約 3,071,739 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/21.html
ハルヒ「週末にスキヤキパーティーするわよ」 古泉「いいですね、僕は鍋を用意しますよ」 みくる「私はお野菜もってきますね」 キョン「野菜は多いですからね俺と分担しましょう、朝比奈さん」 長門「…肉、もって来る」 ハルヒ「じゃあ、私はたま…」 古泉「卵も僕が持ってきましょう」 ハルヒ「えっと、マロ…」 みくる「マロニーと蒟蒻は私が用意しますね」 ハルヒ「やっぱり白…」 長門「米…持ってくる」 キョン「やっぱ友達同士で持ち寄るってのはいいな」 一同「ハハハ」 ハルヒ「……」 ハルヒ「キョン、すき焼きするからお肉買ってきて」 キョン「…………」 ハルヒ「キョン!あんた人の話聞いてるの!?もういいわ、古泉君よろしく」 古泉「マッガーレ」 ハルヒ「…………有希、頼める?」 長門「だまれ」 ハルヒ「うっ…み、みくるちゃん頼める?」 みくる「なんであなたのいうことを聞かなくちゃいけないんですかー?」 ハルヒ「わかったわよ。私が行くわよ…ぐすっ」 バタン 古泉「マッガーレ」 ハルヒ 「ねえキョン、昨日私が言ったテレビの心霊特集見た? ほんと子ども騙しにも程があるわ! あんなの誰が見たって……」 キョン 「え、あ……いや、悪いな……見ようと思ったんだけど、妹怖がるから見れなかったんだ」 ハルヒ 「え……あ、ああ……そう……仕方ないわよね……」 キョン 「悪いな」 ハルヒ 「ん……別に」 キョン 「…………」 ハルヒ 「…………」 キョン 「…………」 ハルヒ 「…………………………………それでね」 キョン「あれ……? 古泉まだか……?」 ハルヒ「古泉君、なんか急にバイト入ったからこれないらしいわよ」 キョン「そうか、じゃあ暇だな…………そうだ、たまにはオセロしないか? お前とはやったことないよな?」 ハルヒ「……仕方ないわね、やってあげるわ、じゃあ負けたほうは罰ゲームね」 キョン「……キツイのは無しだぞ、いいな?」 ハルヒ「あら、キョンは負けるの怖いの? そりゃそうよね、キョンの頭で私に勝つなんて……」 キョン「フンッ、俺の秘技【四方返し】を見てもそんなこといってられるか? ……ちょっと待ってろ、用意するから……」 ハルヒ「ふーん、なかなか楽しませてくれそうね……!」 キョン「楽しむなんて生易しいもんじゃ……アレ……? ……あっ、オセロ昨日持って帰ったんだった」 ハルヒ「へ……?」 キョン「悪い、オセロねえや」 ハルヒ「…………」 キョン「……暇だな~」 ハルヒ「…………(ワナワナ)」 ハルヒ「あ~も~暇ね~……」 キョン「珍しく賛成だ」 ハルヒ「ん~……そうだ、キョン何か面白い話してよ」 キョン「……急に言われてもなあ……」 ハルヒ「別にいきなり面白いのじゃなくてもいいわよ、ちゃんと笑ってあげるから」 キョン「……」 キョン「……昔さ、俺んちの隣のおじいちゃんが死んじゃって……」 ハルヒ「アハハハッ!! それサイコー!!」 キョン「…………」 ハルヒ「アハ…………ハ」 キョン「…………」 ハルヒ「…………」 キョン「……ダメだ……」 ハルヒ「うっ……ひっく……ごめんなさい……ぐすっ……」 ハ「キョン、すき焼きするからお肉買ってきて」 キ「ああ…分かった」 ハ(珍しく素直ね…) キ「長門、行くぞ」 ハ「!?」 長「………(無言で頷く」 出て行く二人 ハ「………」 ハ「キョン、ガスコンロのガス切れちゃったから買ってきなさい」 キ「あぁ、分かった。長t ハ「有希は連れてかなくていいわよ!」 キ「………チッ」 ハ(露骨に舌打ち!?) ハ「キョン、スレ落ちそうだから保守してきなさい」 キ「あぁ、分かった。長t ハ「有希は連れてかなくていいわよ!」 キ「………チッ」 ハ(露骨に舌打ち!?) 長「……チッ」 ハ(こっちも!?) ハルヒ「ねえキョン、スキヤキしたあとご飯いれる派?」 キョン「ああ、うちは餅とかうどんも入れるな」 ハルヒ「あ! お餅入れるとおいしいわよね! 分かる分かる!!」 キョン「ああ、そうだな」 ハルヒ「………」 キョン「………」 ハルヒ「………」 キョン「………」 ハルヒ「…………………………………………………それでね」 キョン「ん……でも、やっぱりハルヒって料理うまいな」 ハルヒ「えっ……! あ……と、当然よ、当然! 私はキョンと違って万能型だからなんでもできて当たり前なのよ!」 キョン「………そういうトゲのある言い方やめろよ、せっかく人が誉めてんのにさ……あ~あ……誉めて損した」 ハルヒ「え……? あ……あ、その……」 キョン「………じゃあそろそろ帰るわ、長門、手伝ったほうがいいか?」 長門「大丈夫」 キョン「そっか、悪いな、じゃあな」 ――パタン ハルヒ「あ……」 長門「……もっと素直になったほうがいい……」 ハルヒ「…………そう……よね……ハァ……」 ハルヒ「ねえキョン、なんでみんな部室に来ないのかしら?」 キョン「・・・・・IEの履歴は消しといたほうがいいぞ」 「それじゃあな、ショタコン」 ハルヒ「ねぇキョン!卵の黄身と白身どっちが好き?」 キョン「何だいきなり」 ハルヒ「いいから答えなさいよ!」 キョン「・・・キミが好きだ」 ハルヒ「ごめん聞こえなかったわ、もう一回言ってくれる?」 キョン「キミが好きだ」 ハルヒ「私も好きよ!キョン!」 キョン「そうか、あの口の中の水分を根こそぎハンティングする感が大好きなんだよ」 ハルヒ「いや・・・そうじゃなくて・・・」 キョン「ん?じゃあなんなんだよ。お、長門~今帰るのか~?丁度良い、茶でも奢るからちょっと付き合えよ」 長門「コクリ」 ハルヒ「・・・・・・・」 長門「・・・・私は白m」 ハルヒ「聞いて無いわよ!」 キョン「俺はSOS団を辞めるぞーハルヒー!!」 ハルヒ「そんな!?あんたのいないSOS団なんて意味ないわ思い直してキョン!」 キョン「じゃあ、お前も止めろよ。そうすれば一緒だろ」 ハルヒ「それもそうね。あんた頭いいわね。 それじゃあ、早速生徒会に知らせてくるわ」 キョン「やったな!これでこの部室は文芸部のものだ。 あの訳の分からない同好会以下の部ともおさらばだぜ!」 長門「…ブイ」 古泉「まったくあなたも人が悪いですね」 みくる「古泉君も止めなかったじゃないですか」 古泉「それもそうですね」 キョン・長門・古泉・みくる「アハハハハハハハハッ」 ハルヒ「待ってててね。キョン今帰るからね!」 鶴屋「今日は私のおごりさ、がっつり食べてくれにゃ」 ハルヒ「ほら、キョンこれ焼けてるわよ!はやく食べなさい!」 キョン「かってに俺のさらに乗せるな、汚らわしい」 「あ、朝比奈さん、それハルヒがひっくり返したやつです、食べない方がいいですよ」 「おい古泉、それは俺が愛情こめて焼いてるやつだ、勝手に食うな」 古泉「だから食べるんじゃないですか、ああ長門さん、それ、涼宮さんが触ったやつですよ」 長門「・・・ありがとう」 ハルヒ「らんららんららーん♪キョン食べてくれるかしら、私のおにぎり」 ハルヒ「あっれー?おかしいな?にけやの袋しかないや、ま、いっか」 学校で ハルヒ「キョン、おにぎり作ってきたから一緒に食べなさい!」 キョン「どうしたんだめずらし・・・・おちょくってんのかお前」 ハルヒ「え、な、なに?」 キョン「脇で握られたちぢれ毛入りおにぎりなんて食えねーだろ」 ハルヒ「え、いや、脇でなんて、それに、いま冬だしえ、いや」 ハルヒ「さあ、出来たわよキョン。たらふく食べなさい」 キョン「…何だこれは」 ハルヒ「何って見て分からないの?蕎麦よ、そ・ば。 今日は暑いからざる蕎麦よ。あまりの美味さに昇天するわよ」 キョン「…お前の気持ちはよく分かったよ」 ハルヒ「??」 キョン「俺が蕎麦アレルギーだってことを知って蕎麦を用意したのか。 昇天か、あやうく殺されるとこだったぜ」 ハルヒ「え、ちが」 キョン「黙れ殺人鬼!もう金輪際俺にちかづくんじゃねえ!あばよ!!」 ハルヒ「あっ、キョン待って!」 ズルズルズル 長門「刻み海苔がない。わさびの風味も足りないこれは蕎麦じゃない」 古泉「さあ、出来ましたよキョンタン。たらふく食べてください」 キョン「…何だこれは」 古泉「何って、見て分からないんですか?蕎麦です。 今日は暑いからざる蕎麦です。あまりの美味さに昇天しますよ」 キョン「…お前の気持ちはよく分かったよ」 古泉「・・・」 キョン「俺が蕎麦アレルギーだってことを知ってそばを用意したのか。」 古泉「はい。知ってます。」 キョン「?」 古泉「キョンタンが蕎麦アレルギーということで、そば粉を使わずに蕎麦を作りました。 苦労したんですよ。」 キョン「古泉・・・・・・俺の為に・・・・・・」 古泉「さぁ、たらふく食べてください!」 キョン「うう・・・・・・ありがとう古泉・・・・・・」 ズルズルズル 長門「白くて蕎麦にしては太い。むしろうどん」 ハルヒ 「もぅ!男同士でこすったり、さわったりして!!何が楽しいの!!ニンテンドーDSいっしょにやろうよ!」 キョン 「それ以上大声で叫ぶな。お前がいう言葉はすべて卑猥に聞こえる」 古泉 「それに、われわれはニンテンドーDSなんかしてませんよ。キョンたんをこすったりさわったりして遊んでいるんですよ」 ハルヒ「!! ちょっと・・・私の机とイスがないじゃない!」 ハルヒ「ねぇ朝倉さん、私の机がないんだけどどうにかしてよ。」 朝倉「うん、それ無理。」 ハルヒ「無理って・・・、あんた学級委員長でしょ!」 朝倉「死になさい。」 ハルヒ「・・・・・・」 ハルヒ「シャミセン~~~、ほれほれ~」 シャミセン「にゃ~」 ハルヒ「こっちこっち~~」 シャミセン「にゃーにゃー」 ハルヒ「やっはりあげなーいっ!」 キョン「おい、あんまいじめんなよ」 シャミセン「シャー!!」 ハルヒ「キャー!」 キョン「おい、ぱ、パンツ見えてるぞ…///」 一応いじめもののつもりだ ハルヒ「みんな!今度の日曜日に探索に向かうわよ! もしかしたら宇宙人とか何か出るかもしれないわ!」 みくる「こいつはくせぇッー!電波のにおいがプンプンするぜッーー! こんな電波には出会ったことがねえほどなァーーーッ 七夕で電波になっただと?ちがうねッ!!こいつは産まれてついての電波だッ! キョンくん 早えとこ病院に渡しちまいな!」 ハルヒ「な、そこまでいう必要ないじゃない!有希ちゃんは来るでしょ」 長門「これは試練だ 電波に打ち勝てという試練を受け取った」 ハルヒ「ひ、酷い みんなして酷いこと言わなくてもいいじゃない」 キョン「おい!これじゃあまりにもハルヒが可哀想だろう! 確かにハルヒは電波だがここまでいう必要がないじゃないか!」 ハルヒ「キョン…、それじゃ来てく【キョン】「だが断る」 部室から出て行く部員達、残されたハルヒ ハルヒ「私が何をしたっていうのよ・・・」 古泉「なんていうか……その… 下品なんですが…フフ…… 勃起………しちゃいましてね…………」 みくる「おめーなにキョン君たぶらかしてんだよーああ?!」 ハルヒ「すいません、私は恋しちゃだめってことですか?・・・・」 みくる「恋するなとは言ってないだろうが!!だったらキョン君以外でしろ!!わかったな!!」 ハルヒ「・・・・・・・はい」 みくる「明日も虐めてこいよ!!か弱い女の子に男は弱いんだからな!!」バタバタバタ ハルヒ「はい・・・・」 ハルヒ「キョン・・・・・・・・」 ハルヒ「やめて!電源コードを鼻にささないで!!」 みくる「ふふふ、いくわよ?スイッチ…」 ハルヒ「やめてえええぇぇぇ」 みくる「オン!!」 かちっ みくる「あばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば」 ハルヒ「ひ、ひゃあぁぁあああ」 キョン「ハルヒ・・・お前に言っておくことがある」 ハルヒ「なによ」 キョン「オレは阪中さんのことが好きだ」 ハルヒ「!?と、ととと突然なに言い出すのよ!」 キョン「オレは本気だ。2番目は朝倉だ。それはどうでもいいんだが、 どうしたら彼女と付き合えると思う?」 ハルヒ「あ、あんたなんかがあの子と釣り合うワケないでしょ! なんたって相手はお嬢様よお嬢様!顔だってかなりかわいいし!」 キョン「わかった。お前はアテにならなさそうだ。他をあたってみる」 ハルヒ「ちょ、ちょっとキョン!どこ行くのよ!」 