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EXEXEX 空条 承太郎(くうじょう じょうたろう((星の白銀・世界・天国(スタープラチナ・オーバーヘブン(ザ・ワールド)))) 天国に到達したDIO(世界・天国(ザ・ワールド・オーバーヘブン) EXEX 空条 承太郎(くうじょう じょうたろう(星の白銀・世界(スタープラチナ・ザ・ワールド))) DIO(世界(ザ・ワールド)) EX 空条 承太郎*1 DIO(ザ・ワールド(素手、時止めなし)) SSS DIO(隠者の紫(ハーミットパープル)) SS 空条 承太郎(くうじょう じょうたろう(素手)) ヴァニラ・アイス(クリーム) 再起不能となったジャン=ピエール・ポルナレフ(銀の戦車・鎮魂歌(チャリオッツ・レイクイエム)) S モハメド・アヴドゥル(魔術師の赤(マジシャンズレッド)) 花京院 典明(かきょういん のりあき(法王の緑(ハイエロファントグリーン) ジャン=ピエール・ポルナレフ(銀の戦車(シルバーチャリオッツ)) ペット・ショップ(ホルス神) ダニエル・J・ダービー(ダービー兄(オシリス神)) アヌビス神(ジャン=ピエールポルナレフ) AAA 空条 承太郎*2 ジョセフ(波紋・隠者の紫(ハーミットパープル)) イギー(愚者(ザ・フール)) ラバーソウル(黄の節制(イエローテンパランス)) エンヤ婆(エンヤ・ガイル(正義(ジャスティス))) J・ガイル(吊られた男(ハングドマン)) ミドラー(女教皇(ハイプリエステス)) ンドゥール(ゲブ神) アヌビス神(カーン) ケニーG(ティナー・サックス) AA 呪いのデーボ(悪魔(エボニーデビル) グレーフライ(灰の塔(タワーオブグレー)) 偽キャプテン・テニール(暗黒の月(ダークブルームーン))フォーエバー(力(ストレングス)) ホル・ホース(皇帝(エンペラー)) ネーナ(女帝(エンプレス)) ズィー・ズィー(運命の車輪(ホウィール・オブ・フォーチュン)) 鋼入りのダン(スティーリー・ダン(恋人(ラバーズ))) アラビア・ファッツ(太陽(サン)) マニッシュ・ボーイ(死神13(デス・サーティーン(悪夢世界(ナイトメア・ワールド))) カメオ(審判(ジャッジメント)) オインゴ(クヌム神) ボインゴ(トト神) アヌビス神(チャカ) マライア(バテスト神) アレッシー(セト神) テレンス・T・ダービー(アトゥム神) A ヌケサク 大統領(ラブトレイン) プッチ(MIH) ジョナサン ジョルノ(GER) 究極カーズ BBB 空条 ホリィ(くうじょう ほりぃ(茨(癒しの能力))) ディアボロ ディエゴ・ブランドー(THE WORLD(ザ・ワールド(オレだけの時間だぜ))) ジョニィ(Act4) ジャイロ(BB) 吉良 大統領 BB ウィルソン・フィリップス上院議員(車)ウェザー ディエゴ・ブランドー(恐竜(スケアリー・モンスターズ)) B 空条 貞夫(くうじょう さだお) 仗助 カルネ 露伴 重ちー CCC ワムウ 音石 ローゼス ウィルソン・フィリップス上院議員(素手) カーズ 猫草 CC チョコラータ イルーゾォ アン(家出少女)シェリー・ポルナレフ ソフィー マレーナ エシディシ C リゾット サーレー セッコ スージーQ・ジョースター DDD ブチャラティ ギアッチョ ポルポ 定助 DD 定助 サンタナ ホルマジオ アナスイ D ウンガロ ズッケェロ EEE ミスタ トリッシュ 形兆 EE オエコモバ ホルマジオ ドナテロ 噴上 E ラングラー F・F サウンドマン 吉廣 ジャンケン小僧 FFF リキエル ジョンガリ・A ヴィヴァーノ ドナテロ 康一 FF フーゴ エルメェス マックイイーン ケンゾー グッチョ 億泰 F ヴェルサス GGG マイクO GG ナランチャ G ブンブーン HHH 虹村さん(京) HH リキエル ラングラー H メローネ アンジェロ III 11人の男 ホットパンツ II シュトロハイム ウェカピポ I アクセルRO マジェント JJJ ジョセフ JJ スポーツマックス J ジャイロ KKK プロシュート アバッキオ リンゴォ KK DアンG ペッシ K ミューミュー LLL マライア LL ミラション L スクアーロ MMM 未起隆 MM プッチ M エニグマの少年 NNN グェス 定助 ディスコ NN マウンテンティム N フェルディナンド博士 OOO ブラックモア OO ジョニィ O ポークパイハット小僧 由花子 PPP プッチ PP ジャイロ P ルーシー 間田 QQQ ティッツァーノ 玉美 QQ トニオ ネズミ RRR カーズ RR ジョルノ
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EXEXEX 空条 承太郎(くうじょう じょうたろう((星の白銀・世界・天国(スタープラチナ・オーバーヘブン(ザ・ワールド)))) 天国に到達したDIO(世界・天国(ザ・ワールド・オーバーヘブン) EXEX 空条 承太郎(くうじょう じょうたろう(星の白銀・世界(スタープラチナ・ザ・ワールド))) DIO(世界(ザ・ワールド)) EX 空条 承太郎(*1) DIO(ザ・ワールド(素手、時止めなし)) SSS DIO(隠者の紫(ハーミットパープル)) SS 空条 承太郎(くうじょう じょうたろう(素手)) ヴァニラ・アイス(クリーム) 再起不能となったジャン=ピエール・ポルナレフ(銀の戦車・鎮魂歌(チャリオッツ・レイクイエム)) S モハメド・アヴドゥル(魔術師の赤(マジシャンズレッド)) 花京院 典明(かきょういん のりあき(法王の緑(ハイエロファントグリーン) ジャン=ピエール・ポルナレフ(銀の戦車(シルバーチャリオッツ)) ペット・ショップ(ホルス神) ダニエル・J・ダービー(ダービー兄(オシリス神)) アヌビス神(ジャン=ピエールポルナレフ) AAA 空条 承太郎(*2) ジョセフ(波紋・隠者の紫(ハーミットパープル)) イギー(愚者(ザ・フール)) ラバーソウル(黄の節制(イエローテンパランス)) エンヤ婆(エンヤ・ガイル(正義(ジャスティス))) J・ガイル(吊られた男(ハングドマン)) ミドラー(女教皇(ハイプリエステス)) ンドゥール(ゲブ神) アヌビス神(カーン) ケニーG(ティナー・サックス) AA 呪いのデーボ(悪魔(エボニーデビル) グレーフライ(灰の塔(タワーオブグレー)) 偽キャプテン・テニール(暗黒の月(ダークブルームーン))フォーエバー(力(ストレングス)) ホル・ホース(皇帝(エンペラー)) ネーナ(女帝(エンプレス)) ズィー・ズィー(運命の車輪(ホウィール・オブ・フォーチュン)) 鋼入りのダン(スティーリー・ダン(恋人(ラバーズ))) アラビア・ファッツ(太陽(サン)) マニッシュ・ボーイ(死神13(デス・サーティーン(悪夢世界(ナイトメア・ワールド))) カメオ(審判(ジャッジメント)) オインゴ(クヌム神) ボインゴ(トト神) アヌビス神(チャカ) マライア(バテスト神) アレッシー(セト神) テレンス・T・ダービー(アトゥム神) A ヌケサク 大統領(ラブトレイン) プッチ(MIH) ジョナサン ジョルノ(GER) 究極カーズ BBB 空条 ホリィ(くうじょう ほりぃ(茨(癒しの能力))) ディアボロ ディエゴ・ブランドー(THE WORLD(ザ・ワールド(オレだけの時間だぜ))) ジョニィ(Act4) ジャイロ(BB) 吉良 大統領 BB ウィルソン・フィリップス上院議員(車)ウェザー ディエゴ・ブランドー(恐竜(スケアリー・モンスターズ)) B 空条 貞夫(くうじょう さだお) 仗助 カルネ 露伴 重ちー CCC ワムウ 音石 ローゼス ウィルソン・フィリップス上院議員(素手) カーズ 猫草 CC チョコラータ イルーゾォ アン(家出少女)シェリー・ポルナレフ ソフィー マレーナ エシディシ C リゾット サーレー セッコ スージーQ・ジョースター DDD ブチャラティ ギアッチョ ポルポ 定助 DD 定助 サンタナ ホルマジオ アナスイ D ウンガロ ズッケェロ EEE ミスタ トリッシュ 形兆 EE オエコモバ ホルマジオ ドナテロ 噴上 E ラングラー F・F サウンドマン 吉廣 ジャンケン小僧 FFF リキエル ジョンガリ・A ヴィヴァーノ ドナテロ 康一 FF フーゴ エルメェス マックイイーン ケンゾー グッチョ 億泰 F ヴェルサス GGG マイクO GG ナランチャ G ブンブーン HHH 虹村さん(京) HH リキエル ラングラー H メローネ アンジェロ III 11人の男 ホットパンツ II シュトロハイム ウェカピポ I アクセルRO マジェント JJJ ジョセフ JJ スポーツマックス J ジャイロ KKK プロシュート アバッキオ リンゴォ KK DアンG ペッシ K ミューミュー LLL マライア LL ミラション L スクアーロ MMM 未起隆 MM プッチ M エニグマの少年 NNN グェス 定助 ディスコ NN マウンテンティム N フェルディナンド博士 OOO ブラックモア OO ジョニィ O ポークパイハット小僧 由花子 PPP プッチ PP ジャイロ P ルーシー 間田 QQQ ティッツァーノ 玉美 QQ トニオ ネズミ RRR カーズ RR ジョルノ
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EXEXEX 空条 承太郎(くうじょう じょうたろう((星の白銀・世界・天国(スタープラチナ・オーバーヘブン(ザ・ワールド)))) 天国に到達したDIO(世界・天国(ザ・ワールド・オーバーヘブン) EXEX 空条 承太郎(くうじょう じょうたろう(星の白銀・世界(スタープラチナ・ザ・ワールド))) DIO(世界(ザ・ワールド)) EX 空条 承太郎(*1) DIO(ザ・ワールド(素手、時止めなし)) SSS DIO(隠者の紫(ハーミットパープル)) SS 空条 承太郎(くうじょう じょうたろう(素手)) ヴァニラ・アイス(クリーム) 再起不能となったジャン=ピエール・ポルナレフ(銀の戦車・鎮魂歌(チャリオッツ・レイクイエム)) S モハメド・アヴドゥル(魔術師の赤(マジシャンズレッド)) 花京院 典明(かきょういん のりあき(法王の緑(ハイエロファントグリーン) ジャン=ピエール・ポルナレフ(銀の戦車(シルバーチャリオッツ)) ペット・ショップ(ホルス神) ダニエル・J・ダービー(ダービー兄(オシリス神)) アヌビス神(ジャン=ピエールポルナレフ) AAA 空条 承太郎(*2) ジョセフ(波紋・隠者の紫(ハーミットパープル)) イギー(愚者(ザ・フール)) ラバーソウル(黄の節制(イエローテンパランス)) エンヤ婆(エンヤ・ガイル(正義(ジャスティス))) J・ガイル(吊られた男(ハングドマン)) ミドラー(女教皇(ハイプリエステス)) ンドゥール(ゲブ神) アヌビス神(カーン) ケニーG(ティナー・サックス) AA 呪いのデーボ(悪魔(エボニーデビル) グレーフライ(灰の塔(タワーオブグレー)) 偽キャプテン・テニール(暗黒の月(ダークブルームーン))フォーエバー(力(ストレングス)) ホル・ホース(皇帝(エンペラー)) ネーナ(女帝(エンプレス)) ズィー・ズィー(運命の車輪(ホウィール・オブ・フォーチュン)) 鋼入りのダン(スティーリー・ダン(恋人(ラバーズ))) アラビア・ファッツ(太陽(サン)) マニッシュ・ボーイ(死神13(デス・サーティーン(悪夢世界(ナイトメア・ワールド))) カメオ(審判(ジャッジメント)) オインゴ(クヌム神) ボインゴ(トト神) アヌビス神(チャカ) マライア(バテスト神) アレッシー(セト神) テレンス・T・ダービー(アトゥム神) A ヌケサク 大統領(ラブトレイン) プッチ(MIH) ジョナサン ジョルノ(GER) 究極カーズ BBB 空条 ホリィ(くうじょう ほりぃ(茨(癒しの能力))) ディアボロ ディエゴ・ブランドー(THE WORLD(ザ・ワールド(オレだけの時間だぜ))) ジョニィ(Act4) ジャイロ(BB) 吉良 大統領 BB ウィルソン・フィリップス上院議員(車)ウェザー ディエゴ・ブランドー(恐竜(スケアリー・モンスターズ)) B 空条 貞夫(くうじょう さだお) 仗助 カルネ 露伴 重ちー CCC ワムウ 音石 ローゼス ウィルソン・フィリップス上院議員(素手) カーズ 猫草 CC チョコラータ イルーゾォ アン(家出少女)シェリー・ポルナレフ ソフィー マレーナ エシディシ C リゾット サーレー セッコ スージーQ・ジョースター DDD ブチャラティ ギアッチョ ポルポ 定助 DD 定助 サンタナ ホルマジオ アナスイ D ウンガロ ズッケェロ EEE ミスタ トリッシュ 形兆 EE オエコモバ ホルマジオ ドナテロ 噴上 E ラングラー F・F サウンドマン 吉廣 ジャンケン小僧 FFF リキエル ジョンガリ・A ヴィヴァーノ ドナテロ 康一 FF フーゴ エルメェス マックイイーン ケンゾー グッチョ 億泰 F ヴェルサス GGG マイクO GG ナランチャ G ブンブーン HHH 虹村さん(京) HH リキエル ラングラー H メローネ アンジェロ III 11人の男 ホットパンツ II シュトロハイム ウェカピポ I アクセルRO マジェント JJJ ジョセフ JJ スポーツマックス J ジャイロ KKK プロシュート アバッキオ リンゴォ KK DアンG ペッシ K ミューミュー LLL マライア LL ミラション L スクアーロ MMM 未起隆 MM プッチ M エニグマの少年 NNN グェス 定助 ディスコ NN マウンテンティム N フェルディナンド博士 OOO ブラックモア OO ジョニィ O ポークパイハット小僧 由花子 PPP プッチ PP ジャイロ P ルーシー 間田 QQQ ティッツァーノ 玉美 QQ トニオ ネズミ RRR カーズ RR ジョルノ
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『霧雨魔理沙』 【真昼】E-4 命蓮寺 本堂 「なあ……徐倫」 「なによ魔理沙」 「こんな時になんだけど……いや、こんな時だからかもしれんな」 「だからなによ」 「お前の親父さん……あー、父親についての話、とか、訊かれたりするのは嫌か?」 「……別に、嫌じゃないけど」 センチメンタルになったから、とかじゃない。 気まずい空気になったから、とかでもない。 空条徐倫という人間の事を、私はもう少しだけ詳しく知りたかったからだ。 コイツの境遇とか、目的とか、仲間とか敵とか、そういう話は既に聞いている。 肝心なのは、コイツがあんなにも我武者羅になって助けた父親───『家族』のことをどう思っているか、だった。 鈴仙の奴から感化されたわけじゃあないんだが、この数時間を共にしてきた以上、ちょっぴり気になってきたんだ。 いや、悪ィ……嘘かもしれん。やっぱり、センチだな。今の私は…… 駄目だ……何か話してないと、頭の中がグルグル回って気持ち悪い。 これまで以上に気分の優れない感情の捌け口が見つからず、救いを求めるようにして私は徐倫に父親の事を訊いた。 本当の所は、どうだって良かったかもしれない。 ただ、私たちの後ろで二人して寝かし付けている霊夢と徐倫の親父さん。 こいつらを見て、何気なく疑問に思っただけなんだ。 徐倫は父親の事を、一体どう思ってんだろ……ってな。 会話の内容なんてのは、実際の所どうでも良かった。 ───香霖……霖之助が死んじまったなんていう、馬鹿馬鹿しい放送内容なんざ聴いた後には、何もかもどうでも良くなってしまう。 「空条承太郎……あたしの父さんは………………」 そこで徐倫は口をつぐんだ。なにやらハッとしたような表情で、随分と間抜けなツラを晒している。 「どうした?」 「いや……そういやあたし、親父のこと何にも知らねーなって思っちゃってさ」 恥ずかしげに、または申し訳なさそうにも。 そんな微妙な顔を作って徐倫は、後ろで寝かせる親父さんを振り返った。 「そんなの……私だって似たようなモンさ」 「つってもさぁー……まあ、あたしぐらいの年齢の女なんてどこもそんな感じかもしれないわね」 「少なくともお前は父親を助けたくて、今まで頑張ってきたんだろ? だったら何も恥じることないだろ」 「…………そうかなぁ」 頭をポリポリと掻きながら徐倫は小さくぼやき、しばらく言葉を溜めてからようやっと語り始めた。 「…………そうねえ。あたしの父さん───空条承太郎は、多分……『特別』な人間だったんじゃないかと思うわ」 雨足の弱まっていく曇天を眺めながら、私たちは命蓮寺の堂内でただただ会話を続けた。 二度目の放送によってポッカリ空いた心のスキマを、無心で埋めるように……ひたすらと。 ジョジョ×東方バトルロワイヤル 第168話 「星屑の巡り 絆げ靈夢の紅蒼詩」 ──『絆』は『約束』── ★ 降り積もった刻は、雪解け水のように煌きを反射させ、静かに……粛粛と流れ出す。 時間は決してその場に留まることなく、ゆっくりとだが……清流が如く深深と。 少しずつ…… 少しずつ…… 「だから……俺は別に『特別』なんかじゃねー。そんな風に持ち上げられるのは嫌いだし、不快だ」 抗えぬ力。有無を言わせぬ悪意。 決定的な敗北により身を屈し、鼓動を止められた。 DIOとDio。 二人の帝王の凶手に掛かり、“光”は潰えた。 けれどもその精神は決して屈さず。悪を穿つ黄金の精神こそが、最後の灯火の光。 空条承太郎。 男は、普段と変わらぬぞんざいな口調で、彼女への返答を空に投げた。 「と、とにかく! 絶っ対に『特別』な人間なのよアンタは。私と同じくらいにね」 博麗霊夢。 女は、普段とは少し様相の異なる口振りで、空に投げられた彼の返答を強引に拾って、また投げつける。 「……なんなんだ、そのワケのわからねー自信は」 「ん~~~…………勘、だけど」 「くだらねー」 くだらない。 実にくだらないと断ぜられるような、ただのお喋り。何ということもない、満月の下での会話だった。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 『博麗霊夢』 【深夜】 博麗神社 縁側 夢は無意識からのメッセージ。 起きている間は、意識や理性によって抑えられている「その人の本音」を映しだす鏡でもある。 また、夢を探ることで自分の本音と向き合うことが出来る。 しかし、夢は無意識が支配する世界なので論理性はなく、何が言いたいのかわからない場合も多い。 「もう随分永く、夢の中でくっ喋ってる気がするわ」 「どこがだ。平均睡眠時間より断然短ェだろ」 「魂が感じる体感時間のことよ。私もアンタも、もうずっとこの夢から醒めずにいる」 「……情けねえこったぜ。