約 2,895,625 件
https://w.atwiki.jp/25438/pages/2951.html
-梓 ファーストインプレッションは、もったいない先輩…でした。 出るところは出ていて、顔のパーツも整っていて、筆舌しがたいほど綺麗な髪で--。 それなのに太い眉毛のせいで、ちょっと野暮ったい。 他の先輩たちとのやり取りから、優しくて丁寧な人だとは感じていましたが、その程度で。 特に良い印象も悪い印象もありませんでした。 そんなムギ先輩のイメージが変わったのは、軽音部に入ってしばらくしてからのこと。 ある昼休みのことです。 お昼ごはんを済ませた私は、中庭にいました。 憂が唯先輩のところは行ってしまい、手持無沙汰だったし、学校を探索することにしたのです。 花壇に目をやりながら歩いていると、ふと金髪の後ろ姿が目に入りました。 ひと目でわかりました。ムギ先輩です。 ムギ先輩は座りこんで何かしているようでした。 何をしているか気になり近づくと、先輩はこちらに気づきました。 「あれ…中野さん」 「こんにちは。琴吹先輩……あ、その子」 「ええ、迷いこんだみたいなの」 「猫さん…」 「ふふふっ」 「?」 「猫さんだなんて、随分かわいらしい言い方だなって」 「う…」 「気にしないで、褒めてるんだから」 なんだか出鼻を挫かれた気分です。 先輩はそんな私のことなど気に留める様子もなく、猫を撫でています。 喉元を撫でられたその子は、気持ちよさそうに、ニャァと…。 「私も撫でていいですか?」 「ええ、もちろんよ!」 「おいでー」 猫は素直に近寄ってきて、顔を差し出しました。 まるで撫でてくれと言わんばかりに。 「ふふ、素直な猫さんねぇ…」 「はいです」 「そういえば中野さんはどうしてこんなところに?」 「ちょっと学校探索です」 「ふぅん…この学校広いからわかりにくいでしょう?」 「はい。でも、最近はだいぶ慣れてきました」 「そっか。ねぇ、よかったら私が案内しよう…」 「ん?」 「…探索は自分でやるから楽しいんだよね。ごめん、忘れて」 探索は自分でやるから楽しい、というムギ先輩の発想は面白く感じました。 私は何度か校内探索に出ていましたが、それは所詮暇つぶしで。 面白いかどうかなんて考えたこともなかったのです。 でも振り返ってみれば、結構探索を楽しんでいたかも…。 「あの、琴吹先輩」 「なぁに?」 「やっぱり案内をお願いできませんか? 1人での探索ならいつでもできるので」 「ふふ、そっか。 じゃあ、この子とはお別れね。バイバイ」 猫は名残惜しそうにムギ先輩が離れていくのを見ていました。 「さて、どこか案内して欲しいところはある?」 「えっと…」 「特にないんだ?」 「ごめんなさい…」 「中野さんが謝ることないわ。順に見て回りましょう」 中庭、特別教室、部室練、会議室…特にあてもなく、私達は歩きました。 ムギ先輩は施設が見えるたび熱心に説明してくれたので、軽い気持ちで案内を頼んだのが申し訳なく思えました。 「…と、これくらいかしら。もういい時間だし」 「そうですね」 「じゃあ、またね」 「あの…」 「どうしたの?」 「今日はありがとうございました。 それから…ごめんなさい!」 「どうして中野さんが謝るの?」 猫と戯れている先輩を邪魔してしまったこと。 軽い気持ちで案内を頼んでしまったこと。 私の中では「申し訳ない」ことなのだけど、うまく説明できそうにありませんでした。 「…中野さん」 「…はい」 「ふふ、唯ちゃんが中野さんに抱きつく理由がわかったかも」 「え…」 先輩は戸惑っている私に近づき、そっと頭を撫でてくれました。 「先輩が、先輩風を吹かせるのに理由なんていらないのよ 少しでも後輩の役に立ちたくて、先輩は必死なんだから」 語りながら、優しく髪を撫でてくれる。 「ふふ、中野さんの髪はさらさらね」 「先輩の髪だって…」 「触ってみる?」 「いいんですか?」 「もちろん」 ☆ 私は恐る恐る、手を伸ばした。 …あの時のことは、今でも覚えている。 ただ先輩の髪を触るというだけなのに。 ほんの数十センチ手を伸ばすだけなのに。 それがひどく特別なことに思えて。 どうしようもなく、心臓がざわついて。 あぁ、これが「ときめく」ってことなんだと---- ☆ ムギ先輩の髪はさらさらで。それから-- --とてもいい匂いがした。 私が「もったいない先輩」を好きになったきっかけは、その一件なのだけれども。 そのきっかけが「好き」という言葉に昇華されるまでには時間がかかった。 他の先輩に気づかれないようにこっそり目で追って。 ムギ先輩と目が合うとサッと逸らして。 そんなとりとめのない、それなりに楽しい時間を過ごしてきた。 そんな私の変化に他の先輩たちもムギ先輩も気づいていない…と思っていた。 でも、それは大きな間違いでした。 とある夏の日。 澪先輩が夏風邪気味なため、部活はお休みだというメールが来た日。 私は部室に行きました。 特に理由はありません。 強いて言うなら、誰もいない部室を探索してみたかったから…かもしれません。 部室にはムギ先輩がいました。 「あら、梓ちゃん」 「ムギ先輩? 今日部室は休みだって」 「あー…そうなんだけど。ちょっと氷を処分したかったから」 「氷…あ、お茶のですか?」 「うん。部活で出すお茶に入れてる氷なんだけど」 部活が突然休みになることはしばしばある。 その度にムギ先輩はこの作業をしているのだろう…。 「梓ちゃん?」 「?」 「何か考えこんでたみたいだけど」 「な、なんでもないです。 あ、そうだ! 良かったら、ちょっとお話しませんか?」 「ふふ、名案ね! 氷さんもそのほうが浮かばれるでしょうし」 氷さん。 その響きがおかしくて笑いを堪えていると、あっという間にアイスティーが出てきた。 冷たいお茶を飲みながら、部室でしばし談笑。 話したのは、休日の過ごし方、友達のこと、律先輩のオデコのこと。 ふと、話題が途切れる。 ムギ先輩はグラスに口をつけ、コクコクとアイスティーを飲みはじめた。 ふたりきりだったからか。それとも夏の日だったからか。 私はムギ先輩の唇から目が離せなくなってしまった。 アイスティーを飲み終えた先輩は、こちらを向くと、悪戯っ子みたいに笑った。 それから私の方へ歩いてきて、唇を重ねた。 そっと触れる程度のキスの後、すぐ唇を離した先輩は「勘違いじゃないよね」と呟いた。 「勘違いなわけないです」と返すと、舌で私の唇を抉じ開けた。 