約 27,626 件
https://w.atwiki.jp/umamusumeninaritai/pages/206.html
プロローグ これは、三冠を超える栄冠を掴む少女の物語。 さまざまな物語がある。 夢を叶える物語。 夢を見つける物語。 夢を手にいれる物語。 これは、そう。 栄冠の少女が、クアドラプルグロウが。 夢を『与える』物語。 本編 + 第1話「お母様の見た夢」 「それじゃあ………行ってくるね。お母様」 少女はそう呟き、部屋を出た。 その日はよく晴れていた。 太陽が燦々と降り注ぎ、小鳥の囀りが耳を撫でる。 絵に描いたような、美しい朝。 「おはようございまーすッ!今日も一日頑張るっスよ!!!」 そう大きな声が聞こえる。そこにいるのは風紀委員長。たとえトレーナーであっても、生徒でなくても。挨拶はやはり大事だろう、そう思って自分も挨拶をすることにした。 「おは…」 「おはようございますかなっ、バンブー先輩!!!」 …自分の挨拶は、さらに大きな挨拶にかき消された。 「おおっ、おはよっス、クア!!!今日も元気っスね!!!」 「もっちろん!!!次の風紀委員長賞もいただいちゃうかな!」 「その意気っス!!!」 …クア、と呼ばれたその少女。 その心の底から目の前の先輩に憧れているであろう輝きを宿す瞳、それを惜しみなく振り撒く笑顔。 その時ふと閃いた。 閃いてしまった。 いや、閃きなんかじゃない。これは………『████』だ。 このウマ娘は、ものすごい栄光を掴めるかもしれない。 「あの、そこの娘…」 〈キーンコーンカーンコーン…〉 そこでその時間の終わりを告げる鐘がなる。 「あっ、もう授業始まっちゃうかな!?行かなきゃ!!!またあとでね、先輩!!!」 「押忍っ!またトレーニングの時間に会いましょうッ!」 バタバタと忙しなく足を動かして、彼女たちは学園へと向かってゆく。 「………行ってしまった」 忘れられない。あの輝きが。 あの輝く瞳が見つめる栄光を知りたい。 「………ああ、そうか」 これは………『一目惚れ』だ。 ………それからしばらくの月日が流れた。 スカウトレース。デビュー前のウマ娘達が、実力を見せる舞台。 「いっちに、さんし…ほいっと、よっと!」 (…あの娘は) そこにいたのは、あの日の少女、『クア』と呼ばれた少女。 どんな走りを見せてくれるのだろうかと、一人密かに心を躍らせていた。 鈍い金属音、運命の幕開けの音がする。瞬間、歓声にも似たどよめきが巻き起こった。 「はっ、はっ、はっ…あははっ!」 眩しい笑顔を振り撒きながら、彼女は先頭を…いや、『先頭の遥か先』を駆けている。 そう、彼女のとった戦法は『大逃げ』だった。 学園のトラックは実戦に寄せて多少の坂道は作られているものの、実際のそれに比べれば遥かに平坦。 特に速度を落とすこともないまま、彼女は後続に大差をつけゴールインしてしまった。 「……………」 言葉を失う。やっとの思いで絞り出した自分の言葉は。 「…なんて、なんてすごいんだ」 そんな、語彙力の欠片もない感想だった。 しかし、それは本心からの言葉で。言葉も語彙も失うほどに。 「すごい」 それが、彼女の走りを見た感想。 いてもたってもいられなかった。すぐに飛び出し、彼女に駆け寄って。 「そっ、そこの君っ!!!!!」 「ん?トレーナーさんかな?わたくしに御用?」 「ああ!ぜひ君をスカウトしたい!!!」 「………わぁっ、ありがとう!でもね、わたくしちょっとわがままで贅沢だから…1週間。1週間は『仮契約』ってことで…いいかな?」 「それでも!それでもいいんだ!それを乗り越えて見せる…!」 「…ありゃりゃ?そうとうわたくし惚れ込まれちゃったみたいかな…?まあ、よろしくね!」 こうして、1週間の『仮契約』が始まった。 「はっ、はっ、はっ………トレーナー!どうだったかな、わたくしの今日のタイム!」 「ああ、素晴らしい…!」 あれから3日ほど、毎日彼女にトレーニングをつけていた。 彼女についてもよく知ることができた。どうやら、少し良いところのお嬢様だとか。 彼女は思った通りの素質を持っていて。大地を揺らしながら、風切り音を響かせながら、タイムを更新してゆく。 そんな彼女にトレーニングをつけられることが本当に嬉しくて。 「…レーナー…トレーナー?」 「はっ…悪い、どうしたんだ?」 「うん、今日のトレーニング終わったらちょっと話したくて。いいかな?」 「ああ、大丈夫だ」 …軽い気持ちの口約束。 それが、始まりだったのかもしれない。 トレーニングは順調に終わり、日も傾いてきた頃。 夕暮れの中で汗を輝かせながらスポーツドリンクを飲み干す彼女を見守っていた。 「んくっ、んく…ぷはぁっ!ありがとかなトレーナー!」 「気にしないでくれ。役目だしな」 「…それで、お話なんだけど」 「ああ、なんでも言ってくれ」 「…わたくしのお母様ね、すごかったんだって。ライバルとアツい勝負、をして。何度も何度もして、栄冠を掴んで。………わたくし、お母様に憧れちゃったんだ」 「なんだか…伝聞みたいな口調だな」 「伝聞だからね。…お母様、わたくしを産んでいなくなっちゃったんだって」 「あ………その、ごめ」 「気にしないでいいからね!『姉や』もいたし、寂しくはなかったよ」 「『姉や』?」 「育ての姉や。昔からいっぱい一緒に遊んだんだよ。と、本題から逸れちゃったね」 そう言うと彼女はどこか遠くを見るように。遠くの何かに手を伸ばすように。 そして、自分に語りかけてきた。 「…わたくしも、そうありたくて。ライバルと激闘の果てにつかんだ栄冠は、きっと何にも変え難い。そう思ったかな。だから………わたくしは無謀なことだってする。楽に勝てるレースじゃない、強敵のいるレースにわざわざ首を突っ込んだりすると思うかな。それでも…わたくしのトレーナーになりたいって言ってくれる?」 「当たり前だ」 「おっとぉ?…即答すぎて心配かな…」 「それだけ俺は君の手助けがしたいんだ。頼む、むしろこちらから頼むよ。君の手伝いをさせてくれ。君も、ライバルとアツい勝負をしよう」 どこかぽかんとした顔。しばらくするとくすくすと笑い出して。 imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 「そっか、そっか。じゃあわかったかな。仮契約はここまでで…」 「えっ、まってくれ!?俺は君の…」 「あ、大丈夫!さ、トレーナー、書類提出しに行こう!」 「えっ?」 「本契約の書類かなー!ボケボケしてると置いてっちゃうかな?」 「ま、まってくれ!!!今行くから!!!」 ………これから、『栄光のアツい勝負』を掴む日々が始まる…! + 第2話「一緒に、進むこと」 「トレーナー…準備は良い、かな?」 「ああ、いつでも大丈夫だ」 「よし…行くよ!もう後戻りはできないかな!」 「覚悟はできてる…!」 「さあ、いくよ………!」 「あああああ限定のケーキがあああああ!!!」 「クッソおおおおお!!!俺が不甲斐ないばかりに!!!」 ………事の発端は数時間前。 「トレーナー。わたくし達はこれから、ともに夢を駆けるわけかな」 「ああ。そうなるな」 どこか空気の緩んだトレーナー室。ソファに少し溶けたように座りながら話しかけてくるクアからの何気ない言葉に、何気なく返した。 「となれば…わたくし、一つやってみたいことがあるかな」 「おー。なんだ?」 むくりと起き上がる彼女。書類を整理していた手を止めて、彼女の方を見る。 「ずばり…」 「ずばり………」 「パーティーかな!」 その答えは、あまりに予想外だった。 いかにもお嬢様といった雰囲気を纏い、一挙手一投足が上品な彼女。 そんな彼女の言うパーティー。まさか……… 「お、俺テーブルマナーとか知らないぞ!?」 「わたくし相手にマナーとかいらないよ!?」 「いやいや、ほかにもいろんなお偉いさんがいるんじゃないのか!?」 「えっ!?なんで!?」 どうにもかみ合わないやりとりをしばらく続けた後。 「…なるほど。つまり、俺達のコンビ結成をささやかに祝おう。そういうことか」 「うん!近くに美味しい限定ケーキが売ってるって聞いたの。ちょっと食べてみたいかな…!」 …どうやら。彼女はお嬢様とは言いつつも、感性はかなり庶民的らしい。 「ああ、一緒に食べよう」 「やったっ!一緒に食べたらきっとサイコーに美味しいかなー!!!」 そして。 「ケーキほしかったよおおおおお!!!」 現在に至るわけである。 「うう…」 とぼとぼと肩を落としあるくクアの頭をぽんぽんと撫でながら、学園への帰路を辿っていく。 トレーナー室までたどり着き、パーティーのメインデッシュはどうしようか、なんて思って扉を開けると。 「あーっ!クア!と、クアのトレーナーさん!!!」 そこにはいつも校門で見かける風紀委員長…バンブーメモリーがいた。 「せ、先輩!?どうしてここにいるのかな!?」 「クアにトレーナーさんがついた、ってことで!お祝いに来たんスよ!!!」 「祝ってくれるのか。よかったな、クア!」 「なーに言ってるんスかそこのトレーナーさん。トレーナーさんも担当ついておめでとう、っスよ!!!」 そういって彼女は後ろにあった保冷バッグの中から、少しいびつなケーキを取り出した。 「お祝いのケーキ、作ってきたっス!ちょっと形は悪いけど…よかったら、みんなで食べましょう!」 「いいのっ!?先輩の手作りケーキ!?やったー!!!」 「俺までいいのか…?その、あまり面識もないのに」 「これから仲良くしましょう、の意味も込めてっスよ!!!ささ、みんなで!」 「「「いただきまーす!」」」 「はむっ、はむ…おいひぃ!!!先輩ありがとうかな!もぐもぐ…」 「それならよかったっス!!!」 「んむ、んむ…料理上手いんだな、美味しいよ」 「ありがとうございますッ!」 甘さがふわりと口の中に広がる。あまりくどすぎない味で、気遣いが感じ取れる気がした。 そんな幸せなひと時を過ごしていた時。 「むにゃ…すや…すや…」 「あれ、クア。寝ちゃったっスか?」 「疲れてたのかもな。はしゃいでたし」 「なるほど…布団かけておきますか」 imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 そういって彼女は優しくクアにタオルをかける。 しばらく穏やかな笑みで見つめていたが、ふとこちらに向き直って。 「…クアには、なんか。