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読売テレビ制作日テレ系木曜ドラマ 彼女たちの犯罪 共通事項 放送時間…木曜23 59~24 54 ネットセールス + ... 共通事項 全社絨毯の上にカラー表記 固定スポンサー NOVA アリナミン製薬(PT扱い) 2023年7月20日 ♯1 [新] 前半 0’30”…アサヒビール、NOVA(ロゴは1’30”仕様)、HOT STAFF、アリナミン製薬(PT) 2023年7月27日 ♯2 前半 0’30”…アサヒビール、NOVA(ロゴは1’30”仕様)、アリナミン製薬(PT)、Kowa(PT) 2023年8月3日 ♯32023年8月10日 ♯4 前半 0’30”…アサヒビール、NOVA(ロゴは1’30”仕様)、KIRIN(キリンビール)、アリナミン製薬(PT) 2023年8月17日 ♯5 前半 1’00”…アサヒビール 0’30”…NOVA(ロゴは1’30”仕様)、アリナミン製薬(PT) 2023年8月24日 ♯6 前半 0’30”…アサヒビール、NOVA(ロゴは1’30”仕様)、日清食品、アリナミン製薬(PT) 2023年8月31日 ♯7 (24 14~25 09) 前半 0’30”…日清食品、NOVA(ロゴは1’30”仕様)、SoftBank、アリナミン製薬(PT) 2023年9月7日 ♯8 (24 09~25 04)2023年9月14日 ♯92023年9月21日 ♯10 [終] 前半 0’30”…アサヒビール、NOVA(ロゴは1’30”仕様)、KIRIN(キリンビール)、アリナミン製薬(PT)
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救貧院の巫女たち とは2012年11月30日より登場したアマツカグラにおけるシリーズ依頼『アマツカグラ調査隊』のシナリオ分岐の一つ。下水道跡に流され行き着いた先での出来事。 呼称はその舞台からサイト独自につけたもの。 概要 アマツカグラに到着したエンドブレイカーたちは三手に分かれ内部への侵入を試みた。 下水道後を進んだエンドブレイカーたちは、不慮の事故により大量の汚水に流され意識を失ってしまった。気がつくとそこはアマツカグラの救貧院で、無事全員救貧院の巫女たちにより助けられていた。 彼らの看護に当たっていた巫女イヨが一息つき、いよいよ話を聞こうというとき、救貧院に嫌がらせをするというマスカレイドを目撃してしまった。 救貧院の院長を連れて行ったという代官。そしてその後頻発している嫌がらせ。 ここで一体何が起きようとしているのだろうか。 該当のシナリオ 三手に分かれたアマツカグラ調査隊のうち、下水道を使って進入しようとした部隊のシナリオ。 下水道で汚水に流され救助された救貧院から始まっている。 全員無事だったものの「この救貧院の院長が代官に連れて行かれたこと」「何者かによるこの救貧院に対する嫌がらせが続いていること」「嫌がらせがマスカレイドによるもの」ということくらいしかわかっていない。 難易度は「やや難」。 流転の先に下水遺跡で汚水に流されてしまったエンドブレイカーたち。気がつくとそこはアマツカグラ内にある救貧院だった。イヨという巫女により助けられたエンドブレイカーたちは、彼女から事情を聞こうとしたそのとき、黒服のマスカレイドを目撃する。イヨの話による都院長のサキメ不在となったとたん、彼らに頻繁に嫌がらせを受けるようになったという。その嫌がらせについて詳しく聞くことになった彼らのとった行動は・・・。 紡ぐ者を巡ってエンドブレイカーたちは救貧院に嫌がらせを行っていたマスカレイドを撃破した。嫌がらせがなくなったことで余裕が出来たためサキメ院長に面会に行くというイヨに同行し、サキメと面会することが出来た。サキメが代官に連れて行かれた理由は借金のせいだった。その借入先はキキョウ屋のゲンロクという人物なのだが、先日のマスカレイドに指示を出していたのもキキョウ屋であることが判明。そのキキョウ屋が自分たちの通ってきた下水遺跡の掃除人夫を募集している。救済院の借金の返済資金を得るのとアマツカグラ脱出経路の確保にも役立ちそうなこの依頼。キキョウ屋の企みを潰す足がかりとなるだろうか。 残された希望エンドブレイカーたちの働きにより貧窮院の借金返済分の資金が用意でき、無事貧窮院院長は釈放された。サキメと共に貧窮院に戻った彼らは、サキメから話を聞くことにする。そして核心である『アマツカグラを救う方法』の話になったのであるが、ちょうどそのときに敵マスカレイドに襲撃される。エンドブレイカーたちはキサメを守り、この危機を切り抜け脱出できるだろうか。 結果 エンドブレイカーたちは襲撃を切り抜けキサメから話を聞くことができた。 キサメの話からすると現在アマツカグラを支配しているのは『絶望』。『ちょっとした希望と、それを塗り潰す絶望』を繰り返すことで支配する者の力になっている。 『支配する者の許容量を超える程に、多くの希望を一斉に芽吹かせる事』が出来れば、この呪縛の鎖を解き放つ事が出来るはずであると説く。そして、それができるのはアマツカグラの外から来た者にしか成し得ないと。 話を聞いた後、サキメの導きにより神隠しが原から人為的に神隠しを起こしアマツカグラから脱出した。 アマツカグラ調査隊 ニニギア島沖海戦 → アマツカグラの避難民 → アマツカグラ調査隊 → 潜入 → 対アマツカグラ方針決定 潜入後 アリンコ王国との共闘 巨石の建つ街で 下水遺跡を抜けて 救貧院の巫女たち 聖域転移の奇跡 聖域で祈りし守人 登場人物 イヨ救貧院の巫女。おかっぱ頭に切り揃えた黒髪の女性。 救貧院院長『紡ぐ者』・キサメ救貧院の院長。とても博覧強記を謳われた高名な巫女で、その引退後資材を投げ打ってこの救貧院を建てたのだという。歴史に詳しく物覚えが良かったので、質問されると直ぐ答える事から『紡ぐ者』という二つ名がついた。漢字で書くと「樹雨」と書くらしい。 関連項目 Ep7:アマツカグラ編での出来事 アマツカグラ編主要登場人物 霊峰天舞アマツカグラ
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▼ Vol.23 2004.03.31 ミンダルシア大陸の南に浮かぶエルシモ島には、かつてタブナジアの民が落ち延びた港がある。サルタバルタで出会ったエルヴァーンの女が、確かにそう話していた。 仮に、件のヒュームの青年がタブナジアの出身で――、兄だったとする。 戦渦を逃れた兄が同郷の生き残りを頼って、その地を目指した可能性はあるかもしれない。だとしても、なぜ戦後10年も経ってからなのか? それまで、彼はどこにいたのか? 唸るような音と共に、強い追い風が吹いた。無数の花びらが小さな蝶のように宙に舞ったかと思うと、次の瞬間、淡い雪のように散っていった。風に踊る花びら越しに見る世界は、まるでそれ自体が夢であるかのように、おぼろげだった。 父は? ヒュームの青年が私の兄であるならば、父も一緒だったのではないか? もちろん、ふたりとも無事でいてくれたらの話だが――。 私は、娘に朱色のクロークを手渡しながら尋ねた。 「彼は、誰かと一緒だった?」 娘は、かぶりを振った。 「あの日、港に停泊していた帆船には、ほかにも人が乗っていたのだと思いますが、防具屋にお見えになったのは、あの方おひとりでした」 「すべては夢と同じ、か」 無意識のうちに、薄紅色の絨毯に覆われた桟橋の上を歩いていた私は、不思議な夢の続きを見ているような錯覚を起こした。ふと顔を上げれば、花霞のかなたに父と兄の影が蜃気楼のようにゆらめいている……。 「わたしの幼なじみが、マウラで貨物船の船長をつとめています」 目の前に回り込んできた娘が、意識を現実へと引き戻してくれた。私は、わけのわからないまま相槌を打つ。 「もしかすると彼なら頼みをきいてくれるかもしれません。いえ、きっときいてくれます!」 言葉の意味を理解した私は、娘を見つめた。彼女の眼差しは、私を捕らえて放そうとしない。真剣なのだ。 「船長の船は野菜を仕入れるために月に何度かウィンダスにやってくるのですが……。あっ、次にくるのはいつなのかしら? あの、ここで何日もお待ちになるくらいなら、いっそマウラで彼をつかまえて――」 いくら何でも、展開が急すぎる。娘の勢いに押し流されそうになっていた私は、もう一度冷静に考えようと、まぶたを閉じた。 まんまとエルシモ島にたどり着き、その地で運よく彼にめぐり会えたとしよう。もしその人物が、見知らぬ誰かだったとしたら? ……そう、私は再び絶望の淵に突き落とされることになるのだ。 「……わたしは、ずっとあの方を待ち続けていました」 何だか娘が泣いているような気がして、私は目を開けた。 「毎日胸をどきどきさせて、あの防具屋に立っていました」 彼女は力まかせに頭をねじ込むようにして、帽子を目深に被りなおした。 「だけど、待っているだけでは、なにも変わらなかったのです。そんなあたりまえのことに気づくのに、わたしは10年と2ヶ月もかかってしまいました」 静かに天を仰げば、西の雲の切れ間には夕日の片鱗が金色に輝いていた。私は、小さく吐息をもらした。 「これからマウラに向かって、その船長に会ってみるよ。君に出会ったのも、あんな夢を見たのも、きっと運命の導きなのだろうから」 「……はい!!」 娘は肩掛けかばんの底をかき回して羽根ペンとインクを取り出すと、襟元に巻いていた無地のスカーフをほどき、そこに文字を書きはじめた。 「これを船長に見せてやってください。たぶん彼は断らないと思います。あっ、貨物船の名はクビラウンビラ号です!」 それは紹介状らしかった。一生懸命書いてくれたのは嬉しいのだが、インクが生地に滲んでしまったせいで、まるで子どもの落書きのように見える。思わず私が笑うと、娘は耳の先まで真っ赤になってしまった。 「ありがとう。本当に」 スカーフを受け取った私は、彼女の案内で森の区のチョコボ厩舎へと向かった。厩務員のエルヴァーンにどう掛け合ったのか、娘はそこでいちばん足の速いチョコボを借りてきてくれた。 磨き込まれた鞍によじ上り、私は手綱を手に取った。と、その時だ。 「あのっ!」 精一杯大きな声で、娘が言った。 「やっぱり、これもお持ちになってください! そしてどうか、わたしの代わりに――」 それきり言葉を詰まらせた彼女は、両腕に抱えていた朱色のクロークを差し出した。ずっと大切にしていた青年の忘れ形見を……。 「ああ、きっと彼の元に届けるよ。約束する。それから、君!」 「はっ、はい!?」 娘は懸命に背伸びをして、チョコボの上の私を見上げた。 「どうか幸せに。ウィンダスでいちばん素敵な花嫁になってくれ」 大粒の涙をぽろぽろとこぼしながら、彼女は何度もうなずいてみせた。 ▲ ■関連項目 ヴァナ・ディール トリビューン Copyright (C) 2002-2015 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. ~
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真メール「乙女たちのお茶会」 取得条件:高テンション 真です。 この前、友達に誘われて、お茶会に参加してみました。 茶道みたいなモノかと思ってたんですけど、 どちらかというと、ティーパーティだったんですよね。 女の子達がロリータ系のミニドレスを着て、楽しく語らうような感じです。 ```が、その場の雰囲気が、ボクにはちょっと不似合いで```、 早々に退場しちゃいました。 だって、ボクの役割って、王子様だったんですよ。 たくさんのお姫様に囲まれた王子です。 さすがに恥ずかしくて、長時間は耐えられなかったです```。 あ、でも紅茶とクッキーは、最高においしかったですよっ! 食べるだけなら、また行きたいな! ```なーんて。へへっ! 真メール一覧に戻る トップページに戻る
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概要 引用 詳細 二百五十六色の魔女藍鼠眼の魔女マユクニト 琥珀(こはく)眼の魔女クスディルカ 漆黒眼の魔女イーイルナック 群青眼の魔女プルフィス 蘇芳(すおう)眼の魔女ミュニニクナ 蘇比(そひ)眼の魔女ミュクニナナ 深赤(しんせき)眼の魔女ミュニクナナ 月白(げっぱく)眼の魔女バシュトナバロン 瑠璃(るり)眼の魔女フォッククィノ 象牙(ぞうげ)眼の魔女ケテリアック 翡翠(ひすい)眼の魔女イクナジャト 太陽(たいよう)眼の魔女グラバーナ 深碧(しんぺき)眼の魔女レミネシュリア 躑躅(つつじ)眼の魔女リュッケ・メー 紫檀(したん)眼の魔女ヲルジェント 蜂蜜(はちみつ)眼の魔女キャミラップ 白銀(はくぎん)眼の魔女テーソルニア 黄金(おうごん)眼の魔女テールソニア 紅蓮(ぐれん)眼の魔女ニーデューケ 瑪瑙(めのう)眼の魔女メメディメル 黄土(おうど)眼の魔女ラスカリブル 明藍眼の魔女ネイネルネメス 紺碧(こんぺき)の魔女ケルマンデク 鮮緑(せんりょく)眼の魔女ハイウァピス 赤銅(しゃくどう)眼の魔女プネマプローズ 白藍(しらあい)眼の魔女ワクトフィミヌ 葡萄(ぶどう)眼の魔女アイマーギュタ 白桃(はくとう)眼の魔女ニェグネクト 白銀(はくぎん)眼の魔女ザルヴィジョン 露草(つゆくさ)眼の魔女ペントプクリ 柑子(こうじ)眼の魔女エトックセトック 黒檀(こくたん)眼の魔女ミユルグリース 蛍光(けいこう)眼の魔女ニルメルヒュ 濃紺(のうこん)眼の魔女ルツリフォネッセ 真珠(しんじゅ)眼の魔女キユナカレム 千二十四色の魔女金緑眼の魔女フラッファナル 玉虫(たまむし)眼の魔女べクィローチ 透明(とうめい)眼の魔女ハクェニムトレー 退紅(あらぞめ)眼の魔女サール・アーラー 六万五千五百三十六色の魔女竜胆(りんどう)眼の魔女オルディナル 柘榴(ざくろ)眼の魔女リヴル・ルヴァ 紅鳶(べにとび)眼の魔女クェゾムトア 参照先 概要 ナヴィーニャが使役する無数の魔女。 その数は限りなく、その被害は暇(いとま)なく、その存在は脈絡がない。 引用 「魔女が魔女性を得るたメには観客が必要です。それは切っても切り離せぬ自己承認欲求であり、魔女、魔術師、怪盗、探偵、そして読者にも不可欠である純真無垢の『信用できる』語り手です。言ってしまえば、二百五十五色の存在は──ワタシの外付けの内臓みたいなモノですねえ!」 詳細 参照される三つの逸話を表す『紀元』、 その身体を構築している『外殻』、 そしてどんな魔法を得意としているかを示す『字』の三つで表される。 肩書の○○眼は色毎に存在する。魔女の瞳と髪の色はその肩書きと同色。 魔女の外見は、瞳と髪の色以外は基本的にナヴィーニャと同一である。 ※マユクニトなどの例外を含む。 その正体はナヴィーニャの在り得た並行世界の存在。魔女ナヴィーニャのバックアップ。あるいはクローン。 創造主ナヴィーニャに対する被造物。ナヴィーニャとは明確に上位下位の関係が存在している。 魔女の特性上、他者に観測されていないと消滅してしまうため、そのほとんどは互いに参照関係にある。 二百五十六色の魔女 ナヴィーニャの直接の配下。 多種多様な方面にスキルツリーを伸ばした特化型の集まり。 正確は十人十色で、魔女同士での衝突も絶えない。 藍鼠眼の魔女マユクニト 紀元はラプンツェルと白雪姫とメリーポピンズ。その外殻は御伽噺。 