約 50,641 件
https://w.atwiki.jp/textlib/pages/437.html
鳩山ですが会談は失敗です http //toki.2ch.net/test/read.cgi/army/1283323308/ 561 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/02(木) 01 05 44 ID ??? AH-64Dが貧乏神化するなんて10年前じゃ 誰も思わなかっただろうな・・・ 562 名前:七猫伍長 ◆4gYfuUCcAY [sage] 投稿日:2010/09/02(木) 01 10 15 ID ??? 561 AHの価値が実際は低下していたという現実は、 10年前では・・・少なくとも、マニアレベルでは気づけませんでした。 木元氏の著作などで「1対16のキルレシオは机上の空論」とは、聞いていましたけどね。 564 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/02(木) 01 11 41 ID ??? 携帯SAMが発達しすぎだろ。 566 名前:|日0TK@寧々さんのおっぱいマイスター ◆Y2ynCgeGhk [sage] 投稿日:2010/09/02(木) 01 15 32 ID ??? 562 実はAPFSDSによる対空戦闘が非常に有効、とか、ね。 ところでまあパンツァー、なんでハイマウントHMGの意図が解らないの? 568 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/02(木) 01 18 34 ID ??? 562 10年前だと 「日本の地勢だと視界と気象条件等によっては 1対2程度まで落ちる状況がある」 みたいな話が出はじめて、AHってそんな脆弱なのか でもヨーロッパの平原や中東では有効なんだろうな、 と思ってたなぁ イラク戦争の経緯が明らかになるにつれて 回転翼機の脆さと地上部隊の防空能力の進化が 洒落にならないと思ったわ 570 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/02(木) 01 22 12 ID ??? 基本対戦車攻撃ヘリコプターは稜線から目を出して、ミサイルを撃つのに最適化されてて敵がウヨウヨ居る街中でホバリングするとか想定外だものな 572 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/02(木) 01 26 21 ID ??? 568 イラク戦争のAH-64フルボッコは米軍側の連携ミスもあるけど あんだけ、ローテクな対空陣地でも有効だったということを知らしめる 貴重な戦闘だよな 573 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/02(木) 01 27 53 ID ??? 対戦車ヘリって待ち伏せされることをあまり考えてないもんな 某演習場近くで廃道から林道に出たら、すぐ近くにAH-1Sがいて向こうがビビっていた こっちは音でいるのわかってたけど 575 名前:七猫伍長 ◆4gYfuUCcAY [sage] 投稿日:2010/09/02(木) 01 36 53 ID ??? 566 そのあたりは、オーストリアのステアー軽戦車のシミュレーターでさえ、 TKGによる対AH戦闘が盛り込まれていたと、何かの記事で読みました。 >ハイマウントHMG やはり火制範囲の拡張を狙って、でしょうか? 後は操作性とか・・・90TKのHMGは、素人目にも使いづらそうでした。 568 私も同じような経緯で、AHの価値の転落を見てしまった感じです。 実際、総火演で87AWが出演し始めましたが、23年前の車輌でさえ、 あの即応性と火力じゃ・・・・ヘリは木っ端微塵ですよ。 570 まして敵地上部隊が旧式でもSAM、AWを有していた場合、大損害ですからね。 逆に超音速の出る攻撃機は、下手に手を出すとこっちが全滅しかねない、と。 576 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/02(木) 01 41 27 ID ??? 575 対空射撃用じゃなかったっけ>ハイマウント 577 名前:七猫伍長 ◆4gYfuUCcAY [sage] 投稿日:2010/09/02(木) 01 50 52 ID ??? 576 ああ、成る程・・・・ 一瞬もしもハイマウントで対空射撃なら、GAU-21(M2改)があればと思ったり。 578 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/02(木) 01 52 58 ID ??? 577 どっかに20ミリクラスの機関砲のせた戦車があったような・・・ 579 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/02(木) 01 57 59 ID ??? 578 仏蘭西のAMX-30とかかな? あれは主砲同軸+上下角で対空用だった気がする 580 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/02(木) 01 59 00 ID ??? あと、T-72の砲塔側面にパック式に装備するのも合ったように 581 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/02(木) 02 02 14 ID ??? 580 チェコのモデルナ? 582 名前:七猫伍長 ◆4gYfuUCcAY [sage] 投稿日:2010/09/02(木) 02 03 32 ID ??? 578 AMX-30/40はオチキス20mmを搭載していましたね。 ルクレールでは過剰、不要と取捨選択されましたが。 580 確かスロヴァキアのT-72M2戦車ではないかと。 BMP-2と同じ30mm機関砲を、砲塔側面に搭載していました。 587 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/02(木) 02 16 25 ID ??? 582 圧巻はMBT-70のRh202だな 車内からの遠隔操作式で、対地モードと対空モードが有り対空モードでは砲塔内から迫り出してきて射角が大きくなるw 593 名前:七猫伍長 ◆4gYfuUCcAY [sage] 投稿日:2010/09/02(木) 03 03 15 ID ??? 587 あの戦車は何でもアリでしたからねえ・・・・ まあ、M1とレオパルト2という傑作の母体になりましたが。 逆に、今の技術で単独開発で、アレに近い戦車を見てみたい。 一瞬だけそう思いましたが、そんなことするなら、 車体が同じAWやFVを作った方がマシですね、はい。 民主党ですが猛暑です http //toki.2ch.net/test/read.cgi/army/1283665241/ 623 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 39 36 ID ??? 157 名前: 都会っ子(アラバマ州)[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 11 12 40 ID B34QBaEa0 まあ、本当の理由は、実際に使ってみたら、物凄いタコなヘリだったからなんだけどな。 赤外線暗視装置は旧式だし(日本製に交換すると契約違反) 対空ミサイルも旧式だし(日本製に交換すると契約違反) 対戦車ミサイルは射程短いし威力も弱い(日本製に交換すると契約違反) 実は被弾に弱く防弾も甘かった(日本製素材に交換すると契約違反) 今時関節ローターなので整備に手間がかかって運動性が悪い エンジン関連の寿命が無茶短くて頻繁に交換が必要(運航経費がF-15戦闘機並み) 前進中は暗視照準が出来ない不思議 前進中にミサイル撃つと操縦席を噴射炎で炙って目潰しする不思議(ミサイルが悪い) 自分の撃ったミサイルの噴射炎でローター叩いて墜落する不思議 ↑だから空中停止しないと撃てないし片舷は実質使用不能なので搭載量は実は見掛けの半分 攻撃ヘリとしては運動性が悪くて、日本の山地でNOE飛行ができない 飛行運動に制限があって、超過すると立て直し不能のスピンを起こして墜落する 以上を受け取ってから知った陸上自衛隊の失望・・・ 171 名前: 都会っ子(アラバマ州)[sage] 投稿日:2007/11/27(火) 11 33 52 ID B34QBaEa0 165 イラクの戦場で、空中に停止しないと何も出来ないので ゲリラのカモにされてる(ひどいとRPGで狙われて落とされてる 168 米軍も調達停止を決めたでしょ。 そのときに議会に出たGAOの報告書にずらずらと出てる。 アメリカはちゃんと議会と委員会が機能してるから この手の軍隊の装備なんかの問題も 徹底的に調べてこき下ろして、可能な範囲で公表する部門がある。 F/A-18EとかC-17とかC-130Jが、 どれだけウンコな飛行機なのかも笑えるぐらいに出てる。 --------------------------------------- これは何についての話なんだろう 630 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 42 33 ID ??? 623 アパッチか 633 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 43 56 ID ??? 富士重工も防衛産業から手を引きたいんじゃねいかな? 634 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 44 00 ID ??? 623 判らない筈が有るまい 635 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 44 21 ID ??? 623 でもAH-1Sの頃と同じ制限なんだよね。 TOWと79式の話もあるし。まあ、1Zでも きっと同じ制限なんだろうな。 637 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 45 07 ID ??? 623 陸自は欲しくて欲しくてしょうがなかったんだもの 取得せずに後悔するより、取得して後悔する方がましでは 638 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 45 10 ID ??? 623 富士重がババ引いた某攻撃ヘリのお話? 640 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 46 26 ID ??? 623 アパッチ以外に無いだろw 641 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 46 36 ID ??? C-130Jがうんこなのはわかるけど C-17もうんこなのか 647 名前:七猫伍長 ◆4gYfuUCcAY [sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 51 28 ID ??? 632 これから五年、十年と才能を伸ばして行けただろうに、 何ともまあ・・・興味のない分野でも、才能がある人が、 若くして他界するのは辛いですな。 623 色々問題があるのは認めるけど、ヘルファイアってそんなに性能不足かね? そりゃ小型SSMの、96MPMSと比較しちゃ可哀想だが。 653 名前: ◆2Ys/AQ6eG2 [sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 53 02 ID ??? だからアパッチじゃなく1Zにして時間を稼ぎ、その間にOH-1をAH化する研究を進めれば・・・ 富士に独自開発させてもいいし・・・・・・ 655 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 53 31 ID ??? 647 射程を稼ぐ為の飛行プロファイルの問題 発射直後に大仰角で弾道飛行を始める際に発射母機のローターを掠めるとか 659 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 54 49 ID ??? 逆転の発想だよ AHなんて要らないと思えばいいのさ 660 名前:七猫伍長 ◆4gYfuUCcAY [sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 54 56 ID ??? 653 というかAHの価値が低下してるって話も、ありますからねえ。 確かに旧くなってるとは言え、アパッチは戦闘ヘリの中では最強クラスです。 それがイラクで大損害を被るってのは、 性能と言うより性質が近代戦に適合しなくなったんじゃ。 661 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 55 14 ID ??? 637 でも一番悲惨なのは、性能が思ってたよりヘボかった事よりも、旧式の対空火器如きにアパッチ部隊が歯が立たなかった事じゃないかと。 まるでドレッドノートのせいで完成前に意義を失った薩摩級戦艦のようだ。 662 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 55 20 ID ??? 川崎のニンジャヘリを改造してアパッチのかわりにしてくれ 663 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 56 11 ID ??? 653 それだと日本側が研究用に欲しかったデータリンクと ミリ波レーダーが手に入らない。1Zのミリ波レーダーは オプションで武装翼に搭載するので搭載量半減、しかも 視界が片側しか見れないし。 ついでに既に言われているけどAH-1sですら搭載品制限で 日本製MAT搭載できずTOWと79式と同じようなもの運用する ハメになっている。海自のSH-60kにたいするシコルスキーの 態度のようにヘリは基本的にガード固いから1Zならというのも 幻想に近い可能性が高い。 665 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 56 25 ID ??? 海外製兵器の魔改造禁止って、なぜ? 666 名前:七猫伍長 ◆4gYfuUCcAY [sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 56 33 ID ??? 655 あーあ、そりゃ危なくて使えませんなあ。 そういえば富士でもチェーンガンの発砲は行っても、 ヘルファイアは使わないんですよねえ。 12旅団は空中機動より、普通に機械化した方が良いんじゃないかなあ。 667 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 56 34 ID ??? これからはスカウトヘリに限定的な対地・対戦車攻撃能力を 持たせたようなモンになるんじゃねえの? ステルスヘリは米軍ですら配備出来なかったし 670 名前:舞鶴の質屋 ◆Wcnk3S8mG6 [sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 57 11 ID ??? 660 肩撃ち式SAMなどの携行型対空兵器性能が飛躍的に上がったという考えもできるんじゃないかな。 672 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 57 32 ID ??? 659 実際に要らなくなる可能性が。イラクで防空陣地に居たのが87式だったら何機が逃げて来れたやら。 673 名前: ◆2Ys/AQ6eG2 [sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 58 18 ID ??? 660 ある程度自律飛行出来るUAV編隊とそれを前線で管制する指揮ユニットができれば・・・ 675 名前:七猫伍長 ◆4gYfuUCcAY [sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 59 05 ID ??? 670 672 それもありますし、あの旧式なシルカを相手にしても、 かなりの数が撃墜されたと言いますからね。 P-SAM改や87AWに狙われたら、どうなることか。 静内で既に悲惨な結果が出ていたりして。 676 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 59 21 ID ??? アフガンでもスティンガーに相当ハインドはやられているでしょ その頃からヘリの脆弱性はもっと考えられるべきだったのかも 678 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 59 43 ID ??? 665 ライセンス生産契約では当たり前の事 イタリアの76mm砲も日本はアメリカからのサブライセンスで(ry 679 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 22 59 49 ID ??? 665 改造するってことは、その兵器のハード面は ほぼすべてをさらけ出すって意味なわけ。 アパッチとかのケースだと特にヘリで進歩が 止まり気味なアメリカ的にはあまり技術を 出したくない模様。 自国のミサイルや部品が売れなくなる という面もあるけどね。 683 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 23 02 10 ID ??? 665 勝手に弄れない契約になってるから ラ国 だからこそF-2では日本が開発(日米共同)したし、台風の技術公開&改造容認 が破格の条件と言われる。 684 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 23 03 15 ID ??? 671 日本技術者「う~ん、まず機体のサイズアップして燃料タンクとAAM-4と5とASMを積むスペース確保するか」 685 名前: ◆2Ys/AQ6eG2 [sage] 投稿日:2010/09/05(日) 23 03 28 ID ??? MANPADSがあれだけ出回ればヘリはもうただの的なんだろうなと ミサイル発射時に静止するAHを見つけた携SAM持ち歩兵のヒャッハーさは想像に難くないw 686 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 23 04 32 ID ??? 673 使い捨て気分で危険地域に投入して在庫一掃セールをした とマスゴミに叩かれますね 不適切が巡航ミサイルばかり撃ってた時に言われた サロゲート」で軍用サロゲートで演習中に被弾して乗り換える際に「只じゃないんだぞ!」と連隊長がw 687 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 23 04 58 ID ??? ヘリコプターはそんなに速くないからな~ 688 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 23 05 34 ID ??? 673 現状無人機は自律飛行だと再利用できる巡航ミサイルに しかならないのと、人間が介したやつはいつまでたっても パワージャミングに対応できるのか疑問があったり。 前者はレスポンスが絶望的で後者は使用不能のリスクが。 あと性能的に軽飛行機程度のプレデターがF-16と同じ値段という面も。 690 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 23 05 40 ID ??? 661 でもイラクでの戦例では、大量の旧式対空砲火群をアパッチに向けた兵員の 人命がべらぼうに安かった・・ という事情もありますからね。 先進国の兵隊ではあんな特攻隊まがいの戦法は取れませんし。 でももっと人命の安い北朝鮮なら確実にやりそうですが。 693 名前: ◆2Ys/AQ6eG2 [sage] 投稿日:2010/09/05(日) 23 06 58 ID ??? 686 そのときはパイロット養成の為のコストとUAVのコストの差を延々と説明すればいいのよ もちろん説明役はゲルにお願いしようw 694 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 23 07 11 ID ??? 688 価格に関しては量産機と手作りの低量生産機とを一緒にする訳には 696 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2010/09/05(日) 23 07 57 ID ??? 623 いやそれ攻撃ヘリならどこのも大体そうだから 期待が外れたってのはアニメ厨の脳内攻撃ヘリと比較してのことじゃね?
https://w.atwiki.jp/dagamatome/pages/34.html
ここではだが氏の言う「浅井は信長が家臣扱いしてきた事に怒って離反した」という説について考察する。 322 : ななしのよっしん:2012/11/05(月) 09 02 50 ID 96muxpUGdz 321 織田信行に関しては上記のとおりですし 織田信友に関しては殺した下手人がそのまま信長に仕え続けてる状態ですし 本願寺顕如に関しては「織田が難題言ってきてもう我慢の限界」といって 挙兵に踏み切ってますし、 浅井長政に関しては同盟結んでから信長上洛までずっと信長を援護してきたのに、信長上洛後にいきなり家臣扱いされた事で離反してます 朝倉義景に関しては信長からいきなり上洛と服従を要求されて 「どうせ信長の事だから散々こき使われて使い捨てにされる、それどころか今回の義景様が上洛したら謀殺する気かもしれない。それよりは 戦った方がいい。」という意見が主流を占めた関係で戦いになってますし 武田信玄に関しては信玄が進めていた勝頼への官位叙任と 将軍からの一字拝領運動を信長に潰されたのと東美濃の帰属問題で敵対に つながってます 上杉謙信に関しても途中までは丁重にしてましたが、長篠勝利の後から 謙信を無視して関東の豪族たちと連絡を取り合うようになり、 関係がこじれていってます。 以上のように、信長と敵対した大名は大抵の場合、 信長の行動を原因として離反に至ってます。 これは単なる史実ですが、これがどうかしましたか? 345 : ななしのよっしん:2012/11/15(木) 06 09 20 ID 96muxpUGdz 337 北陸一向宗と謙信は昔からの敵同士で積極的に戦ってますよ そんで、謙信のおかげで長篠では武田は兵力一万以上を本国に残して 織田徳川は兵力で大きく優位にたてたのに何をいってんですか もともと長篠終了後は謙信無視して関東衆と直接交渉初めて ないがしろにしたの信長ですし それは貴方でしょ 遠山直廉はおろか、 岩村遠山はれっきとした武田に属して長い歴史もってますよ 飯狭間の遠山は勝頼に攻略されちゃいましたね 唯一どころか、信長の名分なんて真っ黒だらけですよ 浅井家臣化に関しては、信長が上洛後に出した触れ状ですね この中では、徳川は織田と対等の大名と扱われてますが {浅井は「浅井備前」と呼び捨てで、しかも織田に従う豪族と同格位置です 信長書状でも家臣にしてやったのに、といってますしね この考えは「織田と浅井の同盟関係は対等だった」という考えに基づいていることは言うまでもないだろう。 しかし、それは事実なのだろうか? 志賀の陣における和睦交渉から両者の関係を考えてみよう。 10月20日 朝倉義景→織田信長 朝倉が「無事」を提案。信長は「御一戦の上にて~」と拒絶 (信長公記) 10月21日 浅井長政→織田信長 長政が「詫言」。信長は「同心なし」 (尋憲記) 11月28日 織田信長→ ? 「勅宣により和談」。五ヵ条 (奥野高広「血は水より濃し」、日本歴史524号所収) 12月2日 二条晴良→朝倉・延暦寺 北近江の所領分割と人質交換に合意。延暦寺は不同意。 (尋憲記) 12月9日 天皇→延暦寺 山門領を安堵 (伏見宮記録) 12月10日頃 足利義昭→延暦寺 義昭の御内書・天皇の綸旨・信長の起請文に延暦寺が同意 (尋憲記) 12月12日 織田信長→足利義昭 延暦寺との「無事」を約束 (伏見宮記録) 12月13日? 織田信長→朝倉義景 ※ 12月13日 朝倉義景→織田信長 「上位」により「別心疎略」なし (尋憲記) 同上 織田信長→朝倉義景 お互いの重臣の子弟を人質にして、15日に退陣のこと(尋憲記) 12月15日 朝倉義景→延暦寺 勅命・上意と信長誓約に対し、疎略なし (伏見宮記録) (歴史読本2011年7月号 桐野作人氏の研究をもとに作成) 問題は※の、12月13日のものと推定される信長の起請文の内容である。 元亀元年十二月、於坂本、義景・織田入魂之聨盟 零社起請文前書之事 一、山門之儀、同寺務など可為如佐々木定頼之時事、 一、対浅井備前守非分之儀一際不可有之候、就其卒尓之事相定上者、聊不可有相違候様、横山 肥田十日内可有破城、 并佐和山表陣取同前可引払之事、 一、江州中、義景 長政 味方軍、身上 領地不可有相違事、 一、対小坂不可有遺恨事、 一、対義景自今已後、深重可申談事、 右、為 上意申談上者、条々表裡 抜公事毛頭不可有之候、万一於相違者、零社起請文 御罰深厚可蒙罷者也、仍前書如件、 元亀元年午庚十二月 信長 朝倉左衛門督殿 大事な点だけ解説しよう。 まず2条目、浅井との和睦はここに書いてあるのみで、署名しているのは朝倉だけである。 浅井と朝倉が対等だというなら、両者が連署で署名していなければならないはずだ。 次に3条目。近江には義景の領地もあったというのである。 朝倉の本拠地・越前との位置関係、信長がこの戦いで領地を失っていないことを考えれば、この朝倉領は北近江にあったと考えるしかない。 「尋憲記」の12月22日条では、交渉中に浅井の領地が北近江のうち3分の1ほど、信長が3分の2ほどに決まったとある。 北近江は伊香・浅井・坂田の3つの郡で成り立っており、長政はこのうち約3分の1、さらにそこに朝倉領もあったとなると浅井氏の力は非常に弱いものだったと推定される。 さらに、志賀の陣で長政が出した禁制には「仍執達如件(よってしったつくだんのごとし)」という普通、家臣が書く文言があり、長政は義景の奉行的立場だったのではないかと推測されている。(小泉義博「朝倉義景と景鏡の感状」、『武生市史編さんだより』26号) 少なくとも朝倉に比べて浅井の立場がかなり低いものだったことは間違いないだろう。 こうなると自然、織田との関係も対等だったのかという疑問が出てくる。 実はそうでなかったという史料は存在する。 浅井三代記には「信長卿の御妹おいち殿を娘分(養女)になされ~」とあり、 織田系図では信長のいとこの娘としている。 つまり信長が長政を家臣扱いしているのは実際そういう関係だったからで、浅井は朝倉・織田の両属的状態にあったと考えられるのである。 最後に、なぜ浅井が朝倉についたかについてだが、「安土創業録」には長政の嫡子・万福丸が越前に人質として送られた、とある。 信長としては格下の相手に一門の娘を嫁がせてやったのに、生まれた息子を朝倉に送られてしまったわけである。 その上、姻戚関係を破って浅井が敵対したものだから、信長は周囲にしめしをつけるためにも浅井家を滅ぼさざるをえず、(平清盛の先例からして)万福丸も殺さざるを得なかった。 2度も謀反を起こした信行(信勝)の息子・津田信澄を重用した信長である。 長政の行為がいかに信長を怒らせたか、想像に難くない。 髑髏をはくだみにする事にどういった意味があるのかはともかく、信長が彼らに怒りを持っていたことは間違いないだろう。
