゅほうしょう 紺綬褒章 ほよ 2 公益のために多額の私財を寄付した人に与えられる褒章。 こうしょう 全文字数 ひらがな 表記 うしよ+必要文字 うしよ+必要文字数 意味 6 こうしょうき 孔祥熙 き 1 中華民国の財政家。☆→こうきょうじぎょう こうしょうじ 興正寺 - 0 京都府下京区にある浄土真宗の寺院。→こんしょうじ こうじょうじ 高丈二 - 0 日本の声楽家。☆→こんしょうじ こんしょうじ 金勝寺 - 0 滋賀県栗東市にある天台宗の寺院。 7 こうしょうかい 恒昭会 かい 2 大阪府茨木市の医療法人。☆ こうしょうがく 考証学 かく 2 中国清代の学問。 こうじょうしょ 口上書 - 0 相手に対する意向を伝える外交文書。→こんしょうじ こうじょうとう 攻城塔 と 1 城攻めに用いられる移動式やぐら。☆ こうじょうほう 工場法 ほ 1 工場労働者の保護を目的とした法律。 こうしんりょう 香辛料 り 1 植物の実などから得られる調味料。 8 こうじょうちょう 工場長 ち 1 工場の最高責任者。 9 こうきょうじぎょう 公共事業 き 1 政府や地方団体が提供する事業。 こうしょうてんのう 孝昭天皇 ての 2 第5代天皇。 こつそしょうしょう 骨粗鬆症 つそ 2 骨に小さな穴がいくつも開く症状。 こんじゅほうしょう 紺綬褒章 ゆほ 2 公益のために多額の私財を寄付した人に与えられる褒章。 10 こうじょういいんかい 向上委員会 いか 2 何かを向上させることを目的とした委員会。 こうじょうげんしょう 恒常現象 け 1 感覚器の刺激と知覚上の性質が異なること。たとえば、遠くにいる人を見ても同じ大きさと認識できること。 こうとうしけんじょう 江東試験場 とけ 2 東京都江東区にある運転免許試験場。江東運転免許試験場。 こしょうしょうしょう 故障少将 - 0 日本の同人作家。→こんしょうじ こうそう/こうぞう 全文字数 ひらがな 表記 そう+必要文字 そう+必要文字数 意味 5 こうそうえ 康僧会 え 1 中国・三国時代の僧。☆ こうぞうか 構造家 か 1 デザイン性を重視する建築構造エンジニア。 こうそうぎ 黄宗義 き 1 中国明末、清初の儒学者。☆ こうそうじ 高倉寺 し 1 埼玉県入間市にある曹洞宗の寺院。 こうぞうじ 高蔵寺 し 1 日本各地にある寺院。 6 こうそうせい 光走性 せい 2 生物が光刺激に反応して移動すること。走光性。☆ こうぞうたい 構造体 たい 2 プログラミング言語におけるデータ型の一つ。 こうそうびる 高層ビル ひる 2 高さによる建築物区分の一つ。高層建築物。 7 こうぞうかがく 構造化学 かく 2 分子構造・結晶構造を理論的に研究する学問。 こうそうきょく 後奏曲 きよく 3 礼拝後に演奏する楽曲。 8 こうぞうかいかく 構造改革 かいく 3 社会の構造を改革する必要があるとする政策論的立場。 9 こうぞうかえでぃた 構造化エディタ かえていた 5 エディターの一種。 こうとう/こんどう~ 全文字数 ひらがな 表記 とう+必要文字 とう+必要文字数 意味 6 こうせいとう 公正党 せい 2 トルコの政党。 こうとうさい 高等裁 さい 2 高等裁判所の略称。☆ こうとうだい 勾当台 たい 2 宮城県仙台市青葉区の地名。 こんどうゆう 近藤優 ゆ 1 日本の競泳選手。 7 こうとうきょう 喉頭鏡 きよ 2 喉頭部観察のための器具。 こうとうくりつ 江東区立 くりつ 3 江東区が設立運営する。 こうちょう 全文字数 ひらがな 表記 ちよう+必要文字 ちよう+必要文字数 意味 6 こうかちょう 甲賀町 か 1 滋賀県甲賀郡にあった町。現在は甲賀市。 こうらちょう 甲良町 ら 1 滋賀県犬上郡にある町。 こやまちょう 小山町 やま 2 全国各地にある地名。 7 こうせいちょう こうせい町 せい 2 北海道静内町にあった地名。現在は静内こうせい町。☆→こうちょうせんせい こうでんちょう 校田帳 て 1 律令制における校田の帳簿。☆ こうなんちょう 甲南町 な 1 滋賀県甲賀郡にあった町。現在は甲賀市に合併。☆ こうようちょう 向陽町 - 0 埼玉県所沢市の地名。 8 こうみょうちょう 小明町 み 1 奈良県生駒市の地名。☆ 9 こうちょうせんせい 校長先生 せい 2 学校の長。 10 こうみょういんちょう 光明院町 みい 2 奈良県奈良市の地名。 ごーすと 全文字数 ひらがな 表記 すと+必要文字 すと+必要文字数 意味 6 ごーすとかー ゴーストカー か 1 レーシングゲームのタイムアタックで最高記録の時の走りを示す表示。 こーとどれす コートドレス れ 1 前開きのドレス。 7 ごーすとはんと ゴーストハント は 1 悪霊シリーズを原作とするアニメ。 8 ごーすとざっぱー ゴーストザッパー さつは 3 競走馬。 ごーすとわーるど ゴーストワールド わる 2 2001年公開のアメリカ映画。 9 ごーすとすとーりー ゴースト・ストーリー り 1 1981年公開のアメリカ映画。 ごーすとばすたーず ゴーストバスターズ はた 2 1984年公開のアメリカ映画。 こーなーすとーんず コーナーストーンズ な 1 神奈川県横浜市の自動車販売店。 こーひー 全文字数 ひらがな 表記 ひ+必要文字 ひ+必要文字数 意味 5 こんびーふ コンビーフ ふ 1 牛肉の塩漬け。→こーんびーふ 6 こーひーぞめ コーヒー染め そめ 2 コーヒーの染め物。 こーひーにく コーヒー肉 にく 2 日本のエロ漫画家。 こーひーちゃ コーヒー茶 ちや 2 コーヒー色。 こーひーのき コーヒーの木 のき 2 アカネ科コーヒーノキ属の植物。 こーひーひき コーヒー挽き き 1 コーヒーミル。 こーひーびる コーヒービル る 1 アメリカ、アラバマ州の町。 こーひーまめ コーヒー豆 まめ 2 コーヒーの木の種子。 こーんびーふ コーンビーフ ふ 1 こんびーふの表記揺れ。 こひーれんす コヒーレンス れす 2 波の干渉のしやすさ。 こんびにがさ コンビニ傘 にかさ 3 コンビニで売っているビニール製の傘。 こんぴゅーた コンピュータ ゆた 2 こんぴゅーたーの表記揺れ。 こんぴゅーと コンピュート ゆと 2 英語で「計算する」。 7 こーひーすとあ コーヒーストア すとあ 3 コーヒーを売る店。 こーひーたいむ コーヒータイム たいむ 3 FM東京で放送されていたトーク番組。 こーひーぬがー コーヒーヌガー ぬか 2 コーヒー味のヌガー。 こーひーびーと コーヒービート と 1 明治のチョコ菓子。 こーひーるんば コーヒー・ルンバ るは 2 楽曲名。 こんびーふのひ コンビーフの日 のふ 2 記念日。4月6日。1875年コンビーフの缶の特許登録が行われた。 こんびにえんす コンビニエンス にえす 3 便利。 こんびにまりあ コンビにまりあ にまりあ 4 三浦みつるの漫画。 こんびにまんが コンビニ漫画 にまか 3 コンビニで販売される廉価版のコミック。コンビニコミック。 こんぴゅーたー コンピューター ゆた 2 計算機。 こんぴゅーたし コンピュータ誌 ゆたし 3 コンピュータに関する雑誌。 8 こーひーがりがり コーヒーがりがり かり 2 日浦孝則のアルバム。 こーひーさーばー コーヒーサーバー さは 2 コーヒー豆からコーヒーを作る機械。☆ こーひーしょっぷ コーヒーショップ しよつふ 4 コーヒーを提供する店。 こーひーぶれいく コーヒーブレイク ふれいく 4 短い休憩。 こーひーめーかー コーヒーメーカー めか 2 コーヒー豆からコーヒーを作る機械。 こんびにいーしー コンビニEC にいし 3 決済や商品の受け渡しをコンビニで行う電子商取引。 こんびにくーらー コンビニクーラー にくら 3 SHARPの除湿機。 こんびにまどんな コンビニマドンナ にまとな 4 doaの配信限定シングル。 9 こーひーかんたーた コーヒー・カンタータ かた 2 バッハ作曲のカンタータ「おしゃべりはやめて、お静かに」の別名。 こーひーせれもにー コーヒー・セレモニー せれもに 4 エチオピアやエリトリアの習慣。コーヒーの儀式作法。 こーひーろーすたー コーヒーロースター ろすた 3 コーヒーの生豆を仕入れて焙煎し販売する業者。 10 こんびにえーてぃえむ コンビニATM にえていむ 5 コンビニに設置されているATM。 こんびにえんすすとあ コンビニエンスストア にえすとあ 5 年中無休長時間営業の食品・日用品を扱う小型店舗。 こんぴゅーたーげーむ コンピューターゲーム ゆたけむ 4 コンピューターによって処理が行われるゲーム。 こんぴゅーたーそふと コンピューターソフト ゆたそふと 5 ソフトウェアのこと。 こんぴゅーたはんざい コンピュータ犯罪 ゆたはさい 5 電気通信技術を利用した犯罪の総称。 ごーるでん 全文字数 ひらがな 表記 るて+必要文字 るて+必要文字数 意味 7 ごーるでんあい ゴールデンアイ あい 2 1995年公開のアメリカ映画、「007 ゴールデンアイ」のこと。 ごーるでんべあ ゴールデンベア へあ 2 クロアチアで開催されるフィギュアスケート選手権。 ごーるでんべる ゴールデンベル へ 1 パチスロ機。 8 ごーるでんあわー ゴールデンアワー あわ 2 視聴率の高い時間帯。夜7時-9時。 ごーるでんえーる ゴールデン・エール え 1 ベルギービールのスタイルの一つ。 ごーるでんげーと ゴールデン・ゲート けと 2 サンフランシスコ湾にかかるゴールデンゲートブリッジのことか。 ごーるでんしーる ゴールデンシール し 1 薬用植物の一種。 ごーるでんすたー ゴールデンスター すた 2 芝刈り機メーカー金星の別名。 ごーるでんぱーる ゴールデンパール は 1 南洋真珠のうち、色が黄色・金色に近いもの。 ごーるでんぼーい ゴールデンボーイ ほい 1 1998年公開のアメリカ映画。 ごーるでんぼうる ゴールデンボウル ほう 2 2002年に日本テレビで放送されていたドラマ。 ごーるでんぼーる ゴールデンボール ほ 1 東京都渋谷区のたこ焼き屋。 ごーるでんりんぐ ゴールデンリング りく 2 メリーゴーランドにぶら下がっている金色のリング。→ごーるでんくりーく ごーるでんるーと ゴールデンルート と 1 人気のある観光地を巡るルート。 ごーるでんるーる ゴールデンルール - 0 黄金律。「人にされたいことを人にせよ」という言明。 ごーるでんろーず ゴールデンローズ ろす 2 ベトナムホーチミン市にあるホテル。ゴールデンローズホテル。 9 ごーるでんあむーる ゴールデンアムール あむ 2 ロシアハバロフスクを本拠地としていたアイスホッケーチーム。 ごーるでんいーぐる ゴールデンイーグル いく 2 イヌワシの英名。 ごーるでんくりーく ゴールデンクリーク くり 2 競走馬。 ごーるでんてんぷる ゴールデンテンプル ふ 1 シク教の寺院ハリマンディル・サーヒブの通称。 ごーるでんすてーと ゴールデン・ステート すと 2 アメリカの大陸横断鉄道の一つ。 ごーるでんとーてむ ゴールデントーテム とむ 2 ドラゴンクエストシリーズのモンスター。 ごーるでんばんぐみ ゴールデン番組 はくみ 3 19-22時の3時間(ゴールデンタイム)に放送される番組。 ごーるでんはんまー ゴールデンハンマーV はま 2 2000年に導入されたIGTのパチスロ機。☆ ごーるでんぼーいず ゴールデンボーイズ ほいす 3 日本のお笑いコンビ。 ごーるでんぼんばー ゴールデンボンバー ほは 2 日本のビジュアル系エアバンド。金爆。☆ ごーるでんるーきー ゴールデンルーキー き 1 将来が有望な新人選手。 10 ごーるでんいーぐるす ゴールデンイーグルス いくす 3 日本の球団。東北楽天ゴールデンイーグルス。 ごーるでんでりしゃす ゴールデンデリシャス りしやす 4 リンゴの一品種。 ごーるでんゆーとぴあ ゴールデンユートピア ゆとひあ 4 島根県美郷町にある施設「ゴールデンユートピアおおち」の略。 ごーるでんれとりばー ゴールデン・レトリバー れとりは 4 イギリス原産の大型犬。 こーるど/ごーるど 全文字数 ひらがな 表記 ると+必要文字 ると+必要文字数 意味 7 ごーるどかーど ゴールドカード か 1 一般のクレジットカードよりサービスを付加したカード。 ごーるどからー ゴールドカラー から 2 知識・情報産業の従事者。 こーるどげーむ コールドゲーム けむ 2 試合打ち切り。 ごーるどすみす ゴールドスミス すみ 2 イギリスの詩人、作家。「ウェークフィールドの牧師」など。 ごーるどばーぐ ゴールドバーグ はく 2 アメリカの元プロレスラー。ビル・ゴールドバーグ。 こーるどぱーま コールドパーマ はま 2 熱を使わず薬液だけで行うパーマネントウエーブ。 ごーるどばっは ゴールドバッハ はつ 2 プロイセン出身の数学者。ゴールドバッハの予想で知られる。クリスティアン・ゴルトバハ。 ごーるどむんど ゴールドムンド む 1 スイス、ジュネーブのオーディオメーカー。 8* こーとじぼわーる コートジボワール しほわ 3 アフリカ大陸ギニア湾に面する国。 ごーるどぷるーふ ゴールドプルーフ ふ 1 競走馬。 ごーるどめんきょ ゴールド免許 めきよ 3 有効期間前5年間無事故無違反の優良運転者に与えられる免許証。 ごるふ ごーやーちゃんぷるー 全文字数 ひらがな 表記 るふ+必要文字 るふ+必要文字数 意味 5 ごるふぁー ゴルファー あ 1 ゴルフをする人。 6 ごるふくらぶ ゴルフクラブ くら 2 ゴルフボールを打つための杖。 ごるふじょう ゴルフ場 しよう 3 ゴルフを行う場所。 ごるふぼーる ゴルフボール ほ 1 ゴルフで用いる球。 8 ごーるどぷるーふ ゴールドプルーフ と 1 競走馬。 ごるふちゃんねる ゴルフチャンネル ちやね 3 アーノルド・パーマーが創設したゴルフ専門チャンネル。 9 ごーやちゃんぷるー ゴーヤチャンプルー やち 2 ごーやーちゃんぷるーの表記ゆれ。 ごーるでんてんぷる ゴールデンテンプル て 1 シク教の寺院ハリマンディル・サーヒブの通称。 10 ごーやーちゃんぷるー ゴーヤーチャンプルー やち 2 沖縄料理の一つ。ニガウリと豆腐の炒め物。 こんてい 全文字数 ひらがな 表記 必要文字 必要文字数 意味 5 こーでぃー コーディー てい 2 「ファイナルファイト」シリーズの登場人物。 6 こーでぃんぐ コーディング ていく 3 プログラムのソースコードを記述すること。 7 こーでぃねーた コーディネータ ていねた 4 こーでぃねーたーの表記揺れ。 こーでぃねーと コーディネート ていねと 4 ファッションにおいて、調和するように組み合わせること。 こんてぃにゅあ コンティニュア ていにゆあ 5 健康管理機器とデジタル機器の通信規格。 8 こーでぃねいたー コーディネイター ていねた 4 こーでぃねーたーの表記揺れ。 こーでぃねーたー コーディネーター ていねた 4 調整役。 こんてぃにゅあむ コンティニュアム ていにゆあむ 6 カナダのドラマ。 9 こーでぃでぃーなー コーディ・ディーナー ていな 3 カナダのプロレスラー。☆ こーぷすぱーてぃー コープスパーティー ふすはてい 5 チームグリグリの販売するホラーゲーム。 10 こんてぃにゅいてぃー コンティニュイティ― ていにゆ 4 連続。 こ~えき 全文字数 ひらがな 表記 えき+必要文字 えき+必要文字数 意味 5 こせんえき 壷川駅 せ 1 壺川駅(つぼがわえき)の誤読。☆ こまきえき 小牧駅 ま 1 愛知県小牧市にある名鉄小牧線の駅。 こまだえき 狛田駅 また 2 京都府精華町にある近鉄京都線の駅。 こまちえき 古町駅 まち 2 愛媛県松山市にある伊予鉄道の駅。☆ こめのえき 米野駅 めの 2 愛知県名古屋市中村区にある近鉄名古屋線の駅。 ごめんえき 後免駅 め 1 高知県南国市にあるJR四国・土佐くろしお鉄道の駅。 こもろえき 小諸駅 もろ 2 長野県小諸市にあるしなの鉄道・JR東日本の駅。 こやまえき 湖山駅 やま 2 鳥取県鳥取市にあるJR西日本山陰本線の駅。☆ 7 こじまえきまえ 児島駅前 しま 2 児島駅の駅前。 9 こうえんじえきまえ 高円寺駅前 うしま 3 高円寺駅の駅前。 こ/ご~てんのう 全文字数 ひらがな 表記 てのう+必要文字 てのう+必要文字数 意味 7 ごうだてんのう 後宇多天皇 た 1 第91代天皇。 ごならてんのう 後奈良天皇 なら 2 第105代天皇。 このえてんのう 近衛天皇 え 1 第76代天皇。 8 こうあんてんのう 孝安天皇 あ 1 第6代天皇 こうかくてんのう 光格天皇 かく 2 第119代天皇。 こうけんてんのう 孝謙天皇 け 1 第46代天皇。 こうげんてんのう 孝元天皇 け 1 第5代天皇。 こうぶんてんのう 弘文天皇 ふ 1 第39代天皇。 こうめいてんのう 孝明天皇 めい 2 第121代天皇。 * こうてんはんのう 好転反応 は 1 東洋医学において、治療の過程で悪い症状が副作用として出ること。 こうにんてんのう 光仁天皇 に 1 第49代天皇。 9 こうしょうてんのう 孝昭天皇 しよ 2 第5代天皇。 こうみょうてんのう 光明天皇 みよ 2 北朝第2代天皇。 ごえんゆうてんのう 後円融天皇 えゆ 2 北朝5代天皇。 ごはなぞのてんのう 後花園天皇 はなそ 3 第102代天皇。 ごみずのおてんのう 後水尾天皇 みすお 3 第108代天皇。 ごももぞのてんのう 後桃園天皇 もそ 2 第118代天皇。 10 ごさんじょうてんのう 後三条天皇 さしよ 3 第71代天皇。 発展 元単語 発展語 こせい (+1)こせいかい,ごだいせい こうかい (+1)こうかいけい,こうせいかい,(+2)こうかいそうさ,こうかいほうそう,こくぼういいんかい こうかく (+2)こうかくてんのう,こうがくかんだいがく,(+4)ごうかくはっぴょう こうけい (+1)こうけいし,こうけいじ,こうけいせい こうさい (+1)こうせいざい,こうさいたい,(+2)こうとうさい こうすう (+2)こうやくすう こうせい (+1)こうせいし,こうせいざい,ごうせいせんざい,(+2)こうそうせい,こうせいきゅう こうほう (+1)こうろうほう,(+2)こうぼうだい こうろう (+1)こうたろう,こうろうほう こんけつ (+1)こんけつじ こうしゃく (+0)こうしゃくし こうちゅう (+1)こうちゅうきゅう,こうちちゅうとんち こうひょう (+1)こうげんびょう,こうざんびょう こうりゅう (+1)こうりゅうき,こうりゅうでんりゅう,(+2)こうりゅうさい こうりょう (+0)こりょうり,こうりょううんう,(+1)こうりょうき こ~がわ (+2)このはがわ,こやまがわ こ~じんじゃ (+1)こうしんしゃ,こうじんじゃ,このじんじゃ,(+2)こうせんしゃ,こうしゅうじんじゃ こ~まち (+1)こじままち,こまのまち,こやままち,(+2)こまちえき こ~むら (+2)こうやむら,こめのむら こ~やま (+2)こやまけんじ その他 全文字数 ひらがな 表記 必要文字 必要文字数 意味 5 こうけんし 寇謙之 うけし 3 中国・北魏の道士。☆ こうけんじ 高顕寺 うけし 3 岡山県備前市にある高野山真言宗の寺院。 こうげんじ 光源寺 うけし 3 日本各地にある寺院。☆ こうじんじ 弘仁寺 うし 2 弘仁寺(こうにんじ)の誤読?☆ こーきんぐ コーキング きく 2 建築物の隙間を埋めること。 こーすたー コースター すた 2 タンブラーやコップの下に敷くもの。☆ こーちゃー コーチャー ちや 2 コーチ。 こーちんぐ コーチング ちく 2 教育手法の一つ。 こーにんぐ コーニング にく 2 アメリカのガラス製品メーカー。 こーぷでり コープデリ ふてり 3 生協の宅配サービス。 こーみんぐ コーミング みく 2 櫛で髪を梳かすこと。 こーりんぐ コーリング りく 2 2002年公開のアメリカの映画。 こまんどー コマンドー まと 2 1985年公開のアメリカの映画。 こりーりー コリー・リー り 1 アメリカの元プロ野球選手。☆ こんけんじ 今賢治 けし 2 一般人名? こんさーた コンサータ さた 2 医薬品名。 こんせんじ 金泉寺 せし 2 徳島県板野町にある高野山真言宗の寺院。☆ こんせんと コンセント せと 2 電気器具のコードに電源を供給するために設けられているプラグの差込口。 こんそーる コンソール そる 2 コンピュータの制御卓。 こんだくた コンダクタ たく 2 導体。 こんでんす コンデンス てす 2 凝縮。濃縮。 こんてんつ コンテンツ てつ 2 中身。情報の内容。 こんばんは こんばんは は 1 夜の挨拶。 こんばんみ こんばんみ はみ 2 ビビる大木のネタ。 こんばんわ こんばんわ はわ 2 こんばんはの誤表記。 6 こうしんしき 恒真式 うしき 3 変数の値によらず成立する式。 こーしーれつ コーシー列 しれつ 3 十分先で値がほとんど変化しなくなる数列。 こーとれっと コートレット とれつ 3 子牛・羊・豚などの骨付き背肉。 こーなりんぐ コーナリング なりく 3 コーナーを回ること。 こーるたーる コールタール るた 2 石炭の乾留で得られる液体。 ごーるぼーる ゴールボール るほ 2 視覚障害者の球技。鈴の入ったボールをゴールに入れるのを競い合う。☆ こーんすーぷ コーンスープ すふ 2 トウモロコシのスープ。 こーんみーる コーンミール みる 2 乾燥したとうもろこしを粉にひいたもの。 ころせんせー 殺せんせー ろせ 2 漫画「暗殺教室」の登場人物。☆ こんくりーと コンクリート くりと 3 セメントや砂に水を入れて固めたもの。 こんせんさす コンセンサス せさす 3 意見の一致。 こんすたんす コンスタンス すた 2 ラテン語、ギリシャ語の男性名。 こんすたんと コンスタント すたと 3 不変数。定数。 こんでんさー コンデンサー てさ 2 電荷の貯蓄、放出が可能な素子。 7 こーしーぶんぷ コーシー分布 しふ 2 確率分布の一種。 こーちかーたー コーチ・カーター ちかた 3 2005年のアメリカ映画。 こーぷかながわ コープかながわ ふかなわ 4 神奈川県に存在した生活協同組合。 ごーるきーぱー ゴールキーパー るきは 3 サッカーのポジションの一つ。唯一手を使ってよい。 こーんすたーち コーンスターチ すたち 3 トウモロコシから作ったデンプン。 こくみんしんさ 国民審査 くみしさ 4 最高裁判所の裁判官を国民が罷免するか決める制度。 このきなんのき この木なんの木 のきな 3 楽曲「日立の樹」の別名。歌い出しに由来。 こまつしまにし 小松島西 まつしに 4 徳島県にある県立高校。徳島県立小松島西高等学校。 こやつめははは こやつめ、ハハハ やつめは 4 漫画「三国志」に登場するセリフ。 ごんげんづくり 権現造 けつくり 4 日本の神社建築様式の一つ。 こんしあんしー 孔祥熙 しあ 2 中華民国の財政家。こうしょうき。☆ こんじきやしゃ 金色夜叉 しきや 3 尾崎紅葉の小説。未完のまま尾崎は死んだ。 こんだくたんす コンダクタンス たくす 3 電流の流れやすさ。電気抵抗の逆数。 こんとろーらー コントローラー とろら 3 制御装置。 こんぽーねんと コンポーネント ほねと 3 構成要素。 8 こいんぱーきんぐ コインパーキング いはきく 4 利用した時間による料金を払うシステムの駐車場。 こーくすくりゅー コークスクリュー くすりゆ 4 コルク抜き。 こーんぽたーじゅ コーンポタージュ ほたしゆ 4 トウモロコシのスープ。 9 こーとおぶぷれーと コート・オブ・プレート とおふれ 4 鎧の一種。 こまんどぷろんぷと コマンドプロンプト まとふろ 4 Windowsのシェル。 10 ごーたましっだーるた ゴータマ・シッダールタ たましつる 5 釈迦の本名。 こいにぶーいんぐぶー 恋にBooing ブー! いにふく 4 スマイレージのシングル。「ピラメキーノ」エンディングテーマ。 こんさどーれさっぽろ コンサドーレ札幌 さとれつほろ 6 北海道札幌市のプロサッカークラブ。
https://w.atwiki.jp/musouchronicle2_3ds/pages/34.html
藤堂高虎 基本情報登場シナリオ 全合戦出陣開放条件 戦闘系データ戦技 武器 オススメの使い方 攻撃技一覧 イベント会話イベント 台詞 藤堂高虎攻略・編集報告 基本情報 名前/よみ 藤堂高虎/とうどうたかとら 性別 男 身長 187cm 立場 浅井軍所属武将、豊臣軍所属武将、徳川軍所属武将、藤堂家当主 武器 細剣 アクションタイプ 通常攻撃 固有属性 凍牙 声優/よみ 松風雅也/まつかぜまさや 備考 幸村との対比的なポジションで追加された今回のメイン新キャラ。近江国の没落した武家に生まれ、農民と殆ど変わらない生活から浅井長政に仕えて以降、幾つもの勢力を渡り歩いて武功を重ね己の実力で大名にまで昇りつめた英傑。秀吉に負けず劣らずの立身出世を果たした苦労人である。何度も主君を変えたことから不忠者のようなイメージがあるが、戦国時代は自分の実力を認めてくれる、将来性のある主君を探して仕えるのはよくあること。実際一度仕えた相手には忠誠を尽くしており、仕えた主が早逝してしまったことも多く経験したのである。江戸幕府下では外様大名でありながら、尾張の隣、伊勢を任され、譜代大名さながらに重用されている。戦国無双では、はじめは君主のためなら死をも厭わなかったが、長政とお市に諭されて以降、生きて忠を尽くす。この点においても、信玄から生きよと命じられながら、死をもってもののふの生き様を示した幸村とは対照的である。また、家臣の忠義を踏みにじる信長を非常に嫌う、民の万能品・三尺手ぬぐいはすぐに使えるよう首に巻く、長政から貰った太刀と小判、お市から貰った三尺手ぬぐいを大大名になっても肌身離さず大切にする、恩ある長政を自害に追いやった秀吉を良く思っておらず、仇討ちを考えているなど「忠誠心」「下から這い上がった身」などがキャラとなっており、長政や秀長に取り立てられた恩は決して忘れない。戦技も「立身」「献身」と高虎を象徴するものが揃っている。また、築城の名手としても有名で、ゲームでも同じく築城の名手である清正と張り合う。 登場シナリオ 味方に関しては、初期配置や自軍でプレイヤー武将として選択出来る場合は上の覧、援軍で登場し、全合戦出陣開放するまで選択出来ない場合は下の覧に記載しています。 味方として登場 初期配置 序章 ????年 合戦指南(豊臣軍) 浅井の章 1570年 金ヶ崎撤退戦(浅井・朝倉軍) 野田福島の戦い(三好軍) 1573年 刀根坂の戦い(浅井・朝倉軍) 刀根坂の戦い・改(浅井・朝倉軍) 徳川の章 1600年 関ヶ原の戦い・改(東軍) 徳川の章真田の章 1614年 大坂冬の陣(徳川軍) 徳川の章真田の章上杉の章 1615年 大坂夏の陣(徳川軍) DLC 1570年 姉川の戦い(浅井・朝倉軍) 自軍所属 豊臣の章 1585年 四国征伐(羽柴軍) 徳川の章 1600年 関ヶ原の戦い(東軍) 上杉の章 1614年 大坂冬の陣(徳川軍) 援軍 年 敵として登場 上杉の章 1577年 手取川の戦い(上杉軍) 毛利の章 1578年 上月城の戦い(毛利軍) 徳川の章 1584年 小牧長久手の戦い(徳川軍) 長宗我部の章 1585年 四国征伐(長宗我部軍) 豊臣の章 1600年 関ヶ原の戦い(西軍) 上杉の章 会津討伐軍追撃戦(上杉軍) ねねの章 おねね様乱入戦(ねね軍) 豊臣の章真田の章 1614年 大坂冬の陣(豊臣軍) 1615年 大坂夏の陣(豊臣軍) DLC ????年 新旧無双決戦(古参連合軍) 全合戦出陣開放条件 徳川の章:大坂夏の陣(徳川軍)クリア及び友好度:良好以上 戦闘系データ 戦技 戦技1 戦技2 戦技3 戦技協力 連舞 立身 献身 一閃 武器 タイプ 名称 攻撃力 取得場所 備考 ノーマル 大兼光・仁 35 初期装備 パワー 大兼光・勇 45 ── スピード 大兼光・智 25 ノーマル 凍刃月讀 40 野田福島の戦い(三好軍) レア武器属性:凍牙5 閃光4攻撃力89 防御力87 敏捷性88無双増加86 攻撃範囲85 間接攻撃90 スピード 雹神興雲龍王 30 徳川の章:大坂冬の陣(徳川軍) 第2レア武器属性 凍牙5 修羅4体力88 攻撃力90 防御力88攻撃範囲90 間接攻撃92 運90 レア武器取得方法詳細 入手のためには全ミッション成功はもちろん全ての民兵を守り切る必要がある。 民兵は非常に弱く、速攻敗走してしまうのでお市など特殊技で仲間を回復できる武将は連れていきたいところ。 ミッションの中でも難関なのが敵兵撃破ミッション。これは経過時間を遅くする戦技が是非欲しいところ。 金ミッションが発生したら信長は無視し、退却を妨害する秀吉、利家、勝家だけを倒し、民兵を全員逃がそう。 第二レア武器取得方法詳細 難関なのが真田丸守備頭ミッション発生中における幸村撃破。 赤ハイパーなので怯みにくく、長期戦になると守備頭が侵入し、ミッション失敗になるので修羅無双奥義を駆使するなど短期決戦で幸村を倒そう。 金ミッションは500コンボ決めた状態で幸村を倒さないといけないのでコンボ数増加戦技を使える武将は必ず連れていこう。 オススメの使い方 素早い通常連とタイマン向けのC9・ザコ散らしのC4・C7・C8あたりが主体となる。 高虎を使う上でポイントとなるのが、C9の氷塊をいかに3発当てるかである。 C9は本来ならまず細剣を6回振って敵を浮かせ、浮いた敵を氷塊単発でぶっ飛ばす技だが、 この氷塊を敵があまり浮いていない状態で当てるか、敵が壁方向にぶっ飛ぶようにして当てると、 最高3発の多段攻撃となり非常に強力となる。 氷塊を3発当てる手段としては、「壁際で使う」他、「凍牙で凍らせる」(=凍結C9)、 「ダウンさせておく」、「細剣6振りを当てない」(割込注意)などがあり、状況に応じ使い分けることが重要。 氷塊を3発当てる手段の中でも凍結は、2・3発目も地上判定で攻撃できるため、最も強力。 よって属性は、これを活かせる凍牙が良い。凍結C9を狙うため、装備アイテムで[凍牙]を補うとなお良い。 もう1つは、ダウンを奪える閃光も良いが、細剣6振りの攻撃が修羅と好相性なので、 タイマンで通常連+影技で攻めることも加味すると、凍牙×修羅を基本としてよいだろう。 無双奥義は範囲が広くタイマンでもロック自体は楽な方なので積極的に使っていくといい。 第2ユニーク武器はスピード凍牙修羅付きの名刀なので、よほどこだわりが無い限りはこれがオススメ。 攻撃技一覧 N攻撃 武器こそ細剣だが、突く攻撃モーションより振るう攻撃モーションの方が多いので使いやすい。 1~3 刀を左右に振るう。攻撃速度は優秀。 4~7 引き続き振り回し。6・7段目は踏み込んでの突き。範囲は低下する。 8~11 素早い左右斬り払い。威力は低い。 12 薙ぎ払って〆。 C1 力をためた後、細剣を振る。ガード崩し。出が遅い。 C2 細剣で打ち上げ。ループがやりやすい。 C3 細剣のグリップ部分で殴る。気絶効果。リーチが短め。 C4 前方に蒼い真空波を放つ。あまり飛ばないが主力としては十分。根元で当てると威力が高くなる。 C5 前方地面から大きな氷塊を発生させる。浮かせ技。ダウン追い討ちも可能。見た目ほどの範囲は無い。 C6 氷の3連続突き。太刀筋が多段に見えるが3ヒットのみ。3段目に気絶効果。タイマンならそこそこ使える性能。 C7 前方に勢いよく突進し、細剣を振り氷塊を発生させる。かなり広範囲。ガード不能?(要検証) C8 前方に氷塊の波を直線状に発生させる。前方に射程が長く、見た目以上に横幅がある上ダウン追い討ち可能。隙が大きいのがネック。 C9 連続で剣を振った後、10個の氷塊を円形に発生。氷塊はダウン追い討ち可能最後の氷塊の範囲はかなり広いが、そこに至るまで連続斬りを出さねばいけないので足が止まる。敵を浮かせなかったり、壁際まで追い詰めて出すと最後の氷塊が多段ヒットして大ダメージ。 D攻撃 滑り込んで薙ぎ払い。 J攻撃 細剣でなぎ払う。 JC攻撃 普通のズドン。 騎乗攻撃 振りが独特で使いづらい。素直に降りて戦おう。 騎乗1~3 刀を振り回す。振りの速さは標準的だがテンポが悪い。騎乗攻撃は全て右側へ攻撃。 騎乗4~8 引き続き振り回し、8段目は突き。範囲が狭い。 騎乗C2 打ち上げ。 騎乗C3 突き下ろし。気絶効果。 騎乗C4 巨大な氷塊を右側に発生。敵は斜め上に浮き上がる。 特殊技 攻撃に凍牙属性を付加する。発動までに若干時間がかかる。割と持続する方。 無双奥義 無双奥義 前方に進みながらC4の真空波を連射。勝手に動くのでロック推奨。