約 23,518 件
https://w.atwiki.jp/tousounokeitou/pages/224.html
『ダカールの日』-2 作者・マザーメルザード 556 東京・国会議事堂・地下*** 丁姫の前に集まった面々──岡長官、嵐山長官に加え、 戸隠流第三十四代宗家・山地哲山武神館々長、 疾風流総帥・日向無限斎忍風館々長、 隠流総帥・軍師白面郎こと鶴姫家当主・義輝、 風魔流の相談役である真言宗達心寺住職・帯庵和尚、 そして哲山や故・天堂無人の師である忍者界の最長老・戸隠白雲老師! 丁「……覚羅殿の意思を継ぎ、よくぞ集まってくれましたね。お礼を申します」 白雲「丁姫と御前様は長年の同志……何を遠慮なさることがありましょうや」 義輝「我ら、流派を超越し──全宇宙の平和のために尽力する所存」 哲山「有志の世界忍者たちも立ち上がってくれております」 帯庵和尚「……我が風魔流が烈風一派に乗っ取られた際は、他の流派の 方々には大変な苦しみを与えてしまった……」 岡長官「いや、それは甲賀流とて同じこと。暗闇忍堂の暴走を抑えきれなかった のは我らの不徳……」 白雲「いやいや、我が戸隠流の祖・果心居士様の邪悪なる側面が陰忍軍を 伴い復活した時には、風魔流鬼組の活躍に助けられた。お互い様じゃよ」 小太郎「あのー、一つだけ質問いいですかねー?」 眼鏡をかけた長身のひょろっとした男が挙手した。 今は日本全国に散らばる風魔忍群の本拠地である 風魔の里の首領、当代の風魔小太郎である。 丁「どうぞ…」 小太郎「今ここにいる我々は、まさか正義の味方ごっこをするために 集まった訳ではないですよね?」 帯庵和尚「小太郎殿…」 丁「仰るとおりです。全ては私達を含む人類、そして生きとしいけるものが これから来たるべき災厄を乗り越え、戦乱の世を生き延び乗り越えていくため」 小太郎「OK、それならいいでしょう。風魔の衆も全面的に協力を約束しましょう」 無限斎「ところで風魔殿、雲平君の姿が見えぬようだが…?」 小太郎「あれー、おかしいですね。帷くんには昨日きちんと 電話で連絡を入れときましたよ。どうしたんでしょうねえ」 白雲「……」 義輝「……」 哲山「……」 暫し気まずい沈黙が空間を支配する。それもそのはず。 伊賀忍群の一流派である萬天の取りまとめ役である 雲平・帷・デュランダルは、極度の乗り物恐怖症。 飛行機、鉄道、自動車はおろか、自転車のような軽車両 にすら乗る事を頑なに拒み、たとえ県境を跨ぐような 長距離でも必ず徒歩で移動する。そしてその事は この場にいる一同全員にも周知の事実。昨日電話を入れて 萬天の里から東京に今日着ける筈などないのだ。 陽炎「……(フフフ…風魔殿も相変わらずお人が悪い)」 雲平には気の毒と思いながらも、 小太郎の隣りで内心クスクスと笑っているうら若き女性。 戦国時代に織田信長に滅ぼされた火影忍軍の生き残りである陽炎である。 現在は花火職人である花菱茂男宅に居候している。 小太郎「おや、陽炎さん、何かおかしいですか?」 陽炎「いいえ、別に」 陽炎は何食わぬ顔でニッコリと答える。 丁「まあそれはともかくとして、これからは異なる種族の者たちが 手を取り合っていかねばならぬ世──。そのための影となって、 力をお貸しください……」 557 ○丁→忍者界の重鎮たちにヒーローたちの支援を要請。 忍者界の指導者であった故・覚羅とは旧知の間柄だった様子。 ○戸隠白雲→国会議事堂地下に参集。 ○日向無限斎→国会議事堂地下に参集。 ○義輝→国会議事堂地下に参集。 ○帯庵和尚→国会議事堂地下に参集。 ○山地哲山→国会議事堂地下に参集。 ○岡防衛長官→国会議事堂地下に参集。 ○嵐山大三郎→国会議事堂地下に参集。 ○風魔小太郎→国会議事堂地下に参集。雲平には会議前日に 連絡を入れていた模様。○陽炎→国会議事堂地下に参集。 【今回の新規参戦】 ○戸隠白雲(忍者キャプター) 戸隠流忍軍長老であり、天堂無人の師匠。忍大臣の異名を持つ。 無人亡き後のキャプターチーム指導者となる。 ○日向無限斎=ハムスター館長(忍風戦隊ハリケンジャー) 伊賀・甲賀・風魔など、古来より数多く存在した忍者の流派の中で、 最も影の存在でありながら、現在まで生き残った疾風流忍法総帥にして、 忍者学校『忍風館』の館長。日向おぼろ博士の父。呪文を間違えてハムスターの姿から 戻れなくなっていたが、最終決戦時に何とか元の姿に戻る事ができた。 ○義輝=軍師白面郎(忍者戦隊カクレンジャー) 隠流忍法宗家、ニンジャホワイト・鶴姫の父。妖怪軍団の大幹部で あったが、実は妖怪大魔王打倒の為に潜入してスパイ活動をしていた。 ○帯庵和尚(スケバン刑事Ⅲ) 風魔忍軍長老、風間三姉妹の後見人。 〇陽炎=影法師(烈火の炎) 花菱烈火の実の母親。元々は戦国時代の人間だが、禁術である時空流離の術を使ったため、不老不死の体になり400年もの時を現代まで生き続けた。 魔導具に詳しく、裏武闘殺陣などではサポート役をこなすが、くノ一としての実戦の腕も一流。
https://w.atwiki.jp/keistseries/pages/22.html
《サマルータ》 薄っぺらな大地がメビウスの輪状にねじれて浮かんでいる世界。 輪の中心に太陽があり、大地は少しずつねじれながら回転し約二十四時間で一周する。大地が太陽の側を向いている間が昼で、大地が太陽と逆側を向いている間が夜になる。夜の間に大地から垂直に飛び上がれば、メビウスの輪から離脱して空気はどんどん薄く冷たくなっていき、最後は世界の見えない障壁を前に自然減速することになる。 大地の帯、その端に相当する土地は日光を浴びる時間が短く、寒冷地となる。ただし大地は回転方向以外にも少しずつずれており、数百年規模で気候が変化して温暖な土地へ人が流れていく。 随分と昔に一日と一年の長さを四千世界の統一規格に合わせるために複数のAクラスのカイストが関わったという。 月が二つあり、うち一つは楕円形をしている。 文明管理委員会の力が及ばないフリーゾーン。 『鋼』のディンゴの故郷であり、そのため「ディンゴ亭」と名の付く飲食店や酒場がサマルータの各地に存在する。 『骸骨騎士』、『原点』、『その席 その一言』、『重い枷』の舞台。 『急所を一突き』にも登場。 テロッサ テロッサ王が治める国。 『骸骨騎士』に登場。 ラ・テロッサ 人口五万の小都市。テロッサの首都。 ディンゴと、ディンゴが率いる山賊部隊によって攻め落とされた。 『骸骨騎士』に登場。 ワズトー テロッサ領にある人口千二百人に満たない小さな村。 キルマの依頼人であるルナンの生まれ育った場所であり、三方を山に囲まれた盆地にある。 街道に繋がる東西の入り口以外は一メートル半程度の木の柵で囲まれている。 川沿いに並ぶ畑と、飾り気のない木造家屋があり、ここで休息していく旅人や傭兵達の落とす金で村はなんとかやり繰りしている。 柑橘系の大きな実を結ぶコルンの木が険しい斜面から幹をねじ曲げて立っている。 『骸骨騎士』に登場。 マズル 人口三万のテロッサ第二の都市。国境付近にある。 ゼトキアの軍に最初に襲われ、滅ぼされた。 『骸骨騎士』に登場。 タラート テロッサ領にある人口二千五百人の村。 マズルが襲われた二日後にゼトキアの軍に襲われ、滅ぼされた。 『骸骨騎士』に登場。 グンザ テロッサ領にある人口七千人の村。 ゼトキアの軍に滅ぼされた。 『骸骨騎士』に登場。 バザム神聖帝国 『骸骨騎士』で第百七十四代皇帝アンザムメリクが治めていた、三千八百年の歴史を誇る大国。 サマルータの面積の七割を占め、一億の民が住んでいる。 『骸骨騎士』に登場。 バザムス 人口七百万の超巨大都市。 バザム神聖帝国の首都。 『骸骨騎士』に登場。 トラケン 商業都市国家。 テロッサの隣国であり、帝国の属国。 莫大な貢ぎ物によって帝国の脅威を免れている。 カイストを求めて旅をしていたルナンと『スケルトン・ナイト』キルマが出会った場所。 『骸骨騎士』に登場。 エニフェ 『骸骨騎士』から百三十八万年前、ヘズゲイルがルナンを買い取った村。 ヘズゲイルの触手によって滅ぼされた。 『骸骨騎士』に登場。 アンテ 人口五百に満たない小さな村。 ハルーランの故郷。 気候の厳しい土地ではないが肥沃でもなく、交通の要衝でもないため滅多に旅人も来ない。 また、外敵がいないため村を囲む柵も塀もない。 この地域でしか育たないモセイアという丈一メートルほどの低木が唯一の特産品。小さく白い花は香水の原料になる。 『原点』に登場。 シィトス 港町がある。 『原点』に名前のみ登場。 バスキト 城塞都市。人口は十万を超える。 カイストを探すハルーランが十七日かけて辿り着いた。 別の世界に繋がるゲートが近くにあるためサマルータに来たカイストはここに立ち寄ることが多い。 ディンゴ亭とガルーサ・ネットの出張所がある。 『原点』に登場。 クス 世界の縁にある町。 太陽の光が最も届きにくく寒さが厳しい。 『原点』に登場。 テク・サク 貿易都市。 ディンゴ亭がある。 『原点』に登場。 シウルスタ王国 『急所を一突き』で裏鋭が訪れた時点のサマルータの大地の約二割を支配している王国。 王都の人口は百七十万。 煉瓦造りの多い整った街並みは繁栄を感じさせる。 石油や石炭の少ないサマルータでは機械までは作られるものの列車や自動車が普及しにくく、そのため道を行き交うのも殆どが馬車だが、たまにカイストの魔術士が作った魔動車が走っている。 築四百六十年になる王城の近くには四階建ての大きな王立図書館がある。 『急所を一突き』に登場。 シラマ共和国、アディペト そこそこ大きな国とその都市。 ディンゴ亭がある。 『その席 その一言』に登場。 ガリスハムナ 城塞都市国家。 ガルーサ・ネットのサマルータ支店がある。 『その席 その一言』に登場。 タシキスト カリラマの前にベルデクス・コールによって住民が虐殺された町。 『重い枷』に登場。 カリラマ ベルデクス・コールによって住民が虐殺された村。 『重い枷』に登場。 マズラン 『重い枷』時点のサマルータでは十指に入る規模を誇っていた人口百十万の都市国家。 ガルーサ・ネットの出張所がある。 『重い枷』に登場。 トゥラム王国 一晩で壊滅させられた都市バハモーラが属していた王国。 『重い枷』に登場。 バハモーラ トゥラム王国に属していた都市。 肥沃な土地にあり、中心部は城壁に囲まれていたが外部には広大な耕作地が広がっている。 カイストの手により一晩で壊滅した。 『重い枷』に登場。 大ガハルサ帝国 かつて存在した巨大国家。 『重い枷』の時点から6万年前、戦争でAクラスの魔術士によって滅ぼされた際に毒素が充満し、後に浄化されたが敢えて住み着く者もなく廃墟となってしまった。 『重い枷』に登場。
https://w.atwiki.jp/pokegalgame/pages/14.html
番号が飛んでいるところは自動保守等です 不足分のログをお持ちの方がいらっしゃいましたら頂けると助かります。 初代スレ 二代目スレ 三代目スレ 四代目スレ 五代目スレ 六代目スレ 七代目スレ 八代目スレ 九代目スレ 十代目スレ 十一代目スレ 十二代目スレ 十三代目スレ 十四代目スレ 十五代目スレ 十六代目スレ 十七代目スレ 十八代目スレ 十九代目スレ 二十代目スレ 二十一代目スレ 二十二代目スレ 二十三代目スレ 二十四代目スレ 二十五代目スレ 二十六代目スレ 二十七代目スレ 二十八代目スレ 二十九代目スレ 三十代目スレ 三十一代目スレ 三十二代目スレ 三十三代目スレ 三十四代目スレ 三十五代目スレ 三十六代目スレ 三十七代目スレ 三十八代目スレ 三十九代目スレ 四十代目スレ 四十一代目スレ 四十二代目スレ 四十三代目スレ 四十四代目スレ 四十五代目スレ 四十六代目スレ 四十七代目スレ 四十八代目スレ 四十九代目スレ 五十代目スレ
https://w.atwiki.jp/dngssonenight/pages/119.html