https://w.atwiki.jp/welovejapan/pages/173.html
http //tsushima.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1257562183/356 [ ニュース速報+ ] 【政治】 民主党、なぜいま外国人参政権法案?…暗躍する民団と民主党推進派、慎重派は「左翼政党に見られる」と危惧★4 356 名前:名無しさん@十周年 []: 2009/11/07(土) 13 29 23 ID +NDuvMr20 (2) ■在日韓国人をはじめとする永住外国人住民の法的地位向上を推進する議員連盟 会長 - 岡田克也 呼びかけ人 - 津村啓介、川上義博、千葉景子、白真勲 幹事 - 白真勲 赤松広隆、泉健太、岩国哲人、岡田克也、奥村展三、小沢鋭仁、金田誠一、川端達夫、郡和子、小宮山洋子、 近藤昭一、佐々木隆博、末松義視、仙谷由人、筒井信隆、津村啓介、中川正春、西村智奈美、鉢呂吉雄、鳩山由紀夫、 平岡秀夫、藤井裕久、藤村修、細川律夫、前原誠司、三井辨雄、三日月大造、横光克彦、横路孝弘 家西悟、犬塚直史、一川保夫、大島九州男、小川敏夫、岡崎トミ子、加賀谷健、神本美恵子、川上義博、今野東、 佐藤泰介、工藤堅太郎、武内則男、谷博之、谷岡郁子、津田弥太郎、ツルネンマルテイ、千葉景子、轟木利治、友近聡朗、 中村哲治、那谷屋正義、白真勲、藤末健三、藤谷光信、松岡徹、室井邦彦、藤田幸久、藤原良信、前田武志、 増子輝彦、松野信夫、水岡俊一、梁瀬進、山下八洲夫、横峯良郎 ※衆議院選挙前のデータです。 ※この議連に所属している議員だけが、外国人参政権法案を推進しているわけではありません。 ※外国人参政権法案を推進しているが、この議連には特に参加していないという民主党議員も少なくないです。
https://w.atwiki.jp/bodai/pages/670.html
リベラル用語の基礎知識より。 「普通の人」に とって絶対に手の届かない地位を占めながら、かつ 同時に道徳的な正しさまでも有している 「あ~俺ら成功者で道徳的に正しいから嫉妬で憎まれちゃうんだよね~」という痛い勘違い。 なお、実際はありがたいリベラルの教えに従わないだけで「早く死んだ方がいい」「劣等民族」と言っちゃう程度の道徳性。自分の正しさを疑わないのはインテリじゃないし、自分の正しさで大衆を見下すのは道徳的ですらない。 知能が低いと自身の言動を客観視出来ないので、境界知能もしくは軽度の知的障害者の多い文系リベラル文化人がこうなるのは仕方ない。 syamu_game「心はイケメンでございます」 liberal_bunkajin「道徳的な正しさまでも有しております」
https://w.atwiki.jp/hanrei/pages/239.html
判示事項の要旨: 国立大学法人が,国立大学のときから期間の定めのある雇用契約を締結してその更新を継続してきた外国人教師の更新を拒絶したことについて,更新を拒絶するには合理的理由が必要であるが,合理的理由が肯定されるとして,契約の終了が認められた事例 平成17年10月28日判決言渡 平成16年(行ウ)第32号 地位確認請求事件 主 文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 原告が,被告に対し,平成17年4月1日以降も労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 第2 事案の概要 本件は,主位的には,旧国立学校設置法による大学である国立A大学(以下「A大学」という。)の外国人教員として国に任用されたとし,予備的には,第1に,A大学との間で期間の定めのある雇用契約を締結したが,更新によって期間の定めのない契約となったとし,第2に,その雇用契約が期間の定めのあるものであっても,更新に対する期待権が生じていたとする原告が,その地位が労働契約上の地位として,被告に対する関係で承継されたから,被告が原告を解雇し又は雇い止めをするには合理的理由が必要であるが,かかる理由を欠くとし,第3に,仮に,原告と被告との間で期間の定めのある雇用契約が新たに締結されたとしても,原告には更新に対する期待権が生じていたから,被告が原告を雇い止めをするには合理的理由が必要であるがかかる理由を欠くとして,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるものである。 なお,本件訴訟は,当初,行政事件訴訟法の実質的当事者訴訟として立件されたが,民事訴訟である。 1 争いのない事実等 (1) 原告は,平成6年4月1日から,A大学の教員として勤務していた(その教員としての身分については争いがある。)。 (2) A大学は,平成15年12月24日付け文書(甲2)をもって,原告の代理人弁護士に対し,平成16年度(平成17年3月31日)をもって原告との間の雇用契約を終了させる旨回答した(以下「本件回答」という。)。 (3) A大学B研究科長C(以下「C教授」という。)から,原告に対し,平成15年12月4日付け書面(甲19の1)が送付され,同書面に添付の同年11月12日開催のC研究科教授会での説明メモ(甲19の2)によると,原告の雇用を平成17年3月31日までとする理由は,次のとおりとされていた。 ア 平成8年に,英文学と英語学とで構成されていた英文学研究室が,英米文学と英語学とに分離独立したが,その際に英米文学の外国人教師枠をしかるべき時期に英語学に譲るとの方針が立てられた。 イ 平成8年の英米文学と英語学との分離独立後も外国人教師枠を英米文学にて使用してきたが,平成16年4月の独立行政法人化に際して,任期付き外国人教授ポストを最初に英語学が使用することに双方で同意した。 (4) 原告は,前記(3)の説明メモに対し,次のとおり反論した(甲4)。 ア 原告がA大学との雇用契約を締結したのは,平成6年4月1日であるが,前記(3)アにある「平成8年に,英文学と英語学とで構成されていた英文学研究室が,英米文学と英語学とに分離独立したが,その際に英米文学の外国人教師枠をしかるべき時期に英語学に譲るとの方針」は,雇用契約後にA大学が一方的に決めたことであり,しかも,原告には平成8年の時点でこのことを知らされていない。 イ 前記(3)イについては,原告は任期付き教授ではなく,期限の定めのない雇用契約となっており,「任期付き外国人教授ポストを最初に英語学が使用することに双方で同意した」ことと,原告の雇用契約を打ち切ることは全く次元の異なった事柄である。 ウ 前記(3)アに関連して,仮に平成8年の時点で原告(現在51歳)が「英米文学の外国人教師枠をしかるべき時期に英語学に譲るとの方針」を知らされておれば,原告は当時は45歳であり,他の大学へ定年まで勤務でき,年金が受け取れる条件での転職が可能であった。 現在の51歳という年齢では,そのような条件の職場を見つけることはほとんど不可能である。 エ 前記(3)イについては,英米文学科の教授はC教授を含む日本人教員2名と原告であるが,博士号を保有しているのは原告のみである。 前記の説明メモでは,「外国人教師枠が定員化される機会に,それを任期付きの教授として,日本人スタッフと対等にプロジェクトを組めるDistinguished Scholarを招聘し教育研究を活性化させる」とあるが,原告こそがDistinguished Scholarである。 オ C教授は博士号を持っておらず,しかもこの10年以上にわたって同教授の研究科からは一人も博士号を取得した者がいないという実情にあり,C教授こそがDistinguished Scholarを招へいする資格のないものであり,学科生に対する指導にも多くの問題がある。 (5) A大学は,平成16年4月1日,国立大学法人法に基づき,被告となった。 国立大学法人法附則4条では,国立大学の職員(これがいかなる範囲の者を指すかについては争いがある。)の身分はそのまま国立大学法人に引き継がれると規定されており,職員については,原則として別に辞令を発せられない限り身分の承継がされている。 したがって,A大学の職員であった者は,平成16年4月1日の被告の成立により,別に辞令を発せられない限り,被告の職員となった。 (6) 被告は,平成16年12月17日,原告の代理人弁護士に対し,平成17年3月31日をもって原告と被告の間の雇用契約は終了する旨通知した(乙27)。 2 争点 本件の主たる争点は,(1)原告は外国人教員として国に任用されたか,(2)原告がA大学と締結した雇用契約は,期間の定めのないものとなったか,(3)原告がA大学との間で締結した期間の定めのある雇用契約上の関係が被告に承継されたか,(4)原告が被告との間で締結した期間の定めのある雇用契約を被告が打ち切ることは許されないかという点にある。 (1) 争点(1)(原告は外国人教員として国に任用されたか)について ア 原告の主張 (ア) 原告は,平成6年4月1日,国立又は公立の大学における外国人教員の任用等に関する特別措置法に基づいて,A大学の外国人教員として国に任用された。 原告は,平成6年4月1日の採用以来,毎年契約書を締結してきたが,これは「日本国政府の会計行政によるもので」(甲1のC教授の原告あての手紙の記載)あり,その契約書は形式的なものにすぎない。この毎年の契約書に原告の署名を求める際に,A大学から原告に対して,1年間の雇用継続であることの説明は一切なく,会計処理のために原告の署名を求めたにすぎない。毎年の契約書の署名の際に,原告はA大学から「次の契約期限の後は働く意思があるか。」と質問されたことは一切なく,契約書に原告が署名することは当然のこととして契約書が作成されていた。そのことが10回も繰り返されてきたものであり,この実態は契約書が会計行政のための形式的なものにすぎないことを示している。 (イ) A大学の外国人教員として任用された原告の上記身分は,平成16年4月1日に被告との間の労働契約上の地位として承継された。 (ウ) 被告は,A大学の地位を承継したものであるので,被告が原告を解雇するためには合理的な理由が必要であるが,かかる合理的理由はない。 イ 被告の主張 (ア) 原告が国立又は公立の大学における外国人教員の任用等に関する特別措置法に基づいて任用された外国人教員であるとの主張は否認する。 原告の採用は,国家公務員法2条7項に基づく契約によるものである。すなわち,国家公務員法2条6項は,「政府は,一般職又は特別職以外の勤務者を置いてその勤務に対し俸給,給料その他の給与を支払ってはならない。」と原則的な規定をしているところ,同条7項は,「前項の規定は,政府又はその機関と外国人との間に,個人的な基礎においてなされる勤務の契約には適用されない。」として,この原則に対する唯一の例外として,外国人の雇用を定めている。 この例外的規定に基づく契約により雇用される外国人の身分は,一般職,特別職のいずれにも属さない国家公務員であって,給与,勤務条件等についても,国家公務員法,一般職の職員の給与に関する法律等の適用はなく,政府又はその機関との契約により決定される。 旧国立学校設置法施行規則30条の3第1項では,「国立大学又は国立短期大学の学長は,国家公務員法第2条第7項に規定する勤務の契約により,外国人を教授又は研究に従事させることができる。」と定めている。これが「外国人教師」の制度であり,原告はこの外国人教師として雇用されたものである。 これを受けて,その取扱いについては,昭和44年4月16日文大庶第251号各国立大学長あて文部事務次官通知「外国人教師の取り扱いについて」等の通知が出されており,これらにより取扱いは詳細に定められている。 すなわち,国立大学及び国立高等専門学校において外国語科目又は専門教育科目を担当させるにたる高等の専門的学識又は技能を有する外国人で,国立大学等が常勤の教師として雇用する者を外国人教師とし(通知第1項),外国人教師には俸給,調整手当,期末手当及び勤勉手当,通勤手当並びに寒冷地手当を支給し(通知第2項),外国人教師との雇用契約の期間は1年を超えないものとし,会計年度の中途で契約する場合はその終期を当該年度の末日とし,この雇用契約は必要に応じて更新することができるが,国外から招へいする場合の招へい期間は,帰国旅費の支給の関係から原則として2年とし(通知第3項)等と定められ,これらの定めの中で外国人教師との契約が締結されるものであり,原告との契約もこれらの定めに基づいてなされた。 このように原告との雇用契約の締結は,前記「外国人教師の取り扱いについて」の通知に従い,当初は国外からの招へいとして平成6年4月1日から2年(最初の1年の契約の後,その後の1年について更新を保証したもの)の契約とされた。 その後は毎年4月1日から1年間ずつの契約が更新されてきたものであり,毎年契約書を作成して,期間1年と明示し,その契約に当たっては,毎年A大学内部の手続である文学研究科教授会の決議を経て,総長の名で締結されてきた。 (イ) 原告は,毎年の契約書の締結の事実を認めた上で,「これは日本国政府の会計行政によるもの」との甲1の表現を引用して,形式的なものにすぎないと主張する。 しかし,甲1の記載では,最初の招へい期間は2年であること,しかし,最初の契約は到着から会計年度の期間で締結し,その次の会計年度の1年を更新して,招へいの2年間の期間とすること,その後は「相互の合意により1年ごとに契約更新することが可能であること」を正確に明示し,前記「外国人教師の取り扱いについて」の通知を遵守している。 (ウ) 国立大学法人法附則4条では,国立大学の職員の身分はそのまま国立大学法人に引き継がれると規定されており,国家公務員法2条6項に定められた一般職の国家公務員については,原則として別に辞令を発せられない限り身分の承継がされている。 したがって,国立又は公立の大学における外国人教員の任用等に関する特別措置法に基づき採用された外国人教員は,一般職の国家公務員であり,身分の承継がされる。 しかし,前記のとおり,原告は,国家公務員法2条6項に定める一般職の国家公務員ではなく,同条7項により,特別に例外として雇用された外国人教師であり,国立大学法人法附則4条の適用はなく,身分の承継はない。 (2) 争点(2)(原告がA大学と締結した雇用契約は,期間の定めのないものとなったか)について ア 原告の主張 (ア) 仮に原告の地位が外国人教員として任用されたものでないとしても,原告とA大学とは,平成6年4月1日,原告がA大学のB部客員教授として平成8年3月31日まで働く旨の雇用契約を締結し,その期間を更新したことによって,原告とA大学との雇用契約は期間の定めのない契約となった。 (イ) 被告は,A大学の地位を承継したものであるので,被告が原告を解雇するためには合理的な理由が必要であるが,かかる合理的理由はない。 イ 被告の主張 (ア) 前記のとおり,A大学は,国家公務員法2条7項に基づいて,旧国立学校設置法施行規則30条の3第1項による外国人教師として原告を雇用したものであり,前記「外国人教師の取り扱いについて」の通知に従い,毎年契約書を作成して,期間1年と明示して雇用してきたものであるから,この雇用契約が継続して繰り返されても,性質が変更となるものではない。 外国人教師の雇用においてはもともと法律の定めにより1年の契約しかできないのであり(ただし,招へいの当初を除く。),A大学は,法律に従い原告との間で1年の契約をしてきたものであって,更新時においても,明確に1年の有期契約であることを明示し,また,原告の契約書への署名についてはその場で求めるのではなく,時間を与えて,原告自身で契約書を確認の上署名している。 (イ) したがって,更新によって原告とA大学との雇用契約が期間の定めのない契約となったとの事実はない。 なお,原告との契約は,B部客員教授としての雇用契約ではなく,外国人教師としての雇用契約である。 (ウ) 前記のとおり,国家公務員法2条7項によ外国人教師としての雇用契約である以上,国立大学法人法附則4条の適用はなく,身分の承継もない。 (3) 争点(3)(原告がA大学との間で締結した期間の定めのある雇用契約上の関係が被告に承継されたか)について ア 原告の主張 (ア) 原告とA大学との間の有期雇用契約は,平成16年3月31日まで更新が繰り返されてきたのであるから,その更新は形式的で,平成16年3月31日の時点では実質的には期間の定めのない労働契約と同じような状態で存続しており,原告には契約更新に対する期待権が生じていた。 (イ) A大学と原告とのこの雇用契約上の関係は,被告の成立後も被告が原告との有期雇用契約を実質的に更新したことによって被告がこれを承継したものである。 (ウ) よって,被告は,平成17年3月31日をもって有期雇用契約を打ち止めとするためには合理的な理由が必要である。 (エ) しかし,以下に述べるとおり,かかる合理的理由はない。 a 被告は,原告と間の雇用契約の打ち止めの理由として,原告との契約を終了させて,その外国人教師枠を「21世紀Center Of Excellenceプログラム」(以下「21世紀COEプログラム」という。)の中で任期付き教官定員として利用する方針を決定したものであり,原告の外国人教師枠を利用することにしたのは,英米文学研究室の外国人教師は所期の目的を達成したと判断されたからであると主張する。 しかし,C教授が原告に告知した内容は「平成8年の大講座化したことに伴って英米文学と英語学が独立し,その際に英米文学の外国人教師枠をしかるべきときに英語学に譲ることが方針として決められ今般の独立法人化による外国人教師枠の定員化を機に,原告の役目も所期の目的を達しているので,原告の雇用契約を打ち止めとして,英語学が任期付き教授ポストを使用することを合意した」というものであり,被告が主張するような説明はなされておらず,21世紀COEプログラムのことは何も触れられていない。したがって,被告の上記主張は,紛争になってから考えられた架空のものであり,雇用契約を打ち止めとする正当な理由とはなり得ない。 また,原告の役目も所期の目的を達しているとの点は,明らかに事実に反している。A大学大学院B研究科案内において,原告の講義中の写真が掲載されており,英米文学にとって原告が枢要な存在であることが裏付けられている。原告は,英米文学のスタッフ3名のうちの1名として,大学院レベルの研究指導に携わっており,着任以来,大学院の講義を担当して教授しているほか,卒業論文・修士論文の口述試験にも審査教官としてかかわっている。 b 被告は,21世紀COEプログラム予算が十分でないことを理由として,原告の雇用を打ち切ってその空いた外国人教師の枠を21世紀COEプログラムのために利用すると主張するが,この主張は虚偽である。 すなわち,被告のB研究科は,21世紀COEプログラムのためにDビルの15階オフィスフロアに部屋を2つ借りているが,その部屋はほとんど利用されておらず,国から得た21世紀COEプログラム推進経費を不要な支出に用い乱費している。 E教授(以下「E教授」という。)は,原告に対して,21世紀COEプログラム推進経費を消化するために頻繁に海外に出掛けなければならないと愚痴をこぼしており,ここでも不要な支出がなされている。 被告は,21世紀COEプログラム研究支援者には高給の外国人研究者を雇用することができないかの如くに主張するが,要綱や要領には21世紀COEプログラム研究支援者の給与に関しては何の制限もない。たまたま被告のB研究科が雇用した21世紀COEプログラム研究支援者の給与が低額であったにすぎない。 c 被告は,原告を「英語を母国語とする外国人教師」であり,英語教職科目担当と考えられたと主張するが,採用条件では,35歳以上の英文学の修士号あるいは博士号を保有するものであればよく,F人でもG人でも英語で授業ができればよいのである。採用の目的は,英文学の教師であり,英語を母国語とすることは条件でなかったのであり,この点でも被告の主張は事実をわい曲している。 イ 被告の主張 (ア) 原告とA大学との間のこれまでの雇用契約は,年度(4月1日を始まりとし,翌年3月31日をもって終了する。)ごとに1年の期間を区切っての雇用契約であり,平成15年度の雇用契約は平成16年3月31日をもって終了した。 平成16年4月1日からは,国立大学法人法の下において,被告と原告との間で,新たに1年限りの雇用契約を開始したものである。 (イ) 平成6年4月1日の契約の当初に,原告に対し,「定年まで勤務できる。」と確約した事実もないし,その後においても「定年まで勤務できる。」と保証した事実もない。逆に,C教授が最初に送付した文書(甲1)の2枚目第4項には,就業期間は有期であることが明らかに記載されている。 一般の教員と異なり,法の定め,国の制度に従って1年という有期契約をしている外国人教師に対して,そのような約束はできるはずもないし,そもそも教員個人にそのような権限もない。 原告との契約が有期契約であるがゆえに,原告自身,次の契約更新がされるかどうか不安に思い,E教授に対し,「来年の契約はどうなるだろう。」と不安な心情を訴え,機会あるごとに相談をなした事実が存在する。 (ウ) 以上のとおり,被告成立前の原告とA大学との間の1年ごとの雇用契約は,法令に基づき明確に期間を区切って契約されてきたものであり,全くの1年ごとの契約の併存であって,形式的に更新されたものではなく,期間の定めのない労働契約と同じような状態になったものでも,原告に契約更新の期待権が発生したものでもなく,雇い止め法理等の適用はない。 (エ) したがって,期間の満了する平成17年3月31日をもって契約を更新しないとの本件回答に問題はなく,特別の理由が必要とは解せられない。 (オ) また,本件では更新しないことに合理的な理由も実際に存在するのであり,仮に原告の主張を前提としても何ら問題はなく,解雇権濫用法理の類推適用の余地はない。 (カ) 本件回答をした経緯,理由は,以下のとおりである。 a 平成8年に英文学研究室が英米文学研究室と英語学研究室に分割された際に,それまで英文学研究室で保有してきた外国人教師ポストについては,英米文学研究室が使用し,もともと英語学研究室にも利用の権利はあったので,しかるべき時期に英語学研究室へと移行するとの約束・了解がなされた。 しかし,英語学研究室として,現実に移行を求めれば,いかに了解事項であるとしても英米文学研究室として困るのは目に見えている。そのため,教授会の了解の下に,独立した研究室になり,学問的にも確立し,学生数においても増加してきた英語学研究室に新たに外国人教師ポストを求めて概算要求するという方策で外国人教師を得ようと努力してきた。しかし,この概算要求が取り上げられることはなく,結局,大学法人化構想が進み,平成14年度半ばころには,法人化後は概算要求自体も不可能となる事実が明らかになり,概算要求による枠の増加の方法はあきらめざるを得なくなり,当初の約束に従ってポスト移行を要求せざるを得ない事態となってきた。 これが,平成15年7月に,原告に対し,平成17年3月をもって契約を打ち切ることを通告した基本的な理由である。 英語学研究室は,概算要求という形で外国人教師を確保したいと努力はしてきたが,それが通らないことになれば,英米文学研究室の外国人教師枠を移行することは了解事項として存在したのである。 b 大学の構造改革として,大講座化,大学院重点化,研究の先端化が挙げられるところ,大学院重点化とは,従来の学部教育研究を主体とした講座組織を,大学院教育研究を主体とする講座組織にシフトすることによって,最先端教育研究組織を構築し,高度専門職業人の育成や研究者養成を行うなど,変革する社会情勢に積極的に応えたものである。 A大学B部でも,平成12年に大学院重点化したことによって,教員組織も大学院での教育研究を専任することとなり,それとともに学部教育研究も兼担することとなった。このため,B研究科所属の教員は,高度化した大学院教育研究の指導責任を果たすために一層業務負担が加重してきた。しかし,原告は,飽くまで「学部教育・研究を主体とした外国人教師」であって,この構造改革の外に位置するままであった。 上記のように,大学は大きく変わることを求められ,その流れの上に21世紀COEプログラムが存在した。 21世紀COEプログラムとは,世界最高水準の研究教育拠点作りを目指し,資金の重点配分をなすもので,平成14年度に始まった国家的プロジェクトである。 