約 3,071,633 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4703.html
涼宮ハルヒのOCGⅡ う、嘘だろ・・・。目の前には麗しの上級生朝比奈さんがいる。いつもなら俺を癒してくれるその笑顔も、今だけは俺に何の効力も持たなかった。何故かって? 俺のライフポイントは0。朝比奈さんは8000。んで今は朝比奈さんの先攻2ターン目。さて、何でこんな状況になったのか、まずはそれを説明しなければならんな。5分前に遡るとしよう。 古泉の関係者の売却と、長門の情報操作のおかげで文芸部室には大量のカードが集まっていた。前者はどうもハルヒの力らしいが、今回ばかりは俺にプラスに作用したぜ。デッキを調整しなおした俺は、何故かデュエルができるらしい朝比奈さんと決闘することになった。ゆっくりとデッキをシャッフルする朝比奈さん。何をやらしてもこの人は絵になるな、うん。そしてジャンケンは朝比奈さんが勝って俺は後攻になった。まずはお手並み拝見と行くぜ。というかこの時気づくべきだったんだろうな。朝比奈さんがいつもと違う種類の笑みを浮かべていたことに。 「えーっと私の先攻です。ドローします。ドローフェイズ、スタンバイフェイズ、メイン入ります。」 なんか本格的だな。俺は正直ドローフェイズなんて意識したことなかったぜ。対象を取る云々もよくわからん。 「手札から大寒波を発動します。終末の騎士を召喚。効果でデッキからゾンビキャリアを墓地へと送ります。手札を一枚デッキトップに戻してゾンビキャリアを蘇生します。6シンクロしてゴヨウ・ガーディアンを特殊召喚します。ターンエンドです。」 まて、俺の前にいるのは誰だ?長門でもハルヒでもなくて、いつも甲斐甲斐しくお茶を淹れるSOS団マスコットキャラのメイドさん、朝比奈さんだぞ。初ターンに6シンクロという戦術と普段の姿にギャップがありすぎる。前言撤回、お手並み拝見なんてしてる場合じゃない。というか未来のデュエルレベルってどうなってるんだ? 「俺のターン、ドロー。」 とはいえ大寒波をいきなり食らってるのでこちらも何もできん。とりあえず魂を削る死霊をセットしてターンエンドだ。こいつなら戦闘破壊もされないしな。ターンエンドです、朝比奈さん。 「では私のターンですね。ドローして、メイン入ります。増援を発動、デッキから終末の騎士を手札に加えます。」 手つきはいつもの朝比奈さんなんだが、表情が違う。いつかの公園で自分が未来人であることを告白したときのような真剣な表情だ。 「終末の騎士を召喚。効果でD-HERO ディアボリックガイを墓地に送ります。ディアボリックガイの効果発動、墓地のディアボリックガイを除外してデッキから同名カードを特殊召喚します。さらに手札から緊急テレポートを使います。デッキからクレボンスを特殊召喚します。」 また、シンクロですか朝比奈さん。というかあなたに闇属性は似合いませんよ。 「そ、そうですかぁ?闇属性はとっても強いですよ。8シンクロでダークエンドドラゴンを特殊召喚。効果でキョン君の裏守備モンスターを墓地に送りまあす。」 やばい、これでかなりのダメージを食らうことになる。初手の大寒波がかなり効いてるな。まあでもこのターンは何とかもつだろう、多分。 「墓地の闇が三体なので手札からダーク・アームド・ドラゴンを特殊召喚します。バトルフェイズです、全部通れば私の勝ちです。キョン君ゴーズかクリボーありますかぁ?」 とこれで冒頭のシーンに戻るわけだ。2ターンキル。完璧にやられたね。いつのまにか俺たちの周りにいたハルヒや長門もこのデュエルを見ていて、朝比奈さんが俺をあっという間にノックアウトした瞬間、二人とも唖然としていた。(といっても長門は少し目を見開いただけだが)そりゃそうだわな、誰だってドジっ子メイドの朝比奈さんがこんなデッキを組んでくるとは思わないさ。 「すごいじゃないみくるちゃん!次はあたしとやるわよ!」 ハルヒが朝比奈さんを引っ張ってとなりの席に連れて行く。いつもなら「やめてください涼宮さぁ~ん」と可愛らしく言っているのだが、 「ふふっ。受けてたちますよ涼宮さん。」 一瞬朝比奈さん(大)かと思うほど落ち着いていたね、人は見かけによらないとはよくいったもんだ。 「あなたは私と」 そうだな長門、よしやるか。そういえばお前は何のデッキを使ってるんだ? 「ライトロード」 そうか・・・。墓地に裁きの龍が落ちることを願うとしよう。てかなんでライトロードにしたんだ? 「デュエルが早く終わるから。私たちにとって時間は貴重。それに今の時代はワンキル。」 やれやれ。そういえばハルヒは剣闘獣だったっけか?国内ベスト8のデッキがこの狭い部室に全部そろうとは思わなかったぜ。朝比奈さんは想定外だったが、体育祭といい百人一首大会といいSOS団は何をやらせても秀逸だよな、まったく。 「私の先攻。始めていい?」 ああ。構わないぜ。それでもまあ、タイムトラベルをしたり、謎の山荘に閉じ込められたり、誘拐事件が起こるよりはよっぽど平和だ。団員全員が無事で、みんなが楽しく過ごせているんだ。こういうのも悪くない。 「手札より大寒波を発動。墓地にライトロードが4種類いるので手札から裁きの龍を特殊召喚。コストを払って効果発動。手札からもう一体裁きの龍を特殊召喚。ライトロードマジシャン・ライラを通常召喚。3体で攻撃。何もなければ私の勝ち。」 ああ・・・制限改訂が待ち遠しいね。 END
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3644.html
七章 夕日の光が病室の中にまで及んで、妹ちゃんの心なしか寂しそうな寝顔に差し込んでくる。 この肌寒い時期にもかかわらず、その光は暖かみにあふれていた。 あたしはカーテンを閉めた。間もなく日が沈もうとしている。だけどあいつは来ない。 「キョンくん、どうしたんですかね…」 しらないわよ、みくるちゃん。こっちが聞きたいくらい… 何よ。昨日は来るっていったじゃない。朝からずっと待ってるのに……… 「まだ具合が悪いのかも…」 そうなのかな、昨日最後に会ったときは顔色よかったけど… 「有希、どう思う?」 じっと妹ちゃんを見ていた有希はかすかにこちらに顔を向けた。 「…今のわたしにはわからない。しかし彼に何らかの異常が起こっているのは確か… 行ってあげて。あなたが行くのが最も適切」 異常か。ま、確かにこんな所でずっと待ってるなんてあたしらしくないわね。 引きこもっていじいじしてたら許さないんだから!! それからは早かった。あたしの持ち前の脚力のお陰で目的地にはすぐ到着した。 昨日と同じようにチャイムを押す。………出てこない。 あたしの指に連動して続け様に鳴る音に憤りを感じ始めた頃、あいつは玄関のドアから顔を出した。 「あんた今まで何やってたのよ!!今日は妹ちゃん達の病室に来るんじゃなかったの?!!」 「…スマン、寝てた」 「はぁ!!!?…何よ。まだ体の調子悪いの?」 あたしの問いに答える気はない様子のキョンは思案顔をして、そのあと意を決したように言った。 「まあ、とりあえず…入れよ」 「あのね、あたしはあんたを迎えに来たのよ!」 「頼む、少しでいい、話があるんだ」 表情から、その話の内容を読み取ることは出来ない。しかし キョンの目には確かに決意のような、力強さが宿っっていた。それが何に対する決意かはわからない。 だけどそれは確実にキョンを取り巻いていた。だからあたしは断ることが出来なかった。 どこか儚げで、それでいて並々ならぬ意志を纏ったキョンの後につき、あたしは玄関に上がった。 今日は何故かリビングに通された。ソファに座るように促されたので遠慮なく座ることにする。 「…で、何よ、話って。言っとくけど、つまらないことだったら承知しないわよ」 言うまでもなく、あたしは家族の見舞にも来ないで家で寝てた上に、未だ急ぐ素振りも見せず、 自宅でくつろごうとしているキョンに憤りを感じていた。 「なあ、ハルヒ、俺とお前が出会ってから三年近くになるな」 横にいるあたしに目を合わせず前にあるテレビを見据えながらキョンは穏やかな声で言う。 「だから何よ、思い出話なら病院でたっぷり聞いてあげるから!!」 「ははは、相変わらずだな、お前は。いっつも強引で…だけど…お前も変わったよな。」 はぁ?一体なんなの?さっきから何こいつ語ってんの?ていうかこいつあたしの言ってること聞いてる? 「俺も変われたかな、ハルヒ。」 「知らないわよ!そんなこと!!!!」 あたしのイライラは頂点に達していた。 わけわかんない!何でこいつはこんな時に悠長に話してられるのよ! キョンは、ふうとため息を一つ吐くとこっちに振り向き言った。 「ハルヒ…俺、お前に会えて本当によか…うわあああ!!!!」 突如響いたキョンの悲鳴。それは断末魔の叫びと称しても納得出来る程、苦痛に満ちていた。 見るとキョンはソファから落ちて尻餅の状態だ。 「あ……あ…さ…朝…く…な、何でお前が…ここに…」 キョンの顔から汗が吹き出ている。力強かった目の瞳孔は開きっ放しで、肩は軽い痙攣を起こしていた。 素人目で見てもこれは普通じゃない。 「ち、ちょっと!朝?みくるちゃんのこと?何?どうしたの?」 「くるなああぁ!!!!」 キョンは尻餅の状態のまま、回りにある様々なものをこちらに投げてくる。 新聞紙、座布団、テレビのリモコン。それらが部屋一体を飛び交う。 「また俺を殺しに来たのか!お前なんかに…お前なんかに殺されてたまるかぁぁぁぁ!!!」 なんなの、これ…わけわかんない…キョンはあたしの方に目をむけているが、あたしを見ていない。 「キョン!キョン!やめて!あたしはハルヒよ!どうしたの?!ねえ!!」 「だまれぇぇぇ!!」 ガシャン!!! 「キャアアア!」 嘘…シャレになってない。気がつくとテーブルの上にあった、 ガラス製の灰皿はあたしの後方にある窓の残骸の中で、変わり果てた姿で存在していた。 どうすればいいの、どうすれば…その時ある台詞が頭の中をよぎった。 そして次の瞬間にはあたしはその台詞を吐き出していた。 「ひ、東中出身涼宮ハルヒ!!ただの人間には興味ありません! この中に宇宙人!未来人!異世界人!超能力者がいたら、あたしの所に来なさい! もう一度いいます!あたしの名前は…涼宮ハルヒ!!!以上!!!」 何でこの台詞を言ったのかはわからない。無我夢中だったから… ただ、この台詞はとても大切なもののような気がしたから…あたしにとっても、キョンにとっても。 キョンの動きが止まった。お願い、いつものキョンに戻って… その目にはちゃんとあたしが映ってるだろうか。 「……はあ、はあ、くそ、目障りだ…消えろ、ハルヒにまとわりつくな…消えてくれ。 …………ははは…もう来やがったか…いくら何でも早すぎだろ。」 脈絡があるとはとても思えない言葉を羅列すると、キョンは階段をかけ上がっていった。 ぺたん、と膝をつく。もう何がなんだかわからない。 早すぎるって何が? 思えばここ最近は色々なことがあった。キョンに殴られて、何故かすぐに仲直り出来て、 キョンの家族が事故に会って、でもあいつは来なくて… ああ、ダメ、これ以上考えたらいくらあたしでもパンクしちゃう。 あたしは思考を停止させた。ただボウッと固いフローリングにヘタレこむ。 だけど一旦停止した思考は階段から降りて来たキョンによって 強制起動させられた。キョンの顔色はもう元に戻っている。 「なんなの?ねえ…答えて!いい加減にしてよ!わけが分からない…答えてよぉぉ!」 やば、顔の内側から熱いものが込み上げて来る。 気が付くとキョンはあたしを抱き締めていた。昨日の未遂をいれると、これで三回目。 だけど今の抱擁は今までで一番弱々しい。 「ごめんな、本当にごめん、ハルヒ。やっぱ俺…ダメみたいだ。勝てそうにない…約束守れなくて…ごめんな…」 勝てない?何のことを言ってるの? 「ハルヒ、俺…お前に会えて本当によかった…」 キョンは震えた声で言う。そんなもうお別れみたいな言い方やめてよ。 「だから…今日はお別れを言うためにお前を呼んだ。」 ッッッッッ!!!! 体中に電撃が走った。もう何度目になるかわからない疑問。 「何でよ!説明してって何回も言ってるじゃない!イヤだ!お別れなんて絶対!答えて!答えろ!」 もう自分でも何言ってるかわからない。それが言葉なのか嗚咽なのかすら…そんな叫び。 「教えてよ……ねえ!!……お願いだから…」 「勝手なことを言ってるのは分かってる…だけど言わせてくれ…お…ら…えろ」 「え?」 「俺の前から消えろ!!!!二度と俺の前に姿を表すな!!!!出てけ!!!!」 その能力があたしの内に宿ったことに気付いたとき、最初に思ったのは、 「ああ、あたしもいつの間にか打たれてたんだ」だった。 脳に飛び込んでくるあたしのものとは別の意志。瞬間的に見える灰色の町と蒼白い巨人。 あたしのこれまでの家族環境は、この変化をドラッグの副作用と勘違いさせるのに十分だった。 同じ中学で彼氏でもある谷口くんに、両親のことがバレて別れたばかりで、 消沈していたあたしは、この状況を簡単に受け入れた。 これからはあたしもあの人達と同じ道を歩いて行くんだ… そんな諦めに近い感情があたしを支配した。 それからしばらく、あたしはフラッシュバックの恐怖に耐えながら、 気が狂いそうな自分を必死でつなぎ止め、自室ですごしていた。 この時、自殺を考えなかったのはあとになって考えてみれば、 涼宮ハルヒがそれを許さなかったからなのかもしれない。要するに人材不足の回避。 彼女の無意識の思惑通り、両親が刑務所に連れて行かれるのと同時に、あたしは機関の存在を知った。 そこにいる人達はあたしの素性を知っている。クラスや近所…そして谷口くんが忌み嫌って避けたあたしの素性を。 だけどこの人達はそんなあたしを受け入れてくれた。 警察から両親のいなくなったあたしを、いとも簡単に引き受けて養ってくれた。 やっと自分の居場所が出来たんだと、この能力をくれた神と称される涼宮ハルヒに、あろうことか感謝さえしてしまった。 神様は非情だ。居場所を与えてくれたと思ったら、すぐにそれを奪っていく。 センパイを奪い、本当の古泉くんを奪い、そしてタックンを……… だから復讐する。一番大事な人を、タックンと同じ方法で… なのに、何であなたはあんなに楽しそうなの?ニセモノの自分がそんなに好きなの?古泉くん……… あたしは走っていた。自分が今、泣いているのかどうかも分からない。 ただキョンが言った言葉、それだけがあたしの全てを動かす。 キョンが意味もなくあんなことを言うはずがない。きっと理由があるんだ。それはわかってる。 だけど、そんな理性はキョンに拒絶されたという事実の前では、何の役にも立たなかった。 やがてあたしは、吐き気をも引き起こしそうな疲労と共に足を止めた。足がガクガクする。 このあたしがここまで完全に息が上がっているのだから、相当な距離を走っていたんだろう。 あたしは震える手でケータイを開いた。 「もしもし、古泉ですが。」 「ヴゥ…古泉くん!!キョンが…キョンが!あたし…あたしぃ……!」 涼宮さんのあまりに悲痛な嗚咽混じりの声に、オレは寒気すら感じた。 先程のパーティ会場でのことを思い出す。まさか…いや、そんなはずはない!! 「落ち着いて下さい!涼宮さん!今、自分がどこにいるかわかりますか?」 「わからない、遠い何処か…わからないよぉ…もう、何もわからない…」 だめだ、完全に混乱している。こちらで探し出すしかない。 「朝比奈さんと長門さんにはこちらから連絡します。あなたは決してそこから動かないで下さい。」 それからオレは森さんと新川さんに頼んで、パーティ会場にいる同士に事情を知らせ、協力を促した。 しかし、協力を申し出たのは森さんと新川さんを除けば、田丸兄弟だけ。 他の同士はもう関わりたくないようだ。当然だ。 今救おうとしてるのは自分達を散々振り回し、時には命の危険までをも、もたらした少女である。 むしろ今のオレ達の方がイレギュラーな存在なんだろう。 傍観に徹してくれてるだけでも、ありがたいと言うべきだ。 だけど、止まれないんだ。止まるわけにはいかない。仲間だから…もう二度、仲間を…仲間を失いたくない!!! 「こちら、森と新川。涼宮ハルヒを発見したわ。場所は――――」 あれから長門さんと朝比奈さん、さらにたまたま出会った鶴屋さん、 谷口くん、国木田くんにも協力を願い、捜索を決行した。 思ったより時間はかからなかったが、あたりはすっかり寝静まっている。 涼宮さんはオレ達の町の数十キロ離れた公園で発見された。 足にかなりの負担がかかっているらしく歩くことも、ままならない状態とのことだ。 何が彼女をここまで追いやったんだろう。いや原因は分かってる。 …彼だ。涼宮さんからの電話の内容でそれは推測出来る。なら、次にやるべきことも自ずとと決まってくるだろう。 「了解しました。協力してくれた方々にも連絡お願いします。僕は…確かめたいことがありますので。」 彼の家、本来ならば訪れることに一考を要する時間帯だが、オレに迷いはなかった。 呼び鈴を押してもおそらく出ないだろうと想像はつくが、一応押してみる。 …………やはり出ない。 ならばとオレはピッキング器具を持ち出し、ものの数十秒で玄関のドアをこじあけた。 こんな状態でも機関仕込みの技術を落ち着いて行使する自分に少々驚いていた。 中は闇に包まれていた。何度か訪れた彼の家。 雰囲気が異様に感じるのは、現在の時間帯のせいだけではないだろう。 まずはリビングへと侵入すると、彼はソファに倒れ込むように寝ていた。 よほど熟睡しているのか、口からはヨダレを垂れ流している。 オレは彼を起こす前に、それに気付くことになる。暗闇の中、彼の手の中で月の光に照らされて怪しく光る「奴」の存在に。 これは…注射器?! ドクン! ――神を殺さないか?―― ――何故裏切った!古泉ィ!!―― ――ハハハ、今の俺はとても清々しい気分なんだ―― 頭にこびりついてくるその声を必死にふり払い、彼の右腕を確認する。 彼は右利きだということは、とっくに知っていることなのに、最初に右腕を確認する辺り、 少しは想定していた事態とはいえ、相当に気が動転していたのだろう。 一瞬、「それ」がなくてホッとしてしまった。しかし、すぐにそれを後悔することになってしまう。 「あ…」 彼のもう片方の腕にはおびただしいほどの注射跡が存在していた。 細菌が繁殖しているのか、それは紫色に変色していて痛々しさに拍車をかけていた。 ドクン! 「ん…春日…もう一度…俺に……春日…ハルヒ…」 「あ…ああ…ぅあああああぁぁぁぁ!!!」 オレの絶叫に構うこともなく、彼は寝言をつぶやいているだけだった。 八章へ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1967.html
第一話『古泉一樹の事件』 私達は気絶した彼を引きずりながら 森の外に見える村に向かって歩いていた さっきの彼の行動からか会話がまったくない 人はこれを空気が重いというらしい 実際は空気の質量は変わらないのでそんなことは無い しかし、人間にはそういう風に感じてしまうらしい 説明を長々としていると原作十冊分になると計算結果が出たのでこれ以上はやめておく 「あれ?俺は…?」 後ろで彼が気が付いたらしい 彼を立たせてやる 「俺は一体何をしてたんだ?」 「いわゆる暴走という状態に陥っていた」 「暴走?俺が?本当なのか?」 「長門さんが言っているのは本当よ、斬撃を飛ばして触手ツリー(第一章最後の敵)を倒した後、あなたは明らかにおかしかったわ」 おそらく彼の記憶領域には保存されてないのだろう 私が一通り説明する 「あなたは、予期せぬ自分の能力の開放に混乱した。 混乱によって理性が壊れ、欲望を抑制する機能が無くなった脳は本能で動くようになった あなたの本能は少し特殊で、攻撃することを快感としていた そこで私が、あなたの欲望の源である攻撃手段、すなわち剣を奪い、あなたの正常化を計った 作戦は成功。攻撃する術を失ったあなたは機能を一時停止しその場に倒れた」 「それで現在に至るってわけか…ちょっとショックだな…」 「あなたのせいではない、もし剣を持つことが無かったら今回のようなことは起こらなかった」 「そうか…ありがとよ、長門」 「そう…」 「今の気分はどう?あれだけ暴れていたんだから体が痛いとかないの?」 幽霊である涼宮ハルヒが聞く 余談ではあるが幽霊には痛覚はない、あるのは聴覚と視覚と嗅覚くらい 彼女が人の体を操ればまた話は別になるが 「なんか全身の筋肉痛と倦怠感があるな…誰か俺を運んでくれないか?」 「それ無理♪」 「即答かよ」 「後もう少し歩けば村よ、もうしばらく辛抱しなさい」 「わかったよ、ハルヒ。すぐに宿でも見つけてゆっくりするか」 私達はまた歩き出した 森を抜け、村の入り口まで来た私達は一人の少女を見つけた 「キョンくん!?」 「みくるちゃん!!」 隣で涼宮ハルヒが叫んでいるが、彼女には聞こえてないし、見えてない 「朝比奈さん!どうしたんですか。こんな所で!」 「ふぇぇ…キョンくん、会いたかったよぉ~」 そう言うなり朝比奈みくるは彼に抱きついた 涼宮ハルヒの精神が不安定になっている ほぼ同時に私の内部でエラーの発生を確認した 私が機能停止したエラーとは別物で一時的な物なので無視をする しかしこのエラーの発生は頻発している 特に最近は一日に最低一回は発生している 前の世界に戻ったらエラーの解析を進めておくことにする エラーの話は保留しておく 涼宮ハルヒの表情から不機嫌だということが私にもわかる ~~~~~~~~~~~~~~~~~ キョン視点 えーとこれは喜んでいい状況なのだろうか それとも自分の心配をした方がいいのか 朝比奈さんは俺に抱きついている あの、胸当たっていますが… 「ぐすっ…うぅ…」 よほど恐ろしかったのだろう。朝比奈さんは俺の胸の中で泣いていた 正直言おう、こんな場面を俺は待っていた!! しかしこの状況喜べない! なぜなら後ろにハルヒがいるからだ! ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴという効果音がはっきり聞こえるほど 後ろのハルヒが怒っているのがわかる まてハルヒ、俺が悪いんじゃない すべては朝比奈さんを泣かせたこの変な世界が悪いんだ! しかしそんな言い訳聞いて許してくれるはずがない 後ろで神人が拳を振り上げた音を聞いて俺はこう言った 「いってきます…」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~ 再び長門視点 彼は涼宮ハルヒによって殴られ気絶した 「いってきます…」と言っていたが 状況から逝って来ますという漢字をつかうのが適切だろう 「ふぇぇぇ!?何があったんですか!?」 状況把握できてない彼女がおろおろしていた 再び気絶したキョン おろおろする朝比奈みくる ゴゴゴという効果音付の涼宮ハルヒ ガクガクしている朝倉涼子 ユニーク 「彼を棺桶に入れて教会まで運ぶ。手伝って」 「それなんてドラ○エですかぁ?朝倉さんも止めてくださいよぅ!」 「気絶なんだから棺桶に入れる必要はないんじゃ…私が言えるセリフではないけどね…(過去の過ちの事)」 「ふん、こんなやつここで埋葬すればいいのよ!」 それはやりすぎである そういえば朝比奈みくるに涼宮ハルヒを見えるようにしないと そう思っていると朝倉涼子が近づいてきた 「さっきから朝比奈さんを見ていたけど今涼宮さんを見せるのはまずいんじゃない? 彼女に見せたら失神しちゃうわよ」 確かにそのとおりだ 朝比奈みくるの見てないところで涼宮ハルヒにも言っとく必要がある とりあえず村に入ることにする もちろん彼は引きずっていく 村に入った私達は宿を探していた 「安いよ安いよ、今なら新鮮なちゅるやさん1/1人形が150円だ!」 「百発百中!フューチャの占いの館はこの路地裏!」 「最新ゲーム機勢ぞろい!GAMESHOPマシナ本日開店!」 村だというのに見事な賑わい振りである ちなみにこの世界の裏で操っている誰かのネーミングセンスについては触れないでおく 歩いているとINN(宿)とかかれた看板を見つけた 私達はそのドアをノックし、中に入った 古泉一樹がそこにいた 「おや、奇遇ですね。まさかここで会えるとは」 「知り合いですか?」 宿の主人らしき女性が古泉一樹に話しかけていた 「ええ、そうです。ずっと探していた人たちですよ」 「なるほど、だからここに毎日きてたんですね」 おそらく、古泉一樹は私達が宿に泊まることを予想して毎日来ていたのだろう 「しかし、まだ探している人が後一人居る筈なのですが…、代わりの人がいますね」 鶴屋さんのことだろう 「私が紹介する。こちらが朝倉涼子、こちらが古泉一樹。」 「初めまして」 「初めまして、いろいろあってキョン達の道案内していたの。後一人の場所はまではわかってないけど」 「そうなのですか、ところで肝心の彼が気絶していますが…」 「あとで説明する。いまあなたが家にしている場所に案内してほしい」 「わかりました。私の家は豪華ですよ」 「わぁ~楽しみですぅ」 「私も興味あるわね。どんな家に住んでいるのかしら?」 しつこいようだが、朝比奈みくると古泉一樹には涼宮ハルヒの声は聞こえていない 「あの朝倉さんって、この世界ではどこに住んでいるんですか?」 朝比奈みくるが古泉一樹の家に向かう途中、こう言い出した 「大きな城の城下町に住んでいたんだけど、今はわけあって住んでないわ。」 「そうなんですか、私はこの世界に来てから住む場所も寝る場所も作れなくって…」 彼女の人見知りな性格を考えれば当然であろう 「私は涼宮ハルヒ(偽)に指名手配されている。そこで彼の家を隠れ家にしていた時もあった」 「あれ?あ、そうか気絶してたんだ。運んでくれてありがとな。長門」 彼が気が付いたらしい 「別にいい。」 「そうか。」 ~~~~~~~~ キョン視点 長門の状況説明によって現状を理解した俺は 「おや、やっと気付きましたか」 古泉がここにいる理由も理解した 「色々とお聞きしたいことがあるのですが…」 「今ここで話すのは非常に不味い。