C4より長射程で殲滅力は高い。 無双秘奥義 無双奥義・皆伝 跳び上がり地面に向かって前方広範囲に氷塊連射→大氷塊。 殺陣 3段突き→バックステップからの真空波→とどめの一突き。とどめ時にカメラが思いっきりアップになる。火力が高いのはうれしい。 イベント 会話イベント 出現条件の覧には、友好度やイベントなどの出現条件があれば記載しています。 イベント名 出現シナリオ 選択肢 好感度上下 出現条件 太刀と小判 金ヶ崎撤退戦(浅井・朝倉軍) 見捨てるの? 変化なし 友好度:普通 裏切るの? よかったね! 上昇 自分も頑張った 変化なし 龍興、浅井家へ 稲葉山城の戦い(斎藤軍) 選択肢なし ── 「高虎と龍興」友好度:普通 長政の感状 刀根坂の戦い(浅井・朝倉軍) 龍興のこと嫌いだった? 上昇 「太刀と小判」友好度 良好 やはり愚か者だったな 変化なし 答えはきっと書状にある とりあえず読んでみようよ 死ぬな! 上昇 長政の命令に従え! 高虎放浪 長篠の戦い(織田軍)手取川の戦い(織田軍)木津川口の戦い(織田軍) ああ、笑いにきてやった 変化なし 「太刀と小判」友好度 良好 うまいものでも食べないか 上昇 もしかして、中身は長政にもらった小判? 上昇 それで支払わないの? 変化なし 羽柴秀長の下で 長篠の戦い(織田軍)手取川の戦い(織田軍)木津川口の戦い(織田軍) まあまあかな 変化なし 友好度 良好 高虎はどう? 高虎と幸村 第一次上田城の戦い(徳川軍)九州征伐(豊臣軍)忍城攻め(豊臣軍)忍城攻め(北条軍)小田原討伐(豊臣軍) 「真田幸村、すごい奴だ」 変化なし 友好度 信頼 「気にするな、高虎は高虎だ」 上昇 反りと高さ ── 「そうだ、不器用だな」 上昇 友好度 信頼 「高虎は世渡り上手だ」 変化なし 反逆者の娘 ── 「可哀想だ」 変化なし 友好度 信頼 「仕方ない、反逆者の娘だ」 高虎高野に登る 忍城攻め(豊臣軍)忍城攻め(北条軍)小田原討伐(豊臣軍) 「その忠義が惜しい!」 変化なし 友好度 信頼 「秀長がそれを望むの?」 七度主君を変えて 忍城攻め(豊臣軍)忍城攻め(北条軍)小田原討伐(豊臣軍) 「卑怯者扱いされるから?」 変化なし 友好度 親密 「怪しい関係だと思われるから?」 高虎は徳川に(西軍編) 伏見城の戦い(西軍) 選択肢なし ── 戦前イベント、友好度 親密「秀吉の死、天下の亀裂」 高虎は徳川に(東軍編) 伏見城の戦い(東軍) 「徳川につく」 変化なし 戦前イベント、友好度 親密「秀吉の死、天下の亀裂」 「高虎とともに進む」 大津城の高虎 関ヶ原の戦い(東軍)関ヶ原の戦い・改(東軍) 「三成に好意を感じたか」 上昇 友好度 信頼 「敵なんかに教えを請うのか」 変化なし 大大名へ 関ヶ原の戦い(東軍)関ヶ原の戦い・改(東軍) 「主君に認められたね」 上昇 「太刀と小判」「長政の感状」友好度 親密 「やったぜ、高虎!」 一番手 大坂夏の陣(徳川軍) 「他の家臣にも認められたね!」 上昇 「太刀と小判」「長政の感状」友好度 親密 「高虎は最高の武士だ!」 食育 ── 御用だ!尋常にお縄に付け! 変化なし 友好度 信頼 馳走になりに参上した 大きい口で食べる 小さい口で食べる 銃弾直撃 ── 怪我は大丈夫!? 上昇 友好度 信頼 大胆だな、高虎は 三尺手ぬぐい ── 「新しいのを買ってあげようか」 上昇 友好度 信頼 「もう使い物にならないな」 変化なし 台詞 状況 相手 セリフ 武将切り替え ── 任せておけ! 軍団撃破名乗り 敵将、討ち取ったり 功、また一つ… 軍団撃破を誉める50人撃破を誉める 目上 見事な。これが上に立つ者か 目下 よくやった。引き続き己の務めを果たせ 主人公男:信頼以上 よくやる。俺も負けてられないな 主人公女:信頼以上 それがあんたの実力か、見事だな 真田幸村 幸村、その真っ直ぐな心は評価できる 徳川家康 これが家康様の大器か 浅井長政 さすがは長政様、まったく揺るがない 加藤清正 清正、すべきことは心得てるようだな 50人撃破名乗り ── 足りんな。もっと手柄を挙げねば 1000人撃破名乗り 世が認めた。俺たちこそ天下無双だ! NPC時苦戦中 これぐらいの苦しみ、何度も味わってきた… 笑わせるな、これで追い詰めたつもりか 救援に対する感謝 目上 申し訳ありません。救援、感謝いたします 目下 すまんな。この恩、決して忘れん 主人公男:信頼以上 世話になった。借りは必ず返そう 主人公女:信頼以上 優しいのだな。救援、感謝している 真田幸村 俺は情けないか? 笑いたければ笑え 徳川家康 家康様に助けていただけるとは恐悦至極 浅井長政 このご恩、戦功にてお返しいたします 加藤清正 後れたな、清正…もっと早く来い 赤ゾーン侵入時警告 目上 目下 出過ぎてはならん 味方接近 ── 武士の戦、見せてやろう 命は無駄にするな 敵邂逅 ── 貴様を倒す…どんな手を使おうと 主人公男:信頼以上 己で選んだ道だ。後悔などあるまい! 主人公女:信頼以上 考えてどうなるものであるまい。いくぞ! 真田幸村 幸村「力の続く限り戦う、それがもののふの誇り!」高虎「死ぬのが名誉だと思っているのか!生きて戦い続けるのが武士だ!」 前田慶次 慶次「その手ぬぐい、傾いてるねえ!」高虎「あんた、これのよさをわかってくれるのか!」慶次「人と外れた格好するのは 並大抵の勇気じゃできねえさ」 織田信長 高虎「あんたを生かしておくわけにはいかん! 地獄へ落ちろ、信長!」信長「面白い! やってみせよ」 明智光秀 光秀「生半可な兵法では怪我をしますよ。散りたくなくば去りなさい」高虎「忠告かたじけない。だが、主命に反して逃げることはできん」 お市 高虎「お市様、刃を向けることお許しあれ」お市「今は敵味方。互いに己の力を出し切りましょう」 くのいち くのいち「お兄さん、かっこいい手ぬぐいしてますな。そのすすけた感じがイカしてますぜ」高虎「あんたの手ぬぐいもイカしている。だが、色が赤いのは残念だ」くのいち「そっすかね…。返り血が目立たなくて便利っすよ?」 伊達政宗 政宗「貴様は築城の名手じゃそうな。わしに仕えよ!」高虎「主を変えるのは主を選ぶゆえ。断る」政宗「ならば排除じゃ!貴様の造った城のみもらう!」 濃姫 高虎「そこをどけ。死ぬことになるぞ」濃姫「可愛いのね、見えを張っちゃって」高虎「無駄だ、挑発には乗らん」濃姫「若いのに美人に心が動かないなんて損ね」 服部半蔵 半蔵「主のため、消えてもらう…」高虎「断る。主のため、俺は消えぬ」 稲姫 稲姫 「次々に主を変える不忠者! そこに直りなさい!」高虎 「主を変えることも知らんひよっこが抜かす!」 浅井長政 長政「相手にとって不足なし! 高虎の力はそれがしが一番よく知っている!」高虎「長政様、胸を借りるつもりでいきます」 直江兼続 高虎「最近はハレとケを心得ぬものが多くて困る、その点、あんたはきちんとしている」高虎「戦場で死ぬと想定して、白装束とは潔い」兼続「違う! これは死装束ではない! 義と愛の清らかさを表す純白だ!」 前田利家 利家「いくぜ、若いの! 鬼柴田が軍の魂、見せてやンぜ!」高虎「暑苦しい漢だな、俺が冷ましてやろう」 長宗我部元親 元親「来い…貴様の反骨を見てやる」高虎「俺の反骨しか見られない奴に、俺が見切れるか…!」 柴田勝家 勝家「ここは戦場、若造の来る所ではない! 下がれ!」高虎「旧型の武士か。だが、こいつは確実に強い…」 加藤清正 清正「出たな、手ぬぐい虎野郎! 狩ってやるぜ!」高虎「貴様、手ぬぐいを馬鹿にしたなっ! その首、刈り取ってやるっ!」 甲斐姫 高虎「ふむ、めかし込むのはいいことだ。男は武芸を、女は容姿を磨かねばならん」甲斐姫「むっ…。自分じゃそう思ってるけど、他人に言われると何かムカツク…」 藤堂高虎 敵軍「その手ぬぐい、趣味がいい」自軍「あんたの手ぬぐいもだ。色といい、長さといい、丁度いい」 井伊直虎 高虎「なんて格好だ…」直虎「ごめんなさい! でもこれ、しきたりで…」高虎「首に手ぬぐいを巻けば、まあ見られるか」直虎「え…? ごめんなさい!」 敵逃亡 ── 辛酸をなめようと生きねばならんのだ…! アクションボイス 攻撃技 文字 セリフ 弱攻撃 ─ はっ 中攻撃 せいっ 強攻撃 やあっ 攻撃締め はぁーっ 無双奥義 凍 受けよっ! 無双秘奥義 兇 仕留めてやる!→これで終わりだ!設定資料集では「しとめてやるっ!→これで終わりだ!」 無双奥義・皆伝 失せろ!→くたばり損ないが!→消えてなくなれ!設定資料集では「失せろっ!→くたばりぞこないが!→消えてなくなれっ!」 ダメージ弱 ─ くっ ダメージ中 うぐっ ダメージ強 くううっ 死亡音 うわああっ 特殊技 とくと見よ! 交代登場時 任せておけ! 特殊台詞 状況 シナリオ 相手 セリフ 味方接近 敵邂逅 合戦指南(豊臣軍) 服部半蔵 半蔵「主のため…止める」高虎「あんたが服部半蔵か。一人の主君に尽くせて、幸せ者だな」半蔵「影に、幸も不幸もない…」高虎「本当に幸せも不幸せも感じないなら、それは幸せなことだ」 豊臣秀吉 高虎「秀吉様、ご無礼つかまつる!」秀吉「望むところじゃ! 相手になっちゃる!」高虎「長政様の仇…」秀吉「ん、何か言ったか…? しかし、鬼気迫る戦ぶりじゃな…」 本多忠勝 高虎「まさに東国無双の勇姿。家康殿に過ぎたるものというのも納得がいく」忠勝「愚問、君に過ぎたるなど臣の本分にあらず。拙者はただ殿のため、槍を振るうのみ」 稲姫 高虎「…っと、危うく射抜かれるとこだ。模擬戦だってのに殺す気か」稲姫「恥ずかしい戦をして、徳川の武名に泥を塗るわけにはいきません!」高虎「生真面目だな。だが、さすが徳川家だ。いい将がそろっている」 徳川家康 家康「高虎のごとき有能な将を得た豊臣家は、まこと幸運よな」高虎「畏れ多きお言葉。しかし模擬戦とは申せ敵味方、お慎みを…」家康「これはすまぬ。遠慮は無用…参られよ!」 金ヶ崎撤退戦(浅井・朝倉軍) 豊臣秀吉 高虎「出世のために、死ぬかもしれん殿軍を志願するとはな」秀吉「出世のためだけじゃねえ! 信長様が乱世を収めてくれると信じとるからじゃ!」高虎「家臣の忠義をないがしろにする奴がか…!?」 徳川家康 高虎「名のある武者とお見受けした。手柄となっていただく!」家康「よき目をした若人よ。だが、簡単には倒されてはやれぬぞ!」 黒田官兵衛 官兵衛「腕は立つようだな。何故浅井に味方する」高虎「別に。仕えるべき者があれば主を変えるだけだ」黒田「火種にもなりえん男ということか」 竹中半兵衛 高虎「あんた…浅井にいなかったか?」半兵衛「使える主がいたんで移ったんだよ」 刀根坂の戦い(浅井・朝倉軍) 織田信長 高虎「信長、ざんげなど要らん! 消えてなくなれっ!」信長「それがうぬの望みか。己の手でかなえてみせよ」 関ヶ原の戦い・改(東軍) 石田三成 高虎「秀長様や長政様の家をつぶした秀吉のツケ、悪いがあんたに払ってもらう…」三成「秀吉様に取り立てられた恩を忘れし犬が…!」高虎「秀長様や長政様に取り立てられた恩が忘れられないんだよ!」 大坂冬の陣(徳川軍) 真田幸村 高虎「真田幸村、退けと言っても、退かぬよな?」幸村「無論。互いにもののふ。ならば主君のために戦うのみ!」高虎「いい武士だ…。もののふの度量、お前と競いたかった!」 大坂夏の陣(徳川軍) 真田幸村 高虎「幸村、戦いは終わったんだ。いいかげん、槍を収めろ」幸村「豊臣は終わりかもしれない…。だが、真田幸村の戦いはまだ続いている!」高虎「馬鹿野郎! 死んでどうなる!? 死ねば、ほんとのおしまいだ!高虎「生きろよ! 生きなきゃいけないんだ!死んじまった者のために!」 大坂夏の陣(豊臣軍) 直江兼続 高虎「最近はハレとケを心得ぬものが多くて困る、その点、あんたはきちんとしている」高虎「戦場で死ぬと想定して、白装束とは潔い」兼続「ならば、私を討ってくれ」 姉川の戦い(浅井・朝倉軍) 可児才蔵 高虎「笹の才蔵。あんた、龍興の部下だったな。織田に鞍替えしたのか」才蔵「己の武勇を示せるところならばどこであろうと同じだ!」高虎「違いないな」 台詞が出た時の状況が不明なもの(情報提供・編集求む) 特定の武将名 台詞 判明している状況 藤堂高虎攻略・編集報告 救援長政「このご恩、戦功にてお返しいたします」 - 名無しさん 2012-10-31 00 44 29 会話イベント:「一番手」 選択肢「他の家臣にも認められたね!」でも友好度上昇 - 名無しさん 2012-11-09 02 41 03 藤堂高虎「あんたを生かしておくわけにはいかん!地獄に落ちろ!信長!」 織田信長「おもしろいやってみせよ」 - 敵接近野田福島の戦い 2012-12-23 16 14 54 大阪夏の陣徳川軍藤堂高虎で真田ゆきむらに接近 藤堂高虎「幸村戦は終わったんだいい加減槍を収めろ 真田幸村「豊よみは終わりかも知れない.....たが、真田幸村の戦いは続いている!」 藤堂高虎「馬鹿野郎!死んでどうなる!死んだらほんとうのおしまいだ!」 藤堂高虎「生きろよ!生きなきゃならないだ!死んじまった者達のためにも!」 - 名無しさん 2012-12-23 16 33 05 会話イベント「反逆者の娘」を本能寺の変(明智軍)で、「食育」を山崎の戦い(明智軍)で、「反りと高さ」を野田福島の戦い(浅井・朝倉軍)で、「銃弾直撃」をDLC姉川の戦いで確認。 - 名無しさん 2013-01-05 00 43 36 DLCダウンロードしていませんが、「銃弾直撃」はあるので、関係ないと思います。あともう書いてあります。 - 足軽のAさん 2013-01-05 20 47 15 12346910111213 - asa 2013-04-04 10 15 38 る - 名無しさん 2013-04-27 10 33 20 ねね - 名無しさん 2013-05-03 21 06 48 第二レア武器コンボむずかしすぎ! - 名無しさん 2013-06-16 15 26 15 「長政の感状」「やはり愚か者だったな」は変化なし、「長政の命令に従え!」は上昇でした - 名無しさん 2013-07-17 20 37 19 名前 全てのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/48924.html
登録日:2021/08/13 Fri 12 39 30 更新日:2024/08/10 Sat 17 56 31 所要時間:約 20 分で読めます ▽タグ一覧 HADES Nintendo Switch Steam インディーゲーム ギリシャ神話 ゲーム ザグレウス ネビュラ賞 ハデス ヒューゴー賞 ローグライク ローグライト 冥界 家出 死にゲー 画像出典:ゲーム「HADES」Nintendo switch版ゲームタイトルページより。開発・販売@SUPERGIANT GAMES ◆概要 HADESは、SUPERGIANT GAMESが開発・販売したローグライトアクションRPG。 2020/09/17に初版が発売、2021/06/24には完全日本語版版も発売された。 2020年のゲーム・オブ・ザ・イヤー受賞作。 ギリシャ神話を題材にしたストーリーと同神話を知っていればニヤニヤせずにはいられない軽妙なキャラクター達、 全編手描きの美しいビジュアルワーク、爽快なアクションと良好な難易度バランスで隙のない良作で、瞬く間にミリオンセラーを達成した。 特筆すべきはテキストの膨大さで、何度プレイしても新しい会話が出てくる。テキスト回収率の表示が欲しい所だ。 英語原作はフルボイス。インタビューによればSUPERGIANTの音響スタッフが知り合いに声をかけて人を集めたとのこと。 全員見事に演じ分けられており雰囲気満点。「ギリシャ神話の各人物をどの英語発音で地域分けするか」など、相当困ったそうな。 日本語訳はUNDERTALEの翻訳などの実績があるハチノヨンが担当した。各キャラとも神話のイメージを元にそれぞれの言葉遣いも特徴づけられていて、丁寧かつ膨大な仕事量は圧巻。 ただ、神話物語という事を意識してか使われる日本語熟語がかなり古風なので(*1)、辞書アプリを傍らにどうぞ。 2021年、優れたSF・ファンタジー作品に贈られるネビュラ賞・ヒューゴー賞の2冠受賞。ビデオゲーム史上初の快挙となる。 ◆ストーリー 色々あって冥界の暮らしに不満を溜め込んでいた冥王神ハデスの息子ザグレウス王子は、 ついに冥界を脱出して地上に出る事(つまりは家出)を決意した。彼は冥府の武具を持ち、オリュンポスの神の支援を受けて地上を目指す。 掴みはこの程度だが、プレイを繰り返す内に内容が広がっていく構成。 本作のストーリーはギリシャ神話を題材にしているが、ザグレウス(*2)というドマイナー(*3)な神が主人公ということもあり、結構奔放にアレンジされている。豊穣の女神デメテルが双拳マルフォンを装備してティタンを鉄拳でボログチャにしたとか、ティタノマキア最終局面では炉の女神ヘスティアがアダマント電磁砲(!)を手に出陣し一面を火の海にしたとか…。なんでそんな事思いついたんだ キャラクターとストーリーは全体的に明るく、また何がどうなったかは明確に語られる。これは最近のゲームのストーリー手法がソウルライクに偏っているので、違う事をやった方がいいだろうというスタッフの判断だそうな。 ◆ゲーム内容 画像出典:ゲーム「HADES」Nintendo switch版ゲームタイトルページより。開発・販売@SUPERGIANT GAMES クォータービューの2Dアクション。画面構成はDIABLOなどに近い。 MAPは部屋で区切られており、そこにいる敵を全滅させたら報酬を獲得して次の部屋へ進む。 マイキャラのザグレウスは全6種の「冥府の武具」から1つを最初に選び(道中での変更は不可能)、これと弾数制限のある「魔弾」を使って戦う。 他に、狙った功徳が出やすくなるなどのパッシブ効果がある「賜物」を1つ装備できる。 前述したようにローグライトで、部屋ごとの敵の編成と報酬がランダム(ある程度比率は決まっているようだが)。 報酬の中にオリュンポスの神から功徳(くどく)(神の加護、いわゆるパワーアップ)を授かるものがあるのだが、 どの神が来てくれるかもどの支援をくれるかもランダム。このためマイキャラの性能が毎回かなり変わり、 それによってプレイを変えていく必要がある。ろくな物が出なかったゴミビルドで必死に戦うのもこれはこれで熱い。 もちろん死んだら功徳もお金も全て失ってハデスの館(スタート地点)からやり直し。 一方道中で集めた「闇の結晶」「宝珠」など一部のアイテムは死んでも失われない。これをハデスの館で使えば永続的な強化ができる。 この永続強化の効果がかなり大きいので、諦める必要はない。 ゲームが進むと様々なマイナス条件を付け加えて縛りプレイをする事ができ、それを突破して報酬を集めればさらなる永続的強化が可能。 各キャラには好感度が設定されており、ネクタルやアンブロシアを渡すことで好感度を上昇させることができる。 それに加え、ゲームの進行状況に合わせ、様々な会話イベントが発生する。 これがまた凄まじい量のテキストがあり、作り手の熱意を感じさせる。 なお、一部の会話についてはストーリーをサクサク進行させてしまうと見れなくなってしまうものもあるため、下手な人のほうがかえって会話をとりこぼすことなく見れるのかもしれない。 また、特定のキャラクターには恋愛要素が存在する。(タナトス、メガイラ、デューサ) 好感度を最大まで上げて、その後のイベントにおいて相手を受け入れるか否か選択肢が出る。 ザグレウスは独り身を貫いてもよいし、誰か一人だけを選んでもよいし、人間の倫理観にとらわれず、複数の相手とお付き合いをしてもよい。 ◆◆冥府の武具 六つの基本武器種にそれぞれ四つのバリエーションがあり、合計24の武器がある。 家出開始前にその中から一つ選び、家出が終わるまで変更することはできない。 ゲーム開始時は剣しか使えないが、鍵を使うことで他武器を解禁でき、ゲームを進めてティタンの血を消費することで別バリエーション(原語版はAspects、日本語版は○○の態)を解禁、成長させられる。 家出中に限り【ダイダロスの槌】というアイテムを拾得することで武器能力のアップグレードを行える。帰宅すると元に戻る。 純粋に強化するわけではなく、デメリットと引き換えに強化する項目も多いため注意が必要。 フレーバー的には、元は全てティタノマキアで振るわれた恐るべき神々の武具たちである。 役目を終えた後はティタン神族と共にタルタロスに放り込まれ、冥王ハデスは手入れもせず死蔵させていた。 どうやら過去様々な使い手に渡った武具らしく、ザグレウスはティタンの血を武器に注ぐことで過去の姿を取り戻すことができる。 過去のみならず、運命の三女神が予知した封印を解く言葉を用いることで神話の域を越えて、未来やはるかな過去の姿を取ることも可能。 スティギウス/ステュクスの剣 Stygius/Stygian Blade 初期装備の剣。 攻撃力、速度、範囲、全てが平均的なバランス型。 そしてバランス型の宿命で、全てが突出した面のない器用貧乏な所も。 他の武器を解禁することで、剣と比較した長所短所をプレイヤーに理解させるためのポジションでもあるのかもしれない。 + Aspects、各種「態」の解説 ザグレウスの態移動速度、通常攻撃の速度が上昇。 初期装備。 ものすごく地味な強化内容で、体感でギリギリわかるかどうかといったくらいの速度上昇しかない。 ヘルメスの功徳、賜物と相性が良い……というかヘルメスを上手く使わなければ真価を発揮できないとすら言える。 ビルドに成功すれば高い機動力からヒットアンドアウェイ戦術が可能となり「特急便」を獲得すれば火力の低さも補えられる。 ネメシスの態特殊攻撃後の三秒間、通常攻撃が確率でクリティカルする。 クリティカルは別枠で最終ダメージが三倍に乗算されるので、剣の中では一際高い火力を発揮できる。 条件も簡易で扱いやすいが「剣」という武器動作の枠外までは飛び出していないので、プレイヤーの力量がモロに反映される。 クリティカルの申し子アルテミスとの相性は当然抜群。「狩人の目」などを貰えばザコ戦では通常攻撃のほとんどをクリティカルさせることも現実的になる。 ちなみにネメシスはおっかない神罰の執行者たる女神でタナトスやヒュプノスの姉妹。 面識の無いザグレウスはタナトスからその事を説明されると「きっと素敵な女神なんだろうな」とコメント。知らぬが華である。 ポセイドンの態魔弾のダメージが上昇。魔弾を埋め込んだ敵に特殊攻撃をヒットさせると、魔弾をすぐさまドロップさせる。 かつてポセイドンが振るっていた時代の姿を再現した態。 剣でありながら魔弾を主軸とした戦闘スタイルとなる。 これに限らず、功徳を与えてくれる神様のかつて振るっていた武器は本人の功徳と相性が良い。 ポセイドン剣の場合、敵を吹き飛ばすことで距離を空けさせ、強力な魔弾で敵をまとめて押し流すことが可能となる。 またアルテミスの功徳との相性も良い。この態を使うなら、アルテミスの功徳「貫通傷」は是非狙いたい。 アーサーの態HPが上昇。特殊攻撃を行うと、ダメージが減少し、敵の動きが鈍くなるフィールドを展開する。 エクスカリバー。 ギリシャ神話の時代から見れば未来の姿。人間の騎士王が振るった世界一有名な聖剣。 ファンたちから各種武器の態は「ポセ剣」「アキレス槍」「エリス銃」など使い手の名前で通称される中「アーサー剣」と呼ばれず「エクスカリバー」と呼ばれることが多いあたり、その知名度は別格。 通常攻撃の威力と速度がものすごく重くなり、一発一発の出すダメージは全武器の中でも最強クラス。振りの遅さも最鈍クラス。 この隙だらけな通常攻撃をカバーするのが最大HPボーナスと特殊攻撃で張れる聖域フィールド。 敵の攻撃力を低下させるアフロディテや敵の動きを鈍くするデメテルなどの女神と相性が良い。 ヴァラサ/永遠の長槍 Varatha/Eternal Spear ザグレウスの父と師が槍の名手なだけあって、槍捌きが上手いのか攻撃のバリエーションが豊かな武器。 近接戦闘から範囲攻撃、投擲による遠距離攻撃手段まで持ち合わせており、不得意とするレンジが存在しない。 一方で剣と同じく器用貧乏気味のバランス型な所がある。 + Aspects、各種「態」の解説 ザグレウスの態特殊攻撃の威力、速度、射程が上昇。 槍の投擲が強化されるザグレウス自身の態。 地味だが低熱度の内はかなり扱いやすく、敵と距離を取ってアレスやディオニュソスの功徳をつけておくだけで勝手に敵がバタバタと沈んでいく。 一方で瞬間火力には欠けるので高熱度では時間制限に引っかからないよう、獲得したアップグレードや功徳で上手くビルドを決めていく必要がある。 アキレウスの態特殊攻撃後、もう一度特殊攻撃ボタンを押すと投擲した槍の地点にダッシュして回収。その後四回まで通常攻撃、魔弾のダメージが上昇する。 師匠アキレウスが扱っていた時代の姿を再現した態。 この投擲槍を回収する動作は「激情の疾走」といい、ダメージ補正は最大まで育成するとなんと150%。実に通常の2.5倍のダメージが与えられるようになる。 驚異的倍率であり適当に特殊攻撃とダッシュストライクをカチャカチャやっているだけで分かりやすく強い。 スピードラン御用達の武器であり、ポセイドンの潮流の俊足、大波、怒りの暴風辺りを付けて圧倒的機動力と手数で圧殺するビルドが有名。 また。魔弾強化効果を持つ武器の中ではぶっちぎりの最強倍率を持ち、魔弾の基本ダメージは槍の通常攻撃よりはるかに高いのでお手軽に火力を出すなら魔弾功徳を上手く育てたい。 「激情の疾走」は移動手段としても優れており、長距離ワープや敵の背後を一瞬で取るなどの動作もしやすい。 総じて機動力、手数や魔弾による火力に優れ、初心者にも上級者にも愛される名槍である。 さすがです、師匠…。 ハデスの態スピンアタックが強化。スピンアタックがヒットした敵に槍で与えるダメージが増加する。 ティタノマキアで父上が振るっていた時代の姿を再現した態。 『父殺しの槍』ということをハデスも自覚しており、この態でラストバトルを迎えると特殊な会話が起こる。(これに限ったことではないが) チャージ範囲攻撃のスピンアタックの範囲が強化され、さらにヒットした相手への追撃が強化される。 その倍率、やはり破格の150%。ただしアキレウス槍と違い、こちらは純粋に槍による攻撃のみ強化されるため瞬間的な爆発力はあちらより控えめ。 そのかわり攻撃力強化の時間が十秒間と長く、操作がわかりやすく使いやすい。 ちなみにスピンアタックは障害物を貫通して攻撃できる。スピン範囲の広いハデス槍はこの仕様を上手く使いこなしたい。 あくまで槍のダメージが強化されるだけなので、功徳によるダメージは強化されない。 関羽の態全ての攻撃のダメージが強化。スピンアタックがスピンブレードを発射する効果に変更。最大HPが割合減少する。 三国志の英雄関羽がやがてこの槍を振るう時に見せる未来の姿。 槍というより青龍偃月刀であり、エクスカリバーほどではないが攻撃モーションもダメージも重くなる。 また、槍投げの回収は行わないようになる。 スピンアタックの性能も変わり、ザグレウスの前方に巨大なスピンブレードを発射し、断続的にダメージを与える。 特筆すべきはこのスピンブレードが1ヒットするたびに、HPも1回復するということ。 たかだか1と思うなかれ。連続ヒットするうえに敵の群れに放り投げると瞬く間に20~30くらいは回復する。そのうえ威力もかなり高い。 ……ここまで書くと超強い武器に思えるが、なんと最大HPが初期状態で25%にまで低下する。 最大HPを100にしていても25になり、その後最大HPを伸ばしても75%減少効果は続くという凄まじいデメリットを背負う。 この効果は育てることで緩和されるが、それでも最大HPは50%低下が限界。 このため、武器の性能そのものは悪くないのだが非常にリスクの高い扱い辛い武器と多くのプレイヤーが認識している。 アイギス/混沌の盾 Aegis/Shield of Chaos 盾だけど武器である。これで敵をぶん殴るのだ。 本作の世界では、元々盾は原初の混沌神カオスの武器で、有名なアテナ神の「アイギスの盾」はそれのレプリカなのだとか。 ガードとチャージが兼ねられており、真正面からの攻撃を範囲攻撃以外は全てノーダメージでガードできる。 チャージを解き放つと正面へと突撃する。溶岩やトラップ床に突撃してしまうのは盾を使うと誰もが通る道。 投げて敵や地形でバウンドする遠隔攻撃もできる。ただし盾が手元に戻るまで通常攻撃もガードもできない。 + Aspects、各種「態」の解説 ザグレウスの態通常攻撃の威力が強化される。 基本態らしく超シンプルな効果。 最大強化で+15のダメージ強化。一見ショボいようだが基本威力自体を強化しているのでここに攻撃強化倍率が加わると結果が大きく変わってくる。 盾の他態はかなり尖った性能なので、これが一番使いやすいという人もいるだろう。 カオスの態ブルラッシュ後、特殊攻撃で投擲する盾が増える。 原初の神カオスと共に在った時の、超古代の姿。……最早物質とかそういう以前の代物じゃないのかこいつ? チャージ突撃攻撃後、投げる盾が分裂する。最大まで育てて五つまで増える。 盾投げ中は通常攻撃、ガードができないためアクの強い効果であるが、隙自体は少なく功徳で付与したバステなどを広範囲にばら撒くのに向いている。 火力そのものは劇的に伸びているわけではないので、獲得できる功徳をいかに生かすかにかかっている。 ちなみにこの武器を装備した状態で、オリュンポスの神が授けてくれる功徳内容の変更を要請する『神々の説得』という能力を使うとどこからともなくカオス神のツッコミが入る。 それ以外の時でも稀にザグレウスの行動にコメントをすることがあり、原初の神は盾からザグレウスの家出を見守っているらしい……。 ゼウスの態特殊攻撃の性能が変更。ゆっくりと移動する雷霆の円盤となり、ヒットした敵に断続的にダメージを与える。 ゼウスがかつて所持していたアイギスの盾としての姿。 ちなみにアイギスの盾の持ち主といえば一般的にイメージされるのはアテナだが、このゲームで登場する彼女も所持している。複数あるのだ。 特殊攻撃の性質がかなり変わり、発射後ゆっくりと浮遊し、一定距離まで行くと停止するスピンブレードのような性質の攻撃に変わる。 他の盾と違い、特殊攻撃を発射中でも通常攻撃やガードが可能になる。このため、特殊攻撃で切り刻みながらザグ自身はガードなどというチキン戦法も可能。 反面、盾の回収は瞬時に行われず特殊攻撃する場所を変えようとするとすぐさま実行できないという難点も。もっとも、これを利用して常にザグレウスが移動し続け、雷霆の円盤を連れ歩く運用も可能。 連続ヒットさせやすい武器であり、その場に留まる性質を持つためゼウス自身やゼウスの子供たちの功徳と相性がいい。 ベオウルフの態魔弾を発射すると盾に装填。ブルラッシュ発動地点で魔弾が炸裂する。被ダメージ10%上昇。 竜殺しの英雄がやがて帯びる時に見せる未来の姿。ベオウルフはその竜との戦いで結局死亡しているためか、軽度のダメージ上昇デメリットがある。 魔弾は性質が変わるものもあり、功徳を受けていない基本の魔弾すら炸裂範囲攻撃となる。 魔弾装填することでブルラッシュの威力、攻撃範囲も強化。ただし炸裂地点もブルラッシュでチャージした所なので、狙った箇所に当てるためにはいつまでもガードしているわけにもいかなかったりする。 ガード中でも魔弾装填は可能。この盾を使うなら上手く活用しよう。 コロナハト/心追いの弓 Coronacht/Heart-Seeking Bow 遠距離攻撃武器。弓を引き絞ることによって射程を延ばし、敵を貫通する矢を放つことができる。 遠くから攻撃できるということはその分敵の攻撃を喰らいにくく、対処しやすいということであり手にしたばかりの頃は頼もしさを覚えるだろう。 ただし弓を絞るチャージ中は無防備で敵に接近されるのが苦手。そのため、敵と常に一定の距離を保ちたい。 なおこの戦闘スタイルから父ハデスは弓を「臆病者の武器」と蔑んでいる。 + Aspects、各種「態」の解説 ザグレウスの態通常攻撃が確率でクリティカルヒットする。 基本態らしく超シンプルな効果。 しかし、無条件で最大15%の確率でクリティカルヒットするので実はかなり強い。 アルテミスの功徳を受けてより高確率でクリティカルさせるも良し、攻撃倍率の高い功徳を受けて一撃のダメージをより重くするも良し。 通常攻撃を強化するアップグレードの引きが良ければ、ものすごいことになる。 ケイロンの態通常攻撃が最後にヒットした相手にマーキング。特殊攻撃がマーキングされた相手に全て誘導される。 ケンタウロス族の賢者【ケイロン】が使用していた際の姿。 ちなみにケイロン自身は射手座の方なら知っているかもしれないが、天に昇っているので冥界が舞台のこのゲームには出てこない。 ケイロンはアキレウスの師匠兼養育役でもあったので、ザグレウスはケイロンの孫弟子という事になる。 