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90 :姉弟:バレンタイン by前スレ367 [sage] :2007/02/14(水) 19 10 35 ID GS4dNN5H 佐藤育に取っては、バレンタインという行事は、年に一度のビッグイベントの一つだ。他はクリスマスと正月である。 なにしろ、バレンタインは時に秘めがちな思いを持つ女性には絶好の機会であり、自身の思いを確かめる重要なときであるからだ。 チョコを作ったり、買ったりする。そしてそこで思う。コレをあげていいのか、あの相手にと・・・。そう言う葛藤の中、自身の暴走や思いの強さを持って行動する。 そしてまた自分に気づく。その思いの弱さ。その思いの強さ。 育の思いは、当然強いものだった。 彼女が弟にチョコをあげたのは、中学1年の頃。授業で作ったのをあげたのが始まりだった。 それからはまるで惰性の様に続いているが、受け取る方はともかく、作るほうは真面目だった。 育は材料を買い、その梱包を一つ一つ解いて行った。銀紙を破り、チョコを砕く。溶かし少量のミルクを加える。 くどいチョコは好みではない。ミルクの味は強すぎない方がいい。彼女なりの経験から出された結論だった。 攪拌しているとき、育は少し振るえた。 日常の料理を作るではない、違う感覚。特別なものを作ってる自負。 弟にあげるチョコレート。 甘い甘い、私の味のチョコレート 佐藤伸がコンビニに久しぶりに入ると、店の一角にはチョコにチョコがあふれている事に気がついた。 腕時計を見て、なるほど、今日はそう言う日なのか。と理解する。2月14日。バレンタイン。 しかし、彼にとってバレンタインと言うものは、特別な意味を持たない。 幼少の頃から聞き及ぶ行事ではあれど、世間一般でその対象になったことはなく、自身もそれを当然と捕らえていた。 ただ、バレンタイン戦車ってのがあったな。と言うのを思い出すための日。その程度の日だった。 ちなみに、彼がゴリアテ自爆有線戦車を思い出すのはなぜか9月1日である。 コンビニを後にして、車のイグニッションを捻る。直6シングルカム3キャブレターのエンジンがうなりをあげる。 つながる綺麗な音。ロータリーなどとは違う回転感。やはり直6はいい。ココロが洗われる。 時計を見れば夜の7時。 今日がバレンタインと言うことならば、姉はチョコを作って待っているということになる。 こう言う日は何かと早めに帰った方がいいのだが。伸はS30Zに耳を傾けた。 普段は変化の無い顔を少し笑わせる。少し乗ろうか、首都高に。 91 :姉弟:バレンタイン by前スレ367 [sage] :2007/02/14(水) 19 12 28 ID GS4dNN5H 7時50分頃。 そろそろ弟が帰ってくる頃だと、育はエプロンを脱いだ。 家事を一段落下と言うことで、椅子に座り、安堵のため息を付いた。 テーブルには夕食がすでに準備してあり、チョコレートも冷蔵庫に叩きこんである。 残念だが、漫画のような「私を食べて」などという事はしない。溶けたチョコは熱いのだから。 そんな事を考えていると、携帯のアラームが鳴った。午後8時。普通なら、もう帰って来ているはずだ。 仕事や渋滞で遅れるときは事前に連絡してくるから、そう言うことではないのだろう。 でもまだ帰ってこない。 メールを打つ。いまどこにいるの? 数分後、メールが来る。今帰ってるところ。 早く帰ってきて。 なるべく速めに帰る。 一度携帯を畳む。 聞こえないはずの、秒針が動く音が聞こえる。 カチ、カチ、カチ・・・・。 ちょっと遅くないかな? カチ、カチ、カチ・・・・。 おそいよ。 カチ、カチ、カチ・・・・。 おかしいよね。こんなに遅いんだから。 もう一度メールを打つ。 誰かとあってるの? 否、帰り道に居る。 カチ、カチ、カチ・・・・。 やっぱり遅い。 カチ、カチ、カチ・・・・。 遅いよ。遅い。 カチ、カチ、カチ・・・・。 遅い。 遅い。 遅い。 遅い。 遅い。 92 :姉弟:バレンタイン by前スレ367 [sage] :2007/02/14(水) 19 13 55 ID GS4dNN5H ひどいよ。お姉ちゃんはこんなに待ってるのに 聞きなれた音が、育の耳に入った。 今の車ではない特徴的な音。 弟が乗っている車の音だった。 やっと帰ってきた。 でも駄目、こんなに遅いんだもん。 少し、叱らないとだめだよね。 そう思って、育はフラフラと玄関へ歩いて行った。 時計は8時6分を指していた。
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705:姉弟の苦悩:2009/07/23(木) 19 29 25.68 ID 9zpUZur/0 「頼む! 協力してくれ」 いきなりそんなことを言われて、俺は大いに戸惑った。 ここはごく普通の中学校の教室だ。 そこで読書をしていた俺は、いきなりクラスメートに声をかけられた。 「なんだよ?」 とりあえず、視線を友人に向け、答える。 「協力だよ、協力! 俺は恋に落ちてしまったんだ!」 「はあ?」 さすがに呆れかえる。いくらなんでも唐突すぎやしないか。 そこで俺は、こいつはそういう奴だったなと思いなおし、落ち着いて問いかける。 「どういうことか、とりあえずちゃんと教えてくれよ。 そうしないと、何が何だか……」 「だからな」 そこで友人は少し間をおくと、俺にこういった。 「お前の姉ちゃんが好きになっちまったんだ!」 709 :姉弟の苦悩:2009/07/23(木) 19 33 42.24 ID 9zpUZur/0 「え、ええええ!?」 さすがに驚いた。まさか自分に身近な人の名前が出るとは考えられなかった からだ。 「ま、待てっておい! な、なんでお前がうちの姉ちゃんを?」 とりあえず、状況を把握しよう。落ち着くんだ、俺。 「きっかけは、今日くらい寒い冬のある日だったーー」 洒落た口調で、そいつは説明を始めた。 712:姉弟の苦悩:2009/07/23(木) 19 36 44.59 ID 9zpUZur/0 ※回想 「ううー寒いなあ。全く温暖化だってのに、どうして……」 ぶつぶつ言いながら、俺は町中を歩いていた。 その日は相当に寒く、道行く人の大半が寒そうなそぶりを見せている。 「しっかし、姉貴もひでえなあ」 そう。こんな寒い日に俺は外に出たくない。誰だってそうだろう。 しかし、俺は外を歩いている。なぜか? 鬼畜な姉貴が俺に命じたからだ。 714:姉弟の苦悩:2009/07/23(木) 19 44 35.60 ID 9zpUZur/0 「ねえ、ちょっと」 俺が自室で漫画を読んでいると、姉貴はノックもなしに俺の部屋に入ってきた。 「なんだよ、いつもノックしろってーー」 「ちょっと買い物に言ってきてくれない?」 俺の抗議を無視し、用件を切り出す姉貴。 「えー、今いいところなんだけど」 「別に帰ってからでも読めるでしょ? 前にあんたの試験勉強の面倒 見てあげた恩を忘れたの?」 「うっ……」 それを言われると弱い。 718:姉弟の苦悩:2009/07/23(木) 19 55 14.74 ID 9zpUZur/0 「私の試験勉強だってあったのに、あんたがあんなにも必死そうなーー」 「わ、わかった! 行ってくるって!」 俺は慌てて立ち上がると、姉貴は満足そうに頷いた。 「うんうん、それでいい。はい、ここに書いてあるものね」 というわけで、俺は外に放り出されている。 「はあー、暖房がきいている部屋でゆっくりと漫画を読んでいたかった」 ひとりごち、スーパーの袋を持ちながらとぼとぼと歩く。 そこで、前方から向かってくる人物に気がついた。 「おーす」 「あっ、どうも」 その人は、俺の友達の――そうだよ、お前のことだ――の姉だった。 そういう関係だったため、それなりには顔を合わせる機会があった。 「おっ何持ってんの?」 気さくに話しかけてくる、友達の姉。 俺は、まるで同級生の女子と話しているみたいだ、と錯覚する。 「スーパーの袋ですよ。買い物に出されてて」 「へえ、そうなのか」 少し考え込むそぶりを見せた。 723 :姉弟の苦悩:2009/07/23(木) 20 02 43.22 ID 9zpUZur/0 「よし、私が持ってやろう」 そして、おもむろにそんなことを言い出した。 「え、ええっ? そんな、悪いっすよ」 「いいっていいって。いつもうちの弟が世話になってるんだし」 ほらほら、と袋を渡すように促してくる。 俺は、ここまで言ってくれるんだから、と厚意に甘えることにする。 「よし。さて、行こうか」 袋を受け取り、歩き始める。 