約 1,989,019 件
https://w.atwiki.jp/nolnol/pages/11305.html
薬問屋 レベル:数 39-44 7 黄色ネーム 構成NPC 名前 種類 レベル 開始時付与 特徴 薬問屋 薬 守護 薬屋用心棒 侍 守護 薬屋のせがれ 鞭忍 反射結界 薬屋の娘 薬 結界 特徴 生息地域 越中: ドロップアイテム その他情報 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/good-life/pages/14.html
業務用接着剤(ボンド/アロンアルファ/ハードロック)他、コーキング/シーリング/テープ/パテ/シリコーン/ワックス/石鹸/錆防止塗料/刃物/防災グッズ等の商品販売。業務用仕入れ・卸問屋の有限会社ビガーサイエンスにお任せください! 社名 有限会社ビガーサイエンス 住所 〒530-0054 大阪市北区南森町1-1-25 八千代ビル南館9階 接着剤 ハードロック
https://w.atwiki.jp/nwxss/pages/14.html
公式系 アニメ公式 原作 その他 非公式系 情報サイト 二次創作サイト 公式系 アニメ公式 TVアニメ公式 キッズステーション TOKYO MX 原作 [[FEAR Online http //www.fear.co.jp/ ナイトウィザード公式 菊池たけし特設ページ その他 ふぃあ通(旧ナイトウィザード通信) 宮崎羽衣のナイトういういざーど アニスタ.TV PS2版 ナイトウィザード The VIDEO GAME Denial World 非公式系 情報サイト ナイトウィザード The ANIMATION Wiki きくたけワールドWiki 二次創作サイト 卓上ゲーム板作品スレ保管庫 リリカルなのはクロスSS倉庫 白き異界の魔王 あの作品のキャラがルイズに召喚されました ナイトメイジ
https://w.atwiki.jp/mhfyj/pages/613.html
攻撃力624 氷860 睡眠150 スロットなし 強化費用160000 強化素材 覇竜の上鱗×4 眠鳥の牙ハシ×4 銀火竜の翼×1 銀レウスの翼まで要求しておきながらこの性能ぶり。 でも銀色でカッコイイかも??ロビーにどうぞ )これでソロでレウス狩れたら大したもんだ
https://w.atwiki.jp/ragadoon/pages/750.html
2015年度前期 ナイトウィザード2nd 第三話 "アフタースクール・ナイト" GM KAZZ-I 予告 それは、どこにでもある話だった。 皆も一度は耳にしたことがあるであろう、学校の七不思議。 この夜、夜闇の魔法使いが怪談に挑む!? ナイトウィザード「アフタースクール・ナイト」 紅き月が昇るとき、禁忌の幕が上がる・・・ ハンドアウト 天田 綾晴 コネクション:臼井 徹(関係:任意 ※友好的なものが望ましい) ウィザードとしての経験が浅いキミは、ウィザード向けの授業を受けさせられることになる。そんなキミの事情も知らず、バカな提案をしてくる者がいた。クラスの三馬鹿の一人、臼井徹だ。よりにもよって、学校の七不思議を探ろうなどと言い出したのである。 佐々木 紅狼 コネクション:各務 芽依(関係:任意 ※メイキング時のコネクションとは別に取得) キミが目覚めると、招いた記憶のない客人がいた。エミュレイター関連の事情についてよく知っている人狼少女、各務芽依だ。おおかた、師匠が話を聞くために泊めたのだろう。朝食を食べながら、芽依が語り出したのは・・・ ヒラタ ショウモン コネクション:輝明学園青原校(関係:関心など ※非人物コネクション) 静岡県青原市にある輝明学園青原校。そこから発せられる異質な気配を、確かにキミは感じ取った。単に呪術使いを育てる機関だからかもしれないが、異界の力との強い結びつきがあるように思えた。 藤本 悠 コネクション:アンゼロット(関係:任意) ベール=ゼファーを退けてから数日後、キミはアンゼロットからエミュレイターの討伐を命じられる。ターゲットは氷賀良市の隣、青原市にいる。おそらくベール=ゼファーではないだろう。・・・だが、敵は敵。少なくとも、見逃してやる理由はどこにもない。 杠 みちる コネクション:桂木 祐太朗(関係:任意) キミは、氷賀良市内のエミュレイター騒ぎを鎮めるために駆り出された。一通り鎮圧すると、現れたのは謎の男。彼は輝明学園青原校の七不思議について話したのち、そのまま去っていくが・・・? コネクションNPC 臼井 徹 クラス:イノセント 年齢:18 性別:男 綾晴のクラスメートの男子。輝明学園青原校3年C組の三馬鹿のひとり。 中間試験が終わるや否や、学校の七不思議を探ろうと言い出す程度には能天気。 各務 芽依 第一話にもちょこっと登場した公式NPC。ウィザード界の情報通。 紅狼の師匠がエミュレイターの情報を聞こうとしたところ、寝床と朝食を要求されたらしい。 輝明学園青原校 クラス:建造物 年齢:築64年 建材:だいたい木造 NPCではなく、建造物。綾晴が通っている学校で、秋葉原の本校と同様にウィザードの教育も行っている。 この学校が存在する青原市は有名な怪奇スポットのひとつであるが、この学校に関する噂はほとんどなかった。 "真昼の月"アンゼロット 公式NPC。見た目はただの少女だが、正体は世界の守護者。 今回も何食わぬ顔でPC達にお願いをする。もちろん拒否権はない。 桂木 祐太朗 公式NPC。エミュレイターが出現したとき、ついでに現れる不審者。 今回もエミュレイター鎮圧後に現れ、みちるに指示を与えて去っていく。
https://w.atwiki.jp/akbdata/pages/968.html
生年月日 1989年12月1日 出身 群馬県 公式サイト https //saitoryosuke.wixsite.com/saitoryosuke 所属事務所 http //grane-inc.comhttps //www.relic-lyric.com 提供リスト 2016年5月25日 それぞれの椅子(乃木坂46 2nd album) 作曲 編曲 環状六号線 2017年7月19日 意外にマンゴー(SKE48 21st single) 編曲 オレトク 2022年9月21日 好きだ虫(NMB48 27th single) 共作曲 編曲 なぜ、僕は立ち上がるのか?
https://w.atwiki.jp/nwxss/pages/73.html
4-803、806、~、813-815 幻想の果てに 風と焔のロンド /続き ありがとう! そして、支援頼む! 「ぁあああああああああああ!」 プラーナを供給する。 己の生命力を、存在力を振り絞る。 肉体が悲鳴を上げる、心が磨耗していく、されども決してやめない。 大地に屈服するサイバスターの光の翼が輝いていく。 「まだ抵抗するか?」 だがしかし。 最強の幻想は――理不尽である。 残しておいた小指を、ゆっくりと引き下げた。 圧力が爆発的に増す。 「がっ!」 壊れる。 砕ける。 大地が空に潰されて、風の翼が風に潰されていく。 白い装甲はひび割れて、雄雄しき翼は力を失い、大地に墜ちた小鳥の如く無様に のたうつ。 希望が、理不尽に潰されていく。 願いが砕かれていく。 それもまた現実。圧倒的な現実の残酷。 「そろそろ終いか――ッ?!」 されど、希望は途絶えず。 世界を駆ける人々は願いを紡ぎ続ける。 故に、彼女は間に合った。 「かずまぁあああああああああ!」 神凪 綾乃。 火の神器たる炎雷覇が、太陽の如き灼熱を得てKAZUMAに振り下ろされた。 「はっ! 綾乃かよ!!」 「和麻ぁあああああああ」 燃え上がる焔に、それを受け止める圧倒的な大気の壁。 もはやダイヤモンドの如き硬度を持つ凝縮され尽くした風の壁を、突き刺さる炎雷覇 の炎が舐めていく。 このままであれば、いずれ炎雷覇の刃が突破するのも時間の問題だろう。 「あめえよ」 そう、時間があれば。 高密度に凝縮された大気の一部を解除し、その隙間を通ってKAZUMAの蹴りが綾乃の胸に直撃する。 「きゃあっ!」 「お前じゃ、俺に勝てないって分かりきってるだろうが?」 蹴り飛ばされ、無様に落下していく綾乃に対してKAZUMAが嗤う。 普段浮かべている皮肉げな笑みに、より狂った妄執を乗せて。 「綾乃様!」 「くっ!」 そして、落下していく綾乃を受け止める影が二人。 「美琴に、燎……か。わざわざ殺されに来たのか?」 KAZUMAはクックックと嗤う。 愚かしいと嗤う。 「違います!」 「俺たちは、お前を止めるために来た!」 「――出来んのか?」 勇気を振り絞り叫ぶ二人に、風の精霊王すらも超えた幻想を纏う男が告げる。 風の精霊が集う。 蒼く輝き、同時にどす黒く輝く不浄とも清浄とも呼べる風。 世界全ての風を集わせたような、理不尽で馬鹿げてありえない密度の風を掲げ、 アバターは告げる。 「力が無い奴なんて吼える言葉なんて、所詮負け犬の遠吠えなんだよ」 だから、消えちまえ。 大地で戦う全ての人間もろとも、KAZUMAは消し飛ばそうと手を振り上げて。 「――させねえよ」 背部より振り下ろされた巨剣が、その体を吹き飛ばした。 一瞬、何が起きたのか理解出来なかった。 体に走ったのは激痛。 疾風のような感覚。 一瞬前までの光景とは違う、景色。 「なっ?!」 高速度で滑空する中で、KAZUMAは風の精霊を制御し、自身の動きを制御する。 