突然のことで頭が真っ白になった私のことなどお構いなしで、ムギ先輩は私を愛しはじめた。 舌は生き物のように私の口内で暴れまわり、涎が2人の口から滴り落ちる。 キスを続けたまま、先輩は器用に私の服を脱がせて、胸を愛撫しはじめた。 トクン トクン 突然だったけど-- 突然過ぎたけど-- ムギ先輩と愛し合うんだって実感が湧いてくる。 私も懸命に舌を絡めて、快楽を貪った。 ムギ先輩は乳首を暫く攻めた後、私の大事なところを攻め立てた。 私が十分に濡れたのを見計らい、先輩は唇を離した。 2人の息は荒い。 十分な酸素を補給した後、今度は私のほうからキスをした。 再び舌を絡めながら、ムギ先輩の指で…私は達した。 「ムギ先輩」 「なぁに」 「ファースト・キスですか?」 「ええ」 「どんな味がしました?」 「えっと…」 「ムギ先輩も?」 「うん…」 「衝撃的すぎて、味わう余裕なんてありませんでした」 「私も。アイスティーの味なんだろうけど、その直後に梓ちゃんの味を知ってしまったから」 「…」 「どうしたの?」 徐ろにキスをして、舌を入れた。 「ムギ先輩の味を覚えておきたくて」 「ふふふ」 愛の告白も、高校生らしい葛藤もないまま、私とムギ先輩の関係がはじまった。 と言っても、特に何か変わったわけではない。 たまに2人で遊びに行くようになった程度である。 学校生活でも、部活でも、身の振り方を変えるようなことはしなかった。 ただ、それでも先輩たちは2人の変化に気づいたみたいだ。 その上で何も言わないでくれたのは、とても有り難かった。 一番変わったことは…定期的に愛し合うようになったことだ。 私はあの日から…正確に言うとあの日以前から、ムギ先輩を性的な目で見てきた。 あの日以降、私はムギ先輩を見ると、どうしようもなく発情してしまうようのだ。 男子高校生なんて猿みたいなものだなんて言うけど、女子高校生は猿以下かもしれない。 そう思えるくらい、どうしようもなくムギ先輩を求めてしまう。 部室で、ラブホテルで、先輩の家で。 何度も何度も愛しあった。 2人でインターネットを見ながら研究もした。 その成果もあり、二人同時に達することもできるようになった。 爛れた日々。 でも幸せな日々。 そんな日々が永遠…とまではいかずとも、しばらくは続くと思っていた。 けれども、私は気づいてしまったのだ。 一緒にいるうちに、どんどん先輩について理解していった。 ムギ先輩は、誰かを助けることに喜びを感じる。 それは例えばお茶を入れることだったり。 あるいは唯先輩の面倒を見ることだったり。 とにかく、誰かを助けて喜んでもらうことに、最上の喜びを感じる。 もちろんムギ先輩自身の願望(例えば食欲)もあるけれど、 それ以上に、ムギ先輩の根っこに「奉仕による喜び」がある。 最初は小さな違和感に過ぎなかった。 ムギ先輩の「赤い顔」を見たことがない、という小さな違和感。 でも、ムギ先輩について知っていくうちに、 ムギ先輩について理解していくうちに、 違和感は疑念へと変わっていきました。 もしかしたら、ムギ先輩は---- ある日。 私達はホテルにいた。 お互いに下着姿になった後、私はムギ先輩を押し倒した。 先輩はニコニコしている。 いつもはムギ先輩が終始リードしてくれる。 きっと先輩は「今日は梓ちゃんがリードしてくれるのかしら」とでも思っているのだろう。 私はムギ先輩の目を覗き込む。 ムギ先輩は目を逸らさない。 覚悟を決めて、私はその問を発した-- 「ムギ先輩は私のこと好きですか?」 言ってから、少し後悔した。 2
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/2647.html
新惑星の、とある海辺。ここで、一人の少年が釣りをしていた。 彼の名は向島拓朗。チート能力もスタンドも壮絶な過去も前世の因縁も特にない、単なる釣り好きの高校生である。 彼はバトルロワイアルという非常事態の中においても、いつも通り釣りをしていた。 どうせ真面目に殺し合いなんてやったところで自分が優勝できるわけがないのだから、いつも通りに暮らそうと考えた結果である。 「おっ、きた! 大物だ!」 釣り竿にずっしりとかかる重さに興奮を煽られつつ、拓朗は糸を巻き上げる。 しかし糸にかかった獲物が海面から姿を現すと、彼の表情にはあからさまな落胆の色が浮かんだ。 顔を見せたのが、普段から頻繁に顔を合わせている人魚だったからである。 「むろみさん、今日は何の用……って、ええ!?」 いつものようにあしらおうとした拓朗だったが、その言葉が途中で途切れる。 むろみの様子が、普段と違うことに気づいたからだ。 彼女の体には、淡い青色の触手が絡みついていたのである。 「逃がさないでゲソ!」 むろみに続いて、触手の持ち主も海中から出現する。それは、白い帽子とワンピースを身にまとった少女であった。 「なに、またむろみさんの友達?」 「うんにゃ、こいつとあたしとは決闘の真っ最中」 また珍獣仲間を連れてきたのかと冷めた反応を見せる拓朗だったが、むろみは彼の言葉を否定する。 「決闘? 穏やかじゃないね。何かあったの?」 「あたしとこいつ……イカ娘と、どっちが海の萌えキャラ代表にふさわしいか決めてるの」 「しょーもねー理由だなおい!」 決闘の理由に呆れる拓朗だが、当事者二人はいたって真剣である。 「止めんといて、たっくん! これはマガジンとチャンピオンの代理戦争でもあるのよ!」 「勝手に雑誌背負うな! というかメタネタ自重しろ! 俺ら、そういう作風の漫画じゃねー!」 「そこはまあ、カオスロワやし。多少のキャラ崩壊は、ねえ」 「身も蓋もないなあ、おい!」 「二人とも! 私を無視するんじゃないでゲソ!」 いつものようにボケとツッコミを繰り広げる拓朗とむろみだったが、そこに放置されっぱなしだったイカ娘が耐えきれず割り込む。 「おーっと! ごめんごめん。それじゃあ、続きといこうか?」 「ねえ、どうしても戦わなくちゃいけないの? 仲良くすればいいじゃん。マガジンとサンデーだって仲良くしたんだからさあ」 「はあ、わかっとらんねえ。マガジンやサンデーとチャンピオンの間には、越えられない壁があるんよ。 コンビニで2軒に1軒ぐらいしか置いてないチャンピオンと仲良くするなんて無理~」 「ひ、ひどいじゃなイカ! 私だけならともかく、チャンピオンを侮辱するなんて!」 むろみの挑発とも取れる発言に対し、イカ娘は全身で怒りを表現する。 「だいたい、そっちはまだ単行本も出てないじゃなイカ! 