約 178 件
https://w.atwiki.jp/imaska/pages/222.html
■春香閣下の冷戦期世界統一 原作ゲーム あらすじ 日本 登場人物 ◎日本天海春香(あまみ・はるか) 如月千早(きさらぎ・ちはや) 萩原雪歩(はぎわら・ゆきほ) 高槻やよい(たかつき・やよい) 秋月律子(あきづき・りつこ) 三浦あずさ(みうら・あずさ) 菊地真(きくち・まこと) 水瀬伊織(みなせ・いおり) 双海亜美(ふたみ・あみ) 双海真美(ふたみ・まみ) 星井美希(ほしい・みき) 音無小鳥(おとなし・ことり) 内閣の構成 福○ ○村 史実における冷戦期の陣営構造 冷戦期の欧州の対立構造 作中における諸外国の主な構図 諸外国1(西側:資本主義)アメリカ合衆国(米の国) イギリス(グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国) イタリア共和国(旧ドゥーチェと愉快な仲間たちの集団) フランス共和国 大韓民国(大韓帝国なんて存在してませんよ??) 諸外国2(東側諸国:社会主義)ソビエト連邦(ソビエト社会主義共和国連邦) 中○国 その他ア○カイダ ストーリーネタバレ注意 閣下がアメリカに提案した合意事項の解説①横浜復興費用問題 用語宅配アーミー タグ アニメとアイドルは俺たちのジャスティス タグ ■春香閣下の冷戦期世界統一 原作ゲーム World in Conflict +英語版(非日本語化MOD) +DirectX9.0C環境 +拡張マップ導入済み Hearts of Iron 2 Doomsday Armageddon +英語版非日本語化(MOD導入の為) +MDS1.5(核調整済み) あらすじ 舞台はベルリンの壁崩壊によって終わる筈だった『冷戦』が終えられぬまま続いた世界の『日本』 西と東に別れ反目する世界情勢の中で翻弄され疲弊していく日本 十数名のアイドル達によって運命が変わる…… 日本 れっきとした民主主義国家。西側諸国に属するが首相の意向によって東側諸国との関わりも持つ。 作品中では非核三原則のような宣言は行っていない模様。 そして、アニメ大国の異名を持つ。アニメに関する技術では世界トップクラスである。 クーデター風に見えるが、民主主義における原則である「多数決」によって天海内閣が発足した。 登場人物 ◎日本 天海春香(あまみ・はるか) 概要 - 最近閣僚たちの前で稀にデレる - 無理難題を他のアイドル達に強要(特に律子に)した上、不平不満が然程出ていない様子 - 実家の自室を首相官邸内一角のスタジオセット裏に移築し仮眠スペースとして使用 - 最近では料理をしながら宣戦布告文を考え無ければならないほど公務が忙しい様子 - 『作戦名の酷さ』と『宣戦布告文の理不尽さ』はウルトラC級(某ゲームのネーミング改悪王並とも…) 職業 - 国民的アイドル(オリコンチャート1位を獲得) - 内閣総理大臣 - 作戦司令部【最高司令官】 + 現在までの二つ名 現在までの二つ名 【第01話(_)】閣下 【第03話(後)】最上級閣下 【第03話(後)】利根級閣下 【第03話(後)】伊吹級閣下 【第03話(後)】金剛級閣下 【第03話(後)】扶桑級閣下 【第03話(後)】伊勢級閣下 【第03話(後)】長門級閣下 【第03話(後)】大和級閣下 【第03話(後)】Person of the Year受賞 【第04話(_)】敵国のくせになまいきだ or2 【第05話(前)】ピンクリボンの予備が108つ 【第05話(中)】愛用のリボン製造元を国有化 【第05話(後)】新曲がオリコンチャート1位 【第06話(_)】閣下が歩けば世界が動く 【第07話(_)】国会中継の視聴率76.5%の原因 【第08話(_)】春香チャンネル開設、回線パンク中 如月千早(きさらぎ・ちはや) 概要 - 外務大臣として世界中を飛び回り交渉を行っている - 遺憾の意を伝える手段として最近では『電話が繋がらなくなる』という現象が発生する - 最近では「笑顔で黙殺」という手段を会得したようである - 即断即決で相手国を困惑させることも多々あり 職業 - 国民的アイドル - 外務大臣 - 航空自衛隊【第二航空団(部隊長)】運用部隊【F-15J戦闘機】 + 現在までの二つ名 現在までの二つ名 【第01話(_)】 【第03話(後)】踊る!!国会議事堂 【第04話(_)】極薄の妻たち~72cm板~ 【第05話(前)】 【第05話(中)】大空の彼方からの外交交渉 【第05話(後)】 【第06話(_)】機内で熱唱、傍受されYoutubeへUp 【第07話(_)】鳴りやまない電話を一撃粉砕 【第08話(_)】 萩原雪歩(はぎわら・ゆきほ) 概要 - 穴掘り(塹壕・土木工事含む)のエキスパート - 塹壕の本を愛読書にしている 職業 - 国民的アイドル - 国土交通大臣 - 環境大臣 - 陸上自衛隊【第二軍団(部隊長)】運用部隊【歩兵7個師団/指揮部隊】 + 現在までの二つ名 現在までの二つ名 【第01話(_)】穴掘り免許皆伝 【第03話(後)】勲一等円匙瑞宝章 受勲 【第04話(_)】ミスタードリラー東京地盤沈下編 【第05話(前)】悪戯による破防法適用寸前 【第05話(中)】 【第05話(後)】 【第06話(_)】 【第07話(_)】 【第08話(_)】プロジェクトX最多登場 高槻やよい(たかつき・やよい) 職業 - 国民的アイドル - 農林水産大臣 - 海兵隊【調理・兵站アドバイザー】 + 現在までの二つ名 現在までの二つ名 【第01話(_)】貧乏姉妹 【第03話(後)】冬のもやし革命 【第05話(前)】 【第05話(中)】 【第05話(後)】 【第06話(_)】 【第07話(_)】 【第08話(_)】 秋月律子(あきづき・りつこ) 概要 - 財務・経済産業大臣として政府の金融・経済管理を担っている - 重要ポストを兼任しその仕事量は増大の一途を辿り、眠れぬ日々が続く 職業 - 国民的アイドル - 財務大臣 - 経済産業大臣 - 作戦司令部【最高司令官】作戦・計画 主任解説役 + 現在までの二つ名 現在までの二つ名 【第01話(_)】カワイイDEATH 【第03話(後)】メガネキラッ☆ 【第04話(_)】難波金融道~国会編~ 【第05話(前)】数字で世界を捕る女 【第05話(中)】ウォール街の大魔王 【第05話(後)】 【第06話(_)】書類を纏めて三千里 【第06話(_)】電卓に血飛沫が舞う 【第07話(_)】 【第08話(_)】夢見心地も本日まで… 三浦あずさ(みうら・あずさ) 職業 - 国民的アイドル - 法務大臣 - 海上自衛隊【第二艦隊(艦隊司令)】運用部隊【護衛艦18隻/潜水艦4隻】 + 現在までの二つ名 現在までの二つ名 【第01話(_)】常時捜索願 【第03話(後)】捜索隊も道連れ迷子 【第04話(_)】みんなの地図-全力サポート編 【第05話(前)】 【第05話(中)】 【第05話(後)】 【第06話(_)】 【第07話(_)】 【第08話(_)】この人が迷わない地図を作れば100万円 菊地真(きくち・まこと) 職業 - 国民的アイドル - 防衛大臣 - 陸上自衛隊【第六軍団(部隊長)】運用部隊【4個戦車師団】 + 現在までの二つ名 現在までの二つ名 【第01話(_)】 【第03話(後)】天高く舞う真の武 【第04話(_)】防衛の戦女神 【第04話(_)】真(まこと)・三國無双2猛将伝 【第05話(前)】多元世界でも軍人です 【第05話(中)】 【第05話(後)】 【第06話(_)】自衛隊広報用ポスター盗難数No1 【第07話(_)】 【第08話(_)】総火演のチケット入手倍率上昇の原因 水瀬伊織(みなせ・いおり) 職業 - 国民的アイドル - 厚生労働大臣 - 航空自衛隊【第八航空団(部隊長)】運用部隊【F-2B支援戦闘機】 + 現在までの二つ名 現在までの二つ名 【第01話(_)】ツンデレ→永遠の輝き 【第03話(後)】デススター 【第05話(前)】ミラーハウスには立ち入り禁止 【第05話(中)】 【第05話(後)】 【第06話(_)】湯煙で曇る曇るその額 【第07話(_)】 【第08話(_)】舞い上がる光源体 双海亜美(ふたみ・あみ) 職業 - 国民的アイドル - 国家公安委員長 - 警視庁長官 - 消防庁長官 - 情報部【潜入・工作アドバイザー】 + 現在までの二つ名 現在までの二つ名 【第01話(_)】 【第03話(後)】悪戯のサブプライムショック 【第05話(前)】悪戯による破防法適用寸前 【第05話(中)】 【第05話(後)】 【第06話(_)】 【第07話(_)】 【第08話(_)】雪歩と協同で硫黄島を要塞化 双海真美(ふたみ・まみ) 職業 - 国民的アイドル - 国家公安委員長 - 警視庁長官 - 消防庁長官 - 情報部【潜入・変装アドバイザー】 + 現在までの二つ名 現在までの二つ名 【第01話(_)】 【第03話(後)】ものまね永世名人 【第05話(前)】 【第05話(中)】 【第05話(後)】 【第06話(_)】 【第07話(_)】 【第08話(_)】衣装だけで東京ドームが埋まる 星井美希(ほしい・みき) 職業 - 国民的アイドル - 文部科学大臣 - 海上自衛隊【第一艦隊(艦隊司令)】運用部隊【空母1隻/護衛艦14隻/潜水艦6隻】 + 現在までの二つ名 現在までの二つ名 【第01話(_)】 【第03話(後)】宇宙の大いなる電波を受信 【第04話(_)】乳々白書 暗黒おにぎり武術会編 【第05話(前)】寝る娘は何処かが育つ 【第05話(中)】 【第05話(後)】 【第06話(_)】 【第07話(_)】 【第08話(_)】ゆとりが羽ばたく頃に… 音無小鳥(おとなし・ことり) 概要 - 総務大臣として、時には同人誌の執筆者として活躍する人 - 時には解説役 職業 - 765プロダクション総務課 - 総務大臣 - 自衛隊【輸送補給部】運用・仕入責任者 + 現在までの二つ名 現在までの二つ名 【第01話(_)】 【第05話(前)】関東妄想族14代目総番 【第05話(中)】 【第05話(後)】 【第06話(_)】物資の発注ならKotozon.co.jpまで 【第07話(_)】第二国会図書館建設賛成派 【第08話(_)】今年の目標:秋葉原再開発計画の打倒 + 日本2 + 現在までの『福口康夫』の二つ名 【第02話】:ジョブチェンジ中 内閣の構成 氏名 役職名 天海春香 内閣総理大臣 如月千早 外務大臣 萩原雪歩 国土交通・環境大臣 高槻やよい 農林水産大臣 秋月律子 財務大臣 〃 経済産業大臣 三浦あずさ 法務大臣 〃 公安審査委員長 水瀬伊織 厚生労働大臣 菊地真 防衛大臣 双海亜美・真美 国家公安委員長 〃 警視庁長官 〃 消防庁長官 星井美希 文部科学大臣 音無小鳥 総務大臣 代行:秋月律子→ウィリアム・パーカー(プロデューサー) 内閣官房長官 金融担当大臣 沖縄及び北方(北海道周辺)担当大臣 下の二つの大臣は法律によって設置することが義務付けられている。 官房長官の件も含めて新アイドルが任命されることも想定される。 福○ 前内閣総理大臣。 「あなたとは違うんです」 自分を客観的に見ることが出来る(らしい)。 転職中で、現在は内閣の雑用係。 ○村 前官房長官。 グ○ンサン派 史実における冷戦期の陣営構造 (Wikipediaより引用) 資本主義陣営(西側)アメリカ大陸:アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、 ヨーロッパ:イギリス、フランス、西ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガル、オランダ、ギリシャ、デンマーク、ノルウェー、トルコ アジア・オセアニア:日本、大韓民国、中華民国、南ベトナム、フィリピン、タイ、マレーシア、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド 中東・アフリカ:イスラエル、南アフリカ、北イエメン 共産主義陣営(東側)ヨーロッパ:ソビエト連邦、ポーランド、東ドイツ、ルーマニア、ブルガリア、チェコスロバキア、ハンガリー アメリカ大陸:キューバ アジア:中華人民共和国、北朝鮮、北ベトナム、カンボジア、モンゴル、ラオス 中東・アフリカ:南イエメン、タンザニア、エチオピア、ベナン、シリア 非同盟・中立スイス(永世中立国) オーストリア、スウェーデン(西側寄り) フィンランド(ソ連寄り) ユーゴスラビア、アルバニア(共産主義圏) フィンランドはソ連寄りではあったが政治・経済面では自由主義・資本主義国 ミャンマー(鎖国下で民族社会主義政権を樹立。独特の自立体制を模索した) 資本主義陣営→共産主義陣営イラク、キューバ、エチオピア、ラオス、カンボジア、ベトナム(旧南ベトナム) 共産主義陣営→資本主義陣営インドネシア エジプト 資本主義陣営→イスラム原理主義陣営イラン 冷戦期の欧州の対立構造 冷戦期では欧州の対立も大きく関わるため記載しています。 政治的対立西側=欧州会議、北欧理事会 東側=主流派社会主義による結束 軍事的対立西側=北大西洋条約機構(NATO)、西欧同盟(WEU)、バルカン軍事同盟 東側=ワルシャワ条約機構(WTO) 経済的対立西側=対共産圏輸出統制委員会(COCOM)、欧州共同体(EC)、欧州自由貿易協定(EFTA)、欧州通貨協定(EME)、経済協力開発機構(OECD) 東側=経済相互援助会議(COMECON) 作中における諸外国の主な構図 西側諸国(アメリカを中心とした資本主義国):北大西洋条約機構(NATO) 東側諸国(ソ連を中心とした社会主義国):ワルシャワ条約機構(WTO) イギリス・北欧を除くヨーロッパ諸国:ヨーロッパ連合(EU) その他の国々はそれぞれの勢力の従属国およびどの勢力にも属さない中立国であるという可能性が高い。 ちなみに日本は西側諸国に属しているが、立場的には中立国に近いスタンスではある。 ……編集が思ったことは「これなんてダ○ルオー?」 日本が国家を挙げて機動兵器を作ってしまいそうで怖い……。 諸外国1(西側:資本主義) アメリカ合衆国(米の国) 国概要 - 【首都】ワシントンD.C - 【所属】北大西洋条約機構(NATO) - 【最高権力者】ジョージ・HW・ボッシュ 解説 - 作品の中ではある意味暴走…いや、狂気の沙汰ともいえる国 - 史実の冷戦中にこういう部分も少なからずあったようであり、ある意味史実準拠に近い - 軍内部はアニメ好きが多い(だめだこの軍、早くなんとか…いや、もう遅いか) - 横浜戦役では敵の兵站に損害を与えるため一帯を砲撃(のちに代償を払わされる) 軍事状況 - 【--話】イラク戦争を発端とし米ソ対立、冷戦から第三次世界大戦に - 【03話】イラク戦争後に旧イラク領を併合、米ソ開戦後4ヶ月で旧イラク領の半数を失う - 【06話】中国が日本に併合されたあともソビエト・イラン連合に押し捲られ中東派遣軍は壊滅 - 【09話】北欧の友邦国から部隊を上陸しソビエト首都に侵攻 - 【10話】ソビエト首都数百kmまで迫るも後退を余儀なくされる イギリス(グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国) 国概要 - 【首都】ロンドン - 【所属】北大西洋条約機構(NATO) - 【最高権力者】ゴードン・ブラウン?(作中未紹介) 解説 - 英国紳士に定評のある国 - 料理に関する汚名を返上すべく国家の予算(約1兆円規模)を割くほどにまで力を入れる模様 - 上記計画に68億ユーロを10/13時点のレート(1ユーロ=137円)で計算すると四捨五入で約1兆円規模を投入 - そこまでして返上……したいだろう。自分の汚名は特に(ry 軍事状況 - 【--話】威力偵察代わりか中国に侵攻する日本に対し微力ながら航空支援を実施 - 【--話】北欧の友邦国から部隊を上陸しソビエト首都に侵攻 - 【--話】ソビエト首都数百kmまで迫るも後退を余儀なくされる イタリア共和国(旧ドゥーチェと愉快な仲間たちの集団) 国概要 - 【首都】ローマ - 【所属】解説回2.5話参照 - 【最高権力者】ジョルジョ・ナポリターノ?(作中未紹介/ドゥーチェじゃないですよ?) 解説 - 地中海に面し国土の形が長靴の形に似ているのが特徴的 - 料理が美味く、パスタを主としたイタリア料理抜きにこの国を語ることなど出来ない - ドゥーチェ亡き後の遺志がここに集まり、超大型戦艦「ベニート・ムッソリーニ」が実戦配備となる(戦艦経済) 状況 - 【--話】- - 【--話】- - 【--話】- フランス共和国 国概要 - 【首都】パリ - 【所属】解説回2.5話参照 - 【最高権力者】ニコラ・サルコジ?(作中未紹介) 解説 - トリコロール国旗で、ワインに五月蝿い国 - カフェでカニカマが爆発的大人気、史実では「SURIMI」の名でフランスの食生活に欠かせないものとなっている 状況 - 【--話】- - 【--話】- - 【--話】- 大韓民国(大韓帝国なんて存在してませんよ??) 国概要 - 【首都】ソウル - 【所属】無所属 - 【最高権力者】ノムヒョン(ミョンバクではないとのこと) 解説 - 料理に辛いものが多い、キムチとかキムチとかキムチとか(ry - 日本をテロ組織と同じ危険因子と認定するような発表を行う(一体どの口でそれを言うのか) - 史実?いいえ、この作品の国や出来事は全て「フィクション」です - 日本に完全にスルーされており一切、外交的にも何にも触れられていない 状況 - 【02話】-北朝鮮と『停戦』していた朝鮮戦争が再開、こう着状態が続く - 【05話】-韓国空軍機が大挙して日本領空を侵犯、問題になる - 【08話】-韓国空軍機が大挙して再度日本領空を侵犯し、問題となる 諸外国2(東側諸国:社会主義) ソビエト連邦(ソビエト社会主義共和国連邦) 国概要 - 【首都】モスクワ - 【所属】ワルシャワ条約機構(WTO) - 【最高権力者】ウラジミール・ポーチン 解説 - 社会主義の国家群において最大規模を誇る連邦国家(各国家は独立後もソビエトと緊密な関係) - 軍隊の保有数はおそらく半端ではなく、軍の一部はPMC(民間軍事会社)化し、各国に戦力をデリバリーしている - デリバリーをビジネスにするというのは、なんという商魂逞しい人たちであろうか・・・ - 日本に完全にスルーされており一切、外交的にも何にも触れられていない 状況 - 【--話】イラク戦争を発端とし米ソ対立、冷戦から第三次世界大戦に - 【03話】イラクを併合したアメリカから旧イラク領の半分を奪還する - 【06話】中国が日本に対抗するためされたあともソビエト・イラン連合に押し捲られ中東派遣軍は壊滅 - 【09話】北欧の友邦国から部隊を上陸しソビエト首都に侵攻 - 【10話】ソビエト首都数百kmまで迫るも後退を余儀なくされる 中○国 某東方キャラの通称ではありません。国名です。首都は北京。 史実では戦後に破綻した条約を締結したことにより強力な一角を担っている…はず。 今のところは日本に好意的なコメントをしているようである。 中国料理は様々な種類があり、麻婆豆腐も地域によって辛さが異なるので要注意。 その他 ア○カイダ 史実では飛行機による某タワービル崩壊によって一躍世界にその名を轟かせた組織。 インパクトの点では某私設武装組織の登場場面を史実でやったようなものだろう。ただ、「宗教」に関する点は明らかに違いますが。 作品では米の国に「テロ国家」並みの発言を。まあ、ある意味間違ってはいませんが。 ストーリー [部分編集] ネタバレ注意 + 第01話『新内閣発足』 国会による内閣不信任決議案の可決。この前段階としてクーデターがあったと思われる。 天海内閣の誕生。作中では戦後初の女性内閣総理大臣である。 アメ○リカが一方的な大義名分を振りかざし、奪還という名の侵攻作戦を開始。 + 第02話『横浜戦役』 ソビエトの民間軍事会社所有の軍隊による電撃作戦により、対応にあたっていたアメ○リカ軍は大打撃を追う。 やむなく無差別砲撃を実行。その行動が大きな反動に…… + 第03話『日米交渉』(前編) 秋葉原へと派兵されていた在日米軍は自衛隊に包囲。 日本に点在する在日米軍基地でほぼ全部の基地が一斉に自衛隊への再就職を決行。米軍側から言えば事実上裏切りとも言う。 理由は推測だが「アニメとアイドルが俺たちのジャスティス」を基本理念としている在日米軍の兵士たちは、他のアメ○リカ人よりも日本というカラーに染まっていたためである。哀れな名誉を負った在日米軍司令に対し、「アニメとアイドルほど怖いものはない」という言葉を送りたい。 + 第03話『日米交渉』(後編) 参議院の議会場をライブ会場(仮設)に再建設。 アメリカの猛抗議に対して留守電で華麗にスルー。 アメリカとの間でラプターのライセンス生産の許可、日米安全保障条約の破棄、旧在日米軍の反逆行為に対しての不問処分を含めた4項目について同意。 中国に対して宣戦布告。 [部分編集] 閣下がアメリカに提案した合意事項の解説 ※制作者のブログより一部抜粋、ネタバレ注意 ①横浜復興費用問題 - 復興費用は旧在日米軍の装備/物資で相殺 - F/A-22を含む装備のライセンス生産を許可 - ただ冷戦が終結していない『if』の世界なので前後の両国の関係に関しては触れられてないため妥当かどうかは不明 - ライセンス生産の許可は取れた物のメンテナンス性を考えると日本の独自仕様に変更せざる終えなく、HoIで言う所の『青写真』を手に入れた状態になっている - また、08話or09話で技術開発の一覧が公開されたがステルス技術に関しては然程高くなく現存のF-22に到達出来ているかは不明 - 反面日本側も横浜の港が使用不能となり、黒煙などで羽田空港に飛行制限がかかっている事が予想され、日本側の経済的損失も大きい - また、物的損害のみならず情報資産/人的被害等も考えると妥協できる範囲内であると思われる ②日米安全保障条約問題 - 日米双方の負担を軽減のため日米双方の合意に基づき条約を破棄。ただし、戦局を鑑み軍事的共同歩調を継続 - 旧日米安全保障条約第5条に基づき米国領土の台湾に自衛隊駐留を許可を申請 - 日本にとっては条約の破棄は在日米軍に対して払っていた「おもいやり予算」の再編成が可能になることを意味する - ただし、在日米軍を吸収したことで自衛隊の維持費が増えているので財政的負担が増えたか減ったかは分からない - 台湾の自衛隊駐留は南西諸島・尖閣諸島方面における防衛の点から非常に重要で国内への被害を最小限に食い止めることが容易になった - 米軍からすれば負担軽減の案でもあるが、それ以上にラプターのライセンス生産の許可を出させてしまったことと - 在日米軍の戦力の殆どを日本に吸収されたのは大きな痛手であることには変わりない - ただ、F-22の議会での輸出規制がこの世界で適応されているかは不明 ③在日米軍雇用問題 - 再雇用という形で合意、米軍は一切関与しない - これは軍法における「敵前逃亡」および「国家反逆」の罪を過去に遡って問うことはできないことを意味する - 国籍の帰属などに関しては触れられていない ④軍事通行権の継続 - 相互軍事通行権を継続し部隊移動の円滑化を図る - 解釈次第では上空における通行権も許可されたことになるので、日本がアメリカを横断して欧州に行くことも可能である - なお、合意事項の中に旧在日米軍の基地に関することは明記されておらず、返却年数や利用法に関しては別途交渉の場が設けられる予定であるが、 - 向こうが戦略的に必要だったことだとしても明確な理由もなしに横浜市街地への無差別攻撃を行ったことと、 - 日本政府・自衛隊が敵勢力を認知していないにも関わらずそれを好機として日本政府および現内閣を転覆させようと企んだことが明るみに出た場合、 - 日本側が提案するであろう「旧在日米軍基地の土地管理については、旧在日米軍(現自衛隊)基地の兵士の居住地を確保するために最低限必要なものであり、 - 自国の軍隊を管理する日本政府としてはこれらの土地を直ちにすべて日本政府に返却するものとする」という提案を、全面的に呑まざるを得なくなる - また、07話の日ソ会談の際に米国との軍事通行権の相互供与の破棄が盛り込められ破棄に至っている 用語 宅配アーミー タグ - 民間軍事会社『ブラヴィノフ宅配サービス』のこと、ノヴォシビルスクから東京まで3時間で数個師団を派遣、究極のデリバリーサービスを展開 - 購入金額1000万ドルごとにスクラッチカードが貰え、各種サービスを受けられる模様 - 電話での注文だがユニークな商品名で盗聴されても大丈夫 アニメとアイドルは俺たちのジャスティス タグ - -
https://w.atwiki.jp/magicbattle/pages/20.html
「なんだあれは……あれが、神だというのか?」 真・大魔王バーンと相対した時以上に、強烈に感じたプレッシャー。 クロコダインはそれを思い出し、身を震わせた。 武人として覚悟はある。それでもなお、震えを押さえるのに時間がかかるほどの異様な力だった。 クロコダインはあの巨大な化け物が言ったルールを反復する。 それは、ひたすら殺し合いをあおるためのものだった。 「だが、そうはいくものか……!」 だが、殺し合えと言われて、他者を殺すほど落ちぶれてはいない。 卑怯な手を使い、無力な相手を殺すようなことは…… ザボエラと手を組んでやったようなことは、もう二度としない。 あの場を見た感触、外見に関してはであるが人間が多くいたように見えた。 人間の力を、クロコダインは信じている。 しかし、実際問題この殺し合いに乗った人間から身を守る意味でも、無手は厳しい。 与えられたディバックを視界の隅に捕らえ、その口を開く。 「む……?」 そこで、クロコダインは気付く。 紙に刻まれた、名前の列挙。そして、不思議な金属で出来た、手甲の機構にある名前。 それを見て隻眼を見開いた。 ダイや、ポップ、アバンがいたことも驚きだが、それを上回る衝撃があった。 名簿に刻まれているのは、死んだはずのハドラー、そしてザボエラ。 さらに、手甲の中に刻まれた名は……またも、死んだはずのフレイザード。 死した魔王軍のツワモノの名が、3つ。 鉄鋼に添えられた紙をクロコダインは開き、一心不乱に読みあさる。 そこに書かれたいたことによると、この手甲は、『こんぷ』といい、中に登録された悪魔を召喚する力があるらしい。 中の悪魔は、手甲をつけ呼び出したものに絶対の服従を誓い、裏切ることはない。 小さな手甲のスイッチを押せば、呼び出した悪魔はすぐにこんぷに戻る。 飛びだす際も、そこまで複雑な手順も、力も必要ないらしい。 MAGなるものは、空間にふんだんにあるので気にしなくていい、とも。 そして、その手甲におさめられた悪魔の名前欄は…… 妖魔 フレイザード と書かれていた。 そんな馬鹿なとクロコダインは首を振る。 肉体の移し替えもあり完全に消滅し、塵も残らなかったフレイザードも、 暗黒闘気で蘇れない超魔生物となり灰になったハドラーも、 自らがとどめを刺し泡となって消えたザボエラも、 もう蘇ることなどできないはずだ。 自分に与えられたもう一つの支給品、『破邪の剣』をその手に掴む。 クロコダインは、緊張でつばを飲み込みながらも、サイズの合わない手甲のベルトを伸ばして無理に装着した。 呼び出した悪魔は絶対服従。ボタン一つでこんぷに戻せる。 しかし……あのフレイザードが人の言うことを素直に聞くなどあるだろうか。 説明書きの言葉を半ば疑い、半ば信じながらも、震える指で操作する。 大地に、黄色の六芒星が刻まれ、光の柱が立ち上る。 そして、消えていく光の中にいたのは――― 「それは……その胸のメダルは!?」 クロコダインの目の前にいるは、右に氷塊を、左に紅蓮を纏った魔物だった。 そして、胸に輝くのは間違いなく暴魔のメダル。 暴魔のメダルは、大魔王バーンが六軍団長の忠誠心を試すため、炎の中に浮かんでいたメダルである。 これを取ったのが、他でもないフレイザードだった。 この暴魔のメダルは、フレイザードにとって命の次に大切なもので、 命が消える覚悟の技を放つ時以外、どんな時も放さず持っていたシロモノなのだ。 それを持つ以上、この魔物は、間違いなくクロコダインもよく知るあの、フレイザードだ。 「フレイザード……なにがあった? 何故、お前が生きている」 しかし、フレイザードは無言。 「フレイザード! 人の話を聞いているのか!?」 フレイザードは、無言。 「フレイザード……!?」 フレイザードは、ひたすら無言。あの烈火のごとき勢いで破棄された言葉と嘲笑はない。 クロコダインは見かねてフレイザードに近づく。 炎も冷気も、近づくだけならばそこまでつらいわけではない。 暗闇で見えなかったフレイザードの表情が、クロコダインにも見えた。 そして、理解した。 「なんと……むごいことを……!」 フレイザードは、どこも見ていない。 ギラギラしていた瞳はひたすら影となり、どこも映すこともない。 口は、開いたまま閉じることがない。 クロコダインは直感的に分かってしまった。 今のフレイザードには、心がない。 心がないのでは、他人の意見に逆らうことなどできるはずがない。 クロコダインは、フレイザードのことを好ましい人物だと思っていたわけでない。 むしろ、勝利のためなら何でもするその下賤な性格を軽蔑していた。 確かに、ゲスだった。誇れるような何かがある男だったわけでない。 だが、それはないのでは、ないか。 ゾンビ系のモンスターですら、なんらかの心を持っているというに。 死者をこの世に呼び戻し、心を奪い、絶対の道具とする。 そして、他人への支給品とするなど、神であろうとも許される所業ではない……! クロコダインは、こんぷを操作し、フレイザードをこんぷに戻す。 到底、こんなものを使って戦おうという気は起らなかった。こんぷを外し、ディバックに戻す。 ザボエラも……あのハドラーも、フレイザードと同じようになってしまっているのだろうか。 「これが……! これが神のやることだというのか! 大魔王といったい何が違う!」 天に向かって、クロコダインは吠える。 絶対に、この神の言うことなど、受け入れない。 その宣誓ともいえる雄叫びが、空に響き渡った。 「うるさいな……死ねよ」 クロコダインのすぐ横が、爆発した。 魔法が飛んできた咆哮へ視界を向ける。 そこにいるは、白髪の青年。真っ赤の瞳で、こちらをねめつけている。 その背には、翼のように広がる6本の短刀。手には、深紅の大剣。 クロコダインは、破邪の剣を構えた。 「お前は……あの神の言葉に乗って殺し合うのか?」 「僕は大切なカオリのために帰らなきゃいけないんだ……さっさと死んじゃえよ!」 暗闇の中、影が交錯する。 ― ― ― フラッシュバックする記憶――― ―――そんなっ! そんな馬鹿な……僕が負けるなんてそんなはずがないっ! 切り裂かれた胸から漏れる金色の輝き。自分の存在が少しずつ消えていく感覚。 負けるはずがない! あんな自分をごまかすことしかできなった厄病神に負けるはずがない! 選ばれた存在である自分のほうがあらゆる面で上なのだ。 頭脳も、身体能力も、永遠神剣の力の引き出し方も、永遠神剣も。カオリのことをどれだけ想っているかも。 負ける理由など、あるはずがない。 そのはずの僕が、なぜあんな独りよがりな偽善者に負ける!? 必死に、カオリを探す。彼女は、自分を切り殺した男の背にいた。 駄目だ。こんな結末、絶対に受け入れられない! 死ねば、最後あの男は永遠にカオリを自分の道具のように縛り続けるだろう。 そんなことは許せるはずがない。 憎い。 憎い。 憎い。 憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い。 憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い。 憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い。 憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い。 僕を殺そうとしているあの男が。カオリを僕から奪ったあの男が。あの男に力を与える永遠神剣が――― 「『誓い』! 僕から何をもっていってもかまわない! あの男を……ユウトをコロセエエエエエエエエエエエエエエ!!!」 これが、シュンが、この殺し合いに招かれる直前に見た記憶だった。 「フフフフッ……フフフ……ハッハハハハハハハ!!」 シュンは、笑う。 ここに来て最初の確信は、やはり自分は選ばれているということだった。 意識が薄れ、自分が失われることをはっきり自覚していた彼が、今こうして存在している。 しかも、今までになった力を身につけて。自分の身に溢れる、異常なまでの力。 「これなら、あの偽善者にももう負けない!」 体自体が、まるで以前とは違う。 人間という存在をはるかに超越してしまったことを彼は自覚した。 左腕が、竜の鱗のようになったことも、足の指の一本がかかとになったことも、手足のように動かせる六本の短刀も。 それに比べれば些細なことだ。姿形など、大した問題ではない。 カオリは、どんな姿、立場でも自分を受け入れてくれるだろう。――あの日の病室のように。 ディバックにあった、歪な大剣。 自分が使っていた元・第五位永遠神剣『誓い』。 それも自分の進化に合わせ生まれ変わり、第二位『世界』となった。 ユウトの第四位の二段階も上を行く永遠神剣だ。 その手に握る武器も、自分自身も、以前とは比べ物にならない。 「ほらほら剣を向けてみろよ。効くわけないんだからさ。 あははははははは……」 目の前の竜モドキの剣など、何発ぶつけようと、障壁は揺るぎもしない。 ためしに防御を解き、背中の短刀で相手の剣を受け止める練習をしてみるが、簡単すぎて欠伸が出る。 随分と竜モドキの顔には、焦りが出ていた。 剣の一本で簡単に受け止めながら、今度はすこしずつ相手を削る。 あまりの弱さ、力の差に練習にもならない。 突然、竜モドキの腕が膨れ上がる。 何をする気だろうかと思うが……シュンはあえて一切妨害せず、受け止めてみることにした。 「まあ、いい……貴様じゃ役者が不足しているが……受けてやるよ」 傲慢に、シュンは言い放つ。 本来ならここにあるはずの人格は、『世界』の、筈だった。 だが、今の彼の人格は完全に『秋月瞬』。これには、タネがある。 そもそも『統べし聖剣のシュン』とは、『秋月瞬』の精神を半ば上書き同然に融合した永遠神剣『世界』の人格を指す。 肉体こそ『秋月瞬』だが、精神はその手に握られる永遠神剣『世界』なのだ。 しかし、ここでとある事情、いや制限で逆転現象が起こった。 『世界』は、強烈な意志により人の心を塗りつぶすことすら可能な永遠神剣だ。 仮にこの『世界』の意思をそのまま放置した場合、 肉体『秋月瞬』が消滅しても『世界』が存在する限り、『統べし聖剣のシュン』は不滅。 名前こそ多少変化するかもしれないが、『世界』の人格は剣を使う他人の肉体に引き継がれる。 剣という特異な形をし、他人の体を完全に乗っ取る参加者など、殺し合いを崩壊させかねない。 故に、『世界』だけでなく『秩序』も、高位永遠神剣の意思は封印されているのだ。 その結果、エターナル『統べし聖剣のシュン』として超強化された肉体が、そのまま『秋月瞬』の意識に譲渡された。 もっとも、そんな理屈も、自分が体と意思を乗っ取られていたことすらシュンは知らない以上、 自分が意識を失った次の瞬間、ここに来たと勘違いしているわけだ。 竜モドキの二重の竜巻を、オーラフォトンであっさり弾き飛ばすシュン。 歯噛みする竜モドキを、精神的に圧倒的高みから見下ろしている。 「人間とは思えん……いったい、お前はなんだ?」 竜モドキのその質問に、シュンは笑って答える。 名簿は、一度は見た。だからこそ、ここにカオリがいないことも分かったし、あの偽善者がいるのも知っている。 そして、今の自分がなんと記名されているかも。 「僕の名は、秋月瞬……いや、『統べし聖剣のシュン』だッ!」 シュンは、大剣をゆっくりと持ち上げる。 防いで見て、体を動かしてみるテストは終わりだ。 今度は……攻撃のテスト。 「僕の力……貴様に受け切れるか? どのくらいで壊れるか楽しみだな!」 ― ― ― 「グっ……」 強い。あまりにも強すぎる! クロコダインが真っ先に抱いた感想は、それだった。 あまり剣がなれぬ武器とはいえ、全力で振るった一撃が、シュンの背中で飛びまわる一本の短刀に防がれた。 獣王激烈掌も、当たる直前に相手が軽く払った力であっさりと弾かれていた。 どうにか不意を突こうにも、異常なまでのシュンの反応速度がそれを許さない。 今のシュンは、攻撃に力を回し、ほとんど防御に力も回していない。 どうにか、一撃叩き込めれば勝ち目もなくはないはずだ。 だが、その一撃が遠い。 じりじりと、追い詰められていくクロコダイン。 相手が明らかに、慣らすように闘っているおかげでまだ生きてはいる。 しかし、おそらく相手が最初から全力で決めにかかっていたら、自分は速効で落ちていただろう。 長く、一方的な小競り合いが続く。 しかし、それも終わりが来る。 「これで……終わりだぁぁっ!」 殺す気になったのだろう。全速で、切り始めたシュン。 クロコダインの巨体が、簡単に宙に舞う。シュンが、高速でこちらへ突っ込んでくる。 防ぐのもかわすのもできない。 ここまでか……! とクロコダインが考えた時だった。 「その武器を使ってください!」 若い男の声とともに、シュンとクロコダインの間に何かが飛びこむ。 視界を向ければ、白い法衣の男が、投擲した体勢のまま、こちらを見ていた。 風を切り、クロコダインの目の前の木に、巨大な戦斧が突き刺さる。 目の前にある、その斧は間違いなく、つい先ほど自分が使っていた―― 「グレイトアックス!?」 クロコダインは考えるよりも早くその武器を掴む。 「は、そんなガラクタ一つ拾って何になるんだよぉぉぉ!」 「ガラクタかどうか、自分で受けて確かめてみるといい!!」 まったく警戒する様子もなく突っ込んでくるシュン。 クロコダインは大きく体をひねり、斧を振りかぶる。 ―――唸れ! 爆音よ! その声とともに、シュンに戦斧が叩きつけられる。 クロコダインが全力をもって叩きつけた戦斧は、 片手で握られた深紅の剣に完全に受け止められた。 その斬撃はシュンの体には届かない。 しかし、 「斧が、光っ――――?」 斧の起こす爆裂魔法は、剣で到底防げるものではない。 斧の勢いに乗せられて放たれた爆発が、因果応報に容赦なく『世界』……ではなく、シュンを襲った。 痛みで叫びをあげるシュン。 攻撃一辺倒でほとんど防御にオーラフォトンを回していなかったために、 もろに爆風を受け、吹き飛ばされていく。 その隙を見逃すクロコダインではない。 ひとたび、態勢を立て直されれば、先ほどの二の舞だとクロコダインも分かっている。 そのまま地面に転がるシュンに、大上段から振り落とされる戦斧。 目を押さえながらでも、シュンの背中に並ぶ六本の短刀が、斧を受け止め抑え込む。 そのまま力で押し切ろうとするクロコダインだが、びくともしない。 シュンは、相手を引きはがすために横薙ぎに剣を振るう。 クロコダインは、後ろに下がって距離をとる。 ちらりと、先ほど視界の影をよぎった白い男を見るが、もう姿はなかった。 なんのために自分を助けたのか一切不明だが……結果は言うまでもない。 手に入れた得物を手に、クロコダインは構え続ける。 よろよろと、顔を押さえたままたたらを踏むシュン。 うわごとのような呟きが、漏れている。 「この僕が……傷? この僕に……傷!?」 先ほどまでの余裕は完全に消え、憎しみに顔を歪めるシュン。 体を傷つけられたことにより怒気が一気に膨れ上がり、 「殺す……殺してやるッッッ!」 咆哮とともに、圧倒的なマナが暴風となって吹き荒れる。 クロコダインは、小さく汗を流した。 一気で決められなかったため、逆に相手の付け入る隙を潰してしまった。 恐ろしいまでの殺気と闘気と魔力の圧力を受けながらも、 全身に込めた闘気を全開にして、相手の出方を待つ。 防御に全力を回せば、竜魔人バランの攻撃にも一撃なら耐えてみせる。 その自分の体を信じるしかない。 斧を大地に突き刺し、風の中踏ん張りをきかすクロコダインに、シュンは宣告する。 「究極の力を見せてやる! オーラの爆発をその身に食らえッッ!!」 髪が後光を背負うように、シュンの背中から生まれる光の輪が生まれる。 クロコダインは、目を凝らし、光の中を凝視し、それを見た。 それは――六芒星などとは比べ物にならないほど複雑怪奇で、高密度に書き込まれた深紅の魔方陣だった。 高速で回転しながらさらに大きさを増し、さらに複雑さを増し、さらに輝きを増やす。 魔法陣の明滅の繰り返しに合わせ、大地が揺れ動く。 ぞわりと――瞬間クロコダインの全身に悪寒が走った。 「オォォォォラフォトンブレイク!!!」 地図が、一瞬で塗り替えられる。 ― ― ― 「あれは……!」 ロウヒーローは先ほどまで自分がいた場所を見て、感嘆の声をあげた。 森が、光のドームに覆われ、一瞬で焼き尽くされている。 メギドラオンでも、そうそうあれほどの破壊力は出せないだろう。 あの獣人の力か、それとも青年の力かは知らないが、相当のものだ。 ――おそらく、食らったほうは死んだだろう。 小さく、彼は、胸の前で十字を切る。 どちらかは知らないが、今死したもの――いやそれだけでなくこの会場の全員は、神にささげられた魂だ。 それがまた一つ神の御許へ運ばれた。 いずれ、一人を除き、全員が神の御許へ逝く。 おそらく、自分もその中に含まれるだろう。 彼は殺し合いに乗ることを決めていた。 神に仕える――いや、ささげられた身。神が命ずるのであれば、逆らう道理はない。 神の言葉は、至上の言葉。神のために生きてきた彼はすぐにわかった。 あの神が、自分がいままで信奉していた神だと。 言葉ではなく、心でそれを理解できた。 即座にこの殺し合いに乗り、この体朽ちるまで一人でも多くのものと戦い神の御許へ送るのが正しいのだろう。 けれど、彼はそうしなかった。 神の命には従い、命の狩り取りを促進させはするが、直接闘うのは避けよう、と彼は考えた。 だからこそ、負けそうになっていた側に武器だけを渡し、少しでもお互いが傷つけ合うように仕向けたのだ。 神の使徒として神に逆らうわけにはいかない。 「ですが主よ……しばしお待ちください」 だが、一人の人間としてどうしてもやらなければならないことがある。 それまでは死ねない。 ロウヒーローのやらなければならないこと、それは――彼らに会う、ということだった。 名簿に刻まれた二つの名前。 ザ・ヒーロー。そしてカオスヒーロー。 自分の名が、ロウヒーローと書かれている以上、 この呼び名を与えられた二人は、おそらく自分もよく知るあの二人だろう。 きっと、あの心優しい彼は今でも泣いているだろう。 ロウヒーローは、自分に二度目の死を与えた青年の顔を静かに思い浮かべる。 あんな時代だった。世界の覇権を戦うための戦いだった。 なのに、彼は優しすぎた。 きっと、あの不器用な彼は今でも苦しんでるだろう。 ロウヒーローは悪魔と合体した一人の青年をゆっくり思い浮かべる。 弱いことは罪ではない。彼だって、本当は優しい人間なのだ。 なのに力に拘り、弱い自分を責め、破滅まで突き進もうとしていた。 二人とも今もこの空を見て、血と涙を流しているだろう。 だから、ロウヒーローは伝えなくてはならない。 もう、苦しまなくていい。 正しくはなかったかもしれないが、決して間違っていなかった。 だから、自分を責めないでほしい。 伝わらなくてもいい。伝わるとも思ってない。 けれど……それを伝えるまで死んでも死にきれない。 「不思議なものですね……」 もし自分が神に選ばれた魂であると思っていた時期なら、こんなことは思わなかっただろう。 選ばれたものとして、その他の者全てを神に捧げようとする自分の姿は想像に難くない。 疑念なく、神の言うまま冷静に、冷酷に戦っていたと思う。 だが、今の彼は知ってしまった。 自分は神に選ばれた魂ではなく、神に捧げられた魂だと。 つまり、与えられた役目は特別なものではないことを。 それでも、神のために働こうと思ってしまうのは……やはり彼が彼だからだろうか。 【A-Ⅳ平地 1日目 深夜】 【ロウヒーロー@真女神転生Ⅰ Ⅱ】 【状態】:健康 【装備】:なし 【道具】:支給品 不明支給品0~2 【思考・状況】 基本:この殺し合いを完遂する 1.ヒーローたちに会う 2.それまでは直接戦闘は避ける 3.??? 「ふん……すこしやり過ぎたな」 自分が生み出した巨大なクレーターを背に、山を超えて瞬は進む。 遊びが過ぎた――というのもあるし、威力を上げ過ぎたというのもある。 あれなら、オーラフォトンレイで十分だった。 つい、怒りに身を任せて衝動のまま最大クラスの攻撃を撃った。 手に入れたばかりの新たな体。 さすがに、これほどまでの破壊力とは思っていなかったのだ。 だが、逆にこれで確信が持てた。 自分は、間違いなく最高の存在だと。 「あと7人か……待っていてくれ、カオリ。必ず、戻るから」 そう。たった7人殺すだけで帰ることができる。 あの厄病神も、できれば殺しておきたい。 だが、どちらも簡単だろう。 この自分の――神のごとき力を使えば。 シュンは、進む。 ぶれることなく自分の絶対を、自分の『世界』をどこまでも信じながら。 【A-Ⅳ高山 1日目 深夜】 【統べし聖剣のシュン@永遠のアセリア】 【状態】:額が切れて少し血が出ている。 【装備】:第二位永遠神剣『世界』 【道具】:支給品 【思考・状況】 基本:カオリに会うため、元の世界に帰る 1.8人を殺す(場合によっては優勝も目指す) 2.ユウトを殺す 【備考】 精神は『秋月瞬』です。 クロコダインを殺したと思っています 何もかもなくなった大地が盛り上がり、土を吹き飛ばす。 そこから出てきたのは他でもない、獣王クロコダイン。 ギリギリだったが、彼はダイとの戦いで撤退する時のように……光に紛れて大地に潜ったのだ。 光が目くらましとなり、吹き飛ぶ土がカモフラージュとなり、どうにか逃れきった。 荒れ果てた大地を見て、クロコダインは戦慄する。 「なんという威力だ……! ドルオーラと互角……いやそれ以上だ」 あれほどの強さを持つ者なら、これほど恐ろしく強力な力を行使できてもおかしくはない。 生き残れたことは、はっきり言って僥倖だったろう。 痛む体を支え、大地に立つクロコダインはゆっくり歩き出す。 あれほどのものがいるとしたら……最悪、ダイでも武器も何もなく一人きりなら危うい。 一刻も早く合流しなければいけない。 人は、街に集まるはずだ。 地図を確認した、クロコダインは、北上を決める。 目指すは……欲望の町。 【E-Ⅳ 森 1日目 深夜】 【クロコダイン@ダイの大冒険】 【状態】:疲労(大) 全身に切り傷 【装備】:グレイトアックス@ダイの大冒険 【道具】:支給品 不明支給品0~1 COMP@真女神転生Ⅰ Ⅱ 破邪の剣@ダイの大冒険 【思考・状況】 基本:神と魔王に反逆するため呪印を解く 1.ダイたちを探す。そのために欲望の街へ 【備考】 COMPに入っている悪魔は、フレイザードです。性格は虚心(つまり心がない)状態。
https://w.atwiki.jp/vahren_ency/pages/984.html