続いて、ボディチェック。 常時展開していた大気の壁によって大部分の衝撃が軽減されたが、圧倒的なまでに 人間とは違う大質量の打撃は、最強の幻想たるアバターの肉体にもダメージを与えていた。 「腕がやられたか……しかし、何故一体誰が――ッ!!」 顔を振り上げ、先ほどまで自分が居た方角に目を向ける。 それで全て理解した。 何故襲撃を感知出来なかったのかも、そして何故そいつがそこにいるのかも。 「サイ、バスタァアアアアアアアアア!」 “異世界の風の精霊の化身” この世界のあらゆる風の精霊を掌握下に置いたKAZUMAでも、異世界の風の精霊には ――その身に宿る“サイフィス”だけは制御化に置いていない。 故に、感知出来なかった。 そして、彼は認められないことがあった。 サイバスターの周囲に渦巻く風の精霊、それが“彼の手を離れていることに”。 『サイフィスが説得してくれた……テメエの元から離れることを』 「ふざけるな! 俺は、俺は風の精霊王すら超えたんだぞ!? 救えるんだよ、 誰だって救えるような力を持っているんだよ、俺はぁあああ!」 認められない。 決して認めるわけにはいかない。 全ては思い通りにいかなければならない。 あらゆる抵抗を、理不尽に踏み潰さなければならない。 それがKAZUMA。 U-1に編みこまれた幻想。 だがしかし、その幻想を。 『しらねえよ』 風の魔装機神は切って捨てた。 『風の精霊王? 誰だって救える? そんなのは俺は知らないし、そんなことがありえる わけがねえ』 幾度となく人々が争う戦争の渦中に居た。 その身に背負わされた使命に、心が折れかけた。 何度も、何度も、仲間を失ったこともある。 目の前で救いたかった奴が、救えなかったこともある。 絶望しかけたこともある。 けれども。 『力が必要なんじゃない、諦めねえことが必要なんだ』 それはあるヒーローと戦い続けた戦闘員が発した言葉。 壊れた正義の味方を打ち砕いた、誇り有る悪の言葉。 彼のことを、マサキは知らない。 けれども、彼は知っている。 ヒーローが、ヒーローである資格を。 『誰かを傷つけんな、誰かを泣かすな、何かを諦めんな。それが出来ないなら、お前は 誰も救えねえ』 風の魔装機神の握る剣――ディスカッターが大地に突き刺さる。 地面を中心に走る六芒星の魔法陣。 燃え上がる炎の鳥の輝き。 『だから、俺がお前を止めてやる』 「やってみせろぉおおおお!!」 渦巻く風。 全てを蹂躙する最強の風。 集え、集え、集え。 目の前の綺麗ごとを発す馬鹿を消し飛ばせ。 『アァアアアカシック、バスタァアアアアアアアアアア!!!』 「らぁああああああああああああああ!!!!!」 飛翔する炎の不死鳥。 切り刻む暴虐の嵐。 その二つが衝突し合い―― 風が吼え猛った。 「ァアハハハア! この程度かよぉおおおお!!」 迫る炎の不死鳥を、繰り出す嵐の壁で受け止めながらKAZUMAが嗤う。 この程度か。 綺麗ごとを抜かす奴の力はこの程度か。 “剣を突き刺したまま動かないサイバスター”を見て、KAZUMAが狂笑の笑みで 目の前の炎を押し潰そうとする。 『馬鹿ね』 「なっ!?」 KAZUMAが伸ばした手が握られる瞬間、炎の鳥の中に誰かが飛び込んだ。 消えることの知らない太陽のような娘。 火の精霊王より授かった神の炎雷覇 それを携えた神凪 綾乃が炎の中に飛び込んだ。 「ば」 ばっかやろうと思わず、KAZUMAは口走りかけた。 いかに精霊王の祝福があろうとも、あの炎はそれだけ耐えられるような生易しいものじゃない。 アバター化しているKAZUMAでなかったら危ういほどの業火。 それを、綾乃程度が飛び込めば―― 「くぅううううう!!!」 燃える。 焦げる。 熱い、熱い、熱い。 火に焼かれることがこれほど痛いとは知らなかった。 燃え上がる皮膚がこれほどまでに苦痛を伴うとは知らなかった。 けれど、これは――かつて彼が味わった苦痛の一部。 「かぁ」 超えるのだ。 追いつくのだ。 背を並べるのだ。 あの憎たらしい男の横で、当然のような笑みで笑ってやるのだ。 それが、綾乃の夢であり、願望であり、目標。 だから―― 「ずまぁあああああああああああ!」 燃え上がる不死鳥の炎すらも喰らいて、炎雷覇が“朱金“の輝きを帯びる。 「なっ!?」 それは『神炎』 選ばれし高潔なる神凪一族の者しか使えぬ黄金の炎を超えた力。 それは空間すらも焼き尽くす炎。 KAZUMAの風すらも超える――願いの力。 「ぁああああああああああああ!!」 「おぉおおおおおおおおおお!!!」 KAZUMAの蒼銀の風と綾乃の朱金の炎が鬩ぎ合う。 圧倒的な力の差のはずだった。 どうやってもKAZUMAに勝てるなんかわけなかった。 一人一人の力は彼の四分の一にも満たなかった。 けれども、KAZUMAは……一人だった。 「綾乃様ぁ!」 炎の舞い上げるのは風。 弱々しくとも、気高き祈りの風。 「いけぇええ!」 風を生み出すのは炎。 誇り有る血統の黄金。 「貫けええええ!!」 二つをもって、風炎とする。 異世界の、されども世界を護る意思の力。 三人の力に支えられて、綾乃は――最強に迫る。 幻想を砕く、想いとなる。 「和麻」 覆いつくす風炎の光景。 燃え上がる爆炎と渦巻く轟音の中。 KAZUMAは、綾乃の声を聞いた。 「私はアナタは好きじゃない」 それは嫌悪。 真っ正直な本音。 「でも、アンタは嫌いになれない」 囁くような言葉。 輝く炎の中で、女神のような燃え上がる少女の言葉。 「理不尽で、あくどくて、汚くて――でも強い奴だって知ってる」 見惚れるような笑みを浮かべて、綾乃は告げた。 「だから、帰ってきなさいよ。いつもの憎らしいアンタに」 そして。 「それも、いいかもな」 ゆっくりとKAZUMAは――否、幻想を纏わぬ和麻は笑った。 純粋な清々しい年齢相応の笑みを。 そうして、幻想は壊れ、現実が帰ってくる。 誰もが望んだ明日へと続く現実が。 ――風の聖跡組 WIN? 最後に残りしアバターの一角が終わりを告げた時、もう一体の戦いも終わりを告げよう としていた。 『オォオオオオオ!』 『あはあぁああ!』 アロンダイトとグランワームソードが激突し合う。 運命を背負いし翼と、破壊神は場所を変え、位置を変え、あらゆる空間の破砕を 撒き散らしながら戦っていた。 『くそぉ! なんでだ、なんで倒せない!?』 SHINが叫ぶ。 幾度も砲撃を直撃させ、大剣を刻みつけ、その武器を持って破壊神を傷つけた。 けれども、いかにひび割れようとも、いかに傷つこうとも、破壊神から感じられる威圧感 は止まらない。 勝ってる気がしない。 『おやおや? どうしたのですか』 それを裏付けるように、響くシュウの声には余裕があった。 『あなたは最強なのでしょう? 理不尽を踏み砕く最強なのでしょう? ならば、私を 超えて見せてください』 『ァァアアアアアアアアアア!!』 光の翼が瞬く。 常人の速度を超え、コーディネーターでも追いきれぬ加速。 音速を超えて、ソニックブームを撒き散らしながらディスティニーが空を舞った。 『これでぇ!!』 その馬鹿げた速度は、破壊神の反応すらも超えていた。 理不尽な加速、理不尽な機動、最強を打ち砕いた翼は真正面から破壊神の胸部に迫り。 『終わりだぁ!!』 ――パルマ・フィオキーナ。 ディスティニーの掌底部に備え付けられた特殊兵装。 本来ならばビーム砲を放つだけ光の掌は、最強の幻想を纏いて全てを消し飛ばす 閃光と化していた。 至近距離からの接触。 歪曲フィールドも及ばぬ場所からの、胸部への直撃。 それに破壊神の装甲が砕けた。 『ハァ、ハァ……やったか?』 沈黙。 世界が止まったような静寂。 そして、不気味な沈黙は。 『なるほど』 『?!』 蠢く破壊神の腕によって、砕け散らされた。 『な、なんでまだ生きてる?!』 『簡単なことです。あなたの攻撃はコクピットに届かなかった……いや、“一次装甲”を 砕けただけということです』 蠢く。 輝く。 唸り声が漏れ出す。 蒼き破壊神が、その全身から光を発しながら告げる。 『何故あなたが勝てないのか教えてあげましょう』 蒼き装甲の全身がパージされ、新たな装甲が生み出され、蠢くように変形していく 破壊神を見ながら、SHINは絶望を教えられた。 『あなたは“理不尽を打ち破る最強なのですよ”』 神の如き光輪。 『“理不尽を打ち破る英雄ではなく”、“理不尽を踏み潰す最強”』 圧倒的なまでの最強の力。 『それではあなたは私を破る律にありません。 私を倒せるとしたら――“最強ではないヒーロー”なのですから』 生半可な幻想では届かない圧倒的な理不尽。 全てを叩き潰す、悪夢の象徴。 『力しか誇れぬものはより大きな力に踏み潰される。故に、あなたは私という力に 叩き潰されるのみ』 そして、圧倒的な力が周囲を掌握した。 『消えなさい、幻想の産物よ。理不尽に、理不尽でしか立ち向かえない哀れな人形よ』 漆黒が。 世界を滅ぼす漆黒が。 最後の幻想を力で叩き潰した。 ――魔装機神組 WIN? 4-826 コツン、コツン ―― 深夜の路地裏。 普段からそれほど人通りの多い場所・時間ではないとはいえ、異常なまでの静けさが辺りを包みこんでいる。 物音一つしない世界に、ただ、ブーツの音だけが鳴り響く。 時間は少しだけ遡る。 東京を中心として観測された次元の歪みに対して、多くの“魔法使い”たちがそれを隠匿せんと奔走した。 その試みの1つが、この辺りに展開された広域魔法結界である。 