約 32,351 件
https://w.atwiki.jp/sikoku/pages/188.html
#blognavi 穴吹工務店は工事の受発注業務で、取引先企業と電子商取引を始めた。業務効率を高め、経費削減を進める。約5000社の取引先企業のうち、初年度は1割を電子商取引に切り替え、紙代など約1100万円の経費削減を見込む。5年内には取引先の7割、約3500社までサービスを拡大する。 http //www.nikkei.co.jp/news/retto/20060509c6b0901p09.html カテゴリ [企業] - trackback- 2006年05月12日 00 01 39 名前 コメント #blognavi
https://w.atwiki.jp/francis_ff14/pages/3.html
更新履歴 取得中です。 ここを編集
https://w.atwiki.jp/soken/pages/43.html
https://w.atwiki.jp/moriya_suwako/pages/63.html
■スペルカード使用■コスト2源符「諏訪清水」 神具「洩矢の鉄の輪」 コスト3土着神「洩矢神」 開演「二拝二拍一拝」 土着神「ケロちゃん風雨に負けず」 コスト4源符「厭い川の翡翠」 蛙狩「蛙は口ゆえ蛇に呑まるる」 土着神「手長足長さま」 土着神「宝永四年の赤蛙」 コスト5祟り神「赤口(ミシャグチ)さま」 ■特定天候限定■○梅雨コメント欄 ■スペルカード使用■ 限定欄 色分け基準 位置用ものさし(Practiceで相手を立たせる位置 8と9の間が中央) 1 2 3 4 5 6 7 9 8 7 6 5 4 3 2 1 :特殊な限定 :制限がきつい時 :高難易度 コスト2 源符「諏訪清水」 頑張ればあらゆるA攻撃からつながってダメージup 諏訪キャンにも使える優良スペル 対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。 rep コマンド ダメージ limit 限定 霊力 - AAAA(1) 諏訪清水 3084 85% どこでも 0 AAAAの2段目だとうまくつながらない 魔法陣は出ないが全キャラ対応高ダメージ しゃがみに注意 - AA 6A 諏訪清水 2775 100% どこでも 0 小町 天子不可 運送コンボ以外のどの中央コンボよりも高ダメージ - AAA J2B 諏訪清水 3073 100% 相手限定 1 強制ダウン J2B 諏訪清水は最速で AAAが4hitするならダメージup萃 レ 妖 霊 諏 小 天 不可 但し萃香、諏訪子はJ2B J6C(1~4) 諏訪清水とするとつながる - AA B 6C 諏訪清水 3193 100% 端付近 2 天子不可 6C後若干のディレイが必要 端から遠ざかるほどフルヒットしづらくなる魔法陣が出なくていいなら中央からでもつながる この場合ディレイは必要ない - AAA J2B J6C 諏訪清水 3251~3330 100% 端付近 2 J6Cを出し切る前にキャンセル 諏訪清水をたくさん当てた方が高ダメージ - AAA JB 66 JA J2B 諏訪清水 3636 100% 相手限定 2 運送対応キャラ限定 運送コンボの応用 楽だし痛いしデッキ回るしで文句なし - 遠A 6B 諏訪清水 2488 100% 端付近 1 Bを入れ込んでいた場合、諏訪清水を使わないで普通のコンボにした方が安定する - 6A 諏訪清水 2488 100% どこでも 0 6Aを対空で当てた場合カス当たりになることが多い 当然魔法陣も出ない対空の時は諏訪清水よりもJ6B J6Cにつなげた方が確実 - 3A 諏訪清水 2168 100% 端付近 0 相手が完全に画面端にいるとと入らない 対空で当てた場合若干ディレイをかけるとよい すわこ ♪ぴょこぴょこケロちゃん 雨にも負けずに 今日も歌うよ♪ もりやすわこ もりやすわこ もりやすわこ もりやすわこ 対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。 rep コマンド ダメージ limit 限定 霊力 - J6A(1~4) J6B 諏訪清水 2400~2543 ~80% どこでも 1 どんな状況からでもJ6Aが引っかかったら諏訪清水が入る 但しJ6B 諏訪清水は本当に最速で - J6A 諏訪清水 2263 100% 端付近 0 端付近でsmashが当たったら諏訪清水が入る JB系をはさまない方が安定する - J8A(本体) J6B 諏訪清水 2460 100% どこでも 1 J6B 諏訪清水は本当に最速で 木hitからだと諏訪清水がカス当たりすることが多い - J8A(木)CH 着地 8or9j 諏訪清水 3145 100% 端付近 1 - J8A(木)CH JB 66(44) 諏訪清水 3145 100% 端付近 1 JBを入れ込んでいた場合、JB ディレイ66 諏訪清水で この時画面端なら66を44に代えよう - J2A 諏訪清水 2358 100% 中央~端 0 J2Aの前進を生かしてなるべく前で発動 中央では密着ヒットからでないとつながらない6Bを入れ込んでいた場合でも、画面端が近ければつながり魔法陣(2405) すわこ ♪ぴょこぴょこケロちゃん 雨にも負けずに 今日も歌うよ♪ もりやすわこ もりやすわこ もりやすわこ もりやすわこ 神具「洩矢の鉄の輪」 対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。 rep コマンド ダメージ limit 限定 霊力 - AAA 大地の湖 B大蝦蟇神 洩矢の鉄の輪 ~2777 100% 中央~端 2 相手キャラによって魔法陣が出ないことがある AAAA 大蝦蟇はつながらない すわこ ♪ぴょこぴょこケロちゃん 雨にも負けずに 今日も歌うよ♪ もりやすわこ もりやすわこ もりやすわこ もりやすわこ コスト3 土着神「洩矢神」 対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。 rep コマンド ダメージ limit 限定 霊力 - AA B(2~3) 洩矢神 3000前後 115% 画面端(1)以外 1 - AA B B大蝦蟇(3) 洩矢神 3062 150% 画面端 2 天子不可 Bで運びすぎると洩矢神がスカるので4発目を出さないよう気持ち早めにキャンセル画面端では大蝦蟇神を入れる必要がある キャンセルタイミングが難しいので注意大蝦蟇のレベルを上げると繋がる距離が伸びる - AAA C大地の湖 B大蝦蟇神 洩矢神 3259 180% 中央~端 2 大蝦蟇神は微妙にディレイをかけたほうが安定する 大蝦蟇Lv1からディレイ不用右から8までの距離ならつながるので便利 AAAが4hitすれば微妙にダメージup - AAA JB 大地の湖 B大蝦蟇神(3) 洩矢神 ~3621 190% 画面端 3 AAA JBが当たるのならこちらでダメージupを 画面端の他、運送対象ならもう少し遠くからでもつながるAAAJBが入るキャラ:萃 紫(AAA2HIT) 幽(AAA1HIT) レ 妖 パ ア 魔 早 美 鈴 文パ 幽 萃はAAAが4HITすると入らない HIT数調整が必要 - D6C(10) 大蝦蟇神(4) 洩矢神 2844 180% 端付近 1 - D6C(10) 洩矢神 2917 140% どこでも 0 上はhit確認用 大蝦蟇神Lv0の場合下の方が高ダメージ すわこ ♪ぴょこぴょこケロちゃん 雨にも負けずに 今日も歌うよ♪ もりやすわこ もりやすわこ もりやすわこ もりやすわこ 開演「二拝二拍一拝」 対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。 rep コマンド ダメージ limit 限定 霊力 - AAAA 二拝二拍一拝 3704 115% 自分端~中央 0 中央~端は繋がらない(8の位置より遠い必要がある) 3コスコンボとしては威力が破格 - AA B 二拝二拍一拝 3430 126% 中央 1 中央~端は繋がらない 上のコンボより壁に近くても入る(4の位置より遠く)Bが全て当たったのを確認してからスペル発動したほうが威力が上がる - 遠A 二拝二拍一拝 3214 126% どこでも 0 自分が端に密着していなければどこでも繋がる遠Aが先端HITでなければ補正切りしてダメージをあげられる間にBやCを入れられるがあまり安定しない上に補正切りしたほうが威力が出る すわこ ♪ぴょこぴょこケロちゃん 雨にも負けずに 今日も歌うよ♪ もりやすわこ もりやすわこ もりやすわこ もりやすわこ 土着神「ケロちゃん風雨に負けず」 対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。 rep コマンド ダメージ limit 限定 霊力 - AAAA 風雨に負けず 3195 100% 端付近(1~5) 0 相手位置1~5 端まで持っていって起き攻め可能 - AAA 大地の湖 C大蝦蟇神 風雨に負けず 2883 100% 中央(7.8)限定 2 大蝦蟇神が画面端より微妙に離れた位置でhitしたとき限定でつながる大蝦蟇神が当たっていれば、受身を取られてもすでに射出中なので撒き終えられる といいなあ すわこ ♪ぴょこぴょこケロちゃん 雨にも負けずに 今日も歌うよ♪ もりやすわこ もりやすわこ もりやすわこ もりやすわこ コスト4 源符「厭い川の翡翠」 対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。 rep コマンド ダメージ limit 限定 霊力 - AAAA 厭い川の翡翠 4180 70% 端付近(1~7) 0 強制ダウン 一応右から7の位置まで入る - 3A 厭い川の翡翠 3300~ 60~% 端付近 0 - 遠A 3A 厭い川の翡翠 3133~ ~100% 端付近 0 強制ダウン 壁バウンドを拍手でつかむ相手の位置よりも自分の位置の方が重要 4の相手に密着する位置からならディレイ拍手で取れる - D裏周り C大蝦蟇神 (裏当て)厭い川の翡翠 3700~ 60~% 自分端~中央 1 強制ダウン 大蝦蟇の吹き飛ばしを利用して厭い川を当てる 大蝦蟇は4hit推奨なるべく密着から始動が望ましい 密着からなら相手が画面端付近でないかぎり川が当たるなお、梅雨だと大蝦蟇が当たりさえすれば距離・hit数に係わらず確定 すわこ ♪ぴょこぴょこケロちゃん 雨にも負けずに 今日も歌うよ♪ もりやすわこ もりやすわこ もりやすわこ もりやすわこ 蛙狩「蛙は口ゆえ蛇に呑まるる」 対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。 rep コマンド ダメージ limit 限定 霊力 - AA B 6C 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる 4578 160% 中央~端付近 2 天子不可 画面端不可 B射はすべて出し切ってからキャンセル 位置7~3まで入る - 遠A 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる 3943 140% どこでも 0 - 遠A C 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる 3773 180% 画面端不可 1 - 遠A 6C 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる 4063 180% 中央~端付近 1 蛇コンの基本 6Cをはさまないとどこでも決まるが、猶予時間がなくほとんどHIT確認できない6Cをはさむ時はスペルキャンセルは最速で 位置7まで入る どちらも自分が端にいると入らない遠A C 蛙狩はヒット確認が容易で位置を問わず入る わずかにダメージが下がるが一番現実的 - 遠A 3A 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる 3408 180% 中央限定(5~9) 1 画面端付近不可 蛙狩特有の中央限定 上のコンボより操作とhit確認は楽だがダメージが600程下がる - H遠A クラッシュ 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる 3148 100% どこでも 0 何の変哲もないコンボだがクラッシュ3000↑は普通に優秀 - 3A 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる 3383 140% 中央~端付近 0 - 3A(CH) 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる 3630 140% 中央~端付近 0 画面端不可 蛙狩特有の中央限定 3Aの空ガ不可が引っかかったときに反応できればおいしい - LA 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる 3987 140% 密着不可 0 密着不可 LAのポケットが蛙狩の不可範囲とかみ合っているため、LAが当たりさえすればどこでも入るLAの射程を生かした起き攻めに使える 蛙狩の空ガ不可も生きるかもしれない強烈なわからん殺し - L3A 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる 4151 140% 画面端不可 0 - L3A(CH) 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる 4426 140% 画面端不可 0 画面端不可 L3Aが真上~裏で当たらなければつながる 上手く補正が切れれば4206L3AがCHすればhit確認は容易 補正を切れば4715の高ダメージ - L3A L3A 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる 4240 180% 画面端不可 0 画面端不可 L3Aが2回当たる高さなら決まる 2回目のL3A 蛙狩は最速で 当たりさえすればほぼ決まる密着からだとL3A2連蛇は決まりにくい L3A ディレイ蛇にしよう - J8A(CH) 着地 蛙は口ゆえ蛇に呑まるる 4180(4394) 140% 位置限定 0 自分が8~4の位置にいるときのみ可 中央の立ち回りでJ8AがCHしたら出してみようHJの高さくらいでJ8Aを当てても着地 蛙狩が間に合う 超低空J8AならCHなしでもつながる(3905) すわこ ♪ぴょこぴょこケロちゃん 雨にも負けずに 今日も歌うよ♪ もりやすわこ もりやすわこ もりやすわこ もりやすわこ 土着神「手長足長さま」 対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。 rep コマンド ダメージ limit 限定 霊力 - AAAA(1) 手長足長さま 3317~ 65~% 端付近(1~6) 0 AAAAの「途中で」画面端が見えていたらつながる AAAAを2hitさせてしまうとカス当たりになる - J8A(木CH) JB ディレイ66 手長足長さま ~4243 ~100% 端付近 1 J8A JBは最速で 100%を取るディレイのかけ方が難しくダメージは不安定66 手足様は最速ならわずかに上昇しつつ当てるので魔法陣を取りやすいしかし、J8Aのhit位置が遠いと今度は手足様が当たらない諸刃の剣慣れればJ8Aをどの高さから当ててもつなげられる さすがに超高空J8Aでは無理だが - L3A(CH) LB 7or8or9jc 手長足長さま ~4516 ~100% 高さ限定 0 あまりに高いところでL3Aを当てると受身を取られる 手足様の発動は気持ち早めになんだかんだで8jcがどの距離からも安定する よほど横に遠いとき以外は8jc推奨 - B古の間欠泉(6) 手長足長さま 3777 100% どこでも 1 間欠泉が5hitしかしないとダメージが落ちる すわこ ♪ぴょこぴょこケロちゃん 雨にも負けずに 今日も歌うよ♪ もりやすわこ もりやすわこ もりやすわこ もりやすわこ 土着神「宝永四年の赤蛙」 対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。 rep コマンド ダメージ limit 限定 霊力 - AAAA 宝永四年の赤蛙 4000弱 90%~ どこでも 0 端に近いと落とす(位置1~4くらいで落とす) 魔方陣は出ないが上空に打ち上げるので追撃はされない烈日時のダメージ上昇がものすごい アリス・文・衣玖に対しては近A4段目を2HITさせると当たらない点に注意 - AAA JB J6C 宝永四年の赤蛙 4081 100% 端付近 2 端付近ではこちらで J6Cはしっかり当てきらないと魔方陣が出ない 烈日時のダメージが(ry すわこ ♪ぴょこぴょこケロちゃん 雨にも負けずに 今日も歌うよ♪ もりやすわこ もりやすわこ もりやすわこ もりやすわこ コスト5 祟り神「赤口(ミシャグチ)さま」 対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。 rep コマンド ダメージ limit 限定 霊力 - AAA(1) C大地の湖 B大蝦蟇神(1) 赤口さま 3761 50% 端付近 2 紫 咲 諏 天 不可 A連から赤口さまがつながるぞ、やったね! 直より1800ダメ低いけど!萃 妖 ア 魔は大蝦蟇にわずかにディレイをかけて低空で当てる必要がある - 遠A 赤口さま 4475 40% 画面端 0 紫 咲 天 不可 自分が4の位置にいるなら赤口さまが間に合う遠AがCHすると大抵スカる、無念(魔 早 チ 可) - H遠A クラッシュ 赤口さま 4466 0% 画面端 0 多少遠くてもつながる 下段クラッシュ4400とか神過ぎる さすが諏訪子様、土着神の頂点 - J8A 赤口さま 4573 40% 相手限定 0 萃 紫 幽 レ 妖 霊 早 衣 限定 J8Aは地上hit CHすると入らなくなる、無念 - D6C(1hit CH) 土着神の祟り 赤口さま ~4301 34% 端付近(1~3) 1 祟りは先行でD6Cの発射前に入力しておく たまにchain arts補正がかかってダメージが下がるD6C 祟りに慣れれば入力は安定するが、実用度は…… - J8A(CH) 赤口さま 4896 40% 梅雨限定 0 6より壁に近く木の部分が当たれば繋がる。 すわこ ♪ぴょこぴょこケロちゃん 雨にも負けずに 今日も歌うよ♪ もりやすわこ もりやすわこ もりやすわこ もりやすわこ ■特定天候限定■ ○梅雨 コメント欄 新しいコンボ発見したけどwiki編集ができない方などはこちらへどうぞ 名前
https://w.atwiki.jp/utloop/pages/3.html
更新履歴 取得中です。 ここを編集
https://w.atwiki.jp/harukaze_lab/pages/350.html