キョン「ちなみにハルヒ、お前は12番目に好きだ」 ハルヒ「・・・・・・・・」 ハルヒ「ちょっとキョン!あたしの日記見た!?」 キョン「黙れよ切れ痔女( ´,_ゝ`)」 ハルヒ「き、ききききき切れ痔じゃないわよ!キョンのバカあぁぁぁぁっ!」 ハルヒ「うわあぁぁ~ん!」 キョン「じゃあ俺が痔を治してやるよ」 ハルヒ「へっ?何を言って…きゃあ!ちょ…やめ…」 キョン「へへへ…なかなか綺麗なケツしてるな」 ハルヒ「アナルだけは!アナルだけは!」 ハルヒ「ちょっとキョン!あたしの日記見たでしょ!? …見たんでしょ? 白状しろ~~~」 キョン「……いや…(お前に)興味無いし…帰るわ」 ハルヒ「ちょっとキョン!あたしの日記み、見た!?」 キョン「えぇ、机に置いてあるあれ朝比奈さんの日記じゃなかったのか!?」 ハルヒ「やっぱ見たのね。この覗き魔」 キョン「プッ、お前の日記だったのあれクククッ…アハハ」 ハルヒ「何よ?笑われる内容は書いてないわよ、団長日誌なんだから」 キョン「ハハハ、だって乙女チックな文字にクマやウサギの手書きイラストだぜ」 ハルヒ「なっ、何よっ!!私だって女の子なんだからねっ、バカキョン!!」 長門「…かかと落とし!」 みくる「ふみゅ~~、ぃたいです~~」 古泉「ははは、空中モトヤチョープ!」 ハルヒ「ちょっ、ちょっと何すんのよ!!!」 ………… キョン「ハルヒ、空気読めよ…って言うだけ無駄か」 みんな「あはははははははは!!」 ハルヒ「うぇ~ん、腫れてるよ…」 ハルヒ「キョン、私の気持ちに気付いてくれるかな?」 長門「…それはない」 みくる「何ねぼけたこと言ってるんですかぁ?」 古泉「今日は差し入れを持ってきました。フンモッフベーカリーのカレーパンですよ。」 みくる「わぁ、知ってます。あそこのカレーパンって並ばないと買えないほど人気なんですよね。」 古泉「あそこのパン屋の主人とは古い付き合いでしてね、特別にとっておいてもらったんですよ。 さぁキョン君、どうぞ。」 キョン「あぁ、悪いな。」 古泉「朝比奈さんもどうぞ。」 みくる「はい、ありがとうございます。」 ハルヒ「気が利くじゃない古泉君!」 古泉「長門さんも。」 長門「・・・・・・」コクッ キョン「あれ?古泉、お前の分は?」 古泉「ちゃんと人数分買ってきたんですけどね・・・あ、気にしないでください。」 キョン「たぶんこの中にあつかましい奴が一人いるんだろうな。」 みくる「・・・・・・チラ」 長門「・・・・・・チラ」 ハルヒ「・・・・・・・あの、古泉君、私お腹いっぱいだから・・・・。」 ハルヒ「東中出身、涼宮ハルヒ。ただの人間には興味ありません。 このなかに宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら あたしのところに来なさい。以上。 あ、あと水虫です。」 一同「触んなや。」
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3178.html
ハルヒによってSOS団に引きずりこまれてから一年が経過しようとしていた。 今ではもうすっかり未来人、宇宙人、超能力者、そして神様と一緒に過ごすことに慣れてしまった。 周りからは既に俺も変人軍団の仲間として見られるようになっていた。 まあそれでもいいと思っていたし、この非日常な存在に囲まれた日常を享受し続けるのもいいと思っていた。 だが、変化っつーものは突然やってくるもんなんだな。 その変化は、例によっていつものように、ハルヒから始まった。 朝、俺はダルいハイキングコースを昇りきり、学校へと辿り着いた。 あんだけ長い坂を歩くんだから、校門で飲み物の支給ぐらいあってしかるべきだと思うんだよな。 まあそれはいいとして、いつものように教室に入り、いつものようにハルヒに声をかける。 「よう。」 「……おはよ。」 だがハルヒの返答は、いつもの30%程度の元気しか無かった。 なんというか、SOS団を作る前の雰囲気に似ている。 「どうした、元気無いように見えるが。」 「……別に。」 全然「別に。」じゃないな。だがこれは触らぬ神に祟りなしな雰囲気だ。 こちらから下手にツッコむのはやめた方がいいな。くわばらくわばら。 「ねえ。」 と、触れないぞと俺が決心したと同時に、ハルヒが声をかけてくる。 結局、祟りは俺に来るんだよなあ。 「アンタ、確か2時間目体育でマラソンよね?」 「ああそうだ。今から憂鬱で仕方が無い。雨でも降ってくんないかねえ。」 ハルヒはそれを聞くと、不敵な笑みを浮かべた。 「降らせてあげようか。」 え? 今の言葉に俺はギョッとした。 何故ならコイツは、マジでそうすることが可能だからだ。 最も、コイツ自身は自分にそんな能力が備わってることは知らない。知らないはずだが…… 「何変な顔してるのよ、キョン。」 え?あ、すまん。ちょっとボーっとしていたようだ。 降らせてくれるのか?出来るなら頼みたいものだ。 「バーカ、冗談よ。あたしにそんなこと出来るわけないでしょ?」 そう言ったハルヒはいつもの笑顔だった。 俺の考えすぎか。そうだよな、コイツはただいつものノリで冗談を言っただけさ。 だが、2時間目。 「おい……マジかよ。」 つい20分前には雲1つ無い快晴だったはずだぞ? なのに何故、今外は大雨になっているんだ。 いくら急な天気変動と言っても限度を超えている。こんなことが出来るのは一人しかいない。 「すごい雨ねえ、キョン。」 ハルヒは笑っていた。まるでその光景が当然であるかのように。 「ハルヒ、まさかお前が……」 「はあ?何言ってるのよ。あ、まさかさっき言ったのを本気にしたの?」 「だが……」 「バカ言わないでよ。あたしにそんなこと出来るわけないでしょ?」 ハルヒは静かに笑った。だがその笑みはいつもの無邪気なものではなかった。 そう、全てを把握した上で、それを楽しんでいる笑み。 「ただの偶然よ。ただの、ね。」 俺は理解した。どんないきさつがあったかは分からない。 だがコイツは……涼宮ハルヒは、知ってしまったんだ。自分に関する、全てを。 続く
https://w.atwiki.jp/twitwi_pri/pages/19.html
完結作品 間違いだらけの文化祭 /キョンと佐々木の中学での文化祭の話 Am I father ? /キョンと長門が朝倉を育てる話。いい話だ。 涼宮ハルヒの軌跡 /ハルヒが力を自覚している世界で、キョンと二人でSOS団のメンバーに接触していく話。いかにSOS団が奇跡的な存在かを描く。とくに伏線や展開が凄い、というわけではないが、話が読みやすくまとまっている。それぞれのキャラについて掘り下げている。面白くもあり感動もできる、と個人的には高評価の作品。ラストのキョンのちょっとした妄想がいい味だしてます。 涼宮ハルヒの微笑 /数年後、ハルヒが原因不明の病に倒れるところから始まる。ハルヒを救うためにキョンが時を越え奔走する話。長編ながら多くの伏線をはり、見事に回収していく。そのためか多くの人気を得ている。なので話の展開は非常に巧妙になっていてとても楽しめる。 Short Summer Vacation /キョンが死ぬことから始まる物語 涼宮ハルヒの奮闘 ~しっと団の野望~ ―from 涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki /気休めに。ハルキョン、古長にしっとする話。一人身万歳。 長門有希の喪失 朝比奈みくるの最後の挨拶 古泉一樹の親友 ―from From dusk till dawn "三丁偏愛" /三部作。それぞれの別れ?とその後を描いており、小作品ながらうまくまとまっている。 長門有希の暴走 長門有希の暴走-消失 ―by 6-555氏 from 涼宮ハルヒのSS保管庫 予備 /人気作。キョンが長門と関係をもった場合の「涼宮ハルヒの消失」を長門視点で描いていく。暴走-消失は、暴走の設定での消失世界の長門視点での物語。どちらも長門の心情、とくにキョンへの思いを強く描いている。とくに暴走-消失では切なくて感動してしまう。 非単調ラブロマンスは微睡まない ―by kobuneno from ノドアメ /鶴屋さんssの最高峰。とある平行世界で鶴屋さんとラブラブする話。鶴屋さん好きにはたまらない。 作家のキョンと編集者佐々木 ―from 佐々木ss保管庫 /タイトル通りの作品。安心して読める。 朝倉涼子の再生 ―from Novel Station Neo by 仮帯 /朝倉ss。分裂自己解釈アリ。喜緑、長門とともに朝倉の教育を行う。自己解釈だが、うまくまとめてある。 短編 ハマるな危険 /朝倉さん 未完?作品 ループ・タイム ループ・タイム――涼宮ハルヒの憂鬱―― ループ・タイム――涼宮ハルヒの溜息―― ループ・タイム――涼宮ハルヒの消失―― ループ・タイム――涼宮ハルヒの陰謀―― ループ・タイム番外編――雪山症候群―― ループ・タイム番外編――エンドレス・エイト―― ―by 25-41様 from 2chエロパロ板SS保管庫 /気楽に読める作品。原作再構成。目が覚めると一年前だった。 ガール・ミーツ・ガール ―from 涼宮ハルヒのSS in VIP@Wiki /キョンTSもの。女キョンはいいやつ。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/568.html
今の季節は秋。 ある日、いつものように学校を終わらせ、SOS団室へ向かった。 ノックしたが、反応も無い…。 俺は、迷わずドアを開けた。 中に入ると、目の前にハルヒが寝てる。 うむ、道理で返事してなかった訳か…。 「全く…起こすか…」 少し溜息しながらハルヒを起こそうと…思ったのはいいが…。 俺、疲れてると思う。 想像してくれ、寝てるハルヒの後ろに本物の尻尾が生えてるし、頭に本物の猫耳が出てるし、おまけに猫耳がピクピク動いてる。 近くに、水無いのか? 周りを見ても無いので、便所へ行って顔洗い、戻って見ると…やっぱ猫耳と尻尾がある。 これは、どうしたものが…幻覚か!? 長門は、いない。 古泉は、いない。 朝比奈さんは、いない。 …そういえば、3人は用事があったな。 この状況はどう把握すればいい!? 助けて!スペランカー先生! …にしても、起こすべきか?起こさないべきか? もし起こしたとすれば、猫並みに行動するのかもしれない。 いや、ハルヒの事だからな…するに決まってるだろうな…。 えぇい、起こすしかないのか! 「おぃ、ハルヒ…起きろ」 「フニャ?あ、あれ…キョンじゃないニャ」 嘘だろ!?口調も変わってるし! 「ふにゃぁ…って、あれ?何か口調が変だニャ」 これは、ハルヒに知るしかないな。 「ハルヒ…落ち着いて、深呼吸してくれ」 「え?何でニャ?」 いいから、しろよ。 「スー、ハー、スゥー、ハー…したニャ」 「よし、鏡を見ろ」 俺は、どこから取り出したが知らないか、大きな鏡を持って来て見せた。 「…何これ?」 俺に聞くな…俺も頭を抱きたい。 「もー!取れないニャ!どうなってるニャァ!」 俺も言いたいわ!どうなってんだぁぁぁぁぁ… 「ハッ!古泉や長門がここにいなくでも携帯があ…」 しまったぁぁっ!携帯は家に忘れたーっ! 何で事だ…昨日、電気が切れたので充電してたのだ。 それを忘れるなんで…。 落ち込む俺の前にハルヒがいる。 「さっきから、態度が激しいけど…大丈夫かニャ?」 ヤ、ヤバイ…今回のハルヒは可愛すぎる!? 「だ、だ、だだ、大丈夫だ!そぅ、大丈夫だ!はっはっはっはっ…」 俺は、誤魔化しながら部室から出た。 「キョン、どうしたニャ?」 ハルヒは、首を少し横に傾いて、頭の上に?のマークが出る。 ヤベェ、理性が暴走する所だった。 「くそ!誰がやったんだ!」 本当に苦悩してしまう。 ん、待てよ。 ハルヒの能力って確か…どんな願いでも必ず叶えてしまう能力あったな。 バァン! 「うにゃぁっ!」 俺は勢いよく扉を開けたせいで激しく驚いたハルヒがいた。 「ハルヒ、猫になりたいと言う願いあったのか?」 「そういえば、そうニャねぇ…そう思ってたニャ」 やっぱし…こいつの願いのせいで…。 でも、本当によく出来てるなぁ。 俺は猫耳を触れた途端。 「フニャァ、触るなニャ!」 ど、どしたんだ!ハルヒ!? 「そ、その…感じたニャ…」 うむ、そこも完全に猫になってるのか…。 だったら、顎と喉の辺りにを触れたらどうなるのかな? 