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彼女の幼少期 2017年12月28日 17時06分51秒 テーマ:戦い 「いつ見ても死人みたいな顔色で、今にも倒れそうでね。 最後にご飯を食べたのがいつかわからないって言うもんだから。」 それは私のかかりつけの心療内科の先生によって明かされた 彼女の幼少期。 私がいつものように診察を受けた後、 先生が「うちから一番近い心療内科の…」と口にしたのは、 彼女のお父さんが営む病院でした。 思いがけず登場した彼女に関わる話に動悸がした私を、 先生は驚いた様子ながら支えて座らせてくれました。 病院の先生に不倫相手の名前を話すことになるなんて 思ってもみませんでしたが、 心療内科医同士、少しでも繋がりがあるのであれば…。 そう思い、伝えました。 「夫の不倫相手は…そこの娘さんです…。」 先生は長い沈黙の後、 赤くなった目元を手で覆って、力なくおっしゃいました。 「そう…。ついに助けてやれなかったんだね。」 午前の診療は私が最後だったため、 先生は私の正面に座り直し、 少しずつ思い出すように話してくれました。 https //webcache.googleusercontent.com/search?q=cache X4dQ6EZuKxgJ https //ameblo.jp/snowyroads115/entry-12339895367.html+ cd=2 hl=ja ct=clnk gl=jp
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imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 魔女の速達屋 今日中、半日以内といった時間に相手に渡さなければならない物がある。 しかし残された時間内ではとてもじゃないが間に合わない。 そんな時、依頼一つで何所までも! 届けてみせよう貴方のもとへ! というコンセプトの元設立された配達屋、その名も『魔女の速達屋』。 箒に跨った彼女たちエルフが世界の裏側まで荷物を配達する。 皆相当に魔術の素養が高く、配達中の事故にも十分に対応できるため配達に支障をきたしたことがない。 何より配達員が皆女性というのが、ここの人気の一因でもあるだろう。 era3 オールグリーン 職業
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中身一覧 公式紹介ページ>乙女の宝箱 提供割合 エターナルソード:9% 熊猫(くまねこ)の指輪:10% モンスターバルーン:10% ウッドドール:11% マジックネックレス:11% バラエティバッグ:11% アウルシールド:12% フラッシュリッパー:26% 入手場所 パペットガーディアンハロウィンイベント かぼちゃの夜会(イベント限定ステージ) ドロップモンスター アーティ・ファクト 開錠価格:1,000s エターナルソード 武器種 ロングソード 特殊 ロングソード型 攻撃力 5 魔力 - 属性 - 攻撃速度 10 備考 - 攻撃範囲 60 状態異常 - 称号 不朽の~ クリティカル 水10% 売買 可 エターナルシルバーソード 攻撃力 6 称号 ? クリティカル 光11% 備考 材質:銀 合成材料 エターナルソード×2 エターナルゴールデンソード 攻撃力 7 称号 ? クリティカル 雷12% 備考 材質:金 合成材料 エターナルシルバーソード×2 熊猫(くまねこ)の指輪 種類 マジックアイテム 魔力 ダイアモンド1ゾイサイト1 耐性 石化50%めまい50% 称号 熊猫の~ 備考 - 売買 不可 熊猫の双指輪 耐性 石化75%めまい75% 魔力 ダイアモンド2ゾイサイト2 備考 - 称号 ? 合成材料 熊猫の指輪×2 熊猫の三連指輪 耐性 石化100%めまい100% 魔力 ダイアモンド4ゾイサイト4 備考 - 称号 ? 合成材料 熊猫の双指輪×2 モンスターバルーン 種類 マジックアイテム 魔力 エメラルド2 状態異常 毒 称号 風船の~ ダメージ状態異常時間 52×2(?秒) 売買 不可 備考 - エフェクト 魔力をこめるとバルーンが飛んでいき割れる ウッドドール 種類 マジックアイテム 魔力 ダイアモンド1サファイア1 状態異常 めまい 称号 ~傀儡師 状態異常時間 ?秒 売買 不可 備考 - エフェクト 魔力をこめると1人の勇者が現れ敵に攻撃する ペアウッドドール 状態異常 めまい睡眠 魔力 ダイアモンド2サファイア2 状態異常時間 ?秒 称号 ? 備考 - エフェクト 魔力をこめるとオルグとユンが現れ敵に攻撃する 合成材料 ウッドドール×2 フレンドウッドドール 状態異常 めまい睡眠凍結 魔力 ダイアモンド4サファイア4 状態異常時間 ?秒 称号 ? 備考 - エフェクト 魔力をこめるとオルグとユンとラシャスが現れ敵に攻撃する 合成材料 ペアウッドドール×2 マジックネックレス 種類 アクセサリー 魔力 ダイアモンド1ゾイサイト1ルビー1サファイア1トルマリン1エメラルド1 備考 - 称号 宝石の~ 反映部位 首元 売買 不可 エフェクト ? バラエティバッグ 種類 アクセサリー 称号 ~長者 備考 - 売買 不可 反映部位 頭 エフェクト 魔法の袋から収納された通常アイテムが飛び出す ハイバラエティバッグ 備考 - 称号 ? 