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「俺、佐藤尚也(さとう なおや)。 いや、名乗らなくてもいい。資料で知ってるから」 (生意気そうだなあ) 「…今、生意気って思ったろ。まあ、そう思うのは自由だが、いいか、一つ言っておく。 俺は優秀だ、お前の役に立つ。だからバカにするのは、いい加減にしろ」 (いくつなの?) 「いくつでもいいだろ!! …いや、年齢で戦争するのか? しないだろ。だったら気にするな」(PC鈴木・渡部以外) 「真央、安心しろ。 俺は約束を守る。 この佐藤 尚也(さとう なおや)、 生涯誓ってお前を守ってやる。 ゼッタイに。 だから泣くなよ。 …あと、諦めるのもなしだ。 俺は、弱虫のお前が気に入っているけど、 諦めるお前は嫌いだ。」(PC鈴木) 佐藤 尚也(さとう なおや)は あなたに話し掛けてきた 「わ、渡部…お前ほんとに志願したのか? バカだな。 お前んところお前しかいないだろ? お前が死んだら親はどうするんだよ?」 (うるさい黙れ) 「…お、おい…。 俺は心配して言ってるんだぞ!」 (あなたがそんなことを言うの?) 「…はあ? なんだよそれ? おい! まてってば!」(PC渡部) 佐藤はまずそうに牛乳をのんでいる。 何か考え事をしているようだ。 佐藤はまずそうに牛乳をのんでいる。 見れば牛乳を飲みながら 筋肉トレーニングをしている。 佐藤は牛乳を飲みながら、何か考え込んで いるようだ。 この少年がまっすぐ物を見る姿はとても奇麗だ。 こちらをまっすぐ見ると、 意味もなく心がざわめく。 「……なに?」 あなたは、なんでもないと言った。 「みんな、小難しい事を考えてばかりだな。 …今より早い時なんてないのに。 やらなきゃならない事だったら、 すぐやればいい。 やる必要がなければ、 考える必要はまるでない。」 (苛烈だね) 「……苛烈なんじゃない。 俺は幸せなだけだ。 小難しいことを言って ウジウジするのは不幸せだ。 俺は、なんで皆すすんで 不幸せになるのかって、思ってる。 休みたければ休めばいい。 それに理由考えて休み時間を減らすのは、 不幸以外のなんだというんだ。」 (何か、不満なことでも?) 「俺にはないよ。 好きな女のためにここに居る。 彼女のために戦っている。 そんな俺に、不満がどこにあるって? 不満があるとしたら、たった一つ。 真央が恥ずかしい思いを しなくてもいいように、 もっと早く生まれて来たかった。 それだけだ。 そしてそれは、俺の力でどうにかする。 それはもう不満じゃない。 越えるべき壁だ。」(PC鈴木以外) 「みんな、小難しい事を考えてばかりだな。 …今より早い時なんてないのに。 やらなきゃならない事だったら、 すぐやればいい。 やる必要がなければ、 考える必要はまるでない。」 (苛烈だね) 「……苛烈なんじゃない。 俺は幸せなだけだ。 小難しいことを言って ウジウジするのは不幸せだ。 俺は、なんで皆すすんで 不幸せになるのかって、思ってる。 休みたければ休めばいい。 それに理由考えて休み時間を減らすのは、 不幸以外のなんだというんだ。」 (何か、不満なことでも?) 「俺にはないよ。 お前のためにここに居る。 お前のために戦っている。 そんな俺に、不満がどこにあるって? 不満があるとしたら、たった一つ。 お前が恥ずかしい思いを しなくてもいいように、 もっと早く生まれて来たかった。 それだけだ。 そしてそれは、俺の力でどうにかする。 それはもう不満じゃない。 越えるべき壁だ。」(PC鈴木) 「手をかして。 そこ、ぬれてるから。 転ぶといけない。」 (ナイトみたいだね) 「俺は俺だ。 実家は農家で、ナイトじゃない。 俺を褒めるなら、俺らしいって言ってよ。 俺はナイトだからって人に好かれたくない。 俺だからといって人に好かれたいんだ。」 (ありがとう) 「俺は俺のためにやっただけだ。 …それに、礼はやめろよ。 恥ずかしいだろっ。」 佐藤はまずそうに牛乳を飲んでいる。 あなたを見て口を開いた。 「ああ。 俺、牛乳嫌いなんだ。 …でも毎日飲んでる。 必要だから。 昔、背の低い事が嫌だった。 真央がクラスメイトと遊ぶとき、 俺と一緒だと恥ずかしそうにしてたから。 だから大きくなる事にした。 相手がなんだろうと、それが俺の年齢でも、 俺は俺が好きな人間が悲しむのを許さない。 真央の敵は俺の敵。 俺の年齢は俺の敵だ。 俺は俺の敵を許さない。 この敵を倒すには牛乳がいいって、 本にあった。 だから毎日、戦ってる。」(PC鈴木以外) 佐藤はまずそうに牛乳を飲んでいる。 あなたを見て口を開いた。 「ああ。 俺、牛乳嫌いなんだ。 …でも毎日飲んでる。 必要だから。 昔、背の低い事が嫌だった。 お前ががクラスメイトと遊ぶ時、 俺と一緒だと恥ずかしそうにしてたよな。 だから大きくなる事にした。 相手がなんだろうと、それが俺の年齢でも、 俺は俺が好きな人間が悲しむのを許さない。 お前の敵は俺の敵。 俺の年齢は俺の敵だ。 俺は俺の敵を許さない。 この敵を倒すには牛乳がいいって、 本にあった。 だから毎日、戦ってる。」 「世の中には負けてもいい戦いがある。 許してもいい、敵だってある。 だが俺は、それでも出来る限り頑張って戦う。 選り分けて手抜きするのは好きじゃない。 ALL OR NOTHING。 すべてか、さもなくば無か。 全部か無か。 俺はこの言葉みたいに生きたい。 同じ生きるんだったら、潔いと言われたい。」 「真央と俺? …俺は恋人のつもり。向こうはどうか、わからない。 弟のつもりかも知れない。それでもいいけど。 …向こうが先に生まれているのは変えようがない。 変わるとしたら、その続きだろ?。 弟のつもりだったけど、今は違うとか。 そういう風になりたいと思っている」(PC鈴木・渡部以外) 佐藤は相手があなたのせいか、 表情をひどく和らげている。 子供のようだ。 いや、実際に年齢は子供なのだと、 あなたはそう思った。 自分が子供である事を やめさせてしまった人。 「…こら。 また変な事、考えてるだろ。 俺の子供時代を中断させたとか なんとかって。 言っとくけど。 お前は何にも心配しないでいいんだからな。 俺は、子供時代よりも幸せな事を 見つけてしまった。 それだけだ。 お前に出会う前は、 今より幸せじゃなかった。 自分が幸せって事もわかってなかった。」(PC鈴木) 佐藤は相手があなたのせいか、 表情をひどく和らげている。 子供のようだ。 「お前さ、結構いい女なんだから、 俺について回るんじゃなくて もっと別の男捜したら? 俺が保障するよ。 ゼッタイゼッタイもてるって。 …おい、おーい。」(PC渡部) (好きな人が出来たの…だから…) 「…そうか……わかった。 幸せになるといいな。」 (好きって言ったら驚く?) 「…まあ、別の意味で。 今までずっと好かれてると 思っていたから。 …まあ、いいか。 今からスタートでも。 これよりまだ先があると思うと、 嬉しいよ。」(PC鈴木) 佐藤は牛乳を飲みながら、何か考え込んでいるようだ。 この少年がまっすぐ物を見る姿はとても奇麗だ。 こちらをまっすぐ見ると、意味もなく心がざわめく。 「……なに?」 (…その背中に翼が見えるよ/奇麗だなあって) 「…あのな…俺をずっこけさせるなよ。 たしかにラボじゃ、俺達はみんな天使って言われているらしいが、俺はそんなんじゃない。 …天使ってのはもっと優しいものじゃないかな。見たことないけど。 お前みたいなのはどうだろう? そっちの方が、らしいんじゃないか?」 「俺を優秀だと言う奴がいるけど。 俺も、そう思ってる。裏返せば、優秀どまりさ。 それ以上にはなれないと思うよ。…なんでか? なんでだろう。 どうも、俺は硬いような気がする。 ガラスは硬いが弱い。硬さと強さは違う。 俺の心は無理が癖になっているせいで、ガラスみたいになっていると思う。 切り口で人を傷つけるのもガラスのままさ。 …ふふ。それが悪いと言っているわけじゃない。 俺は俺のやりたい事をやってこうなった。これを悔やむ事はありえない。 …いいんだ。俺はナイトどまりで。 それ以上になろうとは思わない。 そんなものになっても幸せだとは思わない。 俺の幸せは、出来れば忠誠を誓うにふさわしい相手にめぐり合って、その隣で戦う事だ。」 佐藤は突然、深々と頭を下げた。 「…今のがなにかって? さあ。 俺の願いが叶ったかなって、それだけ。 …それ以上は聞くな。言うのも恥ずかしいから。 俺は俺だ。ナイトじゃない。 俺は…だからそれ以上、聞くなって」 ふと夜中に目が覚めると、隣で佐藤が寝ている。 そういえば寝る前に、ひょっこり遊びに来ていたのだった。 (幼い寝顔だ/いたずらしてみる) あなたがくすくす笑っていると、佐藤がずっと目をあけてこっちを見ているのに気付いた。 「あのな…ちゃんと寝ないと、明日遅刻するんだからな…」 佐藤は顔を隠して寝た。 佐藤はあなたを見て、優しく笑って見せた。 (その笑顔は反則だ!/いつもそうすればいいのに) あなたは色々考えたが、結局口に出さずに嬉しそうに手を振ってしまった。 佐藤はあなたを見て、優しく笑って見せた。 どうも、無意識のようだ。 きっと顔が緩んでいると指摘すると、もう二度とこういう表情はしてくれなさそうなので、 あなたは黙っている事にした。 これは大切な秘密にしておこう。 「いつか。……そう、遠いいつかには。 人の心に明かりを灯すような、そんな大人になりたい。 どうやればなれるのかわからないけれど、いくつもの闇を潜り抜けて、星のようになれたならって思う。 ……笑われるかも知れないけれど、それが俺の夢。それと……。 それと最近、もう一つ夢があるけど、こいつは死んでも教えられない」 (※イベントクリア) (鈴木が死亡または佐藤以外と交際している) 「…俺が落ち込んでる? まさか。 …いや、泣いたけど…泣いたけど。 でも、やるだけはやった。 悲しんだって、結果は変わらない。 反省は一生続けるさ。 でも、それで他人を不快にさせようとは 思わない。 俺は、そんなにガキじゃない。 ガキじゃいられないんだ。 人を好きになったから。 好きだったから」 佐藤は誰にも見られないように涙を拳で拭いた。 それがあなたが見た、 佐藤の悲しみの全部だった。 「昔、死のうと思っていた時がある。 そんな時、俺より酷い目に あっている女が言った。 諦めるのは簡単ね。 でも、あなたには似合わない。 …そして俺は、今も死んでいない…。 俺がそういう女を守りたいと思うのは、 当然だと思わないか? …まあ、それでなくても天然記念物なのは、 間違いがないしな。 保護、しないと。 世界の損失だ。」 (佐藤ED) 北海道の第7師団が来た時、ですか。 それは素直に嬉しかったですよ。 敵も素直に兵を退きましたしね。 (108警護師団に配属されていた学生兵の手記より) あなたが駅に一人立っていると、 いつの間にかその隣に立っている少年がいる。 佐藤尚也だった。 「……いつか。……そう、遠いいつかには。 人の心に明かりを灯すような、そんな大人になりたい。そう言ったな」 (うん/なれたの?) 「どうやればなれるか未だにわからないけれど、でも俺は、いつかそうなる。 …… もう一つ夢がある。それをかなえるには、一人じゃ駄目なんだ。 多分、お前がいなければ」 (顔を赤くする/ああいや、その……) 「だからお前はどこにもやらない。帰るぞ」 あなたは、しばらく考えた後、切符を捨てました。 佐藤尚也 通常 / 提案 / 派生 / シナリオ
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・色々と無茶ある展開がありますが仕様です。 ・俺設定あり。 ・ゲス制裁ものですのでゲスしか死にません。 天然あき 「まりさ、ごはんだよ」 男は傾いた犬小屋に向けて話し掛ける。 すると、 「ゆぅ…」 ずーりずーりと一匹のゆっくりまりさが明らかに不調そうな感じで出て来る。 「む~しゃ…む~しゃ…」 全然幸せそうにない感じでまりさは与えられた食事(人参山盛り)を食うまりさ。 その身体にはベルトが食い込まんばかりに巻かれており、更に鎖に繋がれていた。 「さて、それじゃあ散歩に行こうか」 「ゆ!!?」 生気を感じられない状態で食事していたまりさの身体がビクッ!と震える。 「や、やなんだぜ!! まりざはここでゆっぐりしてるからおざんぼはひどりでじでるんだぜ!!!」 まるでこれから拷問でもされるかのようにまりさは恐怖している。 しかし男は屈託のない笑みで、 「何言ってるんだい、行くよ」 男はリードを付け替え、iPodで音楽を聴きながらまりさを引っ張って外へと連れていった。 「やじゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 男には届かない、まりさの悲痛な叫びが響いていた。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 数日前…。 「むきゅうう…こわかったわ…」 成体のぱちゅりーが死ぬかと思ったみたいな口調で呟く…。 「あのありすたち…もうゆっくりできないでしょうね…いなかものとはいえちょっとかわいそうだわ…」 成体のありすが何かを心配するように呟く。 「そんなことよりおなかすいたね!ごはんにしようよ!!」 空気の読めない発言の成体のれいむ。 「でもにんげんはひどいんだぜ! あそこまでするひつようはないんだぜ!!」 意味のない義憤に駆られる成体まりさ。 「わかるよーあれはきっとぎゃくたいおにーさんなんだねー!!」 無駄に明るい声でいう成体のちぇん。 計五匹のゆっくりが野良にしては格段に広いおうちの中で話し合う。 