「ふにゅぅ、気持ちいいニャァ…」 ほほぅ、可愛いなぁ…。 「って、さ、触るなニャ!」 あ、照れた。 よし、色々やってみよっと。 「ちょ、や…やめ…」 ――30分後 「……」 「フン!」 「…痛いんだけど、ハルヒさん」 「知らないニャ!」 俺の体に引っ掻かれた後があり、服もボロボロになった。 全く、引っ掻く事は無いのだろう…いや、俺も悪かったな。 「でも、気持ち良かっただろ?」 「し、知らないニャ!」 ハルヒは俺を見ずに言う。 「だけど、尻尾だけは素直だぜ」 そぅ、ハルヒの尻尾は大きく振っていた。 「な、何をバカな事を…」 「猫の尻尾は感情表れやすく、大きく振れば嬉しい。怖い時は引っ込む。警戒する時は尻尾か立つ…だったな」 「~~~!」 流石、ハルヒは反論出来ないみたいだな。 さて、これからはどうするか…。 このまま出たら、バレそうだな。 どうしたらいいのやら…。 「ハルヒ、取りあえず、尻尾だけは隠しとけ」 「分かったニャ」 俺は、部室から出て、この後どうするべきかを考えた。 まず、ハルヒを俺の家へ連れて行って…古泉か長門どっちが電話するしかないな。 はぁ、何か疲れたよ…。 俺は、大きく溜息した。 これからの目的をハルヒに伝えといたが…。 ハルヒが慌てたり嫌がったりゴロゴロと態度を変わってるのが面白かった。 「さ、帰るニャ」 漸く、落ち着いたようだ。 この後…俺達は、部室を後して学校へ出たのはいいか…緊急事態だ。 何故なら、俺達が歩いてる時に後ろから声が聞こえた。 「やっほー、キョン君とハルにゃん!」 鶴屋さんがやって来たのだ。 「あ、こんにちわ」 「キョン君とハルにゃん、今から帰るのかぃ!」 相変わらずハイテンションな人だな。 きっと、悩み事は無いのだろう。 「え、えぇ…そうです」 「おや、ハルにゃん!何この猫耳は?」 「……」 あ、ハルヒが真っ赤になって黙ったまま俯いてる…。 「んー、どうしたのかぃ?ハルにゃん?」 そうだ、誤魔化さないと。 「あ、ハルヒはですね…昨日、カラオケしてたので、喉が痛んでるんで…あぁ、これは罰ゲームですから」 「あー、そうかぃそうかぃ!私はでっきり、キョン君が何か変な事したんじゃないかと思ってて!」 うっ…これは痛い。 痛恨の一撃だ…。 「す、する訳無いですよ!」 「あー、あっやしい!」 と、ケラケラ笑う鶴屋さんが言う。 からかないで下さい鶴屋さん。 さっきまでは本当に大変なんですよ…。 「じゃ、二人とも、まだねぇ!」 はぁ、さっきより疲れが来た…。 俺は、横目でハルヒを見た。 まだ真っ赤になって俯いてるな。 俺もだけど。 「やれやれ…」 そして、帰路を歩いてる途中、まだ誰が来た。 「WAWAWA、忘れ物~」 ちっ、谷口かよ、こいつはチャックを開ける事が多いから「チャック魔」と呼ばれる可哀相な男だ。 「…うぉぅ!?キョンか…」 何だ、今の安心したような顔は…。 「いやー、実はさ…さっきナンパしたけどな…って、おわっ!?ハ、ハルヒ!?」 おぃ、気付くの遅いわ! 「キョン、これは新しいコスプレなのか?」 どこがコスプレに見えるんだ…。 「ネコ耳ねぇ、尻尾もあるのか?」 さぁ、自分で調べてみろ…殺されるぞ。 「え、遠慮しとくわ」 立ち去ろうとする谷口、腰抜けめ! 「あー、谷口」 「な、何だ」 「言おうと思ったけど、チャック閉め忘れてるぞ!」 「って、おわっ!マジかよ!?」 「あと…後ろ歩きしたら、危な…」 「おうわぁぁぁ…」 遅かったか…。 後ろにマンホールの蓋が外れてるから落ちるぞと言おうとしたのに…遅かったか。 「キョン!それを早く言えぇぇぇ…」 俺は谷口を救ってやりたい所だが…日々の恨みあるので無視しよう。 谷口を放って置いて俺の家に帰った。 さて、家に帰ったのはいいけど…生憎、親が居ないので助かった。 妹?アイツなら、野外活動へ行ったぞ 「あー、キツかったニャ…尻尾を隠すのにキツかったのニャ」 やっと、喋ったな…ハルヒ。 「ハルヒ、風呂沸いたから…風呂に入れ」 「うん」 ふぅ…流石に疲れた。 あ、これで言うの3回目だっけ? まぁ、いい…古泉に電話しとかないと… 「…ョン、キョン!」 「うぉわ!?ハ、ハルヒが…どぅ…」 俺の目の前には、全裸のハルヒがいた。 それは、どういう事だ。 夢なのか!夢なのか!? 「風呂の湯、熱くで入れないニャ!何とかしてニャ!」 「そ、そそ、それは分かったけど…お、おおお、お前…ま、前隠せよ!」 「え?」 ハルヒは、自分の体を見て、顔真っ赤になった。 「ニャァァァァァァァァァ…」 ハルヒの悲鳴は家中に響いた。 ――数分後 ……。 「ゴメン、ゴメンなさいニャ!」 俺は、怒ってるぞ…ハルヒ。 「あまりにも熱さで忘れてたニャ!」 へぇへぇ、そうかぃそうかぃ。 「ちょ、ちょっと聞いてるニャ?」 皆さんに、状況をお知らせしよう。 ハルヒは悲鳴を上げた後、俺の顔に引っ掻かれ風呂場へ逃げ出した。 で、ハルヒが風呂上がった後、自分で何をしたかを把握し謝ってる所だ。 「…で、どうすんだ?この傷はよ?」 「えっと、それは…その…」 戸惑うハルヒって可愛いな。 まぁ、許してやるかな。 「あー、分かった分かった。許してやるよ」 「え、本当?」 目を輝いて、尻尾を大きく振ってやがる。 「取りあえず、腹減ったな…」 今の時間は、もう7時過ぎてる。 夜食を出していい時間だろう。 「あ、あたしが作ってやるニャ!」 ハルヒは、そう言って台所へ向かった。 何分経ったのだろうか。 物音が聴こえない…まさかと思って見てみると。 ハルヒは、よだれを流しながら魚をずっと見てた。 「おぃ、ハルヒ…何やってるんだ」 「え?うわっ!はははは…つい魚を見てると食べたくなるニャ」 こりゃ、猫の本性だな。 「魚は俺がやるから、それ以外のを作れ」 「わ、分かったニャ」 さて、古泉と長門に電話するか。 俺は電話を掛け、古泉に電話した。 「もしもし、カメさん、カーメさんよー」 くだらん事言うな。 「あぁ、面白くなくて、すみませんね」 そんな事より、聞いてくれ。 「はい」 俺は、今までの出来事を説明した。 「…と言う訳だ」 「確かに、涼宮さんの願いによってこうなったと思いますね」 お前も思ってたのか。 どうすればいい。 「キスする事しかないですね」 ふざけるな。 「冗談ですよ、涼宮さんの願いを変えればいいんですよ」 あぁ、その手があったのか。 「と言う訳で、言いたい事は終わりです。では」 お、おぃ!…切りやがった。 明日でも会って殴る事にしようか。 次、長門に電話するか。 「…もしもし」 おぃおぃ、電話を掛けてから1秒も経ってないのに早いな。 「よっ、実はな…」 「状況は把握してる…」 それなら、説明しなくてもいいんだな。 「だったら…」 「あとは、あなたに任せる…おやすみ」 ちょっ…切りやがった…。 ってか、早い会話だったな、おぃ…。 明日でも軽く説教したい気分だぜ。 俺がブツブツ言ってる間に、ハルヒが来た。 「ご、ご飯出来たニャ…」 そんなに顔赤らめても困りますけど。 後は、俺が魚を焼くだけでやっと食べれる。 さっきから、台所の入り口から物凄く見られてるような気がするが…気のせいだと思うことにする。 「ほれ、出来たぞ」 「ゴクッ…」 …ずっと、魚を見てるな。 まぁいい、食べるか。 「いただきます」 「いっただきまーすっ!」 俺は呆然してしまった…何故なら。 合掌した後、すぐに俺の魚を奪いやがった。 「おぃ、ハルヒ…それは俺の物だぞ」 俺は、箸で魚を取り返そうとしたが…手に引っ掻かれた。 ハルヒは、フーーーッと言いながら尻尾立ってた。 あぁ、尻尾立ってるって事は、警戒してるってか。 「はぁ…やるよ…」 ハルヒの態度がゴロッと変わった。 「ありがとニャ!」 魚を奪いやがって…あぁ、いまいましい、いまいましい、いまいましいっ! こうして、夜食が終わった。 ハルヒよ、魚の恨み忘れんぞ。 この後、ハルヒがシャミセンと喧嘩したり、意味も無く壁を引っ掻いたりするから大変だった。 本人は無意識でやっただけらしい…本当に猫の本性を発揮してるみたいだな。 そして、寝る時間になった。 「なぁ、ハルヒ…元の姿に戻りたいと思わないか?」 「んー、戻りたいと思ってるニャ」 なら、簡単だな。 それにしても、何故、猫に? 「なぁ、一つだけ言っていいか?」 「何ニャ?」 ちょとんとするハルヒもまだ可愛いな。 「何故、猫になりたがったのだ」 「んー、猫になれば新しい発見出来るかなと思ってたニャ」 なるほど、単純な考えだ。 「それに…」 それに?何だ。 「あ、な、何でもないニャ!」 「そうか…」 俺は、牛乳入ってるコップを飲み干した。 ふぃー…美味! 「あ、キョン…口の辺りに牛乳が付いてるニャ」 「お、スマンな…」 ティッシュで拭こうと思った瞬間、ハルヒが信じられない行動をした! ハルヒが俺の顔に近づいて、口の辺りに付いてた牛乳を舐めたのである! 思わず、手で口を塞いだ。 「な!ななななななな…」 「あ!ゴ、ゴ、ゴメンニャ!も、もう寝るニャ!」 ハルヒは、素早く俺のベッドへ行き毛布を被って寝た。 俺は、石化してしまった。 翌日、ずっと固まってた俺はやっと動けた…。 「眠い…」 何でこった…昨日からアレのせいで石化してしまったとは…。 洗面所から出た途端、二階から何やらドタバタと聴こえる。 「キョン!猫耳と尻尾が無くなったわよ!」 ほぅ、それは良かったな。 「やったーやったー!」 子供のようにはしゃぐハルヒである。 「さて、朝食作るか…」 「あ、キョン、お礼に朝食作るから…その間寝ていいよ」 おー、スマンな。 ハルヒの手料理はおいしいからな。 「それに、昨日はゴメンね」 分かってるさ、アレは猫の意識だと言いたいのだろう。 さぁ、寝るとするかね。 キョン、ゴメンね。 本当は、あたしの意識でやっただけだからね。 お疲れ様…キョン…。 あたしは、嬉しくて料理いっぱい作っちゃった。 キョンって、全部…食べてくれるのかな? そう思いながら、キョンを起こしに行った。 「起きなさい!キョン!朝食よ!」 シャミセン「ニャア?」 完 「あれ?私の出番、無いんですかぁ~酷いですぅ~」
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3670.html
5.選択 翌朝、俺は重い足取りで学校に向かっていた。 意味もなく早朝登校を続けているので、まだ他の生徒は見あたらない。 学校を休んでハルヒについてやりたいとも思った。 しかし、ハルヒの目覚めに立ち会う勇気がなかった。 目が覚めたとき、ハルヒは俺をわかってくれるのか? それを考えると、とてもハルヒのそばには居られない。 前日、古泉と「諦めるわけにはいかない」と話し、家でもずっと考えた。 しかし、いい案が浮かぶ訳もなく、良く眠れないまま朝が来てしまった。 諦めたくはないさ。 でも、もうできることなんかないんじゃないか。 絶望にも似た気持ちで、学校へのハイキングコースを上っていった。 「今なら話を聞いてくれるかしら?」 「消えろ」 橘京子が再び現れた。俺は目を合わす気すらない。 うるせぇ。お前と話すことなんかこれっぽっちもねぇ。 「涼宮さんを助けたいんじゃないんですか?」 「消えろと言っている」 「もうっ 話くらい聞いてくれてもいいじゃないですか!」 橘は俺の後を追ってくる。うっとうしい。 「わたしは涼宮さんを助ける方法を知っているんです!」 そのセリフに俺はぶち切れた。 「ふざけんじゃねぇ!! そもそもハルヒが倒れたのはお前らの仕込みだろうが!!!」 気がつくと橘の襟首を掴んで怒鳴りつけていた。 しかし、橘は笑みをたたえたまま、余裕の表情で続けた。 「それは誤解です。私たちは涼宮さんに何もしていません」 「それを俺に信じろと言っても無駄だ」 どう考えたってこいつらの仕業だ。 「仮にそうだったとしても、今となっては涼宮さんを助ける方法は1つだけです」 「……言ってみろ」 こいつの言うことを聞くのは癪だった。 ハルヒを、俺たちをここまで苦しめやがったこんな奴らの手は借りたくない。 だが、今はハルヒを助けることが先決だ。どんな借りを作ったとしてもな。 「簡単なことです。涼宮さんの力を使えば助かりますから」 相変わらずの笑顔でしれっと言う橘を殴ろうとする、俺の右手を必死で押しとどめた。 ハルヒの力だと? そりゃ、長門をして情報統合思念体を消させるハルヒの力だ、 ウイルスレベルの宇宙的存在を消すのは簡単だろう。 だが、ハルヒ自身がそれを知らない。 