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病院の個室、ベッドの上に一人の少女が上体を起こして横になっていた。 ベッドの脇にはテレビが置かれ、窓からは晴天の陽光が差し込んでいる。 だが、少女はそのどちらにも目を向けず、ただ呆と壁を眺めていた。 「……こんにちは、調子はどう?」 一人の女性看護師が入室する。看護師は少女が入院してから担当をしており、少女に取って信頼のおける間柄だった。 「お姉さん。今日は調子がいいの」 「そうね、顔色も良さそう。やっぱり女の子はすっきり綺麗な顔がいいね!」 笑いかけながら、看護師はいつもの日課をこなしていく。少女も慣れたもので特に抵抗もない。そんな中、ふと少女は言葉を零す。 「ねぇお姉さん。わたし、いつまで生きられるのかな」 ――看護師は知っている。少女の体には生まれつきの欠陥があり、長く生きることは難しいことを。仮に長く生きれたところで健常な体であることは難しいということも。 それでも。内心の動揺を決して表に出すことはなく。 「何を言っているの。ここのお医者様はとても優秀な先生ばかりなんだから、元気になってずっと生きていられるわよ」 そんな風に、心にもない/心からの、言葉を口にする。 看護師になって十数年。少女のような存在は世にありふれた不幸の一つであることくらい身に染みている。 だとしても。 (ああ、神様。どうしてこんな幼い子が、これだけの仕打ちを受けなければいけないの) だとしても、そう思わずには居られない程度には彼女は弱い存在だった。 「――だからここを退院したら、お姉さんと一緒に遊びに行きましょうね!」 結局。この約束は、最期まで果たされることはなかった。 「ね……紘子(ひろこ)ちゃん」 ### 戦闘地形へと転送されたベルジュが見たのは、正方形に整えられた舞台だった。 そして自らが立っているその舞台の中央、周囲には俵で形成された円形。 さらに、俵のラインに沿って壁のように金網がそびえ立ち、何本もの有刺鉄線がガチガチに巻かれていた。鉄線からはバチバチと電流が迸っている。 「なるほど。土俵か」 テレビをあまり見ないベルジュでも知っている。これは有刺鉄線電流爆破デスマッチの土俵だ。 本来力士同士で行うそれを魔人でやれと、そう主催者は示しているということか。 とはいえ。 戦場自体は割とポピュラーな物だ。ベルジュにとってそれよりもよほど気になる物が視界に映っている。 土俵の中央に描かれた二本の白い仕切り線を挟んで、ベルジュと反対側に位置する場所。そこに文字通りに「壁」が、文字通りに「立って」いた。 「よう、俺が壁マンだ! お前が俺の相手か、ガキ」 そう声を発したのは、どこかの壁から切り抜いたと言われたらそのまま信じてしまいそうな壁だ。 その壁にはさらに、側部と底部に当たる部分からゴリラの腕と脚が生えている。その一方で今喋ったはずの発声器官は見当たらない。 (喋って、手足があって、動く。すごいなぁ。ゴリラだし。……ってかまんまじゃん) 正直な感想を胸臆に留めて、ベルジュは笑みを浮かべたまま応える。 「オレはベルジュ。……アンタが主催者の言うマイスターの一人? 本当に?」 「俺を疑ってんのか~? ハンッ、俺にはどうしても勝たなきゃいけない理由がある。子供だからと言って、容赦はしてやれねぇぞ!」 「そういう話じゃなかったんだけど……ま、それは残念だ。オレそんな強くないから、是非手加減して欲しかったんだけど」 そう言いながら、二人は示し合わせたようにそれぞれ膝を曲げ腰を落としたた。左右に膝を開き、背すじをピン! と伸ばした蹲踞(そんきょ)の姿勢。 パン、と柏手の音が重なる。そのまま互いに両の掌を開き表・裏、双方を見えるように大きく腕を回す。塵手水(ちりちょうず)の礼だ。これを以て互いに武器を持っていないことを証明する。このくらいのルールは、当然のように二人とも知っている。 やがて二人は仕切り線の前で腰を落とし向かい合う。今回この戦場に軍配を上げる行司は居ない。故に立ち合いは双方の合意にて開始される。 「はっけよーい!」 「はっけよい……」 視線、交錯。走る緊張は一瞬。 そして。 「「――のこった!」」 掛け声と共に。 ベルジュは脇差を抜き放ち斬りかかった。 塵手水の際には確かに徒手であった。故にこれに不正は無い。 上段からの振り下ろし。壁マンを正面から襲撃する。 「甘い! 俺の手は何のためにあると思っている!」 対し、壁マンはゴリラの両腕を広げ、掌を刀の振り下ろしに合わせ、打ち合わせた。 「――無刀取り!」 柏手めいた打音が響く。 壁マンの両手は、刀が通り過ぎてから(・・・・・・・)振るわれた。文字通りの手遅れである。 白刃取りを掻い潜(るまでも無か)った一撃は壁マンの胴体を斬り付ける。しかし。 (浅い……というか効いてない) 見た目はどこの家にもありそうなただの壁なのに、鋼鉄を叩いたかのようにまるで斬撃が通らない。胸中で舌打ちをしつつ、カウンターを警戒してバックステップ。 したはずなのに。 「遅いぜ」 気が付けば、眼前に迫る壁。 「は、や――」 身を捩り伸ばされた腕を躱し――切れない。壁マンの左腕がベルジュの体を掴み、持ち上げる。 それは相撲史上、公式試合において五十年以上使われていない大技。 「うおおー! だぁー!」 ――つかみ投げ、という。 「――!」 小柄なベルジュは軽々と投げられ、金網に激突した。ベルジュの作業着の下にはボディアーマーを着込んであるため、有刺鉄線のダメージは無いが。 ――バチバチッ、パァンパパァン 「が、ぁっ!」 鉄線を流れる電流とそれに誘発された爆裂がベルジュの体に襲い掛かる。幸いにも金網に叩き付けられた反動と爆発の衝撃によってベルジュの体はすぐに金網から離れダメージを負い続ける事態からは逃れたが、数歩たたらを踏み堪え切れぬように蹲った。 本来は全身を筋肉の鎧で包んだ力士が行う試合形式である。魔人とはいえそのダメージは決して安くないが、それでもギリギリ土俵に体をつくことは避けている。 そしてその好機を見逃す壁マンではない。 「チャンスだぜ、おりゃぁー!」 ゴリラの両足で力強く駆ける。体勢が低くなった相手に全体重をかけて押し潰すように倒す――その技を、浴びせ倒しという。上から抑え込んでしまえばもはや抵抗の余地は無い。故に壁マンはそのように攻撃を仕掛けた。 そしてそこでようやく、蹲っているベルジュが自身の体で隠すようにサブマシンガンを構えていたことに気付いた。 ――突っ張りという技がある。平手を以て相手を打突する攻撃で、両手の回転による素早い連撃とノックバック効果が特徴。特に下から上向きの突っ張りは相手の重心を崩し効果的に攻撃が行える。 ズドドドドドドと、低い姿勢から放たれる上向きの銃弾の連撃は、まさしく突っ張りに他ならない。 