イノセントと呼ばれる力を持たぬ人々が、非日常の世界に触れてしまうのを防ぐ予防線と言ってもいい。 前線から少し離れたこの場所に、1人の少女がじっと身構えていた。 ここはあくまでも予防線。 しかし裏を返せば、世界結界の損傷へダイレクトに繋がるデッドラインということだ。 グレーテル「(お兄さまの予想が正しければ、必ず誰かがやってくるはず……っ!)」 彼女の名はグレーテル。 中学生くらいだろうか。年端も行かぬ幼い顔とは裏腹に、その瞳には決意の炎が宿っていた。 ツーテールにまとめた青い髪がふわりと風に揺れるたび、きらきらと月の光を反射する。 * 都心では戦況が少しずつ変化していた頃。 ただひたすら境界線を監視していたグレーテルの前に、1人の来客があった。 パール「見つけたわ! これで煩わしい世界結界もお仕舞いよねっ☆」 すっと降り立ったのは、巫女服を来た金髪少女・パール=クール。 十代前半という見た目に決して騙されてはいけない。これでも裏界最強を自称する魔王なのである。 パール「このパールちゃんの秘策により、戦況は大きくこちら側に傾くことになるわ! 誰が最強で、いっちばん可愛いの魔王なのか、分からせてあげなきゃ♪」 へへん、とパールは得意げに胸を張る。 どこぞの世界の守護者や蝿の女王よりは幾分マシとはいえ、平らで薄っぺらい身体で主張されても余り迫力は無い。 * ここは少しだけ世界から位相をズラされた空間 ―― 月匣。 普段なら彼女たちが自ら力を振るうための結界である。 しかし今は、突如出現した「式神の城」を世界から隔離するために、ウィザードたちが展開しているのだ。 なら ―― いつもとは逆のことをやればいい。それだけだ。 多くの月匣と同様、この広域魔法結界にも存在を維持するための「コア」があるはずである。 暴走を始めた式神の城は、もはや世界結界だけでは止められない。 月匣の中で十分に加速した「非日常」の因子は、たやすく世界の常識を貫く飛礫(つぶて)となるのである。 パール「月匣のコアを叩けば、式神の城が世界に露出することになる。天才よねっ!」 グレーテル「けれどそれも全てお兄さまの計画の通り。アンタはそこにのこのことやってきた。 ここをアタシが守りきれば、お兄さまの素晴らしさが証明される……っ!」 そんなことはさせない、とパールの行く手を塞ぐグレーテル。 月匣自体を解除しようする者が現れるだろうと予想し、待ち構えていたのだ。 グレーテル「アンタはアタシが相手よ! ……《ミッシンググレイヴ》っ!」 両手にはめたミトンの手袋に、彼女の身長ほどもある巨大な剣 ―― 魔剣ミッシング・グレイヴが現れる。 明らかに不釣合いな得物だが、少女は軽々とそれを振りかざす。 パール「なっ……何よっ! ちょっと予想が当たったからってイイ気にならないことねっ! たかがウィザード1人くらい、この超強くて超かっこいいパールちゃんが、一捻りでやっつけてあげる♪」 * 最初に動いたのは魔王パール=クール。 右手を天に掲げ、その掌の上に漆黒の球体を生み出すと、相手の足元へと投げつけた。 パール「さっさと消えなさいよっ! 《ディストーションブラスト》っ!」 しかしグレーテルには命中しない。 軽いステップで、魔法攻撃を回避したつもりだったが…… キィーーーーーーーン! 着弾点を中心につんざくような金属音が響き渡り、周囲の空間がぐにゃりと歪む。 その歪みは、路地にひしめく無人の雑居ビルにまで至った。 パール「そのまま、つぶれちゃいなさいっ!」 柱砕かれて支えを失ったビルが次々と倒壊し、歪みの中心近くにいたグレーテルを襲う。 データ的には、ビルというオブジェクトにリンクしていたトリガー型のダメージトラップと言ったところか。 単に魔法攻撃を放つだけでなく、周囲の状況までをも利用する。 見た目や言動と違い、なかなかクレバーな戦い方をするパールちゃんであった。 グレーテル「《ドール・オブ・グラビティ》!」 しかしグレーテルも負けていない。 倒壊するビルの下敷きになる直前、魔剣ミッシンググレイヴをそのビルに向かって突き刺した。 その瞬間、倒壊するはずだった雑居ビルは巨大なドラゴンへと変形し、少女を《カバーリング》する。 グレーテルが作り上げたドラゴン型のゴーレムが咆哮をあげ、そのまま魔王を噛み殺さんとする。 しかしパール=クールは余裕の笑みを浮かべたままだ。 そんなオモチャであたしを倒せるなんて思わないようにね、と言わんばかりに。 パールがそっと両手を前に出すと、その先の空中に赤い光を放つ魔法陣が描かれた。 ドラゴンの牙は、その魔法の盾に阻まれ有効なヒットを与えることが出来ない。 運動エネルギーは、受け止められたことでそっくりそのままドラゴン自身へと返される。 グシャアアアアアアアアアッッ!!! 壁に投げつけたトマトを見るかのように、その身体を支えきることが出来ず崩壊していく。 そこに、一瞬だけパールに隙が生まれた。 グレーテル「《ハウス・オブ・グラビティ》―― やぁぁぁっ!!」 轟音と煙に紛れ、魔法により加速したグレーテルが一気に叩き込む。 彼女の唱えた《ハウス・オブ・グラビティ》は、正確には重力を操作する魔法である。 自身のそれを巧みにコントロールすることで、ロケットのような加速を実現させたのだ。 詳細については2ndルールブックP.144右上を参照のこと。 グレーテル「お兄さまのためにも、倒れなさいっ!」 パール「くぅ ―― っ!」 インパクトの瞬間に再び重力を操作し、加速を保ったまま強力な一撃を与える。 タイミングを合わせるのは困難だが、上手く当たればその効果は大きい。それがバロール・シンドロームのエフェクト《巨人の斧》だ。 パール「……って何よっ!? ゲームが違うわよっ!」 考えてみれば、グレーテルの魔法はバロールやモルフェウスの能力で表現可能なものが多い。 それはともかく、パールにはかなりのダメージを与えているはずだが、流石は魔王。まだまだ倒れない。 パール「もう怒ったんだからっ! 死んじゃえ死んじゃえっ! あんたなんか、チョコレート持って命乞いしても、ぜぇったい許してあげないんだからっ!」 * あれからしばし ―― まだ魔王とエプロン少女(グレ子)の戦いは続いていた。 戦況は明らかにパール=クールの優勢。 幾らグレーテルがかつて世界を救った英雄であるとはいえ、今は1人。 支援が期待できないこの状況では墜ちるのも時間の問題と言えよう。 せめてあと1人、あと1人一緒に戦ってくれる仲間がいれば……! パール「もう終わり? 最初の威勢はどうしたのかしら? 早く命乞いをしなさいよ! この超公パールちゃん様のげぼくになるって誓いなさいっ! もちろん許してなんてあげない。ふふん、いっしょーこきつかってあげる♪」 ボロボロになりながらも、グレーテルは決して首を縦に振らない。 グレーテル「お兄さまと誓ったから……! それと一応三銃士のみんなも……だから……アタシは……っ!」 パール「……!? さっきからお兄さまお兄さまって! もういいわよっ!」 パールは静かに右手を向けた。 真っ赤な〈火〉のプラーナがその先に集中するのがグレーテルにも分かる。 パール「地獄の業火で灰になってわびるといいわ! 《ブラストフレア》―― 相当の《ファイアー・ボール》っっ!」 見た目にはただの変哲の無い火球。 しかしその温度はおよそ1兆度(誇大広告)! 全てが一瞬で蒸発する最凶の炎である。 パール「これがあたしのメラ……じゃなくて《ファイアー・ボール》よ!」 ゴォォォォオオオォォォッッ! 神すら想像できぬ熱の塊が辺りを焼き尽くす。 その瞬間、パールは勝利を確信した。 謎の少女「――《プテリュクス》!!」 ただ1つ、最後にそんな声(C/V山本麻里安)が聞こえたような気がしたが、勝敗には関係ないだろう。 この炎に耐えられる者などこの世に存在しないのだから。 * パール=クールの放った業火は、辺り一面を焼け野原へと変貌させた。 原形を残すものなど何も無い。道路も、かろうじて残っていた雑居ビルも、そして瓦礫の山も。 膨大な魔力より生み出された圧倒的な熱量がもたらした、無残な姿。 魔王を怒らせたのだ。当然の結果と言える。 パール「これがあたし、パールちゃんの力よ。 これでも手加減してあげたんだから、感謝しなさ……」 パールの目が大きく見開く。 視線の先に佇んでいたのは、黒コゲになった巨大な鋼鉄の盾。 謎の少女「ほっ……なんとか、間に合いました」 人をすっぽりと覆い隠すほどの大きな盾の陰から出てきたのは、茶色の髪をお下げにしたメイド服姿の少女。 普通のメイドさんと少し違うのは、鋼鉄製らしきグローブとブーツ、それと背負った大きな剣くらい。 歳はグレーテルと同じくらいだろうか。よく見ればヨーロッパ系の顔立ちをしているのが分かる。 パール「あんた、邪魔する気!?」 メイド服の少女の後ろには、グレーテルの無事な姿も確認できた。 あの炎を、鋼鉄の盾が護り通したとでもいうのか。簡単には信じられない。 グレーテル「助かった……ありが、とう……。アンタの名前は……?」 フィオナ「私の姿が見えるんですね、嬉しいです! あっ、えっと、私はフィオナ・メイフィールドっていいますっ」 グレーテル「フィオナ……あの、メイフィールド事件の……?」 こくり、とフィオナを名乗る少女はうなずいた。 数年前、今回と同じようにイギリスで次元の歪みが発生し、2人の少女がそれ巻き込まれたという事件。 1人は後日保護されたが、もう一方は未だ行方不明だと聞いたことがあった。 