通常攻撃でロックオンした相手を、特殊攻撃の連射で仕留めるというわかりやすいコンセプトの弓。 とくに敵の数が少ないボス戦で強く、一発射抜いてガン逃げしながらホーミングアローを連射し、マーキングが消えたら再び通常攻撃で射抜くというループがしやすい。 特殊攻撃の威力を純粋に強化しても良いが、ディオニュソスの二日酔いがあっという間に重篤化するのを代表に、連続ヒットさせることでダメージを大きくさせられる功徳とも相性が良い。 ヘラの態魔弾を発射すると弓に装填。通常攻撃すると、ヒットした地点で魔弾が炸裂する。 ギリシャが誇る嫉妬神【ヘラ】が使っていた時の姿。これを使っていた時はあんな恐ろしい嫁になるとは誰も想像しなかっただろうが…。 飛翔速度の遅い魔弾でも、射程範囲が狭い魔弾でもこれを使えば矢に乗って飛ぶため非常に使いやすい。 また、レベルを上げることで敵に埋め込まれた魔弾の回収できる時間も短くなる。 矢の攻撃に魔弾が乗るため瞬間火力は高く使いやすいものの、魔弾の威力自体を上げているわけではないので総合火力は実はそれほどでもなかったりする。 アルテミスと仲良くして魔弾強化系の功徳をしっかり貰いたい。 ラーマの態特殊攻撃が三点バースト射撃となり、跳弾性質を獲得。特殊攻撃がヒットした敵は全てマーキングされ、通常攻撃がヒットすると通常攻撃ダメージ分の割合ダメージがマーキングされた敵全てに与えられる。 古代インドの叙事詩「ラーマヤーナ」に登場するヴィシュヌ神の分身であるラーマ王子が携えた姿。 まるでTCGのカードテキストのような説明になってしまっているが、実際複雑な武器なので仕方ない。 説明通り「特殊攻撃を敵に当てる」「その後通常攻撃で加算ダメージを与え、トドメを刺す」というコンセプトの武器。ケイロンと手順が逆と言える。 ケイロンと違い、効果時間中はマーキング「痛みの輪」を付与させられる敵の数は無制限。このため、大軍を相手にしても問題ないポテンシャルを持つ。 通常攻撃は横に広くなり、三日月型の弾を射出するようになる。チャージ時間は重くなるが、威力は高い。 熱度がさして高くない間はメリットよりも使いにくさが勝るかもしれないが、高熱度攻略に必要な要素を高い水準で満たしており、今日も多くのザグレウスがこれを抱えて死にに行く。 マルフォン/双拳 Malphon/Twin Fists of Malphon 無骨で巨大なグローブ。見た目通り攻撃レンジがとても短く、殴っても相手が怯まないボス戦では危険が大きい。 その分手数が多く、総合的なダメージも大きい。ハイリスクハイリターンといった所。 ジャブとアッパーとダッシュを駆使し、殴ってすぐ動くヒットアンドアウェーな戦闘スタイルは他武器にはない独特な動きになりやすい。 ちなみに弓を「臆病者の武器」と父上は言うが拳までいくと「野蛮な武器」とのこと。ぐうの音も出ない。 多くの神が「凶暴すぎてこいつはダメだ」と評価する中、アレスがこの武器を嬉しそうに見ているのが何ともはや。 + Aspects、各種「態」の解説 ザグレウスの態通常攻撃速度、回避率が上昇。 このゲームでの回避率とは被弾した際に回避判定が行われ、無効化されるというもの。 最大まで上げても15%だが、回避率を上げる手段は結構あるため拳の中では際立ってリスクが低い。 ビルドに成功すると終盤では棒立ちしていても六割方避けるものすごいザグレウスが誕生する。瞬間的には100%=無敵すら狙える。 回避率上昇系はヘルメスが持っているため、貰える功徳は厳選したい。 タロスの態特殊攻撃を行うと近くの敵を引き寄せる。引き寄せられた敵は五秒間、通常攻撃と魔弾で与えるダメージが増加する。 かつてクレタ島の警備員をしていた青銅巨人が装備していた時代の姿。ロボじゃねぇかこれ。 拳は自ら接敵する必要があるが、地形ダメージを受けたりする本作では敵の周囲がいつも安全とは限らない。 その問題を敵を引き寄せることで解決できる拳で、拳の中ではかなり立ち回りがしやすい武器。また、引き寄せ状態になった敵へ追撃するダメージも増加する。 ちなみに他拳と違い特殊攻撃は「引き寄せアクション→アッパー」となり、この二つの動作の間にダッシュを挟むとアッパーをキャンセルできる。引き寄せたいがアッパーはしたくない時にどうぞ。 特殊にポセイドン叔父上の功徳をつけると、引き寄せた敵を再度吹き飛ばすヨーヨーのような動きをして面白い。壁に叩きつけるとダメージも加速する。 デメテルの態通常攻撃を十二回ヒットさせると次の特殊攻撃の特殊攻撃の攻撃回数が増える。 祖母上がかつて使っていた時代の姿。ティタン神族を文字通り拳で殴り殺していたとは今の姿からは想像もつかないが、本人は大したことのないかのようにその現実を認めている。 最大まで育て上げると特殊攻撃の増加回数は五回にもなり、高い瞬間火力を発揮する。ぜひハンマーの特殊攻撃強化系を引き、必殺アッパーの快感を楽しんでもらいたい。 皮肉にも瞬間火力を引き上げる父上の賜物「死者の旗印」との相性が良い。もちろんクリティカル火力が凄いアルテミスと組み合わせても良い。 ギルガメッシュの態通常攻撃が置き換わり、ダッシュ回数が二回追加される。ダッシュ特殊攻撃を敵に当てると致命傷状態となり、彼我共に与えるダメージが増加。一定時間経過後致命傷状態の敵に固定ダメージ。 人類最古の文学ギルガメシュ叙事詩の登場人物ギルガメシュが使っていた時代の姿。 ……と言っても武器名は「エンキドゥの爪」なので実際のところはエンキドゥの力を借りているのかもしれない。 説明が長ったらしいように、この武器は付属効果が多い。多すぎる。もはや拳ではなく独立した武器に近い。 通常攻撃は横殴りのスラッシュとなり、攻撃範囲は広く威力も高い。ただし隠し態のお約束通り、モーションが強烈に重くなる。 そしてダッシュ回数が増える。素で三回ダッシュができるため、機動力は高く、攻撃中の位置調整や緊急離脱に役立つ。ただしダッシュ距離は他武器装備時より短くなり、次にダッシュ可能となるまでのクールダウン時間も他武器より長くなる欠点もある。 極めつけがダッシュアッパーによる致命傷付与。これを行うと、ザグレウスが与えるダメージは25%上昇。でも敵がザグレウスに与えるダメージは50%上昇とデメリットはかなり重い。 その後解除と共に固定ダメージが与えられるのでこちらが本命かもしれない。 基本的にダッシュアッパーによる致命傷付与を忘れても機能する、強力でクセの強い武器である。 エクサグリフ/アダマント電磁砲 Exagryph/Adamant Rail 古代ギリシャが舞台であるにも関わらず当たり前のように出てきた電磁砲。 マシンガンのように発砲し、グレネードランチャーをぶちかまし、薬莢が飛び散り、ガシャコンとリロードする。 コイツを使っている時だけ明らかに古代ギリシャに似つかわしくないSEがスピーカーから響き渡る。 世界観を豪快に破壊しているのだが、登場神物たちは違和感も覚えず普通に接している。 操作が独特でリロードの概念があり、やれること、考えるべきことが多くかなり扱いにくい上級者向けの武器。 また、ハンマーによる一部のアップグレードや相性の良い特定の功徳を引かないとロクに火力が出ないので、下ブレるときはとことん下ブレる。 その分ポテンシャルは高く、うまくビルドして使いこなせばブッ壊れた破壊力を発揮する。 + Aspects、各種「態」の解説 ザグレウスの態通常攻撃の弾数が上昇する。 一マガジンにつき装填される弾数が最高24発にまで増える。 リロードタイムという隙が少なくなるためシンプルながら使いやすい効果。 ただし、ハンマーによるグレードアップでデルタチャンバーを引いてしまえば弾数が無限になるのでそうなると意味が薄い。 もっとも弾数が減るスプレッドファイアを使う分には相性がいいのでハンマー運次第といった所。 エリスの態特殊攻撃の爆破範囲にザグレウスが巻き込まれた後の八秒間、与えるダメージが上昇する。 不和と争いの女神であるエリスが使っていた時代の姿。 ややこしい手順を踏む必要があるものの、最大まで育成させた後のダメージ上昇率は75%と高く、オマケに行動制限が無い。 通常攻撃や特殊攻撃はもちろんのこと、功徳による攻撃や魔弾まで強化され時間も八秒と余裕があり極めて強力。 全行動に火力補正が発揮されるためRTAでは大人気。通常攻略でも大変強い。 しかし爆風を浴びる必要があるため立ち回りは結構ややこしく、電磁砲のお約束通り弾数管理はしなければいけないのでお世辞にも初心者向け武器とは言い難い。 ヘスティアの態手動リロードを行うと通常攻撃の基本ダメージが一発だけ上昇する。 ギリシャ神話のアイドルヘスティアちゃんが使っていた時代の姿。まぁデメテル祖母上の妹なので本作に仮に出てきたらビジュアルはたぶん……。 特異でありながらシンプルな能力の武器で、通常攻撃のマガジンを手動でリロードすると、次に行う通常攻撃の基本ダメージが上がるという、たったそれだけの効果。 最大まで成長させると基本ダメージは150になる。あまりパッとしない数値に見えるが、基本ダメージとはここからさらに倍率加算される最初の数値なので、高ければ高いほど凄まじい威力となる。 ビルドに成功すると四桁ダメージは現実的に狙える。手動リロード時間は一秒強程度であり、通常攻撃は飛び道具なので安全で隙が少ないとローリスクハイリターンな武器。 ただ、いちいち手動リロードを交えるのはかなり操作が複雑になり、実際使うとシンプルな能力に反してピーキーな性能。電磁砲はこんなんばっかである。 ルシファーの態通常攻撃がビームに変化。特殊攻撃が機雷設置に変わり、彼我の攻撃が機雷に当たると起爆し範囲攻撃を行う。 創造主たる父に反旗を翻し天より落ちたある明けの明星を象徴とする者の使っていた時代の姿。 その正体はギリシャの神々ですら上手く把握できておらず「どこの世界、いつの時代にも親殺しする息子はいるもんだな」とのんびり受け止められている。 通常攻撃のビームは照射し続けることで威力がぐんぐん伸びていく性質を持つ。 棒立ち照射などしていたらあっという間にタコ殴りにされるゲームなので使いにくいが、攻撃ボタンを押しながらダッシュボタンを押すことで照射しながら移動可能。上手く使いこなしたい。 特殊攻撃は機雷設置に変わる。クセはあるが、敵の攻撃が刺されば大体敵自身は巻き込まれるし、魔弾などの攻撃でも起爆するので敵がリポップする間などに設置すれば高い範囲ダメージを一瞬で叩き出せる。 また、アップグレードのオリジナル効果がかなり多い。 ◆◆ステージ構成 全体は4エリアあり、エリアごとにボスがいる。 ボス区画を掲載しておくので、カオスの門に入る際の参考にしてください。 タルタロス いわゆる「黄泉(よみ)の国」、冥界の河ステュクスの赤い水が流れ着く所。牢獄めいた石造りの空間に亡者が漂っている。 敵にクセは少なく、まだまだ序盤。トラップ類の配置が甘いのもありがたい。 冥界の最下層であり、冥王神ハデスはここに館を構えている。 第14区画目がボス部屋。ボスは「復讐の三女神」 アスポデロス 冥界の広範囲を占める大平原…なのだが、なぜか溶岩が流れ込んで灼熱の世界。 大きく動く敵が多い上に溶岩の流れで区切られて移動に制限が多く、魔弾をメインに戦うビルドだと悶絶する。 だが、溶岩でダメージを食らうのはエネミーも同じこと。大ジャンプで復帰してくるためそれだけで勝つことは難しいが、功徳や武器によっては使いこなすと楽になる。 第24区画目がボス部屋。ボスは「レルニーのボーンヒュドラ」(*4) エリュシオン 生前に偉業を成し遂げた人が送られる楽園。冥王神いわく「デカい事をやった奴が送られる。善悪は関係ない」との事。 緑豊かで涼しい空気が満ちている。 よほど暇なのか、過去の英雄戦士たちがケンカを売ってくる。 倒してもコアが逃げ出し、武器を拾って復活を図る戦士タイプが非常に鬱陶しい。 第36区画目がボス部屋。ボスは「テセウスとアステリウス」 ステュクス神殿 地上にある建物で、冥界と直結している。邪悪なサテュロス族や害獣が住み着いて不潔な場所。 5つのサブエリアに分割されており、どれか1つの終点にクリアアイテムが安置されている。最初の選択でクリアになる事はなく、最低でも2つは攻略しないといけない。 サブエリア2つ攻略でクリア条件達成になる可能性は50%弱、5つ全部攻略しないとクリアできない可能性は10%を切るとか。 ボスは… ◆キャラクター ◆◆ハデスの館 ザグレウス 本作の主人公(プレイヤーキャラクター)。 冥王神ハデスと夜母神ニュクスの息子で冥界の王子。ハデスの後継者として豊かな教育と愛情を注がれて育ったが冥界に自分の居場所がないとずっと感じており、地上への脱出を決心した。 行く手を阻むハデスの部下をボコボコにする様子はバイオレンスだが、 一方で目上に対しては綺麗な敬語で話し一般の亡者にも気さくな態度で接する育ちのいい王子様でもある。 ワイズクラッキングが多く、出会った色々な物事にぼそっとツッコんでいる。 挑発が特技で各ボス・中ボスを戦闘前会話でぼろくそに煽る。恐らくお父様からの遺伝。 互いに煽りの神ではないかと思うほど口達者な父子口ゲンカは本作の魅力の一つ。 + 赤い血の神 「赤い血を流す神」とアレクトからは揶揄されており、実際ゲーム中でもダメージを負うと赤い血痕が床に散らばる。 これはギリシャ神話の神々は「イコル」という透明な体液が流れているのに対し、ザグレウスの体液は人間=定命の者のように赤いことが由縁している。 結構気にしているようで言われるとそれなりに傷つく。 他にも「地上訛り」と言われるとあまり良い顔はしない。(*5) 書類仕事が苦手で部屋が片付けられない。今までハデスから色々な仕事を与えられてはきたが、上手にこなせず首になっている。 有能な友神たちとちがって仕事ができず、また自分自身が何の神だかわかっていない。 その生き辛さが極めて強いコンプレックスになっているのも家出の原因の一つだったのだろうか。 アキレウスから両親の神格や血珠を扱う能力を考慮して「血の神」ではないかと言われても首をかしげるほど、心に痛々しい影を落としてしまっているのだ。 何の神だとザグレウス自身は知っていなくとも、ゲーム中の描写からある程度は推測できる。 ゲームシステム上、死と再生を繰り返すがこれは芽吹き(生)と収穫(死)のサイクルを繰り返す母方の季節の女神の性質と強く関連する。 生死のサイクルを繰り返しながら辛抱強く話を聞き、疎遠になった人々や家族の絆を繋ぎ直すなど修復、縁結び、豊穣神の素質もある。 (デメテルやペルセポネだけでなく、ハデスも目立たないが地に属する神として豊穣神の側面もある) 「血の神」と言われると漠然としているが血液もまた身体の中を絶えず循環するものである。 季節もまた絶えず循環し一秒たりとて止まることがない。 常に動いており、じっとしていられない彼の気質はそうした神性の一側面であるのかもしれない。 ハデス 元ネタ神のアニヲタ記事はこちらから【ハデス】。 ご存知冥界の王様。本作のハデスは元のギリシャ神話のイメージに近く、厳しく頑固だが公正に冥界とその秩序を取り仕切っている。 混沌としていた冥界に法と事務システムを作り上げ、死者の裁きの効率化と安定化を成し遂げた仕事人。 死者は絶え間なく冥界に降りてくるためその仕事には終わりがなく、いつも書類の山に埋もれている…。 子煩悩でツンデレな面倒くさい親父殿でもあり、ザグレウスの家出行をリアルタイムで監視している。そして要所要所で煽ってくださる。 アキレウス ご存知トロイア戦争の大英雄。死後ハデスに見出され、ザグレウスの武術の師匠としてハデスの館に住むことになった。 物静かで温和な武人だが、トロイア戦争の経緯がよっぽど堪えたのかとても後ろ向きな性格になってしまっている。 ちなみに本作の用語辞典はこのアキレウスの手記という体裁で、アキレウスの主観が思いっきり入っている。 アガメムノンが登場したらどんな風に書くことやら。 + 恐怖は弱者のものなり。恐怖は弱者のものなり。恐怖は弱者のものなり… 半神として産まれた彼は、とても強かったために周囲と溝ができ、ふさぎがちであった。 パトロクロスは彼を脅威と見なさない数少ない人間の一人であり、一緒にいると心が安らぎ、本来の自分を取り戻せたという。 トロイア戦争の死亡後は、本人も予言通りパトロクロスの後を追うように死亡する。 アキレウスの遺言にしたがい、二人の遺灰は同じ墓に埋葬された。 友人であり恋人であったパトロクロスがエリュシオンで穏やかに暮らすことと引き換えに、ハデスの館に束縛されている。 本人はよかれと思ってやったことだったが、パトロクロスは穏やかどころかレーテー川の水を飲んで全てを忘れるかどうか迷うほど鬱になってしまう。 アキレウスのほうも、既に恋人は川の水を飲んでいるかもしれないという恐怖心からどうしても行動することができなかった。 彼が常日頃ザグレウスに教えている「恐怖は弱者のものなり」という言葉が、皮肉にも彼の現状を映し出しているのだ。 このため、基本穏やかな語り口である「冥界の書」だが、パトロクロスの項目だけは彼の激情で満ち溢れている。 たまたま通りかかったザグレウスがどうにか二人をとりなした末、わずかに気力を取り戻したパトロクロスの「全てを賭けろ」という檄に、今度こそ応えなかったらどうなっていたことか……。 ハデスの懲罰を恐れずにザグレウスの手を借りたアキレウスは、契約を書き換えてパトロクロスの元へ行くことに成功する。 賜物は「ミュルミドンの籠手」 ひたすら前に突き進む武人は、ザグレウスに希望の前途を見出した。 「栄光を約束され、人々の記憶の中に永遠に生きる英雄は、汝のことをもまた、永遠に忘れはしないだろう」 ニュクス ギリシャ神話の夜の女神。原初の混沌カオスの娘で、原初の神々系譜の最古参となる神様。 本作ではハデス王の妃、ザグレウス、ヒュプノス、タナトスの母。 元々は彼女が冥界の女王だったが、ハデスがやってきて死者の裁きを効率化・秩序化してくれたおかげで彼女は本来の仕事である冥界そのものの管理に立ち戻る事が出来たのだという。書類は苦手なのだろうか いつもしっとりした声で静かに語る。言葉を荒げたり動揺した様子を見た事がない、とはザグレウスの評価。 メガイラ 復讐の三女神の一柱で、悪行深い亡者を罰する役目の統括官としてハデスの館に出入りしている。 他の二柱(アレクト、ティシポネ)は凶暴なためハデスの館出禁。 ザグレウスからの愛称は「メグ」。ハデス同様に厳格一辺倒で、奔放なザグレウスをムチ打った事は一度や二度ではないらしい。 デューサとは親友で、酒場で楽しく語らう姿がたまに見られる。 絵によってはオミットされているが、左眉と鼻の左側にピアスをつけている。 + 家族のあり方について、お前がとやかく言うのか? ロマンス可能キャラの一人。 メガイラたちエリニュスは、切り落とされたウラヌスの男根から流れる血をガイアが受けて生まれた存在である。 ティタンの血をドロップするのもこのためである。 凶暴なアレクトや意思疎通が難しいティシポネとは距離を置いている。 だが長女であり職場の同僚としても関わらざるを得ないこともあるせいか苦労は尽きない。 このためたびたびニュクスに相談する彼女の姿が見える。 彼女にのみ弱音を吐くが、刑務官として日頃は強い姿を見せねばならないことや、親のように相談できる存在がニュクスしかいないからなのかもしれない。 (『神統記』では、タナトスよりも初出が早いくらいである) 実はザグレウスの元カノ。冥界の秩序を乱すザグレウスの家出には官僚としても元カノとしても激怒しており、鞭でビシバシと遠慮なくひっぱたいて殺しにかかる。 突進、広範囲攻撃、連続エリア攻撃など多彩な技を披露し、序盤の難関としてザグレウスの前に立ちふさがる。 なお死んだ際はハデスの館の泉でザグレウスと同様に蘇生する。 ザグレウスの元カノゆえ、彼の部屋に私物を置いていたこともある。 このため他のロマンス可能キャラと異なり、ザグレウスの部屋に入る頻度が高く、会話からも性的な関係があったことをバシバシ匂わせてくる。 付き合うに至った過程は不明だが、脱出直後に入るカットシーンで、ザグレウスがある程度育った頃にハデスから紹介されていることがわかる。 まさか、そういう相手として選ばれたのだろうか……? なお、ザグレウスはプレイヤーのあずかり知らぬ過去においては何度もメガイラに失礼なことを言っていたようだ。 好感度を高めると聞ける会話では彼は「ガキだった」とたびたび無礼を謝罪するし、アキレウスの手記にもメガイラの愚痴が記されているほど。 それでもメガイラが彼を見捨てなかったのは、古株の神であるため長い目で若いザグレウスと付き合えたことや、嫉妬する者を断罪する女神であるゆえに嫉妬心が薄かったからなのかもしれない。 このため、ザグレウスが他のロマンス可能キャラと付き合っても「私たちは、人間とは違う。彼らが互いを縛りたがるのは彼らの一生が短いから。不死の私たちとは事情が違う」と、人間と神の常識や倫理の違いを語りながら余裕で受け入れる。 浮気や嫉妬で騒動を起こすオリュンポスの神々の立つ瀬が無い。 なお、ロマンス中の暗転シーンでは翼や鞭を振るう音が聞こえ、ザグレウスもワァオとか言っている。 どうやら、ザグレウスはハードなプレイのM役もいけるクチのようだ。 タナトスとも二股をかけた場合、二神は共謀してザグレウスの寝室で待ち伏せをするが、受け入れた場合は\ビシバシ/\ワァオ/\ハハハハハ/という音や声が聞こえる。 ザグレウスはどんどん新しい扉を開いていくようだ。 まあ、恐怖は弱者のものなりって言うし大丈夫だろう。 賜物は「髑髏の耳飾り」 恋仲になってもならなくても、殺し合いをすることは変わらない。 血を流し、死に近づいたその時に、その耳飾りはザグレウスに力を授ける。 「互いの手にかかり、迎える死…すべての悦び、すべての痛みが、ひとつとなった」 ヒュプノス ニュクスの息子で眠りの神。死者の数と死因のカウントが仕事で、冥界の受付係的存在。 いつも居眠り混じりで仕事はずさん、言葉遣いは軽々しく、メガイラやタナトスに叱られている。 だがハデス王はこれを黙認している。いわゆる宮廷道化師的な役割かもしれない。 ミノタウロスのファン。 家出失敗して死ぬと死因に関してコメントしてくれる。その数なんと七十種類以上。 タナトス ニュクスの息子で死神。その大鎌には即死効果がある。そのままじゃねえか。 本来は腰に佩いた剣(会話ウィンドウで見えにくい)で死者の髪をひと房切るのだが、ゲームでは出番がない。 地上と冥府を行き来し、運命が尽きた者に死を与える仕事をしている。あまりに忙しく、会っても話が終わるとすぐにワープする。 クールで気取った態度と服装だが、それが嫌味にならないイケメン。 ザグレウスとは仲が良く、たまにザグレウスの家出行に現れて手助けしてくれる。その際敵に食らわせるダメージは全て9999。さすが死神。ちなみにキル数で勝つとアイテムをくれる。 ニュクスのみから生まれた彼は母親を敬愛している。 大勢いる兄弟のうちネメシスや運命の三女神などまったく会わない者も多いが、生来の淡白な気質も手伝い特に気にした様子もない。 このためザグレウスやオリュンポスの神々と違い、家族仲は可もなく不可もなくといったところか。 + 俺から逃れられると思ったか? ロマンス可能キャラの一人。 ザグレウスの友人であり「ザグ」と愛称で呼ぶ。 タナトスも「Than」と愛称で呼ばれているが、日本語字幕では「タナトス」となっている。(英語の発音としては/θænətɒs/であり、そもそもカタカナに寄せると「サナトス」「サン」に近い。) 『神統記』の通りの冷徹な性格。 感情は希薄だが身内に情がありシシュポスは嫌っているなど、本人が思っているほど無いわけではなさそうだ。 またアキレウスは「死神」であるタナトスに対し、ザグレウスは「生き神」であると手記に書いている。 確かに性格も正反対、髪の色も白と黒と逆なのでお互いに対照的な存在ではある。 タナトスもザグレウスの家出に大きなショックを受けており、最初に姿を現した際は激怒しながら詰めよった。 それでもなおザグレウスを手助けし、ノーダメージ前提の賜物やHPを上げるアイテムをくれたりなど、死神であるにもかかわらず友人を生かそうとする。自己矛盾が激しい。 優等生ポジションの彼であるが、ただでさえ時間が無いのにザグレウスをこっそり手助けしていたせいで遅刻や「事故」の報告が相次ぐ。 これが原因でハデスに叱責される場面もあるなど、苦労人気質。 とはいえ、遅刻の理由を地上の戦のせいにして誤魔化すタナトスに対し、ハデスは「根を詰めすぎぬように」と気遣う場面もあるなど、その信用は高い。 皮肉なことに、事件の影響で産まれて初めて強烈な感情が芽生える。 自分でも理解できない激情に振り回され、ザグレウスに執着して当たり散らすことに。 ザグレウスは混乱の極みにある彼を落ち着かせようと言葉を尽くすが、ザグレウスもザグレウスでまた微妙にずれたことを言うのでタナトスは自分の中にある巨大な感情が初恋だとなかなか自覚できなかった……。 これはハデスとニュクスの意向により、ザグレウス、タナトス(とヒュプノス)が母親が同じ兄弟だと思って育てられてきたことが影響しているのかもしれない。 彼を受け入れた場合、暗転中は\アハハハ/\ハハハハハ/な感じの笑い声と共に、おそらく寝台がきしむ音が聞こえる。 メガイラと違い、あまりハードな趣味・嗜好は持っていないようだ。 メガイラに対しては最初は感情を整理できず「最近、メガイラとよく会っているようだな」とザグレウスへ嫉妬をあらわにする。 しかし彼とロマンスを成立させ、かつメガイラと二股をかけた場合、そのことを言いにくそうに告白するザグレウスに対して「(一夫一妻を主とする人間の常識には縛られていないので、メガイラに)よろしく伝えてくれ」と笑顔で穏やかに対応していることから、攻撃性が抜けて落ち着いたようである。 ほっとするザグレウスだが、タナトスとメガイラが共謀し、二人でザグレウスの寝室に押し掛けることまでは予想外だった……。 \ビシバシ/\ワァオ/\ハハハハハ/ 賜物は「蝶の標本」 蝶は魂や死神を象徴する。 ダメージを一切受けずに戦闘を終了すると、与ダメージが増えていく……怪我をせず、死なずに地上へ辿りつく願いが込められた、矛盾に満ちた賜物である。 「死の化身の伴侶には、血の流れる肉体に命を宿した者こそふさわしい」 オルフェウス 冥界降りのエピソードで有名な、竪琴と歌の名手。本作ではハデスの館の宮廷楽士…なのだが、 どう見てもパンクロックかヘヴィメタルミュージシャン系の容姿。 アキレウスに負けず劣らず後ろ向きな性格。相当ひどく心をへし折られている。 あまりの気落ちっぷりに歌が歌えなくなっており、冥王ハデスの怒りに触れて当初はタルタロスの深部で幽閉されている。 これを哀れんだザグレウスが彼を釈放することでゲーム中に登場する。 ザグレウスは彼を元気づけようとしょっちゅうホラ話を聞かせる悪癖があり、それを聞くと詩人としてのインスピレーションが刺激され元気良くなる。 + そして際限なきホラ話の果てに…… ディオニュソスが「お前の所にいるオルフェウスに俺とお前は同一神物なんだってからかってやろうぜ!」と提案してザグが悪ノリした結果 上記のディオニュソスのページにあるザグレウスの項のお話をさらに粉飾しまくったホラ話をオルフェウスに吹き込み、詩人はいたく感動する。してしまう。 それからしばらくしてザグレウスが帰宅した時に見た風景は自分が今まで吹いたホラ話を総決算した賛美歌を父ハデスの前で朗々と歌い上げるオルフェウスの姿だった。 釈放後もオルフェウスは意気消沈のまま、ハデスの逆鱗に触れることをわかっていて「歌わない」と宣言するなど、絶賛スランプ中であった。 彼の歌女神――全てを投げ打って冥界から連れ出そうとしたエウリュディケに会えぬことには。 彼女も夫のことをまだ愛してはいるが、同時に既に縁は壊れたものと思っていた。 ザグレウスはこの夫妻にすれ違いが起きていることを感じ、冥界を奔走して歌乙女の自作曲をオルフェウスの元へ運ぶ。 するとインスピレーションが湧いてきたようで、彼は歌う気力を取り戻した。 次に、ザグレウスは執務室の書簡からオルフェウスの契約書を取りだし、一部を書き換えて休みの日に妻の元へ行けるようにはからう。 その後、冥界をいつもの通り脱出する王子の耳に入ってきたのは、のびやかで美しく響き合う二重唱であった……。 なお、ペルセポネは最初の在位中、まだ生者であった頃のオルフェウスを見たことがある。 彼の直訴は、王妃のみならず、掟に厳格なハデスの心をも動かし、冥界から連れ出すことを許可したほどだという。 このことから、オルフェウスはザグレウスより年上であることがわかる。 また、オルフェウスはザグレウスに「君の手はほっそりしていて、楽器の演奏に向いている」としてリラを教える。ほっそり……? ザグレウスも最初は変な音しか出なかったが、何度も練習しているうちに次第にコツがつかめてくる。 指導するオルフェウスの言葉は的確かつ、下手でも決して笑ったりしないので、教師として優秀な人物なのかもしれない。 賜物は「遠い記憶」 離れた敵への攻撃力を上げる思い出が込められた箱は、決して開けてはいけない。 禁忌を破れば、たちまち消えてしまうだろう……あと一歩のところで振り返ってしまったオルフェウスのように。 「芸術のひらめきは、思いがけぬところに湧く。友情は、思いがけぬ形で結ばれる」 デューサ 冥界のゴルゴンは皆、首だけが浮遊して活動している。大半はアスポデロスに住んでいて、ザグレウスに襲いかかってくる。 その中で、凶暴化せずハデスの館で働いているゴルゴンがこのデューサ。蛇の髪で器用に掃除道具を手繰る。 館の掃除を1人で担当し、手助けは要りませんと言い切る真面目ちゃん。ただしワーカホリック気味。 かわいい。キラキラの効果音つき。彼女だけ画風が違い、表情差分がある。本作の癒やし担当その1。 ケルベロス ご存知三つ頭の冥府の番犬。ステュクス神殿の門番として不法に通ろうとするものをはばむのが本来の仕事だが、 本作ではハデスの館に常駐に近い。よく寝ている。 なでなで。本作の癒やし担当その2。 なお本作のボイスは英語なので、日本語的に発音すると「サーベラス」に近い呼ばれ方をされている(*6)。 + ネタバレ 家出成功目前まで来ると、地上との入り口であるステュクス神殿の門を番犬らしく必ず守っている。 だが今まで亡者も神もバイオレンスに蹴散らしてきたザグレウスもさすがにペットの愛犬を同じようにするわけにも行かず、エサを与えて追い払っている。 + さらに最強硬措置を取ると… ハデス「サーベラス!!」 父上に召喚されてザグレウスを思いっきり蹴飛ばしにやってくる。 丁寧にも先ほどザグレウスが通ってきた門の方向から戦場に乱入してくるので、食事中か食後に召喚されたということがわかる。 ハデスもケルベロスから託された冥友を持っているのかもしれない。 スケリー ザグレウスの部屋と直結している訓練場となっている中庭に突っ立っているガイコツの亡者。 このフロアは「武器を選ぶ」→「家出開始する」というゲーム開始の準備を始めるための場所。 そこに突っ立っているということは、すなわち武器で叩きのめされるためのサンドバッグなのである。 と言うと痛ましいが殴ると「ハッ!」「ショボいねぇ」などとめちゃくちゃ煽って来る。 本人自身はこの仕事を楽しんでいるようで、ザグレウスをからかったり茶化して遊んだりもするひょうきんな性格。 実はニュクスですらコイツがどこから来た何者なのか把握していない、ひそかに謎の存在。 カロン 地上と冥界の境界線となるステュクス河の渡し守。日本の感覚で言えば三途の河の渡し守と脱衣婆の仕事を兼任している神。 無口で「AHH~~~」とか「OHHH~~~」とかダミ声で唸るだけ。それでも仕事仲間のヘルメスとは意思疎通ができている。(*7) 神話通りの守銭奴で金と引き換えに家出中のザグレウスにアイテムを売ってくれる。 また、冥界の各所に「カロンの泉」という路地店ないし自動販売機的なものも配置されている。 他のキャラと違い好感度に鍵がかかっていないので、最高まで上げやすい。 + おっとこんな所にお金が…… カロン「(#゚Д゚)」 ザグレウス「お許しを……」 彼の店舗でたまにお金の入った袋が置かれているが、これを勝手にネコババしようとすると当然ブチギレる。 ザグレウス「悪気は無かったんだ。父上の領地に置かれている物はつい拾ってしまう癖があって……」 などと王子は実にプレイヤー視点な弁明を行うが耳にも貸されず、戦闘することになるのだが……。 すごく強い。 ローグライクの店主は強いの法則に漏れず、ラスボスに匹敵する火力、範囲の攻撃を次々行ってくる。 あまりの強さに敗死するとヒュプノスにもハデス王からも呆れられる。 無事勝利するとその家出中のみ商品を二割引きしてくれるブラックカードをくれる。 このため序盤で戦う方がお得なのだが、必ず貯金袋を置いているとも限らないし序盤で強化されていない内に戦うカロンはめちゃくちゃな強さである。 