合成材料 バラエティバッグ×2 ゾアバラエティバッグ 備考 - 称号 ? 合成材料 ハイバラエティバッグ×2 アウルシールド 種類 盾(リビングシールド) 回復量 50% ガード可能属性 闇攻撃水攻撃 八つ当たり 20% 備考 ? 称号 暗躍を喰らう~ 売買 不可 ハイアウルシールド 回復量 75% 八つ当たり 15% 備考 ? 称号 ? 合成材料 アウルシールド×2 ゾアアウルシールド 回復量 100% 八つ当たり 10% 備考 ? 称号 ? 合成材料 ハイアウルシールド×2 ハイ以降変化のない部分は記載なし フラッシュリッパー 武器種 リッパー 特殊 リッパー型 攻撃力 2 魔力 - 属性 雷50% 攻撃速度 14 備考 - 攻撃範囲 20 状態異常 麻痺10% 称号 雷の~ クリティカル - 売買 可 ハイフラッシュリッパー 攻撃力 3 称号 雷の~ 状態異常 麻痺15% 備考 - 合成材料 フラッシュリッパー×5 ゾアフラッシュリッパー 攻撃力 4 称号 雷の~暗殺者 状態異常 麻痺20% 備考 - 合成材料 ハイフラッシュリッパー×5 ギガフラッシュリッパー 攻撃力 5 称号 雷の~暗殺者 状態異常 麻痺25% 備考 - 合成材料 ゾアフラッシュリッパー×5 セントフラッシュリッパー 攻撃力 6 称号 雷の~刺客 状態異常 麻痺30% 備考 - 合成材料 ギガフラッシュリッパー×5 アートフラッシュリッパー 攻撃力 7 称号 ? 状態異常 麻痺35% 備考 - 合成材料 セントフラッシュリッパー×5 攻撃速度、攻撃範囲は強化しても変わらない。全て売買可 ハイ以降変化のない部分は記載なし 家具 乙女(おとめ)の宝箱(大)・(小) 材料 盗賊の鍵×1、乙女の宝箱×1 サイズ(大) W?×D?×H? サイズ(小) W?×D?×H? フラッシュリッパー 材料 フラッシュリッパー×1ゴールドリキュール×1 サイズ W?×D?×H? 参照家具カタログ 134
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狭岐橋憂 幕間 『乙女の旅立ち』 ※第1ラウンド第4試合『高速道路』戦闘後の設定です。不思議なことにその1にもその2にも対応してるよ! その日、狭岐橋憂は学校中からの注目を集めていた。 彼女の通う“素晴らしヶ丘大学”は、魔人学園ではない普通の学園である。 いや、彼女が通っていたのはその“付属高校”だったかもしれない。 出場選手のプロフィールを作るとき、忙しすぎて履歴書を流し読みしかしてなかったので、文字を見落としていた可能性がある。 とにかくその学園では、魔人に対する目は世間一般とも同程度、酷いものだ。 それでもまだ『DSSバトル』への出場が発表されたとき、憂は英雄扱いだった。 彼女が魔人だと隠していたことをからかう者こそいたが、魔人であること自体を疎む者はいなかった。 『DSSバトル』とはそれほどまでに人々を熱狂させるコンテンツなのだ。 だが、昨日第1ラウンドが放送されてからそれは一変する。 淫魔化能力。彼女のような性魔人は、魔人の中でも特に嫌悪されるうちの一種である。 あるいは勝利を収めてさえいれば何らかの賞賛はあったのかもしれない。 しかし結果は相手の男に助けられての無残な敗北。 四方八方からの突き刺さるような視線が痛い。 「お、おはよう……」 彼女の数少ない友人達も、ややよそよそしい感じである。 まあ、開口一番に絶交を宣言されなかっただけマシだろうか。 「昨日は、お疲れ様」 「うん」 「大変だったね」 「まあ、ね」 ぎこちないながらも、会話は回りだした。 「あんなの相手してたら怖かったでしょ?」 「そうそう、なんかされなかった?」 「え? 彼、いい人だよ?」 しかしエンジンが掛かり始めてた空気はすぐに固まる。 憂の瞳がちょっと輝いた気がした。 不吉な予感を振り払うかのように友人達はまくしたてる。 「でも、あれだよ、尻だよ?」 「動きもキモいし」 「んー、格好いいと思うけどなぁ」 友人達は悟った。自分達普通の人間と魔人との間にある大きな感性の壁を。 「ユウと会ってもできるだけフツーにしよう」という盟約は、暗黙のもとに全会一致で破棄された。 「あの……さきばしさん?」 「腕の中ね、ごつごつしてるんだけど、抱えられるとなんか落ち着いて……」 「ユウ! お願いだから目を覚まして!」 憂の目は夢見る乙女の目だった。 思えば運命だったのだ。 エントリー順も隣。予選結果も隣。 対戦希望だってこんな高順位同士で通るなんて思わなかった。 “別の可能性の世界”があったとしてもきっと彼女は彼に恋したであろう。 憂が総合優勝した暁には復活したカナと百合百合ちゅっちゅさせようと思っていたがそんな考えはもう古い。 今は“スパンキング”翔×狭岐橋憂の時代なのだ! 許されるならば、憂ちゃんを、尻手さん家に嫁がせてあげたい! それが24時間掛けて真摯に二人と向き合った私の出した結論である。 