その時に消えた少女の名が ―― 確か、フィオナ・メイフィールド。 パール=クールは苛立ちを隠せない。 けれどここで気を荒げるのも、魔王としてのプライドが許せるものでもなかった。 パール「ふぅん、まあいいわよっ!」 フィオナ「はう……ごめんなさい」 何故か魔王に謝るフィオナ。 フィオナ「でも、この世界を見捨てるなんてできません……私は、戦いますっ!」 そう誓うと、フィオナはグレーテルのミッシンググレイヴにも負けないほどの巨大な剣を構える。 異世界の腕利きの刀鍛冶に鍛えてもらったというフィオナの愛剣。 まだ完全に使いこなせてはいないけれども、彼女は剣にキャメロットという名前を付け、可愛がっていた。 パール「こうなったら2人まとめて消してあげるんだからっ!」 第2ラウンドの開始である。 * さすがに実力ある剣士2人となると、さすがのパールにも焦りの色が見えてくる。 連戦な上に、やはり手数が違うのが致命的だ。 フィオナ「えーいっ! やーっ! それーっ! 《エクスカリバー》っっ! 《クリオドゥース》っ!」 パール「《リアクティブ・ガード》っ!!」 グレーテル「《ミッシングブレイド》っ!」 パール「くぅっ!!」 フィオナが牽制し、グレーテルが一撃を加える。 かと思えば、その逆も。 巨大な剣を抱えた2人の少女は、まるで長年のパートナーかのように完璧な連携で攻め込んでいる。 パール「《ファイアー・ボール》!」 フィオナ「《プテリュクス》! 私たちを護って! 私の剣も盾も、そして心も! すっごく頑丈なんです! そう簡単には折れませんっ!」 生半可な攻撃では、パールの攻撃もマトモに通らない。 パール「ああもうっ! いい加減にしなさいよっ!!」 このままでは埒があかないと判断したパール=クールは、強力な技で一気に相手を崩そうと試みる。 パール「まとめて消してあげるっ! ありがたいと思いなさいよっ!」 その瞬間、グレーテルとフィオナは互いに目で合図を送る。 待っていたのだ。魔王が痺れを切らし、隙ができる大技を撃ってくるのを。 フィオナ「約束の地より来たれ、オレイカルコスっ!」 フィオナの言葉に従い、彼女を守護する〈鋼〉のアルカナ、エルダードラゴンが姿を現す。 グレーテル「やあぁぁぁっ!! 《ギガンティック ―― グレイヴ》ッッ!!」 パール「《ヴァニティワールド》―― 超☆アンリミテッドっっ!」 パールの呪に呼応して、周囲の空間そのものが悲鳴をあげる。 何もかもを消滅させる〈虚〉属性最強の攻撃魔法だ。 パール「これで終わりよっ!」 空間の歪みが、グレーテルを侵食する。しかしそれでもなお彼女は戦いを諦めない。 グレーテルの持つ魔剣ミッシンググレイヴが、先ほどまであった小さな雑居ビルくらいにまで巨大化する。 巨大な一薙ぎは、パールの身体を大きく切り裂き、さらにその衝撃は空中へと吹き飛ばす。 フィオナ「いきますっっ! ……《セイクリッドパニッシュ》っ! お願い、当たってーっ!!」 フィオナの背中に出現する光の翼。 その翼で吹き飛ばされたパールを追いかけ、そのまま最後の一撃を加える。 フィオナ「《セイクリッドパニッシュ》っ! ……お願い、当たってーっ!!」 通称・超メイ道とも呼ばれるフィオナの必殺技。 その一撃は、決まりさえすれば誰よりも重い一撃となる。 * グレーテルとフィオナの連携攻撃により、魔王パール=クールの写し身は消滅する。 だが、その代償も決して小さくは無い。 グレーテルが本来護るべきだったもの、パールが破壊しようとしていたもの。 式神の城を人々の目から隠すための月匣は破壊されてしまった。 これほどの戦いがあって、その程度で済んだのが奇跡とも言える状況ではあるのだが。 グレーテル「……ごめんなさい、お兄さま……」 フィオナ「グレーテルちゃん……」 見上げれば、遠くに「式神の城」が見える。 前線では今ごろ誰かが戦ってくれているのだろう。 大丈夫。きっと大丈夫。 信じよう、仲間を。 月匣が解除されたことにより、大衆の目に「式神の城」が触れることになる。 人々の常識は破壊され、人間側の敗色が濃厚となった。 しかし、それは奇跡の前触れ。 そしてこの愛と奇跡の物語の、クライマックスが語られることになる。 人々は空を見上げ、耳を澄ます。かすかに聞こえる少女の声。 ―― 聞いてください。 今、みんなの住んでいる世界を守るために戦っているやつらがいます。 けど、世界を守るためにはみんなの助けが必要なんです。 みんなには、信じる気持ちを持って欲しいだけなんです。 誰かと一緒にいたり、笑ったりするための 明日っていう、希望を。 4-847-469 ここまでオープニング 「名前は……緋室灯」 少女は静かな声でそう告げた。 確か箒といっただろうか? 巨大な大砲を担いだ制服姿の少女は、静謐な雰囲気とあいまって神聖さすら感じられた。 「あかりん、ってよんでね」 (なんだ、そりゃあ……!?) だからこそ続けて言われた言葉は、常識人を自認する日向の腰を砕けさせた。 ハードボイルド成分を振り絞って何とか耐える。ダンディな探偵は無様に膝をついてはいけないのだ。 「おー、よろしくな、あかりん」 ……あまりにも平然とした弟子兼共同経営者の姿は、もしやおかしいのは自分ではないかという疑問を抱かせるに十分だった。 「おお、灯のボケをあんなに簡単にスルーするとは、アイツやるな!」 「はわー、あかりんもしかして動揺してない?」 「ふ、これが若さというものかでどり~む」 (ふう、やはり俺がおかしいわけじゃないか) 軽く頭を振ったところで周囲の声が耳に入り、安心する。が、 (いやいや、そうじゃないだろう) 落ち着いて周りを見渡したところ、喋っているのは冬なのにブレザーの袖を捲り上げた青年、当然のように巫女服を着た少女。 そこまではまだいい。いや、よくはないが、もう一人と比べるとはるかにましだろう。 (流石にあんな格好をした男の言葉に常識を感じるわけにはいかん。それ以前に台詞の意味もわけがわからん…… やれやれ、いくら空飛ぶ城の上だからってこれ以上の非常識は止めてもらいたいもんだがね) ふと眼下の東京の町並みを見下ろす。 今いるのははるか上空に浮かぶ城の上。 一文の得にもならない正義の味方稼業でやってきた自分達と違い、相手さん方はどうやら何者かに命令されて来たらしい。 「ウィザード、か」 「どうしたのだ日向。ため息などついてでどり~む」 「その口調を聞いてるとさらにため息の数が増えそうだ。 ……なあに、世界の守護者まで出てきたとなるといよいよ探偵の出番じゃなくなってきたのかと思ってね」 「何を言うのかでどり~む。依然組んだときに見せた腕前。俺に勝るとも劣らぬものであったというに」 「最近転職したんでね。今の俺はペット探しの毎日を送るしがない探偵さ」 ふと目を向けてみると、ペット探しの相方はまだ少女との会話を続けていた。 「その髪と目って染めてたりするの?」 「これは、改造手術のせい」 「改造手術って、すげーなあかりん」 「……格好いい?」 「すげーかっこいいな!」 (そういえば、ニーギが光太郎は年下好みだと言ってたな) 最近拾った少女の言ったどうでもいいことを思い出した。 「誰にでも物怖じしないところは、あいつの美点ではあるんだがね」 苦笑しながら横を見ると、 「うお!?」 そこには、闇があった。 「……初めてあった人の事をあかりんって言うくせに、私のことはアンタ呼ばわり…… あかりんって言うくせに…… あかりんって……」 壬生谷の巫女は嫉妬深い。これは世界の選択である。 「ん? アンタ、どうしたんだ?」 そして主人公は鈍い。これも恐らく世界の選択である。 「何でもありません!」 「な、何怒ってんだよ?」 「怒ってなどいません!」 「怒ってるじゃねえか!」 すぐにヒートアップしてきた二人の口喧嘩。 いつものことではあるのだが、少しは場をわきまえて欲しいものだ。 「あの巫女さんどうしたんだ?」 「はわー。鈍いわねえ柊……」 巫女服の少女(赤羽家のお嬢様だそうだ。こんな所ではなく、事務所で会いたかった)が剣を持った青年を半眼で見ている。 幼馴染らしいが、その関係はどうやら複雑なようだ。 「……まさにラブコメ。萌え」 ……流石に、二度目となるとそのギャップにも耐えることができる。 「若いというのはいいな。そうは思わんか、日向?」 「同意を求めるな。俺はまだ若いつもりなんでな」 「何を言うか、お前も俺と同じで……」 「俺はまだ29だ。……16ヶ月ばかし過ぎちまったがな」 「……どり~む。全く無駄な足掻きを」 「あの、皆さんどうかシマシタカ?」 そこへ電話を終えた金がやってきた。 「ふむ、話はまとまったのかな? どり~む」 「ええ、アンゼロットさんは協力して事件の解決にあたってくれ、とのことデス。 ふみこさんが城への突破口を開けてくださるそうデスガ……」 その言葉を聞き、動きを止めたのが三人。 皆、ふみこという人物をよく知っている人間である。 「あー、それってやっぱり……」 「でしょうネ」 何かを受け入れたかの様な静かな笑みを浮かべる友人を見て、日向も静かに嘆息した。 「ああ、どうしたんだ?」 「あー、いや、そのな……」 「はわ?」 「何といいましょうか……」 「何が起こるというのだ?」 「……魔女が無茶をするんだよ」 そういって日向が帽子に手をやったのと同時に、その場に光が降り注いだ。 852 大哲「…という話はどうでしょう!?」 炎尾「面白いかもしれん…だがあまりに引用が多すぎるように感じるぞ、大哲。あとちゃんと風呂敷はたため!」 