約 1,989,029 件
https://w.atwiki.jp/yurina0106/pages/2426.html
タグ 作詞さ 作詞 曲名 作品名 ジャンル 青空の見える丘で 青空の見える丘 明るい
https://w.atwiki.jp/nwxss/pages/69.html
4-475、479、483-484、~、514 ナイトウィザード!クロス群雄伝 道を切り開く者たち/後編(後半) 「やれやれ説得は失敗したようだな、SIZURU」 「ふぅー、そのようやねNATUKI……」 黒銀の黒狼と漆黒の大蛇を従えた二人の“HiME”は、少女の叫びに敵意を向ける。 気高き彼女の威圧感に帯びることも無く、ただ狂気に歪む。 狂わされた魂は、人の心を理解することも無く、我欲と邪悪に蠢くのみ。 「なら、殺してうちのものにするだけや――清姫ぇ!」 異形の大蛇。 それが咆哮を上げて、なつきへと襲い掛かり。 「っ!」 それになつきは銃身を構え、静かに決意を浮かべた顔で叫ぼうとした。 その瞬間だった。 ――その場に新たな乱入者が現われたのは。 唐突だが、人が一番連想するヒーローの必殺技とはなんだろうか。 合体巨大ロボ? 違う、それは多数を組む戦隊ヒーローに限定される。 全てを切り裂く剣? 確かにそれはあるかもしれない。けれども、剣を持っているのがヒーローの条件ではない。 もっとも日本国民に知られ、憧れと孤独に戦うヒーローたちが兼ね備えている必殺技。 そう、それは―― 「「ダブル☆ヒーローキィイイイイイイイイイイクッッッ!!!!」」 蹴りである。 人間の足の力は、手の三倍。 殴るよりも蹴ったほうが痛い。 もはや当たり前の常識。某GSの男たちだって使っていた伝統。 そして、その二人の飛び蹴りは異形の大蛇を吹き飛ばした。 「なっ?! 清姫ぇ!?」 大蛇の巨体が倒れこみ、濛々と砕けたアスファルトから土煙が上がる。 そして、ゆっくりと立ち込める瓦礫の土煙の上に二人の人影があった。 「だ、だれや!?」 突然の乱入に困惑する三人を代表して、SIZURUが声を上げた。 ちなみにお約束ともいうべき台詞で。 「「フッフッフッ」」 不気味な笑い声が響き。 そして、土煙の晴れた先には。 「俺の名前は柏木クロス! たった一人の戦隊の、リーダーにして構成員!」 紅きスーツを纏ったヒーロー。 一人で戦隊というのは矛盾しているが……まあ気にしない気にしない。 「私の名前はベホイミ! 新感覚癒し系魔法少女!!」 いかにもな格好をした(多分)魔法少女。 癒し系魔法少女が蹴りを放ってもいいのか? という疑問は放置しておくべきであろう。 「「只今参上(ッス)!!!」」 ピシャーンと決めポーズを取る二人。 ……ちなみにもう一人一緒に行動している怪人がいるはずだが、邪魔にならないように近くの 路地裏に置いていったのは秘密である。 「なんだからとっても甘酸っぱい雰囲気で登場しづらかったが、なんとか参上だぜ! ああ、畜生! 青春だぁ!!!」 「甘い、甘い、甘いーッス!! 見てて、とってもむず痒い思いをして、なんか新☆癒し系魔法少女でも耐え切れないラブ臭が したけど負けないッス!」 「……ふざけたやからどすなぁ」 声を上げる二人を睨み付けて、SIZURUが怒りの篭った殺気を放ち、薙刀を振り上げる。 『GIGAYAAAAAAAAAAAA!!』 それに伴い、起き上がる清姫。 「なつきの前に、殺したるわ」 壊れた笑みで、SIZIRUが呟く。 「うわーお、如何にもな大和撫子の癖に殺意満々ッスよぉ!?」 「うガチ百合が怖いってのは本当だったのか!? ――っと、そこの人!」 「な、なんだ?」 突然の乱入者に目を瞬かせていたなつきが、クロスの言葉に我に変える。 「彼女は俺たちが相手する! 君はそこのブラックを倒せ!」 「おわー! レッド、レッド、来たっすよ!!」 「死になされ!」 轟音爆砕。 清姫が吼え猛り、クロスとべホイミが飛び退る。 新たな戦いの火蓋が切って落とされる。 「さて、と」 白銀の銀狼を伴った玖我 なつきと。 「お前と私か」 黒銀の黒狼を連れたNATUKIが残されていた。 「仮にも私ともあろうものがな……男に溺れるなど、想像も出来ん!」 そして、お互いの手に掲げられる――銃身。 「お前は知らないだけだ。想いの力を、大切な存在の温かさを!」 同じ動作、同じ速さ、同じ鋭さを持った二人が同時に引き金を引く、 構え、狙い、タイミング。 それらをまったく同じ体格の二人が、鏡写しに放ったらどうなるか? 答えは――相殺である。 互いに放つ銃弾が、互いの銃弾に激突する。 本来はありえない現象。 以下に熟練したHiMEといえども、そこまで常識を超えた銃技を繰り出せるわけが無い。 だがしかし、かつては同じ人間であった二人が。 平行世界同士の同一人物同士が放つ銃弾は――ありえないはずの偶然を生んだ。 「ッ?!」 「ッ!?」 互いの銃弾に弾かれ、あらぬ方向に着弾する弾丸。 その光景に、互いの脳裏に浮かんだ対応策は同じだった。 より早く、相手よりも速く、打ち抜く。 銃撃が、銃弾が、銃身が、瞬くように二人の手から掻き消える。 撃つ。撃つ。撃つ。 異能の力を用い、弾丸の装填が必要なき拳銃はまるでマシンガンのような速度で速射され、 銃撃の雨を繰り出した。 ぶつかり合う銃弾。 激突する銃撃。 それは永遠に続くかと思われて。 「ッ?!」 NATUKIの頬に一筋の血線が走った。 「どうした? 傷を負ったぞ」 (速度は上回られた? いや、違う!) 驚愕するNATUKIに、なつきはエレメントを操る。 互いに同時に引いた引き金は銃声を上げて、弾丸を吐き出す。 そして、再び激突する弾丸が――“砕けた”。 NATUKIの放った弾丸が、なつきの銃撃に打ち砕かれた。 「馬鹿な!?」 「おぉおおおお!!」 気迫の篭った声がなつきかの口から発せられる。 それに――NATUKIは怯んだ。 「デュラン!」 迫りくる弾丸を、黒きデュランに飛び乗って回避する。 付近の壁を、高層ビルの窓を、デュランに飛び乗ったNATUKIが駆け抜ける。 「はっ、デュランを使うとは――負けを認めるのか?」 「戯言を!! シルバーカートリッジ――ロード!」 『GAW!』 主の言葉に、黒きデュランは窓ガラスの壁を蹴り破り、空中に舞い飛んだ。 鈍い装填音を響かせて、黒のデュランの砲身に弾丸が装填される。 「デュラン!」 それと同時に地上から見上げていたなつきが叫んだ。 『GAW!!』 母の声に、デュランは砲口を上空に上げて、装填開始。 『――テェエエ!』 重なる同じ声の少女の叫びに、戦場が銀色の砲撃に切り裂かれ――炸裂した。 撒き散らされるのは圧倒的な冷気。 全てを凍てつかせる凍土の風。 そして、その白銀の景色の中で。 ――撃墜されし者たちが、地上に激突した。 「ば、馬鹿な……」 衣服まで凍りつき、驚愕の表情を浮かべたNATUKIと。 「これが、私とお前の違いだ」 まったくの無傷で佇むなつきの姿。 そして、白銀からその輝きを変えていく――デュランの姿があった。 その身は黄金。 万物に勝る高貴の輝き。 なつきに宿る想いの強さ。 「≪デュラン・マックスハート≫ これが私の想いの証」 「認めない、認められるものかぁああああ!!」 その言葉に、NATUKIが叫ぶ。 「デュラァアアアアン!! クリムゾン・カートリッジ!」 「デュラン! ダイヤモンド・カートリッジ!」 『GAWAAAAAAAAAAWWWWW!!!』 黄金と漆黒のデュランが同時に砲口を、咆哮を、轟かした。 燃え上がる紅蓮の炎と全てを凍てつかせる絶対零度の閃光。 愛を知らない孤独の焔と愛を知る願いの冷気。 そして。 「悪いな」 そこに残っていたのは。 「これが、私なりの愛だ」 氷漬けの氷像と化したNATUKIと黒きデュランの残骸。 そして、華麗に髪を書き上げるなつきと黄金のデュランがそこに居た。 ――玖我 なつき WIN。 空間が歪む。 周囲の形式が歪み、迫る異形たちもまた血肉を撒き散らして砕けていく。 『まだですか? マサキ』 されど、それは本願ではない。 蒼き破壊神――グランゾンは待っていた。 『もう少しだ! もうすぐ演算が終わる!!』 燃え上がる炎の中で燻る、白き翼が立ち上がることを。 自らが望んだ目的を果たす瞬間を。 しかし。 『おや? どうやらマズイことになったようですよ』 『っ!? あれは――』 グランゾンとサイバスター。 二体の機械仕掛けの神が見上げたそこには母殺しの呪われた焔の児。 黒き翼を生やした――黒のカグツチ。 「なにをするツモりか知らないけれど、邪魔HAサセナイ!!」 焔の龍の口内が迸り、火球が迸る。 ねじくれた空間に捻じ曲げられて、その進路は僅かにグランゾンの横を霞め――大地を消し飛ばした。 『おやおや? 異世界の異能者とはいえ、これほどの威力とは……マズイですね』 『なんとか食い止めろ、シュウ!』 『勝手を言いますね、私も今は動けないのは承知でしょう?』 その言葉の最中にも幾つもの火球がグランゾンに直撃する。 重力制御をかけられた空間に、さらに常時展開された歪曲フィールドに軽減されるものの―― その威力は異常。 展開し続けるグラビトンカノン分の出力低下も相まって、グランゾンの装甲が焼けていく。 最強である破壊神が、焼かれて行く。 「壊れろ、壊レロ、壊レテヨォオオオオ!!!」 絶叫にも似たMAIの叫び声に、黒のカグツチは大き顎を開いて、身に宿る熱量を集めていく。 それは世界すらも焼き尽くす灼熱の焦土。 こことは違う世界では、都市の一角すらも一撃で破砕させた漆黒の焔。 『むっ』 『やべええ!』 それを喰らえば、例えこの二機であろうとも只で済むはずがない。 二人の声に焦りが生じたと思った瞬間。 「き、え、ちゃ、え」 黒き炎の舞姫より、宣告が降りた。 『ォオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!』 黒き焔龍より放たれる破滅の光。 それに、二機の機械仕掛けの神は焼き尽くされる。 「――カグツチィ!」 そう、それが割り来なかったら。 「なっ?!」 同じ性質の閃光が、真正面から黒い閃光へと激突し、膨大な熱量をぶちまけながら相殺される。 暗く沈んだ目を動かし、MAIが見たのは――白き龍と共に羽ばたく少女と少年。 「NAんで? なんで、なんで、なんでょォオオオオオオオ!!!?」 それを見た瞬間、MAIの意識から二機の姿は消し飛んだ。 見えるのは認められない現実。 決して許せない光景。 「なんで、あなたが、そこに、イルノョオオオオオオ!!!」 紅き焔の舞姫と黒き炎の舞姫の舞踏が三度目にして、最後の始まりを見せる。 コクピットの中、脂汗を浮かべて死の感覚を味わったマサキがゆっくりと息を付く。 「助かったのか?」 モニターに見えるのはかつて己を助け、そして自分が庇った白き龍と黒い龍の激闘。 一時はやられると覚悟したが、なんとか危機を脱したらしい。 『油断はまだ禁物ですよ、マサキ』 「分かってる!」 シュウに言われるまでもなく、マサキは背筋を伸ばした。 「クロ、シロ! 計算状況はどうだ?!」 「――そろそろOKニャ!」 「後は私たちがしくじらない限り、大丈夫!!」 「わかった!」 その返事に激痛の走る拳を動かして、操縦桿を握り直す。 『準備は出来ましたか?』 「ああ」 『では、こちらも始めましょう。データを寄越しなさい』 「了解ニャ」 ポチッとクロの肉きゅうがコンソールを叩く。 そして、マサキにはサイバスターとグランゾンの咆哮を聞いたような気がした。 『なるほど――“そこ”ですか』 上に浮かぶグランゾンから膨大な圧力が発生する。 多大なカグツチの火球を受けて損傷しているはずなのに、その動きには一切の威厳の陰りが感じられない。 『グラビトンカノン――解除』 歪められた重力によって狂っていた光景が戻り始める。 だがしかし、たった一点だけ――捻られた空間があった。 『ブラックホール・クラスター』 蒼き破壊神のクリスタルが輝き、その両手が胸部の前に掲げられる。 胸部装甲が開かれ、その眼前より漆黒の球体が生まれ始める。 それは全てを粉砕し、呑み込み、消滅させる星々の終焉の姿。 『発射!』 重力場すら狂わせて、漆黒の球体がねじれた空間に激突し――膨大な破砕音を鳴り響かせた。 それはこの周囲、戦場全てを埋め尽くす膨大な破砕音。 世界の悲鳴であり、偽りの空間の絶叫。 それを強引にひび割れさせて。 『空間破砕を確認! 連結次元のゆがみが生じますよ!!!』 「おぉおおおおおおお!」 白き翼が焔の中より立ち上がる。 失った翼を吹き上げるプラーナで再構築し、抜き放ったディスカッターを大地に突き刺した。 「俺の声に答えてくれ――サイバスターぁあああああああ!」 そして、膨大な破砕音すらも呑み込む。 ――“世界を渡る風が産まれる”。 何故彼女は狂ったのだろうか? 何故アイツはあんなにも苦しそうなのか。 そして、それに俺は―― 「きえてよぉ!!!」 「カグツチ!」 目の前で二つの火球が激突する。 直視すれば、網膜が焼けそうなほど熱い焔。 それは見慣れたものであるけれど、それらがぶつかる光景なんて想像すらしてなかった。 「なンで、貴方はアイツを助けるの!?」 「私は!」 「なんども、なんども言ったのににぃいいい!!!」 「祐一を信じる!!」 二人の鴇羽 舞衣がぶつかる。 二体のカグツチが激突する。 ほんの少し前まで想像もしなかった現実、光景、悪夢。 それに俺はただ見ているだけで―― ――破砕音が轟いた。 「っ!?」 戦闘中でさえも、思わず振り返ってしまうような巨大な音。 それに振り返った先には、あの白いロボットと見たことのない蒼いロボットの姿。 そして、剣を突き立てた白いロボットから“風”が産まれていた。 「っ!? あれは!?」 「な、なに!?」 白いロボットの両手が大きく開かれる。 その全身が輝き、背中の折れたはずの翼から白く輝く翼が放たれ、その周囲に光の球が生まれていく。 『開け! 異界への扉ぁあああ!』 聞き覚えのある咆哮と共に白いロボットから放たれた光球が飛び出した。 それは空の一点で、あるいは地上の公園で、あるいは高層ビルの真ん中で、無数の場所に 光の球が飛び込んで――閃光が迸った。 輝ける白。 太陽みたいな真っ白。 そして、その光の先には――“奇妙な風景の空間があった” 『ゲートを開いた! 長くは持たねえ!! 城へと行きたい奴は飛び込めええええ!』 その絶叫が証明するように、白いロボットの翼が弱々しく点滅し、同時に蒼いロボットもまた全身 から悲鳴じみた軋みを上げている。 「城ヘノゲート? させナイ!!」 その瞬間、MAIが鴇羽を蹴り飛ばした。 「きゃああああ!」 「鴇羽!!」 落下する鴇羽を負って、カグツチが疾る。 そして、それにしがみ付く俺は唇を噛み締める。 「消えなさい! ゲートなど開かせない!!」 黒いカグツチの前に羽ばたくMAIが叫びを上げる。 ――俺はそれに悲鳴を感じた。 「ゆ、祐一?」 手を伸ばし、掴み取った鴇羽が声を洩らす。 ――俺は目の前の鴇羽とあいつの差がわからなかった。 「鴇羽」 俺は噛み締める。 己の情けなさを、ふがいなさを。 ――だから、俺は。 「俺を支えてくれ」 「え?」 俺はカグツチから飛び降りて、鴇羽の胸へと飛び込む。 「祐一?!」 「悪い。けど……これしかないんだよな――カグツチ!」 俺は手を伸ばす。 俺と鴇羽のチャイルドであるカグツチの“剣”に向けて。 ――パパ。ボクを使うんだね? 「ああ」 ――あの人はママなのかもしれないよ? 「ああ」 ――だけど、ボクを振るうの? 「ああ、分かってる」 だけど、俺は見捨てられないんだ。 悲しい顔で、悲鳴を上げる鴇羽に似た少女を。 独善なのかもしれない。 偽善なのかもしれない。 けれど、あれ以上・・・・・・あの少女を放置出来ない。 だから。 「俺はお前を振るう。――来い、カグツチ!!」 手を伸ばす。 傷を負った腕を、過去を忘れるなと囁く手を。 そして、その手に―― 一振りの剣があった。 白亜の巨体は焔に消えて、全てが剣に納める。 「祐一・・・・・・」 「悪い。けど、俺には――あいつが泣いているように見えたんだ」 「ううん。あなたは信じるままにいけばいいよ。私は応援してる」 背中を抱きしめる鴇羽の感触が心強かった。 罪を犯す俺を支えるような彼女の温かさに、俺は柄を握り直す。 「鴇羽、アイツの前に運んでくれ」 「うんっ!」 鴇羽に運ばれ、俺は空を駆けた。 燃え上がる黒い炎のMAIの前に、飛び出す。 「アナタは! 何をしに来たァアアア! 私の邪魔をする気ね?! マタ、マタ、マタ! マタァアアア」 「違うさ」 燃え上がる焔を溜め込んだ、黒のカグツチが見える。 