後にしてくれ」 ハルヒのこと話しても驚くか笑うだけだろう そして古泉の家の前まで来た 「おおっ!!」 その言葉しか出なかったね 昔の洋館とでも言うだろうか 違うのは新築同様にピカピカということ その立派な家が目の前に建っている 「もう気付いているでしょうが、執事もメイドもいます。 もちろん、執事は新川、メイドは森さんです。 同居人として多丸兄弟もいますよ」 ここは孤島じゃねぇぞ 古泉、お前絵に描いたような金持ちじゃねぇか 逃亡生活している俺たちの身にもなってみろよ なんていろいろ考えているうちに古泉が洋館の扉を開けた 「おかえりなさいませ」 そういったのは森さんだ。 「森さん、この人たちが探していた人です。」 「初めまして」 森さんは前にも会ったが、多分覚えてないんだろう 仕方ないちゃ仕方ないが 「古泉さんがいつの間にか友達を作っていたなんて驚きました。」 こいつと知り合ってもう八ヶ月以上なんですがね 「とりあえず、皆さん疲れているでしょうから、部屋に案内します」 古泉に案内してくれたが 部屋数が半端ないな、一人一部屋とっても余るじゃないか 「今日はここを使ってください。トイレはこの廊下の先を右にありますし 内線も繋がっているので何かあったら新川さんか森さんを呼んでください もちろん各部屋鍵がかかりますよ」 「古泉くんはどの部屋にいるんですかぁ?」 「この廊下を左に曲がってくださいすぐに扉があるのでノックしてください。必ず返事します」 「空腹になったらどうしたらいいのかしら?」 朝倉も腹は減るんだな、いやインターフェースも食べるくらいだから当たり前か 「食堂で食べ物を用意します。後一時間後、七時位に来てください」 「凄く豪華ね。古泉くんの家って」 うおっ! いつの間に後ろにいたハルヒ!! 「どうかしましたか?」 「いや、なんでもない」 古泉はハルヒのことみえてないからな 「さて話があるので少し食堂に行きましょうか」 食堂に移動した俺たちはこの世界の現状について確認を始めた 「さて、僕たちは一昨日、四日前かも知れませんが この世界に飛ばされました。ここまでに間違いありませんね?」 「間違いない、一昨日城の牢屋で気が付いたからな。」 「私のデータベースでもこの世界が構築されたのは一昨日になっている」 「私も同じです。周りには知らない人しかいなくて怖かったですよぅ」 「私はこの世界が構築されてから作られた存在だから詳しくはわからないけど、 キョンくんの存在を確認したのは一昨日で間違いないわ」 「一昨日の時点で未来や情報統合思念対と連絡取れましたか?」 「現在も含めこの世界が構築されてから一度も情報統合思念体にアクセス出来てない。」 「わたしも同じです。一度も未来には連絡できていません。本当に普通の人間になってしまいましたぁ…ぐすっ」 朝比奈さん、気持ちはよく分かります。誰でも故郷と連絡が取れなくなったら不安なりますから 「この世界には未来や情報統合思念体、機関は存在しません 世界が改変されたため消されてしまったのでしょう 仮に、外部に存在したとしても、この世界にとっては無に等しいです この世界は外部から切り離された世界なのです 今回涼宮さんが起こした行動は情報爆発や時空振動に値する物です。 仮に存在して影響を及ぼすことが出来るなら、未来に、情報統合思念体にせよ、 何らかのアクションを起こしているでしょう」 古泉の長ったらしい解説を黙って聞いていたが、 「それじゃあ、朝比奈さんの故郷や、長門の生みの親は消えたって言うのかよ!?」 「やめて!古泉くんは何も悪くないわ!」 いつの間にか熱くなっていたらしい、当たってもしょうがない相手に当たってしまった ハルヒになだめられた俺はイスに座りなおした 「こうなった以上、仕方ありません。私の仲間と呼べるものもほとんどバラバラになってしまいましたから」 古泉には機関という仲間とも言える存在がいた ところが今はどうだ?一応一つ屋根の下に住んでいるが 前みたいな仲間意識を持ったやつはこの家に住んでいないじゃないか こいつだって寂しい思いしてるんだ 「スマン、熱くなってしまったようだ。」 「いいえ、熱くなって当然です。むしろこの状況下で落ち着いてられる僕自身に自ら怒りを感じています」 一瞬の沈黙 古泉がまた話を切り出した 「朝倉さんは、今この中で一番涼宮さんに近い存在です。何か知っていることがあるなら教えていただきたいのですが…」「今は涼宮さんと関わりは薄いけど、彼女の部下だったのは間違いないわ 彼女の部下のメンバー全員まで私は把握できてないけど、 彼女の知っているメンバーが多いみたい。実際何人か知っている人がいたわ 部下の中にはいくつか階級があって、エリートクラスなどがあるの メンバー総数は数百人、一般兵士は何万といるはずよ」 「では、この中で二つの記憶、つまり、この世界の記憶と前の世界の記憶両方持っている方は?」 「俺は持ってないな。前の世界の記憶だけだ」 「私も同じ。この世界の歴史は、本を読んで初めて知った」 「私もです。いきなり知らない世界に飛ばされてはじめはパニックになってしまいましたぁ。」 「私はキョンくんの存在を確認してから、前の世界の記憶を手にいれたの。はじめは混乱したけどね」 「僕もこの世界と前の世界の二つの記憶を持っています。弓の達人ということもね。 僕の場合、人と接する場面が多いため、矛盾が生じないように作られた記憶を刷り込まれたんでしょう。 朝倉さんの場合はよく分かりませんが、おそらく誰かがそうなるように仕向けたんでしょう。 そうでなければ朝倉さんはこの席にいなかったでしょう。」 「じゃあ俺たち以外に誰かが干渉しているって事か?情報統合思念体や未来は消えてしまったんじゃないのかよ」 「そのとおりですが、現段階で誰が干渉しているかは分かっていません。」 「敵対する存在か?それとも協力する存在か?」 「それも不明です。なぜ朝倉さんの記憶を取り戻すようなことをしたのか、謎ですから」 「長門は何か、わからないのか?」 長門に頼ってしまう癖何とかしないとな 「分からない、今の私は情報収集能力が普通の人間と同じのため」 「つまり、どうゆうことだ?」 「人並みにしか情報が集められない。視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚、全部があなたとほぼ同じ。」 「つまり、情報操作(制限付)を出来る事以外は普通の人間ということか?」 「そう」 なんてこった、通りで異常事態にもかかわらず喋る頻度が少ないと思ったんだ 今回は長門に頼りすぎるのはやめて置こう 「おや、長々と話していたみたいですね。もう七時です。」 壁にかかっている時計を見たら六時五十七分を指していた もうそんなにたつのか。 俺たちはその後ゆっくり食事を取り、 八時頃それぞれの個室に入って鍵を閉めた おそらく皆疲れていたんだろう 隣の部屋から何も聞こえてこない。 俺は速めにベッドに横になり色々考えながらいつの間にか深い眠りについていた ~~~~~~~ 長門視点 コンコン 古泉一樹の部屋のドアをノックする 「どうしましたか?長門さん?」 「涼宮ハルヒについて話がある。少し時間がほしい。」 「ええ、いいですよ。」 中略 「長門さん、大体事情がわかりましたが…いくらなんでも突然すぎます」 「あなたには事実を伝えておく必要があると判断した。」 「涼宮さんが幽霊だったとは…これがあなたじゃなかったら、冗談としか聞こえませんよ。」 「今のあなたは涼宮ハルヒが見えるようになっているはず。横にいるのが見える?」 「ええ、見えますよ。ふわふわ浮いている涼宮さんがね」 「やっと話せるようになったわね。久しぶり古泉くん。」 「お久しぶりです。さっきの話し合いは全部聞いていたんですね?」 「そうよ、前の世界で何があったのかもね。」 「今日はもう遅いですから朝倉さんの隣の部屋を使ってください。 幽霊だから鍵は必要ありませんね?」 「ええ必要ないわ、寝る必要も無いけどしばらく休んでる。じゃあまた明日」 「おやすみなさい」 普段使わない言葉を使ってみた。古泉一樹は少々戸惑ったようだが、 「おやすみなさい」 と笑顔で返してくれた ~~~~~~~ キョン視点 AM6:37 俺は起床した。この世界に来てからやけに早起きしている気がする 俺は風呂場の横にある洗面台に向かった 顔を洗い、さっぱりした俺は部屋に戻ることにした。 眠い、そして頭が痛い。もう少し寝るか。 廊下の奥に朝比奈さんがいるのを見つけた 「どうしたんですか?朝比奈さん?」 「あの、古泉くんが部屋から出てきてないの…」 「まだ寝てるんじゃないのか?」 「いえ、森さんに聞いたらもうそろそろ起きて食堂に来るはずだといわれて見に来たんです。」 俺はためしにノックしてみた 起きているなら返事をするはずだ。 返事が無い… ドアノブに手を当てるとかちゃっと開いてしまった 「誰もいない…?」 「どこ行っちゃったんでしょう?」 「食事時までには戻ってくるでしょう。食堂で待ってましょう」 のんきに考えすぎかもな 「はい」 食堂に行くとハルヒと長門と森さんと多丸さん兄弟が居た。 「古泉さんは起きていましたか?」 「部屋には居なかったですね、それよりも新川さんと朝倉さんは?」 「新川は朝ご飯を作っています。朝倉さんはまだ来ていませんね」 「彼女は朝からナイフを買いに行ってる。七時頃には戻ってくると思われる」 長門の言う通り七時ごろに朝倉は食堂に来た。 「ナイフ良いの無かったわ。研ぎ石見つけたからご飯の後に磨いてみる」 朝倉はそんなことをいいながら席に座った。 「おかしいですね、もう来てもおかしくないのですが」 森さんがそういったので時計を見てみる。七時十二分を指していた 嫌な予感がする。 新川さんのせっかくの食事が冷めてしまうという予感だ、それ以上でもそれ以下でもない 「皆さん、古泉くんの部屋に行って見ましょう。何かあったのかもしれません」 皆と一緒に食堂をでて屋敷の一番端の古泉の部屋まで来た やっぱり中には誰も居ない。 「屋敷の中を捜してくれ!なんだかとてもいやな予感がする!」 森さんと多丸兄弟は二階を探し始めた 俺たちは一階をくまなく探し始めた 捜索から十分後、一階の倉庫前に来ていた 「ここしかないですね…」 鍵がかかっている。それも中から。 本来ここはクローゼット兼試着室だったそうだ 今は物が乱雑に置かれているだけの部屋になっていると森さんが教えてくれた。 屋敷の中に居る場所と言えばここしかいない 「ドアを破るしかないみたいだな… すみませんが三人とも手伝ってくれませんか?」 「いいとも。せーのでいくぞ、準備はいいな?」 『せーの!』 どん! 大きな音共にドアが開く そこで見たものは 「古泉っ!?」 「血・・・?イヤアアアアアア!!」 後ろで朝比奈さんが叫んでいた。 古泉が頭から血を流して倒れていた。 第二話『壊れた信頼』 「古泉っ!?」 「血・・・?イヤアアアアアア!!」 後ろで朝比奈さんが叫んでいた。 古泉が頭から血を流して倒れていた。 それからはもう大騒ぎだった。 森「新川!医者の手配を!」 新川「了解!」 みくる「どうしてっ・・・どうしてっ・・・」 朝倉「警察も呼んで!!明らかに事件だわ!」 キョン「古泉!?おい生きてるよな!?」 多丸祐「この屋敷の防犯システムは最新式なのに!まさかこの中に犯人が!?」 ハルヒ「古泉くんはまだ死んでないわ!応急措置を急いで!」 長門「応急処置を実行、止血をする、清潔な布を持ってきて」 セリフの横に名前をつけたのは俺が解説する暇もなくいろいろとしゃべりだしたからだ たぶんこの後もセリフの前に名前をつけるだろう。誰が何をしゃべってるか重要だからな この後もいろいろあったが省略しておく。長々話すのは俺の性に合わない バタバタが、古泉は一命を取り留めた ただ問題が発生した 古泉が意識を取り戻さない 「冗談かよ」と最初は思ったが医者に言われたら信じるしかない しばらく入院と言うことになっている。 戦闘なんかには参加できないだろうな それで俺たちは古泉屋敷の食堂に集まっている 昨日と同じ席、ただ古泉の席には誰も座っていない 長門「事件について少し整理する。 この事件は、古泉一樹が何者かに鈍器で殴られ、倉庫で発見された」 朝倉「倉庫が犯行現場という可能性は?」 朝倉はいつも冷静だな 長門「限りなく低い、あの場所自体ほこりで足跡がつく位積もっていたのに、誰の足跡もついていなかった。」 流石長門、細かい所まで観察している 長門「おそらく、犯人は古泉一樹の部屋で殴り、倉庫に運んだと思われる」 キョン「待った、俺と朝比奈さんがあいつの部屋を見に行った時血なんてどこにもついてなかったぞ」 長門「おそらく犯人は血をふき取ったと思われる。床がフローリングならふき取るのは簡単」 古泉発見を遅らせるためか、やられたぜ 森「この屋敷にはあの倉庫を除いて、最新式の鍵を使用しています。鍵を持っていなければ入ることは出来ないはずです。」 つまり、屋敷内部の犯行って可能性が高いわけか そして犯人と古泉が知り合いの可能性が高い そうじゃなきゃあいつが部屋の鍵を開けるはずが無い キョン「犯行推定時刻は?俺が六時四十分頃に見に行った時はすでに居なかったぞ」 みくる「古泉くんが殴られてからそんな時間は経っていないと思います。そうでなかったら古泉くんは今ごろ・・・」 まだ涙目の朝比奈さんが考えを述べた 多分彼女には一生物のトラウマだろう。実際、俺もあの現場が目に焼き付いて離れない 長門「彼がまだ生きていることも含めて犯行時間は六時半前後。屋敷内部の人間なら誰でも犯行可能」 キョン「つまり容疑者は、俺、長門、朝比奈さん、朝倉、多丸圭一さん、多丸祐さん、新川執事、森さんの八人と言うことか?」 自分で言うのもなんだが俺も容疑者で間違いない。間違いなく疑われている ハルヒ?あいつは幽霊だから無理だ。スタンドで撲殺は出来てもあの倉庫に古泉を運ぶことは出来ん 長門「おそらく犯人は単独犯、この屋敷は廊下狭いため二人以上で行動していると目立つ」 足音も結構響くからな。犯人にとって協力者は邪魔でしかないだろう そういえば、あの部屋は鍵がかかっていたな キョン「倉庫には鍵がかかっていたよな?あそこには他に出口が無いし 外から中の鍵はかけられないぞ?多分犯人は見つかりにくくするために鍵をかけたんだろうが」 長門「それが一番の謎。これから調べる必要がある」 朝倉「ここで話をしても、何も進まないわ。まだショックを抑えられてない人もいるみたいだし 一回部屋に戻りましょ?」 それぞれが部屋に戻っていった所を見送った俺は最後に食堂を出た。 長門「話がある、部屋に来て」 うぉ!って・・・なんかこれデジャブ? ちょっと大げさすぎるリアクションをスルーし、長門は部屋に入っていった 長門の部屋に入る 長門が奥でイスに座っていた キョン「用事は何だ?お前は俺が必要な時しか呼ばんからな」 長門「今回事件にかかわっている人物について少し補足しておきたい」 キョン「よりによってなんで俺を呼んだ?適役なら他にも居るだろ」 長門「いや、あなたが一番犯人の可能性が低く、洞察力が鋭いから一番の適役」 長門が俺を初めて頼ってきた そこまで逸材か、俺? 長門「この屋敷に居る人物の中で私、あなた、朝比奈みくる以外の人物について 情報が少ないため、彼らが何をするか分からない ある程度人格について分かっているなら行動パターンがつかめるがそれが出来ない 彼らは孤島でも会っているが、その時の彼らは演技をしていたため、行動パターンがまったくの未知 朝倉涼子についても同じ事が言える」 キョン「つまり、長門にはこの事件の犯人がまったくわからないと言うことだな?」 長門「そう。色々な情報を集めておく必要があるが、 この屋敷内部に妨害電波を発生してる物があるため、思ったように集められない」 キョン「前に気絶してたあれか。長門がインターフェイスって知ってるやつだな。それよりも長門は平気なのか?」 長門「ある程度波長の解析が出来たため、前のように体の制御を失うことはない」 キョン「そうか」 長門「妨害電波を発生する装置は携帯電話ほどの大きさで ほとんどの場合隠されているため今の私には探査不可」 「きゃあああああああああ!!」 あの声は朝比奈さん!? 何が遭った!? 三部屋隣の朝比奈さんの部屋に急行する 急いでドアを開けた俺。 後ろでバタバタとはしってくる音。 どうやら屋敷に居る全員が駆けつけたらしい そして朝比奈さんを探す。 割れた急須が部屋にちらばっている 部屋の端っこでうずくまっている朝比奈さんを発見。 キョン「どうしたんですか?」 みくる「ぼーっとしてたらうっかりお湯をこぼしてしまって・・・」 圭一「イインダヨ!」 祐「グリーンダヨ!」 新川「疑惑度30%OFF!!」 真性のアホだこいつら。 長門「右手を氷水につけることを推奨する」 みくる「ひゃ、ひゃい!」 長門に話し掛けられて、発音が変な返事をした朝比奈さんは キッチンの方に消えていった。氷はあそこにしかないからな 何もなくてよかった 古泉の事件のあとだからな 朝比奈さんが犯人に襲われたのかと思った 多分他の人たちもだろうが 急須が割れたのは森さんと新川さんが処理してくれることになり、 他の人たちは部屋に戻っていった。 そういえば古泉の部屋は誰も居ないんだよな 一回調べてみるか がちゃ やはり開いた あれから誰もこの部屋に来てないんだろう。 部屋を色々と見ていたが一部分の床がピカピカに光っていた。 おそらく犯人が血をふきとった後だろう 長門の推理どおりだ ん?これは・・・砥石?なんでここにあるんだ? もしかして・・・ 砥石を裏返すと血がついていた これって・・・ 思考の停止(正しくはフル回転)をした俺は 青い髪のクラスメイトの顔が思い浮かんだ・・・ 「ナイフ良いの無かったわ。研石見つけたからご飯の後に磨いてみる」 俺は砥石を置き、皆を呼び、 また部屋に戻ってきた キョン「皆さんを呼んだのは他でもありません。凶器と呼ばれるものを発見しました」 圭一「何だね、その凶器というのは?」 キョン「これです。」 そういうと床に転がっている砥石を拾い上げる そんなに重くなく片手で持てる 朝倉「私の砥石!?」 キョン「朝倉、長門と祐さんと一緒に部屋に行って砥石を探してきてほしい」 朝倉「わ、分かったわっ!」 バタバタと部屋を出て行く三人 みくる「もしかしてキョンくん朝倉さんを・・・?」 キョン「いや、犯人がわざとおいたと考えるのが普通だ。 これじゃ朝倉さんが犯人ですといってるような物だからな」 本当に犯人じゃないとは言い切れないが 新川「血の付き方から見てこれが凶器で間違いなさそうですね。」 圭一「ますます、わけがわからなくなってきた。犯人は何が目的だ?」 森「おそらくこの屋敷を混乱に落としいれるためですね。犯人がみつかりにくくなりますから」 キョン「その通り。そして犯人はここで犯行に及び砥石を捨て、倉庫まで運んだそう考えるのが打倒だろ」 息を枯らした朝倉が戻ってきた 朝倉「ない・・・ないわ!・・・私の砥石が部屋には無かったわ・・・!」 キョン「朝倉、砥石はどこに置いていた?」 朝倉「部屋の机の上よ・・・でも私が帰ってきてすぐに食堂に向かったから犯行時間と矛盾するのよ!」 キョン「いいところに気が付いた。六時半の時点で屋敷内部にあるはずのない砥石が犯行に使われた。 おかしいと思いませんか?」 みくる「キョンくん、田村●和みたい・・・」 キョン「そんなことはどうでもいいんです。で、話の続きですが、おそらく犯人は朝倉さんが砥石を買うと知っていた人物 この村に良いナイフが無いことを知ってる人物、 砥石の売ってる場所を知ってる人物となると犯人がしぼられませんか?」 森「つまり昨日この村に来た四人は省かれますね」 祐「俺たちの中の誰かが犯人!?」 圭一「そうなりますね。」 新川「古泉に、恨みがあった人物と考えれば私達でしょうな」 長門「彼の言うことは矛盾していない。よって彼がこれから事件に付いて調べることを推奨する」 みくる「賛成です」 朝倉「賛成だわ。洞察力するどいもんね」 森「賛成します。将来探偵にでもなってみてはいかがですか?」 キョン「進路の一つにでも入れておきますよ」 祐「子供が探偵!?俺は反対だ」 圭一「そういうな、彼思った以上に有能だ、任せて構わないだろう」 新川「ここまで賛成が多いなら私が言う必要もありません」 どうやら俺が探偵と言うことで決まったようだ 忙しくなるな。やれやれ キョン「森さん、鍵をかしてくれませんか?屋敷の中を動き回るにはあったほうが便利ですし」 森「わかりました。これが合鍵です」 鍵束を渡してくれた 倉庫行ってみるか。あの場所に犯人の手がかりを残しているかも知れんし キョン「長門、ついてきてくれ。お前なら何かわかりそうだしな」 長門「分かった」 他の人たちを部屋に戻し俺たちは倉庫へ行く キィィィ ドアがきしむ音を聞きながら目の前に広がる光景を確認した 床にまだ残っている血痕。これからの人生何度事件のこと思い出すだろうね? また俺と長門は部屋の確認をし始めた。 密室にしたトリックを暴かなきゃならんからな 俺はふとドアの鍵を見る かなり老朽化していて所々錆びている あれ?そういえば壊れてないな?鍵かけた状態でドアを開けたら鍵が壊れると思うんだが 長門「この木の棒は何?」 振り返ると長門が大きな木の角材を持っていた 長門の1.5倍ほどか? こんな形をしている?(<??????> 俺はなんとなくひらめいた ドアを閉め壁と壁にクロスするように立てかける ちょうどドアをふさぐように木が立てかかった 下に固定するように金具があることから間違いないだろう これがドアを開かなくしてた物だ 想像しにくいと思うのでAAをかいてみた(この場合書くか描くかどっちだ? ┌─────────┐ │ .| │┏ . | │ \\ . | │ ̄ \\───┐ ...| │ \\ │. | │ │ \\ │ ...| │ │○ \\. | │ │ \\ ..| │ │ │.┛ | └─────────┘ 長門「上の棚と角材の端と壁に急激に冷えた後がある」 ドアの左には棚が設置してある AAの都合上それまでかけなかったが変わりにドアの左上の線をそれだと思ってくれ それにしても急激に冷えた後? 氷くらいしか思い浮かばんな。 でも濡れてないし・・・ 長門「多分ドライアイスだと思われる。この部屋の二酸化炭素の割合が他の部屋と比べて少し高い」 なるほど、流石長門 頭の回転が速い つまりドライアイスで棒を押さえ 溶ける前に部屋を出れば 後は何もしなくてもドライアイスがとけ 棒が倒れドアが開かなくなる 密室の完成だ。 賢いな、俺も犯人も 一通り考えがまとまった俺は 犯人が誰なのか考えながら部屋に戻ることにした 後ろで長門がドアを閉める音がしたのが気になって振り向くと ハルヒ「あんた、有希の事しか見てないんじゃないの?」 キョン「うぉ!なんだ、浮遊物体Aか」 浮遊物体A「何よ、それ!まるで私が単なる物みたいじゃない!! 第一Aって事はBもCもいなきゃおかしいじゃない!!」 キョン「お前、名前が浮遊物体Aになってるぞ」 浮遊物体A「何よこれ!?責任者でてこーい!!」 作者「責任者ですがなにか?」 浮遊物体A「待ってたわ、私の拳受けなさい!オラオラオラオラオラ!!」 作者「無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!」 付き合いきれん・・・ 気分を変えて食堂に向かうことにした もうすぐ十二時だ 腹が減った。考えすぎたのか頭が痛い 頭痛薬も貰うか あ、タ○フルだけは勘弁な 食堂につくと SOS団メンバー以外集まっていた 森さんに一つ質問した キョン「森さんは今日の朝、新川さんと料理を作っていたんですよね?」 森「ええ、彼のアシスタントをしてました。一人では大変ですから」 キョン「祐さん、圭一さん、六時半頃何してましたか?」 圭一「自分の部屋で仕事してたよ。締め切りが迫った仕事があったからね」 祐「私は寝てたよ君が食堂に来る直前までね」 だめだ、これといっていい情報がない。 犯人はだれだ? 犯人のした行動はわかった。 しかしそれは誰でも出来る行為だ やろうと思えば俺でもやれる。 しかし俺はやっていない なぜ、古泉を殺したのか? これも謎だ。犯人の目的がつかめない 外部犯の可能性は? 無理だ、この屋敷の人は絶対に無理と口をそろえていっている なぜ犯人は倉庫に運んだ? わからない 結局俺にこの事件を解決するのは不可能なのか? 誰かこの迷路の出口を教えてくれ 朝比奈「大丈夫?なんかキョンくん疲れてるみたい・・・」 朝比奈さんが食堂に来ていたみたいだ気付かないほど考えていたのか キョン「朝比奈さん、大丈夫ですよ。右手は大丈夫ですか?」 痛々しい右手を見る 朝比奈「ええ、すぐ冷やしたから平気」 長門「古泉一樹の様子をみてきた。記憶喪失になっている 混乱を招くから今は見舞いに行かない方がいい 左後頭部の怪我は心配ないと医者が言っていた」 俺の中で点と点が繋がった すぐに俺は全否定した しかし否定すればするほど犯人は一人に確定していく これが現実か・・・残酷だな・・・ さて、どこかで覗き見している誰かさんに挑戦だ。 この事件の犯人は誰か? 見事当てたらジュース一本おごってやるよ 第三話、解決そして崩壊 犯人が分かった俺は激しく悩んでいた どうするべきだ? 全員が集まったらすぐ言うべきか? それとも犯人のを自供を誘うべきか? みくる「キョンくん・・・ほんとに大丈夫ですか?」 俺は非常に悩んでいた 隣で誰かが話しているのにもかかわらず 何も聞こえていなかった どうするべきだ?どうするべきだ?どうするべきだ? 同じ言葉が何度も繰り返される ダメだ、犯人がわかった以上長引かせるわけには行かない おそらく全員疑念が尽きてないだろうだからな 今この食堂には全員いる、喋るなら今だ しかし、犯人を指摘した所で犯人がすぐに認めてくれるはずがない やはり犯人を罠に嵌めたほうがいい 行動しよう、そうするしかない キョン「みなさん、今思ったんですがあの時鍵かかってましたっけ?」 