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その男は自分は死んだと思っていた。 確かにその男は死んでいた。 自分の大事な家族を庇い、その代償として生命を失った。 「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ! 神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求めうったえるわ!我が導きに、答えなさい!」 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、 自らの使い魔を呼び出すためにサモン・サーヴァントを唱えた。 ドッグォバアァン!! そして起こる 大 爆 発 「ま~た爆発しやがったよ」 「流石はゼロのルイズだな…イテテ」 「おい大丈夫か?」 「ああ、ありがとう」 そんな中ルイズは…観ていた。自分が爆破した場所を。 そしてその本来なら起こらないはずの爆発の爆心地には……男が倒れていた。 それを見た周りのメイジたちは、 「何だ、あれは?」「人間か?」「あの格好は、どう見ても平民…」「ああ…平民だね、間違いなく」 等と動揺しながらもその男を見て、そして感想を言っている。 「あんた、誰?」 爆発騒ぎを起こしながらも周囲に謝ることなく倒れている男に話しかけるルイズ。 その声で男は目を覚ました。 男はあたりを見回してみる。 「ここは、何処なんだ?」 目の前にいた女(ルイズ)に質問する 「質問を質問でかえすなあーっ!!私が『あんた、誰?』と聞いているんだッ!」 その女の返答には奇妙な迫力があったが男はその程度でビビるような奴ではなかった。 「おれの名前は、虹村形兆だ」 だが答えた。 To Be Continued ↓↓
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朝食を終え、結局キノコを探す時間は取れないまま教室に向かった。 食べ始めるのが遅かったため、教室に入るのも後の方だったらしく教室にはすでに多くの人がいた。 ドアの外からは、雑談や自慢話の声が聞こえていたが、ルイズと形兆が入った時、 すべての声が止まり、一斉に形兆とルイズの方を見た。 が、それも一瞬のことで、すぐにそれぞれがそれぞれの会話を再開した。 ルイズが席に座る。(食堂の様に形兆に椅子をかせた) 形兆は嫌だったが確認しない訳にもいかなく、 「やはりおれは座れないのか?」 と聞いた。 「あたりまえでしょ」 仕方なく床に座る形兆。 形兆が他の使い魔はどんなものなのか見ようとした時、教師が入ってきた。 その先生は中年の女性で紫のローブ、帽子、体系はふくよか。 そんな優しそうなイメージの先生だ。名前はシュヴルーズと言うらしい。 簡単な挨拶をし、そのまま授業にはいる。形兆も情報収集のためにそれなりに熱心に聞いていた。 魔法は全部で『火』『水』『土』『風』『虚無』の五系統(ただし『虚無』はもう無い伝説の系統) 魔法は足すことで強くなる。 魔法をいくつ足せるかでレベルが決まる。 それくらいのことを話し、シュヴルーズ先生は『錬金』の魔法を実践する。 どこにでもあるような石ころに向かって杖を振り上げ、呪文(後で知ったが、ルーンと言う)を唱える。 すると石ころが光りだし、その光がおさまると、それは金属になっていた。 形兆は驚いたが、周りはそうでもない、どうやらこの世界でこれは『普通のこと』らしい。 「さて、次はこれを誰かにやってもらいましょう」 そういってシュヴルーズ先生は教室中を見回し、 「ミス・ヴァリエール!あなたにやってもらいましょう」 そしてルイズを指名した。 それだけならやること意外は普通のことだ。 そしてそのやることがこの世界では普通なのだから本当に普通のこととなる。 教室の雰囲気が変わることは絶対に、無い。 ルイズ以外の生徒は沈黙し、何かを祈ったり、ため息をついたり、諦めの表情をしたり、抗議したりしていた。 「偉大なる始祖よ、我らをお守りください」 「はぁ~~~、よりにもよってルイズかよ」 「やれやれだぜ」 「ゼロのルイズにやらせるなんて危険です!」 形兆は何が何なのか分からないが、その原因がおそらくルイズである以上ルイズに聞くわけにもいかない。 そのまま成り行きを見ていると、結局ルイズは前にある教壇に歩いていった。 錬金の魔法をするらしい。 そしてすべての生徒が机の下に隠れる。 わけの分からない形兆が突っ立っているとキュルケが話しかけてくる。 「あなたも隠れた方がいいわよ。怪我するといけないもの」 「ん?