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11月も終盤に差し掛かり、とうとう冬将軍とやらが日本全国に到来した今日この頃。 まだ9月頃の陽気が忘れられない私にとって、ここ数日の急激な寒さはさすがに堪える。 冬と言えば、朝の布団から出る時も辛いけど、夜の寝ようとして布団に入った直後のあの布団の冷たさもそれと同じぐらい辛かったりする。 電気のついてないこたつと同じで、余計に寒く感じるんだよね。特に足先が。 その上、私は小柄だから、布団の空き面積が大きくてなかなか温まってくれないんだよね。 だから、冬は毎日冷たい思いをしながら無理矢理眠りについていたのが去年までの私のパターンだった。 でも、今年の私はそうはいかない。 今年こそ、今年こそはホットで幸せな夜を満喫して見せるっ! 「…というわけで、先にベッドに入って暖めておいてね。かがみん♪」 「私は湯たんぽ代わりかよ!」 そうツッコミを入れつつも、ちゃんと先にベッドに入って私の為に暖を取ってくれるかがみ。 これは、ツン:デレ比が2:8ぐらいの状態だね。 まぁ、どうせいつも一緒に寝てるんだから、それくらいは甘えないとさ♪ 「う~、冷た~い!」 布団を被って早々にかがみがそんな声を上げる。 あっ、やっぱりかがみも寒いんだ…。 そう思うと、なんだか居ても立ってもいられなくなった。 「ん、じゃあ、私がかがみを暖めてあげようではないか~」 「ひっ! 冷たいっ!」 そう言い終わるよりも前に、私はベッドに転がるように入り込んで、その勢いでかがみを抱き締めた。 抱き締められたかがみは、更に小さな悲鳴をあげる。 「あ~、かがみの体あったか~い…」 「もう、暖める筈のあんたの体の方が冷たくてどうすんのよ…」 「大丈夫だよ。ずっとこうしてたらすぐに暖まって来るからさ」 「…誰かが見たら、既に暑苦しいって言われそうだけどね」 かがみが苦笑混じりの表情で、既に密着している私の体に腕を絡ませる。 かがみの感触を直に感じて、私はある事に気づく。 「…ねぇ、かがみ?」 「なぁに、こなた?」 「……またちょっと太ったでしょ?」 私はかがみのお腹をちょいと摘んでみてそれを確認する。 「うっ…。し、幸せ太りよ…」 まっ、そういう事にしておきましょうかね? もしも、今からかがみがダイエットを始め出しちゃったら、この絶妙な感触も味わえなくなりそうだしねっ! みなみちゃんが遊びにやってきたへ続く コメントフォーム 名前 コメント (≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-05-05 22 59 06) 尊い…… -- 名無しさん (2020-11-12 02 38 25) 幸せ太り遂に来た いつまでも お幸せにと心から願う -- ラグ (2009-02-02 04 02 18) 幸せな光景だ…こなかがにはいつまでも幸せな関係でいてもらいたいですね( ̄∀ ̄)b -- にゃあ (2008-12-02 04 09 48)
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「ただいまー」 買い物から帰ってきたつかさが玄関を開けると、そこには家族の物とは違う、 見慣れない──けれども、どこかで見た覚えのあるような──靴が一足あった。 「誰か来ているのかな?」 自分の部屋に戻ろうとすると、居間にいた上の姉から声がかかる。 「おかえり、つかさ。こなたちゃん、来てるよ」 「あ、こなちゃんかー」 どおりで、見た覚えがあるはずだ。 「たぶんかがみの部屋にいるからー」 「うん、ありがとー」 階段を上って、二人のところに行こう、としたところで、つかさはちょっとしたイタズラを思いついた。 (そおっと部屋に近づいて、いきなりドアを開けたら、二人ともビックリするかなぁ) 二人の驚いた顔を想像すると、それはとても楽しそうに思えた。 普通に歩くとギシギシと鳴る古い階段を、音をさせないように静かに進んでいく。 抜き足、差し足、忍び足。抜き足、差し足、忍び足。 いつもの倍以上の時間をかけて、階段を上りきると、つかさはかがみの部屋の入り口に近づいていく。 そっとドアノブに手を伸ばしたとき、部屋の中から声が聞こえた。 『あっ』 こなたの声だった。 ただ驚いたような声とは違う様子だった。少し鼻にかかった、切なげで、 そして、甘さを含んだ──吐息。 『ご、ごめん、痛かった?』 続いて聞こえてくる、双子の姉──かがみの声。 『うん、ちょっと……』 『悪い。わたし、こういうの初めてだから……』 『いいよ、続けて……』 部屋の中からの声がとぎれる。つかさが耳をそばだてると、『あぁ……』という、こなたの 抑えきれずに漏れだした声がかすかに聞こえた。 『どう? こなた?』 『うん、きもちイイよ、かがみん。もっと……奥まで入れて』 (ど、どんだけ~) さすがにこの空気の中に入っていくことはできず、つかさは来たときと同じように足音を殺して自分の部屋に戻った。 「まったく……」 かがみは、こなたを見下ろしてため息を吐いた。 こなたは、正座したかがみの太ももの上に頭を乗せて、横になっていた。いわゆる 膝枕、という奴だ。 「高校生にもなって、自分で耳かきできないってのは、どうよ?」 「いや~、だって、自分で見えないのに、入れるのって怖くない? もし、勢いあまって 大事な膜を破っちゃったらどうしよう、って」 「いちいち変な言い方するな。鼓膜と言え、鼓膜と。だいたい、今まではどうしてたのよ?」 「ん? おとうさんにやってもらってるけど?」 かがみは、こなたの父親がこなたに膝枕をして、耳かきをしているシーンを想像してみた。 ……仲睦まじいはずのシーンなのだが、妙にムカツクのは何故だろう。 「あんたね……高校生にもなって、それは無いんじゃない?」 再び、盛大なため息とともにかがみが呟く。 「でもね、膝枕って安心できるんだよ、ほんと。あったかくて、柔らかくって。それが 好きな人のならなおさら」 「えっ、ちょっと……」 かがみの顔がみるみるうちに赤く染まっていく。 「ほ、ほら、もう耳掃除終わったんだから。どきなさいよ」 こなたは、そんなかがみの言葉には耳を貸さず、かがみの膝の上で体をひねって 真上を向いた。真下から見上げるかがみの顔が、こなたには新鮮に感じられた。 「ん~、もうちょっと、このまま~」 「ったく、しょうがないわね……」 かがみは三たびため息を吐くと、そう言いながらこなたの髪に指を差し入れて ゆっくりと梳き始めた。 指の間を、こなたの長い髪がすり抜けていく感触が心地よい。こなたの髪の毛は太くて 硬くて、お世辞にもサラサラヘアーとは言いがたいのだけど、それがかえって 心地よさとなってかがみの指と手のひらを刺激していた。 こなたも、満足げな様子で目を閉じて微笑んでいる。 「つかさが、うらやましいな」 小さな声で、こなたが呟いた。 「なんで?」 「だって、かがみんにいっつもこうしてもらってるんでしょ?」 「ば、ばかっ。そんなことしてないわよ。そりゃ、小さい頃はお互いに髪を梳かしてたりしてたけど……」 「だからさ、そういうのが……でも、ま、いっか。今はかがみんがこうしてくれてるんだし」 こなたが口を閉じると、再び、部屋に静寂が戻る。聞こえてくるのは、指の間を髪の毛が 通り抜けるかすかな音と、お互いの呼吸だけ。ほんの小さな出来事で壊れてしまいそうな時間。 こんな時間がずっと続けばいいのに──。 しばらくして、こなたが再び口を開いた。 「なんか、眠くなってきちゃったな……」 「ま~た、どうせ夜中じゅう、ネトゲでもしてたんでしょ。……いいわよ、寝ちゃっても」 「ん~、でも、このまま寝ちゃうと、かがみんに変なことされそうだしな~」 「変なことって、何よ?」 自分が信用されていないことにちょっと傷つきながらも、かがみは続きを促した。 「キスとか」 「するかっ!」 かがみは、こなたの肩の下に両手を入れると、そのままこなたの上体を起こした。 「はい、もう終わり。そろそろ外も暗くなってきたし。帰らなくちゃヤバイんじゃないの?」 「そか、もうそんな時間か……そうだね」 こなたは立ち上がると、持ってきたカバンを手にとって、かがみの部屋のドアを開けた。 「駅まで送っていこうか?」 かがみの提案を、こなたは首を横に振って辞退した。そして一言だけ呟くと、ドアを閉めて 静かに階段を下りていった。 「かがみの、ヘタレ」 fin - コメントフォーム 名前 コメント GJ! -- 名無しさん (2022-12-22 17 51 35) なんだつかさの勘違い! -- かがみんラブ (2012-09-25 23 44 23)