三回戦第二試合その1 父と母が好きだった。 その父と母が誇りに思っている、鉄砲のことが好きだった。 父は名の知れた鉄砲鍛冶だった。 鉄炮造り以外の領分にも手を広げても成功できるほどに器用な人だったが、 それでも父は鉄砲鍛冶だった。 私が四歳の頃、父は鉄砲の使い方を教えてくれた。 それが嬉しくて、私は鉄砲を造ることよりも撃つことに夢中になってしまった。 父も母も、本当は鉄砲よりも他のことに精進してほしいと思っていたのかもしれないけど、それでも私が上手に的を撃てるようになったり、狩りに成功したりすると、喜んでくれたし、褒めてくれた。 私は、鉄砲が好きだった。 その鉄砲が、不当に低く見られている、武田の世が嫌いだった。 武士の人たちは、当たり前のように『武士は銃よりも強し』といい、 『銃など所詮平民どもの玩具よ』と吐き捨てる。 そうじゃないということを、証明したかった。 そのために、この戦いに参加した。 ポータルを通り、試合会場に来た。 イギリスの廃工場。 既に滅びた国の中で何も生み出さず、ただ機械を動かすためだけに機械を動かし続けている永久機関。 蒸気の吹き出す音や、金属の軋むような、いやな音が辺りから響いている。 下を見下ろすと、煙を上げ、赤、黄、青、様々な光を発しながら機械が動いていた。 流れるように何かの装置が組み立てられていき、そして分解されている。 この光景は、知識としては知っていたが、やはり不毛なものだと実際に見て思った。 そこに、不意に工場の音とは違う音が混じった。 足音。 自分の存在を誇示するような強い音だった。 十四代目武田信玄。 下にある工場の通路を、堂々と歩いている。 こちらに気付いている気配はない。 彼がかつて最強と呼ばれた武士だということを、千勢屋香墨は知っていた。 彼もまた『銃よりも強い武士』なのだろう。 その十四代目武田信玄を倒す。その機に恵まれたことを、両親に感謝した。 銃を構える。 気が、充実していくのを感じる。 引き金は、重い。それでよかった。 銃を撃つということは、何かを殺そうとすることだ。 この引き金の重さは、そのことを確かに実感させてくれる。 同時に、銃は生かす道具でもある。 この引き金は、千勢屋を、砲術の未来を生かすためにある。 先の試合での決意を、忘れてはいない。 二度、肩で呼吸をした。 銃口は、ぶれていない。 蒸気のせいで、多少視界は悪いが、問題になるというほどではなかった。 引き金を引く。 銃声が響く。 血は、流れなかった。 銃弾が機械にぶつかった音が聞こえた。 殺気が漏れていたか、それとも音がしてから反応したか。 これでこそ、武士だ。銃より強い武士。それを私が倒す。 十四代目武田信玄がこちらを見た。距離は、十分に取ってある。 そうやすやすと、近づかせはしない。そういう態度をとる必要がある。 懐から、父から授かった道具を取り出す。 父は鉄炮造り以外の領分にも手を広げている。 そして、その腕を見込まれ、幾人かの大会参加希望者から、協力を要請されていた。 既に見積もりに入っていたというがそれを断り、私の為の道具を作ってくれていた。 1回戦2回戦には間に合わなかったが、ここからは遠慮なく使わせてもらう。 千勢屋香墨が的外れな方向に、七度、銃弾を放った。 その硝煙が消えぬうちに、千勢屋香墨は姿を消した。 強い決意を秘めた目をしていた。 あんな目を持つ女が、ただ逃げるだけということはないだろう。 あの的外れな攻撃も何か狙いがあってのことに違いない。 そして、姿を隠したのも、狙撃が目的というわけでなく、自分を誘い出すことが目的だろう。 そこまで辺りを付けた上で、十四代目武田信玄はあえて千勢屋香墨の誘いに乗った。 敵の策に乗り、その力を存分に振るわせた上で勝利してこそ、武田信玄だ。 十四代目武田信玄は強くそう思っていた。 それが出来なければ、当代信玄には勝つことができない。ということもわかっていた。 なんにせよ。まずは千勢屋香墨に近づくことだった。 足を踏み出そうとした瞬間、銃声が響いた。 音のした方に、意識をやる。 それとは反対側から銃弾が右足を貫いた。 続けて、銃声が響く。銃声は全て同じ場所からだった。 だが、銃弾は全て違う方向から飛んできている。 音はあてにならない。ならば空気の流れを感じればいい。 5発までは弾くことができた。一発は左腕をかすめた。 服を破り、右足と左腕をそれぞれ縛った。気休め程度だが止血にはなる。 銃声が六度響いた。空気の揺れを感じ取る。 六発。全てを弾いた。そのことで、一瞬だが油断した。 七発目が、目の前から来ている。何もない空間から銃弾が現れた。 極小のポータルを介しての狙撃を可能にする道具を父は渡してくれた。 今は入口のポータルと出口のポータルを七つずつ放っている。 入り口は、自分の周囲に、出口は十四代目武田信玄の周囲にだ。 ポータルは、自分と十四代目武田信玄の周囲に浮き、自動で追尾してくれる。 父は、鉄炮造り以外の領分にも手を広げているから、こういうこともできる。 出口側のポータルと視界も共有できる。お父さん凄い。凄すぎない? 入り口側のポータルに向けて、引き金を引く。 銃弾はポータルを介して、十四代目武田信玄を狙撃する。 七発。 一発目は、右足を貫いた。 二発目、三発目、四発目、五発目、六発目は、弾かれた。 七発目の銃弾は左腕をかすめた。致命傷に放っていない。 父はこのポータルは一方通行だと言っていた. ポータルを介して、こちらが反撃されることはない。 鶴を折る。 七つの銃を再び放つ。 一発目、二発目、三発目、四発目、五発目、六発目、が弾かれた。 わかっていた。例え、ポータルを介した射撃でも、この男は二度目からは対抗してくる。 十四代目武田信玄は、強い。 だから、油断する。性格なのか、矜持なのか、傲慢さなのかはわからないが、 この男は敵に本気を出させようとする。その上で勝利を得ようとしてくる。 この男は私が罠を張ればそれにかかるし、策を弄せばそれに乗ってくる。 性格なのか、矜持なのか、傲慢さなのかはわからないが、それを利用をする。 みえみえの罠を張り、ばればれの策を弄して、誘い込んで、殺す。 七つ目の銃に消音装置を付けた。 これで、銃声の数をごまかす。つまらない小細工だが、やる価値はある。 引き金を引いた。ポータルから出たそれはまっすぐ十四代目武田信玄の額に向かっていき、 そして、かわされた。 思わず噴き出してしまった。化け物か。 必中必殺の間で放たれた弾をあっさりと無意味にされた。 鶴を折る。 そして誘うように距離を取る。 わざとらしく床を強く蹴り、大きな音を鳴らす。 お前を倒す策がある。だから、こちらに来てみろ。 そういう意思を込めて動けば、十四代目武田信玄はそれに応える。 そういう男だということは、過去の試合を見ればわかった。 そして、十四代目武田信玄を倒す術を千勢屋香墨は持っていた。 ポータルを介した射撃をひたすら繰り返した。 十四代目武田信玄はそれを跳ね除けながら、進んでくる。 父が特別に作ってくれた、 触れたものを凍らせる絶対零度銃弾も、 着弾した瞬間小規模の核融合を起こす核爆銃弾も、 周囲に雷が落ちてくる雷撃銃弾も、 植物が異常増殖する農薬銃弾も、 インド象も即死する毒をまき散らすドクドク銃弾も。 その他もろもろの特殊銃弾も足止め程度にしかならなかった。 父は、鉄炮造り以外の領分にも手を広げているから、こういう銃弾もたくさん作ってくれた。 わずかな傷は負わせたが、致命傷にはつながらない。 銃弾に直接毒を塗ったものが腕をかすめたりはしたが、毒が回り始める前に、傷口をえぐりとられた。 全てが、順調だった。 鶴を折る。 十四代目武田信玄は私の策を踏みつぶしながら、こちらに向かっている。 さらなる罠が待っていることを知りながら、走っている。 その罠で、確実に息の根を止める。 鶴を置く。 周囲には既に一面の折り鶴が置かれている。 誘うように銃を撃つ。それに応えるように、十四代目武田信玄がそれをよける。 幾度度となくそれを繰り返し、ついに十四代目武田信玄がここに来た。 何度も組み立てられ、分解され、摩耗しきった使えない部品が集められている、クズ鉄置き場。 その上に無数の折り鶴を置いてある。 折り鶴たちを踏みつぶし、クズ鉄を蹴飛ばしながらこちらに向かっている。 弾を銃に込めた。 「これで、終わりか?」 十四代目武田信玄が口を開いた。 返事の代わりに空に向けて、銃を撃った。 溶解銃弾。降れたものを全て溶かす特殊銃弾。 それを十四代目武田信玄は避けた。溶解銃弾は壁を溶かしながら、放物線を描き落ちていった。 かすかにカツンという音が響いた。溶解銃弾が溶解力を無くし床か壁にぶつかったらしい。 「まだ、やるか?」 十四代目武田信玄が再び口を開いた。 返事はしない。 代わりに、さっきと全く同じ弾道で再び銃を撃った。 銃弾が地面に着弾する。その瞬間、私はその場所に移動した。 ワープ弾。父は、鉄炮造り以外の領分にも手を広げているから、こういう弾も作ってくれる。 「これで終わりだ。」 距離を取ったのは、十四代目武田信玄から逃げるためではない。 自分の仕掛けた最後の罠から逃げるためだ。 「くらえ、十四代目武田信玄」 千勢屋香墨は勝利を確信した。 「これが!私の切り札!!半径20M七億度の炎だーーーーーー!!!」 折り鶴が一斉に輝きだし、その光が十四代目武田信玄を包んでいくのが、ポータルを介して見えた。 千勢屋香墨の特殊能力、『朱鶴拵篝玉章』。 自ら文字を記した紙を随意に燃やすことができる能力だ。 随意とはすなわち随意のタイミングで燃やすこと出来、 随意の強さで燃やすことができるということだ。 温度には、下限はあっても、上限はない。 つまり炎の温度はいくらにでも設定できるということだ。 だがあまり上げ過ぎたら自分ごと、地球が消滅してしまう。 だから七億度の炎程度で抑えた。 以前はここまでの温度で燃やすということはできなかったが、 斎藤ディーゼルと戦い、紅崎ハルト、十四代目武田信玄の試合映像をみたらこいつらが無体すぎてなんか吹っ切れた。 この温度であれだけの紙を同時に燃やせば、逃げられるヤツはいない。 十四代目武田信玄を燃やした場所へ行く。 七億度の炎にかかれば、跡形も残っていないだろう。 やはりそこには、何も残っていなかった。 あれだけあったクズ鉄も、それを集めるための機械も、クズ鉄を再生させるための溶鉱炉も それを集めていた部屋そのものも、その下にある地面ですら、 気化し、消滅してしまっている。 少し、心苦しくなる。いくらここの治療班が優秀だとはいえ、 七億度の炎で気化してしまった人間を、治療することなどできるのだろうか。 そう思ったとき何か、妙なものが目にうつった。 気化してしまった部屋のあった場所に、何かが浮いている。 あれは、まさか。 十四代目、武田信玄。 初代武田信玄は時空間を操る能力を持っていた。 彼は、その能力の風・林・火・山の4つの使い道にわけた。 そしてそのうちの動かざること山のごとしは、 自分の時間を完全に止めることで、外部からの影響を全く受けなくなる能力だ。 これを使えば、例え七億度の炎の中に放り込まれてもへの河童だし、 地面が気化してなくなってしまったとしても浮きつづけられる。 だが、千勢屋香墨には、そんなことはわからない。 わかるのが、目の前に七億度の炎に焼かれても平然としていられる男が居るということだけだ。 十四代目武田信玄が、落下した。 そして、こっちに向かって走ってくる。 「『朱鶴拵篝玉章』」 紙を炎に変える。 黒い炎。かつて第六天魔王が支配していた世界の炎。魔界の炎。 随意に燃やすことができるので、当然魔界の炎で燃やすこともできる。 「くらえ!!邪王炎殺黒鶴波ーーーー!!!」 黒い炎が鶴の形を為して十四代目武田信玄に襲い掛かる。 七億度の炎が効かなかったとしても、 化学反応を無視し、あらゆるものを無に帰す魔界の炎なら、十四代目武田信玄とて 「動かざること山の如し」 十四代目武田信玄が動きを止めた。 そして黒い龍は十四代目武田信玄をすり抜け、そして紙が燃え尽き、消えていった。 砲術も七億度の炎も魔界の炎も、何も通じなかった。 全身から、力が抜けていくのを感じた。もう何もできることはない。 十四代目武田信玄は立ち止まったまま武田家波を撃つ構えをみせている。 既に、すさまじいエネルギーがたまっている。 地球どころか太陽系全てが吹き飛んでしまうかもしれない。 その時、手紙のことを思い出した。 あの日、「辛くなったら開けなさい」と父が持たせてくれた手紙。 手紙一枚で何か状況が変わるとは思えなかったが、それでも何か縋りたかった。 父は私に何を伝えようとしてくれたのだろう。 手紙を開いた。 「オッス!オラお父さん!」 お父さんが出てきた。 「どうやら、随分困ってるみてえだなあ、香墨」 いや、でもなんか違う。 