司る字は媒介魔術師。生物細胞を媒介として多様な魔術を行使する。特に髪の毛はレートが高い。 『髪には多大な呪力が宿る』という伝承を参照することで、魔術を成立させている。 他の魔女たちより幾分か幼い。 琥珀(こはく)眼の魔女クスディルカ 紀元は土塊と真理と羊皮紙。その外殻はゴーレム。 司る字は格闘魔術師。身体強化のルーン魔術を描き、ウィッチカラテによる徒手空拳を挑む。 グロテスクとナンセンスをこよなく愛する超今風の趣味を湛えた魔女。 超今風のコギャルみたいな言い回しを好む。時折インスタにも投稿しているようだ。 彼女の「イケてる」の基準は時と場合によって大きく変動し、その趣向には一貫性はない。 良し悪しに関わらず他人の行動を真似するのも大好き。その行動の意味を深く考えることは無い。 サイバーゴスが好み。第一回KOW(キング・オブ・ウィッチャーズ)チャンピオン。 漆黒眼の魔女イーイルナック 紀元はお砂糖とスパイスと素敵なものいっぱい。その外殻はむっちゃ可愛い女の子。 司る字は時空魔術師。時空間を操る術を得手とする。亜光速まではバックアップ無しで突入可能。 時空魔術は結界術と起源を同じくする自己参照の術。時空操作の適応範囲は自分の周囲に限る。 良くも悪くも現代風のちょっとドライだけど可愛いもの好きの女の子。それは魔女の中では相対的に浮いているが、 同時におおよその奴とは上手くやっていく事ができるという奇跡の魔女でもある。 魔女の中では一番顔が広い。ゴスロリ趣味。 群青眼の魔女プルフィス 紀元は死体と雷と愛。その外殻はフランケンシュタイン。 司る字は浄化魔術師。蒼炎を操って汚物を消毒する。単純な炎魔法の他、状態異常治癒とかも得意。 自分以外の物全てを見下している傲慢者であり、真性の潔癖症。 高次元から醜い下界を観測して悦に浸るだけの人生を楽しみたいと本気で考えている人格破綻者。 次元の低い愚か者とは関わりたくないとさえ思っているので、素行そのものは比較的大人しい。 蘇芳(すおう)眼の魔女ミュニニクナ 紀元は気体と液体と固体。その外殻はアメーバ。 司る字は守護魔術師。魔術戦における守護を担当。物理攻撃が防げない欠点はあるが、その分燃費が良くお手軽。 劣等感と誇大妄想と被害者意識が高めのシスコン。三姉妹の中では長女役。 魔女の中では比較的常識人だが、その分損な役割が多い。 諦めが早い。それは利点であり、欠点でもある。 ミュクニナナとミュニクナナの参照先。 蘇比(そひ)眼の魔女ミュクニナナ 紀元はReduceとReuseとRecycle。その外殻は廃棄物。 司る字は燃焼魔術師。バフを消費して攻撃力に上乗せする、若い命が真っ赤に燃えるガンガンガンガンいこうぜ系娘。 文字通りの熱血漢だが、心の奥底では割と鬱屈を抱えているとか。三姉妹の中では次女役。 諦めが悪い。それは利点であり、欠点でもある。 ミュニニクナとミュニクナナの参照先。 深赤(しんせき)眼の魔女ミュニクナナ 紀元はアルタとカーマとダルマ。その外殻はトリヴァルガ。 司る字は増幅魔術師。状態増幅を行い、バフの累積数を増大させる支援役のさらに支援役。 性質上一人では何もできず、周囲に極端に依存している。主に相手を甘やかしてダメ人間にしてしまうという形で。 三姉妹の中では末女役。一人だけ名前に蘇の字がないことを気にしている。 諦め時の決断ができない。それは重大な欠点である。 ミュニニクナとミュクニナナの参照先。 月白(げっぱく)眼の魔女バシュトナバロン 紀元は蛙と蛇と蛞蝓。その外殻は停滞。 司る字は洗脳魔術師。読んで字のごとく対象を操る。効果範囲や効果時間は無限大だと豪語している。 それはそれとして拷問や脅迫を行い、魔法と関係なく相手を意のままに操ることも好む。かなり性質が悪い。 要するにいじめっ子。暇なときは周りの魔女を適当に弄んでいる。 オペラ座の怪人が好き。推しはファントム。 瑠璃(るり)眼の魔女フォッククィノ 紀元は角膜と虹彩と水晶体。その外殻はレンズ。 司る字は望遠魔術師。全てを詳らかにする暴露(ライブラ)の邪視を操る。 精神年齢が極端に幼い魔女。むずかしい漢字も読めない。泣き虫弱虫へっぴり虫の三拍子揃った悩ましい娘。 彼女の転機はとある時に“冒涜的な何か”を覗いてしまったこと。 発狂し幼児退行を起こした彼女は、以来戻る事無く幼い子供の思考形態のまま存在し続けている。 象牙(ぞうげ)眼の魔女ケテリアック 紀元は剣と鏡と勾玉。その外殻は付喪神。 司る字は剣聖魔術師。語り継がれる聖剣・妖剣の悉くを模造し、卓越した剣技で振るう物理戦最強のチート勢。 普段は寝ぼけている典型的な老子キャラだが、切羽詰まった状況でばかり呼ばれるためカッコいい面が強調されがち。 最近は黄色い声援が鬱陶しい。 重要な場面では身体にガタが来て退場する都合の良い強者キャラ。 翡翠(ひすい)眼の魔女イクナジャト 紀元は恋慕と憎悪と衝動。その外殻は伊弉冉と伊弉諾を断絶する黄泉比良坂の大岩。 司る字は心中魔術師。誰であろうと恋心を抱くことができる。その結末は決まって己と相手の死。 嫉妬を司る緑系統の眼に相応しいヤンデレ。生まれたてのひよこのように何にでも愛情を抱く。 一度月に対して恋をした時は二百五十五人の魔女総がかりで止める羽目になった。 姫騎士とか、そういうのに憧れがあるらしい。 太陽(たいよう)眼の魔女グラバーナ 紀元はプロミネンスとフレアとコロナ。その外殻は太陽光発電パネル。 司る字は太陽魔術師。文字通りの人工太陽を招来するやべー奴。 正義を尊び悪を滅ぼすヒーローのように振る舞う暑苦しい魔女。 他人の都合を完全に無視して人を己のペースに巻き込むので色んな人から嫌われている。 深碧(しんぺき)眼の魔女レミネシュリア 紀元は糞とハーブと精液。その外殻はホムンクルス。 司る字は管理魔術師。結界や施錠の魔術を好み、全てを内と外に分断する。解除のキーは彼女以外が使用することは不可能。 ……というものは往々にしてあっさりと解除されてしまうものである。 規律と規則をこよなく愛する完璧主義者。 万物は自らの手によって管理されるべきだと考えているが、一方でそれは不可能だとも理解しているリアリスト。 要するに口だけ達者でありながらも自らは行動を起こさない怠け者。適度にサボるのが上手い。 着物が実は好きらしい。 躑躅(つつじ)眼の魔女リュッケ・メー 紀元は雌しべと雄しべと花粉。その外殻は花畑の原風景。 司る字は花弁魔術師。文字通りの花を操る魔女。 植物ではなく花限定であり、種や蕾や果実を操ることはできない。事実上花を咲かせることのみに特化した魔術。 ラフレシアとかを使うと強力な妨害になる。 本人はとても綺麗好きのロマンチストで、花の観賞以外のことに魔術を使いたがらない。 紫檀(したん)眼の魔女ヲルジェント 紀元はバッテリーとモーターとセンサー。その外殻はウォルターの亀。 司る字は宝石魔術師。宝石に纏わる物事の全てを解決する。鑑定、換金、加工、鋳造、全てを軽々こなして見せる。 宝石そのものが魔力を秘める術式の材料となるので、彼女の役割は所謂武器屋のようなもの。 人類の救済こそ己の使命だと考えている。全ての人類は平等であるべきだという思考から、 常世の悪を全て排除し己の信じる正義の思想を世界全土に蔓延させたいと考えているらしい。 キャミソールドレスを纏った姿に自身を持っている。 蜂蜜(はちみつ)眼の魔女キャミラップ 紀元は砂糖と小麦粉とメレンゲ。その外殻はふわっふわのカステラ。 司る字は菓子魔術師。お菓子に纏わることなら何でもできる素敵な子。 お菓子の家を建てたりフルーツパフェを振る舞ったりするので他の魔女からも人気。 保育園のお姉さん的なちょっと無理して笑顔を作ってる人。本人はそろそろ肉とか食べたい。 白銀(はくぎん)眼の魔女テーソルニア 紀元は司法と立法と行政。その外殻は裁判官ジャッジメント。 司る字は反響魔術師。妹であるテールソニアとのコンビで真価を発揮する。他魔女と同一の字を持つ唯一の魔女。 二人は互いを参照する術を持っており、その真骨頂は相互を参照し続けることによる繰り返し(ハウリング)のバフ乗算。 二人セットで運用できればステータス上限まで容易く到達する強力無比のシンメトリカル・ドッキンガー。 性格は狡猾で残忍。妹を疎ましく思っている。テールソニアの参照先。 黄金(おうごん)眼の魔女テールソニア 紀元は富士と鷹と茄子。その外殻は縁(えにし)の精霊。 司る字は反響魔術師。姉であるテーソルニアとのコンビで真価を発揮する。他魔女と同一の字を持つ唯一の魔女。 二人は互いを参照する術を持っており、その真骨頂は相互を参照し続けることによる繰り返し(ハウリング)のバフ乗算。 二人セットで運用できればステータス上限まで容易く到達する強力無比のシンメトリカル・ドッキンガー。 性格は迂闊で残念。姉を愛おしく思っている。テーソルニアの参照先。 紅蓮(ぐれん)眼の魔女ニーデューケ 紀元は分離と整列と結合。その外殻は鳥もどきボイド。 司る字は悲嘆魔術師。他人にデバフを付与するが、常に罪悪感に苛まれる彼女にとってその行為はストレス極まりない。 加害妄想と被害妄想に囚われたメンヘラ。この世の悪習は全て自分の責任にされるものだと思っており、 自らその罪をひっかぶるよう普段から宣言することで可哀想な自分を演出している。 演歌とか好き。 瑪瑙(めのう)眼の魔女メメディメル 紀元は服従と保存と非暴力。その外殻はロボット。 司る字は変身魔術師。あらゆるものをあらゆるものへと変身させる。 再現に際限は無いが、唯一魂のみは不変の象徴として扱うため、生物を対象とした場合は意志まで操ることは出来ない。 ただし、バシュトナバロンと協力して、他者を他者へと完全に成り代わらせることも出来る。 しかし二人は折り合いが悪く、ナヴィーニャ直々の命令でも無い限りは強力する事はない。 黄土(おうど)眼の魔女ラスカリブル 紀元は任意の対象Aと任意の対象Bと魔法の関係×。その外殻は薄い本。 司る字は相関魔術師。特定の人物AとBの間にある因果関係を操作する凶悪な魔術。 規定の関係性を世界改変の規模で書き換える事が可能で、個人を対象とした魔術としては万能に等しい。 しかし、本人が『アリ』だと思った関係性を実現させるためにしか働かないため、実用性には相当の難がある。 妄想や空想を好む重度のCP厨。『同じコマにいた』レベルの根拠をおかずに飯を食える。 明藍眼の魔女ネイネルネメス 紀元は精霊と悪霊と魔女。その外殻はジャック・オー・ランタン。 司る字は乱痴魔術師。ばか騒ぎ担当。存在するだけで周囲の事象を書き換える世界観構築型。 紺碧(こんぺき)の魔女ケルマンデク 司る字は勇者魔術師。魔導錬装(まどうれんそう)ロギアバロンを操る。 ハイウァピスとは小指が赤い糸で繋がってるコンビ。 父親(存在しない)である博士(存在しない)が開発したロギアバロンのパイロットである。 鮮緑(せんりょく)眼の魔女ハイウァピス 司る字は装填魔術師。魔導錬装(まどうれんそう)ロギアバロンを操る。 ケルマンデクとは小指が赤い糸で繋がってるコンビ。 幼少期(存在しない)より家(存在しない)が隣(存在しない)の幼馴染(存在しない)である。 赤銅(しゃくどう)眼の魔女プネマプローズ 紀元はデネブとベガとアルタイル。その外殻は三角形。 司る字は占星魔術師。占星術の専門家であり、星詠みの巫女。 日にち単位での運勢を占う事で、サイコーにノッてる日とサイテーにツイてない日を予言できる。 彼女がサイコーと記した日に事を行えば、アイスは当たるし物欲センサーはなくなるしRTAは世界記録が出るのだ。 ぶっちゃけ地味。本人もその事を気にしている。 白藍(しらあい)眼の魔女ワクトフィミヌ 紀元は未来と現在と過去。その外殻は運命の女神ノルン。 司る字は占字魔術師。ルーン魔術を用いた占術の専門家。 プネマプローズとは異なり、未来の啓示を断片的な言葉を用いた文章として表すことで予言を行う。 文章の解釈にはある程度の幅が利き、解釈次第では未来に起こり得る事象の指向性を操る事ができる。 ぶっちゃけ地味。しかし、自身の占いは誰も勝る事のない至高の術だと言って憚ることはない。 葡萄(ぶどう)眼の魔女アイマーギュタ 紀元は赤と青と緑。その外殻は混合の黒。 司る字は影絵魔術師。文字通りの影を操る術で、影絵から物質、生物を実体化する事ができる。影縫いも出来る。 彼女の攻撃は影を対象とし、地面に伸びた影の腕の部分に線を引けば、影の持ち主の腕が体から離れる。 フォッククィノの保護者役をやっているらしいが、本人はあまり乗り気でない。 子どもは忙しなく動き回るため、影の形も一定ではない。それを醜いと思っているためだ。 白桃(はくとう)眼の魔女ニェグネクト 紀元は不視と無言と非聴。その外殻は愚かな猿。 司る字は怠惰魔術師。知性体に無気力と無関心、無神経、無遠慮の属性を原因とする孤立と分断を引き起こす魔術。 その深度は言語による分断『バベルの呪い』に匹敵し、地平線を埋め尽くす程の軍勢を容易く無力化する。 自らを大根役者と自嘲し何でも適当に済ませようとするが、仲の良い連中を見ると引き裂きたくなってくるらしい。 白銀(はくぎん)眼の魔女ザルヴィジョン 紀元はRとGとB。その外殻は万色(プリズム)。 司る字は結晶魔術師。光を反射する結晶を生成する。 結晶は万物にコーティングが可能で、あらゆる光線を無効化する。レーザー無効装備を量産可能。 なお、光のない(目に見えない)効果はそのまますり抜けるため、紫外線は防げない。 露草(つゆくさ)眼の魔女ペントプクリ 起源は光とビーズとスピログラフ。その外殻は万華鏡。 司る字は明鏡魔術師。鏡に映ったものを複製する、あるいは鏡に当たったものを反射する。 合わせ鏡を用いた召喚術の行使も可能。 「マン・イン・ザ・ミラー使えねーの?」「なーんだ」「がっかりー」と散々茶化されていい加減頭に来ている。 柑子(こうじ)眼の魔女エトックセトック 起源はノリとハサミと定規。その外殻は工作キット。 司る字は工作魔術師。 黒檀(こくたん)眼の魔女ミユルグリース 司る字は黒灰魔術師。無数の灰を生成し、地上を黒く埋め尽くす。 蛍光(けいこう)眼の魔女ニルメルヒュ 司る字は目眩魔術師。強烈な光と音で平衡感覚を奪う。 濃紺(のうこん)眼の魔女ルツリフォネッセ 司る字は転移魔術師。数km単位の長距離転移を得意とする。 真珠(しんじゅ)眼の魔女キユナカレム 起源は天と海と雨。その外郭は竜。 司る字は雷霆魔術師。空と大地を貫く雷を呼び寄せる最強の物理攻撃。 千二十四色の魔女 何らかの事情によって封印を施された魔女。 二百五十六色にも増して人格が破綻している者が多い。 創造の力を持つ者は少なく、破滅を司る者が多いとされている。 金緑眼の魔女フラッファナル 紀元は#734229と#000000と#FFFFFF。その外殻は三毛猫。 司る字は愛猫魔術師。猫に纏わることなら何でもわかるしできる。 猫判定眼はあらゆる猫種を判別可能。半面、猫以外の部分にはほとんどスキルを振っていない。 語り継がれる最悪の殺猫鬼。九命幻想の破壊者。フラッファナル(滅猫者)に取り憑かれた者。 極端な愛猫家だが、極端な猫研究科でもあり、その存在は猫にとって毒でしかないマッド・サイエンティスト。 猫を殺す事でしか役に立たないので千二十四色入り。一応猫が関わらなければややまともな研究者気質らしい。 玉虫(たまむし)眼の魔女べクィローチ 紀元は繁殖と雑食と褐色。その外殻は、言葉にするのもおぞましいので割愛。 司る字は昆虫魔術師。