俺はそこで―ー (あれっ?) なぜか胸が高鳴っていることに気づき、驚く。 「ほらーどうした? 早く行こうぜ!」 明るい口調で俺を引っ張ろうとする、その人に。 俺はこのとき―― ※回想終了 726:姉弟の苦悩:2009/07/23(木) 20 08 18.47 ID 9zpUZur/0 「って、そんなことで!?」 いくらなんでも、唐突過ぎる! そいつは俺のそんな疑問に対して 「で、でもな。その時の俺は、確信しちまったんだよ!」 恋に落ちたんだってことを――と恥ずかしそうに続けた。 「うーん……」 俺は複雑な心境だった。 まさか、うちの姉ちゃんがそんなことで惚れられようとは。 「た、頼むよ! もうどうしようもないくらい、好きになっちまったんだ!」 そいつは興奮して、俺の肩を掴んできた。 729:姉弟の苦悩:2009/07/23(木) 20 15 21.10 ID 9zpUZur/0 「痛いっての。 とりあえず、具体的にどうしてほしいんだ」 そいつの手をどけながら、俺は問いかける。 ただ、協力協力と言われたところで、出来ることなんてない。 「そうだな……まず、きっかけを作りたい」 少し落ち着いたのか、先ほどに比べたら冷静な声でそう提案した。 「どうやって?」 「とりあえず、お前の方からそれとなく聞き出してくれないか?」 ――マジかよ。 まさかこともあろうに、俺が姉ちゃんにそんなことを? 「頼むよ! もうどうしていいのか、わからなくて……!」 手を合わせて、そいつは俺に拝み倒してきた。 738:姉弟の苦悩:2009/07/23(木) 20 26 13.26 ID 9zpUZur/0 俺はそんな姿を見ながら、考える。 (……普段からこいつには世話になってきたな) たとえば新作ゲームを買ったとき。 自分だけじゃつまらないから、と言って俺達にもそれをプレイさせてくれた。 たとえば、試験勉強のとき。 出来ることなら、と言って俺達の面倒を見てくれた。 (……決めた) 「なあ、本気だよな?」 俺はそいつを見つめて、問うた。 「えっ?」 「お前のその思いだよ。いいのか、本気だと思って」 「――勿論だ。この思いに嘘なんて、ない」 ドンと胸を叩き、真っ向から見つめ返してくるそいつを見て―― (……恩返しだな) 「わかったよ。協力しよう」 「――ありがとう。本当に」 俺たちは握手を交わした。 742:姉弟の苦悩:2009/07/23(木) 20 28 35.56 ID 9zpUZur/0 そして、この日から俺達の苦悩が始まることになる。 おっと、そうだ。自己紹介を。 俺の名前は、田井中聡。 こいつ――鈴木の友人であり、儚い恋の応援人だ。 753:姉弟の苦悩:2009/07/23(木) 20 45 18.24 ID 9zpUZur/0 その日、俺達は2人で家に帰っていた。 これからの対策をより具体的に練るためだ。 「とりあえず、俺は今日姉ちゃんにそれとなく聞いてみようと思う」 「おう、助かる」 「とりあえず、お前はどうする?」 うーん、と鈴木は思案する。 「ラブレター、とか考えてるんだけど」 「ラブレター?」 今のご時世に、そんな単語を聞くことになるとは。 757:姉弟の苦悩:2009/07/23(木) 20 51 21.09 ID 9zpUZur/0 「だ、だってよ。たぶん、俺もうお前の姉ちゃんとちゃんと向き合って 話せないと思うし」 ……驚いたな、ほんとに。 こいつの、あらゆることに積極的な面しか見ていなかったせいか こうした態度を見ると驚いてしまう。 「そうだな。最初はそこからかもしれない」 だけど、と俺は続ける。 「いずれはちゃんと向き合って告白することになるんだぞ。 そのときのための度胸は身につけておけよ」 「ああ、わかってるさ」 よし。 762:姉弟の苦悩:2009/07/23(木) 20 59 33.15 ID 9zpUZur/0 「ただいま~」 鈴木と別れ、俺は家に着いた。 郵便受けを確認して新聞を取り出し、昔ながらのガラガラドアを開ける。 そして、自室に向かって歩き出した。 (しかし、うまくいくもんかな?) 階段を上がりながら、俺は思案する。 姉ちゃん――田井中律――の空気の読みっぷりは弟の俺から みても凄い。そういう面では憧れてしまうくらいだ。 ただ―― (自分のことには鈍感なんだよなー) 制御ができない、というか。 以前、姉ちゃんが風邪をひき倒れてしまったことがある。 768:姉弟の苦悩:2009/07/23(木) 21 06 33.90 ID 9zpUZur/0 「全くなんで風邪なんてひいてんのさ」 その日、姉ちゃんはベッドでぐったりとしていた。 「ひ、ひいちまったもんは、仕方ないだろ……ごほっ!」 話してる途中でせき込んでしまう。 「お、おい。大丈夫かよ」 俺はそんな姉ちゃんの背中をさすりながら、考える。 (……澪姉ちゃんと何かあったのかな?) 澪姉ちゃんとは、姉ちゃんと昔からの親友だ。 スタイル抜群で、モデルのような容貌である。 姉ちゃんがこんな風になるのには、大抵澪姉ちゃんが関係していることが多い。 「……何かあったら、俺に相談しろ、っていっつも言ってるのによ」 つい不満が言葉になって出てしまう。 771:姉弟の苦悩:2009/07/23(木) 21 12 53.99 ID 9zpUZur/0 「……はは~ん」 はっと気づくと、姉ちゃんはニヤニヤした目で俺を見ていた。 「へえ~、聡くんは寂しかったんだねぇ~」 「な、何言ってんだよ!」 「ムキになって否定するところがまた怪しいですなあー」 「うっ!」 駄目だ、姉ちゃんには勝てない。 「も、もう元気なんだな!? 俺は学校に行ってくるから」 鞄を持って部屋の外に出ようとする。 「じゃあな、テーブルの上の薬、ちゃんと飲んでおけよ!」 そう言ってドアを閉めようとしているときに 「―ーありがと」 声が、聞こえた。 その声は、とても優しい響きを帯びていた。 俺は立ち止まり 「――あんまり心配かけんな、バカ」 ドアを、閉めた。 785:姉弟の苦悩:2009/07/23(木) 21 22 16.25 ID 9zpUZur/0 (……あの後、元気になったから良かったものの) 思い出しながら、照れくさくなる。 (……あんなんでも姉なんだし、な) 部屋についた。ドアを開けて、中へ。 「たっだいま~」 明るい声とともに、誰かが家に帰ってきた。 俺は勉強の手をとめ、玄関まで行く。 「聡、おーっす!」 「おう、お帰り姉ちゃん」 田井中家のしきたりとして、誰かが帰ってきたら見送りに行くというのがある。 「は~疲れた。私、風呂入ってくるね!」 バタバタと風呂場へ行く姉ちゃんを見て、俺は嘆息する。 (いったい、鈴木はどこに惚れたんだか) 794 :姉弟の苦悩:2009/07/23(木) 21 31 32.07 ID 9zpUZur/0 「あー、いい気持ち♪」 俺が部屋でCDを聞いていると、風呂上がりの姉ちゃんが俺の部屋に入ってきた。 「……ノックしろって、いっつも」 「あっ、この曲は」 聞いちゃいない。やれやれと俺は頭を押さえた。 「天体観測、だよ」 「言われなくても知ってるって。いい曲だよね~」 姉ちゃんは足でリズムをとりながら、言う。 ドラマーの性、なのだろうか。 「でもさー、これって失恋の曲って説がなかったっけ?」 姉ちゃんはリズムを取りながら、俺に問うた。 失恋、という言葉にドキリとする。 801 :姉弟の苦悩:2009/07/23(木) 21 36 25.89 ID 9zpUZur/0 「ほら、この君ってのがさ。昔の恋人だとか、友人だとか。 はたまた、もう死んでるとか」 「へ、へえ。それは知らなかったなあ」 鈴木のことを心配していた。 ――あいつ大丈夫かな? 協力するといった手前、出来ることはするつもりだけれど。 「ところで、何か用?」 「んっ? え~とね、何となく!」 きっぱりと言い放つ、田井中律。 「……まあいいや。ところで」 これは、自然な流れで切り出すチャンスかも。 「んっ、なに?」 808:姉弟の苦悩:2009/07/23(木) 21 41 49.05 ID 9zpUZur/0 「え、えっと」 どうすればいいか、迷う。 姉ちゃんがじっとこっちを見つめているのを感じる。 「ね、姉ちゃんさ」 「うんうん」 「今、好きな人っているのか?」 言ってから、気づく。 全然「それとなく」じゃねえよ、これ! 「えっ!? わっわたし?」 案の定というべきか、姉ちゃんはしどろもどろになってしまっていた。 「い、いや! 別に答えたくないならいい、けど」 俺も戸惑ってしまう。 やばいな、早速失敗か? 