もしかしたら無意識に自分の緊急事態を察して使うかもしれないが、あてにはできない。 かといって、自覚させるわけにも行かない。 そもそも、誰の声も届いていない今のハルヒに自覚させることすらできないだろう。 「だが、ハルヒは意識的に力を使える訳じゃない」 そんなことはこいつだってわかっているだろうが。何なんだよ一体。 「ええ、ですから意識的に力を使える人に使ってもらえばいいんです」 ……機関のような組織の人間は回りくどい表現が好きなのか? 「はっきり言え」 「判ってるんでしょ? 涼宮さんの力を佐々木さんに渡せば、佐々木さんが助けてくれます」 「ふざけるな」 やはりそれが目的か。畜生、ぶん殴ってやりてぇ。 目で殺せるなら殺してやるくらいの憎しみを込めて、橘を睨み付けた。 橘は俺の視線を平然と受け止めて言った。 「でも、今となっては他に方法がないですよ。時間もありません」 悔しいが橘の言うとおりだ。 さっき思った通り、ハルヒを助けることが先決だ。 ハルヒさえ助かれば……。 「佐々木はこの話を了承しているのか」 聞くと橘は目を伏せて言った。 「いえ、今回の話を佐々木さんは知りません。でも、言えば了承してくれるはずです。 佐々木さんはそういう人。あなたも知ってるでしょ?」 そうだ、佐々木は人が苦しんでいるのを放っておく奴ではない。 だが、以前佐々木はこんな力を持つことは望まないと言っていた。 それを押しつけてまで佐々木に頼るわけにもいかない。 そんな俺の心を見透かしたように橘は続ける。 「佐々木さんが力を持つことを望まないなら、佐々木さんは涼宮さんに力を返すでしょう。 すべてが終わった後にね」 相変わらずの笑顔で俺を見続けている橘。 俺は悩んだ。それしかないのか? はっきり言って、1から10までこいつに踊らされている気がして癪にさわる。 だが、俺はハルヒを助けたい。 佐々木が力を受け取った後にハルヒに返すかどうかはわからんが、それでもいいんじゃないか? ハルヒの力がない方が、世界も安定するんじゃないのか? ふいにそんな考えまで浮かんできた。 いや、俺はどうかしてるぞ。それでいいはずがないじゃないか。 しかし、どうすればいい? 今日にもハルヒは目覚める。目覚めたとき、ハルヒは何者かに変わっているかもしれない。 俺はどうする? ハルヒに会いたい。 教えてくれ、ハルヒ。 俺はどうすればいい? 心を決められないまま、俺は口を開いた。 「……お前の言うことはわかった。俺は……「ダメですよっ!!!!」 いつもなら力の抜けるような高い声に、今日は鋭く遮られた。 「朝比奈さん!?」 我がエンジェル朝比奈さんが、目にいっぱい涙をためて俺を睨み付けていた。 「ダメです、ダメだったらダメです!!!」 マンガのように俺をぽかぽか殴りつけてくる。 俺は状況を理解できなくて戸惑っていた。 「えーと、朝比奈さん、何でこんな早くにここに居るんですか?」 「それは今日この時間に……いえ、何でもないですっ! 禁則事項ですぅ!」 なるほど、朝比奈さん(大)あたりから指令が来たのだろう。 そこまで言えばわかってしまうんですけどね、朝比奈さん。 俺は苦笑しながらも言った。 「俺はまだ何も言ってないんですが、何がダメなんですか」 俺が言うと橘が口を出した。 「朝比奈みくるさんは、涼宮さんを助け出す良い案を持っているんですか?」 相変わらず余裕の笑みだ。むかつくぜ。誘拐犯のくせに。 「そんなのありません! でもダメです!」 朝比奈さんは必死に言う。いや、だから俺はこれからどうするつもりなのか言ってないんですが。 「キョンくんは橘さんたちに協力するんですか! そんなのダメですっ!」 ダメの一点張りだ。 「いや、俺はまだ協力するとは言っていませんよ」 何とかなだめないとな。第一、俺はまだ協力する気にはなっていない。 実を言うと、佐々木に会ってみようと思っただけだ。 そう言うと、朝比奈さんは激しく首を横に振った。 「だからそれもダメです! キョンくんは涼宮さんのそばに居ないとダメなんですっ!」 俺は呆気にとられた。ここまで強硬に言い張る朝比奈さんは初めて見た。 一体どうしてここまで言い張るんだ? 「あら、それで涼宮ハルヒが乗っ取られるのを黙って見てろって言うんですか?」 橘がむかつく笑顔で言った。だが、橘の言うとおりだ。黙って見てるだけ何てできない。 「まだ、できることがあるはず。キョンくんならできますっ」 そう言うと、それまでこらえていたのだろう涙がボロボロとあふれてきた。 それは買いかぶりです、朝比奈さん。 しかし、何で今日はここまで強情なのだろう? もしかして…… 「それは既定事項だからですか?」 朝比奈さんがここまでこだわるなんて、それ以外に考えられない。 だが、それは瞬時に否定された。 「違いますっ! ひっく……も、もし、そうだとしても、わたしには、し、知らされて、ません」 そうだった。朝比奈さんの持ってる情報なんて、俺と大して変わらない。 だが、それなら何故。 「ご、ごめんなさい、わたしのわがままです……」 まだ泣きながら朝比奈さんはそう言う。 「でも、キョンくんは、ほ、本当に、佐々木さんに、ち、力を移したいんですか?」 そのとき、目の端で橘の表情が変わるのを感じた。 それまで余裕の笑みでいたのに、少し顔をしかめていた。 ──余計なことを言わないでください。 その表情はそう語っているように見えた。 それを見て、急速に俺の頭は回り始めた。 バカか俺は!! 今まで何をやっていたんだ!! 最初から橘は俺をはめる気でいたんだ。佐々木に能力を移すために。 何故かしらんが、それには俺の協力が必要らしい。 だが、俺はそのままでは協力しないだろうことは奴らにもわかっているはずだ。 だから、今回の件を仕組んだ。 仕組んだのは橘の組織ではなく、天蓋領域かもしれない。 少なくとも隕石は、橘の組織では無理だ。でもどっちでも一緒だ。 ハルヒの力を佐々木に移したいかって? そんなことは決まっている。答えはNOだ。 そりゃ、ハルヒの変態パワーがなければいいとも思うさ。 でも、そうしたらSOS団はどうなる? 俺以外の3人は、ハルヒの力があるから集まっている。 ハルヒの力がなくなれば、去っていく可能性が高い。 古泉は自分の意志で残ることも可能かもしれないが、長門と朝比奈さんは無理だろう。 そして、それが朝比奈さんをあそこまで強情にさせた理由だ。 朝比奈さんはSOS団の一員でいたいんだ。俺と同じように。 ハルヒもそうだ。SOS団がなくなるなんてことは許さないはずだ。 俺の判断でそんなことになったら、一生罰ゲームをやらされるに違いない。 全財産賭けてもいいね。 それに、佐々木自身、自覚してそんな力を持つことは辛いんじゃないのか? 世界に対する責任を持たされるも同義だ。まだ10代の、高校生の身で。 橘の機関にも、常に監視されることになるだろう。自由もなくなるかもしれない。 佐々木にそんな思いを味あわせるのも嫌だ。 ここで橘に協力しないで、ハルヒを助ける方法があるのか? 今はまだわからない。だが、今までにヒントはあった。 古泉の言葉を思い出して、俺は心を決めた。 賭けてみるさ。やっと俺にできることが見つかったんだからな。 だったら時間がない。さっさと動くとするか。 ハルヒが助かるのは既定事項に違いない。 そうでしょう? 朝比奈さん(大)。 やっとわかりましたよ。 俺は俺の気持ちに正直に動きます。 それがハルヒを助ける方法なんでしょう? 「朝比奈さん、すみません、そんなに泣かないでください」 「ほぇ? キョンくん?」 そんな涙目で見つめられたら抱きしめたくなるじゃないですか。 「俺が悪かったです。本当にすみません」 良かったら一発殴ってください、と言おうと思ったが、困らせるだけだろう。 しかし、早朝登校を続けていて良かったぜ。 こんな状況を登校中の北高生徒に見せていたら、男子生徒の半数から殺されるところだ。 「ちょっと、どうする気ですか?」 心なしか青ざめた橘が俺に問いかけてくる。 だが、俺はそれを無視した。 「ちょっと電話かけます」 朝比奈さんにそう言うと、電話を取り出して古泉を呼び出した。 「ちょっと無視しないでくださいよ!」 何か喚いているやつがいるが知るか。 『もしもし』 古泉が出た。今は閉鎖空間が出ていないのか。 「朝早くから悪い。頼みがあるんだが」 『なんでしょう?』 「俺を見張っているらしいから、近くに車があるだろう? 俺のとこに回してくれ」 歩いて行ってもいいんだが、時間が惜しい。 『どちらへ行かれるんですか?』 「お前のところだよ」 『えっ! 何ですか?』 「じゃあよろしくな」 驚いている古泉という珍しい物を見たかった、と思いつつ電話を切った。 「朝比奈さん」 「はっはい!?」 「一緒に行きましょう!」 「へっ? え、えーと、どこへですか??」 まん丸に見開いた目で聞き返してくる。 そんなの決まってるさ。 「ハルヒのところにですよ!」 車が現れ、俺たちが乗ろうとするのを橘が腕を引っ張って邪魔をした。 しかし、運転手の新川さんが下りて行くと、橘は引き下がった。 森さんもだが、新川さんも相当怖い。こうなると、古泉の本性が気になるところだ。 「古泉のところへ行くと伺っておりますが」 新川さんが俺に言った。 「ええ、お願いします。古泉に頼むのが一番早いでしょうから」 「かしこまりました。古泉は機関の本部におります。ご案内しましょう」 何を頼むのか、と聞かないのは訓練されているからだろうか。 新川さんは何も詮索せずに車を出してくれた。 しかし、朝比奈さんは当然聞いてきた。 「涼宮さんのところに行くんじゃないんですか?」 そりゃそうだ。さっき俺は朝比奈さんにそう言った。 「ええ、そうですよ。ただ、ハルヒに声が届きそうなところです」 「えっ? どこですか?」 頭の上に5個は?マークが飛んでいるだろう。 「今、病院にいるハルヒに話しかけてもまず届かないでしょう。 だったら、ハルヒの精神世界に入り込むしかないんです。確証はないですが」 「どういうことですか??」 「閉鎖空間に行くんですよ」 「ええええええ!?」 俺はあっさりネタ晴らしした。 確証はない。ただ、古泉はハルヒが俺を呼んでいると言った。 そして、それは閉鎖空間に入るとはっきりすると。 だったらあそこはハルヒの精神世界の一部でもあるはずだ。 俺を呼んでいるってのなら行ってやるよ。待ってろ、ハルヒ。 6.《神人》へ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/4799.html
文字サイズ小でうまく表示されると思います 涼宮ハルヒの誰時 お前は、俺をその名前で呼ぶな。 半眼で睨む俺を、朝倉は少し怒った顔で見つめていた。 「長門さんだったら、貴方をキョン君って呼んでも怒らないの?」 なんでここで長門の名前が出るんだ?それに第一、 長門は俺をその名前で呼んだ事はない。 突き放すように答える俺に、朝倉は目を丸くしている。 「え? そうなの?」 ああ、俺の覚えている限りはないな。 俺の言葉に、何故か朝倉は笑顔を浮かべる。 「そっかぁ、そうなんだ。へ~」 なんだよ。 何が気に入ったのかわからないが、不機嫌になったはずの朝倉は急に楽しそうにしている。 振り払われた手で、今度は俺の服を掴む朝倉は何か企んだ様な笑顔……つまりいつものハルヒの様な笑顔を浮かべた。 「怒らないでね?嘘をついてたわけじゃないんだけど、実は今の私には宇宙人的な能力はあるの」 な! 俺の言葉を朝倉の手が遮る。 「ストップ、最後まで聞いてよ?宇宙人的な能力はあるけど、それはスペック上での話。今の私を例えるならガソリンの無い車だと思ってもらえれば わかりやすいかな?涼宮さんによって再構成された私は本当に普通の高校生になったのではなくて、涼宮さんの意識の中にある普通の高校生としてしか 行動できない制約があったのよ。まあ同じ事だけどね。でも、涼宮さんが居ない今その枷はない。だけど統合思念体の存在も涼宮さんによって 無くなってしまったから、やっぱり今はただの高校生でしかないけどね」 小さく舌を出す朝倉に、俺はため息をつく。 わざわざそれを俺に言うって事は、他に何かあるんじゃないのか? でなきゃ言う必要もない事だろうに。 「正解。このまま普通の高校生として貴方と暮すのもいいかな?って思ってたけど。どうやら私にはまだやる事が残ってたみたい」 やる事? 俺を殺すとか言い出すんじゃないだろうな。 