森「鍵がかかってなかったらあの部屋は簡単に開くはずですが?」 祐「何当たり前なこと言ってるんだ?鍵かかっていたから体当たりまでしてあけたんだぞ?」 みくる「わざわざ、私が確認したじゃないですかぁ?キョンくん疲れてないですか?」 キョン「みなさん、とんでもない思い込みをしている。 あの部屋の鍵はかかってなかったんです ただあの部屋に開かないように押さえ棒がしてありましたが」 長門以外の全員が驚く 圭一「じゃあ、犯人はどうやってその押さえ棒を使ったんだ? 外側にいたら棒など使えないだろうが」 キョン「押さえ棒にさらに押さえ棒がしてあったんですよ」 朝倉「何を言ってるの?」 キョン「正確にいえば消えてなくなる棒ですが、 冷えていて常温で形が無くなるものです」 祐「氷か?確かにそれならしばらく放置したらドアが開かなくなるが」 みくる「でも、あの場所は濡れていませんでしたよ?溶けたら水に濡れちゃいます」 キョン「確かにあの場は濡れていませんでした なぜならあの現場にはドライアイスが使われたようです しかし現場を一瞬だけしか見てない人がどれだけその時の状況を正確に覚えていられるでしょうね?」 みくる「!!」 全員が一斉に朝比奈さんの方を向く 発見当時彼女は古泉を見た瞬間 顔に手を当てそのまま泣いていた その後も森さんに連れられてやっと自分の部屋に入ったほどだ 当然彼女が正確に現場を覚えているはずがない しかも泣いているのだ 濡れているかどうかなんて判断が出来るはずがない そう、朝比奈みくるは現場が濡れていない事を知っていたのだ 朝倉「朝比奈さんあなたもしかして・・・」 キョン「あなたが犯人です、朝比奈みくるさん。」 みくる「!!・・・でもそれだけじゃ疑う理由にならないんじゃないですか?」 キョン「もちろん、誘ったのはちゃんとした理由があります。 それも含めてあなたがした行動の推理を聞いてください。」 俺は一通り周りを見渡す ほとんどの人が驚いているようだ。当たり前である キョン「朝早く起きた朝比奈さんはまず、ドライアイスを倉庫に運んで食堂に向かいました そこで森さんと会い、古泉くんを呼んでくるといって部屋を後にした。 もちろんアリバイ作りのためです。時刻はたぶん六時二十五分頃だろうと思います」 森「確かに六時半前には朝比奈さんは食堂に来てましたね。」 キョン「そして古泉の後頭部をあらかじめ用意した砥石で殴って倉庫まで運んだ。その後ドライアイスで倉庫が密室状態になります」 圭一「それは誰でもできるのでは?」 キョン「ええ、そうです。ただ朝比奈さんはここで一つミスを犯しています。 ドライアイスに直接触れてしまったんですよ、おそらく右手でね。」 朝倉「それって・・・」 みくる「!!」 キョン「そう、あなた今右手に凍傷おこしていますね? おそらく事件後の火傷騒ぎもそれを誤魔化すため。 そして、氷水で冷やしてくると見せかけて朝倉の砥石を盗み出したんだ。 長門、古泉一樹が殴られた所は?」 長門「左後頭部」 キョン「もし右手で殴ったなら右後頭部に殴られた後があるはず なのに左後頭部、これは犯人が左手で殴ったことを示しています そして、今ここで朝比奈さんの部屋を調べれば盗んだ砥石があるはずです。」 長門・朝倉・森「調べてくるわ!!」 三分後・・・ 朝倉「あったわ、間違いなく私の砥石よ。自分の名前が書いてあるし」 キョン「言い逃れできますか?朝比奈みくるさん」 みくる「素晴らしい、戦闘能力だけでなく知能も高いとは!」 なんだ?急にふいんき(なぜか変換できん)がかわったぞ みくつ?「ますます、涼宮ハルヒ様の部下にふさわしいことが分かった。」 ここで無理にでも連れ去るべきだな。」 キョン「お前・・・別人だな!?」 おそらく朝比奈もどきが喋っているハルヒとは偽者の方だ 新川「今までに数々の修羅場をくぐってきたがここまで危機感を感じたことはいまだかつてない・・・!!」 森「何?何をする気なの・・・?」 圭一「さらに存在感薄くなってしまうではないか。」 祐「それはもともとじゃないか?」 どうでもいい会話をしているやつらはほっといて こちらは戦闘準備を始めている みくる?「遅い!」 うぉ、まだ鎧着終わってないって ひょい あれ、朝比奈さんっておれを持ち上げるほど頑丈な体の作りしてましたっけ? 長門「対象の有機結合の解除を申請。」 朝比奈「無駄よ、私のほうが情報操作の能力が高いわ。」 長門「キャンセルされた・・・?」 朝倉「これだとうかつに攻撃できないじゃない」 浮遊物体A「結局名前直してもらってないし・・・(前話参照)」 えーと今朝比奈?さんに捕まってる俺がなんとかした方がいいよな・・・ 俺はブランと垂れ下がっていた自分の左手を顔めがけて殴りかかった。 ぱしっ! みくる?「無駄よ。能力開放をしてないあなたが私に抵抗することはできないわ。」 むかつく野郎だ。おそらく村の入り口で会ったときから演技してたんだろう まんまと騙されていたわけだ。 じゃあ偽ハルヒにココの場所が知れているって事だろう くそ、また俺は何もできないのか! 長門「対象の―――能力の―――開放を―――実施―――」 朝倉「なに・・・?長門さんの雰囲気が変わった・・・?」 キョン「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 獣のような雄たけびが部屋中に響く それが俺自身の声と認識するのに数秒かかった みくる「まさかっ!」 朝倉「暴走・・・?」 浮遊物体A「なんかどこかで似たような状況を見たような気がするわ。」 作者「いろいろとネタ引っ張ってきてますから。」 浮遊物体A「お前は自重しろ!」 作者「サーセンwwwww」 えーとだな・・・ 朝比奈さんが泣くまでやめてくれないような連続パンチを続けている俺だが・・・ 俺はココまでやろうとは思わん おそらく本能の暴走とかそういうやつだな 今回もまた大暴れするのか あれ?でもなんで意識がはっきりとあるんだ? ???「よう、キョン」 誰だ?誰が話し掛けているんだ? キョン裏「俺はお前だ、理性のキョン。もちろん他の人間に声が聞こえてるとはおもわんがな」 じゃあお前は本能のキョンとでもいうのか キョン裏「その通りだ。まあ俺自身が出てくることはほとんど無いんだがな」 何しに来た。 キョン裏「何しにって、お前=俺を守るためだが?それ以上に何がある?」 ああ、そうか本能は自分を守るのが最優先だったな。どこかで聞いたことがあるぜ キョン裏「さて、偽みくるはどうするんだ?場合によっては殺そうとも思ってるんだが」 待て、殺す?why?そこまでする必要があるか? キョン裏「流石にまずいか?まあその辺の判断はお前に任せるがな。」 しばらくの沈黙 こうしてる間にも朝比奈?さんへの打撃音はやまない キョン裏「殺すのも拘束するのもお前の自由だ。煮るなり焼くなり好きにしろ。 ただお前がまた窮地に立つような行動をした場合、俺が判断する。」 そういってもう一人の俺はどこかに消えた それと同時に体が殴るのをやめた みくる?「うぅ・・・」 どうする?朝比奈?さんの体すでにボロボロだ。 キョン「長門・・・縄貸してくれ」 長門「―――わかった―――」 場に重い空気が流れる・・・ 長門「―――圭一――祐―――新川―――森―――四人の―――記憶の一部を削除―――及び改変―――」 俺は縄で偽朝比奈さんを縛っていた。 とりあえず両手は後ろで拘束しきつく縛った。 みくる?「不覚だわ、目標の目の前で失敗するなんてね。 でもただでは終わらないわ。」 ボン! 煙幕!? 「けほけほ」 いたるところで咳き込む声がする その煙幕が晴れてきたら キョン「いない・・・!!?」 長門「うかつ―――煙幕と同時に―――テレポートされた―――」 朝倉「おわったの・・・?」 新川「高校生が・・・・信じられませんな」 森「一瞬の出来事でしたね・・・」 祐「朝比奈さんがナイフを持っているのが見えたと思ったら、次の瞬間には朝比奈さんを取り押さえるなんて」 圭一「へたなアクション映画よりも迫力がありますな・・・」 長門・・・GJ 第四話事後処理 キョン「逃がしちまった・・・」 森「逃げられたものは仕方ありません。それよりも色々と片付けなければ。」 ユーレイハルハル「誰か(作者の暴走を)止めて!!」 長門「君がくれた勇気は―――億(ry」 新川「新しいダンボールでも買おうかな」 祐「実は俺ポニーテル萌だったんだ」 圭一「嘘だ!!」 朝倉「いろんな意味でガクガクブルブル・・・」 あえて言おう、カオスであると 元ネタ分かるやつ何人いるんだろうね? 人の事言えないが そんなどうでもいい文章稼ぎに俺はイライラしていた もうちょっとテンポ良く進めよ 古泉一樹が退院した !? いくらなんでも話が進みすぎだ!! 医者「信じられん、数時間前まで生死の境を彷徨っていたと言うのに!!」 よく退院を許可しましたね。 やぶ医者「すまんね、ベットが足らないんだよ。」 説得力無いな 古泉「いやぁ、一時はどうなる事かと思いましたよ。」 キョン「平気なのか?」 古泉「えぇ、長門さんの情報操作で直してもらいました」 長門「妨害電波発生装置の―――破壊に成功―――不可能だった事の一部が可能になった―――」 キョン「雰囲気かわったな?どうした?」 長門「心配ない―――私はいたって正常―――」 圭一「今日の晩御飯は何かな?かな?」 祐「おまえ、キャラ変わったな。」 新川「過度なギャグは命に関わるぞ。」 森「チョココロネってどうやって食べる?」 古泉「今はそれを話してる場合ではないでしょう。」 長門「話が進まない―――強行手段に入る ikuyotagan=dogegahcdogsUJmCCPnat=dog」 長門が例の高速早口をつかった。 さて何が起こるやら・・・ 古泉「そろそろ、鶴屋さんの捜索に向かいたいのですが・・・」 いっている事はまともなんだが顔が近すぎる せめて息が当たらない位置を保ってくれ ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ 地震!? 朝倉「痛ッ!」 朝倉!? 圭一「カナカナカナ・・・」 ひぐらし!? ピタ 変な効果音とともに地震が終わった 古泉「いやぁ~驚きましたね。もしかして本当に怪物でもいるんでしょうか?」 キョン「何だその怪物とやらは?」 小泉「この屋敷には元々吸血鬼が住んでいて、当時は地下室へ続く階段があったそうです その地下室には吸血鬼の妹が『あまりに危険すぎる』という理由で封印されていたそうです もちろん、そんなのは伝説にしかすぎず嘘だと思いますが、 この屋敷の外壁が真っ赤なのは吸血鬼に襲われた人間の血なのかも知れませんね 余談ですが、この屋敷には元々門があったらしくそこにはかわいそうな門番がいたとかいなかったとか。」 キョン「吸血鬼の妹ねぇ・・・仮に本当だったらとしたらこの屋敷は化け物やしきだな」 古泉「そういえば、森さんはいつも、変なところから現れて行動も早かったりしますね」 キョン「化け物の能力引き継いでいるじゃないか?例えば時を操る能力を持っているとか」 古泉「ありえますね」 とりあえず、屋敷の中は事件とさっきの地震のせいで散らかっていたので 掃除するためにしばらく屋敷をでてと森さんと新川さんに言われた 俺は長門とハルヒをつれて村の近くにある森近くまできたのだが・・・ 一人の老人が墓石の前に立っていた なんとなく興味を引かれたので見に行ってみると墓石には名前が書かれていなかった 老人「おや、見かけないかおだねぇ。旅人かい?」 キョン「ええ、ところでこの墓は誰の墓なんですか?」 老人「この墓はね、ある旅人の少女の墓なのさ 村の入り口で倒れているのが発見されてね。どうやらモンスターに襲われたらしいんじゃよ 持ってる食料もなく、やっと見つけた村の前で力尽きてしまったらしいのぅ。 そういえば不思議と長くて黒い髪だけは綺麗だったのぅ」 そんな話を聞いてると隣にいる長門の様子が少し変な事に気が付いた。 黒い瞳をこちらに向ける キョン「どうした?長門」 長門「この墓に妙な感覚を抱いた―――」 なんだかいやな予感がするのは俺だけか? 一応手を合わせすぐその場から離れる事にした 村に戻ってきたが時報を知らせるスピーカーから変なノイズが聞こえてきた スピーカー「ザッザッザッ ザッーーー ザッザッザッ ダンッ」 頭がキーーンとして痛い!! ハルヒ「痛いわよ、この音!!」 長門「不協和音がひどい―――、これは―――」 住人A「やめて!!音がひどいから!!」 住人B「買い物できないじゃない!!まともに!!」 住人C「落ち着かない!これじゃ!」 おまえら倒置法でしゃべるな!わかりずらいから! ボー―ン!! な、スピーカーが爆発して壊れた!? 振り返るとそこには戦車の軍団がいた 戦車兵「これよりこの村は革命軍の占領下にはいる!!」 何だこの展開!? メガホンを持った戦車兵の隣の戦車から出てきたのは・・・ 「やあ、ひさしぶりだねっ!!」 「鶴屋さん!?」 美しい緑の髪の所持者、鶴屋さんがそこにいた 第三章へ続く
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/507.html
これは「涼宮ハルヒの改竄 VersionH」の続編です。 プロローグ あたしはこの春から北高の生徒になる。 そして明日は待ちに待った入学式だ。 担任教師からは「もっと上の進学校へ行け」と言われたがそんなのは耳に入らなかった。 親父と母さんは「ハルヒの人生なんだからハルヒのしたいようにするといい」と言ってくれた。 あたしにはどうしても確かめたい事があった。 それは「あいつ」と「ジョン・スミス」の関係。 もしかしたら「あいつ」も「ジョン・スミス」もいないかもしれない・・・ 何も無い退屈な3年間の高校生活が待っているかもしれない・・・ ハンカチを返せないかもしれない・・・ でも、「あいつ」とはまた会えるという予感は3年経った今でもはっきりしている。 「あいつ」と会ったらまず何を話そう・・・ 「あいつ」と3年間の高校生活で一緒になにをしよう・・・ なんて言ってハンカチを返そう・・・ そんな期待と不安が頭を支配して全然眠れない。 もし「あいつ」がいたら同じクラスだといいな。 もし「あいつ」が同じクラスだったら席はあたしの前がいいな。 そんな「もし」をいくつも考えていたらあたしはいつの間にか眠っていた。 とてもいい夢を見ていた。 どうせなら、現実と入れ替えたいと思うような夢だった。 なんで、夢だって分かるのかって? だって、それは現実ではありえないことだったから・・・ だから夢だって分かるのよっ! どうやら夢というのは一番いいところで終わるらしい。 あたしが目を醒まし、起き上がると目覚まし時計が床に転がっていた。 寝ぼけながら投げ飛ばしたらしい。 あたしってこんなに寝起き悪かったかしら? 時計を拾って時間を確認する。 そこで頭が一気に覚醒した。 ヤバッ、寝坊したっ!! 「涼宮ハルヒの入学 version H」 慌てて部屋を出て階段を駆け下りたあたしを母さんが出迎えた。 「あらあら、ハルちゃんおはよう。女の子が朝から階段でダッシュしちゃダメよ?」 「おはよう母さん、次からは気を付けるわ。って今はそれどころじゃないのっ!!寝坊しちゃったのよっ!マズい、このままじゃ完全に遅刻よっ!どうしよ~」 も~、どうしてあいつに会えるかもかもしれない大事な日にこんな大ポカかますのかしらっ!! あたしが地団太を踏んでいると母さんがあたしの肩を叩きながら言ってきた。 「まぁまぁ、ハルちゃん落ち着いて。今日は私たちも式に参加するからお父さんの車で一緒に行くって言ったでしょ?だから、まだ時間に余裕はあるから早く準備しちゃいなさい。いつまでも地団太踏んでるとホントに時間なくなるわよ」 あ、そうだ。 今日は親父の車で行くから時間に余裕があったんだ。 「でもハルちゃんが寝坊なんて珍しいわねぇ。というかハルちゃんが学校へ行くのにワクワクするなんてあの高校には何かあるのかしら?」 それを聞いたあたしは、顔に血が昇ってくるのを感じた。 母さんの勘は鋭い。 「べ、別に、何にもないわよっ!!ただ、普通に寝坊しただけよっ!!」 って言ったって顔が真っ赤になってたら説得力ないわよね。 すると母さんはあたしを後ろから抱きしめた。 「今度は、あの子と同じ学校になれるといいわね」 あたしにはそれが恥ずかしくて、小さく頷く事しか出来なかった。 あたしには、どうしても振り払えない不安があった。 あいつ、あたしのこと覚えてるかな・・・ もし忘れられてたら辛いな・・・ 「もし、あの子がいたら綺麗になったハルちゃんをたっぷり見せ付けてやっちゃいなさい。ゴリゴリ押して勝利を掴むのよっ!!」 母さんの言葉から沢山の勇気をもらった。 あたしはその言葉に感謝を込めて、今度は大きく頷いた。 「母さん、親父はどこに居るの?」 そういえば、まだ親父に会ってないわ。 「今、車を洗車しに行ってるわ。あと10分位で帰ってくるって電話があったからサクサク準備しちゃいなさいね」 あたしは時計を見てまたパニックになった。 あと15分以内に準備を済ませないとホントに遅刻だわ。 高速で身支度を済ませたあたしは、新しい制服に身を包み洗面所の前に立っている。 さて、今日はどんな髪型にして行こうかしら。 このまま下ろして行ってもいいんだけど、なんとなく括りたい気分なのよね。 よし、今日はポニーテールにしよう。 あたしはお気に入りの黄色いゴムバンドで腰まである後ろ髪を括り立派なポニーテールをつくった。 「ハルちゃ~ん、そろそろ行かないとホントに遅刻するわよ~?」 「は~い、今行くわっ!!」 外に出ると親父と母さんがスーツ姿で立っていた。 「おはよう、ハルヒ。晴れてよかったな」 「おはよ、親父。ホント最高にいい天気ね」 あたしは雲1つないそらを眺めた。 「じゃあ、時間も無いしそろそろ行くとするか」 あたし達は、車に乗り込むと北高へ向けて走り出した。 道路は空いていて予定よりも早く到着しそうだった。 あたしは助手席から北高へ続く長い長い坂道を眺めていた。 これからはこの坂を毎日往復しなきゃならないのね・・・ 入試の時は、ハイキング気分が味わえていいなぁと思ったけど、毎日だったらうんざりしそうだわ。 そんな事を考えていたら北高の正門に到着していた。 そこであたしと母さんが車から降りると、親父は指定された駐車場へ車を置きに行った。 あたしと母さんは親父を見送ると受付へと向かった。 受付には40代位の用務員がいて、あたしはそこで名前と受験番号を答えた。 「はい、では涼宮ハルヒさんのクラスは1年5組になります。座席表は教室の入り口に貼ってありますから教室に入る前に確認して下さい。保護者の方は体育館の方にお席を用意しておりますのでそちらの方でお待ち下さい。本日は御入学おめでとうございます」 「ありがとうございます。じゃあ母さん、行ってくるわ。また後でね」 「ええ、ハルちゃん。いってらっしゃい」 あたしは用務員にお礼を言うと、母さんと別れ1年5組の教室を目指した。 教室の前に着くとあたしは自分の名前を探す前に「あいつ」の名前を探した。 けど、あたしは「あいつ」の名前を知らない・・・ なにやってんだろあたし・・・ あたしは気を取り直して自分の名前を探し出すと、教室に入り席に着いた。 教室をぐるっと見渡すと、クラスの机のほとんどに誰かが座っている。 やっぱり「あいつ」はいないのかな・・・ あたしの心を嫌な予感がどんどん支配する。 いえ、もしかしたらクラスが違うだけかもしれないわ。 きっとそうよ、後で探しに行こう。 あたしの心が期待と不安の間を揺れているとこのクラスの担任教師が入ってきた。 「みんな、おはよう。このクラスの担任になった岡部だ。これから1年間よろしく頼む。色々話をしたいがそろそろ式が始まるので廊下に出て番号順に1列に並んでくれ」 担任教師の話を全く聞いていなかったあたしは、ぞろぞろと教室を出るクラスメイトに気づいて慌てて教室を出た。 体育館に着いてパイプ椅子に座った後、あたしは他のクラスの中に「あいつ」がいないかキョロキョロと探していた。 周りのやつらから見れば、あたしはかなり変な奴だったでしょうね。 でも、そんな事を気にしてる余裕は今のあたしに無かった。 もし、「あいつ」がいなかったらこの学校に来た意味が無い。 もし、「あいつ」がいなかったらあたしの疑問は一生解けない。 もし、「あいつ」がいなかったらまたハンカチを返せない。 もし、「あいつ」がいなかったらまたあたしは一人ぼっちだ。 もし、「あいつ」がいなかったらあたしは寂しい。 幾つもの「もし」を重ねていたら式は終了していた。 その後、来た時と同じくクラス毎に並んで退場し、あたしは式が始まるまで座っていたあたしの席に座っていた。 担任教師が全員が席に着いたのを確認すると教卓から話を始めた。 「まず最初に、1つ空いてる席があるが、そこの奴は、朝階段で転んで病院行ってから来ると式が始まる前に連絡が入っている」 初日からそんなドジするなんてどんな奴よ? って、あたしも人の事は言えないか。 「では改めて、このクラスの担任になった岡部だ。みんな1年間よろしく頼む。俺はハンドボール部の顧問をしているので、このクラス全員がハンドボール部に入部してくれる事を期待している」 さっきからハンドボールの話ばっかね、他に話す事無いのかしら? つまらない担任教師の話を聞きながら、未だに誰も座っていないあたしの1つ前の席をぼーっと見ていた。 初日に階段から落ちるなんてホント間抜けよね。 いい加減、「あいつ」が居ない事でいつまでもヘコんでいるあたし自身にイライラしてきた。 でも、あたしにはどうにも出来ない。 「あいつ」と会ったあの日からまた「あいつ」と会うことだけを目標にしてきたのだから・・・ 「あいつ」と会って変わったあたしを見てもらいたかった。 七夕の日に会ったジョン・スミスと「あいつ」がどういう関係なのか確かめたかった。 でも、どうやらそれも叶いそうにないな・・・ あの日からどんな事があっても絶対に流さなかった涙が滲んでくる。 「じゃあ、まずはじめに1人1人自己紹介をしてもらおうかな。出席番号1番から順番に頼む」 どうやら担任教師のハンドボール話が終わったようで、クラスメイトの自己紹介が始まった。 どいつもこいつも同じような事しか言わない。 趣味は読書とかスポーツとか、もっと具体的な内容まで言えばいいのに。 全く、オリジナリティが欠落してるわね。 なんて、クラスメイトの評価をしていたらあたしの番になった。 よし、オリジナリティってもんを見せてやるわ。 全員、耳の穴かっぽじって聞きなさい。 あたしは勢い良く席を立った。 「東中出身。涼宮ハr「遅れてすいませんでした~」 突然のやる気の無い声があたしの勢いを全て奪った。 あたしは自分の勢いを奪われたイライラとあたし自身へのイライラの両方でかなりプチっときた。 「あ~、とりあえずスマン」 反省の色が全然見えないので鉄拳制裁してやろうとそいつを睨みつけた。 ら、そこにはバツが悪そうな顔をしたジョン・スミスが立っていた。 「ちょっとジョン、なんであんたがここにいるのよ?」 「誰だ?そのジョンというのは?頼むからこれ以上変なあだ名は増やさないでくれ。はるひ」 「じゃあ、あんたはあの時の「あいつ」なの?」 「あぁ、久しぶりだな」 「ホントにね。ってか何であたしの名前知ってんのよ?」 「それは話せば長くなるんだが、とりあえず後にしよう」 は?なんで?と頭に?マークを浮かべていると「あいつ」は手で周りを見るように促してきた。 あたしはグルッと教室を見渡すと、クラスメイトが苦笑いしていた。 あたしはそんなのを気にしないけどこれから幾らでも話が出来るんだから今は我慢する事にした。 「あいつ」は担任教師に報告を済ませると、あたしの前の席に着いた。 階段から落ちたドジってこいつだったのね。 「じゃあ、今来た○○○○には最後に自己紹介をしてもらう。悪いが涼宮もう一回頼む」 すっかり勢いを無くしたあたしは 「東中出身。涼宮ハルヒ。趣味は不思議探索です、以上」 という中途半端な自己紹介しか出来なかった。 あとで「あいつ」にたっぷり文句を言ってやるわ。 その後、「あいつ」の自己紹介を期待していたんだけど、平凡な自己紹介だった。 ちょっと、がっかりね・・・ でも、あたしは「あいつ」の事何にも知らないのよね。 これから、「あいつ」の事いっぱい教えてもらおう。 そして、「あいつ」にあたしの事も知ってもらおう。 あの日から、頑張ってきた事を聞いてもらいたい。 今日の予定は全て終わったみたいでSHRの後解散になった。 あたしが「あいつ」に文句を言ってやろうとした時、他のクラスメイトが「あいつ」に話しかけていた。 「キョン、朝から災難だったみたいだね~」 「あぁ、全くだ」 どうやら「あいつ」のあだ名はきょんっていうみたいね。 あたしがそう呼んでも怒らないかな? 「キョン、この後はどうするの?」 「あぁ、ちょっと用事がある」 「そうなんだ、じゃあまた明日ね」 「あぁ、じゃあな国木田」 キョンが友達を見送るとこっちを見てきた。 「な、何よ?キョン」 それを聞いたキョンは少し驚いた顔をした後「やれやれ」と言いながら溜息をついた。 あたしにはそれがなんだかくすぐったかった。 「お前も、俺をその名で呼ぶのか?出来たら勘弁してもらいたいのだが」 「いいじゃない。キョンの方が愛嬌があるんだから」 「はぁ、もう好きにしてくれ」 もっと、言いたい事が沢山あったはずなのに、何も頭に浮かんでこない。 「そうするわ。でもホントに久しぶりだわ。キョンはあんまり変わってないわね」 背が伸びて格好良くなったなんて今のあたしにはとても言えそうにないわ。 「ははは、そうかもな。ハルヒはとっても綺麗になったな。一瞬誰か分らなかったぞ」 しばらく何を言われたのか理解できなかった。 理解したらぐんぐん顔が熱くなるのが分かった。 