虫を操る術を心得ている。一番得意なのは羽蟲(スウォーム)の操作。 自分の能力が嫌われやすいことは重々承知しているので、普段は蝶々や蛍で目一杯装飾している。 気丈っぽく振る舞っているがその実は割とナイーブ。どうにか虫のイメージアップができないか頭を悩ませている。 本人から千二十四色入りを希望した稀有な魔女。その行動もまた奥ゆかしい虫の印象を植え付けるための打算的なものだとか。 透明(とうめい)眼の魔女ハクェニムトレー 紀元はαとβとγ。その外殻はε。 司る字は真相魔術師。アカシックレコードと常につながっており、全てを知る最高峰の知識人。 しかし気が触れているのでその知識の多くは役に立たない。常に荒唐無稽な虚言を巻き散らしている。 彼女の語る文字列には意味がない。それは単なる事実であったり、誰も観測できない事実であるためだ。 結局のところ、彼女は何の脈絡もなく事実を振りまくだけの無害で喧しい存在に過ぎない。 アンサイクロペディア冒頭のネタバレ警告文の擬人化みたいなもん。 彼女の眼と髪は、背後の景色を投影する。即ちまったくの透明である。 単純にいてもいなくても変わらないので千二十四色入り。 退紅(あらぞめ)眼の魔女サール・アーラー 紀元は福と禄と寿。その外殻は繁栄の神(不特定多数)。 司る字は拡大魔術師。物質の規模を増大させる術を心得ている。一番簡単な使い方は巨大化。 本人はウルトラマンのような巨大ヒーローに憧れているが立ち位置が悪の幹部そのものな事に悩んでいる。 というか完全にパンドーラ。起源の悪い時には大サタンめいて顔だけを巨大化させているらしい。 勝手に巨大化して迷惑をかけるうえに目立ちすぎるので千二十四色入り。 六万五千五百三十六色の魔女 ナヴィーニャとは異なる紀元を持つ魔女。 既存の人物の紀元を改竄し魔女に仕立て上げたパターンがこのカテゴリに入る。 基本的にはナヴィーニャによるライバル相手への嫌がらせで無理矢理加入させられる。 勝利の報酬は相手の身柄という厄介極まるプロポーズ。 既に65533番まで埋まっているので、もうすぐ数をさらに増やす予定なんだって。 竜胆(りんどう)眼の魔女オルディナル 紀元は竜胆と英雄と性。その外殻は女吸血鬼アーディマム。 司る字は蒼銀魔術師。本人いわく、ちょっとすごい事ができる。 アーディマムが一時的に魔女化され在籍したもの。あくまで一時的なので、後に脱退している。 アイドルとしてのパフォーマンス以外の事はしていないので、スペックや人間関係は不明。 柘榴(ざくろ)眼の魔女リヴル・ルヴァ 紀元はハープと冥府と後悔。その外殻はエウリュディケー。 司る字は死霊魔術師。冥府から死人を呼び出したり、現世の死人を操ることができる。 [闇]【★SSR】怪盗エルメシア@エウリュディケー・白スーツコスを魔女化した存在。 巨人族タイターンやペストの偽物化たる巨鼠まで将来できる。 紛れもなくスゴイのだが、パープル・使いどころが難しすぎる・ヘイズなのであまり呼び出されない。 紅鳶(べにとび)眼の魔女クェゾムトア 紀元は腕と腕と腕。その外殻は『羅漢探偵』調絶剛(ちょうぜつつよし)。 司る字は羅漢魔術師。六本の腕を操り刀を振るう近接戦闘特化型魔女。 なお六本というのはデフォルトの設定であり、理論上は何本でも増やすことができる。 参照先 キュトスの七十一姉妹 - ゆらぎの神話百科事典 煉獄の七姉妹 - ピクシブ百科事典
https://w.atwiki.jp/originalwitch/pages/40.html
その他(英数字、記号など)の魔女たち 英数字 Bnabi (バンビ) Dictator (ディクタートル) givone (ギヴォーネ) Jyahrnareda (ジャハナーダ) Monika(モニカ) Ragena (レジーナ) Ruttmann(ルットマン) Schwester(シュヴェスター) Seiman Zefinen (セイマン ゼフィネン) Shelby(シェルビー) Veronika(ヴェローニカ) Viacractica (ヴァイアカラクティカ) Zittel (ツィッテル) 名称不明 ジャンクの魔女 黒子の魔女 複製の魔女
https://w.atwiki.jp/vip_witches/pages/2462.html
向かいの席に座り、悔しそうに歯軋りをする智子の恨めしい視線を一身に受ける俺は窓の外の景色に目を反らした。 窓越しに見える山々は所々にまだ紅色を残しているものもある。 自然の澄み切った空気を吸いながら山道を歩けばさぞ清々しい気分になれるのだろうが、今の俺は眼前から注がれる鋭い眼差しに冷や汗を浮かべていた。 とても旅行中の若者とは思えない表情を刻む俺は視線を合わせまいと窓に外を向け続ける。 圭子「ねぇ。俺?」 現実から逃避するかのように流れていく景色をぼんやりと見つめていると、隣に座る圭子が肩をつついて来た。 移した目線の先には膝の上に小さな弁当箱のようなものを置き、恥ずかしげに目を泳がせながら自分の袖をきゅっと掴んでいる。 一体何の用なのだろうかと首を傾げつつ、口を開く。 俺「どうした?」 圭子「そのっ……俺って卵焼きが好き、なのよね?」 俺「……まぁ」 目が無いほどではないが、好物の部類には入る。よほどのゲテモノではない限り、基本的に俺は何でも食べる方だった。 唯一許せないのはシュールストレミングなるスオムスの缶入り食品である。今でも興味本位で缶を開けてしまった当時の自分の浅はかな行動を思い出すだけで吐き気が込み上げてきてしまう。 あのような激臭を放つ食物を口にするのは今後の人生においてもう二度と無いだろう。というより断固として食べたくない。 スオムス人には悪いが、自身があれを食べ物として認めることは未来永劫来ないと断言できる。 圭子「そのね? 余分に作ってきちゃったから……食べ切れなくて。もし、よかったら……食べてくれない?」 俺「……良いのか?」 圭子「このまま放っておくのも勿体無いし……その、あなたに……食べて欲しくて」 俺「……まぁ。そういうことなら遠慮なく食べさせてもらうよ」 智子「ッ!!」 武子「智子、車内では静かにしなさい。気持ちは、わかるけど……」 最後のほうになると声が尻すぼみになったため、上手く聞き取れなかったが他人の好意を無碍にするわけにもいかず、俺は差し出された弁当箱を受け取った。 途端に智子から突き刺される怨嗟に満ちた眼勢が一層強烈なものへと変化し、俺は反射的に身震いしてしまう。 そんな智子の頭に彼女の隣に座る武子が手を置くも、その武子でさえどこか不機嫌そうに頬を膨らませ、じっとりとした目つきでこちらを見つめているのだ。 一体何が二人の機嫌をそこまで損ねているのだろう。その原因が自分にあると露とも知らない俺は他人事のように考えながら身を屈めた。 俺「えっと……箸、箸」 何とも居た堪れない気分を味わいながら足元に置いてある鞄に手を入れて箸を探すも、中々出てこない。 ちゃんと食べ終わったときに弁当箱と一緒に入れたはずなんだけどなぁと考えている内に膝の上に乗る弁当箱の感触が消える。 何事かと圭子のほうへ顔を向けると、ほんのりと頬を染めた彼女は自分の箸で弁当箱の隅に残っていた卵焼きを器用につまむと、 圭子「あ、あ……ん」 俺「っ!?」 今にも消えてしまいそうなほどの儚げな声を洩らし、卵焼きをつまんだ箸を俺の口元に向かって差し出してきた。 本人自身もよほど恥ずかしいのか箸を握る手がぷるぷると震え、瞼はきつく閉ざされている。目を閉じるほど恥ずかしいならば、大人しく箸を渡してくれればいいものを。 俺「あー……ん」 智子「ッッッッッッ!!!???」 武子「智子……ッ! 落ち着きなさい……落ち着くのよ……!!!」 震える箸の先端に顔を近づけ、口を開き、卵焼きを咀嚼する。 直後、智子が地団太を踏み始めた。あまりの音量に彼女のほうへ目線を向けると瞳に僅かな涙を溜め、こちらを睨みつけているではないか。それもどこか悔しげに。 一方で智子を制止する武子であったが、彼女自身もまた悔しそうに唇を噛み黙って非難めいた視線を送ってきている。 何が何だか、よく分からないがどうやら自分は彼女たちの気分を害してしまったらしい。 黒江「ぐぎぎ……!!」 俺「ご、ごめんなさい……」 江藤「あんたたち。せっかくの旅行なんだから騒ぎを起こさないの。いいわね?」 通路を挟んだ隣の座席に座って、それまでのやり取りを傍観していた江藤が同じように歯軋りする綾香の頭に手を置きながら釘を刺した。 表情こそ笑顔ではあるものの、有無を言わさぬ圧倒的なる圧力に分が悪いと察したのか身を小さく縮こませる智子たち。 俺「(温泉、か。楽しみだなぁ……)」 再び窓の外の景色に視線を戻す俺が、空を眺めながら胸中でぽつりと呟いた。 事の発端は一週間前まで遡る。夕食を終えた自分たちに突然部隊長である敏子が部隊全員で休みを取って温泉にいくと言い出したのだ。 初めの内は何を言い出すんだと思っていた俺ではあったが、敏子が言うには休暇の際に市街地の福引で見事に一等である温泉の招待券を六人分も引き当ててきたらしい。 その後は各自がスケジュール調整に奔走し、今日になってようやく部隊全員の休暇が重なり、こうして列車に揺られているわけである。 圭子「俺。卵焼きは……どうだった?」 俺「あぁ、美味しかったよ。ごちそうさん」 俺が正直な感想を述べた。 絶妙な焼き加減なだけあってか卵もふっくらとしており、味の加減も申し分ない。 それにしても、あまりにも自分好みの味だったので驚きはしたが、きっと自分の味覚と圭子の味覚が近いのだろうと解釈する。 圭子「えぇ……!!」 智子「……ぐすん。俺の、ばか……」 武子「よしよし」 俺の言葉に圭子が満面の笑みを浮かべて返す光景を見せ付けられ、目尻を拭う智子の頭を武子が撫でた。 智子の子守役という部隊内での役割もあながち間違いではないのかもしれない。 黒江「くそぅ……私だって。私だって」 江藤「ごほん! はいはい。そろそろ駅に到着するから、その位にしておきなさい」 何とか理性を働かせようと、ぷるぷると全身を小刻みに揺らす綾香を尻目に目的の駅が近づいたことを告げるアナウンスが車内に流れ、席から立ち上がった敏子が手を叩いた。 今日という日を穴拭智子は心の底から待ち望んでいた。 いつぞや武子の誕生日プレゼントを選びに行った俺に付き添った際には逃してしまったが、よもやこのような形で好機が巡ってこようとは。 温泉旅行という非日常を利用し、密かに慕い続ける俺との距離を一気に縮めようと胸を膨らませていただけに、思い通りに事が運ばぬ現実を突きつけられ今日の彼女は荒れに荒れていた。 俺「お、重い……なんで俺が。みんなの荷物……持たなきゃ、いけないんだ……?」 江藤「男の子でしょ? それぐらいはしなさい」 俺「ちくしょう」 智子「ふんっ!」 と鼻を鳴らし後ろで全員分の荷物を背負わされる俺など眼もくれず、足早に目的地である旅館へと歩き続ける。 せっかくの温泉旅行だというのにくじ引きでは俺の席を圭子に奪われ、挙句の果てには卵焼きをあんな形で食べさせるだなんて。 智子「(俺も俺よ。あんなにデレデレして……)」 後ろを振り向けば、俺の隣を歩く圭子が彼の額に浮かぶ大粒の汗をハンカチで拭っている最中だった。 季節は十二月に入り、すっかりと冬に移り変わっているが、全員分の荷物を持たされここ十数分は休みも無しに歩かされているため汗が出ても何ら不思議ではない。 甲斐甲斐しく頬や首筋を拭われている俺の姿を見て、智子は再び不機嫌そうに鼻を鳴らすのだった。 俺「あぁぁぁぁ……つかれたぁ」 部屋に通された俺が荷物を放り出して、畳みの上に身を投げた。 あれほどまでの重量を背負ったのはいつ以来だろうかと考えながら手足を伸ばすと、肩と腰から鈍い痛みが生まれ、思わず顔をしかめる。 たしかに自分が男ではあるが、休憩を入れてくれてもいいではないか。 俺「こうなったら」 敏子から聞かされた話によると今日は自分たち以外の宿泊客はいないらしい。 つまり事実上の貸し切り状態ということになり、他の宿泊客に気兼ねすることなく動くことも出来るというわけである。 俺「ぎゃふんと言わせてやる」 このままでは気が済まない。 自分を荷物持ちにしたことを後悔させてやる。 そう意気込んだ俺は着替えと浴衣、その他の洗面用具を手にし、部屋を飛び出して大浴場のほうへと駆けて行った。 地上の楽園をこの目に焼き付けるために。 温泉の湯から立ち昇る湯気が僅かに景色を覆う中、一糸纏わぬ姿となった女性陣が目の前に広がる巨大な露天風呂に感嘆の吐息を零した。 覗き対策からか、柵は高めに作られているとはいえ豊かな自然の景色を損なわぬようバランスを重視した造りになっている。 智子「わぁぁぁ!! すごい! すごいわ!!!」 武子「智子、あんまり走り回っちゃ転んじゃうわよ。背中流してあげるから、こっちに来なさい」 無邪気な笑みを浮かべて子供のように走り回る智子の姿に苦笑いを浮かべる武子が彼女に手招きをする。隣では同じような笑みを作る圭子が大きく伸びをした。 部隊内では隊長である江藤に次ぐ年齢なためか発育も他の三人と比べて恵まれており、背を伸ばした際に形の良い双丘がぷるんと上下に動く。 黒江「温泉か。手足を思う存分伸ばしたまま湯に浸かれるのはいいことだな」 江藤「アンタたち! ちゃんと入る前に身体を洗いなさいよぉ!!」 女性陣が女湯で姦しい会話を楽しんでいるところに同じく、誰もいない男湯に入ってきた俺は足音を立てないよう敷居の役割を果たす柵に向かって歩き出す。 俺「ごくり」 この向こうに地上の楽園が広がっているのだと思うと、生唾を飲み込まずにはいられなかった。 普段は巫女衣装や陸軍の制服に包まれている彼女らの瑞々しい裸体を拝めることが出来る。 仲間の裸を覗くという背徳感が俺の煩悩を昂ぶらせた。 再び唾を飲み込んだ俺が柵に手を添え、体重を傾ける。 軋む音が一切立たないことから、新品に取り替えたか。それとも頑丈な造りとなっているのか。 どちらにせよ、力を入れても物音が立たないというのは好都合であった。 俺「よし。いくぞ」 溝や金具に手をかけ器用に柵を登っていく。 子供のころの木登りの経験がこんな形で活かされるとはと思いつつ、見つからないよう身長に顔を出した俺が息を飲み込んだ。 湯煙で視界が覆われているかという予想は見事に裏切られ、彼の視界に無防備な裸身を晒す智子たちの姿が入り込む。 俺「おぉぉ……おぉぉぉ……!!!」 まずは智子。 部隊内で最年少だけあってか身体つきは未発達ではあるが小ぶりなヒップには、そそられるものがある。 また、湯で濡れた黒髪が白い背中に張り付く後姿が何とも言えない扇情さを醸し出しており、今後の成長に期待が出来た。 次に武子。 全身に付着する石鹸の泡を桶に溜め込んだ湯で流す姿がやたら艶かしい。 日頃、制服の下から自己主張する胸は外気に晒され、その均整の取れた姿を見せつける。 黒江は日々剣の鍛錬を欠かさないだけあってか、腰周りに一切の無駄がないがそこには女性特有のしなやかさと柔らかさが確かに存在していた。更に、腹部には愛らしいおへそが姿を覗かせている。 圭子だが、やはり他の三人と比べて年長なためか肉付きがよく胸、腰、ヒップと申し分ない破壊力を秘めていた。特筆すべきは太ももであろう。 これもまた、軍人としての訓練の賜物なのか贅肉といったものはないが、その肉感的な柔らかさは乳房や臀部以上もの情欲を男に与えてくれるに違いない。 そして、最後に敏子である。 もはや彼女に関して言うことは何も無い。 乳、腰、尻。