約 851 件
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1073.html
三面鏡の少女 12 「うーん、流石宴会だけあってお酒ばっかりだなー……ジュースとかお茶とかはどこかなー」 飲み物を取ってくると言って呪われた歌の契約者から離れた三面鏡の少女 テーブルに並ぶ料理はどれも美味しく、計画的に食べないとすぐに満腹になってしまいそうだった もっとも、一部少々アレなものも混じっていたが、それは見なかった事にしていたのだが 「それにしても、なんていうかホント開放的というか何と言うか」 途中、担当であるはずの黒服Hよりなにかと世話になる事の多い黒服Dの姿を見て挨拶をしようかと思ったのだが 何というか取り込み中というかまあ色々ありそうだったので思わずすぐに目を逸らしてスルーしてきてしまった 「都市伝説は年齢とか外見じゃわからないし。契約者の方だったら……Dさんってそっちの趣味?」 変な方向に思考が飛びそうになったりしたのを、頭をぶんぶんと振って切り替える 「あ、そうだそうだ、飲み物飲み物……あ、ジュース発見」 誤魔化すようにコップを手に取り、瓶の中身を確認せずに注ぐとすぐに口をつける くぅ―――――――――――――っと一気に流し込まれたそれは、果実酒とジュースどちらだったのか 「けふー」 少女の喉から漏れた、熱を帯びたような吐息 「おねーさーん、おいしーじゅーすげっとぉ~♪」 大ぶりな瓶を一つ手に取ると、少女は明後日の方向に向かって歩き出した 教訓:お酒は二十歳になってから 前ページ次ページ連載 - 三面鏡の少女
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1117.html
三面鏡の少女 15 (赤い二人より) 「にゃ?」 マントをめくった途端に姿を消してしまった赤マントと青はんてん 少女の酔っ払い的思考はそれを妙な方向に解釈する めくると何かが起こる、と 会場内をちょろちょろと動き回り、テーブルクロスやカーテンをめくって見るが当然ながら何も起こらない ああそうか、と少女はぽんと手を叩く 身に付けてるものをめくらないとダメなんだ 酷い解釈をした結果、少女の視線は会場内の女性が身につけているスカートを物色し始めたのだった 前ページ次ページ連載 - 三面鏡の少女
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1870.html
三面鏡の少女 27 「ひやっ!?」 ぞわり、と背中を走る悪寒に、三面鏡の少女は変な声を上げて身を震わせる 「な、なんかものっそい寒気がっ!? 変な妄想の材料にされたような!?」 巫女のアルバイトが集まる年末年始、境内には初詣客とは微妙に違うカメラ持ちの人がちらほらと見受けられる アルバイト巫女の面々の対応も、ポーズを決める、スルー、注意、鉄拳制裁など様々だった 「ん、どったのカナちん」 「あーいや、ちょっと知り合いに迷子について聞かれちゃって」 「あはは、この町の子供は迷子でも平然と屋台回ってたりするからね。迷子って空気出さないでしっかり遊んでるかもよ?」 「そんなもんですかねー」 「そんなもんよー? てかさっきの黒い人は何だね、彼氏?」 「違いますよー、別のバイト……うん、バイトかな? そっちの上司っていうか先輩の人で、すっごい美人で声の綺麗な人と仲が良いんですよー」 適当に誤魔化す事にしたのだが、概ね嘘は言ってない 「ふーん……で、どんなバイト?」 間合いを取ったつもりが即座に詰められる 「あーいや実はあたしはあんまり戦力になってないもんで、具体的な内容はー」 「いやさー、あの男の人? なんていうか……どう表現したもんかなー」 先輩巫女は色々首を捻りながらあれこれ言葉を探っているのだが 「……まあいいや。