821:姉弟の苦悩:2009/07/23(木) 21 53 01.38 ID 9zpUZur/0 「……今は、いない、かな」 顔を赤らめながら、姉ちゃんはそう言った。 「そ、そうだよな。女子高だもんな、姉ちゃんの学校は」 そりゃ、いたらいたで怖いか。 「……つーかさ、何でいきなりそんなことを?」 俺の顔を覗き込みながら、姉ちゃんは訊いてきた。 「な、なんとなくだよ! なんとなく!!」 「ふーん?」 どこか納得のいかない顔をしながら姉ちゃんは黙り込む。 いまだに部屋に流れている「天体観測」がシュールだ。 会話が止まってしまった。 「……もう一つ、聞きたいんだけど」 俺はこの沈黙を打破すべく、質問をすることにした。 「んっ? な、なに?」 まだ少し動揺しながら、姉ちゃんは応じた。 「俺の友達、覚えてる? 鈴木ってやつなんだけど」 「鈴木くん……?」 うーんと考え込んだ後、ポンと手を打つ。 「あ、あの子ね! いい子だよねー、何事にも一生懸命っていうか」 829 :姉弟の苦悩:2009/07/23(木) 22 00 15.22 ID 9zpUZur/0 良かったな、鈴木。印象は悪くなさそうだぞ。 「うん、あいつ優しいんだぜ」 俺は姉ちゃんにあいつの長所を色々と教えた。 ゲームのこと、勉強のこと……挙げてみると結構多いことに気づく。 「へ~、凄いじゃん。 ……聡はいい友達を持ったね」 姉ちゃんは優しい目で、俺を見つめていた。 ――うっ、この目には弱いのに! 「じゃ、じゃあさ! 次は姉ちゃんの友達のこと聞かせてよ!」 対応に困り、俺はそう希望した。 「いいよ~、いくらでも聞かせてあげる」 にっこりと笑って、姉ちゃんは言った。 522:姉弟の苦悩:2009/07/24(金) 22 08 13.95 ID wDEBQq0Y0 そして、姉ちゃんは自分の部屋へといったん戻り再び俺の部屋へとやってきた。 「はい、これ」 これは――プリ帳、というやつか。 「男子禁制なんじゃないのか?」 「なにいってんのさ。さ、見るよ」 俺の突っ込みを流し、早速開き始める姉ちゃん。 「まず、この子が平沢唯」 めくられたページにはボブカットが良く似合うギターを持った 人が写っている。 「へ~、かわいい人だね」 俺は第一印象を素直に口に出した。 「だろ~? 私とはよく気が合うんだぜ」 へへっと笑う。 そして、プリ帳をペラペラとめくっていく。 529:姉弟の苦悩:2009/07/24(金) 22 11 33.48 ID wDEBQq0Y0 いろいろな写真が写っている。 水着姿の唯さん、浴衣姿の唯さん、お菓子を食べながら両手で ピースをしている唯さん―― 「色々とあるんだね」 「そりゃー、私とある意味一番仲が良いとも言えるからね~。 ほい、次、と」 唯さんのページが終わったらしく、次に出てきたのは俺が良く知っている 人だった。 「澪姉ちゃんじゃないか」 「おっ? よく覚えてるね~、聡君」 「よく覚えてるも何も、姉ちゃんの大親友じゃないかよ」 549 :姉弟の苦悩:2009/07/24(金) 22 35 30.09 ID wDEBQq0Y0 「そ、そう言われると照れるな~」 姉ちゃんは、いやーあはは、と頭に手をやった。 「……で、続きは?」 「おおっと、そうだそうだ」 なんだろう、澪姉ちゃんについて話すときの姉ちゃんはどこか―― 「これが合宿の時の」 558:姉弟の苦悩:2009/07/24(金) 22 40 23.23 ID wDEBQq0Y0 「えっ?」 少しぼんやりとしていたのか。 姉ちゃんが開いているページは―― なぜか、眠りながらパンチラをしている澪姉ちゃんの姿が。 「って、何見せてんだよ!」 「おっ、かわいい反応~。 聡くん、ウブですなあ」 「うっせえよ! つーか、ページ変えろ、今すぐ!」 「はいはいっと」 姉ちゃんはかわいいやつ、などと言いながらページをめくり始める。 ――いつまでたっても、言い負かせないような気がしてきた。 「まあ、澪のことは聡も知ってるだろうからこれ以上はいいとして」 そして、姉ちゃんは次のページを。 567:姉弟の苦悩:2009/07/24(金) 22 44 49.75 ID wDEBQq0Y0 次に出てきたのは、金色のロングヘアーの人だった。 「……きれいな人だな」 「おおっ! 聡も分かってるねえ」 琴吹紬――それが名前らしい。 「私たちはムギって呼んでるんだけどね。いや、そっちのが呼びやすいし」 ペラペラとページをめくる。 彼女の写真もバリエーションに富んでいた。 というか―― 「なんでチャイナ服着たり、ナース服着たりしてんの?」 「えっ、そりゃまあ……」 少し考え込み 「――部活、かな」 「軽音部だろ!? ど、どうしてコスプレしてんだよ!」 「おやまあ、コスプレなんて言葉を知ってるのかい? 思ったより、成長してるねえ~」 薄気味悪い声を出してきた。 ――やめよう、姉ちゃんに突っ込みなんて。こっちが痛い目を見るだけだ。 572:姉弟の苦悩:2009/07/24(金) 22 50 13.30 ID wDEBQq0Y0 「――で、次が」 姉ちゃんは、さらにページをめくっていく。 そこに、一人の少女がいた。 「……えっ?」 「ああ、この子だね。新入部員の中野梓。 小さくて、可愛いでしょ~」 姉ちゃんが黄色い声を出している横で、俺は愕然としていた。 「この子ねえ、いっつも一生懸命なんだよ。それがまた見てて、微笑ましくてもう。 ……どしたの、聡?」 姉ちゃんの声のトーンが変わった。 ――ほんとに空気を読むのがうまいな。 憧れるよ、ほんと。 579 :姉弟の苦悩:2009/07/24(金) 22 53 14.37 ID wDEBQq0Y0 「……せん、ぱい」 「えっ? ど、どういうことよ?」 姉ちゃんもさすがに困惑気味だ。 まあ困るのも無理ないか、とどこか他人事のような気分。 「さ、聡? いったい、どういう」 「中野……先輩」 586 :姉弟の苦悩:2009/07/24(金) 22 57 04.89 ID wDEBQq0Y0 俺が今日軽音部について姉ちゃんに質問したのには理由がある。 鈴木の恋、のためだ。 だから、軽音部での姉ちゃんの立ち位置を明らかにしておきたかったのだ。 しかし。 「――出来れば知りたくなかったなあ」 「えっ? ど、どゆこと?」 しどろもどろになる姉ちゃんをじっと見つめる。 「その中野梓先輩は」 「う、うん」 「俺の初恋の人なんだよ」 594:姉弟の苦悩:2009/07/24(金) 23 01 57.60 ID wDEBQq0Y0 ちょっとした回想に耽る。 ――き、きみ。大丈夫? 春。桜はまだ咲いていただろうか。 ――頑張れ 夏。蝉がわんわんと啼いていた。 ―――― 「おい、聡! 大丈夫か!?」 「……えっ?」 俺は姉ちゃんに揺さぶられていた。 とても心配そうな顔をしている。 「心配したんだぞ。いきなり、死んだような目をするから」 「あ、ああ……ごめん」 どうにも、慣れそうにもない。 やはり、重すぎたか。 「で、あの、さ。初恋の人ってのは……」 「姉ちゃん」 「な、なに?」 「……自分で言っておいてなんだけど。その話はなしで」 自分勝手な要求だとは分かってる。 それでも、だ。 599 :姉弟の苦悩:2009/07/24(金) 23 04 10.46 ID wDEBQq0Y0 「……わかった」 姉ちゃんはあっさりと引いた。 こう見えて、人のデリケートな部分に無理に踏み入ろうとしない。 (こういうところは姉らしいよなあ) 俺はそんな姉ちゃんを誇りに思う。 空気が重くなってしまった。 俺のせいだろう。少し、姉ちゃんに申し訳なく感じる。 603 :姉弟の苦悩:2009/07/24(金) 23 09 30.00 ID wDEBQq0Y0 「……なあ、聡」 姉ちゃんが俺に語りかけてくる。 「あんたに何があったのか、私はよく分からないし知らない方がいいんだろ。 でも、さ」 姉ちゃんは胸をドン、と叩き 「――困った時は私を頼れっていつも言ってるだろ?」 どこかで聞いたことのある台詞を、力強く言い放った。 605:姉弟の苦悩:2009/07/24(金) 23 13 35.80 ID wDEBQq0Y0 それは、いつか俺が姉ちゃんに言った台詞。 (……あれ?) 俺は、なにか目頭に熱いものを感じた。 それは、止まらなかった。 「姉ちゃん……姉ちゃん……っ!」 気がつくと、俺は姉ちゃんにすり寄ってわんわんと泣いていた。 とめどなく落ちてくる涙の粒。 姉ちゃんはそんなみっともない俺を優しくなでてくれた。 「よしよし」 たったそれだけの言葉だったのに、そこにはとてつもない温かみがあって。 俺は、自分の感情を止めることが出来なかった。 