この資金の重点配分は,世界的に見て創造的,画期的な観点での一定の研究テーマを探求する研究グループに与えられるものではあるが,その研究が人材育成機能を有し,事業終了後も継続的な研究教育活動が期待できることを要件としており,研究拠点であると同時に教育拠点(人材育成拠点)であることが求められている。 平成14年度において採択された21世紀COEプログラムにA大学B研究科の「H」が入った。これは,大きな名誉であるが,同時に,今後の成功(成果)への責任を負うことになったものであり,その責任は,資金が重点配分される5年間だけの責任ではなく,プログラム終了後も,引き続き研究拠点として継続的に研究活動を続けていかねばならないのであり,そのために次代を担う若い人材を育てておかねばならない。 この21世紀COEプログラムで成果を挙げ,正に文字通り「卓越した研究拠点」,「優れた研究拠点」として評価を得ることが,A大学B研究科の今後の生き残り策である。それゆえに,研究科全体として,このプログラムに取り組み,推進する体制がとられることになった。 前記「H」プログラムとは,意思伝達行為の所産をすべて「テクスト」としてとらえることに特徴があり,一定の情報内容を,効果的に他に伝え,他者を動かし,社会を形成し,揺り動かし,世界を構築していくプロセスの中で,言語,図像,文学,身振りというコミュニケーションの手段はすべて「テクスト」としてとらえられ,これがなぜ選択され,どう機能するか,その一般原理を解明しようとするものである。その一般原理の中では,言語テクストのみならず,非言語テクストが重要なものと認識され,それらを統合した体系網,機能文法へと広がり,方向付けられる。 上記のような体系網・機能文法を非言語テクストに応用する分野は,社会記号論とも呼ばれるものであり,平成14年度に21世紀COEプログラムに採択されると同時に,B研究科として,社会記号論の支援体制を早急に整える必要性に迫られることとなり,記号論と密接な関係にある表象認識学講座を設置すること,社会記号論を専門分野とする外国人の人文学専攻教員1名を採用することという支援策が決定された。 その支援策の決定の道程の中で,外国人教師ポストに関して,21世紀COEプログラムの推進という側面からの要請が一気に高まってきた。これは,単に英米文学研究室の外国人教師ポストを英語学研究室へ移行するということにとどまらず,「H」プログラムをB研究科の下で推進していくことにおいて,このポストに重要な意味付けがされるということであった。 すなわち,当初,B研究科は,21世紀COEプログラム推進経費の中から外国人の人材を確保することを希望していたところ,限られた推進経費(研究拠点形成費補助金)の中から多数の,しかも若手の人材育成を主眼とした雇用をするとなると,1人当たりの給与を低額にせざるを得ないのであり,高度な研究能力を有する外国人研究者の雇用には高い手当を要することから,実現しなかった。 この21世紀COEプログラム推進経費の使途に関して,原告は,21世紀COEプログラムのために借りているDビルの2つの部屋がほとんど利用されていないとか,E教授が21世紀COEプログラム推進経費を消化するために頻繁に海外へ出掛けたなどと主張するが,そのような事実はない。 21世紀COEプログラム推進経費の中から外国人の人材を確保することは実現しなかったが,21世紀COEプログラム採択直後から,平成15年6月に実行することが予定されていたシンポジウムを準備する中で,日本人の研究者と共に協力し,共同して研究ができる外国人の必要性が,より強く認識されてきた。 また,21世紀COEプログラムの予算は5年間と限られているが,B研究科としては,プログラム終了後も引き続き研究拠点として継続的に研究し,成果を挙げる責任があり,そのためには,B研究科の中で引き続き支援し,当該研究を遂行する高度な研究能力を有する外国人研究者を確保していくべきとの要請も厳然として存在した。 しかし,行政機関の職員の定員に関する法律(いわゆる総定員法)の根底にある考え方からすれば,非言語テクストを含めた統合テクスト科学を日本人研究者と同じ目線で共同研究し,その成果を伝える外国人の研究者の採用についての純増は認められないということであり,そのような外国人研究者の確保は,現行の外国人教師のポストを定員枠に振り替え,その定員枠のポストで採用することしか方策はないとの結論に至った。 この外国人研究者の受け入れをなす研究室は,B研究科の中では言語学的手法をとっている英語学研究室が,適任であり,また任務を負うことになる。 一方,原告の専門は英米文学であり,21世紀COEプログラムがとっている言語学的手法とは直接的な関連がなく,21世紀COEプログラム中の共同研究には不適であった。また,外国人教師ポストを廃止し,研究者としての採用(定員化)とする動きの中では,原告では,日本語が理解できず,教授会メンバーとして発言できることや,マネジメント業務をこなすことは期待できなかった。 c 外国人教師ポストを英語学研究室へ移行するとともに,原告との契約を打ち切りとせざるを得なかったことは,以上のことからも明らかであり,B研究科の21世紀COEプログラム「H」は言語学の手法をとり,その一翼を英語学が担っていること,また,英米文学研究室の外国人教師は初期の目的を達成したと判断されたことから,今回の契約更新をしないことになったのである。 原告との間の契約打ち切りは,単にポストの移行を理由とするのみならず,学部教育等を中心に担当している原告に対し,大学院レベルの研究・指導を期待するものでなく,他の教員をもって代替も可能であること,そして,B研究科として,21世紀COEプログラムの成果を挙げて社会的責任を果たし,将来へと進むべき途,また,将来へ生き残る途として,やむを得ざる選択であった。 これに対し,原告は,英米文学研究室にとって原告が枢要な存在であり,大学院レベルの研究指導に携わっており,着任以来,大学院の講義を担当して教授しているほか,卒業論文・修士論文の口述試験にも審査教官としてかかわっていると主張する。しかし,卒業論文と修士論文の作成過程における助言を与える者とは別に,卒業論文・修士論文の審査員は教授会で別途決定される。そして,当該研究室の卒業論文は,研究室所属教員のみで審査し,修士論文は,当該研究室所属教員と他研究室の教員1名で審査される。したがって,原告も審査員ではある。しかし,卒業論文・修士論文の審査は,作成過程の最後に位置するものであり,通常,指導教員は,論文作成過程において指導・助言に当たった上で審査員となるが,平成8年以降は原告には助言の依頼をせず,現実には助言はしないまま審査に当たっており,他の教員とは同列ではない。 被告としては,原告の立場も考慮し,契約打ち切りを平成16年度の1年間は猶予したものの,これ以上の譲歩をすることはできなかったものである。 d 原告は,原告の雇用契約の打ち切りが,あたかも研究科長であるC教授の気持ち一つで決定されたかのような誤解をしているが,そのような事実は全くない。 従前からの英語学研究室への移行の約束と,B研究科全体の将来を見据えた上で,21世紀COEプログラムの推進と支援をいかになすべきかとの模索の中で,現状としては文学研究科の中の英米文学研究室にある原告のポストを打ち切らざるを得ないとの考え方で,B研究科教授会で決定されたものであり,B研究科教授会としては,原告との契約を終了させ,その外国人教師枠を21世紀COEプログラムの中で,任期付き教官定員として利用する方針を最終的に決定したが,そのために原告が他の仕事・就職先を探す便宜を考え,1年だけは更新して,猶予期間を与えて,雇用期間を平成17年3月末日までとし,それ以降は更新しない方針を決定したものである。 契約更新をしないこととした背景は,21世紀COEプログラムとの関係を抜きにしては理解できないことはもちろんである。しかし,それだけではなく,このプログラムの背景にある大学に対して求められてきた大きな流れ(大講座化,大学院重点化による教育研究の高度化,研究の先端化等)が理解されなければならない。この大きな流れの中,国の予算を億単位で獲得し,5年間という長期にわたって遂行されるのが21世紀COEプログラムであり,それだけに,この投資に見合っただけの成果を出すことが期待されており,その期待に応えられ,このプログラム遂行の補完ができる任期付き外国人教授の採用が目指されたのである。しかし,原告は,この流れ,背景等を全く理解しておらず,それは原告が他の教員のように大学運営のスタッフとは位置づけられておらず,1年単位での有期雇用契約者にすぎないことによるものである。 e 前記教授会の決定を受け,C教授は,原告に対し,契約の終了について,最初平成15年7月11日に口頭告知し,その後数回やり取りした。そして,平成15年9月19日,原告は,C教授に対し,契約が平成17年3月末日で終了することを了解し,次の仕事探しのため,契約終了の理由と原告の授業は良かったことを書いてほしいと依頼した。 C教授が原告に通知したのは,本来は平成16年3月末日に終了させたいところであるが,1年猶予し,平成17年3月末日に契約を更新せず終了させるとの点であり,雇用終了と21世紀COEプログラムとの関係等についての詳細な説明はしていない。 もともと,私法上の雇用契約においても契約を更新しないとの意思表示の際に事細かに理由の説明をする必要はない。まして,国家公務員法に基づき,1年ごとに契約を更新するものとして雇用された原告に対し,理由を説明する必要はない。その上,原告は,その職責上大学の運営・マネジメントに携わることがないので,大学組織の変更等と複合している21世紀COEプログラムについて詳細に説明したり話したりしなかったものである。 被告は,これまでの説明の中で,更新しない理由を明らかにしてきたのであるし,21世紀COEプログラムがA大学にとって重要な位置づけを持つプロジェクトであることは原告といえども理解しているはずである。 その後も,21世紀COEプログラムの位置付けの重要性から,原告のポストを定員枠に振り替えて21世紀COEプログラムで共同研究を行う外国人研究者の確保の要請は,強まりはせよ,弱まることはない状況である。 (4) 争点(4)(原告が被告との間で締結した期間の定めのある雇用契約を被告が打ち切ることは許されないか)について ア 原告の主張 (ア) 仮に,原告と被告との有期雇用契約が平成16年4月1日に新たに締結されたものであるとしても,平成16年4月1日からの有期雇用契約の開始時には,平成16年3月31日までA大学と原告との有期雇用契約が長年更新されて原告には有期雇用契約が更新されて定年まで勤務できるとの期待権が生じていた。 (イ) このような事情の下に,被告が原告と実質的に従前と同じ有期雇用契約を締結したのであるから,被告が平成17年3月31日をもって有期雇用契約を打ち止めとするためには合理的な理由が必要であると信義誠実の原則から解釈されるべきである。 (ウ) しかし,前記(3)ア(エ)のとおり,合理的理由はない。 イ 被告の主張 (ア) 平成16年4月1日に始まる被告と原告との雇用契約は,期間1年の契約とする旨を原告に告げ,また,その旨の文書も発送しており,契約更新の期待権が生じる余地はない。 (イ) 被告は,原告に対し,平成17年3月31日をもって被告との雇用契約は終了することを,念のため,改めて通知している。 (ウ) したがって,原告と被告との間の雇用契約は,平成17年3月31日をもって終了した。 (エ) ちなみに,被告が原告と新たな契約を結ばない理由は,前記(3)イ(カ)の理由と同様の理由である。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)(原告は外国人教員として国に任用されたか)について (1) 後掲証拠によれば,C教授は,平成5年10月,外国人教師の選考のための覚書(甲5)を文部省作成のひな形に基づいて作成し,原告あてに送付したが(乙11の1,証人C),それには,地位は外国人教師であり,教授会で認められれば,客員教授としての称号が与えられること,勤務期間は2年(互いの合意で毎年更新できること)とすることなどが記載されていたこと,原告の採用に当たり,原告は,A大学B部の「英文学講座外国人教師詮衡委員会」において,その職歴,業績等に照らし,英文学講座外国人教師として採用するに最もふさわしい者として推薦されたこと(乙12の1,2),このように原告の採用に当たっては,公募ではなく,招へい人事(個別人事)の形式が採られたこと(乙11の1,証人C),平成6年4月7日,A大学総長と原告は,原告をA大学B部英文学及び英語学担当の外国人教師(客員教授)として,同月1日から平成7年3月31日まで雇用するとの契約書を作成したこと(乙1の1の1,2),平成6年11月9日,A大学総長と原告は,給与額を改定する等の内容の更改契約書を作成したこと(乙1の2),平成7年4月3日,A大学総長と原告は,原告をA大学B部英文学及び英語学担当の外国人教師として,同月1日から平成8年3月31日まで雇用するとの契約書を作成したこと(乙1の3の1,2),平成7年10月30日,A大学総長と原告は,給与額を改定する等の内容の更改契約書を作成したこと(乙1の4),平成8年4月3日,A大学総長と原告は,原告をA大学B部英文学及び英語学担当の外国人教師として,同月1日から平成9年3月31日まで雇用するとの契約書を作成したこと(乙1の5の1,2),平成8年12月16日,A大学総長と原告は,給与額を改定する等の内容の更改契約書を作成したこと(乙1の6),平成9年4月1日,A大学総長と原告は,原告をA大学B部英文学及び英語学担当の外国人教師として,同日から平成10年3月31日まで雇用するとの契約書を作成したこと(乙1の7の1,2),平成9年12月12日,A大学総長と原告は,給与額を改定する等の内容の更改契約書を作成したこと(乙1の8),平成10年4月1日,A大学総長と原告は,原告をA大学B部英文学及び英語学担当の外国人教師として,同日から平成11年3月31日まで雇用するとの契約書を作成したこと(乙1の9の1,2),平成10年10月19日,A大学総長と原告は,給与額を改定する等の内容の更改契約書を作成したこと(乙1の10),平成11年4月7日,A大学総長と原告は,原告をA大学B部英文学及び英語学担当の外国人教師として,同月1日から平成12年3月31日まで雇用するとの契約書を作成したこと(乙1の11の1,2),平成11年11月25日,A大学総長と原告は,給与額を改定する等の内容の更改契約書を作成したこと(乙1の12),平成12年4月3日,A大学総長と原告は,原告をA大学B部英文学及び英語学担当の外国人教師として,同月1日から平成13年3月31日まで雇用するとの契約書を作成したこと(乙1の13の1,2),平成13年4月6日,A大学総長と原告は,原告をA大学B部英文学及び英語学担当の外国人教師として,同月1日から平成14年3月31日まで雇用するとの契約書を作成したこと,同契約書において,俸給月額及び調整手当は,従前の額より増額されたこと(乙1の14の1,2),平成14年4月11日,A大学総長と原告は,原告をA大学大学院B研究科及びA大学B部の英文学及び英語学担当の外国人教師として,同月1日から平成15年3月31日まで雇用するとの契約書を作成したこと(乙1の15の1,2),平成15年4月10日,A大学総長と原告は,原告をA大学大学院B研究科及びA大学B部の英文学及び英語学担当の外国人教師として,同月1日から平成16年3月31日まで雇用するとの契約書を作成したこと,同契約書において,俸給月額及び調整手当は,従前の額より減額されたこと(乙1の16の1,2)が認められる。 甲3,乙2,3の1の2,3及び弁論の全趣旨によれば,前記契約書の「雇用」との文言のほか,給与等の勤務条件について,契約によって定められていることに照らせば,A大学総長と原告との間で作成された前記契約書に基づく契約とは,国家公務員法2条7項所定の「政府又はその機関と外国人との間に,個人的な基礎においてなされる勤務の契約」としての外国人教師としての雇用契約(公法上の契約)であると認められる。 (2) これに対し,原告は,平成6年4月1日の採用以来,毎年契約書を締結してきたが,これは「日本国政府の会計行政によるもので」(甲1のC教授の原告あての手紙の記載)あり,その契約書は形式的なものにすぎず,国立又は公立の大学における外国人教員の任用等に関する特別措置法に基づいて,A大学の外国人教員として国に任用されたものであると主張する。 しかし,甲1によれば,C教授は,平成6年1月,原告に対し,招へい期間は1994年(平成6年)4月1日から1996年(平成8年)3月31日までの2年間であること,最初の契約は,A大学に到着の翌日から会計年度の終期までの期間で調印し,次期新会計年度に契約を更新することになること,これは日本国政府の会計行政によるものであること,最初の2か年の任期満了後においては,相互の合意により1年ごとに契約を更新することができることを手紙で伝えていることが認められる。 そして,甲3によれば,昭和44年4月16日文大庶第251号各国立大学長あて文部事務次官通知「外国人教師の取り扱いについて」は,国家公務員法2条7項に基づく外国人教師の雇用契約に関して,雇用期間等について,「外国人教師との雇用契約の期間は1年をこえないものとし,会計年度の中途で契約する場合はその終期を当該年度の末日とする。ただし,この期間は,必要に応じて更新することができる。なお,外国人教師を国外から招へいする場合の招へい期間は,帰国旅費の支給の関係から,原則として2年とする。」と定めていることが認められる。 そうすると,甲1の手紙の内容は,前記「外国人教師の取り扱いについて」に沿うものであると認められる。 したがって,甲1の手紙の「これは日本国政府の会計行政によるもので」との文言から,原告が,国立又は公立の大学における外国人教員の任用等に関する特別措置法に基づいて,A大学の外国人教員として国に任用されたものであると認めることはできない。 また,甲19の2によれば,平成15年11月12日開催のA大学B研究科教授会でのC教授の説明メモには,平成16年度は,平成16年4月にA大学が独立行政法人化することに伴い外国人教師の任用は経過措置となり,平成16年度も継続して雇用することにしたが,原告に関しては雇用を平成17年3月31日までとし,更新は行わない旨の記載があり,外国人教師の「任用」という表現がされていることが認められるが,雇用の更新が予定されているものであって,甲19の2の「任用」という表現から,原告が外国人教員として国に任用されたものと認めるには足りない。 他に原告が外国人教員として国に任用されたものと認めるに足りる証拠はない。 (3) 原告が外国人教員として国に任用されたものではなく,国家公務員法2条7項に基づき外国人教師として雇用されたものであると認められる以上,原告には国立大学法人法附則4条の適用はなく,A大学総長と原告との間の雇用契約を被告が当然に承継することはないと解される。 2 争点(2)(原告がA大学と締結した雇用契約は,期間の定めのないものとなったか)について (1) 前記1(1)で認定した事実によれば,原告がA大学総長と締結した雇用契約書には,雇用期間を1年とすることが明示されていたこと,雇用期間の満了時に契約を更新する際には,その都度新たに雇用期間を1年とする契約書が作成されたこと,平成14年4月11日に作成された契約書において,それまでの職務内容がA大学B部英文学及び英語学担当の外国人教師であったものが,A大学大学院B研究科及びA大学B部の英文学及び英語学担当の外国人教師と改められたこと,平成13年4月6日に作成された契約書において,俸給月額及び調整手当は,従前の額より増額され,平成15年4月10日に作成された契約書において,俸給月額及び調整手当は,従前の額より減額されたことが認められる上,雇用契約の更新においては,毎年10月末か11月ころに次年度のカリキュラムを考える際に,C教授と原告が協議した上,教授会において更新が決定されたものであり(証人C),原告は,契約書にサインをする際,いったん自宅に持ち帰って注意深く読んでからサインをしたことがあったこと(原告本人)が認められる。 (2) 以上の事実によれば,雇用期間の満了による契約更新の都度,具体的勤務条件について協議の上,契約書が作成され,契約更新の際に職務内容,給与額が変更となったことがあるのであるから,原告とA大学総長との間の契約が,更新により平成6年4月から平成16年3月31日まで継続したからといって,期間の定めのない雇用契約に転化したものと認めることはできない。 (3) なお,前記のとおり,原告が外国人教員として国に任用されたものではなく,国家公務員法2条7項に基づき外国人教師として雇用されたものであると認められる以上,原告には国立大学法人法附則4条の適用はなく,A大学総長と原告との間の雇用契約を被告が当然に承継することはないと解されるから,原告とA大学が締結した雇用契約が期間の定めのないものに転化したか否かにかかわらず,その雇用契約を被告が承継したと認めることはできない。 3 争点(3)(原告がA大学との間で締結した期間の定めのある雇用契約上の関係が被告に承継されたか)について (1) 原告は,原告にはA大学との間の有期雇用契約につき契約更新に対する期待権が生じていたところ,A大学と原告とのこの雇用契約上の関係は,被告の成立後も被告が原告との有期雇用契約を実質的に更新したことによって被告がこれを承継した旨主張する。 (2) 確かに,後掲証拠によれば,C教授は,平成15年10月29日,原告との間の外国人教師雇用契約を平成16年度においては更新するが,雇用契約は平成17年3月31日を限りとして,それ以後の雇用契約の更新はない旨を手紙(甲6)で伝えていること,C教授から原告に送付された平成15年12月4日付け書面(甲19の1)に添付された同年11月12日開催のB研究科教授会での説明メモ(甲19の2)には,平成16年度は,平成16年4月にA大学が独立行政法人化することに伴い外国人教師の任用は経過措置となり,平成16年度も継続して雇用することにしたが,原告に関しては雇用を平成17年3月31日までとし,更新は行わない旨の記載があること,平成15年11月12日開催のB研究科教授会の議事概要(乙22の2)に同旨の記載があること,A大学副総長は,平成15年12月24日,原告の代理人弁護士に対し,A大学は,毎年外国人教師と契約更新の手続を行っており,原告に対し,平成16年度については雇用契約を更新し,当該契約期間の満了をもって雇用関係を終了させる旨を知らせている旨の本件回答(甲2)を送付していることに照らせば,C教授,A大学B研究科教授会及びA大学副総長はいずれも,被告が設立される平成16年4月1日以降も,A大学総長と原告との間で締結された雇用契約が被告と原告との間で更新されるものと認識していたと認められる。 (3) しかし,前記のとおり,原告が外国人教員として国に任用されたものではなく,国家公務員法2条7項に基づき外国人教師として雇用されたものであると認められる以上,原告には国立大学法人法附則4条の適用はなく,A大学総長と原告との間の雇用契約を被告が当然に承継することはないと解される。 そうすると,被告と原告との間の平成16年4月1日以降の雇用契約は,A大学総長と原告との間の雇用契約(公法上の契約)が更新されたものということはできず,被告と原告との間で平成17年3月31日までの期間の定めのある雇用契約(私法上の契約)が改めて締結されたものといわざるを得ない。 (4) したがって,被告がA大学と原告との間の雇用契約上の関係を承継したとする原告の主張は,採用することができない。 4 争点(4)(原告が被告との間で締結した期間の定めのある雇用契約を被告が打ち切ることは許されないか)について (1) 乙27によれば,被告は,平成16年12月17日,原告の代理人弁護士に対し,平成17年3月31日をもって原告と被告の間の雇用契約は終了する旨通知しており,雇用契約の更新を拒絶したものと認められる。 (2) 前記のとおり,被告と原告との間の平成16年4月1日以降の雇用契約は,A大学総長と原告との間の雇用契約が更新されたものではなく,被告と原告との間で平成17年3月31日までの期間の定めのある雇用契約が改めて締結されたものというべきであるが,原告とA大学総長との間で締結された雇用契約は,平成6年4月以降,9回の更新により,平成16年3月31日までの10年間継続してきたものであること,その間に原告が従事していた職務は,A大学B部ないしA大学大学院B研究科及びA大学B部の英文学及び英語学担当の外国人教師であり,臨時的な職務ではなく,恒常的に存在する職務であると認められること,外国人教師の中には,雇用契約が5年間を超えて更新されないものと明示されていた者がいたが(甲10の1ないし3),原告の場合には,相互の合意により1年ごとに契約を更新できるとされ,更新継続期間の限定はされていなかったこと,外国人教師の中には,20年以上にわたって雇用契約の更新継続がされた者がいたこと(甲10の4,5,甲35),C教授,A大学B研究科教授会及びA大学副総長のいずれもが,被告が設立される平成16年4月1日以降も,A大学総長と原告との間で締結された雇用契約が被告と原告との間で更新されるものと認識していたこと,原告が被告との間で締結した雇用契約による職務は,それまでのA大学総長との間の雇用契約による職務と同内容のものであると認められること(甲15,36,弁論の全趣旨)に照らせば,平成15年10月29日のC教授の手紙,同年12月4日付けのC教授の作成書面に添付されていた同年11月12日開催のB研究科教授会での説明メモ及び同年12月24日のA大学副総長の本件回答によって,平成16年4月1日以降の原告との間の雇用契約は,平成17年3月31日までであり,それ以後の雇用契約の更新はないことが原告にあらかじめ伝えられていたことを考慮してもなお,原告としては,原告と被告との間で締結される雇用契約についてある程度の継続を期待する合理的理由があったものといわざるを得ない。 したがって,被告が原告との間の雇用契約の更新を拒絶する場合,解雇に関する法理が類推され,その更新拒絶には合理的な理由が必要であると解される。ただし,原告と被告の間の雇用契約が有期契約である以上,その更新拒絶の基準は,期間の定めのない従業員を解雇する基準よりは緩やかなものであると解するのが相当である。 (3) 前記争いのない事実等に,甲33,乙11の1,乙23,証人E,同C,原告本人及び後掲証拠並びに弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。 ア A大学B部では,平成8年に大講座制が導入され,英米文学研究室と英語学研究室が英文学研究室から独立したが,その分離独立の経緯から,原告の外国人教師ポストは英語学研究室にもある程度の利用権があることが両研究室間での合意事項とされていた。 しかし,英語学研究室としては,上記外国人教師ポストを英語学研究室に移行するよう要求しても,英文学研究室が困るだけであるので,平成8年度から平成16年4月まで,別途外国人ポストを概算要求する道を選んでいた。 ところが,総定員法の枠組みの中でこの概算要求が認められることはなく,平成15年7月に国立大学法人化法案が議会で可決され,同年10月1日から施行された後は,かかる概算要求を出すことすらできなくなった。 イ 平成13年6月の「大学の構造改革の方針」に基づき,21世紀COEプログラムとして,平成14年度から文部科学省に新規事業として「研究拠点形成費補助金」が措置された。同プログラムは,我が国の大学に世界最高水準の研究教育拠点を学問分野ごとに形成し,研究水準の向上と世界をリードする創造的な人材育成を図るため,重点的な支援(研究拠点形成費補助金)を行い,もって,国際競争力のある個性輝く大学づくりを推進することを目的とし,①人材育成機能を持ち,②世界的な拠点形成が期待でき,③特色ある学問分野を開拓し,創造的,画期的な成果を出し,④事業終了後も世界的な研究教育拠点であることが求められている国家的事業である(乙28)。 平成14年4月1日の文部科学大臣決定により,「研究拠点形成費補助金交付要綱」(乙24の3)が定められ,「この補助金は,学問分野別に評価を行い,主として研究面においてポテンシャルの高い専攻等が世界的な研究教育拠点を形成するために必要とする経費を専攻等の研究者からなる研究グループに対して補助することを目的とし,もって世界最高水準の大学づくりを推進し,我が国の科学技術の水準の向上及び高度な人材育成に資するものとする。」などとされた。 平成14年9月30日,21世紀COEプログラム委員会において,「平成14年度「21世紀COEプログラム」審査結果について」と題する書面(乙28)が作成され,研究拠点形成費補助金は,当該分野における研究上,優れた成果を挙げ,将来の発展性もあり,高度な研究能力を有する人材育成機能を持つ研究教育拠点の形成が期待できるものなどに対し,重点的支援を行うものであるなどと定められた。 ウ 平成14年10月,A大学が申請していたB研究科の「H」と題する事業が21世紀COEプログラムの補助金の交付対象と決定され(乙8の1),平成15年度においても,同事業は,研究拠点形成費補助金の交付対象と決定された(乙24の2)。 平成14年10月7日,I振興会により,「《21世紀COEプログラム》研究拠点形成費補助金(研究拠点形成費)取扱要領」(乙24の4)が定められ,事業の遂行に必要となる外国人を含む研究員等の雇用等をする場合の方法が示された。 平成15年11月21日に21世紀COEプログラム委員会が作成した「「21世紀COEプログラム」評価要項」(乙29)によれば,評価項目として,「若手研究者が有為な人材として活躍できるような仕組みを措置し,機能しているか」というものがあり,平成16年4月1日,被