とりあえず初見の印象だから気にしないでね?」 その瞳から、表情から、一瞬だけ熱がすぅっと引いていく、そんな印象の顔で発した、抑揚も変化も何も無い直球の一言 「気をつけてね」 「ふぇ? いや、確かにちょっと変な人だけど、良い人ですから大丈夫ですよ」 それに気付いたのか気付かないのか、いつもの調子の笑顔で手をぱたぱたと振る少女 「んー、まあ気にしないで。私にはちょっと胡散臭く見えたもんだから。水商売系の元締めとかそんな感じ」 「あ、あはは、大丈夫ですって、健全なお仕事ですからー」 たまに命の危険なんかはありますが そんな言葉はぐっと飲み込み、接客用の笑顔を浮かべる 「それじゃ、売り場の方戻りますねー」 「あーい、頑張れー」 明るい笑顔で売り場に出る少女を、のんびりした調子で送り出す先輩巫女 「ん~……なーんかあんまり良い印象無いっていうか」 ちろり、とその舌先が蠢き唇を湿らせる 「迷子の事とかは本当なんだろうけどなー、なんていうか……嘘吐きのにおいがすんのよねー」 ※ 先輩巫女 ここ何年かアルバイト巫女としてよく働いている女子大生 特に都市伝説と契約もしておらず存在も知らないが嘘に対して敏感 好奇心で殺される猫タイプ カナちん 三面鏡の少女の事 本名は逢瀬佳奈美(おうせ・かなみ) 前ページ次ページ連載 - 三面鏡の少女
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1119.html
三面鏡の少女 17 (はないちもんめより) メイド状態! そんなチャラ男に背後から忍び寄る三面鏡の少女 「うなー☆」 「ってまたてめぇかーっ!?」 元はといえば黒服Dに酒を飲ませたこの少女が元凶なわけで とっ捕まえてお灸の一つでも据えてやろう(熱的な意味で)と思ったのだが、ふらふらした酔っ払いだというのになかなか捕まえる事ができない 「こんのっ、待ちやがれっ!」 腕を大きく広げ左右から逃げ場を無くし捕まえようとした、その途端 「にゃーっ!」 足の間をすり抜けられ、そのまま背後から思い切りスカートを捲り上げられる 「おいぃぃぃぃぃっ!?」 思わずスカートの前を押さえてしまうが、そのポーズが実にセクシーというかなんというか 「にゃー? 男の人?」 「悪いかよド畜生っ!?」 女の人→スカートをめくる→男の人→ふしぎ! 妙な満足感を得た少女は、ツッコミの僅かな隙にあっという間に射程圏外へと逃れられてしまう 「あいつは一体何なんだ……ってお前カメラっ!? まさか今の!」 わなわなと奮えるチャラ男に、笑顔でぐっと親指を立てるTさんの契約者 いつか泣かす――少女への復讐を誓いながら、カメラに収められたセクシーショットをどう亡きものにするか頭を抱えるのであった 前ページ次ページ連載 - 三面鏡の少女
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1867.html
三面鏡の少女 24 「よしっ、準備完了っ」 以前、首塚の宴の折にメアリーとミツキに着せられたドレス サイズも合わせた一点ものという事で結局貰ってしまったのだが 「これなら前に見てもらってるし、気付いてもらえるかな?」 三面鏡の前でくるりと回る 「ねー、下着はー?」 「折角貰ったんだしさー」 「出会いがあるかもしんないしさー」 「あの男の子に会えばスカート捲られるから見てもらえるよー?」 「却下っ! というか小学生にあんなの見せていいわけないでしょ!?」 「あー、あんなのとか言ったー」 「折角プレゼントに貰ったのにねー」 「高級品だよー?」 「贈り物は感謝するけど人に見せれるものかどうかは別っ!」 