約 182,749 件
https://w.atwiki.jp/gununu/pages/4329.html
小悪魔〔こあくま〕 作品名:東方紅魔郷 作者名:[[]] 投稿日:2008年4月4日 画像情報:640×480px サイズ:103,325 byte ジャンル:[[]] キャラ情報 このぐぬコラについて コメント 名前 コメント 登録タグ 2008年4月4日 個別こ 東方紅魔郷
https://w.atwiki.jp/lasteden/pages/314.html
小悪魔 生息地 封印されし魔界 外見 ステータス HP 907 MP 967 攻撃力 453 守り 1113 魔防 1195 素早さ 1468 武器 [風]風の書Lv.4 所持金 1384G 技 鳴き声 勝利 敗北「またね」 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/tamakagura/pages/25.html
コダマ名 HP 攻撃 防御 特攻 特防 速度 合計 属性1 属性2 攻撃属性 弱点 耐性 スキル1 スキル2 必要アイテム ここあ 85 20 55 80 70 50 360 理 - 理水闇 虫霊闇 闘理 大図書館の司書 - 小悪魔カード T小悪魔 105 30 85 110 90 80 500 理 炎 理炎水闇 地岩霊水闇 樹闘鋼氷理炎 大図書館の司書 リトルネザーデーモン 技の霊珠 H小悪魔 105 30 80 100 90 95 500 理 風 理風水闇炎 岩霊雷氷闇 樹理闘地 大図書館の司書 リトルネザーデーモン 祝福の霊珠 D小悪魔 120 30 105 85 110 50 500 理 闇 理闇水炎 虫 理 大図書館の司書 リトルネザーデーモン 守の霊珠 S小悪魔 105 30 75 100 80 110 500 理 鋼 理鋼水闇炎 地炎 無樹風岩鋼氷神理毒 大図書館の司書 リトルネザーデーモン 疾風の霊珠 ※太文字のみは禁呪、青文字は属性一致、赤文字は重複弱点、緑文字は重複耐性、灰色は無効、(括弧内)はスキル効果あり ここあ T小悪魔 H小悪魔 D小悪魔 S小悪魔 スキル 1.大図書館の司書 戦闘中のコダマの能力値が5%上昇します。 2.リトルネザーデーモン 自分が状態異常になると、相手にも同じ状態異常を引き起こします。 スペル スペル名 属性 分類 威力 命中 消費 詳細 ここあ T小悪魔 H小悪魔 D小悪魔 S小悪魔 カラードボール 理 特殊 60 100 0 30%の確率で、相手の特防を1段階下げます。 初期 初期 初期 初期 初期 フラッドレッドカーペット 水 特殊 80 100 10 30%の確率で、相手の命中を1段階下げます。 15 15 15 15 15 デモンズパッション 闇 特殊 90 100 20 20%の確率で、相手を混乱させます。 20 20 20 - 20 ナイトエンプーサ 闇 特殊 90 100 20 相手の攻撃、特攻を1段階下げます。 - - - 20 - ダークサイドルミナリー 理 特殊 100 100 20 30%の確率で、相手の命中を1段階下げます。 レンタル限定 30 30 35 30 ストロベリーカクテル 炎 特殊 90 100 20 20%の確率で、相手を火傷させます。 - - - 30 40 ルビータブレット 炎 特殊 100 100 20 相手の装備を2つ同時に無効化します。 - 35 40 - - エレメンタルリゾネント 風 特殊 100 100 20 相手のスキルを2つ同時に無効化します。 - - 35 - - マーキュリカルレガシー 鋼 特殊 100 100 25 20%の確率で、相手を猛毒にします。 - - - - 35 ファシネイションピューピル 闇 変化 - 200 5 相手を混乱させます。 - 40 - - - マギア・ルナロッサ 岩 変化 - 200 0 変化分類のスペルの使用を禁止します。効果は相手が交代するまで継続します。 - - - 40 60 ビロードカーテン 理 変化 - - 20 5ターンの間、物理攻撃のダメージを半減します。交代しても効果は継続します。 - 60 60 60 - シャドウキューブ 闇 特殊 - 100 20 後攻になります。相手が特殊攻撃を仕掛けてきた場合、受けたダメージの2倍のダメージを与えます。属性、スキル、アイテムなどでダメージが変動しません。 - 禁呪 禁呪 禁呪 - 小悪魔のトリル 闇 変化 - 100 20 自分のHPと相手のHPを足し合わせて、半々に分けます。ただし相手の最大HPが自分の最大HPの3倍以上の場合は効果がありません。 - - - - 禁呪 カード効果 アイテム名 装備時効果 契約コダマ 入手(金額) 備考 小悪魔カード 理属性スペルで与えるダメージが20%上昇します。 ここあ 紅魔印の福袋美月堂(2,000,000)
https://w.atwiki.jp/mahonaga/pages/45.html
【小悪魔/小図書館司書/出典:東方Project】 ,. -─ 、 . ´ \、 ,、 __,.ノ三キ '´ i \,ノ三天zュ___  ̄ ̄天/ / } 、jキ王三孑1 ̄ ̄ ,タ7 イ / / i_l | }! 卞キ i l/ | /!斗チx !l'7ハ /!`! |l_,. 7j ! l トN|ィf㍉ ィfた抔, / r' イ i ミl、i,マェリ ' 之ンリ /_,ィ´ l, Ⅵ !マ、"" ' ""ノ/N ! .! _ 7 ハ > `_´,.ィ彳/} | i | , -'´ ̄ , -'`7 / /,イ リ,「fv}t 7 ノ >- 、.! /ヽ.. /--、 / / / / l i!/ 7ヘ/ /イ´ ' . / ! \ }/- 、 {_, ' ,. ' Ⅳ, / l ! 〉ノ ! ヽ. / `ー/ / / / Ⅴ /,_ } ヘ l { l / /! 、 / .l`ヽ; ノ , -、 ! | ,'ヽ ! j / ` , __ ノ 1 ! ヾ/ ヾ! レ/ /`, l_ノ ,ィ / ! ! | l, / i l / /l | ! .! / , ! / / {∧ハ,ノVレ'. , ! ; ! / / ' 、 / l l l / / ` .、 / ! / / \ ,. ´ | ;/ / ' ., . ´ !/〈 L \. / ノ l / ' , _,./ ´ー<' 、ヽ__ノl)っ l l ̄ ヽj l\/ち \ '. l l\)´ \ ', l_j \ l \
https://w.atwiki.jp/dokusenroku/pages/27.html
小悪魔 サプライ 基本セット 分類 キャラクター 攻撃 20 体力 30 コスト ③ キャラクター能力 - 援護効果 【地下図書館の司書】「体力+20」カードを1枚引く。 イラスト Lv.10 処理 キャラクター能力 なし 援護効果 「体力+20」を得て、山札からカードを1枚引く。 使い方 共通山札戦 援護カードとして使っても山札からカードを引けるため、事実上手札損をしない援護カード。 援護効果も特別強いわけではないため、使えるタイミングで使って手札を入れ替えていこう。 コストが低いため、とりあえず土地に配置して使ってもいい。 デッキ構築ルール 援護で得られる「体力+20」は援護カードの中では比較的低い方。 このカードを採用する理由としては「カードを1枚引く」方を重点として使いたい。 『レティ・ホワイトロック』や『宮古芳香』などカードを引く効果を持つキャラクターと『綿月依姫』を組み合わせるなど、工夫して使いたい。 関連するQA 相性のいいカード 『綿月依姫』 小悪魔 サプライ 図書館と霧の湖 分類 キャラクター 攻撃 20 体力 30 コスト ⑤+1枚 キャラクター能力 【蒐集】このキャラクターを設置しているプレイヤーは、周回ボーナスを得る時にカードを1枚引く。 援護効果 「司書のお仕事」「体力+30」 カードを1枚引く。戦闘終了後お互いのプレイヤーは手札からカードを3枚捨てた後にカードを3枚引く。 イラスト スプライト 処理 キャラクター能力 このカードを配置しているプレイヤーが周回ボーナスを得るとき、山札からカードを1枚引く。 2枚、3枚と複数配置している場合、効果は重複し、山札から2枚、3枚と引くことができる。 条件が「周回ボーナスを獲得する時」のため、通常の周回による周回ボーナスのほか、 EVENTマス、『財宝「ゴールドラッシュ」』、『ナズーリン』『橙』などのキャラクター能力などでもこの効果は発動する。 援護効果 侵略側、防御側両プレイヤーは手札を3枚捨て、山札からカードを3枚引く。 『蓬莱山輝夜』などの手札に戻る効果も同時に発動した場合、先に手札に戻った後に、手札を捨てる効果を処理する。 手札の枚数が2枚以下の場合は、すべて捨て、3枚引く。 それぞれのプレイヤーが捨てるカードを選択する 「援護効果の処理」⇒「コストの支払い」の順番になる。 使い方 共通山札戦 周回ボーナスを獲得する機会は多く、配置する時に手札を1枚使うがそれ以上のリターンが見込める。 体力も30と『禁弾「スターボウブレイク」』を耐え、防衛可能な最低ラインは確保している。 手札が多いという事はそれだけ選択の幅が広がるということなので、きっちりと配置して有利を気づいていこう。 援護効果は地味ながらもトップのプレイヤーへの妨害に使える。 中盤以降は、防衛用のカードや切り札を手札に温存していることが多く、それらを問答無用で捨てさせることができる。 トップとの差を縮めるために使っていこう。 デッキ構築ルール 基本的な使い方は共通山札戦と同じ。 『小悪魔』を複数配置し、『財宝「ゴールドラッシュ」』や『ナズーリン』のキャラクター能力を発動させるなどのコンボを 意図的に発生させる事ができる。 逆にいえば、相手も同じことができるので、相手の手札アドを稼がれる前に早々に倒してしまいたいカードでもある。 関連するQA 相性のいいカード 『財宝「ゴールドラッシュ」』『ナズーリン』『因幡てゐ』『秋穣子』『橙』
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/589.html
小悪魔6 5スレ目 775 「あ~ぁ。司書の仕事も楽じゃねぇなぁ……パチュリーもどこにいるものやら」 片方の手に紅茶セットの入ったバスケットを持ち、だだっぴろい図書館の中をパチュリーを探す。 紅茶持ってきてやったのにそんなときに限っていつもの場所にいないとは猫度アップだな。 しかし果たしてパチュリーは猫だろうか? 猫耳だけではきついな。眼鏡を足せば……うむ! 合格だ! じゃあ小悪魔に猫耳は……いや、悪魔羽と猫耳は共存しないなやはりそのままの君でいて などと自分でもよく分からない妄想を垂れ流したまま広大な図書館を彷徨い歩く。 今日も平和だ。 主に俺の頭が。 やっと見つけたパチュリーは、図書館の端にある小さな部屋にいた。 部屋と言ってもたいした大きさではなく、ちょっとした調理が出来る台所と言った感じの部屋である。 薬か何かを作っているらしく、かまどに火が焚かれている。 そのおかげで薄寒く暗い図書館もこの部屋だけ紅明るく、ほのかに暖かい。 火にくべられてくつくつと煮える中華鍋の中からは、おそらく薬草か何かだろう、不思議な匂いが漂う。 ……って、中華鍋? 中華鍋って、主に炒め物に使う道具じゃなかったろうか。 そもそも製薬中の魔女と言って中華鍋に向かう魔女を思い描く者はおるまい。 肉体言語魔法少女並に何か間違ってる。 「なに」 こちらの気配に気づいていたのだろう、背中越しに声をかけられる。 「魔女と中華鍋というミスマッチ具合が実にパチュリーらしいな」 ひとまず思ったことを口にするとぴたりと手が止まり、 いつもよりわずかに目を大きくして、しかしいつも通りめんどくさそうに振り返った。 「あら。あなただったの」 誰だと思ったのやら。 「てっきり小悪魔だと思ったわ。今気づいたけど、あなた達、色がよく似てるのね」 色? なんだそりゃ。 「五味はね、五行に繋がっているの。 五味を統べるとも言える中華鍋は、七曜の魔女である私に最も似合っている調理道具だと思わない?」 「思わない」 あ、むくれた。即答しすぎたか。 いつも以上に不満憤懣たるやといったジト目で見られるが気にしない。 「悪いが俺は製薬理論を聴きに来たんじゃなく、紅茶を持ってきただけなんだ。ほれ、飲もうぜ」 テーブルにポットと三つカップを並べて紅茶を注ぎ、勝手に自分のを飲み始める。 パチュリーは仏頂面で頬を膨らませたまま、鍋に蓋をしてぺたぺたと近寄ってきた。 「カップ、一つ多いんだけど」 「ん。んん、あー。小悪魔も誘ったんでな。後で来るとさ」 「ふーん、そう」 ごくなにげない調子でパチュリーは続けた。 「あなた、あの子のこと好きよね」 「んぐっっ! げふっ、げほっ、えほっ………えへんえへん。ん゛ん゛っ、ん゛っ。 フッ……何を言い出すかと思えば」 「紅茶噴いた顔でかっこつけ直しても遅いわよ、ほら、良いからちょっと耳貸しなさい」 顔を近づけあってぼそぼそと声をひそめる。 「(なぜ気が付いたッ!? 他人の色恋沙汰に気づけないほどは鈍感だと思っていたのにッッ)」 「(五月蝿いわね。咲夜から聞いたの。 紅魔館のメイド長は世界一ィィィィィィィィィ! 知らん事などナァァァァァァァァイ! だそうよ)」 「(市はr……あー……うん、ごめん。謎の敗北感と共にすごい納得した)」 「(って、そんなことはどうでもいいわ。