楽しそうな顔で朝倉は首を横に振る。 「ないしょ。それよりも貴方に聞きたい事があるの」 聞きたい事? 「そう。貴方は涼宮さんや長門さん、他の人達も含めて取り戻したいのよね?」 そうだ。 「結論だけ言うとね、長門さんから何か預かってたりしない?私が力を取り戻せれば、少なくとも貴方の望みを叶えるチャンスを作ってあげるくらいは できるはずよ」 何かってなんだよ。 「それはわからないわ。そうね、別に長門さんからじゃなくても何かこう、不思議な物とか持ってない?貴方にとってはただ不思議な物だとしても、 私にとっては力を使う為の鍵になる可能性はあるの」 長門や古泉、朝比奈さんから何か預かってないかだって?急いで考える中に浮かんで来るものといえば……そうだな。 長門から借りた本。ああ、駄目だあれは今朝本棚を見た時には無くなってたんだっけ。 朝比奈さんの私物……部室にあった衣装も何もかも無くなってたから思いつかないな。 古泉は駄目だ。あいつから何か受け取った覚えなんてない。 「よ~く考えてね。貴方の記憶を直接読み取れば早いんだけど、正直それだけの力も残ってないのよ」 そんな事されてたまるか。 ハルヒはどうだ?何かあいつが残した物はないのか……。 あいつの家がどこにあるのかなんて知らないし、今となっては調べようもない。部室は文芸部だった頃に戻ってしまってたよな。 教室は? 駄目だ、机も無くなってたんだった。 腕を組んで雑然とした部屋を歩き回る俺の脳裏に、何かが浮かび上がる。 なんだ、今のは? あれは……えっと、夏より前だった様な気がするぞ。 必死に記憶を辿っていく中で俺が辿り着いた答え、は。 カーテンの閉められた暗い部屋の中、モニターの小さな光が俺と朝倉の顔を照らす。 深夜の北高に忍び込んだ俺と朝倉は、元SOS団の部室……の隣、コンピ研に来ていた。 立ち上がったばかりの部長氏のパソコンのカリカリという小さな音と、俺の不器用なタイプ音だけが深夜の部室に響く。 「これがそうなの?確かにこれは涼宮さんの痕跡と言えなくはないけど……。残念、これはハズレよ」 モニターに映っているのはSOS団のウェブサイトだ。 いや、見せたいのはこれじゃない。 これを見せるだけなら別に深夜の校舎に不法侵入する必要はないんだ、ネット環境さえあればいい。 俺は手慣れた操作でキーボードを操作してURLを変更し、今日入力したばかりのパスワードを再び入力する。 切り替わる画面。 画面に編集機能と各種登録項目が表示され、俺はその中の一つ「画像登録」を選択した。 コンピ研の部長氏が閉鎖空間の様な物に閉じ込められた事件の原因となった、ハルヒの描いたあの画像。 長門が画像をいじってくれたおかげであの時は助かったんだったな。 無料レンタルウェブサーバーに登録済みの画像一覧には、長門改編によるZOZ団のシンボルマークがあった。そして、 「……ビンゴ」 朝倉が食い入るようにモニターを見つめている。 そこには確かに残っていたのだ、俺が最初に画像をTOP画面に張り付ける時、念の為名前を変えて保存しておいたハルヒの描いたあのSOS団の シンボルマークが。 いけそうか? 俺の質問に朝倉は嬉しそうに頷く。 「今の私でもこの画像から力を引き出すのは簡単よ。凄いじゃない、流石涼宮さんが選んだ人ね」 俺はパソコンデスクの席を朝倉に明け渡した。 ……なあ朝倉。 「なあに?」 俺に返事をしながらも朝倉は意味不明なコードをパソコンに打ち込み続けている。 知ってたら教えてくれ、ハルヒが俺を選んだのか?それとも、俺がハルヒを選んだのか? 不思議そうな顔で朝倉が俺を見つめる。 「それって何か違うの?」 そりゃあ違うだろ? なんていうか……俺はハルヒが神様みたいな存在だって聞いてたんだが、ここ数日色んな人から話を聞いている間にそうじゃないかもって思えて来たんだ。 「……そうね、貴方が涼宮さんに選ばれた理由は私にも統合思念体にもわからなかった。あの子が貴方を好きになった理由もね。でもね?女の子にとって 好きな男の子はみんな神様なの。自分が思う理想の存在であって欲しい、それこそ神様みたいな……。なんて、男の子は好きな女の子にそんな幻想を抱いたりは しないかな?」 どうだろうな。少なくとも俺の知っている神様って奴は、横暴で我儘で見てて落ち着く暇がないような奴だったが。 「あら、貴方がそんな女の子を望んでいた可能性はない?」 何故だろう、俺はそこで朝倉に何も言い返せなかった。 朝倉は朝倉で答えを聞くまでもないとでも言いたげに微笑み、沈黙させられた俺を無視してキーをタイプしていく。 「いい、この世界の涼宮さんは確かにもう存在しないわ。でも、完全に消えてしまった訳じゃないの」 場所は変わり、俺達は元SOS団の部室、現文芸部の部室の中に来ていた。 朝倉は窓際の長門がいつも居た場所に、俺はいつものパイプ椅子にそれぞれ座っている。 「今、涼宮さんは誰も居ない世界を作って一人で居るの。自分の思考も閉ざし、何も考えないまま一人で、ね。それを助けられるのは、この世界に多分 貴方しかいない。貴方が涼宮ハルヒの思考を取り戻せたら、私はこの世界に彼女を呼び戻してあげる。それからの作戦はこんな感じよ」 そう言って話し始めた朝倉の作戦って奴は無茶苦茶という言葉を体現するかのような内容だった。 言うなればお茶漬けを食べたいからまず粘土質の土を手に入れて、しかも空腹が始まる前に素材と食器を一式準備する……って所だろうか。 すまん、上手く言語化できそうにない。意志の疎通に齟齬が発生しそうだから忘れてくれ。 でもまあ、これだけで朝倉の作戦を理解できた奴がいたら素直に尊敬するぜ、古泉に代わって俺が一般人ではないってお墨付きをくれてやる。 「作戦は以上、質問はある?」 なあ朝倉。 「なあに?」 今更聞いても仕方のない事かもしれない、でも聞かないわけにはいかないよな。 何でお前は俺に協力してくれるんだ? 「何よ今更。でもまあ気持はわかるから教えてあげるね。私が貴方を手助けするのは、あくまで個人的な理由よ」 個人的な理由? 「そう、貴方に全く関係のない事ではないけれどね。今からする事は、貴方を殺そうとした事の罪滅ぼしだとでも考えていてほしいな?」 そう言って微笑んだ朝倉の姿が一瞬歪み、次の瞬間そこに居たのは。 朝倉より髪は短く、小柄で無表情な見覚えのある元文芸部の宇宙人。 なが……朝倉か。 「そう」 俺の言葉に朝倉は頷く。その声は聞きなれた宇宙人の声にしか聞こえなかった。 声まで長門そっくりなんだな 「でしょ?」 無表情だったその顔に、突然愛想がいい笑顔が浮かんだ瞬間確信した。中身はやっぱり朝倉だ。 「それじゃあ、今から貴方を涼宮さんの居る世界に送るわ。準備はいい?」 準備はいいが朝倉、眼鏡は外した方がいい。 「何それ、貴方の趣味?」 それもあるが、今の長門は眼鏡をしていないんだ。 「あ、そうなんだ。……これでいいわね。さ、目を閉じて。それと、私を呼ぶときはちゃんと長門って呼んでね?」 朝倉……長門の言葉が途切れるのに合わせたかのように俺の視界は前触れもなくブラックアウトし、体重を支えていたはずの床の感覚もなくなる。 それでいて落下するわけでもなく自分がどの向きを向いているのかもわからない時間を数秒体験したあと――最初に俺が感じたのは静かな風の音だった。 気がついた時、俺はやけに暗い場所に居た。 そこはどこまでも広がっているような果ての見えない暗い草原で、暗い空と草原以外は何も見えない。 ここはどこなのか? なんて考えても意味はないんだろうな。 現状を確認しようにも、俺の意識は確かにそこにあるというのに俺の体はそこにない、まるで夢の中の出来事みたいな感じだ。 見えている物にも、体が無いのに確かに感じる風にも何もかもに現実感が感じられない、何故だかわからないが俺はここに長く居てはいけない気がした。 「正解、あんまりこの世界に長居をすると普通の人間は精神が先に崩壊して廃人になってしまうから気をつけてね?」 朝倉、どこにいるんだ? 俺の思考に割り込むように聞こえてきた朝倉の声だったが、その姿はどこにも見えない。 「残念だけどその世界に私は行く事はできないの、涼宮さんが無意識で拒んでるからね。というよりも、貴方だけが許可されてるって言った方が正しいのかな」 じゃあハルヒはどこに居るんだ? 「涼宮さんは貴方の目の前に居るわよ。でも貴方がそれを見ようと思わなければ見えない、感じてみて?涼宮さんの事」 感じろったってどうすればいいんだ……。 いくら周りを見回しても、草原には何も無いようにしか俺には見えない。 「そこに居るって信じなければ見つけられないの、気づいてあげて?涼宮さんはずっと以前から貴方を待っていた。そのサインを貴方も知ってるはず」 俺が知っている……何のことだ? とにかく今は朝倉の言う通りにするしかないな。 ハルヒの事を考えて最初に思い出されたのは、入学式で俺の後ろで不機嫌な顔をしていたハルヒだった。 次に浮かんできたのは急に長かった髪の毛を切って登校してきたハルヒ。 ホームルーム前の時間を何気ない会話で、いつもつまらなそうだったハルヒ。 部活を作り出してから、急に笑顔が増えたハルヒ……。 次々と思いだされるハルヒの顔の中、俺は違和感を感じた。 親しくなって表情を増やしていく記憶の中のハルヒ中に、そこだけ急に不機嫌なハルヒがいる。 そのハルヒは何故か幼く、俺へ向ける視線には不信感が浮かんでいる。 あれは……あのハルヒは! 「私はここにいる」 どこからか、ハルヒの声が聞こえた気がした。 まるでその声に呼び寄せられるように、目の前にハルヒの姿が現れる。 何故か少し幼い感じのそのハルヒは北高校の制服ではなく私服を着ていて、じっと夜空を見上げていた。 つられて視線を上に向けると、そこには眩いほどの星空が広がっている。 「……誰か居るの?」 幼いハルヒが突然俺の方に顔を向ける。 姿は見えてないんじゃなかったのか? 俺は朝倉に聞いてみたつもりだったのだが。 「何、今の声。誰か居るの?出てきなさいよ」 そう言ってハルヒは辺りに誰か居ないか探し始めた。 どうやら俺の声は聞こえるが、姿は見えないらしいな。 いくら待っても朝倉は何も言ってこない。後は俺がなんとかするしかないか。 ハルヒ、お前なんでこんな所に居るんだ。 「え……何で私の名前を?もしかして宇宙人?」 少し違うが、まあそんな様な者だ。 俺の言葉に幼いハルヒの顔が急に笑顔になる。 「じゃあ未来人?それとも超能力者とか?まあなんだっていいわ、私に会いに来たのよね?そうなんでしょ?」 そうだ。「私はここに居る」ってお前のメッセージを見て俺はここに来たんだ。 「宇宙人語が読めるの?凄い、やっぱり居たんだ!」 俺にはお前が宇宙人語を書ける事の方が驚きだよ。ところで、お前はどうして俺に会いたかったんだ? 何か理由があったんだろ。 俺の言葉に、急にハルヒの笑顔が消えて悲しそうな表情が浮かぶ。 そのままじっと待っていると、ハルヒはゆっくりと呟きはじめた。 「とんでもない事をしちゃったのよ。あたしが信じてあげられなかったから大事な友達が消えちゃったのよ。全部、あたしのせいなの。 だから、本当に宇宙人が居るなら会ってみたかったの」 なるほどね。で、満足かい? 「そうね、もっと早く貴方に会えればこんな事にならなかったのに」 気が済んだならみんなの所へ戻ればいい。多分、お前が望めばそうなるはずだぞ? 「無理よ。……もうみんなには会えないし会えたとして誰にも許してなんてもらえない。勝手に巻き込んでおいて突き放して、しかも自分が好きな人だけ 独占したいから心から信じてあげられないなんて……本当、自分でも嫌になる」 そうかい。 「……なによ、そんな適当に。……どうせ他人事だもんね」 なあ、ハルヒ。 「何」 俺はな。お前を探して今も走り回ってる奴を一人知ってる。お前も知ってる奴だぞ。 「え?」 俺の知る限りそいつは不器用で特に取り柄もないただの高校生で、残念ながらお前が望んでる様な宇宙人でも未来人でも超能力者でもなく不思議とは縁遠い ただの一般人だ。でもな? ただお前に会いたいってだけで今も必死に探しまわってる。 「嘘……そんなの嘘よ、キョ……あいつはいつもあたしに振り回されて迷惑そうな顔してたもん!」 迷惑なだけだったら一緒になんか居ないさ。嘘なら嘘だと思ってもいい、それにまあお前が会いたくないと思えばそれっきりだろうさ。 でもな、例えお前が会いたくなくてもそいつは絶対にお前を見つけるまであきらめないぞ。