約 338,765 件
https://w.atwiki.jp/nlfw/pages/43.html
【長谷民主国から皆様にお知らせ】 皆さん長谷民主国の管理人・法律事務所ワロスです。 当職は高校生活がハードスケジュール化することを考えて唐突ながら当職は当グループ及び架空界隈・関係者たちのオプチャを離脱、削除することとなりました。 なお、ロザリアが占領している領土は好きに使っていいですを。 メンバーなきチャットにメンバーを。 架空国家に栄光の繁栄を。 ここに記念けんまするナリ (例)便誤死さんありがとう 私は占領してませんね
https://w.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/1322.html
某スポーツ新聞記事より ○○党、次期参議院議員選挙候補に柊かがみ弁護士を擁立か? ○○党が、次期参議院議員選挙の候補に、柊かがみ弁護士を擁立しようとしている模様だ。 柊弁護士は、秋葉原に事務所を構え、著作権と表現の自由に関わる事件を多数受け持ち、その分野では名の知られている弁護士である。また、いわゆる二次創作を擁護する立場をとっているため、オタクたちの支持もあつい。 ○○党としては、柊弁護士を擁立することで、幅広いオタク層からの票を集めたいとの思惑があるようだ。 某スポーツ新聞記事より 柊かがみ弁護士、参議院議員選挙立候補を断固拒否 ○○党○○支部代表の××××氏は、柊かがみ弁護士を参議院議員選挙候補として擁立しようとしていることを正式に認めた。 しかし、柊弁護士は、数回にわたる説得にも全く応じず、立候補を断固拒否する姿勢を貫いているとのこと。 この件について、多数のマスコミが柊弁護士に取材を申し込んだが、すべて拒否されたようだ。 柊弁護士のマスコミ嫌いは有名な話で、普段は事務所と自分の撮影も一切認めていない。 いわゆるカメコ(*主に通行人の女性に声をかけて写真を撮るオタクのこと)も、これには粛々と従っているくらいで、柊弁護士の秋葉原のオタクたちに対する影響力のほどがうかがえる。 某日刊新聞記事より 秋葉原の柊かがみ法律事務所前で小競り合い、警察が出動 ○月○日○時○分ごろ、参議院議員選挙への立候補が噂されている柊かがみ弁護士の秋葉原の事務所前で、マスコミ関係者といわゆるオタクたちとの間で小競り合いがあり、警察が出動する騒ぎになった。 オタクたちが「かがみん先生の聖地を勝手に撮るな」などと叫びながらカメラマンに迫り、小競り合いが発生。通行人からの通報を受けた警察が出動した。 この騒ぎで、五人が報道機関の取材業務を妨害したとして威力業務妨害の容疑で現行犯逮捕された。 柊弁護士は、すぐに逮捕された五人と接見し、弁護活動に入った。 逮捕された五人は、即日で送検されたが、翌日には検察当局によって起訴猶予処分となり、釈放されている。 釈放されたうちの一人は、取材に対して、「かがみん先生から『マスコミにも取材の自由があるのよ。あなたがたの気持ちは嬉しいけど暴力はよくないわ』といわれた。反省している。でも、あそこはアキバのために仕事をしてくれるかがみん先生の仕事場だ。見世物みたいに扱われるのはやっぱり許せない」と語った。 なお、弁護士の接見費用については、「かがみん先生は『今回はいらないわよ』っていってくれたけど、みんなで金を出し合って払った」とのことだ。 某スポーツ新聞記事より 柊かがみ弁護士、○○党○○支部を威力業務妨害で告訴か? 柊かがみ弁護士が、○○党○○支部を威力業務妨害で告訴した模様だ。 ○○党○○支部は、柊弁護士を次期参議院議員選挙候補に擁立しようと電話で度重なる説得を行っているが、これによって法律事務所の業務に著しい支障をきたしているというのが、告訴の理由のようである。 ○○支部代表の××××氏は、この件について「何もお答えできない」とコメント。 しかし、○○支部の事務職員に匿名を条件に取材したところ、「警察から任意の事情聴取を受けたのは事実。だが、業務妨害といえるほどではないので立件は見送るといわれた」との回答が得られた。 柊弁護士の立候補断固拒否の姿勢は強硬で、今回の告訴のほかにも考えられうるあらゆる法的手段をもって対抗すると見られており、○○支部は戸惑いを隠せないようだ。 なお、柊弁護士は、マスコミ取材拒否の姿勢も貫いており、この件についても何もコメントは得られなかった。 某日刊新聞記事より 秋葉原で柊かがみ弁護士擁立反対デモ ○月○日○時○分ごろ、秋葉原でデモ行進が行われた。 デモに参加したのは、主にオタクといわれる人々で、「かがみん先生を汚い政治の世界に引きずりこむな」などとシュプレヒコールを挙げながら、秋葉原のメインストリートを行進した。 柊かがみ弁護士に対しては○○党○○支部が次期参議院議員選挙候補に擁立しようと再三にわたって説得しているが、本人は拒否の姿勢を崩していない。 ○○党は、当初は幅広いオタク層の支持を集めるもくろみで柊弁護士の擁立を図ったところだが、かえってオタク層から反発を受ける結果となっており、近日中にも擁立断念の結論を出さざるをえないものと見られている。 某日刊新聞記事より ○○党、柊かがみ弁護士擁立断念 ○○党は、○月○日、柊かがみ弁護士の次期参議院議員選挙候補擁立を断念したと発表した。理由については触れられていない。 柊弁護士は、秋葉原に法律事務所を構え……(以下略) 秋葉原に居を構える柊かがみ法律事務所。 かがみは、夜遅くまで残って仕事をしていた。今回の騒ぎのせいで、仕事が滞っており、それを挽回するために自ら残業せねばならなかった。 かがみ自身が個人事業主であるため、当然残業代はもらえない。○○党に請求してやりたい気分だった。 電話が鳴り響く。 「はい。柊かがみ法律事務所です」 「夜分遅くにすみません。○○です。そちらの様子はどうですか?」 電話の相手は、所轄の警察署の知り合いの警察官だった。 今回の騒ぎではかなり世話になっている。 告訴にすみやかに応じて○○党○○支部に任意捜査に入ってくれたのは彼だったし、逮捕されたオタク五人の早期釈放のために手を回してくれたのも彼だった。 「ようやく静かになりました。今回の件では、いろいろとお世話になりまして、感謝しております」 「いやいや、柊先生には借りが多くありますからね。これぐらいはお安い御用ですよ」 「でも、大丈夫なんですか? 任意とはいえ政党支部を捜査なんかしたら上からもにらまれるでしょう?」 「そんなのは気にもしてませんよ。はなから出世は諦めてますからね」 「はぁ、そうですか……」 「今後も何かあったら、遠慮なくお申しつけください。可能な範囲内でご協力いたしますので」 「ありがとうございます」 電話を切り、かがみは再び仕事に取りかかった。 終わり
https://w.atwiki.jp/chimerafantasia/pages/51.html