あなた、今のままで良いの? さっさとくっついちゃいなさいよ?)」 「(簡単に言ってくれるのな……そりゃ俺だって是非そうしたいが)」 「(私が近いうちにセッティングしてあげるから、そこで……! というのはどう?)」 「(マテマテマテ、そもそもなんでそんなに積極的なんだよ)」 「(楽しいから。)」 うむ。新しいおもちゃを目にした子供のような、実に期待に満ちた楽しそうな表情だ。腹立つほど。 「はぁ。それにしても意外だな。本にしか興味がないと思ってたのに」 「そうだったんだけどね。私も色々変わってきたのよ。主に人間の所為で」 妖怪は人間に比べて寿命が長く、それゆえ変わりにくい。 しかし、人間――魔理沙だとか、咲夜さんだとか、俺だとか――と接するようになったことで、変わってきた。 そういうことらしい。 確かに『楽しいから』なんて俺や魔理沙が言いそうなセリフである。光栄な話だ。 「あなたのことは……性格はかなり変だけど、買っているわ。 あなたも、同じくらい本を愛してくれている。 そして本と同じくらいお互いに好意を持っている。 だから。あなたは二人で幸せになる義務があるわ」 そう言ってぬるくなりはじめた紅茶を啜る。 「……そこまで思われてたとは、心強い話だ。 ご期待に添えるよう、努力する。やってみるぜ」 全く。 全く、実に心強い話だ。 さらにしばらくして、やっと小悪魔は来た。 「すみません、遅くなりました~、って、あれ? なんだか焦げ臭くないですか」 「「あ」」 パチュリーの製薬成功率がまた下がった。 BadEnd 01、火にかけた鍋からは離れないようにしよう! 予定外の精製失敗のおかげで、パチュリーは早くも“セッティング”をその日の午後にもってきた。 俺と小悪魔に薬草の収集を命じ、魔法の森の近くにある花畑に向かわせたのだ。 ぽかぽかと陽気が漂う昼下がり。 それは、まぁ、確かに一日中カビ臭い薄暗い図書館にいては一生得られそうにない絶好のシチュエーションだった。 ああ、それにしても今日はいい天気だなぁ……やっぱ小悪魔綺麗だよなぁ…… 何もかもが美しい、天使のような小悪魔。 瑪瑙のように煌めく瞳、柔らかそうにふくらんだ唇、 落ち着きと知性を漂わせる表情、ぱたぱたと動く羽。 しかし何と言っても少しウェーブのかかった、ふわっふわの紅く煌めく長い髪が素晴らしい。 こんな日に、踊るように花を摘む小悪魔に見とれないヤツなんているわけがないね。 そして事実俺は自分が摘むべき草も忘れて小悪魔に魅入られていた。 直前にパチュリーにつつかれていた所為も、場所のおかげもあったかもしれない。 けれどそんな綺麗な横顔を見ていると、俺の気持ちはごく自然に口をついて出ていた。 日々寝る前に顔から鳳翼天翔するくらいキザなセリフを練習していたのが嘘のようだった。 「小悪魔」 「はい?」 「好きだ。愛してる」 「はい。ありがt……ぇ? はれ? ほぁぇぇっ??」 元から大きめな瞳がさらに大きく見開かれ、頭と背中の羽も尻尾もピン!と直立し、 両手を口元に当てて驚いたままの表情で固まってしまった。 そしておずおずと両手を胸元あたりに降ろすと、うつむきかげんで視線を彷徨わせ始めた。 「あれ? ぇっと、本気…です、か? あ、ごめんなさい変なこと聞いちゃって。失礼ですよね」 「突然だったことは謝る、ごめん。でも、もちろん本気で言ってる」 ぱたぱた、ぶんぶんぶん 「そっかー、そですか……」 「うん」 ぱたぱたぱたぱた、ぶんぶんぶんぶんぶんぶん 「うーんと、えーっと、ぅーん……?」 音がするほどのあの尻尾と羽の振り様、顔の赤らみようなどから言って、小悪魔は喜んでくれていた。 誰より小悪魔を愛している俺が言うんだ間違いない。 しかし、同時に怒っているようにも見えたし、悲しんでいるようにも見えた。 しばらくそんな難しい顔をしたあと小悪魔が絞り出した答えは。 「あの……ごめんなさい、返事は……しばらく待ってもらってもよろしいですか?」 「おかえり、って……えーと……」 俺の渋い表情を見て良い結果でなかったことは悟ったのか、パチュリーが開きかけた口を噤む。 「まだわかんないけど…保留だってさ。どうかな、ダメなのかな」 パチュリーは眉間にしわを寄せて、何か言おうと口を開いては何も出てこずに口をへの字に曲げることを何度か繰り返した後、一言だけ、ありえないわ、と呟いた。 どうにも合点のいかない小悪魔の対応を訝しみながら、その日は足早に自分の部屋へと引き籠もった。 3日経った。 何も変わらなかった。 1週間経った。 何も変わらなかった。 10日経った。 何も変わらなかった。そう、何も変わらなかった。 毎日顔を合わせているが、何事もなかったかの様に接してくる小悪魔に覚えた感情は、苛立ちだったか、哀しさだったか、それとも感謝だったろうか。 そんなある日のこと。 いつものように図書の整理をしていた俺は、ぼーっとしていてうっかり、 「痛っ!」 「どうしたの?」 「本の金具で指切ったみたいだ。おーいてぇ」 血ぃ出てきたー、とぼやきながら切れた人差し指をパチュリーに見せる。 するとパチュリーは、 「あら、大丈夫? 痛くない?」 「ああ、ま、これくらないなら舐めてりゃ治るかな」 「ええっ!? あ、ああ、貴方が舐めるのね」 「おいおい、なんだと思ったんだ」 「な、なんでもないっ! なんでもないのっ!」 ツンと怒ったように顔を赤くして言うと、読んでいた本に顔を隠すかのように、ばっとうずめた。 と、 「あら何でもないんですか? 残念ですぅ」 「うおっ、小悪魔!? どっから現れた?」 いきなり背後から声をかけられびっくりする。この辺はさすがに紅魔館にいるだけあって神出鬼没だ。 後ろから肩口を覗きこむように抱きつかれ、ケガした指を両手で包み込んでくれる。 こんなに距離が近づいたのは実は初めてかもしれない。 というかなんかふっくらと当たってる。当てられてるのか! ……いやいやその前に。何がしたいんだ小悪魔。泣くぞ俺。 「ふふっ、パチュリー様がやらないのでしたら私が代わりにやっちゃいますよ?」 ……小悪魔? 「別に良いわよ」 「あら残ね……」 けらけらとまんま小悪魔の様な笑いを上げかけて――あれ? とそのままの表情で固まった。 「あの。今なんておっしゃいました?」 「ダメって聞こえたかしら? 好きにしたら?」 「…………あれあれ? いいんですかパチュリー様? そんなこと言って。 もらっちゃいますよ、○○さん」 「良いわよ。それで満足したら早く仕事に帰ってちょうだい」 「…………」 「MPが足りなかったかしら」 「いえ、あの。えと、ホントに良いんですか? 何があったか知りませんが些細なことで喧嘩しちゃダメですよ? 後になってから『やっぱり○○のこと好きだったの』とか言ってももう譲りませんよ?」 「……?」 「あなた、何言ってるの?」 パチュリーが俺と顔を見合わせて不思議そうに首をかしげる。 「いや、だから…あれ? あの、パチュリー様。好きだったんじゃないんですか? ○○さん」 そんなことは初耳も良いところなんだが……そして謎はほぼ解けた。 パチュリーはパチュリーで、ふふぅん、と小馬鹿にしたような呆れ顔を浮かべて小悪魔を見やる。 「あなた何十年私の下で働いてるの? 私が本の知識以上に心惹かれるものなんかあると思って?」 いや、ありがたいことに本の知識以上には俺達のことは気にしてくれていたような気もするが。 「ほぇ……あ……れ……あの日だったか…パチュリー様告白してたじゃないですか……。 そう、私、厨房のそばで聞いてたんですよ?」 「?? 何のこと?」 「そんなこと悪魔に誓って無かったわ」 「ありましたよ! だから私は告白してもらって嬉しかったけど、 それ以上に○○さんが二股かけるような人だと思ってすごく残念だったんですよ!」 パチュリーと二人で難しい顔をして記憶の糸をたぐり寄せる。……ん~? 「あっ。ねぇ、○○。そう言えば小部屋に二人でいたとき……」 「あー。ああ、なんだっけ。たしかに告白した時のセリフとも聞こえる会話だったような」 あ、小悪魔が真っ白になって、みょん侍のように半分魂が抜け出てる。 耳を澄ますとエクトプラズムと共に こ あ ぁ ぁ ぁ ぁ、とかいう苦悶の音をはき出している。 呆然とする小悪魔を尻目に、事件解決ね、後は任せたわ、と言ってパチュリーはすぅっと図書館から出て行こうとする。 その背中に向けて、慌てて小悪魔が我を取り戻して声をかける。 「ちょ、あの! ホントにホントに良いんですね!? 私の勘違いだったことは50歩くらい譲って認めますけど、 もっと後になってから『ホントは○○のこと好きだったの』とか言ってももう譲りませんよ!」 「それさっきも言ったわよ。好きになさい」 と、扉を開けたところでパチュリーが肩越しに振り返って口を開く。 「小悪魔。細かいことは言わないわ。今ここに、たった一つだけ私と契約しなさい。 ――幸せになること。」 「え、あ、は、はい。はいっ! 絶対幸せになります! ありがとうございます!」 それを聞いて満足そうに笑みを浮かべたパチュリーは、今度こそ扉の外へと姿を消した。 ばっ、と弾かれた様に俺に向き直る。 胸の前で手を組んで、眼を潤ませて 「○○さん……ごめんなさい、勝手に勘違いして、怒って、返事もせずにすみませんでした。 今からでも許してもらえるなら、言います。好きです……。私も、好きです! 貴方を愛してます!」 その言葉を、その気持ちを。幾星霜待ち続けていただろうか。 「小悪魔っ…!」 ぎゅっと、抱きしめる。 もう離さない。ずっと、側にいてくれ。そう耳元で囁くと、胸の中でしっかり、はい、と返事をしてくれた。 「私、私……ごめんなさい……」 そう言ってすすり泣く。 涙は似合わない、そう言おうと思って頬の涙を掬った指をふっとさらわれ。 気が付くと俺の指は――好きな人の口の中に吸い込まれていた。 「んっ……ちゅ……れろ…」 「こっっっっこここここここあっくま?」 わたわたと焦る俺の指がぬるりと解放され、つぅと糸を引く。 「血が出ていました、舐めていれば治りますよね」 えへへ、と目尻を赤くしたまま悪戯っぽく笑って、再び指をちゅっと吸い込む。 吸われている部分からぞくぞくとした快感が伝播してくる。 「う、ぁ……」 くすぐったさと恥ずかしさに思わず、手首を握っていた小悪魔の手を取り、同じようにその人差し指に吸い付く。 「ふ、ぁ……ぅん……」 少し驚いて指を一瞬口から離した小悪魔だったが、すぐにとろけるような表情に戻り、指を舐め合う。 ほっそりと白く長い小悪魔の指は、少しだけ本の黴くさい匂いがしたが、ほんのりと甘かった。 口の中で時たまぴくぴくと蠢くものから温もりを受け取り、温もりを与える。 とろとろと熔けそうになる指先からは甘い波が伝わり続け、じんじんと意識までも融かしてゆく。 いつしか、どちらが誘ったか。 お互いの手と手が少しずつ近づいてゆき、自然、ふっと微かに唇が触れ合って――すぐに離れる。 「え、えへへへへへへへへへへへへへへへ」 顔を真っ赤に染め上げてはにかむ俺の恋人。 でも、自分も同じくらい顔が紅く火照って頬がゆるんでいるのを感じる。 お互い恥ずかしくって、二人照れあって、一緒に何か言わなきゃ、と思ってわたわたして。 そして、二人とも同じくらい間抜けなことをしていることに気付いて、ぷっ、と同時に吹き出す。 「「あはははははははははっっ」」 二人でいられる。二人で想っている。二人で感じ合っている。 そんな些細なこと、されどそんな奇跡が幸せで、笑いが止まらない。 ひとしきり笑いあって落ち着いたころ、小悪魔に惚れてからこのかた、長い間夢だった願いを口にする。 「ねぇ。小悪魔。笑ってほしい。ずっとずっと、こうして俺の隣で笑っていてほしい。 俺のためだけに笑っていてほしい。 君の太陽の様な笑顔が、大好きなんだ」 「はい……はい! ずっと、ずっと貴方の傍にいさせて下さい。そうすれば、私は貴方のおかげでずっと笑顔でいられます」 夕立のあとに輝く太陽のように晴れやかな笑顔で応えてくれる。 俺だけに向けられている、向日葵のような笑顔。 もう二度とその笑顔を離さないよう、ぎゅっと強く抱きしめる。 ――ああ、俺は、小悪魔を好きになって、心底良かった。 「あぁ、もったいない。行動に多少問題はあったけど優秀だった司書を、一気に二人も解雇しちゃったわ」 「あいつら勝手に住み着いただけで、元から雇ってないし解雇してもいないじゃん? それに、大丈夫よ。 すぐ三人に増えるわ。ああ、もっと増えるかもね。きっと賑やかになるわ」 「――そう。レミィが言うのならきっとそうなのね」 咲夜が来て、レミィは変わった。 霊夢が来て、レミィはまた変わった 魔理沙が来て、妹様は変わった。私も変わった。 ○○が来て、あの子は変わった。 人間が来るたび、新しい風が吹き込み、紅魔館は変わっていく。 今度来る人間は、きっと悪魔と人間のハーフ。多分。 そして、また新しい風が生まれ、何かが変わっていくのだろう。 この世に生を受けて、はや1世紀が経つパチュリー。 こんなにもめまぐるしく変わってゆく世界は初めての経験だった。 人間という種族からは、どんな本から得る知識も敵わない量の生きた知識を得ることが出来る。 そのことに気付かせてくれた人間達に感謝しつつ、パチュリーは、 その知識を得られることを思って、早くも期待に胸を躍らせるのだった。 7スレ目913 本棚を見上げる。天井は薄暗くて見えない程、遠い。 壁が本で造られていると言える程、本棚が列を成している。上を見れば崖と思わせ、左 右を見れば迷宮と惑わせ、下を見れば整理されていない海。全ての角度から見ようと、全 てが本。