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605 :名無しさん@ピンキー :sage :2007/10/09(火) 18 43 05 ID vWJX7DOb 魔法世界のジャングルで二人きりの最後の夜。 茶々丸はネギの寝床を準備し終えた。 「ネギ先生、お願いがあるんです。」 「なんですか?茶々丸さん?」 「今回、ハカセがもう一つ、ネジ巻き以外に魔力を補給する方法を追加してくれたのですが・・・テストがまだなので試したいのです。」 「いいですよ!僕どうすれば・・・」 「そこのマットに横になってください。仕様書によると、この方法だと2、3日はエネルギーが持つはずなので」 ネギが横になると茶々丸は服を脱ぎ始めた。 「茶々丸さん、なぜ裸に・・・」 裸になった茶々丸がネギに覆いかぶさってきた。 「ネギ先生も裸に・・・肌を合わせないと駄目なんです。」 ネギは逆らえない、茶々丸はネギの服を脱がし始めた。 「茶々丸さん緊急じたいとは言えこれは・・・」 「私とえっちなことをするのはイヤですか?」茶々丸は瞳を潤ませながらネギを見つめた。 「僕、初めてだし上手く出来るかどうか・・・」 「先生の魔力は・・・気持ちいいんです。大丈夫ですよ」茶々丸は頬を少し赤く染めながら微笑んだ。 茶々丸の頭がネギの下半身に向かう。ネギの小さな分身を口に含んだ。 「茶々丸さ・・・ん・・」 茶々丸の口内から潤滑液が出て滑らかにネギの分身を刺激する。頭が上下する度に大きくなり硬度を増して来た。 「この感じ・・・ちょっと・・や‥」 ネギは初めての刺激に悶え呻く。 茶々丸はネギの分身から口を離す。 「先生、オチンチンに魔力を込めて下さい」 「ハイ・・・」 茶々丸がネギの腰に跨がり騎乗位の姿勢で挿入しようとする。茶々丸の下腹部の挿入口は潤滑液で充分に濡れていた。 ネギの亀頭が挿入口に触れる。 茶々丸がピクっと悶えた。 「挿れますね・・・」 茶々丸はゆっくりと体を沈めていく。 普通のネジ巻きでも気持ちが良いのにこの方法だとどうなるのか?少し恐怖感を感じた。 (ハカセどんなフィードバック回路作ったのかしら…) 少しずつ挿れていく「あっ・・・」と声がでた(恥ずかしい) 下腹部からのインパルスと魔力の流入が重なる。情報伝達回路が熱く光るようだ。挿入口から身体を貫いて電脳まで快楽のインパルスが走る。 ネジ巻きによるエネルギー充填よりもさらに気持ちがイイ。 「茶々丸さん、僕気持ちイイです。茶々丸さんはどうです?」 「ハッ・・・ぃ。いつもより気持ちがイイ・・・です・」 茶々丸がゆっくり腰を動かすと下からネギが突き上げてきた。
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富嶽夕星(とみたけ ゆふつづ) 年齢:16 性別:女性 レベル:5 メイン:聖職者5/伝承術士4 サブ: 種族:妖精 消費経験点:160 参戦回数:5回 コミュニティ:出雲会議 身長 148cm 体重:42kg スリーサイズ:78-55-79 PL名:コルクマリー 概要 夜を思わせる黒地に月の金刺繍がされた和服に身を包んでいる妖精の少女。 夜色の髪に夕闇の瞳を持つ。 前世は月の住人……だと自称している。 金星に住んでいた事もあるらしい。 常に『何か』と交信しており、独り言が多い。 宇宙の意思、星の声、こことは違う世界と通じているのだと彼女は言う。 ──俗に言う電波少女である。 彼女が妖精としてこの世に誕生したのは、とある駄菓子屋の裏にある竹林。[出自:商人] 初めはその駄菓子屋の老夫婦の許で暮らしていたが、「八幡世界宇宙意思が呼んでいる」と突然言い出して駄菓子屋を飛び出し、 以来竹林で生活するようになる。 竹を使った寝床を自作しており、雨風は防げているらしい。 竹を利用した大工仕事をした影響か、竹細工作りにも手を出すようになった。 様々な竹細工を作っては駄菓子屋のおじいさんおばあさんに渡し、店先で売ってもらっているようだ。 意外と好評でよく売れているが、これは今まで育てて貰った恩返しなので、売上はほとんど受け取っていない。 UFOや別世界への入り口を求めては各地を彷徨い、星空や風景を写真に収める事が多い。 そんな事をしている内に、いつの間にか写真技術が向上していた。 そして宇宙意思に導かれるままいくつもの写真コンテストに出場し、 上位入りを繰り返した結果、写真の世界では名が通った存在となっていた。[経験:成功] +参加セッション +「風が哭く山」第1回 2014/2/3 異界の山を登るだけ。そう思っていたら麓の茶店と中腹にあるお社を行ったり来たりの大忙し。 ファンブルを三回出し、内二回は仲間の運命の改竄で助けて貰う。どうしてヒールで二連続でファンブルのか……。 怪しい鳥居を躊躇なく潜ったり、相談も無くお邪魔結界のお札をべりべり剥がしたりとマイペースにRPをしていました。 休憩では2万円を落とし、そして定敬に2万円を拾われるというダイス神の悪戯を経験。 クライマックスの戦闘では、後方支援担当の筈がラスボスに止めのワンパンを入れて勝利!(残りHP2のラスボス) カマイタチの少女と知り合い、無事に事件を解決しました。 最後のドロップ判定ではまたもファンブルを出し、スーパーのレシートを入手。何に使うのかは一切不明(白目)
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151 :SS@ハチ公 :2008/03/18(火) 09 29 06.97 ID n1MqPgAO ~忠幼女ハチ~外伝 《おばちゃんと幼女と時々幼男》 お「で、あんたはこのままだと野良に戻らなきゃならないんだけど…どうするんだい?」 幼「えっと…」 お「もしここで働く気があるなら、食事と寝床くらいは用意してやれるよ」 幼「でも…助けていただいてそこまでして貰う訳には…」 お「別に気にはしないよ。でもね、ここで放り出して何かあったら寝覚めが悪くて仕方ないんだ。私の世話になるのは嫌かい?」 幼「そ、そんなことないです!」 お「なら、決まりだね。あんたはこれからうちの子だ」 幼「よ、よろしくお願いします!」 お「さて…あんたらもだよ。どうするんだい?」 A「…うっせー」 B「別に我々は元の生活に戻るだけですから」 C「関係ないでぷ」 お「そうかい。でもね、元の生活には戻れないよ?」 A「あ?」 お「あんたらがそこら辺の幼女を襲おうとしたら、私はすぐに駆け付けて“お仕置き”するからね」 B「う…ひ、卑怯な…」 C「このおばちゃんなら本気でやりかねないでぷ…」 お「それにもうすぐこの辺の野良幼男女の一斉捕獲があるらしいからね。保健所送りは嫌だろ?」 A「わかった!わかったよ!……くそっ」 B「まぁ…長い物には巻かれろってことですね」 C「食事が出来るならどこでもいいでぷ」 お「よし。こいつらも置いてやっていいかい?幼女ちゃん」 幼「え…あ、はい。私は構わないですよ」 お「こいつらがあんたに悪戯しようとしたらすぐに“お仕置き”するから安心しな」 幼「は、はいっ!」 A「しねーよ!」 お「さて、いつまでも幼女ちゃんと幼男ABCじゃあれだね。名前を決めようか。そうだねぇ…幼男A!」 A「あん?」 お「あんたは…タンだ!口が悪いからね」 タン「なんだよその適当な理由!?」 お「B!あんたは…テールだよ!細っこいからね」 テール「…ま、別になんでもいいですけどね」 お「C!あんたは…ハムだよ!」 C「そ、それはあんまりじゃないでぷか!?」 お「ピザがいいかい?」 ハム「ハムでお願いしますでぷ」 お「幼女ちゃん!あんたは…リヴ、なんてどうだい?」 リヴ「はい、ありがとうございます!名前なんて初めて貰いました!」 お「よし。あんた達はこれから我が家の一員だ。よろしくね!」 タン「…よろしく」 テール「よろしくお願いしますよ」 ハム「よろしくでぷ」 リヴ「よろしくお願いしますっ♪」
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登山の会 ~富士山~ 会員 A山 M井 N野 H根田 M田 N入 Y内 Y本 N手 9月10日 7:20 七帝戦翌日、会員は名古屋駅に集合した。そこで早速、不思議な出来事が。なんと、N野はT橋が来るという先入観に囚われていたのだった。「T橋は?T橋は?」などと、ぼやきながらN野はバスに乗り込む。 14:30 それはバスの中でツアーの説明を受けているときであった。N野、H根田、M田、N入、Y内、Y本の様子がおかしい。彼らもまた、登山ガイドと同行すると勘違いしていたのだ。無表情を装うA山、M井、N手。 14:55 河口湖口五合目に到着。全員が金剛杖を購入し、神社に参拝に向かう。五合目で1時間ほど滞在することにより高度順化し、高山病のリスクを少し減らせるといわれている。 15:30 することが無くなったので出発する。 16:10 六合目の安全指導センターに到着。しかし、ここは8月26日を最後に閉まっている。順調に進んでいるかと思いきや、またしても衝撃の事実が。N手だけが持って来るはずだったガイドブックが、キャディ室に置き忘れられていると判明。無謀ともいえる挑戦が始まった。 18:30 辺りが暗くなってきたので、ヘッドライトを装着し行動し始める。途中の山小屋では金剛杖に焼印を押してもらった。 20:00 宿泊する八合目白雲荘に到着。夕食はハンバーグがのったカレーだ。あと、福神漬けも付いていた。寝床はとても狭かった。 9月11日 1:25 登山ガイド付きのグループが起きだしたため、一同は慌しく白雲荘を後にする。 2:30 山頂へはヘッドライトの列が続いていた。上には満天の星空が、下には麓の町の夜景が広がる。しかし、ここで数名に高山病の症状が発生。携帯酸素などで気休めの処置を行う。 4:30 吉田口登山道の山頂へ到着。そこでは、見覚えのある女性2名と遭遇した。 5:15 ご来光。その後、日本最高峰を目指し、お鉢めぐり(火口一周)を開始する。 5:50 目的地の前には難所、通称「馬の背」が立ちはだかる。傾斜30度はあろうか。一同這いつくばりながらも真の山頂を目指す。 6:10 遂に日本最高峰に到達。外人さんに写真を撮ってもらう。 21:20 名古屋駅にて解散。 短いズボン 小さいマスク 陽気なギャングが地球を回す 主犯 人類初!ゴルフシューズで登った男
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前ページ次ページつかわれるもの 第03話 語られるもの その日の夜、トウカは空に浮かぶ二つの月を見つめながら、深い溜め息をついた。 (聖上……某は最後の御命令を、全うする事が出来ぬやもしれません……) トウカはどこか悲しげに、窓の外を見つめる。 その隣で、ルイズとカルラの情報交換は続いていた。 「別の世界から来た……か。俄かには信じられないわね……」 「わたくしだって信じたくありませんわ。でもこの月を見て、この世界がわたくし達の世界だ、と認識するのは難しいですもの」 「こっちだって信じられないわよ……月が一つしかなくて貴族が居ない世界なんて」 ルイズの溜め息とカルラの溜め息が重なる。 ふと、窓から月を見つめていたトウカが口を挟んだ。 「ルイズ殿……某達がトゥスクルに帰る方法はあるのか?」 トウカ達にとって、今現在もっとも重要な問題。 『トゥスクルからトリステインまで一方通行です』などと言われたら、もうどうする事も出来ないのだ。 「判らないわ……だって別の世界なんて聞いた事も無いし、それを繋ぐ魔法なんてある訳が無いわよ」 「だとしたら!何故某達がこの世界にやって来れたのだ!?」 「そんな事、私に判る訳が無いでしょう!?」 段々と部屋が険悪な雰囲気に包まれて行く。 今にも喧嘩に発展しそうな二人の間に、やれやれといった様子のカルラが割って入る。 そして、睨み合う両者の頭をわしわしと撫でた。 「二人とも落ち着きなさい。頭に血が上っていては、冷静な考えなど浮かぶ訳がありませんわ」 カルラは笑みを崩さないまま、二人を交互に見つめる。 頭を撫でられた気恥ずかしさによる物もあるのだろうか、無言の笑みには妙な迫力を感じた。 ルイズとトウカは大きく息を吸い込み、溜め息と共に頭の熱を押し出す。 「すまない、某としたことが……ついカッとなってしまった」 「べ、別に良いわよ……。