約 5,085 件
https://w.atwiki.jp/mbmr/pages/46.html
キャラクター別SS追跡表 ↓SSを追跡したいキャラを選んでください。 古賀小春 № タイトル 作者 登場人物 013 悪者とプリンセスのお友達なカンケイ ◆44Kea75srM 小関麗奈、古賀小春、諸星きらり 047 アイドルの王女様 ◆U93zqK5Y1U 小関麗奈、古賀小春 067 彼女たちは袖触れ合うテンパーソン ◆John.ZZqWo 小関麗奈、古賀小春、和久井留美、藤原肇、諸星きらり岡崎泰葉、白坂小梅、喜多日菜子、市原仁奈、双葉杏 071 いねむりブランシュネージュ! ◆44Kea75srM 小関麗奈、古賀小春 117 ちっぽけでさ、でも、とっても、大きいんだよ ◆yX/9K6uV4E 小関麗奈、古賀小春 139 iDENTITY ◆j1Wv59wPk2 小関麗奈、古賀小春 146 彼女たちが生き残るのに必要なルール24(トゥエンティフォー) ◆John.ZZqWo 小関麗奈、古賀小春 173 カナリア ◆n7eWlyBA4w 小関麗奈、古賀小春 180 ソリトン ◆wgC73NFT9I 小関麗奈、古賀小春 187 彼女たちがその熱にうなされるサーティセブンポイントトゥー ◆John.ZZqWo 小早川紗枝、向井拓海、松永涼、白坂小梅諸星きらり、藤原肇、小関麗奈、古賀小春 195 Black in White ◆wgC73NFT9I 小早川紗枝、向井拓海、松永涼、白坂小梅諸星きらり、藤原肇、小関麗奈、古賀小春 201 彼女たちが生きてこそと知るクラッシュフォーティー ◆John.ZZqWo 小早川紗枝、向井拓海、松永涼、白坂小梅、諸星きらり、藤原肇小関麗奈、古賀小春、北条加蓮、神谷奈緒、渋谷凜、和久井留美 ヒョウ君 214 さだめ ◆yX/9K6uV4E ヒョウ君 ▲上へ戻る
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/43927.html
登録日:2020/02/05 Wed 12 19 54 更新日:2024/08/10 Sat 11 35 03 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 12歳 L.M.B.G THE_IDOLM@STER U149 お姫様 ひつじさんとうさぎさん ぶらいたー☆DAYS アイドルマスターシンデレラガールズ イグアナ エターナルプリンセス キュート キュート組 シンデレラガールズ ドリームホープスプリング ドーリー・リトルレディ ヒョウくん ブルームジャーニー ペロペロ ポップングリッター ムシバレイナと小春ちゃん ロリコンホイホイ ロワイヤルスタイル 佐賀県 動物好き 古賀小春 小森結梨 左利き 桜舞隊 第3芸能課 小春ですー。私をプロデュースですかぁ…? 小春はみんなに好きになってもらえる、お姫様みたいなかわいいアイドルになりたいなぁって思いますぅ。 じゃあ、よろしくお願いしますぅ~♪ 古賀小春(こが・こはる)とは『アイドルマスター シンデレラガールズ』に登場するプリンセスアイドルである。 タイプ キュート 年齢 12歳 身長 140㎝ 体重 35㎏ B-W-H 72-54-77 誕生日 4月1日 星座 牡羊座 血液型 O型 利き手 左 出身地 佐賀県 趣味 イグアナのヒョウくんと遊ぶこと、家の手伝い CV 極太神経小森結梨 【概要】 「大阪エリア」解放とともに初登場。今作のアイドルでは初の佐賀県出身。ゾンビじゃないよ コラボイベのときに同郷の珠ちゃんと一緒にサイドストーリー枠担当してるけどさ 不謹慎だし今では通じないが 登場当時は47都道府県で最後の登場となった佐賀県出身(作品リリース後他46都道府県出身アイドルが出揃ってから小春が出るまでに1月半かかっている(*1) 事、サービスイン当初から出身地が海の向こうのキャラクターがいる事から、「(デレマス世界の佐賀は)海の向こうなんじゃね?」(*2) と言うネタが当時は存在していた。 間延びした口調で話すおっとりした性格。 冒頭の台詞は初期なので「ですぅ」とか「ですー」が見られるが、現在では伸ばし方はほぼ「です~」に統一されている。 基本的には敬語キャラだが、文脈によって「○○したいな~」など普通の言葉遣いになることも多少ある。 「お姫様になりたい」という願望を持っていて、服装もお姫様チックのものを好む。庶民全開なパジャマ姿とかも晒してるけど 喜多日菜子とはネタ被りしているように見えるが、日菜子は二言目には「王子様」と続くのに対して、小春は「王子様」への意識は薄く、冒頭にもあるように「みんなに愛されるもの」という点を重視している。なお2人の絡みは意外とない。 ユニークなペットを飼っており動物好きなところもディズニープリンセス的なイメージのキャラ造形だと考えられる。 ボブカットの中でカールして突き出した横髪が少し特徴的。 ただし向きや細かい位置はあまり定まっておらず、媒体やその時の作画によってバラバラ。 ここから角を連想してなのか、最初のSRで羊モチーフの衣装を着ており、後にデレステのSSR2枚目にも羊モチーフが採用されている。 12歳なので、誕生日的には中学生(*3)なのだが、ランドセルを背負っているイラストもあり、少なくともメディアミックス等では小学生組として扱われている。 ランドセルに関してはよく見るタイプとは異なるものの上に制服っぽいものを着ているため、私立校に通っている可能性がある。 …流石にダブってることはないと信じたい。 アイマス全体でも唯一の4/1生まれで、デレマスはゲーム内でのエイプリルフールネタに積極的だが、そこでクローズアップされたことは2023年現在ない。 【ヒョウくん】 「ヒョウくんペロペロです~」 彼女を語る上で外せないのが、ペットのヒョウくんである。 種族はまさかのイグアナ。ある意味我那覇響とは気が合いそうである。 小春からは大親友と呼ばれるほどに溺愛されており、「ヒョウくん色」と称して衣装に緑色が差されたりイメージカラーとして使われることもある。 当初からプロフィールやセリフには登場していたが、「フリルド☆プリンセス」のイラストで姿が公開された。 好物は虫らしく、小春は虫を常時持ち歩いていることが時々描写されている他、プロデューサーと虫集めをしているようだ。 城ヶ崎莉嘉の好きなカブトムシを食べようとしたこともある。 見た目からすると品種はグリーンイグアナだが、オスの成体(*4)にしては小さいのとグリーンイグアナは草食という矛盾があるため有識者を悩ませるポイントになっている。サラダを食べさせる描写もあるため雑食扱いなようだ。 上述の台詞だけでは女の子をペロペロするペロリストなのかされる側なのかハッキリしないが、諸々総合すると両方らしい。 2018年のエイプリルフールイベント「シンデレラガールキャラクター総選挙」にもノミネートされ、そこでペロペロしたいアイドルに 福山舞、大沼くるみ、成宮由愛、氏家むつみ、望月聖を挙げており、中々いい趣味をお持ちのようだ。 ちなみに結果発表の時に小春ちゃんに先駆けて初めてしゃべった。 担当声優はある程度推察できていたが、2020年のアニメ『シンデレラガールズ劇場 Extra Stage』に出演した際に正式に大空直美だと明かされた。 誰からも「ヒョウくん」としか呼ばれないため、ヒョウくんさん的な名前なのだろうか。 ただ、U149ではほとんどの台詞で「ヒョウ君」と表記されており単行本での修正等もないためただの敬称なのかもしれない。 知能も高いらしく、『シンデレラガールズ劇場』ではプロデューサーの到着を主人に伝えようとしていた。 それどころか(心の声として)人語を解するようになり始め、少年的な言葉遣いで話す。 と言っても『劇場』などに限った話で、今のところ本編的な部分ではあくまで普通のイグアナである。アニメU149でも喋ったが、あくまで小春の夢の中と思われる場面に留まっている。 なお現実の場面では小春が「こんにちは~。ボク、ヒョウくん。イグアナだよ~」と声をあてているので、小春の想像上での言葉遣いも同様なようだ。 ちなみにイグアナは声を発する器官がなく、そのため鳴き声という形で声の出演が入ったことはないし今後もおそらく入らないだろう。 アニメU149では初めて馴れ初めに触れられ、いつもニコニコでいられるように「お星さまにお願い」した翌日、爬虫類専門店のショーウインドウ越しに後のヒョウくんとメトメガアウー出会って買ってもらっている。 ヒョウくんと一緒にいるようになってから、ヒョウくんのおかげで迷子になってもすぐ見つけてもらえるようになったとのこと。それって単に目立つだけじゃ…… 「プロデューサー、安心して。小春ちゃんは、ボクが守るから! これからも、ボクと小春ちゃんをよろしくね」 【仲の良いアイドル】 氏家むつみ、成宮由愛、望月聖 冒険アイドルと絵画アイドルと聖なる歌声アイドル。 前2人とでユニット「ブルームジャーニー」、後ろ2人とで「ドリームホープスプリング」。 年齢は全員13歳で一個上だが、上述のように同学年の可能性が一応ある。 小関麗奈 イタズラ好きな小悪魔アイドル。 よくイタズラの標的にされるが、天然で受け流されがち。虫でイタズラしようとしたことがあるが結果はお察し。 なぜか「れいなちゃん」とひらがな表記で呼ばれる。 魔法少女ものを題材にした「奇跡公演 ふたりは無敵☆未来を描く魔法のペン」ではライバル魔法少女(麗奈)とそのパートナー妖精(小春)として登場したりしている。 横山千佳 魔法少女(魔女っ娘)アイドル。 悪役の麗奈にさらわれたお姫様…小春を魔法少女千佳が助けるというごっこ遊びをしていた。 被っているようで被っていない持ちネタだが、小春も魔法少女な衣装を着ているカードがある。4月1日生まれで茶髪で小学生の魔法少女……? 結城晴 小春とは同い年で名前が似ているサッカー好きのオレっ娘アイドル。 イケメンとお姫様という王道の組み合わせ。 ちなみに晴も動物は好きな方である。 ひな祭りのイベントでは小春がヒツジ、晴がウサギの衣装を着ていた。 渋谷凛 クールなニュージェネレーションアイドル。 ペット持ちという程度の共通点だが、小春とは「テイルズオブシンデリア」で共演。 凛が「ユーリ・ローウェル」小春が「ラピード」役であり、縁のある組み合わせとなった。 【アニメ】 デレアニでは17話に登場。 バラエティ番組「とときら学園」の出演者1人として登場。 台詞はなく、喋る小春がアニメに登場するのは7年半後を待つことになる。 【U149】 コミカライズ『U149』では初期メンバー9人の1人として登場。 まさかの序盤はヒョウくん無しでの活動であったが、その後の彼女の台詞から本作でもヒョウくんを飼っていることが判明した。 ちなみに巨大なヘビ等他の爬虫類も平気なようである。 満を持して連載第41話(単行本第6巻)にてヒョウくんが登場、動物番組での小春とみくの絡みに華を添えた。 作者曰く、小春といえばヒョウくんというイメージがあるからこそ、出番は小春の個人回まで待ってもらったとのこと。 この小春回ではみくからアイデンティティ否定に繋がりかねない指摘を受け、表に出さずに1人(とヒョウくん)で思い悩んで、千枝に声をかけられてもそれを誤魔化すような言い方をしたりという意外な描かれ方をしている。 全体的に上昇志向が強めで物語を引っ張っている年長12歳組の中では浮いていた小春がこの回で目に見えて成長を見せたことが、他の12歳組に刺激を与えた様子が以降しばしば描かれている。 アニメ版の製作が決定し、当時初期メンバー9人の中で唯一未ボイスとなっていた小春はもしかしたらいなかったことにされるのでは……とPが一抹の不安に駆られる中、初期キービジュアルに揃って登場して一安心となる。 その後キャラクター設定が公開された際にCVの公表こそなかったもののCVがあることを前提とした表記がされていた(*5)事からボイス実装が確定的となった。 そして2023年2月15日公開の新PVで小春が初めて喋り、名実ともにボイスが追加された。 さらに小春の現実での初歌唱楽曲(*6)となるアニメOP曲「Shine In The Sky☆」も披露された。 ただしPV公開時点ではCV表記は未だに「????」のまま。さらには現地でしか見れないネタバレ禁止の先行上映会でさえ、わざわざ映像上のクレジットを「????」にしていたという手の込みようであった。 結局、CVの発表は4月6日のアニメ第1話本放送を以て行われる形となった。まさか実際に喋ってから2ヶ月近くも徹底的に隠されることになるとは…… 案の定、関係者にすら「????」は若干ネタにされることに。 原作では前述のように天然に見えて意外と思慮深くしっかりしたところも目立つのだが、アニメでは個人回である7話で 「どこからともなく現れたちょうちょを追いかけて行方不明になり、雨宿りしているうちに寝落ちして夢の中で(新ソロ曲と共に)ミュージカルを繰り広げ自問自答でアイドル観を見直してるうちに発見される」 というアニメU149の中でも異質なブッ飛んだ行動を繰り広げており、「昔からよく迷子になってる」という洒落にならない新設定の提示もありガチの「良く言えば天然」で非常に危なっかしい印象を与えるキャラになっている。 ただ、U149が原作ゲームに比べて(小春以外も)しっかりしすぎなところもあり、ゲーム準拠と考えるとさほど違和感はないと言えばない。 これまで主にデレステで描写されていた小春の画力は「小学生の手慰みにしては上手」くらいのもの(*7)で、お絵描きキャラというほどでもないのだが アニメU149では事務所にいるシーンで毎度のように絵を描いているうえ、描く絵もファンシーで可愛い美少女イラストとなっている。 8話ではこの技能が役立ち、コーヒーまみれになった衣装を修繕するためのデザイン案を超速で仕上げており(*8)、もはやプロ顔負け。つかさ社長は千枝だけでなくこっちもスカウトすべきでは? また、ヒョウくんは当番回で初めて人前に連れてきたことは同じだが、2話からOPで登場→3話では写真で心に見せる(引きつつスウィーティー判定)と原作よりはオープンな扱いだった。 爬虫類(ペット)の記事にあるようにイグアナは飼育に結構なスペースや維持費を要するので結構裕福説 →自室はベッドに天蓋付き(*9)とお姫様感のある豪奢な部屋だが、他の描写を見る限りはおそらく一般家庭レベルの一軒家住まい 小さな体でいつもヒョウくんを乗せたり抱えたりしていることから意外とフィジカル強者説 →ヒョウくんを抱えたまま転んでしまうが、いくら本人が軽いとはいえ咄嗟に片手(しかも逆手)一本で自分の体を支える といった、小春Pの間で囁かれるような俗説の答え合わせになるような描写も見られる。 小春の夢を叶えてくれたアイドル活動ですけど、今は追記・修正してくれるファンのためにもーっと頑張ろうって思います~! この衣装に負けないみんなに愛されるお姫様になりますね~! △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ? コメント欄 [部分編集] 最近ロリっ子アイドルの新規項目多くていいですね! あ、いや、早苗さん違うんですこれは(ry -- 名無しさん (2020-02-05 16 04 51) 記事作成乙 のんびりおっとりしてるだけかと思いきやイグアナprprしてたり虫が平気だったりなかなか強烈でかわいい子 -- 名無しさん (2020-02-05 21 03 06) U149アニメ化で小春Pが死んだ!(舞とかも可能性は高いが初期メンバーで唯一ボイス無しの小春はどう考えても確定) -- 名無しさん (2022-04-04 11 33 10) CVが完全に新人って誰以来だ? -- 名無しさん (2023-04-07 01 58 04) 無名だけど多少は仕事経歴あるので「完全に新人」じゃないと思う(近年だとなかみーやためちゃんあたりの枠) でも第2回VIA組がこれに当てはまらないから結局は完全新人のめぎゅしまで遡るかね -- 名無しさん (2023-04-07 04 07 09) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ivdd/pages/3594.html
西野小春 出演 画像・動画検索 Google/Yahoo!/Bing/YouTube 西野小春「ホントノコハル」 監督 中北直 メーカー ウーノ 発売日 2017/9/25 通販 Amazon.co.jp DMM 西野小春「麗しの美じりぃ~な」 監督 高城洋 メーカー ウーノ 発売日 2017/7/25 通販 Amazon.co.jp DMM 西野小春「小春のいけない夏休み」 監督 高城洋 メーカー ウーノ 発売日 2017/5/25 通販 Amazon.co.jp DMM 西野小春「パパとママの居ないあいだに」 監督 中北直 メーカー ウーノ 発売日 2017/3/25 通販 Amazon.co.jp DMM 西野小春「オトナになりたい」 監督 嵐山みちる メーカー ウーノ 発売日 2017/1/25 通販 Amazon.co.jp DMM
https://w.atwiki.jp/daiero/pages/41.html
aルート 慎太郎「部長の思惑に乗るようで少し癪ですけど……」 部長 「ふむ」 慎太郎「やっぱり、昨夜……かな」 零れ落ちそうなくらいの星空。あの幻想的な輝きはきっと、物語の原点にはふさわしい。 部長 「ウフフ、気に入った? 私のとっておき」 慎太郎「ええ、まあ、それに……」 部長は知らない。チカも、アキ先輩も。 俺だけが知っている暖かい感触。たしかに俺はあの時、小春と……。 ※小春表示 小春 「………………」 慎太郎「……っっ」 いかん、小春の顔を直視できない。 ――とにかく俺は。 この記憶を糧にシナリオを書くのだ。良い物語を……。 <小春ルート> ※背景赤 ※画面中央に文字 この道はきっと、最善の道。 幸福への道しるべはわかりやすく、何よりも優しく貴方を導く。 そこでは、立ち憚る困難でさえ甘い甘い蜜の味。 だけど、忘れないで。 その優しさが、その甘さこそが、貴方の足を引き止める。 最善の道が、正しい道とは限らない。 貴方が歩むその理由を忘れてないで。 それだけが、幸せに立ち向かう唯一の武器。 足が停まってしまったとき、思い出して。 貴方の物語の原点。 始まりの赤。胸に広がる後悔の記憶を……。 ※背景黒 ※文字表示普通に 小春 「慎太郎ちゃん、好き……。好き……。慎太郎ちゃん……」 肩の中で、幼馴染が震えながら何度も呟く。 小春 「好き……好きだよぅ」 祈りにも似たその嘆きは、どこまでも深く、俺の胸を切り裂いた。 小春 「慎太郎ちゃん……。慎太郎ちゃん……」 俺の名を呼ぶ弱々しい声。たとえ耳を塞いだってきっと聞こえてしまうだろう。 皮肉なことに、俺の耳はそのようにできている。 いつだっていっしょにいた。 俺と小春の関係はそれだけだ。 だけど……。だけど、俺は……俺だって……。 慎太郎「小春、俺は……」 その先の言葉を、俺は口にすることができなかった。 ※背景教室 小春 「お、おはよう……」 …………。 …………。 …………。 小春の言葉に帰ってきたのは、沈黙だった。 挨拶というものが人との交流のためのものであるのなら、小春のそれは挨拶ではない。 応答も反応もない、拒否すらも示さない無関心の前には言葉はとことん無力だ。 小春 「…………」 言葉を失くし、自身の席に項垂れる。 俺はそんな小春の様子を、ただ、眺めていた。 ………。 ……。 …。 慎太郎「小春のやつ、おっせえな……」 たまに目を覚ましていたら、これだ。 普段は頼んでもないのに俺を起こしにくるくせに……。 慎太郎「ったく。放課後に俺を迎えにくるのは幼馴染の仕事だろうが。たるんどる」 それにしても、空しい。誰もいない教室でブツブツと独り言をいう自分ってなんなんだろう。 慎太郎「仕方ない。小春の教室、行ってみるか……」 このまま独り言を言っているのもアレだしな。 ※背景廊下 ルイ 「お、もしかしてキミ、慎太郎ちゃん?」 慎太郎「……えっと」 ルイ 「おお、その反応! 小春と似てるー。さっすが、幼馴染だねえ!」 小春の教室への道中、突然女子に声を掛けられた。 どうやら小春の関係者らしい。……ということは、これが小春の言っていた友人か? ルイ 「いやあ、もしやって思ったんだよね。いやあ、聞いていた通り陰険なオーラを出しているね~」 慎太郎「い、陰険……?」 