約 1,001,575 件
https://w.atwiki.jp/edh-commander/pages/23.html
秘儀の否定/Arcane Denial (1)(青) インスタント 呪文1つを対象とし、それを打ち消す。それのコントローラーは、次のターンのアップキープの開始時にカードを最大2枚まで引いてもよい。 次のターンのアップキープの開始時に、カードを1枚引く。 引用元 Wisdom Guild 評価 統率者戦において最も使われている打ち消し呪文の一つ。 色拘束が(青)のみで唱えやすく、僅か2マナで呪文のタイプを問わず打ち消すことができる。 そしてこの打ち消しの大きな特徴として、打ち消された呪文のコントローラーは2枚、唱えたプレイヤーは1枚のカードを引くことができる。 1対1のフォーマットであれば相手にアドバンテージを与えてしまうこのカードはやや使いづらいのだが、多人数戦である統率者戦では少し事情が異なる。 例として、多人数戦で対抗呪文(Counterspell)のような通常の打ち消し呪文を使った場合、打ち消し呪文を唱えたプレイヤーと打ち消されたプレイヤーがお互いにハンド・アドバンテージを1枚分損してしまい、そのやり取りとは関係のない他のプレイヤー達に手札1枚分のリードを許してしまう。 一方、秘儀の否定で打ち消した場合、打ち消しを唱えたプレイヤーはハンド・アドバンテージを損することなく打ち消された側に1枚分のアドバンテージを与えるだけで済む。 プレイヤーAがプレイヤーBの唱えた呪文を打ち消した場合のハンド・アドバンテージの差 プレイヤーA プレイヤーB プレイヤーC プレイヤーD 対抗呪文 -1枚 -1枚 ±0枚 ±0枚 秘儀の否定 ±0枚 +1枚 ±0枚 ±0枚 秘儀の否定で打ち消した場合もプレイヤーBにリードを許しているように見えるかもしれないが、実際は重要な呪文を打ち消した上での+1枚なので実質的なアドバンテージはあまり得られていない。 そのため、プレイヤー間のアドバンテージにあまり差をつけることなく2マナで打ち消しを行えるこのカードは統率者戦においてとても使いやすいのだ。 また、このカードを使う上で覚えておきたい重要なテクニックとして、自分の呪文を打ち消すことで合計3枚のカードを引くことができる。 不要なカードばかり手札に貯まってしまったときは、これを活用して手札を回すのも重要な選択肢になるだろう。 また、カードを引くタイミングが"次のアップキープ"なので、上手く活用すればTime Twisterなどで手札を混ぜた後で時間差でアドバンテージを稼ぐようなこともできるだろう。 類似カード 夢の破れ目(Dream Fracture) 差し戻し(Remand) 相性の良いカード 聖別されたスフィンクス(Consecrated Sphinx) 概念泥棒(Notion Thief) 上2枚のような対戦相手のドローを咎めるカードとは相性が良い。 ただし、秘儀の否定の対戦相手のドローは「引いてもよい」なので無理やりドローを奪うことは出来ないので注意。
https://w.atwiki.jp/floating_pallet/pages/24.html
キャラクター設定 町村 麻知子(まちむら まちこ) 世界の理の外からやってくるモノ“爛”の殲滅機関に所属する少女。 情報を扱う部署に配属しており、籠原能登は、上司。 普段は、普通の学園生活を送っている。 計算高い性格。 出世欲が強く、その機会を虎視眈々と狙っている。 キャラ性能概要 091201版にて追加された投げキャラ。 暴れが強い本作においては、システムレベルで逆風を受けていると言わざるを得ない。コンボが安い、地上ダッシュが遅い、通常技のリーチが短い、投げはコンボに組み込めない等、不動の最弱キャラという位置づけ。名前の通りのネタキャラ扱いだった。 100407版にて、新特殊技6BBの追加、必殺技の特性変化等のテコ入れがなされた。 投げがコンボで繋がるようになり、画面端でのダメージ効率が大きく向上。