時間軸は序章、フェリル島、統一のその後から。 ■ルルニーガ仕官 フェリル党がムクガイヤ魔術師団の支配下となってから、ゴブリン達はその頭数を生かし、その版図拡大に大きく貢献していた。 フェリル島を滞りなく統一できたのもフェリル党の功績が大きいといえる。 しかし、洞主のバルバッタを始め、前衛で戦うゴブリンには粗暴なものが多く、次第に民衆の不満は大きくなっていった……。 ―ルーニック島 代官所 フェリル島を統一してからも、ルーニック島の代官所は拠点として使われていた。 現在、ファルシス騎士団とは同盟を結んでいるが、お互いとって形だけの同盟に過ぎず、隙あらば互いに名分を打ち立て、攻め入るのがわかっていたからである。 ―会議室 サルステーネ「我が君、フェリル党の件ですが、確かに、戦においては戦果はあげておりますが、素行が悪く、民衆から不満が上がっております。民衆にとどまらず、軍の中でも、ゴブリンに差別意識をもつ者は多く、このままでは……」 ムクガイヤ「やはり、こうなったか。所詮はゴブリン、全く知能の低い生き物は……」 サルステーネ「いかがなさいますか? 幸い版図を拡大したことで、我が騎士団に仕官を求めてくるものも増えつつあります」 ムクガイヤ「前衛にゴブリンを使う必要は無くなりつつあるわけか……」 ―執務室 チルク「ニースルー、この前頼まれていた、フェリル島の開拓事業の見積もりだけど」 ムクガイヤ魔術師団では、政務はニースルー一人に押し付けている、しかし、ニースルーは自分の負担を減らすため、同じくフェリル党の政務を押し付けられていたチルクを勧誘し、自分の仕事を手伝わせていた……。 チルクは頼まれて作成した見積書をニースルーに手渡す。 ニースルー「……」 ニースルー(……妥当な期間と予算……。ゴブリンは知能が低いというのが定説だけど、それは間違いね、決して低くはない、問題があるとすれば、教育機関が無い事かしら?) ニースルー「特に問題ありません。これで行きましょう。開拓に関しての現場の指揮はチルクに任せます」 ニースルー(このまま、何人かゴブリンの文官を育成できれば、政務をゴブリンに任して、私は魔道研究に時間が割けそうね……) チルク「わかった、早速、業者を手配するよ」 ニースルー「チルク、他にも政務ができそうなゴブリンの知り合いはいないかしら? もう何人か、文官が増えてくれると助かるし、フェリル島の自治をゴブリンに委ねるようムクガイヤ様に進言しやすくなるんだけど」 チルク(フェリル島の自治か……。それが可能になれば、老師も少しは見なおしてくれるかな? 手伝わせるとすれば、フーリエンとキスナートあたりか……、割と頭良いし、ただどっちもクセあるよな) チルク「いるにはいるけど、協力してくれるかはわからない、人間を嫌うゴブリンは多いから」 ニースルー「そう、まあ、簡単に溝が埋まるわけでもないし、焦らなくていいわ、後、フェリル島に教育機関、早い話、大学を作ろうと思うんだけど」 チルク「大学? って教える所だよね?」 ゴブリン達の文化は、人間より遥かに遅れており、学校の様な教育機関も病院といった医療機関も無かった。 ニースルー「そうよ、チルクに色々と手伝って貰ってわかったけど、決して、人間にひけをとるとは思わないし、人間と同等の教育機関を設立すれば、知能が低いとかそういう非難も無くなると思うの。 まあ流石に、教育機関を設立するのに、私の自己判断で行うわけにもいかないから。ムクガイヤ様に話を通すことにはなるけど」 チルク「……」 チルクは一人で熱くなっていく少女とは対象的にそんなの事が認められるわけがないと思い、特に返事はしなかったが、ゴブリンの事を自分の事の様に考えるニースルーに好感を頂きつつあった。 ―会議室 ムクガイヤ「素行の悪いゴブリンの所業を調査しておき、比較的大きな問題を起したら、それを大義に始末すればよいか」 サルステーネ「ムクガイヤ様、こちらの調査書を……」 ムクガイヤ「既に進めておったか……。後はキッカケだな」 書類には、ゴブリンが飲食店に入った時、女性ウエイトレスが猫耳をつけて応対しなかった事に腹を立て暴れたと書かれていた。 他にも意味もなく、ホアタの民衆を土下座させたり、店頭の物を勝手に食べ、それを注意されて逆ギレした報告などが纏められている。 ムクガイヤ「低俗な……」 コンコン (ドアをノックする音 「ニースルーです」 ムクガイヤ「入れ」 ニースルー「失礼します。」 ムクガイヤ「どうした?」 ニースルー「我が君、実はフェリル島にゴブリンの教育機関を設立したく、相談に参りました。 確かにゴブリンは馬鹿と思われるような行動を取りますが、それは、誰も教えないからであって、人間と同等の教育を行えば、人間と同等の知恵を持ちます」 サルステーネ「ニースルー様」 冷静に、そして少し困ったような顔でサルステーネがニースルーの言葉を遮る。 ニースルー「?」 ムクガイヤ「実はな、ニースルー、ゴブリンに対する民衆の不満が大きくなっておるのだ」 そういってサルステーネから渡された調査書を、ニースルーに手渡す。 ニースルー「こ、これは!?」 ムクガイヤ「それでだな、早い話、サルステーネが暗黒騎士団を創設し、前衛問題も改善されつつある」 ニースルー「ゴブリンはもう用済みというわけですか?」 ムクガイヤ「そういう事だ」 ニースルー「待ってください、今まで我々の盾となって闘ってきた者達にこの仕打ちは……」 ムクガイヤ「しかし、今のままでは確実に民衆の心が離れていく、問題というのは先送りにすればするほど、大きくなるものだ」 ニースルー「……」 ムクガイヤ「ニースルーよ、ゴブリンを配下に引き入れるよう、進言したのはお前だが、この件でお前を咎めるような事は決して無い」 ニースルー「我が君、一ヶ月、いや一週間、時間をください、その間に、ゴブリンの愚行を正して見せます」 ムクガイヤ「……。わかった、一週間だぞ」 ニースルー「ありがとうございます」 ニースルーはお辞儀をし、速足で会議室を去っていった……。 サルステーネ「一週間でゴブリンを正す事など、いくらニースルー様でも……」 ムクガイヤ「だが、あそこで、強引に粛清に踏み切ればニースルーとの間に溝を作る事になる、ひとまず、ニースルーに任せればよい。」 「私とて、可能性は低いと思うが、解決できるならそれに越した事はないと思っている」 バタン 血相を変えたニースルーが執務室に戻ってきた。 チルク「どうだった? ってその顔だとうまくいかなかったんだね」 ニースルーの表情を見て、大学の話は、却下されたものと思い、チルクは平然としつつも内心がっかりしていた。 ニースルー「それどころじゃないわ」 チルク「?」 ……………… チルク「何だって!?」 ニースルー「一週間までに、バルバッタ達の素行を正さないと、ゴブリンは一匹残らず粛清される」 チルク「そんな……、くそ、僕達を騙したんだな」 ニースルー「チルク、怒るのはわかるけど、今は争っている場合じゃないわ、調査書によると、主に被害が多いのはホアタだから、ホアタに行くわよ」 チルク「えっ? っちょ」 ニースルーは怒りかけたチルクを無視し、腕を掴むと強引に引っ張って現地に向かった……。 ―ホアタ 大通り バルバッタ「ヒャッハー、ムクガイヤ魔術師団、最強の戦闘集団フェリル党のお通りだぜ!」 ケニタル「おい、人間どもは頭がたけーぞ」 ツヌモ「俺らが、どなた様かわかってんのか? 人間」 ケニタル「おい、俺の名を言ってみろ」 ゴブリンは大きく分けて、二つの種に分かれる。 魔法に長け、比較的おとなしいブルーゴブリン種と、身体能力に優れ、好戦的なノーマルゴブリン種、バルバッタ、ツヌモ、ケニタルはノーマルゴブリン種であり、チルクはブルーゴブリン種であった。 人間の街で主に威張り散らしているのはノーマルゴブリン種でそれも半数にも満たない程であったが、民衆からすればゴブリン=凶悪な生き物として映っている。 チルク達はホアタに着くと、目撃情報などから、バルバッタ達を捜索、本人達が目立った行動を取っているので見つけるのに時間はかからなかった。 しかし、すぐに話合うとするのではなく、物影に隠れ、まずは調査書の真偽を確認する。 バルバッタ達は、意味もなく人に土下座させたり、店頭の物を勝手に食べるなど、報告書通りのわかりやすい愚行を見せていた。 それを見て、頭を抱えるチルクとニースルー。 チルク「ニースルー、僕が説得してくるよ」 ニースルー「あ、うん」 チルクが三人の元へ向かっていき、ニースルーはその場に留まり、事の成り行きを見守った……。 声は届かないがチルクが、何か必死で訴えるのが見てとれる。 しかし、三人は取り合わず、ケニタルとツヌモがチルクに暴行を加え、バルバッタが止めるように言ったのか、二人は手を止めて、そのまま倒れたチルクに背を向け去っていく…… ニースルー「大丈夫?」 慌てて駆けつけたニースルーが回復魔法を唱えた。 チルク「いてて。人間の犬め、って言われたよ。僕がニースルーの仕事を手伝っているのが、媚びているように見えるんだって……」 ニースルー「……」 ニースルーがチルクに政務を手伝わせるようにしてのは、主に、自分の負担を軽減するためだった。 自分のした事が原因で、溝を作ってしまい、罪悪感を感じてしまう。 しかし、チルクが政務を手伝ったのは、少しでもゴブリンの地位を上げるため、人間に自分を認めさせるためであった。 その努力が返って、義兄弟であるバルバッタとの間に溝を作ってしまう結果となった事に歯がみする。 ニースルー「ねえ、こうなったら、バルバッタ達の頭が上がらないゴブリンっていないの? 例えば父親とか……」 自分とチルクとでは説得は無理と判断して、説得出来そうなゴブリンがいないかを尋ねた。 チルク「いるにはいるけど……」 ニースルー「じゃあ」 チルク「断られると思うけど、当たって見るよ」 ―ルルニーガの住処 ニースルーはチルクに案内されるがまま山道を登っていた……。 ニースルー「そのルルニーガってゴブリンの方、そんなに強いの?」 チルク「うん、負け惜しみに聞こえると思うけど、竜王ルルニーガが陣営に加わってくれれば、あの時負けなかったって今でも思ってる」 確かに負け惜しみに聞こえなくもないが、チルクの言葉には確信めいたものを感じた。 ニースルー「どうして、フェリル党に加わらなかったの? というより、それほど強いなら、将として迎え入れる事も……」 チルク「愚かな将の下について、犬死にしたくないってさ……」 ニースルー(……確かに、バルバッタの挙兵は無謀といえたけど……) チルク「ムクガイヤがフェリル島を統一してからも一度誘ったけど、断られたよ、人間と共闘する気は無いって……」 チルク「ここだよ」 ニースルーがドアをノックしようとしたとき……。 「チルクか?」 中から声がした。 扉を開けて入ると、大柄なゴブリンが一人、その風貌はニースルーが今まで会ったどのゴブリンよりも貫禄があり、威圧感もあった。 ルルニーガ「久しぶりだな」 ルルニーガはチルクに同行したニースルーに目をやるなり…… ルルニーガ「相変わらず人間に従属しているらしいな、よりにもよって、此度の戦乱を引き起こした連中と共闘するとは……。」 「それで、何の用だ?」 チルク「ゴブリンが、戦で活躍したお陰で、少しずつだけど、地位が高くなっている。」 「このままいけばフェリルの自治権を勝ち取れるかもしれない。しかし、バルバッタ達の素行が問題視されている」 ルルニーガ「それで?」 ニースルー「このままでは、素行の悪さを理由にゴブリンを嫌う者達に大義名分を与え、ゴブリンは粛清されてしまいます。そうなるまえにバルバッタ達を説得したいんです」 ルルニーガ「人間を信用するからそういう事になる。利用されるのは始めから見えていただろうに……」 チルク「確かに、そうかもしれない、でもバルバッタが行動を起さなければ、結局、僕らは害獣として一匹残らず駆除されてましたよ。 老師も貴方もバルバッタと違って何もしなかった。 でも、今は少ないけど、ここにいるニースルーを始めとして、僕達に理解を示そうとしてくれる人間はいる。貴方にそういう知り合いがいますか?」 ルルニーガはいつもと違って強い口調で言うチルクに今までとは違うものを感じ取り、ニースルーの方に目をやった……。 ニースルー「本当です。チルクを始めとして、ゴブリンには何度も助けれました。それをこんな形で終わらせたくないんです」 ルルニーガ「……説得するだけだぞ……」 ―ホアタ ルルニーガが要請を受けホアタに着くと、そこでは、ノーマルゴブリン達が複数の人間の女性を囲いの中に入れ、ゴブリンが目隠しを付けて追いかけまわしていた。 ルルニーガは無言で、柵の中へと入っていく……。 ゴブリン「うえっへっへ、何処かな~」 人間女性「いや」 「こないで~」 ゴブリン「捕まえたっと」 ルルニーガに抱きつくゴブリン。、 ゴブリン「ん? えらく固くてがっしりした体つきだな、一体どんな女だ~?」 目隠しを取ると、そこには拳を振り上げたルルニーガがいた。 ゴブリン「ル?」 ドコ、 そのまま拳を振りおろし、ゴブリンは地面にめり込みピクリとも動かない。 ゴブリン「フェルリの竜王ルルニーガ……」 蜘蛛の子を散らす様に逃げて行くゴブリン達、ルルニーガは特に気にする様子もなく、そのままホアタの代官所へと向かう。 ……………… ケニタル「アニキ、何すかね、緊急会議って」 バルバッタ「さあな、チルクとあの女との催しだ、俺が知るか」 ツヌモ「チルクの奴、すっかりあの女にだぶらかされやがって」 バルバッタ達が代官所の会議室に入ると、会議室にはルルニーガが踏ん反り返る用に椅子に座り、ニースルーとチルクは、立って3人を待っていた……。 ルルニーガ「今日からフェリル党は俺が仕切る。お前達は出奔するか、このまま切腹するかどちらか選べ」 思いがけない来客と、いきなり三行半を突き付けられ、いきり立つ3人。 ケニタル「クッ、この野良犬が」 ツヌモ「飢えて狂ったか」 ケニタルやツヌモよりは冷静なバルバッタが口を開いた……。 バルバッタ「ルルニーガのおっさんよぉ、時代ってのは変わるんだぜ? 確かにアンタは強かった、だが常に戦場で修羅場を潜り抜けている俺達とじゃもはや格が違うんだよ」 ルルニーガ「…………」 バルバッタ「まあ、俺らがあまりにもゴブリンの強さを見せつけちまったせーで、船に乗り遅れると思って来たんだろーが、悪いがオッサンの席はねー」 ツヌモ「アニキ、このイカれた野良犬の躾は俺にやらせてくれ」 バルバッタ「そうだな、よし、任したぜ」 ニースルー「チルク、止めなくていいの?」 チルク「黙って見てて」 早速、乱闘になりそうな雰囲気を見てニースルーは不安を覚えた。 対象にチルクは冷静に事の成り行きを見守っている。 ニースルーはルルニーガの事を心配したが、チルクはバルバッタ3人の事を心配していた。 ツヌモ「へへ、そういう事だ、立ちな」 スタンドアップのジェスチャーをして、立つ事を促す。 ルルニーガ「このままでいい」 ツヌモ「な? 何だと、立って戦え」 ルルニーガ「このままでいい」 ツヌモ「舐めやがって」 ツヌモがルルニーガに向かって走り出す! ルルニーガは床に引いてある絨毯を足で引っ張った……。絨毯が引っ張られた事で、ツヌモはバランスを崩し、そのままルルニーガの方へと倒れ込む。 その瞬間、ツヌモの頬にルルニーガの蹴りが入る、器用に足で往復ビンタされてしまい、成すすべもなく地面に伏すこととなった……。 ツヌモ「ぶぷ~~~」 ケニタル「て、てめえ」 あっさりやられたツヌモを見て、ケニタルはナイフを抜き、そして、投げつけた。 しかし、ルルニーガはナイフを人差し指と中指で挟むようにして受け止めると、そのままケニタルに向かって投げ返す。 ナイフの柄がケニタルの額にぶつかり、ケニタルはそのまま大の字になって床に倒れた。 向きを変えて投げ返せば、脳天に突き刺さり、即死だっただろう。 バルバッタ「ケニタル!」 ナイフが額に当たったのを見て焦り、思わずケニタルの安否を確かめようとするバルバッタ……。 そのケニタルの方を見た一瞬の隙にルルニーガは距離をつめて、肩にポンっと手を置いた……。 ルルニーガ「残るはお前だけだぞ?」 バルバッタ「はっ!」 ルルニーガ「遅い」 バルバッタが戦闘態勢に入るよりも速く、平手打ちがバルバッタの頬に決まる。 平手打ちとはいえ、ルルニーガの剛腕で放たれた一撃は、バルバッタの顎を揺らし、脳震盪を起させるには十分であった。 ニースルー(強い! こんなゴブリンがいたなんて) バルバッタ「な、何だよ、いきなり現れて、出奔しろだの、切腹しろだの言い出しやがって」 意識が朦朧するため、頭を軽く振りながら悪態をつく。 ルルニーガ「バルバッタよ、ゴブリンはお前達の素行が問題で、粛清される事が現在、話し合われている」 バルバッタ「な!? チルク、何で今まで黙っていた!?」 チルク「この前、話そうとしたけど、取り合ってくれなかったじゃないか」 バルバッタ「うっ」 ルルニーガ「お前達に、ゴブリンの未来を担う資格は無い」 指の関節を鳴らしながら、淡々と言い放つ。 バルバッタ「はっ、ちょ……待って」 ………………… ツヌモ「あべし」 ケニタル「うわらば」 バルバッタ「ひでぶ」 ………………… チルク「ニースルー早く!」 ニースルー「はっ? は、はい」 圧倒的なルルニーガの強さの前に唖然としていた。 チルクの声で我に返り、慌てて、回復魔法をバルバッタ達にかける。 ルルニーガは何も言わずに部屋を出て行き、暫くしてから、バルバッタが意識を取り戻した……。 バルバッタ「…………。ようするに俺らが邪魔になったんだろ、だからオッサンに俺らの排除を頼んだ。俺らを消せば自分達は粛清を免れるってわけだ……」 チルク「そうじゃない」 バルバッタに対し、珍しく強い口調で言い返す。 チルク「バルバッタ達にはこれからも第一線で活躍して欲しいと思ってる。でも今のままじゃダメだ。 昔は、人間は僕達の島を奪っただけの存在だったけど、共闘を始めた時から協力者でどっちが上とか下じゃない」 バルバッタ「何言ってんだ、人間は相も変わらず俺達を見下しているじゃねーか、だから俺達が見下されないように、逆に見下してやったんだよ」 チルク「それだと、ゴブリンを排除したい連中の思うつぼだよ」 バルバッタ「何!?」 ニースルー「本当です。ゴブリンを嫌う人間からすればゴブリンが悪さをしてくれた方が話が速く進むんです」 バルバッタ「じゃあ、どうすりゃ、人間は俺達を見直すんだ?」 ニースルー「まず、素行を正し、ゴブリンを嫌う人間から非難をさせないようにします。 そして、フェリル島に教育機関を設立するんです」 チルク「ゴブリンだって、人間と同じ様に幼い頃から教育すれば、馬鹿にされなくなるよ。 それにバルバッタが言ったんじゃないか、師匠や竜王はゴブリンは人間より劣っていると思っているけど、そんな事は無い、それを俺が証明してやるって そうやって引っ張ってきたからここまでこれたんじゃないか」 バルバッタ「それはそうだが」 チルク「でも、力だけじゃダメなんだよ」 ニースルー「バルバッタさん、私達を信じてください。必ずゴブリンの社会的地位を人間と同等にします」 ニースルーは頭を下げて頼み込んだ。 バルバッタ「…………。わかったよ。でも俺はどうすりゃいい? ここを去れって事なのか?」 チルク「フェリル党の党首はバルバッタ以外にいないよ。ただ皆に素行を正すようまとめて欲しいんだ。 何と言っても、フェリル党のカリスマなんだし」 バルバッタ「それもそうだったな、よし、俺に任せとけ」 ニースルー(単純、でもこれがバルバッタの魅力なのね……) その後、一通り治療を終え、ニースルーは4人を残して部屋を出る。 廊下では、ルルニーガが壁によっかかりながら待っていた……。 ルルニーガ「終わったのか?」 ニースルー「ええ、これで何とかなりそうです。今日は本当にありがとうございました」 ルルニーガ「そうか……」 ニースルー「4人を待っているんですか?」 ルルニーガ「いや、お前に聞きたい事があってな、何故そこまで?」 ニースルー「ゴブリンを配下に加えたのは、自軍の追い詰められた状況と、ゴブリンに対する生物的な部分での個人的興味からでした」 ニースルー「理由はどうあれ、共に戦っていくなか、ゴブリンは言葉を話し、物事を覚え、仲間を想い、人間と同等という事を知りました」 ニースルー「私は破門された身ですが、元は神官です。救いの教義は種族に留まらないと感じました」 ルルニーガ「そうか……、なら何故」 ルルニーガは魔王召喚の理由を聞こうとしたが、思い止めた。 魔王が召喚されず、戦乱が起きなかったら、フェリル島はレオーム家の支配下になり、ゴブリンは害獣として残らず駆除されていただろう ニースルー「?」 ルルニーガ「それで、今後の事だが……」 ニースルー「わかってます。あくまでバルバッタの説得に協力するという事で、それ以上の事は……」 ルルニーガ「そうではない……。ワシも陣営に加えて貰えないか」 ニースルー「それは、むしろ貴方程の方に加わっていただけるなら、こんなありがたい話はありませんが、でもどうして? ルルニーガ「ワシもゴブリンの為に、共存の為に戦ってみたくなった。それにまた、バルバッタの奴が、調子に乗らないワケでもあるまい」 ニースルーはクスりと笑う。 ニースルー「そうですね、では、よろしくお願いします。竜王ルルニーガ」 その時、ニースルーにはルルニーガがほんの僅かだか、ムッとしたように見えた。 ニースルー「どうしました?」 ルルニーガ「いや、何でもない」 ニースルー「それでは……」 言いかけた時、扉が開き、4人のゴブリンが出てくる。 チルク「まだいたの?」 ルルニーガ「ワシも仕官させて貰える事になってな」 バルバッタを見て、にやりと笑うルルニーガ。 バルバッタ「げっ……」 ルルニーガ「というわけで、今後ともよろしく頼むぞ、洞主殿」 バルバッタ「お、おう、お前も出遅れんなよ」 動揺しつつも、強がって応えるバルバッタの肩にルルニーガは手を置いて去っていく……。 チルク「さ、行こうバルバッタ、やる事が沢山ある」 ■VSローイス水軍 フェリル島を統一してから、ムクガイヤ魔術師団は北上はせずに東を攻めた。 理由としては北に位置するファルシス騎士団は険悪の仲だが、同盟関係にあり互いに何かしらの大義名分が無いと戦えない、一方、東のローイス水軍は海賊であり、名分が立ちやすかったからである。 手始めに、フェリル島に一番近い、シャンタル島に侵攻を開始し制圧した。 サルステーネ「我が君、ローイス水軍が和睦を求めておりますが」 ムクガイヤ「まだ、シャンタル島を制圧しただけなのにか? 随分と張り合いがないな」 サルステーネ「レオーム家と我々との二正面作戦は避けたいのでしょう。既にレオーム家がナース島まで進軍しております。もともと海賊でレオーム家とは相入れませんからな」 ムクガイヤ「レオーム家の敵である我々の方がまだマシという事か、だが、和睦は無い、同盟ではなく従属という形にもっていかなくては、今後が大きく変わってくる……」 サルステーネ「左様でございます」 ムクガイヤ「こちらも少なくてもヒュン島まで軍を進め、それからこちらの有利な条件で降伏勧告しよう」 ゾーマ「逆らえば、そのまま潰すという事だな?」 ムクガイヤ「そうだ、相手は所詮海賊だ。だが、争わず海を支配できるならそれに越したことは無いし、兵站輸送力の強化等、利用価値はある」 サルステーネ「海戦は我々の不得手とするところ、取り込めるなら取り込んだ方が良いのは確かですね」 ムクガイヤ「そういう事だ。レオーム家がナース島まで制圧している以上、海賊に海の主導権を握らせるなど、消極的な事はしていられん。 こちらが主導権を握っていかなくては、勝ち目が無い」 サルステーネ「御意」 ムクガイヤは予定通り、順調にエルタ島と南エルタ島を攻略、ヒュン島までの制圧に成功し、そこでレオーム家と戦線が接することとなった。 サルステーネ「では、予定通り、ローイス水軍に降伏勧告をしましょう。条件はどうなさいますか?」 ムクガイヤ「こちらの傘下に入る代わりに、今後も、この辺一体の制海権は与えると伝えよ……。 ただし、略奪、密輸等の賊軍的行為は認めないがな…… ところで、ニーナナスという海賊のリーダーはどんな女性だ? 早い話美人か?」 ムクガイヤの意外な質問にゾーマとサルステーネは訝しげな顔をする。 サルステーネ「戦場で相見えた事が一度ありますが、海賊とは思えない綺麗な方でしたな……。」 ゾーマ「何だ? 美人だったら妾にでもするつもりなのか? そういう事はあまり興味のない奴だと思っていたが」 ムクガイヤ「勘違いをするな……。 今後の部隊編成を考えてな、美人であるのなら、ローイス水軍の名を残しそのままニーナナスを軍団長として迎え入れたい……」 ゾーマ「海賊をか?」 ムクガイヤ「だから、美人かどうかを聞いたのだよ。ブスならいらん。 男で、髭面、ハゲ、隻眼、刺青といった世間の想像する海賊の外見の持ち主なら軍のイメージが悪くなるから起用などありえんし、 ブレッドや赤髭がだったら周囲の士気を高めるため公開処刑だが、性格が大人しくて、美人なら周囲のウケは良いであろう?」 サルステーネ「成程、そういうことでしたか」 ゾーマ「外見で人を判断するということか?」 ムクガイヤ「違うな、これはそういう事ではない。」 「外見で人を判断するなど愚か者の行いだ、しかし、外見もまた、その者の持った一つの強さなのだよ」 「早い話、美人とぶ男では、交渉事は前者の方が上手くいくものだ……。何なら賭けて見るか? ゾーマ」 持論に絶対の自信があるのか不敵に笑うムクガイヤ……。 ゾーマ「いや結構だ、確かに言われてみればそうかもしれないな……」 クリンク島まで追いやられたローイス水軍は、レオーム家とは交渉の余地が既になかったため、ムクガイヤ魔術師団に従属を受け入れる他なかった……。 ニーナナスとそのローイス水軍はムクガイヤの狙い通り、ムクガイヤ魔術師団 第3軍 ローイス水軍として配下に加えられた。 ■VSラストニ・パクハイト ヒュン島に拠点を築いたムクガイヤ魔術師団はヒュン島とナース島の間の海域でレオーム家と交戦することなる。 しかし、互いに不得手な海戦という事もあり、戦線は膠着していた。 ムクガイヤ「もどかしいな……」 サルステーネ「我が君、こうして戦線が膠着し、睨み合いが続いている間にもレオーム家は王都を中心に直轄領を増やしておりますぞ」 ムクガイヤ「気に入らんな、やつらの腐敗が原因で挙兵したというのに、それを奴らの版図拡大に利用されておるとは……」 「だが、まずい、奴らが直轄領を増やせば増やす程、我々が不利となる。」 「ただでさえ、王都とフェリル島では経済力が違うのだ……」 ゾーマ「もうひとつ、パーサの森で、ラストニパクハイトという死霊術師率いるアンデッドの軍勢が現われ、エルフ共と交戦となった。」 「現在、あの穹廬奴がエルフに協力する形で迎え討っている」 ムクガイヤ「面白い事もあるものだな。まああのトカゲ共は野蛮で色々と敵に回しておったからな、そうせざるを得なかったのだろう」 ゾーマ「アンデッドの軍勢の中に、光弾を放ち、辺り一帯を吹き飛ばす兵器があるとの報告を受けている。 「現在そのせいか、エルフと穹廬奴側が不利の様だな」 ゾーマ「ラストニパクハイトからも、パーサからも、友好を求めてきておるが、どうする? 我々からすれば、こうして睨み合いが続く以上、どっちに味方するにしてもパーサの森をこの際、奪う他ないと思うのだが」 ムクガイヤ「無論、そのつもりだ……。 「戦の名分が立ちやすいのはエルフに加担し、ラストニパクハイトを討つ事だが、それではパーサの森は手に入らん」 ゾーマ「とはいえ、素性の知れない、死霊術師と手を結ぶわけにもいくまい」 ムクガイヤ「一旦エルフに加担し、その兵器とやらの破壊に協力する……。 破壊が終われば、この度の惨事は、エルフが森の管理を怠ったという事にしその責を負わせ、安全管理を理由に支配権を奪うとするか、エルフ達にラストニパクハイトを討伐するに当たって大々的にグリンシャスに向けて派兵するため、パーサの森の中央と西部の支配権をこちらに委譲するように伝えよ。 リザードマンは血の気が多く信用できないとし、穹廬奴とは手を切るようにも伝えておけ、後、その例の死霊術師は生け捕りにせい」 ゾーマ「わかった。それで誰を使者に向かわせ、誰に任せる?」 ムクガイヤ「そうだな、レオーム家は引き続き、我々本軍とローイス水軍で当たり、それは、フェリル党にやらせよ。海に置いておいてもしょうないし、森は獣の方が幾分よいだろう」 ゾーマ「ふっ……」 ゾーマは犠牲が大きいであろう任務はまずゴブリンにやらせてみるというムクガイヤの冷徹な判断に失笑した。 こうして第2軍 バルバッタ率いるフェリル党はパーサの森に派兵された……。 ■アスターゼ仕官 ムクガイヤ魔術師団が海域でレオーム家と交戦する中、ニースルーとヨネアはルーニック島に配備され、ファルシス騎士団の警戒と政務及び、魔術の研究を行っていた。 ―ルーニック島 代官所 執務室 ヨネア「王都に帰れるのは一体いつになるのかしら」 ヨネアは執務室で愚痴をこぼしていた チルク「随分と荒れているね、ヨネア」 ニースルー「まあ、中々、思う通りにいかないしね、現在は、ファルシスを警戒してルーニック島に配備されているけど、何の進展もないし……」 チルク「…………」 ニースルーは王都に戻れない事が、ヨネアの荒れる原因と言ったが、チルクは、親友であるニースルーがヨネアの相手をしない事が原因と思っていた。 ヨネア「ねえ、ニースルー、仕事はいつ終わるの?」 ニースルー「そうね、フェリル島の開拓事業や、教育機関設立に向けてやらなきゃいけない事があるし、今日も深夜まで……」 ヨネア「え~、今日も~? 貴方、政務をあんなに嫌がっていたじゃない」 チルク「そんなに、ニースルーが遅くまで仕事をするのが不満だったら手伝えば?」 チルクは特に仕事をするわけでもなく、執務室にいるヨネアに苛立ちを感じていた。 ヨネア「何よゴブリン、ニースルーに気に入られているからって調子に乗って」 チルク「仕事をしないなら、執務室から出てってくれる? 自分の研究所があるだろ?」 ニースルーはヨネアのために、予算を割いて小さな研究所をルーニック島に作っている。 ただ、設備もろくに用意できない状況では、王都で予算を湯水の如く使って研究していたヨネアを満足させるには至らなかった。 ヨネア「碌に魔術書もない状況で、何を研究しろっていうのよ! 低能なゴブリンにはわからないでしょーけどね」 差別的な発言が親友の口から出てきて、思わずビクっとするニースルー、状況が荒れるのは好ましくない。 しかし、ニースルーの心配とは裏腹に、チルクは失笑していた。 ヨネア「何よ、その笑いは」 チルク「一つ聞きたいけど、魔王を召喚したのってヨネアでしょ?」 ニースルー「そ、それは……」 魔王召喚をしでかしたのは、ムクガイヤ魔術師団の仕業というのは周知の事実だが、しかし、魔術師団としてはその事実は否定してきた。 何を聞かれても、知らぬ存ぜぬ、クーデターを起したのはレオーム家の衰退と魔王降臨がその好機と判断したという事に表向きはしてある。 当然、後から加わったゴブリン勢にも、そういう説明がなされていた。 チルク「いや、何も答えなくていいよ、その顔で十分」 ニースル「うっ……」 ヨネア「だったら、何だっていうのよ」 ニースルーとは対象的に、ふてくされたように答えるヨネア、ニースルーと違ってヨネアは政治には興味が無い。 むしろ、魔王召喚に成功した偉大な魔道師と思ってもらいたいくらいだった。 チルク「召喚魔導論……。を読んだよね?」 ヨネア「あら、ゴブリンから魔法の論文の名前が出てくるなんて以外ね、勿論読んだわよ」 チルク「だろうね、だから、笑ったんだよ」 ヨネア「!? 何でそれで笑われなきゃいけないのよ」 ヨネアはチルクに笑われた意図を読めず、苛立ちを感じ始める。 チルク「それを書いた、アスターゼはゴブリンだからだよ」 ヨネア「なっ!?」 ニースルー「うそ…」 ヨネア「ふん……。騙されないわよ。私を担ごうって気ね、確かに驚かされたわ」 ヨネアは冷静を保とうとしていたが、動揺しているのが見てとれた。 チルクは何も言わず、自分の使っている机に置いてある本を取って、得意げにヨネアに渡す。 チルク「はい」 ヨネア「何よこれ」 チルク「昔アスターゼの弟子をやっていた時に、アスターゼの書いた魔術書の写本、修行の一環としてね僕が書いた」 ヨネア「アンタがアスターゼの弟子? 嘘よ……。素人なら、騙せるでしょうけど、ヨネア様の目はごまかせないわよ、確かにアスターゼは素性の知れない変人で、郵便などを使って誰にも姿を見せないってのは有名だけど。 アンタの汚い字で、こんな適当に書かれた……」 といって、ヨネアは写本のページをパラパラと斜め読みをするが、数行読んだだけで口を閉じ、真剣な眼差しで読み始めた……。 チルク「これで、納得した?」 すっかり夢中になり黙り込んだヨネアに、先ほどの非礼を認めさせようと話しかけたが、ヨネアは読書に集中しており、声は全く届かなかった……。 ニースルー「ちょっと、ヨネア」 ヨネア「ん? ごめん、ニースルー、部屋に戻るわ」 ヨネアはそういうと本を読みながら、自分の部屋に戻っていく……。 チルク「…………、ちゃんと返してよ(ボソッ」 ニースルー「ちょっとチルク、アスターゼが貴方の師だってこと、何で今まで黙っていたの? ムクガイヤ様は優れた魔術師なら、死刑囚だろうが、禁忌の闇の魔法を習得していようが、破門された神官でも登用する方よ?」 チルク「子供の遊びには付き合えないって言われててね、それに僕も破門された身だし」 ニースルー「でも、アスターゼは確かに、王都の魔術アカデミーでも天才としてその実力を認めらているし、ゴブリンに人間を認めさせられるには格好の人物じゃない」 チルク「確かにそうなんだけどね、また話してみるよ」 ニースルー「ねえ、私もついて行っていい?」 チルク「別にいいけど何で?」 ニースルー「そりゃあ、謎の多い大賢人に会ってみたいじゃない」 ………………………… 翌日、チルクとニースルーはフェリル島の山奥にあるアスターゼの住まう庵を訪ねた。 現在庵には住み込みで、修行している弟子が2人いる。 ハウマン「お久しぶりですチルク」 チルク「久しぶり、ハウマン、マタナ」 アスターゼ「チルクか。そろそろ訪ねて来るとは思っておった」 チルク「そうですか、それでは話は早い」 アスターゼ「まさか、ゴブリンと人間が共に戦うとはのう」 チルク「まだ、問題は山積みです。ですから是非、老師のお力を借りたく……」 アスターゼ「わかっておる。マタナ、ハウマン、チルクに協力して上げなさい」 ハウマン「わかりました」 マタナ「喜んで」 チルク「老師にも加わって欲しいんです」 アスターゼ「わかっておる、しかし、折角、お前やバルバッタの力でここまで来たのじゃ、少し名の知れたワシが協力すれば、お前達の努力が水の泡になる」 チルク「何故ですか?」 アスターゼ「ワシが加われば、ゴブリンを快く思わない認めない者からすれば、ワシだけが認められる存在としてゴブリンという種族を否定するだろう、 お前やバルバッタの様な、無名のゴブリンが認められてこそ、ゴブリンという種族が認められるのじゃ」 チルク「そんな……」 チルクは言い返そうとしたが、かつてバルバッタの言った言葉を思い出す。 『ジジイやオッサンはゴブリンが人間よりも下だと思っている。だからジジイやオッサンよりも劣る俺がそんな事は無いって証明する』 確かにルルニーガがフェリル党の全軍の指揮をとり、アスターゼが全面的に知恵をかせば、ムクガイヤ魔術師団の助けになるだろう。 しかし、それは、ルルニーガとアスターゼだけが認められる結果となり、若い世代の芽を摘むことにもなりかねない。 結果として、ゴブリンという種族が認められるわけではないという事だろうか。 ニースルー「それなら、育成では協力していただけませんか?」 アスターゼ「育成?」 ニーズルー「はい、今、私とチルクとで、フェリル島に教育機関の設立に向けて動いております。 「大学ができれば、当然、教える者が必要になります。貴方がチルク達に任せようとするのは、先ほど言った事もありますが。 「真意は、若い世代の可能性を考えての事でしょう? なら育成に携わるのは問題ない筈です」 アスターゼ「そうか、お主がニースルーか……」 ニースルー「申し遅れました。でも何故私を?」 アスターゼ「ルルニーガの奴から聞いた。ゴブリンと人間の共存に奔走している者がいてその者に心を動かされたとな……」 ニースルー「そうでしたか」 アスターゼ「大学といったな、当然、できれば魔術の学科もできるのじゃな?」 ニースルー「勿論です」 アスターゼ「わかった、協力しよう」 アスターゼの庵を後にした帰り道……。 チルク「ありがとう」 ニースルー「どうしたの?」 チルク「いや、僕一人だったら、老師の協力は得られなかったと思ったから」 ニースルー「どういたしまして」 大賢人と呼ばれたアスターゼの仕官は、フェリル島の教育機関の設立の歩に拍車をかける事となった。 ゴブリンに対し、偏見を捨てつつも、積極的に友好を深める気がなかったムクガイヤも一人の魔術士として、アスターゼをリスペクトしていたからである。 ■レドザイト仕官 ―ルーニック島 代官所 ニースルーがアスターゼ、ルルニーガを仕官させてからというもの、 文官にはフーリエンとキスナートが加わり、魔法の研究者としてマタナ、ハウマンが加わり、武官として、ムッテンベル、ポイトライトが加わり、ゴブリンの人材が充実した事で、その成果も数字に表れて始めてきていた。 また、ルーニック島に逃げ込んだ時と比べて、代官所の執務室は賑やかになっている。 ニースルー一人しか政務を行う者がいなかったのが、今ではフーリエン、キスナート、チルクが加わり4人となったからである。 ヨネア「う~~」 (楽しそうね……。でも政務なんてわからないし、私もああやって、自分の研究を手伝ってくれる助手が欲しいわ) となりの芝生が青く見えるのか、ヨネアはゴブリンと執務をこなしているニースルーが楽しそうに見えていた。 ヨネア「そうだ、私って天才、手伝ってくれる者がいないなら、召喚すればいいのよ、なんてたって魔王を召喚したんだから」 独り言を言いながら、ポンっと手を打つ。 早速自分の与えられた研究室に戻り、魔法陣を床に書き始める。 ヨネア「魔界にいる悪魔を呼び出すのは、色々と大変だけど、既に現世に来ている悪魔を召喚する分には少ない魔力で出来る筈……。 魔王召喚してからというもの放浪している悪魔を見たって話も聞くし……」 召喚魔法を唱え終えると、魔法陣からつむじ風が巻き起こり、部屋中が煙で見えなくなる。 ヨネア「成功……よね?」 煙が巻き上がったので、何が起きたのか見えないが、確かに魔法陣から新たな者の魔力の波動を感じた……。 煙が晴れるとそこにはお面をつけた小さな女の子がいる。 レドザイト「えっとね、なんじか? あたしとけいやくしたいのは?」 召喚されるのは初めてなのか、必死に台詞を思い出す様にして喋る小さな悪魔。 ヨネア「ちょ……子供?」 ヨネア「契約? あっそっか」 「物語とかでよく、悪魔って人間と契約交わしているもんね、あれって事実を元にしてたんだ」 (ってことは、何を要求されるのかしら、伝承とかだと人間の魂ってのが多いけど……) ヨネア「その前に、見た所子供の様だけど、何ができんの?」 「それと支払いは現金でいいのかしら? それとも人の魂とか?」 ヨネアに意地の悪い質問攻めにされ、慌てだす小さな悪魔。 ヨネア(魔法の研究を手伝える有能な悪魔が欲しかったけど、無理そうね、まあ、研究補佐は無理でも研究対象になら成り得るかしら) レドザイト「えっと、えっと、冷気の魔法が得意。 後は、猫大好き、ベビーカステラも好きだよ」 ヨネア(本当にガキね、甘いものとかわいいものが好きだなんて。まあ良い買い物かも……) ヨネア「わかったわ……、子猫を一匹と、カステラを一年につき365個、買ってあげる。だから、あたしに仕えるのよ?」 レドザイト「うん、いいよ、よろしくね、おねえちゃん」 無邪気に笑いながら、契約をまるでわかっていないような感じである。 ヨネア「よろしくね、私は偉大な闇の賢者ヨネア様よ、貴方は?」 レドザイト「レドザイト、あたし、頑張るからね」 レドザイトの無邪気な子供の笑顔とは対象的に、ヨネアの笑顔は悪魔の笑顔だった……。 ■ポポイロイト仕官 ニースルー「ねえヨネア、前から気になっていたんだけどその子って……」 ヨネアが買い与えた子猫と戯れるレドザイトを見て、疑問を口にする。 ヨネア「そう、悪魔の子……、召喚して契約したの」 ニースルー「本気? 悪魔と契約を交わすなんて」 ヨネア「大丈夫よ、見た目通りのガキだから、カステラと子猫で取引に応じたわ、子供だけど魔力は高いし、戦いもできる。安い買い物よ」 そういって、腹黒く笑うヨネアを見て、ニースルーの表情はひきつった。 ニースルー「…………」 ヨネア「本当は、私の研究を補佐してくれる悪魔を召喚したかったんだけどね、助手には成り得ないから、また召喚しないといけないんだけど」 ニースルー「ヨネア、悪魔を陣営に加えるなんて、いくらなんでも危険よ。確かに戦力になるとは思うけど」 ヨネア「大丈夫よ、そんなに心配しなくても、やばそうなのが来たら、契約せずに送還すればいいんだし。」 「大体、ニースルーだって、人とかゴブリンとか気にしなかったじゃない。」 「ゴブリンが良くて、悪魔はダメってどっからくるわけ?」 ニースルー「いや、悪魔は流石に……。もともと現世にいる生き物でもないし、少なくても、ムクガイヤ様に了承を得たほうが……」 ヨネア「何でよ? そもそも自分とこの王を始末するのに、魔王を召喚するなんて無茶言い出したのはあいつよ? 「おかけで、王は死なない、レオーム家と 魔王軍の双方から恨みを買うし……、 「その結果、都落ちして、こんなしょぼい研究所で研究する始末」 ニースルー「ごめん、ヨネア」 ヨネア「あっ……。違うのよ、ニースルーが用意してくれたこの研究所に不満があるわけじゃないの。」 「ただ、王都で研究した時に比べてやれることが限られているから……」 ニースルー「そう……よね」 ヨネア「とにかく心配しないで」 ニースルー「ヨネア、これだけは約束して、やばいの召喚して収拾つかなくなったら、必ず私に相談する。約束よ?」 ヨネア「わかったわ、やばい状況に追い込まれたら、必ず相談する」 その言葉を聞いて、少し安心する。 レドザイト「大丈夫だよ、おねえちゃん、あたしがついてるもん」 いつの間にか近くに来ており、会話に交ろうとするレドザイト。 ニースルー「そう? ヨネアの事を頼んだわよ」 ニースルーは思わず人間の子供の様に頭を撫でた。 レドザイト「うん」 ニースルーは、純朴そうなレドザイトを見て少し安心したのか部屋を後にする。 ………………… ヨネア「さて、魔法陣はこれでOKだし、やりますか」 前回と同じように、部屋が煙に包まれ、煙が晴れると、レドザイトと同じような悪魔の子供がいた……。 ヨネア(また、子供か……) ポポイロイト「ねーねーダッコして~」 レドザイトが無邪気にニコニコしているのに対し、新しく現れた悪魔は、何処か邪気を含んだようなニヤニヤとした笑顔であった。 ヨネア(それにレドザイトと違って、クソガキそう。まあ、戦力にはなるかしら?) ヨネア「単刀直入にいうわ、貴女に仕官して共に戦って欲しいんだけど、何で支払えばいいかしら?」 (お菓子だと楽でいいわね、生意気にも魂が欲しいとか言い出したら、ゾーマの魂でも差し出そう、あいつは元死刑囚だし、誰も困らないわよね) ポポイロイト「ポポの遊び相手になって欲しいの~」 ヨネア(遊び相手って、これまた格安、一文もかからないじゃない、いやまて、子供とはいえ悪魔、契約内容をよく確認しないのは危険よね) ヨネア「遊びって何かしら、まさか大人の遊びじゃないわよね?」 ポポイロイト「ポポを抱っこしてくれたり、鬼ごっこして欲し~な~」 ヨネア「そんなのお安い御用よ、契約成立ね」 ポポイロイト「わーい、じゃあ、早速……」 ヨネアは反射的に身を引いた。 何かよくわからないが危険を感じ取ったのである。召喚の時に使った魔法の杖の先が何故か無くなっていた……。 とっさに向かってくるものを杖で防ごうとして、何かが爆発したのだ。 しかし、爆発がわからないのは、爆音を認識する前に、鼓膜が破れてしまい、音が聞こえなくなったためである。 ヨネア(一体何が!?) ポポイロイトの方に目をやると、ポポイロイトが複数になっていた。今も尚分裂するように増えていく……。 ヨネア「なっ!?」 ヨネア(まずい、あの分身に触れると爆発するんだわ) ポポイロイト「100人のポポから逃げてね、おばちゃん」 黒い笑顔を浮かべ、それを見てヨネアはぞっとした。 軽はずみで悪魔を呼び出し契約した事を後悔する ヨネア(ごめんね、ニースルー約束守れなかったみたい……) 分身が一斉に向かってくる。激しい爆発音が鳴り響いた。 ヨネア(生きてる!?) レドザイト「大丈夫? おねえちゃん」 レドザイトが主の危険を察知し、ポポイロイトの分身からヨネアを冷気の魔法で守ったのだ。 ヨネアは自分が守られた事を理解すると、レドザイトの手を掴みそのまま出口に向かって走った。 追ってくる分身はレドザイトが冷気の魔法を唱え続けなんとか凌ぐ、外に出ると、エクスプロージョンを唱え、残った分身を1体残らず吹き飛ばした。 ポポイロイト「てへ、分身つきちゃった、おばちゃんの勝ち~」 ポポイロイトには全く殺意が無い感じで、自分が何をしたのかわかっていないようだった。 ヨネア「こら、いきなり始める奴があるか? それに鬼ごっこはどっちが鬼かどうかをまず決めてからやるものよ」 「それに、あたしはおばさんじゃない!」 ヨネアはポポイロイトにごつんと拳骨を入れる。 ポポイロイト「ぶー、おばちゃんのバカー」 涙目になったポポイロイトはそういって飛び去った。 ヨネア「レドザイト、悪いけど、今度から貴方があの子と遊んであげてね」 レドザイト「うん、いいよ」 面倒な事はレドザイトに押し付けると、強力な特技を持った悪魔を手に入れた事に嬉しさを隠しきれない半面、残骸と化した研究室を見て、ため息を吐くヨネアであった。 ヨネア「ふぅ……。けど、助手には成りそうにないわね、研究室は大破するし……」 その時ヨネアは気付いていなかった……。 レドザイトとポポイロイトを遊ばせる事で、ポポイロイトがレドザイトに悪戯を教える事を……。 ■ラングトス仕官 ヨネア「ぜえ、ぜえ、レドザイトをポポイロイトの遊び相手にしたのは失敗だったわね、レドザイトまで悪ガキになりつつあるわ……」 ヨネアはポポイロイト召喚時に殺されかけたため、次の召喚に二の足を踏んでいた。 しかし、日に日に大きくなる、子守の負担に、次の悪魔を召喚して、そいつにどうにかさせようと考え始めていた。 ヨネア「ニースルーに何かあったら、相談してとは言われているけど、流石に子守してとはいえないし……。危険だけど次の召喚を試みる事にする」 研究日誌をつけながら、記載する内容を口ずさむ。 ヨネア「レド、ポポ、来なさい」 屋内を走り回ってカクレンボをしている2人を呼び、何かあった時のために備えさせる。 ヨネア「いい? クソ生意気な悪魔が現れてあたしに何かしようもんなら、貴方達二人でそいつをボッコボコにするのよ?」 「それこそ、思いっっっきり鬼ごっこしてあげていいから」 レドザイト「うん」 ポポイロイト「楽しみ~」 召喚魔法を唱え終え、いつもの様に煙が噴き出し、あらたな魔力を持った存在がその場に現れる。 「ライブの始まりなんだってヴぁ」 それは、召喚された悪魔の声だろう。ハスキーな声とともに部屋が光に包まれた。 光り輝く精霊が現れたかと思えば、悪魔はそのままギターの演奏を始める。 悪魔たちの音楽なのか、ヨネアにとっては初めて聞くジャンルの曲だった。 ヨネア(今度は物凄いイロモノが来たわね、流石にこれの面倒は見れないわ) 強制送還の魔法の詠唱を始めるヨネアとは対象的に、レドザイトとポポイロイトは楽しそうにノリノリでラングトスの演奏と歌をきいている。 ヨネアが強制送還の魔法を唱えようとした時、ラングトスの演出なのか、周囲の床が爆発した。 ヨネア「これは!?」 それは、ヨネアの使う闇のSSクラスの魔法、エクスプロージョンによく似ていた。 爆発の規模はヨネアの物に比べ、小さいものであったが、演奏中に何度も使われる。 ヨネア(エクスプロージョンではないけど、それと似た魔法を短時間中に何度も使っている!?) エクスプロージョンはその威力のため、術者への負担が大きく、一日に一回が限度である。 それを良く似た魔法を小規模なものとはいえ連発してみせるラングトスは、研究者としてのヨネアの心をくすぐった。 ヨネア(研究し甲斐がありそうね……) ヨネア「中々だったわよ、今の演奏」 とりあえず、適当に誉めながら、ラングトスとの交渉に入ろうとするが、ラングトスは特にヨネアに興味は無い感じで……。 ラングトス「バンド組もうZE」 とだけ言った。 ヨネア「バ……バンド!?」 ヨネア(バンドってあれよね、少人数のメンバーがそれぞれ違う楽器を担当して演奏し、曲を作る連中) (それを組もうって言ったの?) (お金や魂がかからないのはいいけど、難題よね) ヨネア「も……勿論いいわよ。 ここにいるレドザイトとポポイロイトがそれぞれ、カスタネットとタンバリンができるから。これでバンド結成よね」 レドザイト「タンバリンってなあに?」 ラングトス「ふざけるんじゃないんだってヴぁ」 ラングトスは持っているギターぶん回して暴れ出す。 ヨネア「ちょ……ちょっと暴れないで」 ラングトス「ベースとかドラムとかそういうのだってヴぁ」 ヨネア「わかったから、落ち着いて……。現世でバントを組もうと思ったら事務所に所属する必要があるの」 ピタっと、動きを止めて、ヨネアを見る。 ヨネア「私が事務所を作ってあげるわ、何かと便利よ、メンバーも仕事も探して貰えるしね」 ラングトス「…………」 ラングトスは疑うような目つきでじ~っとヨネアを見ている。 ヨネア「というわけで、契約書もってくるからサインお願いね」 ヨネア(何とかなりそうね) ヨネア「これが契約書、さサインして」 ラングトス「………………」 ラングトスは何も読まずにサインすると思ったヨネアの思惑とは違って、ヨネアが契約書にさりげなく盛り込んだ毒素条項に尽く修正を入れていく……。 ヨネア(うっ……こ…こいつ。できる) 一通り、ヨネアに都合のいい内容の修正が終わると、無言で契約書を突き返す。 修正したから、『上記修正に相違ありません ヨネア』と一筆入れろといわんばかりに……。 ヨネア(くそ……。しょうがない、いつまでにメンバーを用意するっていう約束は書いていないからとりあえずサインして、適当な悪魔を召喚してそいつをメンバーにするしかないわ) ヨネアは、渋々ラングトスの修正した契約書に一筆を入れ、それを見届けると、ラングトスもサインした。 ヨネア(ラングトスって言うのね、バンド名はジャンキージャンクか……。ヤクとかやってんのかしら?) ラングトスがヨネアの知らない魔法を唱えだす。 そうすると、契約書が複製され、一枚を自分の懐に入れ、一枚をヨネアに渡した。 ヨネア(イカレた奴かと思ってけど、意外としっかりしているのね……) ヨネア「はあ……。子守問題も解決してないし、メンバー探しか……。まあいいわ次の召喚で逆転してやる」 ■ドラスティーナ仕官 ―ルーニック島 代官所 ヨネアの研究所 ラングトスが仕官してからというもの、連日連夜ギターの演奏をし、文官達から苦情が殺到していた。 ニースルーは代官所の敷地内の母屋から離れたところに、新たにヨネア用の研究所を建てさせると、ヨネアにそこで研究するように言い渡していた。 ヨネア「神様ラザム様、子守のできる悪魔が来ますように、それがダメなら、せめてドラムかベースの演奏ができる悪魔が来ますように……」 神の祈りと願いを終えると5度目の悪魔召喚を試みる。 例の如く、もしものために、3人の悪魔は部屋の外で待機させていた。 いつものように煙に部屋が包まれるが、あからさまに今までとは違う強烈な魔力の波動を感じ取る……。 ヨネア(この力! かなり高位の魔族が来た?) ドラスティーナ「人間如きが私を呼ぶなんて、どんな命知らずかしらね」 ヨネア(ついに……、悪魔らしい悪魔が来た) 思わず努力が報われた事に感動し、拳を握りしめ涙を流すヨネア。 ドラスティーナ「私を呼び出したワケを聞かせていただこうかしら? どこかの国でも焼き払うつもり?」 自身の力に対する、絶対的な自信からか、物騒な事を言い始める……。 ヨネア「現世に来ているから知っているとは思うけど、今は戦乱の世。強い力を持った者が一人でも多く欲しいの(キリッ」 ヨネア(今、本当に欲しいのは子守だけど、私に仕えさせた後、子守を命じるのが得策、ついでにバンドのメンバーもやらしちまえ) ドラスティーナ「そう……要するに私に仕官しろって事ね? それで貴方は私と契約するだけの代償を払えるのかしらね?」 ヨネア「そうね、あたしが貴方の友達になってあげる」 ドラスティーナ「クスッ ふざけているのかしら? タダで働くとでも?」 ヨネア「友情は金でも魂でも買えないわ、悪魔と友達になってあげなきゃいけないなんて、人間にとってこれ以上の屈辱(代償)はないわ」 ドラスティーナ「面白い事をいうのね貴方、私を召喚してコケにしたのは貴方が初めてよ」 ヨネア(流石に無理があるか……) ヨネア「わかったわ、じゃあ百歩譲って、強力な魔導師の魂をあげる」 ドラスティーナ「それじゃダメよ、ゾーマっていうのは貴方にとってどうでもいい存在の魂でしょ? そういうのは悪魔にとって何の価値もないの」 ヨネア(記憶を読まれた? これが高位の悪魔の力!?) 闇の魔法には、メンタルサックやナイトメアといった他人の精神に関わる魔法が数多く存在する。 それが高位の悪魔が使うとなるとこういった事もできるようだ。 ドラスティーナ「そうね……、貴方にとって正に賭け替えの無い魂となると、ニースルーっていうの? 貴方の大切なお友達は……」 ヨネア「あ?」 表情がひきつり、怒りを露わにする。 ドラスティーナ「クスッ。良い顔ね、でもそれが悪魔との契約ってモノよ?」 ヨネア「心を読んだのならわかるでしょ、払えるわけがない」 ドラスティーナ「別にまだ契約したわけじゃないし、引き返す事もできるわよ」 ヨネア「ねえ、悪魔の社会って完全な縦社会よね? 強い者には絶対服従」 ドラスティーナ「まあ、大体そんな感じね。下位の悪魔が高位の悪魔に逆らうなど許されない事よ、それがどうかしたかしら?」 ヨネア「つまり、あたしが貴方をしばけば、貴方に何の代償も払う事無く、貴方を仕官させられるのね?」 ドラスティーナ「本当に面白い子ね、じゃあ、負け方が勝った方に従うって事でいいかしら?」 ヨネア「それでいいわ、契約成立ね」 ドラスティーナ「灰塵になっても恨みっこなしよ」 ドラスティーナがそういうと、空間に炎の渦が出来き、一振りの剣が現れる。 ヨネア「ポポイロイト、この人と思いっきり鬼ごっこしてあげなさい」 ヨネアは待機させていたポポイロイトに向かって叫んだ。 ポポイロイト「ほーい」 研究室の扉が破壊され、ポポイロイトの分身がなだれ込む……。 ドラスティーナ「な!?」 不意と背後を取られ、ドラスティーンはわずかに動揺するが、ドラスティーナの剣が炎に包まれたかと思うと、火炎を放ち、分身を手前で爆破させ凌いでいく……。 レドザイトが素早く接近し、ブリザードブレスを放った。 ドラスティーナ「ちょっと、どういう事よ? 3人がかりなんて卑怯じゃない」 ヨネア「うるさい、うるさい、うるさーい、誰も一対一だなんて言ってない」 ラングドス「それに、俺もいるんだってヴぁ」 ドラスティーナの頭上でギターを振り上げているラングトス。 ライブエクスプロージョンを唱え、建物全体に爆音が鳴り響いた……。 ―執務室 研究所で起こった戦いで、ガタガタと建物全体が揺れている チルク「うるさいなぁ」 ニースルー「はあ、また派手な爆発系の魔法の研究でもしているのかしら?」 チルク「離れにしたのに、ちっとも解決しない、もう、代官所の敷地外にした方がいいんじゃないか」 ニースルー「それだと、流石に予算が……。 ちょっと、見てくるわ、休憩を促して、少し話してみる」 ニースルーは席を立ち、ヨネアのいる離れに向かった……。 ドラスティーナ「やるわね、一対一と思わせ、数人がかり、それに別の悪魔を既に味方につけていた事にも驚いたわ」 ヨネア(強い……) ドラスティーナ「でも、前衛がいないのが致命的。デーモン種を味方につけていなかったのが貴方の敗因よ」 ヨネア「まだ、負けてないわ」 ドラスティーナ「この状況で、逆転できるとでも?」 既に、ラングトスとポポイロイトはリタイヤしており、ドラスティーナの火炎をなんとかレドザイトの冷気で防ぐのが精一杯になっていた。 ヨネア(とんだ泥仕合ね、こうなると身体能力の高い方が有利……。まさか、ポポイロイトの分身を切り抜けるなんて……) ドラスティーナ「潔く負けを認めたらどうかしら? 貴方面白いし、直ぐに殺すなんて真似はしないわよ?」 ヨネア「ここは私の研究所、私は闇の魔法エクスプロージョンの研究しているの……」 ドラスティーナ「だったら、使えばいいじゃない、それで私が倒せるなら……」 ヨネアは研究所の大破を避けるため、広範囲の魔法は使っていなかった。 それはドラスティーナも気づいていたが、仮に使われたとしても、それに耐えうるだけの力は持っていた。 ヨネア「残念ながら、私のエクスプロージョンだけじゃ、アンタは倒せない、でも……」 壁に背を向けたまま手を伸ばし、壁についているレバーを倒す。 ガタンと音がし、何かが作動する。 