「ア、アババ、アバー!?」 真正面から銃弾(突っ張り)の雨を受けた壁マンは堪え切れないように仰け反り数歩後退りする。それを認めるとベルジュは即座に立ち上がり、駆け出すと勢いを殺すことなく跳躍し。 「どすこーい!」 気合一閃。ベルジュは壁マンに向けて全力のドロップキックを叩き込んだ。 本来相撲において相手の胸や腹を故意に蹴ることは禁じ手とされている。 しかし、ルールには壁を蹴ってはいけないという反則はない。故に当然ベルジュの行為もなんら不正に当たらない。 ドロップキックの反動で身を翻し着地。ベルジュは小柄で力も決して強くはないが、無防備になっていたところにドロップキックを受けた壁マンは後ろに倒れ―― 「お、ぉお! た、倒れないぞ! 頑張れ俺!」 倒れそうになった壁マンは両腕をばたばたと振り回し何歩か下がりつつも体勢を回復させた。 「よし頑張った、俺はやればできる子!」 なので。 「どすこーい!」 ベルジュは再度全力のドロップキックを叩き込んだ。当然不正行為ではない。壁マンは再度後ろへと押し込まれ。 ――バチバチッ、パァンパパァン 電流と爆発に巻き込まれた。 「ギャアアアアアアア!?」 身悶えしている壁マンに、ついでにベルジュはサブマシンガンをお見舞いする。銃弾と金網にサンドイッチされた壁マンは気持ち悪い振動を続けていたが、サブマシンガンのマガジンが空になり銃弾が止むとふらふらと金網から離れた。 (……まずいなぁ) 作業着のポケットから取り出した予備マガジンに交換しながら、ベルジュは内心で舌打ちをした。 斬撃、銃撃、蹴撃、電撃、爆撃。どのどれを以てしても壁マンには傷一つ付けられていない。 「お前ー! この俺を二度も足蹴にしやがって! 家の壁を蹴っちゃいけませんって教わらなかったのか!?」 「頑丈だなぁ。ねぇ、それどういうカラクリ?」 「あぁん? カラクリぃ~?」 ふん、とまるで鼻を鳴らすような素振りで壁マンは答えた。 「種も仕掛けもない。俺は、破壊不能オブジェクトだ! だが……そのせいで、俺はヒロ子を……!」 「破壊不能……?」 後に続く言葉は一旦置いておくことにした。破壊不能、その身も蓋も無い言葉が本当ならば。 (――オレ、こいつに勝てないじゃん) 物理的攻撃手段は全て封殺されてしまった。あるいは魔人能力なら有効かもしれない。 ベルジュの魔人能力『許言虚可証(ライ・センス)』は「嘘を吐くことによってそれを信じた相手から何かの“所有権”を奪う」能力だ。奪うことができる物は物理的な所有物だけに限らず、相手の肉体や感覚の一部さえ奪うことができる。 だが、如何なる場合であっても相手の魔人能力自体は絶対に奪うことができない。 壁マンは手足が生えている。 壁マンは喋ることができる。 壁マンは動くことができる。 壁マンは破壊不能でもある。 考察するまでもない。壁マンの魔人能力は明白だ。 (オレの能力では「魔人能力によって無敵が成立している相手」はどうやっても切り崩すことができない……!) 「そう……だから俺はヒロ子を救うためにこの戦いに勝たなければならないんだ!」 一通り喋って満足したのか、壁マンは決意を新たにしたと言わんばかりの雰囲気を醸し出している。見るからにダメージはゼロだ。 他方でベルジュは態度には出していないものの先ほどの電流爆破のダメージは小さくない。服の下では裂傷と火傷が痛々しく残っている。 「さあ俺の覚悟は決まったぜ! お前の覚悟はどうかな!?」 そしてそんなベルジュの葛藤も知らず、壁マンはぐっと腰を落として力を溜め。 「どすこおおおおおい!」 弾かれるように、ベルジュに向けて全力で突撃を仕掛けた。何の奇も衒いも無い単純なそれは、しかし迎撃手段を持たないベルジュには突破不能な暴力である。 「く、っとぉ!」 ベルジュは慌てて垂直方向へ踏み込みその突撃をギリギリで回避する。空を切った壁マンはその勢いのまま金網へと激突する。 電流、そして爆発。――当然、ノーダメージ。 「うおおおおおおおお!」 振り返り、再びベルジュに向けて突撃する壁マン。今度は初見ではないため先ほどよりは余裕をもって回避するベルジュだが、また金網に激突し派手にスパークを散らす壁マンは気にすることなく三度突撃を敢行する。 (こいつ――!) ベルジュは歯噛みする。それはあまりにも稚拙で単純で、そして容赦のない戦法。 自身の無敵性を頼りに相手に当たるまで突撃を繰り返す。それはこの狭い戦場においてはどうしようもないほど有効であった。 三度目の突撃を回避し、次は四度目。こうなれば、とベルジュはサブマシンガンを構え直す。四度目の突撃を回避したら切り返される前にありったけの銃弾を叩き込む。根本的な解決にはならないが一先ずイニシアティブを取り戻さなければならない。 「だりゃあああああああああああ!」 流石に単純な体当たりを四度も繰り返せば慣れる物で、ベルジュは大きく回避をしながら銃口を壁マンへと向ける。 そして、自身の油断を呪った。 「――!?」 ぐい、と体が引っ張られる感覚。一瞬の混乱、そしてその正体はすぐに分かった。 (鉄線!) 壁マンは金網に激突した際に有刺鉄線を掴み引き千切ったのだ。 壁マンに捕まれたまま突撃に引っ張られた鉄線はゴールテープのようにベルジュの体に纏わりついた。それは勢いのままにベルジュの体を引き倒そうとする。それを防ぐためには流れに従わざるを得ない。 「ううぅぅぅぅぅ――!」 倒されてしまいたい衝動に抗い、有刺鉄線を掴み取った。手に激痛が走る。そして、そのまま壁マンは金網に四度目の激突をし、それに引っ張られる鉄線と掴んでいるベルジュも同様で。 「があああああああああああああ!」 スパーク。先ほどの傷の上からさらに電流と爆発がベルジュに襲い掛かる。 しかも今回は鉄線に引っ掛けられているため脱出することができない。 「どうだあああああああああああ!」 同様にスパークに巻き込まれている壁マンが叫ぶ。だが当然、彼はノーダメージだ。 「ぐぅぅぅぅぅぅぅっ!」 呻きながら、ベルジュは両手を上に伸ばした。有刺鉄線が手に刺さるのも構わずに金網を掴み体を引き上げ、そのまま素早く駆け登った。 (ボルダリングの訓練が役に立ったなぁ!) 半ば自棄のように内心で吐き捨てながら、上部の金網に自ら体を押し付ける。 爆発。 防御もできないままそれをもろに喰らい、そして反動で金網から弾き飛ばされる。 視界も覚束ないままに、それでも天性の体捌きで足から着地。決して土俵に体をつかない。 なんとか金網拘束からは逃れたものの、ベルジュが負ったダメージは最早深刻な物であった。 肩で息をしながら必死に壁マンを睨みつける。対して壁マンは電撃の中から悠然と歩みを進める。 「もうその様子じゃあ逃げ回れねぇ、諦めろ! そして俺とヒロ子のために死んでくれ~!」 「うぅ……くっ」 絶望の宣告に、ベルジュは俯き呻く……だが。 