お父さんだけど、お父さんじゃない。別の人のお父さんな気がする。 「あの、お父さん、だよね?」 「あったりめえじゃねえか。オラの魔人能力でな。香墨が手紙を開いたらオラが出てくるように仕掛けをしといたんだ!」 なんか。やっぱり違う。お父さんの一人称はオラじゃなくて僕だった気がする。 それはそれとしてお父さんらしき人が十四代目武田信玄のほうをみた。 「へへっ、どうやら相当やべえ状況みてえだな。オラ、わくわくしてきたぞ!」 「やっぱりあなた私のお父さんじゃないね!?」 「香墨。あの武田家波に打ち勝つにはおめえが思いっきり三段撃ちをぶっぱなすしかねえ!」 「いや、全然そんなんで勝てる気はしないんだけど!」 「それでもやるしかねえ。えれえ学者さんになりたいんだろ?」 「そんな話一回もしたことない!炮術の流祖になりたいの!!千勢流炮術を立ち上げたいの!!」 「夢をかなえるにはヤツを倒すしかねえ。いくぞ!」 「なんか全然違うんだけどその通りではあるから腹立つ!っていうか人の話全然聴かないねこのお父さん!」 銃を構える。 「た」 「即 「け」 「中」 「だ」 「即」 「け」 「仏ッッ!!」 「波ーーーーー!!」 十四代目武田信玄が武田家波を放つ! 同時に香墨が三段撃ちをぶっ放した!そしてその背後ではお父さんも三段撃ちのポーズをとっているぞ!究極の親子パワーだ! 武田家波と三段撃ちがぶつかりあい!なんか凄まじい衝撃が発生する! 廃工場とかそこらへんのあれが吹っ飛んでいく! 「え!?なんか、なにこれ!?こわい!」 「こらえろ!こらえるんだ!香墨!まだおめえは全部の力を出し切ってねえぞ!爆発させろ!力を!」 「いや、あの!力を爆発させるも何も銃を放ってからはもう私の力とか関係ないと思うんですけど!」 「おめえは地球へのダメージを心のどこかで考えてるんだ!気にするな!ダメージは母ちゃんのへそくりで元に戻る!!」 「嘘をつくなよ!!そんなへそくりがあったら私たちこんな苦労してないよ!」 「今だーーーー!!力を爆発させろーーーー!!」 「待って、こんなんでいいの!? 七億度の炎とか魔界の炎とかやったあとで言うのもあれなんだけど本当にこんな終わり方でいいの!? っていうかスルーしてたけど武田家波ってなんだよ!説明しろよ!!」 「細かいことは気にするな!いっけーーーーー!!」 「え、え、え、ぜ、全開だーーーーー!!」 香墨とお父さんの究極親子パワー三段撃ち!その超絶パワーを!! 「波ーーーーー!!」 十四代目武田信玄の武田家波が!容赦なく乗り越えた!! 「う、うわーーん!やっぱりダメだったお父さんのバカーー!!」 香墨ちゃんが頭を抱える!するとその時一通の手紙がぽとりと落ちた。 「あ、あー!この手紙だ!この手紙こそ本物のお父さんの手紙だ! つらい!いまつらいよ!だから読ませてもらうよお父さん!!」 香墨ちゃんは今度こそ藁にも縋る思いで、その手紙を開きました。 ――真っ白な紙。 そこにびっしりと刻まれているのは何か。 ああ、それは間違いなく親の愛。父が娘に残した愛。 千勢屋一族に伝わる伝説の守護公式――――『フェルマーの最終定理』である。 手紙を埋め尽くす謎の守護公式はこう締めくくられている。 『この定理に関して、私は真に驚くべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる』 「ってそれ違うキャラーーーーー!!お父さんのバカーーーー!!!!」 そう叫びながら、香墨ちゃんは武田家波で吹き飛ばされてしまいました。 千勢屋香墨は風になりました──十四代目武田信玄が無意識にのうちにとっていたのは“敬礼”の姿でした──。涙は流さなかったが、無言の男の詩が──奇妙な友情がありました── 香墨ちゃんが最後に見た手紙は、本物の手紙だったのでしょうか。 それとも、香墨ちゃんがみた幻だったのでしょうか。 それは今となっては誰にもわかりません。 わかるのはただ、この試合の勝者が十四代目武田信玄であるということだけです。 とっぴんぱらりのぷう ──────────── ──────── ──── 凄まじい力だった。 まさか、太陽系全てを吹き飛ばすほどのエネルギーを持った武田家波を一瞬とはいえ、押し返してくるとは。 あれで大分力をそがれた。 今この地球が無事であり、千勢屋香墨が吹っ飛んだ程度で済んだのはあの超親子パワー三段撃ちのおかげだろう。 「絆の力、か」 あの親子のことが少し羨ましくなった。 だが、自分にも守りたい絆はある。 自分をここまで導いてくれた、十二人の武田信玄。 血は流れていなくとも、同じ名を持つ家族だった。 自分が武田家波を使えるのは、彼らがそう認めてくれている証だ。 そして、自分に道を示し、敗北の後も支え続けてくれている歴史博士。 戦場に一人で立っていたとしても、常に自分に力を与えてくれていると、感じている。 彼らの為にも、もう二度と負けるわけにはいかない。 十四代目武田信玄は七億度の炎せいで再起不能のダメージを受けた廃工場から星を見上げながら 強く、そう誓うのであった。
https://w.atwiki.jp/marowiki/pages/1900.html
目次 【時事】ニュース唐津焼 Karatsu ware Karatsu porcelain RSS唐津焼 Karatsu ware Karatsu porcelain 口コミ唐津焼 Karatsu ware Karatsu porcelain 【参考】ブックマーク 関連項目 タグ 最終更新日時 【時事】 ニュース 唐津焼 <佐賀のお酒>「万齢『冬の酒』裏バージョン」 - 佐賀新聞LiVE <唐津篇>美食の旅番組を台湾でシリーズ放送!福山剛シェフが ”GohGanキッチンカー”で福岡・佐賀の最高の食材に出会い腕を振るう! | RKBオンライン - rkb.jp 信玄ゆかりの「長沼城」跡で発掘状況の現地説明会 長野市|NHK 長野県のニュース - nhk.or.jp しの笛奏者の佐藤和哉さん 唐津焼イメージで新曲「火具土(かぐつち)」 - 47NEWS 実力派の酒器100点 4日から作家9人「唐津ぐい呑展」 有田町で - 佐賀新聞LiVE ダイアログ・ミュージアム期間限定プログラム「ラブ・イン・ザ・ダーク」 「ラブ・イン・サイレンス」開催 - 47NEWS “地元愛”確かめる「検定」に挑戦 唐津西高 - 佐賀新聞LiVE 「長沼城」跡から生活道具 国と長野市が防災拠点整備予定|信毎web - 信濃毎日新聞 日本のものづくりをファッションに昇華させる新たなプロジェクト 『Calling BEAMS CRAFTS IN THE MAKING』を京都・新風館でローンチ - PR TIMES 【動画】<炎の肖像>(8)岸田匡啓さん(鳥巣窯) 使う人考え、独自性追求 - 佐賀新聞LiVE 九電・舞鶴荘で唐津焼の展示試行 近代和風を生かし 26、27日 活用のマルシェ第2弾 /佐賀 - 毎日新聞 器と作家との出会い 21日まで 唐津窯元ツーリズム 手びねり体験も - 佐賀新聞LiVE 新たな視点で<肥前佐賀>の魅力に迫る『佐賀のトリセツ』を11月25日に発売 - PR TIMES “骨董品マニア”市川猿之助が普段使いしている古唐津焼の盃 その驚きの鑑定額に櫻井翔「マジで!?」 - スポーツニッポン新聞社 みんなの掲示板 11月12日 - 佐賀新聞LiVE 江頭2 50が自腹で購入した『視聴者プレゼント』の金額に脱帽! 「伝説回」「素敵すぎる」 - grape 馬毛島基地計画 防衛省が小中学校跡地の取得提案 西之表市長「取引の段階ではない」 - 47NEWS 【動画】<唐津焼新時代 炎の肖像(7)>三藤窯 三藤るいさん - 佐賀新聞LiVE 第32回佐賀県ママさんバレーボール チーム紹介・はつらつの部(3チーム) - 佐賀新聞LiVE <トピックス>開店2周年でメニュー刷新 KARAE TABLE - 佐賀新聞 佐賀の魅力と情報発信|有明抄|佐賀新聞LiVE - 佐賀新聞 【大人のお取り寄せ】紅はるかを低温多湿で管理し熟成 壺みついも(東京) - ZAKZAK 唐津市・呉服町商店街に陶磁器ギャラリー完成 銀座サロンのママ出店 - 佐賀新聞LiVE 焼きいも、栗ようかん…秋を贅沢に味わう!至福のスイーツお取り寄せ(婦人画報) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 購入が支援となる「社会貢献型」オンラインショップオープン! - PR TIMES ご当地スーパーでローカルなお土産探し! 【佐賀・鳥栖編】 (2021年9月21日) - エキサイトニュース 料理映える新作250点 岸田さん作陶展 26日まで - 佐賀新聞LiVE ビームス プラネッツが久留米絣と肥前の陶磁器を宝石に見立てた美しいジュエリーのポップアップを日本橋三越で開催 | LIFE | FASHION HEADLINE - FASHION HEADLINE <サカズキノ國(最終回)>「一生一盃」を探し求め 村多正俊 特別鼎談(丘唐三郎氏×勝見充男氏×村多正俊氏) - 佐賀新聞 西武池袋で佐賀ポップアップショップ 伝統工芸品からスイーツまで県産品200点 - 池袋経済新聞 秋の夜長は「七田」と共に!佐賀県の七田 七割五分磨きシリーズの『ひやおろし』が9月2日から蔵出し開始 - PR TIMES 中里隆さん東京で個展 土と炎に導かれた陶芸の旅 唐津焼ルーツ、自由に創作 - 佐賀新聞 「47都道府県で連携」の文言削除を提案する考え、丸山知事 東京都に不信感 - 47NEWS 【動画】<唐津焼新時代 炎の肖像(5)>土平窯 藤ノ木陽太郎さん - 佐賀新聞 サガンUー15決勝進出 サッカークラブユース選手権 - 佐賀新聞 【西武池袋本店】ポップアップショップ 伊万里・有田焼や小城羊羹など佐賀の県産品が約200点集結!:時事ドットコム - 時事通信 「音楽の灯」つなぐ意欲的選曲 くにたちコンサート - 佐賀新聞 唐津焼 小島さん、作陶40周年個展 東京・日本橋三越で - 佐賀新聞 <新型コロナ>佐賀県が伝統産業に支援金 15~20万円、申請始まる - 佐賀新聞 唐津焼とお茶コラボ 7月25日までセット提供 唐津市京町の商店街 - 佐賀新聞 【動画】「ネコ店長」がお出迎え 唐津焼・赤水窯の「そうへい」人気 - 佐賀新聞 <唐津焼新時代 炎の肖像(4)>由起子窯 土屋由起子さん - 佐賀新聞 ミシュラン・ビブグルマン3年連続掲載の「はし田本店」プレミアムうどんセットの受注受付を7月20日から開始 - アットプレス(プレスリリース) 白や青、涼しげに100点 「夏のうつわ展」、唐津焼作家7人 - 佐賀新聞 唐津城の城下町造り、築城と同時進行 当時の石垣確認、裏付けに - 佐賀新聞 AMS、食のEC/DX拠点「九州南阿蘇研究所」を新設 ミシュラン取得「はし田本店」のDX総合プロデュースサービスを7月から開始 - アットプレス(プレスリリース) <こちさが>「山県」→「山縣」と表記します 選手団主将、陸上男子100メートル代表|スポーツ|佐賀新聞ニュース|佐賀新聞LiVE - 佐賀新聞 <唐津焼新時代 炎の肖像(3)>鎮西窯 安永頼山さん - 佐賀新聞 【もうすぐ父の日】離れていても感謝を伝えたい!「父の日ギフト」にぴったり!