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こなた「ハイヨー!かがみん!」 かがみ「わたしゃ馬か!」 こなた「手綱みたいなのもついてるしさー♪」 かがみ「ちょっと!それ(ツインテール)引っ張ったら本気で怒るからな!」 つかさ「わあ!こなちゃんおんぶー」 かがみ「つ、つかさ!?」 こなた「やふー、つかさ。馬上から失礼する!」 つかさ「それにしてもおんぶなんてどうしたの?」 かがみ「ホ、ホラ!こなたが足くじいちゃたみたいでさ!」 つかさ「え!こなちゃん大丈夫なの?」 こなた「大したことはないのだよー」 かがみ「ね、念のため保健室にまで連れて行こうと思って」 つかさ「それにしてもどうして足くじいたりしたの?」 こなた「それはだね……」 かがみ「ホ、ホラ!早く行かないと!じゃね!つかさ!」 こなた「のわあ!私の愛馬は凶暴ですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……(物凄い勢いで遠ざかっていく感じ)」 つかさ「どんだけー」 かがみ「……(言えないわよ。まさか、夕焼けまぶしい放課後の教室なんてシチュでこなたに告白されて感極まってつい押し倒しちゃったなんて……)」 こなた「……かがみんや」 かがみ「……何よ?」 こなた「……さっきのは本気だからね……」 かがみ「……わかってるわよ」 こなた「……かがみの背中あたっかくて心地いいよ」 かがみ「……何よ急に///」 こなた「……あのさ、このままウチまで送ってってくれたりしない?」 かがみ「流石に街中では恥ずかしいって……」 こなた「……今日お父さんもゆーちゃんも居ないからウチまで送ってくれたらさ……さっきの続きできるじゃん……?」 かがみ「こなた」 こなた「な、何?」 かがみ「しっかりつかまってなさい!」 こなた「ちょ、かがみ!速い!速いって!」 こなた(ホント、ニンジン目の前に吊るされた馬みたいだ……) その頃… つかさ(はう~。figmaこの三人だと私ばっか一人だよ。早くゆきちゃんもでないかなあ……) みゆき(つかささん……もう少々お待ち下さい……) だっこへ続く コメントフォーム 名前 コメント
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ぼくのなつやすみポータブル2 ナゾナゾ姉妹と沈没船の秘密!/攻略/昆虫採集 ぼくのなつやすみポータブル2 ナゾナゾ姉妹と沈没船の秘密!/攻略に戻る コンテンツ コメント コメント あいうえおかきくけこさしすせそ -- DGHHHHNBBXZXCNJYYEASDHKKHDSSGIUYEEDDSASGK?,BXXXB, LKSXXB, LLHSDHLPOIRQASFJ POYWASFK POYWSSHL?.NCASGK POYEASSGL?.NCZSDHL OOTW (2010-08-22 17 49 22) 名前 コメント
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《ポーズ研究》 イベントカード 使用コスト0/発生コスト1/赤 [アプローチ/自分] 自分の【よさこい】を持つキャラ1枚は、ターン終了時まで+20/+20を得る。その場合、ターン終了時にそのキャラを活動状態にすることができる。 ハナヤマタで登場した赤色のイベントカード。 自分の【よさこい】キャラ1枚のAP・DPを20上昇させ、ターン終了時にそのキャラを活動状態に戻す効果を持つ。 【よさこい】キャラ専用のコンバットトリック。 コスト0で強化値が高いので使いやすい。 また、ターン終了時に活動状態に戻すことが可能。次の相手ターンで妨害に回せるようになる。 ハナヤマタスターターデッキになんと4枚積みされている。 そのため、ハナヤマタスターターデッキを買うだけで4枚そろえることが可能。 関連項目 【よさこい】 収録 ハナヤマタ 01-112 ハナヤマタスターターデッキ 01-112 編集
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「かがみー自分で歩けないのー?」 「…………」 へんじがないただのしかばねのようだ。 …じゃなくて、かがみはさっきから顔を真っ赤にさせ、俯いたまま一言も発していない。 べつに私が甘い台詞を囁いた訳でも、ちょーーっと過激な内容のゲームの画面を 見せた訳でもない。 (…まさかこんなにお酒に弱いなんてネ) 成人式を終えた私たち四人は、その高揚した気分のまま初めてのお酒というものを体験した。 結婚式に出席した時とか、今まで少しぐらいは飲んだことがあったけど、こんなに飲むのは もちろん初めて。 アルコール特有の熱さと爽快感に、文字通り酔いしれてしまった私たち、というか約二名は 限度を越してしまったらしい。 私とみゆきさんは意識を保っていたけれど、かがみとつかさの目の焦点が合わなくなって来たのを見て、 さすがにヤバイと会計を済ませ店を出た。タクシーでも拾えればよかったんだけど、私たちと同じような人が いるせいだろうか、一台も走っていなくて。私はかがみを、みゆきさんはつかさを連れて帰ることにした。 それを提案したみゆきさんの目が怪しく輝いていたのは多分気のせいだろう。…そう思いたい。 へべれけになったかがみに肩を貸し、半分引きずるような形になりながら、普段の二分の一以下の スピードで私のアパートに向かう。 体重はさほど気にならないけど、なにぶん私より一回り以上大きいから運び辛いことこの上ない。 それでも何とかアパートまでついて、私はようやく息をついた。 ぼーっとあらぬ方向を見ているかがみをソファに横たえ、お盆にミネラルウォーターのペットボトルと コップを乗せて声をかける。 「かがみー水飲んだら?」 「……ん……」 返事を聞いて私はコップに水を注いで手渡す。 だけどかがみが掴んだのはコップじゃなく私の服の裾だった。 「……のませて……」 …………えー、と…………? 今なんて言ったのかな、かがみんや。 「……こなた…のませて…?」 …空耳でも聞き間違いでもないらしい。 それはあれですか。口移しで飲ませろと。そういうことですか。 起きあがって私の腰に抱き着き涙目、そして上目遣いでそう言うかがみは…強烈に色っぽかった。 理性が焼き切れる音を聞きながら、ありったけの自制心を使ってそれを押し止める。 今そんなことをしたら最後まで我慢する自信なんてない。 「……ダメだよ、かがみ。明日も学校でしょ」 だから自分で飲んで、とコップを差し出したけれど、いやいやするように抱き着く力を強めて ぐりぐり頭を押し付けて来る。 あの、マズイですってかがみさん。場所的に……! 「やぁ……こなたぁ…すきだから……して……?」 ぐぁ…!! クリティカルヒット! 9999のダメージ!って言うようなナレーションが 心の中に浮かんだ。ポケ●ンでいうならはさみギロチン、F●でいうならデスを喰らった気分。 そんなことが浮かんだ辺り、まだどこか冷静だったのかもしれない。 だけど、普段好きとか愛してるなんてほとんど言ってくれないかがみにその言葉を言われて、 断れる私が居るだろうか。いや、居ない。 「…解ったよ。だから離して、ね?」 私がOKをだしたからか、とろんとした目をしながらこれ以上ないってくらい嬉しそうに 笑っているかがみを横目で見つつ、コップの中の水を口に含んだ。 「……あいしてるよぉ……こなた……」 (…そーいうのはしらふの時に言って欲しいもんだネ。…だけど、お酒が入るとこんなに 甘えんぼになるのが解ったのは収穫だったかな?) あごを持ち上げて、そっとくちづける。 薄く開かれた唇から水が流れこんで、かがみののどが上下するのが解った。 「ん、ふ………」 口の中にすっかり水が無くなっても、私たちの唇は長い間離れなかった。 「……は……あ…」 とっくに理性なんてものは切れてしまっていて、ソファの上だということも忘れてかがみの体を押し倒す。 「かがみ……?」 同意を求めるように、疑問符付きで愛しい人の名前を呼ぶとかがみは目をつぶったまま―― 「すーーーーーー」 「って寝てるし!!!」 さすがに意識のないかがみを抱く趣味はない。 「かがみー」 半泣きでほっぺをぺちぺち叩いてみるものの、深い眠りに入っているらしく身じろぎ一つしない。 ほてった体を持て余し、夢の世界に一足先に旅だった恋人への恨み言をぶつぶつ つぶやきながら、私もまた布団にくるまった。 (くそう、明日覚えててよね、かがみっ!!) へべれけかがみん あふたーへ続く コメントフォーム 名前 コメント にやにやしっぱなしで俺ヤバいwww -- 名無しさん (2009-03-25 14 26 18) あーくそ、ニヤニヤがとまらねえwwww -- 名無しさん (2008-12-23 00 35 22) だだこねるかがみんとそれに振り回されるこなたに萌えたw -- 名無しさん (2008-06-12 04 43 27) 酔っ払いかがみん萌えw「飲ませて…」でズッキュンきましたw -- 名無しさん (2008-06-07 23 16 40) 「飲ませて」かがみんにめちゃ萌えたw酒で酔っぱらって本音が出ちゃうってのは可愛いし、面白いなあw -- 名無しさん (2008-06-05 10 37 26)
