約 182,762 件
https://w.atwiki.jp/sousakujojiouma/pages/93.html
(悪魔な私、犬なあいつ) 更新日:2021/11/15 Mon 15 49 00 タグ一覧 普通に泣くことは許されなかった。 「泣き止みなさいよ!本当うるさい!」 無邪気に笑う事なんか許されなかった。 「なに笑ってんだ気色悪い!酒だ!酒持ってこい!」 生きることすら望まれていないのかもしれない。 「あんたなんか生まなきゃよかった!」 「お前なんかうちの子じゃない!出ていけ」 叩かれて、引っ張られて、突き飛ばされた身体を庇いながら、私は家を出た。 こう言うことはよくある。何度も何度もあった。私は両親の怒りが収まるまで、家の外で待つことにした。二人の声がする。喧嘩の内容は私のことじゃない。あぁ、雨が止んでいてよかった。 「酷い顔」 地面に出来た水溜まりに、自分の顔が写ってる。 あの人達に叩かれて出来た腫れ、滲み出た血、浮かんだ涙。 私は乱暴に涙をぬぐい、水溜まりを踏みつけた。泣いたら駄目だ。また叩かれてしまう。 私は弱い自分が嫌いだ。直ぐに間違ったことをしてしまう自分が。 いい子供になりたい。愛されて、友達のいる子供に 「あれ、人間さんなんだよ。こんな時間に子供の人間さんがいるなんて珍しいんだよ!」 突然聞こえた声に、私はドキッとして固まった。 こんな傷だらけの私、人に見られたって知られたらまた叩かれる……! 何でもないって言わなきゃ! 私は辺りを見回しながら声の主を探した。 「犬……?」 声の主の飼い犬だろうか?リードが付いていないので、野犬なのかもしれない。 犬は苦手だ。獰猛だし、鳴き声がうるさい。私が思わず後ずさると、犬は一歩近づいてきた。私はまた一歩下がる。犬が一歩近づく。 「な、なによあんた」 私は不気味に思い、そう呟いた。まるで、人間のように考えてるみたい…… その次の瞬間、驚くことが起こった。犬が二本足で立ち上がり、言葉を喋りだしたのだ。 「わたしはだよロリ犬だよ!人間さん、怪我大丈夫?」 「な……」 驚いてそれ以上声も出ない私に、犬はスタスタと近づいてきた。二足歩行で。私の距離が足10個分くらいになると急に立ち止まって…… 「じゃーん!」 一瞬目が眩むと、目の前には青いマフラーを着けた女の子が立っていた。 「あ、悪魔…?怪物…?私が悪い子供だから食べに来たの……?」 声が震えてしまった。でも、情けないなんて思えないほど怖い。犬が歩いて喋って、挙げ句の果てには人間になるなんて普通じゃあり得ない。 女の子が微笑んだ。まるで私を安心させようとしているみたい。 「私は…なんだろう、妖怪?人じゃないけど、人間さんの味方だよ!」 「私の味方……?」 「そうだよ人間さん。……近くに行ってもいいかな?」 私は薄く笑った。そうか、これは夢だ。 「…別に」 「ありがとうなんだよ」 犬はそう言って、私の目の前まで来た。 それで、次はなにするの?その手で私を殴る?鋭い牙で噛みつく?こんな夢慣れっこだ。今まで何度も見てきた。こんな変な人は初めてだけど。 見るのは大抵両親の夢。両親が優しい夢、優しい両親が笑いながら私を殴る夢、いつだって最後は殴られるんだ。 犬は、私の様子を見て顔をしかめる。歪んで腫れ物だらけの醜い私にビックリしたのか? 鼻で笑おうとした瞬間、また信じられない事が起きた。 犬が、私を抱き締めてきたのだ。 「え……」 私は突然の事にビックリした。夢であっても、他人にこんなことされたのは初めてだ。 「大丈夫なんだよ…」 犬が苦しそうに呟いた。 「私は夢でも幻でも無いんだよ。だから、安心するんだよ」 自分を包む温かい腕…夢じゃないみたいだ。 「なによ…あんた」 私は声を絞り出した。気を張らないと、色々な感情で震えてしまいそうだ。 「……変なやつ」 「ムム!」 あぁ、あの人が呼んでる。行かなきゃ。私は犬の腕の中でこう思った。 行きたくない。 「行かないでいいんだよ?」 犬がそう囁いて、でも私は首を降った。 「行くよ、行かなきゃあの人酷いから」 「そう……」 私は初めて、自分から他人を抱き締めた。 「ありがとう、優しい夢」 私は駆け出す。夢は名残惜しげに一声鳴いた。 「あぁムム、ごめんね、頭に血がのぼって」 お母さんが私にガーゼを押し当てる。でも、私の心配をしてる訳じゃない。介抱する自分に酔っているだけだ。私にはわかる。 「ねえお母さん」 ほら、私が少しでも声を出すとあからさまに不機嫌になる。 お母さんが欲しいものは娘なんかじゃない。お母さんに都合のいい人形だ。 「……なに?」 不機嫌になりながらも、話は聞いてくれるようだ。私は、結果は分かっていながらも聞いてしまった。 「犬って、立って歩いて喋って抱き締めたりしないよね?」 一瞬世界が揺れて、気が付いたら地面に叩きつけられてた。 怖い顔したあの人が、私を見下ろす。 「犬が!喋るわけ!ないでしょ!この!大酒飲みの!ろくでなしの!小娘ッ!」 私のお腹を踏みつける。空気が吸えなくなった。まずい。 「うぐ……お、かぁさ…あぁ……」 「この!バカ!アホ!マヌケ!」 いけない事を聞いた私は、お腹の痛みと引き換えに、あれは……あの犬は現実なんだと知ることができた。 「……なんでいるの?」 次に家から放り出された時も、その次に家から叩き出された時も、その犬は私の目の前にやって来た。 「君が心配だからだよ」 そんな事、初めて言われた 「そう……」 犬は私に近づいて、傷口を舐めた。 「ちょ、ちょっと」 「こうすると、傷の治りが早くなるんだよ」 犬はそう言って、私の腕や足を舐める。 「そ、そうは言っても……くすぐった…」 二の腕や脹ら脛に走る湿った肉の感触に、私はムズムズし、堪えきれず、生理的な笑い声をあげてしまった。 私の声に気をよくしたのか、犬は何度も舐めてきた。 「もういい!もういいって!」 私は恥ずかしくて顔を真っ赤にし、犬の顔を押し退けた。 「えへへ、ごめんなさいだよ」 だよロリ犬は何故か嬉しそうに笑い、私の横にぴったりくっついた。 「ねえ、のじゃロリ犬」 「……?どうしたんだよ?」 「一応、ありがと」 犬は嬉しそうな笑顔で頷いた。 「うん!」 こいつの介抱は、変な感じだけど、母親のするそれとは何か違った気がした。 だよロリ犬と出会って数ヶ月。 私は、だんだん、家の外に出されるのも悪くないと思えてきた。 傷が酷ければ舐めてくれるし、雪が降ってれば抱き締めて暖めてくれる。 だよロリ犬がいると……結構……安心できた。 私がお礼をいうたびに、嬉しそうな顔をするあいつを見て、気が付くと自然に笑っていた。 終わりは唐突に訪れた。 「明日引っ越すぞ」 父親の声に、初めて意見してしまった。ついうっかり、物の弾みだ。 「なんで…?」 「あ…?」 「なんで引っ越すの?お仕事は…?お金は?家だってどうするの?」 直ぐに鉄拳が飛んでくる。 「がッ!」 拳が顔にもろに当たって、身体が壁に打ち付けられた。 「うるせぇ…お前は黙って従ってればいいんだよ!」 父さんの無駄に大きな手が、私のボサボサの髪を掴んで持ち上げる。 「分かったか?くそ売女のくそ娘」 生まれてから何度も閉め出されてたけど、自分から外に飛び出すのは初めてだった。 「ムム…?どうしたんだよ?」 直ぐにだよロリ犬がやって来た。 私は何も言わず、だよロリ犬を抱き締めた。 「ど、どうしたんだよ?!」 だよロリ犬は心配そうに、でも嬉しそうに言う。 「引っ越し…」 「え?」 「引っ越しするんだって」 私は顔をだよロリ犬の胸に擦り付けながら言った。 「だから、これも今日でおしまい」 私は、自分の頬に涙が伝っている事に気が付いた。 でも気にしなかった。だよロリ犬なら、私が泣いても笑っても気にしないって、そう……思ったから。 だよロリ犬は私が落ち着くまでぎゅっとハグしてくれていた。 「引っ越し…する?」 「うん、だからもう会えない」 「なんだ!それなら大丈夫だよ!」 だよロリ犬は誇らしげに胸を叩いた。 「私は犬だよ?だから、遠く離れたってムムの匂いは分かるんだよ!」 「……遠くにいくんだよ?」 「約束する。絶対見つけ出すんだよ!だからお願い」 だよロリ犬は小指を差し出した。 「絶対生きてて」 私はビックリしたけど、表情に出さないようにして、その小指に自分の小指を絡ませた。 「分かった。ありがとう」 次の日、私達は青空市と言う場所に移り住んだ。 家に入ってから、お父さんがこれで借金取りから……みたいな事をボソボソ言っていたが、お母さんが舌打ちして喧嘩になったから、ちゃんと聞けなかった。 そこでの暮らしは……まあいつもみたいな感じだ。暴力を振るう両親。傷だらけ包帯まみれの私。同級生からの好奇の目。 でも私が逃げ出さなかったのは……線路に飛び込まなかったのは、だよロリ犬がいたからなんだ。 そんなある日の事、奇妙な事が起こった。 「私、寝ていたはずじゃ……」 確かに布団で寝たと思ったのに、いつの間にか違う場所にいたのだ。 目の前には立派な家。いや、店? 看板が出ている。 『お菓子と本の店オウマがトキにようこそ!』 これは夢なのだろうか?私は恐る恐る、その扉を開けてみた。 「いらっしゃい……ませ」 店員らしき人に声をかけられ、私はビックリして固まった。 まるで全身が紫のスライムで覆われたような女の子だ。 「あ、うん」 虚をつかれた私の耳に飛び込んで来た声は、確かにあの子の声だった。 「だからぁ人探しに協力しろって言ってるんだよ!」 「はぁぁぁ?そんな言い方で誰が協力するって言うんじゃ?!このアホ犬!」 「なんだと!このバカ猫!」 「うるへー!おたんこなす!すっとこどっこい!」 私は店員の制止を降りきって駆け出した。声のする方へ。 「妖気が弱まったお主なぞ怖くもなんとも無いわ!人っ子一人見つけられんとかまじ草」 「うるさいんだよ~!黙れ!黙れ!」 バン!と扉を開けると、そこは厨房だった。 不機嫌そうなオレンジ色の女の子と、居たたまれない様子の白黒の翼を持った女の子が、うつ向いて何か作業してる。 喧嘩してた声の主は、部屋の隅にいた。赤いマフラーの女の子と……それに…… 「……だよロリ犬」 私の声に、だよロリ犬は尻尾をピンと立てた。 「ムム……!」 だよロリ犬は私だと確かめるように鼻をくんくんさせた。 「ムム!」 私だと分かると、だよロリ犬は目を輝かせながら、近づいて、力一杯ハグしてくれた。 久し振りの抱擁の感覚に、私は幸福感と言うものを初めて感じたのだった。 「あの子をここに招き入れたのって、のじゃロリ猫先輩ですよね?」 女の子とだよロリ犬さんが抱き締めあっているのを尻目に、私は先輩に耳打ちした。 「ふん、ただの偶然じゃろ。アンコ、お主わしの事誤解しとりゃせんか?」 「そうでしょうか?確かに先輩は自由人だし、すぐサボるし、押しが強い所ありますし、正直言ってフリーダムすぎですけど」 のじゃロリ先輩はうぐ…世知辛いのじゃ…なんて呟くのを横目に、出かけた言葉を飲み込んだ。 (そういうところ、羨ましいけど好きですよ)