この五匹は元は飼いゆっくりであったが若気の至りで家出をして帰れなくなってしまったのだ。 飼い主も少し待てば帰ってこれるだろうと犬と同じように判断して結局放っておいてしまったのだ。 ゆっくりに犬のような帰巣本能はないのだから戻れる訳はない。 こうして五匹は名実共に野良となってしまった。 捨てられたのではないから銀バッジを付けたままで野良生活を送る事になり、飼いゆっくりに手を出したらどうなるか知る小賢しいゲス飼いゆっくりから襲われる事もなく、 五匹という数も味方して野良のゆっくりから食事のおこぼれを貰ったり、奪ったりしていた。 気付けば身体も大きくなり、五匹は辺りから恐怖の対象となっていた。 去勢済みな為、無意味なすっきりをする事もなく、五匹はますます増長していった。 しかし五匹がいくら野良の中で力を持とうとそれは所詮野良の中での話。 五匹の心は未だに飼いゆっくりであり、その地位に戻る事を未だに考えていた。 まぁ簡単に言えばこいつ等は元飼いゆっくりのゲスで、飼いゆっくりになりたがっている。という事だ。 それは別に何処にでもある話だ。何の不思議でもない。 だが問題はそこではない。 問題はゆっくりではなく人間の方にある。 ただそこにいるだけでゲスを引き寄せ、結果的に死に至らしめる…そんな天命を担っているのではないかと思わせるような男がこの五匹の住む町にいるのだ。 ゲスである限り…例え飼いゆっくりであろうとも逃げられないゲスゆっくりにとっての悪魔が…この五匹のすぐ側まで迫っていた…。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 「さっさとそのあまあまをよこすんだぜええええ!!!」 「おちょうしゃんをはなぶぇ!!?」 「ゆ?なにかふんだきがするよ」 「きっとごみなんだねわかるよー」 「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛おちびじゃんがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 「ふん、みにくいこえね。 そんないなかものにこのあまあまはふさわしくないわ!」 「むっきゅっきゅっきゅ♪ぶざまね!」 次の日、五匹はまりさとれいむの家族を襲い、集めた食糧を強奪していた。 先日この公園をのさばっていたゲスなまりさが人間に連れ去られて以来五匹の天下だった。 もはやこの五匹にしても逆らうゆっくり等おらず、好き放題していた。 「ゆるじでぐだばい!!ごれがないどおぢびじゃんがじんじゃうんでずう゛う゛う゛う゛!!!」 「うるさいんだぜ!!」 必死に懇願するまりさを五匹は体当たりで吹き飛ばす。 「ゆぎぃッ!!?」 「まりざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 ボロボロになったまりさとれいむ。 潰された子まりさと恐怖に震える子れいむ二匹。 「これはまりさたちがむ~しゃむ~しゃしてやるからかんしゃするんだぜ!!」 「いなかものにはもったいないあまあまね!!」 五匹はまりさ一家を嘲笑しながら菓子パンを貪る。 銀バッジになるまでに教育された礼儀作法はもはや記憶の片隅にも残っていない。 「ゆうぅ…」 「だいじょうぶ…れいむ?」 菓子パンを食べ終わって五匹が去った後、自分がボロボロにも関わらず、つがいのれいむにすりよるまりさ。 「おちょうしゃんきょわきゃっちゃよおおおお!!!」 子れいむが親に駆け寄る。 「ごべんね…おとうざんがじっがりじてないばっがでぃに…」 「そんにゃきょちゃはにゃいよ!おちょうしゃんきゃっきょよきゃっちゃよ!!」 慰め合うまりさ一家。 「大丈夫かい?」 すると騒がしく泣き叫ぶまりさ一家に話し掛ける誰か。 「ゆゆう!?にんげんしゃんだあ゛あ゛あ゛!!?」 「ごべんなざいおちびじゃんだけでもゆるじでぐだざい゛い゛!!!」 人間を見るなり即座に謝罪するまりさ。 「いや…とって食う訳じゃないからそうビビらないでいいよ…」 ゆっくりの反応に若干引き気味となる背広姿の男性。 「ところで君達どうしたの?野良にしてもぼろぼろじゃないか」 「ゆ、ゆうそれは…」 男に向けて怯えた目を向けるまりさ一家。 「大丈夫、俺は君達に危害は加えない。 ただどうしてそんな怪我なのか知りたいだけさ」 男は屈託のない笑顔を向ける。 邪気が無い事がゆっくりにもわかった。 まあ邪気がないのがこの男の厄介な点であるのだが…。 「ゆうぅ…実は…」 親まりさが事情を説明する。 「それは災難だったね…」 男はまりさ一家の境遇に深く同情する。 これが演技でもなく本気なのが男の異常な所だ…。 「そうだ、これをあげるよ」 男が自分の鞄から取り出したのは潰れたメロンパン。 後で食おうと思っていたのだが鞄に入れっぱなしだったので潰れてしまっていたものだ。 「ゆうう!?メロンパンさんだよおおお!!?」 途端に目が爛々と輝くまりさ一家。 とんでもない喜びように男も顔を綻ばせる。 基本的に善人でお人よしなのだ。 ただ思考が常人よりぶっ飛んでるだけで…。 「おにいざんありがどうございまず!!!」 顔面を地面に擦り付ける親まりさ。 「いやいいって。さ、早く食べなよ。 持って帰ると他の奴にとられちゃうかもしれないからここで食べた方がいいよ」 確かに人がいるすぐ側で奪うなんて愚を犯せばどうなるか野良のゆっくりならばわかって当然だろう。 「む~しゃむ~しゃし、しししあわせえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 耳がつんざく激烈な歓喜の絶叫を聞きながら男は笑みを崩さない。 基本的に細かい事は気にしないのだ。 悪い方向に…。 「ん?何だ餌付けか?」 すると男の目の前に背の高い男性が話し掛けてきた。 「あれ?研兄じゃん。久し振り」 どうやら男と背の高い男性は知り合いらしい。 「そうだな…直接会うのはお前が大学卒業して以来だな…。 近所なんだからたまには顔出せよな」 「それはお互い様。で、どうしたの?散歩?」 男はメロンパンをゆっくりと味わうまりさ一家を見ながら尋ねる。 研兄と言われた男性はそれに答える。 「いや、ちょっと野良れいむを探しててな…。出来れば家族じゃなくて独り身の…」 「それでわざわざ公園に探しに来たって訳ですか…」 「そうなるな…。やはり素材は自分で調達するのが一番信用出来る」 「ゆっくりごちそうさまでした!!!」 研兄が言い終わった直後、親まりさがメロンパンを食い終わった宣言をする。 「そういえばこいつ等…お前のペットか?」 研兄がまりさ一家に興味を抱き、男に尋ねる。 「いいや、他のゆっくりにボコられてたんでちょっと慈悲の御手を…」 「何だ、まぁたお前は野良に餌やってんのか…。 捨て犬猫とか何回も拾ってその度に親にどつかれてたもんな。お前ん家周りから動物園って言われてたよな」 「う…小学生の頃の話を持ち出さないでくれよ…。 それに拾った奴はちゃんと里親見つけたし、飼ってた奴もちゃんと天寿全うさせたっての…」 「まぁそれはいい…。 で、こいつ等どうすんだ?」 「どうすんだって…」 男はまりさ一家を見る。 「おにいさんどうもありがとうございました!!」 「おにいしゃんのおきゃげじぇとっちぇもゆっきゅちできちゃよ!!ありがちょうございましゅ!!」 満面の笑みを浮かべて男に感謝するまりさ一家。 「……………」 「…このままはいさよならって出来るタイプの人間じゃなかったよなお前は…」 男の顔がちょっと罪の意識に苛まれたのを見越して研兄が意地悪っぽく言う。 「けど…俺…ゆっくりの飼い方なんて知らないし…」 「そんなん犬飼った時みたいにすりゃあいいんだよ。ちゃんと飯食わせて躾ければ何の問題もない」 「ブリーダーの台詞とはとても思えないな…」 「ブリーダーはあくまで副業だ。 本業は研究者だ。ま、虐めるのはここまでにするか…さてと」 研兄はまりさ一家を見下ろす。 「ゆ…おにいさん…どうしたの?」 新たな人間がこちらに意識を向けた事で若干恐怖するまりさ一家。 「ふむ、このままじゃこいつ等、他の野良ゆっくりの嫉妬の八つ当たりで死ぬぞ」 「えええ!!?」 「ゆゆゆううう!!?」 男とまりさ一家は同時に驚く。 「人間から食い物貰っていい目みたんだ…逆恨みされてもおかしくない…」 「やじゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛じにだぶない゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!?」 「いくら何でもそんな…」 男は研兄の言った事が信じられないようだ。 「信じるも信じないも御自由に…けどま、こっちも見付けちまった以上見過ごすのは趣味じゃない…」 そう言いながら研兄はしゃがみ、目線を親まりさの高さに合わせる。 端から見れば随分面白い体勢だが当人は大真面目だ。 「ゆ、ゆぅ…?」 研兄の行動に戸惑う親まりさ。 今まで人間に見下ろされた事はあっても同じ目線に立たれた事は無かったからちょっと不安げだ。 「まりさ…一度しか言わないからよく聞け…お前俺の飼ってるれいむと友達になってみないか?」 「ゆ?」 親まりさはその言葉をよく理解出来なかった。 「言い方が悪かったな。 お前達、飼いゆっくりになりたくないか?」 「ゆ…ゆうううううううッ!!?」 それはまりさからすれば願ってもない事だ。 生ゴミを漁り、明日をも知らぬ日々から脱せられる…。 自分はそれでも構わない…けどおちびちゃんはゆっくりさせたかった親まりさか らすれはまさしく救いの手だ。 「ただし、お前の子供はお勉強して金バッジ…少なくとも銀バッジはとれるよう になってもらうぞ」 「ゆ、ゆううううう!!?」 喜びのあまり声にならない叫びを放つ親まりさ。 「返事は?」 「ゆ!?おねばいじばずおにい゛ざんんんッ!!!」 「れいむからもおねがいじまずううううッ!!!」 つがい揃って顔面を地面に擦り付ける。 頭を下げているイメージなのだろうがそうは見えない。 「いいのか研兄?」 男が尋ねた。 「別に構わないさ。シングルれいむを探すついでだ。弟分の不始末位はしといてやるよ」 研兄はそう言って笑う。 「全く…弟分っていつまでも小学生の頃の話持ち出さないでくれよ…」 「でもお前だって研兄って呼んでくれてるじゃんか」 「それはそれ、これはこれだよ」 「ま、いいさ。 こいつ等は俺が連れてくので構わないな?」 「ああ、でも出来れば変な実験に使ったりしないでくれよ」 「それはこいつ等次第だ。飯食わせるんだ、その分の基はとらせてもらうよ。ほら行くぞお前等」 「ゆ!わかったよ!おちびちゃん、おにいさんにゆっくりついてきてね!!」 「おにいしゃんありがちょうございましゅ!!」 「おにいしゃんのおきゃげでゆっきゅちできちゃよ!!」 「どう致しまして。お前等も見限られないようにしっかり勉強しろよ」 素直に感謝されてむず痒い感覚を感じながらも男は笑顔で答える。 「プ…勉強しろよって…お前が言うなよな…ククク…」 「うっさいなもう!!いいからさっさとれいむ探しにどっかいけえええ!!!」 笑い出す研兄に対して顔を真っ赤にして叫ぶ男。 「…ああわかったわかった。 ま、以後は気を付けろよ。 “情けは人の為ならず”って言うだろ。それじゃ行くぞ」 「ゆ!わかったよおにいさん!」 「しんじゃったおねえしゃんもいっしょだよ!」 「そうだね、おちびちゃんはまりさのおぼうしにおちびちゃんをはこんであげてね」 こうして、研兄はまりさ一家を引き連れて男から去って行った。 「研兄…情けは人の為ならずって情けが人の為にならないんじゃなくて、人にした情けが周り巡って自分に返ってくるって意味だぞ…」 マジボケなのかどうかわからず、ツッコミするタイミングを逸した男は一人呟いていた…。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「むっきゅううううん!!?どうぢであんなぐずどもががいゆっぐりになるのお゛お゛お゛お゛お゛!!?」 「あんなのよりまりざのほうがゆっぐりじでるんだぜえ゛え゛え゛え゛!!!」 「わがだらないよおおおおおおッ!!?」 「あのめろんばんざんはでいぶのぼのなのに゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!?」 どうやら一部始終を五匹のゲスゆっくり共は盗み見ていたようだ。 おそらく男が見ていなければまりさ一家からメロンパンを強奪していただろう。 「あのじじいたちはみるめがないわ!! こんなとかいはなありすがいるのにあんなきたないやつらをつれていくなんて!!」 ボロボロにしたのはお前等だろうが、とツッコミを入れる者はいない。 「むきゅ…でもこれはちゃんすかもしれないわ…」 「ゆ?どういうこと?」 冷静さを取り戻したぱちゅりーが呟く。 「あのじじいはあんなゆっくりできないやつにどうじょうしておいしそうなあまあまをあげるようなばかよ。 ぱちぇたちならよゆうでかいゆっくりにするわよ!」 どういう理論の飛躍でそうなるのかわからないが、そういう考えが意外と上手くいくのがこの男と相対するゆっくりの常だ。 それが決して幸福等ではないが…。 「でもあのいなかもののじじい…どこかでみたきがするわ…」 ありすが何となく不安げに呟く。 何かしら嫌な予感がするのだろう。 それは正しい。生き残りたくばその予感に従うのが正しかった…。 しかし、 「むきゅ、だいじょうぶよ!ぱちぇのずのうとまりさのぱわーならあんなじじいになんてまけないわ!! じじいのおうちをのっとってぱちぇたちのゆっくりプレイスにするのよ!!」 「そのとおりなんだぜ!!」 男を一度でも見た時点で生き延びる事等出来る訳もなかった…。 「ゆう!じじいはまりささまをかいゆっくりにするんだぜ!!」 