1ゲージで6割近いダメージを奪う様には旧バージョンの面影は無い。それでも下から数えた方が早かったり、ストーリーモードでもネタキャラ扱いだったり、色々と可哀想。 超必殺技・破滅バタフライは名前、見た目ともインパクト十分の屈辱技。ぜひこの技でのフィニッシュを狙いたい。 強化された点はあるが、相変わらずのリーチの短さ、機動力の無さ、J6A暴発が厳しい。特に空中バックダッシュなどは見た人間が脱力するレベルのゴミ性能。 遠距離戦が強いキャラには何もさせてもらえずに封殺されてしまうこともしばしば。 近距離戦が強いキャラにも何もさせてもらえずに封殺されてしまうこともしばしば。 110403版でも作者の寵愛を一身に受け、フェイント技6BA、新コマンド投げフレグランスデザイアが実装。投げキャラらしい技が搭載されてキャラが立って来たものの、システム面での投げ冷遇は相変わらず。ネタキャラ扱いも相変わらず。 110731版では6Bの仕様が変わり、足払いからのコンボが大きく進化。微妙な距離のチェーンから投げがスカってお通夜、と言う場面は減った。しかし相変わらずの機動力の無さが全ての場面で足を引っ張る。能登・千弦辺りには詰まされているという噂もチラホラ。 120102版では特に調整は確認できない。カットインの変更も無い。事前に調整が名言されていただけに…。 相手の逃げジャンプ、暴れ5Aを咎める手段が欲しい。もちろんカットインも欲しい。 130103版ではレイダーザンバーのダメージが若干強化されたが、現行環境で単発のダメージが上昇したところで大勢に影響は無いだろう。破滅バタフライが暗転後ジャンプでの回避が出来なくなった点や、6Bの出がかりの喰らい判定が小さくなった点は多少マシになった、と言えなくも無い。 それでも現状の勝ち筋は相手のコンボミスをリバサフレグランスデザイアで吸って即死狙いぐらいしかない気がする。 攻略 町村 麻知子 通常技解説 町村 麻知子 必殺技解説 町村 麻知子 コンボレシピ 町村 麻知子 tips
https://w.atwiki.jp/me_novel/pages/102.html
639 :優しい名無しさん:2008/08/04(月) 21 08 30 ID wkV8Qfyq 635に影響されてキスについて書いてみた 「ねえ…ほんとにするの?」 「だめ、かな?」 夕暮れの校舎内。窓から差し込む赤の光。人気の無い赤い教室。 奇妙に現実感を喪失したその場所に、二人の人間がいる。 一人は少女だ。肩までのセミロング。光を反射する艶やかな黒髪。着ている服はセーラー服だ。靴下を覗けば全身黒色。その中で、夕陽のそれよりなお赤いスカーフが風に踊っている。やはり黒の瞳は、今は憂い気に伏せられている。 もう一人は少年だ。髪は短髪。少女よりも頭一つ背が高い。着ているのは学生服だ。少女とは対照的に、その瞳は少女の姿を真っ直ぐに捉えている。 「だめ、かな?」 少年がもう一度言葉を紡ぐ。少女を見据え、言う。 「だめっていうわけじゃ、ないけど…」 少女は恥ずかしさに目線を逸らす。その頬が赤いのは何も夕陽のせいだけではない。 少年の言葉が、少女の胸に染み込む。答えてあげたいな。それが少女の気持ちだ。 でも、言葉は気持ちを裏切って自動的に排出される。 「わたし、はじめてだし…」 「僕もだよ」 だからじゃないか。少年はそう続ける。少女は思う。確かにそうだと。お互いに初めてだから意味があるのだ。今、この場所でするからこそ意味があるのだ。 少女は。 少女は覚悟を決める。少年の気持ちに答えようと思う。だから言う。 「そ、それじゃ…目、つむってて」 「うん」 少年は瞼を閉ざす。無防備に、少女の言葉を疑う様子もなく。 それを見て、少女は思う。嬉しいなと。喜びが胸に溢れる。彼はわたしのことを信じてくれる。だから。だからそれに答えないと。答えないといけないと。 「はっ…」 少女は顔を近づける。愛しい人の顔へと。 視界一面に広がる顔。長い睫。高い鼻。夕陽の光が顔に陰影を形作る。その顔を見ながら、少女は更に顔を近づける。 「ん……」 唇が。 唇が重なる。