運命的なものを感じるんスよね」 「運命、か」 「はい。アタシの中にある何かが叫ぶような感覚を覚えて…」 彼女は急に真面目な顔になる。そして、語り掛けてきた。 「…だからか、感じちゃうんスよ。クアはきっと、この先にとんでもなく苦しい運命が待ち受けてる。…まるで見てきたかのように、そんな場面が思い浮かぶんです」 「………そうか」 「…変なこと言っちゃったっスね。ごめんなさい」 「や、大丈夫だよ…それだけクアのことを思ってるんだな」 「はい!大事な…大事な、後輩っスから」 バンブーメモリーは微笑んだ。クアドラプルグロウの運命を、見守るように。 + 第3話「届けゴールまで!」 場所は福島。 クアを連れて、レース場に来ていた。 「トレーナートレーナートレーナー!!!あそこ!あそこ!!!美味しそうな葡萄売ってるかな!!」 「レース優先だぞー」 「じゃ、じゃあ!一着を取ったら!!!」 「簡単に言うなぁ…」 そう、来た目的は他でもない、クアドラプルグロウのデビュー戦だった。 「どこから入ればいいのかなー?」 「おっと、そっちは観客入口だぞ。参加者と付き添いはこっち…らしい」 「らしいって…微妙に不安かな」 「俺もはじめてだからな…」 自分も…トレーナーとしても、デビュー戦だ。 「わぁ…体操服…これ着て、走るんだ」 控室にて、体操服を纏った自分を眺めるクア。 「ああ。緊張するか?」 「するに決まってるかな!…でも」 「でも?」 「大丈夫。勝つよ」 そうしっかり言葉にして、彼女はレースへ向かった。 「各ウマ娘、ゲートイン完了しました」 実況の声が響く中。 彼女はゲートの中で深呼吸していた。 (大丈夫。コースは頭に叩き込んできた。トレーナーも、きっと先輩も見てる。失敗なんて…できない、したくない!) ガコンッ 「!」 彼女は遅れることなく綺麗に飛び出した。 「さあ始まりましたメイクデビュー!全ウマ娘、出遅れることなく飛び出しました!」 コーナーははるか先、このコースは直線が非常に長い。 (今のうちに、差をつけて…!) その長い直線で最初からフル加速をかましつつ、彼女は前へ前へと駆けていく。 そして、この直線の特徴でもある上り坂に差し掛かる。 彼女はすぐさま走法を切り替えた。 (一歩一歩は小さく、しっかり地面を蹴って…!) ピッチ走法。坂を上るのに適しているとトレーナーが教えたらしい。 地面を抉り取りながら、ひとり坂を上りきる。 「クアドラプルグロウ逃げる逃げる!これは大逃げか!?もはや一人旅です!」 (一人旅、じゃない…!) 実況に惑わされず。彼女は感じていた。後ろから確実に迫ってくる、他ウマ娘の気配を。 坂を上り切ればスピードの落ちにくいスパイラルカーブ。しかし彼女のスピードは確実に少しずつ落ちている。 最初にスパートし、差をつけ、最後まで逃げ切ってしまう。それが彼女の戦法。 故に、スピードは徐々に落ちていってしまう。 (それに、まだ体力は温存しないといけないしね) 第三、第四コーナーを回ってゆく。 後続も確実に近づいてきた。そして。 また、坂がある。 (正直、ヘロヘロ…だけ、どっ!!!) 彼女はまたピッチ走法で坂を駆けあがってゆく。 前へ、ただ前へ。前に進むことこそが、彼女の必勝法。 「いっ、けええええええええええええええええ!!!」 坂を上り切ればあと少しでゴール板。後続はすでにすぐ後ろ。だが。 「クアドラプルグロウ1着でゴールイン!まさかの新馬戦で大逃げ、しかも逃げ切ってしまいました!」 彼女をとらえきるなんてことは、不可能だった。 「………響けファンファーレ、届けゴールまで。輝く未来を、君と見たいから!」 そのウイニングライブの歌詞は、すべてのファンに贈るもの。 輝く未来は、きっとクアドラプルグロウと共にあると、だれもが信じることができる。そんなレースだった。 「お疲れ様、クア!流石だな…!」 「ふふ、すごいでしょ!わたくしって…すごいでしょ!」 尻尾をふりふりと揺らしながら、彼女はどや顔をこちらへ向ける。 「で。トレーナー、忘れてないよね?」 「ん?何かあったか…?」 「美味しそうな葡萄!買って!」 「ああ、もちろん!むしろなんでも買うさ!」 「な、なんでも…まあ、ほどほどにお言葉に甘えようかな!」 葡萄に桃、そのほか大量の果物。干し梅に、干し柿。その他、諸々。 「ほわぁ…全部美味しそうかなぁ…」 「食べるの好きなのか?」 「うん!ありがとかなトレーナー!にしても、この梅大きいね?」 「福島の梅は日本一大きいらしいぞ」 「へー!帰りの電車で早速食べよう…!」 帰りの電車で、たくさんの土産に囲まれながら美味しそうな笑顔を浮かべるクア。 彼女は、かくして夢への一歩を踏み出した。 + 第4話「えなちゃん」 〈キーンコーンカーンコーン…〉 ある日のとある教室にて。 「ふんふふ~ん………♪」 クアドラプルグロウは、うきうきといった様子で次の授業の準備をしていた。 「あらら?クアちゃん、今日はずいぶんとご機嫌ですね?」 不意にそう声をかけられ、クアはそちらを向く。 そこには、黒い髪を長く伸ばしたウマ娘がニコニコとこちらを見ていた。 「あっ、"えなちゃん"!」 「はい、えなちゃんです♪デビュー戦勝利おめでとうございます、クアちゃん!」 "えなちゃん"と呼ばれたそのウマ娘は、笑顔を崩さないままクアを称えた。 「わぁっ!ありがとう、えなちゃん!」 「そして、私もクアちゃんに伝えたいことがあるんです」 「んえ?どうしたのかな?」 「私も~…デビュー戦、勝てました~!」 「えっ、ほんと!?おめでとうおめでとう、えなちゃん!!!」 クアはぱちぱちと手をたたいて尾を揺らす。まるで自分のことのように喜ぶクアをみて、"えなちゃん"はくすくすと笑う。 「そんなに祝ってくれるんですね~…ありがとうございます。このまま私は『阪神JF』を目指します」 「えっ、G1!?」 「はい、G1です。私は…このレースを勝って、ティアラの道へ、そしてその頂へ………!」 彼女はぐっとこぶしを握り、決意に満ちているように唇をかみしめる。 「っ………えなちゃんも、ティアラに来るの?」 「はい。ティアラで、私は麗しい栄冠をつかみ取る…!」 「………そ、っか。じゃあ、ライバルかな」 「…ライバル。ええ、ライバルですね」 「………きっといつか一緒に走ることになるね。その時はよろしくかな………!」 「はい、よろしくお願いしますね♪」 "えなちゃん"はその場を後にすると、廊下でとある人物に声を掛けられる。 「あっ、"エナギさん"!今日もお疲れ様です!」 イヌの耳のような髪型、どこか桃色がかった髪色。そこにいたのは、サクラチヨノオーだった。 「あっ、チヨノオー先輩。おはようございます」 「はい!エナギさん、今日も一日頑張りましょう!『にんじんは、一日がんばるから美味しい』んです!」 「ふふっ。ええ、そうですね」 エナギは微笑んで、チヨノオーを見つめていた。そんな中、ふと真剣な顔になる。 「………チヨノオー先輩。私、『阪神JF』に…」 「はい、聞いてます!応援してますね…!」 「はい、私………」 「サクラエナギ、全力を尽くします」 放課後のトレーナー室。 クアのトレーナーは、大量の資料とにらめっこしていた。 それがようやくひと段落した様子のところで、ドアがバーンと勢いよく音を立てて開く。 「トレーナートレーナートレーナー!!!」 「おっ、クアか。お疲れ様」 「うん!あのね、良いニュースがあるかな!!!」 「俺もいいニュースがあるぞ」 「えっ、じゃあ先に聞く!!!」 わたわたと動きながら尾をぶんぶんと揺らし、大興奮の様子で話に食いつくクアをみて、思わずトレーナーはくすりと笑う。 「そんなに慌てなくてもニュースは逃げないぞ。それで…」 「それで………!?」 「…次走が決まったぞ!!!」 「わあああああああああ!!!それでそれで!?どのレース!?」 「ふっふっふ…聞いて驚け見て笑え!」 「笑いたくはないかな」 思わずツッコミを入れつつ、真面目な顔で見つめるクア。それを見て、真剣に答えるトレーナー。 「…G1だ」 「さ、さっそくG1………!?」 「ああ。クアは十分に素質がある。G1を走っても問題ないと思うぞ」 「…わかった。頑張る………!それでそれで、どのG1かな?朝日杯かな?ホープフルステークスかな?」 「クアはティアラを目指しているんだろう?なら…それへの第一歩と言われている、『阪神JF』だ」 その言葉を理解するのほんのわずかに時間がかかった。 理解した瞬間、クアは思わずといった感じで少し大きな声を出す。 「えっ、えあっ、『阪神JF』!?」 「ああ。もしかしてほかのG1がよかったか?」 「う、ううん。むしろサイコーなの。だって………えなちゃんが、出るから」 「えなちゃん…というと、同期のサクラエナギか?」 「うん。…いいニュースってのもこれなんだけど。えなちゃんはね、わたくしのライバルになってくれるかもしれない娘かな」 「…ライバル」 それはクアの夢に欠かせない存在。ライバルとのアツいレースこそ、クアが望むもの。 「だから………走るよ。『阪神JF』」 「…なら、負けられないな。一緒に頑張るぞ、クア!!!!!」 「うん!頑張るかなー!!!」 そうして時は流れる。 「…すぅ、はぁ」 グレーのブラウスに白いベスト。黒い上着を羽織って、緑色の交差したベルトを締めて。 彼女は阪神レース場の控室にいた。 「…これが、わたくしの勝負服」 その服は憧れの…バンブーメモリーの勝負服を模している。彼女は、憧れを背負って走る。 「…クア」 「ん、トレーナー…」 「………いけるか?」 「うん…もちろん!」 彼女は力強く微笑む。 「ここまでトレーニングを重ねてきた。わたくしなら…勝てる!」 彼女は控室を出て、地下バ道を歩いていく。 「あ、いました♪クアちゃ~ん!」 「あ、えなちゃん!」 そこではエナギが待っていた。 エナギもまた、勝負服を纏っていて。 「…今日は、よろしくね」 「ええ、こちらこそです」 雪の降る阪神レース場。 二人はターフへと踏み出して行った。 初めての大舞台が、今始まる。 貰い物 + "えなちゃん"容姿(アラシュパーパスの人作) imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。
https://w.atwiki.jp/vermili/pages/148.html