「く、くくく、くっ」 「あぁ?」 壁マンは怪訝そうな声を上げる。追い詰められたはずのベルジュはしかし、肩を震わせていた。 笑っている。 「ヒロ子……ヒロ子ね。確かアンタのせいで死んじゃった女の子だっけ」 「ああそうだ! この大会の報酬で、俺はヒロ子を死なせてしまった過去を変える!」 「――そういう設定なんだ?」 ぽつりと。 一人熱くなる壁マンを冷笑するように、ベルジュは零した。 「は~? 設定? 何言ってるんだお前?」 「……オレはさ。この大会に出る前に、主催者の言うマイスターって奴らを可能な限り調べたんだ。オレは弱っちいからね、できる手は打っておかないと。でも」 ベルジュは顔を上げる。眼前にはぽかんとした様子の壁マン。何を言われているのか分かっていない様子で。 「――いなかったんだよ、壁マンなんてやつ。推薦枠にはね」 「おいおいおい、いくら負けそうだからってそんな適当な話で俺を動揺させるつもりかよ~?」 「うん、確かに言葉でアンタを動揺させようとしてるよ。もうバトルじゃオレに勝ち目は無いからね」 「はぁぁぁぁ?」 素直に認める相手にますます意味が分からないと混乱する。 「でもまぁ一先ずはオレの話を聞いてよ、壁マン。いや、ここは本来の推薦枠の名前で呼ぼうか」 一拍。息を吐く。 ここからがベルジュにとっての本当の戦いだ。 「ね。――日下部紘子(くさかべひろこ)」 ### 先天的な免疫不全。 それが紘子の生まれ持った欠損だった。 「紘子ちゃんの好きな動物って、なにかな?」 「うーん、わたしはねぇ。ゴリラさん」 「い、意外な好みなのね……」 人間が本来、当然に持っているはずの免疫系に欠陥があり、些細な病菌によって感染症を発症、あるいは常人以上に重症化する。 その症状は適切な治療を行えば完治まではいかなくとも普通の生活を送ることができる程度には抑えられる。だが紘子は特に免疫系が弱く病院の外に出ることすらできなかった。 「だって、ゴリラさんは強くて優しいんだって。お姉さん知らなかったの?」 「うーん、そうねぇ。確かにとても強い動物だと思うけれども」 困ったように苦笑する看護師から視線を外し、紘子は病室の壁を見つめた。暇さえあれば、紘子は壁を見ていた。 「強くて優しいゴリラさんならきっと、わたしのことも守ってくれるよね」 「……」 無邪気、それでいてどこか諦観を含んだ少女の言葉に、看護師は即応できなかった。 「わたしと一緒にいてくれて、わたしを守ってくれるお友達がいたらよかったのになぁ」 ### 「――日下部紘子。それがアンタの枠として出場するはずだった本来の推薦枠だ」 いや、とベルジュはすぐに補足する。 「アンタも紘子の枠として出場しているだから、この言い方はちょっと不適切だったかな」 「待てよ。日下部紘子って、まさかヒロ子のことを言ってんのか!? あいつを馬鹿にするのは許せないぜ!」 「……なぁ、そもそもの話をするんだけどさ。――アンタ、何? なんで壁が動いてんの?」 口にしたのは、あまりにも今更過ぎる疑問だった。 「俺が何か、だと~!? 俺は壁だ、喋ることができる、そして手足が生えてしまった……ただの壁だ!」 「そうそう。そういう魔人能力を持った、自分が自我を有して動いていることに疑問を持たない……そんな設定の、壁だ」 「さっきから設定設定ってうるせぇな! いい加減ぶっ飛ばしてやろうか~!?」 「日下部紘子は」 耐えかねた様子の壁マンを制して。 「魔人能力者だ。主催者が目を付けるほどのね。流石に詳細までは知らないけど大まかな情報は掴むことができた」 ベルジュは話を続ける。伝えたい情報はここからだ。 「……『転身』。要するに、日下部紘子は魔人能力によって全く別の姿に変わることができるって話だよ。だから最初、アンタがオレの相手として立っていたことに驚いた」 「……おい、まさかテメェはよ」 目の前の相手が何を言いたいのか、壁マンは考えが至ったようだ。ベルジュは頷く。 「壁マン、アンタは日下部紘子が魔人能力で転身した姿だ。本当は、壁マンなんて奴はどこにもいないんだよ」 ### 紘子は変わり者として看護師の間でも噂されていた。 何せ、テレビを見るのでも窓の外の風景を見るのでもなく。ただじっと壁を見つめているのだから。 「どうして紘子ちゃんはいつも壁を見ているの?」 紘子の担当の看護師はとうとう気になって直接本人に聞いてみたことがある。紘子は特に隠す素振りもなく素直に答えた。 「壁さんはわたしを守ってくれるから」 「紘子ちゃんは……好きな動物はゴリラって言った時みたいに、守ってくれる物が好きなのね?」 「うん。だからお姉さんも大好きだよ」 「そっか。ありがとう、お姉さんも紘子ちゃんが好きよ」 ……幼くして天涯孤独の身となった紘子は保護者を求めている。それがありありと感じられた。 「壁さんがお喋りできたらいいのになぁ」 「それは……ええと」 「ふふっ、お姉さんは気味が悪いって思う? でもわたし友達もいないし、お姉さんは忙しいからお喋りしてくれる相手がいてくれたらって思うの。そうだなぁ、手や足が生えて動いてくれたらもっとステキだと思う」 看護師はその絵面に内心引いていたが、子供の想像力はすごいと素直に感心もしていた。自分も想像してみる。手足の生えた壁、それは。 「例えば鬼太郎に出てくるぬりかべみたいに?」 「うーん、せっかくだからゴリラさんの手や足がいいな!」 子供の想像力はもっとずっとすごかったと看護師は引きつった表情で感心した。 ### 「生まれ付き体が弱く病室の世界でひとりぼっちだった紘子は、ずっと友達を求めていた。自分を守ってくれるヒーローを」 ベルジュは語る。自身が見聞きした虚構ではない紘子の物語を。 「ま、その結果がゴリラの手足が生えた喋る壁ってのもなかなかハイセンスだよね。そこはちょっと賛同しかねるなぁ」 「おいおいちょっと待てよ! それじゃ俺のヒロ子はどうなるんだよ!?」 「日下部紘子は存在するよ。でもそれはアンタの記憶の中のヒロ子とやらとイコールじゃない。だって、アンタの記憶は日下部紘子の設定に基づいて作られた物なんだから」 「なんだとぉ……」 「思い返してみてよ。アンタの記憶の中の彼女はおかしなところが無かった? 不自然な言動をしていなかった?」 ――『私はヒロ子よ。このプロローグのヒロインを務めて死ぬ予定の女の子よ』 「そ、そんなこと……『プロローグのヒロインを務めて死ぬ予定だ』って言うことはおかしなことじゃない!」 「おかしいよ逆にそのメッタメタなセリフは誰がどの状況で言うことを想定されているんだよ」 思わず素で突っ込んでしまったが、話を続ける。 「主催者は当初日下部紘子にオファーを掛けた。