すると突然男の目の前に五匹とは別のゆっくりまりさとれいむのつがいが姿を現した。 「ゆゆう!?さきをこされたんだぜええ!!?」 「はやくあのまりさたちをせいっさいしないとだねわかるよー!!」 「むきゅ、ちょっとまって!?ようすがへんよ!!」 先を越され、焦るまりさとちぇんをぱちゅりーは止める。 男に何か変化があったのだ。 それはつがいのれいむがある言葉を言った直後の事だった。 「かわいくってごめんねー!!」 「!!?」 突然男の身体が強張る。 そして…、 「…謝らなくって…いいんだよ…」 男は号泣しながらそう告げた。 その後はもうテンプレだった。 髪の毛を毟られ、男の価値観で「可愛くなくなった」れいむ。 そんなれいむを助けようとして返り討ちに遭って蹴り一発でボロボロにされるまりさ。 「ひ、ひどいんだぜ…」 その一部始終を見てた五匹も絶句している…。 まさかあんな甘ちょろいジジイがあんな事をするとは思ってなかったのだろう。 「むきゅう…これはすこしさくせんをねらないとだめね…」 だがメロンパンという甘い誘惑は五匹にとっては絶対に譲れないものだった。 あの光景を見ても意志を変えない辺りは流石ゆっくりと言うべきだ。 「それじゃ、頑張ってね」 男はれいむの成れの果てとボロボロになったまりさ…すなわちボロまりさに一瞥すると去って行った。 「ゆうううう!!?いっちゃったよぱちゅりー!!?」 「はやくあとをおうんだぜ!!」 急いで後を追おうとするまりさ。 「まってまりさ!!」 それをありすが止める。 「どうしてとめるんだぜありす!!」 「おもいだしたわ!あのにんげん!このまえまりさとありすをゆっくりできなくさせたやつだわ!!」 「ゆゆう!!?」 「むきゅう!!?」 ありすの言葉に残り四匹が驚愕する。 ありすの言うまりさとありすとは最近この公園で好き放題していた二匹のつがいの事だ。 「ゆっくりしていってね!!」の言葉や口に隠した石等を利用して公園の数多くの野良ゆっくりを血祭りに上げたこの公園に住むゆっくりからは恐怖の象徴であったゆっくりだ。 五匹も二度しか出会っていなかったがその数少ない遭遇の一度目で五匹の中で最も強いまりさはその恐怖の象徴まりさに敗北していた。 そして二度目の遭遇、と言うか覗き見した時にそのまりさとありす、そしてその子供達は一人の人間に敗北した。 恐怖の象徴まりさは家族を見捨てて逃亡し、ありすとその子供は今目の前にいるつがいのれいむのように「可愛く無くなって」いた。 その結果この公園のゆっくりの勢力図は変わり、この五匹が好き放題するようになった。 それは今はどうでもいい。 問題はあの男がゆっくり出来ない人間であるという事だ。 「ゆ、あのときまりさはゆだんしてたんだぜ!!いまはあんなゆっくりしてないまりさなんかすぐにころせるよ!! だからあのまりさみたいにあんなじじいにまりさがまけるわけないよ!!」 だが、無駄にプライドの高いゆっくりが自身の恥部を認める訳がなく、今なら大丈夫という根拠のない自信が男を忌避しようとする正しい判断に辿り着けない。 そこまでゆっくりからすれば男はカモに見えるのだ。 自分達がアンコウの持つ光に近付く哀れな小魚と同じだとも気付かないで…。 「むきゅ、おかしいわ。ゆっくりできないにんげんならあのまりさたちにあまあまなんてあげないわ」 ぱちゅりーが男の行動に違和感を感じて考え込む。 元飼いゆっくりだけあって疑い深いようだ。 「そうね、もしかしたらべつじんかもしれないわ」 「たとえおなじでもこんどあったらぎったんぎったんにしてやるんだぜ!!」 だが十か一しか区別出来ないゆっくりに人間の多面性が理解出来る訳もなかった。 なので、 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛!!?」 「いぢゃいよおおおお!!?」 「さぁかくさないでさっさとはくんだぜ!!」 「かくしてもむだなんだねわかるよー」 当事者であるゆっくり達に聞く事にした。 「むきゅ、かたほうだけいきてればいいわ」 「わかったんだぜ!ゆっくりできないくずはさっさとじねえ゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 「ゆぎゅぶう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!?」 まりさは可愛くなくなった元れいむを踏み潰す。 「でいぶう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!?」 「うるさいんだよー!!」 「げぶる!!?」 騒ぐボロボロになったボロまりさをちぇんは体当たりして黙らせる。 「むきゅ、これからまりさにはぱちぇのしつもんにこたえてもらうわ」 「もしぱちぇのしつもんにうそをつくようないなかものならさっきのれいむみたいに…」 「せいっさいするよ!!!」 「わかったー?」 「ばい゛い゛い゛い゛わがりまじだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 踏んだり蹴ったりなボロまりさは泣き喚きながら答えた。 「むきゅ、それじゃきくわよ…」 ぱちゅりーはそう宣言して質問を始めたのだった…。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「むきゅ、なるほどね…」 ぱちゅりーは大体の話を理解した。 結論からすれば「ごめんなさい」と謝ったから謝らずに済むようにしただけだという事だ。 つまり、 「むきゅ、あなたたちはばかだったことね!!」 ぱちゅりーが嘲笑しながらボロまりさに告げる。 「まりざはばがじゃないよおおおおおおお!!?」 「うるさいんだぜ!!」 「ゆべぇ!?」 反論するボロまりさをまりさは体当たりで黙らせる。 「むきゅ、ぱちぇはけんじゃなめいあんをおもいついたわ!! これであのじじいからゆっくりプレイスをとりもどせるわよ!!」 「ゆゆう!!?ほんとう!?」 「わかるよー!みんなでゆっくりできるんだねー!!」 「とってもとかいはよぱちゅりー!!」 めいあんの内容すら聞いていないのに勝手にもう男の家を奪い取れたかのように騒ぐゆっくり。 「ゆぐ…もぅ…おうぢがえぶぅ…」 一方ボロまりさは身体をず~りず~りと引きずりながら逃げようとする。 「どこへいくつもりなんだぜ?」 だがそうは問屋が卸さない。 まりさがボロまりさに立ち塞がりボロまりさの移動を邪魔する。 「ゆ、ゆぅ…まりざは…じづもんにぢゃんどごだべまじだ…だがら…ゆるじでぐだばい…」 ボロまりさは目に涙を浮かべて懇願する。 つがいのれいむは死に、自分も無事ではない怪我を負っている。 つがいのれいむの仇をとるなんて余裕もない。 生き残る事で精一杯だ。 つがいのれいむの仇に命乞いしてでも生き残りたかった。 だが、 「むきゅ、そいつはもうようなしよ。まりさ、さっさとせいっさいしてね」 だがぱちゅりーはどうでもよさそうにまりさにボロまりさを殺すように告げた。 「どぼぢでえ!!? じづもんにごだえだらだずげでぐれるんじゃながったのぉ!!?」 話が違うと叫ぶボロまりさ。 それに対して、 「むきゅ、クズのぶんざいでわめかないでね。ぱちぇのおみみがくさっちゃうわ」 お前等に耳なんかねえだろうが、とここに人間がいたらツッコミを入れていたが今は残念ながらゆっくりしかいない。 「それに、こたえたらせいっさいしないなんてだれもいってないわ。いなかものはこれだからやだわ」 確かに答えなかったら殺すと言ったが答えたら助けるとも言っていなかった。 だがそれはあまりに暴論だ。 強者が弱者に対しての力を振りかざしてのあまりの暴論だった。 「うるさいんだぜ!! くずはゆっくりしないでさっさどじねえ!!!」 「ゆびゅう゛う゛う゛う゛う゛う゛!!?」 ボロまりさはまりさに反論する間も与えずに踏み潰された。 「まったくゆっくりしてないまりさたちだったよ!れいむをみならってほしいよ!!」 「わかるよー、ちぇんたちにせいっさいされたほうがよのためだったんだねー!」 まさに目糞、鼻糞を笑うを地で行く光景だ。 それはさておきボロまりさから事情を聞いて得意気になっているぱちゅりーが皆に向けて発言する。 「むきゅ、これであのじじいからゆっくりプレイスをとりかえせるわ!!!」 「さすがぱちゅりーなんだぜ!!せかいいちのてんさいなんだぜ!!」 「むーきゅっきゅっきゅ!!それほどでもあるわあ!!」 「やったよ!これであまあまたべほうだいだよ!!」 「もうこんなとかいはじゃないところなんておさらばね!!」 「わかるよー!!もうかったもどうぜんなんだねー!!」 何もしていないのに勝ったと騒ぐ五匹。 肝心の男がまたここに来るかもわからないのにやかましい程に騒ぐ。 「むきゅ、それじゃあつぎにあのおとこがきたらさくせんけっこうよ!!」 「「「「ゆおおおおー!!!」」」」 男が来るかもわからないのに何時までもこの五匹は騒ぎ続けていた。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 翌日。 五匹にとって幸運か不幸なのかわからないが男は次の日も公園に立ち寄っていた。 会社からの帰り道に公園を突っ切った方が早いからだ。 「菓子パン買い過ぎる癖は直した方がいいな…」 男はまたもやパンを鞄に入れているようだ。まあそんなのはどうでもいい。 「むきゅ、それじゃあさくせんをかいしするわ!」 男を見つけた五匹はぱちゅりーの言葉に頷く。 「わかるよー!こんなさくせんをおもいつくぱちゅりーはてんさいなんだねー!!」 「こんなとかいはなともだちがもててありすもはながたかいわ!」 「これであまあまたくさんたべれるね!!」 「ぱちゅりーはせかいいちゆっくりしたゆっくりだぜ!!」 「むきゅ、それほどでもあるわ!」 どうやらぱちゅりーの“さくせん”とやらは余程のものらしく皆ぱちゅりーを褒め讃える。 「むきゅ、それじゃいきましょう!」 「「「「ゆおおおー!!!」」」」 五匹が声をあげて男へ向けて跳ねていき、 「ん?」 五匹に気付いた男に向けて、 「「「「「おにいさん、かいゆっくりじゃなくてごめんねー!!」」」」」 一斉に宣言した。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ぱちゅりーの考えた名案であり作戦は簡潔だった。 「かわいくってごめんねー」と言ったら「かわいく」なくせられた。どうして男がそんな事をしたのかぱちゅりーにはわからなかったが、「かわいくって」と言ったら可愛くなくせられた。 なら、「かいゆっくりじゃなくてごめんねー!」と言えば飼いゆっくりにしてくれるかもしれない。 そう考えたのだ。 その結果は、 「さ、ここが俺の家だよ」 ほぼぱちゅりーの望み通りであった。 男は「謝らなくって…いいんだよ…」と言いながら号泣し、五匹を自宅へ連れて来た。 「さすがぱちゅりーのさくせんなんだぜ!!こんなうまくいくなんてすごいんだぜ!!」 「はやくあまあまもってきてね!!ぐずはきらいだよ!!」 「とってもとかいはなおうちだわ!ありすにぴったりね!」 「むっきゅっきゅっ!あとはこのじじいをせいっさいするだけね!」 まさに計算通り、といった笑みを浮かべるぱちゅりー。 この世の春といった感じで喜びを噛み締める五匹。 後はこの男を殺すだけ…ともう半ば望みが叶ったつもりでいた。 だが、 「それじゃ、今日からここが君達のお家だからね」 「「「「ゆ?」」」」 「むきゅ?」 男が案内したのは家の中ではなく、かつて四匹の赤ゆっくりが騒音によって苦しみ死んでいった犬小屋だった。 「なにいってるんだぜ!?まりさたちのおうちはあっちなんだぜ!!」 まりさは目線を男の自宅に向けながら叫んだ。 「え?室内で飼うの?ごめんね、それはちょっと準備してないから無理って事で我慢してね。野良だし大丈夫だよね」 「なにいっでるのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?あっちがでいぶのおうぢだよ!!ばがなじじいはざっざとそっちにづれでげえ゛え゛え゛え゛!!!」 「いやあっちは俺の家だから…あっそうか一つじゃ狭いもんね」 男はそう言うと、物置よりも離れと言うべき場所から別々の犬小屋を二つ取り出した。 「これで大丈夫だよ。二つ足りないけど、それはちょっと我慢してね」 計三つの、成体ゆっくりが一匹ぎりぎりで通れる横幅の入口の犬小屋を並べた男は笑顔で告げた。 五匹はここでようやく理解した。 この男は本気で自分達を犬小屋で飼う気だと…。 「ふざっけるんじゃないんだぜえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ッ!!!」 まりさがぶちギレた。 「?」 男はまりさの怒りが理解出来ない。 何故なら男は徹頭徹尾大真面目だからだ。 男は五匹を飼うつもりだった。 だが男はゆっくりを飼った事もないし、飼い方も知らない。 だから昨日旧友に会った時の言葉を思い出した。 “「そんなん犬飼った時みたいにすりゃあいいんだよ。ちゃんと飯食わせて躾ければ何の問題もない」” 兄貴分兼親友の研兄はそう言っていた。 だから男はその言葉に乗っ取って飼う事にした。 大真面目に犬を飼うようにして…。 だから五匹に対しては怒らせるような事はやっていないと思っていた。 「も゛う゛がばんでぎないんだぜ!!ふざけたごどぬがぶじじいはまりざがぜいっざいじどやるんだぜえ゛え゛え゛え゛!!!」 今まで納得のいかない事は自分の力で捩伏せてきたまりさは我慢出来なかった。 「えーと…何で怒ってんの?」 男の疑問に対してまりさは体当たりで返す。 しかし、 「おっと」 男はその体当たりを難無くでかわす。 「ぶべぇ!!?」 