606:姉弟の苦悩:2009/07/24(金) 23 18 40.26 ID wDEBQq0Y0 「――気が済んだか?」 姉ちゃんは優しく俺にそう訊いてきた。 「こっち向いてくれよ~」 「う、うっさい」 そう、俺は今姉ちゃんの顔をとても見ることができそうにない。 恥ずかしすぎる……俺もう、中2だぜ。 「こんな風になるのなんて、いつものことじゃん」 「もう一年前に卒業したつもりだったんだよ!」 これからは、俺が姉ちゃんを支えてやんなきゃいけないのに。 あの時の看病で、少しは成長できたと思ってたのに――! 「情けねえ……」 607 :姉弟の苦悩:2009/07/24(金) 23 22 17.30 ID wDEBQq0Y0 でかい、溜息をついてしまう。 「聡……」 姉ちゃんが隣に来たらしい。声がやけに近くで聞こえた。 「無理に背伸びしようとしなくていいんだぞ。私だって」 あんたがいなきゃ、やってけないんだからな――。 「ねえ、今めちゃくちゃ恥ずかしいこと言わなかった!?」 流石に隣を向いてしまう。 そこには、何故か―― 「だ、だってよー! こうでも言わないと聡振り向いてくんないんだもん!!」 顔を赤らめている姉ちゃんの姿が。 610 :姉弟の苦悩:2009/07/24(金) 23 26 36.10 ID wDEBQq0Y0 まさか、これはチャンス? 「へえ、姉ちゃん弟相手に顔赤らめんのかよー?」 にやにやといたずらっぽく笑いながら言ってやる。 「な、慣れないんだから仕方ないだろ!? 私の学校女子高なんだし!」 「ふーん、いくら女子高だからって弟にそれじゃなあ。 他の男と話すときどうすんだよ?」 「は、はあ!? そんな心配する必要ねえよ!」 しどろもどろになっている姉ちゃんを見てると―― (ああ、新鮮だなあ) 優越感に浸ることができる。 617:姉弟の苦悩:2009/07/24(金) 23 31 13.08 ID wDEBQq0Y0 「まあ、それでも姉ちゃんは姉ちゃんだけどな」 一瞬でも優越感に浸りたかっただけなので、俺はそろそろ追い討ちをやめる。 姉ちゃんが本気で顔を赤らめているようにも見えたからだ。 「ど、どういうことだよ?」 まだ慌てた素振りを見せている姉ちゃんに、俺は言ってやる。 「いないと困る、ってことだよ」 ――やべえ、言ってるこっちが恥ずかしくなってきた! まずい、作戦は失敗だ。こんなことを言ったら黙っている姉ちゃんじゃない! 624:姉弟の苦悩:2009/07/24(金) 23 35 35.06 ID wDEBQq0Y0 『ははーん、聡くんまだまだだねえ』 なんて言ってくる姉ちゃんの姿が簡単に想像できる。 くっ、この詰めの甘さが俺と姉ちゃんの差ってことか! 俺が姉ちゃんの反撃に備えていると 「――なんだ、私と同じじゃん」 その言葉に驚き、つい姉ちゃんの顔を見てしまう。 姉ちゃんは優しく微笑んでいた。 631:姉弟の苦悩:2009/07/24(金) 23 42 15.02 ID wDEBQq0Y0 「ありがと、聡。それは素直に嬉しいよ」 「えっいや、あの」 なんだこりゃ? 予想してたのと全然違う! 「いつの間にか、そんなことを言えるほどにまで成長してたんだな」 しみじみと語る姉ちゃん。 まずい、むしろこっちのが恥ずかしい! 「そ、そろそろ出てけよ! 俺明日の宿題するんだから!」 ベッドから立ち上がり、勉強机に向かう。 「え~、まだ話そうぜ~」 姉ちゃんは不満そうな口調で文句を垂れる。 「俺には宿題があるの! 邪魔すんな!」 それを一蹴する俺。 「むーっ、じゃあいいよつっまんねえの!」 そんな子供っぽ声を聞きながら、俺はこれでいつも通りだなと思った。 645:姉弟の苦悩:2009/07/24(金) 23 50 12.23 ID wDEBQq0Y0 「じゃーな、姉ちゃん。もう来るなよ」 「へっ! つれない弟となんて話すことなんてありませんよーだ!」 どこまでも子供っぽい口調の姉ちゃんに苦笑する。 (ほんと、どれが本当の姉ちゃんなんだろうな?) 「――聡」 姉ちゃんの口調がまた変わった。 俺はついドアの近くにいる姉ちゃんの方を向いてしまう。 「勉強、ガンバ」 それだけ言って、逃げるように部屋を去っていった。 (ああ……) ドアが閉まる音を聞きながら、俺はさっきの問いが いかにつまらなかったかに気づく。 (どれが本当かだって?) 全部、に決まってるじゃないか。 847:姉弟の苦悩:2009/07/25(土) 01 35 24.09 ID STmy37ZO0 チュンチュン―― 「……」 がばっと起きる。 小鳥の声で目が覚めるとは思わなかった。 「……よく眠れなかったってことだよな」 昨日の夜。 鈴木のこと・姉ちゃんのことを考えていると頭が煮詰まってしまったのである。 (たしかに鈴木を応援すると言ったのは俺だけど……) (姉ちゃん、OKするかな?) (そ、そりゃ俺は別に姉ちゃんが誰と一緒になっても――!) 852:姉弟の苦悩:2009/07/25(土) 01 37 25.85 ID STmy37ZO0 「……あ~、思い出したくねえ」 姉ちゃんはたしかに頼りになる。 が、それは決して恋愛対象とかそーいうところにはつながらない。 断言できる。 「それなのに」 なんでこんな複雑なんだ……? 861:姉弟の苦悩:2009/07/25(土) 01 41 04.34 ID STmy37ZO0 とりあえず、朝の洗顔をすることに決めた。 そうすれば、まとまりのつかないこの思いをなんとか処理できるんじゃないか と思ったからだ。 (平常心、平常心……) 「おーっす、おはよー」 どきり、とした。 「ね、姉ちゃん!?」 「なーに驚いてんのさー」 洗面所の鏡に映る姉ちゃんは、髪を下ろしていた。 そういえば、そんな髪型の姉ちゃんを見るのは随分と久しぶりだ。 869:姉弟の苦悩:2009/07/25(土) 01 44 42.98 ID STmy37ZO0 「ま、まだ俺が顔洗ってんだから! 入ってくんなよ!」 「うわ、釣れないやつー。いいよいいよ、別にさー」 ぷいっとそっぽを向いてしまう姉ちゃん。 ……軽音部のみなさん、ほんとにこんな子供っぽい人が部長でいいんですか? 「いっただっきまーす」 ところ変わって、ここはダイニングルーム。 父さんと母さんは旅行中で留守のため、俺と姉ちゃんの声だけが響く。 878:姉弟の苦悩:2009/07/25(土) 01 48 22.65 ID STmy37ZO0 「……これ、姉ちゃんが作ったの?」 謎の黒焦げ物体が目の前に置かれている。 「な、なんだよー、文句あるのかよ」 「姉ちゃん、女の子らしさってやつを」 「えー、そうですよ。どーせ私にはありませんよーだ」 またむくれてしまった。どうも今日は子供っぽすぎるような……。 887:姉弟の苦悩:2009/07/25(土) 01 53 42.34 ID STmy37ZO0 「じゃあ行ってくるから」 「おう、行ってらっしゃい」 姉ちゃんとそんな挨拶をかわし、自転車に乗る。 俺の学校は姉ちゃんのところよりも遠いため、これを使わないと間に合わない。 自転車を走らせながら考える。 (しかし、朝の姉ちゃん……おかしくなかったか?) いつもだったら威厳というやつを少しでも感じ取れるのに。 今日はまるで、一つのことに拘っていたような目を―― 901:姉弟の苦悩:2009/07/25(土) 02 00 07.53 ID STmy37ZO0 全く考えがまとまらないまま、放課後になった。 「さて、帰るか」 今日の授業はほとんど印象に残っていない。 丸一日、姉ちゃんと鈴木のことを考えていたような気がする。 あーでもない、こーでもないと色々と考えていたのだ。 「いやー、今日の給食うまかったなあ」 当の本人は、とてものんびりとしたことを言っている。 「……お前な、少しは自分でも考えろよ」 「んあ? なんのことだ?」 「俺の姉ちゃんのこと、だよ。それとも思いが冷めたとか言うんじゃ――」 「そ、それはねえよ! ただ」 905:姉弟の苦悩:2009/07/25(土) 02 03 48.59 ID STmy37ZO0 「ただ?」 「……ラブレターの文面が思いつかないだけだ」 なるほど、確かに難しいかもしれない。 そもそも今のご時世、ラブレターは流行っているのか? 「……もういっそ、直接言ったらどうよ?」 「そ、それだけはできねえ! あの人にあった瞬間、何もしゃべれなく なっちまう!」 ぶるぶると震えだす鈴木。 そんなこいつを見て苦笑しながら、俺は再び考える。 (姉ちゃん、ラブレターとか気にするのかな?) 気にしないかもしれない。 というか、そういった姿を想像することが難しい。 