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いふ☆すた EpisodeⅡ~静かにツルの切れる音~ なんだろうこれは。 それはふわりと、唐突に現れた。 私は足元に落ちたそれを拾い上げ、顔の前まで持ってくる。 何のこともない普通の白い封筒だ。 私はついさっき学校に着いたばかりで、今、自分用の下駄箱の前で立ち尽くしている。 私の下駄箱から落ちてきた、それ。 裏返してみると、とても丁寧に書かれた文字で、 「柊 かがみ 様へ」 と書いてある。 うん、間違いなく私にだ。 …でも、このシュチュエーションってもしかして… 「あ、お姉ちゃん!?」 私の近くまで寄ってきたつかさが声を上げた。 「それってもしかして…ラブレター!?」 そう、それだ。 好きな人に愛の告白をするために、想いを書き留めて下駄箱なんかに入れるという代物だ。学園モノのラヴシュチュではもはや定番で、使い古された小道具。 「初めてみたよー…」 私も見たのは初めてだ。 まさか、こんなものが私宛てに届くなんて考えもしなかった。 「すごいねぇ。…ねぇ、お姉ちゃん、空けないの?」 つかさは興味津々らしい。 まあ姉妹でいままで隠し事なんてあんまりしなかった仲だし。 別に見られても問題はないけどね。 でも… そこでふと、違和感を覚えた。 こんな事態を、ひどく冷静に受け止めている私がいる。 普段のわたしならもっと驚いたり照れたりしてもいいはずなのに。 多分、わたしはこなたのことが好きだからかな? だから、他の人に好きって言われても、揺らぐことがないのだろうか。 私たちは入り口の近くを避け、普段は死角になっている非常階段のあたりまで来て、手紙を開けた。 ここなら誰も滅多に立ち寄らない。 これ以上、ギャラリーが増えてしまっても困るから…っていうのもあるけど… でも、一番の理由は、遅れてやって来たこなたに手紙のことを知られたくはないからだ。 私は封筒に張ってあるシールを切り、中に入っていた手紙を取り出す。 つかさがその行為を、まるで自分宛てに来たもののように、本人よりも高揚した顔で見つめていた。 「ね、ね、なんて書いてあるの?」 「つかさ、落ち着きなさい。 今見るわ。えーと…」 広げられた手紙をつかさから遠ざけ、縦に二つ、三角に折りなおす。 これでいっぱいまで顔に近づければ、横からは紙と私の頭が邪魔になって他の人は見ることが出来ない。 「あぅ、お姉ちゃ~ん」 つかさからの抗議の声が聞こえるが、この子は嘘を付くのが下手だから、何でも周りに話してしまいがちなのだ。 「まずは私に読ませてよ」 「…うん」 つかさのしぶしぶの了解を待って、私は手紙を読み始めた。 手紙の内容は非常に簡素なものだった。 まず、私の名前があり、そして、伝えたいことがあるという風な内容。 そして告白の場所の指定、時刻は夕方。それから… 差出人の名前が書いてないのは、自信の無さの表れか。 ただ、文面や字体の丁寧さに、私は伝わってくる人柄の良さが感じられた。 「どうだった?お姉ちゃん!」 急かすように食いつくつかさ、ホントに興味があるらしい。 「どうって… 話があるから放課後会いたいって内容よ。 相手の名前はわからないけど…って、何よその顔」 「お姉ちゃん、それ絶対告白だよ! で、どこどこ?どこで告白されるの?」 「つかさ、声が大きい。 てか、まだ告白されるって決まってないわよ」 「あ、そっかぁ、果たし状かもしれないもんね」 こんな果たし状なんて、あるか!!っとこなたに対するノリで叫びそうになった。 この妹は相変わらず… 「ったく。場所は…… うん、体育館の裏ね。あそこなら部活の人以外、あまり立ち寄らないし。 死角も多そうだしね」 「お姉ちゃん…どうするの?」 「 … 」 その答えはまだ自分でも出してなかった。 良い人そうなだけに、私が来なかったことで、傷ついてしまうかもしれないし… ずっと待つ片思いの辛さは、私が一番理解できた。 「つかさ、お願い。 このことはこなたには黙ってて。 あいつ…からかいに来そうだから…」 「やっぱり行くんだね…?」 さっきまでのテンションはどこに行ったのか。 つかさは寂しそうにそう言った。 … 一限目の終わり。 「やふぅ~! つかさ、みゆきさん、おはよー!! 泉こなた、只今参上だよぉ!」 「あ、おはよ~ こなちゃん」 「おはようございます。泉さん」 私は持てる限りの元気で、いつものみんなに挨拶する。 そこにかがみがいないのは残念だが、仕方ないね。 わざわざ朝の挨拶をするためにかがみのクラスに行くわけにもいかないし。 「…でも、こなちゃん、お早くはないよね。 おそよ~、かな? 今日はどうしたの~?」 「いや、寝坊したのもあるんだけど、 朝の用意に手間取っちゃってね? 結構遅い時間に出ることになっちゃたから、 ついでに一限目の授業をサボっちゃおうかなと。 一発目、歴史だったからどうせ寝ちゃうし出ても一緒だからね」 「ははは…、こなちゃん、それ絶対、黒井先生とお姉ちゃんに 言わないほうが良いよ」 「ふふ~んそれはもう抜かりないよ。 言わなければバレないしさ。」 高らかに宣言する私の背後に、黒いものが近づいてきてることに、その時私は気付かないでいた。 「だぁれぇが、抜かりないんやて~?」 「ひぃ!黒井先生!?」 「泉ぃ、聞かせてもろうたでぇ。 ほうかほうか、自分、そんなに説教くらいたいんか。」 「先生、目がマジ怖なんですけど」 「うるさい!泉!!昼休みにウチん所に来い! 説教や!!楽しみに待っとるでぇ~」 「あぅぅぅ~」 黒井先生が嵐のように去っていく。 まったくなにをしに来たんだろう。 まあ、問答無用の鉄拳制裁がなかっただけましだけど… うぅ~、これでかがみとの楽しいお昼休みが減っちゃたよ… 「大丈夫ですか?泉さん…」 「こなちゃん、ドンマイ…」 私は朝から続く、あまりの不幸に、その場に泣き崩れてしまいたかった。 … 昼休憩。 「うぅぅ、ただいま~」 「お帰りなさい、泉さん」 「お疲れ~、こなちゃん」 ふらふらとした足取りで、お説教から無事生還を果たした私を、みんなが迎えてくれた。 「なんだか、今日の授業の範囲を、自分なりの考察を交えて ノートにまとめてもってこいって言われたよ。 それも、明日までに」 「う、それは私には手伝えないかな~?」 「ふふ~ん、私はつかさになにも求めてないヨ」 「あぅ! ひどぃ」 「だから、かがみ~ん。勉強おしえて~♪」 ………返事がない。 あれ?そう言えばかがみはどこ? 「つかさ、かがみ来てないの?」 なぜか…つかさは俯いた。何かをいいにくそうな顔。 もしや…かがみになにかあった!? 「かがみさんは今日はコチラにはおいでにならないそうでして」 「え?あ、そうなの?」 なんだ、かがみは来れないだけか。 でもなんで、つかさは思わせぶりな態度をとったんだろう… つかさはかがみと一緒で嘘はつけない子。 こういう態度をとったときは必ず何かを隠している時だ。 「ときにつかさ?」 「ひゃぅ!な、なにかな?こなちゃん」 肩を跳ねさせてから返事をする。絶対何かあるね。 「私に何か伝えることがあるんじゃないかな? 例えばそう…」 つかさの喉がごくりと鳴る。 「…かがみに何かあったとか!」 「あぅ!なな、なんでわかるのぉ? こなちゃん、実は見てたとか?」 ミッションコンプリート。犯人はアナタだ。 ゲームとかの推理モノの犯人も、このぐらい簡単に出てきてくれたらね。 でも多分、私はそんなゲームはやりたくないけど。 さあ、なにかあったことだけはわかったし、あとは、何があったのか聞くだけだね。 「んふふ~、感だよ、感! さあ、ここまできたら白状してもらうからね!」 「あぅ~、お姉ちゃんに怒られちゃうよ~」 「かがみには上手く言っとくからさ。なになに」 「かがみさんに何かあったんですか?」 「うぅ、ゆきちゃんまで…ヒドイ。 わかったよ。言うから…ゴメンネ、お姉ちゃん。 お姉ちゃん、今日ね、ラブレターをもらったの」 「「 えぇっ! 」」 私とみゆきさんの声が重なった。 かがみがラブレター? 一瞬、視界が白くなる。心臓の音がやけにうるさい。 「こなちゃん、大丈夫?」 「!」 つかさが心配の声を上げる。 まずい、顔に出ていたか。 「い、いや~。 かがみんにもついに春が来たか~」 私は笑ってごまかした。 大丈夫、ココロを誤魔化すのにはもう慣れてる。 「で、かがみはどうするって?」 声が震えるのを必死に隠した。 「まだ、決まってない…ていうか これから告白を受けるみたい。」 「どこで受けるの? 場所は?いつ?」 「ダメだよこなちゃん、行っちゃダメ」 「え~、いいじゃん。 かがみの一世一代の告白シーンなんだし 見なくちゃ末代まで笑いものだよ」 声のトーンはいつもの私だったけど、もしかしたら私、 顔は笑っていなかったかも知れない。 