ただでさえ良く判らないところに連れて来られて、混乱してたみたいだしね」 まるで手の掛かる妹みたいだ、とカルラは思った。もっとも弟こそ居るものの、自分に妹は居ないのだが。 妹達、もとい戦友とご主人の二人を見てカルラは満面の笑みを浮かべる。 そして、ふと思い出したかのようにルイズに向かって一つの事を尋ねた。 「それで、使い魔っていうのは具体的に何をすれば良いのかしら?」 カルラの思惑はこうだ。 今現在の状況で帰る方法が判らないのであれば、この国で生活していく他無い。 この世界やルイズについても興味はあるし、色々と退屈はしないだろう。 しかしいずれはトゥスクルへ帰らねばならないのだ、その為に必要な情報を集めなければならない。 その点、この国で一番の学び舎ともすれば、情報の収集に役立つものがあるだろう。 それに、ここに居れば少なくとも寝床と食事の心配をする必要が無い。 とすれば、使い魔として生活する事が帰る方法を探すのにもっとも都合が良い、という事だ。 「えーっと、そうね……」 そんなカルラの思惑など露ほども知らぬルイズは、少し頭を捻りつつ使い魔に与えられる能力について考える。 「……まず、使い魔は主人の目となり、耳となる能力を与えられるわ」 「某の見ているものが……見えるのか?」 「……何も見えないわね」 ルイズは残念そうに顔を俯かせるが、すぐに顔を上げて言葉を続ける。 「えーと、それから使い魔はね、主人の望むものを見つけてくるの。例えば秘薬の材料とか……でも無理そうね」 「んー、薬の材料ならたまーにエルルゥの手伝いなんかもしてましたし、多少は判りますわよね?」 「そうだな。もっとも、こちらにそれがあるのかは判らないが」 「本当!?エルルゥが誰かは判んないけど、そんな事も出来るんだ!」 まぁハルニレやトゥレプといった薬草類や、紫琥珀といった鉱物類が存在するのかも判らないし、仮にそれらが見つかったとしても、ルイズに調合できるのかと言えばそういった訳でもないのだが。 しかしながら予想だにしていなかったその答えに、ルイズの機嫌が上方修正されたのは言うまでも無い。 「それで最後の一つ、これが一番重要なんだけど……、使い魔は主人を守る存在でもあるの。その能力で主人を敵から守るのが一番の役目!」 「特に能力なんてありませんけど、護衛なら充分可能ですわよ」 余りにも軽いカルラのその発言に、ルイズは少し意外そうな声をあげた。 「へぇ……コルベール先生は魔力反応があるって言ってたし、てっきり何か出来るのかと思ってたわ」 「……魔力とやらは良く判らないが、某達には一人につき神が一体宿っている。恐らくその影響だろう」 神が宿っている?それは一体何なんだろう?こっちの神とは違うのよね?などと頭に疑問符を浮かべていたルイズだが、一先ず思考を中断する。 「ふーん……それについてはまた今度説明してもらうけど、魔法とかが出来る訳じゃないのね」 「……確かに某達はオンカミヤリュー一族のような術法を持ち合わせている訳では無い。だが某とて武人の端くれ、ルイズ殿に降りかかる火の粉位は払ってやれるさ」 先程までとはうって変わって、優しい表情で声を掛けてくるトウカ。 余りにも不意打ちに見せられた表情に、ルイズは少々顔を赤らめてしまった。 その恥ずかしさからだろうか、トウカに向かって思い切り怒鳴りつける。 「と、当然でしょ!私の使い魔なんだから!もう、グダグダ言ってないでさっさと寝るわよ!」 ルイズは宣言と同時に服を脱ぎ始め、大きめのネグリジェを纏ってベッドに飛び込む。 それを呆然と見ていたトウカは、申し訳無さそうにルイズに問う。 「ところで……某達の寝床は?」 あ、といった表情をベッドから覗かせるルイズ。暫くして申し訳無さそうに呟いた。 「また今度用意してあげるから、今日は床で寝てくれない?」 てへっと擬音が付かんばかりに舌を出し、トウカ達に毛布を投げる。 そしてそのまま頭から布団を被ったと思うと、すぐに寝入ったようだった。 その様子を生暖かい目で見つめていたカルラとトウカは顔を見合わせると、大きく溜め息をついた。 「大変な子に召喚されちゃいましたわねー……」 「全く……先行きが不安になるな……」 「ま、あるじ様が起きる前に帰れば良いんですから、気楽に行こうかしらねー」 「カルラ……少しは危機感というものを持ったほうが良いのではないか?」 暫くの間トウカは小言をこぼしていたが、いつの間にかカルラは寝息を立てていた。 もう全て割り切るしか無いのだろうな……などと考えながら、トウカは座ったままカルラと一緒の毛布にくるまり、ゆっくりと夢の世界に落ちていった。 前ページ次ページつかわれるもの
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働いた“妹”の、心意気に触れて “鬼の霍乱”という言葉の通り、誰しも意外な行動を見せる事がある。 私・槇野晶とて、それは例外ではない。まあ、その……なんだ、有無。 なんとも情けない事だが、数年ぶりに風邪を引いてしまったのである。 かといって、店を空けるわけにも行かない。これでも一応、客商売だ。 「こほ、こほっ……店はどうなっている、葵……っと、客が来たか」 「いらっしゃいませですの、中野さん♪今日はマイスターの代役で」 「お、アルバイトの……あ、あー。君ら名前が紛らわしいからなぁ」 時刻は既に夕方。こっそり寝床を抜け出して様子を見に来た所で、 丁度接客を始めたロッテのHVIF……葵の姿を見る事となった。 今日がロッテの“当番日”だったのは、病床の私にとって幸運だ。 たまに店番をロッテに頼むが、今日は葵に一日中頼む事が出来た。 一番私との付き合いが長い故に、業務は大抵こなせる。だが……。 「葵ですの。晶お姉ちゃんの三女!……それで、第四弾の事ですの?」 「ああ、うんうん。ロッテちゃんに伝言頼んだんだけど、神姫だしね」 「……ですね、“神姫の店番”がちょっぴり不安なのは分かりますの」 今の常連客・“バーコードの”中野との会話通り、神姫が一般店舗の 店番をし、決済までこなすという状況に抵抗感を持つ人はまだ多い。 私の必死の説得とロッテの人柄により、常連は大抵黙認してくれる。 そう……黙認だな。公然と認めづらく感じる人間の方が、多数派だ。 流石に面と向かって言い放つ愚か者が居なくとも、真相は変わらん。 「うん。ロッテちゃんは真面目で良い娘だけどねぇ、葵ちゃんみたいに」 「そ、そんな褒めないで下さいですの!ロッテさんだって、困りますよ」 「ははは。まあおじさんのジョークだよ、ジョーク。で、第四弾ある?」 だがロッテは己の置かれた状況をよく理解している。それ故にこそ 店番中に訪れる常連には、極力誠実を以て応える。神姫であっても 信用があれば取引出来ると証明する為に。だが、限界は存在した。 神姫達が“独自性”を持つとは言え、人間には心理的な壁がある。 その点HVIFは、現在“垣根を取り払う”役割を果たしている。 「第四弾の内二つはハイブリッド生体パーツを利用したタイプですの」 「そうらしいねぇ。なんでも、華と種なんだってね?で、もう一つが」 「精密砲撃に強いフォートブラッグタイプですの。売れてますよっ♪」 「ああ、これこれ!まずはこれが欲しかったんだよ、何処も品切れで」 本来なら“肉の躯”が無くとも、この様に商談が出来ればいいのだが…… 流石にその様な変革を全員に求めるには、未だ人類は幼いと言えるのだ。 故にこそフェレンツェめがこの様な物を作り、私が実験に協力している。 とは言え人間と寸分違わぬ姿をしていても、葵の本質は“神姫”である。 ……正体を中野が知った時、今と同じ様に気軽な商談が出来るかどうか。 「じゃあ、これとこれとこれ……素体は、一人分でいいや。お勘定ッ」 「毎度有り難うございますですの~♪お値段は──────円ですの」 「電子決済でお願い……ロッテちゃんにはこれで何時も頼むんだけど」 「それは大丈夫ですの、わたしも手順はしっかり覚えていますから♪」 実に嘆かわしい限りではあるが、急速な改革が出来る問題でもない。 神姫を扱う側として、今は誠意あるオーナーを増やすしかないのだ。 何時かもっと大胆且つ能動的なアクションをしてみたい物だが……。 「それじゃあこれで帰るか、女房煩いし。マイスターに宜しくね」 「はい、申し伝えておきますの。有り難うございましたですの♪」 「はーい……それにしてもあの娘、ロッテちゃんに雰囲気が……」 ……中野め、伊達にこの店に通い詰めている訳では無さそうだな……。 気付かれる事はないと思うが、こういう局面は何時でもヒヤヒヤする。 さて、客足も減った様だし寝床に戻るとしようか……しまったっ!?! ──────思った時には、既に実行しているッ!地下に響く轟音ッ! 「きゃうっ!?……く、痛ぁ~っ……」 「ふぇ?お、お姉ちゃんなんでっ!?」 迂闊だった。纏っていた毛布に足を取られ、私は倒れてしまった。 階段を無様に転げ落ち、下階の床に突っ伏す羽目となってしまう。 幸い精密機器の眼鏡は外していたし、毛布の御陰で怪我もないが。 なんとも見られたくない姿を、葵に見せてしまった……無念、だ。 「葵がちゃんと店番出来ているか、見たくなって起きた……ケホッ」 「ダメですの!お姉ちゃんの躯はHVIFと大差ないんですから!」 「葵お姉ちゃん、マイスターが布団に居ない……って居たんだよッ」 「マイスター何してるんですかッ!あんな熱あったのに、もう!?」 咳き込んだ所で、充電から目覚めたアルマとクララにも見つかった。 直後アルマは力強く、私の口に体温計をねじ込む。測定はクララだ。 乾いた電子音が数分ほどして鳴り響き、体温を示した……いかんな。 「38.4度……マイスターは普段体温高いけど、これは異状」 「体格の所為もあって、体温が高いですからねマイスターって」 「アルマ、変な事を言うんじゃない!……ケホケホケホッ!!」 「ああもう!ほらお姉ちゃん、ベッドに運びますの……んしょ」 深く咳き込み倒れ伏す私を、葵が躯の全面で抱きかかえ運んでいく。 ……ちょっと待て、これは俗に言う“お姫様抱っこ”ではないか!? 熱っぽさもある所為か、彼女の仄かな体温が優しく感じられる……! アルマとクララの、駆動系の放熱も感じられるが……やはり暖かい。 「あ、あの!?その、えっと……あのな?葵ッ……えっと」 普段有りえない状況故か、或いは不安に満ちた為か。言葉が出ない。 病気の人間を運ぶのは、“殻の躯”では為しえぬ事の極北だからな。 こんな事で報告要素をゲットするのは、なんとも情けない話だが…… でも今だけは、彼女らの厚意に甘えようと思う。それが私の義務だ。 「す、すまないな葵。いつもいつも世話を掛けて……アルマとクララも」 「何言ってるんですのおとっつぁん、ですの♪大事なお姉ちゃんですし」 「そう、大事なマイスターだから。病気の時はじっとしててほしいもん」 「本当にダウンしちゃったら、皆心配しちゃいますよ?ホントにもうッ」 ──────姿形が違っても、誰かを思う“心”は変わらないよね。 次に進む/メインメニューへ戻る