燃え上がる熱がどこまでも体を、喉を、目を灼く。 正直怖い。 だけど。 「俺はお前を救いに来たんだ」 「な、ニヲ!?」 「もう泣くのは止めろ。悲しすぎるんだよ、お前は」 「うるさいうるさいUルサイ!!! カグツチィ!」 閃光が燃え上がる。 光が目の前を覆う。 そして、それに俺は―― 「バッカ」 手を振り上げる。 剣を振り翳す。 刃を走らせて―― 「やろうぉおおおおおお!!」 全てを、両断した。 燃え上がる焔も。 夜闇の空も。 剣閃の軌跡にいた全てを――両断した。 そう、目の前に浮かぶ少女の体までも。 「ァアアアアアアアアア!」 救われることを祈って、全てを光へと変えた。 “ありがとう” そして、燃え上がる剣閃の中で、聞こえたその声は幻聴だったのだろうか。 ――鴇羽 舞衣 & 楯 祐一 WIN! 「やれやれ、上手くいったようですね」 モニターに浮かぶ幾つもの光点。 それは地上で戦っていた異能者たちの反応が消えていく。 グランゾンが操作し、サイバスターがこじ開けた式神の城へと繋がるゲートへと 飛び込んでいったのであろう。 全てはサイバスターの力でもある。 完全解放すれば、完全な未来予知すら可能とするラプラスコンピューター・デモンタイプ。 その演算能力を用いて、彼らは任意に歪ませた空間の中で、城の内部。 正確には”城内部と呼ばれる異空間”への干渉点を探し当てた。 ワームホールを作り出すブラックホール。 超新星のエネルギーを秘めたコスモノヴァ。 常識外れの力。 彼らにしか成し得ない空間干渉。 しかし、その代償は大きく、もはや二機はしばらく動けそうになかった。 「さて、あとは見守りますか」 シュウは静かに嗤う。 己の役割はここにない。 あとは選ばれし者たちが、彼を利用しようとした者達を打ち砕くであろう。 そう、そのための布石。 「さあ、世界を救う物語の最終幕の始まりですよ」 ――サイバスター&グランゾン ゲートOPEN 地上班組 式神の城侵入可能 4-524-525 laststage-1 はじまり ばんっ! 最後の扉が蹴り開かれた。 式神の城の最奥部。片側の扉を一つずつ蹴り壊した少年達は、いくつもの人々の協力を得て、そこにたどり着いていた。 その間に広がるは、ただの闇。 光源はなく何も見えず、普通の人間ならば本能的に恐怖を抱くだろう真の闇。 しかし、その背に光を背負うバカと闇と対峙し続けたバカにはその闇は脅威足りえない。 闇の中へと躊躇なく踏み進み―――ごん、と光太郎が何かに衝突した。 「あだっ」 「どうした!?」 柊が振り返ると、そこには頭を押さえている光太郎がいた。 彼は不思議そうに何もない空間に向けて軽く拳を振りぬき。こん、と軽い音を立てて拳は見えない何かにぶつかって止まった。 光太郎よりも異常現象には慣れている柊が、その異常を看破する。 「結界か……どーやら俺達が一緒にいると目障りな奴がいるらしいぜ?」 『えぇ、その通り。僕たちの喧嘩には、あなたがいると困るんです』 声が響いた。それと同時、光太郎の姿が柊の視界の中からかき消える。 「なっ……玖珂っ!?」 『ですから、光太郎はいただいていきます』 「勝手なこと言ってんじゃねぇっ!誰だてめぇ、何しやがったっ!?」 『おや。蝿の女王からは聞いていましたが、本当に頭が悪いですね柊蓮司』 「またベルかっ!?っつーかボスは人のことフルネームで呼んだあげく頭悪いって言わなきゃならねぇ法則でもあんのかっ!?」 『いえいえ素直な感想です。 ―――まぁ、ここまで光太郎を無事に届けてくれたお礼くらいはしましょう。 僕の名前は<世界の秩序(ワールドオーダー)>、あなた方が結界でがんじがらめにしている世界の、意思そのものですよ』 声は朗々と響く。暗闇に、どこまでも。 柊はその声に底知れなさを感じながら、似たような声の感覚を思い出す。 「まーた神様の類か?ぽんぽんぽんぽん人間に絶望してんじゃねーよ」 『少し違いますかね。神というのはこの世界を作り出したもの、僕は神によって作り出され、人間の作った結界で雁字搦めにされている哀れな世界そのものです。 あなたにもわかりやすく言ってあげるのなら、起こった事態に対処するのが世界結界と神の使徒。先に手を打ち『勇者』を作り出しておくのがこの僕、ということです』 <世界の秩序>のその言葉に、春先の事件を思い出す。 世界によってあらかじめ生み出された『勇者』。 その存在がなければこの世界はとっくになくなっていただろうが、その宿命を背負わせたのが声の相手だというのなら少しばかり恨み言を言いたくもなる。 しかし今はそれどころではない。 「それで?玖珂と俺を離したのは俺に邪魔されたくないからって言ってたっけか。俺もずいぶんと高く評価されたもんだなオイ」 『もちろんですよ、悲劇を捻じ曲げる者。貴方の持つ剣は僕にとっても毒ですからね。あまり触れたくはない』 「誉められても嬉しかないが、一応はありがとよ。 それで―――こんな風に隔離されて、俺が黙ってるとでも思ってんのか?」 瞳に剣呑な光を宿し、柊は魔剣を握る手に力を込める。 しかし、それに答える声はどこまでも涼やかだった。 『まさか。貴方がどこまでもしぶとくて、光太郎並の直情家なのは知っていますよ』 その声とともに、背後の闇が揺れた。 柊は自身の勘に従い魔剣を背後に向けて振り抜き、背後から現れたエネルギー弾を辛うじて弾いた。 「ぐぅっ!?」 これまでの敵が放ってきたエネルギー弾などとは比べ物にならない速度と重みの一撃は、不完全な体勢からの迎撃では衝撃を殺しきれず、2・3歩たたらを踏む。 気づけば、今まで何もない暗闇だった場所に、12の光輝く水晶が漂い、薄暗い明かりが灯っている。 明かりが照らし出すのは、巨大な異形の蜘蛛だった。 柊自身も巨大な生物と戦ってきているが、その中でもかなり大きめな部類に入る。蜘蛛は、獲物を見つけた歓喜の声を上げた。 『これは、以前光太郎が倒した古き神の複製体。 まぁ、当然本物ほどの力はないのですが、これでもたった一人で倒すには骨だと思いますよ?』 しかし、柊にその声は届いていなかった。 彼の視線の先にあるのは、空を舞い踊る12の水晶の中心―――光の筋によって空中に固定されている赤い水晶だ。 呆然としたように、呟く。 「―――くれ、は?」 その水晶の中に眠るのは、まごうことなき彼の幼馴染。 あぁ、とわざとらしくてかんに障る笑い声が響く。 『もっとも大切な部分である魂の部分だけは復元できませんでしたからね。 適当にでっちあげて、足りない部分を補うためにちょうどいいモノを拾ってきたんです。 ちょうどいいから教えてあげましょう。蜘蛛を倒すのなら、あの水晶を砕くのが一番早いですよ? あの水晶の中には蜘蛛への力の供給装置があります。水晶だけを砕くことができればその中の装置の一部も取り出すことができるでしょうね。 ですから、あの水晶を狙えば一撃で止まるでしょうが―――そんなことができるほど、<世界>の力は甘くないですよ?』 声が終わると同時、暗闇に慣れた目を灼く光の帯が四方八方に放たれる。 直撃することはなかったが、その余波だけで吹き飛ばされそうになる柊。 その彼の姿を見てか、くすくすと笑う声がする。 柊には珍しく、なんの感情もこもらない声で語りかける声に一つだけ問うた。 「―――聞かせろ。さっき、あいつ拾ったっつったよな」 『えぇ、それがなにか?』 「あいつを、あんなふうにしたのはてめぇか?」 『彼女を気絶させてあそこに封じこめたのは僕ですよ?』 そうか、と静かな声が暗闇の広大な空間が何故か響き渡った。 「あいつ助けた後、絶対ぇぶちのめしに行ってやるから覚悟しやがれ」 『怖い怖い。期待しないで待っていますよ、もっとも、世界の全てを敵にまわして貴方が生き残れるとは思えないですがね』 声はそれきり響くことはなく、気配が薄れていくのがわかる。 柊は、いったん頭の内から声の主のことを叩き出して目の前の敵へと集中する。 小さく口の中で一言だけ呟いてから、突貫を開始した。 4-541 laststage-2 ねがい そこは玉座の間。 王の座るべき場所にあるのは、白を基調とする服を身に纏った青年だった。 玉座の青年の前に立つのは、一人の少年。その瞳に怒りをたぎらせ、その表情に少しの痛みを抱える少年。 少年は、目の前の青年に問う。 「……これは、本当にあんたがやってることなのかよ」 「あぁ、そうだよ」 「城をここに出したのも」 「あぁ」 「城を今落としてるのも」 「そうだね」 「東京にいる、いや世界中の人達を危険にさらしてるのも!」 「その通りだよ」 「今―――たくさんの人間に迷惑かけてるのはあんたなのかよっ!?」 その、否定してほしいと言わんばかりの痛々しい声に。 しかし相手はにこやかな笑顔を崩さぬまま答えた。 「その通りだよ、コウ」 「なんでだっ!なんでこんなことをあんたがしなくちゃならないんだよ、兄貴っ!」 笑みを絶やさない青年の名は玖珂晋太郎。 世界の秩序。城の主。そして、ある少年の兄。 苦しげに、しかし怒りを絶やさぬ眼で問う少年の名は玖珂光太郎。 人類の決戦存在。青にして青ならぬ者。そして、ある青年の弟。 ともに名前に光をたたえる名を持った、第一子の名をつけられし存在。 光太郎のその問いかけに、晋太郎はやはり笑顔を絶やさぬままに答える。 「覚えているかい、コウ。 僕は、子供のころ体が弱かった。ロイと一緒に遊んでいるお前を見て、その代わり勉強を教えたりしたこと」 「そんなことは聞いてねぇっ!」 睨む目には怒りがあった。純粋な怒りではなく、痛みとない交ぜになった温度の低い炎。 けれどそれさえも楽しそうに、晋太郎は告げる。 「少し回りくどかったかな―――つまりね、コウ。僕の望みはただ一つなんだ。 城をここに出したのも。 城を今落としているのも。 世界中の人達を危険にさらしているのも。 今この瞬間、数多くの人間に災厄をもたらしているのも。 ―――お前と、盛大な兄弟喧嘩をするための下準備にすぎないんだ」 笑顔を絶やさぬままに晋太郎は―――いや、今や<世界の秩序>と化した者は、そう告げた。 光太郎は一瞬だけ目を伏せる。 晋太郎からはその表情をうかがい知ることはできないが、<世界>たる彼にはどんな表情をしているか手に取るようにわかった。 そして、<世界の秩序>は始まりを告げる。 「さぁ。そろそろ始めよう、コウ。 この世界の趨勢を決める派手で滑稽、壮大にして単純な―――たった一度の兄弟喧嘩を」 宣誓に、少年は顔を上げる。 その表情にあるのは怒り。熱は落とさず、ただ純粋に、たった一点前だけを見据えて。 決別と決意の言葉を、<世界の秩序>にして世界の敵と成り果てた者に告げる。 「―――待たせたな、悪党。 俺の名前は玖珂光太郎!悪をぶっ飛ばす少年探偵! お前にはたくさんの人間が迷惑してんだ!俺がこの手で―――全力でぶっ飛ばすっ!」 それに応えるのは当然、世界を自らの意思の下動かす「悪」。 「よく言った、世界の一部。 僕の名前は玖珂晋太郎!すべてをぶっ飛ばす<世界の秩序(ワールド・オーダー)>! さぁ始めよう!終わりの始まりだ!」 言葉と共に、少年は己が式神とともに青き光を拳に纏って走り出し――― ―――<世界の秩序>は、世界から吸い上げたエネルギーを、自身の視界すべてを埋め尽くす弾幕へと変えた。 4-548-550 博麗の巫女・合流 「やっと追いつけた。あなたは話に聞く壬生谷の巫女の結城小夜さんでしょ? 私は博麗神社の巫女。博麗霊夢よ。 神主さんから聞いたわ、よろしくね」 「壬生谷を知っている人間? あなたは……博麗の巫女? 聞いたことがあるような」 「ええ、たぶんその博麗の巫女。そしてそちらの人は…確か紅き月の巫女って呼ばれているんでしょ。よろしくね」 「そう、あなたが博麗霊夢。私は緋室灯――あかりん、って呼んでくれていい」 巫女装束を纏う、少女二人。名を結城小夜、そして博麗霊夢という。互いに戦いを潜り抜けてきたためか、傷つき疲労 している様子が見て取れる。 そして壬生谷の巫女と行動を共にしてきた強化人間の少女――緋室灯。輝明学園の制服を纏った彼女もまた紅き月の巫 女の転生体でもある。強化人間として育てられた彼女は妙な茶目っ気を見せて自分の名を告げる。ここに三人の巫女が 集った。自己紹介もそこそこに、三人はこくりと頷く。ここはねじれた城の中。博麗の巫女たる少女もまた二人の巫女 と同じように戦場に赴く者としての心構えはできている。即ち、自分がなすべき事は何かということを。 彼女たちは正確には知るよしもなかったが、サイバスター、そしてグランゾンのパイロット達が血路を開いた為、博麗 の巫女たる少女もこの二人に追いつくことができたのだ。そしていち早く進んでいた巫女二人と合流できたワケである。 「挨拶はこのくらいにして――っと。壬生谷の巫女さん、ここは一気に片づけるわよ」 「はい、行きます!」 「……来た、私は援護する。なるべく当てないようにするから」 城内最深部。城主たる玖珂晋太郎までの道程も後僅かといったところだが、時間稼ぎか敵の数も多い。無論そんなもの につきあっているわけには行かない。 ならばこそ、出し惜しみをしていられるわけもなかった。まさに引くも地獄進むも地獄といった感だ。時間切れは東京 ――ひいてはこの世界の破滅を意味するのであるから。 「くっ、キリがないわね。ここは――――ええと、あかりんだっけ? ちょっと時間をっ!」 「ええ、緋室さん。お願いしますっ!」 「了解。ガンナーズ・ブルーム」 まさに百鬼夜行さながらの城内。最深部までは通さぬと行った感があるあしきゆめの群れ。三人の巫女は足並みを乱さず 自分の役割を果たしている。 灯の持つ箒――ガンナーズ・ブルームは休むことなく弾を射出し敵を砕く。さすが少女とはいえ歴戦の戦士でもある彼女 たちは即座に連携を組むことが可能であったのだ。 「これならっ行けるはず! 壬生谷の巫女さん今よ――――封魔ぁぁぁ――――」 「わかりました、博麗の巫女――――光鴉ぁぁぁ――――」 『――――――――陣ッッッッ』 ”GUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!” 二人の巫女が呪符を取り出し気合いを込めた声を張り上げる。と、同時に猛烈な閃光と爆砕が起こり、周囲一面をなぎ払 う。その爆発に巻き込まれ、あしきゆめ達は怨嗟の声を上げながら消滅していった。 「……この先。たぶん柊蓮司と玖珂光太郎もそこにいる」 「ええ、行きましょうか」 「もちろんっ!」 彼女達は傷も消耗も癒す間もなく先を急ぐ。これから先の悲劇を知ることもないまま―――― 緋室灯――彼女の仲間たる赤羽くれはが変わり果てた姿で待ちかまえていることなど知るよしもなく。 いよいよねじれた城。その最深部へと向かう。このふざけた世界の神を打破する為に。 博麗霊夢―――城内に到着し緋室灯・結城小夜と合流。ひとまずは柊蓮司の元へ向かう ← Prev Next →
https://w.atwiki.jp/mzkvipms/pages/50.html
何書いたらいいかわからんがとりあえず書く。 情報間違ってても気にスンナ はじめに? 投げのシグナス版ですね。はい 2次でFJが使えるので機動力すごーい バンパイアとかいう攻防一体の神スキルもあるでよ AP振り 普通の投げと一緒でいいんじゃね やってけるならLUK極 無理げならDEX抑えてなるべくLUK スキル振り ぶっちゃけ弱体投げ。 本家投げと比べて、とにかく%が低い。 メイン火力が廉価あヴぇ。 100でトリプル覚えても、メイン火力が廉価あヴぇ。 ポイズンボムで、もっとスケルゴ三昧しておけば良かった。 1次 シックスセンス 20 回避と命中上がる BB仕様だといらない子 ロングスロー 5 手裏剣を遠くまで投げれるようになる 必須 ディスオーダー 10 敵一体を弱くするクソゴミスキル DSの前提3で十分 ダークサイト 10 無敵で攻撃不可になる ほぼ必須 ラッキーセブン 20 手裏剣2枚投げて攻撃する 必須 ダークネス 10 精霊を召喚して攻撃させる どっちでも ラッキー1→ロング→ラッキー→適当に でいいんじゃない 2次 ジャべリンマスタリー 20 要するにプログレス 必須 クリティカルスロー 20 クリティカル率が上がって強くなる まあ必須 ジャべリンブースター 20 普通のブースター 適度に ヘイスト 20 賊といえばこれ 適度に ベニシュ 10 DS中に攻撃できてダメージが増える よくわからん フラッシュジャンプ 賊といえばこれその2 必須 バンパイア 20 複数を攻撃 吸収 3次でアヴぇとったらいらない子 そう考えると捨てるのも有りかも? 難しくてよく分からんけど 俺はFJ1→ベニシュ1マスタリ1→FJ→マスタリ→バンパイア→ブスタヘイスト並行して→クリティカルでベニシュ捨てましたお 3次 疲れたからおしまい 後は頼んだ 狩り場 1次 〜20 ゾンビキノコのとこで升が一点してるから横殴りでもしてろ 普通にクエを進めてもいいけどめんどい 〜30 エーデルかスクエアでも行ってろ 2次 〜35 スクエアでバブルティーでも狩ってろ 〜45 フィアンセクエであっという間 〜51 CD地獄 〜70 MC2うまうま 池沼IPに気をつけろ 3次 〜80ぐらい D子かアリアントあたり 〜90ぐらい B3とか 〜100ぐらい C2かな? ぶっちゃけどの職でも狩り場はほとんど変わらんと思うんだよね僕ちゃん