キョンはあたしの様子を見て、自分が何を言ったのか理解したらしい。 キョンも顔が真っ赤だわ。 全く、初日から何してるのかしらあたし達・・・ その時、あたしの携帯が鳴った。 発信は母さんだった。 キョンの方を見るとキョンの携帯もなっているようだわ。 あたしはキョンの方を見るとキョンもこっちを見てきて無言で頷いた。 あたしも頷き返すと電話に出た。 もうちょっとキョンと話がしたかったな。 「もしもし、母さんどうしたの?」 「あ、ハルちゃ~ん。お疲れ様~、今から昼ごはん食べに行くから早く降りてきなさい」 「分かったわ。今から行くわ、じゃあ切るわよ」 「ちゃんと、あの子と一緒に出てくるのよ。じゃあ待ってるわね」 「ちょ、母s「プチ」 ツー ツー ツー 何で母さんがキョンがいるって知ってるんだろ? 隣を見るとキョンがあたしと同じような事を考えてる様な顔をしていた。 キョンはまた「やれやれ」と溜息をついた。 あたしとキョンは横に並びながら昇降口へと向かった。 昇降口を出ると、親父と母さんが知らない人と話をしていた。 誰かしら?親父達の知り合いかしら? ふと隣にいるキョンを見てみたらポカーンと口を開けていた。 「キョン、どうしたの?」 「あれ、お前のとこの両親だよな?」 「うん、そうだけどそれがどうかしたの?」 「隣に居るのは俺の両親と妹だ」 「ふーん、そうなんだ。って、えぇ、な、何であたしの両親とあんたの両親が仲良く話してんのよ?」 「俺にもさっぱり分からん」 するとキョンの妹ちゃんがこっちに気づいたみたい。 「あ~、キョン君達来たよ~」 「や~っと来たの。もう、ハルヒちゃん可愛いから2人の世界に入っちゃうのは分かるけど、少し位周りの事も考えなさいねキョン」 「ですよね~。でもキョン君もあんなに格好良いからハルちゃんが夢中になるのも分かるわ。あたしもあと20歳若かったらキョン君狙ってます」 等と母さんとキョンの母が冷やかしてくる。 「ちょ、何勘違いしてるのよっ!?あたし達はそんなんじゃないわよ」 「「ふ~ん」」 「あ~もう!!黙ってないでキョンも何か言ってやりなさいよっ!!」 「スマン、ああなると母さんは止まらないんだ。諦めてくれ」 「あんた、苦労してるのね。親からもあだ名で呼ばれてるし」 「分かってくれるか?」 「えぇ、あんたに送ってもらった日からあたしの母さんもあんな感じだから・・・」 「お互い苦労するな」 「全くね。でも、あんたとなら誤解されてもあたしは嫌じゃないけどね」 「え、それはどういう意味だ?」 「なんでもな~いわよっ!!」 あたしはキョンを置いて母さん達の所へ走っていった。 その後、あたしの家族とキョンの家族とで合同入学祝いをやったわ。 「高校生にもなって酒も飲めんでどうする~」 とかいって親父がキョンに酒を勧めている。 キョン父が止めてくれるだろうと思っていたけど悪ノリして親父と一緒に飲ませようとしている。 母さんたちは母さんたちで 「早く孫の顔を見たいですよね~」 とか言ってるし。 孫って何よ? 幾らなんでも気が早すぎるわよ。 母さん達がアテにならなそうなのであたしは単身でキョンを助けることにした。 テーブルに置いてあった水を一気に飲み干してあたしは親父達に言った。 「ちょっと、あたしのキョンになにしてんのよっ!?いい加減あたしに返しなさいよっ!!」 って何言ってんのあたし? 何か頭回らないし、ぼーっとするわ。 親父達がポカーンとしている間にキョンは抜け出したらしく、慌ててあたしの手を引いて部屋から出た。 キョンは中庭に出るとあたしを備え付けられたイスに座らせた。 こうしてるとあの時みたいだな・・・ と思っていたらキョンが話し出した。 「どうしたんだ、いきなり?あんな事言うからビックリしたぞ」 「ん、ごめん・・・」 キョンは俯いているあたしの頭をやさしく撫でてくれた。 あたしは恐る恐る顔を上げてキョンを見上げた。 そこにはとっても優しい微笑があった。 「もう、すっかり元気になったみたいだな。これでも結構心配してたんだぞ?」 「ホントに?ホントに心配してくれたの?」 「あぁ、ホントに心配したぞ」 「ありがと・・・」 あたしはキョンに抱きついていた。 キョンは驚いていたけど、それでもあたしの頭を撫でてくれた。 あたしがキョンの胸元から顔を覗きこむとキョンは何かを決意したらしくそっとあたしの顔に自分の顔を近づけてきた。 あたしも応えるようにキョンの首に両腕を回した。 そしてあたしは目を閉じてキョンを待った。 「あ~、キョン君とハルヒちゃんがちゅーしようとしてる~」 突然の声に驚いたあたしとキョンはばっと離れて声がした方を凝視した。 そこにはキョンの妹ちゃんが指を指しながら立っていた。 「妹よ、そこで何をしている?」 「ん~とね、お母さん達がキョン君達帰ってくるの遅いから呼びに言ってきてって」 「そうか、分かった。今から行くから先に戻ってなさい」 「うん、分かった~」 キョンの妹ちゃんが足早に中庭を出て行ったのを見計らってキョンが話掛けてきた。 「だ。そうだ。残念だが次回に持ち越しだな」 「そうね、ホントに残念だわ」 「仕方ない。戻るぞ」 「えぇ、そうしましょ」 と立ち上がろうとした。 けどうまく立ち上がれなかった。 転びそうになったけど恐怖は無いわ。 だって、キョンが抱きとめてくれるから・・・ 「やれやれ」と溜息をつきながら 「大丈夫か?またおんぶしてやろうか?」 「大丈夫、歩いていけるわよ」 あたしは真っ直ぐ歩けないほどフラフラしていた。 次にくる台詞はなんとなくだけど分かった。 「なんなら、お姫様抱っこでもいいが?」 「そうね、そうしてもらうわ」 そう言ったらキョンはあっけにとられてたわ。 しばらく考えてたみたいだけど、ついに覚悟を決めたらしい。 「よし、いくぞ」 そう言ってあたしを持ち上げた。 あたしはもうドキドキしすぎて声も出せない。 「スマンが、慣れてないから首に掴まっててくれるとありがたい」 あたしは言われた通りに首に両腕を回しながら言葉を無理矢理搾り出した。。 「自分からするっていったんだから、しっかりしなさいよね」 「おう、任せとけ」 部屋に向かってる最中あたしはキョンに聞いた。 「ねぇキョン、あたし変われたかな?頑張れたかな?」 「お前が自分で変われたって、頑張れたって思うのなら達成出来てるんじゃないか?」 「うん、そうだよね。でもね、あたしを変えてくれたのも、頑張れるようにしてくれたのもキョンなんだよ」 「そ、そうなのか?」 「うん、そうだよ」 「そうか、それは光栄だね」 「だからキョン、これからずっとよろしくね!!」 「おう、こちらこそよろしくな」 部屋に到着するとみんなビックリしていた。 まぁ、当然よね。 あたしはキョンの腕から下ろされて残念だと思っていたら、キョンにハンカチを返すのを忘れていた事に気づいた。 あたしは制服のポケットからアイロンをかけたハンカチを取り出した。 「キョン、これ返すわ。いままでありがと」 「ん、あぁ、これか。なんだったらずっと持ってていいぞ」 「ありがと。でも、もう必要ないわ。だって・・・」 「だって?」 「これからはずっとキョンと一緒なんだからっ!!」 fin エピローグ どっちの両親もベロンベロンでもう帰れそうにないわ。 キョンの家はこっから近いみたいだけどあたしの家は結構距離がある。 どうしたものかしらと悩んでいたらキョンの母がとんでもない事を言い出した。 「涼宮さん、今日うちに泊まっていったらどうですか?」 「えぇ~、いいんですか~?ハルちゃ~ん、どうしよっか~?」 「だ、駄目に決まってるじゃない。何言ってるのよ?」 「ハルちゃんもあぁ言ってる事ですし、お世話になりま~す」 「やったぁ、じゃあ、そろそろ行きましょうか?ハルヒちゃんはキョンの部屋に泊まってね」 「人の話をちゃんと聞け~っ!!」 エピローグ2 キョンの部屋にて 「キョン、ホント迷惑かけてごめんね」 「もう気にすんな。そもそも迷惑だと思ってねぇよ」 「うん。ありがと」 「さぁ、もう寝よう。俺は疲れた」 「ぅん」 「ハルヒがベッドを使ってくれ。俺は床で寝るから」 「ぇ?一緒に寝てくれないの?」 「いや、流石にそれはマズいだろ、色んな意味で」 「あたし、枕替わると眠れないのよね」 「だからなんだ?」 「腕枕してくれたら眠れる気がする」 「・・・分かった。ハルヒがそうしたいならそうしよう」 「ホント?ありがとキョン大好きっ!!」 あたし達は今同じベッドで横になっている。 逆にドキドキして眠れないわ・・・ 「こんなに早く夢が現実になるとは思わなかったわ」 「そりゃ奇遇だな。俺もだ」 え?今のどういう意味?キョンも同じ夢を見てたの? だったらなんかうれしいな。 なんて思うのは一人ヨガリかな? なんか一緒にいるだけじゃ我慢できなくなってきた。 もっとキョンを感じたい・・・ 「ねぇ、キョン。さっきの続きしよ?」 こうして二人っきりの夜は更けていった・・・ 番外編 ver バカ親’S キョンの部屋の前 「ねぇ、キョン。さっきの続きしよ?」 H母「ずっと他人と距離を置いていたハルちゃんがあんなに積極的になって・・・母さんもう死んでもいいっ!!」 K母「ちょ、涼宮さん、声大きいですよ。これじゃ気づかれちゃいます」 H父「そうだぞ母さん、ここからがいい所なのに邪魔しちゃ悪いだろ?」 H母「分かってますよ、でもお父さんだって娘があんなに立派に成長してくれて嬉しいでしょ?」 H父「そりゃ、嬉しいさ。あんなに格好いい彼氏つくってまさしく青春って感じだな。そう思いますよね?」 K父「そうですね、でもハルヒちゃんはうちのにはもったいない位です。」 K母「ホントよね。キョンにはもったいないわ」 H母「そんなこと言わないで下さい。キョン君以外の子にハルヒを上げる気はないんですから!ね、お父さん?」 H父「そうですよ。十分ハルヒと渡り合っていけます。あの子が私以外の異性であんなに楽しそうに話すのはキョン君だけなんですよ」 K父「そう言ってもらえると光栄です。これからもうちのをよろしくお願いします」 K母「あたしからもよろしくお願いします」 H母&H父「「こちらこそ」」 その時、勢いよくドアが開いた。 ハルヒ&キョン「さっさと寝ろ~っ!!雰囲気ぶち壊しだ~っ!!!!」 涼宮ハルヒの入学 versionK
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5014.html
涼宮ハルヒのOCG④ (2008/11~ ぐらいの時期だという前提でお願いします) 「えーっとね、潜水艦でキョンくんに攻撃して・・・カードを一枚伏せてわたしの番は終わりだよ。」 「違うわよ妹ちゃん、ターンエンドの前にこのカードを伏せとくの。そうすればキョンが何か出してきても一発で除外・・・」 今俺の目の前にはなぜかカードを握る我が妹と、その後ろからあーだこーだと口出ししてるハルヒがいる。長門はというと後ろの方で俺の本棚をあさっている、マンガぐらいしかないから面白くないと思うぞ長門。そして場所は俺の部屋だ。さて、何でこんな状況になったんだろうな。少し時間を遡って話していくか・・・。 朝倉との奇妙な再会の翌日、やはり朝倉は北高に転入してきた。俺のクラスではなく長門のクラスだったので大した騒ぎにはならなかったのだが、我らが団長がそんなニュースを聞き逃すわけも無く、放課後部室で朝比奈さんのお茶を飲みながら一緒にデュエルをしている(ディアボリックガイを制限解除したのは絶対にミスだ)と、ハルヒがドアを蹴っ飛ばして、 「突然転校して突然転入した、うちのクラスの元委員長にして今は有希の友達、朝倉涼子よ!今日からSOS団の一員ね!」 と、一気に朝倉の自己紹介をした。俺たちの中で一番長かったんじゃないか?まあ、俺と長門はされたことすらないような気もするが。ともあれこんな感じで朝倉も放課後の部室に姿を現わすようになり、デュエルができることが分かると、 「すごいじゃない涼子!パーミッションなんてデッキ今まで見たことなかったわ、あたしと勝負よ!勝負!」 と当然のようにデュエルを始め、俺は朝比奈さんや長門、古泉と交替で勝負したり、ウィキでカードの裁定を調べたり(ライラのカード破壊効果、対象は相手の伏せてある天罰。ライラの効果にチェーンして天罰を使用して、天罰に魔宮の賄賂をチェーンしたとき、逆順処理後ライラは守備になるか)と、だんだん日常化しつつある放課後を過ごし、金曜の放課後をむかえると 「明日は全員で駅前に集合ね!遅れたら罰金よ!」 いつもの団長の命令で解散となった。 そして不思議探索の日、俺は罰金を免れた。前代未聞のことだが、理由は朝倉と長門が二人そろって遅れてきたためだ。どうやら朝倉が長門の服を選ぶのに時間をとられたらしい。 「長門さん、せっかくのお出かけなのに制服で行こうとするから、私の服と長門さんの服をいろいろ合わせてたの、そしたら・・・」 とのことである。珍しいこともあるものだ。まあ長門の私服姿は新鮮だったし、何より俺がおごりを免れたので万々歳だ。そして午前中のクジ分けだが・・・ 「あたしは無印」 「僕は印入りですね」 「無印」 「印入りです」 となって俺の手には無印の爪楊枝があり、朝倉の手には印入りの爪楊枝があった。つまり俺・ハルヒ・長門と、朝比奈さん・古泉・朝倉となったわけだ。各々の会計を済ませ(割り勘ってのはいいね)分かれて歩き出すと、 「ねえ、今日はキョンの家行ってみない?」 とかハルヒが言い出した。こいつの発言が突発的なのはいつものことだが、なんでまた俺の家なんだ。 「なんか冬以来妹ちゃんに会ってなかったし、シャミセンも見てみたくなったから」 なんとも適当な理由だな。確か今日は両親とも妹の学級懇談会かなんかで午前中不在だったし、妹も一人での留守番を寂しがってた気もする。まあこの二人を連れてけば妹も喜ぶだろうし、あちこち連れまわされるよりはマシだが・・・ 「長門、お前はどうしたい?」 一応、見慣れない私服姿の宇宙人娘の意見も聞かなくてはならな・・ 「賛成、私も彼の自宅を訪問する。」 「決まりね」 というわけで先ほど出たばかりの俺の家へ舞い戻り、 「キョンの部屋がいいわ」 「賛成」 「わたしも~」 賛成3棄権1により俺の部屋へと入り、長門とハルヒがデュエルを始め(というかデッキ持ってきてたのか)、興味をもった妹が友達にもらったというカードを自分の部屋から持ってきて、3人で新しいデッキを構築。ルールを覚えつつの模擬戦ってことで今俺と妹+ハルヒがデュエルしていて・・・冒頭に戻るわけだ。 「裏守をリリースして邪帝召喚、効果でサブマリンロイドを除外、ダイレクトアタックで俺の勝ちだ妹よ。」 「うーキョン君つよーい。ハルにゃんくやしいよ。」 「そうよキョン、すこしは手加減しなさい!邪帝なんて壊れカード使っちゃダメよ」 ガイザレス使ってるお前に言われる筋合いはないぞ。ハルヒの教え方がいいのか、妹はルールの飲み込みが速い。カード名はまだ全然覚えてないようだが。 「一度あなたとあなたの妹だけで闘うべき」 いつのまにか後ろにいた長門が言った。そうだな、試しに一回ハルヒ抜きでやってみないか? 「そうね。一回やってみましょ。妹ちゃん、ちょっとこっちに来て、作戦会議よ!」 なにやら部屋の隅でごそごそやり始めたハルヒと妹を一瞥して、俺のベッドの上に腰掛けて珍しそうにマンガを読んでる長門を見た。 「面白いか?」 「・・・ユニーク。ただ、ラーの翼神竜は裁きの龍の完全下位に思える。」 まあそりゃそうだな。読みたきゃ借りていってもいいぞ? 「そう。」 ハルヒ達の方は終わったらしい、よし、いくぞ妹よ。 「うん。えへへ今度こそ負けないよキョンくん。」 「キョン、先攻は妹ちゃんにあげなさいよ」 ああわかってる。おれだってそのくらいのハンデはやるさ。 「じゃあわたしからね、どろー。モンスターカードを一枚セットして、カードを3枚伏せて、終わりだよ。」 3伏せとは気になるな・・・。まあいい、ドロー、俺はハーピイ・クイーンを召喚し・・ 「えーっとキョンくん、キョンくんがモンスターを召喚したときにね、この伏せたカードを発動したいの」 ・ ・・奈落の落とし穴、か。さらば俺のハーピイ。カードを一枚伏せてターンエンドだ。 「キョンくんの番がおわったときに、サイクロンを使って伏せたカードなくしちゃうね。やったーキョンくんのとこにカードなんにもなくなった!」 げ・・・。エンドサイクなんてできたのか妹よ。しかも神宣とかおいしいのを破壊するとは・・ 「いいわよ妹ちゃん!」 ハルヒが後ろでエールを送っている。くそ、忌々しいがいかんともしがたい。 「わたしの番だね、どろー。もぐらをだして、キョンくんにこーげき!カードを一枚伏せて終わりだよ。」 もぐらといってもグランモールではない。ドリルロイドである。よって俺のライフは残り6400というわけだ。俺のターン、ドロー。霊滅術師カイクウを召喚、ドリルロイドに攻撃だ。んでカードを2枚伏せてターンエンドだ。 「どろー、潜水艦をだして・・・」 おっとそうはいかん、召喚したときに激流葬を発動だ。フィールド上のモンスターを全部破壊するぜ。 「えーーつ、キョンくんずるーい。」 「キョン少しは遠慮しなさいよ。」 そうはいわれてもな、それに除外されないだけマシだと思うぞ。妹よ、ターンエンドか? 「あ、うん。」 俺のターン、ミストバレーの戦士を召喚、プレイヤーにダイレクトアタックだ。そしてカードを一枚伏せてターンエンドだ。 「うわーライフが6100になっちゃった。ハルにゃんー、大丈夫かな?」 「平気よ平気、ライフが0にならなきゃ全然問題ないわ。」 全然問題なくも無いがな、ハルヒ。800きるかきらないかってのはけっこう微妙なラインだぞ。洗脳的な意味で。 「えと、わたしの番だね、どろー。裏側でモンスターを出して、カードをもう一枚伏せておわりだよ。」 裏守か・・・。おそらくトラックロイドか何かだろうが伏せも気になるしここは普通に攻撃といこう。ミストバレーの戦士で裏守に攻撃だ。 「ひっくりかえって召喚。ひっくりかえったからメタモ・・メタモルポッドの効果をつかうね。キョンくん手札捨てて5枚引いてー。」 なんてこった。今までのデュエルであんなカードは出てきてないぜ。さてはハルヒの差し金か。仕方ない、カードを5枚ドローだ。そしてメイン2、霊滅術師カイクウを召喚。8シンクロでダークエンドドラゴンを特殊召喚。一枚伏せてターンエンドだ。 「わたしのターン。カードをひいて、伏せてあったカードを使うね。チェーン・マテリアル!手札・デッキ・墓地からトラックと新幹線ともぐらさんと戦闘機をフィールドの外に置いて、手札から線路が3本伸びてるカードを発・・・」 そうはいかん。ビークロイド・コネクション・ゾーンにチェーンして神の宣告だ。 「えーっと、キョンくんの神の宣告にね、わたしもカードを使うの、神の宣告!」 ふっ・・・それも読んでたぜ。さらにチェーンしてもう1枚神の宣告を発動だ。悪いな妹よ。そう簡単にやられはしないぜ。 「キョンくんのカードに・・チェーンして・・・魔宮の・・・・ハルにゃん、これなんて読むんだっけ??」 「わいろよ妹ちゃん!」 「そうだった。魔宮の賄賂を発動するね。」 ちょっと待て、なんで魔宮の賄賂なんていう高額カードが妹のデッキに入ってるんだ?うちにそんなカードはないぞ。というかあったら俺がデッキに入れてる。ふと視線をずらすとハルヒがニヤニヤしながらこっちを見てる。なるほど、これもハルヒの差し金か・・。 「甘いわよキョン!あたしたちがさっきの作戦会議でなんにもしてないと思ったの??」 一杯くわされたな。まあ仕方ない。逆順処理でビークロイド・コネクション・ゾーンは有効。ライフは妹が1525、俺は1600.んで、何を召喚するんだ? 「ロボット!」 スーパービークロイド・ステルスユニオンね、了解だ。だがチェーンマテリアルを使ったターンは攻撃できない。俺のターンだ、ドロー! 破壊耐性はあっても墓地へおくる効果への耐性はないぜ!ダークエンドの効果を使い・・ 「読んでたよ!てへっ! 天罰をはつどう!」 なんだって、なんか朝倉の時以上にカウンターばっかりされてるな・・・。裏側守備でモンスターをセット、ターンエンドだ。裏守なら吸収はされない、なんとか次のターンまで・・・ 「わたしのターン、ドロー。もぐら・・じゃなくてドリルロイドをしょうかん!ドリルロイドでキョンくんの裏側モンスターを攻撃!そしてステルスユニオンでキョンくんにダイレクトアタック! やったーキョンくんに初めて勝った!ハルにゃんやったよー」 「すごいわ妹ちゃん、えらいえらい。」 ハルヒと妹は手を取りあって小躍りしてる。負けた・・・なんだか普通に負けた。あんなにカウンターされるとは思ってもいなかった。正直いおう、ショックだ。 「勝負は時の運」 長門が呟くように言った。そうだな、まあこういうこともあるよな。 「そう。この漫画を借りたい。」 ん?○戯王か? 構わんが今日はこれから午後もあるのにもって歩くのは邪魔じゃないか? 「大丈夫。情報操作は得意。私の家まで転送する。」 そうか。まあそれならいいんだが。長門、最近情報操作能力の使いどころがおかしくないか? 「気のせい」 気のせいではないと思うんだが・・・まあいいか。 「おっと、もうこんな時間ね。キョン、有希、午前の部は終わりだからそろそろ出かけるわよ!」 妹とはしゃいでいたハルヒが時間に気づいていいだした。今度は俺もデッキを持っていけとのことらしい。午後もどっかでデュエルするのか? 「お邪魔しましたー。妹ちゃん、またね!」 「うん、ハルにゃん、有希ちゃん、楽しかったよ~。」 妹と別れて家をでた俺たちは(結局デュエルするためだけに俺の家に来たんだな)再集合場所の駅前へ向かった。なんか今日は一日が長いぞ。まだ半分も終わってないとか信じられん。だが・・・久々に妹があんなに喜んでいるのを見たような気がする。これもハルヒのおかげか。ありがとうな、ハルヒ。 「な、何よ急に・・・」 「なんか妹が喜んでたからさ、その礼さ。」 「ふ、ふん。あんたが普段かまってあげないからでしょ! でも・・・・・・・・・どういたしまして。」 最後の方は消え入るような声で言ったハルヒはプイと前を向いてしまった。やれやれ、午後のクジ分けはどうなるかな、少し楽しみだ。 ハルヒ+長門+妹という奇妙な組み合わせで午前中を過ごした俺達は(といってもただ決闘していただけだが……)駅前で再集合してファーストフード店で昼食をとったあと、午後の部のクジ分けをした。 「いつも爪楊枝じゃ面白くないわ!たまには変わったクジ分けをしましょ!」 というハルヒの鶴の一声によりハルヒのデッキの中から罠とモンスターを各三枚ずつ選んでテーブルの中央に置き、それぞれ引くことになった。爪楊枝と根本的には何も変わらないような気がするのは気のせいだ、多分。 「俺は剣闘獣の戦車」 「あたしはダリウスね」 「僕は剣闘獣ムルミロです」 「………次元幽閉」 「えと…魔宮の賄賂です」 「私は剣闘獣ベストロウリィね」 という結果になり(見れば見るほど剣闘獣だ。やれやれ)午後は俺・長門・朝比奈さん、ハルヒ・朝倉・古泉になった。あれ、また長門が一緒か……まあこういう日もあるだろう。 「今日中に最低1つは○ナミの不思議裁定を見つけるわよ!各自分かれて探索開始っ!」 そう宣言するや否やハルヒは朝倉の手をとってあっという間に行ってしまった。そのあとを古泉が小走りで追いかけている、ごくろうなこった。というか不思議裁定を見つけるならわざわざ街をぶらつく必要もない気もするが、ここは敢えてツッコまないでおこう、ハルヒのことだ、代わりに何を言いだすかわからん。それに今の状況は両手に花、しかも未来がらみも宇宙がらみもないときてる。この状況に文句を言ったらバチがあたるぜ。 「あのぅ………キョン君?」 俺がよからぬ妄想に入りかけたとき、朝比奈さんが声をかけてきた。なんでしょう? 「えーと、今日このあと行きたいところとか、予定とかありますかぁ?」 いえ、とくにはないですが……長門はどうだ?図書館とか行きたいか? 「今日はそれほど行きたいわけでもない。」 長門にしては曖昧な表現だ。まあ何か予定があれば合わせると考えて問題ないだろう。 「二人とも何もないのなら……鶴屋さんの家に行きませんか?」 鶴屋さんの家に行くのはバレンタイン以来か。あのときは全く大変だったな。今回は「みちる」さんも連れていく必要もなさそうだしあちこち歩き回るよりはゆっくりできそうだ。長門、どうだ? 「構わない」 ということで朝比奈さん、俺も長門も賛成です。 「よかったぁ…。じゃあ、案内しますね!」 朝比奈さんは可愛らしくうなずくと前にでて駆けていった。俺も何回か付近まで行ってるから道は知ってるんだがな。まあそこをつっこむのは野暮ってものさ。 「やあやあみくるにキョン君に有希っ子、よく来たねっ!さあさあ中へ入った入った!」 鶴屋さんの家である和風の邸宅(相変わらず広いな)の入り口につくと、朝比奈さんが連絡したらしく、ハイテンションの鶴屋さんが迎えてくれた。どうやら今日の午後は朝比奈さんと鶴屋さんは遊ぶ約束をしていたらしく、もし不思議探索があったとしてもそのメンバーも連れてくることになってたらしい。ハルヒとペアが一緒になってたらどうしたんだろうな、いやでも鶴屋さんの誘いならハルヒも応じたかもしれん。 「さぁさぁみんなこっちにょろ」 鶴屋さんが案内した先は1つの部屋だった。この屋敷は和風で統一されているのだが、この部屋は最近作ったらしく半洋風半和風といった感じだ。 「今日はここで思いっきり遊ぶっさ!」 鶴屋さんがその部屋の戸を開くと、 「うわぁ………」 「すげぇ……」 「……………驚愕」 そこには○ナミのカードゲームセンターを彷彿させるような光景が広がっていた。壁にはガラスケースに飾られた大量のカード(なんとサモプリもプリズマーもある)、部屋の中央には長テーブルと椅子、テーブルの上には印刷されたデュエルフィールド、さらにライフカウンターまでおいてある。やっぱ鶴屋さんって金持ちだったんだな……。というか親御さんはなんていってるんですか? 