だけど病弱な彼女は素直にそれを受けるのではなく、自分の思い描くヒーローに代わりに出て貰うことにした」 「……」 「わざわざアンタの設定を彼女を死なせてしまったなんてことにしたのは……まぁ日下部紘子なりの遊び心というか、フレーバーってやつかな? せっかく勝利報酬があるんだから、目的がある方がモチベーションが」 「おいガキ」 ふと気が付くと。 ベルジュは胸倉をゴリラの腕によって掴み上げられていた。もはやその腕を回避するほどの力もベルジュには残ってなかった。 「うぐっ……」 「テメェの話はよ~、もう聞き飽きたぜ! このまま地面に叩き付けて終わらせてやる! そもそも敵であるお前の言うことが本当だなんて」 「本当かどうかというより」 胸倉を掴まれたまま、しかしベルジュは冷たく笑う。 「――オレに勝った後、どうするんだ」 「あぁ?」 「勝利報酬の過去改変のことだよ。アンタさっき自分の手で死なせてしまった女の子を救うって言ってたじゃないか。だけどさ」 そう、壁マンが日下部紘子であるのなら。 「そもそもアンタに過去は無いんだよ。だってアンタはこの大会に出場するためだけに生まれた存在なんだから」 「だから信じねぇって言ってるだろうが!」 「そう思うなら、オレを倒せばいい。そして勝った後にあの美人秘書さんに『彼女を助けてくれ』ってお願いするんだ。そうしたらきっとこう言われるよ」 ふっ、と能面のような表情で。 「『そんな過去はありません』ってね」 「なんだとぉ……!」 壁マンが動揺したその隙を突き、ベルジュは壁マンに向けて発砲した。当然彼にダメージを与えることはできないが、突然の衝撃に手が緩みベルジュは拘束から解放された。 「テメェ!」 「ごほごほっ……あー悪い悪い、流石に掴まれっぱなしは気分が悪くてさ。でさ、ここからオレのお願いなんだけど」 そう言って悪びれる様子もなく口を開いた。 「オレに勝ちを譲ってくれないか? 有体に言うと、降参して欲しい」 再度掴みかかろうとしていた壁マンの動きは、その言葉に制される。 「どう……」 「どうしてそうなるのか、って? 簡単だよ。アンタがオレに勝ったならさっきオレが言った通りの結末になる。勿論信じないというのならお好きにどうぞ?」 だけど。 「もしオレに勝ちを譲ってくれるのなら。アンタはその現実を確定させなくて済む。アンタは少女を死なせてしまった哀しい怪物のままでいられるんだ」 だから。 「素直に言う、これはオレの命乞いだ。勝ち負けはアンタに決定権がある。それは同時にアンタが自分の過去を受け入れられるかどうかでもある。さあどうする、日下部紘子」 ### 「たすけて……」 人知れぬ夜。紘子は一人泣いていた。 「たすけて……だれか、だれか……」 怖かった。具体的な何かが怖いのではなく、夜が、孤独が、死が、病気が、言葉に表せないいくつもの気持ちが恐怖を形成していた。 紘子は健気だった。家族を失い、生まれつき欠損を持ち、それでもなお明るく振舞える少女だった。 「おねがい、わたしのヒーロー……」 それでも、全てを誰かに委ねて楽になりたいと思う弱さを持った人間だった。 「たすけて……」 願いは届かない。少なくとも、この時は。 少女の願いが魔人能力という形で実現することになるのはもっと先の話である。 それまでの紘子はただ運命に翻弄されるだけの幼子であった。 ### 壁マンは考えた。 彼の壁生の中で一番と言えるほど考えた。 (俺は……作り物で。ヒロ子はいなくて……俺がヒロ子で?) ベルジュは敵だ。そんな奴の言うことを鵜呑みにしているわけではない。 (だが、もし本当だったら、俺はどうなる? 俺がヒロ子が大会のためだけに作った仮の体だとすれば、役割を終えた俺は……俺でいられるのか?) それとも。 (勝たなければ俺は俺でいられるのか? 例え偽物でもヒロ子との思い出を持ったままで……?) 勝てばヒロ子を救えるはずだった。何も考える必要もなく壁マンはただの壁として敵を倒せばいいだけだったのに。 (違う! ベルジュは俺を騙そうとしている! 俺は奴を倒せばいいだけ! そうだ、そうに決まって……) 勝てば全てを失うかもしれないという可能性を提示されてしまった。壁マンにはヒロ子しか無かったから。 勝てばいいのか。負ければいいのか。 考えて、考えて。考えた末に。 壁マンは、ゆっくりと腕を下ろした。 ――『あらあら……最近の壁は随分おしゃべりなのね』 「俺は作り物か?」 「そうだ、日下部紘子の魔人能力によって生み出された人造の魔人だよ」 ――『お喋りの相手がいたほうが暇潰しができていいわ。私、友達少ないから』 「俺の願いは紛い物か?」 「そうだ、アンタと彼女の思い出はこの大会に出るために設定されてフレーバーだ。アンタが救うべき少女は居ないし、あんたが改変すべき過去も存在しない」 一拍。ベルジュはトドメを刺すようにそれを告げた。 「アンタの全てはアンタの物じゃない」 「……」 壁マンは応えない。彼には顔が無いため、その表情を伺い知ることはできない。 「俺の」 やがて、壁マンが言葉を発した。 「俺の過去も目的も能力も、俺の物じゃない。それは本当なのかもな」 「そうだ、だから」 「だけど」 遮る。 続く言葉は。 ――『何言ってるの』 ――『貴方ならできるわよ!』 「俺の心は俺の物だ」 その言葉は、宣誓だ。 「……なんだって?」 「聞こえなかったかガキ。――じゃあ大声で言ってやるぜ! 俺が今、ヒロ子のことを助けたいって願う気持ちは、この心だけは! 間違いなく俺の物だって言ったんだよォ!」 「なっ……」 裂帛。その圧にベルジュは思わず後退った。 「何を言い出すんだ、アンタは」 「へへっ、簡単なことだろうがよ~。俺が最初から持っていた物は確かに作られて用意された物かもしれねぇ! だが、俺が作られてから自分で考えて得た心は俺だけの物ってことだろ!?」 ぶんぶんと、壁マンは準備運動のように両腕を回す。 「そして俺の心はこう言っているぜ、お前をぶっ倒して勝てとな! 他の誰でもない、ヒロ子のためにも!」 「……!」 発砲。ベルジュはサブマシンガンの引鉄を引く。銃弾が壁マンの体を打ち付け、彼は衝撃に後退る。金網に激突。 ――バチバチッ、パァンパパァン 銃弾が、電撃が、爆破が。壁マンに襲い掛かる。 効かない。彼は破壊不能オブジェクトである。 「もう終わりかぁ……?」 サブマシンガンのマガジンが空となり銃弾が止む。壁マンはゆるりと金網から離れた。 一歩、ベルジュに迫る。 「く、来るな!」 ポケットから新たなマガジンを取り出し装填、即座に射撃を再開。壁マンは再び金網に押し付けられ、電流と爆破に包まれる。 ――効かない。全ての暴力は彼の歩みを止めることはできない。 「アンタが勝ったらアンタは消える!」 「関係ねぇ! 俺の心は無くなったりしない!」 空のマガジンを捨て、新たな物へと交換する。 射撃。効かない。足止めにしかならない。 「全部作り物だって言っただろ!」 「だからどうした! 今ここにいる俺は本物だ! 