https://w.atwiki.jp/nwxss/pages/60.html
戦い終わって日は暮れて、場所は秋葉原の一等地。 小さな影と大きな影がなかよしこよしで並んでる。 一人はぱっと見高校生。 ほのかに漂う苦労の匂いは大人の味。拍車をかけるのは頭と手にぞんざいに巻かれた包帯か。 そしてもう一人はぱっと見外国人。 けれどその身に纏った制服は、どこぞの学園の中等部のものだったり。 見方を変えれば、じゃれつく兄に甘える妹、なんて見えるかもしれぬ。 並んで歩く姿は一見仲睦まじく、思わず微笑んでしまいそう。 まああくまでそう見えるだけで、当の本人たちはそう思ってなんかいない。 少なくとも片方は。 「…納得いかねえ」 「ばっちり変身して、しっかりあの犯罪者も倒してくださったではありませんか。 見事なご活躍でした…今はその傷ついた体を癒すことだけを考えてください。 あ、紅茶飲みます?缶ジュースですけど」 「ただ飛び上がって、落ちて、頭から激突しただけだぞっ! どこが活躍なんだ!?」 「柊さんには、見渡す限りの大観衆からの大喝采が聞こえなかったのですか?」 「ありゃどう考えても芸人とかに向ける類のもんだろうがっ!?」 叫ぶ男の名前は柊蓮司。 笑って受け流す女の名前はアンゼロット。 さてはて。 それではすこしばかり過去に溯ってみよう。 ■■■ 「いくぜっ!!」 電柱の上から、青い線が空へと伸びる。 それは皆が待ち望んだもの。 誰もがなろうと思って、しかし決してなれない存在。 すなわち。 正義の味方。 そして、正義の味方の醍醐味と言えば、必殺の技と武器。 「スーパーエクセレントダイナマイツマジックソォオオオオオオオオオオオオドッ!!」 吠える声とともに光が疾る。 輝く光の中に、微かに見えるは剣の影。 両刃の剣がその手に握られるより早く、青きヒーローは放物線の頂点に至り―――そして、落下する…! 「ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」 吠えるドッコイダー。 だが、正義の味方に対するは、大悪党。 ドッコイダーを前にしたゲイフラワーは、何を恐れるものぞと叫ぶ。 「自らの手のうちを明かすとはぁっ!! 愚の、骨頂ぅううううううううううううう!!」 剣を相手が握るならば、それをたたき落とすまで。 ゲイフラワーの叫びとともに、ドッコイダーに向かってミサイルが放たれる。 「ちぃ…!?」 愛らしい…というのも変な話だが、妙に愛嬌のある顔に似合わぬ舌打ちをする、ドッコイダー。 落下し続けるだけのドッコイダーには、ミサイルを避けるだけの機動は不可能。 そもそも、ミサイルは一発ではない。 十、二十、三十。 もとより、回避の余地などない。 ならば。 (…これしかねえっ!!) 纏った男の意思にパワードスーツが応える。 スタピライザーたるマントが方向を決め、バーニアが火を噴く。 そう。 答えは、加速。 彼は、パワードスーツの性能を信じ、賭けに出る。 一秒の、さらに数万分の一の世界。 その一瞬で、ドッコイダーはミサイルと衝突し。 爆発に、包まれた。 次の一瞬。 爆炎の中から現れたドッコイダーの手には、剣など、握られていなかった。 「ふはぁっ!!」 邪悪な笑みを浮かべる特A級犯罪者、ゲイフラワー。 だが、その笑みはまたも一瞬で消える。 そう。 バーニアによる加速。 ミサイルによる爆発。 そしてさらに、『彼』自身でさえ制御できない『力』すらも上乗せし。 青い流星は地に向かって落下してゆく。 その先には、ゲイフラワー。と、メカ。 「ん?お、おい? まさか、そのまま落下してくる気か? ちょっと待て?あたるぞ?おい?」 筋骨隆々の犯罪者の問に対する答えは、絶叫だった。 「止まらねええええええええええええええええええええええええええええ!!」 激突。衝突。 崩壊。圧壊。 歓声。呆然。 …劇終。 ■■■ 「そもそも、だ! ちゃんと指定されてた通りの名前を叫んだのに、剣が出てこなかったじゃねえか!」 「いえ、マニュアルにはちゃんと書いてありますよ?」 ―――魔剣は、剣を持った敵と交戦する時にしかつかえないから気をつけてね、柊くん? ―――By 開発主任 アキラ・ナナセ 「なんだそりゃあ!? ってかそもそも、なんでこの開発主任俺の名前知ってんだよ!? なんつーか、いろいろおかしくないかおいっ!」 「…などと話している間に、着きましたよ、柊さん」 「…ん?」 最初にアンゼロットが立ち止まり、続いて柊も足を止める。 そこは、かなり巨大なマンションだった。 ひと部屋ひと部屋の広さもかなりありそうである。 「へえ…秋葉原の一等地にこんな場所があったとはな」 「まあ、急いで造らせたのですが、ないよりましでしょう」 「…は?今なんて言った?」 「いえ、こちらの話です」 と、柊がアンゼロットの方を振り向いたところで、彼女はその顔に笑みを浮かべたまま、こう切り出した。 「さて、柊さん?今からする私のお願いに、はいかYesで答えてくださいね?」 「…おい。それ、さっき無理やり変身させられた時にもきいたんだが」 「さあ?そうでしたか?」 「はいかYesって、俺に選択権ねえってことだよな…?」 「『はい』と『Yes』。二つあるじゃないですか」 「意味は同じだろがっ!?」 叫んだ柊に、はあ、とわざとらしく溜息を一つ。 柊の頭に青筋が浮かんでいるのを確認してから、アンゼロットは口を開いた。 「…まあいいでしょう。 どちらにせよ、貴方がパワードスーツの審査に参加する以上、私のお願いは聞いていただく必要があります」 「……俺じゃなけりゃできないってんならやってやるさ。 学校には行かせてくれるんだろうな?」 「はい。それは勿論」 眉をしかめ、口をへの字に曲げたまま、だが柊はアンゼロットに先を話すよう促す。 そんな彼の態度に満足したのか、アンゼロットは、彼女の要件を言った。 「では。 貴方には、私と一緒に生活していただきます」 柊は、一瞬何を言われたのかわからなかった。 だが、アンゼロットは気にすることもなく先を続ける。 「もちろん、男と女がいきなり同居、ということでは世間の目も厳しいことが予想されます。 なので、私は柊さんの妹ということになりました」 「…はぁっ!?」 「ちなみに、ご家族の許可はとってあります。 思う存分、パワードスーツの審査に心血を注いでください」 「なんだそりゃ!? そもそもなんでお前が一緒にいる必要が…はあっ!? 何が何だかわからねえぞ!?」 「さあ、それではいきましょうか、お兄ちゃん」 わざとらしくそう言われて、柊は体を震わせ。 思わず、本心を口にしてしまっていた。 「気持ちわりいからやめろっ!? お前俺より年上じゃねえのか!?」 「…」 にっこり。 「くたばれ☆地獄で懺悔しろ」 ぽちっ。 ごきょ。 音とともに、柊が膝から崩れ落ちる。 頭の包帯には、若干血がにじんでいる。 傷が開いたようだが、大したことはない。 むしろ、衝撃そのものが痛手だった。 「ど、どこからか盥、が…」 「全く…これだから柊さんは」 「全くだな。これだから柊蓮司は」 「HAHAHA!マッタクデスネー!! これだからゴッシュジンサマハー」 霞がかかっている。 まるで、世界が揺れているようだ。 それでも柊は言葉を絞り出さずにはいられなかった。 「ぐ…お、お前ら、さっきの…?」 「何を言っているんだ柊蓮司ぃ? 私は今日からこのマンションの住人となるグッイィィィィド・ボルジアという名の一神父だ。 ドクター・ゲイフラワーなどという宇宙特A級犯罪人とは全くの別人だぞぉ?」 「俺は…ゲイフラワーなんて…言って…ねえぞ…」 「HAHAHAHAHA-!! オカシナゴシュジン様デスネー」 「つか…なんで…お前は俺を主人って呼ぶんだ…」 「はわ!何で柊がここにいるの!?」 「くれは…か…? お前こそ、さっきはなんであんな妙な格好してたんだ…。 あんな格好で人前に出たら、おばさんが泣くぞ…仮装にもほどがあるだろ…」 「な、なんのこと?」 「あの、全身装甲板で特に胸のあたりが分厚い「死ねぇっ!!」 打音。 柊の目にわずかに映ったのは、何故か机を持っている幼馴染の姿だった。 騒がしくなっていく周囲。 薄れゆく意識。 そんな中、柊蓮司は、何でこんなことになってしまったのかを、今更考えていた。 ■■■ ← Prev Next →
https://w.atwiki.jp/hengtouhou/pages/1562.html
モンスター/ワイト ナイトウォーカー/Nightwalker (L.Dark W; ) === Num 768 Lev 59 Rar 4 Spd +20 Hp 50d65 Ac 175 Exp 15000 タイタンよりも強力でドラゴンよりも硬い巨大な暗黒の存在だ。背後から近寄ってはその恐るべき力で冒険者の鎧を打ち砕き、防御力を奪おうとする。 このぞっとするような存在は、冒険者の恐怖を嗅ぎとっては威嚇的に歩み寄ってくる。代わりに冒険者は死の悪臭を嗅ぎとることになるだろう。 それは通常地下 59 階で出現し、非常に素早く動いている。 この混沌の勢力に属するアンデッドを倒すことは 1 レベルのキャラクタにとって 約295000.00 ポイントの経験となる。 それは的確に魔法を使うことができ、地獄球、脳攻撃、地獄の矢、魔力の矢、恐怖、目くらまし、アンデッド一体召喚の呪文を唱えることがある(確率 1/4)。 それはドアを開け、ドアを打ち破ることができる。 それは赤外線では感知できない。 それには明るい光や破邪でダメージを与えられる。 それは稲妻と炎と冷気と毒と暗黒と地獄とテレポートの耐性を持っている。 それは進化しない。 それは混乱しないし、眠らされない。 それは侵入者を幾分注意深く見ており、 200 フィート先から侵入者に気付くことがある。 それは 8 個までの上質なアイテムを持っていることがある。 それは 10d10 のダメージで劣化させ、 10d10のダメージで劣化させ、 7d7 のダメージで劣化させ、 7d7 のダメージで劣化させる。 雑感 名前
https://w.atwiki.jp/ragadoon/pages/782.html
2015年度後期 ナイトウィザード2nd 第二話 "ハロウィーンの亡霊" GM KAZZ-I 予告 10月も最終日、輝明学園秋葉原校は文化祭の準備で賑わう。 だが、生徒の間で不穏な噂が流れてもいた。 それは、1年前のハロウィーンに起きた、怪事件のことだった・・・。 ナイトウィザード『ハロウィーンの亡霊』 紅い月は、事件の結末を見るか・・・。 ハンドアウト 伊賀崎 俊次 コネクション: アンゼロット キミは、最近のエミュレイターやウィザードの動向を巻物に記しているところだった。 その仕事を中断させたのはアンゼロット。1年前のハロウィーンでの事件の調査を依頼されたのだ。 当然ながら拒否権を与える気はないようだ。 一ノ宮 コウ & 上矢 炎牙 コネクション:坂本 ユウ キミたちのクラスでは、文化祭の出し物を決める会議を行った。 その放課後、クラスメートの坂本が噂を持ち込んでくる。 その内容は、1年前のハロウィーンに起きた、大量失踪事件のことだった・・・。 香山 トキオ コネクション: 桂木 祐太朗 キミの事務所に、突如として不審な男が現れた。 政府の人間だと名乗った彼は、キミにある事件の調査を依頼する。 その事件とは、1年前に世間を騒がせた「ハロウィーン事件」だった・・・。
https://w.atwiki.jp/nwxss/pages/63.html
3-794 200x年、東京にて連続猟奇殺人事件が発生する。 それが、全ての始まりだった。 「…おい、こいつぁどういう冗談だッ?!」 「はわ…空に…お城?」 現れた、『古き神』 「世界の危機です。貴女にとっても、決して容認できる事態ではないでしょう、オゼット」 「ふん、世界の守護者気取りの抑止力が。…まあ、セプのやり口を見過ごすのは好かんな…」 迫り来る世界の危機 「ふっ…久しぶりだな、日向。お前とこうして組むのも何年ぶりかな…で、どりぃ~む」 「お前まだその口調直ってなかったのか…かわらんねぇ」 「…アニキッ?!」 「ちげぇ! オレは柊ってんだ!」 「―――悪ぃ。すっげえ声似てたもんだから」 「お怪我、ありまセンカ?」 「は、はわ。ありがとうございますっ! あ、中国語で話さないとだめ、かな。ニ、ニーハオ!」 「…日本語、大丈夫デス。気にしなナイデ」 「私は、兵器。壬生谷が生み出した神殺しの兵器です」 「…たとえ兵器として生まれても…人として生きることはできる…彼が、私に教えてくれたように」 そして、数奇な運命の元、交錯する数多の能力者たち。 式神の城xナイトウィザード 『式神と魔術の詠う夜』 「A、お縄になってぶっ飛ばされるか!」 「B、ぶっ飛ばされてお縄になるか!」 「「てめえの選ぶ道は二つに一つだ!」」 という電波を受け取った。 3-795 そして、この事態に偶然巻き込まれた女性が三人。 「なのは、この異常な程の魔力を放ってるあの城は一体……?」 「分からないよ、フェイトちゃん。けど…放って置けるものじゃない感じがする! はやてちゃんはどう?」 「……全く、折角休暇が重なって皆で示し併せて里帰りしてるゆうのに… …って、管理局から通信? ちょっと待って二人共……え? 『巨大時空震の予兆が観測されたから クラウディアがこっちに到着するまでにわたしらだけでこの異常事態の先行調査しろ』やて!? ちょっ!……通信、切れた!?」 「どうしよう、なのは……?」 「決まってるよ! あたしたちは、あたしたちのやれる事をやろう!」 「そうね!……って、あそこで飛んでるのって柊さんと光太郎さん!? そうだったよね、なのは!?」 「あ、本当だ。 あ、あっちで大砲に乗って飛んでるのは灯ちゃんと小夜ちゃんだ!」 「やっぱこの世界のウィザード達や魔法使い達も動いとるんやねぇ。けど、他の次元世界にも影響が 出るかも知らん事態なら、わたしらも無関係って訳にはいかんやろ?♪」 「そうね♪」「そうだね♪」 「「「それじゃあ……『Set up!』」」」 ……運命に導かれて、全次元世界を守る為に、曾て共に戦った友と再び肩を並べる為に 成長した魔法少女達も故郷たるこの世界に再び空に駆け上がる。 と云う呪波汚染を受けた。 3-796 その時空震の予兆は、この異境の郷にも影響を与えていた。 「ちょっと!? 何で幻想境と現界との境界が薄くなってんの!? 皆、勝手に表に出ちゃだめぇ!!……どうやらあの城が現れてから この異常事態が発生したみたいね……よし、博麗神社の巫女・霊夢 の名に賭けてこの異常事態の原因をどうにかしてみせるわ!」 「……ふぅん、あの城、面白そうじゃない。 よし、あの城、この霧雨魔理沙様のモノにしてあげるわ!♪」 他にも様々な幻想境の住人達が各々の思惑の下に 幻想境から“悪しき夢”に覆われ始めた現界へと飛び立ち 事態は更に混迷の度合いを深めて行く――― と云う幻想を垣間見た 3-797 天より降り来たる「式神の城」。 城そのものと城へ向かう顔見知りたちを見て、その人物はふと笑った。 「突撃馬鹿が二人と空飛ぶ魔法少女が三人。他にも巫女さんだのなんだの……東京っていつからこんな人外魔境になったんスか?」 『もう、素直じゃないですね。そんな人達が大好きなくせに』 携帯電話から反る声は、信用できる味方のもの。こんな異常事態にあってなおその声は涼やかだ。 ふ、と口元が緩むのがわかった。 「うっさい。それより周辺の避難はすんだのか?」 『はい。昔の仲間と今の友達が手伝ってくれましたから』 心強い言葉。確かにあの級友たちならそれくらいのことはしてしまいそうだ。 『だから、思いきりやっちゃっていいですよ』 言われて、目の前の光景に集中する。 天に城が現れると同時、雨の如く地上に降り注いだ魔法製生物の軍勢。 その数は、もはや数える気にもならない。 それを前にして、されど彼女に絶望はない。 「っていうかさ、もう無双ってレベルじゃないよなこれ。