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「ゆ~、あみゃいよ!」 「このあかいのおいちいね!」 「いっぱいあるからおかーさんにももってかえってあげようね!」 森の奥、ちびれいむ達が野いちごをむしゃむしゃと食べています。 稔りの神様のおかげでいっぱいに実った野いちごはちびれいむだけでは食べきれず、もって帰ることにしたようでした。 「ゆ~、いっぴゃいはいっちゃよ!」 「れいみゅのほうがいっふぁいだよ!」 「ゆぐぐぐ・・・もっちょはいるよ!」 「ゆへん!まだまだ!」 「それいじょういれるとあぶないよ!」 どれだけ持って帰るれるかを競い始めた数匹のちびれいむを他のちびれいむが注意します。 野いちごを口に含んだちびれいむ達は巣に戻ることにしました。 「ゆ~、おかーしゃんなんちぇいうかな!」 「たのちみ!」 「ゆっくりかえろうね!」 ちびれいむ達はぽよんぽよんと跳ねて移動していきます。 しかし、口に苺をたっぷり含んだ小さなちびれいむはうまくバランスを取れません。 「ゆゆっ!」 「ゆっ!?」 一匹のちびれいむが急な斜面に跳ねてしまい、ごろごろと地面を転がってしまいます。 他のちびれいむ達は驚き、あわてて後を追いかけました。 やがて木の近く、枯葉が溜まっている場所で転がったちびれいむを見つけました。 「おねーしゃんあしょこ!」 「ゆゆっ!ほんちょだ!」 「だいじょうぶ?!」 ちびれいむ達は転がったれいむのところに跳ねていきます。 ちびれいむは他の姉妹に反応することなく、小刻みに震えているだけでした。 「ゆ~?なんだかおかしいよ!」 「どうしたの!」 「ゆっくりしてね!」 心配そうにちびれいむを覗き込む姉妹達。 そして、動かない理由に気づきました。 「「「ゆ゙ゆ゙っ!?」」」 ちびれいむたちは驚き後ろに飛び跳ねます。 野いちごがいくつか飛び出しますが、そんなことは気になりませんでした。 目を見開いてちびれいむたちは動かない妹を見ていました。 「ゆ゙っ・・・」 転がったちびれいむは枯葉に隠されていたトラバサミによって傷を負っていました。 頬から背中にかけてきれいな切り傷ができています。 刃は途中で止まっており、もう少ししたら半分に切れているところでした。 そういう意味ではちびれいむは幸運でした。 最初に我に返ったのは一番大きなちびれいむです。 「ゆゆっ!おかーしゃんをよんできちぇね!」 「ゆっくりわかったよ!」 「ほかのみんなはれいむをたすけるのてつだってね!」 「「「「ゆっ!」」」」 一番大きいれいむの指揮のもと、傷ついたちびれいむの救出作業が始まります。 「ゆっくち!ゆっくち!」 「ゆぐゅ!」 「ゆゆっ!もっとゆっくり!」 「わかっちゃよ!」 慎重に慎重にちびれいむを外していきます。 はずし終わるころには親れいむを呼びに行ったちびれいむが、親れいむをつれて帰ってきました。 心配そうにちびれいむを見ていた姉妹達は親れいむの登場に喜びました。 「「「「ゆゆっ!おかーしゃん!」」」」 「おかーさんたすけて!」 「いもーとがゆっくりできてないよ!」 「ゆゆ!ゆっくりみせてね!」 妹を囲んでいたちびれいむを退かして、親れいむが傷の様子を見ます。 傷れいむは苦しそうに親れいむに話しかけました。 「おかーしゃん、ほっぺがいちゃいよ・・・」 「ゆっくりがまんしてね!」 親れいむは痛がる傷れいむをなだめながら、傷口に中身が漏れないように葉を当てていきます。 薬草にも用いられる葉は傷を抑えるのに適していました。 数枚の葉を使い、何とか傷を防ぎきります。 「ゆっ、これできずはふせいだよ!」 「ゆっくりなおそうね!」 「ゆ・・・」 「ゆぅ~・・・」 傷を塞いでもいまだ痛そうに震えているちびれいむを他のちびれいむに声をかけて元気付けます。 親れいむは傷れいむと小さいちびれいむを頭の上に乗せて巣にゆっくりと戻りました。 巣に戻ると寝床に使っている枯葉や藁を傷れいむ用に分け、予備に置いていた枯葉も使い、傷れいむ用の寝床を作りました。 親れいむはその上に傷れいむをゆっくりと載せます。 傷れいむは親れいむの細心の注意を払った動きでも痛がりました。 「ゆ゙ゆ゙!?」 「ゆっ、ごめんよ!」 「おかーしゃん、いぢゃいよ・・・」 「すぐおわるからね!がまんしてね!」 何とか寝床に傷れいむを乗せる親ゆっくり。 ちびれいむ達は傷れいむに近づき頬や額を擦って上げます。 「ゆぅ~、はやくよくなってね!」 「げんきになっていっしょにあそぼうね!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆぅ~・・・」 傷れいむはちびれいむ達の気遣いに、苦しそうな顔を無理やりにっこりさせて喜びます。 親れいむはそんな傷れいむの姿に同じようににっこり笑っていましたが、内心では不安で不安でたまりませんでした。 次の日、親れいむは早く傷を治してもらおうと美味しい食べ物をとりにいつもより早く狩りに向かいました。 傷れいむが心配で早く起きていたちびれいむに傷れいむを任せます。 「じゃあ、おいしいものをとってくるね!」 「おかーさんがんばってね!」 「ちびちゃんがいたがりだしたらはっぱをかえてあげてね!」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「それじゃいってくるね!」 「ゆっくりしてらっしゃい!」 親れいむはぼよんぼよんと跳ねていきます。 ちびれいむは親れいむを見送った後、傷れいむの様子を見に行きました。 傷れいむは今はぐっすりと眠っています。 まだ葉を変えなくてよさそうです。 今のうちに朝ごはんの準備をしておこうとちびれいむは外に水を取りに行きました。 「ゆ~、おねーしゃんおはよう!」 「おなかしゅいたよ!」 「ゆっくりごはんにしましょうね!」 ちびれいむ達はご飯を食べ始めます。 傷ついたれいむにも食べさせようと一匹のちびれいむが傷れいむの口に食べ物を持っていきました。 「ゆっくりかんでね!」 「ゆぅ・・・」 苦しそうに口をあけた傷れいむはもそもそと食べ物を口に含みました。 「むーしゃ、むーしゃ、いちゃいいいいい!」 「ゆっ!そのままじゃむりだったね!ゆっくりほぐしてあげるね!」 傷がひどく噛むごとに痛がる傷れいむ。 ちびれいむは先に口に含んで食べやすいように柔らくして食べさせました。 「むーちゃ、むーちゃ、ちあわちぇ~・・・」 「ゆっくりたべてね!」 食べてくれたことを喜んで、さらに口で食べ物をやわらかくするちびれいむ。 何とか全部食べた傷れいむはやがてゆっくりと眠り始めました。 ご飯を食べ終わるとちびれいむ達は遊びの時間です。 「きょーはすでゆっくりしようね!」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「きずれいむからはなれちゃだめだからね!」 きずれいむの近くで傷れいむの様子を見るゆっくり。 傷れいむのために巣の近くのお花を取りに行くゆっくり。 どのちびれいむも遊びといいながら傷れいむのために何かをしてあげていました。 「ゆぅ~!おはなさんとってきちゃよ!」 「ゆぅ・・・きれい・・・」 「れいむがよろこんでくれてよかったよ!」 ちびれいむが取ってきてくれたお花を見て傷れいむも喜びます。 「ゆ~・・・ゆぐっ!」 「ゆゆゆっ!?ゆっくりしててね!」 「ゆぐぐぐぐ・・・」 もっと近くで見ようと身を乗り出した傷れいむはすぐに痛がり出しました。 あわててちびれいむは傷れいむを寝床に戻します。 「れいむたちもいっしょにゆっくりするね!」 「ゆぅ~、おねーしゃんありがとう・・・」 「ゆっくりしてたらねむきゅなちゃった・・・」 「ゆ~、れいむも・・・」 「ぐっすり・・・」 傷れいむの周りで一緒にゆっくりしていたちびれいむ達は眠気に襲われ、やがて傷れいむとともにまた眠りにつきました。 「なにしてるんだぜ!」 「ゆゆっ!?」 突然の叫び声にちびれいむ達は飛び起きます。 そして辺りをきょろきょろと見回し、叫び声の主を探します。 叫び声は入り口にいる二匹のゆっくりの大きいほうが上げたものでした。 「ゆゆっ、まりしゃ!」 「なにしてるんだぜ!れいむがくるしそうなんだぜ!」 「ゆゆ?・・・ゆゆー!」 そのまりさ達はれいむの巣の近くに住んでいるまりさの家族でした。 その中でもれいむたちの仲が良いちびまりさが傷を負ったちびれいむのことを知り、見舞いに来たのでした。 そんな親まりさは必死な形相で傷をおったれいむのもとに向かいます。 ちびれいむはまりさの行動に驚きちびれいむを見、その原因に気づいて叫び声をあげました。 「ゆ゙・・・ゆ゙・・・」 傷れいむには蟻が集っていました。 ちびれいむの持ってきた花に蟻が入っていたのです。 蟻は、葉の効果が減り苦しみだしたちびれいむの傷から漏れたあんこに気づき、仲間を呼んであんこを集めていたのでした。 ちびれいむは苦しんで声を出していましたが、ちびれいむはぐっすりと寝ていて気づきませんでした。 たまたままりさが来たからよかったものの、もしきていなかったらと思うとゾッとします。 「かえのはっぱはどこなんだぜ!」 「ゆっ!ここだよ!」 「じゅんびするからありをとるんだぜ!」 「わかっちゃよ!」 「ありさんれいむのいもーとをたべないでね!」 ちびれいむ達とちびまりさは傷れいむに群がる蟻を潰したり食べたりして減らしていきます。 蟻が傷れいむの周りからいなくなったのを見計らって、親まりさが葉の交換を行いました。 手早い動きで葉を交換していく親まりさ。 「ゆゆっ、だいじょうぶかな・・・」 「とりあえずなおったんだぜ!」 「ゆ~、ありがちょ!」 「こまったときはおたがいさまだぜ!」 何とか蟻を追い払ったまりさ達は、親まりさの持ってきた甘い蜜を舐めてゆっくりしだしました。 傷れいむには親まりさが口移しで食べさせています。 永く生きた分だけ扱いはとても上手でした。 「ゆ~れいむたちだいじょうぶだった?」 「れいむたちはげんきだよ!」 「でも・・・」 「ゆぅ~、だいじょぶだよ!すぐにあのこもよくなりゅよ!」 「ゆゆっ、しょうだね!はやくよくなってまりしゃといっしょにあそぶよ!」 「まりしゃたのしみにしちぇるね!」 ちびれいむとちびまりさは傷の直ったちびれいむとどんな遊びをするか話し始めます。 親まりさはそんなちびまりさ達を微笑ましそうに見てから、傷ついたれいむの様子を観察します。 先ほど見た傷はとても酷いものでした。 葉によって中身が漏れないようになっていますが傷が完全に塞がるのはだいぶ先になりそうです。 それまでこのちびれいむが耐えれるか・・・まりさは冷静にちびれいむがこの後どうなるかを考えました。 「ゆゆっ、だれかいるの?」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 ちょうどそのとき親れいむが帰ってきました。 ちびれいむ達の他にいるゆっくりを警戒しますが、それがまりさだと分かると警戒を解きます。 「ゆう、れいむたいへんだったね。」 「まりさ、みにきてくれたんだね!ありがとうね!」 「げんきだすんだぜ!すぐゆっくりできるようになるんだぜ!」 少しやつれてるように感じたれいむをまりさは励まします。 まりさはちびれいむの様態を知っていたのですがれいむの顔を見ると事実を言う気にはなりませんでした。 「まりさ達はもういくよ!」 「ゆっ!かんげいできなくてごめんね!」 「まりしゃ、まちゃあしょぼうね!」 「まちゃね!」 二匹のゆっくりまりさは自分達の巣に戻っていきました。 何もいわずに巣に戻っていく親まりさにちびまりさが話しかけます。 「おかーしゃん、あのれいむはなおるよね?」 「ゆ・・・」 親まりさは困りました。 本当のことを言うべきなのでしょうが、子供が知るには辛すぎる事です。 「だ、だいじょうぶだよ!よくなるよ!」 「しょうだよね!まちゃおいしいものもっていこうね!」 親まりさの返答にちびまりさは喜びます。 親まりさはそんなちびまりさを見て心がちくりと痛みました。 それから数日が経ちました。 あれから数回、ちびまりさと親まりさは傷れいむの見舞いに向かいました。 傷れいむの傷は見るたびに酷くなっていました。 最初の蟻の襲撃から目をつけられた傷れいむは毎日虫に狙われたのです。 巣の奥にいるので動物は来ませんでしたが、虫の侵入は防げませんでした。 ちびれいむ達は必死に追い払っていました。 まりさたちも手伝いましたが焼け石に水です。 見舞いに行く度疲れが増しているようなちびれいむたちをまりさは励ますしかできませんでした。 親れいむの方はもっと酷い有様でした。 早く良くなってもらおうと危険な場所に生えている食べ物も取りに行っていました。 親れいむの鬼気迫る表情に親まりさは止めることなどできず、せめて睡眠は取る様にと忠告しました。 しかし、 「ゆ・・・ありがとうまりさ。でもちびちゃんがたべられちゃうから・・・」 と、睡眠時間を削って傷れいむを見ていました。 まりさ達は日々弱っていくれいむ家族を見て、すぐにでもゆっくりさせたいと思いました。 傷れいむは今はゆっくりとしていました。 最初のころは苦しそうに転がり、傷をぶつけて痛がることが日常茶飯事でしたが、今はそうではありません。 今はぼーっと天井を見上げ、寝ているのか起きているのかわからない状態でした。 それをとてもゆっくりできていると思ったからこそ、れいむ家族はがんばっているのでした。 しかし、第三者であるまりさから見ればその努力が実ることはないという事が分かりました。 だけど、まりさにはれいむ家族を止める勇気はありませんでした・・・ 「ゆっ、ちびちゃんおきて!」 「ゆー、どうしたのおかーさん?」 ある日の夜中、親まりさがちびまりさを起こしました。 