とはいえ、憂の前にはまだ大きな障害があった。 現状どう贔屓目に見ても憂の片想いであることはとりあえず置いておくにしても、 彼女は実は彼の連絡先を知らない。 別に意地悪で教えられていないわけではないのだ。 裏世界にも名を轟かせる尻手翔である。 そんな彼に女からの電話でもあればどうなるか。 たちまちその女は翔の人質として攫われてしまうであろう。 翔が連絡先を教えてくれなかったのは、むしろ憂を守るためなのであった。 だからといって、待っているわけにもいかない。 憂は決意を胸に宣言する。 「私、千葉県に行く」 「「へっ?」」 友人達の驚きの声がシンクロするのももっともだ。 千葉県。言わずと知れた暴走半島。 翔の出身地でもある。 そこで生まれ育った彼だからこそムキムキマッスルな体を手に入れたのだ。 か弱い女の子の憂が一人で行って、暴走族相手に無事で済むとは思えない。 だが、憂の決意は固い。 昔からそうだ。 前に出て主張するような性格ではないものの、「やる」と決めたことは必ず「やる」子だった。 今回も、きっと翔のルーツなり何なりを掴んでくるのであろう。 それを知っている友人達はもはや何も言わない。 つーか勝手にしろ、と思って見送った。
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或女の死 徳田秋声 【テキスト中に現れる記号について】 《》:ルビ (例)受持《うけもち》 |:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号 (例)員|総《すべ》 [#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定 (数字は、JIS X 0213の面区点番号またはUnicode、底本のページと行数) (例)※[#「目+爭」、第3水準1-88-85] /\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号) (例)抜かう/\ 濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」 お芳が急病だといふ電話がかゝつて来たとき、種吉はその傭はれてゐるデパートメントストアの自分の受持《うけもち》の西洋家具の販売部に何時《いつ》ものやうに店番をしてゐたのであつたか、その大きな雑貨店の雇員|総《すべ》てのなかでも、彼は主人の女婿である支配人の下《した》と言《い》つた格の一人であつたところから、ちよつと店を離れる訳に行かなかつた。 「今少し前に裏《うら》で洗濯をしてゐたんださうですがね、内へ入つて来ると、何だか急に体が大儀で何うすることも出来ないんださうです。どこが悪いんだか能く判りませんが、胸元か苦しくて、口も利けないてつた始末でね、何《ど》うも可笑しいから、お気の毒ですが、一つ急いでお帰んなすつていたゞきたいんですが………」と、さう言つて電話で知らしてくれたのは、二階に間借りをしてゐる、田中といふ或商店の通い番頭であつた。 種吉はちよつとどきりとしたが、折わるく昨日《きのふ》も少し飲みすぎて一|日《にち》休《やす》んだところであつたので、それではお芳《よし》の母へ直ぐ出向くやうに電話をかけておくから、至急に医者《いしや》を呼《よ》んで診てもらふやうにと頼《たの》んでおいて、電話を切つたのであつた。母はお芳がまだ此のデパートメントストアの横手にある絵葉書と煙草とを商つてゐる床店に、お芳が坐つてゐた頃から、主人の家で奥向《おくむき》のことに働いてゐた。 種吉は店が忙《いそが》しかつたので、つひ紛《まぎ》れがちではあつたが、何となく気が落着かなかつた。こゝへ入つてからは、厳しく言渡されてゐたので、飲仲間《のみなかま》とも悉皆《すつかり》交渉《かうしやう》を絶《た》つて、滅多にお茶屋《ちやや》なぞへ足踏《あしふみ》はしないことに謹慎してゐたが、以前の生活を考へると、いくら贔負目に見ても、お芳に好く仕向けたとは決《けつ》して言へなかつた。 勿論彼の十年程前に矢張りこのデパートメントストアにゐたこともあつて、そこで床店の番をしてゐたお芳の嫻《しと》やかな、しかし場所柄だけに何処か渋皮のむけた、意気な下町の娘らしい姿に惹着けられたのであつた。お芳は幼少のをりに脳を患つたとかで、どこか疳のわるいところのある娘だつたが、煙草や絵葉書の売行の好いのは、場所も場所だつたけれど、一つは彼女の様子が人□を惹《ひ》いたからであつた。 軍隊を出たばかりの種吉は、その店へ入つてから商売上のことにかけては、可也|呑込《のみこみ》が速《はや》くて、何彼に抜目《ぬけめ》のないことが、直《ぢ》きに上役《うはやく》の人達の目に著いたところから、時々店先へ来て、商売の話などして行く度びに何となく彼をお芳に頼《たの》もしく思はせてゐた。 「商売なら私何の商売でも好きですわ。何うしても商売がやつて見たいんですけれど……」お芳は言ふのであつた。 「私《あつし》も商売は大好《だいす》きですね。女が店へ坐るには、化粧品が一等でせうね。」種吉は言ふのであつた。 「化粧品も可ござんすね。