回避されるとは想定もしていなかったまりさは顔面から草木生い茂る地面に突っ込む。 「まりさあああ!!?」 れいむが叫ぶ。 まさか無敵のまりさの攻撃を男が回避するとは信じられず、驚きを隠せない。 実際はこの男によって痛め付けられたまりさにも敗北しているので無敵でも何でもないのだがれいむはまりさの「ゆだんしていた」をマジに受け取っていたのでそう思い込んでいた。 「よくもまりざをおぉ!!!」 れいむが男に向かい体当たりをまりさの仇だとばかりに繰り出す。 「え、俺のせい?」 男からすれば勝手に突進してすッ転んだようにしか感じなかった男はいつの間にか自分のせいにされていた事に驚くが、それでもゆっくり程度の攻撃に当たる訳もなく、難無く回避する。 「ゆぶぁああ!!?」 まりさの二の舞となるれいむ。 「何で怒ってるんだろ?ま、いいや」 男は気にしない事にして作業に移る。 一旦家に戻り、 「ゆ!?なにするの!?はなしないこのいなかものおおおお!!!」 ありすを掴み、 「流石にこれじゃ無理か…仕方ない」 口と目の間の位置に男自身が使っていたベルトを巻き付けた。 「ゆぎゅい゛い゛い゛!!?」 外れないようにきつく締める。 その痛みにありすは奇声を上げるが男は全く取り合わない。 軽く食い込んだ所でようやく男はベルトを絞めるのを止める。 「ゆぎぃ…ゆふぃ…」 顔を締め付けられて軽く瓢箪みたいになったありす。 「あとはこれをっと…」 男はそんなありすを鎖に繋げ、しっかりと固定された杭に繋げた。 「む…きゅ…?」 あまりの訳のわからなさにぱちゅりーは呆けてしまう。 強かった筈のまりさは無様に地面に突っ伏し泣き喚いている。 ありすは「ゆい゛ぃ…ぎゅひ…」とか奇声を上げながら痛みに苦しんでいる。 れいむはどうでもいい。 無事なのはもはや自分とちぇんしかいない。 「わきゃらない゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?」 いや、そう考えている内にちぇんもありすと同じにされていく。 「猫っぽいけどゆっくりだから同じでいいよね」 何だか男が言っているが、ぱちゅりーには届かない。 僅かな時間で無事なゆっくりはぱちゅりーしかいなくなった。 「む、むきゅううううう!!?」 訳がわからなかった。 さっきまで何もかも上手くいっていた筈なのに…。 後はこの男を殺してお家を奪うだけだったのに…。 いや、それよりもまずは逃げなければならない。 使えない能無しなんてどうでもいい。 そう考えてぱちゅりーは逃げようとし、 「はい、次は君の番♪」 「むぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 スタートするよりも早く捕まった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「いぢゃいよ゛ぉ…」 「むぎゅ…」 「わが…だ…ない…」 「あま…あま…」 「ぐひぃ…」 五匹全てが仲良くベルトで代用した首輪に繋がれている。 締め付けられる痛みで動く事も出来ない。 「ペット飼うのは久し振りだから上手くいくか不安だったけど…まぁ何とかなったね」 何処をどう見れば何とかなったのかわからないが男はとりあえず満足そうだ。 五匹の全てが男に対して殺意が篭った眼をしていながら男はそれに気付く様子もない。 「それじゃ、ご飯持ってくるから待っててね」 男は最後まで五匹の殺意に気付かず家へと戻っていった。 後に残るのは瓢箪みたいな形になった五匹。 特にありすが酷い。 「ぐぴ…こぺ…」 口からカスタードを漏らし始めている。 「どうじで…ごんなべに…」 まりさが呟く。 今頃はあの男を殺してゆっくりしている筈なのに…。 それが妄想でしかないと気付く事はない。 「む゛…ぎゅ…み゛ん…な゛…ごれを…どるの…よ…」 こんなベルトで締め付けられたままじゃ身動き一つする事も出来ない。 「はやぐ…どっでね…」 「むきゅ…ぱぢぇの…どりな゛ざい…」 「わがらないよ…どう…じで…ごないの…」 「ざっざど…まりざのを…どれ…」 「ぐぴ…ぃ…」 しかし痛いのを我慢して誰かの所まで動く事を自分最優先のゲス達がする訳がない。 結局誰も動かず事態も好転しないまま時間だけが過ぎていく。 「ときゃ…ぺひゃ…」 段々とありすの首輪から上がパンパンになっていく。 圧迫されている証拠だ。 ありすが危険な状態になっているのだが、他の四匹は自分の事ばかりで気付きもしない。 ありすは言い難い痛みと苦しみを味わっていた。 『いじゃいいじゃいいじゃい゛い゛い゛い゛い゛!!?ごんなのぜんぜんとがいばじゃばいわ!!? じじいはゆっぐりじないでざっざとありずをだぶげろぉ゛お゛お゛お゛お゛!!!』 「ぐひ…」 もはや喋る余裕すらないありすは心の中でのみ雄弁となっている。 しかしそれも段々と弱まっていく。 周りのゆっくりも、ありす自身も限界に近づいている事に気付いてはいない。 「ごはんもってきたよ」 すると男が五匹の食事を持って来た。 「あれ、何かさっきと違わないか?」 男が五匹の危機的状況に陥っているのに気付いた。 「ああ!ちょっときつく締めすぎちゃってたのか!!」 その原因が判明して男は慌てて、戒めを緩める。 「ゆうう…」 流石にすぐに男に襲い掛かれる程の余裕はなく、苦しげに呻くしか出来ない。 とりあえず命に別状は無いようだ。 ただ一匹を除いて…。 「ぷごべぇえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!?」 最後にありすのベルトの拘束を解いた瞬間濁流のように中身のカスタードを目、口、あにゃるから噴き出し始めた。 今まで圧迫されていた部位が緩んだ事により中身が一気に動き、その勢いと圧迫されていた事による吐き気が上手い具合に作用してしまった。 そしてそのショックにありすの身体が耐え切れず、他の部位からカスタードが漏れだしていく。 様々な偶然が悪い方向に作用した結果がありすの中身が漏れ出すという結果になった。 「グヒ!!ケパァ…!!?」 「あ…りず…?」 あまりにも奇怪な現象に他の四匹は呆然としてしまう。 ありすから中身の流出は止まらない。 穴の開いた水風船は空になるまで水を出し続けるのだ。 「おお…すげえ…」 男はありすの自分の中身を使った命懸けの水芸に対してそう呟く。 まさかベルトをきつめに締めただけでこんな事になるなんて予想出来る訳がない。 「…あ…りず…」 「…むきゅ……」 「ぴゅぎい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 ありすはもはやまともに喋る事も出来ず、糸の切れた人形のように断末魔の叫びを上げた後動かなくなった。 カスタードまみれで顔は男達からはよくわからなかったが、その表情は幸せとは程遠いものだった。 「わきゃら…ないよぉ…」 「む…きゅ…」 「あ…りず…」 「もう…やば…」 物心ついた頃から共にいた形式上は仲間のあまりにも悲惨な末路は四匹を絶句させた。 「……死んじゃってる。一体なんで…?」 男はありすの死因が自分にあるとは気付いていない。 ゆっくりの脆さを理解出来ていなかったのだ。 「とりあえず埋めてあげないと……」 このままありすの残骸を放置しておくのもよくない。 ベルトが一つ無駄になったけど一々気にする事もなかった。 「よ゛ぐも…ありずを…」 まりさが男を睨み付ける。 まだ動けるまで回復していないのだ。 ありす程では無いにしろ四匹とて無傷ではない。 睨み付けるしか出来ない。 だが、ゆっくりの殺意で人が殺せるならとっくの昔に人間なんて滅んでいる。 男は気にせず再びまりさにベルトを巻き付ける。 「ゆひいいい!!?やじゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 ベルトを見るやいなやまりさは叫び声を上げて逃げようとするが逃げ切れる訳もなく、そのままあっさりと捕まってベルトを巻き付けられる。 しかし今度はキツすぎず、さりとて緩すぎもしない絶妙な案配で…。 というかそれが出来るなら最初からしろという話だ。 「ゆぐぁ……」 ベルトを再びされたショックでまりさは泡をふいて失神してしまう。 どうやらトラウマになってしまったようだ。 「むぎゅう゛う゛う゛!!?」 「わぎゃら゛ないよおおッ!!?」 「ゆんやあ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 その間に手際よくベルトを残りの三匹に巻き付ける。 どうやらコツを掴んだらしい。 「じねぇ…じじいはじねぇ…」 れいむが恨めしげに男に呪詛を呟き続ける。 当然ながら男はそれに気付かない。 気付いても気にしないが。 でも何やら五月蝿かったのでれいむだけは少し緩めにしてあげた。 「かわいそうに…何か病気だったんだな…。 気をつけないと…」 男はありすを庭に埋めながら呟く。 何が原因かわからないが自分がゆっくり出来ない何かをしたのだとは理解していたようだ。 「やっぱり研兄に相談した方がいいかな…」 まさか初日、しかも飼い始めて一時間もしないで反乱、一匹死亡という状態になるとは思わなかったのだろう…。 一応はゆっくりの使い方のプロである兄貴分に相談しようか考え混んでいた。 「わからないよ…どうしてありすがしななくちゃいけないのかわからないよ…」 一方ちぇんはどうしてこんな事になったのか理解出来なかった。 今までぱちゅりーとまりさがいれば大丈夫だった。 今回だってぱちゅりーの言う通りに上手くいっていた。 だけどその結果ありすは死んでしまい、今はお世辞にもゆっくり出来るとは言えない状況だ。 「わがらないよー…」 ちぇんはその言葉を言うしか出来ない。 今まで散々頼ってきた分面と向かって批判も出来ない。 ただ目の前にある山積みの人参を食うしか出来ない。 「ゆゆ!!なにかってにれいむのごはんたべてるの!!?」 「ゆぎゃ!!?」 すると突然れいむがちぇんに体当たりをする。 「これはぜんぶれいむのものなんだよ!!!ばかなちぇんにあげるぶんなんてないよ!!」 あまりにも横暴な物言い。 「むきゅ…だめよれいむ。いまこそみんなで…」 「うるさいよッ!!」 「むぎゅ!!?」 れいむの横暴を諌めようとしたぱちゅりーを体当たりで黙らせる。 「これはぜんぶれいむのものなんだよ!!!やくにたたないぱちゅりーはひっこんでてね!!!」 どうやら山積みにされた人参を独り占めするつもりのようだ。 「……………」 肝心のまりさはまだ失神したままだ。 他の三匹に比べて精神が弱いのかもしれない。 まりさがこの様では今のれいむの横暴を止めれるものはいない。 「む~しゃむ~しゃじあわぜぇえ~!!!」 瞬く間に人参を消費していくれいむ。 「むきゅ…どうじでごんなごどずるの…?」 いきなりのれいむの横暴にぱちゅりーは理由を問い掛ける。 「うるざいよッ!!!ぱちゅりーのぜいでごんなべになっだんだがらざっざとじんでね!!!」 「むぎゅあ゛!!?」 「なにがにんげんをごろじべおうぢをのっどるだよ!! きずひどづづげられながっだじゃないがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「むぎゅい!!?ぺぎぃ!!?」 「ぼうおばえだぢのいうごどなんでぎぐがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 鬱憤晴らしと八つ当たりをぱちゅりーでするれいむ。 男自体は考え事していてそれに気付いていない。 実は寝てるんじゃないかと勘違いしそうな程だ。 「むぎゅ…」 「ゲラゲラゲラゲララゲラゲラゲラ!!!いいざまなんだね!!れいむをゆっくりさせないからそうなるんだよ!!!」 ボロボロになったぱちゅりーを嘲笑うれいむ。 「だいじょぶー?いたいんだねわかるよー」 ボロボロになったぱちゅりーをぺーろぺーろして慰めるちぇん。 「むぎゅう…」 どうやら死んではいないようだ。 「これはぜんぶれいむのものだよ!!ばかなちぇんとぱちゅりーはそこらへんのくさでもたべててね!!」 ゲラゲラ笑いながら五匹分の餌の人参を食っていく。 「やっぱり自分の力で頑張ってみよう!!」 れいむが一匹だけで五匹分の人参を食べ尽くした時点で男は考え事の目途がついたようで我に返る。 男はどうやらその場にいながら四匹の状態に気付いていなかったようだ。 無駄に高い集中力だ。 というかわざと無視しているとしか思えない。 だがマジなのが始末に負えない。 「ゆ!じじい!ぜんぜんたりないよ!!ゆっくりしないでさっさともってきてね!!」 体積が増えたれいむはおかわりの催促をする。 しかし、 「駄目だよ。食べ過ぎはよくないからね」 男はそれだけ言うと罵り続けるれいむを気にも留めず何故か裏口を使わないで玄関から家の中へ入っていった。 「までえ゛え゛!!!でいぶをむじずるなあ゛あ゛あ゛!!!」 男に体当たりしようとするれいむ。 しかし、鎖がれいむの進行を邪魔してベルトの部分が食い込む。 「ゆぎゅう゛う゛う゛!!?」 自分の跳ねた勢いが全て自分に返って来たれいむは地面に倒れ込む。 「ゆ゛ぅ゛…いぢゃいよ゛ぉ…」 基本痛みに弱いゆっくり種であるためれいむは簡単に痛みに喘ぐ。 「ゆ、ゆぅ…なにがあったんだぜ…」 ようやく目を覚ますまりさ。 だれもかれもゆっくり出来なくなっていた。 っして異変はその時起こった。 「うーうー♪」 「「「「ゆう゛う゛う゛う゛ッ!!!?」」」」 それは人間にとって無駄に陽気な腹立つ声。 しかし通常種にとっては何よりも恐ろしい声だった。 「れ、れ、れみりゃだあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!?」 れいむが餡子の髄に刻まれた恐るべき存在の名を叫ぶ。 