https://w.atwiki.jp/toho_yandere/pages/582.html
某イメージソースありのお話です 外に出ることができない いや、出ようと思えば出ることはたやすいのだが、出ることができないのだ 回りくどい言い方になってしまっているとは思うが、できればこの書記を最後まで読んでほしい さすればなぜ私が他者との関わりを立って生きているのか、分かってもらえると思う もともと私は紅魔館の書記見習いの職についている人間だった 外世界の書物の管理と片づけが仕事 不慣れな点も多くあったが、私の上司である小悪魔さんのサポートもあってなんとかこなしていた 毎日二人だけで仕事をする間柄 同僚から友人に、友情が愛情に変化するまで、さほどの時間は要さなかった 私は幸せだった 一年前の今日が来るまでは 珍しく早く仕事を終えた私は、彼女に頼まれた魔導所の整理を行っていた 山積みになった魔導書を順番どおりに並べるだけの仕事 しかし何語で書かれているのか分からないものや、タイトルすらない書物も珍しくなく 常に彼女に説明をもらわなければまったく進まない状況になってしまった そして、何度目の質問のときであったか 振り向いた私の目に飛び込んできたものは、満面の笑みを浮かべた彼女が広げた魔導書だった 無論そこに書かれていた言語は私の理解の及ぶものではない それでも、禁断の知識は私の正気を容赦なくむさぼり食った この世で最も慈悲深いことは『無知』である 数十年前、宇宙的恐怖を提唱した顔の長い紳士がいた その彼の言葉の真意を私は悟るとともに、気を失った 目を覚ましたとき、私は地獄にいた 2.3度来たことのある医務室 そこで私は、言葉にもできないようなおぞましい怪物たちに囲まれていた 不快 醜悪 グロテスク そんな言葉は、この怪物を表すには陳腐すぎた それを一秒でも見たくなかった私は、悲鳴を上げて布団にもぐりこんだ その周りで、怪物たちが意味不明の呻き声のような言葉を交し合っていた その時、妙なことが気にかかった 私が寝かされているのは紅魔館の医務室、それは間違いない ではこの怪物たちはいったいどこから来たのか なけなしの勇気を振り絞り、ほんの少しだけ布団を持ち上げてあの怪物たちを視界に入れる ああ、という呟きとともに、知らず知らず涙がこぼれてきた 私は悟った これが、知るべきではない知識を垣間見てしまった者の末路なのだと あの怪物の背にある七色の翼 あの怪物の身に着けているフリルのエプロン あの怪物の頭の赤い髪 あの怪物の紫色のパジャマ みんな見覚えがあった この怪物はどこかから来たのではない この館の住人が、私には怪物に見えているだけなのだ それから二日間、私は用を足す以外一度も布団から出ることなく過ごした 文字はかろうじて読めるものの、姿も声も変わり果てた友人達を見ることが辛かったからだ そして三日目の朝を迎えたとき、私は図書館の奥に寝かされていた その場所には見覚えがあった なぜならそこは、私が見てはならないものを見てしまったあの禁断の本棚郡だったのだから 状況を理解できず、思わずあっと声を上げた時、本棚の裏から出てきたのは紛れもなく私の恋人の小悪魔だった その姿は、あの怪物とはまったく違う、私が愛したままの姿だった なぜ私に魔道書を見せたのか、私にいったい何が起こったのか、聞きたいことは山のようにあった しかし私は何をするでもなく、ただ彼女にすがり付いて泣いた あの怪物たちに囲まれ続けていた私にとって、彼女は砂漠を三日三晩さまよって、ようやく見つけたオアシスにも等しい存在だった 「これでやっと、あなたはわたしだけのものです」 嬉しそうにはずんだ声、けれどその言葉には、言い知れぬ闇のようなものを感じた それから彼女が何をしたのか、私に起きた怪異を語ってくれた 私に見せたものは、千年以上も前に書かれた最古の魔導書だということ その狂気に満ちた内容は、読者の正気を失わせるということ そして項を上手く読ませれば、どのような狂気の形でも作り上げることができるということ 例えば、彼女以外の生物を全て恐ろしい怪物に見せるなどといった具合にだ なぜそんなことを 彼女の胸倉を掴み、私は叫ぶように問い詰めた そのときの彼女の歪んだ笑みは、あのおぞましい声よりも、あの汚らわしい怪物の姿よりも強く私の正気を殴りつけた 「だって○○さんには、私以外いらないですから」 私は恐ろしい あの狂気そのものの姿をした怪物も、私を愛するあまり狂気に堕ちた彼女もだ 今の私は、図書館の奥で彼女の帰りを待つこと以外何もできない無力な存在に過ぎない 館ではすっかり行方不明者として扱われてしまっているようだ もう一度図書館から出て、私の存在を示し保護を求めることも考えた しかし、できない あの怪物の姿をもう一度目に焼き付けてしまったが最後、私も狂気に堕ちるという奇妙な確信があった もうお分かりだろう。冒頭で私が書いた、外に出ることができないという意味が そんな中でこの書記を図書館に隠したとしても、まず見つかるまい よしんば発見されたとしても、見つけるのは九分九厘小悪魔だろう それでも一厘の可能性に賭けて、おぞましい魔導書郡の中に私の書記を埋める しかる後、私はこの壊れた世界に別れを告げようと思う この大本棚のてっぺんから飛べば肉体は破壊され、私の魂は慈悲深くも彼岸へと運ばれるはずだ 願わくば、地獄がここよりも美しい世界でありますように
https://w.atwiki.jp/poupeewiki/pages/526.html
レースサテンキャミ/10FLace satin sami top/10F サイドフリルミニスカート/10FSide-ruffle mini skirt/10F バイカラーフリルワンピ/10FTwo-colored onepiece/10F リボンニーハイ/10FRibbon thigh-high socks/10F ローズピアス/10F◆Rose earings/10F ローズリング/10F◆Rose ring/10F ローズフリルフットバンド/10F◆Rose footband/10F ドット小悪魔パンプス/10FDot printed devilish pumps/10F ローズヘアアクセ/10FRose hair accessory/10F 指なしレースグローブ/10F◆-
https://w.atwiki.jp/aikatsu-photo/pages/76.html
[わんぱく小悪魔]大地 のの No. 0361 レアリティ SR タイプ セクシー キャラクター 大地 のの 初期オーラ 1648 最大オーラ 3285 アピール ウィキッドルージュ アピールポイント 16200 スキル セクシーオーラUP!(Ⅲ) ブランド Dolley devil ドレスアップ後 [キューティーデビル]大地 のの+ 入手方法 ミラクル!WM(後半)ドロップ報酬 実装日 2016年5月11日 ドレス カテゴリー 星座ロマンスドリームBOOM ドレス名 ブランド トップス - ピンクデビルストライプトップス Dolley devil ボトムス - ピンクデビルストライプスカート Dolley devil シューズ - ピンクデビルストライプブーツ Dolley devil アクセサリー - ピンクデビルストライプリボン NO BRAND
https://w.atwiki.jp/atgames/pages/315.html
キュート小悪魔ワンピB ホワイト 分類 : 上半身/インナー系 2009年2月 ココロ・プレミアム 通常版
https://w.atwiki.jp/yupin/
フハハよく来たなここが小悪魔GのHPだ 更新は暇があれば更新します 何か不具合があれば管理人まで報告してください まずはこちらをご覧ください。 @wikiの基本操作 用途別のオススメ機能紹介 @wikiの設定/管理 おすすめ機能 気になるニュースをチェック 関連するブログ一覧を表示 その他にもいろいろな機能満載!! @wikiプラグイン @wiki便利ツール @wiki構文 バグ・不具合を見つけたら? お手数ですが、こちらからご連絡宜しくお願いいたします。 ⇒http //atwiki.jp/guide/contact.html 分からないことは? @wiki ご利用ガイド よくある質問 @wikiへお問い合わせ 等をご活用ください
https://w.atwiki.jp/orz1414/pages/413.html