ぱたんと三面鏡を閉じて、コートに袖を通してバッグを提げる 「それじゃいってきまーす、おかーさん、ケーキ全部食べちゃダメだよー?」 「はいはい、気をつけてね。いってらっしゃい」 相変わらず台所から聞こえてくる母の声を背に、少女は家を後にした ――― 「……で、なんか空が大惨事です」 ディナーショーが行われるホテルへ向かう道中、町の中心部の上空に見えた三つ巴の大戦争を、少女はとりあえず見なかった事にした 「何が原因かわかんないけど、黒服さん達はアレどうするんだろ」 また黒服Dが主体となって火消しに奔走しているのだろうか そう考えると、これからのんびりとディナーショーを楽しみにいくという事に抵抗感が湧いてしまう 「ちょいとそこのお嬢ちゃん」 足が鈍る三面鏡の少女の背後から、胡散臭いというものを凝縮したような声が掛けられた 少女は今までの経験から、振り返りもせずに即座に全力ダッシュ 「お、ちょ、待てコラ!? せめてこっちを向けっての!」 だが普段着の時とは違い、お出掛け用の正装である 声を掛けた存在、都市伝説である『恐怖のサンタ』相手では逃げ切る事は出来なかった 「ぜぇ……ぜぇ……いかんなぁ……く、クリスマスプレゼントを……あげようと思ってたというのに」 「いらない! 絶対いらない!」 「そう遠慮すんな、折角来てやったんだからなぁ」 そう言ってごそごそと袋の中を探る『恐怖のサンタ』 そして袋の中から出てきたのは――黒服H 死体ではない、本人そのものが袋から転がり出てきたのだ 「うお、一体何があった」 流石に即座には状況を把握できない黒服H それ以上に状況を把握できてない、三面鏡の少女と『恐怖のサンタ』 「……まあ何だ、とりあえず仕事しなきゃいかん状況だという事は把握した」 ぎゅるん、と 即座に髪の毛に絡め取られて動けなくなる『恐怖のサンタ』 「お前さんが『恐怖のサンタ』だとして……なんつーかアレか、トラウマ級か俺」 もがく事もできず絞め上げられる『恐怖のサンタ』 その袋には、かつて少女の危機を救った白色の救世主たるアヒルのおまるが顔を覗かせていた 「なるほど、これが込みか。それならちょっと納得しておこう」 「あ、あの……何が起きてるんですか、Hさん」 状況が全く把握できてない三面鏡の少女 「いんや、別に? ちょいと悪戯好きのサンタさんを懲らしめるはずが、組織の不手際でゴタゴタしててな。まあ町にはそれほど被害は無いだろうから気にするな」 少女はあまり納得したような顔はしていなかったが 「それより、ディナーショー行くとこなんだろ? 俺はこの通り仕事中だし、代わりにしっかり顔を見せてあいつを安心させてやってくれ」 「あ、うん、そういう事なら。ちゃんと後で報告するから!」 「おう、気をつけてな。まあ出会うのが『恐怖のサンタ』だったら俺が対応する事になると思うが」 時計を見て、何度か振り返り手を振りながら走り去っていく少女を見送り その姿が視界から消えたのを確認して、力を込める ごきり、と鈍い音がして 泡を吹いて意識を失った『恐怖のサンタ』が地面に転がされた 「また引っ張り出された時に血の臭いがしちゃ困るからな。あの子に感謝しとけよ」 前ページ次ページ連載 - 三面鏡の少女
https://w.atwiki.jp/legends/pages/2125.html