ローズの出るのは化粧品が一等ですけれど、場所さへよかつたら、急度《きつと》売れるんです。」 それから間もなく、或日二人は甘《うま》く諜《しめ》しあはせておいて、一|日《にち》浅草へ遊びに行つた。そして其《そ》の帰りに一緒に御飯を食《た》べた。ちやうど花の咲きかけた三|月《ぐわつ》頃のことで、春の熱病に人は浮されてゐる時であつた。お芳はまだ二十二になつたばかりであつた。肩つきや頸脚などが素直で、手足もすんなりしてゐた。脳病の痕迹として、目が少しどろんとしてゐたけれど、それが又た種吉には一|層《さう》好《す》いたらしく思はれた。そして其《そ》の時お芳は総てを種吉の腕に投げかけたのであつた。 「商売の資本《もと》なら私も少しはもつてゐます。」お芳はさう言つて、一日も早く長いあひだ其処の看板娘として曝されて来たあの床店から足を洗ふことを希つた。 種吉が素捷《すばし》こくお芳を引こぬいたことは、しかし幼い時分目をかけて来た、年取つた主人を脅《おび》やかしたばかりか、お芳を張つてゐた多くの若いものを「あつ」と言はせずにはおかなかつた。 「兵隊あがりの青二才に遣られるなんて、さすがの乃公も気がつかなかつた。」老主人はさう言つて舌打ちをした。 彼は露天商人から成りあがつて、今は幾百万円の富を作つてゐた。 けれど種吉が強ち素捷《すばし》こいばかりではなかつた。お芳の母から主人の細君へ、細君から又主人へ詫《わ》び願つて二人で店をもつてから、後《のち》に詳しいことが知れたことであつたが、お芳はその頃もう処女ではなかつた。浅草の帰りに、種吉が彼女を誘《いざな》つた秘密《ひみつ》な場所でもお芳自身が正直にちよつと告白したとほりに、彼女は心にもなく或男に弄ばれてゐた。それはその店《みせ》へ煙草をおろして行く専売局の役人で、ある日お芳が品切れになつた煙草の注文に、遠《とほ》くもない彼の築地の家《うち》を訪ねたとき、ふとそんな係蹄《わな》に彼女はかゝつたのであつた。寒《さむ》い朝がまだ早《はや》かつた。そのうへ彼は夫婦間に葛藤《かつとう》が醸《かも》されて、その頃独り残《のこ》されてゐた。 種吉はそれを聞《き》いたとき、ちよつとうんざりさせられたが、しかしそれが一層彼の興味を唆りもした。お芳はさして深い羞恥を感ずることもなしに、然《しか》しいくらかの不正直な修飾をもつて、可也安易な気持で、それを告白したのであつた。種吉はその不検束《ルーズ》な態度に不快を抱いたが、決して厭にはならなかつた。 とにかく二人は望みのとほり新しい一つの店を持つことができた。そして楽しい幸福な日が二年ばかり続いた。お芳は初め種吉が予期したほど、商売が上手ではなかつた。総てが型にはまつた遣方で、種吉がゐないとなると、品物を卸しに問屋《とんや》から飛んだものをうんと背負込《せほひこ》ませられたりしてゐた。でもそんな点では、種吉も気を悪くするやうなことはなかつた。それよりも総ての点で彼女が思つたほど聢《しつ》かりしてゐないことであつた。懇意な問屋の男がいつも奥へ上り込んで話しこんでゐることなどが、殊にも種吉の期待を裏切つたが、何かしら金の無駄使《むだづか》ひをすることなども、厭であつた。それに先の専売局の男との関係も、種吉自身の智識以上に、何かを知つてゐる男があつたりして、一緒に酒を飲んだりする折に、時々《とき/″\》気を悪くさせられた。 お芳の出産が又た、種吉に取つて苦悩の一つであつた。勿論月を繰つてみたところで、明白にそれを証拠だてる何等の根拠もないことではあつたが、しかし疑問の目を※[#「目+爭」、第3水準1-88-85]ればいくらも※[#「目+爭」、第3水準1-88-85]れるのであつた。商売の資本と云ふのも、多分そんな処から出てゐるのだらうから、無意識《むいしき》にさうした打算《ださん》が自分にあつたことも拒《こば》めなかつたが、しかし考へてみると総てがお芳に取つては好い商売であつたのかも知れないのであつた。 種吉はその子供を愛せずにはゐられなかつた。酒に酔ふと持前の感傷癖が出《で》て、彼はそれを口へ出して、お芳を窘《くる》しめるのであつたが、子供自身には不思議な愛着が加はつた。 今迄堅気の商人の娘らしい慎みと、士分の血統らしいお上品さとをもつてゐたお芳が、厳重な主人の手から解放されてから、次第に型が崩れて行つたと同時に、気持も不検束に流れがちであつたとほりに、種吉の心も次第に荒んで行つた。彼は以前の男のことを言出して、彼女を虐げたが、反撥力も意気張もないお芳には、酒のうへで演ぜられる彼の狂態《きやうたい》も何の手答へもなかつた。彼女は全くの唖であつた。哀れな種吉はいつも外へ弾き出されるより外なかつた。時とすると彼は問屋の品物をこかしたりして、三日も四日も家を明けた。お芳が子供を負《おぶ》つて、彼を救《すく》ひに出かけることも度々であつた。 店が段々寂れて行つた。終ひに持ち切れなくなつた。種吉は厚《あつ》しを著るやうな身分にまで成下がつて行つた。それでも彼は酒を飲むことを止めることが出来なかつた。そして其の間にも、仲間の若い男に、お芳は唆《そゝ》のかされたりした。酔つて狂態を演ずる種吉が、どこまで沈んで行くかゞ可恐しくなつて来た。何処まで従いて行つても、際限がないやうに思はれた。