※注 ○○が半々屍人くらいになってます そういうのがキライな人は現世に帰りましょう。 「…むぐ?」 昼ごろに目が覚めて、散歩でもしようかと思ったら赤い雨が降ってきて、 そしたらいきなり近所のじいさんが目から血を流しつつ追っかけてきて、崖まで追い詰められて、 崖の下に広がる真っ赤な海に突き飛ばされたんだよな? こりゃやばい、死ねる!とおもったら地面にキスしてたわけで。 「助かったのか?でもここはどこだ?」 真っ赤な満月がこっちを見下ろしてる。夜だな。 真っ赤じゃないでかい水溜りがある。 湖だな。 流れ着いてここまできたのか?いや、それはない地形が違う。 「なんかよくわからんが…とりあえず村より安心っぽいな…」 しかし村になにがあったんだ?天候から人間まですべておかしくなってたし。 地形も微妙に変わってたし。 目を閉じて深く考えてみる。 考えるのは不得意だが、心を落ちつかせることができるから何もしないよりマシだ。 ―ふと、目を閉じた俺の目の前に、赤い髪の黒い服を着た少女がいた。 あれ?俺、目ぇ閉じてるよな? あけてみる。 誰もいない。 おいおい、俺もおかしくなったのか?もっかい閉じてみよう。 「大変ですね、こんな真夜中まで見張りだなんて」 「でもしかたないわよ~、門番だし、サボってたら咲夜さんに怒られるし…」 さっきの少女がまた映った。しかも誰かと話してる。 あけてみる。やっぱ誰もいない。 やばい…俺もおかしくなっちまった…幻覚が見えるなんて? 「とりあえずここらへんを探索しよう。 まずはそれからだ」 湖に沿って歩を進める。こんだけでかい湖だ。 観光スポットとかになっているだろうし人が近くに住んでるだろ。 それにしてもさっきの子、幻覚のわりにはすんげーかわいかった。 あんな子が彼女だったら幸せだろうなぁ。 見たところおとなしくて優しそうだし、けっこうスタイルよかったし。 そしてそんな優しい彼女も夜になるとすさまじい勢いで… うおっ、興奮のあまりか涙出てきた! いかんなぁ、いくら思春期だからって鼻血じゃなくて涙だなんて… ゴシゴシ …赤い はい? ゴシゴシ 赤い。 なんとなく嫌な予感がしてきた。 夜だけど満月の光で結構明るい。 俺はおそるおそる湖をのぞきこんでみた。 「夜食ありがとうね、リトルちゃん。これで24時間働けそう!」 「あらあら、そんなこと言って咲夜さんに聞かれたら『じゃあ休憩はなしね』って言われちゃいますよ?」 「う…それはかんべん…」 「それでは、私はこれで」 「うん、おやすみー さて、さっそく一口…」 「ぎゃあああああああああああああああ!!!!」 「ひっ!?」 「むぐぅっ!? ゴホッゴホッ!」 私が館の中に戻ろうとしたとき、遠くから悲鳴が聞こえた。 声からして男の人。こんな時間に出歩いているのはおかしい。 「ぐむっぐむぅぅぅ!」 そして近くでも悲鳴が聞こえた。 美鈴さんが喉におにぎりを詰まらせている! 私はパチュリー様がおもちを喉に詰まらせたときに使うチョップを美鈴さんの背中に喰らわせた。 「ゲホッ!ゲホッ! ありがと… それにしても何事…」 「私!見てきます!」 「あ、リトルちゃん!一人じゃ危ないわよ!」 「大丈夫です!いざという時は美鈴さんが走って助けにきてくれるのを信じていますから!」 「まったくもう… りょーかい! 無理はしないでね!」 美鈴さんに支援を頼み、悲鳴のあった方向に飛んでいく。 よく目を凝らすと湖の近くで幻想郷では見ることのない服をきた人間が、 地面に頭を打ち付けたり、ごろごろ転がりまわったりと奇妙な行動をしている。 「あぁぁぁ!! 嘘だろ!嘘だろおいぃぃぃ!!」 ひどく錯乱している。念のため遠くから話しかけてみよう。 「あ、あの…大丈夫ですか?」 「!?」 「ひっ!?」 その人の顔を見た私は思わずすくみあがってしまいました。 人間とは思えないくらい肌の色は蒼白で、 口や鼻、目といった穴という穴からとめどなく血が流れ、 人間というよりはアンデッドにしか見えませんでした。 「なん、なんで、え?本物?うぁ?幻覚じゃない…!?」 「お、落ち着いてください」 「あ…」 ドサッ 「だ、大丈夫ですか!? …気絶してる…」 これが、私と○○さんの出会いでした ───── 「うーん…」 「あ、気がつきましたか?」 気がつくと俺はベットに寝かされていた。 傍らにはあの赤い髪の子が座っている。 「ここは…?」 「ここは紅魔館の空き部屋です」 「…こうまかん?」 「はい、私に会ったあとあなたはすぐ気絶したので…」 なんと、見ず知らずの俺のために介抱してくれたのか。 なんて、なんていい子や。 「俺、○○。君の名前は?」 「あ、私はリトルと申します。よろしくお願いします」 「HAHAHA、こちらこそ。いやー、まともな『人間』に会えてよかった。」 「あー…、いえ、私は人間ではありませんよ?」 「はい?」 よーくみると頭と背中に羽みたいなのがついてる。 いや、これアクセサリだろ常考。 背中に手が届きそうだ よし、ばれてない。そーっと そーっと 「そぉぃっ!!」 ぐいっ! 「ひぅっ!?ひゃぁぁぁ!?」 ぬっ! 生あったかい!本物!? それにしてもなんと艶のある声。 こんなかわいい子が人間じゃないなんて。 まぁ、しょうじきいってあの化け物よかマシだ。 いかん、いい感触だこの羽。興奮してきた。 バンッ!! 「どうしたのリトル!?」 俺が彼女の羽の感触を楽しんでいると 扉をおもいっきり開けて誰か入ってきた。 ……そいつはメイド服を着て、真っ赤な目で穴という穴から血を流し続けていた― 「う、うわっうわぁぁぁぁぁぁ!!!」 「な、なんなのこいつ!」 俺は手近にあった花瓶を掴んで化け物メイド(仮)に対して投げつけた。 しかし、化け物は無駄にいい動きで花瓶を避ける。 よく見るとこいつ、ナイフをたくさんもってやがる! とにかく、命の恩人のリトルだけでも守ってやらなきゃ! 「ここは俺にまかせて逃げろ!リトル!」 「ま、待ってください!」 「ええい止めてくれるな!いくぞ化け物!」 スカーン スカーンスカーンスカーンスカーンry 投げナイフですか そうですか。 しかも無駄に多いし。でもちょっと痛い程度ですむなんて。 強くなったな俺。 「まったく。アンデッドに化け物扱いされるなんて思いもしなかったわ」 「この人…いつの間にアンデッドになってしまったんでしょうか?」 なにをいっとるんだあんたら? 「ちょっとまってお二人さん、話が見えないぞ?なに?二人は知り合い? 俺はアンデッド?てか化け物じゃないのそのメイドさん。」 「質問が多いわね… まぁ、いいわ簡単に説明すると…」 その化けメイドさん…十六夜咲夜さんが言うには、 ここは幻想郷という俺のいた世界とは違う世界らしく、妖怪と人間が共存してる世界で、 ときどき俺のように外の人間が迷い込むときがあるらしい。 人間も妖怪も一筋縄じゃいかないのがいっぱいいるみたいで、 ここの当主は運命を、この人は時を操ることができるそうな。 そしてここ紅魔館は吸血鬼が主の館で、化け夜さん… いやいや咲夜さん以外の住人は人間じゃないらしい。 んで、俺はいつの間にか村にいた化け物とほぼ同じようになったらしい。 化け物になった理由は不明。自称瀟洒なこの人の推理によると、 どうやら俺は人間がゾンビみたいな化け物に見えているのかもしれないんだそうだ。 だから襲い掛かってきたのか?…村の人たちは。 「くそっ…頭がこんがらがってきた… わけがわからない…」 「わけがわからないのはこっちのほうよ、銀のナイフで刺されてケロッとしている化け物なんて」 「あ、パチュリー様」 「珍しく朝まで寝ようとしてたのに、突然の来訪者のせいでジャマされるなんてね。まぁ、本を盗まれるよりはマシだけど」 また一人誰か来た。パジャマを着てかなり分厚い本を持っている。 この人も人間じゃないのか?まともにみえる。パジャマ以外。 「すいません、わざわざパジャマのまま来ていただ「私服よ」…すいません」 クスクスとリトルと咲夜さんが笑う。 だよねー、パジャマに見えるよねー。 「アンデッドは火に弱い」 「あ、言い忘れていたけどパチュリー様は魔法使いよ」 そうなのかー。 もうここまでくると信じざるをえないよなまったく。 とりあえず俺がとれる行動は―。 「すいません。燃やさないでください。後生です」 「よろしい」 土下座。 この状態で燃やされたらどうなるか考えるだけでもおぞましいぜ…。 目をつぶり、想像してみる。 すると… 「あれ?目ぇつぶったら俺が見える?」 「?なに言ってるの?」 咲夜さんが当然の受け答えをする。 もう一度つぶってみる。 「今度はリトルと咲夜さんの背中と俺が見える。視界の中に分厚い本が映ってる…本?」 「もしかして…他人の視覚を共有する能力でも持っているのあなた?」 「いや、持っているかって言われても…そういや湖のときでもリトルが誰かと話しをしてる姿見えたな…」 「あ、確かに私美鈴さんと話をしていました…」 てことは俺はその美鈴って人の視界を共有したのか。 「聴覚まで共用できるみたいね…アンデッド化の代償にその能力を身につけたのかしら?」 「使い方によっては相手の場所がわかりますわね。もしすべてのゾンビがこの能力を持っていたら、 間違いなく生存率0ね」 さらっと怖いこと言うなこの人。見た目も怖いけど(俺にとっては) 「あなた、名前は?」 「○○です」 「○○、この部屋にいる者以外の者の視界と共有してみて」 「いや、これは無意識でやってるんで…」 「もしかしたら自由に使えるかもしれないじゃない。やってみなさい」 くそう、俺のデータをとりたいという寸法か。 でも燃やされるのは嫌だからやってみる。 目ぇつぶって… おっ、またパチュリーさんの視界だ。違うとこ~ちがうとこ~… お、映った。窓掃除をしてるぞ。 「なんか窓掃除してるのが見えます」 「自由に使えるみたいね」 「タチの悪いゾンビの覚醒ですわね」 「俺はカニバリズムじゃないですよ。村名物の麺料理が好きな純粋な少年ですよ。すっごいうまいの」 「どんな料理なんですか?」 「おっ、リトル食いたくなった?よしよし教えてやろうまず蕎麦に… なんか変なの映った…」 「変なの?」 「小さい女の子がドアに向かって小さな声で『私はこの館の主だ』とか言ってるんですよ。 で、しばらく深く考え込んだとおもったら声をちょっと威厳ある言い方で『私はこの館の主だ』って… なんか練習してるっぽいんですが…」 「「「……」」」 この数分後、俺に会いに来た館の主、レミリア・スカーレットにこのことを話したら、 レミリアは急に血相を変えて、俺を殺す勢いでバカでかい槍を投げつけようとするのであった。 なんでだろうな? ─────── リトル 紅魔館/図書館 あれから○○さんは、レミリアお嬢様に紅魔館の『総合雑用』として働けと言われ、 この紅魔館に住み着いています。 なぜお嬢様がこのような寛大な措置を○○さんに与えてくださったのか… …やはりあの『ドアの前でカリスマ練習事件』が原因かと思われます。 ○○さんをこのまま野放しにしてしまったら、いずれ誰かに言いふらされるのではないか? そういう不安があったのだと思います。 当の○○さんは 「やった!野宿しないでいいんだ!」 と気楽でした。これには思わず私たちは苦笑い。 「こんな奴にこの館のトップシークレットを知られるなんてね」 「いつの間にトップシークレットになったんですか?」 「咲夜、無粋なことを言うものではないわ」 「申し訳ございません…プッ」 「笑うな~!」 こうして、○○さんは総合雑用として、庭手入れや、図書館の本の整理等をやらされています。 そうそう、この間○○さんは元の世界では食堂の息子さんだったらしく、 本人もよく手伝いをさせられていたそうです。 