扉のあった所と窓に鉄格子降りてきて、研究所が全体が封鎖された。 ヨネア「私の研究は禁忌だから、もし何かあった時のためにいつでも証拠を闇に葬れるよう、研究所には自爆装置が仕掛けてあるの」 ドラスティーナ「貴方も死ぬわよ?」 ヨネア「バカね、私はエクスプロージョンが使えるのよ。」 「爆発の瞬間に合わせれば相殺できるわ、でも貴方はどうかしら? 2重の爆発に耐えられる?」 ドラスティーナ「ちっ」 舌打ちをし、魔法の発動を阻止しようヨネアの方へ向って駆けてくる ヨネア「生きていれば、今日からアンタは私の部下よ。」 「エクスプロージョン」 力ある言葉が解き放たれ、研究所が大爆発をおこした……。 ―庭 ニースルー「ヨネア……。やってくれたわね……」 ニースルーは爆発を見ても、身の心配はしていなかった。 爆発の原因はヨネア自身の魔法によるものであろうから、術者が吹き飛ぶ分けはないと。 ニースルー「全く勝手な事ばかりして……」 ぶつぶつ言いながら、爆煙の上がる方へ歩をすすめる。 ドラスティーナ「や……やるじゃない……。流石に今のは死ぬかと思ったわ……」 全身真っ黒になり、それでも尚、膝をつく事無く、その場に佇む悪魔貴族。 ヨネア「ふ……ふん、アンタも、思いのほか頑丈ね……。あの爆発に耐えるなんて」 ヨネアは魔力を使い果たし、立っているのがやっとの状態であり、一方、ドラスティーナはふらふらとした足取りではるが、ヨネアの方へ近づいていく……。 ヨネア(これでも倒せないなんて、万策尽きたって感じね……) ニースルー「ちょっとヨネア、幾らなんでもやりすぎよ」 ヨネア「げっ……。ニースルー」 ヨネア(いや! そうよ! ニースルーに加勢してもらうのよ、あいつもフラフラだしこれで勝てる) ドラスティーナ(新手がまだいたとは……。) ニースルーはそのまま、ドラスティーナの方へ歩いて行き……。 ニースルー「新しく召喚された悪魔の方ですね、いつもヨネアがお世話になっています」 礼儀正しくお辞儀をした。 ドラスティーナ(あの子の親友だというから、どんな電波かと思ったら、うって変わって礼儀正しい子ね) ニースルー「向こうにお茶とお菓子を用意してあります。どうぞこちらへ」 ドラスティーナ(現世のお茶か……。どんなものかしらね?) ドラスティーナ「そうね、いただこうかしら」 ヨネア「ちょっと、アンタ、決着はまだ、ついて……」 その時、ヨネアの服が引っ張られる。 ヨネア「レドザイト?」 泣き出しそうな顔で首を横に振る。 子供なりにこれ以上戦うのは危険と伝えているようだ。 ヨネア「くっ……」 ヨネアはとりあえず、2人の後を追った、ドラスティーナはニースルーに連れられ、紅茶と茶菓子を馳走されていた。 ドラスティーナ「あら、良い香り」 ニースルー「この紅茶はベルガモットといいます。お口に合うかしら?」 2人はその後、紅茶について楽しそうに語りあう、ドラスティーナは淑女として振る舞い、特にニースルーに何かすることは無かった。 ヨネア「何よ、随分と楽しそうね……」 遠目で、楽しそうに紅茶を嗜む2人を見て、複雑な気分になる。 ちょっとしたお茶会が終わり、ドラスティーナはニースルーが視界からいなくなるのを見届けた後、ヨネアの方を向き直る。 ヨネア「まだ、決着はついていないわ」 ドラスティーナ「そうね。続きやる?」 ヨネア「くっ……」 お互い魔力は空に近い、体力も互いに限界、それこそ子供の喧嘩の様に、意地の張り合い、殴り合いになれば、明らかにドラスティーナに分があった。 ドラスティーナ「ねえ、この勝負は引き分けって事にして、普通に雇ってくれてもいいのよ?」 ヨネア「どういう風の吹き回し? 悪魔からそんな言葉が出るなんて」 ドラスティーナ「ちょっと、現世というか貴方達に興味が持てただけよ、貴方と居れば退屈から解放されそうだしね」 ヨネア「…………」 ドラスティーナ「とはいえ、タダ働きなんて私のプライドが許さないから、報酬は貴方達の主、ムクガイヤっていうのね、それの給料と同額、それに月一回のティーパーティーを行う事、これが条件よ」 ヨネア「わかったわよ……。それでいいわ。契約成立ね」 ヨネアはムクガイヤの取り分が幾らなど全く知らなかったがOKした。 ドラスティーナ「では、あらためて私はドラスティーナよ。これからよろしくね」 ヨネア「よろしく……」 握手を交わす2人……。 それを見たのか、復活したポポイロイトがやってきて、ドラスティーナに抱きついていくる。 ドラスティーナ「何よこの子、いきなり抱きついてくるんじゃないわよ、馴れ馴れしいわね」 ポポイロイト「ポポのママになってくれるんでしょ?」 ドラスティーナ「!?」 ヨネア(バカ! まだ早い) ドラスティーナ「どういう事よ!?」 ヨネア「えーっと」 ヨネアは人差し指と人差し指をつけながら困った顔をする。 ドラスティーナ「いいわ、思考を読めば」 ヨネア「あっ、こら、人の記憶を読んだりするのは禁止よ」 ―回想 ポポイロイト「もっと遊んでよ~、つまんなーい」 レドザイト「つまんな~い」 ヨネア「う~、今度来る人が、貴方達のママになってくれるから、思いっきり甘えるといいわ」 ポポイロイト「ほんと?」 ヨネア「ほんとにほんと」 レドザイト「たのしみ~」 ラングトス「それより、俺のメンバーはいつになるんだってヴぁ?」 ヨネア「順序ってモンがあんのよ上手くいけば、それも今度かな」 ラングトス「…………」 ヨネア(チビ共はともかく、この目は疑っているわね早くしないと……) ドラスティーナ「何よそれ! 貴方、私を子守にするどころか、あの、 やかましい、 おかしい、 いたましい、 3拍子揃った奴と、バンドを組ませる腹積もりだったの?」 ヨネア「……(コクリ」 ドラスティーナ「さて、魔王軍にでも仕官してこようかしら」 そう言って、美しい翼をはためかせ、飛び去ろうとするドラスティーナの足をガシっと掴む……。 ヨネア「待ってよ、契約成立しているじゃない、契約反故は高位悪魔の名折れじゃないの?」 ドラスティーナ「うっ……。そ、そうよ、これは夢よ、夢なのだわ」 ヨネア「こらっ! 現実逃避するな!」 ドラスティーナ「何処に、高位悪魔に子守とバンドのメンバーやらせる奴がいるのよ!」 ヨネア「うるさいうるさい、アンタは私に雇われているんだから、子守もメンバーも仕事なんだから黙ってやりなさいよ」 いつまでもいがみ合う二人、ニースルーはその口喧嘩をする2人を遠目で見ていた。 ニースルー「よかったわねヨネア、良い友達ができて……」 ■キオスドール仕官 ヨネア「ホントにいるんでしょうね」 ドラスティーナ「いるわよ、私より遥かに子守に適した悪魔が」 今回、次の召喚を提案をしたのはドラスティーナだった、その悪魔に貧乏くじを引かせるために。 ヨネア「いくら子守が得意でも、伝承とかに出てくる外見がグロい奴とかでっかいハエとか、いらないんだけど」 ドラスティーナ「大丈夫よ、見た目は二十歳前後で女性で美人だし、性格も大人しいわよ。シャルロットっていうんだけど、私が現世に来た時、魔力を感じたから、こちらに来ている筈」 ヨネア「大人しい子なんているの」 ドラスティーナ「いるわよ、気弱で、自分が悪くなくても謝ってしまうタイプ、いわゆるグズな子よ」 ヨネア「確かに、子守とかには向いてそうね」 ドラスティーナ「でしょう? それに潜在能力は決して低くは無い筈よ、悪魔にしてはめずらしく回復魔法も使えるし、 デーモン種だから、ラングトスとかよりも頑丈、ただ性格面の問題でいつまでたっても奴隷階級なんだけど」 ヨネア「ふーん」 喋りながらも魔法陣を書き終え、魔法を唱える。 するとそこには血だらけの女が立っていた。 ドラスティーナ「………………」 ヨネア「………………」 「これ?」 ドラスティーナ「ちがうわよ!」 ヨネア「ちょっと何で血まみれなのよ? それとも血糊? 何かの演出のつもりかしら?」 マビドレ「何で、血がついているかって? それは人を殺しちゃったからだよ」 ヨネアはドラスティーナに視線を送る。それに応え、首を横に振るドラスティーナ。 ヨネア「あのね、男は基本馬鹿でいらないけど、馬鹿な女も平等にいらないの。というわけで強制送還」 召喚とは逆の魔法を使って、マビドレを何処かに飛ばした。 ドラスティーナ「どこに行ったの?」 ヨネア「さあ? 二度と会いたくないし、ここからなるべく遠くに飛ばしたつもりだから、パーサの森の僻地にでもいるんじゃない」 ドラスティーナ「そう、というか、召喚って指定できないの? ルーゼルを召喚したのって貴女なんでしょ?」 ヨネア「魔力の高い低いである程度選ぶ事はできるけどね、完全な指定は無理よ。有名でもなければ、会った事もないんだし……。」 「それより、次いってみよう」 数撃てば当たる方式で、召喚魔法を唱えていく。 ヨネア「何この軽薄そうな男? 死神でも気取ってんのかしら? 女に相手にされなそうなかわいそうな奴ね」 ヨネア「外見が生理的に無理、ドーピングとかどうでもいいから」 ヨネア「筋肉馬鹿は手玉にとられやすいからいらないの」 ヨネア「あのくだらない研究をする奴は一人で十分」 ヨネア「何コレ、ミイラ!?」 片っ端から召喚しては片っ端から送還するヨネア。 ヨネア「ちっ……。碌な悪魔がいないわね」 ドラスティーナ(今まで悪魔に物怖じしない人間は何度か見たけど、悪魔をここまで上から目線で見る人間は初めてね、感嘆とさせられるわ) ヨネア「本当にこっちに来ているの? その悪魔、一向に出てこないんだけど」 ドラスティーナ「来ているのは確かよ、ひょっとしたら、召喚を拒否しているのかも」 ヨネア「拒否?」 ドラスティーナ「悪魔は普通、召喚されれば面白がって、それに応じるんだけど、何か理由があってそこを離れたくないのよ」 ヨネア「へ~」 ドラスティーナ「例えば、すでに魔王軍に仕官している悪魔だったら、召喚に応じようものならルーゼルに処刑されるしね」 ヨネア「魔王軍にとられちゃったって事?」 ドラスティーナ「あんな気弱で奴隷階級の悪魔をルーゼルが登用するとは思えなかったけど、そういう事なのかしらね」 ヨネア「残念、じゃあ、次試みて、ダメだったら諦めるわ。戦場で出会う事があれば生け捕りにすればいいんだし」 ドラスティーナ「それもそうね」 ドラスティーナ(ちっ……。子守から解放されると思ったのに) 気を取り直し、再び召喚を試みる、煙が上がり新たな魔力の波動を感じた……。 ドラスティーナ(シャルロットではないわね……。あーあ) 煙が晴れるとそこには10代半ばくらいの少女が立っていた……。 キオスドール「うふふ、召喚していただき誠にありがとうございますわ」 ヨネア「また子供か……。でもあのチビ達と違ってしっかりしてそうね。この子で召喚自体、最後にしようかしら」 ヨネア(この外見は淫魔って奴よね、まあ、男がどうなろうと知ったこっちゃないし、別にいっか) ヨネアは礼儀正しい態度から、少しだけ期待を寄せている。 ドラスティーナ「ヨネア、あの子はやめた方がいいわ」 ヨネア「何でよ? チビ達みたいに、面倒かけそうには見えないわ、大体魔力の大きさからしても貴方より格下じゃない、何を警戒してんのよ?」 ドラスティーナ(確かに魔力は私より下……。でも何か、こう悪魔とは違った異質な者を目の前にしているかのような……) ドラスティーナ「ふん、別に、警戒なんかしていなわよ」 ヨネア「じゃあ、決まりね」 「知っていると思うけど、今は戦乱で一人でも多く、強い者が欲しいのよ。仕官して貰えないかしら? 物足りないかもしれないけど、契約は人間と同様でお金の報酬となるし、勝手に男を垂らし込んだりしないでね淫魔さん」 キオスドール「ええ、それで構いませんわ、今後はキオスドールとお呼びください」 ヨネア(あら? やけに聞きわけいいじゃない) ヨネア「キオスドール、それで大人の男の相手は得意そうだけど、女の子供の相手はどうかしら?」 キオスドール「うふふ、面白い事をおっしゃいますわね、勿論かまいませんわ」 ヨネア(凄く良い子じゃない) ドラスティーナ(裏があるのは間違いないけど、一体何を企んでいるのかしらね) ヨネア「ポポイロイト、レドザイト」 ポポイロイト「は~い、何~?」 ヨネア「今度から、このお姉さんの言う事を良く聞くのよ? 良い子にすれば色々と遊んでいる貰えるからね」 レドザイト「うん」 ポポイロイト「よろしく~」 キオスドール「うふふ、よろしくね、それではヨネア様、契約成立という事でよろしいですわね?」 ヨネア「ええ、いいわ。所で楽器は得意?」 キオスドール「ピアノが少しだけできますわ、ただ、ラングトスちゃんのお眼鏡に適う程ではありませんの」 ヨネア(色々とこちらの事を知っている様ね……) こうして、キオスドールがヨネアの陣営に加わった。 ■銀の夜明け団結成 ―ルーニック島 ヨネアの研究所 ヨネア「皆揃ったわね(キリッ」 ヨネア(こうして見ると、少し壮観ね、それにどいつもこいつも曲者揃い……) ドラスティーナ「一度に全員集めるなんて珍しいわね、どうしたの? どっかの国でも焼き払う気になった?」 ヨネア「いや、あたし達も人数増えたし、今日はヨネア様率いる悪魔の軍勢の部隊名でも決めようかと思って」 ポポイロイト「しにがみおうこく~」 レドザイト「えっとね、ねこねこていこくがいいな」 ヨネア「却下」 ラングトス「ジャンキージャンク」 ヨネア「却下、それ、アンタのバンド名でしょうが!」 キオスドール「うふふ、夢魔の巣はどうかしら」 ヨネア「風俗じゃないから!」 ドラスティーナ「そうね、薔薇のネ……」 ヨネア「却下! てか、もう決まっているの!」 ドラスティーナ「だったら、先に言いなさいよ」 ヨネア「アンタ達が勝手にアレコレ言いだしたんでしょうが!」 ドラスティーナ「それで、なんてつけたの?」 ヨネア「銀の夜明け団、ヨネア様率いる悪魔の軍勢は今日から銀の夜明け団と名乗りを上げる事にするわ」 ポポイロイト「ぶ~、なにそれ~」 ヨネア「異論は認めない」 キオスドール「うふふ、面白い事になりそうですわね、わたくしゾクゾクしてきましたわ」 ドラスティーナ「これがどうして、面白い事になるのよ?」 キオスドール「あら? ご存じありませんの? 銀の夜明け団と言えば、10年前に壊滅した、闇の魔法を研究する秘密結社……」 「おそらく、そんな組織を壊滅させる事ができるのは、今、魔王軍討伐に動いているラザムの使徒……」 「そんな組織が復活したとあっては、ラザムのとる行動は?」 ドラスティーナ「……。つまり、ラザムを敵に回したって事ね」 キオスドール「戦いは避けられませんわね、きっとヨネア様の首を狙ってきますわ……」 ドラスティーナ「ふん、そんなことは私がさせないわ」 ヨネア「さあ、行くわよ皆の者。」 「いい加減ルーニック島で、ママゴトしているのは飽きたわ。まずはあの生意気なファルシス騎士団をぶっ潰す!」 びしっと指をさし、ポーズ決めてみせるリーダー、それに応えるかのようにラングドスは進軍ラッパの如くギターを演奏する。 レドザイトとポポイロイトは興奮しはしゃぎまわっている。 キオスドールは冷笑しており、ドラスティーナだけが真剣に戦略を練る……。 ドラスティーナ「ねえ」 ヨネア「ん?」 ドラスティーナ「ふと思ったんだけど前衛が私しかいなくない?」 ヨネア「そうね」 ドラスティーナ「いや、『そうね』じゃなくて」 ヨネア「あんた、一人いれば十分じゃない」 ドラスティーナ(こいつ……。ここで私が憤慨すれば、大したことないのねとして丸め込むつもりね) ヨネア「ドラスティーナ、あたしは貴方に期待してるのよ。前衛なんて貴方一人いればいいじゃない」 ドラスティーナ「……。まあ、そういう事にしておくわ……」 ―ムクガイヤ魔術師団 本軍陣営 サルステーネ「我が君」 ムクガイヤ「どうした?」 サルステーネ「ヨネア様が、銀の夜明け団と名乗り、悪魔の部隊を編成されたとの報が届きました」 ムクガイヤ「ほう……。悪魔の軍勢とはヨネアらしいな……。」 「しかし、銀の夜明け団といえば、闇の賢者を排出していた秘密結社、やはり繋がりがあったのか……」 「まあ、ヨネアは常人には少し理解しがたい行動を取るが、決して馬鹿ではない好きにやらせておけ」 サルステーネ「ははっ」 ―ラザムの使徒 陣営 イオナ「銀の夜明け団……、生き残りがいたのね」 「おそらく此度の魔王降臨にも関わっている……。」 「率いるは悪魔の軍勢、ラザムとしては、ムクガイヤ魔術師団も討伐対象にしなくてはならなくなりましたわね」 ―ファルシス騎士団 陣営 ロイタール「悪魔の軍勢とは……。あのクズ共の考えそうな事だ」 ホーニング「どうする? 今は互いに静観を決め込んでいるが、実質あの時結んだ同盟など、もはやどうでもよいもの」 ロイタール「無論、相手が悪魔の軍勢を率いているとなれば、それを討伐するにあたって騎士道に反するという事もあるまい。」 「クックリー卿、宣戦布告だ。悪魔の軍勢を率いる、ムクガイヤ魔術師団の一角、銀の夜明け団を討伐する」 クックリー「わかった」 ―ルーニック島 代官所 ドラスティーナ「貴女が名乗りを上げたせいで、早速ファルシスから宣戦布告が届いたわよ」 ヨネア「望むところよ。それともドラスティーナ、怖気づいたの?」 ドラスティーナ「バカおっしゃい。」 (私の仕事が多そうなのが気になるけど……) ヨネア「さあ、行くわよ、これは銀の夜明け団の初陣なんだから是非とも勝利で飾らなくてはね」 ドラスティーナ「はいはい」 ■ラストニパクハイト陥落 サルステーネ「フェリル党がグリンシャスを制圧したとの報が入りました」 ムクガイヤ「援軍を乞う事なくやるとはゴブリンと言えど侮れぬものよ」 サルステーネ「フェリル党には中々優れた武官がいるようですな」 ムクガイヤ「穹廬奴とエルフの動きは?」 サルステーネ「予想通り、森の返還を求めてきております。穹廬奴はレオーム家との進行を防ぐため、エルフとは袂を分かっておりますが互いに眼前の敵の為、交戦には至っていない模様」 ムクガイヤ「フェリル党に予定通り、エルフに降伏を促し、傘下に入る様に伝えよ。拒否すればそのまま攻め落とせとな」 サルステーネ「御意」 その後、バルバッタ(実質ルルニーガ)率いるフェリル党はエルフ達を降伏させ自軍に取り込み、穹廬奴征伐に乗り出す。 フェリル党はエルフ達に武器を取って戦う事は強要せず、戦場に立たせる場合はあくまで衛生兵として、敵兵を殺させる様な真似はしなかった……。 ■重臣ルルニーガ ルルニーガが、その功が認められバルバッタを凌ぐ重臣として扱われるのに左程時間はかからなかった。 フェリルの竜王ルルニーガの武勇は止まる事をしらず、サルステーネに次ぐ武官として扱われるまでに至る。 しかし、ルルニーガはあくまでフェリル党の洞主はバルバッタとし、軍事面において絶対的権限を持っても、それ以外の事はバルバッタを立てた……。 ―ルーニック島 代官所 執務室 ニースルー「ねえチルク。ルルニーガさんって何で竜王って呼ばれているの?」 チルク「何でって、そりゃ強いからでしょ」 ニースルー「でも、あの外見じゃ、竜王っていうより獣王って感じじゃない?」 「それに前、竜王って呼んだら、嫌な顔されたし、少しひっかかるのよね」 チルク「確かに、あの呼び名にはちょっと事情があるし、正確には『竜王』じゃなくて、『フェリルの竜王』なんだよね」 ニースルー「どういう事?」 チルク「本人が嫌がるから、話したくなかったけど、まあいいか……。」 「あれはまだ、レオーム家が入植する前の話なんだけど」 ―回想 フェリル島、沖 2人のリザードマンが小舟で島に降り立つ……。 ゲルニード「先生、この地は?」 ジェイク「ここはフェリル島といって、ゴブリンの住まう島よ」 ゲルニード「大陸にそのような場所もあったのですね。しかしゴブリンと言えば、弱い事で有名な、いずれは人間に支配されましょう」 ジェイク「ゲルニードよ、どの種族にも寵児という者はおるぞ?」 ゲルニード「しかし、いくら天賦の才に恵まれた蟻がいようと、恐竜に勝つことはできません」 ジェイク(若いな……) 二人はそのまま島を見て回る……。 しばらくすると、ガサッと草の音と共に、茂みの奥から武装したゴブリンの子供達が現れた。 バルバッタ「ヒャッハー。珍しいな……。リザードマンかよ」 ツヌモ「観光する場所を間違えたな、ここは大陸でもっとも危険な所なんだぜ?」 「アニキィ、どうしてやりましょうか? 俺から世の中の厳しさ、いや、フェリル島の過酷さってやつを教えてやってもいいっすかね」 チルク(絡む相手、まずってないかな、リザードマンて凶暴で危険っていうし……) ゲルニード「雑魚共が、絡む相手を間違えたな……」 ゲルニードは剣を抜こうとし、それをジェイクが手で制した……。 ジェイク「ゴブリンの子供よ、我々は旅をしているだけだ、危害を加えるつもりはそこを通してもらえまいか?」 バルバッタ「旅だぁ~? わかってね~な~。ここを通りたきゃ金がいるんだよ~」 そういうと、バルバッタはジェイクに飛びかかり、手にしたショートソードで斬りかかった。 バキンッ その瞬間、バルバッタの手にしたショートソードは半ばからポッキリと折れ、刃は宙に舞っていた……。 ドスッ そのまま、バルバッタの足元に落ち刺さる。 バルバッタ「なっ…なにしやがった……」 ジェイクの左手にはダガーが握られている、そのダガーは普通の刃と櫛状の峰がついており、特異な形状をしていた。 ゲルニード「先生、それはソードブレイカーですか? 人鬼どもの使う?」 ジェイク「そうだ、この前戦った人間が使っていたものだ……。中々面白いものだったので自分でも使ってみる事にしたよ」 世間話でもするかのように、軽い感じで話すジェイクだが、バルバッタは震えて動けなかった……。 ゲルニード(ソードブレイカーはレイピアといった細身の剣を折る武器、しかしショートソードをへし折って見せるとは……) ゲルニードはジェイクのその神技にあらためて驚愕する。 ゲルニード「相手が悪かったな小僧」 バルバッタ「ひ、ひぃ~~~」 バルバッタは逃げようと背を向けたが、恐怖で足が竦んでしまい、その場に転んでしまう。 ジェイク「よせゲルニード、相手はまだ子供だぞ」 ゲルニード「ふん、貴様らなど相手にならんわ、命ある内に消えよ」 バルバッタ「ひぃ」 バルバッタは座ったまま後ずさりし、ガサッと再び、草陰から音がすると、今度は大剣を携えた大柄のゴブリンと、魔道師の風貌をした初老のゴブリンが現れる……。 アスターゼ「珍しいのう、リザードマンの来客とは」 ルルニーガ(あの、竜を象った兜、まさか!?) ジェイク(どちらも並じゃないな……) ジェイク「警戒するのも致し方の無い事だが、我々は旅をしているだけだ、事を荒立てる気はない」 バルバッタ「ルルニーガのアニキ、こいつらがいきなり俺達を襲ってきやがったんだ」 何とか立ち上がり、ルルニーガにすがりつくバルバッタ。 ルルニーガ「バカが、己の力量もわからんのか!」 バルバッタ「ひでぶ」 叱責し平手打ちをバルバッタにかますと、ジェイクの方を向き直り、大剣を抜く……。。 ルルニーガ「穹廬奴の竜王ジェイク殿とお見受けする、私と手合わせ願いたい」 ジェイク「竜王というのは人間共が勝手につけた名だ、私の本意では無い」 ルルニーガ「それは失礼をした。だが貴殿が強い事に変わりない」 ゲルニード「貴様如き、ゴブリン風情が先生と勝負をしようなど、100年早いわ!」 ゲルニードは剣を抜き、ルルニーガと対峙する。 ジェイク「ゲルニードよ、勝負を申し込まれたのはこの私だぞ? 無粋な真似をするでないわ」 ゲルニード「ゴブリン如き、先生が相手をするま……」 ジェイクの鋭い眼光を目にし、ゲルニードは思わず口を閉じる。 全身から汗が吹き出し、蛇に睨まれた蛙の如く身が硬直しいているのがわかった。 ゲルニード「し……失礼しました。」 ゲルニード(先生のあの殺気だった目は! それほどの相手だというのかあのゴブリン) ジェイクは左手にダガーを逆手に持ったまま、右手でサーベルを抜く……。 ルルニーガ「ゆくぞ」 ルルニーガが地を蹴り、大剣がジェイクに向かって振り下ろされた。 ジェイクはそれを左手のダガーで防ぎ、櫛状の部分で刃を掴むと、そのまま右手の剣で斬りつける。 ルルニーガは避けるのは無理と判断し、闘気と筋肉で刃を止め、傷を最小限にした。 ルルニーガは大剣を両手で持ち、攻防一体で戦い、ジェイクは、主にダガーで攻撃を防ぎ、剣で攻撃するといったものだった。 ゲルニード(あのゴブリン、先生と互角だと!?) 一進一退の攻防がつづく、数合打ち合ったのち、様子見を終えたのか、互いに飛び退き距離を取った。 ルルニーガ「……………」 ジェイク「なるほど、強いな……」 ルルニーガ「先ほど、ショートソードをへし折って見せた技は、相当な腕力と正確さが無くては出来ぬ技……」 ジェイク「…………」 ルルニーガ「貴殿の利き腕は左利きか?」 ジェイクの口元がかすかに笑う。 ジェイク「ふっ……気づいておったか……」 「だが、何故それを言う?」 ルルニーガ「全力の貴殿に勝たなくては意味が無い」 ジェイク「そうか……。ならば望み通り……」 一瞬にしてダガーとサーベルを持ちかえる。 ジェイク「ゆくぞ」 その場にいた者達にはジェイクの手が一瞬ブレた様にしか見えなかった。 しかし、激しい金属音が鳴り響き、ルルニーガは大きく後ろに飛び退いた。 ルルニーガ「ぐぅ」 (速い! 太刀筋が見えん!) ルルニーガの体は一瞬にして切り刻まれていた、後ろに飛び退いた事で致命傷こそ避けてはいたが、体中に激痛が走る。 ゲルニード(百裂斬……。目で追う事のできない高速の剣) ジェイク「どうした?」 ルルニーガ「くっ……」 ルルニーガがジェイクの挑発を受け、ジェイクに向かっていく、しかしジェイクは先ほど同様、ルルニーガの攻撃をダガーで難なく去なし、反撃に出る。 数合打ち合い、今度はジェイクの振るう太刀を全て防いだにも関わらず、ルルニーガの体が斬られていた。 ルルニーガ「なっ!?」 ルルニーガ(バカな!? 確かに、攻撃は全て見切った筈だ!? 何故、斬られている?) ゲルニード(旋風剣……。目で視る事のできない真空の剣。 先生の剣技は、第一計 瞞天過海 に準ずる。 高速の剣で相手を攻撃し、相手の目が慣れてきた所で、視えない剣で相手を攻撃する。 多くの人鬼どもが、何に斬られたかもわからず死んでいったわ……) ジェイクがその剣技を見せてからは、ルルニーガは防戦一方となり、みるみる内に血に染まっていった……。 ジェイク(強い……。そして若い……。この者はまだまだ強くなる。) (今は勝てても、次戦えばどうなるかはわからぬ……) (そして、今においてもこの戦いを諦めてはいない……。まだ私に本気で勝つつもりでいる) ジェイクはルルニーガが距離を詰めて戦おうとすれば、刃の短いダガーで攻撃を去なし、時にはダガーの方でも切り返し、ルルニーガが体勢を立て直すため、後ろに大きく飛び退けばダガーを投げ、どの間合いにおいても有利に戦って見せた。 ダガーを投げても、別の新たなダガーを抜いてみせ形勢は変わらない……。 ルルニーガ(くっ……。隙が無い!) ルルニーガは著しく体力を減らしていったが、未だ勝つつもりでいた。 ルルニーガは生命の力、闘気を纏って戦う、闘気は相手の攻撃から身を守り、有利に戦う事ができる。そのため、何処を斬られても致命傷だけは防ぐ事ができていた。 ジェイクの見えない攻撃を、野生的な勘だけで交わしていたルルニーガは、百裂斬と旋風剣ではその予備動作が違う事に気づく。 そして、ひたすら旋風剣をジェイクが放つのを待っていた。 ジェイクが旋風剣の構えに入る…… ルルニーガ(今だ! 全身に纏っていた闘気を両腕に集中させる) ルルニーガの狙いは、百裂斬に比べ、殺傷力の劣る旋風剣に対し、あえて防御を捨て、肉を斬らせて骨を断つ捨て身の反撃に転じたのである。 ルルニーガの全闘気を集中させた一振りは完全にジェイクを間合いに捕えていた。 ルルニーガ(そう……。お前はその特異な形状のダガーでガードする、だがそれが命取りよ……) ソードブレイカーは櫛状の峰で剣を折る事ができる武器である。 逆に言えば、特異な形状であるため、折れやすい武器でもあった。ましてや、ジェイクはダガーを正確さに欠ける利き腕ではない方の手で持っている。 ルルニーガの放った渾身の一撃は、ソードブレイカーをへし折り、そのままジェイクの右腕を斬り飛ばし、鎧ごと、肩から胴にむかって薙いでいた。 ゲルニード「先生!」 ジェイクの方から上がったまさかの血飛沫をみて、ゲルニードが叫んだ。 ルルニーガ「ぬぅ」 ルルニーガの一撃は、ジェイクの体を浅く斬りつけたに過ぎず、致命傷を与えるには至らなかった。 一方、ジェイクの剣はルルニーガの首元に当てられている。 ジェイク「見事だ、だが、惜しかったな……」 ルルニーガ(ダガーも左腕も鎧も斬った……。だが届かなかったか……) ジェイクがその気になれば、首を刎ねられていただろう。 ルルニーガ「参りました」 ジェイクはルルニーガが負けを認めると、剣を鞘におさめ、斬り飛ばされた右腕を拾い、自分の腕にくっつける……。 ゲルニード(リザードマンの再生力は、人間よりも強い、だが、一度斬り落とされてしまえば、握力が完全に元に戻る事は無い) ゲルニード「おのれ」 再び剣を抜き、ルルニーガの方に向かっていく……。 ジェイク「よせ、ゲルニード」 ゲルニード「先生、しかし」 ジェイク「その者は、私と正々堂々と戦い、そして潔く負けを認めたのだ、この決闘を汚す事は私が許さん」 ジェイクに凄まれ、ゲルニードはまたしても剣を納める他なかった。 ゲルニード「出過ぎた真似をしました」 ジェイク「うむ、それでよい」 アスターゼ(互いに種族性には苦労しておるようじゃの) 諫められては頭に血を登らせる、血気盛んなゲルニードを見て、アスターゼはそう思った。 ルルニーガとアスターゼが視線を交わし、ルルニーガが無言で頷く……。 ジェイク「では、さらばだ。フェリルの竜王よ」 ジェイクとゲルニードは背を向け来た方向へと去っていった……。 ………………… ゲルニード「先生、あれでよかったのですか?」 ジェイク「あれでとは?」 ゲルニード「あのゴブリンは危険です。穹廬奴が中原を制し、大陸統一に向けて兵を進めれば、いずれ戦場で会いまみえるかもしれません」 ジェイク「それだけか?」 ゲルニード「いえ、悔しいですが、私に勝てる相手ではありませんでした。ここで倒せるなら倒しておくのが上策かと」 ジェイク「確かに私とて、次戦えば、勝てるかはわからぬ、しかし、あの者の首を刎ねれば、我らは生きてこの島を出る事は叶わなかったぞ?」 ゲルニード「何故ですか? ゴブリンが束になろうとも私一人がいれば、先生を守って島から出る事など容易」 ジェイク「ふぅ……、よいかゲルニード、私があの者と戦っておる時、すでに我らは包囲されておったのだ」 ゲルニード「な!?」 ジェイク「あの老齢のゴブリンは優れた召喚士、すでに我らは50ばかりのフェニックスに包囲されていた」 ゲルニード「…………」 何も言えずに黙り込む、フェニックスはリザードマンの苦手とする炎を使う精霊、もし戦っていれば命は無い……。 ゲルニード「まだ、何もかも遠いですね……」 ジェイク「焦るな……。お前はまだ若い……若いのだ……」 ジェイク(ゲルニードに限らず、リザードマンの種族性は気が短い、ここを何とかできねば、宿願を果たすなど夢のまた夢……) 二人のリザードマンはフェリル島を後にした……。 ………………… チルク「それからというもの、ルルニーガの事を竜王って呼ぶゴブリンが増えてね」 チルク「相手は私が穹廬奴の竜王ならお前はフェリルの竜王、要するにお前も強かったぞ的な意味で言ったんだろうけど、負けたのに竜王って呼ばれるのはルルニーガの本意じゃないわけ」 ニースルー「その呼び名はやめろって言わなかったの?」 チルク「敗軍の将は語らずって事で、甘んじて受け入れたんだよ」 チルク「でもそれからだよ、元々、十分に強かったのに、さらに強くなったのは、次戦う機会があれば、今度は俺が勝つって感じで……」 ニースルー「で、再戦はしたのかしら?」 チルク「してないと思うよ、あれから20年近く立つし、既にその時、いい歳してたっぽいしねそのリザードマン」 ■穹廬奴征伐 ムクガイヤの魔術師団の第二軍団フェリル党はパーサの森を平定するとそのまま北上し、穹廬奴攻略を命じられる。 穹廬奴は既に敵勢力に囲まれた状態にあり、各地で奮戦していたため、既に疲弊しており、フェリル党は順調に穹廬奴領を平らげていった……。 ―決戦前夜 フェリル党 陣営 ムッテンベル「親父様、穹廬奴が兵をウェルン沼に集結させているようです」 ルルニーガ「うむ、そこで雌雄を決する事になるだろう。わが軍が数では圧倒的有利だが、向こうは追い詰められている。 逃げ場の無い敵を決して侮るでないぞ?」 ムッテンベル「窮鼠猫を噛むですね? わかりました気を引き締めて行きます」 ―決戦当日 戦は、数で勝るゴブリン勢が優勢に進める。 犠牲を出しつつも、ゲロゲロ隊、イオード隊、モーゼン隊、ガウエン隊を退け、残すは本陣のみとなった……。 ―穹廬奴 本陣 ジェイクとチョルチョはゲルニード共に本陣にいた。 ジェイクはすでに、老いと病により、先陣を切って戦う事はしなくなっており、チョルチョはリザードマンの苦手とする魔法を警戒しての事だった。 チョルチョ「単于、残るは本陣のみにございます」 ゲルニード「く、もはやここまでか……。ならば最後に一矢報いてくれる。うって出るぞ!」 ゲルニードが剣を取り、席を立とうとした時……。 ジェイク「第三十六計」 ゲルニード「な!? ならん、それだけはならんぞジェイク!」 第三十六計 走為上 勝ち目が無いならば全力で逃げて再起を計るという策である。 しかし、穹廬奴の領地はここが最後であり、ここを逃げるとなると、野に下る事を意味する。 一旦穹廬奴を捨てて生き延びれと……。 ゲルニード「俺が敵に背中を見せる事などありえん、それ……がっ」 ジェイクは一瞬にして、ゲルニードの背後を取り、鞘のついたままの剣でゲルニードの頭部を強打し気絶させる。 チョルチョ「土門何を!?」 ジェイク「よいかチョルチョ、単于を連れて行け、これからはお前が支えるのだ、ここは私が引き受ける。必ず穹廬奴を再興させるのだぞ」 ジェイクは優しく言うと、チョルチョは目に涙を浮かべた……。 チョルチョ「わかりました。」 チョルチョは涙を拭い、ゲルニードを抱え、わずかな兵を連れて、この場を去る。 ジェイクは残った兵達を集めた……。 ジェイク「皆の者、よく聞けい、私は何も捨て石になるつもりはないぞ、単于がいては思う存分、戦えんのでな……。 今日の歴史は奴らの総大将の血で書かれる事になる」 ジェイクは単于を足で纏いといって笑いを取り、敵の総大将の首を取ると途方もない事をさらりと言ってのけ、兵の士気を高めていく……。 リザード兵(土門、こんな時になんていい顔をなさるんだ) リザードマン達はこの時、ジェイクの言葉に痺れたといっていい。 ジェイク「私に続け!」 ―フェリル党 バルバッタ隊 フェリル党の全軍をルルニーガが士気する様になってから、バルバッタは切り込み隊長になっていた……。 本陣に向かって一番乗りで兵を進めて行く……。 バルバッタ「後は、本陣落として終わりだな~、おい、てめえらバルバッタ隊がゲルニードの首を上げるぞ! 出遅れんなよ」 ゴブリン「隊長、何か向かってきますよ」 バルバッタ「ん?」 バルバッタ(りゅ…竜!?) 正に瞬く間に接近したジェイクの部隊は、ゴブリン達を一方的に斬り殺し、バルバッタ隊を300ドットあまりも後退させた……。 この時、バルバッタは竜を見たと後に語る。 ―フェリル党 本陣 ムッテンベル「親父様、バルバッタ隊、ツヌモ隊、ケニタル隊が敗走を始めております。現在、ポイトライト隊が交戦中、私に救援の指示を!」 元帥であるルルニーガの前に膝をつき、伝令をおこなうムッテンベル。 ルルニーガ「ならん、ワシが出る!」 そういって席を立つルルニーガ。 ムッテンベル「元帥自ら、動かなくても」 ルルニーガ「わからんのか!? あの部隊を止められるのはこのワシしかおらんわ!」 ルルニーガの言った言葉は、理屈ではなく直感によるものだった。 だがこの判断が、この戦において、フェリル党の被害を最小限にしたのはいうまでもない。 ―フェリル党 ポイトライト隊 ポイトライト「救援が来るまで、時間を稼ぐんだ!」 焙烙玉を投げ、敵を撹乱し、敵の進軍をなんとか食い止め様とするポイトライト隊……。 しかし、ジェイクの部隊は、時には、沼に潜り、鎧に泥を塗って、草をつけ、茂みと同化し、神出鬼没に戦って見せた。 ポイトライトが壊滅間近で、死を覚悟した時、ルルニーガ率いる部隊が到着する。 ルルニーガはジェイクを見つけると、迷わず横から斬りかかった……。 ジェイクはルルニーガの気配に気づき、剣で受け止める。 ルルニーガ「久しぶりだな! 貴様に付けられた汚名を返しに来たぞ!」 ジェイク「総大将自ら来てくれるとはありがたい、探す手間が省けたわ」 ルルニーガ「ぬかせ」 数合打ち合い、距離を取る。 ジェイク「ゆくぞ!」 年老いたジェイクにとって、今ここでルルニーガと一騎打ちをする事はハイリスクだったが、ルルニーガを討ち果たす事ができれば、総大将の首を取る事になり、フェリル党を大きく弱体化させる事ができる。 ジェイクは老将とは思えないスピードで剣技を繰り出していく……。 ルルニーガ(この男! 老いてなおこの強さか!?) ジェイクは後ろに下がるルルニーガの体勢を立て直させないため、ダガーを投げるが、しかし、ルルニーガは投射されたダガーを掴み取り、投げ返した。 ジェイク(やはり、この者、あの時よりもさらに強くなりおった。だがあの時と違って地の利はこちらにある) 湿地帯はリザードマンの最も得意とする地形、決してルルニーガに楽観視できる状況ではなかった。 ルルニーガとジェイクは200合あまり打ち合っても決着がつかなかったが、老いたジェイクのスタミナに限りが見え始める。 ルルニーガ(……強い、おそらく歴代のリザードマンの中でもここまで強いものはそうおるまい、だが老いと病には勝てぬか……) ジェイク(この者は、1000年に一人の天才) (*1) 1戦目も2戦目も決して対等の条件で戦ったとは言えない状況に、その想いは同じだった。 互いに全盛期で、戦ってみたいと思う程の相手、そして、ジェイクのスタミナは底をつき、次第に防戦一方となり、ついには力尽きた……。 ジェイクが討たれた後も、リザードマンはよく戦ったが、また一人と戦場に倒れて行き、合戦はフェリル党の勝利に終わった……。 ムッテンベル「親父様、ご無事でしたか」 救援に向かったルルニーガを心配し、さらにその救援にきたムッテンベル隊。 本来なら、指示なく持ち場を動くなど、軍令違反だったが、総大将自ら動いたのが原因だったため、不問にされた。 ルルニーガ「ムッテンベルよ、ゲルニードには逃げられた」 ムッテンベル「では、探さなくてはなりませんね、再起を図られては何かと厄介です」 ルルニーガ「いや、敵の本陣は落ちた、今日の所は引き上げる、そして身を隠している以上、難しいが降伏を促す」 ムッテンベル「降伏をですか? 気性の激しい、リザードマンが応じるとは……。いえ、わかりました、そのようにいたします」 ルルニーガの意思が固い事を感じ取り、余計な事は言わないようにする。 ルルニーガ「うむ」 ―陣営から少し離れた所にある湿地帯 夜 ムッテンベル「親父様、どちらへ?」 急に姿を消したルルニーガを探して、ムッテンベルは部隊を率いて捜索に当たっていた。 戦には勝ち、湿地帯を制しても、リザードマンがゲリラ戦を行う可能性は十分にあり、隙あらば総大将の暗殺も考えるだろう。湿地帯を出歩くのは危険と言えた。 ルルニーガ「少しな……」 ムッテンベル「お墓ですか?」 ルルニーガの後ろ、地面に剣が刺さっているのに気付き、疑問を投げかける。 ルルニーガ「そうだ……。竜王が眠っている」 ―フェリル党 陣営 野戦病院 ゲルニードが野に下り、湿地帯はムクガイヤ魔術師団が制圧した……。 ルルニーガは敵、味方を問わず、負傷兵の治療を命じる、治療を終えたリザードマンは危険を承知の上、残らず解放するつもりで……。 負傷兵には、ゲルニードを討つつもりは無い事を伝え、もし会う事があれば出頭し服属するよう言伝を頼む。 エルフィス「ふぅ……」 エルフである彼女は、衛生兵を率いて穹廬奴征伐に参戦していた。 ルルニーガはエルフが戦を嫌う事を理解し、エルフに戦場で戦う様な事は命じず、あくまで衛生兵としての任務しか与えなかった。 負傷したリザードマンの治療に当たる事には、何の抵抗も無く、むしろそうやって異種族を気遣うルルニーガに好感を覚える。 リザードマンは気性が激しいため、常にゴブリンが護衛についていた。 モーゼン「殺せ……」 エルフィス「そんな……、事を言われましても、私は軍医として来ているみたいなものでして……」 エルフィス(面倒臭いのきたわねー) モーゼン「いいから殺せ、エルフ如きに助けられる等……」 エルフィス「負傷兵は残らず帰還させるように言われてますので、生きていればいい事ありますよ?」 エルフィス(しまった! 出るタイミング逃した) モーゼン「帰還だと? 何処に帰る場所がある。帰る場所も無く行き恥さらして生きろというのか?」 エルフィス(こいつ声でかいわねー、知らないわよそんな事) エルフィス「わかりました」 モーゼン「ん?」 エルフィス「死にたいんですね?」 モーゼン「も、勿論だ……」 念を押す様に死を望んでいるのかと聞かれ、たじっとなるモーゼン。 エルフィスはその言葉を受け、医薬品をごそごそと漁りだす……。 エルフィス「あったあった、致死量はこれくらいだったかしら」 まるで楽しそうに液体の薬品を注射器で吸い取っていく……。 モーゼン「…………」 エルフィス「さっ、手を出してください」 モーゼン「注射で殺すのか?」 エルフィス「私はエルフで女性ですので、頑丈なリザードマンの首を刎ねるなんて真似はできません」 モーゼン「…………。苦しいのか?」 エルフィス「知りません。致死量を注射するのは初めてですから」 モーゼンは薬殺という未知の恐怖を感じ、手を出すのをためらう。 エルフィス「どうやら死にたくないみたいですね、では治療を必要としているリザードマンは他にもいますので私はこれで……」 エルフィス(やっと抜け出せる) そういって、モーゼンのいるテントを去ろうとするが……。 モーゼン「待て! もっと他の方法が……」 モーゼンは手を伸ばし背を向けたエルフィスの服を掴んだ。 エルフィス「きゃあ!」 ブスッ モーゼン「えっ?」 エルフィスは反射的に注射器をモーゼンの腕に突き刺した モーゼン「うわああああああ」 刺さった注射器を見ながら、子供の様に思いっきり叫ぶモーゼン。 エルフィス (うっるさ~~、ただの食塩水よ!) その時、モーゼンがバタッと倒れた。 エルフィス「あれ?」 キニー「彼、死んでしまうの~?」 キニーが叫び声を聞いて、ララバイをかけて眠らせたのだ、エルフィスは首を横に振り……。 エルフィス「大丈夫です。命に別状はありません」 キニー「よかったなの~」 モーゼン「Zzzzz~~~~~~」 エルフィス(眠ってもうるさいのね、こいつは!) ―湿地帯 ゲルニードの潜伏場所 治療を受けて解放されたリザードマンからジェイクの悲報と、降伏勧告が伝えられる。 ゲルニード「ふざけるな! ジェイクの敵を今からでも」 ゲルニード(先生……。俺がふがいないばかりに……) ゲルニードは俯き、涙を流す……。 チョルチョ「単于、ここは降伏を」 ゲルニード「チョルチョ!? お前まで何を?」 チョルチョ「土門は、穹廬奴の再起を図れと私に言われました」 チョルチョ「天の時機、地の利、人の和」 チョルチョ「いつまでもここに隠れている事はできません、しかし、ここしか地の利はありません、私達にとって人の和はここでしか得られません」 大陸にリザードマンが最も得意とする湿地帯はここにしか無く、リザードマンは湿地帯にしか住んでいない。 戦ばかりしてきたリザードマンを好む異種族は少なく、支援する者などいないだろう。 ゲルニードがこの地を捨て、何処を放浪しても、再起を図る事ができないのは自明の理と言えた。 ゲルニード「…………」 チョルチョは治療される事で一命を取り留めた兵の中には、ジェイクと共に戦った者もいた。 その者から、ジェイクの武人としての最後や、総大将のルルニーガによって手厚く葬られた事、リザードマンを狩るような事はせず、負傷兵を敵味方問わず治療している事を聞いていた。 ならば降伏して、この地に身を置いた上で再起・独立を図るのが上策と判断したのだ。 ゲルニード「降伏する。ジェイクの死を無駄にしないためにも……」 ゲルニードはその日、降伏を決意した……。 ―ムクガイヤ魔術師団 本軍陣営 ムクガイヤ「穹廬奴が降伏!? あいつらは最後の一兵まで戦うものと思っていたが……」 サルステーネ「フェリル党も侮れませんね」 エルフの従属、リザードマンの降伏と、無理難題をこなしていく、ゴブリンの軍勢に驚きを隠せない。 サルステーネはフェリル党の洞首、バルバッタから届いた書状を渡す。 書状には滞りなく軍を進めるため、リザードマンを刺激しないためにも、ゲルニードの助命嘆願の旨が書かれていた。 エルフと違って、リザードマンはどの種族からも嫌われており、ゲルニードを処刑すれば、民衆の指示をより得られるのは間違いない。 しかし、リザードマンの反感をかえば、テロ行為に走るリザードマンが必ず現れる、湿地帯でそういった事が起こるのを避けたいというのがフェリル党の総意であった。 ムクガイヤ「……。」 「リザードマンなど、皆殺しでも良いと思うが、快進撃を続けているのにあえて水を指す事もあるまい、好きにさせるか」 サルステーネ「ではそのように伝えます。 「それで、いかがなさいますか? 「湿地帯をこちらが制した事で、同盟国オステア、湿地帯のフェリル党、そして我々と王都へ3方向から攻め入る事ができます」 ムクガイヤ「いや、先に北上し、リュッセルを攻めろと伝えよ」 「今レオーム家は魔王軍と戦っている。お互い消耗させてからの方がやりやすかろう」 サルステーネ「御意」 ■王都 第一軍団サステーネ率いる暗黒騎士団と、第三軍団ニーナナス率いるローイス水軍が、レオーム家との海戦を制し、ナース島とチャム島を攻め落とした……。 ムクガイヤ「これでルートガルド港を落とせば、王都に上陸できるな……」 ゾーマ「ムクガイヤ、例のものが届いたぞ……」 ムクガイヤ「そうか……」 2人はあまり周囲の人間には知られたくないのか、悟られない様にその場を去る。 ゾーマ「ここだ」 そこは船にある、奴隷を閉じ込めておく牢だった……。 ムクガイヤ「ラクタイナだったか? おまえの名は?」 ラクタイナ「……」 ラクタイナは何も言わずに、ムクガイヤを見ている。 ムクガイヤ「ふっ……。単刀直入に言うぞ、私の配下となれ、とはいえ、自由にはできんから常に監視をつけるがな、このまま処刑を待つよりは幾分マシだろう?」 ラクタイナ「……。何故私を? 戦力は足りているだろう?」 ムクガイヤ魔術師団は堂々と国家を名乗っても問題ないだけの領土を持っており、既にこの時、どの勢力よりも大きくなっていた。 ムクガイヤ「戦力としてお前が欲しいのではない、一人の魔術師として欲しいのだ」 そういって、ムクガイヤは懐からマクラヌスを取り出して見せる。 ラクタイナ「これは!?」 ラクタイナの表情が変わった……。 ムクガイヤ「何かわかるか?」 ラクタイナ「いや、何かはわからないが、死霊の力を感じる……。古代兵器の類か? いや……」 ムクガイヤ「ふっ……流石、死霊術師だな」 ラクタイナ「いいだろう、その話乗った……」 ムクガイヤ「決まりだな」 牢屋を後にするムクガイヤとゾーマ……。 ラクタイナの生け捕りと雇用に関しては、忠臣であるサルステーネですら反対していた……。 ゾーマ「流石にまずくないか?」 ムクガイヤ「元死刑囚のお前らしくもない」 ゾーマ「あやつがお前に忠誠を誓うわけはあるまい、それにあの所業を考えるとな……」 ラクタイナのやった事は、国家を揺るがしかねない事だった。 大量破壊兵器ともいうべき、アルティマイトを動かし、アンデッドの軍勢を率いたのだ。 パーサの森にいたエルフとエルフに協力した穹廬奴、第二軍団に所属する多くのゴブリンが犠牲となり、死者の数は今まで起きた戦のどれよりも大きかった……。 ムクガイヤ「王都に戻った時、研究は牢の中で行わせる。あいつを外に出す事は無い」 ゾーマ「……」 それでもゾーマの不安は拭えない、ラクタイナの表情には常に余裕があったからである。 何か切り札を隠し持っている様な……。 ■アルナス仕置き ヨネアの興した第五軍団 銀の夜明け団は、ファルシス騎士団を壊滅させ、ブレア手中に納めていた……。 ヨネア「男って馬鹿よね、正義とか騎士道とか言って、突撃しか能がないんだもん」 ロイタール「…………」 ロイタールは死の間際、ハイトロームの言葉を思い出していた……。 ―会議室 銀の夜明け団ではドラスティーナを宿将、キオスドールを軍師の様に扱い、3人で軍議を行う事が多かった。。 他の面子は特に軍議には参加せず、各自自由行動を取っている。 レドザイトとポポイロイトはカクレンボなどの子供の遊びを行い、ラングドスはひたすらギターの練習や作詞作曲に明け暮れた……。 ドラスティーナ「次はどうするの?」 ヨネア「ブレアの守りは薔薇十二字団に任せて、このまま北上、アルナス・ウルフを討つわ。」 「元々、スネアは毒蛇とか言われている様な奴だし、大した大義名分はいらないと思うの」 ヨネアの言葉に意外そうな顔をするドラスティーナ。 薔薇十二字団とはニースルーが率いる第四軍団(実質チルクと共同)、ブルーゴブリンを中心とし、フェリル島の経済活性化、交渉、魔法の研究を行っている。 ドラスティーナ「意外ね、てっきり難癖つけて、同盟破棄に持っていって、オステアを攻めるかと思っていたわ」 ヨネア「オステアには興味ないの」 ドラスティーナ「砂漠に興味あるとでも?」 ヨネア「まさか、あたしが興味あるのはその先にあるものよ」 キオスドール「うふふ、ラザム神殿……。ですわね?」 ヨネア「きっと、あの神殿、裏ではきっと悪どい事をしているわよ~」 ドラスティーナ「復讐?」 ヨネア「違うわよ、私に闇の魔法を伝授した、旧・銀の夜明け団の最後の一人に対して特別な想いはないわ、ただ、正義づらして光の魔法を独占し、気取っている奴らが気に入らないだけ」 キオスドール「面白い事になりそうですわね」 ヨネア「ちがうわキオスドール。面白い事になるんじゃなくて、面白い事をしてやるのよ。」 「あいつらを信じている連中にあいつらの悪事を公開し、目を覚まさせてやるの」 ドラスティーナ「……」 ドラスティーナにとって、ラザムがどうなろうと勿論知った事ではない、ただ、ヨネアの親友であるニースルーはこういった事を望まないと思うと、少しだけ複雑な気分になるのであった。 翌日ヨネアは宣戦布告をアルナス・ウルフに対して行い、進軍を開始する。 ―ムクガイヤ本軍 陣営 ムクガイヤ「ヨネアがアルナスを攻めただと?」 サルステーネ「はっ」 ムクガイヤ「別に、アルナス・ウルフがどうなろうと別に構わぬが……」 砂漠の経済効果は薄く、そして戦線が延びてしまうのは好ましく無い。 アルナス・ウルフとは利害が一致すれば一時的に同盟を結び、ラザムや魔王軍との戦いに利用する事もできるので、ヨネアの取った行動は想定外という他なかった。 ムクガイヤ(少し、自由にさせすぎたか……) サルステーネ「呼び戻しますか?」 ムクガイヤ「いや、もう過ぎた事だ。ニースルーにヨネアの行動に気を配る様に伝えよ」 サルステーネ「御意」 このヨネアの個人的進軍が大きく歴史を動かす事になる。 その頃、魔王軍は北上し、グリーンで、ラザムと激しく交戦。 聖騎士ラファエルと神官戦士ホルスとの戦い、ラザムは悪魔の天敵とも呼べる存在で、苦戦を強いられた。 一時はグリーン古城まで兵を進めていたルーゼルだが、ラザムの総攻撃に合い、クイニックまで兵を引いていた。 この時、リュッセル半島では、リュッセル国がリグナム火山に追い詰められていたのもあって、余裕の出来たリューネ騎士団はラザムに援軍を送り、魔王軍を挟撃する。 レオーム家も、ムクガイヤ魔術師団との戦いは防衛に集中させ、北上し、魔王軍を攻め、魔王包囲網を敷いていた。 ―ラザムの使徒 陣営 グリーン古城を攻略し、レオーム家と、リューネ騎士団の協力もあって、勢いづくラザムの使徒。 しかし、この時、光の賢者イオナに銀の夜明け団が砂漠を進軍しているとの報が届く……。 イオナ(銀の夜明け団の目的は、ラザムの神殿!?) このヨネアの取った行動が、ラザムの闇を知るイオナにとって、苦渋の選択を迫られる事になる……。 