佐賀の厳選ギフトを販売! - PR TIMES 唐津焼の新しさ追求 安永頼山さん茶陶展 - 佐賀新聞 被災地支援へ「三右衛門展」 - 47NEWS 城主家紋入り、金色の御城印 唐津城で限定販売 - 佐賀新聞 【動画】コロナ禍、焼き物催しネットでも - 佐賀新聞 <GW、焼き物県「佐賀」堪能>唐津焼作家ら日替わり対談 「ユーチューブ」で配信 - 47NEWS <まちの話題>4月18日に石体祭り 小城市の民宿「ほのか」周辺 - 佐賀新聞 大丸 福岡天神店の九州活性化プロジェクト「九州深発見」に佐賀のセレクトショップ「SAGA MADO」が初出展します! - PR TIMES 風情感じる古唐津150点 11日まで 矢野さん新作展 - 佐賀新聞 【動画】焼き物の産地PR、ラッピング列車出発 6月20日まで運行 - 佐賀新聞 <サカズキノ國(18)>新陶に感じた桃山の息吹 勝見充男 - 佐賀新聞 ドラマコレクション 「遠山の金さん」「水戸黄門」 | TVO テレビ大阪 - tv-osaka.co.jp 【販売開始】有田町在住・カナダ人陶芸家ジェレミー パレ ジュリアンによる旅する器・HIZEN Traveling Tumbler(肥前トラベリングタンブラー) - PR TIMES 今岳窯、17日から初窯開き お得な「福箱」も - 佐賀新聞 <サカズキノ國(16)>唐津焼新たな楽しみ方で 勝見充男さん×村多正俊さん 新春談義 - 佐賀新聞 十四代中里太郎右衛門オンライン展を開催 当代渾身の作品をリアルでもオンラインでも鑑賞・購入できる二か月間 - アットプレス(プレスリリース) 「コロナ牛耳って」終息願い 唐津市・中野窯で干支の置物作り - 佐賀新聞 有田焼や唐津焼がアクセサリーに、やきものブランド「ヒゼンファイブ」ビームス プラネッツ監修の新作 - Fashion Press 唐津焼の実力派7作家の酒器90点展示 5日から有田町で - 佐賀新聞 【動画】旧唐津銀行、入館者40万人突破 佐賀市の田中さん夫婦に記念品 - 佐賀新聞 【動画】器や作家との対話を満喫 唐津や伊万里で「窯元ツーリズム」 - 佐賀新聞 唐津焼作家と交流楽しんで 21、22日 窯元ツーリズム - 佐賀新聞 【動画】土屋由起子さん個展 草伝社で11月1日まで 唐津焼新作など300点 - 佐賀新聞 凜とした品格 唐津焼・岡本作礼さん個展 /佐賀 - 毎日新聞 ブリティッシュショートヘアの猫店長が出迎えてくれる窯元 猫の箸置きに込めた思い|まいどなニュース - 神戸新聞社 【動画】唐津焼・梶原靖元さん作陶展 肥前狛犬など109点 - 佐賀新聞 唐津焼多彩 テーマは「品格」 - 佐賀新聞 戸川雅尊さん、草伝社で唐津焼個展 - 佐賀新聞 空き店舗で唐津焼イベント 19日から商店街中心に「まちなか散歩」 - 佐賀新聞 「肥前の三右衛門」トーク配信 福岡の会場と結んで - 佐賀新聞 迫力の陶製「金獅子」 唐津焼窯元・中野さん制作 - 佐賀新聞 櫨ノ谷窯・吉野さん新作展 青唐津や粉引、涼しさ演出 - 佐賀新聞 唐津「KARAE」多彩なサービス インフォメーションオープン - 佐賀新聞 「技術伝え、互いに成長を」 唐津焼窯元 土屋さん夫婦料理教室 - 佐賀新聞 御茶盌窯記念館オープン 唐津焼、中里家の作品など50点 十四代太郎右衛門さんが「夢」実現 /佐賀 - 毎日新聞 「景気上昇チュウ」 唐津焼で来年の干支「子」の置物づくり【佐賀県唐津市】|佐賀のニュース・天気|サガテレビ - サガテレビ やきものカジュアルブランド『HIZEN5』“いい文具の日”に第3弾文具新プロダクト発表! - PR TIMES 佐賀駅の地酒立ち飲み店で伝統工芸品PRイベント 伝統的工芸品月間に合わせ企画 - 佐賀経済新聞 佐賀県唐津市の中心市街地に「HOTEL KARAE」が今秋オープン。モデルの武居詩織と唐津の風景を巡るティザーサイトを公開。 - PR TIMES 有田焼や唐津焼…佐賀の陶磁器生かしたアクセサリー 11月に文房具も - 毎日新聞 - 毎日新聞 文房具購入額が全国1位 (※)の佐賀が肥前のやきものを活かしたオリジナルの文房具を考案 やきものカジュアルブランド『HIZEN5』第3弾文房具製作始動!製作キックオフミーティングを開催 - PR TIMES 4日間&4食限定!唐津焼とフレンチのマリアージュ「スペシャルディナー~4つの窯元と、唐津食材の夕べ~」in 羽田エクセルホテル東急 - PR TIMES 豊かな土壌から育まれた食材や唐津焼の魅力を発掘!羽田エクセルホテル東急「唐津フェア」 - PR TIMES 日本茶や日本酒とともに楽しむバレンタイン。メイド イン ジャパンの“心”を込めて伝統工芸シリーズVol.6 「Wa-Gokoro~和心~」唐津焼のカップに5種のチョコレートを添えて。限定10個で販売 - PR TIMES 初節句人形:唐津焼の家紋入り兜 節句に合わせ中野窯が制作 代々引き継がれるように /佐賀 - 毎日新聞 唐津焼「紙板皿」で食卓華やか 鳥巣窯・岸田さん - 佐賀新聞 イベント情報|【3/7~3/12】若手唐津焼作家による「陶二人展」開催|NetIB-News - NET-IB NEWS 「Sagakeen」新グッズは唐津焼の小皿と有田焼の豆皿、伝統技術でシック&キュートに『スプラトゥーン』を表現 - iNSIDE 佐賀県とスプラトゥーンのコラボ「Sagakeen(サガケーン)」有田焼・唐津焼の新コラボ商品発売が決定! | 佐賀県庁 - デジタルPRプラットフォーム 佐賀県とスプラトゥーンのコラボ「Sagakeen」に新商品 唐津焼&有田焼のイカしたお皿が登場 - - ねとらぼ アダム、種子島へ行く。3人の陶芸家たちの邂逅。 - カーサ ブルータス 【セルリアンタワー東急ホテル】唐津焼ぐい呑とバレンタインチョコレートのコラボレーション! - PR TIMES Karatsu ware 【販売開始】有田町在住・カナダ人陶芸家ジェレミー パレ ジュリアンによる旅する器・HIZEN Traveling Tumbler(肥前トラベリングタンブラー) - PR TIMES Karatsu porcelain gnewプラグインエラー「Karatsu porcelain」は見つからないか、接続エラーです。 RSS 唐津焼 #gnews plugin Error gnewsは1ページに3つまでしか使えません。別ページでご利用ください。 Karatsu ware #gnews plugin Error gnewsは1ページに3つまでしか使えません。別ページでご利用ください。 Karatsu porcelain #gnews plugin Error gnewsは1ページに3つまでしか使えません。別ページでご利用ください。 口コミ 唐津焼 #bf Karatsu ware #bf Karatsu porcelain #bf 【参考】 ブックマーク サイト名 関連度 備考 Wikipedia ★★ 焼物Wiki ★★ 関連項目 項目名 関連度 備考 研究/佐賀県 ★★★ 産地 研究/長崎県 ★★★ 研究/伝統的工芸品 ★★★ 研究/登り窯 ★★★ 研究/弓野焼 ★★★ 研究/二川焼 ★★★ 研究/陶磁器 ★★★ 研究/陶芸 ★★★ タグ 創作 最終更新日時 2013-09-05 冒頭へ
https://w.atwiki.jp/konmade-seiseisensou/pages/39.html
注意! 最終的な他キャラとの関係などを記載しています。 本編を見ていない方にはネタバレとなる可能性があります。 初代 二代目 三代目 四代目 五代目 六代目 七代目 八代目 九代目 十代目 十一代目 十二代目 十三代目 十四代目 十五代目 十六代目 十七代目 十八代目 十九代目 二十代目 二十一代目 二十二代目 二十三代目 二十四代目 二十五代目 二十六代目 二十七代目 二十八代目 二十九代目 三十代目 三十一代目 三十二代目 三十三代目 三十四代目 三十五代目
https://w.atwiki.jp/dngssonenight/pages/76.html
一回戦第一試合その2 ここはニューヨークにある非合法BAR。 今宵もここには非合法な連中が集う。 「よう、そこの姉ちゃん。どうだい、非合法な俺たちと非合法な夜を過ごさねえか」 見るからに非合法な連中が、非合法な場にそぐわない合法的に可愛い少女に声をかけている。 「すいません。あいにくちょいと野暮用がありまして。」 少女の名は弥六。六波羅探題の過去方に所属する女忍者だ。ちなみに本名は才羽鉄子だ。 何故六波羅探題の過去方がニューヨークの非合法BARにいるのか。ここにいる非合法な連中をしょっぴっくためか。違う。何らかの非合法な取引をするためか。違う。 闘うためだ。闘いに勝利し、大英帝国復活の狼煙を上げるためだ。 弥六は今その闘いの相手を探している。 十四代目武田信玄。ヤツもここにきているはずなのだ。 「石垣商店~♪石垣商店~♪未来を作る~♪石垣商店~♪石垣商店~♪貴方のための~♪い~し~が~き~しょ~て~ん♪……石垣商店は未来を作る会社です」 非合法BARのラジオから合法的企業のCMが流れる。 弥六の家の近所にある、世界的大企業のCMだ。 そのCMが終わり、次の番組が始まろうとしたとき、見覚えのある男を見つけた。 十四代目武田信玄。 武田信玄の名を公然と僭称する不届き者。僭称者であるくせに当然のように生き残っている化け物。 そして、かつて最強と呼ばれた武士。 (あはは。わかっていたけど。大英帝国復活への道は険しいですねえ) 十四代目武田信玄は、嘗て当代信玄とその座を争った武士だ。当代に敗れはしたものの。当時の幹部の中には彼の方を評価していたというものも少なくない。 弥六は幹部ではないが、六波羅探題の現役の過去方である。故に十四代目武田信玄、たかしくんの勇名は知っているし、その戦いぶりも何度か目にしたことはある。 故に、十四代目武田信玄の強さは知識としてもしっているし、今ここで対峙しているだけでも本能は緊急避難警報しか出してこない。 だが、それでも闘うと決めたのだ。 腹はもう括ってきた。 十四代目武田信玄は、まだこちらに気付いていない。先手をかけるなら今だ。 いや、気づていないフリをして、泳がせているのか。まず様子を見た方がいいのではないか。 だが、もし十四代目武田信玄に先手を打たれたら、生き残れるのか。 一瞬で様々な思考が交差した。そして苦笑する。 腹を括ってきたのではなかったのか。試合開始前に敵の名を見た時に覚悟を決めたのではなかったか。 十四代目武田信玄も倒せず、大英帝国復活も為せるものかと決意したのではなかったのか。 それならば、自分のやることは一つだ。勝利を得るためには攻撃あるのみ。 「へい、お嬢ちゃん。どうしたんだい。気分が悪いなら俺の非合法なドラッグでも飲むかい。スッキリするぜ」 さっきとは違う非合法な男が弥六に声をかけてきた。 「いえ、大丈夫です。」 男の方には目も向けぬまま、弥六は答えた。 「頭の方はもうスッキリしてますから」 瞬間、弥六の腕がサイコガン(10万6千円)に変わった。 『人体の調和』 「ワオ!?NINJA!?」 非合法な男もびっくりしている。 石垣商店製サイコガン。少しばかり値はあるが、その威力は折り紙付きだ。 小型の蝦夷羆であれば、一撃で仕留めることができる。 つまり、魔人に使うにはあまりにも過剰すぎる兵器であるということだ。 そのサイコガンを、弥六は躊躇なくぶっ放した。 壁が吹き飛ぶ、非合法な男たちの血が辺りに飛び散る。六波羅探題の過去方は過酷な仕事だ。一般人の血が流れる事態にはなれている。 ましてここはニューヨーク。異世界アメリカの街。私の敬愛するイギリス人たちを散々に苦しめたインディアンたちの街だ。そんな連中の血がいくら流れようとも弥六は一切に気にしない。 サイコガンをさらに打ち続ける。店内は、悲鳴に満ちている。照明が中を照らさなくなった代わりに、ニューヨークのビルの明かりが辺りを照らしている。 弥六のサイコガンはそのビルすら吹き飛ばす。ビルが崩壊し、瓦礫がさらに破壊を呼び、それをさらにサイコガンは蹂躙する。 そして弥六の視界から人工の光が消えた。 月明りが照らすのは弥勒と、哀れにも巻き込まれてしまったインディアンたちの死体。 そして無傷のままただ立っている。十四代目武田信玄。 十四代目武田信玄は歴代の武田信玄を召喚できる魔人である。 だが、それは歴代の信玄を召喚して闘うということではない。 彼は歴代の信玄を召喚し、信玄たちに師事することで、己を鍛え上げたきた魔人だからだ。 彼の最大の武器は信玄を召喚するという恐ろしい能力ではなく、信玄たちに鍛え上げられてきた己自身だからだ。 史上最も偉大な武田信玄と崇拝される初代。 史上最も多くの血を流した武田信玄と恐れられる二代目。 史上最も在位期間の短かった武田信玄と言われる三代目。 史上最も史上最も武士を憎んだ武田信玄と忌避される四代目。 史上最も吝嗇な武田信玄と敬られる五代目。 史上最も民に愛された武田信玄とされる六代目。 史上最も放蕩な武田信玄と慕われる七代目。 史上最も苛烈な武田信玄と畏怖される八代目。 史上最も勤勉な武田信玄と崇められる九代目。 史上最も初代信玄に憧れた武田信玄と語られる十代目。 