漫画キャラとしては、私の方がずっと先輩でゲソ!」 「ぐっ、痛いところを……。やはり、ここは拳で決着をつけるしかなさそうやね……」 「こっちは最初からそのつもりでゲソ!」 「はいはい、あんまり大事にならない程度にねー」 取っ組み合いを始める二体の海洋生物をよそに、釣りを再開する拓朗であった。 【二日目14時00分/新惑星・福岡県沿岸】 【向島拓朗@波打ち際のむろみさん】 【状態】健康 【装備】釣り竿 【道具】基本支給品、釣り道具一式 【思考】 1:どうせ真面目にロワやっても生き残れないので、釣りを楽しむ。 2:あの二人は頃合いを見て止めるか。 【むろみ@波打ち際のむろみさん】 【状態】健康 【装備】なし 【道具】基本支給品、不明支給品 【思考】 1:イカ娘に勝ち、海の萌えキャラ代表の称号を手に入れる 【イカ娘@侵略!イカ娘】 【状態】健康 【装備】なし 【道具】基本支給品、不明支給品 【思考】 1:むろみに勝ち、海の萌えキャラ代表の称号を手に入れる
https://w.atwiki.jp/junchankawaii/pages/42.html
1 純梓 2010/10/06 21res http //yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1286325020/ 戻る 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/83452/pages/4407.html
戻る うぉぉぉぉ和ちゃんもさわちゃんも超かわえぇぇぇぇぇ! -- (名無しさん) 2010-05-23 23 15 19 なんだこれええええええええええええ!!!!! 2人とも可愛過ぎるだろおおおおおおおおおお!!!!! もうこう言う目でしか見れない 作者、管理人さんありがとおおおおおお!!!!!!! -- (名無しさん) 2010-05-24 01 39 16 大の男がこういう事を書くのもなんですが…出てくるメンツがみんな可愛いです、ハイ 「なんだかんだ言ってもかわいいさわちゃんSS」は結構多いけど、 「純粋で乙女してて可愛いさわちゃん」という点では、このSSが随一だと思います マジお奨め。 ちなみに… 唯「わがままな嫉妬」と甲乙つけ難いくらい、唯も可愛い… そしてあずにゃんにワロタのはいうまでもない -- (名無しさん) 2010-06-24 21 34 50 あずにゃんなんか親父くさいぞwwww -- (名無しさん) 2010-07-14 17 04 52 おまけのさわちゃんはちょいと大人気ないが、恋する乙女状態だから仕方ないね。 ここのあずにゃんは終始ジト目で仏頂面をしているイメージがw -- (名無しさん) 2010-08-29 21 25 51 くっそかわいいいいい -- (名無しさん) 2010-09-01 13 02 42 隣人(´・ω・`)カワイソス -- (名無しさん) 2010-12-16 06 31 11 なにこのさわちゃん、かわいすぎてもげた -- (名無しさん) 2011-02-10 02 44 32 カプのさわ和をざわ和と読んじゃったわ -- (名無しさん) 2011-02-19 15 13 44 呼吸ができなくなるくらいメインの二人が可愛いです。 もちろん他のメンツも堪らないですが^^ -- (名無しさん) 2011-10-18 23 37 50 おいおい、さわ和なんて……と思ってた俺はまだまだ未熟だったようです。 素晴らしいじゃないかっ! あと隣人に幸あれw -- (とある名無しの百合好き) 2011-10-19 00 47 43 さわ子「はぁぁぁぁぁぁん!!!!」ハァハァッ で吹いたw -- (涙) 2011-11-15 10 39 40 何これ可愛い -- (名無しさん) 2011-12-19 15 03 46
https://w.atwiki.jp/llnj_ss/pages/1880.html
元スレURL せつ菜「ランジュさんはナルト好きですか?」 概要 アンジャッシュせつラン タグ ^優木せつ菜 ^鐘嵐珠 ^短編 ^コメディ 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/abnormal_eyebrow/pages/15.html
昇竜拳のフラストレーション 今日も出ない。昨日も出なかった。 けっしてUNKOが出ないわけではない。 昇竜拳が出ないのだ。 僕が小学校1年生のとき、瞬く間に世界に旋風を巻き起こしたゲーム・・・。そう、ストリートファイター2だ。僕はあれを買ってから12年間、このゲームをプレイしなかった日はない。新作が出ても、格闘ゲームの主流が3Dに流れても、僕はこのゲームをやり続けた。雨の日も風の日も、台風が来ても借金取りが来ても、僕はこのゲームに一途な少年であり続けたかった。 なぜにこうもこのゲームにはまるのか・・・。人は僕に尋ねる。だが、今までこの理由を誰にも話したことはない。 僕には双子の弟がいた。成績優秀で運動神経も抜群、食欲不振、肉体疲労、冷え性。養命酒な弟だった。その弟が初めて親におねだりしたのが何を隠そう薬用養命酒だった。 ある日、父が出勤しようとしていたとき、僕の弟は父に「養命酒を買って帰ってきてくれないと自殺するよ。」と脅しを入れた。父は弟の本気のまなざしに恐怖を抱き、会社帰りにショッピングセンターに寄らざるを得なくなったのだった。父は本気の弟には逆らえないことを知っていたのだ。そしてその夜、父は同僚の誘いにも乗らず、紙袋に入った弟へのプレゼントを持ってまっすぐ家に帰ってきた。そう、その紙袋の中身こそがストリートファイター2だったのだ。 その夜、弟は帰らぬ人となった。 父も帰らぬ人となった。 母も帰らぬ人となった。 祖父はもちをのどに詰まらせて死んだ。 祖母は父の隠し持っていた過激なビデオを発見してショック死した。 もう僕にはスト2しか家族がいない。 無口だけれど静かに闘志を燃やす、リュウ。 明るく陽気に僕を励ましてくれる、ケン。 野性味あふれるジャングルの王者、ブランカ。 秋場所優勝、エドモンド本田。 友達思いのナイスガイ、ガイル少佐。 ムキムキ変態親父、ザンギエフ。 時にはやさしく、時には厳しく。でも過激なあなたが好きです、春麗。 春場所優勝、エドモンド本田。 ボールが友達、大空翼。 お口の恋人、ロッテ。 楽しい時を創る企業BANDAI。 小結降格、エドモンド本田。 だけど今日も昇竜拳は出ない。 →↓┘+Pが僕には入力できない。 でも僕の戦いは続く。「昇竜拳!」と叫びながら雷に打たれて死んだ弟のために・・・。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1166.html