906:姉弟の苦悩:2009/07/25(土) 02 05 57.53 ID STmy37ZO0 (「ラブレターもらっちまったよ、さとしー」とか言ってきそうだな) ありえなくはない、と合点する。 「それじゃー、ここで」 鈴木と俺は途中で帰り道が分かれる。 「明日位には、ラブレター書けよ」 「ああ、努力するよ」 鈴木は、ひらひらと手を振りながら帰路につく。 ――やれやれ、複雑だなあ。 367:姉弟の苦悩(本題):2009/07/26(日) 20 50 55.15 ID 0G3wSLjk0 鈴木と別れた後、俺は自分の家に向かった。 いまだに、姉ちゃんに対する気持ちがよく分からない。 (このままじゃ、いつまでたっても……) 俺は姉ちゃんを―― (ぶっきらぼうなままで……?) 守りたいってのに。 色々と悩んでいるうちに、家に着いたらしい。 「――郵便ポスト、見ておくか」 373:姉弟の苦悩(本題):2009/07/26(日) 20 55 17.25 ID 0G3wSLjk0 半ば習慣化してしまった動作だ。 ポストに手を突っ込み、中を探る。 新聞紙はまだ入っていない。今日は授業が早く終わったため それは当たり前のことかもしれない。 しかし―― 「んっ?」 何か、入っている。手紙とは違う、コピー用紙のような感触が伝わる。 「なんだあ?」 怪訝に思い、とりだしてみる。 そこに書かれていたのは。 379 :姉弟の苦悩(本題):2009/07/26(日) 21 00 04.47 ID 0G3wSLjk0 「な、なんだこりゃ!?」 俺は愕然とした。 そこに書かれている文面を見たためだ。 それはどう考えても―― 「ラ、ラブレター!?」 としか考えられない。 「なになに……『髪を下ろした君の――』」 そこからしばらく続く。 それを読み終わり、俺は溜息をつく。 「なんだこのクサい文章……」 俺はこれをラブレターと認めてよいものか、と考えた。
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姉弟間差別関連 汚弁当 汚土産 特別屁゚レゼント 末っ子贔屓 りむそなワンセット 母親に嘲笑されるそなちゃん
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東東姉弟 「入ってきてください」 唐突に始まる事は別に気にしないでくれ。プロローグを作るほどの話じゃないんだよ。 「「はい」」 今は3月某日の朝HR。転入生の紹介だそうだが…いったいなんだ?なんでこんな時期に? 教室の前のドアから転入生が入ってくる。始めは女子がざわつき、後に男子が叫んだ。 「今日からこのクラスに入ってきた東東姉弟だ。同じクラスの理由は弟がシスコン…もとい姉思いだからだ」 なにか変なことが聞こえたが気にしないで置こう。 「東東京一です。シスコンとか言われましたが事実無根です。信じないで下さい」 きっちりとした言い方。音咲とは違った…いや、音咲が異常だな。 「東東瑠巫女です。弟が無駄に構ってきますが、無視してやってくださいね」 これまたきっちりとした意思表明。弟の方は顔が引きつってるぞ? 「ではお二人とも…あのアホそうなやつの横と後ろに座ってください」 二人は迷うことなく池谷の周りの空席に座る。池谷が東東さんを目を輝かせてみていたが、それは弟の視線により一蹴された。 そんな少し面白そうなやつが来た日。俺はやはりいつもの生活を崩すことなく至極いつもどおりに過ごして放課後。 あの二人は別に俺とも関わらないだろうな…とか考えていると、 コンコンコン …誰だ? 俺は返事をするでもなくドアを開ける。そこにはお約束。転入生がいた。 …なぜここに? 「…迷いましたのね」 マジか? 「…はいなのね」 因みに二人ではない。姉の方だ。弟の方は…迷いそうなやつじゃないな。外見的だが。 「あの、しばらく中にいていいのね?」 あの後、刹那の間もあけずに俺はOKを出した。我ながら早かったと思う。 「弟さんを探さなくていいんですか?」 至極ありきたりな事を言う俺。普通なら探しに行くだろう。 「私が行くと…今度は学校外で迷いそうで…怖いのね…」 ここでしばらく間が空くので瑠巫女さんの外見チェックに移ろう。 髪は明るい茶色。アニメでよくいそうな色だ。それでいてショートヘアーで、その少し幼い感じの顔にはぴったり合っていると言えるだろう。でている所は出ている体つきをしており、前の学校でも非常にモテたに違いない。その度に弟が東奔西走している姿が目に浮かぶ。アレ?あったことないのに同情できるぞ? 「あの…」 どうしたんだ? 「私を呼ぶ時は…ルミと呼んでくださいなのね」 わかったよ。ルミだな? 「はいなのね。あと…あまりじろじろ見ないのね」 …これは物語を進めるのに当たっての重要な考察であって 「嘘なのね。顔がなんかエロいこと考えてますって悟ってるのね」 エロいこと…エロいことなのか!? 「そうなのね」 バンッ 今年中ずっと外れるんじゃないかと思われていつつ、まだまだ生涯現役じゃよといっている老人のような蝶番にもうちょっといたわりを見せてやってもいいんじゃないのかと自然に思わせるような音と共にドアが開く。もちろん七恵が開けたのさ。 「睦月!?その娘誰!?もしかして無理やり連れ込んで…」 「俺がそういうやつだったらとっくに前科があるだろうよ。それにそう思ってるなら俺の家に来るな」 俺が言い終えた直後、轟音が聞こえ出した。 簡潔に言うと…アニメの『ドドドドドドドドド』みたいな音だ。俺の耳はついにどうかしたのか?このごろは七恵に絡まれてアニメなんて全然見ちゃいないんだが…。 「ねえさーーーーーん!!!!!!!」 ドアの蝶番を吹き飛ばし、ドアを廊下にばら撒いたそいつは転入生の…京一だっけ? まあ、シスコンであることに変わりはないな。 京一は俺の目の前までやってくるとそのまま俺の胸倉を掴んで 「テメエ姉さんに何しようとしたああぁぁぁぁあぁ!!!!?」 おい…ちょ…喋れねえ…。死ねる…死ねるって! 俺の顔が青ざめていったのを流石にまずいと感じたのか、ようやく七恵が俺の無実を証明してくれた。それまでは俺を見て笑ってたがな。機会があれば復讐してやる。 「さっきはごめんね。頭に血が上ってたみたいだよ」 …先ほどの形相からは想像できないほどの柔和な笑み。見るものの心を鎮めるような…癒されるレベルじゃないけどな。楓さん以下だ。 「さ、姉さん帰ろう?もう不審者も出歩いてるかもしれないし」 おい東東弟。出歩いてるならもう遅くないか? 「おっと…そうだね。じゃあ姉さん。今日は宿直室を使わせてもらおう?」 今日の宿直は入江だぜ?メイド服姿…是非拝見してみたいな。 「くっ…!かくなる上は……野宿!?」 あー…とりあえず音咲出て来い。そして東東弟を病院送りにしてやってくれ。 「呼ばれて飛び出てじゃじゃもふぅッ!!!!?」 奇声を発しながら現れた音咲はパイプ椅子に衝突してぶっ倒れる。倒れ際に音咲の目が光ったような気がした。その時の音咲の視線の先には、翻った楓さんのスカートがあった。 …音咲は死んでしまった…。合掌…。 「秀?大丈夫ですか?」 楓さんがどこからか取り出した日本刀を首筋に当てながら音咲に尋ねる。いや、気絶してるでしょう? 「ケテルネツァーク。ハイドゥリッヒエレィフィオロージョス!」 ……楓さん?何語ですか? 「ヘリグォドッホソクァンジェストロック。彼の者音咲秀を生き返らせたまえっ」 死んでないし最後なんか力抜けてませんか? 「おはようございます。今何時でしょうか?」 音咲。もう一度寝て来い。 「楓さんッ!!!?なんで僕を―」 楓さんの峰打ちが音咲の後頭部45度に見事に命中。音咲はマジでぶっ倒れた。理由は簡単だ。多分…見たんだろうな。 それは後で教えてもらうとして、 「…あの、楓さん?俺は見てませんからね?ホントですよ?」 断じて本当だ。見ていない。奇しくもあの楽園を目にしたのは音咲だけだ。何を賭けてもいい。 「それはわかります。ですが、後で秀に聞こうとしてますね?」 ………。 俺の額を脂汗が伝い落ちる。今までに俺はここまで強い殺気を感じたか? いいや、ないな。 楓さんの殺気は7月のときよりも、5倍くらいはあがってる。7月の5倍を7月分に足すんだぞ? 「とりあえず…お二人が怯えてるので今日はやめますが、次はありませんからね?」 …二人がいたからこうなったわけであって、二人がいなかったらこうならなかった事を考えると…素直に感謝できないな。 …あ、麻灘さん。こんにちは。 「こんにちは。これを片付けたらまたここにきますので」 そう言って麻灘さんは俺に微笑んで…『これ』!?