弾幕だよ弾幕。それも怒首領蜂二週目火蜂級」 『しかもその弾幕の弾を全部撃ち落とすようなものね。 ……でも、負ける気はないんでしょ?ベホちゃん』 その声に笑みを深くし、当たり前だ、と答えて電源を切る。 負ける気はない。かけがえのないこの街と、街に住む全ての人の思い出のため。 彼女は変身リングを交差させ、その異能を開放する。 そこに現れるのはピンクを基調とする制服を身に纏い、翼のようにひるがえる赤く長いスカーフを首に巻いた少女。 さぁ、この敵しかいない独壇場。宣言するなら今のうち。私を誰だと思ってる。絶対負けない――― 「魔法少女ベホイミ―――只今推参」 ―――魔法少女(ヒーロー)様だ。 ……こんな信号をキャッチした。 3-798 そして、これまた偶然にこの事態に巻き込まれた者達が居り…… 「ちぃ、斬っても斬ってもキリが無いぜ……」 「マイト後ろ! ラー♪!」 「……ふぅ、助かったパティ。それにしても、このモンスター共は何なんだ?」 「分からないよ、マイト。けど、あの城が現れてからモンスターが出始めた感じ」 「……なら、先ずはあの城をどうにかする」 「はい!」 また、別の空では―― 「Sit! コイツ等、俺とキースの決着の邪魔しやがって! 燃えろ、ゴッドフェニックス!」 「その通りだ、バーン。 凍れ、ブリザードトゥース!」 「おいキース、どうやらあの空に浮かんでるフザケた城がこのモンスター共の大元みたいだぜ? ったく、空飛ぶ城ならモンスター吐かずにラピュタみたいに夢振り撒けってんだ!」 「なら、先ずあの城を叩こう。これ以上、僕等の決着の邪魔をされたくない。行こう、バーン」 「OK、キース!!」 そして、とある軍事基地では―― 「……と云う訳で、戦力増強の為に東京上空に浮かぶあの城を制圧・接収して来て載けますか? 接収が無理になりましたら、最悪破壊して貰っても構いません 良ろしいですね? エミリオ、刹那、ガデス」 「要するに一切合際壊してくれば良いんでしょ? なら、簡単じゃんw」 「ケッ、この刹那様に任せて置けばあんなモンスター・フォートレスのひとつやふたつ!」 「漸く思いっ切り暴れられるぜぃっ!」 また、とある秘密施設では―― 「この事態を収拾して我等新生ノアの偉大さを知らしめましょう 行きますよ、レジーナ、α」 「分かったわ、カルロ兄さん」 「……了解(リョウカイ)」 そして、緑の風を身に纏い紅き月が昇る空を疾駆する一人の少女―― 「……貴方は今、東京(そこ)に居るんでしょう? 待ってて、バーン。 わたし――ウェンディが今行くから!」 自分達の宿命を追い求める為に、邪魔な特異点――式神の城―― を排除しようと東京に向かうサイキッカー達。 そこで彼等は、人類の切札――下がる男とその仲間達とまみえる事に…… という未来視をした。 3-805 そして、一人の少女が…… 「RIOT!!!」 ここまで来た。 3-806 また、東京のとある一画では…… 「……何、これ? ヴァーミスの反応に似てるけど、 少し変調しててもっと強力な反応が無数に発生してる!? クルエルティア姉さん!?」 「――どうやら空に浮かんであたし達の洗濯物が乾くのを邪魔してる あの変な城が原因みたいね……って、ちょっとアレ、柊蓮司と玖珂光太郎じゃない!?」 「あ、本当です!――って、二人の他にも色んな人達が 城から溢れ出してる敵と交戦してるよ、姉さん!?」 「……エグゼリカ、カルノバーン達とアールスティアとディアフェンドの準備は?」 「メンテナンスなら日頃からしっかりやってあるから、いつでも出撃可能だよ♪」 「じゃ、あたし達も早く行くよ! この非常事態に間に合わなかったなんて事になったら チルダ所属のトリガーハートの名折れだよ! それに、あの時の恩を柊蓮司と玖珂光太郎に返す絶好のチャンスだよ!」 「はい!姉さん」 「行くよ……トリガーハート、クルエルティア――」 「トリガーハート、エグゼリカ――」 「「発進っ!」」 第二の故郷と定めた地球と大切な人々を守る為、 恩人達に報いてその力となるべく戦場に馳せ参じる為、 異星の科学で生まれた二人の戦乙女が 鎧の様な愛機に乗り込み紅き月昇る空へ飛翔する。 目指すは――式神の城! と、どこまで皆で続けられるか調子に乗って便乗してみたw 3-815 また、東京・秋葉原では…… 「な、何やコイツ等!? 父ちゃんのお遣いでメモリ買いに来たけど、 どっからこんなようさん危ないんが湧いて来てるんやっ!? ペン太郎はん、大丈夫かいな!?」 「ふっ、俺を舐めんなよ? この程度、俺のロケットランチャーなら訳無いぜ、タコスケ! そっちはどうだ、こいつ?」 「♂☆◇$#=√w∀!」 「そうか、何処からか来た高校生達の御陰で民間人は避難し終えたか」 「そら一安心や」 「Σお前等こいつの言葉が分かんのかよっ!?」 「Σっつか、コイツ等何だよ!? 敵じゃ無ぇ事は分かるけどよ」 「あ、柊はん。店までの道教えてくれておおきに♪ 隣に居らはるんは柊はんのお友達でっか? わい、タコスケ言います、宜しゅうに」 「ペン太郎だ」 「◎☆♂」 「お、応、改めて俺は柊蓮司。こっちは玖珂光太郎だ―― Σじゃ無くて! 危ねぇからお前等も早く逃げろよ!」 「それはあきまへん! 見れば柊はん、剣持って周りの変なのと戦うてる様子。 よっしゃ!ここはさっきの恩返しにわて等も柊はん達と一緒に戦いますぅ!!」 「……(ニヒルにロケットランチャーを取り回すペン太郎)」 「↑↑<*KΨ!!」 「……ああもう分かった!好きにしろよ!――けど、無事に生き残れよ」 「任せといて下さぃな! これでもパロディウスシリーズじゃあ 父子揃って主役張ってるんやで♪」 「「Σそういうメタは台詞は要らねぇから!!」 こうして、式神の城が鎮座まします東京の空に また一組の勇者(?)が参戦した。 って、どこまで続けるよこれ?w 3-836 空気読まずにシューティング以外。 世界結界。それは世界を常識で覆い、世界外の法則の侵入を防ぐ対「魔」結界。 普段強力な魔王の侵入すら防いでいるその結界は今、悲鳴を上げるかのようにきしんでいた。 世界結界を突き抜け現れた天の祭壇―――式神の城によって。 東京、秋葉原。 「黄○い○水艦」の入った○暮ビルの屋上で、ブロンドのメイド服の女性が笑った。 「―――というわけでして。ご協力をお願いします」 「ふん。……まぁいいだろう。貴様には何度か世話になったしな、破壊魔女狐エセ給仕。特別に格安で仕事を受けてやろう」 「もう。女性の昔の話を暴くなんて趣味が悪いですよ伊織さん?」 いつも浮かべている天使のような微笑みのまま、ボキッといきましょうか?と彼女が尋ねると、 伊織と呼ばれた青年は冷や汗を流しながら視線を逸らした。 「忘れろ。何事も景気づけというではないか。そんなことより―――鈴蘭」 伊織の隣に立つのは、目を閉じたままのこれまたメイド服の少女。ヘーゼル色の髪の少女こと鈴蘭に、彼は語りかける。 「あそこにいるのは神に成ろうとする古いカミだ。自分の為に世界を滅ぼそうとしている自分勝手なイカレた存在だ。―――わかるな?」 その言葉と時を同じく鈴蘭のまぶたが開かれた。ガラス玉のように硬質で、されど熟れた実のように爛々と輝く赤い瞳が、天より落ちくる城を捉える。 鈴蘭は三日月のような笑みを浮かべ、答えた。 「はい、ご主人様」 「いい子だ鈴蘭。あの城が現れたことで東京一帯の世界結界の密度は急速に薄くなっている。 これからあの城の落下速度は、常識の殻を失ったことで加速度的に上がり―――馬鹿共が世界を救うよりも早くぐしゃり、だ」 一拍置いて、伊織は命じる。 「―――いけ、鈴蘭。お前の力を見せてやれ!」 その言葉に応え、鈴蘭はあらん限りの声を上げ、拳を天に突き上げる。拳から放たれるは緋色の輝き。 華奢な少女の腕から放たれたとは思えぬほど太く力強い光の柱が、城の落下を徐々に減衰させ、やがて落下を完全に止める。 けれど、皮肉なことに彼女の生んだその光が、さらに常識を削り取っていく。城の重さが、じりじりと少女の腕にのしかかる。 しかし鈴蘭は、その状況下でなおその顔を笑みから変えることはない。 彼女の名前は名護屋河鈴蘭。史上最高の神殺しの末裔にして15の負位置の魔導力を内に秘め、数多の世界の危機をくぐり、世界を救いし聖魔王! それがたかがこの程度で――― 「世界(ここ)を、諦めてたまるかぁぁぁ―――っ!」 この世界が好きな一人の人間として吼える鈴蘭。 そんな彼女を見て、伊織と金髪メイドは眼下へと視線を移す。 「さて。どんなマヌケでもそろそろ異変に気づくだろうな、エセ給仕」 「でしょうね。さてさて、私もお友達が頑張ってるんですから頑張らないとです♪」 そこに現れるのは巨大な刀を持ったロボット。その機械的な瞳は、間違いなく鈴蘭を狙っていた。 しかしあくまで涼やかに、伊織はメイドに話しかけた。 「では付き合ってもらおうか。俺は悪の組織らしくあんな正義っぽいロボットは破壊せねばならん」 「あんまり正義っぽく見えないですけど……でも、男の人にエスコートされるのも久しぶりですし、少しくらいなら付き合ってもいいですよ」 そうして。種類の違う笑顔を浮かべながら、巨大なロボットに向け二人の人間は駆け出した。 3-844 シューティング以外もありなら 式神の城を見上げながら、数人の少年少女たちが走る。 先頭を行く少年の手に握られるのは無骨な、飾り気のない剣。 最後尾を走る少女の手には、不似合いなほどの大きな盾。 この二人を軸としながら、魔法と連携で突き進んでいく。 「ダイソード、あんたの言うとおりだったな」 少年の言葉に応えたのは、驚いた事にその手の中の剣であった。 「そうだ。王太。 やつが今度の敵。新たなる「神」だ」 「そして、あそこで戦っているのが―――」 「今度の戦いの鍵を握る男、柊蓮司。 急げよ、奴の持つ柊力が敵の手に落ちてからでは遅いのだ」 「おうっ、ここまで近付けば大丈夫か。 会長さんっ」 「ええっ、逃げ遅れた人たちの避難と手当ては私たちに任せて」 敵の攻勢がいよいよ激しさを増す上空を見上げて、少年は天高く剣を掲げ叫んだ。 「ダイ・ソーーーーーードッ!!!」 召喚に応え、巨大な――刀身だけで20メートルは超える――剣が出現する。 それは大質量にまかせて敵の群れをなぎ払いながら、柊蓮司の元まで到達すると、その姿を人型へと変えた。 「柊蓮司よっ。邪な神の野望を阻むため、私は来た! 我が名はダイソード 轟世剣ダイソード!」 そのコクピットで―― 「さあ、おっぱじめるとしようか、カミさんよっ」 少年――ダイソード召喚者百地王太は不敵な笑みを浮かべた。 3-856 「…なるほど。そういうことか…ふっ…なるほど、な」 「…どうしたのですか、オゼット?」 「読めたのさ。『敵』の思惑が」 アンゼロット城の一室、アンゼロットの執務室でアンゼロットとふみこはテーブルを挟み 相対していた。 二人の緊迫した空気に、周囲に香る心地よい紅茶の香が酷く場違いに感じる。 「式神の城。あの城にいるのは古き神だ。そして、神を殺した者は次の神となる」 「光太郎さんか柊さん…いえ、それ以外の誰でもいい。誰かを新たなる神とする?」 しかり、というようにふみこはゆっくりと頷いた。 「そう…大きな可能性を持った者の上にゲートは開く。奴らはそれを利用するつもりだ」 「神レベルの人間の頭上にゲートが開けば他世界はおろか神界への到達も可能になる…!」 驚愕するアンゼロット。 「そして、仮に奴らが阻止に失敗したとしても問題はない」 「…どういう、事ですか?」 「相手の切り札は全てお前の手の内にある…いや、『あった』という事さ、アンゼロット」 いぶかしむアンゼロットの姿に、ふみこはくっくと小さく含み笑いを浮かべた。 「柊が死ねば、多くの者が絶望する」 つい、と視線をプロジェクターのように映された下界の映像に向ける。 そこには、疾走する光太郎と柊、金とそれを追うくれは、そして、別の画面では 何かに祈るように手を合わせている、エリスの姿が映されていた。 「魔王の魂を持っていた星の巫女、魔王シャイマールの身代。この二人は可能性の塊だ。 柊の死によってこの二人が絶望して魔王となれば…?」 「くれはさんにエリスさんを…まさか…そんな…!」 その言葉にアンゼロットが驚愕したように叫ぶ。 その顔を見て、ふみこはにやりとシニカルな笑みを浮かべた。 「それだけじゃない。仮にその二人が絶望せずとも…カードはまだある」 ついと、ティーカップを傾け、再び視線を別の映像に移す。 そこには、小夜と共にガンナーズブルームを駈る紅い髪の少女の姿。 「―――緋室さん」 「紅の巫女の生まれ変わり。あの娘の近代の男。城が落ちてその男が死ねば…どうなる?」 「二人の宿業は魔王の打倒と共にすでに消滅している…」 「…そう、因果から外れた今、もしここで近代の相手を失えば、もう二度と出会うことは適うまいな… 絶望するに足る理由とは思わんか?」 どさり、と音を立ててアンゼロットが椅子に寄りかかる。 「そんな…まさか…そんな…」 「お前はまんまと敵の罠に嵌ったのさ。そして全ての切り札を得意げに場に出してしまった。 ―――それこそが敵の狙いとも知らずに」 流れる、永劫のごとき刹那の沈黙。 「誰…なのです。この状況を仕組んだ…黒幕は」 震えながら言葉をつむぐアンゼロット。その顔は蒼白になっている。 そんなアンゼロットを、ふみこは口の端をあげてにたりと笑った。 「とうに分かっているのだろう、アンゼロット? 七つ世界をまたにかける死の商人。唾棄すべき悪党。忌まわしき七星―――セプテントリオン」 「ッ!!」 無言で振り下ろされたアンゼロットの拳がテーブルを叩き、がしゃりと茶器が音を立てて、跳ねた。 ========================= 一連の流れからこんなの思いついた 3-859 「―――と、その程度はもう向こうにも読まれているでしょうね。 ……この本にはそう書かれているわ、ベル。 けど、そんな事を今更私から聞いてどうするの……?」 ……そこは、今や争乱の渦中たる東京を一望出来る広く薄暗い古めかしい木張りの間 ――その争乱の元凶たる式神の城の天守閣に程近い一室。 その部屋に持ち込まれた豪洒なビロードの西洋椅子に深く腰掛けている、 射干玉(ヌバタマ)色の癖の無い長い黒髪を豊かに垂らす裏界の魔王・ “秘密侯爵”リオン=グンタは揃えた両膝の上に置いたこれまた古めかしく 分厚い革表紙のハードカバーの本を閉じながら、外を見渡せる勾欄に軽く腰掛けて 下界を見下ろし愉快そうな微笑みを浮かべている輝明学園女子制服を身に纏い その上から彼女愛用のポンチョを羽織っている裏界の大公にしてリオンの盟友・ 大魔王ベール=ゼファーに向けて囁く様に淡々と話し掛ける。 「別に。只の確認よ、リオン。 セプテントリオンとやらがあたしに持ち掛けて来た今回の話、面白そうだから 乗ってあげたけど、アンゼロット達も只単に事態に流されて応じてるだけじゃあ 面白みに欠けるもの。 ……セプテントリオン、裏界の大公たるこのあたしベール=ゼファーの他にも スカリエッティとか言う異世界の科学者やらヴァーミスやらバクテリアンやらとかの 純粋戦闘次元生命体共やら他にも色々な“災禍”を招き入れたみたいだけど…… ファー・ジ・アースの側だってそう簡単には陥ちないわよ? ……さて、今回の色々を巻き込んだこのゲーム、セプテントリオンの思惑すらも 覆してあたしを楽しませてくれるのは誰かしら……?」 愉笑を深めたベルの視線は眼下で奮戦する英雄達の姿を順々に捉え、 最後に先頭を切って群がる敵を倒し仲間と共に血路を切り開いてこの城に駆け寄って来る 二人の少年―――柊蓮司と玖珂光太郎をその瞳に映していた。 と、敵側を更に深めてみたw 3-863-864 :その頃のイギリス 「と、いうことのようでありますよマユリ」 「なるほど……じゃあ、私たちがやってることも無駄じゃなさそうですね」 イギリス、ストーンヘンジに二人の少女がいた。 片方は長い銀髪をツインテールにまとめ、唐草模様の風呂敷の上にどかんと載せられた大きな水晶球を覗いている。 マユリと呼ばれたもう片方はストーンヘンジの石の配置をずらしたり、サークルの中に複雑に模様を刻んだりしていた。 マユリは不敵に笑いながら呟く。 「世界なんて、そう何度も一人の人間に背負わせるもんじゃありません。 まぁ、あの人なら世界の敵を倒すくらいまでなら結局なんとかするんでしょうけど」 「問題はどっちに転んでも黒幕にとって得をする結果になるってことでありましょうな。 最悪、蓮司か光太郎のどっちかが世界に害をなすことになってしまうでありますから」 ため息をつく銀髪の少女。状況が絶望的でありながら、そのため息には絶望の色は見られない。 