キャラ一覧 ホー律事務所フクロス 分類 レア度 CV キャラ ★2 リーフレット
https://w.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/1190.html
住所 東京都台東区○○×丁目○○番地 氏名 ○○ ×× 性別 男 年齢 17歳 所属 陵桜学園高等部 死因 首吊り自殺 自殺動機 学校におけるいじめとみられる 1.依頼 秋葉原に居を構える柊かがみ法律事務所。 かがみは夫婦から話を聞き終えたところだった。 加害少年の親とは和解で決着がついており、加害少年自身は傷害罪で少年審判の手続に入っていた。 残る問題は、いじめに対する対策を充分にとらなかったと思われる学校側に対するアクションである。 「私が陵桜学園卒業生だということはご存知ですか?」 かがみが最初にした質問はそれだった。 「はい」 「それでも私にご依頼なされると?」 「柊先生のことは息子からよく聞き及んでおりました。信頼できる方だと思っております」 自殺生徒は、いわゆるオタクだった。 アキバ系なら、柊かがみ法律事務所の存在は誰でも知っているといってよい。 「分かりました。お引き受けいたしましょう。ただし、私のほかにもう一人弁護士を加えてもよろしいでしょうか? 私が不適任だと判断なされれば、直ちに私を解任して、その弁護士に引継ぎしてください。それが唯一にして絶対の条件です」 夫婦はただうなづくしかなかった。 「それでは、訴状の準備ができましたらまたご説明いたしますので、今日のところはこれで」 夫婦は頭を下げて、事務所をあとにした。 かがみは、電話をかけた。 相手の男は、仮に弁護士Aと呼ぶことにしよう(*男の扱いがぞんざいなのは、この世界のデフォということでご了承願いたい)。 かがみと交際して三日で破局したという最短記録をもつ男、エリート意識丸出しの鼻持ちならない弁護士。 本来なら忘却の彼方に追いやりたい相手であったが、互いに仕事を融通しあうことも少なくなかった。互いの得意分野はよく知っていたから。 しかし、協力して一緒に仕事をするのは、今回が初めてになるはずだ。 なお、蛇足ながら付け加えるならば、まもなく40歳にもなろうというのに、二人ともまだ独身である。 かがみは電話で事情を話した。 「なるほどね。僕としては全面的に引き受けてもいいぐらいだけど、なぜ共同で?」 いじめ自殺の損害賠償請求訴訟なら、弁護士Aの得意分野だった。 いつもなら、弁護士Aに仕事を丸投げして、かがみは手を引いていただろう。 「私情で仕事を放り投げたくないからよ」 「君は妙なところで強情だな。まあ、いいだろう。ただし、報酬はきっちりもらうがね」 「おいくらかしら?」 「そうだね。君と一日デートなんてどうかな?」 弁護士Aとしては、冗談のつもりだったのだが、 「いいわよ。一日ぐらいなら」 意外な答えが返ってきた。 「おいおい。どうしたんだい? 熱でもあるのかい?」 「あんたこそ、この40近いおばさんつかまえてデートだなんて、熱でもあるんじゃないの?」 彼は、ついさっきまで冗談だった言葉が、わずかで数秒で本気のものに変わっていくのを感じた。 「僕はいたって正気だがね。いっとくが、口約束でも契約は成立だ。あとで忘れたなんていわせないよ」 「呆れた。あんた、本気なの?」 「当然だ」 そのあと、打ち合わせの日時を決めてから、電話を切った。 2.辞職 弁護士Aに関係資料を集めさせ、二人で話し合って訴訟方針を固め、原告夫婦に説明をしてから、訴訟を起こした。 訴えは、不法行為に基づく使用者責任を問う民法715条による損害賠償請求と安全配慮義務違反による債務不履行責任を問う民法415条による損害賠償請求との選択的併合で、この手の訴訟では定石パターンのひとつだ。 そして、被告は、学校法人陵桜学園。 かつての母校の名は、今は対峙すべき被告の名であった。 個人を被告にしなかったのは、かがみの私情が全く絡んでなかったとは言い切れない部分もある。 しかし、個人相手に損害賠償請求権を得ても相手に資力がないことが多いのも通例で、ならば無駄なことはせずに法人だけに相手を絞りこむのも、近年では珍しいことではない。 裁判所から公判期日の決定通知が来た日に、かがみのもとに電話がかかってきた。 「おお、柊。久しぶりやな」 「黒井先生……」 「元気にやっとるか?」 「なんともお答えしにくいです」 「そうやな。まあ、そう気つかわんでもいいで。柊も仕事なんやしな」 「いいんですか? 私に電話なんかしても」 「うえの方からは余計なことしゃべるな、いわれとるけどな。うちは気にしとらん」 黒井先生は今回の事件には直接関係ないとはいえ、あっけらかんとしたものだ。 それが黒井先生らしいといえばそれまでだが。 「ご用件は?」 「ああ。まあ、なんや。知らせとかないのもなんやと思うてな」 ここで、黒井先生は少し間を置いた。 「天原先生、やめてもうたわ」 「そうですか……」 これはかがみにも予測できていたことではあった。 関係資料を分析する限り、いじめの兆候を最初につかんでいたのは天原先生だった。かがみとしては、最初に尋問しなければならない被告側の人間だ。 あの優しい性格であるから、事件が起きてからずっと罪の意識にさいなまれていたに違いない。 「あと、桜庭先生もな……」 「えっ?」 かつての担任の名が出てきたことに、かがみは絶句した。 桜庭先生も黒井先生と同じく、自殺した生徒とは違う学年のクラスの担任で、今回の事件とは無関係なはずなのに。 「うちも天原先生も止めたんやけどな。ふゆきに付き合ういうてきかんくてな」 「そんな……」 「仲ようしてたからな、あの二人は」 「……」 「まあ、うちからの用はこれだけや。柊もがんばりぃや」 電話は切れたあとも、かがみはしばし呆然としていた。 3.尋問 被告側は、自殺の事実、自殺動機がいじめであること、いじめの事実については全く争わなかった。 主要な争点は、当時の学校側の過失あるいは安全配慮義務違反の有無に絞られている。 ゆえに、教諭たちへの尋問こそがこの裁判の山場であった。 「天原さんは、平成○○年○月○日から平成××年×月×日まで、陵桜学園高等部において、養護教諭の職にあった。これは間違いないですね?」 かがみの問いに、天原ふゆきは素直に答えた。 「はい」 「天原さんは、自殺した生徒について、何かいじめの兆候のようなものをつかんでいましたか?」 「はい。生徒さんがケガをしたといって保健室に来たことが何度かあるのですが、どう見ても暴行を受けていたとしか思えませんでした」 「生徒本人はなんといってましたか?」 「転んでケガをしたといってましたけど、それにしては不自然すぎました」 「あなたは、そのことを誰かに伝えましたか?」 「はい。生徒さんの担任教諭に伝えました」 「その担任教諭は何か対策を講じてくれましたか?」 「転んでケガをしたんだろうといって、まともにとりあってくれませんでした」 「そうですか。