史上最も勇猛な武田信玄と讃えられる十一代目。 史上最も政治工作に長けた武田信玄と嘆ざれる十二代目。 幼少のみぎりから、それら信玄の教えを受けてきた。 武田家の嫡男よりも恵まれた、しかし誰よりも過酷な教育環境に、十四代目武田信玄は自らの意思で身を置き続けてきた。 そして彼は一般武士の身でありながら歴代信玄に並ぶ、いや、超える力を手に入れたのだ。 それは武田家関係者の誰もが認めてることであった。 そしてその彼が史上最も幼い武田信玄と言われる当代の信玄に一撃で敗れたことが、当代の信玄こそが史上最強とされる所以ともなっている。 つまり、当代信玄の最強が証明されたのは十四代目武田信玄(当時の名はたかし)を倒したからなのだ。 敗れはしたものの、最強の当代信玄に最も近い男はたかしくんであると誰もが思っていた。 最強であるが幼い当代信玄を、当代に次ぐ実力を持つたかしくんが支えるのが武田家首脳部の理想の形であったが、たかしくんはそれを是としなかった。 あくまで己の最強を証明し、信玄となることに拘った。今たかしくんは十四代目武田信玄を名乗り、当代の体制に叛いているものの、 最強に最も近いとされた実力を惜しみ、当初構想通り彼が側近となっていてくれたならば、と嘆く幹部も少なくはない。 (あれだけやって無傷ですかい) 思わず冷汗が流れた。 十四代目武田信玄の強さは、知識として知っている。恐怖も肌で感じた。だが、今触れてわかったのは、その底知れなさ。歴代の信玄に鍛え上げられた、深い、深い強さ。 (節約とかしてる場合じゃないですねえ) 十四代目武田信玄がこちらを見ている。 「どうした。もう終わりか。」 脅すような、こちらを値踏みするような、そんな声だ。 終わりだと言えば、容赦なく弥六を潰しにかかってくるだろう。 「まさか。冗談じゃない」 虚勢を張るように笑う。 「イギリスン忍法の奥深さ!なめないでいただきましょうか!」 イギリスンダッシュ。虎のように身を伏せ、一瞬で相手の後ろに回り込むイギリスン忍者独自の移動法。 そこから相手に組み付き、相手を持ち上げ、背中から地面に叩き落とし、敵の首の骨をおる。バリツ必殺のコンビネーション。 それが、十四代目武田信玄には通用しない。 「遅いな。」 後ろに回り込んだ瞬間に顔を掴まれた。そしてそのまま放り投げられる。壁に背中を打ち付けられた。 肺から、空気の塊が逃げていくような感覚があった。一瞬呼吸ができなったが、イギリスン呼吸術で無理やり直した。 「もう終わりか。」 さっきと同じ。脅すような、こちらを値踏みするような声だ。 「まさか。」 さきほどよりも強い意志を込めて、弥六が答えた。 十四代目武田信玄は、やはり化け物だ。 それでも今の応酬で確信した。 勝てる。 あのサイバネを使えば。 目の前の女が、不意に笑みを浮かべた。 諦めたような笑みでもない、虚勢を張るためのものでもない。 勝利を諦めないものだけができる、強さをもった笑みだ。 このまま畳みかけ、勝利を奪うことは容易い。だが俺が求めているのは勝利ではない。 信玄へと繋がる道だ。 相手の余力を残させたまま勝利を奪っても、それには何の価値もない。 敵の全力を踏み越えた先にこそ、信玄への道がある。 女が立ち上がった。 同時に、地鳴りのような大きな音が聞こえた。 大地が、揺れている。いや、大地がせりあがっている。 やがて刺すような寒さを感じるようになった。 雲がどんどん近づいてきて、その中に入り、気づいた時には雲は下にあった。 これは。 「サイバネ富士山か」 サイバネ富士山(96万8千円)。武田家が自家の領地である証として侵略地に設置する。人口の富士山である。 その機能は通常の富士山の機能に加え、タケダネットの中継的な役割も果たしている。 「ふはははは!どうですか!」 富士山の山頂から弥六の声が響いた。 「あなたがいくら強いと言っても、それは所詮魔人の領域。もはや富士山そのものとなって私には勝てないでしょう」 ちなみに現在弥六は自分の首から下を胴体に変えているので富士山の山頂からひょっこり弥六の首が生えている形になっている。 「降参するなら今の内ですよ」 富士山の山頂から首を生やした女が言った。 「冗談だろう。やっと面白くなってきたところなのに、そんなことができるものかよ」 富士山の山頂付近に立っている男が答える。 「そうですか。残念です。では、噴火」 サイバネ富士山となった弥六は自在にサイバネ富士山を噴火させることができる。 富士山の噴火。それは土石流、火山噴煙、火山ガス、火山灰、火山弾、様々な災厄が同時に超高速で襲い掛かってくる史上最悪の災厄だ。 武田家が占領地にサイバネ富士山を置くのも、逆らった場合はサイバネ富士山を噴火させ国を亡ぼすという脅しに他ならない。 かつてサイバネ富士山を噴火させられた国はわずか5秒で滅ぼされたという記録もある。 その富士山の噴火を目の前にして、十四代目武田信玄は攻撃的な笑みを見せた。 これぐらいやってもらわなければ、この戦いに参加した意味がない。そう言わんばかりの笑み。 溶岩が目の前に迫ってくる。 十四代目武田信玄はそれに対して焦るようでもなく、ただ腰を深く落とし抜刀の構えを取った。 八代目武田信玄は史上最も苛烈な武田信玄と呼ばれている。 また最も評価の分かれる武田信玄ともいえるだろう。 彼女こそ武田家の中興の祖であるという歴史家もいれば、 彼女が即位していた時代は暗黒の時代であったと言い切る歴史家もいる。 彼女が即位した当時は関が原から100年経っており、世はまさに平穏そのものであった。 だが、平穏というものは民には味方であるが、戦闘生物である武士には自らの力を奪っていく敵でしかない。 少なくとも当代信玄はそう考えていた。 それを打破するために彼が出した法令が所謂『認強令』である。 その内容はとてもシンプルで『力さえあれば何をしてもよい』と書かれているだけであった。 同時に彼女はそれ以外の法令を全て廃止した。つまり無法の世を作ってしまったのだ。 その無論それに反対する武士もいたが彼はそれらの意見を力ずくで潰していった。『力さえあれば何をしてもよい』というのを実践していったのだ。 そしてそれ以降武士の世界は秩序を失った。家督争い、武家同士の戦争、下剋上、武士の血が流れない日などなく、その様はまさに戦国時代の再来であった。 無論武田信玄に挑む者たちもいたが、それらは全て一瞬で消し飛ばしたあたりは流石は信玄と言える。 そして戦乱の世が数十年続き、武家の間に均衡状態ができたところで、信玄は『認強令』を廃止、それまでにあった法令を復活させた。 戦乱の終わりを宣言したのである。そしてその時に反対意見を唱える者は誰もいなかったという。皆、血で血を洗うような生活に疲れていたのであろう。 そして彼はその数日後に息を引き取った。寿命であったという説もあれば、次代の信玄に殺されたという説もある。 『認強令』により、武士階級は勿論、非武士階級からも多くの命が失われた。彼女の時代を暗黒時代であるというものはそう主張する。 『認強令』により、力なき武士は消え去り、力ある武士はさらなる力を求め、そうすることで武士は関が原当時の強さを取り戻した。 彼女を中興の祖であるというものはそう主張する。 そんな彼女の技は『全空』と呼ばれるものだった。 ただ、あらゆるものを切り裂くことができる。それだけのものだった。 どんなに巨大なものも、どんなに硬いものも、世界そのものも、異世界すらも、斬ることができた。 史書はそう伝えている。 そして、十四代目武田信玄は史書に伝えられていることが事実であると知っている。 何故なら10年以上、彼女に師事し続けてきたからだ。 「全空」 十四代目武田信玄は、彼女の技を使うことができる。 何故なら九代目武田信玄の教えを受けているからだ。 九代目信玄は史上最も勤勉な武田信玄とも言われている。 だがこちらよりも“普通公”という通称の方が有名であろう。 彼は当時武力に置いても知力においても並ぶ者がない傑物であったが、自分自身はそれを“普通”であると公言してはばからなかった。 それは謙遜から来ているのでも厭味でもなく、彼の本心から出た言葉であった。そして当時の人もそのことをすぐに実感した。 何故なら九代目信玄はすぐに“普通”になったからだ。 それは九代目の能力が落ちたからではない。周りの人間の能力が上がったからだ。 九代目信玄以上の者はいなかったが、彼の天才としか言いようのない突出した優秀さが“普通”の範疇に入るほどにはなった。 彼の能力はマニュアル化である。あらゆることを誰にでもできるような簡単なマニュアルにすることができた。 自分が現在の優秀さを得た過程をマニュアル化し、自分と近い能力を持つ人間を作ることが出来たし、 魔人能力をマニュアル化し、技術として使用することも出来た。 そしてそのマニュアル化自体を技術として十四代目武田信玄に伝えることも、当然できた。 十四代目武田信玄が刀を振るった。 抜刀。剣閃が一文字に煌く。 土石流、火山噴煙、火山ガス、火山灰、火山弾。富士山から噴火された全ての災厄が一文字に斬られた。 「え、う、嘘でしょ」 十四代目武田信玄が刀を振り下ろした。 二度目の剣閃。 あまりの早さゆえに剣閃が十文字にすらみえた。 『全空』は全てを切り裂く。どんなに巨大なものも、どんなに硬いものも、世界そのものも、異世界ですら。 十四代目武田信玄は、八代目武田信玄より未熟であるがゆえに、世界や異世界を斬ることはできない。 だが、サイバネ富士山程度に巨大で、硬いものなら、一太刀で斬ることができた。 「ぎゃ、ぎゃああああああああ!」 弥六の叫びともに、サイバネ富士山は縦に二つに割られ、そして倒れた。 凄まじい土煙が立っている。 巨大なサイバネ富士山が二つに割られ、ぶっ倒れてしまったのだから当然だ。 ニューヨークの受けたダメージは壊滅的だろう。 そしてさきほどまでサイバネの富士山の頂点があった場所。 災厄の中心点、非合法BAR跡地に十四代目武田信玄と女忍者弥六が立っていた。 十四代目武田信玄が問うた。 「まだ、やるか」 先ほどまでの脅すような、値踏みするような声ではない。 自分と渡り合った少女の健闘を称えるようなそんな響きがある。 「まさか」 弥六はあくまで自然体で答える。 「負けですよ。私の」 全力を尽くした。サイバネ富士山は自分の買える範囲では最も強力な武器の一つだ。 あれが通じなかった今、これ以上の戦いは時間とお金の浪費になる。そう判断した。 「そうか。」 弥六の目的は、大英帝国の復活だ。今回の戦いはその資金集め、余計な出費はしないに限る。 そんな弥六の考えを見透かしたように十四代目武田信玄は続けた。 「これは独り言だが」 弥六は倒れたサイバネ富士山を見たまま、十四代目武田信玄の声に耳を傾けている。 「俺たちをこの戦いに招待したきっぽちゃん。あれは十中八九織田信長だ。」 その名前を聞いて弥六の体に戦いの最中のものとは違う緊張が走った。織田信長、六波羅探題の人間が、否武田家に組する全ての人間が最も聞くのを恐れている名前。同時に、いつか現れるであろうということを覚悟している名前。 「きっぽちゃん。なるほど。確かに織田信長の幼名は吉法師だから。近いって言えば近いかもね」 あくまで、独り言だ。そう言わんばかりに十四代目武田信玄は言葉を続ける。 「それが確かで、もしお前がこの戦いを通して織田信長のしっぽを掴むことができたなら、武田家から二億どころじゃない褒賞がもらえるだろうな。大英帝国の復活の足がかりにはなる程度の、な」 何故あんたがそれを、という言葉がでかかったが、なんとかそれを飲み込むことが出来た。 十四代目武田信玄についてる男の名前を思い出したからだ。本名は知らない。ただ『歴史博士』という異名だけが伝わる。伝説の探索方。市井の子に過ぎなかったたかしくんを信玄の候補者にまで持っていくことができるほどに武田家上層部と近しく、あらゆる歴史の謎を知り尽くしたとまで言われた捜査能力を持つあの『歴史博士』ならば、弥六のことを調べあげることなど容易だろう。 そしてその『歴史博士』が『きっぽちゃん』が『織田信長』であると言っているのなら、それは根拠のない話ではない。そして、もし弥六が『織田信長』を捉えることができたのならば。 「で、反逆者である貴方がそんなこと私に教えてどうするの。」 この話が真実であろうという確信と緊張を得ながら、弥六がまるで与太話を聞いた時のように適当に答えた。 「俺は、あくまで武田信玄になりたいだけだからな。」 土煙が晴れて、二つに割られたサイバネ富士山の隙間から月明りが十四代目武田信玄を照らした。 「武田家に、滅びてほしいと言わけじゃない。」 それを聞いて、弥六が笑った。 「都合のいい人だなあ。」 「ああ、全くだ」 十四代目武田信玄も一緒に笑った。 もう一つ、お前と戦えてよかった。そう思えたからだ。 この言葉を十四代目武田信玄は呑み込んだ。 ビルの光が激しいニューヨークでは、めったにみられないようなこの美しい満月の元で これ以上言葉を重ねるのは無粋であると、思ったからだ。 二人はこれ以上言葉を交わすことなくただ月を見上げ、そしてもはや廃墟と化したニューヨークを残し、消えた。 一回戦第一試合 非合法BAR 勝者 十四代目武田信玄
