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焦ったドラえもんは、暖かい鯛焼きの袋を抱えてなおも進んだ。 どこか、落ち着いて食べられる所でこれを齧りつつ対策を考えることにしよう。あれっ、よく考えたら鯛焼きの代金払ってないや。明日また買うついでに払うとするか。 そんなことを考えながら歩いてゆくうちに、辺りはいつの間にか建物もまばらになっている。 目の前は森。引き返そうかと思ったが、よく見れば向こうの方に灯りがともっている。 夜の夜中を建物の中でやり過ごそうというのは実に普通の考えだ。とすれば、あそこには割と普通の人間がいるかもしれない。 足取りを速めて近づくと、それは小作りな山小屋だった。辺りには薪が積まれ、煙突からは煙が立ち上っている。 ああ、なんて普通の光景。 感動のあまり駆け寄って、ノックも忘れて扉を開く。 中では黒いマントに身を包んだ黄金のおっさんと、狙いすぎなほど乙女趣味の黒い服をまとった愛らしい少女がテーブルを挟んでお茶していた。 「こ、これは……いわゆる……」 あまりにも普通でないその光景に、彼女の口から一つの単語が漏れる。 「 援 助 交 際 」 「我らの至福の一服を邪魔しておいて、言うことはそれだけか」 ギャグ将軍が立ち上がり、杖を彼女の胸に突きつける。 「じゃあ普通のロリコンだとでもいうのっ!?こーの変態!」 「あくまで余を愚弄するか!」 ギャグ将軍が振り下ろした杖を、焦ったドラえもんは間一髪で飛び退いて避けた。 黄金に輝く巨躯がのしのしと近づいて来る。これは普通に怒っているかも知れない。 彼女は辺りを見回し、暖炉に火掻き棒代わりに刺さっていた剣を掴んだ。 重さを確かめるように軽く振るうと、触れただけで壁もろとも暖炉が崩れ、辺りに火のついた薪が飛び散る。 「これは……普通に強い剣!」 威力を目にしたギャグ将軍が足を止める。 「もらったぁ!」 すこーん。 ギャグ将軍の脳天を過たず捉えた剣は、明るく楽しく元気よい音を立てて跳ね返された。 「ええっ!?」 焦ったドラえもんは愕然として手の中の剣を見た。 その剣の柄には、Aを三つ重ねたような紋章が刻まれている。 咎人の剣「神を斬獲せし者」。それが、彼女が握った禍々しい剣の名前である。 どれくらい禍々しいかと言うと、グラフィックに無駄に力を入れるトライエース作品において、装備してもポリゴンに反映されないくらいである。絵にも書けない禍々しさ、と言えば良いだろうか。 咎人の剣「神を斬獲せし者」は名前にふさわしい強大な破壊力を持つ剣だった。ただ問題は、切れ味に恐ろしくムラがあるということだ。 6桁ダメージをたたき出したかと思ったらゼロ連発なんてこともしばしばで正直使えねー、っていうか頼むから槍使いにも使わせれと何度(バグが発生しました。続きを読むにはPSをリスタートしてください)。 「笑止!」 ギャーグミドラに変身した将軍が大剣を振り下ろす。 ひとたまりもなかった。分断された胴体からは赤黒い内容物が漏れ、辺りに飛び散る。 コロンビーヌは頬についたまだ暖かいそれを指で拭い、口元に運んだ。 「ふふ……結構紅茶と合うかも」 テーブルの上に、無惨に切り飛ばされた頭が恨めしそうに横たわる。 人形の純白の手がそれを掴み、引き寄せた。うっとりとした表情で口づけると、その 指に黒ずんだ汚れが絡む。 「すてきな『おやつ』をありがとう、おじさま」 にっこりと微笑む笑顔は、どこか不気味ですらあった。 「私、鯛焼きを食べたの、初めてだわ」 「それは私の夜食よっ!」 焦ったドラえもんは空になった紙袋を抱きしめつつ、その指を人形に突きつけた。 