しかし、あなたは暴行を受けていたと判断したんですよね?」 「はい」 「ならば、その担任教諭にはもっと強く訴えるべきではなかったのですか? あるいは、学年主任や教頭、校長などに訴えるべきだったのでは?」 「確かにそうだったのかもしれません」 ふゆきの目から涙がにじんできた。 しかし、かがみは、ただ淡々とこう告げた。 「裁判官。天原元教諭は、結果回避義務違反による過失を認めました」 「裁判官。発言許可を求めます」 被告弁護人が発言許可を求める。 「許可します」 「天原元教諭は、生徒の自殺防止に関しては補助的な役割しか負っておりません。一次的な責任は担任教諭が負うべきものであり、天原元教諭の責任は、担任教諭にいじめの兆候を伝達した時点で充分に果たされたというべきです」 「原告弁護人。反論はありますか?」 「ありません」 かがみは、あっさりそう答えた。 被告弁護人の主張は予想されていたものだ。 そして、かがみとしても、これ以上、ふゆきを責める気はなかった。 「担任教諭の過失あるいは安全配慮義務違反については、このあとの担任教諭の尋問において立証したいと思います」 「では、天原ふゆきに対する尋問を終了とします。異議ありませんか?」 「異議ありません」 「異議なし」 引き続いて、担任教諭の尋問に移る。 ここからが本番だ。 被告弁護人は、担任教諭の第一次的責任を認めたのだ。ならば、担任教諭の過失あるいは安全配慮義務違反を立証すれば、この裁判は勝ちである。 担任教諭の過失を立証すれば民法715条の使用者責任にもっていくのは容易である。 また、学校法人陵桜学園が有する生徒に対する安全配慮義務を具体的に履行するのは校長や教頭、教諭たちであるから、担任教諭に安全配慮義務違反があれば、それがすなわち学校法人陵桜学園の安全配慮義務違反にほかならない。 傍聴席。 「柊のやつ。ふゆきを泣かせたな」 桜庭ひかるがつぶやく。 「仕事やなかったら、うちもいますぐしばいてやりたいぐらいやけどな」 黒井ななこは、正直なところ、淡々と容赦なくふゆきを追い詰めていったかがみに対して薄ら寒い思いすらしたが、それは口には出さない。 「柊の仕事は、これからが本番や。しっかり目に焼き付けたるで」 「うむ」 担任教諭への尋問開始。 二人の同僚でもある男に対して、かがみは淡々と容赦なく質問をあびせかけていく。その鋭さはさきほどのふゆきに対する尋問の比ではなかった。 ときどき被告弁護人から反論が入るが、かがみはそれに対してもあくまで論理的に返してみせた。 そんなかつての教え子の姿を見て、傍聴席の二人の教諭は、思わず背筋を震わせた。 4.沈鬱なるデート それからも何回か公判があり、結審したのは、最初の公判から3ヶ月後だった。 そして、判決の日。 判決は、原告勝訴。 原告夫婦は歓喜をわきかえるということはなかったが、息子の無念を少しでも晴らしたことに涙ぐんでいた。 かがみは、夫婦に何度も何度も頭を下げられて、恐縮することしきり。 被告は控訴しなかった。 被告弁護人が弁護を降り、後任が見つからなかったからだ。 専門家から見れば負け戦が確実な案件。そんなものを進んで引き受ける弁護士はいなかった。 判決の翌日。 自殺生徒の担任教諭が辞職したという事実が、新聞の地方版の小さな記事となった。 その週の日曜日。 かがみは、約束どおり、弁護士Aとデートをしていた。 今回の裁判での弁護士Aの裏方での働きぶりには申し分なく、彼には約束どおりの報酬を受け取る権利があったから。 とはいえ、かがみは終始沈鬱な表情で、弁護士Aとしてもどうしてよいものやら困り果てていた。少しでも元気づけようといろいろとやってみたが、まるで効果がなかった。 夕方、誰もいない公園のベンチに二人きり。 本来ならロマンチックな光景であるのかもしれないが、二人は今にも別れそうな末期の夫婦のようにしか見えなかった。 そして、事実はそれにほとんど近い。 「やっぱりつらかったか?」 弁護士Aが唐突にぽつりとつぶやく。 「そうね……この仕事にはそういうところがあるってことは分かっていた。そのつもりだった……」 思い出のたくさん詰まった母校を敵に回すのは身を引きちぎられるぐらいにつらいことだったし、かつての恩師二人を辞職を追いやってしまったことも心に重くのしかかっていた。 あの今にも泣きそうになっていた天原先生の顔は生涯忘れられそうにもない。 「君はどうしようもなく意地っ張りだな。泣きたいときは我慢するもんじゃない」 かがみは、ついに泣き出した。 今まで溜め込んでいたものをすべて吐き出すように、彼の胸の中で泣き続けた。 しばらくしてから泣き止み、かがみは顔をあげた。 「今のは忘れなさいよね……」 「泣き顔でいわれても説得力がないな。まあ、他言はしないと約束しよう」 「……」 かがみは、涙をふき無言で弁護士Aをにらみつけた。 彼は話をそらすように、別の話題を持ち出した。 「ああ、そうだ。君に黙っていたことがあったんだった」 「何よ?」 「被告弁護人だがね。彼も陵桜学園出身だそうだ。君より3年先輩だってさ」 「えっ? なんで言わなかったのよ?」 「裁判に決着がつくまで言われないでくれ、って念を押されててね。僕にはその理由は分からなかったけど」 「……」 弁護士Aには分からなくても、かがみにはその理由はなんとなく分かるような気がした。 互いに母校には思い入れがある身だ。阿吽の呼吸で、あの裁判を出来レースで展開することも、やろうと思えばできたのかもしれない。でも、彼はそれをしたくなかったのだろう。 「あの担任教諭は、彼の恩師でもあるそうだ。彼にしてみれば、これで母校と恩師に対する義理は果たしたといったところなのだろうな。本来なら、まだまだ賠償金はとれたんだけどね。彼の巧妙な弁護のせいで、うまく賠償額を下げられてしまったよ」 思い当たる点はあった。 被告弁護人は、「今回の自殺は、担任教諭のみならず、学年主任や教頭、校長などの過失が複合したいわば組織的な過失が原因である」という方向に誘導しようと必死だった。 今回の損害賠償請求は、個々人に対するものではなく、学校法人陵桜学園だけに対するものであったから、誰か一人に決定的な過失があろうと組織的な過失であろうと、どちらにしたって結果は同じだったはずだ。 それなのに、組織的な過失という構成にこだわったのは、かつての恩師に責任を集中させたくなかったからだろう。 また、自殺生徒の過失──いじめの事実を訴えるどころか自ら隠そうとまでしたこと──を主張して、ついに過失相殺による損害賠償額の減額(今回の判決では、自殺生徒の過失:学校側の過失=5:95、とされた)を認めさせたことは、負け戦の中での被告弁護人の具体的な成果でもあった。 それが母校への義理ということだったのだろう。 もちろん、かがみも反論したのだが、被告弁護人の主張を崩しきれなかった。