レミリアお嬢様の命令でお蕎麦を作ってくれましたが、これがとてもおいしいんですよ。 なんでも、麺類は特に得意だそうで。 そして、今○○さんは庭手入れを終わらせて帰ってきたみたいです。 「ふぃー、疲れた~」 「お疲れ様です…って!タオルがすごいことになってますよ!?」 白いタオルはわずかな白さを残して、真紅に染め上げられていました。 おそらくこの赤は○○さんの目からときどき出る血で染められたんでしょうね…。 「なあに、だいじょぶだいじょぶ。それより美鈴さんに苺をわけてもらったんだよ」 「うわぁ…たくさんもらいましたね~、でもそんなに苺をもらってどうするんですか?」 「ああ、これでジャムを…」 「○○」 「あ、パチュリー様、苺片付けたらさっそく本の整理するんで待っててください」 「本の整理は今日はいいわ、それよりあなたのでちょっとした実験をさせて頂戴」 「うへぇー… また実験ですか せっかく苺手に入れたのに」 「苺を片付けたら実験に協力してくれるのかしら?」 「うー…りょうかいでーす。俺も自分の体のこと知りたいし…」 ときどきパチュリー様は○○さんで実験をします。 ○○さんの能力の射程距離はどこまであるかとか、身体能力はどうなっているのかとか、 実験で手に入れたデータは事細かに本に書かれていきます。 内容はかなりハードなものが多いらしく、実験を終えた○○さんの顔はさらに青くなっている気がします。 昨日の実験は○○さん曰く、「この前やたら嫌な予感のする肉を食わされそうになった、てか食った。吐いた」 …もしかしてそれはじん… 深く考えるのはよしましょう、そうしましょう。 「今日はリトルも協力してもらうわ」 「え!?私もですか!?」 嗚呼、パチュリー様。ただでさえ○○さんにひどいことをしているのに私にまでひどいことをする気ですか? 鬼です、悪魔です、魔女…あ、これはあってる 「なに、そんなに難しいことではないわ、あなたの視界を利用して、○○が移動するだけだから」 なあんだ、それならいいです 「でもなんのためにそんな実験を?」 「そうね、○○が人里でも動けるようにするためかしら?」 「なるほど、○○さんの目は人が化け物に見えるけど、他人の視界を使えば普通に見えますしね」 紅魔館の買いだしは咲夜さん一人でやっていたので、更なる作業の効率化を求められていました。 咲夜さんだけにやらせると咲夜さんに悪いですしね。 (妖精メイドさんに任せると違うものを買ってきちゃったりしますしね… ちなみに私も買いだしに行きたいんですが、パチュリー様に『あなたは常に本の整理をしなさい』と、命令されています…はぁ…) そこで、うまくごまかせば、普通の人間に見える○○さんにも買いだしをやらせようという話にはなったのですが、 ○○さんの目は人間が化け物に見えてしまうため、無理だという結論になりました。 しかし、○○さんの能力を駆使すれば人を見ずに移動することが可能になる。 パチュリー様の頭の回転はすばらしいです。 「でも常に目をつぶらなきゃいけないんですかパチュリー様?」 目から出る血を拭きつつ○○さんが質問しました。 それにしてもよく服につきまんね、その血。 「いいえ、アイマスクをつければそんな苦労はいらないわ、これをつけなさい」 パチュリー様が懐からアイマスクを取り出し、○○さんに渡しました。 「生あったかい…」 「へ、変態さんですか?」 「ち、ちがいます、飯屋の息子です」 「コントはいいからはやくやりなさい」 「「はーい」」 「おっとと…いて、また本棚にぶつかった…」 「無理しないでくださいね、私の視界ですから障害物との距離が遠いと思っても近い場合がありますから」 「こりゃ杖かなんか必要かもね」 私の視界を使って○○さんは自分の姿を認識するため、私は彼の少し後ろからあるいて行きます。 本棚にぶつかりつつも、少しずつコツはつかんできているみたいです。 「ふぅ~、リトルもずーっとまっすぐみて歩くの疲れたろ?休憩しよう休憩」 「そうですね、○○さんの生傷がこれ以上増えても困りますし…冗談ですよw」 「まったく、スネばかり本棚に当たるから無駄に痛いぜ!」 どかっとその場に座り込む○○さん、その近くに私も腰掛けました。 「しっかし静かだよな~この図書館?」 「そうですね~…基本的にここはいつもこんなかんじですよ?」 「基本的?」 「はい、時々ですが本を盗みに来る人が来るんですよ」 「そいつぁ、ふてぇやつだな。傍若無人レベルは俺の親友より強いんじゃないか?」 「傍若無人なお友達がいらっしゃるんですか?」 「うん、だけど、どっか抜けててさ、ひょろっとしてて、髪型が真ん中わけなの。」 こんなかんじ、と髪の毛を真ん中分けにする○○さん。 そこまでぴっちり真ん中分けの人がいるんですか… 「ぷっ…くすくす…ごめんなさい。想像したらなんだか…」 「お気に入りの服が白黒の上下、てかそれしかみたことないw」 「くすっ…あははははは!」 「ははははははは!」 ご友人の姿を想像して互いに笑い出す私たち。 でも…○○さんが急に黙り込んでしまいました。 「…あいつも…化け物になったのかな…」 「○○さん…」 「だってさ、いつのまにか村中化け物だらけなんだぜ?俺が自分の部屋で寝てる間にだぜ?」 「大丈夫ですよ、きっと無事、村から脱出していますよ」 根拠がない慰めだ。自分で言ってて腹が立ってくる。 ○○さんはこんなにも苦しんでいるというのに。 「なのに、俺は暢気に『雨天散歩だー!』ってバカなことやったんだ、なにやってんだろうな、俺」 「そして近所のじーさんがさ、襲い掛かってきたわけだ。なりふりかまわず逃げ続けた、途中サイレンが鳴り始めたけど気にしなかった」 「とりあえず村から出よう、そう思って走り続けた、でも結局崖から落とされた。そして…」 そこまで言うと○○さんはつけていたアイマスクをはずしました。 その両目から血が流れ出してきました。どくどく どくどくと… ……まるで、泣いているように見えました… 「知らない場所にたどり着いて、自分も化け物になったわけだ!まだ人間であり続けているかもしれない家族や友達を見捨てて!」 ○○さんは両手の拳を床に思い切り叩きつけた。打ち所が悪かったのか血が滲み出している。 でも○○さんはまた拳を床に叩きつけた。 「この前の実験でさ、アクシデントがあって腕が飛んだんだよ、痛かったさ!…でもすぐに元通りさ!こんなの人間じゃありえないだろ!?」 そう叫びつつも、拳を叩きつける動作を○○さんはやめようとしなかった。 叩きつけて、血が出て、また振り上げて叩きつけて。 その姿があまりにもかわいそうで、私は振り上げた彼の両手を掴んでいた。 「やめてください○○さん!そんなことをしてもなにも…」 「意味がない?わかってるよそんなの!でもな!でも俺は化け物だ!もうどうでもいい!」 「……っ!!」 パシィィン…ッ! 「うっ…!?」 私は彼の頬に平手打ちをした。 なんだろう、このこみ上げてくる気持ちは?怒り?悲しみ? そんな陳腐な表現じゃ言い表せない。 彼が悲しんでいるのを見て、私の心にもやもやしたものを感じていた。 「あなたは… あなたは化け物なんかじゃない… 化け物なんかじゃない!」 気がつけば自分は大声で叫び、泣いていた、ぽろぽろ、ぽろぽろと大粒の涙が次から次へと 流れていく。それでも私は嗚咽を交えつつも彼に語りかける。 「あなたは…ひぐっ…あなたは確かに…ぐすっ…体は化け物そのものになってしまいました…」 「だけど…だけど!あなたの心は化け物の姿になっても失われずに、残っているじゃないですか!」 「リトル…」 「自分を責めないでください!あなたが悪いわけじゃないんです!だから…だから心まで化け物になろうとしないで…」 「…」 そこから先は言葉が出てこない、涙が溢れて止まらない。 ぬぐってもぬぐっても、目の奥が熱くなり、涙が出る。 ぽんっ、なでなで 「あ…」 冷たい、けど温かい○○さんの手が、私の頭を撫でる。 優しく、まるで赤子をあやすように。 「ごめんな…リトル。俺のせいで泣かしちゃって…」 その表情はさっきとは違い、とても穏やかな顔でした。 血で塗れた顔だけど、その目はとても綺麗な輝きを持っていました。 「そうだよ、たしかに俺は姿は化け物だ。 だけど、人間の心までは失っちゃいない」 「……○○さん…」 「ありがとう、リトル。なんだか吹っ切れた。そうだー!俺は人間だー!」 よっしゃー!と元気よく立ち上がる○○さん、その姿に思わず笑みを浮かべてしまう。 「よし、リトル!さっさとパチュリー様んとこ戻ってお茶でもしようか?」 「…はいっ!」 やっぱり、彼にはいつも暢気で気楽でいてもらいたい。 でも、なんで自分はそう思うんだろう? もしかして…いやそんなまさか…でも… 「どうした~リトル~ ぼーっとしてー 胸でもきついのか~」 「と、図書館でえっちなのは厳禁!」 ゴスッ! 「いてぇぇぇぇ… プッ…くすっ… あははははは!」 「ふふふ…あははははは!」 まぁ、いいでしょう。そのことついては今度考えることにして、 私たちは待ちくたびれているであろうパチュリー様の元へ歩いていく。 紅茶はなににいたしましょうかね? おまけ 「青春してるわね」 「リトルー!見られてたー!」 「うぅぅぅぅぅぅ…」 「ふっふっふ…これでしばらくは重労働させても文句は言えないわね二人とも」 「「そんなぁ…」」 「さあて、館中にばらそうかしら。この水晶の映像を見せつつ」 「「24時間働けます!だから勘弁してください!」」 ─────── ○○ 紅魔館/図書館 「リトルー、この本ここでいいのか?」 「はい、その本はそこで…あっ、それはそっちじゃありませんよ」 「わかったー」 静かな図書館でリトルといつもの共同作業、本の整理をする俺。 しかし、おれの作業効率はおせじにもいいとは言えない、 高い棚に本をしまうとき、ハシゴを使わないと届かないからだ。 ちなみに今いるところは一番上の棚、怖ッ! リトルみたいに空飛べたらいいんだが、残念ながら俺にはそんな力はない。 それにしてもゾンビが空を飛べるようになったら、 人間はまさに『どうあがいても、絶望』な心境になるんだろうなぁ。 たとえヘリコプターで脱出しても、上から来るぞぉ!気をつけろぉっ!てな感じに 「ありがとうございます、だいぶ片づけられました」 「いやいや、総合雑用のお仕事だから当然のことさ」 「休憩にしましょう、紅茶でいいですか?」 「おっ、いいねぇ、じゃあ俺紅茶に入れるイチゴジャム持ってくる」 「あ、この前の苺をジャムにしたんですね」 「うん、小瓶2つくらいできた。