発言者:オルフィレウス 対象者:秋月 凌駕&緋文字礼 「ああ……その、姿は────」 間違いなく同属であった少年が『人』として受け継がれる命の叫びをぶつけ――敬意を抱きながらもそれを鋼の刃により砕いたはずが…… 散ったはずのもう一人の真理到達者の命と共鳴しながら、彼(・)は、新たな姿(響界人機)となって虚空に新生した。 秋月凌駕(超人)と緋文字礼(只人)の掲げた人としての宣誓。原初の頚木(心装・真理)を超えし、心奏真理の生誕の瞬間である。 『自分たちはその程度でいい』という彼らの言葉(祈り)を聞いたオルフィレウスは、自分と異なる到達点を喝采する。 その上で、決して止まらず歩き続けると誓ったオルフィレウスが、凌駕たちに対して自分はこうでいいと宣したセリフ。 そうして――― 欲しい、欲しい───アレが欲しい! 機構の創始者ではなく……一個の科学の探求者として、抑えきれぬ欲望を黄金色に煌かせ笑うのだった。 以下本編より抜粋 「く、くくくく……ハァーッハッハッハッハッハッハッハァッ!」 「そうか───ならば来い! 私は勝つ、衆愚(はぐるま)もそれを望んでいる!」 「孤独で構わんッ、強者で結構ッ、この身には成したい夢と理想が在るから!!」 相変わらずこのラインのラスボスは、言動がラスボスらしくないというか何というかw 「この身には成したい夢と理想が在るから!!」に限定すれば完全の主人公に台詞であるw -- 名無しさん (2015-08-19 05 43 12) 甘粕「諦めなければ夢は必ず叶うと信じてるのだァッ!」「人間賛歌を謳わせてくれ、喉が枯れはてる程にッ」「万歳、万歳、おおぉぉォ、万歳ァィ!」「俺はいつも、いつもお前達の」 -- 名無しさん (2015-08-19 10 15 51) ↑誤爆兼続き。「俺はいつも、いつもお前達の傍に在るのだ--忘れるな!」「良いか、それが勇気だッ!」黄錦龍「おまえは幸せになるべきだ」「貴様のような者がいるから、人は嘆き悲しむのだろうがァッ!」ヴァルゼライド「勝つのは俺だ」「我らの紡ぐ英雄譚は、あくまで我らのものなのだから」「貴様の慟哭は、ここで終わる」「まだだ」「邪悪を滅ぼす死の光に--悪の敵に成りたいのだ!」 -- 名無しさん (2015-08-19 10 23 31) 続き、どう考えてもラスボスの台詞が主人公の台詞にしか見えない件について -- 名無しさん (2015-08-19 10 24 41) 「涙を明日の希望へと変えるのだ」もだなw -- 名無しさん (2015-08-20 02 56 25) light作品のラスボスは別側面から見れば立派に主人公張ってる奴が多いからね。仕方ないね。 -- 名無しさん (2015-08-22 17 27 51) だってこいつらの目的って大体は人のためになることだもんね、方法と規模が迷惑極まりないレベル(基本人類滅亡級)にいっちゃってるけど… -- 名無しさん (2015-09-03 22 08 53) ↑(∴)<お、そうだな!! -- 名無しさん (2015-09-04 00 01 11) 自己愛の極致は引きこもってろ -- 名無しさん (2015-09-04 11 37 45) こんな格好いい台詞を言って負けるのはやるせないと言ったらやるせない。 -- 名無しさん (2015-11-19 19 50 05) 私はすべてを愛している! -- 名無しさん (2016-05-21 22 57 09) 俺がゼロイン楽しめたの、だいたいこいつのお陰な気がする。アポルオンの時からよかった。 -- 名無しさん (2016-08-10 03 11 24) 孤独で構わんッ!(でも自分と付き合える友人は欲しい) -- 名無しさん (2017-03-21 13 14 05) 実際オルフィレウスは自分と競い合える相手が欲しかったぼっちだしな -- 名無しさん (2017-03-21 15 16 20) だから凌駕に拘ったわけだろうしね -- 名無しさん (2017-03-21 15 28 21) 歯車だけが友達ということを誇らしげに語る部分はぼっち拗らせすぎていて軽く涙が出て来た -- 名無しさん (2017-03-21 16 29 03) いや確固たる信念があるのはカッコイイと思うぞ? ただその反面同胞がほしかったってあたりがなんか可愛く見えてしまうが -- 名無しさん (2018-02-12 16 37 10) ぶっちゃけたとえ悪の道でも信念と親友と夢は両立出来たはずなんだが親しい知人すらいないのが正田ラインのぼっちを越えた真性ぼっちだよなこいつ -- 名無しさん (2020-09-02 00 25 39) ↑言ってしまえば向こうはアレルギーみたいなもんだけど、こいつは趣味が充実してるからリア充だし~的なボッチだからな -- 名無しさん (2020-09-02 21 44 48) あいつぼっち言われてるけど覇吐にしたら唯一の肉親だし普通に気にかけてるよ今も -- 名無しさん (2020-09-02 21 47 08) (∴)そういうのいいから -- 名無しさん (2020-09-02 21 50 06) ↑好きにしろやぁ...から見るに自分が消える寸前なら覇吐とまともに対話できるんだけどな。悲しい -- 名無しさん (2020-09-02 21 53 18) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/asagirimondai/pages/19.html
本件は動画「ゆっくり妖夢の本当はこわいクトゥルフ神話TRPG」のコミカライズ化に関しての問題についてまとめる。 問題提起 ニコニコ静画のみで公開される無料漫画雑誌「角川ニコニコエース」74号内において、動画「ゆっくり妖夢の本当はこわいクトゥルフ神話TRPG」 (以下「ゆく妖」)のコミカライズである「水瀬陽夢と本当はこわいクトゥルフ神話」が掲載された。 ニコニコ静画上に掲載された本誌はこちら 角川ニコニコエース74号 基本的にゆく妖でのストーリーに沿い進行していくようだが 漫画内で登場するキャラクターが動画で使用されたものと酷似しており、その著作権に抵触する可能性があること 各原作者にキャラクターの使用許可を取っていない可能性が高いこと がこの問題の主題である。 漫画化に際して 「水瀬陽夢と本当はこわいクトゥルフ神話」がゆく妖のコミカライズであるという根拠は ゆく妖の投稿者である朝霧カフカ(朝霧かっちゃん)が自身のtwitter上において3/25付けのツイート 3/26付けのツイート と呟いていること、 作画担当の吉原雅彦が自身のtwitterにおいて3/26付けのツイート と呟いていることである。 以下に、キャラクターデザインについての主な変更点を挙げる。 ■ゆっくり妖夢(魂魄妖夢)【引用元:東方Project】 名前 ゆっくり妖夢(魂魄妖夢)から「水瀬陽夢(みなせ‐ようむ)」に変更されている。 容姿 魂魄妖夢の白髪は、そのまま水瀬陽夢の髪色にも流用されている。 女子高校生であるという動画内の設定を踏襲し、水瀬陽夢の服装はセーラー服に変更されている。 魂魄妖夢は黒いカチューシャを付けているが、水瀬妖夢は向かって右側に花飾りのついた黒いカチューチャを付けている。 動画内で使われていたゆっくり妖夢の画像並びにMMDには、元のカチューシャはあるものの花飾りなどは付いていない。 その他 魂魄妖夢の種族である半人半霊を表す、火の玉のような形をした「半霊」や帯刀している「楼観剣」と「白楼剣」は 水瀬妖夢には見受けられない。あくまで何の変哲もない女子高校生であるということから、削除された要素であると考えられる。 水瀬陽夢は「~みょん」と語尾に付けて発言している。これは東方Projectの魂魄妖夢には見られない特徴だが、 魂魄妖夢を元にした「ゆっくり妖夢」他の二次創作では動画投稿以前から用いられていたキャラ付けであり、ゆく妖が発祥ということではない。 ■ゆっくり霊夢(博麗霊夢)【引用元:東方Project】 名前 ゆっくり霊夢(博麗霊夢)から「奈流麗夢(なる‐れいむ)」に変更されている。 容姿 刑事であるという動画内の設定を踏襲し、巫女服からスーツとジャンパーに変更されている。 特徴とも言える後頭部の大きなリボンを排し、後髪をいわゆるパイナップルヘアーに結い、両方のもみあげの辺りを三つ編みにしている。 役職 悪事を働く妖怪を退治する巫女であり妖怪たちが住まう幻想郷の住人であることからも、博麗霊夢は怪奇現象やオカルトの溢れる世界におかれている。 しかし奈流麗夢は刑事であり、フランチャイズ竜崎に対して「誰が信じるかこのインチキ霊能力者!」と言っていることからも、オカルト現象を信じていないというスタンスをとっていることがわかる。 ■井之頭五郎【引用元:孤独のグルメ】 名前 井之頭五郎から「三宝寺吾郎(さんぽうじ‐ごろう)」に変更されている。 容姿 スーツは両者とも似通ったものを着用している。 井之頭五郎は前髪を全て後方に持っていって(オールバック)いるが、三宝寺吾郎は前髪を一筋残している。 役職 井之頭五郎は輸入雑貨の貿易商を営んでいる。 三宝寺吾郎はモノローグにおいて「職業は探偵……だった」としており、動画内の設定と同じならば現在無職である。 ■L(竜崎)【引用元:DEATH NOTE】 名前 L(竜崎)から「フランチャイズ竜崎(‐りゅうざき)」に変更されている。 Lは原作からして様々な偽名を用いて活躍する探偵という設定ではあるが、DEATH NOTEにおいて「竜崎」という偽名は使用していたものの、 「フランチャイズ竜崎」なる偽名が登場したことはない。 容姿 Lは黒髪・痩せ形でゆったりとした服装であり、目の下の隈と猫背気味の姿勢が特徴的である。 フランチャイズ竜崎は金髪・三白眼で、目の下にうっすらと隈があるのがわかる。 服装はシャツにパンツという一般的な出で立ちであり、猫背気味の姿勢である。 役職 Lは世界でも有数の優秀な探偵である。 フランチャイズ竜崎は騙りの霊能力者であり、とある事件から実刑を受けた犯罪者である。しかしその手腕を買われアドバイザーとして警察に協力しているという設定である。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1445.html