https://w.atwiki.jp/dngssonenight/pages/150.html
四回戦第二試合その2 ニューヨーク。 天空を削らんばかりに高く聳え立つビル群は、摩天楼(Skyscraper)と呼ばれる。 摩天楼群の中にあっても、ひときわ高いビルの屋上に、その非合法バーは仮設されていた。 だが、最早バーとは名ばかりで、アルコールを提供する自動サーバが数台あったのみ。 店員の姿はなく、観戦に訪れる者も多くはなかった。 ほぼ確実に命を落とすとしても、非合法試合を間近で観戦したいと思った無謀な観客達。 その数は、二十名に満たなかった。 そして彼らは、予想通り既に命を落としていた。 試合開始より十分が経過。 非合法バーの中でまだ立っている者は、二名のみ。 その両方が――武田信玄であった。 ひとりは、史上最も勇猛な武田信玄と讃えられる十一代目。 敬愛する二代目信玄を象った、朱塗りの鎧甲冑に身を包む。 もうひとりは、後に史上最も優しい心を持つと敬愛されることになる十四代目。 着流しの浪人のような姿をしているが、身に纏うオーラが半端ない。 「覇ァッ!」 十一代目が身の丈よりも数尺長い刃渡りの大段平を、竹刀のように軽々と振り下ろす。 「ぬううんッ!」 十四代目が頭上へ水平に渡した太刀を掲げ、大段平を受け止める。 刀と刀が激突した衝撃波で、周囲に散らばるテーブルの残骸が同心円状にうねった。 そのような剣戟が既に数度、繰り返されている。 観客は衝撃波の直撃を受けて死ぬか、衝撃波によって屋上から弾き飛ばされて転落死した。 薪屋武人は、十一代目と十四代目が繰り返すチャンバラ遊びを退屈そうに眺めていた。 「あいつら……まるでやる気がないな?」 武術の心得がない者が見れば、二人の信玄の戦いは手に汗握るものであったろう。 だが、薪屋にとっては退屈な代物であった。 二人とも、相手を倒そうという気がまったくないのだから。 世界最高峰の剣術演舞を、ただ披露している。 いったい何を考えているのか、薪屋には検討もつかない。 薪屋の全身は、頑丈な生糸で雁字搦めにされており身動きすることは叶わない。 柔軟性があり切断も困難な信玄生糸は、たとえ薪屋の筋肉でも脱出は不可能であった。 初代武田信玄の末娘である松姫が養蚕事業を開始して以来、品種改良を重ねてきた信玄生糸は、ミスリルにも匹敵する貴重な天然資源である。 試合開始直後のことだった。 十四代目武田信玄が、赤い甲冑を背負いながら木の板と棒切れで火を起こすと、突然十一代目武田信玄が出現したのだ。 流石の薪屋も、武田信玄ふたりが相手では手も足も出ず、あっさり生糸で縛られてしまった。 本来ならば、そこで試合終了のはずであった。 だが、薪屋に止めを刺すことなく二人の信玄は何故か戦いを始めたのだ。 それも、本気の戦いではなく茶番のチャンバラ遊びを。 希望崎学園のネット配信を見ている者たちは最高レベルの演舞が見られて満足であろうが。 十四代目が足元を払う水平斬撃。 重装甲冑を着込んでいるとは思える軽やかさで十一代目は跳躍して斬撃を飛び越える。 空中で身を捻り、大段平で十四代目の首を刈りに行く。 十四代目は左手を太刀から放し、段平の側面を下から突き上げるように拳で殴る。 軌道を上方に逸らされた段平を、首を横に倒して紙一重で回避する十四代目。 ――すべてが、茶番だ。 薪屋は、全身の筋肉にありったけの力を込めて信玄生糸を抜け出そうともがき続けた。 『ふざけやがって』 『俺のことを無視して遊んでいることを後悔させてやる』 心の中に、激しく、強い怒りが燃え上がってゆく。 『ビリーブ・ユア・ハート』 怒りが強くなれば強くなるほど、薪屋の筋肉量は爆発的に増してゆく……! だが、信玄生糸は強靭だった。 薪屋の筋肉は爆発的速度で増していったが、それでも生糸は切れなかった。 下段から振り上げられる十一代目の大段平。 鉄筋コンクリート床をバターの如く切り裂き、足下から現れる巨大な刀。 十四代目は避けず、足袋の裏で大段平を受けた。 刃を受ける箇所の足袋を硬化させ、大段平を足場にして跳ぶ。 前方宙返りしながら、十一代目の頭部へ兜割り軌道で太刀を振り下ろす。 「喝ッ!」 十一代目は気魄の声を上げ、氣の壁を作り出し間一髪で太刀を受け止める。 兜に、太刀が0.5mm食い込んでいた。 剣舞が始まってから、既に一時間以上が経過していた。 だが、十四代目武田信玄にとって、このような剣舞は単なる遊びだ。 何年も繰り返してきた、歴代信玄との修行は、こんな甘っちょろい次元ではない。 これは、魅せるための演舞。 ゆえに常人でも視認可能な速度で、手の内を知り尽くした者同士があやとりのように手順を繰り返しているだけなのだ。 だから――この非合法バーにおいて、最も真剣に戦っていたのは、生糸で縛られて動けない薪屋であった。 薪屋は怒った。怒りに怒り抜いた。 自分を置物にして、チャンバラ遊びに興じる武田信玄どもに怒っていた。 一時間以上の間、怒りの限界を超えて怒りを貯め続けた。 ――そして! ☆ぴろりろりらーん☆ 十四代目武田信玄の懐で、電子音が鳴った。 モバイル通信機器の着信音だ。 十四代目は、懐からデバイスを取り出し、通話ボタンを押した。 「はい。もしもし。こちら、たかしです」 なんという非道! 試合中は、モバイル機器の電源を切るのが常識! せめてマナーモードに設定しておくべきではないだろうか! 薪屋の怒りは爆発した! 「貴ッッッ様ァァァーッ! 携帯電話は“校則違反”だァァァァァァーーーーッ!!」 貯めに貯めた怒りを解放し、『ビリーブ・ユア・ハート』で一気に筋肉量に変換する! 薪屋の身体が巨大に膨張する! さしもの強靭な信玄生糸も、この怒りの強さには耐え切れず引きちぎれる! その筋肉量……20万t! 一気に膨れ上がった薪屋の肉体は、非合法バー全体を覆い尽くしてなお余りあるサイズに! 二人の武田信玄は、膨張した薪屋に弾き飛ばされて摩天楼群の上空へ! 「あー、もしもし。そっちでも見てると思うが、ちょっと弾き飛ばされてね」 十四代目は、空中を蹴って態勢を整えながら、自分が弾き飛ばされたことには関心があまりないように通話を続けた。 その様子を見て、十一代目は役割が終わったことを知り、霧のように姿を消した。 「今から俺もそちらに合流する。――『博士』を取り戻すために!」 十四代目武田信玄は、力強くそう宣言すると通話を終了。 そして、摩天楼の上空を空中歩行術で駆け、ポータルへと向かっていった。 千勢屋香墨との試合終了後、十四代目は千勢屋に訪れた。 そして、平賀稚器の自立脳を対話し、織田信長に繋がる手掛かりを得たのだ。 だが、「きっぽちゃん」と名乗る織田信長の、潜伏場所を突き止めるには至らなかった。 そこで、第四試合を利用して希望崎学園の物理所在を逆探知することにした。 だから、茶番であったとしても視聴者を満足させるような『試合』を見せ続ける必要があったのだ。 十四代目の通話相手は、松田信太――十三代目武田信玄その人である。 捕われの『博士』を救うため、たかしくんは、敵である今上信玄と手を組んだのである。 十四代目を僭称するたかしくんは、世界幕府の敵である。 だが、織田信長を討つという点では利害は一致していた。 ――この呉越同舟が、やがて本当の十四代目武田信玄が誕生するきっかけとなったのだった。 一方、巨大な筋肉の塊となった薪屋は―― 非合法バーを設営していたビルは、巨大薪屋の重量を支えることはできなかった。 巨大な筋肉に押しつぶされるように、高層ビルが崩壊してゆく。 そして、およそ400mの高さからビルを壊しながら垂直に落下した薪屋であった物体は地面に叩きつけられ―― 筋肉がすごかったので、特になんともなかった。 試合結果:十四代目武田信玄場外により、薪屋武人の勝利。 試合らしい試合にならず、対戦相手に“生徒指導”することもできなかった薪屋は、とってもしょんぼりとして家路についた。 そして、不思議な光景を見た。 ――いない。 愛する妻である、薪屋ましろが、いない。 二人で過ごしたはずの、綺麗に片付いた清潔な我が家も存在しなかった。 そこにあるのは、乱雑にゴミの散らかった汚らしい独身男性の部屋であった。 姫宮マリとの戦いの中で、薪屋武人は『過去の自分』を受け容れた。 それは、スクラップ置き場で得た『幸福な夢』との決別でもあったのだ。 (ああ、そうか……そうだったよな……) 薪屋は、すべてを思い出した。 声を失った益田ましろを救おうと、献身的に看病した日々を。 ましろが首を括って死ぬまでの短い間の、本当の思い出を。 そして、その後、おかしくなってしまった自分の凶行についても、はっきりと自覚した。 薪屋は、頑丈なロープで輪を作り、天井から吊るした。 そして、あの日のましろと同じように、輪の中に首を通し、足場を蹴り飛ばした。 全体重が、輪に通した首にかかり、輪が首を締め付ける―― でも、筋肉がすごかったので、特になんともなかった。 (おしまい)
https://w.atwiki.jp/dngssonenight/pages/90.html
二回戦第三試合その1 ここは新潟にあるスクラップ置き場。 今宵もここには危険なスクラップどもが集っている。 例えば、足の潰れた元バレリーナや、信玄の名をかけた戦いに敗れ、反逆者に身を落とした元侍のようなスクラップ共が。 ガラクタ達の上で、二つのスクラップが対峙する。 「貴方が、十四代目武田信玄さん?」 姫宮マリはずっとバレエに打ち込んできた少女だ。バレエとアニメ以外のことには目もくれず、ひたすらバレエに打ち込んできた。 そんな自分が世間ずれしていることは自覚している。 「えーっと、私の記憶が確かならたしか今の信玄公は十三代目だったと思うんですけど。」 だが、そんな姫宮マリでも当代が十三代目であるということは知っている。 「ああ、その通りだ。俺のは、自称だからな」 今のところは、という言葉は呑み込んだ。いずれ自分が十四代目になる。その決意が鈍らなければそれでいい。 「ああ、なるほど。僭称というヤツですか。それでは」 姫宮マリが大きく跳ねる。体を宙で翻した 「アン」 右足のスラスターを加速させ、急降下する。 「ドゥ」 十四代目武田信玄の頭上から左足を叩きつける 「トロワ!!」 それを十四代目武田信玄は左で防いだ。 同時に右の拳が腹部へ目がけて飛んでくる。 上半身を跳ね上げ、それをかわす。その勢いで十四代目武田信玄の後ろへと回り込んだ。 「ああ、よかった」 姫宮マリは追撃をせず、十四代目武田信玄を讃えるように手を打った。 「貴方が、あの程度の攻撃も防げない。ただ信玄公を僭称する愚か者だったらどうしようかと思いましたわ」 「少しは、期待に応えることができそうかな。」 「ええ、少しは」 十四代目武田信玄が嘲るように笑った。 「そうか、なら。次は俺の期待に応えるように、あんたが頑張ってくれ」 姫宮マリの手がとまった。 「今の程度じゃ、あんたは俺の敵にはなりえない」 「それは、失礼しました。」 姫宮マリが構えをとった。 「アン」 右義足を大きく後ろに逸らす 「ドゥ」 体で弓を作る 「トロワ!!」 左足で、地面を蹴る。 左足、右足からともにスラスター噴射する。 同時にしなりにしならせた右足を一気に開放する。 高速移動から放たれる、超高速の蹴り。 暴走トラックを蹴飛ばし、装甲車をも容易く踏み潰す蹴り。 その威力を一点に集中させ、貫通力を高める。 三千世界の中で最も硬いとされる鉱物、信玄鋼。その硬度はダイアモンドの一万倍とも言われる信玄鋼すら貫通するその蹴りが。 十四代目武田信玄に、あっさとりと止められた。 