一つになる。 温かいな、と少女は思う。彼の体温が伝わってくる。初めてのキスはレモン味だという。わたしの場合はどうなのだろう。 そんなとりとめもない思考が一瞬で頭を巡り、消える。伝わってくる熱が頭を溶かす。意識が一点に集約される。 「んぅ…」 少女の意識はただ、唇にだけある。他の感覚は最早ない。それがすべてだ。少女のすべてだ。 熱に浮かされた思考で少女はぼんやりと思う。 ああ、キスってこんなに気持ち良かったんだ、と。 二人は互いの背に腕を回し、抱き合う。唇が更に深くつながる。それを見咎めるものはいない。今この場所には二人しか居ない。 二人は抱き合う。身動き一つせず、唇を重ねつづける。 赤い夕陽に照らされて出来る二つの影は、今やただ一つとなっていた。
https://w.atwiki.jp/zzzhonki/pages/119.html
おじいちゃん -人間国宝ガイバラ- おじいちゃんとは、SFCのゲーム『不思議のダンジョン2 風来のシレン』に登場するNPCであり、即死トラップでもある。じじいとも呼ばれる。正式名称は『ガイバラ』。 「おじいちゃんって何ですか? こんな危険なダンジョンにおじいちゃんなんているわけないでしょう」 「おじいちゃんこれあげる!(不要なアイテムを投げつけダメージを与えながら)」 『掛軸裏の洞窟』のクリア条件は16F以降から出現するこのガイバラに話しかけることなのだが、話しかけなければダンジョンを進み続けることができる。 そのため一部のシレンプレイヤーは、あえてこれを無視し、99Fを目指すという遊び方をしている。 そして、99F以降も階層表示こそ変わらないものの、階段を下りれば無限に99Fが繰り返されるため、どこまでも潜り続けることができる。これが通称『掛軸裏の洞窟エンドレス』である。 さらに、これに加えて「肉」「ワナの巻物」などの有用アイテムまで縛るイカレたプレイをしている者たちがおり、ぷーれもその一人である。99Fに至るだけでも相当なプレイスキル、知識、運が要求される。その先のエンドレス、そして縛りプレイの難度は想像を絶する。 『掛軸裏の洞窟』においてはその性質上、ガイバラに話しかけてしまうと強制的にダンジョンを脱出してしまう。そのため誤って話しかけるとすべてが水の泡になる。ある意味最も危険な存在と言える。なお、ガイバラには水上を挟んだ位置からでも話しかけることができる。通常はそれこそが本来のクリア条件なので、話しかけやすいのはいいことなのだが、エンドレスでは完全に余計なお世話である。素振りの際には注意しよう。 ぷーれ枠では主に、地雷で爆破されたり、矢で串刺しにされたり、地形加工の一部として使われたり、トドにもみくちゃにされたりする。 そのあまりに非人道的な行為にリスナーからは「老人虐待」「クソニンゲン」とコメントがされる。 だがぷーれはその非を認めず「こんなところにおじいちゃんがいるわけない」などととぼけた発言をし、卑劣な行為を繰り返す。 そんなぷーれの悪行を咎めるべく、今日も正義のグレートチキンさんはぷーれに倍速で殴りかかり、豚さんは岩を投げるのだった。 因みに、ガイバラを倒しても次の階では何事もなかったかのように復活する。 強い盾をおじいちゃんにプレゼントするぷーれ おじいちゃんを始末しておにぎりを強奪した上にしらばっくれるぷーれ ※上の動画はほんの一例である。 なお、シレンがガイバラを倒しても経験値は得られないが、モンスターが倒した場合はレベルが上がる。 仮にスカイドラゴンのレベルが上がり、フロアのどこからでも固定50ダメージの炎を吐いてくるアークドラゴンになった日にはゲームが終了する危険がある。 そのためガイバラの近くに混乱罠がある場合は、安全を考えて始末することが多い。
https://w.atwiki.jp/maid_kikaku/pages/2032.html