無かったことにはならねぇ!」 空のマガジンを捨て、新たな物へと交換しようとした。 ポケットを探る。ベルジュの手は空を切った。 「弾切、れ……!」 「へへっ、弾切れってことはよ~! もう俺を止める手段は無いってことだよなぁ!?」 銃弾の雨から解放された壁マンが一歩、また一歩と相対者へと距離を詰める。 ベルジュは累積したダメージにより逃げることもできない。銃を諦め、脇差を相対者に向ける。全力の一撃でさえ容易に弾かれた得物を。 壁マンは手足が生えている。 壁マンは喋ることができる。 壁マンは動くことができる。 壁マンは破壊不能でもある。 ――そして、壁マンは勝利を諦めない。 「俺は壁マン! ――お前を倒す、俺は星になるぜ!」 踏み込み。 フェイントも何もなく、ただ単純な体当たりによって、真っすぐに肉薄する。 ベルジュは迫り来る壁に、ただ刀を向けることしかできない。 叫ぶ。 「……ッ! 日下部、紘子ォ!」 ### 紘子という少女がいた。 彼女は生まれつき体に欠陥を持ち、天涯孤独の身だった。 健気で、それでも一人で夜に泣いてしまうようなただの女の子だった。 「お姉さん。わたしね、夢ができたの」 その日、紘子はいつもの看護師を真っすぐと見つめて口を開いた。 「……聞いてくれますか?」 「勿論よ。お姉さんに聞かせてちょうだい」 看護師はベッドの傍まで寄り、目線を合わせて優しく微笑んだ。 「わたしね。体が良くなって病院の外を自由に走れるようになったらね」 「……」 その時点で少女に取っては夢のような話だっただろう。それでも看護師は口を挟むことなく先を待った。 「わたしはヒーローになりたいな」 「……ヒーロー?」 「うん! ヒーローはね、みんなに勇気をあげるんだよ。だからわたしは、わたしみたいに病気で苦しんでいる子供たちに勇気を分けてあげられるヒーローになるの」 そう言って、紘子は少し恥ずかしそうにはにかんだ。看護師にとってもそれは珍しい表情であった。 「どうすればヒーローになれるのかは分からないけども……でもね、応援してくれる人がいるってとっても嬉しいことなんだよ。わたしがお姉さんに助けてもらったみたいに。……ダメかなぁ?」 少しだけ不安そうに語り終えた紘子を、気が付けば看護師は抱き締めていた。 「ダメなんてことない……とっても素敵な夢! 叶えられる、紘子ちゃんなら絶対できるよ」 「本当? お姉さんは信じてくれる?」 「勿論……うん、信じるから……」 もしかすると看護師は泣いていたのかもしれない。それは紘子からは見えなかった。 少女はただ自らを包む暖かさにくすぐったそうに身をよじって。 紘子は言った。 「ごめん、全部嘘なんだ」 ### ベルジュは言った。 「ごめん、全部嘘なんだ」 ドス。 壁マンは止まった。止まらざるを得なかった。 そして、それを見た。 「なん……」 「なんでだと思う?」 ベルジュは笑う。 壁マンの体を脇差が深々と貫通していた。 ベルジュの魔人能力『許言虚可証(ライ・センス)』は「嘘を吐くことによってそれを信じた相手から何かの“所有権”を奪う」能力だ。だが、如何なる場合であっても相手の魔人能力自体は絶対に奪うことができない。 壁マンは手足が生えている。 ――魔人能力によって。 壁マンは喋ることができる。 ――魔人能力によって。 壁マンは動くことができる。 ――魔人能力によって。 壁マンは破壊不能でもある。 ――それは魔人能力由来ではない(・・・・・・・・・・・・・)。 壁マンが破壊不能オブジェクトなのは、壁として彼が元々持っている特性である。 「アンタの破壊不能属性を奪った。……生来の特性は奪うのが難しいから、苦労したよ」 『許言虚可証(ライ・センス)』は所有権を奪うが、奪う物が所有者にとって「不可欠の物である」「当然に自分の物である」と認識しているほど奪う難易度は跳ね上がる。 だが。 ――『俺の過去も目的も能力も、俺の物じゃない』 ――『この心だけは! 間違いなく俺の物だって言ったんだよォ!』 本人が自分の物ではないと認めたのであれば、話は別である。 「おっと!」 ベルジュが身を屈める。その頭上をゴリラの腕が通過した。回避したペテン師は脇差から手を離しそのまま滑るように距離を取り追撃を阻む。摺り足だ。 それは精細さを欠いた破れかぶれの反撃だった。あるいは今の衝撃から立ち直りきれていないことの証左か。だが、その動きにより壁マンは自らの体でベルジュの脇差を封じた。 「なんだ、思ったより立ち直りが早いじゃない」 「テメェ……何をしやがった! そもそも全部嘘ってどういうことだ!?」 「いやだってアンタの正体とか知らんし」 事前に主催者が推薦したマイスターについて調査を行ったのは本当だ。 だが調べがついたのは名前などの大まかな情報だけだ。その能力や素性まではとても調べられなかった。 「テメェは絶対許さねぇ! ボッコボコにぶっ飛ばしてやる!」 「怒らせちゃった? でもこれでアンタにも攻撃が通るよね。今まで通りだと思わないで欲しいな」 向き合う。ベルジュの手にはマガジンが空になったサブマシンガン。壁マンの体には突き刺さった脇差。徒手のペテン師を壁は笑う。 「なーにが攻撃が通るだ! お前の最後の武器は俺の体に刺さってるんだぜ! そのボロボロの体、近付かれる前にノックアウトしてやるぜ!」 「ああ、そういえば弾切れだったね」 そう言いながら。ベルジュはポケットから何かを取り出した。 新しいマガジンだった。 「あれ嘘。もう一個残してあるんだ」 壁マンは弾切れという嘘を信じた。ベルジュはそれを嘘と明かした。 能力発動。壁マンに刺さっていた脇差がベルジュの手へと移動する。所有権の簒奪。 それに気付いた壁マンは即座に距離を詰める。――より早く、引鉄は引かれていた。 ズドドドドドドと、銃弾が壁マンを穿つ。その三倍以上の数の銃撃を無傷で防いでいたはずの体が一発毎に削れヒビ割れていく。破壊不能オブジェクトで無くなった以上、彼の強度はただの集合住宅の壁である。 「ガアアアアアアアアアアアアアア!」 銃弾を一身に受ける姿は踊るように。ほんの数秒ほどの嵐が過ぎた後には、立ったまま身動きを止めた壁の姿があった。 「……」 撃ち切った姿勢のまま、ベルジュは少しだけ待った。そうして今度こそ本当に弾切れとなり余計な重量となったサブマシンガンを土俵に捨てた。両手で脇差を構える。 (本当に厄介な相手だった。破壊不能だから結局関係無いとはいえ、オレじゃサブマシンガンくらいの攻撃力の武器が限度なのはやっぱ辛いな) 内心で顧みながらゆっくりと近付く。これまでのダメージは未だにベルジュの体を蝕んでいる。 やがて脇差の有効射程に入り、刀を最上段に構えた。トドメの一撃。 「――ッ!」 振り下ろした。 柏手めいた打音が響く。 「――無刀取り」 壁マンはゴリラの両腕を広げ、掌を刀の振り下ろしに合わせ、打ち合わせた。