まったく、と彼女は呟いて言葉を続けた。 「私とマユリがいなかったら、世界終わってたでありますな」 「ほんとですね、ノーチェさんがいてくれて助かりました。 ウィザード側でこれだけ正確な情報を手に入れられる知り合いがいなくって」 「ウチの家宝の水晶球でありますからな。文字通り伝家の宝刀でありますよ」 メタなのかどうかよくわからない発言をした少女―――ノーチェは、自身の(薄い)胸をはった。 だいたい同じ年にも関わらずありえない発達段階にいるマユリは、ぐるりとストーンヘンジを見渡すと、一つ頷きサークルから出る。 ノーチェがたずねた。 「準備終わったでありますか?さすがはドイツの名門ヴァンスタイン。 伊達に空色の魔女から名前をいただいた自家弟子の末裔ではないでありますな」 「はい。そもそも、今東京で戦ってる人達がアンゼロットさんの全戦力だというのは間違いです。 この世界にいるウィザード全ての動向をセプごときに読み切れるとは思えません」 「でありましょうな。 特に東京にいるウィザードならばともかく、城が落ちる前に辿り着けない位置にいたウィザードのことなど計算にいれる必要はない。 ……向こうも聖魔王があんな力押しで城の落下を止めるとは思ってなかったでありましょうが」 「あれは確かに予想外でしたねぇ。私たち以外にもセプのやり口を知ってる人が助言でもしたんですかね? 魔殺商会ならその手の情報を知ってるかもしれませんが」 あそこもたいがい人外魔境ですからねぇ、と呟いてマユリは笑みを深めた。 「ともかく、おかげでなんとか間に合いました。 しかしなんで誰も気付きませんかね? この世界にあるもので相手の目を欺けないなら、他から補給すればいいだけの話でしょう」 その通りでありますよ、と隣でノーチェがため息をつく。 この世界が全て敵の掌だというのなら、外から掌をひっくり返させる何かを持ち込めばいいだけのこと。 それは、歌劇の世界においては「箱の外の神様(デウスエクスマキナ)」と呼ばれる手法。 使い古され、今では時に笑い者にされるやり方だが、この茶番をひっくり返してやるにはちょうどいい。 マユリがプラーナを解放し、告げる。 「―――来たれ」 プラーナの放出に、彼女の髪が風に煽られるように波立った。石の群れに淡く光が点ってゆく。 「我が望むはこの世界のどこかでなく、八つの世界のどこでもなく、七つ星の知りうる世界でもなく。 くだらない茶番をひっくり返すジョーカー、全ての常識を飛び越える常識はずれ、あらゆる秩序を鼻で笑って平気で無視するトリックスター! 遠き地にある我が呼び声に応え、ここに降り立て!」 言葉が終わると同時、凄まじい光がサークルから放たれた。 元から光に弱い性質のノーチェは、目を押さえて転がりながら目がー目がー、と悶絶しているが、マユリはそれを無視。 光が収まり現れた人影に駆け寄る。 人影は、マユリよりも3~4歳くらい年上だろう青年だった。 黒い髪に黄色人種特有の肌、ジーパンGジャンに赤いバンダナがかろうじて特徴と言えなくもない少年。 事態を把握できず呆然としている彼に向かって、マユリはいつもの調子で話かけた。 「はじめまして。私、マユリ=ヴァンスタインといいます。あなたのお名前は?」 「ヘ?お、俺は横島忠夫……っていうかここどこっ!?俺昨日は家に帰ってそのままぶっ倒れたはずっ!? なのにこんなところでカワイイ女の子に話しかけられてる!?まさか寝ている間に天国にっ!?」 やや図々しい勘違いをする少年、横島にマユリは笑顔で答える。 「ここはイギリスです。天国じゃありません、安心してください。 横島さん、とおっしゃいましたよね。後々色々説明するんで―――とりあえず世界を救ってもらえませんか?」 ここに、魔神さえ手玉に取ってみせた男の戦いが始まる。 こんなもんでどうだろーか? リオン様も東京とアンゼに目を光らせてたんでイギリスの動向を見逃したあたりで。 ……つーか、携帯キツイ。 3-869 :無敵のトリオ 一方そのころ地上では、三人の女性が戦っていた。 「何やこのバケモンの大群、大神の新兵器かいな?」 「その可能性も否定できないけど、どうやら違うようよ」 「なんでや?」 「………」 「見て、この化け物あの城から沸いているみたい」 そういいながら上を指差した 「ごっつい城やなぁ」 「………」 城を見上げる三人 「どうする?このままこいつら倒し続けるの?」 「きまっとるやんか、乗り込む」 「言うと思った、黒猫はそれでいい?」 「……(コクッ)」 どうやら三人の考えは一緒だったようだ。 「じゃあいきますか、2人ともしっかりしがみついといてな」 「わかってるわよ」 「……(ガシッ)」 2人は1人の大柄な女性にしがみつく と、黒い女性の頭に一匹の猫が飛び乗った 「……スキヤキくるの?……わかった」 黒い女性はそう言うと、その猫を抱え込んだ。 「準備完了やな、この事件もうちら地球最強のトリオ『ファーレンガールズと黒猫』にお任せや」 「……ちょっとまちなさいよ。アンタ、それ英語の意味分かって……」 その言葉を言い切ることも無く彼女らは紅き月の昇る空へ、式神の城に落ちて行った。 と言う電波が届き、勢いで書いた 3-870 U-1「われら」 KYO-YA「邪気眼四天王」 HARI-MA「通りたくば」 SAI-TO「われらを倒していけい!」 全部わかったあなたは素晴らしい邪気眼の持ち主になれるよw 3-871 その時、各地で奮戦していた勇士達の前に 強大で邪悪な波動を放つ四つの存在が立ちはだかっていた! 「はわっ!あなた、相羽祐一くんだよね!? どうしたの、その邪悪なプラーナは!?」 「……赤羽くれはさんと金さんだね? 俺は相羽祐一じゃ無くて、U-1!」 「Σあ!アンタ、播磨拳児さんっスか!? どうしてワタシの邪魔するっスか!?」 「……違うな、ベホイミ。俺はHARI-MA!」 「……恭也お兄ちゃん、どうしてあたし達にその二本の小太刀を向けるの? あたしだよ、恭也お兄ちゃんの妹の高町なのはだよ。分からないの!?」 「……違う、俺は高町恭也に非ず。KYO-YAだ!」 「Σ平賀才人さん、どいて下さい! わたしです!博麗神社の霊夢です! 忘れたんですか!? それに、ルイズさんとは一緒じゃないんですか!?」 「……ルイズは関係無い。俺は平賀才人じゃ無くてSAI-TO!」 「「「「我等、邪気眼四天王! 式神の城の力に依って裏新宿のアーカイバより具現せしモノ! 城の主の意志を妨げる者は容赦無く倒す!!」」」」 ……戦局はひとつの大きな山場を迎えていた……。 3-881 スカリエッティ「……これも計画の内。柊蓮司と玖珂光太郎には私の新たな傑作たる『アレ』の相手をして貰わねばな……w」 3-887 そしてさらにアクセルを踏んでみる 東京上空100000m。 現世に出現した『城』をも見下ろす遥か高空。 そこでもまた、戦いが繰り広げられていた。 「天の下に災いをなすものどもよ…」 「八百万の神々の力をもちて」 「これを討つ!!」 「「「魔女っ子戦隊!!パステリオン!!!」」」 「いや、ここでそんな決めポーズとられても」 「今回ボクら裏方だよ?」 「「うるさいよっ!?」」 「ふ、ふたりとも落ち着いて…」 赤・青・黄、それぞれ原色の派手な衣装を身にまとい、 珍妙不可思議な生物(ナマモノ)をお供に引き連れた三人の少女たち。 『城』の出現によって揺らいだ世界結界を支えるため、集結した彼女たちを待っていたのは…。 「うわ、凄い数…」 「今さ、あんまり派手なこと出来ないんだよね?世界結界崩れかけてるから」 「まあ、なんとかするしかないでしょ。なんとか」 いずこかの世界より引きずり込まれたと思しき異形の獣。 翼竜とも蝙蝠ともつかぬ異界の鳥たちは、その圧倒的な大きさと無限とも言える数をもって三人と三匹を包囲する。 しかし、彼女たちは恐れない。恐れるわけにはいかない。 なぜなら、彼女たちもまた世界を救う魔法少女(スーパーヒロイン)なのだから…! 「まあ、天敵の亀さんも来るみたいだしね?」 「ミフもタもないなぁ…」 邪気眼には厨設定でごー。 3-892 そして現れる邪気眼王O-GAMI 「俺が正義だ!」 3-893 で、式神の城を利用しようとする勢力も出るわけだ ワルモン博士「ふぁ~っはっはっはっ!式神の城の力はこの私のモノだ!」 ライト「そうはさせるか!」 ツインビー「ビー!」 すまん俺にはこれが精一杯だ 3-894 柊「Σ五月蝿ぇっ!!(一閃胴薙ぎ)」 光太郎「Σ邪魔だぜっ!!(腰の入ったキレ良い全身捻り入り右フック)」 O-GAMI「Σげはぁっ!?;」 ……O-GAMI、戦線離脱(リタイア) 3-908 SIN-G「O-GAMIがやられたか」 HERO-YUKI「所詮奴はわれら4大邪気王の中ではもっとも小物」 RYU-I「女の力を得なければ力を発揮できぬひも男よ…」 3-911 ちと流れに乗り遅れたがさらにちょっとだけカオスにしてみる アキバから少し離れた病院の一室にて 頭に包帯を巻いた男が城を見上げていた 「……俺が交通事故にあってなってなければ、今頃あいつらと一緒に戦えるのに」 「HAHAHAベリベリィダイジョーブですよゴ主人様なら!」 「うるせぇよ!ていうか何でお前がここにいるんだよ!」 「ああ、俺が連れてきた。嬉しいだろ?」 「嫌がらせか! 第一、柊と光太郎を一緒に戦わせるなんて何考えてんだよ! Aの魔方陣でクロスオーバーさせる気なのか!」 「クロスオーバーするつもりはなかったんだけど、この方が面白そうだろ?うひひ……」 「笑ってる場合か!最悪、無名世界観と主八界が繋がるぞ! 明らかに世界が壊れるだろうが!」 「大丈夫、今回のネタだから」 「超イッパツネタじゃねえか! ……くそ、矢野がいないから俺がツッコミやならいといけないじゃないか」 という、舞台の裏側を幻視 …やはり文才なしで携帯では無理があるな 3-913 魚雷ガール「興味なし」 4大邪気王「グフッ」 見てたヤツラ「満を辞して登場した敵の語りを切って捨てたーーーー!!!」 魚雷ガール「何なのこのカオスな状況!ふざけすぎよ!おふざけは許さない! なぜなら私は魚雷だから!」 3-917 小太刀は三輪と共にアルファ側の舞台裏で何か準備してるそうです 文才と気力がなくなって「だらけた雰囲気」だから他の人誰か続き頼む 3-923 せっかくなので、便乗してみた。 後悔はしていない。 「まったく、なんなんだこれは!!」 「せっかく……私と祐一と買い物の最中だったというのに」 「文句言ってないで、来るわよっ!」 高校生ぐらいの少年一人と同じ年代に思える美女二人。 平和な時あれば、両手に花な状況だと笑えたかもしれないが、 空から襲い来る異形たちの光景に笑っていられるわけもない。 「元凶は……あの城みてえだな」 厳しい目つきで少年が空を見上げる。 その目には異形の城が映っていた。 「このまま放っておくわけにもいかないし――行くわよ、なつき!」 なつきと叫んだ少女の手に、炎の円環が宿る。 「お前に言われるまでもない」 なつきと呼ばれた少女の手に、銀色の拳銃が出現する。 そして、力を現した二人の少女に、少年は手を伸ばし。 「鴇羽! 久我! 頼む!!」 「任せて、――カグツチィ!」 「私たちの愛を見せ付けてやろう、来い――デュラン!」 灼熱の黒龍。 絶対零度の銀狼。 黒と銀の落とし子――“チャイルド”が、空を覆う異形たちに咆哮を上げた。 3-927 流れに乗り遅れたけど、投下してみる。 「あれは一体・・・?」 『判らん・・・だが、アレを放っておけば世界の秩序が乱れるのは 間違いないだろう。』 ビルの屋上から突如、出現した『城』を見ながら少女は呟く。 その少女の隣にいた少年が少女に声を掛ける。 「シャナ・・・」 「判ってる。アラストール・・・あの城をなんとかすればいいんでしよ?」 『現状では、それしか方法があるまい。が、何があるか判らぬ。気をつけるのだぞ』 「判ってる。・・・悠二、頼りにしてるわよ」 「えっ?」 少女に頼られるとは思わなかった少年は、少女の言葉に少し慌てる。 その少年に、少女の胸元のペンダントが不機嫌そうな声を出す。 『貴様は、我々でも気づかぬ事に気づく事が多い。今回のように現状が把握できぬ場合は貴様のような 者がいた方が何かと便利やもしれぬからな』 「あ、うん、判った。頑張るよ」 『ならば言葉よりも結果で示せ。その為の鍛錬であろう?」 「うん・・・大丈夫。自分の身ぐらい自分で守れる」 少年の言葉に少女はクスリと笑うと、どこからともなく黒いコートと大太刀を取り出す そして長く美しい漆黒の髪が、燃えるような紅蓮へと変わる。 「それじゃ、行くわよ。悠二!!」 「うん、判ったよ。シャナ!!」 さらに混沌にしてみる。 そして、自分に文才が無いのが判った。 皆さん、スマソ。 3-936 おおう、電波が舞い降りた。 ~その頃の武蔵野市~ 「理事長~、秋葉原分校から救援要請が入ってますが~」 おっとりとした、どこか気の抜けるようなメイドの声。それは輝明学園秋葉原分校からのSOSを伝える、エコールのものだ。 だが理事長――天罪芽亜の態度はそっけない。 「そうか」 「そ、それだけですか~?」 ただ一言で切って捨て、おろおろとするエコールに皮肉っぽく口の端を歪めてみせる。 「忍者ジジイも耄碌したものだな。アレは運命の輪の外に居るものからどうにかできるような代物でもあるまいに」 「はあ」 「こう返信しろ。『せっかく寝た子を起こすな』、とな」 「はい~わかりましたぁ~」 「市一つを歴史ごと世界結界から切り取った……いや独立して作り変えた『力』だ。最悪、どこか別の世界に干渉しかねないからな」 「難しい~話ですね~」 「簡単な話だよ」 やれやれ、と芽亜は肩をすくめる。とても10歳くらいの幼女の仕草とは思えない。 「【下がる絢爛舞踏】爆誕、とか……嫌だろう?」 「夜ノ森」 「ん? どうした真白」 「ゆうえんちに、行った」 「行ったな」 「食事もした」 「したな」 「あとは、せっく――」 「わああああああああああああああぁぁぁぁぁっ!!!!!」 「ひはいほか(しないのか)」 「いや、そうじゃないけどっ! 直接的すぎっ!」 「むぐぐ」 武蔵野は今日も平和。 多分、この二人が居る限り。 3-941 流れが変わってようが気にせず勢いで書いてみた。 ――同時刻、某居酒屋 「ったく、世の中いつまで経っても物騒だな」 世の中を諦めきった、とでも言いたげに、酒場のおやじがぼやいた。ぼやきながらも支度の手は止めないあたり、随分と手慣れている。 「ふふふ、物騒なのはよいことだよ。なまじ平和ばかりだと、この伝説の暗殺者の腕も廃るというもの・・・・」 「物騒なお客さんはお呼びじゃないぞ」 半目で睨んでやっても、我関せずとワインを飲み干していく。 ちなみに彼の店にワインなぞ置いていない。堂々と持ち込みやらかすあたり、並の神経ではない。 「で、まだ開けてないのに何やってるんだ? 理由によっては叩き出すぞ」 さっきからどうも殺気立っている。おやじは自身をもてあましているのを感じていた。何でもない(迷惑な)客に、自然と警戒の姿勢をとってしまう。 当然だ。なにせ――直接ではないにしろ、かつてはお互いが敵であったのだから。 「理由なぞわかるだろう。"ディアボロス"?」 「さぁて、ね・・・・」 男のにやりとした笑みに、彼は僅かに眉を顰めてみせただけだった。 もう随分昔の話だ。彼が"悪魔"と呼ばれていたのは。 (最後に一花咲かせる・・・・のも。悪くないかもしれんな) だがそのときの彼は、かつての瞳のままで天空を見上げていた・・・・。 3-958 ~一方その頃、都庁屋上にて~ ペンギンの着ぐるみの様な物が腕いっぱいにお菓子や飲み物を抱えて歩いている 「エトナ様ー、お茶のおかわり買って来たッス」 「ハイハイごくろーさん。殿下ー、お茶だそうです」 「うむ」 ピクニック用のシートの上に偉そうにふんぞり返った少年がお茶を片手に その隣に退屈そうに寝っころがっている爆発した髪型のような少女がプリンを片手に 激戦に興奮して腕を振り何故か実況解説を繰り広げている仲間の堕天使を眺めて楽しんでいた 「しかし久々に人間界に着たと思ったらやけに面白い状況になってるではないか」 「何時かの人間界とは別みたいですけどねー」 「そんな事はどうでもよい」 手にしていたお茶の空き缶を握り潰しながらすくっと立つと腕を組んで更にふんぞり返った チャームポイントである二本の触覚がピンと天を衝く 「オレ様を差し置いて楽しい事をやるとは許さん!この超魔王ラハール様も参戦させてもらおうか!ハーッハッハッハッハァッ!」 「いや、でも殿下」 横で寝転んでいた少女がまたかと冷めた目で見ながら今にも飛び込んで行きそうな少年に水を差した 「何だ。人が良い気分で高笑いをしていると言うのに」 (何つーか更に収集つかなくなりそうな気がするんで大人しく観戦してませんか――……何て言っても聞かないしなぁ) どうした物かと数秒考え再度少女は少年を見上げて提案した。 「ここは両陣営が疲労した辺りで殿下がカッコ良く登場してですね」 「ふむ」 「両陣営が疲労した辺りで混戦の中に突如として現れる極悪非道な超魔王!」 「ほう」 「協力し合う両陣営!それを一薙ぎでブチ殺す殿下!」 「うむ、そ」 「ダメです!そういう展開だと絶対正義は勝たなくちゃいけないんです!ヒーロー物の常識です!」 身を乗り出して実況していた堕天使の少女が振り返りながら今までの話の展開にケチを付け出した 目の前で始まった堕天使と悪魔による話の展開朝まで生討論会。 出鼻をくじかれた少年はそれを放る事も出来ず仕方なしに新しいお茶のプルを開けたのだった。 更に丸投げ ← Prev Next →