二人揃って夢の中とはな」 「ほんっと情けない。あンのトカゲ男と態度デカイ吸血鬼……目覚めたら次こそ退治よ退治。コテンパンにしてやる」 無数に煌く星々の光条に照らされた、虫の音に囲まれたこの舞台。此の地を、博麗神社という。 その縁側に座って(承太郎は態度悪く寝転がってるが)二人は揃って夜空を見上げていた。 素朴な木の匂いを漂わせる新築の板敷きの上には、霊夢の愛好する日本茶と煎餅が、平穏な時間を象徴するようにお盆に載せてある。 霊夢の湯呑みの中は既に空だったが、少女は馴れた手つきで隣に置かれた急須からやや激しく、新たなる茶を注いだ。 仄かな湯気と和を彩る香りが、二人の鼻腔を柔らかく蕩けさせる。 お茶請けに用意した胡麻煎餅を荒々しく、一口だけ齧る。夜の博麗に響いた気持ちの良い咀嚼音が、楽しげな食感となって耳に通じていく。 「飲まないの? せっかく美味しい胡麻煎餅も用意したのに」 「ん……いや、あんま食欲もねえしな」 「そう……? じゃ、私が貰っちゃお」 ラッキーとばかりに霊夢は、承太郎に出した皿と湯呑みへ腕を伸ばし、瞬時に自分の胃に入れた。 平穏だった。 何も無い、何も起こらない退屈な時間。 それが今の霊夢にとって、掛け替えのない何よりも幸せな時間。 もう……どれだけの時間をこうして無為に過ごしただろうか。 目を覚ますことが恐ろしくなってくる。この平穏が二度と戻っては来ない時間だと、自覚するのが怖い。 周りを見渡せば、いつもの何ら変わらない博麗神社のまま。 どこぞの迷惑天人のせいで一度は崩壊した不幸なる神社だったが、まあ紆余曲折あってこうして元ある姿を取り戻したワケだ。 何もかもが霊夢のよく知る博麗神社。この地に住まうただ一人の巫女がそう断ずるのだから、間違いなどあろう筈もない。 上を向けば、いつの間に日が沈んだのか。無数の星屑たちが存在を証明するように眩い光を放っている。 あの紅魔郷での死闘のあと、不思議なことに霊夢は気付けば此処に立っていた。 更に不可解なことに、DIOと戦っている筈だった承太郎までもが神社の中に既に居た。 そして霊夢は、すぐさまに現状をこう認識したのだ。 ───ああ……私たち、敗けたのね。 身体を顧みても、あのディエゴから受けた裂傷など欠片も見当たらない。DIOに吸われた血も、今では嘘のように全身に漲っている気がした。穢れの無い、純真だった頃の巫女である だったら今居るこの世界はあの世か何かか……とまで考えた所で、どう見たってかの彼岸にはカスりもしない光景である。 ならばこれは夢か。いや、いつもの鄙びたこの神社こそが“本来”で、さっきまでの悪夢が文字通りの夢なのかもしれない。 (…………都合の良い妄想は止めましょう。“今”見ているこの光景は、恐らく───『霊夢』か何かってトコね) “霊夢”───メッセージ性が強い夢のことを、特にそう呼ぶ。 霊夢とほかの夢との違いは、「鮮明に覚えている」という点。 夢は見た後すぐに忘れてしまう事も多いが、一週間経ってもその夢のことが気になるという場合は、霊夢の可能性が高いのだという。 霊夢の種類は、いつも見る夢と変わらない場合もあるが、まぶしい光や何度も同じシーンを夢に見る、亡くなった人たちが出てくるなど、不可思議な夢の場合もあるらしい。 霊夢とは、魂へのメッセージ。 正神の神々より齎される、予知夢のこと。 腐っても神に仕えるとされる巫女である“博麗霊夢”は、およそ直感的に今見るこの光景を霊夢の類だと決め付けた。 そうと分かれば、現状悪いことばかりではない。自身が夢の中に立つ自覚を得ているということは、少なくとも死んだわけではないことが分かる。 巨悪に敗北したあの後、何者かが自分らを救い出してくれたということ。 それはF・Fかもしれないし、別の誰かかもしれない。だったら事態は急くこともない。 死人同然の自分たちに、出来ることなど何一つありはしないのだから。 「……ねえ承太郎。少し座って、話でもしましょう? ここ、私ん家だから。お茶は好きかしら?」 霊夢の見ている夢に何故、承太郎が居るのか。そんな疑問など、楽園の巫女にとっては小さな些事でしかない。 夢を見ている間は、現実との区別など付かない。そういった定説も、今となっては無意味だ。 これは紛うことない『霊夢』であり、自分にも何故だかその自覚がある。だったら覚醒までの間、どう過ごそうが自分の勝手だ。 「……やれやれ」 呑気が過ぎる霊夢の言葉に、承太郎は帽子のつばを押さえながらお決まりの口癖を吐いた。 ────── ─── ─ こうして霊夢と承太郎の止まった時は、ほんの少しずつ氷解してゆく。 思えばこのように座ってゆっくり出来る時間など、あの現実には殆ど無かった。 十六夜咲夜を殺してしまった霊夢には、魂が寛ぐ時間など許されなかった。神や仏からの許しではない。 自分が自分で、許せない。自戒のつもりか、枷を嵌めたのは自身の無意識からだった。ディエゴに敗北した一端も、無重力を失った故でもある。 だが今は。承太郎と他愛ない会話が続けられる今だけは。 霊夢にとっては本当の意味で、『素』でいられる時間なのかもしれない。元より夢とは、それが許される鏡の中の世界なのだから。 逆に言えば『現実』に居る時の霊夢は、仮面で隠された偽りの巫女なのかも、と考える。 “博麗の巫女”……それは本来、自由奔放であった博麗霊夢にとっては唯一の『重責』といえる肩書きである。 如何なるプレッシャーや圧力にも、決して屈さない無重力の精神。自由に空を飛ぶ無敵の巫女。 その『自由』こそが霊夢の持つ最強の個性であり、彼女を彼女足らしめるアイデンティティ。 幻想郷で最も『自由』であった彼女の存在は、実のところ、幻想郷では唯一の『規律』とも言えた。 言い換えるのならそれは『束縛』。 博麗霊夢の真相とは、『自由』であると同時に……法に『束縛』される存在そのものであったのだ。 それは誰から見ても矛盾である。あの霊夢が、何かに縛られる存在であったなどと認めてはいけない。 幻想郷とは、基本的に自由な國であった。 そんな土地にも勿論、法はある。砂の城のように脆いバランスを保つため、秩序という名の土壌を示す存在は絶対に必要不可欠であった。 遥か昔、当時を覚えている者が残っているかも怪しい時代。 そんな折節に、白羽の矢を立てられた者が『博麗』の名を貰う。非常に優秀な力を持つ、超俗なる者たちだった。 彼らは、彼女らは、永きに渡って博麗の名を襲名し、この幻想郷の維持に心血を注いできた。 霊夢は、孤児であった。 そんな彼女が博麗を襲名し、今に至るまで役割を全うしてこられたのは、彼女の類稀なる能力があるからに過ぎない。 異変解決。幻想郷の維持。そんな大義を何事もないように受け入れている霊夢の心の内を知る者は、皆無だ。 紫も霖之助も、魔理沙にだって。ともすれば地底のサトリ妖怪ですら見透かすことの出来ない、心の底の底。 どうして少女は、戦うのか。 それは彼女が、博麗霊夢であるから。 どうして少女は、妖怪退治を続けるのか。 それは彼女が、博麗霊夢であるから。 どうして少女は、幻想郷を守るのか。 それは彼女が、博麗霊夢であるから。 どうして少女は、自由に空を飛べるのか。 それは彼女が、博麗霊夢であるから。 誰も彼もが、少女の行いに疑問など持とうともしない。本人すらも。 博麗霊夢が博麗霊夢であるから。ただそれだけの形式的な理由で、少女は戦う。戦わされている。周囲から。世界から。自分から。 それ以外の理由など、とうに忘却の彼方であった。そこに本人の納得は必要としない。経る必要のない過程なのだ。 だからこそ霊夢は、幻想郷でただひとつの『自由』であり。 だからこそ霊夢は、幻想郷でただひとつの『規律』である。 幻想郷で唯一、博麗の者だけが規律を持つのだ。 紅白の巫女服は、その象徴たる制服。幻想郷の東端からこの空を見つめつつ、茶を飲むことを日課とし。 己に課せられた使命に何一つ疑いを持つことなく、今日も彼女は空を飛ぶ。 博麗霊夢という少女は、幻想郷で最も『特別』なのであった。 「だから……俺は別に『特別』なんかじゃねー。そんな風に持ち上げられるのは嫌いだし、不快だ」 急須の中の日本茶もそろそろ底を尽きようか、と言えるほどの時が過ぎた。 最初の種は、確か霊夢の「承太郎は今までどんな旅をしてきたの?」といった何気ない会話からだったように思う。 概要だけは既に聞いていたが、こうして落ち着いて腰を据えた状況でゆっくり話を聞くという暇など無かった。 曰く、大した修行も使命もなく、普通の不良高校生として日常を過ごし、あるとき『スタンド』に目覚め。 仲間と共に世界中を旅し、遥か遠きの地にて因縁の相手をとうとう討ち倒す。 それだけに飽き足らず、この男は真正面から勝った。あの博麗霊夢を、殴り倒したのだ。 その事実は霊夢から見れば、充分に『特別』なのだった。 空条承太郎は、ジョースターは……特別な血筋。博麗霊夢と肩を並べるほどに、特別な運命を持つ男。 承太郎に敗け、太田の呪縛から解き放たれ、そして彼から話を聞けば聞くほどに、霊夢が抱いた『勘』は『確信』へと移ろい行く。 この男も、自分と同じように『特別』な存在。 そう思ったからこそ霊夢は、この機をいいことに彼へと呟いたのだ。 「承太郎もさあ、私と同じで大概に『特別』なのね」 ……と。本当に、本当に何気なく。 返ってきたのは、先の否定の言葉。不快だと言った本人の顔は、僅かだが苛立っているように霊夢には見えた。 つい最近スタンドを手に入れたに過ぎない、一介の高校生。 因縁を潰したあと、平然と日常に戻って学者を目指すのだと宣った男。 そんな一般人の皮を被った男が、特別なる血を受ける博麗霊夢を倒したというのだから我慢ならない。 かくして霊夢の中では、本人がなんと言おうと承太郎は自分と同じで『特別』な人間。 だからなのか。承太郎がそれをにべもなく否定しながら返答した時、霊夢の中で『ナニカ』が崩れ始めた。 承太郎が自分を特別などではないと否定するのは、彼に勝ちたい霊夢自身を否定されることと同義。 承太郎が特別な存在であったのだから、それに敗けた自分もまだ納得できる。 だって彼は特別なのだから。 特別なる霊夢が敗けた理由など、彼が特別であったから以外に無い。当たり前のようにそう思っていた。 だから承太郎が自身を特別ではないと言った瞬間、霊夢は目の前に根本的な矛盾を叩きつけられた感覚に陥った。 承太郎曰く、彼は『普通』だと。つまりはそれに敗北した霊夢は、実のところ『特別』でも何でもなかったのだと。 霊夢は承太郎を自分と同列に考えていた。 私が『特別』なんだから、彼も同じくらいに『特別』。 でも彼はたった今、自分を『普通』であるかのように言い切った。 じゃあ、私っていう存在は何? 私も、承太郎と同じように……実は『普通』の人間、だったってこと? その事実が、今まで『特別』であろうとした霊夢の精神に変化を与える。 本人に自覚は無いだろうが彼は今、博麗霊夢という少女の全てを否定したようなものだった。 霊夢はこの瞬間───本当に何気なく承太郎から返されたその言葉を、生涯胸に刻み付けることとなる。 物心ついた頃よりであったか。今となってはいつからだったか、などの自問自答に意味は無い。 別段、彼女は得られた地位と恩恵に鼻を高くするといった横柄な性格ではない。与えられた職務をこなしていければそれで良かった。 そんな霊夢本来の人間性も、他人にとってはどうだって良かったのだろう。周囲から『特別』の判を押され、自らもそれらの声に甘んじる事となるのに時間は掛からなかった。 特別、特別、特別……特別でなければ博麗の巫女などやっていけない。 霊夢は気付けば、その言葉を当然のように自身の心に刷り込ませた。いや、幻想郷という奇異なる環境が、それを彼女へと勝手に押し付けてきたのかもしれない。 今まではそれに疑問を持つ者など現れなかったし、だからこそ霊夢は自身に巡る特異環境を受け入れられているのかもしれない。 しかし今、承太郎はそれらの当たり前だった環境を遠回しにではあるが、丸ごと否定したのだ。 この出来事は、霊夢にとって革命ともいえる程に大きな……大き過ぎる変化だった。 「──────い。……おい。どーしたんだ、急に間抜けなツラして」 突如顔を俯けてボソボソ呟き始めた霊夢に、流石の承太郎も異常を感じて声を投げ掛ける。 「あ…………い、いえ……何でも、ないわよ」 ここで話は、夢の冒頭へと繋がる。 「と、とにかく! 絶っ対に『特別』な人間よアンタは。私と同じくらいにね」 焦りを悟られては、またしてもこの男に負けたように感じる。 霊夢の中の大切な何かは、それを矜持として一線を引かない。 「……なんなんだ、そのワケのわからねー自信は」 「ん~~~…………勘、だけど」 「くだらねー」 くだらない。 実にくだらないと断ぜられるような、ただのお喋り。何ということもない、満月の下での会話だった。 彼にしてみれば、くだらない会話の一端。 霊夢にしてみれば、それは。 「俺からしてみりゃあ、オメーも大概『普通』のオンナに見えるがな」 乱された精神を取り繕おうと、煎餅を齧ろうとした霊夢の手が……そこで完全に止まった。 「──────え?」 数瞬遅れて、短い声が喉の奥から湧いて出た。承太郎はこちらを見ようともしていない。 「何かオメー、無理しようとしてねーか」 学生帽の陰に隠れた鋭い瞳は、依然として夜空に瞬く星屑たちを仰いでいる。 元々図り難い男であった。不用意に意図を口にしない寡黙な性格が、彼という人格をより強固に形成している。 「…………無理ぃ~? 私に一番似合わない言葉だわ」 だから霊夢は、心の底の底では承太郎に畏れを抱いている節もあった。 無駄な事を喋ったりしない性格のクセして、その瞳は相手の何を見ている? その星の白金は、私の心のどこまでを見透かしているの?……と。 ハァ……と、承太郎は短い溜息を一つ寄越して、霊夢の心に溜まる苛立ちを助長させた。 「霊夢。テメーは……自分がなんつーか、『特別』でなけりゃならない、そんな立場に無理して収まろうとしていねーか」 僅かに首を傾けて、ここで初めて承太郎は霊夢の瞳を捉える。 少女の体が一瞬だけ強張ったことに、男は気付かないフリをした。 「ナニそれ。あんたって私の先生か何か? 随分知った風な口ぶりじゃない」 動揺は出さない。今までも、ずっとそうして生きてきた。 特別である博麗の巫女“だから”、少女は強く生きようとした。弱さを見せまいと、本心を殻に閉じ込めて、肉体のみを空に浮かせて。 「私とアンタってついさっき知り合ったような間柄でしょ? 的外れもいいとこだわ。 私は……『博麗霊夢』は、いつだって自然体。そんな圧力に弱みを見せてたんじゃあ、博麗の名折れじゃない」 霊夢はプレッシャーを感じない。常に己が侭に振る舞い、淡々と使命を果たす。 まるで喜怒哀楽を手に入れた機械のように。誰に言われるまでもなく、そうであるのが当たり前である、と言わんかのように。 それが幻想郷でただ一人……『博麗霊夢』なのだから。 「俺はその『博麗ナントカさん』に言ったんじゃねーぜ」 だというのにこの男は。 そんな風習など、使命など、規律だの、博麗だの、幻想郷だの、 知るか、とでも一蹴しそうな勢いで平然と言うのだ。 「オメーだよ。オメーに訊いてんだ───『霊夢』」 いつの間にか承太郎は半身を起こして、真っ直ぐに霊夢を射抜いていた。 夜の神社に一陣の風が通り抜け、霊夢の頬と黒麗の髪を撫でた。 今までの気だるげながらも穏やかだった雰囲気は一変。霊夢は返答に詰まる。 「お前、さっき俺を『特別』だとかぬかしてたろ。普通じゃねー、特別な運命を背負う人間だとか何とか」 「だ、だってそうじゃない……! アンタは突然スタンドに目覚めて、母親が呪いで苦しんで、一族の敵を倒す為に遠い地まで旅して……それで普通の人間だなんて言ってたら、私の知り合いの白黒魔法使い辺りはひっくり返っちゃうわよ」 「そりゃ単に巻き込まれただけだ。祖先からの深い因縁がたまたま俺の代で巡ってきた。俺は降り掛かってきた火の粉を払ったっつーだけの話だろ」 「それが『特別』って言ってるのよ。少なくとも普通の人間はそんな奇縁な人生送ったりしないわ」 「だから、オメーが言ってンのは俺に纏わる災害……厄介な“人生”について言及してるだけだろう」 「同じことよ。それがアンタの歩んだ特別な人生なんだから」 「あのな……確かに普通じゃねー人生っつーのは認めるが、俺が仲間と共にDIOのクソッタレ野郎を倒しに向かったのは何も祖先の無念の為じゃねーぜ。 ジジイに頭下げられたからでもねーし、周りから押し付けられたからでもねーし、一族の代表ヅラしたかったからでもねー。ジョースターがどーのとか、関係ねーんだ」 「…………」 「おふくろを救う為に俺はDIOを倒した。DIOが俺を怒らせたから、ヤツは敗北した。たったそれだけのシンプルな理由じゃねーか」 「……誰かに任されたからではなく、使命とか因縁とかも関係ない。ただ自分の為にアンタは動いた……そう言いたいの?」 「何も難しいことはねー話だと思うがな。俺は自分のスタンドを最強だの特別だの思ったことなんざ一度としてねーし、むしろ苦戦だらけの旅だったぜ。 この殺し合いとかいう馬鹿げたゲームさえなけりゃあ、今頃は普通の高校生に戻ってただろーよ」 「自分の為、に……」 「霊夢。お前は何で異変解決、とかいうのやってんだ。自分の為か? 故郷の為か? 言われたからやってんのか? やらなきゃいけねーから渋々やってんのか?」 「私は…………」 何故、自分は異変解決を生業としているのだろう。 それは自分が博麗の巫女だからだ。何もおかしいことなど無い。 霊夢の中には、答えなどそれしかなかった。 ───そう。霊夢は、それしか答えを持っていなかった。 他に言いようが無い。少なくとも現状で自分しか居ないから。幻想郷のバランサーとして、最たる適合者が博麗霊夢だからだ。 「ならそれでいい。別に俺は幻想郷のことなんざ知らねー。それをどうこう言える立場じゃねーさ。 俺が訊いてンのは、そいつを決定付ける『意思』がお前の中に本当に在るのかってことだ」 「……言ってる意味が、わから」 「お前は『博麗』として生きてんのか。それとも『霊夢』として生きてんのか」 その疑問に完璧に答えることなど不可能だ。 自分は『博麗』『霊夢』。どちらの名が欠けても、その瞬間に自己は崩壊する。 承太郎はてんで的外れな事を訊いている。全く成立しないのだ、その矛盾だらけの問いは。 彼は霊夢という人間を全く分かっていなかった。霊夢という存在が、幻想郷を左右する如何に重大な人間なのかを。 正直な話、渋々異変解決に乗り出している点は否定できない所も多いが、それを苦とは思わない。勿論どこぞの山の巫女と違い、楽しいからやってるのでもない。 自分に“その力”があって、それを行使するべきである立場を任せられた以上、最後まで使命をやり遂げなければならない責任感くらいは霊夢にもある。 やりたい、やりたくない、ではないのだ。やって当然のことであると霊夢が感じるのは、それほどおかしいことであろうか? 承太郎が母親の為にDIOを倒したことと同じように、霊夢も幻想郷の為に異変解決を行っている。そこに自分の意思を挟み込むこと自体、的外れなのだ。 