ああ」 そう言われたので形兆はルイズの机に隠れ、キュルケに質問をする。 「何で隠れるんだ?あと、『ゼロのルイズ』とは?」 「ま、見てなさい。すぐに両方とも分かるわよ」 机の端から顔を出し、ルイズを見る。もちろん何かあったらすぐに顔を引っ込められるように警戒しながら。 ルイズは緊張した、だが真剣な顔で、ルーンを唱え、杖を振り下ろす。 ―――そして、石ころを爆発させた。 爆風でルイズとシュヴルーズ先生は吹き飛び、壁にたたきつけられる。 結果、教室は無残な姿になった。 机は壊れ、椅子は倒れ、ヒビの入った窓ガラスもある。 そんな中、ルイズは立ち上がり、教室を見回し、 「ん!?まちがったかな…」 そう、言った。 「どこがちょっとだ!」 「いつも爆発じゃないか!」 「魔法の成功率ほとんど『ゼロ』だろ!」 「なるほど、爆発から隠れるために机に隠れ、魔法が出来ないから『ゼロのルイズ』なのか」 「そう、いつもああなのよ」 そういってキュルケは立ち上がり、歩き出す。 「どこへ行くんだ?」 「先生がアレじゃあもうこの授業は終わりでしょ?だから帰るの」 「なるほど、ああ、その前に一ついいか?」 「何よ?」 平民に呼び止められたのが気に入らないのか少し睨まれる。 「教えてくれてありがとう。助かった」 キュルケは少し驚いた顔をしていたが、 「律儀ね」 そういって微笑み、去っていった。 To Be Continued ↓↓
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形兆は一人で教室の片付けをしていた。それも全力で。 一人なのはルイズに押し付けられたからではない、彼なりの準備だ。 こうすることである程度の『時間』を手に入れる。 その時間で食料と情報、二つの問題を解決する。 それが形兆の脱走準備だった。 そのためにはまずルイズに怪しまれてはならないのだが、 これは簡単だった。 「ご主人様の手を煩わせることも無いでしょう。私一人でやります」 そう言うだけであっさり形兆一人に任せた。 今まで反抗的な態度をとらずにいたことがここで役に立つ。 そして手を抜いて後で叱られるのもいけない。 これに関しては何も言われないことが望ましいからだ。 なるべく早く綺麗にする。そうすれば時間は多く取れる。 故に形兆は全力で掃除をしていた。 「ふう、これくらいで良いか」 形兆がそういった時には教室は元の状態に、いや元以上に綺麗になっていた。 机はミリ単位で正確に並べられ、窓ガラスもそこにあるのか分からないほど綺麗になっていた。 なんというか『キラキラ~』というようなエフェクトがかけられている様にも見える。 形兆が満足そうに笑い、振り向いた瞬間。 驚いているシエスタを見つけた。 「こ、こんにちは」 「こんにちは。それはそうといつからいたんだ?」 シエスタは驚きの表情をしたまま 「たった今です」 と答えた。そしてそのまま教室を見回し、 「これ、形兆さんがやったんですか?」 と聞いてきた。 「そうだが?」 「す、凄いですね」 その瞬間、形兆の腹が鳴った。 自分が空腹であることを思い出し、 「そういえば、どこか食事が出来るところを知らないか?」 と尋ねた。 そして厨房に案内される。 シエスタが賄い食で良ければ厨房の支配者に交渉してみる、と言ってくれたからだ。 交渉の結果、形兆は厨房のマルトー親父に気に入られ、これから先、食事の心配は無くなった。 形兆が半分ほど食べ終えたところでシエスタが席を立つ、デザートを運びにいくらしい。 「ありがとう。何か手伝えそうなことがあったら言ってくれ」 形兆は最後に礼を言う。 「いえいえ、お気になさらず」 そういってシエスタは去っていった。 形兆は食べ終え、厨房の人たちに礼を言ってから厨房を出る。 これからは情報を集めるつもりだったがその必要は無くなった。 厨房の人たちと知り合いになれたため、彼らから聞けることと、ルイズに聞けることをあわせれば良い。 そう考えたためだ。 もともと午後は調べ物をして、ルイズには道に迷ったと言い訳するつもりだったのだ。 しかしこれをするとルイズは怒るだろう。 問題は片付いたのだし、必要以上に怒らせるのは得策とはいえない。 さっさとルイズに合流して機嫌を損ねないようにしよう。 そう思いルイズがいるであろう食堂へ向かった。 だがルイズはいなかった。 もう一度ルイズを探して辺りを見回そうとした時、 「なあ、ギーシュ!お前、今は誰とつきあっているんだよ!」 「誰が恋人なんだ?ギーシュ!」 金色の巻き髪にフリルのついたシャツ、薔薇をシャツのポケットに挿している男、ギーシュと言うらしい、 が周りの連中に質問されているのを見つけた。 