約 156,106 件
https://w.atwiki.jp/shooto/pages/1247.html
3月度環太平洋ランキング(PRUSランキング委員会選定/4月6日付け)) ▼フェザー級 〈-60.0kg〉 C(-)空位 1(1)今泉堅太郎(日本/SKアブソリュート) 2(2)外薗晶敏(日本/総合格闘技道場コブラ会) 3(3)ダニエル・リマ(オーストラリア/ファイブ・リングス・ドージョー) 4(4)秋本じん(日本/総合格闘技秋本道場JUNGLE JUNCTION) 5(5)大石真丈(日本/SHOOTO GYM K z FACTORY) 6(6)野中公人(日本/PUREBRED大宮) 7(7)勝村周一朗(日本/SHOOTO GYM K'z FACTORY) 8(8)田澤 聡(日本/GUTSMAN・修斗道場) 9(9)池田久雄(日本/PUREBRED大宮) 《解説》 変動なし。 ▼ライト級 〈-65.0kg〉 C(4)佐藤ルミナ(日本/SHOOTO GYM K'z FACTORY) 1(1)ギルバート・メレンデス(アメリカ/シーザー・グレイシー・アカデミー) 2(2)高谷裕之(日本/無所属) 3(5)ステファン・パーリング(アメリカ/ジーザス・イズ・ロード・ジム) 4(3)石川 真(日本/PUREBRED大宮) 5(6)植松直哉(日本/SHOOTO GYM K'z FACTORY) 6(7)阿部裕幸(日本/AACC) 7(9)門脇英基(日本/WKSS) 8(8)戸井田カツヤ(日本/和術慧舟會トイカツ道場) 9(-)リオン武(日本/シューティングジム横浜) 10(-)日沖 発(日本/ALIVE) 《解説》 佐藤が王座へ。佐藤に敗れた石川は4位へダウン。 田村に勝利の門脇を7位へアップ。 風田に勝利のリオン、ピアソンに勝利の日沖をランクイン。 ▼ ウェルター級 〈-70.0kg〉 C(C)朴 光哲(日本/KILLER BEE) 1(1)石田光洋(日本/TEAM TOPS) 2(-)レイ・クーパー(アメリカ/ジーザス・イズ・ロード・ジム) 3(2)雷暗 暴(アメリカ/PUREBRED大宮) 4(3)宇野 薫(日本/和術慧舟會) 5(4)村浜天晴(日本/グレイシー・バッハVTチーム) 6(5)天突頑丈(日本/PUREBRED大宮) 7(6)福本よう一(日本/和術慧舟會RJW) 8(7)杉江"アマゾン"大輔(日本/ALIVE) 9(8)タクミ(日本/パレストラ大阪) 10(9)中蔵隆志(日本/シューティングジム大阪) 《解説》 フランカに勝利のクーパーが2位にランクイン。 ▼ ミドル級 〈-76.0kg〉 C(-)空位 1(1)ジェイク・シールズ(アメリカ/シーザー・グレイシー・アカデミー) 2(3)中尾受太郎(日本/無所属) 3(4)ロナルド・ジューン(アメリカ/808ファイト・ファクトリー) 4(5)弘中邦佳(日本/アカデミアAz) 5(6)青木真也(日本/パレストラ東京) 6(7)岩瀬茂俊(日本/TEAM TOPS) 7(8)マーク・モレノ(アメリカ/プルズ・ペン) 8(9)デション・ジョンソン(アメリカ/HMC) 9(10)クリス・ブラウン(オーストラリア/エクストリーム) 《解説》 クーパーがウェルター級へ転向でランク外へ。
https://w.atwiki.jp/karirakenpedia/pages/177.html
おにょっす――茶太郎 茶太郎(ちゃたろう)はライトノベル作法研究所のチャット利用者。女性。 肖像画(AA) =^・*・^= 人物 大阪在住のシングルマザー。主に昼間、子供を公園で遊ばせながら携帯でチャットに入る。旦那は『首にした』とのことで、それを話のネタにする事があるが洒落にならないため他のチャット利用者はスルーする。何度かチャットで旦那探しをやりヲチャーの一撃介入やチャット利用者にすら説教された事がある。他にも彼女はチャットで叱られた事があるのだが、これについては後述。 パソコンは一応持っているらしいがネット環境がないらしく携帯以外のアクセスは確認されてない。 本人は小説を書く気はあるみたいだが現在投稿は確認されていない。 茶太郎事件 SF企画の際、茶太郎は虚無の作品に1行感想と50点を投下、逢坂大河もそれに追随して50点を投下した。これがヲチャーの激怒を買い、点数調整厨の大量介入を招く事態になった。これが茶太郎事件である。 当然のごとく彼女と大河は他のチャット利用者にこっぴどく怒られ、以後二人の感想投下は確認されていない。
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/3989.html
京太郎(……準備はいいか?) 悪霊(へっ、いつでもいいぜぇ)ジッタイカー 京太郎(行くぞ、悪霊――っ!この勝負、取りに行かせてもらう) 悪霊(ほざけ――っ!) ロケットスタート! 悪霊(ハッハーッ!まずは一位、突き放させてもらうっ!) 京太郎(そうやっていきがっていろよ。すぐに、追いついてやるからさ!) 京太郎(アイテム……キノコトリプル――加速しろ、ルイイイイイイイイイイジ!!!!!) 悪霊(それだけで俺を抜かせると思っているんじゃねぇだろうなぁ?ヒャハッ、バナナ!) 京太郎(甘いっ!その程度、造作も無いっ!) 悪霊(チッ!テメエ、やるじゃねえか) 京太郎(ふっ、お前もな……) 悪霊(勝負はこれからだ……精々短い一位を楽しんでなぁ!) ウオオオオアカノコウラアアアアア ナンノミドリガード! ソッカラノスター! ゴーーーールデンキノコオオオオオオオオオオオオ! 京太郎(俺の――――) 悪霊(勝ちだああああああああああああああああああああああああっっ!!) イチイルイージ! 悪霊(くそっ……後一歩及ばなかったか) 京太郎(いや、今回勝てたのは偶然だよ……悪霊、お前やるじゃねえか) 悪霊(テメエも劣等のくせにやりやがる) ククク… ヒャハハ… 京太郎(っていうか) 悪霊(何で俺達はこんな事をやってるんだよ!) カン!
https://w.atwiki.jp/shinanirowa/pages/55.html
「父さん、人間ってちょっと……、面白い生き物ですねぇ……イヒヒヒヒ……」 「…じゃ!」 名前 鬼太郎 出典 墓場鬼太郎 性別 ♂ 声優 野沢雅子(怪物くん、ドラゴンボールの孫悟空、星の子ポロン等) 参照 https //youtu.be/AdyHe-NI-JE 年齢 10程度 外見 陰気なゲゲゲの鬼太郎 性格 悪ガキ 一人称 僕 判定 危険人物 演じた野沢曰くは、「『ゲゲゲの鬼太郎』と違って、頭のネジが何本か抜けているキャラ」。 従来の鬼太郎と違って、道徳心がなく悪ガキな性格をしている。 常に悪意に満ちた不気味な笑みを浮かべており、彼に関わった人間はすべてを失ったうえに不幸な末路を遂げる。 人情味はまったく無く、散々世話をしてくれた育ての親の水木が死にかけても軽く無視して見捨てている。 ちゃんちゃんこや下駄を着用しているが武器として使用したことは全くなし。 目玉おやじ→父さん。亡き父親の目玉で親代わり。 ネズミ男→知り合いの小汚い男。嫌っている。 水木→金づる。面倒を見てもらってる。よく金をせびる。愛着は皆無。
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/1850.html
http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1362666103/ 私、竹井久は自分言うのもなんだがいい性格をしていると思う。 あぁ、無論ここで言う「いい性格」というのはいい意味ではなく悪い意味で。 楽しいことが大好き、人の驚く顔を見るのが大好き、人をからかうのも大好き、悪巧みが大好き。 そして、自分が欲しいものは何が何でも手に入れたくて仕方がない。 そんな性格。 そんな私は最近いい「おもちゃ」を手に入れた。 無論、そんなことを言ってしまっては彼に失礼だとは思う。 だが、彼があまりにも自分の思い通り、想定通りに動くのだから仕方がないのだ。 そう、仕方がない。 ほら、そんなことを考えると彼の足音が聞こえてきた。 男の子らしい、ドタバタとした走る音。 何を焦っているのかこの部室に向かって一直線に走ってくる。 私は思わずにんまりと笑う。 そして、扉が開いて彼が部室に入ってきた。 「お疲れ様です、部長」 「はい須賀君、お疲れ様」 笑みを浮かべながら彼、須賀京太郎君は挨拶をする。 さて、今日はどうやって彼で遊ぼうか……。 そう考えると、私の心は躍った。 しばらくして全員が揃い、部活が始まった。 卓を見ると私以外の女子4人が麻雀を打っている。 今年の女子1年生は粒揃いだ。 東場の火力はピカ一の片岡優希。 インターミドル女子チャンプ、デジタルの申し子である原村和。 そして、宮永咲。 彼女を連れてきた須賀君には感謝をせざる得ない。 この宮永咲を徹底的に鍛え上げれば、全国に手が届くと思う。 思わず胸が高鳴った。口元に笑みが浮かぶのを止められなかった。 ちなみに須賀君はパソコンに向き合ってネト麻に勤しんでいる。 彼の雀力は他の5人と比べると大きく劣る。 まぁ、最近ようやくルールを覚えてきた段階なので無理もないのだが。 そんな彼と打ったところで他の5人が得るものは、正直ほとんどない。 むしろ彼の打ち筋にいろいろと突っ込みが入り須賀君のお勉強タイムになってしまう。 デジタルから外れるそれが許せないのか、はたまた意外と教え魔な性格なのか、和などは特に熱心に教え込んでしまう。 だが、それはまずいのだ。 私はこの麻雀部で実績らしい実績を残していない。 この3年生の夏が最後のチャンス。 私は「一生懸命やりました。でもだめでした」で終わるのは御免だ。 やるからには、何かひとつ確かなものが欲しい。誇れるものが欲しい。 だから、正直須賀君の指導に時間を割いている場合ではないのだ。 もっともらしい理屈をつけて、彼にはネト麻を中心に打ってもらっている。 そのことについて咲は何か言いたげだったが、ありがたいことに本人が進んで了承したため言い返せなくなっていた。 少なくとも夏が終わるまで、私が引退するまでは彼の指導にあまり時間を割く気はない。 彼に恨みがあるわけでもないし、嫌いなわけでもないが、須賀君には麻雀部の礎となってもらおう。 私はそう考えている。 そう「おもちゃ」は自分が好きなように出来るから「おもちゃ」なのだ。 そんなことを考える自分に若干良心が痛む。 だが、人を支配する、人を思い通りに操る、そんなこと暗い喜びを感じるのもまた、事実だった。 私は席を立ち画面を覗き込みながら声をかけてみた。 「今はどんな感じかしら?」 「あっ、えっと、今はオーラス29,300点持ちの2着です。トップとは4,500点差です」 突然声をかけられて驚いた様子の須賀君は慌てて私に説明を始めた。 「なるほど。とりあえず、続けて」 「あっ、はい……、と」 そう言ってるとそのタイミングで須賀君が聴牌したようだ。 『京太郎手牌』 34456m45667s22【5】p ツモ5m ドラ3m 『京太郎捨牌』 北中発九⑨⑧ 12西 「リーチっと。部長、どうですか?」 画面の中で赤5筒を切ってリーチをしたタイミングで須賀君は若干期待の顔で私を見た。 メンタンピンドラ1のマンガン確定。 逆転できる手を作ったことを褒めて欲しい、顔にそう書いてあった。 まったく、本当にこの子はわかりやすい。だからこそ、少しいじめたくなる。 「うーん、残念! 100点はあげられないわねー」 「えっ」 自分なりには自信があったのだろう、少し残念そうな須賀君の顔を見て嗜虐心が刺激される。 悪い笑みが出そうになるのをぐっと堪えてパソコンを指差した。 「須賀君、赤5筒を聴牌まで引っぱっていたようだけど、なぜかしら?」 「えっ? だってくっつけば点数が上がるし」 「そうね、ドラを大切にしようって言うその考えは自体はそこまで悪くないと思う。ただ、今の状況は?」 「トップまで4,500点差のオーラスです」 「そう。すでにメンタンピンドラ1で点数が足りているし、 待ちが愚形でも枯れてしまっているわけでもない。なのに赤5筒を引っぱってくっつきを待ち、これ以上点を高くする意味は?」 そこまでいうと須賀君は私の言いたいことがわかったのだろう。 教師に怒られた生徒のように――あぁ、この場合は間違いではないが――うな垂れた。 「ない、です」 「よろしい。ただ、100点をあげられない一番の理由は須賀君が聴牌チャンスを下げる打牌をしているからよ?」 「えっ、えぇ? これで、ですか?」 須賀君は画面上に捨てられている自分の端牌だらけの河を見て首をかしげている。 「ほら、ここ。8順目、ペンチャン落しからの2索切り、これが問題。この時に赤5筒を切って2索を入れると、こうなるわね」 『久提示』 34456m245667s22p 「ほら、この形だと索子に5索8索の他に3索の受け入れも出来るでしょ? そうすれば、6索切りの聴牌でリーチできる」 「あ、あぁ!」 合点が言ったように画面を食い入るように見つめる。 「まぁ、今回は結果オーライだけどね……。ペンチャン落しからは特に見落としやすい形だから、気をつけてね?」 そう言ったタイミングでトップ目がノミ手をツモアガり、須賀君は2位で終わった。 「あー……。今回はいけると思ったんだけどなぁ」 がっくりとうなだれる須賀君を見て私は笑う。 本当に、喜怒哀楽がよく表に出る子だ。 「まだまだ甘いわね、須賀君」 「……うっす、もっと頑張ります」 いくら指導に割く時間を取るつもりはないといっても、完全無視と言うわけにはいかない。 咲は中学からの付き合いとということもあり須賀君とは仲がいいし、優希も彼には懐いている。 意図的に仲間はずれにすると部が分裂してしまう。 蔑ろに扱いすぎて辞めてもらわれると士気に関わる。 つまり、今の段階で辞めてもらうわけにはいかないのだ。 ほどほどに餌なり飴なりを与えて部に留まってもらわなければいけない。 だからこうやってたまに軽く指導するのも餌のひとつだ。 話しに行くたびに嬉しそうな顔をするので、なかなかに効果的だと思っている。 「そうだ、須賀君。この後時間あるかしら?」 ちょっとがっくり来ている須賀君を見て、今日はもうひとつばかり餌を与えてみよう。 そんな気になった。 「はい、大丈夫ですけど……なんですか?」 「須賀君も基本的なところはわかってきたみたいだしね。牌譜の取り方を教えてあげるわ」 「牌譜、ですか?」 「えぇ。インターハイみたいな大きな大会になれば運営が牌譜を取ってくれたりするけど、 練習試合や小規模の大会では学生が牌譜をとるものよ。