小春のやつ、俺のことをいったいどんな風に話しているんだ。 ルイ 「いやはや、一度お目にかかりたいとは思っていたんだよー。いや、実は遠目にはよく見かけていたんだけどね」 ルイ 「小春がいっつも楽しそうに慎太郎ちゃんが、慎太郎ちゃんが~なんて言うものだから。どんな人なのか、私、楽しみでねぇ」 慎太郎「あの、アンタは……」 ルイ 「あ、私は小春の親友だよ。小春から何も聞いてない? まあ聞いてないなら別にいいんだけど。私、ルイ。本名省略。ルイって呼んでね?」 ルイ 「いやぁ、感激だねぇ。慎太郎ちゃんと話せる機会がくるなんて。これが私の小春を育ててくれた幼馴染かぁ。あ、私のってところ強調ね。勝手に取っちゃだめだよ?」 ルイ 「ところで今、偶然出くわしちゃいましたーなんて顔をしているけれども、実は待ち伏せちゃってたりしてたんだよね。慎太郎ちゃんに会えるかも、なんて」 慎太郎「えと」 ルイ 「アハッ、幼馴染って性格とかも似るのかな? 一気に捲くし立てられると動揺するところも、そっくり」 慎太郎「い、意図的っすか……」 だめだ、この人は関わってはいけない人種だ……。 さっさと聞くことを聞いて…… ルイ 「小春ならもう部活動に行ったよ?」 慎太郎「……え」 ルイ 「キミらは考えていることがすぐに顔に出る。かわいいなぁ、もう」 ルイ 「私たちのクラスは早く終わったから。小春 一目散に部室へと向かったよ? 慎太郎ちゃんも、早く行ってやりなよ」 ルイ 「それじゃ、私も部活があるから。じゃーねー」 俺の聞きたいことをピンポイントに伝えるだけ伝えて、去っていった。 うーむ、小春の友人、あなどれない……。 ※背景、部室 ※部長、表示 慎太郎「失礼しまーす」 部室に入ると、いつものように画面と睨めっこをする部長に出迎えられた。 部長 「あら、遅かったわね」 慎太郎「なんだかそれ、恒例の挨拶みたいになってますね」 部長 「フフ、貴方が遅刻ばかりするからよ」 部室には、部長と小春の2人だけ。小春は机に座って、懸命に作業に勤しんでいた。 慎太郎「チカはどうしたんです?」 部長 「それは私の台詞よ。貴方、同じクラスでしょうが」 慎太郎「さあ。午後の授業が終わったあと、ふらふらっと廊下に出て行くところは見ましたけど」 部長 「あー……。またサボりね、あのバカ」 合宿以降、チカは来たり来なかったり。 アキ先輩は合宿前と同様に学外活動に忙しい日々を送っているようだ。 部長 「まあ、貴方たちがいれば一応、体裁は保てるからいいんだけれどもね」 慎太郎「そういうもんっすか」 部長 「そういうものよ。それより、慎太郎? シナリオ作りは進んでいるのかしら」 慎太郎「…………フ」 鼻で笑ってやった。 部長 「……なんだか、無性に腹立つわね」 慎太郎「まったく、誰に向かってものを仰っておるのだか。これをご覧ください」 部長 「何かしら……あら」 慎太郎「シナリオ構想と、出だしを少々、肉付けしてみました」 部長 「あらあら、意外に頑張っているのね」 慎太郎「だから、俺を誰だと思っているんです。エロゲ創作部の部長に見初められた人間ですよ?」 部長 「フフ、そうだったわね。それでは、さっそく拝見させてもらおうかしら……」 部長 「……………」 慎太郎「……………」 部長が原稿に視線を落とすと同時に、室内に沈黙が降りる。小春のペンを動かす音だけがやたら大きく響いた。 多少粋がってみたところで、自身の文章が読まれるこの瞬間は緊張する……。 部長 「……………」 慎太郎「……………」 部長 「……………うん」 しばらく経ったのち、部長が顔を上げる。 部長 「なかなかいいじゃない。けっこう面白いわよ」 慎太郎「ほ、本当ですかっ!?」 部長 「嘘ついてどうすんのよ。つまらなかったらつまらないって言うわよ、私は」 慎太郎「お、おおっ!?」 普段文句しか言わない部長だけに、褒められる気持ちよさは格別だ。 俺は有頂天になった。 慎太郎「な、直木賞狙えますかね……?」 部長 「狙える狙える。これで貴方も一流作家の仲間入りね」 慎太郎「ベストセラーも夢じゃない……?」 部長 「印税、がっぽがっぽよっ。億万長者、妬ましい!」 印税……、働かなくてもお金が入る夢のシステム。素晴らしい。 部長 「……こほん。そんなことより慎太郎? 今度は学園ものなのね。前作とはずいぶん毛色が違うような気がするけれども……」 慎太郎「ベストセラー……売れっ子……」 部長 「……………」 慎太郎「富……名誉……ぐふ。ぐふふ」 部長 「……………」 部長 「……はっ。こ、こらっ、慎太郎。目を覚ましなさいっ!」 慎太郎「ぐはっ。……お、俺は何を……」 部長 「妄想に捕らわれていたわ……」 慎太郎「ほ、頬が痛い……」 部長 「いいこと、慎太郎? この際だから言っておくわよ。富とか、名声とか。そのようなものを求めているのなら、その考えは即刻捨てなさい」 部長 「私たちが作っているのはエロゲよ。しかも、同人。わざわざ読んで評価してくれる人なんて、よっぽどの暇人を除いていないわよ」 慎太郎「う、うぅ……」 わかっていたことだが、改めて事実を突きつけられると胸が痛い。あと、頬が……。 部長 「そんなことより慎太郎、このシナリオについてなのだけれど」 慎太郎「ああ、それ。今回は学園ものにしてみました。まっとうな純愛ものの予定です」 部長 「あらあら。貴方の趣味は陵辱ではなくて? レイプ大好き、触手万歳、調教は正義」 慎太郎「く、人を変態みたいに……。いえ。まあ、好きっちゃ好きなんですけど……今回は合宿の思い出を活かしてって話ですからね」 慎太郎「あの星空を見たあとに、さすがにそんな黒い展開は思いつきませんよ」 部長 「むむ……」 合宿で見た、零れ落ちんばかりの星の海。今回はあれを元にしてシナリオを書く。 シナリオのクライマックスに実際に場面として書いてもいいかもしれない。そんなことを考えていた。 部長 「合宿の成果はあったということね。良くも悪くも……って言ったところか」 慎太郎「……………?」 部長 「学園の純愛ものは、想像しやすい分簡単そうにみえるけど、案外難しいわよ? 覚悟しておくことね」 部長 「ま、今回のシナリオは、出だしとしては及第点よ。この調子で頑張りなさい」 慎太郎「はいっ!」 なんだか気になる物言いだけど、きっと今は気にしないほうがいい。 提出した分は褒められているのだ。今は素直に喜ぶべきだろう。 部長 「フフ、貴方は大丈夫そうね。問題は……」 部長の視線を追う。 ※部長表示アウト ※小春表示 小春 「……………」 そこには、懸命に作業に勤しむ小春の姿があった。 うーん……。少し、良くないのかも…… ※背景、川原 色々あった合宿、……なんていうとまさに青春を謳歌する学生のようで少しヤキモキするけれど。 俺にとって、いやおそらく他の部員にとっても同様に、それなりに感慨深いものであったのではないかと思う。 俺たちは合宿を十分に楽しんだし、それに、皆で見上げたあの星空……。 まるで青春ドラマのワンシーンを切り抜いたような、できすぎた情景に部員たちの気持ちは一層強まった。 ……はずだった。しかし、現実はそんなに甘くない。 部活だ部員だなんて言ったって、結局のところ、俺たちは他人なのだ。 部員一人ひとりにひとりにはそれぞれの生活があり、考え方があり、事情がある。 一日や二日寝食をともにしたところで、その事実が消えることなんてなく……。 要するに、合宿を経たあともエロゲ創作部の現状は変わらなかった。 アキ先輩は相変わらず部室に顔を見せず、部長はただひたすらまるでそれが義務だと言わんばかりにエロゲの攻略に勤しんでいる。 いや、変わらないどころか悪化したのかもしれない。 それがとりわけ顕著なのがチカだ。 合宿前は、活動らしきものは一切せずとも部室には毎日顔を出していた。 しかし、合宿後はそれすらも危うい、しばしば部活をサボる行為に及んでいる。 自分で言うのもなんだが、俺の作業は絶好調。合宿の成果か、すらすらと文章が頭の中に浮かぶ。 以前回のシナリオ作りの苦悩が嘘だったかのように、思い通りの言葉がまるで魔法のように原稿に書き出された。 「素晴らしい記憶がシナリオを作る。 部長がどこまで考えて合宿を催したのかはわからないが、少なくとも俺にとっては効果は覿面だった。 ※小春表示 小春 「……………」 そして、小春にとって合宿は……。 慎太郎「なあ、小春。最近ちょっと根詰めすぎなんじゃないか……?」 小春 「……………」 自分に課せられた合宿の課題を上手くこなせなかったのが、よほどショックだったのだろう。 何も言わなくても、その顔がすべてを物語っていた。 ……小春の気持ちは、なんとなくわかる。 エロゲ創作部は……まだいろいろとぎこちはないけれども、俺たちの居場所になりうる場所だ。 居場所。つまり、自分が必要とされる場所。 簡単なようで……きっと、これを手に入れることは、とても難しい。 俺も小春も、嫌と言うほどそのことを味あわされてきた。 慎太郎「絵が描けなくて焦る気持ちはわかるけどな」 慎太郎「そのためにおまえが身体を壊したら意味ねえよな」 きれいごとその一。 慎太郎「最初から文句なしの絵を描けることなんて、誰も期待してねーよ」 きれいごとその二。 慎太郎「無理せず、小春のペースでだな……」 小春 「…………(じー)」 ……う。 小春は立ち止まり、はっきりと責めるような視線を俺に向けていた。 慎太郎「な、なんだよ……」 小春 「別にー」 再び歩き出した小春の背中を急いで追う。 沈みかけた太陽が、小春の肩を赤く染めている。 慎太郎「と、とにかくだな!」 小春に追いついた俺は、自身の主張を繰り返した。 慎太郎「無理はすんなよっ。根を詰めすぎて体調崩したりしたら元も子もないんだからなっ」 小春 「…………慎太郎ちゃん」 再び、ジト目を俺へと向ける。 慎太郎「な、なんだよ……?」 小春 「本気で言っているの? それ」 慎太郎「……む。本気だっつーの、俺はおまえが心配で……」 小春 「例えばね」 小春 「慎太郎ちゃんが私の立場だったら、どうする……?」 慎太郎「……むむ」 口先だけの軽々な俺の言葉は、しっかりと見透かされていた。 そりゃ、必死になるさ。 エロゲ創作部で必要とされているのは、俺……じゃない。 俺が作るもの。成果、技術、能力……。 本当にエロゲを作ろうとするなら、きっとそうあるべきなのだ。 小春 「アハハ、……黙った」 慎太郎「…………く」 ……クソっ。言いくるめられた。小春のくせに……。 どうにも合宿以来、小春の考えていることが以前のように読めない。 なんだ、俺? もしかして意識してんのか? あの時、俺は小春と…… やめやめ。考えるな。 慎太郎「とにかく! 無理は禁物だ! おまえって、思いつめて自滅するタイプなんだからな」 慎太郎「俺は心配しているんだからな。わかってんだろうな」 小春 「うん。知ってる」 慎太郎「なんだ、それ……」 思ったより、平気なのか……? クソ、全然わからん……。 いつも一緒だったはずの小春が、遠く感じる。 なんだか、調子が狂う。クソ…… ※小春表示アウト ………。 ……。 …。 ※背景、廊下 その日、珍しく部長を学生棟で見かけた。 慎太郎「部長、なにしてるんすか」 ※部長表示 部長 「あら、慎太郎」 声を掛けられ、初めてこちらに気が付いたようだ。 部長 「何って……授業が終わって、これから部室に向かうところよ? 貴方こそ、今日は初花さんは一緒ではないのね」 慎太郎「ん、多分アイツはもう部室にいるんじゃないですかね。俺も今から向かうところです」 部長 「あらあら、じゃあ一緒に行きましょうか」 慎太郎「はいっ」 部長 「フフ……」 部長と並んで廊下を歩く。 小春以外の女子と2人っきりで廊下を歩くなんて初めての経験であるが、不思議と緊張なんてものはなかった。 慎太郎「部長、ちゃんと授業受けているんですね。なんか、意外」 部長 「なによ、それ。私だって学生よ? 多少周りよりは年は食っているけれど……授業くらい、しっかりと受けるわよ」 慎太郎「そりゃあ、そうなんですけど……俺、部室以外で部長を見るの初めてだし」 部長 「ん」 慎太郎「てっきり俺、部長は学校にエロゲをしに来ているものかと……」 部長 「むむ……、失礼ね!」 ほんの些細な軽口ではあるが、半分は本音。 部長には、そのくらいのでたらめさがあってちょうどいい。 慎太郎「あれ、違うんですか?」 部長 「むむ……。まあ、否定はしないけれどもね。授業なんて、出ても出なくても一緒だわ」 慎太郎「……同感です」 部長 「あら、そんなこと言って。フフ、二代目『学園の主』……貴方に襲名してもらおうかしら」 慎太郎「そ、それは……」 部長 「なかなか気分はいいわよ? 皆の注目度、抜群。目立ちたがり屋にとってこれほど名誉なこともないわね」 慎太郎「できれば、もっと普通の目立ち方をしたいです……」 部長 「フフ、そうね。これでけっこう、不便なことも多いものね」 部長 「クラスの子、みんな年下ってのもなかなかやりづらくて……教室に居場所がなくって嫌になっちゃうわ」 慎太郎「居場所……。部長にもそんな悩みがあるんですね。意外というか……」 部長 「そらそうよ。もう、頭痛くなっちゃうわね」 そんな言葉とは裏腹に、部長は快濶に笑った。 誰しもきっと悩みの一つや二つくらい持っている。大切なのは、それとどう向き合うかなのだろう。 部長の場合、笑って受け流す。それくらいの強さを持った人なのだと思う。 慎太郎「部長くらい、図々しい精神があればなぁ」 部長 「……ん? 何よ、図々しいって。いえ、それより慎太郎。何か悩みごとでもあって?」 慎太郎「いえ、俺じゃなくて……小春……」 部長 「ああ……。初花さん」 小春の調子がおかしいことは部長も気が付いていたのだろう。 立ち止まり、顎に手をあて、神妙な顔つきでこちらを覗う。 部長 「初花さん、やっぱり絵が上手く描けないことを気に病んでいるの?」 慎太郎「それは、そうなんですけど……小春の場合は、それ以前の問題というか……」 部長 「……………?」 慎太郎「アイツのことだから……いろいろごちゃごちゃと考えていると思うんですよね」 慎太郎「自分は絵だけが取り柄で、だから必要とされている。絵が描けなければ、エロゲ創作部にいる意味はない」 慎太郎「多分、そんな感じに。アイツにとって、自分が必要とされる場所は、何よりも大切なものだろうから……」 部長 「ふぅん……」 少しの沈黙のあと、部長が口を開いた。 部長 「んー……。多分それ、違うわね」 慎太郎「………え?」 部長 「フフ。貴方はもう少し、女というものを勉強すべきね。初花さんはきっと、貴方が思うほど弱くないわ」 慎太郎「そう……、でしょうか」 部長 「とにかく、私たちにできることは初花さんを信じてあげることだけだわ。そうでしょう?」 部長 「フフ、少し立ち話が過ぎたわね。さ、早く行きましょ」 慎太郎「……………」 ※部長表示アウト 再び歩き出す部長の背中を見つめながら、俺は、思った。 部長は知らないのだ。小春は、部長ほど強くない。 触れただけで壊れてしまいそうな、そんな脆くて弱々しい、小春の背中を部長は見ていない。 だから……。 ………。 ……。 …。 ※背景、公園 小春 「それでね、お父さんったら。おかしいんだよー」 俺に向ける小春の言葉は、いつも快活で、色とりどりの表情に溢れていた。 小春 「会社と家の電話番号間違えちゃって。私に向かって『いつもお世話になっています』なんて言うの」 慎太郎「ハハ、そりゃおかしいな。それで小春はどう答えたんだ?」 小春 「『自覚があるなら少しは家事を手伝いたまえ』って言ったらお父さん、電話先でキョトンとなっちゃって。私、噴出しちゃった」 慎太郎「ワハハ。そんときの親父さんの顔、見たかったな」 中学生にしては素朴すぎる会話。小春の気質もあるが、それ以上に、それしかできない事情があった。 小春 「えへへ、それでね」 慎太郎「うん、うん」 会話の間に、適当な相槌を挟む。胸のうちに湧き出る感情を必死で隠すが、きっと、小春も気が付いている。 小春はボケてはいるが、バカではない。気が付いているが、気が付かないフリをするしかない。 俺たちの関係はそんなものだった。 ………。 ……。 …。 ※背景、教室 誰もいない放課後の教室。 午後のホームルームが終わると同時に一斉に学生が散った教室で、小春は一人、椅子に座ったままだった。 俺はそんな小春の背中を、ただ、ただ、見つめているだけ。 慎太郎「……小春。帰るぞ」 小春 「あ……。うん!」 声をかけると、惚けたような表情のあと、弾けるような笑顔を見せた。 胸が、痛い。小春の顔を直視できない。どんな汚い罵倒で責められるよりも、小春の笑顔が、痛い。 慎太郎「あー……。今日は悪かったな」 小春 「……………?」 慎太郎「いや……なんとうか、その、かまえなくて」 小春 「……………。……ううん、慎太郎ちゃんは何も悪くないよ」 小春 「それより、早く帰ろ? って、わ、もうこんな時間。全然気が付かなかったっ」 慎太郎「……ああ。そだな」 荷支度をする小春を背に、教室のドアへと手をかける。 小春 「私が悪い……のかな……」 背中で聞こえた小さな呟きに、俺は必死で耳を塞いで。 視線の先にいたのは2人の女生徒。 知った顔だ。一方に付き添うように立っているのは先日会った小春の友人…… 確かルイと言ったっけ? ルイ 「(しっ)」 口元に一指し指を立てている。知らないフリをしろってことか。 ルイの隣に立つ生徒、この人は…… ユキ 「お久しぶりです、『学園の主』先輩?」 部長 「フフ、この学校の主は貴方でしょう? 『生徒会長』どの?」 そうだ、生徒会長。 確か、始業式の日に壇上で挨拶していたのを見た覚えがある。 ユキ 「最近学校に来られているという噂は伺っていましたが……本当だったんですね」 部長 「ええ、おかげさまで」 ユキ 「三年生の教室に幽霊が出るってもっぱらの噂ですよ。学生が怖がっています」 部長 「ふん、怯えるやつは勝手に怯えさせておけばいいのだわ」 ユキ 「ハハ、そうはいきませんよ。校内の治安を守るのが、生徒会の仕事ですし」 部長 「……へえ。言うようになったじゃない。あの、キャンキャン泣いてばかりいた小娘が……」 ユキ 「…………っ!」 部長と生徒会長の間に、険悪な空気が流れる。 ※部長表示アウト ルイ 「(おもしろくなってきたねー!)」 慎太郎「(いやいやいや……)」 そんな2人をよそに、小春の友人は目を爛々と輝かせていた。この人…… ※部長表示 部長 「……………」 ユキ 「……………」 部長 「……さ、慎太郎、行きましょ。ごめんね、ユキ。あいにく私たちは忙しいのよ」 慎太郎「あ、部長っ。待ってくださいよっ」 ※部長表示アウト 歩き出す部長の隣に慌てて並ぶ。 ユキ 「……その子が新しいオモチャってわけですか、真冬先輩」 部長 「…………っ」 ※部長表示アウト 背中に吐き捨てられた生徒会長の言葉に、部長の顔が歪むのがわかった。 ………。 ……。 …。 慎太郎「それで、なんだったんですか、さっきの」 ※部長表示 部長 「さあ……。なんだったのかしらね」 慎太郎「はぐらかす気なら、別にいいんですけど」 部長 「そういうつもりはないのだけれど……ま、そのうち、ね」 慎太郎「……………」 ※部長表示アウト 気にはなったが、これ以上深入りするのは気が引けた。 部長の気持ちを慮って……というより、あまり関わりたくないというのが本当のところ。 他人のいざこざに関わりを持ってもろくなことはない。 部長 「……ったく。今日は厄日ね。さっさと部室でエロゲを……ん?」 部室のドアへと手をかけて、部長の動きが止まる。 ※部長表示アウト チカ 「だから――――、でねっ?」 アキ 「あ、じゃあ―――、―――はどうだ?」 チカ 「アキ先輩、それいいねっ」 小春 「よ、よくないよぅ!」 ※部長表示 部長 「あらあら。なんだか、盛り上がっているわね」 慎太郎「珍しい……なんて言っちゃダメか」 ※部長表示アウト 扉越しに聞こえてくる小春とチカとアキ先輩の声。 部長がドアを開けると同時に、中の会話が完全に伝わってくる。 ※背景部室 ※チカ表示 チカ 「んー、やっぱりポーズが悪いんじゃないかな? もっとこう、こんな風に大胆に……」 ※小春表示 小春 「わっ。チカちゃん、パ、パンツ見えちゃうよっ」 チカ 「えへへ、わざと見せてる。なんならパンツの中も……」 小春 「わわ、脱がなくていいよ! それ、セクハラだからね!?」 ※アキ表示 アキ 「どうにも、肉付きが悪いんじゃないか? もっと柔らかそうな線で……あ、そうだ。参考に私の胸でも触ってみるか?」 小春 「え、ええっと……ええ!?」 