その証拠に、つかさが私を見ながらすこし怯えている。 何でだろう。いつもうまくやっていることが、今日に限って出来ない。 「お姉ちゃん、 こなちゃんには見られたくないって言ってたもん」 「そ、そうなんだ」 かがみからの拒絶。私「には」みられたくないなんて… とたんに弱気な私が顔をのぞかせる。もう、だめだ… 「 普段の私 」が演じきれな… 「私も…興味があります。つかささん」 「え、ゆきちゃん!?」 援護は思わぬところからやってきた。 「告白の場所、教えていただけませんか? 私、お恥ずかしながら、告白シーンを生で見るのは 初めてでして… その…もしもの時の参考に出来ればな、と」 すごく意外だった。みゆきさんって色恋沙汰に興味があったんだね。 もしかしたら、みゆきさんのことだし単なる知識欲かもしれないけど… あえて言わせてもらおう、みゆきさんグッジョブ! 折れかけていた私のココロは、みゆきさんという強い味方を得て、再び蘇る。 「つかさ、お願い!」 「あぅ、も~…ゆきちゃんまでこなちゃんの味方だなんて。 …わかったよ。教える、けど… あとでお姉ちゃんに怒られる時は一緒に怒られてよぉ」 「うん、みんなで怒られようよ」 「ふふ、そうですね」 … 放課後の学校。体育館の裏手。 私たちはかがみが来るのを待っていた。 「夕方って言ってたから多分、放課後のことだと思うけど、 具体的な時間は言ってなかったから…」 私たちはホームルーム終了と同時に、かがみのあとを追いかけるべく、すぐさまかがみの教室へと向かった。 「あぁ?なにやってんだぁ、お前ら。 かがみ? あぁ柊なら終わったと同時にどっかに すっ飛んでったぜ? ちびっこのとこにいってないのか?」 かがみのクラスメイトの、日下部みさおがそう告げる。 遅かったか。 私たちは仕方なく、体育館で待つことにしたのだが… 「こないねー」 もうそろそろ五時半になる。 閉門の時間が六時だからもう来てないと間に合わない時間だ。 「…電話してみよっか?」 「おこられちゃうよ?」 「でも、このまま待っていても仕方ありませんしね」 … ―放課後の学校。 夏のぬくもりを感じさせる。そんな気持ちのよい風が、私の薄紫色の髪を揺らしていた。 ここは放課後の屋上。 つかさには悪いけど嘘を付かせてもらった。 ホントに正直なコだから、多分、隠しとおせないだろうし、こなたに問い詰められると、嘘は付けないと思ったから。 ごめんね、つかさ。 だって、ホントに見てほしくないんだもの。 こなたの追跡を逃れるために、約束の時間よりもかなり早くについてしまっていた私は、屋上の備え付けのベンチに腰を下ろして、ただ、色が変わっていく空の様子を見つめていた。 告白…かぁ… こなたに出会う前の自分だったら、たぶん、喜び勇んで飛びついただろう。 昔からひそかに恋愛というものに興味があったし、恋人なんて言葉に憧れを抱いていた。 だけど、今の私はひどく陰鬱で、どうゆう風に答えようかと、ず~っと頭の中で考えている。 いや、告白に対する答えなんてもうとっくに出ているはずだ。 私が悩んでいるのはそうゆうことじゃない。 …ふぅ~… お決まりのため息は空に融けていく。 いまから来る人物は多分、男性。 そして、女性である私を好きだと思ってきてくれるんだ。 これが普通の恋なのだ。 改めて、私の抱いている想いが異端であると、そう気付かされてしまう。 うらやましい… 普通に好きになって。 普通に告白が出来て。 普通に幸せをつかむことが出来て。 私はたまたま女性を好きになったというだけなのに、そのすべてから否定をされる。 想いの強さでいうのなら…同じ恋だというのに、だ。 つかさには伝えてなかったが、あの手紙にはもう私への想いが書いてあった。 正真正銘のラブレター。 私を好きだという、名前も知らない彼。 彼は、今からやり遂げるんだ。 今の私には絶対出来ないこと。 最愛の人への…愛の告白を……。 その時、屋上の鉄の扉が…今、静かに鳴った。 … ―プルルルルルルル… ドキ、ドキ、 ―プルルルルルルル… 早く出て…かがみ。 ―プルルル…ガチャ 「 何?」 かがみへと電話が繋がった。 焦るな、私。 「や、やふぅ~かがみ様。元気~?」 「…開始早々、ケンカをうってんのか?」 「いやいや、あのね? え~と…かがみ様って、今どちらにいらっしゃる?」 私はストレートに聞いてみることにした。 今、私の近くには、つかさとみゆきさんが、私の携帯電話に耳を近づけて、かがみとの会話を盗聴している。 「…つかさ、あんた話したわねぇ!」 「ひゃう!何で居るのがばれてるの?」 「やっぱり…」 つかさの声が届いたのか、かがみは落胆のため息をつく。 「ごめんなさい、かがみさん。私がお願いしたんです」 「な、みゆきまでいるの!? はぁ、アンタ達はそろいもそろって…」 「「「 ゴメンナサイ 」」」 三人の声がハモった。 「でさ、かがみん今どこにいるの? 体育館のうらでずっと待っていたんだけどこないからさ」 「いま?あぁ今は駅のホームにいるわ。 もう少しで電車が来るところ。…あ、来たみたいね。 じゃあ切るわよ。」 「あ、ちょ、まって!どうゆうこと?こ、告白はどうなったの? 受けたの?断ったの?」 「…告白はされたわ。なかなかやさしそうな人だったし、 手紙のイメージにピッタリの人だったわ。 私たちと同じ学年の人で、顔は知らなかったけど、 向こうは私のことをずっと知ってたんだって」 「…で、どうしたの?」 「…そんなの決まっているわ…」 心臓が早鐘を打つ。 かがみに伝わってしまうのではないかと思うほど、大きな音で。 「…別に、断る理由なんて、ないじゃない…」 ―Pi、 「―かがみ!?」 台詞とともに回線が切れた。 断る理由がないってことは、やっぱり… 私は携帯をもつ左手を、弛緩させるままにだらりと下げた。 顔が無意識のうちに俯く。 「泉さん…」 「こなちゃん…」 「 … 」 …なんだこの空気は。 親友に恋人が出来たんだ。もっと祝ってあげなくちゃ。 …祝って、あげなくちゃ…いけないのに… 「―ゴメン、二人とも!」 私は次の瞬間、駆け出していた。 「あ、泉さん!?」 二人との距離が離れていく。 ただただ私は早くあの場から逃げ出したかった。 二人には、おかしな奴だと思われたかもしれない。 でも、ずっとあそこ居たとしたら、私は多分、みんなの前で泣いていた。 ずいぶん前から覚悟はしていたのに。 いつかはあることだと、理解していたはずなのに。 私の覚悟とは別に、 私の身体も、 私のココロさえも、 その時になって私の全てが、私の意思を聞いてはくれなかった。 …悲しかった。 両手で、口からもれる嗚咽を塞ぎ。涙はまぶたで必死にこらえる。 かがみに会ってか、私は人間的に強くなれたような気がしてた。 だから、いざというときでも、私はきっと笑ってられると信じられていた。 でも、それは私のただの妄想で。 結局はあのころとなにも変わっていない私が居たことに。 そしてなにより、かがみに彼氏が出来たことを、一番に喜んであげるべき親友の私が、こんなにも沈んでて、笑ってあげられないなんて… そのことが、私はただひたすらに…悲しかった。 だから私は涙を出す代わりに。 何かを叫びたくなる代わりに。 ひたすらに走った。 ひとしきり走っただろうか、私は校舎内のトイレの前で立ち止まる。 涙こそ流さなかった私だが、鏡に映りこんだ瞳を赤く充血させている私の顔は、ひどく醜いものに見えてしまった。 少し落ち着きを取り戻した思考で、私は洗面台まで向かい、それを洗い流す。 今日は急いで家を出たからハンカチは持って来ていない。 夏服の短い裾で顔を拭く。 吹ききれず水滴を残したままの顔は、まるで泣いているかのようだった。 そのときだ、携帯電話が鳴り出した。 この短めのメロディは、メールを受信したものだった。 ポケットから携帯電話を取り出した。 件名[ なし ] 「こなちゃん、どうしたの?大丈夫???」 つかさからだった。そういえば二人とも置いてけぼりだったね。 心配かけちゃったかな? メールしとかないと… う、ん、大、丈…夫。っと…送信。 本当に大丈夫…なのかな?明日。ちゃんといつもの私でいられるのかな? ううん、いなくちゃいけないんだけどね。 ちゃんと「 親友 」の泉こなたとして。 …今日は笑ってあげられなかったな… ごめん…かがみ。 明日からはちゃんと笑ってあげられるから。 今日だけは特別。 色んなことがあったから。 明日からは親友としての、今までのような日常が続くはず。 だから大丈夫だよ、私は… ……… 次の日の朝、駅のホームにて。 しかし…あのとき私が思い描いていた日常は、かがみからの一言で見事に崩れ去ってしまった。 「かがみ…」 「なに寂しそうな顔してんだ?」 「だって、もう会えないっていったじゃん!?」 私はかがみに食らい付いた。 「会えないなんていってないわよ。 ただこれからは、アンタのクラスに行く機会も減るし、 帰りも多分、彼と帰るわよ」 「そんなの、殆ど会えないのと一緒じゃん!」 