その両手はガッチリと刀身を掴んでいる。 「なっ……」 「油断……しやがったなァ!?」 白刃取りした刀身を引き寄せると、柄を握っていたベルジュの体も同様に壁マンへと引き寄せられた。壁マンは刀から手を離すとベルジュの体を掴んだ。ダメージの影響か力は弱い。 (体勢を崩される!) そうされないよう、ベルジュもまた脇差を放り捨て即座に壁マンの体を掴んだ。 互いに相手の体を両腕で掴み合った状態。 これを相撲において、がっぷり四つと言う。 そう――この戦いは有刺鉄線電流爆破デスマッチ形式の相撲だ。この最終局面において勝負はとうとう本来の形へと回帰した。 「おお、おおお、オオォー!」 気合を込めながら壁マンはベルジュを掴んだまま奥へと押し込んでいく。だがベルジュも重心を落として押し倒されないように立ち回る。 (弱っているとはいえパワーではオレが負けている! 掛け手に持って行けるか!?) 四つ身になっている体勢からなら相手の足を内側から蹴り払い倒す蹴返しという技を狙える。だが現時点では防御に精一杯だ。互いに決定力に欠けた状態。 「ベルジュ……お前は強ぇ。だから俺ももう一度覚悟を決めるぜ!」 「何を……」 その声色から何か不穏な気配を感じたベルジュが声を上げる。 「何を考えている……!?」 「簡単なことだ。……さぁ、俺とお前、我慢比べと行こうじゃねぇか!」 「まさか……やめっ」 ――ガシャァン 音が響く。 それは、壁マンがベルジュを押し切り、自らの体ごと金網にぶつかった音だ。 即ち。 ――バチバチバチバチッ ――パァンパパパァンパンパァン 二人まとめて、電流と爆裂を受けるということである。 「があああああああああああ!」 「オオオオオオオオオオオォ!」 絶叫。壁マンは両手で金網を掴み自身の体と金網とでベルジュをサンドイッチにしている。ベルジュにここから脱出する術はない。 そして破壊不能属性を失い銃弾によるダメージを受けている壁マンは度重なる爆裂によりさらにダメージを重ねていく。 (ヒロ子……ヒロ子……! ヒロ子!) 辛い。止めたい。もう十分頑張ったという声が心から響く。 だが同時に諦めるな、頑張れ、負けるなという声も聞こえる。 どちらも本心だ。この思い全てが壁マンの心だ。 ヒーローとは誰かに勇気を与える者なれば。今この瞬間、間違いなく壁マンはヒーローであった。 「俺は、俺は! 絶対に勝つ!」 ふと、足が軽くなった。 それは自らの足が蹴飛ばされた感触だと咄嗟に気付けなかった。 「オレ、言ったよね?」 壁マンはベルジュを見る。これまで戦ってきた強敵を、先ほど絶叫を上げていたはずの相手が、電流と爆破を受けて平然としている様子を。 「アンタの破壊不能属性を奪った(・・・)、って」 蹴返し。四つ身の状態で相手の足を内側から外側へ蹴り飛ばし引き倒す技。 「今はオレが破壊不能オブジェクトだ」 ずん、と壁マンの体が土俵に沈む。耐久戦を挑んだつもりで、最初から勝ち目の無い戦いだった。 「ま……」 うつ伏せに倒れたまま壁マンはわなわなと震え。 「まだだ! ――そうだ! そもそもこの大会は相撲勝負じゃねぇ(・・・・・・・・・・・・・)!」 あまりにも今更なことを叫びながら壁マンは立ち上がり、ベルジュに向けて掴みかかる。 ――前に、ベルジュの繰り出した脇差によって、再び貫かれていた。 その一撃を受けて、壁マンは再度土俵に沈み……今度は立ち上がることはなかった。 ### 魔人能力を使い、紘子は看護師から自分の足りない免疫系を奪った。 少女はあっけなく健常な体を手に入れることができた。 その後看護師がどうなったのかは知らない。魔人となった紘子はすぐに病院から逃げ出したからだ。 紘子はそれから他者から何かを奪うことでしか生きられなくなった。そういう生き方しかできなくなった少女はやがて裏社会にてベルジュと名乗るようになる。 「オレの人生はテセウスの船だ」 奪った物だけで構成された人生。自分だけの物を何一つ持たない、心すら定かでない存在。 だから過去を変えたかった。 紘子が吐いた、ベルジュの始まりの嘘を無かったことにしたかた。 そうすることで、例え病に死ぬとしても。苦しみを伴う生だとしても。 「そうすることでオレは、ようやく自分だけの人生を歩むことができるんだ」 ### ベルジュはそれを見下ろす。 土俵に倒れた壁。どこかの家からそのまま持って来たような壁にゴリラの手足が生えている。 その壁は銃弾と爆破によってボロボロになっており、脇差が突き刺さっている。 「本当に、見れば見るほどまんまだよなぁ」 喋って、ゴリラの手足があって、動く。それはかつてベルジュが紘子だった頃に夢想したお友達の姿だ。 紘子の物語はベルジュの過去だ。故にそれはベルジュにとって本当に見聞きした物である。 「なんというか出来過ぎというか。これも全部主催者の趣味かな」 やれやれと肩を竦める。そうして改めて思う。 まさに、子供の頃に考えたままの姿がそこにある。改めて、ベルジュは素直な感想を口にした。 「いやぁ、ないない。これはキモいわ」 第六試合。勝者は、鈴樹紘子(ベルジュ)。
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SUMO~修羅女~のLIVE経緯 2007 ___ / u \ LIVE情報見るお・・・ / \ ─\ チラッ / し (>) (●) \ | ∪ (__人__) J | ________ \ u `⌒´ / | | | ノ \ | | | /´ | | | | l | | | ____ / \ 。 。 。 / _ w _\_________ 。 。 。 / _____| | ヘ____ヘ_|____ ___ /⌒| ((_____.| | Σ ________(○)__(○) バキッ!! / |. ι (___人__) | | '' , ' ' , | 。 | l\ | .| | | | 。 ヽ -一ー_~、⌒) |r┬-| | |. | 。 。 。 ヽ ____,ノ `ー'´ 。 。 。
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64巻 > 第237話 第237話 「影なき土俵!!」 掲載期間:2018年3月5日~2018年3月11日 AAを貼る場合上段のメニュー→「編集」→「このページを編集」。 AAの前に #aa{{ を、AAの後ろに }} をつけてください。 コラを載せる場合上段のメニュー→「編集」→「このページにファイルをアップロード」。 アップロード後に「編集」→「このページを編集」し、 #ref(添付ファイル名) または #ref(ファイルのURL) を記入してください。 散歩か! ピクニックか! あの世から手招き ハートがズッキュン 念には念を入れないとなー!