「私は『博麗霊夢』。幻想郷を愛する者。彼の地の為に、私はこれからも異変を解決し続ける。『博麗』として。そして『霊夢』としても」 そう、言ってやりたかった。当然が如く、凛として。 だが……いざその台詞を相手の鼻面に叩きつけてやろうと向き直り、承太郎の瞳を見据えると。 どういうわけだか、出て来なかった。用意した回答が、喉の奥で引っかかって口から出て行こうとしない。 「どーした。何か言ってみな」 口篭るばかりの霊夢に、承太郎は追い討ちするように煽る。回答できない自分の姿を嘲笑するように霊夢には見えた。 何故、何も言えない? 心の内には戸惑う要因などある筈もない。実に簡単な問い掛けであるにもかかわらず、だ。 困惑する理由。承太郎が常に纏う鋭すぎる雰囲気の中に、霊夢は答えの片鱗を見つけた気がした。 こんな事を正面から訊いてきた馬鹿野郎は、霊夢にとって承太郎が初めてだったからだ。 承太郎は───コイツは、何も分かっちゃいない。当然だ、彼は外の世界の人間。霊夢が置かれた立場など知る由もないし、そもそも幻想郷に興味すら無さそうだ。 幻想郷に興味も無いクセに……しかし霊夢のことを彼なりに良く知ろうとしている。承太郎が無知ゆえに、彼は訊くまでもない質問をして霊夢を戸惑わせた。 幻想郷の者ならまず、わざわざ訊いたりしないだろう。霊夢が何故異変解決などやっているかなど。 そして、彼が幻想郷とは無縁の人間だったからこそ気付けた事柄も確かにあるのだ。 「あんまり思い出したくねー記憶だろうが……オメー、最初に出会った時のこと覚えてるか? 俺にブッ飛ばされた時のことだ」 それは本当に思い出したくもない記憶だ。しかし同時に、決して忘れてはならない戒めの過去でもある。 「……アヌビス神と共に咲夜を追い詰めて……そしてアンタが湧き出てきて、派手に一発貰った……あの出来事?」 「衝撃で記憶が飛ぶ心配はなかったようだな。その時、お前は何て言いながら立ち直ってきた? 霊夢」 ───『くっ……くそおおおおおおおお!!』 ───『ガキが……そんなに負けるのが“悔しい”か』 ───『うるさいッッ!!……まだ負けては、いないわ』 もう随分と昔のように思える。 あの『創造者』から命令され、咲夜を襲い、そして現れた空条承太郎に敗けたも同然の記憶が霊夢の脳裏に蘇った。 その時は。その時ばかりの意思と感情は絶対に忘れたりはしない。忘れるもんか。 「…………悔しかったわ」 隠しようもない。見ず知らずの人間に土を噛ませられ、正義の鉄槌といわんばかりの拳を受けた。 あの時ほど感情が昂ぶった経験があっただろうか。自分はそれほどにプライドの高い人間だっただろうか。 「悔しかった。アンタに敗けたことも、私の一人相撲のせいで咲夜が死んでしまったことも。あんなに自分を見失ったことって無かったわ」 「そーかい。後者はともかく、俺にはイマイチ理解できねーがな。その“敗けて悔しい”なんつー精神は」 「嫌味? 無敵のスタンド使いサマは敗けたことなんてないでしょーね」 「悔しいもクソもねえぜ。スタンド戦なんてモンは敗けりゃあ死ぬんだからな」 言外に、またも承太郎との壁を感じさせるようなことを言われた気がした。 所詮、弾幕ごっこは女の子の遊び。彼らの旅で常時交わされてきた“本物”の命のやり取りとは根本から違うのだと。 単に闘いの年季というだけなら、むしろ霊夢の方が上だろうに。自分がなにか、酷く矮小な存在の気分になった霊夢は、下唇をグッと噛み締める。 「…………花京院って男がいる」 唐突な話題の転換に、霊夢は俯き加減だった顔を緩やかに上げて承太郎を見た。 「……あんたの仲間ね」 「そうだな。そいつがDIOの肉の芽に操られ、俺を襲った話はしただろう」 「確かDIOの最初の手先としてそいつと戦ったのよね。で、アンタが勝って無事、肉の芽は解除されましたと」 「そうだ。オメーと“同じ”だな」 同じ…? 承太郎の言う意味が一瞬理解できなかった霊夢は、次なる彼の言葉を待つように、催促の意を込めたひと睨みを返してやった。 困惑を含む視線を極めて適当に受け流した承太郎はじっくり間を溜め、フウと溜息を吐きながら霊夢の疑問に応えることにした。 「肉の芽に洗脳された花京院と、太田順也に言いように操られたオメーがソックリだ、っつってんだ」 「あ……」 「花京院は洗脳から解けるとすぐに俺達への協力を申し出てきた。アイツ曰く「そこんところだがよくわからない」らしーがな。 アイツなりの筋の通し方。洗脳から解けて浮き出てきた『本当の花京院』、いうなら本音っつーヤツだろうぜ」 「本音……」 「俺に敗けて『悔しい』って言ったよな。そいつはテメーが持つ何よりの『本音』で、この世で唯一の自己……『本当の霊夢自身』の言葉なんじゃねーのか」 「私、“自身” …………」 幻想郷の博麗の巫女ではなく、霊夢自身の感情。気持ち。 太田の操り人形から解き放たれた霊夢は、確かに見失った自分自身を取り戻せた。 その時、その瞬間こそが、幻想郷も使命も関係ない、本心在りの儘の博麗霊夢の姿を見たような気がした。 鏡の中か、はたまた外か。鏡界の向こう側に立つ自分自身を、あのとき確かに引き入れたのだ。 自分を見失うという事は、自分と見つめ合う最良の機会を手に入れるという事だ。 自分を取り戻すという事は、新たな自分へと変革する絶好のチャンスという事だ。 じゃあ、新たな自分って、なんなんだろう。 承太郎に負かされたあの時の感情は、なんだかすっごくムカついて、それでいて……何というか、とても貴重な気持ちなんじゃないだろうか。 それは『博麗』である自分にはひっくり返っても似つかない、平凡でありふれている人間だという何よりの証左。 「もっかい言うけどな。俺からすりゃあ霊夢……お前も俺と同じ『人間』だ。『普通』の、どこにでもいるような人間だと、俺は思うぜ」 はるか幼い頃より内奥に隠してきた……いや、“彼女”自ら引っ込んでいった本来を、霊夢は思い出そうとする。 “彼女”はどんな人物だっただろう。どんな性格で、普段はどんなことをしていて、何が好きで、何が嫌いで。 何が理由で“彼女”は消えたのだっけ。いつしか“彼女”の姿は見えなくなり、そして当たり前のように“わたし”は巫女としての任を果たしてきた。 “わたし”も“彼女”も、根っこは同じだった筈なのに。“彼女”が居なくなったことに“わたし”はもっと戸惑うべきなのに。 “彼女”は周りの人間が思うよりもずっと『普通』の少女であり、 “わたし”は自分で思ってる以上にきっと『特別』な存在であり。 そんな“彼女”も“わたし”も、全部ひっくるめて……それは『博麗霊夢』であるのだと思う。 単純なことだ。そんな単純な事実が、私には見えていなかった。私だけでなく、周りの人間や妖怪も理解しようとしなかったのだ。ちっとも。 『博麗』としての私ではない、『霊夢』としての私を認識しようとしてくれたのは───きっと承太郎。彼が初めてかもしれない。 魔理沙や紫、霖之助さんもきっと……常に見ているのは『博麗』としての私なんじゃないかと思う。それが当たり前。 でもこの男は多分、見て呉れよりもずっと仲間想いだ。そしてだからこそこの人は私を仲間として信頼し、彼なりに博麗霊夢を理解しようとしているの。 そんな失礼千万な男が私に投げかけた言葉。一笑し、切り捨てればいいだけの、大した意味もない問いかけを私はずっと考えている。 結局のところ、博麗霊夢という人間は今まで無意識にも無理を続けてきたのかもしれない。 どうして異変解決なんかやっているのか。考えるに値しないその問いを、やはり私は考えるまでもないと今更ながらに思う。 (…………やっぱり私って、幻想郷のことが───■■なのよねえ……) その気持ちにだけは嘘はない。 使命とか責務とか関係なく、私は純粋に、ただただ幻想郷を守りたい。 そうでなければ……あの時、哀しみの涙なんて流すわけがない。『普通』の女の子みたいに大泣きするわけがない。 それを改めて気付かせてくれた転機は、やっぱり……承太郎に敗北したあの瞬間、ということになってしまうのだろう。 なんか、私って結局……実は自分で思ってる以上に普通の女の子、なのかな。 こんがらがっていた頭の中の紐が、綺麗な一本へと解けた気がした。 物事は物凄く単純で、霊夢自身が勝手に目を背けていただけなのだ。 気付く必要がないから彼女は粛粛と、淡々と任務をこなしてきただけであり。 指摘する人間が居ないから彼女はひたすらに、自由に空を飛んできたというだけの話。 だからといって彼女のこれからに大きく影響を与えるというわけでもない。 これからも今までどおり異変解決をするというのは何ら変わることのない事項だし、博麗の巫女を辞める予定も今の所ない。 何のことはないのだ。心のどこかで淀んでいた気持ちがスッキリしただけであり、『博麗』の価値も『霊夢』の価値も、無くなったりはしない。ちょっとばかしその比重が偏っただけだ。 そして『生命』の価値を軽々しく見下す主催者への天罰を行う気概が増した。この度の“夢”は、その一点においても非常に価値があった。 「私は『博麗霊夢』。幻想郷を愛する者。彼の地の為に、私はこれからも異変を解決し続ける。『博麗』として。そして『霊夢』としても」 喉の奥で引っかかったまま出てこなかった台詞が、満を持して言葉の形で承太郎に伝わった。 しっかりと霊夢自身の言葉で届いたことが効いたのか。耳に入れた承太郎の口の端がほんの少し、上がった。 虫たちの音色に囲まれた博麗神社の頭上で、大きな大きな流星が軌道を描いて、どこかへと消えた。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 『霧雨魔理沙』 【真昼】E-4 命蓮寺 本堂 「霊夢……霊夢、かあ。確かにアイツは『特別』な存在だと思うぜ。幻想郷の中でも、かなり」 「ハクレーのミコ、ってやつ? 日本のしきたりは難しいわねえ」 つらつらと時間を怠惰に重ねるような、心の焦りを強引に埋めたいが為に始めたような会話だった。 魔理沙も徐倫も、互いの大切とする人間の一から十についてが如何なモノかを徒然と説く。 「でも正直言うとな、私もたまに霊夢が分からなくなる時があるんだ。理解しきれてないっつーのかね。 私が見ているのは霊夢の普段の一面だけで、もっと別の面とかがアイツにはあるんじゃねーのかなって。アイツ基本、異変解決してるか茶ァ呑んでるか箒掃いてるかだし」 「あたしもぶっちゃけ、親父のこと全然知らねーで育ったからなあ。記憶DISCなんつーモンで表面的に理解したってだけで、実際の親父の姿はそんなに見てきちゃいない。 信じられる? あたし、あの親父が笑ったトコなんて一度たりとも見たことないの。子供の頃、一回だけ一緒にトムとジェリー観たことあんだけどさー、爆笑するあたしの横で終始真顔。ロボットかっての」 互いを一から十まで理解はしていても、隠された残りの九十の面など知らないかもしれない。 個人個人の器によって、その人物のあらゆる個性は影に潜む。器の底が深いほどに、全容を理解することも困難なのだ。 ましてや魔理沙が大切に思う博麗霊夢という器は、底抜けに奔放で計り難い。そもそも底があるかも怪しいとすら魔理沙は思う。 徐倫の方も、長年父とはすれ違ったままの人生だ。今でこそ真に心が通じ合っているとは信じているが、あくまでそれは精神的な気持ち。 徐倫と承太郎では、圧倒的に時間の積み重ねが足りない。DISCでの知識・記憶を受け継いで、鼻高々に“分かった気”になっているだけかもしれない、という恐怖を徐倫が時折り浮かべるのは無理ないことだ。 だから魔理沙も徐倫も、互いの想い人の事をより鮮明に口にする。 知って欲しいと、そしてその過程を経て己もまた、想い人への理解を深めようと。 「霊夢はメチャクチャ笑ったりするけどなー。喜怒哀楽けっこう激しいヤツだけど、異変解決とか妖怪退治してる時のあいつはマジに容赦ない時あるからな」 「なんだ仲良さそうじゃん。羨ましいわねー」 「そうだな。私は親友だと思ってるぜ。…………私はな」 不安なのだった。理解していると信じていた相手の事を、その実何一つ知らずにいた、という事実から目を背けるように。 そんな事実は全て妄想で、自分こそが相手にとって『特別』なのだと、そう思いたい。思わせて欲しい。歳相応といえば相応な悩みだが、彼女らにとっては切実だ。 二人は──特に魔理沙は、霊夢に対して劣等感のような気持ちを隠している。 かたや天才。かたや凡夫。凡夫なりに相当の努力をして魔法使いにまでなれたものだが、当の霊夢は自分のことなど実は歯牙にもかけていないんじゃないか、と。 あまり言えないが、霊夢の『誰に対しても平等』という性格が、魔理沙には時折り煩わしく感じることもある。 博麗の巫女は幻想郷にとって特別。だが魔理沙は、『博麗の巫女』でなく『博麗霊夢』を特別視したい。目標としたい。 そして同時に彼女は、『博麗霊夢』が『霧雨魔理沙』を特別視してくれるその日を待ち続けているのかもしれない。 そうでなければ対等とはとても言えない。他人を平等に扱う霊夢の個性は、魔理沙からすればまるで平等とは違うのだから、皮肉としか言えなかった。 「……私はいつか、霊夢に認められたいんだ。どっちが強いとか、そんなんじゃあない。 アイツに真の意味で認められたい。今はまだまだ力が足りないけど、その内絶対に霊夢の『特別』になってやる」 その為にどうすればいいのか。今はまだ具体案など出てこないけど。 とにかく、今やらなければならない事はハッキリしている。 「……アンタの親友、絶対に助けて、認めさせましょ」 「おう。徐倫の親父さんもな」 ここに至るまでに、様々な苦と思いがあったろう。託し、託されもした。 渡されたバトンを握るのは自分たちだ。ゴール地点はいまだ見えないが、共に走る同志も得た。 (ごめん。……ごめんな香霖。でも霊夢は絶対に死なせないから……ゆっくり眠ってくれ) 愛想のない、見慣れすぎた店主の顔を心に浮かべながら、何とか受け入れられた死を胸に魔理沙は手を組む。 一介の普通なる魔法少女にとって、目の前にはあまりにも困難な試練の壁が幾重にもそびえ立っている。 乗り越えるに必要なのは、やはり仲間だ。今は空条徐倫がいる。霊夢も重大なダメージを負いはしたが、必ず這い上がってくる少女だ。 そして空条承太郎。徐倫の父親で、最強のスタンド使いなのだという。ならばそのポテンシャルはあの霊夢に肉薄するものであるだろう。 致命的な負傷を負ったと聞いていたが、もう大丈夫だ。治療は終わった。きっと蘇生には成功しているはず。 後は本人たちの体力次第ならば、霊夢も、そして空条承太郎も死ぬことはありえない。 なぜなら二人は『特別』なんだから。ここで退場するような輩じゃあ、ない。 「──────ッつ! 痛っ……!?」 その時であった。 突然、あまりに予兆なしの、不意を打つ出来事が魔理沙の隣から呻き声として現れた。見やれば徐倫が何やら右腕を押さえている。 まるで見えない刃に切り裂かれたかのように、彼女の押さえた腕から一滴の血が伝ってきていた。 「徐倫!? ど、どうしたんだその腕……! まさか敵襲……!」 「……いや、違う。……古傷がちょっと開いただけだ、問題ない」 「古傷……? 何だそのカッターで刻まれたような傷は? 『JOLYNE』……ジョリーン、って文字に見えるが」 何でもないと手をパタパタ振る徐倫の顔は、言葉とは裏腹に動揺を孕んでいた。 その細い腕の肌には確かに魔理沙の言うように、刃物で刻まれたような『JOLYNE』の文字が、流血を伴って赤く滲んできていた。 それは彼女にとって、父親との理解の証。心で通じ合ったことの何よりの証明。 「──────父さん?」 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 『博麗霊夢』 【深夜】 博麗神社 縁側 「ナズーリン」 「伊吹萃香」 「十六夜咲夜」 「紅美鈴」 「星熊勇儀」 「魂魄妖夢」 「二ッ岩マミゾウ」 「アリス・マーガトロイド」 「幽谷響子」 「宮古芳香」 「チルノ」 「霊烏路空」 「豊聡耳神子」 「河城にとり」 「多々良小傘」 「橙」 「八雲藍」 「古明地こいし」 放送にて流れた一人一人の名前を、じっと、想いを馳せるように呟いていく霊夢の表情は愁色で然るべきだ。遠い星の下へと行ってしまったかつての顔見知りなのだから。 けれども彼女たちの名を告げていく霊夢はどこか、慈顔するように儚く優しげだった。 正直なところ、それほど親しげでない者も多い。名前すら正確に覚えていたかも怪しい面々だ。 でも今は、“あの頃”を象徴する幻想の民達が何よりも愛おしい。心から、そう思う。 失って初めて気付くこの気持ちに、後悔は多い。これもまた、彼女が博麗であるが故なのか、それとも。 「そして…………」 人妖問わぬ18もの同胞の名を挙げた霊夢はそこでグッと言葉を切り、次に明らかに躊躇った素振りを見せた。 次に挙げる名が彼女にとって、誰に対しても平等に接する性格の霊夢にとって、決して距離の遠くない間柄である事を想像するのは容易だ。 「……霖之助さん。森近霖之助さん。何かしらねー……私にとってあの人は、近所に住む気の良いお兄さんって感じ。 ま、別に近所じゃないし、私の方からしょっちゅうお邪魔させてもらってる便利な古道具屋の店主よ」 そこまでを耳に入れ、承太郎はその名前がいつだったか、霊夢との会話で一度だけ出た名前だということを思い出す。 そしてそれが今までに挙げられた名とは場違いの、ある要素を含んでいることに少しだけ興味を持った。 「やっと男の名か。幻想郷っつーのはそんなに女ばっかのトコなのか?」 「別にそうでもないけどね。霖之助さんは半妖で、妖怪の血が半分混ざってるの。 だから私が生まれてない頃からずっとお兄さん姿のままだったし、私が小さい頃から色々面倒も見てもらったわね。 物集めにしか興味の無い薄幸人だったけど何だかんだで話し相手になってくれてたし、この服だって霖之助さんの仕立てなのよ?」 紅白の巫女服の袖をピンと張らし、仕立て人の趣味だと言わんばかりにオープンな脇部分を微妙な視線で眺める。 そんな霊夢を見て承太郎は、その霖之助という男はこれまで彼女が話してきた者たちよりも、ずっと近しい相手なのだと想像する。 霊夢が「さん付け」するような相手は、実際のところ他に居ない。他者と必要以上に深い関係をとらない霊夢にとって霖之助は、それでも他の誰とも違う感傷を抱いていた。 その男も、死んだ。 霊夢の知らない所で、消えていった。 彼もまた、救うことが出来なかった。 「カァー」 夜だというのにカラスが鳴いていた。神社の鳥居の上で、不気味な黒色を忍ばせながらこちらを見下ろしている。 その一声で霊夢は想い出の邂逅から引き戻された。誰かを想う瞑想の余地など、彼女には許されないとでも言わんばかりだった。 博麗霊夢は涙を見せない。それは博麗の巫女であるからだとか、霊夢本来の性格上だからとか、そういった表面的な理由ではない。 もはや語る必要もない。彼女は既に、吐き出してしまった。滝のように流した涙も、今しがた言葉として吐いた想い出も。大いに、力一杯に。 霊夢の語りは途切れた。