形兆は別にルイズとすぐに合流したいわけではない(むしろ遅いほうが良い)ので、時間つぶしに眺めることにした。 ギーシュはその質問に 「つきあう?僕にそのような特定の女性はいないのだ。薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね」 そんな風に答えた。 その時、シエスタがギーシュに近づき、何かを渡す。 「あの、落し物ですよ」 ギーシュはそれに答えない。答えたのは周りの友人たちだった。 「その香水はモンモランシーの香水じゃないか?」 「そうだ!その鮮やかな紫色はモンモランシーが自分のために調合している香水だぞ!」 「つまり…お前は今『モンモランシーとつきあっている』……違うか?」 「違うよ。全然違うよ」 ギーシュがそう言いったとき、茶色いマントの少女がギーシュの近くにやってきた。 「ギーシュさま……やはり……」 「全然違うよ。モンモランシーとは全く関係ないよ」 その少女は、ギーシュの頬に平手打ちを叩き込んだ。 「さようなら!」 そういって食堂を出て行った。 すると、別の女の子がやってきた。巻き髪で黒いマントを着ている。 「全く違うよ。ちょっと仲は良かったと思うよ。でもこれは二股じゃないよ」 そしてワインのビンを掴み、そのままギーシュを殴りつけた。 「うそつき!」 そういって食堂を出て行った。 ギーシュは芝居がかった動作で頭から流れてきた血を拭きながら言った。 「あのレディたちは、薔薇の存在の意味を理解していないようだ」 そしてシエスタに向かって言う。 「君が軽率に香水のビンなんかを拾い上げたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだね?」 シエスタは何も言えず、怯えている。 「いいかい?君が香水のビンを置いたとき、知らないふりをしたじゃないか。 話を合わせるぐらいの機転があってもいいだろう?」 「え……でも」 シエスタは目に涙を浮かべながら何か言おうとする。 「口答えするのかい?」 ―――どこかで同じような光景を見た。 どうあっても抗えないくらい力の差がある相手に一方的に殴られる子供。 昔から自分はそいつを庇っていた。 そして、気がついた時には右手を前に突き出していた。 椅子から落ちて倒れているギーシュ。 目を見開いて自分を見ているシエスタ。 何が起こったのか理解できてない周りの連中。 自分がギーシュを殴ったことに気づく。 ヤバイことをした。だが後悔は無い。 こんなゲス野郎を殴るくらいならいいだろう。そう考えながら右手を下ろした。 ギーシュが立ち上がり、こちらをにらみつける。べつに防御力は下がらない。 「君……いい度胸だね」 「……」 「貴族に手を上げるということは、即処刑されても文句は言えないのだが…」 「……」 「君はミス・ヴァリエールの使い魔だ。特別に決闘で決着を付けるということにしてあげよう」 「分かった……だが一ついいか?」 「なんだい?言ってみたまえ」 「それでこのメイドにはもう何もしないこと、それを約束して欲しい」 「分かった。いいだろう」 形兆の言っていることは『お前は八つ当たりがしたいだけだろう』ということだったが ギーシュはそれに気づくことなく 「ヴェストリの広場で待っている」 そういって去っていった。 「あの…形兆さ」 「おい」 「はい!?」 形兆に何か言う前に先に話しかけられ、シエスタは畏縮した。 「エプロンの後ろの紐、ほどけてるぞ」 そういって後ろに回りこみ、紐を結ぶ。 「え?あ、ありがとうございます」 「それじゃあな」 そういって歩き出す形兆。 去っていく背中を見ながらシエスタは (自分に兄がいたらあんな感じなのかな……) 場違いであることを知りながらも、そんなことを考えていた。 To Be Continued ↓↓
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―――『夢』を見た。 とても変な夢だった。 夢の中で暗闇を歩いていると光が見えた。そして弟に会った。『億泰』だ…… この弟はちゃんとやっているのだろうか、そう思い聞いてみる。 「どこへ行くんだ 億泰」 「兄貴について行くよ」 億泰は即答した。 嬉しいがそれじゃダメだ。おれはもう側にいてやれないんだ。 「おまえが決めろ」 突き放す。こいつが一人で歩けるように。 「億泰…行き先を決めるのは おまえだ」 億泰は考えている。どうせ次は困った顔をしてこう言うだろう 『オレはバカだから分からねえよぉ~。兄貴が決めてくれよぉ~』だ。 だがそれではコイツは成長できない。 「杜王町に行く」 ―――違った。 