年相応に発育した彼女の肉体は大人の色気をむんむんと放っており、年頃の男子にとっては刺激が強過ぎた。 湯によって艶やかな光沢を帯びる全身が俺の息遣いを荒いものへと変えていく。 俺「よし、撤収」 これこそが最後のエデンという奴なのだろう。 胸中でそう呟きながら俺が柵から飛び降り、何事も無かったかのような顔で身体を洗い始めた。 本当ならばもっと拝んでいたかったが、欲を出しすぎれば破滅するというこの世の理を悟っていた彼は後ろ髪を引かれる思いを味わいつつも吐息を零す。 このあとに地獄が待っているとも知らずに。 夕食後、目の前の光景に俺は絶句せざるを得なかった。 俺「これは……これはいったいどういうことだ!?」 頬を赤く染め、仰向けに倒れる智子たちの傍には扶桑酒が入っていたであろう徳利が無造作に転がっている。 少し席を外し、戻ってきたときには既に倒れ伏していた彼女たちの真ん中では江藤が浴衣の胸元をこれでもかというほどにはだけさせ、唖然とする俺を尻目に何が楽しいのかニヤニヤと唇を歪めていた。 俺「四人は犠牲になったのだ」 しばしば晩酌に付き合えと敏子に強制連行された経験から俺は酒に対しての耐性があった。 しかし、智子たちの昏倒ぶりを見るからに、どうやら彼女たちにはまだそれが備わっていなかったようである。 俺「敏ねぇ……なんてことを」 隊長命令と称して無理やり酒を勧める江藤の姿が用意に想像できた。 江藤「良いじゃない。こういう時ぐらい羽目を外さないと」 扶桑酒が注がれたお猪口を回しながら、口元に運び一気に煽る。 見ているこちらが清々しくなってくるほどの豪快な飲みっぷりを前に俺は息を飲み込んだ。 こくんこくんと上下する喉の動きがいつにもまして、いやらしく見えて仕方がない。 きっと浴衣がはだけ、素肌が顕になっているからなのだろうと言い聞かせる。 俺「まったく……旅館の人に迷惑かけちゃいけないぞ。って……なっ!?」 次の瞬間、徳利とお猪口を拾い集める俺の動きが硬直した。 俺がゆっくりと足元に視線を落とすと、そこには自身の右足にしがみつく武子が妖艶な光を湛えた黒瞳をこちらに向けているではないか。 俺「ひっ!? やめろっ! 離せ!」 武子「やぁだ。ふふっ……おれぇ」 艶やかな光を放つ唇が歪む。 甘みを含まれた声に俺は心臓が収縮する感覚を覚えた。 圭子「武子ばっかりずるい……わたしも」 俺「圭子、お前もか……ッッ!!!」 武子と同じように大虎の毒牙に掛かってしまった圭子が空いた左足にしがみつき、仔犬が甘えるように頬を摺り寄せてくる。 普段の大人びた印象とはかけ離れた幼稚な姿にギャップを感じた俺は息苦しさのあまり、心臓の部分に手を伸ばした。 俺「っていかん。離れろ! 離れなさい!!」 黒江「すきありっ」 俺「ぅひゃあ!?」 慌てて我に返り二人を引き剥がそうと身を屈める俺の背中に、それまで寝そべっていた黒江がいつの間にか目を覚まして後ろから抱き着いてきた。 その際にバランスを崩してしまった俺が大きく尻餅をついてしまう。 すかさず、絶好のチャンスだといわんばかりに武子と圭子の二人が俺の身体を這い登った。 武子「ふふふっ」 圭子「つかまえたぁ」 黒江「もう逃げられないぞぉ?」 俺「(駄目だ、こいつら。完全に酔ってやがる……早く何とかしないと)」 前後ろから色気に満ちる湿った声音が俺の耳をくすぐった。 どうにかして打開策を見つけなければと頭を回転させる俺が、首筋を這う生暖かい感触に反射的に身体を強張らせる。 俺「な、何だぁ!?」 黒江「ふふっ……ぺろっ……ぺろっ」 俺「綾香っ!? おまえっ……何をしてって……ひぅ!?」 ザラザラとした下の感触に声が裏返ってしまう。 武子「綾香。独り占めなんてずるいわよ」 圭子「私たちにも、ね?」 ぴちゃぴちゃとした音から生暖かい感触が背中にしがみつく黒江の舌であると理解した時には既に遅く、左右からそれぞれ抱きついてくる武子と圭子が顔を近づけ、黒江に習って俺の首筋や頬を舐め始めた。 俺「ひっ……や、やめっ……!!」 身体を捻って三人の拘束から逃れようとするも、武子たちは酔っていると思えないほどの膂力を以って俺の身体を押さえつける。 飼い主にじゃれ付いてくるかのように舌を動かし、俺の敏感な箇所を舐めくすぐってくるのだ。 俺「本当に、やめ……ろっ。きたな……いっ」 圭子「あら? あなたの身体に……汚いところなんてないわよ?」 武子「えぇ……んちゅっ」 黒江「ほぅ」 自分のものだと印でもつけるかのように武子が首筋に唇を押し当てる。 直後に冷たい電流が背筋を、全身を駆け巡った。 さらに追い討ちと言わんばかりに背後の黒江が首筋に息を吹きかけた。 これ以上責め続ければ可笑しくなってしまう。 智子「うぅぅぅ……」 俺「ちょっ! 智子! お前までやめっ!?」 瞳に涙を浮かべた智子が三人には渡さないとでも言いたげに俺の身体に圧し掛かり顔を近づけてきた。 俺「(まずい……このままでは!!)」 このままでは彼女の唇を奪ってしまう。 そう直感した俺が離れたところで酒を煽る敏子に向かって声を張り上げた。 俺「と、敏ねぇ! 助け……ひぁっ……た、助けてください!!」 江藤「えっ!? なに? 何か言った!?」 耳に手を当てわざとらしく、おどけてみせる敏子の態度に俺の眉が吊りあがる。 俺「聞こえてただろ!? 絶対に今の聞こえてたよなぁ!?」 江藤「良いじゃない。こんな機会もうないかもしれないわよっ?」 俺「だからって……いくらなんでもこれはないだろ!?」 たしかに胸や太ももの柔らかさを肌で堪能できるのは役得だとしても、このままでは自分の理性が持ちそうにないのだ。 江藤「鈍感なアンタが悪い。以上」 俺「以上って、そんな無責任な……あ」 ふと、舌舐め攻撃が止んでいることに気がついた俺がしがみつく少女たちに顔を向ける。 圭子「っぅ……ぅうん」 武子「ふぁ……んっぅう」 黒江「んぅぅぅぅぅ……」 どうやら寝入ってしまったらしい。 拘束が解けたことを確認し、俺が立ち上がり肩を回す。 ようやく地獄から解放された彼の顔が次第に清々しい笑みへと変わっていった。 俺「ってあれ? 智子は?」 今の今まで圧し掛かっていた智子の姿が見えない。 加えていつの間にか敏子の姿も消えている。 あの一瞬で二人とも部屋を出て行ったのだろうか。 俺「とりあえず、こいつらどうにかしないとなぁ」 はだけた浴衣を直し、まず最初に武子を背負った俺が足早に広間を後にした。 彼女たちの部屋に着くと既に四人分の布団が敷かれていた。 これなら寝かせるだけで済みそうである。 俺「おい。大丈夫か?」 武子「ぅ……ぅん? ここ、は?」 布団の上に武子を寝かせると、彼女がゆっくりと瞼を開けて目を動かした。 そして、自身を布団に寝かせる俺に気がつき目を丸くする。 俺「お前たちの部屋だよ。覚えてないのか? 酔い潰れたんだぞ?」 武子「えっ……あ、あぁぁぁぁぁ!?」 記憶が戻ったのか、慌てて起き上がった武子の頬がみるみると紅潮し甲高い悲鳴が室内に木霊した。 俺「うわっ。どうしたんだよっ?」 武子「ごめんなさい! 私ったら何てことを……ごめんなさい! 本当にごめんなさい!!」 理性を取り戻したことで自分がしでかしてしまったことへの羞恥心が武子の全身を覆う。 武子「私ったら……あぁもう! ごめんなさい!」 俺「あー……もういいよ。過ぎたことだ……ただ、今度から酒を飲むときは気をつけてくれ」 武子「う……はぃ」 俺「相手が俺だったからあれだけど……他の男だったら、どうなってたか分からないぞ?」 強靭な理性で何とか持ちこたえることが出来たが、仮に相手が自分ではなく別の男だとしたらどうなっていたことやら。 武子「……」 俺「武子?」 武子「……他の人には、しないわよ……こんなこと。ぜったい」 俺「ん?」 武子「何でもないわよ……。それより、俺のほうは、大丈夫なの?」 俺「まぁな。なんだ? 俺のことも心配してくれるのか? 嬉しいなぁ」 快活な笑みを前に武子が俯いた。 膝に当てた拳を握りしめる武子が口を開きぽつりと呟く。 武子「どうしてよ……」 俺「武子?」 武子「どうして……そんなこと、言うの?」 俺「お、おい……どうしたん――」 武子「心配しないわけないでしょう!?」 俺「た、武子……ッ!?」 武子が声を張り上げ、それまで伏せていた顔を上げた。 目を凝らせば彼女の双眸に透明な雫が込み上げているのが見え、その潤んだ輝きを放つ武子の瞳を前に俺は息を詰まらせる。 不謹慎ながらも涙を零す彼女の姿を美しいと感じてしまったのだ。 武子「あなたはっ! いつだってそうよっ!!」 そんな俺の胸裏に生まれる動揺など、お構い無しに武子は彼の身体を布団の上へと押し倒す。そして、嗚咽が混じる声を絞り出しながら俺の胸元に顔を埋め、浴衣の襟を掴みあげた。 武子「いつだって私たちのことを大切に考えていてくれる! それなのにっ! それなのに、あなたはっ! 自分のことを何とも思ってない! 自分のことを心配してくれることを当たり前だって思ってない!」 思いの丈をぶつけてくる武子に俺は見つからないよう、小さな苦笑いを零した。 さきほど、彼女たちの入浴シーンを覗いてしまっただけに、武子の言葉は胸を抉るほどの鋭さを秘めていた。 俺「武子……俺は」 武子「いや……なのよっ。あなたが……っく、自分のことをそんな風に考えているのが」 俺の言葉を遮り武子が堰を切ったようにまくし立てる。 武子「もっと自分のことも大切にしてよ……っっ!!」 酒による酔いがまだ抜けていなかったのか、感情的に 武子「もし、あなたに万が一のことがあれば……私はっ!! 私たちは!!」 俺「武子」 武子「ッ!?」 感情の抑制が効かず声を荒げる武子の背中に俺が手を回し、抱き寄せた。 そのまま、子供をあやすかのように回した手で柔らかな背中をさする。 俺「ごめんな。心配かけさせて……」 武子「本当よ。ばかっ……あなたは、本当にばかよっ……」 彼女がこうも感情的になるのを俺は初めて目の当たりにした。 酒のせいでもあるが、それはあくまで切欠にすぎない。 武子がこうも感情を爆発させるということは日頃から彼女に心配をかけさせていたということだろう。 俺は罪の意識を感じつつも、彼女が眠りに就くまで背中をさすり続けた。 もたれかかる黒江に肩を貸し、部屋へ向かって歩を進める。 武子を寝かしつけ、広間に戻ると目を覚ました黒江が寝そべったまま手を伸ばしてきた。 何でも一人では起き上がれないらしく、背負うかと尋ねてみると顔を真っ赤にして拒否されてしまい、こうして肩を貸して部屋に向かっているのだが。 黒江「ぅぅぅん」 俺「まったく。酔いつぶれるくらいなら飲まなきゃいいのに」 こうして時折苦しげなうめき声を間近で聞かされると、やはり無理やりにでも背負うなり抱きかかえるなりしていったほうが良かったのではないかとも思う。 黒江「これぐらい……平気だ。ところで、さっき私は何をしていた……? 記憶が無いんだ……」 俺「寝てたよ」 斬り捨てるかのようにも取れるほどの即答ぶりに黒江が眉を顰めた。 黒江「寝ていた? 本当か?」 俺「だって記憶にないんだろ?」 黒江「う、ううん……?」 記憶がないだけに俺の言葉を半信半疑で受け止めていた黒江であったが、素直に俺の言葉を信じたらしい。 些か腑に落ちないながらもこれ以上の追求をやめ足を動かすことに専念する彼女の姿に俺は内心で安堵の溜息を吐いた。 もし彼女が自分に抱きつき、首筋を舐め回していたことを知れば先ほどの武子とは比にならないほどの後悔に襲われるだろう。 世の中には知らないほうが幸せなことがあるのである。 俺「さてと、着いたぞ。早く寝ろ」 黒江「まて……」 寝息を立てる武子に黒江を寝かせ残る圭子のもとへ向かおうとした矢先、手を黒江に掴まれてしまった。 俺「どうした?」 黒江「おまえは……どうして、いつもいつも……」 布団の上に寝そべりながらも、見上げてくる瞳に浮かぶ切なげな光。 俺「いつも?」 黒江「ふ、ふんっ。なんでもない……早く行けっ」 俺「……はやく寝ろよ?」 乱暴に手を離すと、そのまま布団を被って背を向ける黒江に一声かけ、俺は部屋を出て行った。 黒江「ばか……もう少しかまってくれても、いいじゃないか……」 圭子「待ちくたびれた」 それが広間に戻ってきた俺に対する圭子の言葉だった。 俺「そりゃ悪かった」 圭子「なんてね。本当はもう、殆ど酔いから醒めてるの」 俺「じゃあ……自分が何をしたかも覚えてるよな?」 悪戯めいた笑みを浮かべる圭子に訊ねる。 すると、すぐに自身のはしたない行動を思い出したのか、ぽっと頬を染めて俯いた。 圭子「それは……ごめんなさい」 俺「まったく。呑まれるなら初めから飲まなきゃいいだろう?」 圭子「自分でもあんなに弱いとは知らなかったのよ!!」 両手を腰にあて見下ろしてくる俺に圭子が反論した。 まさか、あれほどまでに強烈な酒とは思っていなかったのである。 俺「怒るなって」 圭子「ご、ごめん」 俺「何かあったのか?」 武子のことを考えると圭子もおそらく日ごろの鬱憤を溜め込んでいるのではないかと察した俺が隣に座り、落ち着いた口調で訊ねる。 案の定、小さく頷いた圭子が俺の身体に寄りかかってきた。 圭子「少し……愚痴を零しても良い?」 俺「構わないぞ」 圭子「ありがと」 圭子から聞かされた話は自分と智子たちの違いであった。 撃墜数も自分の方が上であるにも関わらず彼女たちばかりに注目が集まりつつあること。 注目を浴びるためにウィッチになったわけではないが、それでも叩き出した成果をよく見てもらえないこと。 そんな現状に対する悔しさや憤りを正直に吐露する圭子が瞼を閉じた。 圭子「だから、たまに……本当にたまにね? 思うのよ。私って……ここにいる必要あるのかなって」 俺「そんなことはないよ。それに、射撃だけが圭子の全てじゃない」 圭子「……?」 俺「たしかに俺たち二人は。智子たち三人と比べると、世間一般からは地味に見えるのかもしれない」 圭子「……」 俺「でもっ」 圭子「?」 俺「俺は圭子が銃を撃つ姿が地味だとは思えない」 真っ直ぐに敵を見つめる凛々しい眼差し。 銃を握り締める伸びた腕。 引き金にかけられた、しなやかな指。 それらを持つ圭子の姿は、刀を手にしてネウロイへと肉薄する智子たちと何ら変わらぬほどに勇ましく頼もしかった。 圭子「そ、そう……なの?」 俺の言葉に圭子の頬に差し込む紅が濃くなる。 まさか自分の姿をそんな風に見られていたとは。 俺「あぁ。だから自信をもってくれよ。圭子がここにいるってことはさ。圭子の力がこの部隊に必要だってことなんだから」 圭子「……なんとなく、わかった気がする。どうして智子があなたに惹かれたのか」 俺「圭子? どういうことだ?」 圭子「なんでもないわ……ありがとう。俺」 俺「月並みな言葉しか言えなくて、ごめんよ」 圭子「ううん。今ハッキリしたわ。大勢の人よりも、あなたに認められるほうが嬉しいみたい」 顔を埋め、身を委ねる圭子が弾んだ声で返す。 俺「そ、そうか……そりゃ。よかった……」 圭子「ねぇ、俺?」 圭子が俺を見上げる。 潤み、熱の篭った彼女の視線に俺がたじろぎ慌てたように視線を宙に泳がせた。 そんな俺の姿に圭子の口元に自然と笑みが零れた。 あれだけ頼もしく思えていた彼が、こんなにも可愛らしい狼狽する姿を見せるなんて。 改めて自分が身を預ける人物がまだ少年であると気がついた圭子の胸裏に小さな嗜虐心が生まれた。 俺「な、なんだ……ッ!?」 圭子「もう少し……甘えてもいいかしら?」 俺「……程々にな」 圭子「ありがと」 こうして甘えるのも悪くない。 頼もしくて。それでいて可愛らしい、この年下の少年に。 そう思いながら、俺の温もりを実感し頬を緩める圭子であった。 おしまい たとえば、こんなバースデー ~穴拭智子の場合~ に続く