おいしいぞ~俺の特製ジャム」 「楽しみですね~」 たわいもない会話をして、ハシゴからゆっくり慎重に降りようとしたその時― ドゴォォォォォン!!! 「おーっす!また借りに来たぜー!!」 爆音とやたらやかましい声が図書館に響く、 その瞬間、俺は体が軽くなった。 てか落ちてる…落ちてる…!? おいちょっと待て落ちてるよ俺! バランス崩したってレベルじゃないよ!しかも一番上の棚かr グシャッ!! 「○○さん!?○○さん!!大丈夫ですか!?」 「だ、だいじょぅぶだ…普通の人間なら死んでいるだろうが… !!!」 そのとき、俺は見たんだ。 俺の視線の真上にはリトルがいるわけで、そしてリトルの司書服はスカート。 つまり視線の真上にスカートの中身が見える。 しかもその中身は… 「黒の…黒のガータァァァァァァ!!!!!?」 「えっ…? ! きゃああああ!?」 あわててスカートを抑えるリトル、一方俺はというと、 生で黒のガーターなるものを見て、興奮のあまり、鼻血、耳血、吐血、そしていつもの目血が、 一気に噴き出し、棚から床まで血に染まる。 その直後、俺は土下座の姿勢で倒れた。終了未遂(笑) 「ま…○○さーん!?」 「おい、なんだかさっきから騒がしいぞ?どうしたんだ?」 「あ、ま、魔理沙さん、実は、その…」 真上から知らない声が聞こえる、明るくはつらつとした声が聞こえる。 なにものだ?とりあえずリトルの視界をつかってみる。 リトルの目の前にはまさに魔女、って姿をした少女がいた。 箒にかるがるとまたがり、怪訝な顔をしている。 「なぁ、床に突っ伏しているやつがいるんだが誰だ?」 「あの人はですね、えっと、この前湖の近くで…」 「って、ちょっとまて!?あいつ血だらけじゃないか!?助けてやれよ!」 「あの、その必要がないというかなんというか…」 「なに意味わかんないこと言ってんだよ!?」 まぁ、そりゃあ普通の反応でしょうね、それで。 あ、体が動くようになってきた。立つか。 「おーい、そこのどうみても魔女っぽい人、俺は無事だぞー」 「んなっ!? ば、化け物!?」 「なんだと!?お前のほうがどうみても化け物じゃ!!」 「○○さん、能力!能力!」 「あっそうだった、直で見てるから化け物に見えるんだった」 「はぁ…?」 「なるほどな、そういうことか」 「はい、そうなんです」 「パチュリー様、彼女ふっつーにくつろいでますが」 「ずうずうしい泥棒だからしかたないのよ」 ずうずうしい泥棒(霧雨魔理沙というらしい)とパチュリー様を加えたお茶会で、 リトルは彼女に俺の事を説明した。 しっかし泥棒なのか客人なのかよくわからん。本人は本は借りているだけと言っているが、 どうみても借りパクです。本当にありがとうございました。 「てっきりパチュリーがネクロマンシーに手を出したのかと思ったぜ」 「死体を作業に使ってたらこの図書館が死臭であふれてしまうわ、不快だわ」 「そいつは死臭がしないアンデッドなんだな。クリーンなアンデッドだなぁ」 「にしても魔理沙さんとやら」 「呼び捨てでいいぜ?」 「マリ○さん」 「…マスタースパークくらいたいか?」 「○○さん、共通点がキノコしかありませんよ?」 「お前もくらいたいか?」 と、まあこんなおもしろおかしい談笑を続けてる最中、俺は思った。 『あれ』をこの世界の住人に食わせていないなぁ と。 よーし… 「そうだ、魔理沙。俺の故郷の料理を食ってみないか?」 「ん?料理?まぁ、もらえるものはもらうぜ?」 「あ、○○さん、前言ってた料理ですね?」 「そうそう、パチュリー様、調理場と食材ちょびっと貸してもらってもいいですか?」 「しかたないわね、咲夜には後で言っておくわ」 「よっしゃ、じゃ、行ってきます」 「あ、○○さん 私もどうやって調理するか見させてもらってもいいですか?」 「おっ、興味をもったか、リトル。いいことだ。はりきって作っちゃうぞ!」 というわけで、俺はリトルと共に調理場へ向かった。 霧雨 魔理沙 紅魔館/図書館 死体っぽいのにやたら元気な○○とかいう奴が小悪魔と一緒に調理場へ向かった。 それにしてもまさか晩メシ代が浮くとは思わなかったぜ。 やはり私の日ごろの行いがいいからだな、うんうん。 しかし、一つ不安なことがあった。 「なぁ、あいつって料理うまいのか?」 「あら、大丈夫よ。この前普通の蕎麦を作らせてみたらおいしかったわよ?食堂の息子だったんですって」 なら安心だ。 しかし興味深いな、人の心と理性をもった化け物だなんて、ありゃどう見ても死体だ。 正直、あの姿は目を合わせたら殺されかねない迫力がある。 あんなのが夜中にたくさん徘徊してたら私はマスタースパークを全開で使うだろうな。 「彼は運がいいほうなのよ」 「運がいい?」 「彼がいた世界では住人が一晩のうちに彼のような化け物になってしまったらしいわ。彼のような理性を持ち合わせてはいないらしいけど」 「なっ…!? なんでだ?」 「わからないわ、あんなタイプのアンデッド見たことないもの。聖水、銀、施餓鬼米。 そういった魔除けの類がまったく効かないもの」 「そして蓬莱人みたいな回復能力かよ…無敵だな…」 しっかしなんて運がいい奴なんだ… 崖から落ちて幻想郷に行けて化け物だらけの村から脱出して… だけど中途半端に化け物になってしまった。 そう思うとなんだか可愛そうだ… 「あら、あなたが気にしなくてもいいのよ?」 「べ、別に気にしてなんかいないぜ!」 「そう?まぁ、彼もけっこうふっきれたみたいなんだけどね、実はこの前…」 「うおおおおおいパチュリー様!ばらさないでー!」 「24時間働きますからー!!」 くそっ パチュリーが妙にニヤニヤしてたから面白い話かと思ってたのに、 帰ってきやがった。しっかきしこの慌てぶりからして、相当面白い話だったんだな。 ところで○○から変な匂いがする。 気のせいか? 「それよりできたんですよ、パチュリー様、魔理沙。これが俺の故郷の料理―― 『 羽 生 蛇 蕎 麦 (仮)』 だ!」 「なんだ、ただの蕎麦じゃな… え?」 「どうしたパチュリー… え?」 「あは、あははは… み、みてくれはアレですがきっとおいしいと思いますよ…」 これには小悪魔も苦笑いせざるをえないだろ…だって… 「おい、○○。 イ チ ゴ ジ ャ ム 入った蕎麦なんてないだろ ゲテモノを食わせようとしてるのか?」 普通の蕎麦の中にイチゴジャムがふんだんに入れられている。 そうか、変な匂いの正体はこれか、めんつゆとイチゴジャムの絶望的な風味のハーモニー、 そしてめんつゆの色とイチゴジャムの赤が混ざり合って、もう、なんというか。 『どうやって食べても、絶望』 「ゲテモノではない!!くっそ!村以外の人はいっつもそう言う!食ってみろよ!おいしいから!!」 「そ、そうか…?じゃあ…いただきます」 ちゃんと四人分用意されてるし…しかもパチュリーにいたっては箸は持っているが私をじっと見ている。 くそっ!先に食べろってことか!? 「どうしたの魔理沙?怖いの?」 お前もなぜか震えてるじゃないか!!ああ、いいさ食べてやる!食べてやるとも!! ずるずるずる… そして、数十分後… リトル 紅魔館/調理場 「おいしかったですね~、羽生蛇蕎麦」 「だろ?でも、魔理沙は三口くらいで急用を思い出したって言って帰っちゃったけどな~なんでだろ?」 私と○○さんは食器の片づけをしていました。 羽生蛇蕎麦は最初、見てくれがすごく悪かったの、本当においしいのか疑わしかったんですが、 めんつゆとイチゴジャムが意外にマッチしていておいしかったです。 でも、パチュリー様は半分食べたた後、器を持ってどこかに行ってしまいました。 そのときブツブツと「呪われている」「狂っている」「正気じゃない」とつぶやき続けていて、少し不安です… 「パチュリー様の口にはあわなかったのかなぁ?アレ。 父さんが前言ってたんだよ、 『あれは羊肉みたいに好きな人は好きだが、苦手な人には苦手な料理だ』ってね」 「なるほど… ところでハシゴから落ちてもうどこも痛くありませんか?」 「あぁ、大丈夫。もうたんこぶとかないし」 「どれどれ…」 なでなで… 「うおっ!?」 「どうしました?」 「いや、まさか撫でてくれるなんて思わなくて びっくりしたぜ」 「クスッ 撫でられただけでそんな反応するなんてウブですね」 まいったなぁ、と鼻の頭を掻く彼の姿を見て、思わず笑みがこぼれます。 彼もそれにつられたのか、微笑み出しました。 とても優しくて、あったかい微笑み… ああ、やっぱりこの人は人間です。 だって― 「どうした?ぼーっとして。はやく食器洗おうぜ食器」 「あ、そ、そうでしたね」 「ま、ゆっくり話でもしてくつろぎながらやろうぜ」 だって化け物にはこんな笑顔を浮かべることはできませんから。 「それにしても黒いガーターだなんて…そのナイスボディにぴったぐぼっ!?」 頭にチョップ一回。 スケベなのも人間だからしかたないとして、 とりあえず記憶をなくすくらいチョップすべきでしょうか? 続く おまけ 紅 美鈴 紅魔館/正門 私はパチュリー様から変な料理を渡されました。 蕎麦の中にイチゴジャムが入ったものでした。 なんでも、○○さんが作った料理だそうで。 パチュリー様曰く「これは常世の世界の神にささげられる料理 りょりょりょりょりょうり」 後半なんだか壊れていましたが、さすがに捨てるのももったいないので食べることにしました。 …たしかにこれは神の料理です!このイチゴジャムとめんつゆのハーモニー! でろっとしたイチゴジャムと蕎麦が口の中でまざりあったときの不思議な感覚! なぜパチュリー様はこれを私に?もったいないですね~ だけど、食べているところを咲夜さんに見られて、怒られてしまいました。 「明日の御飯はコッペパンを支給するわ!」 そんな~… 「ところでそれ、変わった料理ね?一口ちょうだい」 パクッ …咲夜さん? 「…は、ははははははは あはっはははははははは」 バタッ さ、咲夜さーん!? おまけ2 ※羽生蛇蕎麦(仮) ○○が作った、彼の故郷の麺料理。 しかし、唐辛子と『独特のコシの麺』がなかったため、 麺は蕎麦、つゆは普通のめんつゆを使用している。 なので、(仮)である。 作り方はほぼ本物の羽生蛇蕎麦と同じで、 多めの沸騰したお湯で麺を3分間ゆで、麺をざるにあげ、冷水でよくそそぎ、 めんつゆを入れ特製苺ジャムを乗せて完成。 