三面鏡の少女 36 それは少女の瞳に映る 相手の姿とその瞳 目と目があったその瞬間に それは互いを映しあい 合わせ鏡が出来上がる 「ひ、いっ!?」 男の脳裏に瞬時に流し込まれる死の体験 光の速さで繰り返される無限の死の連鎖 一つの死の体験が精神を蝕むヤスリの一削りなら それは猛回転するグラインダーのように 男の精神を根こそぎ削り尽くしていった 泡を吹いて倒れる男の隣で、もう一人の男が視線から外れようと大きく跳んだ 「くそっ、くたばれっ!」 何かの能力だろうか 少女の頭があっさりと爆ぜ 鮮血を撒き散らしながら倒れた少女の向こう側に また同じ少女が立っており 視線を逸らした先にも同じ少女が立っており 「目を合わせなけれ、ばっ!?」 咄嗟に目を伏せた男の脳天に、少女が持っていた金属バットが振り下ろされた 鈍い音がして金属バットと男の頭がひしゃげ 同じ姿をした少女達は倒れた男に群がり 金属バットを 鉄パイプを 角材を ブロックを 金槌を 倒れた男に向かって次々と振り下ろす 「あはははは」 少女は笑う それはとても楽しそうに 「あははははははははははは」 少女も嘲笑う それはとても楽しそうに 笑う 笑う 笑う 笑う 笑う 笑う さも可笑しそうに さも楽しそうに あちらの少女も こちらの少女も 向こうの少女も 町のあちこちにいる少女達は 誰一人として違う顔をしておらず まるで合わせ鏡に映したように全員が同じ姿をしていた 「あははははははははははははははははははははははははははははは」 その瞳はまるで鏡のようで その瞳はただ光を返すのみで まるで、何も見ていなかった 「ねえ」 少女は一人語り出す 「人も物もいつかは必ず死んでしまうから」 少女は鏡に向かって語り出す 「命の価値はみんな平等だから」 出会った時と変わらないあどけない顔で 「だったらいつ死んでも同じだよね?」 鏡からは少女と同じ姿をした少女が次々と飛び出して 部屋を出ようとしたところでぴたりと動きを止める まるで蜘蛛の巣に掛かった蝶のようにじたばたと蠢いたかと思うと その身体がばらばらに切り刻まれてどちゃどちゃと床に零れ落ちる 「なのに、なんで」 少女は振り返りもせずに呟く 「なんで、邪魔するの」 血の滴る漆黒の蜘蛛の巣が解きほぐされ、しゅるりと男の頭部に納まっていく 「ねえ、なんで、邪魔するの、Hさん」 振り返りもせず、鏡越しに背後に立つ黒服Hを不思議そうに見詰める三面鏡の少女 「お前をな、守ってやるってな……約束したんだ」 「だったら、邪魔しないで?」 鏡から飛び出した少女の分身が、様々な鈍器や刃物を手にHに襲い掛かるが それらはあっさりと切り刻まれ、鮮血を撒き散らしながら消滅していく 「お前がそっち側に堕ちるならな」 血塗れの三面鏡がぱたりと閉じる 少女は慌ててそれを開こうとするが、それは絡みついた髪の毛によってがっちりと拘束されていた 「お前が完全に呑まれちまう前に」 少女の首に、するりと黒い筋が浮かぶ それは巻き付けられた一本の髪の毛 その髪の毛が巻きついた跡は 町中に溢れる少女達全員の首筋に浮かび上がり 「ああ、そっか」 少女は振り返り、出会った頃と変わらない笑顔を浮かべる 「そういえば、そんな死に顔も見たんだっけ」 ぶつり、と音がして 少女がかくりと膝をつき 少女がごとりと畳の上に落ち 少女がどさりとその身を横たえた 溢れる鮮血の中、最後に見せた笑顔を浮かべたまま 町中に溢れた少女達もまた、本体に引き摺られるように首を落とし、消えていく 消えていく 消えていく 消えていく 掬い上げた砂が指の間を零れ落ちていくように 一つの出来事が呆気なく消え 一つの存在が呆気なく消え 思い出の中に笑顔だけが一つ、残された DEAD END ※ 三面鏡の少女が能力を成長したが容量が追いつかなかった場合のお話 視線を合わせた相手は即G・E・レクイエム そんな能力持ちが数十数百とあちこちから襲い掛かってくる地獄絵図 殺視線を防ぐ偏光サングラスを掛けた黒服による掃討作戦が発動、という感じ 前ページ次ページ連載 - 三面鏡の少女
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1868.html