「仕方…ないじゃない。もう、付き合うことにしたんだから…」 私はその言葉でわれに返る。 「…ゴメン、怒鳴っちゃって…」 そう、かがみはもう、親友以上のものを手に入れたんだ。 私は親友として、応援してあげなくちゃならないんだった。 「…いや~、突然のことだから、動揺しちゃったよ。 うん、私たちのことはいいから、いいから。 お昼休み?登下校?どんどん行っちゃいなよ! …だけどひとつだけお願い」 「えぇ?、あ、うん、なによ」 私のテンションの落差に、かがみは狼狽しながら聞き返した。 「たまに会ったときに、ノロケ話をするのだけはやめてよね? ツンデレのデレを見るのは面白そうだけど、 他人にデレてる姿をみても寒いだけだし、それに…」 「な、ツンデレいうな!」 「これから暑くなって来るのに、恋人同士のアツアツ話なんか 聞いてたら、熱中症で倒れちゃうよ~」 「そんな、アツアツだなんて…」 「お、早速テレてるテレてる。 この反応、もしや昨日でもうすでに、 ちゅ~とかしちゃったのかな?」 「…! するかぁ~!!」 そしていつもの追いかけっこが始まる。 私は笑った。もう届かない、愛しい人に向けて。 そうだ、これでいいんだ。 過去に私がした妄想が、少しだけ現実になってしまって、そして、少しだけ早く訪れてしまっただけなのだ。それだけなんだ。 少しの変化であったけど、あとはなにも変わらないでいられる。 わたしはかがみの「 親友 」として、卒業まで… ずっと。 私は、追いかけるかがみから逃げながら、あることを考えていた。 かがみの日常が変わってしまったのなら、私も変わらなければならないと… ……… その…次の日の放課後、こなたの教室にて。 「あんた、それマジで言ってんの!?」 「うん、おおマジだよぉ~?」 みんなに帰宅の挨拶を告げるために、こなたがいる教室まで足を運んだ私。 こなたからの思わぬ告白に、今度は私が狼狽する番となった。 「どこの誰よ!?」 「かがみが知らない人だよ。三年生の人だし」 「でも、昨日の今日で…」 「あぁ、ひどいな、そんな軽い女じゃないよ?私。 ずっと考えてたんだけどね。 かがみのがいいきっかけになったというか…」 「でも、いきなり彼氏が出来ましたってどうゆうことなのよ~!」 「あは♪ おそろいだね!」 EpisodeⅡ ― END いふ☆すた EpisodeⅢ~堕ちる果実~へ続く コメントフォーム 名前 コメント (^_−)b -- 名無しさん (2023-07-05 12 07 52) まだ完結してないようですので、続きを楽しみに待ってますが、作者様~かがみとこなたにはハッピーエンドをお願いします。 -- kk (2009-01-28 23 04 33) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
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『一日自由券』 (前半はこなた目線) 今日は7月7日 私の嫁ことかがみの誕生日。 ついでにつかさの誕生日でもある。 もちろんプレゼントは用意している。 去年みたいなプレゼントになるけどね。 つかさにはバルサミコ酢トラップ(手作り) かがみには去年が団長腕章にしてつっこまれたので、 今回は何にしようか悩んだが、 結局何かのグッツになるわけで、 そうして悩んだらいつの間にかアニメのDVDになってた。 まぁそれは友達としてのプレゼント。 恋人としてのプレゼントは別に用意しているよ♪ むしろそっちがメインだね♪ しかし、ひどいことに今年の7月7日は月曜日。 必然的に学校でプレゼントを渡す羽目に・・・ 時間的にも昼休みだろうね。 タイミングとかが面倒だね。 そんなこと考えていたら、 いつの間にか昼休みだったんだ! そして皆で一緒に弁当(私はチョココロネだけどね)を食べる。 そして、 「今日はかがみんとつかさの誕生日だよね~」 「そうね」「そうだね」 「というわけでプレゼントをあげましょ~」 「わーいありがとう♪こなちゃん」 「また去年みたいな変なものじゃないだろうな?」 「流石かがみん。鋭いね」 「なんだ。そうなのか」 「そんなわけで、はい。まずはつかさ」 「なんだろう?」 「ストラップだよ」 「わぁ~バルサミコ酢トラップだ~ありがとう」 「よろこんでもらってうれしいよ~ んでこれがかがみんの」 「また腕章か?」 「去年は団長腕章だったから、少しか自重したよ」 「アニメのDVDよね・・・これ」 「うん。そだよー」 「まあ変なグッツよりましかな・・・」 「も~素直にありがとうって言えばいいのに~」 「はいはいありがとね」 「でもかがみんにはもうひとつプレゼントがあるんだよ?」 「え?何?」 「その袋にきちんと入ってるよ~」 「ん?」 そうしてかがみは袋を覗き込む。 そして見つけたようだ。 「何?この紙」 そしてかがみはそれを取り出す。 「えっと・・・『一日自由券』?なにこれ?」 「かがみんが今日一日私を自由にできる券だよ」 「あ~なるほど・・・っておい」 「どうしたの?うれしくないの?」 「いや・・・少し反応に困っただけ」 「かがみんが望むことを何でもしてあげるという 素晴らしい券だよ~」 「じゃあ例えば何をしてくれるのよ」 かがみんから何かが切れそうな音が聞こえてくるがとりあえず答える 「ん~例えば~『キスさせて欲しい』といえばするし」 プチッ あ、かがみんの何かが切れた。 「なんでも・・・?」 なんだか目が怖い。 「う・・・うん」 「そっか」 なんだか目が怖いです。かがみ様。 そして少し沈黙 「よ~しじゃあお持ち帰りぃ~♪」 あ、かがみが壊れた。 何でいきなり・・・ そうか!さっき切れたのは『理性』だったのか! ・・・あれ? ということはやばくね? このままお持ち帰り ↓ 理性が壊れたかがみなら確実に暴走 ↓ 私の貞操終了のお知らせ ↓ \(^〇^)/ ・・・まぁいいか。 少し予定がずれたけどね。 ・・・本当はこっちから襲うつもりだったけど。 ↑が私の脳内で0.1秒で展開されていた。 「どーぞご自由に~」 「わ~い♪お持ち帰りぃ~♪」 そのまま教室を私を抱えてかがみは教室から出て行った。 教室に残った二人は・・・ 「こなちゃんにお姉ちゃんどんだけー」 「・・・どうしましょう?」 「どうしようもないよゆきちゃん」 「放っておきましょうか」 そしてその後・・・ こなたはかがみにお持ち帰りされ、 その後どうなったのかは多分皆様が想像している通りだと思うよ。 きっとかがみへの誕生日プレゼントって、 自分自身だったんだね(違 以下おまけっぽいもの。何故か日付が変わる。 ~次の日~かがみの部屋にて (こっからかがみ目線) 「ん~」 なんだか体に違和感がありながらも私は目を覚ます。 何かが横にあるようだ。 「ん~」 横からも声が聞こえる。 どうみてもこなたです。 本当にありがとうございました。 「・・・あれ?」 そしてやっと今自分の状態がわかった。 私、服着てないし。 こなたも、服着てないし。 どうなってるのか誰かkwsk説明してくれ。 「むぅ~」 私のことなどお構いなしに気持ちよく目覚めたこなた。 ついでに聞いてみるか。 「おい、こなた」 「なぁに?かがみ様」 「今の状態について少し語らないか?」 「え~見ての通りだよ」 「どういう経緯でこうなったか教えてくれ」 「え?かがみん覚えてないの?」 確か、昨日の昼休みにこなたからプレゼントもらって・・・ あれ?それ以降の記憶がまったく無い。 「かがみん暴走したんだよ?」 覚えていない。 「『わ~い♪お持ち帰りぃ~』とかいってさ 私をここにお持ち帰りとかしちゃってさ~」 ・・・覚えていない。 「その後はもうかがみんのワンサイドゲーム 私を好きにしちゃってさ~」 「・・・冗談でしょ?」 こなたがきっと襲ったんだ。うん。そう思ったほうが気がらk 「いや~かがみん激しかったよ? もうなんか理性が吹っ飛んでたもん♪」 ・・・やっぱ私ですか。そうですか。 「でも私としてはよかったかな~とか思ってたり」 「は?」 「かがみんのあんな一面を知ることができて♪」 やっぱり笑われてる。 なんかもう何がなんだか分からなくなって、 そのまま布団にバタンと倒れて、 「・・・あんたはなんで私の暴走止めようとしなかった?」 と聞いてみた。 「ん?別に良かったから」 「は?」 「本当は家に押しかけてこっちから襲うつもりだったし~」 「おいおい、結局こうなることをあんたは望んでいたのか?」 「まぁ~そうなるかもね」 「なんだよ・・・それ・・・」 「だから私としては結果オーライなのだよ」 「もうわけ分からない」 「ところでかがみんや」 「なんだよ」 「私をこんなにしておいて責任取らないつもりかい?」 「責任・・・?」 そういうとこなたは私にじりじりと近づいてきた。 今の状態をもう一度説明しよう。 私達は服を着ていない。 つまり、お互い裸で向かい合っている。 「一体何をするつもりd「アッー!」」 その後どうなったかは今度は誰も知らない。 あれ?月曜日の次の日って火曜日? 学校あるだろって? 休んだんじゃね?こんなになっちゃったんだし。 結局そのあと、かがみが 「プレゼントってなんだったんだろ・・・」 という呟きに対し、こなたが 「え?わ・た・し♪」 とかいってかがみを少し怒らせたそうな。 めでたし コメントフォーム 名前 コメント 以下の以下に同意wwこな☆かがは正義w -- 名無しさん (2023-05-04 09 21 33) 以下同文wwこな☆かがに愛をww -- 泉そうじろう (2009-09-08 18 56 37) ↓に同意wwこな☆かがこそが全てだw -- 柊ただお (2008-10-19 02 01 55) 笑える、萌える、文句ねえwww -- 名無しさん (2008-07-09 19 39 50)