イオナ「ラフェエル殿、ホルス様、ラザムの使徒はここを引き上げ、ラザム神殿の奪還に入ります」 ラファエル「何と申されたイオナ殿!? この状況で兵を引くのか?」 ホルス「イオナ、今、僕達は魔王を追い詰めているんだぞ? このままゴート様やアルティナ様と強力すれば魔王を倒せるんだ」 イオナはアルナス汗国にラザムの神殿が制圧されても、魔王討伐を優先し、アルナスウルフに制圧されても魔王討伐を優先した。 それが今になって、魔王討伐よりも神殿奪還を優先すると言い出し、ラフェエルとホルスに動揺が走った。 イオナ「理由は申せません」 ラファエル「しかし、となれば、魔王軍をどうする?」 イオナ「魔王軍に停戦を申し入れます」 ホルス「なっ!?」 ラファエル「正気か?」 「魔王軍がそんなものを受け入れるわけが無い。」 「それに我々が引けば、レオーム家はともかく、グリーン地区や、リューネ騎士団はどうなる?」 魔王討伐に協力しているグリーン・ウルス勢も、リューネ騎士団もぎりぎりの状態で戦っている。ラザムが引けば魔王軍に蹂躙されるだろう。 イオナ「グリーン地区はグリーン・ウルスに返し、リューネ騎士団は身捨てます」 ホルス「そんな!」 イオナ「それが決定事項です」 ―魔王軍 陣営 パルスザン「まさか、人間がここまでやるとは……」 包囲網を敷かれ、予想以上に苦戦を強いられ、確実に魔王軍の中に焦りが生まれつつあった。 何より、ホルスとラファエルの攻撃を受け、グリーン古城を手放す事となり、ルーゼルが初めて退却させられたのだ。 フーリン「完全に人手不足だなー。仕官する武将が少なすぎる」 パルスザン「おかしい……。ゲートが開き多くの悪魔がこの地へ来ている筈だが、何故、ルーゼル様に臣下の礼を取りにこない」 ムナード「…………」 いつもなら、ここでパルスザンを無能と罵倒するところだが、追い詰められた状況に沈黙を貫いた。 ショハード「兄貴、ラザムから書状が届いたぜ!」 その場にいる全員の悪魔が意外な顔をする。 この状況で何を伝えるというのか? ルーゼル「停戦だと?」 ラザムの使徒の書状には、停戦の申し入れが書かれていた。 明らかに今は魔王軍は包囲され、ラザムに分があるというのに……。 ルーゼル「気に入らんな、だが何故だ?」 パルスザン「向こう側にとって何か一大事が起きたのが原因かと」 ルーゼル「一大事? 私よりも優先すべき事があるだと?」 この後回しにされたというのが現世に並ぶもの無しとされるルーゼルにとって、不愉快極まりなかったのはいうまでもない。 パルスザン「おそらく……」 フーリン「で、どうしやす? 当然、突っぱねますよね?」 パルスザンとしては、体勢を立て直すため、正直受けたがったが、悪魔の種族性、ルーゼルの性格を考えて、進言をためらっていた……。 ルーゼル「いや受けろ」 フーリン「へ? 受けるんですか?」 ルーゼル「そうだ、フーリン、奴らの動向を探れ、このルーゼルよりも優先すべき事象があるなら見てみたい」 パルスザン(何はともあれ、これで、立て直しを計る事ができますね……) フーリン「わかりやした」 ―ラザムの使徒 陣営 手を休める事なく、撤退の準備を進めるラザムの武僧達。、 ポートニック「ちょっとどういうことだわさ、この状況で引き上げるとか、グリーンはどうなるだわさ?」 ピヨン「ボク、ピヨンヨロシクネ」(抗議の声) イオナ「誠に申し訳ございませんが、ラザム神殿の危機なのです。お察しください」 淡々というイオナに余計苛立つポートニック。 ポートニック「だから、グリーンはどうなるだわさ?」 イオナ「グリーンは返還致します。ラザムの神殿を奪還すれば、必ず援軍に駆けつけると約束します」 ポートニックは淡々と喋るイオナを見て、交渉の余地が無い事を悟る。 心情的には、援軍などいらんと突っぱねたかったが、後々を考えて、口を閉じた。 カルラ「お願いですぅ。カルラ達を見捨てないでください」 向こうではカルラが必死にホルスに懇願している。 ホルスは悔しさと悲しさで何も言えずに俯いていた。 ホルス「……すまない……カルラ……本当に……」 そういってホルスは、カルラ達に背を向け歩きだした……。 ■ゲルニード ―穹廬奴の湿地帯 ムクガイヤ魔術士団に降伏したリザードマン達は、リュッセル国の要塞、リュッセル城を攻めるに当たって、物資を前線に輸送していた。 チョルチョ「単于、穹廬奴を取り戻すため、私と共にリュッセルを攻めましょう。単于が動けばリュッセルなど敵ではありません」 チョルチョは、ゴブリンが元々、フェリル島を巡って、ムクガイヤ魔術師団とは敵対しており、成り行きで共闘、そして今では第ニ軍団としてその地位を不動のものにしている事に目をつけていた……。 つまり、種族を問わず、ムクガイヤの覇業で、功績を残せば当然、権力を手に出来る。権力を手にすれば、湿地帯の自治も勝ち取れるかもしれない。 湿地帯を抑えれば、穹廬奴を再び興す事もできるのではないかと考えたのだ。 現時点で、ムクガイヤは大陸の半分以上を制圧しており、手柄を立てるチャンスは少ないが、あのルルニーガが戦果を上げられないでいるリュッセルを攻略すれば、大きな戦功を上げられると踏んでいた……。 しかし、女性である自分の指示に従うリザードマンは少ないため、そこで慕うゲルニードに再び穹廬奴を指揮して欲しかったのだ。 ゲルニード「リュッセルを……? 馬鹿を申すな、あそこは以前攻めたが、難攻不落だったではないか、それに人間のために戦うなど……」 ゲルニードにはかつての覇気がない。 自分の尊敬するジェイクを死なせ、穹廬奴は降伏し、国を潰したのである。 チョルチョ(単于は、すっかり自信をなくしておられる……。しかし、皆を纏めるのは単于以外に無い……) チョルチョ「単于、しかしこのまま、リザードマンが何もしなければ無用の種族として粛清を受けるかもしれません」 ゲルニードはチョルチョの方は見ずに黙って聞いている。 チョルチョ「今は、ここを制圧したフェリル党の一存で、何もありませんが、我が種族を嫌う人間は多い」 「ここで結果を出さなくては、たとえ、粛清されなくても、人間の奴隷として扱われます」 ゲルニード「チョルチョよ、おまえの言いたいことはわかった……。」 「しかし、勝たなくては意味が無い……。」 「だが、俺は、兵を上げたがどこと戦ってもまともに勝てなかった……。」 「もはや、魔法も武器も発達し、穹廬奴の様な剣のみで戦って勝つことなどできんのだ……。」 チョルチョ「単于、ならばせめて私に兵を預けてください、私が何とかして単于のためにきっと穹廬奴を再興しますから」 ゲルニード「…………」 ゲルニードは無気力だったが必死に懇願するチョルチョについに折れ、今でも自分を慕うリザードマン達にチョルチョに全面的に協力するよう伝えた……。 チョルチョは人員を確保し、改めて考える。何故自分達が勝てないのか? 確かに、ゲルニードの言う通り、以前、リュッセル城を攻め、何の戦果も上げられず敗退したのである。 しかし、リザードマンは人間とは根本的に筋力が違う、純粋に殴りあったらどの種族にも負けないだろう。戦闘において有利な種族であるのは間違いの無い事実なのである。 今の時代でも、剣や槍といった武器は主流で、決して魔法や弓などの飛び道具だけが戦で活躍しているわけではない。 それに、わずかではあるがリザードマンにも弓を使う部隊は存在する。 チョルチョ「土門がいてくれれば……」 兵法に通じたジェイクがいれば、助言を仰げるだろう。しかし、もういない、そしてこれからは自分が単于に助言をする存在にならなくてはならないのだ。 何としても、リュッセル城を攻略し、リザードマンでもできるという事をゲルニードに証明して見せて、再び立ち上がってもらおうと考えていた。 しかし、こうして必死に知恵を絞ろうとすると、自分が何も知らない事に気付く……。 ふと周りを見渡してみる。 以前はどこを見てもリザードマンしかいなかったが、今では人間、ゴブリン、そしてわずかではあるがエルフもいる。 チョルチョ(知らざるを知らずとなす。これ知るなり……) (人を以て言を廃せず……) 以前、ジェイクに習った偉人の言葉を思い出し、チョルチョは、人間、ゴブリン、エルフになけなしの財産をはたいて、戦に関わる書籍を買った……。 …………………… チョルチョは、多種族から購入した戦に関連する本を読み漁っていた……。 穹廬奴は多種族を見下す傾向があり、積極的に他の文化を取り入れようとはしない、以前ダガーを取り入れた事があったが、基本的には魔法や飛び道具に対して物凄く抵抗があるのである。 そういった、良い物は良いとしない事に敗因があるのではないかと考えたのだ……。 チョルチョ(今は相手がリザードマンと見れば、一斉に距離を取って魔法を唱えたり、こちらの得意とする接近戦は極力避けてくる……) 改めて、敵の出方を考えると、既にリザードマンの種族性というものが相手に理解されており、そこを突かれているようだった。 チョルチョ(リザードマンは魔法に対する抵抗力が弱い……。しかし、今から魔法を学ばせるには時間がかかる……) チョルチョはリザードマンの中では巫女と言う事もあり、魔法が使え、魔法抵抗力も高い、 しかし、個人でどうこうなる問題でもなく、また、リザードマンとしては高くても人間と比較すれば秀でた物をもっているわけではなかった。 チョルチョ(魔法の抵抗を上げる事はできなくても、相手がこっちの苦手とする攻撃をする前に倒せれば……) チョルチョ(となると武器か……) チョルチョ「イオード」 イオード「ん?」 チョルチョは、穹廬奴で唯一弓兵を率いるイオードに声を掛けた……。 ■ラザム神殿 ―銀の夜明け団 陣営 ヨネア率いる銀の夜明け団は、快進撃を続け、アルナス・ウルフをラザム神殿に追い詰めていた。 ヨネア(バカね……。ホラガスに逃げれば良かったのに……) 悪魔の軍勢にとって、アルナス・ウルフなど敵ではなく、毒蛇スネアを捕え、速やかにラザムの神殿を制圧する。 ラザム神殿にいた信者は殆どがスネアの手によって、殺されていたが、人質として使うためなのか、わずかだが閉じ込められている者達がいた。 ドラスティーナ「神殿まで来たけど、どうするの? ここで」 ヨネア「必ず記録が何処かに残されているから、それを頂くのと、後は光の魔法のノウハウが書かれた魔術書ね、これを一般公開してやるのよ」 ドラスティーナ「わかったわ」 率いるデーモンとリッチーに捜索を命じ、色々と内部を調べるが、一向に見つからない。 飽きたのかレドザイトは床に猫の落書きを始め、ポポイロイトはふん縛ったスネアの顔に落書きをしている。 ラングトスは座り込んでギターの練習を始めた……。 ヨネア「全くあいつらは……、あまり時間はかけたくないのよね……」 ドラスティーナ「本当にあるの?」 ヨネア「ある筈よ、無いわけないし……」 「気は進まないけど、キオスドール、ラザムの関係者の精神に入り込んで隠し扉とかが無いか調べてもらえない」 キオスドール「うふ、わかりましたわ」 キオスドールは淫魔という事もあり、人の精神に入り込むのは得意だった。 スネアに捕えられていた適当な、男性信者を見をつけ、あっさりと誘惑し情報を吐かせる。 隠し階段を見つけたヨネア達は、そのまま地下の探索に入った……。 ヨネア「これよこれ」 ヨネアはうれしそうに見つけた光の魔術書を用意したリュックに放り込んでゆく……。 ドラスティーナは年号がタイトルになっている書籍を見つける。 ドラスティーナ「ヨネア、これじゃないかしら、ラザムの記録」 ラザムが、過去に行ってきた事が詳細に書かれている。 そして、確かに、10年前、銀の夜明け団のメンバーを皆殺しにしていたことが書かれており、 中でも酷かったのが、200年以上も前の話ではあるが、魔女狩りと称して、多くの罪の無い女性を殺していたことがわかった……。 ドラスティーナ「これが黒歴史って奴ね、どっちが悪魔かわからないわ」 そういって、その書籍を片っ端から収拾していく……。 ヨネア「これはお持ち帰り、これもお持ち帰り、これはいらない、これはお持ち帰り」 買い物でも楽しむかのように、いるものといらないものを選別して行く……。 ドラスティーナ「小説?」 本棚の中に「屍姫」と銘うたれた書籍を見つけた。 ドラスティーナは個人的好奇心により手に取りパラパラとめくる……。 その時、よく知った気配を感じとった。 ドラスティーナ(この速さこの魔力、間違いなくあいつね……) ドラスティーナ「ヨネア、一回地上に出てくる」 ヨネア「わかったわ」 ドラスティーナは場を離れ、迫って来る魔力の方へと向かった…… ……………… ドラスティーナ「久しぶりね、フーリン」 フーリン「これはこれは姐さん、こんな所で何してるんすか?」 ドラスティーナ「何って、今、私は人間に仕官しているのよ。そっちこそ何しに来たのよ? 魔王軍は今、ラザムと交戦中でしょ?」 フーリン「姐さんが人間に仕官!?」 ドラスティーナ「そうよ、何か文句ある?」 フーリン「いえ、別に何も、しかしルーゼル様が知ったら」 ドラスティーナ「ルーゼルと言えど、指図は受けないわ」 ドラスティーナ「もし、銀の夜明け団と、魔王軍が戦になったら、私はその主の側で剣を抜くつもりよ」 フーリン「マジすか? …………。こりゃ荒れそうだ」 他人事の様に言うフーリン、この悪魔はあまり他人に干渉したり、自分の考えを押し付ける事を好まなかった……。 フーリンとしても、ドラスティーナが敵側として剣を抜けば、魔王側として戦うまでである。 ドラスティーナ「それよりも、シャルロット知らない? あの子、奴隷階級だけど回復魔法使えるし、仲間に引き入れたいのよね」 フーリン「何いってんすか姐さん、シャルロットはパルスザンのコレですよ」 笑いながら小指を立てて見せる。 ドラスティーナ「そうなの!?」 しかし、よく考えてみれば、パルスザンは悪魔にしては珍しく差別意識が無く、他人を否定して見るのではなく、良い所を見つけようと肯定的に見る。 総合的に劣っていても、突出した才能を持った者は積極的に登用し、適材適所を心がけている。 ドラスティーナ「パルスザンならありえるか……。本題だけど、どうしてここに来たの?」 フーリン「敵になるかもしれない、姐さんに言っていいかわかりやせんが、 ラザムからは停戦の申し入れがあってルーゼル様はそれを受諾したんですよ。 それで、停戦に至った理由を調べに、ヤツらの後を追っていたら、姐さんの力を感じたので、奴らがつくよりも先に……」 ドラスティーナ「停戦? ラザムは今こっちに向かっているの」 フーリン「血相変えて向かってきてるっすよ。」 ドラスティーナ「ちっ……」 ドラスティーナは神殿へ引き返した……。 ……………… ヨネア「何かしらこの扉?」 ヨネアはラザム神殿の地下施設の最下層にある大きな扉を見つけた。 派手な装飾がしてあり、強力な呪法で封印してある。 見るからに、一部の人間にしか見せられない秘密が詰まっているのは明らかだった……。 ヨネア「開かないわね」 ヨネア(ラザムの黒い部分が隠されているのかしら? それとも宝物庫って奴? どちらにしてもワクワクするわね) キオスドール「恐らく、一部の人間にしか開けられないようになってますわね」 キオスドール「この扉は、特別な呪法が施されていて、ここの石版に手の平をあて、ここの宝玉を見る事で、その者を判断します。 そしてその者が、定められた呪文を唱える事で、初めて開く事ができます」 ヨネア「手の込んだ作りね」 ヨネアは、魔法で破壊を試みたが、半ば予想通り、ビクともしない。 ヨネア「スネアが捕えたラザム関係者の中に開けられそうな奴いないかしらね」 ヨネアはキオスドールを連れ、アルナスウルフが閉じ込めたラザム関係者のいる部屋に行く。 縛られた信者達に向かって、ヨネアは叫ぶようにして言った ヨネア「ねえ、最深部にある派手な扉をあけたいんだけど、誰か開けられる人いない? 扉を開けてくれればここにいる全員を解放するわ」 信者達がざわつく、そもそも、地下施設がある事すら知らない者も多いようだ……。 だが、キオスドールは信者達の挙動を観察し、明らかに一部の信者達の視線を集め、逆にあえて視線を送られない男が一人いる事を見抜いた。 キオスドール「あの方ですわ……」 キオスドールに指さされたその男は、年輩で格好こそ一般信者と何ら変わりない服を来ていたが、巧妙に自分の高い魔力を隠していた……。 男の名前はステファノといって、教団幹部である。 当然見抜かれた事で、信者達の間で動揺が走る ステファノ「…………」 ヨネア「ちょっと来てもらうわよ、置いといてもしょうがないし、残りは解放してあげて」 見張りを任しているアークデーモンとノーライフキング達に解放の指示を与えた後、縛った状態のステファノを地下施設の扉の前まで連れて来る。 ヨネア「ここを開けて欲しいんだけど」 ステファノは何も答えない。 ヨネア「素直になった方が身のためよ、言う事を聞いてくれれば命まではとらないわ」 ステファノ「お前が銀の夜明け団の生き残りか……。これは復讐のつもりなのか?」 ヨネア「復讐? 私はそこまでバカじゃないわ、ただ単に、アンタ達が気に入らないだけよ」 ステファノ「気に入らないだけで、ここまでやるというのか?」 ヨネア「そうよ、アンタらは大陸各地で治療とか行って正義の団体みたいなツラしているけれど。詐欺という名の奇跡を起して信者と金を集めているだけじゃない」 ステファノ「言ってくれるな……。銀の夜明け団は黒い事をやっていなかったとでも?」 ヨネア「知らないわよそんな事」 「あたしは銀の夜明け団って名称が気に入っただけで、メンバーだったとか生き残りとかじゃないの」 「ただ闇の魔法を教えくれた名も知らない人が、最後の一人だったってだけ」 ステファノ「ふん、魔王を召喚し、大陸を危険に曝した者がラザムを否定するのか」 ヨネア「魔王を召喚したのはムクガイヤの命令、その責任はあいつにあるの、あいつがそれに至ったのは政治の腐敗が原因」 ステファノ「口だけは達者のようだな」 ヨネア「どうでもいいわよ、んで、開けてくれるの開けないの?」 ステファノ「開けると思うか? そこにはお前には想像もできないラザムの闇が詰まっている」 「忠告してやるが、開ければ魔王降臨以上の大惨事が起こる。それでもいいのか?」 ヨネア「キオスドール、精神を支配するってできる?」 面倒くさいと判断したヨネアは強引な手に出る。 キオスドール「うふ、禁欲の厳しい修行を積んだ者なので、誘惑はできませんわ。」 「それに、修行を受けた高位の僧侶の精神を無理に操ろうとすると廃人になりますわよ?」 ヨネア「構いやしないわ、できるならやって」 キオスドール「うふふ……」 ステファノの精神に入り込み強引に、扉を開く魔法を唱えさせる。 ドサッ ステファノは白目を向き、口をパクパクさせていた……。 キオスドール「あらあら、おかわいそう」 ヨネア「ふん、素直に開けてくれれば、ここまでしなかったわよ」 ヨネアはキオスドールの皮肉とも受け取れる言葉には全く動じず、そのまま中へと入っていく……。 しかし、その中は、ヨネアが想像していたものとは違っていた。 ヨネア「何これ、モルグ?」 死体置き場の様な部屋で、包帯の様な布でグルグル巻きにされた死体の様なものが多数、安置されている。 キオスドール「この雰囲気、ゾクゾクしますわね」 ヨネア「聖人のお墓? 死体安置所とかかしら? それにしては何ていうか雑に扱われているし、禍々しい感じよね」 光とは相いれないのは勿論、闇ともまた違った感じである。 ヨネア(この禍々しい感じ何処かで……) ヨネアが感覚を研ぎ澄ませて力の出所を探ると、そこには装飾の施された小さな箱を見つけた。 中には、黒いながらも輝く多面体が入っている。その禍々しさは、マクラヌスと良く似ていた……。 ヨネア「何かしらこれ? まあいいわ持って帰って研究しよう」 一旦、棚に戻し、次は布でぐるぐる巻きにされた死体らしきものを良く見てみる。 ただの布ではなく、魔力を帯びている事がわかる。何かを封印するように……。 ヨネアは直感的に、これは危険な物で、ラザムでは完全に処分できないため、保管に止めていると認識した、しかし、湧き上がる好奇心には勝てなかった……。 ナイフを取り出し、布を斬ろうと刃をたてる。 ヨネア(中々、丈夫な布ね……) そうこうしている内に、ナイフが布を遂に裂き中を見る事ができた。 ヨネア「あれ?」 中身は空だった。繭の様にも見える布の中は何も入っておらず空洞だったのである。 ヨネア(いや……確かに、何かあったわ) ヨネアは最初に触った時の感覚を思い出し、中身があった事に間違いないと結論づける。 キオスドール「ヨネア様!!」 キオスドールが悲鳴の様に叫んだ。 ヨネア「え?」 気が付くと、ヨネアの周りには大鎌を持った水死人のような青白い顔をした者達が何人もいたからである ヨネア「何よこいつら?」 屋内と言う事もあって、物理的な破壊力の無い、相手の精神に働きかける広範囲魔法、イリュージョンを唱えた。 しかし、全く言っていい程、効いていない。 キオスドール「ドロウンバブル」 キオスドールの水の魔法が、わずかに相手の動きを鈍らせる。 キオスドール「ヨネア様、今の内に」 ヨネアは見つけた多面体を回収しようと置いた棚を見るが、しかしそこにあった筈の多面体は無くなっていた。 探している暇は無いと判断し、キオスドールに言われた通り、部屋を出る。 異変はここだけではなかった、地上階からも大きな禍々しい力を感じ取った……。 ヨネア「何が起こったっていうのよ!」 ヨネアは薄々感づいていた、ラザムの最深部では、禍々しい存在を封印しており、それを自分が解いてしまった事を……。 ……………… ドラスティーナ「ポポイロイト、アンタ一体なにやったの!?」 ふん縛った、毒蛇スネアが断末魔の様な悲鳴を上げながら、明らかに人ではない何かに姿を変えようとしていたからである。 ポポイロイト、レドザイト、ラングトスの3人は揃って首を横に振る。 ドラスティーナ(それもそうよね、幾ら悪魔でも此処までの事は! まずい、力がどんどん大きくなっている) 今もなお大きくなるスネアの禍々しい力を感じ取り、いずれ自分の力を超える事に勘づき剣を抜く……。 ドラスティーナ「火炎斬!」 炎の剣で、スネアを攻撃するが、まるで介さない。 ドラスティーナ「ちっ」 スネアを無視して、ヨネアを助けに行くか、倒して行くか、苦渋の決断を迫られる。 ドラスティーナ「ラングトス、2人と兵を連れて先にここを脱出しなさい、私はヨネアを連れて来る」 ラングドスは言われたとおりにレドザイトとポポイロイトを連れ、屋外へと向かう。 ドラスティーナ「やっぱり、無視して通してくれるほど、甘い相手ではないわよね」 スネアに向かって斬りつけるが、スネアの圧倒的力を前に成すすべもなく、防戦一方となる。 フーリン「しょーがねーな姐さん、その姐さんの今の主ってのを俺が連れきてやるよ、だから姐さんはそいつを引きつけておいてくれ」 ドラスティーナ「フーリン! …………。わかったわ、ありがとう」 フーリンに借りを作るのに躊躇いつつも、素直に礼を言う。 一方ヨネアとキオスドールは湧き出た死霊に包囲されていた。 ヨネア「一体、何なのよ」 エクスプロージョンを一か八かで使おうかとも思ったが、地下なので間違いなく瓦礫の下敷きになる。 その時、フーリンが駆けつけ、死霊を蹴散らし、突破口を開いた。 フーリン「こっちだ」 ヨネア「あんた誰よ?」 いきなり現れた、悪魔に戸惑うヨネア。 キオスドール「行きましょう、ヨネア様、考えている暇はありませんわ」 ヨネア「何よ何よ! いきなり現れて」 文句を言いながらも後を追う、地上階に出る事に成功し、ドラスティーナの魔力の方へ向かって走った。 ドラスティーナ「遅いわよ!」 ドラスティーナは巨大な蛇の様な外見となったスネアと交戦し、既に傷だらけになっていた。 ヨネア「ごめん」 ドラスティーナ「逃げるわよ」 そのまま、死霊達を交わしながら、外へ出る。 ヨネア一向は、そのまま砂漠の方へと向かって走った……。 ヨネア「ぜえ、ぜえ、ここまでくれば少し休めるわね」 フーリン「ひゅう……。すげーなこりゃ」 神殿から溢れ返る死霊の軍勢を遠目に、この様を楽しんでいる。 ヨネア「あんた誰よ」 ドラスティーナ「こいつは、魔王の側近よ」 ヨネア「何で、魔王の側近がここにいんのよ」 ドラスティーナ「そうだったヨネア、ここには間もなくラザムの軍が戻ってくるわ、急いで退散しないと」 ヨネア「えっえっ、何でどうして」 フーリン「じゃっ、俺はこれで、姐さん生きていたらまた会いやしょう」 そう言って、フーリンは動揺するヨネアを無視して魔王軍の方へと飛び立った……。 ドラスティーナ「話は後よ、ブレアまで戻るわよ」 ドラスティーナはヨネアを引っ張るようにして先に進む、ここでモタモタすれば、ラザムと死霊に挟まれる事になるからだ。 ………………… ―銀の夜明け団、陣営 何とか迫りくる死霊の軍団を引き離す事ができた銀の夜明け団だったが、アルナス砂漠に出る前に、ラザムの使徒とぶつかる事がわかる。 ドラスティーナ「死霊は私達に特別な感情を持っているわけではないから、進行速度はそこまで速くないけど、このままだと、砂漠に着く前にラザムと激突するわね」 キオスドール「交渉もできませんわね、神殿をめちゃくちゃにしてしまわれたわけですから」 ヨネア「わかっているわよ、こうなったら戦うまでよ」 ヨネアは疲れ切っている悪魔達に号令をかけた…… ―ラザムの使徒 陣営 神殿の方から禍々しい力が湧き出ているのを確認する光の賢者…… イオナ「やってくれましたわね、銀の夜明け団……」 ラザムの深部に封印されていた死霊が解き放たれた事を悟る。 ホルス「イオナ、神殿で何が起こっているんだ?」 イオナ「ホルス様、ラファエル殿、明日は魔王軍より強大な敵と戦う事になるとお考えください」 イオナはホルスの問いには答えず、戦いが近い事を2人に伝えた。 偵察隊「イオナ様、お耳を……」 その時、偵察隊から、ラザム神殿と自軍の間に悪魔の軍勢を確認したとの報が入る。 イオナ「……そのまま、蹴散らしましょう。」 「ホルス様、ラファエル殿、偵察隊が悪魔の軍勢を確認しました。おそらく銀の夜明け団の一党と思われます。」 「今より戦に備えてください」 ホルスもラファエルも、釈然としないまま戦いの準備に入った……。 ―ルートガルド城 トライドの病室 宮廷医管であるデッドライトが窓を開けて、ラザム神殿のある方角を見ていた……。 デッドライト「異界の淵門が開いた。まさか人が自ら開けるとは……」 眠っているトライドに目をやる……。 デッドライト(この際、こっちも開けてしまおうかしら?) (いえ、もう少し待てば、彼が全軍を王都に集結させ、ここに攻めて来る、その時に……) ■VSラザムの使徒 ヨネア率いる銀の夜明け団と、ラファエル率いるラザムの使徒が対峙した……。 イオナ「……」 イオナ(あれが銀の夜明け団のリーダー……、魔王の召喚といい、封印されていた死霊の解放といい、碌な事をしませんわね) ラフェエル「行くぞ皆の者!」 ラファエルが号令をかけ、ラザム使徒が動きを見せるが、馬に乗っているのはラファエルのみなので、後続をどんどん引き離し、実質単騎で向かって来る。 ドラスティーナ「後続が追いついてないじゃない、単騎で向かって来るなんて」 ヨネア「まあいいわ、そんなに死にたいなら、死ねばいいのよ」 ヨネアがラファエルに集中砲火を浴びせるため、号令をかけようとした時……。 ラファエル「光竜剣!」 ラファエルが放った光の刃は、ヨネアのみを狙っていた! ラファエルは総大将が魔術師という、肉体的には並の人間と変わらない事に目をつけ、単騎で向かって油断を誘い、総大将を一気に討ちとってしまおうという大胆な作戦に出たのだ。 その後、後続のホルスが追い付き、ラフェエルの援護に入る。 完全に出鼻を挫かれた、銀の夜明け団は、ラザムの使徒に散々に蹴散らされ合戦はラザムの圧勝に終わる。 銀の夜明け団は散り散りとなって砂漠の方へ逃げたため、イオナは追うような事を命じず、死霊の軍団の戦いに備えさせた……。 …………………… ヨネア「こんな事になるなんて……」 ヨネアは、何とか逃げ延び、砂漠を横断していた。 魔法による飛行の速度は決して遅い物ではなかったが、先の戦いで負傷したドラスティーナを抱えているため、本来の速度で飛行できずにいる。 ドラスティーナは光竜剣からとっさにヨネアを庇い、そのまま肩から胴にかけて深い傷を負っていた……。 光の刃は、ドラスティーナの体を貫通し、翼を斬り飛ばしている。そのためヨネアが抱えて逃げるしかなかったのである。 ドラスティーナ「……ヨネア、私を置いて………行きなさい、流石に無茶よ、この速度で……砂漠を横断するなんて」 ヨネア「うるさい、怪我人は黙ってなさい、それにアンタらしくないわよこんなところで諦めるなんて」 ドラスティーナ「……あら? 私は無理なものは無理と諦めるタイプよ……」 ヨネア「ブレアに戻ったら説教してやるんだから」 ドザッ ヨネアが飛行に使っている魔法の杖から落下する。 何かにぶつかったとか、強風が吹いたわけではない、単純に魔法力が尽きたのである。 砂漠であるため、ここで倒れれば命は無い……。 ヨネア「レドザイトが居ればまだ、なんとかなったのに……」 冷気の魔法を得意とするレドザイトが居れば、灼熱の暑さを凌ぎ水の確保ができただろう。 動きが止まり、急に仲間の無事が気になりだす。 ヨネア「……あの子達は無事……逃げれたかしらね? ねえドラスティーナ?」 返事は無かった……。 ドラスティーナは既に意識を失っており、生死はわからない……。 ヨネア「ごめんね、バカなリーダーで……」 ドラスティーナに一言謝るとヨネアは目を閉じた……。 ―クイニック 魔王軍 陣営 最速の悪魔であるフーリンが、ラザムの真意を確認し、戻ってくるのに左程時間は掛からなかった。 ルーゼル「死霊の軍団か……。奴らは私と知の無い死霊如きを天秤に掛け、死霊を選んだという事か」 フーリン「そうなりやすね」 ルーゼル「わかった、もういい。停戦など破棄だ、不快な生き物どもは皆殺しにしろ」 ショハード「ひゃはっ! 虐殺最高」 フーリン「後、ルーゼル様、ドラスティーナ様を敵陣営てか、あのムクガイヤの陣営に加わっているのを確認しやした」 ルーゼル「何!? ドラスティーナが!?」 フーリン「まあ、あの野郎に仕えているというよりも、人間の魔術師の娘を面白がってあれこれ手を貸しているって感じでしたけどね」 ゼオン「おい、その娘は、闇の魔法を使う生意気な小娘じゃなかったか?」 フーリン「そうそう」 拳を握りしめ、バキバキと間接を鳴らす……。 ゼオン「あのガキ! 捻り殺してくれる」 ゼオンはヨネアに召喚され、そのまま強制送還された屈辱を思い出していた……。 ルーゼル「ドラスティーナは放っておけ」 「私は、グウェン、リリックと共に、ラザムと決着をつける。」 「パルスザンとフーリンは、リュッセル半島の竜騎士共を討伐、ムナード、お前は残りを率いて雪原を攻めよ。」 ムナード「仰せのままに」 パルスザン「かしこまりました」 魔王軍は3手に分かれ、再び侵攻を開始する……。 ―ムクガイヤ魔術師団 本軍 魔王軍を追い詰めていたラザムの使徒が、急に兵を引いたとの報が、ムクガイヤの元へ届いた。 ムクガイヤ「ラザムが引いただと?」 サルステーネ「はっ、その様でございます」 ムクガイヤ「追い詰めていたのに兵を引くとは……。魔王を倒させてから王都に進行するつもりでいたが予定が狂ったな……」 ラザムの使徒は魔王軍に対してアドバンテージを持っていた。 ならば、魔王軍と自軍で雌雄を決するよりも、魔王軍をラザムの使徒に討伐させてから一掃すればよいとムクガイヤは考えていた。 サルステーネ「ラザムの使徒は、ラザム神殿の奪還に向かったようですな」 ムクガイヤ「しかし、何故今更、神殿よりも魔王の討伐を優先していたというのに」 サルステーネ「一説によりますと、ヨネア様のアルナス砂漠への侵攻によるものと」 ムクガイヤ「闇の魔法を、この世から消すためにか?」 「しかし魔王討伐より優先順位が高いとは思えんな、まあいい、リュッセルはどうなっている」 サルステーネ「ラザムの使徒が撤退したため、リューネ騎士団は魔王軍の猛攻を防げず多くの兵力を失った所、息を吹き返したリュッセル国に滅ぼされた模様ですね。アルティナの生死は不明です。」 ムクガイヤ「目の前の敵国を無視して、大義のため魔王討伐に参戦した者の末路などこんなものか……」 サルステーネ「現在、グリーン・ウルスと魔王軍が交戦中ですが、魔王軍がグリーンのほぼ全てを制圧しているようですね。」 ムクガイヤ「こうなると悠長に構えてもいられんな、フェリル党にリュッセル国を早急に落とさせ、薔薇十二字団にオステアを服属させるように伝えよ」 サルステーネ「はは」 ■VSリュッセル国 ムクガイヤの命を受け、リュッセル半島に侵攻を開始したフェリル党であったが、空を制する竜騎士相手に、戦果を上げられずにいた……。 難攻不落のリュッセル城を包囲し、兵糧攻めにしようとしても、竜騎士を率いたセレンに蹴散らされる始末、また、軍師スーフェンがフェリル党に反感を持ち潜伏するリザードマン達に激を飛ばし、破壊工作を行われたため、前線に物資の供給もままならいこともあった。 ルルニーガは多大な犠牲を覚悟のうえで、全軍あげてリュッセル城を攻める事も考えたが、決断には踏み切れずにいる。 ルルニーガ「………………、竜騎士の部隊、難攻不落の城、どちらかだったら何とかなるだろうが、両方を相手取るとなると……」 ムッテンベル「親父様、チョルチョと名乗る、リザードマンの巫女が軍議の参加を望んでおりますがいかが致しますか?」 ルルニーガ「チョルチョ……。あの娘か……」 聞き覚えのある名前……。 チョルチョは巫女といってもゲルニードのお気に入りで、軍師の様な役目を負っている。潜伏していたゲルニードが出頭してきた時も、同行していたので良く覚えていた。 ルルニーガ「して、何ゆえ?」 ムッテンベル「何でも、リュッセル城の攻略できると息巻いておりますが……」 ルルニーガ「ふむ……、まあ、良いだろう」 現状、特にこれといった、策があるわけではないので、ルルニーガは軍議の参加を許可したのだった……。 ―フェリル党 陣営 軍議 今回の軍議はいつもと違っていた。 リザードマンであるチョルチョとイオードが参加していたからである。 リュッセルにはリザードマンの軍師スーフェンがおり、その同族を参加させるなどと、不満を持つものもいたが、ルルニーガは解さなかった。 チョルチョ「軍議に参加させていただき光栄にございます」 ルルニーガ「うむ、何でも、リュッセル城を攻略できると言ったそうだが、その真意を聞きたくてな……」 ざわつく一同……。しかし、チョルチョは落ちつき全く動じなかった……。 チョルチョ「はっ。こちらを」 そういって、チョルチョは弓によく似た物を差し出す……。 バルバッタ「なんだこりゃ?」 ムッテンベル「これは?」 ルルニーガ「クロスボウか」 ルルニーガは一時期、人間の文化を色々と調べており、その時、武器について書かれた文献でその存在を知っていた。 チョルチョ「御名答にございます。これは人間の作ったクロスボウを元に、私達穹廬奴で作った弩という新しい武器です」 ルルニーガ「ふむ」 チョルチョ「イオード」 矢は既にセットしてあり、イオードはクロスボウを手に取り矢を放つ、イオードの放った矢は、軽く700ドットは飛んでいた……。 弓よりも遥かに長い射程距離である。 ルルニーガ「大した威力だな……」 チョルチョ「はい、ではこれを」 そういって、バルバッタに弩を渡す。 バルバッタ「意外とでけーなこれ……」 バルバッタはチョルチョから説明を受け、弦を引く。 しかし、弦は固く、どんなに力を入れても引くことができなかった。 バルバッタ「なんだこりゃ、固くて引けねーじゃねーか」 チョルチョ「クロスボウが普及せずに廃れたのは、弦が固くて滑車を使って引かなくてはならず、そのため速射性に欠けました。」 「使う矢も短いものを使わなくてはならず、安定性が弓よりも悪い物でした……。」 バルバッタ「それじゃ使えねーだろ、何しに来たんだてめーわ、そうか、弦を引かせて、俺の指を切断しようって腹だな?」 チョルチョはバルバッタの罵倒など全く気にせず、説明を続ける。 チョルチョ「しかし、使えないのは要するに人間の腕力、筋力の問題です。」 「そしてこのクロスボウではなくこの弩は、クロスボウよりも大型に作り、より長い矢をセットすることができ、安定性の問題も解決しています。」 ルルニーガ「なるほど、そういう事か……」 ルルニーガはにいっと笑い、わざと説明を端折って勿体つけたチョルチョの真意を読み取った……。 チョルチョ「イオード」 イオードが今度は弦を引く、リザードマンの剛腕は、バルバッタではビクともしなかった弦を引き、矢をセットして見せた。 チョルチョは今度はクロスヘルムを用意し、それをイオードに射ぬかせる。 矢は肉厚の鉄で作られたクロスヘルムを容易に貫通していた。 バルバッタ「いっ!?」 ルルニーガ「つまり、この武器で竜騎士を撃ち落とせという事か……」 改めて弩を手に取り思考する。 実践に投入するとなると、この試作品だけではなく、大量に作らなくてはならない。 しかし、この弩が扱えるのは、リザードマンだけである。 ついこないだまで敵だった者達に、その者達にしか使えない武器を大量に与えてよいものかどうか? 弩の部隊を編成すれば、竜騎士達に大きな打撃を与える事ができるだろう。 まだ、使われていない武器なので、対処ができないのである。 対抗策を講じられれば、有利にはなりつつも相手も手強くなってくる。 中途半端な投入は、戦を長くするだけなので、それそうおうのリザードマンの部隊を編成しなくてはならない……。 ルルニーガ「チョルチョよ、ついこないだまで敵だった者達に、強力な武器を与えて部隊を編成するというのは、決して簡単な事ではない……。 「もし、お前達が裏切れば我々の損失は計り知れず、お前達が結果を出せなければ、それ相応の責任が待っている」 「お前にその覚悟があるのか?」 ルルニーガは剣を抜き、切っ先を突き付ける……。 チョルチョは動じる事無く、まっ直ぐルルニーガを見据え……。 チョルチョ「あります。 「元帥がリザードマンの裏切りを懸念されるのはごもっとも、ならば私を人質としてお使いください」 つまり、リザードマン達が裏切る様な事があれば、自分を斬れと……。 チョルチョ「この弩の部隊に用意する兵は、私が単于ゲルニードより直接預かりし信用のおける兵達です。 「兵達の女房・子供は既に人質になる決意をしております。 「この者達を人質にすれば、穹廬奴には誇りがあります、決して裏切りは致しません」 ルルニーガ「ふむ」 嘘を言っている様には見えない……。 しかし、女子供を人質に取れば、流石に人聞きが悪く、ルルニーガ個人としても当然したくない、そのルルニーガの心理を見越しての主張かもしれなかった。 ルルニーガ(良い眼をしているな……) ルルニーガ「女子供を人質とする必要は無い……。これから早速、開発・生産に当たってもらうが、お主は悪いが、ワシの近くにおれ、監視は常につけさせる」 チョルチョ「光栄にございます」 チョルチョは頭を深く下げる。 軍議はそこで終り、早速、材料となる樹木の手配をエルフィスに指示し、イオードの指示でバルバッタ達、ゴブリンに組み立てを命じた……。 ……………………… ルルニーガは、確実にリュッセル城を落とすため、全軍を集結させていた。 わざと、ゴブリン達をリュッセル城から見える位置に配置し、その一方で、新しく編成されたリザードマンによる弩の部隊は、鎧も弩も、緑色に着色し、茂みや森林に布陣させ、リュッセル城からは見えないように配置する。 リジャースド「フェリル党の総軍のようだな……」 セレン「今回で決着をつけたいようですね。」 スーフェン「竜王ルルニーガは、あの阿斗(ゲルニード)と違って、無駄な力攻めをするとは思えぬ、しかし、このリュッセル城をどう攻める?」 スーフェンは何か策がある事は見抜きつつも、真意までは掴めない、ゴブリン達が、ルルニーガの号令に従い、リュッセル城に向かって前進を始める。 スーフェンはセレンやリジャースドに打って出るように指示は出さなかった。真意の読めない、ルルニーガの策を警戒しての事である。 ルルニーガはゴブリンの頭数を生かして、城を包囲するように号令をかけていた。 リジャースド「軍師、うって出るか?」 スーフェン「いや、待たれよ……。この城はそう簡単には落とせはせん。まだ様子をみるべきだ、相手の狙いがわからん」 とはいえ、城を包囲され、力攻めをしてこられる中、城内の兵達は焦り始めた……。 兵力は相手の方が倍近い、今まではルルニーガが犠牲を出さないため、直ぐに兵を引いていたが、今回は、いつもと違って一向に兵を引かないうえに、リジャースドやセレンといった竜騎士の部隊がいつまで立ってもうって出ない、これが城壁を守る者達にとって重圧になっていた……。 一方、フェリル党も、リュッセル城を強引に攻めていたため、多大な犠牲を支払う……。 ムッテンベル「親父様、このままでは犠牲が……」 ルルニーガ「わかっておる、だが竜騎士を引っ張り出さなくてはこの城は落とせない」 籠城戦は我慢比べの様な状況になっていった。 セレン「リジャースド様、このままでは兵の士気が持ちません、私が行きます。軍師殿、ご指示を……」 スーフェン「うむ……。やむをえまい。だがセレン殿、気をつけられよ、ルルニーガは何かを企んでいる。」 セレン「わかりました。深追いはしません」 リジャースドの部隊は城に残したまま、セレンは城の屋上から打って出た。 竜騎士が他の部隊よりも優れている点として、城門を開けずに出陣できるという利点がある。 ルルニーガ「きおったか、待ちくたびれたぞ」 しかし、竜騎士の部隊はいつもの半分くらいで、まだ警戒されているのが見てとれた。 ルルニーガ「リジャースドは未だ城というわけか……」 とはいえ、いつまでも城に張り付いていても犠牲が大きくなるため、兵を引くように指示をだす。 セレンは城に張り付くゴブリン勢を遠くからドラゴンのブレスで蹴散らしていった……。 撤退を始めたゴブリンを追撃し、できるだけ討ち取るか、深追いはせずに一旦城に戻るか? 判断を迷っていると、遠方に、総大将ルルニーガの姿が見えた。 セレン「ルルニーガ!」 セレンは追撃の号令をかけた。ルルニーガの姿を確認し、討ちとってフェリル党の弱体化を狙ったのである。 ルルニーガ「やっと来たか」 警戒され中々うって出てこようとしないリュッセル軍に業を煮やしたルルニーガはわざと自分をエサにして挑発したのだ。 ルルニーガはゴブリンを退却を促しつつ、セレンを引きつける。 イオード「随分待ったな……」 伏兵となった弩の部隊は、ようやっと戻ってきたゴブリンの部隊とそれを追う竜騎士の部隊を見て、弩を狙い定めていく。 弩の利点として、矢をセットすれば、後は力を使うことなく待機できた。 これが弓だとずっと引っ張ってなくてはならないため、狙い定めるという事は難しい。 イオード「まだだ、まだ射るなよ」 イオードはドラゴンのブレスの射程距離、そして、弩の射程距離を考え、セレン部隊の攻撃が届く直前まで引きつけさせた。 イオード「今だ! 放て!」 イオードは一斉射撃の号令をかけた! 一斉に放たれた矢の雨を受けセレンは落竜する。 セレン(矢!? 伏兵? どうして?) セレンは何がどうなったかわからないまま、地面に落ちていった……。 ドラゴンのブレスを警戒し、遠方から撃っているため、当然威力は落ちている。しかし、矢が刺さる事で竜の飛行を狂わせ、騎士が竜から落ちてしまえば、落馬よりも大きなダメージを負う事はいうまでもない。 次々に、矢の餌食になる竜騎士達。 ルルニーガは後退したゴブリンと伏兵だったリザードマンの兵を素早く合流させ、再度、リュッセル城を攻めに向かう。 今度は、弩に焙烙玉をセットし、ゴブリンの投石よりも遥か遠方から城を爆撃する。 セレンの撃退と、先ほどとは明らかに厄介な攻撃を受け、城内は大混乱に陥いった……。 ルルニーガは今度は城を包囲はしなかった。 包囲してしまうと、より城攻めに伴う大きい犠牲を負うからである、ならば、あえて退却路を残し、リュッセル城から追い出してしまえば犠牲を少なくして勝利できる、 もちろん相手を取り逃がすわけなので、リュッセル軍とは再び戦う事になるが、自分達がこの難攻不落の城に入城すれば、相手がおいそれとは攻められない事はわかりきっていた。 スーフェンはルルニーガが退却路をわざと残している事はわかっていたが、かといって籠城を続けていても、全滅は時間の問題なので撤退を促した……。 ルルニーガ「チョルチョよ」 今回の戦でずっと人質として傍らにいるチョルチョに声をかける。 チョルチョ「はっ」 ルルニーガ「見事だ」 チョルチョ「身に余る光栄にございます」 相手に警戒され、籠城戦が長引き、犠牲は予測よりも大きい物となったが、ルルニーガの大勝利と言えた……。 ………………… セレンが意識を取り戻したのは、リュッセル城に運ばれた後の事だった。 矢を受け落竜し、一命を取り留めたのは奇跡に近い事だったが、後続の衛生部隊の治療が速かったのも上げられる。 エルフィス「気がつきました? 確か貴方はアルティナ様の」 セレンはリューネ騎士団に在籍していた時、アルティナに連れられ、パーサの森を訪れた事がある。 そこで、エルフィスとも面識があった。 セレン「…………」 セレンは何も言わなかった……。 エルフィス「しばらくは安静しないといけませんが、命に別状はありません」 セレン「私はどうなるの?」 エルフィス「リュッセル国との交渉に人質として扱われるかもしれません」 セレン「リュッセル国は?」 エルフイス「今はリグナム火山に追い詰められているようですね」 セレン「そう……」 尊敬するアルティナ、親友のルオンナル、そして現在の主リジャースドの安否が気になりだす。 しかし、動けない自分に出来る事がないため、泣くしかなかった……。 ………………… それからしばらくして、リジャースドはムクガイヤ魔術師団に降伏した……。 降伏を決意したのは、セレンもリュッセル城を失った今、どうあがいても勝ち目が無い事が勿論あげられるが、それとは別に、まだアルティナが消息不明だった事があげられる。 アルティナが既にムクガイヤに対し、臣下の礼をとっていれば、リューネ騎士団の再興の話をつけ、以前と同様に直参と郷士の確執にうんざりさせられるところだが、アルティナや直参の騎士がムクガイヤに振っていない今ならば、降伏を条件に、郷士や直参の差別化を廃止し、対等に扱えと言う事ができた。 ムクガイヤからすれば、入植した者達を特別待遇で扱うつもりも、入植以前からいる者達を奴隷にするつもりも全くなかったので、すんなり受け入れた……。 ―セレンの病室 セレン「リジャースド様、降伏されたんですね」 リジャースド「すまねえな、勝てなくて……」 セレン「私の力が……。あの時、ルルニーガを討とうと追撃しなければ……」 セレンが俯いて答える。 確かに、あそこで判断を誤ったが、誤らなくても戦が長引いただけで負ける事に変わりはなかっただろう。 リジャースド「おまえのせいじゃねえよ……。でもな、降伏の条件に郷士と直参の騎士の扱いを対等にしろってつけといたぜ」 リジャースドの方を見るセレン リジャースド「だからもう、悩まなくていいんだ……」 セレン「はい……」 ■ ―アルナス砂漠 アルナス城 ヨネア「うっ……」 ヨネアが目を覚ましたのは、砂漠で倒れてから3日後の事だった……。 砂漠で倒れたヨネアは、援軍に向かっていたニースルーの率いる薔薇十二字団に救助されていたのだ。 ニースルー「起きたのね、よかった……」 ヨネア「ニースルー」 ベッドで寝かされており、ニースルーに看護されていたようだ。 ヨネア「…………」 何がどうなったのかよくわかないが、記憶を辿り、自分達がラザムの使徒に敗北し散り散りになった事を思い出す。 ヨネア「ドラスティーナは?」 ニースルー「無事よ」 ヨネア「ポポイロイトはレドザイトは、あとそれから……」 ニースルー「皆無事よ……」 取り乱すヨネアを落ちつかせる。 ヨネア「そう……。よかった……」 ニースルー「全く、無茶しすぎよ。それから、砂漠を救助のために捜索したチルクを始めとするブルーゴブリン達にお礼を言っておくのよ」 ヨネア「うっ……。わかったわ」 ニースルーに案内され、銀の夜明け団が休んでいる場所に向かう。 そこでは、残りのメンバーがそろってトランプをしていた……。 ヨネア「アンタ達、思いのほか楽しそうね……。心配してたのに……」 レドザイトはヨネアを確認するや否や、飛びついて来た……。 一番最初に召喚され、一番懐いていたといっていい。 ヨネア「ごめん、レドザイト心配かけて……」 心配をかけていたのは自分の方だったと思い知らされる。 ドラスティーナ「ま……。アンタも気がついてよかったわ」 ヨネア「ふん……。死んでたまるもんですか……」 ポポイロイト「ヨネアも入ろーよ」 皆で遊んでいるトランプに誘われる。 いつものヨネアなら、忙しくなくても忙しいと言って断る所だが、今日は付き合う事にした……。 ヨネア「しかし、折角奪ったのに、これで水の泡ね……。」 ラザムから奪った黒歴史の記録や光の魔術書、それと興味を引いた文献などを思い出す。 キオスドール「うふ、ヨネア様、確かに水の泡でしたわ」 キオスドールはそう言って、トランプを水泡に包んで、宙に浮かばせて見せる。 ヨネア「まさか!?」 キオスドール「これと同じ要領で、残らず運んでますわよ」 ヨネア「でかした」 興奮しキオスドールの肩を掴んで前後に振るヨネア。 キオスドール「ヨネア様、落ち着いてください」 ニースルー「ラザムから奪った物って何?」 その時、興奮するヨネアとは対象に、冷やかな質問が投げかけられる。 明らかに、ニースルーは怒っていた……。 ヨネア「い、いや……、ラザムの地下にあったあいつらの行った所業について書かれた記録よ」 ニースルーに圧倒され、たじっとなりつつも、開き直る様にして答えた。 ニースルー「それでヨネア、それをどうするつもり?」 ヨネア「どうって、それを一般公開し」 ニースルー「それはダメ!」 大きな声ではっきり言う。 ヨネア「ちょっとニースルー何を怒っているのよ。別に有らぬ事を言いふらすとかじゃなくてあいつらが実際に行った事を……」 ニースルー「それでもダメ」 ヨネア「どうしてよ」 ニースルー「ラザムを信じている人はこの大陸に大勢いるのよ? その信仰を傷つけるなんて……」 ヨネア「でも、それはラザムの自業自得でしょ」 ニースルー「それは違うわ……。確かに何処の組織にも汚職に手を染める者はいる。」 「ラザムの中にも、信仰を利用している者はいる。」 「でもね、ラザムの教えを信じて、貧しい人の為に、奔走している人もいるの。」 「そういう人を傷つける事は、いくらヨネアでも許さない!」 親友にかつてない程、凄まれ今にも泣き出しそうな顔になるヨネアであった。 ドラスティーナ(やっぱりこうなったわね……) ヨネア「……何よ。あいつら、闇の魔法を研究してた一団を皆殺しにしてたのよ。」 「もし同じことをラザムがもう一度行えばあたしはヤツらに殺されるのよ。」 「それでも平気なの?」 ニースルー「ヨネア、せめて、ムクガイヤ様の大陸統一が終わってから、ラザムを裁判に掛けましょう」 ヨネア「ふん、何よ裁判って知らないわよ」 ヨネアはそういうと、手に持ったトランプを叩きつけ、走り去った……。 ドラスティーナ「困ったリーダーだこと……」 そのまま感情に任せて、砂漠の方へと飛び出していく ドラスティーナは溜め息をつきつつも後を追った……。 ……・……・……・……・……・ ヨネア「ただいまー」 砂漠に飛び出し危険を感じたのか、ストレス発散できたのか暫くしてヨネアは何事もなかったのように戻ってきた……。 ポポイロイト「ねーねーうしちちのおねーちゃんは?」 ヨネア「え? 知らないけど」 レドザイト「おねーちゃんの事をおっていったよ?」 ヨネア「えっ? すれ違ったのかしら」 一方ドラスティーナはヨネアを探して砂漠の上空を飛びまわる。 ドラスティーナ「もう、何処に行ったのよ、あいつは……。一回城に戻ろうかしら……」 一旦、捜索を打ち切って、城に戻ってないか確認しようと戻った時、遠目に倒れている人影を見つけた。 ドラスティーナ「ヨネア!?」 近くまで行くと、少女の様だが、来ている服が違う。 ドラスティーナ「紛らわしい」 そういいつつも、倒れている少女を摘みあげると、その少女には動物の耳が生えていた。 ローニトーク「はわわわわわ」 その少女は摘み上げられた事で意識を取り戻す。 ドラスティーナ「何よこの子? ゴブリンじゃない」 ドラスティーナはローニトークを頭からつま先まで品定めするかのように見ている。 