「我々はMAIDを保有し過ぎた。それが結局のところ全ての原因だろう」 暗い部屋の中で放たれた声に、鶯妃は目元を軽く上げた。 「……緩やかなMAID不拡散条約の締結、それは確かに世論の流れではある。対G戦争の終結と共に、大規模な破壊を実行する兵器の早期廃棄が求められてきたのは事実だ。 ――しかし、それだけがエントリヒの行動原理なのか?」 「永核兵器については研究が急速に進んでいる。そのテクノロジーは十年前とは比べ物にならない水準に達しているよ」 エントリヒの危惧はそこさ、と少女は続ける。 長い黒髪の少女は、そう言いつつグラスを手に取って、軽く口を付けた。 鶯妃は黙りこくったまま、その空間で円卓に座している人々にゆっくりと目を通していく。異形の人々はそれぞれに顔を歪め、そして彼女と同じくして黙りこくっていた。鶯妃は一つ溜息を吐く。 黒髪の少女がグラスを机に置いた。そして彼女は周囲に視線を走らせる。 「必要なのは対立軸だ」 そう彼女は言う。 「――大国と小国。MAIDを保有するべき国とそうでない国、……MAIDと非MAID。誰にとっても分かりやすい二項対立を示すことが肝要だ。 連中がやろうとしてるのはそれだ。我々はそれを利用しなくてはならない」 そう言って、黒髪のメードはくつくつと肩を揺らした。「MAIDが生き残るには、MAIDが滅ぼされようとしていること自体を訴えなければならない。そうだろう? 我々が生き残るには、相応の大義が必要になる」 「……MAID削減を条件として受け入れ、外交によって解決を計ることはできないのか」 ふと、暗がりの中に響き渡った言葉に、少女が顔を上げた。 先程から黙りこくっていた連中の内の一人だった。人間とはかけ離れた容貌をしている。その男に対して、少女は冷淡とも言える視線を向けた。 「駄目だね、残念ながら」 「何故だ、つまり、君は戦争がしたいというのか? ええ? 君はもう散々戦ってきたじゃないか、なのに――」 男が言い募ろうとして、口を噤んだ。 少女の目の中に、赤い光がちりちりと舞っていたのだ。 「シーア」と鶯妃が咎めるように呟いた。 そこで、暗闇の中で揺れていた光は、ゆっくりと消えていくことになる。直後に、その暗くなった一角から、笑い声が漏れ始めた。喉を鳴らすような断続的な笑い声が響く中で、居心地悪そうに人々は身じろぎしていた。その中でただ一人鶯妃だけが、少女の方へとただ黙って視線を向けていた。 少女の笑い声が止む。 「MAIDの削減を条件として飲むことはできない。 彼らは人的資源だ。理由はそれだけさ」 そう彼女が述べると共に、再び微かな赤い光が暗闇に舞った。 Next
https://w.atwiki.jp/theurgy/pages/470.html
0話:MK-1301 古い教会だった。その原型を留めているかどうかさえ怪しいほどに、建物は朽ちている。 祭壇の背にある窓から落ちた陽光が、広い空間を仄かに照らした。 高い天井の隙間からこぼれ落ちる光が、その空間に縦の線を何本か引いて、床に光点を作っている。 立ち並ぶ長い椅子は至るところに腐食が進んでいる。 隅には鍵盤の抜け落ちたオルガンがあった。しかしひと目で、埃とカビに塗れているのがわかる。パイプにも錆びが回っているだろうと想像するまでは難しくない。 壁に刻まれた十字架も色褪せて、辛うじてわかるかわからないか、ぐらいにしか残されていない。 空気中を縦横無尽に漂う埃の数々。 祭壇に載せられた、異様に真新しい十字架が煌めく。 そして吐き出された紫煙が、ふわりと霧散して埃と光ばかりの空気へ溶けていく。 祭壇の脇……教会という場所で、本来ありえない喫煙を咎める者すら、いない。 彼女、一人だった。 ミシェル・クランという名前で登録されているか、本来の名前は誰も知らない。 そもそも本来の名前があるかどうかすら、本人でさえわからない。 だが彼女は、名前があること自体へ違和感を覚えてしまうほど……陽光に溶けてしまいそうなほどに、稀薄だった。 人形と呼べるほど幼くない……さながら白塗りのマネキンが座っているのかと見間違えてしまう。 あちこちがほつれた、しわくちゃのシャツと色褪せたデニム。 金髪も、褪せているというより、白金(プラティン)に思える。強いて、寝癖が跳ねていることが数少ない人間らしさか。 