じっくりと何かを思案するように、口をつぐんで目を伏せる彼女の姿は弱々しげであった。 承太郎も口を挟んだりはしない。寡黙であるが故と、傷心の少女を気遣う心構えくらいは得ているつもりだ。 (私は……どうするべきなんだろう。博麗として、そして霊夢としても振る舞う為に。どこかでキッカケが必要、なのかもしれない) 私にとって、コイツは───承太郎とは、何なのか。 コイツに敗けた“意味”ってヤツが、もしもあるとしたなら。 私は……近い内にその“意味”を考えなきゃ駄目なんでしょうね。きっと……。 「ずっとアンタに訊きたかった事があるのよね」 「なんだ」 ぶっきらぼうながらも、一応は耳を傾けてくれている。どーせなら目も傾けて欲しいものだけど。 「F・Fと戦ったとき……覚えてる? あの時、アンタさあ……倒れた私を庇ってくれたじゃない?」 「覚えてるが……どっちかってーと、そりゃお前の方が覚えてンのか?」 「覚えてるわけないじゃない、気絶してたんだもん」 ぶわっと、承太郎の後ろ髪が揺れた気がする。ちょっとイラついたのが何となく分かってきた。 「まあまあ。で、さあ……アレ、何で」 「……何がだ」 焦れったい物言いだと自分でも思う。 縁側の外をぶらつかせていた両足を板敷きの上に乗せ直し、曲げた膝の上に顎を乗せる。三角座りの姿勢で、私は遠くの星を眺めた。 「何で私を庇ったの?」 馬鹿げた質問を。 自分でも分かってる。訊くまでもないことよね。 「何でって……」 「いや、意識が無かったから私もそんな言えないんだけど……少なくともアンタが私を庇ったり助けたりしなければ、もっとスマートにあいつを倒せたんじゃないかなって、さ」 何を言ってるのかしらね、私ってば。そりゃ傷付いた私を無視してれば、F・Fひとりにあんだけ大苦戦することもなかったでしょうよ。 でも承太郎の性格を考えれば、それってありえないことなんだと思う。心底そう思う。 「たりめーだろ。女を……仲間を見捨てて激情に走るような真似なんかするか」 「…………そう、よね。アンタってそういう奴よね」 仲間、かあ。 承太郎の口からさも当然のように吐き出されたその言葉。こう言ってしまうとコイツは怒るかもしれないけど…… 「嬉しいんだけどさ……私、別にアンタの事を『仲間』だと思っちゃいないのよね。 何ていうか、異変解決を手伝ってくれる同志……精々手を借りているって程度の認識よ」 これは本心。承太郎は信頼しているし頼りになる奴なんだけど、仲間……と言われても私の中ではピンと来ない。 そもそも私自身の性格というか性というか、今まで生きてきて誰かに対し仲間なんて感情は持ったことがない、と思ってる。 薄情かも。魔理沙に対してですら、そう思ったことはないし。『腐れ縁』と『仲間』は全然違う。 「そんなくだらねーことを言いたくて、オメーは俺に話を振ったのか?」 若干、怒ってるのかなーと思ったけど、元々コイツはこーいう喋り方をする奴よね。ちっとも動じてない。 うぅーん……駄目だ。同年代の男の子(ってのが信じらんないけど)と会話したことが殆どないから、何か調子狂っちゃう。 でも、私が言いたいことはそんなんじゃなくって、こう…… 「じゃなくってね……ちょっと確認、っていうか。ここら辺で確かめ合いたかったことがあんのよね」 「確認?」 「承太郎は私を『仲間』として助けた。それには感謝してるわ、ありがと。 でもさっきも言ったように、私はアンタを『仲間』とは思ってない。なーんかくすぐったいっていうか、ちょっと違うかなって感じ」 「ほう。続けな」 「私からすればアンタって、仲間ってよりは『好敵手』(ライバル)? これはこれでくすぐったいんだけど、私を負かした相手だし。 アンタが私を仲間だと感じてくれても、それって結局一方通行の関係になっちゃうじゃない? 私はそう思ってないんだから」 「……その言葉、好敵手って言葉でも同じ内容で返せるぜ」 「でしょうね。悔しいことに、アンタは私のことを露ほどだって好敵手だなんて思っちゃいない。これまた私からアンタへの一方通行」 「メンドクセェだけだしな。ンな傍迷惑な思い込みは」 直球ねえ。コイツも、私も。 私も別に物事にはこだわる性格じゃないんだけどなあ。そこまでしてコイツをライバル認定──つまり『特別扱い』すること自体、博麗霊夢らしくない。 でも悔しいモンは悔しいのよ。あの時コイツにブッ飛ばされた時、本当に、涙を流したいくらい悔しかった。滅茶苦茶ムカついた。 じゃあ今。私とコイツ───博麗霊夢と空条承太郎を互いに繋ぎ止めている“モノ”は何だろうって考えたら……それは『仲間』とか『相棒』とか『好敵手』なんかじゃあなく。 「───『約束』、なのよ。きっとね」 これしかないじゃない? 私とコイツの……まあ、絆みたいなモンは。 「…………しちまったモンは取り消せねーと承知はしてるが、ハッキリ言って俺は迷惑なんだがな」 「でもしちまったんでしょ? 男の責任ってモンがあるじゃない?」 微笑を携えながら私は承太郎に詰め寄った。 それを非常に、まこと隠そうともせずに鬱陶しそうな表情で承太郎は、帽子を深く被りなおして私の視線を無視した。 「忘れてないわよねぇ~~~? あの時の『約束』、覚えてるわよねぇ~~~?」 「……やれやれだ。別に忘れちゃいねーよ、メンドクセーが」 このバトルロワイヤルを止め、太田と荒木をブッ飛ばしたその後に。 私は承太郎へともう一度、再戦の契りを交わしている。随分強引な取り決めだったような気がするけど。 「覚えてるならそれで結構よ。約束ってのは互いの了承があって初めて交わされる人と人の誓い。 たとえ強引だろうが何だろうが、アンタは私と『約束』をしたの。一方通行じゃない、真に通じ合う唯一のカタチとして」 「俺は無視してやりたい気持ちで一杯だったがな。……訊きたかったってのは、そんなことか?」 「そんなこと。くだらないでしょ? でも約束だから、観念しなさい」 思い合う気持ちとか、そういうのはやっぱり私には似合わないしね。 でもこれだって立派な『絆』。承太郎ならきっと、この約束を反故になんかしないと信じてる。 ただそれだけのことを一直線に信じていられるってだけで、私の心には高揚感や幸福感がムクムクと湧き出てくるようだった。 俄然、これからの方針に力も入ろうというもの。DIOもディエゴも太田も荒木も、承太郎への再戦の為だと思えばちっとも恐ろしくない。 承太郎との約束さえ叶うのなら、今の私はどんな絶望にだって立ち向かっていける自信がある。 だからきっと……この『夢』だってもうすぐ醒める。こんな薄汚い、ゆめまぼろしの神社からはオサラバして、とっとと“蘇生”しましょう。 「ねえ承太郎。私、自分なりにちょっと考えたことがあんのよね」 「まだあんのか、ウットーしいな」 「もう少しだけご静聴願うわ。さっき、皆の“名前”読み上げながら感じたんだけどさ。私、基本他人を呼ぶ時って普通に名前で呼ぶのよ。霖之助さんだけはさん付けだけど」 「そーかい」 「で、ね? アンタは私のこと……『普通』の人間だって言ってくれたワケよ。だったらもうちょっと、普通の女の子っぽいことやってみようかなって思ったのね」 「くどいな、話が見えんが」 「まあー、その……慣れないことなんだけどさ……………………ちょいと『アダ名』って奴で、呼んでみようかと思って」 「………………誰をだ」 「アンタ」 鼻先に突きつけられた人差し指を、承太郎は心底嫌そうに、面倒臭そうに、害虫でも見るかのように睨みつけた。 心外ね。これでも私は大真面目に言ってるつもりだけど。……何かおかしなこと言ってる? 言ってるかもしれない。いや言ってるわコレ。 「うっさいわね!! 別にイイでしょ、こんくらい!」 「何も言ってねーが」 「とにかく! アンタは私を普通扱いしたセキニンをとるのが筋ってモンよ!」 「関係ねーだろ、それとこれとは……」 「ジョジョ!」 「………………あ?」 「ふふん。空条承太郎……“条”と“承”をくっ付けて『ジョジョ』よ! 中々洒落の利いたネーミングだと思わない?」 「……………………や──」 「“やれやれだぜ”禁止!」 「………………………」 黙り込んでしまった彼の姿を見て、降参の意と受け取った。 ジョジョ……ん~~、悪くないと思うんだけどなあ。ジョジョ。JOJO。ん~~~~~…………。変かも。まあいっか。すぐ慣れるでしょ。 「ね、ジョジョ。イイこと教えてあげるわ」 「…………今度はなんだ」 半分諦めるような様子で承太郎改めジョジョは、再び縁側の上に寝っ転がって適当な返事を返した。 「神様ってね、一度交わした“約束”、破れないのよ。どうしてだと思う?」 「知らん」 「一度誓った契約は決して破棄できないから。神の類は総じて、しかるべき契約には背けない。それは約束も同じこと。 でも人間って奴は契約に縛られない。約束なんて、そもそも守る必要なんてないのよ。アンタも人間なんだし、約束ぐらい破ったことあるでしょ?」 「おめーに交わされたのは、約束っつーよりは強要に近かったがな」 「どっちでもいいわよこの際。私が言いたいことはそういうことじゃないわ。 アンタは人間。約束なんて、破ろうと思えば破っちゃえる。じゃあ逆に、どうして人間はわざわざ約束を守ろうとするか分かる?」 「……さあな」 「“守りたい”からよ。人間はね、約束を守りたいから守るの。考えてみれば義理堅い種族だと思うわ」 「オメーとの約束、俺は破って構わないっつー事を言いてえのか」 「さて、ね。でもジョジョ。貴方は私との『約束』……守りたい? 守りたくない? 断る権利なら誰にだってあるわ。人間である限り」 「…………巫女、ね。詐欺師に転職した方が向いてんじゃねーか、テメー」 「宗教に大別される役職なんて、だいたいが詐欺師みたいなモンよ」 随分と回りくどい言い回しを述べて私は、ジョジョの眼前へと右の拳を突き出した。 後は向こうも拳を突き合わせれば、この『約束』……それが完了することになる。まあ二回目になるけど、私は改めてジョジョの意思を確認したかった。 「……それならさっきもやっただろ。二度目はしねー」 「あ! やりなさいよちょっとー! 今そういう流れだったでしょ!」 「メンドクセー。口約束で充分だろ」 照れ隠しって奴なのか。どーもこの辺に男女の溝を感じるわね。 私は突き出した拳を渋々引いてアヒル口を作った。確かに、同じ約束なんて何度もやってれば軽々しくなっちゃうものだけど。 「どーでもいいが霊夢。オメー、さっきから随分と女々しいな。らしく……」 「“らしくねー”って言いたいんでしょ? 私もそう思う。でもいいのよ。 だって夢の中なんだもん。少しくらい本音も吐かせて欲しいものだわ。そういうジョジョだって、ここに来て結構喋ってるじゃない」 「お前が話振ったから応じてるだけだろーが」 「はいはい……ふふ。私、アンタに思いっきりブン殴られてから、頭のどこかが壊れたまんまなのかも。自分でもちょっとおかしいなって思うわ」 「知るか。病院にでもあたりな」 「ふふふ」 こんなにも静かな博麗の夜。こんなにも耀かしい星天の下で。 私はなんだか悪くない気分になっちゃって。不思議なものね、すっごく“生きてる!”って感じがするの。 立ち上がって、いつものように私は空を飛んだ。 風を愛でるように。水を流れるように。体中の神経を解放して、ふわりと空を飛んだ。 今だけは、咲夜を死なせてしまったことも忘れられそう。 でも、それは絶対に許されないこと。私はいつまで、空を飛べるのだろう。 幻想郷の空は広い。少なくとも、私にとってはここが世界の中心で、全て。 あの星々を守りたい。この月明かりを奪われたくない。 だから私は空を飛ぶ。何者にも縛られない、無重力のドレスを纏って天を伝う。 そろそろ、この『霊夢』も醒めるでしょう。ほんのひと時の、最後の安堵なのかもしれない。 夢は無意識からのメッセージ。この場所で交わした触れ合いは、きっと私にとって大事なモノになると思う。 ここから目を醒ます時が、反旗の時。 勝って約束を叶える為に、永かった休息はここまでにしよう。 「ジョジョ。行くわよ」 何となく、鳥居の下を潜りながら。振り返ることなく私は、そこから上を見上げた。 遠い遠いあの星空を目指して翔んだ。 その時だ。 「──────霊夢。…………いや」 後方から聞こえてきたジョジョの言葉は、彼にしてはいやに歯切れが悪く。 私はちょっとだけ変に思って、やっと振り返った。 何か、違和感があった。黒い学生服を纏うアイツの影が、一層と黒ずんで見えたような。 「カァー」 カラスがまた鳴いている。得もいわれぬ感覚が、冷たい温度を纏って背中をそっと舐めた。 ジョジョは私を一瞬見上げただけで……その表情をすぐに帽子の陰へと隠した。 朧気。その時の私は、ジョジョには最も似合わないそんな印象を抱いてしまった。ほんのちょっと不安になって私は尋ねる。 「……どうしたの? 昼寝の時間は終わりよ」 「いや…………俺は、空なんか飛べねえんでな。悪いが……先に行ってちゃくれねえか」 言われてみればそうだった。確かに『普通』の人間やスタンド使いは空なんか飛べるわけがない。 その時の私は、彼の言葉を深く考えなかった。 ジョジョの隠れた表情の中に、どうしようもない『諦め』が張り付いていたことに……気付けなかった。 「そう? それもそうね。じゃあ、一足先に目醒めるとしますか」 「ああ………………悪いな、霊夢」 こうして私───博麗霊夢は、永くて短かった不思議な『霊夢』を終えた。 綻び一つ見当たらない博麗の社、その全景を見下ろしながら息を漏らす。 そういえば紫がいつか、言ってたっけ。神社を訪れる夢には強い暗示性があるとか。……細かい種類とかは忘れちゃったけど。 この霊夢は、果たして私の何を予見してくれたのやら。起きたら何も覚えてませんでした、なんてオチはごめんだけど。 頭上に光る満点の星空。 あの星屑十字軍の中で、一際大きい一等星の輝きが無くなっていたことに。 とうとう私は最後まで気付かなかった。 ★ 生命を産む、類なる力。 黄金の風を纏うあの少年は、充分に奇跡を起こした。 巨悪から少女を守り抜き、絶望的な傷を癒し、奪われた血液も創り。 邂逅せし『新たなる正義の心』に、全てを託して。 確かなる“一個”の奇跡を、起こし得たのだ。 “希望”の糸は、確かにここへ紡がれたのだ。 齎された奇跡はしかし、ひとつであった。 奇跡は、既に起きたのだ。 幻想郷の崩壊を憂う者たち。その想いは奇跡を起こした。 博麗霊夢の覚醒は、この殺し合いを打破する確かなる希望。 それは既に、霊夢の意識と共に眦(まなじり)を決した。 僅かだが、同時に過小していた脅威。 DIO。その男の恐怖。悪意。執念。それらは決して秤に載せられる類ではない。 百年にも及ぶ因縁にケリを着けたいと焦がしていたのは、何も正義の血族だけではないのだから。 げに恐ろしきは、やはりその男の悪意。その巨大さであった─── かくして霊夢は、粗末な出来合いで整えられた病床から数時間ぶりに身体を起こした。 先程まで漂っていた真っ白な夢狭間とは違う、リアルの空間。 千切れ飛んでいく己が魂の手綱を再び掴み取り、神が現世へと受肉するような……間違いなく、瀬戸際からの帰還。 それで。 それだけで。 もう、充分に……奇跡であった。 奇跡は既に───起きたのだ。 そして神は、“それ以上”の霊験を…………決して起こさなかった。 「───きて! ───きてよ! ───うさん! 起きな───よッ!」 起こらない。 思わせぶりな神秘は、起きない。 「起きてッ! 目を覚ましてよッ! ───さん!! お願いだから…………起きろっつってんだよオラァ!!」 起きなかったのだ。 「お、おい徐倫……! ちょっとやり過ぎじゃ……」 「うるさい!! アンタに、アンタなんかに……あたしの何が分かるんだッ! クソ! クッソォ!!」 覚醒したばかりで、朦朧とする意識の最中。 虚ろな瞳で霊夢は、聞いたことのない怒鳴り声の少女と、よく聞いた友人の声を耳に入れていた。 (魔理、沙…………?) 魔理沙。それは霊夢と最も近い距離に立つであろう友人の名。 その友人が、自分ではない別の少女に語りかけている。 怒鳴っている少女は、なにか床に向けて必死に腕を動かしていたように見えたが、霊夢の位置からでは何をしているかが分からない。 ただ、とてつもなく嫌な予感が霊夢の胸中を過ぎった。 それほどにその少女の様相が、あまりに必死な動揺を孕んでいたからだ。 「んなこと言ったって、お前のその腕も少し傷付いてきてんじゃねーか! もう……やめろよッ!」 「うるさい! うるさいうるさいうるさい!! くそ……何で、さっきまで安定してたじゃないのよ……っ! 何で急に……!」 背中越しに霊夢が見た光景は、徐倫と呼ばれた少女が『ダレカ』に向けて『ナニカ』を施しているものだった。 フラフラと危うい視界の中、霊夢は何となく感じ取る。 少女は非常に乱暴で力強い手際ではあったが、床で仰向けになる『ダレカ』……へと拳を叩きつけるような。 そう……心臓マッサージ、のように見えた。 少女は、床に倒れる『ダレカ』に向けて懸命過ぎるほどの心臓マッサージを行っていた。 魔理沙は、救命措置というにはあまりに過剰なそれを咎めるように、彼女の肩を揺らしているのだ。 (誰……? さっきのは、夢……? 私、いや、私たち、どうなったの?) 状況の把握が困難だ。 もとより生死の狭間を彷徨った弊害。思考する頭脳に、酸素が足りない。血も、栄養も。 しかし、その困憊こそが何よりの生の証。 ディエゴに敗北し、DIOに血を吸われ、殺されかけ、あの世らしき場所で一人の男と語りを終え。 蘇生した。 帰ってくることが出来た。 常人であれば誰もが口を揃え、大仰に呟くだろう。 奇跡が起きた、と。 「死なないで父さん……! お願い……帰って、きてよぉ…………っ」 悲痛な呻きと同時、一瞬だけ場が静寂に包まれた。 瞬間……かの絶望から“一人”生還した霊夢は、見た。 見てしまった。 「…………………………ジョ、ジョ?」 思わず漏れたその名は、夢の中で交わした契りの証明。 霊夢の中で、一線を踏み越えようと彼女なりに変化を受け入れた、いかにも俗的な子供ごっこ。 まずは『アダ名』からだという、まるでただの少女のように戯れた、第一歩。 きっと大事なのだ。 たかがアダ名であったが、霊夢からすれば珍しく他人に踏み寄ろうと閃いたやり取り。 だから大事なのだ。 その名が、霊夢の中で芽生え始めた新たな『光』になるのだと、小さくも健気な自覚であったのだから。 ジョジョ。 空条承太郎。 呼ばれた男からの返事は──────永遠に返ってこない。 「え……」 霊夢は現実に帰還する。 動揺が彼女の小さな唇から転げ落ちるように漏れ、酸素の足りていない脳が再び活動を停止させた。 蒼白に塗り固められる表情。 白い意識に支配されゆく中、ようやく彼女は理解する。 狭き幻想郷の枢軸、博麗。 最たる特別な才器、博麗。 重責を背負う運命、博麗。 あの“夢”から、あの“霊夢”から帰ってこれた理由。 それは自分が特別なる“博麗”であるから。 神の僕。奇跡をその内に宿す者であるから。 幻想の都を背負う定めの人間、であるから。 だから霊夢の頭上には、当然のように、当たり前のように“チャンス”は舞い降りた。 