覚えておかないとまずいわ」 「そう、なんですか?」 「えぇ、だ・か・ら。この後私じきじきに教えてあげるわ。嬉しい?」 思わずからかったような言い方になってしまう。 口元に笑みが浮かぶのが止められない。 おそらく彼の反応は……あぁ、ほら予想通り、慌ててる慌ててる。 「な、なんですかそれ。まぁ、でも、はい。教えてもらえるのは、その、ありがたいです。頑張って覚えます」 「うん、よろしい」 そう言いながら、私は笑う。須賀君が思い通りの反応をしたことに。自分の思い通りに進んでいることに。 須賀君が牌譜の取り方を覚えてくれれば任せられることが増える。 今まで牌譜の整理やネト麻のデータ集計などは主にまこがやっていたことだが、それを須賀君に任せることが出来るだろう。 これでまたひとつ、メンバーの負担を減らすことが出来る。 そんな私の黒い企みなど気づきもしないように、須賀君は何か照れくさそうに笑っていた。 そう、私は欲しいものを必ず手に入れる。 そのために「おもちゃ」は有効活用しなければ。 「あー、今日もよう打ったのぅ」 「おなかへったじょー……」 部活の時間が終わり、まこが背伸びをしながら言った。 優希もだらけきった表情で卓に突っ伏している。 「はい、お疲れ様。今日の後片付けは私と須賀君でやるから皆は先に帰ってて」 「えっ? 部長と、須賀君ですか?」 思わぬ居残りメンバーの組み合わせに和が不審な顔をしている。 まぁ、無理もないか。 「えぇ、須賀君は私の居残り授業があるの。麻雀のお勉強って言うね」 「ええんか? 何か手伝えることがあれば手伝うが……」 まこが私と須賀君の顔を見て言う。 まこはなかなかに世話焼きだ。初めて出来た後輩と言うのもあり、いろいろと1年生4人には目をかけている。 だが、ここでまこの負担を増やしたら本末転倒だ。 「大丈夫よ。これでも私は部長よ? たまにはそれらしいことをしなくちゃ」 よく言ったものだと自分で呆れる。 その目的は100%打算のくせに、よくもいけしゃあしゃあと口が回る。 「む、そうか……じゃあ、そっちもあまり遅くならないようにな」 「京太郎! 2人っきりとはいえ、部長に変なことするんじゃないじぇ!」 「するかっ!」 須賀君と優希がいつもどおりのやり取りをする。 その様子を見て咲がくすくすと笑いながら京太郎に手を振った。 「じゃあ、京ちゃん。今日は先に帰るけど、あんまり無理しないでね。ばいばい」 「おう、また明日なー!」 須賀君がそう言うとそれぞれが別れの挨拶を口々に言い、部室を出て行った。 全員が出て行ったところで私は須賀君に向き直った。 「さーって、はじめましょうか」 「うっす!」 「あ、変なことしないでね?」 「だからしませんって!」 私がからかいの言葉を投げると須賀君はムキになったように言い返してくる。 その子供っぽい仕草がやはり私の嗜虐心をくすぐる。 「ひ、酷い。私に魅力がないって言うのね」 「あー、もう、どうしろっていうんですか!」 よよよ、と泣き真似をすると須賀君は困ったようにツッコミを入れてくる。 私は泣き真似をやめて笑った。やはり、この「おもちゃ」で遊ぶのは楽しい。 「ふふふ、じゃあ、始めましょうか。そこに座って。実際に牌を並べながら説明するから」 そう言うと須賀君はムスッとしながら卓に座った。 こういうところも非常に子供っぽくてからかい甲斐がある。 私は棚から適当な牌譜を取り出して須賀君に差し出した。 「はい、これが牌譜ね。ぱっと見た目、どう?」 「……正直、わけわかんないっす。なんかよくわからない記号がありますし」 「ふふ、そうね。将棋の棋譜なんかと比べるとちょっとわかりにくいところがあるから」 ひとつひとつ、指を刺しながら読み方を説明していく。 須賀君は私の指先をじっと見つめながら真剣に頷いていた。 途中で混乱してきたのか、ノートを取り出し、必死にメモを取り始めた。 「ちょっと待ってくださいね! えーっと、東がTで南がN、でも西と北はそのままで……」 慌ててノートに書きなぐっていく須賀君を見て言葉を止める。 見た目は軽そう、ちゃらんぽらんに見えて意外と根は真面目な子であるというのがここ数ヶ月の付き合いでわかっている。 ただ、男の子特有の煩悩の強さもわかっているが。 以前、和の胸を見すぎと突っ込んだときには面白いぐらいに動揺していた。 その時の様子を思い返して思わず軽く笑ってしまう。 すると須賀君が怪訝な顔でこちらを見た。 「部長?」 「いえ、なんでもないわ。続けるわよ」 まぁ、そんな彼の真面目さとある種の単純さは非常に私にとって扱いやすい。 この子が経験者として一定の実力を持っていればな、と思わなくもない。 だが、そんな仮定の話をしても不毛なだけだ。 実力は無くてもこれはこれでいい「おもちゃ」としてよく動いてくれそう、そんな期待があった。 「な、なんとか」 いろいろといっぺんに言い過ぎたかしら? 須賀君は煮詰まった顔をしながら自分で書いたノートを見つめている。 とは言え、覚えてもらわねば困る。 「じゃあ、これ宿題ね」 私は戸棚から1枚のラベルがないDVDを差し出して須賀君に渡した。 須賀君はきょとんとしながらもそれを受け取る。 「何ですか、これ?」 「えっちなDVDじゃないわよ?」 「そんなこと考えてませんよ!」 本当にリアクションがわかりやすい子だ。 「ふふ、それは昨年の龍門渕が風越を抑えて全国出場を決めた試合のDVDよ」 「えっ?」 「もうすぐ大会だしね。対策のために用意したのよ。 で、その中の大将戦、東場で龍門渕が親の局を映像を見ながら牌譜を作ってきて頂戴。4人全員分ね」 「う、うえぇ!?」 「牌譜取りなんて慣れよ慣れ。やって覚えるしかないわ。それに、4人分とは言え、1局だけなら気楽なものでしょ?」 「う……はい」 思わず返事をしてしまったようだ。 彼は押しにも弱い。こういったところも扱いやすさのひとつだ。 「実はこの試合は映像だけじゃなくて牌譜ももうあるからそれで答え合わせしましょう。……明日、ね」 その言葉にぎょっとする様子を見せる須賀君。 私はその反応に満足そうににんまりとわらった。 「つ、つまり今晩中ってことっすか」 「そ、これから帰ったら頑張ってね」 私はそう言いながら彼にウィンクする。 須賀君はがっくりとうな垂れながらも、オーラスだけなら、と自分を励ましていた。 どうやら須賀君は気がついていないようだ。 龍門渕の大将戦、つまり天江衣の試合だ。海底までもつれ込むのは当たり前で怒涛の親連荘が行われている。 1局がかなり長いことに、須賀君は気づいていない。 少々意地が悪すぎるかしら? いやいや、これも須賀君の教育のためなのだ。 そして、ひいては部のため、勝利のためなのだ。 あれから部室の後片付けをして、私と須賀君は部室を出た。 それなりの時間だが、もう夏ということもありまた薄暗い程度だった。 「疲れた……いや、でもこれからまたさらに疲れるのか……」 須賀君は結構げっそりしているようだ。少し遊びすぎたかな? そろそろ、飴の与え時だろう。 「お疲れ様。今日はよく頑張ったからご褒美にアイスでも奢ってあげるわ」 飴を与えるというにはそのまんますぎる私の提案に彼はぱっと顔を輝かせる。 そして、今にも飛び上がりそうな顔で喜んだ。 「ほんとですかっ!? やった!」 アイスひとつでここまで喜ぶとは、重ね重ね、非常に単純な子だ。 それとも男の子というのはそういうものなのかしら? コンビニに立ち寄り須賀君にアイスを奢ってあげる。 須賀君はわき目も振らず某国民的人気のアイスを手に取った。 私も適当なアイスを選んで、コンビニの前でアイスをかじった。 「遠慮しなくてももっと他のでもよかったのに」 「いやいや、遠慮とかじゃなくて本当にこれが好きなんですって。梨がなかったのは残念ですけど」 そう言いながらも須賀君は非常に満足そうな顔でソーダ味のアイスをかじっていた。 どうやら須賀君の機嫌は税込62円で買えるようだ。 こう言ってはなんだが、安い子だ。 「しかし、大会までもうすぐですねぇ」 「ほんと、あっという間ねぇ」 須賀君はアイスをかじりながらそんなことを言った。 私も同じようにアイス最中をかじりながら答える。 「初めてのインターハイかぁ……」 「そうね、そして、私は最後のインターハイ」 何気なく言った言葉だったのだが、須賀君はアイスをかじるのをやめてこちらを見た。 「……そうでした。部長、夏が終わったら引退なんですよね」 「そう、だから今年の夏は何が何でも勝ちたいの」 思わず本音が漏れた。 まぁ、ついでだ。それぐらいは話しても問題ないだろう。 「ようやく5人そろったからね。ある意味では最初で最後のインターハイ、かしらね」 「最初で、最後……」 「最初はひとりで途中でまこが来てくれたけどそれでも2人だけで、部活って言えるのかって言われたこともあるけど」 一人だけの時代の寂しさは、あまり思い出したくない。 たった一人、部室で麻雀の勉強をし続けたあの時期。 それでも、誰かが来てくれると思ってあの部室で待ち続けたのだ。 「それでも続けてきて、ようやく臨める団体戦」 それが無駄ではなかったという証明が欲しい。 耐えてきたのだ。報われたい。 「だから、勝ちたいの。私は」 あの寂しい思い出もそうすればきっと笑い話にできる。 そんなこともあったわね。だけど……といい思い出にできる。 「そのために、できることは何でもするつもりよ。最後だから、後悔したくないしね」 そう、だから私は須賀君を「おもちゃ」として利用する。 口に出した言葉に対して心のなかでそう結んだ。 「……うしっ!」 須賀君は私の言葉を黙って聞いていたと思ったら溶けかけた残り少ないアイスを一気に口に含んだ。 一気に食べ過ぎたせいか、余りの冷たさに少しもがいている。 私は突然の行動に思わずぽかんとした。 落ち着いたと思ったら私に向き合って、口を開いた。 「部長、俺、頑張ります」 「……えっ?」 「俺、麻雀の実力は大したことないし、皆の練習の相手はできないですけど、それ以外のところで皆が勝てるように協力します」 突然の宣言にぽかんと口を開いてしまった。 それにも構わず須賀君は次々とまくし立てた。 「牌譜取るの頑張って覚えます」 「学校向けの庶務仕事、俺でやれることなら全部やります」 「それ以外に細かい雑用があったら任せてください。その、できる限りのことはします」 怒涛の宣言に私は思わずあっけにとられてしまう。 思わず反射的に疑問の声を出してしまう。 「その……いいの?」 「はい、だから、だからその、絶対、勝ちましょう!」 私の声に須賀君は満面の笑みで断言する。 そこまで言うと須賀君は照れ臭くなったのか、慌ててアイスのごみをゴミ箱に捨てた。 「俺、これから帰って牌譜取りの勉強します! 明日には絶対覚えてきますから! アイスご馳走様でした!」 須賀君はすごい勢いでそういって走って去っていった。 私の話に何か感じ入るものでもあったのだろうか。 私が何かしらの働きかけをしなくても私が望むことを自分から言い出してくれた。 まぁ、何はともあれ好都合だ。 本人が言うように、頑張ってもらおう。 いい。 彼は、やっぱりいい。 いい「おもちゃ」を手に入れた。 私の言うことを聞いてくれる。 私の望むとおりに動いてくれる。 私が聞きたい言葉を言ってくれる。 私の言うことに対して疑問を抱かない。 理想的だ。 ここまでしてくれる理由はわからないけど、あの咲が信頼を寄せている相手なのだ。 生来の人の好さなのだろう。 あのメンバーとあの「おもちゃ」があれば、勝てる。 それぐらいの完璧さを今の部に感じた。 「ふふ、さーて。私も帰りますか」 ゴミ場箱にごみを捨て思わずスキップしそうな足取りで私も家路についた。 彼女はこの時、彼がなぜこう言いだしたかということに対して深く考えることはなかった。 彼女がそれを後悔することになるのはしばし先の話である。 彼女がこの時に帰りたいと望むことになるのも先の話である。 今はただ、自分の望む展開に進んだことによる喜びに包まれていた。 私、竹井久の生活は現在大変充実している。 新しく入ってきた1年生3人は合宿を経て一皮剥けた印象だ。 まこも去年と比べると大分たくましくなった。 そして、私の「おもちゃ」は相変わらず元気に動いてくれている。 「部長、牌譜を整理してみたんですけど。ついでに全部の牌譜に通し番号振ってリスト化してみました」 「へぇ。どれどれ……」 須賀君が紙の束を差し出してくる。 PCからプリントアウトされたそれは部室に存在する全ての牌譜が並べて記載されていた。 対策のために集められるだけの牌譜を集めたのはいいが、棚がカオスになっていたのはちょうど気になっていたところだった。 その棚に目をやると綺麗にファイリングされて規則正しく並んだ牌譜が目についた。 「で、対局者や学校ごとにその通し番号に紐付ける表も作ってみました。 これであの人の牌譜が見たいって時にも探すのが楽になると思いますよ」 「なるほど、よくできているわね。ありがとう、須賀君」 須賀君が差し出した表に一通り目を通して笑いかける。 そうすると須賀君は嬉しそうに笑った。 「うっす、あとはこんな感じで映像媒体についてもまとめておきますね」 「わかったわ。お願いね」 そう言うと須賀君はパソコンの前に座った。 ネト麻もそこそこに、データの集計をやるつもりなのだろう。 まぁ、このように私の「おもちゃ」は言われなくても自分で何かできることを考え動いてくれている。 あのコンビニでの一件以来ずっとそんな感じだ。 合宿中も掃除や料理は積極的に買って出てくれたし、買い出しなんかも進んでしてくれた。 全く、大した有能ぶりだ。 卓を見るとちょうど対局が終わったところだった。 本日の一発目、肩慣らし程度だったが平和に終わったようだ。 「それじゃ次は私が入るわ。で、そのあと検討会ね。牌譜は須賀君と……今回は和がお願い」 少し悩んだうえでメンバーを選別する。 須賀君は何も言わずに牌譜を取る準備を始める。彼はもうすっかり慣れていた。 メンバーの都合上、どうしても1人で2人分とらなくてはいけないのだが、そのあたりの動揺もない。 「ちょっと待ちぃ」 と、その時まこが声を上げた。 何やら難しい顔をしている。 ……そろそろ、来るころかしら。 私はその顔から言いたいことをなんとなく察した。 「ここの所、京太郎は雑用ばっかりじゃ。ほとんどわしらと対局しとらんじゃろう? 牌譜はわしが取るけぇ、京太郎が入るといい」 案の定、言いだした。まぁ、想定通りだけど。 「そうだよ京ちゃん、入りなよ。部長、牌譜なら私がとってもいいですよ?」 「そうだなー。たまには犬も可愛がってあげないとなー」 「確かに、ここの所須賀君とはあまり打てていないですね。後ろで見ててあげますよ?」 そして、一斉に乗ってくる。