妖夢は茶のおかわりを持って客間へ入った。 朝から延々映姫の説教が続いている。一体何度目だろう。妖夢は毎度の光景にウンザリしながら茶を注いだ。 「ですから貴方もそろそろ転生を考える時期ではないかしら。いつまでも此処に居ても仕方ありませんよ。もっと先を考えないと。」 「山田様~、私まだそんな年じゃないです~。」 「ヤマザナドゥです。千年経っても覚えられないのですか?」 「妖夢~、お菓子は~?」 「もうありませんよ。一刻経って無いのにアレ全部食べてしまわれたんですか?」 「足りないわ~。お腹空いたわ~。」 「西行寺さん、人が話をしているときに…」 「山田様~、さっき食べたの美味しかったですよね~。ゆっくりと言うんです~。お茶請けにぴったりなんですよ~。タダだし。」 「ヤマザナドゥです。貴方は人の名前を…」 「最近は里のお菓子も美味しいんですよ~。」 「そんな事より貴方の将来を考えなければなりません。妖夢さんもいらっしゃい。貴方にも話す事があります。」 「妖夢~、お菓子買ってきて~。せっかく山田様がいらしたんだから~、お持て成しは誠心誠意で~。」 「そう、貴方は少し人の話を聞かな過ぎる。」 こんなのに付き合ってられない。妖夢は逃げる事にした。 「それじゃあ買ってきます。下界のお菓子ですね?時間掛かりますよ。」 用を済ませた妖夢が白玉楼さして飛んでいた。まだ日は高い。 するつもりの妖夢だったが、直ぐに済んでしまった。元々菓子を買うだけなのだ。 白玉楼に帰れば映姫の説教がまっている。早く帰る程説教は長くなる。妖夢は河原の辺で時間を潰す事に決めた。 「とはいっても遅くなれば理由を聞かれるし、なんて言おう。」 言い訳を考える。 「菓子が売り切れていたので無理を言って作ってもらいました、でいいや。」我ながら名案だと一人頷く妖夢。 名分が捏造出来たので思う存分ゆっくりしようと、川傍の大岩に横になって河原の風景を眺める。 「山田様が本名呼ばれるの嫌がるって知ってるのに、幽々子様は連呼するんだから。」 風が心地良い中、妖夢は物思いに耽る。 「いい加減愛称で呼んであげれば良いのに。山田様も頑張って考えたんだろうし。ヤマダナドゥだっけ?ヤマダジャゾゥ?」 彼岸の住人のネーミングセンスは分からない。 「「「ゆっくりしていってね!」」」 唐突にあげられた大声に、妖夢は身を起こした。見れば草むらからゆっくりの集団が出て来るところだ。 「なんだゆっくりか。」 「ゆっくりしていってね!」 妖夢はゆっくりに興味など無い。無視して横になる。 「「「ゆっくりしていってよー!ゆっくりしていってよー!」」」 寝転んでるんだからゆっくりしてるに決まってるじゃない。妖夢は思ったが、うるさいので改めてゆっくりに向き直る。 ゆっくりれいむとゆっくりまりさが五・六匹群れを成している。 「私はもうゆっくりしてるよ。そっちはそっちでゆっくりしててね。」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 ゆっくりしているという言葉に満足したようだ。ゆっくりたちはのろのろと河原へ向かった。どうやら水を飲みに来たようだ。 そのうち帰るだろう。妖夢はまたまた寝転んだ。ゆっくりというのもみょんな生き物だ。本当に生き物なんだろうか? 幽々子が食べたがるからたまに捕まえてくるが、妖夢自身には言語を解するものを食するのに抵抗があった。 「ゆっくりしていってね!」 一匹のゆっくりれいむが菓子の入った紙包みに気付いたらしい。近付いてくる。 「これはあなたには関係無いものだよ。ほらみんなのところに戻りなさい。」 「ゆっくりしていってね!」 その声に反応したゆっくりが次々に集まってくる。 「「「ゆっくりしていってね!」」」 「これは駄目だよ。幽々子様のお菓子だから。みんな水飲んだら帰りなさい。」 妖夢はゆっくりたちに諭そうとするが、余計に騒ぎ出した。飛び跳ねて喚き出す。 「「「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」」」 「お菓子」という単語に反応したようだ。どうやらゆっくりはある程度言葉が理解出来るらしい。 妖夢は無駄な説得をする羽目になってしまった。 「駄目だよ。お使いで買ってきたんだから。」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 いい加減妖夢は苛々してきた。こんなのはほっておいて別の場所に行こう。空を飛ぶべく、紙包みを手に取る。 「ゆっくりしていってよー!」 「あっ!」 いっぴきのゆっくりれいむが紙包みに体当たりを仕掛ける。紙包みが手から落ち、岩の上に菓子が散らばってしまった。 「「「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」」」 ゆっくりは満面の笑みで一斉に菓子に群がる。 流石の妖夢も腹が立った。なんという自分勝手な生物だろう。 妖夢は躊躇せずゆっくりに蹴りを加えた。 「ゆっ!」「ゆぶっ!」「ゆーっ!」 全匹蹴飛ばすと、妖夢は散らばった菓子を拾い集める。 蹴散らされたゆっくりたちは痛みに身悶えていたが、そのうち起き上がると妖夢に体当たりを仕掛けてきた。妖夢は呆れ返る。 此奴等は、何をどうすればどうなるという予測が付かないのか?これで自然で生きていけるのか?まあ所詮饅頭か。 饅頭。饅頭ね。手元の紙包みを見る。「幽々子様のお菓子」と言ったが、別に私が食べられないわけではない。 だけど家に帰るまでこれはお使いの品物であって、食べて良い物では無い。今日は色々あってお腹が空いた…。 足に当たってポコポコ跳ね返るだけのゆっくりを見ながら妖夢は考えた。 一回食べてみようか。でもやっぱり人っぽい顔してるしなあ。でも山田様も食べてたし。 それはお使いに出る少し前の事。お茶請けに小さなゆっくりが沢山入った器客間に持ってきて、妖夢は尋ねた。 「「「ゆっくりしていってね!」」」 「今はこんな物しか無いんですが、やっぱりこれ食べたら罪になるんでしょうか?」 映姫はゆっくりを手に取り、笑って答えた。 「ゆっくりに限らず、どの動物にも等しく命はあります。植物でさえも。それを食べる事が罪に値するとしたら皆餓死するしかありませんよ。」 「ゆっくりしていってね!」 「誰でも、どの生き物でも、他の生命を糧にして生きているのです。それは罪というよりも生き物の業と言ってよいでしょう。」 「ゆっくりしていってね!」 「大事なのはそれを正しく認識する事。そして己の糧となるものに感謝の念を持つ事。」 「ゆっくりしていってね!」 「『頂きます』『ご馳走様』という言葉はそういった意味も含んでいるのです。」 「ゆっくぶぶぶっ!」 「なるほど。感謝する事が大事なのですね。」 納得した妖夢だったが、たっぷり時間を掛けながら少しずつゆっくりをねじ切る映姫の手つきと表情には、感謝の念は微塵も見えなかった。 閻魔様がシロと言ったんだし食べちゃおう。妖夢は一番小さいゆっくりれいむを掴み上げた。一番始めに妖夢の菓子に気付いたゆっくりだ。 「ゆっ♪」 何か勘違いしたゆっくりが楽しそうな声を上げるが、妖夢の口が迫ったところで、自分が食べられる事に気付いた。 「ゆっくりしていってよー!ゆっくりしていってよー!ゆっくりしていってよー!」 驚いたゆっくりれいむに呼応するかのように他のゆっくりも声を上げる。 「「「ゆっくりしていってよー!」」」 口に入る直前で妖夢の手が止まる。ゆっくりたちは一瞬安堵の顔になった。 妖夢は先程の会話を思い返した。そうそう、ちゃんと言わないといけない。 「頂きます。」 言うが早いか額にかぶりつく。 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛!」 「「「ゆっくり…!」」」 目を見開いて苦悶の表情を浮かべるゆっくりれいむに、他のゆっくりは為す術もない。 「漉餡かあ。私は粒餡派なんだけどな。」 不平を述べながらもゆっくりを食す妖夢。だが十分の一も食べる前に口の中が甘ったるくなってきた。人間の頭程もある饅頭では致し方ない。 本来食べ物を残すのはいけない事だが、まだ生きてるし構わないだろう。妖夢は食べかけのゆっくりを地面に降ろした。 「…ゆーっ!…ゆーっ!」 目を見開いて荒い息を上げている。額が少し欠けたぐらいだから大丈夫だろうと妖夢は判断した。 「ご馳走様。」 感謝の念を忘れずに言う。生きている本人に言うのだから効果覿面に違いない。 「ゆっ…ゆっ…ゆっくり…ゆっくりしていってね…!」 涙をこぼしながら苦悶するゆっくりれいむに、妖夢は流石に悪い気がした。お土産に捕まえていこうと思ったが、逃がしてやろう。漉餡だし。 「ほらほら、ここにいるとみんな食べちゃうよ。」 「ゆーっ!」 妖夢の言葉を聞くや回りのゆっくりたちは一目算に散っていった。少し遅れて頭を囓られたゆっくりれいむが跳ねてゆく。 ようやく落ち着く事が出来ると、妖夢は再び寝転んだ。 「さてと。私もゆっくりしよう。」 「やっぱり捕まえておいたほうが良かったかな。」 微睡みながら妖夢は先程の事を考えていた。 幽々子の食費で白玉楼のエンゲル係数は90%の大台に達していた。菓子を買うぐらいならゆっくりでも与えたほうが家計に優しいのは明白。 しかし妖夢は思い直した。それは庭師の心配する事じゃないだろうと。 その時また草むらが揺れた。 なんでみんな私がゆっくりするのを邪魔するんだ。嫌な顔をして起き上がる。 今度はさっさと追い払ってしまおう。いう事聞かなかったら切り捨ててやる。 草の間から顔を出したのはゆっくりみょんだった。 「斬ってやる。」 妖夢はゆっくりみょんが大嫌いだった。 妖夢に似た格好をしているそれは、他のゆっくりと違って卑猥な言葉を叫ぶ。 それを初めて目にしたとき、そばの紅白や白黒や、幽々子まで大爆笑したものだ。まるで妖夢本人が言ったかのように。 以来、妖夢はゆっくりみょんを手当たり次第殺戮してきた。この世からゆっくりみょんを全て消し去らんとするかの如く切り捨てた。 だから最近はあまり見なくなったのだが、生き残りがいたらしい。 さあ斬ろう。だけど他にも仲間がいるかもしれない。少し様子を見てからのほうが良いかな。妖夢はそんな事を考えながらゆっくりみょんに近付いた。 「ゆっくりしていってね!」 