再び大空を翔ぶ、そのチャンスを与えられた。 ようやく彼女は理解する。 共に肩を並べた少年。今となってはその大きな双肩も、後ろへと、後ろへと。 少年だ。彼はまだ、自分と大して変わらない齢の少年。 奇なる血筋と運命を与えられたという点では、自分とよく似た少年。 ───『だから……俺は別に『特別』なんかじゃねー』 少年───空条承太郎。その男がぼやいたかつての台詞が、脳に木霊する。 彼には、霊夢のような都合の良い“チャンス”など、決して与えられなかったことを、 ようやく彼女は理解したのだ。 霧雨魔理沙が霊夢の覚醒に気付き、泡飛ばす勢いで何かを語り掛けてきている。 隣の少女は、「父さん」と呼ばれた承太郎の身体へと必死にマッサージを続けている。 その何もかもの光景が。 今の博麗霊夢にとっては、まるで。 白麗のように綺麗で、靈夢のように神秘的な幻想のようだと。 現実感の無い、星屑(スターダスト)のような儚さを纏った夜空のようだと……。 「 ジョジョ 」 最後に約束を交わした男の存在を───彼女は呟いた。 降り積もった時は、雪解け水のように煌きを反射させ、静かに……粛粛と流れ出す。 時間は決してその場に留まることなく、ゆっくりとだが……清流が如く深深と。 こうして……霊夢にとっての目標/越えるべき星───『空条承太郎』の存在は。 抗えぬ“死別”という災によって、永劫到達の出来ぬ幻想へと掻き消えた。 かつて交えた『約束』と、共に。 【博麗霊夢@東方project】蘇生成功───生還 【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険 第3部】蘇生失敗───死亡 【残り 54/90】 【E-4 命蓮寺/真昼】 【博麗霊夢@東方 その他】 [状態]:体力消費(極大)、霊力消費(極大)、胴体裂傷(傷痕のみ) [装備]:いつもの巫女装束(裂け目あり)、モップの柄、妖器「お祓い棒」@東方輝針城 [道具]:基本支給品、自作のお札(現地調達)×たくさん(半分消費)、アヌビス神の鞘、缶ビール×8、 不明支給品(現実に存在する物品、確認済み)、廃洋館及びジョースター邸で役立ちそうなものを回収している可能性があります。 [思考・状況] 基本行動方針:この異変を、殺し合いゲームの破壊によって解決する。 1:ジョジョ……? 2:戦力を集めて『アヌビス神』を破壊する。殺し合いに乗った者も容赦しない。 3:フー・ファイターズを創造主から解放させてやりたい。 4:全てが終わった後、承太郎と正々堂々戦って決着をつける。が…… 5:紫を救い出さないと…! 6:『聖なる遺体』を回収し、大統領に届ける。今のところ、大統領は一応信用する。 7:出来ればレミリアに会いたい。 8:暇があったらお札作った方がいいかしら…? 9:大統領のハンカチを回収し、大統領に届ける。 ※参戦時期は東方神霊廟以降です。 ※太田順也が幻想郷の創造者であることに気付いています。 ※空条承太郎の仲間についての情報を得ました。また、第2部以前の人物の情報も得ましたが、どの程度の情報を得たかは不明です。 ※白いネグリジェとまな板は、廃洋館の一室に放置しました。 ※フー・ファイターズから『スタンドDISC』、『ホワイトスネイク』、6部キャラクターの情報を得ました。 ※ファニー・ヴァレンタインから、ジョニィ、ジャイロ、リンゴォ、ディエゴの情報を得ました。 【空条徐倫@ジョジョ第6部 ストーンオーシャン】 [状態]:体力消耗(中)、全身火傷(軽量)、右腕に『JOLYNE』の切り傷、脇腹を少し欠損(縫合済み) [装備]:ダブルデリンジャー(0/2)@現実 [道具]:基本支給品(水を少量消費)、軽トラック(燃料70%、荷台の幌はボロボロ) [思考・状況] 基本行動方針:プッチ神父とDIOを倒し、主催者も打倒する。 1:父、さん………… 2:魔理沙と同行、信頼が生まれた。彼女を放っておけない。 3:FFと会いたい。だが、敵であった時や記憶を取り戻した後だったら……。 4:姫海棠はたて、霍青娥、ワムウ、ディアボロを警戒。 5:しかし、どうしてスタンドDISCが支給品になっているんだ…? [備考] ※参戦時期はプッチ神父を追ってケープ・カナベラルに向かう車中で居眠りしている時です。 ※霧雨魔理沙と情報を交換し、彼女の知り合いや幻想郷について知りました。どこまで情報を得たかは後の書き手さんにお任せします。 ※ウェス・ブルーマリンを完全に敵と認識しましたが、生命を奪おうとまでは思ってません。 ※人間の里の電子掲示板ではたての新聞記事第四誌までを読みました。 【霧雨魔理沙@東方 その他】 [状態]:体力消耗(小)、精神消耗(小)、霊力消費(小)、全身に裂傷と軽度の火傷 [装備]:スタンドDISC「ハーヴェスト」@ジョジョ第4部、ダイナマイト(6/12)、一夜のクシナダ(60cc/180cc)、竹ボウキ、ゾンビ馬(残り10%) [道具]:基本支給品×8(水を少量消費、2つだけ別の紙に入っています)、双眼鏡、500S Wマグナム弾(9発)、催涙スプレー、音響爆弾(残1/3)、 スタンドDISC『キャッチ・ザ・レインボー』@ジョジョ第7部、不明支給品@現代×1(洩矢諏訪子に支給されたもの)、ミニ八卦炉 (付喪神化、エネルギー切れ) [思考・状況] 基本行動方針:異変解決。会場から脱出し主催者をぶっ倒す。 1:うそ、だろ……? 2:徐倫と信頼が生まれた。『ホウキ』のことは許しているわけではないが、それ以上に思い詰めている。 4:何故か解らないけど、太田順也に奇妙な懐かしさを感じる。 5:姫海棠はたて、霍青娥、エンリコ・プッチ、DIO、ワムウ、ウェス、ディアボロを警戒。 [備考] ※参戦時期は神霊廟以降です。 ※徐倫と情報交換をし、彼女の知り合いやスタンドの概念について知りました。どこまで情報を得たかは後の書き手さんにお任せします。 ※C-4 アリスの家の「竹ボウキ@現実」を回収しました。愛用の箒ほどではありませんがタンデム程度なら可能。やっぱり魔理沙の箒ではないことに気付いていません。 ※人間の里の電子掲示板ではたての新聞記事第四誌までを読みました。 ※二人は参加者と主催者の能力に関して、仮説を立てました。 内容は •荒木と太田は世界を自在に行き来し、時間を自由に操作できる何らかの力を持っているのではないか •参加者たちは全く別の世界、時間軸から拉致されているのではないか •自分の知っている人物が自分の知る人物ではないかもしれない •自分を知っているはずの人物が自分を知らないかもしれない •過去に敵対していて後に和解した人物が居たとして、その人物が和解した後じゃないかもしれない です。 167:天よりの糸 投下順 169:Hail 2 U! 167:天よりの糸 時系列順 169:Hail 2 U! 155:この子に流れる血の色も 博麗霊夢 172:After Rain Comes Stardust 155:この子に流れる血の色も 空条承太郎 死亡 155:この子に流れる血の色も 霧雨魔理沙 172:After Rain Comes Stardust 155:この子に流れる血の色も 空条徐倫 172:After Rain Comes Stardust
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J-390 OH MY GOD! J-390 U イベント スターダストクルセイダース ターン1枚制限。自分ヒーローカードが《空条承太郎/花京院典明/J・P・ポルナレフ》の時、手札上限枚数まで山札から引いて手札にする。効果発揮後、このカードはゲームから除外される。 ○ 出典:JC21巻 150 イベントで行える便利なドロー加速。 上限までドローできるので、手札が少ない時に使用した方が効果が大きい。 そのため、序盤から手札を消費するヒーロー花京院と最も相性がいい。 ヒーロー承太郎を出すという条件があるが、J-428 ジョースター家の血統との相性もいい。
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ジョナサン・ジョースター 【キャラクター】 「ジョジョ」第1部の主人公。 口癖は「何をするだァーーーっ!!」。 ごめん、ウソ。 波紋法と呼ばれる能力を駆使して宿敵ディオと戦う、初代ジョジョ。 歴代ジョジョの中で最も真面目で、最も少年漫画らしい性格。 少なくとも技を放つ時に「ふるえるぞハート!!」などと叫ぶことはジョナサンにしかできないと思われる。承太郎やジョルノのキャラでこんな事を言っていたら、正直な話ドン引きである。 ただしジョセフ(若)は、波紋の技を繰り出す時に同じような台詞を言っていた。 数々の戦いを経てディオに勝利し、幼馴染であるエリナと結婚するも、その新婚旅行の最中、首だけとなってもなお生きていたディオの策に遭って命を落とす。 この時ジョナサンと共にディオも消滅したかと思われていたが、ディオはジョナサンの肉体(首から下)を奪って生き残っており、第3部でジョナサンの子孫であるジョセフや承太郎と戦いを繰り広げた。 ディオは一度ジョナサンに敗れてから彼の強さを認め、ジョナサンもまたディオに対して今際の際に「奇妙な友情を感じる」と言っていたが、その後2人が1つになった肉体(ディオが一方的にジョナサンの体を奪った形ではあるが)でジョナサン自身の子孫を苦しめたとは、まったくもって数奇な運命である。 ジョナサン自身は死亡したが、その正義の心はジョセフ・承太郎らといった子孫たちに受け継がれていくこととなる。 "ふるえるぞハート!燃えつきるほどヒート!!"
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「父さんの意志は…私が受け継ぐッッ!!」 あらすじ ある朝、極普通の高校生である「空条美鈴」の元に1通の手紙が届いた。 それは数年前から疎遠になっていた父、空条承太郎からのものだった。 そして崩壊する日常、忍び寄る敵。 美鈴の奇妙な冒険が今始まった…! 解説 承太郎の娘、空条美鈴の旅と成長を描いた冒険活劇。 序盤の展開などは原作第6部「ストーンオーシャン」をモデルにしている。 雛子・スーラ等の個性的な仲間と旅をし、旅先の事件や闘いを通じて まだ未熟な彼女達がどういう答えを見出すか…をテーマにしている。 3人の旅先での出来事を描く、1話完結型の短編連作形式。 この動画の特徴としては他の動画ではあまりお目にかかれない珍しいキャラが登場し、 さらにカオスが含まれていないシリアスストーリーでもある (最近怪しくなってきているが…)。 また、王道こそこのストーリーの醍醐味でもある キャラクター紹介 メインキャラクター 空条美鈴 第1話~ 空条承太郎の娘であり、本動画の主人公。 母親の死に目にも現れなかった承太郎に冷たく接しているが、本当は好きで好きで堪らなかったりする。 ファザコン。そしてファミコン。 実は少し天然が入っているが、雛子とスーラのボケ具合が半端じゃないため大体ツッコミに回っている。 スタンド能力に目覚めてすぐに時止めを自在に使いこなしたことから、 スタンドパワーと潜在能力は承太郎やDIOをも大きく上回る。 四条雛子 第2話~ 命懸けの旅がしたいからと美鈴についてきたお嬢様。 ポジションとしては、親友兼保護者兼ボケ兼解説役といったところ。 彼女が口を開いた瞬間からその空間はカオスとなっていく…。 また、雛子が活躍する動画には漏れなくSUMOUタグが付く。 雛子は俺の嫁!(異論は認める) スーラ・クリスタル 第3話~ ネスツから逃亡中に美鈴たちと合流。 美鈴と雛子に見事に餌付けされ、懐く。 一見フレンドリーに見えても他人を中々信用せず人見知りが激しい…だが美鈴と雛子に対してはベタベタである。 まぁ2人もスーラに激甘なのでお互い様か…。 バカ萌え。 準メインキャラクター + ... 空条承太郎 第1話 38歳。 第3部から約20年後。 美鈴にあまり構ってやれなかったのは、DIOの負の遺産の解決に奔走していたためなのは原作第6部と同じ。 クールなようで熱血、そして美鈴に甘々。 DIO 第1話 第3話 第9話 諸悪の根源。 20年前承太郎に敗れた。 新たなる配下と共に天国への階段を目指す。 十六夜咲夜 第1話 第3話 第10話 美鈴の前に現れた謎の少女。 時を止めるスタンドを使う。 DIOとは何か深い因縁があるようだが? 彼女のスタンドが何故かスタンド使いにも見えにくい 斬真狼牙 第6話 第13話 第14話 狼牙軍団総長にして日本のボス。 魔を打ち滅ぼす『斬魔の拳』を持つ。 仲間と女(と髪型)のためなら命すらかける熱血漢。 ただし戦闘バカ。 シエル 第14話 外伝1 異端殲滅機関である埋葬機関の第7位。 通称弓のシエル。 以前は命を粗末にしていたが、日本に赴いてから変わったとか。 カレー命。 ソリッド・スネーク 第14話 アウターヘブン、サンジバーランド、シャドーモセス、グレーターレイスにて 世界を4度救った伝説の英雄。 単独潜入のエキスパートである。 戦闘有りキャラクター + ... アヌビス神 第1話 外伝1 承太郎を襲撃した剣士…というか剣。 かつて承太郎が?ナイル川の底に沈めた。 バイソン 第2話 鬼畜な凄腕ボクサー。 オツムはともかくパワーは圧倒的。 ロボカイ 第3話 第6話 第9話 第11話 行動原理が全て謎に包まれているネタロボット。 地味に登場率が高い。 Nao 第3話 Kシリーズの死刑執行人。 極めて高い戦闘能力を持つ。 如月影二 第4話 如月流こそ最強の流派と謡う忍者。 …綺麗過ぎる…。 如月斬鉄 第4話 突然美鈴達を襲ってきた謎の忍者。 その実力は圧倒的。 ハート 第5話 チャイナタウンに君臨するマフィアのボスにしてKING一の部下。 拳法殺し。 京堂扇奈 第6話 第13話 いつも陽気な少女。 狼牙の2号さん。 ノロコ 第6話 夜の森に突如現れた悪霊。 ホラー担当。 shar-makai 第6話 夜の森に現れた低級ダークストーカー。 ボルドヘッド 第7話 医療ミスにより狂ってしまった殺人鬼。 所謂ファウストの中身。 蒼崎青子 第7話 第10話 舞台裏 マジックガンナーと呼ばれる破壊特化魔術師。 「とりあえずぶっ壊せばいいと思ってる」 リーク・F 第8話 自分の出生と力に強いコンプレックスを持っている。 ツンデレ。 マックス(オックス) 第9話 力を求めDIOに組した熱血漢(雄)。 友情は見返りを求めない! b マーブ(まんぼう) 第9話 クールを装っているが、仲間のことは常に心配している熱い奴。 邪気眼。 ホニー(ホイホイ) 第9話 動物達の間で絶大な人気を誇るアイドル(雌)。 「ご覧の通り、あなたが挑むのは無限の影。絆の極地、恐れずしてかかって来なさい!」 クローンK 第11話 K'の遺伝子情報を元に作られたクローン。 クローン骸 第11話 紫鏡の遺伝子情報を元に作られたクローン。 エドモンド本田 第12話 相撲を広めるため、世界各国を渡り歩く大関力士。 アレッシー 第12話 弱い者苛めが大好きな老人(60歳)。スタンドセト神をもつ。 レン 第13話 夢の力を操る少女(見た目)。もう一人の自分というものに執着があるようだ。 デス13 第13話 夢を操るスタンドを持つ青年。人の心を弄ぶ嗜好をもつ。 アネル 第14話 ネスツの研究所を守る門番 レオポルド・ゲーニッツ 外伝1 聖堂教会プロテスタント派の牧師。 風を操る力をもつ。 レッドアリーマーエース 外伝1 神話にも登場する魔界有数の実力者。 レッドアリーマーの上位存在。 ロレント 外伝2 究極の国防と完璧な平和を理想とする、秘密組織マッドギアの元幹部。 現在は新生マッドギアを設立するために傭兵稼業をしながら、人員をスカウトしている。 相良宗介 外伝2 どこの国にも属さない最強の傭兵部隊、ミスリルの隊員の一人。 精神の力を物理的に顕在することができる、「ラムダドライバ」を搭載したAS(アームスレイブ)、 アーバレストのパイロット。 ジェネラル 外伝2 超軍事国家、ダンクーガ最強の戦士にして前線軍団長。 祖国に忠誠を尽くしており、祖国に利するのならあらゆる手段を用いる。 現人類最強。 エキストラ + ... 水瀬名雪 第1話 美鈴の級友。癒し担当。 竜子 第1話 美鈴の級友。バカ担当。 増田千穂 第1話 美鈴の級友。俺っ娘担当。 豊田可莉奈 第1話 けろぴょん、けろぴょん!そしてボクっ娘。 月野うさぎ 第1話 その登場には誰もが驚いた。 ジョセフ・ジョースター 第2話 第10話 まだまだ死期は遠そうだ。 雑魚団 第3話 第5話 第8話 登場率高め。 ビリーの兄貴 第5話 チャイナタウンに店を構えるコック。 オトコマエ。 風小燕 第5話 チャイナタウンの住人。兄貴信者。 越前康介 第7話 ムササビ専門の獣医。この動画の越前は常識人の越前です。 リョウ・サカザキ 第9話 極限流空手道場師範代。お覇王ございます! ウィンフィールド 第10話 第12話 四条家の執事。 キャラボイス,○安 松岡修造 第10話 元世界ランク46位のテニスプレイヤー。炎の妖精。 Dr.ドゥーム 第9話 第11話 完璧主義な天才科学者。ロボカイの生みの親。 ロード・レイヴナス 第13話 謎に満ちた男。己の願望のためにどんな手段であろうと厭わない。 七夜志貴 舞台裏 ニコMUGENの化身 七夜 藤堂晴香 舞台裏 鬼畜ドSへと変貌した、元普通女子大生(ナイフマスター) ジャン=ピエール・ポルナレフ 舞台裏 承太郎と共にDIOを倒した騎士。IN美少女剣士。 魂魄妖夢 舞台裏 ポルナレフと旅をしている不幸な少女。IN亀。 ナルバレック 外伝1 埋葬機関第一位のシエルの上司。 超ドS。 オタコン 外伝2 本名ハル・エメリッヒ博士。 スネークのパートナー。 日本のアニメーションが好き テレサ・テスタロッサ 通称「テッサ」。 宗介が所属する「ミスリル」作戦部西太平洋戦隊総司令官。 天才的な頭脳を持つ。 アンドレイ・セルゲイヴィッチ・カリーニン ミスリルの陸戦コマンド指揮官で、階級は少佐。 元ソ連特殊部隊出身で、宗介とは幼い頃からの付き合い。 アル・アジフ 外伝2 アーバレストのパーソナルAI。 AIとは思えないほど人間くさく、宗介の悩みの種となっている。 ジェレミア 外伝2 ルルーシュに忠誠を誓う優秀な軍人。 通称「オレンジ」 ゼロ 外伝2 ブリタニア現大統領の息子。 反ブリタニア組織、黒の騎士団を率いて革命を成功する。 関連大会 大闘領 -Sengoku Legend of the Gainers- コメント + ネタバレ注意 対抗トナメに合わせて作ってみました。 -- サガリテ (2009-01-15 02 28 36) 乙です! -- 名無しさん (2009-01-15 02 56 54) 乙です!今度見てこようっと -- 名無しさん (2009-01-15 08 00 21) おもしろい動画だったよ。これからの展開に期待 -- 名無しさん (2009-01-15 18 10 31) SUMOUパワーにはまいったな。 -- 名無しさん (2009-01-15 19 39 00) 乙です!キャラの登場回も紹介されていてとても見やすかったです -- 名無しさん (2009-01-16 01 39 55) SUMOuならしかたないな・・・ -- 名無しさん (2009-01-19 08 39 59) お、作成編集乙です!7話は泣けるわ。 -- 名無しさん (2009-01-26 19 13 17) 新作ktkr -- 名無しさん (2009-02-22 12 45 06) DIOまともな部下が居るのかどうかが心配になってきた -- 名無しさん (2009-02-23 01 02 22) ・・・・すごいテニスだ・・・・ -- 名無しさん (2009-03-15 13 21 27) ドラマティックの方に移動した方が良いんじゃないか……? -- 名無しさん (2009-03-31 08 44 22) あと10話で完結のつもりですが、ここから先は全部シリアス一直線の予定です -- サガリテ (2009-03-31 21 48 20) お、最新話きたのか -- 名無しさん (2009-04-04 21 31 03) かっこいいSUMO・・・・・・相撲を初めて見た。 -- 名無しさん (2009-05-05 17 39 03) まさかMUGEN版の七色見るとは思わんかったw -- 名無しさん (2009-07-11 04 23 33) 美鈴は承太郎が浮気してできた娘(隠し子)かな? -- 名無しさん (2010-07-31 23 49 36) 夏が終わってしまう・・・ -- 名無しさん (2010-09-13 13 47 27) 名前 コメント マイリスト