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255 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/17(金) 20 02 07.30 ID 0XQ3r1Ixo 乙女たちの恋愛戦争 1,初代の場合 2,四代の場合 3,五代の場合 4,六代の場合 5.七代の場合 6.九代の場合 7.十代の場合 8.十二代の場合 9.十三代の場合 ↓6 261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 20 03 20.47 ID 3CGO1T/7o 時間間違えた。 8 267 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/17(金) 20 08 35.34 ID 0XQ3r1Ixo 乙女たちの恋愛戦争 12代目の場合 二月十三日 聖バレンタインを明日に控えたその日 貴女は頭を抱えていた あの衛宮士郎を納得させるチョコレートなど、作れるだろうか? 彼の事だ、どんなモノを渡したとしても、喜んでくれるに違いはない 何度目になるのかわからない溜息が口から溢れる 彼女に、相談してみよう 自分一人で抱え込める問題ではない 貴女は、そう決意すると家を飛び出した 向かうのは、この地の管理者の家 270 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/17(金) 20 16 45.83 ID 0XQ3r1Ixo 凛「……はぁ、御馳走様」 凛「知らないわよ、2人で勝手にやってなさい」 凛の呆れたような顔に貴女は少しだけ苛立ちを覚えた 何故、自分はこれほど悩んでいるのに 凛「私が手伝ってアイツが喜ぶわけないでしょうが」 早々に貴女は家から追い出されてしまう はぁ、また溜息が口から溢れる 士郎「……どうしたんだ、こんな所で」 途方に暮れ、街を歩き回っていた貴女の前に現れたのは士郎 士郎「用もないのにこんな寒い中を歩きまわってたのか?」 士郎「ほら帰ろう、家で温かいお茶でも出すから」 差し伸べられる手 そして彼の『帰ろう』という言葉 貴女は、少しだけ顔を赤くするとその手を躊躇いがちに掴んだ きっと、この時間より甘い菓子なんて存在しない だったら、彼となら どんなモノだって良い、そんなふうに思える冬だった 【躊躇いがちな彼女の場合、終了】 275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage saga]:2012/02/17(金) 20 18 12.11 ID 0g6ibtzK0 爆発しろ、士郎 277 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/17(金) 20 18 37.49 ID 0XQ3r1Ixo 乙女たちの恋愛戦争 1,初代の場合 2,四代の場合 3,五代の場合 4,六代の場合 5.七代の場合 6.九代の場合 7.十代の場合 8.十二代の場合 終了 9.十三代の場合 ↓6 283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 20 19 31.43 ID TCnFDzUDo 3 288 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/17(金) 20 24 21.16 ID 0XQ3r1Ixo 乙女たちの恋愛戦争 5代目の場合 お父さん、お母さん 貴方達を恨みます 何故、私に料理の才能を与えてくれなかったのか 衛宮家のキッチンは、今地獄と化していた ライダー「……どうしましょうか」 イリヤ「どうしようか、これ」 貴女は、この惨劇を直視することは出来なかった 今日、士郎はバイトへ向かっているが いつも通りならばもう1時間もすれば帰ってくる ……ああ、何故事前に用意をして置かなかったのか どうすれば、どうすれば 291 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/17(金) 20 31 30.02 ID 0XQ3r1Ixo 爆破処理…? いや、駄目だ 被害が大きすぎる 魔術で掃除…? いや、駄目だ 同じく被害が…… ライダー「桜や凛に頼る、というのはどうでしょう?」 駄目だ、彼女も【敵―ライバル―】なのだから イリヤ「家に入れなきゃいいのよ、シロウを連れてお城へ行きましょう?」 却下、問題を後回しにしたって解決はしない 士郎「ただいま、って焦げ臭いぞ!」 タイムアップ、よりにもよって今日は帰りが早い 苦笑する士郎に貴女は呟く 料理が出来ない女の子は嫌いですか? 士郎は優しく微笑むと、貴女の頭を撫でた 目を細め、今だけはその感覚に身をゆだねるとこにした 【迷いがちな彼女の場合、終了】 292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 20 31 52.17 ID 2ud3w/GUo 士郎爆発しろ 293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 20 32 32.52 ID 3CGO1T/7o はいはい爆発爆発 295 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/17(金) 20 32 49.29 ID 0XQ3r1Ixo 乙女たちの恋愛戦争 1,初代の場合 2,四代の場合 3,五代の場合 終了 4,六代の場合 5.七代の場合 6.九代の場合 7.十代の場合 8.十二代の場合 終了 9.十三代の場合 ↓6 302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage saga]:2012/02/17(金) 20 33 08.96 ID 0g6ibtzK0 6 307 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/17(金) 20 38 52.50 ID 0XQ3r1Ixo 乙女たちの恋愛戦争 9代目の場合 使われなくなって久しい間桐のキッチン だが最低限のものは揃っていた 日頃の感謝を彼に その為に、貴女は必要な材料を机に上に揃えてみた 材料は、充分 作り方だが…… 貴女は、料理本のページをめくる お菓子の特集のページをじっくり、眺めていた 集中しすぎていたのだろう、彼が接近しているのに、全く気づく事は出来なかった アーチャー「……マスターの偏食には困ったものだな」 315 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/17(金) 20 46 25.29 ID 0XQ3r1Ixo いつの間にか、甘い匂いが貴女の鼻に届いてきた アーチャー「…気付いたか」 アーチャー「甘いモノ好きは結構だが、少し健康にも気を使うべきだろう」 いつの間にか、用意していた材料はアーチャーの手によって美味しそうな菓子へと姿を変えていた 外を見れば日が傾いている 日がな一日、料理本と睨めっこをして過ごしてしまったのか? アーチャー「チョコブラウニーだ、食べてみると良い」 色々と言いたいことはあったが、諦めてソレを自分の口へと運んだ 控えめな甘さ、中のこれは…? アーチャー「普通ならばドライフルーツを使用するのだが、ドライベジタブルを代用してみた」 アーチャー「栄養の問題は多少改善されただろう」 悪戯が成功した少年の様に笑う『アーチャー』 悔しくなった貴女は、皿の上の一切れをフォークで突き刺すと『アーチャー』へと向けた ………あーん さあ、彼との根競べだ 【諦めがちな彼女の場合、終了】 317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 20 47 41.66 ID 3CGO1T/7o 末長く爆発 318 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福井県) [sage saga]:2012/02/17(金) 20 48 07.41 ID 0g6ibtzK0 とにかく爆発 319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽) [sage]:2012/02/17(金) 20 48 55.47 ID Ev3UAQOAO アーチャー爆発しろ 321 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/17(金) 20 49 11.40 ID 0XQ3r1Ixo 乙女たちの恋愛戦争 1,初代の場合 2,四代の場合 3,五代の場合 終了 4,六代の場合 5.七代の場合 6.九代の場合 終了 7.十代の場合 8.十二代の場合 終了 9.十三代の場合 ↓6 327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/02/17(金) 20 49 39.81 ID hEVQ9K9Eo 2 334 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/17(金) 20 54 04.35 ID 0XQ3r1Ixo 乙女たちの恋愛戦争 4代目の場合 部屋で寛ぐ貴方の元に『キャスター』はゆっくと擦り寄ってきた キャスター「旦那様、今日は何の日かご存知ですか?」 貴女は頷いてみせる 二月十四日、バレンタイン キャスター「だからこんなモノを用意してみました」 『キャスター』が手にしているのは市販のチョコレート 小さなボール状のモノが沢山詰まった箱だ 貴方は少しだけ肩を落とした 贅沢かもしれないが、手作りというやつを期待していたのだが…… 337 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/17(金) 20 57 50.54 ID 0XQ3r1Ixo そんな貴方とは対照的に 照れた様子の『キャスター』は躊躇いがちに箱を開封した キャスター「旦那様、お一ついかがですか?」 貴方は、頷く どんなモノだろうと、彼女が用意してくれたものだ 喜んで貰うことにした キャスター「では、失礼して」 ……? 何故だろう、『キャスター』は箱の中のチョコを自分の口に放り込む キャスター「…………ん」 甘い これはチョコの甘さなのか、それとも キャスター「……その、旦那様、もう一つ、如何ですか?」 【良妻狐な彼女の場合、終了】 339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/02/17(金) 20 58 40.59 ID hEVQ9K9Eo なんというバカップル 340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 20 58 42.10 ID 3TWT21oDO ガハァッ!(吐血) 342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/17(金) 20 58 51.29 ID Ec7Ic3Xb0 安定の4代目である 344 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/17(金) 21 00 23.16 ID 0XQ3r1Ixo 乙女たちの恋愛戦争 1,初代の場合 2,四代の場合 終了 3,五代の場合 終了 4,六代の場合 5.七代の場合 6.九代の場合 終了 7.十代の場合 8.十二代の場合 終了 9.十三代の場合 ↓6 ちょっと心壊れそう 一回休憩 350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2012/02/17(金) 21 01 07.43 ID YIFpZbXA0 4 502 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/19(日) 18 09 05.16 ID DEAMM3lMo 時間が押しておるので、もうバレンタインは安価取らずに淡々と貼っていきますね 516 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/19(日) 19 31 37.85 ID DEAMM3lMo 乙女たちの恋愛戦争 六代目の場合 正月番組に見飽きた、そんな頃 衛宮家のキッチンでは貴女と士郎が料理を作るのが日常となっていた 士郎「…今日はお菓子作り、か」 士郎「洋菓子だったら桜のほうが詳しいんだけど」 貴女は首を振る 何故、この男は此処まで鈍いのだろうか 『一ヶ月後に控えたイベント』の為でもあるが 二人で料理をする、と言うのが今では貴女の楽しみの一つになっているというのに 士郎「じゃ、今日は簡単な物で……」 士郎は冷蔵庫の中身と睨めっこをしながら貴女に呟く そう来ると思っていた 事前にチョコレートを潜ませておいたのだ 士郎「……あれ?チョコレートがこんなに」 士郎「藤ねぇがまた衝動買いでもしたか?」 519 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/19(日) 19 36 43.63 ID DEAMM3lMo 湯煎したチョコレートをゆっくりと混ぜる 一ヶ月後を想像すると自然と頬が緩むのを感じた 士郎「…次は、っと、どうしたメディア?」 彼が貴女の名前を呼ぶ びくり、と体を強張らせながらも貴女は余裕を持って返答を返す 士郎「そんなに甘いモノを食べたかったのか?」 意地悪な笑顔を浮かべる彼 やはり、鈍い メディア「違うわよ!来月は二月なのよ、チョコと言ったら――」 ソコまで口にして、貴女は固まった 士郎「……言ったら?」 それでも、この男は…… 貴女は、小さな溜息を漏らし、心に闘志の炎を灯すのだった 【疑いがちな彼女の場合、終了】 520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(和歌山県) [sage]:2012/02/19(日) 19 36 48.04 ID +5xAr1QE0 士郎はそろそろ本気で爆発すべき 523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/19(日) 19 42 04.47 ID WpFmhuyF0 壁殴り代行きてくれー 525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/02/19(日) 19 43 15.91 ID 7YLLyFk8o 七代目「呼びましたか?」 