例えお前に嫌われても、だ。 俺はお前にまだ言ってない事がいっぱいあるんだからな。 「え?」 ハルヒの目が大きく開かれる。 本当にそいつが好きなら告白でもなんでもすればいいさ、そいつもまんざらでもないかもしれないしな。 これからどうするかって答えはお前の胸にしかない、ここで一人残るって選択肢もあるかもしれない。でも俺はお前に戻ってきて欲しいんだ。 「駄目、これ以上は貴方がもたないわ。ごめんね?」 どこからか聞こえてきた朝倉の声と同時に俺の視界が少しずつ上昇していくのがわかる。 ええい、ハルヒを置いていけるかよ! 体なんてないが俺は必死にハルヒに向かって手を伸ばそうともがく。 その時俺の意識がある周囲が急に明るく光出し、真下に居たハルヒの体を明るく照らした。 戻ってこいよハルヒ、SOS団は不滅なんだろ? 光の中でハルヒが笑顔を浮かべて手を伸ばしてくる、実態が無かったはずの俺の手はその手を確かに掴んだ。 ハルヒ。……おいハルヒ! 机の上でつっぷしたまま眠り続ける団長さんの頭を、俺はわざと乱暴に揺らした。 そこにはあの俺好みなポニーテルは揺れていなかったんだが……。こうしてみると普段のこの髪形も可愛いもんだな。 窓の外は夕闇が近づいてきていて、部室の中は少し肌寒い。 数秒後、 「ふぇ……キョ、キョン?」 寝ぼけた声を出すハルヒの横を、長門がのんびりと通り過ぎていった。 その姿を見たハルヒは何も言えず目を見開いて固まってしまったが、長門はそれに気づかないふりをしたまま本棚へと歩いて行く。 いいぞ。ナイス演技だ朝倉。 長門の後姿を見つめながら心の中で俺は小さくガッツポーズをする。第一段階はクリアって所だな。 「え……有希? 消えちゃったんじゃ……」 消える? ……ハルヒ。お前、寝ぼけてるのか? 「え?え?」 混乱して俺と長門を交互に見比べているハルヒを無視して、長門は持っていた本を本棚へと戻して出口へと歩いて行った。 さあ、間違えるなよ? コンティニューはもう使ってしまったんだ。 長門、明日は9時に駅前だからな。休日だから間違って学校に来るなよ? ドアを開けた所で俺がそう呼びかけると、長門は振り向いて小さくうなずいて部室を出て行った。 扉が閉まる音と同時にハルヒが立ち上がる。 「明日が休日って……待って、ねえキョン。今日は何日で何曜日?」 今日か? ポケットから取り出した携帯に表示されているのは、金曜の文字と4日前の日付だ。 俺がやってる事は後で朝比奈さんに怒られる事なのかもしれないが、まあそれでもいいさ。 あの可愛らしい天使様にまた会えるんならそれくらいどうってことない。 顔いっぱいにクエスチョンマークを浮かべたハルヒを見ながら、俺は顔がにやけるのを止められなかった。 それは作戦が上手くいっているからってだけじゃない、またハルヒに会え……いや、やっぱり作戦が上手くいってるからだな。 まだ寝ぼけてるのか? ……まあいいか、なあハルヒ。実はお前に秘密にしてたんだが。 「な、なによ改まって。言ってみなさいよ聞いてあげるから」 まだどこか普段より大人しい雰囲気を残したハルヒだが、きっとこれには食いつく。そうでなければゲームオーバーだ。 俺はハルヒの両肩にそっと手をおいて、じっとハルヒの目を見つめた。 「ちょ……え、何? ……キョン?」 ハルヒの瞳の中で俺が大きくなり、そっとその瞼が閉じられようとしたその時。 実はな、朝倉がこっそりカナダから帰ってきてるらしい。 俺はそう呟いた。 ――刹那。 「なんですって!」 急に目を見開いたハルヒの手がすぐそばにあった俺のネクタイに伸び、途端に酸欠に襲われだした俺が笑顔だったのは何故だろうね? まだだ、まだ俺の出番は終わってない。 揺さぶられるまま俺は朝倉の台本通りのセリフを続ける。 しかも朝倉は、あのマンションの同じ部屋にまた住んでるらしいんだ。なのに北高には出てこない、何か変だと思わないか? 「キョン!そんな面白そうな情報を見つけたのに黙ってるなんて厳罰ものよ!」 言う事は物騒だが、ハルヒの言葉は楽しみで満ちていた。 おそらくこいつの頭の中では、誰も考え付かない様な展開が回りまわってるんだろうよ。 黙ってて悪かったよ、俺も古泉から聞いた時は信じてなかったんだが駅で偶然見ちまったんだ。間違いなく朝倉だったよ。 ――いい?涼宮さんが戻って来るまでに私は世界を4日前の状態に再構成しておくわ。そして私は、長門さんの姿で涼宮さんの前に現れる。貴方は涼宮さんを 誘導して「私と同じ方法」でみんなを復活させてあげてね。そうなるように私もフォローするから彼女の中の認識を変えて欲しいの。この意味、わかる?―― さて、世界を元に戻す魔法の言葉をハルヒに言わせないとな。 お前が寝てる間に明日はみんなで一緒に朝倉に会いに行こうって決めたんだが、それでよかったか? 俺の言葉にハルヒの顔が笑顔に綻ぶ。 「当たり前じゃない!SOS団創立時の謎がついに解き明かされるのね!あ~もう今から行きたい所だけどみんな帰っちゃったの?」 お前が起きないからだ。明日全員が集まれるように今日は早めに解散したんだよ。 「あんたにしては気がきいた行動ね。駅前に9時よね?い~い?絶対にきなさいよ!来なきゃ死刑だからね!」 「結局、この世界の朝比奈さんは何も知らないままだった様ですね」 その口調からすると、お前は全部覚えてるみたいだな。 家に戻った俺を待ち構えていたのは、営業スマイルを取り戻した超能力者だった。 いつもは小憎らしいその顔も、正直今は嬉しくて仕方がない。 「超能力者、ですから。……冗談です、協力者から全て聞いたんですよ。正直今でも信じられない程に驚いています。正に驚天動地ですね。 まさか数年先に起きると思っていた破滅が数日後に迫っていて、しかもただの人間にすぎない貴方が見事解決してしまうなんて。流石は涼宮さんが選んだ」 おい! お前今なんていった? 聞き逃せない単語を耳にして、俺は思わず古泉に詰め寄った。 「え、貴方が解決するとは驚いたと」 その前だ! 「貴方はただの人間に過ぎない」 そう、そこだ。俺はただの人間なんだな? 営業スマイルに不審げな表情を混ぜながら古泉は確かに頷いた。 「何をいまさら、以前も言いましたが貴方は普通の人間です。保証します」 ……この顔は嘘をついてるって感じじゃないな。って事はあの時の言葉はいったい……だめだわからん。何もかも無かった事になってるって事なのか? まあいいか。消去法で全部解明できるほど世の中簡単だったら、試験なんて余裕だよな。 夕食を終えて部屋に戻った時、まるで俺が部屋に戻るのを待っていたかのように携帯が鳴り始めた。 ディスプレイに映っている着信相手は……。 「ありがとう」 携帯越しに聞こえるその静かな声に、自然と笑みが浮かぶのを感じる。 それは間違いなく長門の声だった。 お前も全部覚えてるみたいだな。 「覚えている」 今回の事はあまりにも意味不明で、俺が完全に理解するには何年会っても足りないだろうな。だけどひとつだけ聞いておきたい事がある。 長門、やっぱりハルヒは明日SOS団を解散してしまうのか?みんなが消えてしまうのは避けられないのか? しばらくの沈黙の後。 「SOS団は解散されるかもしれない」 そっか。 やっぱり、これで全てが元通りってわけにはいかないか。 「ただ、現時点の涼宮ハルヒの力では時空改編や広範囲の情報操作は行えない」 なんだそりゃ? 「原因はわかっているが上手く言語化できない」 「ねえ誰からなの? あ、もしかしてキョン君? 代わって代わって!」 携帯電話越しに、何故か聞き覚えのある声が聞こえてきた。 「大丈夫すぐに代わるから、そんなにすねないでよ? ……もしもし、キョン君?」 長門に代わって聞こえてきたその愛想のいい声は、何故か朝倉だった。 なんでお前が長門の部屋に居るんだ。 「現状の確認と明日の打ち合わせよ。私が長門さんのそばにいると心配?なんなら遊びに来てもいいわよ」 辞退させてもらう。 その組み合わせは長門の世界で十分に体験してきたからな。 「残念。長門さんが代わって欲しそうだから簡単に伝えるね?」 ああ。 しかし長門が電話を代わって欲しそうにしているってのはどうも想像できないな。 「私が見てきた中でも今の涼宮さんの力はとても小さな物なの。今回みたいな大規模な情報の改竄ができたなんて信じられないくらいにね。だから何か起きても 私と長門さんでフォローしてあげるからキョン君は心配しなくていいよ。あ、ごめん。私はキョン君って呼んじゃいけないんだったよね?」 いや、好きに呼んでくれていいさ。 俺だってお前にはそれなりに恩は感じているつもりだ。 「長門さんが凄い睨んでるからもう代わるね? ……はい、そんなに怒らないでよ? ごめんごめん」 長門が……睨むだと?駄目だ、やっぱり想像できない。 数十秒後。 「……もしもし」 聞こえてきた長門の声が、携帯越しのせいかいつもより僅かに低い気がした。 長門か、大体の話はわかった。 「そう」 何故だろう、呟くだけのその返事がやけに冷たく感じる。 長門。朝倉が居たら話しにくい事もあるだろうし、今度遊びに行ってもいいか? 再び数十秒の沈黙の後。 「待ってる」 そう聞こえてきた長門の声は、携帯越しのせいかいつもより暖かい気がした。 長門との電話が終わった後、朝比奈さんに今回の事を伝えるべきかどうか迷ったが、結局俺は電話しない事にした。 これ以上、あの人に悩みごとを増やすようなまねはしたくない。 ただでさえハルヒに一番振り回されてるんだから、楽をさせてあげられれる所はそうさせてあげないとな。 と、思っていたのだが。 うおわ! 「きゃ! ごめんなさい?」 深夜の部屋の中、眠っていた俺の腹部に突然何かが降ってきた。 目を覚ました俺が見たものを、罰の悪そうな顔で見つめる眼差しと、口に触れるひんやりと冷たいその手の感触。 そして僅かに香る覚えのある大人の女性の匂い。 「……急に押しかけてごめんなさい。どうしてもすぐに貴方に会いたかったんだけど、中々チャンスが無くって」 驚く俺の目の前に居たのは、照れ笑いを浮かべる朝比奈さん(大)だった。 いや、だからといって深夜に男の部屋へ忍び込むのはどうかと……ってそれはとりあえずいいとして。何かあったんですか? 「はい。キョン君にお礼をしに来ました」 お礼? 「ええ」 って事は、貴女は今回の事を覚えているんですか? 俺は朝比奈さんに今回の事を話すつもりはないんだが、どうやって知る事になるんだろう?やっぱり禁則事項だよな、これ。 「私の存在が一度は消えてしまい。そしてキョン君のおかげで元に戻れた事も全部覚えています」 とは言っても、全部朝倉のおかげで俺は何もしてないんですけどね。 「そんな事ありません、私や長門さんや古泉君が今この世界に居られるのは間違いなく貴方のおかげなんです。誰もそれを覚えていなくても、 私が覚えていますから」 真剣な顔で近寄って来る朝比奈さんから逃れようにも、ベットの上で体を起しただけの俺はすぐに壁際に追い込まれた。 あの、その。そう言ってもらえるのは嬉しいんですが、そんなに近寄られると色々大変なんです。 部屋が薄暗くてよかったぜ、色々な意味で。 「あ、ご、ごめんなさい。それで、今回の事であなたに何かお礼がしたいんです。上官の許可も出ているので、あまり時間はありませんが 時間の流れに大きく関わらない事ならある程度の事はしてあげられます」 あの、その言葉をどう取ればいいんでしょうか? これが夢だと言われたらすぐに納得してしまいそうな展開に、俺は無意味に喉が渇いていた。 前にも気付かれないなら頬にキスしてもいいとか言っちゃってる人だからなぁ、二人っきりの時に貴女にそんな事を言われると妄想が止まらないんですが…… あ、そうだ。 こんなタイミングじゃなければ一生はぐらかされそうな質問があったじゃないか。 じゃあ、朝比奈さんお願いです。 「はい、何でしょう」 貴女の本当の年齢を教えてください。 俺の言葉に、朝比奈さんは見ていて微笑ましくなるほどに動揺していた。 それって、そんなに秘密にしなきゃいけない事なんですか? 「えー! ……うう。ぜ、絶対、絶対に内緒ですよ?」 そう言って、当たり前だが部屋には俺と朝比奈さんしか居ないのに彼女は俺の耳元に口を寄せて来た。 ……ってぇ! あなたそんな短期間でそんなお姿になってしまうんですか?! 翌日の朝、俺は昨日ハルヒに伝えた時間に丁度間に合う様に家を出た。 それはつまり、 「遅い! 罰金!」 こうなるよな。まあ予定調和ってやつだ。 大声で宣言するハルヒはいつもの全力スマイルで、隣に立つ朝比奈さんは困った笑顔。 古泉は古泉で営業スマイルだし、無表情に見える長門にも楽しそうな気配を感じ取れなくもない気がしなくもない。 どこまでもいつものSOS団、そしてどこまでもいつもの休日の光景。 ハルヒ、やっぱりお前に泣き顔は似合わないぜ。 そこにはもう、泣きながら叫んでいたハルヒの姿はなかった。 「キョン、あんた人の顔を見て何にやついてるのよ」 別に。いつも通りだから、じゃ駄目か? 「何よそれ? ああもうキョンにかまってたんじゃ時間がもったいないし罰金は後でいいわ、さあみんな準備はいい? 今から朝倉涼子を捕獲しに行くわよ!」 結局、俺が神様みたいな存在なのかハルヒが神様みたいな存在なのかはわからないままだ。 だがまあそれでもいいさ、俺達のどちらかが神様みたいな存在だったら、もう一人はそれを見守ってればいい。 そうすれば、いつまでも一緒に居られるだろ? な、ハルヒ。 涼宮ハルヒの誰時 終わり