はダイナシだから禁止な。 4-853、867 タイムリミットまで後僅か……でも、諦めない! 「流石は、蠅の女王から“魔王”の二つ名を授けられただけの事はあるね。 でも、それももう終わり。 この、“U-1”が一柱、“U-NO”が君を倒し、不相応な“最強”の呪縛から解き放ってあげるよ……なのは」 「ユーノ君……それは思い上がりなの。 私が“最強”とか“冥王”とか“ペンペン草も残らない”とか言われるようになったのは、ただ守りたいから。 強さの為に強くなるような人達に負けるわけには…… 後、魔王に魔王呼ばわりされたのはスレ違いなの」 例の、なのはクロスね。 「……君には、今でもすまなかったと思っている。無印の時点で今のような力が有れば、君はただの女の娘でいらr」 「話を、聞けーッ!!」 自分こそ話をさせてやれと思うが、フェイトの投げつけたアルフがU-NOを直撃。 「そんな事になったら……私となのははラブラブになれない!!」 それ地下スレだろ、と言うのは捨て置き、二人は杖を重ね、周囲に漂う魔力の残滓を収束する。 「ら、ラブラブの件はさておいて(置かないで!?)、私は、みんなを守りたいから……ブラストカラミティ!」 「く、中距離線滅コンビネーションか! だが、その複合詠唱程度で僕の防御は破れず、逆に僕のSLBが先に決まる!」 U-NOが右手に構えた『レイジングハート』の先端に魔力が集積し…… 「その前に、作者がハンドルとトリップを出した意味を考えなあかんで」 横合いから『塊魂』の王子が転がす塊が現れてU-NOの集めた魔力を持っていった。 「いくら主役級がカッコ付けてもな、それを虚仮にするのが我々狂言回しだ、覚えておけ。 因みに私はマジカル金剛機。以前この作者がこのトリップで、天羅スレでネタにしたキャラだ」 そう自己紹介した、単眼六腕の魔法機械一機。 パワーシールドを構えてもU-NOの砲撃は凌ぎきれなかったが、先の二人にはやても加えた三重唱の時間を稼ぐという役目はしっかりと果たし…… 『完全滅殺!!! トリプルブレイカー!!!』 アバター・U-NO、撃破。 ← Prev Next →
https://w.atwiki.jp/nwxss/pages/72.html
4-702、706-710 laststage-final まっすぐにしていだいなるバカ この世界のどこか――― 「―――対象、『選択の言葉(メイキング・ワード)』の選び出しに成功しましたっ!」 報告とともににわかに騒がしくなるオフィス。 一人の少年が可能性を掴み取ったのだ。 その確率は砂漠で一粒の砂を拾うことと同じとすら言われた低確率。けれど彼は「正解」を掴み取ることに成功した。 だから―――たった一度のチャンスが、今こそここにめぐりくる。 オフィスでマイクをもった男が、マイクの向こうに向けてあらん限りの声を張り上げ叫んだ。 「矢野君、今だっ!」 『わかってます!』 モニターの一つに映し出されている若い男が、城に向けて手を伸ばす。 その先にいるのは、剣を手に世界の危機に一歩も引かぬ少年。 マイクを持つ男―――須田は、部下の芝村の立てた計画の成功に快哉を叫んだ。 セプテントリオンの介入によって多数の世界の地続き現象が起き そこに式神の城を落とすことによって最も強い可能性を神と立ててゲートを開くという陰謀の舞台となった第八世界ファー・ジ・アース。 彼らアルファ・システムの人間達の住まう世界とはまったく世界形態を持ち、ありとあらゆる無茶のせいで不安定になった時空には一人が送れて限界だった。 けれど、崩壊寸前のファー・ジ・アースに必要な力は一人では足りない。 だからこそ、彼らが選んだたった一人の援軍こそがこの男だった。 彼と少年の間には細いながらも魂のつながりがある。原典を同じくするもの同士、最も同調する可能性が高い。 同位存在に近い存在である彼らが同調することにより少年の可能性の力を引き上げ またアルファ・システム側からのリューンの送りだしの中継ポイントとして選ばれた男は、その一瞬のチャンスを絶対にその手に掴み取る―――! 「接続―――成功です!」 歓声が、オフィス中に響き渡った。 それを見る者がいれば、まるで魔法のようだと言っただろう。 見る者を安心させる、優しく淡い光が世界中から立ち上っていくのだ。 やがてその輝きは、この世界だけのものではなくなり、空からも大量に降り注いだ。 それは、人の希望。 明日を呼ぶ呼び声。 存在の意思の輝き。 それはあるところではプラーナと呼ばれ、あるところではよきゆめとも呼ばれ、リューンを伴ったもの。 そしてその立ち上る光は、いつからか重なるように響く歌声に乗るように様々な軌道を描き、一点に収束していく。 ―――今、世界の趨勢を決める戦いを行っている式神の城へと。 唐突に、蜘蛛の動きが止まった。 それもそのはず、蜘蛛を動かしていたのは「世界」より供給される力。 その供給を果たしていたはずの赤い水晶が、供給をストップしたことが原因だ。 ぎちりぎちり、とぎこちない動きになる蜘蛛。力の供給がなければ、それはただの塊にすぎない。 そして―――水晶の中の少女は力の供給をやめたのではない。対象を自らの意思によって変えただけだ。 ざり、と。この場に立つ蜘蛛の敵が、靴の底をこすらせて音を立てた。 そこにいるのは傷だらけの少年―――柊蓮司。 彼は、どう見ても立てるのが不思議なだけの傷を負っていた。 その証拠に、息は整えるのを諦めたかのように荒れきっていて、なおかつ素人が見ても今にも倒れそうだとわかるほどの状態だった。 それでも。 足はしっかりと床をとらえ、剣先はただ一点をさし、視線はただただ前を見る。 彼は、不思議な光を纏っていた。 その光は。結界をすり抜けて現れた、あしきゆめには痛いほどのその輝きは。 まるで空より降りた梯子のごとく、空へ羽ばたく翼のごとく、天を衝く柱のごとくに柊へと伸びる。 そして―――彼は、駆ける。 振り返らず、躊躇わず、ただただ望む一撃を与えるために。そのあり方はまるで―――風のように。 「おおおぉぉぉぉぉっ!」 剣の先より、光が放たれる。 それは明日を望む光輝。それは希望をもたらす一撃。すべての希望を背負った者が放つ、「人間」の一撃。 その輝きに、あしきゆめごときが抗えるはずもない。 闇に包まれた空間を結界ごと消し飛ばす一撃にたまらず蜘蛛は消滅する。 光に包まれた空間の中、柊は駆け出そうとし―――やはり振り返ることなく、それでも一言だけ後ろに立つ者に告げる。 「ついて来てくれ。今の俺が一人行ったところで足手まといだろうし―――なにより、あいつに教えてやらねーとな。 ―――俺達は一人で戦ってるんじゃないってこと」 彼自身もしかけた勘違い。それは間違いなんだということを、この光と一緒に届けよう。 正義の味方は一人じゃない。正義の味方は孤独じゃない。 後ろに立つ人が、守りたいものがあるからこそ戦っている。人々の幻想(ねがい)を背負い、そして―――その願い(げんそう)によって支えてもらっていることを。 だから、と彼は続けた。 「手伝ってくれるよな」 背後に立つ者は、いつもの調子で答える。 「当ったり前じゃない。あんたがめったにしないわがままだもん、叶えてやるのがあたしの務めってもんでしょう!」 その声に思わず苦笑し、今度こそ駆け出す。 もう一人の一人で戦っている少年のもとへと、ただまっすぐに。 「もうおしまいかい?コウ」 <世界の秩序>はそう言った。 呼ばれた光太郎は、まなざしだけは敵を見るものの、もはや立ち上がるのすら難しい。 「世界」そのものの力が凄まじいこともあるが、一番の原因は精神的な疲労だ。 言うまでもなく、家族であったものと戦う葛藤が自己矛盾を生み、ダメージ以上の疲労を刻んでいるわけだ。 彼の式神も、心配そうに彼を降り注ぐ光の雨から守りながら見ている。 「僕がしたいのは本気の兄弟喧嘩なんだ、お前が立たないと今度は……っ!?」 その時だ。 凄まじい轟音と共に、すでに座に座る者によってめちゃくちゃに破壊されている玉座の間が「吹き払われた」。 その場に張ってあったテクスチャを剥ぎ取られ、残るのは<世界の秩序>と光太郎、そして―――広大な神殿の丸い天守閣。 あまりのことに、今まで笑みを消さなかった<世界の秩序>に、はじめて驚愕の色が刻まれる。 そして、光太郎は見た。 ここまで一緒に走ってきた相手が、こちらに駆け寄ってくるのを。 自分と変わらないほどぼろぼろの、剣を持った少年が声をかけてくる。 「おい、生きてるか玖珂っ!?」 その必死な様子に、どうしてか力が沸き上がった。 力の入らない手で何とか体を支え、立ち上がる。 「柊。その言葉、そっくりお前に返してやる」 言われ、どうやら大丈夫そうだと判断した柊は、敵に向けて剣を構えた。 「よぅ、<世界の秩序>さんよ。約束、果たしに来てやったぜ」 「柊、蓮司。どうやってここに、「世界(ぼく)」の張った結界を消す力など君にはないはず―――」 その時、さらにこの場への侵入を果たした者が現れる。 「はわっ、まってよひーらぎー。あんた、自分の足の速さ考えなさいよねー?」 「星の巫女―――バカな、なぜここに!?」 「はわ?なぜって、決まってるじゃない。 バカの願いを叶えるために、ちょっと力を貸しに来てやったのよ」 「バカ呼ばわりすんじゃねぇよっ!?緊張感ねぇな、お前は!」 「うるっさいわねー、バカの分際で。ばーろー」 世界は、混乱していた。 ありえないことが起きている。柊蓮司はあの場で勝つことはできない。 彼は死に、世界は絶望へと堕ちるはずだった。 