アキ 「遠慮するな、ほら、心行くまで触っていいぞ?」 小春 「あ、柔らかい……じゃなくて! あ……、アキさんまで悪乗りしないでくださいっ!」 チカ 「アキ先輩ずるいっ。小春ちゃん、チカの乳も揉んで」 小春 「わっ……!?」 アキ 「わはは、無い胸を揉めとは、そりゃ無理難題ってやつだろう」 チカ 「無い胸ってゆーな!!」 ※全員表示アウト ※背景廊下 ……とんでもない会話だった。 ※部長表示 部長 「ハア……。まったく、アイツ等……いったい何をしてるのよ」 部長 「慎太郎、ちょっとここで待ってなさい」 慎太郎「は、はい……」 ※部長表示アウト ※背景部室 ※部長表示 部長 「貴方たち、部室で何してるのよ。卑猥な行為が許されるのは二次元だけよっ」 ※チカ表示 チカ 「お、部長。部長も小春ちゃんの絵の特訓に協力する?」 アキ 「私たちがモデルになって、初花の技術向上に人肌脱ごうって作戦だ」 部長 「特訓……? ああ、それで……」 チカ 「えへへ、部長たるもの、部員のために尽くさなきゃね。ほら小春ちゃん、部長の生おみ足っ♪」 部長 「ちょ、チカ……きゃっ」 チカが手を振り上げると同時に、舞い上がる部長のスカート。 そして当然、露になったのは部長の…… ※小春表示 小春 「わ、部長さん……」 ※部長表示アウト ※アキ表示 アキ 「おおっ!!」 ※チカ表示 チカ 「あはっ。なかなか可愛いもの履いているじゃないですか、部長♪」 小春 「こくこく(///)」 アキ 「いやぁ、目の保養、目の保養。チカ、良い仕事だ、褒めて遣わす」 チカ 「えへへ、それほどでもぉ」 ※全員表示アウト ※部長表示 部長 「………………」 ※チカ表示 チカ 「あ、部長。もしかして……怒ってる?」 部長 「……………チカ。ちょっとこっち来なさい」 チカ 「えっと……チカ、ちょっと……すごく、行きたくない……」 部長 「いいから、早く」 チカ 「……………はひ」 部長 「フフ、小春ちゃんに協力してたのよね? 別に怒ってなんかいないわ。でも……」 部長 「覚悟、できてんでしょうね?」 チカ 「か、覚悟なんてそんな滅相もな……ギャッ!? いったあああああああああいっっ」 ※チカ表示アウト 鈍い音が部室に響くとともに、チカが頭を抑えて地面へしゃがみこむ。 部長 「アキ、初花さん……? 貴方たちも、同罪よ。さあ、こっちへいらっしゃい」 ※小春、アキ表示 小春 「ヒィ……」 アキ 「むむ……」 室内に、二度の重低音が響き渡った。 ※全員表示アウト ………。 ……。 …。 ※部長表示 部長 「さて、と。フフ……、全員揃ったのは久しぶりね」 ※部長表示アウト ※小春表示 小春 「うう……私、なんにもしてないのに……」 ※アキ表示 アキ 「真冬の愛が重い……」 ※チカ表示 チカ 「年増のくせに乙女ぶっちゃって……うぅ、頭ガンガンする」 ※全員表示アウト ※部長表示 部長 「そこ、うるさい! グズグズ言うな!」 ※チカ表示 チカ 「……年増」 部長 「あん? なに、また殴られたいの?」 チカ 「……ごめんなさい、なんでもないです」 ※全員表示アウト チカが黙って頭を垂れる。先ほどの鉄拳がよほど応えたのだろう。 だけど、チカ。俺はおまえの勇姿を忘れない。 部長のパンツ……良いものをみた。 ※部長表示 部長 「慎太郎、何をニヤけているのかしら……?」 慎太郎「あ、いえ……」 慌てて取り繕う。断じて俺はあんな鉄拳を食らいたくない。 部長 「はあ……。……とにかく。 久しぶりに部員全員集合ね!」 部長 「アキ、チカ。アンタら、サボりすぎ」 ※部長表示 ※チカアキ表示 チカ 「えへへ」 アキ 「すまん……」 ※チカアキ表示アウト ※部長表示 部長 「別に褒めても責めてもないわよ。そんなことより、せっかくの機会、話があるのよ」 部長 「委託販売の目処が立ったわ。今後の流れ次第だけど……コミケで販売もできるかも」 慎太郎「……………」 ※アキ表示 アキ 「……………」 ※アキ表示アウト ※チカ表示 チカ 「……………」 ※チカ表示アウト 部長の突然の提案に、思わず皆、黙り込む。 そんな中、小春が一人、首を傾げるように疑問符を上げた。 ※小春表示 小春 「え、えっと……?」 ※部長表示 部長 「あ、そうね、初花さんには説明が必要かしら」 部長 「簡単に言うと、私たちが作ったゲームを売りましょうって話よ」 小春 「ふぇ……」 ※小春表示アウト 簡単に言いすぎだと思う。というか…… 慎太郎「コミケって……冬ですよね?」 部長 「何言ってるのよ。夏に決まっているじゃない」 慎太郎「あー……」 やっぱり……。無茶苦茶だ、この人……。 ※アキ表示 アキ 「……待て待て待て。合宿の件もそうだが、真冬、おまえはいつも急過ぎる」 部長 「フフ……、アキ? 部長と呼びなさい。納期は七月の末、まだまだ2ヶ月以上あるわよ?」 アキ 「バカ、あと2ヶ月しかないの間違いだ。できるわけがない」 部長 「あらあら、アキ、弱気ね……。それとも」 部長の口元が厭らしく釣りあがる。 部長 「今回も反論してみる? もう予定が入っているから無理」 部長 「いいわよ? 私は……そっちの方が、アンタらしい」 アキ 「……………くっ」 ※アキ表示アウト アキ先輩が黙り込んだ。部長は、本当に人の弱みをつくのが上手い。 しかし、今回ばかりは俺もアキ先輩と同じ心情だ。あと二ヶ月……できるわけがない。 ※チカ表示 チカ 「んんー……。チカは特にやることないからいいんだけど……やっぱり厳しいんじゃないかな?」 部長 「あら、アンタも消極的なのね。厳しいってどういうことかしら」 チカ 「だってまだ、完成どころか全くの手付かずの状態でしょ? あと二ヶ月で完成させられるとは思えない……、かな」 チカ 「チカはともかく……木崎くんや小春ちゃんの負担が大きすぎるような……」 部長 「アハッ。そんなこと、アンタが気にすることじゃないわね。だいたい、アンタ」 部長 「チカはともかくって物言いが滑稽よ? アハハ、指を加えて皆を眺めるのが貴方のポジションだと認めているわけね」 チカ 「……部長。もしかして、喧嘩売ってる……?」 部長 「さあ、どうかしら……。アンタ次第だわ」 チカ 「……………」 ※全員表示アウト 喉に詰まった言葉を噛み殺すように、黙り込むチカ。 アキ先輩もチカも、俺の知らない、なにか事情のようなものがあるのかもしれない。 しかし、一歩引いて見れば明らかだ。 部長の言葉はあまりに、演技がかっている。わざと挑発して、皆を奮起させようとする意図がありありと見て取れた。 つまり、部長は……。 ※過去シーン ※部長表示 部長 「私はエロゲを完成させたいの」 ※部長表示アウト ※過去シーン終わり 案外……。 俺がすべきことは、簡単なことかもしれない。 慎太郎「それで。具体的に俺は何をすればいいんですか」 ※部長表示 部長 「そうね、貴方のすることはシナリオを書くことだけ。6月いっぱいまでに仕上げてちょうだい」 慎太郎「わかりました。……やってみます」 部長 「良い返事だわ。慎太郎、貴方は問題ないわね。合宿の成果……期待してるわよ」 慎太郎「……はい」 ※部長表示アウト やれることをやるだけだ。だって、俺にとってここは……。 ※小春表示 小春 「……………」 ※部長表示 部長 「さて、初花さん。貴方はどうかしら? やる気ある?」 小春 「はい、……あります」 部長 「……聞くまでもなかったわね。最近は一番先に部室に来て、絵の特訓をしていることは私も知っているわ。けれども……」 部長 「貴方の場合、やる気以前の問題ね」 部長 「エロゲ製作の作画担当がエロ画を描けないんじゃ話にならない。言っている意味……わかるかしら」 小春 「……………」 部長 「部室はこんなに狭いのだもの、役割を果たせない人間を置いておく場所なんてないわ」 部長 「猶予をあげる。今月いっぱいまでに自身が納得できるレベルの作画を仕上げなさい」 部長 「もし、描けそうにないのなら早めに言ってちょうだいね。無理に貴方に描かせるつもりはない……別の人間を探さなきゃいけないから」 慎太郎「な……っ。ぶ、部長っ!」 思わず、叫び声を上げた。 部長は小春を奮起させようとしている。おそらくそうだ。 ……だけどこれは、言いすぎ。さっき俺が話した内容を忘れたのか。 慎太郎「小春は努力してます。もっとマシな言い方があるでしょうっ」 部長 「あら、私は事実を言っただけよ? 努力しても描けないんじゃ、仕方ないじゃない」 慎太郎「な……、だ、だからってそんな」 小春 「……………慎太郎ちゃん」 ※全員表示アウト 俺の抗議の声は、小さな呟きによって遮られた。 ※小春表示 小春 「部長さんを怒らないで。私が悪い……。だから、いいの」 ※全員表示アウト ※過去シーン始まり ※背景黒 ……………。 ……………。 教師 「この子が木崎くんです」 教師 「ああ、この子が……いや」 教師 「君が慎太郎くんだね。キミに会える日を心待ちにしていたよ」 教師 「キミもいろいろ大変だっただろうけど……忘れてしまいなさい」 忘れる………? 教師 「新しい環境に慣れるのには時間もかかるだろうが、ここにはキミの過去を知る人はいない」 教師 「今を精一杯楽しむこと、それがキミの仕事だよ、慎太郎くん」 慎太郎「……………」 いい先生だと思った。俺のことを……一人の人間として、子供扱いしないで語りかけてくれている。 教師 「ハハ、そんなに緊張するもんじゃないよ。じゃあ教室に行こうか」 慎太郎「はい……ごめん、なさい……」 だけど、俺は…… ………。 ……。 …。 ※背景、教室 教室に入ると、ざわついた空気が耳をついた。 教師 「おい、みんな静かにしろ。今日は皆に嬉しい知らせがある」 ……………。 ……………。 教師が壇上に立つと同時に、騒いでいた生徒が一斉に静まった。 いいクラス……なんだろう。皆、真面目で切り替えがきく、頭のよさそうな印象を受けた。 教師 「まあ、なんだ……? 見ればわかると思うが、転校生だ。ほら、慎太郎、自己紹介」 慎太郎「……………」 クラスメートの視線が集まる。 その目に悪意などない。純粋な……時期はずれの転校生に向ける、ごく一般的な好奇の視線。 わかっている。きっと他意はない。責められているわけではない。そんなこと、わかっている。 慎太郎「お、俺……」 背筋に汗が流れるのがわかった。 心の芯が凍てついて、震えている。自分の声がまるで、他人のもののように感じられた。 慎太郎「あ……あの…………あ……」 何か言わなきゃ。何か……何か。 これからここで、新しい生活を始めるのだ。初めが肝心だ、クラスメートに自分のことを知ってもらう…… 慎太郎「……………っっ」 とたん、胸から込み上げて来るものを感じた。 朝食べたものを全部、吐き出してしまいたい衝動を必死でこらえた。眩暈がする。自身で立っている感覚すら危うい。 教師 「あー、あー、緊張しちゃって」 教師 「みんな、コイツの名前は木崎慎太郎だ。見ての通り、ちょっとシャイでな。まあ仲良くしてやってくれ」 教師の助け舟とともに、教室の空気が和らいだ。 俺はただ呆然と立ち尽くしていただけ。それにも関わらず、クラスメートは暖かい視線を送ってくれた。 教師 「慎太郎、キミの席はあそこだ。窓際の特等席だぞ」 教師 「おい、美鈴。慎太郎はまだ教科書持ってないから、見せてやってやれよ」 学生 「はーい」 促されるままに席へと向かう。 小春 「……………」 一瞬、教室の後方に座る女の子目があった。くるりと愛らしい、その瞳。……見覚えがある。 慎太郎「小春……」 それっきり、その日、彼女と目が合うことはなかった。 ………。 ……。 …。 ※背景、小春宅 すっかりと忘れていたが、こうして来てみると確かに見覚えがあった。 簡素ではあるが、豊かさを感じさせるリビング。 三年前、俺は毎日ここでいつも小春と遊んでいた。 小春父「慎太郎くん、久しぶりだなぁ。おじさんのこと覚えている?」 慎太郎「……はい、おじさん」 小春のお父さん。気さくで陽気で、いつも優しい人だったという記憶がある。 少し肥えて丸くなってはいたが、かえって昔の印象と重なり、しっくりと来た。 小春父「はは、慎太郎くんはだいぶ大きくなったな。あ、小春とはもう会ったかい?」 慎太郎「……………」 小春父「ああ、そういえば慎太郎くんは小春と同じクラスだったね。どうだい、新しいクラスにはもう慣れたかい?」 慎太郎「……ぼちぼち、です」 小春父「そうかそうか。まあ、焦ることはない。ゆっくりやっていけばいいさ」 小春父「小春と遊んでやってくれないか、多分、部屋で待ちわびてる。おじさんはちょっと木崎さんと話があるから……」 慎太郎「………はい」 リビングを出ようとする俺の背中に、おじさんが声をかける。 小春父「また……、昔みたいに仲良くしてやってくれ。小春のやつ、慎太郎くんがいなくなってからずっと寂しそうにしてたぞ?」 小春父「私も同じだ。我が家だと思って、いつだって遊びにきてくれて構わないからな」 慎太郎「……………」 慎太郎「ありがとう、ございます」 ※背景、黒 小春宅にくるのは久しぶり……とは言っても、案外覚えているものだ。 通い慣れた階段を登りきり、小春の部屋のドアを叩く。 小春 「入っていいよ……」 ※背景、小春の部屋 そこには、かつての遊び場が……、広がっていた。 何一つ変わっていない。俺がここを離れてから……その時と同じ風景がそこにあった。 小春 「慎太郎ちゃーん、久しぶりだよぅ!」 部屋に入ると同時に抱きついてくるコイツも……。 ※過去シーン終わり ………。 ……。 …。 ※背景黒 慎太郎「……………」 慎太郎「………全然、筆が乗らない」 ……休日。一日中シナリオに取り組んで、一気に作業を終わらせてやる。 そう意気込んだ俺は、そうそうに筆を投げた。 慎太郎「……外、いこ」 気分転換って、大切。 ※背景、商店街 なんともまあ、ご都合主義というか。 桜見町唯一の商店街にて見知った姿を見かけ、俺は声をかけた。 慎太郎「部長、チカっ」 ※部長チカ表示 チカ 「おろ?」 部長 「あら……」 二人は休日だというのに制服姿だ。 何か事情があるのかもしれないし、拘りがあるのかもしれない。そういうことにしておこう。 慎太郎「2人してどうしたんですか? 仲良くお散歩中?」 部長 「んん、お散歩というか……ちょっと街に用があってね。駅に向かっているところよ」 チカ 「えへへ、私たち、これからゲーマーズに行くの! 欲しいゲームがあってだね……」 慎太郎「華の女子高生が、ゲーマーズ……」 部長 「わ、私はチカに付き合って嫌々行くだけよ」 チカ 「うっそだー。頼んでもないのに、ノリノリで付いてきたくせにぃ」 部長 「あ、こら、デタラメなこと言うんじゃないわよっ」 慎太郎「……………」 部長 「……何かしら、その疑わしげな視線は。何か言いたいことでもあって?」 慎太郎「いえ、別に……。それにしても」 意外な組み合わせだ。 休日に部員が何をしているのかなんて考えたこともなかったが、案外、俺の知らないところで仲良くしているのか? チカ 「ああ、木崎くん知らなかったか。チカたち、一緒に住んでるの」 慎太郎「……へ?」 部長 「正確には、私の家にチカが居候しているのだけれどね。……親戚なのよ、私たち」 慎太郎「え……と、それは……」 突然突きつけられた新事実に返す言葉を失う。というか、親戚というにはあまりにも……そもそもチカ、ハーフだし。 チカ 「木崎くんは何をしてたの~?」 慎太郎「え、……ああ。シナリオ作りの気分転換に散歩を……」 部長 「フフ、ちゃんと作業に取り組んでいるのね。偉いわ、慎太郎」 チカ 「えへへ、じゃあ……木崎くんも行く? ゲーマーズ」 部長 「アンタってば、本当に台詞に脈絡が無いわよね……」 チカ 「えへへ、それほどでも~」 部長 「褒めてないわよ」 慎太郎「えっと。行っても……いいのか?」 チカ 「もちろん! 部長と2人っきりなんてチカ、息詰まりそうだったの。木崎くんが着てくれると助かるよー」 部長 「アンタねぇ……」 なんという、思いがけぬ展開。 部長 「ま、部員同士の交流にはいい機会だわね。慎太郎、来るでしょう?」 慎太郎「あ、はい……! 行かせて頂きますっ」 チカ 「わーい、やったー!」 願ってもない誘いだった。悩むまでもない、ぜひぜひ着いていかせてもらおう。 休日に小春以外の人間と遊ぶなんて、初めての経験だ。情けない話だが、少しだけワクワクした。 慎太郎「ところで、ここらへんにゲーマーズなんてありましたっけ?」 部長 「あるわよ? 電車で、二時間のところに」 慎太郎「………うげ」 チカ 「アハハ、木崎くん、良い反応っ」 前言撤回。あまりに安請け合いしすぎたかも……。 ※全員表示アウト ………。 ……。 …。 ※背景、黒 部長 「慎太郎、オタクショップは初めて……?」 部長 「フフ、まあ仕方ないわよね。こんな極小産業のショップなんて、都市部にしかないものね」 部長 「いいこと? 店内に入る前にいくつか、伝えておくべきルールがあるわ」 部長 「その1、非オタは立ち入るべからず」 部長 「思い入れのある作品もなくて、この聖域に入ろうだなんておこがましいにも程があるわね。まあ、この点は貴方はなんの問題もないでしょうけど……」 部長 「くれぐれも、店内で私たちに親しげに話しかけてはダメよ? ルールその2に抵触する恐れがあるわ」 部長 「私だって、貴方とここに来るのには抵抗があったのよ。異性といっしょにゲーマーズなんて……本来なら、死罪だわ」 部長 「オタク趣味とはもっと高潔な……あ、チカ、待ちなさいっ。まだ、話が終わってないわよ……!」 部長 「こ、こらっ! 待ちなさいってばっ!!」 ※背景、オタショップ そこには煌びやかな光景が広がっていた。 あのキャラやこのキャラがところ狭しと一面を埋め尽くし、キラキラと輝いている。 そんな宝石の輝きを反射するように、お客の目もまた同様にキラキラと輝いていた。 慎太郎「おお、これがオタクショップ……! 思っていたよりずっとキレイな場所だぁ」 ※部長表示 部長 「まあ、ゲーマーズはある程度一般人向けに開かれたショップでもあるから……」 部長 「でも、本当はもっとゴミゴミしているのよ……メロブとか祖父とか……とらのあなは……どうなのかしら」 部長 「だいたい、オタショップはオタクのためのものなのよ、一般大衆に迎合しないアングラさがあって初めて……」 慎太郎「部長、何をぶつぶつ言ってるんですか」 部長 「キレイなんて褒め言葉じゃない、むしろ侮辱よ……他者に受け入れられない汚さが私たちのアイデンティティーであって……」 慎太郎「おーい、部長さーん……?」 部長 「…………は。私は何を……?」 慎太郎「思いっきりスイッチ入っちゃってましたよ?」 部長 「むむむ……」 こういうところを見ると、やっぱり部長もオタクなんだなぁと実感する。 黙ってりゃ美女……そんな容姿に騙されそうになるが、中身は完全にキモオタだ、この人。 慎太郎「独り言に返事するようで悪いんですが……多分、ジェネレーションギャップって奴だと思いますよ?」 部長 「……ん? どういうことかしら」 慎太郎「考えてみりゃ、俺たちと部長じゃ四歳も年が離れていますもん。オタクに対するイメージがたいぶ変わっているんじゃないですか」 慎太郎「ウチのクラスなんか、普通にアニメの話が飛び交ってますし……オタク趣味なんて、わりかし一般的な嗜好だと思いますよ」 部長 「うう、嫌な時代になったものね……」 ※部長表示アウト ※チカ表示 チカ 「部長、木崎くんっ。こっちこっち~」 店の奥から、チカの声が響く。さすがに少し恥ずかしい。 ※チカ表示アウト ※部長表示 部長 「はぁ……。あの、バカ」 慎太郎「ハハ、はしゃいでますね。まあ気持ちはわからないでもないけど」 部長 「さっきの話……参考になったわ。知らず知らずのうちに、私も年をとってたってわけか」 慎太郎「や、なんか偉そうに語っちゃってすいません」 部長 「いいのよ。それにしても……友達いないくせに、ずいぶんとクラスの会話に詳しいのね?」 慎太郎「そりゃいっつも机に突っ伏して聞き耳を立てていますからね。いまやウチのクラスで一番の事情通と言っても……って」 慎太郎「と、友達、いますよっ。いますよ! 友達」 部長 「フフ……いいのよ、慎太郎。教室での貴方の様子はすべて、チカから聞いているわ」 部長 「授業が終わるとすぐに、まるでツライ現実から逃げるかのように机に突っ伏し睡眠体制、もしくは教室からの逃亡」 部長 「特に体育の授業での貴方の顔色は素晴らしいそうね。まるでこの世の絶望をすべて体現したような空ろな瞳で……」 慎太郎「やめて……もう、やめてやってください……」 とんだ薮蛇だった。