「そちはまず、夜食の前に考えるべきことがあるのではないかな」 (ここで普通のバトルがありましたがあまりに普通なため中継は省略します) 豪剣同士の苛烈な争いにすっかり瓦礫と化した小屋の中、武器を失った女が呆然と立ちすくむ。 咎人の剣は、先ほどまで壁があった場所に寂しくつきたっていた。 やわな木材で出来た壁も屋根も、微塵に砕かれて辺りに散らばっている。先ほどまで暖炉で燃え盛っていた薪がその間に紛れ、小屋は今や巨大なキャンプファイヤーに変わろうとしていた。 「それで終わりか?」 ギャグ将軍は熱風にマントを揺らし、焦ったドラえもんを睨んだ。テーブルとその上の食器をさりげなく保守していたコロンビーヌが、声を立てて笑いながら椅子を降り、彼女に近づいて来る。 「そちに残された道は二つ」 少女は酷薄さの宿る瞳で、焦ったドラえもんの煤だらけの顔を覗き込んだ。 ゆっくりと、運命の選択を言葉に紡ぐ。 「紅茶にする?それとも……コーヒー?」 テーブルの上の紅茶も、鯛焼きも、まだ冷めていなかった。 【黎明】【B-7 市街地近郊】 【焦ったドラえもん@漫画ロワ】 【装備】無し 【道具】支給品一式 。銀河ヒッチハイクガイド。咎人の剣「神を斬獲せし者」@AAAロワ。他にまだあるかも。 【状態】錯乱。強い疑心暗鬼 【思考・行動】 1.鯛焼きには緑茶に決まっておろうが! 【備考】 ※ドラゴンごろし@アニロワ1stは森のどこかに落ちています。 ※銀河ヒッチハイクガイドには、全書き手のトリップや代表作も含め、 参加者が知りたいことは何でも記載されています。 ただし容量の都合で、かなり記述が切り詰められている場合があります。 【ギャグ将軍@ライダーロワ】 【状態】健康。 【装備】杖@ライダーロワ ジャーク将軍のマント@ライダーロワ 【道具】支給品一式、コーヒーセット一式@スパロワ、コーカサスブレス&ゼクター@ライダーロワ 【思考・行動】 基本:新生クライシス帝国の結成 1:とりあえず一服。 2:その後、町を出て飲み友達を集める。 3:コーカサスゼクターの資格者を探し、コーヒーを飲む。 4:紅茶を飲むかどうかは保留。 ※ジャークミドラに似た、ギャーグミドラに変身できます。 ※制限がライダーロワ基準だと思い込んでいます。 ※アルレッキーノ・ドットーレとコーヒーを飲みたいようです。 【コロンビーヌ@漫画ロワ】 【状態】健康 【装備】ゾナハ蟲@からくりサーカス 【道具】支給品一式、ティーセット一式、他未確認。 【思考・行動】 基本:恋愛がしたい。 1:優雅なティータイムを満喫。 2:ギャグ将軍についていく。 3:ギャグ将軍と話のつくりが気が合う。 ※影の繋ぎ手・仮面ライダー書き手に紅茶を入れてあげたいそうです。 【備考】 山小屋付近は、辺り一面火の海です。 080 ほとんど無害 投下順に読む 081 戦爵様だぞーえらいんだぞー! 080 ほとんど無害 時系列順に読む 084 月下の騎士の虎退治 026 嫌すぎるこった 焦ったドラえもん 092 交錯していく雄と雌~旅館で朝食を~ 037 エンゲージ ギャグ将軍 092 交錯していく雄と雌~旅館で朝食を~ 037 エンゲージ コロンビーヌ 092 交錯していく雄と雌~旅館で朝食を~