億泰はもう成長していた。一人で歩いていた。 「それでいい」 聞こえているかは分からない。 だが、言いたかった。成長を認めてやりたかった。 さあ、おれも立ち上がらなくては 目が覚めると同時に背中から地面にぶつかる。 どうやら気絶していたのは殴られてから倒れるまでのほんの一瞬らしい。 殴られた腹が痛む。だが立ち上がれない程ではない。 立ち上がる。 「へぇ?まだ戦う気かい?」 ギーシュが小バカにしたような言い方で挑発してくる。が気にしないで精神を集中する。 思い込んでいた。自分は死んだのだと。だから何もできないと。そんな状態じゃ何もできない。 必要なのは『できて当然』と思う精神力。それが無かった。 形兆には知る由も無いが、本体が死んでもスタンドだけ動くということはある。 生死があやふやなことは理由にならない。 『人は成長してこそ生きる価値あり』いつも億泰に言ったことだ。 億泰は『成長』を見せた。それなのに自分は成長どころか弱くなっていた。 それで言いわけが無い。だからコイツで自分の成長を証明する。 ―――「バッド・カンパニー!」 形兆の能力『バッド・カンパニー』はミニチュア軍隊を操るスタンドだ。 生み出した歩兵隊を形兆の位置を頂点としたV字に配置する。他はまだ出さない。 「な!?何だねソレは!?」 ギーシュにはスタンドが見えているらしい。(理由は分からないが) 左足を軽く下げ、左手をポケットに突っ込む、 そして上半身を少し後ろに傾けながら、右ひじを曲げた右手で相手を指差す。 「お前のワルキューレの頭を吹き飛ばすモノだ…」 「射撃開始!」 歩兵達が前にいるワルキューレの頭に集中射撃をする。 ワルキューレの頭は『予告』通り吹き飛ぶ。頭を失ったまま倒れるワルキューレ。 「何!?クソっ!まだだ!」 そういって後ろから気配が近づいてくる。最初に蹴飛ばした一体目のワルキューレだろう。 「爆撃ッ!」 爆発と共に一体目のワルキューレも頭を失う。 撃ったのは成長した証。「ハリアー2」のロケットランチャーだ。 「な、何ぃ~~~!」 ギーシュは慌てている。だが、すぐに落ち着き、杖を振った。 ワルキューレの頭が修復される。それなら銃で狙うのは間接部。 ギーシュは次々と新たなワルキューレを作り出していく。 ギーシュは本来なら全部で七体だせるのだが、修復も行ったために作れたのは全部で六体。 形兆も残りの部隊を出していく。アパッチ、戦車、歩兵隊そしてハリアー2。 距離は四メイルほど。決着は、近い。 「ワルキューレたちよ」 「全体ィィィィィィィ」 「行けェ―――ッ!」 「突撃ィ―――ッ!」 攻撃力も、リーチも、ワルキューレではバッド・カンパニーに及ばない。 防御力なら分があっただろうが、それも殴り合いにならないのなら意味が無い。 結果。バッド・カンパニーに傷一つ負わせることなくワルキューレは敗れた。 ミサイルや砲撃を受けたものは体を吹き飛ばされていたり、 歩兵隊の攻撃を受けたものは間接部分を壊され動けなくなっている。 「そ、そんな、バカな」 ギーシュは固まっている。 形兆はバッドカンパニーごと歩き出す。 そして目の前まで近づくとバッド・カンパニーでギーシュの顔を狙う。 殺される。本能でそれを感じ取るギーシュ。 「キ、君の勝ちだ。だ、だから、や、やめてくれ…」 ギーシュの懇願。 「さっきそう言われたらお前は止めたか?」 「そ、それは…その」 「…いいだろう」 意外な一言。 「え?」 そういったのはギーシュだけではない。ギャラリーまでもが同じ気持ちだった。 そのまま形兆は振り返り歩き出す。 五メイルほど歩いたところで後ろにルイズがやってきた。 「形兆?その…何をしたの?いや、それより……(何で殺さなかった?)」 ルイズも形兆がギーシュを殺すつもりだったと思っていたらしい。 形兆は振り向くことなく答える。 「『何も殺すこたあねー』さっきはそー思っただけだ」 少しだったが成長した億泰に会えた。なら親父のことはアイツにまかせて良いだろう。 元の世界に帰るのを諦めたわけではないが、急ぐ必要も無くなった。 この世界での生活を少し楽しむのも良いだろう。 そう思った形兆は自分の人生が始まるのを実感していた。 ゼロの奇妙な使い魔 Part29 完 ギーシュ―舎弟になった。 ルイズ―大体原作通り。 シエスタ―同上 モンモン―自分の部屋へ行き二時間ねむった…目をさましてからしばらくしてギーシュの事を思い出し…泣いた。