怪少年鵯十郎 山本周五郎 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)外村重太夫《とのむらしげだゆう》 |:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)坂|蔵屋敷《くらやしき》 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定] (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数) (例)※[#「二点しんにょう+官」、第3水準1-92-56] [#3字下げ][#中見出し]たた! 大変だ※[#感嘆符二つ、1-8-75][#中見出し終わり] あまもよ」 ぬる しばぐち一 さむらい くだんさむらい おび 「さむらいはず 天明四年の春、三月の宵節句。 雨催いのなま温い夜、芝口の方からきた一人の武士が、今しも土橋の起を曲がろ首うとするとたん。「ぴいよ」という、鳥の鳴声のよ の中からきこえてきた。と、件の武士病は突然そこに立ちどまって怯えたように、刀の柄に手をかけて身がまえた。 「ぴいよ」鳥の鳴声はまたきこえた。武士は息を喘ませながら闇をすかしてあたりに気をくばると、二三間先の暗がりに、がさがさと物のうごく気配がした、すわ!とそっちへ武士の足が動く、とたんに傍の闇から躍りでた小さな黒い影。「やっ!」と叫ぶと飛礫のごとく跳んで、構のくずれた武士の脇腹へ、不破流の強い当て身をくれた。「む!」と息を含んで前のめりに倒れる武士、小さな怪しい影は狼のように武士に さむらい つぶて かまえ一 さむらいわきばら。 ふわりゅう さむらい おおかみ さむらい なべやき じい しい島のを真ると、奪取った刀をかかえて、ふたたび闇の中へ消えてしまった。大胆ともなんともいえぬ仕業だ。 この有様を、さっきから向うの辻に荷をおろして見ていた、鍋焼うどん屋の爺さんは、曲者の姿が見えなくなると、びっくりして動かなくなった口をもぐもぐやりながら、突然大声にどなりたてた。 「たた、大変だあ! 鵯十郎が出たぞ!」 [#3字下げ][#中見出し]鵯十郎とは何者※[#感嘆符疑問符、1-8-78][#中見出し終わり] 「くせもの ふる 年 人間、 鵯十郎! 何者だろう。 誰も彼の顔を見た者がない。どこから出て、どこへ消えるか誰も知らない。しかし、江戸の街町は今、鴨十郎とよばれる怪少年の名に顫えあがっている。なぜそんな小体のために江戸市中が怯えているか、仔細を話せば分るだろう。 天明四年の春、まだ梅盛りのころから、ふしぎな事件がたびたび江戸の辻で行われた。それは夜道を行く武士だけがおそわれるので、暗闇から鴨の鳴声を口笛で吹姉きながらふいに一人の怪少年があらわれて、すこぶる見事な不破流柔術当て身の一 こせがれ さむらい」?________________ さむらい うわさ おさしりょう ひと 病一番首 } 手で相手を倒し、そのおびている刀を強奪し、ふたたび鴨の鳴声を口笛にしながら消えてゆくのだ。上での間の創口部分 相手が武士であり、盗む方が少年であり、しかも盗む物が、武士の魂たる刀なので、この噂はたちまち江戸中の人気を背負った。それから更にふしぎなのは、この怪少年は、盗んだ刀を必ずその翌日、相手におくりかえすことだった。そして、刀に添えていつもおなじ左のような手紙が添えられてあるのだ。-一筆啓上。調音・結構なる御差料拝見、有難く存じます、今後は他人に盗まれぬよう、大切に御扱い遊ばせ、敬白。鵯十郎拝。「うーん畜生!」誰だってこんな文句を見れば腹が立つ。しかし、鴨十郎と名乗る怪少年は、そんなことにはお構なく、なんの心願でか、毎晩風のごとく江戸の辻々にあらわれては、この刀盗みをくりかえすのであった。 さればこそ、鴨の鳴声を聞けば、泣く児も黙り、野良犬も咆えやむといわれるくらいなのであった。 鴨十郎!鵯十郎!今宵土橋の辻で、とおりがかりの武士をおそい、その刀を奪って去ったのも、実にこう少年の業だったの。 かまえ さむらい」 たちさ 何のために ) いわきりまさむね さむらい」 ふきかえ しげはらひょうまてい あるじ 怪少年鴨十郎 おかちしゅう どっこく ぶち [#3字下げ]岩切正宗《いわきりまさむね》にまつわる争い[#「岩切正宗にまつわる争い」は中見出し] いうものです、、、うん。 話はすこし外《そ》れる。 その同じ夜。土橋の辻で武士《さむらい》が息を吹返している時分、芝飯倉の繁原兵馬邸で、宵節句の酒宴が、たけなわだった。 かちがしらかわいじゅうざえもん酒宴といっても主客合せて三人。上客は同藩の徒士頭河合重左衛門それに主人繁原兵馬の同輩で御徒士衆五十石十人扶持をとる村上宗兵衛の三人だった。怪「ならぬと申すか?」 河合重左衛門が酒気を吐きながら上役をかさにきた声でどなった。「なりませぬ、この岩切正宗の一腰は、拙者家に伝わる重宝。こればかりは、藩侯の御所望でも手放すことはなりませぬ!」( 日イ!村上宗兵衛もきっとしてことわった。そして、眼前においてある家宝の一刀を、 手早く錦の袋に納めてしまった。訓その夜、宵節句に招待された心ばかりの馳走にと、村上宗兵衛日ごろ土蔵の奥深 むらかみそうべえ 「せっしゃいえ| にしき」 ちそう?________________ よだれ ごうだん ゆずりう 臆病一番首 く秘蔵する家宝、「岩切」と銘のある一刀を持ってきたのを、組頭である河合重左衛門がひと眼見て、涎を流さんばかりにほしがり、酒の酔も手伝って、譲ってくれと強談をはじめたのである。「家宝と申したとて、刀は使わねば役に立つまい、ぜひにも拙者が譲受けよう!」「いや、この儀ばかりはたとえ組頭のおおせでも、承わるわけにはまいりませぬ」「これほど申してるか」「断じて!」「ええ頼まぬ!よいわ!」 河合重左衛門色をなして突立ちあがった。そして、主人繁原兵馬のとめる袖をふりきって、帰って行ってしまった。「困ったことだな!」 繁原は友達の身を案じ顔に、村上宗兵衛を見やりながらいった。「あの頑固屋のことだから、ああ怒ってはなにをしでかすか知れたものではない。間違がおこらねばいいが……」「外のことならともかく、この岩切正宗だけは、拙者として譲ることはできない」二も言え隻をこなう会えた「よう、どうにかなるだろう!」 つった。 「あるじ そで 「まさか強奪もできまいさ、あははは」「笑って、村上宗兵衛は繁原邸を辞した。 [#3字下げ]鵯が人を斬《き》った![#「鵯が人を斬った!」は中見出し] いきなりここには終的には1976年3月31日 やしき さくらだまち 怪少年鴨十郎 かたわら一 ぬきうち 繁原邸を辞した村上宗兵衛。 木挽町《こびきちょう》にある自分の邸へかえろうと、桜田町を芝口へと道をいそいできた。別にたいして飲みはしなかったが、ほろ酔機嫌で、いま土橋の辻に出ようとする。「ああよく曇る空だ、今夜こそ雨かな!」と空を見あげる辻の角、とたんにつつ――と傍の暗闇から忍びょった怪しの影。「……」気合を殺して、さっと、突然抜討に村上宗兵衛の脊へ斬つけた。「む!」たたと、ふた足、前へのめった宗兵衛、「曲者!」と叫んでようやく腰の刀を抜く。(1)パリでは「ぴいよ、ぴいよー」と、曲者は口笛で鴨の鳴声。立直って構えた宗兵衛、だが 肩から脊へかけて八寸にあまる深手で、もう気息奄々だ。~「うむ、鵯十郎か!」 たちなお ふかで きそくえんえん)?________________ やいば| ふみ まっこう Da S 「やっ!」 曲者の刃《やいば》がきらりと空に弧を描く。必死の宗兵衛身をしずめて横にふるう。届かぬ、曲者は一二間跳び退る、宗兵衛が詰よる。「やっ!」踏こんだ曲者、宗兵衛の真向へさっ!行くと見せて返えす剣、合わす間がなく、宗兵衛の脇腹へざっくり斬こんだ。 「うっ!」首「……ぴいよ」 (0.15曲者は宗兵衛の弱腰をける。朽ちた木のように倒れる宗兵衛、錦の袋にはいった岩切正宗の銘刀が、ばったり落ちた。 出「これか!」と曲者、錦の袋をひろいとるともう一度、最る 。「ぴいよ、ぴぃ|よ」と鴨の声をまねて闇の中へ消えてしまった。間もなく通りかかった人が、びっくりして、倒れている宗兵衛を抱おこした時、瀕死の声を、ふりしぼって宗兵衛がいった。 「ひ、ひ、鵯……十郎……」 [#3字下げ][#中見出し]怪しい魚屋の小僧※[#感嘆符二つ、1-8-75][#中見出し終わり] つぶれ103 はばか おれ から 「のぞ 「ええ、熊さん聞いたかい」「なんでえ鵯十郎が人を殺したって話かい」「そうよ、もう知っているのか」「べら棒め、大工の熊さんを知らねえか、憚んながら己さまはな、いつでも十里四 方の出来ごとは見透しでいらっしゃるんだ」郎「へん、唐の遠眼鏡で寒天を覗きゃしめえし、見透しもすさまじいや。だがなんだ鴨ぜえ、鵯十郎は刀こそ盗むが、決して人を斬ったり殺したりしねえっていう話だぜ」 )「おいらもそうだと思ってた。しかしこうなって見ると、そいつも嘘だったのよなあ」「話している時、ちょうどそこへ魚の荷をかついで通りかかった十四五の小僧。この話を耳にしたとみえてつかつかと傍へ寄ってきた。「なんだい小父さん、その鵯が人を殺したってのは、何のことだい」「おや、手前魚屋の銀だな。手前まだ知らねえのか」と熊さんは、自慢げに昨夜芝土橋の辻で斬られていた武士のあったこと、死ぬ間際に介抱する人へ「鵯十郎!」 うそ おじ てめえ」 「てめえ」 ゆうべ どばし) さむら、 まぎわ 321?________________ さむらい」 スターひとみ 巡 といったこと、その晩おなじ場所で、鴨十郎がもう一人の武士から刀を奪うところ を、鍋焼うどん屋が見ていたから、その村上宗兵衛という人を斬ったのは、たしかに鴨に相違ないだろうということなどを、くわしく話してきかせた。 「どうでえ、驚いたか?」 「驚いたよ」と、魚売の小僧は怪しく光る眸で、じっと空をみつめながら首を振っていった。 「だが鴨十郎は決して人を斬らねえはずだがな」 員。今、CCRS 「だからおかしなことだと話していたんだ」 いった 「全くだ、おかしなことだぜ、有難うよ、又魚を買ってくんねえ!」そういって魚扇屋の小僧は、荷を担いでそこを去って行った。 員さすらあり、会い 「おや!」 県気の 魚屋がいってしまうと、大工の若者二人もそこを立去ろうとして、二三歩行った時、熊さんが何かみつけて立停《たちど》まった。 「何でえ、そこに落ちているのは?」 、 そういわれて吉《きっ》さんが道の上から拾いあげたのは一通の書付《かきつけ》だ。 「きんさんと記名が書いてある、こいつうおいうこよこした手芸、全体誰 臆病一番首 かっ たちど きつ かきつけ、 「あてな COLLI. きずつ つかまつそうろう せつ そそりためただいま 一筆啓上-鴨十郎は決して人を傷けたり殺したり仕らず候。村上宗兵衛を殺害したるは必-ず他に下手人あることと存じ候故、汚名を雪ぐ為唯今より鴨十郎が自ら活躍し て、真の下手人を探索仕るべく候、敬白。鵯十郎。正る。 「や! こりゃ鵯からきた手紙だ!」 「わあっ!」と云《い》うと、びっくりして二人の若者は、その手紙を持って自身番へ駈けつけた。 場合は 不要で 無念資「 さていよいよ鵯十郎が自ら「土橋殺人事件」の真相を探偵するために出動するという――。果して鴨十郎とは何者か、どんなめざましい活躍をするであろうか。 [#3字下げ][#中見出し]鵯現わる※[#感嘆符二つ、1-8-75][#中見出し終わり] めたのは、体が持ってた 同じ朝。 昨夜繁原邸で村上宗兵衛とあらそって、自分の家へかえってきた河合重左衛門、今朝その居間で眼ざめて、ふと枕元を見た時、思わず、 「あっ!」と云って眼を瞠った。どうしたのだ、枕元にはいつ誰が持ってきておい まくらもと まなこみは|?________________ つぶ あらた せが J たのか、見覚えのある錦の刀袋がある。。 「まさかP 」と呟やきながら、いそいで取あげて袋の中を検めてみると、果して昨夜繁原邸で、自分が村上宗兵衛に譲ってくれと強請んだ『岩切正宗』の一腰が入っていた。「だが、どうしてこれがここに?」 重左衛門は考えたが分らぬので召使を呼んだ。「なんぞ御用でござりますか?」って話番いいで「この錦の刀袋を誰が持参したか」人き下一の真中の出題さい。重左衛門は頸える声でたずねた。召使は不審そうに見やっていたが、頭を横にふ 臆病一番首 どなた 「私、存じませぬ、まだ今朝ほどは何誰もお客さまは見えませぬ!」「存ぜぬと申して現に……」云いかけたが、重左衛門は手をふって、「もうよい、下がってよい」と召使を下げた。選曲で3頭目で頭「はて、何としたことだろう」 です。ト1用発言昨夜あんなに喧嘩腰でことわった宗兵衛が、急に気をかえて譲る気になったとも ララララ けんかごし くちばや もうしたっ 怪少年鴨十郎 がくぜ! 「何事じゃ!」「唯今、藩より急使でござります」野 見のいいパン藩から急使ときいて重左衛門、いそいで支度をととのえて客間へ出ると、急使の者は口早に用向を伝えた。その「昨夜芝土橋附近において、藩士御徒士組村上宗兵衛殿何者かのために暗殺され、家宝岩切正宗の一腰を奪われし趣、申達します!」 放「なにP 宗兵衛が暗殺とな。」 重左衛門は愕然として声をあげた。急使は用向を述べると、早々に帰っていった。「宗兵衛が殺され、岩切正宗が盗まれた――」 と、重左衛門は急使の帰った後で、ひとり蒼白な顔をして呟いた。「では、では儂の枕元におかれてあったあの、岩切正宗の一腰は、誰が持ってきたのだろう、何のためだろう――」 考えていた時、突然欄間からぱったり落ちてきた物がある、拾って見ると紙片へ書いた手紙で、外資用 。一筆啓上に導か。 まっさお らんま かみきれ カラーがき 325?________________ おたちのき あだねら よみおわ 腕、 直ちに江戸を御立退なさるべし。村上宗兵衛遺族共、必ず貴殿を仇と狙うべく わたしよろはからもうすべく、長候、あとは私宜しく計い可申候、敬白。鵯十郎。 重左衛門が手紙を読終ったとたん、廊下で、「ぴいよー」と鋭い口笛の音がした。ヴ(大きいので 、「あっ、鴨十郎!」叫んで重左衛門、押取刀で障子を明けたが、もうそこには猫の仔一匹いなかった。 おっとりがたな 臆病一番首 [#3字下げ][#中見出し]又しても魚屋の小僧※[#感嘆符疑問符、1-8-78][#中見出し終わり] いきおい ぶあい ここは木挽町にある村上宗兵衛の邸である。「こんちゃ、魚屋でござい!」と裏口から、さっき八丁堀の長屋で見た魚屋の小僧が、荷を担いで勢よく入ってきた。「魚ならもう買ったよ!」と下女が不愛そうにことわるのを、出る時の たいい。「そんなこと云わねえで買っとくんなせえよ、鯛の良いのがあるんだ、まあ見てくんなよ」「要ういっこう、要らないよ」と、女は見向きうさずこど会った。すると魚 そうす、 そうじろ ひそひそ 屋の本は、気が流に夢中になっているのを見すまして、そこへ荷をおくと、ぱっと横跳に傍の植込の中へ身をかくした。 人間、(この魚屋の小僧、何をするのだろう。 この時、この邸の奥座敷では、亡き宗兵衛の妻さよ、長男宗助、二男宗二郎、れから、宗兵衛の親友繁原兵馬が、なにか密々と話していた。本「私は信じません!」宗助が膝で詰よりながら叫んだ。た 「父は鴨十郎などと申す小件ごとき者に、闇々討たれるような腰抜ではござりませ鴨ぬ!」 「それに!」と傍から弟の宗二郎もいった。父の会場へ「鵯十郎とか申す者は、決して人を傷けぬと云うこと、これには必ず他に下手人のあることと存じます!」「どうかお話し下さい、昨夜あなたのお邸で何かあったのではございませんか?」「こう詰よられて、繁原兵馬いまはぜひなく、「いや、かくなる上はお話し申そう。実は昨夜拙者邸にて、組頭河合重左衛門殿が、 岩切正宗の一腰を所望なされた。勿論村上氏はきっぱりことわったので、河合殿は函気色張ってお帰りになったのでござる、御承知のとおり利かぬ気の老人、なにか間 怪少年?十郎 もちろん?________________ ちがい かげ 、行っていかもしれさん、三年時に うたが、 違《》でもおこらねばよいと存じて、拙者も実は陰ながら心痛いたしておったのだが――」 「それだ!」と、宗助は膝を進めた。 「さては河合め、岩切正宗がほしさに、父の帰途をねらって、父を暗殺、正宗を奪ったのだ。そして自分に疑のかからぬようにと、近ごろ世間にやかましい鵯十郎の真似をしたのだ!」 「そうだ、それに違いない!」宗二郎も叫んだ。 「行こう、重左衛門に会って、容子《ようす》をたしかめ、父の仇を討たねばならぬ!」 「まあ、待たれい!」 繁原兵馬が、逸《はや》りたつ兄弟を止めた。 [#3字下げ]黒装束の男[#「黒装束の男」は中見出し] の うた ようす。 臆病一番首 はや き ぎ 「まあ待たれい、まだ河合が敵と定《き》まった訳ではない。まず心を落着けて事の実否を組さねばならぬ。それには拙者によき考がござる。――お耳を」 ひそひそ「……」兄弟と繁原が何事か密々と耳うちをしていた時、廊下にふっと人の動く気配がした。 ただ かんがえ ねずみ かわ うえこみ たいひらめ| よびた ,よびと 怪少年?十郎 影、やっ!と叫んで宗助が投げた手裏剣、飛礫のごとく飛んで曲者の脊中へ、ぐざり!突刺さったか、否、鼠のように身を交した曲者。「ぴぃーよ」と鴨の鳴声を真似るとそのまま、植込の中へ隠れてしまった。「鴨だ、追え!」と叫ぶ兵馬。押取刀で宗助兄弟が庭へ跳び出し、木戸までくるとばったり会ったのは魚の荷を担いだ、さっきの魚屋の小僧だ。「え―鯛に鮮やあい」と大声で呼立てる。と、「こら小僧!」宗二郎が呼止めた。「今ここを怪しい男がとおらなかったか?」「へえ、なんですか変な男が息せききって裏門の方へ跳び出して行きましたよ!」「それだ、宗二郎急げっ!」「おっ!」と叫んで兄弟は、足も宙に追っていった。 おしぬぐ後に残った例の魚屋の小僧、ほっとひと息つくと脇の下の汗を押拭って、「ああ危なかった、もうひと息だった!」と呟やいたとたん、すぐ脊後で、 時前。幽「小僧!もっと危ないぞ!」と、叫ぶ声がした。ぎょっとして小僧が振向くと、 うしろ?________________ さむらい ふりかむ ほう- さむらい つばめ さむらい かたわら ましら つたわ 臆病一番首 颯 そこには黒装束に覆面の武士《さむらい》が、大刀を振冠って詰寄っていた。 「あっ!」と叫んでその小僧、さっと身を沈めると、荷を拠り出して、打こんでくる武士の大刀の下を燕のようにかい潜ると、「そうか!貴様だったな!」と喚いた。黒装束の武士は、「なに、貴様とな!」、「ぴぃーよ」小僧は鋭く口笛を吹いた。そしてやっ!と叫ぶと傍の松の木へとびついて、するすると、猿のように枝を伝って、塀の上に立った。当「土橋の辻で…」 と塀の上から小僧が笑った。。「あっははは知っているぞあははは」そして塀の外へ跳びおりて見えなくなった。 鵯十郎とは何者か、宗兵衛を討ったのは誰か、魚屋の小僧とは? 黒装束の武士は? この謎はどう解けるであろう。 [#3字下げ]闇《やみ》にひびく鵯《ひよどり》の声[#「闇にひびく鵯の声」は中見出し] 108 うまくやみ ひよどり 闇にひびく鵯の声 さむらい NO やとうた こむら もうしつ一 ちこ 怪少年鴨十郎 と樹立の中へはいってきた。「弥藤太!弥藤太!」「武士がひくい声で呼んだ。と、傍らの木簇の中から、黒装束の男がしのび出て、はっとそこへ手をついた。「繁……」「これ!静かにいたせ、かねて申附けておいたこと、しかといたしたか!」「はっ、首尾よく河合邸に忍びいり」「うんよし、それから――近うよれ!こん度はこれだ」「はっ!」「用向はこれに書したためてあるから、ぬからずやれ、分ったか」「はっ!」 ハーーーー黒羽二重の武士は、黒装束の男に、一通の書付をわたすと、小判で拾両、ぽんと投与えて、見向きもせずに、もときた方へ引返していった。 「拾両か」と、黒装束の男は金をひろい集めて呟やいた。劉「また、人を殺すのだろう。だが、拾両ときちゃあ悪くねえぞ!」 ようむき かき かきつけ なげあた?________________ め せいがん) じっとら ねら、 すき きあい」 いたち つばめ つか たいひょう かつ 臆病一番首 郷「名乗れ!名乗れ!」と喚いて、剣を青眼につけたまま、じりっじりと詰めた。曲者は蛇と虎のように武士を狙っていたが、どう隙をみつけたか、「……」何ともいいようのない無気味な気合と共に、ぱっと鼬のように武士の手許へ跳こんだ。「おっ!」と答えてかわす、とたんに振あげて岩をも断てと斬下ろす剣、燕のように潜った小さな曲者、どうとったか武士の右手を?むと、「やっ!うん!」五尺八寸はあろうと見える大兵の武士を、肩に担いで二三間先九り出した、うん! !といって気絶する武士。曲者はさも愉快らしく、ぴぃーよ」と高く鴨の鳴声をまねて、倒れている武士の覆面へ手をかけた。とたんに物陰から、ばらばらと跳り出た手先捕方の人々、「曲者!御用だ!」と、叫んで押取まいた。ちです。授ら、認証、 面】《 オーどうやら解けた謎 ものかげ おど てさきとりかた おっとり この時、或合う方へ、でくる二人の武がうった。 はたしあい き すすみで 怪少年鵠十郎 「兄上、何かやっています!」「うん、果合かもしれぬ」のの 、「急ぎましょう」後も 観二人は急いで近寄った。ですが、見ると十四五ともみえる黒装束の少年を、十人にあまる大勢が押取巻いている容子だ。気早な宗二郎が進出て、「意恨か、果合か、暗殺か?」と呼びかけた。と取巻いている手先の中から、同心 と見える男が答えた。怪「捕物でござる、鴨十郎をおいつめてござる」 03「なに、鴨十郎」宗助が驚いてすすみよった。 福「鵯十郎とあれば捕方衆に御助勢申す、拙者兄弟は村上宗兵衛の遺子、父の死について問札したき儀がござる、御助勢おゆるしくだされ」「よろしく!」と同心が答えた。と、今まで石のように動かなかった?十郎、 「ぴいよ」と鋭く鳴くと、ぱっと捕方の人数の中へとびこんだ。さっと破れる人垣。始鵯の拳が二三度空に躍ったかと見ると、ばったばったと三四人が、不破流の当身で といただ にんず こぶし?________________ うちたお しった おっ つまず あかり 鈴打倒された。 嬉01「にがすな、巻け!」と同心が手先を叱咤した時には囲みを破った鵯十郎、銀杏の幹に手をかけて、するすると猿のようにはいあがって、 優 領の手「ぴいよ、あははははは」間のOJK と声を残したまま見えなくなった。職場に、 「残念!」といって宗二郎が追かけようとした時、なにかに躓いてのめった。ふり首かえって見ると、黒羽二重の武士の倒れているのをみつけた。- 「やっ、誰かやられている、燈を!」 抱おこして、手先の差出すがんどう提燈で見ると、村上兄弟は思わず声をあげた。「やあ、これは繁原氏だ!」「この声は、銀杏の木から跳びうつって、傍の武家邸の塀の中にしのんでいた、鴨十郎の耳にはっきり入った。「やっぱりそうか、これで謎は解けた!」と独り呟やいた鴨十郎、「ぴぃーよ」と鋭く口笛を鳴らすと、そのまま闇へ消えた。(こくびゃく 黒白は私より! 臆病一番首 だき ちょうちん かたわら つま かたきおもいちが たちの き わし こころ| 怪少年鴨十郎 業全なの河合へ、三人の客が訪れてきた。いうまでもなく村上宗男兄弟と附添として繁原兵馬。 昨日の朝、鴨十郎から「村上兄弟が貴殿を仇と思違えているから一時江戸を立退くように!」と書いた手紙をもらった時、人、取業す自員間、「ばかな、万一ここで儂が江戸を出奔すれば、罪なくして自分から罪を衣るようなものだ、身潔白なれば心神に通ずだ!」 そう決心して、鴨十郎の忠告をのけ、邸に籠って待っていた今朝―。果して兄弟がやってきたのだ。現 に、貴の年間合「この度は宗兵衛殿には不慮なこと―」で開いて、 あいさっと河合重左衛門まず丁寧に挨拶した。の、「いや、さような御挨拶は後のこと、今日私共兄弟の推参いたしたのは!」と宗助が膝を進めた。61「父の死につき、貴殿よりしかと承りたきことがござる、と申すのは、ある方面よりたしかに聞知ったが、貴殿、父が暗殺された折奪われた岩切正宗の一腰、御所持なさる趣、いかがでござる」ら、河合重左衛門さっと顔色が変った。( 合気! ひざ ききし?________________ かたわら| まくらもと (「何事もお包みなく、お話しあるがよろしいかと存じます、河合殿!」と傍から繁 原兵馬も膝を進めた。河合は大きく頷いて、「よろしい、いかにも拙者ふしぎなる次第で岩切正宗を持っている、そのわけをお かみもっ.うそ.. 話し申そう、貴殿がたに信じていただけば幸いじゃ、拙者においては神以て嘘はいわぬつもりでござるー」 と正宗の一刀が枕元におかれてあったこと、また鵯十郎の手紙までそこへならべ首て話した。是 いるのを「嘘だ!」重左衛門の言葉も終らぬうち、気早な宗二郎がわめいて立った。「そんな甘手に乗る我等兄弟でないぞ。岩切正宗が貴殿の手にある以上、最早問答は無益だ、我々は直ちに藩の目附役へお届け申す、父の仇動くまいぞ!」(3・と宗助も荒々しく叫んで立った。-ののの「そう思われるなら是非もない、お好きになさるがよろしい!」、「投げるようにいって、重左衛門は帰る三人を見送りもせず、自分の居間へ立った。 