命は金より軽いという気分の時にだけネコババすること。 ◆◆冥界のひとびと シシュポス 生前度重なる神への不敬を犯した罪を濯ぐため、山頂に岩を押し上げるという罰を受けた亡者。 だがこの岩は山頂直前まで来ると必ず転がり落ちる特別な岩であり、永遠の無為な労働を課せられている。 ……というのが神話なのだが、本作のシシュポスは転がる岩を「イワコフ(原語版はBouldy)」と名づけて相棒としており、神々に対しても物怖じせずバカ丁寧に接するマイペース極まりないキャラクター。 ザグレウスは囚人たるシシュポスに対しても敬意を以って接するため、賄賂ではなく純粋な善意で家出の助けをしてくれる。 生前騙されたことからタナトスに嫌われている。本作のクールなタナトスを好きだがシシュポスの神話を知らない方はぜひググるなりして知ってほしい。 + ... シシュポスは狡知に長け、穏やかな話し方ながら実際のところは神を恐れておらず、絶望と無縁である。 メガイラたちは鞭でしばかれるという実害があるので基本避けているが、死神のタナトスについては、もう死んでいるため、嫌味しか言えないことを見切ってどこ吹く風である。 メンタルが鋼鉄ザイルで作られているなこいつ。 ザグレウスからは罪が重すぎるのではないかと思われており、減刑のためにニュクスに彼の書類の場所を遠回しに聞く。 ニュクスはそんなザグレウスの目論みはお見通しだったわけだが、思慮深い彼女が注意深く見てもシシュポスはザグレウスに取り入ろうという意図が見られなかったため減刑を許される。 もう大岩を押し上げなくとも済むようになったし、どこにでも行けるようになった。 しかし、住めば都というやつか。 相棒となったイワコフを置いていけないし、友神のザグレウスにも会えるし、と今までの場所で暮らすことに決めたようだ。 なお、彼がザグレウスに提供する物資は、他の亡者たちとのやり取りで得たもの。 「自分が持っているより人にあげたほうがいいものを提供する」という感じで上手に物資を回し、それなりに貯めているようだ。 やはり頭が切れるのだろう。 神に対する人間の図太さや、生き汚さを表す人物ではある。 それでも、イワコフやザグレウスと縁を結んでしまったあたり、孤独だけは耐えられないのかもしれない。 エウリュディケ アスポデロスで暮らす歌乙女のニンフ。料理好きで、ザグレウスに絶品料理を振舞ってくれる。 ハキハキとした気持ちの良い女性で、好きな歌と料理に専念できる死後生を満喫している。 オルフェウスの生前時の恋人で、彼女を取り戻すために彼は冥府下りをしたのだが……顛末は神話通り。 オルフェウスの持ち歌の多くは彼女が作ったもので、本作のEDテーマ「In the Blood(日本語訳【その血に流る】)」もその一つ。 パトロクロス エリュシオンの片隅で屈託しきってうずくまっている黒い肌の元戦士。 もう何がどうでも構わないといった投げやりな態度。 ザグレウスに授けてくれるアイテムが非常に強力で、どう見ても並みのヒトではない… + それは何方かと尋ねたら アキレウスと並んで崇拝される、トロイア戦争の大英雄。幾度もの修羅場から生還した凄腕の戦士であった。 色々あって幼少期からアキレウスの父ペレウスの元で育てられ、アキレウスとは無二の親友、兄弟同然の間柄だった。 アキレウスがアガメムノンの不誠実のせいでブチ切れて戦線から離れてしまったため代わりになって戦い、苦境に追い込まれて戦死した。 「アキレウスの怒りは理解できる。自分がエリュシオンに送り出されたのもアキレウスの心尽くしだったのだと理解できる。だが…」 テセウス ミノタウロスを打ち倒したアテナイの英雄王。その功績が認められ、死後エリュシオン送り。 本作ではアステリウスとコンビを組み、エリュシオンの闘技場のチャンピオンとして君臨している。第3エリアエリュシオンのボス。 時期で言えば、ヘラクレス以後、アキレウス(トロイア戦争)以前の時代の人物になる。 知的な英雄王(アキレウスもそういう評価)なイメージとは裏腹に若干スベり気味なほどハイテンションで、 ザグレウスの身元や事情をろくに確認せずに悪魔(デーモン)呼ばわり。それに対してザグレウスもぼろくそに煽るのでお互い様かもしれない。 テセウスに対してヘラクレスの名前を出して煽るのはひどいぞザグ坊。 + 汚らわしき魔物よ!その心が挫けるまで、われらが幾度でも相手をしてやろう! ちなみに、アリアドネの糸を持って行くと、何回か特殊会話が発生する。 現在は髪を短く切っているが、館に置ける在りし日を描いた絵画では長髪だったことがわかる。これまた絵を飾ると特殊会話が発生する。 また、会話を進めると、相棒のアステリウスが自分から離れていくかもしれないという疑念を抱いてしまう。 テセウスは晩年に妻の讒言を受けて息子を殺してしまい、失意のまま向かった旅先で裏切られて海中に投げ出されて殺されている。 これがトラウマとなって、人間不信となっているのかもしれない。 もちろんアステリウスに裏切る気は一切存在しないが。 なお、ちらっと言及されるのみだが彼もまた冥府下りをしたことがある。 テセウスは親友ペイリトオスの「ペルセポネを奪って俺の嫁にしようぜ計画」に付き合って冥府下りを行うが、当然ハデスにはお見通しで、親友ともども罠にかかってしまう。 主犯ではなかったためか、彼のみヘラクレスに救出されて生還を果たしている。 HADES世界ではペルセポネの所在は隠されていたので原典通りの計画ではないと思われるが、 類似した目的で冥府下りが行われ、既に彼女が王妃になっていた場合、 ザグレウスはテセウスより年下になる。 強硬措置でのテセウスは、なんと真鍮の戦車(マケドニアのタムラウダ/ダイダロスによる魔改造済み)に乗り、仮面をつけ、銃弾ベルトを身体に巻いた姿で機関銃や砲弾などを乱射してくるヒャッハーになった。Falloutかマッドマックスにすぐに出演可能である。 ただしザグレウスの行動範囲をかなり制限してくるので、ふざけた姿とは裏腹にミノタロウスとのコンビはより一層危険度を増したことは間違いない。 そして体力が三分の二を切ると、戦車が壊れて盛大にコケる無様を晒す。 戦車はさておき、仮面と銃弾ベルトは攻撃力に関係ないのだが、アキレウスによれば、これはダイダロスが冗談のつもりで製作し、思いあがった愚か者が無自覚に間抜けな出で立ちになるようにという意図が込められていた……。 テセウス兄貴の明日はどっちだ。 アステリウス ご存知ミノスの雄牛。登場人物からはアステリウスの名前で呼ばれる。 極めて紳士的な人柄で、神話のエピソードにある人間を喰らうような凶暴さは見て取れないほど。 冥界に送られた後、亡霊状態でくすぶっていた所をテセウスに誘われて臣下になった。 テセウスを君主として心から忠誠を誓っている。色々あったようだ。武器は両刃の斧で、大振りだが後隙は少ない。 テセウスとアステリウスがコンビとか胸熱だが、ボス戦としてはきつい事この上ない。 + 小さき者よ、お前は私の警告を無視した。 敵であっても腕前を称賛する紳士。 テセウスのイエスマンではないので諫めるべきところでは諫めてくる。 このため、ザグレウスについては意見の合わない箇所もあり、友情に亀裂が入りテセウスが我を失いかけたことがあった。 ザグレウス「俺が2,3発殴れば正気に戻るかもしれない」 アステリウス「怪しいところだ。私もすでにやってみたが…しかしお前の力なら可能かもしれない」 ……テセウスは昔のテレビか何かか? やはりアステリウスも戦士。紳士とはいえ脳筋であった。 ちなみにこの後の周回でちゃんと仲は元通りになるのでご心配なく。 アステリウスを拾い上げる際、テセウスは危険な橋を渡ったらしいことがアキレウスの手記から読み取れる。 だが、ザグレウスは彼らと敵対し、深く話を聞くことができないため、彼らの間にどんなやりとりがあったのかは謎のままである。 強硬措置でのアステリウスは、ヒャッハーになったテセウスとは違い順当に真鍮の鎧に全身を包んだ姿で登場する。 斧の振り回し攻撃も非常に強烈でリーチが長く、戦車を駆るテセウスがザグレウスの動きを制限して追いこみ、アステリウスが仕留めにかかってくるため非常に厄介。 ◆◆オリュンポスの神々 オリュンポス山におわすザグレウスの親戚たち。 とくに血縁関係の濃い神々が登場し、オリュンポス十二神の中でも有名で格の高いヘラなどは出てこなかったりする。(*8) ゲーム内容の項目で説明した通り、この神々が「功徳(原語版はBoons)」を授けるという形でザグレウスの家出に協力してくれる。 二柱の神(ただしヘルメスとカオスは除く)から特定の功徳を授かった状態でその二柱どちらかからさらに功徳を授かる際、「デュオ」という二神の力を合わせた上位功徳を授けてもらえる可能性がある。 このデュオの成立時、神同士で会話を始めることがある。このデュオ会話はそれぞれの関係性がうかがえて興味深く、必見。 なおデュオは全28種類、出ない時は本気で出ない。 + 神々の試し 二柱以上のオリュンポスの神々と出会っている状態の場合、二つの神のシンボルアイコンが並んだ部屋が出現することがある。 この部屋に入ると、敵がおらず二柱の功徳アイテムが並んでいる。 原則一つの部屋につき一つの功徳しか貰えないためお得な部屋なのだが……もちろんタダでこんな美味しい話があるわけがない。 一つの功徳アイテムを選択し終わると、残された功徳アイテムから「選択されなかった」というただそれだけの理由から怒り狂った親戚の神々がザグレウスに攻撃を仕掛けてくる。 もちろん敵も出現し(それも危険な強化タイプである)、この敵を全滅させるまで怒らせてしまった神からの攻撃を耐え続けなければならない。 無事敵を全滅させると機嫌を直した神から功徳をちゃんと授けて貰えるので安心を。 この神々からの攻撃、さすが神だけあってどれもこれも非常に危険極まりない。 各神によって攻撃方法が違い、出現する敵と場所次第では極悪なコンボに発展することも。 下手をすると死亡強制帰宅をさせられることもあり、そうなってしまうとトドメを刺した神からのコメントを頂ける。 ブチギレた時、機嫌を直した時の台詞も個性豊かだが、最初に選んだ方の神もたまに喜びのコメントをすることも。 なおゼウスは最初に選ばれると「隣で泣いている奴がおるぞ!」とか煽って来ることもある。お前らが人間にもこういうことするからトロイア戦争とかが起きたんじゃねーか。 また、神の力をザグレウスに降ろす「祈り」タイプの功徳があるが、これは怒り心頭中の神自身からの助力も乞うことができザグレウス王子の謝罪を拝むことができる。 祈りゲージを最大まで溜めた状態でのみ可能な「大いなる祈り」では通常はザグレウスを助けるために頼もしい言葉と共に対象神のカットインが入るのだが、この時のみは「ふざけるな」的なコメントを放ちつつなんだかんだ助けてくれる。(*9) ゼウス 元ネタ神のアニヲタ記事はこちらから【ゼウス】。 ザグレウスから見た血縁関係は叔父。ハデスから見ると(本作の解釈では)弟。 世界的に有名なギリシャの主神であり、オリュンポスを束ねる一家の家長的存在。 それにふさわしい威厳に満ちており、大らかでありながら機転も利く大器な神物。 ……なのだが、やっぱり隙あらば美女を口説こうとする下半神っぷりは健在。 ハデスいわく「白髪を振り乱し、私から自制心を取り払った神。それがゼウスだ」とのこと。 + 授けてくれる功徳 雷神だけあって電撃と雷の力を貸してくれる。 電撃は壁や敵に反射して、自動で敵をサーチして攻撃してくれる便利な効果。落雷は見たまんまの強烈な範囲ダメージである。 他の神と違って「武器のダメージ」を伸ばさず「功徳効果によるダメージ」が追加されるので手数重視の武器との相性が良い。 一方で功徳によって追加されたダメージを伸ばす手段に乏しいため、ビルドに失敗するとしょんぼりな結果になることも……。 主神であるためか、祈りを補助する功徳もいくつかありこれらも優秀。 また家長的存在だけあってデュオの効果に強烈なモノが多い。 + ネタバレ 義姉デメテルの娘ペルセポネを誘拐まがい行為によってハデスと引き合わせた張本人。 このことについて、ハデスは弟の後先考えない衝動的な振る舞いを非難している。 オリュンポスの長とはいえ、こればかりは露見すればゼウスもタダではすまなかったと思われる。 マルフォンの態から考えると、デメテルが拳でゼウスをボコボコにすることは避けられない。 幸いにもいくつかの偶然や思惑が重なった結果、エピローグにおいて平和的な解決を迎えた。 現実の神話ではザグレウスの父親とされることもある(*10)が、本作はハデス父親説を採用しているのでHADES世界では叔父。 ゼウスが父親ではないのは「神話通りにするとザグレウスが多重近親婚の末にできた子になる」からだろうか。 ちなみにゼウス父親説だと実姉デメテルとの間に娘ペルセポネをもうけ、娘ペルセポネとの間にザグレウスをもうけることになる。 近親婚は様々な国の神話によくみられるものではある。 みられるものではあるが……これはヤリすぎであろう……ちょっと擁護が難しい。 神話を現代倫理に照らすのはナンセンスとはいえ、プレイヤー的にはゼウスが鬼畜になってしまう。 本作は家族の絆を結び直す話ではあるが、この設定で絆の再生を称賛してもプレイヤーの心に感動を起こすのは無理筋である。 良くてメリーバッドエンドあたりになろうか。 もし、このゲームが「HADES」ではなく「ZEUS」だったら。 ザグレウスは正反対の結末をオリュンポスや冥界にもたらしたのかもしれない。 ポセイドン 元ネタ神のアニヲタ記事はこちらから【ポセイドン】。 ザグレウスから見た血縁関係は叔父。ハデスから見ると(本作の解釈では)弟。 海と水の神。家族愛の強い豪快な性格で、ザグレウスを「ザグ坊」と呼び甥っ子として可愛がっている。 自身の神としての能力と領地に絶大な自信を持っているように振る舞っているが、兄弟は「奴のトライデントは自分の槍の真似(ハデス)」「誰がオリュンポスで一番偉大な神だって?(ゼウス)」とかなり辛辣なコメントを寄せている。 少々口が軽い悪癖があり、上述のゼウスの圧力もちょっと甥っ子に自慢しようとした口禍が招いた案件である。 + 授けてくれる功徳 敵をノックバックさせる力を功徳を授けてくれる。敵との距離が良くも悪くも一定を保つようにしやすい。 ノックバックした敵を壁に叩きつけるとボーナスダメージが発生するため、上手く地形を生かして戦いたい。 とくにダッシュダメージは全ての神で最強クラス。ボス敵はノックバックしないので壁に叩きつけることはできないが、対ボス用に適した派生功徳も持つため問題ない。 リーチの長い武器との相性が良く、とくに自身のシンボルである槍との相性は抜群。 また、拾得アイテムの効果を増やしたり釣りポイントが出やすくするなど豊漁的な力も与えてくれる。 アテナ 元ネタ神のアニヲタ記事はこちらから【アテナ】。 ザグレウスから見た血縁関係は従姉妹。 知恵と戦の女神。本作ではどちらかというと知恵の女神としての側面が強く、家族とは理性的に一定の距離感を保って接している。 ザグレウスに対しては叱咤激励する厳しくも優しい母親か姉のように接する。 神々の試しでは冷静にキレるが、行動は敵を一定時間無敵バリアに包むだけなのでザグレウスへの殺意がもっとも薄く対処しやすい。 なお、ゲーム開始初めての家出で一番最初に手を貸してくれるのはアテナで固定されている。(*11) + 授けてくれる功徳 敵の飛び道具を反射(リフレクト)する力を授けてくれる。とくにダッシュは飛び道具使いに対してかなり強くなる優秀な功徳。 神話の通り優等生的な神様で、ダメージ倍率、効果が共に水準値が高く優秀。 敵の攻撃に対応する防御系の功徳も多く、蘇生回数補充もしてくれる正に盾持つ乙女神である。 デュオが絡まなくとも戦力を構成しやすいため、ハズレビルドのお助けでもある。 + 不屈の抵抗を使ったちょっとしたテクニック 鏡能力の「不屈の抵抗」は家出中、一回の戦闘で一回だけHP0になっても最大HP30%の状態で復活できるようになる能力。 一方アテナの授けてくれる功徳の中には「不滅」「死力」と「復活回数を補充し、復活時に特典をつける」功徳がある。 ではアテナの功徳が報酬となっている部屋での戦闘で「不屈の抵抗」を発動し、その後「不滅」か「死力」を貰うとどうなるのか? 答えは「復活回数が補充され、次の部屋に移動すると不屈の抵抗も回復する」である。 つまり早い話「自動蘇生が一回分多くなる」ということである。 アテナから報酬を貰う前に必ず不屈の抵抗を使用していなければならないため、敵に殺してもらってから全滅させるか、トラップで自殺するかしなければいけない。 面倒くさい手順を踏むうえに、そこまでして結局「不滅」も「死力」も貰えないことも往々にしてあるのだが、高熱度で成功するとラストバトルの保険ができて非常に心強い。 アフロディテ 元ネタ神のアニヲタ記事はこちらから【アフロディテ】。 ザグレウスから見た血縁関係は従姉妹。 愛と美の女神。全裸。 情熱的で気まぐれという、ギリシャの神らしい女神。アキレウスからは恐れられており「オリュンポスの神々で最強はアフロディテかもしれない」と陰鬱な態度でコメントしている。(*12) 情人のアレスとはザグレウスの目の前でイチャつき始める節操無し。 一方、奥手の姉妹であるアルテミスやアテナをからかって遊ぶ恋愛好きのお姉ちゃんらしい一面も。 + 授けてくれる功徳 敵の攻撃力を下げる「腕力低下」を与えられるようになる。 特筆すべきは全ての神の中で攻撃力倍率ボーナスが最強ということ。 つまり、多少の被弾を無視して最強の火力でブン殴りまくるというステゴロ特化型の女神。 愛と美の女神とは一体……と言いたくなるが、彼女自身が戦うのではなく授ける功徳の結果がそういう事態を引き起こすと考えればアキレウスの意見もわかろうというものである。 また、被弾ダメージをさらに下げたり果ては敵を魅了してしまうなど、とにかく敵を無力化させることを得意としている。 そして純粋な腕力で殴りつけるのだ。やはり恐ろしい。 アルテミス 元ネタ神のアニヲタ記事はこちらから【アルテミス】。 ザグレウスから見た血縁関係は従姉妹。 狩猟の女神。無愛想で口数の少ない少女といった風体で、一族と接するより自分の持ち場である野山でニンフやカリストと共に狩りをする方を好むコミュ障。 一方で一癖も二癖もあるオリュンポスの神々の中で、裏表のない性格の持ち主であり、仲良くなっていくと癒し的立ち位置にもなる。 + 授けてくれる功徳 攻撃がクリティカルするようになる力を貸してくれる。 クリティカル確率は決して高くなく、ダメージ上昇倍率も小さいがクリティカルした際の爆発力が凄まじく、最強クラスの火力を授けてくれる。また弓の名手である事からか、魔弾関連を強化する功徳が強力。 デュオ効果も優秀なものが多く、とにかく敵をブチ殺すことに特化している。 アレス 元ネタ神のアニヲタ記事はこちらから【アレス】。 ザグレウスから見た血縁関係は従兄弟。 戦乱の神。オリュンポスの神々の中では珍しく生粋の親冥界派で、紳士的で親しみに満ちた態度で接してくれる王子様。 ……その言葉の内容が死と戦災と苦痛を尊ぶ大変物騒な内容なのがアレなのだが。 ただし真摯で敬意に満ちた態度に嘘偽りは一切無く、プレイヤー的にもザグレウス的にもドン引きだがハデスやニュクスといった冥界神たちはアレスを高く評価している。 + 授けてくれる功徳 敵に固定ダメージを時間差で与える「辛苦」とじわじわ小さなダメージを断続的に与える「スピンブレード」の二種の力を貸してくれる。 総じて「じわじわ確実になぶり殺す」、戦神という触れ込みからは想像もつかない「戦災の神」という側面を如実に表すコンセプト。 どうしても時間がかかりがちになるので時間制限をつけると使いにくくなるが、上手くビルドが成功すると頼もしいダメージソースともなるクセの強い神。 ディオニュソス 元ネタ神のアニヲタ記事はこちらから【ディオニュソス】。 ザグレウスから見た血縁関係は従兄弟。 葡萄酒の神。常に陽気に酔っ払っており、どこか堅苦しく接してくるオリュンポスの神々の中で、親しみ深すぎるを込めて話しかけてくる。 本来は狂気も引き起こす恐ろしい神だが、本作では神々の試練で彼をキレさせた時にその片鱗がでる程度だろうか。 性格的にもザグレウスとは意気投合しやすいようで、オルフェウスが冥界にいることを知ったディオニュソスの一計が後々エラい事態を引き起こす。 酔っ払いだけあって感情の起伏が激しく、キレたり泣いたりしたと思ったらすぐにそのことを忘れるオリュンポスの一族らしい性格が強い。 また、テセウスが手酷く振った女性のことをちらりと言及する。 その女性こそアリアドネであり、捨てられた彼女を拾って妻に娶り、神に引き上げたのがディオニソスである。 なお、サテュロスはディオニソスの眷属だが、ステュクス神殿の彼らは別モノであるとして関与を否定している。 + 授けてくれる功徳 継続的にダメージを与えるバステ「二日酔い」を敵に与えられるようになる。 ……その見た目と効果は完全にゲームのお約束バステ「毒」である。二日酔いの辛さと毒の辛さは同じようなものだということだろうか……。 魔弾の効果が独特で、敵を気絶させるフィールドを発生させ、一発の威力が非常に大きい酒爆弾を投げつけるようになる。 クセは強いが威力は高い魔弾で、これのデュオは非常に強烈。 「二日酔い」は五段階まで重複するので手数重視の武器と相性が良く、バステも魔弾も性格もアクは強いがハマるとものすごい爆発力を秘めた恐るべき酔っ払い。 ヘルメス 元ネタ神のアニヲタ記事はこちらから【ヘルメス】。 ザグレウスから見た血縁関係は従兄弟。 伝令と俊足の神。せっかちな性格で他の神より喋るスピードが速い。 オリュンポスの神々の中では中立的立場を取っている。というのも、元ネタ項目を参照して貰えばわかるがヘルメスは死者を冥界へと案内する役目も担っているため、やや冥界寄りの視点を持っている。 このため「伝令」の神でありながら冥界にとっては一時保留にしておきたい情報を、相手の意思を組んであえてオリュンポスに黙っておくなど機転を利かせてくれる。 神としての立場はかようにわきまえているが、ザグレウスとはプライベート面で仲が良くザグ側はフランクに話し、ヘルメス側もザグを「ボス」と呼んで親しくしている。 また、カロンとはとりわけ仲が良く、賭け事をすることもあるようだ。 + 授けてくれる功徳 功徳もまたヘルメスは特殊で「力の柘榴でLvが上がらない」「強化される要素が他神と違う」などの特徴がある。 + ヘルメスの特異法則について詳しく ※デュオが無く、神々の試練でも登場しない ※タルタロス時点ではカロンの店か、ボス前の部屋でのみ出現(報酬部屋が原則出現しない) ※他の神と違い、必ず出現する(そのうえで選択するかどうかはプレイヤーの自由) ※一回の家出につきヘルメスから授与できる功徳の数は三つまで。三つ目はステュクス神殿のカロンの店での販売のみ。 とくに「必ず出るが、三つまでしか貰えない」のは重要な点で、狙っている功徳があるなら妥協する余裕は少ない。 主に行動速度や攻撃速度を上昇させる力を貸し与えてくれる。 直接的にダメージのやりとりに結びつかないため一見大したことのない効果に思えるが、ゲームに慣れてくるほど強烈だということがわかるようになってくる。 直接攻撃力アップに繋がる功徳は「特急便」ただ一つだが、これはあらゆるザグレウスの行動全てに攻撃力補正が入るため極めて強力。 デメテル 元ネタ神のアニヲタ記事はこちらから【デメテル】。 ザグレウスから見た血縁関係は母方の祖母。 四季と豊穣の女神。祖母という役柄らしく、老齢の淑女という見た目。 ……さて四季と豊穣の女神という役職は間違いないのだが、愛娘がある日を境に行方不明になって以来、己の役職を放棄しており反転した災害をギリシャにもたらしている。 つまり、厳冬の寒さと不作を人間たちに与えて己の怒りを人々と神々に訴えているのだ。 本作の独自設定ではザグレウスの出生が隠されていたため、彼女は当初自身の孫だとは気づいてはいなかった。 + 授けてくれる功徳 敵の行動速度を低下させるバステ「悪寒」を付与することができるようになる。 敵の動きが鈍いということは攻撃が避けやすくなり、攻撃頻度自体も低下するということでかなり立ち回りがしやすくなる。 基本功徳は凍てつくオールドレディではあるが、豊穣の女神としての側面もあり回復力増加や功徳を育てるなどの力も授けてくれる。 ビーム攻撃になる魔弾や悪寒バステの追加効果などが組み合わさると非常に強力だが、単体ではシンプルな効果なので運がからみやすいのが難点か。 + ネタバレ 父ヒュペリオンと母テイアの娘。ゼウスたちとは義理の姉として振る舞う。 義理の弟たちもそれぞれ強大だが、豊穣神たる彼女に対して強圧的には出られないようだ。 ヘスティアやヘラとは姉妹関係。 また、人間の農家の青年との間に娘コレ(ペルセポネ)をもうけている。 この人間の名前は定かではないが、『神統記』において、彼女は英雄イアシオンと契り畑で子のプルゥトスを産んだ記述がある。 よって、ペルセポネの父親は彼である可能性がなくもない。 原典では父クロノス、母レアであり、ペルセポネは弟ゼウスとの間の子である。 血筋がHADES世界と原典とで大幅に変更されているのは、近親婚を避けるためだろう。 原典の通り、娘がハデスと駆け落ちして冥界に行ってしまったことで悲嘆にくれ、 地上世界に冬をもたらした。 ただしHADES世界では弟ヘリオスの注進を跳ねのけてしまったため、 エピローグでペルセポネと再会するまで彼女の行方はわからないままであった。 エピローグ後は周期的に娘がオリュンポスにやってくるようになったので怒りは解け春がもたらされたが、 この事件を忘れさせないためにステュクス神殿の周囲を冬のままにしている。 やはり怒らせてはいけない女神なのだ。 ◆◆番外の神 カオス 冥界の各地(つまりステュクス神殿は対象外)に出現する混沌の門に入ると出会える、原初の混沌の神。ニュクスの父親。 生まれたニュクスは冥界の管理者となり、さらにさまざまな子供が生まれた事でこの父とは疎遠になっているとのこと。 機械のように無感動な受け答えだが、ザグレウスが冥界と地上の関係に変化をもたらすのを興味を持って観察している。 ネクタルの贈り物も受け取ってくれる。 「カオスの領域」にもたまーに釣り場が出現し、結果にいちいちコメントしてくださる。フィッシングが趣味だったのか… + 授けてくれる功徳 他の神とはカテゴリーが違い、まず向こう何区画かに渡って敵が強化されたり、ザグレウスの特定の行動が弱体化したりといった呪いがかかる。 それを乗り越えるとザグレウスの能力が強化される。この強化は攻撃力アップや魔弾の弾数増加など、他の神とは違って単純でそれゆえに強力。 序盤でしっかり確保しておくとグンと強くなれる反面、区画数を間違えたり非戦闘区画が挟まったりしてボスに呪いを持ち込むと悶絶する。 + ネタバレ 仕事と子育てで多忙なあまり疎遠になってしまった娘ニュクスのことを彼なりに案じており、連絡手段を探していた。 しかしカオスは通常世界への出現が極めて難しく、また、強大な存在ゆえにそれをすべきではないと自制したため、極めて長い間それを果たせずにいた。 そこに折よく何度も家出を敢行するザグレウスが現れたため、彼に伝言や解決手段を委ねる。 ザグレウスの努力の果てに、執務室の旗印に手を加えることでニュクスがカオスの元を訪問できるようになった。 以降は、報告のためにカオスの領域を訪れるニュクスの姿をたまに見ることができる。 この時ばかりは、カオスはザグレウスより娘のことを優先したいようである。 始めは貢物を捧げるザグレウスにも無感動な受け答えをしていたが、彼の純粋な好意と敬意が理解できずに首をひねる一幕もある。 また、彼はザグレウスが死んで館で蘇生されることについて、「我が遠い昔に最初に意識を得た際の感覚に近しいものと推測する。我もまた、命果て、そののちに再生したに過ぎない可能性も?」と語る。 本作はザグレウスが脱出と帰還という生死のサイクルを回して物語というより大きなサイクルを回していく話であるが、 カオスもまた、極めて巨大なサイクルをゆっくりと回す途上にあるのかもしれない。 賜物は「宇宙の卵」 オルフェウス教の考えでは、『カオスは夜(ニュクス)に取り巻かれ、「夜」が覆いとなって、その下で、アイテールの創造活動により、宇宙の物質が徐々に形成されたのであった。これは、最終的には、「夜」の殻に包まれた卵の姿をとった。』(*13)とある。そのため、オルフェウス教の宇宙観が賜物の元ネタと思われる。 ◆◆名前のみ登場する神や英雄 ヘラ ご存知ゼウスの恐妻なのだが、今回彼女は出てこない。 原典のひとつであるオルフェウス教ではザグレウスと因縁浅からぬ重要な神ではあるが、 幼児神ザグレウスを外に釣りだしてティタンに八つ裂きにさせるという過激な行動に出る。 ストーリーの展開のさせ方によってはラスボスになりかねない。 他の神々のようにザグレウスに親しくしたらプレイヤーから総ツッコミが入りまくったことであろう。 出てこないのではなく、出すことができないと言ったほうが正しいのかもしれない。 オルフェウスの歌う「ザグレウス賛歌」では、ザグレウスがゼウスとヘラの子になってしまっているが、色々と大丈夫だろうか。 なお、ちらっとデメテルが言及するのみだが、ヘラは彼女と姉妹関係にあるということから、 父はヒュペリオンで母はテイアと原典から設定が変更されているかもしれない。 ヘリオス ヒュペリオンとテイアの息子。太陽神であり、ゲームではデメテルの弟。 ハデスの館の置物にヘリオスを表すものがあったり、デメテルやタナトスが彼のことを話したりする。 原典と同様にコレ=ペルセポネが冥界に降りたことを注進したのだが、原典と異なりデメテルにたわごとだと一蹴されてしまう。 このため、HADESの世界のデメテルは娘の行方がわからないまま、ザグレウスに対しても孫と知らずに接することになる。 何とも不遇な神である。 それゆえ、ペルセポネの息子であるザグレウスに会うとストーリーに支障がでるのかもしれない。 彼もまた、出てこないのではなく、出すことができない神なのだろう。 アポロ 有名な光の神だが、オルフェウスがアポロから音楽を習った、と話にのぼる程度。 (原典ではオルフェウスはアポロの息子とされる) なお、トロイア戦争ではアキレウスの踵を射って殺している。 武芸と戦への心構えを教えた師匠であるアキレウスを慕うザグレウスにとっては親しくされても微妙であろう……。 彼もまた、登場は無理そうである。 ヘファイストス アフロディテの夫で、鍛冶や工芸に巧みな神である。 エピローグの後、中庭の片隅に輝くオリュンポス山の神殿を模した像を作ったのはヘファイストスである。 武器や道具の強化・製作の専門家としてギリシャ神話が題材のゲームには出ずっぱりな彼であるが、彼もまた出てこない。 同じく工芸に巧みなダイダロスとかぶってしまうというのもあるだろうが、何より問題なのは彼がアフロディテの夫という点だ。 アレスはアフロディテの不倫相手であり、ヘファイストスは彼らがヤってるところを罠にハメ、他のオリュンポスの面前に晒した逸話がある。 オリュンポスの神々は不仲な関係でも、ザグレウスに協力するためにデュオを授けてくれる。 しかしアレスとヘファイストスのデュオとかザグレウスそっちのけで流血沙汰になりそうな気がなくもない。 ちなみにアフロディテは「夫がいなくて……」と誘ってくるが、誘いに乗ると上述の通り、ベッドに仕込まれた罠に拘束されて晒し者になる。 社会的に死んでしまうので、いくら死に慣れているザグレウスでも決して応じてはならない。 ヘラクレス ザグレウスは英雄くずれのテセウスよりヘラクレスと戦うほうがマシなようだ。 彼は死後において神に召し上げられているので、エリュシオンにはいないのかもしれない。 ただし、ヘラクレスは冥界関係者に以下のようなことをしている。 タナトスが仕事をしに来たところを捕まえ、格闘の末ボコボコにして敗走させる ケルベロスを締め上げ、首を掴んで短期間ではあるが地上に連れていく(傷つけたり殺したりしないという条件ではあるが) ハデスに矢傷を負わせる このように、ザグレウスの父親はともかく親友や愛犬に大きな被害と迷惑をかけている。 勿論ハデスもこの英雄のことをあまりよく思っていない。 ザグレウスは父親はともかく友神や愛犬を大事にしている。 もしヘラクレスがボスだったら、ザグレウスはテセウスに対する以上に殺意の高い口撃を行ったかもしれない。 運命の三女神 クロト、ラケシス、アトロポスの三姉妹。 ニュクスの娘で、タナトスやヒュプノスとは姉妹にあたる。 ザグレウスに関係した、些細な運命を記した予言書を送っている。 タナトスによれば、彼女たちは地上のどこかにいるのだが、居場所は知らないとのこと。 