528 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/19(日) 19 47 01.90 ID DEAMM3lMo 乙女たちの恋愛戦争 初代の場合 慌ただしい日常が更に慌ただしくなったここ数日 圧倒的女子率を誇る貴方の住居は、バレンタインに合わせ 彼女たちがかき混ぜるのも、薬剤からチョコへと変化していた 凛「ほら、これアンタに」 凛がそっぽを向きながら、貴女に小さな包みを差し出す バレンタインのチョコ、といった所だろう 凛「まあ、アンタには借りがあるし、その」 照れた様子で、モゴモゴと何かを呟いていると 反対側からも凛のソレよりも二回りほど大きな包みが差し出された ルヴィア「あら、トオサカのチョコはその程度なのかしら?」 あえて挑発するような口調、凛の赤面の意味が変わる 凛「……アンタ、ねぇ!」 桜「……あの、先輩私もチョコを」 ありす「ありすもね、チョコを作ってみたの」 騒がしい、リビングから貴方は何とか脱出することに成功した そろそろ、士郎との鍛錬の時間なのだ 535 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/19(日) 20 06 13.55 ID DEAMM3lMo 鍛錬が終わると 士郎は肩で息をしながら、汗を拭う 士郎「……お疲れ、様」 基礎体力の為に身体を酷使させ 休憩替わりに魔術の鍛錬、そして基礎体力の繰り返し 彼の為そうとしている事を考えれば、楽だろう だが、まあ、今日ぐらいは 貴方は小さな包みを士郎に差し出す 甘いモノは、疲労回復に効果があるらしいから 【忘れられがちな彼女たちの場合、終了】 536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/19(日) 20 06 49.19 ID CukI3p/go これは… 532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/19(日) 19 48 46.33 ID rP9wYaHDo なにこのハーレム…初代爆発しろ 533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(和歌山県) [sage]:2012/02/19(日) 19 52 58.41 ID +5xAr1QE0 初代にとって 士郎>凛ルヴィア桜ありす つまり士郎爆発 534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/02/19(日) 19 54 32.56 ID 7YLLyFk8o 533 どうしてこうなった! 538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/19(日) 20 09 03.45 ID O/sJyzN/o やはり士郎は爆発する運命にあるようだな 546 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/19(日) 20 15 11.01 ID DEAMM3lMo 正直に言うと残った三名は問題児 ネタに頭を悩ます感じですね 549 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/19(日) 20 18 18.75 ID DEAMM3lMo あーもう、何ぜ全員分書くなんて言ったんだろう 全員ごちゃ混ぜで一本書いて 最後に士郎爆発させればよかっただけなのに 560 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/19(日) 20 26 37.52 ID DEAMM3lMo 乙女たちの恋愛戦争 七代目の場合 華やかな雰囲気であふれた街中 久々に帰った日本は、そんな印象だった バレンタインデー 貴女はそれ程重要視していなかったが、それなりのイベントらしい 小次郎「では、拙者は街へ出かける」 『アサシン』はそれだけ言うと街へと向かった 彼曰く、麗しい花が待っている、らしい 日本でも何処でも、最近の彼はブレないな、と少しだけ関心 貴女はそんな中、人を待つ 彼女と、そしてもう一人 563 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/19(日) 20 31 17.33 ID DEAMM3lMo 小さな墓の前、貴女は手を合わせる 貴女の横の凛と桜も同じ 墓の前には、小さな包みが三つ 桜「…おじさん」 凛「こんなモノじゃ、表しきれないぐらい感謝してるわ」 間桐 雁夜 約束を結んだ男 間桐 桜を、いや遠坂 桜を救いたかった男 彼のお陰で、彼女の鎖は解け、この地を去る この春から、彼女もまた貴方達と共に時計塔へ向かうのだ 約束は、守り続けよう 何故、そこまで執着しているのかはわからないが もしかすれば、それは 【拒みがちな彼女の場合、終了】 564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/02/19(日) 20 31 44.33 ID JJhOn3ll0 おじさん… 565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東) [sage]:2012/02/19(日) 20 32 44.49 ID L7DQWsCAO 予想外のいい話だった 566 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/19(日) 20 33 29.93 ID DEAMM3lMo あれ?おじさん爆発しろの流れじゃ? 568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/19(日) 20 34 06.04 ID 5XlYGNWEo おじさんもう爆発してるし 572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/02/19(日) 20 34 53.33 ID Nzhm3gkTo 死んじまったら爆発もできないからな…… 575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/02/19(日) 20 36 18.79 ID JJhOn3ll0 おじさんは普段から身体はってるから爆発しなくていいよ 577 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/19(日) 20 37 18.97 ID DEAMM3lMo おじさん人気過ぎてワロタ 皆おじさん好きなの? 578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/19(日) 20 37 35.43 ID WpFmhuyF0 愛してると言ってもいい 581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/02/19(日) 20 38 50.45 ID JJhOn3ll0 一回でいいから生存ENDさせてやりたいと思うくらいには 583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/19(日) 20 39 07.17 ID 07/VXcrb0 叔父さんはキレイキレイにも認められた愉悦 584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/19(日) 20 39 19.95 ID yRE8L/fIO 爆発しろと言ってるが士郎も好きよ ただしエミヤ、てめーは爆発しろ 587 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/19(日) 20 39 51.73 ID DEAMM3lMo 好きな相手を海魔に喰わせるとは…… 恐ろしい子ッ! 590 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/19(日) 20 45 45.70 ID DEAMM3lMo 乙女たちの恋愛戦争 十代目の場合 愛情、と言うものがわからない 貴方はそれを受けた覚えがないからだ 生まれてこの方、眼の前に広がるのは死―オワリ―ばかり 愛―ハジマリ―なんて親ですら貴方には向けなかった もしも、それを向けてくれる誰かに出会えていたら もしも、それへと向かわせてくれる出会いがあれば もしも、なんてない それは根拠のない妄想で それを信じるなんて、空想と現実の区別が付かない奴だけだ それでも、もしも、愛を知れたなら 死すら、その愛の為に―― 596 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/19(日) 20 49 29.06 ID DEAMM3lMo ネロ「そなたは何を悩んでおるのだ?」 彼女は、そう貴方に向かって言い放つ ネロ「愛を知らねば、学べばいい」 ネロ「自慢ではないが余も愛を向けられた記憶がない」 ネロ「それでも、愛することは知っているつもりだ」 全く以て自慢ではない それに、愛なんてどうでも良い ネロ「どうでもいいなどと言うな、少し寂しい」 ネロ「そなたは共に学んでいけば良い、私と共にな」 差し出されるその手 貴方は、ゆっくりと、その手を取った 【勘違いされがちな彼女の場合、終了】 592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/19(日) 20 48 01.25 ID WpFmhuyF0 でたなスタイリッシュ厨二病! 593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/19(日) 20 48 14.55 ID 5XlYGNWEo 思いの他シリアスな雰囲気 597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/02/19(日) 20 50 20.43 ID r+6VG6Wfo チョコ無え! 599 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/19(日) 20 53 27.83 ID DEAMM3lMo 残っちゃったな、問題児 631 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/19(日) 22 30 36.96 ID DEAMM3lMo 乙女たちの恋愛戦争 十三代目の場合 朝目覚め、今へと向かうと何やら騒がしい声が聞こえてくる 何事かと歩みを早めていくと、目の前にはリズが仁王立ち リズ「…駄目、部屋にいて欲しい」 真剣な様子で頭を下げるリズ 珍しいこともあるものだ、こんなに彼女が必死になるのは……イリヤ関係か? ならば、それに従おう 彼女がイリヤの害になる行動を取るはずがない リズ「ありがとう」 こちらこそだ、と小さく呟くと貴方はゆっくりと自分の部屋へと戻っていった 633 : ◆8NYroe5tmA [saga]:2012/02/19(日) 22 38 01.05 ID DEAMM3lMo 甘い匂いと、何やら焦げたような匂いが混じり合って流れてくる 色々と察しがついた、そう言えばそんな日だったか だが気付かないふりを続けよう オルタ「……騒がしいですね」 貴方の横でそう、彼女が呟いた なに、たまにはこういうのも悪くはないだろう イリヤがどうやってセラを口説き落としたのか そんな所が気にはなるが、お茶の席で聞けばいいだけの話 楽しい時間はすぐやってくるさ オルタ「なるほど、そういう訳ですか」 オルタ「では私も、あちらへ向かうことにします」 貴方は首を傾げる、何故? オルタ「私も貴方に愛を捧げるものですから」 その瞬間、戸が勢い良く開き、彼女の笑顔が輝いた イリヤ「お兄様、これ―――」 彼女を追いかけるメイドたちの手にはティーポット そして我が愛すべき妹の手には大きな大きなチョコレートケーキ 甘い一時は始まった 【十人十色な彼女たちの場合、終了】 635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2012/02/19(日) 22 39 37.27 ID cAxTwuSeo ナイスシスコン 636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/02/19(日) 22 39 49.13 ID VoLlI7kRo 13代目はほのぼのするな 637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/19(日) 22 40 21.30 ID Ts3qVddj0 イリヤがどうなるかワクワクしてたのに 不意打ちのオルタデレに全部持ってかれた 644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/02/19(日) 22 46 43.63 ID JJhOn3ll0 シスコンも爆発しなくていいや