お芳はその男と、或時家を出奔しようとさへしたのであつた。 切端つまつた或年の暮に、彼はふと大きい実業家の誰かの立志伝に感奮して、大道へ露店を張つて、思ひがけない利益に味を占めて以来、彼はいつかその仲間の顔利きになつて行つた。彼はぼろい金を儲けて荒い金を使ふことに慣れた。そして足を抜かう/\と思ひながら、つひ/\引摺られて行つた。何うかすると、彼はお芳と二人で、遠く離れて二箇所に店を張つたりした。お芳は次ぎに産れた子供を負つて、姿振《なりふり》かまはず寒い風のなかに立つてゐた。別に苦痛も感じなかつた。次第に恥も忘れがちであつた。そしてそんな仲間のうちの上方弁の若い一人の苦学生と、いつも持場を隣合せにしてゐたところから、何時かさうした関係に陥つて行つたのであつた。雨も降らないのに、二人は早く店をしまつて、家へ帰つて行つた。 間もなく種吉は其を感づいた。是までにさへなかつた葛藤が、長いあひだ三人の間に続いた。今迄ぐうたらに見えたお芳にも、青年の刺戟は利目はあつた。狂人のやうに種吉に打たれた彼女は、奮然としてその※[#「車+(而/大)」、第3水準1-92-46]《しなや》かな手をあげて彼の頭を打《ぶ》ちかへした。 「あなたも男なら、未錬らしく打《ぶ》つたり殴《は》つたりしないで下さい。そして綺麗に話をつけて私に暇を下さい。」お芳は蒼くなつて言ふのであつた。 種吉は一層狂ひ立つた。しかし散々毒づいたり暴れたり、畳に※[#「てへん+毟」、第4水準2-78-12]《むし》りついて口惜しがつたりした果には、其がいつもの彼の病癖であるやうに、めそ/\と鳴咽の声を立てるのであつた。そして今までの荒い仕向を泣きながら妻に詫《わ》びたり、何事をも子供に免じて赦さうとさへ思ふのであつた。 結局人が間へ入つて、彼女をしばらく預かることになつたところで、彼は六つになる子供の健一の遣場に困つて、方々酒場を連れあるいたり、不相応なお茶屋へあがつて、彼を慰《なぐさ》めたりして、その日/\を紛らせてゐた。 種吉が少し早目に用事を片づけて、家へ帰つて来たのは、五時頃であつた。 今は彼も三人の子持で、しかも其の外に一人亡くしたりなどして、現在の店へ入つてから可也好い待遇を受けてゐたので、悉皆醒めてゐた。 「二三年みつちり働いてごらん。今はつまらないけれど、そのうちには何うにかなるだらう。決して悪いやうにはしないから。」主人夫婦は言ふのであつた。 彼は殆んどぴつたり酒を罷《や》めてゐた。お芳の総てが解つて来たと同時に、彼女を受容れるだけの余裕も出来て来た。子供の学校の成績の優れてゐることも、彼に取つては救ひの一つであつた。 彼が帰つて行つた時には、しかしお芳はもう口も利けないくらゐ情ない体になつて了つてゐた。 「何うだ、お芳しつかりしろ」と、種吉が驚いて傍へ寄つて行くと、お芳は両手を延べて、彼の胸倉に武者振りついて、何か言ひたげに口をもが/\させたが舌が利かなかつた。 二階の男や近所の人の話によると、お芳は裏の水道端から内へあがつて来ると、遽かにぐつたりとなつて、無性《むしやう》に体を慵《だる》がつてゐたが、終ひに胸を掻き※[#「てへん+毟」、第4水準2-78-12]《むし》つたり、障子につかまつて悶え苦しんだりしてゐた。午后のことで医者は漸くのことで一人呼んで来たけれど、その時には、あはてゝ駈けつけてくれた母に手足や脊《せな》を撫《なで》さすつてもらつたりして、苦痛が去つてゐた。 「苦しくて為様がないから、早く寝かして下さい。」さう言ふのも漸《やつ》とであつた。 母のお律は急いで蒲団を延べてやつた。そして胸を撫《な》でさすつて遣つた。熱も高いので、氷嚢もつけてやつた。 医者は胃病だと言つてゐた。それに感冒もあると言ふのであつた。 種吉はひどく可哀さうになつて来た。何を言ひかけても答《こた》へることが出来なかつた。彼は狼狽《らうばい》した。そして夜になつてから、少し遠方にある或る病院から、漸と博士に来てもらふことが出来た。前に診てもらつた医者が余りにおつちよこちよいで、其上|家《うち》が汚なかつたり、お芳が裏店《うらだな》の女房じみた風《ふう》をしてゐたので、甚く冷淡で高慢であつたが、年取つた博士はさすがに人の命の貴《たうと》いことを知つてゐた。 「誠にお気の毒のことだが、もう恁《か》うなつては手のつけやうがない。それあ胃もあるでせうがね、心臓がすつかり弱つてしまつてゐる。何とも致方がない。」博士は言ふのであつた。 種吉は今更のやうに狼狽した。さつき自分の胸倉を取つて、何か訴へようとして、そのまゝどたりと横《よこ》になつたまゝ手も足も全く蠢くことすら出来なかつた。もう耳も聞えないらしかつた。勿論視力も失はれてゐた。 種吉は夢のやうな気がした。狼狽と絶望は感《かん》じながらも、何かまた一と皮、そこに遊びがあるやうな気がした。ほんとうに狼狽と絶望を感じてゐるのではないと思はれた。彼は自分の頭脳が麻痺《まひ》してゐるのではないかと疑つた。 「注射駄目ですか。」種吉は笑顔で訊いた。 「それも御希望なら為《し》てあげても可いが、却つて苦しむ。無論《むろん》反応《はんなう》のある筈もないのだから、やるだけ無駄《むだ》ですよ。それよりか酸素吸入でもやつた方が、病人は楽だ。其の方におしなさい。」 