起こされたちびまりさは眠そうに目をぱちくりさせます。 「いまかられいむのところにいこうね。」 「ゆっ?でもいまれいむたちはねむっちぇるよ!」 「れいむたちはねてないからいこうね。」 「ゆ?ゆ?」 ちびまりさは不思議がりながらも外に出るために帽子を被ります。 親まりさはしっかりと帽子を被っていることを確認すると巣の外に出ました。 れいむの巣に向かう途中もちびまりさは親まりさに質問を浴びせます。 「どーしちぇそんなにいしょぐの?」 「・・・」 「おかーしゃん!」 「・・・ちびちゃんよくきいてね。」 「ゆっ!」 「あのれいむはあしたまでいきられないんだよ。」 「ゆゆっ!?」 親まりさの発言はちびまりさにとって信じられないものでした。 ちびまりさは傷れいむが治ることを信じていたのです。 親まりさはなおも続けます。 「さっきね、ぱちゅりーがやってきたんだよ。」 「ぱちゅりーが?」 「ぱちゅりーもまりさたちとおなじで、れいむのしんぱいしてたんだよ。」 「ゆっ!」 「そのぱちゅりーがれいむはきょうがやまだっていってきたの。」 「やま?よくわきゃらないよ。」 「きょうでれいむがゆっくりできなくなるんだよ。」 「ゆー!しょんな~・・・」 まりさの説明を聞いてちびまりさは目に涙を浮かべました。 まもなくれいむの巣です。 れいむの巣には先ほどのぱちゅりー種、ちぇんやみょんなど近くの巣からさまざまなゆっくりがやってきていました。 やってきているのはちびまりさを除き大人となったゆっくりばかりです。 全部が巣に入ることは無理なので、巣の前に陣取り、そのときを待っていました。 「ぱちゅりー!」 「むきゅ、まりさきたわね。」 先ほどやってきたぱちゅりーにまりさは話しかけます。 「ちびちゃんはどうなの?」 「もうむりね。どうしようもないわ・・・」 「しょんな!」 ぱちゅりーの言葉にちびまりさは起こったように叫びます。 「まりさ、そのこもつれてきたのね・・・」 「つらいけど、しらなきゃいけないことだよ。」 「そうね。じゃあいきましょう。」 ぱちゅりーに連れられてまりさ達は巣の中に入っていきます。 中では傷れいむの周りにちびまりさと親れいむが集まっていました。 傷れいむは死んでいるのと代わりがありませんでした。 目は虚ろで、天井を見ているのかも分かりません。 傷を覆っていた葉も剥がれかけていましたが中身が漏れることはなさそうでした。 何かをいいたいのか、口を少し震わして声なき声を出している状態が今の傷れいむのすべてでした。 「れいむ・・・」 「まりさ、みんながこのこがもうしんじゃうっていうんだよ!」 「しょうだよ!まだまだしにゃないよ!」 「しょーだ!しょーだ!」 やってきたまりさに親れいむが詰め寄り、まだ生きていると主張します。 ちびれいむも親れいむに続いて叫びました。 まりさは困ったようにぱちゅりーを見ます。 ぱちゅりーは何も言葉が出ず、ただ地面を見ているだけでした。 ちびまりさが傷れいむに近づきます。 「ゆ~・・・」 「ゆっ!まりしゃみちぇよ!れいむはまだいきちぇるよ!」 「ゆっ?」 一匹のちびれいむが傷れいむをゆすります。 そのたびにちびれいむは反応するように震えました。 「ねっ!れいみゅはいきちぇるよ!」 「ゆ~・・・」 いくらちびまりさでもそれが生きていると言えないことは分かりました。 それでもちびれいむは傷れいむが生きていると信じて必死に揺り動かしていました。 見かねたぱちゅりーが止めに入ります。 「むきゅ・・・れいむもうやめなさい。」 「ゆっ、なんで!?このこはまだいきちぇるよ!」 「そうおもうのならゆらすのをやめなさい。」 「ゆぐっ・・・」 ちびれいむが揺らすのをやめます。 傷れいむはまた天井を見上げ動かなくなりました。 「ゆっ、ゆっくりしすぎだよ!」 ちびれいむがまた揺すろうとするのを親まりさが止めます。 ちびれいむの目には涙が浮かんでいました。 「なんぢぇ、なんぢぇどめるのおおおおおおおおお!」 「「「「ゆ゙わ゙あ゙あああああああああああああああん!」」」」 とうとうなき始めるちびれいむたち。 そんなちびれいむたちを親れいむはやさしく擦ります。 「おかーしゃん・・・」 「もうやめようね。このこはゆっくりさせてあげようね。」 「ゆ゙ぅ゙うううううううううう・・・」 親れいむは動かない傷れいむをゆっくりと外に出しました。 外では他のゆっくりが穴を掘ってくれていました。 穴の中にはちびれいむがゆっくりできるようにと枯葉がしかれています。 「ちびちゃん、またね・・・」 親れいむのつぶやきの後、穴の中のちびれいむに土が掛けられていきます。 穴はすぐに埋まり、ちびれいむの姿は見えなくなりました。 「じゃあ、たべものをとりにいってくるよ!」 「おかーしゃんがんびゃって!」 親れいむが巣から出て行きます。 傷れいむの死からしばらく、れいむ家族はゆっくりと生きていました。 あれからちびれいむ達は巣から離れることがめっきりと減りました。 その分親れいむが遠くまで動き、さまざまな食べ物をとるようになりました。 今日も親れいむはぴょんぴょんと跳ねていきます。 「ゆ~、おいしそうなたべものどこかなー。」 れいむは木の実が落ちてないかと木の周りを探し始めました。 やがて、ある木の下にれいむの頭にこびりついている物を見つけました。 「ゆゆっ!これは!?」 れいむが見つけたのはトラバサミです。 ちびれいむを傷つけたものとは別のもでしたが、れいむにはそれを知る方法がありませんでした。 「ゆ゙~、ごい゙づめ゙えええええええええ!」 親れいむは憎きトラバサミの周りを飛び跳ねます。 刃を触ると親れいむといえど致命傷となることは理解できました。 ゆえに親れいむは近くを飛び跳ねるしかできません。 そしてとうとうトラバサミの上に載ってしまいました。 「ゆっ?」 ちびれいむでは反応しなかったトラバサミも親れいむの大きさでは反応してしまいます。 がしゃんとトラバサミは親れいむに食い込みました。 「ゆぎゃ!・・・」 親れいむに思いっきり食い込んだ刃はれいむの喋りをさえぎります。 こうして親れいむは死ぬまで傷れいむの痛みを味わうことになるのでした。 「れ゙い゙む゙の゙がわ゙い゙い゙ぢびぢゃん・・・」 親れいむの苦しそうな呟きは誰にも聴かれることはありませんでした。 「れいむたちげんきかなー!」 れいむ達の巣にちびまりさがやってきました。 まだ、ゆっくりできていないちびれいむを励まそうとやってきたちびまりさは巣の様子がおかしい事に気づきました。 巣の中からはゆっくりがいる気配がなく、ちびれいむ達の声が聞こえません。 巣の入り口も飛んできた枯葉などで汚れています。 「ゆぅ・・・ゆっくりしていってね!」 巣の様子を気にしながらもまりさは元気よく挨拶をしました。 「ゆ・・・ゆっくりしちぇいっちぇね・・・」 返事はお世辞にもゆっくりしているとは思えない声でした。 ちびれいむ達は看病をしていたときと同じぐらいにやつれていました。 「れいむ、どおちたの!?」 「ゆぅ・・・おかーしゃんがかえっちぇこないの・・・」 ちびれいむ達は親れいむが帰らなくなってから巣に残った食べ物を少しずつ崩して餓えを抑えて生きながらえていました。 親れいむを捜しに行こうと思ったときもありましたが、傷れいむのようになってしまうのが怖く、待つことしかできませんでした。 「れいむ、げんきだしちぇね!」 「おにゃかしゅいた・・・」 「ゆぅうううう、しょうだ!ちょっとまっちぇちぇね!」 ちびまりさが巣の外に飛び出していきます。 ちびまりさは自分達の巣から食べ物をとってこようと思いました。 親まりさももうすぐ帰ってきます。 まりさは親まりさに何とかしてもらおうと思いました。 「ゆ・・・」 ちびまりさと話したちびれいむは残った力を振り絞ってしまいたちを引きずります。 何匹かは気を失っていましたがまだ生きていました。 「がんばっちぇね!もうすこしでまりしゃがたしゅけてくれりゅよ!」 「ゆ゙ぅ・・・」 お互いに声をかけてなんとか気を保とうとがんばります。 そんなちびれいむ達の巣に一匹のゆっくりがやってきました。 「ゆ、まりしゃ、ゆっくりしちぇいっちぇね・・・」 「・・・・・・」 そのゆっくりに気づいたちびれいむ達はゆっくりに話しかけます。 ちびれいむ達はまりさと勘違いしていました。 やがてそれに気づきます。 「ゆぅ、まりしゃ?」 「・・・・・・れ、れいむううううううううう!」 「ゆわあああああああ、ありすだああああああああ!」 よだれを垂らし跳ねてくるありすにちびれいむは少ない力で飛び跳ねます。 最初に標的となったのは気を失っているれいむでした。 ありすは気絶していようが関係なく体をこすり付けます。 「れいむ、いいよおおおおおおおおお!」 「や゙、や゙め゙ぢぇえええええ、しにぢゃぐないいいいい!」 途中で目を覚ましたちびれいむの抵抗もむなしく、最初のちびれいむが黒ずんだものに変わりました。 ゆっくりと黒ずんでいくちびれいむを他のちびれいむは驚きと悲しみの混じった目でじっと見ていました。 しかし、ありすは悲しむ時間をちびれいむに与えません。 「つぎのれいむどごおおおおおおおおおおおおおお!」 「や゙め゙ぢぇえええええええええええええええ!」 れいむは小さな体に鞭打ち、巣の奥へと逃げていきます。 ありすは入り口を塞ぐように動いていたのでそれはしょうがないことでした。 ありすに捕まるのが少し伸びるだけの逃避でしたがちびれいむ達には希望がありました。 ちびまりさが親まりさを連れてきているはずです。 親まりさならありすを倒してくれるとちびれいむは思っていました。 「がんばっちぇにげるよ!」 「しょうだよ!まりさがたすけてくれりゅよ!」 弱った体に鞭打ち必死にちびれいむは巣を逃げ回ります。 れいむは逃げれているように感じていましたが、これはありすが遊んでいるだけでした。 「うふふ、にげてるれいむたちかわいいいいいい!」 「ごな゙い゙でえええええええええ!」 ありすはちびれいむに近づくと舌でちびれいむを嘗め回して逃がします。 そのたびにちびれいむは恐怖に顔を引きつり、また一生懸命逃げるのでした。 やがて、巣の一番奥にある寝床に来てしまいます。 「もうにげばがないよ!」 「ゆっくりしないいでかくれてね!」 「れいむはこっちにかくれりゅよ!」 「れいむはこっちにすりゅよ!」 あるものは寝床にした藁の下、あるものは置いている食べ物の中に。 ちびれいむ達は見逃されることを信じて隠れました。 一番大きいちびれいむは隠れる場所が限られていました。 一番小さなちびれいむはうまく隠れれませんでした。 「ゆっくりまにあってね!」 「ゆっくち!ゆっくち!」 二匹のちびれいむは協力して穴を掘ることにしました。 そして二匹が隠れる場所を作るしかありません。 二匹は傷れいむが寝ていた藁の横を掘ります。 「ゆっくりがまんしてね。」 「ゆっくりりかいしちゃよ・・・」 そして傷れいむの寝床を横にずらして穴をすっぽりと覆いました。 二匹のれいむにできるのは後は祈るだけでした。 ありすはわざとちびれいむたちが隠れているのを待っていました。 「ゆふふ、ちびちゃんたちがんばってかくれてるかしら。」 ありすは隠れる場所も見ないで隠れきるのを待ちます。 見つけたれいむから犯していく、ありすにはその未来を想像して涎を垂らすのを止められませんでした。 ゆっくり、ゆっくり。 二匹のちびれいむはありすがいなくなるのを待ちます。 「おねーしゃんもうだいじょうぶかな・・・」 「ゆっ、まりさがくるまでがまんしようね。」 「ゆっくりわかっちゃよ・・・」 二匹はまりさがくるのをじっと待ちます。 まりさはまだかな・・・ そんな二匹のゆっくりとした時間は唐突に終わりを告げました。 「「ゆっ?」」 「あなたたちがさいごね!」 無慈悲にもちびれいむたちを見つけたのはありすでした。 二匹の顔に絶望が広がります。 「やめちぇええええええええ!」 「いもーとをはなせえええええええええ!」 小さい方を引きずり出すありすに大きいちびれいむは体当たりを仕掛けます。 しかし、ありすにはちょうどよい刺激にしかなりません。 「ゆふふ、ちびちゃんいいよおおおおおおおおお!」 「い゙や゙ああああああああああああ!」 「や゙め゙ぢぇえええええええええええ!」 ちびれいむの奮闘も虚しく、ちびれいむはゆっくりと黒ずんでいきました。 「おねーしゃん・・・もっちょゆっくりしちゃかっちゃ・・・」 「ゆ゙ううううううううううううう!」 呆然としているちびれいむを無視して黒ずんでしまったちびれいむをありすは投げ捨てます。 ちびれいむは弧を描いて地面に落ちました。 そこには似たような黒い物体が集まっています。 ちびれいむはそれが姉妹だと思いたくありませんでした。 「さぁ、さいごのいっぴきね!とってもかわいがってあげるわ!」 ありすの発言ももはやちびれいむには届いていませんでした。 ありすと触れ合う瞬間、ちびれいむは最後の言葉を吐きました。 「おかーさん・・・」 森の中を二匹のゆっくりが跳ねています。 「おかーしゃんいしょいでね!」 「まってね!たべものをいっぱいふくんでいそぐとあぶないよ!」 親まりさの発言に傷れいむのことを思い出したまりさは速度を落とします。 親まりさは俯くちびまりさをやさしくさすってあげました。 ちびれいむは顔を上げて親まりさを見ます。 親まりさはにっこりと笑うとちびれいむ達の巣を見つめました。 ちびまりさも親まりさにつられて巣を見つめます。 二匹は安全に、しかし出来るだけ早く巣を目指していました。 二匹がありすのいなくなった巣で黒ずんだちびれいむたちを見るのはそれからしばらくのことです。 このSSに感想を付ける