……というか、チカ。余計なことばかりペラペラと喋りやがって! ※チカ表示 チカ 「早く、早く~」 部長 「はいはい、わかったわかった。恥ずかしいからそんなに叫ばないの」 ※全員表示アウト チカに急かされ、足早に奥の棚へと足を運ぶ。 俺たちは、エロゲ創作部。つまり、向かうはもちろん…… ※部長表示 部長 「確かに、オタク趣味なんてものは光の当たる世界に行っちゃったのかも知れないわ。でも、ここは……どうかしら?」 部長に続いて、足を踏み入れたそこ。 棚に並んだそれは、キレイに飾られているにも関わらず、陰気で、卑猥で、卑屈で……。 どうなんだろう? 日の当たらない場所を……俺たちは、望んでいるのだろうか? ………。 ……。 …。 昼休み。例のごとく、無言で教室を抜け出す。……さて、何しよう。 a、シナリオに取り組む b、小春のところへ行く c、チカに話しかける <a> そうだ、俺にはエロゲのシナリオを作るという崇高な目的があるのだ。 教室なんかでくっちゃべってる連中とは俺は違う。……言い訳だけどな、ハハ! ⇒共通へ <b> ※背景、廊下 ルイ 「今日、こはるん休みだよ?」 慎太郎「あ、そう……」 今朝、遅れるから先に行っててとは聞いていたが、まさか休んでいるとは思わなんだ。 アイツ……大丈夫かな? とにかく、アテが外れてしまった。しゃあない、大人しくシナリオ作りに励みますか。 ⇒共通へ <c> いつまでも現実から逃げてどうするよ。せっかくクラスに知り合いがいるのだ、利用しない手はあるまい。 慎太郎「おい、チ……」 ※チカ表示 チカ 「ええ!? そ、それでキミカちゃん、そのあとどうしちゃったの?」 女生徒「ううん……なんにも。私ったら、ちょっと怖気ついちゃってそのまま帰っちゃった」 チカ 「ほっ……。いいよ、いいよ、それが正解。チカ、キミカちゃんがそんな男に汚されちゃったら泣いちゃう」 女生徒「アハハ、チカちゃんったら大げさ~」 ※チカ表示アウト 何この会話、話しかけづらっ! 俺は早々に諦めた。……図書館にでもいこ。 ⇒共通へ <共通> ※背景、図書室 4月に比べ、さらに人が少なくなっている気がする。ウチの学校、文学少年少女は少ないのか。 まあ静かな方が作業に集中できるからいいんだけど。 実は、最近めっきり捗っていない。このままじゃいけないとは思うのだけれど、筆が進まない……。 ※背景、オタショップ ※チカ表示 チカ 「木崎くん、今度のシナリオはどんなのなの? また、陵辱?」 慎太郎「え?」 ※部長表示 部長 「今度は学園純愛もの、だそうよ」 チカ 「ええ~、チカ、木崎くんの陵辱シナリオ、けっこう好きだったのに~」 チカ 「あの歪んだ感じがいいよね……。一方的な支配欲と、なぜか異様に従順な女の子……(うっとり)」 部長 「こらこら、これから書こうって時にあんまりネガティブなこと言わないの」 チカ 「あ。……てへへ、ごめんごめん」 ※全員表示アウト ※チカ表示 チカ 「でも……実際大変だと思うんだよね。チカ、シナリオなんて書いたことないからよくわかんないけど……」 チカ 「純愛って、恋愛経験豊富じゃないと書けない気がするんだよね……って、あ、木崎くんがどうこうって意味じゃないよっ?」 チカ 「それに学園ものってのも、学校生活が充実していない木崎くんじゃ……って、あ、バカにしてるわけじゃないよ!」 ※部長表示 部長 「チカ……アンタ、なかなかズケズケと言うわね……」 部長 「でも言っていることは同感だわね。それに、学園ものってやり尽された感があるわ」 チカ 「んー、難しいよねぇ」 部長 「ま、味付け次第だけれどもね。つまり慎太郎の腕次第よ」 チカ 「えへへ、木崎くん。期待して待ってるよ!」 ※全員表示アウト ※図書室 慎太郎「うぅ、完全に見透かされとる……」 部長もチカもさすがエロゲばかりやってる廃人なだけはある。悔しいが奴らの言っていたことはずばり的中した。 書きたいシーンもシナリオの大筋も決まっている。しかし、そこまでの過程がすっぽりと抜けてしまっている。 慎太郎「純愛ってどうすりゃいいんだよ……」 そもそも、俺は恋愛経験どころか、小春以外の女子とろくに会話すらしたことないのだ。 一般的な男と女がいったいどういう会話をするのか、どうやって仲を深めていくのか。……想像の埒外。 別に一般的な恋愛を書きたいわけではないのだけれど……俺の経験でシナリオ作りの役に立ちそうなもの、ねぇ……。 ………。 ……。 …。 ※背景部室 ※部長表示 部長 「はぁ……」 今日の部活動の面子は三名。俺と部長と、チカ。小春は学校を休んだらしい。 今朝方、小春母から遅刻するという連絡はもらっていたが、欠席していたとは知らなかった。 体調不良のためということだが、実際のところはどうなんだか……。 ※部長表示アウト ※チカ表示 チカ 「……………」 ※チカ表示アウト チカがマウスをクリックする音だけが部室に響く。……なんというか。 ※部長表示 部長 「ああ……」 部長は部長で、先ほどから奇妙な奇声を連呼している。あまり構いたくないが、そういうわけにもいかないよなぁ。 慎太郎「部長、どうしたんですか?」 部長 「いえ……なんでもないのよ」 なんでもないってアンタ、そんなに構って欲しそうに溜息ついてりゃ説得力ない。 ※チカ表示 チカ 「えへへ、部長の代わりに私が答えてあげましょー。小春ちんが学校休んだのを気にしてるんだよね?」 チカ 「皆の手前、厳しい言葉を投げてはみたものの、本心では小春ちゃんが傷ついていないかヒヤヒヤもの。ああ、真冬ってば小心者……」 部長 「うっさいわね、アンタは黙ってエロゲしてなさいよ」 チカ 「だってぇ。からかう相手がいないと気合がのらないんだもんっ」 部長 「むむ……」 チカ 「部長が悪いんだからね? 描けないなら用なしだなんて言うから、小春ちゃん追い詰められちゃったんだよ、きっと」 部長 「な、用なしだなんて言ってないわよ、私はっ」 チカ 「いーや、言ったね」 慎太郎「言いましたね、確かに……」 部長 「うぅ……。た、確かに言ったけれど! あれは本心じゃなくて……」 慎太郎「この際、本心かどうかなんて関係ないんじゃないすっか。小春がどう受け取ったかが問題ですよ」 チカ 「あーあ、可哀想な小春ちゃん……」 部長 「貴方たち……お願いだから、これ以上苛めないでくれる? 素で苦しいんだけど」 チカ 「アハハっ。でも、小春ちゃんはそれ以上に苦しんでいるかもよ?」 部長 「ぐっ………」 ※全員表示アウト 部長が力なく項垂れる。何事にも動じない大人の女性って設定はどこにやら。しっかりしろよ、おい。 ※部長表示 部長 「慎太郎? あの……初花さん、どうな感じだった?」 慎太郎「どんな感じって……まあ、そんな深刻に落ち込んではなかったと思いますけど」 部長 「ほっ……」 慎太郎「でも、わからないですよ。アイツ、感情を内に隠すタイプですから」 部長 「むぅ……」 後から気にするくらいなら最初から煽らなければいいのに……というのは置いといて。 小春の様子が気になるのは、俺も同じだ。ここ最近、少し追い詰められていたようだからなおさら。 慎太郎「そんなに小春が気になるんでしたら、今日、皆でお見舞い行きませんか」 慎太郎「もともと俺一人でいくつもりでしたが、皆で行ったほうがアイツも喜びますよ」 部長 「お見舞い……?」 ※部長表示アウト ………。 ……。 …。 ※背景、川原 高校に入学して一ヶ月弱、いまやすっかり通い慣れた河川敷がやけに新鮮に見えた。 まさか小春以外の女子と通学路を歩くことになるとは。人生ってのはわからない。 ※チカ表示 チカ 「木崎くん達、徒歩で通学してるんだね。家、近いの?」 慎太郎「んー、歩いて15分くらいか。チカは電車か? というか、チカ、部長と一緒に登校してんの?」 チカ 「そだよー。といってもあの人、週3で社長出勤だから、だいたいは一人で登校してるんだけどね」 慎太郎「うわぁ、それはまた……」 チカ 「アハハ、変な人だよねー。木崎くんは小春ちゃんといっしょに登校してるんだよね?」 チカ 「高校生の男女が、一緒に、登下校。なぁに、これ。めちゃくちゃ青春じゃん! いいなぁ」 慎太郎「あー……。俺たちのは別に、そういうのじゃなくて……。なんっつーの、ただの……習慣?」 チカ 「習慣! ずいぶんな言い草だねぇ。やっぱりチカ、木崎くんのこと、嫌いだなー」 慎太郎「………え」 チカ 「えへへ、冗談だよー。なぁに、本気にしてんの」 慎太郎「あ、いや。えっと」 言葉に詰まる。さらりと「嫌い」言われました。いやぁ……、さっきのは冗談と違うだろー。 薄々とは感じていたけど、面と向かって言われると凹む……が、ここで会話を終わらせてしまうのは精神衛生上マズイ。 俺は話を変えることにした。 慎太郎「そいや結局、部長は来なかったな」 チカ 「だねぇ……。あの人のことだから、妙な責任感じちゃってるんだと思うよ?」 慎太郎「……………?」 チカ 「ほら、この前の小春ちゃんへの厳しい言葉。あれ、あの人的には部長としての体裁を取った形の発言なんだよ」 チカ 「優しい言葉だけじゃエロゲは完成しない……チカは部長じゃないから、全部想像だけど、きっとそんな風に考えているんじゃないのかな」 慎太郎「なるほど……」 少しだけわかった気がする。 慎太郎「つまり、部長がお見舞いに行ったら、この前の発言がなあなあになるってことか?」 チカ 「そゆことだね。実際にどうなるかは知らないけど、部長はそう考えているんだと思う」 慎太郎「へー。まあ……部長もいろいろ考えているんだなぁ」 チカ 「えへへ。あの人はいつでも必死だよ。2留してまでエロゲ作ろうっていうんだから……バカみたいだよねぇ」 慎太郎「確かに、もっと別のことに必死になれよってな。まあ俺たちが言えた柄じゃないが」 チカ 「アハッ。そうそう」 チカ 「バカみたいだよねぇ」 ※住宅地 チカ 「ふむ、なかなか落ち着いた場所だねえ」 世間で言うところの中流……(きっとこの言い方は正しくないんだろうけど) そんな、ありふれた一戸建ての住宅が建て並ぶ住宅地。 ここに、俺と、小春の住む家がある。 ※チカ表示 チカ 「ここに、木崎くんと小春ちゃんは住んでいるんだね~」 慎太郎「なんだよ、はしゃいで。そんなに珍しい風景じゃないだろ」 チカ 「うーん、そうだねぇ。なんというか、ほら、他人のプライベートを覗き込むのってワクワクしない?」 チカ 「そこでは普段の教室でのキャラとは違った一面が……! みたいなやつ」 チカ 「だから私、人の家にお邪魔するの好きなんだよねー。今、ちょっと、ワクワク」 慎太郎「よくわからん」 チカ 「木崎くん、友達いないもんね」 慎太郎「……………ぐ」 住宅地と町を繋ぐ公道を抜け、細道へと入る。 規則正しく建てられた住宅の間を、電柱が一定感覚に座標を提示している。 小春の家は、この先三つ目の電柱を右に曲がり、さらにそこから二つ目の電柱の左手にある。 チカ 「アハハ、その覚え方、おかしい」 慎太郎「そうか? なかなか便利だぞ」 チカ 「へっへ。参考にさせてもらおう」 慎太郎「参考ってなんだよ……」 ※チカ表示アウト 途中、犬の散歩中の中年女性とすれ違う。 こちらが頭を下げると、向こうも軽く会釈をして、視線をそむける。 形式的な挨拶。 俺がここに来て以来、一番に覚えた自衛行為。 へらへらと笑顔を浮かべて礼儀を尽くせば、それ以上、不必要な干渉はない。 ……内心はどう思っているのか、知らないけどな。 ※移動演出?(いったん画面を暗くするとか?) 慎太郎「……着いたぞ」 ※チカ表示 チカ 「おお~。ここが小春ちゃんのおウチかぁ」 チカ 「なんだか、小春ちゃんち~って感じがするねっ」 慎太郎「なんだそれ。いや、まあ、わかるけど」 玄関から覗ける庭先には、色とりどりの花が色彩を彩っている。 暖かい家庭。 キレイに掃除された玄関の前に立つだけで、そうした印象が浮かんでくる。 チカ 「木崎くんは、よく小春ちゃんの家にお邪魔しているの?」 慎太郎「いや……実は久しぶり。だからちょっと緊張して……って、あっ」 ※チカ表示アウト 躊躇いなく、チャイムに手を置くチカ。 可愛らしい呼び出し音のすぐのち、インターンホーンごしに人の気配が漂う。 『はい、初花です』 小春の声ではない。母親だろう。 チカ 「ほら、木崎くん早く早く」 慎太郎「て、てめ」 『……? あの……?』 慎太郎「あ、すいません。き、……木崎です」 『あっ! しんたろちゃん!? あ、待って! ガタッ、ガチャンッ!(物が割れる音がした)』 『……ガチャ。……。』 慎太郎「……………」 インターホーンが切られる。 受話器越しで何が起きたのか簡単に想像ができたが、何も考えないことにした。 チカ 「え……どうなったの?」 慎太郎「さあ……?」 直後、ドタバタと足音が響く。 荒々しく開けられた玄関のドアから、懐かしい顔が覗いた。 晴菜 「しんたろちゃん! 久しぶりじゃないっ」 慎太郎「お、お久しぶりです……。はは、おばさんは相変わらずですね」 晴菜 「おばさん言うなー! 晴菜さんって呼びなさいって言っているでしょう!」 慎太郎「はは……」 かれこれ、2年ぶりくらいになるだろうか。 オデコが赤い。おそらく、先ほどのハデな物音の結果だろう。 小春の母、春菜さんは相変わらずだ。 以前会ったときと変わらず、若い。未だに二十台でも通用しそうだ。 というより、制服を着せたら高校生でも通用するんじゃないか、この人。 春菜 「来るなら来るってちゃんと言いなさいよ~。おばさん、何も準備できてないわよ」 慎太郎「準備……?」 春菜 「そうよ、しんたろちゃんが来るなら腕によりをかけて……って」 春菜 「しんたろちゃん……? その子、誰……?」 チカを見て、表情を固くする。 慎太郎「あ、コイツは部活の……」 ※チカ表示 チカ 「山田チカです。木崎くんと小春ちゃんとは、部活動の友人です」 春菜 「あら、礼儀正しい……。私は初花春菜です。小春の母親をしています」 ※チカ表示アウト 春菜 「……じゃなくて」 春菜 「しんたろちゃん。もしかして、小春を見限っちゃった……?」 春菜 「あ、もしかして最近ウチに顔を見せなかったのもそういうことなの……?」 慎太郎「……待て」 春菜 「ああ、哀れな小春。最近調子が良さそうだから安心してたけど……カラ元気だったのね」 春菜 「少しは脈アリかと思っていたけど……こんな可愛い彼女がいたなんて。小春じゃダメね、太刀打ちできそうもないわ」 ※チカ表示 チカ 「木崎くんとはただの友人です。厳密に言うと、ただの部員」 春菜 「あら……そうなの、しんたろちゃん?」 慎太郎「……はい、そのとおりで……」 ……なんだろう、この途方もない徒労感。 チカ 「それで……小春ちゃんのお母さま、あの」 春菜 「むぅ、お母さま……なかなか新鮮でいいわね。でも、春菜でいいわよ。えっと、チカちゃん……?」 チカ 「はい。ではお言葉に甘えて……春菜さん、小春ちゃんの具合はどうですか?」 春菜 「…………?」 春菜さんが、首を傾げる。 ああ、やっぱり…… 春菜 「ああ。あの子、また学校に行ってないの……」 チカ 「あの、それはどういう……? 春菜 「しんたろちゃん、ちょっとこっち」 ※チカ表示アウト 慎太郎「……やっぱり、サボりでしたか」 春菜 「そうみたい。家を出るときは、制服を着て、元気に出て行ったんだけどね」 慎太郎「なかなか巧妙な手を使うようになりましたね、アイツ」 春菜 「あの子……また上手くいってないの?」 慎太郎「いえ、そういうわけでは……。クラスでも上手く友人作ったみたいですし、多分、今回は別の……」 春菜 「ねえ、今回もしんたろちゃんに任せていい?」 春菜 「私が出ちゃうと、あの子、きっと落ち込んじゃうだろうし……」 慎太郎「ハハ、なんて顔してるんですか。春菜さんらしくない」 慎太郎「俺は世話役ですしね。任せてください」 春菜 「……ごめんね。今度、ごちそうを奢らせてちょうだい」 ※チカ表示 チカ 「………………あの」 春菜 「わわっ」 チカの声に、大げさに驚く。 こんな時、やはり春菜さんは小春の母親なのだな、と妙な感心を抱くのだった。 春菜 「なんだか除け者にしちゃってごめんなさい。ちょっと動揺してしまって」 チカ 「……いえ。それで、小春ちゃんは……?」 春菜 「あの子、昔からちょっと、サボり癖があってねえ。どうも、今回もそれみたい」 チカ 「へえ……。あ、あの……、大丈夫なんですか?」 春菜 「フフ、心配はいらないわ。次の日には、たいていケロっとしているんだから」 春菜 「とはいえ、探さないわけにはいかないわよね」 春菜 「チカちゃんも、しんたろちゃんと一緒に手伝ってくれる?」 チカ 「はいっ」 ※チカ表示アウト それにしても、小春が学校をサボるのって久しぶりだな。 春菜 「しんたろちゃん。……頼んだわよ」 慎太郎「あー……まあ、アイツの行く場所はだいたい検討ついてますしね」 慎太郎「とりあえず、任されました」 行方不明の幼馴染を探せ、……か。 まあ、気楽なミッションだ。 いや、気は重い、が。 ※住宅地 小春が学校をサボって行きそうなところ……心当たりは一つしかない。 以前に小春が学校を休んだときも、その前も、小春は同じところで佇んでいた。 ベンチの上で両膝を抱いて、小さく丸まって。 ※チカ表示 チカ 「木崎くん、小春ちゃんが学校をサボることって、前にもあったの?」 慎太郎「ん……。最近はあまりなかったんだけど、中学の頃はまあ、たびたび」 チカ 「ちょっとチカ、意外かも……」 チカは昔の小春を知らない。 今の小春だけを見れば、確かに意外なのかもしれない。 チカ 「私たちが原因なのかな……? えっちな絵を描くのが嫌になっちゃった?」 慎太郎「わからない……。本人を探し出して、とっちめないとな」 チカ 「小春ちゃんの居場所……、心当たりはあるの?」 慎太郎「ああ、そのことなんだがな……」 思わず、言葉を濁してしまう。 俺と小春だけの秘密の場所……。チカに教えてよいものか……。 慎太郎「えっと……」 チカ 「むむ……。もしかしてチカ、お邪魔だったりする?」 慎太郎「そういうわけでは……」 チカ 「……………」 じろりと、チカの青い瞳がこちらの表情を伺う。 慎太郎「……………」 チカ 「……そっか」 チカ 「木崎くんと小春ちゃんは、幼馴染だもんね。2人の方が話しやすいこともあるよね」 チカ 「エヘへ。じゃあチカ、先に部室に戻っているから、小春ちゃんが見つかったら連絡してね」 慎太郎「……すまん。帰りの道はわかるか?」 チカ 「そのくらいわかるよ~。……あ」 チカ 「木崎くん、チカの番号わかる?」 言って、チカは制服のポケットからケータイを取り出した。 そういえば……。 一ヶ月以上同じ部活動の部員をしていて、連絡先すら知らないことに今さら気が付く。 チカ 「……うん、これでよし」 チカ 「いい? 絶対連絡してね? チカ、ずっと部室で待ってるからね」 慎太郎「……わかった。約束する」 チカ 「よろしい♪ それではお邪魔ムシはさっさと退散しますかねぇ」 ※チカ表示アウト くるりと振り向き、俺に背中を向けた。 色素の薄い金色の髪が、日光を受けてキラキラと反射する。 一歩、二歩……。 離れていく背中が、ふと、立ち止まった。 チカ 「エヘへ。やっぱり……悔しいなぁ」 慎太郎「……? どうした……?」 チカ 「いやねぇ。実はチカ、アドレス帳に男の人の番号を登録するの、木崎くんが初めてなんだ」 慎太郎「……は?」 チカ 「ううん、なんでもない。小春ちゃんをよろしく頼むよん」 駆け出す小さな背中を見つめながら、俺は立ち尽くす。 慎太郎「……と。いかんいかん」 今は呆けている場合ではない。小春、……探さないと。 ※山道 俺は山道を駆け上がった。 体力に自信のあるほうではない。 すでに心臓はバクバクと悲鳴をあげ、今にも止まりそうだ。 しかし足をとめるわけにはいかなかった。 以前の小春の後ろ姿が、頭を過ぎる。 小春は学校を休んで、また、あの場所でずっと肩を丸めているんだろうか。 自身を責めることでしか許される方法を知らない、痛々しい後ろ姿。 多分、この先に小春がいる。 俺は、なんと声をかければいいのだろう。 きっと小春は落ち込んでいる。だけど俺にかける言葉はあるのか? 慎太郎「ええい、考えるのはあとにしろ!」 頭に巡る雑念を振り払う。 すべては小春に会ってから。そう、それからだ。 ………。 ……。 …。 ※慎太郎と小春の秘密の場所 鬱蒼と生い茂った木々の隙間。 そこだけはまるで、何かに許されたかのように日の光が丸く差し込んでいる。 かつて誰かが、ここに憩いの地を見出したのだろう。 