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「土俵をまちがえた人」(太田良博・沖縄タイムス)(6) 議論にならない ▼曽野さんは、沖縄の社会、教育、新聞なども批判している。皮相的な、困った偏見である。たとえば、「沖縄の社会は閉鎖的である」という。その理由は、なにも述べていないから、答えようがない。もし私が「本土は沖縄よりも閉鎖社会である。日本の地方の中で、沖縄ほど世界に開かれたところはない」と言ったとする。それだけでは議論になるまい。私なら、その理由を述べる。 今度の論争で、私は根本問題を踏まえて、土俵の真ん中に立っているのに、曽野さんは、枝葉末節のことや論点からはずれたことばかり言って、土俵のまわりを逃げまわっていたような気がする。 ▼住民処刑の明確な不当性を、私は証明した。これについては、いかなる人も反論できないはずだ。曽野さんも、沈黙して、曽野点は避けている。そうとわかれば、エチオピアの話をもち出す前に、不当に殺された人たちの遺族に対して、何らかの言葉があるべきだった。それがなかった。まったく、思いやりにかけている。 ▼赤松の弁護などは、作家本来の仕事ではあるまい。ドレフュス事件のゾラや松川事件の広津和郎の例はあるが、いずれも国家権力に対して被害者を弁護したのである。曽野さんの「ある神話の背景」は、国家権力の具現者であった赤松の不当な加害行為を弁護しているのである。こういう弁護はゾラや広津もさけるであろう。曽野さんは土俵をまちがえたと言わざるをえない。 “食言”する言動 「ある神話の背景」で、曽野さんは、つぎのように言う。「終戦のとき、自分は十三歳の少女だったが、すでに死ぬ覚悟があった」と。この言葉を、「だから、渡嘉敷島の人たちも強制されたのではなく、みずから死んだのだ」という理屈にむすびつける。だが、赤松弁護のくだりになると、「私が赤松の立場だったら、生きるために、あらゆる卑怯なことをしたかもしれない」と、まるで、ちがったことを言っている。「ある神話の背景」は、また、「頭かくして尻かくさず」といった背理や矛盾もたくさんあるが、いちいちふれないことにする。また、どういうつもりなのか、曽野さんは、外国の心理学者のマゾヒズム的な学説を引用して、「殺される喜び」について語ったり、「人間は人一人殺してみなければ、何もわからないのではないだろうか」とも書いている。 ▼赤松戦隊は、特殊な集団であった。隊長の赤松が二十五歳、学校を出て間もない。軍隊や戦場の体験が豊かだったとはいえない。隊員は、みな二十歳前後で、未成年者も多く、軍隊体験は一年内外、戦場に立つのは初めての連中である。いわば未熟兵の集団であったのだ。みんな若いから特攻に向いていたともいえる。だが、こういう集団は、本来の使命である特攻の機会を失うといった状況の激変に直面するとパニック状態におちいり狂暴となる。狂暴は、死を拒否し、生きるためにもがく行為である。ほんとに死を覚悟している人は狂暴にはならない。小禄の海軍根拠地隊とくらべてみると、その対照がはっきりする。根拠地隊は、所属のトラックで、小禄の全村民を、沖縄本島の北部に避難させ、小禄村全域を「無人の地帯」とした。軍隊だけ残って敵を待ち構える姿勢である。まことに苛烈な状況であった。米軍の記録は、のちに、小禄海軍部隊の善戦敢闘をつたえている。米軍の総攻撃をうけ、いよいよ玉砕が迫ったとき、司令官太田実少将(千葉県出身)は、「後退して、遊撃戦に移れ」と訓示して、部下の大半を、島尻南部に脱出させたが、戦線離脱と誤解されないように、摩文仁の軍司令官に打電した。部下を後退「残置」させた理由を述べ、その指揮下に入れてもらうように頼んだ。実は、部下将兵を死の道連れにしたくなかったのである。そして、幹部だけが小禄の海軍壕に残って、自決した。自決の直前、太田少将は海軍次官あてに打電する。伝聞内容は、沖縄県民の協力に関する内容で終始しており、「沖縄県民、カク戦エリ、県民ニ対シ、後世、特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」という言葉で結んでいる。自分は犠牲になっても他人は犠牲にしないという、成熟した高潔な人格と勇者の姿を、真の太田少将にみる。自分のいのちを惜しむ者ほど、他人の生命を軽視する。 特攻の犠牲“食う” ▼赤松大尉は降伏のとき、米軍将校に向かって、「あと十年間は保てた」と、子供っぽい見えを切っている。隊員少年兵の記録にも「十年でも、三十年でも頑張るつもり」のことが書かれてある。赤松やその隊員たちには「玉砕」の気持ちはなかったのである。 特攻機で沈められた米艦隊からの漂着物(缶詰、その他の食糧)を、赤松隊員たちは「ルーズベルト給与」とよんで、一日千秋の思いで、それを待った、という。この「ルーズベルト給与」は味方の特攻機の犠牲によるものである。特攻崩れの彼らは、この給与について、心の痛み、いや胃袋の痛みを感じなかったのだろうか。その特攻の一人に、沖縄出身の伊舎堂中佐(当時大尉、二階級特進)がいた。彼は台湾から飛んできて、慶良間列島の米軍艦に突っ込んだのである。まことに、皮肉で、象徴的な事件である。 ▼「人を殺すな」「人を殺した人をゆるせ」----この教理の二律背反はわかりにくいが、「人を殺した人」がゆるされるのは、おそらく、悔い改めることによってであるはずだ。だが、曽野さんがかばっているのは、この教理でもなければ、赤松でもない。曽野さんは、赤松が悔い改めないことに手を貸しているからである。「ある神話の背景」に「本土人の指揮官」という言葉がある。曽野さんが各種の詭弁を駆使してかばっているのはこれだ。つまり、「本土人」と「日本の軍隊」である。----私が問題としているのは、あらゆる暴力、ことに権力や戦争による暴力と「人間」の関係である。 (おわり) 目次へ
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Dの土俵 リョーコク・ギカーン R 火/自然文明 (5) D2フィールド ■自分のクリーチャーすべてのパワーを+4000する。 ■クリーチャーが攻撃(アタック)されたとき、各プレイヤーは、ブロックして攻撃(アタック)先を変更することができない。 ■Dスイッチ:自分のターンのはじめに、このD2フィールドをゲーム中で一度上下逆さまにしてもよい。そうしたら、そのターン、自分のクリーチャーはすべてバトルに勝つたびにアンタップされる。 作者:ソウシヨウ 評価 コンセプトは好きなんですけど、限定的なアンブロッカブルとDスイッチの無限掌だけじゃ少し弱すぎる気も...パンプアップとかアンタップキラーとかつけた方が良さげでは -- はんむらび (2016-11-24 23 37 53) アドバイスありがとうございます。アンタップキラーはコイツとシナジーするクリーチャーにつける予定でしたので、パワー上昇をつけさせていただきました。 -- ソウシヨウ (2016-11-25 20 49 30) 名前 コメント
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でんとうてきなどひょうをよごすな【「伝統的な土俵を汚すな!」】[慣用句] (1)毎年、大相撲大阪場所への参加をめぐってぎゃあぎゃあ騒ぎ立てる問題知事、太田房江を非難した言い方。 このババアは何の展望も持ち合わせてないので、早期解任を望む声が多かった。 このほど次期知事選への立候補をしない旨を表明、溜飲を下げた府民が多いと思われる。 (2)先代・時津風親方こと元小結・双津竜と、新人力士の「かわいがり」を実行したアホ力士どもを非難した言い方。 新時津風親方(元幕内・時津海)や順調に出世した所属力士は正常な感覚を持ち合わせているようで、新生時津風部屋を支持するファンの声は高い。 (3)横綱・朝青龍を非難した言い方。 他の格闘技のように、勝ちさえすれば何をしても構わないという幼稚な精神構造によって、大相撲全体に迷惑をかけ続けている。 朝青龍をキッカケに、他の真面目な外国出身力士にまでいわれのない非難が広がる前に、さっさと横綱を解任し、角界から追放すべきである。