「なんか元々うちは○ナミの大株主だったらしくてさっ、わたしが興味もったっていったらいい機会だからって会社の人が作ってくれたんだよっ。今度ここで公認大会もやるらしいっさ!まぁカードゲームセンター鶴屋店ってとこだねっ!」 鶴屋さんはアハハと快活に笑った。ん?鶴屋さんは確か「興味をもった」っていってたな。ということは興味をもつきっかけがあったはずだ。鶴屋さんと仲のいい友達といえば……… 「鶴屋さん、こないだ遊んだときに家でデュエルやったらすごく面白がって、それからたまに一緒にやるようになったんですよ」 俺が答えに辿り着くよりも先に、朝比奈さんが答えてくれた。ううむ……たったそれだけでこんな部屋まで作ってしまうとは、ハルヒといい長門といいデュエルには何か人をひきつける魅力があるのだろうか?まぁ俺も今となっちゃ面白いが、初体験でここまでいれこんだかどうかは正直わからんな。 「キョン君、私と一緒にやらないかい?」 デッキを片手に(緑色のスリーブだ)鶴屋さんは言った。つまりデュエルやらないかい?ってことだろう。いいですよ、じゃあその奥のテーブルで…………ってちょっと待て、いつのまにか俺と鶴屋さんの間に人が割り込んでいた。ライトロード使いの宇宙人である。 「午後は私が」 とデッキ(スリーブは白だった)を片手に瞬間移動としか思えないスピードで俺と鶴屋さんの間に移動した長門は言った。あー、なんだつまり午前中はデュエルしなかったから午後はやりたいと、そういうわけか? 「そう」 といいつつ長門は首だけをこちらにむけた。 「わはは、面白いね有希っ子は!わたしはどっちでもいいにょろ?」 鶴屋さんは快活に笑って俺の判断を待っている。うーむどうしたものか。 「だめ?」 長門が数ミリ首をかしげた。その仕草は反則だぜ。分かった、先に鶴屋さんとやっててくれ。後で代われよ? 「わかった」 長門はわずかにうなずくと鶴屋さんとテーブルに向かいあって座ってデッキをきりはじめた。 「よしっ!有希っ子!じゃんけんっさ!」 ジャンケンの結果、長門が先攻になった。鶴屋さんのデッキがわかる前にデュエルが終わらなければいいのだが……。ちなみに俺も朝比奈さんもデュエルはやらずに長門VS鶴屋さんを見ている、まあSOS団の面々同士は毎日のようにやってるしな。 「私の先攻、ドロー。スタンバイフェイズ終了、メインフェイズに移行する。手札よりソーラーエクスチェンジを発動、ライトロード・ビースト ウォルフをコストにする。デッキから二枚カードをドロー、二枚墓地へ送る。」 ちなみに墓地へ落ちたのはライコウと奈落の落とし穴だ。まあ普通の落ちかただろう。 「よしっ!有希っ子!じゃんけんっさ!」 ジャンケンの結果、長門が先攻になった。鶴屋さんのデッキがわかる前にデュエルが終わらなければいいのだが……。ちなみに俺も朝比奈さんもデュエルはやらずに長門VS鶴屋さんを見ている、まあSOS団の面々同士は毎日のようにやってるしな。 「私の先攻、ドロー。スタンバイフェイズ終了、メインフェイズに移行する。手札よりソーラーエクスチェンジを発動、ライトロード・ビースト ウォルフをコストにする。デッキから二枚カードをドロー、二枚墓地へ送る。」 ちなみに墓地へ落ちたのはライコウと奈落の落とし穴だ。まあ普通の落ちかただろう。 「ライトロード・パラディン ジェインを通常召喚。ターンエンド。エンドフェイズ、ライトロード・パラディン ジェインの誘発効果 デッキからカードを二枚墓地へ送る。」 うげ…、ライロぶんまわりだな全く。というか長門、そんなにモンスター名を正確に言わなくても大丈夫だぞ、大会じゃないんだしな。いや大会でもライロのモンスター名を毎回一字一句違わずに読むやつなんてそうそういない気がする。 「そう」 長門は僅かに首肯した。 「有希っ子らしいといえばらしいんだけどねっ!私のターンっさ!ドロー。サイバードラゴンを特殊召喚。ライオウを通常召喚。サイドラでジェインに攻撃にょろ。」 「ダメージステップ、ダメージ計算時」 あーオネストか。あそこまでポーカーフェイスでいられるとなんかすごいプレッシャーだな。 「でも鶴屋さんにはあんまり効果がないような気がします」 と朝比奈さん。まぁたしかにあの年中ハイテンションの鶴屋さんにはプレッシャーを感じることなどなさそうだ。 「とくになし。ジェインは破壊。」 ……ってブラフだったのか!長門が心理作戦を使うとは驚きだ。いったい誰から習ったんだ? 「朝倉涼子に聞いた」 納得。あいつは毎回重要どころでオネストを使ってきやがる。おかげでアルテミス攻撃表示でも迂闊に攻撃できやしない。やれやれ。 「ライオウで攻撃にょろ」 「攻撃をうける」 「カードを三枚伏せてターンエンドっさ!」 鶴屋さんのデッキはまだよくわからない。場にでてるカードだけだと朝倉のパーミッションとあんまり変わらんな。 「私のターン、ドロー。スタンバイ、メイン。手札よりおろかな埋葬を発動。ウォルフを墓地に送って誘発効果発動、特殊召喚する」 「特殊召喚にチェーン!奈落の落とし穴にょろ」 「ウォルフは除外。ルミナスを通常召喚、優先権行使、手札からガロスを捨てて墓地のウォルフを特殊召喚する。」 「スルーするっさ!」 「バトルフェイズ、ウォルフでライオウに攻撃する。」 「ターンエンド。ルミナスの誘発効果発動。デッキから三枚墓地へ送る。」 うーむ、奈落にライオウにサイドラか…。鶴屋さんのデッキはメタビートか?いかんせん汎用性が高すぎるカードばかりで全然分からん。朝比奈さんは鶴屋さんとやったことあるんですよね? 「はい何回もやりましたし、実はあのデッキもわたしがアドバイスして組んだんですよ?」 なんだってー、そういや朝比奈さんはSOS団の中で唯一の古参だったんだっけ。ん?なら朝比奈さんなら鶴屋さんのデッキを知ってるはずだ。 「朝比奈さ……」 「禁則事項です☆デュエルの勝敗が出てからの方が面白いですよ。」 うっ…朝比奈さんに考えを読まれるとは………普段はドジっ娘メイドでも、時々朝比奈さん(大)の片鱗が伺えるぜ。俺としてはいつまでも可愛らしくいてほしいのだが………いやそれはそれで将来が不安か。というか将来は既定事項か。あーもうわけがわからん。 「私のターンっ、ドロー!エアーマンを召喚っ!誘発効果でデッキからアナザーネオスをサーチっさ。バトルフェイズ!エアーマンでルミナスに攻撃っさ!」 「破壊される」 「カードを二枚伏せてターンエンドにょろ」 俺と朝比奈さんが話している間にもデュエルは進んでいた。そういやハルヒ達はどこいったんだろうな?午前はただ俺の家に来て妹と遊びつつデュエルしただけで終わったんだが、午後も似たり寄ったりか?それとも○ーガやアメ○リとかのカード屋を巡ったりとか、まあそんなとこだろう。黙ってれば普通に可愛いハルヒと谷口的美的ランクAA+の朝倉、悔しいが顔はいい古泉が店内に入ってきたら客はどんな反応をするのかね。 「私のターン、スタンバイ、メイン。ウォルフをリリースしてケルビムをアドヴァンス召喚。誘発効果、コストで墓地に4枚送る。対象はサイバードラゴンと伏せカード1枚。チェーンは?」 「あるにょろーん。効果にチェーンしてスキルドレインを発動。コストでライフを1000払うっさ!」 「バトルフェイズ、エアーマンに攻撃する」 「受けるよー」 「カードを1枚セットしてターンエンド」 「私のターンっ!手札から神獣王バルバロスを通常召喚さっ!バトルフェイズっ、ケルビムに攻撃っ」 ……鶴屋さんのデッキはスキドレバロスだったらしい。やれやれなんつう高額デッキだ。 「攻撃宣言時、罠カード光の召集を発動する。」 「あちゃ~これはやばそうにょろ」 スキドレ発動下でも何故か発動できるオネスト。長門や朝倉には悪いがやっぱやっかいだと思うのは俺だけだろうか。OCG化でこんなにも強力になったカードも他にはないだろうな。というかなんでいつも闇と光が優遇されるんだ!風属性のオネストを出せ、風属性を。 「オネストを手札より捨てて効果発動。ケルビムの攻撃力を3000上昇させる。バルバロスは破壊。」 「やられたにょろ~。ターンエンド!」 デッキ的には鶴屋さんのもオネストがいてもおかしくないんだが、どうやらいなかったようだ。 「…私のターン、ドロー。裁きの龍を特殊召喚。ジェインを通常召喚。バトルフェイズ、裁きでサイバードラゴンに攻撃。」 「攻撃宣言時に次元幽閉を発動っ!」 「裁きの龍は除外。ケルビムでサイバードラゴンに攻撃。」 「破壊にょろ。ジェインの攻撃も受けるっさ。」 「ターンエンド」 うーむ。鶴屋さんの状況はかなり厳しいな…。手札にはエアーマンでサーチしたアナザーネオスがあることはわかってるんだが、長門の場にはケルビムとジェインがいる。幽閉か聖バリ、ライボルをひけばなんとかなるってとこだろう。 「私のターン!ドロー!アナザーネオスを召喚っ!ジェインに攻撃!」 「ジェインは破壊。」 「カードを一枚伏せてターンエンドっ」 お、鶴屋さんカウンター罠をひいたのか? 「ブラフかもしれないですけどね…。一応アナザーネオスは光属性だし…オネストも警戒させられますね」 え?朝比奈さん、やっぱあのデッキにオネスト入ってるんですか? 「え?えーっと………禁則事項です☆」 ………多分入ってるんだろう。やれやれ。長門は攻撃してくるかな? 私のターン、ドロー。スタンバイ、メイン。バトルフェイズ…………………………………」 あれ、珍しく長門が長考している。一枚の伏せとアナザーネオスが光属性であることが攻撃を躊躇わせているのだろうか。まあ確かにこの攻撃の後ケルビムが除去されれば、スキルドレイン発動下ではかなり危険だ。バルバロスか死者蘇生で次のターン負けることもあり得るしな。 「……………ケルビムでアナザーネオスに攻撃する。宣言時何か?」 「ないよっ!」 「ダメージステップのダメージ計算時、優先権を放棄」 「こっちからはなんにもなしっさ!」 「アナザーネオスを撃破。ターンエンド。」 「鶴屋さんなんにもなかったみたいですね……」 朝比奈さんが俺の隣で呟いた。うーむこれはいったいどうなんだろうな。 「私のターン、ドローっ!私の負けにょろ。サレンダーっさ!」 「………了承する。」 サレンダーと共に鶴屋さんが手札と伏せを公開した。伏せはサイクロン。今ひいた手札は魔宮の賄賂、持っていたのはスキルドレインのようだ。やれやれ、伏せも全部ブラフだったってことか。 「なかなか楽しかったっさ!真剣勝負は面白いにょろ。」 鶴屋さんは負けたというのに相変わらずのハイテンションだ。鶴屋さんにとっては勝敗よりもデュエルすること自体が楽しいんだろうな。 「じゃあキョンくん。お待たせっさ!私と決闘!」 そういえば最初は俺とやるはずだったな。すっかり忘れてたぜ。 「………先にやらせてくれたことを感謝する」 席を変わろうとしたとき、長門が小さく言った。そんな大したことじゃないぜ。 「…………そう」 長門は僅かに頷くとカードが展示されているガラスケースの方へ向かった。 「こっちはいつでもいいよっ!」 見ると、鶴屋さんがデッキをディールして待っていた。よし、じゃあやりましょうか。じゃんけん、ほい。俺の先攻、ドロー! ………その後もしばらく鶴屋さんの家で遊んでいると、ハルヒの再集合の電話がかかってきたので(なんか機嫌が良さそうだった、なんでだろうな)俺と長門と朝比奈さんはいつもの駅前に向かった。ちなみに鶴屋さんとの決闘は俺の3勝2敗だった。ダルシムとデスカリが結構効いた。2敗のときはバルバロスとスキルドレインでこてんぱんにやられたけどな。 傾きかけた夕日に彩られた駅前にはハルヒと朝倉と古泉が既に待っていた。古泉があまり疲れた表情をしてないところを見るとそんなにあちこち振り回されたわけでもなさそうだな。よう古泉、そっちはどうだったんだ? 「フリー対戦会に参加しましてね。流石は涼宮さん、11勝4敗という素晴らしい成績でしたよ」 まあ剣闘獣だからそう簡単には負けんだろうな。ちなみに4敗のうち1つは朝倉らしい。パーミッション恐るべしだぜ。当のハルヒは朝倉や朝比奈さん、長門と談笑していたが、どうやら終わったらしい。 「本日のSOS団の活動はここまで!解散よ!」 腰に手をあてていつもの如く宣言し、俺達はそれぞれの帰路についた。長門は朝倉と、古泉と朝比奈さんは1人で、そして俺は……………ハルヒと二人でだ。たまたま駅前からの帰り道が一緒というだけなのだが、不思議探索の後ハルヒが上機嫌の時はいつもこうして帰っている。不機嫌の時はどうかって?触らぬ神に祟りなし、というか勝手にハルヒが帰ってしまうから必然的に別行動になる。ともあれ今日はフリー対戦会でボロ勝ちしたせいかえらく上機嫌だ。 「今日の大会楽しかったわよ」 ハルヒが言った。古泉から聞いたぜ、ボロ勝ちだったらしいな。 「あたしの剣闘獣がそう簡単に負ける分けないじゃない!……涼子には負けたけど」 らしいな。ちなみに朝倉や古泉の戦績はどうだったんだ? 「涼子は7勝5敗だったわ。『大寒波それ無理。』とか言ってたわね。古泉くんはボロボロだったけど、3勝はしてたわ。しかも商品で王宮の弾圧あてたのよ!すごいわよねー」 ハルヒは嬉々として言った。随分面白そうだったんだな。今度は俺も参加してみたいものだ。 「あったりまえじゃない!6人全員で参加してSOS団の名を天下に轟かすのよ!」 そんなこんなでハルヒと俺は帰り道を話ながら帰っていった。鶴屋さんが決闘できること、デッキはスキドレバロスであること、古泉だけなんであんなにデッキ構築が滅茶苦茶なのか、とかな。 ……ちなみに新パックはSOS団で箱買いが決定した。ダークダイブボンバーが当たることを期待するぜ。 END
https://w.atwiki.jp/niconicomugen/pages/301.html
「ただの人間には興味ありません。 この中に宇宙人・未来人・異世界人・超能力者がいたら あたしのところへ来なさい。 以上!」 【巨大ハルヒ】 谷川流のライトノベル『涼宮ハルヒシリーズ』のヒロイン。「すずみや-」。 容姿端麗、才色兼備、頭脳明晰、文武両道と、見た目や能力だけなら欠点の付けようがない女子高生だが、 その人格は唯我独尊、傍若無人でとてつもなく破天荒。 普通と退屈を極度に嫌い、とにかく既存の枠組みに縛られない行動を起こす。 そんな突拍子もない性格だが、実は非常に理知的であり、理解した上で敢えて理不尽な振る舞いをしている。 こういう非常にハタ迷惑な内面のおかげで、周囲からは近寄りがたい存在と思われ孤立していた。 ちなみに冒頭の「 宇宙人 ・ 未来人 ・異世界人・ 超能力者 が~」は高校入学初日の自己紹介での台詞。 実際、ハルヒのお眼鏡に適う相手以外はまったく相手にしようとしないが、 興味を抱いたり、馬が合う相手は大事にするという面倒見の良い面もある。 また、見ず知らずの他人に同情して代役になる事を提案した事もある。 時と場合によってはちゃんと礼儀正しい態度を取る事もあり、常識と非常識を併せ持つキャラと言える。 つまらない世界を変えるために高校でサークル「SOS団(世界を大いに盛り上げる涼宮ハルヒの団)」を立ち上げて団長に君臨し、 ヒロインであるにも拘らず主人公(キョン)達を振り回すトラブルメーカー的存在。 彼女の起こした問題を他のSOS団メンバー達が解決するのが常となっている。 初期の頃は朝比奈みくるを利用して、 ヤクザ顔負けの自作自演の罠で恐喝する事でSOS団に欲しいものを強奪する(パソコン部の最新のパソコンをタダで強奪した)など、 ギャグにしてもクスリとも笑えない事もしていたが、後の作品では上記のように破天荒ではあるものの、 最低限の礼節とTPOはある程度弁えられるキャラになっていった。 破天荒な行動の原因は昔の思い出にあり、その時感じた不満が作中では「憂鬱」と表現されている。 性格の変化はこの時感じた不満が解消され始めてきているため。 + その正体、といっても彼女自身は知らない事 その正体は「涼宮ハルヒの憂鬱」世界の神(かそれに近い存在)。 原作ではまだ正しい正体は明らかになってはいないのだが、世界は彼女が三年前に創造したという見解があり、有力な説の一つ。 本来は一巻完結で続編予定の無かった作品なので、当初はこれが真実だったのだと思われる。 + だって一巻は…… 『涼宮ハルヒの憂鬱』というタイトルから分かるように、 思春期の女の子(ハルヒ)の憂鬱(葛藤ややり切れない気持ち)を描いた作品だったのである。 特別な事を諦めてしまってそれでもそれなりに楽しくやっている少年(キョン)が、 特別な事を本当は諦めているのにそれを追い求めずにはいられない少女を、 その突飛な行動に振り回されながらどこかその気持ちに共感しつつ、 周りに呆れられる事も厭わずに大胆に行動する様子を羨ましく思いつつ見つめるという筋書きに、 その実、何か特別な存在になりたいと願っていた少女はこの世の神だったというとんでもない真実が明かされ、 その精神世界を垣間見る事で彼女の苦しみを知り、特別な事など何もない世界を崩壊させようとするハルヒに、 キョンが元の世界(特別でない日常)も面白いんだと教えてやる事で結末を迎えるのである。 自分が作った団体に無意識の内にSOS(救援信号)の名前を付けるなど作品のテーマを表す仕掛けも多く見られる。 特別とは大勢の中のたった一人に与えれられるものではなく、個人一人一人に存在しているものだというメッセージが伝わる名作である。 現在は続編が語られる事でSFの要素が強くなっているが、仄かに垣間見られる恋心も合わせ優れた作品に仕上がっていると言えるだろう。 ……が、現在は様々な説が作中で提起されている。 自分が心の底から望んだ事をあらゆる法則をねじ曲げ実現する世界改変の能力を持つ。 だが実際の所この能力の正体は不明であり、「ハルヒが望んだ事が実現する」のではなく「ハルヒは望んだ事を無意識の内に叶えている」が正しい。 上記の説が正しいとするならば世界はハルヒの見ている夢のようなものという事になるので、その夢を自覚されると世界が崩壊しかねない。 現実を改変するというより「現実」はハルヒが作るものなのである。 この説を(当初は)裏付けるように彼女には世界を破壊し創造する能力がある。 ハルヒが世界を失敗作だと思えば神人と呼ばれる青い巨人が現れて世界を破壊し尽くしてしまう。 この巨人はハルヒの精神状態を反映したもので主にイライラが具現化したものだとされる。 様々な法則の範囲内でしか行えない長門有希の情報操作能力と違い、 法則・ルール自体を書き換えてしまうという正に反則的な能力と言える。 ただし、たまたまそういう能力を持っているだけであって、ハルヒ自身の身体能力等は常人よりは優れている程度である。 宇宙人・未来人・超能力者が彼女の側にいるのは、彼女がそう望んだため。 そんな状況下にあっても世界がおおむね現実的で平穏なのは、 彼女の芯である理知的で常識人の部分が「世の中に非現実なものはない」と理解している(思い込んでいる)ためである。 もっとも、彼女自身はこの事を知らず、もちろん全くコントロールできない。 そのため、また、それでなくとも普段の言動にインパクトがあり十分に個性的という事もあり、 二次創作などにおいては、「ハルヒ自身の能力」と認識されていない事も多い。 また、本人が自覚していない事に加えて、SOS団メンバー達はそれを自覚させないように秘密裏に行動している事もあって、 作中では異変が起こっても解決の場から遠ざけられてしまう事が多く、ハルヒだけが蚊帳の外状態になる事がとても多い。 中心人物なのだが、ハルヒだけが平穏で周囲は大騒動という正に台風みたいな扱いをされている。 おかげで事件解決の直接的な功労者である長門に人気を食われていたりするが、それでもヒロイン(笑)扱いされる事が無いのは流石と言える。 むしろラスボス兼主人公と認識されている節さえある。 知らず知らずの内に世界を改変してしまったりするため、どこまでがハルヒの能力なのかという事でしばしば議論が起こったりする。 異変が無い日常的な回でも出番が全く無かった事もあったが 後述するMUGENのハルヒ達もその能力を積極的に生かす事は無いようだ。 もっともこの能力、再現しても不利な時に相手をMUGENごと終了できるレベルなので、 ある意味しょうがない、とも言える。神の能力だし。 というか、元々彼女が創造した世界でないMUGEN界でそれが適用されるのかがそもそも疑問である。 が、別作品を含めるとこの手の願望を実現化する能力や現実改変能力を持つ人は結構いたりする (この人とかこの人とか。この界隈だと中堅上位程度のキャラは標準装備)。 人気作のヒロインであるため支持するファンも多いのだが、一方で、上述した賛否両論が分かれる性格(特に初期の)故に、 彼女に難色を示す人も多く、ニコニコニュースが行った悪役以外で嫌いなアニメキャラのアンケートでは二位に輝いている。 ちなみに他のトップ3だが、一位はハルヒと大体同じ理由だがソレに加えて主人公や他のヒロインへの暴力など猟奇性が目立ち、 三位は人の話を聞かずに突っ走る割に好きな人の前ではうじうじし過ぎ等の意見があり、ハルヒと似通った要素とヤバさを持っている。 ハルヒはその独特の作風やキャラ性から高い人気を博し「現実改変能力者の代名詞」のように言われる事もあるが、 実の所こういった「全能の力を有しながら、モラルのセンスの全く欠如した“子供”のような“神”の支配する世界」 というプロットはずっと古くから存在する。 古典SF・ホラー・ファンタジーの世界ではお馴染みの『トワイライト・ゾーン(TWILIGHT ZONE)』では、 「It's a Good Life(邦題:日々是好日)」というエピソードにおいて、 ハルヒ同様の能力を持つが自制心と倫理観の欠如した「アンソニー」という名の少年を描いている。 何でも思い通りにできる能力を持ち、それを好き勝手に行使できる存在がいたとしたら、全宇宙が迷惑するのは至極当たり前の事だろう。 現実の宗教において神が人から崇められているのは神様が人前に姿を現わさないからである事をよく考えるべきである。 ある意味では創作物の主人公を考えるに当たって最も参考になる反面教師であるので、 これからヒーローやヒロインを考え出そうとしている作家の方々は、ハルヒというキャラクターを今一度見直してみてはいかがだろうか。 また、ラノベ界三大ツンデレの一人とも呼ばれ(他二人は『灼眼のシャナ』のシャナ、『ゼロの使い魔』のルイズ)、 ツンデレキャラとして認識されている事が多いが、実際の比率はツン9:デレ1くらい、 しかもデレと言うほどデレていないというツンデレを安売りしないヒロインだったりする。 と言うか、本当にツンデレなのか怪しい所もあるが、この手のカテゴライズによくある事なので深く追求してはいけない。 + 『ハルヒちゃん』版のハルヒについて スピンオフ作品『涼宮ハルヒちゃんの憂鬱』では原作以上に皆(特にキョンとみくる)を振り回しているが、 その様子から原作者である谷川流氏に「ハルヒよりもハルヒっぽい」とまで言われている。 一方で、キョン不在時に長門やみくるが暴走しているときは止め役やツッコミ役に回っており、「根は常識人」という設定も上手く活かされている。 また、ある話においてはキョンはおろか、原作では口答えしない長門、みくる、古泉にまでマジギレされて心を折られた。 キョンに対してはやはりそれなりの想いがあるらしく、キョンがとある理由から古泉に「好きだ」と言った際は倒れてしまった。 その際に「特大」の閉鎖空間ができた模様、しかも長門曰く「かろうじて涼宮ハルヒの理性が勝ったが世界の終わりも十分ありえた」との事。 因みに後々キョンがバニーになった時にはこれ以上の「過去最大」の閉鎖空間ができたらしい。 またこの作品では閉鎖空間ができる頻度がかなり多く、酷い時は一日で三回 (蝋燭の火を不可思議な力で消すのに挑戦して500回失敗、その行動が無駄な事に気付いた、プリンが買えなかった)と機関(主に古泉)を疲労させている。 また神人も個性豊かであり、ヒーロー物の悪役のように喋りだす奴や、 スピンオフ短編「古泉一樹の過去」では神人の撃破にやってきた超能力者を狙う神人というのも登場している。 無意識に現実改変を行う頻度も高く、月に超科学力を持った兎が出現したり、 谷口が鬼や狼男になってしまったり、格闘ゲームが音声入力可能になったりしている。 また、キョンが冗談で「母さん」と呼んだ時、酷く動揺した上に「だったらお前は父さんだ!」と叫んでいるなど、原作よりもデレの割合が強い。 そしてある回では古泉の陰謀でキョンと1日デートする羽目になり、お互いに精神的に深いダメージを受ける事になった。 …その次の回では、キョンと一緒にいた所を「カップルですか?」と言われて「「違います」」と2人して即答する。 もう夫婦の領域じゃないのかとか言わない。 同作アニメ版のOPテーマ「いままでのあらすじ」ではキョンに対してテンプレなツンデレとなったハルヒを見る事が出来る。 + 『長門有希ちゃん』版のハルヒについて ハルヒちゃんのスピンオフ作品『長門有希ちゃんの消失』では第一巻の終盤回想シーンから登場。 文芸部廃部の危機に動揺する長門の前に現れ、初対面の彼女に「サンタへのメッセージ」を描かせる傍若無人ぶりを見せる。 しかし、長門はその貪欲な姿勢に背中を押されており、結果的に文芸部存続の立役者となった。 その後、クリスマス深夜に公園で野宿を敢行。凍死しかけていた所を長門とキョンに救助され、彼らと交流を始める。 以降は他校生にも拘らず「北高文芸部ミステリー部門本部長」を名乗って、文芸部に入り浸っている。 超常現象の存在しない本作ではハルヒも神ならぬ「普通の人間」に過ぎないため、部内での扱いは割とぞんざい。 他校生なので登場しない話も多く、最重要エピソードの『長門有希ちゃんの消失』編でも殆ど登場しなかった。 キョンに対する好意を持っていたようだが片思いに終わり、長門とキョンの恋の成就を苦笑いしながら見守っている。 結果、スピンオフとはいえサブヒロインに先を越された稀有なメインヒロインとなってしまった ただし、ハルヒ自身は原作よりも空気が読める性格になっており、要所で他人への気遣いを見せるイイ女となっている。 