次期主人を『これ』扱い!? …まあ、音咲だし…いっか。 「ルミちゃん。オセロやらない?」 七恵。もうちょっと高校生らしく誘ったらどうだ?小学生みたいに聞こえるぞ? 「煩いロリコン」 …七恵? 「どうしたの?顔色悪いよ?」 「いや、大丈夫だ。幻聴が聞こえただけだ」 …おかしい。俺にはそんな性癖はないし…それに俗物は七恵が泊まり始めた頃に捨てたはずだ…。それよりもだ。七恵はこんなに黒かったか? (クスクスクス…腹話術には気づいてないのねクスクスクスなのね) 「私が白でいい?」 「いいなのね。先手は白からなのね」 二人のオセロが始まる。それを心配そうに見ている東東弟。スカウターでシスコンを計ったら壊れるだろうな。 「東東…とりあえず京一でいいか?」 「うん。僕もそっちの方が好きだからね」 「じゃあ京一。楓さんと軍人将棋してみないか?」 「勝手に人を引き合いに出すのはおかしいと思いますよ?」 といいつつも楓さんは軍人将棋を取り出して用意し始める。 「えっと…名前を教えてくれないかな?」 「堀崎睦月だ。1月の旧称が名前だ」 「じゃあ…睦月でいいかな?睦月はやらないの?」 俺がやったら一人余るだろ?それにお前を入れるわけにもいかないし、楓さんを余らせるなんて冒涜はできっこないからな。 「それじゃ暇にならない?」 残念ながら全然。完璧に負けオセロの七恵の表情を見てれば面白くなるさ。それに麻灘さんがもうすぐ来るだろうからな。 「ありがとう。睦月は優しいね」 素直にそんな事言えるお前が優しいと思うぞ? 「そうかもね」 「詰みです」 ……京一? 「あれ?あ…うん。負けてるね。ありがとうございました」 …始めてから3分経ってないぞ? 「京一さんでは話になりません。睦月君。やりませんか?」 その後読者の誰もが予想したであろう声を上げて俺は軍人将棋に挑み、官軍となって帰ってきた! 今京一はメイド服だ。 楓さんは巫女姿。 七恵は…………ダボダボのワイシャツに超緩々のズボン。めちゃくちゃ歩きにくそうだ。 「う~。睦月~おんぶして~」 負けたお前が悪い。俺は官軍なんだよ。 もちろん楓さんの巫女姿は写真に撮ったし、七恵も写真に撮った。官軍様様だな。 「うぅ…睦月たちはいつもこここんな事をしてるのかい?」 声が裏返りながら物凄く恥ずかしそうに言う京一。その気持ちを忘れちゃいけない。その気持ちがあるのが常人なんだ。 「いえ、睦月君はやってませんよ?見た目からは想像できないくらい頭の回転が早いんですよ」 今にもお持ち帰りしたくなるような楓さんへの衝動を必死に抑えながら皮肉にも耐える。 「全然負けないってこと?」 楓さんが頷く。俺も過去を振り返ってみるが…今年は6回くらいかな。6回とも酷い罰ゲームだったが。 「…大変なんだね」 俺の気持ちがわかるやつが増えるとはな。嬉しい限りだ。 「明日からも来ていい?今日はすごく楽しかったのね」 先ほどから七恵と話していたルミがこちらに来て俺に言う。なんで俺? 「こちらからも歓迎するぞ。もちろん、姉弟だからな?」 歓迎するぞ、と言ったときに背後からバットで殴られるイメージが浮かんだが、気にしちゃいけない。
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○アマド姉弟 レゼルヴェ国が一日革命。 通称・「コマンタレヴ・ラブソディ」はあらゆる人々を数奇な運命へと巻き込んでいった。 価値観の変換。軍事の増強。迎え撃つべきアムステラ。渦巻くは激動の最中。 白と黒とがごった返す、その首都にて『一つの邂逅』。 「エモンド?」 「貴方、エモンドでしょ?」 問いかけるは女性。清楚な黒人女性。 白人至上主義であったこの国で、唯一黒人がのし上がっていける職。 『パティシェ(洋菓子職人)』として、第一線で活躍をしている。 「・・・・~~~~~~ッッ!!?」 慄(おのの)くは男性。野性味溢るる黒人男性。 人一倍「アヒィ」だか「ウヒョヒョウ」と言った奇声がよく似合う。 とても「ペケペケペケェーッッ!!」なスラム男(ガイ)。 (振り向くまでもねぇ!) (アンティエの姉貴じゃあねぇかっっ!!) (離れ離れになった姉と弟・・。感動の再会ってカンジなんだろーがよぅ!) (そんなお涙頂戴!このエモンド様にゃあ似合わねえぜ!!) (こんな厄介な時・・・ッ!) (アマド家の男は『代々こうする事と決まっている・・・ッ!!』) ダッッ!! (逃げるンだよぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!) エモンドは逃げ出したッッ!! 「ちょ!!?」 「実の姉と感動的な再会を果たしておきながら、ドタキャン!!?むしろ即キャンーーーッッ!!?」 「お待ちなさいッ!エモンドッッ!!」 ダッ!!!! (何考えてんだ、この男はぁああああああああああ!!!!) アンティエが追っかけるッッ!! 「人違いだぁぁぁああああーーー!!」 「俺ァー、エモンドじゃあねぇーっての!!」 「そうだ!そう、ホンダ! 俺ァ、世界のホンダってヤツだ!」 「カローラ2に乗って日曜日!サンデーサンデー、安息日アーメン!!」 「カローラは『トヨタ』でしょーが!このスカタン!!」 「待てって言って待たないだけなら、まだしも! あまつさえ、逃げるゥ~ッ!?」 「そして偽名まで名乗るゥウウウウウーーーーー!!?」 「いいから黙って! ちょっと面貸せや、こぉぉおおおのヘッポコエモンドッッ!!」 「ヘッポコ言うなっての!?」 「もう俺ァー、あん時の俺じゃあねぇっっつぅぅうううーーー・・・のっ!!」 「明日だ!そうっ!明日っっ!!」 「明ッッ日ッッッ!! 会ってやらぁぁああああああああああ!!!」 エモンドが更に加速をすると。 ッ! (アンティエは) スッ! (瓦礫の一つを拾い上げ) グィ・・ッ!! (それを握り締めると・・・。) 「明日って今よぉぉおおおお お お お お お おおお お ! ! ! 」 ド ッ ッッ ヒャ ッ ッッ オ ン (エモンドに投げつけたッッ!!!) 「え!?ドッッヒャオンって何!!!?」 思わずエモンドが振り向くと。 バッッッ ・・・・・・ コォォオオ オ オ オオ オ ~~~~~~~~ ン ッ ッ ! ! - 迫りくる瓦礫(それ)が、ものの見事に右頬にHITした。 「ウゲ・・・ッ!!?」 エモンドは・・・。 「(あ・姉貴ィ・・・・ッ!!)」 薄れ行く意識の中・・・。 「(そのセリフは俺が言うべきセリフじゃね・・・!!?)」 とか何とか考えながら・・・。 ドッッ ッ サ ァァアアアアアアア~~~~~~ ッッ!!! 倒れて気絶した。 ドクドクドクドク・・・・。 その右頬は出血したとか、何とか・・・。 ー この後。 ー 二人はレゼルヴェ国を護る『2機のスーパーロボット』を操る事になるのだが・・・。 「ちょ!!? 何当たってんのよ!!?」 ー それはまだ先のお話である。 「うっわっっ・・。これ・・・。傷になるわねぇ・・・・~~~っ。」 -- - ・・ ・ ・ →→ →→ 『 To Be Continued 』 戻る リンク集に戻る
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仲良し姉弟 1 623 名前: ユキサキ 投稿日: 2005/08/23(火) 13 30 16 [ E1YpefgM ] 初めまして、いつも楽しみにしております。 読んでいる内に自分も書きたくなってしまったので投下させて頂きます。 道なき道を冒険者と見られる二人組みが駆け抜けていく。 槍を振り回し先陣を切って進む女の、肩の辺りで切りそろえた金色の髪が軽やかに揺れる。人目を引くような端正な顔立ちだが、その赤く禍々しい瞳だけが異質に光っている。肉感的な体つきを強調するような露出度の高い鎧を身につけ敵をなぎ倒していく。その戦いぶりは戦乙女といっても過言ではない。 その後ろから続く男のほうもやはり調った目鼻立ちをしており、一目で彼らが血縁関係にあることが判る。邪魔にならないようにとび色の髪をバンダナで押さえ、無駄な筋肉のない細身の体躯を動きやすさを重視した軽装の鎧で覆っている。彼は弓を構え女が討ち漏らしたモンスターを的確に射抜いていく。 やがて目的の場所が見えてくると彼女はいっそう足を速めた。 かつては柵だった木の残骸を踏みしめると乾いた音がして砕け散った。 [ダイナスティへようこそ] かすれた看板の文字に反して出迎えてくれる人はいない。 10年前魔物の軍勢に蹂躙されたこの村にまともな建造物はのこっていない。かつては引退した冒険者たちが作った村として有名であったが、今では人の記憶に埋もれてしまっている。