ここまでも想定通り。 見計らって私が口を開く。 「そうね、ごめんなさい。最近須賀君の対局数が減っていたわね……。焦ってるのかしら」 須賀君の方を向いて苦笑する。勿論狙い澄ましたものだが。 ふふ、ほら、ちょっと困った顔してる。 「須賀君、入りなさい。牌譜はまこが取って……」 「いや、大丈夫です!」 私が言い終わる前に須賀君が言葉を遮った。 その瞬間、悪い笑みが浮かびそうになるのを堪える。 「大丈夫ですよ、ほら。大会はもうすぐなんですよ? 初心者に毛が生えた俺より有望株の女子組の練習するのは当たり前じゃないですか?」 「しかし……」 まこは何かを気にしたように言いたげな表情をしている。 そんなまこに須賀君は笑いかけた。 「大会が終わって落ち着いたらゆっくり対局しましょうよ? とりあえず今はみんなの練習の方が優先ですって」 一同、何か申し訳なさそうな顔をする。 私も表面上は、そんな顔をする。 「そのかわり、夏が終わったら練習に付き合ってくださいよ。さっ、染谷先輩座って座って」 押し切られる形でまこは卓についた。 そうすると須賀君は私とまこの席の間に椅子を引っ張ってきて座った。 「それに、こうやって人の打ち筋をいろいろ考えながら見るのも練習のうちですよね?」 「まぁ、確かにそう言ったが……」 「大丈夫ですって。以前言われた通り、自分だったらどうするとか考えながらちゃんと考えながら牌譜取るようにしますから」 それはまこが以前、ただボーっと対局を眺めている須賀君に言った言葉だった。 自分の言葉を持ち出されてまこも言い返せないようだ。 「……わかった。だが、見てる上で疑問に思ったことがあったら遠慮なく聞くようにな?」 結局、押し切られる形で対局が始まった。 対局中、須賀君は私やまこの手を何やら相槌やら思案顔をしながら牌譜を付けていた。 時々振り返って目が合うと、慌てて下を向いて牌譜を書き始める。 まったく、本当にいい「おもちゃ」だ。 天然なのかわからないが私が望む答えを言ってくれる。 部活の空気や団結を壊さないように発言し、私の望む方向に進めてくれる。 何か、暗い感情が芽生えていく。 自分が考えた通りに人を動かしていくその喜びに包まれていく。 私の「おもちゃ」 私が支配し、私が望むままに操る「おもちゃ」 今年はなんと幸運なんだろう 強いメンバーに「おもちゃ」も付けてくれるとは 楽しい 自分が望むままに進むのが楽しい 自分が思い描く方向に物事が進むのが楽しい この「おもちゃ」は、本当に素敵だ 私はそんなある種の多幸感に包まれながら麻雀を打った。 なぜか運も味方したようで、その対局はトップを取ることができた。 「このままでいいのかのぅ」 部活終了後、校舎を出た後まこは後ろを振り返って部室のあるあたりを見た。 まだ明かりがついてる。 須賀君が残って今日の牌譜の整理、検討会の要点まとめを片付けている最中だった。 「手伝うって言ったのに……」 咲が寂しそうな顔をしている。 最初は全部自分がやると須賀君が言いだしたが、後片付けぐらいは、と押し切られそれだけは全員でやった。 だが、その他の雑用は自分がやるから、と譲らずに私たちは追い出されてしまった。 「そうですね。部のために何かしようっていうのは素晴らしいと思うんですが……」 「うん……」 和も何か後ろめたさを感じているのか表情が暗い。 いつもはふてぶてしい優希も何か思うところがあるようだ。 「そうね、一人にすべてを押し付けるのが健全かと言われると、そうじゃないわね」 「うむ……」 私の言葉にまこが頷く。 そして私は全員を見渡して、告げた。 「ただ、ここで無理矢理須賀君にそんなことをしなくていい、って言って仕事を取り上げても彼は喜ばないでしょうね」 その言葉に全員が黙り込む。 皆気づいていることなのだろう。 彼が誰かに強制されて、とか、嫌々やっている、とかそういった類の感情で動いているのではないと。 私なぞ直々に頑張ると宣言されてしまったぐらいだ。 「彼は彼なりに部の勝利を目指して頑張ってくれてるの。だから、私たちは大会で勝って、彼の気持ちに応えましょう?」 その言葉を聞いて、咲が何か決意をしたようだ。 「部長……私、頑張ります! 絶対、絶対勝ちましょう」 「えぇ、頑張りましょう」 咲だけではなく、全員大きく頷いた。 私も頷きずつ、全員の士気が上がったことに内心ほくそ笑んだ。 それからも大会に向けてひたすらに練習を続け、時間はあっという間に流れた。 長野県大会前日。 流石に前日とあり、それぞれ体調を整えるようにと言って、活動日にはしていない。 「だというのに、何で私は来ちゃうのかしらねぇ」 家にいても落ち着かず、私は部室で一人ボーっとしていた。 当然、誰も来ていない。当たり前の話だけど。 「さーて、一人で何しましょ」 一人では麻雀もままならない。わざわざ部室まで来て一人ネト麻というのも少しさびしい。 牌譜でも確認してみようか、と思い棚のファイルを取り出す。 何度も眺めた牌譜を指で追いながら何となく思案した。 「一人……か」 2年前はこれが毎日だった。 毎日毎日たったひとり、この部室で誰かが来るのを待っていた。 ろくに部としての活動もできず、たった一人だった。 インターハイに出たかった。 誰かと、一緒に麻雀がしたかった。 「……いけない」 あの時の孤独が心によみがえってくる。 『寂しい』 「違う」 『寂しい』 「違う」 『寂しい』 「今は、違う」 『寂しい』 「今は違う、今は違うんだから」 自分に言い聞かせる。 心がざわめく。 明日は本番だというのに。 こんな、こんなことで落ち込んでいる場合じゃない。 今は一人じゃない。 まこがいて 咲がいて 和がいて 優希がいて そして、私の 私の、「おもちゃ」が 私の思い通りになる「おもちゃ」がある。 私の望むことをしてくれる「おもちゃ」がある。 だから一人じゃない。一人でもう無力感に悩むことはない。 だから、大丈夫。大丈夫なのだ。 「……私って意外と引きずりやすいタイプなのかしら? それともこれがトラウマってやつ?」 そう一人ぼやく。 ここに一人でいても気が滅入るだけだ。 帰ろう、そう、思った時だった。 「あれ? 部長、いたんですか?」 須賀君がカバンを片手に部室に入ってきた。 驚きの表情を私に向けている。 「須賀君こそ、今日は休みよ? 連絡したわよね?」 「えぇ。それは聞いてるんですが、ちょっとですね」 そういうと須賀君はカバンから何かを取り出す。 何やら難解な文字が書かれているそれは 「……御札?」 「そうです」 そういうと須賀君は椅子を引きずると窓の庇にその御札を立て掛けた。 「諏訪大社までお参りに行ってきたんですよ」 「諏訪大社? またずいぶん遠くまで行ってきたのね?」 同じ長野県内とは言え、諏訪大社まではそれなりに距離がある。 田舎ゆえの電車の少なさもまぁ、関係してくるけど。 「はい。諏訪大社に祀られてる神様は戦の神でもあるとかで……よっと」 須賀君はそんなことを言いながら椅子から降りて、椅子を元に戻した。 「だから、必勝祈願に行ってきました。ここまで来ると後は神頼みかなって思って」 須賀君はその御札に向かって柏手を打ち、頭を下げた。 「俺が出来るの、あとこれぐらいですから」 そういう須賀君は笑顔だったが何か酷く寂しそうだった。 個人戦には一応エントリーしているが、練習量が足りていない須賀君が勝ち進むのはまず無理だろう。 心が、少しざわめいた。 「部長」 そんなことを思っていると須賀君は私に呼びかけた。 「なぁに?」 須賀君は何かを悩んでいるかのように少しためら会った後、私をまっすぐ見て言った。 「勝って、くださいね」 どこか必死な瞳だった。 彼は、何を思ってその言葉を言ったのだろうか。 いつもは須賀君の考えていることが大体わかるのに、なぜか今は全く分からなかった。 ただの激励なのだろうか? それともほとんど放置してしまっていることに対するあてつけなのか? 「えぇ、頑張るわ。絶対、勝ちましょう」 「はい」 私が辛うじて絞り出した言葉に須賀君は何も言わずに頷いた。 私はそんな須賀君を見たからなのか、何故か、今まで何となく気になっていたこと、聞かなくても言いことを聞いてしまった。 「ねぇ、須賀君」 「なんですか?」 「須賀君、何であんなに一生懸命働いてくれたのかしら?」 「……部長?」 「あなただって麻雀がしたくて麻雀部に入ったんでしょ? だけどここ最近はほとんど打ててない」 まぁ、それは私が彼の発言を盾にこき使ったからという面もあるが。 「本当に、よかったのかしら?」 そう問いかけると須賀君は何か言い辛そうに頭をかき、何かを決意したかのように口を開いた。 「……部長が」 だが、須賀君はそこまで言って頭を振り言葉を引っ込める。 私は首をかしげながらも須賀君の言葉を待った。 「部長……に、勝ってほしかったんです」 「……えっ?」 「コンビニで一緒にアイス食べた日、覚えてますか?」 「えぇ、覚えてるわよ」 「あの時、部長の話を聞いて……この人に勝ってほしいってそう思ったんです」 何やら恥ずかしそうに、俯いた。 私はその姿を見て、なぜか、心がずきりと痛み始めた。 「俺、部長とは4月からしかの付き合いしかないんですけど、あの話聞いて、きっとつらい思い一杯したんだろうなって、そう思って」 ずきり、と痛む 「昔の話する部長、つらそうで、悲しそうでしたから」 この「おもちゃ」は私の苦しみを分かってくれている 「だから、なんていうかその、部長には、報われて欲しかったんです」 痛い、酷く、痛い。 「そんな先輩と引き換え、俺は麻雀は興味はありましたけど入った動機も何となくだし……その、不純な目的もありましたし」 それに付け込んだのは、私だ 「だから、その、俺にできることは何でもしようって。部長が勝てるように俺にできることは何でもしようって」 痛い 「だから、頑張りました」 痛い 「部長、勝ってくださいね。俺、部長が勝ってくれれば俺もすごく嬉しいです。この数か月、無駄じゃなかったって、そう思えます」 痛む心を抑えながら返事をしようとするが、私はそれに対して返事をすることができなかった。 「す、すいません生意気言って。じゃ、じゃあまた明日っ!」 須賀君はそこまで言い切ってから恥かしくなったのか、いつぞやのように部室からすごい勢いで出て行った。 部室に一人残された。 酷く、静かに感じられる。 私は、椅子に座りこんで須賀君が買ってきた御札を見ながら考え込んだ。 喜ばしい話だ。 彼はあそこまで私のことを思っていてくれたとは。 私の気持ちを汲んでいてくれたとは。 こんな「おもちゃ」はそうそうないだろう。 あの様子じゃ全国大会が終わるまでは献身的に働いてくれるだろう。 理想的な、私の「おもちゃ」 自分が好きなように扱えるだけでなく、持ち主の幸せも考えてくれる「おもちゃ」 どれだけひどく扱われようと、私の幸福のために力を尽くしてくれる「おもちゃ」 喜ばしい話だ。 嬉しい話なのだ。 なのに、何故、 何故心が痛むんだろう? 酷く、痛い。 酷く扱い、それでも持ち主を好いてくれるその姿に心が、痛む。 結局、私には理由がわからず、その感情を無理矢理心の奥底におしこめ、封をした。 今は、大会に向けて全力を尽くすだけだ。 「おもちゃ」のことはまた後でゆっくり考えればいい。 そうだ、その、はずだ。 それで、正しいのだ。 私の思い通りに進んでいるのだ。 間違って、いない。 だが、彼女は後に思った。 これが、このタイミングが、最後のチャンスだったのだと。 取り戻しが効き、本当に望んでいたものが手に入るチャンスだったのだと。 だが、彼女はそれから目を逸らし、それを失った。 「ロンッ! リーチ七対子赤1! 6,400!」 モニタの中の須賀君が勢いよく発声する。 女子の試合を終えた翌日の男子個人1回戦。 私たちは控え室で須賀君の闘牌を見守っていた。 南2局まで須賀君は全くアガれず重苦しい空気だったが、この南3局で渾身のアガりが決まり、控え室の中は騒がしくなった。 「やった! これで京ちゃんが3着に上がったよ!」 「えぇ、地獄待ちなんか取るからひやひやしましたけど……。王牌に死んでなくてよかったです」 嬉しそうな咲と疲れを見せながらも笑う和。 まこは手元のメモ用紙に書き込んだあと、嬉しそうに笑った。 「むっ、これでオーラス5,200出アガるか1,000-2,000ツモで2位浮上になる。これは、もしかすると……」 「おぉ、行けるぞ京太郎! がんばれ!」 優希が声を張り上げて須賀君を応援する。 そんな中、私は須賀君のアガり形に首をひねっていた。 (スジ引っ掛けの9索単騎でも待てたのに、地獄単騎の北でリーチ?) わざわざ悪い待ちを選択してのリーチ。 その打ち筋は見たことがある。 身に覚えがある。 ただ、まさか、ありえないだろう。 七対子だし、スジより字牌のほうが出やすいとか考えた理由もあるし。 何より私を始めそんな打ち筋は誰も教えていない。 教えていないのだ。 そして、オーラス。 須賀君も状況がわかっているのかかなり緊張している面持ちだ。 微妙に手が震えているが必死で打ち進めていった。 何かが神に通じたのか、須賀君は5順目にして聴牌を入れた。 『京太郎手牌』 4【5】56678m2345p發發 ツモ3m 須賀君は場を見まわし、少し悩んだ後2筒を切ってダマに取った。 控え室にいた一同はほっと胸をなでおろした。 「一瞬リーチのモーション見せたから焦ったじぇ。4萬と7萬が3枚ずつ見えてちゃ勝負にならんじょ」 「うん。京ちゃん、かなり緊張してるみたいだけど、場が見れてるね。よかった……」 「まぁ、聴牌取らずという選択肢もあったのですがそこまで求めるのは酷でしょう」 「そうじゃな。あとは何とか別の聴牌が入れられれば……」 そして、何順かツモ切りが続いた8順目。 震える手で取った須賀君のツモを見て私たちは沸き立った。 『京太郎手牌』 34【5】56678m345p發發 ツモ發 ドラ4p 「よく引いた!」 思わず興奮したまこが膝を叩いた。 控え室がにわかに興奮した空気に包まれる。 「絶好の發引きですね。これでダマで5,200点。アガれれば文句なしの2着浮上です」 冷静に言っているつもりの和も、言葉の端端から興奮しているのが伝わった。 私も口には出さなかったが、心臓が高鳴ったのを感じていた。 「きょ、京ちゃん大丈夫かな? リーチかけなくても点数足りてるって、わかってるかな?」 咲はそんな中でも心配そうだった。 その様子がおかしくて私は思わず口を挟む。 「大丈夫、あれぐらい簡単な符計算だったら出来てたはずだから」 「そ、そっか。よかったぁ」 それを証明するかのように少し悩んだ後、須賀君は5萬を切り、ダマに構えた。 その姿に、咲が安堵の声を漏らす。 「この巡目で3-6-9萬なら、いけるじぇ! 