https://w.atwiki.jp/nwxss/pages/77.html
輝明学園。 一部の界隈では有名なその学園の高等部では、今日も今日とて世界の危機が――― 「な、なにするんだよう!出れないじゃないかぁ!」 「へっへっへ…てめえが悪いんだろ?」 「高校生にもなって学校でトイレに行くなんて馬鹿な奴だぜ」 ―――失礼。 世界の危機ではなく、悪質ないじめがが起きていた。 「ぼ、僕の勝手じゃないかぁ!? っていうか小学生とか中学生ならともかく、普通高校生ならおっきい方のトイレぐらいくだろ!?」 「知らねえなあ」 「水を上からぶっかけてやるぜ!」 「はっはっは! 今日は体育もないから着替えも持ってきていないはず!」 「濡れた制服で授業に出るがいい!」 「すこしすっぱい臭いをさせて女子に引かれるんだな!!」 「や、やめろおおおおおおおおおおお!?」 個室トイレに閉じ込められ、涙目のいじめられっ子。 扉の外では、数人のいじめっ子達がドアを抑えているのだろう、非力な彼がいくら頑張っても扉は開かなかった。 いじめられっ子は、世の不条理を嘆く。 なんで僕だけいじめられるのか。 なんでいじめっ子達は僕を標的にするのか。 僕を守ってくれるヒーローはいないのか。 ちょっと気になるあの子の料理はもう少しうまくならないのか…! そう、思ったときだった。 「おい。 そこまでにしておけ」 どこか、頼もしげな声が男子便所に響いた。 いじめっ子には姿が見えないが、その声だけで十分だった。 その男の人は間違いなく、かっこいいに違いない。 そんな、どこか的外れな思いをいじめっ子は抱く。 「そ、その微妙に悪い目つきと微妙にいいガタイ、そして身からあふれ出るどうしようもない不幸なオーラ…! てめえは…!?」 「し、知っているのか瀬田!」 「へ…何やらいろいろ気になるが…俺のことを知ってるとはな。 なら、悪いことは言わねえ。 痛い目みねえうちにとっとと消せな」 「…噂の二年生…!ひいら「二年生じゃねえっ!?」 打音。打音。打音。 「げ…げふっ…間違った…ちゅうが「いい加減にしやがれっ!!」 さらに打音。 「へへ…お前のことは知っている…世にも不幸な男が「ちっくしょう…!!」 何やら地団太を踏みつつ、しつこく打音。 と、そこでようやくいじめっ子達は駆け出して行った。 結果的にいじめっ子を助けた男は、しばし息を切らせていたが、間もなく、落ち着いた声でこう彼に呼びかけた。 「…あいつらはもういねえ。 出てくるんなら今のうちだぞ」 「…あ」 今更ながら、いじめられっ子は扉を開く。 ぎい、という錆びた蝶番の音とともに、彼は個室トイレの外にでる。 扉の前には、彼の言うとおり、いじめっ子の姿はない。 そこにいたのは、一人の男。 目つきが悪く。 どこか不幸そうで。 あるいは、どこか苦労性な雰囲気が漂い。 そして何より。 「…ああ…やっぱりかっこいい…」 「…は?なんか言ったか?」 「い、いえ何も!」 「…変な奴だな。 ま、とにかく今度から気をつけろよ」 じゃあな、と言葉を残して去っていく男。 いじめられっ子は、その背中に向かって声をかける。 「あ、あの!!お名前は!」 「…名乗るほどのもんじゃねえさ」 軽く片手を上げ、男は去っていった。 少年の心が、ずきん、と痛む。 その胸の痛みは、切なくて、重い。 それを紛らわすように、少年は。 「…貴方の背中…すごく、大きいです…」 頬を染め、つぶやいた。 ヒーローは、確かにいた。 少年―――真行寺命は、自分のことを助けてくれたヒーローの顔を、しかと、その眼に焼き付けたのであった。 「…何してるの、命」 「うわっ!?」 突如かけられた声に、命は文字通り飛び上がった。 慌てて声の元を探ると、トイレの入り口に、彼の知った顔があった。 「あ、あかりん?どうしたの?」 「…命が、いじめられてたから」 ああ、と言って、顔見知りの少女に向かって命は笑う。 「大丈夫だよ…名前は知らないけど、僕を助けてくれた人がいたから」 「…そう。よかった」 「?あかりん、どうしたの?」 「…なんでもない」 あかりん、と呼ばれた少女はそうとだけ言って命から視線を外す。 そこに表情は浮かんでおらず、彼女が何を思っているかは読み取れない。 「…それより、次の任務がはいったわ」 「え…?」 『任務』、という言葉に命が目を瞬かせる。 命が何かを言うより早く、少女はこう言った。 「今回は、命にも手伝ってもらうから」 「…え」 少女の言葉に、命はどこか不安を覚えた。 そして、その不安は―――的中することとなった。 ■■■ 「おい…あれって…?」 「三年の柊だ…」 「え?俺は二年って聞いたけど?」 「そんなことはどうでもいい。 問題は奴の隣にいる中等部の女の子だ」 「妹だってよ」 「義理の妹だって!」 「外国にいたんだけど、最近一緒に暮らし始めたみたい!!」 「しかも二人きりで!!!」 「同棲!?」 「柊くんのこと、かけがえの無い人って言ってたわよ!」 「な、なんだってー!?」 「義理の妹で外国人でお嬢様でお兄ちゃんっ娘だと…!?」 「おのれ柊蓮司…!なんであいつだけ…!」 「赤羽さん、二年の真壁さん、最近見てないけど七瀬さんに…女の敵め!」 「あ、中等部の志宝ちゃんともべったりだよな。さりげなく」 「学園の美少女をなんだと思ってやがる…!」 輝明学園の放課後。 一人の男と、一人の少女を取り囲むように、人だかりがあった。 男と少女が歩くと一定の距離をおいて、人だかりもまた、動く。 それはまるで油にはじかれる水のようである。 確かに、男の方にも少々近寄りがたい雰囲気があったが、人だかりが距離を置く最大の理由は少女であろう。 着ているものこそ中等部の制服だが、その一挙手一投足は洗練されたものが感じられる。 姿もまた、本当に人かどうか、疑いたくなるような容であった。 そんな、絶世の美少女―――かもしれない―――の傍ら。 人だかりの中心で。 周囲で聞こえる話に耳をふさぎたくなる衝動を抑えながら、柊蓮司は隣に歩く少女―――のようにも見える存在―――に話しかけた。 「お前…何言った?」 「さあ、なんのことでしょうか、お兄さま」 「だから止めろっつってるだろうが!?気持ち悪いんだよ!!」 「あらあら…そんなことを言って…いいんですか?」 「はあ!?何がだよ!」 「単位。あげませんよ?」 「うぐっ…」 それ以上の言葉を飲み込み、柊蓮司は諦めたように歩く。 まあ実際諦めてるわけだが。 柊蓮司は、とある事情により、つい最近まで全く学校に出席できていなかった。 ここ一週間ほどはまともに学校に出ているものの、どう考えても出席日数も単位も足りない。 それを一発逆転できる鍵を、妹を名乗る、彼の隣を歩いている女は握っているのだ。 鬱屈した思いを抱えながらも、柊蓮司は無理やり言葉を絞り出した。 「…しかし、その名前どうにかなんなかったのかよ」 「あら。気に入りませんか?」 「柊小蓮ってなんだよ…外国から来たんだろうが」 「ですから、日本名は柊小蓮で、外国名がアンゼロット、というわけです」 「…わけわかんねえよ」 首をかくり、と折り、彼は溜息をつく。 不愉快だ、というのを隠そうともしない。 と、その時。 「…ちょっと、話があるんだけど」 周囲の人だかりの中から、一歩歩み出てきた者がいた。 なぜか巫女服を着た少女。 彼女の姿をみとめて、柊蓮司は尻ごみするように手をあげ。 彼の自称妹は、優雅に一礼した。 そしてさらに。 その少女が、柊蓮司とアンゼロットに歩み寄った途端、ざわめきが一挙に大きくなった。 「ま、まじか…」 「これは…」 「何が起こるんだ、一体…!」 「頑張れー、赤羽さーん!! あんなぽっと出の小娘なんかに負けるなー!」 「しゅ、修羅場…!!」 緊張感があたりを包む。 固唾を飲んで、周囲の人々が彼らを見つめる中。 巫女服姿の少女。 柊蓮司の幼馴染である彼女は、静かに口を開いた。 「ひーらぎ、晩御飯どうする?」 かくて人だかりは散ってゆき。 柊蓮司、アンゼロット、そして赤羽くれはは共に家路をゆくこととなった。 観客達はのちにこう語る。 「まあ、なんていうか? 古女房の貫録を見せつけられた、って感じかな」 「それでもさりげなく眉毛がぴくぴくしてたぜ」 「やっぱ嫉妬してたんだろーなあ」 「個人的には小蓮ちゃんに頑張ってほしい」 「あのあまりにも強固な壁を突き崩せるかなあ」 「胸も最近大きくなったしね」 「アンゼロット様のためなら死ねる」 さてはて。 ■■■ そのころ、校舎の片隅では。 ひと組の友達以上恋人未満な男女がこんなやり取りを繰り広げていた。 「あ、あかりん…本当に、これ、やるの…?」 「…」 「あかりんの、格好…もそうだけど、僕、こんなもの持たされてもどうすればいいのか…」 「…大丈夫。命なら、できる」 「む、無理だよ!?」 …後半に、つづくっ!! ← Prev Next →?
https://w.atwiki.jp/nwxss/pages/65.html
4-83 ナイトウィザード!クロス群雄譚―式神の城異聞―/追補編#4-83 4-90 かつてない危機にウィザードや異世界の者たちが力を合わせて戦っている頃、後方支援部隊による、目には見えないもう1つの戦いが繰り広げられていた。 そう……世界結界の維持である。 多くの裁定者たちや、結界能力を持つ魔法使いたち、そして各国首脳陣による情報統制。 彼らの努力が功を奏してか、多くのイノセント達はこの真実を知らずにいた ―― 今は、まだ。 日本のとある町に住む、南家の3姉妹もまた大衆の例外ではない。 幸いなことに、彼女たちは何も知らないまま平凡な日常を淡々と過ごしていた。 * * * だだだだだだっ! ガチャッ ……ギィッ……ばんっ! カナ「たっだいまー! いま帰ったぞー!」 チアキ「近所迷惑を考えろ、バカ野郎」 見慣れた姉の暴走に、面倒臭がりつつも的確にツッコミを入れる千秋。 カナ「そんなことよりもだ、チアキ。私は今、もの凄く憤慨している!」 夏奈は高らかに主張する。 カナ「なんなんだ今日の天気は! 今朝の天気予報を見たか? 私の記憶によれば快晴だったはず! なのに……この天気は! ああ、これは陰謀だっ!」 びし!と指したその先にある大きめの窓に映ったのは、白い雪。 チアキ「いつの間に……」 自分が帰ってきたときはポカポカの陽気だったはず。 今回ばかりは、カナ(⑨)の言うことも一概には否定できないようだ。 * * * やがて雪は本降りとなっていく。この勢いなら、明日の朝を待たずして地面に積もることなるかもしれない。 風も出てきたらしく、窓がガタガタと震えている。 もはや外は吹雪と言ってもいい。 ハルカ「ただいま…」 チアキ「お帰りなさい、ハルカ姉様」 カナ⑨「おかえりハルカ。いやー、吹雪の中、大変だったろう?」 やがて日も落ち(元から外は暗かったのだが)、3姉妹の長女・春香も帰宅する。 ハルカ「ごめんね遅くなっちゃって。いまご飯作るから……」 吹雪の中の帰宅だったはずだが、ハルカは不思議と疲れを見せない。 そんなことを気にしていても始まらないので、夏奈は素直にコタツで待つことにする。 * * * 白米と味噌汁、それに昨日残った根菜の煮物。 見事なまでの手抜き料理だが、煮物に調味料と野菜を加えれば、それなりに印象も変わるものである。 外の様子とは対照的に、家の中はいつも温かい。 春香はそんなことを考えていた。 妹2人と食卓を囲みつつ、話題は自然と不思議な空模様の方向へ。 いつもなら単なる笑い話、「変ね」と相槌を打つだけで済む話なのだが、今日だけは少し違っていた。 この天気の原因に、春香は1つだけ心当たりがあったからである。 春香の瞳に決意の炎が宿る。妹たちを守れるのは自分だけだと。 ハルカ「カナ、ちょっとチアキのことお願いね。すぐ……すぐに帰ってくるから!」 カナ⑨「おい、ハルカ……?」 何かを思い出したかのように、春香はそっと立ち上がる。 壁にかけてあった厚手のコートを羽織り、妹たちには詳細を告げぬまま、吹雪の夜へと消えてゆく。 ハルカ「(ごめんね、2人とも。絶対に戻ってくるから)」 その夜、春香が家に戻ることは無かった。 * * * 南春香、高校2年生。彼女は再び舞い降りた ―― 二度と戻るまいと思っていた“戦い”の世界へと。 地球を護るため。そして何より大切な家族を護るために。 ハルカ「(それが、ウィザードの使命だから……!)」 世界の闇に隠された真の番長伝説が、今ここに蘇る。 4-94 「――ふぅ、奴の相手は少し気疲れするな;」 転移装置を経由して今回のアジトに戻ったスカリエッティはそうひとりごちた。 「……ならば態々自ら出向いて相手をしてやる事もなかろうに……」 部屋の陰からスカリエッティにそう声を掛ける一人の男。 充分に老人の域に足を踏み入れている白衣の老紳士。 しかし、その隻眼の瞳の輝きは強い野心と知的探求心に彩られ爛々としている。 「そうも行かなくてね。科学者なんてのは皆、薄い根拠しか無い自尊心の塊だからね… この私スカリエッティを除いて。だから、おだててのせてやるのが一番効率が良いのだよw 地上はDr.マシリトで充分陽動出来るでしょう。それより、準備は進めて置いて貰えましたか ――Dr.ワイリー」 「ふん、手を抜いても何も良い事は無いからの。自分の目で確かめてみぃ」 応じてスカリエッティはつかつかと壁際に歩み寄り、壁のパネルを軽く操作する。 すると、周囲の壁全面がスクリーン化してその表面に無限に拡がる大宇宙と スクリーン越しにスカリエッティ達を取り巻く異形の戦闘ユニット群無数にが映し出される! 「……ふむ、上出来ですね。この、バクテリアンのゼロス級移動要塞を更に改造して最早別物に まで強化したビッグコアをモチーフにした名付けて『ジェネシス・コア』を旗艦として、 東京に派遣したバクテリアンやヴァーミス共の戦力を補って余り有る高速常進化型戦闘生命体 ――バイドの大軍団! これだけの手勢を以てすれば、今大気圏スレスレで暴れている パステリオンとやらの魔法少女共や、姑息に動き回っているジャスティスリーグの衛星軌道上の 基地も自身を世界の守護者と語るアンゼロットとやらの宮殿も物の数では無いっ! ……これで、式神の城に宇宙からのエーテル・エネルギーを送信する経路が 今よりももっと太く確立出来る。さぁ、全軍出撃だっ!!」 熱に浮かされた様に熱狂している風情でスカリエッティは全軍に進撃を命じ、 月より巨大な艦体を誇るジェネシス・コアを中心として バクテリアン・ヴァーミス・バイド混成の大軍団が動き出した。 (……やれやれ、スカリエッティの奴、既にバイドに侵され始められている様じゃな; まぁ良い、あの御方直々の依頼故にこの儂Dr.ワイリーが目付役に着いてやっているが、 何、いざとなれば切り捨ててあの御方の許に合流するだけよ。 それに、奴等もそろそろ動き出しているじゃろうて……) Dr.ワイリーは只独り、この場で冷静に状況を見据えていた。 4-97 「――Σぐはぁっ!?;」 怒濤の勢いで激進していた筈の魚雷ガールは、倒された。 「……何、一体……!? 何をされたのか……全く分からなかったわ……? けど…何? この狂おしい程の愛への飢えは!?……Σあ、はあぁぁぁんっ!///」 魚雷ガールは息絶えた。 そんな魚雷ガールを傍らから見下す一人の男。 「……ふ、所詮ハジケ程度では俺には勝てないよ。この俺―― 〈邪気眼衆〉筆頭の、伊藤誠をベースとしているMA☆KO☆TOにはな!」 MA☆KO☆TOが後ろを振り返ると、それまで控えていた数名が進み出る。 その手に持つGペンを振るい星をも砕く、千堂和樹ベースのKAZUKI! その女性への妄執は歪んだ奇跡さえ起こす、横島忠夫ベースのYOKOSHIMA! その魂に秘めた零時迷子は無限の力を生む、坂井悠二ベースのYU-JI! 