実際、自殺生徒には、救いの手が差し伸べられる可能性を「能動的」に避けているとしか思えない行動が多々あったのも事実だったからだ。 5.その後 その後の弁護士Aとかがみの関係について詮索する者がいるかもしれないが、事実だけを記述しておく。 以前と同様、仕事上だけのドライな関係。それだけだ。 ただ、仕事を融通しあうだけでなく、一緒に協力して仕事をすることが多くなったことは事実だった。 かがみの親友の言を借りれば、「かがみんは、いくつになってもツンデレだよ」ということに尽きるのかもしれない。 あれから数ヵ月後、柊かがみ法律事務所にたずねてきた人物が二人。 「おーす、柊。久しぶりだな」 「お邪魔します」 「先生……」 そこには、桜庭先生と天原先生が立っていた。 「再就職先が決まったからな。報告に来てやったぞ」 「どちらにですか?」 「北海道の私立高校だ。ふゆきの実家のコネでなんとかなった。北海道なら余計なしがらみもないし、再出発するにはちょうどいい」 「柊さん」 天原先生が前に出る。 「私、がんばりますね。あんなことは二度と起こさせないように」
https://w.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/1004.html
1.お正月の小さな事件 1月2日。 東京、秋葉原。 そのど真ん中に居を構える柊かがみ法律事務所。 その主である柊かがみは、自室でパソコンに向かってなにやら打ち込んでいた。 今日は、事務所は閉めている。裁判所はお役所であるから年末年始は閉庁しているし、当番弁護士の当番日でもなかったから、よほどのことでない限り仕事が入ることはない。雇っている若手弁護士(自分自身も若手弁護士であるが)や事務員たちにも全員休暇を与えていた。 かがみがそこにいる理由は、そこが事務所兼自宅であるからだ。 正月は実家に帰省するのが普通なのだろうが、彼女の実家は神社で正月は多忙である。臨時巫女として手伝うのならともかく、ただ帰省するだけなら、邪魔なだけだ。 遠いわけでもないし、いつでも帰れるのだから、ことさら帰省にこだわる必要もなかった。 正月だからといってこの街から喧騒がなくなるわけもないが、すっかり慣れた。というか、それに慣れない限り、ここで弁護士などやってられない。 彼女は、20代で独立開業したやり手弁護士として、そして、オタク文化に理解のある弁護士として業界では有名だった。 それゆえ、秋葉原ではオタクの味方として一種のカリスマであった。 秋葉原にあまたいるカメコたちでさえ事務所の入り口に掲げられている「写真撮影厳禁」の看板に素直に従うほどだし、事務所の建物も同人関連の企業から格安で借り受けている物件だった。 当然、テレビ取材などの申し込みもあるのだが、全部断っている。彼女は別に有名になりたくて弁護士をやっているわけではない。 困っている人には偏見なく救いの手を。そのポリシーに基づいて仕事をこなしてきただけだ。 パソコンに打ち込んでいるのは、とある裁判での被告弁護人側の主張の草稿だった。 かがみは、著作権侵害で訴えられた同人関連企業の弁護を引き受けていた。その公判が近いのだ。 過去に何度かその類の弁護を引き受けたことがあったが、裁判では連戦連敗。やはり、著作権法の壁は厚い。 それでも、その主張は鋭く洗練されたもので、知的財産法学会や、知的財産問題を専門に扱う弁護士たち、そして、知財高裁の裁判官にも、彼女は一目おかれていた。 それに加えてオタクの味方という評判もあり、その手の弁護を頼まれることは多かった。この分野で一定程度以上の腕前をもつ弁護士の中では、弁護報酬が格安だということもあるのだろうが。 ピンポーン。 インターホンが鳴った。 事務所側ではなく、自宅側の玄関だ。 相手を確認するまでもなくドアをあける。正月にここをたずねてくるような人物など限られているから。 「あけおめ~、かがみん」 予想どおり、長年の友人である泉こなたの姿がそこにあった。 「おめでと。相変わらずね、あんたは」 こなたは、大きな袋をたくさん抱えている。いわゆる福袋だ。 こなた御用達の数々の店で買い込んできたものなのだろう。 「今年も戦利品でほくほくなのだよ。疲れたから、ちょっと休ませて~」 「はいはい」 こなたは、部屋に上がりこむと、荷物をその辺において、ソファーに腰をかけた。 かがみがお茶を出す。 「ありがとさん。調子はどうだね、かがみん?」 「まあ、悪くないわ。そういうこなたはどうなのよ?」 「実は、原稿の締め切りが近いんだけどね」 こなたは、人気のラノベ作家だった。 「こんなとこでだべってないで、さっさと帰らんか」 「ツッコミの切れ味は鈍ってないね、かがみん」 「あんたのボケ具合もね」 ボケに切れ味なる概念が当てはまるのかどうかは、微妙なところだが。 トゥルルルル……。 電話が鳴った。 「はい。柊です」 『ああ、よかった。今日もいたのね』 「先輩。どうかしました?」 電話の相手は、かがみが過去に世話になった先輩弁護士だった。 『ちょっとお願いしたいことがあるのよ』 内容を聞く。 痴漢容疑で近くの警察署にいる男への面会要請だった。 「今日の当番弁護士は、先輩だったはずですけど」 『そうなんだけどさ。まだ逮捕されてるわけじゃなくて任意同行だから、厳密にいえば当番弁護士の対象外なのよね。まあ、何もなかったら手弁当で行ってもいいんだけど、今ちょっと仕事がつまっちゃってて』 「そういえば、先輩は大きな事件を抱えてましたね」 『そうなのよ。それに、任意同行ってところが気にならない?』 先輩の意味ありげな口調に、かがみの脳は素早く推論を働かせた。 「冤罪の疑いあり、ですか?」 『さすが、かがみちゃんね。そもそも、任意同行なのに当番弁護士に連絡があること自体、普通じゃないでしょ?』 逮捕された当人またはその親族等が弁護士を呼んでくれといわない限り、警察には当番弁護士に連絡する義理はない。それなのに、任意同行の段階で早々に連絡してきたということは、暗に何かを示唆していると勘ぐるのも的外れではないだろう。 逮捕してしまったあとで冤罪だと判明すれば警察にとって汚点になる。 かといって、冤罪であるという確証を固めるにも手間がかかる。痴漢被害を主張する女性に対して、確証もないのに、あんた嘘ついてるでしょとはなかなかいいづらい。警察は公権力であるゆえに「国民」に対してはいろいろと気を使わねばならないのだ。 ならば、絡め手のアプローチで女性側を揺さぶるのも一つの手段ではある。もちろん、警察は警察で冤罪であるという確証を固めるために動いてはいるだろうが、手段は多いに越したことない。 「そうですね」 『痴漢の疑いがかかってるのはいわゆるオタク。そして、冤罪疑惑あり。こういうのは、かがみちゃんの得意分野よね?』 過去にその手の冤罪事件にかかわったことは何度かあった。 ひ弱なオタクを狙った痴漢容疑での虚偽告訴。面白半分でそんな馬鹿なことをする女子高生・女子大生は少数ながら存在した。 