https://w.atwiki.jp/hanrei/pages/278.html
山梨県中巨摩郡昭和町教育委員会において期限付き任用の嘱託職員として採用されていた原告X1,X2が,任用期間の終了により職を免ぜられ,再任用をされなかったことに関し,昭和町長である被告Yの発言により名誉を毀損され,また,被告Yの働きかけによって違法不当な免職の処分が行われた等と主張して,被告Y個人に対し,不法行為に基づく損害賠償及び謝罪文の交付等を求め(第1事件),さらに,被告昭和町に対し,嘱託職員としての地位の確認及び国家賠償法1条1項に基づく損害賠償等を求めた(第2事件)事案について,原告両名の被告昭和町に対する国家賠償請求が一部認められた事例 判決 当事者 省 略 主文 1 被告昭和町は,原告両名に対し,それぞれ金120万円及びこれに対する平成16年2月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告両名の被告昭和町に対するその余の請求,被告Yに対する請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,原告両名と被告昭和町との間においてはこれを5分し,その2を原告両名の負担,その3を被告昭和町の負担とし,原告両名と被告Yとの間においては全部原告両名の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 (第1事件) 1 被告Yは,原告両名に対し,それぞれ金200万円及びこれに対する平成15年7月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告Yは,原告両名に対し,原告両名と昭和町議会議員全員が同席する場において別紙謝罪文を交付しかつ朗読して謝罪せよ。 (第2事件) 1 原告両名と被告昭和町の間において,原告両名が被告昭和町嘱託職員としての地位を有することを確認する。 2 被告昭和町は,原告両名に対し,それぞれ金200万円及びこれに対する平成16年2月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,山梨県中巨摩郡昭和町立温水プール(以下「温水プール」という。)において嘱託職員として勤務していた原告両名について,昭和町長である被告Yが,町長室及び町議会議員全員協議会(以下「全員協議会」という。)において,原告両名に対する誹謗中傷を内容とした発言を行ってその名誉を毀損するとともに,町長としての権限を逸脱して教育委員会に働きかけ,原告両名に対する違法不当な免職の処分を行い,原告両名に経済的・精神的苦痛を与えたとして,原告両名が,被告Yに対し,不法行為に基づく損害賠償各200万円及びこれに対する訴状送達の翌日である平成15年7月12日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求め,合わせて,原告両名の名誉を回復するために謝罪文を交付し謝罪する ことを求めるという事案(第1事件),並びに,原告両名に対してなされた上記の免職の処分は,正当な根拠なくなされたものであるから,被告昭和町との間で上記処分の違法無効を前提に原告両名の嘱託職員としての地位の確認を求めるとともに,被告昭和町の代表者である被告Yがその職務として行った原告両名に対する名誉毀損及び違法不当な免職処分について,被告昭和町に対して国家賠償法1条1項に基づき損害賠償として慰謝料各200万円及びこれに対する訴状送達の翌日である平成16年2月4日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求めるという事案(第2事件)である。 2 争いのない事実 (1) 当事者 ア 原告X1は,平成5年12月1日,昭和町教育委員会に嘱託職員として採用され,平成12年4月1日以降は,任用期間半年毎の辞令発令を受けながら,平成15年3月31日まで温水プールにおいて勤務していた者である。 イ 原告X2は,平成5年8月4日,昭和町教育委員会に嘱託職員として採用され,平成12年4月1日以降は,任用期間半年毎の辞令発令を受けながら,平成15年3月31日まで温水プールにおいて勤務していた者である。 ウ 被告Yは,平成11年2月に昭和町長に就任し,平成15年2月に実施された町長選挙での再選を経て,現在に至るまで町長の職にある者である。 (2) 原告両名に対する辞令の発令 昭和町教育委員会は,原告X1及び原告X2に対し,それぞれ平成15年3月31日付けで,雇用期間が終了したことを理由として嘱託職員の職を免ずる旨の辞令を発令した(以下「本件辞令の発令」という。)。 (3) 被告Yの発言等 ア 平成15年3月18日,被告Yは,原告両名を順次町長室に呼び出し,その際,原告X1に対し,「3月末をもって退職してもらう。うちの妻が万引きしたと言っているようだ。」旨の発言をし,原告X2に対し,「3月末をもって退職してもらう。理由は自分の胸に手を当てれば分かる。」旨の発言をした。 イ 平成15年4月11日開催の全員協議会において,被告Yは,原告両名の温水プールにおける金銭管理に関する事項についての発言をした。 (4) 本件辞令の発令後の経過等 原告両名は,平成15年4月9日,昭和町教育委員会の教育長及び被告Yに対し,本件辞令の発令の理由の開示,そして処分の撤回と損害賠償を求める書面を送付したところ,同人ら連名による同月18日付けの回答書が送付された。回答書には,原告両名については,平成14年10月1日付けの辞令をもって,平成15年3月31日までの期間を明示して,温水プール業務の嘱託を任命したこと,期間が終了したことを理由として,同年3月31日をもって嘱託を免じたこと,さらに再度の嘱託を依頼しなかった理由として職務怠慢,協調性の欠如等を指摘するとともに,原告X1については,友人に対する不当な優遇,原告X2においては公務員の中立性を害する行為などの問題行動があったことなどの内容が記載されていた。 3 争点 (1) 被告Yの名誉毀損行為の有無 (2) 本件辞令の発令の違法性 (3) 原告両名の勤務状況等 (4) 損害 第3 争点に対する当事者の主張 1 被告Yの名誉毀損行為の有無について (1) 原告両名の主張 ア 平成15年3月18日の町長室における発言 被告Yは,前記第2の2記載の発言のほか,原告X1に対し,「あんたは,家(うち)のやつが万引きしたことを毎晩毎晩えらい大勢に触れ回ってくれたね。もう4月1日の辞令は絶対書かない。辞めてもらう。嘱託は今日言って,今日退職させてもかまわないんだ。」と発言した。また,原告X2に対し,「3月いっぱいで退職ということで。別に今日でもいいんだけども,代わりはいくらでもいるから。」旨発言し,理由を求める原告X2に対して前記第2の2記載の発言をし,理由を明らかにすることをしなかった。 イ 平成15年3月20日の議員運営委員会及び同年4月11日開催の全員協議会における説明 被告Yは,町議会議員の質問に対し,「この問題は裁判になるのでうかつに言えない。言ったりすると罰せられるので,報告程度にしたい。」と断った上で,「(原告両名には)金銭的不正があった。免職の詳細は見せられないが,新聞のとおりである。」などと言明した。 ウ 被告Yは,上記ア,イのとおり,原告両名を誹謗中傷する発言を繰り返し,原告両名の名誉を毀損した。 (2) 被告らの主張 ア 原告両名が主張する被告Yの発言は,いずれも町長としての職務に関して発生した言動である。町長の職務執行に関して発生した損害は,国家賠償法1条1項により,公共団体たる被告昭和町が賠償の責に任ずるべきであって,町長個人に対する責任を問うべきではないのであるから,本件損害賠償請求は不適法であって却下されるべきものである。 イ 仮に,原告両名の主張が不適法でないとしても,被告Yが行った発言は,前記第2の2において認めたもののみである。 被告Yが行った各発言は,原告両名の社会的地位を低下させるような誹謗中傷ではなく,原告両名の名誉を毀損するものではない。 そもそも,平成15年3月20日の議員運営委員会においては,原告両名について発言をしたこともないはずである。 ウ また,被告Yの発言が,原告両名の名誉を毀損するものであったとしても,平成15年3月18日の町長室における発言は,原告両名の職務態度等に職員として不適当な行動があったことを他の職員らから聞き及んだため,原告両名の再任をしない旨の理由を述べるために必要な発言であったのであるから,何ら違法な発言ではない。 さらに,平成15年4月11日開催の全員協議会における被告Yの発言についても,議員からの質問に対する町長としての必要な答弁であって,正当な職務行為によるものであるから,何ら違法はない。同年3月20日の議員運営委員会において同趣旨の発言があったとした場合も上記と同様である。 なお,全員協議会における被告Yの発言は,原告両名の退職後に判明した簿外の現金の保管,管理があったことを受けて,「プールの金銭の保管にルーズな面があった。」旨言ったものである。 2 本件辞令の発令の違法性について (1) 原告両名の主張 ア 原告両名についての雇用形態は,形式的な雇用期限が来ても,新たな辞令は何らの審査もなく,特段の問題がない限り継続されてきたものであり,原告両名は,将来にわたって特段の事由のない限り昭和町嘱託職員としての地位を保障されるという期待権を有していた。 被告昭和町及び昭和町教育委員会が平成15年3月31日に行った「嘱託職員を免ずる」旨の辞令の発令は,単に任期の満了によるものではなく,「雇い止め」の処分である。 イ そもそも本件辞令の発令は,形は任命権者である昭和町教育委員会の処分ではあるが,実質は,無権限である被告Yが行った無効な処分である。昭和町教育委員会は,被告Yの不当な圧力に屈し,盲従した違法な処分を行ったのである。 また,本件辞令の発令は,原告両名に対する不利益処分であるのに,地方公務員法49条以下の規定に基づく「不利益処分に関する説明書の交付」等何らの措置も講じられておらず,やはり違法な処分といわざるを得ない。 ウ 原告両名の上記の雇用形態に照らしてみれば,被告昭和町及び昭和町教育委員会が原告両名の任期満了雇用継続の判断をするに際しては,まったくの自由裁量権はなく,一定の信義則ないし権利濫用の法理に基づく公正な判断措置が要請されるというべきである。にもかかわらず,被告昭和町及び昭和町教育委員会は,原告両名にとって,身に覚えのない事柄を理由に,本人の弁明を聞くこともなく,町のうわさ程度を基に本件辞令の発令を行った。 したがって,本件辞令の発令は,原告両名に対する根拠を欠いた違法・無効な処分である。 (2) 被告らの主張 ア 原告両名は,昭和町教育委員会の嘱託職員として採用,雇用されていたのであり,昭和町の嘱託職員として採用,雇用されていたものではない。 イ 原告両名は,競争試験または選考を経た任期の定めのない正規任用の職員ではなく,嘱託期間を平成14年10月1日から平成15年3月31日までとして任用期間を明示の上,任命された昭和町教育委員会の期限付き任用職員である。原告両名の地位が任期の定めのない正規職員の地位に転化することはなく,原告両名は,再任がなければ,任用期限の到来により任期を満了して職員の身分を喪失するにすぎない。原告両名を再任しないことについて何ら処分はなく,本件辞令の発令は,免職の処分をしたものではない。 また,昭和町教育委員会の教育長は,平成15年3月24日,原告両名に再就職活動期間を与えるため,7月末までの再任について希望の有無を打診したが,原告両名はそれを拒否したため,平成15年3月31日付けで雇用期間が終了したのであって,「雇い止め」をしたのではない。 ウ 被告Yは,教育長に圧力をかけて原告両名の嘱託の地位を剥奪したことはない。まして,被告Yが町長の権限を濫用して人事を私物化しているようなことは全くない。 そもそも,地方自治法によれば,町長には,教育委員会の職員の任免に関する意見を述べる権限があると解されるところ,原告両名の公務員としての不適当な行動を再任用を消極的に解する一事由として捉え,任用期限の到来をもって任用を終了する旨の予定を告げることは何ら違法な行為でなく,町長の権限を濫用した行為でもない。 3 原告両名の勤務状況等について(第3の1(1)イ,1(2)ウ,2(2)ウに関して) (1) 被告らの主張 ア 原告両名の温水プールにおける勤務状況には,公務員たる職員として不適当な行動があった。 ① 原告両名は,勤務時間中に,アルバイト職員に仕事をさせて,自らは健康器具で体操をしたり,近くのホームセンターに買い物に出かけるなどの勝手な行動をした。 ② 原告X1は,平成11年8月ころから退職するまでの間,知り合いの町外者に対して,町内者用の格安の入場券(回数券)を発売,交付してやり,その券を用いて入場するのを黙認していた。また,温水プールでの売上げが合わなかったとき,アルバイト職員を泥棒扱いした。 ③ 平成15年2月2日施行の昭和町長選挙においては,公務員として公正・中立な行動をすべく注意・指導がなされていたのにもかかわらず,原告X2は,平成15年1月ころ,温水プール受付で,来場した有権者に対し,町長立候補予定者の個票を渡して作成を依頼するなどし,また,原告X1は,「町長(被告Yのこと)の奥さんは以前万引きをしていた。」旨の話を他の人にしていた。 イ 被告らは,主に原告両名の同僚職員らとの面談あるいは電話を通して,平成14年12月ころから平成15年1月にかけて上記事実を聞き及んだものである。 (2) 原告両名の主張 原告両名は,被告らが主張するような不適当な行動はしていない。 ① 原告両名は,勤務時間中にアルバイト職員に仕事をさせて健康器具を利用した事実はない。前所長時代(平成10年4月から平成12年6月)に,前所長から手が空いているときは使ってよい旨言われたため,一,二回程度利用したことはあるが,平成12年7月以降は一度も利用したことはない。また,原告両名は,勤務時間中に私用で買い物に出かけことはない。買い物は,温水プールにおいて必要な品物が切れた場合に,上司の許可を得て,まとめて買いに行くことにしていたためであり,公務である。原告両名以外の職員も多数行っていたものである。 ② 原告X1は,町外者を町内者用の格安入場券で入場させたことはなく,アルバイト職員を泥棒扱いしたこともない。 ③ 平成15年2月2日施行の昭和町長選挙に関して,原告X2が勤務時間中に,立候補予定者の個票を集めたり依頼をしたりしたことはない。原告X1が,被告Yの妻が万引きをしていたとの話をしたこともない。 4 損害 (1) 原告両名の主張 被告Yによる名誉毀損行為によって被った精神的苦痛,及び,被告Yが権限を逸脱して行使した,あるいは町長の職務として行使した違法不当な圧力により,嘱託職員としての地位を奪われたことから生じた経済的,精神的苦痛を金銭的に見積もると,原告各々につき被告らが各自200万円の慰謝料を支払うのが相当である。 (2) 被告らの主張 原告両名が主張する損害については争う。 第4 当裁判所の判断 1 上記争いのない事実に証拠(甲15,16,証人A,同B,同C,同D,同E,原告X1,原告X2及び被告代表者・被告本人Y[ただし,いずれについても下記の認定に反する部分は除く。なお,書証については枝番を含む。]と各項目掲記のもの)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。 (1) 原告X1及び原告X2の勤務関係等 原告X1は,平成5年12月1日,昭和町教育委員会に嘱託職員として採用され,平成12年4月1日以降は,任用期間半年毎の辞令発令を受けながら,平成15年3月31日まで温水プールにおいて勤務していた。 原告X2は,平成5年8月4日,昭和町教育委員会に嘱託職員として採用され,平成12年4月1日以降は,任用期間半年毎の辞令発令を受けながら,平成15年3月31日まで温水プールにおいて勤務していた。 原告両名に対しては,「生涯学習課温水プール業務を嘱託する」,「月額15万1000円を給する」「嘱託期間 平成14年10月1日から平成15年3月31日まで」とする平成14年10月1日付け辞令が発令されていた(乙14の1・2)。 昭和町教育委員会は,原告X1及び原告X2に対し,それぞれ平成15年3月31日付けで,雇用期間が終了したことにより嘱託職員の職を免ずる旨の辞令を発令,交付した(甲1,2)。 (2) 昭和町の職員採用状況 昭和町では,昭和町職員定数条例(昭和42年昭和町条例第3号)により正規職員の採用に関して定数に上限が設けられていたところ,人件費等の肥大化を防ぐともに,行政・住民サービス向上のために,職種に応じて嘱託職員,臨時職員(以下両者を合わせて「嘱託職員等」という。)を採用する運用が行われていた。嘱託職員等の採用に際しては,「昭和町嘱託職員及び臨時職員等の給与及び旅費に関する規則」(昭和63年6月28日規則第10号)に基づいて採用し,給与や期末手当等も上記規則に基づき昭和町から支給されるという運用が行われており,概ね,昭和町全体で約170名,そのうち教育委員会において67名の嘱託職員等が採用されていた(平成15年4月1日当時)。 嘱託職員等の採用については,従来いわゆる縁故採用が行われていたが,平成12年6月ころからは公募を含む登録制度が取り入れられ,そのころから,任期毎に6か月(特別職の場合は1年の場合もある。)の任用期間を明示した辞令を交付するという扱いを行うようになった。 また,昭和町教育委員会における嘱託職員等の採用においては,教育長が実質的な人事権を有し,教育委員会が辞令を交付することとなるが,実際上増員や異動といった職員配置の変更が必要な場合には,教育委員会として事前に申し入れをし,昭和町長,総務課長と協議をする方法を採っていた。 (3) 温水プールにおける業務体制及び業務内容 ア 平成15年3月当時(同年3月31日付け「昭和町教育委員会事務局等の組織に関する規則の一部を改正する規則」〔教委規則第4号〕施行前),温水プールは,教育委員会の所管であり,同委員会事務局生涯学習課が管理・運営を行っていた。同委員会事務局には生涯学習課長とは別に温水プール所長(以下「所長」という。)を置くものとされており,所長は生涯学習課生涯スポーツ係の組織下にあり,所長は施設を掌理し,館員を指揮監督するものとされていた(「昭和町教育委員会事務局等の組織に関する規則」平成11年7月30日教委規則第3号)。 温水プールは,町の正規職員が務める所長1名のほか,嘱託職員等9名くらいの体制で構成されており,嘱託職員等については,早番,遅番の二交替制が取られていた。 原告両名が嘱託職員として採用された平成5年ころにはF所長が就任しており,その後,G所長,生涯スポーツ係長であったHが所長を兼務するなどの時期を経て,平成13年4月から平成15年3月31日までE所長が在任していた。 イ(ア) 原告両名を含む嘱託職員等の業務内容は,主として一般の窓口受付,清掃業務,監視業務などであり,具体的には,施設の清掃,フロントでの利用者応対,町内回数券の販売,委託スポーツ用品の販売,町外者自動販売機の管理,ジュース等の自動販売機の管理,プールの監視,トレーニングルームの受付,売上金,利用者数等の集計作業などであった。 (イ) 温水プールは,1回の利用毎に,町外者であれば900円,町内者であれば300円を支払うシステムで,町内者が利用する場合,原則として回数券(12枚綴り3000円)を用いることとされていた。ただ,町内者が回数券を忘れたとか,試しに利用したいといった場合には,回数券を1枚ずつ300円でばら売りをすることも行っていた。この場合,1綴りの回数券12枚すべてをばら売りにすると,600円の剰余が生じることとなるが,この剰余金は,売上げには計上せず,別に保管しておき(以下,この方法で保管されていた金員を「簿外金」という。),売上金に何らかの理由で不足が生じた場合に,所長や係長の了承を得て,不足の穴埋めに用いるなどの処理が行われていた。この簿外金の扱いは,原告両名が温水プールに配 属された平成5年ころには既に行われていたもので,平均して数万円程度の簿外金が日常的に存在していた。 上記のような簿外金の扱いは,平成8年か9年ころいったん見直され,集計表のスタイルが変更されたが,ばら売りによって生じる600円の剰余金を手元に保管しておき,不足が生じた場合にこれに当てる運用は維持された。 平成12年秋ころ,当時所長を兼務していたH係長は,簿外金の扱いの抜本的な見直しを行い,ばら売りによって生じた600円も売上げとして会計に計上し,以後,売上金の不足が生じた場合などは,担当した職員が自己負担で補うこととされた。 (ウ) 温水プールでは,町内者と町外者の利用料金に上記のとおり差異があったところ,原告両名が勤務し始めた当初は,町内者に氏名と住所を記載させて確認をする方法が行われたこともあったが,その後,平成6年か7年ころには,口頭申告のみの確認に簡略化され,厳密に町内者か町外者かを区別し,確認をするようなことまでは行われていなかった。 (エ) 温水プールの清掃用品など消耗品の購入は,不足している物品がある程度の量になると,職員らが交替で近くのスーパーに自家用車を使用して買いに行くことになっていた。原告両名が交替で行くこともあり,特に原告X2が1人で物品の購入に行く回数が多かった。 (オ) 温水プールには,プールのほかトレーニング機器等の設備も設けられていたところ,職員らの要望もあり,休憩時間には,施設を利用することが許されていた。E所長のころにも同様の扱いが維持されており,勤務終了後である午後5時以降にはプールを利用したりトレーニング機器を利用したりする嘱託職員等がおり,原告X1もその1人であった。 温水プールの職員らが施設を利用する場合,利用料金を支払わないですることが容認されていた。 (カ) 原告両名は,約10年間にわたって温水プールで勤務したところ,その間,職務上の問題行動により教育委員会からの不利益処分を受けたことはなく,所長や生涯学習課長等の直属の上司から,勤務態度について個別に注意を受けたこともなかった。 (4) 本件辞令の発令に至るまでの経過 ア 被告Yは,平成11年ころから,原告両名の勤務態度が良くないとの話を聞くことがあった。その話の情報源は,温水プールの臨時職員であったDやI,監査委員をしていた町議会議員のJ,匿名の投書などであった。被告Yは,Dとはかねてから親交があったほか,Iとは親戚関係にあった。 