妖夢は驚いた。ゆっくりみょんにもまともな言葉を話すものがいたとは。じっくりと見てみる。 ゆっくりみょんが一匹。草むらの傍でじっと見ている。その傍に…妖夢の半霊とよく似た物体がいた。 その物体は妖夢の半霊とほとんど同じ形をしていた。ただ大きさが違う。ゆっくりみょんとほぼ同サイズだ。そして顔がついていた。 「ゆっくりしていってね…?」 妖夢が無言だったのでやや警戒の色を見せてゆっくりみょんが繰り返した。 「うん…ゆっくりするよ。」 取り敢えず答える。するとゆっくりみょん(半人)とゆっくりみょん(半霊)は嬉しそうな顔をした。 「ゆっくりしていってね!」 半霊と交互に飛び跳ねる。 ああ、ゆっくりみょんにもまともな奴がいたんだ。妖夢は感激した。 安心の顔をうかべて近付いてきたゆっくりみょん(半人)を妖夢は膝に抱き抱えた。ゆっくりみょん(半霊)がみょんのそばにふわふわと付いてくる。 「あなたこの辺に住んでるの?仲間とかは?」 「みょん?」 「まあ答えられるわけ無いか。」 妖夢の予想に反して、みょん(半人)は一定の方向に向き直った。みょん(半霊)も同じ方を向いている。 「あっちから来たの?」 「みょん。」 「あなた、私の言葉分かるのね!」 「みょん!」 なんて賢いんだろう!流石は私に似たゆっくりだ。自讃を混ぜつつ妖夢は感激した。 半人半霊双方の頭を撫でてやる。 「ゆっくりしていってね!」 「はいはい。ゆっくりします。」 妖夢とみょんは川の流れなど見つつ、ゆっくりした時間を過ごした。 そろそろ時間になる。妖夢は帰ろうと立ち上がった。 膝から降ろされたみょんがそばの紙包みに目を止める。食べ物だと気付いたらしい。じっと見ている。 「残念だけどこれは上げるわけにはいかないの。」 「みょん!」 一発で理解出来たらしい。私に似てなんて行儀良くて賢くて可愛いんだろう!巫女や魔法使い似のゆっくりと大違いだ。妖夢は自讃と中傷を交えつつ感激した。 みょんは我慢していが、腹が減ったのだろう。残念そうな顔は隠しきれない。 妖夢はそんなみょんがいじらしく感じられた。 「ねえみょん。うちに来る?今は上げられないけどうちに来れば分けて上げるよ。帰りもここまで送ってあげる。」 「みょん!」 「じゃあ行こっか!」 妖夢は右手にみょん(半人)を抱え、左手に紙包みと剣を持って飛び立った。みょん(半霊)は妖夢の半霊が押していった。 場合によってはこの子を飼っても良い。というか飼いたい。これだけ物わかりが良くて賢くて可愛ければ幽々子様も許してくれるだろう。 巫女や魔法使いにこの子を自慢してやりたい。そんな事を考えながら妖夢は帰り道を急いだ。 妖夢が白玉楼に戻ると、泣きながら西行妖に灰を撒き散らす映姫と、その横で灰を頬張る幽々子がいた。 妖夢はなるべく見ないようにして通り過ぎようとした。 妖夢の姿を認めた幽々子が近付いてくる。 「お菓子!お菓子!」 「こんなところでなんですか。西行寺家の名が泣きますよ…。お茶入れるから客間で待ってて下さい。」 妖夢は厨房に行き、みょん(半人)を下に降ろした。 「少し待っててね。今用事を済ませるから。」 「みょん!」 妖夢は菓子と急須が載った盆を持って客間へ向かった。 「「「ゆっくりしていってね!」」」 客間に入った妖夢は盛大な声に迎えられた。なぜかゆっくりが五・六匹数珠繋ぎになってテーブルの上にいる。その一匹は額が欠けていた。 「妖夢~、お土産がいらしたわよ~。小町さんも~。」 「ゆぶぶぶぶぶ!」 「「「ゆ゛っく゛り゛い゛い゛い゛い゛い゛!」」」 幽々子の向かいに小町が座っている。その隣で映姫は憮然とした表情で押し黙っている。幽々子がゆっくりを頬張っている。ゆっくりたちが恐怖に身を縮めている。 「小町さんが~、ゆっくりを~、お土産に~、持ってきてくれたの~。」 はあそうですか。妖夢は呟いた。 「さあ映姫様、帰りましょう。」 「私は休日なのですからどうしようと勝手でしょう。大体貴方仕事はどうしたのですか。」 「あたいは上司から映姫様家に帰して休ませてこいって言われて来たんです。だからこれも仕事のうちですよ。」 「「「ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」」」 ゆっくりは幽々子に命乞いするのは無駄だと思ったのだろう。映姫に向かってしきりに叫んでいる。 「貴方にとって直属で最高位の上司はこの私『四季映姫・ヤマザナドゥ』でしょう。」 「ヤマジャナドゥ?」「シャバダバドゥ?」「シュビドゥビドゥ?」「シュヴァルツシルト?」「狂乱の銀河?」 名前を聞いたゆっくりたちが微妙な反応を見せた。山田はそれに向かって殺意に充ち満ちた視線を送りつつも、最大限の努力で平静を保った。 「正当な理由が無ければ私より下位の者にそんな権限は…」 「でも映姫様は今日は休みなんですよ。だからあたいは今日の最高位者に命じられるままに行動してるだけなんです。」 仕事しないと怒られちゃいます、抗議するならそっちに言って下さい。との小町の言に映姫は不満げだったが、やがて渋々頷いた。 「…わかりました。今日のところは帰りましょう。」 「そうですか~。もっとお話ししたかったんですけど~。残念です~。妖夢~、お見送りしましょう~。」 そういう事か。妖夢は納得した。幽々子様は何か手を打ったのだろう。ひょっとしたら小町様と示し合わせているのかもしれない。 詳細は分からないが説教が終わるのは妖夢にとっても喜ぶべき事だった。 賢いみょんも見つけたし今日はついてる。妖夢はほくそ笑んだ。 「それではまた近いうちに…。」 妖夢と幽々子は門の上で二人を見送った。二人の姿が十分離れたところで幽々子が口を開いた。 「小町さんが、山田様は休日中も人里を徘徊してるって心配していたのよ。 最近ゆっくりの裁判が多いらしくて、それはそれは沢山の裁きがあるらしくて。 何でもゆっくりは余り邪気が無い割に全部地獄行きになるから山田様は心身共に堪えていたそうなの。 休日くらい家でゆっくりさせてあげたいって、小町さん言ってたのよ。それ口実にして仕事さぼりたいって。だから使いを出しておいたのよ。」 はあそうですか。呟いた妖夢は二人の去って行く方を見やった。並んで飛んでいる二人はどことなく楽しげだ。 突然幽々子が大声を上げた。 「ヤマダアアアアアァァァァァーーーーーッ!」 屋敷に逃げて行く。 あの方は一体何をしたいのだろう。長年仕えている妖夢にも幽々子の本心は分からない。 映姫は戻ろうと藻掻いていたが、小町に手を引かれて次第に見えなくなっていった。 「そうだ、みょんにお菓子をあげないと。」 妖夢は急いで屋敷に戻る。 庭に降り立ち客間を見ると、幽々子の姿が見えない。てっきり土産のゆっくりを躍り食いしていると思っていた妖夢は客間に上がってみた。 テーブルの上にりぼんや帽子が散乱している。 「あの女もう食い尽くしたのか…。」 妖夢は主の食欲に呆れ返りながら厨房へと向かう。 「みょん、お待たせ。…幽々子様、それは…!」 「もぐ(妖夢、どうしたの?)」 妖夢が指さした先には、幽々子に食らい付かれたみょん(半霊)と驚愕の表情をしたみょん(半人)があった。 「もぐもぐ(綿飴美味しいわ~)。」 みょん(半霊)は既に安らかな表情をしていた。 みょん(半人)は白目を剥いてガクガク痙攣している。 妖夢も衝撃にみょん(半人)と同じ表情になっている。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 みょん(半人)の口からはひたすら叫びにもならない声が漏れていた。 おねえちゃんはどこなの?おねえさんはだれなの?なんでみょんを食べてるの?なんで何も見えないの?なんでまっ暗なの? みょん(半人)はわけの分からない事態にただ震えていた。そのうち暗闇の中に幽かに光のようなものが見え始めた。 あの光のところに行けばゆっくり出来る。みょん(半人)はそんな気がした。 もう少しで届く。なんて暖かい光なんだろう。みょん(半人)の意識は陶酔のうちに消えていった。 「ちっ、ちちち、ちーんぽっ!」 「なっ!」 「もぐ(あらあら)。」 叫び声を上げるとゆっくりみょん(ちんぽ)は、痙攣状態から一変して走り出した。 ぐるぐると幽々子の回りを周回し、妖夢の前まで来て飛び跳ねる。その姿は先程までの賢そうな雰囲気は見られない。 幽々子がみょん(半霊)を食べ終えるとみょん(ちんぽ)は落ち着きを取り戻した。知性は取り戻せなかったようだが。 「ちちちちーんぽっぽ!!」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 「あらあら妖夢ったら。」 あれは貴方が食べるつもりだったのね。ご免ね妖夢。半分になっちゃったけど。 「ちーんぽっ!」 妖夢の頭を撫でながら幽々子は言った。 自分で食べたかったのね。貴方に似たゆっくりですものね。その瞬間妖夢の剣がみょん(ちんぽ)を切り裂いた。 「ちんぽっ!?」 ゆっくりみょん(ちんぽ)は瞬時に絶命した。 幽々子は真っ二つになった饅頭を拾って妖夢に差し出す。 「はい妖夢。ゆっくり召し上がれ。」 妖夢はしばらく放心していたが、やがてそれを受け取って食べ出した。甘い味が口に広がる。 「どう?妖夢。」 「幽々子様~。柏餅…美味しいです~。」 涙を浮かべて饅頭を頬張る妖夢を、幽々子は愛おしげな目で見つめていた。 翌日、楽園の裁判所ではゆっくりの魂がそれぞれの法廷に溢れかえっていた。 今まで個別に行われてきた裁判を簡略化し、迅速にする措置が成されたのである。 一番広い法廷ですら、何百ものゆっくりの魂で床も見えない程になっていた。 ゆっくりは魂になっても口々に何か喚いている。職員達はそれをウンザリした目で眺めている。 やがて大きな音と共に扉が開け放たれた。 一瞬で静粛に包まれた法廷の中、映姫は大股で歩み、壇上に登り、高らかに宣告した。 「我は楽園の最高裁判長『四季映姫・ヤマザナドゥ』である!! これより十王裁判の判決を行う!! 被告!! 『ゆっくり』!! 被告!! 『饅頭』!! 判決は 地獄!! 地獄だ!! 地獄地獄地獄地獄地獄地獄!! おまえたちはゆっくりだ だがゆっくりさせぬ!! 穴に落ちるおむすびのように地獄行きだ!! 八熱地獄で舞い 八寒地獄で苦しめ!!」 (なんだ!! えーき様 やればできる子だったのじゃあないか) このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/41702.html