互いの領土を凌ぎあう雑草の森を避けるように、心なし程度のベンチが設置されている。 今はもう人々に忘れられ、ただ朽ちるのを待つだけ……。 そんな場所に、かつての俺と小春は居場所を求めた。 慎太郎「小春……?」 誰もいないベンチの前で、立ち尽くす。 前回は、このベンチに小春は背を丸めて座っていた。 慎太郎「おい、小春。いるんだろう! 返事しろっ」 振り返って叫ぶ。……が、返事はない。 俺の叫び声だけがむなしく山中に響いた。 ……いない? いや、ここ以外に小春が足を運ぶところはないはずだ。 少しの間、離れているだけかもしれない。 そうだ、尿意に襲われ、小用を足しているのかも……。 この近辺に公衆トイレはない。 もしかして小春、山中で尿を……。 慎太郎「……………」 危うく幼馴染の放尿シーンを想像しかけたとき、ふと、木々の間から風が吹いた。 ――ザザッ。 ――ザザザッ。 枝葉の揺れる音が、俺の不安を高めていく。 慎太郎「おい……小春! 隠れてないで出て来い!」 ……返事はない。 ジリジリと、頭の中で何かが焦げ付く音が聞こえる。 小春がいるのはここしかないと高を括っていた。 何が簡単なミッションだ。わかったつもりになっていただけではないか。 安易な楽観は転じて、俺の心の中をぐちゃぐちゃに掻き混ぜる。 では、小春はどこに? また、どこかで背を丸めているのか? ……予測も展望もない。気が付けば俺は、再び山中を駆け出していた。 ※公園 ……………。 ※河川敷 ……………。 ※商店街(小春ルート4? でつかった奴) ……………。 ※住宅地 慎太郎「はぁ、はぁ、はぁ……」 呼吸が上手くできない。胸が裂けそうだ。 普段からもっと運動しておけばよかった。今さらながら、アキ先輩の言葉が思い出される。 後悔先に立たず? いや、そんなことより、小春はいったい…… 遠くでカラスの鳴き声が聞こえる。 もうすぐ、日が沈む……。 慎太郎「もしかして、部室に……」 戻っているかもしれない。 何気ない顔して、また顔を真っ赤にしてエロ画作成に苦戦しているのだ。 そうだ、そうに違いない……。 言い聞かせるように、俺はケータイに手を伸ばす。 慎太郎「もしもし……」 チカ 『木崎くん! 小春ちゃん、見つかったの!?』 もちろん、そんな安易な展開はあるはずなく。 わかっていたが、チカの言葉に落胆を隠せなかった。 慎太郎「いや、まだ……」 チカ 『ええ!? 木崎くん心当たりがあるって言ってたじゃんっ』 慎太郎「それが……小春、いなくて……」 言い訳のように、曖昧に言葉を区切る自分が情けない。 チカ 『ちょっと、木崎く……』 部長 『チカ、貸しなさい』 チカ 『わ、部長、まだチカが……もうっ」 部長 『慎太郎。まだ、初花さんは見つかっていないのね?』 慎太郎「はい……」 チカが話したのだろう。部長は事情を知っている様子だった。 部長 『貴方一人で大丈夫なの? 私たちも……』 慎太郎「あと一度だけ、心当たりの場所を探してみます」 慎太郎「それでダメだったら……すいません、力を貸してください」 部長 『わかった。貴方を信じてましょう』 部長 『いいこと? 見つかってもそうでなくても、すぐに連絡を入れること。わかった?』 慎太郎「了解です。すいません、心配かけちゃって」 部長 『いいのよ、もともとは私の撒いた種だもの……』 部長 『話してる時間がもったいないわね。早く、その心当たりとやらに向かいなさい』 慎太郎「はいっ」 電話を切る。 いつの間にか、呼吸も動悸も治まっていた。 そうだ、小春のことをもっとも気に病んでいるのは部長なのだ。 部長がそのことをおくびにも出さずに強がっている以上、俺が不安で潰されては情けない。 同時に、小春が無性に腹だたしくなった。 今は、昔とは違うはずだ。 どこにも居場所がなくて、痛みを自分で抱きしめるしかない。 そんな自虐的な関係から抜け出すために、俺たちは一歩を踏み出したんじゃないか。 慎太郎「小春の野郎……」 気力が充実していくのがわかる。 ――まだ、走れる。 俺は再び、山中を駆け出した。 ………。 ……。 …。 ※背景、慎太郎と小春の秘密の場所 俺と小春の関係は、いつも、閉鎖的で、自虐的だった。 互いが互いの傷を確かめ合い、同類であることに安堵する。 いつまでも過去に縛られた俺と。 今いる場所から動くことができずに立ち竦む小春と。 同類でありながら、互いの傷には干渉しない。 俺たちはいつも一緒にいながら、いつも一人だった。 そんな関係だったのだ。 だからあの日……。 小春が俺のことを好きだと言ったあの日は、俺たちにとって始まりの一歩。 なし崩しの言葉であっても、確かにあの日、小春は俺の領土に足を踏み入れた。 俺はまだ、あの日の返事をしていない。 慎太郎「小春っ!!」 やみくもに宙に向かって叫ぶ。 小春の姿は、見当たらない。 慎太郎「小春、俺は……!」 慎太郎「俺は……俺はっ!!」 俺は……? 放たれた叫び声は、空しく彼方へと消えていく。 俺は……。 俺は、小春に返事をする資格はあるのだろうか。 俺はまだ、過去に縛られたままだ。 木崎の家にも未だに馴染めない。 叔父さんも叔母さんも、由比姉さんもこんな俺にはもったいないほどに優しい。だけど俺にはそれが……痛い。 ※背景、赤の効果 「慎太郎……。貴方は、生きなさい」 両手に生暖かい感触が広がる。 視界を染める、鮮やかな赤。 彼女は、泣くような、笑うような表情を浮かべている。 鮮血とともに放たれた言葉はまるで呪いのように…… ――考えるな! ※背景、赤の効果終わり 首を振って、幻影を振り払う。 違う、今は小春のことだ。 小春はどうなんだろう。アイツもまだ、足が竦んだままなのか? ……わからない。 ただ、小春の声が聞きたかった。 小春 「……ちゃーん、……けて~」 ん? 慌てて周囲を見渡す。……が、やはりどこにも人影はない。 幻聴……。 やはり俺は相当に動揺しているらしい。聞こえるはずのない声が聞こえるなんて……。 小春 「ふぇーん、助けて~~~。死ぬ、死んじゃう~~」 ……幻聴じゃない? 今度ははっきりと聞こえた。あまりに聞き覚えのある、幼馴染の泣きべそ声。 慎重に耳をそばだてる。 微かな物音も聞き逃してはならない。 俺は、祈るような気持ちで、声の元を辿る。 小春 「慎太郎ちゃぁん……ぐすん」 どうやら、上方。 微かな声を頼りに、視界を頭上へとズラしていく。 視線の先には一本の大樹。 地に張ったいくつもの根は一箇所に合流し、太い幹となって天を目指す。 幹はやがて枝を伸ばした。 枝の先に生い茂る葉っぱが、視界を緑に染めていく。 音の源は、さらにその先。 葉と葉の隙間から見える幹が上へ上へと伸びる。 途中、いくつもの枝葉を伸ばしながら、自らをはるか天上へと押し上げていく。 やがて幹は二つに別れ、幹と枝葉の境界が曖昧になる。 幹と枝との境界。そんなところに、……小春はいた。 小春 「もう無理……、私、死んじゃう……」 慎太郎「……………」 捜し求めていた姿を見つけ、俺はほっと胸を撫で下ろして……いいのか? 小春の姿ははるか上空……。 空へと伸びた大木の、幹とも枝とも言えぬ頂上部に、手足を丸めて抱きついている。 どういう状況だ、これ……。 慎太郎「おーい、小春ー! なにしてんだー!!??」 小春 「ふぇ……。し、慎太郎ちゃん!?」 小春 「た、たたた、助けてぇ~。へ、へるぷみー!」 こちらに気づいた小春が、慌しく両手を振る。 それにつられて、小春が掴まる枝葉もバサバサと音を立てて揺れた。 小春 「あわ、あわわ……」 慎太郎「ま、待てっ。動くな、小春」 小春 「ふぇーん……。は、早く、助けてー」 慎太郎「わ、わかったからっ。今そっちに行くから、落ち着け。落ちたらマジでやばい」 小春 「うぅ……。どうして、こんなことに……」 慎太郎「そりゃこっちの台詞だっつーの。そんなとこで何してんだよ!」 小春 「あの、あのねっ。木が……木がニョキニョキってなって、グワーンって……」 慎太郎「……………さっぱりわからん」 それから俺は、小一時間の救出劇を演じるはめになる。 なんだっつーんだ、これ……。 ………。 ……。 …。 慎太郎「はい。はい。ああ、でも、どうにも今、小春が喋れそうな状態じゃなくて……」 慎太郎「はい、了解です。落ち着き次第、すぐに行きます」 電話を切り、小春へと視線を移す。 小春は、大地のありがたさを噛み締めるように、地面に両手をついてへたり込んでいる。 ※小春表示 小春 「うぅ……私、生きてる。生きてるよ……」 小春 「もう……だめかと思った。生きてるって、こんなに素晴らしいことなんだね、あはは」 慎太郎「あはは、じゃねーよ……。いったい、どうなってんだ」 小春 「ふぇ……?」 何の話だと言わんばかりに首を傾げる。 ……ったく。こっちの気持ちも知らないで、コイツは……。 小春 「……………?」 未だに浮ついた様子だが、その表情に陰はない。 てっきり学校をサボって落ち込んでいるとばかり思っていたが、どうやら勝手が違うようだ。 小春が落ち着いて自ら語りだすのを待ってもいては、きっと深夜になってしまう。 ……当たり障りのないところから、聞いていくのがいいか。 慎太郎「なあ、小春。今日おまえは学校を休んで、いったい何をしてたんだ?」 小春 「あ……、え、えっと……」 慎太郎「うん」 小春 「その……。ずっと、へばりついてた……かな。あの木に」 慎太郎「うわあ……」 いきなり頭が痛くなった。 慎太郎「ずっとって……朝から?」 小春 「うん。朝からずっとあの状態。もう……死ぬかと思った」 慎太郎「うわあ……(二度目)」 今になって、先ほどの小春の尋常でない感想の意味がわかる。 朝から日暮れ時までずっと、あの木のてっぺんで泣きべそを掻いていたのだ。 地上への生還……これほど感動的なものは他にはあるまい。 そもそもどうしてあんなところに…………いや。 なんだか嫌な予感がする。まだ、触れてはいけない事項だ、それは。 慎太郎「あの、小春さん? そもそも貴女はどうして学校とは正反対の、こんなところに運んだのですか?」 小春 「なんで敬語……」 慎太郎「いや、天井人……もとい天上人になられた小春さんに溜め口はマズイのかな、と」 小春 「むぅ……。もうっ、バカにしてぇ~」 本音は、茶化さずに真面目に聞くのが怖い……だ。 幼馴染が大木の頂上で泣きべそを掻いている。 そんなあり得ない非常識を見せられた今、どんな言葉が幼馴染の口から出てくるのか。 ……想像しただけで眩暈がしてくる。 小春 「あのね……。声がしたの。なんだか、私、呼ばれているような気がして……」 慎太郎「声……?」 小春 「うん。心に直接語りかけてくるような……不思議な声」 小春 「その声がね、私に力をくれるって……。それでね、私、言われた通りに手を翳してみるとこう……ニョキニョキッと……」 慎太郎「ま、待て……! 勝手に話を進めるなっ」 不思議な声が力を……。 うん、よくあることだ。 そう、よくあること……。 あれはなんてタイトルだったか……。よく思い出せない。 慎太郎「おまえ、能力もののエロゲなんてやってたか? それとも、アニメの話?」 小春 「むぅ。…………慎太郎ちゃん、信じてない」 頬を膨らませて、不貞腐れる。 いや、そうは言ってもだなぁ。信じる、信じない以前の問題だ。 慎太郎「……………」 小春の様子を伺う。 さて、小春の話をどう考えるか。 その一、小春は本当のことを言っている。これはひとまず保留。 その二、小春はサボりの口実に適当なデマカセを言っている。 どうなんだろう。少なくとも、俺の知る小春は、俺に対してそのようなことは言わないはずだ。 だいたい、小春はおどろくほど嘘が下手だ。態度にすぐ出るのだ。 少なくとも今、小春が嘘をついているようには思えない……。 その三、小春は本当のことを言っているつもりだが、語られている内容は事実ではない。 これがもっともありうる仮定である。 ……が、一番信じたくないものでもあった。 つまり、小春がおかしくなったという可能性。 過度のストレスによる幻聴。 その後、小春は自らの手で大木の頂上まで登る。 しかし、小春は妄信によって、その記憶を頭の中からデリート。 不思議な力によって木の頂上に移動させられたのだと頑なに思い込む……。 うわあ……。 完全に精神の病だ……。しかも、重度の。 どうしよう。さらに突っ込んだ質問をすべきか。 このまま何事もなかったかのように帰宅ってのが一番、平和的。 ……というわけにもいかないよな、やっぱり。 慎太郎「その、ニョキニョキ……ってのはなんなんだ。さっきも言っていたが」 小春 「だからねっ、足元からニョキニョキってなって、そのままグワーンって……」 慎太郎「待て待て。だから、わかるように説明しろっつの」 小春 「ふぇ……、ごめんなさい。だから、その……あのね」 小春 「手を翳したとたん、足元から木が生えたの。それがそのまま伸びていって、気が付けば、あんなに大きく……」 小春の視線の先には、先ほど救出劇を演じた巨大な大樹。 おそらく20メートルはあるんじゃなかろうか。 この辺りの森の中でも、突き抜けてそれは大きかった。 慎太郎「あー……」 小春 「むぅ……。慎太郎ちゃん、信じてないでしょ」 慎太郎「小春、知ってるか? 木は、一日じゃ育たない」 小春 「………もうっ! そのくらい、私だって知ってるようっ。慎太郎ちゃんのバカ~~っ!」 どうしよう……。頭が痛くなってきた。 小春の話をそのまま信じるとすると、小春には、大樹を育てる能力があって……。 手を翳しただけで、あの大樹が小春を乗せたまま、ニョキニョキと。 ハハ、面白い。そんなこともあるんだなぁ。 慎太郎「おっけ、わかった。とりあえず帰ろう、小春」 慎太郎「疲れているんだ。お互い、疲れてる。家に帰って、とりあえず休もう」 小春 「慎太郎ちゃん……信じてないでしょ」 慎太郎「……………」 小春 「慎太郎ちゃん。信じて、ないよね?」 慎太郎「……………うん」 というか、誰が信じるんだ、そんな与太話……。 俺は、愛すべき幼馴染を見つめた。 相変わらず、いたって真剣な……まっすぐな目。 ああ、小春は疲れているのだ。 エロゲ創作部の活動が、そこまで小春に負担をかけていたとは知らなかった。 やっぱり、小春には荷が重すぎたのかな……。 小春 「むぅ。その目、なんだかムカつく」 慎太郎「あー……。なんだ、その……すまん。どうにも俺、おまえの言葉が信じられそうにない」 小春 「うん、わかる。でも、だけど……本当なんだよ?」 小春 「論より証拠、だね。今から、慎太郎ちゃんに見せてあげる」 そう言って、小春が両手を大きく天に翳す。 ゴゴゴ……と地面が揺れる音が聞こえた(気がした)。 慎太郎「お、おい、こは……」 小春 「まだ、ちょっと上手く力の調整できないんだけど……」 慎太郎「………は? ちょ、ちょっと待……」 小春 「ごめん。もう、手遅れかも…… ※小春表示アウト ※背景、黒 ニョキニョキ、グワーン……。 謎の効果音とともに、強烈な浮遊感に襲われる。 大地から生えたそれは、枝葉に俺を引っ掛けてグングンと上昇する。 ニョキニョキ。 グワワーン。 ※背景、夕日。 ……気が付けば、目の前には黄昏の空が広がっていた。 沈みかけた太陽が、街や山を紅く染めている。 「あほー。あほー。あほー……」 これは、カラスの鳴き声。 慎太郎「……………」 言葉が、出ない……。 小春 「どうよ、慎太郎ちゃん。ね? 言ったとおりでしょう?」 慎太郎「……………」 嬉々とした笑顔を浮かべて、隣の枝葉に跨る小春。 そんな小春を一瞥し、俺は再び黄昏の空を見つめた。 遥か彼方に見える地平線に、太陽が沈んでいく。 何もかもが紅く染まった、紅の世界。 そんな美しい風景があとものの数刻で闇の帳に包まれるなんて、誰が納得できるだろうか。 街から吹き上げる風が前髪を揺らす。 五月の末の、適度に湿気を含んだ風が、汗ばんだ肌に心地がよい。 ああ、これが高みからの風景か。 小春 「フフフ、動揺している。これで、私の言葉も信じるしかないよね?」 慎太郎「……………」 小春 「問題はここからどう降りるかってことなんだけど……。ねえ、慎太郎ちゃん。どうしよう……?」 先ほどから隣で幼馴染が何か言っているが、頭の中で意味を成していなかった。 圧倒的な黄昏を前にして、俺が考えていたこと。 もし、神様というものが存在するのなら。 ここからなら、俺の声も届くかもしれない。 地上から遥か遠く……空にも届きそうな、この場所からなら。 俺は力の限り、あらん限りの力を込めて、叫んだ。 慎太郎「なんっじゃこりゃあぁぁぁぁぁ~~~~~っっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!! 叫び声は、壮大な風景の前に空しく消えていく。 「あほー、あほー、あほー……」 山へと帰るカラスの鳴き声だけが、俺の耳にいつまでも残った。 もう……いいから、そういう演出。 ………。 ……。 …。 ※背景部室 ※部長表示 部長 「……………」 ※部長表示アウト ※チカ表示 チカ 「……………」 ※チカ表示アウト ※アキ表示 アキ 「……………」 ※アキ表示アウト 地上20メートルの高所から命からがら脱出した俺たちは、そのまま部室へと向かった。 もうすっかり日も暮れていたというのに、部室には全員集合。 皆、小春のことが心配だったのだろう。ちゃっかりアキ先輩まで部室に顔を出していた。 ※部長表示 部長 「えー……。それで、私たちはどういう反応をすればいいのかしら……?」 部長は呆けた顔をしている。まあ、無理なかろうて。 慎太郎「はは、信じてない。論より証拠です。小春っ」 ※小春表示 小春 「慎太郎ちゃん、態度が変わりすぎだよ……」 慎太郎「いいから、早く早く」 用意していた桜の枝を渡す。 葉は千切ってある。丸裸の桜の小枝。 小春 「うぅ……。もうっ、調子いいんだから」 小春が、枝木に対して手を翳す。 ※全員表示アウト ※小春表示 小春 「じゃあ……いくよ?」 小春 「えいっ」 花咲じじい的な……? 間の抜けたな掛け声とともに、丸裸の小枝には満開の花が咲いた。 ※部長表示 部長 「……………うわ」 慎太郎「どうです? 信じざるを得ないでしょう?」 慎太郎「俺はこれをプランター(植物系操作能力)と名づけました」 部長 「あ、そ、そうね……そういうことも……」 突っ込みがない……。そうとう動揺しているとみた。 ※部長表示アウト ※チカ表示 チカ 「え~! こ、小春ちゃん、どうなってんの???」 小春 「エヘへ。私にもよくわかんない」 ※アキ表示 アキ 「……………」 しばらく、そんな感じに。 ※全員表示アウト ………。 ……。 …。 ※部長表示 部長 「とにかく! 今はそのプランターとやらは置いておきましょう」 ※チカ表示 チカ 「え、その名称、決定なの……?」 部長 「なに? ベジタブルの方が良かったかしら?」 チカ 「……野菜?」 ※チカ、部長表示アウト ※小春表示 小春 「ねえ、慎太郎ちゃん? ベジタブルってどういうこと? 慎太郎「あー……」 vegetable=植物人間。なんとも、まあ……。 ※小春表示アウト ※部長、チカ表示 部長 「考えてもわからないことは、考えるだけ無駄だわ。そのうちあっちの方からアプローチしてくるでしょう」 チカ 「うーん。まあ、それもそうだねぇ」 ※部長、チカ表示アウト ※小春表示 小春 「あっち……? 何の話?」 慎太郎「謎の組織とか、異能力者による集団からの干渉があるだろうって話だな」 小春 「うー……ん? やっぱりよくわからない……」 わからないか。勉強不足だな、小春よ……。 ※小春表示アウト ※部長表示 部長 「まずはそうね、初花さんに何事もなくて良かったわ」 ※小春表示 小春 「心配をおかけして、すいませんでした……」 ※チカ表示 チカ 「そうだよ~! チカ、すっごく心配したんだからっ」 小春 「うぅ……ごめん」 チカ 「部長なんか、『私のせいで小春ちゃんがぁ』って頭抱えて泣いていたんだからっ」 部長 「……チカ。テキトーなことを言わないの、痛い目合うわよ」 チカ 「ぶ、ぶってから言うなぁ!」 小春 「あ、あはは……」 ※全員表示アウト 冗談めかして言っているが、部長もチカも本気で心配していたのだろう。 こんな時間まで小春を待っていたのが良い証拠だ。 とりわけ部長は自身の言葉が小春を追い詰めたと考えていたのだから、その心配もきっとひとしお。 ※小春表示 小春 「皆さん、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」 ※部長表示 部長 「フフ、いいのよ。