戻る 先頭ページへ 廻る。 狂る狂ると、狂る狂ると。 回る、回る、歯車。 力を廻らす為に、回る。 ニューラルネットワークを奔る、心の力。 疑似神経回路網を奔る、電気信号。 身体の隅々にまで、アクチュエータの隅々にまで、廻らせる。 その力の、彼女達の力の源は、感情。 主を喜ばしたいという、感情。 勝負に勝ちたいという、感情。 敵を倒したいという、感情。 只管戦いたいという、感情。 その感情を燃料に、歯車を回す。 その力で、戦う。 彼女が燃やすのは、何? 「アル・ヴェル、出力全開」 「イェス、マスター」 主の命令に、アル・ヴェルは短く応えた。 間髪入れず、両足に備え付けられた三対の翼を展開。エネルギーフィールドを最大出力で展開。 エネルギーフィールドは周囲の空間と強く反発し、その反発から加速を生み出す。 刹那、アル・ヴェルは右足を無造作に振り抜いた。それと同時に何かが砕ける音がした。 アル・ヴェルは一見、無表情だ。 しかし、その心の内には得体の知れない感情が渦巻いている。それを悟られぬ様にアル・ヴェルは表情を表には出さない、 「次は当てるよぉ、師匠ぅ?」 虚空を踏みしめるアル・ヴェルの遥か眼下、廃墟群の中からカーネリアンの声が響く。 カーネリアンは無造作にチーグルを廃墟の壁に突き立て、一息で引き抜く。 凄まじい轟音と共に廃墟の一部が倒壊し、チーグルの掌の中に2smはある巨大なコンクリートの塊だけが残った。 「そぉ~れ」 そして、それをぽい、と頭上に投げた。 「うりゃぁ!」 次の瞬間、チーグルに握るロケットハンマーでコンクリート塊を打ち抜いた。 ブースターの音、金属と塊が衝突する音、空気を裂く音、その全てが重なり、アル・ヴェルへとコンクリート塊が一直線に向かう。 驚愕よりも先に、どう動くべきかが頭を巡る。回避しても良い。この距離なら十分可能だ。 しかし、アル・ヴェルはそれを拒んだ。 高速で迫るそれを前に、左足はそのままで右足だけを大きく引いた。 コンクリート塊は一瞬でアル・ヴェルの目前に迫り、まさに今衝突しようとしている。 「……破ツ」 刹那、アル・ヴェルの右足が鈍く光った。 両足に供えられた三対の翼、羽鋼が不可視の壁を展開したのだ。 不可視の壁は空間に強く反発し爆発的な加速を生み出し、それを与えられた右足は目視不可能な速度で振り抜かれた。 アル・ヴェルに蹴られたコンクリート塊は、進行方向と逆のエネルギーをぶつけられアル・ヴェルへ届く事無く砕けた。 それは、アル・ヴェルの不安の表れだったのかもしれない。 その破片は重力に引かれてカーネリアン目掛けて落下する。破片と言えどその一つ一つは未だ0.5smはある。 アル・ヴェルは眼下に佇むカーネリアンを見た。 「……ふふぅん」 笑っていた。楽しそうに。嬉しそうに。可笑しそうに。 それを見たアル・ヴェルもまた、笑った。 何故笑ったか分からない。ただ、何となく笑いたかった。 カーネリアンと、笑い合いたかっただけだ。 「アル・ヴェル、急降下蹴激」 「イェス、、マスター」 翼長、悠に3smはある巨大な羽鋼を展開。それと同時に電磁推進装置を稼働させる。 ぱちり、と大気に電流が走った。羽鋼の翼から電流が放たれているのだ。 翼から放たれる電流は空気の流れを操作し、驚異的な機動性を生む。 それに加え、エネルギーフィールドも発生させる。 アル・ヴェルの両脚は、淡い光と迸る電流に包まれた。その姿はある種神々しくもある。 「……行きますよ」 アル・ヴェルは誰に言うでも無く呟くと次の瞬間、落ちた。 その加速は圧倒的だった。一秒もかからず最高速に達したアル・ヴェルの身体は白い流星のようにカーネリアン目掛けて落ちた。 「ははん」 カーネリアンとの距離は、一瞬で零になった。 まず、爆音と衝撃波が周囲を襲った。次に砕かれた地面の粉塵と瓦礫が周囲に撒き散らされ、最後にアル・ヴェルとカーネリアンの近接戦闘が幕を開けた。 「遅い」 カーネリアンの至近に居ながらも、アル・ヴェルの心中は穏やかであった。 それは言いかえれば不安の表れだった。それを解き放てば、何かが起こる気がする。そんな不安から、アル・ヴェルの心は酷く冷たく穏やかだった。 見る事さえ叶わぬ右足がカーネリアンの頭部目掛けて繰り出された。 大気を震わせ、粉砕し、全てを砕こうとするそれを、カーネリアンは防いだ。 「あはぁ」 アル・ヴェルの羽鋼の破壊力の一つの源はエネルギーフィールドにある。ほぼ純粋なエネルギーであるこれは、周囲の空間を圧迫する。 圧迫された空間は当然、反発する。この反発する力を利用したのが羽鋼の超加速だ。 速度はそのままで武器になる。 アル・ヴェルはそれを体現している。 彼女の蹴りは鉄球の一撃と等しく、直撃すれば神姫であろうとただでは済まない。 「喉元過ぎれば何とやら、てねぇ」 アル・ヴェルとカーネリアンの距離は、僅か。まさにお互いの息がかかる位置だ。 アル・ヴェルは右足をハイキックの要領で繰り出しており、カーネリアンはその右足の下から、四つん這いに近い体制でアル・ヴェルの太腿をチーグルの巨大な掌で掴んでいる。 蹴り技と言うのは、例外を除いて脛から爪先までを用いる。アル・ヴェルにおいてはそれがさらに如実なのだ、 何故なら、アル・ヴェルの超加速を生み出すのが足首の辺りから生える三対の羽鋼だからだ。 加速が十分に活きる部位は自ずと限られる。 要は、破壊力があるのは脚先のみ。ならばそこ以外の部位を捉えてしまえば良いのだ。 だが、アル・ヴェルもこれくらいの事は想定内だ。 防がれた事に驚きは無い。むしろそれくらいやってくれると考えていた。 何故か、アル・ヴェルはその事が、可笑しなことに嬉しかった。 そう考える自分を戒め、その考えを直ぐに抑え込むように、掴まれた右足を軸に左足をカーネリアンの頭に向けて蹴り上げた。 カーネリアンは丁度四つん這いの体勢だが、チーグルとサバーカにより体格はアル・ヴェルの倍近い。よって、アル・ヴェルの左足はカーネリアンの頭とはやや離れた場所にある。 もし、カーネリアンがチーグルとサバーカを装備していなかった場合、繰り出された左足を回避する事は出来なかっただろう。 