原告両名に関する話のうち,原告X2が選挙の個票(立候補者の後援会入会カード)を取っているらしいとの件については,被告Yは,平成14年11月ころ,E所長に当該事実の確認を求めた。E所長は,当該事実を見たことも聞いたこともなかったことから,原告X2に確認をしたところ,原告X2はこれを否定したため,E所長はその旨を被告Yに報告した。その後,E所長も,被告Yも,改めて原告X2に事実の確認を行うことはなかった。 被告Yは,Dらから聞いていたその他の原告両名の種々の勤務上の問題行動について,原告両名や温水プールの所長,教育長らに直接事実の確認を行ったことはなく,調査を行うこともなかった。 イ 町長室におけるやり取り (ア) 平成15年3月18日,被告Yは,原告両名を順次町長室に呼び出した。町長室には,被告Yのほか,収入役,総務課長,A教育長,教育委員会のK生涯学習課長,E所長が集まった。 A教育長は,町長室に何のために集まるのかの理由も事前には聞いておらず,まして,原告両名の任期を今期限りとするということについて,被告Yや総務課長との間で事前に協議をしたこともなかった。 (イ) 被告Yは,町長室に呼び出した原告X1に対し,「うち(被告Y)の妻が万引きしたとのうわさを触れ回った。4月1日の辞令は書かないから3月末をもって辞めてもらう。」旨の発言をした。 原告X1は,上記うわさを触れ回った覚えはないこと,誰が言ったことか教えて欲しい旨申し出た。 A教育長は,その場で,被告Yに対し,急なことであり,生活のこともあるとして取りなしたが,被告Yの返答はなく,原告X1もそれ以上特に発言はしなかった。 (ウ) 被告Yは,次に,原告X2を町長室に呼び出し,「3月末をもって退職してもらう。理由は自分の胸に手を当てれば分かる。」旨の発言をした。 原告X2は被告Yに理由は何かを尋ねたが,被告Yはこれを明らかにはしなかった。 ウ A教育長との電話でのやり取り A教育長は,原告両名が辞めた場合の再就職の事情等を考慮して,3か月から4か月の期間再任用する方針を検討し,被告Yの了承を得た。 平成15年3月24日,A教育長は原告両名に電話をし,7月までの再任用の意向を伝えたが,原告両名は上記申し出を断った。 エ 全員協議会等における被告Yの発言 (ア) 平成15年3月20日,町議会の議長の諮問機関であり,議会の運営に関する諮問を行う議員運営委員会において,議長から職員の人事や選挙人事をしたのではないかとの質問を受けた被告Yは,「(温水)プールの職員に不正があったので辞めてもらった。」旨の答弁をした。 議員運営委員会は一般に公開はされておらず,その出席者は,議長,町議会の各委員会の代表者,被告Y,助役,総務課長であり,Bは町議会議員としてこれに出席をした。 (イ) 同年4月11日,町議会の開催に先だって行われる全員協議会において,町議会議員からの質問に対し,被告Yは,「温水プールの嘱託職員2人に金銭的な不正があったので辞めてもらった。裁判になるから詳しいことは言えない。」旨の答弁をした。 全員協議会は,一般に公開はされていないものの,町議会議員全員,被告Y,収入役,総務課長,A教育長などが出席していた。 本件辞令の発令後の経過等 温水プールに勤務する嘱託職員等のうち,平成15年3月31日をもってその職が免ぜられたのは原告両名のみであった。 原告両名は,同年4月9日,A教育長及び被告Yに対し,本件辞令の発令の理由,処分の撤回と損害賠償を求める書面を送付したところ(甲3),同人らは連名で同月18日付けの回答書を送付した(甲4)。上記回答書には,原告両名については,平成14年10月1日付けで,平成15年3月31日までの期間を明示して,町立温水プール業務の嘱託を任命したが,その期間が終了したので同日をもって嘱託を免じたこと,嘱託を依頼しなかった理由は,原告両名については,「私用による無断外出を初めとする職務怠慢,職場同僚に対する嫌がらせ等にみられる協調性の欠如,他人を犯罪者呼ばわりするような性向」があるとし,さらに原告X1については,「プール料金における町外の知人・友人に対しての不当な優遇」,原告X2においては ,「公務員の中立性を害するような町長選挙における特定候補者への投票依頼」がみられたなど,「嘱託職員として不適当な種々の問題行動を重ねて」いたので,嘱託を終了することとしたなどとの内容が記載されていた。 原告両名は,平成15年4月24日,昭和町公平委員会に対して地方公務員法49条の2に基づく審査請求を行ったが,同年6月2日,上記委員会は,期間限定付の嘱託職員については,任用期間の終了により嘱託職員の地位は喪失するものであって,教育委員会が行政処分をしたものではないなどとして,原告両名の不服申立ては不適法であるから却下する旨の裁決を行った(甲6)。 2 そこで,上記認定事実に基づき,各争点につき順次検討する。 (1) 被告Yの名誉毀損行為について(争点(1)) ア 被告Yが原告両名に関して町長室及び町の協議会等において発言した内容は上記のとおりと認められる。 名誉とは,人がその品性,徳行,名声,信用等の人格的価値について社会から受ける客観的な評価,すなわち社会的名誉を指すものであり,人が自己自身の人格的価値について有する主観的な評価,すなわち名誉感情は含まれないと解されるところ(最高裁昭和45年12月18日第二小法廷判決民集24巻13号2151頁),名誉毀損に当たるか否かは,客観的にみて,人の社会的評価や信用が低下したかといえるかどうかにより判断すべきである。 イ そこで,まず,被告Yの平成15年3月18日の町長室における発言につき検討する。 (ア) 原告X1に対する被告Yの発言としては,原告X1が,被告Yの妻が万引きしたとの話を触れ回ったこと,4月以降の採用はしないといったことが認められる。 被告Yの発言のうち,万引きの話を触れ回ったとの点は,原告X1が他人の犯罪行為を触れ回ったという事実を摘示することで,その品性に関わるものともいえそうである。しかし,発言の内容は,抽象的なものにとどまっており,原告X1の品性に対する誹謗中傷といったものとまでは認められない。また,発言の場や発言の趣旨に照らせば,上記発言をもって,客観的に原告X1の社会的評価を低下させるものとまでは認め難い。 被告Yが4月以降の採用をしない旨の発言をした点は,何ら原告X1の社会的評価を低下させるものとは認められない。 (イ) 原告X2に対する被告Yの発言は,3月末で辞めてもらうこと,自分の胸に手を当てれば分かるといったものであるところ,当該発言が,原告X2の社会的評価を客観的に低下させるものとは認められない。 (ウ) したがって,町長室における被告Yの発言は,原告両名の名誉を毀損するものとは認められない。 ウ 次に,被告Yの平成15年3月20日の議員運営委員会及び同年4月11日の全員協議会における発言について検討する。 (ア) 被告Yの発言は,結局のところ,温水プールの嘱託職員2人に金銭的不正があったから,それを原因として辞めてもらったことを内容とするものである。 金銭的不正があったという事実の摘示は,人の信用といった人格的価値に関わる事項であり,一般的に人の社会的評価を低下させるものといえる。 この点,議員運営委員会における被告Yの発言は,プールの職員に不正があったとするもので,いくらか抽象的な内容にとどまっていることが認められるものの,職員に辞めてもらうような不正があったとすることを内容としており,人の社会的評価を低下させるものと認められる。 そして,議員運営委員会や全員協議会は一般には公開されておらず,その出席者は,町議会議員や昭和町の役職に就く者などに限定されてはいるものの,複数人が集まる公的な場での発言であり,発言された内容が伝播性を有することは容易に認められる。 また,被告Yの発言では,原告両名の名前が具体的に示されたわけではないものの,温水プールの職員が総勢10名に満たないこと,同時期に温水プールを辞めた嘱託職員は原告両名だけであったことからすれば,上記発言は原告両名を特定し得るに十分なものといわざるを得ない。 したがって,被告Yの議員運営委員会及び全員協議会における発言は,原告両名の名誉を毀損するものと認められる。 (イ) これに対し,被告らは,被告Yの上記発言は,町長としての必要な答弁であって,正当な職務行為によるものであるから違法ではないと主張する。 確かに,被告Yの発言は,町議会議員等からの質問に対する町長の答弁として行われたもので,職務の執行に際して行われたものと認められるし,その内容に照らし,公共の利害に関する事実について述べたものであるとも認められる。 被告Yの上記発言が専ら公益を図る目的に出たものであり,かつその内容が真実であるか,あるいは,真実でないとしても,真実と誤信したことについて確実な資料・証拠に照らし,相当の理由がある場合であれば,発言の違法性がなく,不法行為にならないものと解される。 そこで,以下,発言の目的,発言内容の真実性等につき検討する。 (ウ) 被告Yの発言は,原告両名の退職後に判明した簿外金の保管の事実について,温水プールの金銭の保管にルーズな面,すなわち,金銭的不正があったことを理由として温水プールの職員を辞めさせたという内容であり,その主要な伝達事実は,原告両名に簿外金の保管という金銭的不正があったことを摘示したものと認められる。 確かに,上記認定のとおり,温水プールにおいて,少なくとも平成5年ころから平成12年ころまで,およそ正当とはいえない方法で簿外金の管理・保管が行われていた事実が認められる。 被告Yは,温水プールの臨時職員であったDやIらから簿外金の存在や取扱いを聞いたことに加え,原告両名については,被告Yが町長に就任した平成11年ころから良くないうわさを聞いていたところ,原告両名の勤務年数が長く,勤務態度が横柄で,新しい所長の命令に従わないといった問題行動があるとも認識していたため,簿外金についても原告両名の責任を追及することとした旨述べている。 しかし,上記認定事実によれば,簿外金は,その当時の所長や係長など温水プールにおける管理職の指示によって保管され,その指示によって売上金の不足を充当するなどに当てられていたものであったと認められるほか,平成13年にE所長が就任する前には簿外金は整理されて正規に会計に計上され,適正な処理が行われるようになったことも認められる。そして,簿外金の扱いに関して,被告Yは,原告両名や他の嘱託職員等はおろか,当時の所長や生涯学習課長など直属の管理職に対してすら,簿外金の保管状況,発生した理由や時期,その金額等について事実調査や確認をしたことがなかったというのである。 そして,A教育長は,原告両名に金銭的不正があったとの話は,4月11日の全員協議会における被告Yの発言で初めて聞いたことであって,事前に課内で調査をしたことはなかったし,後になって調べてみても,原告両名に金銭的不正があったという事実は認められなかった旨証言している。 そうすると,温水プールにおいて簿外金の保管・管理があったことをもって,原告両名に金銭的不正の事実があったということはできないし,原告両名の金銭的不正を疑うに足りるような事実確認や調査が行われた形跡すら認められないというほかない。 (エ) したがって,被告Yの発言は真実性の立証がなく,また,被告Yが上記発言をするに際して,事実確認や調査を経るなど,確実な資料や証拠に基づいて発言をしたことも認められない。さらに,これらの事情や,下記(2)で詳しく検討する事実関係に照らすと,被告Yの発言が専ら公益を図る目的に出たものと認めることも困難である。 以上の次第で,議員運営委員会及び全員協議会における被告Yの発言は,原告両名の名誉を毀損するものであり,かつ,違法性を阻却する事由もないから,不法行為に当たるというべきである。 (オ) なお,原告両名は,被告Y個人に対しても,名誉毀損に基づく損害賠償請求及び謝罪文の交付等を求めるものであるが,その発言内容や発言に及んだ契機,上記発言が町長としての職務執行に当たって行われたものであることにかんがみれば,公務員個人である被告Yが賠償の責を負うものではなく,公務員が職務執行に際して行った行為として,公共団体である被告昭和町が国家賠償法に基づく賠償責任を負うにとどまるというべきであり,被告Yに対する請求は理由がない。 (2) 本件辞令発令の違法性及び原告らの勤務状況(争点(2)及び(3)) ア(ア) 被告らは,原告両名は教育委員会から辞令交付を受け,教育委員会に嘱託職員として採用されていたのであり,昭和町の嘱託職員ではないから,被告を昭和町とすることは妥当でないと主張するため,検討する。 教育委員会は,地方公共団体の教育に関する事務を処理する執行機関(地方自治法180条の8,地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下「地教行法」という。)2条)であり,具体的には,教育委員会の所管に属する学校その他の教育機関の設置,管理及び廃止に関することやスポーツに関することについて事務を管理し,執行することとされている(地教行法23条)。 そして,地方公共団体は,法律で定めるところにより,学校,図書館,博物館,公民館その他の教育機関を設置する旨定められており(同法30条),上記の教育機関には一定の職員を置くこととされている(同法31条)ところ,教育委員会は,当該教育機関の職員の任免その他の人事に関することについても職務権限を有しており(同法23条3号),教育長の推薦により,職員の任命をするとされており(同法34条),職員採用においては教育委員会に人事権が認められている。 しかしながら,教育委員会はあくまで地方公共団体の執行機関の一つにすぎない。所管の教育機関で働く職員の任免,給与,懲戒,服務その他の身分取扱いに関する事項は,地教行法等に特別の定めがある場合を除き,地方公務員法に基づくとされ(同法35条),さらに,具体的には地方公共団体が定める条例や規則に基づくこととなる。 昭和町教育委員会においても,嘱託職員等の採用は,昭和町の定める条例や規則によって行っていたものであり,嘱託職員等の実質的な勤務関係は当該地方公共団体との間で生じ,給与も当該地方公共団体から支払われるものである。 よって,原告両名と被告昭和町との間に勤務関係が存しないとする被告らの主張は失当である。 (イ) 地方公共団体における期限付き嘱託職員等の採用は,それを必要とする特段の事由が存在し,職員の身分保障の趣旨に反しない場合に許されるところ(最高裁昭和38年4月2日第三小法廷判決民集17巻3号435頁),昭和町においても,条例で定められた正規職員の定数に限りがある中で,充実した行政・住民サービスを提供するため,専門的知識や経験を要したり,習熟を要するといったものではない職務について,規則に基づいて嘱託職員等を採用する運用を行っていた。 このような状況のもとで,原告両名は,昭和町が設置・運営し,教育委員会が所管する温水プールにおいて,窓口の受付,清掃や監視業務といった一般的事務を行う嘱託職員として採用され,その任期は半年とされ,半年毎に期間が更新されるというものであったが,このような期限付き任用を行うことが許容されることに問題はない。 イ 期限付き任用の嘱託職員等については,競争試験や選考を受けた期限の定めのない正規職員と異なり,予定任用期間の満了により当然に退職となるというべきであり,その後の再任用は,任命権者の行う一方的行政処分としての新たな任用行為というべきものと解される。 したがって,任用される職員において,任用予定期間の満了後に再び任用される権利,もしくは任用を要求する権利,または再び任用されることを期待する法的利益を有するものと認めることはできない(最高裁平成6年7月14日第一小法廷判決集民172号819頁(判時1519号118頁)参照)。 原告両名は,平成5年から平成15年までの間,新たな辞令の発令が特に審査を経ることなく継続されてきたことをもって,嘱託職員としての地位確認を求めるものであるが,上記のとおりの期限付き任用職員の任用行為の性質に照らせば,原告両名が主張する事実をもって,将来にわたって嘱託職員の地位を保障するような権利や法的利益が生じていると認めることはできない。 本件において,原告両名につき任用期間の満了後,再任用がなされていないのであるから,原告両名が期間満了後も引き続き嘱託職員の地位を有しているとは認められない。 ウ 以上のとおり,期限付き任用の嘱託職員等が,任用期間満了後に再任用されることを求める法的権利や法的利益を有しないことは明らかであるというほかない。 しかしながら,任期満了後も任用が継続されることを職員が期待することが無理からぬものとみられる行為を任命権者がしたというような特別の事情がある場合には,任期満了により退職した職員に対する国家賠償法に基づく賠償を認める余地があることは上記平成6年最高裁判決も認めるところである。そこで,本件においてそのような特別の事情が存在するかどうかを検討する。 エ 組織的な運用について (ア) まず,被告らは,原告両名の再任用をしなかったことについて,長期間にわたり同一の嘱託職員等が任用されることによる事務の低下等を指摘する。 しかしながら,上記各証拠によるも,昭和町において任用期間が長年にわたる嘱託職員等について,任用期間の更新を一定の採用年数経過後は認めないとか,任用期間を把握して,更新継続をしないとの運用をするなどの措置を講じていたことは認められない。 被告Yにおいても,長年にわたり任用が更新されている嘱託職員等の人数や勤続年数,その割合や配置状況などを全く把握しておらず,抽象的に事務の低下等のおそれを指摘しているのみである。 また,A教育長も,E所長も,在任期間であった平成13年から平成15年にかけて,昭和町教育委員会において,再任用を希望した嘱託職員等についてそれを認めず,再任用をしなかったといった例はなく,原告両名の件が初めてのことであったとしている。 (イ) 以上からすれば,長年嘱託職員として何らの審査を経ることなく再任用が継続されていた原告両名について,組織的な運用として再任用を行わなかったと認めるような事情は認められないというほかない。 オ 原告両名の勤務上の問題行動について (ア) 次に,被告らは,原告両名の再任用を消極的に解した事情として,原告両名には「私用による無断外出を初めとする職務怠慢,職場同僚に対する嫌がらせ等にみられる協調性の欠如,他人を犯罪者呼ばわりするような性向」があったこと,さらに,原告X1については,「プール料金における町外の知人・友人に対しての不当な優遇」をしていたこと,原告X2については,「公務員の中立性を害するような町長選挙における特定候補者への投票依頼」がみられたことなどを挙げており,原告両名は「嘱託職員として不適当な種々の問題行動を重ねて」いたとしている。 そして,上記の事情は,監査委員であった町議会議員,DやIら温水プールの臨時職員,匿名の投書などによって寄せられた情報であり,その内容は信用できるものであったと主張する。 (イ) 被告Yは,原告両名の問題性について,自分が町長となる前からも,町長に就任した平成11年からも,良くない風評や勤務態度の問題を聞いていた,具体的には,勤務期間が長いため,生意気で接遇態度が悪い,所長の言うことをきかない,勤務中にトレーニング機器を利用したり,自分勝手に買い物に行ったりする,売上金として計上するべき金銭について簿外金として保管し,不足があった場合などに自由に賄っていた,原告X1は町外者について町内者として安い利用料を取るなどの便宜を図っていた,原告X1か原告X2のどちらかが,売上金の勘定が合わなかったときに,アルバイトに来ていた者を頭ごなしに泥棒扱いし,同人が抗議してもそれを聞かなかったり,町長選に際して被告Yの妻が万引きをしたとの話をしていた,そ して,上記の原告両名の問題行動に対しては,温水プールの利用料については,町内者と町外者を区別して利用料金を取ることは会議で決まったことであるから重視するよう指導していたし,その他の勤務態度の問題について,課長会議などを通じて課長や所長に注意をし,それら直接の上司を通じて注意をしていた,しかし,原告両名は,それにもかかわらず,勤務態度を改めることをしなかったから再任用すべきでないと思った旨述べている。 また,被告Yが情報源の1人とした臨時職員のDは,原告両名が勤務時間中に買い物に行っていたこと,E所長のころに原告両名が午後3時ころ,温水プールに設備されているトレーニング機器を利用していたのを見たこと,原告X2が温水プールの受付に来ていた人に選挙の個票を書いてもらったというような話をしている状況を見たし,ほかの職員らからも同じような話を聞いたこと,原告両名が,本来900円の入場料を払って入場させるべき町外者にも町内者用の1回300円の回数券で利用させていたこと,温水プールの臨時職員であったCの息子がアルバイトをしたときに,売上金が合わなかったことから泥棒扱いをしたと聞いたことなどを証言している。 (ウ) しかしながら,上記各証拠,特に,C,E所長の証言を総合すれば,以下のとおりの事実が認められる。 すなわち,①勤務時間内の買い物は,温水プールの清掃用具等の備品が不足した場合,職員らが交替で所長の許可を得て買い物に出ていたところ,原告両名,特に原告X2がその役割を積極的に担っていたことが認められる(被告Yは,原告両名が私用で買い物に出かけていた旨聞いたが,そのことを確認していないと述べており,Dも原告両名が自分らに必要なものも買ってきたことを聞いていると証言するにとどまり,それらの供述,証言を採用することはできない。)。②トレーニング機器の利用は,E所長が,休憩時間,利用者のいない時間帯には,手の空いている人はトレーニング機器を利用してもよいとの運用を行っていたことが認められ,原告両名に限らず,他の職員も利用することがあったというのである。そして,Dの証言によ っても,原告両名の利用を見たのは1回きりのことであり,原告両名の休憩時間帯と重なっていた可能性も否定できない。③原告X2について,選挙に関わる個票を依頼していた事実については,Cも1度依頼している様子を見た旨証言しているが,Dは,個票自体を実際に見たことはないと証言しており,証拠不十分である。④簿外金の扱いについては,既に検討したとおり,原告両名にその責任を負わせるような類のものとはいえない。⑤町外者の不当な優遇については,温水プールの当時の運用として,町内者と町外者の区別を厳密に行う方策を採っていたとは認められず,原告両名は,どちらかといえば町内者と町外者の区別を厳しく行っていたとの事実すらうかがわれる。⑥アルバイトの者を泥棒扱いしたとの話についても,Cの息子がアルバイトに 来ていた際に,たまたま1度,売上金の不足があったため,同人に対して原告X1が不足金額の5000円を知らないかと事実の確認をしたことが,Cの息子にとっては悔しく,傷付いた出来事であったというのにすぎない。⑦被告Yの妻に関する万引きのうわさについても,被告Yは,自身で,町議会議員を務めていた10年以上前からそのようなうわさを立てられたことがあるとしているほか,Cは,原告X1ではなく,原告X2が,被告Yの妻の万引きの話を「聞いて知っている。」旨雑談的に述べていたことがあったと証言しているなど,原告X1についてはおろか,原告両名のうちのいずれかが万引きの話を作出したとか,触れ回ったというような事実を認めることもできない。これらの事情をもって,原告X1の性向として,他人を泥棒扱いすると いった事項が指摘できるとは到底いえない。 (エ) また,被告Yが情報源としたDは,かねてから町内会等で被告Yと親交を有していた者であり,DはIとともに,被告Y宅を訪れた際に原告両名についての上記問題行動等を話したというにすぎない。 (オ) 被告Yは,DやI,その他の外部者から寄せられた原告両名の勤務上の問題行動等について,課長会議などを通じて原告両名の上司に当たる所長や生涯学習課長に注意をしていたとも述べている。 しかしながら,E所長は,原告両名は,長い期間にわたって勤務していた嘱託職員であったところ,気が回り,よく仕事をしていたとの評価をしていたこと,原告両名が私的に買い物に出かけたり,健康器具を利用したりといった勤務上の問題行動があったとは認識していなかったことを証言しており,E所長が原告両名の問題行動を注意をしたことも,A教育長に報告をしたことも認められない。 A教育長も,原告X2について選挙の個票を集めているとのうわさを聞いたことはあったが,本人に確認したことはなかったとしているほか,原告両名についての職務上の問題行動等の報告を受けたことはなく,平成15年3月31日,期間満了による雇用関係の終了を明らかにする辞令を発令する段階においてすら,原告両名に関して被告Yが指摘するような問題行動があったことを認識していなかったとしている。 そして,被告Yが,独自に原告両名の勤務上の問題行動について,原告両名に事実確認をしたことはなく,DやI以外の温水プールの同僚職員や,E所長など直属の上司に対する事実確認や調査を行ったこともなかった。 (カ) 以上によれば,被告らが指摘する原告両名の勤務上の問題行動や公務員としての不適切な行動があったとは認められず,被告Yが適切な方法での事実確認や十分な調査をしたとも認められない。したがって,原告両名の再任用を消極的に解すべき事情があったとは認められず,原告両名を再任用をしなかったことにつき合理的理由があったとはいえない。 (キ) 被告らは,さらに,本件においては,A教育長が平成15年3月24日,原告両名に電話で4か月の再任用の意向を伝えてその希望を確認した上,原告両名らが当該期間での再任用は希望しない旨伝えたという経緯が認められるのであるから,何ら原告両名の法的権利や法的利益を侵害していないとも主張する。 しかしながら,原告両名の任用期間は,平成12年以降,半年単位で更新されてきたところ,原告両名の勤務上の問題行動を何ら認識していなかったA教育長が,4か月間という短縮された任用期間の提示をしたのは,被告Yによる原告両名の再任用の拒絶という事柄があったことに基づくことが明らかであるし,従来とは異なり,その後の再任用は期待できない異例の任用期間の提示であった。しかも,A教育長は,原告らの電話口で話をしたにすぎず,また,原告らに対して熟慮する余裕を与えたともみられない。このような状況下で原告らがA教育長の提案に応じなかったことを不当視することはできず,A教育長の再任用の意向があったことをもって,原告両名に不利益に斟酌することはできない。 (ク) なお,原告両名は,昭和町教育委員会の嘱託職員であり,その任命権者は昭和町教育委員会であって,被告Yは人事権を有していないところ,本件における被告Yの行為は昭和町教育委員会の人事に関する不当な介入であって,それ自体が権限の濫用であるから,被告Y個人の不法行為責任を追及するとの主張をしている。 確かに,地方公共団体の長は,教育委員会の職員について直接の人事権を有するものではない。しかし,教育委員会も地方公共団体の執行機関の一つであり,地方公共団体の長は,教育行政に関し一定の職務権限を有している(地教行法24条)ところ,特に,予算の執行を伴う人事においては,財政運営や財務処理の一体的取扱いの必要から,教育に関するものであっても,契約の締結その他の予算の執行は,地方公共団体の長に専属するものとされており,地方自治行政に関する管理・執行等に関する地方公共団体の長の権限は広範なものに及ぶと解される。 そして,昭和町においても,教育委員会の嘱託職員等の採用については,人事