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「アンタは平民で使い魔、私は貴族で主人。以上」 場所をルイズの部屋に移し、椅子に座り、足をくみ、言った言葉がこれだった。 だがそれで分かったことは何ひとつ無く、 主人という新たな単語が形兆の心の中にある『分からない事メモ』に追加されただけだった。 「ここは何処なんだ?」 続けて最初にしたのと同じ質問をする。 「トリステイン魔法学院よ」 これで分かるでしょ?といわんばかりの態度、もちろん有名なので大抵の人はこれで分かるのだが、 「つまり何処なんだ?」 形兆には分かるはずもなかった。 「知らないの?あんた何処の平民よ?」 「平民?何だそれは?さっきの貴族とか言う言葉と関係があるのか?」 「そうよ、ってそんなことも知らないの?あんたって相当頭悪いのね」 いつもなら弟の方が言われる事を言われ、少しヘコむ。が、すぐに気を取り直して質問を続ける。 「平民と貴族の違いは何だ?」 「魔法を使えるのが貴族で、そうじゃないのが平民よ、例外もあるけどね」 「魔法だと?」 「そうよ」 ルイズは子供でも知っているような常識すら知らない使い魔の頭の悪さに…… 形兆は自分の心のメモと質問の答えを合わせ、自分の立場を理解し始めて…… 頭痛を起こした。 する方とされる方、両方が頭痛を起こしながら続いた質問を終え、 形兆は一つの『決断』をした。 自分の状況をルイズに話す、という決断を。 そして話し終わった時のルイズの反応は 「ふーん」 という冷たいものだった。 予想外の反応に驚きながらも話を続ける 「元の世界に帰る方法に心当たりは?」 「知らないわよそんなの」 「知らないだと?じゃあどうやっておれを召喚した?」 「サモン・サーヴァントでよ」 「それでおれを帰すことはできないのか?」 「無理よ、そんなの、召喚するだけだもの」 「それでも試す価値はある」 「サモン・サーヴァントはね、使い魔がいるうちは使えないの」 「つまりこういうことか?『おれが死ななきゃ使えない』」 「Exactly(そのとおりでございます) 」 このようなやり取りが続いていき、会話が終わる頃にはルイズが普段ならもう寝ている時間になっていた。 肝心の形兆がこれからどうするか、というところでは 「アンタは使い魔なんだから私に尽くしなさい」 といって聞かなかった。 形兆も使い魔にならなければ衣食住の世話をしない、ということで、渋々ながらも使い魔になることで落ち着いた。 もっとも、このやり取りだけで二時間を消費していたのだが。 そして寝るためにルイズが服を脱ぐ、正々堂々と隠しもしないで、 「おれに見られて恥ずかしくないのか?」 と形兆が言っても 「は?何で?アンタ使い魔でしょ?」 という言葉だけで着替えを続けるルイズ。 『自分には人権がない』 形兆はそれを心のメモに付け加えた。メモするのはこれが今日最後になることを祈りながら。 そして人権が無いということからルイズの次の言葉を予想する。 「アンタは床で寝なさい。毛布くらいは恵んであげるわよ」 予想どおりは気分が悪かった。 「あと、これ洗濯しときなさい」 そういって投げてよこされる衣服。 形兆のやることは掃除、洗濯、雑用といわれていたのでこれも予想どおりだった。 寝る前に洗濯道具の場所を聞こう、そう思いルイズの方を見たが、すでに寝ていた。 仕方なく形兆は床に横になり毛布を被って、状況を整理してみた。 ・ここは異世界 (月も二つあったしおそらく確定) ・スタンド攻撃の可能性はおそらく無い (こんな回りくどいことをする必要が無いから) ・魔法がある (頼んでもルイズは見せてくれなかったが) ・自分の生死も不明 (生きている気はするのだが…) ・自分のスタンドは無い (一度死んだから?)(死んでいるから?)(それ以外ということも?) ・元の世界に帰る方法もない (分からないだけであって欲しい) ・自分は使い魔で主人はルイズ (イヤだが仕方が無い) こんなところだろうか。 整理してみて自分の状況がヤバイことを再確認する。 せめて下四つの内一つでも何とかなれば大分楽になるのだろうが、今はどうしようもない。 とりあえず明日は洗濯のためにも晴れることを願いながら、形兆は眠りについた。 To Be Continued ↓↓