普段は怠惰だがやる気を出せば何者も敵わぬ、藤田浩之ベースのHIRO-YUKI! その他にも数多くの邪気眼戦士が集っていた。 猛者揃いの邪気眼戦士達の注目を集めつつMA☆KO☆TOが口を開く。 「……どうやらHARI-MAが討たれたらしい。 何、邪気眼四天王なんて言っても、所詮は今の知名度から付けられた呼び名。 今居るこの中には知名度は低いかも知れないけど邪気眼度では四天王を上回る者や、 出自が古過ぎて今は花道からは外れていても未々邪気眼度は落ちていない古強者は居る。 さぁ、俺達の具現化に力を貸してくれたあの御方の為にも、 そして俺達の存在と邪気眼ぶりを世に知らしめる為にも、 街中そして城の中に入ってしまっている勇士達を倒しに行こう!」 その掛け声に応じ、邪気眼戦士達は散って各勇士達の許に向かった。 ……ふと、MA☆KO☆TOは足許に転がる魚雷ガールに再び視線をやる。 「……痕跡は消して置くか。――『Nice Boat!』」 コマンドワードを唱えると、魚雷ガールの遺体はみるみる内に小さな汽船に姿を変じ、 直後に開いた次元の大河へと流され消えて逝った……。 と、悪いけれど(書き手的にも)厄介そうな魚雷ガールを先んじて封じさせて貰った。 4-106-107 続?神様が多すぎる 了解! では、ひとつ妄言をば。 何処かも知れない世界の狭間── モニターに映る映像を嬉々として見守る者たちがいた。 彼らは神だった。 破壊創造神、世界神、経営神、思想神…最後の方がちとおかしいが。 ともかく彼らは非常に飽いていたのだ。世界を作ってはうっかり壊しちゃうくらいに。 そんな彼らがこの事態を黙って見過ごすはずがない。 モニターの中では柊蓮司と玖珂光太郎が当たるは幸いに、有象無象の化け物どもを蹴散らしている。 「いいぞー、もっとやれー」 「彼らの企みに便乗して適当に世界を繋げてみたのは正解でしたわね」 「ああ、これもあちらの創造神の協力のおかげと言うもの」 「かみさまch(仮)様様だな」 津々浦々の英雄たちが命を懸けて戦っている最中というのに、この事件の黒幕…もとい、混沌を更なる混沌に導いている元凶たちは、ちゃぶ台を囲んで呑気に宴会を開いているのである。 「ん?かの神が『ここでウチのエンディヴィエ投入wwww』と申しているが」 「いやいや、ここはやはりあの"時を喰らう者"をだね…」 「ちょっとまって、なら集団的無意識に封じられたアレを…」 「いっそ変化球で"焔の災厄"なんてのはどうでしょう?」 喧々囂々。 挙がっているのがどう見ても殺せないのばかりなのはご愛敬。 「まあ、ここは見守ろうじゃないか。我々が作ったHEROがそうそう運命に屈する訳がないよ」 「それもそうだ。何せ"あの"柊蓮司が一緒に居るのだしな」 天は灼け、地は割れる───モニターには激しい戦火に包まれる、摩天楼の群れが映し出されていた。 「ところで、一般市民の被害はどうなっているのかしら」 「それなら問題ないよ。九鬼財閥が事前にあのへん買い取って、全部避難すませたから」 「OKOK、よかったよかった。やっぱり人死にはよくないからな」 「もちろん、彼らがしくじれば繋いだ全ての世界は滅びることになるだろうけどね」 混沌は依然として深く、その全貌を見せてはいなかった── 4-108-109 「……なんだありゃ」 悪の秘密組織・『クロック』の構成員NO.37564は目の前の光景を端的にそう表現した。 それも仕方のないことだろう。赤いマントをひるがえし、どピンクの制服を着た少女っぽい何かが、群がる敵の軍勢をばったばったとなぎ倒すというのは、なかなかお目にかかれるものではない。 しかし彼のつれの一人、赤いボディスーツの男はそんなことを気にすることもなく。 「何をしているNO.37564!あの少女を放っておくわけにはいかんだろう!」 とうっ!とヒーローポーズを取りながら、空中で3度ほど回転して少女の傍に駆け寄る赤いヒーロー。 その考えなしぶりに頭を痛めていると、となりの可憐な姿の怪人がにこやかな笑顔で彼をうながす。 「ほらほらNO.37564さん、このままだとレッドさんにお仕事とられちゃいますよ。私達への総統命令も『この状態をなんとかしろ』なんですから」 「……それもそうなんだけどな。あの中に飛び込むんだぞ?少しはお前も躊躇ってもんを……」 「大丈夫ですよ、NO.37564さんがいるんですから」 そう言われては彼に逃げる道はない。一つ嘆息して、彼は彼女に答えた。 「了解、行きましょーかシルク様」 「はい、行きましょうNO.37564」 両者とも跳躍し、軽々と化け物の群れを飛び越して赤いヒーローとピンクの魔法少女のところへとたどり着く。 悪の秘密結社『クロック』によって作り出された怪人に、その程度のことは造作もない。 彼ら四人はお互い背中を合わせ、互いに言葉を交し合う。 「えーと……貴方達は?この非常時にヒーローもののコスプレは笑えないッスよ?」 「安心してくれ、と言うべきなのかわからんが。ここにいるのは本物の戦隊もののヒーローと悪の組織の幹部とその下っ端だ」 「ほんとに安心していいのかどうかわからない説明ッスね。そもそもなんでヒーローがレッド一人なんスか。そしてなんで悪の組織と仲良くしてるんスか」 ベホイミのその問いに答えたのは、赤いヒーローだった。 「簡単だ。俺は子供の笑顔のために戦う。そしてこいつらはこいつらで守りたいものがある。共闘するには十分な理由だろう?」 マスクで顔は見えないが、ベホイミはそのヒーローの告げた言葉にクスリと笑った。 そうだ。ヒーローと魔法少女には、子供の夢が詰まってる。たくさんの、夢をかなえたいという気持ちが詰まっている。 その想いはけして間違いじゃない。ヒーローは、魔法少女は、子供の描く夢であり、その夢を守り続けるものであるべきだ。 「顔も見えないッスけど、なんだかアンタとはいい酒が飲めそうッスね。 これが終わったら一杯付き合わないッスか?レッドさん」 「む、いかんぞ。キミは未成年だろう」 「そんなとこまで細かくなくてもいいじゃないスか、祝杯ッス。 そこの悪の組織のお二人も、一緒にやらないッスか?ウチのクラスの連中だったら、牛丸ごと用意するくらいわけないッスよ」 「うーん、それはかなり魅力的なお誘いですね。ウチもこの間壊滅しかけて資金が足りなくて。 基地の維持費だけで構成員達がそこらへんの弱小組織潰したり真面目にバイトしたりして必死にやりくりしてるとこなんですよ」 どんな悪の組織だ。 そんな彼らを覆う包囲網は、徐々に狭まっていく。それを感じてとったベホイミは最後に彼らに問いかけた。 「名前は?背中を預ける人間の名前くらい、知っておいてもいいでしょう?」 まず答えるのは赤いヒーロー。 「俺の名前は柏木クロス!たった一人の戦隊の、リーダーにして構成員!」 続くのは花蟷螂の可憐な怪人。 「私はシルク=シックル。悪の秘密結社『クロック』の、たった一人の怪人です」 乗り遅れたように、無個性な黒いボディスーツの男。 「俺にはシルクみたいな名はなくてな。NO.37564と呼ばれてる。それでいい」 最後に名乗りを上げるのは、拳を握り不敵な笑みを浮かべる魔法少女。 「私の名前はベホイミ。新感覚癒し系魔法少女ッス」 「「「拳握ってるのに癒し系?」」」 「三人で一斉にツッコむなぁぁぁぁっ!?」 その声と共に、4人は別々の方向へ突貫を開始した。 所沢の人たちが地上迎撃班と知って嬉しかった。だから書いた。後悔はしてない。 4-112 「良かろう子供達! 事件解決の暁には我が国が誇る アメリカ産牛肉をパンチ一発で確・実!に戻すまで たらふくプレゼントしよう! ピザとコーラも好きなだけだ! レッツパリィイイイイイイイイイイイ!!!」 という叫びと共に上空を大統領閣下が飛び去って行きました 4-114-115 再び、カメラは都庁の屋上を映し出す。 レジャーシートを広げ、お茶やお菓子を片手に観戦モードを決め込んでいるのは、魔界と呼ばれる異世界のの住人たち。 エトナ「はいはい殿下もフロンちゃんも。目を離すと展開についていけなくなりますよ?」 魔神エトナのこの一言が、一瞬にして場を治めた。 ついさっきまで正義と悪の美学について熱い(暑い)議論を交わしていたラハールとフロンの2人だったが、やはりバトルの行方は気になって仕方が無いらしい。 まあ、いつものことである。 ぶつぶつと文句を垂れつつも、ラハールは映画の予告編のように移ろい続ける戦況に目をやった。 話すことがなくなると急に口が寂しくなるのか、目線を逸らさぬまま辺りに散らばる菓子に手を伸ばす。 しかし、その手はただレジャーシートを撫でるのみ。 ラハール「おいエトナ。プリンを出せ、プリンを」 エトナ「イヤですよ殿下! これはあたしの分っ!」 決して盗られまいと、エトナはプリンのカップを反対側へと避難させた。 フロン「見てください、あそこ! 誰かが立っていますっ!」 ラハール「……ん? 」 異形と戦う人間たちの前に、近くの電柱の上から颯爽と現れる2つの影。 さすがは特撮マニアの堕天使フロン。こういうところは目ざといらしい。 フロン「やっぱりヒーローは高いところから! こうでなくちゃいけませんっ!」 目を輝かせながら、少女は力説する。 遠目なのでハッキリとは分からないが、現れた2人のヒーローのうち1人は如何にもヒーローと言うべき筋肉質の男性。 そしてもう1人は…… ラハール「どこかで見たような姿だな」 エトナ「どう見てもプリニーです」 フロン「プリニーさんです」 そんな3人のツッコミはともかく、地上では彼らの名乗りが始まっていた。 筋肉質の男性「私は第37代地球勇者キャプテン・ゴー……うわぁぁぁぁっっ!!!」 数多の異形の攻撃に合い、一瞬で撃沈するアメリカンヒーロー。 緑色のプリニー「ゴードン! ……異形どもめ、卑怯な! だが任せろ、お前の敵は必ず俺が取ってやる! 俺の名は第38代地球勇者カーチス! 来いッ! 俺が相手になってやる!」 地球勇者カーチスと名乗った緑色のプリニーは、光線銃を片手に異形どもを撃ち落していく。 どうやら、こちらの実力は本物らしい。 カーチス「俺が来たからにはお前らの好きにはさせん! ……待っていろ! もうひとつの地球の同志たちよ!」 そう言って、カーチスは敵のど真ん中へと飛び込んでいく。 ラハール「……あ。」 エトナ「……あ。」 フロン「……あ。」 カチッ(着地) カーチス「しまったぁぁぁぁっっ!!?」 BOOOOOOOOOMB!! 地面に衝突した瞬間、カーチスの身体が弾けとんだ。 エトナ「見なかったことにしませんか、殿下。」 ラハール「気が合うな、エトナ。」 こうして、東京の夜は更けていく。 フロン「さすが……かっこいいですっ……(ぽっ)」 エトナ「……。」 4-117 地球圏が混沌の渦に巻き込まれている頃… 遠く離れたアステロイドベルトではある事態が起きていた。 事の起こりは数時間前… アステロイドベルトに展開していたイレイザーの艦隊はあるものを発見した。 それは巨大な繭だった。 早速調査のため部隊を派遣した。 だが近づいた宙間戦闘機たちは繭に近づいたとたん塵と化した。 危険と判断した艦隊は繭の破壊を決定、即座に攻撃を開始した。 しかし… 「駄目です。砲撃、効果ありません!!」 「くっ、『アレ』は一体なんなのだ!?」 ありとあらゆる攻撃をバリアで弾き返したのだ。 「我が艦隊の一斉射をこうも簡単に…」 「艦長このままでは我が艦隊は全滅します。」 副長の言うとおりアステロイドベルトに駐留しているイレイザー艦隊は既に半数にまで数を減らしていた。 ある戦艦は大繭から分裂した子繭の繭糸に貫かれ、また特攻を仕掛けた戦艦は接触寸前にその身を塵に変えられた。 「やむおえん。この宙域を放棄。ラユュー総司令の艦隊と合流する。」 艦長はモニターに映る巨大な繭を見据える。 ありとあらゆる物を塵に変える危険な存在。 その繭は分析により地球に向かっていることは確実だった。 「もし『アレ』が地球に到達すれば…眠りのときを迎えることになるな。」 艦長は合流後の総司令への報告のことを考えながら呟いた。 さっきクリアしたら思いついた・・・後悔はしてない。 4-119 「なんか・・・すごい事になってるね・・・」 所々で繰り広げられいる様々な戦いを目の辺りにしている悠二は、 小さく身震いする。 『うむ・・・流石の我もこのような事態は知らぬ』 見たことも無い服を纏う女性や特撮などでしか見ない格好の者。 もはや、事態は混迷の一途を辿っている。 『一体どうなっているのだ・・・』 「アラストールにも判らないの?」 『我もこのような事態は初めてだからな・・・』 シャナとアラストールがどうのように事態を解決するのか悩んでいる間、 悠二は『城』をずっと眺めていた。 「悠二!!城なんか眺めてないで何か考えて!!」 「うわぁ!!ご、ごめん、シャナ・・・」 シャナに怒られて情けない姿の悠二にアラストールは呆れながらも、 助け舟を差し出す。 『まぁ、待てシャナ。こやつもただ突っ立ていた訳ではあるまい。 坂井悠二、何か気づいたのか?」 「あ、うん。気づいたっていうより唯の推測なんだけど・・・この世界って僕たちがいた 世界とは違うんじゃないかな? 「私たちの世界とは、違う?」 『どういうことだ?』 首を傾げるシャナと疑問の声を上げるアラストールに悠二は、 今の己の考えを話す。 「多分、あの城が色んな世界の人達を呼寄せてるじゃないのかな? だから、今のような状況になっているんだと思うんだけど・・・」 『だが、坂井悠二。何故異なる世界の住人を呼寄せる必要がある? それでは悪戯に世界を乱すだけでは無いのか?」 「そこまでする理由は判らないけど・・・ただ、そうしなくちゃいけない理由があるんじゃないかな?」 『なるほど・・・。となると、かなり大掛かりな事をしていると考える必要があるな・・・。 何れにしろ・・・』 「あの城に乗り込む必要があるわね」 アラストールの言葉に続くようにシャナは宣言する。 悠二もその言葉に頷く。 「でも、敵も馬鹿じゃないならこちらにもそろそろ気付くでしょうね」 『既に気付いてるかも知れぬな・・・。遅れるでないぞ、坂井悠二』 「判ってるよ・・・」 シャナと悠二とアラストールは、混迷を深める街をさらに、 前へと進む。 4-120 「見つけたぞ!ベースがハレンチ極まりなき邪気眼共」 「「ゲッ…」」 次なる目標を選定していたMA☆KO☆TOとYOKOSHIMAの前に現れたのは ハバネロ錬金術師エロガード・エロリップであった。 ベースとなっている存在が存在だけに彼にとって邪気眼たちは真っ先に殲滅する対象であるようだ。 エロガードは両手を合わせ力を行使する。 「ボーボーをツルツルに変える力!」 「ギャア~~~~!」 2人が悲鳴を上げる。 ベースとなっている存在が存在だけに恐ろしく効果があった… そして、悲鳴を上げたのは2人だけではない…この攻撃は周囲にも影響を与えていた… 「お、俺のアレが…」 「Noooooo!!!!」 「わ、私のまで…」 「わ、わいのが~!!!」 「うわ~ん!!」 …敵味方問わず一般的な男性のテンションが一気に下落した。 だが、やはり致命的な被害を受けたのは邪気眼達であった… そして、さらに不幸が重なった邪気眼が一人… 「し、しまった!!」 KYO-YAが声をあげる。彼の視線は自分の手元…そこには 「カジカジカジカジ♪」 「武器食われたーーーー!!!」 彼の獲物をおいしそうに食べるガッちゃんの姿があった。さらに油断した状態の彼を好機と見たのは対峙していたフェイト。 「チャンス!プラズマザンバー!!」 渾身の力を込め彼女はザンバーを振り下ろした。ザンバーに飲まれKYO-YAはその身を消滅させた。 「クピー!」 『Help!!Help!!Ser!!』 「あ、あの…バルディッシュは食べ物じゃないから…」 そして、至近距離で直撃を食らったあの2人は… 「ふん!口ほどにもない…」 そう呟くエロガードの後ろにたたずむ女性が2人… 「たくバカ息子の偽物が…手間掛けさせんじゃないよ」 一人は帯電した神通棍を持ったグレートマザー横島百合子… 「ふふふ!これでずっと一緒ですね。誠君」 もう一人はMA☆KO☆TOのオリジナルにご執心の桂言葉… 邪気眼とはいえそっくりなMA☆KO☆TOの首を手にご機嫌だ。 彼女達は錬金術もて力を苦手なものに変える力によって現れた一時の幻影だ… 彼女達によって2人は殲滅されていた。 ちなみにやられる描写は煩悩をタイガーの存在感に変える力によって省略だ。 「さて、エロガードさんだっけ?偽者は片付けたけどまだ、本物のバカ息子が残ってるし、私は行かせて貰うとするよ」 そういって本物の横島の元へと百合子は向かっていった… ブルッ 「な、なんや!?