はなはまどろみゆめときゆ【登録タグ TaKU.K は 初音ミク 曲】 作詞:TaKU.K 作曲:TaKU.K 編曲:TaKU.K 唄:初音ミク 曲紹介 二幕蒸気の音に誘われ、彼女は鳥籠を抜け出したそれは、イトサトの物語 「蒸気都市物語」三作目。 リプルメザ君主国はそれぞれが地区で分けられており、中でも七番地区は東洋建築に特化した地区である。地区の中央には天にも届くような遊郭が聳え立ち、その中央から離れるに連れて貧困地帯が広がっている。また、七番地区は至る所が絡繰の監視下にあり、国の中で最も不自由な地区と云われている。(Twitterより引用) 絵:薬屋 歌詞 溢れ返るバラツク聚落(しゅうらく)を朽ちた雪洞(ぼんぼり)が鈍く照らす 唸る蒸氣(じょうき)、喧(かまびす)しく響き、最中に廓聳(くるわそび)へる 紛ひ物の愛を身錢で乞ふ 今宵も軋めくは坐敷の間 光輝燦然(こうきさんぜん)と咲く卑し處(どころ) 鳴り止まむ新内流しの音 縁側に腰掛けて差し仰ぐ 摩天の樓閣よ、御前さんは何思ふ 無間地獄の駕籠(かご)の中を 羽根捥がれ、其處(そこ)に墮つ、忌みじく映(かは)ゆし私(わっち)を 揶揄ひ、嘲笑ひむすか 身を許せど、委ねど、常しへに 此の心は誰にも靡かなひ 何時か、何時か此の鳥籠から 飛び立つてみせむす かごめかごめ、と口遊(くちずさ)ぶ 不知夜(いざよひ)月には雲懸かる びら簪が搖れ、いと靜かに囁(ささめ)く 其れを標(しるし)とし思ひ立つ 張り巡る監視暗箱(かめら)を欺ひて 摩天の樓閣におさらばえ、と言渡し 常闇の中へ溶けてゆく 存の外、たは易く鳥籠を拔け出せむした 此れが自由でありむすか 長道拔け、里越え、直(ひた)走る 柳髮に夜露が零れ落つ 今か今かとあらぬ世を待つ 眼間(まなかひ)に見ゆ夜汽車 錆びた鐵(てつ)の梯子を脇目も振らず昇つて行く 裸足の裏は血が滲んで、掌の豆は潰れて 然(そう)して辿り着きしは歩廊 貨物列車に驅け込む 車内には影 金の髮をかき上げてゐた 明け透け無く女は舌囘(まわ)す 「束の間の夢路は如何でした?」 何も、何も彼も零れ堕ちる 駕籠の外は囹圄(れいぎょ)でありむした 引き摺られて沈むは底の檻 賤(あや)しげなる手枷に繋がれて 何時か、何時かと譫言(うわごと)を撒く 此処は夢の塵塚(ちりづか)、籠女(かごめ)の夢の跡 コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ivena/pages/29.html
世界観理解に役立つかも知れないどうたらこうたら 時間は現行世界より少し前くらい。銃は一般化してる。聖水も量産化になった。 魔法の神秘がどんどん解き明かされている。 夢とか希望とかー どっかいきましたからー!!! Q.はこにわとキャラ被ってんじゃないの?A.ごめん私の脳内だと同じ子なの…… スターシステムの一種だと思って耐えてください あと例によって例の如く推敲とかしないで丸投げしてあとで修正とか普通です 普通です 雨が降り始めた話
https://w.atwiki.jp/bamboo-blade/pages/44.html
「しかしまあ、外山もえらく前膨らましてるじゃねーか。 このままだと部員がかわいそうだよな、部長さん」 怯えた目でキリノが背後の男を見上げる。 「お願い……もう許して。こんなところ先生に見られ、やぁ」 外山に髪の毛を引っ張られ、少女の哀願が止まる。 「ま、外山が怒るのもしょうがないよなぁ。 サヤはお前を守るためにヤられながら胸でご奉仕してくれたというのに、 部長のお前は先生先生と他人を頼ってばかり。 俺だって見ていて胸糞悪くなるぜ」 げらげらと嘲り、岩佐が力を失い床にへたっていたサヤの体を引き寄せる。 「さーて第7ラウンドと行こうかね。いや、第8ラウンドだっけな? ……ま、どうでもいいか」 「やめてよ、もうひどいこと止めてあげてよ!」 ふんと鼻を鳴らすと岩佐はキリノに見せ付けるように何も履いていない サヤの下半身をMの字に開く。 「おいおい、ひどい事なんてセリフ、こいつのひくついた穴見ても言えるのか? 早く入れてって涎たらしてる奴に、突っ込んでやらないほうがひどいだろ?」 「キリノ……見ないで……」 「お願い、止めてよ!」 「人の心配より、自分の心配したほうがよくね?」 肩を鷲掴みにしていた外山の手が、少しずつ体の表面をなぞる様に下降する。 「キリノに……手出しっひぁぁっ」 サヤの言葉はクリトリスを摘ままれる鋭い感覚でさえぎられた。 「イったばかりでこんなとこ摘まれるときついだろ? ……そうだな、少し休憩するか。賭けに負けたお前は、 友情より快感を取ったせいでダチが犯される所を、 じっくりと噛み締めるように眺めとくんだな」 「あぁ……ゴメ……ンね、キリノ…………」 目の前で外山に無理矢理立たされペニスバンドを外された親友に、 涙を流しながらサヤは詫びた。 「あたしは大丈夫だよ……大丈夫だから……サヤは泣かないで……」 「キリノ……」 涙にまみれたキリノの笑みに、岩佐は目を丸くする。 「あたしは……こんな奴らになんか屈服しないから…… だってどんな暴力でも……心までは汚せないから……」 しばらく間をおいてからくっくっくっ、と岩佐が喉を鳴らす。 「こんな時まで友人を元気付けてやろうってんだから、 たいしたもんだぜわが部長様は」 外山の腕はキリノの腰を十分にまさぐった後、そのまま彼女の前方へ伸び、 皺だらけになったシャツのボタンを外し始める。 「せっかくだから協力してやろうぜ外山。どんなに汚されても 屈服しない心とやらを、親友に見せる手伝いをな」 肌蹴たシャツの中へ、男の左手が進入する。 右手はスカートをたくし上げつつ細く引き締まった太腿を撫でまわす。 その蠢く指先が少しずつ粘膜に近づくたびに、キリノの体が恐怖に震えた。 「大丈夫……大丈夫……」 どこか遠くを見ながら耐えるキリノは、それでもサヤへと笑いかけていた。 「あたしは……大丈夫だからぁ……」 外山の指が、キリノの胸の頂点に触れた。 「ぁ……」 「お?感じたか」 「何を、馬鹿な……ぁ、ぁっ」 強がっていたキリノの声も、もう上擦るのを隠せない。 岩佐は顔を背けるサヤの顎を掴んで無理矢理キリノのほうを向けさせる。 「目ぇ反らしてんじゃねえよサヤ。かぶりつきで鑑賞しようぜ?」 そしてそんな彼女の眼前で、 ついに外山の指がキリノの下着越しに割れ目へ触れた。 「ふはあぁぁぁ」 「おーおー、下着の上からってのにいい声で鳴くじゃねーか。 淫乱の友達もやっぱり淫乱ってか?淫乱どうし引き合うのかねえ」 「そんな……ところ……触られたら……誰だって…… こえ……でぁ、あ、ああああぁぁっ」 「おいおい、屈服しない心はどうした? ヤり始めてから5分とたってないっツーの。 こりゃすっかり変態教師に仕込まれてるんじゃねーの? あーあ、サヤみたいに調教する楽しみがねーな、こりゃ」 「うるさい……コジ……せん……わるく、ひぃ、や、やああぁぁっ」 「おーおー、コジローの名前出すと外山さんが怖くなるねー。 もしかしてジェラシーって奴か?」 「おい岩佐。サヤつれてこっちへ来い」 「おっ、おう。なんだよ」 キリノの両腰をがっちりと掴んだまま壁際に移動する外山に、 サヤを引きずって付き従う岩佐。 「サヤの顔をこいつの股の下まで持って来い」 「……へ……へへ、お前も結構えぐいこと考えるじゃねーか」 外山がふらつくキリノの両足を開かせて壁に両手をつかせると、 岩佐は髪を掴んだサヤの頭をその下へ潜り込ませて上を向かせる。 「やだ……何するつもりよ!」 「親友が犯される様を特等席で眺めな。じゃ、外山ヤっちまえ」 「え……あ、やっ下着ずらしちゃいやぁっ」 尻たぶの割れ目に猛々しい物体の存在を感じ、 キリノは悲鳴を上げて腰をくねらせ逃れようとするが、 「痛いっ」 「あ、サヤ、ごめ!」 足元で転がされているサヤの顔を踏む危険性があるため激しく動くことができない。 そんな抵抗できないキリノを、外山の肉棒が無残に蹂躙する。 「あ、や、はいっって……」 「おーおー。友達の中に出入りする所を見上げるのはどうよサヤ」 「………………」 「だんまりかい。おお、すげーじゃん。外山が腰振ると上から ぽたぽたおつゆが落ちてくるぜ」 「や……そん…………なのっ……垂れて…………ないっ…… あっ……やだっ…………や………え?……いわっ……くん……なにを……」 携帯のカメラを向けながら、岩佐はニヤーと笑う。 「うん?いや、せっかくだからよお、 てめえのイき顔大好きな先生にも見せてやろうかと」 「いや……、駄目……っ、やめて…………やめてよ……やめておねがいいいぃぃっ」 「お、いいねえその悔しそうな顔。あーあー太腿なんざびしょ濡れじゃねーか。 これじゃコジロー悲しむぜぇ。俺じゃなくても男なら誰でもいいのかってな。 いや、むしろ教え子が変態に成長して喜ぶかもな。早速メールで送ってやろうか?」 「止めて止めて止めてえええええええぇぇぇぇぇぇぇぇっ」 「ははは、どうした。屈服しないとか言ってたのはどうした?」 「う……あ、……やあああぁぁぁっ、……そんなに、うごかな……いでっ」 頬は高潮し、太腿から膝までてらてらと光らせたキリノに、 剣道部部長としての威厳など存在しなかった。 「外山。そろそろ止めを刺してやれ」 「うぁっ……やめ……やめてっ」 岩佐の声に呼応するように外山の腰のスピードが上がる。 「やだ……やぁ……やぁっ……やっ、やだっ、あっ、あああぁぁっ!」 キリノの体がびくびくと痙攣し、その下肢からびゅるっ、びゅるっと体液が迸り、 サヤの顔に降りかかる。 その体液を顔に塗りこませながら岩佐が聞いた。 「……どうだサヤ?友達のジュースの味は?」 二人の少女はもはや声を発する力さえなくし、魂を失ったかのように呆然としていた。 「あ、うああぁ、やめてよ、もうやめてよぉ」 「お、外山はまだイってなかったみたいだな。 キリノも部長なら部員に最後までやらせてやれよ」 「やだ、あたし、イ、イったばかりなのに」 「おら、サヤもいつまで呆けてやがる。 てめえがどかないと外山が思いっきり腰触れないだろうが」 岩佐がサヤをキリノと外山の股の下から引きずり出すと、 外山はさっきまでの腰使いが児戯だったかのような激しさで 館内に肉と肉がぶつかり合う音を響かせながら膣壁を抉り回す。 