そこに現れたのは胴有りれみりゃ。 街中ではあまり見ないれみりゃ種。 身体が肉の為犬や鴉に襲われて数が少ないのだが、近年れみりゃブームが来て嵐のように急速に去っていった為比較的数がいるのだ。 まあそれでもこうして姿を見るの珍しい事だが。 あの男に会ったゲスゆっくりには不幸しか訪れない。 四匹を狙っていたのだが男がいたので手を出せなかったのだ。 だがもう男はいない。 れみりゃは待ち望んでいた食事に喜び勇んで襲い掛かった。 「ゆうううう!!?」 「わがらないよーー!!?」 「むっきゅうううん!!?」 「はやくあのこやににげるんだぜえ゛え゛え゛!!!」 まずはまりさがいち早く逃げ、それに足(?)の速いちぇんが続き、ぱちゅりーがその後に続いた。 男に体当たりしようと離れた距離にいたれいむが逃げ遅れる羽目となった。 「うーあまあままつんだど~♪」 羽根をパタパタさせて追いかけるれみりゃ。 「ゆ、ゆうう…とりあえずこれでひとあんしんなんだぜ…」 「わ、わかるよー…たすかったんだね…」 「むきゅ…ゲホゲホ!」 何とか犬小屋の中に逃げ込めた三匹。 三つの犬小屋に綺麗に一匹ずつ逃げ込む。 「いれでね!でいぶもゆっぐりじないでいれでね!!!」 れいむもそれに続いて犬小屋に逃げ込もうとする。 が、 「ゆうううううう!!?はいれないよおおおおおおおおお!!?」 れいむは犬小屋に入る事が出来なかった。 五匹分の食糧である山積み人参を食べた事による体積の増加で横幅が犬小屋の入 る穴のスペースをオーバーしてしまったようだ。 男が親切心で軽く緩めていたせいでベルトが窮屈にならず、れいむもその事に気付かなかった。 「どうじではいれないのお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?」 切迫した表情で何度も犬小屋に体当たりするれいむ。 だが通る事は出来ない。 横暴のツケがあまりにも早く来たのだ。 「あまあまつかまえたんだど~♪」 「ゆひぃ!!?」 遂にれいむがれみりゃに捕まった。 「や、ややややややややめてね!!!れいむおいしくないよ!たべたかったらそこのぱちゅりーをたべてね!!!」 「むぎゅ!?」 れいむの命乞いで売られたぱちゅりーがビクッと反応する。 だが古今東西、ゆっくりが他のゆっくりを売った後に許してもらう事等まず無い。 れみりゃもれいむの命乞いに耳はかさず、 「いただきまずだど~♪」 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!?」 中身を吸われていくれいむ。 だが吸うスピードはゆっくりであり、存分に甘味が出るようにしていた。 そのせいでれいむは本来ならすぐに死ねる所をゆっくりと苦しむ羽目になった。 「おぜうさまはゆっくりごはんをたべるんだど~♪」 「ゆぎ…たずげろ…」 コトンとれいむを束縛していたベルトが落ちる。 だが今更自由になった所でもう遅い。 もうれいむはれみりゃのごはんになるしかないのだから…。 「ざっざどたずげろ……」 喰われていく中れいむは犬小屋の中にいる三匹に命令する。 れいむの中で、今まで共に過ごしていた四匹は都合のいい道具だった。 “ゆっくりしたれいむのためにどれいのじじいはくれたあたらしいどれい。 だからゆっくりしたれいむをゆっくりさせるのはとうぜんだ”、という事を無意識に思い込んでいたれいむは犬小屋に隠れて助けようともしない三匹は許しがたいものだった。 「はやぐだずげろお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!おばえらばいばばででいぶのおがげでゆっぐりじでぎだんだろうがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! ざっざどたずげろおお゛お゛お゛お゛!!!」 火は燃え尽きる寸前に勢いよくなるようにれいむは最後の力を振り絞るように罵声を浴びせる。 ちなみにれいむははっきり言ってまりさとぱちゅりーの金魚の糞みたいなもので、我が儘放題し、周りはそれに辟易しており、三匹、いや今はもいないありすを含めて四匹は一度もれいむでゆっくり出来た事等無かった。 つまりはれいむの勝手な思い込みである。 「ごのうらぎりぼのお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 先に裏切ったのはお前だろうが…。 だが三匹はそれについて文句を言う事もなく犬小屋の奥で次は我が身かと震えている。 「う~、うるさい!」 れいむの叫びのやかましさに少しいらついたれみりゃはれいむの顔面に拳をぶち込む。 「ぶぎゅう゛う゛!!?」 痛みで罵声を上げる余裕のなくなったれいむを見て満足そうに食事を再開する。 「やだ…おう゛ぢ…がえ…ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛…」 喋ることも出来ず痙攣しだすれいむ。 こうなってしまえばもう助からない。 あっという間に中身を失い、ぺらぺらとなってしまう。 「こんなものぽーいだどー♪」 ぞんざいに投げ捨てられるれいむの成れの果て。 ぺしゃりと地面に落下する。 「うーまだたりないんだどー♪」 それは犬小屋にいる他のゆっくりを襲う宣言も同意だった。 「う~はやくでてくるんだど~♪おぜうさまにたべられるんだど~♪」 れみりゃは犬小屋の入口手を伸ばして奥に潜むまりさを捕まえようとする。 「くくくくるんじゃないんだぜえ!!?まりさはおいしくないんだぜ!!」 「う~あまあま~!どうしてとどかないんだど~!?」 身体が入口に引っ掛かって手を伸ばしても届かない。 胴無しなら入れるだろうが犬小屋のような狭所では羽根が邪魔になってしまうので不利になるからあまり意味は無い。。 「むきゅうううううう!!? こっちこないでぇえええええ!!?」 「わがだないよお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?」 このままなられみりゃは諦めるだろうがその間のゆっくり達は生きた心地はしない。 「う~あまあま~!!!」 「ゆぴいいいいいい!!?」 人間に勝てると言っていたのが嘘のようにしーしーを漏らして恐怖するまりさ。 「う~!!あまあま~!!ざっざとおぜうざまにたべられるんだど~!!!」 まりさ達にとってはとても長い時間だった。 そしてそれの終わりはあっさり来た。 「う~そうだど~♪このへんなひもをひっぱればあまあまをとれるんだど~♪」 「ゆひぃ!!?」 まりさはそれに戦慄する。 それと同時に鎖が引っ張られる。 「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 まりさはれみりゃの引っ張りに死ぬ気で耐える。 舌を出して床にはいつくばり、摩擦を大きくしている。 「あまあまはやくでてくるんだど~!!れみりゃがおいしくたべてあげるんだからかんしゃするんだど~!!」 「やじゃあ゛あ゛あ゛…!!」 必死で引っ張りに耐えるまりさ。 だが手足のあるれみりゃに地力には勝てず、 「ゆんやあああああああ!!?」 まりさは犬小屋から引きずり出された。 「やじゃあ゛あ゛あ゛あ゛じにだぶない゛い゛!!?」 恐怖に眼を閉ざすまりさ。 しかし、何時まで経ってもれみりゃに襲われる気配はない。 不審に思い眼を開けてみる。 すると、 「う~?」 れみりゃは何かに捕まり、無理矢理犬小屋から引きはがされていた。 「う~あまあまがにげていくど~!?」 自分が犬小屋から離されたとは思いもしないれみりゃは早く犬小屋を追おうとじたばたと手足をばたつかせるが意味はない。 「ねぇ…」 れみりゃの背後から声がする。 「う~?」 その声に反応してれみりゃは後ろを振り向く。 そこにいたのはまりさ達をあそこに縛り付けた張本人である男だった。 そりゃ庭先で騒いでりゃ来るのは当然といえば当然だ。 「にんげんがれみりゃになんのようだど~!?はやくぷっでぃんもってくるんだど~!!」 折角の狩りの邪魔をされてご立腹のようだ。 だが男はそんなれみりゃの様子を一切無視し、 「これ…君がやったのかな?」 れみりゃを掴んでいる手とは逆の手に持つれいむの成れの果てを見せた。 「う~それはいらないからぽ~いしたんだど♪いいからざっざどぷっでぃんもってくるんだど~!!」 「それは食べたと判断していいんだね」 「う~いいからさっさと…」 そこから先はれみりゃは言葉を紡ぐ事は出来なかった。 男の拳がれみりゃの顔面にぶち当たったからだ。 「ぶひゃ!!?」 歯が何本も折れて地面に落下するれみりゃ。 「どうしてこんな事するのかな?」 「ぶぐぅあ゛…いぢゃい゛ぃ…ど…」 「同じゆっくりだよね…?」 男は痛みに喘ぐれみりゃしゃがみながら見下ろし、尋ねた。 男は知らなかった。 捕食種というものを。 ゆっくりの特徴は本で調べたが種族全てを知っていた訳ではない。 れみりゃと通常種であるまりさ達をマルチーズとチワワ程度の差としか思わなかった。 だから本来の狩る狩られるの関係を知らず、れいむを食べたれみりゃを許せなかった。 れみりゃの行いを自然の摂理ではなくゆっくり殺しと判断した。 ゆっくり殺しは問答無用で制裁。 それと男は似たようなものだった。 「ぶぎぃ!?ぼべぇ!?」 男は無表情なまま何度もれみりゃを殴打する。 「わ、わわわ…」 「む…きゅ…」 「うそ…なんだぜ…」 それは三匹にとって信じられないものだった。 街ではれみりゃの姿はあまり見かけないにしても餡子の中の記憶の奥底に刻まれたれみりゃに対する恐怖は三匹にも深く根付いていた。 それが今無残に男に痛め付けられている。 それは自分達の価値観、勝手な思い込みでしかないのだが自分達が人間よりも強いという考えが本能に刻まれた勝てない恐怖の対象のれみりゃを一方的に蹂躙している。 「ごべ…なざ…ゆるじ…くばざい…」 五体満足だが顔は二倍近く腫れ上がり、足は変な方向へ曲がり、羽根はボロボロで飛べそうにない。 むしろここまでしたのなら殺した方が慈悲なような気がする。 「ああ…御免、少しやり過ぎちゃった…ここまでやるつもりなかったのに…」 男はれみりゃの様子を見てやっとこさ気付く。どうやら夢中になると止まれないタイプのようだ。 「これじゃ…生きていけそうにないな…」 「ざぐやぁ…ざぐやぁ…」 とりあえずそのままにしておく訳にはいかない。 だがれみりゃは飼うのが難しいと男は同僚から聞いていた。 その同僚はれみりゃ種とふらん種を飼っており、その可愛さをよく周りに言っていた。 周りはそれに辟易しているのだが基本的にお人よしな男は嫌な顔をしないで聞いてあげる事が多かった。 しかし大半がれみりゃとふらんの可愛らしさの溺愛っぷりを言っているだけでれみりゃの生態の事等一切説明しなかったから男に捕食種に対する知識は養われなかったのだ。 「そうだ、あいつに聞いてみよう」 男はその同僚に相談することに決め、 「それじゃ、悪いけど一緒に来てね」 「う…う゛?」 男は優しくれみりゃを抱える。 そしてそのまま、裏口へ向かう。 三匹は男があのれみりゃを家に連れていくつもりだと理解する。 「ま、まつんだぜ!!」 まりさが若干ビビりながらも男を呼び止める。 「ん?どうしたの?」 男はいつもと変わらない表情で三匹を見る。 しかし、先程のれみりゃへの暴行を見た三匹はむしろそれが言いようのない恐怖を感じさせた。 だがプライドの無駄に高いまりさはそれでも男に要求した。 「そ、そのれみりゃはれいむをころしたんだぜ!! そんなやつをおうちにいれないでまりさたちをおうちにいれるんだぜ!!」 「え?君達のお家はそれだよ。どうして入れるの?」 そう言いながら男は犬小屋を指差す。 「なにいってるんだぜ!!こんなのまりさのおうちにふさわしくないんだぜ!だからさっさとそのおうちをよこすんだぜ!!」 喉元過ぎれば熱さ忘れる。 男が手を出して来ないとわかると段々と調子に乗り出してくるまりさ。 しかし、 「駄目だよ。ここは俺のお家だからね。君達はそっちの方で我慢してね」 男はそうとだけ告げると後は取り合わずそのまま裏口から家の中に入っていった。 「ま、まつんだぜ!!そこはまりさのおう…」 バタンと扉が閉じられ、三匹だけが残される。 「むきゅう…」 「どうしてなんだぜ…そこはまりさのおうちなのに…」 「わからないよー…」 一日足らずで長年共にいた仲間を二匹も失った三匹は茫然とするしかなかった。 続きます。 過去に作ったSS ふたば系ゆっくりいじめ 293 おかざりがないとゆっくりできないよ! ふたば系ゆっくりいじめ 311 きゃわいきゅっちぇぎょめんにぇ!! ふたば系ゆっくりいじめ 347 れいむはしんぐるまざーでかわいそうなんだよ!! ふたば系ゆっくりいじめ 397 大好きだよ ふたば系ゆっくりいじめ 447 おきゃあしゃんのおうちゃはゆっきゅちできりゅね! ふたば系ゆっくりいじめ 521 元銀バッジまりさの末路 上 ふたば系ゆっくりいじめ 543 元銀バッジまりさの末路 中
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凛「ルーキートレーナーさん正座。いや魚座ですじゃなくて」 執筆開始日時 2012/10/14 元スレURL http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1350190039/ 概要 凛「そこに座るの。正座で」 ルーキー「え?は、はい」 凛「いや、市場の鮪っぽく滑り込まなくていいから」 ルーキー「え、え? 何か違いましたか?」 凛「魚から離れようよ。とにかく座るの」 タグ ^渋谷凛 ^ルキトレ ^モバマス まとめサイト SS保存場所 プロデューサーさんっ!SSですよ、SS!