とても薄く乾いた唇。ついばまれた煙草の白でさえも、同じ身体とさえ見間違えてしまいそうなほどに白い肌。 微睡みの垢抜けなさなのか、それとも洗練された鋭敏さなのか……どちらとも取れないが、細く開かれた瞼の奥で、アクアマリンのような透き通った碧眼が、何かを見つめている。 ――教会に落とされた光か、自分の吐き出した紫煙か、あるいはどことも知れない場所。 その視線が、手中へ動いた。 ヘアライン加工で光沢を抑えられた、銀の、薄い長方形。ところどころに見える錆を拭う。 ライター『MK-1301』……彼女の名前でもある『ミシェル・クラン』のもの。 着火レバーの尻に、小さく鎖がぶら下がっている。 本来なら何かしらのキーチェーンがついていただろう鎖の先端に……今は、何もない。 ずっと前から、ミシェルはそれを持っていた。 記憶にある限りで最も古い物。 だが古びた記憶のどこにも、鎖の先にあったものがなんだったのかを示すイメージはない。 じっと、ミシェルは見つめていた。 ……やがて煙草の火がフィルターにまで回って、指先と唇に熱を覚える。 ライターをポケットへ仕舞い、煙草の吸い殻を祭壇に隠して、さびれた場所(・・・・・・)を後にする。
https://w.atwiki.jp/maid_kikaku/pages/1790.html
(投稿者:めぎつね) 「素体が、姉妹らしいわよ? 私達」 不意に飛び出したそんな話題に、少しだけ応えあぐねて。 幾許かの逡巡を経て突き返した台詞は、まぁ面白味のないものだったと思う。 「だとしても、わたし達には血縁の有無など無意味でしょう」 「それはまぁ、そうだけどね」 にべもなく突っ返してしまったこととその後の何か残念そうにしょげ返った彼女の表情に、多少の罪悪感を胸に奥に感じはしたが、嘘は言っていなかった。素体に血縁があったからといって、自分と彼女が姉妹ではないのは明白だ。共通の記憶も無ければ、共有する過去もなく、各々のコアに何かしらの特別な関連性もない。生まれた場所は同じだったが、それは他にメードの研究施設がない以上必然的にそうなるというだけの話だ。 「まぁ、誰が咎めるわけでもなし。姉妹であっても問題ないとは思いますがね」 一度否定されたものを急に肯定されて驚いたのか、彼女は目をぱちくりとさせて何度かまばたきした。 不安なのだろう。それは自分にも分かる。ここに居るメードは自分と彼女の二人だけ、生物兵器とさして変わらない立場にあるこの身に注がれる視線にはろくなものがない。幸いにして自分は割り切ることに成功したが、誰しもが納得できる環境ではないのは明白だった。彼女が縋れるような相手は、当面自分しか居ない。 尤もそれを口に出すことはせず、彼女への返答は肩を竦めるだけに留めた。言葉にできるほど、自分は大層ではない。 (わたしは、誰かに手を差し伸べてやれるほど器用じゃない) そも、起用云々の前に自分のことだけで手一杯だ。きっと彼女の期待には応えられない。それを解っているから、最初から期待させるべきではない。 「それなら、私が姉になるのかしら? 背丈から鑑みて」 「おや、妹の身長が姉より高くてはいけないなどという決まりは御座いませんよ。義理になれば、年上の弟妹すら幾らでも湧いて出るものなのですし」 「あら。それでは貴方がお姉さん?」 「いいええ、長男であれ長女であれ、一番上には何かと色々な責任が付き纏いますからねぇ。わたしは妹で結構」 「そう。分かった」 そう笑った彼女の顔は、今でもよく憶えている。 そして結局、彼女と言葉を交わしたのはそれが最後になった。別段珍しくはない。何れそうなるだろうとは思っていたし、覚悟というほど大仰なものではないが諦観の念はあった。少し違ったのは、予測していた未来――自分が死んでそうなるのだろうというもの――にはならなかったという所だけだ。 そうならなくて良かったというのは紛れもない今までの本音だ。 そうなればよかったというのは、今この瞬間の本音だ。 その姿を赤く濁った網膜に映し、自分に出来ることは一つしかない。 選ぶ余地など、何処にもなかった。