「いい蹴りだ。」 キャッチボールでもしているような気軽さで、十四代目武田信玄が言った。 「バレエの大会なら、いい成績が残せるんじゃないか。」 「当たり前、よ!!」 右足は動かせない。全身の力を込めても、スラスターを噴射しても、ピクリともしない。 ならば、左足を使うまでだ。 「アンドゥトロワ!!」 左足で跳躍、体を横にする。 スラスターを噴射し、そのままトゥーでこめかみを蹴りぬく。 かわされた。だが右足も放たれた。 姫宮マリは宙に浮いている。 そこを狙って攻撃を打ち込んでくるつもりだろうか。 だが、姫宮マリはもそれは読んでいる。 「少し、考えが浅いんじゃないかしら」 スラスターを噴射し、体を縦に起こした。 「秘技!白鳥の湖!!」 白鳥は一見優雅に泳いでいるように見えるが、水面下では必死に足をばたつかせている。 そして今姫宮マリも上半身だけは優雅に見えるが下半身は思いっきり動かしまくっている。 そう、姫宮マリはスラスターの噴射力を利用し、空中に浮いたまま、蹴りを連打することができるのだ。 無論、スラスターがあったとしても常人にできることではない。恐るべきはかつて「マリー・アントワネットの再来」とまで言われたそのバランス感覚である。 「アンドゥトロワ!!」 人間の場合でも足は手の数倍の力がある。 まして、姫宮マリの義足は特別製だ。その足をまるで両手のように使い姫宮マリは、魔人の中でもかなりの戦闘力を有していると言っても過言ではない。 「アンドゥトロワ!!アンドゥトロワ!!アンドトロワ!アドトロワ!アドロワ!アドロワ!アドロワ!アドワ!アドワ!アドワ!アドワ!アタタタタタタタタタタタタタタタタ!!!アタァァ!!!」 超スピードで変幻自在に襲い来る二本の足を。十四代目武田信玄は全て見切っていた。 「それだけか。」 十四代目武田信玄が左足の蹴りをかわした。 かわしながら、左足を押し込み、蹴りの進行方向に力を加えてやる。 白鳥の湖は、高度なバランス感覚を求められる業だ。少しの狂いが大惨事を招く。 姫宮マリの体勢が崩れた。白鳥が水に沈む。そこに十四代目武田信玄は蹴りを入れた。 両手で受ける。吹き飛ばされた。スラスターを操作し、着地する。 「なかなか、やりますわね」 そこまで言って、姫宮マリのよろめいた。 先ほどの蹴りが効いている。 (バカな…!!) しっかりと、ガードをしたはずだった。ダメージは確かに殺した。 だが、それでも、バレエの試合でも受けたことのないような衝撃が足まで伝わっている。 「まだ、やるか」 十四代目武田信玄が口を開いた。 「バレエ使いと、戦ったことはないが。」 十四代目武田信玄は興味のなさそうな目で、姫宮マリをみている。 「あの程度の技じゃあ、俺には通じない。所詮はお遊びだな。さっさと、降参した方が身のためだ。」 その言葉が、姫宮マリの逆鱗に触れた。 「へえ、言ってくるじゃない。」 バレエは姫宮マリが足を失うまで、いや、足を失ってからも、己の全てをささげてきたものだ。 それを、少し脚を交えた程度の男に、お遊びなどとけなされる謂れはない。 「バレエは何よりも奥が深いものです。」 姫宮マリが、呼吸をする。 「私程度の若輩者では、バレエの神髄をお見せすることは、まだできません。」 バレエの敬意。それを姫宮マリは一度たりとも忘れたことはない。 「ですが、私の全力ならば、貴方に見せることはできます。」 足を失って以来一度も使っていなかったこの技を。 「そこから、貴方がバレエの神髄の片鱗でも見ることができたなら」 自分が足を失う切っ掛けになったこの技を 「光栄、ですわ!!」 十四代目武田信玄に、見せてやる。 バレエの極意とは回ることである。 だってバレリーナはみんな回ってる。回らなければバレリーナじゃないし、回ることこそがバレエの奥義なのだ。 バレエは回る。何故回るのか。ドリルとなるためだ。ドリルは何故回るのか。穴を掘るためだ。 バレリーナの極意とはつま先立ちでクルクル回ることで己自身をドリルとすることに他ならない。 かつて姫宮マリは「マリー・アントワネットの再来」と称されるほどの天才少女だった。 マリー・アントワネットは歴史上最も墓穴を掘り続けた女王だった。 「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」とか言ったりフェルセン伯爵と浮気をしたフランスの大貴族たちを無視して人間関係を悪化させまくったりと、とにかく墓穴を掘りまくった女王だった。 その墓穴を掘りまくり、自ら穴にはまっていく様子は、まさにマリー・アントワネットそのものだった。 ある日の訓練中は姫宮マリはいつも通りクルクルと回っていた。 つま先立ちでくるくる、地面を掘り、どんどん地下に埋まっていった。 普段なら10Mほど掘り進んだところで穴から出るが、その日彼女はいつもよりもすごく調子が良かった。 くるくるくるくる、いつまでも回り続けていられるような気がした、自分自身がドリルになったような気がした。 そして、同時に回転をやめてしまったら二度とこの感覚を味わえないかもしれないという恐怖を感じていた。 クルクル、回り続けた。くるくるくるくるくるくるくる。いつまでも回り続けた。 そしてドリルとなった姫宮マリを地殻を超え、マントルまでたどり着いてしまった。 「あっっっっつ!!!」 その瞬間、彼女は史上最高のバレリーナだった。だが人間の足はマントルに触れて平気でいられるほどに頑丈に出来てはいない。 姫宮マリは史上唯一自力でマントルまでたどり着いたバレリーナという称号と引き換えに、自らの両足を失ってしまったのだ。 悲しい事故だった。 あの日以来、姫宮マリはくるくる回ったことはない。 怖かったのだ。まだ自分がドリルになり、マントルまで、いや、この義足のせいで調子に乗って外殻まで達してしまいはしないかと。 この義足は姫宮マリの能力によるものだ。だからわかる。この義足となら外殻どころか、内核へまで達することができると。 しかし、それを生きていられるという自信はなかった。 だから、あれ以来くるくる回ったことはない。くるくる回るつもりもなかった。 しかし、バレエのことを何も知らない男に、バレエをお遊びだと言われて引っ込んでいることなど、姫宮マリにはできなかった。 アンドゥトロワキックも、白鳥の湖も通用しなかった。ならば、くるくる回るしかないのだ。 「いくわよ」 くるくる。くるくる。姫宮マリが回る。くるくる。くるくる。どんどんスピードが増していく。 くるくる。くるくる。姫宮マリがどんどん地面に埋まっていく。くるくるくる。姫宮マリが完全に埋まった。 ごおおお、と地面が響いている。 姫宮マリがくるくる回りながら地面を掘り進んでいる。 くるくる。くるくる。くるくる。くるくる。くるくる。くるくる。くるくる。くるくる。くるくる。 ずがあっ!!! 姫宮マリが、十四代目武田信玄の足元から飛び出した。地面から飛び出したとは思えないほどのスピード。 くるくる回る姫宮マリのつま先が、十四代目武田信玄の腹部をかすめた。 「これでも、バレエはお遊びかしら」 空に飛びだしながら、くるくる回りながら姫宮マリがいった。 普通のバレリーナなら、体制を立て直し、重力の任せてクルクル回りながら落ちていくしかない。 並の相手ならともかく十四代目武田信玄が相手ではそれは致命的な隙になるだろう。 だが姫宮マリには第二形態:XC(エクスキューション)モードがある。スラスターを使用し、重力、完成を無視し、自由自在に音速で動き回る。 「ここからが私の全力ですわ!」 第二形態:XC(エクスキューション)モード発動。姫宮マリが赤い流星に変わる。 十四代目武田信玄向けて、加速する。 肩をかすめた。 地面にぶつかる。スラスターをフル出力することで、くるくる回る力も上がっている。 空を進むように、地面を掘り進む。 飛び出す。えぐる。急降下。えぐる。潜る。飛び出す。えぐる。急降下。えぐる。潜る。飛び出す。えぐる。急降下。えぐる。潜る。 スクラップをぶち壊し、破片をまき散らしながら、姫宮マリは進む。 XC(エクスキューション)モードを発動してからわずか5秒で姫宮マリは何度地面と空を往復しただろうか。 ずがあ! 地面から紅い流星が飛び出してくる。 「どうです!これが貴方がお遊びと言ったバレエです!」 あまりに高速で回転しているので十四代目武田信玄の姿はよくみえない。 だが、その体が血で赤く染まっているということはわかる。 姫宮マリのドリル攻撃に加え、スクラップの破片のダメージも蓄積されている。 地面から不意に飛び出し、空を自由に駆け回るドリルを完全にかわすということは十四代目武田信玄でも難しかった。 「ああ、そうだな。訂正するよ。」 それでも十四代目武田信玄は平然としていた。 「バレエはお遊びじゃない。」 十四代目武田信玄が笑みを浮かべた。 「そして、認めてやるよ」 構えを取る。 「お前は、俺の敵に相応しい」 「減らず口を!」 地面から、飛び出した。スクラップごとぶち壊し、破片をまき散らしながら、十四代目武田信玄に襲い掛かる。 だが肉を抉る感触がなかった。 初めて躱された。だが、時間はまだある。 それに、XC(エクスキューション)モードは音速を超えるスピードを誇る。今のスピードはまだ音速程度だ。 これからどんどんスピードあげることができる。 紅い流星が暴れまわっている。 地面を抉り、空を飛び、自裁に動き回る。 十四代目武田信玄の周囲は姫宮マリの残像で、赤いドームができているようにすら見えている。 飛び出す。急降下。潜る。飛び出す。急降下。潜る。飛び出す。急降下。潜る。飛び出す。急降下。潜る。 スピードはどんどん上がっている。既に、マッハ20を超えた。 だが、当たらなくなったら。ソニックブームすら、かすっている気がしない。 XC(エクスキューション)モードは、残り10秒。 ならば、姫宮マリは作戦を変えた。 どういうわけか、十四代目武田信玄はこちらの動きを視きっている。 自在に動いていたつもりがいつの間にか動きが単調になり、パターン化していたのかもしれない。 ならば、パターンの読めない攻撃にすればいい。 残り時間、ギリギリまで地下をグルグル回り続づけ加速し続ける。 そして最大速度になった同時に飛び出す。ヤツの頭かどてっぱらを突き抜けさえすれば、私の形だ。 くるくる。くるくる。くるくる。くるくる。くるくる。くるくる。くるくる。 グルグル。グルグル。グルグル。グルグル。グルグル。グルグル。 姫宮マリは、回り続ける。姫宮マリは加速する。 残り時間が1秒になった。 方向を変える。地上へ向かう。 姫宮マリは、自分の速度が音速を超えるスピードであると自覚している。 だが、姫宮マリは今の自分のスピードが限りなく光速に近いスピードであることに気付いていているだろうか。 くるくる。くるくる。 光りがみえた。 十四代目武田信玄らしき男が見える。 このまままっすぐ行けば、あいつに当たる。 「疾きこと、風の如し」 史上最も偉大な武田信玄とも言われる初代武田信玄は、時空間を操る魔人であった。 武田信玄は万能ともいえる自分の能力を、あえて風・林・火・山の四つに縛り使用していた。 林、これがもっとも有名な能力だろう。自分自身の時間の流れをゆっくりにし、それにより関ケ原の戦いで勝利を得た。 そして風、これは至って単純な能力だ。 周りの時間の流れを極限まで遅くし、その中を自在に動くことのできる能力。いわゆる、クロックアップだ。 初代信玄はこの能力で上杉謙信の一振りで七回敵を斬りつけることのできる能力、「一太刀七太刀」を全て防ぎ切ったという。 「止まって見えるぜ。」 普通なら、反応することすらも出来ない亜光速の動き。 しかし、『疾きこと、風の如し』の世界の中なら、 十四代目武田信玄は光速ですら捉えることができる。 くるくる回っているはずの姫宮マリ。 その姫宮マリを、十四代目武田信玄の拳が地面へと叩きつけた。 世界がいきなり真っ暗になった。 さっきまでいたはずの十四代目武田信玄が消えている。 そしてワンテンポ遅れて、全身がバラバラになるような衝撃が走った。 XC(エクスキューション)モードが切れた。 うずくまる。ごろんと、体を反転する。 星明かりが広がっている。そして十四代目武田信玄が姫宮マリの顔をのぞいていた。 「まだ、やるか」 「やりません!」 バレりーナの誇りにかけて、くるくる回った。 両足をマントルに奪われていた時よりも、くるくる回れていたと思う。 私は全力を尽くした。それで負けたなら、もうしょうがない。 十四代目武田信玄は姫宮マリが強い口調で言ったのをまだ怒っていると思ったのか、こう続けた。 「いや、悪かったよ。バレエを悪く言ったのは、謝る。お前の本気をみたくて、ちょっと挑発しちまったんだ」 姫宮マリは吹き出した。さっきあれほど容赦なく自分を殴りつけたこの男が申し訳なさそうに謝ってくるのはなんだかおかしかった。 「別に、もう怒ってないですわ」 十四代目武田信玄が、既にバレエのことを認めているというのは、彼の言葉だけでなく、さっきの戦いで十分に理解ができた。 十四代目武田信玄は一切の油断なく、全力で姫宮マリに、バレエにぶつかってくれた。 それがとても心地よかった。 それに、足を失って以来、初めてくるくる回ることができた。そのことが嬉しかった。 「ねえ、信玄さん」 「なんだ。」 姫宮マリが笑った。 「やっぱりバレリーナはくるくる回るのが一番ですね。」 「そうなのかもな」 こうして、二人は心にどこか爽やかなものを感じながら消えていった。 このあとこのスクラップ置き場が姫宮マリの空けた穴のせいで地盤沈下し、そのせいで封印されていた新潟毘沙門天が復活し大暴れしたというのはまた別の話だ。