種吉は初めて可哀さうな彼女の運命を、はつきり見せつけられたのを感じた。このまゝ死んで行く。つひ今朝まで死の影さへ想像しなかつた若い彼女が、永久にこの世のなかから消されて行く。毎日平気で見《み》てゐた姿も一生見られなくなる。声も聞かれなくなる。種吉はさう思ふと、ひどく悲しくなつて来た。 「酷《ひど》いことになるもんですね。」種吉はお芳の手を握りながら、さも辛《つら》さうに母のお律に言ふのであつた。 余り晴やかではないが、いつもおつとりしてゐて、物静かでお上品なお律は、口数も利かずに、目に涙をためてゐた。 「ほんとに短かい生命ですね。可哀さうに苦労の為通《しどほ》しで……。」お律は独語つて咽喉《のど》を塞《つま》らせてゐた。 「何とかできないもんですかね。」種吉は腹立しさうに言つた。 酸素吸入の音と、ぜい/\言ふお芳の息使《いきづか》ひとが、しん/\と更けて行く夜の静けさのうちに、先きへ/\と時を縮《ちぢ》めて行くやうに思はれた。 周囲には色々の人が集つてゐた。医科器械屋の叔母さんの痛ましい顔も見えたし、種吉の兄夫婦の顔も見えた。主人の夫人も来てゐたし、その人の先妻の娘も来てゐた。彼等は時々しめやかな声で、何か私語《さゝや》いてゐた。 「可哀相だね。これでづつと息を引取つて行くのか知ら。」 「さう言へば、こないだ私のところへ来て、裏口から顔を出して、何だか息切れがして困ると言つてゐましたよ。かうと知つたら、あの時早く診てもらへば可かつたのに。」 「私んとこへも来ましたよ。つひ四五日前に。ちやうど御飯時でしたから、何にもないけれど、御飯を食べておいでと言つたの。何だか此の頃|窶《やつ》れてゐるなと思つたけれど、それでも御飯はいつものことで、どつちり坐り込んで、お鉢の底の出るほど食べて行つたぢやありませんか。」 皆んなはそんな話をして、笑つたり涙を拭いたりしてゐた。 お芳は何を言はれても、むつつともしなかつた。冷《つめた》い脂汗が、皮膚《ひふ》に汚点の出たやうな其の額に入染んでゐた。爪が蒼くなつてゐた。指が硬ばりかけて来た。 「保険金を取りぞくねないやうにしなくちや可けないぜ。」種吉の兄が言ふのであつた。 「あツ然うだ。」種吉は初めて気づいたやうに言ふのであつた。 「証書はあるか。」 「いや証書はまだ取つてない。」種吉は不安さうに言ふのであつた。 実際取る権利があるか何うかゞ疑はれた。それは種吉が、或る会社の勧誘員をしてゐる友の都合で、強ひて附けさせられたものであつた。 「あれも木村さんが、自分の其の月の収入上、何うしても入れなくちやならないので、お芳が厭だと言ふのを、自分で掛金の立替へまでして、無理に入れたんですかね、それもつひ一週間ほど前のことだ。」 「その受取は此方へ取つてあるかい。」 「それあ取つてあります。」 「ぢや大丈夫だ、甘《うま》いことをしたな。」 「けど厭ですね。子供三人残して死なれたんぢや私が遣り切れませんからね。」種吉は笑つてゐたが、この能なしの、しかし罪も科《とが》もない善良な女の短い一生が、さうした犠牲を払ふために生きられてゐたのだといふ気がして、自然《ひとりで》に頭が下るやうに感じた。 お芳の息が次第に微弱になつて行つた。長い貧しい暮しに窶れた顔から、生の色が看《み》る/\失せてしまつた。そして変《かは》つた何の前触れもなしに呼吸が絶えてしまつた。今まで喘ぎ/\してゐた口から泡を吹《ふ》いてゐた。 種吉はごぽんといふ音がして、自分の胸元に大きな空虚ができたやうな寂しさに襲はれた。 コレから保険金を受取る前後が、興味があるので、それを書くはづで死の前後は省略して書いたが、どうもこれだけの方が纏つてゐるやうだからこれで擱筆。[#地付き](大正11[#「11」は縦中横]年1月「中央公論」) 底本:「徳田秋聲全集第14巻」八木書店 2000(平成12)年7月18日初版発行 底本の親本:「中央公論」 1922(大正11)年1月 初出:「中央公論」 1922(大正11)年1月 入力:特定非営利活動法人はるかぜ
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王女の男 DVD第1話は、朝鮮王朝第5代王の文宗(ムンジョン)の弟、スヤンテグンの娘、セリョン姫が、運命の男性で、スヤンテグンの政敵キム・ジョンソの息子、キム・スンユと出会う場面がほほえましく描かれていました。そんな二人の運命も父親が巻き起こす政争の嵐に次第に巻き込まれて行くのですが、このときの二人にはまだその気配すら感じずにいました... 王女の男 DVD第2話 スンユの婿内定を知ることになったキョンヘ王女はスンユとセリョンが宮殿の外で会った事実を知って二人の関係を疑います。 それは、スンユが届けたノリゲ(女性がチマチョゴリ着用時に使う装飾品)がきっかけだったのです。 一方、スンユとセリョンは再び会って一緒に乗馬をしながら互いの距離を近づけていくのでした。 そんな頃、文宗(ムンジョン)とキム・チョンソの密約に激怒したスヤン(首陽)大君はスンユを亡きものにしようと企むのでした...。