また、原作ではあまり絡まなかった朝倉涼子と仲が良く、朝倉が暴走した時はハルヒがツッコミ役に回る珍しい姿が見れる。 ちなみに中国語圏内では「涼宮春日」と書かれる。間違っても「ハルヒ」を「かすが」とは言わない。 また、北京オリンピックのパンフレットに彼女を真似たと思われるあまりにも出来の悪いパチモンが描かれた事があり、 そちらはネット界隈では涼宮哈爾濱、もしくはハルビン等と呼ばれている。 また、第一話で彼女が提示した宇宙人・未来人・異世界人・超能力者の内、 異世界人だけが登場してないため、谷口や鶴屋さんなどの脇役が実は異世界人だったというIFストーリーが書かれたり、 他の作品のキャラクターを異世界人として登場させたり、幻想入りをはじめ自ら異世界へ旅立つ等の方法で、 同人誌やSSやニコニコ動画のMAD等で二次創作が多く作られている。 前期に述べた非現実的なものは信じない設定があまり知られてないのか投げ捨てられているのか、 妖怪や英霊(サーヴァント)を召喚したり、吸血鬼や魔法少女と戦う作品もある。 有名なものでは『ゾイド』の漫画版で知られる上山道郎氏がドラえもんを題材とした漫画『のび太の終わらない夏休み』を描いている。 公式でもDMM GAMESにて配信中のエロソシャゲ『神姫PROJECT』ともコラボ(ただしエロNG)。 2018年のゴールデンウィーク期間中、ニコニコ動画では『涼宮ハルヒの憂鬱』の無料配信があったのだが、 その際、「団長」繋がりかハルヒが何かやらかす度に「何やってんだよ団長!」のコメが飛び交う事態となった。 MUGENにおける涼宮ハルヒ MUGENでの彼女の技も、上記の設定や劇中のネタを生かしたものになっている。 チョイヤー氏と汚レ猫(現・にゃんちゃ)の2種類が確認されており、どちらも手描き改変ドット。 一時期両者共に入手不可能となっていたが、にゃんちゃ氏のものは2018年5月に再公開された。 また、2017年12月26日よりゆ~とはる氏がチョイヤー氏のものの改変版を公開していたのだが、現在は公開を停止している。 + チョイヤー氏製作 チョイヤー氏製作 氏のホームページが閉鎖したため現在入手不可。 また、このハルヒを基にした改変版も存在する(後述)。 立ち絵や通常技などは『MELTY BLOOD』に登場する複数の女性キャラのドットをベースにしている (立ちニュートラルがアルクェイド、ダッシュがシオン、遠立ち強攻撃がシエル、ジャンプ強攻撃が秋葉、しゃがみ弱攻撃がさつき…など)。 AIは程良い強さ。対人用か対AI用の2タイプに設定可能。ストライカーとして長門、みくるの他に、 こなた( 声優繋がり )や他社のラノベキャラ( 絵師繋がり )を呼び出してたり、 桜高軽音部のみんな(京アニ繋がり)と「God knows...」を演奏したり、どこぞの元傭兵みたいな必殺技を披露したりする。 ちなみに元傭兵風の技は更新でブリス技に。つまり部室内で相手に無理やりコスプレさせている事が判明した(要するに原作でみくるにしたアレである)。 どこぞの元傭兵とは違うのだよ! また上記の涼宮ハルビンをバイトとして雇ってもいる。なお、ハルビンの声は『はぴねす!』の神坂春姫(演 榊原ゆい)である。 イントロや勝利ポーズで様々なコスプレを披露してくれるので、視聴者の目を楽しませてくれる。 ブリス技をはじめとした、特殊やられにも対応している。 脱衣KOをオンにしていると下着も脱げてしまう(靴下は残る)ため動画作成の際は必ずオフにしておくように。 また、おもらしKOなんてのもあり黄色い液体も出る。当然、動画作成では必ずオフにしておくように。 また、かつてはsff切り替えで勝利時の変身やミッドナイトブリスを全裸にする事もできたが、2010年7月24日の更新で廃止された。 2011年6月30日の更新で新MUGENの勝利デモに対応、ライブ アライブに専用ゲージがついた。潰されるとそれまで溜めていたゲージを全て消費する仕様に。 2013年1月31日の更新でゆ~とはる氏のマミヤの「さようなら」、同氏の縁寿のメタ返しに対応。新MUGENでの勝利セリフも増えた。 そして、通常投げからの追加入力やショウリュウメガホンからの追加入力で額に肉の人のフェイバリットホールドも習得。 2月24日の更新ではSOSアタックでブリスやられを表示するようになった。 新MUGENでは『haruhi.def』、WinMugenでは『haruhi_win.def』と登録すれば両方のバージョンで使用できる。 間違って新MUGEN用のdefをWinMugenで使うとブリスやられが表示されず、キャラが点滅したり消えてしまう。 3月10日の更新ではジェダ・ドーマのサングェ・パッサーレに対応したが、ぽろりしているため動画に使うのは厳禁なので注意。 ちなみにチョイヤー氏はハルヒより他社のラノベキャラの方が好きらしい。 是非とも製作して頂きたかったがキャラ愛のあまり製作に至れなかったのだとか。 そのあおりを受けてか、更新でフレイムヘイズ召喚の性能が大幅にアッパー調整され、召喚中はハルヒが無敵状態になるように変更された。 以前のバージョンでは召喚してからシャナが登場するまでにかなりのタイムラグがあったため潰されやすい技だったのだが、 現在は先述の通り無敵時間がついたためほぼ潰される事は無く、さらにシャナは相手の位置をサーチして突っ込んでくるため回避は困難。 しかもガード不能でダウン追い打ち属性まで付いている。これを1ゲージ消費で呼べるのだから、フレイムヘイズの面目躍如である。 遠距離戦主体のキャラと戦わせると、ひたすらゲージを溜めてシャナを呼びまくるというどっちがメインのキャラだか分からない事態に陥る事も。 これじゃ「あたしに力を貸して!」じゃなくて「あたしの代わりに戦って!」だよ。 もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな 召喚の際にメロンパンを掲げるのだが、畳やコートと違ってメロンパンの錬金術師と呼ばれる事はなかった。 カラーパレットも豊富で声優ネタやラノベ繋がり、中にはハルヒをパロディしたゲーム(R-18)のキャラクターになり、 デフォルトのカラーも下着の色違いが3種類(白・橙・ミント)入っている拘りよう。 黒or金一色になるカラーもあるが性能面に違いはない。 余談だがアニメ版の『らき☆すた』では飲料水のCMでハルヒがゲスト出演してたり、 アルバイトでこなたがハルヒのモノマネを披露したり自室にみくるのフィギュアが飾られている等ハルヒ絡みのネタが多く、 それを意識してかハルヒ達が『らき☆すた』のキャラクターっぽくなるカラーもある。 長門は声繋がりで岩埼みなみ、みくるは作中で彼女のコスプレをしていたパティ、 ハルヒは黄色いリボンという共通点から柊つかさの配色になる。ちなみに、こなたは髪の色が原作寄りになっている。 T's氏と柊竹梅氏もいくつか製作している。 ストーリー動画にも多く登場ているが、何故かそれ以上におっぱい関連の大会への出場が多い。 上記のけしからん要素のせいであろうか 一応、健全な大会では人間弾幕チームとして春日舞織やキャプテンコマンドーと組んだり、 薫やこなたとCV平野チームを組んだり、SOS団として大将を務める事が多い。 ちなみにタクアン和尚との専用イントロもある。 + 汚レ猫(現・にゃんちゃ)氏製作 汚レ猫(現・にゃんちゃ)氏製作 一時期公開終了していたが、2018年5月に再公開された。 やはり『MELTY BLOOD』の女性キャラのドットをベースにしている。 システムも『MB』に近付けてあり、アークドライブとアナザーアークドライブも実装されているが、ラストアークは未搭載のまま製作終了。 同氏の製作した他のキャラにもストライカーとして搭載されている。 + ゆ~とはる氏製作 ゆ~とはる氏製作 2017年12月26日公開。 チョイヤー氏製作のハルヒを氏の了承で改変したもので、正式名称は「超改変版・涼宮ハルヒ」。 試合開始前に「A」or「B」のどちらかのモードを選択可能で、 「Aモード」がオリジナル版のチョイヤー氏準拠、「Bモード」がゆ~とはる氏独自のアレンジ版となっている。ちなみにデフォルト状態は「Bモード」。 残念ながら、現在は公開を停止している。 超改変版というだけあって、とてつもない量の追加要素がある。 長門、みくる、こなた、シャナ等の各ストライカーにクライマックスアーツが搭載、ライブアライブのアンコール発動(追加入力)、 放課後ティータイムの楽曲追加等のオリジナルからある技のほとんどが何等かの追加・変更がある。 他に、閉鎖空間(ハルヒと佐々木の2種類)の搭載、古泉の超能力、キョンや朝比奈みくる(大)によるアシスト、 宇宙人・未来人・超能力者を次々と呼び出す技「ただの人間には興味ありません」、 条件が揃うと発動可能になる自爆技「涼宮ハルヒの消失」等ハルヒならではの追加要素も充実。 さらに原作小説の最新刊である『涼宮ハルヒの驚愕(後)』までの要素が搭載されており、 ヤスミや佐々木、藤原、周防九曜、橘京子等の対極者達の演出も搭載されている。 システムは電撃文庫 FIGHTING CLIMAX仕様となっており、メタ世界(閉鎖空間)、援軍(古泉召喚)、 北斗七星ゲージ(一撃必殺技)等他ゲームの要素も多い。 特筆すべき点は何と言っても、莫大な数の特殊やられ対応技を搭載している事であろうか。 謎ジャム、王家の裁き、メタ返し他、既存の特殊やられが各種ボタンで次々と表示できる技もある。 簡易的な特殊やられチェッカーにも使えるという氏の宣言通り、大体の特殊やられ対応が手軽に確認できる。 既存の特殊やられの他、バットでホームランされ画面奥に吹っ飛んで星になったり、ライブのアンコール演出で好きな楽曲を演奏する技、 スーパーロボット大戦風の戦闘演出他多数のハルヒ独自の特殊やられ対応も充実している。 イントロ開始時に相手によってSOS団の面々が反応?する「遭遇システム」というものが搭載されており、 これが表示されると特殊なメッセージと共にパワーゲージがほんの少し増える。 その種類はざっと確認しても非常に多く、宇宙人、未来人、超能力者はもちろん、スタンド、気や念使用者、ネスツの改造・クローン人間、 警察、プリキュアやペルソナ使い、はたまた「ジャンプ力ぅ…」等のネタもあり、とても探しきれない程。 AIは「Aモード」のみ対応で改変元の仕様そのままであり、「Bモード」は未搭載となっている。 なお外部AIに関しては「Bモード」のみ受け付けており「Aモード」については不可となっていたが、 後にチョイヤー氏御本人からOKが出たので両モードで可能となった。 特殊やられや演出が豪華になった事でデータ容量も倍以上に重くなっている点に注意。 余談だが、涼宮ハルヒの消失が発生した日と同じ12月18日頃からハルヒの公開日までゆ~とはる氏のサイトがその名の通り消失していた模様。 出場大会 + 一覧 シングル 第4回トーナメント AI付きシングル戦 ドキッ!女だらけのMUGEN大会 クィーンオブファイターズFINAL ( ^ω^)-ニコ動史上最低トーナメントVI- 最強のおっぱい決定戦 エミヤ主催トーナメント 夢幻界統一トーナメント【実況】 ゲージMAXシングルトーナメント【Finalゲジマユ】 早擊勝負!!LIFE只有1的死鬥大會 狭い部屋で人間弾幕!トーナメント ラノベシングルトーナメント オールスターゲージ増々トーナメント 画質良くないけど、夏だから女64名あちゅまれ☆トーナメント MUGEN祭 大盛りシングルトーナメント 版権オリジナルキャラクタートーナメント ミニ☆ミニ☆大作戦 総勢256名☆燃えて萌えるヒロインズトーナメント MUGEN祭 並盛りシングルトーナメント 【MUGEN大祭】特盛りシングルトーナメント タッグ 高校生キャラ大会 自分でもタッグトーナメント組んでみた 同じ中の人タッグトーナメント (多分)初心者が作ってみたトーナメント2 第2回ベストカップル決定戦 仲良し杯 男女ペアタッグバトル大会V2 タッグトーナメントRS Anime&Comic VS. タッグトーナメント ゲージMAXタッグトーナメント【ゲジマユ2】 夏休みだよ!大MUGEN学生杯 ペット大好き!?名トレーナー決定トーナメント 源流斎マキタッグトーナメント アンノーン主催FINALバトルロワイアル 新生男女タッグトーナメント【ロリ】 MUGEN FANTASY タッグトーナメント 沒主題比武小會 オリキャラ&版権キャラでタッグトーナメント タタリフェスティバルッ!! 皆が見たいと思った男女タッグで大会 萌属性別女子二人杯 ラノベっぽい何かでタッグトーナメント 同級生という名のタッグリーグ戦 戦いごとにルールが変わる!!高性能タッグ大会 ゲージ増々タッグトーナメント mugenオールスター?タッグファイト 勇次郎さんとタッグ組むことになってみすずちん、ぴんち! 友情の属性タッグトーナメント MUGEN祭 並盛りタッグトーナメント 友情の属性タッグサバイバル チーム 第2回ニコニコチームトーナメント はい、三人組作ってトーナメント 4人チームトーナメント オロチフルボッコ杯 作品別Ultimateトーナメント MUGENカテゴリトーナメント うp主処女作杯 in MUGEN ネタかリアルか?シッショートーナメント Anime VS. トーナメント 好きなキャラだけでトーナメント トゥエルヴと互角以上 チームバトル ACG主題作品別MUGEN大會 作品別グランプリ 無茶?無謀?第5弾 『成長+大貧民』 24チーム・96人・ランセレ・特殊能力・サバイバルな大会 初心者による試作の為のトーナメント Mametang式、特に変わり映えしないチームバトル 神無の陣 種族別3VS3チームバトル【ポンコツ杯】 陣取り合戦TAG 無縁塚トーナメント ベル主催!栄光のぽっこーん3VS3チームバトル【ポンコツ杯2】 影慶主催愾慄流良調整大武会 新春テーマ別チームバトル2013 新春テーマ別チームバトルF その他 最弱女王決定戦 はい、10人組作って運動会 セルハラ訴訟勝訴争奪男女対抗団体戦 はい、X人組作って運動会 はい、○人組作って運動会 【新機軸】空気読めない奴は汚ねえ花火だぜリーグ【作品別】 秋のおっぱい祭り【貧乳VS豊乳】 大体ランセレ 博麗霊夢争奪戦 全員集合ランセレパーティバトル 霊夢争奪戦第二幕 ストーリー動画対抗ッ!体育祭 戦いごとにルールが変わる!!高性能タッグ大会 仲間がいると死ぬトーナメント コミュニティー争奪祭~番長格付Festival~【番格FES】 ランセレパーティバトル デビルサマナー決定戦 手書きキャラonlyトーナメント 版権VSオリジナル 交代制作品別トーナメント 閣下主催!クロス×フェスティバル ニコニコRPGMUGEN杯 ランダムカラー シングル&タッグ戦 打倒剣帝!無差別級大会 ほこ×たて杯 最強の男たちVS最強の女たち 特大合コン再び!! パラ×ハル杯裏 新生男性軍VS新生女性軍 史上最大級 MUGEN界 男性連合軍VS女性連合軍 【おっぱい】ちょっとエッチな涼宮ハルヒの格闘大会【パンツ】 ニコニコオールスター・タッグトーナメント 更新停止中 究極のMUGENタッグ編 男女ペア頂上対決!バトルシティトーナメント クィーンオブファイターズ2009 適当に共通項男女タッグトーナメント 【最強から】主人公番付バトル【最弱まで】 声優別タッグチームランセレバトルロワイヤル 最大規模!作品別 成長ランセレサバイバルバトル 凍結 陣取り合戦TAG 春なのにモテないからタッグトーナメント開く 削除済み 無差別フォルダトーナメント 平凡な対戦格闘をgdgdとやるトーナメント 仲間を呼び出せハチャメチャタッグトーナメント MUGEN学園部対抗トーナメント 国内 VS 国外 アニメチームバトル Re 超弩級作品別Big Bangトーナメント 出演ストーリー + 一覧 Determination ELEVEN~小心者リーダーと見た目お嬢様~ MUGEN LIFE MUGEN学園カラス部 Revelations SOS団と3人の姫君 家電量販店DIODIO 涼宮ハルヒによるMUGEN地獄 セルハラ訴訟勝訴争奪男女対抗団体戦 中華にゃん 道具屋の異世界日誌 中の国 彼岸日和 プロジェクトB 北方学園生徒会! ロック・ボガードの憂鬱
https://w.atwiki.jp/arasuzisouzou/pages/21.html
12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/04/30(水) 10 16 33.26 ID owgHTflm0 涼宮ハルヒの憂鬱 ある男子にほれた主人公は精神的な持病によってアプローチすることができない。 だが、変な奴らを集めてじょじょに接近していく。 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/04/30(水) 10 33 05.01 ID Eyt7IFwN0 涼宮ハルヒの憂鬱 主人公涼宮ハルヒがいじめられまくって憂鬱になってしまう。 それを見かねた友達がSOS団を立ち上げ、いろいろあってだんだん元気になる 113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 11 26 48.60 ID 4+jRQ26x0 雨宮ハルヒの憂鬱 学生ハルヒに破壊されそうになっている世界を救うことをコンセプトに ヒロインミクルのコスプレを愛でるアニメ 198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 12 33 17.27 ID JaCO1CRtO ハルビン ハルヒがなんか宇宙人の長門を倒す話 465 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 15 46 34.11 ID SoTC0tpT0 「涼宮ハルヒの憂鬱」 馬鹿なクラスメイトに辟易しながらも日々の日常を贈る 厨二病の少女を主人公にした風刺の強い青春群像ドラマ 478 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 15 54 10.95 ID LAYfMD3rO 涼宮ハルヒの憂鬱 主人公涼宮ハルヒは11歳の女の子 体は女心は男の葛藤の毎日に嫌気がさしてきた冬、涼宮は男に恋をしてしまう 体は女なのだから正常に思われるが心は男 何と切り出せば良いのか分からずに悶々と過ぎ行く日々を綴るラブストーリー 633 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 18 49 02.06 ID blR5Fl6RO ハルヒ 宇宙人がハルヒをおそってSOSする? 662 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 19 07 14.51 ID /ityZHeq0 涼宮ハルヒの憂鬱 高校の国語教師でもあるハルヒ(26歳)が主人公。ゆとり教育によって荒廃した教育現場が舞台。 無気力(無関心)でぶつぶつと独り言や奇行を繰り返す男子生徒キョンや、 父親からの性的暴力によって心を病み、援助交際にふけるみくる、 自閉症で、やや虚言癖がある長門ゆき。 現代社会が抱える闇を浮き彫りにし、これら問題ある生徒たちに対して ハルヒが体を張ってぶつかっていき、共に解決していくことで人間的にも成長していく物語。 667 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 19 12 33.68 ID /ityZHeq0 662 書いてて思ったが、ごくせんかGTOとか金パチ先生とかこんなんかな? 実は全部見たことwww 690 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 21 09 46.32 ID OvnsEnhz0 667 金八の場合 妊娠した女子生徒 優等生の仮面をかぶった学級の裏ボス 性同一性障害の女子生徒 殺人犯の子 などの濃いメンツが勢ぞろい 807 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/01(木) 00 12 35.04 ID FWg895+yO ハルヒ 普通の高校生活 修学旅行とかやってそう 809 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/01(木) 00 28 46.78 ID bY+NeWAb0 ハルヒ うららかな春の日に、ボクは彼女と出会い恋をしました。 こそばゆい恋愛アドベンチャー、今春発売。 811 名前:全部繋げてみた[] 投稿日:2008/05/01(木) 00 53 27.60 ID weD9CH8N0 高校の国語教師でもあるハルヒ(26歳)が主人公。 ゆとり教育によって荒廃した教育現場が舞台。 無気力(無関心)でぶつぶつと独り言や奇行を繰り返す男子生徒キョンや、 父親からの性的暴力によって心を病み、援助交際にふけるみくる、 自閉症で、やや虚言癖がある長門ゆき。 現代社会が抱える闇を浮き彫りにし、これら問題ある生徒たちに対して ハルヒが体を張ってぶつかっていき、共に解決していくことで人間的にも成長していく物語。 ちなみに主人公涼宮ハルヒは11歳の女の子。 修学旅行とかやりつつ普通の高校生活を送るが、 体は女心は男の葛藤の毎日に嫌気がさしてきた冬、男に恋をしてしまう。 体は女なのだから正常に思われるが心は男、 何と切り出せば良いのか分からずに悶々と過ぎ行く日々を綴るラブストーリー。 ほれた男子にハルヒは精神的な持病によってアプローチすることができない。 だが、変な奴らを集めてじょじょに接近していく。 しかし、ハルヒはいじめられまくって憂鬱になってしまう。 それを見かねた友達がSOS団を立ち上げ、いろいろあって ハルヒはだんだん元気になる。 馬鹿なクラスメイトに辟易しながらも日々の日常を贈る 厨二病の少女を主人公にした風刺の強い青春群像ドラマ。 うららかな春の日に、ボクは彼女と出会い恋をしました。 こそばゆい恋愛アドベンチャー、今春発売。 861 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/01(木) 09 37 32.25 ID QDMJUxLmO 【涼宮ハルヒの憂鬱】 最初朝倉さんが好きだったキョンは涼宮さんの助力を得て、 朝倉さんと付き合えることになったけど、 そのうちキョンは朝倉さんより、涼宮さんのほうが良いと言い出して まんざらでもない涼宮さんはなんとなくOKして 涼宮さんはキョンを受け入れてしまいます。 キョンと涼宮さんはそろって朝倉さんをシカト どんどん壊れていく朝倉さん。 そのうちに涼宮さんが妊娠したとか言い始め 涼宮さんがうざくなるキョン キョンは涼宮さんをほっぱらかして、学友の長門さんや朝比奈さんや、 あまつさえ自分の妹とも関係を持っていきます。 ついに、キョンは狂った涼宮さんに刺し殺されてしまいました。 そしてその後、涼宮さんは、朝倉さんに腹を裂かれて殺されてしまうのです。 「中に誰もいませんよ」 朝倉さんは切り取ったキョンの頭を胸に抱いて ついに一緒になれましたとさ。 おしまい 666 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/30(水) 19 11 15.15 ID 9VU3H/UeO 涼宮ハルビンの憂鬱 とある中国のハルビンという少女が餃子拳を会得し戦い続けるバトルマンガ 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/01(木) 16 50 00.26 ID 2ko/FyiEO ハルヒがでるやつ なんかロリな女がたくさん戯れて歌を歌いまくり男をたぶらかす作品。多分へんな髪色のやつがいっぱい出ると思う。 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/01(木) 16 51 19.07 ID 08L2KDL3O 14 みたいな 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/01(木) 19 28 20.33 ID 6NbFjDI40 絶対 内容知ってるのに ワザと変な妄想してる奴いるだろ 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/01(木) 19 32 05.17 ID xZPLM/4mO 40 ハルヒなら見た事あるけど、想像とかなり違っててびっくりしました。 86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/05/01(木) 23 13 02.27 ID gYtCKwg7O ハルヒの憂鬱 中2のハルヒという名前の女のやる気が究極になく、何をするにもネガティブ もうクソ暗い漫画
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/4682.html