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日も傾き、教室が紅に染まり始めた頃。 柊かがみは、泉こなたのいるB組へと足を運んだ。 「こなた?」 なぜ疑問形なのかは分からないが、友人の名前を呼ぶかがみ。 既に教室には影が見当たらず、少し高めに発した声は壁に吸い込まれるように消えた。 ちょっと意気消沈したように肩を落としたかがみだが…… 「あれ?」 教室に敷き詰められた机のうちの一つに、明らかに他とは違った形の影を作るものがあった。 微動だにしない無機質な影に、少しだけ上下に動く小さな影が乗っている。 小学生のような高校生が寝息をたてていた。存在感のある青髪は夕日の赤い光を浴びて紫色に輝く。 特徴的に頭部から飛び出たアンテナが、呼吸に合わせて揺れている。 「なんだ、寝ちゃってたんだ……」 「むにゃ……んぅ……」 いつものような飄々とした雰囲気はなりを潜め、あどけなさの残る寝顔をしている。 それを優しい眼差しで覗き込むかがみ。 その瞳には友人に送るそれとは、違ったものが乗せられているように感じたのは、気のせいだろうか。 ふと、漂っていた視線が動きを止める。 その目線は、小さく息を吐き出す唇に注がれている。 「ちょ、ちょっとだけ」 まるで自分に言い聞かせるように呟くかがみ。 優しく、触れたかどうか分からないほど、ささやかに重ねられた唇は 秒数を指折りで数えるほどでもないくらい、瞬時に離れた。 瞬間、かがみの顔が茹蛸のように真っ赤になる。 「……んぁ?」 「!!」 間もなくして、こなたが目を覚ます。 いつの間にやらかがみは、机一つ分離れた場所へと移動していた。 しどろもどろに表情を整え、笑顔で待機する。その口元は少し引きつっているように見えた。 「あるぇ? かがみどうしたの?」 「え!? いや、その……そう!! 一緒に帰ろうと思って!!」 勿論最初はそのために来たはずなのに、先ほどの行為によっての焦りからか、思考回路が混雑しているようだ。 対するこなたは起き抜けのせいか、目線は、揺れるツインテールの先端に向けられている。 「あの、つかさとみゆきは?」 「みゆきさんは委員会で、つかさは夕飯の買い物があるからって……てか昼休みに言ってたと思うけど」 「あ、そそ、そうだったわね」 頬を掻きながら目を逸らすかがみ。恥ずかしさからかだろうか、おでこから一筋の汗が流れた。 「変なの……まぁいいや、帰ろっかかがみ」 無言で頷くかがみに少し微笑み、鞄を引っつかんでてこてこ小走りに傍に寄る。 かがみは片手で持っていた鞄を両手に持ち替え、ぎゅっと握り締めた。 言い淀むような仕草をした後、意を決して口を開くが すぐに閉じて、俯いてしまった。 「どったの? かがみ」 「あ、いぃやぁ~……」 二つほど携えた青紫色の大きな瞳が、あっちへゆらゆらこっちへゆらゆら。 その定まらない目線を追うように、こなたの視線が追いかける。 追いかけっこを始めて少し時間が経過した頃、かがみがこなたを見据えた。 突然のことにこなたがびくんと反応する。 ツリ目がさらにつりあがって、怖い表情になっていたことが原因でもあるだろう。 「て、てて、ててててて」 「……?」 「手……繋がない?」 「え? ……う、うん」 またもや疑問形であったが、少しだけ強い意志の込められた言葉。 こなたは、かがみのお願いを断る理由もないし 断ろうという気も起きなかったようで…… ぎゅっ 確かめるように、手を握った。 「こなた……」 「かがみ……」 震える手で、互いの掌を確かめ合う。 2人の顔が赤く見えたのは、夕焼けだけのせいではないだろう。 「ふふ」 「えへへ」 照れたような笑い声。即座にB組が甘い空間に変わる。 誰か残っていたなら、きっと熱に当てられていたに違いない。 こういうことは公共の場ではあまり繰り広げないでいただきたいものだ。 「帰ろっかがみ♪」 「うん♪」 意気揚々と教室を出るかがみとこなた。 もし誰かがこの場を覗いていたとしたならば お互いに見つめあい仲良く手を繋ぐその姿が、恋人同士に見えていたことは間違いないだろう。 コメントフォーム 名前 コメント GJ! -- 名無しさん (2022-12-18 11 50 34) 確かにいいストリー展開だ。 -- 伝説の作家 (2009-07-07 00 41 23) 個人的に この保管庫で一番うまい作品だと思う。 背景描写とかストリー展開とか。 長さも丁度いいし読みやすい。 次回作待ってます。 -- 名無しさん (2008-03-21 23 43 48) うまいなぁ……書き慣れてる感が滲み出てるよ。3人称は難しいのに、こんなにうまくまとめられるなんてお兄さんびっくりだ!!素直に尊敬します。次回作にwktkしつつ、今から全裸で待機しますね。 -- 名無しさん (2007-11-19 12 35 57) こなかがスレは初期からいるんですが、まさか貴方の正体があの人とは…(汗)通りでこの話が投下当初から群を抜いて上手いと思った訳ですね。ギャグも書けてシリアスも書けるのは本当に尊敬します。たまにはこちらのスレにも力作をお願いしますね! -- 某書き手 (2007-11-11 20 28 26)
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お風呂で火照った体に、扇風機の風が心地よい。 窓からは、徐々に秋へと移り変わっていく涼風。 それでも、こなたの部屋は暑かった。 二つずつ向かい合うように並んだ四つの布団の一つに、座り込む。 今、この部屋には誰もいない。 かといって、もうあんな危険を冒すようなことをしようなんて思わなかった。 こなたは、男となんてメールしていない。 受信ボックスを隅から隅まで見たわけじゃないけど、多分そうだ。 そもそも、こなたが男とメールするなんて考えられない。 相当失礼だけど、普段のこなたを見ているとそう考えるのが普通だ。 でも、でももし、私の知らないこなたがいるのだとしたら……。 何も学校内だけとは限らない。 ……コスプレ喫茶。 あのこなたが可愛い格好をして接客しているのだから、何人もの男がアプローチをしていても全くおかしくない。 いや、こなたがそんな奴等に振り向くわけがない。 考えすぎだ。忘れよう。 あれから。 あれから、みんなでいつも通りの会話をしたり、ゲームをしたり、色々と楽しかった。 時間はすでに十一時半を回っている。 微かな空虚感を覚えた。祭りの後の空しさのような、そんな感じだ。 「ふ~。あ、お姉ちゃん。いたんだ」 振り向くと、ドアの前につかさがいた。 つかさも私の前にお風呂に入ったので、頭が僅かに上気している。 そういえば、前にこなたの家に泊まった時、つかさと髪型を入れ替えたんだっけ。 ふと、そんな昔のことが頭に浮かんできた。 二度ネタになるから、またやろうとは思わないけど。 ……あれから、もう一年か。 去年は、どんな気持ちでこの家に泊まったんだろうか。 今となっては、もう分からない。 去年と今では、確実に何かが違っているから。 「そういえば、こなたとみゆきは?」 「こなちゃんは今お風呂に入ってるよ~。ゆきちゃんは、戸締りするって」 「普通逆じゃないのか、それは……」 昔と今で、何が変わってるんだろう。 考えたけど、答えは見つからなかった。 ● しばらくして、こなたとみゆきが一緒に部屋に戻ってきた。 それからもう遅いから寝ようということで、四人で布団に入って、電気を消した。 こなたもベッドを使えばいいのに、態々布団を敷いてその中に入っている。 律儀なのか、そっちの方が楽しいのか。多分後者だろう。 豆電球の明かりのみとなった部屋の中、全員で円を描くように顔を寄せ集めた。 修学旅行みたいだな。 ふと、そう思った。 「じゃあ、みんなで泊まる夜だし、恒例の本音トークでもしますか」 「え~? なにそれ~」 「皆で隠し事をせずに本当のことを言い合うんだよ。修学旅行のときやらなかった?」 