https://w.atwiki.jp/dngssonenight/pages/95.html
二回戦第三試合その2 「くっ…おえっ ガフッガフッ!」 『提督』は強敵だった。 《XC(エクスキューション)モード》を使う羽目になるなんて。 第1試合の後、ポータルで江戸に移動。 賞金を使ってホテルにチェックインし、自室についた途端にこれがきた。 「うう… うえ…! おええぇぇ…!!」 吐いた。水面が赤い輝きに染まっていく。 XCモードは代償として血液を消費する。 原動力である粒子――《レッドエーテル》に変換する為だ。 「うえっぐ… ひぐっ くう…」 あまりの不快感に涙が頬を伝う。手で拭う。赤かった。 「はあ… はあ… ! このザマで、な、なにがノブレス…!! 私は… まだまだ… こんなものじゃ…うっ」 レッドエーテルは猛毒。 侵蝕率が一定値を超えると、人体を赤色の結晶に還元して崩壊させる。 だからそうならないようにスラスターで排出する。 このシーケンスが正しく回ってる状態が『血塗れ王妃』第二形態、XCモード。 死と隣り合わせの諸刃の刃。 「惨めなものね…っ」 『提督』にあれ以上能力を使わせるわけにはいかなかった。だから使った。 * 3! 「トロワァ――――ッ!!」 レッドエーテルにより加速し、空間を歪曲した姫宮マリは、 時空間という物理法則をも突破し、『提督』を滅ぼした! 地を溶かし草を崩し空を染めるレッドオーロラ爆発閃光がサバンナに焼き付く! * それは別に構わない。 我ながら良い判断だったわ。そうよマリ。私は天才だもの。 でも、排出が間に合わなかった。 スラスターで全部吐き出す前に制限時間がきた。初めてだったから、計算を誤った。 体に残留するレッドエーテル。拒否反応。体外へ強制代謝…そういうことね。 別に不便だとは思わない。 むしろ私らしい、私らしすぎる。私にこそ相応しい能力だわ。 強力な能力には強力な制約が伴う。大いなる力には大いなる義務ともいうし。 掲示板で聞いた話だと、世の中には自ら自爆する魔人もいるらしいじゃない。 大戦時、かの松永久秀は歩く核弾頭として戦地に送り込まれたっていうのは有名な話だわ。 嘘か本当かはわからないけど。 ようやく落ち着いてきた。水を流す。 洗面台に向かう。 鏡を見た。血塗れの少女と目があった。 「…惨めなものね!」 蛇口をひねる。顔を洗う。 石鹸を手にプッシュ。顔を洗う。流す。 顔を上げる。 「よし」 大体分かってきた。この力の使い方。 次は必ずうまくできる。同じ過ちは繰り返さない。だって私は、天才だもの。 *◯* スクラップ置き場。 幾つものゴミ山が降り積もり、中には赤熱していたり黒煙を巻き上げるものさえある。 ミュータントゴキブリやミュータントロブスターが闊歩する様はさながら人工の地獄だった。 「けったいな場所ね」 姫宮マリは空を見上げながら呟いた。 上空1kmで口を開ける巨大な「恒常ポータル」がゴミを吐き出している。 都市圏で発生したあらゆるゴミがここへ投棄され、クリーンな都市が保たれる。 その内の1つを通じて彼女は降り立った。 着地の際に特殊能力『血塗れ王妃』を使用したことにより、流線型の義足が形成されている。 そしてまた一人、ポータルから新たな来訪者が。 凄まじい勢いで落下し、姫宮マリの目前に着地。衝撃で辺り一帯の地面が揺れる。 「待たせたな」 ((これが十四代目武田信玄――)) その佇まいから漂うオーラは尋常のものではない。 「レ、レレレレディを待たせるなんて、ししし躾のなってな……な……!」 「どうした?随分と震えているが。武者震いであることを祈ろう」 「そ、そうよ!武者震いよ武者震い!十四代目だか何だか知らないけど私の敵じゃないんだから…!」 「威勢や良し。だが、貴様のような増上慢は一度痛い目に合わせねばなるまい。――先駆者の努めだ」 十四代目武田信玄が右腕を前方に、もう片方を腰へと構える。 「まずは小手試しだ。打ってこい」 「……言わせておけば!」 姫宮マリが仕掛けた。義足のスラスターで地面を滑り、弧を描くように間合いを詰める。 十四代目武田信玄の間合いに入った瞬間に言いようもない悪寒が彼女を包むが、堪える。 「アン」あと3歩で足が届く位置で跳ねる。 「ドゥ」空中で体を捻る。 「トロワ――ッ!」振り下ろすキックが十四代目武田信玄を襲う。しかし防がれる。 続く追撃の片足による回し蹴り。これもまた防がれる。 後方宙返りで間合いを取る姫宮マリ。 十四代目武田信玄は、ガードした腕に残る僅かな痺れを噛み締めていた。 「そこそこできるようだ」 ((なにあの感触!!コイツの体、鋼か何かでできてるの!?)) 「この体、随分と使い込んだ」 鍛えぬかれた魔人の筋肉組織は、束ねたアラミド繊維に匹敵する。 歴代将軍と鍛錬を重ねた彼のタフネスに匹敵するものは、およそこの世に存在しないと言えた。 …いまさっきテレパシーじみた会話が繰り広げられたが、 心を読むぐらいは侍の基本スキルなのでおかしくはない。 「次は俺の番だ――避けろよ?」 ((――ヤバイ!!)) 刹那。姫宮マリの後方にあったゴミ山が斜めに崩れた。 十四代目武田信玄は既に刀を振りぬき、残心の形で静止している。 そして姫宮の姿は――無い。 十四代目武田信玄の目前から完全に霧散していた。 「またつまらないものを切った」十四代目武田信玄がそう思った次の瞬間。 彼は間合いの端に接近する何かを感じ取った。 続いて強い衝撃が脇腹に打ち込まれる。 赤い光が横を通りぬけ、ぐるっと一周して十四代目武田信玄の目前で静止し、姫宮マリが現れた。 赤い光を纏い、先刻まで両足のみを包んでいた義足はスーツと化し全身を包む。 燕尾のあたりから尾のようなケーブルが伸びていた。 *** 体感時間が鈍化する。血管に煮えた鉄を流しこんだような激痛と不快感が走る。 『血塗れ王妃』の第二形態、XC(エクスキューション)モード。超音速のドライブ。 人間は音の速さ以上で動くものを捉えられない。 いくら十四代目武田信玄といえども、これに勝てる道理は無い。 *** 赤い光線が縦横無尽に飛び回る。 これに対し十四代目武田信玄は腰を落とし、抜刀の構え。ずるりと周囲の空気が粘着く。 そして光線が直角に曲がり、十四代目武田信玄に迫る。 「そこか」 十四代目武田信玄が刀を抜いた。 閃光が生じ、刀と義足が衝突する音が響き渡る。 波紋のように衝撃波が広がり、辺り一体のゴミ山を吹き飛ばした。 「あ、ありえな――」 赤色光線の主、姫宮マリが思わず驚愕の声をあげる。 「…そもそも俺は視ても聞いてもいない。直感だけを信じている。 故に、光の速さで仕掛けてこようとも俺には届かない」 十四代目武田信玄が刀を返す。 姫宮マリの義足が両断され、そのまま勢いで地面に激突した。 「あう、うぐ…」 「……やはり女を斬るのは趣味じゃないな」 十四代目武田信玄が、横たわる姫宮マリに接近する。 これを受け、姫宮マリはキッと十四代目武田信玄を睨みつける。 「トドメを刺すなら早くなさい…」 姫宮マリの両足は義足であったため、先の一撃は致命傷にはならず、 実際に彼女は未だに血の一滴を流していない。しかし、その心はすでに折れていた。 「これで終いでは目覚めが悪い。七代目にも何を言われるか分からん」 十四代目武田信玄が何かを思いついた顔で姫宮マリをみつめた。 「カードゲームは好きか?」 VRトレーディングカードゲーム「信玄顕現」。 それは武田信玄先々代の時期に侍達の間で流行した、禁断のゲーム。 *** 「歴代武田信玄を召喚するにはこの『風林火山の儀式』のカードを唱える必要があるが」 ◆ 『風林火山の儀式』 疾きこと風の如く 100M走で10秒切る 徐かなること林の如く 忍び足で音を立てずに50Mを進む 侵掠すること火の如く 原始的な道具のみを用いて火を起こす 動かざること山の如く 20分間座禅を組み続ける 上記を順不同で1時間以内に行う。 ◆ 「なにこのカード…ジョークカードじゃない…」 「『マインドキャスト』を唱えることによりこの発動条件を無効化」 「は!?」 「特殊召喚! 我が呼び声に応え、今その姿を現せ! 史上最も苛烈な武田信玄と畏怖される八代目――『力の執行者、武田ペンドラゴン・オルタナティブ』!!」 <武田ペンドラゴン・オルタナティブが召喚されるCG> 「私は武田ペンドラゴン。力こそが現世唯一の法と心得る者だ!! 我が絶技『全空』で以って――森羅万象さえも、切り伏せてくれる!!」 ピロリロ!効果音とともに武田ペンドラゴン・オルタナティブのステータスが表示される! 「LIFE:120000」!「ATK:150000」!? そして「このクリーチャーはあらゆる呪文を無効化する」「このクリーチャーはブロックされない」!! 「チートだわ!ジャッジー!!」 「チートではない!これは公式のルールに則った正式なカードだ!」 そうなのだ!『武田ペンドラゴン・オルタナティブ』…それは暴走した企画部によって作られた魔のカード。 どうもカードのイラストが随分と気に入られたらしく、依怙贔屓で滅茶苦茶な強さを設定された! 発案者は社長室に呼び出され、後日リストラされたという。 「王手だ姫宮マリ。剣でも圧倒し、カード遊戯でも勝つ。 これがパーフェクトヴィクトリー…!!ターンエンド」 「フフ…フフフ…アハハハハハハハハハハハ!!かかったわね!」 「な、なにが可笑しい!?俺の王手だろ!?」 「とりあえずデカいクリーチャーを出しとけば勝てると思ってるなんでお笑い種よ。 脳筋!まさに脳筋だわ!0マナ『ルビーの首飾り』をキャスト。続いて『ロイヤルロータス』」 「今更マナを増やして何をするつもりだ!?」 「これがノブレス・オブリージュよ!6マナ『マインドコントローラー』をキャスト!」 ◆ 『マインドコントローラー』(アーティファクト) 【2,T】このアーティファクトを装備しているクリーチャーの制御権を1ターンの間得る。 ◆ 「!!…いやしかし『力の執行者、武田ペンドラゴン・オルタナティブ』は呪文を無効化する!」 「そうだぞ」 「よく見なさい。これアーティファクトよ」 「あっ(察し)」「ショウジキナイワー」 「『マインドコントローラー』を『力の(略)』にエンハンス。2マナ支払ってチェックメイト」 「許せたかし。これもまた鍛錬だ。では受けよ――エクス、『全空』ッ!!」 <武田ペンドラゴン・オルタナティブが攻撃するCG> *** VRデュエル空間が消失し、周囲の景色がスクラップ置き場に移り変わる。 尻もちをついた姫宮マリの前で、十四代目武田信玄が七孔噴血していた。 「え、な、なんで!?」 VRTCG「信玄顕現」はフィードバック機能があり、 ダメージをプレイヤーへ還元することで臨場感を得るとともに能力バトルの演習にも使えるというのがウリだった。 しかしカードパワーがインフレするに従い、「オーバーキルによる死亡事故」が多発。 故にこれは禁断のゲームと呼ばれる。 先程の決着の際、十四代目武田信玄は八代目の奥義『全空』を受けたに等しいダメージを受けたのだった。 さすがの十四代目も、こればかりは耐えられない。 二回戦第二試合 スクラップ置き場 勝者 姫宮マリ