それを光太郎に見せ、更なる絶望に力を引き出させるつもりだった。 その目論見は、今目の前の本人達に木っ端微塵に破壊されていた。 けれど、彼の望みはただ一つ。混乱しながらも<世界の秩序>は告げる。 「えぇ。約束は確かにしましたが、少し待っていただけませんか。僕は弟との兄弟喧嘩を―――」 「うるせぇよ。なんで俺がお前の言うことを聞いてやらなくちゃなんねーんだ」 その「世界」の願いを、たった一言の下に斬り捨てる。それは彼の持つ刃のように。 そして、その存在を無視してかたわらの光太郎へと話しかけた。 「おい玖珂。お前は忘れたわけじゃねぇだろう、今この瞬間一緒に戦ってくれてる奴らを」 その声は、朗々と響いた。 「この城の下にたくさんの奴らがいて、一生懸命生きてることを」 言葉をさえぎる者はなく、ただただ流れる。 「だからお前は戦ってるってことを、忘れたわけじゃねぇだろう」 「当たり前だ」 その瞳は真摯なまま。 当たり前だ。正義の味方が戦う理由は、誰かが困っているからでしかないのだから。 それに柊はにやりと笑って、一言だけ告げた。 「そいつらの『想い』、連れてきてやったぞ」 同時に現れるのは真っ白な光。 それは「世界」の回路を伝い、この世界の―――いや、これまで彼らに協力し、彼らとひと時でもともにあった全ての世界から届けられし光。 今この世界を襲う絶望を、ともに晴らそうと集う光。 それは願いにして希望にして夢。 これを、とある世界の住人達はこう呼んだ。 『明日』、と。 「世界」は、今こそ驚愕をあらわにする。 「そうかっ、世界の力を引き出す回路の逆利用―――これをやっているのはお前か、星の巫女っ!」 「そーだよ。あんまり、人をなめないでくれる?これでもわたし、次期当主なんだよ?」 ぎり、と歯噛みして世界は言う。 「なぜだっ!わかるだろう、いまのままがいいのだ!人間中心で、人間のためにある世界が! すべては人間に支配され、神々も精霊も付き従う!それでいいはずなんだ! なのに、なぜだ!なぜ部品であるべき人間が、全体である世界に反逆するっ!?」 それに答えるのは、変わらぬ眼光を放ち前を見据える二人の少年。 「わけのわかんねぇこと言ってんじゃねぇっ! 時代は先に進んでんだ、立ち止まってる奴が前を向く奴に勝てるわけがねぇだろう!」 「人間中心の世界云々は俺にはよくわかんねぇが、お前に反逆する理由なら簡単だろ。 お前は自分のわがままで人間を殺そうとしてんだ。そんな世界を人間が必要としないのは当然っつーもんだろう?」 稲妻のような叫びとともに、怒りをあらわに叫ぶ少年は、希望の声を聞き自分とともにあるものを再認して拳を握る。 涼風のように慟哭を受け流し、世界に当然を突きつける少年は、各地より集った仲間の声とともに威風堂々剣を握る。 もはや、秩序という名の理性を失った<世界>は、その光を纏い、<世界の意思>と共にある者たちを見て ―――奥の手を引き出した。 <世界>は城の奥に眠る<星降る夜の眼>とのリンクを活性化、<世界の外側>の力すら動員する。 声は、静かだった。 「―――いいだろう。人間が、人が僕を否定するというのなら、否定する人間を全て殺して僕の世界を取り戻す」 「そんなことはさせねぇっ!」 声に対する返事は、光が迸るように。 「いいか悪党よく聞きやがれ! 俺の名前は玖珂光太郎!悪をぶっ飛ばす少年探偵! お前なんかにこれだけの夢を、壊させたりなんか絶対させねぇ!ぶっ飛ばされて反省しろっ!」 「俺の名前は柊蓮司!斬るしかできないただの人間! 毎回毎回世界救ってきてるんだ!この程度のことで諦められるほど、俺は聞きわけよくねぇぞっ!」 風が踊り、光が舞い、ただただ明日を望む光輝達は、この二人にそれを託した。 世界に選ばれる者としてでなく。ただその場にいて、諦めることのない二人のバカに、明日への希望は託された。 <世界>が、叫ぶ。 「消えろ―――<人間>っ!」 最後の突貫が始まった。 同時に、<星降る夜の眼>から引き出された光の奔流と、<世界>の持つ力の弾幕が同時に展開される。 彼らは、拳に輝きを溜め、魔剣を振りかぶり、<人間>の希望の光を解き放つ。 超越者と人間。その間にあるのはけして超えられぬはずの壁。 普通に考えるのなら、いくつ数が集おうとその壁は越えられるはずがない絶壁だ。 しかし―――この世界の人間は。世界を滅ぼそうとした神に打ち勝てるほどの力をつけるため、古きより力を積み重ねた続けた人間達は。 ―――けして届かぬとかつて言われた超越者との壁を。今。集い束ねることで、越えられるほどになっていた。 二筋の光の柱が、光の奔流をなぎ払う。 <世界>は驚愕するが―――いまだ、弾幕は突破されていない。 さらに壁を厚くするために注がれた光の弾の分厚い壁は、今力を放出した二人に次弾の装填を許さないタイミングで襲いかかっていく。 壁の先端が彼らに触れる、その瞬間。 天井をぶち抜いて現れた空飛ぶ者達が、光をもってその壁を撃ち抜く。 入り口から入ってきた地を駆ける者達が、炎をもってその壁をつらぬく。 突如出現した『扉』から現れた者達が、弾丸をもってその壁を撃ち砕く。 世界中より、いや、世界の外からすら現れて、この世界を救うためにともに戦っていた者達が、彼らの前にある壁を取り払った。 <世界>が、声にならない悲鳴をあげる。 すでに少年達はあと3歩で彼を間合いに取り込めるだけの位置に来ている。 3、 彼らへの希望の声を届けるため、後ろに立つ巫女がその身に降りた全ての人々の願いを全力で送り届ける。 2、 それを感じて、二人の少年が叫びを上げながらさらに力強く踏み出す。 1、 「ぶっ飛べ―――」 「<魔器―――」 声が唱和し、最後の一歩を同時に踏み切り、希望を背負い、そこに彼ら自身の想いを込めて、全力で拳を、剣を突き出し――― 0。 「悪党ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおっ!」 「開放>ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおっ!」 二人のバカは、突き抜けた。 4-711 えぴろーぐ・そのいち 大騒ぎの式神の城の最奥。 一撃の下に消し飛んだ<世界>を見て、はじめは静まり返っていた。 しかし、やがて悪夢の終わりを実感するにつれて、騒ぎは広まっていく。 そこに、無粋な電子音が響いた。 それは光太郎の携帯電話からだった。彼はそれをとると、電話の相手に話しかける。 「おう、ふみこたん。終わったぜ」 『よくやったわ光太郎。それでこそ私の見込んだ男。 ―――けどいいの?』 「なにがだ?」 不思議そうに聞く彼に、空色の魔女は爆弾の一言を投下した。 『城の主が消えたんだから、その城はもうすぐ消滅するわよ?』 空気が、凍りついた。 今まで騒いでいた人々が出口をもとめて逃げようとしたのと同時。 ―――今までの激戦でぼろぼろになっていた城の床が、まず消滅した。 4-747 時に、アンゼロット様宮殿内特設ステージは、 正面向かって右にマーダーズ・ステージ、 左にダークネス・ステージがある。 二つのバンドが対立した場合、中央のバトル・ステージで決着を付けるのだ! 「というわけで、この特設会場では参加者募集中ですわ。歌に覚えのある方は、是非参加して下さいませ。 以上現場から、エリーゼ・サツキ・ソーンダイクがお送りしました」 …… 世界 と 人々 の、或いは 運命 と 希望 の戦いは、ひとまずの決着を見た。 歪められた因果律もやがて修復され、世界は元の姿に戻るだろう。 だが、それは完全な復元に在らず。 また、そうであってはこの戦いの意味は無い。 今、サツキがここにいるのは、少しでも多くの希望の種(よきゆめ)を、少しでも多くの世界に届ける為の手伝い。 それは、淡雪の如き、一炊の夢の、そのまた欠片。 願わくば、遠く離れた世界にいる、同じ名を持つ掛け替えのない少女と、同じ血を持つ離れ難き少女にもその種を…… 「……って、何故ここに船長がっ!?」 サツキの驚愕する顔を皆さんにお見せ出来ないのが残念です。 4-752-754、~、775 継ぐもの、継がれるもの 突き抜けたバカたちの戦いから時は遡り──"天使の言葉"の少し前。 「ん~…?」 楯祐一が微睡みから目覚めると、そこには見慣れない…いや、"忘れていた"というべきか…つまり、あり得ない光景が広がっていた。 「楯ー、授業終わるまで居眠りかよ?」 「え…俺、たしか東京市で…なんだっけ」 「なーに寝ぼけてんだよ、ちゃんと部活に出れんのか?」 「あ、ああ」 「じゃあ、またな」 ここは学校──しかし、風華学園に来る前に通っていたところだった。 「夢…なんか大事もんを忘れてる気がする…痛ッ!」 不意に襲う頭痛に纏まり欠けていた記憶は四散した。 「もっと楽しめると思ったんだけど…」 黒き炎が燃え盛る広間。無数の魑魅魍魎を吐き出す魔道炉の一つ、その前に鎮座していたのは二人の魔王だった。 「"高次元物質化能力"…だったっけ。意外に大したことないのね」 「く…デュランさえ、"チャイルド"さえ呼べれば……」 「祐一!祐一っ!?」 鴇羽舞衣と久我なつきは今までに相対したことのない、超常の敵を前に苦戦を強いられていた。 無理もない、相手はあの"蠅の女王"ベール=ゼファーなのだから。 身に纏うは漆黒の戦闘服──本気も本気、最大出力に近い大魔王そのものである。 「まあ、リオンのおかげで無様な姿を見れたのはよかったかしら。