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Because,I miss you/逢いたくて ◆EAUCq9p8Q. ――― 安心って、なんなんだろう。 ぼくは一言、そう呟いた。 ――― ◇ 今朝方怖い夢を見て、寝るのがほんのちょっとだけ怖くなった。 それからベッドに身を任せて、時には安楽椅子に揺られて。 ぼうっと何もせずにただただ時間を過ごして。 そんな生活を続けていても、お腹は減る。 眠気もそこそこに鳴りを潜めると、動き出した頭が空腹に気づいて騒ぎ出す。 そうなってしまうともうどうしようもない。何かを食べるまで収まらない。 人間は不便だ。 そう思いながら、起き上がり、手元のスマートフォンを手に取る。 この時間に空いてる宅配はどこだろう、とインターネットで検索し。 適当なところに電話をかけて、適当なメニューを注文する。 そうして、届くまで三十分くらいの空白の時間が生まれる。 やっぱりやることはない。 本を取りに行くのも億劫だし、庭で元気に動きまわれる身体じゃない。 話し相手になってくれる人物も居ない。 居るのは――― 「あ、ポチ」 黒毛の大型犬が、開けっ放しのドアからのそのそとぼくの部屋に入ってきて、そのままごろんと横になった。 居るのは、ポチくらい。 最初はすごく驚いた。 というより、あの日でろでろになって死んで、ぶつ切りにされたポチが、いつも通りのっそりのっそり歩いてたら、だれでも驚く。きっと。 触ってみると、あの日の通り。 もとい、あの日より前の通りのポチだった。 どうも、聖杯戦争ではNPCという形で参加者以外が再現されるらしい。 アーチャーの推測によれば、あのポチもNPCなんだって。死んじゃったはずなのに。 奇跡の安売りだね、なんて笑うとアーチャーは『戦う理由付けにはちょうどいいんじゃないでしょうか』と言っていた。 そんなもんなのかな。 ちなみに。 ぼくとポチは居るのに、何故かお父さんは再現されていなかった。 ぼくの財布の中にゴールドカードだけを残して泡のように消えてしまった。 でも、ぼくにはその理由が何となく分かる。 お父さんがいたら、ぼくはたぶん戦争なんか出来ずに死んじゃうだろうから、聖杯があえて再現しなかったんだろう。 それを、喜ぶべきなのか悲しむべきなのかはわからない。 少なくともぼくは、寂しい気持ちを持て余している。 お父さんはぼくのことをゴミクズみたいに扱ってたけど、それでもぼくはお父さんのことが大好きだったから。 「あーあ、哀しい」 時計の音だけが大きく響き渡る部屋の中、誰にともなく呟いた。 ポチのしっぽがパタンと揺れた。 ◇ 結局、宅配が届くまでの暇な時間はスマートフォンをいじって過ごすことにした。 検索からしばらくぶりに電源を付けたスマートフォンをよく確認すると、メールが届いていた。 誰にも番号を教えてないはずなのに、誰からだろうと訝しんでいると、成程ルーラーからの通達だった。 今朝手紙でも通達をもらってたのに、意外と几帳面だなぁ。 でも、もしかしたら、ぼくが今朝方電源をつけてなかったからわざわざ手紙の方でも送ったのかもしれない。 通達の内容が手紙の方と変わりないのを確認して、すいすいと液晶をスワイプする。 見るのは、朝方手紙では確認できなかった『聖杯戦争専用掲示板』というところ。 最初の最初に確認した時は、なんにも書き込まれてなかったけど、今はどうだろう。 液晶面を押し、ページにアクセスする。 少しのラグのあと、ページが開かれる。 そのページ、『掲示板』にはいろいろな話題が登っていた。 「うわ」 思わず声が漏れる。 なんかもう、やりたい放題だ。 真っ先に目に止まったのが『ファンクラブ』という場違いな単語。 開いてみると、一人の少女が聖杯戦争の参加者であると決めつけて文章が書きなぐってあった。 これも、アーチャーに見せるべきかなと考えたけど、まあいいやと割り切った。 呼び戻してまで見せるような情報じゃないし、令呪という餌が付いたフェイトの方が他の参加者も集まるだろうし。 次に目に止まったのが、その『ファンクラブ』スレで糾弾されている少女に語りかけているスレ。 知り合いだから、信用して。 信用して、私に会いに来て。 愛をこめてで締めくくる、長ったらしい演説。 「すっげーわざとらしさ。狡猾っての?」 彼女を誘き出して襲いかかるつもりなんだろう。 思わず笑ってしまうほど見え見えな手。アーチャーはあんまり喜ばなさそうな手だ。 それだけ見て、もう胸いっぱいになった。 掲示板を閉じて、それでおしまい。 スマートフォンをベッドのすぐ横に投げ、起こしていた身体をそのまま倒した。 寝過ぎたせいと、もともとの『汚染』のせいで少しだけ身体が痛む。 「愛をこめて、か」 ふと考える。 さっきの書き込みが。 愛をこめてで締めくくられていた長い文章が、もし、本当に『知り合い』からだったら? それはたぶん、奇跡。 いや違う。 奇跡ってのはここではわりかし安売りされてるから、たぶん奇跡とは違うなにか。 奇跡以外に何かそれにふさわしい呼び方があるとするなら。 それはたぶん。 ぼくがいつも言っている言葉で表すなら、『ぼくのためにすげーがんばってくれる、すっごくいいかんじの、ほんとの友達』ってやつなんじゃないだろうか。 友達のことを思って、是が非でも会ってやるって腹に決めて掲示板に書き込んだ文章なのかもしれない。 いろいろな不都合も顧みずに、ひたすらにその子のために頑張ってる人、なのかもしれない。 そう考えて、また少しだけ寂しくなる。 ぼくは目をつぶり、息を整える。 瞼の裏の真っ暗な世界には何もない。 お父さんも居ない。 痛みを伴って動き回る必要もない。 ただただ微睡んでいるだけでもいいこの世界。 一人ぼっちの世界の中心。 この広くて狭い金魚鉢の中。 ぼくはちょっとだけ、息苦しさを覚えて。 す、と浅く息を吸って目を閉じる。 ほんの一二秒だけ、泡が浮かばなくなる。 そんな息苦しさの中で思い出したのはひとつの単語。 ぷくりと一つ、泡が浮かぶ。 「安心って、なんなんだろう」 ぼくは一言そう呟いた。 これが、山田なぎさが目指すと言ってた安心なんだろうか。 これが、担任が必要だって言ってたらしい安心なんだろうか。 今のぼくの状況は、きっと、おそらく、一般的に言うなら安心だ。 安心ってことは、きっと誰にもなんにも邪魔されない。 ほんとの友達は居ないけど、代わりに敵が居なくて嵐も来ない。 世界が金魚鉢で、金魚鉢の中にぼく一人なら、それがたぶん、究極の安心。 たった一人の世界で、ぶくぶくと浮かび上がる泡を見上げながら、永遠にも似た時間をただひたすらに削りながら生きていく。 今のぼくによく似た状態は、『安心』って言っていいはずだ。 だとしたら、安心っていうのは、残酷だ。 言葉も、吐息も。ぼく自身も。 一人ぼっちで、泡になって消えていく。 ぼくの言葉を聞いてくれる人は、誰もいない。 生きているのか死んでいるのかすらもわかってもらえない。一人だけで終わる世界。 永遠の孤立。 それが安心。 安心って、本当は、意外と、残酷なんだ。 「安心って、なんなんだろう」 でも、思う。 こんな残酷なものが安心でいいのだろうか。 ぼくは、安心ってのがよくわからない。 山田なぎさも知らなかったみたいだけど、ぼくだってわからない。 わかるはずがない。 遠い世界の御伽話のようなものだ。 一生かかっても理解することの出来ない話。 だとしても、少なくとも。 世間一般で言う安心とか、担任が山田なぎさに伝えたかった安心は、少し違うような気がする。 安心って、なんなんだろう。 安心をどれだけ積み重ねれば、ぼくらは生きていけるんだろう。 「……安心、か」 でも。 よくわからないけど。 言葉じゃ説明できないけど。 この状況は、ぼくにとっての安心じゃない気がする。 そんな気がする。 ぼくにとっての安心っていうのがどこかにあるなら。 それも説明できないけど。 それはきっとは山田なぎさの隣にあった。 バス停に居る山田なぎさを見た時、自然と笑みがこぼれた。 二人で身を寄せ合った時、心の中が暖かくなった。 あのなんとも言えない不思議な気持ちに、ぼくは安心と名付けることにした。 こんな閉塞にも似た状況じゃなく。 心細くても、泣きたくなっても、脚が痛んでても。 それでも笑うことが出来た、山田なぎさの側に居たあの瞬間を、安心と呼ぶことにした。 . ぼくの思う『安心』が正解なのかどうかはわからない。 ひょっとしたら、まったくの勘違いかもしれない。 残酷な方がほんとの安心で、こっちはただの偽物かもしれない。 でもぼくは。 偽物だったとしても。 嘘んこだったとしても。 山田なぎさの隣で。 もっと『安心』していたかった。 「ねえ、どうなんだろ」 ぼくは遠くはなれてしまった安心に、言葉を放つ。 すべてが嘘っぱちだった人生。 現実にたどり着けずに消えてしまう作り物の世界。 嫌になるくらい絶望しかなくて。 未来なんてずっと先まで真っ暗で。 きっと嘘なんだと思いたかったこの世のすべて。 でもぼくは。 嘘ばっかりの人生で。 『実弾』じゃない生活の中で。 偽物にしてしまいたかったすべての中で。 たった一つだけ、『現実』を愛していた。 たった一つだけ、『安心』を愛していた。 「逢いたいよ、山田なぎさ」 現実の名前は、『山田なぎさ』。 ◇ 砂糖菓子の弾丸は、現実に微睡む。 ◇ 【Bー1/海野邸/一日目 午前】 【海野藻屑@砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない】 [状態]健康、空腹 [令呪]残り三画(内腿の青あざの中に) [装備]なし [道具]ミネラルウォーター入りペットボトル、おてがみ、スマートフォン [所持金]クレジットカード(海野雅愛名義のゴールドカード)、5000円分のクオカード [思考・状況] 基本行動方針:山田なぎさに会いたい 0.安心したい 1.アーチャーに全てを任せる 2.惰眠をむさぼる [備考] ※家にはポチが居ます ※すぐに出前が届いて空腹ではなくなります。 ※NPC海野雅愛が存在するかどうかは不明ですが、少なくとも海野邸には出入りしていません。 ※掲示板を確認しました。少なくとも江ノ島のスレと大井のスレは確認しています。 ――― 好きって絶望、か。 そうやって、あいつの言葉を一度だけ繰り返す。 ――― ◇ 結局、いつリスクを背負うかなんだ。 戦争は遊びじゃない。 危ない橋を渡らなければ生き残れない。 じっと隠れてて生き残れるほど、私もアサシンも強くない。 いつかは戦場に立たなければならない。 いつかは危険に身を晒さなければならない。 じゃあ、いつリスクを背負うべきか。 「それが今、ね」 アサシンがクッキーを一枚口に放り込み、もそもそと咀嚼しながら答える。 私達は何を持ってもまず『他の組との接触』が重要。 アサシンが力を蓄えるには、それしか道がない。 中盤、終盤になれば他の組を警戒する組も増えてくる。 つまり、暗躍するなら今を置いて他にない。 幸い、アサシンには『気配遮断』というスキルがある。 情報収集、影打ちなど、暗躍するには持ってこいのものだ。 「だから、別行動するの?」 「別ってほどじゃないよ。そこ100mか、200mか、そのくらい離れるだけ」 あまり離れすぎるのは危険だ。 アサシンが見つからなくても私が狙われるとそれだけで状況が悪くなる。 学校全部を破壊する!みたいな危険思想の奴が現れた時に離れすぎてたらそれで終わり。 だから、あまり離れず学校の周辺を見張るくらいにとどめておく。 「ふうん……悪くないね」 アサシンが残酷なほど可愛らしく微笑んだ。 幸い、この周辺には主要な機関がいっぱい集まっている。 私が通っている中学校に加えて小学校、高等学校、更にはフェイト・テスタロッサ受け渡しの場所である図書館まで集まってる。 これだけ集まってれば、一組二組は警戒心の薄い主従を見つけられるだろう。 もしかしたら、フェイト・テスタロッサを巡って勃発する争いの被害者を運良く発見できるかもしれない。 そうなれば、アサシンにとっては好都合だ。 「じゃあ、行ってくるよ。令呪なんか残してても意味ないから、なにかあったらすぐ使って呼んで」 「言われなくても」 アサシンが人間離れした身体能力で飛び上がり、ベランダを足場にひょいひょいと屋上まで登っていく。 それを見届けたあと、私はその足で朝の委員活動に向かった。 ――― 委員としての活動は特別なものじゃない。 振り分けられた場所の簡易清掃だけだ。 校舎の裏手に立っている目的地までは数分もかからなかった。 鍵を回す。番号は「0527」。 記憶を取り戻して、ここに来て、この鍵を見た瞬間、番号なんて一発で分かった。 油切れの蝶番がぎしぎし軋み、『それ』が音に反応して一斉にこちらに注意を向ける。 その程度の注目なんて気にするほどのことじゃない。 一枚目のドアを抜けて。 囲いの中のものたちが逃げ出さないようにと用意してある二枚目のドアも抜けて。 