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「キョン、起きてくれ。キミの高校の期末考査がどの程度のものなのか…僕には知る由もないが、少なくとも、キミが余裕を持って挑む事のできるレベルではないだろう?」 「………」 まったく、キミが明日の考査を乗り切る為に1日家庭教師に就任してくれ、と頼み込んできたじゃないか。 なのに開始一時間で夢の世界へ旅立つとは一体どういう了見なのだい? 「さあ、学習を再開しよう。キミにとって運命の時間まで既に半日をきっているのだからね」 そう言いながらキョンの肩を揺する僕。 「………」 だけど、起きる気配すら感じられない。 ベッド上のシャミ君が欠伸をするのが視界に入った。 「はぁ…」 深夜に年頃の、更に言わせてもらえば恋愛関係である男女が2人きりだと言うのに… 更に、更に言わせてもらうと、僕の装いはいくら7月とはいえ少々肌を露出し過ぎているはずだ。 ちょ、ちょっとだけ上乳もチラリとしてるんだよ? だけどキミは見向きもせず、テーブルに突っ伏したままだ。 せっかく夜食としておにぎりまで用意してきているのに。 「キョン、目を覚ましてくれ。キミの顔を見なければ淋しさでどうにかなりそうだ…」 「………」 耳元で囁いてみても効果はない。 さすがの僕も頭にくる。怒気を放出し背中に般若を象ったオーラでも顕現させてしまいそうだ。 「仏の顔も三度、と言うが果たして僕の顔はいったい何度までだろうね。 今までの事も加味すれば優に百は越えているだろう? さすがの僕にも我慢の限界、くらいは存在するのだよ」 「…ん……」 ほぅ…やっと起きてくれるのかい? 「…お……」 お? 「ぱい……」 プチンッ はぁぁ?お、おおおっぱいだってぇ!?そ、そうか!それは胸の厚みを気にするぼ、ぼぼ僕に対しての当てつけかぁ! もう我慢の限界だ!堪忍袋の緒もとうの昔に切れてるさ! いい!僕にだって考えがあるんだよ! バッ! 僕のカバンの中の一品、今夜の学習が一段落したら使用する事も考えた例の物… ジャーン! 『中学時代のセーラー服』 そして僕はシャープペンシルを握り締め、天井へとかざした… 「変身…」 ヌギヌギヌギ… ハキハキハキ… シャキーン!! 「たぁ!『プリティささき』!只今参上!」 「説明しよう!『プリティささき』とは、一女子高生に過ぎない少女『佐々木』の乙女の怒りが臨界点を突破した時に誕生する、セーラー服美少女戦士である! 腕力は通常の①倍、羞恥心は通常の⑩倍という理不尽な能力を秘めているのがプリティささきだ! 彼女の乙女の証は猫である我が寝ているフリをしている際に彼の者に奪われてはいるが、それはまた別の話だ!」 「おや?シャミ君、いきなりにゃーにゃーどうしたんだい?」 「にゃぁ(あぶねぇあぶねぇ…)」 「…?」 シャミ君の様子が変なのはまぁいいとして…現在、最大の懸案事項であるキョンだ! くっくっくっ、さぁキョン!覚悟はできてるんだろうね!? いっくよぉぉ! 「ささきぱぁんち!」 プルプルプル… ペチッ ? ペチッペチッ ・・・・・・ ポコポコポコポコ… 「Zzz…」 「はぁっ…はぁっ…」 相当な量のエネルギーを消費したのに…さすが僕のキョンだ。一筋縄じゃいかないみたいだ… 起きる気配すら感じられないキョン。彼の神経の鈍さが感じられる。 それに「無視されてるのかな」とも思う。するとなんだか胸の奥がジュンとしてくる… うふふ… ハァハァ… 「あぁっ…」 ハァハァ… てヘヘ… ・・・ はっ!? 「って僕はどんな変態なんだよ…」 まったく、キョンのせいだ。いつも焦らす等して早く来てくれないキミが悪いんだ。 僕の攻撃がこれで終わりだなんて思っちゃイケないよ! 必殺技を使っちゃうからねっ! 「ささきぃっく!」 テヤァァァァ! ポコッ… ・・・ アチョォォォ! ペコッ… 「Zzz…」 「はぁ…はぁ…」 疲れた…凄く激しい動きだったよ… 僕の息の上がり具合とは反比例して、キョンの寝息は平穏そのものだ。まるで普段の喧騒から逃れているみたいに。 それにしても…なんで起きないの?キョン、淋しいよぉ… キョンが起きないんなら勝手に抱きついちゃうんだからぁ… キョンの背中は広くて大好き。