未成年者に対しては説教ぐらいですませたが、20歳を越えた女子大生を相手に慰謝料をふんだくってやったこともある(微々たる金額ではあったが)。そのときは、被害者のオタク男子に土下座で感謝されて、苦笑したものだ。 「分かりました。引き受けます」 警察の思惑に乗せられているようでシャクだが、だからといって、冤罪被害を放置するわけにもいかない。 警察には貸しということにしておけばいい。商売柄、警察との関わりは今後もあるはずだから。 受話器を置く。 「ごめん、こなた。急な仕事が入っちゃったわ」 「オタクの味方かがみんの出番かね?」 「その言い方はやめい。私は仕事をしてるだけなんだから」 「仕事人を気取るかがみん、萌え~」 「あのなぁ」 「ツンデレ弁護士かがみん。いいねぇ。書いてみようかな。ディープなマニアには売れそうだし」 「やめてくれ」 かがみも、こなたが本気でないことは分かっている。 こなたの作風は、ティーネイジャーから30代までの幅広い一般層を主要なターゲットとしつつ、男女を問わぬあらゆる分野のオタク層にウケる要素をちりばめていくというもので、それこそがベストセラーを連発する秘訣でもあった。 「冗談だよ、かがみん。まあ、仕事なら仕方ないね。邪魔者は退散するとしよう」 こなたは、おもむろに荷物を手にとった。 かがみは、こなたが出たあとに続いて、玄関に鍵をかけた。 「体を壊さない程度に頑張ってくれたまえ」 「あんがと」 かがみは軽く答え、そして、さっそうと歩き去っていった。 その後姿は、女のこなたから見ても、惚れ惚れするほどかっこよかった。 「うーん、やっぱり、書いてみようかな。『みこみこ弁護士かがみん』でもいいかも……」 そんなつぶやきが、街の喧騒の中にかき消されていった。 2.黒歴史を思い出した日 秋葉原に居を構える柊かがみ法律事務所。 大きな仕事もない通常業務体制。そんなある日のこと。 事務所にやってきたのは、この街には似つかわしくない中年の女性だった。 話を聞く。 彼女は、この秋葉原の近くで起きた交通事故で、息子を亡くしていた。 ただ、死因にどうしても納得がいかない。 事故現場に居合わせた友人たちの証言では、意識はしっかりあったし、あれぐらいのケガで死ぬとは思えない、とのことだった。 しかし、病院は、死因については簡単に書かれた紙切れを渡してきただけで、詳しい説明は一切してくれなかった。 ここまで聞けば、かがみにも依頼人がいいたいことは分かった。 搬送先病院での措置に過失があった可能性、つまり、医療過誤の疑いだ。 「ご依頼の趣旨は分かりました。でも、どうして当事務所に? あなたも息子さんも住居はここからは遠いようですが」 「柊先生のことは、息子がよく話していましたので」 秋葉原に集うオタクの間では、かがみは有名人だ。 こういうことも珍しくはない。 「そうですか。それはともかく、確認しますけれども、息子さんの死の真相をどうしても解明したい。そういうことでよろしいですね?」 「はい。私は本当のことが知りたいだけなんです」 「分かりました。私は医療過誤事件は不得手なので、知り合いの弁護士を紹介します。ちょっとお待ちください」 かがみは、電話をとると、とある番号をプッシュした。 「こちら、柊かがみ法律事務所と申します。○○さんはいらっしゃいますか?」 ○○さん──その単語に、事務所に雇われている若手弁護士や事務員たちが、一斉に顔をあげた。 その名は、かがみと交際して三日で破局したという最短記録をもつ男のものであった。 エリート意識丸出しで、オタクなんて最下層民のごとく見下すような鼻持ちならない弁護士。弁護活動でも、金になる事件しか扱わない。テレビドラマに出てくる悪役弁護士が似合いそうなやつだ。 かがみにとって、そんな男と三日間だけとはいえ交際していた事実は、忘却の彼方に追いやりたい黒歴史であるはずだった。 それでも躊躇なく電話をかけたのは、その男の弁護の腕だけは確かだったから。 男が電話に出た。 『君から電話とは珍しいね。復縁したいという申し出だと嬉しいんだけど』 「そんなわけないでしょ。あんたの好きなビジネスの話よ」 『ほう。どんな内容かな?』 かがみが簡潔に説明すると、男はすぐに反応した。 「あの病院か。あそこは、過去にも医療過誤で問題になったことがある。医師の過密労働なんてどこでも聞く話だが、あそこは特に酷い。まあ、そんな病院を救急搬送先に指定せざるをえないほど、医療崩壊が進んでいるということでもあるがね」 『引き受けてくれるかしら?』 「報酬次第だね」 『ぶんどった賠償金の中から、好きなだけ持ってけばいいわ。依頼人の目的は、あくまでも真相解明。忘れないでよね』 「分かってるよ。そこをしっかりやらないと、賠償金もとれないからね。その辺は手抜きはしないさ」 『よろしく頼むわよ』 「ほかならぬ柊さんの頼みだ。引き受けよう。ところで、今度、一日ぐらいデートなんてどうかな?」 『お断りよ。私だって暇じゃないんだから』 そのセリフを最後に、電話を切る。 連絡先と地図、そして簡単な紹介状を書いて、依頼人に手渡す。 「柊からの紹介だといえばすぐに分かるはずです。鼻持ちならない男ですけど、腕前だけは確かですから」 「ありがとうございます。何かお礼を……」 「そんな、いいですよ。他の弁護士を紹介しただけですから、相談料をとるほどのことでもないですし」 「いえいえ、是非ともお礼をさせてください」 押し問答のすえ、結局、規定の相談料を受け取ることになった。 「ありがとうございました」 依頼人は何度も何度も頭を下げた。 「頑張ってくださいね」 かがみは、そういって依頼人を送り出した。 「さぁて、仕事仕事」 かがみは、わざとらしくそういって、机についた。 誰もさきほどの電話の相手である男のことは口には出さない。 仕事のこと以外誰も一言も発しない微妙な雰囲気がただよう。 その雰囲気は、その日一日、事務所を支配していた。 3.孤独な戦い (心神喪失及び心神耗弱) 第39条 心神喪失者の行為は、罰しない。 2 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。 その条文の意味を、柊かがみは充分に理解しているつもりではあった。 刑法の考え方の一つとして自由意思で行なった行為に対しては自ら責任を負うべきだというものがあり、また、刑法の目的の一つには犯罪者の更生がある。 心神喪失者には自分で自分を制御する能力はなく、自由意思による行為などありえない。そして、そもそも更生できる能力すらないのだ。 そういう人間に対して必要なのは、きちんと「治療」することだ。効果のない無意味な刑罰を科すことではない。 「治療」が不可能なのなら社会に損害を与えないように永久に隔離するしかないが、それは現行の法体系が認めるところではなかった(そういう法制度を整えようという主張は存在するが)。 