カーネリアンはアル・ヴェルの右腿からチーグルの手を放し、大きくバックステップ。それに遅れる事無く、アル・ヴェルは一瞬で距離を詰める。 アル・ヴェルの不安がまた大きくなった。 カーネリアンと離れてはならない。そんな気がしたのだ。 轟音、とでも表現するしかない音がアル・ヴェルの脚と共に鳴り響く。 飛び蹴りの要領で繰り出した右足が、カーネリアンの左脇腹に鋭く突き刺さる。その 瞬間、カーネリアンは蹴りの有効範囲を除け、無防備な脹脛にロケッロハンマーの柄を押し当て、軌道を反らした。 アル・ヴェルの右足は、本来の目的地であるカーネリアンの脇腹を外れ、カーネリアンの左側頭部の横の虚空を大きく突き刺した。 一撃一撃が神姫を破壊し得るに相当な威力を秘めている羽鋼だが、当たらなければ意味が無い。カーネリアンは、それを体現した。 だが、アル・ヴェルは止まらない。 反らされた右足のエネルギーフィールドを逆方向に出力。虚空にて一瞬の静止状態を作り出す。 身体は水平のままに右足を軸に左足を振り上げ、カーネリアンの顎を狙う。 カーネリアンはそれを、大きくバックステップすることで避ける。後退りながらもロケットハンマーを下から抉るように振り上げてアル・ヴェルの背中を狙う。 アル・ヴェルは虚空を蹴った左足に軸を移してくるりと半回転、今度は右足を振り下す。 ロケットハンマーが火を噴き、鋼の塊に強烈な加速を与える。 羽鋼が瞬き、エネルギーフィールドが激烈な加速をその脚に与える。 急激な加速を与えられた質量が孕むエネルギー。 超常の加速、純粋な速度が生み出すエネルギー。 質量と加速。 純粋な速度。 その二つが交差する。 エネルギーとエネルギーの衝突。 それは破壊の濁流、破壊の雄叫、破壊の狂気。 ロケットハンマーを通し身体を襲う破壊の奔流。 羽鋼を通じ身体を貫く破壊の歌声。 「はは」 それは二人の深層回路に刻まれた原初の衝動を刺激する。 「ははは!」 武装神姫の闘争本能を刺激し、呼び覚ます。 「ははははははははは!」 戦場に木霊するカーネリアンの笑い声。 己の力を叩き込む事への歓喜の声。 全力で戦える事への渇望の声。 戦いを求める雄叫びの笑い声。 二つの力がぶつかり合う事で生じた、危うく脆い均衡状態。 刹那、均衡が崩れた。いや、崩したというべきか。 アル・ヴェルの自由な左足が降り抜かれるのと同時に、カーネリアンの身体が吹き飛んだのだ。 衝撃波。 しかし、アル・ヴェルの脚が引き起こした衝撃波はそれほど威力は無い。 体勢を立て直したカーネリアンはすぐさま一歩踏み込んだ。そして、ロケットハンマーを大きく、右から薙いだ。 アル・ヴェルは迫るロケットハンマーの柄に右手を添え、左腕を押し当てた。ロケットハンマーの破壊力もまた絶大だが、それは打突部に限った話だ。 アル・ヴェルはロケットハンマーの一撃を神姫の細い腕で防ぎ切り、そして、自由な右足をカーネリアンの脇腹に叩きこんだ。 「ぁぐ」 脇腹への一撃、それは神姫を斃すには充分な一撃であった。 しかし、カーネリアンはその刹那、左腕を差し込む事により威力を減衰、さらに身体を捩る事によってさらにその威力を減衰させた。 「はは……ははは」 しかし、それでもその威力は絶大だ。 カーネリアンの左腕は全壊。脇腹付近のフレームは滅茶苦茶で、傍目から見ても凄まじい損傷だ。 「ははは……ははははは!」 ダメージは痛みに変換され、カーネリアンの身体を奔る。 だが、今の彼女にとってそれはただの興奮剤に過ぎない。 「ははははは!」 カーネリアンは脇腹の損傷になど目をくれず、アル・ヴェルへと襲いかかった。 地上から僅かに浮かぶアル・ヴェルは何の構えも無く、自然体で待ち構えている。 がっ、とカーネリアンの右足が地面を捉えた。 その右足を軸に、身体を捻りながらロケットハンマーを右上に逆袈裟で振るう。 それに合わせ、背部のエクステンドブースターを点火し身体の捻りに更なる速度を加える。 最後に、打突部後部にあるブースターが火を噴いた。その威力は更なるモノへと昇華する。 大気を啼かせ、砕き、喰い壊しながら踊る破鋼。 冷たい鋼は黙して語らず、しかしその質量は絶大。 質量は即ち破壊力となり、それに速度が更なる破壊力を加える。 それは、羽鋼と同じ必滅の一撃。 それは、全てを壊す必壊の一撃。 それは、まさに一撃必殺。 「貴女も言ってましたね」 だが、アル・ヴェルはそれを止めた。 必滅の、必殺の一撃を。その細い腕のみで止めて見せた。 「喉元過ぎればなんとやら」 アル・ヴェルの両手はロケットハンマーの柄の中程を握っていた。 カーネリアンが羽鋼の一撃を防いだのと同じ理屈だ。 破壊力があるのはロケットハンマーの先端、打突部のみ。 それ以外……例えば柄はさほどの威力も無い。 先ほど、カーネリアンと同じ方法でアル・ヴェルはロケットハンマーを防いだ。 ただ一つ、違う点があるとすれば、アル・ヴェルはチーグルなどを使わず、素手で止めた事か。 カーネリアンは防がれると感じた瞬間、残った右腕に握るギロチンブーメランの切っ先をアル・ヴェル目掛けて差し込んだ。 それに呼応し、チーグルで握るロケットハンマーも引く。 アル・ヴェルのバランスを崩し、その腹にギロチンブーメランを叩き込もうと言う寸法だ。 「手加減は、しません」 それよりも早く、アル・ヴェルの左回し蹴りがカーネリアンの脇腹に叩きこまれた。 風を裂く轟音と衝突音が同時に響く。 カーネリアンの脇腹にはアル・ヴェルの左足が食い込み、腹部は中程まで破壊されている。上体を保つのさえ難しいだろう事が見て取れる。 「つかまえたぁ」 だが、それはカーネリアンの罠だった。 アル・ヴェルは距離を取ろうとした、だが、間髪入れず至近距離でチーグルの右ストレートをもろに貰った。 「……っ!?」 そして、アル・ヴェルの左足は、左のチーグルで握り潰された。 肉を切らせて骨を断つ。 そう例えるには余りにも無茶で無謀なカーネリアンの行動。 鈍い痛みがアル・ヴェルの身体を駆け巡る。 痛みは一瞬の隙を生み、その隙をカーネリアンは逃さない。 左のチーグルでアル・ヴェルの左足を握り潰したまま、アル・ヴェルの身体を地面に叩き付けた。 固いもの同士がぶつかり合う音が響く。 アル・ヴェルはうつ伏せに地面と叩き付けられた。 一瞬、意識が遠のいたと思った次には全身を激痛が襲う。 「まだまだぁ!」 息を吐く前にアル・ヴェルは振り上げられた。 酷い眩暈と吐き気の疑似感覚に苛まれながらアル・ヴェルの身体は高々と掲げられた。 