彼の首筋に縋るように両腕を絡ませる。 背中に押し付けた体の全面からキョンの体温がフルに感じられる。 鼻先に触れるキョンの髪の毛が擽ったいけど彼の匂いを独り占めできるからもう少しこのままで… でも、今キョンが起きたらなんて言い訳しよう… 「超必の『ささきチョークスリーパー』をかけてたんだ」 うん、声に出して言ってみたけど完璧な返答だ。 決して「ムラムラしたから」なんて事はないんだ、うん。 それにしてもキョンって良い匂いだなー。 クンクン… ハァハァ クンクン… てへへ クンクン… 「あぁぁっ…んっ!」 ・・・ あれっ?いつの間にか時計が5分ほど進んでいる…なるほど!これが時間移動か! 彼に時間移動の感想を求めたときに「頭がフラフラして、形容し難い吐き気に襲われる」と言っていたが… 確かに頭はまだ重い感じがして、焦点が定まらない。キョンの頭がメトロノームの様に揺れている。 僕の息が荒いのはご愛嬌。 ・・・ いくら起こそうとしてもまったく起きないキョン、まるで眠り姫みたいだ。 「はっ!まさか!?」 眠り姫… つまりはキスで目が覚めると…そういうワケか! そうと決まれば話は早い。 キョンの頭を持ち上げる。 キョンの両頬をガッチリとホールド。 そして僕は宣言する。 「奥義、ささきっす…」 唇を尖らせる僕。 「うぅぅ…」 キョンの顔が近付く。 「んぅぅ…」 あと10センチ… 「んぅぅぅ…」 あと5センチ… 「んんぅぅ…」 あと3センチ… 「んんんぅぅぅ…!」 あと1センt 「起きてるぜ」 くぁうせldfふ・じ・こ!!! ・・・ 「さて、僕はいくつかキミに質問しなければならない事項があるんだ」 「どうぞどうぞ」 「…いつから起きていた?」 「正直に言えば『変身』の瞬間は横目で見てた」 ・・・ orz 「佐々木、その体勢だとスカート全開だぜ?」 ・・・ OFZ 「いや、右手で押さえても大して変わらんが…」 「うぅ…ヒドい…ヒドい…」 うわ言のように「ヒドい」と繰り返す佐々木を俺は見守る事しかできなかった。 俺は楽しめたが佐々木は真剣だったもんな。だからお返しの意味を込めて佐々木にご奉仕する事にしたのさ。 「キョンチョークスリーパーぁぁ!」 「えっぐ…いきなりどうしたのさ…」 そんな佐々木を無視して回り込み、後ろから抱きしめる。その時に「きゃっ」なんて可愛らしい声も聞こえた。 「佐々木は温かいな」 「…ありがとう」 俺はあぐら、その中に佐々木の腰を沈め左腕で逃がさないように抱きしめる。右手は可愛い彼女の手櫛さ。 「いい匂いがする」 「……ありがとう」 先ほどより体温が上がった様な感じだが気のせいではないだろう。目の前の首筋もほんのり桃色に染まっているしな。 だからその可愛い首筋に口付けを落とす。 「ひゃんっ…き、キョン、不意打ちは、卑怯、じゃないか…」 佐々木の言葉がたどたどしいのは、彼女の首筋を執拗に舐めているせいだったりする。 ・・・ 「俺の胸の音、聞こえるか?」 「…うん、もちろんだ。僕の大好きなキョンの音。ただ、いつもよりは鼓動が激しいようだね」 「お前の音も聞こえるぞ」 「そうかい?流石にキョンを誤魔化すことはできないか」 心地よい、2人の心音だけが支配する空間。俺はこの空間が好きだ。 「…腹すかないか?」 「夜食におにぎりを作ってきたよ」 「俺の腕の中にもある」 ・・・ 「ええっと…このセーラー服だけは汚さないようにしてくれよ?」 「さあな?」 そして困った顔をする佐々木との距離がゼロになった。 その後の事を詳しく語るつもりはない。佐々木が再び泣いた事や、夜食が佐々木と相成っために、おにぎりが朝飯になってしまった事くらいを追記しておく。 「それとセーラー服をクリーニングに出す羽目になった事も…だね。くっくっ…」 「…そうだな」 一晩中勉強できなかったために考査がボロボロだった事なんか、それこそ言うまでもないことだ。 END