引いちゃえ京太郎!」 「京ちゃん、頑張って。京ちゃんもできるなら一緒に全国に……!」 優希が声援を飛ばし、皆も祈りながら見つめた。 だが、次順のことだった。 『京太郎手牌』 34【5】6678m345p發發發 ツモ1m ドラ4p 無駄ヅモであり、全員がすぐに場に切ると思っていた。 だが、モニタの中の須賀君はなにやら目の前の手牌を睨みつけて必死に何かを考えている様子だった。 「何を悩んでいるんでしょう? 手代わりもありませんし、ツモ切りだっていうことぐらいわかるとは思うんですが……」 和が不思議そうに首をかしげている。 だけど、私にはなんとなく予感があった。 何に悩んで、何を切ろうとしているのかなんとなくわかった。 (やめなさい……) 心の中で叫ぶ。 前日に封をした心の中の「それ」がまた騒ぐのを感じた。 (そこまで、そこまで私に殉ずる必要はないの) (だから……やめて) (お願い、そっちに行かないで) 強く祈るが、モニタの中の須賀君が私が考えたとおりの牌をつまむ。 それを見て私は心の中で悲鳴をあげた。 (やめなさい須賀君!) その悲鳴と須賀君の発声は同じタイミングだった。 「リーチっ!」 『京太郎手牌』 34【5】6678m345p發發發 ツモ1m 打發 ドラ4p 思ったとおりの展開となったことに私は天を仰いだ。 「か、カン2萬!? 3面張と役を捨てて!? あ、ありえません!」 和が叫び声を上げる。 その打牌に他のメンバーも呆然としてる。 「た、確かにリーチドラ2で点数は足りておるが……」 手の内容を見返してまこがそう言うがそれでも合点が行ってないようだ。 私は天を仰ぎながら全員に告げた。 「……スジ引っ掛け」 「えっ?」 その言葉に全員がいっせいに振り向く。 「前巡で5萬切ってるでしょ? だからスジ引っ掛けに取れると思ってリーチしたんじゃないかしら」 「そんな……いくら須賀君でも、そんな非効率な、そんなこと、するはずが」 和は私の言葉にうわごとのように返しているが、現に須賀君はそう打ってしまった。 そう、本来の彼であればそんな打ち筋はしない。 わざわざ悪い待ちに取ってあがりに行く。 そんなもの、須賀君の打ち筋ではない。 そう、彼が私の打ち方でうまくいくわけが、ないのだ。 何故、こうなってしまったのか。 私は顔を手で覆った。 「ロン。2,000点」 「……はい」 須賀君が2着目に振り込んだのはその2順後だった。 振り込んだ牌は、待ちさえ変えなければアガれていた9萬だったのが、皮肉だった。 こうして須賀君の夏は、終わった。 試合が終わった後も、誰もがその場を動けず呆然としていた。 それからしばらくして、少し暗い顔をした須賀君が控え室に戻ってきた。 入ってくるなり、彼は深く頭を下げた。 「すみません、負けてしまいました」 全員が、何かを言いたそうだった。 だが、暗い顔をする須賀君を見てなかなか言い出せないようだった。 私はそんな重い空気の中、口を開いた。 「お疲れ様。残念だったわね……と言いたいところだけど、聞かせてもらっていいかしら?」 「はい……」 須賀君はおそらく何を聞かれるのかなんとなく想像がついているのだろう。 顔を伏せたまま返事をした。 「オーラス、最初に3-6-9萬で聴牌したわね? 發赤ドラで5,200点。点数が足りていたのはわかっていた?」 「はい。リーチかけなくても問題ないってのは、わかりました」 「えぇ、そこまではいいわ。じゃあ、何故……」 分かりきっている。 答えなど分かりきっている問いだがどうしても聞かずにはいられなかった。 「どうして、次巡でカン2萬なんかに受けたの? 役も良形もドブに捨てて」 須賀君はその問いに少しの間黙り込む。 控え室に嫌な沈黙が流れていた。 「……部長の」 ポツリと呟いた言葉に体がビクリと跳ねた。 あぁ、やはり想像通りなのだ。 聞きたくはない、耳をふさぎたかった。 だが須賀君は一度息を吸い込み、意を決したように言った。 「みんなの牌譜取ってた時、部長の打ち方、すごいと思ったんです。かっこいいって思ったんです」 やめて。 「ここ最近、ずっと思ってたんです。部長みたいに、打てればいいなって思って」 私は「おもちゃ」にそこまで求めてない。 「俺も、ああいう雀士なりたいって、そう思ったんです」 私の打ち方はそんないいものじゃない。あなたに、できるわけがない。 「だから部長の牌譜とか見て、いろいろ研究してたんです」 できるわけが、ないのだ。 「だから、一萬を引いてきたとき、きっと部長ならああ打つかなって思ったから」 確かに私ならそう打ったかもしれない……でも、違うのだ。 「悪い待ちに受けてしまいました。すみません」 須賀君は、そう言って再び頭を下げた。 「……須賀君」 「はい」 酷く混乱したまま、頭を下げた須賀君に声をかける。 私の打ち方を目指したと言うその言葉に対して、私はよく分からない感情に心を支配されていた。 怒りなのか喜びなのか。悲しみなのか嬉しさなのか。 混乱していた私には分からなかった。 ただ、少なくとも須賀君は定石から外れる行為をして勝てる勝負を自分で捨ててしまった。 そのことは、叱らねばならない……はずだ。 その、はずだ。 「あなたはまだ効率や押し引きと言ったことだって完全ではないのよ」 「はい」 「それなのに、私の真似をするなんて……まずは基本をしっかりとマスターする段階だっていうのはわかってる?」 「はい……」 「もう二度と、こんなことをしないように」 「はい、すみませんでした……」 言ってから自分がきつい言い方をしてしまったことに気づいた。 須賀君は目の前で拳を強く握って震えていた。 「すみません、頭冷やしてきます。すぐ、戻ります。」 そこまで言って須賀君は部屋を飛び出していった。 「きょ、京ちゃん! 待って!」 しばし呆然としていた咲がその後を追った。 優希がその後を追おうとしたが私のほうを振り返って少し睨み付けながら言った。 「部長! ちょっときつすぎるじぇ!」 「そうじゃのう、言いたいことは分かるがショックを受けているのは本人じゃけぇ。もう少し言い方があったんじゃないんか?」 優希とまこが口々に言った。 だが、それに対して和が首を振りながら言った。 「でも、部長の言うことももっともです。今日は勝てていた勝負を捨ててしまいました。 二度とこういうことをしないように言うのは、正しいと思います」 まこと優希が驚きの表情で和を見た。 優希が何かを言おうとしたが、それより咲に和がもう一度口を開いた。 「もっとも、私たちもここのところ須賀君に指導できていなかったのに、失敗したときだけ責めるのも……酷い話だと思います」 「そうね……」 私はそう相槌をついて椅子に座り込んだ。 「本当に、そうだわ。悔しくて、つい須賀君に辛くあたってしまったみたい。一番辛いのは須賀君なのにね」 絞り出すような声に、まこも優希も続きを言う気はなくなったようだ。 私はざわめく心を抑えながら、席を立った。 「少し、様子を見てくるわ。ちょっと待っててもらえる? 須賀君に言い過ぎたことを謝らないと」 「わかった……」 まこにそういうと私は3人を残し控室を出た。 扉を閉めた瞬間に倒れこみそうになるのを堪えながら、左右を見渡して須賀君を探した。 ふらふらと歩きだす。 私の思考は混迷を極めていた。 私の「おもちゃ」 私が遊びたいときにだけ遊ぶ「おもちゃ」 私が使いたいときにだけ使う「おもちゃ」 私は「おもちゃ」自身のことなどろくに考えていなかったのに 私は「おもちゃ」を酷く扱ったのに 「おもちゃ」は私に憧れて、私を目指して闘った それがどうしたと切って捨てればいいはずなのに 「おもちゃ」のことは利用するだけ利用すると決めたのに 「おもちゃ」のことはどうだっていいと思っていたのに 何故割り切れないのだろうか 何故切り捨てられないのか 「あぁ……」 ぐるぐると巡る思考の中で、ようやく私は理解した。 先ほど須賀君に言われた言葉、私がどう感じたのか。 『みんなの牌譜取ってた時、部長の打ち方、すごいと思ったんです。かっこいいって思ったんです』 ようやく、わかった。 『俺も、ああいう雀士なりたいって、そう思ったんです』 私は 『だから部長の牌譜とか見て、いろいろ研究してたんです』 こう言われて"嬉しい"と最初は思ったのだ。 だがすぐに"悲しい"と思ったのだ。 そして、彼に対する罪悪感が芽生えたのだ。 私の打ち方は、彼のように、単純だけどまっすぐで、人のために動けるような子がやる打ち方ではない。 人を利用しようなどと考え 人を「おもちゃ」として考え 人を支配することに喜びを感じて 人が自分の掌の上で踊ることに快感を感じる そんな人間が打つ麻雀なのだ。 あんな、あんな打ち方を、彼がしてはいけない。 できてはいけないのだ。 だが、私は彼にそれをさせてしまった。 ろくに麻雀を教えて貰えない状況で それでも私を信じてついてきてくれて 私を想ってくれて 私に憧れてくれて 少しでも、私を目指そうと彼なりに進んでいたのだ その姿が、私の醜さをそのまま映しているようで、それで私の心は悲鳴を上げたのだ そう、ようやく、気づいた。 ようやく気づいたのだ。 「須賀君、須賀君に……謝らなくちゃ」 ふらふらと、会場内の廊下を歩く。 何人かにぶつかりそうになり、顔をしかめられたが気にならない。 ただ、アテもなくふらふらと歩き続けた。 そんな探し方で人が見つかるわけがないのに、私の悪運の強さは折り紙つきのようだ。 通路の先に須賀君がいた。 駆け寄ろうと、思った。 だが、それはできなかった。 ――悪いな。かっこ悪いところ見せちゃって―― ――かっこ悪いなんて、そんなことないよ。男の子だって悲しいときは悲しんでいいと思うよ。泣いたっていいと思う―― ――……おう。ほんと、ありがとな、咲―― 隣に、咲がいる。 何故かその事実を知っただけで、私の歩みが止まった。 ――ううん、いいよ。落ち着いた?―― ――あぁ、もう大丈夫だ。戻るか、みんな心配してるよな―― ――そうだね、行こうか?―― ――あぁ。部長にもう一度謝らないとな―― ――大丈夫。部長だって本当に怒っているわけじゃないと思うよ。部長って立場だから注意しなくちゃいけないから……その―― ――わかってる。悪いのは俺だしな……部長の言うことはもっともだ。もう一度、勉強しなおさないとな―― ――うん、私もできることは協力するからね―― そう言うと2人は控え室に向かって歩き出した。 私はなぜか、手近にあった空き部屋に飛び込み二人から身を隠した。 誰もいない部屋に私はへたり込む。 扉の外を須賀君と咲の楽しそうな声が聞こえた。 その声が、だんだん遠ざかっていく。 謝らなくてはいけないのに あんなに酷いことを言われても私のことを悪く言わない彼に、謝らなくてはいけないのに 私の体は、へたり込んだまま動けなかった。 まこが私を捜し、迎えに来るまで、私はその場から動くことができなかった。 「私の」 ぽつりとつぶやいた。 「私の、おもちゃ」 その呟きに対して言葉を返す人はいなかった。 この日、私は「おもちゃ」から目を逸らし、手を放した。
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/2249.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1372845067/ 京太郎「……飛びました」 優希「またー!?ほんとに犬は弱いじぇ!」 和「こら、優希」 久「あはは、須賀君たら駄目駄目ねー」 まこ「そう笑ってやりなさんな」 久「それじゃ、咲と交代して須賀君は買出しお願いね」 咲「ごめんね京ちゃん」 京太郎「はい、行ってきます」 スタスタ ガチャ バタン 京太郎「…………はぁ」 ―須賀邸― 大沼『……ツモ』 『決まったー!!大沼プロの優勝です!!』 <ワーワー 京太郎「……」 京太郎「…………はぁ……」 京太郎(なんで俺はこんなに麻雀が弱いんだろうな……) 京太郎(最近はずっと麻雀の勉強してるんだけど……強くなった気がしない) 京太郎「……才能、無いのかな」 京太郎(…………それに、正直……清澄の顔に……俺が泥を塗ってる気がする) 京太郎(皆は団体や個人戦で良い成績収めてるのに、俺は一回戦敗退) 京太郎(これじゃ来年は男子麻雀は和や咲目当ての奴しかこないんじゃねえか?) 京太郎(実力のある奴は皆俺を見て清澄に見切りつけて風越に行っちまうんじゃ……) 京太郎「……はぁ」 京太郎「………………部活、やめちまうか……」 ―翌日― 京太郎「……ふぁあ……」 咲「あれ、京ちゃん。おはよ」 京太郎「ん?ああ、咲か」 咲「眠そうだね?」 京太郎「ん?はは、まあな」 咲「……?」 京太郎「?どうした?」 咲「ううん……なんだか、元気ない?」 京太郎「……」 京太郎「いんや?元気過ぎて困るくらいだぜ?」 京太郎「ちょっと寝不足でさあ、まぁ授業中寝れば大丈夫だ」 咲「もう、駄目だよ!授業中に寝ちゃ!」 京太郎「ははは」 京太郎(……わりぃな、咲) ―3年教室― 「竹井さーん」 久「んー?なにー?」 「一年生の男の子が来てるよー」 久「一年生の……?あ」 京太郎「……」ペコ 久「わかったーすぐ行くわー」ガタ ―廊下― 久「おはよう、珍しいわね。須賀君が会いに来るなんて」 京太郎「……いきなりすみません」 久「いいわよ別に。で?どうかしたの?」 京太郎「……えっと」ゴソゴソ 京太郎「…………すみません、コレを」スッ 久「ん?何ー?まさかラブレター?」 久「………………――え?」 【退部届】 京太郎「……すみません、急に」 久「……え」 久「冗談、とかじゃ……ないの?」 京太郎「……すみません」 久「……」 京太郎「……」 久「……考え直してくれたり……しないかな」 京太郎「……御世話になりました」ペコ クルッ 久「あ!ちょっと須賀く――……」 京太郎「……」タッタッタ タッタッタ…… 久「……行っちゃった……」 久「……………………困った、わね……」 スタスタ 優希「情報技術の授業は楽だからいいじぇー」 和「そうですね」 タッタッタ 優希・和「え?」 京太郎「……」タッタッタ 優希「おう!犬っころ!」 和「あ、こんにちわ須賀く――……」 ビュン 京太郎「おう、じゃあな二人とも!」タッタッタ 和「わわ、廊下は走っちゃ駄目ですよ!!」 タッタッタ…… 和「……行ってしまいました」 優希「何を急いでたのか」 タッタッタ 京太郎「……」 京太郎(少し……後ろめたいけれど……これでいいんだ) 京太郎(麻雀だったら……雀荘でも、ネットでもできるし) 京太郎(元々、和に憧れて入った部活だし……もういいんだ) 京太郎「……」 タッタッタ 京太郎「……これで、いいんだ」 ガタッ!! 