この書をもたらした姉妹たちに会うことができないザグレウスは、ニュクスに礼を伝えるように述べている。 ダイダロス 日本人にとっては「イカロスの父親」と言ったほうがわかりやすいかもしれない名匠。 死後はエリュシオンでハデスの命を受け様々なものを製作している。 彼が仕事をした後に打ち捨てられた道具が、武器に事実上の功徳を与えてくれる。 姿を見せないのは、神ではないからだろうか。 HADES世界において設計、製作したものは ハデスの館の間取り タルタロスの全域を連絡する全ての間 テセウスの真鍮製戦車(と、ジョーク用ファッション) オルフェウスの横にある音楽プレイヤー など、確認されているだけで多岐に渡るうえ、そのどれもが普通の古代ギリシア人に作れるものではない。 エリュシオンに招かれるのも、さもありなんといったところか。 追記修正は熱度32で家出成功してからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] とりあえず造ってみました。さらなる追記修正をお願いします。 -- 名無しさん (2021-08-13 12 51 29) オリュンポスの神々や武器なんかの追記がまだまだできそうですね。衝突するかもしれませんが協力していきたいと思います -- 名無しさん (2021-08-13 19 02 35) テセウスに対してヘラクレスは「真に偉大な英雄は天に召し上がられ新たな神として祀られる栄誉を受けていると思うよ」ってことか。ひでえ -- 名無しさん (2021-08-13 21 26 30) ↑ テセウスはヘラクレスの後の時代の人物なので生前から比べられていた可能性も(ヒドス) -- 名無しさん (2021-08-14 01 28 06) ↑3 モリモリ追記をお願いします<(_ _)> -- 名無しさん (2021-08-14 02 11 31) アキレウス先生、アイネイアス(トロイア戦争当時のトロイア王子ヘクトール・パリス兄弟の三従兄弟(互いの曾祖父が兄弟同士)に当たるトロイア王族でヘクトールに次ぐとされた英雄。母親はアフロディテ)について詳しく知ったらどう思うんだろうか……。こんなところでもアフロディテが絡んでるとは -- 名無しさん (2021-08-14 22 12 12) ↑ 「色恋沙汰怖い」 つうても色恋沙汰を糧に力を発揮した勇者も枚挙に暇がないし…w -- 名無しさん (2021-08-15 15 15 28) イワコフにネクタル与え続けたら本気で心配してくるシシュポス -- 名無しさん (2021-08-15 15 36 37) 「HADES」の名前でpixivを検索したら腐った絵がズラズラ並んで血の気が引いて戻るボタン押したw 西欧の腐婦人が集まってるっぽい… -- 名無しさん (2021-08-15 23 30 12) ボスの父上って攻撃や能力のほとんどがザグレウスの能力に対応していることに最近気づいた。「槍の回転斬り→スピンアタック」「しゃれこうべの射出→魔弾」「しゃれこうべに被弾すると時間差でしゃれこうべが床に設置される→魔弾埋め込み後ドロップと同じ」「槍投げと回収→アキレス槍の激情の疾走」「冥友召喚→サーベラス!」「ゲージ復活→死神騙し」無いのは祈りくらい? -- 名無しさん (2021-08-17 14 50 34) サクサククリアすると1周1回しか会話出来ない仕様のせいで色んなフラグがわけわからんことになるのと、釣り以外はだいたいすき。めっちゃ面白い。 -- 名無しさん (2021-08-17 18 54 05) ↑2 透明化の能力が祈りに相当するのかも。魔弾を撃ち込んだ相手にダメージが増加するのは冥界の鏡「たぎる血潮」、ザグ坊と同じ名前の能力。…つくづく親子w -- 名無しさん (2021-08-17 19 39 40) ↑4 BLイベントがまあまああるのが悪い -- 名無しさん (2021-08-23 16 29 04) ダイダロスの槌のアップグレードはとんでもないデメリットが付与されるものも珍しくないので、ラスボス前のお店でランダムアップグレードがもらえる「鉄床」を買うのはとってもギャンブル -- 名無しさん (2021-08-28 16 15 10) ↑ポセ剣使っている時にこりゃもう勝ったなって思いながら図鑑埋めのために鉄床買ったらHP60%減少のカーススラッシュ引いたせいで動揺と混乱で強制帰宅させられたことがあるw -- 名無しさん (2021-08-28 16 19 58) ↑やり始めの頃は頼りになるんですけどねアレw -- 名無しさん (2021-08-30 11 42 39) アリアドネの糸は知らなかった…w -- 名無しさん (2021-09-01 01 19 49) 毎回各キャラクターから違う声掛けされるのが楽しいな。芸が細かい。カロンの唸り声だけで120種類とは恐れ入った。 -- 名無しさん (2021-09-13 14 16 25) 「ザグレウスの声は津田健次郎さんがいいなあ」というつぶやきを見かけた。きっと合ってるけどギャラがヤバそう(;・∀・) -- 名無しさん (2021-09-15 15 22 06) このゲーム本編はアクションなのにフルボイスで会話量は下手なノベルゲーより上だもん。こんなもん日本語吹き替えとか狂気の沙汰だよ -- 名無しさん (2021-09-15 16 57 50) おもしろいんだとは思ってるけど、ストーリー・テキストが重い(量的な意味で)のとローグライトってのがいまいち結びつかなくて手を出してない人多そう。俺がそうなんだけど -- 名無しさん (2021-09-15 17 20 35) ↑自分は逆にクリアしたら止めるタイプだけど、これはストーリーが面白くてクリア後も続けてる。キャラが色々話すから愛着湧くし。テキスト多いと言っても飛ばすのも簡単だから会話が冗長だと思ったことはないなぁ。 -- 名無しさん (2021-09-19 10 28 58) 電磁砲が解禁されたとたんあっさり地上に到達できて今では懲罰盛り盛りの中電磁砲で暴れてる。やはり冥府でも火力は正義、力こそパワー -- 名無しさん (2021-12-20 03 58 49) ヒューゴー賞とネビュラ賞を同時に取るとは -- 名無しさん (2021-12-21 01 30 23) めちゃくちゃ面白かったけどやっぱりボスにバリエーションが欲しかったな。ストーリー上ラスボスはもちろん各部屋のボスも他キャラを出すのはなかなか難しそうだけど、メガイラとその姉妹みたいなパターンで尚且つ攻略方法が全く違うと更にハマったと思う。熱度上げは確かに攻略方法変わるけどどっちかと言うとボスが変わるんじゃなくて難易度が上がるって感じだし。それ以外はマジで面白かった。 -- 名無しさん (2022-01-31 21 36 26) 続編が発表。アポローンやネメシスも登場するみたい -- 名無しさん (2022-12-09 15 40 36) この手のゲームにしちゃ珍しくDLCの話が来ねえな…と思ったら2を作ってたのか。 -- 名無しさん (2022-12-09 23 24 29) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/4127.html
登録日: 2009/05/30(土) 23 27 11 更新日:2024/07/30 Tue 08 37 44 所要時間:約 6 分で読めます ▽タグ一覧 SIREN SIREN ReBIRTH SIREN2 SIREN New Translation きりとやえれんぞ エア芸 クチビルゲ クリーチャー ゲーム ゴルゴ13 タモリ ホラー マツコ・デラックス 不死 堕慧児 堕辰子 守るべき生活がそこにはある 屍人 屍霊 思い殺り 愛すべきバカ達 敵 無限弾 細木数子 萌え 血 血涙 やあ(´个ω个`) ようこそ、屍人の項目へ。 この赤い水はサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。 ここからはトラウマになるような内容だから、心臓が弱い人は帰って欲しい。 でも、この項目を見終った時、君はきっと彼らに言葉では言い表せない「ときめき」を感じてくれるはずだ… 「ご存知、ないのですか!?彼こそ、羽生蛇村からチャンスを掴み、スターの座を駆け上がっている、超時空死んデレら・名越栄治ちゃん(享年55歳)です!」 二カッ☆ 【SIREN】/リブート版【SIREN ReBIRTH】 異界に取り込まれた羽生蛇村を徘徊する、人間が変異した化け物の総称。 屍人化していない人間を見つけると襲いかかって殺そうとする。 異界から流れる赤い水を体内に一定量摂取すると変異する。 肌は青白くなり、目から赤い液体を涙のように流すのが特徴。 この現象は赤い水を取り入れたことによって不要になった体内の血と入れ替えているために起きる、謂わば生理現象のようなもの。 生前の記憶は残っており、普段は農作業したり、台所仕事をしたり、トイレに行ったり、テレビを見たり、仏壇を拝んだり、 病院勤務したり、絵を描いたり、ぬか床を混ぜたり、幼女を追い回したりと人間だった頃の行動を繰り返している。 赤いゼリー状の物体を食べている姿が見られるが、これも人間だった頃の行動を繰り返しているだけで、屍人に食事の必要はない。 中には集落を板で覆ったり、銃を携帯し辺りを警戒するなど明らかに別系統の意思で動いているものもいる。 彼らの怖ろしさは人間のそれを遥かに超える生命力であり、どんな致命傷を負っても時間経過で再生する。 頭を切開されても、解剖されても、しばらく行動不能になるがなんとかして蘇生してしまう。 彼らを通常兵器で殺すことは不可能であり、殺すには特殊な武器が必要になる。 1日に4回響き渡るサイレンを聞くと、何人かの屍人は赤い海の向こうに消える(通称:海送り)。 これは屍人が神の世界に行くためだが、基本的に準備が整っていないため、約5時間後にさらに異形化が進んで海から戻ってくる(通称:海還り)。 また、屍人には世界がオーロラと浮遊する光体に包まれた幻想的なものに見えており、 人間を殺そうとするのは、自分たちの仲間入りをさせてその美しい世界を味わってほしいため。要はありがた迷惑である なお、屍人化していない人間から見れば屍人は(特に異形化が進んだ者は)化け物じみた見た目になっているが、 逆に屍人の視界では、自身と同じように屍人化したものは生前の姿に、普通の人間は化け物のようにそれぞれ見えており、 この特殊な視界のおかげで、屍人は既に屍人化した者と未だ屍人化していない者を見分けることが出来る様子。 屍人化が進むにつれて人間らしい知能や生前の記憶は失われていくが、 最初の段階である半屍人の状態では、常人よりは低下しているものの、人間だった頃の自我や記憶を有する者が多く、 生前に親交があった人物への攻撃を止めたり、「未だ人間である他の村人を襲いたくない」という強い意志で永い間サイレンの誘惑に抗い続けた人達も登場している。 屍人文字と呼ばれる独特の文字を使い、アーカイブの中には屍人文字で書かれたものもある。 とある場所に屍人文字で書かれたコックリさんがあるのでそれで解読できる。 当初は恐怖の対象だが、慣れてくると愛らしく見えてくる不思議。 二カッ☆ ・主な種類 半屍人 いわゆる人間の姿を残した形態。 手にした武器や首絞めで攻撃してくる。 ある程度ダメージを与えるとその場にうずくまり動かなくなる(通称「シェル化」)が、 前述の通り死亡したわけではなく、一定時間が経過すると再び動き出す。 手もカチカチに固まってるらしく武器は奪えない。倒したら復活する前にさっさとその場を離れよう。 蜘蛛屍人 男性の屍人が海還りしたもの。 首が背中側に捻じれて頭には複眼が形成され、ブリッジをしたような体勢で蜘蛛のように壁をはい回る。 知能は人型の屍人の頃よりも下がり、四足で行動するようになったため扉は開けられない。 攻撃力は並だが名無し屍人の中では最も感知力が高く復活も早いため、集団で襲われると危険。 犬屍人 女性の屍人が海還りしたもの。 四つん這いになり頭から触角が生える。 敏捷でどんな段差も飛び越えるがこちらもやはり知能は低く、手が使えないため扉は開けられない。 強さの振り幅が大きく、蛇の首谷には須田を一撃で殺すものがいるのに対し、 合石岳では逆に宮田に一撃で撲殺される。 倒されると「ウラキ!」と叫び声を上げる。 羽根屍人 その名の通り羽根が生えた屍人。顔の全面が昆虫のような甲殻に覆われている。スナイパー要員。 「こちらの手の届かない遠距離から一方的に攻撃してくる」というシンプルな脅威で、雑魚の中でも特に危険な屍人。 半屍人と比較して銃の命中率が下がってはいるものの、行動範囲も攻撃範囲も広く、倒さないと行動の支障になるステージもあるが、 飛んでいる上に銃で狙ってくるために近づく事すら困難で、倒すには銃はほぼ必須。 どういう条件で変異するのかは不明だが、主に生前に銃の扱いに長けた者がこの形態となっている。女性の羽根屍人は確認されていない。 羽の音がうるさいので、近くにいるとすぐわかる。 頭脳屍人(ブレイン) 頭が変異した屍人。他の変異体とは異なり、生前の記憶は失われていない。 主にフジツボやタラコ、ヒトデ、クチビルゲ、タコに似た形に変異する。 犬、蜘蛛、羽根屍人を操っており、倒されると復活するまで辺りの屍人も行動不能になる。 しかし倒すことがクリア条件であることも多く、恩恵はあまり感じられない。 ほとんどが非力で逃げ回る存在だが、一部例外もいる。 特に名前付きの奴には凶悪な武器持ち、スーパーアーマー、高体力などがいたりするので注意。 どういう条件で頭脳屍人に変異するのかは不明。 強い執念を持つと変異するとも言われるが、執念を持っていても変異しなかったものもいるため不明。 正式には「ブレイン」と呼ぶがファンには定着していない。また、海産物とも呼ばれている。 ゴルゴ屍人 狙撃銃を持った半屍人の通称。 プレイヤー以上の視力と精度(いわゆるオートロックオン)を持ち、多くのプレイヤーを殺したことからそう呼ばれる。 攻撃力も異常に高く一発の被弾が致命傷になるため、コイツの恐怖に怯えて物陰から動けなくなるプレイヤーが続出した。 こいつを巧くかわし、赤十字を見て返り討ちにできるようになったら、このゲームに慣れてきた証拠だ。 次元屍人 拳銃を持った屍人。初心者の壁。ゴルゴ程ではないが、射撃の命中率、射程からそう呼ばれるようになった。 慣れたら大体ボコれるようになる。序盤から終盤まで出てきてゴルゴと同様、プレイヤーを射☆殺する。 大工屍人 様々な場所で確認できる半屍人。金槌片手に補修作業を繰り返している。 大抵は一定間隔でプレイヤーが通る場所を監視しているが、中には物音を出さない限り いっさい振り向かず一心不乱に金槌を叩き続ける大工もいるので、至近距離から作業を観察することも出来る。 特に高遠先生の最初のシナリオにいきなり出てくるこいつはいろいろイジれる。 なぜこんな事をしているのかというと、後述の堕辰子を迎え入れるため、苦手とする日光を遮断する歪な巣を形成するためである。 しかし何故か、巣と関係ない民家や学校でも窓や扉の板張りやバリケードの制作を行っている。 鍵屍人 初日の19時に合石岳の坑道で確認される半屍人。 鍵を探しているらしいのだが、彼を視界ジャックすると明らかに目的の鍵らしきものが見えている。 にもかかわらず、「か〜ぎ、か〜ぎ〜ぃ、かぎっ」と探し回る(そして隙を見てプレイヤーに鍵を奪われる)哀愁漂う姿から名付けられ、AAまで作られた。 壱屍人 高遠先生が爆☆殺するシナリオに出てくる屍人。 灯篭の前で壱ということからそう呼ばれた。SDK勝利のきっかけのヒントをくれたありがたい奴。 ちなみに彼の言う「壱」は、灯篭に火をつける順番である。 「宮迫でっす☆」 宮迫屍人 第2日の20時に大字粗戸の食堂で確認される半屍人。 某お笑い芸人に似ていることから、制作スタッフからもそう呼ばれてきたらしい。 堕辰子(だたつし) 天武15(西暦684)年、彗星とともに現れた「常世の存在」。 羽生蛇村に眞魚岩とともに降臨し、村人に神として崇められるが、 その年に村を飢饉が襲い、飢えに耐えかねた八尾を含む数人の村人によって肉を食べられてしまう。 常世の存在を人間で食べることは禁忌にあたるため、村と村人は呪いを掛けられ、 口にした村人は八尾を除いて即死し、残る八尾も不老不死の呪いを受け、永く現世を彷徨うこととなった。 本編中では少なくとも3つの形態が出てきており、2のたらこのような幼生体、透き通るような細長い虫のような姿の不完全体。 そして土偶のような頭に、女王蟻のような巨大な腹部を持つ完全体がある。 完全体になると姿が見えなくなり、腹部がくぱぁと開きはむはむして攻撃してくる。 この時こっちはチート武器持ちなので、対処法さえ分かれば他の屍人より楽勝であるが、攻略法はノーヒントのためそれに気づくまでが勝負。 弱点は日光で、宮田が引き起こした鉄砲水でバリケードが破壊されたために身が焼かれ、瀕死になった。 実は羽生蛇村を流れる赤い水は堕辰子の血で、サイレンのように聞こえていた音は堕辰子の鳴き声である。 堕辰子の血は微量でも体内に入るとその人間はやがて屍人となり、その鳴き声は屍人となった者達を「海還り」へと導く。 【SIREN2】 夜見島近辺の海に巣くう『屍霊』が、人間の死体に取り憑き、活動している存在。 人間を見つけると手にした武器で攻撃したり噛みついたりしてくる。 前作の屍人とは違って不死性を持たないが、倒されて取り憑いた屍霊が抜け出してもまた別の屍霊が取り憑けば動き出す。 そのため、ゲーム上では擬似的とはいえ不死性を有した敵としてプレイヤーの前に立ちはだかる。 しかし前述した通り不死性(再生能力など)は持たないので、死体そのものを破壊されれば(その死体を元にした)屍人は再起不能となる。 まあ、そんな『DEAD SPACE』みたいな対処法はこのゲームでは出来ないのだが。 動きそのものは緩慢で、知性もかなり劣化しているらしいが、やはり銃などの武器を持った屍人は強敵。 しかし実質上位存在である闇霊に屍霊が対抗できなかったらしく、シナリオ中盤で闇霊が復活してからは瞬く間に屍霊が駆逐され、 それに伴い、元々屍霊に取り憑かれていた島の死体も闇霊に取り憑かれて闇人と化すため、屍人も姿を消してしまった。 なお、前作の屍人は死んだ人間が変異して蘇ったような存在で、生前の記憶や人格を有し、それに基づく言動を取ることもあったが、 今作の屍人は前述のように、人間の死体に屍霊が取り憑いて活動しているだけで、死体(死人)そのものが蘇ったわけではないためか、 生前の記憶や人格を有している様子はなく、行動の主導権は屍霊であると推測される。 また、今作に登場する敵には『闇人』も存在し、こちらも人間の死体に『闇霊』と呼ばれるモノが取り憑き、死体を『殻』として行動しているのだが、 闇人は言葉を話したり、独自の自我に基づいて行動しているのに対して、屍人はうめき声・叫び声を上げるだけで、行動に知性は感じられない。 これは、闇霊と屍霊は元々同族であったが、屍霊はとある事情によって闇霊よりも劣化している所以と思われる。 ただし、あまりにも現世に強い執着・未練を残して死亡した者の死体に屍霊が取り憑いて屍人となった場合、 肉体の主導権は屍霊側にあるにもかかわらず、生前の執着に影響を受けたと思しき行動を見せることがある(*1)。 ちなみに、屍霊は遥か昔に別たれた、闇霊の集合体である『母胎』の下に還ることを目的としているため、 彼らが取り憑いた屍人も(基本的に話したりしないので推測の域を出ないが)それを目的としていると思われ、 『母胎』を地上に出すために岸田百合ら“鳩”が行っている冥府下りに乗じて『母胎』に接触しようとしている。 堕慧児(おとしご) 屍霊の融合体。 自分たちのかつての同胞である闇霊の集合体である『母胎』を模倣し、水死した少女の遺体を元に身体を造ったが、 屍霊そのものが闇霊と比べて劣化した存在であるためか、奇怪ながらも顔や細部は整った、人魚めいた容貌の『母胎』に対し、 堕慧児は巨大な頭(顔)から細い手足が生えているような、非常に醜い容貌となっている。 屍霊の融合体であるだけに、その目的は彼ら同様に『母胎』に還ることを目的としているようで、 『母胎』へのアピールとして、彼女(?)が使役する“鳩”を模倣し、 自分の容姿のモデルとした水死体を元に“模倣体”という分身を生み出して送り込んだり、 現実の夜見島の海底ケーブルを切断する事件を起こしたりしたが、いずれも失敗に終わっている。 『SIREN2』の公式外伝である「ブライトウィン号の怪」で語られるブライトウィン号が座礁したのも、 船に積み込まれた“鳩”である分裂体から『母胎』の気配を感じ取った堕彗児が船に衝突したせいであり、 分裂体の一人が暴走して船内の人間を見境なく取り込んでいったのも堕彗児の影響を受けたせいなので、色んな意味でこの事件の元凶である。 なお、ここまで還りたいと熱望している『母胎』や闇霊たちには「自分たちより遥かに劣化した邪魔な存在」としか認識されておらず、 シナリオ中盤で闇霊に屍霊が攻撃されているのも、『母胎』からすれば目障りな劣化種としか見られていない証左である。 ちなみに、屍霊や屍人も闇霊や闇人からの攻撃に対抗し、反撃などを行っているが、 これは、『母胎』の下に戻りたいと強く思う一方で、自分たちを現世に置き去りにして虚無の世界に逃げ延びた『母胎』を憎んでもいるという、 愛憎入り交じった感情を持っていることと、(屍霊たちから見て)『母胎』に還るチャンスを妨害する闇霊や闇人を排除しようとしているためである。 模倣体(もほうたい) 『堕慧児』が『母胎』に倣い、自分の分身として生み出した存在。 本編に登場する矢倉市子の正体であり、登場時点では自分が“模倣体”だという自覚がなく、「矢倉市子」として行動していたが、 徐々に“模倣体”としての覚醒が始まり、完全に覚醒後は『堕慧児』の意識に支配される。 屍人の大本である『堕慧児』から分かたれた存在であるためか、人間はもちろんとして闇霊・闇人にも害意を向ける他、 「矢倉市子」に迫っていた屍人が、覚醒が始まった影響で彼女が笑みを浮かべた瞬間、慄いたかのように撤退する描写がある。 また、『母胎』の分身体たる“鳩”には人間の男を誘惑して「冥府の門」を開けさせるという役目があった(*2)のに対し、 どうやら“模倣体”には役目らしい役目がなかったようで、覚醒後は『堕慧児』の意識の影響で『母胎』に還るべく行動している。 敵としては機関銃と日本刀を持って人間や屍人に襲い掛かり、耐久も高ければ倒してもすぐ復活するほど再生力も高い。 また、敵を発見すると狂ったように笑いながら機関銃を連射し、対象が逃げれば追跡してくるという異様な攻撃性を見せるが、 これに関しては大本の『堕慧児』が『母胎』に比べて劣化しているため、“模倣体”の分身体としての完成度も“鳩”よりも低く、 その身体には「矢倉市子」でも『堕慧児』でもない、凶悪な意識が芽生えており、異様な攻撃性はその影響だという。 最終的には一樹たちや『母胎』を追って登った鉄塔から落下し、『堕慧児』に吸収されるという結末を迎えた。 どうやら元々は『堕慧児』の目であったらしく、『堕慧児』に吸収された後は潰れていた片目が治っている。 ちなみに、本物の「矢倉市子」は外伝「ブライトウィン号の怪」に登場しており、1・3話は彼女の視点で書かれている。 彼女は自身の親友であり、後に本編に登場する木船都子・多河柳子の姉妹を産む木船倫子を、 暴走した“鳩”から救うべく奮闘し、最終的に彼女を逃がす際に大荒れの海に転落し死亡。 その遺体が『堕慧児』の下に流れ着き、その肉体、及び本編に登場する「矢倉市子」こと“模倣体”のモデルとなった。 なお、「ブライトウィン号の怪」に登場した“鳩”は二人おり、水死体と間違われて船に回収された後、上述の経緯で片方が暴走。 もう一人の“鳩”は暴走する“鳩”を止めるべく本物の市子に協力した後、時空を移動して乗船前の市子に船に乗らないよう忠告している他、 「矢倉市子」の記憶と『堕慧児』の意識が混濁している状態の“模倣体”は、岸田百合をその時の“鳩”と混同して「生きていたの…?」と声を掛けている(*3)。 【SIREN New Translation】 基本的な設定は無印に準ずるが、海送り・海還りの設定がなくなっていたり、変異に性別制限がなくなっていたりと微妙に違う。 デザインモチーフも、無印は海産物だったが、海外で忌避する人が多い昆虫や虫に変更されている。 より強く自我を残した屍人が多く、より攻撃的。よく喋るので飽きない。 犬屍人は登場しない代わりに、怪力屍人が新たに登場する。 半屍人 無印の半屍人と違い、肌の色は変化していないが、目が赤く染まっている。 人間だった頃の行動を反復していたり、人間を見つけると襲い掛かってくるのは同じだが、 武器を持っていないと首絞めくらいしかしてこなかった無印とは異なり、 殴りかかってきたり、プレイヤーキャラを一撃死させる「フェイタルムーブ」を繰り出してくることも。 蜘蛛屍人 本作では女性もこの形態に変化する。 無印同様、反り返るようにねじれた下半身と頭、ブリッジで歩いているような姿勢が特徴的な他、 背中部分がまるで昆虫の腹部のように異様に膨れ上がっている。 壁や天井をはい回ることが出来るが、扉を開け閉めすることはできない。 羽根屍人 本作では女性も(ry 両目から触角のようなものが生えており、頭部から生えている点も含めて羽根はセミのそれのようになっているが、 前作の羽根屍人と比べると、まだ頭部は人間だった頃の面影を残しているものが多い。 また、本作では銃を使っているものはごくわずかで、大抵の羽根屍人は手に持った柄杓などで近接攻撃をしてくる。 怪力屍人 本作初登場の屍人。 普通の人の二倍くらいの大きさの、巨大な芋虫に細い人間の手足を付けて頭を人間の顔に挿げ替えたような、異様な風体をしている。 名前の通り、片手でポストなどを投げ付けられるほどの怪力を持つが、その声は赤子のような高さで、より不気味さを際立てている。 ゲームでは実質的に中ボスのような扱いで、要所要所でプレイヤーを苦しめる。 頭脳屍人 無印同様、頭部以外は人間の頃と変わらない者が多いが、その頭部の変化は無印のそれよりもいっそう人間離れしており、 頭がムカデの身体のように変異して宙づりになっているものや、羽根が生えて蛾のようになっているものがいる他、 身体が完全に退化して巨大な顔になっていたり、蠢く黒い肉塊のようになっていたりと人型ですらなくなり、自力では行動できなくなったものも登場。 1にいた宮迫屍人のように有名人そっくりな個体も確認されている。 「殺ってもいいかな?」 タモリ屍人 「素敵やん?」 島田紳助屍人 「ズバリ言うわよ!」 細木数子屍人(怪力屍人) の三体。 なお、タモリ屍人はとあるステージでただひとり直立不動で畑に突っ立っていたり、鉱山内部にて襲い掛かってきたりと、存在感が異常に高いため固定ファンが多い。 蚕子 無印でいう「堕辰子」に相当する存在で、本作のラスボス。 設定も同じらしく、常世から落ちてきた蚕子を飢饉に苦しんでいた村人たちと共にアマナが食べてしまい、 その報いとしてアマナは不死の呪いをかけられ、呪いを解くために蚕子に生贄を捧げ続けることとなった。 不完全な状態では巨大な蛆のような姿だが、完全体になると様々な昆虫のパーツに分かれ、それを自在に組み合わせることで様々な形態に変化する。 攻撃を受けると一度バラバラのパーツに分かれ、再びそれらを組み合わせて襲い掛かってくる。 最終的にハワードに倒されるが、無印の八尾と違ってアマナは絶叫などはせず、蚕子が倒されたことで「ウロボロスの輪」が完成したことを喜びながら異空間に落ちていった。 追記・修正をする・・・のか? ―――しないと・・・。 二カッ☆ △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 中途半端ですいません。誰か画像持っている方いましたらよろしくお願いします。 -- 名無しさん (2013-02-03 13 09 00) 閉鎖空間の中で襲ってくる絶対に死なない敵。凄い絶望の象徴のはずなのに、こうもネタにされてしまったのは何故だろう -- 名無しさん (2015-02-03 06 05 23) 思い殺り -- ながい (2016-01-25 22 10 26) ニカッ☆を見ると禿頭の顔面が鮮明に浮かぶわ・・・ -- 名無しさん (2024-02-29 13 22 41) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/wiki13_mofwiki/pages/548.html