https://w.atwiki.jp/hanrei/pages/227.html
社会福祉法人である債務者の理事会議事録等を偽造して山梨県に提出した債権者を債務者が解雇したことが,解雇権の濫用に当たるとはいえないとして,債権者の仮処分命令の申立てが却下された事例 主 文 1 本件申立てをいずれも却下する。 2 申立費用は債権者の負担とする。 事実及び理由 第1 申立ての趣旨 1 債権者が債務者に対して雇用契約上の権利を有する地位にあることを仮に定める。 2 債務者は,債権者に対し,平成17年1月から平成18年1月まで,毎月25日限り金36万5050円を仮に支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨 (1) 本件は,社会福祉法人である債務者から平成16年9月30日をもって解雇された債権者が,同解雇の無効を主張して,債務者に対し,雇用契約上の地位にあることの仮の確認及び賃金の仮払いを求めている事案である。 (2) 債務者は,債権者の解雇理由について,「債権者は,債務者の理事会議事録や定款変更認可申請書を偽造し,これを所轄庁である山梨県(以下「県」という。)知事に提出した。これらの事実は,債務者の就業規則に定める懲戒解雇事由に該当する。」などと主張している。これに対し,債権者は,前記偽造等を行ったことは認めた上で,これらの事実のみでは解雇事由には該当せず,また,仮に形式的には同事由に該当するとしても,本件における解雇は,解雇権の濫用として無効であると主張している。 2 前提となる事実(疎明資料等を掲記した事実以外は,当事者間に争いがない。) (1) 当事者等 ア 債務者は,平成14年3月22日,債権者の父であるAが中心となって設立した社会福祉法人であり,知的障害者更生施設「B」の設置・経営,知的障害者短期入所事業及び知的障害者デイサービス事業を目的とする。 イ Aの子である債権者(昭和○○年○月○日生)は,Bが開所した平成15年4月1日,期間の定めなく債務者に雇用され,同日,事務長の辞令を受けた(乙19)。 (2) 本件各偽造に至る経緯 ア 県福祉保健部は,平成15年7月29日,社会福祉法70条に基づき,債務者及びBに対する指導監査(以下,この指導監査を「本件指導監査」という。)を実施し,その結果,債務者に対し,入所者からの預り金を適正に処理することなど40項目に及ぶ指摘,指導を行った(乙1)。 イ Bは,平成15年8月14日当時,次のとおりの体制で運営されていた(乙2)。 (ア) 施設長 C(Aの妻である。) (イ) 役員 理事7名,監事2名 (ウ) 定員 50名 (エ) 入所者 合計49名(男性22名,女性27名) (オ) 直接処遇職員 16名(以下,同職員らを「B職員」という。) ウ 債務者は,平成15年8月14日,B職員のうち1名を解雇した。また,B職員のうち8名は,翌15日,施設長であるCの入所者及び職員に対する対応を不満として,債務者に対して辞表を提出し,更に同様の理由から,B職員のうち4名が,債務者に対して退職の意向を伝えた(乙2,3の1ないし8)。 エ 向徳者職員から退職の意向等について連絡を受けた県障害福祉課は,B職員16名のうち13名が退職する事態に至れば,Bの運営を継続することは困難であると判断し,同日,同課職員4名をBに派遣し,事情聴取に当たらせた。その後,同課は,債務者から,Bの入所者のうち帰省中の者を除く21名を他の施設へ移送し,翌16日に開催される理事会をもって施設長であるCが退任する予定であるなど,事後策に関する連絡を受けた(乙2)。 オ 債務者は,平成15年8月16日,理事会を開催し,施設長であるCが退任すること,当面は理事長であるAが施設長を兼務すること,退職希望者(解雇された者を含む。)の全員に対して引き続きBで働くことを依頼すること,同月19日から帰省中の入所者の受入れを開始し,同月22日に他施設へ移送した入所者を再度受け入れることなどを確認した(乙2,乙3の3ないし9)。 カ 県内の新聞各紙は,平成15年8月17日以降,上記ウのB職員の大量退職希望や入所者の移送に関して報道した(乙3の1ないし8)。 キ 債務者は,平成15年9月1日,Bの新しい施設長(ただし,同月末に開催される理事会までは施設長補佐)としてDを雇用したが,同人は,同月13日,① 債務者の定款や事務的書類を閲覧することができないこと,② 理事長であるAと相談して決定した事項が翌日には覆ってしまうこと,③ 前施設長であるCが依然として影響力を行使して同人の職務遂行を妨害することなどから,施設長としての職責を果たすことができないとして退任した(甲10,乙2,19)。 ク 債務者は,平成15年10月30日,県福祉保健部長に対し,本件指導監査によって指摘された各事項の改善状況について報告した(乙1)。 ケ 県福祉保健部長は,本件指導監査における指導にもかかわらず,上記ウのとおり,B職員が集団で辞職することを希望するなど債務者の運営が極めて不安定であると判断し,平成15年11月6日,7日,10日,11日及び12日の5日間,債務者に対し,特別指導監査を実施した(以下,この特別指導監査を「第1回特別指導監査」という。)(乙4)。 コ 第1回特別指導監査の結果,入所者が軽作業をして得た工賃約31万円が所在不明となっていることが判明し,このことは,平成15年12月2日以降,県内の新聞各紙によって報道された(乙3の10ないし15)。 サ 県福祉保健部長は,平成15年12月17日,債務者に対し,第1回特別指導監査の結果を通知した。 県福祉保健部長は,この通知の中で,① 債務者の支出に1000万円以上の不明瞭な会計処理がなされていること,② 依然として利用者からの預り金の管理がずさんであることなどを特に指摘し,こうした事態を引き起こした原因は,債務者が,A,債権者及び旧施設長であるCによって独断的に運営されていることにあると述べた。そして,県福祉保健部長は,この通知の中で,債務者に対し,債務者内部においても責任の所在を明確化して厳正な処分等を行うとともに,その改善状況を報告するよう求めた(乙3の18ないし22,乙5)。 シ 債務者は,平成16年1月29日,県福祉保健部長に対し,第1回特別指導監査によって指摘された問題点の改善状況について報告し,この中で,債務者の理事長であるAが上記不明瞭な会計処理などの責任を取って,同年3月末をもって理事長職を退任する旨表明した(乙5)。また,このころまでに,債権者も,同日をもって事務長から事務次長へ降格することとなった。 ス 上記報告を受けた県は,平成16年3月上旬ころ,債務者に対し,第1回特別指導監査の結果指摘した不明瞭な会計処理のうち,① 理事長であるAが施設長を兼務していた際にAに対して二重払いされた給与110万円,② 入所者の作業収入の不明金31万円,③ 入所者の預り金のうち使途が証明できない20万円,④ 支援費で賄うべきでない布団購入費や理髪代を利用者に負担させた121万円を返還するよう指導し,このことは,県内の新聞各紙によって報道された(乙3の18・19)。 セ 債務者は,平成16年3月27日,理事会を開催し,同年3月末をもって理事長職を退任するAに代わって,Eが理事長に就任することを確認し,予算,規則の改定,新役員の選任及び定款変更などについて協議し,その旨の議事録(乙6の1)を作成した(以下,この理事会を「本件理事会」という。)。 ソ ところが,債権者は,本件理事会の議事録について,同議事録の内容を承認して署名押印した議長及び理事2名に無断で,理事長及び専務理事の職務の具体的内容,資産区分及び職員寮の契約に関する事項を加筆し,これに議長及び理事2名の氏名を記入した上,各人名義の印鑑を押印して新たな議事録を作成し,更に,この偽造した議事録を本件理事会の真正な議事録であるとして,県に対して提出した(別紙「理事会・議事録」(省略)は偽造された議事録の写しであり,下線が施されている部分並びに議長及び理事の記名押印部分が偽造箇所である。以下,この偽造を「本件1偽造」という。)。 タ 県は,債務者の業務運営が十分改善されていないと判断し,平成15年4月28日,債務者に対し,同年5月12日から3日間,特別指導監査(以下,この特別指導監査を「第2回特別指導監査」という。)を実施することとした。 チ 債権者は,第2回特別指導監査の直前である平成16年5月10日,債務者の理事長(当時の理事長はEである。)に無断で,本件1偽造によって偽造した議事録の内容に従った「社会福祉法人定款変更認可申請書」2通(乙8,9)を作成し,これに債務者の法人印及び理事長印を押印して,県に提出した(以下,この偽造を「本件2偽造」といい,本件1偽造と併せて「本件各偽造」という。)。 ツ 本件各偽造は,第2回特別指導監査で明らかとなり,県知事は,平成16年6月25日,債務者に対し,社会福祉法56条2項に基づいて「特定の役職員による専断的な法人運営を排除し,内部牽制機能が確保される法人体制を整備すること」などを含む措置を採るよう命じるという不利益処分を前提として,弁明の機会を与える旨通知した(乙3の24ないし29,乙11)。 (3) 本件解雇に至る経緯 ア 債権者は,平成16年6月26日に同時開催された理事会及び評議会において,本件各偽造は債権者の独断で行ったものであり,責任を取って辞職する旨発言した(乙12)。 イ 上記理事会及び評議会に出席していた理事及び評議員の多くは,債権者は自主退職するものと認識していたが,債権者の父であるAは,平成16年7月8日に同時開催された理事会及び評議会において,債権者が自ら退職するのではなく解雇を希望している旨述べた。しかしながら,理事会及び評議会は,本件各偽造の責任を取って債権者が辞職する旨の新聞報道がなされていたこともあり,引き続き債権者に退職届の提出を求め,その旨の弁明書を県に提出することとした(乙13)。 ウ 債務者は,平成16年7月20日ころ,債権者に対し,退職届の提出,退職に伴う事務の引継ぎ,同年6月29日以降の欠勤届の提出などを求める旨の書面を郵送した。しかしながら,債権者から何ら応答がないため,債務者は,同月27日及び28日,2度にわたって,債権者に対し,同様の依頼を記載した書面を郵送した(甲4の2・3)。 エ 県知事は,平成16年7月28日,債務者に対し,社会福祉法56条,71条に基づき,下記(ア),(イ)の内容を含む是正措置を講じ,同年8月31日までに講ずべき措置の内容とその是正状況について書面で報告するよう命じた(以下,この是正措置命令を「本件是正措置命令」という。)(乙14)。 (ア) 本件各偽造が明らかになった後も,債務者の専断的な法人運営が改善されていないことから,法人運営の適正化のため,特定の役職員による専断的な法人運営を排除し,内部牽制機能が確保される法人体制を整備すること (イ) 本件各偽造など不適正な事務処理を行った役職員の責任を明らかにし,厳正な措置をとること オ 債務者は,平成16年8月5日,理事会及び評議会を同時に開催し,債権者の処遇について,退職届の提出を受けて自主退職とし,休職中に支給された給与の返還を免除するということで処理できないか県に打診することとした。 カ 債務者は,平成16年8月25日,理事会及び評議会を同時に開催し,債権者の処遇について検討し,同月28日まで債権者の父であるAが債権者に対して退職届を提出するよう説得し,それでも債権者が退職届を提出しない場合には,債権者を解雇することとした。 キ 債務者は,債権者が退職届を提出しなかったため,平成16年8月30日,債権者に対し,就業規則(甲2)24条及び34条に基づき,書面をもって,同年9月30日をもって債権者を解雇する旨通知した(以下,この解雇を「本件解雇」という。)。 ク 債務者は,平成16年8月31日,県知事に対し,本件解雇を行ったことを含め,本件是正措置命令に対する報告書を提出した(乙18)。 3 当事者の主張 債権者の主張は,地位保全賃金仮払仮処分申立書,準備書面(1),準備書面(2)及び準備書面(3)のとおりであり,債務者の主張は,答弁書,平成17年7月13日付け準備書面のとおりであるからこれらを引用する。 4 主要な争点 (1) 本件解雇は,解雇権を濫用したものとして無効であるといえるか。 (2) 仮処分の必要性 第3 当裁判所の判断 1 主要な争点(1)について (1) 本件各偽造は,有印私文書偽造罪(刑法159条)及び同行使罪(刑法161条)に該当する犯罪行為であるから,債権者が行った本件各偽造が,債務者の就業規則(甲2)34条2項3号に定める懲戒解雇事由である「舎内における盗取,横領,傷害等刑法犯に該当する行為があったとき,またはこれらの行為が舎外で行われた場合であっても,それが著しく法人の名誉もしくは信用を傷つけたとき」に該当することは明らかである。 (2) 債権者は,仮に本件各偽造が懲戒解雇事由に該当するとしても,① 本件各偽造は,もともと理事会の議題に挙がっていた事項や債務者が所有していた不動産に関する事項について加筆したものであり,全く存在しない事項を記載したわけではないこと,② 本件各偽造は,債権者ではなく債務者の利益を図るためになされたものであること,③ 債権者は,平成16年7月8日に同時開催された理事会及び評議会において,本件各偽造の事実を率直に認めて謝罪し,反省の態度を示していること,④ 本件各偽造は,債務者に対して経済的な損失を与えるものではないこと,⑤ 債務者の法人印及び理事長印の管理にも問題があったこと,⑥ 本件解雇が債権者の意向を聴取することなく行われたこと,⑦ 県知事による本件是正措置命令も債権者の解 雇を要求している訳でないことなどを理由に,本件解雇は解雇権の濫用であり無効であると主張している。 (3) なるほど,解雇に係る債務者の解雇権の行使が客観的に合理的な理由を欠き,又は社会通念上相当として是認し得ず,解雇権の濫用であるといえる場合には,当該解雇は無効であるというべきである。 (4) そこで,以下,本件解雇が解雇権の濫用として無効であるといえるか否かについて検討するに,上記前提となる事実,疎明資料(甲7,9ないし13,乙12)及び審尋の全趣旨によると,① 本件各偽造は,債権者が何らかの経済的見返り(偽造に対する報酬等)を受けるためになされたわけではないこと,② 債権者が,平成16年6月26日に同時開催された理事会及び評議会において,債権者が本件各偽造を行ったことを認めて辞意を表明したこと,③ 本件各偽造によって,債務者が直接的に経済的損害を被ったわけではないこと,④ 本件各偽造時,債権者が容易に債務者の法人印及び理事長印を使用できる状態にあったことが認められる。 (5) しかしながら,下記アないしエの事実及び事情にかんがみると,上記(4)の事実によって,本件解雇に係る債務者の解雇権の行使が客観的に合理的な理由を欠くとか,社会通念上相当として是認し得えないとはいえないというべきである。 ア 本件各偽造は,上記(1)で判示したとおり,有印私文書偽造罪及び同行使罪に該当し,文書に対する社会的信用を害する犯罪行為である。 イ また,本件各偽造の対象となった文書は,いずれも社会的に重要な役割を果たす文書である。すなわち,本件1偽造によって偽造された議事録は,社会福祉法人である債務者の業務運営を決定する理事会の議事録であり,本件2偽造によって偽造された「社会福祉法人定款変更認可申請書」は,所轄庁である県知事によって認可され(社会福祉法31条),かつ,その変更も県知事の認可を受けなければならない(同法43条)債務者の定款変更に関する文書である。 ウ 更に,債権者は,本件1偽造によって改ざんされた議事録の内容について,もともと理事会の議題に挙がっていた事項に関するものであり,単に形式を実態に合わせたにすぎないと主張するが,以下に述べるとおり,本件1偽造に係る改ざんの内容は,看過し難いものであるというべきである。 (ア) すなわち,本件1偽造によって偽造された理事長及び専務理事の職務内容についてみるに,本件理事会の本来の議事録(乙6の1)によると,同理事会では,理事長が欠けたときなどには専務理事が理事長の職務を代理することが提案されたにすぎないと認められる。しかしながら,本件1偽造によって,本件理事会において理事長及び専務理事の職務内容が詳細に協議され,その旨の定款変更手続を採ることが承認可決されたこととなっている。そうすると,本件1偽造は,本件理事会の議事内容を本質的に変更するものといわなければならない(しかも,この当時,専務理事には債権者の父であるAが就任することが決定していた。)。 (イ) また,F物件を社員寮とする件については,本件理事会の本来の議事録(乙6の1)には何らの記載もない。また,仮に従前の理事会でF物件を社員寮とする旨の議論がなされたことがあったとしても,F物件はAが所有する建物であるから(審尋の全趣旨(特に,債権者提出の準備書面(2)4頁)),これを社員寮とする場合にはAと債務者は利益が相反するというべきであり,F物件を社員寮とすることによってAを不当に利することのないよう,E新理事長を迎える予定であった次回以降の理事会において,十分な検討が必要とされる事項であるといえる。 エ また,本件各偽造が行われるに至った経緯,時期にかんがみても,債権者の責任は重いといわなければならない。すなわち,債務者は,平成14年3月にBを開所した後,平成15年7月に本件指導監査を受け,その結果,入所者の預り金の処理を適正に行うことなど40項目にも及ぶ指導を受けたにもかかわらず,B職員の大多数が退職を希望したり,入所者の預り金が不明となるなどの不祥事が続き,社会福祉法人としての適格性が問われていた。しかしながら,その後も事態は改善することなく,平成15年12月に実施された第1回特別指導監査によって,1000万円以上の不適切な会計処理が発覚し,債務者は,県から,A,C及び債権者による独断的な運営姿勢がその原因であると指摘されていた。そして,本件1偽造は,Aが理事長 から,債権者が事務長からそれぞれ降格する直前に行われ,本件2偽造は,本件1偽造を隠ぺいするべく,第2回特別指導監査が実施される直前になされている。本件各偽造は,県によって改善を指示されていた債権者の家族による債務者の独断的運営の徴表であるといわなければならず,本件各偽造によって,社会福祉法人である債務者の社会的信用は大きく失墜したと認められる。 (6) また,他に本件解雇が解雇権の濫用であるというべき事実を一応認めるに足りる疎明資料はない。 2 以上によると,本件申立ては,その余の点について検討するまでもなく,いずれも理由がないから却下すべきである。よって,主文のとおり決定する。 平成17年11月25日 甲府地方裁判所民事部 裁判官 岩 井 一 真
https://w.atwiki.jp/hanrei/pages/194.html
1 使用者が懲戒解雇当時に認識していなかった事由は,懲戒解雇事由とすることができないとした事例 2 懲戒解雇は解雇権の濫用に当たるとしてこれを否定した上,懲戒解雇の意思表示には,予備的に普通解雇の意思表示も含ま れていたとして,普通解雇の有効性を認めた事例 主文 1 被告は,原告に対し,1万1720円を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 当事者の求める裁判 1 原告 (1) 原告が被告に対し労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 (2) 被告は,原告に対し,35万8363円及び平成12年10月から毎月25日限り月額35万8363円の割合による金員を支払え。 (3) 訴訟費用は被告の負担とする。 (4) (1),(2)につき仮執行宣言 2 被告 (1) 原告の請求を棄却する。 (2) 訴訟費用は原告の負担とする。 第2 事案の概要 1 本件は,被告に雇用されていた原告が,被告のした懲戒解雇は無効であると主張して,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認と,民法536条2項本文に基づき解雇日以降の賃金(直前の3か月間の平均賃金の額により計算した金額)の支払を求めた事案である。 2 争いのない事実等(証拠により認定した事実については,その末尾の括弧内に証拠を掲げる。) (1) 当事者等 ア 被告は,建築工事,土木工事等の企画,設計,請負施工及び監理等を目的とする株式会社であり,日本国内に60か所以上の事業所を置き,農家をはじめとする地主に対し,相続税対策等のためにアパートやマンションを経営することを提案し,建築工事の企画,設計,請負,施工,監理及び建物の入居仲介等を行うことを業としている。 イ 原告は,平成9年6月2日,被告と期間の定めのない労働契約を締結した。原告は,当初,被告の我孫子支店(以下「我孫子支店」という。)に営業職として配属され,その後,営業管理責任者に昇格した後,平成12年3月14日付けで営業部管理責任者を解任され,同月15日付けで被告の浦和支社(以下「浦和支社」という。)に配置転換された。(乙26,弁論の全趣旨) ウ 原告は,浦和支社において,支社長A及び営業開発部管理責任者Bの下で,営業開発部管理補佐・営業チーフとして,新規顧客の開拓業務や営業開発部に所属する営業マンの指導育成を補佐する業務等に従事していた。 (2) 懲戒解雇の意思表示 被告は,原告に対し,平成12年8月11日,「懲戒解雇通告書」と題する同日付けの内容証明郵便(甲1。以下「本件通告書」という。)を送付し,同日付けで原告を懲戒解雇するとの意思表示(以下「本件懲戒解雇」という。)をし,本件通告書は,同月12日,原告に到達した。(原告本人,弁論の全趣旨) 本件通告書には,以下のとおり記載されていた。(甲1) 「 貴殿を後記事由により平成12年8月11日付をもって懲戒解雇に処す。 記 一,貴殿が浦和支社内において,営業管理責任者やブロック長に対して繰り返し行っている暴言,横柄な態度あるいは指示の無視等の諸行為は,職場の秩序を著しく乱すものである。このことは就業規則第69条(4)号『正当な理由がなく,上長の指示,命令に従わず,反抗的な言動または,越権的な行為により,業務上の運営に支障を生じさせたとき』に該当する。 二,貴殿は平成12年8月10日午後7時50分頃,帰宅するため支社駐車場から国道に出ようとした営業管理者B氏の乗用車を足で蹴り,当該車のフェンダー上部2か所を損傷させた。このことは就業規則第69条(5)号『会社内における盗取,横領,障害等刑法犯に該当する行為があったとき,(以下省略)』に該当する。 以上の行為以外にも貴殿は職場の秩序維持の上から看過すべからざる就業規則に違反する行為を繰り返し行っている。 以上の理由により貴殿を懲戒解雇に処すものである。 尚,B氏は平成12年8月11日,貴殿を浦和警察署刑事課に告訴したことを併せ通知する。 ついては,会社からの貸与物品等を速やかに返納されたい。」 (3) 解雇等についての就業規則の定め 被告の就業規則(平成12年1月6日改訂後のもの。以下「就業規則」という。)には,以下の規定がある。(乙1) 「(解雇) 第19条 社員が次の各号の一に該当するときは解雇する。 (1) 精神,又は身体の故障により業務に堪えられないと認めたとき。 (2) 論旨解雇,及び懲戒解雇の処分が決定したとき。 (3) 勤務成績が著しく不良で将来見込がないと認めたとき。 (4) 業務上の傷病による欠勤が3年以上に及び,法定の打切補償が行われたとき。 (5) 止むを得ない業務上の都合によるとき。 (6) その他前各号に準ずると認められたとき。 (報告義務) 第46条 職務上における上司の指示は最優先処理事項である。緊急もしくは重要な職務遂行上における上司の新たな指示に対しては,優先順位及び,処理期日の指示を受けるものとする。指示事項の処理及び完了報告は直ちに行わなければならない。 但し,処理もしくは完了に長期間の日時を要する場合は,中間報告または経過報告の実行を厳守しなければならない。 (禁止事項) 第48条 社員は次の行為をしてはならない。 ((1),(2)は省略) (3) 事業の信用を傷つけまたは,業務上の機密及び不利益事項を他にもらすこと。 ((4)~(9)は省略) (懲戒) 第66条 社員が「就業規則」に違反し,または不正な行為や重大な過失により事業の信用を失墜し,損害を与えたときは懲戒する。懲戒は次の6種とする。 (1) 譴責…始末書をとり将来を戒める。 (2) 減給…始末書をとり一定期間減給し,本人の反省を促し将来を戒める。 但し減給は,1回について平均賃金の1日分の半額を減給する。但し,2回以上にわたる場合においては,当該給与の1/10以内で減額する。 (3) 出勤停止…始末書をとり出勤を停止し,本人の反省を促し将来を戒める。 但し,出勤停止期間は10日を限度とする。出勤停止期間の給与は支払わない。 (4) 降格…始末書をとり,職位,職階を現在よりも低い位置に格付けし,本人の反省を促し,将来を戒める。給与は降格された職位,職階に基づく給与に変更する。 (5) 論旨解雇…退職願を提出するよう勧告し,退職させる。