京太郎「あぐっ!!?」 ドターン 京太郎「っ……!いてて……!」 京太郎(……な、何も無い所で転んじまった……?) 京太郎(でも、何か足に引っかかったような感触が……) ―帰り道― スタスタ 京太郎「……」 京太郎(結局……みんなには何も言わずに帰ってきちゃったな) 京太郎(皆怒るかな……いや、変わりなさそうな気がする)ハハ 京太郎(でも、咲には怒られそうだな……『誘ったくせにやめるなんて最低』とか) 京太郎「……」 京太郎(咲にゃ悪い事したな……) 京太郎(待ってろよ、すぐにすっげー強くなって……お前相手に飛ばないように、いや) 京太郎(お前に勝てるくらい強くなって、お前を楽しませてやるからな……!) スタスタ 京太郎「……」 スタスタ 京太郎(……ん?) クルッ 京太郎「……」 シーン…… 京太郎(……気のせいか?) クルッ スタスタ 京太郎「……」 スタスタ スタスタ 京太郎「っ!」バッ!! シーン 京太郎「……」 京太郎(…………おかしい) クルッ タッタッタ 京太郎「……っ」 <タッタッタ 京太郎「!」 京太郎(やっぱりだ)チラッ <タッタッタ 京太郎(誰か後をつけて来てる……!) ピタ 京太郎「……」クルッ シーン…… 京太郎「……咲……か?」 京太郎「……」 京太郎「優希……?部長……?」 シーン…… 京太郎「……」 京太郎「……染谷先輩……?」 京太郎「…………まさか、和ってことは……」 シーン…… 京太郎「……」 京太郎(……何も返事が無い) 京太郎(小学生のいたずらか何かか……?) 京太郎「……」 京太郎(…………とにかく、帰るか……) ピタ 京太郎「……ん?」 京太郎(……なんだ?) 京太郎(あの……電信柱の下から……誰かがこっち見てる……?) 京太郎「……」 スタスタ 京太郎「誰、だ?何か用か?」 京太郎(まさか、本当に咲が俺を追っかけて来て――……) 京太郎(隠れっ――――……)ピタッ 男「……」 京太郎「……」 京太郎(……誰だ) 京太郎(誰だ、このおっさん) 男「……」 京太郎(……何だ、このおっさん……なんで、俺をじっと、見て) 京太郎(え、て、事は……さっきから俺を追いかけてたのって) 京太郎「…………――――っ!!!!」ゾッ ダッ 京太郎「ひっ……!!」タッタッタ 京太郎(き、気味悪ぃ!) 京太郎(全速力で逃げよう!!!!) タッタッタ…… …… … ・ ―須賀邸― 京太郎「……はぁ……」グテー 母「どうしたの京太郎、そんなに疲れて」 京太郎「いや……なんでもない……」 京太郎(結局なんだったんだ……あの後は何も無かったし……) 京太郎「……」 京太郎(でも、なんだろう……あのオッサンどっかで) コンコンコンコン 京太郎「……ん?」 コンコンコン 京太郎「……」 京太郎(誰か玄関をノックしてる……?) コンコンコンコンコンコン 京太郎(なんでチャイムを鳴らさな……) コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン 京太郎「……」 コンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコンコン 京太郎「っ……」ゾク 京太郎「な、なあ母さん!さっきからずっと玄関のドアをノックされてんだけど!」 母「えー?本当ー?」ジャバジャバ 京太郎「でてくれよ!なんかしつこくて……」 母「洗い物してるんだから京太郎出てよー」ジャバ カラン 京太郎「そっ…………!……ったく……!」ガタ スタスタ 京太郎「……」 京太郎(や、俺の考えすぎか……。流石に撒いたはずだし) ガチャッ 京太郎「はーい」ギィ シーン…… 京太郎「……?」 京太郎(誰も……いない……?) 京太郎「……はぁ」 京太郎(なんだろう、動物とかか) 京太郎(な――……) 男「……」 京太郎「……――え」 男「……」 京太郎「……」 京太郎(あいつ) 京太郎(家の、塀の外から……こっち見てるあのおっさん) 京太郎(あいつ、あいつだ) 京太郎(夕方の……あいつだ……!!) 男「……」 京太郎「な……な……」 京太郎(なんだこいつ……なんだこいつ) 京太郎「な、なんの用ですか……!あんた……!」 男「………………鬼門」 京太郎「っひぃっ!!!」バターン タッタッタ! 京太郎「か、母さん!!家の前に変な人が居るんだけど!!」 母「はぁ?変な人?」 京太郎「そ、そう!!なんか、禿げたおっさんでさ!!」 母「ちょっと見てくるわ」スタスタ 京太郎「ちょ、あ、危ないって!」 母「見るだけだから大丈夫よ」スタスタ ガチャッ 母「……」 京太郎「か、母さん!俺の後ろに隠れて――……」 母「何もいないじゃない」 京太郎「……――え?」 シーン 母「……あんた、疲れてる?」 京太郎「ほ、本当だって!!確かにあそこにいたんだ!!」 バタン スタスタ 母「ほらほら、もうバカ言ってないでさっさとお風呂入っちゃいなさい」 京太郎「でも本当に――……」 <ワーワー 京太郎「……――?」 『……ロン』 『また決まった―!!大沼プロ、捲り上げた―!!』 母「まーた麻雀の番組……」 京太郎「……こいつだ」 母「え?」 京太郎「こいつだ、大沼プロだ」 京太郎「俺が言ってた変なおっさん、こいつだよ!!」 京太郎「大沼プロがさっきあそこに本当にいたんだよ!!」 母「……」 京太郎「さっき塀の外から――……」 母「京太郎」ポン 京太郎「え?」 母「あんた、ここ最近ずっと麻雀の勉強してて碌に寝てなかったでしょ」 母「もう寝なさい……暖かくして、風邪引かないように」 京太郎「ほ、本当だって!本当なんだって!!」 母「さ、カピは今日はママと寝ましょうねー」 カピ「ピカピ」 京太郎「母さん!母さーん!!」 …… ―翌朝― スタスタ 京太郎「ふあ……ふぅ……」 京太郎(……結局、信じてもらえなかったな……本当なのに) 京太郎「……」 京太郎(でも、もしかしたら大沼プロに似てるだけのおっさんだったのかもな……) 京太郎(いや、それでも問題だけども) 京太郎(もう来ないといいな……今の所、家の外にも居なかったし、つけられてる様子も) 「京ちゃん」 京太郎「っ!!!!!?」ビクゥッ!!!! 咲「はゎっ!?」ビクッ!! 京太郎「って、さ、咲?咲か……」 咲「ご、ごめんね?驚かせちゃって……」 京太郎「いや、いいんだ……ごめん、おはよう」 咲「う、うん……おはよ」 京太郎(ビックリした……良かった、咲か……) 京太郎(……ん?咲?) 咲「……っ……」 京太郎「……」 京太郎(……あ) 京太郎(そうだ……俺、昨日……) 咲「あの、ね?京ちゃん……」 咲「なんで…………麻雀部、やめちゃったの……?」 京太郎「……」 京太郎(……――部活、やめちゃったんだっけ) 京太郎「……ごめんな」 咲「う、ううん……でも、何で――……」 京太郎「……悪い、咲」 咲「え?」 ダッ 咲「え!?京ちゃん!?」 京太郎「ちょっと急ぐから先行く!ごめんなー!!」タッタッタ 咲「……京ちゃん……」 タッタッタ…… 京太郎「っ」 京太郎(だっせぇ……!だせえぞ俺!!何逃げて来てんだよ……!) 京太郎(本当に根性なしだ俺……!!素直に言えばよかったんだ!!) 京太郎(『弱すぎて自信がなくなったから、やめました』って――……) タッタッタ 京太郎「……」 京太郎(……あぁ……) 京太郎(……駄目だな、俺……本当) 京太郎(駄目な奴だ……) ガサッ 京太郎「ん?」 京太郎(なんだ?今……道の左の山の奥) 京太郎(何か――……) ガサッ!!ガサガサガサガサッ!!!! 京太郎「……」 大沼「……」ガサガサガサッ!!! 京太郎「う」 京太郎「う……~~っ……!!!?」 大沼「……」ガサガサガサガサ!!!!! 京太郎(あ、あいつだ……!!) 京太郎(あいつが、山の奥を……走ってる……!!!) 京太郎(俺の事) 京太郎(俺の事を凝視しながら) 京太郎(俺に平行して、走ってきてる!!!!) 京太郎「う」 ダァッ!!!!! 京太郎「うわああああああああ!!!!!!!!!」タッタッタ ガサガサガサッ!!!!! 京太郎「ひっ……!ひい……!!」 京太郎(は、走らなきゃ!!あいつより早く走らなきゃ!!) 京太郎(右にはガードレール、その向こうは少し高い崖だ……!!) 京太郎(後ろには、咲がまだ歩いてる……巻き添えにしちまう!!) 京太郎(前しか、逃げ道が無い……!!)チラッ 大沼「…………」ガサガサガサガサガサガサ!!!!!!! 京太郎「ひぃっ!!!!」 京太郎(とにかく走るんだ……!!もうすぐで人気の多い場所に、開けた場所に着く!!!!) ガサガサガサッ 京太郎「えっ?」 大沼「…………」ガサガサガサガサ 京太郎「う」 京太郎「うわぁぁぁっ!!!!」 京太郎(こ、こっちにきやがった!!!!今まで並走してたのに!!いきなりっ!!!) 大沼「…………」ガサガサガサガサ!!!! ガサッ!!! 大沼「………………おはぎ」タッタッタッタッタ 京太郎「ひぃぃぃ!!!」 京太郎(山から抜けてっ!!!道路に来たっ!!!!) プァァァ――――!!!!! 京太郎「うわぁっ!!!!!」ガバァッ!! キキィー!!!! …… ドサァッ!! 京太郎「はぁっ……!!はぁっ……!!」 ガチャッ バタン 女「だ、大丈夫ですかっ!!?」タタタ 京太郎「はぁっ……!!はぁっ……!!?」 京太郎(あれ……あ、あいつは……)キョロキョロ シーン 京太郎(……いなく、なっ……た……?) 女「もう!危ないでしょ!いきなり飛び出してきちゃ!!」 ―学校― スタスタ 咲「おはよー……」 クラスメイト「宮永さんおはよー」 咲「おはよ……あれ?」キョロキョロ クラスメイト「ん?どしたの?」 咲「えっと……京ちゃ……須賀君は?」 クラスメイト「京太郎君?さっき保健室行ったよ」 咲「え?保健室?」 クラスメイト「うん。なんでも来る途中に怪我しちゃったみたい」 咲「怪我……!?」 ―保健室― 京太郎「いつつ……」 保険医「もう、なんで登校するだけで怪我してるの」ペタペタ 京太郎「すみません……」 保険医「はい、おしまい」ペシン 京太郎「いだっ!」 保険医「全く……歩ける?」 京太郎「はい、なんとか……」 保険医「そう、それじゃ私は職員会議行ってくるから痛みが引いたら教室に帰りなさいよ」 京太郎「はい、分かりました」 保険医「それじゃ、御大事に」 ガラッ ピシャン 京太郎「……はぁ」 京太郎(……) 大沼『………………おはぎ』 京太郎(どうしよう……) 京太郎(あいつの事……先生達に相談した方がいいのかな) 京太郎「……」 京太郎(やっぱり相談した方がいいよな……) 京太郎(俺以外にもこんな目に遭わせないようにしなきゃ) スクッ 京太郎「よし」 京太郎(それじゃ……教室じゃなくて職員室に) スタスタ 京太郎「!!」 スタスタスタスタ 京太郎「……」 京太郎(この、足音……保健室に向かってきてる) 京太郎(……まさ、か……) スタスタ…… ピタ 京太郎(…………っ) ガラッ!! 京太郎「……っ!!」 スタスタ 優希「せんせぇー……ちょっと体調が」 優希「……――って」 京太郎「……」 優希「……京、太郎……」 京太郎「…………はぁぁぁ……」ヘナヘナ 優希「って、ええ!?ど、どうした!?」 京太郎「いや、優希か……本当にびっくりした……」 優希「だ、大丈夫か……?」 京太郎「悪い悪い、ちょっと色々あって――……あ」 優希「……」 京太郎(……これまた、気まずい奴が……) 京太郎「……えっと」 優希「……なあ、京太郎……」 京太郎「……」 優希「……本当に辞めるのか?」 京太郎「……」 優希「え、えっと」 優希「あの、一昨日言った、弱いなんちゃらっていうのは冗談というか」 優希「その」 優希「えっと……」 京太郎「……優希」 優希「やめるのは……考えてみて欲しいというか」 京太郎「……」 優希「えっと、いや、正直、私も言い過ぎたし」 京太郎「……――優希」 優希「あう、えっと、うう……」 京太郎「……優希」 優希「と、とにかく!」 京太郎「おい、優希」 優希「気にすることは――……え?」 京太郎「優希……こっち」 優希「え……京太郎?」 京太郎「こっち、来い」 京太郎「ドアの方……振り向かずに」 大沼「……」 京太郎「早く……こっち……!!来い……優希……!!」 優希「え?な、なにが」 京太郎「振り向くな!」 優希「っ!?」ビクッ 大沼「…………」 京太郎「いいから……こっち来い」 優希「う、うん……」スタスタ 京太郎「……ここ、座ってろ」 優希「ど、どうした?ドアに何か……」 京太郎「……優希」 優希「え?」 京太郎「しばらく、耳と目……塞いでてくれ」 優希「……」ギュッ 京太郎「……あ、アンタ……なんなんだ」 大沼「…………」 京太郎「なんで俺をつけてるんだよ!!警察に突き出すぞ!!」 大沼「……」 京太郎「……っ……」 ガシッ!! 京太郎「どっか!!」 ブンッ!!!! 京太郎「いけよぉっ!!!!!」 バリィン!!!!! 優希「ひっ!?」ビクッ 大沼「……」バッ!! 京太郎「!!待ててめぇっ!!」ダッ ガラッ! 京太郎「逃げるなっ!お前っ」バッ 保険医「須賀!!どうしたの!今の音!!」スタスタ 京太郎「せ、先生!!」 保険医「あー!薬瓶が割れちゃってるじゃない!」 京太郎「先生!!今そっちに男が行きませんでしたか!?」 保険医「え?」 京太郎「禿げてて、ヒゲ生やしたおっさんが行きませんでしたか!?」 保険医「や、私は忘れ物取りに……こっちから来たからちょっとわかんないけど」 京太郎「……じゃあ、反対側に……?」 優希「きょ、きょうたろぉ……!?」ビクビク 京太郎「ん?……あ」 優希「も、もういい……!?ねぇってばぁ……!」フルフル 保険医「……ちょっと須賀……」 京太郎「あ、いや」 保険医「いやらしい事してて……誤魔化すためにそんな事いってるんじゃないでしょうね……」 京太郎「ほ、本当です!!本当なんです!!!!」 優希「ま、まだかぁ……!?」ビクビク ―教室― ガラッ 京太郎「はぁ……」 咲「!京ちゃ……」 クラスメイト「おー!どうしたんだよ京太郎ー!」 クラスメイト2「なになにー?重役出勤じゃーん」 京太郎「はは……色々あってな……」 咲「……っ」 咲(京ちゃん……大丈夫なのかなぁ) ガラッ 先生「ほら、席つけー」 咲(……次の休み時間に話してみよう) 先生「えっと、突然だが、今日はこれで終わりだ」 生徒「「「えぇ!!!?!」」」 先生「ちょっと校内に不審者が紛れ込んだとある生徒から報告があってな……今日は自宅から出ない様に」 ザワザワ 「まじかよ」「やったぁ!」「早く帰ろうぜ」 咲「……」チラッ 京太郎「…………」 咲(……まさか、京ちゃんの怪我と何か関係が……) 先生「あー、それと……須賀」 咲「!!」 