ようやくそこに到達する。 『それ』は私が入ってきてもさほど気にせず、じっと壁のほうだったりなにもない方だったりを見つめたまま身じろぎもしない。 私にとってもこれがルーチンだったように、彼らにとってもこれはルーチンの一部となっているんだろう。 耳の長い、もこもことした『それ』を踏まないようによけながら、掃除道具の入ったロッカーから箒を取り出す。 そして、その小屋の住人たちに断りもせずに掃き掃除を始めた。 なんてことはない。 飼育小屋の掃除だ。 NPC時代、私はここに呼ばれる前から引き続いて飼育委員をやっていたのだ。 信じられないことに。 ずっと不思議だった。 なんであんな嫌な結末をたどったのに、NPCの私は懲りずに飼育委員なんかやってたのか。 ご丁寧に鍵番まで「0527」とお馴染みの番号にして。 でも、その答えも、記憶を取り戻して一日が経ち、二日が経ちと状況を整理する内になんとなくわかった。 きっかけは、あの日友彦が出した問いかけだ。 情報交換も兼ねて何の気なしにあの問題をアサシンに出して、アサシンが迷わず『逢いたくて』と答えた時に、頭のなかでパーツが少しずつ少しずつ組み上がっていった。 妻が我が子を殺した理由についての問い。 正解は『逢いたくて』。 妻はこう考えた。 同僚は夫の葬式に来た。 葬式が設けられれば、同僚は来る。 誰かが死ねば、もう一度葬式が設けられる。 だから、殺す。 『逢いたくて』殺す。 葬式自体になんの繋がりもないと気づかずに殺す。 その選択で、幸せな結末が訪れると信じて殺す。 子どもが邪魔になったから、なんてありきたりな理由ではなく、ただ純粋に『逢いたくて』殺す。 ぼんやりと考えていて、ぼんやりと辿り着く。 NPC時代の私が飼育委員を投げ出さず飼育小屋に足繁く通っていたのも、きっと理由は一つ。 認めたくないけど、きっとその答えは、平仮名でも漢字でも五文字。 言葉でどう取り繕っていても、心の底では願っていたんだろう。 記憶もないNPCのくせに。 感慨もないNPCのくせに。 ずっと。 ずっと。 待っていたんだろう。 初めて言葉を交わし、忘れられない思い出ばっかり深々と刻み込まれた飼育小屋。 ここでこうしていれば、いつかあの陸に不慣れな人魚が、水をぐびぐび飲みながらやってくるんじゃないかと。 「痛ぇ、痛ぇ」と整った顔に不釣合いなセリフを口にしながら片足を引きずってやってくるんじゃないかと。 そうして、こちらに気づいたそいつが、手に持っている空のペットボトルを投げてくるんじゃないかと。 にやにや笑いながら「山田なぎさがいたぁ」と、人の気も知らないで、えっちらおっちら歩いてくるんじゃないかと。 そう思って、NPCのくせに、ずっと、ずっと、待っていたんだろう。 馬鹿げた話だ。 繋がりもないのに、繋がりを信じて。 そんな選択に意味があるはずもないのに、恵まれた結末を信じて。 逢いたくて。 逢いたくて。 陸の上で泡になった人魚を待っていたのだ。 きっと。 私は。 ―――朝焼けのなか 海をみていた 君をみつけた 夢みたいに きれいな人魚 一瞬だけで 消えたから ぼくはこの海に 何度もやってくる 君を捜しに…… 頭のなかに、あの歌が流れる。 ロマンチックな歌詞をした一番だけが流れる。 その歌を歌っているあのいけ好かない男の姿を思い出す。 なぜ殺したのか? Because I miss you/『逢いたくて』。 一般人にはたどり着けないその答え。 海野雅愛にはその答えがわかっていた。 そんな純粋で狂気的な『好き』を、一途で眩しい『絶望』を、知ってか知らずかぴたりと言い当ててみせた。 理解できない。そう思っていた。 ただの狂人の戯言だと、そう決めつけていた。 でも、実際にNPCだった頃の私は、その理解できない行動を取っていた。 誰に言われるでもなく、トラウマと言っても過言ではない場所に通い続けていた。 昔の私なら(少なくとも、海野藻屑と出会う前の私なら)絶対にしなかったはずだ。 そこまで考えて、少しだけ憂鬱になる。 私はひょっとして、あいつの言葉を借りるなら、『汚染』されてしまっているのかもしれない。 その『汚染』は、妻が男性に向けたような『愛』なんて高尚なものじゃないけど。 それでも、人生を狂わせるのには十分な、一発の『弾丸』。 回ってしまった毒はきっと、実弾主義の私に撃ち込まれた特大級の『砂糖菓子の弾丸』。 消えてしまった今では調べることも出来ない、正体不明の凶器。 効能はありもしない未来を夢見て忠犬のように待ち続けるようになる。それもどんだけ悪しざまに扱われようとずっと。おそらく、人類で最も悪質な毒。 実弾主義のリアリストだった私が。 海野藻屑と海野雅愛の放った不純物たっぷりの弾丸を胸に受け。 毒が回って。 汚染されて。 こんなどこともしれない土地で死んだはずのあいつの幻影を追っていたのだとしたら。 ありもしない幸せな未来を夢見て、夢破れて、夢見て、夢破れて、夢見て、夢破れて。 裏切られ、騙され、それでもじっと幸せな未来を夢見続けていたのだとしたら。 だとしたら。 だとしたら。 だとしたら? 私が汚染されているとしたら? 「……『好きって絶望』、か」 そうやって、あいつの言葉を一度だけ繰り返す。 あの日、あいつがぽつりとこぼした、何気ない言葉を。 そして問いかける。もう泡となって消えてしまったあいつに。 「……これが、あんたの見てた陸の上の世界? これが、あんたが言ってた『絶望』なの?」 いつまでも届かないと知りながら、それでもじっと待ち続ける。 ずっと、ずっと、いつか届くと信じて待ち続ける。 傷つけられ。 汚染され。 誰にも理解されず。 誰にも祝福されず。 裏切られ、 裏切られ、 裏切られ。 絶望して、 絶望して、 絶望して。 それでも幸せな結末を夢見て、砂糖菓子の弾丸を撃ち続ける。 「それが、あんたの言う『好き』だったの?」 今はもう溶けて消えてしまった砂糖菓子の弾丸に、届かぬ問いを投げかける。 それが本当なら、確かに『絶望』だ。 幸せなんてありはしない。 ただ、鬱々と、明けぬ夜の中で泣き続けるだけ。 どこまで行っても世界の闇が晴れることはない。 ただ、目を瞑って『偽物』にすがり、逃げ続けるだけ。 例え笑われても、例え傷ついても、何も聞こえぬ左側から悪しざまに言われていると知っても、ずっと、ずっと…… ヘタクソな字で書かれた『さよなら、もくず』という手紙を思い出す。 唇を噛みしめる。 絶望して、絶望して、絶望して、その結果が、あれだって? 「そんなの、納得できるわけ、ない」 少なくとも、私は納得出来ない。 そんな不条理、耐えられない。 申し訳ないが、私は海野藻屑ほどヤワじゃない。 そして、海野藻屑ほど逃げるのが上手じゃない。 だから私は、絶望してやるもんか。 待ち続けて、受け入れるのなんてまっぴらごめんだ。 クソッタレな世界を押し付けられるなんて反吐が出る。 暴れてやる。 絶望しろと世界が押し付けてくるなら、真っ向から立ち向かう。 あんたを殺したこの絶望ってやつに正面切って戦いを挑んでやる。 絶望するなら死んだあとで十分だ。 地獄であんたに会った後で、離れ離れの次は何をやっても離れられないってことに死ぬほど絶望してやる。 だから、それまでは、絶望なんてしない。 私の方から動き続ける。 漫然と待ち続けるんじゃあなくて、『聖杯』というゴール目指して。 みすぼらしくても、あざとくても、きたなくても、みっともなくても、おろかしくても。 最後の一歩まで、ゴール目指して進み続ける。 それが私の、山田なぎさの今放てる精一杯の『実弾』だ。 「だから、待ってて」 ―――朝焼けのなか 海をみていた 君をみつけた 夢みたいに きれいな人魚 一瞬だけで 消えたから ぼくはこの海に 何度もやってくる 君を捜しに…… リフレイン、リフレイン。 海野雅愛の、あの理解できない男の代表曲『人魚の骨』が頭のなかで繰り返す。 一瞬だけで消えてしまったきれいな人魚を捜しに、この海にやってきた。 それが一番の歌詞。 それから、二番で人魚と出会い彼女に手を伸ばして、三番でお刺身にして美味しく食べてしまう。 思い直しても酷い歌詞。だが、その一番の歌詞は、偶然、今の私にぴったりだった。 でも、あんな傷だらけの人魚は美味しくないだろうし、美味しくないものを無理して食べる趣味なんてない。 だから、私に必要なのは二番まで。 人魚を見つけ、手を伸ばす。 そこから先は……海野雅愛の作った物語ではなく、私の物語。 手を伸ばし、捕まえて。 人魚が投げようと右手に構えていたペットボトルを取り上げて。 そのペットボトルで頭をぽかりと叩いた後に文句のひとつもぶつけてやろう。 実弾主義の私に、砂糖をコーティングしてくれた『人魚』の奴に。 絶望して死んでいった、孤立無援の『空想』の奴に。 「逢いに行くよ、海野藻屑」 空想の名は、『海野藻屑』。 ◇ 実弾は、空想に酔う。 ◇ 【D-2/中学校・飼育小屋周辺/一日目 午前】 【山田なぎさ@砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない】 [状態]健康、若干憂鬱(すぐに切り替え可能) [令呪]残り三画 [装備]携帯電話、通学カバン [道具] [所持金]中学生のお小遣い程度+5000円分の電子マネー [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を手に入れて、海野藻屑に会う。 1.とりあえず、今は平常通り過ごす。 2.お人好しな主従と協調するふりをして、隙あらばクロメに襲わせる。 3.ただし油断せず、慎重に。手に負えないことに首を突っ込まないし、強敵ならば上手く利用して消耗させる。 [備考] ※掲示板を確認しましたが、過度な干渉はしないつもりです。 【アサシン(クロメ)@アカメが斬る!】 [状態]実体化(気配遮断)中 [装備] [道具] [所持金] [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を取る。 1.現状、マスターに不満はない。 2.アサシンらしく暗殺といった搦手で攻める。その為にも、骸人形が欲しい。 3.とりあえずおとなしく索敵。使えそうな主従を探す。 [備考] ※八房の骸人形のストックは零です。 ※気配遮断が相まってかなり見つけられにくいです。同ランクより上の索敵持ちで発見の機会を得られます。 BACK NEXT 012 燃えよ花 投下順 014 絶望少女育成計画Reflect 時系列順 BACK 登場キャラ NEXT 005 紅の夢 海野藻屑 023 シュガー・ラッシュ 008 砂糖菓子の朝はほろ苦い 山田なぎさ 025 過ぐる日の憧憬 アサシン(クロメ) 014 絶望少女育成計画Reflect
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399 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/12/25(金) 22 33 54 ID ??? 鳥取内で引っ付いた奴がいるんだが 待ち合わせ場所にいったらそいつらと俺しかまだ来ていなかったんだが 「今日は寒いね」 「私手袋してるから暖かいよー」 「俺も入れさせてよー」 キャッキャウフフ~ って馬鹿っプルを30分近く披露されて本当に困った マジで帰ろうかと思った・・・ もちろんその後、鳥取は崩壊した。 400 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/12/25(金) 22 45 28 ID ??? 399 セッション中にやったんならともかく、嫉妬乙 401 名前:(゜∀゜) [sage] 投稿日:2009/12/25(金) 22 55 31 ID ??? 399 仲良くしているぶんには問題ないんでないかい? むしろ仲間内で女子をめぐっての男同士のトラブルや、 告白して失敗して仲間関係にも戻れなくなったとか、 カップルが喧嘩して冷戦状態とかのほうがタチが悪いとゆーか、 危険度マックス。 412 名前:ジェシカ ◆yNyYgd0qaU [sage] 投稿日:2009/12/26(土) 02 46 16 ID ??? 399 なあ、よく俺はこういう状態に君たちを巻き込むが 正直うざいか? 見てるはずの君 416 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/12/26(土) 09 00 50 ID ??? 399 馬鹿ップルが同性だと仮定してみた 許せるが怖くなった 412 正直、よそでやってくれ 417 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/12/26(土) 09 24 50 ID ??? 412 セッションに持ち込まなければ別に。 