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「ゆ~、あみゃいよ!」 「このあかいのおいちいね!」 「いっぱいあるからおかーさんにももってかえってあげようね!」 森の奥、ちびれいむ達が野いちごをむしゃむしゃと食べています。 稔りの神様のおかげでいっぱいに実った野いちごはちびれいむだけでは食べきれず、もって帰ることにしたようでした。 「ゆ~、いっぴゃいはいっちゃよ!」 「れいみゅのほうがいっふぁいだよ!」 「ゆぐぐぐ・・・もっちょはいるよ!」 「ゆへん!まだまだ!」 「それいじょういれるとあぶないよ!」 どれだけ持って帰るれるかを競い始めた数匹のちびれいむを他のちびれいむが注意します。 野いちごを口に含んだちびれいむ達は巣に戻ることにしました。 「ゆ~、おかーしゃんなんちぇいうかな!」 「たのちみ!」 「ゆっくりかえろうね!」 ちびれいむ達はぽよんぽよんと跳ねて移動していきます。 しかし、口に苺をたっぷり含んだ小さなちびれいむはうまくバランスを取れません。 「ゆゆっ!」 「ゆっ!?」 一匹のちびれいむが急な斜面に跳ねてしまい、ごろごろと地面を転がってしまいます。 他のちびれいむ達は驚き、あわてて後を追いかけました。 やがて木の近く、枯葉が溜まっている場所で転がったちびれいむを見つけました。 「おねーしゃんあしょこ!」 「ゆゆっ!ほんちょだ!」 「だいじょうぶ?!」 ちびれいむ達は転がったれいむのところに跳ねていきます。 ちびれいむは他の姉妹に反応することなく、小刻みに震えているだけでした。 「ゆ~?なんだかおかしいよ!」 「どうしたの!」 「ゆっくりしてね!」 心配そうにちびれいむを覗き込む姉妹達。 そして、動かない理由に気づきました。 「「「ゆ゙ゆ゙っ!?」」」 ちびれいむたちは驚き後ろに飛び跳ねます。 野いちごがいくつか飛び出しますが、そんなことは気になりませんでした。 目を見開いてちびれいむたちは動かない妹を見ていました。 「ゆ゙っ・・・」 転がったちびれいむは枯葉に隠されていたトラバサミによって傷を負っていました。 頬から背中にかけてきれいな切り傷ができています。 刃は途中で止まっており、もう少ししたら半分に切れているところでした。 そういう意味ではちびれいむは幸運でした。 最初に我に返ったのは一番大きなちびれいむです。 「ゆゆっ!おかーしゃんをよんできちぇね!」 「ゆっくりわかったよ!」 「ほかのみんなはれいむをたすけるのてつだってね!」 「「「「ゆっ!」」」」 一番大きいれいむの指揮のもと、傷ついたちびれいむの救出作業が始まります。 「ゆっくち!ゆっくち!」 「ゆぐゅ!」 「ゆゆっ!もっとゆっくり!」 「わかっちゃよ!」 慎重に慎重にちびれいむを外していきます。 はずし終わるころには親れいむを呼びに行ったちびれいむが、親れいむをつれて帰ってきました。 心配そうにちびれいむを見ていた姉妹達は親れいむの登場に喜びました。 「「「「ゆゆっ!おかーしゃん!」」」」 「おかーさんたすけて!」 「いもーとがゆっくりできてないよ!」 「ゆゆ!ゆっくりみせてね!」 妹を囲んでいたちびれいむを退かして、親れいむが傷の様子を見ます。 傷れいむは苦しそうに親れいむに話しかけました。 「おかーしゃん、ほっぺがいちゃいよ・・・」 「ゆっくりがまんしてね!」 親れいむは痛がる傷れいむをなだめながら、傷口に中身が漏れないように葉を当てていきます。 薬草にも用いられる葉は傷を抑えるのに適していました。 数枚の葉を使い、何とか傷を防ぎきります。 「ゆっ、これできずはふせいだよ!」 「ゆっくりなおそうね!」 「ゆ・・・」 「ゆぅ~・・・」 傷を塞いでもいまだ痛そうに震えているちびれいむを他のちびれいむに声をかけて元気付けます。 親れいむは傷れいむと小さいちびれいむを頭の上に乗せて巣にゆっくりと戻りました。 巣に戻ると寝床に使っている枯葉や藁を傷れいむ用に分け、予備に置いていた枯葉も使い、傷れいむ用の寝床を作りました。 親れいむはその上に傷れいむをゆっくりと載せます。 傷れいむは親れいむの細心の注意を払った動きでも痛がりました。 「ゆ゙ゆ゙!?」 「ゆっ、ごめんよ!」 「おかーしゃん、いぢゃいよ・・・」 「すぐおわるからね!がまんしてね!」 何とか寝床に傷れいむを乗せる親ゆっくり。 ちびれいむ達は傷れいむに近づき頬や額を擦って上げます。 「ゆぅ~、はやくよくなってね!」 「げんきになっていっしょにあそぼうね!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆぅ~・・・」 傷れいむはちびれいむ達の気遣いに、苦しそうな顔を無理やりにっこりさせて喜びます。 親れいむはそんな傷れいむの姿に同じようににっこり笑っていましたが、内心では不安で不安でたまりませんでした。 次の日、親れいむは早く傷を治してもらおうと美味しい食べ物をとりにいつもより早く狩りに向かいました。 傷れいむが心配で早く起きていたちびれいむに傷れいむを任せます。 「じゃあ、おいしいものをとってくるね!」 「おかーさんがんばってね!」 「ちびちゃんがいたがりだしたらはっぱをかえてあげてね!」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「それじゃいってくるね!」 「ゆっくりしてらっしゃい!」 親れいむはぼよんぼよんと跳ねていきます。 ちびれいむは親れいむを見送った後、傷れいむの様子を見に行きました。 傷れいむは今はぐっすりと眠っています。 まだ葉を変えなくてよさそうです。 今のうちに朝ごはんの準備をしておこうとちびれいむは外に水を取りに行きました。 「ゆ~、おねーしゃんおはよう!」 「おなかしゅいたよ!」 「ゆっくりごはんにしましょうね!」 ちびれいむ達はご飯を食べ始めます。 傷ついたれいむにも食べさせようと一匹のちびれいむが傷れいむの口に食べ物を持っていきました。 「ゆっくりかんでね!」 「ゆぅ・・・」 苦しそうに口をあけた傷れいむはもそもそと食べ物を口に含みました。 「むーしゃ、むーしゃ、いちゃいいいいい!」 「ゆっ!そのままじゃむりだったね!ゆっくりほぐしてあげるね!」 傷がひどく噛むごとに痛がる傷れいむ。 ちびれいむは先に口に含んで食べやすいように柔らくして食べさせました。 「むーちゃ、むーちゃ、ちあわちぇ~・・・」 「ゆっくりたべてね!」 食べてくれたことを喜んで、さらに口で食べ物をやわらかくするちびれいむ。 何とか全部食べた傷れいむはやがてゆっくりと眠り始めました。 ご飯を食べ終わるとちびれいむ達は遊びの時間です。 「きょーはすでゆっくりしようね!」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「きずれいむからはなれちゃだめだからね!」 きずれいむの近くで傷れいむの様子を見るゆっくり。 傷れいむのために巣の近くのお花を取りに行くゆっくり。 どのちびれいむも遊びといいながら傷れいむのために何かをしてあげていました。 「ゆぅ~!おはなさんとってきちゃよ!」 「ゆぅ・・・きれい・・・」 「れいむがよろこんでくれてよかったよ!」 ちびれいむが取ってきてくれたお花を見て傷れいむも喜びます。 「ゆ~・・・ゆぐっ!」 「ゆゆゆっ!?ゆっくりしててね!」 「ゆぐぐぐぐ・・・」 もっと近くで見ようと身を乗り出した傷れいむはすぐに痛がり出しました。 あわててちびれいむは傷れいむを寝床に戻します。 「れいむたちもいっしょにゆっくりするね!」 「ゆぅ~、おねーしゃんありがとう・・・」 「ゆっくりしてたらねむきゅなちゃった・・・」 「ゆ~、れいむも・・・」 「ぐっすり・・・」 傷れいむの周りで一緒にゆっくりしていたちびれいむ達は眠気に襲われ、やがて傷れいむとともにまた眠りにつきました。 「なにしてるんだぜ!」 「ゆゆっ!?」 突然の叫び声にちびれいむ達は飛び起きます。 そして辺りをきょろきょろと見回し、叫び声の主を探します。 叫び声は入り口にいる二匹のゆっくりの大きいほうが上げたものでした。 「ゆゆっ、まりしゃ!」 「なにしてるんだぜ!れいむがくるしそうなんだぜ!」 「ゆゆ?・・・ゆゆー!」 そのまりさ達はれいむの巣の近くに住んでいるまりさの家族でした。 その中でもれいむたちの仲が良いちびまりさが傷を負ったちびれいむのことを知り、見舞いに来たのでした。 そんな親まりさは必死な形相で傷をおったれいむのもとに向かいます。 ちびれいむはまりさの行動に驚きちびれいむを見、その原因に気づいて叫び声をあげました。 「ゆ゙・・・ゆ゙・・・」 傷れいむには蟻が集っていました。 ちびれいむの持ってきた花に蟻が入っていたのです。 蟻は、葉の効果が減り苦しみだしたちびれいむの傷から漏れたあんこに気づき、仲間を呼んであんこを集めていたのでした。 ちびれいむは苦しんで声を出していましたが、ちびれいむはぐっすりと寝ていて気づきませんでした。 たまたままりさが来たからよかったものの、もしきていなかったらと思うとゾッとします。 「かえのはっぱはどこなんだぜ!」 「ゆっ!ここだよ!」 「じゅんびするからありをとるんだぜ!」 「わかっちゃよ!」 「ありさんれいむのいもーとをたべないでね!」 ちびれいむ達とちびまりさは傷れいむに群がる蟻を潰したり食べたりして減らしていきます。 蟻が傷れいむの周りからいなくなったのを見計らって、親まりさが葉の交換を行いました。 手早い動きで葉を交換していく親まりさ。 「ゆゆっ、だいじょうぶかな・・・」 「とりあえずなおったんだぜ!」 「ゆ~、ありがちょ!」 「こまったときはおたがいさまだぜ!」 何とか蟻を追い払ったまりさ達は、親まりさの持ってきた甘い蜜を舐めてゆっくりしだしました。 傷れいむには親まりさが口移しで食べさせています。 永く生きた分だけ扱いはとても上手でした。 「ゆ~れいむたちだいじょうぶだった?」 「れいむたちはげんきだよ!」 「でも・・・」 「ゆぅ~、だいじょぶだよ!すぐにあのこもよくなりゅよ!」 「ゆゆっ、しょうだね!はやくよくなってまりしゃといっしょにあそぶよ!」 「まりしゃたのしみにしちぇるね!」 ちびれいむとちびまりさは傷の直ったちびれいむとどんな遊びをするか話し始めます。 親まりさはそんなちびまりさ達を微笑ましそうに見てから、傷ついたれいむの様子を観察します。 先ほど見た傷はとても酷いものでした。 葉によって中身が漏れないようになっていますが傷が完全に塞がるのはだいぶ先になりそうです。 それまでこのちびれいむが耐えれるか・・・まりさは冷静にちびれいむがこの後どうなるかを考えました。 「ゆゆっ、だれかいるの?」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 ちょうどそのとき親れいむが帰ってきました。 ちびれいむ達の他にいるゆっくりを警戒しますが、それがまりさだと分かると警戒を解きます。 「ゆう、れいむたいへんだったね。」 「まりさ、みにきてくれたんだね!ありがとうね!」 「げんきだすんだぜ!すぐゆっくりできるようになるんだぜ!」 