貴女がなんともなくて、良かったわ」 小春 「はい……」 部長 「それでね、話を戻すわね。私が提示した期限……、ちゃんと覚えてる?」 部長 「今月までにエロ画を描けなければ、貴女を作画担当から外す。私は自分の言葉を撤回する気はないわ」 ※チカ表示 チカ 「まぁだ、言うか。私のせいで初花さんが追い詰められちゃったのかも……」 チカ 「なんて、散々頭を抱えていたくせにぃ」 部長 「アンタは黙ってなさい……」 部長 「初花さん? 期限まで、あと一週間。どう、描けそう?」 小春 「あ、あの……私」 部長 「誰もが納得する絵じゃなくていいの。ただ、貴女自身が納得できるものを仕上げてくれれば……」 小春 「あの、私! 描くっ、描けます! あの、私、大丈夫ですから!」 部長 「そう。それを聞いて、安心したわ……」 チカ 「小春ちゃんったら、頑張り屋さんだねぇ」 ※全員表示アウト 小春……。思っていたより、平気そう……? 部長の言葉を真に受けて必要以上に思い悩んでいるんじゃないかと思っていたが、どうやら杞憂だったみたいだ。 ※チカ表示 チカ 「あ、小春ちゃん。またさっきの見せてよ、花咲じじい~みたいな」 ※小春表示 小春 「は、はなさか……? い、いいけど……」 チカ 「わ、わ、凄いっ。小春ちゃん、超能力者だっ」 そんな感じで、一件落着。 部室の空気が一気に弛緩していく。 ※全員表示アウト そんな時だ。 アキ先輩が、他の誰にも気づかれぬよう……そっと手を、俺の肩に置いた。 ※アキ表示 アキ 「木崎……ちょっと、いいか?」 ※背景、廊下 アキ先輩に手を引かれ、そっと部室を退出する。 日暮れ後の廊下は、ひどく頼りない蛍光灯の光のみに照らされ、薄暗い。 ※アキ表示 アキ 「そろそろ、学校も閉まる時間だな……。手短に話そう」 アキ 「キミは、合宿のときに私が話したことを覚えているか?」 慎太郎「…………?」 アキ 「キミが私を迎えに来た日……展望台で、私がキミに話したことだ」 展望台……。 言葉に連想されて、様々な情景が頭の中を巡る。 どこまでも広がる青空、吹き抜ける風。 そうだ、あの日俺は、アキ先輩と……。 慎太郎「……………っ!」 心に動揺が広がる。 唇に触れた生々しい感覚が、まるでついさっきのことのように蘇った。 アキ 「クク……木崎、キミはすぐに表情が顔に出るな。面白い」 アキ 「しかし、今はそのことじゃない。あの日、私は言ったな」 アキ 「エロゲ創作部の活動には私たちの計り知れない、超越的な力が働いている……気がする、と」 慎太郎「そういえば……そういうことを言っていましたね」 その時は、キスの動揺で、それどころではなかったのだけれど。 アキ 「初花の力は……私の推測の裏づけにならないだろうか」 慎太郎「…………は?」 思わず、素で返す。 突然何を言い出すんだ、この人……。 アキ 「そうだな。私の、強引なこじつけかもしれない」 アキ 「自身の仮説を信じるがために、ただの偶然を必然と解釈しているだけなのかもしれん」 慎太郎「あー……」 アキ先輩の難解な言い回しに、つい言葉を言いよどんでしまう。 偶然を必然と解釈……ってのはつまり……。 慎太郎「小春が、その……植物を操れるようになったことと、エロゲ創作部の活動にはなにか繋がりがある……と?」 アキ 「そうだ。私は、そう思う」 慎太郎「あー……」 どうなんだろう……。頭が上手く回らない。 そもそも俺は、小春のびっくり能力自体をまだ受け入れられていない。 そんな状態で、さらに謎かけのような問答を聞かされてもついていけるはずがない。 アキ 「そうであるかもしれないし、そうでないかもしれない」 アキ 「そのような場合、そうである可能性にかけて行動するのが正しいと、私は考える」 慎太郎「えっと。その……?」 アキ 「ハハ、そんな呆けた顔をするな。キミは、キミの思うままに行動すればいい」 アキ 「そして私は、私の思うように行動する。それだけの話だよ」 慎太郎「……………」 アキ先輩が何を考えているのか、俺にはちっともわからない。 高い知性を持つ人間の考えることは、知性の低い人間には理解できない。きっとそういうことだろう。 ただ……。 そんなことを語るアキ先輩の顔が、どこか寂しげだったことを俺は覚えている。 ※アキ表示アウト ※チカ表示 チカ 「あらあら、こんなところでお2人さん、いったい何をしているのかしら」 慎太郎「わ、チカ……!?」 ※小春表示 小春 「慎太郎ちゃん……」 チカ 「合宿の時もそうだったけど、木崎くんと先輩、なんだか変な雰囲気だよねぇ」 小春 「え……。そうなの、慎太郎ちゃん?」 慎太郎「チカ……、小春が本気にするからマジでやめてくれ、そういうの」 ※アキ表示 アキ 「わはは! 木崎、人気者は辛いなっ、ハハッ」 こうして、長かった一日は幕を閉じる。 私は私の思うように行動する。 そのような宣言をしたアキ先輩が、実際にアクションを起こしたのは、これから三日後。 ………。 ……。 …。 ※廊下 恒例になった昼休みの校舎徘徊中、意外な人物の組み合わせを見かけた。 アキ先輩と……その隣を歩くのは、件の生徒会長……? 部長と生徒会長の確執を含んだ会話を見せられたのはつい最近の話。 それだけに、2人が仲良く並んで歩く姿は少し意外に思われた。 声をかけるべきか……? そんなことを考えている間に、2人の姿はいつの間にかに見えなくなっていた。 生徒会長と部長……昔、なにかあったのだろうか。 今度、アキ先輩に聞いてみようか。 でも、あの人、部室に全然顔を見せないからなぁ。 ………。 ……。 …。 ※背景、部室 小春の復帰から、三日目。部室の様子はすっかり元の状態に戻っていた。 改めて考えてみると、けったいな部活動だと思う。 活動中に、和やかな会話なんてあり得ない。 曇った窓ガラスから差し込む陽光が、かえって陰気さを増加させていた。 カチ、カチ、カチ……。耳を澄ませば、マウスの音。 時おり聞こえるラップ音。これは、チカの貧乏ゆすり。 紙にペンを走らせる音。時おり停滞し、また激しくノートを擦る。 皆が思い思いの行動をしている。 部活動、皆が一つの目標に向けて力を合わせて……とはいかないか。簡単じゃないよなぁ。 慎太郎「ねえ、部長?」 部長 「……………」 ……ぐ。聞こえてねえ。 えらくゴツいヘッドホンに俺の言葉が阻まれている。 慎太郎「……………」 悪戯心がムラムラと沸きあがる。 そそそ―。 気配を殺し、部長の背後へ。画面に集中している部長は気が付かない。 俺はヘッドホンのコードを手繰りよせ、音量を一気に最大値まで上げた。 ※部長表示 部長 「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っっ」 ※部長表示アウト 声にならない、部長の叫び声。 あっはっは! 気分爽快、余は満足じゃ!! ※部長表示 部長 「ア、アンタねぇぇ!!」 慎太郎「どうです、女の子の嬌声を大音量で浴びるのって爽快でしょう?」 ※部長表示アウト ※小春表示 小春 「わわ、なに? どうしたの?」 慎太郎「ハッハッハ。なぁに、俺直々に部長にエロゲの楽しみ方を教授してやったのだよ」 ※小春表示アウト ※部長表示 部長 「…………………………」 ※部長表示アウト 慎太郎「ね、部長? たまにはヘッドホンを外して開放的な気分に浸るのも悪くイテええええええええええええ!!」 ……ぶたれた。思いっきりグーで。 ※チカ、小春表示 チカ「あれ、痛いんだよね。本気で」 小春「……うん」 頭がくらくらする。女の打撃じゃない、これ……。 慎太郎「アンタぁ!? 部長は、知的で口が達者なキャラだったでしょう! キャラ崩壊だ! 暴力反対!」 ※部長表示 部長 「だるいのよ、口を開くのが……」 慎太郎「なあ!?」 ※部長表示アウト ぐうたら人間、ここに極まれリ? ってそんな問題じゃない。暴行罪で訴えられるレベルだこれは。 ※部長表示 部長 「それで何の用かしら。私、いま忙しいのだけれど?」 慎太郎「用がなければ話しかけちゃいけませんか? ほら、大切でしょ、部員同士のコミュニケーション」 部長 「………………」 ※部長表示アウト 無言で、再びヘッドホンを耳に……。 慎太郎「ちょ、ちょっとまったっっ!」 ※部長表示 部長 「………何?」 慎太郎「つ、冷たい……。あ、そだ。今日は、アキ先輩は?」 部長 「ああ。顔見せにくるって言ってたわよ。別に、来たところであの子がすることはないのだけれどね」 慎太郎「不機嫌だ……」 部長 「単に寝不足なだけよ。そんなことより、貴方……」 ※部長表示アウト コン、コン。 部長の言葉は、部室のドアをノックする音に遮られる。 ※部長表示 部長 「あら、噂をすれば……」 ※部長表示アウト ※アキ表示 相変わらずガハハハと体育会系の笑顔振りまくアキ先輩と……。 ユキ 「部活動中、失礼します」 ……生徒会長。 アキ 「いやなあ、部室に向かう途中で偶然会ってな。連れてきた」 悪びれず、爽やかに言う。 俺は、昼休みに2人が一緒に歩いているところを目撃している。 本当に、偶然か……? いや、そんなことより。 部長の様子が気になった。また前みたいに喧嘩ごしにならなければいいけど…… ※アキ表示アウト ※部長表示 部長 「フフ、久しぶりの部室はどう……?」 ユキ 「相変わらずですね。埃っぽくて……、すごく懐かしい」 あら、意外に穏やかなのな……。 というか、……懐かしい? ※部長表示アウト ※チカ表示 チカ 「(生徒会長、実はここの元部員なの)」 慎太郎「(ここって、エロゲ創作部の……?)」 チカ 「(そう、エロゲ創作部)」 慎太郎「(げえ、生徒会長が……? い、意外すぎる……)」 首を傾げる俺に、チカが小声で補足を入れる。 慎太郎「(それにしても……チカ、どうしてそんなことを知ってるんだ?)」 チカ 「(えへへ……。チカ、中学生のころに何度か部室に来たことあるんだ~)」 ……そういえば、部長とチカは一緒に暮らしているんだっけ。 部長に連れられて、部活に顔を出していたんだろうか。よくわからないけど……。 ユキ 「真冬先輩も、相変わらず……」 俺の思考は、生徒会長の呟きへと移る。 この真面目そうな人が、エロゲ作りを……。 人は見かけによらないというか、なんというか。 ユキ 「まだエロゲ作り、諦めていないんですか?」 部長 「私の性格はあなたが一番知っているでしょう?」 ユキ 「ハハ! そうですねっ。そりゃそうだ」 ユキ 「話には聞いていたけど……本当に人が集まったんですね。あ、その子が小春ちゃん?」 ※小春表示 小春 「……ふぇ?」 ユキ 「ルイから話は聞いているわよ? フフ、話通りずいぶん可愛いらしい子ね」 小春 「……………」 ※部長表示アウト ※小春表示アウト 小春は赤面して黙り込んだ。小春は褒め言葉に弱いのだ。 ユキ 「それにしても……よくもまあ、こんなにもクセのある人間が集まったものですね」 ユキ 「学園の主に、斉藤亜紀。それに、チカちゃん。フフ……、変人奇人のオールスター」 部長 「失礼ね……」 はは、確かに……! 生徒会長の言葉に、俺は心の中で賛同した。 クセのある面子だと思う。少なくとも、俺の人生史の中で変人ランキング上位はここの部員が独占している。 ユキ 「……極めつけは貴方ね。木崎慎太郎くん?」 慎太郎「……………へ?」 予想もしなかった生徒会長のフリに、戸惑う。 ……えと? どうして俺に話が振られたんだ? 俺はいたって常識人、少なくとも部長やチカに並べられるほど変人ではないはず……。 ユキ 「人の過去をとやかく言うつもりはないけれど……貴方の経歴もなかなか、個性的ね」 慎太郎「あー……」 そういうこと。 ……どこで話が漏れたのやら。頭が痛くなった。 ※部長表示 部長 「なぁに、ユキ。貴方、羨ましいの?」 ユキ 「そうですね……私にはこんな面子、集められそうにありませんね」 部長 「フフ、また入りたければ、考えてやらないこともないわよ?」 ユキ 「いえ、私はもう生徒会の人間ですし……今日は、生徒会の仕事でここに来たんです」 部長 「……………?」 部長が首を傾げる。 ※部長表示アウト ……嫌な予感がした。 先日のアキ先輩の言葉、昼間の意外な組み合わせ……。 頭を巡るピースが組み合わされる前に、それは宣言される。 高らかに、残酷に、生徒会長は宣言した。 ユキ 「エロゲ創作部……いえ、ゲーム研究部を取り潰します」 ※部長表示 部長 「………っ!」 ※小春表示 小春 「え……」 ※全員表示アウト ※アキ表示 アキ 「……………」 アキ先輩が仕業だ……! はっきりとした証拠はない。なにがどうなっているのかもわからない。 しかしこれが、アキ先輩が思うように行動した結果なのだと確信を持った。 アキ先輩の表情を伺う。この人が何を考えているのか、俺にはわからない。 ※アキ表示アウト 重苦しい空気の中、生徒会長は言葉を続ける。 ユキ 「この部は……創部以来、まともな成果を上げていない。そもそも、部活動として認められていること自体、極めて異例です」 ユキ 「私は次の役員議会にて、貴方たちのことを議題に挙げるつもりです。この意味、……わかりますか」 ※部長表示 部長 「……………」 部長の表情は暗い。 成果を上げていない、というのは部長にとっての急所をついている。 ※部長表示アウト ※アキ表示 アキ 「待て、待て待て。私の作った作品があるだろう。公式のコンクールにも応募している。問題ないはずだ」 ユキ 「ええ、確かに……。でもそれは貴方自身の認める通り、貴方個人の作品でしょう? 部としての作品では、ない」 アキ 「確かにその通りだが……ううむ」 ユキ 「他に? 何か反論があるのなら聞きますよ、真冬先輩?」 ※アキ表示アウト ※部長表示 部長 「……………」 ※部長表示アウト 部長は机に両肘を付けた状態のまま、何も言わない。 これはちょっと、マズイかもしれない。 アキ先輩が何を考えているのか、それはひとまず置いといて。 このままでは本当に廃部になってしまうんじゃないか? 何か、何か言わなくては……。 慎太郎「……会長。一ついいですか?」 ユキ 「ん、いいわよ。木崎慎太郎くん?」 フルネーム呼びが勘に触る。 慎太郎「会長も知っているようですが、ウチの部としての作品……エロゲーなんですけど」 慎太郎「もし完成したとしても、それを提出して、学校に認められるものなんですか?」 ユキ 「……もっともな質問ね」 ユキ 「フフ。だけど鈍いわ。話に聞いたとおり、すごく鈍感ね、木崎慎太郎くん」 ……ムカ。 慎太郎「あの、フルネームで呼ぶのやめてくれません?」 ユキ 「あら、気に障った? 今後は気をつけるわね、木崎慎太郎くん」 慎太郎「……………」 俺……、この人嫌いだ。 ユキ 「学校に認められるとか、そういう問題ではないの」 ユキ 「言ったでしょう? 部活動として認められていること自体、異例なんだって」 ※小春表示 小春 「……………?」 ※小春表示アウト 小春が首を傾げる。俺も同様。 ……いったい、何が言いたいんだ? ユキ 「勘違いしないでね、私は貴方たちと敵対しにきたわけではないの。むしろ、逆よ」 ユキ 「親愛なる真冬先輩を祝って、彼女ごのみのやり方で演出を施してやろうと思っているの。これは……、慈悲よ」 慎太郎「アンタ、何を言って……」 ユキ 「わからない? そうね。……それでは、真冬先輩はどう?」 ※部長表示 部長 「……………」 ※部長表示アウト 部長は沈黙を保ったまま。部長らしくもない。 一の批判を言われた百の屁理屈で言い返す。 それが本来の部長のキャラのはずだろう。 ユキ 「これはかつては同じ目標を志した、可愛い後輩からのプレゼントだと思ってください」 ユキ 「真冬先輩? 貴方はいつまでだらだらと、こんな活動を繰り返すつもりです?」 ユキ 「フフ、貴方自身も感じている。もう限界、そろそろ潮時……。最近授業に顔を見せるようになったのが良い証拠」 ユキ 「かつての覇気もなく、だけど過去を諦められずに執着している。そんな醜い真冬先輩……私は見ていたくありません」 ※部長表示 部長 「……アンタも言うようになったわよね……」 ※部長表示アウト ユキ 「先輩のおかげです。いつまでも、泣き虫なモヤシっ子じゃありませんよ」 ユキ 「真冬先輩のおかげ……ついでに、今回の私の行動も貴方の物真似ですよ。尊敬する、かつての先輩の」 ※部長表示 部長 「回りくどいのよ……。演出過剰は観客を白けさせるわ」 ※部長表示アウト ユキ 「これは失礼。それでは本題……」 ユキ 「私は、私自身に生徒会の権限がある今期いっぱいで、エロゲ創作部を潰すつもりです」 ユキ 「今までエロゲ創作部が活動を維持できてたのは、たまたま、学校側から見逃されていたから……」 ユキ 「生徒会長である私が議題で提出すれば、瞬く間にエロゲ創作部なんて廃部処置が下されると思って構いません」 ユキ 「つまり、貴方たちの今後の運命はすべて、私次第ってことね」 くそう、言われ放題……。 このままじゃマズい……が、良い手が思いつかない。正論で責められると、何一つ反論ができない。 今さらながら思い知らされる。俺たちの部活は……こんなにも危うい場所に立っていたのだ。 ※アキ表示 アキ先輩は、いったい何を考えているのだろう。 おそらく、生徒会長はアキ先輩が手引きしたもの。だったら、その意図はなんだ。 エロゲ創作部の廃部……そんなものを、アキ先輩は本当に望んでいるのか? その時、ふと、アキ先輩と目が合う。 と同時に、アキ先輩はニヤリと唇を吊り上げた。 アキ 「よおく、見とけ。木崎」 と、言わんばかりに、そんな不敵な表情。 ※アキ表示アウト ユキ 「私、慈悲だって言いましたよね? いつまでも未練たらたらな真冬先輩に、私が引導を渡してあげます」 ※部長表示 部長 「私は……別に頼んでないわよ」 ユキ 「頼まれずとも行うのが慈善行為ですから」 部長 「……………」 ※部長表示アウト ユキ 「話ってのはこれからです。執行猶予をあげます」 ユキ 「私が生徒会長の権限を行使できるのは8月いっぱいまで……」 ※アキ表示 アキ 「それまでにエロゲを完成させること。それができなければ廃部にします、か」 ユキ 「ちょっと、人の台詞取らないでよ」 アキ 「わっはっは。なんだ、本当に慈悲じゃないか。素晴らしい話だと思うぞ、真冬」 ※部長表示 部長 「……部長って呼びなさいよ」 アキ 「ははっ。……いやな、実は私も、ユキに共感しているんだ。今の真冬は、実に醜い」 アキ 「いい話だと思うぞ。今回が最後。失敗したらエロゲ作りから、手を引く。けじめをつけられて結構じゃないか」 部長 「勝手な話ばかり言って……」 ※全員表示アウト 部長が頭を抱える。 ※部長表示 部長 「あー……なんなのよ、いきなり……」 ※部長表示アウト つまり、いったいどういうことだ……? アキ先輩の意図は読めない。いったい何を見せようとしているんだ……? しかし、わかったこともある。アキ先輩はエロゲ創作部を廃部にしようとしているわけではないらしい。 きっと事前にアキ先輩は、エロゲ創作部の活動状況を生徒会長に報告していたのだろう。 会長に言われるまでもなく、俺たちの目標は8月までにエロゲを完成させることだ。 言ってみれば、会長の提案はエロゲ創作部の活動に対する演出のようなもので…… 慎太郎「まあ、いいんじゃないんすか? 8月までのエロゲの完成。予定通り」 慎太郎「完成させれば、部はなくならない。落としどころとしては十分すぎる気がします」 ※部長表示 部長 「その通りなのだけれど……ね」 ※部長表示アウト 部長の言葉の、歯切れが悪い。この人…… ※アキ表示 アキ 「な、木崎。これが、今の真冬だ」 ※アキ表示アウト 不敵な笑みを浮かべ、アキ先輩が語りかける。 ああ……アキ先輩が見せたかったものは、これか。 慎太郎「………部長」 ※部長表示 部長 「……………」 おい、なんか言えよ。 ※部長表示アウト ※アキ表示 アキ 「積極的なようで、実は一番怯えている」 アキ 「部員には活動を要求して、だけど自身が一番、エロゲの完成を信じ切れていない……」 アキ 「実に醜い。ああ、醜いな、真冬」 ※部長表示 部長 「……………」 ※全員表示アウト 部長は、頭を抱えたまま、何も言わなかった。 せめて何か言ってくれれば、なんとでも繕いようがあるだろうに……。 凍りついたような沈黙が、何より、部長の心情を表しているような気がした。 ユキ 「フフ、木崎慎太郎くん? どう? 失望した? これが貴方たちの部活のリーダーの本当の姿よ」 ユキ 「これでも、付いて行こうって、心から思える?」 慎太郎「……………俺は」 俺は……? 突然の問いかけ。それに対する、俺の回答は……? 言葉に詰まった。俺は……。 