「あー、やったやった~」 「修学旅行の夜は、誰しもテンションが上がって大胆になりますからね」 そういえば、こなたは今までの学校生活をどうやって過ごしてきたんだろう。 親しい友達はいたのかな。一人いたっていうのは聞いたけど……。 もしかしたら、修学旅行のときも独りだったのかもしれない。 ……こなた……。 いや、そんな何の確証もない過去のことなんて関係ない。 私たちと過ごすこの日々が。 今が、こなたにとって一番幸せな時間でありさえすれば。 自信はないけど、そうであって欲しい。 こなたの楽しそうな笑顔を見て、強く、そう思った。 だからこそ、押し殺してひっそりと処分したいものもある。 そこまで考えていると、 不意にこなたの声が聞こえてきた。 「うーん、ベタだけど、まずは恋話で行ってみようかー!」 ……はあ? ● 「じゃあ、一番気になる大本命は置いといて、まずはみゆきさん!」 「は、はい」 「みゆきさんは、好きな人いる?」 大本命って何なのよ。私のことか? 「わ、私は、特にそういう人は……」 「えー? 本当? 本音で答えてよー」 「ゆきちゃん、嘘は駄目だよ~」 「いえ、嘘というわけではなくて、本当にいないんですよ……」 「あー、そうかー。大体分かってたんだけどね。じゃあ、次はつかさ! いい話期待してるよー」 「え~、私も好きな人とかいないよ~」 壁として並んでいた会話が、凄い速さで壊されていく。 落ち着け落ち着け落ち着け……。 平静を装わないと。 心臓の鼓動が早くなってくる。 体が熱くなっているのは、お風呂上りで布団に入っているからだろうか。 とにかく、簡単なことだ。 ただこう言えばいいだけ。 ――私も好きな人なんていないわよ……って。 こなたが食いついてくるかもしれないけど、そこはうまく誤魔化すんだ。 いないの一点張りで。悟られないように。 「う~ん、やっぱり予想通りかー。よく考えたら、私たちの中でそういうのがありそうなのって……」 こなたがにやにやとこちらを見てくる。動揺しないように。平常心を保って。 「かがみは好きな人いるの?」 ――来た。 自分が何に怯えて、何を隠そうとしているのか。 多分分かってるんだろうけど、今は押し殺そう。 ●●● かがみはいるにしてもいないにしても、絶対いないって言う。 でも、かがみは嘘をつくときどうしても動作に現れる。 言葉に詰まったり、目をきょろきょろと動かしたり、視線をそらしたり、必要以上に強く否定したり。 もう長い付き合いだもん。これくらい分かって当然だよ、かがみ。 かがみから目を離さないように、じっと見つめる。 かがみは視線を左上に向けて、少し口をもごもごさせて、 「わ、私も好きな人なんて、い、いないわよ……」 あー、かがみは正直だな。それとも天邪鬼っていうのかな。 ――かがみの好きな人って誰なんだろう。 「かがみ、これは本音トークだよ。ちゃんとほんとのこと言わないと」 「な、ほ、ほんとだって。好きな人なんているわけないじゃない!」 「かがみ、隠してるつもりかもしれないけど、もうばればれだよ」 「え、何で、え、や、何、あ、わ、ななな……」 すごい動揺だな。自分で好きな人がいるって言ってるようなものだよ。 「かがみの好きな人って、誰なの?」 「そ、それは、その……」 かがみは顔を赤く染めて、私から顔を背けようとする。 もう好きな人がいるって言うのは確定だな。 顔が自然とにやついてくる。 誰なんだろうなー。突き止めたいなー。 かがみは何か言いたそうで、でもそれは言葉になっていなかった。 「お姉ちゃん、もしかして、本当に好きな人いるの?」 「い、いや、その……」 「それは気になりますね」 「だ、だからそんなんじゃ……」 「かがみ~ん、正直に言った方が楽だよ~」 もうかがみの顔はりんごのように真っ赤で、いつ頭から蒸気が吹いてもおかしくない状態だった。 顔を枕にぎゅっと押し込んで、上目使いで私たちを見回している。 まるで怯えている子犬のようだ。 可愛いなあ~。かがみは子犬っていうのもありかな? 「も、もうその話はやめてよ。なんでもいいじゃない」 ある意味好きな人はいるって認めてるともとれるけど、相当焦ってるんだろうな。 「お姉ちゃん、教えてくれたっていいじゃない。私たち、応援してあげるからさ~」 「言いたいことが言えないというのは、体に悪いですよ」 「誰なのさー。教えてよー」 「だ、誰だって関係ないじゃない! ほっといてよ」 そう言ってかがみは布団の中に潜り込んでしまった。 ……どんどん墓穴を掘ってるなあ。 でも、ちょっとやりすぎちゃったかな。 あの中で、かがみはどんな表情をしてるんだろう。どんな気持ちでいるんだろう。 ――そうだ。 ゆっくりと、かがみの布団の前まで這っていく。 つかさとみゆきさんに人差し指を立てて、喋らないように合図を送る。 布団の端っこから、するすると中に入り込んだ。 頭が何かに触れる。 かがみの足かな? その上に馬乗りになって、顔の方へと進んでいった。 「……な、ちょ、こなた?」 かがみが体を左右に揺らして私を振り落とそうとする。 でも抱きついて我慢だ。 薄暗くて、まだ目が慣れていない布団の中、かがみの体温が服越しに伝わってくる。 相変わらず枕に顔をうずめて、俯いているかがみの後頭部が目に入った。 必死に布団の端を掴んでいる。あ~、愛らしいなぁ……。 後ろから、かがみの首に両手を回す。 「か~がみん」 「や、やめてよ。離れなさいってば!」 「いや~、さっきはちょっと調子に乗っちゃったかなって。かがみはいじりがいがあるっていうか」 「な、何よそれ」 「だってかがみの反応見てると、本当に可愛いんだよ~」 「ば、馬鹿! 何言ってるのよ……」 「うんうん、それだよ~」 かがみの顔を横から覗き込む。 よく見えないけど、たぶん予想通りになってるだろうな。 見ても分かんないから、肌で感じてみよう。 かがみの頬に、自分の頬をくっつける。 柔らかくて、熱い感触。 ふにゃふにゃしてて気持ちいいなぁ~。 「ちょ、な、何するのよこなた!」 急にかがみが顔を上げる。 あー、照れてる照れてる。 「それで、かがみん」 一息。 しつこいなと思うけど、やっぱり気になる。 「好きな人って、誰なの?」 「ま、まだその話なの? もういい加減にしてよ。誰だっていいじゃない……」 やっぱり簡単には言ってくれないかー。 でも、なんとしてでもかがみの口から言わせたい。 これくらいじゃ、諦めないよ。 かがみの耳に、そっと息を吹きかける。 「ひゃっ!」 かがみはこそばゆさに耐え切れないのか、何度も背中を揺らした。 効果は抜群だ。やっぱりこういうのには弱いのかな? 本当にかがみは……。 今度はかがみの耳たぶを甘噛みしてみた。 おもちみたいに柔らかくて、溶けそうで、食べてみたいな、なんて変なことが、一瞬頭に浮かんだ。 「くっ、や……」 かがみは肘を上げたり、体を揺らしたり、凄い力で私を引き剥がそうとする。 でも、ぴったりかがみにくっついてるから、そんなのじゃ落ちないよ。 「ほらほら、早く好きな人言わないと、もっと色々やっちゃうよー」 「そ、それは……でも……」 むー。まだ駄目か。どうしようかな。 両手を離して、腰の方まで後退する。 これをしたら、かがみはどんな反応をするだろう。 想像するだけで、顔が自然とにやついてくる。 でも、早く言ってくれないのがいけないんだからね。 服の中に手を突っ込む。 かがみの肌は相当に火照っていた。冷や汗までかいている。 やっぱりやりすぎちゃったかな。でも……。 両手の指の一本一本で、撫でるように、かがみの脇腹に触れる。 「ひゃっ、く、くすぐったいってば! やめなさいよ」 「わははは、かがみん! もはや、のがれることはできんぞ」 そのまま指で背中を上るように這わせていく。 「ふっ、ひっ、うぅ……」 かがみの体が小刻みに震え始めた。 「かがみが好きな人を言ってくれるまで、やめないよ」 「だ、だから、それは、言、えないっ、て……」 かがみも相当強情だな~。私たちに言えないような人を好きになったのかな? ますます知りたくなったよ。 左手でうなじの辺りをくすぐる。 「や、やめ、やめてって。もういいでしょ!」 体を激しく動かして抵抗してきた。 まだまだいくよー。 落ちないように気をつけながら、体を前に倒して、かがみのうなじを舐めた。 「――っ!」 かがみは声にならない声を出して、全身をびくんと震わせた。 「かがみ~ん、いい加減に本当のことを言いなよ。減るもんでもないんだからさ。それとも、もっとこういうのされたいのかな~?」 「わ……、分かったわよ。言えばいいんでしょ言えば。だから、は、早くやめてよ!」 動きを止めた。 少しの沈黙。ただかがみの洗い息遣いだけが聞こえてくる。 「言ったね! 約束だよ。絶対に好きな人が誰か告白するって」 「う、うん……」 かがみから降りて、布団から出る。 「こなちゃん、一体中で何やってたの?」 「かがみさんの悲鳴も筒抜けでしたよ」 「うーん、ちょっと色々といたずらをね」 ていうか、すっかり二人の存在を忘れてたよ……。 呆気にとられたような顔をしている二人に、とりあえずVサインを送る。 