少しやつれてるように感じたれいむをまりさは励まします。 まりさはちびれいむの様態を知っていたのですがれいむの顔を見ると事実を言う気にはなりませんでした。 「まりさ達はもういくよ!」 「ゆっ!かんげいできなくてごめんね!」 「まりしゃ、まちゃあしょぼうね!」 「まちゃね!」 二匹のゆっくりまりさは自分達の巣に戻っていきました。 何もいわずに巣に戻っていく親まりさにちびまりさが話しかけます。 「おかーしゃん、あのれいむはなおるよね?」 「ゆ・・・」 親まりさは困りました。 本当のことを言うべきなのでしょうが、子供が知るには辛すぎる事です。 「だ、だいじょうぶだよ!よくなるよ!」 「しょうだよね!まちゃおいしいものもっていこうね!」 親まりさの返答にちびまりさは喜びます。 親まりさはそんなちびまりさを見て心がちくりと痛みました。 それから数日が経ちました。 あれから数回、ちびまりさと親まりさは傷れいむの見舞いに向かいました。 傷れいむの傷は見るたびに酷くなっていました。 最初の蟻の襲撃から目をつけられた傷れいむは毎日虫に狙われたのです。 巣の奥にいるので動物は来ませんでしたが、虫の侵入は防げませんでした。 ちびれいむ達は必死に追い払っていました。 まりさたちも手伝いましたが焼け石に水です。 見舞いに行く度疲れが増しているようなちびれいむたちをまりさは励ますしかできませんでした。 親れいむの方はもっと酷い有様でした。 早く良くなってもらおうと危険な場所に生えている食べ物も取りに行っていました。 親れいむの鬼気迫る表情に親まりさは止めることなどできず、せめて睡眠は取る様にと忠告しました。 しかし、 「ゆ・・・ありがとうまりさ。でもちびちゃんがたべられちゃうから・・・」 と、睡眠時間を削って傷れいむを見ていました。 まりさ達は日々弱っていくれいむ家族を見て、すぐにでもゆっくりさせたいと思いました。 傷れいむは今はゆっくりとしていました。 最初のころは苦しそうに転がり、傷をぶつけて痛がることが日常茶飯事でしたが、今はそうではありません。 今はぼーっと天井を見上げ、寝ているのか起きているのかわからない状態でした。 それをとてもゆっくりできていると思ったからこそ、れいむ家族はがんばっているのでした。 しかし、第三者であるまりさから見ればその努力が実ることはないという事が分かりました。 だけど、まりさにはれいむ家族を止める勇気はありませんでした・・・ 「ゆっ、ちびちゃんおきて!」 「ゆー、どうしたのおかーさん?」 ある日の夜中、親まりさがちびまりさを起こしました。 起こされたちびまりさは眠そうに目をぱちくりさせます。 「いまかられいむのところにいこうね。」 「ゆっ?でもいまれいむたちはねむっちぇるよ!」 「れいむたちはねてないからいこうね。」 「ゆ?ゆ?」 ちびまりさは不思議がりながらも外に出るために帽子を被ります。 親まりさはしっかりと帽子を被っていることを確認すると巣の外に出ました。 れいむの巣に向かう途中もちびまりさは親まりさに質問を浴びせます。 「どーしちぇそんなにいしょぐの?」 「・・・」 「おかーしゃん!」 「・・・ちびちゃんよくきいてね。」 「ゆっ!」 「あのれいむはあしたまでいきられないんだよ。」 「ゆゆっ!?」 親まりさの発言はちびまりさにとって信じられないものでした。 ちびまりさは傷れいむが治ることを信じていたのです。 親まりさはなおも続けます。 「さっきね、ぱちゅりーがやってきたんだよ。」 「ぱちゅりーが?」 「ぱちゅりーもまりさたちとおなじで、れいむのしんぱいしてたんだよ。」 「ゆっ!」 「そのぱちゅりーがれいむはきょうがやまだっていってきたの。」 「やま?よくわきゃらないよ。」 「きょうでれいむがゆっくりできなくなるんだよ。」 「ゆー!しょんな~・・・」 まりさの説明を聞いてちびまりさは目に涙を浮かべました。 まもなくれいむの巣です。 れいむの巣には先ほどのぱちゅりー種、ちぇんやみょんなど近くの巣からさまざまなゆっくりがやってきていました。 やってきているのはちびまりさを除き大人となったゆっくりばかりです。 全部が巣に入ることは無理なので、巣の前に陣取り、そのときを待っていました。 「ぱちゅりー!」 「むきゅ、まりさきたわね。」 先ほどやってきたぱちゅりーにまりさは話しかけます。 「ちびちゃんはどうなの?」 「もうむりね。どうしようもないわ・・・」 「しょんな!」 ぱちゅりーの言葉にちびまりさは起こったように叫びます。 「まりさ、そのこもつれてきたのね・・・」 「つらいけど、しらなきゃいけないことだよ。」 「そうね。じゃあいきましょう。」 ぱちゅりーに連れられてまりさ達は巣の中に入っていきます。 中では傷れいむの周りにちびまりさと親れいむが集まっていました。 傷れいむは死んでいるのと代わりがありませんでした。 目は虚ろで、天井を見ているのかも分かりません。 傷を覆っていた葉も剥がれかけていましたが中身が漏れることはなさそうでした。 何かをいいたいのか、口を少し震わして声なき声を出している状態が今の傷れいむのすべてでした。 「れいむ・・・」 「まりさ、みんながこのこがもうしんじゃうっていうんだよ!」 「しょうだよ!まだまだしにゃないよ!」 「しょーだ!しょーだ!」 やってきたまりさに親れいむが詰め寄り、まだ生きていると主張します。 ちびれいむも親れいむに続いて叫びました。 まりさは困ったようにぱちゅりーを見ます。 ぱちゅりーは何も言葉が出ず、ただ地面を見ているだけでした。 ちびまりさが傷れいむに近づきます。 「ゆ~・・・」 「ゆっ!まりしゃみちぇよ!れいむはまだいきちぇるよ!」 「ゆっ?」 一匹のちびれいむが傷れいむをゆすります。 そのたびにちびれいむは反応するように震えました。 「ねっ!れいみゅはいきちぇるよ!」 「ゆ~・・・」 いくらちびまりさでもそれが生きていると言えないことは分かりました。 それでもちびれいむは傷れいむが生きていると信じて必死に揺り動かしていました。 見かねたぱちゅりーが止めに入ります。 「むきゅ・・・れいむもうやめなさい。」 「ゆっ、なんで!?このこはまだいきちぇるよ!」 「そうおもうのならゆらすのをやめなさい。」 「ゆぐっ・・・」 ちびれいむが揺らすのをやめます。 傷れいむはまた天井を見上げ動かなくなりました。 「ゆっ、ゆっくりしすぎだよ!」 ちびれいむがまた揺すろうとするのを親まりさが止めます。 ちびれいむの目には涙が浮かんでいました。 「なんぢぇ、なんぢぇどめるのおおおおおおおおお!」 「「「「ゆ゙わ゙あ゙あああああああああああああああん!」」」」 とうとうなき始めるちびれいむたち。 そんなちびれいむたちを親れいむはやさしく擦ります。 「おかーしゃん・・・」 「もうやめようね。このこはゆっくりさせてあげようね。」 「ゆ゙ぅ゙うううううううううう・・・」 親れいむは動かない傷れいむをゆっくりと外に出しました。 外では他のゆっくりが穴を掘ってくれていました。 穴の中にはちびれいむがゆっくりできるようにと枯葉がしかれています。 「ちびちゃん、またね・・・」 親れいむのつぶやきの後、穴の中のちびれいむに土が掛けられていきます。 穴はすぐに埋まり、ちびれいむの姿は見えなくなりました。 「じゃあ、たべものをとりにいってくるよ!」 「おかーしゃんがんびゃって!」 親れいむが巣から出て行きます。 傷れいむの死からしばらく、れいむ家族はゆっくりと生きていました。 あれからちびれいむ達は巣から離れることがめっきりと減りました。 その分親れいむが遠くまで動き、さまざまな食べ物をとるようになりました。 今日も親れいむはぴょんぴょんと跳ねていきます。 「ゆ~、おいしそうなたべものどこかなー。」 れいむは木の実が落ちてないかと木の周りを探し始めました。 やがて、ある木の下にれいむの頭にこびりついている物を見つけました。 「ゆゆっ!これは!?」 れいむが見つけたのはトラバサミです。 ちびれいむを傷つけたものとは別のもでしたが、れいむにはそれを知る方法がありませんでした。 「ゆ゙~、ごい゙づめ゙えええええええええ!」 親れいむは憎きトラバサミの周りを飛び跳ねます。 刃を触ると親れいむといえど致命傷となることは理解できました。 ゆえに親れいむは近くを飛び跳ねるしかできません。 そしてとうとうトラバサミの上に載ってしまいました。 「ゆっ?」 ちびれいむでは反応しなかったトラバサミも親れいむの大きさでは反応してしまいます。 がしゃんとトラバサミは親れいむに食い込みました。 「ゆぎゃ!・・・」 親れいむに思いっきり食い込んだ刃はれいむの喋りをさえぎります。 こうして親れいむは死ぬまで傷れいむの痛みを味わうことになるのでした。 「れ゙い゙む゙の゙がわ゙い゙い゙ぢびぢゃん・・・」 親れいむの苦しそうな呟きは誰にも聴かれることはありませんでした。 「れいむたちげんきかなー!」 れいむ達の巣にちびまりさがやってきました。 まだ、ゆっくりできていないちびれいむを励まそうとやってきたちびまりさは巣の様子がおかしい事に気づきました。 巣の中からはゆっくりがいる気配がなく、ちびれいむ達の声が聞こえません。 巣の入り口も飛んできた枯葉などで汚れています。 「ゆぅ・・・ゆっくりしていってね!」 巣の様子を気にしながらもまりさは元気よく挨拶をしました。 「ゆ・・・ゆっくりしちぇいっちぇね・・・」 返事はお世辞にもゆっくりしているとは思えない声でした。 ちびれいむ達は看病をしていたときと同じぐらいにやつれていました。 「れいむ、どおちたの!?」 「ゆぅ・・・おかーしゃんがかえっちぇこないの・・・」 ちびれいむ達は親れいむが帰らなくなってから巣に残った食べ物を少しずつ崩して餓えを抑えて生きながらえていました。 親れいむを捜しに行こうと思ったときもありましたが、傷れいむのようになってしまうのが怖く、待つことしかできませんでした。 「れいむ、げんきだしちぇね!」 「おにゃかしゅいた・・・」 「ゆぅうううう、しょうだ!ちょっとまっちぇちぇね!」 ちびまりさが巣の外に飛び出していきます。 ちびまりさは自分達の巣から食べ物をとってこようと思いました。 親まりさももうすぐ帰ってきます。 まりさは親まりさに何とかしてもらおうと思いました。 「ゆ・・・」 ちびまりさと話したちびれいむは残った力を振り絞ってしまいたちを引きずります。 何匹かは気を失っていましたがまだ生きていました。 「がんばっちぇね!もうすこしでまりしゃがたしゅけてくれりゅよ!」 「ゆ゙ぅ・・・」 お互いに声をかけてなんとか気を保とうとがんばります。 そんなちびれいむ達の巣に一匹のゆっくりがやってきました。 「ゆ、まりしゃ、ゆっくりしちぇいっちぇね・・・」 「・・・・・・」 そのゆっくりに気づいたちびれいむ達はゆっくりに話しかけます。 ちびれいむ達はまりさと勘違いしていました。 やがてそれに気づきます。 「ゆぅ、まりしゃ?」 「・・・・・・れ、れいむううううううううう!」 「ゆわあああああああ、ありすだああああああああ!」 よだれを垂らし跳ねてくるありすにちびれいむは少ない力で飛び跳ねます。 最初に標的となったのは気を失っているれいむでした。 ありすは気絶していようが関係なく体をこすり付けます。 「れいむ、いいよおおおおおおおおお!」 「や゙、や゙め゙ぢぇえええええ、しにぢゃぐないいいいい!」 途中で目を覚ましたちびれいむの抵抗もむなしく、最初のちびれいむが黒ずんだものに変わりました。 ゆっくりと黒ずんでいくちびれいむを他のちびれいむは驚きと悲しみの混じった目でじっと見ていました。 しかし、ありすは悲しむ時間をちびれいむに与えません。 「つぎのれいむどごおおおおおおおおおおおおおお!」 「や゙め゙ぢぇえええええええええええええええ!」 れいむは小さな体に鞭打ち、巣の奥へと逃げていきます。 ありすは入り口を塞ぐように動いていたのでそれはしょうがないことでした。 ありすに捕まるのが少し伸びるだけの逃避でしたがちびれいむ達には希望がありました。 ちびまりさが親まりさを連れてきているはずです。 親まりさならありすを倒してくれるとちびれいむは思っていました。 「がんばっちぇにげるよ!」 「しょうだよ!まりさがたすけてくれりゅよ!」 弱った体に鞭打ち必死にちびれいむは巣を逃げ回ります。 れいむは逃げれているように感じていましたが、これはありすが遊んでいるだけでした。 