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究極の男の夜食を作ろう!(きゅうきょくのおとこのやしょくをつくろう) ■スカ☆Jにて2006年03月21日放送 ■3チームに分かれて夜食王を決定する Aチーム:渋谷すばる・村上信五 Bチーム:関ジミ3 Cチーム:ロンリーウルフ裕(横山裕)・ホリ VTRにて錦戸亮、ガーリックライス調理・試食
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夜食の時間 「殺しあえ、か…」 高いビルの上。 普通の人間であれば足が竦むような高所の、しかも手すりも何もない屋上の端。 薄汚れた白い服を纏った男は、その風景に恐れることもなく冷静に周囲を見通していた。 その鍛え上げられた肉体から発せられる気は並大抵のものではないことを示すほどだ。 しかしその白い髪は何かしらの病気を患っていたことを伺わせる。 彼の名はトキ。世紀末の世界において名を馳せた、暗殺拳を繰る拳士である。 しかし、目の前に広がる光景は世紀末のそれではない。どうみても核戦争以前の、平和だった世界の頃の街並みだ。 ここは死後の世界なのか、あるいは自分は死ぬことなく何者かに連れ去られたのか。 考えても分からない。まずは他の参加者を見つけ出し、情報を集めることが先決だ。 無論、彼の中には殺し合いに乗るという選択肢など存在しない。相手が乗っている者であれば相応の対応をしなければならないが、そうでないものであればむしろ守っていかねばならない。 下には殺し合いの場とは思えない、多くの人が歩き、話し、過ごすというとても懐かしい空気の営みが見える。 明かり、喧騒、全てが懐かしいものだ。 バーチャル空間と言ったか。それが本当なら如何ほどの技術を、この主催者は持っているのだろうか。 「…!?」 だが、次の瞬間、その街の中に、異様なほど場違いでそれでいて禍々しい空気が混じっているのを感じ取った。 まるで平和な村に、あと数分もしないうちにモヒカンの軍勢が襲撃をかけようとしているかのようなざわつき。 次の瞬間、トキはその屋上をそのまま飛び降り、その気配の元を目指して駆け出した。 ◆ それと時を同じくした頃。 金髪の縦ロールを揺らしながら、少女は駆けていた。偶然にもその場所は白き聖者と同じ目的地。 巴マミ。見滝原の街を守る魔法少女。 人を守るために戦いを続ける彼女には、当然殺し合いなどというふざけたものを許せるはずもなかった。 ゆえに彼女には殺し合いに乗るなどといった選択肢は存在しない。 街の風景は見滝原のそれではない。所々にある看板や標識を見るに、どうやら東京を模したもののようだ。 バーチャル空間と言ったか。街行く人々も周りの建物も、実物にしか見えない。一体どんな技術なのか。 そんなことも頭をよぎったものの、ある事実に気付いたとき、そういった思考の全てが消し飛んだ。 現在地はそこそこ開けた空間。きっと昼であれば公園のような場所となる広場が見える。 そして目指す先、どうやら国際展示場らしき場所が視界に入る。 巴マミが走る理由。 身を魔法少女の衣装に包んだ彼女は、オレンジに輝く宝石をその手に掲げながら呟く。 「…この中ね。魔女の結界が張られているのは」 ◆ そこはまるで異常な空間。 さながら御伽噺のように積み上げられた大量のお菓子。 建物、扉、道、置物。全てがお菓子、お菓子、お菓子。 