勧告もしくは通知送達の日から7日以内に提出がない場合は,会社は行政官庁に対し承認手続きを取り,承認を受け次第即日解雇する。この場合,改めて懲戒解雇の通告は行わない。 (6) 懲戒解雇…非行の責任を追求し,行政官庁の承認を受け即日解雇する。この場合,解雇予告を行わず又予告手当を支払わない。 (懲戒解雇及び諭旨解雇) 第69条 次の各号に該当するときは,懲戒解雇または諭旨解雇とする。但し,情状により出勤停止,または降格に留めることがある。 (1) 重要な経歴を偽りまたは不正な方法で採用されたとき。 ((2),(3)は省略) (4) 正当な理由がなく,上長の指示,命令に従わず,反抗的な言動または,越権的行為により,業務上の運営に支障を生じさせたとき。 (5) 会社内における盗取,横領,傷害等刑法犯に該当する行為があったとき,またはこれらの行為が社外で行われた場合であっても,それが著しく会社の名誉もしくは信用を傷つけたとき。 ((6)~(18)は省略) (19) 第4章に定める最も重要なる服務規律に違反したとき。 (20) その他,社内の最も重要なる規定に違反したとき。」 (4) 被告における賃金の支払期日及び賃金額 被告においては,賃金の支払期日は,毎月25日締め,当月25日払とされていた。 原告の平成12年5月から同年7月分の給与の額は,5月分が36万6930円,6月分が35万8430円,7月分が35万5730円であった。(甲5の1~3,乙45の1) (5) 解雇予告手当の支払 被告は,原告に対し,平成12年11月10日付け「解雇予告手当について」と題する書面(乙45の1。以下「予告手当支払通知」という。)を送付し,予告手当支払通知は,遅くとも同月16日までに原告に到達した。 予告手当支払通知には「平成12年8月11日付の解雇に伴いまして,解雇予告手当を下記のとおり支払いさせて頂きます。(中略)上記352,530円を平成12年11月16日に給与振込口座へお支払い致します。」との記載がされていた。 そして,被告は,原告に対し,平成12年11月16日,原告名義の銀行口座(【口座番号は省略】)に,解雇予告手当として35万2530円を振り込んだ。(乙45の2) 3 争点 本件の主要な争点は, (1) 本件懲戒解雇は有効か(争点1), (2) 本件懲戒解雇に普通解雇の意思表示が内包されているか(争点2), (3) 本件普通解雇は有効か(争点3), (4) 被告が原告に対して支払うべき賃金の額はいくらか(争点4), である。 4 当事者の主張 (1) 争点1(本件懲戒解雇の有効性)について ア 被告の主張 以下のとおり,原告には懲戒解雇事由があり,かつ,原告の犯した規律違反の種類,程度その他の事情に照らして懲戒処分をすることは相当であるので,本件懲戒解雇は有効である。 (ア) 上司の指示命令に従わず,反抗的言動により業務上の運営に支障を生じさせたこと(就業規則第69条(4)号該当行為。以下「解雇事由(1)」ともいう。) 原告は,以下のとおり,上司に対して反抗的な言動をとり続け,チームで協力して営業等を行う現場の雰囲気を悪くするとともに,上司の指示を聞かなくても良いという雰囲気を作出して指揮命令系統を機能させなくし,業務上の運営に支障を生じさせた。これらの行為は,就業規則第69条(4)号の「正当な理由がなく,上長の指示,命令に従わず,反抗的な言動または,越権的行為により,業務上の運営に支障を生じさせたとき」に該当する。 a 我孫子支店において上司に対し反抗的言動をとったこと 被告においては,不動産等の顧客の財産を任されるという業務内容に鑑み,顧客の信頼を得ることが重要であるため,社員の日常の言葉遣いや礼儀作法を重視し,上司の指示を最優先処理事項として厳格な報告義務(就業規則第46条)を規定している。 しかるに,原告は,言葉遣いが悪く,会議等での上司の指示を聞かず,注意を受けても口答えし,他の社員の意見に対して否定的な意見しか述べず,他の社員に対し,上司の指示命令について「あんな話は聞き流していればいい。」,「退職届は絶対に出すな。」などと述べてこれを無視した。 b 浦和支社において,朝礼や会議で横柄な態度をとり注意されても改めなかったこと 原告は,浦和支社における朝礼でいつもよそ見をしており,会議中の態度も悪く,Aが注意しても改めなかった。 c 浦和支社において,Bの指示に従わず,注意を受けた際,反抗的態度をとり暴言を吐いたこと Bは,平成12年8月5日午前11時ころ,原告に対し,原告が部下のCに同行して営業活動を行っていた顧客であるDの物件に関して,報告の仕方を注意し,報告の重要性を説いて理解させようとしたが,原告は,Bに対し,「若造が。」「お前のことを上司だとは思っていない。目障りだ。報告が必要かどうかは俺が判断する。あんたの指図は受けない。」「あんたの相手をするのは時間の無駄だ。」などと述べて,再三の注意にもかかわらず,終始うちわで扇ぎながら横柄な態度をとり続けた。 d Aの注意に反抗し暴言を吐いたこと Aは,原告に対し,平成12年8月7日午後2時ころ,Dの物件をめぐるBとのやりとりについて説明を求めた。すると,原告は,「A,どうせあんたは自分の話を聞かないでしょう。Bが言いがかりをつけてくるので勘弁してほしい。どっちみち今日の夜にお客(D)のところへ行くから。」と述べるなど横柄な態度をとり続けた。Aをはじめ同席していた社員が原告に対し反省と謝罪を求めたが,原告はそれらを無視した。Aが,原告に対し,やむを得ず「そのような態度をとり続けるのであれば解雇せざるを得ない。」と告げたところ,原告は,「解雇でも何でもすればいいでしょう。」と開き直り,仕事の予定を口実に制止を無視して浦和支社を立ち去った。 (イ) 不正な営業行為(就業規則第48条(3)号,第69条(19)号該当行為。以下「解雇事由(2)」ともいう。) 原告は,我孫子支店在籍当時,営業管理責任者の地位にありながら,地主に対し,「日本税理士会の外郭団体で日本の相続税を考える会と申します。」と架空の団体名を名乗って電話をかけ,相続対策の話題に興味を示した地主を後日何食わぬ顔で訪問するという不正な営業活動を独断で行っていた。 これは,被告の「事業の信用を傷つけ」る行為(就業規則第48条(3)号)であり,就業規則第69条(19)号の「最も重要なる服務規律に違反したとき」に該当する。 (ウ) Aに対する脅迫行為(就業規則第69条(5)号該当行為。以下「解雇事由(3)」ともいう。) 原告は,平成12年8月8日午後6時30分ころ,Aの携帯電話に電話をし,「お前よお,原告だけどあんまり調子に乗るなよ。いい加減にしないと今度の株主総会をめちゃくちゃにしてやるぞ。」などと述べた。 これは,脅迫罪に該当する行為であり,就業規則第69条(5)号「会社内における盗取,横領,傷害等刑法犯に該当する行為があったとき」に該当する。 (エ) 被告管理下の書類の持ち出し行為(就業規則第69条(5)号該当行為。以下「解雇事由(4)」ともいう。) 原告は,浦和支社営業部が休日である平成12年8月9日午前9時30分ころ,被告が管理する雇用関係の書類を外部に持ち出そうとしたが,建築技術部のE課長に出入口ドア付近で呼び止められ持ち出しを阻まれた。 これは,窃盗罪に該当する行為であり,就業規則第69条(5)号「会社内における盗取,横領,傷害等刑法犯に該当する行為があったとき」に該当する。 (オ) Bの乗用車を損傷させた行為(就業規則第69条(5)号該当行為。以下「解雇事由(5)」ともいう。) 原告は,平成12年8月10日午後7時40分ころ,Bが浦和支社から帰宅するため,自らが所有する普通乗用自動車(以下「B車両」という。)を運転して駐車場から国道に出ようとしたところ,自動車(以下「原告車両」という。)で駐車場に乗り付け,既に国道上に出て帰ろうとしているB車両に駆け寄り,「俺はちゃんと帰ってきたんだから事業所の鍵を開けろ。タイムカードを押させろ。」と言って,左前部フェンダーを左足で2回足蹴りにして凹損させた。 これは,器物損壊罪に該当する行為であり,就業規則第69条(5)号「会社内における盗取,横領,傷害等刑法犯に該当する行為があったとき」に該当する。 (カ) 経歴詐称(就業規則第69条(1)号該当行為。以下「解雇事由(6)」ともいう。) 原告が入社時に提出した履歴書(乙41)の学歴欄には,昭和47年4月に法政大学経済学部に入学して,昭和51年3月に同大学同学部を卒業したとの記載があり,また,職歴欄に昭和61年12月に甲証券株式会社を退職したとの記載があるが,これらの事実は,いずれも虚偽である。 このように重要な経歴を偽る行為は,就業規則第69条(1)号に該当し,本件通告書に記載された「職場の秩序維持の上から看過すべからざる就業規則に違反する行為」に含まれる。 イ 原告の主張 被告の主張は否認ないし争う。 以下のとおり,被告が懲戒解雇事由に当たるとして主張する事実は一切存在しない上,本件懲戒解雇は社会的合理性を欠き,不相当であるから,本件懲戒解雇は無効である。 (ア) 上司の指示命令に従わず反抗的言動により業務上の運営に支障を生じさせたとの主張(解雇事由(1))について 被告が主張する事実はいずれも否認する。以下のとおり,我孫子支店及び浦和支社における原告の勤務態度には何ら問題はなかった。 a 我孫子支店における原告の勤務態度について 原告は,我孫子支店において,支店長に次ぐ役職である営業管理責任者の地位にあり,部下からも高い評価を得ていた。 原告が,浦和支社に転勤した直後(平成12年4月26日)に開催された第一経営企画会議の委員に選ばれた(同会議に出席する委員は,職階,役職,年齢,経験に関係なく,企画立案能力に優れ,健全な発想・思想を持ち,会社を改善し発展させようという意欲の旺盛な社員を人選するものとされている。)ことからも,我孫子支店における原告の勤務態度に問題がなかったことが推認できる。 b 浦和支社の朝礼や会議で横柄な態度をとり,注意されても改めなかったとの主張について 原告は,我孫子支店勤務時に引き続き部下から高い支持を得ていた。むしろ,問題があったのはB及びAの部下に対する態度であり,特に,Bは,Bよりも年齢が上の部下が少しでも逆らうと,「私は営業管理責任者なんですよ。」と述べて,机を叩いて激高することが度々あった。 なお,仮に被告が主張する事実が認められるとしても,懲戒解雇事由及び解雇事由のいずれにも当たらない。 c 浦和支社において,Bの指示に従わず,注意を受けた際,反抗的態度をとり暴言を吐いたとの主張について 原告は,Bから注意を受けて,理路整然と反論したにすぎない。 d Aの注意に反抗し暴言を吐いたとの主張について Aが原告に対し,上記のBとのやりとりについて説明を求めたことはない。Aは,平成12年8月7日の朝礼後,原告を机の前に呼びつけ,いきなり,「お前,上司の言うことを聞けないやつは懲戒解雇だ。」と述べて,原告に対して懲戒解雇を言い渡し,原告が,「Bさんを交えて話を聞いてください。」と述べたのに対しても全く聞く耳を持たなかった。 (イ) 原告が不正な営業行為をしたとの主張(解雇事由(2))について 原告が我孫子支店勤務中に「日本の相続税を考える会」との名称を使用して顧客に対して電話による営業活動を行い,部下の営業マンにも同じことをさせたことは認めるが,これが原告の独断による行為であったこと及び「日本税理士会の外郭団体」を名乗ったことは否認する。F支店長もこの営業方法を認めていた。 (ウ) 原告がAを脅迫したとの主張(解雇事由(3))について 被告の主張は否認する。 (エ) 原告が被告管理下の書類を持ち出そうとしたとの主張(解雇事由(4))について 被告の主張は否認する。 (オ) 原告がBの乗用車を損傷させたとの主張(解雇事由(5))について 被告の主張は否認する。 原告は,平成12年8月10日の午後7時ころまで,東京都中央区日本橋蛎殻町所在の喫茶店「ドトールコーヒー」でGと株式の名義書換の打合せをしていた。打合せ終了後,午後7時過ぎに,原告が,「ドトールコーヒー」の向かいにある日新製糖ビル内の公衆電話から浦和支社に電話したところ,電話に出たHが「もうみんな帰ったし,(浦和支社の)鍵も替えられたみたいなので,帰って来ても意味がないんじゃないですか。」と述べたため,原告は,柏市内の自宅に帰宅した。 被告は,原告が午後7時40分ころ浦和支社に面した路上においてB車両を損壊したと主張するが,当日の道路の混雑状況に照らし,原告が,原告車両を運転して午後7時過ぎに日本橋蛎殻町を出発して午後7時40分ころ浦和支社に到着することは不可能であり,原告にはアリバイが成立する。 (カ) 原告が入社時に経歴を詐称したとの主張(解雇事由(6))について 被告は,平成14年9月に原告が陳述書(甲13)を提出するまで,原告による経歴詐称を知りえなかった。このことと,本件通知書において,懲戒解雇の理由として経歴詐称が記載されていないことからすれば,被告は,経歴詐称をもって懲戒解雇事由とすることはできない。 (2) 争点2(本件懲戒解雇に普通解雇の意思表示が内包されているか)について ア 被告の主張 被告が懲戒解雇事由として主張したとおり,被告は,Aの下で原告の勤務態度を改善させるために原告を配置転換させたが,その後も原告の勤務態度は改善されず,原告は,平成12年8月5日にBに暴言を吐き,同月7日にはこれを注意しようとしたAに対して暴言を吐き,その後,Aに対する脅迫行為,被告管理にかかる書類の持ち出し行為,B車両の損壊行為という刑法違反の粗暴行為にまで及んだものである。しかも,原告は,B車両を損壊した翌日(平成12年8月11日)も,何食わぬ顔で出勤し,全く反省の態度がみられなかった。 こうした事情に照らせば,被告は,平成12年8月11日に至り,もはや原告を雇用し続けることはできないとの考えに基づいてやむを得ず原告を懲戒解雇したといえるから,たとえ原告の行為が懲戒解雇事由に当たらないとしても,被告が原告との雇用関係を解消することを意欲していたことは明らかである。また,被告は,原告に対し,平成12年11月16日,解雇予告手当として35万2530円を支払った。 以上の事情を総合すれば,本件懲戒解雇には普通解雇の意思表示が内包されていたといえる。 また,懲戒解雇と普通解雇は,ともに解雇という点では同じ性質を有することからすれば,懲戒解雇の普通解雇への転換が認められるべきである。 イ 原告の主張 被告の主張は争う。 懲戒制度が存在し懲戒解雇と普通解雇が制度上区別されている企業においては,懲戒解雇は,企業秩序違反に対する制裁罰として普通解雇とは制度上区別されたものであり,実際上も普通解雇に比べて特別の不利益を労働者に与えるものであるから,懲戒解雇の意思表示はあくまで懲戒解雇として,独自にその有効性を判断されるべきものである。したがって,懲戒解雇の普通解雇への転換は認められない。 (3) 争点3(普通解雇の有効性)について ア 被告の主張 被告が懲戒解雇事由として主張した事情の下では,本件普通解雇には正当な理由があるといえるから,本件普通解雇は有効である。 イ 原告の主張 仮に,普通解雇の意思表示があったと認められるとしても,本件普通解雇を社会通念上相当として是認できるような客観的,合理的事由は存在しないから,本件普通解雇は解雇権を濫用したものであり,無効である。 (4) 争点4(被告が支払うべき賃金の額)について ア 原告の主張 (ア) 被告の賃金の支払時期は,毎月25日締めの当月25日払である。原告の平成12年5月から7月までの3か月分の平均賃金は35万8363円である。 (イ) したがって,原告は,被告に対し,平成12年8月分の賃金として35万8363円の,翌9月分以降の賃金として平成12年10月から毎月25日限り35万8363円の支払を求める権利がある。 イ 被告の主張 原告の主張(ア)は認め,(イ)は争う。 第3 争点に対する判断 1 争点1(本件懲戒解雇の有効性)について (1) 懲戒事由の存否 ア 解雇事由(1)について (ア) 前記第2,2の事実に加え,証拠(甲1,6,13,乙1,3,5,8~10,22の1~4,23の1及び2,26,32,41,45の1及び2,証人B,同A,同E,同Iの各証言,原告本人尋問の結果)及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められる。 a 我孫子支店における勤務態度 我孫子支店において,原告は,上司の指示,注意を聞かずに口答えをするなどの言動を繰り返し,当時我孫子支店長であったFは,上司に当たるAに対し,原告の勤務態度が悪いことについて相談していた。 b 浦和支社における勤務態度 原告は,浦和支社の朝礼や会議において,しばしばよそ見をしたり,大げさに扇子で扇いだり,「俺」「あのさあ」などの言葉遣いをすることがあり,上司から注意されても,ふんぞり返っているなど真面目に話を聞かない素振りをみせた。 c Bの指示に対する態度 平成12年8月5日午前11時ころ,Bは,Dの物件について,Dから規模縮小の申し出があった件に関し,原告から説明を受けるとともに,従前の報告の仕方を注意する目的で,原告を机の前に呼んだ。Bは,原告に対し,規模縮小すなわち減額契約は営業成績の減少につながる重要事項であるから,Cに報告を任せるのではなく,営業チーフである原告自らが上司であるBに対し報告すべきであることを説き,また,住宅金融公庫の審査基準変更を受けて,日頃から民間融資を利用するという前提で営業活動をするように指導していたにもかかわらず,原告がこれに従わなかったことについて注意した。これに対して,原告は,Bに対し,Cに報告させたのはCがDからの電話を受けたからである,融資についてBの指導に従わなかったのはDが 同業他社からの説明を受けて住宅金融公庫からの融資を受ける意思を固めていたためやむを得なかったと弁解し,さらに,「若造が。」「お前のことを上司だとは思っていない。目障りだ。報告が必要かどうかは俺が判断する。あんたの指図は受けない。」などと述べたため,Bも「私の指示に従えないのですか。」と口調を荒げ,机を叩くなどして激高した。 d Aの注意に対する態度 平成12年8月7日,Aは,原告を呼び,「Bはお前の上司だろう。一体どういうことだ。」と述べて,平成12年8月5日のBとのやりとりについて説明を求めた。原告は,Aに対し,「あんたはどうせ私の言うこと聞かないでしょう。Bさんが言いがかりをつけてくるので勘弁してほしい。どっちみち今日の夜にお客(D)のところへ行くから。」と述べ,A及び同席していた社員が反抗的な言動を改め謝罪するよう注意しても無視した。そこで,Aは,原告に対し,「そんな態度をとり続けていると,辞めてもらうことになっちゃうぞ。お前はそれでもいいのか。」,「上司の言うことをきけないんであれば,辞めちまえ。」と述べた。これに対し,原告は,「クビでも何でも好きにしてくれ。書類にして出してくれ。」と言い返し,外出した 。 (イ) 上記の原告の我孫子支店での上司に対する反抗的な勤務態度,浦和支社における横柄な態度,上司のB,Aの指示,注意を聞こうとしない態度は,就業規則第69条(4)号の「正当な理由がなく,上長の指示,命令に従わず,反抗的な言動または,越権的行為により,業務上の運営に支障を生じさせたとき」中の,「正当な理由がなく,上長の指示,命令に従わず,反抗的な言動」をとったという場合に該当するといえる。 しかし,これらの事実は,いずれも被告会社内部での出来事であって,上記の個々の事実により,被告の具体的な「業務上の運営に支障を生じさせた」とまではいえないこと,B及びAとのやりとりに至る経緯に照らせば,前記認定の原告の発言は,双方が興奮した状態で口論している最中の勢いにまかせた突発的な発言であったという側面も無視できないこと,Aが,平成12年8月7日に,被告本社の人事担当取締役であるJ取締役業務管理本部長に対し,原告の処遇について相談した際,Jは懲戒解雇も普通解雇も困難であるとの見解を示したことが認められること(証人Aの証言)からすると,被告自身も,平成12年8月7日までの事情のみをもって原告を懲戒解雇することはできないと認識していたことが認められ,これらを総合すれば ,解雇事由(1)は,実質的にみて就業規則第69条(4)号の懲戒解雇理由に当たらないものというべきである。 イ 解雇事由(2)について 前記ア(ア)掲記の証拠によれば,原告は,我孫子支店配属当時,相続税納税者に対し,「日本の相続税を考える会」という架空の団体名を名乗って電話をかけ,興味を示した顧客宅を訪問して相続税対策の効果のある土地の有効活用を提案するという手法で営業活動を行い,部下の営業マンらにも実行させていたことが認められる。 この「日本の相続税を考える会」という架空の団体名を用いた営業活動は,詐欺罪を構成する行為であり,たとえ営業成績を上げるという動機で行われたものであっても,あるいは,仮に営業活動が実を結んで被告に経済的利益をもたらしたとしても,被告の「事業の信用を傷つけ」(就業規則第48条(3)号)る行為であるといえ,不動産など顧客の重要な財産を取り扱う被告の業務内容に照らせば,「第4章に定める最も重要なる服務規律に違反したとき」(就業規則第69条(19)号)に該当するといえる。 ウ 解雇事由(3)について 前記ア(ア)掲記の証拠によれば,原告は,平成12年8月8日午後6時30分ころ,Aの携帯電話に電話し,Aに対し,「あまりがたがた騒ぐな。騒ぐならば株主総会もがたがたにしてやるぞ。」と述べたこと,これに対し,Aは,「ああ,そうですか。」と返答したことが認められる。 これに対し,原告は,Aの証言が携帯電話の着信履歴や通話記録などのあるべき客観的証拠に裏付けられていないこと,Aが捜査機関に対し原告から脅迫まがいの電話があったことを申告していないことを指摘し,Aの証言の信用性を争うが,Aは,原告の電話を受けて「ああ,そうですか。」などと受け答えするにとどまったこと(証人Aの証言)からすれば,Aが警察に電話の件を申告しなかったことや,着信履歴等を証拠として保存しなかったことは不自然であるとはいえない。また,証人Aは,原告との会話内容を具体的に証言しており,前記認定の平成12年8月8日の電話に至る経緯に照らしても自然であるから,証人Aの証言には信用性が認められる。 原告の前記の行為は,脅迫未遂罪を構成するといえるから,この行為は,形式的には「会社内における盗取,横領,傷害等刑法犯に該当する行為があったとき」(就業規則第69条(5)号)に当たる。 エ 解雇事由(4)について 前記ア(ア)掲記の証拠によれば,原告は,所属する営業開発部の定休日である平成12年8月9日午前9時30分ころ,浦和支社を訪れ,勤務机で仕事をする素振りもみせずに人事関連資料や顧客関係資料等を保管してある書棚へ向かい,書類を物色し始めたこと,Eは,このような原告の姿を見て不審に思い,原告に対し,「何やってるんだ。」と問いかけたこと,しかし,原告は,問いかけに反応せず,無言で書棚から青色のファイル1冊を取り出して浦和支社から持ち去ろうとしたこと,そこで,Eは,フロアの出口まで原告を追いかけ,そのファイルを取り上げたこと,Eがファイルの中身を確認したところ,社員の履歴書等の資料であったことが認められる。 これに対し,原告は,平成12年8月9日に原告がファイルを持ち出した事実を否認し,Eの証言の信用性を争うが,Eがことさらに虚偽の証言をして原告を陥れる動機はないこと,Eは目撃時に積算業務をしていたことや原告が「ブルーの雇用関係のファイル」を持ち出そうとしたことなどを具体的に証言していること,Eの証言内容は平成12年8月10日に浦和支社の鍵が交換されたこと(後記オ(ア)a(b))に照らして自然であることから,証人Eの証言は信用できる。 原告が被告管理下の雇用関係の書類を持ち出そうとした行為は,少なくとも窃盗未遂罪を構成するものであり,形式的には「会社内における盗取,横領,傷害等刑法犯に該当する行為があったとき」(就業規則第69条(5)号)に当たる。 オ 解雇事由(5)について (ア)a 証拠(甲13,17,19,21,28,31~33,37,38,40~45,50,75,乙2~11,21,23の1及び2,証人B,同Aの各証言,原告本人尋問の結果,鑑定の結果)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる(なお,以下の出来事はいずれも平成12年8月10日であるので,年月日の記載を省略する。)。 (a) 原告は,午前9時40分ころ出社して浦和支社内の写真を数枚撮影した後,タイムカードに打刻して外出した。 (b) Aは,Eから原告が書類を持ち出そうとした件について報告を受け,合鍵を所持する原告が再度浦和支社に侵入して物品を持ち出すことを懸念して浦和支社の鍵を交換することを決め,原告の外出中に浦和支社の鍵を交換した。 (c) Aは,鍵の交換を契機に原告が再度トラブルを起こすことを危惧して,その日は早めに浦和支社を閉めることとし,定時である午後7時過ぎから社員を退社させた。そして,同7時40分ころ,A,B及びEが最後に浦和支社を退出した。 (d) Bは,浦和支社前の交差点(以下「本件交差点」という。)付近で,A及びEと別れ,浦和支社の入居しているビルの北側に隣接する駐車場(以下「本件駐車場」という。)に向かい,本件駐車場に駐車したB車両(【車両番号は省略】)のエンジンをかけ,バックしながら本件駐車場東側に位置する国道17号(以下「本件道路」という。)に進出させようとして後方を確認した。すると,原告車両が,勢いよく本件駐車場内に入ってきて,本件道路側の駐車スペースに停車した。 (e) Bが,原告車両に構わず,B車両を運転して後退しながら本件道路に進出し,北方に前進しようとしたところ,原告は,原告車両を降りてB車両に駆け寄り,「俺は帰って来たんだからタイムカードを押させろ。事務所の鍵を開けろ。」と怒鳴りつけ,B車両の進行を阻止しようとした。 (f) Bが,B車両を停車させるべきか進行させるべきか躊躇した後,進行させようとした矢先に,原告は,本件道路の歩道側からB車両を蹴るような動作をした後,B車両の左側フェンダーを左足で軽く蹴り,さらに同所を左足で強く蹴りつけた。原告のかかる行為により,B車両の左側フェンダー(タイヤの右斜め上の部分)に靴底の大きさ及び形状をした凹みが形成され,その凹みの内部及び周辺に擦過痕が形成された。 (g) Bは,本件道路脇の路肩にB車両を停車させて降車し,原告に対し,「あの傷をちゃんと見てください,今,自分が何をしたか分からないんですか。とんでもないことをしたんですよ。」と抗議したが,原告は,Bの言葉を無視して「お前が逃げるから悪いんだよ。早く(浦和支社の)鍵開けろ。」などと述べた。 (h) 一方,Aは,Bと別れてEとしばらく話をした後,本件道路を横断しようとして,信号待ちをしていたところ,原告がB車両を蹴りつけているところを目撃したため,原告らに駆け寄った。Aが,原告に対し,「原告,お前何やってるんだ。」と声をかけたところ,原告は,引き続き興奮した状態で,Aに対し,「帰ってきたんだから鍵を開けろ。」「殴る気なら殴れ。」と強い口調で言い返した。 (i) その直後の午後7時45分ころ,Bが携帯電話で警察に110番通報し,原告に車のフェンダーを凹まされたこと及びBは現場で待機していることを告げたところ,原告は,慌てて原告車両に乗り込み,本件駐車場を出て行こうとした。 (j) B及びAは,警察官が来るまで原告をその場に留めておくため,本件駐車場の入り口に立ちふさがって原告車両を止めようとしたが,原告は,強引に原告車両を後退させて本件道路に出て,その場を去った。 b 上記認定に対し,原告は,要旨,①B車両の左側フェンダー前部(タイヤの左斜め上の部分)の線状擦過痕(以下,単に「線状擦過痕」という。)は,木材の柾目部分により形成されたものである(原告が蹴りつけたことにより形成されたものではない),②B車両の左側フェンダー(タイヤの右斜め上の部分)の凹損痕(以下,単に「凹損痕」という。)の中に形成された山型の擦過痕(以下「山型痕跡」という。)はB車両が前進中に形成されたものではない(B車両は前進していたとのB証言と矛盾する),③本件交差点の信号サイクルに照らしてAが本件を目撃したはずはない,④原告が原告車両の前部バンパーをブロック塀にぶつけたとのBの証言は客観的事実に反する,⑤Bの証言は,午後7時40分より前にB車両がパンクしている のを目撃したとのKの証言と矛盾すると主張して,B及びAの各証言の信用性を争う。 そこで,以下,順次検討する。 (a) 線状擦過痕について 確かに,Lら作成にかかる鑑定書(甲28。以下「L鑑定書」という。)によれば,木材の柾目を用いて,線状擦過痕と類似した擦過痕を形成できることが認められるから,線状擦過痕が原告の行為により形成されたものであるかどうかには疑問を挟む余地がないとはいえない。 しかし,L鑑定書では木材の柾目以外により線状擦過痕が形成された可能性がない理由が明確にされていないこと及び鑑定人Mによる鑑定の結果において,靴底による足蹴り行為により線状擦過痕を形成することが可能であると結論付けられたことに照らせば,L鑑定書によっても線状擦過痕が木材の柾目で形成されたと認めることはできず,結局,線状擦過痕の形成された過程は不明であるといわざるを得ない。 したがって,原告の主張は理由がない。 (b) 山型痕跡について 原告は,山型痕跡の方向に照らしてBの証言は信用できないと主張する。しかし,Bの証言によれば,BはB車両を進行させるか否か躊躇していたこと,進行しようとした矢先に原告にB車両を蹴られたことが認められ,原告がB車両を蹴りつけた状況に照らせば,原告に蹴られたことに驚いたBが反射的にブレーキを踏むなどした可能性も否定できないから,原告の足がB車両の凹損痕部分に当たったその瞬間に,B車両がまさに前進していたか否かはBの証言からも明らかにはならず,他にB車両が前進していたことを認めるに足りる証拠はないから,原告の主張はその前提を欠く。 (c) 信号サイクルについて 原告は,Aが信号待ちを始めたのとBが本件駐車場へ向かったのがほぼ同時であったことを前提に,信号のサイクル(甲57,58)に当てはめて,Aが原告の行為を目撃したはずはない旨主張する。 しかし,B,A及びEの各証言によれば,平成12年8月10日は,B,A及びEの3名が最後に浦和支社を最後に出たこと,Bは先に一人で本件駐車場へ向かい,その後A及びEが約1,2分話をしたこと,AはEとの話が終わった後,Bに遅れて本件交差点に向かい,一人で信号待ちをしたことが認められる。これらの事情に加えて,本件駐車場は浦和支社が入居しているビルに隣接していることからすれば,Aが本件交差点に向かう間に,既にBはB車両を本件道路に進出させようとしていたといえる。また,上記のとおり,B及びAはそれぞれ別々の行動をとっていたのであるから,BがB車両を本件道路に進入させた際に見た「赤信号」とAが信号待ちをした際に見た「赤信号」がいずれも信号サイクルのステップ5(甲57)に当ては まるとはいえず,原告の主張はその前提を欠く。 また,証人Aは,信号待ちをしている間に原告が蹴る素振りをしたのを目撃したと述べているに過ぎず,Aがその後の一部始終を目撃したことからすれば,同人は,最初に原告の動きに目を止めて以降,対面信号は目に入らなかったことが推認できるから,一連の行為が行われた間にAは横断歩道を渡りきっていなければおかしいとの原告の主張は失当である。 (d) フロントバンパーについて 確かに,原告が原告車両のフロントバンパーをブロック塀にぶつけたという事実は証拠上認定できず,この点に関するBの証言は事実に反するといえる。しかし,かかる事情はBの証言全体の信用性を失わせるほどの重要な齟齬とは認められないし,B及びAの各証言によれば,Bは原告車両が走り去った際,携帯電話で通話中だったことが認められ,Bの記憶が不正確であったとしてもやむを得ない事情があるといえるから,全体としてのBの証言の信用性は損なわれない。 (e) K証言について Kの証言は,パンクの状況,パンクしたタイヤを見たとする日付,Bの指示説明等その重要部分が曖昧であり,また,B及びAの各証言と整合しないから,にわかに信用できない。原告の主張は前提を欠く。 c 原告は,以上のほかにも縷々主張してB及びAの各証言の信用性を争うが,それらは,B及びAの各証言のごく一部のみを取り上げて微に入り細に入り食い違う部分を指摘して反論したり,B車両がパンクしていたことなど本件との関連性が認められない事情について論難したり,証拠上認定できない事実(B車両はクーラーをつけていたこと)を前提に原告の見解を述べたりするものであり,いずれもB及びAの各証言の信用性を覆すに足りない。 d なお,原告は,平成12年8月10日は,午後7時ころまで東京都中央区日本橋蛎殻町の「ドトールコーヒー」で株式の名義書換の打合せをしていたため,午後7時40分ころ浦和の本件現場に到着するのは不可能であり,原告にはアリバイが成立すると主張し,証拠(甲11,13,24,34,77,Gの証言及び原告本人尋問の結果)にはこれに沿う部分がある。 しかしながら,原告本人の供述は,B及びAの各証言と矛盾するものであり,また,当日は既存の顧客を中心に精力的に営業活動をしたとしながらN姓以外の顧客の名前については曖昧な供述に終始している点,株式の名義書換に行ったにもかかわらず株券を失念したとの点,100万円相当の株券を平成12年8月7日以降浦和支社に置いておいたとの点など,その内容自体不自然,不合理であるから信用できない。 さらに,証人Gの証言について検討すると,Gは原告が被告に入社した際,身元保証人になった者であり(乙26),そのこと自体から原告に有利な虚偽の供述をする動機があるといえるほか,その供述内容からは,身元保証人になるほど原告と親しいにもかかわらず,株の取引以外はあまりつき合いがなかったと述べるなど原告との関係が薄いことを装うような様子がうかがわれる。したがって,G証言はにわかに信用することができない。 また,原告は,平成12年8月10日当日の道路の混雑状況及びカーナビゲーションの示したルートを検討し,原告が午後7時40分に浦和支社に到着することは困難である旨主張し,原告には浦和支社に戻る動機がないことをも指摘して,アリバイの成立を主張する。しかし,以上のとおり,そもそも,原告の供述及びGの証言に信用性が認められず,この他に原告が平成12年8月10日午後7時ころに日本橋蛎殻町にいたことを認めるに足りる証拠はないから,その余について検討するまでもなく,アリバイの成立は認められない。 (イ) ところで,原告がB車両を蹴りつけて凹損させた行為は,終業直後に浦和支社の駐車場付近でされたものであること,その行為自体は器物損壊罪の構成要件に該当し,実際に刑事事件の第一審において有罪判決がされたこと(乙44。ただし,控訴中である。)から,「会社内における盗取,横領,傷害等刑法犯に該当する行為があったとき」(就業規則第69条(5)号)に該当するといえる。 カ 解雇事由(6)について 使用者が労働者に対して行う懲戒は,労働者の企業秩序違反行為を理由として,一種の秩序罰を課するものであるから,具体的な懲戒の適否は,その理由とされた非違行為との関係において判断されるべきものである。したがって,懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為は,特段の事情のない限り,当該懲戒の理由とされたものでないことが明らかであるから,その存在をもって当該懲戒の有効性を根拠付けることはできないものというべきである(最高裁判所平成8年9月26日判決・判例時報1582号131頁)。 これを本件についてみると,弁論の全趣旨及び本件訴訟の経過に照らせば,原告の経歴詐称について被告が認識したのは,平成14年9月に原告が提出した陳述書(甲13)において,原告が入社時に被告に提出した履歴書と異なる経歴が記載されていたことを認識した時点であるといえるから,原告による経歴詐称の事実は,平成12年8月11日の本件懲戒解雇当時に使用者たる被告が認識していなかった非違行為に当たり,かかる事実をもって本件懲戒解雇の有効性を根拠付けることはできない。 したがって,解雇事由(6)をもって,本件懲戒解雇の理由とすることはできない。 (2) 本件懲戒解雇の効力(権利濫用の有無) ア 以上のとおり,本件においては,解雇事由(2)が就業規則第69条(19)号の,解雇事由(3),(4),(5)が就業規則第69条(5)号の各懲戒解雇事由に該当するものということができるが,このように,就業規則の懲戒解雇事由に該当する行為があったとしても,これを理由とする懲戒解雇は,当該具体的事情の下において,それが客観的に合理的理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には,権利の濫用として無効となると解するのが相当である(労働基準法18条の2参照)。 イ そこで,以下,これについて検討することとする。 (ア) 解雇事由(2)について 本件全証拠によっても,解雇事由(2)に該当する行為によって被告に具体的な損害が生じた事実は認められないこと,当該行為は平成12年8月7日以前に行われたものであり,前記のとおり,平成12年8月7日の時点では,被告自身も原告を解雇することは困難であると認識していたこと(証人Aの証言)からすれば,原告が架空の団体名を用いて営業活動を行ったことを理由に原告を懲戒解雇することは不相当であるといえる。 (イ) 解雇事由(3)について 解雇事由(3)該当の行為により被告会社に具体的な損害は発生しておらず,脅迫文言を告げる電話があったのは1回だけであったことからすれば,上記の行為を理由に原告を懲戒解雇することは不相当である。 (ウ) 解雇事由(4)について 原告自身が合鍵を所持しておりいつでも浦和支社に出入りできる状態であったこと(証人Aの証言),書棚には鍵がかかっていなかったこと(証人Eの証言),結果として浦和支社外にファイルを持ち出すまでには至っておらず,原告の行為により被告会社に具体的な損害が生じたとはいえないことからすると,解雇事由(4)の書類持ち出し行為を理由に原告を懲戒解雇するのは相当でない。 (エ) 解雇事由(5)について 解雇事由(5)に該当する行為は上司であるBに向けられたものであること,原告は一方的にB車両を蹴りつけたこと,原告はBが110番通報をするや否やB及びAの制止を無視して現場から逃走したこと,原告は翌日も浦和支社に出勤しながらBに対し一言の謝罪もせず,被害弁償はされていないこと,原告は民事・刑事の裁判を通じて一貫してB車両を蹴った事実を否認し,全く反省の態度をみせていないことに照らせば,その行為態様は悪質であるといえる。 しかしながら,前記認定のB車両の損壊行為に至る経緯を全体としてみれば,平成12年8月5日以降,BやAと原告との間の口論が相次ぎ,原告とB・Aの関係が日に日に険悪になる状況の下,平成12年8月7日に,Aが,原告に対する処分が決定したわけでもないのに,原告の留守中に社員をして原告の荷物を段ボール箱に詰めさせ,平成12年8月10日当日には,原告がいまだに被告の社員であるにもかかわらず,Aが,原告を浦和支社から閉め出す目的で浦和支社の鍵を付け替えて,原告がタイムカードを押せない状況を作出し,Bが,浦和支社の駐車場に到着した原告車両を認め,原告が鍵の付替えについて立腹した様子であることにも気付きながら,敢えて原告を無視してB車両を発車させようとしたことが認められる。こうした一 連の経過に照らせば,BとAは,原告がBとAに対する不信感を募らせていることを知りながら,原告を挑発して憤慨させ,原告がBに対する実力行使に出ざるを得ない状況を自ら作出したといっても過言ではない。 また,本件損壊行為は偶発的なものであって計画性はうかがわれず,さらに,本件損壊行為による被害は物損にとどまり(刑事事件の判決において認定された損害額は8万0240円(乙44)である。),原告の行為により生じた結果は軽微なものであるといえる。 これらの事情を総合すれば,原告がBに対して立腹してB車両を損壊させたことについては,かかる行為を誘発した被告にも責められるべき点が認められ,他方において,原告の行為によって発生した結果は軽微なものであったといえるから,標記行為を理由に原告を懲戒解雇することは社会通念上相当とはいえず,合理的理由を欠くといわざるを得ない。 ウ 以上によれば,被告がした本件懲戒解雇は,客観的にみて合理的理由を欠き社会通念上相当として是認することができないから,懲戒権を濫用したものとして,無効である。 2 争点2(本件懲戒解雇に普通解雇の意思表示が内包されているか)について (1) 懲戒解雇は,使用者による労働者の特定の企業秩序違反の行為に対する懲戒罰であり,普通解雇は,使用者が行う労働契約の解約権の行使であり,両者はそれぞれその社会的,法的意味を異にする意思表示であるから,懲戒解雇の意思表示がされたからといって,当然に普通解雇の意思表示がされたと認めることはできないし,懲戒解雇の普通解雇への転換は認められないと解するのが相当である。他方,使用者が,懲戒解雇の要件は満たさないとしても,当該労働者との雇用関係を解消したいとの意思を有しており,懲戒解雇に至る経緯に照らして,使用者が懲戒解雇の意思表示に,予備的に普通解雇の意思表示をしたものと認定できる場合には,懲戒解雇の意思表示に予備的に普通解雇の意思表示が内包されていると認めることができる。 (2) これを本件についてみると,前記認定の事実経過に照らせば,被告が,原告をAの下で再教育するために浦和支社に配置転換した後も原告の勤務態度は一向に改善されず,平成12年8月5日以降,原告とB及びAの関係は悪化の一途をたどり,同年8月7日には,Aが原告に対し「そんな態度をとり続けていると,辞めてもらうことになっちゃうぞ。お前はそれでもいいのか。」,「上司の言うことをきけないんであれば,辞めちまえ。」と述べて,これ以上反抗的な態度をとり続けた場合は解雇も含めた処分を検討せざるを得ない旨警告したにもかかわらず,原告はその直後の同年8月10日にB車両の損壊行為に及んだこと,被告は,その翌日にも原告が何食わぬ顔で出勤したことから,いよいよ原告を解雇するしかないとの意思を固めて本件通 告書により懲戒解雇の意思表示をしたこと,被告は,同年10月19日,本件の訴状の送達を受けて,原告が懲戒解雇処分に抵抗し,本件訴訟を提起して争う姿勢であることを知り,原告に対し,「平成12年8月11日付の解雇に伴いまして,解雇予告手当を下記のとおり支払いさせて頂きます。」と記載した予告手当支払通知を送付して,同月16日に解雇予告手当を支払う旨を通知し,同日,原告の給与振込口座に解雇予告手当として35万2530円を振り込んだこと(なお,就業規則第66条(6)号には,懲戒解雇をする場合,「解雇予告を行わず又予告手当を支払わない」旨が定められている(乙1)。)が認められ,これらの事情を総合すると,被告は,平成12年8月11日に至り,もはや原告を雇用し続けることはできないとの考えに基づき, 本件通告書を送付したものと認めることができるから,本件懲戒解雇の意思表示には,予備的に普通解雇の意思表示が内包されていたものと認めるのが相当である。 3 争点3(普通解雇の有効性)について (1)ア 被告は,懲戒解雇事由と同様の事情を理由に原告を普通解雇したと主張するところ,使用者の解雇権の行使も,それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には,権利の濫用として無効になると解すべきである(労働基準法18条の2参照)。 イ(ア) これを本件についてみると,前記認定の本件解雇に至る経緯に照らせば,Aが原告に無断で社員をして原告の荷物を段ボール箱に詰めさせたこと,原告がタイムカードに打刻できないよう原告を閉め出したこと,Aが原告に「辞めちまえ。」などと述べたこと,Bが原告に対し口調を荒げたことなど,被告の対応にも不適切な面があったことは否めない。 (イ) しかし,前記認定のとおり,原告は,我孫子支店において架空の団体名を用いて営業活動を行った(就業規則第48条(3)号,69条(19)号該当行為)ほか,浦和支社においても,B及びAから再三注意を受けたにもかかわらず,朝礼や会議においても横柄な態度をとり,口答えをして口論し,Aの携帯電話に脅迫まがいの電話をかけ(就業規則第69条(5)号該当行為),被告管理にかかる書類を無断で持ち出そうとした(就業規則第69条(5)号該当行為)挙げ句,B車両を損壊した(就業規則第69条(5)号該当行為)ものである。 (ウ) さらに,証拠(甲13,乙41,42,原告本人尋問の結果)及び弁論の全趣旨によれば,以下のとおり,原告は,被告に入社した際,経歴を詐称したものと認めることができ,かかる原告の行為は,懲戒解雇事由である「重要な経歴を偽りまたは不正な方法で採用されたとき」(就業規則第69条(1)号)に該当する。 a 原告は,高校卒業後,乙証券株式会社に就職し,同社に勤務しながら夜間短大に通い,昭和48年に丙短期大学を卒業し,昭和55年ころ丁証券株式会社に,昭和58年ころ戊株式会社に,それぞれ転職した。 b 原告は,「営業職員としての営業成績が著しく劣る」ことなどを理由に,平成8年1月20日付けで戊株式会社を解雇された。原告はこれを不服として,戊株式会社に対し,雇用契約上の地位にあることの確認及び賃金の支払等を求めて訴訟を提起した(【事件番号は省略】)が,平成9年5月19日,原告の請求をいずれも棄却するとの判決がされ,原告が控訴しなかったため,同判決は確定した。 c 原告は,被告に入社するに当
https://w.atwiki.jp/ivyguild/pages/19.html
■戦闘系メンバー一覧■ ◎名前◎職業◎地位◎ニックネーム ◎キャラ画像(キャラ画像があれば追加しておきますw) MenberName ★ルシア・ベル★ 職業 クレリック 地位 ギルドマスター 呼び名 マスター、隊長..etc キャラ画像 コメント あっという間にギルドメンバー数が50人を超えましたw MenberName tarqeq 職業 騎士 地位 サブマスター 呼び名 タルンちゃん、タルさん、タルタル..etc キャラ画像 コメント MenberName ティア 職業 クレリック 地位 なし 呼び名 ティアさん..etc キャラ画像 コメント MenberName 暁 職業 魔術師 地位 なし 呼び名 赤頭巾ちゃん..etc キャラ画像 コメント MenberName エリス 職業 クレリック 地位 なし 呼び名 エリスさん..etc キャラ画像 コメント MenberName イタリ 職業 弓術士 地位 クエストハンター 呼び名 イタリさん、..etc キャラ画像 コメント MenberName 咲夜 職業 魔術師 地位 なし 呼び名 咲夜さん..etc キャラ画像 コメント MenberName ☆kopa☆ 職業 魔術師 地位 なし 呼び名 ☆kopa☆さん..etc キャラ画像 コメント MenberName ミラクルン♪ 職業 クレリック 地位 なし 呼び名 クルンちゃん..etc キャラ画像 コメント MenberName サイラス 職業 兵士 地位 なし 呼び名 なし..etc キャラ画像 コメント MenberName クラウド 職業 兵士 地位 チョコボレーサー 呼び名 クラウドさん、クラさん..etc キャラ画像 コメント MenberName ロボEX 職業 クレリック 地位 なし 呼び名 なし..etc キャラ画像 コメント MenberName sena % 職業 兵士 地位 なし 呼び名 なし..etc キャラ画像 コメント MenberName ルーク・F 職業 クレリック 地位 なし 呼び名 なし..etc キャラ画像 コメント MenberName リュリュ 職業 クレリック 地位 呼び名 なし..etc キャラ画像 コメント MenberName 翔紀 職業 兵士 地位 なし 呼び名 なし..etc キャラ画像 コメント MenberName FORSE 職業 クレリック 地位 なし 呼び名 フォースさん、よっちゃん..etc キャラ画像 コメント MenberName りりぃはーるく 職業 騎士 地位 なし 呼び名 りりぃさん..etc キャラ画像 コメント MenberName TAKA 職業 騎士 地位 なし 呼び名 ..etc キャラ画像 コメント MenberName Argentum Fortis 職業 弓術士 地位 なし 呼び名 アルさん..etc キャラ画像 コメント MenberName シオン 職業 弓術士 地位 なし 呼び名 なし..etc キャラ画像 コメント MenberName Arucha 職業 弓術士 地位 なし 呼び名 なし..etc キャラ画像 コメント MenberName 白雪 職業 魔術師 地位 なし 呼び名 なし..etc キャラ画像 コメント MenberName Pallene 職業 クレリック 地位 なし 呼び名 なし..etc キャラ画像 コメント MenberName Pallene 職業 騎士 地位 なし 呼び名 なし..etc キャラ画像 コメント MenberName NiveusANoilitisG 職業 騎士 地位 なし 呼び名 ベウスさん..etc キャラ画像 コメント MenberName ミシュラン 職業 兵士 地位 なし 呼び名 なし..etc キャラ画像 コメント MenberName 疾風の蛸 職業 魔術師 地位 なし 呼び名 なし..etc キャラ画像 コメント MenberName ∬Alica Pluvia∬ 職業 クレリック 地位 なし 呼び名 なし..etc キャラ画像 コメント MenberName ∬яao∬ 職業 クレリック 地位 なし 呼び名 なし..etc キャラ画像 コメント MenberName シロニバリ 職業 弓術士 地位 なし 呼び名 なし..etc キャラ画像 コメント MenberName なろり 職業 騎士 地位 なし 呼び名 なし..etc キャラ画像 コメント MenberName 藍妃 職業 クレリック 地位 なし 呼び名 あいひさん..etc キャラ画像 コメント MenberName エーフィ 職業 魔術師 地位 なし 呼び名 エーフィさん..etc キャラ画像 コメント 【重要】 Published by NHN Japan Corporation Developed by ponsbic (C) 2007 SQUARE ENIX CO., LTD. All rights reserved. 当コンテンツの再利用(再転載、再配布等)は禁止されております。
https://w.atwiki.jp/toho/pages/2464.html
Rising from the underground and below サークル ロリコンの地位向上 Number Track Name Arranger Original Works Original Tune Length 01 Master of puppets ロリコンの地位向上 東方妖々夢 ブクレシュティの人形師 [-- --] 02 Trauma in silent blue ロリコンの地位向上 東方風神録 芥川龍之介の河童 [-- --] 03 Flowering night ロリコンの地位向上 東方花映塚 フラワリングナイト [-- --] 04 Jealousy in peridote ロリコンの地位向上 東方地霊殿 緑眼のジェラシー [-- --] 05 3rd eye ロリコンの地位向上 東方地霊殿 少女さとり [-- --] 06 Nuclear fusion ロリコンの地位向上 東方地霊殿 霊地の太陽信仰 [-- --] 07 Closed hated eye ロリコンの地位向上 東方地霊殿 ハルトマンの妖怪少女 [-- --] 08 Grave of being ロリコンの地位向上 東方風神録 御柱の墓場 [-- --] 09 Little little general ロリコンの地位向上 東方星蓮船 小さな小さな賢将 [-- --] 10 Captain Murasa ロリコンの地位向上 東方星蓮船 キャプテンムラサ [-- --] 11 Alien in the Heian Age ロリコンの地位向上 東方星蓮船 平安のエイリアン [-- --] 詳細 コミックマーケット77(2009/12/30)にて頒布 イベント価格:500円 ショップ価格:735円(税込)