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向かいの席に座り、悔しそうに歯軋りをする智子の恨めしい視線を一身に受ける俺は窓の外の景色に目を反らした。 窓越しに見える山々は所々にまだ紅色を残しているものもある。 自然の澄み切った空気を吸いながら山道を歩けば、さぞ清々しい気分になれるのだろうが、今の俺は眼前から注がれる鋭い眼差しに冷や汗を浮かべていた。 圭子「ねぇ、俺」 現実から逃避するかのように流れていく景色をぼんやりと見つめていると、隣に座る圭子が肩をつついて来た。 移した目線の先には膝の上に小さな弁当箱のようなものを置き、恥ずかしげに目を泳がせる圭子が、自分の袖をきゅっと掴んでいる。 一体何の用なのだろうかと首を傾げつつ、口を開く。 俺「どうした?」 圭子「そのっ……俺って卵焼きが好き、なのよね?」 俺「……まぁ」 目が無いほどではないが、好物の部類には入る。 よほどのゲテモノではない限り、基本的に俺は何でも食べる方だった。 唯一許せないのはシュールストレミングなるスオムスの缶入り食品である。 今でも興味本位で缶を開けてしまった当時の自分の浅はかな行動を思い出すだけで吐き気が込み上げてきてしまう。 あのような激臭を放つ食物を口にするのは今後の人生においてもう二度と無いだろう。 というか、断固として食べたくない。 スオムス人には悪いが、自身があれを食べ物として認めることは未来永劫来ないと断言できる。 圭子「そのね? 余分に作ってきちゃったから……食べ切れなくて。もし、よかったら……食べてくれない?」 俺「……良いのか?」 圭子「このまま放っておくのも勿体無いし……その、あなたに……食べて欲しくて」 俺「……まぁ。そういうことなら遠慮なく食べさせてもらうよ」 智子「ッ!!」 武子「智子、車内では静かにしなさい。気持ちは、わかるけど……」 最後のほうになると声が尻すぼみになったため、上手く聞き取れなかったが他人の好意を無碍にするわけにもいかず、俺は差し出された弁当箱を受け取った。 途端に智子から突き刺される怨嗟に満ちた眼勢が一層強烈なものへと変化し、俺は反射的に身震いしてしまう。 そんな智子の頭に彼女の隣に座る武子が手を置くも、その武子でさえどこか不機嫌そうに頬を膨らませ、じっとりとした目つきでこちらを見つめているのだ。 一体何が二人の機嫌をそこまで損ねているのだろう。 その原因が自分にあると露とも知らない俺は他人事のように考えながら身を屈めた。 俺「えっと……箸、箸」 何とも居た堪れない気分を味わいながら足元に置いてある鞄に手を入れて箸を探すも、中々出てこない。 ちゃんと食べ終わったときに弁当箱と一緒に入れたはずなんだけどなぁと考えている内に膝の上に乗る弁当箱の感触が消える。 何事かと圭子のほうへ顔を向けると、ほんのりと頬を染めた彼女は自分の箸で弁当箱の隅に残っていた卵焼きを器用につまむと、 圭子「あ、あ……ん」 俺「っ!?」 今にも消えてしまいそうなほどの儚げな声を洩らし、卵焼きをつまんだ箸を俺の口元に向かって差し出してきた。 本人自身もよほど恥ずかしいのか箸を握る手がぷるぷると震え、瞼はきつく閉ざされている。目を閉じるほど恥ずかしいならば、大人しく箸を渡してくれればいいものを。 俺「あー……ん」 智子「ッッッッッッ!!!???」 武子「智子……ッ! 落ち着きなさい……落ち着くのよ……!!!」 震える箸の先端に顔を近づけ、口を開き、卵焼きを咀嚼する。 直後、智子が地団太を踏み始めた。 あまりの音量に彼女のほうへ目線を向けると瞳に僅かな涙を溜め、こちらを睨みつけているではないか。 一方で智子を制止する武子ではあったが、彼女自身も悔しそうに唇を噛み、黙って非難めいた視線を送ってきている。 何が何だか、よく分からないがどうやら自分は彼女たちの気分を害してしまったらしい。 黒江「ぐぎぎ……!!」 俺「ご、ごめんなさい……」 敏子「あんたたち。せっかくの旅行なんだから騒ぎを起こさないの。いいわね?」 通路を挟んだ隣の座席に座って、それまでのやり取りを傍観していた敏子が同じように歯軋りする綾香の頭に手を置きながら釘を刺した。 表情こそ笑顔ではあるものの、有無を言わさぬ圧倒的なる圧力に分が悪いと察したのか、智子たちはしゅんと身を小さく縮こませる。 俺「(温泉、か。楽しみだなぁ……)」 再び窓の外の景色に視線を戻す俺が、空を眺めながら胸中でぽつりと呟いた。 事の発端は一週間前まで遡る。 夕食を終えた自分たちに突然部隊長である敏子が部隊全員で休みを取って温泉にいくと言い出したのだ。 初めの内は何を言い出すんだと思っていた俺ではあったが、敏子が言うには休暇の際に市街地の福引で見事に一等である温泉の招待券を六人分も引き当ててきたらしい。 その後は各自がスケジュール調整に奔走し、今日になってようやく部隊全員の休暇が重なり、こうして列車に揺られているわけである。 圭子「俺。卵焼きは……どうだった?」 俺「あぁ、美味しかったよ。ごちそうさん」 俺が正直な感想を述べた。 絶妙な焼き加減なだけあってか卵もふっくらとしており、味の加減も申し分ない。 それにしても、あまりにも自分好みの味だったので驚きはしたが、きっと自分の味覚と圭子の味覚が近いのだろうと解釈した。 圭子「えぇ……!!」 智子「……ぐすん。俺の、ばか……」 武子「よしよし」 俺の言葉に圭子が満面の笑みを浮かべて返す光景を見せ付けられ、目尻を拭う智子の頭を武子が撫でた。 智子の子守役という部隊内での役割もあながち間違いではないのかもしれない。 黒江「くそぅ……私だって。私だって」 敏子「ごほん! はいはい。そろそろ駅に到着するから、その位にしておきなさい」 何とか理性を働かせようと、ぷるぷると全身を小刻みに揺らす綾香を尻目に目的の駅が近づいたことを告げるアナウンスが車内に流れ、席から立ち上がった敏子が手を叩いた。 今日という日を穴拭智子は心の底から待ち望んでいた。 いつぞや武子の誕生日プレゼントを選びに行った俺に付き添った際には逃してしまったが、よもやこのような形で好機が巡ってこようとは。 温泉旅行という非日常を利用し、密かに慕い続ける俺との距離を一気に縮めようと胸を膨らませていただけに、思い通りに事が運ばぬ現実を突きつけられ今日の彼女は荒れに荒れていた。 俺「お、重い……なんで俺が。みんなの荷物……持たなきゃ、いけないんだ……?」 敏子「男の子でしょ? それぐらいはしなさい」 俺「ちくしょう」 智子「ふんっ!」 と鼻を鳴らし後ろで全員分の荷物を背負わされる俺など眼もくれず、足早に目的地である旅館へと歩き続ける。 せっかくの温泉旅行だというのにくじ引きでは俺の席を圭子に奪われ、挙句の果てには卵焼きをあんな形で食べさせるだなんて。 智子「(俺も俺よ。あんなにデレデレして……)」 後ろを振り向けば、俺の隣を歩く圭子が彼の額に浮かぶ大粒の汗をハンカチで拭っている最中だった。 季節は十二月に入り、すっかりと冬に移り変わっているが、全員分の荷物を持たされここ十数分は休みも無しに歩かされているため汗が出ても何ら不思議ではない。 甲斐甲斐しく頬や首筋を拭われている俺の姿を見て、智子は再び不機嫌そうに鼻を鳴らすのだった。 俺「あぁぁぁぁ……つかれたぁ」 部屋に通された俺が荷物を放り出して、畳みの上に身を投げた。 あれほどまでの重量を背負ったのはいつ以来だろうかと考えながら手足を伸ばすと、肩と腰から鈍い痛みが生まれ、思わず顔をしかめる。 たしかに自分が男ではあるが、休憩を入れてくれてもいいではないか。 俺「こうなったら」 敏子から聞かされた話によると今日は自分たち以外の宿泊客はいないらしい。 つまり事実上の貸し切り状態ということになり、他の宿泊客に気兼ねすることなく動くことも出来るというわけである。 俺「ぎゃふんと言わせてやる」 このままでは気が済まない。 自分を荷物持ちにしたことを後悔させてやる。 そう意気込んだ俺は着替えと浴衣、その他の洗面用具を手にし、部屋を飛び出して大浴場のほうへと駆けて行った。 地上の楽園をこの目に焼き付けるために。 温泉の湯から立ち昇る湯気が僅かに景色を覆う中、一糸纏わぬ姿となった女性陣が目の前に広がる巨大な露天風呂に感嘆の吐息を零した。 覗き対策からか、柵は高めに作られているとはいえ豊かな自然の景色を損なわぬようバランスを重視した造りになっている。 智子「わぁぁぁ!! すごい! すごいわ!!!」 武子「智子、あんまり走り回っちゃ転んじゃうわよ。背中流してあげるから、こっちに来なさい」 無邪気な笑みを浮かべて子供のように走り回る智子の姿に苦笑いを浮かべる武子が彼女に手招きをする。隣では同じような笑みを作る圭子が大きく伸びをした。 部隊内では隊長である敏子に次ぐ年齢なため発育も他の三人と比べて恵まれており、背を伸ばした際に形の良い双丘がぷるんと上下に動く。 黒江「温泉か。手足を思う存分伸ばしたまま湯に浸かれるのはいいことだな」 敏子「あんたたち! ちゃんと入る前に身体を洗いなさいよぉ!!」 女性陣が女湯で姦しい会話を楽しんでいるところに同じく、誰もいない男湯に入ってきた俺は足音を立てないよう敷居の役割を果たす柵に向かって歩き出す。 俺「ごくり」 この向こうに地上の楽園が広がっているのだと思うと、生唾を飲み込まずにはいられなかった。 普段は巫女衣装や陸軍の制服に包まれている彼女らの瑞々しい裸体を拝めることが出来る。 仲間の裸を覗くという背徳感が俺の煩悩を昂ぶらせた。 再び唾を飲み込んだ俺が柵に手を添え、体重を傾ける。 軋む音が一切立たないことから、新品に取り替えたか。それとも頑丈な造りとなっているのか。 どちらにせよ、力を入れても物音が立たないというのは好都合であった。 俺「よし。いくぞ」 溝や金具に手をかけ器用に柵を登っていく。 子供のころの木登りの経験がこんな形で活かされるとはと思いつつ、見つからないよう身長に顔を出した俺が息を飲み込んだ。 湯煙で視界が覆われているかという予想は見事に裏切られ、彼の視界に無防備な裸身を晒す智子たちの姿が入り込む。 俺「おぉぉ……おぉぉぉ……!!!」 まずは智子。 部隊内で最年少だけあってか身体つきは未発達ではあるが小ぶりなヒップには、そそられるものがある。 また、湯で濡れた黒髪が白い背中に張り付く後姿が何とも言えない扇情さを醸し出しており、今後の成長に期待が出来た。 次に武子。 全身に付着する石鹸の泡を桶に溜め込んだ湯で流す姿がやたら艶かしい。 日頃、制服の下から自己主張する胸は外気に晒され、その均整の取れた姿を見せつける。 黒江は日々剣の鍛錬を欠かさないだけあってか、腰周りに一切の無駄がないがそこには女性特有のしなやかさと柔らかさが確かに存在していた。更に、腹部には愛らしいおへそが姿を覗かせている。 圭子だが、やはり他の三人と比べて年長なためか肉付きがよく胸、腰、ヒップと申し分ない破壊力を秘めていた。特筆すべきは太ももであろうと俺は考える。 これもまた、軍人としての訓練の賜物なのか贅肉といったものはないが、その肉感的な柔らかさは乳房や臀部以上もの情欲を男に与えてくれるに違いない。 そして、最後に敏子である。 もはや彼女に関して言うことは何も無い。 年相応に発育した彼女の肉体は大人の色気をむんむんと放っており、既に全身が凶器と化していた。 湯によって艶やかな光沢を帯びる全身が俺の息遣いを荒いものへと変えていく。 俺「よし、撤収」 これこそが最後のエデンという奴なのだろう。 胸中でそう呟きながら俺が柵から飛び降り、何事も無かったかのような顔で身体を洗い始めた。 本当ならばもっと拝んでいたかったが、欲を出しすぎれば破滅するというこの世の理を悟っていた彼は後ろ髪を引かれる思いを味わいつつも吐息を零す。 このあとに地獄が待っているとも知らずに。 夕食後、目の前の光景に俺は絶句せざるを得なかった。 俺「これは……これはいったいどういうことだ!?」 頬を赤く染め、仰向けに倒れる智子たちの傍には扶桑酒が入っていたであろう徳利が無造作に転がっている。 少し席を外し、戻ってきたときには既に倒れ伏していた彼女たちの真ん中では敏子が浴衣の胸元をこれでもかというほどにはだけさせ、唖然とする俺を尻目に何が楽しいのかニヤニヤと唇を歪めていた。 俺「四人は犠牲になったのだ」 しばしば晩酌に付き合えと敏子に強制連行された経験から俺は酒に対しての耐性があった。 しかし、智子たちの昏倒ぶりを見るからに、どうやら彼女たちにはまだそれが備わっていなかったようである。 俺「敏ねぇ……なんてことを」 隊長命令と称して無理やり酒を勧める敏子の姿が用意に想像できた。 敏子「良いじゃない。こういう時ぐらい羽目を外さないと」 扶桑酒が注がれたお猪口を回しながら、口元に運び一気に煽る。 見ているこちらが清々しくなってくるほどの豪快な飲みっぷりを前に俺は息を飲み込んだ。 こくんこくんと上下する喉の動きがいつにもまして、いやらしく見えて仕方がない。 きっと浴衣がはだけ、素肌が顕になっているからなのだろうと言い聞かせる。 俺「まったく……旅館の人に迷惑かけちゃいけないぞ。って……なっ!?」 次の瞬間、徳利とお猪口を拾い集める俺の動きが硬直した。 俺がゆっくりと足元に視線を落とすと、そこには自身の右足にしがみつく武子が妖艶な光を湛えた黒瞳をこちらに向けているではないか。 俺「ひっ!? やめろっ! 離せ!」 武子「やぁだ。ふふっ……おれぇ」 艶やかな光を放つ唇が歪む。 甘みを含まれた声に俺は心臓が収縮する感覚を覚えた。 圭子「武子ばっかりずるい……わたしも」 俺「圭子、お前もか……ッッ!!!」 武子と同じように大虎の毒牙に掛かってしまった圭子が空いた左足にしがみつき、仔犬が甘えるように頬を摺り寄せてくる。 普段の大人びた印象とはかけ離れた幼稚な姿にギャップを感じた俺は息苦しさのあまり、心臓の部分に手を伸ばした。 俺「っていかん。離れろ! 離れなさい!!」 黒江「すきありっ」 俺「ぅひゃあ!?」 慌てて我に返り二人を引き剥がそうと身を屈める俺の背中に、それまで寝そべっていた黒江がいつの間にか目を覚まして後ろから抱き着いてきた。 その際にバランスを崩してしまった俺が大きく尻餅をついてしまう。 すかさず、絶好のチャンスだといわんばかりに武子と圭子の二人が俺の身体を這い登った。 武子「ふふふっ」 圭子「つかまえたぁ」 黒江「もう逃げられないぞぉ?」 俺「(駄目だ、こいつら。完全に酔ってやがる……早く何とかしないと)」 前後ろから色気に満ちる湿った声音が俺の耳をくすぐった。 どうにかして打開策を見つけなければと頭を回転させる俺が、首筋を這う生暖かい感触に反射的に身体を強張らせる。 俺「な、何だぁ!?」 黒江「ふふっ……ぺろっ……ぺろっ」 俺「綾香っ!? おまえっ……何をしてって……ひぅ!?」 ザラザラとした下の感触に声が裏返ってしまう。 武子「綾香。独り占めなんてずるいわよ」 圭子「私たちにも、ね?」 ぴちゃぴちゃとした音から生暖かい感触が背中にしがみつく黒江の舌であると理解した時には既に遅く、左右からそれぞれ抱きついてくる武子と圭子が顔を近づけ、黒江に習って俺の首筋や頬を舐め始めた。 俺「ひっ……や、やめっ……!!」 身体を捻って三人の拘束から逃れようとするも、武子たちは酔っていると思えないほどの膂力を以って俺の身体を押さえつける。 飼い主にじゃれ付いてくるかのように舌を動かし、俺の敏感な箇所を舐めくすぐってくるのだ。 俺「本当に、やめ……ろっ。きたな……いっ」 圭子「あら? あなたの身体に……汚いところなんてないわよ?」 武子「えぇ……んちゅっ」 黒江「ほぅ」 自分のものだと印でもつけるかのように武子が首筋に唇を押し当てる。 直後に冷たい電流が背筋を、全身を駆け巡った。 さらに追い討ちと言わんばかりに背後の黒江が首筋に息を吹きかけた。 これ以上責め続ければ可笑しくなってしまう。 智子「うぅぅぅ……」 俺「ちょっ! 智子! お前までやめっ!?」 瞳に涙を浮かべた智子が三人には渡さないとでも言いたげに俺の身体に圧し掛かり顔を近づけてきた。 俺「(まずい……このままでは!!)」 このままでは彼女の唇を奪ってしまう。 そう直感した俺が離れたところで酒を煽る敏子に向かって声を張り上げた。 俺「と、敏ねぇ! 助け……ひぁっ……た、助けてください!!」 敏子「えっ!? なに? 何か言った!?」 耳に手を当てわざとらしく、おどけてみせる敏子の態度に俺の眉が吊りあがる。 俺「聞こえてただろ!? 絶対に今の聞こえてたよなぁ!?」 敏子「良いじゃない。こんな機会もうないかもしれないわよっ?」 俺「だからって……いくらなんでもこれはないだろ!?」 たしかに胸や太ももの柔らかさを肌で堪能できるのは役得だとしても、このままでは自分の理性が持ちそうにないのだ。 敏子「鈍感なあんたが悪い、以上」 俺「以上って、そんな無責任な……あ」 ふと、舌舐め攻撃が止んでいることに気がついた俺がしがみつく少女たちに顔を向ける。 圭子「っぅ……ぅうん」 武子「ふぁ……んっぅう」 黒江「んぅぅぅぅぅ……」 どうやら寝入ってしまったらしい。 拘束が解けたことを確認し、俺が立ち上がり肩を回す。 ようやく地獄から解放された彼の顔が次第に清々しい笑みへと変わっていった。 俺「ってあれ? 智子は?」 今の今まで圧し掛かっていた智子の姿が見えない。 加えていつの間にか敏子の姿も消えている。 あの一瞬で二人とも部屋を出て行ったのだろうか。 俺「とりあえず、こいつらどうにかしないとなぁ」 はだけた浴衣を直し、まず最初に武子を背負った俺が足早に広間を後にした。 彼女たちの部屋に着くと既に四人分の布団が敷かれていた。 これなら寝かせるだけで済みそうである。 