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TITLE [王女の友人]サリア [王女の友人]サリア #ref error :ご指定のページがありません。ページ名を確認して再度指定してください。 飛行 [王女の友人]サリア 初期値 攻 2000 防 2000 愛情MAX 攻 ? 防 ? 必要P 10→? 成長MAX 3000 スキル1 撃竜の雄叫び 効果 敵飛行タイプの攻撃力を下げる あらあら、王女のことが知りたいんですかぁ。なるほどなるほどぉ。ちょっと残念…かな…なんてっ。本人に聞けばいいじゃないですかねぇ。 アンドレアルと画像が逆になっていませんか? -- 名前 コメント
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書け、読め、焼け 別名 黒いノート 用途 悪夢を終わらせる 強迫思考を終わらせる 抑うつ感を終わらせる 用例 嫌な考えにとりつかれたとき 頭からいやな考えが拭えないとき 強迫的な思考、侵入してくる思考に苦しめられているとき 使用法 (1)まず快適な場所をさがす。そこで毎日、同じ時刻、静かに1時間を過ごす。しかし1時間半以上にはならないように。その1時間で次の作業を行う。つまり、 (2)奇数日には、問題に関連するどんなことでもいいので、1時間中ずっと、ノートに書き続ける。同じ文章を何回書いてもかまわない。ただい1時間半以上にならないように。 (3)偶数日には、前日に書いたノートを読み、それからノートを焼く。 (4)もし、問題に関する好ましくない考えが、他の時間にわいてきたら、「いまはべつのことをしなくては。このことは正規の時間に考えよう」とひとりごとをいうか、とりあえずメモしておいて、正規の1時間に思い出して、それに集中する。 解説 数日を待たずに悪夢を終わらせ、強迫思考を終わらせる効果がある。この方法が有効な理由は、実施したクライエントによれば、 (1)これによって問題が客観化された、あるいはより具体化された (2)やっかいな思考を考えなくて済む。なぜなら、その種のことを考える時間が別に予定されているから。 (3)「わるい」考えが、もはや禁止されないから、ほかのことを考えるのが、かえって容易になる。(考えてはいけないとなると、むしろその考えに縛り付けられる。その反対) (4)問題が文字どおり、煙のように消え失せた。 (5)(あまりに馬鹿馬鹿しい課題なので)なにかほかの「もっとましなこと」をすべきだと悟る。 参考文献 スティーヴ・ド・シェイザー『短期療法解決の鍵』(誠信書房)
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別名 自己教示法 用途 ネガティブな感情への免疫をつける 用例 恐怖に苦しむとき 怒りに我を忘れるとき 使用法 自己教示(self-instruction)というのは、声に出したり、あるいは心の中 で、自分自身に適切な言葉を言い聞かせることで、問題を改善しようとする技法。 (そのための出来合いの「せりふ集」) 恐怖,恐怖症への対処リスト 《恐怖に備えて》 何をしなければいけないか? それを処理するプランを作ることができる。 そのために何ができるかに集中しなくてはいけない。その方が不安になるよりいい。 自分について否定的なことは言わない。理性的に考えなければ。 心配するな。心配は助けにはならない。 たぶん不安だと思っているものは,本当は自分の恐怖に直面しようというファイトなんだ。 《恐怖に直面して》 元気をだせ。この挑戦を受けて立つことができる。 自分はできる。理性的に考えて.恐怖をはねつけられる。 一度に一歩ずつ。状況を処理できる。 恐怖について考えるな。自分のすべきことだけ考えよう。 注意を散らすな。 この不安は,先生が感じるだろうと言っていたものだ。 これは対処の練習をいかせという合図だ。 この緊張は味方になる。対処の手がかりだ。 リラックスしよう。コントロールできている。ゆっくり深呼打及をして。いいぞ。 《恐怖の感情に対処して》 さあ,恐怖がやってきた。ひと息つこう。 現在に焦点をあてて。やるべきことは何か? 自分の恐怖を0から10のスケールで測って,変化を見てみよう。 自分の恐怖が強まるのは予測通りだ。 恐怖を全くなくそうとはしない。ただコントロールできるようにしておこう。 《振り返り》 うまくいった。やったぞ。 このことを治療者(グループ)に伝えるのが待ちどおしい。 思っていたほどひどくなかったぞ。 恐怖からそれ以上のものが得られた。 自分のばかばかしい考え。それが問題なんだ。それをコントロールすれば,恐怖をコントロールできる。 このやり方を使うたぴに良くなっていく。 自分の進歩がうれしい。 やったぞ。 怒りの対処リスト 《怒りに備えて》 これはいやな状況かもしれない。しかし.どうしたらいいかはわかっている。 これを処理するプランを立てられる。のんびりやろう。 問題に集中し,ものごとを自分への当てつけだと考えないことを忘れるな。 言い合いをする必要はないだろう。何をするべきかはわかっている。 《怒りに直面して》 冷静さを失わない限り,状況をコントロールできている。 自分の正しさを証明する必要はない。必要以上のことをするな。 