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悲恋! 精霊への誓い その① ギーシュの治療をモンモランシーに任せて、承太郎達は寮の廊下に出た。 「ダーリン。元通りになってよかったわ!」 「やれやれ……とんだ災難だったぜ」 「ささ、災難で悪かったわね。私だってあんたに惚れられて災難だったんだから!」 まだしこりは残るものの、みんなようやくいつもの調子が戻ってきたようだ。 「ところでダーリン。ルイズに言ってた言葉、どこまで本気だったの?」 「あんなもん『全部』無しだ。馬鹿馬鹿しい……」 「ぜ、全部……無し?」 ルイズは一瞬ショックを受けた表情をしたが、すぐに強がりの笑みを浮かべる。 「まま、まあ、いいわ。自分の実力でジョータローを使い魔だって認めさせないと、私のプライドに傷がつくものね。べべ別に残念だったとかちっとも思ってないから」 聞いてない事までベラベラ喋るルイズ。どう見ても残念がってます。 「そ、それに久し振りにラドクリアン湖に行けて、ちょっと楽しかったし。 姫様に頼まれてベッドの中で身代わりをしたのもいい思い出よ。 思えばあの時姫様はウェールズ皇太子と知り合ったのよね」 誤魔化すため余計なお喋りをペチャクチャ続けるルイズに少々うんざりする承太郎だが、キュルケは突然「あーっ!」と大声を上げて視線を集めた。 「な、何よキュルケ。いきなり叫んで」 「あー、あー、あー……思い出した。ウェールズ皇太子よ。 そういえばアルビオンの教会の中でも見た事があったのに、今まで忘れてるとは」 「ウェールズ皇太子がどうかしたの?」 「タバサの実家に行く私達とすれ違いに、ウェールズ皇太子が歩いて行ったのよ。 方向からして首都トリスタニアに向かってたみたいだけど……」 「はぁ? ウェールズ皇太子はアルビオンで戦死したじゃない。 あのアルビオンから生き延びるなんて……その……無理よ、絶対」 「あー……そうね、ごめん。私の見間違い…………じゃ、ないかも」 突然キュルケは冷や汗を垂らしてタバサを見た。うなずかれた。 それはつまりキュルケの予感が当たっているという意味で、続いて承太郎を見てみれば口元を押さえて双眸を鋭くしている。 ルイズも自分の「生き延びるなんて無理」という言葉に感じるものがあったらしい。 自分が口にした言葉を吟味し、気づかなければならない重要なものを探す。 「クロムウェルは……アンドバリの指輪を持っている」 キュルケがそう言うと同時に、承太郎とルイズが走り出した。続いてタバサも。 「えっ、ちょ、どうしたのよ!?」 「姫様が危ない!」 「何で!?」 キュルケとタバサはアンリエッタとウェールズの関係を知らないが、鬼気迫るルイズと承太郎の表情を見てただ事ではないと理解していた。 シルフィードに乗った四人が王宮に着いたのは二時間後、深夜一時すぎ頃だった。 当然魔法衛士隊に囲まれる一堂だが、ルイズはアンリエッタの許可証を見せた。 その瞬間立場が逆転する。何せルイズは女王陛下の権利を行使しているのだ。 軍人である衛士はすぐさまルイズを上官と認め、事の次第を報告した。 今から二時間程前、女王陛下が何者かにかどわかされ連れ去られてしまった。 警備を蹴散らし馬で駆け去ったその賊は、現在ヒポグリフ隊が行方を追っている。 賊はラ・ロシェール方面に向かったらしいが、先の戦で竜騎士隊がほぼ全滅しているため、ヒポグリフと馬の足で追いつけるかどうか難しいらしい。 ルイズはすぐさまシルフィードに飛び乗る。 「急いで! 姫様をさらった賊は、ラ・ロシェールからアルビオンに向かうはず! 私達は風竜で後を追います!」 シルフィードは馬にまたがった敵を追うため低く飛び、敏感な鼻先で空気の流れを読んで木々や建物を巧みに避けて後を追った。 賊の馬は十騎。馬より速いヒポグリフを駆る隊は十数騎。 故に賊さえ発見できれば追いついたも同然だった。 ヒポグリフ隊は非常時故、女王陛下に少々の怪我を負わせてもやむなしとし、土の魔法で行く手をはばんだ後、馬に狙いを定めて攻撃魔法を放った。 次々と馬が倒れ、乗っていた賊達も転げ落ちる。 歴戦のヒポグリフ隊の面々は鮮やかな追撃で、地面に落ちた賊達に致命の一撃を確実に与えていく。 そして地面に投げ出されたアンリエッタのかたわらに立つ隻腕の男ののどを、強力な風の魔法が切り裂いて倒す。これで賊は全滅、女王陛下も無事。 だが、安堵したヒポグリフ隊の一瞬の隙をついて、魔法が放たれた。 致命傷を負ったはずの、たった今倒したはずの、賊達から。 馬から落ちた拍子に目を覚ましたアンリエッタは、目の前の光景に愕然とした。 「ウェールズ様……どうして、こんな……こんな事を……」 「ラドクリアンの湖畔で君が口にした誓約の言葉、覚えているかい?」 「わ、忘れる訳がありませんわ。それを頼りに今日まで生きてきましたのに」 ウェールズは裂けた首を隠しながら、アンリエッタに優しく微笑む。 「言ってくれアンリエッタ。誓いの言葉を」 「……トリステイン王国王女アンリエッタは水の精霊の御許で誓約いたします。 ウェールズ様を、永久に愛する事を」 「君は己のその言葉だけを信じていればいい。後は僕に全部任せてくれ ウェールズの言葉が、アンリエッタをあの日の少女に戻していく。 ラドクリアンの湖畔で愛を誓約した、あの頃のアンリエッタに。 女王でも王女でもない。一人の男に恋をした少女へと。 シルフィードは無残に人の死体が転がる光景を見つけ、タバサの指示でそこに止めた。 タバサを残してルイズ達三人はシルフィードから降り、遺体の様子を調べる。 焼け焦げた死体、切り裂かれた死体、風穴の空いた死体などが散乱している。 そして何匹ものヒポグリフも、彼等が先行していたヒポグリフ隊なのだろう。 だがその中でキュルケが生きている人を発見した。腕を負傷しているが致命傷ではない。 「大丈夫?」 ルイズが声をかけると、男はうめきながらも答えた。 「大丈夫だ。……あんた達は?」 「私達も女王陛下を誘拐した一味を風竜で追ってきたの。いったい何が?」 「……致命傷を負わせたはずなのに……奴等は、立ち上がって魔法を……うっ」 そこまで喋ると、救援が来た安堵からか男は気絶してしまった。 そして今聞き出した情報、敵の不死性から確信する。 敵はアンドバリの指輪で操られた生ける死者達だ。 承太郎は怒りに燃えると同時に、氷のようにクールな精神でスタンドを出現させた。 シルフィードに乗って様子を見ていたタバサは、それよりもわずかに早く詠唱を始めて、もう完成する寸前だった。 臨戦態勢に入った承太郎とタバサを見て、ルイズとキュルケも慌てて杖を抜く。 同時に四方八方から魔法の攻撃が飛んできた。 そのすべてをタバサは魔法で生み出した空気の壁ではばむ。 すると草むらからアルビオンの貴族達が姿を現した。 身体を焼かれ、身体を切り裂かれ、身体を貫かれたアルビオンの貴族達。 もはやアンドバリの指輪の仕業である事は疑いようがなかった。 そして承太郎達の前に堂々と、彼は姿を現した。 後ろにアンリエッタを連れた、隻腕のウェールズ皇太子。 「……久し振りだな、ウェールズ」 「やあ、ジョータロー。懐かしいな」 ウェールズはまるで旧友に出会った事を喜んでいるかのような口調と笑顔だった。 それが承太郎の双眸を釣り上げさせる。 「単刀直入に言うぜ。お姫さんを返してもらおうか」 「ジョータロー。彼女は自分の意思で僕についてきてるんだよ?」 「だが……それは『てめー』の意思じゃあない……」 苦笑を浮かべるウェールズを見て、承太郎の怒りがさらに高まる。 その横でルイズが叫んだ。 「姫様! そのウェールズ皇太子は、クロムウェルの手によって、アンドバリという指輪により仮初の命を与えられたくぐつでございます!」 しかしアンリエッタは唇を噛みしめ、ウェールズから離れようとしない。 「ジョータロー、ラ・ヴァリエール嬢、これで解ったろう? だからこのまま行かせて欲しい。魔法は温存したいからね、戦いたく――」 最後まで言わせないとばかりに、タバサのウインディ・アイシクルが発動する。 何本もの氷の矢がウェールズに突き刺さったが、彼は苦笑を浮かべるのみだった。 しかしその攻撃にアンリエッタが反応し、杖を抜く。ルイズ達に向けて。 「お願いよ、ルイズ。行かせてちょうだい……。 私は誓ったのよ、ウェールズ様への変わらぬ愛を。 ……あなたは人を好きになった事がある? 好きになるとね、何もかも捨ててでもついて行きたいと思うものよ。 例え行き先が地獄だろうと世界の果てだろうと」 その言葉にルイズはハッとした。 あの時、日食に向かって飛んでいた時の自分は、どうだっただろう? 何もかも捨てて、承太郎と一緒に――そう思っていた、かもしれない。 「交渉決裂だ。ウェールズ、二度と蘇れねーようバラバラに引き裂いて殺してやるぜ」 「悲しいな、戦友と戦わなくてはならないとは。死んでもらうよジョータロー」 かつて、短い時間だが……確かに友情を交わした二人が相対する。 互いに互いを殺すと宣言して。
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113 不穏の前触れ ◆w9XRhrM3HU 花京院の死体が火に包まれ、燃えてゆく。 肉が焼かれる不快な匂いは、不思議としない。コンサートホール内に充満する、煙の匂いに消されているのだろうか。 あるいは、承太郎にそこまでの余裕がないだけなのか。 仲間の死と、その遺体が焼かれる様に苛立ちと空しさを覚えながらも、承太郎は傷口を押さえながら意識を繋ぎとめる。 既に足立とほむら、そしてまどかの死体は何処にもなく、コンサートホールには承太郎しかない。 今ここで気絶すれば、花京院と同じく灰になるだけだ。 「花京院……」 かつて救い、そしてもう一度救える筈だった仲間。 思えば中々に気の合う奴だった。 戦いを終え、日本に帰国した後。相撲の雑談をしながら、一緒に登校をするという穏やかな日常もあったのかもしれない。 だが、それは決して起こり得ないと否定されてしまった。 「……広川の野郎、この落とし前はきっちり付けねえとな」 下手人はまどかだが、元々の元凶は広川だ。 花京院との話の食い違いから推測するに、あの花京院は『承太郎とまだ出会っていない時』から呼ばれた可能性が高い。 広川があえて時間をずらし花京院を呼んだのも、このような惨劇を引き起こすのが狙ってのことと考えられる。 だとすれば、他の参加者にも同様、呼ばれた時期によるすれ違いが起こる可能性は高い。 今頃、それを眺めながら広川は何処ぞでふんぞり返り、ほくそ笑んでいるのだろう。 (…………待て、“今”の花京院はどうなってる?) ふと、承太郎の脳裏に疑問が沸いた。 過去の花京院が死んだとして、現在の花京院は無事なのか。 単純に考えれば、過去を改変したことにより、現在の花京院は死んでいることになっているはずだ。 (仮に今の花京院も死んじまってるとしてだ……。この場合、歴史ってのはどうなっちまうんだ?) エジプトへの道中、様々なスタンド使いと戦い撃退してきた。特に灰の塔、吊られた男、恋人、死神13の戦いは花京院による活躍が大きい。 灰の塔はその性質上、狭い飛行機内で星の白金や魔術師の赤では対抗は難しく。吊られた男は花京院が救援に来なければ、ポルナレフは死んでいた。 恋人戦も同じく、花京院が居なければジョセフは死亡している。 死神13は伝聞での把握ではあるが、花京院の気転がなければ全滅していたかもしれないらしい。 花京院の死亡は間違いなく、歴史に大きな歪を残す。下手をすれば、殺し合いを終え帰還したはいいが、そこでジョースター一行は既に全滅、という可能性もある。 (……タイムパラドックスって奴か。これじゃまるでバック・トゥ・ザ・フューチャーの世界だぜ) タイムパラドックスには幾つか解釈があるが、正直なところは誰にも分からない。 そもそも、承太郎には時間を越える術がないのだから、確かめようもない。 案外元の時代では何も変わらないのかもしれないし、大幅な変化がもたらされている事も否定できない。 (どっちにしろ、禄でもない事をしやがる。予測できないってのが一番性質が悪いぜ) バック・トゥ・ザ・フューチャーのクリストファー・ロイド演じるドクが慌てふためくシーンが容易に目に浮かぶ。承太郎も同じ気分だ。 そんな憂鬱な気分で、更に痛み出す傷を抑えながら、星の白金で承太郎は炎の中の花京院の首輪を回収した。 先行きは暗いが、まだ生憎とここで死ぬつもりもない。 知り合いの首輪を解析用のサンプルにするのは気が引けたが、この先サンプルが確実の手に入る保障もない。 (……? 熱くねえ。炎の中にぶち込まれていたのにか?) スタンドを介して、熱さが手を伝わるだろうと思ったが、思いのほか首輪に熱は通っていなかった。 首を傾げながら、承太郎は懐に首輪を仕舞う。 そして燃え盛る炎を眺めて、息を大きく吸い込んだ。 タイムパラドックスや花京院に対しての感傷で少し、行動が遅れてしまった。 傷の治療もして、足立も追跡しなければならない今、無駄なことで足を止めるわけにはいかない。 「……やれやれだぜ」 これからのハードスケジュールを思い承太郎は辟易しながら何時もの口癖を呟いた。 □ (―――私は弱い……) セリューはブラッドレイとの戦闘で改めて自らの弱さを自覚した。 帝具もあり万全セリューと帝具無しとはいえ、イェーガーズの一員であるウェイブ。そして国家錬金術師ロイ・マスタングの三人掛かりでも止められない、ブラッドレイという化け物。 強すぎる。実力はエスデスと同等。考えたくはないが、あの二人が争った結果、エスデスが負ける可能性も十分にある。到底セリューでは勝てない相手だ。 (勝てない……私は正義なのに……勝たなくちゃいけないのに……!) 弱さは罪だ。 断罪せねばならない相手であっても、力が及ばなければ意味がない。 だが、今のセリューには力がない。強さが足りない。 セリューの正義では、ブラッドレイという悪を裁くことが出来ない 「せ、セリュ―さん……?」 「……あっ? 卯月ちゃんどうしたの?」 恐る恐る、卯月がセリューに話し掛けて来る。 様子を見るに、何度か呼びかけていたらしいが、考え事に夢中で気が付かなかったらしい。 「あの、ウェイブさんが……アカメって人と手を組むみたいです……」 「…………? 何言ってるの……ウヅキちゃん?」 「私、クローステールをウェイブさんに巻きつけておいたんです。それで糸電話みたいに声も聞けるかなって思ったら上手くいって」 「と、取り合えずクローステールは早く回収して! 気付かれる前に!」 「は、はい!」 それから卯月から話を聞く限り分かったのは、ウェイブに対してセリューは悪だと思わされているかもしれないという事だった。 しかもそれを話していたのが、セリューを撃ったあのスーツの男らしい。 自らの行為を正当化させ、さもセリューを悪だと断定させる行動は見事だとしか言い様がない。 そして何より、スーツの男は高坂穂乃果が寄越した援軍という事実。 その目的は小泉花陽の回収及び、仲間を増やす事だろう。既に高坂穂乃果は何人もの参加者を抱き込み、軍団を結成している可能性が高い。 高坂勢力だとでも呼ぶべきだろうか、ウェイブもそれに組み込まれようとしている。 (高坂勢力……。厄介なのは、自らが正義だと名乗っていること。勢力の首領が表向きは弱者を装っていること。 こうして信用を得る事で勢力に引きずり込み、手駒を増やしていく悪質さ。アカメすら引き込もうとするその貪欲さ、ナイトレイド以上か……) 高坂勢力が今どれほどの力を持っているか知らないが、セリューが正面から戦って勝てるか分からない。 もしかしたら、ブラッドレイですら高坂勢力の一員であるかもしれない。 敵の戦力は未知数だ。エスデスと合流でもしない限りは、直接的な戦闘は避けなければいけない。 だが、それは悪を黙って見逃すという事だ。本当ならば今すぐにでも特攻して、悪を一人でも滅ぼさねばならない。 (でも……今の私には守らなきゃいけない人が居るから……!) ここで死ねば、卯月を守る者が誰一人として居なくなる。それだけは絶対に避けなければいけない。 もう絶対に失いたくない。彼女だけは何があっても守る。 卯月の存在がセリューの激情を抑え、冷静さを取り戻させた。 (こうなると、当初の予定だった図書館襲撃も止めるべきか? しかしアカメが……だけどウヅキちゃんと私だけで……) セリューが選んだのは後退だった。一度引き返し体制を立て直す。 ブラッドレイ戦で気付かされたセリューの弱さ。それが未だに尾を引きセリューに根付いている。 「悪を……見過ごさなければいけないなんて……!」 「セリューさん……」 「ご、ごめんねウヅキちゃん。声に出ちゃった……。でも私、絶対にウヅキちゃんだけは守るから」 「……はい」 向かうのはコンサートホールか病院辺りになるだろう。 最初イェーガーズ本部に戻ろうかとも考えたが、図書館に集まった高坂勢力がセリュー討伐に乗り出すとすれば真っ先にイェーガーズ本部が狙われる。 向こうからは、セリューが死んだと認識されているのだろうが、放送を超えればすぐにばれる。何よりクローステールでの盗聴に気付かれているかもしれない。 何にせよより安心した場所に行って損はない。 だが、セリューはそこでコンサートホールから上がる煙に気が付いた。 