活字嫌いが幽閉されようものなら、数時間で精神障害を起こすのではないかと危 惧さえしてしまう。 と、感慨深く思った所で……要するに片付いてないだけ。 「えっとこの本は……うげ。これ南西端側の棚じゃないか。なんでここまで持ってくる必 要があるんだ」 図書館内といっても、今自分がいる位置から該当する本棚へはかなりの距離がある。そ のぐらいこの"仕事場"は広大すぎる。歩いて何分かかるだろうか。 付近に放置されていた書籍類の本棚は見事にバラバラで、東奔西走南船北馬と口に言え ば軽いが、距離を換算したら気が滅入る結果になる。 しかし、雇われてしっかり図書館の主から貰う物貰ってる以上、やらざるを得ない。主 人曰く、ぎぶあんどてーくの精神らしい。 とはいっても、支給元は紅魔館当主からなのだが。 「さて、どこから突っ込んでいくかな」 回収した本の基本位置情報を一つ一つ脳内の図書館見取り図と照らし合わせ、ルートを 弾き出す。だが、結局行って帰っての応酬で時間短縮は見込めそうにない。 「……はぁ」 無意識に重い息が出た。そんな自分に気分が苦くなったが、耳に入って来た小さな声が 苦味をかき消した。 柔らかに笑う、音。 「お疲れのようですね」 「それなりに、かな」 踵を返し、空中を漂う主人の従者に答える。俺に微笑みかけるその優しい表情は、大人 の色香を持ってはいるが、案外茶目っ気があったりドジ踏んだりおっちょこちょいだった りして、保護欲をかきたてられてしまう。"リトル"という名も、性格から鑑みて頷けるい い名前に思えた。 「私の作業は終わりましたから、遠くの本は持って行きます」 両手を差し出して本を受け取ろうとするリトルに、「大丈夫」と俺は軽く手を振って否 定の意を表した。 「構わず休んでてくれ、主人と茶でも飲みながらさ。後で行くから」 「ダメですよっ」 振っていた手をガシッと両手で握られ、リトルの真剣な眼差しにたじろぐ。 「休憩ぐらいご一緒しましょうよ。それに……パチュリー様は今し方気分が優れないとお 部屋に戻られました。私一人で寂しく紅茶を啜れと仰いますか……?」 「言ってない、そこまで言ってないから」 真剣かと思えば、瞳を潤ませ上目遣いで懇願されると、さすがに意思が折れる。ここま でされて拒否を続けられる程、サディズムなんてない。 しかし、ずるい業だ。理解していようとも、従ってしまう。 「でしたら、お手伝いさせて下さい」 「む……そこまで言うなら。これと、これが南西方面なんだ。悪いけど、頼めるか?」 「はい、お任せ下さい。ぱぱーっと片付けてきますからっ」 嬉々として本を受け取り、颯爽と飛んでいく。そんな姿が好ましく、重労働である図書 館の作業も続けられるというもの。 確かに、我が雇い主も妖艶かつ蟲惑的な空気を持ちつつ容姿は少女というなんともミス マッチなお方だが。両手に華なんてお門違いもいい所だが、恵まれてると実感する。 最近、というより数ヶ月も好調のようだった主人が急に体調不良とは少々驚いた。加え て妙に元気というか気合の入ったリトルの姿にも違和感があるのだが。 とかく、後々主人の見舞いでもさせてもらおう。 「よし、さっさと終わらせよう」 拳に力を入れ、数冊の本を抱えて歩き出す。本来あるべき地へ納める為に── 「先ほどの終わりました。次はどこのでしょうか」 「──速すぎだろ常識的に考えて」 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/谷・)_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_ /_/_/ 「アールグレイとジャワがご用意できますが、どちらがよろしいですか?」 「アールグレイ、お願いできる?」 リトルは笑って頷くと、茶葉の入ったポットに熱湯を注ぎ始めた。色々と工夫をしているみたいだが、詳しくはわからない。多分、本格的な淹れ方なのだろう。 数刻前は残骸の山に見て取れたテーブルの周囲も、今ではすっきり爽やかさんくm…… 失礼。綺麗に清掃されている。 「少々お待ち下さいね、もうすぐ良い香りになりますので。あ、よろしければ先にお茶菓 子をどうぞ。頑張って作ってみたんですよ」 「お、リトルが作ったのか。……ん? 見たことないな、コレ」 テーブルには、主人と三人で休憩を楽しむ際によく見るクッキーやドーナツの他に、全 く知識に存在しない細い棒の束があった。全体的に黒く、先端が白い。 「最近また、新しい雑誌が来まして。その中に書かれていました。ポッキーって言う名前 のお菓子です」 ぽっきー。確かに、見た目通り簡単に折れそうな名前だ。 「へぇ、ちょっと一本。……ぉ、チョコレートとビスケットってやつか」 「大体そのような感じですね」 リトルの作った新作に感嘆しつつ、淹れ立ての紅茶がテーブルに置かれた。 アールグレイは薫り高く、ドーナツはふっくらと、クッキーは芳ばしく、ポッキーの小 気味良い音が俺とリトルの雑談に花を添えてくれる。主人はおらず、本日の作業は全て終 わっている。止め処ない語りは、時間の流れを意識させなかった。 「それでまぁ、あれは臭いったらありゃしないよ本当に」 「ですよねぇ、臭いですよねぇ~」 一段落ついでに何かしら菓子を取ろうとして……手元がスカる。テーブルを見れば、あ るのはポッキリいくのが一本のみ。 「あ、悪い。結構食っちまったか」 「いえ、お構いなく。美味しく召し上がって頂けたようで、嬉しいです」 満面の笑みが目に焼きついて、急速に気分が高揚してくる。この笑顔で三倍飯だ。 彼女が魔族である事は知っている。ただ、魔族と思える節が全く見えない。笑顔で人を 救ってしまえるのではと思う程、魔族とかけ離れている。 「じゃあ、最後のこれはリトルが食べてくれ。俺は貰いすぎたよ」 「そうですか……? あの、でっ、でしたら、半分ずつにしましょう」 急に挙動がおかしくなった気がしたが、そのままリトルが手にしたポッキーが半分に割 れて渡されるのを待った。 が、折らずに咥え、テーブルから身体を乗り出してきた。 「ん?」 リトルが、ポッキーの先端を咥えたままお戯けた笑いを向けてくる。 「──へ?」 「ふふ、わかりませんか?」 唇で挟みながらも器用に喋るリトル。 意図がわからず、呆ける。しばらくして、ハッと脳内が鮮明になった。 ま、さ、か…… 「は、はんぶん?」 「はやくして下さいよ。私の方、濡れて折れちゃいます」 目が細まり、からかいの意が伝わる。これを食べろ、と言いたいらしい。 一回だけ里で聞いた事がある。外来人が開いた集団お見合いみたいな集まりで、男女一 組で一本のうどんを互いに両端から食べて度胸試しみたいな事をしたと。 リトルもその意味を理解してやっている様子で、目や口元は『どうしたんですか? 食 べないんですか~?』と挑発しているが、頬は夕暮時を越える紅色。 つまり。俺は試されている。男としての度胸を試されている。と、思う。 「一応聞くけど……手で半分に折ったら?」 「怒ります。大弾を妖夢さんの未来永劫斬並の剛速球で投げます」 「イタダキマス」 とは言ったものの、緊張で身体が強張る。しかも、リトルは目を瞑ってる。しかし、躊 躇して時間を経てれば経てる程状況は宜しくなくなってしまう。 意識を高める。我は獣、目の前の糧を喰らうのみ。 ポッキーの半分を口に入れ、乾いた音が耳に届く。折れた合図に心で頷き── リトル側の半分がテーブルに落ちるのを最後まで見てしまった。 「……」 身体が止まる。頭も、首も、腕も、足も。四肢の骨が鉄の棒にすり換えられた。 逆に、内部は灼熱が迸る。鉄は炉で熱されたばかりの真紅に染まり、肉が煙を立てて焼 け焦げる。 どれほど接触していたか。柔らかく、肉厚な桃色のそれが自分から離れていった。呆然 とした俺の口から、折った棒が落ちて転がった。 「り、リトル? 今、俺に何をしたかわか──」 「わ、わかってますっ」 うつむいていて、表情は窺い知れない。きっと、鬼灯の赤だろう。きっと、俺も。 「おぉ、俺はうれしっ、いややや。別にいいけどさっ、い、いいのか、リトルは」 「……他の男の人とは、絶対しません」 脳天直撃。これは酷い、いや。これはやばい。 「あ、新しい茶葉取って来ますねっ」 言うが早いか、視界からリトルの姿が消えた。 「これは、これはいいのか? 本当に? ど、どうすんのよ! どうすんのよ俺ぇ!?」 明らかにリトルからの積極的な意思表示なのは分かっているが、脳内の整理がつかず、 眩暈に似た感覚に侵食される。驚きと、喜びと、欲が沸いて混じっては押し殺す。思考が 混沌に満ちている。 テーブルに頭を打ちつけ、痛みと時間で熱が収まるのを促そうとした。結果は、頭痛が 酷くなって額から血が滲み出てきただけだった。 「いでぇ……」 愚の骨頂って言葉は、今の自分に適しているかもしれない。 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/皿゚)_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_ /_/_/ 仕事は既に、終わっている。 自分の住居はここではない。独り身とはいえ、家はある。導き出される、次に取るべき 行動は、"帰路につく"こと。 「……」 「……」 図書館の出入口へ向かう、二人。俺の後ろを俯いたままついてくるリトル。少し振り向 いて、声を掛けようとして、喉がつまり……また歩く。 あれから、会話していない。俺もリトルも。何を話せばいいのかわからない。いや、違 う。リトルの顔を見てしまうと、あの映像が蘇り、全ての言葉が忘却の彼方、だ。 扉が見えた。外に出れば、この重さから解放される。そして同時に、何かが砕け、終わ るとも。 伝える必要があった。 「リトル」 「……はい」 仔猫を思わせる小さな声。背中を向けたまま彼女を見ずに、言を続ける。 「さっきは取り乱して悪かった」 「いえ、あの。私こそあんな、はしたない事をしまして……でも」 「ぁぁ、大丈夫。はしたないとか思ってないし、厭でもないし。寧ろ、踊りたくなる程こ う……なんつーか……あぁ!」 自分の気持ちが言葉にならず、頭を掻き毟る。自分の莫迦さに反吐が出る。 至る所、簡潔かつ直球なものしか選べなかった。 「嬉しかった。初、ってやつだったんだけどさ、俺。相手がリトルなら問題なし。もう癖 になって毎日一回はしてもらわないと気が済まなくなりそうだよハハハハハハッ!」 自分で言って、自分で身体を爆破させたい程、莫迦で下らない。乾いた笑い声が図書館 に響き、虚しさとして耳に戻ってくる。 背中にぶつかる音は、無い。今振り向けば、呆れ顔のリトルが見れるかもしれない。 扉の取っ手を掴み、「お大事にって、主人に伝えておいて」と捨て台詞。 開けば、"おわる"── ──おわらせていいわけ、ないだろう。 扉を開けたいと焦る逃亡の意。踏みとどまれと足を重くする打破の意。頭の中で白い小 人と黒い小人が言い争うなんて喩えがあるが、まさにそんな気分だ。 「ひとつ、聞いていいかな」 また、背中で語る。 「はい」 また、小さな声が背中に刺さる。 「さっきのキスって、俺だから、だよな。だとしたら……俺も同じ考えだ」 「……」 刺さらない。空虚が纏わりつく。 音もなく、腕を捕まれ身体が動かされた。 リトルの手が腕を掴み、自分の身体が半回転し終えた時には、俺達は密着していた。両 手を腰に絡めて離そうとせず、顔は胸元にうずくまっている。 「リトル……」 「あなた以外の方とは、したくないです」 腰を覆った腕の力が少し強くなった。俺の手も、軽くリトルの柔らかな髪を撫でると、 軽い喜びの音と共に身じろぎした。 「俺も、リトル以外は願い下げだ」 顔を上げたリトルと視線があい、笑う。互いの鼻先が触れ、息が二人の熱を共有する。 ただ、後悔はあった。 「しかし、情けないな俺も。自分から切り出すつもりが、リトルに言わせてしまうとは」 切り出す気があっても、逃げ腰だったのが現実。 「雑誌の受け売りですけど……女の子って、想いが強ければ強い程、男の人よりずっと大 きくなれるんですよ」 「確かに、今のリトルは俺の何倍も大きくみえるよ。いいのか? ヘタレな俺で」 わざとらしく、自分を謙らせて悪戯めいた笑いに頬が少し膨れる。ただ、その上目遣い はすぐに、惚けて潤み、蕩ける。 「私には……あなたしかいません。見えません。存在しません」 「ぅ……」 熱視線に気おされる。が、それが悪戯返しだとニヤけた表情に切り替わって理解した。 してやられたと、眉間に皺が寄る。 「そう言われたら、どうします?」 「押し倒して、今夜は寝させないぞ。まである」 「期待してます」 緊張感が無くなり、異常に負担をかけていた膝から力が抜ける。本棚に寄りかかって座 ると、リトルも俺に乗りかかる形で座った。優艶さ漂う吐息が、一寸先は俺の首と、暖か にくすぐってくる。 「私は……魔族です。正真正銘の悪魔です」 「知ってる」 知っているが、俺にとっては関係の無い事。魔族でも悪魔でも。 「でも、それ以前に女の子なんです」 「わかってる」 わかっているからこそ、種族なんて意識せず、俺は接してきた。 「女の子は、大好きな人の事を想うと──溶けちゃうんです。溶けて……大好きな人と同 じ色になっちゃうんです。わかって、頂けますか?」 「……俺の色はかなり酷いぞ。後悔するなよ」 「はい──」 顔を引き寄せ、今度は自分から押し付ける。リトルは拒まず、受け入れてくれた。微か に涙ぐんだ瞳で求めてくる目の前の女の子に激情をかられ、手が柔軟な肌の感触を欲し始 めて震えだす。 