ローニトーク(悪魔。ど、どうしよう) 頭に生えた角を見て、ドラスティーナが悪魔と言う事に気づくが、下手に抵抗して殺されるのではないかと思いじっとしていた。 ドラスティーナ「ふぅ……。しょうがないわね、ゴブリンがどうなろうと知らないけど、あの子が私達を救助するために派遣した子だろうし。 それにしてもグズねえ、救助にきて救助する相手に救助されるなんて」 ローニトーク(な、何か勘違いされている) ドラスティーナはローニトークをニースルーが派遣した自分達の救助隊と勘違いしていた。 アルナス城まで連れていると、チルク達が使っている執務室まで向かう。 ドラスティーナ「チルクと言ったわね、アンタ達、自分達の人員ぐらいちゃんと管理しなさいよ。この子、遭難していたわよ」 そう言って、ローニトークをチルクの前に突き出した。 チルク(誰だこの子? 見覚えがないけど……。まあ全員の顔を覚えているわけじゃないし……) チルク「今度から気をつけるよ、君だめじゃないか、勝手な行動とって」 とりあえず、適当にローニトークを叱る。 ドラスティーナ「ふん……」 ドラスティーナが背を向けた時、怖くて口を閉じていたローニトークが精一杯叫んだ。 ローニトーク「私、ゴブリンじゃありませんエルフです!」 静まり返る部屋……。そしてしばらくしてその場にいる全員が爆笑しだした。 ローニトーク「? ? ?」 何故笑われているのかわからない。怖いけど精一杯の勇気を振り絞ってまた叫ぶ。 ローニトーク「な、なにがおかしいんですか?」 ドラスティーナ「アンタねえ、エルフの耳を見たことないの?」 ローニトーク「え?」 ドラスティーナ「そんな、耳していないでしょうが! それに見なさいよ」 ドラスティーナは執務室にいるフーリエンやキスナートを指差す……。 ローニトーク「…………」 ドラスティーナ「ね? 同じ耳しているでしょ。まあ、冗談としては中々笑えたわ」 そういって、唖然とするローニトークを残してドラスティーナは執務室から出て行った……。 チルク「んで、君は何処の隊の所属かな、隊長に連絡するから」 ローニトーク「わ、わたし……。その……」 あたふたするローニトーク、 チルク「じゃあ、名前は?」 ローニトーク「ローニトークです。」 チルク「わかった、それじゃフーリエン悪いけど、この子を医務室に連れてってあげて……かなり錯乱しているし」 フーリエンに指示を出して部屋から出した後、このアルナス城に派遣されて者の名簿を確認する。 チルク「ローニトークなんて名前はないなあ」 チルクはローニトークがエルフというのは欠片も信じていなかったが、フェリルに属するものではない事は感づいていた……。 ■蛇王VSラザム ラザムの使徒は、ラザム神殿から溢れ出した死霊軍と交戦していた。 魔王軍と結んでいた停戦は破棄され、挟まれた事になる。 後続はホルスに任せて、ラファエルとイオナは神殿の奪還に向かう……。 何とか、死霊軍を一掃し、リッチースネアを倒す事に成功したが、ラファエルを失う事となった……。 ■VSオステア オステアはムクガイヤ魔術師団と同盟を結び魔王軍と交戦していた。 ムクガイヤ魔術師団は、難民の受け入れ、食糧、医療品などの物資の供給は惜しまなかったが、肝心の援軍は雀の涙であった。 これは、遠まわしに服属を求めていたからである。 しかし、オステアは、ムクガイヤ魔術師団の一部になる事を拒み、実質、自軍だけで魔王軍と戦い続けた……。 ラザムの使徒が撤退したため、よりいっそう魔王軍の猛攻が激しくなり、ピコックは討ち死に、後継者のアルジュナはムクガイヤ魔術師団の領地であるブレアに逃げ延びるしか無く、オステアは実質消滅した……。 ■第六軍団 リュッセルオーダーVS魔王軍 リュッセル国が服属し、リジャースドは新たな第六軍リュッセルオーダーとして、軍団を任される事になった。 リュッセル半島から、フェリル党と共にグリーン地区への侵攻を任される。 リュッセル国の軍師スーフェンは、既に穹廬奴がフェリル党に服属していたため出奔、フェリル党は、グリーンへの侵攻だけでなく、湿地帯よりネルザーン砦の攻略を命じられた。 これを受けルルニーガは、支配下にあった穹廬奴のチョルチョとイオードをリュッセルオーダーに協力させ、自身はゴブリン勢を率いて、ネルザーン砦の攻略に向かった。 リュッセルオーダーは、魔王軍と海を挟んで対峙する事になる。 魔王軍は、宿将であるパルスザンが指揮をとっていた……。 チョルチョとイオードは海峡沿いに部隊を配置、その後ろにリジャースド、セレン率いる竜騎士が控える。 パルスザン「敵の布陣が終わったようですね」 フーリン「ありゃ? 見た事ない奴らだな……」 フーリンの目に映ったのは、リザードマンの軍勢だった……。 この時、まだ魔王軍とリザードマンは一度も交戦したことが無い。 パルスザン「あれはリザードマンという種族です」 フーリン「流石、よく知ってんな」 パルスザン「情報では、気性が激しく戦闘を好み、剣を得意とし、飛び道具は短剣を投げる程度、武一辺倒の種族の様ですね……」 「武勇は侮れませんが、魔法抵抗力が非常に弱く、魔法による攻撃には対処できないようです。」 「リザードマンによる穹廬奴という勢力がありましたが、大した結果も出せずムクガイヤ魔術師団に服属したようですね。」 収集した情報をフーリンに伝えて行く……。 パルスザンの情報通り、リザードマンは魔法に弱く、精神に働きかける闇の魔法を使う悪魔は天敵とも呼べる存在だった……。 フーリン「要するに、俺らと相性が悪く敵じゃねーってことだな。気性が激しい奴は混乱に弱いしな」 パルスザン「情報ではそうなります。しかし、油断は禁物ですよ接近戦に持ち込まれれば我らより有利です。」 「それに後方に控えているのは竜騎士セレン」 フーリン「有名なのか?」 パルスザン「情報では最強の竜騎士の様ですね、貴方が戦った、スヴェステンやアルティナよりもその実力は上の様です。」 フーリン「そいつは楽しめそうだな、つーわけで、行ってくるぜ、出遅れんなよパルスザン」 パルスザン「やれやれ、こちらの被害は最小限でお願いしますよ。」 パルスザンの戦術は、まずノーライフキングにティアマットを召喚させ、ティアマットを盾にしながら、 相手に近づき、コンフュージョンで相手の部隊を混乱させて同士討ちをさせていくというもので、常に被害を少なく相手の被害を大きくを考えての事である。 一方、最速の悪魔と呼ばれるフーリンの戦術は、それこそ単騎で先陣を切り、速い物順に一列で突っ込んで、敵と接触したら散開し、相手を蹴散らしていくというもの……。 全く異なる戦術だが、パルスザンはフーリンに絶対の信頼を置いているため、自分の戦い方を押し付ける様な真似はしなかった……。 イオードとチョルチョは闇の魔法の射程距離を考え、ぎりぎりまでフーリンを接近させる。 チョルチョ「放て!」 号令をかけ、セレンの時と同様、一斉射撃を行う。 新兵器ともいうべき弩による一斉射撃は、最速の悪魔フーリンを見事に撃ち落とした。 フーリン「俺は……どこまでもいけるはず……」 一瞬にして全身に矢が刺さり、何が起きたのか分かっていない感じだった。セレンは自分に起きた客観的光景を見て、弩の威力に改めてぞっとした……。 そのまま海へと落ちて行く……。 パルスザン「フーリン!」 堕ちて行く親友を見て、血相を変えて救援に向かう。 既に生死はわかなかったかが、まだ、息があればシャルロットの魔法で回復させる事ができるからだ。 しかし、その望みも、竜騎士を率いて出撃したセレンとリジャースドに阻まれる。 パルスザン「邪魔だ!」 パルスザンは闇の魔法による攻撃をノーライフキングの部隊に命じるが、セレンは広範囲に及ぶ必殺技、青竜剣を放ち、後方にいるノーライフキング達を一掃する。 最初は、リュッセルオーダーが優勢に進めたが、気持ちを切り替えたパルスザンの巧みな戦術により、次第に劣勢になっていく。 リザードマンの弩の部隊に接近し、混乱の魔法を使い同士討ちを狙い、弩の部隊は統制が取れなくなっていった……。 結局の所、双方の被害が甚大なものへとなり、両軍引き上げる形となった……。 パルスザン(まさか、あの様な兵器を開発しているとは……) 「くそっ!」 いつも冷静沈着であったが、この時ばかりはフーリンの死なせてしまった事に、自身に対する苛立ちを抑えきれなかった……。 シャルロット「パルスザン様……」 一方リュッセルでは……。 リジャースド「くそ、あの厄介な奴を撃ち落とせた時はいけると思ったんだがな……」 セレンは何も言わない。 ここに集まった陣営は、敵同士だったという事もあり、今一つ噛みあっていなかった……。 とくに何か話し合われる事なく軍議が終了する。 この後も、海峡を挟んで幾度も交戦したが、パルスザンの巧みな戦術により、大きく戦力を減らしていったのはリュッセル・オーダー側であった。 ………………………… 滅亡してから隠遁に近い生活をしていたゲルニードだったが、 チョルチョとイオードの活躍により、自身も落とせず難攻不落だったリュッセル城を見事落とした事で、行いを改めていた……。 ゲルニードが向かった先は……。 ゲルニード「頼むスーフェンこの通りだ……」 スーフェン「ふん……。よくここがわかったな……」 穹廬奴と関わりを再びを持つかも知れない事を快く思わず、リュッセルオーダーを出奔したスーフェン……。 その予想通り、現在、リュッセルオーダーは穹廬奴の残党と協力し、魔王軍と対峙している。 ゲルニードは、武だけではダメだという事を言葉ではなく心で理解したが、とはいえどうしていいものかわからず、単于だったという見栄を捨て、自ら処刑しようとした軍師であるスーフェンに頭を下げたのだった。 ゲルニード「このままでは終われん、俺は何としてでも穹廬奴の地を取り戻させねばならぬ」 スーフェン「唯、自分の知を使う者に仕えるのみだ。お前はこの知を使う気があるのか?」 ゲルニード「ある……。俺にお前の知を使わせてくれ」 スーフェン「ふん……。」 スーフェンはゲルニードに背を向け歩きだした…… ゲルニード(ダメか……) スーフェン「何している速くしろ。ここまで言わなくてならぬのか?」 スーフェンは振り向き、ゲルニードに命令した……。 ………………………… ―軍議 セレン「既に、相手とこちらでは戦力差が、既にリュッセル北部を守る防衛力はありません」 リジャースド「リュッセル城に籠城して戦うと言う事か……」 戦線は維持できなくなってきている。しかし、魔王軍にリュッセル半島の上陸を許せば、さらなる猛攻にさらされるだろう。 その時、会議室の扉が開き、二人のリザードマンが入ってきた……。 チョルチョ「単于」 リジャースド「軍師」 ゲルニード「チョルチョを心配掛けたな」 リジャースド「軍師、来てくれたか……。お前が入れば心強い」 チョルチョ「何故、スーフェンが?」 ゲルニード「俺が、お願いしたのだ……」 チョルチョ「単于……」 スーフェン「ふん」 リジャースド「早速で悪いが、何か策はあるか? 軍師」 スーフェン「うむ……。無い事は無い、その前に皆に聞きたい、特にアト、お前にな」 アトとは馬鹿な君主をさした穹廬奴特有の言葉である。 チョルチョ「貴様ーー」 慕う者を貶され、ゲルニードに掴みかかるチョルチョ、しかしそれを制したのはゲルニード当人だった……。 ゲルニード「止せチョルチョ……。それよりもスーフェン聞きたいこととは……」 スーフェン「魔王軍で最も恐ろしいのは誰だ?」 一瞬静まり返った後……。 ゲルニード「そんなもの、ルーゼルに決まっておるだろう……」 ゲルニードが真っ先に答える。周りの者もルーゼルが答えだとは思いつつも、そんな簡単な答えなわけが無いと思考を巡らせていた……。 スーフェン「だから、おまえはアトだというのだ……」 チョルチョ「!!」 また、チョルチョがスーフェンの言葉に過剰に反応し、拳を握りしめる。しかしゲルニードはチョルチョを手で制した。 ゲルニード「そうだな……。知が無い俺にはわからない。教えてくれ」 以前のゲルニードなら、スーフェンを2~3発殴った後、裸にして木に縛り付け晒しものにしていただろう。 スーフェン(少しは成長したようだな……) セレン「おそらく、流れと状況からして答えはパルスザンだと思いますが、何故ですか軍師殿、魔王ルーゼルは本人が絶対的力を持ち、戦略、戦術も確かなものです」 スーフェン「うむ……。確かにルーゼルは魔王軍の誰よりも強い……。」 「だが、悪魔を絶対的なものとし、多種族を見下している」 「一方、パルズザンはどうだ? 人間に関心を示し、決して油断しない男。」 「人間を見下し、圧倒的力を基に前進しかしないルーゼルが、ここまでやれるのは人間を決して侮らない軍師が仕えての事……」 チョルチョ「なるほど」 スーフェンの解説に、快く思わないチョルチョまでもが関心を示す。 ゲルニード「それで、何が言いたいのだ?」 スーフェン「わからんのか、魔王軍など、パルスザンを倒せば後は自滅するという事だ……」 周囲がざわつく……。 リジャースド「軍師よ、そういうなら当然、パルスザンを出し抜く策があるのだろうな」 スーフェン「残念ながら、それは無い、魔王はパルスザンを絶対的に信頼し、パルスザンは魔王に絶対の忠誠を誓っている」 ゲルニード「随分、敵の事情に詳しいのだな」 スーフェン「第十三計……」 ゲルニード「打草驚蛇」 スーフェン「ジェイクから習ってはいるようだな……。知が無いのは馬鹿だが、知があっても使わないのを愚かという」 セレン(うわっ……) リジャースド(軍師は一言多いのはいつも事だが、明らかに悪意があるなこれは……) ゲルニード「そうだ、俺は愚かだった……。ジェイクを死なせたのだからな……」 チョルチョ「単于……」 素直に認め、スーフェンはこれ以上馬鹿にしずらくなった……。 スーフェン「……話を続ける。現状、我らが圧倒的劣勢、なのでここは 連環計を仕掛ける……」 セレン「話が戻りますが、軍師殿、先ほどパルスザンを倒す策は無いと」 スーフェン「うむ……。あの男は隙が無い、馬鹿の振りをしても本当の馬鹿を差し出しても見破られる……」 ゲルニード「では、どうしようというのだ」 スーフェン「策を仕掛けるのはパルスザンではない……」 リジャースド「仲違いを仕掛けるという事か?」 スーフェン「左様……。確かにパルスザンは人間の文化に関心すら示すような悪魔だ。」 「偏見を持たないあの者は情報収集に長け、こちらを侮らない、しかし周りの者はどうだ?」 「自分達を絶対的な者とし、多種族を家畜以下に見ている。」 「そういった偏見を持つ者から見れば、パルスザンの文化に関心を示す一面など、見るに堪えないのではないか?」 セレン「つまり、パルスザンを魔王軍の誰かに討たせるんですね」 リジャースド「悪くないと思うが、そんな事が可能なのか?」 スーフェン「うむ……。絶対は無いが、うってつけの人物がいる。今雪原を支配しているムナードという者だ。グリーンに流言飛語を行う」 ゲルニード「ムナードと言えば、魔王軍一の切れ者、下手な流言に引っかかるとは思えんが……」 スーフェン「お前はまるでわかっていないようだな……。騙される騙されないと頭の良し悪しは関係ない、さらに言えば、騙すのが上手いからと言って、騙されにくいわけでもない」 スーフェン「信じたい事実を流言にして流せば、それが嘘だと分かっていても行動するもの」 意外な事を堂々と言う スーフェン「ようするにだな……、ムナードは誰よりもパルスザンの死を望んでおる。」 「パルスザンに謀反の疑いがあると情報が来れば、信じる信じないではなく、それを信じたいのだ奴は」 一同「なっ!?」 スーフェン「驚くには当たるまい……」 「状況を考えて見れば、パルスザンはまだリュッセルに侵攻できていない、逆にムナードは雪原をほぼ制圧している。」 「グリーン地区の戦力と我々の戦力を考えれば、これだけでどっちが上とかは判断できないが、当人はそう思っていないだろう。」 「パルスザンを無能と思っているだろうな……。」 「そしてムナードは我らを、突っ込んで来るしか能が無いと思っているだろう。まさが自分を騙してくるとは思ってない」 ゲルニード「上手くいくのだろうな?」 スーフェン「絶対は無いと言った筈だ……。ムナードが流言を受けて、魔王に報告するに止めてしまえば、魔王が諫めて終わりだろう。 だが、パルスザンを快く思わない他の悪魔が魔王に報告するまえに討ちとれという事を助言すればムナードは動く」 リジャースド「成程な、まあ、上手くいかないにしてもこちらは流言するだけだからな……。戦力もこの状況だ、やるだけやってみるか」 ゲルニード「連環計といったな? 続きがあるのか?」 スーフェン「当然ある……。が、この策が上手くいかない事には次の策はない、まずはグリーンに流言を行う」 「流言内容は、パルスザンに謀反の疑い有、フーリンは背中を射られて死んだという事にしろ」 流言は、ムナードの支配するグリーンにすぐさま広められた。 この時、グリーン・ウルスはミッドウェイに立て籠もり決死の抵抗を続けていた……。 ショハード「兄貴、面白い噂が流れているぜ……」 ムナード「パルスザンが謀反を考えているというのだろう? 馬鹿馬鹿しい、確かにあの男は愚鈍だが、魔王様を裏切るなどと……」 ショハード「でもよ、フーリンは背中を射られて死んだって話だぜ」 ムナード「パルスザンが背後から殺したという事か?」 「ますます、わけがわからんな、あいつにとってフーリンは親友の筈、謀反を起こすなら共謀した方がよいであろう」 ショハード「反対されたんじゃねーの? それを口封じとか……」 ゼオン「パルスザンは平気で背後から矢を射る汚ねえ野郎だろからな……」 かつて一騎討ちで倒したかった相手をパルスザンが背中から射殺した過去があるゼオンはパルスザンが殺したと決め付けた……。。 ムナード「所詮は噂だろう?」 ショハード「ああ、所詮は噂だ……。だけどそれでいいんじゃねーか?」 この時、ショハードが相手にされてもいないのになおも食い下がってくる真意を知る……。 ムナード「しかし、それならば、魔王様に謀反の疑い有りと報告し……」 ショハード「魔王様に報告した所で、兄貴が諫められるだけじゃねーの。証拠があるわけでもねーんだし」 ムナード「確かに証拠が無いからな……。やはり寝も葉もない噂に過ぎんのだろう。それに奴らの流言という事もある」 ショハード「なあ、証拠ってのは作るもんじゃねーのか?」 ムナード「……ショハード、お前……」 ショハード「俺らがグリーンをここまで制圧したのに、あいつはまだリュッセル半島に侵攻できてねーんだぜ、フーリンは討ち死にしたしよ……。」 「こんな無能が、いつまでもNo.2にいても魔王様の為にならねーよな?」 ムナード「…………」 改めて、状況を考える。現在、グリーンはほぼ平定しており、力は低いものの配下の者は多い……。 パルスザンがリュッセルを再び攻めた時に、背後をつけば討ちとる事は可能だろう。 ショハード「俺らが雪原を完全に支配したら、魔王様からパルスザンの援軍に行けと言われるだろうな、でもって手柄は全部あいつが持っていく……」 ムナード「…………流石は俺の弟だな……」 ショハードは素直に誉め言葉として受け取ったが、この言葉は皮肉を込めたものだった……。 ムナードは演説などで、その気の無い相手を言葉巧みにその気にさせる事を得意としている。 勝ち目が無い戦いに兵を言葉巧みに誘導し特攻させるなど何度も行ってきた。 そして、それを今日は弟にされたのだ……。 パルスザンが謀反等するわけがない、ここで同士討ちをすれば魔王軍は大きく戦力を失い、窮地に立たされる。 それは、わかっていた。 しかしムナードは自分の野心を既に抑える事ができなくなっていた……。 ………………… ―軍議 パルスザンが再び、リュッセルに向かって侵攻を開始したとの方が届く……。 それから程なくして、ムナードが兵を上げたとも リジャースド「上手くいったな……」 スーフェン「うむ……。では、次の策の説明する」 スーフェンは連環計といっていた、最初の策が上手くいったので、それに続く策の解説を始めた スーフェン「今、魔王はゴイザムの入り口の当たりで、ラザムの使徒と交戦中だ……。」 「その魔王の近辺に、ムナードが謀反を起こしたと流言を流す」 セレン(えげつな……) リジャースド「ふははは、軍師よ、容赦ないな……」 スーフェン「これで魔王がムナードを粛清してくれれば御の字だ。まあ流さなくてもお気に入りのパルスザンが討たれれば十分粛清はありえる。 「だが、噂を流した方が話が速くなるからな」 ゲルニード「…………」 チョルチョ「…………」 スーフェン「アト……。どうした? 斬った貼ったがないからつまらんのか?」 全く反応を示さないゲルニードが気になり、嫌味を言う。 ゲルニード「いや、改めて知の大切さと恐ろしさを知ったのでな……」 関心するように言い返した。以前のゲルニードからは決して出てこない言葉だった……。 スーフェンは少し気をよくしたのか、この後、ゲルニードを馬鹿にする発言を一切しなかった……。 チョルチョ「ですが、それも向かってくるパルスザンを撃退できればの話ですよね」 ここで、パルスザンを押しとどめ、撤退させないと挟撃にならない、下手をすればパルスザンを取り逃がす事になる。 取り逃がせば、確実に魔王軍を立て直すだろう。 それに、この手の策は一度失敗すれば、2度は使えない、確実にムナードにパルスザンを始末させる必要がある。 スーフェン「その通りだ……。ここが正念場となる各々油断めされるな……」 ………………… ゲルニード「いつもよりも敵の数が多いな……。」 セレン「今回でリュッセル北部を制圧するつもりなんでしょう」 チョルチョ「負けないもん」 ゲルニードは弩を構えた……。 チョルチョ「単于?」 ゲルニード「使い方はイオードに習った……。良い武器だ……」 穹廬奴では弓の様な飛び道具は邪道とされている。 ましてや、弩は弓と違い、弦さえ引いてしまえば、狙い定めやすくそこまでの鍛錬を必要としなかった。 こういった仕様は穹廬奴の価値観にそぐわない……。 しかし、見栄を捨てたゲルニードは、成果を上げたチョルチョの開発した武器を素直に誉めた……。 チョルチョはそれが何よりもうれしかった……。 いつもは遠方から、弩で射かけても召喚されたティアマットを盾にされ思うように戦果が上がらない。 スーフェン「セレン殿……。弩で射る前にまずはティアマットを蹴散らし、そしてなるべく敵を引きつけるのだ」 スーフェンは弩の力を最大限に発揮できるようにティアマットの撃退を優先させた。 セレン「わかりました」 セレンは青竜ライムに乗って、ティアマットの撃退に向かう パルスザン「いつもと戦法を変えて来ましたか……」 パルスザンはティアマットの防壁を簡単にくずさせないため、冷静にデーモンとリッチーに援護の指示を出していく。 その時、放たれた矢がパルスザンの肩を貫いた。 パルスザン「ぐっ……」 シャルロット「パルスザン様!?」 傍らにいるシャルロットがパルスザンに回復魔法をかける イオード「流石に、竜に乗りながらでは脳天は狙いにくい」 リジャースド「……だが、これで迂闊、前には出られないだろう、このまま引いてくれねーかな」 イオードはリジャースドの竜に乗り、弩で直接パルスザンを狙ったのだった しかし、2人乗りで飛行しながらではかなりの力を使って引かなくてはならない弦を引くことはできないため、一時後方に下がる。 二人乗りをした竜騎士はイオードとリジャースドのみだったが、パルスザンは狙い撃ちを警戒し、部隊を下げた。 ノーライフキングとアークデーモンの援護を失ったティアマット達はセレンの竜騎士部隊に蹴散らされた。 パルスザン「敵もやりますね」 一旦さがり、ティアマットが撃退されたのを見て、歯がみする。 矢の傷は治療され、戦うに当たって、何の問題も無かったが、防護壁ともいうべきティアマットが一掃された事がパルスザンを迷わせていた。 兵力は倍近いので、このまま力攻めでも勝つことはできる。 しかし、無理に突っ込めば多くの兵を失うだろう。 そして、何より今までとは違って明らかに優れた軍師が向こうの陣営にいることは見てとれた……。 パルスザン「一時撤退する」 慎重な性格の為、相手方の情報が無い時は、無理な戦いはしない、パルスザンは兵を引いた……。 リジャースド「ふう……。なんとか追い返したな」 スーフェン「だが、多くの戦力を残したまま兵を引いた……。ムナードが勝ってくれると良いのだが」 パルスザンがクイニックまで戻ると、クイニックに向かって来る一軍を見つけた……。 パルスザン「あれは?」 シャルロット「旗からしてムナード様の率いている部隊のようですね、行って参ります。」 戦で疲労したパルスザンに無理はさせまいと、率先して行動するシャルロット シャルロット「これはムナード様、どういった用件でございますか?」 ムナード「ふん、奴隷が……。魔王様より援軍に向かうようお達しを受けた。門を開けられよ」 シャルロット「しばし、お待ちください」 ムナード「何故、待たなくてはならん。通せ!」 シャルロット「そんな困ります!」 強引にクイニックへ入ろうとするムナードに対し、慌てるシャルロット、しかし見かねたパルスザンもこの場にやってきた……。 パルスザン「ムナード、何の用ですか? 魔王様に援軍の要請などしていませんが……」 ムナード「お前がしていなくても、魔王様が自ら私に命令を下されたのだ」 パルスザン「…………。わかりました」 ムナード「ふん」 パルスザンは当然これが面白くなかった。確かにリュッセルオーダーとは一見、一進一退の互角の勝負を繰り広げているように見えるが、戦果はまるで違う。 パルスザンは自軍を殆ど消耗させておらず、既に兵力は倍の差がついている。 一方、ムナードは無理な攻めをしているため、確かにグリーンをほぼ制圧してはいるが、戦力の消耗は激しかった……。 長期的に見れば、必ずムナードのやり方では戦いを維持できなくなるとパルスザンは読んでいる そしてそれが、ルーゼルがムナードではなくパルスザンを軍師にしている理由だった。 ムナードの軍勢をすべてクイニックに入れた時、ムナードは剣を抜き、切っ先をパルスザンに突き付ける。 パルスザン「何の真似です?」 ムナード「パルスザン、貴様、魔王様を裏切る気だな?」 パルスザン「何を馬鹿な事を……」 (こいつ何を言っているんだ?) ムナード「フーリンは背中を射られて死んだとの報告もある、それに……」 そういって、ムナードは懐から書状を投げる そこには、リュッセルオーダーのリジャースドから内応勧誘の旨が書かれているものだった。 無論、パルスザンには身に覚えが無い。 パルスザン「馬鹿馬鹿しい、こんな物、敵の仕掛けた謀略に決まっているだろう。 こんな手に引っかかるとは……」 書状の内容を否定し、理にかなった弁明を始めるパルスザン、しかし、ムナード側の悪魔達は薄ら笑いを浮かべており全く動じなかった……。 パルスザン(まさか? こいつら……) パルスザンはムナードの真意を読み取った。裏切りが事実かどうかはムナードにとってどうでもいい。 そもそも、渡された書状も、敵方が用意したものではなく、ムナードが用意したものであった。 パルスザンは説得は無理と見て、目くらましを放ち、この場から逃げる。 ムナード「追え、殺せ……。魔王様がこの事実を知る前にパルスザンの首を取るのだ」 自身の配下に号令をかける。 クイニックでは、悪魔同士による醜い戦いが行われた……。 パルスザンは、シャルロットを連れ、僅かな手勢とともに、クイニック北部にある山地に逃れていった……。 …………………… 逃げ場は無かった。ムナード達悪魔に包囲されどう逃げようとも見つかるのは時間の問題…… パルスザンはクイニックから脱出するために交戦し、体はゼオンの攻撃を受け負傷、魔力も空に近かった…… それでも健気に、残り少ない魔力で治療を続けるシャルロット……。 シャルロット「パルスザン様、必ず生きて魔王様と合流しましょう。そこで疑いを晴らすのです」 パルスザン(この子は気が弱い、魔王様の元へ行っても、私が死ねば再び奴隷階級に落とされるだろうな……) パルスザン「シャルロット、私が死んだら、お前はドラスティーナ様の元へと行きなさい……」 「フーリンから聞いた話ですが、お前を仲間に引き入れたがっているそうです」 シャルロット「!? パルスザン様、嫌です死ぬと言われるなら私も共に……」 パルスザン「悪魔らしくありませんね」 シャルロット「パルスザン様こそ」 パルスザン「ふっ……。それもそうですね、わかりました」 そう言いつつも、パルスザンはシャルロットに送還魔法を掛ける。 シャルロット「パルスザン様!?」 パルスザン「どうやら、人間に毒されていたようですね、美学とは逆の行動を取るとは……」 パルスザンはシャルロットをムナード達の敷いた包囲網の外側に飛ばした……。 ムナード「つくづく、愚かな奴だ、奴隷を逃がすために魔力を使い切るとは……」 パルスザン(愚かと言うのは、私利私欲に走ったお前を言うのだ……) パルスザンがその死を覚悟した時、ムナードの元に弟のショハードが血相を変えてやってくる……。 ムナード「どうした」 ショハード「兄貴、大変だ……。魔王様が俺達の粛清の兵を上げ、こっちに向かっている」 ムナード「何だと?」 パルスザン(こんな事も読めなかったのかこの男は……。これで魔界一の切れ者と自称するのだから笑わせる) ムナード(魔王様の動きが速い、これでは……。いやまだパルスザンは死んでいない、ここはパルスザンに私の便宜を計らせて……) パルスザン(と、考えているのだろうな…… 確かに、魔王軍の事を考えればそれが最良……) この時、既にムクガイヤ魔術師団は大陸3分の2を制圧している。 ラザムと魔王軍が交戦している間に、レオームを攻め、ゴート3世はルートガルド城に撤退し籠城した、ムクガイヤは無理に城攻めはせず、その間に経済力が豊富な王都を次々に攻略している。 ラザムも死霊軍との戦いで戦力を減らし、すでに領有しているのはラザム神殿のみとなっていた。 ここで、魔王がムナード一派を粛清してしまえば、大きく戦力を失う事になる。 そうなってしまえば、総合的に見て勝つことは難しい、いくらルーゼルが個々で強くてもどうにもならない。 パルスザンにはそれがわかっていた。 しかし、パルスザンは自分を殺そうとした者の便宜を図るなど、その高位悪魔としてのプライドが許さなかった……。 パルスザン(ルーゼル様、お許しを……) パルスザンは剣を抜き、自ら首を掻き切った……。 ムナード「なっ……!?」 ショハード「兄貴、どうする?」 ムナード「ええい、仕方あるまい、こうなれば魔王と戦うまでだ……」 ムナードは自軍をムナード党と称し、反旗を翻した……。 ………………… 魔王軍で内乱が起きという報は、すぐさまリュッセルオーダーの元へと届いた……。 スーフェン「うまくいったようだな……」 リジャースド「軍師、流石だな」 リュッセルオーダーはこれを機に、グリーンへの侵攻を開始した……。 ■ムナード党壊滅 ムナード党と魔王本軍との戦いはまるで勝負にならなかった……。 ビッテトールとダレスダラムは魔王軍を前にいずこかへ消え、ゼオン、ショハード、ナームは討ちとられた……。 リリック「魔王様、首謀者であるムナードの奴を捕えました……。」 十字架の様な形をした枷に魔法で強化した鎖で縛られて運ばれてくるムナード ルーゼル「うむ……」 ルーゼルは膝まずくムナードを見下ろしながら前に立った。 ルーゼル「ムナードよ、お前は軍師になりたかったのか? 魔王の座が欲しかったのか?」 ムナード「貴方がいなければ、私が魔王になっていました……」 ルーゼル「そうか……」 その瞬間、ムナードの頭部が弾け飛んだ……。 リリック(ムナードの奴は嵌められておったか……) この後、雪原はリュッセルオーダーが制圧し支配下に入れ、グリーンウルスもそれに服属した……。 ラザムは神殿のみの領有となったまま、その辺一帯の攻略を銀の夜明け団に変わって行っていた薔薇十二字団は特に兵を上げる事はせず、交渉による解決を行っていた。 王都はすでにムクガイヤ魔術師団に制圧され、残すはルートガルド城のみとなっている。 ガルガンダのドワーフ達は、ムクガイヤが優勢と見ると、決起しガルガンダ山を攻め、服属を条件に支援を求めた……。 魔王軍の領地は、ガルガンダの山地の一部と廃都ハルトのみとなっており、大局は決していた……。 ルーゼル「リリック、グウェン」 リリック「は」 グウェン「は」 ルーゼル「わかっていると思うが、魔界に帰るつもりはない、防衛は考えなくてもいい、一兵残らず、全軍をハルトに集結させよ」 「あの野郎を殺してくる」 リリック「仰せのままに」 グウェン「現世の果てまでお供します」 ■VS魔王軍 魔王軍が兵をハルトに集結させているとの報がムクガイヤに入る ムクガイヤはこの時、ルートガルドを城以外を全て制圧しており、城の周り大軍で固め、それ以外は王都で毎日大規模なパレードを行っていた。 必死に篭城しているゴート三世に対する嫌がらせである。 城にいるダイナイムから、こっちに寝返りたいとの書状が届けばそれをゴート三世に送り返し、城内を疑心暗鬼にさせていた……。 ムクガイヤ「ククク……。王子自ら、私に忠誠を誓わせてやるわ」 ムクガイヤは徹底的にゴート3世の心を折るつもりである。 サルステーネ「我が君、魔王軍が全軍をハルトに終結させているようです。」 ムクガイヤ「全軍を? 山の守りはどうしているのだ?」 サルステーネ「放棄した模様です」 ムクガイヤ「おそらく、南下し王都に進軍する気だな……」 ムクガイヤ(もはや大局は決している、大方一矢報いてやるといった玉砕覚悟の最後の進軍だろう) サルステーネ「いかがなさいますか? フェリル党に相手をさせますか?」 ムクガイヤ「いや、よく考え見れば私は魔王の顔すら知らん、それではあまりにルーゼルが哀れではないか、お前の暗黒騎士団と私の近衛魔術師団で決着をつけよう」 サルステーネ「御意」 ムクガイヤとサルステーネの軍は、王都をフェリル党に任せてイオナ平原へと出陣した……。 イオナ平原で対峙する事になった両軍。 ムクガイヤの兵力はすでに魔王軍の4倍近いものがあった……。 ルーゼル「お前が俺を召喚したムクガイヤか……、召喚してから今日まで姿をくらましているとはとんだチキンだったな……」 ムクガイヤ「これはこれは魔王ルーゼル、今日は魔王様にお礼が言いたくて一言、言いに参った」 ルーゼル「礼だと?」 ムクガイヤ「天下を取らせてくれてありがとう。 お前が、自称最強の魔王で、トライドと引き分けた時は心底落胆したが、こうして無事役割をはたしてくれて余も感激しておる」 ルーゼル「随分と気が早いな、まだ貴様は天下を取っていないであろう? それにお前はもう詰んでる」 ムクガイヤ「ククク、もはや哀れなピエロにはご退場願いたいのだが、慈悲深い私はお前に選択肢をやる」 ルーゼル「選択肢だと?」 ムクガイヤ「私の配下となれ、さすれば大陸の半分の領地を与えてやろう」 これは、よく物語などで魔王が勇者に言う台詞であった……。 ルーゼル「全部だ」 ムクガイヤ「何!?」 ルーゼル「この大陸は全て私のものだ……。チキンな貴様は南エルタに自治区を与えるからそこに引き篭もってろ!」 ムクガイヤ「ククク……。サルステーネ!」 ムクガイヤが叫ぶようにしてサルステーネの名を呼んだ、号令をかけろの意であった。 サルステーネ「はっ、全軍出撃!」 暗黒騎士団に号令がかかる。馬に乗った部隊がルーゼルの悪魔の軍勢に向かっていった……。 激しい戦いが続いた……。兵力で劣る魔王軍は何度も暗黒騎士団を押し戻す奮闘振りを見せる。 しかし、グウェンが戦死し、それに続きリリックも戦死する。 暗黒騎士団の兵を半分以下まで減らしたが、ついに一兵残らず討ち取られた……。 ルーゼルは魔力も体力も底をつき、近衛魔術師団の精製したゴーレムにうつ伏せにされた状態で押さえつけられる。 ムクガイヤ「流石は魔王ルーゼルよ……。精強な暗黒騎士団をこうもやられるとは……」 ルーゼル「お前の戦での働きはただ喋るだけか? 喋るだけなら誰でもできるぞ?」 ムクガイヤはルーゼルの頭を踏みつけた。 ムクガイヤ「うるさいぞ。貴様は負けたのだ……。最後ぐらい潔く負けを認めろ」 そして、そのまま座り込み、ルーゼルの髪の毛を掴んで強引に持ち上げた……。 ルーゼル「ムクガイヤ、お前の敗因はな、最後までチキンを貫かなかった事だ……」 ムクガイヤ「敗因だと?」 ルーゼルの表情は笑っていた、絶望的状況なのにもかかわらず余裕があった……。 逆にムクガイヤは自分に鳥肌立っているのを感じる。 ルーザル「お前が、私の相手をせずに、配下の者を差し向けていたら勝てたのにな……」 ルーゼルの体に光輝く文字が浮かび上がる。 何かしらの呪法をすでに自分の体に施していたのだ……。 ルーゼル「言っただろう? お前はもはや詰んでいるとな!」 ルーゼルは自爆した……。その爆発はその場にいた者全てを巻き込んだ……。 当然この戦いの生存者はいない……。 ■VSルートガルド ルーゼルの自爆によって発生した爆風による衝撃波は大陸全土に及んだ……。 イオナやハルトでは大地震が起き、イオナ平原に近いルートガルド城の窓ガラスは全て割れた、窓辺に立っていた者にはガラスの破片を浴び、重症を負う……。 ゴート3世「父上!」 ゴート3世は、城を襲った衝撃波を受け、寝たきりのトライド容態が気になったのは当然といえた、血相を変えて病室に向かう。 そして病室で見たものは、想像を絶するものだった。 宮廷医官のデッドライトは窓の近くに立っていたのか、ガラスの破片を全身に浴びていた……。 これだけなら、おかしい事は何もない、ゴート3世が目を疑ったのは、デッドライトが全身にガラスを浴びながらも平然と立っており。 そして、傷口からは全く出血していなかったからである。 人間と同じ姿をしているが、中身は全く異なるものというのが嫌でもわかった……。 ゴート3世「おまえ……。人間か?」 デッドライト「どうも、思った通りに事が運びませんでしたわね」 ゴート3世にではなくつぶやくように喋る……。 ゴートは警戒をしつつも、ベッドで眠っているはずの父親に目をやった。 しかし、ベッドに父の姿は無く、ワームホールの様な物が出来ていた……。 ゴート「貴様! 父上に何をしたあ?」 恐怖に震えつつも、怒り叫ぶゴート、デッドライトは意に介さない デッドライト「貴方の後ろにいらっしゃいますわ」 ゴート「はっ!?」 確かに、ゴートの後ろにトライドは立っていた……。骸の状態で……。 背丈や体格、わずかに残った特徴でそれが父だったものである事はわかった。そして生きてはいない事も……。 ゴート「貴様!」 しかし、デッドライトに何をするよりも早く、死霊と化したトライドに剣を振るわれる。 ゴートは何とかそれを交わし、体制を立て直そうとしたその時、デッドライトの放ったダークレイに肩を貫かれた! ゴートが死を覚悟した時 「地裂斬!」 フィーザレスが救援に駆けつけ、その技によって、床をブチ抜き、トライドとデッドライトを下の階に落とした。 フィーザレス「若! ご無事ですか?」 イオナ「ゴート様」 肩の傷にすぐさま回復魔法をかけて治療する。 ゴート「助かったフィーザレス」 フィーザレス「ここは危険です。一点に兵を集めて包囲を突破するのです、先ほどの衝撃波で敵は浮き足だっております。若なら必ずや突破できるでしょう。」 ゴート「わかった。」 その時、強大な死の波動がフィーザレスの開けた穴より噴出した。 ゴートとイオナ、フィーザレスをそれをかわすが、立ち位置は分断される。 下の階には、六枚の翼を持った人型の化け物がいた……。 フィーザレス「若、先に行ってください、必ず後から追いつきます。」 フィーザレスは既にここを死地と決めていているようだった……。 イオナ「行きましょうゴート様」 ゴート「フィーザレスよ、生きて必ずレオームを再興するのだ、これはお前の天命だ」 フィーザレス「はっ、必ず」」 フィーザレスはそのまま下の階に飛び降り化け物に飛び掛った……。 セトトンネルと呼ばれるその波動を放つ化け物は一体ではなかった……。 すでに、ルートガルド城の上空を何体も飛び回っている……。 ムッテンベル「親父様、城に異変が……」 ルルニーガ「うむ……。わかっておるわ」 苦々しい顔で上空にいる化け物を見つめる。 ムクガイヤと暗黒騎士団が向かったイオナの方で起こった爆音と衝撃波、そして、それに呼応するかのように現れた空を飛ぶ異形の化け物。 関係は不明だが、ルルニーガにはもはやムクガイヤは生きていないだろうという事は分かっていた……。 ルルニーガ「全軍退却」 この様な混乱している状況で、城から現れた化け物を攻めても、勝ち目が無いと踏んだルルニーガは全軍に退却を促した……。 その号令を受け、海路を封鎖していた第3軍、ローイス水軍も撤退を始める。 その時、軍団長であるニーナナスは、レオームの船を見かけたが、もはやそれどころではないとしてこれを見逃した……。 ■代表会議 王都から噴出した死霊の軍勢は止まる事を知らなかった。魔王軍と違って人を奴隷としてすら使うことはせず、逃げ遅れた人間はすべて魂ごと喰われていった……。 ムクガイヤがイオナ平原にて戦死したとの報を聞いたニースルーは、すぐさま軍団長や地方を治めている有権者達に書状を送って召集をかける。 後継者を特に決めていなかったムクガイヤを後を誰が継ぐのか? これをはっきりさせないと、各軍団や有権者達が独自に動き、再び戦乱になる事を懸念したのである。 王都を見渡す事のできるガルガンダ山で、会議は行われた。 集まったのは 第ニ軍 フェリル党 代表 バルバッタ 補佐 ルルニーガ 第三軍 ローイス水軍 代表 ニーナナス 補佐 ナシュカ 第四軍 薔薇十二字団 代表 ニースルー 補佐 チルク 第五軍 銀の夜明け団 代表 ヨネア 補佐 ドラスティーナ 第六軍 リュッセル・オーダー 代表 リジャースド 補佐 アーシャ オステア 代表 アルジュナ 補佐 キュラサイト パーサ 代表 キニー 補佐 エルフィス 穹廬奴 代表 ゲルニード 補佐 チョルチョ グリーン 代表 カルラ 補佐 ポートニック ガルガンダ 代表 ジャンク 補佐 オートム ラザム 代表 イオナ 補佐 ホルス の22名と、ムクガイヤ魔術師団の初期から在籍しているゾーマも呼ばれていた。 ラザムの使徒はムクガイヤの支配下になったわけではなかったが、王都に現れた死霊に対抗するには必要であり、また、この状況で戦うのは好ましくないためニースルーが書状を送っていた。 ニースルー「わかっていることと思いますが、大陸は今死霊が溢れ、未曾有の危機を迎えております。これを速やかに解決するため」 「まず、ムクガイヤ様の後継者というより、皆の代表を選びたいと思います。」 ニースルーが集めた趣旨を諸侯に説明していく……。 ソーマ「後継者に関して、ニースルー殿を私は推挙したいと思う。 「ムクガイヤ魔術師団の結成時からおり、フェリル島での政治活動、人格を考えて妥当な人選かと」 バルバッタ「俺も、ニースルーがいいと思うな」 ルルニーガにつねられて、ニースルーを押すバルバッタ。 ルルニーガ「ムクガイヤ魔術師団がここまで勢力を拡大したのは一重にニースルー殿の種族を差別しな人柄あってのこと」 ルルニーガの発言は大きかった、大陸制覇に多大な貢献をしており、武勇に優れ、多種族の信頼も厚いものがあった。 全員から賛成を得られることはなかったが、反対意見は少ない。 チルク「本人の意志も重要でしょう。ニースルーはその気があるの?」 ニースルー「…………。皆様に異論が無いなら、私が代表をやらせていただきます。」 沈黙を貫いているものはいたが、多くの賛同者を獲得し、ニースルーが代表に選ばれた……。 ニースルー「早速で申し訳ないのですが、私、ニースルーは代表を辞退したいと思います」 一同がざわつく、代表になっておいて、いきなり辞めたいと言い出したのだ。 ふざけるなと声を荒げるものもいたが、ルルニーガの静粛にという言葉で静まり返った……。 ルルニーガ「ニースルー殿、お考えを聞こうか」 ニースルー「私は、死霊の軍勢を討伐するに当たって、代表は武官の方が勤めるべきと思うからです」 至極、真っ当な主張に異論はおきない ニースルー「しかし、ながら、死霊が討伐されれば復興が次の課題となり、そして大陸の安寧と発展が私たちに課せられることになります。」 「我が君、ムクガイヤはレオーム王朝の腐敗を嘆き、よりよい世を作るため、賢人による統治を理想とし立ち上がりました。 故人を悪くいうわけではありませんが、しかし、彼は領土を拡大すればするほど、傲慢になり、かつて彼が嫌っていた者達となんら変わりない人物になっていました。」 仮に私が代表を務めても、腐敗していくでしょう。誰がなっても遅かれ速かれそうなります。 ならば、民衆一人一人に投票を行う権利を与え、代表を決めるべきです。 皆で代表を選び、代表には任期を定め、例え、政治が間違った方向に行っても、速やかに政権交代が行われるようにするべきなのです。 今するべき事は、ここにいる皆で投票を行い、一刻も速く大陸の平和を取り戻すため、死霊の軍勢に立ち向かう勇者を決めたいと思います。」 突然の提案に再びざわつきだす。代表を投票で決めるというのは今まで行われていなかったからである。 反論は出なかった、まずニースルーが一人の参加者としてではなく、一旦代表になってからの発言というのが大きい、つまり既に代表の言葉として絶対的なものがあるからである。 さらに言えば、この中で一番発言力を持っているのはルルニーガになる。そのルルニーガがニースルーを推す伏しがあるため、反対意見を言いづらい空気があった。 また、異種族が多く参加しているのも大きい。 この場に参加している異種族は、自分たちの種族が今後どう扱われていくのか? そこに関心がある。 大陸でもっとも繁栄している種族は人間であり、当然、極度の差別意識を持つものが代表になる事は好ましくない、ニースルーの主張は、最悪を回避しやすく、最悪の者が代表になっても任期が過ぎれば希望を得られるからである。 ニースルーの意向が通り、投票が行われた……。 大陸の代表となって死霊の軍勢に立ち向かうのはルルニーガが選ばれる……。 そして、代表となったルルニーガは、リッチートライドを滅ぼし、見事死霊の軍勢を打ち破ったのだった……。 ■ラザム裁判 戦乱が終わり、復興が大陸全土で行われ始めた頃、ニースルーは、ラザムを裁判にかけた……。 告訴内容は、 旧・銀の夜明け団の虐殺 闇の魔法を禁忌と定め、闇の魔法を覚えた者に対する迫害行為 光の魔法の独占行為 の3つである。 ラザム側の言い分として、闇の賢者が魔王を召喚し、戦乱を起こす事を予知した結果、それを阻止するため平和を維持する為に行った行為という主張がなされた。 しかし、ニースルーは、その予知をして行動をとった事が、当時の闇の賢者がヨネアに闇の魔法を教える事となり、魔王召喚の流れとなったため、戦乱の責任はヨネアではなくラザムにあるとした。 司法省長官に選出されたサーザイトはこれを認め、ラザムに戦乱の損害賠償を行う事を命じると共に、未来を予知する類の魔法を使用することを禁じた……。 これにより、ラザムの溜めこんだ資金は戦乱の復興の財源にされる事となる。 また、闇の魔法を禁忌としている事も、闇の魔法を覚えたからと言って、その者の人権が無くなるわけではないとし、ましてや迫害の理由にはならないとして敗訴となった。 光の魔法の独占に関しても、ラザムが独占することで、多額の医療費を要求する聖職者を増やす行為とし、敗訴となり独占を禁じた。 以上により、ラザムは深刻なまでの資金難となり組織を維持できなくなったため解散となる。 光の魔法は一般の魔法と同様となり、学校でも教わる事が容易となり、医療の発展を一助となった。 闇の魔法は、禁忌ではなくなったが、悪用される事が多いため、習うには資格が必要と定めれた。 信仰の自由は認められ、ラザムという組織が無くなっても、ラザムの教えを信じる人は無くならなかった……。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/vahren_ency/pages/983.html