建物は例外なく焼け焦げ、倒壊している。かつて道だったものは雑草が生い茂り先へ進むことをかたくなに拒んでいるようだった。 しかし、全く意に介すことなくシェリィは歩を進めた。 「姉さーん、待ってよ~」 遠くで弟が叫ぶ声が聞こえるが無視して奥へと進む。腕や太もものやわらかい肉が草とすれ血がにじみ無意識に奥歯を噛んだ。 しばらく進んでいると開けた場所に出る。 大きな木の下に苔むした白い石。そっと屈み、文字の部分を親指で擦る。ぱらぱらと乾いた音がして記された名前が明らかになる。 「久しぶりね、父さん、母さん」 やがて追いついた弟が隣に腰を下ろす。 「ほらロゼも挨拶挨拶(´∀`)」 「ったく、人に荷物も足せて自分はさっさと歩いて行っちゃうんだから、姉ちゃん。はいつも自分勝手でもごもご・・・」 すばやい動きでロゼの背後に回りこむと口をふさいだ。 「元気イッパイみたいだから一人で掃除しなさいな」 「うっ、きったねぇぞ!」 言葉とどうじに繰り出された弟の一撃を難なくかわしさらにダミーを設置する。 「ふふふ、甘いな。百年はやい」 「くっ・・・」 「さて、あっちにもよらなきゃいけないからさっさと掃除するか」 弟を締め上げた直後とは思えない軽快なフットワークで足元の草を抜き始める。ロゼもしぶしぶ手伝いだした。持ってきたバケツに近くの池から水を汲み、布を浸して手際よく苔を落としていく。 西からさす陽光が元の姿を取り戻した墓を赤く染める。半径1メートルにわたって草が抜き取られあたりには掘り返した土のにおいがほのかに漂う。兄弟は木陰に座り込みおのおのの水筒に口をつけていた。 「毎年のことながら重労働だな(´,_ゝ`)フッ」 「うん(ほとんど掃除してないくせに)」 「さて、いこっか」 おもむろにシェリィが立ち上がる。つられるようにして重い腰をロゼが上げる。槍を一振りすると駆け出した。 2 625 名前: ユキサキ 投稿日: 2005/08/23(火) 13 46 53 [ E1YpefgM ] >>623 古都ブルンネンシュティグ 太陽が西へと沈んでも、街の中は活気が溢れている。 軒を連ねた露店からはランプのかすかな明かりが漏れており、集まってきた虫がぶつかる度にこつんと軽い音を立てる。 「とりあえずこれだけあればいっか?」 「ちょっと多くないか?」 「久しぶりだし、奮発しちゃった~。やっぱ多すぎたか」 声を立てて笑う少女の両手にはバリカスから入手したケーキやらクッキーやらキャンディーがあふれ出ている。 「半分持ってくれ」 「いや、いい」 「・・・」 無言でこぶしを振り上げる姉に恐れをなして、しぶしぶキャンディーとクッキーの包みを持つ。 明らかに半分以上持たされているが、口に出したところで一発食らうだけなので黙っていることにした。 古都に溢れる人を避けながら朽ちかけた王宮の憶へと進んでいく。少し開けた場所に粗末な小屋が建っている。 崩れかけた塀に文字が書いてある。かろうじて読み取れるのは[孤児院]というところだけだった。 ほぼ全壊した門をくぐると目に入った、掃き掃除をしているガタイのいい男にめがけてシェリィは突撃した。 「オサーン、元気してたぁ?」 「ぐハッ、シェリィ、か・・・いきなりぶつかられると腰に響くんだが・・・」 「やりすぎ?」 「相変わらず下品だな・・・それと、オサーンじゃなくて院長と呼べ。子供たちが真似する」 「・・・院長がソウ育てたんだろ?(´,_ゝ`)フッ」 「おいロゼ、・・・なんとかならないのか?」 「(´,_ゝ`)フッ俺に言うな」 「ああコレお土産ね」 菓子の包みにこっそりと白封筒を入れて渡す。封筒に気づいた院長は決まりの悪そうな顔をするが甘んじて受け取る。 「いつも、悪いな」 「いいって。ここでそだててもらったんだからさ」 院長の目が遠くをいる。 「もう、2年か・・・お前たちが出て行って」 「アー・・・そんなにたったっけか」 「姉ちゃんぼけすぎ」 どごぉっ 荷物を院長に預け両手が自由になったシェリィのボウストライキングがロゼにヒットした。 もっていた菓子類がばらばらと落ちる。 「ひ・・・ひでぇ」 「ボンクラじゃないだけ感謝しろ」 「ハハハ、お前らは相変わらずだな」 「「(´,_ゝ`)フッ」」 「さて立ち話もなんだ、お茶でも飲まないか?」 「少しやすませてもらおうかな」 なれた足取りでシェリィとロゼは中へと入っていった。 3 671 名前: ユキサキ 投稿日: 2005/08/25(木) 20 28 33 [ E1YpefgM ] >>623 >>625 小ぢんまりとした部屋に、シナモンと紅茶の香りがほのかに漂う。 勝手知ったるなんとやらで、ロゼがいろいろと準備させられたのだ。 シェリィは出先では猫をかぶりそこそこの仕事をするが身内だけになると、 とたんに人をこき使いだす。 どうしてばれないのだろうか、と不思議に思いながらロゼは機能性のみを重視したカップに口をつけた。 「それで、最近はどうだ?」 紅茶をひとしきり堪能した後、院長が口を開いた。 「んー、ソルティーケーブあたりをうろうろしてるかなぁ」 「だねー、あ、之お土産の石塩です」 「おお、助かるよ」 ロゼはかばんから相当な量の包みを出して、勝手に調味料の棚に押し込んだ。 「そういえば、シェリィお前擦り傷作っているぞ」 「ああ?之か・・・今日墓参りに行く途中に葉っぱでな」 「どれ、見せてみろ」 「良いよ、こんなのたいしたことな・・・」 すべてを言い終わる前に癒しの光がシェリィを包み込む。院長は昔、 ビショップだったという。 両親の死後ここに引き取られたのも院長となき両親が友人関係にあったからだ。 村が魔物に襲われ壊滅したとき、生き残った二人を育ててくれた。 「ありがとう、お礼は体で払うから」 ちらりと胸の辺りの鎧をずらし、ウインクする。 気がつかない振りをして院長は席へと戻った。 「そういえば、ロゼは怪我をしていないな」 「ん?ああ、姉ちゃんは突っ走るから」 「なるほどな」 ちょっと納得しないでよ、と怒ったようなそぶりを見せるが 目許はしっかり笑っている。 「あーあ、戻って来たいな」 ひとしきり笑った後シェリィはポツリともらした。 「いつでも戻って来い」 「うん、そうする」 ロゼは眉根を寄せながら微笑を作った。 そういいながら戻る気がないのは見て取れた。この孤児院が シェリィたちの援助がないと厳しいのを彼女らもわかっている。 だからこそ断言できる、絶対に戻ってきたりなどはしない。 横柄に見える態度や軽い口調で誤解されやすいが心の優しい子達なのだ。 「それじゃ、そろそろかえるわ」 「院長、また」 「おう」 ロゼは立ち上がると二人分の食器を洗って、先に部屋を出た姉を追いかけた。 4 725 名前: ユキサキ 投稿日: 2005/09/03(土) 22 12 27 [ R86PkENQ ] >>623 >>625 >>671 ドドドドドドドド 騒々しい足音に続いての衝撃がシェリィの腰の辺りに直撃し、 ふらついた彼女をロゼが受け止める形になった。 ぶつかった本体といえば悪びれた様子は毛頭もない。 「ぁあん、おねぇさま~!お久しぶりですぅ。いらしてるんだったら一声 かけてくださればいいのにぃ~」 栗色長い髪をツインテールにした、なかなかかわいい顔立ちの少女が場違いなくらいの 甘ったるい声を出しながらシェリィの体に巻きついてくる。 「ぁあ・・・メルローズ(´д`)」 痛む腰をさすりながらもシェリィは何とか口を開く。 「んふ?なんですの?」 「・・・乳つかんでる」 「あら?うふふふ」 ちょっとだけ続きを書いてみました。 <前 ▲戻 次>
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Ver. 1.3EX1 カードNo. 1-3-112 種類 ユニット レアリティ C 名称 フジツボ3姉弟 属性 青 種族 機械 CP 2 BP 2000/3000/4000 アビリティ ■くっつきパワーこのユニットが戦闘した時、ターン終了時までこのユニットのBPをランダムで+[1000/3000/4000]する。 疑惑のロシアンルーレットを内蔵するユニット。 不安定なアビリティだが、上手くいけばBP6000で戦闘することができ、 コスト2のユニットとしては高い数値となる。 BP補正はそのターン中まで続き、その後の戦闘で優位に立てる。 フレーバーテキスト 複数の個体を一つに合成することに成功した試作型プログラム。実験不足のため不安定な能力を持ってしまったが、潜在能力は計り知れない。 ユニットボイス タイミング ノーマル/フォイル共通 ■くっつきパワー よっ!くっつきパワー! アタック とー!