理性が本能に蝕まれていく。これが男の"さが"というものなのか── 首筋が、冷えた。とても、金属質な冷たさ。 「業務時間は過ぎました……が、何をしてるんでしょうか?」 紅魔館のメイド長がいた。 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/△')_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 一ヶ月待った、と聞かされた。 俺もリトルも、互いに意識はしていたものの、主人の存在が壁になっていた。加えて持 病の喘息がここぞとばかりに表に出ず、好調だった。本来ならば喜ぶべき話だが、なんと も複雑な期間になってしまっていた。 更には、主人は俺の事を気に入ってくれていたようで、お陰で長期の図書館内業務を受 ける事ができた。そんな主人の俺に対する感情が、リトルにとっては焦燥感そのものだっ たらしい。そして主人の急な体調不良が引き金になった。なんとも、愛らしい話だ。 「──女性のいる前で、他の子を想い耽ってると嫌われるわよ?」 「むぉっ!? これは失礼しました」 館を、木々を、萌える若草を照らす太陽。涼しい風と穏やかな雲の流れ。外に足を向け るには絶好の日和。 「とりあえず、まだ準備に時間かかるようなので、ここで待ちます。メイド長はここにい て大丈夫なんですか?」 「あなた達二人を見送るのも仕事よ。一通りの人員管理も私の役目ですから」 紅魔館の正門前。外出を許されたリトルを待つ俺……と、メイド長。館の上層部が来て るとあってか、普段ボーっとしている門番も胸を張って仁王立ちしている。 「色々とやる事多くて大変ですね。お疲れ様です」 「そう思うなら、厄介事は増やさないでね」 笑顔だが、語気が強い。実直に頭を縦に振った。 「本来、職場恋愛は厳罰なんですから。お嬢様に毎日の感謝をお忘れなきよう」 「わかってますよ、命の恩人ですし」 「一言余計です」 「失礼」 メイド長に発見された後── 問答無用で蹴り飛ばされた俺は意識が吹っ飛び、そのまま無数のナイフに刺されて三途 の川に直行だったはずだが、リトルが本気で大弾投げて騒然となったらしい。翌日、俺の 意識が戻った後、メイド長に連行されて紅魔館当主から処罰を言い渡されたのだが、『そ の程度、目くじら立てる程ではないでしょう、好きになさい』と放任発言。さすがのメイ ド長も豆鉄砲を食らっていた。 そして、公にリトルの"お相手"として認められてはや数日。 図書館の主人は一向に調子が良くならず、今し方長い銀髪の女性が有名な薬剤師のもと へ連れて行くと、背負っていった。 俺とリトルも同行しようとしたのだが、『あんたら分の送迎が面倒だよ』と一蹴されて しまった。要するに、"ひま"が出てしまった。 「まぁ、たまの休みだから羽を延ばしていらっしゃい。お役目も忘れないようにね」 「了解しました」 当主直々から『お遊びついでに、リトルに館外の知識を見せて来なさい』と命令? を 受けて今に至る。『霧雨と博麗という女には近づかないように。いらぬ無駄知識しか増え ないわ。百害あって一利なし、よ』と釘も刺された。 大きく背伸びをして……見れば、はにかむ笑顔。 「お待たせしました。あの……変じゃ、ないですよね?」 「何言ってんだ。似合いすぎて言葉が見つからないぞ」 喜び、笑うリトル。外の眩しい日差しは、彼女の輝きと同化する。 黒き翼に純白のワンピース。白と黒のモノトーン調というのは、格好良くもあり、綺麗 でもあり、可愛くもある。語ろうとして語りきれるものではないだろう。 「行ってらっしゃい。道中、気をつけなさいよ」 「わかりました」 深々と頭を下げて一礼し、メイド長が館の奥へ消えていく。ここからは、二人の時間が 始まるんだと、手を差し伸べた。 「行こうか。丸々一日、遊び倒すぞ」 「はいっ」 勢い良く抱きついてきたリトルを回転しながら抱え上げ、大きく一歩を踏み出す。 遠くに見える木々が風でなびく。俺とリトルの出発に手を振って送ってくれた。 ──想うんだ、俺は。 黒い翼の天使がいてもいいんじゃないかと。なんつってな── 7スレ目 564 小悪魔「はい、これが私との契約書です♪」 ○○ 「おう。」 小悪魔「本当に?本当に私が主側の契約でいいの?」 ○○ 「君はすでにパチェの従者だ…君と絆を作るには、 俺が君の従者になるしかない。」 小悪魔「う、嬉しい…」 (にこ…) ○○ 「で、何処にサインすればいいんだ?」 小悪魔「サインではなく…○○さん自身の血で血判を押してください。 ココに…レミリア様の認可印がありますね、その脇です。」 ○○ 「ここだな。」 俺はこのとき、契約書をよく読みもせずに、指を軽く噛み、自分の血をにじませて、 小悪魔のいわれるがままに血判を押してしまう。 (ぺたっ) 小悪魔「できたー♪」 これでめでたく、俺と小悪魔の主従関係契約が成立…したはずなのだが… ○○ 「おかしいな…何も変わった感じしないぞ…」 小悪魔「はい、だってこれ婚姻届ですから♪」 ○○ 「ぶっ」 小悪魔「悪魔との契約に期限も解約もありませんからねっ!幸せにしてくださいね!」
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/587.html
小悪魔4 358 さて、今日は世に言う一年の締め括り、大晦日と言う奴である。 とは言え、我等が紅魔館は先週のクリスマスパーティー以降、軽い燃え尽き症候群に陥っていた為、 特に何かしようという動きも無く、まったりとしたムードになっていた。 レミリアお嬢様が、「どぅもー――! ハードレズでぇー――す!! 今宵は霊夢とオールナイトで年越しフォー――――!!!」 とか叫びながら、咲夜さんを伴って夕方頃から博麗神社に出掛けてしまった事も、館の空気を弛緩させるのに一役買ってしまっている。 『晦日(つごもり)』の名に相応しく、今夜の月の光は人間の目では捉えられない程に弱々しい。 まあ、咲夜さんも傍らについている事だし、あのお嬢様に限って身の危険を案じる必要も無いだろう。 ……それよりも、だ。 「げほっ、げほっ!!」 「あぁっ、パチュリー様、しっかりして下さい」 本当は、俺とリトルも含めたパチュリー御一行もお嬢様に同行する予定だったのだが、 パチュリーが寒気に中てられて喘息を拗らせてしまい、大人しく館でお留守番、という事になってしまったのだ。 「……御免なさいね。貴方たちも神社に行きたかったでしょう」 「お母さん、それは言わない約束でしょ」 リトルが病床の母をいたわるような目でパチュリーの手を取った。 ……誰がお母さんだ、誰が。 「けほっ、……あぁ……本当にいい子ね、リトルは」 ――なでなで。 「ああ……お母さん、こんなに手が冷たくなっちゃって……」 ……二人とも結構余裕があるようで、何よりだ。 何だかひと昔の昼メロみたいになってきたので、俺も一役買う事にした。 「あ~~あっ、さっさとババアの遺産で放蕩三昧してぇなあぁ~~~!?」 現代風味の不幸者チックな馬鹿婿を演じてみた。 「なっ、何言ってるんですかあなたっ!!」 ――ばちこーんっっ!! リトルに勢いよく頬を張られた。 ……かなり気持ちい……じゃなかった、かなり痛い。 「ううっ……ゲホッ、ゲホッ、この鬼婿……呪ってやる、呪ってやるわ……ゴホッ!」 細く生気の無い目を険しく吊り上げて俺を睨むパチュリーの背後に、どす黒い般若の形をしたオーラが浮かび上がっていた。 (ひぃっ、あ、あれは……何て事なの……!) 寝室の入り口の物陰から、家政婦ならぬ門番が見ていた。 「なんだ美鈴か。どうした?」 何だか昼の連ドラというより火曜幻想郷サスペンス劇場みたいになってきたので、いい加減に切り上げて素面に戻る事にした。 「いえその、お客様がいらしていますので、ご報告に」 「客? こんな時間に?」 パチュリーがベッドから上体を起こし、眉を顰める。 もう二時間もすれば年号がひとつ繰り上がるような時刻で、厨房の人たちがそこに向かって猛ピッチで蕎麦を湯掻きまくってくれている最中だ。 「……まったく。不躾にも程があるわ」 そう吐き捨てて、嫌悪も顕わに頭を掻く。 レミリアお嬢様と咲夜さんが不在な現状、この館の最高責任者は彼女という事になる。 「何処のどいつかしら。面倒事は真っ平御免よ」 「それなら心配は御無用だと思いますよ。皆さんよく知った人たちです」 「?」 何故か苦笑交じりに頬を掻く美鈴に、三人揃って首を傾げる。 まあ、ここでジッとしていても埒が開かないので、病床の主に代わって俺とリトル、美鈴の三人の裁量で応対する事となった。 ………… 「……何やってんの、君ら……」 門前に集まっていた顔触れに、思わず頭を抱えてしまった。 輝夜姫様に永琳、鈴仙とてゐに、数十名のイナバの子たち。 永遠亭の面子一同が、どでかい風呂敷を抱えて、夜逃げさながらの様相でその場に佇んでいた。 「……話せば、長くなるんだけどね」 輝夜姫が、ゲンナリした表情で重々しく口を開いた。 「それは、今朝の事だったわ……」 少女回想中…… 「姫さまっ、師匠っ!! た、大変です!! 巫女が腹肉を弛ませながら、羅刹のような形相で押し入って来ました!!」 「何ですって!?」 ――スパー――ンッッ!! 「ゲエェーッ!! お前は博麗の巫女!! は、早過ぎる?」 「あんた達ッ!! こんなブヨ腹じゃ元旦の演舞もロクに出来ないじゃないのよ!! さっさと解毒剤とお詫びの豊胸剤を作りなさいケヒヒィィー―――ッッ!!!」 ちゅどどどどどどどー――――んっっっ。 ………… 「という訳で、屋敷がフッ飛んじゃったのよ」 「それは何と言うか……」 流石に怒らせた相手が悪かった。 「最初はスキマ妖怪を頼ろうとしたんだけど、考えてみればあの女、住処がさっぱり分からないのよね」 まあ、神出鬼没を絵に描いたような人だからなあ。 それに、どの道彼女はあの後すぐに冬眠に入ってしまったと聞いている。 この間のパーティーの時は、少々無理をして来てくれていたのかも知れない。 目を覚ました暁には、気付けに俺の得意料理『デスソース混入不惜身命ライチ味チャーハン』を、あの時頂いた中華鍋で振舞う事にしよう。 今日も今日とていい事を考えていると、輝夜姫が勢いよく頭を下げてきた。 「この間あんなにお世話になっておいて申し訳無いのだけど、もう此処しか思い当たる宛てが無いの。 こちらからも無事に残った食糧を提供するから、今夜一晩、寝床を提供して頂けないかしら」 「分かりました。困った時はお互い様です」 リトルの即答。 「……いいのかな。俺たちで全部決めちゃって」 「だって、こんなに寒いのにまた放り出すなんて、可哀相じゃないですか」 確かに。 見渡すと、元々寒さに不得手であろうイナバの子たちが、皆涙目になって唇を青くしながら、ガタガタと小さな体を震わせていた。 「う~~~ん、寒い、寒いよぉ~~~」 てゐがブルブルと身を縮こませながら、段ボール箱の捨て犬のような上目遣いでこちらを見ている。 ……途端に、全てが嘘臭く視えてきた。 「ちょうど良かったです。今あったかいお蕎麦を作って頂いているところなので、みんなで食べましょう」 「決まりですね。それじゃどうぞ、入った入った」 これで決まりとばかりにリトルがポンと手を叩き、美鈴が門を開けて永遠亭ご一行を先導した。 「ありがとう……この恩は、覚えている限りは忘れないわ」 輝夜姫が、色々な意味で当たり前の事を言いつつ頭を下げてきた。 「ほらほら寒かったでしょう? もう大丈夫だからね」 保母さんよろしく、リトルがにこにことイナバの幼な子たちの手を引いている。 そんなあたたかな背中に、永琳さんが呆れたような苦笑を見せた。 「……あの子、本当に小悪魔なのかしらねぇ」 俺も常々そう思う。 ………… 「……という事になった」 「お世話になります」 永遠亭代表の永琳さんを伴い、パチュリーに報告を済ませた。 リトルと美鈴には、メイドさんや厨房の人たちへの伝達を頼んである。 「まあ、仕方が無いわね……今更文句を言うのも面倒だし、節度を守ってくれれば構わないわ」 「ええ。そこはきつく言い聞かせておくわ」 「あとは、そうね……今少し喘息の調子が良くないから、ここに兎の子たちを近づけないように」 そこまで言って、ごほ、とパチュリーの喉が痛々しく鳴った。 皆あんな姿をしているので兎である事を失念しそうになるが、確かにアレルギーが出る可能性も否定出来ない。 「分かったわ、くれぐれも留意しておきます。……本当にありがとうね。 あの使い魔の子、ウチに欲しいくらいのいい子だわ」 「「だが断る」」 即座に俺とパチュリーの拒絶の声が重なった。 最初から冗談のつもりでしか無かったらしい永琳さんの顔に苦笑が浮かぶ。 「冗談よ冗談。流石に大事な使い魔兼婚約者を連れ出したりは出来ないわ」 「う……」 「見たわよ、彼女の左手。おめでとう」 あの短いコンタクトで全てお見通しとは、まったくもって恐れ入る。 あれ以降、館の人々から散々玩具にされて慣れてきてはいたが、外の人から言われるのにはまた違ったダメージがあった。 「あ~もう。俺、リトルを迎えに行って来るよ」 気恥ずかしさに負けて席を立ち、慌ただしくその場を退散する事にした。 「ご馳走様~」 永琳さんのからかうような声が、背中にこそばゆかった。 ………… 「……ふふ、青いわね」 遠ざかる彼の背中に永琳が軽く微笑む。 「あんまり面白がって弄らない方がいい。反動で凄まじい変態行為が来るわ」 「あら。刺激的なのは結構好きよ」 ……この月人の思考は、相変わらず何処かピントがずれている。 