居間へきた重左衛門、机の前に坐ると、ふとそこに一通の書面のおいてあるのを見つけた。「はてな? 病一番首 あまて はや めつけやく こくびゃく| もうすべくそうろう 怪少年?十郎 「現上げてみると、十より、とある。急いでいて読みくだすと、走り書で、 一筆啓上。藩よりお達しのあり次第、直ちに御出でなさるべし、黒白はその節、相分り可申候。御安心ありたく候、敬白。置、低中、主人 間鴨十郎。兵馬明日会うぞ!鴨が走っている。――その日の夜だ。例によって黒装束、風のように夜更の街を走ってゆく。どこへ行くのだ。 鼠のように、風のように、走ってきたのは芝飯倉にある繁原兵馬の邸である。走りついた鴨、黒塀へ手をかけると、やっ!と喚いて、一丈にあまる高塀をぱっと躍越えた。この間、京大、 本間、,しのびい庭から広縁、つつーと座敷へ忍入る。・客間に人の話声がする。広縁に耳をつけて聞くと、芝の山内で会った黒装束の男の声である。「して、あの書付は?」と訊くのは主人兵馬だ。 う よけ おどりこ さんない き?________________ てんく 付横は腹失なを こら一 とうか とこのまかたなかけ しのびよ」 さや つばもと おうみかねすけ 臆病一番首 郷「はっ、何分にも相手は天狗のような奴、あっという間に蹴られまして、不 覚ながら気絶、やがて我に返りました時には、最早あの書付くなっておりました」間の語 鴨はこれだけ聞くと、可笑しさを耐えて、主人の居間の方へ忍ん、居間には誰もいない、客間からもれる燈火で見廻すと、床間に刀架がある。つつと忍寄って、架けてある一刀を?んだ。 たいよ。「これだな!」と呟やいて洩れ燈の方へくる。音のしないように鞘を払って、肥と刀身をみつめた、刀身鍔元近く、「近江兼相」と云う銘がはっきり読めた。「む!さては案の定そうだったか」 鴨の面には輝くばかり満足の色があふれた。「これで本望も達せられるぞ!」「しっ!」客間で対談中であった主人繁原兵馬、ふと隣の居間で人の気配がしたので、耳を澄ませた。「誰かいるようだ!」フ 場の時に「見てまいりましょう!」「男が立つ。間の美をうける、とんこ中から躍り出た?十郎、ずっと男に不破流 おもて あい、ふすま ぬきうち の当をくれると、ばったり相手が倒れるとたん。「ぴいよ」と鳴いて兵馬の眼前三尺の空を、飛鳥のように広縁へ跳んでいた。目にもとまらぬ早業だ。「えっ!」兵馬、抜討にかぶせて斬る、ぱっと後ろっ跳びに庭へ下りた鴨、からからと笑って、「兵馬!明日会うぞ!」とひと言。庭の闇へ姿を消した。いろ。「不思議な奴!」呻いて、兵馬は気絶している男を抱起した。活を入れると、はっと我に返った男。「てて天狗はP」といって金壺眼を剥きながら、あたりを見まわした。 現れた鴨十郎 だきおこ 怪少年鴨十郎 かなつぼまなこむ かちがしら」 よびだ 翌日。 いちい替藩の目附の名を以て、徒士頭河合重左衛門は呼出された。支度を改めて出仕すると、すぐに評定所へまわされた。 C09年そこには、もう繁原兵馬附添となって、村上兄弟が控えていた。重左衛門が座につくと、目附役が村上宗兵衛暗殺の事件を詳しく読みあげた。 つきそえ」?________________ しさい 臆病一番首 A「右の通り、村上兄弟及び繁原兵馬相違ないか?」(成長をして、「はい、委細そのとおりにござります」 そこで目附は、河合重左衛門に、どうして岩切正宗の一腰を手にいれたか、仔細を包まず申述べよと命じた。重左衛門は形を正して る 。「宗兵衛殿最期の翌朝、私の枕元においてあったのを私が見附ましたばかり、何者か私を罪に堕さんと計りしものと存ずるが別に心当りもなく、我ながら不審しく存じます!」- 目附役は、ふふんという顔で、 「さような申立がとおると思うか」慮「通るかとおらぬか存ぜぬが、拙者はただありのままを申上るばかりでござる!」 「重左衛門もきっとして答えた。目附役はそんな言葉には耳もかさず、「村上兄弟は、父の遺恨を晴らすがよかろう、河合重左衛門には死罪を申付くべきところ、格別の慈悲を以て、村上兄弟と尋常の勝負をゆるす!」1そういって立った。かねて用意してあったらしく、目附役が立つと、入代りに検使役が三人ずっと出 もうしたて いりかわ うち一 怪少年鴨十郎 「河合重左衛門、村上完売並に流として業度兵馬、広庭にて試合お許しがあったぞ!」「はっ!」村上兄弟は手早く支度をして座を立った。河合重左衛門、心の中で「ああ、とんだことになった、それにしてもあの鴨十郎は本当にきてくれるのであろうか、今日こそは誰が罪人であるかはっきり分ると書いてよこしたが、何をしているのだろう」長門の職員で、 いいか呟やきながら、促されるままに支度をして、広庭へ出た。でも、広庭の周囲には四五十人の警護の侍がかためていた。支度がととのうと、検使役が合図をした。村上兄弟は刀をぬいて、正面から重左衛門に迫った。老いてはいるが河合重左衛門、愛刀助広二尺八寸という大刀を、青眼にかまえて兄弟にむかった。 国語る 。「河合重左衛門、亡父の恨だ、覚悟!」「父の敵だ、覚悟!」|共々に叫んでじりじりとよる! 本場)「敵と呼ばれるおぼえないぞ、血迷うな!これはお上からの上意試合だ、仇討でないぞ!」 すけひろ うらみ あだうち、?________________ さ 344 はや ひね| わきばら 臆病一番首 老人はおめず臆せず叫び返した。ひきょう「卑怯な!うぬ!」若いから血気に逸る宗二郎、苛ってつつと踏こむ。隙、重左衛門さっと片手で宗二郎へ薙ぐ、とたんに誘われて斬こむ宗助、身を捻って体当り、のめる宗助、「はっ!」と喚いて老人自慢の燕返し、宗助の脇腹へさっ峯打ちだ、宗助斬られた と思ったから、脇腹を抑えて膝をつく、弟宗二郎、同く兄が斬られたと見て逆上、首「やっ、えっ!」と無法に斬りまくってくる。ぱっぱっと外ずして二三歩、あしらいながら退る、うしろに控えていた村上兄弟附添の繁原兵馬、いつ抜いたか抜刀を 構えて、さがってくる重左衛門の背中へ廻った。「大臆「えっ!」鋭くつけいる宗二郎。かわしてひく重左衛門、虎のように隙を窺っていた繁原兵馬、充分に重左衛門の隙を見抜いたから、つっーと寄る、抜刀をふりかぶって「やっ!」斬ったか? |! ち「わっ!」と叫びざま、血煙あげて倒れたのは繁原兵馬だ。当時らくるの巻仰天して一同がふり返ると、そこに血刀を提げて、一人の少年が立っていた。「ぴいよ」と少年は鴨の鳴声を口笛で吹いた。「わっ!?十郎」会を回っていた警護の侍達はどっと突いて詰寄った。 うかが ひっさ たちあが。 怪少年?十郎 たちあい 怪少年鴨十郎は、河合重左衛門と村上兄弟の間にわっていった。「村上宗兵衛殿を討ち、岩切正宗を奪った男は河合殿ではない」「誰だ!」織田プロ 起上ってきた宗助も色をかえて詰寄った。鵯十郎は、つと倒れている繁原兵馬を指差していった。ボー ルの「繁原兵馬、この男だ!」 の「やっ!」 会組幅果た年「お検使役の方々にもお立合くだされ」の三平,宮間/ H OKO鴨の言葉に、呆れて見守っていた検使の人々も傍へよってきた。鵯十郎は続ける|ですが「そしてこの男は私にとっても親の仇だったのだ、繁原兵馬とは嘘り、本名は赤松由範と申す男、紀州藩士で二百石どりの侍であったが、酒の上から私の父曾正を暗殺し、秘蔵の愛刀近江兼相を奪ってにげ去ったものでござる、即ちこれが父の愛刀近江兼相、またたしかな証拠は、奉行所に差出してござる仇討許可の書付に姉したためてあります」 と あき そば かたき いつわ よしのり じょう 「すなわ?________________ 編 およ かちがしら」 臆病一番首 鴨十郎は、そういうと倒れている兵馬の襟髪をつかんでひきおこし、「親の敵赤松由範、思知ったか!」と胸を刺した。こ「されど、繁原兵馬が我等の父宗兵衛を暗殺したという証拠は?」-村上兄弟が訊ねた。鴨は話し出した。 父置組「兵馬は河合殿さえいなくなれば、自分が徒士頭になれるので、いつか河合殿を無き者にしようと企んでいた。ところで宵節句の晩、正宗の一腰を譲れ譲らぬと争いのおこったのを幸い、人を使って宗兵衛殿を殺し、ただちに河合殿の邸へしのびこみ、重左衛門殿が節句の酒に酔って眠るのを幸い、居間へ正宗をおいてこさせたのです。そればかりでなく兵馬は、村上御兄弟が首尾よく河合氏を討果たした後で、御兄弟をも暗殺しようと企んでいたのです」「なに、拙者等兄弟を!」「これを御覧なされ!」アンプルに調で す 。鴨十郎が取出して見せたのは、先夜芝山内で奪取った暗殺状だった。 うちは一 うばいと 村上宗助暗殺すべし 同宗二郎 そうたろう。 かたき ゆえ ぼしほくろ うわさ そそ かたき」 「こうして自分ひとりは徒士頭となって、口を拭っているつもりだったのです」鴨十郎は調子を強くつづけた。「私は曾根弾正の一子、荘太郎と申します、鴨十郎と名乗っていたのは敵の顔をしらぬ故『近江兼相』と銘のある刀、左の腕に三星の黒子のある男と、それをめあてにさがし出すため、街に出ては、武家の刀と左の腕をあらためていたのです。ところが、十郎が人を殺したという噂が出たので、一つには自分の汚名を雪ぐため、この事件を探索しはじめたところ、意外にも自分の狙う仇を探し出すことになったのです!」 話を聞いて人々は、ほっと感歎の声を洩らすばかり。「では、正しく父宗兵衛を討ったはこの繁原兵馬でござるか!」村上宗助が無念そうに唇を噛んだ。「さよう!なお御不審ならば町奉行所へおいでなされ、兵馬に頼まれて宗兵衛殿 たかはしごんぞうを暗殺した高橋権造と申す浪人が捕えられているはずでございます!」 そこで改めて、村上兄弟は繁原兵馬に一太刀ずつ恨を晴らした。洲一時にふた組の仇討、近来めずらしいことと、江戸市中は鴨十郎の噂とともに賑 怪少年鴉十郎 「かんたん?________________ 0わった。 7それから後、江戸の市中には再び鴨の鳴声はしなかった。鵯十郎、実は曾根荘太郎は、主家紀伊侯に召返されて、めでたく曾根家を再興したということである。 底本:「周五郎少年文庫 臆病一番首 時代小説集」新潮文庫、新潮社 2019(令和1)年10月1日発行 底本の親本:「少年少女譚海」 1931(昭和6)年4月号、5月号 初出:「少年少女譚海」 1931(昭和6)年4月号、5月号 ※表題は底本では、「怪少年《かいしょうねん》鵯十郎《ひよどりじゅうろう》」となっています。 入力:特定非営利活動法人はるかぜ
https://w.atwiki.jp/harukaze_lab/pages/344.html
悪龍窟秘譚 山本周五郎 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)天目山《てんもくざん》 |:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)児|狗真《くしん》 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定] (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数) (例)※[#「二点しんにょう+官」、第3水準1-92-56] [#3字下げ]天目山《てんもくざん》の落武者[#「天目山の落武者」は中見出し] 四人の鎧武者《よろいむしゃ》が、甲斐国《かいのくに》天目山の峰つづきを、八岳《やつがたけ》へ向って逃げていた。 天正十年三月二十日のことである。 たつき21検査 たつき21完成 亀ヶ谷という所までくると、二十騎あまりの追手が、蹄の音を地に轟かせて追いついてきた。すでにあたりは黄昏のいろが濃かった。「与四郎、貢蔵、待て!」 落武者四名のうち老武者が、そう呼んで足をとめた。はっと振返った若武者二名。老武者は抱えていた秘物二巻を両名にわたして、「これを守護して、目的の御場所へまいらせよ、金太とは追手を防いでここに斬死する、早く行け!」「はっ」秘物二巻をうけとった二人は、去ろうとしたが老武者と朋友四方太の顔を見まもって、これが今生の別れかと思うと頓には去り難いようすだった。「行け、遅れては追手が近づく、行け、ええ早うゆけと申すに!」 よもた きりじに ほうゆう とみ はよ ふる かつひめおんみのうえ 悪龍窟秘譚 「しからば」与区部が涙を持っていった。「これにてご免」「御武運を」と貢蔵も声を顕わせた。「褐姫の御身上、頼んだぞ!」老武士の声も涙にしめっていた。与四郎、貢蔵の二人は、秘物を抱えて西に走った。「四方太、近づいたようだな」「先頭が見えます」四方太は大太刀をひき抜いた。間募集要ら「足場にきをつけい」 の「老武者は帯刀を抜きながら注意をした。そこへ林草をそよがせて、追手の二十騎が殺到してきた。夏 はいい人「甲斐の党の侍大将武田五左衛門これにあり、雑兵ばらは退け、名ある者と勝負しょうぞ!」老武者は立はだかって叫んだ。「我こそは筑前の家人、佐田大隅と申す、見参!」 先頭の武者が叫び進んだ。国人です。「四方太、追わすな」 せんじんだんがいーM「はっ!」一方は高い巌、一方は千切の断崖だ。亀ケ谷の瞼を通ずる五尺余りの桟 たち おおすみ oki いわ」?________________ やり一 ちふぶき一 たどざか さんれい 臆病一番首 |道にたって、五左衛門と四方太の両名が必死の陣を構えた。すい武気いて 「かかれ!」佐田大隅は、五左衛門に槍をつけながら、四方太へ部下をかからせた。「こい、地獄の道はここだぞ」四方太も詰よった。 たちまち、横道には血吹雪がとんだ。-この間に二人の落武者は足にまかせて逃げた。夜のうちに多度坂を越し、米山をぬけ、平戸をとおり、朝まだきねぶか平まできた。 90員)「おお八岳がみえた」貢蔵が叫んで指さす方に、山嶺を暁のいろに染めた八岳がみえていた。頭 を撃ーー「おお」与四郎は両手をあげて叫んだ。「八岳だ、あの下に武田家の血脈を継ぎ、信玄公の御遺業を回復すべき御方がおわすのだ、急ごう!」( 海「行こう!」二人は秘物をしかと抱えて、ふたたび走りだした。しかしものの半里も行ったかと思うころ、遥かに自分達を追ってくる蹄の音を聞いた。賃類、「追手だ」足をとめてみると、まさに追手の者七騎あまり、馬をあおって追ってくる。「だいぶ減ったな、二十騎はたしかにいた、武田殿と四方太がよく闘ったと見え はる」 さいご ひきう ?龍窟秘譚 る」与四郎はそう呟きながら、「貢蔵、最期の一人となるとも、秘物を褐姫に伝えて、武田家再興を謀るべしとはかねての定めだ、ここは拙者が踏とどまって追手を防ぐから、これを持って逃げてくれ」 そういって秘物をわたした。危急の場合、辞退している暇などはないから、貢蔵はそれを受とった。「よし、たしかに引受けた、後を頼む」 の が 、「待て」与四郎は呼とめた。 みよしただかってほしなぎだゅう「この先の大仏と申す村に、三好忠勝、保科義太夫という二郷士がある、いずれも武田家恩顧の家柄だから、これへいって助力を乞うがよい」を開 設い。「わかった、ではさらばだ」貢蔵はいいすてるとともに走りだした。ゴ、、-与四郎は刀を抜いて道のまん中に踏止まった。りゅうこ) ス [#3字下げ]龍虎《りゅうこ》二少傑[#「龍虎二少傑」は中見出し] 夜はすっかり明けた。 甲斐国八岳の高原、大仏という僻村《へきそん》の後丘を、短袴《たんこ》に筒袖《つつそで》という凜々《りり》しい姿で、 たくま やせがた一 らいすけ うわさ こも かねふさ おうぎえとく 臆病一番首 図二人の少年が歩いていた。「一は色浅黒く骨逞しく、一は色白で痩形、どこかに優しさのみえる少年だ。浅黒 ほしなおにゆきい方は姓を三好、名を球助と呼び、色白の少年は保科鬼之と云う、二人とも所の郷士の一粒種で、近郷きって、「あれは大仏の龍虎だ」と噂されるほど、剣をとっては無双の腕をもっていた。 それもそのはず、鬼之、珠助の二人は、かつて八岳に籠って修業をしていた剣聖、吉岡兼房に手を取って教えられ、すでに早く小太刀の奥義を会得していたのである。しかもこうしてまい朝かかさず、二人は未明に山へ登って剣道修業を怠らないのだ。「待て」ふと鬼之が足をとめた。「剣戟の音が聞える」、 す なお「え?」いわれて珠助も耳をかたむけた。 その時である、ねぶか平の方から、全身血にまみれた一人の落武者が、鋸のようになった刀を杖に、よろめきょろめき登ってきた。「あ、あれを見ろ」と鬼之が逸早くみつけて指さした時、落武者の後二十歩ばかり離れて、二人の追手が駈けてくるのが見えた。 )「あっ!」思わず球助が叫んだ。 けんげき のこぎり いちはや ふとももな くさずり きりはな せつな ひばらおさ 悪龍窟秘譚 「追いついた武者が、なにか嘆声で喚きながら、いきなり大太刀をふるって動つけたのだ。落武者は体をかわして、左にくぐると共によろめきでた相手の脇へ、ぐいと刀を刺とおした。とたんに残る一人が、落武者の肩へばっと斬つけた。しかし鎧にあたってはね返されたから、返しざまに太股を薙いだ。「えい、くそ!」- 台草摺はずれを見事に切放されて、がくんと横にのめりながら、落武者がいた。譜「死ね!死ねい!」相手は続けて突きよった、刹那、落武者の刀が横に走った。 血しぶきがぱっとたって、相手の武者は脾腹を押えながら、横っとびに二三間よろめきざま、叢の中へうち倒れた。「できるな!」鬼之が呻くようにいった。「行ってみよ!」珠助は走りだしながら答えた。あらいの、 鬼之と球助が駈つけてみると、落武者は全身の傷に太腿を切放され、おびただしい出血で、もうほとんど死ぬばかりだった。「気をたしかに、追手はみな斃れましたぞ、ご安心あれ!」鬼之が耳もとで叫んだ。「落武者は顔をあげた、そして静かに二人の顔を見上げながら、ようやくいった。「貴殿がたは、大仏村の仁か?」 くさむら たお?________________ 136 すみだに一 いんせい 一「いかにも、三好、保科の党の者でござる!」 「天の助けじゃ」落武者はにっこと笑って、「三好、保科の党とあれば、定めて墨谷におわす褐姫君のこと、ご存知であろうな?」鬼之が進みでた。自 民らん「信玄公の御遺孫にて、八岳の奥、墨谷に隠棲あそばされる方でございましょ首う!」「なう 「さよう!」落武者は苦しげに、 「拙者はこの重傷、もはや一歩もかなわぬ、ここにあるこの秘物二巻、貴殿がた二臆人で、褐姫君にご伝達くだされい、武田家の秘宝でござる――」 それだけいうと、落武者はばったり倒れた。珠助は武者を抱起して、、、、「しっかりなされ!」と叫んだ、すると落武者は喘ぎながら、 おいでしょうがい「武田家再興を頼みます、勝頼公は、天目山に於て御生害あそばされましたぞ!」といい終って、絶息した。大き「なに、勝頼公御生害とな?」の 小手の「あっ!」鬼之、珠助の顔色が変った。 臆病一番首 だきおこ あえ かつより むせ ?龍窟秘譚 「徳川家康の軍柏尾に迫るとは聞いていたが、まさかこうなろうとは思わなかった、天目山に於て御生害とあれば、御一族はこれで滅亡であろう」鬼之が暗然としていった。( 1)「それ故秘宝二巻を褐姫君に伝えて、武田家再興を望まれたのだな!」珠助も悲憤の涙に咽びながら答えた。鬼之は、つと手を伸ばして珠助の手を握った。。「三好!約束しよう、この秘宝二巻を褐姫に伝達することは、われ等二人だけの仕事だ、父母にもいうまい、よいか?」「よしわかった。三好、保科は武田家恩顧の家柄と知られているから、かならず近いうちに信長の手先が廻されるだろう、そうなると面倒だ、われ等はこれからすぐに支度をして、墨谷へでかけよう!」で大人観・室、 りんぜん珠助は浅黒い顔をかして叫んだ。鬼之も勇気凜然として、軍人「そうだ、褐姫君にお眼にかかって、武田家再興の謀をたてよう!」「鬼之!」のコーデ1日中、日葉「珠助!」適用条東軍、 き目で「やろうぞ!」二少年は腰の刀をさっと抜いて、氏神狗走明神の方へ、高く掲げた。 かがや はかりごと いぬばしり?________________ 138 きょうげき」 すなわ [#3字下げ]魔の谿谷《けいこく》[#「魔の谿谷」は中見出し] 織田信長、徳川家康二軍の挟撃にあって、武田勝頼は一族とともに天目山へ登って自刃した。時に天正十年三月、甲斐の名門武田家は、かくてついに滅亡するにいたったのである。 しかし、ここに不思議なことは、武田家に代々秘宝として伝わる軍書の紛失であった。この軍書は甲州流軍学の根源であって、天・地・人・時・空の五巻にわかれ、しかも、この五巻には隠し言葉、即ち「秘文」があって、これを判読すれば、かつ て信玄公が諏訪湖に沈めた、「法性の兜」と黄金十万枚のはいっている石棺の沈め臆場所がわかると伝えられているのである。 軍書五巻!これこそ信長も家康も、必死になって求めていた秘宝であった。。しかし勝頼一族の自害した場所には、何一つそれらしい物は残っていなかった。それもそのはず、五巻のうち三巻は、疾くに遺孫褐姫が持って墨谷に逃れていたし、残る二巻は滅亡の日、侍臣五名に持たせて墨谷へ落してやったのである。 そしてその秘宝二巻はいまふしぎな縁で、大仏の龍虎と呼ばれる二少年の手にわたったのだ。 臆病-番首 ほっしょうかぶと す きこり おもんぱ NH ?龍窟秘譚 褐姫の隠れた墨谷。これぞ八岳七難所の一つで、ま昼といえども日光がとどかず、谷底は密林に蔽われて、暗きこと墨を流したごとし、というところから呼ばれた名だ。悪獣毒蛇が棲んで害をするから樵夫もかよわず、奥底ははかりしれぬほど深い。その墨谷の極まるところに、悪鬼洞という洞窟があって、褐姫はそこに七人の侍女と共に隠れ棲んでいると、伝えられるのである。 これは早くから武田家の永く無事でないことを察した信玄が、万一の場合を慮か「ってしたことで、もし甲府が亡びるような場合には、五巻の軍書の秘文を読み、諏 訪湖の底から「法性の兜」と共に黄金十万枚の軍資金を取だして、褐姫をもって武田家を再興させようという遠謀であったのだ。 です (「三巻の軍書、褐姫!」 この二つを探ねあてるべく、保科鬼之、三好珠助の二人は、いよいよ墨谷に向って出発した。三月二十三日の朝――。「雨かな」「怪しい雲行だな」「すこし休もう」場 前鬼之はそういって、つかつかと傍の辻堂へ歩みよった。 くもゆき。 つじどう)?________________ なかやっ ふり 臆病一番首 みつえだ 朝、大仏をたって北へ、三岐を越し、中ノ谷をぬけて、墨谷へはいる第一の難所、扇返しの峠へさしかかった。