三面鏡の少女 25 「……寒っ」 荒涼とした高山の山頂付近 何故こんなところに自分がいるのかもわからないまま少女は歩く こんなところを歩いているにも関わらず、服装はなぜか普段着のままである 「山を降りて帰らなきゃいけないんだろうけど、ここ何処だろう」 状況を把握できないにも関わらず、何故か心の内には焦燥は湧き上がらない 「おーい、大丈夫かー?」 声は山の上にいるはずの自分の頭上から聞こえてきた そこには巨大な猛禽の鳥に乗った男の姿 「うわー、Hさんすごーい」 ばっさばっさと羽ばたいて降りてくる鳥の背中から、ひょいと飛び降りて眼前に立つ黒服H 「迎えに来てくれたの?」 「いや、忘れ物を届けに」 「忘れ物?」 首を傾げる少女に、黒服Hはにこやかな笑顔でポケットから茄子を取り出した 「この茄子をどうするかというとだな」 ざわざわと伸びる黒服Hの髪 そして―― 「に゛ゃ―――――――――――――――っ!!??!?!?!!」 目を覚まし飛び起きる三面鏡の少女 顔を真っ赤にし涙目で、前身汗だく心臓バクバク ついでに汗以外で濡r「地の文黙れ――――――――――――――――っ!」 おぐはぁっ!? ネタとはいえ概念である地の文に攻撃するとは……(がく) 「まったくもう……どういう初夢だったんだか。初夢……ん?」 一富士、二鷹、三茄子、というどうでもいいネタでしたとさ ……詳細は投下できないスr「復活すんなっ!」 ぶげはっ! 前ページ次ページ連載 - 三面鏡の少女
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1100.html
三面鏡の少女 14 「あー、Dさんおひさしぶりー。さっきはおたのしみでしたにゃー」 けたけたと笑いくるくる回りながら現れた三面鏡の少女に、黒服Dは頭と胃がいっぺんに痛くなった どうしてこう本来飲むべきでない人間が次々と酒を口にして、なおかつタチの悪い酔い方をしているのか 「ダメじゃないですか、未成年だというのに」 とりあえず出会い頭の台詞は無かった事にするようさらりと流して、常識的な対処を試みる 「にゃー? これはじゅーすれすにょー。ちゃーんとかくにんしてのんれまーす」 抱いているのは何処からどう見ても酒瓶であり、甘い果実酒の香りはするもののアルコール度数は結構なもののようだ 「Dさんものむといいのれすにゃー、おいしーですにょー」 「……わかりましたから、とにかくその瓶をまず」 聞き流すつもりで言った何気ない返答を、少女は了承と受け取り 「えいしゃおらえいしゃー♪」 酒瓶を取り上げようとした黒服Dの手を掻い潜り、瓶の口を黒服Dの口に捻り込む 「ぶっ!? げほっ、ごほっ!?」 いきなり流し込まれた果実酒を、思い切り噴き出してしまう 周囲からのツッコミも間に合わない早業の後、チャラ男やはないちもんめの少女がむせる黒服Dに気を取られてる間に少女はくるくるふらふらとその場を離れて行ってしまった 「にゃー、じゅーすはどこかにゃー……んー?」 酒の補充を求めて彷徨う少女が目にしたのは、なにやら赤いマントの下で蠢く謎の物体 そして猫じゃらしを見つけた猫のように目を輝かせる少女 「おにーさーん、なにをいれてるんですかにゃー?」 次なるカオスの行き先はどっちだ 終われ 前ページ次ページ連載 - 三面鏡の少女
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1075.html