ほう、と一つため息を吐いた瞬間、激しい咳嗽の発作が来た。 「げほっ、げほっ!! ……っ、ぐっ、ごほっ」 気管を灼くような痛みに肺腑を圧迫され、目尻に涙の粒が浮かぶ。 「大丈夫?」 「……、五月蝿い。何でもないわ、こんなの」 差し伸べられた永琳の手を、明確な意思を以って拒絶する。 私が取るべき手は、この紅魔館と魔法の森にしか無く、今この場には存在しない。 天井を仰いで荒い息をつく私に、永琳は何処かいけ好かない微苦笑を寄越し、持ち込んできた風呂敷をごそごそと漁り始めた。 「仕様が無いわね。そんな強情な魔法使いさんに、意地悪なお姉さんからプレゼント」 そう言って永琳が風呂敷から引っ張り上げてきたのは…… 「? 何なの、これ」 「マスクよマスク。煩わしい雑菌や粉塵を完全シャットアウト、その上で抜群の保湿性と通気性。 夏場に所用でこしらえた、天才永琳印の特別製よ」 「……要らない。そんな大層な物、頂いちゃ悪いわ」 「いいのいいの。お邪魔させて貰ってるんだから、せめてこの位のお礼はさせて頂戴」 「…………いいの?」 「最初からそう言ってるじゃないの。受け取ってくれる?」 「そう…………ありがとう」 消え入るような小さな声で礼を言い、永琳からマスクを受け取る。 指と指が、軽く触れた。 ………… 「♪兎美味しい、彼の山~~~♪」 パチュリー様が何時か教えてくれた残虐童謡を口ずさみながら、軽い足取りで廊下を歩く。 静かな年越しというのも良いけど、お客さんと一緒に賑やかに迎える新年というのも、魅力的な話だ。 メイドさん達に、永遠亭の皆さんの寝床の用意をお願いしないといけない。 「あ、いたいた。すみませ~~~~ん」 曲がり角の方に、咲夜さんが居ない間メイドさん達の指揮を任されているチーフさんの姿を見つけ、声を飛ばす。 私の声に振り向くと、彼女はおっとりとした笑顔を見せた。 「あら、あのクソ忙しい時間に二人のうのうとイチャついていたリトルちゃんじゃないの」 「え゛」 「え、なになに。皆クタクタに疲れて眠りこけていた夜中に構わず二人バーニングしていたリトルちゃんですって?」 「まあっ、ご主人様を差し置いて一人春爛漫、人生大絶頂期なリトルちゃんのお出ましよ、みんな!!」 ――ぞろぞろぞろぞろ。 「えっ、あ゛、そのっ」 一体何処から湧いて来たのか、曲がり角の向こう側から続々とメイドさんが現れ、あっと言う間に取り囲まれてしまった。 「ねえリトルちゃん、あれから彼とはどう?」 「式はいつ挙げるの?」 「その指輪、幾らぐらいしたの?」 「子供は何人くらい作る予定なの?」 嫉妬の炎を背後に揺らめかせながらメイドさん達が肩を組んで円陣を組み上げ、グルグルと私を中心にして回転し始めた。 「う、うぅ……」 お客さんの来訪に浮かれて、失念していた。 あのパーティー以来、私たち二人の姿を見るなりずっとこの調子なのだ。 いつもは彼が神殺ビューティフル空手(彼命名)で撃退してくれているけど、今この場にいるのは、折悪く私独りだ。 『さあさあリトルちゃん、観念なさい!!?』 回転数が上がり幾つもの顔面の残像がぶれまくって、ハッキリ言って無茶苦茶気味が悪い。 「あぁ……助けて……」 予期せぬ窮地に、半べそになってこの場に居ないあの人に助けを求めた瞬間、 ――ずどどどどどっっ!!! 「くおおぉらお前ら!! イジメ、カッコ悪い!!!」 私の大事な人が、何故か白黒模様のボールを蹴り転がしながら颯爽と現れた。 彼は足元にボールをぴたりと留めると、メイドさん達に人差し指を突きつけ、 「あの日の誓い以降も、俺たちの生活は不沈艦大和の如く大安泰なり!! だけど式なんて挙げる金も立場も無えよアホンダラ!! あと、指輪はセオリーどおり、給料の三ヵ月分!! 子供は、リトルに似た女の子が二人は欲しいと思います!!」 ……律儀にも全ての質問にしっかりと答えた。 「くっ、出たわね変態亭主!! みんな気をつけてっ、迂闊に近付くと妊娠させられるわ!!」 酷い言われようだった。 「ぃやかましいっっ、見損なうな!! 唯一人の伴侶を定めた以上、貴様ら有象無象に差し向ける性欲など、1ナノグラムも存在せんわ!! 喰らえ我が一世満身の大スペル、屁符『ヘルスカンク・マッドジャイロ』!!」 そう叫ぶと、彼は前屈姿勢になって尻を突き出し、 ――ぷぷぷぷぷぷぷっっ。 放屁音を轟かせ、そのままの体勢でプロペラのように回転しながらメイドさんの集団に突っ込んで行った。 「…………うぅ、ぐすっ」 言っている事は凄くカッコ良く、不覚にも涙がこぼれるくらい嬉しかったけど、 やっている事が致命的にカッコ悪かった為、今度は情けなくて涙が出てきた。 「きゃあああああっっ、キモくて臭い要するにキモ臭いっっ!! たっ、退散、退散っっ!!!」 チーフさんの撤収命令に、さっとメイドさん達の波が退く。 「はっはっはお前ら、お客さんが来てるから寝床の用意を夜露死苦!!!」 軽やかに着地を決め、泡を食って遠ざかる背中の群れに、ようやく本来の目的の一声。 私たち二人と、温く酸っぱい匂いだけがこの場に残った。 「……ふっ、悪は去った。大丈夫か、リトル」 彼が一仕事終えた爽やか極まりない表情で汗を拭う。 「…………ぐすっ」 臭気が目に染みて、またひとつ涙がこぼれた。 ………… 厨房への伝達は美鈴が問題なく済ませてくれていたようで、程無く十分な量の年越し蕎麦が完成した。 ほかほかと出汁の香りの効いた湯気を立てる特大鍋を二つばかりロビーに構え、 美鈴とリトルの二人が、行列を作ったイナバの子たちに戦時中の配給所さながらの様子で配膳している。 まさに師走の名に相応しい慌ただしさだったが、皆楽しそうで何よりだ。 「はいっ、どうぞ。熱々だよ~~」 「ありがとう、門番のお姉ちゃん!」 うんうん、ちゃんと礼が言えるのはいい事だ。 額に玉のような汗を浮かべながら忙しなく働く二人の顔にも、にこにこと笑みが浮かんでいる。 上機嫌で目の前の風景を眺めていると、リトルの方の列で、てゐの出番が巡って来た。 「はい、どうぞ。熱いから気をつけてね」 「うふふ、幸せそうね。ところで、いい保険の話があるんだけど、興味は無いかしら?」 「えっ?」 二人の間に慌てて駆け出し、 「当館での詐欺行為は、その全てを禁止させて頂いております!!」 ――どばばばばばっっ!! 場を弁えない詐欺兎の椀に、地獄唐辛子を山盛りぶち込んだ。 「な、何すんのよっ! 体に悪いじゃないの!!」 「やかましい!! 唐辛子は脂肪を燃やしてくれるありがたい香辛料だから、俺に感謝しながらたんと食え!!」 まあ、紅魔の館の名に相応しい特製ブレンドではあるが。 「う゛~~~~~」 ジト目でブー垂れながらも、てゐは大人しく仲間の元に戻って行った。 ……かと思ったら、何やら物言いたげな視線で、指を咥えながら鈴仙のお椀を覗き込んでいる。 「? どうしたの、てゐ」 「……いいな。鈴仙のお蕎麦、私のよりちょっと多い」 「あら、そうなの? いいわよ、交換してあげる」 何も知らない哀れな月の兎が、てゐに向かって花のような笑顔を見せた。 「ありがとう! だから鈴仙の事、大好き」 「ふふ。本当にしょうがないわね、てゐは」 ま さ に 外 道 ! はてさて、永遠亭の人々への配給も無事終了し、あとは俺たちの分を残すのみである。 後ろの方から何だか火を吐く轟音と悲鳴が聞こえるが、そんな細かい事をいちいち気にしていては、良い新年を迎える事など出来はしない。 「お疲れ様。それじゃ俺たちの分も用意して、早いとこ部屋に戻ろうぜ」 「そうですね。きっとパチュリー様も永琳さんも、首を長くして待ってらっしゃいます」 主人と客人を待たせたとあっては、従者失格もいいところだ。 四つの椀を盆に抱え、迅速に主の寝室へと赴く事にした。 「お待たせ」 「ただ今戻りました……あら?」 部屋に戻るなり、リトルが主の出で立ちに目を丸くした。 「どうなさったんですか? 今まで、薦めてもマスクなんてして下さらなかったのに」 「別に何も。貰った物を活用しているだけの事」 何とまあ、永琳さんからの贈り物とな。 素っ気無い物言いではあったが、先程よりも少しは楽そうに見える。 前面に書かれた『地獄上等』の筆文字が、とてもチャーミングだった。 「今日は喘息の調子もいいから、とっておきの反社会魔法、見せてあげるわ」 「そ、そんなの見せないでいいです」 何だか変な方向に元気になっていた。 「ほら、年越し蕎麦。パチュリーの分も用意してきたけど、食べられるか?」 「……少しだけなら」 「十分」 やはり、これが無いと一年の締め括り、という感じがしない。 四人揃って手を合わせ、 『いただきます』 湯気薫る蕎麦を、箸で突付き始めた。 「ん、美味い」 「はあ、沁みるわね」 「はふっ、はふっ、温かいです」 「……美味しい」 マスクを顎にずらして露を啜ったパチュリーが小さく息を吐いた瞬間、 ――ぼーん。ぼーん。ぼーん………… 暦の移ろいを告げる鐘の音が鳴った。 全員一旦箸を置いて、 『あけまして、』 深々と頭を下げる。 『おめでとうございます』 ……昔から思っていた事なんだが。 「何でこう新年の挨拶ってのは、こんな白々しいのかしらねえ……」 思っていた事を、先に永琳に言われた。 さて、いい大人が夜更かしという訳にもいかない。元日の朝でもいつもの仕事が待っている。 蕎麦を食べ終え、永遠亭の人たちの寝床が準備できたところで、早々と眠りにつく事にした。 ……良い初夢(出来ればややエッチ風味)が視れるといいのだが。 ………… お客さんが来たところでそこは変わりない、二人だけの寝床。 同じベッドで、既に整った息を立ててしまっている彼の寝顔を、何とは無しに眺めている。 彼の育った所では、初夢をその一年の運勢の暗示として、重要視していたらしい。 ……私の夢、視てくれたらいいのにな。 そんな気恥ずかしい事を考えていると、 「…………う~ん…………リトル~~…………」 「っ?」 彼の口がむにゃむにゃと動き、まさしく私の名前を紡いだ。 (わっ、本当に私が出てるんだ……) 喜んだのも束の間、途端に彼の寝言が苦しげな呻きに変わる。 「う、う~ん……だ、ダメだリトル……そんな……」 ……せっかく自分を視てくれているのに、悪い夢になどして欲しくない。 彼の額に浮かんだ汗を拭おうと指を伸ばした瞬間、 「…………そんなマニアックな道具、俺たちにはまだ早い……!」 「年の初めから、何て夢視てるんですかっ!!」 ――ばちこーんっっ! 「…………はっ」 つい、思いっ切り彼の頬を張ってしまった。 「ああっ、ごめんなさいっ」 「う、う~ん……リトル?」 赤く腫れた頬をゆるゆると撫でながら、呆、と瞳が開かれる。 「……何だ、まだ眠れないのか? ……しょうがないなぁ」 まだ寝惚けているのかもごもごと呟くと、彼は私の後頭部を掴んで、一気に胸板に引っ張り込んできた。 「きゃっ!……も、もうっ、寝惚けてますね」 「ん~~? 起きてるよ~~……」 半目を開けて鼻提灯を膨らませながら喋る姿は、ある意味芸術的だった。 「ほら、こうしてると安心して眠れるだろ?」 そう言って、夢見の悪い子供をあやすように、おでこをそっと胸板に押し付けられる。 「……はい……」 初めてお互いの気持ちを確かめ合ったあの日、泣きじゃくる私を受け止めてくれたあの時から。 ここが私の一番大切な、貴く暖かい、帰るべき場所だった。 「……はい……ここなら、私はいつでも何煩う事無く眠れます……」 一切の悲嘆も不安も、今ここには無い。 今年最初の夜は、蕩けるような甘いまどろみに身を委ねる事で、静かに幕を閉じた。 ………… ――そして翌日、めでたき元旦。 しっかりと朝食が雑煮とお節になっている辺り、ここは本当に悪魔の洋館なのかと、疑問を抱かずにはいられない。 まあ、旬の料理を何処に在っても美味しく頂けるのは、とてもありがたい事だ。 「う゛っ……も゛、餅が喉に゛…………」 サツマイモのように顔をど紫色にするパチュリー。 「あーもう絶対やると思ったよこの気管支狭窄ラクトガール!!」 「わ、私に任せて下さいっ、ていっ!!」 ――ズバッッ!! すぽーんっ!! 手馴れた様子でリトルがパチュリーの首筋にチョップを落とし、喉から餅の塊を叩き出した。 デビルチョップはパンチ力。まったく惚れ惚れする手際だった。 ……そんな比較的平時どおりの朝食を終えて、俺たちは永遠亭の兎たちを遊びに誘ってみる事にした。 「なあ、せっかく元旦だし月の兎も居る事だから、みんなで餅つきしようぜ」 「「「さんせー――――いっっ!!」」」 「えー……」 イナバの子たちのノリノリな反応と裏腹に、鈴仙が心底ゲンナリした表情をしている。 「何だ鈴仙、餅のつけない月の兎なんて、乳の小さいウチの門番みたいなもんだぞ?」 「いやその、何時かみたいに一人で延々つき続けるのが嫌なだけで」 「それなら心配ないわよ。最初に少し手本を見せてくれたら、あとはみんなで交代しながらにするから」 「……そんな大層なものでもないわよ?」 パチュリーの説明に謙遜気味に苦笑を返すが、何はともあれ交渉成立。 何故か館に置いてあった木臼と杵を持ち出し、ぞろぞろと連れ立って庭に出た。 「よっし。それじゃ行くわよ、てゐ」 「ん、いつでも」 杵を軽く揺らして肩を慣らす鈴仙に、介添えに就いたてゐの平坦な声が応える。 「……せぇーのっ」 ――ぺたんっ。どすんっ。 ――ぺたんっ。どすんっ。 ――ぺたんっ。どすんっ。 杵と平手が蒸し米を叩く音が、軽快なリズムで交互に響く。 教科書に載せてやりたいくらいの完璧なコンビプレイだった。 「……と、こんなところね。そんな難しい作業じゃないでしょ?」 「そうね。肝は、パートナーとの呼吸かしら」 「そういう事。