「セリューさん、あれ……」 「火事ですね」 大して寒くもない、この島の環境で暖を取るものなどそうはいない。料理を作ろうとして火の扱いを誤るようなものも早々居ないだろう。 セリューはあの火事は戦闘による二次的な被害であると即座に直感した。 「た、助けて……くれ!!」 「止まって下さい。何があったんですか?」 「あ、頭のおかしい女子中学生に追われてるんだ……。は、早く逃げないとヤバイ!!」 それを証明するかのようにスーツの男―――セリューを撃ったのとはまた別人―――が走ってきた。 □ 市庁舎に寄ったのは失敗だと足立は痛感した。 市庁舎に辿り付き中を散策してから、数分も経たない内にほむらに発見されてしまった。 (クソが! 他にも施設なんていくらでもあったろうが、なんでわざわざ市庁舎にクソ!) マスティマの襲撃を受け、マガツイザナギで迎撃しながら足立は市庁舎を飛び出す羽目になる。 本来なら、ここに潜伏しながら後の方針を考えるつもりだったのが、台無しだ。 やはり世の中クソだと内心で何度も毒を吐きながら、足立は走り続け前方に人影を見つけた。 一人はただの女子高生だが、もう一人は片目が潰れているものの、ごつい義手を付けて強そうな雰囲気を醸している。 ただのコスプレ野郎かもしれないが、この際何でもいい。事態の好転に賭け、足立はこの二人組みを巻き込む事にした。 「足立、貴方だけは……!」 遅れて辿りついたほむらの前に足立を下がらせながら、セリューが前に出る。 足立を庇おうとするセリューに苛立ちながら、それでも理性で騙されている事を考慮し、攻撃の手を止めた。 「退きなさい。そいつは……」 「一体何があったか、話してくれませんか? 私こう見えても警察で……」 「……警察」 足立の前例もあり、ほむらは相手が警察であってもそう簡単には信用できなかったが、戦えない一般人を連れていることも考えると、まだ足立よりはマシに見えた。 自分を落ち着かせる意味も含め、ほむらは今までに起きた出来事を全てセリューに説明する。 当然、足立はそれを否定。まどか殺害には関与していないと言い張る。 話を聞いたセリューはその全てに納得はしないものの、足立に疑惑の目を向けながら、卯月と共に距離を置く。 「足立透、暁美ほむら。……残念ながら、二人とも殺人者名簿に載っていましたね……。すみませんが、ほむらさんの話を全面的に信用することは難しいです。勿論足立さんも」 「殺人者名簿?」 「は? え? 何それ……」 名簿は一人に付き一つ。それも名前しか載っていない簡素なものだった。 それをセリューはまだ名乗ってもいない、ほむらと足立の名前まで当ててみせる。 (殺人者名簿ってことは、俺の今までの殺人がばれてるって事か? ふざけんなよ広川! 俺は、ただテレビに放り込んだだけで殺したのはシャドウじゃねえか、何で俺にばかりこんな……! 支給品と言いペルソナ制限と言い、クソ主催過ぎるだろ!!) 「そうね。私は人を殺したことがある。でも、それは必要な事だった」 「必要、ですか?」 「ええ、そうよ」 動じる足立とは打って変わりほむらは殺人について自ら認めた。 これがセリューの受けた印象に大きく影響したのは言うまでもない。 「お、俺も刑事だからさ……。その、場合によってはそういうこともさ……」 「……」 (信じてねぇって面だ。ふざけんなよクソアマが! 何が殺人者名簿だ、クソクソクソ! 広川のクソ野郎、俺ばかりに不利なモン押し付けやがって!) 咄嗟に良い言い訳を思いつけなかった足立は、その苛立ちも含め広川への殺意を高める。 今更、警察がどうこう言っても、最初に付いた悪印象を拭うのは難しい。 それもこれも殺人者名簿なんてものさえなければ、こんなことにはならなかった。 実際、セリューに警察であると明かし警戒を解かせる予定だったのだ。それが殺人者名簿の話を聞いてから切り出しては、体のいい言い訳にしか聞こえない。 「足立さん、貴方が警察ならそれを証明できるものはありますか?」 「え? 証明……ああ、証明ね……」 足立としては逆にセリューに対して警察であるか証明して欲しいところだったが、自分を信用させる前に相手を疑うのも逆効果だ。 渋々、懐から警察手帳を取り出した。 「どう? これ警察手帳なんだけど」 「……玩具じゃありませんかこれ? 私はこんなもの持ち歩いてませんけど」 「はあ? 何言ってるのさ、警察なら手帳ぐらい持ち歩くでしょ。ドラマなんかじゃ嵩張るから持ち歩かないとか言う、馬鹿な刑事が居るけどさ」 武器と見なされなかったのか、没収を免れた警察手帳を見せる足立だが、当然セリューには見覚えがない。 とはいえ、セリューは足立が異国か異世界の警察である可能性も考慮し、卯月へと視線を向けた。 名前の響きが近い卯月なら、これが警察手帳なる警察の証明になるか分かるかもしれないからだ。 「なんか大きくないですかそれ……」 「本物はこういう大きさなんだよ。ドラマのあれは偽物でさ」 「でも、セリューさんが違うって言うなら。違うと思います、それ」 「なっ、さっきからドラマと違うって言ってるだろ!!」 ここに来てからの足立の行動にミスはあれど、それでも明確な失敗は殆どないだろう。 少なくとも警察手帳を見せた点は正解だ。 ただ、足立の不運はこの場に呼ばれた参加者は異世界の住人達であること。更に言えば、ほぼ同質の世界の住人である卯月が冷静な判断力を持たず、結局はセリューの判断に従ってしまったということだ。 幾重にも重なる不運の連続はつい足立の声を荒立たせ、卯月を威圧してしまう。 セリューが卯月を庇うように前に出ながら、敵意を持った目で足立を睨む。 「分かったかしら? これでこの男を庇う理由はないわ」 「……いえ、確かに怪しいです。ですが、まだ完璧な証拠がありません。 彼女は一般人ですから、その警察手帳を知らないだけかもしれませんし」 「あれは……」 「わ、分かってくれたかい!? そうだよ、俺は……」 「証拠ならあるぜ? “足立さん”」 この場に新たに響く第三者の声、皮肉を込めてさん付けで呼んだ声の主は学ランを羽織った巨漢。 「じょ、承太郎……くん」 「よぉ、足立さん。てめえにやられた腹が随分と痛むぜオイ。 こいつを塞ぐ為に、炎で焼いた時の痛みは忘れられねえ。 俺はこう見えても陰湿な性質でな、やられた分はやり返さなきゃ気がすまねえ」 承太郎の乱入は更にセリューの疑惑を高めていく。 「しょ、証拠ってなんだい? その傷だって俺のせいだとは……」 「俺のデバイスに付いていた参加者追跡機能。俺の支給品らしい。 そいつを見れば、お前の今までの行動が容易に把握出来るぜ」 「なっ……」 「俺が出てくと言った時、妙だとは思わなかったのか? 何故、エスデスが能力研究所に向かうと俺が分かっていたのか?」 「あの時の……」 『ちょ、承太郎君!? 君さ、いや何してんの』 『俺はエスデスの野郎からアヴドゥルを引っこ抜いて別行動だ。アンタとはお別れだ足立さん』 『何処に居るか分かってるの!?』 『あいつらは能力研究所に向かってる』 エスデスの行き先を足立が知っていたのも、元を辿れば承太郎から聞き出していたからだ。 では、その承太郎は一体何処からその情報を仕入れていたのか? 「これ以上ない証拠だよな? 足立さんよ……」 「……」 言い逃れは出来ない。 開き直った足立は演技を止め、以前承太郎に見せた邪悪な笑みを浮かべた。 「このクソガキ……何度も何度も白々しくさん付けで……。もういい、お前ら纏めて死ね。 利用できると思ったけど、お前ら広川も全員クソだしさぁ、死体全部トイレに流してやる」 タロットカードを握りつぶす。足立の背後から巨大な人影、マガツイザナギが姿を見せる。 ほむらとセリューは即座に距離を取り、マガツイザナギを警戒。 だが、承太郎は対照的に帽子の唾を人差し指で持ち上げ、不敵な笑みを浮かべていた。 「やーれやれだぜ。証拠ってのは最後まで見てから判断するものだぜ? お陰でマヌケは見つかったがよ」 「あぁ? 承太郎……マガツイザナギに手も足もでねえくせに……」 「そいつはちと厄介だが、使い手の頭脳がひたすらマヌケらしいからな。そこまで脅威じゃあねえな」 「何、強がっちゃってるわけ? 今更凄んでも怖くなんかないんだよねぇ。ペルソナさえあればさぁ」 「おめー、俺が参加者追跡機能の話を出した時、俺のデバイスを確認しなかったよな。 アレが嘘って事を少しも考えなかったのか?」 「まさか……!」 あの状態で、まだ挽回の余地はあった。今の話が全て承太郎の嘘であったのなら、セリューへの心象も傾く。 しかし、足立は話を早とちりし、早々に見切りをついてしまった。 あの時、まだ思考を止めず事態の好転に賭けていれば、セリューを味方に付けられていた可能性も残されていた。 「このクソガキ!!!」 承太郎の狙いは最初からこれだ。足立の本性を暴くこと、これこそが何よりの証拠になる。 元より、参加者追跡機能など存在していない。そもそもあれば、花京院が偽物かどうかで揉める事などない。 少し考えれば分かるはずのこと。それを承知で承太郎は賭けに出て、そして勝った。 嵌められた怒りに任せ足立がマガツイザナギを承太郎にけしかける。 だが、その瞬間左腕に激痛が走った。 「ガッ、な、何だ……」 「だから言ったんだ。使い手がマヌケだってな」 既に横方に回ったほむらのマスティマに貫かれた左腕。 白い羽は血に染まり、赤い紅翼となって足立に振るわれる。 マガツイザナギを引き戻し、剣で受けるが左腕のダメージの影響か力が入らず、後退する。 「足立!!」 「うるせえ! 愛しのまどかちゃんの仇ってか? どうせあのガキはただの殺人鬼だろうが!!」 「話は全て掴めました。―――正義閻魔槍!!」 そこへ加え変形を済ませたコロとセリューが踊り掛かる。 コロの拳をマガツイザナギで裁くが、本体である足立に対してセリューの攻撃が迫った。 腕にドリルを着けたセリューの義手は、生身で受ければ一瞬でミンチへと変わり果てる。 コロの相手で手一杯なマガツイザナギを一旦消す。そしてもう一度タロットカードを握りつぶしマガツイザナギを展開。 「一緒にぶっ飛んでろ!!」 マガツイザナギが野球のバットのように剣を振りセリューを薙ぎ払う。 ドリルでガードするも勢いを止めきれず、コロの方向へと吹っ飛ばされる。 コロがセリューを受け止め、一時的に隙が出来たのも束の間。いつの間にか距離を詰めたほむらが眼前に立っている。 (コイツ、本当にどうやって移動してんだよ!?) 足立の頭蓋を叩き潰す為、マスティマが振るわれたその瞬間、ほむらに限界が訪れる。 「こんな、時に……!」 疲労の蓄積に加え、ソウルジェムの濁り、マスティマの使用での限界が同時にほむらへと圧し掛かる。 体が動かず膝を付き、マスティマでの防御も出来ない。 足立はこの好機を笑みを以って迎えた。 「やーと俺にも運が向いてきたって事か。アハハッハハ!!!」 「くっ……」 「残念だったねぇ。悪者の俺を倒せなくってさ、ほむらちゃーん。ていうか、勝った俺のほうが正義か」 刃が落とされる。時を止めたところで動けなければ意味がない、羽があっても羽ばたけなければただの飾りでしかない。 まどかの敵も討てないまま。ここでこの男に殺され、生涯を閉じる。 それがほむらに決定付けられた運命。 「ごめん……まどか……」 「!? ぐええ!」 虫の潰れたような悲鳴をあげながら、地面を転がっていく足立。 マガツイザナギが横から叩きつけられた鉄球によって、足立と同じく吹き飛ばされている。 その鉄球に付いた鎖の先に居るのはセリュー。 「クソッ痛ェ……」 「お前は正義なんかじゃない……!」 鉄球を取り換え、コロの口から取り出したのは大砲。 間髪入れず、砲弾が射出されマガツイザナギを襲う。 一発目は剣で弾くが、二撃、三撃目が足立の周囲に降り注ぎ砂煙によって視界が潰れていく。 その隙に卯月がセリューが予め指示した通りにクローステールでほむらを回収する。 「クソックソックソッ!! 何なんだよ、あのビックリ人間は……!」 「オラァ!」 怒りが冷める間もなく、星の白金の拳がマガツイザナギの顔面に叩き込まれる。 ペルソナのダメージが本体にフィードバックし更に宙を舞う。 直接殴られるよりは衝撃は抑えられたが、それでも直接顔面に星の白金の拳を貰ったのは大打撃といっていい。 顔を抑えて体制を直しながら、追撃の拳をぶちかます星の白金をマガツイザナギでいなす。 二者の拳と剣の応酬が砂煙を晴らし、視界をクリアにしていく。 「大したスタンド、いやペルソナか。持ってる割には、やっぱり本体がなってねえな」 「チィ……。3対1で調子乗ってんじゃあ―――」 「てめえは、いくらでも状況を好転出来たんだ。あの参加者追跡機能の嘘は俺にとっても賭けだった。 だが、てめえはそれを諦めた。自分で道を切り開けもしない雑魚ってことさ」 「……!!」 視界が晴れ、承太郎のにやけた顔を見た足立は更に激情を増す。 マガツイザナギが大きく剣を振り上げる。 その瞬間、開いた横腹に向けて星の白金の拳が減り込んだ。 「ぐぅ……!」 先のマガツイザナギの攻撃は、今までにないほど単調で読みやすい。 怒りに任せたその太刀筋は、星の白金の目ではっきりと見切っていた。 怯んだマガツイザナギに対し、承太郎はそのまま胴に拳を連続でぶち込み続ける。 胴への攻撃を無視し、マガツイザナギは強引に剣を承太郎に向け振るうが、更に頬を殴り飛ばされる。 ダメージが足立にも伝わり、頬に強い衝撃が走る。折れた頬の骨にも激痛を誘発し、足立の顔が苦痛に悶えた。 承太郎は駆け出し、激痛で操作を手放したマガツイザナギの横を走りぬけ、足立の間合いへと突っ込む。 数秒も経たず、承太郎は星の白金の射程距離内へと距離を縮める。 マガツイザナギの迎撃と防御は間に合わない。消して出すにも、その動作の内に殴られる。それも恐らくは全力のオラオラを喰らう羽目になってしまう。 いくら足立が警察としてある程度鍛えたとしても、あんなものを喰らえば再起不能。最悪死ぬ。 「何!?」 次の瞬間、承太郎の前に爆炎が舞い上がり、粉々に飛び散った破片が降り注ぐ。 星の白金の脚力で爆発から遠ざかり、破片を拳で打ち落とす。 足立が手榴弾を使ったと分かった時、既にマガツイザナギを下がらせ自身を爆発から守らせていた。 「誰が手榴弾は一つって言った、バーカ!!!」 まどかを殺害した際に足立はまどかの手榴弾をスっていた。 ペットボトルについて気を取られていたせいか、まだ足立を疑っておらず星の白金を発現させていなかったせいか、承太郎はその事に気づけなかった。 故に承太郎は手榴弾をコンサートホールを焼いた一発のみだと思い込み、二発目を想定していない。 承太郎が想定外の攻撃に足止めを食らっている隙に足立は離脱する。 (クソッ三人相手じゃ分が悪い。殺人者名簿さえなきゃあの化け犬女を味方に付けて、クソガキ共を……。 肝心なとこで広川の奴……!!) 怒りは次から次へと沸いてくる。まだまだ暴れたりないが、これ以上あの三人に構って反撃を貰うのはご免だ。 特に承太郎は侮れない。非常にイラつく相手だが、絶対に勝てる保障がない限り戦わない方が良い。 怒りを抑えながら、足立は戦場を後にした。 □ まどかとの出会い。マミを初めとした魔法少女達との思い出。 頭を駆け巡る記憶の奔流は、普通の人間で言う走馬灯というものなのだろうと、他人事のようにほむらは思った。 (案外、悪くないものね) あまり良い記憶といえるものは数少ない。それだけの戦場を何度も何度も繰り返してきたのだから。 それでも、過ぎた記憶を振り返ってみると案外悪くないものもある。 考えてみれば、過去には何度も戻ったが、こうして過去を振り返って事はあまりなかったからかえって新鮮だ。 「ごめんね、まどか……。私もまどかと同じところに行けるか分からないけど……これで一緒に……死ねる……」 ソウルジェムが穢れきり、円環の理に導かれるより早くソウルジェムを破壊すれば、あるいは死ねるかもしれない。 あくまでかもしれないであって、試したこともない方法だ。何より、まどかが喜ぶはずもない自己満足に過ぎない。 それでも、目の前でまどかを死なせ、足立を殺せもしなかったほむらにはこれが唯一の救いでもあり、罰でもあった。 「……駄目、死ぬなんて言わないで!」 「?」 手を強く握られた。その手はとても冷たかったが、その手の主は涙ぐんで、とても優しい顔をしていた。 「グリーフ……シード……?」 「これで、魔法少女の穢れとやらは浄化できるんですよね。ほむらちゃん!」 元から穢れを随分溜め込んでいたのか、ほむらのソウルジェムの穢れを全て浄化は出来なかったが、それでもまだ活動可能な程度には回復した。 ほむらにとって不幸中の幸いだったのが、承太郎がグリフシードグリーフシードを持っていたことだ。 いくら魔法少女に疑念を持っている承太郎も、死に掛けたほむらを見れば人命を第一に優先する。 三つのグリーフシードは完全に穢れ、使い物にならなくなったが、ほむらの命を繋ぎとめる事には成功した。 承太郎は複雑な心境のまま、帽子を深く被りほむらに視線を向けている。 「……一つ貸しになるのかしら?」 「返さなくていいぜ。もう、お前らとはあまり関わりたくねぇ」 素っ気無い態度でそう言い残し、背中を向けた。どうやら、一人別行動を取るらしい。 ほむらの意識が虚ろな間に、最低限の情報交換は済ませたのだろう。 承太郎はそのまま去っていった。 「良かった。ほむらちゃんが無事で……」 「えーと……貴女は……」 「名乗り遅れましたね。私はセリュー、セリュー・ユビキタスです!」 セリューは満面の笑顔で涙を拭い、そう答えた。 「貴女、泣いてたの……?」 「え? ああ、すいません。何だろう、私ほむらちゃんがあまり他人に見えなくて……それで」 セリューとしても、ここまで感情的になったのは久しぶりだ。 ほむらに対しては何かの親しみを感じている。 それは彼女の正義。その根っこにある復讐心だろう。 セリューにとって正義とは復讐である。幼い頃に父を悪に殺された恨み、オーガを殺された恨み、スタイリッシュを殺された恨み。 その恨みを悪にぶつけ、復讐を果たす事がセリューの正義だ。 ほむらも同じだ。まどかを殺され、足立を殺したいと思う復讐心。 セリューは本人も知らない内に、その同属に惹かれたのかもしれない。 「……そう」 ほむらも自分の為に誰かが泣くのは、少し悪くない気分だ。 泣くことはあっても、泣かれることはあまりない。気遣うことはあっても、気遣われることは少ない。 そんなほむらにとって、セリューの涙はまどかを喪ったほむらに温かい救いのようにも感じられた。 「ありがとう。セリューさん。 けれど、私のソウルジェムはまた穢れてしまうわ。だからその前に足立を……」 「こう言っては何ですが、あの様子では足立に追いつく前にまた……。 そこで、ほむらちゃん。グリフシードグリーフシードと言いましたっけ? 実は心当たりがあるんです」 「心当たり?」 「ええ、一つはヒースクリフさんという人が持っているらしいんですけど。距離が遠すぎるんで、これはあまり現実的じゃありません。 ただ私の荷物にグリーフシードというアイテムが入ってて、それを近くに居る知り合いが持ってるんですよ」 セリューのランダム支給品の一つはグリフシードグリーフシードだった。 