パチュリー曰く、「四人分しか作られていなくてよかった」 ※文々。新聞 ○月○日発行 黒白魔法使いの異変!?紅魔館の絶望の塊!? 昨日未明、紅魔館近くの湖で黒白の魔法使い、 霧雨 魔理沙(人間)が頭をかきむしっているのを、記者が発見、何事か尋ねてみると、 「あれは、あれは料理なんかじゃない、絶望だ、絶望の塊だ。人間が食えるもんじゃない、うふっ、うふふふふふふふ」(魔理沙) などと、錯乱しつつ、箒にまたがり、魔法の森へと異様なスピードで飛んでいった。 いつも紅魔館で泥棒を働く彼女のことだ、紅魔館でなにかされたのだろう。 それにしても絶望の塊だなんていくらなんでも飛躍しすぎである。 いずれ紅魔館に調査に向かいたいと思う(射命丸 文) ─────── ○○ 空/紅魔館上空 「飛んでる!飛んでるよ!!俺飛んでるよ!」 今日、俺は咲夜さんとリトルといっしょに人里まで買い出しに行くことになった。 しかし紅魔館から人里はかなり遠い。そこで、パチュリー様が特別に、 使ってから数分間空を飛べるカードをくれた。 それにしても空を飛ぶのがこんなに気持ちいいことだったなんて! すごいテンションになってきた! 「はいはい、感激のあまり穴という穴から血を出さないように」 「しかたないですよ、咲夜さん。空を飛べるようになったんですから」 「それにしてもよかったわね、パチュリー様から外出許可をもらえて」 「私がいないと○○さんが安心して人里を歩けませんからね」 リトルはいつもの司書服とは違い、麦藁帽子に白いワンピースといった、 ものすごく清純派的な格好だ。 これは… いい…! 「今の俺ならなにかビーム的なものが出るかもしれない」 「血なら出てるわね… ほら、いいから行きましょう」 「はーい」 風を切りつつ空を飛ぶ、気持ちいいぜ あぁ、じゅr(友人)に自慢してやりてぇ~、俺空飛んだぞって! すごいえな○かずきフェイスでプンスカプンスカ怒るんだろうなぁ テンションがあがってきたので、歌を歌います。 「う~やぁ~まぁ~ぃぃぃ~もぉぉぉしぃぃぃあぁぁげぇる」 「なんの歌ですかそれ?」 「故郷につたわる神様を讃える歌らしい。独特な歌い方だから耳に残って残って」 「なんだか禍々しいわね…」 「禍々しいってレベルじゃないわよ!!」 おや、目の前からなんか来たぞ 全体的に茶色っぽい服に、鳥っぽい羽が背中にある女の子だ。 化け物っぽく見えないから人間じゃないんだろうなぁ。 妖怪? 「あら、あなたの屋台はこんな時間でも空いているのかしら?」 「夜雀さん、羽生蛇蕎麦を置いてみてはどうですか?新しいメニューに」 「屋台は夜から!そしてその蕎麦に関しては後で!それよりあんた!」 あ、俺? 「なんだい?羽生蛇蕎麦の作り方なら後で教えるぜ?」 「もう蕎麦はいいから…だいたい人が発声練習しているときに変な歌を… って!?人間じゃない!?」 「でも俺の燃える心は人間のままだ!心は死んでないぜ!」 うわっおれかっこいい。 なんか咲夜さんがため息ついているけどきのせいきのせい。 「わかったかなお嬢さん」 ドロドロドロドロ 「あ、あんたっ 目から血がっ」 「いつもこんなよ」 「はい、こんなです」 「妙に落ち着いてるし!」 やっぱ初見の人には怖いよな~この顔。 あ、そうそう俺は咲夜さんの化け物顔にはもう慣れてるのであしからず。 「しかし変な歌とは心外だな けっこうはまるんだぞこの歌」 「わかった、わかったから近づかないでその笑顔で迫らないで」 「ならよし、それじゃ、先に進もう、咲夜さん、リトル」 とりあえず俺のスマイルで争いごともなく解決。 リトル曰くいい笑顔だそうな 照れるぜ こうして、平和的解決したので、いざゆかん人里 「ぜ、ぜったい夢にでる…あれは絶対夢に出る…」 ○○ 人里/人里入り口 「おぉー 人間だー 人間がいっぱいだー!」 「ちょっと、誤解を招くようなセリフを吐かないでよ、 まるでごちそうをみつけたゾンビみたいよ」 「いやだってひさびさに普通の人間をみたんだもの、テンション上がりますよ」 里は活気に溢れていた、おばさんたちは井戸端会議で話を盛り上げ、大工さんは威勢のいい声でのこぎりを振るい、 子供たちは元気いっぱい走り回り、お年寄りは縁側でお茶をすする。 一見平凡だが、俺にとってはすばらしい光景に見えた。 ちなみに今の俺は目に鉢巻を巻いた状態である。 これは能力を解除したとき、いきなりモノを見ないようにするためである。 「鉢巻はずすと…… うっ…!!」 はずした瞬間、人間だけが化け物になる。 井戸端会議をしているおばさんたちが奇妙な声で叫び続け、大工さんは血がにじんだ手で木を切ろうとする。 走り回っている子供たちは化け物一体を他の化け物が追っかけているように見える、目から血を出して笑いながら。 お年寄りに至っては、飲んでいるお茶が真っ赤にみえてくる。 俺が恐怖のあまり立ち尽くしていると、リトルが鉢巻をやさしく目にかけてくれた。 「○○さん…、あまり無理して見ようとしないでくださいね」 「うん…ありがとう」 「難儀な目をもったものね… とりあえず、はい買い物のメモ」 気を取り直して咲夜さんから手渡されたメモをリトルの目を介して読む。 なになに…Fカップの あっメモ取られた。 「ま、間違えたわ!こっちのメモよこっち!!」 「別にそっちのほうでも俺は構わんですよ」 「…変態さんですか?」 ああ、ああ、リトル。 そんな冷たい声でそんな言い方しないでおくれ、くじける。 「冗談だよ、冗談に決まっているじゃないか あっはは あっははは」 「妙に笑い方がムカツクのはおいといて… それじゃあ、頼んだわよ」 「はい、また後で」 さて、友人の笑い方をマネしたところで、メモを読んでみるか キャベツ、人参(以下略、とにかく野菜買って来いだそうな) 羊皮紙 紅茶 ○○のこづかい ~円分 ん?俺のこづかい? 「リトル、こいつぁまさか」 「はい、レミリア様から特別に○○さんにおこづかいだそうです よかったですねw」 あぁ、レミリア様、あなたは最高です。 ここの物価はわからないけどこりゃ桁からしてかなりのおこづかいですよ、 あれですね、これで自分の身の回りのものを整えなさいってことですね。 あんた最高だよ!カリスマだよ、カリスマ神だよ! 「ま、○○さん!にじんでます!血がにじんでます!」 「おっ、いっけねぇぇ」 「嬉し泣きですか?」 「そうだね、こりゃ嬉し泣きだね でもまずはキャベツを買いに行こう」 「はい!」 こうして、俺とリトルの人里買い物イベントがスタートした。 ~少年&少女買い物中~ で、その結果。 「重い…」 「大丈夫ですか?」 現在の装備 右手に大量の野菜を入れた袋と、左手に羊皮紙入れた袋。 背中にこれでもかと紅茶の葉っぱの缶を入れた袋を背負っている。 しっかし野菜の多さが異常。ちょっと買いすぎちゃったかもしれないZE。 俺はこんな体だから疲れはしないが、ぶっちゃけ重いからしんどい。 それでもこんな重いものをリトルに持たせるわけにはいかない。 「私も持ちますよ、○○さんだけに持たせるのも悪いですし…」 「いやいや、俺は筋トレしているのだよ。だから心配ごむよう」 「だめです!いくらその体でも無理は禁物です!」 「じゃ、じゃあ羊皮紙のほう頼む」 野菜は歩くたびにゴロゴロゴロゴロ、袋の中で転がるから余計重く感じるので、羊皮紙のほうを渡す。 羊皮紙を受け取った瞬間リトルはよろめくが、なんとか姿勢を立て直す 「しっかしこんなに重いと二人ともまともに歩けないぜ…」 「そうですね…ましてや○○さんは目が不自由ですし… あ、忘れてました!」 「ん、どうしたの?」 リトルが自分のポケットをまさぐりだす。 そして、白いカードを取り出した。 「○○さん、荷物をそこに置いてください」 「ん?ここでいいか?」 「はい、離れててくださいね。 転移魔法発動!」 リトルがそう言うと目の前にあった荷物たちはどこかに消えた。 って、消えちゃったよ!?なぜ!? 「そういえばパチュリー様から転移魔法が使えるカードをもらっていたんですようっかりしてました」 よかった、これでめんどくさい思いをせずにすむ。 そのころ、図書館 パチュリー・ノーレッジ 紅魔館/図書館 ドサドサドサドサドサドサッ!! 「…リトルったら…あれは図書館に送る荷物用だとあれほど言ったのに…」 机の上に散乱する紅茶缶、野菜たち。羊皮紙は宙を舞っていた。 どうみてもカオスです。本当にありがとうございました。 ○○ 人里/広場 そういえばおこづかいもらったんだ。使わなきゃ損だ。 「よし、私物を買っちゃうんだぜ。とりあえず麺棒と服だな」 「服はともかく…麺棒ですか?」 「ああ、紅魔館の麺棒は洋式だから俺にとっては使いにくいんだ。だから日本式の麺棒がほしいんだ」 「麺棒にも種類があるんですね~。でも、なぜか咲夜さん、パチュリー様の許可を得ないと料理が作れなくなってしまったんですよね」 「なんでだろうな?いままではけっこう自由だったのに」 この前羽生蛇蕎麦(仮)を作ってからそうなった。 なんで許可制になったんだろうなぁ。 いっそのこと部屋一つ借りて独自の調理場をもらおうかしら? お嬢様と交渉して。 「ところでリトルはなにかほしいのはないのか?」 「私は~… とくにありませんね…」 「ふ~ん。 ところでなんでさっきからそこの店に置いてあるクマのぬいぐるみをチラチラ見てるの?」 「えっ!? あっ!!」 さっきからリトルの視界がクマのぬいぐるみに向かってたんだよなぁ。 ほしいのかな?ほしいんだろうなぁ。 なんか癒し系でかわいいしあのぬいぐるみ。 よし。 「ほしいなら買ってあげるよ?あのクマのぬいぐるみ」 「い、いえ!ほ、ほしくなんかないんですよ!本当ですよ! チラッ」 「でもチラチラみてる」 「え、えっと…」 慌てふためくリトル。うっはかわいいww 「なーに、けっこうおこづかいあるしさ。いつもリトルには世話になってるし」 「そ、そんな悪いですよ…○○さんのおこづかいですし…」 「いいっていいって おじさん、そのクマのぬいぐるみちょーだい」 はいよ、とおっさんがクマのぬいぐるみを俺に手渡す。 結構大きいな。おこづかいの一部をおっさんに手渡し、リトルにぬいぐるみを渡す。 「はい、プレゼント」 「わぁ…ありがとうございます!大切にしますね!」 ぶっちゃけリトルの視界だからリトルがどんな顔をしているか見えないが、 きっと天使のような笑顔を浮かべているんだろうなぁ。 くそ、この目が憎らしい。 