こ、この悪寒は…ま、まさか、母さん!? なんであの人が!?うう~!!大事な部分はなんかキレイになっちまうわ! 母さんは現れるわ!なんでワイはこんなに不幸なんや~!!」 「あ~…気を落とさないようにね…」 あまりにも不憫に思ったベルは敵である横島を慰めた。 「…幻影のはずなんだがな…ま、まあいい!!所詮、横島は煩悩魔神!! 気にしてやるような男ではない!!とりあえず…こっちだけでも…」 と、言葉を消そうとするエロガードだが… 突如、戦場の流れ弾がMA☆KO☆TOの首に直撃しはじけとんだ 「……あはははははははは!!あなた達……許しませんよぉぉぉぉぉ!!!!」 MA☆KO☆TOの首を破壊された言葉は流れ弾の飛んできた人影へと彼の首をはねた鋸を持って向かっていく… おそらく、敵味方の識別などないだろう… 彼女にとって彼女と彼女の執着する物とのひと時を阻む物すべてが彼女の敵だ… 「………む!あの小僧がまたハレンチなことをしておる!…気がする。 いや!そうに違いない!!ドキ校に戻らねば!」 責任放棄というようにエロガードは戦場から離脱し始めた。 この戦闘終了後、結局男性陣にあのようなことをしたのは誰かという議題が持ち上がったが 結局犯人はわからずじまいだったという… 一方、 「畜生!!俺のあそこが~~!これもアンゼロットの仕業だな!!!」 「こ、この怒り!!敵にぶつけてやる~~~!!!」 他の男たちも被害を受けたことを知らない柊と光太郎は敵に当り散らしていた。 122 思い付いたネタを書いたかまだか、自分でも分からなくなりそうだ。 特に、他クロスと行き来が激しいとな。 レイバー。ハイパーテクノロジーの進化が産んだ、汎用作業機械。 世界の混乱はここにも押し寄せ、ウィルスによって狂わされた暴走レイバーを食い止めるべく、ダイガード・コクボウガーは警視庁警備部特殊車両二課と共同戦線を張っていた。 「……え?そっちでもか?」 『ええ、変なおさげのおっさんが、素手でレイバーを……あ、遊馬、あっちだ!』 「ちょ、ちょっとお巡りさん……」 「ええと、今の人達があそこにいて……あれ?」 「……位置関係、おかしくないか? おさげのおっさんの出没状況を並べると……」 「なんか、二人いるような……」 「いや、『素手でレイバーを破壊出来るおさげのおっさん』が二人もいるわけ……」 どがしゃーん 「この、東方不敗マスターアジアと互角に戦えるとはな!名を聞こうか!」 「良かろう!我が名は“無影孤拳”劉蒼月。さあ行くぞ!」 「……本当かよ……」 「……というわけで、この僕、流鏑馬勇士郎は、壊された店の前で佇んでいるわけで」 「因みに、斜向かいの“喫茶ユニバーサル”も被害は甚大です」 4-130、137 ベホイミとレッドと正義の味方 赤いヒーローとピンクの魔法少女は、まさしく旋風だった。 凄まじい速度で敵に突貫しつつ、ベホイミの背後をレッドが、レッドの背後をベホイミがカバーし、まるでウロボロスのごときフォーメーションで化け物を次々と屠ってゆく。 その回転に巻き込まれた者はすれ違い様に拳を打たれ、それに耐えればビームサーベルに切り裂かれ、今度は蹴りで吹き飛ばされる。 まるでミキサーか台風のように、化け物を巻き込んでは屍に変える正義の竜巻 「アンタと戦っていると…、負ける気がしないッス!」 「同感だ、新感覚癒し系魔法少女よ!」 そう、正義に燃える二人の心は、まるで何百もの戦場を共に駆け抜けてきたかのような絶妙なコンビネーションを生み出していた。 機械も生物も、化け物であれば全てを屠る竜巻、その突貫を止めることなど誰にも――― 『トレース・オン』 突如竜巻の中心に突き立つ螺旋の剣、それが膨れ上がり、内側から二人を吹き飛ばした そこに現れたのは、まさに幻想の存在だった。 赤い外套に白髪、幻想の集合体にして幻想の紡ぎ手 「またさっきの邪気眼闘士とやらッスか…」 そこにいることに違和感が付き纏う、圧倒的な歪み あるはずのない、あってはならない存在 「お前、何者だ」 ジェノサイダーレッド――、柏木クロスは、光の剣を男に向けて構え、いつでも踏み込める状態へ移行する。 「俺はE-MIYA、幻想の作り手、錬鉄の英雄、そして、――正義の味方」 陰陽の夫婦剣を手に、ベホイミとクロスとの間の中心に棒立ちするE-MIYA。 化け物どもはまるでE-MIYAを恐れるかのように遠巻きに囲み、何も仕掛けてこない。 E-MIYAも隙だらけのようでいて、その実決定的な隙も見えない。 「なら――」 そんな膠着状態を、ベホイミが踏み割った。 「――何故この城の味方をするッスか!?」 その踏み込みにクロスが即座に応じ、両脇からE-MIYAを挟みうちにするが、 その両方の攻撃を、その手の二刀で受け止めた。 「君はもし、この世界を見捨てれば他の全世界の人間が幸せになれると聞いたらどうする?」 141 その頃のアンゼロット宮殿 「あははは。アンゼロット、あなたまだそんな姿のままだったのね。前に会ったのは何百年前だったかしら?」 「あなたも変わりませんね、紫さん」 世界の守護者ことアンゼロットの目の前にいる少女の名は八雲紫。見た目こそ少女だが千年以上を生き、幻想郷の成立に関わった賢者の一人で、幻想郷最強の妖怪である。 今、ここアンゼロット宮殿では柊と光太郎のもとへ増援部隊を送るための準備がなされていた。 敵の狙いがわかった以上、何としてでも柊達を殺させるわけにはいかない。 だが、問題は増援をどうやって二人の所へ送るかだった。今から城に向かわせても間に合わない。柊と光太郎の座標を特定できても、異様に空間がねじれた城の内部に直接転送するのは不可能なのである。 そこでアンゼロットが呼び寄せたのが紫だった。彼女の「境界を操る程度の能力」でねじれた空間の境界を繋合わせて、部隊を送りこむのである。 「寝てるところを起こされて何かと思ったけど…。まぁ、久しぶりの再会だしね。いいわよ、手伝ってあげるわアンゼロット」 「ありがとうごさいます。助かります紫さん」 この二人、どういう知り合いかは不明だが、まぁ長生きしてるといろいろとあるのだろう。 4-144-146 リレーss toprunners 地上の喧騒をよそに、二人の少年が背中合わせで立っている。 片や長い剣を携えたブレザーの少年。片や無手に学ランの少年。 二人に背も違えば服装も違う彼らは、どこか似通っていながら、しかしやはり違う存在であった。 ブレザーの少年が肩ごしに問う。 「どうした、息荒れてるぞ」 「うるせぇな。そっちこそどうなんだよ」 「生憎とこの程度で息切れするほどやわじゃねぇ。俺が前衛どれだけやってると思ってんだ」 少年二人のなりは、それは痛々しいものだった。 それぞれ身につける服はところどころ裂け、焦げ、穴が空く始末。そこから露出する肌には赤いものが滲んでいる。 それでも、互いに振り返ることはなく、視線はどちらも前だけを見据えていた。 彼らの視界には、今彼らをぐるりと取り囲む敵の群れがあった。 それほど強くはないが、これだけ集うと壮観に見える。 そしてそれ以上に、この部屋から出る出口には 巨大な三つの可変型のヨロイを組み合わせたような形のガーディアン・ノルンが待ち受けている。 恐らくはこの部屋を通ろうとするものを排除するよう命じられているのだろう。少年二人への攻撃はいまだない。 今までわき目もふらずに共に走り続けていた同士、ほんの少しの休憩の時間。 けれどいつまでも休んではいられない。 彼らにだってわかっている。 多くの人の命を、願いを、なにより―――自身の信念を、彼らは背負っていることを。 だから、ブレザーの少年は学ランの少年に告げた。 「アンゼロットは、こんな異常事態にだけはそれなりに頼りになるんだ」 「ふみこたんもわかんねぇことはすぐ教えてくれる」 「あの変態みたいなかっこしたおっさんな、あれで結構強いんだぜ」 「うちの所長も犬に変身できたりするぞ」 「赤い髪の女。緋室も、魔王倒した奴だし」 「金さんはテコンドーの達人でびっくり箱みたいなギターケース持ってる」 「くれはは―――まぁ、巫女だし」 「小夜たんも―――まぁ、巫女だな」 一拍置いて、不敵に笑う。 「あいつらは、絶対生き残る」 「当たり前だ」 「正直、あいつらが負けるとこなんか俺には想像できねぇよ」 「当たり前だっ」 「また、絶対にあいつらと笑って一緒に帰る!」 「当たり前だっ!!」 その叫びは世界に対する宣誓のように。 片や獰猛な笑みを浮かべ、片や烈火のごとき怒りとともに。二つの叫びが空気を震わせる。 「だったらこんなとこで立ち止まってる場合じゃねぇだろう!」 「言われなくても!」 その声とともに、学ランの少年が天に向けて指をさし――― 「ザサエさんっ、GO!」 行く先をふさぐガーディアンへとその指先を振り下ろす。 同時に現れるは彼とともにある食人鬼―――式神。 二振りの刃をもって、彼女は主命に答えんと空を走る。 同時に彼女に襲いかかるのは、甲殻類のごときフォルムを持つ敵の群れ。 少年達を囲んでいた小物が、ガーディアンの危機を嗅ぎ付けたのだろう、もっともガーディアンに近い危機を排除せんと彼女に群がる。 しかし甘い。彼女の使役者は―――とびきりのバカなのだから。 「さぁて……派手にいきますよっと!」 有象無象が彼女に殺到する中、二人の少年もまたその後を追って走りだしていた。 普通ならばありえない。式神とは己の身代わりにして道具。 通常は式神を操作し、使役者は後ろで指示を出して思う通りの効果を生み出させるものだ。 けれど、そんな常識は彼には通用しない。彼にとって彼の式神は「仲間」以外の何者でもないからだ。 式神を戻し、大量の札を取り出して雑魚の群れへと放り込む。 札はひらひらと空中を漂い―――雑魚の群れを全て覆いつくすほどの強力な爆発を起こした。 四方八方へと広がる爆風が、少年達の体を叩く。 前へと進む勢いが削られようとした、その瞬間。ブレザーの少年が呟いた。 「―――<エア・ダンス>」 その言葉と同時、学ラン少年の体を打ち据えていた爆風の勢いが消え、逆に彼の体を後押しするように吹き抜ける! それは、この世の理からすればありえない現象。 この世の理を意志の力でねじふせ可能とする奇跡。すなわち―――魔法。 風使いの援護を受け、使役者はただまっすぐに突き抜ける。 剣を持った魔法使いは、己の内に眠る青い輝きを一気に解放してその場から大きく跳躍した。 ガーディアンは、迫る二つの脅威に向けて無数のエネルギー弾を放つ。 その力の塊を。拳で、剣で弾き飛ばし、彼らはただまっすぐ進み―――それぞれの射程距離へとついに相手を取り込んだ。 「うおおおぉぉおぉおおっ!」 青い輝きを纏った拳が、ガーディアンの中心を突き貫く! 「おっらああぁぁあぁあっ!」 担い手の生命を啜った魔剣が、ガーディアンを真っ二つに叩き斬る! ガーディアンは苦鳴の声を上げながら空に溶けるように消えていく。 残るのは、二人の少年。 彼らは視線を合わせることなく、ただ開けた目の前へとまっすぐに前を向いて駆け出しながら。 こつりと、互いの拳を打ち合わせた。 4-149-157 IN・最前線(前半、4-150まで) 時間的には 147の前だと思ってくれい。 さて、現在の本命主人公たちがどうなっているかというと!? 刻む。 刻む。 刻み付ける。 暗き空を、二人の少年が駆け抜けていた。 「ちっくしょうっ! なんだか知らないが、他のところの方が展開進んでいるような気がする ぜ!!?」 異形を蹴り飛ばし、空を舞いながらその手に握る魔剣を一体の異形に突き刺す少年。 ――その名を柊 蓮司という。 「俺もそんな気がするぜ!!」 殴る。 殴る。 殴り飛ばす。 柊が斬り捌いた異形の躯を踏み台に、飛び上がり、小型の異形を光り輝く拳と投げ放つ呪符で 縦横無尽にぶっ飛ばしていく少年。 ――その名を玖珂 光太郎といった。 東京上空に出現したねじれた城。 そこの向かう数々の者たちの最前線を駆け抜けている二人である。 途中までは何人かの仲間がいたのだが、城へと向かう最中に行く手を阻んできた者たちと交戦し、 柊と光太郎はただ二人で奥へと進んでいく。 二人の前に次々と現れる醜悪な化け物、人間大の顔を持った異形、翼を生やした悪魔、強靭な 装甲を帯びる機動兵器。 数々の障害が出現するも。 「「おらぁあああああああああああああ!!」」 燃え上がり、巻き上がり、灼熱と烈風を孕んだ魔剣の斬撃が。 願いを、想いを、あらゆる理不尽を真っ向から打ち砕く拳が。 「「ぶちぬけええええええええ!」」 全てを真っ向から貫いていく! 血風が舞い上がり、閃光が轟き、爆炎が上がる。 二人に奇策など似合わない。 正面堂々、真っ向から悪をぶっ飛ばし、世界を救う。 柊は幾度となく、光太郎はかつて、そうやって世界を救ってきた。 「見えた!」 百を超える異形を屠った時だろうか、空を見上げて光太郎が叫んだ。 「城だ!」 空を覆わんばかりの異形の群。 その奥に見えるのは、ねじくれた城の正門。 巨人でも入れそうな大きく開かれた虚空に浮かぶ門はただの門ではなく、ねじくれたその外見に 相応しい歪んだ風景をその中に映し出していた。 おそらく門を通れば、通常の空間には通じていないであろう。 異空間、あるいは異界へか。 あまりにも分かりやすい正門の光景。 大きく開かれた扉。 それは罠かもしれない、一瞬二人はそう考えて―― 「……上、等!」 光太郎は笑う。 ふてぶてしく、不敵に、気高さすら感じられる笑みを浮かべた。 もしこの場に小夜がいれば、見惚れていたかもしれない大胆不敵な笑み。 「他に道はねえ。突き進むぞ、玖珂!」 そして、未だに蠢きを上げる異形の屍から魔剣を抜き取り、声を上げる柊。 彼の顔には笑みはなく、ただ強き意志が浮かんでいた。 幾度となく世界を救い、途方もない絶望も困難も障害も、血反吐を吐きながら乗り越えてきた 戦士の顔。 「「行くぜっ!」」 二人の偉大な少年が、意思も新たに飛び出そうとした瞬間だった。 ――“門が歪んだ”。 「っ!?」 巨大なる門、その中から生れ落ちるように巨大な――“禍々しき異形”が這い出てくる。 『…・…オォオオオオオオン』 上半身には女性の裸身に似た肉塊が取り付き、下半身はとぐろを巻いた大蛇に、背には蝙蝠の 皮膜にも似た翼を生やした醜悪なる巨体。 人の身で敵うはずもない、桁外れの瘴気を放つ魔。 それはこことは異なる異世界――“ラ・ギアス”において【破壊神】と呼ばれる邪神。 その分身体であった。 「光太郎……」 それは誰にも届かない声。 「ただ単純にやってくるだけでも嬉しいけれど、多少の障害物くらいはあったほうがいいだろう?」 愛しき愛しき自らの弟へ呼びかける独り言。 「この世界を狙っているのはセプテントリオンだけでも、裏界の魔王だけでもない。もっともっと旧い時代から彼らは世界を狙っているんだ……」 “世界の選択者”は告げる。 「新しき時代の担い手よ、古い因果を乗り越えて、僕の元へと来てくれ」 ← Prev Next →
https://w.atwiki.jp/ragadoon/pages/791.html
2015年度後期 ナイトウィザード2nd 第四話 "混沌の申し子" GM KAZZ-I 予告 最近、秋葉原で不審者が目撃されている。 最近、ウィザードが何者かに襲撃される事件が起きている。 この2つの件に何らかの関わりがあることは、想像に難くないが・・・。 ナイトウィザード『混沌の申し子』 空に昇る紅き月、それこそが混沌の象徴。 ハンドアウト 一ノ宮 コウ コネクション:“辻斬り” ホームルームにて、秋葉原周辺で不審者が現れたとの注意喚起があった。 キミは用心しつつ用事を済ませ、その帰り道で・・・不運にも、出くわしてしまった。 秋葉原の不審者――――辻斬りに。 上矢 炎牙 コネクション:荻原 宗一郎(おぎわら そういちろう) ホームルームにて、秋葉原周辺で不審者が現れたとの注意喚起があった。 その件について、キミは校長である荻原に呼び出される。 不審者についての対処、それがキミに下された指示だ。 柏崎 純 コネクション:緋室 灯(ひむろ あかり) ホームルームにて、秋葉原周辺で不審者が現れたとの注意喚起があった。 それはそれとして、キミは絶滅社から“ウィザード襲撃事件”の対処を指示される。 なお、相棒として同じく絶滅社エージェントの緋室がこの任に就くとのことだ。 香山 トキオ コネクション:グィード・ボルジア エミュレイター被害者の会を訪ねてきた聖職者風の男、グィード。 なんでも、“ウィザードばかりを襲撃する不届き者がいる”とのことだ。 そんな輩はエミュレイターしかいない、そう言って彼はキミに協力を求めてきたのだ。