そうだ。俺は《あの日》が起きて以降、ずっと長門を気にかけてきた。こいつに何かあったら助けてやろうと、もう何も、長門が思い悩むことはなくしてしまおうと。そう考えてた俺は、少しずつ感情を露にしていく長門をみて安心していたんだ。 だが、今はどうだ? こいつはまた感情を爆発させて……今度は、一人で苦しんじまってるじゃねえか。言わなきゃ気付かないだって? アホか。こいつはずっと前にサインを出してたんだよ。それに俺が気付かなかっただけだろうが。 そう。何かが起きてからじゃ遅かったんだ。そして、俺はこれを起こさないようにすることは出来たはずなんだ。 だが、俺はその機会を無視してしまった。 俺は二回目の《あの日》、さっさと世界を修正しちまった。そして、もうやり残しはないと胸を撫で下ろしていた。とんだ大間違いだ。俺はあの時に眼鏡付きの長門を見て、あいつの確かな感情の存在に気付いたよな。それは間違いじゃない。そこからが問題なんだ。 ――俺は、それからどうした? 俺は……変わっていくあいつを守っていこうとしただけだ。それじゃダメなんだよ。俺は自分からもっとあいつに干渉しなければならなかった。それぞれの生き方ってのは大事にすべきだが、それ以前に俺たちは仲間じゃないか。もっと深く繋がって、支えあっても良かった。そうすべきだったんだ。今なら、昨日古泉が言っていた言葉の意味が痛いほど分かる。 そうだよ。俺は《あの日》があったお陰で、自分の気持ちを認めることが出来たんだろうが。そして、それから生き方も変わっていったんだろ。 けどな、それは俺が自分で変えたんじゃない。俺の心底に潜むものを長門が教えてくれて、長門が俺を変えてくれたんだ。なのに、俺は変わっていくあいつを見守っていただけだった。なんでだよ。あの日、長門は自分も変わりたかったんじゃなかったのか? それは、俺が変えるべきものじゃなかったのか? 「…………くっ」 ……あいつは俺に世界の選択を委ねた。 でもな。 俺がその決断を任されようとも、俺は長門に聞くべきことがあったんだ。ああ、あのとき、朝倉が消えていく間際に呟いていた疑問だよ。 ――長門の……望んだものについてだ。 世界を改変したキッカケは感情の爆発だったんだろうが、じゃあ長門は何を望んであの世界を作ったのか……俺は分かっているつもりだった。でも俺は、本当はなにも分かっちゃいなかったんだ。その願いをあの場所に置き去りにしてきちまったから、今長門は苦しんでる。そうなんだよ。俺が世界改変の瞬間に飛ばされたのは、実はあいつが自分の気持ちを訴えていた……SOSのサインだったんだ。 今わかった。これから《あの日》に向かってどうなるかなんて……そんなの、考えるべき問題になどなりはしない。 《あの日》はまだ……終わらせちゃいけない――。 そう思うと俺は喜緑さんに礼を言うことも忘れ、無心に長門と古泉の待つ文芸部室へととって返した。 教室内にはパーフェクトに無表情な長門が変わらぬ姿で鎮座しており、無表情というよりは青ざめた顔を浮かべた古泉は帰ってきた俺を認めるやいなやこちらへと近づき、 「長門さんは……どうなされたのです?」 俺は長門をチラリと見やると、喜緑さんから聞いた話を古泉に伝えた。このとき、喜緑さんになんの挨拶もしてなかったことに気付いた俺は、彼女に対して申しわけない気持ちを抱いたのだった。 「……そうですか。一度、死の概念が入ってしまった長門さんのパーソナルデータ……長門さんの人格とも言えるべきものは、情報統合思念体にイレギュラーを起こす懸念材料として……」 視線を落とし、顎を指で支えながら古泉が呟く。 「とにかく、俺は今から大人の朝比奈さんに会いに行く。《あの日》に行くかどうかを判断するためじゃない。行くために、なにがどうなのかってのを説明して貰わなけりゃならないからな」 午後の授業を受けている場合じゃないことは古泉も理解しているようで、 「……では、僕と長門さんは具合を悪くしたとして、保健室で待機しておきます」 無理に作ったスマイルでそう言う古泉に俺は、 「いや、二人にも来て欲しいんだ。多分、そのまま《あの日》に行くことになると思う。もしかしたら古泉、お前もあの瞬間に立ち会うことになるかも知れないんだよ」 「………?」 疑問符を浮かべる古泉。無理もない。俺はまだこいつに話してないことがあったんだ。それは俺の記憶が混濁していたから覚えたんだろうと思い、曖昧な意識の中で見たものだったから特に言わなかった。それは何か。 それは、俺が朝倉に刺されて意識を失う瞬間に見た……北校とも、光陽園学院のそれとも違う制服のハルヒの姿だ。 これが俺の真実見たものであれば、《あの日》に古泉がいなかったから行けないという理由は薄弱となる。そして俺が世界を修正した際、ハルヒの姿さえ見あたらなかったってことは……やはり《あの日》には、俺たちの知らない部分が大いにあるんだ。 しかも大人の朝比奈さんは、今度の規定事項には全員の力が必要だと言っていた。つまり、これからやる行動には古泉の力も絶対に必要なんだ。それがどんな形で必要になるのかは、朝比奈さん(大)に聞かなければ解らないが。 「……なるほど。《あの日》に僕が行けるかも知れない、というのは仮説として成立し得るでしょうね」 と言った古泉は沈鬱な表情を作り、 「ですが……僕が今からあの朝比奈さんの所へと行けるかどうかについては、また別の問題があるのです。僕の機関が、それをさせてくれるでしょうか?」 「古泉」俺は少しもどかしく思いながら「重要なのはそこじゃない。機関がお前にさせないと言ったとしてどうなる? お前はやらねえのか。重要なのは……お前が、やるかやらないかだろ」 「…………」 顔に影を落とす古泉。……こいつを動かすのは至難の業だと思っていると、 「……ちょっといいかなっ」 突然の闖入者の声に俺と古泉は意表を突かれ、声が聞こえてきた方へ覿面と振り向き返った。 「んと……キョンくんが走り回ってたからさっ、ひょっとしてみくる探してんじゃないかなーって思ってねっ」 鶴屋さんは笑顔の中に若干の気まずさを滲ませながら、開け放たれたままだった部室の扉から姿を覗かせていた。 「朝比奈さん……ですか?」俺は鶴屋さんに聞き返すように「いまから呼びに行こうかとは考えてましたが、何でそう思ったんですか?」 ひょっとして鶴屋さんは予知能力者なのかと思っていたら、 「みくるなんだけどね、今あたしん家にいるよん。ずっと前にみくる……から、うっとこの会社に注文されてたもんがあるんだけどさ、今日必要になったから取りに来るって言ってね」 「注文……ですか? そりゃなんの?」 「……それがちょっとワケありの代物なんだっ。古泉くんのバイト先のお偉い方と合同で作ってたんだけど、こっちは何作ってんだかちょろんとも分からなかったんだよねっ。開発コードネームはウラシマだったかな? ま、それが要るんだってんなら……キョンくんたちは今なにかやってるんじゃないかなって考えたわけだっ」 ……浦島? 未来人関係なら、時間の伸び縮みがどうのって理論のウラシマ効果となにか関係があるのだろうか。 「それにね、田丸さん御兄弟だったかなっ? あの人たちも、みくるを手伝いにトラックでうちに来るって言ってたにょろ!」 トラック? なんでトラックなんかが……? ――もしや荷台には工作員がうじゃらに潜んでて、『機関』が朝比奈さんの邪魔をしようと田丸さん兄弟を仕向けたのか? って、『機関』もそれを一緒に作ったんだし、それじゃ行動が支離滅裂だろう。うん? ……機関が合同で作った? 機関は未来人をあまり良く思っていなかったんじゃなかったか? 古泉もなにやら状況が飲み込めていないようだが……。 などと俺が思索していると、 「古泉くん!」SOS団名誉顧問である彼女は力強い視線を副団長に向けて、「なにが起こってんのかは知らないけどさっ、ハルにゃんのSOS団にはキミが必要なはずだっ。それは、古泉くんにしか出来ないことがあるからじゃないっのかなっ?」 このとき古泉はハッとしたような瞳の色を呈し、 「だからさっ、出来るか出来ないかでも……やるかどうかでもないと思うよっ。みんなには、古泉くんが必要なんだ! 古泉くんには……みんなが必要じゃないのかい?」 鶴屋さんは左手を腰に置きつつ顔の横に人差し指を上へ伸ばした右手を添え、ウインクしながら快活と言い放った。俺が古泉に目をやると、そこにはやんわりとした微笑を浮かべた古泉がいて、 「……そうですね。問題などありはしなかった。今の僕にはみんなが必要であるように、誰が欠けてもSOS団は成立しないのですから」 そして古泉は言った。 「行きましょう。あの場所へ。そこはもちろん……」 ああ。もちろんだとも。 「……公園へ急ごう」 そして現在、俺たちは公園にいる。 ここに来るまでも色々あった。どうせ『機関』には行動が筒抜けであるし、みだりな場所から学校を抜けると正当な理由で他者から捕縛されるだろうという理由から、俺たち三人は正面から堂々と学校をサボタージュしたのだ。 門を出ると直ぐに森さん(今回はカジュアルな服装だった)が緑のワンボックスカーからまろび出て、それはもう全速力で逃げようとする俺たちを諭し、森さんたち――運転手は新川さんだった――は協力する姿勢であると懸命に訴えてきた。古泉はずっと懐疑的な視線を送っていたが、実際問題徒歩の俺たちが森さんたちから逃げおおせるわけもなく、長門に何か頼むにも人目が多すぎた。 それで森さんの話を聞いていたのだが、彼女らと言わず『機関』はこちらの行動を阻む気など毛頭なく、むしろ支援の方向で助力してくれるということだった。どうやら機関の上層部に何か動きがあったようで、鶴屋さん邸にいる朝比奈さんを田丸氏御両人がサポートに向かっているのもそのためだったようだ。そして、森さんは古泉に関してこうも言っていた。 「古泉は、どうやら機関が自分の命の是非を問わず阻害してくると考えていたようです。そのようなことは、どう考えても起こりようがありませんのに」 さらに続けて、 「我々の特務機関は、言うなれば彼女(ハルヒだろう)が創設した組織です。身の危険に関しては、これほど安全が確保されている集団はありません。現に閉鎖空間での神人討伐の際、負傷者どころかかすり傷一つ負った者は御座いませんので」 ――ハルヒが、人が傷つくようなことを願やしないからか。 「はい。神人討伐が大変な労役であることには変わりありませんが、それは致し方ありません。そして『機関』はその規模ゆえ厳正に規則が設けられているのですが、組織の本質は彼女の思想と表裏一体なんです。内部には多様な思想が存在しておりますが、本流は彼女の望むところ……あなた方の赴くままへと指針は保たれているんですよ。それが世界の安定へと繋がっていると信じていますので」 なんだ。じゃあ古泉が憂慮してたことはまさに杞憂だったってことじゃないか。と俺が言うと、森さんはクスクスと秀麗な笑顔を浮かべ、 「古泉は若干特撮的展開への思考が強いですから。ですが、古泉の葛藤はそれだけSOS団の皆さんを思っていたゆえのことでしょう。まあ、そのため今日は突飛な行動を起こす可能性がありましたので、わたしたちはここで監視をしていたんです。機関の車だと衆目を集めてしまいますので、このワンボックスカーでね」 この語り口から、俺には森さんたちが信用の置ける人々だと感じ、そして公園まで送って貰ったという運びになったわけだ。正直走り出したは良いものの、公園まで走らなきゃならんのかという他愛のない考えもあったし。 「ホントに……来てくれて良かった。あのときは動転して、ロクなことを伝えられなくてごめんなさい」 「お母さんが謝ることなんてないっ。先輩、お母さんね、あの後泣いてたんだよ。なにがあったの?」 詫びる言葉も見つからない程にひどいことを言ってしまったのさ。……朝比奈さん(大)、泣いてたのか。古泉、俺を殴ってくれ。 「意味がありませんね」 との一言で古泉は俺を一蹴し、俺に棒立ちで気まずい思いをさせるという精神的ボディーブローをかまし、 「それより……初めまして、みゆきさん。そして初めましてというよりは、お久しぶりですと言ったほうが良いでしょうか。可憐な少女の未来に相応しい艶姿ですね、朝比奈みくるさん」 「ふふ。お久しぶりです。古泉くん」「フフ。あたしもお久しぶりって感じです。古泉先輩」 あらためて比べると、ホントに良く似た家族だと思うね。 「キョンくん……昨日はごめんなさい。わたしはあなたの気持ちについてもっと良く考えるべきでした」 おずおずとした雰囲気で言い放つ朝比奈さん(大)に、 「そんな、俺こそスミマセン。今日こうなることは当たり前だったと、自分で気付かなかったのが悪いんだ。……でも、もしかして俺の昨日の行動も規定事項じゃなかったんですか?」 「いえ、キョンくんに手紙を渡せなかったのは予想外の出来事だったわ。ビックリしちゃった。それと、あの手紙の内容はもう済んでます。ここにあなたたち三人で来てもらうことと、涼宮さんには内緒にして欲しいってお願いでしたから。昨日のあの後は……正直、気が気じゃありませんでした。もし涼宮さんに話が伝わってしまっていたら、アウトでしたから」 だとしたらちょっと前に世界終了一歩手前だったが、朝比奈さん(大)も朝の状態の俺にまた手紙を渡そうものなら何を起こすわからないために連絡出来なかったんだろうね。……それはとにかく、現在は無事に過不足なく進行しているようだ。 「長門おねえちゃん……?」 と……朝比奈みゆきは虚に沈んだ長門の顔を訝しげに覗きこみ、長門の周囲をキョドキョドと動き回っている。 ――そういえば、この子は長門から朝比奈さんへの託し子だったんだよな。長門の子供って……父親は誰なんだろうか、いや、あまり深く考えるのはよしとこう。色々と連想しちまう……って俺はなにを考えてるんだろうね? まあ、本人には秘密っぽいのでうかつな話は出来ないな。 俺が朝比奈さん(大)に進展を求める目線を向けていると、神妙な面持ちで頷いた大人の朝比奈さんは、 「みゆきちゃん。長門さんは今……とっても疲れているの。あまり迷惑かけちゃだめよ。こっちにおいで」 「やだっ、先輩のところがいいっ」 そう言いながらドスンと俺に抱きついてくると、顔なじみの野良猫がもつような愛嬌の良さで俺の顔を見上げてきた。妹にお兄ちゃんと呼ばれない分がこれで帳消しになった気がするね。 「もう」 笑みが混じった感じのやれやれといった顔を大人の朝比奈さんはへ浮かべる。 そして古泉は朝比奈さん(大)へと真面目な視線を向けると、 「……時間が余分にある状況ではないと思いますので、失礼ですが話を進めさせていただきます。あなたには色々お聞きしたいことがありますのでね。今日は答えてくれるのでしょう?」 「……ええ。わたしはそのためにここにいますから」 俺は朝比奈みゆきを体から少し離しつつ、 「本題に入る前に、一つ聞きたいことがあるんですが」 どうぞ、と笑顔で答える朝比奈さん(大)に、 「藤原が言ってた本来の歴史ってのは、あいつらにあの事件を起こさせるための嘘だったんですか? 佐々木と俺の関係がどうだってのも……」 朝比奈さん(大)はふるふると髪をなびかせ、 「いいえ。佐々木さんの気持ちが嘘なんかじゃないっていうのは、キョンくんが一番良く知っているはずです。そして、現世界の構成から矛盾を排除した場合……というより、キョンくんと涼宮さんが出会わなかったら、彼が話した通りの世界が存在していたと予測されます」 それも腑に落ちないんだ。ハルヒの能力発現時、俺は全くの他人だったというのに、なんでそれに俺が関係してるんだろうか。 「それは……今からキョンくんに、能力発現以前の中学生の涼宮さんを迎えに行ってもらうことが関係しているの」 「……涼宮さんが時空を改変する前へと時間遡行する、ということでしょうか? それはTPDD……いや、未来人にとって不可能なことで、そのためにあなた方は現代へと舞い降りたのでは?」 古泉の言う通り、そうだよな。大人の朝比奈さんが言ってるのは、時空の断層を超えて過去に行けるってことだ。 「確かに時間平面破壊装置では、能力発現以前の世界の姿である次元構造を渡ることは不可能です。だけど、それが不可能な理由を思い出してみて?」 藤原は、無限のエネルギーがないからだって言ってたっけ。 「ええ。そして、その問題は物質的なTPDDのエネルギーをもって解決出来るんです。これはつまり、物質的なTPDDをまるごと時間平面破壊装置で飛ばすってこと」 ……なるほど。と思っていると横から古泉が、 「……もしそれが可能ならば、何故藤原さんたちはそのTPDDのハイブリッド方法で過去に向かわなかったのですか?」 もっともなことを言い出した。朝比奈さんは、 「それについてはTPDDの詳細についてお話しするといいかな」 一呼吸置いて、 「まず二つのTPDDは、ハカセ君が遺した二大理論を基に構成されています。時間平面理論からは時間平面破壊装置が、そして時量子理論からは時粒子転換探知装置……タイムパーティクルスダイバージョンディテクターが作られたの。この時粒子転換探知装置は小さいわたしが現在取りに行っているもので、古泉くんの『機関』と鶴屋さんたちに制作を依頼した機械になります。そして藤原さんたちが使っていたTPDDは、実はその二つを混合させた完成形のTPDDで、わたしの組織の上層部がそのTPDDの動作を制限して藤原さんがこの時間平面にやってくるようにしたんです。そしてハイブリッドされたTPDDは……みゆき。あなたが今から完成させるの」 「ふえ、あたしが?」 キョトンとした顔で目をパチクリさせる朝比奈みゆきに、 「これから過去に行って涼宮さんを連れてくるために、みゆきには二つのTPDDを同時制御で操作してもらうわね。これはとても難しくって、みゆきにしか出来ないことなの。そして、みゆきの情報処理制御パターンをある基盤に焼きこんで、みんなが運転できるようにする部品も作るから……頑張って」 そう言って朝比奈さん(大)は俺と古泉へと向き返すと、 「では、今からSTC理論について少しだけ補足します」 ……古泉。お前の出番が来たみたいだぞ。 「うふ。そう構えないで大丈夫です。実は現状の世界を形成しているSTC理論は、音楽理論と一緒なんです」 「……なるほど。それならば、全ての現象が非常に分かりやすい」 「どういうことだ?」 古泉は手の平を俺に向けながら、 「STC理論、つまり時間平面理論による世界とは、単一では意味を成さない音符を連続させ、それによって紡ぎ出される『旋律』だという理屈ですよ。そして世界の歴史は、それまでの旋律が記された『楽譜』であり、朝比奈みくるさんは未来の『楽譜』なのです。こうやって考えれば、エンドレスエイトが簡単に説明出来ますね」 「へえ」と俺が言うと、 「そう。エンドレスエイトとは、コード進行のみを決めてあとはアドリブで演奏するジャズだったのです。そしてエンドレスエイトの繰り返しは、あの二週間分を反復して演奏していたのですよ。譜面上では最初に戻ったとしてもそれは曲が逆行するわけではなく、一回目に続いて二回目を演奏するだけなので、あのエンドレスエイトは一列に繋がった一つの曲であると言えます。だから僕たちは、以前のシークエンスの影響を受けていたのでしょうね」 朝比奈さんはこくりと頷き、 「その通り。そして規定事項は、未来の『楽譜』と『旋律』を等しくするための行動なんです。時間遡行は、未来人という『音』が過去の『旋律』に紛れるということ。そこでは未来人は只の雑音なので、基本的に『旋律』を変えてしまうことはないんです。ですが、イレギュラー的に『音』が加わって『旋律』が変わってしまうという事態や、自分の楽譜と過去の旋律が不一致しているなど矛盾した結果も発生してしまうの。……次は、これからの行動についてお話します」 これからの行動……ハルヒの中学時代と、《あの日》に行くことだ。 「能力発現以前の涼宮さんを迎えに行くことには、二つの意味があるんです。一つは、《あの日》での行動に涼宮さんの力が必要だからということ。そしてもう一つは……彼女にかけられた呪いを変えるため」 「……ハルヒに呪いが? 中学生のハルヒに、どんな呪いがかかってるっていうんですか?」 呪いっていうのはものの例えなんだけど、と続けて、 「……わたしが以前話したことを思い出して下さい。自分の知っている過去とは違っている過去、そして、本来生きていなければならない人が死んでしまう過去のこと。……今からキョンくんには、それを変えてもらうんです」 「それって……ハルヒが死んじまうのを変えるってことですか?」 ……ここで朝比奈さん(大)は暗い顔を浮かべ、少し沈黙した後、 「涼宮さんの呪いについては……簡単にいえばね、中学生の彼女は『いばら姫』なの」 いばら姫……つまり、眠り姫か。たしかその話は諸説あったが、お姫様が預言者たちから順番に贈り物をされていると一人の預言者から死の呪いをかけられてしまい、残りの預言者がその呪いを『眠り』の呪いに変える話だ。 「うん。それでね、物語の預言者が未来人だと考えてください。そして、『呪い』について今からお話します。まず……中学生の涼宮さんがキョンくんと出会わず、能力の発現が起こらなかった場合、将来キョンくんは佐々木さんと親密な関係になります。これは二人が中学時代に両想いで、キョンくんが涼宮さんと親しい関係ではなかったから。そしてSOS団を結成しなかった涼宮さんは将来、一人で道を歩いていたときに――えっと、その……」 朝比奈さん(大)は悲しそうな表情を作って「……禁則です」と呟いた。それが本当に禁則である感じはしなかったが、いばら姫の『呪い』を考えると……あまり詳しく聞きたいことじゃないな。俺がそう考えていると古泉が、 「……つまり、それが涼宮さんにかかっている『いばら姫』の呪いであり、その呪いを『眠り』に変える預言者が……朝比奈さん。あなたというわけですね」 「そんなところです」 そう朝比奈さん(大)は答え、俺は……一つ考えていた。 彼女の話によると、ハルヒが世界を変えちまうのは、俺の今からの行動が原因なんだろう。 つまり……。ハルヒに神様じみた能力を付加させたのは――俺なのか? すると公園の前に一台のトラックが停止し、後を追従していた黒塗りのタクシーから二人の人影が乗り出してきた。 「すっすみませんっ! ……遅れちゃいまし――」 その人は朝比奈みくるさん(小)で、後には喜緑さんの姿があった。 「……あ、」朝比奈さん(小)は目を丸くして大人姿の自分を目に入れると「上の……人ですよね? ってゆーか、やっぱり……」 「……お疲れさま。あなたが感じていた通り、わたしは朝比奈みくるです」 「あ、朝比奈先輩だっ。フフ。あとは涼宮先輩だけですねっ」 「ほえ? ……あ。もしかして、この子がみゆきちゃん……?」 これはスリーカードになるのかなと思いつつ朝比奈さん(小)に抱きつく朝比奈みゆきを見ていると、朝比奈さん(小)は長門を見て、 「――そっか。あの子がこんなに大きくなったんですね、安心しました」 この言葉を聞いたみゆきは不思議そうに、 「あの子って何ですか? あたしは先輩の……」 朝比奈さん(小)は自分の口を手で覆って、 「そ、そうでしたっ。みゆきちゃんは、あたしの将来の子供なんですよね。とにかく、可愛く育ってくれて嬉しいです」 えへへ、と笑いながら朝比奈さん(小)に頭を撫でられているみゆきと、それを微笑ましく見つめる大人の朝比奈さん。俺は喜緑さんに、 「……さっきは失礼しました。身勝手な行動をしてしまって」 「いえ、構いません。事態は急を要するので」 喜緑さんは大人の朝比奈さんに体を向けて、 「長門さんに生じた問題を解決するために、情報統合思念体も出来る限りの協力をする意向です。わたしがここに呼ばれたのも、そのことについてなのでしょう?」 「……はい。次元の世界を渡るためには、情報統合思念体の協力が必要なんです」 朝比奈さん(大)は集まった俺たちを見回し、 「これで役者は揃いました。それでは……今から、それぞれの行動についてお話致します」 「まず、キョンくんとみゆきには中学生の涼宮さんを迎えに行ってもらいます。みゆき、昨日教えた魔法の使い方はしっかり覚えてる?」 「うん、大丈夫っ。機械を操縦するときに使うんだよね?」 ……魔法、ね。恐らく情報操作能力のことだろう。大人の朝比奈さんはみゆきに頷くと喜緑さんへと顔を向け、 「そして二人が過去に向かうために、喜緑さんには思念体へアクセスしてもらって、時空改変以前の涼宮さん以外の世界の時を止めて貰います。よろしいですか?」 「了解しました。それだけでいいのでしょうか?」 やんわりとした笑顔で答える喜緑さんに、 「いえ、もう一つ。……長門さんの思念体を、凍結状態から復帰させてください。そして――」 大人の朝比奈さんは振り返り、今度は古泉に向かって、 「キョンくんとみゆきが過去へ行っている間、古泉くんには、長門さんの思念体と共に四年前の七夕の、長門さんの部屋へ行ってもらいます。そこでは、わたしとキョンくんが《あの日》へ行くために訪ねてくる予定ですから、わたしたちがやってくる前にリビングの隣の部屋へと隠れていてください」 それって、俺が長門の作り変えた世界から脱出プログラムで過去の七夕に飛んだ後、長門から話を聞くためにあいつの部屋へ行ったときの話だよな? あそこで長門は、隣の部屋は俺と朝比奈さん(小)のために丸ごと時間を止めたから開かないって言ってたはずだが……。 「そうなんですか?」 朝比奈さん(大)が俺に聞いてきた。 「ええ。っていうか、あなたも居たじゃないですか」 「そっかぁ」と何やら考える様子で、 「じゃあ、扉を開けられないように気をつけないといけませんね」 「……どういうことです?」 「……えっと、」少し思案顔を浮かべた後、俺に微笑みながら「このわたしは、まだその七夕でキョンくんを導いてはいないの。それはわたしが、これから行うことです」 ……つまり、あの七夕の日に来ていた大人の朝比奈さんは、この朝比奈さん(大)だったってことなのか? 「そういうことです。今のわたしは、世界の歴史を整えるために、上層部からの指令をみんなに説明をするよう頼まれているだけなの。わたしもこれからあの七夕へと向かって、世界を修正するために頑張ります」 パチリとウインクをかまし、そして朝比奈さん(大)の放ったハートマークが俺の顔に当たるまでの束の間、俺の生体活動は停止していたかのように思われた。 ――なんてこった。じゃあ、長門と俺と朝比奈さん(大)があのアパートで《あの日》について話していたとき、隣の部屋には……古泉が居たってことじゃないか。なんとゆーか、あいかわらず眩暈がするね。 