朝はからりと晴れていたのがいつしか曇って、この峠下にさしかかると、いまにも降だしそうな空模様になった。「喉が渇いた、ちょっとしめしてくる」 う するにい「珠助は辻堂へ腰を下ろすとすぐ、そういって立っていった。「遠くへ行くな」 は、三人 回め「うん!」 辻堂の後ろに崖があるので、多分清水が湧いているだろうと、球助はその方へまわって行った。 鬼之は辻堂の縁に腰を下ろして待つことしばらく、まもなくぽつんと雨が落ちてきた。それが見るまに烈しくなって、たちまちのうちにざあっと本降りになってきた。「どうしたのだ、濡れるだろうに」 は、鬼之は球助の事が気がかりになってきたので、立上って裏手へ廻ってみた。しかしお堂の裏はすぐ崖で、球助の姿は見えない。「三好―!」鬼之は大声に呼んだ。 国道 3日13 「おーい、三好」しかし返事はなかった、雨はざっざと降りつのるばかりである。どうしたんだろう、と思ってもう一ど呼ぼうとした時、そばの藪の中でずるずると、不気味な物の動く気配がした。そしてぷんと青臭い、胸の悪くなるような匂いが、鼻いっぱいに襲いかかった。一年の変「うむ、臭い」 無職できる(EV)呻いて身を引く、とたんに藪の中から、なんとも得体の知れぬ、ひと抱えもある丸太のようなものが、にゅっ!と鬼之の面前に首を突だした。「やっ!」鬼之は二三間後ろへ跳んで身構えた。 」(雨は滝のように降る。球助はどうした。魔の谿谷、悪鬼洞の怪はいよいよ展開する。またのか、はたし ていしんでいてもらう [#3字下げ]怪童児|狗真《くしん》[#「怪童児狗真」は中見出し] っき ?龍窟秘譚 っか 鬼之は刀の柄《つか》に手をかけて、きっと怪物に眼をやった。 よくよく見ると、藪の中から現われたのは、身丈《みのたけ》およそ八尺あまり、全身|赭黒《あかぐろ》い 、みのたけー あかぐろ ★?________________ き かねきよ」 とびの むし 番 毛に蔽われた稀代の猿だ。いまでいうゴリラという奴、それを見た鬼之、「うぬ、猿か!」と喚きざま、大和包清の一刀抜くより疾く、大猿の脇下を狙ってさっと斬りつけた。」「うるる」叩いて跳退く猿、つけ入る鬼之を左に避けて、ひらり傍にさしでている松の枝にとびあがった。 「待て!」鬼之は地を蹴って、樹上の猿に突きをくれる。くるり猿は枝の上で身を首かわすと、いつか片手で搾りとっていた松葉を、ぱっと鬼之の面上へ叩きつけた。 ふいのつぶてだ、あっと顔をそむける鬼之。「うるる」呻いた猿、風のように疾く木からとびおりざまぱっと鬼之に襲いかかった。避けもどうもならぬ、万死を覚悟で鬼之は、い つぶす「くそっ、死んでやれ!」と猿のふところへ跳こんだ。無謀な逆襲がかえって功を奏した。意表にでた相手の突撃に驚いて、ふたたび猿はさっと松の上へ逃げた。ほっとしたけれど全身ぐっしょり汗である、吉岡兼房直伝の小太刀の極意も、ゴリラ相手ではいささか拍子はずれの気味だ。「うるる、うるる!」樹上の猿は、爛々たる眼を剥いて、隙があらばとびつかんと身構えている。雨はざんざと降るし、球助の行方も気掛りだし、さすがの鬼之もた 病 らんらん」 まなこむ すき ひだりひざ めくらめっぽう| じたじのかたちだ。片手に刀をかまえたまま、「おーい、三好!」と呼ぶ、刹那!「がっ!」咆えると飛ぶのと同時だ、大猿はびゅっと松の木から鬼之の上へ襲いかかった。( 引用しないので、「あっ」叫んで左膝をついた鬼之、包清の一刀を盲滅法につき上げながら身を伏せた。同時にふっと生温い猿の息が顔をかすめたから、「だめだ、噛まれる」と観念した。その時ふいにそばの藪の中で、「八郎、待たぬか!」と呼ぶ者があった。すると鬼之の上に襲いかかった猿が、その手をやめてひょいとうしろへ跳び退き、 もしラー「うるる、うるる」とさも口惜しそうに呻いた。鬼之はとっさにはね起きて二三間うしろへ退った。見ると藪の中に怪しげな童児が一人たっている。身にはぼろぼろの単衣を着け、髪の毛は蓬のように茫々と伸び、はだしで右手に鞭を一本持っているばかりだ。 大 人「怪我はしなかったか?」とにやにや笑いながら訊く。鬼之もしかたなく苦笑しながら刀を納めて、 下りる☆「怪我はしないが驚いた」。 ?、龍窟秘譚 さが ひとえ よもぎ」 ぼうぼう むち」?________________ おれ 144 あるじ うずくま 臆病一番首 「此奴は己の命令がなければ、決して人に害をしないのだが、きょうは余程どうかしている、しかしよく無事だった。八郎と戦って怪我一つせぬとは、おそらく世に聞えた武芸者にちがいない」 というのはリスト「それほどでもないが」鬼之は操ったそうにまた苦笑した。大猿は、自分の主人が打とけているのを見て安心したか、おとなしく童児のそばに蹲っている。「そこでは雨に濡れるだろう、こっちへきて話さないか?」 で舌くよいか?」鬼之はそういって辻堂の軒下へはいる。怪童児もいわれるままに近よってきた。近くよって見ると、童児とはいっても形だけのことで、歳はもうそこそこ十五六、鬼之と同じくらいにはなっているだろう、手足の骨の逞しい、眼光の鋭い、みるからにひと癖ありげな面魂だ。「まず名乗ろう、私は大仏の者で保科鬼之という甲斐の党の者だ!」「そうか、それは意外だ」怪童児はにっこり笑って、「己はまた信玄公の七賢と呼ばれた、長谷仲林の忘れ遺児で狗真という者だ」「ではおなじ甲斐の党だな」人気もの 本「もちろんだ」 の除機「しかし、仲林どのの御子息が、どうしてこんな魔の谷の中にいられるのか?」 つらだましい 「おれ一 はせちゅうり がたみ にらさき」 はやぶさ」 「実は父が信玄公の御意気を蒙って、甲斐を立退く折、こを下男の左源次に預けられたのだ、左源次の親元は韮崎の猟師だったので、己はそこで成長するうち、いつか佐源次と二人で、この谷の奥にきて棲むようになったのだ」「その佐源次というのは」「去年死んでしまったよ。いまではこの八郎と、それから五郎という隼が一羽、このふたつを友達に、山野をかけめぐって体を鍛えているのだ」譚「そうか、それで仔細は分った。それでは狗真どのに頼みがある」 「頼みとは?」型「武田家の為に、命を投出してくれぬか」武 ものが「それはまたどういう訳だ」「実は、勝頼公は天目山で御生害、徳川、織田の二軍のために、武田家は滅亡した!」「え?」驚く狗真に、鬼之はあらましの話をした。勝頼の自刃、秘物二巻の事、信玄公の遺孫褐姫の事、諏訪湖の底に沈められてある法性ノ鬼と十万枚の黄金、それから源家秘伝の白旗一流を納めた石棺のこと――。「そして、己と三好珠助の二人で、その秘物二巻を持ってこれから墨谷の奥へ、褐 ?龍窟秘譚 つなげだ ため。 『いちりゅう おれ?________________ ↑ 姫君をたずねて行くところだったのだ!」 話を聴きおわった長谷狗真、 「よし、狗真も武田家恩顧の者だ、褐姫君をたずね出し、いかにも武田家再興のために働こう!」と語 り「やってくれるか、有難い!」 の「それにしても三好珠助どのを先に探さねばならぬが、それには己に宜い考えもあ首るから、ひと先ず己の岩屋へ行こうではないか」 そういって狗真は鬼之を促し立て、自分の岩屋へと導いていった。 鬼之、珠助の一味に加わった、信玄公七賢の一、長谷仲林の遺児、怪童狗真はどんな活躍をしようとするか、物語はもう一変転する。 [#3字下げ]河の魔神[#「河の魔神」は中見出し] (でき おれ ま 臆病一番首 すれがたみ ( 河の魔神」 電機)それにしても、珠助は何処にいるだろう。 喉の渇きを覚えて水を飲みに、辻堂の裏へ廻ったが水がない、しかし近くに流れの音がするようだから、それを頼りにして、低い崖を登り、藪を押分けていった。進むこと二三町、ふしぎゃつい十二三間先に聞えていた水の音が、幾らいっても めのまえ かえる みずごけ」 同じ選きた。妙なことがあるものだと思って足を早めると、本の音はくんくん遠ざかる。「これはおかしいぞ!」と呟いて足を止めると、こんどは水の音が後に聞える、はっと思って振向くと、また水の音は反対になった。 きちねたぬき「狐か狸か悪さをするな」と呟きながら刀の柄に手をおく、とたんに眼前の叢からひょこりと異形の者が躍りだして、ぴたぴた手を拍ちながら、本替、着「わっはっは」と笑った。 身丈は三尺あまり、全身蛙のような肌で、一面にぬるぬると水苔が生えている、手足の指には壁があって、頭には鉢形に毛が生え天辺には皿のようなものがついている、正しく話に聞いた河童だ。「妖怪!」叫びざま抜討に斬った。 す「けあっ!」ひらり、もんどり打って刃を避ける、踏込んでもう一刀、しかし、河童はぬるりと潜って、「わっはっは」と笑う。珠助いまは嚇として、、、W 「己れ、咆えるな!」罵りざま、無二無三に斬こんだ。小太刀の奥義を極た剣、見叫事にすっ!と河童に届くが、厚く生えた水苔とぬめりで、刃先は空しく滑るばか みずかき」 「てっぺん ?龍窟秘譚 かっぱ ようかい」 ぬきうち やいば かっ おの ののし きわめつるぎ むな?________________ あざわら つまず ふかいり たにがわ がが いわ しぶき 臆病一番 りだ。 《水言うまーンの「くわっ、けあっ、わっはっは!」河童はひらりひらりともんどりを打っては、赤い口を大きくあけて珠助を冷笑いつつ、だんだん奥の方へ行く。珠助は口惜しさに、思わず前後を忘れて河童のあとを追った。 およそ七八丁、夢中で追ったが、石に蹴いてとんとんとのめった時、はっ!と気附いて球助は足を止めた。河童はどこへ隠れたかもう姿が見えぬ。「しまった、思わず深入した」そう思って見廻すと、いつか自分は谿川の傍にきていた。両岸は峨々たる岩山で、水は厳を噛み飛沫をあげながら、矢のように流れている。「はてここはどこだろう」球助が思わず呟くと、すぐ傍で、 すみか」「七河の魔神の棲家だ!」という者がある。珠助はつと振返ると、体に水苔の着物を着、右手に自然木の杖をついた老人が立っている。6、 FC題「うぬ妖怪、また出たな」水、「待て」珠助の寄ろうとするのを制して、、 、「ここは八岳の七谷から流れ出る谷川がひとつに合するところで、墨谷の水族の棲む魔所なのだ、僕は水族の長七河の魔神だ。お前が魔の谷を恐れずに入込んでき ななかわ まさ」 おどか も、 たから、こらしめのためにここまで引寄せたのだ。すぐに谷を下りて行けばまし。さもない時は七谿の水族を呼集めて、水底の藻屑にするが、よいか?」「黙れ妖怪!」珠助は喚きたてた。「主家のために命を賭して、墨谷の奥をさぐりにきた三好珠助、汝ら変化などに嚇されて、おめおめ帰って行くと思うか!」「では、この谷を去らぬというのじゃな」のス を着た年が「知れたことだ!」麻生画 のいい 、議(JC「では不憫ながら命は貰うぞ」云うかと思うと怪しい老人は、持っていた杖で岩を三度まで打った。とたんに谷川の水が騒ぎはじめて、流の中からさっきと同じ河童が、ひょこりひょこりと数限りなく岸の上へとび上ってきた。「出たな、吉岡流小太刀の腕を見せてくれようぞ、さあ来い!」珠助は凜然と構えた。 そのとき沛然として雨がやってきた。谷の上には低く雲が立ちこめ、四辺は急に暗くなって、河童どもの蛙肌が、ぶきみにぬらめき光っている。【本気まる「掛れ!」怪老人が叫ぶ、同時に河童ども、 「けあっ、くわっ!」☆「けろけろ、くう!」三脚でいるので ?龍窟秘譚 はいぜん あたり?________________ さもんじよしはる あざけ| い てんでに真赤な口をあけて叫びながら、前後左右から一時に、珠助の顔をめがけて襲いかかった。 「うぬ、来い!」体を沈めた珠助、左文字吉晴の一刀を、触れるに任せて前後に薙ぎ左右に斬った。しかし、いくら斬っても河童には傷がつかなかった、水底に生きるためにと水苔に蔽われた体は、ぬるりぬるりと刃を滑らせるばかりだ。「どうじゃな小僧、もうそろそろ我慢も折れただろう、水族は強いぞ!」怪老人は嘲るように傍から声をかける、珠助は耳にもかけず、飛鳥のように体をかわして斬りに斬った。「けろけろ!くわっ!」ひと際高く叫んだ奴が、横ざまに飛びかかったのを、ぐいとかわそうとしたはずみに、珠助の足がつと滑った。 大 の大き「しまった!」と思った刹那、正面からばっと飛びかかった奴が、珠助の顔へしっかり獅噛ついた。への「うぬ!」振放そうとしたが恐ろしい力で、濡紙が貼ついたように、蛙肌をぴったり顔に吸つけて放さばこそ。もがくうちに体中、手といわず、足といわず、たちまち冷たくてぬるぬるする河童の肌で包まれてしまった。 人の「だめだ、鬼之残念だ!」珠助はそう思ったまま気を喪《うしな》ってしまった。 [#3字下げ]魔神の子|魚房《うおふさ》[#「魔神の子魚房」は中見出し] 臆病一番首 きわ しがみ ぬれがみはり うしな 魔神の子魚房 ねりぎぬ一 すいかん| にしきしとね」 それからどれ程|経《た》ったか知らぬ。 「おいおい、確《しっか》りしろ!」耳元で呼ぶ声に、珠助はだんだんと息をふきかえして、やがて我にかえった。ふと眼をあげると、練絹の美々しい水干を着た少年が立って いる。譚「や、これは?」珠助は驚いて身を起し、よくよく見るとそこは立派に飾られた神 殿のような室で、自分は眼覚めるような錦の褥の上に寝ていたことを知った。う「これは――全体どう云う訳だ」 、人、人、「しっ、お静かに!」少年は珠助の声を抑えて、場 合、「あなたはいま、水族の犠牲にあげられようとしているところです!」「え?」、「魔神は毎年一度、八岳の七谿の荒神を鎮めるために、人間の生胆を捧げることになっているのです!」「では私を殺して?」「そうです、しかし安心なさい、私があなたをお救いします から」西 武道回「え、あなたが?」珠助は怪しむように訊いた。 悪龍窟秘譚 いけにえ いきぎも ささ?________________ おもてむき とうりょうとさひでもり あわせ まどわ のりだ」 臆病一番首 邸 「あなたは誰です」「私は魔神の子で魚房という者です。しかし、それは表向で、 実は私は甲斐七党の頭梁、土佐秀盛の子です。五歳の夏掠われてきて生胆を抜かれようとしたのを、魔神に助けられて子供にされたのです。それ以来ずっとこの水底に生きてきました!」「うむ、それはふしぎなめぐり合だなあ」珠助は深くうなずいた。「実は私も甲斐の党、大仏の郷士三好珠助という者です。仔細あって墨谷の奥へ人を尋ねて行く途首中、河童の惑しに会って不覚をとり、こんな所へ引込まれたのだが」「墨谷の奥へ 人を尋ねに?」魚房は膝を乗出した。「甲斐の党の人で墨谷の奥へ行かれるとあるからは、褐姫君を探すのでしょう?」そういった魚房の顔色は、にわかに蒼白めてきた。珠助は膝をすすめて、「どうなされた、何か姫の身上に変ったことでもござったのか?」「否や!」魚房は強く頭を振る。、 、、本、書式、平「では何故そんなに怖しそうな顔をなさる?」 小「そ、それは云えませぬ。いってはならぬことです」魚房は固く口を閉じた。「そうか、ではもう何も訊くまい、そのかわり私のいう事を聞いて下さい。じつは私が褐姫君を探しに行くのは、武田家再興を計るためなんです」「再興?では勝 あおざ みのうえ、 おそろ一 いけにえ ?龍窟秘譚 類は?」「一族もろとも、天目山で自害なされた、武田家は滅亡したのです。残るはただ褐姫君お一人になったのです!」(2 )「そうだったかー」魚房は吐きだすようにいった。そして、やがてきっと顔をあげていった。 「では思い切って申上げましょう。あなたの尋ねる褐姫君は、最早人間ではありま譚せんぞ。八岳の七谿を支配する荒神、水族の魔神が年に一度、人間の生胆を犠牲に捧げる、怖ろしい荒神こそ、墨谷の奥悪龍窟に棲まれる褐姫さまです」 聞くより珠助はあっとのけ反った。「えっ、褐姫君が生胆を召す荒神とな?」業、き、真部本気「しっ!声が高うございます」魚房は慌てて制して、 議所「ともかく、なにかの話はここを脱出てからのことにしましょう、さあここにあなたの刀があります!」そう云って刀をわたした。そして懐中から妙な草の葉を取出して、「これは鳥兜という毒草の葉です。この葉の汁を刃へ塗っておいてください、そうすれば河童のぬめ皮を斬ることができますから」聞いて珠助は勇みたち、左文字吉 めけで、 とりかぶと?________________ 駅 晴を引抜いて、手早く毒草の葉汁を刃の裏表へ塗りつけた。もうこうなれば千人力 だ。「さ、用意ができたらこちらへ!」そういって魚房が立上った時、ふいに神壇がばりばりと破れて、さっきの魔神がぬっと顔を出して嗤うように罵った。「無題「ばか共、?けられるなら、脱けてみよ。魔神の力は変通自在じゃ、それ!」 いきおい言葉が終るやいなや、片側の石壁がずしりと落ちて、恐ろしい勢で水が崩れこんできた。珠助も魚房も、大渦に巻かれる木葉のように、たちまち真暗な水底に呑まれてしまった。 る珠助は如何に?荒神になったと云われる褐姫は如何に? 入部の時間、[ [#3字下げ]怪鳥五郎は飛ぶ[#「怪鳥五郎は飛ぶ」は中見出し] このは まっくら。 臆病一番首 世れでこ球て くりぬ くっきょう あしだまり一 「これが己の岩屋だ!」先に立っていた狗真は、断崖にのぞんだ、岩を抜いて造ったかなり大きい岩屋の前に立って、そういった。「これは屈竟な場所だ、ここを我らの足溜にしよう、ここなら里には近いし、墨谷の関門にもなるし一挙両得だな」鬼之がいった。「うん、それは良い思案だ、それに岩屋の上の大巌に登ると、峠道が手にとるよう に見下ろせる、見張場としても絶好だ!」狗真も乗気になって答えた。「うるる」大猿の八郎が傍から、それや賛成だといいたげに、頷きながらしきりに喉を鳴らしてみせた。「とにかく中へ入ろう」狗真は先に立って岩屋へ入った。 岩屋の内部は五十畳敷あまり、荒木で床を組上げ、粗末ながら荒畳も敷いてある。壁には弓、鉄砲、槍、刀などがたてかけてあり、その中にはかつて見たことのない、ふしぎな機械がおいてあった。・ 留にとり、「あれは何だ?」と訊くと、狗真はにこにこしながら、 (「知らぬか、あれは父仲林が秘蔵していた武器で、明国から伝来した大弩だ!」」「大徴とは?」「弩とは、弓の大仕掛のような物で、あれがあれば、五十斤ぐらいの巌石をかけて、十七八町先まで飛ばすことができる!」・『合「本当か?」鬼之は舌を巻いた。「そればかりではない、これを見ろ!」狗真はそういってずらりと壁に立かけてある鉄棒のような物を指さした。働いてい「これはこの弩に使う矢だ、重さは二十斤ある、この先に丸く筒になっているだろ みんこく おおいしゆみ 惡龍窟秘譚?________________ 「とりで いしびや 臆病一番首 う、この中へ火薬を填めるのだ。そしてこれを脅へかけて射放つと、飛んで行って当ったところで火薬が爆発し、城でも塞でも粉砕するのだ!」「恐ろしい道具だな、では話に聞いた石火箭というのはこれだな?」「そうだ」「こういう武器があるなら、織田、徳川を相手にひと合戦するのも本当に面白いぞ、はははは」「あはははは」狗真も腹の底から笑ったが、「ところで三好珠助どのを探す手段だが、我らが探しまわったところで迷宮のような谷の中、一日や半日で知れるはずはない、そこで己の良い方法というのは――」そういって、ずかずかと岩屋を出た狗真、空へ向って鋭く、ぴい!ぴいっ!と口笛を三度吹いた。 すると間もなく、青空の一点から黒いものが、雷光のような速さで、つつーと下りてきたかと思うと、凄じい羽叩きに風を巻起しながら、ばたばたと狗真の肩へきて止まった。それは一羽の素晴しく大きな隼であった。「五郎か、早かったぞ」-つの日に「くう」隼は嬉しそうに、狗真の頬へ頭をすりつけて喉を鳴らした。「保科、おひき合せしよう、これが己の友達の五郎だ!」 おれ いなずま」 すさまはばた まきおこ おれ ?龍窟秘譚 狗真はそういって笑った。「五郎、谷の中へこの保科どのと同じような人が迷いこんでいる、すぐに行って探し出してこい、分ったか?」「くう!」隼はばっと羽叩きをした。、、、のるのが、「よし、分ったら行け」( 本 間、日時「くう、くう!」ふた声鳴くと共に、隼は再び凄じい羽叩きに風を巻起したと思う間もなく、つつ――と青空へかけ昇っていった。大猿といい隼といい、余りによく 真に馴れているので、鬼之は感に耐えぬ様子だった。(外人のうち「狗真、全体どうして五郎と八郎は、あんなにそなたに馴れているのか?」「なあにそれには訳があるのだ」狗真は腰を下ろして、「八郎の奴は佐源次に赤児の時分から乳の世話までして育てられ、口癖のように(狗真さまを護れ、命に代えて護れ)といいつけられていたので、今でもそれを固く守っているのだ!」「いじらしい奴だな」「五郎の方は雛鳥の頃、巣から転げ墜ちてまさに鷲に?まれようとしているところを、己が助けてやった。それから岩屋で飼育てているうちにすっかり馴れて、いうことはなんでも聴分けるようになったのだ、この間も谷合で大きな熊 あかご」 まも ひなどり」 わしつか 啄ろのろ頭己をまて ききわ 「たにあい 157?________________ くちばし かな 邸 き殺してしまったよ!」れて るうち「えっ、隼が熊を?」劇 的 にうまく「そうとも、隼という奴は嘲の力が非常に強くて、大きな奴になると人間でさえ敵わぬようなのがある」「重ねがさね驚くなあ」「待て、五郎が帰ってきた!」狗真はつと立上った。(真、 カメ [#3字下げ]四少傑の会逅《かいこう》[#「四少傑の会逅」は中見出し] 臆病一番首 「なるほどその時、荒々しい羽音を立てて五郎が岩屋の口へ飛入ってきた。人間「五郎、わかったか?」で、「くう」鳴きながら隼は狗真の前に下りた。何か?んでいるから、狗真は弱んで拾いあげた、それはぐっしょり水に濡れた着物の片袖だ。、「あっ、それは珠助の着物だ」見るなり鬼之が叫んだ。「そうか、この袖に水苔が着いているところをみると、水に溺れたかどうかしているに違いない、直ぐに行こう、五郎、道案内だ!」「くう一隼はさっと岩屋を出た。 はざま 「よし!」狗真と鬼之は急いで外へ出た。 隼は低く舞いながら二人の先に立って西へ西へと進んだ。それは扇返しの難所と、かえらずだけ不帰岳との峡間になっているところで、八岳の七谿谷から流れ出る谷川の水が、ひとつに合する魔所、七河へ通う茨の道だ。、「待てよ」それと見た狗真は足を止めた。「なんだ」「分った、三好どのは七河の魔神に掠われたのだ!」 1137「魔神とは」「八岳七谿谷に棲む水族の頭だ、多くの河童を自由に使って、自ら七河の魔神と呼んでいる悪い奴だ、きっと其奴のために危害を受けたのだろう」。