京太郎「……はい」 先生「お前はちょっと残ってくれ……それじゃ、号令」 <キリーツ レーイ 先生「よし、先生達が誘導してるからそれに沿って安全な道で帰れよー」 ザワザワ 先生「……それじゃ、須賀」 京太郎「はい……」 咲(……京ちゃん……) ブロロロロロ…… 先生「はは、お前が変質者につけ狙われるとはなぁ」 京太郎「笑い事じゃないですよ……」 先生「すまんすまん、まぁちゃんと家まで送ってやるから」 京太郎「お願いします……」 先生「しかし、最近お前目のクマ凄いなと思ってたが……こんな状況じゃ眠れやしないよなあ」 京太郎「はは……まぁ、でも家の中は安全ですから」 先生「あはは、違いない」 京太郎「あ、先生。赤ですよ」 先生「おっと」 キィー 先生「すまん話に夢中で」 京太郎「はは、しっかりして下さいよ」 京太郎「……」 京太郎「…………あ、れ」 先生「ん?どうした?」 京太郎「……」 先生「……須賀?」 京太郎「……」 京太郎「先生、青、です」 先生「ん?ああ、すまん……で?どうかしたか?」 京太郎「……走ってください」 先生「え?」 京太郎「走ってください」 先生「走ってるが」 京太郎「もっと!速く!!走って!!!!」 京太郎「乗ってる!!!…………後ろの車!!!!」 大沼「……」 京太郎「あいつが……あいつが乗ってる!!!!」 先生「なにっ!!!?」 京太郎「後ろ見ないで!!走って!!」 先生「そ、そういうワケにもいかんだろう!」 京太郎「いいから!!」 先生「いや!ちょっと降りて先生が捕まえて――……」 京太郎「駄目!!駄目だって!!」 京太郎「あいつ……いや!!」 京太郎「あいつら……!!!!一人じゃない!!!!!」 先生「一人じゃない……!?」チラッ 先生「…………たし、かに……見えにくいが、車に何人か乗ってる……!」 京太郎「あいつら!!!笑ってる!!!!」 京太郎「笑ってるよ!!!!あいつ!!!!」 大沼「…………」ニコォ 京太郎「遊んでる!!」 京太郎「俺たち二人追いかけて……あっ、あ、遊んでるんだ!!!!」 先生「ど、どうする……!」 京太郎「……!」 先生「一先ず、警察署がしばらく行った所にあるから、そこまで」 ガチャッ!! 先生「!!!?須賀ぁ!!!?」 京太郎「多分あいつらの狙いは俺です!!!!」 京太郎「車だと小回りが利かないと思うんで……俺、走って帰ります!!」 先生「ば、バカっ!!」 京太郎「先生!さようならっ!!!」 バッ!!! 先生「須賀ぁ――――!!!!」 ドンッ ゴロゴロゴロゴロ!! 京太郎「ぐぁぁっ!!……――くっ!!!」ガバァッ!! 京太郎「っ!!」ダッ!! タッタッタ 京太郎「はぁっ!!はぁっ!!」 京太郎(すぐに小道に入ったから……多分、大丈夫だ……!!) 京太郎(もし、俺に気付いたとしても……そんなに早くは) タッタッタ 京太郎「……」 京太郎「……」クルッ 京太郎「……」 京太郎「…………――嘘、だろ」 大沼「………………」タッタッタッタ 京太郎「う、あぁ」 大沼「…………」タッタッタッタ 京太郎「わ、わぁぁぁぁあぁぁぁ!!!!!!」 京太郎(あ、ありえるか!こんなの!こんなんありえるか!!!) 大沼「…………」タッタッタッタ 京太郎「な、なんで」 京太郎「なんで俺を追いかけんだよ!!!!!」 京太郎「何がしたいんだよぉ!!!!!!!!!やめてくれよぉ!!!!!!!」 大沼「…………素敵なくらし」タッタッタッタ 京太郎「……!!!!?」 大沼「…………膝の皿を使って」 大沼「…………飯をよそう」 大沼「…………素敵なくらし」 京太郎「!!?……!!?……!!!!!?」 大沼「………………痙攣」 大沼「………………脳内のポリープ」 大沼「………………単騎待ち」 京太郎「わ」 京太郎「わけ、わかんねぇっ」 京太郎「わけわかんねぇ!!来るなぁぁ!!!!」 京太郎「来るなぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!来るなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」 大沼「………………喉仏は」 大沼「………………悲願なので」 大沼「………………素敵なくらしを」 大沼「素敵なくらしを……素敵なくらしを」 京太郎「うぁぁぁっ!!!!うぁああぁぁぁあ!!!!」 ズザァァァッ!! 京太郎「はひぃう!!!!」 京太郎(よ、ようやく開けた場所に着い――……) タッタッタ 京太郎「……」 京太郎(なん、だ) 京太郎(なんだ、向こうから走ってくる人) 京太郎(こっちを、凝視しながら……こっちに向かって――……) 健夜「……」タッタッタッタッタ 京太郎「わ、あ、あう」 京太郎「あっ、わぁぁぁっ、わあああああっ」 京太郎(同類だ……!!多分、あの人、大沼の……!!同類だ!!!!!) ダッ!! 京太郎「はひっ!!」 タッタッタ 大沼「…………素敵なくらし」タッタッタ 健夜「待ってよー」タッタッタ 京太郎「はぁっ、はぁっ!!!!」 京太郎(なん、だ、こいつらっ) 京太郎「なんなんだ!!あんたらぁっ!!!!」 健夜「きっと止まればいいよ。そこに腰を据えるんだよ」 健夜「きっといい人生が待ってる。全てが生まれ変わる」 健夜「多分あなたも分かってるはずだよ」 健夜「アラサーだよ」 京太郎「わああぁぁぁっ!!!来るなぁっ!!!来ないでくれぇぇっ!!!!」 タッタッタ 京太郎「!!」 京太郎(前から人が!!) 京太郎(た、助けを) 京太郎「す、すみませっ……」 京太郎「……」 京太郎(……なん、で……この人……) 京太郎(俺の事、凝視、して…………) 京太郎(走って……) 照「美しい暮らしなどいない」ギュルルルルル 京太郎「……」 京太郎「ウワァァ」 京太郎「ウワアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!」 大沼「………………尿道」 健夜「きっと、素晴らしい威光を授かれるよー」 照「ここには健康的なハイエンドなどいない」 京太郎「ウワアアァ!!!!!ウワアアアアア!!!!!」 京太郎(逃げ道っ!!逃げ道!!っは!!!!) 京太郎「っ!!!!」 京太郎(か、河に……!!) ガシッ!! バッ!! 京太郎(飛ぶしかねぇぇっ!!!!!) バシャーン!! 京太郎「っっぷはぁっ!!!」 辻垣内「腹を切れ」バシャバシャ 京太郎「うああああああああああああああああ!!!!!!!!」 ―須賀邸前― 咲「……」 ズザッ 咲「!!」 京太郎「ぜぇっ……ぜぇっ……」ヨロッ 咲「京ちゃん!」ダッ ガシッ 咲「大丈夫!?京ちゃん、大丈夫!?」 京太郎「さ、き……どうして」 咲「だって、京ちゃんが心配だったから……大丈夫だったの!?」 京太郎「はぁっ……はぁっ……変な、奴らに……追いかけられまくって……」 京太郎「でも……はぁっ……皆、撒いてやったぜ……」 咲「と、とにかく休まなきゃ!!」 ガチャッ 京太郎「ただ、いまっ……」 シーン 京太郎「誰も、いない……か」 咲「大丈夫?早く休まなきゃ!」 グイッ 咲「靴、脱げる?」 京太郎「大丈夫、だっての……」 咲「……もう……無理しちゃだめだよ……」 ―京太郎の部屋― ドサッ 京太郎「はぁっ……!はぁっ……!!」 咲「すごく疲れてる……」 京太郎「……はぁっ、わるい、な……咲」 咲「ううん、気にしないで」 京太郎「っ!そ、そうだ……!」 ムクッ 咲「!だ、だめだよ!寝てなきゃ!!」 京太郎「あ、あいつらの事……警察に、電話しなきゃ」 咲「だめ!休まなきゃ!!」 京太郎「……咲」 咲「休みなさい!」 京太郎「……」 咲「もう、本当に京ちゃんはいつもいつも……」 京太郎「……咲」 咲「……ん?」 京太郎「……悪かった」 京太郎「勝手に……部活……やめて」 京太郎「お前、らに……相談も無い、ままで……」 咲「……京ちゃん」 京太郎「俺……情けなかったんだ」 京太郎「一人だけ、才能なくて……」 京太郎「俺だけ、必要とされなくて……」 京太郎「くやし、かったんだ……」 ギリッ…… 京太郎「悔しかったんだ…………本当、は」 咲「……」 京太郎「いつの、間にか……麻雀自体を……すげぇ好きに、なってて」 京太郎「でも、才能も……頭も足りなくて……」 京太郎「お前たちに…………すげえ、嫉妬……してた……!!」 咲「……」 京太郎「そんな、ちっぽけな……屑なんだ……俺は……――俺はっ……!!」 ナデ…… 京太郎「!!」 咲「…………そんな事ない」 京太郎「……咲」 咲「そんな事ないよ」 咲「京ちゃんは京ちゃんなんだから」 咲「そのままで……いいんだよ」 咲「屑なんて……言っちゃ駄目」 咲「私は、知ってるよ」 咲「京ちゃんの良い所も……勿論、悪い所も」 咲「でも、そんな私が見ても……」 咲「京ちゃんは、ゼッタイゼッタイ……屑なんかじゃないよ」 京太郎「……――――咲……」 咲「だから、休まなきゃ……」 京太郎「………………え?」 咲「休まなきゃだよ。京ちゃん」 咲「ちゃんと休むのは肯定だよ。休めばきっとわかるんだ」 咲「人生はきっと美しいって」 京太郎「……」 ヴーヴー 京太郎「……携帯……が」ゴソッ 咲「皆、屑は休まないし休めないよ。風が吹くもの」 咲「だから休んだら今度は風になるの。次は鬼ごっこの鬼役になるの」 咲「そうすればもう誰もが休めない、全部風速が持っていくの!」 京太郎「……」 着信 宮永咲 咲「全部全部!!!!!美しい人生が始まって終わっていくの!!!!」 ピッ 咲『あ、もしもし京ちゃん?』 京太郎「……咲」 咲『うん、大丈夫だった?』 京太郎「……何が」 咲『ううん、今日、クラスでなんだか様子おかしかったし……』 京太郎「……」 咲「次は皆を箱の船で雨の洪水に浮かべるの!!!!!」 咲「きっと皆は『助けてー』って言うよ!!!!!!!!」 咲「でも駄目!!まだ駄目!!!!」 咲「だってそれはまだ人生じゃ、生きている人じゃないから!!!!!」 京太郎「………………」 咲『京ちゃん?どうしたの京ちゃん!』 咲『京ちゃ――……』ピッ 京太郎「……」 咲「まるでそれはア・プリオリな頸椎上の宣教師みたいに」 咲「笑って泣いて、食べて、転んで、交わって生きるの!!!!」 咲「素晴らしいでしょ!!!」 咲「だって皆カルテを待ちわびる間に」 咲「脂ぎった肉を精一杯頬張る事ができるんだよ!!!!!」 咲「誰だって止める権利なんてないよ!!!!!!!きっと自分自身にだって!!!!!」 咲「京ちゃん!!!!踊ろう!!!!踊ろうよ!!!!!もうすぐ車が来るよ!!!!!」 咲「大変な事なんだよ!!!!そしてコレはとっても大事な事!!!!!」 咲「踊ろう!!!!!!!!!!京ちゃん!!!!!!!!!!!!!」 咲「人生は!!!!!!!!!!!美しいよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 京太郎「……」 京太郎「人……生……?」 スタスタ 大沼「…………人生」 詠「七転八倒とは言うけどねぃ」 藤田「人を殺して食べる飯は糧になるのか」 辻垣内「それを趣味と、スポーツと言い張る姿はまるで」 衣「跳梁跋扈の魑魅魍魎」 美穂子「人は一人では生きられないもので」 豊音「気付いた時にはやりたい事がちょーしんどいよー」 淡「それでもご飯をお腹いーっぱい食べたくなるのは」 洋榎「ひとえに欲望のお陰っちゅうやつや」 健夜「アラサーだよ」 はやり「だから素直になるのが一番☆」 咲「愛おしい人は放っておいて」 照「邪魔な人は撲殺し尽くさなきゃいけない」 戒能「それが、ビューティフル・ライフ」 京太郎「人生七転八倒とは言うけど」 京太郎「人を殺して食べる飯は糧になるのか」 京太郎「全てをモラルと、常識と言い張る姿はまるで」 京太郎「跳梁跋扈の魑魅魍魎」 京太郎「俺は一人では生きられないもので」 京太郎「気付いた時には一人だった!!!!一人きりだった!!!!」 京太郎「それでも飯を食べたくなるのは」 京太郎「俺に欲望しかないからだ!!!!!」 京太郎「だから素直になるのが一番で」 京太郎「愛おしい人は放っておいて」 京太郎「邪魔な人を殺しに行こう!!!!!!!」 京太郎「それが、ビューティフル・ライフ!!!!」 京太郎「それが、ビューティフル・ライフ!!!!」 京太郎「それが、ビューティフル・ライフ!!!!」 京太郎「それが、ビューティフル・ライフ!!!!」 ―長野のとある病院― 母「あの……先生……それで、京太郎は……」 医師「……大変申し上げにくいのですが……雀力に起因する心因性知覚障害です」 母「……雀……力……?」 医師「えぇ、京太郎さんは麻雀部に所属されてましたね?」 母「はい……」 医師「それで、全国大会まで勝ち進んだとか……原因はそれです」 医師「麻雀の手練というのは、特殊な波といいますか、そういうものを放っておりまして」 医師「その波長によって精神に影響を及ぼすケースが稀にあるんです」 母「……」 医師「まあこれは普通その波を放っていない普通の人間には影響がないんですが……」 医師「おそらく京太郎さんはあまりにも強い雀波を間近で長い年月をかけて浴び続けてきたのでしょう」 医師「……きっと、京太郎さんのご学友の方の仲に……強い雀波の発信者がおられます」 医師「今回はきっとその影響により、京太郎さんの麻雀に対するコンプレックスが」 医師「“今までに見た麻雀の強い人々が追ってくる”という幻覚をみせたのでしょう」 スタスタ 咲「……」 ―京太郎の病室― コンコン 咲「京ちゃん……京ちゃん、お見舞いに来たよ」 咲「……」 ガラ 咲「京ちゃん、お花を持ってきたよ」 咲「……」 サァァァ…… 咲「……京ちゃん?」 咲(いない…………あれ?) 咲(窓………………開いてる) ――東京―― 「いやぁ、今日も流石でした!大沼プロ!」 「また今度もお願いします!御疲れ様でした!!」 大沼「…………お疲れ」 スタスタ 大沼(帰って一杯やるか……)スタスタ 大沼「…………」 ピタ 大沼「……?」 京太郎「はぁっ……はぁっ……!」ニコォ… 大沼「……!?」 大沼(何だ……?この、寝巻きの格好をして) 大沼(ツルハシを持っている少年は…………) ……………… ガチュッ ガチュッ ガチュッ 京太郎「愛おしい人は放っておいてっ」 ガチュッ ガチュッ ガチュッ 京太郎「邪魔な人を殺しに行こうっ」 ガチュッ ガチュッ ガチュッ 京太郎「それが、ビューティフル・ライフ」 京太郎「それが、ビューティフル・ライフ」 京太郎「それが、ビューティフル・ライフ」 京太郎「それが、ビューティフル・ライフ」 カン!