一 二人の男の写真は仏壇の中から発見されたのである。それが、もう現世にいない人間であることは、ひとりでに分っているのだが、こうして、死んだ後までも彼らが永(とこし)えに、彼女の胸に懐(なつ)かしい思い出の影像となって留(とど)まっていると思えば、やっぱり、私は、捕捉(ほそく)することの出来ないような、変な嫉妬(しっと)を感じずにはいられなかった。そして今、何人にも妨げられないで、彼女を自分ひとりの所有(もの)にして楽しんでいる限りなき歓(よろこ)びが、そのためにたちまち索然として、生命(いのち)にも換えがたい大切な宝がつまらない物のような気持になった。しかし、また思いなおすと、彼らは、どのくらい女に思われていたか、私よりは深く思われていたか、そうでなかったか、わからぬにしても写真を仏壇に祀(まつ)られるようになったのでは、結局この私よりもあの男たちは不幸な人間であった。そう思うと、死んだ人間が気の毒にもなった。 「そんなに隠さないで、ちょっと見せたっていいじゃないか。それは好きな人の写真だろう。どうせここへ祀ってあるくらいだから、死んだ人に相違ない。生きているころ世話になった人なら、祀って上げるのが当りまえだ」さばけた気持でそう言って、私は写真の面影をなお追うような心持になったが、女は瞬(またた)く間に、数の多い、どこかそこらの箪笥(たんす)の小抽斗(こひきだし)にそれを隠してしまった。 羽織袴(はおりはかま)を着けている三十恰好(かっこう)の男はくりくりした二重瞼(ふたえまぶた)の、鼻の下の髭(ひげ)を短く刈っていたりするのが、あとの四十年配の洋装の男よりも安っぽく思われた。そしてそれが、ずっと前から、ちょいちょい私の耳に入っていた、女と大分深い関係であったという男のように直感させた。ある日本画の画家で女と噂(うわさ)の高かった男が去年の夏ごろ死んだということを聞いていたので、それを思いうかべた。 「和服を着ていた人間は、何だか活動の弁士のようじゃないか」私は幾らか胸苦しい反感をもってそういうと、 「何でも構いまへん。あの人たちが生きてたら、私、もうとうにこんな商売してえしまへん」 女は向うをむいて、せっせと、取り拡(ひろ)げた着物を畳みながらこちらの言葉にわざと反抗するように、そう言っている。私は、そんな言葉を聴(き)かされると、また、あまり好い心地(ここち)はしなかった。そして腹の中で、 「それじゃ、四、五年も前から、自分ばかりに、身体(からだ)の始末をつけてもらいたいようにいって頼んでいたのは、みんな※(「言+墟のつくり」、第4水準2-88-74)(うそ)であったかも知れぬ」と思ったが、女の厭(いや)がるようなことを、くどく追窮して訊(き)くのはかえって好くないと思って、黙っておいた。 けれども、もう此間(こないだ)から訊こう訊こうと思って、幾度もいい出しかけては、差し控えていた、女の借金が今どうなっているか、また自分が長い間仕送った金が、その借金を減らすために、どういう具合に有効に使用せられているか否かを明細に訊きたいと思った。女は、そのことを突っ込んで訊かれるのが、痛いところへ触(さわ)られるようで、なるたけ訊かれずに、そうっとしておきたい風があるのは、今年のまだ正月時分から、その金の使途について、急にやかましく、私から訊(たず)ねてよこした再三再四の手紙に対する返事で一向要領を得なかったのでも、それがわかっているし、今度京都に来て、先日(こないだ)から、祇園町(ぎおんまち)の茶屋で久しぶりに逢(あ)った時にも、それを言うと、妙に話を脇(わき)へそらすようにするし、そうかといって、女のいうままに下河原(しもがわら)の旅館の方にいって要領を得た話を訊こうとしても、そこでもなるべくそんな話はいい出さないようにして、一寸遁(のが)れに逃(のが)れておりたいのが見えていた。そして、あの晩とうとう自分をこの二階に伴(つ)れて来たのであったが、こうして、しばらくでも女と一緒にいて、母親にもともどもに大事にせられていると、長い間自分の望んでいた願いが叶(かな)ったようなものであるが、女の身体が今におき、やっぱり、借金のために廓(くるわ)に繋(つな)がっているのであっては、目前の歓楽はうたかたのごとくはかない。 「着物がそんなに出来たのも好いことだが、あんたの借金の方は一体どうなっているの? 着物は、あんたの身が自由になった後に、ぽつぽつ出来る。それよりも急ぐのは今の商売を廃(よ)して、綺麗(きれい)に脚(あし)を洗うことじゃないか」 しばらくしてから私はなんどり訊いてみた。すると女も母親も黙っていたが、私が繰り返して、 「ねえ、どうなっているの」というので、女は、 「借金はまだ大分あります」という。 「大分ありますって、どのくらいあるの」 「さあ、まだ千円ちかくありますやろ」 彼女は、わざと陽(うわべ)に反抗の意を表わして、誠意の籠(こ)もらないような口吻(こうふん)で、そういう。それで私はまたむっとなり、 「千円?」自分の耳を疑うように、重ねて、言葉を強くして訊いた。 けれども女は黙りこくっている。 「まだそんなにあるの?」私の声は、自然に上ずってきた。「そんなにあるはずがないじゃないか。私があんたを初めて知った四、五年前にそのくらいあると言っていた。そしてそれだけの物は私から一度に纏(まと)めてではないが確かに来ている。あれから四、五年も稼(かせ)いでいて、そのうえそれだけの金も手に入っていて、今になってもやっぱり四、五年前と少しも借金が減っていないというようなことで、それで、あんた、どうするつもりなの?」私は、次の間の長火鉢(ながひばち)のところにいる母親にも聞えるように、畳みかけて問いつめた。 すると女はまた棄(す)て鉢(ばち)のように、 「そやからもうあんたはんの世話になりまへん。私自分で自分の体(からだ)の解決をつけますよって、どうぞ心配せんとおいとくれやす」 私は呆(あき)れた顔をして、そんなことをいう女の顔をしばらくじっと見ていた。 「もうあんたはんのお世話になりまへんて、それじゃお前、今までどんな考えで私にいろんなことを頼んでいたの。あんたの体の解決をするために、私は出来るだけのことをしたのじゃないか。今になってそんなことをいっては、何のことはない、まるで私を騙(かた)っていたようなものじゃないか」 そういうと、女は返答に窮したように黙って焦(じ)れ焦れしながら、肩で大きな息をしているばかりである。 「ねえ、私の送って上げた金は一体何に使ったの、……そりゃ、こんな着類をこしらえるにもいったろうが、私自身にも欲(ほ)しい物や買いたいものが幾らもあるのを、そんな物より何より私には、ただただお前という者が欲しいために、出来ぬ中から私の力に能(あた)う限りのことをして来たのじゃないか。まとまっていないといっても、二百円三百円と纏まった金を送ったこともある。それは、あんたも覚えているはずだ。私にとっては血の出るようなその金を、これと言って使い途(みち)のわからぬようなことに使って、今になってもまだそんなに借金がある。……私はこうしてあんたに逢うのも、何度もいうとおり、去年の一月からちょうど一年と半歳(はんとし)ぶりだ。始終この京都の土地に居付いているわけじゃないから委(くわ)しいことは知らぬが、あんたが私から貰(もら)う金をほかの人間に貢(みつ)いでいるという噂を、ちらちら耳にしたこともあったけれども、私はそれを真実とは思わないが、どうも、借金がなおそんなにあるはずはないと思う。もっと私の納得するように本当のことをいって聴かしてもらいたい。私が今までお前に尽している真心がお前にわかっているなら、もっと本当のことを打ち融(と)けて聴かしてくれてもいいと思う」私はそれでもなるべく女の気に障(さわ)らぬように、言葉のはしばしを注意しながら、そういった。 すると彼女は、いよいよ言うことに詰ったと思われて、畳んでしまった着物をそこに積み重ねたまま、箪笥の前に凭(もた)れかかってじっとしていたが、ヒステリックに、黒い、大きな眼を白眼ばかりのようにかっと※(「目+爭」、第3水準1-88-85)(みひら)いて、 「わたし何も、引いてからあんたはんのところへ行く約束した覚えありまへん」と、早口にいった。 そのあまりに凄(すさ)まじい相好に私はびっくりして、そのままややしばらく口を噤(つぐ)んでいたが、 「今になってそんなことを言っている」と、言葉を和らげていうと、女もすぐ静かな調子になって、 「あんたはんが、ただ自分ひとりでそうお思いやしたのどすやろ」 「私が自分ひとりでそう思った?……あんたの体を解決することを」 「ええ、そうどす」 「私が自分ひとりでそう思ったって、あんたの方でも依頼したから送る物を送っていたのじゃないか。いくら私がお前を好いていたって、そっちでも頼まないものを、どこに、自分の身を詰めてまで仕送る道理がない」 「そやけど、あんたはん、初めの時分は、私にそうおいいやしたやおへんか。自分はお前を可哀(かわい)そうや思うて恵んでやるさかい。後になって私のところにお前が来る気があったら来てもええ、その気がなかったら来てもらわいでもええ。……私そのつもりでいました」彼女は静かな調子ですこし人を戯弄(からか)うようにいう。 なるほどそう言えば、ぼんやりしているようでも、女がよく記憶しているとおりに、彼女に、ずっと初めに金品などをくれてやった時分には、そんなことを言ったように思う。それは、女にどんな深い関係の人間があるかわからないための、こちらの遠慮であると同時に、また自分の方へ彼女を靡(なび)き寄せようとする手もまじっていたのであった。けれども女の方でも後には、そんな考えでのみこちらの扶助を甘んじて受けていなかったことは、長い間の経緯(いきさつ)で否応(いやおう)なしに承知しているはずであった。 「うむ、それは、あんたのいうとおり、初めはそんなことを言っていたことも覚えている。けれどもお前もだんだん、そんなつもりばかりで私に長い間依頼していたのではなかったろう」 そういうと、女はそれに何といって応(こた)えたらいいかと、ちょっと考えているようであったが、 「そない金々て、お金のことをいわんとおいとくれやす」と、また口を突いていった。 それで、大分心が平静に復(かえ)っていた自分はまた感情が激してきて、 「金のことをいわんとおいてくれて、私は好んで金のことをいいたくはない。けれども出来ぬ中から無理をして出来る限りのことをして上げたというのは、そこに、とても一口では言い尽すことのできぬ私の真心が籠(こ)もっているからじゃないか。何も金が惜しいのでいうのじゃない」 女はやっぱり箪笥に凭(よ)りかかりながら、 「それはようわかってます。……そやからお金をお返ししますいうてます。何ぼお返ししまよ」 「いや、私は金が返してほしいのじゃない。今お前がいうように、私がこれまでしたことが、ようわかっているなら、少しも早くその商売を止(や)めてもらいたい」 女はそれに対して確答を与えようとはしないで、 「お金をお返ししさえすりゃ、あんたはんに、そんな心配してもらわんかてよろしいやろ」 私の静まりかけている心はまたしても女の言いようで激してくるのであった。 「お前は、お金をどれだけか私に戻(もど)しさえすれば、それで私と今までのことが済むと思っているのか」 私は金を返そうと主張する女の心の奥に潜んでいる何物かをじっと疑ってみた。それで、そうなれば、どんなに金を山ほど積んでもますます、金では済まされないということになる。けれども、そんな者が、もしあっては、彼女が私に対してとかく真実のある返答を避けようとするのもそのはずである。よし、それならこちらにもそのつもりがある。 「私は金が取り戻したいなどとは少しも思っていない。けれども、あんたが真意を打ち明けて、私のところに来てくれようという心が全くないものなら、私もあり余る金ではないから、それで済ますというわけには行かぬ。金でも返してもらうよりしかたがない」 「ほんなら何ぼお返ししまよ」 女は本当に金を返す気らしい。 そうなると、やっぱり自分は元々金よりも女の方にあくまで未練があるので、口の中で言い澱(よど)んでいると、女は重ねて、 「なんぼでよろしい」と、いって、こちらの意向を測りかねたように私の顔を見守りながら、 「私もそうたんとのことは出来まへんけど、何ぼくらいか、言うてみとくれやす」 女が金で済まそうとするらしい意向が見えればみえるほど自分は、この女は金銭などには替えられない、自分にとっては何物にも優(まさ)る、欲しい物品であるのだと思うと、どんなにしても自分の所有(もの)にしたい。 「私は金は返して欲しいとは思わない。けれどもあんたが金を返して私との約束を止めようというのなら、私は初めから上げた金を全部返してもらう」 「初めからの金て、どのくらいどす」 「それは、あんた自分でも知っているはずだ。いつかの手紙にも書いたくらいはあるだろう」 すると、女はむっとして、 「わたし、そんなに貰うてえしまへん」と白々しそうに言う。 「いや、たしかにそれくらいは来ているけれども幾度もいうとおり私は金は一文も返してほしくはないのだ。ただ、あんたが私のところに来てくれぬというなら、それを皆な戻してもらわねばならぬ」 すると、女はまた棄て鉢のようになって、 「もうあんたはんの心はようわかりましたから、ほんなら返します。私も御覧のとおりどすよって、一度にはよう返しまへんけど追い追いにお返しします。……おかあはん、これ、あそこへ持っていとくれやす」と、ぷりぷりしながら、突然起(た)ち上って、やけに箪笥の抽斗をあけて、中から唐草(からくさ)模様の五布風呂敷(いつのふろしき)を取り出してそこに積み重ねていた衣類をそれに包んだうえに、またがちゃがちゃと箪笥を引き出して、ほかの品物まで入れ足そうとする。どこかへ持って往(い)ってすぐ金を融通しようというのであろう。 私はすこしも金など欲しいとは思わないので、飛んだことになったと、はらはらしながら、眉(まゆ)に皺(しわ)を寄せて宥(なだ)めるように、 「これ、何をするの。そんなことはしないがいい。そうしてせっかく出来ている物をそんなことをしないでもいいじゃないか。私はお前から金を戻してもらいたくないのだ」 と、手を差し出して女の手を捉(と)らんばかりにしていうと、彼女はそれには答えず、「おかあはん、これすぐ持っていとくれやす」と、荒々しく風呂敷を包んでいる。 私は、母親はどんな心持でいるのかと、そっちを振り顧(かえ)ってみると、母親は次の間の火鉢の傍で人の好さそうな顔をして、微笑しながら娘のすることを黙って遠くから見ているばかりである。そして、女が幾度も急(せ)き立てるように、 「持っていとくれやす。さあ今すぐ持っていとくれやす」というのを、母親は「ええええ」とばかりいって、起とうとはしない。 私は母親の火鉢の前に立っていって、 「おかあはん、どうぞ持っていかないようにして下さい」 というと、母親はうなずきながら、 「ええ、心配せんとおいとくれやす。またあとであの娘(こ)によういいますよって」と、事もなげに笑っている。 彼女はまるで母親と私と二人に向ってだだを捏(こ)ねるように、なおしばらくの間、 「はよう持って往(い)とくれやす」と、幾度も母親を催促していた。 女の機嫌(きげん)を傷つけてしまったので、どうか、そんな衣類の入った大風呂敷などを外に持ち出すような浅ましいことをしてくれなければよい、ここへ初めて来た夜彼女がいったように、長いことあんたはんにもお世話かけましたお蔭(かげ)で、私もちょっと楽になったとこどす。というのが本当ならば、せっかくいくらか幸福(しあわせ)になりかけている彼女の境遇を、そんなことをして、また情けない思いをさせたくない。それにしても、自分から少しは楽になったといっているのだから、もう借金もそう多くあるはずがない。なぜこの女は私に真実の心を明かさないのであろうか。 それで、私はしばらくそこにいない方が女の焦立った気分を和らげるによかろうと思って、重ねて、母親に風呂敷包みなどを持ち出さぬようにいいおいて、そのまま外に出ていき、東山の方をぶらりと一とまわりして帰って来た。 二 唐草模様の五布の風呂敷はそのまま箪笥の上に載せてその後三、四日は目についていたが、私の知らぬ間に、外に持ち出したのか、それとも中の物をまた箪笥に蔵(しま)ったのか、やがていつものところに見えなくなった。そして、それに懲りて私は、彼女の体の解決のことについては幾ら心に思っていても口には出さなくしていた。母子(おやこ)の間ではどんな話をしていたか知れぬが、女の気持もすぐまたもとのとおりになった。それのみならず、そのことがあった夜、母親が長く外に出ていって帰らなかったので、風呂敷包みを持ち出したのかと思って気をつけると、それは無事にあるので、そうでもないと思って安心していた。すると、その翌日(あくるひ)母親は、娘がちょっと主人のところへ帰ってくるといって、出ていって留守になっている間に、 「昨日(きのう)はえらい、お気の毒どした」と、次の間の長火鉢のところから声をかけた。私は、 「お気の毒て、何のことです」と、そちらを振り向くと、母親は微笑しながら、 「あの娘(こ)があんな我儘(わがまま)いうて、あんたはんに、えらい済まんことどした」 「なに、そんなことはちっとも心配いりません。機嫌さえ直ればいいです」 母親はそれでも腹から憂わしげな顔をして、 「わたし、もう心配で。あの娘が、あのとおりあんまり我儘いうて、あんたはんに後で愛想尽かされるようなことがありゃしまへんかと思うて、心配でならんどすさかい、昨夜(ゆうべ)あとであちらの主人のところへ相談に往(い)て来ましたのどす。そしたら、あちらの姐(ねえ)さんのおいいやすには、お母はん、なんもそないに心配することはない、そんなこというて、あんたはんに甘えるんやさかい、構わんとおきやすいうてくりゃはりましたけど、私はそれが心配になって、ゆうべも、よう寝られしまへんのどす。ほて、お母はん一遍本人を越(おこ)しやす、私からよう言うて聴かすさかい、いうておくれやすので、それで今日あの子もちょっと屋形(やかた)へいとります。また姐さんから、あんじょう言うて聴かしておくれやすやろ思うてますけど」 私は母親が正直そうにそういって心配しているのを聴くと、ひとしお打ち解けた好い気持になって、 「どうぞ、そんなに心配しないで下さい。だだを捏ねているのはよくわかっているんです」 といって、自分も一緒に笑っていたが、そのついでに前日女に向って訊いたようなことを重ねて母親に話しかけてみたけれど、 「さあ、どないなっていますことどすか、私はこうしてあの娘(こ)に養うてもろうてる身どすさかい、何もかもあの娘がひとりで承知してるのどすよって、あんたはんから、また機(おり)をお見やしてよういうて聴かしとくれやす」といって、彼女自身では、娘の体のことについての金銭の出入りのことなど委しく知らぬような口ぶりであったが、 「屋形の主人さんもあんたはんのことを昨夜もそういうてはりました。おかあはん、その方大事にしてお上げやす、自分で来ずと、金だけ長い間送って越すというのはよほど量見が広うないと出来んことやさかい。そない言うてはりました」 母親はそういって、私を喜ばすようなことをいっていた。私もそのとおりに聴いていた。 今日はついでに花にでも行くのかと思っていたら、女はその晩屋形から早く戻ってきたが、昨日から何となく沈んで眉根を顰(しか)めたようにしていたのが、帰ってくると、にわかに打って変ったように好い気分になっていた。 私も、二人が大事にしてくれるからといって、あまり好い気になって、いつまでもそこにいては外聞もあるし、母子の者が迷惑するであろうとは思いながらも、居心が好いので、すっかり心が落ち着いていた。女も打ち融けて、よく、私が凭っている机の傍に来て坐って、自分もそこで楽書きなどをしたりしてよく話していた。そして、そこが居心地の好いことを私がまたしても繰り返していうと、 「そんなによかったら、ここをあんたはんのまあにしときまひょうか」 「まあとは。……ああ間(ま)か、ああどうぞ居間にしておいてもらいたい」 などといっていたが、日は瞬く間に経(た)って、そこに来てから半月ばかりして、私は六月の中旬しばらく山陰道の方の旅行をしていた。けれど、梅雨(つゆ)のころの田舎(いなか)は悒欝(うっとう)しくって、とても長くは辛抱していられないので、京都の女のいる二階座敷の八畳の間が、広い世界にそこくらい住み好いところはないような気がするので、いずれ夏には紀州の方の山の上に行くつもりではあるが、一週間ばかりして、またそこへ舞い戻って来た。 その日は欝陶(うっとう)しい五月雨(さみだれ)のじめじめと降りしぶいている日であった。ステーションからすぐ俥(くるま)で女の家に帰って来て、薄暗い入口をはいって、玄関から音なうと、階下(した)の家主の老女はもとより、上も下も家中みんな留守と思われるほどひっそりとしている。それでも黙って上がって行くのは厚かましいようで、二、三度大きな声をかけると、やがて階段を下りて来る足音がして、外から開(あ)かぬように、ぴたりと閉(し)めた奥の潜戸(くぐり)の彼方(むこう)で、 「どなたはんどす」という、母親の声がする。 「私、わたしです」というと、潜戸をそっと半分ほど開けながら母親が胡散(うさん)そうに外を覗(のぞ)くようにして顔を出した。そして、その瞬間、先だって中の待遇から推して期待していたような、あまり好い顔をして見せなかった。 「私です。今帰りました」というと、 「ああ、あんたはんどすか」といったが、「さあお上がりやす」というかと思っていると、「ちょっと待っとくれやす。今ちょっとお客さんどすよって」 といって、ちょうど留守でいない階下の家主の老婆の表の六畳の座敷に案内して、「どうぞちょっとここでお待ちやしてとくれやす」といって、私をそこに置いといて、間(あい)の襖(ふすま)をぴしゃりと閉めて、自分は二階へ上って行った。 するとしばらく待つ間もなく母親と入れちがいに女がそこへ入って来て、笑顔を作りながら、 「おかえりやす」と懐かしそうにいって、私の膝(ひざ)の前に近く寄ってぺったり坐った。そして二言三言口をきき交わしているうちに、客というのが襖の外の茶の間を通って、中庭から帰ってゆくと思われて、母親も後から入口まで送って出たらしい。私は、何の気もなく、どんな人間が帰ってゆくのかと思って、ちょっと起ち上がって縁側の障子を開いて、小さい前栽(せんざい)と玄関口の方の庭とを仕切った板塀(いたべい)の上越しに人の帰るのを見ると、蝙蝠傘(こうもりがさ)を翳(かざ)して新しい麦藁(むぎわら)帽子を冠(かぶ)り、薄い鼠色(ねずみいろ)のセルの夏外套(なつがいとう)を着た後姿が、肩から頭の方の一部だけわずかに見えたばかりで、どんな人間かよく分らなかった。 そこへ母親も入って来て、 「お帰りやす」と、今度はいつかのとおりに愛想のよい調子で、あらためて挨拶(あいさつ)をしながら、「今ちょっと知った呉服屋さんが来てましたので、あんたはんまた顔がさすと悪い思うて、ちょっとここで待ってもらいましたんどす。……階下(した)のお婆さんも今日は出やはりましてお留守どす。さあ、どうぞ二階にお上がりやして」 と、母親は、さっき私が入って来た時、潜戸の中から覗いた時の様子とは、まるで違った調子でいう。 私は、ただ何ということもなく、さっきのその顔色が気になりながら、 「へえ、ありがとう。上がります。……何もこんな雨の降る日に戻って来なくとも好いのですけれど……」といいかけると、母親は、妙に感疑(かんぐ)ったか、 「あんたはんのお留守の間に誰か来ている思いやして?」と、笑顔しながら言う。 「いや、そんなことはちっとも思ってやしませんけれど、こんな雨の降る日に戻らなくってもいいのですけれど、田舎は何としても蚊がいる、蝿(はえ)がいる、とても辛抱出来ませんから……」 母親とそうして口を利(き)き交わしていると、娘はそれきり黙ってしまった。それから私は二階の八畳に上がって来て母親が今言ったことから妙に気がさしたので、それとなく注意してよく見ると座敷の中央(まんなか)に今まで人の坐っていた夏座蒲団(なつざぶとん)が、女もそこにいたらしく二つ火鉢の傍に出ていて、火鉢の中には敷島の吸殻(すいがら)がたくさん灰の中に※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)(さ)してあった。私は腹の中で、ただ呉服物の用ばかりで来ていた客かどうかと自然(ひとりで)に疑ってみる気になった。が、もちろんそんなことを口には出さなかった。 そして、またここへ舞い戻って来てしばらく厄介(やっかい)をかけることのさぞ迷惑であろうということを繰り返して詫(わ)びて、女には、私には少しも構わず、主人の思惑もあるから店に帰って勤めの方を大事にするようにいった。 私が田舎に往ったあとは、私のいる間いろいろ気を使ったために疲れあんばいで、あれからずっと休んでいたので、 「今日久しぶりに店へかえります。ほんならちょっといてきます」 といって、出て往ったが、女は、その晩からかけて翌日(あくるひ)の晩も戻って来なかった。それから半月ばかりして、私が山の方に出立するまで彼女は多くは主人の方にいっていたが、立つ前にはまた二、三日休んで、私のために別れを惜しんでくれたのであった。 三 あれほど母子二人して歓待しておきながら、今度居処を変ったのに、なぜ知らしてくれないであろうと、少なからず淋(さび)しい気持になって、せめてこの欝(ふさ)いだ心を慰めるには、明るく温(あたた)かい感じのする、行きとどいた旅館に往って泊るのが何よりよいと思ってその家へ投宿した。 するとちょうど古い馴染(なじ)みの、気の利(き)いた女中が出て来て、気持よく世話をしてくれた。私はさっきステーションに着いてから欝陶しい空模様と同じようにほとんど泣き出したいばかりに悲しくなっていたのが、やっと、そのためにいくらか心をまぎらすことができた。そして心地(ここち)の好い風呂に入って柔かい蒲団の中に横たわって、都会的情趣に浸りながら早くから寝に就(つ)いた。七月の初めからほとんど三カ月に近い、高い山の上の枯淡な僧房生活の、心と体との飢渇から、すっかり蘇生(そせい)したような気持になった。外では夜に入るとともに豪雨にひどい嵐(あらし)が吹き添って来たと思われて、よっぴて荒れ狂うていたが、私はそれとは反対にかえって安らかに眠りに陥(お)ちた。 翌日(あくるひ)は午前はまだ暴風雨の名残(なご)りがつづいていたが、午(ひる)過ぎから風も次第に歇(や)み、雨も晴れた。女のことは始終念頭にあったけれど、実はあまりにそのことばかり長い間思い続けて、思いに疲れているので、たまにはほかのことで気を晴らしたく、そのころちょうど東都から京都に来ていた知人のところを訪(たず)ねたりしてその日は一日消した。 その翌日は、昨日の暴風雨の名残りは痕跡(あと)もなく綺麗(きれい)に拭(ぬぐ)い取ったような朗らかな晴天になった。紺碧(こんぺき)の空は高く澄み渡って、一昨日(おととい)の豪雨に洗い清められた四囲の景色が、暑くも寒くもない初秋の太陽の光を一杯浴びているのが、平常(いつも)でさえ美しいその街(まち)の眺(なが)めを、今日はあたかも玻璃(ガラス)の中の物を窺(のぞ)いて見てるように明麗であった。 今日は一つ女の先にいた家の様子を見て来よう。――無論女からの手紙を信じてもうそこにはいないものと思っていたから――と思って、私は午少し前に衣服を更(あらた)めて、旅館からはすぐ近いところにある、電車通りを向うに渡った横町にある路次の中に入って往ってみた。すると、その日は好いあんばいに階下(した)の家主の老婆が内にいたので、私は玄関の上り框(かまち)に腰を掛けながら、老婆と久しぶりの挨拶を交わして、しばらく話していた。すると、そこへ女の母親が、寺詣(てらまい)りでもするらしい巾着(きんちゃく)をさげて入って来た。 「ああ、おかあはんお久しゅう。私、一昨日の晩紀州から帰って来ました。このごろはもうここにいないんですって」 といって、訊(き)くと、母親もそこに腰を掛けながら、もう先月の末からそこの所帯を畳んでしまって、自分は上京(かみぎょう)の方の親類の家に厄介になっているようなことを言っていた。私は、そこでも、そんな親類の家に厄介になっているよりも、何とかして私が自分で適当な家を一軒借りて京都に住みたいから、そしたら、おかあはんに、そこへ来てもらいたいというような意向を洩(も)らすと、家主の老婆も傍から、 「そうおしやしたら、ほんよろしいがな」といって、口を添えていたが、母親はいつも愛想よくにこにことはしていたが、 「そのこともあの娘(こ)がどない言いますか、あの娘の腹一つにきまることどすさかい」といって、いつものとおりに何もかも自分では要領を得た返事をしなかった。 それでも私は、一昨日雨模様の欝陶しい晩方にこの街にかえって来て、ここの路次を覗いて見た時とちがい、もうここにはいないと思っていた母親に偶然また会ったので、さながら彼女に会ったと同じような喜びを感じたのであった。 「今日は死んだ息子の命日どすよって、ちょっとお墓詣りに来たついでにここのお婆さんとこへもお寄りしましたのどす」といっている。 「そうですか、今日はちょうどお寺詣りに好い彼岸びよりだ。私も一緒にまいってもいいな」と、私はひとりごとのようにいったが、母親にはまた会って話す機会もあるだろうと思って、その時はそのまま家主の老婦人のところを出て戻った。 そして、女に会おうと思えば、どこかへ行って知らしさえすれば会えるのだが、こちらの心はそれではないので、それから一、二度女を電話口まで呼び出して話したことがあった。紀州の方の山から帰ってきた、この間おかあはんにも先の家でちょっと遭(あ)った、ここへ来てもらいたい、来ないか、と言ったけれど、そのうち都合して行きますと言ったきり、向うから電話を掛けてくれるようなこともなく、いつもこちらの言うことを柳に風のように受け流しているようであった。後には、帳場に近いところで、女中や番頭などの耳に入るのが厭(いや)で、外の自動電話にいって呼び出したりしたこともあったが、いつも返事は同じことで、少しも要領を得なかった。何だか、池の水の中に泳いでいる美しい金魚か何ぞのように、あまり遠くへ逃げもせず、すぐに手に捕(つか)まりそうで、さて容易に捉(つか)まらないというような心地のするのがその女であった。 どちらにしても纏(まと)まった金を幾らか調(ととの)えてからでなければ、たとい会ってみたところで、今までのとおりであると思って、格別逢(あ)おうともせず、ただ、籠(かご)の中に飼われている鳥のように、番をしていないからとて、めったに、いなくなることもあるまいと、常に心には関(かか)りながら、強(し)いて安心して、せめて同じ土地の、しかも女のいるところとは目と鼻との近いところにいるというので満足していた。そして、夏の前いた、女の家の路次の中が何となく恋しくって、宿からは近いところではあるしするので、ときどき階下(した)の親切そうな老婦人のもとを訪ねて往って、玄関先きで話して帰ることがあった。家主の老婦人は、 「あれから姉さんにお会いしまへんのどすか」 といって訊いてくれるのであった。 「ええ、まだ逢いません」というと、 「そうどすか」と、老婦人は呆(あき)れるようにいって、「何であんたはんに会わんのどっしゃろなあ。ここで、私のところでちょっとお会いしやしたらよろしがな」と、同情するようにいってくれるので、私は、その老婦人には、夏の前その二階がりの女のところに一カ月あまりいる時分にも話したことのなかった、女との長い間の入りわけを打ち開けて愚痴まじりに聴(き)いてもらうこともあった。母親にもその後またそこで一、二度出会ったことがあった。彼女は、ちょっとそこまで来たついでに立ち寄ったというような様子であった。私は母子(おやこ)の言葉を信じて、無論もうその二階には八月以来いないのだが、娘の奉公しているところがそこから近いので、そんなにして、すぐ隣家(となり)へでも行くようにして会いに来た足ついでに、以前厄介になっていたこの老婦人のところへも立ち寄るのだと思っていた。 「あんたはんのこの間おいいやしたこと、あの娘(こ)に話してみましたら、あの娘のいうのには、あんたはんがまた上京の方へおいでやしたら、一遍話しに寄せてもらいます言うていました」母親は、私が家を持つから、そこへ来てもらいたいという話を、顔を見るたびに言うと、そんな返事をしていた。 その間に月が変って十月になり、長い間降りつづいた秋霖(あきさめ)が霽(は)れると、古都の風物は日に日に色を増して美しく寂(さ)びてゆくのが冴(さや)かに眼に見えた。それとともに、街の灯(ひ)の色は夜ごと夜ごとに明麗になってきて、まして瀟洒(しょうしゃ)とした廓町(くるわまち)の宵(よい)などを歩いていると、暑くも寒くもない快適な夜気の肌触(はだざわ)りは、そぞろに人の心を唆(そそ)って、ちょうど近松の中の、恋と小袖は一模様、身に引き締めて抱いて寝(い)ねてこそなつかしいということが思われて、どうかして一と目なりとも彼女の姿が見たいと思って、私は折々女の勤めている家の前を、宵暗(よいやみ)にまぎれてそっと通ってみることもあったが、一度も途中で出会わなかった。 その内にも秋は次第に闌(た)けて旅寝の夜の衾(ふすま)を洩れる風が冷たく身にしむようになってくるにつれて、いつになったら、果てしの着くとも思われない愛欲の満たされない物足りなさに、私はちょうど移りゆく四囲の自然と同じように沈んだ心持に胸を鎖(とざ)されていた。そうして一と月ばかりつまらない日を過しているうちに高い山に囲まれた京都の周囲には冬の襲うてくるのも早かった。旅館の二階の縁側に立って遠くの西山の方を眺めると、ついこの間まで麗(うら)らかに秋の光の輝いていたそちらの方の空には、もういつしか、わびしい時雨雲(しぐれぐも)が古綿をちぎったように夕陽(ゆうひ)を浴びてじっと懸(か)かっている。陰気な冬はそこから湧(わ)いてくるのである。この四、五年来そのことのみを思いつづけて、ほとほと思い疲れてしまった私は、どうかして女のことをなるべく思うまいとして、いくら掻(か)き消すようにしても綿々として思い重なってくる女のことを胸から追い払うようにして、洛中洛外(らくちゅうらくがい)をさまよい歩いて、時としては人気のない古い寺院などに入っていって、疲れ爛(ただ)れた脳を休めるようにしていた。 四 十月の末から私はまた一と月ばかり中国の方の田舎に帰っていた。心に浮かぬことがあるので田舎は少しも面白いこともなかったが――もっとも面白かろうと思って往ったのではなかったけれど――ことに、この年は初めて悪性の世界的流行感冒が流行(はや)った秋のことで、自分もその風邪(かぜ)に罹(かか)ったが、幸いにして四、五日の軽い風邪で済んだ。けれども、その年はそんな悪性の風邪が流行するほどあって、例年ならば美しい小春日の続くころに、毎日じめじめとした冷たい雨ばかり降りつづいていたので、私は京の女のことが毎日気にかかりながらも、しばらく故郷の生まれた家に滞留していた。田舎でも四囲の山々が日々に紅に色づいて、そして散り落ちていった。私は何となく、気忙(きぜわ)しくなった。その年の五月から六月にかけて、女の家にいて以来、もうどこへ往っても彼女の傍にいるくらい好いところはなかった。彼女と一緒にいるところのほかは自分の満足して住むべき世界はないような気がするのであった。 私は冷たい冬雨の降りそぼつ中をも厭(いと)わず、また田舎から京都に出て来た。そして今度は先にいた旅館には行かず、ずっと上京の方の、気の張らない、以前から馴染(なじ)みのある家に往って滞泊することにした。そこは、先の下河原の方の意気な都雅な家とは打って変り、堅気一方の、陰気な宿で、そうなくてさえヒポコンドリイのように常に気の欝いでいる自分の症状に対してはますます好くないと思ったけれど、先だって田舎に往く前にちょっと女と自動電話で話した時にも、 「上京の方の気の張らん宿にお変りやしたら、私一ぺん寄せてもらいます」 と、女が言っていたので、女を宿に訪ねて来さしたいばっかりに、そこへ宿を定(き)めたのであった。欲(ほ)しい女が思うように自分の所有(もの)にならぬためにそんなに気が欝いでいるせいか、そのころ私はちょっとしたことにもすぐ感傷的になりやすくなっていた。田舎から出て来て宿に着いたその晩も、そうして京都に出て来てみると、しばらく滞留していた田舎のことなどが、胸に喰(く)い入るように哀れに感じられたりして、私は、どうすることも出来ないような漂泊(さすらい)の悲哀と寂寞(せきばく)とに包まれながら、ようやくのことで、その宿で第一の夜を明かしたのであった。 そして明けても暮れても女のことばかり一途(いちず)に思いつめていると気が苦しくなってしかたがないので、かねてからこの秋は、見ごろの時分をはずさず高雄の紅葉を見に往きたいと思っていると、幸い翌日(あくるひ)はめずらしい朗らかな晩秋の好晴であったので、宿にそれといいおいて、午少し前からそっちへ遊山(ゆさん)に出かけていった。時は十一月の二十四日であった。