朝比奈さん(大)は古泉へと面を返し、 「古泉くんには、あなたにしか出来ないことをお願いします。そしてそのまま、小さいわたしがこの規定事項を終えて迎えに来るまで待っていて下さい」 古泉は真剣な顔で首肯すると、 「……なんとなく、僕がやるべきことは感じています。つまり僕は、副旋律を担当するのだと言うのでしょう?」 「……副旋律? なにがだ?」 俺がそう聞くと前髪をピッと弾き、 「これから行う規定事項で、僕たちはそれぞれ自分のパートを受け持つということですよ。音楽的にいえばつまり僕らは演奏者であり、《あの日》へと直接赴くあなた方は主旋律を担当し、そこへ行かない僕は副旋律を担当するようなもの。そして、長門さんが変えてしまった世界から続くこの世界は、この規定事項を完遂させた結果……言わば一つの楽曲なのです。あなたの行動によってあの三日間が発生し、僕のこれからの行動には……恐らく、長門さんの小説が関係しています」 「あいつの小説が? どうしてだよ」 古泉は少し悩んだような顔を浮かべ、 「……僕はずっと、思念体が長門さんを疎遠にしていた問題の答えは、彼女の小説の三枚目の中にあると考えていました。あれに書かれている内容ですが……まず、棺桶というワードに『死』という隠喩があるのは間違いないでしょう。次に、その小説の中で長門さんらしき人物はその『死』を望んでいて、そしてその『死』を阻む存在として、僕や朝比奈さんらしき存在が示されていました。そして物語は顛末を見ないままに終えられている。僕は長門さんに後のストーリーについて聞いてみたのですが、彼女は、この小説は殆ど無意識に近い状態で書き綴ったために答えることが出来ないと仰っていました。そして今……長門さんは『死』を願った代償として思念体から制限を受け、記憶をなくしてしまっています。――これから僕がやることは、あの小説の中で表現されている……彼女が忘れてしまった自らの発表するものを思い出させることです」 「つまり、お前は何をするんだ?」 古泉は大人の朝比奈さんに意味ありげな目配せをして、 「……とにかく、僕は長門さんが抱える問題を解消します。ですが、僕の行動にもあなたの協力が必要不可欠です。なので……」 古泉は決心に満ちた視線で、 「――許可を」 もちろん良いに決まってる。何をするのかはわからんが、わざわざ許可を得る必要なんてないぜ。 「そう言ってくれると信じていました」 古泉は目を細くしながら言い、 「あの小説を読解しましょう。長門さんの忘れている自分が発表するものとは、僕たちも知らない『長門さんが望んだもの』だったのです。そして発表会とは、《あの日》のこと。……僕は、長門さんが発表の舞台へと戻ってこれるように尽力します。あの物語を紡ぐのは、長門さん自身なのですから」 ……ってことは、あの長門の小説は何かしらのヒントだったのか? じゃあ、他の一枚目と二枚目にはどんな意味があるんだろうか。 「ええ。経緯はまだ不明ですが、恐らくあの小説は、長門さんの識閾下から綴られた僕たちへのメッセージだった。そして、二枚目については何となく見当が付いています。あの二枚目こそが長門さんの思い出であり、長門さんの歴史なのでしょう。現在の長門さんはそれを失ってしまっているので、僕はこれから、あなたの協力を得てその失われたページを取り戻すのです」 「……そっか」俺は長門を見る。「……こいつは、こんな風になっちまっても、俺たちを助けてくれるんだな。――次は、こっちが長門を助ける番だ」 ここに集まった全員が一致して頷き、意思の固まりを確認する。大人の朝比奈さんは俺へと微笑み、 「……では、行動を開始します」 さて。俺が今からやるのは、みゆきと一緒に中学ハルヒを連れてくることだ。 俺とみゆきが大人の朝比奈さんに率いられてトラックへと向かっていると、 「中学生の涼宮先輩、どんな感じなんでしょうね? フフ、楽しみです」 みゆきが無邪気に話掛けてきた。なに、俺は一度会ったことがあるが、中学のハルヒは身体的特徴が若干小さいだけで、全く今と変わらんさ。 「フフ。涼宮先輩らしいです」 クスクスと笑みをこぼし、前を向く。そしてトラックの荷台の後部へと着くと朝比奈さん(大)は扉を開け、 「……これが時粒子転換探知装置、タイムパーティクルスダイバージョンディテクターです。一般的な概念から言えば、このTPDDこそがまさにタイムマシンと言えますね」 「ん、」 俺は呟く。中に入っていたのは、一般乗用車程度のサイズのお椀を伏せたような形状の半球から、車ならタイヤがあるべき四方の位置に三十センチメートルほどの突起物が等しい形で付いており、こちらへと向いている正面には、それらよりも二倍ほど長い突起物が……ええい、説明が面倒だ。それにこれはどっからどう見ても……、 「亀じゃないですか」「うわあ、大きいカメさんですね」 そのフォルムはまさに亀であった。 「これは、時量子理論が基になったTPDDなの。この形に意味はないんだけど、ハカセくんがあのとき、川の流れの中を泳ぐ亀を見たことによって生み出されものだから……ふふ、単なる遊び心です」 えらく茶目っ気の効いた科学者たちだなと思いながら、俺は藤原の言葉を思い出していた。 なるほど、物質的なTPDDの形は浦島太郎ね。あいつは俺をおちょくりやがったわけじゃなかったのか。ってことは、もしかしたら浦島太郎の話は実話なのかな。 「うふ。禁則事項です」 大人の朝比奈さんはそう言ってみゆきに、 「じゃあ、今から時空間の座標を教えるね。みゆき、手を出して」 みゆきが差し出した小さな手のひらに朝比奈さん(大)がちょんと触れると、 「りょーかいっ。フフ、失敗しないように頑張ります」 頑張ってね、と言いながらみゆきの頭をナデナデしつつ、 「……じゃあ二人とも、これから直ちに出発して下さい。キョンくん……健闘を祈ります」 「了解しました、朝比奈さん。あのじゃじゃ馬娘を、縄ででも繋いで引っ張ってきますよ」 ――よし。今から……中学生を拉致しに行くとするか。 第四楽章・再
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2567.html
古泉が病室を出て行き、部屋の中には俺とハルヒの二人っきりとなった。 ……何だ、この沈黙は? なぜだか全くわからないが微妙な空気が流れる。 おそらくまだ1、2分程度しか経っていないだろうが、10分くらい経った気がする。 やばいぜ、ちょっと緊張してきた。何か喋らないと。 『涼宮ハルヒの交流』 ―最終章― 沈黙を破るため、とりあえずの言葉を口にする。 「すまなかったな。迷惑かけて」 「別にいいわ。けどいきなりだったから心配したわよ。……もちろん団長としてよ」 「なんでもいいさ。ありがとよ」 再び二人とも言葉に詰まる。 「……あんた、ホントにだいじょうぶなの?」 「どういう意味だ?」 「だってこないだ倒れてからまだ半年も経ってないのよ。何が原因なのかは知らないけどちょっと異常よ。 ひょっとして、あたしが無茶させすぎちゃったりしてるからなの?」 確かに、普通はそんなにしょっちゅう意識不明にはならないよな。 けど今回の原因はハルヒだなんて言えねぇし。 どうでもいいが無茶させてる自覚があるならもっと優しく扱ってくれ。 「だいじょうぶさ。もうピンピンしてる。別に体に問題があるわけでもない」 「そう……、ならいいけど」 ハルヒに元気がないな。そんなに心配してくれてたってのか? それともここも実は異世界で、これは違うハルヒだったりするのか?いやいや、そんな馬鹿な。 ……ん?そうだな、そういえば言わなきゃいけないことがあったな。 「ハルヒ、昨日はすまなかったな」 ハルヒは不思議そうな顔で目を向ける。 「だから、別にいいって言ったでしょ」 「……ああ、いや、そのことじゃない。昨日の昼のことだ」 「ああ、……あれね」 途端に不機嫌な顔になる。やっぱかなり怒ってんのか。 「つい、つまらないことでムキになっちまったな。すまん。 けどな、お前からはつまらないことかもしれないけど、俺にとっては結構大事なことだったんだ」 「………」 あのハルヒと同じように黙ったままだ。 「別にSOS団として不思議を探すのは構わん。宇宙人、未来人、超能力者を探すのも構わん。 お前が手伝って欲しいってんならできる限りのことはやってやりたい。できる限りはな。 けど、な。……そいつらを見つけたら、俺は用済みになるのか?」 「そんなことは言ってないでしょ!」 「言ってはないかもしれんが、ひょっとしたらそうなんじゃないかって思ってしまったんだ。 そうしたら、きっと怖くなっちまったんだろうな」 「そんなことあるわけないでしょ。あんたあたしが信じられないの?」 「そうだったのかもしれない。いや、信じられなかったのは俺自身なのかもしれない。 そんなやつらがいる中で、いつまでもお前の側にいられるような資格がないと思ったのかもしれないな」 「そんなことないわ。だってキョンは、……キョンはあたしにとって……。あたしはキョンが……」 「でも、もうそんなことはどうでもよくなった」 ハルヒは驚いて悲しそうな顔になった。心なしか、涙が浮かんでいるようにも見える。 「まさか……もうやめるって言うの?なんでよ!?」 ああ、そういう風に捉えますか。というか言い方がまずかった気はしないでもないな。すまん。 「いや、すまん。そういう意味じゃない。俺はこれからもSOS団の一人としてやっていくつもりだ。 俺が言いたいのは、そのなんていうか……簡単に言うと自信が付いたってこと、か?」 「何言ってるのあんた。全然意味わかんないわよ」 だろうな。俺もよくわからん。どうやって話を進めたらいいやら。 「昨日言っただろ。普通じゃない人間なんて見つかりこないって。あれは本当のことだ。 けど、それはそういうやつらがいないって意味じゃない。こっちからは見つけられないって意味だ。 だっていきなり『お前は宇宙人か?』って聞かれて、はいそうです、って、本物だとしても答えるわけないだろ?」 「じゃあどうしろっていうのよ!」 「別に何もしなくていいと思うぞ。強いて言うなら、そういうやつらが現れるのを願い続けることだな。 そうすれば、お前の周りにいるそいつらは、時がくれば自分からそのことをお前に告げてくれるさ」 「あのねぇ、あたしには気長に待ってる暇はないのよ。時っていつよ?こないならこっちから探すしか――」 俺はハルヒの小さな肩に手をやり、ほんの少しだけこちらに引き寄せる。 「その時ってのは今だ」 「あんた何言ってんの?」 「あのな、ハルヒ。実は俺、異世界人なんだ」 「は?」 さすがに目が点になってるな。そりゃそうか。 「俺は異世界人なんだ」 「ちょっと、あんた。本気で言ってんの?んなわけないでしょ」 「本気だ。俺は異世界人なんだ。まぁそりゃあ普通の人間には簡単には信じられないかもしれないだろうがな。 それにしてもせっかく待ちに待った異世界人が現れたってのに、信じないなんてもったいない話だよな」 「わ、わかったわ。仕方ないから信じてあげるわよ」 なんて簡単に挑発にかかるんだ。こいつは。 「だからな……」 「だから何よ」 ハルヒの肩に置いていた手に、ギュッと力を込める。 やべぇ、めちゃくちゃ緊張してきた。 「俺は普通の人間じゃない異世界人だから、俺と付き合ってくれないか?」 ああ、ついに言っちまった。 「は!?あ、あんたちょっとまじで言ってるの?」 「ああ、俺は大まじだ。お前言ってただろ?普通の人間じゃないやつがいたら付き合うって。ありゃ嘘か?」 「嘘なんかつかないわよ。けど……、まぁあんたが異世界人だってんならしょうがないわね。 わかったわ。そこまで言うなら付き合ってあげるわよ」 意外とすんなりいったな。『あんたが異世界人だっていう証拠は?』とか言われたらどうしようかと思ってたが。 証拠なんてないしな。行き方も知らない。まぁハルヒは実は自分で知っているわけだが。 俺が本物かどうかなんてたいした問題じゃないってことなのか? まぁなんでもいいさ。 「一つ聞いてもいい?」 「なんだ?質問にもよるぞ」 「あんたの言う異世界ってどんな世界?」 どんな世界、か。どう言えばいいものか。ここと変わんねぇんだよなぁ。 「基本的にはこことほとんど同じだな。よくいうパラレルワールドってやつか?人もほとんど同じだ」 「ふーん、てことはあたしとかもいるわけ?」 「ああ、いるぜ。ちゃんとSOS団もある」 「じゃあ、何が違うの?全く一緒ってわけじゃないんでしょ」 そうだな?何が違うんだ?あまり違和感がなかったからな。 「なんだろうな。人の性格とかに微妙に違和感があるくらいか?」 「例えば?」 例えば、か。何かあったかな。 「あ、長門の料理がうまかった。昼の弁当もうまかったし」 ハルヒの目付きが変わる。 「へえー、有希に弁当とか作ってもらってたんだぁ」 いや、まて、それはだな。いろいろあって、とりあえず落ち着け。な。 「……まぁいいわ。そっちのあたしはどんな感じ?」 どんなって言われてもなぁ。確かにちょっと違ってはいたが。力のこともあるし。 「……お前をさらに強気にした感じだ」 としか言いようがない。 「なるほどね。まぁいいわ」 「というかお前案外簡単に信じるんだな」 「嘘なの?」 「いや、そういう意味じゃないが」 「ならいいじゃない。あんたが本当って言ってるならそれでいいのよ。何か問題あるの?」 「いや、ちょっと話がうまく行き過ぎてて。ハルヒ、本当に俺でいいのか?」 「あたしがいいって言ってんだからそれでいいのよ。何?取り消したいの?」 「そんなわけあるか!俺はお前のことが、……本当に好きなんだから」 空いているもう片方の手もハルヒの肩に置く。 「ならさっさと好きって言いなさいよね。全く。こっちだって不安なんだから」 「そうだな、すまん。……ハルヒ、好きだ」 「あたしもよ。……キョン」 両の手に少し力を入れて引き寄せると、それに従いハルヒも近づいてくる。 ……あと20cm。 俺が顔を近付けるとハルヒも顔を近付ける。 ……あと10cm。 残りわずかのところでハルヒが目を瞑る。 ……あと5cm。 顔を少し傾け、目を閉じているハルヒの唇に俺の唇をそっと重ね―― コンコン! バッ!! ドアがノックされる音に慌ててハルヒの体を引き離す。 「入りますよ」 そういって古泉が入ってくる。そういえばジュースを買いに行ってたんだっけ? というか手ぶらじゃねぇか。どういうことだ?その満面の笑みは何だ? 「いえいえ、なんでもありませんよ。」 古泉の後ろには隠れるようにしている二人の姿が見える。 お見舞いのフルーツセットと、それとは別にお見舞いの品の袋を持った朝比奈さんとなぜか大量の本を持った長門の姿が。 「長門、それに朝比奈さんも。来てくれたんですね」 「……来ていた」 「キョ、キョンくん、具合はどうですかぁ?」 ん?なんか様子が変だ。朝比奈さんに至っては顔が真っ赤だし。 ってハルヒも顔が真っ赤になってるな。しかも口を開けたまんま固まっている。どういうことだ? 「古泉、何かあったか?ジュースはどうした?」 「ああ、そういえば飲み物を買いに出たのでしたね。うっかりしてました」 「は?じゃあお前はジュースも買わずに今までどこ……って、お前まさか!?」 「いやあ、この部屋を出たところで偶然このお二方と会いましてね。中に入ろうかとも思いましたが……ねえ?」 と、長門の方に振る。 「……いいところだった」 嘘だろ?まさかこいつら全部聞いてたんじゃ。 「……古泉、どこからだ?」 「そうですね。『すまなかったな。迷惑かけて』からですね。最初の方でしょうか?」 最初の方っていうか一番最初だぜこのヤロー。 ……そこから全部聞かれてたってことなのか?そんな馬鹿な。ぐあっ、死にてえ。 思わず頭を抱える。ハルヒはまだ固まっている。 「キョンくん、気を落とさないでください。だいじょうぶですよぉ。カッコ良かったですぅ」 いえ、朝比奈さん。それ全くフォローになってませんから。 「まぁいいじゃないですか。一件落着ですよ」 くそっ、こいつに言われると腹立つな。 どうでもいいけどお前間違いなく開けるタイミング狙ってただろ。 「さて、なんのことでしょう?」 くそっ、いまいましい。 ハルヒいい加減正気に戻れ。 「わ、わかってるわよ。うっさい」 まぁいいさ。これでこの一件は無事に終わったってわけだ。やっぱりこういう世界が一番だな。 あんな悪夢のような時間は出来ればもう過ごしたくないものだ。 俺はここでこのSOS団のみんなと俺は楽しく過ごしていくさ。 だからそっちのSOS団もそっちで楽しくやってくれ。そっちの俺たちも仲良くな。頑張れよ、『俺』。 「とりあえず元気そうで良かったですぅ」 「安心した」 二人からちゃんとしたお見舞いの言葉をもらっていると、 「やっぱりキョンを雑用係にして酷使し過ぎたのがまずかったのかしらね」 だから自覚あるならやめろっての。 ハルヒは朝比奈さんが持ってきた俺へのお見舞いのメロンを食べ終えて言った。 ってお前、そのメロン全部食ったのかよ。それ俺のだろ? 「そうかもしれませんね」 古泉、お前思ってないだろ。とりあえずその手に持ったバナナの束を置け。 「だからキョンには新しい役職を与えて、雑用はみんなで分担することにするわね」 そう言ってハルヒはどこからともなく腕章とペンを取り出した。 って、どこから出したんだよ。ってかなんでそんな物持ってんだよ。 キュキュっとペンを走らせ、それを俺に突きつける。 「これでどう?嬉しいわよね」 渡された腕章には大きな字でこう書かれていた。 『団長付き人』 やれやれ、これからも大変そうだな。 今日からは俺も異世界人、これでSOS団の一員として新しくスタートってわけだ。 確かに向こうに行ってた時間は悪夢のような時間だったかもしれない。 けど、こうなってみると、この結果になったのは間違いなく異世界のおかげと言えるだろう。 異世界でのSOS団の出会い、ハルヒとの出会いがなければ俺はハルヒに告白なんてできなかったたろう。 ハルヒ。ひょっとしてこれもお前の望んだとおりの結果なのか? 異世界との交流を通して、俺に答えを出すことを望んだのか? まぁなんでもいいさ。 お前も望んでくれるなら、俺はいつまでもハルヒの隣にいたいと思う。 「ああ、ありがたく頂くよ。これからもよろしくな」 さて、これからはどんな新しいものとの交流が待っていることやら。 今から楽しみだぜ。 「ちょっとキョン!あたしのプリン食べたでしょ!?」 「いや、それ朝比奈さんが俺のお見舞いに持ってきたやつだから。しかも俺は食ってないぞ」 周りを見渡す。長門が食べていた。 長門はハルヒの方を向いて僅かだけ微笑みを感じさせる顔で言う。 「プリンくらいはあなたから貰ってもいいはず」 ◇◇◇◇◇ 最終章後編へ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4363.html
キョン「…ん」 会長「気がついたか?」 キョン「会…長…?」 会長「そうだ。ようやく起きたようだな」 キョン「・・・・・ハッ!長門は!?ハルヒは!?朝比奈さんは!?古泉は!?」 会長「落ち着け、古泉はそこでグッスリ寝ている。他の三人は喜緑君と向こうの部屋で寝ている」 キョン「…よかった」 俺は気を失う前の状況を鮮明に思い出してみた。 確か鬼道丸とかいう奴を見た瞬間に身体が動かなくなり、相手が俺を断殺する…と思いきや気を失い目が覚めたらここに寝ていたんだな そんなところだろう それはともかくとして、俺達はあの状況から一体どうやって助かったんだろうか? 会長「それは私にもよく分らんのだ」 キョン「助けてくれたのは会長じゃないのか?」 会長「ふむ、私は正直もう駄目かと思った。辞世の句が頭の中で流れた程だ」 キョン「なんだと・・じゃあ一体誰が…?」 会長「其れが良く分らんのだ。いきなり白い煙が私の視界を奪い、暫くして再び辺りが確認できるようになった頃には、あの紅の男も他の黒い服の忍び達も消えていた」 喜緑さん「そうなんですよ」 キョン「喜緑さん」 喜緑さん「安心して下さい。他の子達はまだ眠ってます。貴方は早起きさんなんですよ」 キョン「はは…しかしこれからどうするかな…この刀は相変わらず鞘から抜けないんだよな」 会長「…抜けないならやはり其れなりの理由がある筈だ。何もその刀を抜く為に行う方法が一つしかないとは限らない」 キョン「どういう事です?」 会長「相模の町外れ、刀匠の小屋よりも更に町の外れに天狗の森がある。」 キョン「それはこの前に話した…」 会長「そう、古泉が説明した森だ。相模天狗の森と呼ばれ町民は誰一人近づかないが、そこに住む『相模天狗』と呼ばれる仙人に話を聞けば何か分かるかも知れない。その刀の抜き方とやらがな」 キョン「なるほど…つまりそこに行ってみるのも一つの手という訳ですね」 古泉「僕は大賛成です」 うおっ!起きてたのか古泉! いつの間にかハルヒ達まで… …どこかで同じようなネタをやった気がしなくも無いが、そんな事は気にしないぜ 古泉「天狗の森に住む長は法力、仙力を司ると言われています。あるいわ、その刀を仙力で抜いて貰えるかもしれません」 ハルヒ「悪くない話じゃない。行きましょうよ」 みくる「で、でも…」 ハルヒ「どうしたのよみくるちゃん?」 みくる「昔母から聞いた事があります…相模天狗の森には強力な仙力で操られている『木人』達がいるって…」 古泉「僕も聞いた事があります。腕の立つ盗賊達が、相模天狗の森に存在する【天狗の宝】を盗もうと試みるらしいですが、何人も逆に命を落とすと…そのぐらい木人達は腕が立つらしいです」 みくる「ふええ…」 長門「大丈夫…」 キョン「…何故そう言い切れるんだ?」 長門「…いっくんがいるから////」 ハルヒ「…」 古泉「…」 キョン「…」 会長「…」 喜緑「…」 みくる「・・・・・」 ハルヒ「…そ、そうよ!古泉くんだっているし、アタシもそんな木の人形なんて瞬殺してやるわ!!」 キョン「だな!俺達なら大丈夫だ」 古泉「皆で力を合わせましょう」 一同『お―――っ!!!』 ハルヒ「…はぁ」 ん?ハルヒの様子が何かおかしいな・・・ ==安土城== 鬼道丸『……』 ???『不服か?鬼道丸』 鬼道丸『…貴方様を否定するつもりは御座いません。ですが、その考えは理解に苦しむ』 ???『フフフ…彼等にはまだ生きて貰う…私の楽しみを潰すな。影の軍上忍、鬼道丸よ』 鬼道丸『…』 ???『もし、どうしても彼等を斬りたいと御前が謂うのならば、私を斬って行くが良い』 鬼道丸『…御冗談を』 ==安土城==~無想の間~ 夢幻坊『何故止めたか…か』 鬼道丸『あの程度の剣術家は探せば幾らでも見つかる。ましてや忍者…』 夢幻坊『【あの御方】は昔から伊賀に異常なまでの拘りがある。それも理由の中の一つだろう』 鬼道丸『……剣の腕を磨き、剣の理を一つ知る度に【あの御方】が遠くなって行く。一つの段階を越えると、一歩遠くへ行く…そんな感覚……化け物めが…』 夢幻坊『信長様が蘭丸と同様に信頼を置く男だ。おそらく剣術に於いて右に出る者は居ないだろう』 鬼道丸『・・・・・私は…全ての剣術家を越える』 ==相模天狗の森、入口== キョン「しかし近くまで来てみると一層不気味な森だな」 古泉「この森から滲み溢れる力…なるほど、確かにこれでは誰も近づきませんね。案内御苦労です。会長と喜緑さん」 会長「うむ、私達はここまでだ」 ハルヒ「一緒に来るんじゃないの!?」 喜緑さん「そうしたいのはヤマヤマなんですけど、私達もやらなきゃいけないことがあるんです」 古泉「名探し…ですか」 会長「正確には記憶探しだ。今度は安芸の方まで行ってみようと思う」 みくる「見つかるといいですね・・・記憶」 会長「一度無くしたものはそう戻らん…だが精一杯努力はしてみるさ」 そう言って微笑んだ会長の顔は男の俺から見ても格好良かった 二人は歩いて去っていった 俺達は、二人の姿が見えなくなるまで手を振り続けた キョン「よし…行くか」 長門「…待って」 キョン「どうした長門?」 長門「…後ろから何か大きな力を感じる」 キョン「大きな力だと・・・・」 古泉「・・・どうやらあの方のよ・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・馬鹿・・・・な・・・?」 俺達が後ろを振り向くと、そこには一人の道士と思われる少女が立っていた ???「――」 ハルヒ「誰よアンタ?」 ???「――九曜――」 みくる「九曜さんですかぁ?」 九曜「――こく――」 俺は色々驚いていた まずこいつの服装だ。今までに古泉に似た服装の奴は何人か見てきたが、こいつは似てるなんてもんじゃない…そっくりだ そして髪が異常なまでに長い…顔は美人だが…ぐへへって何を考えているんだ俺は!! 古泉「…!!」 …? 俺は古泉の異常に気がついた 爽やかなこいつらしくない汗を書き、歯をガチガチと震わせている どうした古泉? 古泉「…森の中に逃げましょう」 …なんだって? 古泉「ですから森の中に早く行きましょう!!」 落ち着け古泉 森の中は危ないんだ。とりあえず皆の心の準備をだな 古泉『「そんなことを言ってる暇はないッッ!!!」』 とてつもなく大きな声に、俺達は驚いた ハルヒ「ど、どうしたのよ古泉くん…?」 みくる「ふ…ふええ…?」 長門「いっくん・・?」 古泉「あれは…ヤバいんです…僕は…僕は逃げなければ!!!」 ハルヒ「ちょっとキョン!古泉くんどうしたのよ?」 キョン「俺が知るか!ただ…あいつの表情を見る限りあそこにいる九曜って奴がヤバそうって事ぐらいだ。とりあえず古泉の言う通りみんなで森に行こう」 ハルヒ「でも森の中も危険って…」 キョン「お前らしくない言葉だなハルヒ…どうしたんだ?」 ハルヒ「えっ…!?なっなんでもないのよ!そうね、いつも冷静な古泉君がこんな風になるなんて異常だし、とりあえず皆森に逃げましょう!!」 みくる「ふええええ~心の準備が」 長門「…そんなこと言っている暇はない」 みくる「…はいぃ…」 古泉「こっちです!!」 先に森の中へと走り出す古泉。 俺達もその後について行った 九曜「――逃げ――た――?――」 涼宮ハルヒの忍劇13