「そんなに喜んでもらえるなんて、男冥利につきるもんだぜ」 「はっはっはっ あんちゃんたち熱いねぇ~似合いのカップルだよ」 「「かっ、カップル!?」 カップルとな!18年間の人生=彼女いない暦の俺には耐性がない言葉だ。 脂汗でまくり。喉がカラカラ。緊張感MAX。 ぶっちゃけ恥ずかしい! 「いや、その、俺とこの子は、その」 「そ、そうですよ、べ、べつに○○さんとはその…」 「初々しいね~、おっちゃんも付き合い始めたときはそうだったよ!がんばんな!」 「おっさん!だから違うって~…」 「い、行きましょう!○○さん!」 「お、おう」 「毎度あり~」 「…」 「…」 「えっと、俺の買い物だよな、うん」 「は、はい!そ、そうですね!」 あー、なんだかこっぱずかしい… だって恋人同士に見えるってあーた、 そりゃリトルみたいな子が彼女だったらそりゃ毎日バラ色だよ! …正直俺、リトルのことが… いや、いやいやいや気のせいだ気のせい! うんうん! …ん? ふと、背後から視線を感じる。 だれか見てる?能力を使ってみる。 『お客さーん、油揚げ10枚できたよー? お客さーん?』 俺を凝視している奴はどうやら豆腐屋さんにいるみたいだ。 『あ、あぁ、ありがとう。それじゃあこれで』 女の声?女か、こいつ… 『まいどー、またごひいきにー』 あれっ!?真っ暗になった? 消えた? 「リトル、ちょっと歩くのストップ」 「?どうしました?」 「ボソボソ 誰か俺を凝視してるっぽい豆腐屋に怪しいのいないか?」 「えっ…?」 リトルの視界を利用して豆腐屋を見る。 しかし豆腐屋の店長らしき人しか見えない。 おかしいな…? 「誰もいませんが… なにかしてましたか?その人」 「そうだな、油揚げたくさん買ってた。女の人だった」 「油揚げをたくさん買っていた女の人…もしかして…」 「心当たりあるのか?」 「い、いえ!なんでもないです!」 ? …まぁ、いっか。 いまは買い物だ買い物。 「それじゃ買い物の続きをしよう」 「は、はい!…あの、○○さん」 「どうしたの?」 「て、手をつないで行きませんか?」 ドロドロドロ 今、なんと言った? おもわず目から血が出まくる。 「そ、その、○○さんの能力を使いながら歩くと私が○○さんの後ろに常にいないといけないじゃないですか」 「う、うんそうだけど…」 「だけど今はいいけど人込みに紛れ込んだら大変だと思うんです、いいえ、大変です!」 「いや、でも手をつなぐって それじゃますます恋人同士っぽくr」 ぎゅっ 「!」 「え、えへへ…握っちゃいました…」 俺の左手にリトルの右手の感触を感じる。 俺の冷たい手と違ってあったかい…そしてやわらかい… 今日のリトルはなんだか積極的だよ!どういうこと!? 「い、行きましょう!」 「う、うん」 り、リトルと手を繋いで移動だなんて頭がフットーしそうだ。 俺、理性を保ったまま買い物できるかな…? ○○ 人里/人里上空 結局、夕方になり、咲夜さんと合流した。 俺は理性を保ち続けることができた。よくやった、俺。 「短い間にずいぶんと仲がよくなったこと」 「い、いえ、これは、その」 「そ、そうそうこうすれば俺が移動するとき危険じゃないわけで」 「もう人里じゃないから鉢巻はずしてもいいんじゃないの?」 「そ、そうだった」 慌てて手を離す俺とリトル。 左手にはまだリトルのあたたかさが残っている。 幸せだなぁ。って変態か俺は。 「ところで○○、何を買ったの?」 「私服と麺棒と蕎麦用の調理器具ですよ」 「……くれぐれも言っておくけど料理をするときは私とパチュリー様に何を作るか言ってからにしなさい」 なんだろう、咲夜さんの目が真っ赤に見えた気がする。 夕日のせいかな?たぶんそうだろ。 「じゃあ、今晩は普通のたぬきそばをつくりますよ」 「そう、頑張ってね。紅魔館の住人全員分」 「りょ、りょうかい…」 一人で作れってか。それはきついぜ咲夜さん。 「頑張ってくださいね、○○さん!」 全員分だろうがなんだろうがこいや!今の俺なら余ってしまうくらい蕎麦をつくれそうだ! そして図書館に帰ったらパチュリー様にリトルと一緒に怒られたのは言うまでもない。 特にトマトが本にべったりくっついてたのはアウトだったなぁ。 そう思いながらメシをつくるため気合を入れて調理場に向かう。 あったかかったなぁ、リトルの手… ツヅク? 八雲藍 ???/??? 「紫様、よろしいでしょうか?」 「なによー、藍。おなかすいたんだから早くきつねそば作ってよ~」 まったく、紫様にはこまったものだ…。 しかしぐうたらだが私の主人だ。 今日見た不穏な存在に関して報告しておかないと。 「実は今日の昼、人里に人でも妖怪でもない奴が紅魔館の司書と一緒にいたんです」 場の空気が一瞬で鋭くなる。 机の上でだれていたぐうたら主人はそこにはいない、 いるのは幻想郷を管理する大妖怪、『八雲紫』様がいた。 「…くわしく聞かせて頂戴」 「それがおかしな奴で、蓬莱人と同じような匂いがするんですが、蓬莱人でもなく、 どちらかといえば屍鬼に近い存在でしたね」 「それは違うわ、藍。そいつは『屍人』よ」 「屍人?」 「まったく…やっかいなのが来たわね…」 リトル 紅魔館/図書館 私は今日の昼に○○さんが感じた謎の気配に関してパチュリー様に報告しました。 「スキマの式に感づかれたのね」 「はい…」 「○○は今まで類をみない特殊なアンデッド。まず放っておくことはないでしょうね」 「そして場合によっては…」 「ええ、『消される』かもね」 私ははっと息を呑む、 ○○さんがスキマ妖怪に殺されてしまう。 そう思っただけで体が震えてきて、わけがわからなくなってくる。 ○○さんは悪い人じゃないのに、異常だからという理由で殺されてしまう。 考えただけでも私は― 「大丈夫よ、レミィにも相談してみるわ。館の住人が理不尽な理由で消されたら 紅魔館のメンツがたたないとかいう理由で協力してくれるだろうし、それに」 「それに?」 「腕のいい料理人が一人消えてもらっては困るもの(ただし、あの蕎麦以外の話だけど)」 「パチュリー様…」 「とりあえず今日はもう寝なさい… あら、かわいいもの持ってるわね」 「はい、これは○○さんが買って下さったんです!」 「大事にしなさい」 「はい!」 私はクマのぬいぐるみを抱えて図書館を後にした。 ふと、廊下の途中で立ち止まり、持っていたクマのぬいぐるみを見つめる。 「○○さん…」 雲ひとつない夜空から射し込む、月の光が優しく私たちを照らしていた。 まるでなぐさめているかのように。 続く おまけ レミリア・スカーレット 紅魔館/テラス 「それにしても寛大ですわね、お嬢様。ただの雑用の○○に小遣いを渡すなんて」 「小遣い?フッ、本当は小遣いではないわ」 「どういうことですか?」 「口止め料よ」 「おいたわしやお嬢様…」 「ところで今日の晩御飯は○○が作ったのよね?」 「はい、それがなにか?」 「私はお前の故郷の麺料理が食べてみたいと○○に伝え… どうしたの咲夜?」 さっきまで冷静だった咲夜がカチャカチャとナイフをいじりだし、そこらへんにとんでいる毛玉に ナイフを投げ続ける。 「ナナナナナナなんでもナイですよ」 「目が赤いわよ」 「充血ですよ、キヒヒヒヒ」 咲夜をこんなふうにしてしまう料理、パチェも言っていたがすさまじい料理のようだ。 しかし、話によれば小悪魔も美鈴も平然と食べることができたそうじゃないか。 あの二人が食べることができたんだ、私にも食べることができるに決まっている。 このレミリア・スカーレットを屈服させる料理なんてあるわけがない。 ――このときまでそう思っていた… ─────── ○○ 紅魔館/図書館 「片付けて、片付けて、ぜんぜん片付かない書籍たち」 いっそのこと燃やしてしまいたい勢いだが、そんなことをしてしまったらパチュリー様に湖の底に沈められてしまうだろう。 いくら死なないといっても苦しさは感じるし、話し相手が湖のお魚さんだけになるのは真っ平ごめんだ。 グチってもしかたないので残っていた六法全書並の厚さの本たちを本棚に一つ一つ丁寧にしまっていく。 欠番がある本もあったが、多分魔理沙が持って行ったやつだろう。まとめて持っていけよ。 あ~それにしても重い… 「どうですか○○さん?終わりましたか~?」 「あー、まだ格闘中~…」 向こう側からリトルの声が聞こえてきた。リトルは俺と正反対の場所で本の片づけをしている。 正直、リトルは手際がいいのか俺が10分かかる片づけを3分で終わらせられる。 分厚い魔導書をヒョヒョイと片付けている様はまるで楽しんでやっているかのようだ。天職なんだろうなぁ司書が。 「私は今終わったところですからお手伝いしましょうか~?」 「お頼み申す~。さっきからこの六法全書たちが『おい、触るなよ目血アンデッド』って囁いてるしさぁ~」 「わかりました~、今行きますね~」 さて、俺は少しでも彼女が楽できるように片づけを続けますか。しっかし重いなこの本…。 「いや~重くてごめんねぇ~」 「……しゃべるんだほんとに…」 レミリア・スカーレット 紅魔館/テラス 珍しくパチェがお茶の時間に加わり、他愛のない雑談をしていたら突然○○の話になった。 なんでも人里に買い物に行かせたときにあのスキマの式に発見されたらしい。 式にバレたということはスキマにもバレたのと同じこと。あのスキマのことだ。○○になにらかの接触を図ってくるに違いない。 もっとも、○○はアンデッドにしては異常だ。治る速度は劣るものの、蓬莱人並の回復力と疲れを知らない体。 ○○にその気があろうとなかろうと人間に危害を加える存在になりかねないとか難癖つけて、○○を元の世界に戻すか、消滅させようとしてくるだろう。 …気に入らない。人の所有物をなんだと思っているんだ。 「で、どうするのレミィ。これから○○をどうするか」 「あんな面白いアンデッド、この私がそう簡単に手放すと思う?それに、○○は立派な紅魔館の住人よ」 「ふふ、言うと思ったわ。それじゃあスキマに抵抗するの?」 「それもまた一興。咲夜?あなたはどうするの?」 傍らに立っていた咲夜は従者の笑みで「お嬢様に従いますわ」と一言。ほんと、自慢の従者をもって私は幸せ者だわ。 咲夜の淹れた紅茶を一口飲み、一息つく。 「それにしてもあいつが作る噂の『羽入蛇蕎麦』っていったいどんな…」 羽入蛇蕎麦と聞いた瞬間、パチェは読んでいた本に紅茶をふきだし、ぶつぶつと「ぱらいそにもうづ」とつぶやき続け、 咲夜に至っては、近くに飛んでいた毛玉に飛びかかり、毛玉が地に落ちるまでソウルスカルプチュアをくりだしていた。 