どちらにしても、「目には目を」の応報主義は、日本刑法の採るところではない。 分かってはいるつもりだった。 でも、その重みを噛み締める日がこようとは……。 秋葉原で起きた連続殺傷事件。死傷者は34名。過去最悪だった。 警察が拳銃を使わなかったことを非難するマスコミもあったが、馬鹿な主張だった。あんな人ごみで拳銃なんか使ったら、流れ弾で余計な被害を出すだけだ。拳銃は百発百中ではないのだから。 それはともかく、親から要請されて容疑者に面会にいった当番弁護士は、まともにコミュニケーションがとれずに退散することとなった。 この手の案件を進んで引き受けたがる弁護士はそうそうおらず、結局のところ、秋葉原を縄張りとするかがみが引き受けざるをえなかった。 まっとうにコミュニケーションがとれない容疑者。 彼の人生のほとんどを埋め尽くす精神病院への通院歴。 刑事裁判の争点はただひとつしかありえない。すなわち、刑法第39条の要件に該当するか否か。 容疑者に面会したかがみは確信した。 彼に必要なのは、刑罰ではなく治療だと。 山と積まれた紙の山に目をやる。 おまえは殺人者の味方をするのかとか、おまえも殺人者の仲間だとか、その他いわれのない誹謗中傷が書かれた手紙の山だった。 刑事弁護の意義を理解しない者は、一般市民には多い。 身に危険が及ばないとも限らないので、雇っている若手弁護士や事務員には一ヶ月の有給休暇を与えて帰らせた。 そんな状況を見て、所轄の警察署の顔見知りの誰かが気を利かせたのだろう。事務所には警察官が警備につき、かがみが出歩くときは護衛にもついてくれた。 刑事事件では対立する関係である警察が進んでこんなことをしてくれるのも、彼女の人柄によるところが大きい。 司法は民主主義に屈してはならない。ましてや、世論に屈するなどもってのほかだ。司法の独立とはそういうことである。 しかし、そんな気概をもつ裁判官や検察官はすっかり少なくなっているようにも思われる。 そして、この事件では、素人が法の理念や意義を理解しないまま法的判断まで下してしまうという裁判員制度の問題点が噴出しそうだった。 心神喪失該当性の判断は、事実判断ではなく法的判断であるから。 それでも、後に退くわけにはいかない。 孤独な戦いになるが、できることをできるだけやらねばならない。 まずは、手元に武器をそろえることだ。 かがみは、電話を手にとった。 プッシュした番号は、とある総合病院のもの。 「こちら、柊かがみ法律事務所と申します。精神科の高良先生はいらっしゃいますでしょうか?」 しばらくして、 『はい。お電話、変わりました。高良です』 「あっ、みゆき。久しぶりね」 『お久しぶりです、かがみさん。いろいろと大変そうですけど、大丈夫でしょうか?』 「まあ、なんとかやってるわよ。これも仕事だしね」 『ご用件は、そのお仕事に関係することですね?』 さすがに、鋭い。 「その通りよ。単刀直入にいうと、精神鑑定をお願いしたいの。検察でも既にやってるし、裁判所も職権でやるかもしれないけど、弁護側としても証拠として提出したいのよ」 『分かりました。でも、私がすることは、客観的に鑑定することだけです。その結果に対する法的評価は、私の職分ではありません』 「分かってるわよ。そこまでみゆきに押し付ける気なんてないから。じゃあ、日程はこちらで調整してから連絡するわ。巻き込んじゃってごめんね」 裁判所に提出する鑑定書を作れば、法廷に召喚されて尋問を受ける可能性もある。 『いえいえ、これも私の仕事ですから。かがみさんも、あまり無理はなさらないでくださいね』 「ありがと。恩に着るわ」 電話を切る。 やはり、持つべきものは友人だと、つくづく実感した。 かがみの戦いは、まだ始まったばかりであった。 終わり
https://w.atwiki.jp/luckystar-ss/pages/1209.html
1.きっかけ かがみがまだとある先輩女性弁護士の事務所のイソ弁(居候弁護士の略。法律事務所に雇われる立場の弁護士)だったころの話。 東京高裁の特別支部の位置づけになっている知的財産高等裁判所。 その法廷で、被告弁護人柊かがみは、判決を聞いていた。 結果は、原告勝訴。 予想されていたこととはいえ、やはり落胆せざるをえない。 それでも、かがみは裁判官が読み上げる判決文を聞いていた。 依頼人たる被告は秋葉原にある同人関連中小企業の社長で、原告は著作権をにぎっている大企業。 となれば、係争の内容はおおかた想像がつくと思う。 東京地裁では原告が勝訴し、被告側が知財高裁に控訴。その控訴審の判決が今日だった。 著作権を侵害する出版物等の販売差止めと、それまで販売していた分にかかる著作権使用料相当の損害賠償。それが、原告が勝ち得た判決であった。 判決の読み上げが終われば、手続は終了。最高裁に通る上告理由は見当たらないので、裁判はこれで終わりだ。 依頼人とともに、事務所に戻る。 所長たるボス弁(ボス弁護士の略。法律事務所を経営する側の弁護士のトップ)とともに、依頼人と報酬について話し合った。敗訴でもそれなりの報酬はもらわねば事務所の経営が維持できないとはいえ、心苦しいのも事実であった。 「いやぁ、今回はお世話になりました」 「いえ、たいしたこともできずにすみません。結局、敗訴でしたし」 依頼人の謝意に、かがみは恐縮しながらそう答える。 「いやいや。法律のことはあまり詳しくないですけど、大企業の尊大な顧問弁護士相手にあそこまで堂々と論陣をはってくれただけでも、溜飲がさがりましたよ」 かがみは、相手方の論理の矛盾点や論拠不充分なところに即座に鋭く切り込む能力が非常に高い。今回の裁判でも、かがみの鋭い指摘に相手方の弁護士がややたじろぐといった場面も少なからずあった。 その能力は親友こなたとの交友の中で磨かれたものであるが、かがみはそう指摘されても素直に認めることはないだろう。 「いえ、そんなことは……」 「それに、一部のオタクたちの間での柊先生の評判も知ってますよ。まだまだ蔑まされてるオタクたちに随分と親身だそうじゃないですか。そうだ! どうです? 秋葉原に来ませんか?」 「えっ?」 「店舗を移転して空き物件ができたんですよ。不動産屋に売り払うつもりでしたが、気が変わりました。柊先生に貸しますよ。賃貸料は安くてかまいません」 「そ、そんなことを急に言われても……」 「まあ、そうですな。返事は後日でかまいません。前向きに検討してください。秋葉原には柊先生のような人を必要としている人たちがいっぱいいますよ」 依頼人は、そういい残して、事務所を後にした。 依頼人が去ったあと、所長が、 「かがみちゃん、すごいじゃない。これはチャンスよ」 「で、でも、いきなり独立なんて……」 弁護士になってまだ2年ちょい。法科大学院卒業年次に一発で司法試験を通ったこともあり、まだまだ若い。今の段階で独立なんて、考えられなかった。 「かがみちゃんなら、しっかりしてるから大丈夫よ。