「では、もう助ける望みはないのか」 です 。「否や、こうして五郎が片袖を持ってくる位だから、助けられぬことはあるまい、しかし」と狗真は声をひそめて、「魔神は己達の近づくのを知って、必ず妨害をす るだろう。なにしろ魔神の手下の河童というのが、火に焼けず刀で斬れずという厄邸介な奴だから、余程要慎をしてかからぬと危いのだ」 。 ?龍窟秘譚 そゃっ おれ ようじん?________________ NUNG じひびき」 臆病一番首 w 「そうか、しかし、相手はたかが河童だ、我ら両人が揃っていれば恐れることはあるまい」の で、「とにかく、やれるだけやってみよう!」そう答えて、狗真はふたたび五郎の後を追って、藪や雑草を踏分けながら進んだ。でも、 行くことしばし、下り下って十四五丁あまりすると、かすかにどうどうと急流の地響が聞えてきた。五郎は空で輪を描きながら、早くこいというように、「くう!くう!」と鳴いている。(国産、自由 自d、「静かに!」そう注意しながら狗真は急いだ。「間もなく七河の岸へ出た。すると五郎が一声高く叫びながら、二丁ほど河下の蘆の中へさっと下りた。「あそこだ、要心して行け!」「心得た!」注意を交わしながら就つけてみると、水際に打上げられている惨めな人の姿だ、ひと眼見るより鬼之は、パ パの谷本「おっ、三好珠助ではないか」、 です。と叫んで肛寄りざま抱起した。「水を呑んでいる、先ず土かせてからだ!」 ようじん ぎわ おびただ一 びっくり 第員なって現を自分の角度を立ててその上に使使た。そして左手をくいと珠助の口の中に差こんで舌を脳み出すと、鬼之に背を逆に撫でさせた。 夥しく水を吐いて、二人の熱心な介抱を受けた珠助は、やがて苦しそうに、「うーむ」と呻きだしたから、しめたと鬼之が耳に口を当てがって、「三好!珠助!気をたしかにもて!」と繰返し呼んだ。するとそれが通じたか、珠助はふっと眼をあいて、吃驚したように、「や、ほ、保科か?」「気がついたか?鬼之だ!」(国人、事業主である。 「鬼之!本当にお前か、己は助かったのか有難い」そういって珠助は強く鬼之の悪手を握ったが、すぐに振返って、 「頼む、この近くに水干を着た少年がもう一人溺れているはずだ、我らの同志だから探しだしてくれ!」舞った 珠助がそういった時、すぐ十二三間河下の蘆の中で、隼の五郎が、、、「くう!くう!」と鳴いた。 「あそこだ!」といって狗真が駈けていったが、すぐに一人の少年を肩に担いで連mれてきた。いうまでもなく、珠助と共に水族の神殿を脱出しようとして、魔神のた ?龍窟秘譚 おれ かつ?________________ めに水で襲われた甲斐七党の頭梁、土佐秀盛の子魚房である。 魚房は気絶していなかったので、水を吐かせて薬を与えるとすぐ元気になった。そこで改めて四人は名乗りあった。「私は保科鬼之」高いのが 、1、嵐の中、「私は三好珠助」す ると、 どう「私は土佐魚房」外人 (「己は長谷狗真」、、狗真は相変らず横柄だ。過去の議 題無いかくてここに、武田家再興を誓って、四人の少年傑士が揃ったのである。- 臆病一番首 [#3字下げ]七河畔青血の雨[#「七河畔青血の雨」は中見出し] たらうれして、 ひき 「や、気付かれた!」鬼之が叫んで振向いたところに、異形の河童が四五疋、嘲るようにとんぼがえりをうっていた。、、、「早く」魚房が喚いた。人文 し「鳥兜の葉の汁を刃へ塗附けるのだ、そうすれば河童を斬ることができる!」。「よし」真はとっさに、傍の嚢の中に生えている毒草鳥鬼の葉をしごき取って ぬりっ いけにえ」 むきだ ?龍窟秘譚 「小僧ども揃ったな」と呻きながら、七河の魔神が現われた。「生胆四つ、今年の犠牲はたっぷりあるぞ、掛れ!」白い歯を剥出して叫ぶと、声に応じて水の中から、ひょこりひょこりと数限りなく河童が躍り出て来た。「覚悟は宜いか」鬼之が喚いた、鳥兜の毒汁を塗った刀を手に手に抜いて、四少傑は不破の陣を構えた。0 6月「さあ来い!」珠助が叫んだ。 08月「七河畔に河童の死骸を山と積もうぞ!」「ぴい!ぴっ!」狗真は口笛を吹いた、隼の五郎はさっときて狗真の肩へ止まった。「五郎、河童どもの眼玉を頂戴しろ、千里先の鯰を竦ませるというぞ、それ!」「くう!」五郎はつーと舞上った。 魔神は杖をとんと突いた。とたんに群りたった河童どもぶきみな声で叫びながら、わっと四人に襲いかかった。 「うぬ来い!」陣先を受持った鬼之、珠助の二人、秘術をつくして斬りに斬った。 毒汁の力はふしぎ、飛掛ってくる奴を下から払うと、胴体ふたつに切れて散った。 すると ちょうだい むらが とびかか?________________ から はくじん かばね。 やごえ くちばし 臆病一番首 cm 体へ絡みつく奴を躱わして斬下ろすと、竹割りになって、右と左に飛んだ。「えい!」「やっ、おっ!」気象職登 矢声のたつところ、白刃の閃めくところ、ばったばったと河童の屍だ。その間を縫って五郎が、凄じい羽叩きに敵の意気ばなを挫きながら、鋭い啄で当るに任せて河童の眼を襲った。「終「けあっ!くわっ!」真嬢』 、城からで、パー「があっ!」前後の敵だ、さすがの水族も斬崩されてばらばらと退る、見るより魔神は歯噛みをして、人気の職場 の事。「うぬ、推参な子僧どもよ、この上は魔神の秘法受けて死ねや!」る。 そういいざま、かの杖を突立てて九字を切り印を結んだ。すると見る見る七河の急流が沸騰して、さながら龍の昇天する如く、ざわざわざっと泡立ちながら、大波の氾濫するように四人をめがけて渦巻き寄せた。( 国「四人とも固まれ!」魚房が叫んだ。声に応じて鬼之、珠助、狗真の三人は、魚房を中に一団となった。すると押寄せてきた水は、周囲一尺あまりのところまできて円を描くが、どうしても四人の体に迫ることができない。( 3)魚房はにこにこ笑って、 こぞう ふっとう| はんらん 「せんじょう ?龍窟秘譚 私のいるところは水族の秘法は届かない!」「そうか、これは面白い!」 国人 。「魔神め、今は自分の護符に自分が苦んでいるという訳だな」創真たので「笑ってやれ、あははは」口ぐちに声高く笑った。早く終変業部 この有様を見た魔神はじだんだ踏んで口惜しがり、仙杖で地を叩き空を撃って狂いまわったが、やがてなんと思ったか、つと立って秘法を解いた。するとたちまちあたりに氾濫していた水は煙のように消え失せて、河童の屍も今はない。。「小僧ども、この勝負は儂の負けだ」 魔神は岩上に突たち上って、嘲るように笑いながら、鉄のごとく冷酷な声でいった。「だが、まだ戦は終ってはいないぞ、儂には悪龍窟に在す八岳七谿谷の荒神がついてござるのだ、四つの骸骨を、いずれは墨谷の底に沈めてみせようぞ!」 そしてとんと杖で大地を叩くとひとしく、七河の水に身を躍らせて姿を消した。「あっ!」激論魚房はさっと顔色を変えた。た たたかい おわ ななたに?________________ たちどころ」 ≫ 「何だ、どうした」 「みなが気遺わしげに訊くと、魚房は身を鎖わせながら、怖ろしそうに呟くのだった。「七谿谷の荒神。ああ怖ろしい、荒神に見込まれたら、人も魔も立所に死なねばならぬ、ああ怖ろしい!」魚房の言葉はさすが強胆な狗真をさえ、ぞっとさせずには置かなかった。 読者諸君は、既に魚房の口から、褐姫君が七谿谷の荒神となって、年々人の生胆を召すということを聞かれたはずである。褐姫!褐姫!ああこの秘潭の洞窟に棲む美わしき姫の正体は何者ぞ! (無 [#3字下げ]迎え討つ夜襲戦[#「迎え討つ夜襲戦」は中見出し] 臆病-番首 ひたん ひき まくら 七河河畔において、みごと、水族の魔神にうち勝った甲斐党四少傑は、やがて狗真の岩屋へと引あげてきた。大戸「ともかくも今宵は英気を養ってー」と、四人は枕を並べて寝た。昼の疲れがあるから皆ぐっすり眠る。夜半過ぎるころだ。隼の五郎がふいに頭をもたげて、「くう、くうくう」と警するよう噂をたてた。 なきごえ、 なにやつ しのびよ ?龍窟秘譚 「よし、五郎わかったぞ」ぱっと眼をさました狗真、五郎を制しておいて耳を澄ませると、岩屋の外でひそひそと人の声がする。「夜中といい、こんな山奥へ人が来るとはふしぎだ!」と思った狗真、声をひそめて二人を、でき「おい、起きろ!」と起してまわった。 い ろ試真理「どうした?」鬼之が刀を引寄せながら訊く。「何奴かしらぬが、この岩屋の外へ忍寄っている、万一の事があってはいけない、みんな仕度をしよう!」「よし」四人は手早く武装をととのえた。( 意で す。「八郎も来い!」狗真は、隅に丸くなって寝ていた大猿の八郎を連れてきた。隼の五郎も泊木の上から、鋭い眼を光らせている――。主警部 岩屋の外の人声は間もなくやんだ。それからしばらくして、憂々たる蹄の音が近づいてきたと思うと、誰か岩屋の前へとび下りる気配がした。そして何やら二三話し合っているようだったが、間もなく大音に、 林政w「岩屋の主に物申そう!」と声をかけた。 とまりぎ かつかつ一 「ひづめ)?________________ ごうぜん ふりかえ 臆病一番首 「おう」狗真が傲然と答える。「それにおられるは故信玄公七賢の一、長谷仲林の御子息狗真殿と存ずるがいかがでござる」 で、「いかにも己は長谷狗真だが、そういう貴殿は誰で、何用あってこられたのか?」「拙者は織田信長の家臣、堀尾山城守と申す者でござる、主君信長の命令にて、狗真殿をお迎えに参上いたした。ここをおあけ下されい!」人参、「待て!」狗真は三人を振返って、にやりと意味ありげに笑ってから、ずかずかと入口に近寄って、あざけるように叫んだ。「信長より迎えにきたとはふしぎな、わが父仲林と信長とは武田家以来の敵だ。何の用があって仲林の子を迎えにきたのか」、「されば、甲斐の七賢とまでいわれた名家の跡を絶つが残念さに、狗真殿を迎えて長谷家を再興させようとの思召でござる」「笑止な浅智恵よ、堀尾山城とか、そんな甘言をやみやみ信ずる狗真と思うか」狗真は罵りたてた。「真は諏訪湖の底に沈めてある信玄公の秘宝、法性の御兜と黄金十万枚、並に源家去来)ヨ真一売を的うる言の秘文を作りださんたち、この狗真を手先に使って おぼしめし」 あさぢえ ほっしょう。 ならび まこと いちりゅう しった一 ときのこえ」 ?龍窟秘譚 「うぬ!見破りおったな小体!」堀尾山城の口惜しそうな呻きが聞えた。「ばか者め、長谷狗真は武田家恩顧の者だ、城の十や二十貰ったとて恩義は売らぬぞ、出直せ出直せ、わはははは」「よし、さらば腕ずくでまいるぞ」に「おう望むところだ」「それ、掛れ!」山城守の叱咤と共に、わっという鬨声が岩屋の外に起った。狗真は振返って、お会い 、「用意はよいか!」「無論だ」と珠助、鬼之も愛蔵の小太刀を抜いて、3年、機大きる 。「河童はずいぶん斬ったが、人を斬るのは初めてだ、吉岡兼房先生直伝の小太刀の法を、いよいよ試す時がきたぞ!」・土佐魚房も手頃の槍をとって立上った。その時岩屋の外にあたって、 鼻、「わあっ、わあっ!」と多勢の喚く声が起ったと思うと、厳丈な丸太を組んで造った入口の戸へ、ずしん!と何かを打つける響きがした。もう一度。 。 たちあが うち一?________________ m 「わあっ!」ずしん!二度、三度。さしもの丸太造りも、めりめり、めりめりとゆるみがきた。 。。 ぼんぼりふきけ「灯を消そう」狗真がいって紙燭を吹消した。とたんに最後の一撃が、ずしーんときたと思うと、ばりばりばっと戸が押破られた。 おしゃぶ 臆病一番首 おそい 「 [#3字下げ]月下の死闘[#「月下の死闘」は中見出し] 調の為高岡園、小、 戸を押破った織田の軍勢、「それ斬込め!」と先を争って踏込もうとする。その鼻先へ闇の中から、「ぎゃぎゃ、ぎゃー!」ぶきみな声と共に大きな怪鳥が一羽、羽叩き凄じく襲かかったとみる間に、鋭い啄で、先頭にいる二人の武士の眼を、避けるひまもなく突き潰した。「あっ!」「うっ!」苦痛の呻きをあげて退る二人。それと見た次の一人が、「怪しの術を使うぞ、気をつけろ!」 するのにと呼ぶのへ、ぱっと飛かかった隼の五郎。無CI員(美しい「ぎゃぎゃ!」叫びながら、これまた眼玉を啄き出してしまった。この有様を見て、勢こんだ軍兵共がここだと後へさがる。折こそ良しと、狗真は抑えていた大猿の っっ もどりで どな にわか もりかえ おしか ?龍窟秘譚 「うるる!うるる!」暴れることの悦しさに、喉を鳴らしながら岩屋から躍出た。怪鳥だけでも驚いているところへ、雲衝くばかりの大猿が現われでたので、軍兵共はわあっと逃げ出す。「やあ腰抜け共、何故逃げる」山城守は怒り狂って吸鳴る。四人はそれを見るより腹を抱えて、CM 、「わっはっは!」と嗤った。一度は逃げだした奴等も、たかが四人の少年に喰われたと知るや、俄に勢を盛返して、 間前後です。「掛れ!掛れ!」と喚きたてる山城守の声の下に、再びどっと押返えしてきた。狗真は大刀引抜いて、「長谷狗真これにあり、来れやっ!」おめき叫んで斬込んだ。つづいて三好珠助、保科鬼之、土佐魚房の三名、名乗りかけ名乗りかけ、面もふらずに斬って入った。「斬るな」堀尾山城は必死に叫んだ。 風夏ら「ただ詰寄せて捕れ、大事の狗真を殺すな」の 体 の「わっ!」韓々とつめよる織田家名代の堀尾勢だ。3、 『売m_鬼之は狗真と並び、山城守をめがけて斬り進む。魚房と珠助は八郎をしたがえて きた おもて つめよ ひしひし|?________________ ごづめ たけなわ| こうこうてりかがや あた % 後詰となり、寄る者当る者を、ばったばったと斬り倒し突き伏せた。 乱闘いまや部と見る折しも、いままで皓々と照輝いていた月の面へ、にわかに黒雲がまき起った。四辺は一時に暗々たる闇だ。「ぎゃぎゃ、ぎゃ!」と隼の五郎が異様に叫ぶ。それを聞いた狗真がぎょっとして空を振仰ぐと、怪しの雲がむらむらと漂いみなぎっているから、「魚房!怪異ではないか?」と声をかける。魚房もきづいて空を仰いだが、さっと恐怖の色をあらわして、 を と「荒神の怒りだ!」と叫んだ。ふ山県西1時ですら。「退け!怪異があるぞ!」狗真は鬼之と球助に呼びかけた。「捕れ、押詰めて捕れやっ」山城守は必死に叫んでいる。二人の大武者が声に応じて狗真に詰寄った。狗真は右へかわして、やっという掛声、左の奴を胴払い、倒れるのを見向きもせず飛びしさって、のめってきた右のへ、真向からぱっ!頭蓋骨を鼻まで斬割った。「三好!保科も退け、怪異だ、怪異だ!」 大、 軍真「おっ!」珠助と鬼之が三五人を斬倒して血路をひらくと、狗真は魚房を促してさっと退いた。 臆病一番首 かけごえ」 まっこう ここに すすみで一 ぞうひょう をする事のなうに建てるとたんに置を募して青い電光が飛んだ。「あっ!」といずれも眼が眩んで踏止まる。同時に山々谷谿をふるわせて、がらがらがらっ!という恐ろしい雷鳴だ。 ( その「妖術を使うぞ、逃がすな!」山城守が狂ったように吸鳴る。怯んだ軍兵共が勢を得て進出ようとする刹那、ふたたび闇を八方に乱れ飛ぶ電光、地軸も裂けるかと思われる雷鳴だ。「岩屋へ、早く岩屋へ!」狗真は近寄る雑兵を斬払いながら、鬼之へ、珠助へ、魚房へ、叫びつつ必死になって岩を登った。「その時である。一際凄じく電光が闇を切ったと思うと、虚空高く一団の怪しい光物が飛んできて、この乱闘の上に漂いとまった。、「あっ、あれを見ろ!」魚房が顕えながら指さすのを、振仰いで見ると、光物の中には、眼も眩むばかり美しく着飾った七人の女に取巻かれて、天人かと見紛うばかり光輝く乙女が端然と立って見下している――。「やや、あれは?」「あっ!」山城守はじめ寄手の軍勢も、四少年傑士も、余りのふしぎ、意外の美しい有様に、思わず呆れて声をのんだ。 こくう ?龍窟秘譚 よせて?________________ [#3字下げ]悪龍窟に入る[#「悪龍窟に入る」は中見出し] うけたまわ きゅうごう とりこ 臆病一番首 つったちあが 虚空にある美しき姫は、しばらくの間ひややかに見下していたが、やがて―― 「不浄の下人どもよく承れ」と金鈴を振るような声でいいはじめた。「ここは墨谷と呼ばれるわが魔界の領地、みだりに踏入る者は生きながら胆を抜取り、九劫の地獄へ堕とす掟なるぞ、早ばや里へくだればよし、さもなき時は火を降らし、山を崩して取籠めようぞ!」編31声は天楽のように優しく妙なる響きであったが、言葉は骨を刺すように凄じかった。堀尾山城守はこの時馬上に突立上り、「おお、あれこそ武田信玄公の遺孫褐姫なるぞ、妖術を使ってたばかるに相違ない、ひっ捕えて手柄にせよ!」と喚きたてた。つう のを岩上に立っていた魚房は顔色変えて、きの項 目「荒神、八岳の荒神!」と戦き叫んでいる。( いたハ車、、-山城守の叱咤を受けて、五六人の荒武者が岩の上へ駈けあがろうとする、刹那、「おのれ去らぬか、後悔すな」怪しの姫が叫ぶとひとしく虚空を誘う黒雲がさっと乱れて、矢を射るように降って来る怪しの火だ。 やつがたけ おのの ごうぜん 「やあ人だ」「火が降ってきたぞ」目前の怪異に、さすがの荒武者達も胆をつぶして、さっとうしろへ退く。狗真はその間に、三人を促して、岩屋の内へ入ろうとした。しかしそれと見た虚空の妖姫は、右手に持っていた金色の手毬を、岩屋めがけてはっし!とばかり投 轟然たる音と共に、渦巻く煙が谷いっぱいにひろがったと見ると、がら!がら譚がらっ!と耳も聾せんばかりの大音響、狗真の岩屋のあたりから、扇返しの断崖 へかけて、物すごい山崩れが始まった。家。「危い、こっちへ寄れ!」と魚房が、岩の上から草地へ飛退く、それを聞いた三名、土佐魚房の体には七河の魔神の護符が附いている、魚房の傍にいれば魔神の邪法も届かぬということに気がついて、ぱっと岩からとび下りようとした。その時遅し、「荒神の威力を知れや」三度、妖しの姫が呼ぶよと見るや、雨と降る怪火は、一瞬のうちに天と地を灰にするかと思われるばかり、今はもう進みも退きもできぬ。鬼之、珠助、狗真の三人は、互に名を呼び交わしながら、県外)「こっちだ、こっちへ来い!」と山崩れの下敷になるまいと、彼方此方を避けまわっていたが、いつしか火と土煙の間にはなればなれになってしまった。(「薬 ?龍窟秘譚 みたびあや したじき かなたこなた?________________ ふり 飛び散り、降しきる火だ。怪火だ!この世の終りかとばかり山々岳々の崩壊だ!轟然爆然、八大地獄の有様もか程ではあるまい、「三好!珠助!」鬼之は必死に呼び叫びながら、ふと見るといつか岩屋の入口に来ている。「おお、この内には武田家の秘宝軍書二巻が置いてあったはずだ、あれだけは持って逃げなければ!」と気がついたから、崩れつつある岩屋の中へ猛然と躍りこんだ。首湊々と立つ土煙をかい潜って行くと、心覚えの置棚に、錦の袋に入れた二巻の秘宝があった。 し「おお無事だった!」と取って小脇へ、そのまま外へ出ようと踵をかえすとたん、臆ずずずん!と大音響をあげて岩屋の四壁が崩壊してきた。 「しまった!」と思ったがあとはもう夢中、崩れ落ちる岩石のひびきの中に鬼之は気絶してしまった。 ( もうもう おきだな きびす 作ります、 つん、金でくくりレイライラでうんちからの紹CR語 「どこかで小鳥の鳴く声が聞えた。それから冷めたい風が頬を吹いた。遠くの方で誰かが歌をうたっているようだ。「そう思いながら、夢から覚めるように、だんだんと我にかえった保科鬼之、 ぬりごめ 「はっ」と気がついてを起すと、いつの間にか素晴しく立派な部屋の中で、見事な褥の上に寝かされているのに気がついた。 その「やあ、これはどうしたことだ」呟きながら立上った。「教えましょう」突然あらぬ方に声がした。ぎょっとして鬼之が振返ると、塗籠の奥からしみ出てくるような声がして、「ここは墨谷の奥、一度入れば再び出ることのできぬ魔所――、悪龍窟じゃ!」「え?」鬼之はのけぞるばかりに仰天した。走りの嗚呼、遂に保科鬼之は悪龍窟に入った。しかし三少傑の行衛は? ああ、つい ゆくえ 秘讀悪龍窟 [#3字下げ]褐姫見参[#「褐姫見参」は中見出し] 鬼之は、とっさに刀をとって身構えた。 「ここは悪龍窟だ!」塗籠の中から聞えたのは、まさに扇返しの難所で堀尾山城と乱戦の折、中空にあらわれたあの美しき妖姫の声である。 い つ「そういう其方は何者だ?」。 ステパ、「わが名を知りたければ、まず自分より名乗るがよい」、m_鬼之は油断なく身構えながら、 この そのほう?________________ わらわ 臆病一番首 '「己は甲斐の党、保科鬼之と申す者だ!」「大仏の郷士保科の者か」です 。「如何にも!」答えるのを聞いて、塗籠の中からすっと一人の姫が出てきた。案にたがわず、妖術を使ったかの美姫である。さてこそと鬼之は刀の柄に手をかけて詰よった。「妖しき女め、名乗れ!」「下にいやれ」姫は厳とおさえた。人の「妾は信玄公の遺孫、墨谷の褐姫じゃ」「や!」思わず鬼之はさがる。 い かと「墨谷は我が隠れが、保科の者が何用あってまいったのか?」「姫君に見参仕り、勝頼公よりお預りの秘宝を相伝え申上げるため、万難承知で推参いたしました」。「なに、妾に伝える秘宝?」姫は懐しげに進みよった。「して勝頼公には御健かにおわすか?」「恐れながら織田徳川二軍と戦い、御武運拙く天目山において―」「天目山にて如何なされた一 つかまつ 「わらわ なつか おすこや つたなてんもくざん いかが 神社 わらわ みなしご ?龍窟秘譚 しっか 「やや!」姫はあっと驚きの声をあげた。姫の声と同時にさっと四方の襖をあけて、美しい御殿女中七人がばらばらと出てきた。「姫様、いかになされました」と進みよるのへ、姫はわっと泣きだし、「勝頼公も、御生害とのことじゃ、妾は、褐姫はこれで、天にも地にも一人きり、全くの孤児となってしもうた―」譚「年かさの女中の膝へうち伏してしまった。 「お泣き遊ばしても詮なきこと、かくなる上は武田家のために、一そう大切なお体でございまするぞ、気を確りとお持ちなさらぬばなりませぬ!」「してそなたは」と一人が鬼之を振返った。3人中津要なく「勝頼公御生害の様を見やったのか?」 な の「いや私は大仏村に住む者でござりますが、その朝――」と、それから手短かにはじめの日の出来事を話した。珠助と共に落武者をみつけた事、落武者から秘宝二巻をわたされ、珠助と共に二巻を持って、その足で墨谷へ入ってきた事、それから七河の魔神と争った事、土佐魚房、長谷狗真と同志の約を結んだ事、織田信長の命を受けてきた堀尾山城との血戦、つづいて褐姫の出現から、妖術七釜谷の崩壊まで ななた) 」?________________ うしな 臆病一番首 S ――ことごとく聴きおわった褐姫、やがて顔をあげた。 