「ひ、や、イく、またイくっ、いやああぁぁぁっっ」 キリノの叫びが終わるのと、外山が彼女の中へ精を放つのはほぼ同時だった。 放心しながら床に座り、股間から精液をだらーと垂らす親友の姿に、 思わずサヤは声を詰まらせる。 「ひどいよ……外山君……これじゃキリノ…………妊娠しちゃうよ……」 と、いきなりサヤの髪の毛を掴む岩佐が彼女の頭をキリノのまたぐらへ突きつける。 「そんなにかわいそうだと思うならよぉ、吸い出してやれよ。 できるよなぁ、友達なんだから」 岩佐の言葉にサヤは愕然とする。 「あたしが……吸い出す……外山君の…………精液を?」 「そうさ。お前の大事な友達が妊娠しかけてるんだぜ。 ならお前が吸い出してやるべきだろ? お前のせいでキリノはこんな目に遭ったんだぜ」 「……そうだ……あたしが……キリノを…………」 ふらふらと吸い寄せられるようにサヤは親友の下半身へ顔を寄せる。 「サヤ……?」 「キリノ……ごめんね……あたしが全部……吸い出してあげるから……」 「駄目、汚いからっ……!」 「大丈夫だよ……あたし慣れてるから……何度も何度も飲まされたからさ…… もう、ジュースを飲むみたいに飲めるんだよ……」 「サヤ…………ぁ」 サヤの顔が太腿の間に沈み、じゅぶじゅぶと なにか粘り気のある液体を吸い上げる音が響き渡る。 「おうおう、さすがザーメン大好きなエロ女だな。 キリノの愛液混じってても啜る啜る。外山、キリノにも舐めさせてやれよ」 外山がキリノのポニーテールを掴むと、その頭をサヤの下半身へと無理矢理引っ張る。 「やめてよ!……キリノにそんなことさせないでよ……」 しかし、サヤの非難を制したのは他でもないキリノだった。 「いいんだよサヤ……これは……あたしの罰だから。 ずっとサヤが大変な目に遭ってっるのに気づけなかったあたしの罰だから」 「やっ……キリノ……そんなとこ、噛んじゃ駄目……」 「サヤのここ……真っ赤に腫れあがってかわいそう…… 何度ひどい事されたの……?大丈夫だよ…… あたしが舐めてひりひりするの治してあげるから……」 二人の少女が69の体形でお互いの股間を啜り合う姿に、 1度精を放った少年達のある一点に再度血液が集まり始める。 「おい……外山、まだまだヤるだろ?」 「ああ」 薄暗い笑みを浮かべながら外山は頷いた。 「じゃ、せっかくいい具合にレズってるとこ悪ーけどよぉ、 も一回こいつ着けてくれない?」 岩佐の手に握られていたのは、 先ほどまでキリノが身に着けていたペニスバンドだった。 またもや力づくでキリノを立ち上がらせ、 ふらついているその腰に禍々しいという形容詞がぴったりな 黒光りする物体を取り付ける。 岩佐も抵抗する気力のないサヤを立ち上がらせると、 向かい合った少女二人は少年達に強制されることもなく そのままお互いが倒れこむようにして抱き合い、唇を重ねた。 しかしサヤの背後から、岩佐が繋がりあう二人を引き離す。 「おーおーやけるねえ。じゃあキリノ、 お前の股につけた黒光りする竹刀を大好きな親友にぶちこんでやってくれよ」 岩佐はくるりとサヤの体を回転させると、 彼女の尻たぶを左右に割ってみせる。 「ほら、手伝ってやれよ、外山」 外山がキリノのディルドと腰に手を回し、その凶器をサヤの体にあてがう。 「え……いやっ、なにそれ?そこ違う違うそこじゃないっ」 「何のことだか分からないな」 「全くだぜ」 「……?なに、どうしたのサヤ?」 「なーに大丈夫だ。今まで散々慣らしてきたからなぁ」 「いや、ぃ……指以外お尻なんてむりだって、……ぁっ……はいっちゃ……」 後ろから肛門を親友に貫かれ、サヤが舌を突き出してぶるりと震える。 「やだ、サヤが嫌がってる!」 「なーに、すぐに涎を垂らして感じるようになるぜっ、と。 ほら、サヤはもっと腰浮かせろ」 「やだっ、2ほんとかっ……入らあぁぁっ」 「入ったじゃねえかこのド変態が」 「やだやだやだやだぁっ、キリノッ、動いちゃ駄目えぇぇ」 「ごめっ……でもあたしも……外山君に…… 入れられて……動きたく…………ないのに……ああぁぁ」 身悶えしながら繋がりあう二人の少女を、さらに両側から男達が挟み込む。 外山は背後からキリノを、岩佐は前からサヤを犯す。 「どうだ、後ろも前も気持ちいいだろう?」 「ああぁぁ……いいよぉ……お尻……いいよぉ…………」 「やぁ……サヤ、動いたら……クリ…………擦れて 中の……外山君のと……挟まれて……潰れちゃうよ…………」 「へへ、何がやだだ、中ヒクヒクさせやがってよぉ」 「やだっ、やだっ、キリノ、キリノ!」 「サヤッ、ごめん、腰が動いて、とまらな、いぁああぁっ」 「いいよ、キリノ、突いて、キリノがしたいように突いてえええぇぇぇぇっ」 「おら、女同士で盛り上がってんじゃねーよ」 「ああぁぁっ、イくのっ?イくのっ!友達に突かれてイくぅっ」 「あたしも、サヤ、サヤっ、挟まれてイっちゃうよぉぉっ」 「「いやあああああああぁぁぁぁぁぁぁっ」」 二人の少女の嬌声と痙攣が重なった時、武道館の扉が開いた。 「お前ら何やってんだっ!!」 「おい、二人とも。自分らが何やったのか分かってるのか?」 床の上で正座させられた二人の前で、腕を組んだコジローがカンカンに怒っていた。 二人がさして顔色も変えずに頷くのを見ると、コジローはさらに声を荒げる。 「だからへらへら笑ってんじゃねーよ。お前らちゃんと反省してんのか!」 「いやー、まあ一応反省するなら4人そろってからじゃないと」 「あ、噂をすれば。岩佐君、シャワー終わった?」 「ああ、外山もじき出てくるぞ。しかしうるさい怒鳴り声だな。 シャワー室の中まで聞こえたぞ」 「反省しろってさ」 「んじゃ外山君は置いといてとりあえず演出の岩佐君からどうぞ」 「最初お前ら私とか言った時点で少し萎えた。緊張しすぎだ」 「いやー、サヤに釣られてつい」 「あたしのせいにしないでよ!」 「ま、ちゃんと俺が途中で気づいて指摘してやったけどな」 胸を張って威張る岩佐に、キリノとサヤは仕方なく褒めているのが見え見えな口調で同意する。 「「はいはい、えらいえらい」」 「しかし、途中のキリノのアドリブ体当たりはやりすぎじゃないか?」 「え?なんかやったっけ?」 「扉に肩から体当たりしただろーが」 「ああ、すごい音したよね。痣とかになってない?」 頭をタオルで拭きながら出てきた外山を見ながらひそひそと話す。 「大丈夫だよ。あれ位しないと外山君乗ってくれそうになかったんだもん。 ……結局あのタックル効果なかったけど。ぶつかり損だよね」 「でも、あの後の俺が指示したアドリブは効果あったろ」 「あ、確かにあれは岩佐君の言ったとおり効果あったね。 コジロー先生の名前出したらようやく外山君」 眉をひくひく動かしながら様子を伺っていたコジローが割ってはいる。 「ちょっとお前らいいか。……何の反省してるんだ?」 「いや、先生が反省しろって言うから、レイプごっこの反省会を」 「そーいーう反省しろって言ってんじゃねー!ていうかレイプごっこなんか学校でするな!」 「なんかその言い方だと学校じゃなきゃしていいみたいなんですけど」 「学校じゃなきゃOK。というか最低武道館でやるなよ、見つかったら俺の責任じゃねーか」 「心配なのは自分のことだけですかい」 やれやれと呆れ顔のキリノに、コジローが突っ込む。 「何だその顔は。大体部長のくせにこんなことすんなよキリノ」 キリノは得意気な顔で人差し指を左右に振る。 「ふふ、分かってないですね……。部長だからこそのレイプごっこですよ」 「ふつーにしろ普通に!てかなんで『部長だからこそ』なんだよ!」 「いいですか先生、高校の部長っていうのは大抵Mって相場が決まってるんですよ」 「……とりあえずお前は全国の高校の部長に詫びろ謝れ土下座しろ。 なんだその滅茶苦茶な説は」 「いいですか?高校の部長なんて心身ともに多大な負担がかかるくせに、 見返りなんてちょっと内申が良くなる程度。 いい大学に入りたいなら勉強してた方がよっぽど手っ取り早いってもんです」 「そりゃ勉強のできるお前の極論だろう」 無視してキリノは続ける。 「そのくせに指導者にやる気がなかったり幽霊部員がいたり 暴力振るう部員がいたりするともう全然リスクとリターンが釣り合わないんですよ」 「サヤや岩佐と外山には耳が痛い話だな」 サヤは唇を尖らせる。 「コジロー先生、他人事みたいに言わない!」 「だからこそ、部長なんてやる人間は大抵Mって決まってるんです」 「百歩譲ってそうだとしても、家とかでひっそりとヤれよ!」 キリノはちょろっと外山を盗み見た。 「イヤーあたしもそう思ってたんですけどねー。 家じゃしてくれないんですよ。 ていうより外山君全然してくれないんですよS的なこと」 コジローは目を丸くした。 「へぇ、意外だな」 「というか色々ひどい事してくれるだろうという M的な計算があって外山君とつきあい始めたんですけど、 これが拍子抜けというか……むしろ後戯とか、優しい位なんですよね。 ベッドの中で髪とか撫でながら背中に手を回して抱いてくれて、安心するんですけど」 それを聞いたサヤと岩佐は眉を寄せる。 「なんか話聞いてると外山君いつもとキャラ違う……」 「正直きもいな」 「お前ら……後で覚えとけよ……」 「のろけじゃねーか」 阿保らしくなったのか、口をあんぐりと開けてコジローが声を出す。 しかしここでキリノは首を振る。 「普通の子からすりゃいい彼氏かもしれませんよ。普通の子からすれば。 でもあたし極度のMなんですよ?こう、求める物が違うというか。 した後とかも、外山君はまるでメス豚を見るような目であたしを見ながら タバコでもふかしてさっさと一人で家に帰っちゃう、 みたいな扱いをしてくれると信じていたのに、がっかりです」 「……いや、それはお前、キリノの方が異常だろ」 他2名もうんうんと頷く。 「そーだよね、キリノがおかしい」 「外山もかわいそうだな……」 「何で同情されなきゃならねーんだよ」 いたたまれなくなったのか外山が表情を歪めた。 しかしキリノがふふふと笑いながら追い討ちをかける。 「あ、でも今日のプレイであたしこつを掴んだからね」 「なんだよこつって」 コジローが聞き返すとキリノはにまーっと笑う。 「せんせーの名前。