誰なんだろうな。誰なんだろうな。 気になりすぎるのか、好奇心が限界を超えたのか、胸の動悸がすごく早くなってきた。 しばらく待っていると、かがみが布団から顔だけを出した。 頭に乗った布団を両手で下に引っ張って、出来るだけ小さくなろうとしている。 「かがみー。じゃあ、みんなの前で言ってみようかー」 「わ、かってるわよ……」 かがみの顔は、イチゴのように赤く赤くなっていた。 ●●● 周りを見ると、こなたとみゆきとつかさが、興味津々といった表情で、こちらを凝視している。 私が喋るのをじっと待ってるんだろう。 あの時は本当に苦しくて、あんなことを言っちゃったけど、今では相当後悔してる。 じっと我慢してればよかったのに。どうしても耐えられなかった。 くすぐったいのもあるけど、こなたに色々されているということ、そのものが。 私の背中に乗って、私の死角から。 頬を擦り付けてきたり、息をかけてきたり、くすぐってきたり。 それから、首とか耳たぶを、舐めてきたり……。 なんだか変な気持ちだった。 やめてもらいたいのか、もっとやって欲しかったのか。 嬉しかったのか、嫌だったのか。 ……今となっては、もう分からないことだけど。 何にしても、何か、大事な何かがおかしくなりそうで、つい条件を飲んでしまった。 私にとって、最悪の条件を。 誰か適当な男子の名前でもあげるか、それとも、本当のことを言うのか……。 でも、こなたと約束したんだから、本当のことを言うしかないかな。 それに嘘をついても、こなたには簡単に見透かされそうな気がする。 だけど、こんな、みんなの前で。 私の好きな人を告白するなんて……。 恥ずかしさに、体が病気にでもなったみたいに熱い。 ……どうしよう……。 誰も何も喋らない。動きもしない。 時が止まったかのように、全てのものが静止している。 口を噤んでいても、全然時間が進まない。 言うしかないのかな。 妹が見てる中、親友が見てる中、 ……好きな人の目の前で。 私がこれを言ったら、どんな反応をするだろうか。 出来れば言いたくなかった。知られたくなかった。 こんなの、おかしいから。 女同士なんて、普通じゃない。絶対に変だ。 言いたくないのに。 幸せになってもらいたいから。 こんな感情、相手に迷惑をかけるだけだから。 それなのに、全然気づかないで、私に好きな人を言わせようとして……。 なんで、分かってくれないんだろ。いや、分かってくれない方がいいのかな。 「かがみ? 早く言ってよ」 時が動き出した。 もう言うしかない。言って、その後は、もうどうにでもなってしまえ。 あんたが悪いのよ。言いたくなかったのに。このままの状態が続いていけば、それでよかったんだから。 「い、一回しか言わないわよ。わ、私が好きな人は……」 口ってこんなに重かったっけ。 呼吸ってこんなに難しかったっけ。 たった三文字を言うだけ。 それが、本当に難しい。 つかさがじっとこっちを見てくる。みゆきも好奇心に溢れた眼差しを向けてくる。 そして、当のこなたも、わくわくした楽しそうな目でこちらを見つめてくる。 この三文字が。 普段は普通に言ってる三文字が。 今だけは重くて、禁断の呪文のように思えた。 こなた。 こなたこなたこなたこなたこなたこなたこなた。 「―――― ●●● 」 ……えっ? 今、何て言ったの? 聞き取れなかったよ。 いや、分かるけど、分からないって言うのかな。 確かに、かがみは今、はっきりと、 私の名前……。 いつの間にか、かがみは泣いていた。 どういうこと? 全然わかんないよ。 かがみが好きな人が、私? それってうまい逃げ口なの? それとも、本当に私のことが……。 「お、お姉ちゃん、今、何て……」 「本当に、泉さんのことが……」 「そ、そうよ。私は、こなたのことが好き。大好きよ。悪い?」 「い、いえ、そういうわけでは……」 「でもゆきちゃん、それって同性愛なんじゃ……」 かがみは私と目を合わせないようにして、ずっと左上の方を見ている。 もうその顔は、世界中で一番赤いものになってるんじゃないかと思うほど。 それは多分、私も……。 「こなた!」 すごいスピードで、かがみが私の目の前まで来る。 肩を掴まれて、びっくりするほどの力で後ろに押し倒された。 「こなた、ごめんね。こんなこと言われて迷惑かもしれないけど、私、こなたのことがずっと好きだったのよ」 泣きじゃくって、 「本当はこんなこと言いたくなかったのに……。押し殺しておきたかったのに……。こなたのせいなんだからね。こなたがあんなことするから……」 かがみの目から零れ落ちた涙が、私の頬に落ちる。 かがみはこんなに悩んでたのに、私は、無理矢理言わせようと、面白がって色々しちゃって……。 ごめんね、かがみ。謝るのは私の方だよ。 「ごめん、かがみ。そんなこと思ってたなんて、知らなくて……」 でもね、今だから分かるけど、私だって、かがみに好きな人がいるんじゃないかもしれないって、怖かったんだよ。 だから、どうしても聞きたかった……。 多分、今までのことは、全部その為だったんだよ。 私がこの本音トークを始めたのも、もしかしたら、家に泊まらないかって言ったのも。 どうしても、確かめたかったこと。 でも、今では普通に聞いたりは出来なくなっていたこと。 昔はふざけあいながら、言えてたのにな。 いつからだろう。それを言うことに、恥ずかしさというか、ためらいを感じるようになったのは。 ――かがみは、好きな人いるの? 本音トークっていう場じゃないと、そういうのは言えなかったから。 でも、ようやく言えたし、ようやく聞けた。 何なんだろう。 よく分かんない、変な気持ち。 本当に、反応が可愛いだけなのかな。 さっきみたいに、色々いじってたのも。 私にとって、かがみは何なんだろう。 友達かな? それとも親友かな? ……どっちとも、何かが違う気がする。 確かに、かがみは私の親友だけど、それだけじゃないっていうか……。 料理を作るときも、考えていたこと。 あの時は、適当に理由をつけて流してたけど、あれは、逃げてただけだったのかな。 何で好きな人がいるかなんて聞いたんだろう。 親友として気になるから? 興味本位とか好奇心で。 それは……違う。そんなんじゃない。 それなら、いつも通りに、普通の会話の中で聞けるから。 それに、親友に好きな人がいるのを、怖いなんて思うはずがない。 かがみには、普通に好きな人が出来て、普通にその人と付き合って、普通に幸せになって欲しい。 だけどやっぱり、それは私には辛いこと。 もしそうなったら、私の気持ちはおかしくなっちゃう。 多分哀しくて哀しくて泣き続けちゃうよ。 私にとってのかがみと、かがみにとっての私は違うんだなって。 怖かったんだ。それが分かっちゃうのが……。 だけど、そうじゃなかったよね。 かがみは、好きな人は私だって、言ってくれた。 ほっとしたし、とっても、嬉しかったよ。 今でも信じられない。 こんな日が来るなんて思わなかった……。 妄想がそのまま現実になったような、夢物語のような。 これって、現実だよね。夢なんかじゃないよね。 私もね、押し殺しておきたかったんだよ。 かがみのせいなんだから。かがみがあんなこと言うから。 多分この気持ちは、かがみと一緒だと思うから……。 私も、正直にならないとな。かがみも、勇気を出したんだから。 それに答えないと。 「こなた、私のことどう思ってる? 嫌いになった? 引いた? 私はそれでも構わないわよ……。こんな気持ちを、あんたが無理に受け入れる必要はないんだから」 頬に、いくつもいくつも熱い雨が降ってくる。 あー、これが、かがみの気持ちなんだね。 「わ、私は……」 さっきかがみが通った道。 みんなの前で、自分の好きな人を言うっていう。 そういえば、私だけ言ってなかったな……。 今度は私の番かな。 「私も、かがみのこと、好きだよ」 「え? 本当? 本当に私のこと……」 「……うん。大好きだよ」 「うぅ……こなたぁ!」 「わ、ちょ、ま」 かがみが私の体をきつくきつく抱きしめてくる。 私もかがみをきつくきつくきつく抱きしめた。 「え? こなちゃんもお姉ちゃんのことが……好き? も、もう訳わかんないよ~」 「つかささん、私たちはもう蚊帳の外みたいですね。別の部屋で寝ましょうか」 「う、うん……」 視界の端っこ、つかさとみゆきさんが部屋を出て行こうとしてる気がする。 その二人が、外に出る間際に、頑張ってくださいとか、応援してるよとか、言ったような気もする。 ああ、もうそんなことも分かんなくなってきちゃった……。 かがみが私の唇にキスをしてくる。 私もそれに応える。 まるで時間が止まったように、 風は吹かず、ただただ室内は暑くなっていく。 太陽が止まって、この夜がずっと続いていけばいいのにな……。 泊まった日・朝へ続く コメントフォーム 名前 コメント かがみがこなたのメールを覗いちゃうのが かわいかったです -- 名無しさん (2010-05-14 08 04 37)