隣合、原選手「して、その秘宝二巻は持ってまいったか」国志の3部、田園の家「はっ」鬼之は悲しげに、 (大人を「先刻、扇返しの崩壊の折、岩石に組敷かれて気を喪い、いつかしらぬうちここへ連れられてきましたが、ただ今改めましたところ不思議や、二巻の秘宝が一巻紛失しております」「なに、一巻紛失したと?」褐姫はもちろん、七人の女中まで、色を喪って詰寄った。 す。「ご覧下さい」鬼之は手早く金襴の袋をとって、褐姫の前へさし出した。姫は袋の中から一巻の軍書を取出したが、女中をかえり見て、「正に空の一巻」と呟いた。「秘宝の軍書は天地人時空の五巻、我が手許には地人時三巻がある、されば天の一巻が紛失したわけじゃ」「保科殿とやら」年かさの女中が膝をすすめた。「秘宝一巻、どこで取失ったか覚えませぬか」「失神した間のこと故、たしかには分りませぬが、もしや堀尾山城の軍兵共にでも、 きんらん もと ?龍窟秘譚 「如何にも」褐姫は頷いた。。 。「それでは鬼之には、これよりすぐに下山して、秘宝天の一巻が、信長の手に入っているかどうかを確め、ぜひ取戻してまいるよう」。「はっ!」鬼之は手をつかえた。と、前日からの心身の疲労で、思わずくらくらと眼まいがして、そのままそこへ倒れてしまった。「余程疲れているようじゃ」褐姫は立上って鬼之を見下しながら、 人 間の「今宵はここで眠らせてやるがよい」「そういって奥へ入って行った。「この妖術を使う美姫!はたして信玄公の遺孫褐姫であろうか。話は珠助の身上にかわる。 みのうえ [#3字下げ]秘宝天の一巻[#「秘宝天の一巻」は中見出し] 「三好――珠助――」鬼之の呼ぶ声を聞きながら、雨と降る怪火の中に、七谿谷の辺大崩壊につれて、溢れ出た七河の水にのまれて、三好珠助は、?________________ さ のぞ 臆病一番首 「保科!」とひと言叫んだのを最後に、まったく気を失ってしまった。 どの位時がたったかしらぬ、長い長い眠りから醒めて、力なく眼をあけると、、「お気がつかしゃっただかね」 静かにそばで声がする、はっと振返るとそこには、破れ布子に監むしゃの男が一人、気遣わしそうに覗きこんでいる。「ここは、どこでござるか?」)の は 、1「新府のはずれ、鳥山という所でごぜえますだ」 まで「どうしてここへ参りました」「わしは樵夫の六兵衛と申しますだがの、二三日前和田山というのへ仕事に出ていると、八岳の方にえらい山崩れがあってー」と樵夫六兵衛は話しだした。 八岳の大山崩れを知っていそいで下りてくると、谷口まで泥水で押出されて、その中に大勢の鎧武者が沈みつ浮きつ流れてきた。助けようと思ったが流れの勢が凄じいのと、一人の手には負いかねる大勢なので、気の毒ながらどうする事もできず、空しく帰ろうと道を急いでくると、ふとある岩角に一人の少年が流れついているので、せめて一人でもと助けて連れ戻ったのである。「さようでございますか、お蔭で命を拾いました。しかし―-珠助は身を起して、 きこり きずつ ?龍窟秘譚 「その発送になくらいの年頃の者三人いたはずですが、それはご存知ございませんか」「さあ、何しろ泥水のことだでー」六兵衛の言葉に、珠助は暗然と涙をのんだ。土佐魚房は、狗真は、親友保科鬼之は――、生きているか、それとも死んだか。「武田家再興を誓って起ちながら、中途においてこの大難、我らの壮途空しくこのまま終ってしまうことか――」そう呟くと、熱い熱い涙が頬をつたって流れるのだった。 とにかくひどく体を傷けているので、大仏へ帰るにしても、三人の友を探すにしても、まず自分の体の健康を取戻さなければならぬ。それ は「どうか遠慮なく養生して」という樵夫六兵衛の親切を頼みに、珠助は三日五日と日を暮らした。、、 、七日めの朝、 J、 国「今日は気分も良いから」と球助、六兵衛が山へ行ったあとで、ぶらりと樵夫の家を出た。晴れた空には初秋の風が、白雲を追って西へ西へと流れていた。芒、尾花の咲みだれた草原を、あてどもなく歩いてくると、いつか鎌梨河の畔にでた。 「よく澄んだ水だな、こんな時鬼之が一緒であったらさぞ楽しかろうな」淋しげに すすき さき かまなしがわほとり?________________ おら おら一 なにがしたいなら 呟いていると、 「己《おら》のだ」。「うんにゃ己が先にめっけたのだ」と、西へ西へ。「めっけのは己だ」。「嘘つけ、己のだ」と何か騒がしく争う声がした。振返って見ると、河原で四五人の子供が、一つの物を中にして奪い合の喧嘩をしている。「これこれ、喧嘩をするではない」珠助は大声に叱りながら、近寄って行った。ふいに叱られた子供たちは驚いて振返ったが、一人が何か片手に持って振かざしなが うそ あいけんか| 臆病一番首 おら一 こいつ 18」 「おら、 おら 「己がこれを河の中から拾っただ、すんと此奴らがふんだくるべえとするんだよ」「ちがうだ、己が先にめっけただ」「己の方が先だ、向うから流れてくるのをめっけたのは己だ」「まあ待て!」珠助はがやがやと騒ぐのを制して、先の子供の持っている物を見た。それは古びた金襴仕立の巻物である。「私が見てやるからこっちへかしてみろ」「うん」子供の差出すのを受取った珠助、巻物の表に天という一字の書いてあるの を見る。思わず頭を盛って。「あっ!」と叫んだ。「これは武田家秘宝、軍書五巻の筆頭天の一巻だ、勝頼公より褐姫へ伝えるため、鬼之と二人して持って行った二巻の一に相違ない」。 珠助は子供に向っていった。ですが「坊や、これは大変な宝物だ、子供達の持つ物ではないから私が預かっておくよ」「厭だい、己の物だ、よこせ!」喚いたと思うと、つと珠助の手から巻物を抜取った子供の一人、職。「あ、何をする」と珠助が捉まえようとする手を、巧みにすり抜けると、ばらばらと野鼠のような素早さで、色の中へ走りこんだ。「待て、待たぬか」珠助は必死に後を追った。 た 、 おれ 譚 つか ?、龍窟 のねずみ ことはなんとかけにランドとしないのがうれしいのは みのたけ [#3字下げ]曳《ひ》かれゆく狗真[#「曳かれゆく狗真」は中見出し] 野育ちの子供、しかも馴れている河原道だ、身丈ほども伸びた色の中を、左に右に、抜けつ隠れつ、隠れつ跳びつその早いこと、足場の悪いところへまだ体が充分恢復していないので、ばあせるほど分が悪い、ついに珠助は子供を取逃がし 185?________________ こわらべ 臆病一番首 sてしまった。の で 、 、、。 「残念だ」どっかり草の上へ腰をおとして、、、 、「せっかく手に入れながら、小童ごときに取って逃げられ、主家の秘宝を失うとは――かえすがえすも無念だ!この上はあの子供の家をつきとめて、例えどんな苦心をしても取戻さねばならぬ」そう気がつくと、ぐずぐずしてはいられない、急いで立上って、もとの場所へ戻ってきた。そこには幸い、まださっきの子供達が残っていて、何やらがやがや話していた。「これこれ、いま巻物を持って逃げたのはどこの子か知っている者はないか?」訊かれて子供達は顔見合せた。「何も恐がることはない、誰が教えたともいわぬから、知っていたら聞かせてくれ」といい、 関ン「知っているだよ」一番小さな子供がおずおずと、「あれは、熊三郎ん家の源だよ。お宮のそばのー」・お宮といえば鳥山には八幡神社がひとつしかないはず、その附近で訊けばわかるに相違ない、珠助はその子の頭を撫でて、「坊やありがとうよ」とひと言、さっさと河原を去り、その足ですぐに村へ入った。八幡神社の傍ら、二度と訊くまでもな くまさぶ 「ご免、ご免下さい」 荒れ放題に荒れた家の表、声高におとずれると内から、「おう」と咆えて出てきたのは、身丈六尺余り、全身赤黒い毛がもじゃもじゃと生えている、まるで熊のような男、ぎょろぎょろ眼をかっと剥いて珠助をねめつけな みのたけ ひぐま まなこ いんぎん こちら。 ?龍窟秘譚 くまさぶ 「何か用か?」と吸鳴った。珠助は慇懃に、上空間での 思、「此方に七歳ほどの御子息がおられるはず、その御子息にちと用があってまいりました」『介 知(ト「作に用だ?」熊三郎は歯を剥出しながら、「何の用か知らねえが、俺が聞くべえ、作はまだ前後もわからねえ悪たれだ、用があったら俺にいえ!」すい人国 外類「それでは申上げよう」珠助は二三歩進んだ。なるので、きっと「御子息が今しがた、河原から巻物を一巻持って帰られたはずだが、ご存知でござるか?」「巻物だ?ふん、もし持ってきていたらばどうするだ」?________________ ニーとっ くまさぶ一 くまさぶ うそぶ ろう こん むち 臆病-番首 「私に返して頂きたいのだ」珠助はきっとしていった。「あれは当地武田家の秘宝でござる、故あって勝頼公より托された大切の品、ぜひも私に返していただきたい」 ( 7)だ!」熊三郎は叩きつけるように叫んだ。をタッ「厭だ?これはけしからぬ、当甲斐の主人武田家の秘宝を、それと承知で取隠すとは、貴公恩も義も知らぬ人か?」( た ぶ線が「へへん」熊三郎は憎さげに嘯いた。「武田の武士は俺を牢へぶち込だ、俺を牛の皮の鞭で殴った。俺は武田をやっつけるためなら、たった一人の仲を殺しても構わねえが、武田のためになる事なら舌を出すのも真平だ、帰れ!」あまりの無法、理非を聞かせてもわからぬ奴と思ったから、珠助は刀の柄に手をかけた。「やあ刀を抜く気か」で意思の通り、思い「うぬ」珠助が踏出ようとした時、わっわっという人声が大通りの方に起った。何事かと思って躊っていると、熊三郎がせせら笑って、 なる熊三郎様は不死身だぞ、へたに騒ぐと縛りあげて徳川様の御陣屋へ突出すばかりだ、そら聞け向うにわあわあ騒いでいる、あれっ甲斐党の者で、貴 まっぴら」 ためら くまさぶ くまさぶ おれ もののぐ 様くらいの年頃だが、障日俺が後えて運屋へ置したのよ。今日は河屋で打音だ。あっははははは」 を更になる「己程の年ごろ?」と聞いた珠助、つと踵をかえすと、ばたばた、足にまかせて大通りの方へ走り出て行った。-通りは河原まで黒山のような人、押分けて前へでると、物具つけた徳川方の軍兵 が、見る影もない一人の少年を縛って聞いて行くところだ。珠助はひと眼見るなり、譚「あっ、は、長谷、狗真ではないか?」 と叫んだ。ああ狗真はまさに斬られに行く、この難関をどうして珠助は打開するか。秘宝五巻を中心に、火花を散らす争いは、ますます佳境に入ってきた。無 ?龍窟秘譚 褐姫の秘密あらわる めんえつ こんこん) 「もし、もし」かすかに呼ぶ声がする。職 質悪龍窟に入って、褐姫君に面謁した保科鬼之、重なる疲労が出て、いつか昏々と眠っていたが、耳もとでしきりに、「もしもし」と低くよぶ声、ようやく我にかえって、、 、 「は」と答えながら身を起す。?________________ ぼんぼり 「あおじろ あなた にょ」 しょう 臆病一番首 M「しっ、お静かに」とおさえる声、 「どなた?」見返ると、ほのかな紙燭の蔭に、侍女のみなりをした十五六の乙女がいる。色は蒼白いが眼鼻だちそろった美しい風俗だ。「なにかご用か」は関連無言の「秘密をお知らせにあがりました。人に知れると大変です、どうぞお静かに!」「秘密?」「はい」乙女はさらに声をひそめて、「貴方がお逢いなされた姫様、褐姫様といっていたあの女性は、じつは褐姫君ではありませぬ―」する 。「え?褐姫君ではない!」鬼之は、愕然として身を乗出した。「はい、あれは八岳七谿谷の魔神に仕える巫女で、褐姫に成代り、武田家を横領しようと企んでいる、悪者でございます」一所具 の軍「し、して褐姫君は?」。「姫君はあの巫女のために墨谷を追われ、二年前に行方知れず、いまでは京三条のあたりに世を忍んでおられると、風の便りに聞きましたが――、それも嘘やら真や がくぜん) なりかわ たくら一 もとより こしつ 「之はと手をつななた万難を排してたなあてた後姫は偽者、当の姫君は悪婦のために墨谷を追われ、いまは遠く京に隠れて在すという。同志の球助はじめ、狗真、魚房らとは別れ別れ、今またこの秘報を聞いては、さすがの鬼之もまったく手の出しようがない。高 い気も「して――」やがて気を取直した鬼之、「お手許にあった三巻の秘巻は?」とつぶる よりも前の「秘巻は無事でございます」と乙女は膝をすすめて、した。「元来あの三巻には、別に同じ拵えの偽物があったのです。褐姫君はその偽物三巻 を巫女にわたし、ほんとうの秘巻のうち二巻を肌につけて、京へお落ちなさりまし悪た」 ら、一巻 、うち30「して残る一巻は?」鬼之が急きこんで訊くと、 ふくさづつみ「これにございます」乙女はそういって、内懐中から帛紗包を取出して、手早くひらいてみると「人」の一巻だ。「これをどうして貴女が?」 気にな る「はい、姫君が万一途中で追手に捉まった時、三巻全部を奪われてはならぬという駅心配から、一巻だけ私にお預けなされたのでございます」 ?龍窟秘譚 せ うちぶところ あなた?________________ %「よし!」鬼之は決然と顔をあげた。(C) 「それではさっき巫女にわたした『空』の一巻を奪いかえし、この一巻と共に京へ持参して、褐姫君を探ねいだし、改めて武田家再興を計ることにしよう!」 乙女はそれを聞くと共に、「ああ、それで私がお預りした甲斐もありました。実は」といってさらに一巻を取出し、さ い 。首「貴方が巫女にお渡しなさった『空』の一巻も、ここへ盗み出してきてあるので 臆病一番首 みずのあわ 「や!これは」と重ねがさね驚く鬼之、乙女は手早く、その二巻を錦の袋に納めて、「それではすぐに御出発なされませ、これを盗み出したことが知れては、何もかも水泡となりまする、早く!」「恭ない。しかし貴女も一緒にまいられてはどうか、かような魔所に長居は危険であろう」長い合、期購間の3 人「否いえ、私にはまだここに役目がございます、貴方こそ早く!」 。「さようか、ではこれにて一鬼之はさそくに身仕度をととのえる、乙女は急し灯を かたじけ あかり」 みち 「こなたへ!」といって部屋を出る、まもなく窟の壁を抜けて秘密の抜穴、そこはまだ巫女たちの知らぬ、外への通路だ。「この道をまっ直にゆかれますと、扇返しの下へ抜けまする」「ではここで失礼」「御武運めでたく」、「 会いた い礼をして行こうとした鬼之、ふと足を止めて乙女の方へ振返った。「貴方のお名はー?」「かなえと申しまする」乙女は灯をよけて頬を染めた。 ?龍窟秘譚 ずたま」 馬を奪って で 、1人幾人、・抜穴の中は闇だった。意 鬼之は足にまかせて走った。石塊で足を踏すべらせたり岩間洩る水溜りにはまったり、闇を飛ぶ不気味な蝙蝠に追手かと驚いたりしながら、一刻(二時間程)あま りも行ったと思うころ、ひんやりと寒い外の風が吹いてきて裾をはらった。*「しめた、外へ出た」勇気百倍して急ぐと、まもなくぼんやり明りがさしてきた。 こうもり」 いっとき?________________ きりぎし ちゅうちょ 臆病一番首 5抜穴の出口である。走りよってみると断崖に面していて、地上まで二十尺あまりの 高さ。「やっ!」躊躇もせずに、身をおどらせて飛下りると、そこは見覚えのある扇返しの難所だ。もうそこからは道も知れている。大山崩れのあとで足場は悪いが、岩をとび、茨をわけて、里へ里へと下っていった。。 峠を越して大和田という小さな村へさしかかった時だ。道の上に大勢人が集って、何かわいわい騒いでいる。.「かわいそうに、まだ年若な子供だそうなが」「なにしろ相手が徳川では」 の「甲斐党の人達も気の毒なことだ」きれぎれに聞えた言葉。「甲斐党の人々――」という声にぎっくりした鬼之、つかつかと一人のそばへ歩み寄って、「何事でございます?」と訊いた。なのです 。「なあに、罪人が斬られますので」、「罪人?」 国のバラ「と申しても、それがただ甲斐の残党に縁のあるというだけ、まだ十五六の子供で、 ゆかり 3 かまなしがわらはりつけ。 たが ?龍窟秘譚 殺すほどのこともござりますまいに、軍の後とかいわれて今日、新席の町はずれ、鎌梨河原で磔になるという話でござります」 実直らしく農夫の話すのを聞いて、鬼之ははっと胸をうたれる思いがした。もしや同志の一人ではあるまいか?「その者の名をご存知か」、「 い「ええ、何とかいったが、はてな」しばらく考えていたが「おおそれよ、亡なった譚長谷仲林様の御子息で、狗真とかいわっしゃるはず――」- 、気合いわれた鬼之、聞きもはてずにばっと走りだした。案に違わず正に同志であった。救わねばならぬ。天を地にかえても救出さねばならぬ。鬼之は走った、夢中で走った。しかし新府は三里にあまる道程、人の足で走ったとてまに合う筈がない。ふと見ると傍の畑で土を勸くに使っている馬。、、、、、入会「よし馬で!」と思ったからぱっと走寄って、「人の命に係わることだ、馬を借りるぞ」叫びざま、鞭の紐をはずした。す「これはまあ何をさっしゃるだ」驚く百姓。「詫は後に、借りたぞ?」鋤からはずした馬。 国語る。明「わあ、馬泥棒だあ」喚き叫ぶ百姓には見向きもせず、裸馬の背へぱっととびのっ すくいだ。 みちのり はしりょ touchion ながえひも すき?________________ まっすぐ」 はやて うまのせ まっしぐら ぬすっと一 もうもう 臆病一番首 た保科鬼之、馬腹をけりながらさっと往来へ乗出した。質「走れ、真直に新府へ、風のように飛んで行け!」叫ぶ。同時に馬は、鬼之をのせたまま疾風のように走りだした。故郷大仏村では、裸馬を乗こなすことで名を得ていた鬼之だ。ぴったり馬背に身を伏せると、平首に顔をつけてのびを打たせながら、驀地に西へ西へとはしりたてた。「馬盗人だあ、そ奴を捉えてくれろ」百姓の喚く声もいつか遠のいて、土埃を燦々と蹴たてながら、馬は村から村へ丘を下り、林を抜け、川を跳んで走りに走った。同じ頃―。 新府の町はずれ、鎌梨川の河原には、竹矢来を広く結廻して、朝来徳川方の軍兵が三十名あまり詰めていた。いうまでもない、甲斐の残党として捕えられた長谷狗真を、そこで磔刑にしようというのである――。 午ノ下刻(午後一時)ごろ、新府の屋形から縄付の狗真を引出した。徒士頭斎藤辰巳之助は、軍兵二十名に前後を警戒させて、町を引廻しの上、河原へ向った。「かわいそうに、まだ子供ではないか」を「磔とは虐いことをする」「誰か助けてやる者はないのか」 ゆいまわ はりつけ うま かちがしら」 ひど、 いさか 見る人達は口々に履きかわしている。その人々の産にかくれて、そっと発真のあとをつけて行く少年、三好珠助のいることを読者諸君はお忘れではあるまい。 樵夫六兵衛に救われて体を養ううち、鎌梨河原に童達が奪い合っていた武田家の秘宝「天」の一巻を発見したことから、無法者の熊三郎と諍い、それから狗真斬らると聞いて駐つけてきた珠助は、折あらば助出そうと、群衆の後から狗真の後をつけているのであった。 車の行列はまもなく、刑場へ到着した。 限ら、 ?龍窟秘譚 乱闘三士の勇 もうしのこ たっちゅう。 ほほえみ にら 「なにか申遺すことはないか」狗真を磔柱に縛りつけると、斎藤辰巳之助は進み寄って、憎々しく叫んだ。「無い」狗真はびくともせず、静かな頻笑さえたたえていたが、やがてきっと天を睨むと見るや、地も裂けよとばかり、「織田信長、徳川家康、武田家に仇したこの二人を、死霊となって、憑殺してくれるぞ」-「 西そう叫んだ。」 と あだ」 しりょう とりころ?________________ ささほ めのまえ ろうぜきもの 首 番 ~「うぬ、曳かれ者の小唄」辰巳之助は怒って、 「それ!」と合図。声に応じて軍卒両名、長柄の槍を持ってつかつかと柱の下へ進み寄った。ときどき光る笹穂の槍をかちり、狗真の眼前で合せるとさっと引いた。「ああ、殺られる」と群衆が思わず息をのんだ刹那。「その仕置させぬ!」と叫んで竹矢来の一部を踏破り、刑場へおどり出した者がある。三好珠助だ!「あっ、狼藉者!」と辰巳之助が立上った時、珠助は隼のように跳んで、すでに槍をとった軍卒二人をその場に斬伏せ、磔柱を背にきっと身構えていた。早業である。 「おお三好」柱の上から狗真が叫ぶ。臆「長谷、もう大丈夫だ」 なのとしてられた長崎「猫ない」言葉をかわす、眼は涙だ。「ええ何をぼんやりいたしている。斬れ、狼藉者共を、斬ってしまえ!」、「辰巳之助が喚く。「それ掛れ!」 で最葉、軍事の合での田楽、「わあっ!」四五十人の軍兵手に手に白刃を振かざして、詰寄った。近寄る者を二三人、草を 病 やいば かけ 蓮くように戦った見方をかえして有真の成んを放っ。きっと柱をとび下りた狗真、「虫けら共逃げるな」 叫びざま、倒れている奴の刃を拾いとると、悪鬼のごとく髪ふり乱して、面もふらず軍兵の中へ斬って行った。 同城県思うその時だ。竹矢来の外でわっわっと騒ぐ人声、何事と見れば馬を駆って駈つけてきた一少年、群衆を押分けて馬のまま、ばりばりばっと竹矢来を踏破りながら、乱闘の刑場へさっと乗入れてきた。「やっ、狗真無事だったか」馬上で叫んだのはいうまでもない、百姓馬を煽って駈つけた保科鬼之だ。「珠助もいるな!」「やあ鬼之か!」と珠助、狗真の二人は勇気百倍。鬼之は馬からとび下りると、小太刀を抜きざま、「助けるぞ!」 と喚いて斬入ってきた。辰巳之助は思わぬ曲者二人まであらわれ、しかも少年な%がら三人が三人腕がたつ、もし罪人を逃しでもしては一大事と声を喰らせて、画 あお ?龍窟秘譚 くせもの?________________ やつばら うちと とき くりだ うしお一 臆病一番首 %「斬れ、容赦すな、三人とも斬れやっ」と必死に下知する。しかし三好、保科の両人だけでも、吉岡兼房直伝の小太刀の名手、それに狗真の達者が揃っているのだから、たちまち二十人ばかりは斬伏せられてしまった。「ええ不甲斐なき奴原、この上は辰巳之助が討取ってくれようぞ」足ずりした斎藤、九尺柄の大長巻を取直すと、水車のように振廻しながら狗真に迫ってきた。その時、またも竹矢来の外にわあっ!と鬨の声が聞えたと思うと、誰か早くも変事を知らせたとみえて、新府の屋形から繰出してきた四五十の軍兵、潮のよせるように、槍陣刀を振かざしながら詰寄せてきた。主 題「長く戦っては不利だ」珠助がこれを見て叫んだ。「血路を開いて川へ、鎌梨川へ!」、「おう」、業、 同車。「心得た!」鬼之、狗真の二人が答える。同時に猛然と一方の血路を斬開いて、河原を北へ、茫、蓬を踏しだきながら、急流泡をかんで流れる鎌梨川の方へとはしりだした。「それ逃がすな」「追討ちに斬れやっ!」喚きわめき、砂利を蹴散しながら追迫る軍兵だ。