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562 名前: NPCさん 05/01/22 21 21 12 ID ??? 消防の困ったちゃん報告。 数年前、俺の友人がサークルにプレイヤーとして 小学生(10歳~11歳くらい?)とその姉(19歳くらい?)を 連れてきたことがあった。 友人はTCGを色々やってる人で、遊戯王やらポケモンのTCGやらを 通じて消防達と交流がありそれがきっかけで知り合ったとか。 んでその姉なんだが顔は標準よりちょっとだけ上で、 体型が小泉麻由みたいな感じ。胸部だけ異様に 当たり判定がデカいという。 (↓小泉の写真。服着てないんで、イヤなヤツは見ないように) #http //www.bakunyu.net/sengen/mayu-k/mayu-k4.jpg システムはソードワールドで消防は人間男シーフ。姉はエルフの女戦士。 姉は礼儀正しい人でプレイヤーとしては真面目で知らないなりに 一生懸命やってくれる良い方だった。ところが弟はシティアドベンチャーのせいか途中で ちょっとダレてきてややふざけ気味。(今思えば、もう少しこまめに休憩を 入れてやれば良かったと思う) 続く 563 名前: 浅倉たけすぃ 05/01/22 21 22 35 ID ko/3RVHK 557 ../../bbspink-sakura02_erochara/1105/1105622371.html 正確にはここだよな。 564 名前: NPCさん 05/01/22 21 26 04 ID ??? シナリオ最後の戦闘で敵の魔術師が雇った戦士たちと闘う場面があり パーティーが広めの場所で分散して闘う場面だったんで 大きめのマップとメタルフィギュアを使用していた。で、敵戦士の中に ドワーフが一人だけいたんだが、たまたまマスターが ドワーフのフィギュアを忘れたんで代用として 斧を野球のバットみたいに構えたフロストジャイアント(?)の 大きめのフィギュアを使っていた。 んで、姉が戦闘中に自分のフィギュアを動かそうとして マップの端にあったフロストジャイアントを倒してしまったんだな。 胸で。 そしたら小学生の弟が 「エストリガー発動!(後で連れてきた友人に聞いたらTCGの言葉らしい)」 と言いながらフロストジャイアントのフィギュアを 持つと斧の先の部分で姉の胸を突いた。姉は 「あっ、コラ!」って叫んで弟の頭を平手でパシン。 うちのサークルメンバーは表面的には全員紳士なので皆、 口を一文字に結び何事も無かったようにプレイを続けた。 ただ、その日の夜の飲み会で(姉弟は不参加)酒が入ると 「(フロストジャイアントの)フィギュアを俺にも触らせろ」 とか言って下品に盛り上がっていたヤツもいたが…… さて、いくら小学生といえど神聖なプレイ中のセクハラは 許されない。彼は最年少困ったちゃんかな? 565 名前: NPCさん 05/01/22 21 26 59 ID ??? …ほほえましいじゃないか! 566 名前: NPCさん 05/01/22 21 30 22 ID ??? よくわからんがその餓鬼は将来立派なセクハラ親父になれる素質があると見た。 567 名前: NPCさん 05/01/22 21 32 17 ID ??? 乳が困ったちゃんだな。 持ち主に罪は無い。 というか、小泉真由みたいな~という例えでパッと想像できる俺も困ったちゃん。 569 名前: NPCさん 05/01/22 21 35 36 ID ??? 567 あれか!わがままバディというやつかー!? 570 名前: NPCさん 05/01/22 21 39 25 ID ??? 「巨人殺し」 571 名前: ダガー+ギア煮 05/01/22 21 56 13 ID sxAL5sZb 557 いつも思うんだけど、そうゆう板のスレ一覧の底辺近くって スレタイ見るだけでも面白いよね。 562 イイじゃないですかエストリガー発動(笑) どうせ弟さんも厨房くらいになれば 姉:「アンタも小学校ん頃は"エストリガー発動!"とかゆってさぁ…」 弟:「う、うるせぇなぁっ!(赤面)」 とかそんなモンだよきっと。 そういや以前はウチの姪っ子もセッションの日は構ってあげられないんで GMやってるオレの背中にくっ付いて俺の耳とか頬とか噛んで来ますよ。 大概はエアガンかバルキリーで遊んでたモンですけど。 570 巨人も本望だろうね多分 572 名前: トライアルT 05/01/22 22 00 54 ID ko/3RVHK 571 オマエハユルサレナイ… 635 名前: NPCさん 05/01/23 09 55 23 ID ??? 562 564 フロストジャイアント・Sトリガー消防も確かに困ったちゃんだが…… 自分の体型をかえりみず >エルフの女戦士 なんていうキャラを使った巨人殺しお姉さんが 真の困ったちゃんということでFA? 636 名前: NPCさん 05/01/23 10 14 08 ID ??? バカ、解ってやれ。 巨人殺しの宿命を背負…いや、抱えている彼女の、 スレンダー女キャラへの憧れのほどを。 あれだ、オレらにオパーイはなくても巨乳美少女をRPするのと同じなんだよ。 スレ50 MKP
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藤沢姉弟をお気に入りに追加 藤沢姉弟とは 藤沢姉弟の42%は税金で出来ています。藤沢姉弟の22%は鉛で出来ています。藤沢姉弟の18%は情報で出来ています。藤沢姉弟の8%は保存料で出来ています。藤沢姉弟の6%はやさしさで出来ています。藤沢姉弟の2%はツンデレで出来ています。藤沢姉弟の2%は大阪のおいしい水で出来ています。 藤沢姉弟の報道 オメガパフュームの半弟ホウオウルーレットがデビュー/関東馬メイクデビュー情報 - netkeiba.com 神奈川県アマチュアゴルフ選手権 小林姉弟そろってV 平塚市ふじみ野在住 「夢はプロ」 | 平塚 | タウンニュース - タウンニュース 八松小学校の渡部姉弟 「人工芝にしないで」 市長に提言 八部公園のテニスコート | 藤沢 | タウンニュース - タウンニュース 藤沢姉弟のウィキペディア 藤沢姉弟 Amazon.co.jp ウィジェット 藤沢姉弟の掲示板 名前(HN) カキコミ すべてのコメントを見る 藤沢姉弟のリンク #blogsearch2 ページ先頭へ 藤沢姉弟 このページについて このページは藤沢姉弟のインターネット上の情報を時系列に網羅したリンク集のようなものです。ブックマークしておけば、日々更新される藤沢姉弟に関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
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