なんなら、うちの事務員一人あげちゃうわ」 所長は、この事務所で一番のベテラン女性事務員を手招きした。 彼女は、事務所内では若いイソ弁なんかよりよほどの権力者で、事実上のナンバー2だ。 「いいわよね?」 「柊さんとともに秋葉原ですか。面白そうですね。行きましょう」 彼女はあっさりそういった。 到底ついていけないスピードで進む話に、かがみは戸惑うばかりだ。 「ちょっ、ちょっと待ってください、先輩」 「かがみちゃん。私は、別にふざけてるわけじゃないのよ」 所長がさとすように話し始めた。 「ほかのイソ弁にこんな話が来たら、私は止めてるわ。かがみちゃんなら大丈夫だって確信するから、言ってるんだから。はっきりいって、かがみちゃんはこんな事務所で雇われてるなんてもったいなさすぎるもの」 所長の隣で、女性事務員がうんうんとうなずいている。 「今回の案件だってそうよ。裁判所のホームページにさっそく判決文が掲載されたけど、著作権専門の大学教授や弁護士のブログじゃ早くも話題になってるわ。それだけあなたの主張に注目すべきところがあったってこと。判時や判タにも、どっかの教授の解説つきで載るわね、きっと」 裁判所のホームページには近年の判例を載せるページがあり、注目すべき事件の最高裁判決や高裁判決などは、判決日に即日で掲載される。このお役所仕事らしからぬ速報ぶりは、業界の間では有名だった。 判時は判例時報、判タは判例タイムズの略である。どちらも、法学界や法曹界では御用達の判例専門誌だ。この事務所でも定期購読しており、毎号送られてくる。 「それにね。秋葉原界隈の事情をちゃんと理解してる弁護士なんてなかなかいないわよ。私だってよく分からないもの。あの依頼人さんもいってたけど、かがみちゃんのことを必要としている人は、あそこにはたくさんといると思うの。かがみちゃんなら、すぐに数人は弁護士を雇わないと回らないぐらい仕事が集まるわよ」 「……」 「最終的に決めるのはかがみちゃんだけど、真剣に考えてね。こんなチャンスなんてめったにないんだから。これを逃がしたら、次の機会がいつになるかなんて分からないわよ」 2.独立開業 結局、かがみは秋葉原に行くことにした。 彼女は、オタク界隈の法的問題にのめりこんでいた。ならば、秋葉原に拠点をもつのは願ってもないこと。その機会が降って湧いたように出てきたのだ。逃すのはもったいなさすぎた。 まず行なったことは、所長が気前よく譲ってくれたベテラン事務員との雇用契約だった。 続いて、例の社長さんと事務所の賃貸借契約を締結する。 かがみは、契約書の内容をかみ締めるようにじっくりと読んだ。法律事務所が足元で法的紛争を起こしては笑い話にもならないからだ。 とはいえ、どの分野にも標準の契約書式というのは存在しており、それを実情に合わせてちょっと修正してやれば形は整うし、それで大きな問題が生じることもない。 社長さんはたいそう気前のいい人で、事務所の改装費用までポケットマネーで出してくれると申し出てくれた。 さすがにそこまでしてもらうのは悪いと思ったものの、かがみの手元にはその費用をすぐに出せる金もない。話し合いの結果、出世払いで利息はつけないということでまとまった。 ちなみに、出世払い契約における「出世」は「停止条件」ではなく「不確定期限」だという判例が民法の一般的な判例集なんかには載ってたりする(ただし、これは事例によりけりで、契約当時の事情や当事者の意思を充分に検討しないと、どっちであるかは確言できない)。 なんてことを思い出してしまうのも、専門家ゆえのさがなのだろう。 それはともかく、二人だけの小さな法律事務所だとしても、かがみは立派な個人事業主だ。 賃金を払って人を雇う以上は、雇用保険と労働者災害補償保険の手続をとらねばならない(じゃっかんの適用除外を除けば、個人・法人の別を問わず、全事業所が適用対象)。 また、納税義務者となるので、税務署に開業届出書、東京都の税務担当部署へ個人事業開始等申告書の提出も必要である。 青色申告で納税するので、税務署に青色申告承認申請書を出して承認をもらい、ちゃんとした簿記も整備しなければならない。簿記は、専用のソフトウェアがいくらでもあるから、パソコンに入れとけばいいのだが。 事務所の金の流れを明瞭にするためにも、当座預金口座の開設も欠かせない。 あと、法律事務所を開設する場合には、所属弁護士会への届出も必要である。 さらには、机、椅子、本棚、パソコン、はては鉛筆や消しゴムといったこまごまとしたものの購入。電話、電気、水道、インターネット接続等にかかる諸手続。その他もろもろの雑務。 それらはすべて、ベテランの事務員が鼻歌交じりでこなしてくれた。 「今月の給料には特別ボーナスをつけなきゃいけないわね」と、かがみは思った。それほどまでに、彼女の仕事振りは際立っていた。 いよいよ事務所開設の日となった。 ブルーシートがはがされると、そこには「柊かがみ法律事務所」の文字。 社長さんと事務員が拍手する。彼女を快く送り出してくれた所長は、折りも悪くはずせない仕事が入って、今日は来れなかった。 かがみは、笑みを浮かべながら礼をした。 そこに、 「アキバの新名所一番乗り~!」 現れたのは、かがみの親友、泉こなたにほかならない。 「誰にも言ってなかったのに、あんた、なんで……?」 「ハッハッハッ。私のアキバ情報網をなめてはいかんぜよ。社長さんとはネトゲ仲間なんだよね。店も常連だしさ」 「おやおや、お二人は知り合いだったのですか?」 「高校時代からの腐れ縁ですよ」 「さすがは、柊先生ですな。人気ラノベ作家の泉先生とご友人とは」 「というわけで、さっそく、新名所の写真を一枚」 こなたがデジカメを取り出したところを、かがみが制した。 「おまえは、あの注意書きが見えんのか?」 事務所にはデカデカと「写真撮影厳禁」の看板が掲げられている。 秋葉原をよく知るかがみは、先手を打っておいたのだった。 「ここは、私の仕事場で、見世物じゃないのよ」 「いいじゃん、いいじゃ~ん」 「だ~め」 ここで、事務員がこなたに助け舟を出した。 「まあまあ。ここは事務所開設記念ということで一枚どうですか? 私が撮りますよ」 彼女にいわれては、かがみも折れざるをえなかった。 3.そして、次へ あれから5年がたった。 事務所もまあまあの規模になった。事務員は4人、イソ弁も常に5、6人は雇っている。 仕事はコンスタントに舞い込んでくるため、儲けはぼちぼち。少なくても、雇っている人間にひもじい思いをさせるようなことはなかった。 事務所改装費用の出世払い契約は無事に履行をすませていたが、事務所賃貸料は相変わらず格安だった。 かがみは値上げしてもいいといっているのだが、あの社長さんが頑として譲らないのだ。賃貸料が安いのは顧問料代わりだということで押し切られている。 秋葉原界隈のいくつかの企業の顧問弁護士を引き受けてはいるが、仕事をせずに報酬をもらうのを嫌うかがみは、いわゆる顧問料はもらっていない。