https://w.atwiki.jp/haruhi_dictionary/pages/88.html
台詞 ※ネタバレを含むので、原作未読の場合は注意。 『涼宮ハルヒの憂鬱』 ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上 「第一章」・涼宮ハルヒ 入学式の後、1年5組の教室にて放った。全てはここから始まったと言っても良い台詞。 宇宙人や未来人や超能力者を探し出して一緒に遊ぶことよ! 「第三章」・涼宮ハルヒ SOS団の活動内容を説明する際に放った台詞。
https://w.atwiki.jp/aisare/pages/24.html
SOS団交流所 sm2104905 SOS団交流所 wiki※外部ページに出ます。 推奨動画・・・ 涼宮ハルヒの憂鬱 「CANDY POP」既出ですが一応。傑作中の傑作 当ページの訪問者数 合計 - 人 本日 - 人 昨日 - 人 長門有希 【現役】【参加:第1回】 最古メンバーの一人。支援者は長党と呼ばれることがある。 無口キャラだが、微かなデレが見られそれが長門人気の原因のひとつとなっている。 言わずと知れた強豪の一角で開催以来常に4位以内にランクインし、三度の優勝を誇る。 第7、8回と連覇、そのあまりの強さに結果発表動画に「ながとつよすぎw」のコメントが多数寄せられた。 第10回ではまさかの三回戦敗退となったが、トーナメントであることとかなりの強さを見せた上での敗退であることを考慮すると、その強さはやはりトップクラスだと言えるだろう。 粘り強さが最大の武器。コメント数の落ちやすい深夜から夜明け前頃に最も強さを見せ、この時間帯に長門の猛追や独走態勢などの状況が発生することもしばしば。 名誉愚民のエースを筆頭に有力な支援者が非常に多い。ライトユーザーが多いのも特徴の1つ。支援者の層が非常に厚い。 原作の発売延期、アニメの放送時期未定と、支援者のモチベーションが上がらないのが原因か、最近は調子を落としている。 かつては2強とも言われた長門だが、今後どう巻き返すかが注目される。 【成績】 \ 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 本戦 4位 優勝 準優勝 優勝 準優勝 準優勝 優勝 優勝 準優勝 ベスト8 pt 567 49779 98748 54545 46166 83771 85406 92656 139885 291745 \ 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第―回 本戦 3位 4位 3位 5組1位/11組2位 6位 6位 6位 決勝5位 6位 pt 210125 237147 286843 47668/58526 195841 186635 192221 433924 204686 予選 シード シード pt ― ― \ @1回 @2回 @3回 @4回 @5回 本戦 2位 4位 pt 92210 57927 【特殊回】 \ Cβ回 ββ回 Oβ回 βββ回 本戦 8位 ― 2位 ― pt 39280 ― 50973 ― 【推奨動画】 ハルヒMAD こんなに近くで・・・(長門ver.)・・・泣けます、長門の立場を思い知らされる動画。ハルを導きユキは去る 【MAD】長門有希×エアーマンが倒せない : 愛しの彼が振り向かない・・・ヤンデレ長門 上の動画で流した涙を止めたい人にオススメ 雪、無音、窓辺にて。 cokesi-MIX・・・何のことはない、ただの神MAD。 【涼宮ハルヒの憂鬱】あの一戦をファイナルファンタジーに(完成)・・・朝倉と長門の一戦をイベントバトル風にした傑作 【MAD】涼宮ハルヒの憂鬱×君がくれたあの日・・・12回で使用された長門支援動画(ミラー) 古泉一樹【現役】【参加:第9回】 まっがーれ↓ 美形のイエスマンで名高いこのキャラは9回は初参加ながらも15位と健闘。 第10回でもGブロック予選1位通過など強さを見せ、最近は第11回で6位、第12回で7位という目を瞠る結果を残している。新規支援者も増えており今後期待の一人。 【成績】 \ 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 本戦 ― ― ― ― ― ― ― ― 15位 ベスト16 pt ― ― ― ― ― ― ― ― 15232 106018 \ 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第―回 本戦 6位 7位 10位 4組2位 8位 14位 8位 決勝7位 7位 pt 84930 111450 112425 36634 145195 98065 144931 265041 183539 予選 シード シード pt ― ― \ @1回 @2回 @3回 @4回 @5回 本戦 3位 5位 pt 59652 57056 【特殊回】 \ Cβ回 ββ回 Oβ回 βββ回 第―回 第―回 第―回 第―回 第―回 第―回 本戦 14位 9位 6位 10位 pt 23617 35022 29125 57877 【推奨動画】 マッガーる↓大捜査線 -RHYTHM AND もっふ-・・・爆笑必至。古泉のネタ度を端的に表現。 ハルヒMAD】古泉一樹 未来への咆哮・・・たまには真面目系。かっこいい古泉。 涼宮ハルヒ 【引退】【参加:第3回~第1回@コミュ】 言わずと知れた有名ライトノベルの主人公。典型的なツンデレキャラ。 第7回まで低迷していた。この頃は周りからも「なぜこんなに低いんだ?」という声がちらほらと聞かれたほどで、常に上位をキープする長門とは対照的であった。 うp主が変わって曲と画像が変更された第8回に脅威の+27位を記録。第9回でもTOP10を維持しており、最近は周囲がインフレする中においても高順位をキープしている。 現うp主の功績が非常に大きい。現うp主の顔文字氏は名誉愚民の一人。 コメント数だけでなく、動画うpによりハルヒとSOS団躍進のきっかけを担った形になる。 第15回ではついにコメント数が10万を突破し、久々にトップ10入りを果たす。 第16回では15万コメを突破。勢いは増すばかりである。 【成績】 \ 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 本戦 ― ― ランク外 18位 11位 23位 34位 7位 9位 ベスト16 pt ― ― ― 1953 6332 1556 399 33170 31632 70527 \ 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第―回 本戦 13位 12位 13位 7組4位 10位 8位 15位 3回戦16位 9位 pt 38877 77351 90237 31767 103622 151949 80589 68392 138643 予選 シード シード pt ― ― \ @1回 @2回 @3回 @4回 @5回 本戦 14位 引退 pt 22728 ― 【特殊回】 \ Cβ回 ββ回 Oβ回 βββ回 本戦 16位 ― 4位 9位 pt 20479 ― 37542 61259 【推奨動画】 涼宮ハルヒの憂鬱 ライブアライブ 「4ever」 歌詞和訳付 ・・・ かっこいい、超かっこいい。それ以外に言うことはない 【MAD】 涼宮ハルヒの憂鬱×恋の煙 ・・・ こちらもライブアライブですが、別の魅力があります。ハルヒがホントかわいく見えます。 朝比奈みくる 【引退】【参加:第3~19回】 「みくるビーム♪」 県立北高校2年2組に在籍(実年齢は不明)。 ロリで巨乳な萌えキャラというだけの理由で、ハルヒに拉致され、半強制的に入団させられた。 しかしその実態は、時空に大きな歪みを発生させた涼宮ハルヒを観察するため、未来から来た未来人。 SOS団の専属メイド、兼書記。癒し系マスコットとして、度々ハルヒにコスプレさせられている。 真面目で気が弱く、事ある毎に自分の無力さを嘆いている。 【成績】 \ 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 本戦 ― ― ランク外 22位 24位 26位 23位 40位 34位 ベスト48 pt ― ― ― 1536 905 955 2000 632 5149 13118 \ 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第―回 本戦 43位 49位 73位 ― 64位 90位 130位 2回戦56位 67位 引退 pt 16738 25893 9349 ― 16313 12679 3303 8106 16309 予選 14位 30位 pt 10204 6416 【推奨動画】 みくる宣伝所 【ハルヒMAD】こんなに近くで...(みくるver.)・・・泣きたい人のためのみくるMAD。 【ハルヒMAD】ガーネット/みくるとキョン・・・時をかける少女主題歌より。未来人=時をかける少女みくるの切ない恋。 キョン【引退】【参加:第9~cβ回】 普通の人。 凡人の主人公キャラとしては異例の(?)人気を誇るのがこのキョンである。 古泉同様初参加の9回で健闘し、第10回でも一回戦Hブロック1位通過、二回戦も古泉とのデットヒートを制し唯一凡人の三回戦進出者となった。 第12回では大きく順位を落としシード枠を逃すが、13回予選を堂々の3位で突破し本選出場を果たす。本戦でもコメント数、順位を大きく上げ、見事中位に返り咲いた。 第15回では19位と好調だったが、第16回では分速が安定せず、順位を落とした。 【成績】 \ 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 本戦 ― ― ― ― ― ― ― ― 18位 ベスト8 pt ― ― ― ― ― ― ― ― 12897 67124 \ 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第―回 本戦 22位 46位 24位 2組1位 19位 31位 24位 2回戦40位 34位 pt 27012 31706 58286 34632 69147 57956 66940 22717 39495 予選 シード 3位 pt ― 20127 \ @1回 @2回 @3回 @4回 @5回 本戦 引退 pt ― 【特殊回】 \ Cβ回 ββ回 Oβ回 βββ回 本戦 35位 ― ― ― pt 6314 ― ― ― 【推奨動画】 キョン「倦怠ライフ・リターンズ!」~ボヤきまくるPV風味~ ・・・傑作キャラソンPV。キョンお疲れ様です。 【キョンMAD】日常を愛したあの青年 ・・・キョン+SOS団 非日常的な日常の中へ。希望に溢れた良MAD。 キョンが第一期を最速クリアした様です。全イベント通過 ・・・忙しい人向け。もはや普通の人ニ非ズ。 朝倉涼子【引退】【参加:第12回予選~第19回】 あーあ、残念。しょせんわたしはバックアップだったかあ。 膠着状態をどうにかするいいチャンスだと思ったのにな。 