珠助は一 すすきよもぎ」 着験をとって、這える着を動さながら二丁あまりくる。「鉄砲組、撃て!」という声が聞えたから、 人に「三好、長谷!敵は鉄砲を持っている。構わぬから川へ飛こめ!」と叫んだ。その時遅し空をゆすって、ドドドドドドド!と響く銃砲の轟き、同時に三人は身を躍らせて鎌梨川の急流へとびこんだ。3 、書人、食「追え!追え!」と辰巳之助を先頭に徳川方の軍勢が川畔へ駈つけた時は、最早三名の姿は水底深く流れ沈んでどこを探してよいやら見当もつかなかった。一方――。急流の中へ沈んだ珠助。。 (画「うっかり浮上ると殺られる」と思ったから流れのままに身を任せて、水底を川下へ、ぐんぐんと流されていった。川は船山という小さな中島の下で淵になっている。両側から木が生かぶさって、昼なお暗い場所だ。ここまでくれば大丈夫と、球助は水面に浮いて、静かに岸へ泳ぎ着いた。「狗真は、鬼之はどうした」 そう思って川の上下を見わたしたが、滔々と流れる水の上には、それらしい姿も見えぬ。まさか溺れもしまいが、と心の中に呟きながら淵を這上ろうとすると、ふ如いに後で、 うきあが ?龍窟秘譚 ふち。 とうとう一 うち一 はいあが?________________ くちき」 「脱走人だな!」という声がした。「え?」ぎょっとして珠助が振返ると、淵にのぞんだ朽木のうしろから、怪しい一人の老人がこっちを見下していた。 (13 )みよしじげんさい 三好自激斎 ぬきみ とりなお きも、 つりざお 臆病一番首 まっぷた 珠助は足場を定めると、抜刀を右手に取直して、きっと怪老人の方へ身構えをたてた。。「すこしは胆のありそうな小体だの」老人は釣棹を右手に「きょう、この川上に於て甲斐残党の少年が刑死されると噂に聞いたが、察するところお前であろう」にやりと笑う刹那、珠助は右足で岩を蹴りざま飛鳥のように老人へ斬りつけた。「ほう!」真二つと思いのほか、軽く体をかわされて二三歩のめる珠助、第「うぬ老態!」と喚きざま片手なぐりにひっ払った。必殺の剣、老人は軽く身をひねって避けながら、持っていた釣棹でぴしり打った、その気合の鋭いこと、剣を伝わって珠助の全身へびりびりと響きわたるよう。《ポー 。「あっ!」と叫ぶと脆くも剣をとり落した。あわてて拾おうとする手、老人は釣棹でぴったり来助の肩をおさえた。磐石で押えられたよう。身動きのできぬ様を見や おいぼれ びっくり なんじ いんとん わし そのほう ?龍窟秘譚 「逸るまい三好珠助、我を忘れたるか」「えっ?」ふいに我名を呼ばれて、珠助は吃驚ふり仰いだ、白髪の怪老人は静かに笑っている、しばらく見まもっていたが思い出せぬから、「失礼ながら覚えませぬ」「あはははさもあろう、汝三歳の折に大仏を去って隠遁しゃ、これは覚えておらぬが道理であろう」 を合 京「あなた様は?」間 目の戦「其方の祖父、三好自源斎じゃ」 の書「やっ!」珠助は釣棹の下に両手を下した。 噂に聞く、武田七賢の頭梁、信玄の智恵袋とまでいわれた三好自源斎、珠助にとっては祖父にあたる人で、十有余年前世を遁れて山中に入り、専ら仙術自得にはげんでいると聞いたのはこの人であったのか。「では貴方がお祖父様」「珠助!よう成人した、あっぱれ骨柄じゃ、ものの役に立つべきぞ」「はっ!」 、 うわさ とうりょう のが もっぱ 「じいさま。 S?________________ すみだに一 いちりゅう 臆病-番首 cm「ま、すわれ、その後の事を聞きたい」 珠助の手をとってかたわらの木の根に腰をかけさせ、自分も向い合って座をとった。「勝頼公御生害のことは――」「知っておる」 本中 山7日「天目山御生害の折」と珠助は今日までのことを手短かに語った。褐姫君のこと、墨谷のこと、天地人時空五巻の軍書に秘められた秘文、そして諏訪湖底に沈められた石棺の中にある十万枚の黄金と、源氏の白旗一流。それから軍書五巻の散逸してしまったことなど、聞くにつれて自源斎の鋭い眸は輝きをましていった。「そうか、五巻の秘宝はすでに散ぢりばらばらか、褐姫君も墨谷におわさず、京あたりに落魄してか、よし!」3人 の教員)自源斎はずいと立った。手くりの人を「助!」 の「はっ」外 国 人も韓「儂は山を下る、武田家再興のために、儂はもう一ど界に下りて働こう、諏訪湖底に石棺を沈めたのも、その場所を軍書五巻の中に秘文としたのも、湯短君を墨谷 ひとみ は せんじょう やせうで、 あた ?龍窟秘譚 にお入れしたのも、僕と長谷神様はじめ、武田七賞と呼ばれた者の職業からであった」自源斎は感慨深げにいった。「それがすべて空となり、軍書は散逸し、姫は行方不明とあっては、その責我に無き能わずだ、起とう、僕も今日から仙杖を折って、いま一度痩腕に剣をとろう」 珠助は思わず声をあげた。「お祖父様!貴方がお起ち下されば、武田家再興は疑いなしです」「勝敗は時の運だ。人事を尽して天命をまつのみ、珠助、こい」「はっ」自源斎老人は、先に立って森の奥へはいっていった。飲食いー仙老自源斎、はたして何を策するか、その夜珠助は黒装束して馬に乗り、闇を駆ること三里、古府にある徳川家康の陣を窺った。話時間です 。家康襲わる うかが こうこうぼんぼり 古府の陣中深く、家康の屋形には宵のうちから煌々と紙燭が輝いていた。屋形の内には家康、信忠をはじめ、徳川家にその人ありと知られた勇士豪傑の面々、灯をかこんで酒宴を張っていた。?________________ つかいばん) 初夜すぐる頃、使番の士が、「新府より斎藤辰巳之助が仕向いたしました」と伝えてきた。0 人「よし、ここへ!」 育てるのがいいの「はっ」使番はすり出て行ったが、すぐに斎藤辰巳之助を連れて出てきた。「酒宴これまで!」家康の一声に、酒宴の面々はすぐさま退出してしまった。席を 改めて後は家康と本多忠勝、斎藤辰巳之助の三人きり。首「辰巳之助これへ」 「はっ」膝ですりよった辰巳之助、これぞその日鎌梨河原で狗真を刑場に取逃した男だ。 し「首尾はどうじゃ」「仰せのままにいたしてございます」「逃げたか」です。「三人共に河より!」3日間「忍びの者はいかがいたした」 と いうもの無「甲賀者一人は、まさに三好珠助めの跡をつきとめ、船形山において、自源斎入道と会見せしところまで見とどけましてござります」 病一番 おお ありいっきとめ 自湯系め、まだ生きておったな、ううう。それは手続であった」咄!咄!狗真、鬼之、珠助の三人が刑場から逃げたのは、家康の計略であったのだ。三人を放っておけば、必ず軍書の在かを突止るに相違ない、そこで三人をわざと逃し、甲賀者二人、伊賀者一人に命じて、それぞれ三人の跡をつけさせていたのだ。「狗真、鬼之の両名は」と家康が膝をすすめた。「船形山の下、西条村というのへ上り、村の郷士の家に隠れておりまする」「よしよし」家康は頻笑みつつうなずいて、 で 、真「なおこの後とも見張りを怠るな、いずれは褐姫の行衛を探ねだすであろう、その時までは忍びの者を気づかせるでないぞ」いう。「は、よくよく注意仕ります」辰巳之助は声を低めて、、「恐れながらこれを」といって、そっと取出した古金襴の袋に入った一物。「なんじゃ」「御披見くださりませ」12 家康とってひらくと、中から出た軍書一巻、正しく鎌梨河原で珠助が取りそこなwった「天」の一巻である。 ゆくえ ?龍窟秘譚?________________ うち一 いかが ならずもの ほうび、 さしつか ひもと 臆病一番首 S「や、これは?」と驚く家康。 服用 したと「信玄秘蔵の軍書、その中『天』の一巻に相違ござりませぬ」「正に違いない、如何いたしてこれを?」「新府の町に住む破落戸、熊三郎と申す者よりの献上にござります、褒美として銀二貫目差遣わしてございます」 金「うむ」家康にこっと笑ってうなずくと、しずかに一巻の紐をといた。 武田家の秘文、みだりに綺けば眼がつぶれるとまでいわれた「巻物」が、今まさに家康の手によってひらかれようとしている。 しょくだいひきょ「紙燭を!」といわれて本多忠勝が燭台を引寄せる、刹那対立の陰から躍りでた真黒装束の曲者一人、と い う。「家康!」と喚きざま燭台を蹴かえして、家康に斬つけた。たおれて消える灯、仰天した忠勝が、「出合え方々、曲者でござる」音一人の 人間である。「曲者曲者!」辰巳之助も必死に叫びながら、差添を抜いて家康を庇おうとよった。しかしその時、すでに曲者はこの室の外へ逃れていた。 CE「庭だ、追え、忠勝」家康が絶叫した。 ついたて まっ くろしょうぞく US さしぞえ」 とざ かがり、 おい ののし 「秘巻を奪って逃げたぞ。」「庭だ!」忠勝も喚きながら庭へ。車、駅「門を閉せ」「木戸を固めろ」「篝を、灯を」ののの 。口々に罵る声、陣中は湧かえる騒ぎ。そのまに忠勝は、曲者を庭隅の木戸へ追詰めていた。「子供だな」忠勝は曲者の体をみつめながらいった。「さりとは健気な奴、名乗れ、拙者は徳川の家人、本多忠勝だ」「平八郎か」曲者は不敵に笑った。「相手にとって不足なしだ、己は甲斐党三好珠助という、さ、こい!」はたして珠助であった。・平八郎忠勝と珠助の一騎討は如何に、秘宝「天」の一巻は無事に珠助の物となるか?知際、 、、 。 けなげ けにん- おれ一 ?龍窟秘譚 伊賀者討たれ 時を同じゅうして! しな とS船形山下流、西条村に泳ぎついた鬼之、狗真の二人は、村の郷士坂本信兵衛に救?________________ あるじ ささや いぶか うらな 臆病一番首 %われてその家に招かれたが、夕食にかかる前のこと、主人信兵衛がそっと二人の部 屋へやってきて囁くように、「御出立の用意をなさいませ」といった。「何故?」審るように狗真がきく。「二名の怪しき奴が、先程から裏納屋のあたりに忍んで、この家の様子を伺っております。かならず徳川方の廻し者に相違ありませぬ」「そうか」うなずいた狗真。.「どうする、保科?」 なら 、もう「この家に迷惑がかかってはならぬ、すぐさま脱出よう!」「行く先は?」「珠助の身上も気遣われるが、一刻を争う場合だ、何よりも先に京へ上って、褐姫君をお探し申さねばなるまい」「よし、京へいくときまった!」ち 、血管、本、狗真は頷いて主人に振返り、「それでは申し兼ねるがいそいで食事の馳走にあずかりたい」「よろしゅうござる、仕度はできております」 ぬけで みのうえ」 ちそう 「きんすなにがし一 まれ おりがみ おしいただ いとま たちあが ?龍窟秘譚 すぐに食事に運ばせる。之、発真の二人は手早くすませて任度、主人信兵衛はやがて金子若干を取出して、「はばかりながら御旅用に」と、さし出し、別に二刀の銘刀を持ってきて、「いずれも家重代のもの、斬味は古今に稀なりと折紙がござる、御差料に」とすすめた。 でも、辞退すべき場合でない。狗真は二つとも拝頂いて受け、銘刀は二人して腰に着けて、やがて暇を告げて立上った。「さらば御主人」「御武運長久を祈りまする」 主人信兵衛に送られて、脇門からそっと外へ出た二人、闇を伝って栗林の中へ走りこむと、足にまかせて走りだした。への めざすは鰍沢、そこから市川をぬけ、富士川を下山へわたって蒲原へでる、そこで東海道を一路京へといく順路である。・二刻あまりも走りつづけた狗真、鬼之の両名、とある谷間の破寺をみつけたので、少し足を休めようと、縁先へ廻って中を窺った。久しく廃寺になっていたものとみ ぼうぼうおいしげ。え、軒は傾き床は落ち、草は茫々と生茂って、狐狸の棲家かと疑われるばかり、も あるじ くりばやし かじかざわ かんばら」 ふたとき。 やれでら あれでら こり、すみカー、?________________ すさま おちうど うるお しゅみだん 臆病一番首 の凄じい有様も、人眼をはばかる落人の身にはかえって幸い。路線は、「ここなら安心であろう」と頷きあって中へはいった。清水をくんで喉を潤し、足をのばして疲れを休めようとする、と―――破れはてた本堂須弥壇のあたりが、ぼう。っと明るくなった。「やっ!」と狗真が驚いて、「あれを見ろ、保科」と指差す刹那、天井のあたりで、この世のものとは思われぬ声で、 山隊「ひひひひ」笑うやつがある。二人は刀を引寄せて身構えたが、なにを思ったか狗真、つと鬼之の耳に口をよせて、「外へ出ろ、これは変化の仕業ではない、察するところ我らの跡を追ってきた奴が、伊賀者か甲賀者で、忍術をもって我らを許そうとするにちがいない」「己もそう思う、変化にしては妖気がない、狐狸の悪戯にしては陰の気がたため、忍術者に相違ない」「そうだ、外へでよう!」 二人は身仕度をととのえると、ぱっと縁先から外へでた。「あっ!」不意をくらって、荒れはてた庭先の叢に隠れていた二名の武士、いずれ たぶらか いたずら くさむら」 ふともも くらま このまいず 悪龍窟秘譚 もろはの装束をしたのが、愛して立ち上がった。「白痴者!」狗真が喚きざま抜討ちに斬つけた。横っとびに刀を避けようとした一人、太腿を深く割られたから、二三間横ざまにつっ走って倒れた。「長谷仲林の子狗真、大仏の党の保科鬼之を知らぬか、伊賀甲賀の汚れた忍術ごときで、我らの眼を眩せると思うか」、そ の「両人とも首を貰った、覚悟せよ!」 鬼之も喚きざま残る一人につめよった。折しも木間を出る月、林中さながら昼のごとく、二勇少傑の面上を照して凄じくも美しい。 必殺の意気鋭くつめ寄る鬼之、伊賀者は飢えたる狼の如く、忍び装束の隙からじっと鬼之の眼をみつめていたが、ふいに、「――!」無言の気合、ひらり身を躍らせるよと見えたが、ぱっと姿をかき消してしまった。 長い間「やっ!」と驚く鬼之、振返るとこはいかに、狗真の姿もそこにはなかった。狗真も消えてしまったのだ。狗真はいずこへ? (もし質音 おおかみ さあい 213 2015年05月?________________ 4月下の乱刃 臆病一番 一息に追いつめて斬ろうと、殺気鋭く進んだとき、進退きわまった伊賀者は、ひらり身をおどらすよと見るや、得意の忍術で煙のように体を消した。で、「あ!」といってふり向く鬼之。見ると意外や、先にもう一人の伊賀者を斬った長谷狗真の姿がない、狗真が見えないのだ。首「どうした狗真?」わめく鬼之。 「狗真、どこにいるんだ?」と戻りかかる刹那、空を切って飛びきたる一剣、びゅっ!と耳をかすめる、「頭の悪さ、美「やっ!」身をかがめて外しざま、ここと思うあたりをひっ払ったが、風を切るばかりで手ごたえがない、苛って左右へ眼をくばる、隙!「――!」陰の気合、背後にせまると思うより疾く、びゅっ!びゅっ!と無二無三に斬つけてきたる暗殺剣だ。すでに時貸事貸の事な「うぬ!くそっ!」鬼之必死に避けるが、姿の見えぬ相手だから、次第に足場を失って後へ後へと退る。このままでは斬られる、と思った瞬間、鬼之の頭にちらとひらめいた考えがあった。 いらだ。 はや さが じんせい きっさき」 ?龍窟秘譚 「この集は壁きをして行う、光の下では待もきかめに精進あるまい」「よし!と思うとそのままぱっと雑木林の中を横へ、青白く澄きった月光のあふれる草地の方へと身を避けた。伊賀者は追うことに気をとられていた。鬼之の後から草地へでる、見ると月光を浴びてくっきりと浮びでた体。「来い!」と鬼之、隙を見せて誘う。伊賀者はまだ自分の姿が相手に見えぬとおもっていたから、隙に乗って不用意によった。「――!」無言の殺意、刃勢鋭く斬りつける伊賀者の切尖わずかに外して右へ、避けると見せたが、 前日、「えやッ!」肺腑を絞る絶叫、逆にかえした鬼之の剣、意外の奇襲にあわせかねた悪伊賀者の腰を深く斬る。 「む――」いて退こうとする奴を間も与えず、踏込んで鬼之真向へ一刀、骨まで徹れと斬った。「ざ、残念」ぽろり刀を落して、空をつかみながら後へ、よろめきながら倒れると、そのまま、哀れ伊賀者は絶命した。ほっとした鬼之。「長谷!狗真はどこだ」大声に呼びたてながら破寺の方へ戻ってくると、草の中に倒れている者がある、ばっと躓いたから吃驚して、狗真斬られしかと抱起すと、 ふみこ とお 「やれでら」 つまず だきおこ?________________ ひとたち こつ しょせん さきに一刀太腿を割られた伊賀者であった。魚のう(武真で す「貴様か――」と振捨てて行こうとすると、、、、 、「しばらく、しばらく待たれい」と苦痛を堪えて伊賀者が声をかけた。 間「何か用か?」 「け、健気な働き、感じいった、所詮拙者は助からぬ命、最後の功徳にお教え申す首ことがござる、こ、これへ!」 鬼之がそばへよると、「お身方は、富士川を下って蒲原へ出られる積りであろうが、川添いの宿々には、すでに徳川家の網が張ってござる。府中までの道中は危険、これより川を越して波木井より山に入り、薩陀峠の裏を越して遠州へ出る外にはござらぬ、最期のはなむけ、疑われな!」 いい終ると力つきてか、伊賀者はばったり前へのめって、気息えんえんだ、鬼之は思わずその手をとって、「恭けない、礼を申すぞ!」と頭を垂れた。と――その時どこやら遠くの方でかすかによぶ人の声。 臆病一番首 さったとうげ」 さいご」 「あっ狗真」と立上った鬼之、「どこだ、狗真!」と大声に叫びながら、かすかに聞える声の方へ進んでいった。声は次第に近くなる。「鬼之―」「狗真――」互に呼びあいながら草地を雑木林の方へ進んで行くと、ふいに鬼之は足を踏滑らした。、「あっ!」と茂みに捉まろうとしたが遅し、そのまま鬼之は黒洞々たる箕穴の中へおちていった。 こくどうどう| おとしあな ?龍窟秘譚 自源斎と家康 ねら一 「ふたたび、時を同じゅうして。 古府の城中、徳川家康の首を狙って、その屋形深く忍びこんだ三好珠助は、家康の首にかえ難き武田家の秘宝、軍書五巻の中「天」の一巻を見るより、これを奪って退れたが、木戸をとざされ門を固められて逃場を失い、あまつさえ徳川家随一の 豪傑本多平八郎忠勝に詰よられて、絶体絶命のどたん場に立っていた。「平叫忠勝は法城寺と号する大太刀を正眼に構えてじりじりと詰寄ったが、月下に小太 にげば のが 「つめ」?________________ ささほ めのまえ ろうぜきもの 首 番 ~「うぬ、曳かれ者の小唄」辰巳之助は怒って、 「それ!」と合図。声に応じて軍卒両名、長柄の槍を持ってつかつかと柱の下へ進み寄った。ときどき光る笹穂の槍をかちり、狗真の眼前で合せるとさっと引いた。「ああ、殺られる」と群衆が思わず息をのんだ刹那。「その仕置させぬ!」と叫んで竹矢来の一部を踏破り、刑場へおどり出した者がある。三好珠助だ!「あっ、狼藉者!」と辰巳之助が立上った時、珠助は隼のように跳んで、すでに槍をとった軍卒二人をその場に斬伏せ、磔柱を背にきっと身構えていた。早業である。 「おお三好」柱の上から狗真が叫ぶ。臆「長谷、もう大丈夫だ」 なのとしてられた長崎「猫ない」言葉をかわす、眼は涙だ。「ええ何をぼんやりいたしている。斬れ、狼藉者共を、斬ってしまえ!」、「辰巳之助が喚く。「それ掛れ!」 で最葉、軍事の合での田楽、「わあっ!」四五十人の軍兵手に手に白刃を振かざして、詰寄った。近寄る者を二三人、草を 病 やいば かけ 蓮くように戦った見方をかえして有真の成んを放っ。きっと柱をとび下りた狗真、「虫けら共逃げるな」 叫びざま、倒れている奴の刃を拾いとると、悪鬼のごとく髪ふり乱して、面もふらず軍兵の中へ斬って行った。 同城県思うその時だ。竹矢来の外でわっわっと騒ぐ人声、何事と見れば馬を駆って駈つけてきた一少年、群衆を押分けて馬のまま、ばりばりばっと竹矢来を踏破りながら、乱闘の刑場へさっと乗入れてきた。「やっ、狗真無事だったか」馬上で叫んだのはいうまでもない、百姓馬を煽って駈つけた保科鬼之だ。「珠助もいるな!」「やあ鬼之か!」と珠助、狗真の二人は勇気百倍。鬼之は馬からとび下りると、小太刀を抜きざま、「助けるぞ!」 と喚いて斬入ってきた。辰巳之助は思わぬ曲者二人まであらわれ、しかも少年な%がら三人が三人腕がたつ、もし罪人を逃しでもしては一大事と声を喰らせて、画 あお ?龍窟秘譚 くせもの?________________ 220 しずか むぞり一 ごうとう 首 番 一 Wっこり立っている。 この人、「や、曲者!」わっと騒ぎたつ旗本の面々。老翁は静に、 この「騒ぐなよ、耳が痛うてならぬ」 の珠助その声に驚いて見上げたが、、 、「あ、お祖父様」「珠助、帰りが手間どるで迎えにきたぞ」自源斎は無反二尺八寸という強刀を提げて自若と珠助をふり返った。 平八頭文、鉄、「血路をひらいて、そろそろ退散といたそうか」刀をとり直す時、「や、そこにいるは三好自源斎」と叫ぶ声がした、見れば屋形の縁先に、近習をしたがえた徳川家康が立っている。自源斎は大きく頷いて答えた。「いかにも入道自源でござる、三河殿には御武運めでたく在すことよな、久しき対面御健勝の態、まずまず祝着申そう」 ので すが、「相変らず自源斎も味をやるの」本思 IC家康もしずかに頬笑んだ。 以「武田家隠退と聞いた時、さっそく人を遣わして随身をすすめたはずだが、二君にえずとてこべうまく断わられ、家康その折は大いに赤面したが、どうだ、今ここ きんじゅ 病 臆 おわ、 しゅうちゃ あだかたき」 しゃり、 「お断りじゃ」自源斎は頭を横に振った。「あの折はまだ家康公は、我らにとって他国の領主というまでであったが、今は旧主の仇敵、身を舎利になすとも徳川家の栗を喰う気はござらぬ!」「健気に云うの、さらば討ってとろうか」。「みごとお討ちなさるか」、 です。「それ!」 家康の声を合図に、ばらばらと現われた二十人あまりの鉄砲組、銃口を揃えて自源斎、珠助の二人を狙った。幻術滅法の印」 めっぽういん つつぐちそろ 悪龍窟秘譚 ゆんで 自源斎にっこり笑って、「はははこれが公の必勝の法かな、さらば拙者も一法をお見せ申そう」そういって左手を高くあげた。 「それがし武田家を退いて山中に籠ること二十年、仙術自得に専念してようやく近 来遁法を会得仕った、が――由来神仙の術は俗法を忌むもの、一度幻術を行えば とんぼうえとくつかまっ?________________ くだ 仙界より堕するを戒律とする。自源今日より俗界に降って、武田家再興の事にした がうつもりなれば、戒律を破って、遁法の幻術をお見せ申そう。いざ!二十口の鉄砲一斉に撃たれい!」喝破し去って悠々と印をむすんだ。「珠助、よれ」 らいの間音で は、今でのという刹那、、「撃て!」と叫ぶ命、同時に夜の闇をゆるがして二十挺の鉄砲、一斉にだだだあ Urerut にょぜめっぽうのいん つんざ もうもう一 病一番首 いきまよ 「如是滅法印!」自源斎の声が空を劈いた。とみる!湊々と立こめる煙硝の中に、自源斎と珠助の二人は忽として姿を消した。