https://w.atwiki.jp/bsr_e/pages/2138.html
「……佐助」 そっと、その名を呼びかける。 何はともあれ、まずはこの手枷を外してもらわなければ、行動を起こすことはできないのだ。 だが、佐助はびくりと肩を震わせただけで、起き上がらない。 やはり、薬の効果が辛いのか、それとも精神的によっぽど堪えたのか――。 小十郎自身、この忍がひどい辱めを受けたのだと考えるだに腸が煮え繰り返って仕方がなかったが。 もう一度、声を掛ける。 「平気か、佐助」 「……ん、ッ……」 返ってきたのは僅かな呻きのみだった。 だが、根気強く待っていると、やがて佐助は、ふらりとその身をを起こした。 それに小十郎は、この状況下においてでも少しばかり安堵して、 ――だが、直後に、戦慄を覚えた。 「かたくら、さん」 顔を上げた佐助は、とてもとても幸せそうに、愛しげに、その名を呼んで、微笑んだ。 凄艶に、それは、淫靡に。 ぞくり。小十郎の背に走った怖気は、恐怖だったのか、それとも。 よろり。佐助は獣のような四つん這いで、のろのろゆっくりと、だが着実に小十郎との距離を詰める。 やがて間隔は零になり、その掌が、小十郎の膝を撫でた。そろり、そろり。 息を呑みながら、間近に迫る橙の髪の毛を見つめれば、佐助はその視線に気が付いてゆっくりと小十郎を見上げた。 そして、今に蕩けてしまいそうに微笑んで。 「かたくらさん……」 酔いしれたような甘い甘い声音で、また小十郎の名を呼んだ。 ……何だ、これは。 「さす、」 呼ぼうとした名前は、口付けに吸い取られて、声にならずに消えた。 啄ばむような口吸い、時折、赤い舌で擽るように唇を舐められる。 はふ、と熱い息を漏らしながら、佐助は何度も何度も繰り返し口付けてきた。 さわさわ、と細い指が頬を撫でて、小十郎の整えられた髪の毛に差し入れられた。 体と心を、同時にじわじわと侵食されるような感触に、口吸いに、ざわりと肌が粟立った。 ちゅ、ちゅるり、息継ぎの合間に唇の隙間から舌を差し込まれる。小さいが熱い舌は、 隅々まで感じたいのだとばかりに小十郎の舌に絡み、口内を舐ってきた。 余りにも激しく性急な求めに、小十郎でさえ応じきれずに僅かに翻弄される。 やがて名残惜しげに唇が離れたかと思えば、再び、もっと深く。 最早小十郎は、息を乱さぬように意識することしか出来ない。 合間合間で、咎めるようにその名を呼んでも、名を呼ばれること自体が嬉しいのか、佐助はうっとりと目を細めるだけだった。 ……これは、完全に正気を失っている、止めなければ。 分かっているのに、自由を奪われた身の小十郎には、為す術など何一つ無い。 ようやっと濃厚な口付けが終わる。 低く低く、佐助、と呼びかければ、当の忍は少し首を傾げて、いっそ無邪気なほど艶やかに笑った。 松永久秀の恐るべき計画9
https://w.atwiki.jp/bokurobo/pages/167.html
懐疑の弾丸 3 「よかった、席が空いてて……もう足がくたくたよ」 適当なコーヒーショップへと足を運び、藍沢は恋人の零す愚痴など聞きもせず、注文を済ませた。 恋人のそっけない態度に――彼がそういう態度に非常に鈍感なのをわかってはいるが――金髪の女性は悪態をついた。 レベッカ=マーチンは明快で気さくな英国人だ。藍沢のガールフレンド。 彼女は、コアなファンを持つ名の知れたライターなのだが――政治事の記事を書く材料として藍沢を見ることは絶対ない、もっぱら彼女の書く記事はファッション批評だ。 藍沢自身もそれを気にすることはなかった。 いい意味で二人は、互いの仕事に興味を持ってはいない。 藍沢は、注文した一杯が届くまでの時間を、思考にまわした。 黙り込む藍沢を咎めることはしない。 一見して無言の冷めきったカップルなのだが、それは奇妙な一蓮托生だった。 さて――藍沢は考える。 今回の事件を期に、今一度『英武政権』を大衆に見直してもらおう、それが目的の『政府展』だった。 一部の中堅政治家達の、いろいろな努力があって、開催された。 