【成績】 \ 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第―回 本戦 ― 75位 84位 ― 52位 37位 117位 2回戦44位 98位 引退 pt ― 6776 5614 ― 20004 43218 4538 20276 8089 予選 13位 26位 pt 10460 7057 鶴屋さん 【引退】【参加:第3~18回】 普通のお金持ち。 鶴屋さんだけでなくちゅるやさんもコメントを支える力となっているのはいうまでもない。 「どうだいっ。この衣装、めがっさ似合ってると思わないかなっ?どうにょろ?」 支援者にコメント職人が多いことで有名である。 【成績】 \ 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 本戦 ― ― ランク外 17位 30位 56位 ― ― 40位 ベスト48 pt ― ― ― 2523 240 18 ― ― 4835 14550 \ 第11回 第12回 第13回 第14回 第15回 第16回 第17回 第18回 第19回 第―回 本戦 65位 59位 69位 ― 39位 46位 119位 1回戦55位 引退 pt 2440 16000 11476 ― 31437 30864 4078 14340 ― 予選 9位 36位 pt 11486 5879 コンピ研部長 【引退】【参加:第4~6回】 昆布じゃないぞ! 【成績】 \ 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 本戦 ― ― ― 37位 31位 50位 引退 ― ― ― pt ― ― ― 37 233 34 ― ― ― ― 神人 【引退】【参加:第5~6回】 【成績】 \ 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 本戦 ― ― ― ― 39位 51位 引退 ― ― ― pt ― ― ― ― 80 33 ― ― ― ― ▲ページトップ ■トップページへ戻る
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3632.html
涼宮ハルヒのVOC 第二話 ハルヒが「初音ミク」と言うソフトをお披露目した次の日。 俺はいつもどおり妹のボディプレスを食らい、学校で睡眠学習し、そのたびハルヒのケシカス迫撃砲を受け、そして昼の時間がやってきた。 いつものメンバーで食事をする。 「だからなぁ!!俺は二次元のよさに目覚めたんだよ!」こんな馬鹿馬鹿しいことを大声で演説しているのはご存知、谷口である。 「お前らも一回、騙されたと思ってニコ動見てみろって!!三次元に萌えが見出せなくなるぜ!」 高らかに続けたが「遠慮しとくよ。」「遠慮しとこう。」 国木田と俺の満場一致で谷口の案は却下された。 谷口は残念そうに「なんだよ~初音ミクとか最高だぜ!?な?一回見てみろって!」 ・・・・・・今なんと言った? 「・・・ぁあ!? 初音ミクだよ初音ミク!知らんのか?有名なVOCだぞ?」 ああ、知っている・・・・・・などとは言わない。 なぜなら、面倒なことになるからだ。その後も、谷口の適当な萌え話に適当な相槌を打ち、昼が終了した。 ふむ・・・歌ってくれるといっていたな… 俺はその初音ミクとやらがどのような声をしているのか、などと考えているうちに、午後の授業も終了し、団活の時間が始まった。 ハルヒは掃除当番らしく元気な声で「先に行っててっ!」といい、部室とは逆方向に走っていった。 さて、部室前だ。 コンコン とちゃんとノックをしてから入る。 ほぉーら。あの声が、今、俺の耳にはいt・・・ 「どうぞ、入ってください。」 字じゃ分からんかもしれないが、聞こえてきたのはハンサムGUYの声だった。 少々不機嫌な顔でドアを開ける。 やはり、中にいたのは古泉と長門だった。 「朝比奈さんは掃除当番で遅れるそうです。連絡がありました。」 ああ・・・朝比奈さん…なんでこんな奴に連絡を… ますます不機嫌になったのでボードゲームを準備して待っていた古泉を無視してパソコンを起動させる。いつもより立ち上がるのが遅い。 「ギ…ン ォ…ン」 ん?変な音がきこえる?…いや、気のせいか。 「どうやら機嫌を損ねてしまったようですね。」 アーアー! キコエナーイ!! 古泉は肩をすくめ、詰め将棋をしだした。 俺はと言うと静かに本を読んでいる長門の死角にディスプレイを移し(まぁ無駄だろうけど)隠しフォルダを表示させた。 今日お眼にかかることのできなかったmyエンジェルを拝むためさ!! さて……と!? 俺は驚愕した!! 隠したはずの場所にmikuruフォルダがない! まさか!!ハルヒに見つかって消去されたのか!? 「古泉!!」俺はかなり錯乱しながら聞いた。 「何でしょうか?」「最近閉鎖空間はでたか!?」 たのむ!!俺は半ば祈るような気持ちで聞いた。 「どうしたんですか?・・いえ、特に観測されてませんが?」 安心した。「そうか…ならいいんだ。」 それなら誰が・・・? 俺はひらめいた。効果音が出るくらいに。 きっと昨日の初音ミクの準備工程中に間違って消えてしまったに違いない。 そうであったと信じたい。 「おまたーーー!」「お待たせしました。」 朝比奈さんとハルヒの二人がやってきた。 朝比奈さんは「お茶いれますね~」といい、せっせとお湯を沸かし始めた。 ハルヒは俺の前までズカズカと歩き、 「ちょっとキョン!!何パソコン開いていやらしい顔してんのよ!さてはエロサイトね~~?」 断じてそんなことはない!! だがハルヒは案の定俺の話なんぞ聞いてくれるわけがなく 「罰として次の不思議探索はキョンのオゴリッ!覚悟しときなさいよ~~!!」 またか・・・コラ古泉!笑ってんじゃねぇ! 「フフフ…すみません…」 「もう怒った!今日は全勝してやるからな!」といって古泉の向かいの席に移る。 「望むところです」 ハルヒはイヤホンを耳につけパソコンをいじり、朝比奈さんはお茶を作り、長門は読書、そして俺たちはボードゲーム。これもいくつかパターンのある日常のひとつだ。 やっぱり古泉は弱かった。 飛車や角を俺の歩の前において得意げに「どうぞ?」なんていってやがる。まだまだだな。 もうそろそろ団活も終わるかな、という時刻になって、 「できたぁ!!」ハルヒが耳からイヤホンを撒き散らし叫んだ。 「何ができたんだ?」 「聞いて驚きなさい!」ハルヒはパソコンのスピーカーをこっちに向けた。 するとハルヒが文化祭で歌った曲のイントロが流れ出した。 軽音部からコピーしてもらったのか?と思ったが、 「「~~~~♪~~♪」」 聞こえてきたのはまったく別人の声だった。 俺はハルヒに質問してみた。「誰が歌ってくれたんだ?」 「ふっふっふ・・・この!!ミーちゃんよ!!」 ???誰だミーちゃんて? 「初音ミクちゃんよ!! ミクだからミーちゃん!!」 短絡的なネーミングだなぁ・・・だが声は悪くない。とても透き通っている。機械ってこんな事もできるんだな。 「いい声してるな」と言ってみる。 するとハルヒは「当たり前よ!!何せあたしが選んだ初音ミクなんだから!!」 「「・・・アリガトウ」」 ん?誰だ? 「誰かなんか言ったか?」 「言ってないわよ!あんたエロサイトの見過ぎで頭おかしくなったんじゃないの?」と、ハルヒ。それは言いすぎだろ。 「何も聞こえませんでしたが?」と古泉 「なにも。」と長門。お前久しぶりにしゃべったな。 「聞こえませんでしたけどぉ?」これは朝比奈さんだ。 ・・・空耳か 「下らないことに時間つかわないの!じゃあ今日はもう解散!!」 空耳・・・だよな。 俺は家のベッドで自分に言い聞かせて無理矢理納得した。 深夜。部室にて。 「プツン!ジーッ!・・・ゼンショウ全勝・・・ヘイサクウカンヘイサクウカン閉鎖空間・・・スミマセン・・・・オゴル コエ・・声・・・アリガトウ・・・アリガトウ・・・アリガトウアリガトウアリガ!プツン!」 「ギョ ぉ゛ ン゛」
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/877.html
「ねえキョン、あんたどんなところ就職するのよ?」 ハルヒは俺の胸に顔をうずめながら、左指で俺の乳首をいじっていた。 すでに行為は終わっていたし、感慨もなくただされるがままだ。 それにハルヒは俺の胸に寝るのが落ち着くらしく、 週末にはこうやって東京で一人暮らしをしている俺の部屋に遊びに来るのだ。 俺は大学受験を終え、東京の有名私立大学へと進学した。 ハルヒも同じ学校に進学したが、俺とはレベルの違う学科だった。 すでに能力は消えていた。 ハルヒは大学に入って最初の一年はやたらともてていたが、 ずっと俺と一緒にいたおかげで、今は声をかけるものはいなくなった。 ハルヒ曰く、 「馬鹿大勢より、大事な人一人のが価値があるでしょ」 だそうだ。 ハルヒは俺に身体をくっつけたまま上目遣いで俺を見つめた。 「ねえ、時間はあるんだし、もう一回しましょ」 「分かったが、俺は就活で疲れてるんだ、お前が上になれよ」 「分かったわよ、ちゃんと前戯ぐらいはしてよね」 「じゃあ、ちょっと横になれ」 俺はハルヒを下にして、強引に脚を広げた。 いつみても綺麗だって思ってしまうのは、ハルヒの毛が薄く、 割れ目が見えていることだけじゃない。 ひきしまった陰唇はすでに濡れていて、俺を受け入れるのには十分だった。 ハルヒは前戯が好きだ。 初めてした時、俺が舐めようとするのを拒んだが、今では整った顔を歪ませて声をあげている。 「なあ、もういいんじゃないか。十分濡れてるぞ」 「そうね。さっき一回イってるし、十分かも」 そういうとハルヒは起き上がって俺の上に跨った。 「ちょっとキョン、なんでまだこんなに硬いのよ」 ハルヒは俺のペニスを痛いほど強く握って、嫌な笑みを浮かべた。 「入れるわよ」 ハルヒの中に入っていく感触が伝わった。 「んっ…、あっ」 ハルヒは光悦とした表情を浮かべ、俺を見下ろし、ゆっくりと腰をスライドしだした。 「どう? 気持ちいい?」 「かなり」 ハルヒの中はいわゆる名器というやつで、締りも肌触りも俺とぴったりだった。 ハルヒはそれだけいうと、それ以外はなにも言わなかった。 ただ、卑猥な音とハルヒの喘ぎ声だけが狭い部屋に響いた。 「んっ、はぁ、……いや! あ! んっ…」 ハルヒは腰の動きを激しくしだした。 それにあわせて俺も腰を振った。 「ちょっとキョンなんでつくの!? いや、だめ! もう限界! んっ!」 中が急激に締まると、俺は簡単に限界を迎えた。 「で、キョンあんたどこに就職すんのよ」 ハルヒはブラジャーをつけながら言った。 「そうだな、大手の出版社なんか狙ってるんだが」 「また無理そうなところ狙って、落ちても慰めてなんかやらないわよ?」 「やってみないと分からんだろ」 「まったく」 面接当日。 「はい、お守り」 ハルヒはお守りを俺に手渡してきた。 「大学受験じゃあるまいし、要らないだろ」 「ちゃんとよく見なさいよね」 あ、そういうことか。 「大学受験のとき、これ一緒にわざわざ太宰府までいって買いに行ったでしょ? それで一緒に合格できたんじゃない。 今回もね。だから、もっていきなさいよ」 「あ、ありがと」 「まったく、それぐらいしかやってあげられることないからね!」 「分かったよ」 「頑張りなさいよ」 俺は胸が一杯になった。 たまに優しさを見せるハルヒがとても愛しかった。 それは、前から決めていたことでもあった。 「なあ、ハルヒ?」 「なに?」 「大学でたら、結婚しないか?」 「え?」 俺はもう一度繰り返した。 「大学を出て、就職をしたら、結婚しないか?」 「わ わたしはいいけどさ…。 あんたはそれでいいの?」 「いいさ。俺にはハルヒしかいないから」 ハルヒは抱きついてきた。さっきみたいな卑猥な感じじゃない。 優しく、そっとだ。 「ありがとう、でも本当にいいの?」 「ああ」 俺は抱きしめ返した。強く、力強くだ。 そして俺たちはとても静かなキスをした。 「いってらっしゃい」 ハルヒは笑顔でそういってくれた。 「行ってくるよ」 「帰ったら、ご飯の準備しとくわね」 「ああ」 ハルヒの笑顔を見つめ、そして俺は履きなれない革靴に足を入れた。 「じゃあ、行ってくる」 「早く帰ってくるのよ!」 俺はドアを開け、さわやかな気持ちで、右足を踏みしめた。 外は無駄な暑さで、空には大きな入道雲がそびえていた。