「うふふ、にげてるれいむたちかわいいいいいい!」 「ごな゙い゙でえええええええええ!」 ありすはちびれいむに近づくと舌でちびれいむを嘗め回して逃がします。 そのたびにちびれいむは恐怖に顔を引きつり、また一生懸命逃げるのでした。 やがて、巣の一番奥にある寝床に来てしまいます。 「もうにげばがないよ!」 「ゆっくりしないいでかくれてね!」 「れいむはこっちにかくれりゅよ!」 「れいむはこっちにすりゅよ!」 あるものは寝床にした藁の下、あるものは置いている食べ物の中に。 ちびれいむ達は見逃されることを信じて隠れました。 一番大きいちびれいむは隠れる場所が限られていました。 一番小さなちびれいむはうまく隠れれませんでした。 「ゆっくりまにあってね!」 「ゆっくち!ゆっくち!」 二匹のちびれいむは協力して穴を掘ることにしました。 そして二匹が隠れる場所を作るしかありません。 二匹は傷れいむが寝ていた藁の横を掘ります。 「ゆっくりがまんしてね。」 「ゆっくりりかいしちゃよ・・・」 そして傷れいむの寝床を横にずらして穴をすっぽりと覆いました。 二匹のれいむにできるのは後は祈るだけでした。 ありすはわざとちびれいむたちが隠れているのを待っていました。 「ゆふふ、ちびちゃんたちがんばってかくれてるかしら。」 ありすは隠れる場所も見ないで隠れきるのを待ちます。 見つけたれいむから犯していく、ありすにはその未来を想像して涎を垂らすのを止められませんでした。 ゆっくり、ゆっくり。 二匹のちびれいむはありすがいなくなるのを待ちます。 「おねーしゃんもうだいじょうぶかな・・・」 「ゆっ、まりさがくるまでがまんしようね。」 「ゆっくりわかっちゃよ・・・」 二匹はまりさがくるのをじっと待ちます。 まりさはまだかな・・・ そんな二匹のゆっくりとした時間は唐突に終わりを告げました。 「「ゆっ?」」 「あなたたちがさいごね!」 無慈悲にもちびれいむたちを見つけたのはありすでした。 二匹の顔に絶望が広がります。 「やめちぇええええええええ!」 「いもーとをはなせえええええええええ!」 小さい方を引きずり出すありすに大きいちびれいむは体当たりを仕掛けます。 しかし、ありすにはちょうどよい刺激にしかなりません。 「ゆふふ、ちびちゃんいいよおおおおおおおおお!」 「い゙や゙ああああああああああああ!」 「や゙め゙ぢぇえええええええええええ!」 ちびれいむの奮闘も虚しく、ちびれいむはゆっくりと黒ずんでいきました。 「おねーしゃん・・・もっちょゆっくりしちゃかっちゃ・・・」 「ゆ゙ううううううううううううう!」 呆然としているちびれいむを無視して黒ずんでしまったちびれいむをありすは投げ捨てます。 ちびれいむは弧を描いて地面に落ちました。 そこには似たような黒い物体が集まっています。 ちびれいむはそれが姉妹だと思いたくありませんでした。 「さぁ、さいごのいっぴきね!とってもかわいがってあげるわ!」 ありすの発言ももはやちびれいむには届いていませんでした。 ありすと触れ合う瞬間、ちびれいむは最後の言葉を吐きました。 「おかーさん・・・」 森の中を二匹のゆっくりが跳ねています。 「おかーしゃんいしょいでね!」 「まってね!たべものをいっぱいふくんでいそぐとあぶないよ!」 親まりさの発言に傷れいむのことを思い出したまりさは速度を落とします。 親まりさは俯くちびまりさをやさしくさすってあげました。 ちびれいむは顔を上げて親まりさを見ます。 親まりさはにっこりと笑うとちびれいむ達の巣を見つめました。 ちびまりさも親まりさにつられて巣を見つめます。 二匹は安全に、しかし出来るだけ早く巣を目指していました。 二匹がありすのいなくなった巣で黒ずんだちびれいむたちを見るのはそれからしばらくのことです。 このSSに感想を付ける
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グラードン 英名 Groudon 学名 Legenda ingensterra 標準身長3.5m 標準体重950.0kg 特性:日照り 進化過程: 進化しない 主な生息地:灯火山・火口付近 炎熱を齎すことの出来る、ホウエン地方にしか生息しない神とあがめられるポケモン。 昔にカイオーガとの争いを経ている。今でも、いつ争いが起きてもおかしくない状況である。 金属のような光沢の有る赤い尾に、無数のトゲが痛々しい。 彼は腕と背に独特の模様を持ち、やはり象徴とされている。 彼の足踏みのみで地震すら起こすことが可能である。 言い伝えについてはカイオーガ参照。今回は割合させて頂く。 3.5mと、やはり大きくはない。コレも神の威厳であろう。 彼も宝珠での制御が出来るが、宝珠を持ち出すことは禁じられている。 普段は余り動かず、灯火山の火口付近の洞穴で住んでいるという。 捕食を行うことも多く、1度に大量に食べるという、餌は主にモグラなどの小動物である。 口には沢山の牙を確認したが、それは捕食の為ではなくカイオーガとの対決の為であるようだ。 彼は常日頃から身体を鍛えているようだ。洞穴の中で土に向かって爪を振り回していた。 カイオーガとの対決の時以外、非常にゆっくりと歩く。が、対決時には地面を掘るようだ。カイオーガの速度から、時速200kmを越えると思われる。 皮膚は硬く、皮膚というよりは鎧を纏っているに近い。 背面は全面、その赤い鎧を着ているが、アゴから腹部にかけては肌が露出している為、割と脆いようだ。 全身にトゲがあるが、やはりカイオーガとの対決用と思われる。 カイオーガが水と氷を操るのに対し、グラードンは炎と地面を操るようだ。 彼は地を踏み、地震を起こし、口からは炎を吐き、その未知なる力で炎熱を及ぼす。 彼の皮膚、いや鎧は、その炎熱すらものともしないのみならず、マグマの中でも生きていられるようだ。 彼は非常に気性が荒く、我々が歩んだ際に攻撃をしてきた。 彼ならカイオーガと戦うのも納得がいく。 炎熱の力は科学的なものではないだろう。 捕食の際は力任せに土を掘り、出てきた生物を土ごと食らうという、彼らしい豪快なものだった。 また、彼の鎧は土を含んでいるようで、電気を通さない。 調査とは関係ないが、彼の寝床へと立ち入ると、いきなり攻撃を仕掛けてきた。 こちらも一応鍛えてはいるが、応戦してみた。が、20匹がかりでやっと応戦できた。流石は神といったところか。 こちらが話しかけても、一向に攻撃をとめようとしなかった。 だが、その力は雄大な大地と同じ力強さを感じた。
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ゆっくり。その響きは嫌いではない。 私もどちらかといえばゆっくりした人間であるからかもしれない。 10年ほど前であろうか。 世の中でゆっくり種という謎の生物が発見され、その後爆発的に繁殖したと聞く。 しかし当時それを見たことのない私には、まったく実感の無い話であった。 その数年後、こんなゆっくりした私にも愛する人ができた。 妻と結ばれ、子を授かり、ゆっくりと平凡ながら幸せな生活を送るようになっていた。 丁度その頃に初めて、ゆっくりという生物を目撃した。 そのゆっくりは家族で楽しそうに野原を駆け回っていた。 後で調べたところ、ゆっくりれいむという種別だったらしい。 見た瞬間は正直面を食らった気分になったが、あまりに楽しそうなその姿を見てこちらも和んだ。 散歩に来ていた私と家族は、ゆっくりれいむ家族に食事を分け与え、ゆっくりとした時間を満喫した。 その後は私も妻も育児と仕事に必死で、ゆっくり達と出会う事も無くなっていたが、、 そんな思い出もあって、ゆっくり達に悪い印象は無かったと言い切れる。 しかしさらに数年後のある日。転機が訪れた。 その日は我が子が風邪をひいて寝込んでいたこともあり、いつもより早めに仕事を切り上げた。 栄養のつくもの食わせてやろうと、市場によっていつもより良い野菜と果物を購入して帰宅した。 ……私はただただ、呆然とした。 庭の畑が何者かによってぐちゃぐちゃに荒らされており、その横では妻が倒れていた。 幸い、気を失っているだけということはわかったが、その時点で私は気が動転していた。畑は妻が趣味と実益を兼ねて始めた小規模な物だったが、我が家の大事な食料源でもあった。 その後、無造作に家の扉が開かれているのに気づき、急いで中を確認しに入った。 強烈に悪い予感がした。 ……私はただただ、呆然とした。 4尺はあろうか。 ゆっくり種としては突出して重量感のあるその物体は我が子の寝床でドスンドスンと激しく跳ね続けていた。 「ゆっくりしようよ! ゆっくりしようよ!」 巨大なゆっくりれいむが大きな声でそう言っていた。 ……私はただただ、呆然とした。 その寝床には風邪をひいて高熱で倒れた我が子が横たわっていたはずだ。 私は寝床の上で跳ねているその物体に全力で体当たりし、寝床の上からどかした。 「れいむになにするの! ゆっくりできないひとはでていってね!」 その物体が何やら抗議してきたようだが、私の耳には入ってこなかった。 ……私はただただ、呆然とした。 我が子はやはり寝床で横たわっていた。息も絶え絶えに。 「ぜんぜんゆっくりできないよ! おうちかえる!」 そう言った巨大なゆっくりれいむはいつの間にかどこかへ消えていった。 ……私はただただ、呆然とした。 その後落ち着きを取り戻すまでは時間がかかった。 妻が起きてきた所でハッと我を取り戻し、医者を呼んだ後に妻に事情を聞くことにした。 曰く、突然巨大な物体が大事な畑を荒らしているのに気づき、それを阻止しようと畑にでて口論になったところ、その物体に体当たりを食らわされて失神してしまったらしい。 ゆっくり種の体はやわらかい。しかしあれだけ重量感があれば話は別だ。 あんなのに体当たりされたり、上で飛び跳ねられたら…… 大の男ならまだしも、女子供は命が危ないことは明白である。 そして事実……我が子は事切れてしまった。 医者は間に合わなかったが、間に合っても手の施しようは無かったかもしれない。 数日もすると、事実に耐えられなくなった妻は気をおかしくしてしまい、当分実家で預かってもらうことになった。 私もしばらく茫然自失となり、職を解雇されるまで至ってしまった。 そんな私がゆっくり種を憎む側の人間になるのに、さほどの時間はかからなかった。 しかし時として好機は来るものである。 近くの山にゆっくり加工所が開設されたのである。 私はそこの日雇いから入り、事あるごとに研究所に顔を出し、ゆっくりの生態について学ばせてもらった。 それから5年の月日が経ち、私はゆっくり加工所の研究員として活躍するに至っていた。私はこの5年間、ゆっくり種についての知識だけをひたすら溜め込んだ。 たった1つの目標のためなら、どんな事も苦にならなかった。 その中で、例の巨大なゆっくりれいむについてわかったことがある。 明らかにゆっくりとしては規格外のその巨体は、やはり突然変異的な物である。 環境汚染か、相当な悪食だったか、その辺りの理由が重なって産まれてきた、 生まれながらにしての巨体。 あんな化け物は恐らくこの地域には他にいないであろうことも予想できた。 そんな化け物の餡子はとてもじゃないが人間の食事に出すことなどできない。 何が混ざっているかわからない、極めて粗悪な餡子であるという仮説もたった。 日々研究を続けていた私も、ついに運命の出会いを迎えることになった。 野生のゆっくり種の生態調査のために出かけた山中で見つけた巨大な洞窟の中にゆっくりの巣を発見した。 遠目に見てもわかる。身の丈4尺はあろう、ゆっくり種としては突出して重量感のあるその物体。 あの日から一時として目から離れなかった醜悪な光景。 忌まわしき巨体がその子供達と思われる小さいゆっくり達と共に、ドスンドスンと跳ね続けていた。 子供達は通常のサイズな辺り、やはり突然変異なのか。 「ついに……見つけた……!」 私の本能が反応した。間違いなく奴であろう。 この時私の浮かべた笑みは、傍から見れば薄気味悪い事この上なかったであろう。 職場に戻るや、私は研究準備のため1週間の休暇を願い出た。 5年間土日もまったく休まずに研究を続けていた私が、である。 私の上長は急な願いにも関わらず、快く休暇を与えてくれた。 その日は早めに仕事を切り上げ、加工場で不要になった餡子を分けてた後に、早速先ほどの洞窟に向かった。 