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Dの土俵 コスト・イズ・パワー VR 火/光文明 (3) D2フィールド ■クリーチャーがバトルする時、このフィールドがバトルゾーンにあればパワーの代わりにコストで勝敗を決める。 ■Dスイッチ:自分のクリーチャーがバトルに勝った時、このD2フィールドをゲーム中で一度上下逆さまにしてもよい。そうしたら、相手のシールドを一枚ブレイクする。 作者:蜜柑丸 バトルの根本を揺るがす特異なD2フィールド。 効果を詳細に書くと、バトルの処理で比べる数値をパワーからコストに変更するというもの。 その為このフィールドが存在している状態では低コスト高パワーのクリーチャーが弱体化し、高コスト低パワーのクリーチャーが強化される。 尚、あくまでもバトルで使う数値を変更するだけであり、「バトルに必ず勝つ」「スレイヤー」といった効果はしっかり働くので注意。 Dスイッチではなんと相手のシールドをブレイクできる。相手のクリーチャーを除去しつつ、打点を稼げるので狙っていこう。 フレーバーテキスト パワーで決めるのはもう古い。これからは更なるパワーの時代。 評価 選択肢 投票 壊れ (0) 即戦力 (0) 優秀 (0) 微妙 (0) 名前 コメント
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「土俵をまちがえた人」(太田良博・沖縄タイムス)(5) 現在の世情を憂う 面倒だから簡略に答える。 ▼エチオピアその他の悲劇は、世界平和体制の中の局地的な悲劇である。悲劇が世界的に拡がったのが第二次大戦である。その最後の本格的地上戦闘があった沖縄で、物を考えるということは、大戦を二度とあらしめないための営みであるという意味で、今日的であり、未来的でもある。沖縄からも開発青年隊の若者たちがアフリカ各地で二年、三年と活し、彼と彼女たちは帰ってくると沖縄で静かに活している。一週間そこらのエチオピア体験で、いきなり、地球的視野から、沖縄戦が四十年過去のものとしてかすんだり、責任をもつべき自著をめぐる論議がとるに足らないものになったり、戦争賛成平和反対に反対する運動が無意味に見えたりするとは、どういうことか。現在のことなら、心配すべきは、日本の世情である。まるで末世の状態ではないか。何日か前に、京都だったか、アパートの一室で、若い母親と幼児がミイラ化したのが発見され、餓死とわかった。「ある神話の背景」の冒頭に「慶良間は見えるがマツゲは見えない」(遠くは見えても目の前は見えない)という沖縄の諺の引用があるが、その諺を思い出してほしい。 「鉄の暴風」の中で、「赤松氏が沖縄戦の極悪人、それもその罪科が明白な血も涙もない神話的な極悪人として描かれていた」と曽野さんは言うが、どこにそんなことが書かれているか。また、曽野さんが引用した私の文章のどこが、どういう理由で「講談」なのか意味がわからない。 赤松の言葉に矛盾 ▼私が会ったのは元村長古波蔵氏だけではない。そのことを前の反論に書いてある。あわてないで人の文章をよく読んで欲しい。元村長と言う重要証言者の名を、曽野さんと会ったときに私が憶い出さなかったのはおかしい、と曽野さんは言う。終戦直後の沖縄は、なにもかも転倒し、混乱していた。集った十数名の証言者の中で、特に「元村長」をくっきり記憶していなければならない特別の理由はなかった。私達取材者は、どの証言者も、その証言も、平等に重視していた。曽野さんと会ったのは、一時間そこら、その短かい時間に、二十数年経過した事柄について、いきなり聞かれたのである。これだけは、はっきり記憶しているべきはずだと言われても、それはムリな話。それに、私は物をよく忘れるくせがありましてな。取材を専業とする新聞記者の立場からみれば、曽野さんの言い分は、泣きベソのようにおもわれる。新聞記者は、取材でたえず失敗する。と言って、取材の相手を責めるわけにはいかない。取材の手落ちを反省するだけである。 ▼私が「赤松の言葉を信用しない」と言ったのは「住民玉砕」(集団自決)や「住民処刑」についての彼の言葉が信用できないとの限定した意味で使ったのであって、ほかのことで、赤松が、一市井人として正直なことを言おうが、それは私とは関係のないことである。「住民玉砕」や「住民処刑」についての赤松の言葉にはいろいろ矛盾がある。 的はずれの解釈 ▼赤松を「悪人とは思えない」と言ったおぼえはないと曽野さんは反論する。では、どう思って「ある神話の背景」を書いたのか。引用はさけるが、文芸春秋発行の同書の二十八ページ末尾から二十九ページの文章は、どういう意味か。--私が赤松を完ぺきな悪人に仕立てているというが的はずれの解釈である。私が問題にしているのは、当時二十五歳の青年だった赤松君(私より二歳若い)のことではない。陸軍大尉の官職をもち、国家権力を背景に、彼が無力な住民に対してとった行動そのものである。また、なにか木に生ったものを食べたといって老婆をリンチにかけたという、その部下たちの行為である。 ▼戦後二十何年もたって、曽野さんが取材した証言を、私が無視している、失礼ではないかという話だが、私はその証言を無視したおぼえはない。どの証言であれ信用すべきかどうかを判断するのは私の自由である。ただ、戦後四年、「鉄の暴風」に収録した、戦争の生々しい証言に信をおいているだけである。また、これからでも、私が取材したらどんな証言がとび出すかわからない。曽野さんは、ご自身の取材した証言に私が同意しないからと、それを失礼と言っているが、私に「分裂症」という言葉を投げたことは、失礼とは思っていないらしい。 ▼渡嘉敷島の村や遺族会が出した二つの記録は、いずれも、「鉄の暴風」のなかの私の文章の引き写しで、著作権侵害になる、盗作だと、曽野さんは言うが、私は、それを否定する。私の文章には、創作性がみとめられるほどのものはほとんどない。また、被害者で原告であるはずの当の私が、そういうのだから問題にならない。ご主人が長官である文化庁の著作権課あたりにきいたらよい。しかし、「ある神話の背景」はうかつに引用できまい。創作性ありとみとめられる部分が各ページのいたるところにあるからである。 目次へ | 次へ
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読み切り>ウルフマンの巻 -土俵上の士(もののふ)- キン肉マン超人列伝 ウルフマンの巻 -土俵上の士(もののふ)- 初出:『グランドジャンプ』2015年3号 掲載期間:2015年2月16日~2015年2月22日(前編) 2015年2月23日~2015年3月1日(後編) 2020年4月27日~2020年5月3日 AAを貼る場合上段のメニュー→「編集」→「このページを編集」。 AAの前に #aa{{ を、AAの後ろに }} をつけてください。 コラを載せる場合上段のメニュー→「編集」→「このページにファイルをアップロード」。 アップロード後に「編集」→「このページを編集」し、 #ref(添付ファイル名) または #ref(ファイルのURL) を記入してください。 シルバーマン、新しい身体よ~っ! 残念だがキミはその対象には入らない 相撲vs剣道 お疲れ様!ウルフマン 大・銀・杏!!大・銀・杏!! 出典