そして、そこに蠢く異形の生き物。いや、果たして生き物なのだろうか。 細く棒のような脚。何重にも円の重なった、おそらく顔に位置する部位の模様。体には赤い斑。 それが大量に集い、一人の人間を取り囲んでいた。 人間は動かない。年はまだ成人していないほどの少女。 さっきまではこの生き物達はこの空間を、お世辞にも速いとはいえない速度で走るこの少女を追っていた。 そして、やがて疲れ果て倒れこんだ少女を、この生き物、使い魔たちはこの開けた空間に連れてきたのだ。 使い魔たちは巨大な椅子と机の近くで蠢く黒い魔力を見守り続ける。 そこにまるで孵化するように生まれ出たのは、キャンディの様な頭部に円らな目の、一見すると人形と間違えてしまいそうな物体。 愛らしい姿だが、しかしまぎれもなく魔女と呼ばれる存在であるそれ。 それ、お菓子の魔女はふわふわと浮き上がり、倒れて動かない少女の近くに寄る。使い魔たちはそれに合わせて少女から距離を取った。 布のような手でツンツンと突くお菓子の魔女。しかし少女は身動き一つとらない。 次の瞬間、魔女の体が膨れ上がり、異形の姿に変化する。 体には使い魔と同じ斑模様。花型の鼻。頭には赤と青の羽。風船のように膨れ上がった顔面に、長い胴体。 これまたファンシーな姿をしているが、口を開けばそこには鋭い牙が生え揃っている。 第2形態へと姿を変えたお菓子の魔女は、改めてその動かない少女に、鼻らしき部位を近づけ、匂いをかぐような行動を取る。 そして、次の瞬間、その巨大な口を開き、その意識を依然として取り戻さない少女を、一口に飲み込んだ。 ● く う く う お な か が な り ま し た ○ 「…っ?!」 トキは、その空間、国際展示場の最も広い空間の扉の前にいた。 謎の空気をたどってたどり着いた場所がここだったのだ。 だが、扉に手をかけた瞬間。おそらく一瞬だろう。それまでとは違うまた異質な気を感じたのだ。 それは、歴戦の戦士として名を馳せたトキですらも身震いをしたほどのもの。 しかし、だからといって怖気づくような男ではない。 扉を少し開き、中の様子を伺う。 無人の空間。明かりは、月が内部を微かに照らすほどのものしかないがトキにはそれだけで十分だ。 そしてその中心地点。倒れている少女の姿を、トキは捉えた。 慎重に、ゆっくりと中に入る。人の気配はない。この男を前にして気配を隠せるものなど、そうはいないだろう。 少なくともトキに感じとることのできる異常は見当たらない。その事実を確認したトキは、一気に少女に駆け寄った。 「…息はある、か」 肉体には疲労の色が強く見られるが、外傷はない。せいぜい手に刺青のような痣が見えるくらいだ。だが、その背に触れたとき、少女の体の気が不自然に乱れているのを感じた。 そう、まるで重い病でも患ったかのような――― バンッ と、トキの入ってきたものとはまた別の扉が勢いよく開かれた。 見ると、マスケット銃を構えた少女が周囲を慎重に伺っている。 そして、こちらの姿を視認したとき、警戒するようにゆっくり、慎重に近寄ってきた。 「よせ。こちらは通りがかりにこの少女を保護しただけだ」 「―――何かここで異常なことが起こりませんでしたか?変な怪物に襲われたとか、気がついたら自分がここにいたとか」 「いや、確かにこの周辺で変な空気を感じ取ったのは事実だが、ここについてからは特に何か起こったということはないな」 「……そうですか。…もしかしてあなたも?」 「ああ、参加者だ」 少女、巴マミは何か腑に落ちないといった表情を浮かべつつ、マスケット銃を収める。 「その方は?」 「ここについたときに倒れていた。ずっと意識を失ったままだから詳しいことはまだ聞いていない」 「う…、うぅ…」 「気がついたか?」 