俺は……? 慎太郎「えっと、俺……。俺は……」 俺は、ここでエロゲを作ると決めたはずだ。 初めて、部室の扉を叩いたときの気持ち。 合宿の思い出。皆で星空を仰いだ、あの時の感動。 誰に強制されたわけでもない。自分で選択した道のはず。 だけど、俺は……? 小春 「慎太郎ちゃん! だめ……、だよ!!」 突然、背後から叫び声。 慎太郎「小春……?」 驚いて、振り向く。 小春が……、俺の幼馴染がこんなに声を張り上げるのは、滅多にあることではない。 ※小春表示 小春 「アキ先輩は、ずるいよ!」 小春の顔には、明らかに怒りの色が浮かんでいる。 そしてその怒りは、確実な意思を持って、アキ先輩へと向かっていた。 小春 「部長を責めるのは、なんか、違うと思う。部長さんは、頑張ってるもん!」 ※アキ表示 小春 「醜い……ねえ、アキ先輩。醜いってなに?」 アキ 「いや、待て初花……私はだな……」 小春 「部活動に参加しないで、言いたいことだけ言って! ずるい!」 ※全員表示アウト ……驚いた。 あの小春が他人に敵意を向けている。 あの、自身を責めることでしか物事に向け合えなかった……小春が。 ユキ 「あははっ。アキ、あんた一年生に見透かされちゃってるじゃない」 ※アキ表示 アキ 「………く」 アキ 「ユキ、おまえはいったい誰の味方なんだ」 ユキ 「勘違いしてもらっちゃ困るわ。私は誰の味方でもない」 ユキ 「私はもう部外者だもの。言いたいことを言わせてもらうだけよ」 アキ 「……………」 ※全員表示アウト 小春 「……ばっかみたい」 俺だけが聞き取れる、小春の呟き。 いつもの、小春の、小さな小さな心の声。 しかしその内容は、とうてい小春の言葉とは思えなかった。 ※小春表示 小春 「あの、部長さん……?」 ※部長表示 部長 「………何かしら?」 小春 「ごめんなさい。私……、今日はもう帰ります」 部長 「……そうね。その方が……いいかも知れないわね」 ※全員表示アウト 部長の言葉に、いつもの切れがない。意気消沈しているのがわかった。 ……大丈夫かよ、マジで。 ※小春表示 小春 「さ、慎太郎ちゃん、いこっ」 慎太郎「は? 俺……?」 小春 「行くのっ。ほら」 小春が、俺の腕を引く。 と、同時に、微かな疑念が俺の後ろ髪を引いた。 ※アキ表示 アキ先輩は、いったい何を思ってこんな行動を起こしたのだろう。 さっき先輩は、小春に何を言いかけた……? 俺は……。 <選択肢> a.小春に付き添う b.アキ先輩に声をかける bルート いや、違う。そうではない。俺が今、すべきことは……。 ⇒aルートへ aルート ※アキ表示アウト 小春が俺の腕を強引に引く。女子特有の柔らかい感触が、俺の腕を暖かく包む。 変わったな、と場違いなことを思う。 いつも俺の背中についてきた幼馴染が、今は俺の腕を引いている。 なんだかくすぐったい、だけど、心地がいい。そんな気分だった。 俺は、このまま部室を出て行くだろう。 何か、言い残したことはないか……? 部長は……そうだ、あんなに弱気な部長は初めて見たな。 ……初めて? いや……そうではない。 今日に限ったことではない。 合宿を提案したときの部長の表情、小春を心配する部長、今日の部長……。 衝動的な不安に後ろ髪を引かれ、俺は、部室を振り返った。 慎太郎「あの、部長、俺……」 部長 「……………」 振り向き様、視界に入った部長の表情は、今までみたどの顔よりも鮮烈で……。 ※背景部室赤 ※エロ子表示 エロ子「どうか良い物語を……」 ※エロ子表示アウト ※背景部室 慎太郎「また明日! 明日、部室で会いましょう!」 自分でも、何が言いたいのかわからない。 そんな言葉を残して、俺は、部室をあとにした。 ※チカ表示 チカ 「……………」 ※全員表示アウト ※背景、土手 シシガミ様という神様を知っているだろうか。 某アニメ……というより、もののけ姫に出てくる、アレ。 ユーモラスなギョロ目が癖になる、デイダラボッチ、あの鹿。 生と死を司るをシシガミ様が歩く道には、草木が生え、そして枯れる。 シシガミ様の神聖さを感じられる、印象的なシーンだ。 俺は今。 そんな神秘の一片をまざまざと見せ付けられている。 慎太郎「うわあ……」 振り返れば、均された地面の上に延々と草木の道が続いている。 そう、小春が歩いた……その後ろに。 慎太郎「なあ、小春……」 先ほどの部室での怒りの延長、不機嫌な空気を漂わせながら先を歩く小春。 まだ、この惨状に気が付いていない。俺は、恐る恐る声を掛けた。 ※小春表示 小春 「なに?」 慎太郎「後ろ、振り向いてみ?」 小春 「ふぇ……?」 小春 「わ……あわわ……!?」 唖然。アニメキャラみたいに目を丸くして驚く。自分がやったくせに……。 小春 「し、慎太郎ちゃんっ。こ、これ……?」 慎太郎「俺に聞くなよ……」 小春 「ど、どうしよう。な、なんでこんなことに……」 慎太郎「どうしようも、こうしようも……」 小春はまだ、上手く力の調整ができないよう。いや、よくわからないけど…… 慎太郎「とりあえず落ち着け。柄にもなく興奮するから、こんなことになる」 小春 「う、うん……。そうする」 深呼吸……。 土手沿いのグラウンドから、スポーツに勤しむ青年たちの掛け声が聞こえる。 そういえば、アキ先輩と初めて会ったのはここだった。 ん……いま考えるべきはアキ先輩じゃないのか? 小春は……。 呼吸を整え、少し落ち着いたようだ。話しかけるなら、今か。 慎太郎「さっき……珍しく怒っていたな。おまえが他人に怒鳴るなんて、初めてじゃないのか?」 小春 「んー。そんなことは……ないと思うけど」 慎太郎「アキ先輩? 何をそんなに怒ってたんだ?」 小春 「えーっと……」 小春 「その……」 頭をかきつつ、視線を逸らしつつ、曖昧に言葉を濁す。 まあ、いい。小春がすんなりと自分の気持ちを言葉にできるとは思っていないさ。 慎太郎「ま、こんなところで立ち話ってのもあれだよな。とりあえず、……帰るか」 小春 「うんっ」 ※小春表示アウト しかし、まあ。 歩いてきた方角を振り返る。 この草の道、いったいどうするんだか……。 ………。 ……。 …。 ※背景、公園 公園の桜の花はすっかり散って、青々とした葉が枝木を覆っている。 そういえば……小春がエロゲ創作部に入る前、俺はここで……。 そうだ、ここ。小春を部活に誘う直前の日。 俺はここで、選択をした。……選択? 意味を成さない映像が頭の中を駆け巡る。 風に揺れる桜の木。まるで雪のように、花びらが舞う。 新しい季節を祝う花吹雪の下、彼女は俺に微笑みかけて…… ※小春表示 小春 「慎太郎ちゃん?」 気が付けば、目の前に小春の顔があった。 小春 「どうしたの?」 慎太郎「いや……。……そういえば、前にもあったな、こういうこと」 小春 「んー……? あ、そういえば……」 ※小春表示アウト 思い返せば、あの日も小春は怒っていた。 あの時は確か、俺が部活に入ることを決めて浮かれていた頃だ。 俺が勝手に一人で進むことに、小春は頬を膨らませていたんだっけ。 ※小春表示 小春 「あははっ。あの時は、こんなことになるなんて想像もしなかったなぁ」 慎太郎「こんなこと?」 小春 「エロゲ創作部なんて怪しげな部活で、えっちな絵が描けなくて頭を抱えておる」 慎太郎「ははっ。たしかにっ」 ※小春表示アウト 俺だって、想像していなかった。 部活に入る決意をしながら、どこか、今までの退屈な生活が続くものだと感じていた。 ※小春表示 小春 「あの時は、慎太郎ちゃんが誘ってくれたんだよね……」 小春 「今度は私が……」 慎太郎「ん……?」 小春 「ねえ、小春ちゃん。今晩、ウチに夕食を食べにこない?」 小春 「ほ、ほら、この前のことで、お母さんも慎太郎ちゃんにお礼を言いたがっているしっ」 慎太郎「……?」 様子がおかしい? いや、そうでもないのか? 小春 「それに……私、慎太郎ちゃんに相談したいことがあって」 慎太郎「ほう。相談とな?」 小春 「えっと、相談というか……協力というか……」 小春 「私、絵が上手くかけなくて……だから、その」 うーん。歯切れが悪い。……が。 慎太郎「そういうことだったら、断るわけにもいかないよな」 小春 「え、来てくれるの? ……やった!」 小春からのディナーのお誘い。小春宅で飯を頂くなんていつぶりだろう。 少し気まずい気もするが、まあ、悪い気分ではなかった。 ※背景、黒 ……が。 どうしてこうなる。話の展開についていけない。 ※背景、小春の部屋 小春 「私ね、すっごくっ! すっごく、悩んだんだよっ」 小春 「部長さんの言葉……期待されてるってのはわかっている。でも、描けないの」 小春 「きっと、経験不足だよね。想像だけで描いたってダメ……だから、一石二鳥かなぁって」 じりじりと詰め寄られる。 小春の、相変わらずの真剣な眼差しが、怖い。 小春 「ねえ、いいでしょう。減るものじゃないし……」 慎太郎「待て、小春。おまえは何を言って……」 小春 「な、なんども言わせないでよぅ。私だって、恥ずかしいんだよ」 慎太郎「い、いや、そういう意味じゃ……」 顔面を真っ赤に紅潮させて、小春は繰り返し、それを言う。 小春 「ねえ、慎太郎ちゃん。おちんちん……見せて」 ………。 ……。 …。 ※背景、黒 慎太郎「うわ……なにこれ」 春菜 「ウフフ。しんたろちゃんが来るって言うから、おばさん、張り切っちゃった♪」 目の前には豪華絢爛な料理が、テーブルの上にところ狭しと並んでいた。 「私を食べて!」「いいえ、私よっ」「目立たない、私は地味な子……でもわかる人にはわかってもらえるはず……!」 狭い食卓の上にて覇を争うかのように主張しあう、そんな声が今にも聞こえてきそうな、そんなディナー。 小春 「あはは、慎太郎ちゃん。遠慮しないで、食べてね?」 慎太郎「あ……うん。それじゃあ、ありがたく」 テーブルの端に置かれた一品に箸を伸ばす。 「私、幸せ」「あん、そんなに強く摘まないでぇ」「私、食べられちゃう……!」「私、食べられちゃうわああっっ」 ……やかましい。 騒ぎ立てる彼女を口の奥に押し込め、一気に噛み砕いてやった。 ところで、初花家の名誉のために一言言っておく必要があるかもしれない。 言うまでもないが、小春の家には電気が通っていないわけではない。 かといって、初花家に代々伝わる伝統で、夕食は暗闇の中で執り行うことになっている……というわけでももちろんない。 これは……そうだな。表現の無限の可能性への挑戦、とでも言っておくか。 皆さんは、視覚がどのように形成されているかご存知だろうか。 我々が見ている映像は、直接、外部から脳に送られているわけではない。 外部からの情報は、眼球のレンズを通して、網膜に平面状に映し出される。 網膜に映し出された二次元の画像を、脳が複雑に処理をすることで……三次元の、現実感を伴う映像として受け取ることができるのだ。 つまり、なんていうことはない。我々が実際に視覚から受け取れる情報は、有限で頼りのない二次元情報でしかないのである。 なんとも白々しい話ではなかろうか。 雄弁でわかりやすい視覚情報とはつまり、薄っぺらい情報を元に脳によって都合よく解釈された……有限で根拠のないハリボテの城に過ぎないのだ。 ならばいっそ、そんなハリボテは捨ててしまおう。 視覚に頼らない情報提示によって、受け取る人間のクオリアに直接語りかける……。 そうした高等な試みだ。けっして、背景を稼ぐためなどでは、断じてない。 ――噛み切るたびに溢れ出す肉汁! ――シャキシャキと音を立てながら、口内を潤す新鮮な野菜のサラダ! ――食卓に漂う、コショウの利いた、玉葱を基調とする熱々のスープの香り! ――木製のテーブルを囲む、暖色系の家具、温かい空気が支配する初花家の食卓……。 フフ、どうだろう。視覚に頼らなくても、十分に、伝わったはずだ。 いま貴方の頭に浮かぶ、二次元情報に捉われない無限大の映像……それこそ、我々が伝えたかったものなのだ。 小春 「さっきから何をブツブツ言っているの、慎太郎ちゃん?」 慎太郎「え? なんか言ってたか、俺」 記憶が抜け落ちている。俺はいったい、何を…… 春菜 「おばさんの料理が美味しすぎて、つい熱中しすぎちゃったのよね♪」 きっとそうだ。そうに違いない。 そういうことにしておこう……ってあれ。俺は何を言っているんだ……? ………。 ……。 …。 ※小春の部屋 久しぶりに足を踏み入れる小春の部屋。 何も変わっていない……と言いたいが、若干の変化もあるようだ。 机の上に置かれたノートパソコン、その隣の棚に並んだ、大きな箱(パッケージ)。 エロゲ創作部における小春の洗脳作業は、着々と進んでいるよう。 自ら勧めたこととはいえ、純粋な幼馴染が穢れていく様をこうしてまざまざと見せ付けられると、若干心苦しいものが……。 いや、本音はもう、爆笑ものなんですが。 ※小春表示 小春 「慎太郎ちゃん?」 慎太郎「……いや。なんだか、久しぶりだなって」 小春 「あはは、本当だね。すごく、懐かしい気分」 ※小春表示アウト 言って、小春はベッドに腰をかける。 俺も座っていいものか……。 長年連れ添った幼馴染とは言っても、女の子の部屋。どうしても、所在無い気持ちが付きまとう。 ※小春表示 小春 「どうしたの、慎太郎ちゃん? ボケッと突き立ってないで、座りなよ」 慎太郎「あ、ああ」 ※小春表示アウト 恐る恐る、小春の隣に腰掛ける。 昔はここでよく遊んでいた……とは言っても、そんなの、中学生一年生までの話だ。 お互いが男女を意識した関係……確認はできないとはいえ、キスまでした関係になった今。 こうして小春の部屋に招かれることは、嫌でも違う意味を持ってしまう。 ……というか、無防備すぎないか、コイツ。 いくら天然を売りにしたほんわか幼馴染でも、この待遇はあんまりだ。 なんだか生殺し……いや、そんな感想を抱く時点で俺が汚れているのかもしれない。 慎太郎「なあ、それで、俺に相談っていうのは……」 ※小春表示 小春 「待って。もうすぐお母さんが飲み物を持ってくると思うから……話は、そのあと」 慎太郎「ん、わかった」 ※小春表示アウト 訪れる沈黙。 小春が何も言わないから、俺も何か言い出す機会を掴めなかった。 一階のリビングから漏れ聞こえるテレビの音。内容までは聞き取れない。 ――ゴクリ。 自身の喉がなる音がいやに大きく聞こえる。なんだろう、……喉が渇く。 気持ちがそわそわと落ち着かない。気まずい、このままではだめだ。 慎太郎「な、なあ、こは……」 春菜 「お待たせー! お二人さん、ジュースもってきたわよん♪」 俺の声に被せるように、ドアがガチャリと勢いよく開けられる。 春菜 「しんたろちゃんはオレンジジュースで良かったわよね……って、あらあら」 春菜 「どしたの、2人とも。お人形さんのように行儀よく並んで座っちゃって」 慎太郎「い、いえ……」 ズケズケと遠慮なく室内に入り、台の上にコップを置く。 春菜 「年頃の男女が室内に篭るっていうから、おばさん、もっと華やかな絵が見られると思って期待しちゃったのにぃ」 小春 「ちょっ……お母さん!」 春菜 「フフ、初心ぶっちゃって。本当は、期待しておる」 小春 「お母さん……。怒るよ……?」 春菜 「やぁね、冗談よ、冗談。そんなムキになりなさるな」 冗談……。 にしても、親が娘に向ける言葉としては最低の部類に入る……そんなことを思った。 春菜 「フフ、しんたろちゃん?」 慎太郎「は、はい?」 ふと、春菜さんが目を細める。 母親がわが子を慈しむ……そんな優しい、真剣な表情。 春菜 「優しく……してあげてね? 小春、まだ……処女だから」 慎太郎「あ、あんた……。真面目な顔をして何を言って……」 春菜 「あはは! 冗談よっ。2人して、からかいがいがあるんだから~」 春菜 「それじゃあ、お邪魔むしは退散、退散。お二人さん、ごゆっくりね」 慎太郎「あ……、まっ……。……クソッ」 言いたいことを言うだけ言って、去っていきやがった。 部屋に残るは、気まずい沈黙。 いったい、どうしてくれるんだよ、これ……。 慎太郎「あー……なんっつーか、相変わらずな、春菜さん」 ※小春表示 小春 「うーん。おばさんになると、デリカシーっていうものがなくなっちゃうよね」 小春 「私もいつかああなっちゃうのかな。……なんか、イヤだ」 小春が春菜さんみたいに、か。それはそれで想像がつかないが……。 慎太郎「それで、話ってのはなんだ」 小春 「あ、そうそう。そうだった。えっと、そのことなんだけど……」 小春 「その……えっと」 ※小春表示アウト ここにきて、言いよどむ。これだから、コイツは……。 それにしても、浮ついた気分だったから気が付かなかったが、小春の顔がずいぶんと赤い。 うっすらと額に汗が滲み出している。熱があるのかもしれない。 慎太郎「おい、具合悪いのか?」 ※小春表示 小春 「……ふぇ?」 慎太郎「顔が赤いぞ。具合悪いなら、また今度に……」 小春 「……あ。う、ううんっ。これはその、そうじゃなくて」 小春 「あのぅ……そのぅ……」 ※小春表示アウト もじもじ。 もじもじ。 股をすり合わせながら言葉を言いよどむ姿は、あまりに焦れったい。 慎太郎「…………おい」 ※小春表示 小春 「うぅ……。慎太郎ちゃん、怒ってる?」 慎太郎「怒ってない。話があるなら、はよ、言え」 小春 「……えっと。私、慎太郎ちゃんに協力してもらいたくて、その」 小春 「お、お母さんの許可ももらったことだし……い、いいよね?」 慎太郎「……………?」 ※小春表示アウト んん……? 何を言いたいのかよくわからない。春菜さんがどうして……。 ※小春表示 小春 「あのね、慎太郎ちゃん」 頭の中で明確な意味をなす前に……小春はそれを言い放った。 小春 「おちんちん……」 小春 「おちんちんを見せて欲しいの」 ※小春表示アウト おちんちん…… おちんちん……? 一瞬、頭の中が空白になる。 慎太郎「えっと、小春……いったい何を言って……?」 ※小春表示 小春 「だ、だからねっ! 慎太郎ちゃんのっ」 小春 「お……その……見たいの。……だめ?」 真っ赤に染めた顔を俯け、再び、それを言う小春。 いや、ダメというか……やっぱりダメだろう、それ。 ………。 ……。 …。 ※背景、暗闇 小春 「私ね、すっごくっ! すっごく、悩んだんだよっ」 小春 「部長さんの言葉……期待されてるってのはわかっている。でも、描けないの」 小春 「きっと、経験不足だよね。想像だけで描いたってダメ……だから、一石二鳥かなぁって」 じりじりと詰め寄られる。 距離を置いてベッドに並んだ二人の距離は、いつの間にか、なくなっている。 小春 「ねえ、いいでしょう。減るものじゃないし……」 火照った小春の体温が、俺の腕に絡みつく。 小春 「な、なんども言わせないでよぅ。私だって、恥ずかしいんだよ」 小春の喉が鳴る音が聞こえた。小春の緊張が、触れた肌越しに伝わってくる。 顔面を真っ赤に紅潮させて、かすかにテカった唇が、再びそれを言葉にする。 小春 「おちんちん……見せて」 心なしか目を欲情で潤ませて懇願する幼馴染に、俺は……。 ※背景、小春の部屋 ……って、ダメだろ、やっぱり! ※小春表示 小春 「むぅ……。慎太郎ちゃん、協力してくれるって言った」 慎太郎「いやいやいや。確かに言ったがな…… 小春 「実はね、私、慎太郎ちゃんに怒っているの」 慎太郎「……へ?」 小春 「合宿の時……慎太郎ちゃん、アキさんとキスしたって言った」 慎太郎「あ……あれはっ」 小春 「私には何もしてくれなかったくせに……」 小春 「それに、意を決してやった私のキスについても、慎太郎ちゃん、何も言ってくれない……」 慎太郎「え、ええっと……」 先ほどまでの立場は一転。今度は俺が言葉に詰まる。 慎太郎「その……なんだ? すまん……かった?」 小春 「だめ! 許してあげないっ」 小春 「だから慎太郎ちゃんには、強制的に協力してもらいます!」 小春 「……ふふ、緊張しなくていいよ? 慎太郎ちゃんは、何もしなくていいの」 ※小春表示アウト 小春の口元が妖しく釣り上がる。 小春 「優しくしてあげるから……ね?」 な……なぁに、この状況。 ………。 ……。 …。 ※一枚絵『小春フェラ1』 小春 「まずは、ベルトを……。あれ、上手くいかない……」 小春 「……………。えいっ……! あ、あれ? むぅ……」 本当に……なんなんだろうな、この状況。 先ほどの舞い上がった状態から一転、すっかりと落ち着いた思考で考える。 ベッドに座った俺の足の間に、我が愛すべき幼馴染が屈みこんで座っている。 状況は相変わらずグレー。真っ黒に近い灰色、かなり危うい状況だ。 そうであるにも関わらず、小春の様子を見ていると、事態はそれほど重大なものでないと思えてきた。 