さ、次は誰がやる?」 『はーいはいはい!!』 イナバの子達と、何故か近くを通ったメイドさん達が元気良く手を挙げる。 「ほらほら、順番順番」 もうすっかりイナバの子達に懐かれたリトルが、上手い事状況をまとめていた。 ……しかし俺の愛の眼差しは、実はリトルも餅をつきたくてウズウズしている事を見逃す筈も無かった。 杵が多くの手を巡り、そろそろ昼食に十分な量の餅が出来上がってきた。 ……と言うか、出来た先からメイドさん達が醤油を塗ったくって振舞っているので、既に満腹を訴えている子もいるくらいだ。 「う~~ん、えーり~~ん。もう満腹で動けないわ~~」 「こらこら姫。食べてすぐ横になるのはだらしないですよ」 部下たちを差し置いて一人満腹絶頂の竹取ニート姫が、芝生の上でだらしなく大の字になっている。 ……色々といい頃合だと思ったので、リトルの肩をぽんと叩いた。 「よし、トリは俺たちで飾らせて頂こう」 「……は、はい!」 顔を喜色に弾ませ、リトルがイナバの子から杵を受け取る。 「ふっふっふ。お前ら、俺たちの愛のワンダープレイを観て、腰を抜かすんじゃないぞ?」 「……貴方が言うと、どうにもいやらしい意味にしか聞こえないのよねぇ」 パチュリーが要らんツッコミを入れてくるが、無論この胸を炙り焦がすのは、それしきで消えるような朧げな炎ではない。 「それじゃ、始めようか」 「はっ、はい、頑張ります!!」 「ん。……せーのっ」 ――ぺt ズドンッッ!!! ――ぺt ズドンッッ!!! ――ズドンッ、ズドンッ、ズドンッッ!!!!! 「痛いわ阿呆おおおおおお!!!」 「きゃっ!!?」 リトルが一心不乱に打ち下ろしまくった杵が全弾余たず俺の右手を直撃し、餅をついているのか俺の右手をついているのか分からない状態になった。 「ある意味、完璧なシンクロニシティね……」 永琳がうんうんと頷き、あれだけリトルの事を慕っていたイナバの子達が、一転してガクガク怯えまくっていた。 「わざとかっ、わざとやっているのかお前はっっ!!!」 ――ぽよんぽよんぽよんっっ。 キャッチャーミットのように腫れ上がった右手で、童顔に似合わぬ84のDカップに往復ビンタを見舞った。 「やっ、きゃっ、ご、ごめんなさいっ」 切なげな悲鳴に溜飲を下げて右手をフーフーしていると、珍しい姿がこちらに向かって駆けて来るのが見えた。 「ねっ、ねっ、私も混ぜてっ!!」 「い、妹様っ、走ると傘からはみ出しちゃいますよ!」 元気一杯に手を振りながら走って来る妹様に、あたふたと美鈴が日傘を宛がっていた。 「……妹様。勝手に外に出たら……って、もう遅いか。ちゃんと加減は出来る?」 一瞬表情を引き締めて身を乗り出したパチュリーだったが、すぐに諦観のため息をついた。 「大丈夫、任せてよ」 「いいんじゃないの? この時間この天気じゃ、どの道ロクに力も出ないだろ」 「それもそう……かしらね。それじゃ妹様、くれぐれも気をつけて頂戴ね」 「分かってるって」 妹様は片手で杵をブン回して肩を慣らし始めた。 背後で必死に杵を避け回りながらも決して傘を動かさない美鈴のプロ根性には、まったくもって恐れ入る。 「ふふ、それじゃ私も混ぜて貰おうかしら」 意外にも永琳さんが声を上げ、介添えの位置に陣取り、珍しく邪気の無い笑顔を妹様に向けた。 「どうぞお手柔らかにね? 悪魔の妹さん」 ………… 「ふうっ、やっぱりこの時間は辛いわね。もう少し神社に居れば良かったかな」 「まあまあ、我が家はもうすぐそこですよ。……あら?」 訝しげな咲夜の視線を追ってみると、庭先に随分多くの人手が集まっていた。 『よいっ、しょっ! よいっ、しょっ!』 ――ぺったんっ、ぺったんっ。 妹と蓬莱人が、メイドや兎に囲まれて、楽しそうに餅をついている。 「……いつから私の館は純和風の兎小屋になってしまったのかしらねえ」 だが、不思議と、怒る気にはなれなかった。 私達の帰還に真っ先に気付いたフランが、大声を上げた。 『あっ、お姉さま~~~!!』 ――どかんっっ。 振りかぶるモーション中にいきなりこちらを向いたので、大きく逸れた杵の尻が、美鈴の顔面にめり込んだ。 『ふぐっ、ぐぐぐぐぐ……』 鼻血を吹き出し、ダメージに膝をガクガク言わせながらも、美鈴は日傘をフランの頭上に気合で押し留めていた。 ……気に入った!! 地下室に来て、妹をフ×ックしていいぞ!! 不具合を押してでも、この時間に帰って来て良かった。 「咲夜、急ぐわよ」 「……はいはい」 何だか、とても楽しそうではないか。 「何やってるの貴方達! 私達も混ぜなさい!!」 ――A Happy new year! 湖のほとりの紅き館に、どうか今年も幸あれ。 512 2月14日って知ってるかい? 昔、撲師が牧殺されたって言うぜ! 今は奈良のお祭りだ。ボヤボヤしてっとたいまつでボウボウだ! どっちもどっちも……どっちもどっちも! 1(アインス)!2(ドゥエ)!3(ドライ)!4(ドゥティーレ)! 5(オウ)!6(リュウ)!7(ジェット)!8(エイト)! 究極…… 「何やってんですかアンタは」 いわゆるイントロ(現実逃避)をやってる最中に、突然の突っ込み。 「……いやな。ちょっと、電波と言う物が入ってな」 「それと牧師と撲殺の文字が違います」 「そこには突っ込むなわざとやったんだから」 そこまで言って、ようやく声のした方を向く。 そこには、まさに司書!と叫びたくなるような服を着たまいらばー小悪魔がジト目で立っていた。 楽助ぼお氏、本当にGJでした! 「って、また電波が入ったな。……どうも最近ワイヤレスが多くて困る」 「困るのはあなたの馬鹿な発言を聞いてる私です。それと仕事を溜め込まないで下さい」 彼女の腕に光る腕章。そこには「私は読書狂です」とでかでかと書いて 「ありません。話を逸らさないで下さい」 「むう。いやな、世間にはこういう言葉がある。『マイペース、マイペース』と言う言葉が!」 「それってあの人の言葉じゃないですか。あれは悪い意味で使われてますよ」 「いやいや。俺は感動したぞ。……そうだ小悪魔、お前も少しは休憩をとった方がいい」 「休憩を取れない原因が何言ってるんですか」 ジト目に少々殺気を匂わせているが気づかないふりをして一言。 「だからそんなに胸がちいさ」 (大玉+クナイ弾=凶悪弾幕) 「少しは反省したらどうなんですかこの阿呆人間」 「ああんもっと罵ってぇ」 久々に小悪魔の弾幕を食らったせいか体がついていけず、すぐに落とされてしまった。 「……まあ、ふざけるのはこれくらいにして。仕事を再開しますよ」 「あいよ母ちゃん」 頭部ギリギリで大玉が飛んでいった。 「……冗談だ」 これ以上ふざけたら命はないだろう。 そういうわけでとっとと仕事に戻る事にした。 * * * ここに勤めて何年になるだろう。最低でも……一年も過ぎてないか? まあいい。とにかく俺は何とかこの紅魔館で働いてる。 最初は外の警備だったんだが、あまりにも過酷なため別の部門に転属を願ったところ、この図書館勤務が出てきた。 正直言って最初は『よっしゃ楽に仕事が出来る』と思ってたんだが…… 「あ、こら待て!」 急に飛び上がった魔道書を追いかけ、すぐに空に浮かぶ。 「捕縛『投網攻撃』!」 正確な狙いもつけずにスペルを発動。……だが、見事に魔道書をキャッチ成功。 『投網攻撃』はいわゆる全体攻撃のような物だ。方向さえ決めていれば視界全域をカバーできる。 ……俺が配置されているのは『魔道書部門』。意思を持った、もしくは本自体に魔法がかけてある物たちを取り扱う部門だ。 「ほんと、なんだかなぁ。何で俺がこんなところに……」 もうちょい静かに仕事が出来る(本音:楽にサボれる)と思ったのに…… 「おう、お疲れさん」 「ああ、ほんとに疲れるよ……」 そう言いかけてもう一度『投網攻撃』のチャージを開始する。 「って、出たなコラ」 「おう落ち着け落ち着け。私は何もしてないぜ」 それもこれも今目の前にいるこの白黒魔法使いが原因だったりする。 「これからするんだろう?魔理沙」 「……やれやれ。ただ本を借りてるだけじゃないか。何でそんなに目くじら立てるんだよ」 ……網じゃ足らんな。スペルを捕縛用から攻撃用に変換する。 「まあそうだよな。館長の断りもなく禁書指定区域に行っては読みふけった本をそのままにしてたり本を整列させずにばらばらに並べて入れたりさらにはお前のは借りてるんじゃなくて持って行ってるって言うんだこの白黒姫」 「待て待て。私は黒姫(あいつ)ほど自分勝手で鬼畜じゃないぞ」 うん。限界。なんか館長に止められてるっぽいけど知らん。 「双斧『デュアルトマホーク』」 俺の両手に斧状の魔力塊が握られる。 「ライチ汁っぽい物ブチ撒けろこのデモン・ザ・キッチン!」 斧を思いっきり振りかぶって…… 「待ちなさい」 殴りかかろうとした瞬間に向かい風の強風にあおられる。 「か、館長……」 突風を吹かせ、台所の悪魔の前に浮いているのはこの図書館の館長、パチュリー=ノウレッジ。 「今日の彼女は正式な客人として来ているわ。ゆえに手荒な歓迎はしないように」 ……なるほど。どおりで魔理沙専用トラップの類が静まってるわけだ。 「……失礼いたしました、お客様」 すぐにスペルを解除し、一礼。 「うむ、ご苦労」 「それと魔理沙。ごめんなさいねうちの従業員があなたに……」 まあ、客として招かれたのなら俺が咎められなければなるまい。暴走したのは俺だし。 「正当防衛を……いえ、略奪阻止を働いて」 ……へ?何気に本音が混じってませんか館長? 「どっちにしろ悪いのは私か……まったく、交換条件じゃなかったのか?」 「誰も魔道書を……アレの代価として渡すなんて言ってない」 「……なんだ、じゃあこの件は無しでいいんだな」 魔理沙の言葉を聞いた瞬間、館長の顔色が変わった。 「ちょっ……魔理沙!?」 「お前が言ったんだぜ?『代わりにこの図書館の書物を二、三冊持って行っていい』って」 「確かにそう言ったけど!でも魔道書は持って行っていいって言ってないじゃない!」 「……まあ、その辺は私に頼んだお前自身を恨むんだな。私は高いんだ」 ……なんか修羅場っぽいな…… 「小悪魔、小悪魔」 「なんですか?」 ちょうど近くを通った小悪魔を呼ぶ。 「アレ、どういった経緯で……ああなった?」 「私も知りませんよ、パチュリー様は教えてくれるはずもないし、そもそも聞けません」 そうだよな。小悪魔は形としては館長の奴隷だし。 「……今、何かすっごくフケツな妄想しませんでした?」 「いやいや小悪魔」 確かに館長と浣腸って似てるなとは思ったが。それはともかく。 「館長、俺は仕事に戻ります」 すでに俺の事を忘れて魔理沙と話していた館長に一言断り、すぐに仕事を再開した。 * * * 結局魔理沙は魔道書を少し持っていき、館長の『もってかないでー』がまた聞こえた。 小悪魔が慰めていたが、ずっとぶつぶつ言い続けていてかなり不気味だ。 さらに魔理沙が仕事を増やしていったせいで、仕事時間がかなり長引いてしまった。 ……今度来たら絶対に剥く。 「ういじゃ、お疲れ様。……って、夜の点検があったな」 「あ、それについてパチュリー様からの伝言があります。 『点検は小悪魔に任せて、あなたは私の部屋にいらっしゃい』との事です」 「ふむ。……わかった。じゃあ点検よろしく」 「早急の用らしいですので、今すぐ行った方がいいですよ」 あいよと言い残し、俺は館長の書斎へ向かう。 館長の書斎は図書館と直結しているので、本棚から少し移動するだけですぐに扉の前に着く。 ノックをして、ドアを開け…… 「ちょっと待って」 られない。よく見たらドアの下に根っこが生えていた。 扉越しに聞こえてくるガタンバタンという音が少し経ってから静かになり、ようやく扉の根っこが消えた。 「どうぞ」 ……館長の部屋ってそんなに片付いてなかったのか? そう思いながらもドアを開けると、館長は自分の椅子に座っていた。 ここに入るのは大抵が小悪魔なのでこの部屋の中は少ししか知らなかったが、やはりここも本が多かった。 「それで、用件は何でしょうか」 とりあえず単刀直入に聞く事にした。 「今日は聖ヴァレンタインデーということなので」 机の上にあった数個の箱を取り、それを俺に渡した。 「紅魔館のみんなから渡すように頼まれてね。チョコレートよ」 「……ありがとうございます」 館長から渡されたチョコを見て、しばしの間立ち尽くす。 「どうしたのかしら?」 「……いえ、こうやってチョコをもらえたのが嬉しくて」 そう言いながら箱を壊さない程度に握りしめて、ふと気づく。 「あれ、この箱生暖かい……」 「……それは私のね」 館長の言葉にえ?と思わず濁点付きで返してしまう。 「……仕方ないじゃない、チョコを渡すなんて外の世界の事は昨日初めて知ったんだから」 あ、それで魔理沙を呼んだわけか。 「魔理沙に教えてもらって、ついさっき完成したのよ。水と風をフル使用して冷ましたんだけど……」 それはまたかなりの能力無駄使いですね。 と言うわけにもいかず、黙ってチョコの箱を見る。 「……あれ、数が違いませんか?」 そういえば紅魔館の人達……メイドさん達を除く人数は6人。 「一個足りませんね」 俺の手にあるのは一人分少ない5個。 「それはそうよ。私がつい材料のつぎ足しに……というのは冗談」 館長は静かに笑う。 「残りの一人は、決まっているじゃない」 * * * 「よう」 そして、しばらくしてから。 俺は図書館に戻り、左手を後ろに隠しながら点検中の小悪魔と顔を合わせた。 「用は済みましたか?」 「ん、向こうでの用はな」 そう言って、左手を小悪魔に向ける。その手には花束。 「ほい、バレンタインプレゼントだ」 「……え」 あっけに取られた顔をする小悪魔。 「俺んとこの世界の一部じゃ、男がプレゼントを渡す国もあるんだ。それがこいつさ」 ……まあ、俺もつい先ほど館長に教えてもらったんだが。 「あ、ありがとう、ございます」 「すまんな、数が少なくて」 プレゼントを渡すのも貰うのも初めてだったのでなんか恥ずかしいが。 「……あの」 「なんだ?」 「顔、変わってます」(http //scapegoats.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/dust/box /dust_0405.jpg) 「え、あ、そう」 むう、恥ずかしさのあまりイメージ画像まで変わってしまったか。 「それで、催促するようだが……チョコは……」 「あ、その」 突然な事を言われてあたふたする小悪魔。 「……やっぱり、いいや。チョコの代わりにお前を貰うから」 「はい?」 ……うん、恥ずかしい。こりゃやばい。でも言ってしまったなら仕方ない。 恥ずかしいついでに一気に言いきった。 「だからさ、俺はお前が欲しい。お前を好きなんだ」 *** *** はい尻切れトンボです(ぇ 答えを書く勇気がありません。 おまけ(ボツ文 「開けても、いいですか?」 いいわよという答えを待たずに包みを開ける。 ……って。 「何か妙に赤いですね」 「その包みは咲夜のね。何かしら」 臭いを嗅ぐ。……こ、これはっ!?と思い一欠け口に入れると…… 「……かさぶただ」 モロに血の味。……かさぶたというよりはむしろ凝固血液? 「あら、どうやらレミィへの物と間違えたらしいわね」 「なんちゅうもんを食わせてくれるんや十六夜はん……」