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日本時間で朝六時半、そのくらいの時間に自然に目を覚ます。 家族の分の朝食を作り、簡単な家事をするためにはこの時間が一番いいからだ。 一応セットしてあるがあまりお世話にならない目覚まし時計を止めようとして―――思い出した。 死んだこと、生き返ったかもしれないこと、ここが異世界であること、 ―――しなくてはならないことがあること。 『それ』をするための準備をして部屋を出る。近くに人はいない。 そして一階まで降り、人を探す。 うまい具合に一人見つけ、そいつに近づく。 あと五メートルほどの所でそいつがこっちに気づいた。女だった。驚いた顔をしている。 そしてあと二メートルくらい距離を縮める、女の顔が怯えているように見える。 「おはよう。イキナリですまないが洗濯の道具は何処にあるか教えてもらえるか?」 これ以上怯えさせないため、形兆はなるべく爽やかに挨拶をした。 「こちらにある道具なら自由使ってかまわないと思います」 「ありがとう。助かったよ」 「では、私はこれで」 そういって黒髪のメイド、シエスタは去っていく。 簡単な自己紹介で自分が使い魔であることを見抜かれた。 見抜かれたというよりは他に考えられなかっただけなのだろうが、そんなことはそうでもいい。 とにかくこれで洗濯ができる。形兆にあるのはそれだけだった。 シエスタに教えてもらった水汲み場に行く。 ここで洗濯をすれば良いと言われたからだ。 まず形兆は持ってきたタライに水をいれる。 次に洗濯板の片方を浸け、もう片方をおなかで固定するッ!これで板がぐらつくことはもう無いッ! 濡らした衣類を板の上に広げてッ、両手の手のひらの手首に近いところを使いッ!揉む様に洗うッ! コツは肩の力を抜き手首をなるべく軟らかく動かすことッ! そして何よりも重要なのはッ!何よりも重要なのは『汚れを落とすッ!』という強い意志をもつことッ! 億泰が服に付けたしょうゆとかのシミをよくこんな風に落としてやったな、 そんな事を思い出しながら時間は過ぎてゆく。 洗濯を終え清々しい気分で部屋に戻った形兆を出迎えたのは主人の怒りだった。 起きたばかりなのかまだ寝間着のままルイズは自分の使い魔を怒鳴りつける。 「どこに行ってたのよ!」 「水汲み場だ」 「何でそんなところに行ったのよ!」 「洗濯をしろ、といったのはそっちだが?」 「う……で、でも何で私を起こさないのよ!」 形兆に非は無い、それを知ったルイズは別のところに矛先を向けた。 「起こせ、とは言われてなかったぞ?」 「そうだけど……えーと、えーと、と、とにかく謝りなさい!」 わざわざ怒る理由を探した割には無茶な怒り方だった。 起きた時姿が見えなかったのがそんなに不安だったのだろうか。 別に形兆は悪くないのだから謝る必要は無いのだが、このままだとどんなことになるか分からない。 「謝らないとご飯抜きよ!」 謝る理由も意味もないのに謝れと言われ形兆にも怒りがでてきた…………だがしかしッ! (この場所であってはならないのは…『精神力』の消耗だ…くだらないストレス! それに伴う『体力』へのダメージ…!! おれはこの『異世界』で!!『やるべき目的』(帰る方法を探すこと)があるッ! 必ずやり遂げてやる…そのためには…!くだらない消耗があってはならないッ! いや…逆にもっと強くなってやるッ!) 「すまなかった。次から気をつける」 腰をキッチリ四十五度曲げ、謝った。 自分の使い魔がアッサリと謝ったことにルイズは驚く。 自分でもこれは理不尽なことだと薄々は思っていたのだが、主人としてのプライドがルイズを意固地にさせていた。 『形兆は謝らない』……『自分も後には引けない』つまり、堂々巡りの形になるな… ルイズはそう考えていた。 だが余計な消耗を嫌った形兆の謝罪によってそうはならなかった。 この話題を蒸し返されたら、また面倒なことになる。そう判断したルイズは次の命令をした。 「早く服を着せなさい」 「それも使い魔の仕事なのか?」 「そうよ。貴族は目の前に従者がいる時、自分で服を着たりしないのよ」 「そうか……」 正直言ってやりたくないことだったが、文句を言っても余計な消耗をするだけなのでさっさと服を着せた。 ルイズに服を着せ、二人で部屋を出ると、廊下にあるドアの一つから赤い髪の女が出てきた。 「おはよう、ルイズ」 「おはよう、キュルケ」 相手の名前以外は同じことを言っているのだが ルイズの方は何故だか分からないが不機嫌そうな、 キュルケとか言う女の方はお気に入りのおもちゃを見つけて、喜びを隠し切れない子供みたいな言い方だった。 「それがあなたの使い魔?」 「そうよ」 「へ~~~ぇ」 「何よ」 「ほんとに平民を使い魔にしたんだな~~~って関心してたのよ。流石は『ゼロのルイズ』ね」 「うるさいわね」 形兆はこの一言で二人の大体の関係を把握し、なるべく関らないことに決めた。 「そうそう私の使い魔をよく見せてなかったわね。来なさい、フレイム」 キュルケが自分の使い魔を呼ぶ。 そして現れたのは、赤くて大きい爬虫類だった。 「火トカゲよ。サラマンダーとも言うわね」 勝ち誇った声でサラマンダーを見せてくる。 