頭にくることは何もない。何をすべきかに集中しよう。 肯定的な面を探そう。あわてて結論を出さないようにしよう。 《怒りの感情に対処して》 筋肉が緊張している。リラックスしよう。ゆっくりやろう。 深呼吸して。さあ,一つずつこなしていこう。 怒りは.するべきことを敢えてくれる合図だ。問題解決の時だ。 彼はたぶん私を怒らせたいのだ。でも,そうはいかない。 建設的に処理していくぞ。 《振り返り一対立が未解決の場合》 忘れてしまおう。考えても腹が立つだけだ。 はねつけよう。うまくできることの邪魔はさせか−ぞ。 リラックスしよう。腹を立てるよりずっといい。 自分への当てつけと考えるな。そんな深刻じゃない。 《振り返り一対立が解決した場合》 とてもうまく処理できた。いいぞ! もっと怒ることもできた。でもその値打ちもない。 自分のプライドのせいでトラブルに巻きこまれることがある。しかし,トラブルに巻きこまれずにとどまるのが上手になってきた。 腹を立てないで本当に乗り越えたぞ。 冷静でいられるぞ。 解説 自己教示(self-instruction)というのは、声に出したり、あるいは心の中 で、自分自身に適切な言葉を言い聞かせることで、問題を改善しようとする技法。 コラム法などの認知的再体制化法(非合理な思考を合理的な思考に置き換えるもの)は、非合理な思考を見つけて反論するのにある程度以上のアタマ(知性?なれ?エリスは中学生以上じゃないと無理といってる)が必要だが、自己教示はそれがいらないので、より適応範囲が広い。また、認知的再体制化の結果、みつけた合理的思考をより確かなものにするにも使える。 ストレス対処や怒り対処用のことばリストが用意されている。これを自分用にあわせて改変しておく。「訓練」というのは、その時々に(よいタイミングで)それ用の言葉を自己教示できるように訓練するのである。たとえば腹が立った時をイメージして、腹が立ったとき用の言葉(たとえば「そのことを笑えないか?たぶん、それはそんなに深刻なことじゃない」など)を自己教示するという、認 知リハーサルをやっておくとか。 うまくいった時用の言葉もあって(たとえば「かなり上手に処理したぞ。うま くいった!」など)、これを自己教示するのは好子(アメ)となって、よい行動 を強化する(回数を増やす)。 参考文献 マイケンバウム (著),根建 金男 (翻訳), 市井 雅哉 (翻訳)『ストレス対処法』 講談社現代新書 (1994/04)
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用途 ネガティブな考えをチェックしたいとき ネガティブな考えに対抗するヒントを得たいとき 用例 使用法 不安および抑うつにおける「歪んだ認知」(情報処理)のよく見られる例 1.感情的決めつけ 感情状態だけにもとづいて結論ないし推論してしまうこと。(例:「私はこう感じた、だから私はこうなのである」) 2.過剰な一般化 1回だけ、あるいはごくわずかな経験で得られた事実から、より広い意味をもつまちがった結論にいたってしまうこと。 3.破局的思考 「過剰な一般化」の極端なもので、明らかに否定的な出来事や経験の印象が極端に 増幅されてしまうこと。(例:「もしパニック発作がきたら私はすべてのコントロールを失って気が狂ってしまう[あるいは死んでしまう]」) 4.すべてか無か(白黒、絶対的)思考 複雑な、あるいは連続的な結果を、訳もなく両極端に分けてしまうこと。(例:「これは成功するか完全に失敗するかのどちらかだ」) 5.〜すべきだ、〜しなければならない思考 自分自身に対して、かたくなに基準を指示したり、外の出来事に対して実際には無理なくらいにコントロールできるはずだと思いこんで、命令的な言い方をすること。 6.否定的予測 早まった、あるいは誤った悲観的な考え方。あるいは昔失敗したのだから今度も失敗するはずだと予想してしまうこと。「(自己成就的)予言」ともいわれる。 7.心の先読み 他人の考え・意図・あるいは動機に対して、否定的に推論すること。 8.ラベリング 人あるいは物事の好ましくない特徴によって、その人や物事を決めつけてしまうこと。(例:「私はバレエにまちがって選ばれてしまった、だから私はまちがった人間だ」) 9.個人化 ある出来事・状況・行動などに際して、それが特別に、あるいは個人的に、自分の否定的な面を示していると考えてしまうこと。 10.選択的否定的焦点化(心のフィルター) ほかに中立的あるいは肯定的な情報があるのに、それを思い出したり見定めることをしないで、望ましくない、あるいは否定的な出来事・記憶・暗示などにばかりに焦点を あててしまうこと。 11.認知的逃避 快くない考え・感じ・出来事などを、途方もなく克服できないものだと誤認して、積極的に抑圧したり避けたりすること。 12.(誤った)身体焦点化 心拍、動悸、呼吸困難感、ふらつき、うずき、といった内的な刺激を、決定的に破局的な出来事、たとえば心臓発作、呼吸困難、循環虚脱などが襲ってきたと考えてしまう傾向のこと。 参考文献 デビッド・D. バーンズ「フィーリングGoodハンドブック』星和書店 (2005/08)