一瞬の静止、そして直後に振り下ろされるアル・ヴェル。 「あぁぁぁぁぁっ!!」 アル・ヴェルが吼えた。 そして、左足を掴むチーグル目掛け右足を振り下した。 アル・ヴェルは自身の左足事チーグルを破壊し、その拘束から逃れた。 しかし、振り下ろされるエネルギーは殺しきれず、そのまま一直線に投げだされる形になった。 数sm程飛び、地面に落ち、転がって、アル・ヴェルはようやく止まった。 ノイズ混じりの視界と意識の中、立ち上がろうと脚に力を入れた。 「脚が……」 右足はほぼ全壊と言っても良い損傷であった。 チーグルで握り潰されたのに加え、自らの一撃を加えられたそれは、脛から先が無くなっていた。 しかし、それでもアル・ヴェルは立ち上がった。 無事な左足に重心を乗せ、バランスを取る。 羽鋼はそこそこの質量を持つ。それが幸いし然程バランスは悪くは無い。 だが、片翼を失った今、蹴りを放つ事は難しいだろう。 それに加えて、一度地面に叩き付けられた衝撃も相当なものだ。 「お互いぃ……ボロボロだねぇ」 アル・ヴェルから離れた場所でカーネリアンが立ち上がった。彼女もアル・ヴェルを振り下す反動を殺し切れなかったのだ。 右のチーグルで左の脇腹を押え、その手にはロケットハンマーを杖代わりに立ち上がった。 左のチーグルは手首付近を完全に破壊され、罅が肘付近まで到達。 脇腹も半分近くを抉られており、内部機構が時折スパークを放っている。 どう見ても、戦える状態では無い。 「ふふ……」 機能停止寸前、両者共に満身創痍のその状況でアル・ヴェルは笑っていた。 全身を襲い、脳内を駆け回る痛み。 絶え間なく続くそれが、今は心地よかった。 アル・ヴェルは気付いていた。自分が戦いを楽しんでいる事に。 そして、それを拒んでいた事。 「師匠ぉ、良い顔で笑うねぇ」 一歩一歩、ゆっくりと時間をかけてカーネリアンは歩く。 アル・ヴェル目指して、ゆっくりと。 「そう、見えますか」 アル・ヴェルもまた歩を進めた。 片足で、たどたどしくだが、確実にカーネリアンを目指して。 「そんな楽しそうな顔ぉ、初めてだなぁ」 サバーカを装備したカーネリアンは、アル・ヴェルに比べて二回りほど大きい。 それは、普段のアル・ヴェルにしたら些細な問題だが、羽鋼の片翼が捥がれた今、それは大きな問題だ。 羽鋼は翼の様に、一対で初めて成り立つ装備だ。 片方の羽鋼で攻撃し、もう片方の羽鋼で姿勢を保つ。今のアル・ヴェルにはそれが出来ない。 加えて、未だ無事な右のチーグル。今のアル・ヴェルにはそれを防ぐ術は無い。 圧倒的に、不利な状況。 普通のアル・ヴェルなら、ここで白旗を振っていただろう。 しかし、今のアル・ヴェルの頭に敗北の文字は無い。 あるのは一つ、戦いへの願望。 例えこの身が砕けても、戦う事を止めない。 その眼は、そう物語っている。 「けどぉ、ここまでかなぁ」 アル・ヴェルとカーネリアンの距離は、僅か1sm程になっていた。 刹那、カーネリアンは鋭く間合いを詰め、右のチーグルでアル・ヴェルの頭部を捉えた。 アル・ヴェルは、意識を手放した。 「満足したか?」 テープで腹部をぐるぐる巻きにしたカーネリアンを、右手で抱えながら恵太郎は言った。 「うん。第満足だよぉ」 少々疲れが見える表情ながら、カーネリアンは笑いながら応えた。 「ごめんね、マスターぁ」 右腕で左肩を抱きながら、カーネリアンが言った。 「何がだ?」 カーネリアンを優しく見つめながら、恵太郎は言った。 「ボクのわがままに付き合わせてぇ」 ごめんと言いながらも、その顔に謝罪の色は無い。 「俺も二人の決着を見たいと思ってたんだ」 恵太郎は上機嫌で応えた。 「じゃあ、もう一つ。また修理の手間掛けさせちゃう」 今度は、申し訳なさそうに俯きながら言った。 「何、お前の為ならむしろ喜んでやるさ」 左手の指でカーネリアンの頭を撫でながら恵太郎は言った。 「うん……時間が無いのに、ごめん」 くすぐったそうにしながら、カーネリアンは呟いた。 「今までの時間を考えれば充分だよ」 恵太郎は、どこか寂しそうに言った。 「そうだよね……そうだよ、ねぇ」 離れた指を名残惜しそうに見ながら、カーネリアンも呟いた。 「もう心残りは無いか? カーネリアン」 真面目で、どこか悲しそうな瞳で恵太郎は言った。 「それはこっちのセリフだよぉ、マスター?」 カーネリアンは笑った。屈託なく、無邪気に笑った。 先頭ページへ 進む
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1054.html
戻る 先頭ページへ 広い広い世界のその中に、一つの国がありました。 海に囲まれ、四季に包まれ、自然と共に生きてきた国がありました。 その国の人々は夢を見ました。新しい友達の夢です。 人々は長い期間をかけ、夢を実現させました。 人の姿に人の心、そして人の魂を持った、でも少し小さな機械仕掛けのお姫様です。 彼女達はすぐに人々に受け入れられました。 人々は彼女と共に過ごし、彼女と共に歩き、彼女と共に戦っていました。 彼女達は人々の良き友人、良き家族となりました。 しかしあるとき、彼女達のたった一つの要素しか見ない人々が現れました。 彼女達を争いの道具に、姉妹を殺させる道具に仕立て上げたのです。 彼等は、彼女等を愛する人々に恐れられました。 何人の人が、彼等を止めようと挑み、そして敗れました。 彼等は殺し続けました。殺させ続けました。 彼女達の姉妹を、彼女達の手によって。 身体が痛い。身体が痛い。身体が痛い。身体が、痛い。 腕を切られ、脚を刺され、でも死なない程度に痛み続けるこの身体。 「……立て」 眼に映るのは罅割れた大地と気味の悪い青い空、そして純白の悪魔。 その光景はとても綺麗で、とても眩しくて、とても儚くて。 傷一つ無いキミの身体。無表情にボクを見つめるその瞳。 ストラーフの名に相応しい恐怖を、ボクは確かに感じている。 だけど一つ違うのはその恐怖を感じているのがキミに対してだけじゃないって事。 ボクが感じる恐怖は失う恐怖。 それもとびっきり性質の悪い、確定した恐怖。 理不尽に、唐突に降りかかる恐怖も十分怖いけど、来る時が解っている恐怖も結構怖いんだ。 「……立て」 キミの眼には何の感情も映らないと思っていた。 キミの心には温かい感情が満ちていると思っていた。 けど、違うんだね。 キミの眼に映るのは憎悪。キミの心に満ちるのも憎悪。 