形兆は火トカゲだとどこかの博士からもらえる三匹の内の一匹のイメージがあったため、 『こいつの種族はサラマンダー』と覚えた。ちなみに彼は聖剣の伝説のゲームはやっていなかった。 そしてキュルケは使い魔の自慢話を始める。 内容は尻尾の炎の事やそこから推測したサラマンダーの出身地、 それ(出身地)がブランドものであること、 好事家に見せたら値段なんかつかない事など、形兆にはよく分からないことを話し始めた。 分からないから適当に相槌を打っていれば良かったのだが 形兆はさっき関らないことを決めていたので何も言わなかった。 だから適当に聞き流してさっさと去ってしまえばそれで良かったのだが、 ルイズはそれをしなかった。つまり聞き流さなかったのだ。 それでもルイズは何も言い返さない、 そしてキュルケの話が終わり、キュルケがこの場を去った後に、 「なんなのよあの女はッ!」 盛大に怒りを音に変換した。 「まあそう大声を出すな、そのうちお前にも運が巡ってくるさ」 形兆がフォローをいれようとしても、 「あんたが原因でしょうがっ!」 やはり怒鳴られた。 「何であの女がサラマンダーで私はあんたなのよ!」 「それをおれに言われてもな」 「あ~~~くやし~~~」 「そういえば『ゼロのルイズ』ってのは何なんだ?」 これ以上ルイズの恨み言を聞く前に何とか話題を変えようといった言葉だが、これが良くない結果を生んだ。 「うるさ~~~~~いッ!」 火に油を注いでしまったのだ。 しばらくしてルイズの怒りがおさまったので、二人とも一階にある食堂に移動する。 食堂の中には三桁くらい座れそうなテーブルが三つ並んでいて、結構な人数がもう食事をしていた。 右のテーブルには茶色のマントの生徒、真ん中がルイズと同じ黒、そして左が紫である。 形兆はふと思ったことを聞く。 「マントの色は学年で決まっているのか?」 「そうよ、茶色が一年生で紫が三年生」 「黒が二年か」 「ええ、そうよ」 そしてルイズは立ち止まる。 つられて形兆も立ち止まり、 「早く椅子を引きなさいよ、気の利かない使い魔ね」 無言で椅子を引き、形兆も座ろうとして――― 「あんたは下よ」 と、ルイズに言われた。 下を見るとそこにあったのは皿に入った明らかに粗末なスープとパンだった。 「感謝しなさい。使い魔は外で食べるのに私のおかげで中で食べれるんだから」 形兆はプッツンしそうになったが、プッツンしても状況は何も変わらない、 それどころか悪くなるだろうことを考え、自分を抑えた。 いっそ脱走しようかとも考えたが、まだ情報が少ないためそれすら不可能と判断し、 情報を集めたらさっさと逃げること、後で食べられそうなキノコを探すことを決め、形だけの感謝を述べた。 To Be Continued ↓↓
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まだ近くにいたギーシュの友人にヴェストリの広場の場所を聞き、向かう。 すでに広場には騒ぎを聞きつけた貴族達でいっぱいだった。 広場の中心にギーシュとルイズがいた。 ギーシュとルイズは口論しているようだったが、 やがて渋々と言った感じでルイズが引き下がる。 そして形兆がやってきた。 広場の真ん中で形兆とギーシュがにらみあう。距離はおよそ三メイル。 「諸君!決闘だ!」 ギーシュが薔薇の造花を掲げる(あれが杖らしい)。その途端歓声が巻き起こる。 「さて、今回決闘をするのは、ぼくことギーシュ・ド・グラモンとミス・ヴァリエールの使い魔だッ!」 またもや巻き起こる歓声。それを満足そうに聞きながら、ギーシュは形兆に話しかける。 「逃げずに来たことは褒めてやろう」 「……」 形兆は答えない。 そして、決闘が始まった。 場所は変わって学院長室。 その部屋の主、オスマンは難しい顔をしていた。何かを考えているらしい。 考えがまとまったらしく口を開く。 「ワシがトリステイン魔法学院学長、オスマンであーる!…コレ面白いと思わない?」 「思いません」 彼の考えたキメ台詞は秘書のロングビルには不評だった。 そんな平和な学院長室に男が慌ただしく入ってくる 「大変です!オールド・オスマン!」 コルベールだった。 「大変です!コレを見てください!」 そういって手に持った本を見せる。 「ム!?……スマンが席をはずしてくれんかの。ミス・ロングビル」 「はい」 ロングビルが部屋を出て行ったのを確認し、コルベールが話しだす。 「ミス・ヴァリエールの使い魔の少年のルーンが珍しいので調べてみたら 『ガンダールヴ』のものと同じだったんです!」 「つまりその少年はガンダールヴじゃと言いたいのか?」 「そうです。