https://w.atwiki.jp/propoichathre/pages/593.html
小悪魔10 大図書館の片隅で(Megalith 2011/05/22) 「〇〇さん、頼まれていた本ってこれでいいですか?」 「ああ、うん、ありがとう。そこに置いておいて」 小悪魔が抱えていた本の束が、机の上でどさりと重い音を立てる。 「助かるよ、こぁの手が空いていて本当に良かった」 このだだっ広い図書館で自分の望む本を見つけ出すなんて、考えただけでも目眩がする。 魔法使いに「なりたて」の〇〇には、パチュリーのような知識も小悪魔のような経験も不足している。望む情報がどの本に記載されているか、推測することも難しかった。 「いいんですよ、〇〇さんの書いた小説好きですし」 そう言って、小悪魔は〇〇の向かい側に腰を下ろす。 彼女の動きに合わせ、ふんわりと髪が揺れた。 「でも〇〇さんも不思議な人ですよね」 「どうして?」 「『書きたいものがありすぎて時間がない、だから魔法使いになろうと思う』なんて、普通の人は考えませんよ」 そんな馬鹿げた望みを叶えたのが小悪魔の主人であったりするのだが、その主人も〇〇が魔法使いになった途端に、〇〇の世話を小悪魔に丸投げしてきた。 当人曰く「彼が自分の使い魔を呼び出せるまで、手伝ってあげなさい」とのことだが、魔法使いになった〇〇が図書館に入り浸っていることが気になったのかもしれない。 〇〇は小説の資料を探し回っているだけだが、時折禁書にまで手を伸ばす悪癖がある。禁書は別箇に封印されているが、〇〇は何故かその封印を突破してしまう。 パチュリーが〇〇を危険人物と認定するまで、時間は掛からなかった。 「パチュリー様も〇〇さんの小説、楽しみにしているんですよ。本人は隠してますけど」 くすくすと笑う小悪魔に〇〇の頬が緩む。その名前とは裏腹に、心が暖かくなるような笑顔だと〇〇は思っていた。 「今度はどんな話ですか?」 机に身を乗り出す小悪魔。〇〇は苦笑して原稿用紙を隠した。 「まだ完成してないから、お預け」 「えー、お手伝いしてるんだから少しくらいいいじゃないですか」 「パチュリーだって執筆中の魔導書なんて中途半端なものを他人に見せたり預けたりはしないだろう? 同じことだよ」 「むー」 頬を膨らませてすとんと戻る小悪魔。〇〇は仕方がないな、と呟いて、机の下に置いてあった鞄から原稿用紙の束を取り出した。 「じゃあ、これを読んで感想を聞かせてくれないかな」 「いいですけど、これって新しい連載の原稿か何かですか?」 「連載……かな、続き物になるかどうかは、小悪魔の感想次第だけど」 〇〇が言うと、小悪魔は首を傾げながら原稿用紙を捲る。 そこには元人間の魔法使いが、とある図書館で司書を務める女性に想いを寄せる物語が綴られていた。 魔法使いと司書の思い出が続き、小悪魔はその内容に目を丸くする。 総て、〇〇と彼女が経験してきた思い出ばかりだった。 「あ、あの……」 「感想は、最後に纏めてお願いね。私はその間にこっちの原稿を書き上げるから」 「は、はい」 自分が贈った万年筆で原稿を書く〇〇の姿を振り切り、小悪魔は原稿用紙の中の世界に戻る。 様々な思い出の果てに、魔法使いが女性に愛を告白する場面で原稿は終わっていた。 続けようと思えば続けられる。ここでお終いにしようと思えばお終いにできる。そんな場面だった。 「――あの、読み終わりました」 小悪魔が言うと、〇〇が顔を上げた。 いつもと変わらない柔らかい表情で、じっと彼女を見詰める。 「で、どうかな」 どういう風に続けたらいいと思う、そう訊かれて、小悪魔は答えに窮した。 〇〇がどんな意図で答えを求めているのか、今更疑問に思う余地はない。 だから、彼女は顔を伏せ、ぼそぼそと答えた。 「……すごく、面白いと思います」 「そうかい、それは良かった。それで……」 〇〇は小悪魔の手を取り、再度同じ質問をした。 「此処から先、どういう風に続けたらいいと思う?」 小悪魔は、顔を真っ赤に染め、小さく呟いた。 「……二人が、一緒に幸せになるような、そんな続きが読みたいです」 「そうか、じゃあ……」 一緒に、作ってみようか。 〇〇の言葉に、小悪魔は小さく頷いた。 大図書館の片隅で その2(Megalith 2011/05/22) 「小悪魔、〇〇はどうしたの?」 ついこの間想いを交わして恋人同士になった〇〇と小悪魔。 しかし、パチュリーが知る限り、二人が恋人らしいことをしている場面に遭遇したことはない。 万が一図書館内で不純異性交遊でもしようものなら一言注意しなくては、と意気込んでいたパチュリーにしてみれば、拍子抜けもいいところだ。 「〇〇さんなら、永遠亭に取材だそうですよ」 パチュリーの読み終えた本を整理しながら、小悪魔が答える。 「何でも、日常生活で活用できる応急処置の方法を物語にして新聞に連載するそうです」 文さんの依頼だそうで、そう言って、小悪魔は本を抱えて飛び立った。ぱたぱたという音が遠ざかり、パチュリーは首を傾げる。 「……おかしい、わよね?」 付き合ったばかりの恋人というのは、こう人目も憚ることなく砂糖を撒き散らすものではないのか。 図書館が砂糖工場になることも覚悟していたというのに、本当に拍子抜けだ。 「はたてさんの新聞でも今度連載を始めるみたいですし、〇〇さん頑張ってますよね」 本を戻した小悪魔が、パチュリーの元に戻ってくる。 その表情は明るく、〇〇が世間に認められるのが本当に嬉しいらしい。 「でも、そんなことばかりしてると、あなたと会う時間も取れないんじゃない?」 「あ……! ちょうどそのことでパチュリー様にご相談したいことが」 「何かしら? 休暇でも欲しいの?」 これまでまともな休みもなかったことだし、一日二日ぐらいなら休みを与えても良いかもしれない。パチュリーはそんなことを考えていたが、しかし小悪魔の次の台詞に心底驚いた。 「今度紅魔館の敷地内に〇〇さんの屋敷を建てるんですけど、そちらから通ってもいいですか?」 「はっ!?」 パチュリーは驚きのあまり、持っていた分厚い本を取り落とす。小悪魔が慌ててそれを拾ったが、パチュリーはそれどころではない。 「パチュリー様? やはりダメでしょうか」 しょぼんと肩を落とす小悪魔に、パチュリーが震える声で問う。 「だ、ダメっていうか……レミィは……」 「妹様用の童話を書くことと、館内に貸し出し文庫を作ることで取引したそうです。お嬢様も〇〇さんのお話気に入ってくれたみたいで、今度自分をモデルにして一つ短編を書いてみなさいって」 「あ、あの子用の童話、ね……」 屋敷から出ることが難しい吸血鬼の妹にとって、暇を潰せる童話というのは存外貴重かもしれない。たとえ自分で書かなくても、香霖堂などで〇〇が選んだ童話を用意するだけでも退屈しのぎにはなるだろう。 レミリアにしても同じことで、長い時間を生きる彼女たちには「暇つぶし」ほど貴重なものはない。 屋敷内に邸宅を建てれば、色々注文も付けやすいと踏んだのだろう。 「で、あなたはそこから毎日通いたいと」 「はい、この間〇〇さんに誘われまして」 もう少し恋人の期間を楽しんだら、今度は新婚ですよーと嬉しそうに翼を揺らす小悪魔。 二人揃っている訳でもないのに、場の空気は大層な糖度であった。 「ええと、同棲ってことでいいの?」 「同棲というか、同居ですね。まだキスまでしかしてませんし、もっと進んだことは、今の関係を楽しんでからにしようって二人で決めたんです」 寿命の長い恋人同士、のんびりと愛を育もうということなのか。 パチュリーにとって、小悪魔の緩みきった笑顔は何ともいえない危険な匂いを感じさせた。 これから延々と、この甘ったるい空気を吸わなくてはならないのかと戦慄した。 喘息が悪化するどころか、糖尿病になりかねない。 「分かったわ……そうしなさい」 そうパチュリーが決断したのは、ある意味英断だった。 これ以降二人は小悪魔の仕事場である図書館でイチャイチャすることはなかったものの、それ以外の場所では文句も言えないくらい清い交際のまま、大量の砂糖を量産することになる。 ただ手を繋いでいるだけなのに何故か空気が桜色。会話しているだけなのに空気が甘く変化。執筆している〇〇を小悪魔が見守っているだけなのに、第三者は見ているだけで恥ずかしい。といった具合である。 「あ、〇〇さんがクッキーお土産に持ってきてくれたんですよ。お茶の時間ですし、用意しますね」 「……ええ、ありがとう」 ふわふわと笑う小悪魔がお茶の準備のために席を外すと、パチュリーは机に突っ伏した。 「……甘」 苦い紅茶が恋しかった。 うーん、甘さが足りない。もっと甘くする方法はないものか…… 大図書館の片隅で その3(Megalith 2011/05/22) 妖怪の山の上空を、三つの影が行く。 ひとりは白狼天狗の犬走椛、ひとりは魔法使い〇〇、最後のひとりは〇〇の恋人兼司書の小悪魔だ。 「今日はありがとう、椛」 「いえいえ、山のお客様の案内とあれば、哨戒天狗としては晴れのお役目です。むしろ指名してもらったのが不思議なくらいです」 いや、文に頼むと色々訊かれそうでね。そう言って〇〇が頭を掻くと、椛はそれもそうかと納得してしまった。 新聞記者としてのサガか、最近同居を始めた恋人同士の旅行などという美味しい場面で文が黙っていられるはずもない。 「一応はじめの方は監視が付きますけど、変なことしなければすぐに引き上げる予定ですので」 恋人同士の旅行を監視する事自体、あまり感心できるものではない。 ただ、山の秩序を維持するためには必要だと判断されたようだ。最初の方だけというのは、二人の身元が明確で、その目的もはっきりしているからだろう。 無論、実際に監視が解けるかどうかは、山の考え次第なのだが。 「十分だよ、本当にありがとう」 「ありがとうございます、椛さん」 「あっはは、いえいえ……」 椛は手を繋いで空を飛ぶ二人の様子に、たらりと冷や汗を流した。 初々しく、微笑ましいのだが、何とも身体が痒くなる光景だ。 「あ、見えてきましたよ」 二人の周囲に形成された甘ったるい空間から逃げ出すように、椛は先行して地上へと降りていく。 その後に続いた二人は、椛が手を振っている場所に降り立った。 「はあ、すごいですね……」 小悪魔が目を輝かせて見上げる先には、太陽の光を反射して輝く滝の姿。 この旅行に合わせて〇〇が手に入れてきた白いワンピースを翻し、小悪魔が滝に近づいていく。 「〇〇さーん、すごい音ですー!」 ごうごうという水の落下する音は、小悪魔の声を幾分か遮っている。しかし彼女の楽しそうな表情を見てみれば、何を言っているのか大凡の見当はついた。 「楽しそうだなぁ、良かった良かった」 「そうですね。気に入っていただけて良かったです」 手を振る小悪魔に応える〇〇。その隣でほっとしたように溜息を漏らし、椛は微笑んだ。 「一応、滞在は今日の夕刻までというお話でしたが」 「うん、私も彼女も仕事があるからね。日帰りという形にしたんだ」 〇〇の言葉に、椛は少しだけ意外そうな顔を見せた。 この二人のイチャつき振りは妖怪の山にも伝わっており、もしかしたら一泊していくかもしれないと山の方でも考えていたのだ。 「お弁当を持ってどこかに出掛けるだけでも十分楽しいからね。こぁの作るお弁当が楽しみで、昨日は寝られなかったよ」 ははは、と笑う〇〇の様子に、椛は全身が痒くなった。 これ以上ここにいたら、砂糖を吐きそうだ。 「では、夕刻になりましたらお迎えに上がります」 「分かった、よろしく」 「はい」 椛は小悪魔に手を振りながら、その場を飛び去った。 その表情が少しほっとしていたのは、おそらく気のせいではないだろう。 「こぁ、あまり近付くと水しぶきで濡れてしまう」 「大丈夫ですよ、濡れたってそう簡単に風邪を引いたりしませんから」 滝壺の上をぐるぐると回りながら、小悪魔が笑う。 〇〇はその様子に苦笑しながら、今自分が見ている場面を記録に残そうと手帳を取り出した。 