https://w.atwiki.jp/saikyousyujinnkou3/pages/3234.html
【作品名】山太郎(漫画『WORKING!!』4巻のおまけページ漫画) 【ジャンル】漫画 【名前】山太郎 【属性】山田 【大きさ】中学生くらいの少女並み。おやつのきびだんごを装備 【攻撃力】【防御力】【素早さ】大きさ相応 【長所】山田主人公になりました! 【短所】だからといって特に何もしていない vol.73 vol.73 697 :格無しさん:2012/06/19(火) 16 49 31.89 ID 8DAywl8D 山太郎考察 普通の女子中学生 桃太郎的だし、きびだんごは袋に入ってるやつだろう 武器としてはほぼ役立ちそうもないので巴マミとイコール 高梨奈緒考察 双眼鏡を持った女子高生(一年) 何も持ってないよりはマシだが本持ちと同じぐらいか 梶原空>リズ=高梨奈緒
https://w.atwiki.jp/elvis/pages/1287.html
ともだちおまじない 内田 麟太郎降矢 なな ともだちや 内田 麟太郎降矢 なな あしたもともだち 内田 麟太郎降矢 なな ありがとうともだち 内田 麟太郎降矢 なな おかあさんになるってどんなこと 内田 麟太郎中村 悦子 うそつきのつき 内田 麟太郎荒井 良二? あいつもともだち 内田 麟太郎降矢 なな ともだちひきとりや 内田 麟太郎降矢 なな 十二支のおはなし 内田 麟太郎山本 孝? ごめんねともだち 内田 麟太郎降矢 なな ともだちくるかな 内田 麟太郎降矢 なな わたしのおひなさま 内田 麟太郎山本 孝? ふくはうちおにもうち 内田 麟太郎山本 孝? がたごとがたごと 内田 麟太郎西村 繁男? さかさまライオン 内田 麟太郎長 新太? へいきへいき 内田 麟太郎竹内 通雅? ぶきゃぶきゃぶー 内田 麟太郎竹内 通雅? かあさんのこころ 内田 麟太郎味戸 ケイコ? うみがわらっている―内田麟太郎詩集 内田 麟太郎斎藤 隆夫? 絵本があってよかったな 内田 麟太郎 こわくないこわくない 内田 麟太郎大島 妙子? おでんさむらい―こぶまきのまき 内田 麟太郎西村 繁男? ふしぎの森のヤーヤー 内田 麟太郎高畠 純? ことばどんどん (1) 内田 麟太郎 ことばどんどん (2) 内田 麟太郎 ねぇねぇ 内田 麟太郎長谷川 義史? おばあちゃんの花 内田 麟太郎村上 康成? とってもいいこと 内田 麟太郎荒井 良二? ことばどんどん (4) 内田 麟太郎 ことばどんどん (3) 内田 麟太郎 いろはかるただじゃれゆうえんち 内田 麟太郎川端 理絵? かあちゃんかいじゅう 内田 麟太郎長谷川 義史? ぶたのぶたじろうさんは、はげやまへのぼりました。 内田 麟太郎スズキ コージ? うみのむにゃむにゃ 内田 麟太郎伊藤 秀男? カミさま全員集合! 内田 麟太郎山本 孝? こんにちはおにさん 内田 麟太郎広野 多珂子? なりました 内田 麟太郎山口 マオ? おじいちゃんの木 内田 麟太郎村上 康成? たぬきのおつきみ 内田 麟太郎山本 孝? ぶたのぶたじろうさんは、いどをほることにしました。 内田 麟太郎スズキ コージ? さみしがりやのサンタさん 内田 麟太郎沢田 としき? いろいろあってね 内田 麟太郎本信 公久? はくちょう 内田 麟太郎いせ ひでこ? えんまとおっかさん 内田 麟太郎山本 孝? いただきます おいしいね 内田 麟太郎みやざき ひろかず? あとずさり 内田 麟太郎ささめや ゆき? ぶたのぶたじろうさんは、みずうみへしゅっぱつしました。 内田 麟太郎スズキ コージ? ひたひたどんどん 内田 麟太郎伊藤 秀男? どうしたの 内田 麟太郎のぶみ? ふこうばなし 内田 麟太郎ささめや ゆき? 二枚舌 内田 麟太郎ささめや ゆき? でたーっ 内田 麟太郎メグホソキ? うみのしっぽ 内田 麟太郎長 新太? へんてこ島うた 内田 麟太郎高部 晴市? しんじなくてもいいけれど 内田 麟太郎早川 純子? ルサちゃんのさんぽみち 内田 麟太郎村上 康成? ワニぼうのかいすいよく 内田 麟太郎高畠 純? そらとぶアヒル 内田 麟太郎長 新太? くろねこニヤニヤ 内田 麟太郎かわむら ふゆみ? わらうだいじゃやま―大牟田の絵本 内田 麟太郎伊藤 秀男? 魔法の勉強はじめます 内田 麟太郎長 新太? 魔法の勉強つづけます 内田 麟太郎 そろそろぞろぞろ 内田 麟太郎藤枝 リュウジ? 毒づき法師 内田 麟太郎ささめや ゆき? かあさんから生まれたんだよ 内田 麟太郎味戸 ケイコ? ぼくはぼくだよ 内田 麟太郎藤井 克彦? おはようぺろぺろ 内田 麟太郎みやざき ひろかず? あかるい黄粉餅 内田 麟太郎 こいしが どしーん 内田 麟太郎長 新太? ワニぼうのこいのぼり 内田 麟太郎高畠 純? こっそり おてがみ 内田 麟太郎福田 岩緒? はるまでおあずけ 内田 麟太郎村上 康成? なつはうみ 内田 麟太郎村上 康成? ぶたのぶたじろうさん2巻セット 内田 麟太郎スズキ コージ? だじゃれことわざ変事件 内田 麟太郎長 新太? おれたち、ともだち!(7冊セット) 内田 麟太郎降矢 なな ぽんぽん 内田 麟太郎畑中 純? ねがいぼしかなえぼし 内田 麟太郎山本 孝? きんじょのきんぎょ―内田麟太郎詩集 内田 麟太郎長野 ヒデ子? ともだちや―おれたち、ともだち! 内田 麟太郎降矢 なな 少年少女ネコしょくん! 内田 麟太郎おぼ まこと? ひとりずもう 内田 麟太郎ささめや ゆき? やまのむにゃむにゃ 内田 麟太郎伊藤 秀男? ワニぼうのゆきだるま 内田 麟太郎高畠 純? ことばどんどんあかちゃんえほん(4点20冊セット) 内田 麟太郎 でっかいぞでっかいぞ 内田 麟太郎田島 征三? でっかいでっかい 内田 麟太郎飯野 和好? あれってしってる? 内田 麟太郎かわむら ふゆみ? さびしいはさびしくない 内田 麟太郎田頭 よしたか? だれかにあったはずなんだ 内田 麟太郎井上 洋介? ただいまいわないもん 内田 麟太郎みやざき ひろかず? かたちのおしゃべり 内田 麟太郎本信 公久? たかーいたかーい 内田 麟太郎本信 公久? たべちゃった (1980年) 内田 麟太郎秋 竜山? つれたつれた 内田 麟太郎石井 聖岳? ちょっとだけ 内田 麟太郎梶山 俊夫? じてんしゃきこきこ 内田 麟太郎大橋 重信? くるぞくるぞ 内田 麟太郎長 新太? どうぶつ語でしつれい! (1981年) 内田 麟太郎平松 尚樹? 内田麟太郎詩集 (1979年) 内田 麟太郎 はらのむしのはらのむし (1981年) 内田 麟太郎平松 尚樹?
https://w.atwiki.jp/sangamaki/pages/11.html
憩さんと付き合い始めて今日で1年、なのだが俺と憩さんはここ1ヶ月の間会っていなかった 憩さんは麻雀部に顔を出さなくなっていたこともあって、俺たちの会話は減っていき、恋人という関係はメールで保たれていた あの人当たりの良い憩さんのことだし、俺よりも良い人に告白されて付き合っているのかもしれない あの優しい憩さんのことだし、それを俺に伝えようとしないのかもしれない そんな考え、不信感を俺は募らせていった そんなある日、憩さんからデートに誘われた、答えはもちろんOK 不安と希望、その2つを抱えて俺は待ち合わせ場所に来ていた 憩「遅いで!京太郎くん!」 京太郎「まだ待ち合わせの1時間前ですよ!?」 京太郎「しかも今日は少し冷え込んでるのに」 憩「気にせんといてや、そーれーに」ニギッ 憩「こうすればあったかいから」 憩「ほな、行こか」ニコッ 相変わらずこの人は……まったく まだ秋に入って間も無い季節、歩く道が明るく見えた 近くの公園、服屋などなど普通のデートコースを回った そして夕暮れも近くなったころ、俺たちは本屋に来ていた 憩「勉強始めたんや、やっぱり医学部やないとダメなんやって」 憩「せやから最近会えなかったんや……ごめんな」 京太郎「じゃあこれからも会える機会は減ってしまうんですか?」 憩「……ごめん」 京太郎「別にいいですよ、お家のことは仕方ないですし」 京太郎「そうとなれば早く帰って勉強しないとですね!」 憩「京太郎……くん」グスッ 京太郎「ああもう、泣かないでくださいよ」 憩「だって、だってぇ……」ポロポロ 京太郎「…………ちょっと俺、見たい本があるんで行ってきます」 と、二つ目の参考書コーナーに向かって行った 京太郎「これが憩さんの受けようとしているところか」 さわりの部分を読んでみる、が 京太郎「何語だよ、これ」 どうやら俺にはまだ難しすぎるみたいだった まあいいや、段々できるようになればいい、俺だって成績は良い方なんだし 会計を済ませて憩さんのところに戻る 京太郎「もう泣き止みましたか?」 憩「……うん」 京太郎「それじゃあ行きましょうか」 今度は俺が憩さんの手を握って会計へ 会計の人からは「なんでこいつ彼女と一緒にまた同じ本買ってんだ?」というような目で見られた 本屋を出て、いつもの公園に来た 憩さんと初めて寄り道した公園、一緒にたこ焼きを食べたあの公園に 憩「なあ、京太郎くん」 京太郎「なんですか?」 憩「えへへ、呼んでみただけや」 京太郎「憩さん憩さん」 憩「何や?」 京太郎「呼んでみただけです」 憩「えへへ」 京太郎「あっはっは」 憩「……ふぅ」 憩「京太郎くん、しばらくこうさせてぇな」ギュッ そう言って、憩さんは俺に寄りかかった 幸せそうな顔をしていて、なんだか愛おしかった 憩さんはいつもは笑ってるんだけど不安なこととか心配なこととかあるんだろうな ……俺もそのうちの一つになれているのだろうか、少しだけ不安だ しばらくすると、憩さんは眠ってしまった。可愛らしい寝顔をしながら この人ともっと仲良くいるために、ずっと側にいるために頑張らないとな 少しほっぺをぷにぷにと押してみる 憩「むにゅにゅ……」プニプニ 可愛い。 憩「ふぁぁ、ウチ寝とったんか、ごめんな」 京太郎「全然ですよ、寝顔最高でした!」 憩「よ、よだれとか大丈夫やった?」 京太郎「舐めておきました!」 憩「な、なめ!?」カァァ 京太郎「まあ嘘ですけどね」 憩「むーっ!京太郎くんのあほー!」プンスカ! 怒った顔も可愛い、というか笑いながら怒ってるんじゃないか?何気に凄い気がする こういうときは…… 京太郎「憩さんはいつも笑顔で可愛い」 憩「え?」 京太郎「憩さんは笑顔無しでも可愛い」 京太郎「憩さんは天使で可愛い」 京太郎「憩さんはちょっぴり淫乱可愛い」 京太郎「憩さんは頑張り屋さん可愛い」 京太郎「憩さんは……俺の恋人可愛い」ギュッ 憩「な、ななななっ!///」 京太郎「ほら、こんなに憩さんの良いところを挙げられるんだから、アホじゃないですよー」 京太郎「……とまあ、簡単に言いますと、好きです」 京太郎「会えないときは苦しかったです、ずっとずっと好きです」 京太郎「これからも、ずっと一緒にいてくださいね」 憩「なんや、そんなこと……」 憩「当たり前やで」ニコッ 憩「ウチやってずっと一緒にいたいんやから」 京太郎「…………うっはぁ~」 京太郎「良かったぁ~いやぁ実は憩さんが他に彼氏を作っちゃったんじゃないか、って思ってたんですよ」 憩「そんなんありえんですーぅ」 京太郎「ですよねー」 ああ、良い雰囲気だ。そういえば昔面白い話があったな、憩さんならわかるだろう 京太郎「……憩さんといると、月が綺麗ですね」 憩「月?……確かに綺麗やけど……なに?」 その後、俺は「月が綺麗ですね」の意味を憩さんに夜通し教えた……教え込んだ
https://w.atwiki.jp/kyotaross/pages/2123.html