. ■ルルニーガ仕官 フェリル党がムクガイヤ魔術師団の支配下となってから、ゴブリン達はその頭数を生かし、その版図拡大に大きく貢献していた。 フェリル島を滞りなく統一できたのもフェリル党の功績が大きいといえる。 しかし、洞主のバルバッタを始め、前衛で戦うゴブリンには粗暴なものが多く、次第に民衆の不満は大きくなっていった……。 ―ルーニック島 代官所 フェリル島を統一してからも、ルーニック島の代官所は拠点として使われていた。 現在、ファルシス騎士団とは同盟を結んでいるが、お互いとって形だけの同盟に過ぎず、隙あらば互いに名分を打ち立て、攻め入るのがわかっていたからである。 ―会議室 サルステーネ「我が君、フェリル党の件ですが、確かに、戦においては戦果はあげておりますが、素行が悪く、民衆から不満が上がっております。民衆にとどまらず、軍の中でも、ゴブリンに差別意識をもつ者は多く、このままでは……」 ムクガイヤ「やはり、こうなったか。所詮はゴブリン、全く知能の低い生き物は……」 サルステーネ「いかがなさいますか? 幸い版図を拡大したことで、我が騎士団に仕官を求めてくるものも増えつつあります」 ムクガイヤ「前衛にゴブリンを使う必要は無くなりつつあるわけか……」 ―執務室 チルク「ニースルー、この前頼まれていた、フェリル島の開拓事業の見積もりだけど」 ムクガイヤ魔術師団では、政務はニースルー一人に押し付けている、しかし、ニースルーは自分の負担を減らすため、同じくフェリル党の政務を押し付けられていたチルクを勧誘し、自分の仕事を手伝わせていた……。 チルクは頼まれて作成した見積書をニースルーに手渡す。 ニースルー「……」 ニースルー(……妥当な期間と予算……。ゴブリンは知能が低いというのが定説だけど、それは間違いね、決して低くはない、問題があるとすれば、教育機関が無い事かしら?) ニースルー「特に問題ありません。これで行きましょう。開拓に関しての現場の指揮はチルクに任せます」 ニースルー(このまま、何人かゴブリンの文官を育成できれば、政務をゴブリンに任して、私は魔道研究に時間が割けそうね……) チルク「わかった、早速、業者を手配するよ」 ニースルー「チルク、他にも政務ができそうなゴブリンの知り合いはいないかしら? もう何人か、文官が増えてくれると助かるし、フェリル島の自治をゴブリンに委ねるようムクガイヤ様に進言しやすくなるんだけど」 チルク(フェリル島の自治か……。それが可能になれば、老師も少しは見なおしてくれるかな? 手伝わせるとすれば、フーリエンとキスナートあたりか……、割と頭良いし、ただどっちもクセあるよな) チルク「いるにはいるけど、協力してくれるかはわからない、人間を嫌うゴブリンは多いから」 ニースルー「そう、まあ、簡単に溝が埋まるわけでもないし、焦らなくていいわ、後、フェリル島に教育機関、早い話、大学を作ろうと思うんだけど」 チルク「大学? って教える所だよね?」 ゴブリン達の文化は、人間より遥かに遅れており、学校の様な教育機関も病院といった医療機関も無かった。 ニースルー「そうよ、チルクに色々と手伝って貰ってわかったけど、決して、人間にひけをとるとは思わないし、人間と同等の教育機関を設立すれば、知能が低いとかそういう非難も無くなると思うの。 まあ流石に、教育機関を設立するのに、私の自己判断で行うわけにもいかないから。ムクガイヤ様に話を通すことにはなるけど」 チルク「……」 チルクは一人で熱くなっていく少女とは対象的にそんなの事が認められるわけがないと思い、特に返事はしなかったが、ゴブリンの事を自分の事の様に考えるニースルーに好感を頂きつつあった。 ―会議室 ムクガイヤ「素行の悪いゴブリンの所業を調査しておき、比較的大きな問題を起したら、それを大義に始末すればよいか」 サルステーネ「ムクガイヤ様、こちらの調査書を……」 ムクガイヤ「既に進めておったか……。後はキッカケだな」 書類には、ゴブリンが飲食店に入った時、女性ウエイトレスが猫耳をつけて応対しなかった事に腹を立て暴れたと書かれていた。 他にも意味もなく、ホアタの民衆を土下座させたり、店頭の物を勝手に食べ、それを注意されて逆ギレした報告などが纏められている。 ムクガイヤ「低俗な……」 コンコン (ドアをノックする音 「ニースルーです」 ムクガイヤ「入れ」 ニースルー「失礼します。」 ムクガイヤ「どうした?」 ニースルー「我が君、実はフェリル島にゴブリンの教育機関を設立したく、相談に参りました。 確かにゴブリンは馬鹿と思われるような行動を取りますが、それは、誰も教えないからであって、人間と同等の教育を行えば、人間と同等の知恵を持ちます」 サルステーネ「ニースルー様」 冷静に、そして少し困ったような顔でサルステーネがニースルーの言葉を遮る。 ニースルー「?」 ムクガイヤ「実はな、ニースルー、ゴブリンに対する民衆の不満が大きくなっておるのだ」 そういってサルステーネから渡された調査書を、ニースルーに手渡す。 ニースルー「こ、これは!?」 ムクガイヤ「それでだな、早い話、サルステーネが暗黒騎士団を創設し、前衛問題も改善されつつある」 ニースルー「ゴブリンはもう用済みというわけですか?」 ムクガイヤ「そういう事だ」 ニースルー「待ってください、今まで我々の盾となって闘ってきた者達にこの仕打ちは……」 ムクガイヤ「しかし、今のままでは確実に民衆の心が離れていく、問題というのは先送りにすればするほど、大きくなるものだ」 ニースルー「……」 ムクガイヤ「ニースルーよ、ゴブリンを配下に引き入れるよう、進言したのはお前だが、この件でお前を咎めるような事は決して無い」 ニースルー「我が君、一ヶ月、いや一週間、時間をください、その間に、ゴブリンの愚行を正して見せます」 ムクガイヤ「……。わかった、一週間だぞ」 ニースルー「ありがとうございます」 ニースルーはお辞儀をし、速足で会議室を去っていった……。 サルステーネ「一週間でゴブリンを正す事など、いくらニースルー様でも……」 ムクガイヤ「だが、あそこで、強引に粛清に踏み切ればニースルーとの間に溝を作る事になる、ひとまず、ニースルーに任せればよい。」 「私とて、可能性は低いと思うが、解決できるならそれに越した事はないと思っている」 バタン 血相を変えたニースルーが執務室に戻ってきた。 チルク「どうだった? ってその顔だとうまくいかなかったんだね」 ニースルーの表情を見て、大学の話は、却下されたものと思い、チルクは平然としつつも内心がっかりしていた。 ニースルー「それどころじゃないわ」 チルク「?」 ……………… チルク「何だって!?」 ニースルー「一週間までに、バルバッタ達の素行を正さないと、ゴブリンは一匹残らず粛清される」 チルク「そんな……、くそ、僕達を騙したんだな」 ニースルー「チルク、怒るのはわかるけど、今は争っている場合じゃないわ、調査書によると、主に被害が多いのはホアタだから、ホアタに行くわよ」 チルク「えっ? っちょ」 ニースルーは怒りかけたチルクを無視し、腕を掴むと強引に引っ張って現地に向かった……。 ―ホアタ 大通り バルバッタ「ヒャッハー、ムクガイヤ魔術師団、最強の戦闘集団フェリル党のお通りだぜ!」 ケニタル「おい、人間どもは頭がたけーぞ」 ツヌモ「俺らが、どなた様かわかってんのか? 人間」 ケニタル「おい、俺の名を言ってみろ」 ゴブリンは大きく分けて、二つの種に分かれる。 魔法に長け、比較的おとなしいブルーゴブリン種と、身体能力に優れ、好戦的なノーマルゴブリン種、バルバッタ、ツヌモ、ケニタルはノーマルゴブリン種であり、チルクはブルーゴブリン種であった。 人間の街で主に威張り散らしているのはノーマルゴブリン種でそれも半数にも満たない程であったが、民衆からすればゴブリン=凶悪な生き物として映っている。 チルク達はホアタに着くと、目撃情報などから、バルバッタ達を捜索、本人達が目立った行動を取っているので見つけるのに時間はかからなかった。 しかし、すぐに話合うとするのではなく、物影に隠れ、まずは調査書の真偽を確認する。 バルバッタ達は、意味もなく人に土下座させたり、店頭の物を勝手に食べるなど、報告書通りのわかりやすい愚行を見せていた。 それを見て、頭を抱えるチルクとニースルー。 チルク「ニースルー、僕が説得してくるよ」 ニースルー「あ、うん」 チルクが三人の元へ向かっていき、ニースルーはその場に留まり、事の成り行きを見守った……。 声は届かないがチルクが、何か必死で訴えるのが見てとれる。 しかし、三人は取り合わず、ケニタルとツヌモがチルクに暴行を加え、バルバッタが止めるように言ったのか、二人は手を止めて、そのまま倒れたチルクに背を向け去っていく…… ニースルー「大丈夫?」 慌てて駆けつけたニースルーが回復魔法を唱えた。 チルク「いてて。人間の犬め、って言われたよ。僕がニースルーの仕事を手伝っているのが、媚びているように見えるんだって……」 ニースルー「……」 ニースルーがチルクに政務を手伝わせるようにしてのは、主に、自分の負担を軽減するためだった。 自分のした事が原因で、溝を作ってしまい、罪悪感を感じてしまう。 しかし、チルクが政務を手伝ったのは、少しでもゴブリンの地位を上げるため、人間に自分を認めさせるためであった。 その努力が返って、義兄弟であるバルバッタとの間に溝を作ってしまう結果となった事に歯がみする。 ニースルー「ねえ、こうなったら、バルバッタ達の頭が上がらないゴブリンっていないの? 例えば父親とか……」 自分とチルクとでは説得は無理と判断して、説得出来そうなゴブリンがいないかを尋ねた。 チルク「いるにはいるけど……」 ニースルー「じゃあ」 チルク「断られると思うけど、当たって見るよ」 ―ルルニーガの住処 ニースルーはチルクに案内されるがまま山道を登っていた……。 ニースルー「そのルルニーガってゴブリンの方、そんなに強いの?」 チルク「うん、負け惜しみに聞こえると思うけど、竜王ルルニーガが陣営に加わってくれれば、あの時負けなかったって今でも思ってる」 確かに負け惜しみに聞こえなくもないが、チルクの言葉には確信めいたものを感じた。 ニースルー「どうして、フェリル党に加わらなかったの? というより、それほど強いなら、将として迎え入れる事も……」 チルク「愚かな将の下について、犬死にしたくないってさ……」 ニースルー(……確かに、バルバッタの挙兵は無謀といえたけど……) チルク「ムクガイヤがフェリル島を統一してからも一度誘ったけど、断られたよ、人間と共闘する気は無いって……」 チルク「ここだよ」 ニースルーがドアをノックしようとしたとき……。 「チルクか?」 中から声がした。 扉を開けて入ると、大柄なゴブリンが一人、その風貌はニースルーが今まで会ったどのゴブリンよりも貫禄があり、威圧感もあった。 ルルニーガ「久しぶりだな」 ルルニーガはチルクに同行したニースルーに目をやるなり…… ルルニーガ「相変わらず人間に従属しているらしいな、よりにもよって、此度の戦乱を引き起こした連中と共闘するとは……。」 「それで、何の用だ?」 チルク「ゴブリンが、戦で活躍したお陰で、少しずつだけど、地位が高くなっている。」 「このままいけばフェリルの自治権を勝ち取れるかもしれない。しかし、バルバッタ達の素行が問題視されている」 ルルニーガ「それで?」 ニースルー「このままでは、素行の悪さを理由にゴブリンを嫌う者達に大義名分を与え、ゴブリンは粛清されてしまいます。そうなるまえにバルバッタ達を説得したいんです」 ルルニーガ「人間を信用するからそういう事になる。利用されるのは始めから見えていただろうに……」 チルク「確かに、そうかもしれない、でもバルバッタが行動を起さなければ、結局、僕らは害獣として一匹残らず駆除されてましたよ。 老師も貴方もバルバッタと違って何もしなかった。 でも、今は少ないけど、ここにいるニースルーを始めとして、僕達に理解を示そうとしてくれる人間はいる。貴方にそういう知り合いがいますか?」 ルルニーガはいつもと違って強い口調で言うチルクに今までとは違うものを感じ取り、ニースルーの方に目をやった……。 ニースルー「本当です。チルクを始めとして、ゴブリンには何度も助けれました。それをこんな形で終わらせたくないんです」 ルルニーガ「……説得するだけだぞ……」 ―ホアタ ルルニーガが要請を受けホアタに着くと、そこでは、ノーマルゴブリン達が複数の人間の女性を囲いの中に入れ、ゴブリンが目隠しを付けて追いかけまわしていた。 ルルニーガは無言で、柵の中へと入っていく……。 ゴブリン「うえっへっへ、何処かな~」 人間女性「いや」 「こないで~」 ゴブリン「捕まえたっと」 ルルニーガに抱きつくゴブリン。、 ゴブリン「ん? えらく固くてがっしりした体つきだな、一体どんな女だ~?」 目隠しを取ると、そこには拳を振り上げたルルニーガがいた。 ゴブリン「ル?」 ドコ、 そのまま拳を振りおろし、ゴブリンは地面にめり込みピクリとも動かない。 ゴブリン「フェルリの竜王ルルニーガ……」 蜘蛛の子を散らす様に逃げて行くゴブリン達、ルルニーガは特に気にする様子もなく、そのままホアタの代官所へと向かう。 ……………… ケニタル「アニキ、何すかね、緊急会議って」 バルバッタ「さあな、チルクとあの女との催しだ、俺が知るか」 ツヌモ「チルクの奴、すっかりあの女にだぶらかされやがって」 バルバッタ達が代官所の会議室に入ると、会議室にはルルニーガが踏ん反り返る用に椅子に座り、ニースルーとチルクは、立って3人を待っていた……。 ルルニーガ「今日からフェリル党は俺が仕切る。お前達は出奔するか、このまま切腹するかどちらか選べ」 思いがけない来客と、いきなり三行半を突き付けられ、いきり立つ3人。 ケニタル「クッ、この野良犬が」 ツヌモ「飢えて狂ったか」 ケニタルやツヌモよりは冷静なバルバッタが口を開いた……。 バルバッタ「ルルニーガのおっさんよぉ、時代ってのは変わるんだぜ? 確かにアンタは強かった、だが常に戦場で修羅場を潜り抜けている俺達とじゃもはや格が違うんだよ」 ルルニーガ「…………」 バルバッタ「まあ、俺らがあまりにもゴブリンの強さを見せつけちまったせーで、船に乗り遅れると思って来たんだろーが、悪いがオッサンの席はねー」 ツヌモ「アニキ、このイカれた野良犬の躾は俺にやらせてくれ」 バルバッタ「そうだな、よし、任したぜ」 ニースルー「チルク、止めなくていいの?」 チルク「黙って見てて」 早速、乱闘になりそうな雰囲気を見てニースルーは不安を覚えた。 対象にチルクは冷静に事の成り行きを見守っている。 ニースルーはルルニーガの事を心配したが、チルクはバルバッタ3人の事を心配していた。 ツヌモ「へへ、そういう事だ、立ちな」 スタンドアップのジェスチャーをして、立つ事を促す。 ルルニーガ「このままでいい」 ツヌモ「な? 何だと、立って戦え」 ルルニーガ「このままでいい」 ツヌモ「舐めやがって」 ツヌモがルルニーガに向かって走り出す! ルルニーガは床に引いてある絨毯を足で引っ張った……。絨毯が引っ張られた事で、ツヌモはバランスを崩し、そのままルルニーガの方へと倒れ込む。 その瞬間、ツヌモの頬にルルニーガの蹴りが入る、器用に足で往復ビンタされてしまい、成すすべもなく地面に伏すこととなった……。 ツヌモ「ぶぷ~~~」 ケニタル「て、てめえ」 あっさりやられたツヌモを見て、ケニタルはナイフを抜き、そして、投げつけた。 しかし、ルルニーガはナイフを人差し指と中指で挟むようにして受け止めると、そのままケニタルに向かって投げ返す。 ナイフの柄がケニタルの額にぶつかり、ケニタルはそのまま大の字になって床に倒れた。 向きを変えて投げ返せば、脳天に突き刺さり、即死だっただろう。 バルバッタ「ケニタル!」 ナイフが額に当たったのを見て焦り、思わずケニタルの安否を確かめようとするバルバッタ……。 そのケニタルの方を見た一瞬の隙にルルニーガは距離をつめて、肩にポンっと手を置いた……。 ルルニーガ「残るはお前だけだぞ?」 バルバッタ「はっ!」 ルルニーガ「遅い」 バルバッタが戦闘態勢に入るよりも速く、平手打ちがバルバッタの頬に決まる。 平手打ちとはいえ、ルルニーガの剛腕で放たれた一撃は、バルバッタの顎を揺らし、脳震盪を起させるには十分であった。 ニースルー(強い! こんなゴブリンがいたなんて) バルバッタ「な、何だよ、いきなり現れて、出奔しろだの、切腹しろだの言い出しやがって」 意識が朦朧するため、頭を軽く振りながら悪態をつく。 ルルニーガ「バルバッタよ、ゴブリンはお前達の素行が問題で、粛清される事が現在、話し合われている」 バルバッタ「な!? チルク、何で今まで黙っていた!?」 チルク「この前、話そうとしたけど、取り合ってくれなかったじゃないか」 バルバッタ「うっ」 ルルニーガ「お前達に、ゴブリンの未来を担う資格は無い」 指の関節を鳴らしながら、淡々と言い放つ。 バルバッタ「はっ、ちょ……待って」 ………………… ツヌモ「あべし」 ケニタル「うわらば」 バルバッタ「ひでぶ」 ………………… チルク「ニースルー早く!」 ニースルー「はっ? は、はい」 圧倒的なルルニーガの強さの前に唖然としていた。 チルクの声で我に返り、慌てて、回復魔法をバルバッタ達にかける。 ルルニーガは何も言わずに部屋を出て行き、暫くしてから、バルバッタが意識を取り戻した……。 バルバッタ「…………。ようするに俺らが邪魔になったんだろ、だからオッサンに俺らの排除を頼んだ。俺らを消せば自分達は粛清を免れるってわけだ……」 チルク「そうじゃない」 バルバッタに対し、珍しく強い口調で言い返す。 チルク「バルバッタ達にはこれからも第一線で活躍して欲しいと思ってる。でも今のままじゃダメだ。 昔は、人間は僕達の島を奪っただけの存在だったけど、共闘を始めた時から協力者でどっちが上とか下じゃない」 バルバッタ「何言ってんだ、人間は相も変わらず俺達を見下しているじゃねーか、だから俺達が見下されないように、逆に見下してやったんだよ」 チルク「それだと、ゴブリンを排除したい連中の思うつぼだよ」 バルバッタ「何!?」 ニースルー「本当です。ゴブリンを嫌う人間からすればゴブリンが悪さをしてくれた方が話が速く進むんです」 バルバッタ「じゃあ、どうすりゃ、人間は俺達を見直すんだ?」 ニースルー「まず、素行を正し、ゴブリンを嫌う人間から非難をさせないようにします。 そして、フェリル島に教育機関を設立するんです」 チルク「ゴブリンだって、人間と同じ様に幼い頃から教育すれば、馬鹿にされなくなるよ。 それにバルバッタが言ったんじゃないか、師匠や竜王はゴブリンは人間より劣っていると思っているけど、そんな事は無い、それを俺が証明してやるって そうやって引っ張ってきたからここまでこれたんじゃないか」 バルバッタ「それはそうだが」 チルク「でも、力だけじゃダメなんだよ」 ニースルー「バルバッタさん、私達を信じてください。必ずゴブリンの社会的地位を人間と同等にします」 ニースルーは頭を下げて頼み込んだ。 バルバッタ「…………。わかったよ。でも俺はどうすりゃいい? ここを去れって事なのか?」 チルク「フェリル党の党首はバルバッタ以外にいないよ。ただ皆に素行を正すようまとめて欲しいんだ。 何と言っても、フェリル党のカリスマなんだし」 バルバッタ「それもそうだったな、よし、俺に任せとけ」 ニースルー(単純、でもこれがバルバッタの魅力なのね……) その後、一通り治療を終え、ニースルーは4人を残して部屋を出る。 廊下では、ルルニーガが壁によっかかりながら待っていた……。 ルルニーガ「終わったのか?」 ニースルー「ええ、これで何とかなりそうです。今日は本当にありがとうございました」 ルルニーガ「そうか……」 ニースルー「4人を待っているんですか?」 ルルニーガ「いや、お前に聞きたい事があってな、何故そこまで?」 ニースルー「ゴブリンを配下に加えたのは、自軍の追い詰められた状況と、ゴブリンに対する生物的な部分での個人的興味からでした」 ニースルー「理由はどうあれ、共に戦っていくなか、ゴブリンは言葉を話し、物事を覚え、仲間を想い、人間と同等という事を知りました」 ニースルー「私は破門された身ですが、元は神官です。救いの教義は種族に留まらないと感じました」 ルルニーガ「そうか……、なら何故」 ルルニーガは魔王召喚の理由を聞こうとしたが、思い止めた。 魔王が召喚されず、戦乱が起きなかったら、フェリル島はレオーム家の支配下になり、ゴブリンは害獣として残らず駆除されていただろう ニースルー「?」 ルルニーガ「それで、今後の事だが……」 ニースルー「わかってます。あくまでバルバッタの説得に協力するという事で、それ以上の事は……」 ルルニーガ「そうではない……。ワシも陣営に加えて貰えないか」 ニースルー「それは、むしろ貴方程の方に加わっていただけるなら、こんなありがたい話はありませんが、でもどうして? ルルニーガ「ワシもゴブリンの為に、共存の為に戦ってみたくなった。それにまた、バルバッタの奴が、調子に乗らないワケでもあるまい」 ニースルーはクスりと笑う。 ニースルー「そうですね、では、よろしくお願いします。竜王ルルニーガ」 その時、ニースルーにはルルニーガがほんの僅かだか、ムッとしたように見えた。 ニースルー「どうしました?」 ルルニーガ「いや、何でもない」 ニースルー「それでは……」 言いかけた時、扉が開き、4人のゴブリンが出てくる。 チルク「まだいたの?」 ルルニーガ「ワシも仕官させて貰える事になってな」 バルバッタを見て、にやりと笑うルルニーガ。 バルバッタ「げっ……」 ルルニーガ「というわけで、今後ともよろしく頼むぞ、洞主殿」 バルバッタ「お、おう、お前も出遅れんなよ」 動揺しつつも、強がって応えるバルバッタの肩にルルニーガは手を置いて去っていく……。 チルク「さ、行こうバルバッタ、やる事が沢山ある」 ■VSローイス水軍 フェリル島を統一してから、ムクガイヤ魔術師団は北上はせずに東を攻めた。 理由としては北に位置するファルシス騎士団は険悪の仲だが、同盟関係にあり互いに何かしらの大義名分が無いと戦えない、一方、東のローイス水軍は海賊であり、名分が立ちやすかったからである。 手始めに、フェリル島に一番近い、シャンタル島に侵攻を開始し制圧した。 サルステーネ「我が君、ローイス水軍が和睦を求めておりますが」 ムクガイヤ「まだ、シャンタル島を制圧しただけなのにか? 随分と張り合いがないな」 サルステーネ「レオーム家と我々との二正面作戦は避けたいのでしょう。既にレオーム家がナース島まで進軍しております。もともと海賊でレオーム家とは相入れませんからな」 ムクガイヤ「レオーム家の敵である我々の方がまだマシという事か、だが、和睦は無い、同盟ではなく従属という形にもっていかなくては、今後が大きく変わってくる……」 サルステーネ「左様でございます」 ムクガイヤ「こちらも少なくてもヒュン島まで軍を進め、それからこちらの有利な条件で降伏勧告しよう」 ゾーマ「逆らえば、そのまま潰すという事だな?」 ムクガイヤ「そうだ、相手は所詮海賊だ。だが、争わず海を支配できるならそれに越したことは無いし、兵站輸送力の強化等、利用価値はある」 サルステーネ「海戦は我々の不得手とするところ、取り込めるなら取り込んだ方が良いのは確かですね」 ムクガイヤ「そういう事だ。レオーム家がナース島まで制圧している以上、海賊に海の主導権を握らせるなど、消極的な事はしていられん。 こちらが主導権を握っていかなくては、勝ち目が無い」 サルステーネ「御意」 ムクガイヤは予定通り、順調にエルタ島と南エルタ島を攻略、ヒュン島までの制圧に成功し、そこでレオーム家と戦線が接することとなった。 サルステーネ「では、予定通り、ローイス水軍に降伏勧告をしましょう。条件はどうなさいますか?」 ムクガイヤ「こちらの傘下に入る代わりに、今後も、この辺一体の制海権は与えると伝えよ……。 ただし、略奪、密輸等の賊軍的行為は認めないがな…… ところで、ニーナナスという海賊のリーダーはどんな女性だ? 早い話美人か?」 ムクガイヤの意外な質問にゾーマとサルステーネは訝しげな顔をする。 サルステーネ「戦場で相見えた事が一度ありますが、海賊とは思えない綺麗な方でしたな……。」 ゾーマ「何だ? 美人だったら妾にでもするつもりなのか? そういう事はあまり興味のない奴だと思っていたが」 ムクガイヤ「勘違いをするな……。 今後の部隊編成を考えてな、美人であるのなら、ローイス水軍の名を残しそのままニーナナスを軍団長として迎え入れたい……」 ゾーマ「海賊をか?」 ムクガイヤ「だから、美人かどうかを聞いたのだよ。ブスならいらん。 男で、髭面、ハゲ、隻眼、刺青といった世間の想像する海賊の外見の持ち主なら軍のイメージが悪くなるから起用などありえんし、 ブレッドや赤髭がだったら周囲の士気を高めるため公開処刑だが、性格が大人しくて、美人なら周囲のウケは良いであろう?」 サルステーネ「成程、そういうことでしたか」 ゾーマ「外見で人を判断するということか?」 ムクガイヤ「違うな、これはそういう事ではない。」 「外見で人を判断するなど愚か者の行いだ、しかし、外見もまた、その者の持った一つの強さなのだよ」 「早い話、美人とぶ男では、交渉事は前者の方が上手くいくものだ……。何なら賭けて見るか? ゾーマ」 持論に絶対の自信があるのか不敵に笑うムクガイヤ……。 ゾーマ「いや結構だ、確かに言われてみればそうかもしれないな……」 クリンク島まで追いやられたローイス水軍は、レオーム家とは交渉の余地が既になかったため、ムクガイヤ魔術師団に従属を受け入れる他なかった……。 ニーナナスとそのローイス水軍はムクガイヤの狙い通り、ムクガイヤ魔術師団 第3軍 ローイス水軍として配下に加えられた。 ■VSラストニ・パクハイト ヒュン島に拠点を築いたムクガイヤ魔術師団はヒュン島とナース島の間の海域でレオーム家と交戦することなる。 しかし、互いに不得手な海戦という事もあり、戦線は膠着していた。 ムクガイヤ「もどかしいな……」 サルステーネ「我が君、こうして戦線が膠着し、睨み合いが続いている間にもレオーム家は王都を中心に直轄領を増やしておりますぞ」 ムクガイヤ「気に入らんな、やつらの腐敗が原因で挙兵したというのに、それを奴らの版図拡大に利用されておるとは……」 「だが、まずい、奴らが直轄領を増やせば増やす程、我々が不利となる。」 「ただでさえ、王都とフェリル島では経済力が違うのだ……」 ゾーマ「もうひとつ、パーサの森で、ラストニパクハイトという死霊術師率いるアンデッドの軍勢が現われ、エルフ共と交戦となった。」 「現在、あの穹廬奴がエルフに協力する形で迎え討っている」 ムクガイヤ「面白い事もあるものだな。まああのトカゲ共は野蛮で色々と敵に回しておったからな、そうせざるを得なかったのだろう」 ゾーマ「アンデッドの軍勢の中に、光弾を放ち、辺り一帯を吹き飛ばす兵器があるとの報告を受けている。 「現在そのせいか、エルフと穹廬奴側が不利の様だな」 ゾーマ「ラストニパクハイトからも、パーサからも、友好を求めてきておるが、どうする? 我々からすれば、こうして睨み合いが続く以上、どっちに味方するにしてもパーサの森をこの際、奪う他ないと思うのだが」 ムクガイヤ「無論、そのつもりだ……。 「戦の名分が立ちやすいのはエルフに加担し、ラストニパクハイトを討つ事だが、それではパーサの森は手に入らん」 ゾーマ「とはいえ、素性の知れない、死霊術師と手を結ぶわけにもいくまい」 ムクガイヤ「一旦エルフに加担し、その兵器とやらの破壊に協力する……。 破壊が終われば、この度の惨事は、エルフが森の管理を怠ったという事にしその責を負わせ、安全管理を理由に支配権を奪うとするか、エルフ達にラストニパクハイトを討伐するに当たって大々的にグリンシャスに向けて派兵するため、パーサの森の中央と西部の支配権をこちらに委譲するように伝えよ。 リザードマンは血の気が多く信用できないとし、穹廬奴とは手を切るようにも伝えておけ、後、その例の死霊術師は生け捕りにせい」 ゾーマ「わかった。それで誰を使者に向かわせ、誰に任せる?」 ムクガイヤ「そうだな、レオーム家は引き続き、我々本軍とローイス水軍で当たり、それは、フェリル党にやらせよ。海に置いておいてもしょうないし、森は獣の方が幾分よいだろう」 ゾーマ「ふっ……」 ゾーマは犠牲が大きいであろう任務はまずゴブリンにやらせてみるというムクガイヤの冷徹な判断に失笑した。 こうして第2軍 バルバッタ率いるフェリル党はパーサの森に派兵された……。 ■アスターゼ仕官 ムクガイヤ魔術師団が海域でレオーム家と交戦する中、ニースルーとヨネアはルーニック島に配備され、ファルシス騎士団の警戒と政務及び、魔術の研究を行っていた。 ―ルーニック島 代官所 執務室 ヨネア「王都に帰れるのは一体いつになるのかしら」 ヨネアは執務室で愚痴をこぼしていた チルク「随分と荒れているね、ヨネア」 ニースルー「まあ、中々、思う通りにいかないしね、現在は、ファルシスを警戒してルーニック島に配備されているけど、何の進展もないし……」 チルク「…………」 ニースルーは王都に戻れない事が、ヨネアの荒れる原因と言ったが、チルクは、親友であるニースルーがヨネアの相手をしない事が原因と思っていた。 ヨネア「ねえ、ニースルー、仕事はいつ終わるの?」 ニースルー「そうね、フェリル島の開拓事業や、教育機関設立に向けてやらなきゃいけない事があるし、今日も深夜まで……」 ヨネア「え~、今日も~? 貴方、政務をあんなに嫌がっていたじゃない」 チルク「そんなに、ニースルーが遅くまで仕事をするのが不満だったら手伝えば?」 チルクは特に仕事をするわけでもなく、執務室にいるヨネアに苛立ちを感じていた。 ヨネア「何よゴブリン、ニースルーに気に入られているからって調子に乗って」 チルク「仕事をしないなら、執務室から出てってくれる? 自分の研究所があるだろ?」 ニースルーはヨネアのために、予算を割いて小さな研究所をルーニック島に作っている。 ただ、設備もろくに用意できない状況では、王都で予算を湯水の如く使って研究していたヨネアを満足させるには至らなかった。 ヨネア「碌に魔術書もない状況で、何を研究しろっていうのよ! 低能なゴブリンにはわからないでしょーけどね」 差別的な発言が親友の口から出てきて、思わずビクっとするニースルー、状況が荒れるのは好ましくない。 しかし、ニースルーの心配とは裏腹に、チルクは失笑していた。 ヨネア「何よ、その笑いは」 チルク「一つ聞きたいけど、魔王を召喚したのってヨネアでしょ?」 ニースルー「そ、それは……」 魔王召喚をしでかしたのは、ムクガイヤ魔術師団の仕業というのは周知の事実だが、しかし、魔術師団としてはその事実は否定してきた。 何を聞かれても、知らぬ存ぜぬ、クーデターを起したのはレオーム家の衰退と魔王降臨がその好機と判断したという事に表向きはしてある。 当然、後から加わったゴブリン勢にも、そういう説明がなされていた。 チルク「いや、何も答えなくていいよ、その顔で十分」 ニースル「うっ……」 ヨネア「だったら、何だっていうのよ」 ニースルーとは対象的に、ふてくされたように答えるヨネア、ニースルーと違ってヨネアは政治には興味が無い。 むしろ、魔王召喚に成功した偉大な魔道師と思ってもらいたいくらいだった。 チルク「召喚魔導論……。を読んだよね?」 ヨネア「あら、ゴブリンから魔法の論文の名前が出てくるなんて以外ね、勿論読んだわよ」 チルク「だろうね、だから、笑ったんだよ」 ヨネア「!? 何でそれで笑われなきゃいけないのよ」 ヨネアはチルクに笑われた意図を読めず、苛立ちを感じ始める。 チルク「それを書いた、アスターゼはゴブリンだからだよ」 ヨネア「なっ!?」 ニースルー「うそ…」 ヨネア「ふん……。騙されないわよ。私を担ごうって気ね、確かに驚かされたわ」 ヨネアは冷静を保とうとしていたが、動揺しているのが見てとれた。 チルクは何も言わず、自分の使っている机に置いてある本を取って、得意げにヨネアに渡す。 チルク「はい」 ヨネア「何よこれ」 チルク「昔アスターゼの弟子をやっていた時に、アスターゼの書いた魔術書の写本、修行の一環としてね僕が書いた」 ヨネア「アンタがアスターゼの弟子? 嘘よ……。素人なら、騙せるでしょうけど、ヨネア様の目はごまかせないわよ、確かにアスターゼは素性の知れない変人で、郵便などを使って誰にも姿を見せないってのは有名だけど。 アンタの汚い字で、こんな適当に書かれた……」 といって、ヨネアは写本のページをパラパラと斜め読みをするが、数行読んだだけで口を閉じ、真剣な眼差しで読み始めた……。 チルク「これで、納得した?」 すっかり夢中になり黙り込んだヨネアに、先ほどの非礼を認めさせようと話しかけたが、ヨネアは読書に集中しており、声は全く届かなかった……。 ニースルー「ちょっと、ヨネア」 ヨネア「ん? ごめん、ニースルー、部屋に戻るわ」 ヨネアはそういうと本を読みながら、自分の部屋に戻っていく……。 チルク「…………、ちゃんと返してよ(ボソッ」 ニースルー「ちょっとチルク、アスターゼが貴方の師だってこと、何で今まで黙っていたの? ムクガイヤ様は優れた魔術師なら、死刑囚だろうが、禁忌の闇の魔法を習得していようが、破門された神官でも登用する方よ?」 チルク「子供の遊びには付き合えないって言われててね、それに僕も破門された身だし」 ニースルー「でも、アスターゼは確かに、王都の魔術アカデミーでも天才としてその実力を認めらているし、ゴブリンに人間を認めさせられるには格好の人物じゃない」 チルク「確かにそうなんだけどね、また話してみるよ」 ニースルー「ねえ、私もついて行っていい?」 チルク「別にいいけど何で?」 ニースルー「そりゃあ、謎の多い大賢人に会ってみたいじゃない」 ………………………… 翌日、チルクとニースルーはフェリル島の山奥にあるアスターゼの住まう庵を訪ねた。 現在庵には住み込みで、修行している弟子が2人いる。 ハウマン「お久しぶりですチルク」 チルク「久しぶり、ハウマン、マタナ」 アスターゼ「チルクか。そろそろ訪ねて来るとは思っておった」 チルク「そうですか、それでは話は早い」 アスターゼ「まさか、ゴブリンと人間が共に戦うとはのう」 チルク「まだ、問題は山積みです。ですから是非、老師のお力を借りたく……」 アスターゼ「わかっておる。マタナ、ハウマン、チルクに協力して上げなさい」 ハウマン「わかりました」 マタナ「喜んで」 チルク「老師にも加わって欲しいんです」 アスターゼ「わかっておる、しかし、折角、お前やバルバッタの力でここまで来たのじゃ、少し名の知れたワシが協力すれば、お前達の努力が水の泡になる」 チルク「何故ですか?」 アスターゼ「ワシが加われば、ゴブリンを快く思わない認めない者からすれば、ワシだけが認められる存在としてゴブリンという種族を否定するだろう、 お前やバルバッタの様な、無名のゴブリンが認められてこそ、ゴブリンという種族が認められるのじゃ」 チルク「そんな……」 チルクは言い返そうとしたが、かつてバルバッタの言った言葉を思い出す。 『ジジイやオッサンはゴブリンが人間よりも下だと思っている。だからジジイやオッサンよりも劣る俺がそんな事は無いって証明する』 確かにルルニーガがフェリル党の全軍の指揮をとり、アスターゼが全面的に知恵をかせば、ムクガイヤ魔術師団の助けになるだろう。 しかし、それは、ルルニーガとアスターゼだけが認められる結果となり、若い世代の芽を摘むことにもなりかねない。 結果として、ゴブリンという種族が認められるわけではないという事だろうか。 ニースルー「それなら、育成では協力していただけませんか?」 アスターゼ「育成?」 ニーズルー「はい、今、私とチルクとで、フェリル島に教育機関の設立に向けて動いております。 「大学ができれば、当然、教える者が必要になります。貴方がチルク達に任せようとするのは、先ほど言った事もありますが。 「真意は、若い世代の可能性を考えての事でしょう? なら育成に携わるのは問題ない筈です」 アスターゼ「そうか、お主がニースルーか……」 ニースルー「申し遅れました。でも何故私を?」 アスターゼ「ルルニーガの奴から聞いた。ゴブリンと人間の共存に奔走している者がいてその者に心を動かされたとな……」 ニースルー「そうでしたか」 アスターゼ「大学といったな、当然、できれば魔術の学科もできるのじゃな?」 ニースルー「勿論です」 アスターゼ「わかった、協力しよう」 アスターゼの庵を後にした帰り道……。 チルク「ありがとう」 ニースルー「どうしたの?」 チルク「いや、僕一人だったら、老師の協力は得られなかったと思ったから」 ニースルー「どういたしまして」 大賢人と呼ばれたアスターゼの仕官は、フェリル島の教育機関の設立の歩に拍車をかける事となった。 ゴブリンに対し、偏見を捨てつつも、積極的に友好を深める気がなかったムクガイヤも一人の魔術士として、アスターゼをリスペクトしていたからである。 ■レドザイト仕官 ―ルーニック島 代官所 ニースルーがアスターゼ、ルルニーガを仕官させてからというもの、 文官にはフーリエンとキスナートが加わり、魔法の研究者としてマタナ、ハウマンが加わり、武官として、ムッテンベル、ポイトライトが加わり、ゴブリンの人材が充実した事で、その成果も数字に表れて始めてきていた。 また、ルーニック島に逃げ込んだ時と比べて、代官所の執務室は賑やかになっている。 ニースルー一人しか政務を行う者がいなかったのが、今ではフーリエン、キスナート、チルクが加わり4人となったからである。 ヨネア「う~~」 (楽しそうね……。でも政務なんてわからないし、私もああやって、自分の研究を手伝ってくれる助手が欲しいわ) となりの芝生が青く見えるのか、ヨネアはゴブリンと執務をこなしているニースルーが楽しそうに見えていた。 ヨネア「そうだ、私って天才、手伝ってくれる者がいないなら、召喚すればいいのよ、なんてたって魔王を召喚したんだから」 独り言を言いながら、ポンっと手を打つ。 早速自分の与えられた研究室に戻り、魔法陣を床に書き始める。 ヨネア「魔界にいる悪魔を呼び出すのは、色々と大変だけど、既に現世に来ている悪魔を召喚する分には少ない魔力で出来る筈……。 魔王召喚してからというもの放浪している悪魔を見たって話も聞くし……」 召喚魔法を唱え終えると、魔法陣からつむじ風が巻き起こり、部屋中が煙で見えなくなる。 ヨネア「成功……よね?」 煙が巻き上がったので、何が起きたのか見えないが、確かに魔法陣から新たな者の魔力の波動を感じた……。 煙が晴れるとそこにはお面をつけた小さな女の子がいる。 レドザイト「えっとね、なんじか? あたしとけいやくしたいのは?」 召喚されるのは初めてなのか、必死に台詞を思い出す様にして喋る小さな悪魔。 ヨネア「ちょ……子供?」 ヨネア「契約? あっそっか」 「物語とかでよく、悪魔って人間と契約交わしているもんね、あれって事実を元にしてたんだ」 (ってことは、何を要求されるのかしら、伝承とかだと人間の魂ってのが多いけど……) ヨネア「その前に、見た所子供の様だけど、何ができんの?」 「それと支払いは現金でいいのかしら? それとも人の魂とか?」 ヨネアに意地の悪い質問攻めにされ、慌てだす小さな悪魔。 ヨネア(魔法の研究を手伝える有能な悪魔が欲しかったけど、無理そうね、まあ、研究補佐は無理でも研究対象になら成り得るかしら) レドザイト「えっと、えっと、冷気の魔法が得意。 後は、猫大好き、ベビーカステラも好きだよ」 ヨネア(本当にガキね、甘いものとかわいいものが好きだなんて。まあ良い買い物かも……) ヨネア「わかったわ……、子猫を一匹と、カステラを一年につき365個、買ってあげる。だから、あたしに仕えるのよ?」 レドザイト「うん、いいよ、よろしくね、おねえちゃん」 無邪気に笑いながら、契約をまるでわかっていないような感じである。 ヨネア「よろしくね、私は偉大な闇の賢者ヨネア様よ、貴方は?」 レドザイト「レドザイト、あたし、頑張るからね」 レドザイトの無邪気な子供の笑顔とは対象的に、ヨネアの笑顔は悪魔の笑顔だった……。 ■ポポイロイト仕官 ニースルー「ねえヨネア、前から気になっていたんだけどその子って……」 ヨネアが買い与えた子猫と戯れるレドザイトを見て、疑問を口にする。 ヨネア「そう、悪魔の子……、召喚して契約したの」 ニースルー「本気? 悪魔と契約を交わすなんて」 ヨネア「大丈夫よ、見た目通りのガキだから、カステラと子猫で取引に応じたわ、子供だけど魔力は高いし、戦いもできる。安い買い物よ」 そういって、腹黒く笑うヨネアを見て、ニースルーの表情はひきつった。 ニースルー「…………」 ヨネア「本当は、私の研究を補佐してくれる悪魔を召喚したかったんだけどね、助手には成り得ないから、また召喚しないといけないんだけど」 ニースルー「ヨネア、悪魔を陣営に加えるなんて、いくらなんでも危険よ。確かに戦力になるとは思うけど」 ヨネア「大丈夫よ、そんなに心配しなくても、やばそうなのが来たら、契約せずに送還すればいいんだし。」 「大体、ニースルーだって、人とかゴブリンとか気にしなかったじゃない。」 「ゴブリンが良くて、悪魔はダメってどっからくるわけ?」 ニースルー「いや、悪魔は流石に……。もともと現世にいる生き物でもないし、少なくても、ムクガイヤ様に了承を得たほうが……」 ヨネア「何でよ? そもそも自分とこの王を始末するのに、魔王を召喚するなんて無茶言い出したのはあいつよ? 「おかけで、王は死なない、レオーム家と 魔王軍の双方から恨みを買うし……、 「その結果、都落ちして、こんなしょぼい研究所で研究する始末」 ニースルー「ごめん、ヨネア」 ヨネア「あっ……。違うのよ、ニースルーが用意してくれたこの研究所に不満があるわけじゃないの。」 「ただ、王都で研究した時に比べてやれることが限られているから……」 ニースルー「そう……よね」 ヨネア「とにかく心配しないで」 ニースルー「ヨネア、これだけは約束して、やばいの召喚して収拾つかなくなったら、必ず私に相談する。約束よ?」 ヨネア「わかったわ、やばい状況に追い込まれたら、必ず相談する」 その言葉を聞いて、少し安心する。 レドザイト「大丈夫だよ、おねえちゃん、あたしがついてるもん」 いつの間にか近くに来ており、会話に交ろうとするレドザイト。 ニースルー「そう? ヨネアの事を頼んだわよ」 ニースルーは思わず人間の子供の様に頭を撫でた。 レドザイト「うん」 ニースルーは、純朴そうなレドザイトを見て少し安心したのか部屋を後にする。 ………………… ヨネア「さて、魔法陣はこれでOKだし、やりますか」 前回と同じように、部屋が煙に包まれ、煙が晴れると、レドザイトと同じような悪魔の子供がいた……。 ヨネア(また、子供か……) ポポイロイト「ねーねーダッコして~」 レドザイトが無邪気にニコニコしているのに対し、新しく現れた悪魔は、何処か邪気を含んだようなニヤニヤとした笑顔であった。 ヨネア(それにレドザイトと違って、クソガキそう。まあ、戦力にはなるかしら?) ヨネア「単刀直入にいうわ、貴女に仕官して共に戦って欲しいんだけど、何で支払えばいいかしら?」 (お菓子だと楽でいいわね、生意気にも魂が欲しいとか言い出したら、ゾーマの魂でも差し出そう、あいつは元死刑囚だし、誰も困らないわよね) ポポイロイト「ポポの遊び相手になって欲しいの~」 ヨネア(遊び相手って、これまた格安、一文もかからないじゃない、いやまて、子供とはいえ悪魔、契約内容をよく確認しないのは危険よね) ヨネア「遊びって何かしら、まさか大人の遊びじゃないわよね?」 ポポイロイト「ポポを抱っこしてくれたり、鬼ごっこして欲し~な~」 ヨネア「そんなのお安い御用よ、契約成立ね」 ポポイロイト「わーい、じゃあ、早速……」 ヨネアは反射的に身を引いた。 何かよくわからないが危険を感じ取ったのである。召喚の時に使った魔法の杖の先が何故か無くなっていた……。 とっさに向かってくるものを杖で防ごうとして、何かが爆発したのだ。 しかし、爆発がわからないのは、爆音を認識する前に、鼓膜が破れてしまい、音が聞こえなくなったためである。 ヨネア(一体何が!?) ポポイロイトの方に目をやると、ポポイロイトが複数になっていた。今も尚分裂するように増えていく……。 ヨネア「なっ!?」 ヨネア(まずい、あの分身に触れると爆発するんだわ) ポポイロイト「100人のポポから逃げてね、おばちゃん」 黒い笑顔を浮かべ、それを見てヨネアはぞっとした。 軽はずみで悪魔を呼び出し契約した事を後悔する ヨネア(ごめんね、ニースルー約束守れなかったみたい……) 分身が一斉に向かってくる。激しい爆発音が鳴り響いた。 ヨネア(生きてる!?) レドザイト「大丈夫? おねえちゃん」 レドザイトが主の危険を察知し、ポポイロイトの分身からヨネアを冷気の魔法で守ったのだ。 ヨネアは自分が守られた事を理解すると、レドザイトの手を掴みそのまま出口に向かって走った。 追ってくる分身はレドザイトが冷気の魔法を唱え続けなんとか凌ぐ、外に出ると、エクスプロージョンを唱え、残った分身を1体残らず吹き飛ばした。 ポポイロイト「てへ、分身つきちゃった、おばちゃんの勝ち~」 ポポイロイトには全く殺意が無い感じで、自分が何をしたのかわかっていないようだった。 ヨネア「こら、いきなり始める奴があるか? それに鬼ごっこはどっちが鬼かどうかをまず決めてからやるものよ」 「それに、あたしはおばさんじゃない!」 ヨネアはポポイロイトにごつんと拳骨を入れる。 ポポイロイト「ぶー、おばちゃんのバカー」 涙目になったポポイロイトはそういって飛び去った。 ヨネア「レドザイト、悪いけど、今度から貴方があの子と遊んであげてね」 レドザイト「うん、いいよ」 面倒な事はレドザイトに押し付けると、強力な特技を持った悪魔を手に入れた事に嬉しさを隠しきれない半面、残骸と化した研究室を見て、ため息を吐くヨネアであった。 ヨネア「ふぅ……。けど、助手には成りそうにないわね、研究室は大破するし……」 その時ヨネアは気付いていなかった……。 レドザイトとポポイロイトを遊ばせる事で、ポポイロイトがレドザイトに悪戯を教える事を……。 ■ラングトス仕官 ヨネア「ぜえ、ぜえ、レドザイトをポポイロイトの遊び相手にしたのは失敗だったわね、レドザイトまで悪ガキになりつつあるわ……」 ヨネアはポポイロイト召喚時に殺されかけたため、次の召喚に二の足を踏んでいた。 しかし、日に日に大きくなる、子守の負担に、次の悪魔を召喚して、そいつにどうにかさせようと考え始めていた。 ヨネア「ニースルーに何かあったら、相談してとは言われているけど、流石に子守してとはいえないし……。危険だけど次の召喚を試みる事にする」 研究日誌をつけながら、記載する内容を口ずさむ。 ヨネア「レド、ポポ、来なさい」 屋内を走り回ってカクレンボをしている2人を呼び、何かあった時のために備えさせる。 ヨネア「いい? クソ生意気な悪魔が現れてあたしに何かしようもんなら、貴方達二人でそいつをボッコボコにするのよ?」 「それこそ、思いっっっきり鬼ごっこしてあげていいから」 レドザイト「うん」 ポポイロイト「楽しみ~」 召喚魔法を唱え終え、いつもの様に煙が噴き出し、あらたな魔力を持った存在がその場に現れる。 「ライブの始まりなんだってヴぁ」 それは、召喚された悪魔の声だろう。ハスキーな声とともに部屋が光に包まれた。 光り輝く精霊が現れたかと思えば、悪魔はそのままギターの演奏を始める。 悪魔たちの音楽なのか、ヨネアにとっては初めて聞くジャンルの曲だった。 ヨネア(今度は物凄いイロモノが来たわね、流石にこれの面倒は見れないわ) 強制送還の魔法の詠唱を始めるヨネアとは対象的に、レドザイトとポポイロイトは楽しそうにノリノリでラングトスの演奏と歌をきいている。 ヨネアが強制送還の魔法を唱えようとした時、ラングトスの演出なのか、周囲の床が爆発した。 ヨネア「これは!?」 それは、ヨネアの使う闇のSSクラスの魔法、エクスプロージョンによく似ていた。 爆発の規模はヨネアの物に比べ、小さいものであったが、演奏中に何度も使われる。 ヨネア(エクスプロージョンではないけど、それと似た魔法を短時間中に何度も使っている!?) エクスプロージョンはその威力のため、術者への負担が大きく、一日に一回が限度である。 それを良く似た魔法を小規模なものとはいえ連発してみせるラングトスは、研究者としてのヨネアの心をくすぐった。 ヨネア(研究し甲斐がありそうね……) ヨネア「中々だったわよ、今の演奏」 とりあえず、適当に誉めながら、ラングトスとの交渉に入ろうとするが、ラングトスは特にヨネアに興味は無い感じで……。 ラングトス「バンド組もうZE」 とだけ言った。 ヨネア「バ……バンド!?」 ヨネア(バンドってあれよね、少人数のメンバーがそれぞれ違う楽器を担当して演奏し、曲を作る連中) (それを組もうって言ったの?) (お金や魂がかからないのはいいけど、難題よね) ヨネア「も……勿論いいわよ。 ここにいるレドザイトとポポイロイトがそれぞれ、カスタネットとタンバリンができるから。これでバンド結成よね」 レドザイト「タンバリンってなあに?」 ラングトス「ふざけるんじゃないんだってヴぁ」 ラングトスは持っているギターぶん回して暴れ出す。 ヨネア「ちょ……ちょっと暴れないで」 ラングトス「ベースとかドラムとかそういうのだってヴぁ」 ヨネア「わかったから、落ち着いて……。現世でバントを組もうと思ったら事務所に所属する必要があるの」 ピタっと、動きを止めて、ヨネアを見る。 ヨネア「私が事務所を作ってあげるわ、何かと便利よ、メンバーも仕事も探して貰えるしね」 ラングトス「…………」 ラングトスは疑うような目つきでじ~っとヨネアを見ている。 ヨネア「というわけで、契約書もってくるからサインお願いね」 ヨネア(何とかなりそうね) ヨネア「これが契約書、さサインして」 ラングトス「………………」 ラングトスは何も読まずにサインすると思ったヨネアの思惑とは違って、ヨネアが契約書にさりげなく盛り込んだ毒素条項に尽く修正を入れていく……。 ヨネア(うっ……こ…こいつ。できる) 一通り、ヨネアに都合のいい内容の修正が終わると、無言で契約書を突き返す。 修正したから、『上記修正に相違ありません ヨネア』と一筆入れろといわんばかりに……。 ヨネア(くそ……。しょうがない、いつまでにメンバーを用意するっていう約束は書いていないからとりあえずサインして、適当な悪魔を召喚してそいつをメンバーにするしかないわ) ヨネアは、渋々ラングトスの修正した契約書に一筆を入れ、それを見届けると、ラングトスもサインした。 ヨネア(ラングトスって言うのね、バンド名はジャンキージャンクか……。ヤクとかやってんのかしら?) ラングトスがヨネアの知らない魔法を唱えだす。 そうすると、契約書が複製され、一枚を自分の懐に入れ、一枚をヨネアに渡した。 ヨネア(イカレた奴かと思ってけど、意外としっかりしているのね……) ヨネア「はあ……。子守問題も解決してないし、メンバー探しか……。まあいいわ次の召喚で逆転してやる」 ■ドラスティーナ仕官 ―ルーニック島 代官所 ヨネアの研究所 ラングトスが仕官してからというもの、連日連夜ギターの演奏をし、文官達から苦情が殺到していた。 ニースルーは代官所の敷地内の母屋から離れたところに、新たにヨネア用の研究所を建てさせると、ヨネアにそこで研究するように言い渡していた。 ヨネア「神様ラザム様、子守のできる悪魔が来ますように、それがダメなら、せめてドラムかベースの演奏ができる悪魔が来ますように……」 神の祈りと願いを終えると5度目の悪魔召喚を試みる。 例の如く、もしものために、3人の悪魔は部屋の外で待機させていた。 いつものように煙に部屋が包まれるが、あからさまに今までとは違う強烈な魔力の波動を感じ取る……。 ヨネア(この力! かなり高位の魔族が来た?) ドラスティーナ「人間如きが私を呼ぶなんて、どんな命知らずかしらね」 ヨネア(ついに……、悪魔らしい悪魔が来た) 思わず努力が報われた事に感動し、拳を握りしめ涙を流すヨネア。 ドラスティーナ「私を呼び出したワケを聞かせていただこうかしら? どこかの国でも焼き払うつもり?」 自身の力に対する、絶対的な自信からか、物騒な事を言い始める……。 ヨネア「現世に来ているから知っているとは思うけど、今は戦乱の世。強い力を持った者が一人でも多く欲しいの(キリッ」 ヨネア(今、本当に欲しいのは子守だけど、私に仕えさせた後、子守を命じるのが得策、ついでにバンドのメンバーもやらしちまえ) ドラスティーナ「そう……要するに私に仕官しろって事ね? それで貴方は私と契約するだけの代償を払えるのかしらね?」 ヨネア「そうね、あたしが貴方の友達になってあげる」 ドラスティーナ「クスッ ふざけているのかしら? タダで働くとでも?」 ヨネア「友情は金でも魂でも買えないわ、悪魔と友達になってあげなきゃいけないなんて、人間にとってこれ以上の屈辱(代償)はないわ」 ドラスティーナ「面白い事をいうのね貴方、私を召喚してコケにしたのは貴方が初めてよ」 ヨネア(流石に無理があるか……) ヨネア「わかったわ、じゃあ百歩譲って、強力な魔導師の魂をあげる」 ドラスティーナ「それじゃダメよ、ゾーマっていうのは貴方にとってどうでもいい存在の魂でしょ? そういうのは悪魔にとって何の価値もないの」 ヨネア(記憶を読まれた? これが高位の悪魔の力!?) 闇の魔法には、メンタルサックやナイトメアといった他人の精神に関わる魔法が数多く存在する。 それが高位の悪魔が使うとなるとこういった事もできるようだ。 ドラスティーナ「そうね……、貴方にとって正に賭け替えの無い魂となると、ニースルーっていうの? 貴方の大切なお友達は……」 ヨネア「あ?」 表情がひきつり、怒りを露わにする。 ドラスティーナ「クスッ。良い顔ね、でもそれが悪魔との契約ってモノよ?」 ヨネア「心を読んだのならわかるでしょ、払えるわけがない」 ドラスティーナ「別にまだ契約したわけじゃないし、引き返す事もできるわよ」 ヨネア「ねえ、悪魔の社会って完全な縦社会よね? 強い者には絶対服従」 ドラスティーナ「まあ、大体そんな感じね。下位の悪魔が高位の悪魔に逆らうなど許されない事よ、それがどうかしたかしら?」 ヨネア「つまり、あたしが貴方をしばけば、貴方に何の代償も払う事無く、貴方を仕官させられるのね?」 ドラスティーナ「本当に面白い子ね、じゃあ、負け方が勝った方に従うって事でいいかしら?」 ヨネア「それでいいわ、契約成立ね」 ドラスティーナ「灰塵になっても恨みっこなしよ」 ドラスティーナがそういうと、空間に炎の渦が出来き、一振りの剣が現れる。 ヨネア「ポポイロイト、この人と思いっきり鬼ごっこしてあげなさい」 ヨネアは待機させていたポポイロイトに向かって叫んだ。 ポポイロイト「ほーい」 研究室の扉が破壊され、ポポイロイトの分身がなだれ込む……。 ドラスティーナ「な!?」 不意と背後を取られ、ドラスティーンはわずかに動揺するが、ドラスティーナの剣が炎に包まれたかと思うと、火炎を放ち、分身を手前で爆破させ凌いでいく……。 レドザイトが素早く接近し、ブリザードブレスを放った。 ドラスティーナ「ちょっと、どういう事よ? 3人がかりなんて卑怯じゃない」 ヨネア「うるさい、うるさい、うるさーい、誰も一対一だなんて言ってない」 ラングドス「それに、俺もいるんだってヴぁ」 ドラスティーナの頭上でギターを振り上げているラングトス。 ライブエクスプロージョンを唱え、建物全体に爆音が鳴り響いた……。 ―執務室 研究所で起こった戦いで、ガタガタと建物全体が揺れている チルク「うるさいなぁ」 ニースルー「はあ、また派手な爆発系の魔法の研究でもしているのかしら?」 チルク「離れにしたのに、ちっとも解決しない、もう、代官所の敷地外にした方がいいんじゃないか」 ニースルー「それだと、流石に予算が……。 ちょっと、見てくるわ、休憩を促して、少し話してみる」 ニースルーは席を立ち、ヨネアのいる離れに向かった……。 ドラスティーナ「やるわね、一対一と思わせ、数人がかり、それに別の悪魔を既に味方につけていた事にも驚いたわ」 ヨネア(強い……) ドラスティーナ「でも、前衛がいないのが致命的。デーモン種を味方につけていなかったのが貴方の敗因よ」 ヨネア「まだ、負けてないわ」 ドラスティーナ「この状況で、逆転できるとでも?」 既に、ラングトスとポポイロイトはリタイヤしており、ドラスティーナの火炎をなんとかレドザイトの冷気で防ぐのが精一杯になっていた。 ヨネア(とんだ泥仕合ね、こうなると身体能力の高い方が有利……。まさか、ポポイロイトの分身を切り抜けるなんて……) ドラスティーナ「潔く負けを認めたらどうかしら? 貴方面白いし、直ぐに殺すなんて真似はしないわよ?」 ヨネア「ここは私の研究所、私は闇の魔法エクスプロージョンの研究しているの……」 ドラスティーナ「だったら、使えばいいじゃない、それで私が倒せるなら……」 ヨネアは研究所の大破を避けるため、広範囲の魔法は使っていなかった。 