セリューからすると、何の使い道のないそれはディバックの底で眠るだけのガラクタではあったが、今のほむらには何物よりも変えがたい命綱だ。 だが、不運なことにセリューは荷物をウェイブに任せてしまっている。グリーフシードの回収をするには、ウェイブ及びスーツの男などの高坂勢力とも接触する必要がある。 そのことをセリューはほむらに説明した。 「―――こ、高坂勢力って……。少し飛躍し過ぎなんじゃ……」 「そう思われるのも無理はありません。でも、信じて下さい。高坂穂乃果は非常に危険です。 足立透のように人を欺く天才なんです」 まどかが死んだショックが抜け切れないせいか、この時ほむらは判断力が落ちていた。 加えて、ほむらはセリューに対して警戒を解いて、若干信頼し始めている。 自分の為に泣いてくれた少女が嘘を言っているようには見えず、ほむらの中ではセリューは純粋で優しく真っ直ぐな女性という印象を植え付けていた。。 「……そうね。足立みたいな参加者が他にも居ないとも限らないものね」 「そこでです。逆に言えば、高坂勢力は来る者を拒まずなんですよ」 「?」 「私の同僚のウェイブも懐柔されました。まだ、上手く立ち回れば何とかなるかもしれません」 貪欲に勢力を増やす高坂勢力。それ故に正義を名乗り、誰もが加わりやすいよう表向きは振舞っている。 そこへセリュー達が今までの行為を反省し、改めて共に戦わせて欲しいと願えばどうなるか。 あくまでセリューは殺し合いには乗っていない。改心しただの敵意がないことを示せばウェイブは確実に擁護してくれる。スーツの男も早々、断ることはないだろう。 そこへほむらや卯月の擁護が入れば尚更だ。 こうして勢力内に紛れ込み、内部から潰していったり。勢力を誘導してブラッドレイなどの巨悪と潰し合わせるのもいいかもしれない。 最悪、乱戦が予想される図書館に遅れて乗り込み、漁夫の利を得ると言う方法もある。 その際にウェイブとグリーフシードも回収できれば万々歳だ。 「……協力してくれるのならありがたいわ。確かに、このままでは足立を追うどころじゃない。 でも、セリューさんは良いのかしら? 私は殺人者よ。足立と同じ。そしてまた殺人を犯そうとしている。手助けをする義理は……」 「違いますよ! 私、人を見る目には自信があります! 貴女は悪に落ちるような人じゃない。足立も殺すのではなく、裁いているんです。ただの殺人ではありません! 私はほむらちゃんを信じてますから!! 同じ正義の志を持っているのなら、私は誰であろうと見捨てられません!」 セリューの言葉は、媚薬のようにほむらに染み渡り、心地よい。 今まで一人で時を繰り返し、戦ってきたせいか。四人の魔法少女以外とは殆ど関わりを持たなかったせいか。 「……分かったわ。セリューさん、貴女が信じるなら私も貴女を信じようと思う。 それ以外にグリフシードグリーフシードを手に入れる方法がないようだし」 「ほむらちゃん……。はい! 一緒に頑張りましょう!!」 何より、セリューの正義を貫こうとする頑なな意志が、あの「茶番」の世界でしていた正義の魔法少女達のように見えて。 もう一度、あの「ごっこ遊び」を続けられればと。僅かにでもほむらは願っているのかもしれない。 だが、ほむらは知らない。セリューの正義の正体が復讐であることも、その狂気さえも。 何より、ほむらが信頼を置く巴マミを悪と断定していることすら、知らされていない。 この脆く薄い、絆のような勘違いが、どのように破綻していくのだろうか。 まだ誰にも知る由はない。 「私も……私も頑張ります……」 「ウヅキちゃん。うん、みんな一緒ならきっと大丈夫だよ。絶対、悪をやっつけましょうね!」 「私も、もっともっと、頑張りますから……。セリューさん」 「ウヅキちゃん!」 (まどかが生きてたら、私も……) 卯月を強く抱きしめるセリューを見て、ほむらは自分とまどかを重ね合わせてしまう。 ああ、違う。これは友情とは違うというのを何処かで理解しながらも、今のほむらにそれを否定するほどの気力は起きない。 ただ目の前のハリボテだけを見つめて、裏側を見ようともしない。 (お父さん……私、仲間が出来たよ……!) そして、セリューも気付かない。 彼女にとって真の仲間は今までに存在しなかった。 ウェイブですら、セリューの狂気を目にし距離を置いている。エスデスも決して、セリューに心の底から共感もしない。 彼女は常に孤独だった。けれど、ここにきてから島村卯月だけはセリューのそばに居てくれる。 だから、もう一人じゃない。 □ 「足立の野郎を逃がしちまったのはかなり不味いぜ」 承太郎は傷の痛みを無視しながら走り続ける。 足立は狡猾にして、殺人に逃避もなく、度胸がある。敵に回せば非常に厄介だ。 承太郎から逃げて、安全を確保した後は恐らく承太郎の悪評を流し始めるだろう。 それだけでも面倒だが、セリューとの情報交換で分かったが、この周辺には厄介な連中が多い。 疑心暗鬼の人間火炎放射器ロイ・マスタング、爆弾魔と変身能力を持つ化け物。驚異的な実力を持つブラッドレイ。そして、後藤。 特にマスタングは殺し合いに乗っていないのが尚、性質が悪い。足立が一番付け込み易いタイプだ。 騙されて、こちらが消し炭にされるなんて堪った物ではない。前例があるだけに、警戒度はこの中である意味一番高い。 「野郎が連中を利用する前にケリをつけてえが。やれやれ、クレイジーな連中が多すぎだぜ」 足立はただでさえ、強力なペルソナであるマガツイザナギも使役している。 傷のハンデもあったが、恐らく正面からの真っ当な戦闘では勝ち目は薄いと承太郎は分析する。 だからこそ、足立を煽り冷静さをなくして戦いを優位に進めていた。 出来れば、足立が冷静さを取り戻す前に仕留めたいところだ。 「それに、ここに来てから後手後手に回ってばかりだ。アヴドゥルには悪いが、当面は再合流できねえな」 セリューとの情報交換で分かったことだが、参加者は南の方角に密集しているらしい。 後藤があえて、南下した辺りからもそれが伺える。 つまり、北側に居た承太郎は情報についてかなりの遅れを取っていることになる。 アヴドゥルを連れたいところだが、待っている暇も無い。何より魔術師の赤ならば、そう易々と殺されることもないはずだ。 一先ずは他参加者との積極的な接触と、足立を仕留める事が当面の方針か。 (コイツに関しても心当たりが出来たしな) 懐から取り出した首輪。未だにひんやりと金属特有の冷たさが残っている。 懐に財布などを入れると温かくなることがあるが、この首輪は熱を弾いている。 (まだ、この首輪は生きてやがる。熱を通さねえのも、スタンドの干渉を阻んでるのと同じ機能なのかもしれん。 正直なとこ、サンプルにされるのを恐れて死者の首輪は機能停止して解析不能なんて事になってねえか心配だったが、そうでもないらしい。 とにかく、コイツはまだ使える) 出来れば専門家に任せたいが、最悪の場合はスタンドも弾く首輪を素手で解体することになるかもしれない。 「足立といい、首輪(コイツ)といい。ヘヴィなスケジュールになってきやがった。……やれやれだ」 □ 『自分で道を切り開けもしない雑魚ってことさ』 「クソッ!!」 承太郎の台詞が何度も何度も足立の中で反響していく。 気に入らない台詞だ。聞いてて苛立つ。あの台詞は持っている奴だけが吐けるクソのような台詞。 道を切り開く、才能(チケット)を持っている奴だけが、上から目線でさも自分の力のように吐くクソ下らない台詞だ。 「承太郎……!!」 足立は怒りに任せて歩を進ませる。幸い、ほむらのソウルジェムや承太郎が怪我人なのもあって、追ってはすぐは来ない。 休息も兼ね、徒歩で歩んでいくと目の前に人が倒れているのは発見した。 「うえっ……」 より正確には人であった物だ。 均整の取れた女性らしいスタイル。服装は見るからに今風な女子高生。 殺し合いなど起きなければ、今頃は恋などして青春を楽しんでいたのだろう。 首から上が、砕けた肉片にさえなっていなければ。 「……ティバック?」 その死体の横に土や血に汚れたティバックが落ちている。それも何個もだ。 ここで戦闘があり、何人か手放したのを回収せずに去って行ったのだろう。 後ろの追っ手を確認しながら、バックを回収し中身を改める。 「これアサルトライフル……いやショットガンか?」 先ず手にしたのは銃だ。足立が欲しがっていた念願のまともな武器。 一般人からすれば、使うのが躊躇される代物だが足立は銃が撃てるという理由で、警察を選ぶぐらいには銃に詳しい。 拳銃に比べ、慣れてるとは言い難いが、扱えないことはないだろう。 そしてもう一つがフォトンソード。SFチックな玩具のようなものだったが、恐る恐る試してみるとビームの刃が飛び出し地面に鋭い切れ込みを入れた。 威力は十分だが、足立が扱うには少しハードルが高いかもしれない。 「殺人者名簿……?」 あったのは散々苦汁を味合わされた殺人者名簿だった。 「そういやあの化け犬女、名簿を取り出してなかったな。……全部暗記してんのか」 ページを開けば、多くの参加者の顔写真だ。同時にそれらが人殺しであることも書かれている。 足立はページを捲り続け、自分の名が記されているページで止めた。 そのまま片方の手で名簿を押さえ、もう片方の手でそのページを破る。破ったページはクシャクシャにし握りつぶす。 残ったページの痕跡もまた丁寧に消去していく。 「工作はこれぐらいでいいか」 足立の顔に怒りはなく、そこには満面の笑みがある。新しい玩具を見つけた子供のような無邪気で、だが邪悪な大人の笑顔だ。 市庁舎に向かうはずが、気付けばイェーガーズ本部まで来てしまったが、結果から見れば大正解だった。 武器も補充でき、こんな面白い玩具が手に入ったのだ。これを使わない手はない。 「疑われてもこいつを見せておけば、俺はただの刑事って証明できるしな。しかも、予めヤバイ奴も予想できる。 最高の道具だよこれ」 名簿をティバックの中に入れ、急ぎ足で足立はこの場を離れる。 一先ず目的地は使えそうな参加者の居そうな場所だ。利用できる参加者が居なければ名簿も意味を成さない。 そうなると、人通りが多そうな図書館を目指すことになるか。だが、乱戦に巻き込まれるのも面倒だ。 いっそ南下して、駅から電車を使うのも良いかもしれない。 「さーて、どっちに行こうかね……」 【D-5/一日目/昼】 【足立透@PERSONA4】 [状態]:鳴上悠ら自称特別捜査隊への屈辱・殺意 広川への不満感 、右頬骨折 [装備]:MPS AA‐12(残弾6/8、予備弾層 5/5)@寄生獣 セイの格率、フォトンソード@ソードアート・オンライン [道具]:基本支給品一式、水鉄砲@現実、鉄の棒@寄生獣、ビタミン剤or青酸カリのカプセル×7、毒入りペットボトル(少量)、 ロワ参加以前に人間の殺害歴がある人物の顔写真付き名簿 (足立のページ除去済み) [思考] 基本:優勝する(自分の存在価値を認めない全人類をシャドウにする) 0:対主催に紛れ込んで承太郎の悪評を流す。 1:ゲームに参加している鳴上悠・里中千枝の殺害。 2:自分が悪とバレた時は相手を殺す。 3:隙あらば、同行者を殺害して所持品を奪う。 5:エスデスとDIOには会いたくない。 6:殺人者名簿を上手く使う。 7:図書館か、電車か……。 8:承太郎死ね! 広川死ね! [備考] ※参戦時期はTVアニメ1期25話終盤の鳴上悠に敗れて拳銃自殺を図った直後 ※ペルソナのマガツイザナギは自身が極限状態に追いやられる、もしくは激しい憎悪(鳴上らへの直接接触等)を抱かない限りは召喚できません ※支給品の鉄の棒は寄生獣23話で新一が後藤を刺した物です ※DIOがスタンド使い及び吸血鬼であると知りました。 ※ペルソナが発動可能となりました。 【D-4/一日目/昼】 【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】 [状態]:出血(絶大)腹に斬傷(炎で止血済み)疲労(絶大)精神的疲労(絶大) [装備]:DIOのナイフ@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース [道具]:デイパック、基本支給品、手榴弾×2、グリーフシード(使用不可)×3、『このラクガキを見て うしろをふり向いた時 おまえは 死ぬ』と書かれたハンカチ [思考・行動] 基本方針:主催者とDIOを倒す。 0:早急に足立を追いぶちのめす。 1:アヴドゥルとまどかの件は時間がないので後回し。 2:情報収集をする。 3:首輪解析に役立つプロを探す。 4:後藤とエルフ耳の男、マスタング、キンブリー一味、ブラッドレイ、魔法少女やそれに近い存在を警戒。 【備考】 ※参戦時期はDIOの館突入前。 ※後藤を怪物だと認識しています。 ※会場が浮かんでいることを知りました。 ※魔法少女の魔女化以外の性質と、魔女について知りました。 ※まどかの仲間である魔法少女4人の名前と特徴を把握しました。 ※DIOのナイフ@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダースが一本近くに落ちています。 ※エスデスに対し嫌悪感と警戒心を抱いています。 ※セリューと軽い情報交換済みです。少なくともマスタング、キンブリー一味、ブラッドレイは知ってます。 【セリュー・ユビキタス@アカメが斬る!】 [状態]:疲労(絶大)、精神的疲労(大)、左目損失(止血済み)、切り傷(それなり)、ほむらに親近感、自分の弱さを痛感 [装備]:日本刀@現実、肉厚のナイフ@現実、魔獣変化ヘカトンケイル@アカメが斬る! [道具]:なし [思考] 基本:会場に巣食う悪を全て殺す。 0:島村卯月を最後まで守る。 1:悪を全て殺す。 2:エスデスとも合流したいが……。 3:エンブリヲと会った場合、サリアの伝言を伝えて仲間に引き入れる。 4:ナイトレイドは確実に殺す。 5:図書館に向かい上手く立ち回る。 6:方法を選ばず、勢力を潰す。ウェイブはグリフシードと一緒に回収する。 7:ウェイブは何とか説得したいが、応じない場合は……。 8:都市探知機が使用可能になればイェーガーズ本部で合図を上げて、サリアを迎え入れる。 9:ほむらは正義だと思うので手助けする。 [備考] ※十王の裁きは五道転輪炉(自爆用爆弾)以外没収されています。 ※他の武装を使用するにはコロ(ヘカトンケイル)@アカメが斬る!との連携が必要です。 ※殺人者リストの内容を全て把握しました。 ※都市探知機は一度使用すると12時間使用不可。都市探知機の制限に気付きました。 ※他の参加者と情報を交換しました。 友好:エンブリヲ、エドワード 警戒:雪ノ下雪乃、西木野真姫 悪 :後藤、エンヴィー、ラース、プライド、キンブリー、魏志軍、アンジュ、槙島聖護、泉新一、御坂美琴 ※穂乃果が勢力を拡大しているのではと推測しています ※承太郎と軽い情報交換をしています。少なくともヒースクリフとエスデスの居場所は掴んでいます。 ※クローステールでウェイブ達の会話をある程度盗聴しています ※ウェイブの未確認支給品のひとつはグリフシードです。 【島村卯月@アイドルマスターシンデレラガールズ】 [状態]:悲しみ、セリューへの依存、自我の崩壊(小)、精神疲労(極大)、『首』に対する執着、首に傷 [装備]:千変万化クローステール@アカメが斬る! [道具]:ディバック、基本支給品 [思考] 基本:元の場所に帰りたい。 0:セリューに着いて行く。 1:セリューと行動を共にする。 2:セリューに助けてもらう。 3:凛ちゃんを殺した人をセリューに……? 4:死にたくない。 5:未央ちゃんは図書館に居る……? [備考] ※参加しているμ sメンバーの名前を知りました。 ※渋谷凛の死を受け入れたくありませんが、現実であると認識しています。 ※服の下はクローステールによって覆われています。 ※自分の考えが自分ではない。一種の自我崩壊が始まるかもしれません。 ※『首』に対する異常な執着心が芽生えました。 ※無意識の内にセリューを求めています。 ※クローステールでウェイブ達の会話をある程度盗聴しています 【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ(新編 叛逆の物語)】 [状態]:疲労(大)、ソウルジェムの濁り(絶大と大の間ぐらい) 全身にかすり傷、精神的疲労(絶大)、まどかの死に対する哀しみ(測定不能) 足立を殺す決意、まどか死亡のショックによる判断力低下、セリューに親近感 [装備]:見滝原中学の制服、まどかのリボン [道具]:デイパック(中にまどかの死体)、基本支給品、万里飛翔マスティマ@アカメが斬る! [思考]: 基本:足立を殺す。 0:今はグリフシードの入手。足立追跡はその後。 1:一先ず今はセリュー達と行動しグリフシードを手に入れる。 2:高坂勢力は良く分からないが、一応警戒しておく。 3:足立を殺した後、ソウルジェムを浄化する方法も、まどかを生き返らせる方法も無ければ自分も死ぬ。 [備考] ※参戦時期は、新編叛逆の物語で、まどかの本音を聞いてからのどこかからです。 ※まどかのリボンは支給品ではありません。既に身に着けていたものです ※魔法は時間停止の盾です。時間を撒き戻すことはできません。 ※この殺し合いにはインキュベーターが絡んでいると思っています。 ※時止は普段よりも多く魔力を消費します。時間については不明ですが分は無理です。 ※エスデスは危険人物だと認識しました。 ※花京院が武器庫から来たと思っています(本当は時計塔)。そのため、西側に参加者はいない可能性が高いと考えています。 ※この会場が魔女の結界であり、その魔女は自分ではないかと疑っています。また、殺し合いにインキュベーターが関わっており、自分の死が彼らの目的ではないかと疑っています。 時系列順で読む Back ぼくのわたしのバトルロワイアル Next 足立透の憂鬱Ⅱ 投下順で読む Back パラサイト・イヴ Next To the other side 106 お前がまどかを殺したんだな 空条承太郎 128 Inevitabilis 暁美ほむら 足立透 115 足立透の憂鬱Ⅱ 100 正義執行 セリュー・ユビキタス 128 Inevitabilis 島村卯月
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芝凛太郎の運勢を占う【姓名判断 芝幸太郎など】 芝凛太郎さんの総運は36画の半吉! 苦労 波乱 失敗 英雄 複雑 理性 先見 芝凛太郎さんの人運は22画の凶! 努力不足 衰退 無力 薄弱 霊感 芸術 芝凛太郎さんの外運は21画の大吉! 独立 統率力 名誉 頭領 指導 征服 芝凛太郎さんの地運は29画の吉! 厳格 才能 完全主義 知謀 参謀 芝凛太郎さんの天運は7画の吉! 権威 独立心 人気 孤立 強い意志 自立 直情 信念 芝凛太郎さんの陰陽は! 芝 凛 太 郎 画数 7 15 4 10 陽:○、陰:● ○ ○ ● ●