三面鏡の少女 13 (メイドvs貴腐人より) 「大晦日とお正月ー。真面目な働き者の大晦日とぐうたらで遊び好きなお正月は 背中合わせで触れ合うほど近いのにずっと離れてるように感じてしまうお仕事仲間ー」 「「っ!?」」 二人は同時に息を飲み、既に過ぎ去った存在に気付き ここが即売会の会場か、はたまた修羅場の真っ只中であれば――そう思わせるほど それほどに容易く悠然とその少女は二人の死線を横切り 酒瓶とコップを手にくるくる回りながら何処かへと去って行った 「……あれは」 「……何者」 だが過ぎ去った者に構っている暇は無い 目の前の相手に全身全霊を注ぐべき 二人は一瞬で気を取り直し、その神経となんかもう色々とアレなものを研ぎ澄ませるのであった 前ページ次ページ連載 - 三面鏡の少女
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1358.html
三面鏡の少女 19 「第130回あたし会議ー」 「議題はあたし達とかほったらかしで宴会に行ったあたしの糾弾でーす」 「勝手に議題出さないで!?」 「たっぷり呑んだとかいいもん色々見たとか羨ましいぞー」 「あたし達にもアルコールの摂取とセクハラ対象の提供を要求するー」 「首塚のチャラいおにーさんのメイド姿見たいー」 「歌手のおねーさんのスカートめくりたーい」 「Dさんが酔っ払ってるところに絡みたーい」 「思い出させるなー!? 色々やらかして後悔しきりだってのにー! あとDさんには絡んでないっ、呑ませちゃったけど!」 三面鏡の鏡台をばんばん叩きながらのた打ち回る少女 「今回の議題はっ! 診療所のバイトおにーさんが行方不明だとか、学校の男子や先生が急にお休みが増えたとか、そこいらへん!」 「後者は新型インフルエンザでいーじゃん」 「実際それで休んでる人多いしねー」 「てかもう学級閉鎖通り越して学校閉鎖間近だしー」 「かく言うあたしのクラスもお休みでね」 「いやいや、なんか組織の方も結構バタバタしてるみたい。都市伝説絡みの事件な感じ!」 「でもお呼びが掛からないって事は数いるだけじゃ何もできない相手って事よね」 「下手に出ていくとまた怪我してHさんやドクターに迷惑掛けるよー?」 「むしろそれが狙い? Hさんやバイトさんに助けられたい?」 「そういう方向に話を持っていかなーい!?」 「でもあたし達としては彼氏とか欲しいでーす」 「隣の席の彼とか結構脈ありだと思いまーす」 「陸上部にいる彼、練習中でも通り掛るとこっち見てるよねー」 「いつも買い物にいくスーパーの若店長、なんか凄く優しいよねー」 「買い物帰りによく公園で遊んであげてる小学生の子、お姉ちゃんをお嫁さんにするって割とマジ顔で言ってるよねー」 「何これ、意外とモテモテ?」 「しかも年齢層が幅広いです、隊長!」 「終了! その話題は終了!」 「それでは宴会の件の糾弾を再開しまーす」 「それも無し!」 ぱたむと三面鏡を閉じて、溜息を吐きながらぺたんと座り込む少女 「あーもう、ホントにあたしの契約した都市伝説って使いでが無いなー」 今回の騒動に関しては何が起きてるのかすらまだ知らない 黒服Hも積極的な干渉はしないつもりらしく、その事からあまり関わらないようにとだけは伝えられていた 「うーん、契約コストが軽い別の都市伝説とも契約する事も視野に入れた方がいいかなー。鏡系でなんか良いの無いかなっと」 とりあえず図書館にでも行って勉強がてら都市伝説について調べようかと、ぱたぱたと身支度を整えて玄関に出る 「あら、お出掛けー?」 リビングの向こうにあるキッチンから、のんびりとした母親の声が聞こえてきた 「うん、図書館行ってくるー」 「ちゃんとマスクしていきなさいねー、インフルエンザとか拾ってこないようにねー」 「はーい」 玄関から一歩外へ出ると、秋の冷たい風が頬を撫でていく 「寒……コートとマフラー新調しようかな」 寒空の下、お気に入りではあったが着古したコートをまじまじと見詰めて考え込む 「図書館行く前にちょっと見に行こうっと……LOLIQLOとかデザイン好きなんだけど、子供服以外も出してくれないかなー」 前ページ次ページ連載 - 三面鏡の少女