外山君がこれからちゃんとSなことしてくれなかったら、 またやってる最中に『こじろーせんせー』って言うからね。 言われたくなかったらちゃんとぶったりなじったりひどいことするように」 味を占めたMからの脅迫にコジローはますます外山を哀れむ。 恋人との情事の最中に他の男の名を呼ばれるなど、たまったもんじゃないだろう。 まあ名前を使われるコジローもたまったもんじゃないが。 「……お前らの関係、どっちがSか分かんないぞ。 つーかプレイのために俺の名前ダシにするのはやめれ」 「ま、そーいうわけで、普段優しい外山君に目覚めてもらうため、 サヤと岩佐君に協力して擬似レイプの場を作ってもらったんです。あたしが原案で」 「まあ俺が演出かな。で、外山が主演か?外山は台本見てねーけど」 「あたしはもちろん脚本。いやー、久しぶりにいいのが書けたっすよ」 元気よく手を上げるサヤに思わずコジローはため息を漏らす。 「何目を輝かせてるんだサヤ。『いいのが書けたっすよ』じゃねーだろ。 大体お前はおかしいよ。ミヤミヤの禁煙は注意しといてなんで乱交はゴーサインなんだよ」 「失敬な!乱交なんかしてませんよ。ちゃんとあたしと岩佐君、 キリノと外山君のカップルで別れてヤってましたもん」 「それは胸を張って言うことか?」 「未成年の喫煙は体に悪いけど、恋人同士でするのは普通でしょ?それとも何ですか、 先生は高校生のころそういうことをしたことがない『健全』な学生だったんですか?」 頭をぽりぽりと掻いてコジローは目を反らす。 「……学校ではやってねーよ」 「学生のころは、ですよね先生?」 ふふーんと意味ありげにキリノが笑う。 「……何のことだ?」 「これ、なーんだ」 差し出された携帯の液晶には、コジローに抱きつく小柄な少女の後姿が映し出されていた。 目を丸くする岩佐と青くなったコジローを見比べながらキリノはもう一度ふふーんと笑う。 「おいおい、これなんだよ?」 「コジローせんせーと、タマちゃんの密会、ってところかな」 「馬鹿お前これはバイトしてた時期に疲れてたタマが俺に偶然倒れかかってきた時 あいつが床にぶつかるといけないから俺が人道的というかあたりまえに支えた瞬間の 画像であって俺にやましい気持ちはもう1ミクロンもなくてというかなんか俺 いつもより口数多いというか何でお前がこの画像を撮ったんだっていうか 先生と生徒がありえないし別にこれこの後なにもなかったけど」 「それは知ってますよー。でもこれを見た良識ある大人…… 例えば理事長とかは、どう思うでしょうねー」 コジローはがっくりと肩を下ろした。 「……分かったよ。帰れ」 岩佐はにやりと笑う。 「おいおい、どうしたんだよコジロー?お説教は終わりか?」 「先生をつけろ先生を!いっとくけど、見逃すのは今回だけだからな!」 岩佐は首を振って一同を見渡す。 「はいはい。じゃ、腹でも減ったしファミレスでも寄って帰るか」 「……そうだね、あたしもおなか減ったし」 岩佐について行こうとするサヤの手をキリノが掴む。 「サヤ、いいの?」 「え?」 「あたしの悩みは解決したよ。でもまだ、サヤの悩みは解決してないよ?」 「……それは」 「今日一緒にしてて分かった。ちゃんと言葉にしないと岩佐君は気づかないって」 「え、なんだよ。俺が何かしたのか?」 「はい、こっからはサヤの口から」 サヤはもじもじしながら、言いづらそうにしていたが、 4人の視線が自分に集まるのを感じてついに口を開く。 「今まで岩佐君としててさ、イくとか気持ちいいとか言ってたけど、あれ全部嘘」 「……は?」 「今までしててさ、一度もイったことなかったんだ、あたし」 一瞬岩佐の足元がふらつく。 「……演技だったのかよ」 「……いや、その、完全に気持ちよくなかったわけではないけど」 「下手糞ってことか?」 コジローの一言が完全に止めだった。 「へ……へ……へた……へたく……」 「ちょっとコジロー先生!ほんとのこと言っちゃかわいそうだよ!」 「……でもお前今日具合滅茶苦茶良さそうだったじゃねーか! 潮も噴いてたあれが、あれも演技かよっ!」 「あれはほんとに気持ちよかったよ……」 「ほら、そーじゃねーか!気持ちいいことは気持ちよかったんだろ!? 俺もうまい時はうまくやってんだろ!そうだろ?そうだって言えよ!!」 必死な岩佐に対して、サヤはすまなそうに目を反らす。 「うん……良かったし、イった……あれ、イったんだよね……? 初めてだからよくわかんなかったけど。でも今日のはあれ、全部キリノがしてくれたから、だよ」 武道館の中を、重苦しい沈黙が支配した。 「ごめん、エッチの時必死な岩佐君見てたらほんとの事いままで言えなくて」 「ま、あれだ。高校生だししょうがない。数こなせば何とかなるから落ち込むなよ、な?」 「そのうちうまくなるよ岩佐君!」 「まあ……頑張れ」 外山にすら慰められた岩佐は、泣きながら絶叫した。 「お前ら……覚えてろよーーーーー!」 それから数時間後、とある書店の成人書籍コーナーで『よい子のSM入門』や『サルでもできる四十八手』 などと書かれた書物を眉間に皺を寄せたり半泣きになりながら物色する二人の男子高校生が補導される。 こうして外山と岩佐の悪夢と絶望の日は終わりを告げた。 完
https://w.atwiki.jp/720_xperia/pages/17.html
この共同生活の中で、ダイエットを成功させ、思い人に告白。人生初の彼氏ゲットが夢。 夢 達成 ◇行動チャート 12月1日~ 詳しい方編集お願いします。 ◇夢への行動から受ける印象等
https://w.atwiki.jp/touhoumtg/pages/525.html
結界「夢と現の呪」/Border Field, Curse of Dreams and Reality 結界「夢と現の呪」/Border Field, Curse of Dreams and Reality(G)(W) エンチャント 結界「夢と現の呪」を生け贄に捧げる:以下の2つから1つを選ぶ。「アーティファクト1つかエンチャント1つを対象とする。それはターン終了時まで被覆を得る。」「アーティファクト1つかエンチャント1つを対象とし、それを破壊する。」 参考 妖々夢-コモン
https://w.atwiki.jp/sdvx/pages/3362.html
到達してしまった僕らと夢と希望の最之果/ Ayatsugu_Otowa Lv CHAIN 譜面属性 BPM TIME Version Genre Illustrator Effect NOVICE 06 0738 188 III16 FLOOR 帝国軍諜報機関伝令隊伍長 青雨冷音♣最之果のぺぬ TAKUYA ADVANCED 13 1219 帝国軍諜報機関少佐 赤志魂♣最之果のぺぬ EXHAUST 18 1943 帝国軍諜報機関 作戦執務室♣最之果のぺぬ EXCEED 19 2336 EG 102 帝国軍諜報機関 作戦執務室♣+MYZM Fractal→∞ Strike!! Lv変更[ADV] 12→13(2019/02/28) [EXH] 15→18(2016/12/21) + 難易度投票 NOVICE 選択肢 投票数 投票 詐称 0 強 1 中 0 弱 0 逆詐称 0 ADVANCED 選択肢 投票数 投票 詐称 9 強 2 中 1 弱 1 逆詐称 1 EXHAUST 選択肢 投票数 投票 詐称 27 強 16 中 5 弱 0 逆詐称 0 EXCEED 選択肢 投票数 投票 詐称 0 強 0 中 0 弱 0 逆詐称 0 攻略・解説 譜面・楽曲の攻略についてはこちらへどうぞ 見辛さ解消の為に改行や文頭の編集、不適切なコメントを削除することがあります [EXH]今回の2分枠。全体的に高密度の鍵盤が続き、超越に似せた配置もいくつもある。そして何といっても新縦連(AL)(BL)(AL)(BL)(AL)などが強烈な初見殺しになっているうえ最後にも配置されている。それでも曲者揃いの盾の四星将の中では一番地力寄りの譜面か。 -- 名無しさん (2015-04-03 06 24 57) 名前 コメント ※文頭に[ bgcolor(#aaf){NOV}]、[ bgcolor(#ffa){ADV}]、[ bgcolor(#faa){EXH}]、[ bgcolor(#08b){XCD}]をコピー ペーストすると見やすくなります コメント 楽曲やイラストなどのコメントについてはこちらへどうぞ 超越よりクリア難易度は上だけどスコア難易度は下って感じ -- (名無しさん) 2015-04-01 17 03 17 曲の一部に超越が混ざってた。 -- (名無しさん) 2015-04-01 23 42 46 これの前に位置しているそふらんちゃんに比べればまだ楽な方。 -- (名無しさん) 2015-04-02 10 57 03 「TAKUYA絶対許さないんで。」 -- (名無しさん) 2015-04-02 14 50 17 そふらんは初見難易度高いだけじゃん -- (名無しさん) 2015-04-02 17 00 14 第一印象は『超越リスペクト譜面』。しかし当の本人は難易度:大宇宙+1を引っ提げ裏KACロードにリターンしていた。 -- (名無しさん) 2015-04-03 08 27 14 "We have attained the top effects of ourselves, our dreams and our hopes"? -- (名無しさん) 2015-04-04 13 49 42 ↑3初見難度が高いだけだったらあんだけ選曲されまくった上で難民生み出し続けないので・・・ -- (名無しさん) 2015-04-06 17 32 18 ダブルメガネがじわる -- (名無しさん) 2015-05-11 06 26 00 なんだよあのクソみたいなつまみ出張 -- (名無しさん) 2015-06-01 21 59 37 超越出張とほぼ同じでは ナイツのように両ロングで両手塞いでからの出張とかではないので出張得意なら初見でも余裕で取れるだろう -- (名無しさん) 2015-06-01 23 03 46 ADV絶対12じゃない。難民になりそう... -- (名無しさん) 2015-07-07 22 30 33 名前 コメント すべてのコメントを見る