彼らの回顧的な意識が、あれだけの雑務の苦を紛らわせたのか――俺には勘弁だ。 展覧会は主に、英武総志郎就任から死去までの、あらゆる資料、遺品を展示し、さらには過去のロボットの展示まで行われ、その規模は、さすが日本政府と言わせるだけの内容ではあった。 だが――と藍沢は心で呟く。 今のところは思っていたほど盛況とは言えない。 前総理存命の頃の『政府展』は、今でも記憶に残る大盛況だった。 大衆の意識が、少しずつ政権から離れているのだろうか――。 運ばれてきたエスプレッソの安い香りが、尖った心持ちを和らげてくれた、そんな気がした。 「チケットの売れ行きを見て不安だったが、混んでなくてよかった」 「不満?」 「いや、なんというか――実を言えば、興味がなかった。ただ、人が少ないなりに考えさせることもある」 「例えば?」 「政治に興味のある人気ライターの心境とか」 「それって、変わり者ってことかな?」 「……冗談だよ」 文句を言いながらもカップに口を付ける、ブロンドの髪の美人の姿は、実に様になっていた。 彼女の怒った素振りと、いらずらっぽい笑いを見れて、藍沢は満足した。 外を見れば、道路に車はまばらで、大衆が湧き上がるようなことも、なにもない。 前売りのチケットは好評のようだが。 魅力――か。 政権に必要なのは、有能な人間だけじゃないな。 前総理は当然だが、尽は――どうだっただろう。 無二の親友の面影が、なんだか遠く感じられた。 聖界機兵セイカイオーIs・SSに戻る next back
https://w.atwiki.jp/toho_yandere/pages/753.html
幻想郷で忌々しい連中は誰か?と聞くと大体の奴は、溶解とか言うんだろうが俺は違う。それは、間違いなく ドンっ 「あ、すいま・・・」 俺の顔を見ると、その男は舌打ちをした。おれは、住んでを逃さずその男の髪を掴み 腹を蹴飛ばした。 「げぇ・・・・」 男は、げぇげぇと吐きながらこちらを睨んだ。 「人前で吐くなよ、田舎者が・・・」 里人が、よそ者の外来人が、と悪態をついた。 外来人。幻想郷で使われる名だ。俺は、屑どもがそれを言うたびに暴力を振るってきた。 そひそ。 その背に無数の囁きと侮蔑を感じた。 「何ぶつぶつ喋ってるんだ?妖怪の家畜ども」 家に嫌がらせをする癖に、俺の視線に合うと途端に卑屈な態度を取る。餓鬼が石を投げつけてきた。 笑みを浮かべた里人どもの前で、蹴飛ばした。非難がましい眼で見る里人に唾を飛ばし、スプレーを巻くとほうほうのていで逃げていった。足は外にあるテントへ向かう。 別に、俺は別段自分を偉いなどと思っているわけではない。のうのうと生きて、それを当然と思うこいつらが 嫌いなだけだ。この前、妖精をいじめていた里人を咎めると、襲い掛かってきた。一人を除いて骨折させ長老が文句を言ってきたのを思い出した。(テープレコーダーで記録していたおかげで、慧音さんは非難しながらも事情を理解してくれた。爺のほうは影で殴っておいた)外界の道具を使ってる泥棒どもは、外来人を人間扱いしていないのだろう。まあ、それに冠して鼻にも言うまい。 人里の連中は、何故俺に危害を加えられないか。第一に、俺は里人どもよりも長身で筋力ももある。明治の日本人と、現代人では 結構な差がある。第一に、外界の道具を大量に保持している。複数で掛かってきてもスプレーを巻けば逃げられるし、里人どもも外の品は好きらしい。俺が修理する時だけ、ニコニコと笑う。俺がいなくなれば仕えなくなるからだ。そして何よりも・・・ 「探したわよ、○○」 美しい青髪をたなびかせ、白いブラウスを着た美しい女が立っていた。比那名居天子。天人のお偉方の、娘らしい。 「こんな汚い所へようこそ、天人様」 おれはこの物好きのおかげで、妖怪からも安全に暮らせるのだ。 「そんな他人行儀に話さないでよ、恋人でしょう?」 なぜか彼女は薄汚い人間の俺を恋人、と言う。彼女は手を取り、半獣と長老が呼んでいるから一緒に言ってあげると俺の手を握り 引っ張る。抵抗しても無駄なので、俺はため息をついて慧音さんとくそジジィのところへ向かうのだった。