「あ、れ?ここ…は…」 「国際展示場の中です」 「何があったか、思い出せるか?」 「その…、分かりません…。気がついたら、変な場所に出てて、そこから先の、記憶が…」 巴マミはそう呟く少女を見つめつつ、ソウルジェムをかざす。 先ほどまであったはずの魔女の反応が、綺麗に消え去っているのだ。 逃げた、と判断しようにも魔力の痕跡が一切ないというのが不自然だ。 それに、 (あの時に感じた、膨大な魔力は一体…) トキが扉を開ける前に感じ取ったそれを、彼女も感じ取ってはいた。 魔女が誕生したのかと判断し急いだものの、魔力が消え去ったのはそこからだ。 目の前の少女からは魔力を感じない。つまり魔法少女などではない一般人ということだ。 「とにかくここから移動しよう。この少女を休ませられる場所へ」 「それなら私が。ここに来るまでの間にそれっぽい場所を見つけましたから」 「では道案内を頼めるか?その…」 「巴マミです。マミで大丈夫です」 「マミ…か。私はトキだ」 「…間桐、…桜です」 そう名前を名乗った後、三人はまず身を潜ませ落ち着くことができる場所を求めて歩き始めた。 巴マミが先導し、間桐桜をトキが抱えて。 ◆ それを口に入れた瞬間のことを何と表現すればいいのだろうか。 お菓子の魔女は、一口に間桐桜を飲み込んだ。 そして、お菓子の魔女は、己の体が壮絶な勢いで黒く塗りつぶされていくのを感じ取った。 が、気がついたときには遅い。 お菓子の魔女を中心として地面に広がった黒い影は、一瞬でその巨体を溶かしつくし。 それだけでは止まらず周りにいた使い魔も巻き込み、結界ごと全てを消滅させた。 まるで津波が浜辺に作られた砂の城を飲み込むがごとく、跡形もなく。グリーフシードすらも残すことなく。 ◇ もし、トキに魔力、魔術に関する知識があれば。 もし、巴マミに医学の知識、もう少しの聡明さがあれば。 間桐桜に僅かにでも警戒心を持っただろうか。 しかし、知識と性質のかみ合わなさは彼等にその思いを持たせることをしなかった。 だから知らない。 その場には確かに魔女結界が存在したことを。 それを、体に取り込んだことで消滅させたことを。 その事実を知らない彼らは、すぐ近くにある危機に気付かず進み続ける。 間桐桜。間桐の家を継ぐ魔術師にしてある機能を体に埋め込まれた少女。 本来であれば魔力を求めて歩き出すであろう狂気も、魔女を取り込んだことで今だけは安定している。故に今この場でその影を見せることはない。 潜むものの名はこの世すべての悪(アンリマユ)。 それが再び動き始めるときは、そう遠くはないだろう。 【1日目・深夜/H-6 江東区 国際展示場】 【トキ@北斗の拳】 【状態】健康 【装備】なし 【道具】支給品一式、ランダム支給品1~3 【思考】 基本:殺し合いには乗らない 1:殺し合いに乗っていない参加者達を助ける 2:休息できる場所を探しつつ二人と情報交換がしたい。 【備考】 ※死亡後からの参戦です。 【巴マミ@魔法少女まどか☆マギカ】 【状態】健康 【装備】マスケット銃 【道具】支給品一式、ランダム支給品1~3 【思考】 基本:この殺し合いを止める 1:殺し合いに乗っていない参加者達を助ける 2:間桐桜を休息できる場所まで案内する。 【備考】 ※3話、お菓子の魔女の結界侵入以前の参戦です。 【間桐桜@Fate/stay night】 【状態】疲労(大)、魔力消耗(大)、混乱、令呪残り1画 【装備】なし 【道具】支給品一式、ランダム支給品0~2 【思考】 基本:??? 1:何が起こっているのか分からない。 2:おなかはいっぱい? 【備考】 ※Heavens Feelルート、ギルガメッシュを取り込む以前より参戦です。 ※お菓子の魔女のグリーフシードは間桐桜の影に取り込まれたことにより消滅しました。 001 0時だョ!全員集合でいい湯だな! 投下順 003:チャリで来た! 時系列順 START トキ START 巴マミ START 間桐桜