報酬は仕事に見合うだけの分をきっちりいただくのが彼女のポリシーだった。 だから、顧問料代わりという名目で賃貸料を安くしてもらうのは心苦しいところだった。でも、あの社長さん相手だと、なかなか強く出られない。 そんな日常が続く中、雇っている女性イソ弁の一人に独立開業の話が舞い込んできた。 経緯はかがみが独立開業したときと似たようなものだ。 彼女は、池袋の乙女ロード界隈の仕事にのめりこんでいた。 ライトなオタク層も広く取り込むようになった秋葉原とは違って、乙女ロードはディープな腐女子層向けの濃ゆい街へと変貌していた。 かがみでさえあの界隈の仕事にとりかかるときには身構えてしまうほどなのに、彼女は物怖じせずに乗り込んでいってガンガン仕事をこなしていた。 かがみから見ても彼女は非常に有能で、弁護士になってまだ2年弱とは思えないほどだった。それでいて乙女ロードの事情に通じていて親身に依頼を受けてくれるとなれば、池袋で開業しないかという声がかかるのは当然だろう。 彼女から相談を受けたかがみは、こう言った。 「あなたなら大丈夫、なんていわないわよ。私だって、まだまだ若輩者だし、偉そうなこといえるような身分じゃないからね。でも、あなたがやりたいっていうなら、止めはしないわ。問題は、あなたの覚悟のほどがどれくらいなのかってこと」 「私、やりたいです」 彼女の目は真剣だった。 「そう。なら、がんばりなさい」 かがみは、事務所で一番のベテラン事務員を手招きした。 彼女には開業以来ずいぶんと頼ってきた。これからもまだまだ頼りたい気持ちもある。 でも、彼女に甘えるのはそろそろ終わりにしてもいいだろうと思った。彼女が抜けたぐらいで崩れるようなやわな体制は築いてこなかったつもりだ。 だから、 「餞別に、彼女をあげるわ」 「物扱いは酷いですね」 「いいでしょ?」 「池袋の乙女ロードですか。面白そうですね。いいでしょう。行きましょう」 まるっきりあのときの再現だった。 この二人にはなんの躊躇もなかった。 「えっ、そんな。いいんですか? 先輩」 「開業するときはいろいろな雑務が山ほどあるんだから。やっぱりベテランさんがついてないとね」 「ありがとうございます!」 こうして、若い後輩が一人、独立していった。 彼女の事務所の開設日に折り悪くはずせない仕事が入り、かがみはその門出を見送ることができなかった。 因果は巡るというか……まあ、そんなもんなんだろうと、かがみは思った。 改装を終えたばかりの事務所を前にかがみの両脇にこなたと社長さんが並んだ写真。 その写真は、今でも、かがみの机の上の写真立てに収まっている。
https://w.atwiki.jp/ugougo39/pages/7.html
名古屋 名鉄線は名鉄名古屋駅を、近鉄線は近鉄名古屋駅を参照ください。 東海道本線 普通 枇杷島駅ー名古屋駅ー尾頭橋駅 特別快速・新快速・快速・区間快速 尾張一宮駅ー名古屋駅ー金山駅 中央本線 特急しなの (岐阜駅ー)名古屋駅ー千種駅 快速・セントラルライナー・ホームライナー 名古屋駅ー金山駅 普通 (枇杷島駅ー)名古屋駅ー金山駅 あおなみ線 名古屋駅ーささしまライブ駅
https://w.atwiki.jp/mainichi-matome/pages/8548.html
10月1日名古屋版朝刊 関連ページ 毎日新聞に広告を出していた企業 10月1日名古屋版朝刊 【毎日新聞/変態記事】規制難民スレその18 http //uni.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1371051134/553 10月1日名古屋版朝刊 1面題字下:★三菱UFJフィナンシャル・グループ(カラー)★ 途中:YKKap(カラー) 毎日新聞名古屋開発(株) ★ソニー損害保険(株)(カラー)★ 下:現代書館 目の眼 (株)日本ビジネス出版 がくぶん 日本園芸協会 毎日新聞社(3段) 2面下:新潮社 日本文芸社(4段) 3面下:毎日新聞社(4段) 4面:★集英社★(カラー全) 6面下:毎日新聞社(5段) 7面下:アド大広名古屋 内藤一水社 近鉄タクシー(株)(2段) 8面下:毎日通販(5段) 10面下:Newsがわかる(1段) 12面:(有)マイケア(全) 13面途中:毎日文化センター 14面:★サンスター(株)★(カラー全) 15面下:毎日が発見(5段) 16面下:興和(株)(7段) 17面:★★ハウス食品グループ★★(カラー全) 18面途中:www.maikoh.net/ 19面下:キャッスルプラザ(5段) 20面下:★新城市★ 新城市観光協会 鳳来山東照宮 新城観光ホテル 松井建拓(株) 鳳来寺 カクキュー 豊田市民芸館(7段) 21面下:名古屋市みどりが丘公園 デイサービスいちよし(筑後市)(5段) 途中:(株)MC三河設計 22面下:SHサンヘルス(5段) 23面:愛知県弁護士会 青木重臣法律事務所 あお空法律事務所 (弁)あおば法律事務所 朝倉法律事務所 飛鳥總合法律事務所 安藤泰愛法律事務所 異相法律事務所 石原総合法律事務所 井上法律事務所 岡本弘法律事務所 尾関法律事務所 川崎修一法律事務所 北村法律事務所 木下・岡法律事務所 黒岩総合法律事務所 小谷聖法律事務所 (弁)小山法律事務所 齋藤清貴法律事務所 酒井法律事務所 櫻林法律特許事務所 (弁)しょうぶ法律特許 鈴木和明法律事務所 大樹法律事務所 高橋・尾関法律会計事務所 たみ法律事務所 (弁)東海総合 (弁)名古屋北法律事務所 那須・岩崎法律事務所 鳴海法律事務所 東大手法律事務所 ひまわり法律事務所 北條法律事務所 松井法律事務所 丸の内綜合法律事務所 水口・中村法律事務所 水谷・可児法律事務所 宮崎直己法律事務所 三輪陽介法律事務所 森法律事務所 (東三河支部)柴田法律特許事務所 (弁)きぬうら法律事務所 (弁)坂田法律事務所 とのも法律事務所 深津法律事務所 (半田支部)細井靖浩法律事務所 (三重弁護士会)川嶋冨士雄法律事務所 みなと総合法律事務所 毎日ウィークリー(全) 24面下:毎日新聞社(5段) 25面下:毎日新聞社 ニュース時事能力検定試験(3段) 途中:ハルタ製靴(株) 26面途中:★国民年金基金★ ★集英社(カラー)★ 下:再春館製薬所(3段) 関連ページ 毎日新聞に広告を出していた企業
https://w.atwiki.jp/socorre/pages/15.html
包茎手術を考えている方のために。 名古屋周辺の包茎クリニックやこらむを掲載していきます。 これからどうぞよろしくお願い致します。 包茎は仮性包茎と真性包茎、かんとん包茎の3種類に分けられます。 自分がどのタイプの包茎なのか? まずはそこから知ることから始めましょう。
https://w.atwiki.jp/tamashige/pages/3.html
更新履歴 取得中です。