愛だのなんだのって…ほんと、下らないわ」 ベルは魔道炉の上に妖艶に座っている。その様子はまさに下界の愚民を見下す神。 「なにっ!!」 ふたりの鍵、楯祐一は魔王の罠にかかり、鏡を模した異空間に閉じこめられている。 近くにいるが近くではない。これでは"チャイルド"を喚ぶこともかなわない。 「下らないから下らないって言ったのよ。そんなもの…何の役にも立たないわ。見なさい、あなたたちの"大切な人"とやらはあなたたちの事を忘れても楽しそうじゃない」 「貴様ッ!」 なつきの放った弾丸はベルの纏った黒い炎に難なく防がれる。 「あははっ、無様ね。…あー、いいこと思いついたわ。リオン」 "蠅の女王"の側に控えていた"秘密侯爵"リオン=グンタは表情を変えない。 「このふたりを戦わせるのよ。勝った方にそこの男をやるの…どう、おもしろいでしょう?」 「ええ…」 ベルの言葉にもリオンは表情を変えない、しかし、ベルは自分の名案の出来に愉悦に浸っているようだ。 「さあ、聞いてたでしょう?殺し合いなさい」 一瞬の空白── そして、舞衣となつきは同時に口を開いた。 「嫌よ!」 「断る!」 ベルの表情が強ばる。 まるで自分のオモチャを奪われた子供のように。 「あなたたち、そこの男を"愛してる"んじゃないの?」 魔王の言葉になつきがシニカルな笑みをこぼした。 「ああ、愛してる!大好きだ!」 なつきに後れを取るまいと舞衣も声高に叫ぶ。 「あ、あたしだって!祐一のこと大好きよ!」 「ならば、なおのこと…」 「それとこれとは!」 「話は別よ!誰があんたなんかの言うことを聞くもんですか!」 「そう言うわけだ、さっさと巣穴に帰るんだな、年増!!」 天輪と拳銃、己の武器──"エレメント"を構え、二人は言いはなった。 「とし…っ!?」 未だ余裕綽々だったベルの表情が見る見るうちに消えていく。 「…もーいいわ、さっさと消えなさい…!!」 降りあげたベルの両手に魔力が集う。天属の純粋な魔力──それが膨大な熱量を持ってさらに集束される。 「ディヴァイン…ッ!コロナッ!!!」 天属最大魔法が殆ど無防備のふたりを襲った。 「痛ッ!!」 夕方、道場の一角。 楯祐一は不快な違和感を感じていた。 「何なんだ、クソッ!」 ひどい頭痛と目眩。 何かが足りないという喪失感── ふわり──天使の羽が舞う。 ふと、人の気配に気づき振り返ると銀髪の少年が防具を付けて待っていた──何故だろう、彼は少年と言うには華奢すぎで、顔立ちなんて少女そのものだ。 なのに、自分は"男"だとすぐさまわかった。 少年は防具を被ると近づいてくる。 どうしても、試合をしなければいけない気がして、竹刀を手に取る。 結果は完勝。 祐一とてそれなりの使い手だ、素人同然の彼が敵うはずもない。 だが、彼は何度でも立ち上がり、何度でも挑んでくる。 まるで──何かを伝えたいようかのに。 「はぁ、はぁ…君は、どうしてそんなに俺に向かってくるんだ?」 少年は答えず、ただ悲しそうな瞳を祐一に向けるだけ。 いや、祐一には彼が言わんとすることがわかる。 ──あなたが教えてくれたんです。 ──僕が誰なのかを。自分が何者なのかを。 ──思い出して。あなたは誰ですか。 「お、俺は…」 狼狽の隙を突き、少年の竹刀が──いや、"刃"が祐一の左側から竹刀を弾き飛ばした。 「あっ…」 腕の怪我──今までもあったはずのそれを見て、祐一は唐突に理解した。これは偽りなのだと、真実は別にあるのだと。 少年はやっぱり少女に見える愛らしい微笑みを浮かべた。 そう、初めて何かで父親に勝った息子、のような顔を。 ──あなたは誰ですか? 「俺は…俺は楯祐一!……鴇羽舞衣と久我なつきの────!!」 ピシリ。 世界にひびが入る。偽りの日常。偽りの平穏が音を立てて崩れさる。 「君は…」 少年は笑みを浮かべるだけ。 「そうか、ありがとう。腑抜けの俺を叱りに来てくれたんだな──」 「!!!バカなっ、そんなはずっ。あたしの月匣をただの人間風情が破ったですって!」 ディヴァイン・コロナの爆光を遮る紅と銀の光。 「カグツチ!?」 「デュラン…お前どうして」 理由は一つしかない。 ふたりが同時に振り返る、その顔にはふたりとも安堵と喜びに満ちていた。 「「祐一!」」 「ちょ、お前らっ、くっ苦しいって」 ふたりに抱きつかれ若干狼狽する祐一。 が、すぐに立ち直りふたりに言う。 「…とりあえず、あいつらを何とかしないとな」 「ああ、お前の言うとおりだ」 「今までの分、百倍にして返してあげるわ」 前にもまして鬼気とした…そう、言うなれば怒髪天をつくと形容すべき様相のベル。 当然だ。たかが人間に。たかが人間ごときに、自分の遊びを邪魔されて、自分のテリトリーまで壊された。 この混沌とした戦場で、たまりにたまったストレスの果て、彼女は我を忘れていた。 「リオン、手を出すんじゃないわよ」 「ええ」 「あんたたち虫螻に、こんな大技見せることになるなんてね…あたしの最強魔法で消し飛ぶことを光栄に思いなさい!」 集中し始める虚無の魔力──それは渦となって巨大な塊を形作る。 「ヴァニティー・ワールド・ジ・アンリミテッド…さあ、もうまぐれなんてものありはしないわッ!!」 あれは、マズい。 祐一は直感した──そして、今の自分ならあれを打倒できるという事を。 そりゃそうだ、何せ今は世界中──いや、遠い異世界の果ての果てから"希望"って名前の力強い援軍が来てるんだから。 「舞衣!なつき!力を貸してくれ!!」 「──わかったわ。カグツチッ!!」 「任せろ!デュラン、ロード・ダイヤモンドカートリッジッ!!」 ふたりの"舞ーHiME"に"小さな奇跡"が舞い降りた。 カグツチが剣と化し、デュランが金色の光を帯びる。 が、まだ足りない。 自分のも合わせれば全部で六つ──チートもチート、最悪だ。 だが、まあ、あんな化け物にただの人間が勝つんなら、同じ"ありえないもの"をぶつけるしかない。 デュランが吼える。 カグツチの刀身が焼ける。 「無駄よ、これで…終わりなさい!!」 "無限の虚無の世界"が辺り一帯を襲った。 それで、終わりのはずだった。少なくともベルはそう思った。 しかし、事実は彼女の思惑を大きくそれ、彼女の最大魔法は一刀の元に叩ききられた。二度目のまぐれ──だが普段のベルなら冷静に対処しただろう。 が、今日の彼女は有り体に言えばキレていた。 だから…、 「おおぉぉぉッ!!」 祐一の動きに反応できなかった。 彼が携えるのは、金剛石を柄に抱いた"貴石"の剣──"カグツチ"と"デュラン"を触媒にして呼び寄せた、ここにあるはずのない"真白なる金剛石"──六つの"奇跡"をつぎ込んで、この一瞬のためだけに呼び出された"希望"の剣。 「ぐ…ッ…は……!」 腹を横薙ぎに一閃。胴体と脚が見事にまっぷたつ。 「…はっ、あたしがそれぐらいで死ぬと思う?」 「だろうな」 祐一がすっと射線を開けた。 ベルの表情が凍る。 そこには"エレメント"の最大出力で待機していたふたりの"舞ーHiME"。アイコンタクトなんて要らない──次に誰がどう動くのかなんて手に取るようにわかるんだから── 紅蓮の爆炎が、無数の弾丸が上半身だけのベルをなぶる。 「ガ……ッ!?」 「終わりだ!」 そして、逆袈裟斬り、鏡の中で少年から喰らった手痛い一撃。 「…さすがの魔王もこれだけ喰らえばただじゃすまないだろ?」 「あたしたちを、人間をなめるんじゃないわよ。ま、百倍返しは出来たから許したげるわ」 「祐一の剣で受けたこと、光栄に思うんだな。年増」 ボロボロと崩れゆくベルにリオンは本を読みこう告げる。 「あなたはここで彼らに倒される。この本にあるとおり」 「…リオ、ン…?」 「だって……聞かれなかったしぃ…」 ベルは自嘲めいた笑みを浮かべる。 「ふふ…ま、いいわ…楯、祐一…あんたの名前……覚えたから……」 「覚えなくていいよ」 そうして、ベルの体はかき消えた。 「で、あんたはどうする?」 祐一の問いにリオンは静かに答えた。 「ここは落とさせない…それに…あなた達はここで終わりって、この本に書いてあるもの」 「は?…えっ?」 その瞬間、剣の重さがすっと消えた。 足元を見る祐一。そこにはちんまりとした白い猫と青い犬が二匹じゃれ合っていた。 「は、はいぃぃぃ!?」 「デュラン!?ちっちゃい…か、かわいい」 "真白なる金剛石"を喚んだリバウンドというべきか──"小さな奇跡"の六枚重ねはさすがにやりすぎだったらしい。 要するに、無茶はやるなと言うことである。 「ね、この本にあるとおり」 リオンの後ろから無数の魑魅魍魎が現れた。 「あなた達はここでゲームオーバー、コンテニューはないわ。さようなら」 4-781-785、787 幻想の果てに 風と焔のロンド(前半) 支援感謝! これで俺の仕事は終わりだぁあああ! 狂う。 燃え上がる。 それは恋焦がれるような気持ち。 渦巻く、魂を灼く激情にも似た力。 「アーハハハッハハハ!!!」 風よ纏え。 力を呼応せよ。 あらゆる幻想が、あらゆる願望が、あらゆる希望が、あらゆり理不尽が。 集う。 集う。 集うのだ。 ――蒼く輝く瞳。 本来ならば魂を焼き焦がし、脳神経のシナプスを粉々に砕き、肉体を崩壊させるほど の馬鹿げた“力”。 だがしかし、それを八神和麻は――否、【KAZUMA】は制御する。 何故ならば、彼は最強の幻想。 力を欲し、理不尽に狂い、最強を求める人々の幻想に編み上げられたアバター。 ……それは形が違えども人々の夢の一つ。 願望であり、希望であり、熱望であり、欲望の結晶。 