「ごめんくださーい、ちょっと中でゆっくりさせてもらいますよー」 私は洞窟の入り口でそう告げると、ゴザを広げて座りこんだ。 「「「ゆっ!?」」」 相変わらず洞窟の中を跳ねている子ゆっくり達が反応し、サッと親ゆっくりの後ろに隠れてしまった。 「おじさんだれ? ゆっくりできるひと?」 「ここはれいむたちのおうちだよ。 ゆっくりできないひとはでていってね!」 「ゆっくりできるひとなら、たべものをもってきてね!」 いきなり食料の要求ときた。しかしそんなことは想定済みである。 その時ふと例の巨大な親ゆっくりが声をかけてきた。 「おじさん、どこかであったことある?」 私は心底慌てたが、なんとか取り繕う。 「ははは、初めてだよー。キミ、すごくおおきいねー。」 我ながら白々しいが、ゆっくりには充分だったようだ。 「えっへん」 褒められていると思ったようだ。皮肉もこめたのだが全く通用するわけもない。 しかし、その愚かな点も今はありがたい。さらに追い討ちをかけることにした。 「さあどうぞ、甘くて美味しいよ! ゆっくりたべていってね!」 工場で分けてもらった餡子を取り出し、地面にぶちまけると、母ゆっくりの後ろに 隠れていた子ゆっくり達が、目にも見えない速さで食いついてきた。 「うっめ、メッチャうっめ、これ」 「むーしゃ、むーしゃ」 「はふはふ、あまあま」 気づけば、一番疑っていた親ゆっくりが我先にと餡子に食いついている。 餡子の正体を知れば少しは動揺するのだろうか。それとも理解すらしないだろうか。 「おじさん、いいひとだね!」 「ゆっくりしていってね!」 「これおいしいから、もっといっぱいもってきてね!」 完全に気を許したようだ。しっかり食料を要求する辺り、どうにも分かり合えない気もしたが、もはや分かり合う必要も無いであろう。 日も落ちてきてそろそろゆっくりの行動時間もわずかだ。 早く計画を実行したい私は少し強引ながら、次の行動に移った。 「でもごめんね、ここではあんまりゆっくりできないんだ。おじさんがゆっくりできる所があるから、そこに行ってゆっくりするよ。」 「ゆっ!?」 「ゆっくりできるの!?」 「ゆーっ!ゆっくりしたいよ!」 「つれていってー!つれていってー!」 ありがたいことに、まんまと乗ってきた。 私はゆっくりれいむ一家を我が家に招待し、畑で取れた野菜を煮物にして食べさせてやった。 隠し味には少々睡眠薬を盛ってやった。明日からが楽しみである。 翌日。 寝室にいた子ゆっくり達が目を覚ました。 「「「ふぁー、すっきりー」」」 随分と熟睡されたようで何よりである。 「お? 起きたようだね。寝心地はどうだったい?」 心底どうでもいいのだが、一応軽く声をかけてみると反応が返ってきた。 「「「おじさんだれ?」」」 ……これだ。 ゆっくりを飼っている愛好家達はどうやって主人の事を覚えさせたのであろう。 あるいは強い心的外傷でも与えてやれば、嫌でも忘れられなくなるのであろうか。 私がこやつらの親ゆっくりを一時でも忘れたことが無いように。 邪悪な気持ちが噴出してしまう前に話を進めなければならない。 「おじさんはね、君達のお母さんのお友達だよ。」 「「「……ほんとに?」」」 今のこやつらにとって、私は初見の人間でしかなくなったためか、やはり警戒されている。面倒なことこの上ない。 「本当だよ。今はお母さんが食べ物を探しにいっているからね。戻ってくるまで、ゆっくりしていってね!」 その言葉に子ゆっくり達の体はピクンと反応し、強張った表情も一瞬にして氷解した。 「ゆっくりー!」 「ゆっくりまっているね!」 「おじさんもゆっくりしていってね!」 単純で扱いやすい。 食や住処への異常な貪欲ささえ見せないでくれれば、かわいい愛玩動物になり得るのかもしれない。 しかし今はその貪欲さを利用させていただく。 まずは食べ物を与えて手懐け直す必要があるため、私は子ゆっくり達の食事を用意した。「うっめ、メッチャうっめ、これ」 「むーしゃ、むーしゃ」 「はふはふ、あまあま」 まったく意地汚い。もっとゆっくり食せばいいのに。 一通り食べ終わってゆっくりしている子ゆっくり達の警戒心が薄れている内に、さらなるゆっくりを与えてやることにした。 「ところで君達、もっとゆっくりできる所があるんだけど、行ってみるかい?」 加工場に勤務する者にとって、もはや常套句である。しかしそれゆえに効果は高い。 警戒心の無くなった子ゆっくり達の反応は異常に速かった。 「もっとゆっくりできるの!?」 「ゆーっ!もっとゆっくりしたいよ!」 「とっととつれていってね!」 どうしてこうも苛立たせるのか。これに関しては天賦の才能なのであろうか。 しかし、私は苛立ちを押さえ、とっとと畑の一角に子ゆっくり達を案内してやった。 「さあ、ここが新しいおうちだよ。これからはずっとここでゆっくりしていってね!」 私が一晩かけてこやつらのために作った、ゆっくりれいむを模った特製の小屋である。 「ゆーっ!」 「おかあさんにそっくりー!」 「いっぱいゆっくりしていくね!」 予想以上の大好評。作った甲斐があるという物だ。感謝の言葉のひとつもないが。 子ゆっくり達は早速家に駆け込むと、すやすやと眠りについた。 それも仕方ない。満腹な上にゆっくりを保障された空間が確保できたのである。 自画自賛になってしまうが、この子ゆっくり達がこれ以上ゆっくりできる空間は他には無いと断言してもいいだろう。 ……何せ母親の胎内なのだから。 昨晩、ゆっくり一家を眠らせたあと、一晩かけて親ゆっくりの体に手を加えた。 体内につっかえ棒を埋め込み、口内に一定のスペースを保てるようにした。 舌も下あごに固定し動かないようにした。おそらく喋ることも適わないだろう。 仕上げに口には扉を設置した。ゆっくりハウスの完成である。 ……ここまでやっても目覚めないことに、むしろこちらが戸惑ったのであるが、それは余談である。 やや突貫工事となってしまったが、おかげで安心してゆっくりできる環境を子ゆっくり達に提供してやることができた。 事実、子ゆっくり達はゆっくりハウスの中で「ゆー……ゆー……」と寝息を立てている。 ……一方の親ゆっくりは子供達を飲み込んでしまわないように必死であろう。 子ゆっくり達が親ゆっくりの口内に入っていく瞬間の親ゆっくりの表情は私の心に爽快感を与えてくれた。こんな気分は何年ぶりだろうか。 その夜は前日の徹夜の影響もあり、久々にゆっくり眠ることができた。 翌日、また子ゆっくり達が騒ぎだした。 母が帰ってこない、食事が無い、と。 実際は母は身近にいるし、食事も新しい住居の内部にあるのだが…… しかしまだまだ子ゆっくり達にはゆっくりハウスでゆっくりしていただきたいので 仕方なく食事を与えることにした。 「おじさんだれー?」 ……またか。 「ここはれーむたちがみつけたおうちだよ!ゆっくりできないひとはかえってね!」 ……いい加減にしろ。 「いっしょにゆっくりしたいなら、はやくたべものをもってきてね!」 ……この場で踏み潰してやりたい。 しかし再び湧き上がる邪悪な気持ちを、ここで発散してしまっては台無しである。 私はゆっくりハウスを作る際にできた副産物を、今日も振舞ってやった。 「うっめ、メッチャうっめ、これ」 「むーしゃ、むーしゃ」 「はふはふ、あまあま」 昨日今日と与えた食事は餡子である。 人間が食すには粗悪すぎる餡子だが、ゆっくり達には気にならないようだ。 子ゆっくり達の食事量を考えれば2~3日分になるであろう量がとれた。 あまり取りすぎては親ゆっくりが死んでしまうので、最小限にとどめたのだが、 それにしてもこの量である。 無駄に巨大な親ゆっくりが私の役にたった唯一の瞬間であろう。 食事をするのを見届けた後、私は家に戻ってゆっくり休暇を満喫することにした。 その後、しばらくして子ゆっくり達がまた騒ぎ出した。 「おかあさん、どこー?」 「おかーさーん、はやくかえってきてね!」 「おうちでいっしょにゆっくりしようよ!」 食事中はすっかり忘れていたであろう母親の事をようやく思い出したのであろうか。 まったく薄情な奴らだ。 母親はこやつらのために何も食せず頑張っているというのに。 さらに翌日。 ゆっくりハウスにヒビが入っていることに気がついた。これはまずい。 子ゆっくり達を野原で遊ばせて、ゆっくりハウスの補修作業を行う事にした。 といっても、干からびない程度の水を与えるだけなのであるが。 あまり早く親ゆっくりが死んでしまっては興ざめである。 もっとゆっくりと苦しんでいただきたい所存であるのだから。 夕方になると子ゆっくり達が帰ってきたので、家に残っている最後のゆっくり餡子を振舞った。 もうこれ以上こやつらに何かを与えてやる気はない。 その後2日間、私は家の戸締りを厳重にした上で、家の中から隠れてゆっくり達の行動を観察していた。 母がいなくなり、食事がなくなった子ゆっくり達。 年長であろう姉ゆっくりが年少のゆっくり達をはげましているが、だんだん疲弊してきたことは手に取るようにわかった。 しかし少しすると、ゆっくりハウスの中から、何か喜んでいる声が聞こえてきた。 どうやら、ゆっくりハウスの中に存在していた餡子に子ゆっくり達が気付いたようである。 おそらくはゆっくりハウスの内部にヒビが入って漏れ出したのであろう。 おかげで親ゆっくりは痛みに耐えるようなすごい形相になってきている。 外から観察している私にとっては、非常に興味深い展開となってきた。 親ゆっくりは極度の飢餓状態に加えて、内部から餡子が漏れ出したことにより、意識が朦朧とし始めているようだ。 子ゆっくり達はそんなことなどまったくしらずに餡子にむしゃぶりついているようだ。 さらには体躯の左右バランスが悪くなってきている。 おそらく餡子流出の影響で体内に入れたつっかえ棒も倒れ、その意味を成さなくなっているのであろう。 親ゆっくりはもはや精神力のみでゆっくりハウスの形状を保っているのだ。 ゆっくりハウス崩壊の時はゆっくりと着実に近づいていた。 そしてその日の夕飯時に、ついにその時は来た。 子ゆっくり達の「「「いただきまーす」」」の声。 「うっめ、メッチャうっめ、これ」 「むーしゃ、むーしゃ」 「はふはふ、あまあま」 いつもの食事風景が終わって半刻ほどしたところで、それは起きた。 ガタン! ゆっくりハウスが縦につぶれ、口の部分の扉がひしゃげてはずれてしまった。 つっかえ棒なしで口の中のスペースを確保し続けることに、限界がきたのであろう。 親ゆっくりももはや気力が尽きていたようである。 1週間何も食していない親ゆっくりの口に閉じ込められる子ゆっくり達。 「ゆ? ゆゆーっ!?」 「くらいよ、ゆっくりできないよ!」 「はやくだしてよ! もっとゆっくりしたいよ!」 もう親ゆっくりは、こやつらを自分の子供なんてことは認識できていないであろう。 そして親ゆっくりは本能の赴くまま、口内の物体を食しはじめた。 「うっめ、メッチャうっめ、これ」 「むーしゃ、むーしゃ」 「はふはふ、あまあま」 久しぶりの食事を、涙を流しながら咀嚼する親ゆっくりれいむ。 悲しいほどに幸せそうである。 固定されていた舌も先ほどの衝撃の際に動かせるようになっていたのであろう。 畑の一角にはもはやゆっくりハウスの跡形はない。 ただ1匹の巨大なゆっくりれいむがゆっくり食事を楽しんでいるだけであった。 「ゆ゛ぐう゛ぅ゛!?」 「や゛め゛でえ゛え゛え゛え゛え゛!!」 「お゛があ゛ざん゛だずげでえ゛え゛え゛え゛!!!」 口内から何が起こっているかもわからない子ゆっくり達の悲鳴が聞こえてきたが、程なくしてその声も弱まっていった。 「むーしゃ!むーしゃ!ごっくん」 「しあわせー!」 親ゆっくりは相変わらず涙を流しながら、1週間ぶりの食事を堪能したようである。 それを見て、私の中で燻っていた邪悪な気持ちが昇華されたような気がした。 翌日、一週間の休暇を有意義に過ごした私は、いつもより早めに加工場へ出勤した。 あらたに手を入れなおしたゆっくりハウスを台車で運ぶためである。 栄養も与えてやり、肌艶ももどってきた。餡子も補充してやった。 おかげで過去の記憶があやふやになっているようだが、どうせ記憶力などは必要無い。 さしたる問題はないであろう。 私はこれをゆっくり加工場の新商品として、さらに機能を高めていこうと考えている。 私と同じようにゆっくりに辛い目に合わされた人間の気持ちを晴らすためにも。 これは害ゆっくり種の駆除にその青春を捧げた1人の男の戦いのドラマである。