仰天した面々。「やっ!消えたぞ!」「それ木戸へ!門へ!」狼狽その極に達して、右往左往に行迷う人びと、だが二人はすでに城外遠く遁れ去っていたのである。 半刻の後――。自源斎と珠助は白根へぬけ、駒岳の宿を南へはずして、裏道伝いに信州高遠へと急いでいた。 国、地主ので 、日夜半若神子を越え不帰の峠にかかる、ちょうど中天に昇った月の光で、道は一筋、ヨ々と着を帯びて西へつづく。森林をうけた下道を右にうねり左に登りつってきた たかとお わかみこ かえらず、 みたけ つつじじょう」 えんえん かがりび、 たむろ」 じんがまえ」 「少し休むかの」「はー」「月下の眺望も一興であろう」自源斎は、峠道のはずれにさし出ている見晴し台の方へと足をまげた。(0)「おお古府あたりまで見えます」珠助は東を指した。大、京海日キッ「うむ、御嶽の山を北にして、躑躅城はあのあたりかな」「?々とつらなる篝火は?」「濠外に屯する徳川家の陣構にそういない」。自源斎は次第に熱する口調だ。「御宗祖武田冠者義清公以来甲斐の頭梁として連綿五百有余年、陸奥守信虎君に至って甲斐を平定し、更に信玄公によって信濃、駿河までも領有した武田家の偉業も、ついに今日の悲運を見る。さぞや先霊怒らせ給うに相違ない、されど――」-自源斎の頬に涙が光った。「かく申す三好自源斎生きてあらんかぎりは、御偉業復興を計りますれば、何とぞ 黄泉より御冥助を垂れて、褐姫君の御安泰を護らせ給え、南無!」合掌するさまを幽見るより球助は思わず啜りあげて泣伏した。ので 、娘画あり ?龍窟秘譚 むっのかみ) たま こうせん 「みょうじょ なむ」 すす なきふ?________________ _くみあわ みまも一 凶「泣くな救助!武田家再興の旗をあぐるまでは、生きながらの鬼神となって、天地八荒に暴れ廻るのだ。起て!」、だから 、無言の「はっ!」珠助、声に応じてすっくと立った。質身信いたし、同「お祖父様」「珠助!」二人は互いの眼をもとめて、すっと剣を抜くより、月光にかざしてかっちり組合せた。今年高 1「武田家再興のために!」祖父と孫の体に、脈々と熱血が躍った。ああこの血、こ首の魂!燃えたつ勇猛心を高く、中天の月は、慈光を雨の如く降らしながら見戌っ ていた。 「さ、行こう、京へ!」「京へ!」刃をおさめた二人が、峠路へ戻ろうと足をかえ臆すとたん、左右の叢からふいに、 「わあっ!」と現われ出た一群の野武士があった。先に立った熊のごとき男が、「それ!野詰めにして捕れ!」と命令するや、三十人余りの荒武者、手に手に野太刀を抜きつれて、ばらばらと二人の周囲をおっとり巻いた。とその時球助は何をみつけたか、魚な ら 、最3「あっ!土佐魚房ではないか」と絶叫した。 目の不g峠のはいかに!魚房の現は意外の友蘭を生む、少葉の京都入込は? くま はらん いりこみ 西へ西へ おちい あな あな ?龍窟秘譚 狗真を探して走りまわるうち、足を踏はずして落入った穽の中、、、、「あっ!」と叫んで鬼之が身を起すと、闇の中から、戦した の。「保科か?」といいながら探りよる声、りる時に外れといて「長谷か」のGUC 97J真の部《ま譚「うん」といって傍へきたのは狗真だった。画 「さっき伊賀者を一人斬った時、足場を誤ってこの錯の中へ落込んでしまったのだ、残った奴はどうした」 の 間の「斬って棄てた」外 国人、真すらついた鬼之はそこで、瀕死の伊賀者から注意されたことを手短かに話した。り「街道筋はすでに徳川方の手配厳重ということ、薩陀峠の裏を越して遠州へぬけるより外はあるまい」と素人異婚できる。今度、無い。「よし、そうしよう!」頷いた狗真、 、 、「だがこの穽をどうして出ようか」見上げれば高く月明の空が見える、弁のふちまでは少く見積っても二丈はありそ ひんし」 ほか あな つきあかり 225?________________ うだ。高の原「とびつくには高いな」呟くとたん、「あっ危い!」と叫んで鬼之が、いきなり狗真を突とばした。よろめいて穽の壁へ倒れかかる、同時にさっと黒い異様な獣が、空をきって横に飛んだ。「うぬ!」呻いた狗真、抜討ちに斬つける、ひらりと身をおどらせた獣、闇の中にきらきらと両眼を光らせながら、意。「うるるる、うるるる」と喉を鳴らせた。それを聞くより狗真はさっと刀を控えて、「八郎ではないか!」と叫んだ。 「うるるる」獣はもう一度喉を鳴らしたと思うと、しばらく闇をすかしていたが、癒やがて狗真が分ったらしく、真いい。 「きききき、うるるるる」とさもなつかしそうに喉を鳴らしながら、狗真の傍へ走りよってきた。ママ のの「なんだ?」鬼之が審しげに訊く。この中でさ。「八郎だ、扇返しの戦いに、七釜谷の大崩壊の時、行衛知れずになった己の大猿だ」-「あ、大猿の八郎か 番 病 ななたに ゆくえ ななたに はやぶさ」 ななたに のり ?、龍窟秘譚 「そうだ」といて有真は、すりよってきた大震の人間をひしときしめた。・これぞ長谷狗真を乳児のころより養い育て、山谷の間に鍛えあげてくれた大猿である。七谿谷で河の魔神と乱闘した時、隼の五郎とよく戦って、四少年を救い、その後扇返しの瞼に織田方の勇将堀尾山城守の軍勢と奮戦した時、悪龍窟の妖姫の秘法で七絵谷の大崩壊に遭い、四少年ちりぢりになると同時に、行衛知れずとなっていたものである。譚「これは素的な味方だ!」と鬼之は勇躍して叫んだ。 「これから京へ乗こむにしても、この八郎がいれば千人力だぞ!」「そうだ、すこし面白くなってきたぞ」狗真もにっこりと頬笑みながら、八郎の頭を撫でさすってやった。す「うるる、うるるる」と大猿もしばらくは嬉しそうに、体をこすりつけたり、双手で狗真を抱いたりしていたが、やがて身を起すと、狗真の手をとって、ぐいぐいと引きはじめた。「なんだ?」と訊くと、何やら手真似をしながら、舜の片限へ引張ってゆく。例の 「行ってみろ」と鬼之もついて行くと、やがて大猿は身をて指示をする、覗く。☆と穴だ! もろて てまね ゆびさし?________________ うな ↓「や、抜穴がある」 「うるるるる」呻ると共に、八郎は先になって抜穴の中へ入った。後について二人が、ほとんど這うようにして進んでゆくと、二曲り三曲り、抜穴はしばらく迷路のようにつづいていたが、やがて月の光がぼんやりと見えてきた。「しめた、出たぞ」叫んで鬼之、狗真の両名、勇みたって抜穴を出た。月はすでに傾きかかっている。が、コンです 。「よし、行こう!」とらすのはとて「京へ!」と二人は草鞋の紐をしめ直した。30歳の人の場 西へ、西へ!八郎をつれた二少傑は、道を波木井へとり、薩陀峠の裏をめざして、一路西へと急ぐのであった。たー。 わらじ 臆病一番首 「野武士加党」 かえらず、 たいまっ ふりかざ K文ろ こちらは甲信の境、不帰の峠だ。山無し、 軍 事 、峠頂上の見晴し台でふいに現われ出た野武士の一団、松火を振翳しながらどっとおめいて、三好自源斎と球助の二人をおっ取巻いた。 間 人気「珠助、ぬかるな」と自源斎が刀の柄に手をかけた時、 おれ ななたに おれ。 ?龍窟秘譚 「土佐魚房ではないか」と聞くより、野武士の一団を指揮していた水干姿の一少年が、「や、そういう声は」といいながら走り寄ってきた。 見る「三好珠助か」と答えたのは、まぎれもない土佐魚房だ。「これはどうした訳だ」に 組山参線) の意「これは己の配下だ、わけを話そう」と魚房は振返った。「七辨谷の崩壊で、己は西に難を避けたが、道を誤って山中に踏迷ううち、ここにいる野武士達に会ったのだ、そこで悪龍窟の話、武田家再興のため、褐姫君を擁して旗をあげる企てなどを話すと、この野武士の一党も武田家の扶持を喰んだことのある者達で、一議に及ばず我らの企てに加担するといいだしたのだ」いう傍から野武士の頭株らしいのが、博士課ので「拙者は久良岐豪太郎と申す、よろしく」と挨拶をした。(1)重美理「うむ!」始終を聞おわった自源斎は頷いて、のの 、「旧恩を忘れず、武田家のために働こうという志、あっぱれであるぞ!」四「はっ」久良岐は頭をさげて、 ある年下の上典 いさつ くらぎ 0242 きき?________________ 230 よびあって よしみ 病一番首 「拙者これより腹心の者を四方に放ち、再興の旗挙げまでには二千三千の野武士共を呼集め、華々しくひと合戦仕りましょう」「頼むぞ」自源斎がいった。「我らはこれより道を急いで京へのぼり、御遺孫褐姫君をお探し申し、将軍義輝公と誼を通じて、旗挙げの策をたてるつもりだ、野武士を狩集めたら、すぐに後より京へおいついてまいれ」 (2 )JK「委細承知いたしました」 種類、海国茶の為、山上の盟は成った。(「野武士久良岐の一党は別れて信州路へ、自源斎、珠助、魚房の三名は夜明けの光を踏んで西へ、高遠を南へぬけると、天龍川に添って飯田へと出た。 それから裏道を伝い伝って、三日めには木曾川を越し、美濃に入って一日、五日めには鈴鹿峠の裏越にさしかかっていた。1点。 三名が美濃へ入ると間もなく、二三人の旅装の武士が、見え隠れに後を跟けはじめたが、鈴鹿へかかるすこし前に、いつかどこかへ見えなくなってしまった。「珠助」自源斎は振返っていった。 コンポー「我らの後を最けていた奴め、今ごろは手配をして追いつくころに違いないぞ」 みの一 すずかとうば きりじに」 ざさ ?龍窟秘譚 「まず峠の七八合目、その辺りで襲いかかるであろう」「道を変えましては?」と魚房が訊く、自源斎笑って、「怖いか?」O脚の人票は今 気に質。「いいえ、戦いは望むところです」 の の「峠の上下はいずれへぬけるにも新関が邪魔だ、多少の危険を冒しても、この道の外に行くところはない、斬死の覚悟でまいろう!」「はっ!」二少年はきっと唇をひき結んで、風に鳴る小笹の音にも心を許さず、月の出に近き峠道を急ぎにいそいだ。「待て!」人気の、人「ふいに自源斎が二人を止めた。峠の七合目あたり、松並木が鬱蒼と茂っているところだ。岡になる。自歳魚の資)自分の 思い。「二人とも仕度せい」国の首学中てる「はっ」珠助と魚房、手早く袖ひきからげ、草鞋の紐を緊め直し、刀のめくぎへしめりをくれて用意をした。( 識減ら、思い出。外「もう間もなく出るぞ、二人とも優を離れるな、隙があったら峠の頂上へ走れ!」 うっそう わらじ?________________ とき」 おおすみ もうしう 型自源斎の声の終らぬうち、人 の 国のハー「わあっ!」鬨の声をあげながら二三十人の荒武者が、道の左右から現われ出た。 するがのくに「それへまいられるは甲斐ノ党の落武者、三好自源斎と存ずる、これは駿河国の住人岡部大隅、家康公の命により御身の首を申受ける、覚悟あれ」ー「笑止なり岡部とやら、自源斎ほどの者を、百にも足らぬ手兵にて討てると思うか、こい!死骸の山を築いてくれるぞ!」日 重本のう)「うぬ吐ざいたり、それかかれ者共」わっとあがる鬨の声、、、、。「球助、魚房もぬかるな」なる名演新感番号を送信参の武叫んで自源斎は抜いた。 01C血闘鈴鹿峠 臆病一番首 ラインACE しぐれざわ- はる。 その時、峠を登ってくる三個の人影があった。これぞ保科鬼之、長谷狗真、並びに大猿の八郎である。時雨沢というのへかかると、遥かに遠く、わあーっという関の声だ。「長、軍兵うぶする一 たいまつ こっち」 ?龍窟秘譚 「道を変えるか」「これより外に鈴鹿を越える道はない、行ってみよう」 (日高郡大『足を早めて登る。 次第に近づく騒音、やがて松火の光に照されて争闘の様がはっきり見える場所までやってきた。」「此方へこい、様子を見よう」と鬼之が先に立って傍の山腹へ登っていった。しかし、長く見るまでもなく、あっと狗真が叫び声をあげた。「あ!見ろ、珠助だ、三好だ!」「「おお土佐魚房もいるぞ」「行け!」喚きかわすと同時に、二人は抜きつれて山腹を駈け下り、争闘の場へ斬込んだ。「リ バー「三好、助勢するぞ」)のは 家具の中の人なら「魚房もぬかるな」最年 長さ、奥宮、日声を聞いて珠助、魚房、はっと振返ったがそれと見るより、「やっ、鬼之に狗真か」 が 233?________________ あわひえくら 「むらが一 かみな グ「おお、大猿八郎もいるな、しめた!」と叫んで勇躍、 「こっちへ来い!」と四少年傑士が一団となった。娘の無かった「四人揃った上は千人力だ、粟稗喰って育った駿河のへろへろ武者、百にも足らぬ奴ばら一人も余さず斬棄てる、こい!」と叫んで、群る軍兵の中へ斬って入る。「八郎、掛れ!」と命ぜられて大猿八郎、「うるるる」喉を鳴らしながら、これも久し振りの大暴れ、さも嬉しそうに、双腕をあげ、歯を噛鳴らしながら、敵の中へ躍りこんだ。 それを見た自源斎、にっこり笑うと大太刀を取直して、敵の大将岡部大隅へとつめ寄っていった。 同窓間で、「岡部とやら、まいろう!」 日間(くう「望むところだ」「自源の剣法は荒いぞ、駒ケ岳にて神人を相手に鍛えた自流、地獄への土産によく見て置け!」「?法無用、来い!」さっと繰出す槍、おう!とひっ払って寄る自源斎、大隅はとび退って、さっ、さっと稲妻のように突きたてる、十二三合もあわせたかと思う 臆病一番首 くりだ」 と、 だいおんじょう| たたかい おきざ 龍窟秘譚 刀に手をかける刹那、自源斎が踏込んで上段から斬下した。頭蓋骨を充分に割る、返す剣でぱっと喉笛を横ざまに斬裂いた。「がっ!」異様に呻いて倒れる岡部大隅、自源斎は刀に血ぶるいをくれて大音声、「聞け者共、岡部大隅を自源斎が討取ったぞ、命惜しき奴は逃げよ!」と名乗りをあげた。 聞くより駿河兵共、大将を討たれてなんの戦ぞ、逃げろ!と叫びかわしながらさっと退くとみる間に、手負も死者も置去りにして、ばらばらと逃散ってしまった。「見苦しい奴ばら、笑ってやれ!」自源斎の声に、四少年は血刀を振りながら声を揃えて、わっはっはと笑った。後出し,手刀士、 良 い「さ、急げ!追手がかかっては面倒だ」、新東大学1 日「はっ!」といずれも、自源斎について、血刀を提げたまま峠を上へ上へと登っていった。途中伏勢も出ず、峠の頂上へ登りつめるころには夜も白々と明けかかっていた。自源斎は頂上の足溜までくると、血刀をあげて西を指した。(でいい「見ろ、あすこに京の市がある!」青い四少年は、ほっと太息をつきながら、眼をあげた。もう あしだまり まち いき?________________ おわ おわ うしお一 「褐姫君の在す都、我らが武田家再興の旗をあげる京はあすこにある!」 四少年は思わず「わあっ!」と歓声をあげた。『悪龍窟の苦闘以来、幾転戦、ここにはじめて褐姫君在す京へ入らんとするのだ、潮のように湧きたつ胸中、 ( 青 )「武田家再興のために!」襲 い ますーー((四小傑は血刀をがっきと組んで叫んだ。その時東天を割って、赫々たる日輪は昇天した。あたかも武田家の未来を祝する如く、四少年傑士の勇を鼓舞するがごとく かくか 臆病一番首 「行こうぞ!」自源斎は血刀を拭った。四人も仕度を直した。そして、輝かしい朝日の光を踏みながら、勇気りんりんと京へ向って峠を下って行った。し たん 悪龍窟秘譚はこれで第一部をおわります。四少傑が京に入っての活躍、褐姫君をいただいて武田家再興の策動についてはこれを第二部として、近くまた、読者諸君の御愛読を乞うこととなりましょう。 底本:「周五郎少年文庫 臆病一番首 時代小説集」新潮文庫、新潮社 2019(令和1)年10月1日発行 底本の親本:「少年少女譚海」 1932(昭和7)年6月号~1933(昭和8)年2月号 初出:「少年少女譚海」 1932(昭和7)年6月号~1933(昭和8)年2月号 ※表題は底本では、「悪龍窟《あくりゅうくつ》秘譚《ひたん》」となっています。 ※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5-86)を、大振りにつくっています。 入力:特定非営利活動法人はるかぜ
https://w.atwiki.jp/koutansougou/pages/28.html
第1問 (1)答:3 3 原則としてその請求を拒むことができない。 (2)答:31 B ×許可 ○登録 (3)答:2 (4)答:1 電気通信回線設備を損傷し、又はその機能に障害を与えないようにすること。 電気通信回線設備を利用する他の利用者に迷惑を及ぼさないようにすること。 第一種電気通信事業者の設置する電気通信回線設備と利用者の接続する端末設備との間の責任の分界が明確であるようにすること。 (5)答:3 第2問 (1)答:2 2 AI第3種の工事は行えない。 (2)答:4 (3)答:3 H21/6/30に以下のように規則が改正され、現在の規則では1が正しい。 当該資格者証(資格者証を失った場合を除く。)を添えて総務大臣に提出しなければならない。 (4)答:2 (5)答:1 第3問 (1)答:3 (2)答:3 (3)答:2 直流回路とは「電気通信回線設備に接続して電気通信事業者の交換設備の開始及び終了の制御を行うための回路」。 (4)答:1 B 正しくは「一の筐体に収められており、かつ、用意に開けることができないものでなければならない」。 (5)答:4 300V以下 0.2MΩ以上 300Vを超え750V以下の直流 0.4MΩ以上 300Vを超え600V以下の交流 0.4MΩ以上 750Vを超える直流 使用電圧の1.5倍の電圧を10分間加えても耐えること 600Vを超える交流 使用電圧の1.5倍の電圧を10分間加えても耐えること 第4問 (1)答:3 3 正しくは1MΩ以上 (2)答:4 (3)答:1 B -60dBm以下 (4)答:4 4 -3dBm以下 (5)答:2 A 2kΩ以上 第5問 (1)答:2 一 重畳される部分とその他の部分とを安全に分離し、且つ、開閉できるようにすること。 二 重畳される部分に異常電圧が生じた場合において、その他の部分を保護するため総務省令で定める保安装置を設置すること。 (2)答:4 1 1.8m未満 2 30cm 3 ×垂直距離 ○水平距離 (3)答:1 (4)答:1 何人も、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を、その識別符号がどの特定電子計算機の特定利用に係るものであるかを明らかにして、又はこれを知っている者の求めに応じて、当該アクセス制御機能に係るアクセス管理者及び当該識別符号に係る利用権者以外の者に提供してはならない。ただし、当該アクセス管理者がする場合又は当該アクセス管理者若しくは当該利用権者の承諾を得てする場合は、この限りでない。 (5)答:4
https://w.atwiki.jp/koutansougou/
このwikiは自分のための平成22年度第1回工事担任者試験AI・DD総合種簡易勉強wikiです。 左メニューの過去問は答(反転で表示)とメモになっています。 メモを載せるかどうかは個人的な判断です。 計算問題は略解を載せています。そこそこ詳しい解説を心がけました。 特に論理式がわかりづらいというか表現しづらいです。 数式表記ができることに今更(5/14)気づきましたが、直すのもこれから打つのも面倒なのでこのまま行きます。気が向けば全て直します。 このwikiの内容の真偽は保障できませんので使用の際は自己責任でお願いします。 平成20年度第2回試験まで完成。 H21-1はノートに解いて満足してしまったので無しで。需要があれば急いでやりますが…。特に需要が無さそうなので放置。 平成21年度第2回試験は実戦問題に載っているため、今のところ作成予定無し(参考書紹介参照)。 自分用メモも技術と法規は手書きですませてしまったので無し。 解答予想による私の予想点数は基礎96、技術68(答がわからないところは間違いと換算)、法規84です。 平成22年度第1回試験の解答が発表されました。私の自己採点結果は基礎96、技術74、法規84でした。 もし質問や要望・間違いなどがありましたらコメントにどうぞ。 一通り完成したのでこれで更新停止・放置します。何かあればコメントに残していただければ気づいたときに対応します。 今日6/14の合格発表で無事合格したことがわかりました。 参考書紹介に追加、参考書紹介2を追加。 まずはこちらをご覧ください。 @wikiの基本操作 用途別のオススメ機能紹介 @wikiの設定/管理 分からないことは? @wiki ご利用ガイド よくある質問 無料で会員登録できるSNS内の@wiki助け合いコミュニティ @wiki更新情報 @wikiへのお問合せフォーム 等をご活用ください @wiki助け合いコミュニティの掲示板スレッド一覧 #atfb_bbs_list その他お勧めサービスについて 大容量1G、PHP/CGI、MySQL、FTPが使える無料ホームページは@PAGES 無料ブログ作成は@WORDをご利用ください 2ch型の無料掲示板は@chsをご利用ください フォーラム型の無料掲示板は@bbをご利用ください お絵かき掲示板は@paintをご利用ください その他の無料掲示板は@bbsをご利用ください 無料ソーシャルプロフィールサービス @flabo(アットフラボ) おすすめ機能 気になるニュースをチェック 関連するブログ一覧を表示 その他にもいろいろな機能満載!! @wikiプラグイン @wiki便利ツール @wiki構文 @wikiプラグイン一覧 まとめサイト作成支援ツール バグ・不具合を見つけたら? 要望がある場合は? お手数ですが、メールでお問い合わせください。
https://w.atwiki.jp/utloop/pages/11.html
インスタグラムプラグイン 人気の画像共有サービス、Instagram(インスタグラム)の画像をアットウィキに貼れるプラグインです。 #ig_user(ユーザー名) と記載することで、特定ユーザーのInstagramのフィードを表示することができます。 例)@dogoftheday #ig_user #ig_tags(タグ名) と記載することで、特定タグのInstagramのフィードを表示することができます。 #dogofthedayjp タグ #ig_tag #ig_popular と記載することで、Instagramのpopularフィードを表示することができます。 詳しい使い方は以下のページを参考にしてください! =>http //www1.atwiki.jp/guide/pages/935.html