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お腹が減ったらこのページと白米食えよ
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◆SS.5 「水澄千乃と高カロリー夜食」 〈夜 展望テラス〉 英梨「(これから私…どうなっちゃうんだろう…)」 英梨「(テロリストに誘拐されて、なんか知らないけど指名手配までされて…ホントに行くとこないじゃん…)」 英梨「はぁ…ここから逃げたい…」ガクッ 千乃「…おや、英梨じゃないですか」 英梨「…っ!?あ、ああ千乃ちゃんかぁ…うん、ちょっとね」 千乃「ふふっ、眠れないのですか?」 英梨「んーまあそんな感じ。それにほら、ここは星が綺麗だから」 千乃「そうですよね、実は私もよくここに星を見に来るんですよ」 英梨「あら、千乃ちゃんも星とか好きなの?」 千乃「ええ、人並みには。ところで英梨、眠れないのなら私とちょっと厨房に行きませんか?」 英梨「良いけど、なんで?」 千乃「夜食です」ニコッ 〈厨房〉 千乃「まずはここに、炊きたてのご飯があります」 英梨「なんで深夜の厨房に“炊きたて”があるのよ…」 千乃「ふふっ、これは私が夕飯の後にわざわざ炊きました」キラーン 千乃「そしてこのご飯をどんぶりによそいます」 千乃「そして、醤油をかけます」ダバー 英梨「なにィ!!」 千乃「そしてかき混ぜます」 英梨「しょ…醤油ご飯!夜食に!?」 千乃「そして次に入れるのがこれ」ガサガサ っ[雪印 北〇道] ババーン!! 英梨「…まさか、それはバター…?」 千乃「正確です英梨。そしてこれを潰して…この醤油ご飯に投入します」 英梨「な、なんですって…!?そんな事したら塩分とカロリーが!」 千乃「そしてそこに加えるのが…」 英梨「なんてこと…このままじゃカロリーおばけが出来ちゃう」 千乃「夕飯の残りのカレー!」バーン!! 英梨「ああぁぁ、なんてモノを…!」 千乃「これをこう…入れて」ドロドロ 千乃「最後に」 英梨「まだあるの!?」 千乃「この“とろけるスライスチーズ”を乗せます」ペチャッ 千乃「はい完成」 英梨「くっ…こんな料理許されるワケない…女の敵よ…」ワナワナ 千乃「食べないんですか?」 英梨「食べないとは言ってないわよ!」 レックス「……なに厨房ではしゃいでんだお前ら、今何時だと思ってやがる」 千乃「おや、レックスじゃないですか」 英梨「夜食よ夜食、あんたもちょっと食べる?」 レックス「馬鹿かお前、こんな時間に飯食ったら太るぞ」 英梨「出たわね一般論。そういうの今の私にめちゃくちゃ効くからやめて」 レックス「ふん、まあ食欲が全くねえってよりゃ遥かにマシだが………ああいや、お前はここに来た初日から普通に飯食ってたな」 英梨「なによ、なんか失礼な言い方ね」 千乃「まあせっかくですし、レックスもこちらへ来てお話しませんか?」 レックス「…まぁ、オレも眠くはねぇしな。ああ、でも飯は食わんぞ」 英梨「ふん、なんと言われようと私は食うわよ」 レックス「…はぁ、こりゃ明日のトレーニングで食った分ダイエットしねぇとダメだな?」 英梨「はぁっ!?なんでそうなんのよ!」 〈END〉 メインページに戻る
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