電車のきく北野の終点まで行って、そこから俥で洛西(らくせい)の郊外の方に出ると、そこらの別荘づくりの庭に立っている楓葉(ふうよう)が美しい秋の日を浴びて真紅(まっか)に燃えているのなどが目についた。それから仁和寺(にんなじ)の前を通って、古い若狭(わかさ)街道に沿うてさきざきに断続する村里を通り過ぎて次第に深い渓(たに)に入ってゆくと、景色はいろいろに変って、高雄の紅葉は少し盛りを過ぎていたが、見物の群衆は、京から三里も離れた山の中でも雑沓(ざっとう)していた。私は、高い石磴(いしだん)を登って清洒(せいしゃ)な神護寺の境内に上って行き、そこの掛け茶屋に入って食事をしたりしてしばらく休息をしていたが、碧(あお)く晴れた空には寒く澄んだ風が吹きわたって、茶褐色(ちゃかっしょく)のうら枯れた大木の落葉がちょうど小鳥の翔(かけ)るように高い峰と峰との峡(はざま)を舞い上がってゆく。愛宕(あたご)の山蔭に短い秋の日は次第にかげって、そこらの茶見世から茶見世の前を、破れ三味線を弾(ひ)きながら、哀れな声を絞って流行唄(はやりうた)を歌い、物を乞(こ)うて歩く盲(めし)いた婦(おんな)の音調が悪く腸(はらわた)を断たしめる。侘(わび)しい心にはどこに行っても明るく楽しいところがなかった。 五 田舎へ往ってからも二、三度手紙を出して、今、悪い風邪が流行っているが、変りはないかと訊(たず)ねて越(おこ)したりしたが無論何とも言って来なかった。京都に出てくると、その晩すぐ手紙を出して、今度はこういうところにいるから、一度訪ねて来てもらいたいと言ってやったけれど、例のとおりに何ともいって来なかった。そして、今度の宿は、先のところとちがい気の張らないだけに、土地柄からいっても、何からいっても陰気で、気が晴れ晴れとしないので私は部屋の中にじっとしているのがいたたまらなくなって、高雄の紅葉を見にいった翌晩祇園町の方に出て往き、夜にまぎれて女の勤めている家の前をそっと通ってみた。 すると、不思議ではないか。入口の格子戸(こうしど)の上のところに、家に置いている妓(こ)の名札が濃い文字で掲げてあるのに、しかもその女の札は、もう七、八年もそこに住み古しているので、七、八人も並んで札の掲っている一番筆頭であるのに、なぜか、そこのところだけ、ちょうど歯の脱(ぬ)けたようになっているではないか。察するところ、札を外(はず)してからまだ幾日も日が経ぬのでまだ名札をはずすだけはずして後を揃(そろ)えず、そのままにしているのらしい。私は寒い夜風の中に釘付(くぎづ)けにされたような気持で、そこへ突っ立ったまま、 「はて、不思議だ。どうしたのだろう?」と、思った。彼女を知ってから五年の長い間、不安に思う段になれば、随分不安なわけであった。日夜数知れぬ多くの人に名を呼ばれている境涯(きょうがい)の身であれば、商売を廃(や)めるからとて、一々馴染みの客に断って往くわけのものでもない。けれども自分は、初めから度胸を据(す)えて、女は私に黙って、そこから姿を消して往かないと[#「往かないと」は底本では「住かないと」]信じていた。百に一つ、そんな場合がありはせぬだろうかと、遠く離れていて、ふと不安に襲われることがあっても、何となく、そんなことはめったになさそうに思われたのであった。しかるに、今、まぎれる方もなく、明らかに彼女の名札が取れているのを見ると、近いうちにここにいなくなったに相違ない。籠(かご)に飼われた小鳥と同じく容易に逃げていなくなる気づかいはないと思っていたのは、もとよりこちらの不覚であった。そんなことがありはせぬか、せぬかと不安に思いながら、今までなかったから、あるまいと思っていたら、とうとう籠の鳥は、いつの間にか逃げてしまった。 私は、そこに棒立ちになったまま、幾度か自分の眼を疑って、札の取れているのが、どうぞ悪い夢であれかしと念じたが、たしかに札は取れている。よほど思いきって、そのままその家へ入って行って訊ねてみようかと思った。彼女に自分という者が付いているのは、ここの家でもよく知っているはずである。構いはしないだろうと思ったが、自分は、彼女と関係の出来た最初から、どこまでも蔭の者になって、そっと自分の所有(もの)にしてしまうつもりであったので、今さら、女がいなくなったといって、そこの家へ訪ねて往き、自分のほかに、もっと深いふかい男があって、その男に落籍(ひか)されたのに、こちらが、男は自分ひとりのような顔をしていて、裏にうらのある、そんな稼業(かぎょう)のものの真唯中(まっただなか)に飛んだ恥を曝(さ)らすようなことがあってはならぬ。自分は、彼女をこそ、生命(いのち)から二番めに愛していたけれど、それとともに自分の外聞をも遠慮しなければならぬ。 と、焦躁(いらつ)く胸をじっと抑(おさ)えながら急いで、そこの小路を表の通りに出てきて、そこから近い、とある自動電話の中に入って、そこの家の番号を呼び出して訊ねてみた。いつも、その女の本姓をいって電話をかけたので、電話口へ出た婢衆(おなごしゅ)らしい女に、こちらの名をいわず、それとなく、 「もしもし、あなたは松井さんですか。藤村さんはおいでですか」といってきくと、いつでも、その松井の家の定まった返事の通りに、婢衆は、 「藤村さんは今留守どす」という。 これまでとても、彼女が家にいてさえ一応はそんな返事をするのが癖なのであったが札が取れているのでは、留守であることは問わずとも知れている。それでも、女がそこの家にいる時分と同じように、いつもの「留守どす」で、返事を済ませている。もちろんこちらが誰であるか、知っているはずもないのだが、もし知れていたならば、一層不愛想な返事をしたかも知れぬ。私は、ひたすら紙よりも薄い人情の冷たさを、夜の冷気とともに身に沁(し)みて感じながら、重ねて委(くわ)しいことを訊こうとする気力も抜けてしまい、胸の中が空洞(うつろ)になったような心持で、足の踏み度も覚えず、そのまま喪然(そうぜん)として電車に乗り、上京(かみぎょう)の方の宿に戻(もど)ってきた。とてもその勢いで取って返し、その家に訪ねていって、名札の取れて、もういなくなってしまった事情を訊ねてみる力は失(な)くなってしまったのである。そして足かけ五年の間真実死ぬほど思いつめたあげくが、こんなことになってしまったと思うと、何より自分という者が可哀(かわい)そうになって来て、冬の夜の寒い電車の中にじっと腰を掛けていてさえ、ひとりでに悲しい涙が流れ出た。 名札が取れて女がいなくなったにしても、もとよりどこを当てに訊ねるわけにも行かず、ましてそれが他の男に落籍されてしまったのであるとすれば、今ごろは、こちらのことを――もし知っているとすれば――「阿呆(あほう)め」とでもいって、好い心持になっているであろう。それを思いこれをおもい、この冬の寒い夜風の中を気狂(きちが)いになって飛びまわってもしかたがない。今夜はこのまま宿に帰り、哀れな自分をいたわりながら、どうかじっと寝ながらよく考えよう。 そう思って、宿にかえり、自分の部屋に通って、火鉢(ひばち)の傍に一旦(いったん)坐って、心を落ち着けようとしてみたが、とても、もっと委しい事情を訊き糺(ただ)さねばそのままに寝られるどころではない。それで、その宿には電話がないので、いつも借りつけになっている、近処の家まで出ていって、また彼女のいた祇園町の家へ電話を掛けてみた。 すると、初めはやっぱりさっきと同じことをいっていたが、こちらの名を明かして、実は、さっきそちらの前を通りかかって、ふと見ると、藤村の名札が取れているのを見てはじめて気がついたのであるといって、 「留守じゃない、もうあんたの家にはいないんだろう」 と訊ねると向うの婢衆(おなごしゅ)は、 「ほんならちょっと待ってくれやす」といって、しばらくして今度は変った、すこし年をとった女の声で、 「藤村さんは、もう内にいやはりゃしまへんのどっせ」という。 「どうしていなくなったの。だれかお客さんに引かされたの?」 「さあ、わたし、そんなこと、どや、よう知りまへんけど、病気でもうとうに引かはりました」 「そして、病気で廃めて、藤村さんのおかあさんが連れて去(い)ったの?」 「ちがいます。小父さんが来て連れていかはりました」 小父さんが来て連れて往った。どんな小父さんか知れたものじゃないと思ったが、それ以上、電話でそんな婢衆などに訊いても委しいことの知られようわけもなく、また真実のことをいって明かすはずもないと思って、私はそれで電話を切ってしまった。そして、仮に※(「言+墟のつくり」、第4水準2-88-74)(うそ)にしても……※(「言+墟のつくり」、第4水準2-88-74)にちがいないと思うが……病気で廃めたというだけのことに、せめて幾らか頼みの綱が繋(つな)がっているような気がして、それだけに心に少し勢いがついて、宿にとって返し、夜の寒さに風邪を恐れながら、思いきって厚着になり、また祇園町へと出かけていった。今から二た月前の九月の末、紀州の旅から京都に帰って来て、久しぶりに会ったばかりの、多年東京で懇親(ねんごろ)にしていた知人がつい二十日(はつか)ばかり前、自分も田舎に往って流行風邪(はやりかぜ)で臥(ふ)せっている時に流行感冒であえなく死んだということが強く胸に刻みつけられているので、不幸なる自分がまた風邪にでも罹って、このまま死にでもしたら、どんなに悲惨であろう、そんなことがあったら執念が残ってとても死にきれはせぬ。 そんなことまでも考えながらまた祇園町まで出て来ると、十一月末の夜は闌(ふ)けていても、廓の居まわりはさすがにまだ宵の口のように明るくて、多勢の抱妓(かかえ)を置いているうえに、お茶屋を兼ねている松井の内では今がちょうど潮時のようないそがしさである。 小父さんといっても、何だか分りはせぬ。ほかの男に引かされたものを、よく恥かしげもなく、商売していた女の廃めた後を探ねて来る阿呆な男と笑われはせぬかという気が先きに立って、心が後(おく)れるのを、そんなことを恥かしいと思って、引込み思案でいては、ますます自分の身一つを苦しめるばかりであると思い直して、勇気をつけ、松井の入口に立って、その夏の初め、女の家にいたころちょっと顔を見て、言葉を交わしたことのあるお繁(しげ)さんという婆さんにお目にかかりたいと、そこに出て来た婢衆に取次ぎを頼むと、お繁婆さんは、すぐ奥から出て来た。 それはもう五十を少し過ぎた女であったが、何でも聞くところによると、もと此家(ここ)の女あるじと同じく今から二、三十年前にやっぱり祇園町で商売に出ていたことのある女で、松井の主人が運の好いのに反して、この方は運が[#「運が」は底本では「連が」]悪かった。そして以前朋輩(ほうばい)であった人間の内へ女中頭(がしら)のような相談相手のようにして住み込んでいるのであった。松井の女あるじの今なお一見、二、三十年前この土地で全盛を謡(うた)われたことを偲(しの)ばしめるに反して、お繁婆さんの方は標致(きりょう)もわるく、見るから花車婆(やりてばあ)さんのような顔をしていた。それでも話してみると、わけは割合によくわかる方で、お繁さんは笑顔で、 「おこしやす。えらいお久しぶりどす」と、いって、打ち融(と)けて挨拶(あいさつ)をして、 「えらい端の方でお気の毒さんどすが、今ちょっと奥が取り込んでいますよって、ここで失礼いたします」と、いって、婢衆(おなごしゅ)に座蒲団を持って来さして、私にすすめる。 「ええ、もう、どうぞ構わないで下さい」と、私は小さくなって、そこの玄関の二畳の間に差し向って坐った。 そこで、さっき電話で聞いた女のことを改めて問い糺すと、お繁さんは、率直な調子で、 「お園さんはもう半月ばかり前にひどい病気になりまして、それで引きました」 「はあ、ひどい病気で……」私は、そういって、すぐ心の中ではあの繊細(かぼそ)い彼女の美しく病み疲れた容姿(すがた)を思い描きながら、 「この土地に長くいると、そんなことになるだろうと思っていたのだ。だから……」と、ひとり言のようにいって、もう、私の眼には涙がにじんで来た。 「そして、ひどい病気とはどんな病気でした?」静かに訊いた。私は、彼女の体質や容姿から想像すると、多分肺でも悪くなったのではあるまいかと思った。そして、もしそうであったならば、一層可憐(かれん)でたまらないような気がしてくるのであった。 するとお繁さんは黙って意味ありげに笑いながら、私の顔を見るだけで、その病気が何であるか言おうとしない。それで、これは真実(ほんとう)は病気ではない。病気というのは偽りで、やっぱり旦那(だんな)にでも引かされて、今ごろはどこかそこらに好い気持で納まっているのだなと感疑(かんぐ)りながら、こちらも、つとめて心を取り乱さぬようにわざと平気に笑いにまぎらわして、 「※(「言+墟のつくり」、第4水準2-88-74)でしょう、病気というのは」重ねて訊くと、 「いえ、病気はほんまどす」といって、まだ笑って真相を語ろうとせぬ。 「どんな病気です?」私は、今度は、商売柄恥かしいひどい病気でもあるのかとも思った。 すると、お繁婆さんはやっぱり笑いながら、 「お園さん、気狂いになったのどす」と率直にいう。 「へえ、気狂いになった!」私は、しばらく呆然(ぼうぜん)として対手(あいて)の顔をじっと見つめていた。 「一体どうして、そんなことになったのです」 お繁婆さんが話して聴かすところによると、先月の末か今月の初めごろ、彼女も、瞬(またた)く間に流行してきた流行感冒に襲われて一時は三十九度から四十度近い発熱で心配するほどであったが、熱は間もなく下り、風邪も一週間くらいで癒(なお)るにはなおったが、すっかり熱が除(と)れて、ようよう起き上がることが出来るようになった時分に、ふっと間違ったことを口に言い出した。初めは皆なも、平常(ふだん)から、あんな温順(おとな)しいに似ず、どうかすると、よく軽い戯談(じょうだん)などを言ったりすることもあるので、 「お園さん、何いうてはるのや」と、笑って、いつもの戯談かと思っていると、本人はあくまでも真顔でいるので、これは、どうもいつもとは少し様子が違って変だなと思っていると、彼女はだんだん妙な違ったことをいうようになった。そして眼つきがおそろしく据(すわ)ったようになって、そうなくてさえ、平常から陰欝(いんうつ)になりがちの顔が、一層恐い顔になった。家にいる他の妓(こ)たちはまたそれを面白がって、対手になって戯弄(からか)うと、彼女は生真面目(きまじめ)な顔をしてそれに受け応(こた)えをしているという有様である。 お繁さんはおかしそうに笑いながら、 「そんな具合でもう気の毒で見ていられまへんがな。ほて、もう、わたし、あんた方、そんなつまらんこと言うてお園さん戯弄(なぶ)らんとおいとくれやすいうて、小言いうてました」 私は、それを聴いて身にしみて悲惨を感じながら、じっと涙を飲み込むようにして、 「飛んだことになってしまったものですなあ」と、あとの言葉も出でずに黙って太息(ためいき)を吐(つ)いていた。 「もう、どだい、いうことがなってへんのどすもの」お繁婆さんは変なハイカラの言葉に力を入れていう。 そんな有様で、とてもこの先続けて商売など出来そうにないところから、母親のほかに西京(にし)の方にいるという母方の叔父(おじ)にも来てもらって、話を着け、お繁さんが附き添うて管轄の警察署へ行って、営業の鑑札を返納して来たというのである。お繁婆さんはなおおかしそうに、 「警察へいても、お園さん真面目な顔をして役人に怒鳴りつけるようなことをいうもんやから、わたし、傍に付き添うていてはらはらしてました」 私は思わず寂しい笑いを洩(も)らしながら、 「なるほどそういうわけじゃしようがありませんな。そして、今どこにいるでしょう」 「さあ、その時叔父さんに伴(つ)れられて帰ったきり、どこにいるのかそれなりでちょっとも音信(たより)がないそうにおす。わたしもそれから用事で大阪の方に往(い)てきまして、今日帰ったばかりのとこどすよって。今日も、あんたはんから訊かれる前に、お園さん、ちょっとも音信がないなあ、どないしてはるやろ言うて噂(うわさ)してましたところどす」 なるほど叔父のあることは前から知っていたけれど、私はなおもその叔父さんというのははたして真実(ほんとう)の叔父さんに違いあるまいかと疑ったので、念を押すように、 「叔父さんといって、その実旦那じゃありませんか。こんな土地じゃ、こう申しちゃ、何ですが、裏にうらがあるのが習わしですからな」と、捌(さば)けた調子で、対手の口うらを引いてみたが、お繁は言下に、 「あの人旦那なんてありゃしまへん。そりゃ本当の叔父さんどす」 「その叔父のいるところはどこでしょう。あんた知っていませんか」 「さあ、それも、わたしどこや、よう知りまへんけど」と、小頸(こくび)を傾けるようにして、「何でも三条とか、油の小路とか聴いたように思うけど、委しいことは、よう知りまへん」と、真実知っていなそうである。 私はなお、もっと委しいことを、ああもこうもと訊ねたいと思ったが、家の内が急がしそうにしているのと、向うがはたして誠意をもって話してくれているのか、どうか半信半疑なので、いい加減にして出て戻ろうとして、まだ立ちにくそうにしながら、 「いろいろありがとうございました。あなたにお眼にかかって、様子が一と通り分りました」 私は、この上にもなお向うの誠意を哀求するような心持で丁寧にお礼をいった。幾度思ってみても、全く自分の生命(いのち)にも換えがたい女である。その女のゆえならば、いかなる屈辱をあえてしても決して厭わないと思っていたのである。 お繁婆さんは、 「ああそれからあんたはんのお手紙が来ているのも知ってます。たしか二度来てたかと思ってます。前のはお園さんが自分で受け取ってたしか見ていました。後のはここにおらんようになってから来ましたよって、私が預かっておきました」 といって、彼女は奥に立って往き、三、四本の、女にあてて来ている封書を、私から越(おこ)したのと一緒に持って出てきた。それを見ると、中の一つは自分のちょっと知っている、ある男からの文(ふみ)であった。私は、それを一目みると何とも言えない厭(いや)な気持になって、「あの人間が!」と、ちょうどウロンスキイが、自分の熱愛しているアンナの夫のカレニンの風貌(ふうぼう)を見て穢(けが)らわしい心持になったと同じような気がして、その瞬間たちまち、自分が長い年月をかけて宝玉のごとくに切愛していた彼女が終生いかんともすべからざる傷物になったかのように思われて、またもやがっかり失望してしまった。女がいなくなったことがすでに自分には生命(いのち)を断たれたと同じ心地(ここち)がしているのに、自分が一面識のある人間とも知っていたのかと思うと、私はあまりに運命の神の冷酷やら皮肉やらを悲しみかつ嘆かずにはいられなかった。しかし、それも、皆な自分の愚かゆえである。こうした売笑の女に恋するからは、それはありがちのことである。西鶴(さいかく)もとうの昔にそれを言っている。今こんなことがあると知ったのを好い思いきり時に、いっそここで、これっきり女を綺麗(きれい)さっぱりと思い断(き)ってしまおうか、そうすると、この心の悩ましさを解脱することが出来て、どんなに胸が透くであろう。そして決然としてすぐにも東京へ帰って行って、多年女ゆえに怠っている自分の天職に全心を傾倒しよう。どうかして、そういう心になりたい、と思いながら、私は、膝(ひざ)の前に置かれたそれらの男からの手紙をじっと見つめながら、封の中にどんなことを書いてあるのか、出来ることならば、封を切って中を読んでみたいように思った。差し出したところを見ると、どこか地方に行っていて、その旅先から出したものらしいから、その男も、女が気が変になって、商売を廃めてこの土地から消え失(う)せたことは知らずにいるのであろう。……私がそうして、じっとそれらの封書に見入っているので、お繁はどう思ったか、 「この人はほんの五、六度知ってるだけどす。私もちょっと顔を見て知ってます。あれはどこのお客やったか」と考えるようにして、 「たしか、井の政のお客やったと思う。去年の春からのお客どした。……こうして人さんの手紙どすさかい、中を読んで見るわけにもいきまへんしなあ」と、私を慰め顔に言う。 「いえいえ、なにこの手紙を見たいと思ってるわけじゃありません。……ただお園が、叔父さんに連れられていったきりで、今どこにいるのか、私も、あなたも御存じのとおり、もう長い間心配していた、あの女のことですから、ぜひ一遍会って、病気の様子を見たいと思って……」と、私は、どこへ取りつく島もないような気がして、そういうと、お繁婆さんも、さすがに同情のある調子でうなずきながら、 「ええええ、あんたはんのことは、皆な、もうよう知ってます。どこにいやはるか、ここにおらんようになってからでも、もう半月くらいになりますよってなあ」 私はなおも繰り返して、そのうちにも自然居処が知れるようなことがあったら、是非知らしてほしいとくれぐれも嘆願するように頼んでおいて、ようようそこを出て戻った。 六 外に出ると、もう十二時を過ぎているので、お茶屋へ往き交う者のほかは人脚も疎(まば)らになって、冷たい夜の風の中に、表の通りの方を歩く下駄(げた)の足音ばかりが、凍(い)てついた地のうえに高くひびいているばかりであった。 そして、気が狂って叔父に連れられて、どこへ往ったとも分らなくなった女の身の上が、今は可愛(かわい)い、いじらしいというよりも、その可愛い、自分にとっては、自分がこの世に生存している唯一の理由でもあり楽しみであると思っていた女が、自分が一、二度会ったことのある男とも知っていたのであったのであったかということのみが、胸の中一杯に蔓(はびこ)って、これほど愚かしいことはない、何の因果で、あの女が思いきれぬのであろうと、自分の愚かしさを咎(とが)めつつも、やっぱり思いきることが出来ず、その愚かしい煩悩(ぼんのう)に責め苛(さいな)まれる思いをしながら、うかうかと道を歩いていた。 そこから祇園町の一郭をちょっと出はずれると女の先(せん)にいたところまではすぐなので、たとい今はもうそこにいなくなったにしても、その階下(した)の家主の老婦人は性格(たち)の良い女性(おんな)であるから、その人に会って訊ねたならば、もしや知っているかも知れないと思って、一旦戻りかけた足をまたそちらへ向きかえて、そこの暗い路次の中に入ってみたが、門は堅く締っていて、あたりはいずこももう寝静まっている。 「ああ、われながら愚かしい。今時分この辺に起きている家もないはずであった」と、心づいて、「ともかく今晩は帰って寝て考えよう。気が狂ったといううえに、今晩になって、はじめて気がついたわけでもないが、知らぬうちこそ清浄(きれい)だが、だんだんあとからいろいろなことが分ってくると、この先まだまだ厭な思いをしなければならぬ。自分に強い意思があるなら、今晩という今晩こそ、彼女を潔く思いきって、彼女をはじめて知って以来、足かけ五年の間片時も心の安まらなかった苦患(くげん)を免かれて、快い睡眠を得ることが出来るのだが。……今、あんな人間から来ている手紙を見たのは、冷酷で皮肉と思われる運命の神がその実深切に、自分に誡告(かいこく)してくれたのかも知れぬ。……それにしても、運命はあまりに皮肉で悪戯(いたずら)なことをする」と、私は気ちがいになった、憐(あわ)れな彼女を愛しようとしても、皮肉な悪戯な悪魔がいて、愛することを妨げられているような、何ともいえない辛(つら)い思いに胸を拉(ひし)がれながら、やっと終い際(ぎわ)の電車に乗って、上京(かみぎょう)の方の宿に戻って来た。 その夜はほとんど微睡もせずに苦しみのうちに明かして、翌日(あくるひ)は幸い気候も暖かであったので、ゆうべ一と夜寝ずにああこうと考えていた順序に従って、朝飯の箸(はし)を置くとそのまま出て往き、どこよりも先ず祇園町の裏つづきの、例の、女が先にいた家にいって、階下(した)の家主の老婦人のもとを訪(たず)ねてみたが、今朝(けさ)は宅にいるはずだと思っていたのに、昨夜(ゆうべ)のとおりにやっぱり門に錠がおりている。しかたなく路次の入口の店屋で訊(き)くと、 「お婆さんは、上京の方の親類とかに病人があるとかいうて、一週間ほど帰らんいうてお往きやして、そうどんなあ、それがもう二、三日前のことどす」といってくれる。 私は、そこに突っ立ちながら、「二、三日前」それなら何という残念なことをしたろう。田舎(いなか)から京都に戻ったあの翌日(あくるひ)高雄へ紅葉を見に行かずに、ここへ来たら、何とか女の様子も分ったろうに、と、思ったがしかたがない。それにもうここには三月も前からいなくなっているのだから、家主のお婆さんがいたとて委しいことは分らないかも知れぬ。昨夜松井の内のお繁婆さんの話の端に、叔父さんというのは、油の小路とか三条とか言っていた。それに、ずっと以前に女から一人の叔父は油の小路とかで悉皆屋(しっかいや)とか糊屋(のりや)とかをしていると聞いていたように思う。母親が上京の方の親類に同居して厄介(やっかい)になっているといったのも、そこかも知れぬ。姓も彼女の姓とは異(ちが)っている、名も知らないが、もし神という者がこの私の真心を知ってくれるならば何とかしたら分るすべもないこともあるまい。これから油の小路に往って、悉皆屋と糊屋とを一軒一軒探(たず)ねて歩いてみよう。そう決心して、それからすぐ油の小路に廻っていった。そして三条四条を中心にして、その上下を幾回となく往きつ戻りつして一々両側を歩いてみたが、もとより雲を掴(つか)むような話で、悉皆屋と糊屋とは幾らもあるが、手がかりのあろうはずもない。そしてほとんど半日以上も一つのところをお百度を踏むようにして、ついに歩き疲れて屈託しながらひとまず宿まで引き揚げて来た。 そのまた翌日、むやみに探ね歩いてもしかたがない、何とか好い思案はあるまいかと一日外へ出ずに考えていたが、暮れ方になって、やっぱりあの先にいた路次の中の家主のところに行ってみるのがいいように思われるので、一日内にとじ籠(こ)もっているよりもと思って出かけていったが、一週間ほど不在(るす)といいおいていって、まだ三、四日にしかならぬのであるから、老婦人はまだ帰っていない。相変らず門の扉(とびら)にはさびしく錠がおろしてある。するとその路次の中に立っていると、そこへ路次の入口の米屋の女房が共用水道の水を汲(く)みに出てきたので、そのおかみは東京者で、一度も口をきいたことはなかったが、夏の初め以来、顔だけ見知っていたので、もちろん先きでは、これが、あそこの二階にいる女の旦那と思って、こちらよりも一層注意して見ていたかも知れぬ。それで、そのおかみに、 「ここのお婆さんはお留守でしょうか」と、昨日(きのう)も出口の店屋で訊いているので無駄だと知りつつも、そう言って訊(たず)ねると、おかみは、バケツを提(さ)げたまま、 「あの、あそこの二階にいたお婆さんですか」と、門の外から女のいた二階の方を指さしながら、訊き返した。それで私は腹の中で、階下(した)のお婆さんのことを訊ねたのだが、それを訊くのも、やっぱり階上(うえ)にいた女の母親のことを訊ねようとてであるから、これは、うまい具合だと思って、 「ええそうです」と、いうと、 「あのお婆さんは、つい五、六日前に、すぐそこの、安井の金比羅(こんぴら)様のあちら側にお越しになりました」という。 私は、心の中で肯(うなず)いて、それじゃ、八月の末にここの所帯を畳んでしまって母親もいなくなったと言ったのは、皆なこしらえごとであったかと、合点(がてん)しながら、さあらぬ風に、 「ああそうですか。五、六日前に変りましたか」 「ええ、ついこの間です。たくさんに荷物を持って。お婆さん、私にも挨拶をして下すって、今までは二階借りをしていましたけれど、今度は自分で一軒借りました。気兼ねがなくなりましたから、どうぞ遊びに来て下さいというて行かれましたけれど、私もわざわざ行く用もありませんから、まだ往っては見ませんが、なんでもすぐそこの横町の通りからちょっと入った、やっぱり路次の中だそうです」 私は、はっと胸を刺すように思い当って、自分でも、顔から血の気が一時に失せたかと思った。今までは二階借りであったけれど、今度は一軒借りきりで、気兼ねがない。たとい病気というに※(「言+墟のつくり」、第4水準2-88-74)はないにしても、背後(うしろ)に誰か金を出す者が付いているに定(きま)っている。……心の中ではそんなことが鶯梭(おうさ)のごとく往来する。それをじっと堪(こら)えて、 「はあ、一軒借りて。……」と、私は思わずその一事に満身の猜察力(さいさつりょく)を集中しながら、独(ひと)り言のようにいっていると、委しいわけを知らぬおかみは、多分夏の初めそこに私の姿を時々見ていた以来、私たちの関係に変りのないことと思ったのであろう。 「もしおいでになるなら、あそこの俥屋(くるまや)でお訊きになると、すぐ分ります。あそこの俥屋が荷物を運んでゆきましたから、よく知っています」 と、深切に教えてくれたので、私は幾度も礼を繰り返しながら、路次を出て、横町の廻り角の俥屋にいって訊ねると、俥屋の女房がいて、自分は行かないが、そこをどう行って、こういってと、委しく教えてくれた。きけば、なるほどすぐ近いところである。 私は、心に勇みがついて、その足ですぐ金毘羅様の境内を北から南に突き抜けて、絵馬堂に沿うたそこの横町を、少し往ってさらに石畳みにした小綺麗な路次の中に入って行ってみると、俥屋の女房は小さい家だと教えたが、三、四軒並んだ二階建ての家のほかには、なるほど三軒つづきの、小さい平家があるけれど、入口の名札に藤村という女の姓も名も出ていない。それでまた引き返してもう一度俥屋にいってもっと委しく訊くと、その三軒の平家の中央(まんなか)の家がそれだという。 「ああ、そうですか?」と、いって、俥屋の女房には、逆らわずそのまままたもとの路次の方に引き返したが、今の先き見たところでは、その中央の家には、なるほど、まだ白木のままの真新しい名札が出ていたが、それには飯田とのみ誌(しる)してあった。私は不審さに小頸を傾(かし)げながら、もう一度路次に入って来てその飯田という名札の掲っている中央の家の前に立って、しばらく考えていた。 ああ読めた! 飯田というのは旦那の姓であろう、こうして、この旦那は、可哀(かわい)そうな私とは正反対に好きな女をうまうまと自分の持物にしおおせて、この新しい表札を打ったのであろう、と、向うの、その嬉(うれ)しい気の内を想像するだけ、自分は恐ろしい修羅(しゅら)に身を燃やしながら、もう生命(いのち)がけであくまでも自分の悪運に突撃してゆこうとする涙ぐむような意地になって来た。三尺をまた半分にした、ようよう体(からだ)のはいられるだけの小さい潜戸(くぐり)は、まだ日も暮れぬのに、緊(かた)く閉(し)めきって、留守かと思うほどひっそりしている。 「もしもし、御免なさい」二、三度声をかけると、やがて、内から、 「どなたはんどす?」という声がする。たしかに母親の声である。じゃ、この家がそれにちがいなかったと思いながら、 「私です、わたしです」と自分の名をいうと、母親はそうっと、五、六寸潜戸を開(あ)けて、内から胡散(うさん)そうに外を窺(のぞ)いて見たが、そこには私が突っ立っているので、 「ああ、あんたはんどすか」と、気まずい顔をしていいながら、がらりと潜戸を開けて外に出るや否や身体(からだ)で入口に立ち塞(ふさ)がるような恰好(かっこう)をして、後手にぴしゃりと潜戸を閉めてしまった。 そして五歩六歩入口を遠ざかりながら、 「あんたはん、私がここに来ているのがよう分りました。どなたにお訊きやした?……ここは人さんのお家どすよって。私ちょっと雇われて来ていますのどす」というようなことを、弁解がましくいいつつ、なるたけ私を家の前から遠ざけるように、路次を出ようとする。 私は、つい一と月ばかり前時々会っていた時と打って変ったようなその、あまりによそよそしい様子に、そうなくてさえ失望のあまり、ひどく弱くなっている心を押し潰(つぶ)されたような心地がしたが、努めて気を励ましながら、 「お母はん、お園さんが飛んでもない病気になったというじゃありませんか」と、まるで泣きかかるような調子で言葉をかけた。 すると母親ももう鼻声になって、 「私、あの娘(こ)にあんな病気しられて、もう、どないしょうかと思うてます。同じ病気かで、糞尿(ばばしい)の世話をするくらいどしたら、わたし何ぼか嬉しいか知れしまへん。あの娘の病気の世話やったら、どないに私骨が折れたかて、ちょっとも厭(いと)やしまへん。私もあの娘と一緒に死んだかて本望どすけど、あんたはん、何の因果であんな病気になりましたか思うて私、もうここ半月ほどの間というもの、夜もろくに寝られやしまへんのどす。ちょっと油断してる間にどんなことをするか知れまへんよって」母親は悲しい声で立てつづけに泣きごとをいう。そういう顔をよく見ると、なるほど娘の病気に心痛すると思われて、顔に血の気は失せて真青である。 私は一々うなずきながら、一昨日(おととい)の夜から、病気ということをはじめて聞いて、居処が知れないためにほとんど京都中を探(さが)して歩いていたことを怨(うら)みまじりに話して、 「そして、今少しは良い方なのですか、どんなです? 