「あ、お魚がいますよ!」 「釣具は持ってきてないんだ、魚も山の資源だからね」 「あ、それもそうですね」 川の中を泳ぐ魚を追い掛けながら、小悪魔は納得したように頷いた。 妖怪の山を管理している天狗たちに許可を得ない限り、そこで魚や山菜を取ることは出来ない。 人里の人間たちが山の外縁すれすれで少し手に入れるくらいなら問題はないだろうが、一応紅魔館の関係者である二人が妖怪の山で好き勝手な行動を取ることは出来ない。 「ほら、虹ですよ!」 小悪魔がそう言い、滝壺の上に掛かった虹を指し示す。 〇〇はその虹と小悪魔を一つの絵として捉え、感嘆の溜息を漏らした。 「綺麗だ」 「ええ、本当に綺麗です」 小悪魔は〇〇の本心に気付かないまま、うっとりとした表情で虹を見上げる。 〇〇はそんな小悪魔の姿に釘付けになり、万年筆を動かす手はピクリとも動かない。 「〇〇さん?」 ふわりと自分の目の前に小悪魔が降りてきても、〇〇はその顔を見てじっと黙り込んだままだ。 不思議そうに首をかしげた小悪魔が〇〇の顔に手を伸ばすと、その腕が少し強い力で捕らえられた。 「ま、〇〇さん?」 「あ、ごめん」 〇〇は小悪魔に謝ったが、掴んだ手はそのままだ。 困惑する小悪魔を余所に、〇〇はその身体をぐいと引き寄せた。 「あ、あの……」 「……綺麗だったから、捕まえてみたくなった」 「え?」 〇〇の言葉に、小悪魔の動きが止まる。 短い言葉の中に、万感の思いが込められていた。 「こぁを捕まえていたい、本気でそう思った」 「〇〇さん……」 小悪魔が怖ず怖ずと〇〇の背中に手を伸ばす。 すると、彼女を捕まえている〇〇の腕が、さらに強くその身体を抱き締めた。 「独占欲かな」 「だったら、嬉しいです」 「そうかい?」 「ええ、だって〇〇さんもわたしと同じ気持ちだったってことですから」 小悪魔の嬉しそうな声に、〇〇は少しだけ力を抜いた。強く抱き締めていなくても、小悪魔は逃げ出したりしない。 「ずっと一緒だといいなぁ」 「はい、ずっと一緒だといいですね」 そう口に出しつつも、二人はお互いの居ない未来など考えられなかった。 それは希望というよりも欲望に近いものだったが、二人はそれを「幸せ」だと思っていた。 勢い以外の甘さを目指してみた。だが、まだまだ技量不足だった。 大図書館の片隅で その4(Megalith 2011/05/23) パチュリーは自らの使い魔が休憩中に胸元から首飾りを取り出し、それを嬉しそうな表情で見つめていることに気付いた。 ごくごく簡素な意匠の首飾り。小さな無色の宝石とそれを支える台座で形作られたそれは、小さくも精緻な細工が施されている。 「小悪魔、それはどうしたの?」 魔力を感じないことから魔導具の類ではないのだろう。しかし、少なくとも自分は使い魔にこんな首飾りを与えた記憶はない。 となると、自ずと答えは明らかになるのだが、パチュリーとしては誰から贈られたものかよりも、何故贈られたかの方が気になった。最近使い魔とその恋人の記念日があったとは聞いていない。 「〇〇さんから頂いたんですよ、パチュリー様」 「それは分かるけど、何か記念日でもあったかしら?」 小悪魔の誕生日はまだ随分先で、付き合って何年何ヶ月という記念日でもない。 「違いますよ」 「じゃあ、どうしたの?」 何か小悪魔を怒らせるようなことでもして、その埋め合わせなのかとも思ったが、それにしては贈られた側の機嫌が良すぎる。 「うーん、わたしもよく分からないんですけど、〇〇さんのお母様が……」 「え!? あなた〇〇のご両親と会ったの?」 「違いますよー、〇〇さんのお母様が昔お父様に貰ったものらしいです。好きな人が出来たら渡しなさいって言われてたみたいで、昨日寝る前に頂きました」 昨日整理した荷物の中から出てきたそうです。そんな小悪魔の言葉にパチュリーは何とも言えない表情になった。 理由としては納得できないものではないが、それなら何かの記念日に渡す方が良いのではないだろうか。 そもそも記念日というのものはそれ自体が魔力を持っている。その日に最適な行動を取ることで運命が拓けたり、幸運を招き寄せることが出来る。 〇〇は魔法使いとしては未熟だが、それくらいの知識はある筈だ。 「〇〇も、もう少し色々考える癖をつけた方がいいかもしれないわね」 「あはは、本人も同じようなこと言ってました。自分はどうにも考えが浅いって」 「……自覚があるなら、もう少し努力すればいいのに」 パチュリーは溜息を吐き、抱えた本の頁を捲る。 「〇〇さんですから」 それで総ては問題ない、というような小悪魔の表情に、パチュリーは思わず目付きが怪しくなる。 恋は盲目と言うが、余りにも恋人を好意的に見過ぎてはいないだろうか。 〇〇は小悪魔を大事にしているが、傍目からは少し自分の時間に重きを置き過ぎている。物語を書くことは〇〇の生きる目的であるからとやかく言うつもりはないが、もう少し小悪魔との時間を作るべきではないか。 「ねえ小悪魔、〇〇とはどんなことをして過ごしているの?」 「何ですか、パチュリー様も誰か好きな人が出来たんですか」 「そうじゃないわ、そもそも〇〇以外にこの図書館に来る男なんて、香霖堂の店主くらいなものよ」 「それもそうですね、でも、どんなことと言われても……」 一緒に朝御飯を食べ、小悪魔が図書館に出勤すれば〇〇も仕事を始め、小悪魔が帰宅すれば〇〇と一緒に夕食の準備、夕食が終われば晩酌という日もあるが、基本的には〇〇の書いた原稿を読んで感想を伝え、一緒に入浴して眠る。 「それだけですよー?」 「……ちょっと待ちなさい、お風呂って一緒に入っているの?」 ぴ、と手を挙げ、パチュリーが確認する。 小悪魔が、小首を傾げた。 「え? 恋人ってそういうものじゃないんですか?」 「違うとも言い切れないけど、そういう如何わしいことはまだしないんじゃないの?」 「如何わしいことなんてしてませんよ、背中流し合いっこしてるだけです。それに、お風呂は一度に入った方が使う燃料が少なくて済むんですよ」 主婦の知恵です、と形の良い胸を張る小悪魔。 最近香霖堂で主婦の強い味方な雑誌を買い集めているらしい。 「おいしい料理とか、裁縫のやり方とか、お庭の手入れの仕方とか、咲夜さんとか冥界の庭師さんとかに色々教えてもらってます」 家計簿までしっかりとつけている小悪魔。いつの間にか主婦技能が向上している。 「〇〇さんも喜んでくれますし、何よりも一緒に暮らしてるって感じがして楽しいです」 小悪魔がにこにこしながら今日の献立と書かれた紙をパチュリーに示す。 今晩は和食だった。 「〇〇さんも人里で良い夫婦関係とは何かを訊いて回っているって、この間慧音さんが教えてくれました」 仲が良くて結構なことだ、と苦笑しながらではあったが。 「なんていうか、本人よりも、周りの人が〇〇さんの気持ちを教えてくれるんです」 〇〇が何を思っているのか、何をしているのか、小悪魔をどれだけ大切に思っているのか、本人が時折物語という形で伝えるそれを、小悪魔は日々の生活の中で感じている。 「人里に買い物に行ったら、お店の人がわたしの好物を知ってるんです。〇〇さんがすごく優しい顔で『これ、こぁが好きなんです』って言うから、店の人も憶えてくれてたみたいで」 ふわりと笑い、小悪魔は首飾りを両手で包み込んだ。 「言葉じゃなくて、他のもので想いが伝わるって嬉しいことですよね」 小悪魔も、料理や裁縫、庭で育てている花に〇〇への想いを預けている。 「〇〇さんはあまり言葉数が多い人じゃないですけど、わたしはそんな〇〇さんが好きです」 「そう……」 パチュリーは、小悪魔の様子に深々と息を漏らした。 何とも幸せそうで、見ているだけで笑みが浮かんでくる。 「じゃあ今度、小悪魔が〇〇を好きだって言ってたこと、伝えなくちゃね」 「えー、それはちょっと恥ずかしいです」 「一緒にお風呂入ってるのに、恥ずかしいもないでしょう」 「それとこれとは違いますー」 照れたように頬を染めた小悪魔をいなしながら、パチュリーは自分ももう少し勉強した方がいいかもしれないと思った。 人と人の繋がりは、どうやらどれだけ分厚い辞書でも説明しきれないようだ。 どうやら自分は、パチュリーと小悪魔のコンビが好きらしい。
https://w.atwiki.jp/tohogyokureiki/pages/24.html
コダマ名 HP 攻撃 防御 速度 合計 属性1 属性2 攻撃属性 弱点 耐性 スキル 必要アイテム ここあ 70 75 55 60 260 闇 - 闇水 闘虫然 理霊闇 - 小悪魔カード A小悪魔 90 125 80 65 360 闇 氷 闇氷水 闘炎虫岩然 理氷霊闇 リトルネザーデーモン 力の霊珠 H小悪魔 120 95 65 80 360 闇 炎 闇炎水 水闘地岩 理炎樹氷霊闇鋼 リトルネザーデーモン 祝福の霊珠 S小悪魔 80 110 65 105 360 闇 理 闇理炎水風 虫然 理 リトルネザーデーモン 疾風の霊珠 ※青文字は属性一致、赤文字は重複弱点、緑文字は重複耐性、灰色は無効、(括弧内)はスキル効果あり #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 ここあ A小悪魔 H小悪魔 S小悪魔 スキル リトルネザーデーモン ターン終了時、相手のVPをSLv×2減らします。 スペル スペル名 属性 威力 消費 詳細 必要銭 ここあ A小悪魔 H小悪魔 S小悪魔 デモンズパッション 闇 80 20 通常攻撃(初期) 3000銭 ○ ○ ○ ○ ナイトエンプーサ 闇 100 30 相手の攻撃を20%下げます。 20000銭 ○ ○ ○ ○ 闇 120 40 相手の攻撃と防御を20%下げます。 禁呪 - ○ ○ ○ 小悪魔のトリル 闇 120 40 与えたダメージの1/8、相手のVPを減少させます。 100000銭 - ○ ○ ○ 闇 150 50 与えたダメージの1/6、相手のVPを減少させます。 禁呪 - ○ ○ ○ シャドウキューブ 闇 - 20 後攻になります。受けたダメージの1.5倍のダメージを与えます。 200000銭 - - ○ - ビロードカーテン 樹 - 10 先行になります。3ターンの間、攻撃スペルのダメージを半減します。交代しても効果は継続します。 150000銭 - ○ ○ ○ 樹 - 10 先行になります。4ターンの間、攻撃スペルのダメージを半減します。交代しても効果は継続します。 禁呪 - ○ ○ - フラッドレッドカーペット 水 80 20 通常攻撃 3000銭 ○ ○ ○ ○ 水 100 30 相手の速度を80%下げます。 禁呪 - - ○ ○ マーキュリカルレガシー 水 100 30 与えたダメージの1/8、相手のVPを減少させます。 20000銭 - ○ - - 水 120 40 与えたダメージの1/6、相手のVPを減少させます。 禁呪 - ○ - - テラーオブテラー 氷 100 30 通常攻撃 20000銭 - ○ - - 氷 100 30 先攻で攻撃します。 禁呪 - ○ - - エレメンタルリゾネント 風 100 30 相手のスキルを無効化します。 20000銭 - - - ○ 風 120 40 禁呪 - - - ○ ダークサイドルミナリー 理 80 20 相手の攻撃を20%下げます。 3000銭 - - - ○ 理 100 30 先攻で攻撃します。 禁呪 - - - ○ マギア・ルナロッサ 理 120 40 相手の攻撃を20%下げます。 100000銭 - - - ○ 理 150 50 相手の攻撃を30%下げます。 禁呪 - - - ○ ストロベリーカクテル 炎 100 30 通常攻撃 20000銭 - - ○ ○ ルビータブレット 炎 120 40 相手のスキルを無効化します。 100000銭 - - ○ ○ 炎 150 50 禁呪 - - ○ ○ カード効果 アイテム名 装備時効果 契約コダマ 入手(金額) 備考 小悪魔カード 速度が10増加します。 ここあ 半吉印の福袋・アイテムショップ(50000銭) 1-4クリアでショップ追加
https://w.atwiki.jp/entschlafen/pages/25.html
小悪魔 編集 /`\ ,! _,,,. --─- 、.., / /ヽ ', / .! ,. ''´ __、 `'| /\. V | ./ ゝ、,. '_ ' ヽノ; イ-‐-ヽ|/ / ァ'´ `ヽ く`ヽ Y ', |/`7 i`>' ! ; !_ ヽ ! i i レ'^'7 / !-‐ハ /! /!_」_`,ハ! ! ! i ,' !ァ-、|/ 7´ , -,、ヽ ! | ! 十月三十一日を御報せします | | ;7 i´ハ i ハ !| | | | ! ;ハ` '、,リ '、_,rノ .! ! i | | '´!7⊃ ´ ' __ ⊂⊃ | ! ! ! |ゝ、, i´ `ヽ ,.イ ! ;ハ ハ | ト、 .! |八 `i7ァー--r '/`ソ、| / レ'`ヽ! | i\ '、 | /\!へ; イ'!/ / レ'`ヾ、 / / ' , \|/ ,ハ/´/レム / / ,iーイン , i / /i ,! !ハ」` i、 _r' \'⌒ヽ./ ! | / 〉 ヘ ∨ Vヘ´ ´` 、_,!/)_/ _ !' / 〉 i o `ハ // ' ノ、 '、``/7´ く_/! o 、 | |つ ´ く _〉 '、'、__// `'ァー--‐r'´、 `'、ー‐'"´ ̄` '´ `'ー‐./ / / i '; \ Y⌒゙'ー-‐l