一切合切を投げ捨て打ち捨て放り捨て、ボクを斃す事だけに全てを捧げた復讐者。 どうやら時が来たらしい。 きっと来ると思っていた、来なければ良いと思っていた、そんな時。 これから始まるのは終り。 全てを終わらせる為の始まり。 今までの全て。 皆と過ごした日々の終わり。 マスターと過ごした日々の終わり。 あの時誓った終わり。 これから始まるのは終わらせる為の日々。 終わりが、始まる。 今日の今日まで、こんな事にならないんじゃないかと思っていた。 頭の隅でそんな事を願っていた。 自分で決めた事なのに、自分で誓った事なのに、それを拒絶したくなるほどに俺は幸せだった。 捨てたくない。亡くしたくない。失いたくない。 嫌だ。嫌だ。嫌だ。 今までの全て、皆と過ごした全て、皆と歩いた道、皆と築いた記憶。 俺は本当に幸せだった。 口では不平不満を口にしながらも、心の中ではそれを言う事の出来る相手に感謝していた。 あの時俺の目を覚まさせてくれた貴方達の事は、心の底から好きだった。 餓鬼の時分から俺に付き纏い、いつもヘラヘラ笑ってるお前も嫌いでは無かった。 年の割に落ち着いたお前は、俺の中で良い友人だったと思っている。 もちろん、偶然出会った俺に良く似たお前の事も。 そんな皆を、俺は裏切る事になる。 これは罰。 俺がしたことへの、罰だ。 それを思い返す度、あいつらの事を考える度、心が締め付けられる。吐き気がする。眩暈がする。 それは喪失感から、憎悪からくるのもあるが、一番大きいのは俺がそれをしたって事への拒絶。 違う。違う。違う。 何も違わないのに、そんな事解りきってるのに。 でも、これで良かったのだ。 俺がこんなふうに感じる事が出来たのだから、目標の半分は達成したようなものだ。 そろそろ時間だ。 あの時からずっと借りてたモノを返さなきゃいけない。 あいつらに借りてたモノを、形は違うけど返さなきゃいけない。 俺はその為だけに、生きてきた。その為だけに、ナルと居た。 全く以て神ってのは、変なトコで公平で平等で嫌な奴だ。 「……こんなの、違う」 解ってるさ、そんな事は。 あと少しだけ待ってくれても良いだろう? あと少しくらい、未練がましく後ろを見たって良いだろう? 「違う……違う……」 君島の声が、恐ろしい程に抑揚のない声が響く。 呟くように、呪うように吐き出されるその言葉の矛先は恵太郎へと向いている。 「カーネリアンは……こんな……弱くない……」 しかし、恵太郎は何の反応も見せず、ただ黙って俯いているだけだ。 「ネリネを……殺したのは……こんなのじゃ、ない……!」 瞼の下に浮かぶのは愛しい家族の最期の姿。 ボディを修復不可能なまでに破壊された、ただの冷たい金属塊。 しかし、その顔は、その口は、その目は、ほんの先刻まで歌うように喋り、楽しそうに視線を動かしていたのだ。 死。 彼女が生き物でなく、ただの玩具である事は解っていた。 しかし、その時の感情は紛れもない、死への悲しみだったのだ。 そして浮かぶのはもう一つの姿。 影のように黒い身体に返り血の様な赤を散りばめた悪魔の姿、 狂気に揺れる瞳、狂気に歪む唇、狂気を体現した存在。 相対した神姫の一切合切を破壊し破壊し破壊し尽くした、本物の悪魔。 それが今、目の前にいる。 「私は……お前を……倒す為に……その為だけに……」 その口から洩れるのは憤り。 自分の半身を奪い、それでいてのうのうと暮らす人間が今目の前にいる。 君島は、そいつに復讐する為にここまで来たのだ。 それなのに、肝心のそいつはまるで上の空で、君島の存在を忘れてるような素振りさえ見せる。 君島には、それが何より我慢ならなかった。 「アリス……」 小さく、低く呟いた。 そのたった一言から真意を読み取ったアリスは、抵抗もせず戦意も感じられないナルに向け静かに歩み寄った。 君島は軽い失望を抱いていた。 悪魔の如き所業で何十体もの神姫を殺した神姫。 あのとき、対峙した神姫の弱さを嘲った神姫。 力無き神姫を塵扱いした神姫。 そして、何処までも強かった神姫。 それがマスター同様、アリスに対して何の抵抗もせず、成すがままにされている。 反撃も無い。防御も無い。回避も無い。 ただアリスの一撃を甘んじて受け入れるだけ。 もし、それが懺悔だと考えているのなら反吐が出る。 私達が受けた恐怖と絶望はそんな生易しいものでは無いのだから。 だから、もう終わりにするのだ。 神姫に罪は無い。 だが、マスターの罪は神姫の罪だ。 神姫を壊して楽しむ人間の神姫を壊したところで何とも感じないのだろうが。 それでも、心は幾許か晴れるかもしれない。 「首を、刎ねよ」 だから、命じる。 五年前の恨みを乗せて。 五年分の恨みを乗せて。 憎悪の代わりに失望に満ちた心を乗せて。 命じる。 首を刎ねよ、と。 目を閉じれば、あの時の光景が目に浮かぶ。 恐怖に歪んだその顔で、鉄屑へと帰るその顔が浮かぶ。 自身の神姫を壊された人の顔が浮かぶ。 私を畏怖の目で見る人の顔が浮かぶ。 俺を蔑む人の顔が浮かぶ。 私を哀れむ人の顔が浮かぶ。 俺を憎む人の顔が浮かぶ。 私を憎む人の顔が浮かぶ。 それを、何とも思わない俺の顔が浮かぶ。 それを、愉快だと思う私の顔が浮かぶ。 それを、見る俺がいる。 それを、見る私がいる。 過去を見る俺。 過去を見る私。 お前は俺。 貴女は私。 さようなら、自分。 白い刃が空に映える。 それは青空に浮かぶ雲のように、清々しく美しい光景。 同時に、それは触れるものを切り裂く断罪の刃。 「首を刎ねよ」 戦場に声が響く。 声が響く。 戦場に置いて不相応な声音で、戦場に相応しい言葉で。 首を刎ねよ、と。 高く甘い声で。 冷たく無慈悲な声で。 ただただ冷酷に響く声。 その声に従い、アリスはアンクルブレードを振り上げる。 脚元に臥すナルの瞳は何も映さず、何も感じる事は出来ない。 その首筋に狙いを定め、そして一息で振り下ろす。 アリスはネリネを、君島の最初の神姫を知らない。 ただ、写真はたくさん見せて貰った。 話も聞かせて貰った。 思い出を語って貰った。 それだけで、ネリネが君島にとってどれだけ重要な神姫か理解出来た。 そして、それを奪った者に対する憎悪も。 だからアリスは容赦なく殺す事が出来る。 例えそれが同じ姉妹だとしても。 その行為が同じ事だとしても。 「……」 アンクルブレードは細身の実体剣である。神姫の細いそっ首を落とす事など造作も無い。 その刃が、ナルの首筋に向かい、その首を切断しようとしている。 