私も一遍様子を見たいです」と、いうと、母親は、それを遮(さえぎ)るような口吻(こうふん)で、 「今もう誰にも会わしてならんとお医者さんがいわはりますので、どなたにも会わせんようにしています。仲の好い友達が気の毒がって、見舞いに行きたいいうてくりゃはりますのでも、みんな断りいうてるくらいどすよって。あの病気は薬も何もいらんさかい、ただじっと静かにしてさえおけばええのやそうにおす。この二、三日やっとすこし落ち着いて来たとこどす」 「ああそうですか。何にしても心配です。……そして、今ひとりで静かに寝ていますか」私は、どうかして、よそながらにでも、そうっと様子を見たそうにいうと、母親は、また一生懸命に捲(まく)し立てるような調子で、 「ほて、今、京都におらしまへんのどす」 「えッ、あそこに寝ているんじゃないんですか。そして、どこにいるんです?」 「違います。あそこは、あんたはん、よその金持ちのお婆さんがひとりで隠居しておいでやすところどす。もうお年寄りのことどすさかい、この間からえらい病気でむつかしい言うて息子はんたち心配してはりますところへ、知った人さんから頼まれて私が付添いに来てますのどす。そしてあの娘は遠いところの親類に預けてしまいました」母親がおろおろ声で誠しやかにそういうので、私は心の中で、道理で、取ってもつかぬ飯田という表札が出ているのである。そして、そんな精神に異状のある、たった一人きりの娘の傍に付き添うていないで、他人の年寄りの病人に付き添うているのを不思議に思いながら、 「遠い親類に預けた!……あんた、そしてまたなぜ傍に付いて介抱してやらないのです?」 「あんたはん、私が傍について介抱してやりとうても、あの娘(こ)がそんな病気で、たんとお金(かね)がかかりますよって、私が人さんの家へ雇われていてでも少しくらいのお金を儲(もう)けんことにはどもならしまへんがな」母親は泣くようにいう。 私はつくづくと彼ら母子(おやこ)の者の世にも薄命の者であることを思いながら、眉(まゆ)を顰(ひそ)めるようにして、 「あんた、銭(かね)を儲けなければならないなんて、それは何とか出来るじゃありませんか。あんたただ一人きりの大切な娘がそんな一通りならぬ病気をしているのに、傍に付いていて介抱してやらないということがありますか」と小言をいうようにいうと、母親は、少し顔を和らげて、 「ええ、私も付いていてやりたいは山々どすけど、今いうとおり、医者に見せることもいらん、薬も飲まないでもええ、ただ静かにしておりさえすりゃ好えのやそうにおすさかい、親類のおかみさんが、お母はん、もうちょっとも心配することはない、確かに癒してあげますよって、安心しといでやすいうてくりゃはりますので、そこへ委(まか)せてあります」 「遠い親類て、どこです?」 そういって訊ねても、母親ははっきりどこということをいわずに、ただ、 「ずっと遠いところどす。田舎の方どす」という。 「田舎て、どこの田舎です? お母はん、あなたにも、あんなにいうておったじゃありませんか、私と一処に家を持って、お園さんが廃(や)めるまで待っていましょうって。そんな病気をなぜ私に知らしてくれなかったのです」 私が、怨言(うらみごと)まじりに心配して訊くので、母親も返事を否むわけにも行かず、折々考えるようにしながら、「あんたはんにも一遍相談したい思いましたけど、そうしておられしまへんがな。そんな病気どすよって。田舎というのは京から二、三里離れたお百姓の家どす。私の弟の家どすさかい、そこの嫁はんが、ほん深切にしてくりゃはりますよって」 「二、三里の田舎じゃ、あんまり遠い家でもありません」 「私も、二、三日前にちょっと行って来たきり、こちらの御隠居さんが病院に入ろうかどうしようかいうてはりますくらいで、少しも手が引けませんよって、一遍あとの様子を見に行かんならん思うてもまだ、あんたはん、よう往かれまへんがな。私も、あんたはんがおいでやしたんで、今家を黙って出て来ましたよって、早う去(い)なんと、年寄りの病人さんが、用事があるといけまへんさかい……」 母親は鼻声で、あっちもこっちも心のせくように言う。私は一層同情に堪えない心持で、 「いくら、あんた、親類に預けて安心だといって、一人の親が一人の娘の病気の世話をしないで、よその他人の介抱に雇われているということがあるものですか。まあ、今ここで委(くわ)しい話も出来ませんから、何とか繰り合わして暇ができたら、お母はん一遍今度の私の宿まで来て下さい。そして、もっとくわしい病気の様子も訊きたいし、いろいろな御相談もしましょう」 そういって、宿の名とところとをくわしく教えると、母親は少し考えるようにして、明日はちょっと都合が悪くてゆけないから明後日(あさって)はきっと訪ねて行きますという。その約束を堅めて、 「あんたはんもまた風邪ひかんように早う往んでお休みやす」 「お母はんもあまり心配せんと。そのうえ自分がまた患(わずら)ったら困りますよ」 挨拶(あいさつ)を交わして、そのままそこで立ち別れた。日はもうとっぷり暮れて、寒い寒い乾(かわ)いた夕風が薄暗(うすやみ)の中を音もなく吹いていた。 七 母親の居処が知れて、まず一と安心したものの、路次の出口の女房のはなしでは、つい五、六日前に先の二階借りのところから引き移って行ったという。それを母子の者はなぜ私に対して隠していたか、考えて見ると水くさいしうちである。それにさっき飯田と表札を打った家の潜り戸を開けて母親が中から出て来ながら、ちょうどこちらが押し入ってゆこうとするのを先廻りをして入れまいとでもするような様子をしたのが疑ってみればみるほど変である。まあ、しかし、そんなことをあくどく根問(ねど)いせぬ方が美しくっていい、委細は明後日宿へ訪ねて来た時に、よくわかるように、なんどりと話してみよう、と、それからそれへと、疑ってみたり、また思いなおして安心してみたりしながら宿へ帰って来た。 それから中一日置いて、約束の明後日になって、今に来るかくるかと一日どこへも出ず晩まで待っていたけれど母親は訪ねて来ないので、とうとう待ちあぐねて、日暮れ方にまたこちらからそこまで出かけて往ってみた。と、一昨日(おととい)見た飯田と誌した表札は取りはずしてしまって、相変らず潜戸は寂然(しいん)と閉まっている。ややしばらくそのままそこに佇(たたず)んで思案をしていると、すぐ左隣りの二十七、八のおかみさんが、入口から顔を出して、 「お隣りはもうお留守どっせ」という。 「ああそうですか。もうお留守て、誰もいないのですか」と重ねて訊くと、 「ええ、私、どやよう知りませんけど、何でも病人さんが、えらい悪うて入院してはりますとかいうて、お婆さんも昨日付いて行かはりまして、今どなたもいやはりゃしまへん。何や知らん、お婆さんこの二、三日えらい忙しそうにいうてはりました」という。 私は、何だか狐(きつね)につままれたようで、茫然(ぼうぜん)としていたが、そういえば、母親が一昨日話していた隠居のお婆さんが入院したというのかも知れぬと思いながら、なおそこを立ち去りかねて、一、二度表から潜り戸を引っ張ってみたり、※(「木+靈」、第3水準1-86-29)子窓(れんじまど)の磨(す)り硝子(ガラス)の障子の隙(すき)から家の中を窺いてみようとしたけれど、隣家(となり)の女房が見ているので、押してそうすることもならず、そのまま引き返して路次を出て来た。そして群疑(ぐんぎ)はまた雲のごとく湧(わ)き上った。けれども、母親のいったように付き添うている隠居の婆さんと、自分の娘と二人の病人を持っているのが真実ならば、急(せわ)しい道理である。今日は私を訪ねるという約束が一日二日延びても無理はないと、また思い直して、悄然(しょうぜん)として宿の方に戻ってきた。 その翌日(あくるひ)、たしかに当てにはならぬが、もしか今日は来はせぬかと、また一日外へ出ぬようにして心待ちに待ちながら、不安と疑いとに悩まされて欝(ふさ)ぎ込んでいると、二、三時ごろになって、宿の者が、お年寄りの御婦人の方がお見えになりましたと知らして来たので、とうとう来たなと、すぐ通してくれるようにいって待っていると、表の方から、長い廊下を伝うて部屋に入って来たのは、母親のほかに今一人、かつて見も知らぬ、人相がはなはだ好くない五十余りの、背のひょろ高い、痩(や)せぎすの男である。見ると蒼白(あおじろ)い顔色に薄い痘痕(あばた)がある。 私はその男の様子を見ると同時に、はっとした感じが頭に閃(ひらめ)いた。それで、じっと心を落ち着けて、態度を崩(くず)さぬようにしながら、平らやかな顔をしてわざと丁寧に一応の挨拶を交わしてみると、その男は懐中から一枚の名刺を取り出して私の前に差し出しながら、 「私はこういう者です」という。 「ああそうですか」といいつつ、それを手に取り上げて読んでみると、「京都市何々法律事務所事務員小村何某(なにがし)」と仰山に書いている。私は、 「ああそうですか」と重ねてうなずいて見せたがこんな男が二人や三人組んで来たくらいで、びくともするのじゃないが、それにしても一昨々日(さきおととい)の晩、母親と立ち話をして別れた時にも、自分はどこまでも人情ずくで、真実母子(おやこ)二人の者の身を哀れに思ったのであった。そして、哀れに思えばこそ一人愛(いと)しんで長い間尽していたのである。それゆえたとい精神に異状を来たしていようが気狂(きちが)いであろうが、あんな繊美(うつく)しい女が狂人になっているとすれば、そんな病人になったからといって、今さら棄(す)てるどころか、一層可愛(かわい)い。いかなる困難を排しても女を自分の手中の物にして、病気をも癒(なお)してやらねばならぬと思っているのに、もし、自分のこの体(てい)たらくを見知っている者があって、自分を痴愚とも酔狂ともいわば言え、自分ながら感心するほどの真実を傾け尽して女のことを思っているのに、こんな男を同伴して来る母親の心が怨めしい。なぜ自分のこの胸の内が母親には分らぬのであろう。自分一人で来て打ち融(と)けた談合をしようとせずに、訊くまでもなくもう底意(そこい)は明らかに見えている。その母親の心が、もうすっかり私と絶縁しているということが、惨(みじ)めに私の胸に打撃を与えた。 それを思いながら、私は黙り込んでいると、その男は、 「僕は、この藤村の親類の者に依頼せられて今日来たのだが、君がこの藤村の娘を大変脅迫したために、精神に異状を来たしたといって、ひどく立腹をしている。それで、君がどうしても女が欲(ほ)しいなら、銭(かね)を五百何十円出してもらわねばならん」と、横柄な調子でいう。 私は、それを聴(き)くと、もう、むらむらとなった。そして、腹の中で、「何を吐(ぬ)かしやがる。盗人(ぬすっと)猛々(たけだけ)しいとは、その言い分である」と、思ったが、それはじっと抑(おさ)えて口には出さず、 「はあ、私が藤村の娘を脅迫したために精神に異状を来たしたというのですか。……なお、女が欲しいようなら、銭を五百何十円出せ? 私にはよく合点がゆかぬ」と、言葉は、なるべく静かにしながら、きっとなって問い返した。 するとその男は、 「自分はただ頼まれたので、委しいわけは知らんが、君が当人をひどく嚇(おど)かしたのが原因で気が狂ったそうじゃないか。そのために親類一同の者が大変君を怨んでいる」と、頭から押(お)っ被(かぶ)せようとする。 それを聴いて私は、あまりの腹立たしさに顔が痙攣(けいれん)するかと思うほど硬(かた)くなったのを、強(し)いて笑いながら、 「戯談(じょうだん)をいっている!」と、語気を強めて吐き出すように言った。「なるほど今年の一月以来、……それまで、もう何年という長い年月の間私の方からさんざん尽して心配していることが、いつまで経(た)っても少しも埒(らち)があかぬので、一体どうなっているかと、随分厳(きび)しいことを、手紙でいってよこしたことはたびたびあります。しかし、それは私としては当然のことで、もちろん、あんな商売をしている女に山ほど銭を入れ揚げたって、それは入れ揚げる方が愚ではあるが、たとい幾ら泥水稼業(どろみずかぎょう)の女にしても、ただむやみに男を騙(だま)して金を捲(ま)き上げさえすればいいというわけのものでもありますまい。私がこの藤村の娘に対してしたことを最初からずっとお話をするとこうなのです。まあ聴いて下さい」 と、いって、対手が妙に生齧(なまかじ)りの法律口調で話しかけるのを、こちらは、わざと捌(さば)けた伝法(でんぽう)な口の利(き)きようになって、四、五年前からの女との経緯(いきさつ)を、その男には、口を※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)(さ)し入れる隙もないくらいに、二時間ばかり、まるで小説の筋でも話して聴かすように、ところどころ惚気(のろけ)まで交えて、立てつづけに話してきかせた。私の顔は熱して、頬(ほお)には紅(くれない)が潮(さ)してきた。 するとその男は、だんだん私の話に釣(つ)り込まれてしまい、初めの変に四角張っていた様子はいつか次第に打ち融けて、私の話が惚気ばなしのようになって来ると、たまらず、噴(ふ)き出しながら、 「君は女に甘い。君は下手(へた)だ。そんな君、女にただ遠方から金を送るということがあるものか。そういう時には君が自分で金を持って京都に来て、さあ、金はここに用意してある。廃めて自分の方に来るかどうするかと向うの腹を確かめて、こっちのいうことを聴くなら、金を出してやろうという調子で行かにゃ駄目(だめ)じゃ」と意見するようにいって、笑っている。 私はまた、半ばはわざとそうして見せるところもあったが、男が笑っているのを見て、むっとなり、あくまでも真剣な調子で、 「いや、笑いごとじゃありません。また惚気を言うつもりでもありません。他人から見れば馬鹿と見えるくらい、およそそれほどまでに、私は、相手を信じきって尽して来たことをお話するのです。惚気を聴かすようですが、それも私たちの間がそれほどまでに打ち融けておったことを説明しているのです。それにもかかわらず、……」と、なお後を継ごうとすると、その男は、一層笑い出して、 「いや、君は馬鹿だ。はははは君、出ている女は君、君一人だけが客じゃない、ほかにも多勢そんな男があるもの……」と笑い消してしまう。 母親も傍から口を出して、 「世話になった人はあんたはんばかりやおへん。まだまだもっと他に、いうに言えんお世話になったお人がありますのどす」と、その男にも聴いてくれというようにいう。 「うむ、そりゃそうやろとも」男はもっともというようにうなずいている。 私は、それを不快に思いながら聴いていたが、 「そりゃ、私のほかに、もっと世話になっていた男があるかも知れない。何も自分一人が色男のつもりでいたわけじゃないが、自分もこの年になって、女に引っ掛かったのは、これが初めてじゃない。随分女の苦労は東京にいてたびたびして来ているんだ。しかし今度のような御念の入った騙され方をしたのは初めてだ。それに何ぞや、私が嚇かしたために気が狂ったなぞと、聞いて呆(あき)れる。それどころじゃない、私の方であの女のことを思いつめて患わぬが不思議なくらいに自分でも、思っているのです。私が嚇かしたためにそんな病気になったという苦情があるなら私の方で悦(よろこ)んで引き取って癒してやりましょう。しかし、さっきのお話で銭を五百円出せというのはどういうわけです?」 きっぱり、そういうと、その男はまたうなずいて、妙な東京弁を交えながら、 「うむ、そりゃ君の心持も私にはようわかっている。だから、病気になったことについては、情状を酌量(しゃくりょう)して、どうしてくれとは言わぬから、女のことは諦(あきら)めてもらいたい。それでも、どうしても君の方へ連れて来たいというなら、五百五十円か、それだけの金を君の方から出してもらわねばならん。その金が出来るか」 人を馬鹿扱いにして宥(なだ)めるような、また足もとを見透かして軽蔑(けいべつ)したようなことをいう。私は、情状を酌量するもあったものではないと心の中でその浅薄な言い草を腹を立てるよりも笑いながら、 「へえ、五百何十円! それはどうした金です?」と訊き返しながら、今までさんざん人を騙して、金を搾(しぼ)れるだけ絞っておきながら――もっとも本人は何にも知らずにいるのかも知れぬが――どこまで虫の好いことを言うと思った。 すると、母親はまた興奮した顔で傍から口を出して、 「その金はどうした金て、あんたはん、まだ松井さんにあの娘(こ)の借金がおすがな。あんたはんも私のところにおいやした時に、何度もあの娘に訊いておいやしたやおへんか、まだたんとの借金おした。その金を返さんことには、あんたはん松井さんかて、あの娘を廃めさしてくりゃはりゃしまへんがな」真顔でいう。 「その借金を五百五十円今度親類から出してもらったのだ」傍の男が後を受け取って言う。 私には、どうも、はっきり腑(ふ)に落ちぬ。 「へえ?……しかし、この間私が松井へ行って、お繁さんに会って訊いた時には、そんなに借金はもうなさそうな口ぶりであったが」 「あの人何も知らはりゃしまへん。ないどころか、まだ仰山あって、あの娘はそんな病気になる……親一人、子ひとりの私の身になったら、あんたはん、泣くに泣かりゃしまへんがな。それで南山城(みなみやましろ)の旧(ふる)い親類に頼んで、証文書いて、それだけの金を今度貸してもろうたのどす」母親は、傍の男にも訴え顔にいう。 私は、黙ってそれを聴いていたが、なるほど彼女たちの先祖はもと府下の南山城の大河原(おおかわら)というところであったとは、自分が女を知って間もない時分から聞いていることであった。その大河原というのは関西線の木津川の渓流(けいりゅう)に臨んだ、山間の一駅で、その辺の山水は私のつとに最も好んでいるところで、自分の愛する女の先祖の地が、あんな景色の好いところであるかと思うと、一層その辺の風景が懐(なつ)かしい物に思われていたのであった。そして女の祖父に当る人間が、彼女の父親の弟分にして、も一人他人の子を養子にしていたが、祖父が死に、今からざっと三十年も前に父親が一家を挙(あ)げて京都に移って来る時分に、所有していた山林田畑をその義弟の保管に任しておくと、彼はその財産を全部失(な)くしてしまい、自分は伊賀の上野在の農家に養子に行って、なお存命である。ほかに兄弟とてなかった父方の親類といえば言われるのはそこきりで、血こそ繋(つな)がっていないが今でも親類づき合いをしているのであった。……それだけのことはたびたび母子の者から聴かされて自分も知っているが、その他に南山城に、不断親しい往来をしないでいて、突然金を貸してくれるようたところがありそうに思えぬ。 「へえ?……そんな親類があるのですか。伊賀の上野にはあると、あなた方から私もかねて聞いていたが」と、私が訝(いぶか)しそうにいうと、母親は、引ったくるような調子で、 「あんたはん、そんな委しいこと知らはりゃしまへん。そんな親類ありますがな」という。 「へえ? 何という親類です? やっぱり大河原の?」と重ねて訊くと、傍の男は、またそれを受け取って、 「自分で、藤村の親類で、やっぱり藤村利平という者だというとった。その人間がわざわざ私のところに来て依頼して帰った」 「あんたはん、あんな遠いところからそのことで出て来てくれたのどす」二人は調子の合ったことをいっている。 私も、心の中で、ああいうのだから、そんな親類があるのかも知れぬと思った。 「じゃ、私がその藤村利平という人に一応会って話しましょう」 「いや、もうこの間ちょっと来て、すぐ帰ってしもうた」といってしまう。 ついに、どちらのいい分も要領を得ずにそんな取り留めのない話になったが、私の心は、どうあっても女を思い絶たない、女に会わなければ承知しないが腹一ぱいで、たといこの天地が摧(くじ)けるとも女を見なければ気が済まぬのである。それで、とうとう三、四時間も話し込んでいる内に暗くなってしまったので、その男は、忙しいといって立ちそうにするのを、私はどこまでも一度女に会って、差向いで納得するような話をしなければ何といってもこのままに済ますわけにはゆかぬといい張った。 すると、母親もその男も遅(おそ)くなって心が急(せ)くのと両方で、 「そやから、病気さえ良うなったら、あんたはんにも会わせますいうてるやおまへんか」 「きっと会わせますな」 ということにして、二人は帰った。 八 この間母親と一緒に来た小村という男が、十日か十五日経ったら会わせましょうと受け合ったので、自分もそれで幾らか安心して、なるべく他のことに気をまぎらすように努めながら、その十日間の早く経つのを待っていた。そして約束の十日が過ぎると、もうそのことばかりが考えられて心が急くので、宿からあまり遠くないところと聞いていた、その小村の家を訪ねて往って、この間母親と一緒に来た時に聴き残した、もっと委しいことをあれこれと訊ねてみた。そして、金を出したのはやっぱり南山城の大河原字(あざ)童仙房(どうせんぼう)というところの藤村利平という人間であって、その人間が、自分の事務に携わっている室町竹屋町の法律事務所にわざわざ訪ねて来て、親戚(しんせき)関係の藤村の娘のことを依頼していったのである。大河原の童仙房というところにそういう人間があるかどうか、自分は委しいことは知らぬが、事務所の方には四、五年前に他の事件を依頼して来たことがあるので、今度はその縁故で来たのである、という。 私は、それを、この間はじめて聞いた時から幾度となく疑ってみた。そんな親類があって、こんどそれだけの金を出してくれるくらいならば、そもそもあんな卑しい境涯(きょうがい)に身を沈めない前に泣きついて行くはずである。けれども、そういう親類があるというから、あるいはそうかも知れぬ。そして、 「もう、あれからしばらく経ったから、病気も大分良くなったでしょう。私自分で一遍往って様子を見て来たいと思うんですが」というと、小村は口をきくよりも先きに頭振(かぶ)りをふって、 「いやいやまだなかなかそんなどころでない。母親の話ではどうも良くないらしい」という。 「とにかく、それでは私が自分で往ってみましょう」といって、女の静養しているという山科(やましな)の方の在所へ往く道順や向うのところを委しく訊ねると、小村は、君が独(ひと)りで往ったのではとても分らない、ひどく分りにくいところだといっていたが、それでも強いてこちらが訊くので、山科は字小山というところで、大津ゆき電車の毘沙門(びしゃもん)前という停留場で降りて、五、六町いった百姓家だという。姓はときくと、さあ姓は、自分も一度母親に連れられて一度行ったきりでつい気がつかなかったが、やっぱり藤村といったかも知れぬという。 まるで雲を掴(つか)むような当てのないことであるが、私はそれから小村方を出て、寒い空に風の吹く砂塵(さじん)の道を一心になって、女に食べさすために口馴染(くちなじ)みの祇園のいづ宇の寿司(すし)などをわざわざ買いととのえて三条から大津行きの電車に乗った。小村のいった毘沙門前の停留場というのは、大津街道の追分からすこし行くとすぐなので、そこで電車を降りて、踏切番をしている女に小山というところへ行くのはどう往ったらよいかと訊ねると、女は合点のいかぬように、 「小山はここから五、六町やききまへんなあ。あこに見えるのが小山どすよって、一里もっとおすやろ」といって指さす方を見ると、田圃(たんぼ)の向うの逢阪山(おうさかやま)の峰つづきにあたる高い山の麓(ふもと)の方に冬の日を浴びて人家の散らばっている村里がある。私は、あそこまでは大変だと思いながら、 「そうですか、毘沙門前の停留場を降りてすぐ五、六町ときいたのですが」と、私は繰り返して独(ひと)り言を言ってみたが、踏切りの番の女は、ただ、 「ちがいますやろ」 とばかりでしかたがない。そして、自分ながら阿呆(あほう)な訊ねようだと思ったが、もし京都からかくかくの風体(ふうてい)の者で病気の静養に来ている者がこの辺の農家に見当らないであろうかと問うてみたが、それもやっぱり、 「さあ、気がつきまへんなあ」で、どうすることも出来ない。 しかたがないから、私はそこから大津街道の往来の方に出て、京都から携えてきた寿司の折詰と水菓子の籠(かご)とを持ち扱いながら、雲を掴むようなことを言っては、折々立ち止まって、そこらの人間に心当りをいって問い問い元気を出して向うの山裾(やますそ)の小山の字(あざ)まで探ねて往った。十二月の初旬のころでところどころ薄陽(うすび)の射(さ)している陰気な空から、ちらりちらり雪花(ゆき)が落ちて来た。それでも私は両手に重い物を下げているので、じっとり肌(はだ)に汗をかきながら道を急いで、寂れた街道を通りぬけて、茶圃(ちゃばたけ)の間を横切ったり、藪垣(やぶがき)の脇(わき)を通ったりして、遠くから見えていた、山裾の小山の部落まで来て、そこから中の人家について訊ねたが、そういう心当りはどこにもなかった。それでもなお諦めないで、そこからまた引き返して、ほとんど、山科の部落という部落を、ちらちら粉雪(こゆき)の降っているにもかかわらず私は身体中汗になって、脚(あし)が棒のようになるまで探ね廻ったが、もとより住所番地姓名を明細に知っているわけでもないので、ついにどこにもそんな心当りはなく、在所の村々が暗くなりかけたからしかたなく、断念して、失望しながら帰路についた。 あとで小村という男に会ってそのことを話すと、彼は「一人往ったのでは、とても分らん」といっていたが、母親が近いうちにまたその話で来ることになっているから来てくれというので、少しは好い話をするかと思って、楽しんでその日に往くと、母親の調子はこの前会った時より一層険悪になって、こちらが、女に未練があるので、どこまでも下手に優しくして物をいうと、彼女は、理詰めになって来ると、しまいには私に向ってさんざんぱら悪態を吐(つ)いた。 そして、山科に娘を預けたというのは、※(「言+墟のつくり」、第4水準2-88-74)(うそ)であろうというと、もう、そんなところにいるものか、遠くの親類が引き取ったとか、またこういえば、私が東京へ帰って行くとでも思ったか、世話をする人が家内にするといって東京へ連れて行ったなどといろんなことをいっていた。たしかに南山城に行っているとも思えないが、母親が、いつもよくいうとおりだとすれば、あるいはそうかも知れぬ。あの女が、自分の索(さぐ)り求めえられる世界から外へ身を隠した、もう、とてもどうしても会うことも見ることも出来ぬと思えば、自分は生きている心地(ここち)はせぬ。そんな思いをして毎日じっとして欝(ふさ)いでばかりいるよりは、当てのないことでも、往って探(さが)してみる方がいくらか気を慰めると思って、私は、十二月のもう二十九日という日に、わざわざそちらの方へ出かけていった。木津で、名古屋行きに汽車を乗り換えると、車内は何となく年末らしい気分のする旅行者が多勢乗っている。一体木津川の渓谷(けいこく)に沿うた、そこら辺の汽車からの眺望(ちょうぼう)はつとに私の好きなところなので、私は、人に話すことは出来ないが、しかし、自分の生きているほとんど唯一の事情の縺(もつ)れから、堪えがたい憂いを胸に包みながら、それらの旅客に交って腰を掛けながら、せめても自分の好める窓外の冬景色に眼を慰めていた。車室がスチームに暖められているせいか、冬枯れた窓外の山も野も見るから暖かそうな静かな冬の陽に浴して、渓流に臨んだ雑木林の山には茜色(あかねいろ)の日影が澱(よど)んで、美しく澄んだ空の表にその山の姿が、はっきり浮いている。間もなく志す大河原駅に来て私は下車した。 かねて南山城は大河原村の字童仙房というところの親類に引き取られていると聞いていたので、大河原の駅に下車すると、そこから村里まで歩いて、村役場について、まず親類という人間の姓名をいって、戸籍簿を調べてもらったが、村役人は、「そんな名前の人は心当りがありませんが」といって、帳簿を私に見せてくれた。そして、童仙房というところは、この大河原村の内であっても、ここから車馬も通わぬ険悪な山路(やまみち)を二、三里も奥へ入って行かねばならぬという。そんな遠い山路を入っていっても童仙房というところにそんな人間がないならば無益なことである。 そして、そんな姓名はこの大河原村にはない。それと同じ姓は、この隣村の何がし村の聞き違えではないか、その村には藤村という姓が多いという。しかしその村もやっぱり鷲峰山(しゅほうざん)という高い山の麓になっているので、そこまで入って行くには、どちらからいっても困難であるが、まだここから行くよりも、ここから三つめの停車場の加茂から入って行った方がいいが、それでも五、六里の道である。そちらからならば俥(くるま)が通うかも知れぬといって教えてくれた。 大河原ということは、今度の場合に限らずこれまでもたびたび母親の口から聞いているので、そんな人間が実存するなら大河原にちがいはなかろうと思ったが、あの連中の言うことには、どんな虚構があるかも知れぬ。もしや、その隣村ではあるまいかと思案して、ここまで乗りかかったついでに、どこまでも追究せずにはいられない気がするので、私はそこまで探ね入って行く決心をした。南山城の相楽(さがら)郡といえばほとんど山ばかりの村である。そこに峙(そばだ)っている鷲峰山は標高はようやく三千尺に過ぎないが、巉岩(ざんがん)絶壁をもって削り立っているので、昔、役(えん)の小角(おづぬ)が開創したといわれている近畿(きんき)の霊場の一つである。その麓を繞(めぐ)って、ほとんど外界と交通を絶ったような別天地が開けているのである。 私はこの寒空にそこまで入って行くことの容易ならぬことを思って、幾度か躊躇(ちゅうちょ)して、長い太息(ためいき)を吐いたが、女がもしその深い山の中に行っているとしたら、自分もそこまで入ってゆかねば会うことも見ることも出来ぬのであると思うと、それを中止するのも何だか心残りである。そう思って、大河原駅からまた笠置(かさぎ)、加茂と三つ手前の駅まで引き返して戻った。そして、加茂駅に下車して停車場の出口で、そこに客待ちをしながら正月のお飾りをこしらえていた二、三人の車夫に、何がしの村までこれから行ってくれぬかというと、彼らは、呆れた顔をして、笑いながら、 「とっても……」と、一口いったきりで顔を横に振って対手(あいて)になろうとせぬ。なおよく訊ねると、泥濘(ぬかるみ)が車輪を半分も埋めるので、俥が動かない、荷車ならば行くという。 私は、思案に暮れてしばらくそこに突っ立って考えていたがそうかといって、断念する気にはならぬので必ず行くという決心はなかったがしかたなく駅路(うまやじ)の、長い街(まち)つづきを向うへ向うへとどこまでも歩いて行った。やがて半道も行くと、街道はひとりでに高い木津川の堤に上がっていった。木津川も先きの大河原駅あたりから、ここまで下って来ると、汪洋(おうよう)とした趣を備えて、川幅が広くなっている。鷲峰山下の村に通う街道は、そこに架した長い板橋を彼方(むこう)に渡ってゆくのである。私は、ゆこうかゆくまいかと思うよりも、行けるかどうかを気づかいながら、ともかくその長い板橋を向うに渡っていった。それでも、なかなか交通が頻繁(ひんぱん)だと思われて、相応に人が往来している。私は長い橋の中ほどに佇(たたず)んで川の上流の方を眺(なが)めると、嶮岨(けんそ)な峰と峰とが襟(えり)を重ねたように重畳(ちょうじょう)している。時によっては好い景色とも見られるであろうが、午後から何だか、寒さが増して陰気な空模様に変ったと思っていたら、雪花(ゆき)がちらりちらり散って来た。私は、長い橋の上に立って空を見上げながら、「この空模様で、膝(ひざ)を没する泥濘道ではとてもおぼつかない」とまた思案をしたが、ともかく橋を向うに渡ってなお歩いていると、そこへ後からがらがら空車(からぐるま)を挽(ひ)いた若い男の荷馬車がやって来た。私はその男に声をかけた。 「その荷馬車はどこまで行く? 何がしの村まで行かぬか」 と訊ねると、その途中まで帰るのだという。 「君、その荷馬車に乗せてもらえないか」と頼むと、 「ああ、乗って行きなはれ」といいながら、彼はずんずん行く。 それは、何か貨物を運搬した帰りと思われて、粗雑な板箱の中は汚(きたな)くよごれている。私はそれを見て心を決しかねて、なお後からついてゆくと、彼はしばらく行くと、馬を停(と)めておいて、道傍(みちばた)にあり合わした藁塚(わらづか)から藁を抜き取って来て、それを箱の中に敷いて、 「さあ、乗んなはれ」という。 私は、心に、若い馬子(まご)の深切を謝したものの、さすがにその荷車に乗りかねた。自分は、何の因果であの女が諦められぬのであろう、と感慨に迫りながら行く手の方を見ると、灰色空の下に深い山また山が重畳している気勢(けはい)である。 「いや、もう、止(よ)そうか」と、若い馬子にいって、私はとうとう断念して引き返した。そしてまた木津川の長い板橋を渡ってくると、雪を含んだ冷たい川風が頬を斬(き)るように水の面から吹いて来た。