「あはっあはははははは!!!」 「ぱらいそにもうづぱらいそにもうづぱらいそにもうづ」 「ちょ、ちょっと落ち着きなさいよ二人とも!特に咲夜!それ毛玉じゃなくて肉玉になってるわ!」 ハッと我に返る二人。なんだなんだこの反応は?そんなにまずいのかしらあの蕎麦。 ただ普通の蕎麦にジャムを入れただけではないか。そりゃまずいことに間違いはないだろうけど、なにもそこまで… その時、強力な妖気を感じた。咲夜もパチェも感づいたみたいだ。これほどの妖気を持っているのはヤツしかいない。 何もない空間が裂け始め、そこから面倒なやつが降りてきた。いつ見てもうさんくさい妖怪、『八雲紫』が。 「あらあら?午後のティータイムのはずがずいぶんと混沌としていますわね」 「…ほぅ、式を使わず直接私に会いにきたの?今日のあなたはずいぶんと働くわね」 「事情が事情だからしかたありませんわ。瀟洒な従者さん?私にも紅茶をお願いできるかしら?」 「お茶漬けなら用意できますが」 「つれないわね~。私はただ話し合いに来ただけよ?」 「話し合い?どうやって○○を殺そうか とか?」 まぁ、怖いと目を細めるスキマ。目が笑ってないんだよ、お前。 「冗談はさておき、あなたが保護した『屍人』、○○といったかしら?あれを人里に連れ出して何をするつもりだったの?」 「『屍人』?それが○○の種族の名前なのかしら?」 「あら?動かない大図書館のあなたですら知らなかったの?屍人の存在を。私の書いた『スキマで見てきた!異世界の化け物たち!』にも載ってるのに」 「前まで図書館にあったけど、あなたと同じく胡散臭かったから捨てたわ」 GJ、パチェ。どんどん捨てていいわ。 「ともかく、私は○○を使って何かをしようなんては思っていないわ」 「そう…。まぁ、いいわ。とりあえずまずは屍人がどういう存在か知ってもらわないと」 そう言うとこいつはスキマから重たそうに黒い四角い箱を取り出し、テーブルの上に置いた。 …たしかテレビといったわね。この箱。おもむろにスイッチを入れ、いつになくまじめな顔で語りだす。 「今から見せるものはある村に起きた怪異のすべて。ひとつだけ言えることはこの村で起きたこと本当のことで、その結末はとても残酷ですわ」 ○○ 紅魔館/図書館 「う~ん、それにしてもこの紅茶うまいなぁ」 「ありがとうございます、それって特注のお茶なんですよ」 作業を終わらせ、俺たちは休憩していた。さっきまでかび臭い図書館の臭いをかいでいたせいか、紅茶のいい匂いで頬がゆるむ。 ふぅ…うまい。そういえば紅茶にジャムを入れるとおいしいという話を聞いたが、いつのまにか、この紅魔館でジャム…特にイチゴジャムを使う際には、咲夜さんの許可が必要になったらしい。 なんでだろ?幻想郷ではジャムは実は高価な調味料なのかな? 「特注?」 「はい、魔界でしか買えない貴重なお茶なんです。あ、私パチュリー様に仕えるまで魔界に住んでいたんですよ」 「まさに悪魔だな~。どんな料理があんだろ?人間がちゃんと食えるものかどうかも怪しいけど」 「そうですね~、基本的に魔界の料理は人間や現世で育った生き物にはまずく感じるらしいですから…」 「ふ~ん…まぁ、俺だったらふつーに食えるかもね?見てのとおりこんな化け物だしさ」 「○○さん…」 「冗談冗談。前にリトルに言われた言葉、忘れたわけじゃないぜ?『見た目が化け物でも、心は人間。だから、俺は俺であることには変わりない。化け物なんかじゃない』ってね」 「ふふっ…はい、確かに私はそう言いましたよ?」 正直、この言葉のおかげでどんだけ俺は救われたことか。リトルや紅魔館のみんなと出会わずに、ずっと一人だったら。 誰にも理解されず、一人で生き続け、そしていつか俺は身も心も化け物になっていただろう。本当にリトルたちには感謝している。 「し、しかし、なんだか恥ずかしいな!今更口に出して言ってみるとさぁ!」 「そ、そうですね…。わ、私も恥ずかしいです…」 「し、しかもリトルったらわんわん泣いて…痛っ!リトル!足踏まないで!ごめんごめん!小指をピンポイントで踏むのやめて!」 「もう!○○さんったら!知りません!」 「ね~、なに痴話げんかしてるの~?」 「「!!!」」 聞かれてた!?傍から見られていたらさらに恥ずかしい光景を!? そして誰だ!!見ていたのは誰だ!?本棚の影から密かに見ていたのは! ピンクの帽子、七色の羽(?)赤い服、金色の髪。もしやッ!この方はまさか破壊する程度の能力をもつという噂のお嬢様の妹のフランドールお嬢様ッ!? そ、想像していたのと全然違うッ!もっとこうなんだ…能力からしてかなりマッチョなのかと思っていた…。 「い、妹さま!い、いつのまに?」 「『う~ん、それにしてもこのお茶』の部分から」 「ほぼ最初じゃないっすか… あっ、そして初めまして。」 「初めまして、実の姉に400年以上監禁されていたフランドール・スカーレットでーす。ひどいよね~」 うん、妹様。そういうことはそんな笑顔で言うもんじゃないと思うんだ。ってか400年…。 そりゃ気が触れるわ、いくら吸血鬼が長命だとしても。しかし能力が能力だからしかたないのかも…。 「で、あなたがパチェが言ってた新しい使用人だよね?うわー、本当に変わったアンデッド~。名前は?」 「お、おれは、えと」 「ま、○○さん?どうしたんですか?」 「もしかして私が怖いの?だいじょーぶだよ、怒らせたりしなければきゅっとしてぼーんだなんてしないから」 「いや、違うんですよ、急に自己紹介しろだなんて言われたから何から話せばいいか…」 「じゃあ言えるだけ全部」 なーんだ、それならよし。落ち着け~…落ち着け~。 言えるだけ言え~…。 「俺の名前は△△○○と言いまして、誕生日は昭和60年3月3日の3時33分33秒の遅生まれという珍しい時間で、血液型はB型。生まれは××県三隅郡の羽入蛇村、 趣味は父さんと母さんが大衆食堂やっているから料理とかで、それで食堂を継ごうと思ったのは忘れられない10年前の昭和68年に(ry」 「なっがーい!!!」 「グハァッ!?」 妹様のビンタが俺の頬に炸裂した、ってちょっとまてこれビンタなんてレベルじゃない!! ビンタじゃなくて衝撃波!!これ衝撃波だよ!!ふう、首が360度回ってしまった…あと体中の骨とかがかなりイかれた…。 まぁ、どうせ死なないし元に戻るんだろうけど…だけど痛い… 「だ、大丈夫ですか○○さん?」 「うわっごめんね~… 体がすごいことになってるよ?」 「いえいえ、大丈夫っすよ。すいません、つい興奮してしまって…すぐに回復するから大丈夫ですよ」 「ふ~ん、じゃあちょうどよかった。回復したら私と遊んで?」 「い、妹様…弾幕ごっこ以外じゃないと○○さんは遊べませんよ」 「えー! う~…そっか~○○は毛玉にまで負けるってパチェから聞いたしね~…」 うん、ナイスフォローリトル。ただでさえ魔法のカードがないと空が飛べない、弾幕も出せない、毛玉にすら馬鹿にされる俺が)、妹様の弾幕ごっこにつきあえるはずがないのだ。 妹様の弾幕はまさに狂気ともいえるくらい凶悪らしいからなぁ…。そうだ、なにかこうトランプ的な安全な遊びを提案しよう… こうみえても俺の7ならべのテクニックはすばらし…いや、おれのじらしのテクニックは妹様を怒らせてしまうかもしれない… となるとやはり単純なババ抜きでいこう。 「妹様~、それじゃババ抜「じゃあプロレスごっこしようよプロレスごっこ。パチェが面白い漫画持ってきて、それを読んで覚えたの」 「そ、その漫画というのはもしや…」 「そう、キン○マン。ねー?いいよね?」 妹様、手をワキワキして脅すのやめてください!怖いです! り、リトル!フォロー頼む! 「ま、○○さん… ご、ご武運をお祈りします…」 「う、うん。完全に(自分が)崩壊しない程度にがんばる…」 くそう、神も天使もいないとはこのことだ…。 とりあえずがんばって妹さまのプロレスごっこにつきあおう…。 しかし、この後、このプロレスごっこが原因でとんでもないアクシデントが起きてしまうのであった…。 ツヅク おまけ 紅 美鈴 紅魔館/美鈴の部屋 お父さん、お母さん。美鈴は今、悩んでいます。レミリアお嬢様に押し付けられたこの絵画をどうしようか悩んでいます。 その絵画というのは我らが紅魔館の瀟洒なメイド長。十六夜咲夜さんの肖像画なんです。 え?なんでそんなもので悩んでいるのかですって?いや、だって普通の肖像画じゃないんです。 ○○さんから見た咲夜さんの肖像画なんです!! それはある日、レミリアお嬢様が戯れに「○○から見た咲夜の姿が見てみたいわ」と言ったので、 適当に絵のうまいメイドに○○さんの証言をあわせて描かせてみたわけですよ。 その結果、ところどころ咲夜さんの瀟洒な様を残しつつ、とても恐ろしい咲夜さんの絵が完成したわけです。 これにはお嬢様も「咲夜、あなたはこんなアンデッドにならないでね」と苦笑い。咲夜さん本人は泡を吹いて気絶。 館にかざっていたらなんだか祟られそうだから私に押し付けてきたわけですよ。 「……、こ、今度魔理沙が来たときにマジックアイテムだと偽って渡せばいいかな?」 ちらりと絵を見てみる。 …な、なんだかにらんでいるように見える! 今にも『私を捨てるだなんていい度胸してるじゃないの美鈴!』って言ってきそう!! これを捨てたらきっと末代まで祟られる…あぁ…どうしよう…。 ───────────────────────────────────────────────────────────
https://w.atwiki.jp/atgames/pages/275.html
キュート小悪魔トップスA ピンク 分類 : 上半身/インナー系 2009年2月ガチャ@セルフィ「ラブリー・スウィートハート」ビター高確率版
https://w.atwiki.jp/atgames/pages/255.html
きらめき小悪魔イヤリング レッド(動きます) 分類 : アクセサリ/メガネ系 2009年2月ガチャ@セルフィ「ラブリー・スウィートハート」ビター通常版
https://w.atwiki.jp/atgames/pages/273.html
きらめき小悪魔イヤリング ピンク(動きます) 分類 : アクセサリ/メガネ系 2009年2月ガチャ@セルフィ「ラブリー・スウィートハート」ビター高確率版