その光景を目前にしながらも、恵太郎はそれを現実として受け入れ切れていなかった。 それは現状への悲観からなどという理由では無い。 それは、恵太郎にしか解らない理由からだ。 だが、現実を拒否したからと言って現実が消えていく訳では無い。 現実は確実に存在する。 アリスも、アリスが持つ白刃も、ナルの危機も。 その時。 「あははぁ」 ナルが、動いた。 迫るアンクルブレードを鉤鋼で握り防いだナルは、嗤った。 自嘲か、嘲笑か、それとも他の何かか。 ナルは笑っていた。 「マスターぁ……いい加減相手しないとぉお客が逃げちゃうよぉ」 突然の事態、それのお陰でアリスに一瞬の隙が出来た。 ナルはその隙を逃す事無く、刃鋼の柄でアリスの腹部を突き叩いた。 「ああ……そうだったな」 動き出した恵太郎は酷く緩慢に息を吐いた。 まるで何かを諦めたような、そんな動き。 「マスター、夢は見れたかなぁ?」 よろめくアリスを蹴飛ばし、脚を組み替えながら地面を抉り硝子の破片をアリス目掛けて蹴り飛ばす。 「良い夢だったよ」 後退し、距離を取ろうとするアリス目掛けて刃鋼を薙ぎ降ろす。 「じゃぁ、そろそろ始めようよぉ?」 大蛇の様に刃鋼を唸らせ捩らせ震わせて、ただ只管に破壊の限りを尽くす。 「まぁ、壊さない程度にな」 「イェス、マスター」 その刹那、ナルの銃鋼が火を噴いた。 ただし、その銃口の先にあるのはアリスではなく、硝子の大地。 無数の硝子を粉塵塗れに吹き飛ばす砲撃。その反動はそのままナルへと返り、ナルはそれを推進力へと転用する。 ナルは射撃の為では無く、移動の為に銃鋼を利用したのだ。 「さぁてお待ちかねのぉ、楽しい楽しいダンスパーティーだよぉ?」 伸びたままの刃鋼を戻しもせず、アリスの眼前へと追い縋る。 そしてそのまま肉薄し、頭突いた。 「……」 アリスは無言で、しかし確かに感情を顔に浮かべながらも手に持つアンクルブレードとチーグルで握るフルストゥ・グフロートゥに力を込める。 「やっと……やる気に……なったようです、ね……そうでなければ……意味が、無い」 君島が笑った。 それは疲れた笑みだった。 飢え渇いた笑みだった。 5年もの歳月を復讐の為に費やした者の笑み。 「来いよ、君島。相手してやる」 恵太郎も、また笑っていた。 その笑みは壊れた笑み。 自分の何かを壊した笑み。 壊す事を覚悟した笑み。 一部始終をただ傍観するしか出来なかったアリカは、事が終わった今でも傍観するしか出来ていない。 その理由としては、会話の端々から君島が恵太郎に恨みを持っているという事、それが、自分の知らない恵太郎の過去の事に直結しているからに他ならなかった。 もう一つ、挙げるとすれば、それはナルの戦い方だった。 アリカはトロンベを通じ、ナルと何度も戦ってきた。そして、何度も何度も負けている。 その中で、ナルは常に正々堂々と戦ってきた。 騎士道精神とも違う、何かを立てて戦っているのをアリカは感じていた。 確かに奇襲もした、不意打ちもした。しかし、それでもどこかナルと恵太郎には何かがあった。 だが今のナルは違う。 それは戦いでは無く、壊し合いにしか見えなかった。 ナルはアリスの脚を真っ先に壊し、動きを封じた。 次に刃鋼でアリスをぐるぐる巻きにし、振り回し叩き付けた。文字通り完膚無きまでに。 そこに理性とかいうものは微塵も無く、あるのはただの狂気じみた笑い声だけだった。 「……ご主人様」 頭の上で震えるトロンベを、アリカは気遣わしげに撫でた。 その身体が震えていると感じたのは、もしくは自分の震えなのかもしれない。 「どうした、アリカ」 いつの間にか、恵太郎が目前にいた。 その肩の上には少し汚れたナルの姿もある。 「べ、別に……何でも、ないです」 アリカは、一瞬形容し難い感情に襲われた。 しかし、それを無理やり打ち払いいつもと同じように振舞った。 「……流石師匠ですね! あんな強そうなストラーフ見た事無いです!」 努めて明るく、努めて元気に、いつもの自分を思い出しながら、アリカは普通を振舞った。恵太郎の素気ない態度が、今は恋しかった。 「そうか、ありがと」 だが、予想に反し、恵太郎は軽く微笑むとアリカの頭をトロンベ毎軽く撫でた。 何時もなら飛び上がる程に嬉しい行為が、今は取り返しのつかない事態に陥った気がした。 「もうこんな時間か……俺は帰るけど、お前は?」 何時もと同じ、何時もと違う様子で恵太郎は言った。 「何なら送って行くぞ?」 優しく微笑むその瞳は、確かに優しく歪んでいた。 「あ、あの。今日は、予定があるんで、一人で大丈夫です!」 その瞳を、アリカは怖いと感じてしまった。そう感じる自分も、怖いと感じた。 「そうか、なら仕方ないな。気を付けて帰れよ」 そう言うと、アリカの肩を軽く叩いた。 「君島」 呼ばれた人物は、今だバトルマシンの前で項垂れている。 その傍らに立つアリスは恵太郎を無表情な瞳で睨んでいる。 「お前の勝負なら、何時でも受けて立つからな」 優しさすら含まれるその言葉に、君島は応えない。 先頭ページへ 次へ
https://w.atwiki.jp/yuiazu/pages/2061.html
梓「唯先輩大好きです。付き合ってください」 唯「えっ・・・ほんと!?」 梓「・・・もう唯先輩今日は何の日ですか?」 唯「えっと・・・?なんだ!そういう事か」 唯「・・・」 唯「あずにゃん私も大好き。だから付き合って」 梓「・・・仕返しですか?やめてくださいよ」 唯「・・・時計を見てよ」 梓「え?時計ですか?もう12時を回ってる。つまり・・・」 唯「・・・私のは嘘じゃないよ」 梓「・・・唯先輩」 梓「実は私も嘘じゃ・・・」 唯「うん。知ってた」 唯「あずにゃんの嘘か本当かなんてすぐに分かっちゃうんだから」 梓「流石ですね」 唯「だって大好きなあずにゃんの事だもん」 梓「もう///私だってこれからどんどん唯先輩の事を知っちゃいますからね」 梓「だって大好きな唯先輩の事ですから」 唯「あずにゃん///」 今日はエイプリルフール 唯先輩には、お見通しってわけですか…… -- (名無しさん) 2014-04-24 21 47 32 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/suiginto/pages/98.html
水銀燈さん大好きです!付き合ってください!! http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1196492738/ 1~