ただ、普段からこういう事してる人たちはセッション中も無意識に2人だけの会話をしたりするので面倒。 TRPG中に他の人が割り込めない会話されると困る。 418 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/12/26(土) 10 09 14 ID ??? 417 ん?…いや、ちょっと待てよ…そこに割り込みたいのか? むしろそこは割り込めなくて、いや、割り込まなくて正解だろう 419 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/12/26(土) 10 58 59 ID ??? 割り込まなくて正解な会話されると困ると言うことだよ。 420 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/12/26(土) 11 03 49 ID ??? 416 ガチムチ兄貴二人がパンツ一丁で戯れていると考えてみよう。とても幸せな気分になれるだろう? 421 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/12/26(土) 11 26 40 ID ??? 418 419 たしかに困るなw だけど、誰かと誰かが話してる時割り込みたくなる奴の性格も考えてみると嫌だな 425 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/12/26(土) 13 51 05 ID ??? セッションはリアル恋人がキャッキャウフフする場所ではござらぬ。 426 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/12/26(土) 14 01 44 ID ??? セッション妨害レベルの脱線雑談になら、中断するよう割り込んで声をかける権利がGMにはあると思う 427 名前:NPCさん[sage] 投稿日:2009/12/26(土) 14 05 07 ID ??? むしろ義務じゃね? スレ249
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恋する妹は切なくてお兄ちゃんを思うとすぐHしちゃうの 661 名前: 名無したちの午後 投稿日: 03/07/27 12 59 ID ZPMKvLg0 恋する妹~~~は素足、ソックス、ニーソックスのバリエーションありで足コキあるな。 702 名前: 名無したちの午後 投稿日: 03/08/06 13 52 ID HW1U+Aoy 恋する妹(略に最強の足コキがあったのに、ここの反応は寂しいね。 704 名前: 名無したちの午後 投稿日: 03/08/07 00 06 ID msHfVVJn 702 いや、俺的にはスーパーヒットだったよ。 「ヘンタイなお兄ちゃん大好き」的な発言に心臓ワシ掴み。 ドキ姉みちるとはまたベクトルが違って(・∀・)イイ!! 664 名前: 名無したちの午後 投稿日: 03/07/29 13 14 ID UaEmI1My 663 脚コキシーンがあるのは千夏たん。靴下、素足、ニーソが選べる。 ょぅι゛ょに攻められるのが好きならオススメ 関連レス 734 名前: 名無したちの午後 投稿日: 03/08/14 23 56 ID 0C1XydGE なんか不安になってきたよ… みんなはどうかは分からないけど私的には足または手でこするたびにあげる男の軽いあえぎ声等もかなり重要なので、 このサンプルの主人公の「ウン、キモチイイヨ」みたいな冷めた反応じゃ全然ダメなのです もっと「うあっ!い…いいよ…!」とか「も、もう出そうっ…!」みたいな快感を証明するものが欲しかった… リトルモニカでもそうだったんだけどこの人のテキストってエロでも会話中心っていうか… 男も女もあえぎが絶対的に少ないよねえ 私的には核地雷になる可能性が大きいです… 752 名前: 734 投稿日: 03/08/16 22 05 ID 9lYBaWTT こういった表現があるゲームでは 恋する(略 、ドキ姉、歌月十夜?が私の中で最高のゲームです 恋すると歌月十夜は背徳感たっぷりで主人公感じまくりだし(後者は射精無しで激しく(´・ω・`)だけど) ドキ姉は同じく感じまくりでしかもマヨ手コキではコキ音もあり激しく興奮したし でもあえてこの中からNo1を決めるとしたらやっぱドキ姉かな 射精有りなら歌月十夜はNo1になる実力があるのにとても残念
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わるいろりこんをつうほうしました【登録タグ VOCALOID わ キモウトP 曲 歌愛ユキ】 作詞:キモウトP 作曲:キモウトP 編曲:キモウトP 唄:歌愛ユキ 曲紹介 僕は悪いロリコンじゃないよ。 歌詞 (作者ホームページより転載) 「こんにちは 可愛いお嬢さん」 嫌な事があって家を飛び出した あいつと出会ったのはそんな時のこと うさんくさい見た目 むかつく笑顔 解りづらい言葉 ヤツは不審者 ねぇ!あんた!通報するわよ! わかってるの?ねぇ?ねぇ?……ねぇ!? 「僕は悪いロリコンじゃないよ」 そんなことを言ってもただのロリコンじゃないの 何故か解らないけど笑顔になった 私の目線に合わせてしゃがむ 私が怒ると目を見て笑う 私が泣いたら頭を撫でる 馬鹿にしてるの?あいつはむかつく 思い出すと恥ずかしくなる あいつの言った気持ち悪い言葉 「世界一かわいいよ」 そんなことを言ってもただのロリコンじゃないの 何故か解らないけど嬉しくなった 「笑顔が素敵だ」 よく解らないけどあいつに会えないかと 家を出てみてとにかく歩いた 腹立たしいけどあいつのことが頭に浮かぶの なんでなの? おかしいよ あんなヤツのこと 好きなはずはない!ない?ないの!!! 「君の事愛してる」 そんなことを言ってもただのロリコンじゃないの 何故かわからないけどとても幸せ こんなヤツどこがいい?ただのロリコンじゃないの 嫌いと叫びたくても好きとこぼれた むかつくのに……どうしてだろう…… だいすき…… コメント ユキちゃん誑かされちゃらめえええ! -- 名無しさん (2011-01-23 10 20 44) ユキちゃん戻ってこい!お兄ちゃんのとこに戻ってこい!! -- 雑魚 (2011-01-23 10 49 05) ユキちゃん帰ってきてぇぇ! -- 名無しさん (2011-01-23 10 52 03) ユキちゃんCome back here! -- ゲシュタルト崩壊 (2011-01-23 13 00 40) これきいたことないんだけど、曲名でわらった! -- fate (2011-04-13 17 19 08) ユキちゃん帰って来てぇ! -- 名無しさん (2012-02-26 20 52 05) ダメだユキちゃん!!!!そいつは悪いロリコンだ! -- 名無しさん (2023-02-19 08 39 46) 名前 コメント
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先日、テレビを見ていたら南欧でたくさんの猫の世話をしている人が出てきました。その人が来ると、猫たちがどこからともなくたくさん集まってきます。その方は、もう10年も毎日のように猫のエサを持ってきて世話をしている、と話していました。それを見て思い出したのが、前の会社の同僚です。彼女の家には、20匹くらい猫がいました。どの猫も、拾った猫や迷い込んできた猫だそうです。たくさんの猫がいるために、旅行に行くこともできないそうですが、それでもとても幸せそうでした。猫中心の生活で、猫の爪で柱がキズだらけでも気にしないし、キャットタワーが狭い部屋で威圧感があっても我慢?しているそうです。猫は私も好きなので気持ちがわからないことはないですが、なかなかできることじゃないな、と思いました。 http //www.undadawg.com/
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律「そう…私は………澪の願いそのものだ」 澪「そんな…」 律「でも……もうすぐ私…」 澪「やめろよ…」 律「もうすぐ……私さ…!」 澪「いいからやめろって!!」 律「澪……」 律「澪…聞いて」 澪「嫌だ!いや……」 律「……今私がここに居るのは…澪が願ってくれたからだよ」 澪「……」 律「ほら、立って。顔上げて」 澪「……」 律「キレイだろ」 澪「…うん」 律「私達さ、思えばこの空で初めて合ったんだよ」 律「あのほんの一瞬……二人が出会って…願われて生まれた」 律「それってやっぱ奇跡だ」 澪「………」 澪「律……」 律「ん?」 澪「やっぱりさ、今日の……」 律「………」 澪「……ばか律」 澪「そのせいでお前…」 律「いいんだ…これは私の望んだことだ」 律「それに、ここまで持ったのも幸運なんだ」 律「けどもう……時間がない」 キラ キラ 澪「知ってたのか…こうなる事」 律「……うん」 律「もうすぐ…澪が……そんな事考えると、すっげぇ怖かった…」 澪「だからってお前が…!」 律「さっきも言ったろ?これは私の願いだって…」 律「最後に…皆とも話せて良かった」 澪「最後なんて…言うな」 律「…ずーっとさ、今まで側に居れて……私嬉しかった」 澪「!……」 律「軽音部の皆にも出会えて……本当幸せだったよ」 ドクン 律「……もう…なのか…」 律「……もっと話したかったのにな」 澪「…おい、律……!?」 律「じゃあ、心配だからもう一度言っておくぞ!私が居なくても幸せになること、いいな!」 澪「おい!…嫌だ!行かないでくれ……!私はお前が居ないと…ダメなんだぁ!!」 律「おいおい泣くなよ……澪は強い奴だ。長年連れ添ったこの私が言うんだから間違いない!」 律「約束破ったら化けて出やるからなこのヤロー!」 律「だから……強く生きろよ、澪」 澪「嫌だ!!律ぅううう!!!」 さよならだ― 澪「いやぁぁぁぁぁああ!!!!!!」 …… 母「澪ー!遅れるわよー。ご飯できたから食べなさーい」 澪「ん、うーん…」 ―リビング― 澪「お父さんは?」 母「もう出たわよ。今日は会議で早いんだって」 母「はい、どうぞ。今日はお母さん友達とご飯食べてくるから、帰り遅くなるわね」 澪「うん…」 ―休み時間― 澪(やっと終わった…)ガラッ スタスタ 「和ちゃ~ん、一緒にトイレ行こー!」 「シッ、声が大きいわよ!普通に言えばいいから…」 「えへへ…ごめんごめん…」 澪(私にはあんな風な友達居ないな…) 澪(……) ―下校時間― 澪(今日も無事終わった…帰ろ) 「第二音楽室」 『この道はいつか来た道―』 澪(………) 顧問「それじゃあ一旦休憩」 生徒達「はーい」 ガチャ 「あら?」 澪「あ…!」タッタッタ… 生徒「誰?いまの人、知り合い」 「いえ…どなたかしら」 ―帰り道― 澪「ハッ、ハッ……はぁ」 澪(私何してるんだろ…) 澪「…帰ろ」 てくてく てくてく… …… … ―1年後― 母「澪も、明日で桜高卒業だね」 父「早いなぁ、ついこの前入学ようなのに」 澪「……」 母「どう、高校生活は。楽しかった?」 澪「うん。…まぁまぁ」 嘘だ―。 本当は毎日辛かった 話せる友人も 頼れる人も 誰も居なかった いや、本当は自分が心を開けないで居ただけだ… ―自室― バフッ 澪「もう寝よ…………ん?」 澪(卒アルか……) スッ パラパラ… 澪「ふっ…小、中と、相変わらずつまんなそうな顔」 澪(…なのになんだか暖かいものを感じる…) 澪(写真の私、こんなに寂しい顔してるのに) ズキッ 澪(あ…あたま痛っ……) パタン 澪「もう止めだ。寝よう」 澪「………zzz」 あれ… なんだこれ…… どこだ ん?…あれはギター、あれは…キーボード? 音楽室か… あ、紅茶のいい香り 懐かしい……気がする あっ、誰か来る… あの子達楽しそうだな 私はこうして窓の外から見つめるだけ 自分で出たのだけど… 私もあんな風に………む? なんだろう、何か言ってる …え、私? 入ってもいいの…? いいのかな…… お、おじゃましまーす… あぁ、やっぱりこの部屋… そうだ… …これだ 私の求めてたもの ずっと欲しかったのは これだ… 夢みたいな時間 いつまでも見ていたい …永遠に 皆懐かしいな 唯に…ムギに… 律…… 軽音部の皆……また会いたいなぁ…… ―キラリ ―朝― 母「澪ーそろそろ時間よ、起きて支度しなさい」 トントントン 母「おはよ、昨日はよく寝れた?」 母「そう…」 母「いってらっしゃい。車に気をつけてね」 ガチャ バタン ワイワイ ガヤガヤ スタ スタ スタ タッタッタッタッ スタ スタ スタ タッタッタッタッ 「澪ーーー!!」 「クラブ見学、行こうぜ!」 END 戻る