力なき者達が追い求めた【悲劇を変えるための歪んだ幻想】 「U-1の力を理解し始めたか?」 傍を併走するSHINが薄く微笑みながら、KAZUMAにそう語りかける。 「ああ。これはまさしく――“最強だ”」 歪に歪んだ笑み。 狂った笑顔。 ありとあらゆることが許せそうだった。 寛大に、傲慢に、理不尽に、何もかも手に入れられそうだった。 “彼女を救える力がそこにあった” 「んで、これからどうするんだ? 空を舞う羽虫どもを切り刻むか? それとも、城の中の 下らない希望を振りまく連中を叩き潰すか?」 「慌てるなよ、まずは――“門”を潰す」 SHINの言葉に、彼は0.1セカンドの時間すら必要なく理解した。 「ああ、なるほどな」 目を向ける必要も無く、知覚する。 そう、それはどこまでも彼の中に燻っていた違和感。異物。あってはならないもの。 己の思い通りにならない“異世界の風”。 自らの従える風の精霊とも異なる烈風なる風。 不愉快だ。 許せるわけがない。 己に従わない愚物を許すわけが無い。 「潰そうか、ガラクタの人形を」 門を形成する。 それを行えるものは数少ない。 地底世界ラ・ギアスから地上への転移を行えるのも、魔装機神が他の魔装機とは 比べ物にならないポテンシャルと精密な魔術理論で構築されているためである。 魔力――すなわちプラーナ。 魔術師ではないマサキが、魔力を伴い、異界へのゲートを構築する転移魔術を形成 しているのは、サイバスターに組み込まれた魔術回路のお陰である。 そして、魔力はプラーナコンバーターで変質させたマサキのプラーナが原動力と なっている。 生み出すための媒体をサイバスターに、生み出すための燃料はマサキのプラーナそのものだった。 「っ!」 光の翼を発し、未だに門を開き続けているが、そろそろ限界だった。 プラーナも枯渇しかけ、それに伴い肉体も悲鳴を上げている。 そろそろ限界が近い。 『おや?』 その時だった。 傍で空間を安定させていたグランゾンから、声が届いたのは。 「なんだよ?」 『気付かないのですか? マサキ――風が変わりました』 「なっ?!」 その声に、マサキは悲鳴を上げる肉体を無視して、意識をサイフィスに接続する。 ―― ! そして、気付いた。 何故己が気付かなかったと悔いるほどの風の異常を。 周囲を埋め尽くし、圧倒する“壊れた風の精霊たちの気配”。 戦場の全てを埋め尽くす膨大な力を。 泣き叫ぶサイフィスの悲鳴が感じられた。 「こ、れは!?」 サイバスターが光の翼を羽ばたかせ、風の不和に空を見上げた時。 「ようっ、ガラクタ」 “ソレ”はそこに浮かんでいた。 蒼き瞳を両眼に称え、おぞましいほどに風を従えた一人の男が。 マサキは知らない、彼がKAZUMAと呼ばれる最強の幻想たるアバターなのだと。 KAZUMAは知っている、サイバスターが己に従わない唯一の風なのだと。 「壊れろよ、異世界の風よ」 指がゆっくりと振り下ろされ。 ――空が墜ちた。 ダウンバースト。 空から降り注ぐ高密度の大気の土石流。 だがしかし、世界の風すらも掌握するアバターのそれはあらゆる比ではなかった。 まさしく空が墜ちる。 万物を踏み砕き、粉砕し、滅殺する巨人の大槌にも等しい馬鹿げた風。 それが風の魔装機神たるサイバスターを襲った。 「ウォオオオッ!?」 オリハルコン製の装甲が悲鳴を上げる。 風に舞う白き翼が悲鳴を上げる。 ミシミシと翼を広げ、雄雄しく立っていた機械仕掛けの神が膝を屈し、周囲が陥没してく。 「まだ壊れないのか? 頑丈だな」 さらに指を振り下ろす。 加速度的に増す圧力に、大地が、魔装機神の装甲が悲鳴を上げる。 「テ、メエエエエエエエエエエ!」 圧力の増す大気の中でマサキの咆哮が轟き、風を支配する精霊使いの狂笑が轟いた。 マサキの元にKAZUMAが襲い掛かってきた時、蒼の破壊神の前にも敵が現れた。 「アンタが、シュウ・シラカワだな?」 『おやおや。私に一体なんの用ですか?』 本来ならばそんな能力はないはずなのに空に佇むSHINの言葉に、シュウは薄く笑って答える。 「とぼけるなよ。かなり消耗しているとはいえ――機械仕掛けの神にして、異界の扉を開くことを可能とした武装機甲士。これ以上なにかされるまえに――」 そう告げるSHINの声が少しずつ変わっていく。 そうなのだ。 彼は本来空など飛べるはずもないのだ。 あるのは時空跳躍、スーパーコーディネーターを超えたイレギュラーのポテンシャル。 空など飛べるはずもない。そんな幻想はない。 けれども――たった一つの力があった。 『俺の【運命】でお前を破壊する』 幻想が編み上げられる。 虚空に浮かぶSHINを中心に、歯車が、鉄の腕が、コクピットが、トリコロールの装甲が生み出される。 そして、そこに浮かんでいたのは【運命】と名づけられた自由と正義を打ち破った SHINの翼。 下らない妄言に引きずられ、本来ならば負けるはずなどなかった真なる翼。 それが光の翼を広げ、光り輝く巨剣――アロンダイトを構えた。 『しょうがないですね』 翼を広げ、襲い来る最強の幻想に、蒼き破壊神は虚空を歪めて応えた。 理不尽を打ち破る幻想と理不尽と称えられた破壊神が激突する。 走る。 疾る。 跳ぶ。 「もっと速くっ!!」 神凪綾乃は焔を撒き散らしながら、アスファルトの大地を駆けていた。 それも爆音を上げて、大地を蹴り飛ばしていた。 火の精霊に呼びかけて、瞬間的に足裏に炎熱を凝縮し、大地との接触に解放。 爆音と衝撃を引き換えに、ロケットのような加速を齎す技巧。 本来ならばここまでの制御能力は綾乃にはない。 されども、様々な世界が混入し、奇しくも“バーストジャンプ”と呼ばれる夜闇の魔法 使いたちが使う魔法を再現していた。 「綾乃様、あれを!」 風を制御し、少しでも速度を上げようと風を操りながら走っていた風巻 美琴が声を 上げた。 「あの白いロボット――それに八神 和麻?!」 美琴の操る風に乗って、なんとか綾乃の走る速度に併走していた神凪 燎が目を 見開いた。 精霊使いならば歯をかち鳴らし、恐怖に身を竦めるほどの膨大な風の精霊を制御した KAZUMA。 そして、それに押し潰されかけている白いロボット――サイバスターの姿。 「あのままじゃ、潰される!?」 風の精霊使いである美琴には見えていた。 力ずくで従えられた風の精霊たちの悲哀とそれに抗う“異なる風の精霊”の嘆き。 そして、それが圧倒的なまでの力の差で押し潰されていくのが解る。解ってしまう。 「させないっ!」 綾乃が空中から大地に着地する。 心の底から力を欲し、希望を欲し、全身全霊の願いを篭めて火の精霊たちに願う。 「お願い! 私に和麻のところへ行かせて!!」 火の精霊王の祝福を受けし、神凪一族。 その宗家の姫である綾乃の声に――精霊は応えた。 地面すら燃え上がり、その身を焦がすほどの膨大な火炎。 それが渦巻き、吼え猛り、そして―― 「かずまぁああああああああああ!」 あらゆるものの速度を凌駕するほどの爆音を上げて、綾乃は跳んだ。 彼女が認める、たった一人の憎たらしい男の下へと。 ミシミシと悲鳴が上がる。 心が砕けそうな絶望に満ちた音が轟く。 「ま、まずいニャ!」 「やばいニャ~!!!?」 「……堪えてくれ、サイバスター!」 クロとシロの慌てふためく声を聞きながら、マサキは歯を食いしばって、操縦桿を握っていた。 「アイツは……」 奴に負けるわけにはいかない。 「アイツには――」 絶対に負けるわけにはいかない。 何故? ――門を切り開いたから? その結末を見届けたいからか。 ――世界を救いたいからか? 魔装機神操者としての使命か。 違う。 それだけじゃない。 奴を認めるわけにはいかない。 目の前の狂笑を上げる人間を認めるわけにはいかない。 「この悲鳴を上げさせる奴は、ぶっ飛ばさないと気がすまねえ!!!」 泣いているのだ。 サイフィスが泣いているのだ。 異世界とはいえ、同じ風の精霊たちが嘆き、蹂躙し、力ずくで行使されているのを 見ていられないのだ。 風の魔装機神・サイバスター。 彼の魔装機神たる由縁は風の高位精霊【サイフィス】と契約したからである。 そして、その操者たるマサキもまた直感的だが、風の精霊の気持ちが理解出来る、 心で繋がるサイフィスの悲鳴が聞き取れる。 そう、泣いている。 涙を流している。 それを止めなければならない。 世界を救う奴が、目の前の泣いている奴を救えない道理はない。 ← Prev Next →
https://w.atwiki.jp/olgn/pages/943.html
超星神サテライトウイング・アイオロス 風 神星族シンクロ レベル10 ATK3200 DEF3000 チューナー+チューナー以外のモンスター2体 自分フィールド上にこのカード以外のモンスターが存在している限り、このカードは攻撃および効果の対象にならない。また、このカードがフィールド上に表側表示で存在している限り、このカードと種族か属性が同じの自分の他のモンスターの攻撃力は1000ポイントアップする。
https://w.atwiki.jp/wiki6_piro/pages/3763.html
問屋場 といやば 江戸時代の宿場において、武家・公家・寺社などの人貨を継ぎたてるために設けた施設。 必要な馬や人足を用意して荷物を次の宿場まで運ぶ人馬の継立業務と、書状や品物を次の宿場に届ける飛脚業務を受け付けた。 1つの宿場につき、1~3ヶ所置かれる。人足問屋場、馬借問屋場、川会所と分かれている場合もある。 関連項目 宿場 タグ 「と」 旅用語