小春 「は、外せない……。ねえ、慎太郎ちゃん、このベルトおかしいよっ」 慎太郎「おかしいことはないと思うが……。手伝おうか?」 小春 「いやっ! 自分でやるもんっ」 小春 「………ん、んん? あれ、あれ? ……おかしいなぁ」 カチャカチャ、カチャカチャ……。 ベルトの金具が立てる金属音と、小春の疑問符だらけの独り言が室内に響く。 先ほどの妖艶な笑みはどこへやら。小春は、やはり小春だった。 小春 「……できた! ん……あれ、ベルトが抜けない……」 やっとのこと金具からベルトを外せた小春は、今度はズボンからベルトを抜く作業に苦戦する。 この体勢に入って、かれこれ数分はたっただろうか。 半ば強引にベッドに座らされた際のふわふわとした浮遊感は、すっかり地に堕ちてしまっている。 慎太郎「なあ、小春……」 小春 「慎太郎ちゃんは黙ってて!」 慎太郎「………はい」 ……やれやれだ。 俺はニヒルでニッチな男主人公のような感想を、頭の中に浮かべた。 小春 「むぅ……。慎太郎ちゃん、お腹、引っ込めて」 慎太郎「なにそれ、意味あんの?」 小春 「ベルトが抜けやすくなる……かも」 慎太郎「……………」 小春の絶妙な指示に従いながら、やり場に困った視線を部屋の隅へと泳がせる。 その行為自体に意味はない。とにかく、この居た堪れない空気をどうにかしたい。 慎太郎「そもそも……。そもそも、だ」 小春 「ふぇ?」 慎太郎「どうして……どうしてこんなことになっているんだ」 小春 「どうしてって……。だけど慎太郎ちゃん。抵抗しないってのは、慎太郎ちゃんも了承済みってことでしょ?」 小春 「自分は当事者じゃない、巻き込まれているだけってスタンス。慎太郎ちゃんの悪いクセだと思うよ」 慎太郎「……言うようになったな、小春。おまえにだけは言われたくないが」 小春 「てへへ、言ってみたかったこの台詞」 ベルトを外し終わり、ズボンのファスナーへと手をかける。 ここでまた一苦労……とは行かず、案外すんなりとファスナーを下ろし、ズボンのボタンを外した。 小春 「……慎太郎ちゃんのパンツ」 慎太郎「別に珍しいものじゃない」 小春 「でも、小学生以来だよ? あ、ズボンを脱がせるから、足を上げて」 慎太郎「や、やめろっ。じ、自分で脱ぐから……」 小春 「だーめ、私がやるの。ほら、早く足あげて。私だって、恥ずかしいんだからぁ」 慎太郎「いや……俺の方が絶対に恥ずかしい……」 小春 「何をブツブツ言っているの。早く早くっ」 ※一枚絵『小春フェラ2』 あっという間に、下半身パンツのみの半裸男が完成された。 最近太くなってきた脛毛だけじゃない。股にうっすらと生えた産毛までもが今、小春の目の前にて露にされている。 なんだろうな、この羞恥刑……。 小春 「いよいよ……だね。ドキドキ」 慎太郎「いちいち口に出すな。ドキドキってなんだよ」 小春 「だってぇ……ほら。……ま、真顔でやったほうがいい、かな?」 慎太郎「知らん」 小春 「フフ……慎太郎ちゃんも、緊張しておる」 耳まで真っ赤にさせて、よく言う。よく見ると額にうっすらと汗を滲ませている。鼻息も少し荒い。 受け身のコイツが、よくもこんなことを実行したものだ。小春の緊張も、そうとう……。 小春 「ドキドキ、ドキドキ……。……うん! よぉし、じゃあ、行くよ……?」 幼馴染が、俺のパンツに手を伸ばす。 いよいよ……いや、待て。いよいよ……? いよいよ……なんだ? 慎太郎「ま、待て……!」 小春 「…………ふぇ?」 今さらになって気が付く。全然……全然、心の準備ができていない! 相変わらずの幼馴染の様子に和んで、忘れていた。この、最高にハードな状況……。 小春 「どうしたの? 慎太郎ちゃん」 股の間にしゃがみ込んだ小春が、上目使いにこちらを伺う。 今からコイツに、俺の……。……いや、いやいやいや。 小春 「……………?」 な、何かないか? と、とにかく、時間を……! 頭の中を意味不明な言語が回る。俺は普段コイツと何を話していた? 何か……何か言葉を。この場を……時間を……。 慎太郎「そういえば……そういえばだな。そうだ、あれ、聞きそびれていた……」 小春 「……何?」 慎太郎「なんでおまえは怒っていたんだ? アキ先輩……あの時」 日中にははぐらかされた質問。パンツ一丁で聞くことではないが、気になっていたのは確かだ。 小春 「ええーと……。なんで、このタイミングに……?」 慎太郎「さあ……。なんでだろうな」 小春 「……………」 慎太郎「……………」 視線がかち合う。俺は今、どんな顔をしているのだろう。 怖気づいているところを気取られたくない。めいいっぱいの空元気を込めて、小春の瞳を見つめた。 小春 「……………」 慎太郎「……………」 小春 「……………ふぅ」 ※背景、小春宅 ※小春表示 小春 「慎太郎ちゃん、もっとこう……雰囲気を読もうよぅ」 慎太郎「雰囲気……あの気まずい空気から何を読めって言うんだよ」 小春 「もう……。これからだったのに……」 投げやりに言って、小春は俺の隣に座った。 とりあえず当面の危機を回避……できたのか? 小春 「それで、なんだっけ。私の怒った理由?」 小春 「別にたいしたことじゃないの。ただね、アキ先輩……卑怯だと思った」 小春 「あのね、慎太郎ちゃん。私はね……」 ………。 ……。 …。 ※背景、黒 昼間はあれほど拒んだ返答を、小春はすんなりと語った。 異常な状況に興奮していたせいもあるかもしれないし、そうでないのかもしれない。 幼馴染と言っても所詮は他人。俺には小春の心情などわからない。 だけど……、それを語る小春の言葉から、その気持ちは十分に伝わった……気がした。 小春 「私はね、部活動なんて初めてだからよくわからないけれど……ううん、その前に慎太郎ちゃん。ありがとね」 小春 「慎太郎ちゃんが私を部活に誘ってくれたとき、私、すっごく嬉しかった。あの時は、慎太郎ちゃんといっしょにいれる……それだけだったけど」 小春 「だけど、違ったの。部室に行くと、部長がいて、チカちゃんがいて、アキ先輩がいて、私の力が必要とされて……」 小春 「ああ、部活動ってこんなものなんだなぁって。私……みんなで共同作業なんて、したことなかったから」 小春 「だから……考えるものはただの理想なのかも。私の特技みたく……宙に夢を描くような、ただの絵空事なのかも」 小春 「皆で目標に向かって頑張って……。一人じゃできないから、皆で助け合って……」 ※背景、小春宅 俺は、小春の言葉を黙って聞いていた。 小春は小春なりに、エロゲ創作部の活動の意味を考えていた。 そんな当たり前のことが、ただただ、俺の心をこんなにも揺れ動かしている。 ※小春表示 小春 「ねえ、慎太郎ちゃん? 慎太郎ちゃんは、部長のことをどう思ってる?」 小春 「私はね、部長、好きだよ。いつも可憐で、かっこよくて……私の、憧れ」 小春 「だからかな。部長のこと、私、少しわかるんだ……。多分、部長は私たちが考えるより、ずっと弱い」 小春 「あの時……私たちが言うべき言葉は、部長を責める言葉じゃなくて……」 慎太郎「……………」 小春 「私ね、部長さんを応援したいの。部長さんは一人じゃないよって、私が絵を描いて、伝えたい」 小春 「だから……ね? 慎太郎ちゃん、協力して?」 結局、そういうオチ……。 (チンコ露出シーン省略)
https://w.atwiki.jp/pcul/pages/26.html
小春(こはる) 永遠の20歳 友達組 マスター さゆ サイト:* Catwalk * 特徴 柘榴色の髪とうぐいす色の瞳。 服装は振り袖に袴 大鎌は武器。 普段は敬語。だが気分がノると京都弁になる。 性格 慎ましやかに見せているが、少々鬼畜な部分がある。 他人から常に一歩引いて考える所がある。 誰にも依存しない。 他キャラとの関係 紫妃:親友、コーラス部隊。 与作:和服刃物同盟。 素直利:コーラス部隊。 陣:同じ警備プログラムとして働いている。 煌夜:手を組むことになる。 特殊設定 自称「小野小町の生まれ変わり」 剣道、柔道、空手道、書道、茶道、華道……など、「道」が付くものは全て習得済み
https://w.atwiki.jp/akatonbowiki/pages/8182.html
このページはこちらに移転しました 小春 作詞/カリバネム 自転車の音で何故かときめいた ねじ曲がってる財布の金具 254を駆け抜けてく 大げさな名前背負わされたまま 歩道に刻む君の足跡 サイズの違うスニーカーで 化かされてもまた踊る 騙されてもまだ愛しい 目覚めの時が来るまで目を閉じたまま 君のそばにいたい 笑われてもいい 綺麗なものは遠くても 二人は魔法使い 生まれた魔法使い 甘いその手を離さない 呼吸の仕方も忘れてしまった 邪魔する鳥も茶化すモグラも 息が止まるまで抱き締めた 逆夢が終わる夜更け 泣き出した馬鹿な君と 噴出した俺の他に何も無くても 君のそばにいたい 笑われてもいい 風に飛ばされないように 二人は魔法使い 生まれた魔法使い 甘いその手を離さない 君のそばにいたい 笑われてもいい 綺麗なものは遠くても 二人は魔法使い 生まれた魔法使い 甘いその手を離さない
https://w.atwiki.jp/akatonbowiki/pages/7139.html
このページはこちらに移転しました 小春日和 作詞/277スレ147 作曲/規制用1スレ42(277スレ188) しんしん 銀世界 雪の街 すんすん 鼻声 寒いね りんりん 鈴の音 クリスマス らんらん オルゴール ありがとう 厭わないしいつでも いつまでも あなたを好きでいたい いつからか よりそえどぼっち へたっぴなスマイル つれづれと日々 かじかんでいった ヒラリ陽向に舞う花びら 心はコロリ僕はバイバイ 小春日和昨日の風に 今更と香る あなた 音源 小春日和
https://w.atwiki.jp/ivdd/pages/2034.html
桜庭小春 出演 画像・動画検索 Google/Yahoo!/Bing/NAVER/Baidu/YouTube 桜庭小春「1000ミリのスーパーボイン ~隠し切れないボインのIカップ~」 監督 MCX co.,ltd メーカー スパークビジョン 発売日 2006/11/24 通販 Amazon.co.jp DMM 桜庭小春「Fresh」 監督 Keigaku Chin メーカー スパイスビジュアル 発売日 2006/1/27 通販 DMM
https://w.atwiki.jp/resonant/pages/17.html
久住小春(Koharu Kusumi) この項目は『リゾナントブルーAnother Versからストーリーを想像するスレ』(以下、リゾスレ)に発表された小説の登場人物、久住小春に関する事実を記述していきます。 モーニング娘。7期メンバー久住小春さんについての情報をお求めの方は、適切なサイトをお探しになることを推奨します。(但し、実在のアーティストの楽曲のPVから想像した作品を投稿していくリゾスレの性質上、実在する久住小春さんに関する事実の記述が一部に存在する事を、ご了承ください) また、一つのPVから各人が自由に想像を膨らませるというスレの特性上、ストーリー中の設定は作者・作品ごと千差万別になっています。それ故、当項目で述べる内容は、一部作品世界のみの設定等特殊なものを除いた上での「最大公約数」的なものであることを予めご了承ください。 目次 1.概要・人物像 2.他の登場人物との関係 3.能力 4.久住小春が登場する作品 1.概要・人物像 リゾナンターのメンバーの一人であり、現役の人気タレント「月島きらり」であるという設定が多くを占めている。(「久住小春」として芸能活動をしているものもある) まとめサイトに収録された作品における名前の初登場は、[Tanaka](01)315であるが、同作品においては田中れいなと光井愛佳の会話の中に登場するのみであり、本人自身は登場していない。しかし、このエピソードはそれ以前の雑談や1レスネタを元にしており、小春のキャラクター自体はこの時点でほぼ根付き始めていた。尚、本人自身が初登場する作品は他メンバーに比べて随分遅く、まとめサイトの収録順としては25番目の作品であるかなしみ戦隊の『悲しみトワイライト』(※メインキャストとしてはその次の『SEXY BOY~そよ風に寄り添って~』)となっている。 最初に提唱された設定は、リゾスレが発生する元となった「リゾナントブルーを1位にするスレ」において為された“小春はアイドル”というものであり、何らかの取材を受けているらしき設定と思われるPV映像から連想されたそのキャラクターは、最初に述べたようにほぼ基本設定となっている。ちなみに、その設定をはじめリゾナンターそのものを発案したリゾスレの生みの親とも言うべき住人(通称:188氏)は、各メンバーの基本設定もいくつか提唱してその土台を作った。「1位にするスレ」の段階で既に設定が出ていた新垣里沙や光井愛佳に続き、188氏がリゾスレにおいて一番に提唱したのが小春の設定であり、「超人気売れっ子モデル」「テレビや雑誌の取材で引っ張りだこの毎日」「プライドが高く世の中は全てお金が解決すると言い放つ」「ワガママ」「周囲を騒がせることもしばしば」などといったキャラ設定となっている。これは現実世界の久住小春からの連想というわけではなく、スレに貼られたPVからのキャプチャ写真のビジュアルイメージがそうさせたのだろうと思われる。この設定を元にして、雑談や1レスものの積み重ねの中で、その性格は確固たるものになっていった。 そのようにして形成されていった小春の人となりは、気弱な光井愛佳に対して遠慮のない言葉をぶつけるなど、序盤においては、表面上辛辣な言動を常とする気が強いキャラクターとして描かれることが多かった。このキャラクターは後続の作品にも大きく影響を与えており、多くのストーリーの中で「(表面上)気が強い小春」として描かれている。ただ、一定期間以降は、現実世界の久住小春に即したともいえる、能天気な明るい癒し系キャラクターの作品も多く描かれている。 能力が描かれたのも9人中最も遅く、第1話の終盤に上げられた[Kusumi](01)849『孤独の“逆念写”』で初めて登場している。この話で設定されていた念写能力の設定はほぼ基本能力として定着したが、非戦闘系であるということから後に発電(エレクトロキネシス)が[Blue-R](03)122『蒼の共鳴-守るべきモノ-後編』において登場し、並行して用いられていくことになる。 また、現実世界において2009年9月19日に卒業が発表され、同年12月6日に名実ともにモーニング娘。から巣立った。その為、今後リゾナンターとしての小春をどうするかといった議論も為されたが、このスレの特性上方向が一本化されることはなく、それぞれの作品の中でそれぞれの道を歩んでいる。 2.他の登場人物との関係 リゾナンターサイドにおいてはかなり幅広くメンバーと絡んでいる。同い年である光井愛佳や、「相方」こと新垣里沙、ケンカ相手の設定が多いジュンジュン、リーダーの高橋愛あたりは頻繁に1対1でのストーリーが描かれており、その他のメンバーに関しても二者間の関わりをメインに据えた作品が複数存在する。そんな中唯一、現実世界では付き合いも古く親しいらしいリンリンとの関係を描いた作品だけは何故かほとんどない。 ダークネスサイドとの直接的な関わりはあまりないが、後藤真希の初登場作品において直接対峙している。また、藤本美貴とは“ある共通点”をネタにされることも多い。 4.久住小春が登場する作品参照。 3.能力 主として以下の能力が設定されている。 念写能力(ソートグラフィー) 思念を視認できる形で焼き付けることができる能力。念写能力の項参照。 作者・作品ごとに能力の性質に差異が見られる。 発電能力(エレクトロキネシス) 電気を発生させ、自在に操作・行使することができる能力。発電の項参照。 作者・作品ごとに能力の性質に差異が見られる。 幻術(ハルシネーション) 対象に幻覚を見せることのできる能力。 テンプレにも入っており、イラスト化されたこともあるが、上記2能力に比べると出番は少なめになっている。 魅了(チャーム) 対象を魅了し、思考を奪ったり操ったりすることのできる能力(?) テンプレには入っていないが、雑談で出たことがあり、数作に登場している。 4.久住小春が登場する作品 紹介するのは一部ですのでご了承ください(※左下の[+]をクリックすると本文が開きます) +... ▼単独・全体 『孤独の“逆念写”』 『小春過去編~ひとりぼっち~』 『ツキシマ キラリ』』 『ツキシマ キラリの追憶』 (09)595 『遠足』 『Friends』 『ヤダ』 『想い人の黄昏は』 『Come Back KOHARU』 「かなしみ戦隊リゾナンターミラクルズ」シリーズ → wikiはこちら ▼愛こは 『潜入☆ホストクラブ』 『テロル』 『マーブル模様の空が見たもの』 『Sugao-flavor』 かなしみ戦隊リゾナンター「SEXY BOY~そよ風に寄り添って~」 ▼ガキこは (03)425 『未来を切り拓く電撃使い-open up the future-前編』 / 『後編』 『過去からのプレゼント』 『半分エスパーの脚本(1)』 かなしみ戦隊リゾナンターミラクルズ「すき焼き」 ▼えりこは 『つたえたいこと』 『蒼の共鳴番外編-イミテーション・スノー』 / →続編 かなしみ戦隊リゾナンターSS「せんこう花火」 『お茶とみかんと煎餅と』 ▼さゆこは 『月うさぎと雷鼓』 (30)363 ▼れなこは 『坂道自転車』 かなしみ戦隊リゾナンターSS「ダディドゥデドダディ!」 かなしみ戦隊リゾナンターミラクルズ「春の歌」 ▼こはみつ 『月も一緒に笑ってる』 『少女はその日、居場所を欲し『光』へと手を伸ばす』 『勇気の一歩-Day of Christmas-』 『決行☆売り上げ奪還大作戦』 『督励指差す22時』 『ひかりのはる』 『あなたの名前を呼ぶ日まで』 『Interlude -Call you KOHARU-』 『カレイドスコープ』 『Sugao-flavor』 『霹靂』 『変わらないモノ』 『稲妻Girl』 『蒼の共鳴番外編-もう予知夢は視たくない-』 『蒼の共鳴番外編-いつか名前を呼んで-』 『BLUE PROMISES 番外編 -"Blank" of COLOR-』 ▼こはジュン 『幻と雷雨とバナナクレープ』 (12)618 (25)113 『Black or White』 ▼こはリン ▼ナハッキ (24)593 ▼対ダークネス (01)940 『屋上のリゾナント』 『置手紙』 『Black or White』 (24)593 (39)324 『少年の瞳』 / 『(2)』 / 『(3)』 T - Y - -
https://w.atwiki.jp/wotakara/pages/16.html
月島きらり starring 久住小春 はぴ☆はぴ サンデー! 月島きらり starring 久住小春 パパンケーキ モーニング娘。(亀井&道重&田中) 大きい瞳 Berryz工房 ヒロインになろうか! ℃-ute まっさらブルージーンズ 真野恵里菜 春の嵐 スマイレージ スキちゃん モーニング娘。 恋ING 月島きらり starring 久住小春 チャンス! 松浦亜弥 100回のKISS カントリー娘。に紺野と藤本(モーニング娘。) シャイニング 愛しき彼方 Berryz工房 私の未来のだんな様 モーニング娘。 気まぐれプリンセス hiro AS TIME GOES BY 月島きらり starring 久住小春 ハッピー☆彡 モーニング娘。 せんこう花火 モーニング娘。(安倍なつみ) 男友達 モーニング娘。 リゾナント ブルー モーニング娘。 Mr.Moonlight~愛のビッグバンド~ モーニング娘。 SONGS SPEED Go!Go!Heaven 水樹奈々 Pray 涼宮ハルヒ(平野綾) God knows... RIO 真夏の恋 モーニング娘。 まじですかスカ! 月島きらり starring 久住小春 こんにちぱ W Missラブ探偵 森口博子 水の星へ愛をこめて 重ピンク、こはっピンク わ~MERRYピンXmas! 光井愛佳 私の魅力に 気付かない鈍感な人 むてん娘。(モーニング娘。) あっぱれ回転ずし! モーニング娘。 シャボン玉 モーニング娘。 Only you Berryz工房 愛の弾丸 モーニング娘。 モーニングコーヒー ももいろクローバーZ 行くぜっ!怪盗少女