俺「おい。大丈夫か?」 武子「ぅ……ぅん? ここ、は?」 布団の上に武子を寝かせると、彼女がゆっくりと瞼を開けて目を動かした。 そして、自身を布団に寝かせる俺に気がつき目を丸くする。 俺「お前たちの部屋だよ。覚えてないのか? 酔い潰れたんだぞ?」 武子「えっ……あ、あぁぁぁぁぁ!?」 記憶が戻ったのか、慌てて起き上がった武子の頬がみるみると紅潮し甲高い悲鳴が室内に木霊した。 俺「うわっ。どうしたんだよっ?」 武子「ごめんなさい! 私ったら何てことを……ごめんなさい! 本当にごめんなさい!!」 理性を取り戻したことで自分がしでかしてしまったことへの羞恥心が武子の全身を覆う。 武子「私ったら……あぁもう! ごめんなさい!」 俺「あー……もういいよ。過ぎたことだ……ただ、今度から酒を飲むときは気をつけてくれ」 武子「う……はぃ」 俺「相手が俺だったからあれだけど……他の男だったら、どうなってたか分からないぞ?」 強靭な理性で何とか持ちこたえることが出来たが、仮に相手が自分ではなく別の男だとしたらどうなっていたことやら。 武子「……」 俺「武子?」 武子「……他の人には、しないわよ……こんなこと。ぜったい」 俺「ん?」 武子「何でもないわよ……。それより、俺のほうは、大丈夫なの?」 俺「まぁな。なんだ? 俺のことも心配してくれるのか? 嬉しいなぁ」 快活な笑みを前に武子が俯いた。 膝に当てた拳を握りしめる武子が口を開きぽつりと呟く。 武子「どうしてよ……」 俺「武子?」 武子「どうして……そんなこと、言うの?」 俺「お、おい……どうしたん――」 武子「心配しないわけないでしょう!?」 俺「た、武子……ッ!?」 武子が声を張り上げ、それまで伏せていた顔を上げた。 目を凝らせば彼女の双眸に透明な雫が込み上げているのが見え、その潤んだ輝きを放つ武子の瞳を前に俺は息を詰まらせる。 不謹慎ながらも涙を零す彼女の姿を美しいと感じてしまったのだ。 武子「あなたはっ! いつだってそうよっ!!」 そんな俺の胸裏に生まれる動揺など、お構い無しに武子は彼の身体を布団の上へと押し倒す。そして、嗚咽が混じる声を絞り出しながら俺の胸元に顔を埋め、浴衣の襟を掴みあげた。 武子「いつだって私たちのことを大切に考えていてくれる! それなのにっ! それなのに、あなたはっ! 自分のことを何とも思ってない! 自分のことを心配してくれることを当たり前だって思ってない!」 思いの丈をぶつけてくる武子に俺は見つからないよう、小さな苦笑いを零した。 さきほど、彼女たちの入浴シーンを覗いてしまっただけに、武子の言葉は胸を抉るほどの鋭さを秘めていた。 俺「武子……俺は」 武子「いや……なのよっ。あなたが……っく、自分のことをそんな風に考えているのが」 俺の言葉を遮り武子が堰を切ったようにまくし立てる。 武子「もっと自分のことも大切にしてよ……っっ!!」 酒による酔いがまだ抜けていなかったのか、感情的に 武子「もし、あなたに万が一のことがあれば……私はっ!! 私たちは!!」 俺「武子」 武子「ッ!?」 感情の抑制が効かず声を荒げる武子の背中に俺が手を回し、抱き寄せた。 そのまま、子供をあやすかのように回した手で柔らかな背中をさする。 俺「ごめんな。心配かけさせて……」 武子「本当よ。ばかっ……あなたは、本当にばかよっ……」 彼女がこうも感情的になるのを俺は初めて目の当たりにした。 酒のせいでもあるが、それはあくまで切欠にすぎない。 武子がこうも感情を爆発させるということは日頃から彼女に心配をかけさせていたということだろう。 俺は罪の意識を感じつつも、彼女が眠りに就くまで背中をさすり続けた。 もたれかかる黒江に肩を貸し、部屋へ向かって歩を進める。 武子を寝かしつけ、広間に戻ると目を覚ました黒江が寝そべったまま手を伸ばしてきた。 何でも一人では起き上がれないらしく、背負うかと尋ねてみると顔を真っ赤にして拒否されてしまい、こうして肩を貸して部屋に向かっているのだが。 黒江「ぅぅぅん」 俺「まったく。酔いつぶれるくらいなら飲まなきゃいいのに」 こうして時折苦しげなうめき声を間近で聞かされると、やはり無理やりにでも背負うなり抱きかかえるなりしていったほうが良かったのではないかとも思う。 黒江「これぐらい……平気だ。ところで、さっき私は何をしていた……? 記憶が無いんだ……」 俺「寝てたよ」 斬り捨てるかのようにも取れるほどの即答ぶりに黒江が眉を顰めた。 黒江「寝ていた? 本当か?」 俺「だって記憶にないんだろ?」 黒江「う、ううん……?」 記憶がないだけに俺の言葉を半信半疑で受け止めていた黒江であったが、素直に俺の言葉を信じたらしい。 些か腑に落ちないながらもこれ以上の追求をやめ足を動かすことに専念する彼女の姿に俺は内心で安堵の溜息を吐いた。 もし彼女が自分に抱きつき、首筋を舐め回していたことを知れば先ほどの武子とは比にならないほどの後悔に襲われるだろう。 世の中には知らないほうが幸せなことがあるのである。 俺「さてと、着いたぞ。早く寝ろ」 黒江「まて……」 寝息を立てる武子に黒江を寝かせ残る圭子のもとへ向かおうとした矢先、手を黒江に掴まれてしまった。 俺「どうした?」 黒江「おまえは……どうして、いつもいつも……」 布団の上に寝そべりながらも、見上げてくる瞳に浮かぶ切なげな光。 俺「いつも?」 黒江「ふ、ふんっ。なんでもない……早く行けっ」 俺「……はやく寝ろよ?」 乱暴に手を離すと、そのまま布団を被って背を向ける黒江に一声かけ、俺は部屋を出て行った。 黒江「ばか……もう少しかまってくれても、いいじゃないか……」 圭子「待ちくたびれた」 それが広間に戻ってきた俺に対する圭子の言葉だった。 俺「そりゃ悪かった」 圭子「なんてね。本当はもう、殆ど酔いから醒めてるの」 俺「じゃあ……自分が何をしたかも覚えてるよな?」 悪戯めいた笑みを浮かべる圭子に訊ねる。 すると、すぐに自身のはしたない行動を思い出したのか、ぽっと頬を染めて俯いた。 圭子「それは……ごめんなさい」 俺「まったく。呑まれるなら初めから飲まなきゃいいだろう?」 圭子「自分でもあんなに弱いとは知らなかったのよ!!」 両手を腰にあて見下ろしてくる俺に圭子が反論した。 まさか、あれほどまでに強烈な酒とは思っていなかったのである。 俺「怒るなって」 圭子「ご、ごめん」 俺「何かあったのか?」 武子のことを考えると圭子もおそらく日ごろの鬱憤を溜め込んでいるのではないかと察した俺が隣に座り、落ち着いた口調で訊ねる。 案の定、小さく頷いた圭子が俺の身体に寄りかかってきた。 圭子「少し……愚痴を零しても良い?」 俺「構わないぞ」 圭子「ありがと」 圭子から聞かされた話は自分と智子たちの違いであった。 撃墜数も自分の方が上であるにも関わらず彼女たちばかりに注目が集まりつつあること。 注目を浴びるためにウィッチになったわけではないが、それでも叩き出した成果をよく見てもらえないこと。 そんな現状に対する悔しさや憤りを正直に吐露する圭子が瞼を閉じた。 圭子「だから、たまに……本当にたまにね? 思うのよ。私って……ここにいる必要あるのかなって」 俺「そんなことはないよ。それに、射撃だけが圭子の全てじゃない」 圭子「……?」 俺「たしかに俺たち二人は。智子たち三人と比べると、世間一般からは地味に見えるのかもしれない」 圭子「……」 俺「でもっ」 圭子「?」 俺「俺は圭子が銃を撃つ姿が地味だとは思えない」 真っ直ぐに敵を見つめる凛々しい眼差し。 銃を握り締める伸びた腕。 引き金にかけられた、しなやかな指。 それらを持つ圭子の姿は、刀を手にしてネウロイへと肉薄する智子たちと何ら変わらぬほどに勇ましく頼もしかった。 圭子「そ、そう……なの?」 俺の言葉に圭子の頬に差し込む紅が濃くなる。 まさか自分の姿をそんな風に見られていたとは。 俺「あぁ。だから自信をもってくれよ。圭子がここにいるってことはさ。圭子の力がこの部隊に必要だってことなんだから」 圭子「……なんとなく、わかった気がする。どうして智子があなたに惹かれたのか」 俺「圭子? どういうことだ?」 圭子「なんでもないわ……ありがとう。俺」 俺「月並みな言葉しか言えなくて、ごめんよ」 圭子「ううん。今ハッキリしたわ。大勢の人よりも、あなたに認められるほうが嬉しいみたい」 顔を埋め、身を委ねる圭子が弾んだ声で返す。 俺「そ、そうか……そりゃ。よかった……」 圭子「ねぇ、俺?」 圭子が俺を見上げる。 潤み、熱の篭った彼女の視線に俺がたじろぎ慌てたように視線を宙に泳がせた。 そんな俺の姿に圭子の口元に自然と笑みが零れた。 あれだけ頼もしく思えていた彼が、こんなにも可愛らしい狼狽する姿を見せるなんて。 改めて自分が身を預ける人物がまだ少年であると気がついた圭子の胸裏に小さな嗜虐心が生まれた。 俺「な、なんだ……ッ!?」 圭子「もう少し……甘えてもいいかしら?」 俺「……程々にな」 圭子「ありがと」 こうして甘えるのも悪くない。 頼もしくて。それでいて可愛らしい、この年下の少年に。 そう思いながら、俺の温もりを実感し頬を緩める圭子であった。 おしまい
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登録日:2009/06/17(水) 17 00 26 更新日:2023/05/30 Tue 03 19 14NEW! 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 130cm あなぅー すぅつき ふとぅー みやま零 エロゲー カノギ ゲーム 吸血鬼 女装 彼女たちの流儀 男の娘 近親相姦 逆レイプ 隠れた名作 2006年6月23日に発売された130cm第四作目 学園の演劇部を舞台に、20日間の青春群像劇を吸血鬼伝説のミステリーを描いた恋愛アドベンチャーゲーム 略称は『カノギ』 原画:みやま零 シナリオ:西空康誠、まやせろみ、御童魁 7、80点を狙ったような作品でルートによってムラはあるが、メインの鳥羽莉ルートや近親相姦の背徳感をうまく表現したHシーンなどで評価は高い 音楽面でも曲調とともにフレーズがゲームの主題を的確についたものであること、またBGMも場面ごとの雰囲気にマッチしており、サントラ「彼女たちの響」についても完成度が高い。 またOP曲「Red -reduction division-」も、naoがヴォーカルを担当していたfripSideの第1期の代表曲の一つとしても名高く、ヴォーカルが南條愛乃に交代した第2期でもカバーアルバムにリードトラックとして収録。新規制作されたMVも志垣太郎が吸血鬼として登場したりと、ゲームの世界観をうまく捉えている。 ストーリー 主人公、兎月胡太郎は両親の離婚以来、家を出た母と2人で暮らしてきたが、母の急死によって実家に帰る事になった。 元は華族だという、地方の旧家。 5年振りにその敷居をまたいだ胡太郎は、母といる間一度たりと会う事を許されなかった双子の姉たち、鳥羽莉と朱音に再会した。 2人は5年も経つにしては驚くほど変わらぬ姿であったが、かつては感じ得なかった妖精めいた美しさに溢れていた。 再会を喜ぼうとした胡太郎だったが、下の姉・鳥羽莉の態度はあまりに冷たかった。 それから半年。 姉たちの通う学園に転校した胡太郎は、それなりに新しい学園生活を満喫していた。 騒がしくも愉快な学生生活は、あわただしくも過ぎて行く。 しかし、鳥羽莉だけは胡太郎に笑顔を見せなかった。 いつも一緒に遊んでいた、幼いころの鳥羽莉――優等生として慕われている学園とは違い、屋敷の中では淡々と振舞う姉は、どことなく嫌いだった父に少し似ていた。 つまり、苦手だった。 初めは打ち解けようとした胡太郎だったが、つれなくあしらわれて挫折した。 もう、姉が自分を見てくれる事はないのだと思っていた。 ――その夜までは。 キャラクター 兎月胡太郎 声:奥川久美子 主人公。すぐ「バカ」という癖がある。ぶっちゃけその辺のヒロインよりも可愛い…というよりエロい。 白銀鳥羽莉 声:涼森ちさと 白銀姉妹の妹で吸血鬼。 いくら吸血鬼と言えども不可解な行動が多いのだが、その理由は少しずつ明らかになっていく。 彼女のシナリオがチート的に強くなったので他のヒロインがどうでもよくみえてしまう。 そもそも胡太郎の本命は鳥羽莉というか、眉目秀麗の彼女を意識の深いところで強く意識しているため、 数多の女性はもとより自身さえも意識・無意識問わず彼女と比較してしまっている。 このことは他ヒロインのルートでも指摘されている。 白銀朱音 声:あさり☆ 鳥羽莉の双子の姉。以前は病弱だったが、現在は元気すぎるほど元気。あなぅー。 あることをしでかしたり、別のある事情から鳥羽莉は彼女に強い負い目を感じているが、姉妹仲は非常に良好。 花葉千佐都 声:櫻レオナ 胡太郎・鳥羽莉・朱音の幼馴染。「ちーちゃん」。委員長でメガネ。 でもシナリオのせいもあって不人気。緑の狸。主な舞台となる演劇部ですらないのでルートによっては空気もいいとこ。 由希せせり 声:森川陽子 1年生で演劇部員。ボク少女。かなりの天然。 本当は鳥羽莉なみのシナリオを持つはずであったが、実にさっぱりとした出来栄えになってしまった。南無。 秋名涼月 声:紬叶慧 1年生の演劇部員。せせりとは親友同士でいつも一緒にいる。ツンツン。 みやま零のお気に入りである。シナリオは鳥羽莉ルートほどではないが今作の中では評価が高いほう。 もうあれやこれやと挙げられない程に全方向に倒錯的でやたらエロい。 胡太郎との関係性ですらも結構倒錯的でかなりエロい淫乱ピンク。いいぞもっとやれ。 弓曳火乃香 声:春野萌 白銀家の家令兼メイド。胡太郎たちにとっては姉のような存在である。 クールな見た目通り大排気量のバイクを乗り回す一方で可愛い人形を集めるのが好き。 初見だと冷たく見えるかもしれないが素で世話焼き体質で人が良い。 ただ涼月ルートにおける行動を見るに少し危ない趣味も持っているかもしれない。 声優さんの演技云々以前にキャラと声質が合ってないのではとも。 「吸血鬼」 本作での吸血鬼は生まれた時からそうなっているのではなく、吸血鬼の血族がある日突然吸血鬼に変貌する。 この現象は転化と呼ばれている。 転化により吸血鬼になると、体は全く成長しなくなるため初潮前に転化すると妊娠することもできなくなる。 吸血鬼は生きてゆくための糧として人間の血を吸うことを必要とする。これは「食餌」と呼ばれている。 食餌は吸血の他に人間との性行為でも行うことができるがこれはあくまで一時しのぎ。 危険な存在なため、吸血鬼たちは日本では厚生労働省によってその行動が監視されている。 とは言え、いくつかのある禁止行為を除けば基本的に行動の制限はなく、普通に生活を営んでいる。 当然人に知られることは極力避けるべきだが、言いふらしたりしない身近な人ならば(バレていないからか)作中深刻な問題にはなっていない。 相手が確証を持っていたことや見知った相手だったために、朱音が素直に質疑に応じたとされる場面すらある。 見た目が変わらないことと存在を世間から秘匿するため、同じ場所に長年居続けることができない。 作中ではまだ多少不自然な程度の時間しか経過していないので問題となっていないが、エンディングで鳥羽莉達は旅立ったりする。 まだ完全に復旧できてないので編集よろしくお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- 名前 コメント