http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1356626305/ このSSは以下のSSの設定を引き継いでいます 京太郎「クリスマスなのに何の予定もない」 --須賀家-- ゴシゴシ…… 京太郎「うーむ、汚れが綺麗に取れるな……さすがハギヨシさんに教えてもらった龍門渕グループの洗剤だ」 優希「京太郎ー」 京太郎「なんだー?」 優希「おばさんがそろそろお昼だし休憩にしようって言ってるじぇ」 京太郎「おぉ、わかった。 じゃあ俺の部屋行くか」 優希「うん。 労働お疲れ様だじぇ、あなた♪」 京太郎「やめんか、恥ずかしい。 それより悪いな、せっかく来たのに大掃除であんま相手出来なくて」 優希「大丈夫! カピと遊んで退屈はしてないからな! なっ、カピ!」 カピ「キュー」 京太郎「それならいいんだけどな……なんにしろ掃除中はカピには部屋の外に出てもらわなきゃいけないから助かった」 優希「私、プール付きの部屋なんて初めて見たじぇ」 京太郎「カピバラってかわいいんだけど世話が大変なんだよ」 優希「そうなのか?」 京太郎「ああ、トイレは水の中だし、歯を削らせないと柱とかコードとかかじっちゃうし、 病気になっても診てくれる動物病院が少ないし、暖かい場所の動物だから 温度調節出来る環境も必要だし……特に長野は寒いからな」 優希「そうかぁ……結構大変なんだな」ナデナデ カピ「キュー」 京太郎「まっ、だからこそ世話のしがいがあるのかもしれないけどな。 そういえば優希、お前の昼はいつものタコスでいいか?」 優希「うむ、今日も愛情たっぷりの京太郎特製タコスを頼む!」 京太郎「了解」 京太郎(それに、世話かかるのはもう2人いるしな……咲とか隣のこいつとか) 優希「……今、変な事考えなかったか京太郎?」 京太郎「いや、別に」 京太郎「ふぃー……労働の後のお茶は格別だな」 優希「今日も京太郎の作ったタコスは美味しいじぇ♪」 京太郎「ははっ、そりゃ光栄だ」 優希「思えば京太郎も昔はひどかったじぇ……タコスミタコスとか」 京太郎「おい、やめろ。 今なら師匠もいるしあんなミスしないっつーの」 優希「麻雀ではまだまだミスしまくりだけどな!」 京太郎「い、いちおう、直撃はそれなりに減っただろ! 来年こそ一回戦突破、いや、全国に行ってやるさ!」 優希「言うだけなら誰にでも出来るじぇ」 京太郎「ぐ」 京太郎(そうなんだよなあ……来年になったら新入生も入ってくるし、もしかして本格的に俺いらなくなるんじゃ……) 優希「……なんなら私が色々教えてあげてもいいぞ?」 京太郎「えっ?」 優希「わ、私は天才だしな! 京太郎に教えながらだって自分の練習は出来るじぇ! だから……」 京太郎「……ぷっ」 優希「! な、なんで笑うんだじぇ!?」 京太郎「だってお前……顔赤いじゃないか」 優希「うえっ!?///」 京太郎「他にも色々考えてるのはバレバレだから、そっちも素直に言ってくれていいのにさ」ナデナデ 優希「うう……」 京太郎「まあ、教えてくれるなら素直にお願いするよ、頼むぜ優希先生?」 優希「お、おう! 任せておけ!」 京太郎「さて休憩終わり! 大掃除の続きしてくるかー」 優希「い、いってらっしゃいだじぇ」 京太郎「ああ、いってくるな」 パタンッ 優希「ふう……京太郎のやつ、最近いつもより優しくてちょっと戸惑っちゃうじぇ……」 優希「クリスマスに来た時ちょっとだけ期待はしてたけど、まさか本当に付き合えるなんて思わなかったな……」 優希「……えへへ///」 京太郎「やっと終わったぜ……本当悪いな、結局一日中大掃除だった」 優希「ううん、ちょくちょく構ってくれたから寂しくはなかったじぇ。 今だってこうして送ってくれてるし」 京太郎「女の子には優しくしろって師匠に教えられてるしな。 それが付き合ってるとなると尚更、だろ」 優希「……///」 京太郎「優希?」 優希「バカ京太郎……不意打ちにも程があるじぇ///」 京太郎「あー……すまん。 なんだかんだでやっぱり浮かれてんのかも、俺」 優希「い、嫌じゃないけどな!」 京太郎「ん、ありがとな。 おっ、着いたぜ」 優希「あ……もうちょっと一緒にいたかったじぇ……」 京太郎「また明日会えるじゃないか。 そりゃ明日は皆で集まるから2人きりとはいかないけどよ」 優希「うん……」ションボリ 京太郎「……しょうがねぇなあ」スッ 優希「えっ、京太郎……んっ」 京太郎「……」 優希「……」 京太郎「……ふう」 優希「……ぷはっ、はあ、はあ……」 京太郎「なんだよ、息止めてたのか?」 優希「だっ、いきな、おま、こんな!///」 京太郎「なに言ってるかわかんねーぞー」ワシャワシャ 優希「ふぁ! な、撫でるなバカー!///」ゲシッ 京太郎「うおっ!?」 優希「京太郎のバカ、変態、発情犬ー!///」タタタッ、バタンッ 京太郎「いてて……あいつ思いっきり脚蹴りやがって」 京太郎「……さすがにいきなりすぎたか?」カチャ…… 京太郎「ん?」 優希「……///」ジー 京太郎「優希?」 優希「お、送ってくれてありがとうな! ま、また明日だじぇ京太郎!」バタンッ 京太郎「……」 京太郎「……どうやら嫌われてはいなかったみたいだな」 京太郎「帰るか……」スタスタ 京太郎「……」スタスタ 京太郎「……」タタタッ 京太郎「……うがああああっ!!///」ダダダッ 京太郎「なに冷静に考えたらすげぇこっぱずかしい事してんだよ、俺は!」 京太郎「それになんだよ、あれ! なんなんだよ、おい!」 京太郎「ちょっと前まで平気でスカートめくってたような優希が、今じゃあんな顔真っ赤にして照れて……」 京太郎「かわいすぎるんだよ、バカヤロー!」 --翌日-- 京太郎「ちーっす」 咲「あっ、京ちゃん! 久し振り!」 京太郎「久し振りって……一週間も経ってないだろ」 咲「わかってないなー、京ちゃん。 ほら、和ちゃんと優希ちゃんを見てみなよ」 優希「のーどちゃん、久しぶりー!」ガバッ 和「久しぶりですね、ゆーき」 優希「うーん、相変わらずのどちゃんは抱き心地抜群だじぇ」スリスリ 和「もうゆーき。 くすぐったいからやめてください」 優希「えー」 和「えー、じゃありません」 咲「ね?」 京太郎「いや、何が、ね?なんだよ」 咲「久しぶりって言われて一々揚げ足取るのは、京ちゃんくらいって事!」 京太郎「なんだとー、そんな生意気な口を利くのはこの口かー?」 咲「ひょ、ひょうひゃん、ほっへた、ひっはらないでよー!」 京太郎「ふん、今日はこのくらいで勘弁してやろう」 咲「ううっ……ひどいよ京ちゃん」 カチャ 久「どうやら皆、相変わらず元気にやってるみたいね。 安心したわ」 まこ「風邪も流行っとるみたいじゃが、どうもうちには関係なさそうじゃのう」 優希「あっ、部長に染谷先輩だじぇ!」 久「優希、私はもう部長じゃないわよ? 今の清澄高校麻雀部の部長はまこなんだから」 優希「そういえばそうだったじぇ……」 京太郎「おーい、優希! ちょっと来てくれよ」 優希「おーう! じゃあまた後でだじぇ、部長ー!」 和「またゆーきったら……竹井先輩、染谷部長、お久しぶりです」 久「久しぶり和、クリスマスは楽しんだかしら? 何かいい話とかなかった?」 和「私は家族と過ごしましたから特に何かあったかと聞かれると……」 久「あらあら……それじゃあ咲は?」 咲「私ですか? 私は東京でお姉ちゃんと一緒でしたけど」 久「あー……確かにそれも大事ね、うん。 でもあなた達もうちょっと浮いた話とかないの?」 咲「浮いた話、ですか?」 久「そっ。 まこも家の手伝いだけだったらしいし、うちにはどうも部活以外に高校生らしい青春が足りないわ」 まこ「あんたも同じじゃろうが」 久「私はいいの、受験生だから。 でも咲も和も早い内になんとかしないと、 ズルズル年取って麻雀しか取り柄がない実家でお母さんにメロン切ってもらうようなアラフォーになっちゃうわよ?」 和「なんなんですか、その具体的すぎる例は……」 咲「あはは……確かにそれはちょっと嫌かも」 久「はあ……どうやら私の卒業までここにはそういう話題はなさそうね」 和「えっ」 まこ「んー? どうしたんじゃ、和」 和「いえ、なんでも……」チラッ 久「なに、気になるわね」チラッ 優希「何してるんだ京太郎! そこはこっちの牌を捨てるべきだじぇ!」 京太郎「あっ、そうか……悪い悪い。 じゃあ改めて……あ」ロン 優希「あ」 京太郎「おい、優希~?」 優希「て、てへへ……失敗失敗だじぇ」 京太郎「お前なあ」 久「ああ、そういえば優希と須賀君には今年のクリスマスどうしたか聞いてなかったわね」 咲「京ちゃんの事だからまた家で過ごしてたと思いますけどね……」 まこ「優希のやつもあまり浮いた話はなさそうじゃな」 和「えっ」 咲「えっ、なに和ちゃん……そんなに驚いてどうかしたの?」 和「い、いえ……」 久「優希ー、須賀君ー、ちょっといい?」 京太郎「なんですか?」 優希「なんですかだじぇ」 久「いや、あなた達は今年のクリスマスどうしたのかなーって」 京太郎「ああ、それはですね……いいか、優希?」 優希「ん……別に隠す事でもないしな」 京太郎「そうか。 あのですね部長、ちょっとお話があるんですけど」 久「どうしたの、改まって」 京太郎「実は……俺、優希と付き合う事になりました」 久「えっ」 咲「ええっ!?」 まこ「ほう」 和「……」 久「はぁ~……まさかあなた達がねぇ、いつから?」 京太郎「クリスマスから、ですね」 和「!?」 まこ「まあ、優希は確かにわかりやすいくらいアピールしてたからのう。 しかし京太郎がそれに応えるとは」 優希「うっ、バレバレだったのか……京太郎は全然気付いてくれなかったのに」 咲「……でも、いいことだね。 うん、2人共おめでとう」 京太郎「はは、ありがとうな咲」ナデナデ 咲「もうー、彼女持ちがあんまりこういう事しない方がいいんじゃないの?」 京太郎「ああ、それもそっか」 優希「やきもち妬いちゃうじぇ、あなた♪」 京太郎「やめろっちゅうの」 和「ちょっと、待ってください!」 優希「のどちゃん?」 和「ゆーき、本当にあなた達はクリスマスから付き合いだしたんですか?」 優希「う、うん……そうだけど」 咲「の、和ちゃん、本当にどうしたの? さっきからなんか変だよ?」 和「だ、だって……おかしいじゃないですか」 久「おかしいって……何が?」 和「だって、そうなると……」 和「ゆーきと須賀君は、付き合う前から2人きりで泊まりがけの旅行をしていた事になってしまうんですよ!?」 優希「のどちゃん!?」 久「へぇ、そんなことしてたの」キラーン 咲「わあ……京ちゃん達、大人ー……」ドキドキ まこ「最近の一年は進んでるんじゃなあ」 和「付き合っているならともかく、まだ付き合う前からそんな……そんなオカルトありえません!」 優希「のどちゃん! それは内緒にしてくれるって……」 京太郎「あっ、これやぶ蛇だ」 久「ねぇ、優希」ガシッ 優希「えっ……」 咲「ちょっとその旅行について聞きたいなあ」ガシッ 優希「あ、う……」 まこ「部長としては部員間で何があったか知らんといけんし……まあ諦めてくれ」ガシッ 久「さぁ、尋も……じゃなかった! 特訓するわよー!」ニヤニヤ 咲「竹井先輩! 優希ちゃんが点棒減らす度に色々聞くのがいいと思います!」キラキラ 久「いい考えね。 それじゃあさっさと対局を始めるとしましょう!」ニヤリ まこ「すまんの優希、この元部長さんは受験勉強のストレスで面白い事に飢えとるんじゃ」 優希「あわわわわわ、た、助けて京太郎ー!」 京太郎「……悪い、無理」 優希「は、薄情者ー!」 咲「優希ちゃん、麻雀を楽しもうよ!」クツシタヌギーノ 久「トバしたら何を聞いちゃおうかしら、ふふふ」カミシバリーノ まこ「まあ、直撃狙いをどう流すかの訓練にはなるじゃろ」メガネハズシーノ 優希「じぇぇぇぇぇ……!」 京太郎「すまん優希……この埋め合わせは必ずする」 和「須賀君!」 京太郎「和……」 和「あの、私もしかしてとんでもない事を」 京太郎「あー、まあ確かに付き合う前からそんな旅行してた俺達も軽率だったし……和が驚くのも無理ないから気にすんなって」 和「私の育った環境からしたら考えられませんでしたから、つい……優希には悪い事をしてしまいました」 咲「それロンだよ、優希ちゃん!」 久「ロンね」 まこ「すまんのう、ロンじゃ」 優希「」 京太郎「女の好奇心ってこえぇ……」 和「あの、須賀君」 京太郎「優希、マジごめん……えっ、なんだ和」 和「私も須賀君に聞きたい事があります」 京太郎「なんだよ……」 和「須賀君、あなたは本当に優希が好きで……」 京太郎「好きだ」 和「即答、するんですね」 京太郎「本心だからな」 和「そう、ですか……須賀君……優希を、私の大切な親友を、よろしくお願いします」 京太郎「ああ、まかせてくれ」 和「泣かせたら承知しませんからね」 京太郎「……ああ、善処するよ」 咲「ロン! あっ、優希ちゃんのトビ終了……」 優希「じゃあこれで……」 久「次の半荘ね♪」 優希「!?」 まこ「だから言ったじゃろう、諦めんさいと」 優希「誰か助けてぇ……」ウルウル 京太郎「早速破りそうだけど」 和「……すみません」 優希「ひどい目にあったじぇ……」 京太郎「お疲れ様、って言っていいのかどうか」 優希「うるさい、裏切り者」 京太郎「悪かったって……まさか立てなくなるくらいボロボロになるとは思わなかったんだよ。 だからこうして背負って帰ってるんじゃないか」 優希「それくらい裏切り者への罰として当たり前だじぇ。 それにしても、今日は咲ちゃん達が本気で怖くなった……」 京太郎「全国大会レベルで楽しんでたっぽいからな……」 優希「なんか後2年は清澄の天下になりそうだじぇ」 京太郎「だろうな……来年はお前に咲に和に染谷先輩、再来年だって 染谷先輩が卒業してもまだ3人いるしな。 清澄はまだまだいけるさ」 優希「……京太郎も」 京太郎「ん?」 優希「京太郎もその1人だじぇ」 京太郎「えっ、だけど俺は……」 優希「来年は見せてくれるんだろ? 私に京太郎が全国に上がる瞬間を」 京太郎「……」 優希「来年はきっと新入生も入るから、雑用だって京太郎に任せっきりにはならないじぇ」 優希「だから……来年になっても退部なんてしないよな?」 京太郎「……」 優希「京太郎?」 京太郎「はっ、やめるわけないだろ。 せっかくお前が教えてくれるんだし、 だいたい俺がいなくなったら誰がお前のタコス作るんだよ」 優希「そうか……なら、よかった、じぇ……」 京太郎「優希?」 優希「スー……スー……」 京太郎「寝ちまったか」 京太郎「……ありがとな優希。 お前のおかげでもう少し頑張れそうだわ」 京太郎「いっちょ目指してやるよ、清澄高校男女全国進出をな」 京太郎「だからお前も俺のそばにいてくれよ?」 優希「京太郎……むにゃ、大好きだじぇ……」 京太郎「俺も大好きだぜ、優希」 カン! --おまけ-- 咲「あっ、京ちゃんに対局の約束するの忘れてた……」 咲「まっ、いっか。 今度でも」 咲「優希ちゃん、なんだかんだで嬉しそうに話してたなあ……すっごく幸せそうだった」 咲「私もいつかそんな相手が見つかるのかな?」 咲「んー、わかんないや。 咲ちゃんの先の事はわかりません……なんてね」 咲「……ちょっと文学少女的にインスピレーションが湧いてきたかも」 咲「ちょっと書いてみようかな……えっとタイトルは、うん、これにしよう!」 咲「【雑草少年とタコス少女】!」 もいっこカン!