正確にはガンダールヴの力を手に入れたということですが……」 「フーム……」 二人が黙り込む、その静寂を破ったのは第三者だった。 「大変です!オスマン氏!」 飛び込んで来たシュヴルーズはそのまましゃべり続ける。 「きょ、教室が、教室が!」 「落ち着きなさい。一体どうしたというんじゃ」 「教室がとても綺麗になっているんです!普通じゃないくらい!」 それがどうした。そう言いたいが言えない二人。 さっきとは意味の違う沈黙を破ったのはまたもや第三者だった。 「大変です。学院長」 ノックの後に聞こえてくる声。 「今度は何じゃ?」 入ってきたのはさっき出て行ったロングビルだった。 流石にウンザリしながら聞くオスマン。 「広場で決闘騒ぎです。教師たちが『眠りの鐘』の使用許可を求めています」 「ダメじゃ、子供のケンカに秘宝を使える分けなかろう。ほっとけば良いのじゃ」 そういって窓の外を見る。 (全く…騒ぎが多いのう) オスマンは知らない、その騒ぎは全部形兆が関っていることを。 形兆はどうしても決闘に勝ちたい訳ではない。(負けるつもりもないが) 二つの目的のためにこの決闘を受けた。 一つ目はもう達成した。 決闘が始まった時点でシエスタの安全は保障される。 そして二つ目。 メイジの戦闘力を肌で知ることだ。 脱走の際に自分はメイジと戦って勝てるのかどうか、 それ次第で自分の脱走法も変わってくる。 これはまだ結論がでてなかった。 ギーシュが錬金で作ったワルキューレの攻撃を後ろに下がり避ける。 さっきからコレの繰り返しのため距離は九メイルほどまでに開いていた。 「避けてばかりかい?」 そういいながらワルキューレを操るギーシュ。 ワルキューレは何も持っていない。だが青銅でできている拳の威力が高いだろうことは予測できる。 それでもスピードはたいしたことない。クレイジーダイヤモンドに比べれば全然遅い。 情報集めを終え、本格的な戦闘体勢にはいる。 ワルキューレが間合いギリギリの攻撃を仕掛けてきた瞬間、それをギリギリで避け、 右脚でワルキューレの左の腹を蹴り『飛ばす』。 もちろん青銅をそのまま蹴りつけるほどバカじゃあない。相手を転ばすための蹴りだ。 膝を使って衝撃をやわらげ、力を込める。 そしてそれは成功。 ワルキューレが左に倒れこむ、形兆はそのまま右脚を下ろすと同時に地面を蹴り、 ギーシュに向かって走り出す。 「ふん、突っ込んでくるとは単純だね」 自分の方に突っ込んでくる形兆を見てそう言う。 形兆が残り二メイルまで迫ってきたところで杖を振る。 ―――スタンドが倒せないなら本体を狙う。それはスタンド使い同士の戦いでは基本だ。 ―――それもスタンド使い同士『なら』の話だが。 二体目のワルキューレが現れる。 「何ィッ!?」 スタンドは一人一体。(形兆自身のように例外はあるが)原則的にはそうなっている。 スタンド使いとの戦いが長かったため二体目があるかもしれないことを考えもしなかった。 そのまま自分の勢いを止められず、カウンター気味に二体目のワルキューレの拳を腹に受け、 形兆は意識を手放した。 To Be Continued ↓↓
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win /// / 精巧な、几帳面、厳密に言えば 2 \ 13 seren klel wan \ [ yuo ] \ onを精巧にする、念入りな状態にする \ [ iyuan ] \ 念入りにした、精巧にした、まめな、マメな、几帳面な、精度が高い \
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銃撃手の記憶を有する生真面目で几帳面な少年メモリビト。16歳。 ガンマニアであり、メモリの特性上優れた視覚と聴覚を持つ。 本人は不必要な乱射や火力は好まない几帳面なのだが、その生真面目な性格が災いし、いざとなると力が入りすぎる癖があるらしくこの辺りがあの威力の根源になっていると思われる。 そんな自分も受け身でフォローしてくれる温厚なルナへ密かに思いを寄せている模様。
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A型にはAA型とAO型の2つのタイプがある。父親と母親の血液型でこの2つのタイプに別れる。 AA型は基本的に几帳面。部屋にいくときれいなことが多い。 AO型は若干大雑把な一面も持つ。変なところで几帳面な所を現すことがある。例えば部屋は汚いけどハンバーガーの食べ終わった包装紙をきれいにたたむなど。 ただこの法則がいつも当てはまるとは限らない。要注意。 A型の人 おざき かずき しゅんT ようすけ