それはドラスティーナも気づいていたが、仮に使われたとしても、それに耐えうるだけの力は持っていた。 ヨネア「残念ながら、私のエクスプロージョンだけじゃ、アンタは倒せない、でも……」 壁に背を向けたまま手を伸ばし、壁についているレバーを倒す。 ガタンと音がし、何かが作動する。 扉のあった所と窓に鉄格子降りてきて、研究所が全体が封鎖された。 ヨネア「私の研究は禁忌だから、もし何かあった時のためにいつでも証拠を闇に葬れるよう、研究所には自爆装置が仕掛けてあるの」 ドラスティーナ「貴方も死ぬわよ?」 ヨネア「バカね、私はエクスプロージョンが使えるのよ。」 「爆発の瞬間に合わせれば相殺できるわ、でも貴方はどうかしら? 2重の爆発に耐えられる?」 ドラスティーナ「ちっ」 舌打ちをし、魔法の発動を阻止しようヨネアの方へ向って駆けてくる ヨネア「生きていれば、今日からアンタは私の部下よ。」 「エクスプロージョン」 力ある言葉が解き放たれ、研究所が大爆発をおこした……。 ―庭 ニースルー「ヨネア……。やってくれたわね……」 ニースルーは爆発を見ても、身の心配はしていなかった。 爆発の原因はヨネア自身の魔法によるものであろうから、術者が吹き飛ぶ分けはないと。 ニースルー「全く勝手な事ばかりして……」 ぶつぶつ言いながら、爆煙の上がる方へ歩をすすめる。 ドラスティーナ「や……やるじゃない……。流石に今のは死ぬかと思ったわ……」 全身真っ黒になり、それでも尚、膝をつく事無く、その場に佇む悪魔貴族。 ヨネア「ふ……ふん、アンタも、思いのほか頑丈ね……。あの爆発に耐えるなんて」 ヨネアは魔力を使い果たし、立っているのがやっとの状態であり、一方、ドラスティーナはふらふらとした足取りではるが、ヨネアの方へ近づいていく……。 ヨネア(これでも倒せないなんて、万策尽きたって感じね……) ニースルー「ちょっとヨネア、幾らなんでもやりすぎよ」 ヨネア「げっ……。ニースルー」 ヨネア(いや! そうよ! ニースルーに加勢してもらうのよ、あいつもフラフラだしこれで勝てる) ドラスティーナ(新手がまだいたとは……。) ニースルーはそのまま、ドラスティーナの方へ歩いて行き……。 ニースルー「新しく召喚された悪魔の方ですね、いつもヨネアがお世話になっています」 礼儀正しくお辞儀をした。 ドラスティーナ(あの子の親友だというから、どんな電波かと思ったら、うって変わって礼儀正しい子ね) ニースルー「向こうにお茶とお菓子を用意してあります。どうぞこちらへ」 ドラスティーナ(現世のお茶か……。どんなものかしらね?) ドラスティーナ「そうね、いただこうかしら」 ヨネア「ちょっと、アンタ、決着はまだ、ついて……」 その時、ヨネアの服が引っ張られる。 ヨネア「レドザイト?」 泣き出しそうな顔で首を横に振る。 子供なりにこれ以上戦うのは危険と伝えているようだ。 ヨネア「くっ……」 ヨネアはとりあえず、2人の後を追った、ドラスティーナはニースルーに連れられ、紅茶と茶菓子を馳走されていた。 ドラスティーナ「あら、良い香り」 ニースルー「この紅茶はベルガモットといいます。お口に合うかしら?」 2人はその後、紅茶について楽しそうに語りあう、ドラスティーナは淑女として振る舞い、特にニースルーに何かすることは無かった。 ヨネア「何よ、随分と楽しそうね……」 遠目で、楽しそうに紅茶を嗜む2人を見て、複雑な気分になる。 ちょっとしたお茶会が終わり、ドラスティーナはニースルーが視界からいなくなるのを見届けた後、ヨネアの方を向き直る。 ヨネア「まだ、決着はついていないわ」 ドラスティーナ「そうね。続きやる?」 ヨネア「くっ……」 お互い魔力は空に近い、体力も互いに限界、それこそ子供の喧嘩の様に、意地の張り合い、殴り合いになれば、明らかにドラスティーナに分があった。 ドラスティーナ「ねえ、この勝負は引き分けって事にして、普通に雇ってくれてもいいのよ?」 ヨネア「どういう風の吹き回し? 悪魔からそんな言葉が出るなんて」 ドラスティーナ「ちょっと、現世というか貴方達に興味が持てただけよ、貴方と居れば退屈から解放されそうだしね」 ヨネア「…………」 ドラスティーナ「とはいえ、タダ働きなんて私のプライドが許さないから、報酬は貴方達の主、ムクガイヤっていうのね、それの給料と同額、それに月一回のティーパーティーを行う事、これが条件よ」 ヨネア「わかったわよ……。それでいいわ。契約成立ね」 ヨネアはムクガイヤの取り分が幾らなど全く知らなかったがOKした。 ドラスティーナ「では、あらためて私はドラスティーナよ。これからよろしくね」 ヨネア「よろしく……」 握手を交わす2人……。 それを見たのか、復活したポポイロイトがやってきて、ドラスティーナに抱きついていくる。 ドラスティーナ「何よこの子、いきなり抱きついてくるんじゃないわよ、馴れ馴れしいわね」 ポポイロイト「ポポのママになってくれるんでしょ?」 ドラスティーナ「!?」 ヨネア(バカ! まだ早い) ドラスティーナ「どういう事よ!?」 ヨネア「えーっと」 ヨネアは人差し指と人差し指をつけながら困った顔をする。 ドラスティーナ「いいわ、思考を読めば」 ヨネア「あっ、こら、人の記憶を読んだりするのは禁止よ」 ―回想 ポポイロイト「もっと遊んでよ~、つまんなーい」 レドザイト「つまんな~い」 ヨネア「う~、今度来る人が、貴方達のママになってくれるから、思いっきり甘えるといいわ」 ポポイロイト「ほんと?」 ヨネア「ほんとにほんと」 レドザイト「たのしみ~」 ラングトス「それより、俺のメンバーはいつになるんだってヴぁ?」 ヨネア「順序ってモンがあんのよ上手くいけば、それも今度かな」 ラングトス「…………」 ヨネア(チビ共はともかく、この目は疑っているわね早くしないと……) ドラスティーナ「何よそれ! 貴方、私を子守にするどころか、あの、 やかましい、 おかしい、 いたましい、 3拍子揃った奴と、バンドを組ませる腹積もりだったの?」 ヨネア「……(コクリ」 ドラスティーナ「さて、魔王軍にでも仕官してこようかしら」 そう言って、美しい翼をはためかせ、飛び去ろうとするドラスティーナの足をガシっと掴む……。 ヨネア「待ってよ、契約成立しているじゃない、契約反故は高位悪魔の名折れじゃないの?」 ドラスティーナ「うっ……。そ、そうよ、これは夢よ、夢なのだわ」 ヨネア「こらっ! 現実逃避するな!」 ドラスティーナ「何処に、高位悪魔に子守とバンドのメンバーやらせる奴がいるのよ!」 ヨネア「うるさいうるさい、アンタは私に雇われているんだから、子守もメンバーも仕事なんだから黙ってやりなさいよ」 いつまでもいがみ合う二人、ニースルーはその口喧嘩をする2人を遠目で見ていた。 ニースルー「よかったわねヨネア、良い友達ができて……」 ■キオスドール仕官 ヨネア「ホントにいるんでしょうね」 ドラスティーナ「いるわよ、私より遥かに子守に適した悪魔が」 今回、次の召喚を提案をしたのはドラスティーナだった、その悪魔に貧乏くじを引かせるために。 ヨネア「いくら子守が得意でも、伝承とかに出てくる外見がグロい奴とかでっかいハエとか、いらないんだけど」 ドラスティーナ「大丈夫よ、見た目は二十歳前後で女性で美人だし、性格も大人しいわよ。シャルロットっていうんだけど、私が現世に来た時、魔力を感じたから、こちらに来ている筈」 ヨネア「大人しい子なんているの」 ドラスティーナ「いるわよ、気弱で、自分が悪くなくても謝ってしまうタイプ、いわゆるグズな子よ」 ヨネア「確かに、子守とかには向いてそうね」 ドラスティーナ「でしょう? それに潜在能力は決して低くは無い筈よ、悪魔にしてはめずらしく回復魔法も使えるし、 デーモン種だから、ラングトスとかよりも頑丈、ただ性格面の問題でいつまでたっても奴隷階級なんだけど」 ヨネア「ふーん」 喋りながらも魔法陣を書き終え、魔法を唱える。 するとそこには血だらけの女が立っていた。 ドラスティーナ「………………」 ヨネア「………………」 「これ?」 ドラスティーナ「ちがうわよ!」 ヨネア「ちょっと何で血まみれなのよ? それとも血糊? 何かの演出のつもりかしら?」 マビドレ「何で、血がついているかって? それは人を殺しちゃったからだよ」 ヨネアはドラスティーナに視線を送る。それに応え、首を横に振るドラスティーナ。 ヨネア「あのね、男は基本馬鹿でいらないけど、馬鹿な女も平等にいらないの。というわけで強制送還」 召喚とは逆の魔法を使って、マビドレを何処かに飛ばした。 ドラスティーナ「どこに行ったの?」 ヨネア「さあ? 二度と会いたくないし、ここからなるべく遠くに飛ばしたつもりだから、パーサの森の僻地にでもいるんじゃない」 ドラスティーナ「そう、というか、召喚って指定できないの? ルーゼルを召喚したのって貴女なんでしょ?」 ヨネア「魔力の高い低いである程度選ぶ事はできるけどね、完全な指定は無理よ。有名でもなければ、会った事もないんだし……。」 「それより、次いってみよう」 数撃てば当たる方式で、召喚魔法を唱えていく。 ヨネア「何この軽薄そうな男? 死神でも気取ってんのかしら? 女に相手にされなそうなかわいそうな奴ね」 ヨネア「外見が生理的に無理、ドーピングとかどうでもいいから」 ヨネア「筋肉馬鹿は手玉にとられやすいからいらないの」 ヨネア「あのくだらない研究をする奴は一人で十分」 ヨネア「何コレ、ミイラ!?」 片っ端から召喚しては片っ端から送還するヨネア。 ヨネア「ちっ……。碌な悪魔がいないわね」 ドラスティーナ(今まで悪魔に物怖じしない人間は何度か見たけど、悪魔をここまで上から目線で見る人間は初めてね、感嘆とさせられるわ) ヨネア「本当にこっちに来ているの? その悪魔、一向に出てこないんだけど」 ドラスティーナ「来ているのは確かよ、ひょっとしたら、召喚を拒否しているのかも」 ヨネア「拒否?」 ドラスティーナ「悪魔は普通、召喚されれば面白がって、それに応じるんだけど、何か理由があってそこを離れたくないのよ」 ヨネア「へ~」 ドラスティーナ「例えば、すでに魔王軍に仕官している悪魔だったら、召喚に応じようものならルーゼルに処刑されるしね」 ヨネア「魔王軍にとられちゃったって事?」 ドラスティーナ「あんな気弱で奴隷階級の悪魔をルーゼルが登用するとは思えなかったけど、そういう事なのかしらね」 ヨネア「残念、じゃあ、次試みて、ダメだったら諦めるわ。戦場で出会う事があれば生け捕りにすればいいんだし」 ドラスティーナ「それもそうね」 ドラスティーナ(ちっ……。子守から解放されると思ったのに) 気を取り直し、再び召喚を試みる、煙が上がり新たな魔力の波動を感じた……。 ドラスティーナ(シャルロットではないわね……。あーあ) 煙が晴れるとそこには10代半ばくらいの少女が立っていた……。 キオスドール「うふふ、召喚していただき誠にありがとうございますわ」 ヨネア「また子供か……。でもあのチビ達と違ってしっかりしてそうね。この子で召喚自体、最後にしようかしら」 ヨネア(この外見は淫魔って奴よね、まあ、男がどうなろうと知ったこっちゃないし、別にいっか) ヨネアは礼儀正しい態度から、少しだけ期待を寄せている。 ドラスティーナ「ヨネア、あの子はやめた方がいいわ」 ヨネア「何でよ? チビ達みたいに、面倒かけそうには見えないわ、大体魔力の大きさからしても貴方より格下じゃない、何を警戒してんのよ?」 ドラスティーナ(確かに魔力は私より下……。でも何か、こう悪魔とは違った異質な者を目の前にしているかのような……) ドラスティーナ「ふん、別に、警戒なんかしていなわよ」 ヨネア「じゃあ、決まりね」 「知っていると思うけど、今は戦乱で一人でも多く、強い者が欲しいのよ。仕官して貰えないかしら? 物足りないかもしれないけど、契約は人間と同様でお金の報酬となるし、勝手に男を垂らし込んだりしないでね淫魔さん」 キオスドール「ええ、それで構いませんわ、今後はキオスドールとお呼びください」 ヨネア(あら? やけに聞きわけいいじゃない) ヨネア「キオスドール、それで大人の男の相手は得意そうだけど、女の子供の相手はどうかしら?」 キオスドール「うふふ、面白い事をおっしゃいますわね、勿論かまいませんわ」 ヨネア(凄く良い子じゃない) ドラスティーナ(裏があるのは間違いないけど、一体何を企んでいるのかしらね) ヨネア「ポポイロイト、レドザイト」 ポポイロイト「は~い、何~?」 ヨネア「今度から、このお姉さんの言う事を良く聞くのよ? 良い子にすれば色々と遊んでいる貰えるからね」 レドザイト「うん」 ポポイロイト「よろしく~」 キオスドール「うふふ、よろしくね、それではヨネア様、契約成立という事でよろしいですわね?」 ヨネア「ええ、いいわ。所で楽器は得意?」 キオスドール「ピアノが少しだけできますわ、ただ、ラングトスちゃんのお眼鏡に適う程ではありませんの」 ヨネア(色々とこちらの事を知っている様ね……) こうして、キオスドールがヨネアの陣営に加わった。 ■銀の夜明け団結成 ―ルーニック島 ヨネアの研究所 ヨネア「皆揃ったわね(キリッ」 ヨネア(こうして見ると、少し壮観ね、それにどいつもこいつも曲者揃い……) ドラスティーナ「一度に全員集めるなんて珍しいわね、どうしたの? どっかの国でも焼き払う気になった?」 ヨネア「いや、あたし達も人数増えたし、今日はヨネア様率いる悪魔の軍勢の部隊名でも決めようかと思って」 ポポイロイト「しにがみおうこく~」 レドザイト「えっとね、ねこねこていこくがいいな」 ヨネア「却下」 ラングトス「ジャンキージャンク」 ヨネア「却下、それ、アンタのバンド名でしょうが!」 キオスドール「うふふ、夢魔の巣はどうかしら」 ヨネア「風俗じゃないから!」 ドラスティーナ「そうね、薔薇のネ……」 ヨネア「却下! てか、もう決まっているの!」 ドラスティーナ「だったら、先に言いなさいよ」 ヨネア「アンタ達が勝手にアレコレ言いだしたんでしょうが!」 ドラスティーナ「それで、なんてつけたの?」 ヨネア「銀の夜明け団、ヨネア様率いる悪魔の軍勢は今日から銀の夜明け団と名乗りを上げる事にするわ」 ポポイロイト「ぶ~、なにそれ~」 ヨネア「異論は認めない」 キオスドール「うふふ、面白い事になりそうですわね、わたくしゾクゾクしてきましたわ」 ドラスティーナ「これがどうして、面白い事になるのよ?」 キオスドール「あら? ご存じありませんの? 銀の夜明け団と言えば、10年前に壊滅した、闇の魔法を研究する秘密結社……」 「おそらく、そんな組織を壊滅させる事ができるのは、今、魔王軍討伐に動いているラザムの使徒……」 「そんな組織が復活したとあっては、ラザムのとる行動は?」 ドラスティーナ「……。つまり、ラザムを敵に回したって事ね」 キオスドール「戦いは避けられませんわね、きっとヨネア様の首を狙ってきますわ……」 ドラスティーナ「ふん、そんなことは私がさせないわ」 ヨネア「さあ、行くわよ皆の者。」 「いい加減ルーニック島で、ママゴトしているのは飽きたわ。まずはあの生意気なファルシス騎士団をぶっ潰す!」 びしっと指をさし、ポーズ決めてみせるリーダー、それに応えるかのようにラングドスは進軍ラッパの如くギターを演奏する。 レドザイトとポポイロイトは興奮しはしゃぎまわっている。 キオスドールは冷笑しており、ドラスティーナだけが真剣に戦略を練る……。 ドラスティーナ「ねえ」 ヨネア「ん?」 ドラスティーナ「ふと思ったんだけど前衛が私しかいなくない?」 ヨネア「そうね」 ドラスティーナ「いや、『そうね』じゃなくて」 ヨネア「あんた、一人いれば十分じゃない」 ドラスティーナ(こいつ……。ここで私が憤慨すれば、大したことないのねとして丸め込むつもりね) ヨネア「ドラスティーナ、あたしは貴方に期待してるのよ。前衛なんて貴方一人いればいいじゃない」 ドラスティーナ「……。まあ、そういう事にしておくわ……」 ―ムクガイヤ魔術師団 本軍陣営 サルステーネ「我が君」 ムクガイヤ「どうした?」 サルステーネ「ヨネア様が、銀の夜明け団と名乗り、悪魔の部隊を編成されたとの報が届きました」 ムクガイヤ「ほう……。悪魔の軍勢とはヨネアらしいな……。」 「しかし、銀の夜明け団といえば、闇の賢者を排出していた秘密結社、やはり繋がりがあったのか……」 「まあ、ヨネアは常人には少し理解しがたい行動を取るが、決して馬鹿ではない好きにやらせておけ」 サルステーネ「ははっ」 ―ラザムの使徒 陣営 イオナ「銀の夜明け団……、生き残りがいたのね」 「おそらく此度の魔王降臨にも関わっている……。」 「率いるは悪魔の軍勢、ラザムとしては、ムクガイヤ魔術師団も討伐対象にしなくてはならなくなりましたわね」 ―ファルシス騎士団 陣営 ロイタール「悪魔の軍勢とは……。あのクズ共の考えそうな事だ」 ホーニング「どうする? 今は互いに静観を決め込んでいるが、実質あの時結んだ同盟など、もはやどうでもよいもの」 ロイタール「無論、相手が悪魔の軍勢を率いているとなれば、それを討伐するにあたって騎士道に反するという事もあるまい。」 「クックリー卿、宣戦布告だ。悪魔の軍勢を率いる、ムクガイヤ魔術師団の一角、銀の夜明け団を討伐する」 クックリー「わかった」 ―ルーニック島 代官所 ドラスティーナ「貴女が名乗りを上げたせいで、早速ファルシスから宣戦布告が届いたわよ」 ヨネア「望むところよ。それともドラスティーナ、怖気づいたの?」 ドラスティーナ「バカおっしゃい。」 (私の仕事が多そうなのが気になるけど……) ヨネア「さあ、行くわよ、これは銀の夜明け団の初陣なんだから是非とも勝利で飾らなくてはね」 ドラスティーナ「はいはい」 ■ラストニパクハイト陥落 サルステーネ「フェリル党がグリンシャスを制圧したとの報が入りました」 ムクガイヤ「援軍を乞う事なくやるとはゴブリンと言えど侮れぬものよ」 サルステーネ「フェリル党には中々優れた武官がいるようですな」 ムクガイヤ「穹廬奴とエルフの動きは?」 サルステーネ「予想通り、森の返還を求めてきております。穹廬奴はレオーム家との進行を防ぐため、エルフとは袂を分かっておりますが互いに眼前の敵の為、交戦には至っていない模様」 ムクガイヤ「フェリル党に予定通り、エルフに降伏を促し、傘下に入る様に伝えよ。拒否すればそのまま攻め落とせとな」 サルステーネ「御意」 その後、バルバッタ(実質ルルニーガ)率いるフェリル党はエルフ達を降伏させ自軍に取り込み、穹廬奴征伐に乗り出す。 フェリル党はエルフ達に武器を取って戦う事は強要せず、戦場に立たせる場合はあくまで衛生兵として、敵兵を殺させる様な真似はしなかった……。 ■重臣ルルニーガ ルルニーガが、その功が認められバルバッタを凌ぐ重臣として扱われるのに左程時間はかからなかった。 フェリルの竜王ルルニーガの武勇は止まる事をしらず、サルステーネに次ぐ武官として扱われるまでに至る。 しかし、ルルニーガはあくまでフェリル党の洞主はバルバッタとし、軍事面において絶対的権限を持っても、それ以外の事はバルバッタを立てた……。 ―ルーニック島 代官所 執務室 ニースルー「ねえチルク。ルルニーガさんって何で竜王って呼ばれているの?」 チルク「何でって、そりゃ強いからでしょ」 ニースルー「でも、あの外見じゃ、竜王っていうより獣王って感じじゃない?」 「それに前、竜王って呼んだら、嫌な顔されたし、少しひっかかるのよね」 チルク「確かに、あの呼び名にはちょっと事情があるし、正確には『竜王』じゃなくて、『フェリルの竜王』なんだよね」 ニースルー「どういう事?」 チルク「本人が嫌がるから、話したくなかったけど、まあいいか……。」 「あれはまだ、レオーム家が入植する前の話なんだけど」 ―回想 フェリル島、沖 2人のリザードマンが小舟で島に降り立つ……。 ゲルニード「先生、この地は?」 ジェイク「ここはフェリル島といって、ゴブリンの住まう島よ」 ゲルニード「大陸にそのような場所もあったのですね。しかしゴブリンと言えば、弱い事で有名な、いずれは人間に支配されましょう」 ジェイク「ゲルニードよ、どの種族にも寵児という者はおるぞ?」 ゲルニード「しかし、いくら天賦の才に恵まれた蟻がいようと、恐竜に勝つことはできません」 ジェイク(若いな……) 二人はそのまま島を見て回る……。 しばらくすると、ガサッと草の音と共に、茂みの奥から武装したゴブリンの子供達が現れた。 バルバッタ「ヒャッハー。珍しいな……。リザードマンかよ」 ツヌモ「観光する場所を間違えたな、ここは大陸でもっとも危険な所なんだぜ?」 「アニキィ、どうしてやりましょうか? 俺から世の中の厳しさ、いや、フェリル島の過酷さってやつを教えてやってもいいっすかね」 チルク(絡む相手、まずってないかな、リザードマンて凶暴で危険っていうし……) ゲルニード「雑魚共が、絡む相手を間違えたな……」 ゲルニードは剣を抜こうとし、それをジェイクが手で制した……。 ジェイク「ゴブリンの子供よ、我々は旅をしているだけだ、危害を加えるつもりはそこを通してもらえまいか?」 バルバッタ「旅だぁ~? わかってね~な~。ここを通りたきゃ金がいるんだよ~」 そういうと、バルバッタはジェイクに飛びかかり、手にしたショートソードで斬りかかった。 バキンッ その瞬間、バルバッタの手にしたショートソードは半ばからポッキリと折れ、刃は宙に舞っていた……。 ドスッ そのまま、バルバッタの足元に落ち刺さる。 バルバッタ「なっ…なにしやがった……」 ジェイクの左手にはダガーが握られている、そのダガーは普通の刃と櫛状の峰がついており、特異な形状をしていた。 ゲルニード「先生、それはソードブレイカーですか? 人鬼どもの使う?」 ジェイク「そうだ、この前戦った人間が使っていたものだ……。中々面白いものだったので自分でも使ってみる事にしたよ」 世間話でもするかのように、軽い感じで話すジェイクだが、バルバッタは震えて動けなかった……。 ゲルニード(ソードブレイカーはレイピアといった細身の剣を折る武器、しかしショートソードをへし折って見せるとは……) ゲルニードはジェイクのその神技にあらためて驚愕する。 ゲルニード「相手が悪かったな小僧」 バルバッタ「ひ、ひぃ~~~」 バルバッタは逃げようと背を向けたが、恐怖で足が竦んでしまい、その場に転んでしまう。 ジェイク「よせゲルニード、相手はまだ子供だぞ」 ゲルニード「ふん、貴様らなど相手にならんわ、命ある内に消えよ」 バルバッタ「ひぃ」 バルバッタは座ったまま後ずさりし、ガサッと再び、草陰から音がすると、今度は大剣を携えた大柄のゴブリンと、魔道師の風貌をした初老のゴブリンが現れる……。 アスターゼ「珍しいのう、リザードマンの来客とは」 ルルニーガ(あの、竜を象った兜、まさか!?) ジェイク(どちらも並じゃないな……) ジェイク「警戒するのも致し方の無い事だが、我々は旅をしているだけだ、事を荒立てる気はない」 バルバッタ「ルルニーガのアニキ、こいつらがいきなり俺達を襲ってきやがったんだ」 何とか立ち上がり、ルルニーガにすがりつくバルバッタ。 ルルニーガ「バカが、己の力量もわからんのか!」 バルバッタ「ひでぶ」 叱責し平手打ちをバルバッタにかますと、ジェイクの方を向き直り、大剣を抜く……。。 ルルニーガ「穹廬奴の竜王ジェイク殿とお見受けする、私と手合わせ願いたい」 ジェイク「竜王というのは人間共が勝手につけた名だ、私の本意では無い」 ルルニーガ「それは失礼をした。だが貴殿が強い事に変わりない」 ゲルニード「貴様如き、ゴブリン風情が先生と勝負をしようなど、100年早いわ!」 ゲルニードは剣を抜き、ルルニーガと対峙する。 ジェイク「ゲルニードよ、勝負を申し込まれたのはこの私だぞ? 無粋な真似をするでないわ」 ゲルニード「ゴブリン如き、先生が相手をするま……」 ジェイクの鋭い眼光を目にし、ゲルニードは思わず口を閉じる。 全身から汗が吹き出し、蛇に睨まれた蛙の如く身が硬直しいているのがわかった。 ゲルニード「し……失礼しました。」 ゲルニード(先生のあの殺気だった目は! それほどの相手だというのかあのゴブリン) ジェイクは左手にダガーを逆手に持ったまま、右手でサーベルを抜く……。 ルルニーガ「ゆくぞ」 ルルニーガが地を蹴り、大剣がジェイクに向かって振り下ろされた。 ジェイクはそれを左手のダガーで防ぎ、櫛状の部分で刃を掴むと、そのまま右手の剣で斬りつける。 ルルニーガは避けるのは無理と判断し、闘気と筋肉で刃を止め、傷を最小限にした。 ルルニーガは大剣を両手で持ち、攻防一体で戦い、ジェイクは、主にダガーで攻撃を防ぎ、剣で攻撃するといったものだった。 ゲルニード(あのゴブリン、先生と互角だと!?) 一進一退の攻防がつづく、数合打ち合ったのち、様子見を終えたのか、互いに飛び退き距離を取った。 ルルニーガ「……………」 ジェイク「なるほど、強いな……」 ルルニーガ「先ほど、ショートソードをへし折って見せた技は、相当な腕力と正確さが無くては出来ぬ技……」 ジェイク「…………」 ルルニーガ「貴殿の利き腕は左利きか?」 ジェイクの口元がかすかに笑う。 ジェイク「ふっ……気づいておったか……」 「だが、何故それを言う?」 ルルニーガ「全力の貴殿に勝たなくては意味が無い」 ジェイク「そうか……。ならば望み通り……」 一瞬にしてダガーとサーベルを持ちかえる。 ジェイク「ゆくぞ」 その場にいた者達にはジェイクの手が一瞬ブレた様にしか見えなかった。 しかし、激しい金属音が鳴り響き、ルルニーガは大きく後ろに飛び退いた。 ルルニーガ「ぐぅ」 (速い! 太刀筋が見えん!) ルルニーガの体は一瞬にして切り刻まれていた、後ろに飛び退いた事で致命傷こそ避けてはいたが、体中に激痛が走る。 ゲルニード(百裂斬……。目で追う事のできない高速の剣) ジェイク「どうした?」 ルルニーガ「くっ……」 ルルニーガがジェイクの挑発を受け、ジェイクに向かっていく、しかしジェイクは先ほど同様、ルルニーガの攻撃をダガーで難なく去なし、反撃に出る。 数合打ち合い、今度はジェイクの振るう太刀を全て防いだにも関わらず、ルルニーガの体が斬られていた。 ルルニーガ「なっ!?」 ルルニーガ(バカな!? 確かに、攻撃は全て見切った筈だ!? 何故、斬られている?) ゲルニード(旋風剣……。目で視る事のできない真空の剣。 先生の剣技は、第一計 瞞天過海 に準ずる。 高速の剣で相手を攻撃し、相手の目が慣れてきた所で、視えない剣で相手を攻撃する。 多くの人鬼どもが、何に斬られたかもわからず死んでいったわ……) ジェイクがその剣技を見せてからは、ルルニーガは防戦一方となり、みるみる内に血に染まっていった……。 ジェイク(強い……。そして若い……。この者はまだまだ強くなる。) (今は勝てても、次戦えばどうなるかはわからぬ……) (そして、今においてもこの戦いを諦めてはいない……。まだ私に本気で勝つつもりでいる) ジェイクはルルニーガが距離を詰めて戦おうとすれば、刃の短いダガーで攻撃を去なし、時にはダガーの方でも切り返し、ルルニーガが体勢を立て直すため、後ろに大きく飛び退けばダガーを投げ、どの間合いにおいても有利に戦って見せた。 ダガーを投げても、別の新たなダガーを抜いてみせ形勢は変わらない……。 ルルニーガ(くっ……。隙が無い!) ルルニーガは著しく体力を減らしていったが、未だ勝つつもりでいた。 ルルニーガは生命の力、闘気を纏って戦う、闘気は相手の攻撃から身を守り、有利に戦う事ができる。そのため、何処を斬られても致命傷だけは防ぐ事ができていた。 ジェイクの見えない攻撃を、野生的な勘だけで交わしていたルルニーガは、百裂斬と旋風剣ではその予備動作が違う事に気づく。 そして、ひたすら旋風剣をジェイクが放つのを待っていた。 ジェイクが旋風剣の構えに入る…… ルルニーガ(今だ! 全身に纏っていた闘気を両腕に集中させる) ルルニーガの狙いは、百裂斬に比べ、殺傷力の劣る旋風剣に対し、あえて防御を捨て、肉を斬らせて骨を断つ捨て身の反撃に転じたのである。 ルルニーガの全闘気を集中させた一振りは完全にジェイクを間合いに捕えていた。 ルルニーガ(そう……。お前はその特異な形状のダガーでガードする、だがそれが命取りよ……) ソードブレイカーは櫛状の峰で剣を折る事ができる武器である。 逆に言えば、特異な形状であるため、折れやすい武器でもあった。ましてや、ジェイクはダガーを正確さに欠ける利き腕ではない方の手で持っている。 ルルニーガの放った渾身の一撃は、ソードブレイカーをへし折り、そのままジェイクの右腕を斬り飛ばし、鎧ごと、肩から胴にむかって薙いでいた。 ゲルニード「先生!」 ジェイクの方から上がったまさかの血飛沫をみて、ゲルニードが叫んだ。 ルルニーガ「ぬぅ」 ルルニーガの一撃は、ジェイクの体を浅く斬りつけたに過ぎず、致命傷を与えるには至らなかった。 一方、ジェイクの剣はルルニーガの首元に当てられている。 ジェイク「見事だ、だが、惜しかったな……」 ルルニーガ(ダガーも左腕も鎧も斬った……。だが届かなかったか……) ジェイクがその気になれば、首を刎ねられていただろう。 ルルニーガ「参りました」 ジェイクはルルニーガが負けを認めると、剣を鞘におさめ、斬り飛ばされた右腕を拾い、自分の腕にくっつける……。 ゲルニード(リザードマンの再生力は、人間よりも強い、だが、一度斬り落とされてしまえば、握力が完全に元に戻る事は無い) ゲルニード「おのれ」 再び剣を抜き、ルルニーガの方に向かっていく……。 ジェイク「よせ、ゲルニード」 ゲルニード「先生、しかし」 ジェイク「その者は、私と正々堂々と戦い、そして潔く負けを認めたのだ、この決闘を汚す事は私が許さん」 ジェイクに凄まれ、ゲルニードはまたしても剣を納める他なかった。 ゲルニード「出過ぎた真似をしました」 ジェイク「うむ、それでよい」 アスターゼ(互いに種族性には苦労しておるようじゃの) 諫められては頭に血を登らせる、血気盛んなゲルニードを見て、アスターゼはそう思った。 ルルニーガとアスターゼが視線を交わし、ルルニーガが無言で頷く……。 ジェイク「では、さらばだ。フェリルの竜王よ」 ジェイクとゲルニードは背を向け来た方向へと去っていった……。 ………………… ゲルニード「先生、あれでよかったのですか?」 ジェイク「あれでとは?」 ゲルニード「あのゴブリンは危険です。穹廬奴が中原を制し、大陸統一に向けて兵を進めれば、いずれ戦場で会いまみえるかもしれません」 ジェイク「それだけか?」 ゲルニード「いえ、悔しいですが、私に勝てる相手ではありませんでした。ここで倒せるなら倒しておくのが上策かと」 ジェイク「確かに私とて、次戦えば、勝てるかはわからぬ、しかし、あの者の首を刎ねれば、我らは生きてこの島を出る事は叶わなかったぞ?」 ゲルニード「何故ですか? ゴブリンが束になろうとも私一人がいれば、先生を守って島から出る事など容易」 ジェイク「ふぅ……、よいかゲルニード、私があの者と戦っておる時、すでに我らは包囲されておったのだ」 ゲルニード「な!?」 ジェイク「あの老齢のゴブリンは優れた召喚士、すでに我らは50ばかりのフェニックスに包囲されていた」 ゲルニード「…………」 何も言えずに黙り込む、フェニックスはリザードマンの苦手とする炎を使う精霊、もし戦っていれば命は無い……。 ゲルニード「まだ、何もかも遠いですね……」 ジェイク「焦るな……。お前はまだ若い……若いのだ……」 ジェイク(ゲルニードに限らず、リザードマンの種族性は気が短い、ここを何とかできねば、宿願を果たすなど夢のまた夢……) 二人のリザードマンはフェリル島を後にした……。 ………………… チルク「それからというもの、ルルニーガの事を竜王って呼ぶゴブリンが増えてね」 チルク「相手は私が穹廬奴の竜王ならお前はフェリルの竜王、要するにお前も強かったぞ的な意味で言ったんだろうけど、負けたのに竜王って呼ばれるのはルルニーガの本意じゃないわけ」 ニースルー「その呼び名はやめろって言わなかったの?」 チルク「敗軍の将は語らずって事で、甘んじて受け入れたんだよ」 チルク「でもそれからだよ、元々、十分に強かったのに、さらに強くなったのは、次戦う機会があれば、今度は俺が勝つって感じで……」 ニースルー「で、再戦はしたのかしら?」 チルク「してないと思うよ、あれから20年近く立つし、既にその時、いい歳してたっぽいしねそのリザードマン」 ■穹廬奴征伐 ムクガイヤの魔術師団の第二軍団フェリル党はパーサの森を平定するとそのまま北上し、穹廬奴攻略を命じられる。 穹廬奴は既に敵勢力に囲まれた状態にあり、各地で奮戦していたため、既に疲弊しており、フェリル党は順調に穹廬奴領を平らげていった……。 ―決戦前夜 フェリル党 陣営 ムッテンベル「親父様、穹廬奴が兵をウェルン沼に集結させているようです」 ルルニーガ「うむ、そこで雌雄を決する事になるだろう。わが軍が数では圧倒的有利だが、向こうは追い詰められている。 逃げ場の無い敵を決して侮るでないぞ?」 ムッテンベル「窮鼠猫を噛むですね? わかりました気を引き締めて行きます」 ―決戦当日 戦は、数で勝るゴブリン勢が優勢に進める。 犠牲を出しつつも、ゲロゲロ隊、イオード隊、モーゼン隊、ガウエン隊を退け、残すは本陣のみとなった……。 ―穹廬奴 本陣 ジェイクとチョルチョはゲルニード共に本陣にいた。 ジェイクはすでに、老いと病により、先陣を切って戦う事はしなくなっており、チョルチョはリザードマンの苦手とする魔法を警戒しての事だった。 チョルチョ「単于、残るは本陣のみにございます」 ゲルニード「く、もはやここまでか……。ならば最後に一矢報いてくれる。うって出るぞ!」 ゲルニードが剣を取り、席を立とうとした時……。 ジェイク「第三十六計」 ゲルニード「な!? ならん、それだけはならんぞジェイク!」 第三十六計 走為上 勝ち目が無いならば全力で逃げて再起を計るという策である。 しかし、穹廬奴の領地はここが最後であり、ここを逃げるとなると、野に下る事を意味する。 一旦穹廬奴を捨てて生き延びれと……。 ゲルニード「俺が敵に背中を見せる事などありえん、それ……がっ」 ジェイクは一瞬にして、ゲルニードの背後を取り、鞘のついたままの剣でゲルニードの頭部を強打し気絶させる。 チョルチョ「土門何を!?」 ジェイク「よいかチョルチョ、単于を連れて行け、これからはお前が支えるのだ、ここは私が引き受ける。必ず穹廬奴を再興させるのだぞ」 ジェイクは優しく言うと、チョルチョは目に涙を浮かべた……。 チョルチョ「わかりました。」 チョルチョは涙を拭い、ゲルニードを抱え、わずかな兵を連れて、この場を去る。 ジェイクは残った兵達を集めた……。 ジェイク「皆の者、よく聞けい、私は何も捨て石になるつもりはないぞ、単于がいては思う存分、戦えんのでな……。 今日の歴史は奴らの総大将の血で書かれる事になる」 ジェイクは単于を足で纏いといって笑いを取り、敵の総大将の首を取ると途方もない事をさらりと言ってのけ、兵の士気を高めていく……。 リザード兵(土門、こんな時になんていい顔をなさるんだ) リザードマン達はこの時、ジェイクの言葉に痺れたといっていい。 ジェイク「私に続け!」 ―フェリル党 バルバッタ隊 フェリル党の全軍をルルニーガが士気する様になってから、バルバッタは切り込み隊長になっていた……。 本陣に向かって一番乗りで兵を進めて行く……。 バルバッタ「後は、本陣落として終わりだな~、おい、てめえらバルバッタ隊がゲルニードの首を上げるぞ! 出遅れんなよ」 ゴブリン「隊長、何か向かってきますよ」 バルバッタ「ん?」 バルバッタ(りゅ…竜!?) 正に瞬く間に接近したジェイクの部隊は、ゴブリン達を一方的に斬り殺し、バルバッタ隊を300ドットあまりも後退させた……。 この時、バルバッタは竜を見たと後に語る。 ―フェリル党 本陣 ムッテンベル「親父様、バルバッタ隊、ツヌモ隊、ケニタル隊が敗走を始めております。現在、ポイトライト隊が交戦中、私に救援の指示を!」 元帥であるルルニーガの前に膝をつき、伝令をおこなうムッテンベル。 ルルニーガ「ならん、ワシが出る!」 そういって席を立つルルニーガ。 ムッテンベル「元帥自ら、動かなくても」 ルルニーガ「わからんのか!? あの部隊を止められるのはこのワシしかおらんわ!」 ルルニーガの言った言葉は、理屈ではなく直感によるものだった。 だがこの判断が、この戦において、フェリル党の被害を最小限にしたのはいうまでもない。 ―フェリル党 ポイトライト隊 ポイトライト「救援が来るまで、時間を稼ぐんだ!」 焙烙玉を投げ、敵を撹乱し、敵の進軍をなんとか食い止め様とするポイトライト隊……。 しかし、ジェイクの部隊は、時には、沼に潜り、鎧に泥を塗って、草をつけ、茂みと同化し、神出鬼没に戦って見せた。 ポイトライトが壊滅間近で、死を覚悟した時、ルルニーガ率いる部隊が到着する。 ルルニーガはジェイクを見つけると、迷わず横から斬りかかった……。 ジェイクはルルニーガの気配に気づき、剣で受け止める。 ルルニーガ「久しぶりだな! 貴様に付けられた汚名を返しに来たぞ!」 ジェイク「総大将自ら来てくれるとはありがたい、探す手間が省けたわ」 ルルニーガ「ぬかせ」 数合打ち合い、距離を取る。 ジェイク「ゆくぞ!」 年老いたジェイクにとって、今ここでルルニーガと一騎打ちをする事はハイリスクだったが、ルルニーガを討ち果たす事ができれば、総大将の首を取る事になり、フェリル党を大きく弱体化させる事ができる。 ジェイクは老将とは思えないスピードで剣技を繰り出していく……。 ルルニーガ(この男! 老いてなおこの強さか!?) ジェイクは後ろに下がるルルニーガの体勢を立て直させないため、ダガーを投げるが、しかし、ルルニーガは投射されたダガーを掴み取り、投げ返した。 ジェイク(やはり、この者、あの時よりもさらに強くなりおった。だがあの時と違って地の利はこちらにある) 湿地帯はリザードマンの最も得意とする地形、決してルルニーガに楽観視できる状況ではなかった。 ルルニーガとジェイクは200合あまり打ち合っても決着がつかなかったが、老いたジェイクのスタミナに限りが見え始める。 ルルニーガ(……強い、おそらく歴代のリザードマンの中でもここまで強いものはそうおるまい、だが老いと病には勝てぬか……) ジェイク(この者は、1000年に一人の天才) (*1) 1戦目も2戦目も決して対等の条件で戦ったとは言えない状況に、その想いは同じだった。 互いに全盛期で、戦ってみたいと思う程の相手、そして、ジェイクのスタミナは底をつき、次第に防戦一方となり、ついには力尽きた……。 ジェイクが討たれた後も、リザードマンはよく戦ったが、また一人と戦場に倒れて行き、合戦はフェリル党の勝利に終わった……。 ムッテンベル「親父様、ご無事でしたか」 救援に向かったルルニーガを心配し、さらにその救援にきたムッテンベル隊。 本来なら、指示なく持ち場を動くなど、軍令違反だったが、総大将自ら動いたのが原因だったため、不問にされた。 ルルニーガ「ムッテンベルよ、ゲルニードには逃げられた」 ムッテンベル「では、探さなくてはなりませんね、再起を図られては何かと厄介です」 ルルニーガ「いや、敵の本陣は落ちた、今日の所は引き上げる、そして身を隠している以上、難しいが降伏を促す」 ムッテンベル「降伏をですか? 気性の激しい、リザードマンが応じるとは……。いえ、わかりました、そのようにいたします」 ルルニーガの意思が固い事を感じ取り、余計な事は言わないようにする。 ルルニーガ「うむ」 ―陣営から少し離れた所にある湿地帯 夜 ムッテンベル「親父様、どちらへ?」 急に姿を消したルルニーガを探して、ムッテンベルは部隊を率いて捜索に当たっていた。 戦には勝ち、湿地帯を制しても、リザードマンがゲリラ戦を行う可能性は十分にあり、隙あらば総大将の暗殺も考えるだろう。湿地帯を出歩くのは危険と言えた。 ルルニーガ「少しな……」 ムッテンベル「お墓ですか?」 ルルニーガの後ろ、地面に剣が刺さっているのに気付き、疑問を投げかける。 ルルニーガ「そうだ……。竜王が眠っている」 ―フェリル党 陣営 野戦病院 ゲルニードが野に下り、湿地帯はムクガイヤ魔術師団が制圧した……。 ルルニーガは敵、味方を問わず、負傷兵の治療を命じる、治療を終えたリザードマンは危険を承知の上、残らず解放するつもりで……。 負傷兵には、ゲルニードを討つつもりは無い事を伝え、もし会う事があれば出頭し服属するよう言伝を頼む。 エルフィス「ふぅ……」 エルフである彼女は、衛生兵を率いて穹廬奴征伐に参戦していた。 ルルニーガはエルフが戦を嫌う事を理解し、エルフに戦場で戦う様な事は命じず、あくまで衛生兵としての任務しか与えなかった。 負傷したリザードマンの治療に当たる事には、何の抵抗も無く、むしろそうやって異種族を気遣うルルニーガに好感を覚える。 リザードマンは気性が激しいため、常にゴブリンが護衛についていた。 モーゼン「殺せ……」 エルフィス「そんな……、事を言われましても、私は軍医として来ているみたいなものでして……」 エルフィス(面倒臭いのきたわねー) モーゼン「いいから殺せ、エルフ如きに助けられる等……」 エルフィス「負傷兵は残らず帰還させるように言われてますので、生きていればいい事ありますよ?」 エルフィス(しまった! 出るタイミング逃した) モーゼン「帰還だと? 何処に帰る場所がある。帰る場所も無く行き恥さらして生きろというのか?」 エルフィス(こいつ声でかいわねー、知らないわよそんな事) エルフィス「わかりました」 モーゼン「ん?」 エルフィス「死にたいんですね?」 モーゼン「も、勿論だ……」 念を押す様に死を望んでいるのかと聞かれ、たじっとなるモーゼン。 エルフィスはその言葉を受け、医薬品をごそごそと漁りだす……。 エルフィス「あったあった、致死量はこれくらいだったかしら」 まるで楽しそうに液体の薬品を注射器で吸い取っていく……。 モーゼン「…………」 エルフィス「さっ、手を出してください」 モーゼン「注射で殺すのか?」 エルフィス「私はエルフで女性ですので、頑丈なリザードマンの首を刎ねるなんて真似はできません」 モーゼン「…………。苦しいのか?」 エルフィス「知りません。致死量を注射するのは初めてですから」 モーゼンは薬殺という未知の恐怖を感じ、手を出すのをためらう。 エルフィス「どうやら死にたくないみたいですね、では治療を必要としているリザードマンは他にもいますので私はこれで……」 エルフィス(やっと抜け出せる) そういって、モーゼンのいるテントを去ろうとするが……。 モーゼン「待て! もっと他の方法が……」 モーゼンは手を伸ばし背を向けたエルフィスの服を掴んだ。 エルフィス「きゃあ!」 ブスッ モーゼン「えっ?」 エルフィスは反射的に注射器をモーゼンの腕に突き刺した モーゼン「うわああああああ」 刺さった注射器を見ながら、子供の様に思いっきり叫ぶモーゼン。 エルフィス (うっるさ~~、ただの食塩水よ!) その時、モーゼンがバタッと倒れた。 エルフィス「あれ?」 キニー「彼、死んでしまうの~?」 キニーが叫び声を聞いて、ララバイをかけて眠らせたのだ、エルフィスは首を横に振り……。 エルフィス「大丈夫です。命に別状はありません」 キニー「よかったなの~」 モーゼン「Zzzzz~~~~~~」 エルフィス(眠ってもうるさいのね、こいつは!) ―湿地帯 ゲルニードの潜伏場所 治療を受けて解放されたリザードマンからジェイクの悲報と、降伏勧告が伝えられる。 ゲルニード「ふざけるな! ジェイクの敵を今からでも」 ゲルニード(先生……。俺がふがいないばかりに……) ゲルニードは俯き、涙を流す……。 チョルチョ「単于、ここは降伏を」 ゲルニード「チョルチョ!? お前まで何を?」 チョルチョ「土門は、穹廬奴の再起を図れと私に言われました」 チョルチョ「天の時機、地の利、人の和」 チョルチョ「いつまでもここに隠れている事はできません、しかし、ここしか地の利はありません、私達にとって人の和はここでしか得られません」 大陸にリザードマンが最も得意とする湿地帯はここにしか無く、リザードマンは湿地帯にしか住んでいない。 戦ばかりしてきたリザードマンを好む異種族は少なく、支援する者などいないだろう。 ゲルニードがこの地を捨て、何処を放浪しても、再起を図る事ができないのは自明の理と言えた。 ゲルニード「…………」 チョルチョは治療される事で一命を取り留めた兵の中には、ジェイクと共に戦った者もいた。 その者から、ジェイクの武人としての最後や、総大将のルルニーガによって手厚く葬られた事、リザードマンを狩るような事はせず、負傷兵を敵味方問わず治療している事を聞いていた。 ならば降伏して、この地に身を置いた上で再起・独立を図るのが上策と判断したのだ。 ゲルニード「降伏する。ジェイクの死を無駄にしないためにも……」 ゲルニードはその日、降伏を決意した……。 ―ムクガイヤ魔術師団 本軍陣営 ムクガイヤ「穹廬奴が降伏!? あいつらは最後の一兵まで戦うものと思っていたが……」 サルステーネ「フェリル党も侮れませんね」 エルフの従属、リザードマンの降伏と、無理難題をこなしていく、ゴブリンの軍勢に驚きを隠せない。 サルステーネはフェリル党の洞首、バルバッタから届いた書状を渡す。 書状には滞りなく軍を進めるため、リザードマンを刺激しないためにも、ゲルニードの助命嘆願の旨が書かれていた。 エルフと違って、リザードマンはどの種族からも嫌われており、ゲルニードを処刑すれば、民衆の指示をより得られるのは間違いない。 しかし、リザードマンの反感をかえば、テロ行為に走るリザードマンが必ず現れる、湿地帯でそういった事が起こるのを避けたいというのがフェリル党の総意であった。 ムクガイヤ「……。」 「リザードマンなど、皆殺しでも良いと思うが、快進撃を続けているのにあえて水を指す事もあるまい、好きにさせるか」 サルステーネ「ではそのように伝えます。 「それで、いかがなさいますか? 「湿地帯をこちらが制した事で、同盟国オステア、湿地帯のフェリル党、そして我々と王都へ3方向から攻め入る事ができます」 ムクガイヤ「いや、先に北上し、リュッセルを攻めろと伝えよ」 「今レオーム家は魔王軍と戦っている。お互い消耗させてからの方がやりやすかろう」 サルステーネ「御意」 ■王都 第一軍団サステーネ率いる暗黒騎士団と、第三軍団ニーナナス率いるローイス水軍が、レオーム家との海戦を制し、ナース島とチャム島を攻め落とした……。 ムクガイヤ「これでルートガルド港を落とせば、王都に上陸できるな……」 ゾーマ「ムクガイヤ、例のものが届いたぞ……」 ムクガイヤ「そうか……」 2人はあまり周囲の人間には知られたくないのか、悟られない様にその場を去る。 ゾーマ「ここだ」 そこは船にある、奴隷を閉じ込めておく牢だった……。 ムクガイヤ「ラクタイナだったか? おまえの名は?」 ラクタイナ「……」 ラクタイナは何も言わずに、ムクガイヤを見ている。 ムクガイヤ「ふっ……。単刀直入に言うぞ、私の配下となれ、とはいえ、自由にはできんから常に監視をつけるがな、このまま処刑を待つよりは幾分マシだろう?」 ラクタイナ「……。何故私を? 戦力は足りているだろう?」 ムクガイヤ魔術師団は堂々と国家を名乗っても問題ないだけの領土を持っており、既にこの時、どの勢力よりも大きくなっていた。 ムクガイヤ「戦力としてお前が欲しいのではない、一人の魔術師として欲しいのだ」 そういって、ムクガイヤは懐からマクラヌスを取り出して見せる。 ラクタイナ「これは!?」 ラクタイナの表情が変わった……。 ムクガイヤ「何かわかるか?」 ラクタイナ「いや、何かはわからないが、死霊の力を感じる……。古代兵器の類か? いや……」 ムクガイヤ「ふっ……流石、死霊術師だな」 ラクタイナ「いいだろう、その話乗った……」 ムクガイヤ「決まりだな」 牢屋を後にするムクガイヤとゾーマ……。 ラクタイナの生け捕りと雇用に関しては、忠臣であるサルステーネですら反対していた……。 ゾーマ「流石にまずくないか?」 ムクガイヤ「元死刑囚のお前らしくもない」 ゾーマ「あやつがお前に忠誠を誓うわけはあるまい、それにあの所業を考えるとな……」 ラクタイナのやった事は、国家を揺るがしかねない事だった。 大量破壊兵器ともいうべき、アルティマイトを動かし、アンデッドの軍勢を率いたのだ。 パーサの森にいたエルフとエルフに協力した穹廬奴、第二軍団に所属する多くのゴブリンが犠牲となり、死者の数は今まで起きた戦のどれよりも大きかった……。 ムクガイヤ「王都に戻った時、研究は牢の中で行わせる。あいつを外に出す事は無い」 ゾーマ「……」 それでもゾーマの不安は拭えない、ラクタイナの表情には常に余裕があったからである。 何か切り札を隠し持っている様な……。 ■アルナス仕置き ヨネアの興した第五軍団 銀の夜明け団は、ファルシス騎士団を壊滅させ、ブレア手中に納めていた……。 ヨネア「男って馬鹿よね、正義とか騎士道とか言って、突撃しか能がないんだもん」 ロイタール「…………」 ロイタールは死の間際、ハイトロームの言葉を思い出していた……。 ―会議室 銀の夜明け団ではドラスティーナを宿将、キオスドールを軍師の様に扱い、3人で軍議を行う事が多かった。。 他の面子は特に軍議には参加せず、各自自由行動を取っている。 レドザイトとポポイロイトはカクレンボなどの子供の遊びを行い、ラングドスはひたすらギターの練習や作詞作曲に明け暮れた……。 ドラスティーナ「次はどうするの?」 ヨネア「ブレアの守りは薔薇十二字団に任せて、このまま北上、アルナス・ウルフを討つわ。」 「元々、スネアは毒蛇とか言われている様な奴だし、大した大義名分はいらないと思うの」 ヨネアの言葉に意外そうな顔をするドラスティーナ。 薔薇十二字団とはニースルーが率いる第四軍団(実質チルクと共同)、ブルーゴブリンを中心とし、フェリル島の経済活性化、交渉、魔法の研究を行っている。 ドラスティーナ「意外ね、てっきり難癖つけて、同盟破棄に持っていって、オステアを攻めるかと思っていたわ」 ヨネア「オステアには興味ないの」 ドラスティーナ「砂漠に興味あるとでも?」 ヨネア「まさか、あたしが興味あるのはその先にあるものよ」 キオスドール「うふふ、ラザム神殿……。ですわね?」 ヨネア「きっと、あの神殿、裏ではきっと悪どい事をしているわよ~」 ドラスティーナ「復讐?」 ヨネア「違うわよ、私に闇の魔法を伝授した、旧・銀の夜明け団の最後の一人に対して特別な想いはないわ、ただ、正義づらして光の魔法を独占し、気取っている奴らが気に入らないだけ」 キオスドール「面白い事になりそうですわね」 ヨネア「ちがうわキオスドール。面白い事になるんじゃなくて、面白い事をしてやるのよ。」 「あいつらを信じている連中にあいつらの悪事を公開し、目を覚まさせてやるの」 ドラスティーナ「……」 ドラスティーナにとって、ラザムがどうなろうと勿論知った事ではない、ただ、ヨネアの親友であるニースルーはこういった事を望まないと思うと、少しだけ複雑な気分になるのであった。 翌日ヨネアは宣戦布告をアルナス・ウルフに対して行い、進軍を開始する。 ―ムクガイヤ本軍 陣営 ムクガイヤ「ヨネアがアルナスを攻めただと?」 サルステーネ「はっ」 ムクガイヤ「別に、アルナス・ウルフがどうなろうと別に構わぬが……」 砂漠の経済効果は薄く、そして戦線が延びてしまうのは好ましく無い。 アルナス・ウルフとは利害が一致すれば一時的に同盟を結び、ラザムや魔王軍との戦いに利用する事もできるので、ヨネアの取った行動は想定外という他なかった。 ムクガイヤ(少し、自由にさせすぎたか……) サルステーネ「呼び戻しますか?」 ムクガイヤ「いや、もう過ぎた事だ。ニースルーにヨネアの行動に気を配る様に伝えよ」 サルステーネ「御意」 このヨネアの個人的進軍が大きく歴史を動かす事になる。 その頃、魔王軍は北上し、グリーンで、ラザムと激しく交戦。 聖騎士ラファエルと神官戦士ホルスとの戦い、ラザムは悪魔の天敵とも呼べる存在で、苦戦を強いられた。 一時はグリーン古城まで兵を進めていたルーゼルだが、ラザムの総攻撃に合い、クイニックまで兵を引いていた。 この時、リュッセル半島では、リュッセル国がリグナム火山に追い詰められていたのもあって、余裕の出来たリューネ騎士団はラザムに援軍を送り、魔王軍を挟撃する。 レオーム家も、ムクガイヤ魔術師団との戦いは防衛に集中させ、北上し、魔王軍を攻め、魔王包囲網を敷いていた。 ―ラザムの使徒 陣営 グリーン古城を攻略し、レオーム家と、リューネ騎士団の協力もあって、勢いづくラザムの使徒。 しかし、この時、光の賢者イオナに銀の夜明け団が砂漠を進軍しているとの報が届く……。 イオナ(銀の夜明け団の目的は、ラザムの神殿!?) このヨネアの取った行動が、ラザムの闇を知るイオナにとって、苦渋の選択を迫られる事になる……。 イオナ「ラフェエル殿、ホルス様、ラザムの使徒はここを引き上げ、ラザム神殿の奪還に入ります」 ラファエル「何と申されたイオナ殿!? この状況で兵を引くのか?」 ホルス「イオナ、今、僕達は魔王を追い詰めているんだぞ? このままゴート様やアルティナ様と強力すれば魔王を倒せるんだ」 イオナはアルナス汗国にラザムの神殿が制圧されても、魔王討伐を優先し、アルナスウルフに制圧されても魔王討伐を優先した。 それが今になって、魔王討伐よりも神殿奪還を優先すると言い出し、ラフェエルとホルスに動揺が走った。 イオナ「理由は申せません」 ラファエル「しかし、となれば、魔王軍をどうする?」 イオナ「魔王軍に停戦を申し入れます」 ホルス「なっ!?」 ラファエル「正気か?」 「魔王軍がそんなものを受け入れるわけが無い。」 「それに我々が引けば、レオーム家はともかく、グリーン地区や、リューネ騎士団はどうなる?」 魔王討伐に協力しているグリーン・ウルス勢も、リューネ騎士団もぎりぎりの状態で戦っている。ラザムが引けば魔王軍に蹂躙されるだろう。 イオナ「グリーン地区はグリーン・ウルスに返し、リューネ騎士団は身捨てます」 ホルス「そんな!」 イオナ「それが決定事項です」 ―魔王軍 陣営 パルスザン「まさか、人間がここまでやるとは……」 包囲網を敷かれ、予想以上に苦戦を強いられ、確実に魔王軍の中に焦りが生まれつつあった。 何より、ホルスとラファエルの攻撃を受け、グリーン古城を手放す事となり、ルーゼルが初めて退却させられたのだ。 フーリン「完全に人手不足だなー。仕官する武将が少なすぎる」 パルスザン「おかしい……。ゲートが開き多くの悪魔がこの地へ来ている筈だが、何故、ルーゼル様に臣下の礼を取りにこない」 ムナード「…………」 いつもなら、ここでパルスザンを無能と罵倒するところだが、追い詰められた状況に沈黙を貫いた。 ショハード「兄貴、ラザムから書状が届いたぜ!」 その場にいる全員の悪魔が意外な顔をする。 この状況で何を伝えるというのか? ルーゼル「停戦だと?」 ラザムの使徒の書状には、停戦の申し入れが書かれていた。 明らかに今は魔王軍は包囲され、ラザムに分があるというのに……。 ルーゼル「気に入らんな、だが何故だ?」 パルスザン「向こう側にとって何か一大事が起きたのが原因かと」 ルーゼル「一大事? 私よりも優先すべき事があるだと?」 この後回しにされたというのが現世に並ぶもの無しとされるルーゼルにとって、不愉快極まりなかったのはいうまでもない。 パルスザン「おそらく……」 フーリン「で、どうしやす? 当然、突っぱねますよね?」 パルスザンとしては、体勢を立て直すため、正直受けたがったが、悪魔の種族性、ルーゼルの性格を考えて、進言をためらっていた……。 ルーゼル「いや受けろ」 フーリン「へ? 受けるんですか?」 ルーゼル「そうだ、フーリン、奴らの動向を探れ、このルーゼルよりも優先すべき事象があるなら見てみたい」 パルスザン(何はともあれ、これで、立て直しを計る事ができますね……) フーリン「わかりやした」 ―ラザムの使徒 陣営 手を休める事なく、撤退の準備を進めるラザムの武僧達。、 ポートニック「ちょっとどういうことだわさ、この状況で引き上げるとか、グリーンはどうなるだわさ?」 ピヨン「ボク、ピヨンヨロシクネ」(抗議の声) イオナ「誠に申し訳ございませんが、ラザム神殿の危機なのです。お察しください」 淡々というイオナに余計苛立つポートニック。 ポートニック「だから、グリーンはどうなるだわさ?」 イオナ「グリーンは返還致します。ラザムの神殿を奪還すれば、必ず援軍に駆けつけると約束します」 ポートニックは淡々と喋るイオナを見て、交渉の余地が無い事を悟る。 心情的には、援軍などいらんと突っぱねたかったが、後々を考えて、口を閉じた。 カルラ「お願いですぅ。カルラ達を見捨てないでください」 向こうではカルラが必死にホルスに懇願している。 ホルスは悔しさと悲しさで何も言えずに俯いていた。 ホルス「……すまない……カルラ……本当に……」 そういってホルスは、カルラ達に背を向け歩きだした……。 ■ゲルニード ―穹廬奴の湿地帯 ムクガイヤ魔術士団に降伏したリザードマン達は、リュッセル国の要塞、リュッセル城を攻めるに当たって、物資を前線に輸送していた。 チョルチョ「単于、穹廬奴を取り戻すため、私と共にリュッセルを攻めましょう。単于が動けばリュッセルなど敵ではありません」 チョルチョは、ゴブリンが元々、フェリル島を巡って、ムクガイヤ魔術師団とは敵対しており、成り行きで共闘、そして今では第ニ軍団としてその地位を不動のものにしている事に目をつけていた……。 つまり、種族を問わず、ムクガイヤの覇業で、功績を残せば当然、権力を手に出来る。権力を手にすれば、湿地帯の自治も勝ち取れるかもしれない。 湿地帯を抑えれば、穹廬奴を再び興す事もできるのではないかと考えたのだ。 現時点で、ムクガイヤは大陸の半分以上を制圧しており、手柄を立てるチャンスは少ないが、あのルルニーガが戦果を上げられないでいるリュッセルを攻略すれば、大きな戦功を上げられると踏んでいた……。 しかし、女性である自分の指示に従うリザードマンは少ないため、そこで慕うゲルニードに再び穹廬奴を指揮して欲しかったのだ。 ゲルニード「リュッセルを……? 馬鹿を申すな、あそこは以前攻めたが、難攻不落だったではないか、それに人間のために戦うなど……」 ゲルニードにはかつての覇気がない。 自分の尊敬するジェイクを死なせ、穹廬奴は降伏し、国を潰したのである。 チョルチョ(単于は、すっかり自信をなくしておられる……。しかし、皆を纏めるのは単于以外に無い……) チョルチョ「単于、しかしこのまま、リザードマンが何もしなければ無用の種族として粛清を受けるかもしれません」 ゲルニードはチョルチョの方は見ずに黙って聞いている。 チョルチョ「今は、ここを制圧したフェリル党の一存で、何もありませんが、我が種族を嫌う人間は多い」 「ここで結果を出さなくては、たとえ、粛清されなくても、人間の奴隷として扱われます」 ゲルニード「チョルチョよ、おまえの言いたいことはわかった……。」 「しかし、勝たなくては意味が無い……。」 「だが、俺は、兵を上げたがどこと戦ってもまともに勝てなかった……。」 「もはや、魔法も武器も発達し、穹廬奴の様な剣のみで戦って勝つことなどできんのだ……。」 チョルチョ「単于、ならばせめて私に兵を預けてください、私が何とかして単于のためにきっと穹廬奴を再興しますから」 ゲルニード「…………」 ゲルニードは無気力だったが必死に懇願するチョルチョについに折れ、今でも自分を慕うリザードマン達にチョルチョに全面的に協力するよう伝えた……。 チョルチョは人員を確保し、改めて考える。何故自分達が勝てないのか? 確かに、ゲルニードの言う通り、以前、リュッセル城を攻め、何の戦果も上げられず敗退したのである。 しかし、リザードマンは人間とは根本的に筋力が違う、純粋に殴りあったらどの種族にも負けないだろう。戦闘において有利な種族であるのは間違いの無い事実なのである。 今の時代でも、剣や槍といった武器は主流で、決して魔法や弓などの飛び道具だけが戦で活躍しているわけではない。 それに、わずかではあるがリザードマンにも弓を使う部隊は存在する。 チョルチョ「土門がいてくれれば……」 兵法に通じたジェイクがいれば、助言を仰げるだろう。しかし、もういない、そしてこれからは自分が単于に助言をする存在にならなくてはならないのだ。 何としても、リュッセル城を攻略し、リザードマンでもできるという事をゲルニードに証明して見せて、再び立ち上がってもらおうと考えていた。 しかし、こうして必死に知恵を絞ろうとすると、自分が何も知らない事に気付く……。 ふと周りを見渡してみる。 以前はどこを見てもリザードマンしかいなかったが、今では人間、ゴブリン、そしてわずかではあるがエルフもいる。 チョルチョ(知らざるを知らずとなす。これ知るなり……) (人を以て言を廃せず……) 以前、ジェイクに習った偉人の言葉を思い出し、チョルチョは、人間、ゴブリン、エルフになけなしの財産をはたいて、戦に関わる書籍を買った……。 …………………… チョルチョは、多種族から購入した戦に関連する本を読み漁っていた……。 穹廬奴は多種族を見下す傾向があり、積極的に他の文化を取り入れようとはしない、以前ダガーを取り入れた事があったが、基本的には魔法や飛び道具に対して物凄く抵抗があるのである。 そういった、良い物は良いとしない事に敗因があるのではないかと考えたのだ……。 チョルチョ(今は相手がリザードマンと見れば、一斉に距離を取って魔法を唱えたり、こちらの得意とする接近戦は極力避けてくる……) 改めて、敵の出方を考えると、既にリザードマンの種族性というものが相手に理解されており、そこを突かれているようだった。 チョルチョ(リザードマンは魔法に対する抵抗力が弱い……。しかし、今から魔法を学ばせるには時間がかかる……) チョルチョはリザードマンの中では巫女と言う事もあり、魔法が使え、魔法抵抗力も高い、 しかし、個人でどうこうなる問題でもなく、また、リザードマンとしては高くても人間と比較すれば秀でた物をもっているわけではなかった。 チョルチョ(魔法の抵抗を上げる事はできなくても、相手がこっちの苦手とする攻撃をする前に倒せれば……) チョルチョ(となると武器か……) チョルチョ「イオード」 イオード「ん?」 チョルチョは、穹廬奴で唯一弓兵を率いるイオードに声を掛けた……。 ■ラザム神殿 ―銀の夜明け団 陣営 ヨネア率いる銀の夜明け団は、快進撃を続け、アルナス・ウルフをラザム神殿に追い詰めていた。 ヨネア(バカね……。ホラガスに逃げれば良かったのに……) 悪魔の軍勢にとって、アルナス・ウルフなど敵ではなく、毒蛇スネアを捕え、速やかにラザムの神殿を制圧する。 ラザム神殿にいた信者は殆どがスネアの手によって、殺されていたが、人質として使うためなのか、わずかだが閉じ込められている者達がいた。 ドラスティーナ「神殿まで来たけど、どうするの? ここで」 ヨネア「必ず記録が何処かに残されているから、それを頂くのと、後は光の魔法のノウハウが書かれた魔術書ね、これを一般公開してやるのよ」 ドラスティーナ「わかったわ」 率いるデーモンとリッチーに捜索を命じ、色々と内部を調べるが、一向に見つからない。 飽きたのかレドザイトは床に猫の落書きを始め、ポポイロイトはふん縛ったスネアの顔に落書きをしている。 ラングトスは座り込んでギターの練習を始めた……。 ヨネア「全くあいつらは……、あまり時間はかけたくないのよね……」 ドラスティーナ「本当にあるの?」 ヨネア「ある筈よ、無いわけないし……」 「気は進まないけど、キオスドール、ラザムの関係者の精神に入り込んで隠し扉とかが無いか調べてもらえない」 キオスドール「うふ、わかりましたわ」 キオスドールは淫魔という事もあり、人の精神に入り込むのは得意だった。 スネアに捕えられていた適当な、男性信者を見をつけ、あっさりと誘惑し情報を吐かせる。 隠し階段を見つけたヨネア達は、そのまま地下の探索に入った……。 ヨネア「これよこれ」 ヨネアはうれしそうに見つけた光の魔術書を用意したリュックに放り込んでゆく……。 ドラスティーナは年号がタイトルになっている書籍を見つける。 ドラスティーナ「ヨネア、これじゃないかしら、ラザムの記録」 ラザムが、過去に行ってきた事が詳細に書かれている。 そして、確かに、10年前、銀の夜明け団のメンバーを皆殺しにしていたことが書かれており、 中でも酷かったのが、200年以上も前の話ではあるが、魔女狩りと称して、多くの罪の無い女性を殺していたことがわかった……。 ドラスティーナ「これが黒歴史って奴ね、どっちが悪魔かわからないわ」 そういって、その書籍を片っ端から収拾していく……。 ヨネア「これはお持ち帰り、これもお持ち帰り、これはいらない、これはお持ち帰り」 買い物でも楽しむかのように、いるものといらないものを選別して行く……。 ドラスティーナ「小説?」 本棚の中に「屍姫」と銘うたれた書籍を見つけた。 ドラスティーナは個人的好奇心により手に取りパラパラとめくる……。 その時、よく知った気配を感じとった。 ドラスティーナ(この速さこの魔力、間違いなくあいつね……) ドラスティーナ「ヨネア、一回地上に出てくる」 ヨネア「わかったわ」 ドラスティーナは場を離れ、迫って来る魔力の方へと向かった…… ……………… ドラスティーナ「久しぶりね、フーリン」 フーリン「これはこれは姐さん、こんな所で何してるんすか?」 ドラスティーナ「何って、今、私は人間に仕官しているのよ。そっちこそ何しに来たのよ? 魔王軍は今、ラザムと交戦中でしょ?」 フーリン「姐さんが人間に仕官!?」 ドラスティーナ「そうよ、何か文句ある?」 フーリン「いえ、別に何も、しかしルーゼル様が知ったら」 ドラスティーナ「ルーゼルと言えど、指図は受けないわ」 ドラスティーナ「もし、銀の夜明け団と、魔王軍が戦になったら、私はその主の側で剣を抜くつもりよ」 フーリン「マジすか? …………。こりゃ荒れそうだ」 他人事の様に言うフーリン、この悪魔はあまり他人に干渉したり、自分の考えを押し付ける事を好まなかった……。 フーリンとしても、ドラスティーナが敵側として剣を抜けば、魔王側として戦うまでである。 ドラスティーナ「それよりも、シャルロット知らない? あの子、奴隷階級だけど回復魔法使えるし、仲間に引き入れたいのよね」 フーリン「何いってんすか姐さん、シャルロットはパルスザンのコレですよ」 笑いながら小指を立てて見せる。 ドラスティーナ「そうなの!?」 しかし、よく考えてみれば、パルスザンは悪魔にしては珍しく差別意識が無く、他人を否定して見るのではなく、良い所を見つけようと肯定的に見る。 総合的に劣っていても、突出した才能を持った者は積極的に登用し、適材適所を心がけている。 ドラスティーナ「パルスザンならありえるか……。本題だけど、どうしてここに来たの?」 フーリン「敵になるかもしれない、姐さんに言っていいかわかりやせんが、 ラザムからは停戦の申し入れがあってルーゼル様はそれを受諾したんですよ。 それで、停戦に至った理由を調べに、ヤツらの後を追っていたら、姐さんの力を感じたので、奴らがつくよりも先に……」 ドラスティーナ「停戦? ラザムは今こっちに向かっているの」 フーリン「血相変えて向かってきてるっすよ。」 ドラスティーナ「ちっ……」 ドラスティーナは神殿へ引き返した……。 ……………… ヨネア「何かしらこの扉?」 ヨネアはラザム神殿の地下施設の最下層にある大きな扉を見つけた。 派手な装飾がしてあり、強力な呪法で封印してある。 見るからに、一部の人間にしか見せられない秘密が詰まっているのは明らかだった……。 ヨネア「開かないわね」 ヨネア(ラザムの黒い部分が隠されているのかしら? それとも宝物庫って奴? どちらにしてもワクワクするわね) キオスドール「恐らく、一部の人間にしか開けられないようになってますわね」 キオスドール「この扉は、特別な呪法が施されていて、ここの石版に手の平をあて、ここの宝玉を見る事で、その者を判断します。 そしてその者が、定められた呪文を唱える事で、初めて開く事ができます」 ヨネア「手の込んだ作りね」 ヨネアは、魔法で破壊を試みたが、半ば予想通り、ビクともしない。 ヨネア「スネアが捕えたラザム関係者の中に開けられそうな奴いないかしらね」 ヨネアはキオスドールを連れ、アルナスウルフが閉じ込めたラザム関係者のいる部屋に行く。 縛られた信者達に向かって、ヨネアは叫ぶようにして言った ヨネア「ねえ、最深部にある派手な扉をあけたいんだけど、誰か開けられる人いない? 扉を開けてくれればここにいる全員を解放するわ」 信者達がざわつく、そもそも、地下施設がある事すら知らない者も多いようだ……。 だが、キオスドールは信者達の挙動を観察し、明らかに一部の信者達の視線を集め、逆にあえて視線を送られない男が一人いる事を見抜いた。 キオスドール「あの方ですわ……」 キオスドールに指さされたその男は、年輩で格好こそ一般信者と何ら変わりない服を来ていたが、巧妙に自分の高い魔力を隠していた……。 男の名前はステファノといって、教団幹部である。 当然見抜かれた事で、信者達の間で動揺が走る ステファノ「…………」 ヨネア「ちょっと来てもらうわよ、置いといてもしょうがないし、残りは解放してあげて」 見張りを任しているアークデーモンとノーライフキング達に解放の指示を与えた後、縛った状態のステファノを地下施設の扉の前まで連れて来る。 ヨネア「ここを開けて欲しいんだけど」 ステファノは何も答えない。 ヨネア「素直になった方が身のためよ、言う事を聞いてくれれば命まではとらないわ」 ステファノ「お前が銀の夜明け団の生き残りか……。これは復讐のつもりなのか?」 ヨネア「復讐? 私はそこまでバカじゃないわ、ただ単に、アンタ達が気に入らないだけよ」 ステファノ「気に入らないだけで、ここまでやるというのか?」 ヨネア「そうよ、アンタらは大陸各地で治療とか行って正義の団体みたいなツラしているけれど。詐欺という名の奇跡を起して信者と金を集めているだけじゃない」 ステファノ「言ってくれるな……。銀の夜明け団は黒い事をやっていなかったとでも?」 ヨネア「知らないわよそんな事」 「あたしは銀の夜明け団って名称が気に入っただけで、メンバーだったとか生き残りとかじゃないの」 「ただ闇の魔法を教えくれた名も知らない人が、最後の一人だったってだけ」 ステファノ「ふん、魔王を召喚し、大陸を危険に曝した者がラザムを否定するのか」 ヨネア「魔王を召喚したのはムクガイヤの命令、その責任はあいつにあるの、あいつがそれに至ったのは政治の腐敗が原因」 ステファノ「口だけは達者のようだな」 ヨネア「どうでもいいわよ、んで、開けてくれるの開けないの?」 ステファノ「開けると思うか? そこにはお前には想像もできないラザムの闇が詰まっている」 「忠告してやるが、開ければ魔王降臨以上の大惨事が起こる。それでもいいのか?」 ヨネア「キオスドール、精神を支配するってできる?」 面倒くさいと判断したヨネアは強引な手に出る。 キオスドール「うふ、禁欲の厳しい修行を積んだ者なので、誘惑はできませんわ。」 「それに、修行を受けた高位の僧侶の精神を無理に操ろうとすると廃人になりますわよ?」 ヨネア「構いやしないわ、できるならやって」 キオスドール「うふふ……」 ステファノの精神に入り込み強引に、扉を開く魔法を唱えさせる。 ドサッ ステファノは白目を向き、口をパクパクさせていた……。 キオスドール「あらあら、おかわいそう」 ヨネア「ふん、素直に開けてくれれば、ここまでしなかったわよ」 ヨネアはキオスドールの皮肉とも受け取れる言葉には全く動じず、そのまま中へと入っていく……。 しかし、その中は、ヨネアが想像していたものとは違っていた。 ヨネア「何これ、モルグ?」 死体置き場の様な部屋で、包帯の様な布でグルグル巻きにされた死体の様なものが多数、安置されている。 キオスドール「この雰囲気、ゾクゾクしますわね」 ヨネア「聖人のお墓? 死体安置所とかかしら? それにしては何ていうか雑に扱われているし、禍々しい感じよね」 光とは相いれないのは勿論、闇ともまた違った感じである。 ヨネア(この禍々しい感じ何処かで……) ヨネアが感覚を研ぎ澄ませて力の出所を探ると、そこには装飾の施された小さな箱を見つけた。 中には、黒いながらも輝く多面体が入っている。その禍々しさは、マクラヌスと良く似ていた……。 ヨネア「何かしらこれ? まあいいわ持って帰って研究しよう」 一旦、棚に戻し、次は布でぐるぐる巻きにされた死体らしきものを良く見てみる。 ただの布ではなく、魔力を帯びている事がわかる。何かを封印するように……。 ヨネアは直感的に、これは危険な物で、ラザムでは完全に処分できないため、保管に止めていると認識した、しかし、湧き上がる好奇心には勝てなかった……。 ナイフを取り出し、布を斬ろうと刃をたてる。 ヨネア(中々、丈夫な布ね……) そうこうしている内に、ナイフが布を遂に裂き中を見る事ができた。 ヨネア「あれ?」 中身は空だった。繭の様にも見える布の中は何も入っておらず空洞だったのである。 ヨネア(いや……確かに、何かあったわ) ヨネアは最初に触った時の感覚を思い出し、中身があった事に間違いないと結論づける。 キオスドール「ヨネア様!!」 キオスドールが悲鳴の様に叫んだ。 ヨネア「え?」 気が付くと、ヨネアの周りには大鎌を持った水死人のような青白い顔をした者達が何人もいたからである ヨネア「何よこいつら?」 屋内と言う事もあって、物理的な破壊力の無い、相手の精神に働きかける広範囲魔法、イリュージョンを唱えた。 しかし、全く言っていい程、効いていない。 キオスドール「ドロウンバブル」 キオスドールの水の魔法が、わずかに相手の動きを鈍らせる。 キオスドール「ヨネア様、今の内に」 ヨネアは見つけた多面体を回収しようと置いた棚を見るが、しかしそこにあった筈の多面体は無くなっていた。 探している暇は無いと判断し、キオスドールに言われた通り、部屋を出る。 異変はここだけではなかった、地上階からも大きな禍々しい力を感じ取った……。 ヨネア「何が起こったっていうのよ!」 ヨネアは薄々感づいていた、ラザムの最深部では、禍々しい存在を封印しており、それを自分が解いてしまった事を……。 ……………… ドラスティーナ「ポポイロイト、アンタ一体なにやったの!?」 ふん縛った、毒蛇スネアが断末魔の様な悲鳴を上げながら、明らかに人ではない何かに姿を変えようとしていたからである。 ポポイロイト、レドザイト、ラングトスの3人は揃って首を横に振る。 ドラスティーナ(それもそうよね、幾ら悪魔でも此処までの事は! まずい、力がどんどん大きくなっている) 今もなお大きくなるスネアの禍々しい力を感じ取り、いずれ自分の力を超える事に勘づき剣を抜く……。 ドラスティーナ「火炎斬!」 炎の剣で、スネアを攻撃するが、まるで介さない。 ドラスティーナ「ちっ」 スネアを無視して、ヨネアを助けに行くか、倒して行くか、苦渋の決断を迫られる。 ドラスティーナ「ラングトス、2人と兵を連れて先にここを脱出しなさい、私はヨネアを連れて来る」 ラングドスは言われたとおりにレドザイトとポポイロイトを連れ、屋外へと向かう。 ドラスティーナ「やっぱり、無視して通してくれるほど、甘い相手ではないわよね」 スネアに向かって斬りつけるが、スネアの圧倒的力を前に成すすべもなく、防戦一方となる。 フーリン「しょーがねーな姐さん、その姐さんの今の主ってのを俺が連れきてやるよ、だから姐さんはそいつを引きつけておいてくれ」 ドラスティーナ「フーリン! …………。わかったわ、ありがとう」 フーリンに借りを作るのに躊躇いつつも、素直に礼を言う。 一方ヨネアとキオスドールは湧き出た死霊に包囲されていた。 ヨネア「一体、何なのよ」 エクスプロージョンを一か八かで使おうかとも思ったが、地下なので間違いなく瓦礫の下敷きになる。 その時、フーリンが駆けつけ、死霊を蹴散らし、突破口を開いた。 フーリン「こっちだ」 ヨネア「あんた誰よ?」 いきなり現れた、悪魔に戸惑うヨネア。 キオスドール「行きましょう、ヨネア様、考えている暇はありませんわ」 ヨネア「何よ何よ! いきなり現れて」 文句を言いながらも後を追う、地上階に出る事に成功し、ドラスティーナの魔力の方へ向かって走った。 ドラスティーナ「遅いわよ!」 ドラスティーナは巨大な蛇の様な外見となったスネアと交戦し、既に傷だらけになっていた。 ヨネア「ごめん」 ドラスティーナ「逃げるわよ」 そのまま、死霊達を交わしながら、外へ出る。 ヨネア一向は、そのまま砂漠の方へと向かって走った……。 ヨネア「ぜえ、ぜえ、ここまでくれば少し休めるわね」 フーリン「ひゅう……。すげーなこりゃ」 神殿から溢れ返る死霊の軍勢を遠目に、この様を楽しんでいる。 ヨネア「あんた誰よ」 ドラスティーナ「こいつは、魔王の側近よ」 ヨネア「何で、魔王の側近がここにいんのよ」 ドラスティーナ「そうだったヨネア、ここには間もなくラザムの軍が戻ってくるわ、急いで退散しないと」 ヨネア「えっえっ、何でどうして」 フーリン「じゃっ、俺はこれで、姐さん生きていたらまた会いやしょう」 そう言って、フーリンは動揺するヨネアを無視して魔王軍の方へと飛び立った……。 ドラスティーナ「話は後よ、ブレアまで戻るわよ」 ドラスティーナはヨネアを引っ張るようにして先に進む、ここでモタモタすれば、ラザムと死霊に挟まれる事になるからだ。 ………………… ―銀の夜明け団、陣営 何とか迫りくる死霊の軍団を引き離す事ができた銀の夜明け団だったが、アルナス砂漠に出る前に、ラザムの使徒とぶつかる事がわかる。 ドラスティーナ「死霊は私達に特別な感情を持っているわけではないから、進行速度はそこまで速くないけど、このままだと、砂漠に着く前にラザムと激突するわね」 キオスドール「交渉もできませんわね、神殿をめちゃくちゃにしてしまわれたわけですから」 ヨネア「わかっているわよ、こうなったら戦うまでよ」 ヨネアは疲れ切っている悪魔達に号令をかけた…… ―ラザムの使徒 陣営 神殿の方から禍々しい力が湧き出ているのを確認する光の賢者…… イオナ「やってくれましたわね、銀の夜明け団……」 ラザムの深部に封印されていた死霊が解き放たれた事を悟る。 ホルス「イオナ、神殿で何が起こっているんだ?」 イオナ「ホルス様、ラファエル殿、明日は魔王軍より強大な敵と戦う事になるとお考えください」 イオナはホルスの問いには答えず、戦いが近い事を2人に伝えた。 偵察隊「イオナ様、お耳を……」 その時、偵察隊から、ラザム神殿と自軍の間に悪魔の軍勢を確認したとの報が入る。 イオナ「……そのまま、蹴散らしましょう。」 「ホルス様、ラファエル殿、偵察隊が悪魔の軍勢を確認しました。おそらく銀の夜明け団の一党と思われます。」 「今より戦に備えてください」 ホルスもラファエルも、釈然としないまま戦いの準備に入った……。 ―ルートガルド城 トライドの病室 宮廷医管であるデッドライトが窓を開けて、ラザム神殿のある方角を見ていた……。 デッドライト「異界の淵門が開いた。まさか人が自ら開けるとは……」 眠っているトライドに目をやる……。 デッドライト(この際、こっちも開けてしまおうかしら?) (いえ、もう少し待てば、彼が全軍を王都に集結させ、ここに攻めて来る、その時に……) ■VSラザムの使徒 ヨネア率いる銀の夜明け団と、ラファエル率いるラザムの使徒が対峙した……。 イオナ「……」 イオナ(あれが銀の夜明け団のリーダー……、魔王の召喚といい、封印されていた死霊の解放といい、碌な事をしませんわね) ラフェエル「行くぞ皆の者!」 ラファエルが号令をかけ、ラザム使徒が動きを見せるが、馬に乗っているのはラファエルのみなので、後続をどんどん引き離し、実質単騎で向かって来る。 ドラスティーナ「後続が追いついてないじゃない、単騎で向かって来るなんて」 ヨネア「まあいいわ、そんなに死にたいなら、死ねばいいのよ」 ヨネアがラファエルに集中砲火を浴びせるため、号令をかけようとした時……。 ラファエル「光竜剣!」 ラファエルが放った光の刃は、ヨネアのみを狙っていた! ラファエルは総大将が魔術師という、肉体的には並の人間と変わらない事に目をつけ、単騎で向かって油断を誘い、総大将を一気に討ちとってしまおうという大胆な作戦に出たのだ。 その後、後続のホルスが追い付き、ラフェエルの援護に入る。 完全に出鼻を挫かれた、銀の夜明け団は、ラザムの使徒に散々に蹴散らされ合戦はラザムの圧勝に終わる。 銀の夜明け団は散り散りとなって砂漠の方へ逃げたため、イオナは追うような事を命じず、死霊の軍団の戦いに備えさせた……。 …………………… ヨネア「こんな事になるなんて……」 ヨネアは、何とか逃げ延び、砂漠を横断していた。 魔法による飛行の速度は決して遅い物ではなかったが、先の戦いで負傷したドラスティーナを抱えているため、本来の速度で飛行できずにいる。 ドラスティーナは光竜剣からとっさにヨネアを庇い、そのまま肩から胴にかけて深い傷を負っていた……。 光の刃は、ドラスティーナの体を貫通し、翼を斬り飛ばしている。そのためヨネアが抱えて逃げるしかなかったのである。 ドラスティーナ「……ヨネア、私を置いて………行きなさい、流石に無茶よ、この速度で……砂漠を横断するなんて」 ヨネア「うるさい、怪我人は黙ってなさい、それにアンタらしくないわよこんなところで諦めるなんて」 ドラスティーナ「……あら? 私は無理なものは無理と諦めるタイプよ……」 ヨネア「ブレアに戻ったら説教してやるんだから」 ドザッ ヨネアが飛行に使っている魔法の杖から落下する。 何かにぶつかったとか、強風が吹いたわけではない、単純に魔法力が尽きたのである。 砂漠であるため、ここで倒れれば命は無い……。 ヨネア「レドザイトが居ればまだ、なんとかなったのに……」 冷気の魔法を得意とするレドザイトが居れば、灼熱の暑さを凌ぎ水の確保ができただろう。 動きが止まり、急に仲間の無事が気になりだす。 ヨネア「……あの子達は無事……逃げれたかしらね? ねえドラスティーナ?」 返事は無かった……。 ドラスティーナは既に意識を失っており、生死はわからない……。 ヨネア「ごめんね、バカなリーダーで……」 ドラスティーナに一言謝るとヨネアは目を閉じた……。 ―クイニック 魔王軍 陣営 最速の悪魔であるフーリンが、ラザムの真意を確認し、戻ってくるのに左程時間は掛からなかった。 ルーゼル「死霊の軍団か……。奴らは私と知の無い死霊如きを天秤に掛け、死霊を選んだという事か」 フーリン「そうなりやすね」 ルーゼル「わかった、もういい。停戦など破棄だ、不快な生き物どもは皆殺しにしろ」 ショハード「ひゃはっ! 虐殺最高」 フーリン「後、ルーゼル様、ドラスティーナ様を敵陣営てか、あのムクガイヤの陣営に加わっているのを確認しやした」 ルーゼル「何!? ドラスティーナが!?」 フーリン「まあ、あの野郎に仕えているというよりも、人間の魔術師の娘を面白がってあれこれ手を貸しているって感じでしたけどね」 ゼオン「おい、その娘は、闇の魔法を使う生意気な小娘じゃなかったか?」 フーリン「そうそう」 拳を握りしめ、バキバキと間接を鳴らす……。 ゼオン「あのガキ! 捻り殺してくれる」 ゼオンはヨネアに召喚され、そのまま強制送還された屈辱を思い出していた……。 ルーゼル「ドラスティーナは放っておけ」 「私は、グウェン、リリックと共に、ラザムと決着をつける。」 「パルスザンとフーリンは、リュッセル半島の竜騎士共を討伐、ムナード、お前は残りを率いて雪原を攻めよ。」 ムナード「仰せのままに」 パルスザン「かしこまりました」 魔王軍は3手に分かれ、再び侵攻を開始する……。 ―ムクガイヤ魔術師団 本軍 魔王軍を追い詰めていたラザムの使徒が、急に兵を引いたとの報が、ムクガイヤの元へ届いた。 ムクガイヤ「ラザムが引いただと?」 サルステーネ「はっ、その様でございます」 ムクガイヤ「追い詰めていたのに兵を引くとは……。魔王を倒させてから王都に進行するつもりでいたが予定が狂ったな……」 ラザムの使徒は魔王軍に対してアドバンテージを持っていた。 ならば、魔王軍と自軍で雌雄を決するよりも、魔王軍をラザムの使徒に討伐させてから一掃すればよいとムクガイヤは考えていた。 サルステーネ「ラザムの使徒は、ラザム神殿の奪還に向かったようですな」 ムクガイヤ「しかし、何故今更、神殿よりも魔王の討伐を優先していたというのに」 サルステーネ「一説によりますと、ヨネア様のアルナス砂漠への侵攻によるものと」 ムクガイヤ「闇の魔法を、この世から消すためにか?」 「しかし魔王討伐より優先順位が高いとは思えんな、まあいい、リュッセルはどうなっている」 サルステーネ「ラザムの使徒が撤退したため、リューネ騎士団は魔王軍の猛攻を防げず多くの兵力を失った所、息を吹き返したリュッセル国に滅ぼされた模様ですね。アルティナの生死は不明です。」 ムクガイヤ「目の前の敵国を無視して、大義のため魔王討伐に参戦した者の末路などこんなものか……」 サルステーネ「現在、グリーン・ウルスと魔王軍が交戦中ですが、魔王軍がグリーンのほぼ全てを制圧しているようですね。」 ムクガイヤ「こうなると悠長に構えてもいられんな、フェリル党にリュッセル国を早急に落とさせ、薔薇十二字団にオステアを服属させるように伝えよ」 サルステーネ「はは」 ■VSリュッセル国 ムクガイヤの命を受け、リュッセル半島に侵攻を開始したフェリル党であったが、空を制する竜騎士相手に、戦果を上げられずにいた……。 難攻不落のリュッセル城を包囲し、兵糧攻めにしようとしても、竜騎士を率いたセレンに蹴散らされる始末、また、軍師スーフェンがフェリル党に反感を持ち潜伏するリザードマン達に激を飛ばし、破壊工作を行われたため、前線に物資の供給もままならいこともあった。 ルルニーガは多大な犠牲を覚悟のうえで、全軍あげてリュッセル城を攻める事も考えたが、決断には踏み切れずにいる。 ルルニーガ「………………、竜騎士の部隊、難攻不落の城、どちらかだったら何とかなるだろうが、両方を相手取るとなると……」 ムッテンベル「親父様、チョルチョと名乗る、リザードマンの巫女が軍議の参加を望んでおりますがいかが致しますか?」 ルルニーガ「チョルチョ……。あの娘か……」 聞き覚えのある名前……。 チョルチョは巫女といってもゲルニードのお気に入りで、軍師の様な役目を負っている。潜伏していたゲルニードが出頭してきた時も、同行していたので良く覚えていた。 ルルニーガ「して、何ゆえ?」 ムッテンベル「何でも、リュッセル城の攻略できると息巻いておりますが……」 ルルニーガ「ふむ……、まあ、良いだろう」 現状、特にこれといった、策があるわけではないので、ルルニーガは軍議の参加を許可したのだった……。 ―フェリル党 陣営 軍議 今回の軍議はいつもと違っていた。 リザードマンであるチョルチョとイオードが参加していたからである。 リュッセルにはリザードマンの軍師スーフェンがおり、その同族を参加させるなどと、不満を持つものもいたが、ルルニーガは解さなかった。 チョルチョ「軍議に参加させていただき光栄にございます」 ルルニーガ「うむ、何でも、リュッセル城を攻略できると言ったそうだが、その真意を聞きたくてな……」 ざわつく一同……。しかし、チョルチョは落ちつき全く動じなかった……。 チョルチョ「はっ。こちらを」 そういって、チョルチョは弓によく似た物を差し出す……。 バルバッタ「なんだこりゃ?」 ムッテンベル「これは?」 ルルニーガ「クロスボウか」 ルルニーガは一時期、人間の文化を色々と調べており、その時、武器について書かれた文献でその存在を知っていた。 チョルチョ「御名答にございます。これは人間の作ったクロスボウを元に、私達穹廬奴で作った弩という新しい武器です」 ルルニーガ「ふむ」 チョルチョ「イオード」 矢は既にセットしてあり、イオードはクロスボウを手に取り矢を放つ、イオードの放った矢は、軽く700ドットは飛んでいた……。 弓よりも遥かに長い射程距離である。 ルルニーガ「大した威力だな……」 チョルチョ「はい、ではこれを」 そういって、バルバッタに弩を渡す。 バルバッタ「意外とでけーなこれ……」 バルバッタはチョルチョから説明を受け、弦を引く。 しかし、弦は固く、どんなに力を入れても引くことができなかった。 バルバッタ「なんだこりゃ、固くて引けねーじゃねーか」 チョルチョ「クロスボウが普及せずに廃れたのは、弦が固くて滑車を使って引かなくてはならず、そのため速射性に欠けました。」 「使う矢も短いものを使わなくてはならず、安定性が弓よりも悪い物でした……。」 バルバッタ「それじゃ使えねーだろ、何しに来たんだてめーわ、そうか、弦を引かせて、俺の指を切断しようって腹だな?」 チョルチョはバルバッタの罵倒など全く気にせず、説明を続ける。 チョルチョ「しかし、使えないのは要するに人間の腕力、筋力の問題です。」 「そしてこのクロスボウではなくこの弩は、クロスボウよりも大型に作り、より長い矢をセットすることができ、安定性の問題も解決しています。」 ルルニーガ「なるほど、そういう事か……」 ルルニーガはにいっと笑い、わざと説明を端折って勿体つけたチョルチョの真意を読み取った……。 チョルチョ「イオード」 イオードが今度は弦を引く、リザードマンの剛腕は、バルバッタではビクともしなかった弦を引き、矢をセットして見せた。 チョルチョは今度はクロスヘルムを用意し、それをイオードに射ぬかせる。 矢は肉厚の鉄で作られたクロスヘルムを容易に貫通していた。 バルバッタ「いっ!?」 ルルニーガ「つまり、この武器で竜騎士を撃ち落とせという事か……」 改めて弩を手に取り思考する。 実践に投入するとなると、この試作品だけではなく、大量に作らなくてはならない。 しかし、この弩が扱えるのは、リザードマンだけである。 ついこないだまで敵だった者達に、その者達にしか使えない武器を大量に与えてよいものかどうか? 弩の部隊を編成すれば、竜騎士達に大きな打撃を与える事ができるだろう。 まだ、使われていない武器なので、対処ができないのである。 対抗策を講じられれば、有利にはなりつつも相手も手強くなってくる。 中途半端な投入は、戦を長くするだけなので、それそうおうのリザードマンの部隊を編成しなくてはならない……。 ルルニーガ「チョルチョよ、ついこないだまで敵だった者達に、強力な武器を与えて部隊を編成するというのは、決して簡単な事ではない……。 「もし、お前達が裏切れば我々の損失は計り知れず、お前達が結果を出せなければ、それ相応の責任が待っている」 「お前にその覚悟があるのか?」 ルルニーガは剣を抜き、切っ先を突き付ける……。 チョルチョは動じる事無く、まっ直ぐルルニーガを見据え……。 チョルチョ「あります。 「元帥がリザードマンの裏切りを懸念されるのはごもっとも、ならば私を人質としてお使いください」 つまり、リザードマン達が裏切る様な事があれば、自分を斬れと……。 チョルチョ「この弩の部隊に用意する兵は、私が単于ゲルニードより直接預かりし信用のおける兵達です。 「兵達の女房・子供は既に人質になる決意をしております。 「この者達を人質にすれば、穹廬奴には誇りがあります、決して裏切りは致しません」 ルルニーガ「ふむ」 嘘を言っている様には見えない……。 しかし、女子供を人質に取れば、流石に人聞きが悪く、ルルニーガ個人としても当然したくない、そのルルニーガの心理を見越しての主張かもしれなかった。 ルルニーガ(良い眼をしているな……) ルルニーガ「女子供を人質とする必要は無い……。これから早速、開発・生産に当たってもらうが、お主は悪いが、ワシの近くにおれ、監視は常につけさせる」 チョルチョ「光栄にございます」 チョルチョは頭を深く下げる。 軍議はそこで終り、早速、材料となる樹木の手配をエルフィスに指示し、イオードの指示でバルバッタ達、ゴブリンに組み立てを命じた……。 ……………………… ルルニーガは、確実にリュッセル城を落とすため、全軍を集結させていた。 わざと、ゴブリン達をリュッセル城から見える位置に配置し、その一方で、新しく編成されたリザードマンによる弩の部隊は、鎧も弩も、緑色に着色し、茂みや森林に布陣させ、リュッセル城からは見えないように配置する。 リジャースド「フェリル党の総軍のようだな……」 セレン「今回で決着をつけたいようですね。」 スーフェン「竜王ルルニーガは、あの阿斗(ゲルニード)と違って、無駄な力攻めをするとは思えぬ、しかし、このリュッセル城をどう攻める?」 スーフェンは何か策がある事は見抜きつつも、真意までは掴めない、ゴブリン達が、ルルニーガの号令に従い、リュッセル城に向かって前進を始める。 スーフェンはセレンやリジャースドに打って出るように指示は出さなかった。真意の読めない、ルルニーガの策を警戒しての事である。 ルルニーガはゴブリンの頭数を生かして、城を包囲するように号令をかけていた。 リジャースド「軍師、うって出るか?」 スーフェン「いや、待たれよ……。この城はそう簡単には落とせはせん。まだ様子をみるべきだ、相手の狙いがわからん」 とはいえ、城を包囲され、力攻めをしてこられる中、城内の兵達は焦り始めた……。 兵力は相手の方が倍近い、今まではルルニーガが犠牲を出さないため、直ぐに兵を引いていたが、今回は、いつもと違って一向に兵を引かないうえに、リジャースドやセレンといった竜騎士の部隊がいつまで立ってもうって出ない、これが城壁を守る者達にとって重圧になっていた……。 一方、フェリル党も、リュッセル城を強引に攻めていたため、多大な犠牲を支払う……。 ムッテンベル「親父様、このままでは犠牲が……」 ルルニーガ「わかっておる、だが竜騎士を引っ張り出さなくてはこの城は落とせない」 籠城戦は我慢比べの様な状況になっていった。 セレン「リジャースド様、このままでは兵の士気が持ちません、私が行きます。軍師殿、ご指示を……」 スーフェン「うむ……。やむをえまい。だがセレン殿、気をつけられよ、ルルニーガは何かを企んでいる。」 セレン「わかりました。深追いはしません」 リジャースドの部隊は城に残したまま、セレンは城の屋上から打って出た。 竜騎士が他の部隊よりも優れている点として、城門を開けずに出陣できるという利点がある。 ルルニーガ「きおったか、待ちくたびれたぞ」 しかし、竜騎士の部隊はいつもの半分くらいで、まだ警戒されているのが見てとれた。 ルルニーガ「リジャースドは未だ城というわけか……」 とはいえ、いつまでも城に張り付いていても犠牲が大きくなるため、兵を引くように指示をだす。 セレンは城に張り付くゴブリン勢を遠くからドラゴンのブレスで蹴散らしていった……。 撤退を始めたゴブリンを追撃し、できるだけ討ち取るか、深追いはせずに一旦城に戻るか? 判断を迷っていると、遠方に、総大将ルルニーガの姿が見えた。 セレン「ルルニーガ!」 セレンは追撃の号令をかけた。ルルニーガの姿を確認し、討ちとってフェリル党の弱体化を狙ったのである。 ルルニーガ「やっと来たか」 警戒され中々うって出てこようとしないリュッセル軍に業を煮やしたルルニーガはわざと自分をエサにして挑発したのだ。 ルルニーガはゴブリンを退却を促しつつ、セレンを引きつける。 イオード「随分待ったな……」 伏兵となった弩の部隊は、ようやっと戻ってきたゴブリンの部隊とそれを追う竜騎士の部隊を見て、弩を狙い定めていく。 弩の利点として、矢をセットすれば、後は力を使うことなく待機できた。 これが弓だとずっと引っ張ってなくてはならないため、狙い定めるという事は難しい。 イオード「まだだ、まだ射るなよ」 イオードはドラゴンのブレスの射程距離、そして、弩の射程距離を考え、セレン部隊の攻撃が届く直前まで引きつけさせた。 イオード「今だ! 放て!」 イオードは一斉射撃の号令をかけた! 一斉に放たれた矢の雨を受けセレンは落竜する。 セレン(矢!? 伏兵? どうして?) セレンは何がどうなったかわからないまま、地面に落ちていった……。 ドラゴンのブレスを警戒し、遠方から撃っているため、当然威力は落ちている。しかし、矢が刺さる事で竜の飛行を狂わせ、騎士が竜から落ちてしまえば、落馬よりも大きなダメージを負う事はいうまでもない。 次々に、矢の餌食になる竜騎士達。 ルルニーガは後退したゴブリンと伏兵だったリザードマンの兵を素早く合流させ、再度、リュッセル城を攻めに向かう。 今度は、弩に焙烙玉をセットし、ゴブリンの投石よりも遥か遠方から城を爆撃する。 セレンの撃退と、先ほどとは明らかに厄介な攻撃を受け、城内は大混乱に陥いった……。 ルルニーガは今度は城を包囲はしなかった。 包囲してしまうと、より城攻めに伴う大きい犠牲を負うからである、ならば、あえて退却路を残し、リュッセル城から追い出してしまえば犠牲を少なくして勝利できる、 もちろん相手を取り逃がすわけなので、リュッセル軍とは再び戦う事になるが、自分達がこの難攻不落の城に入城すれば、相手がおいそれとは攻められない事はわかりきっていた。 スーフェンはルルニーガが退却路をわざと残している事はわかっていたが、かといって籠城を続けていても、全滅は時間の問題なので撤退を促した……。 ルルニーガ「チョルチョよ」 今回の戦でずっと人質として傍らにいるチョルチョに声をかける。 チョルチョ「はっ」 ルルニーガ「見事だ」 チョルチョ「身に余る光栄にございます」 相手に警戒され、籠城戦が長引き、犠牲は予測よりも大きい物となったが、ルルニーガの大勝利と言えた……。 ………………… セレンが意識を取り戻したのは、リュッセル城に運ばれた後の事だった。 矢を受け落竜し、一命を取り留めたのは奇跡に近い事だったが、後続の衛生部隊の治療が速かったのも上げられる。 エルフィス「気がつきました? 確か貴方はアルティナ様の」 セレンはリューネ騎士団に在籍していた時、アルティナに連れられ、パーサの森を訪れた事がある。 そこで、エルフィスとも面識があった。 セレン「…………」 セレンは何も言わなかった……。 エルフィス「しばらくは安静しないといけませんが、命に別状はありません」 セレン「私はどうなるの?」 エルフィス「リュッセル国との交渉に人質として扱われるかもしれません」 セレン「リュッセル国は?」 エルフイス「今はリグナム火山に追い詰められているようですね」 セレン「そう……」 尊敬するアルティナ、親友のルオンナル、そして現在の主リジャースドの安否が気になりだす。 しかし、動けない自分に出来る事がないため、泣くしかなかった……。 ………………… それからしばらくして、リジャースドはムクガイヤ魔術師団に降伏した……。 降伏を決意したのは、セレンもリュッセル城を失った今、どうあがいても勝ち目が無い事が勿論あげられるが、それとは別に、まだアルティナが消息不明だった事があげられる。 アルティナが既にムクガイヤに対し、臣下の礼をとっていれば、リューネ騎士団の再興の話をつけ、以前と同様に直参と郷士の確執にうんざりさせられるところだが、アルティナや直参の騎士がムクガイヤに振っていない今ならば、降伏を条件に、郷士や直参の差別化を廃止し、対等に扱えと言う事ができた。 ムクガイヤからすれば、入植した者達を特別待遇で扱うつもりも、入植以前からいる者達を奴隷にするつもりも全くなかったので、すんなり受け入れた……。 ―セレンの病室 セレン「リジャースド様、降伏されたんですね」 リジャースド「すまねえな、勝てなくて……」 セレン「私の力が……。あの時、ルルニーガを討とうと追撃しなければ……」 セレンが俯いて答える。 確かに、あそこで判断を誤ったが、誤らなくても戦が長引いただけで負ける事に変わりはなかっただろう。 リジャースド「おまえのせいじゃねえよ……。でもな、降伏の条件に郷士と直参の騎士の扱いを対等にしろってつけといたぜ」 リジャースドの方を見るセレン リジャースド「だからもう、悩まなくていいんだ……」 セレン「はい……」 ■ ―アルナス砂漠 アルナス城 ヨネア「うっ……」 ヨネアが目を覚ましたのは、砂漠で倒れてから3日後の事だった……。 砂漠で倒れたヨネアは、援軍に向かっていたニースルーの率いる薔薇十二字団に救助されていたのだ。 ニースルー「起きたのね、よかった……」 ヨネア「ニースルー」 ベッドで寝かされており、ニースルーに看護されていたようだ。 ヨネア「…………」 何がどうなったのかよくわかないが、記憶を辿り、自分達がラザムの使徒に敗北し散り散りになった事を思い出す。 ヨネア「ドラスティーナは?」 ニースルー「無事よ」 ヨネア「ポポイロイトはレドザイトは、あとそれから……」 ニースルー「皆無事よ……」 取り乱すヨネアを落ちつかせる。 ヨネア「そう……。よかった……」 ニースルー「全く、無茶しすぎよ。それから、砂漠を救助のために捜索したチルクを始めとするブルーゴブリン達にお礼を言っておくのよ」 ヨネア「うっ……。わかったわ」 ニースルーに案内され、銀の夜明け団が休んでいる場所に向かう。 そこでは、残りのメンバーがそろってトランプをしていた……。 ヨネア「アンタ達、思いのほか楽しそうね……。心配してたのに……」 レドザイトはヨネアを確認するや否や、飛びついて来た……。 一番最初に召喚され、一番懐いていたといっていい。 ヨネア「ごめん、レドザイト心配かけて……」 心配をかけていたのは自分の方だったと思い知らされる。 ドラスティーナ「ま……。アンタも気がついてよかったわ」 ヨネア「ふん……。死んでたまるもんですか……」 ポポイロイト「ヨネアも入ろーよ」 皆で遊んでいるトランプに誘われる。 いつものヨネアなら、忙しくなくても忙しいと言って断る所だが、今日は付き合う事にした……。 ヨネア「しかし、折角奪ったのに、これで水の泡ね……。」 ラザムから奪った黒歴史の記録や光の魔術書、それと興味を引いた文献などを思い出す。 キオスドール「うふ、ヨネア様、確かに水の泡でしたわ」 キオスドールはそう言って、トランプを水泡に包んで、宙に浮かばせて見せる。 ヨネア「まさか!?」 キオスドール「これと同じ要領で、残らず運んでますわよ」 ヨネア「でかした」 興奮しキオスドールの肩を掴んで前後に振るヨネア。 キオスドール「ヨネア様、落ち着いてください」 ニースルー「ラザムから奪った物って何?」 その時、興奮するヨネアとは対象に、冷やかな質問が投げかけられる。 明らかに、ニースルーは怒っていた……。 ヨネア「い、いや……、ラザムの地下にあったあいつらの行った所業について書かれた記録よ」 ニースルーに圧倒され、たじっとなりつつも、開き直る様にして答えた。 ニースルー「それでヨネア、それをどうするつもり?」 ヨネア「どうって、それを一般公開し」 ニースルー「それはダメ!」 大きな声ではっきり言う。 ヨネア「ちょっとニースルー何を怒っているのよ。別に有らぬ事を言いふらすとかじゃなくてあいつらが実際に行った事を……」 ニースルー「それでもダメ」 ヨネア「どうしてよ」 ニースルー「ラザムを信じている人はこの大陸に大勢いるのよ? その信仰を傷つけるなんて……」 ヨネア「でも、それはラザムの自業自得でしょ」 ニースルー「それは違うわ……。確かに何処の組織にも汚職に手を染める者はいる。」 「ラザムの中にも、信仰を利用している者はいる。」 「でもね、ラザムの教えを信じて、貧しい人の為に、奔走している人もいるの。」 「そういう人を傷つける事は、いくらヨネアでも許さない!」 親友にかつてない程、凄まれ今にも泣き出しそうな顔になるヨネアであった。 ドラスティーナ(やっぱりこうなったわね……) ヨネア「……何よ。あいつら、闇の魔法を研究してた一団を皆殺しにしてたのよ。」 「もし同じことをラザムがもう一度行えばあたしはヤツらに殺されるのよ。」 「それでも平気なの?」 ニースルー「ヨネア、せめて、ムクガイヤ様の大陸統一が終わってから、ラザムを裁判に掛けましょう」 ヨネア「ふん、何よ裁判って知らないわよ」 ヨネアはそういうと、手に持ったトランプを叩きつけ、走り去った……。 ドラスティーナ「困ったリーダーだこと……」 そのまま感情に任せて、砂漠の方へと飛び出していく ドラスティーナは溜め息をつきつつも後を追った……。 ……・……・……・……・……・ ヨネア「ただいまー」 砂漠に飛び出し危険を感じたのか、ストレス発散できたのか暫くしてヨネアは何事もなかったのように戻ってきた……。 ポポイロイト「ねーねーうしちちのおねーちゃんは?」 ヨネア「え? 知らないけど」 レドザイト「おねーちゃんの事をおっていったよ?」 ヨネア「えっ? すれ違ったのかしら」 一方ドラスティーナはヨネアを探して砂漠の上空を飛びまわる。 ドラスティーナ「もう、何処に行ったのよ、あいつは……。一回城に戻ろうかしら……」 一旦、捜索を打ち切って、城に戻ってないか確認しようと戻った時、遠目に倒れている人影を見つけた。 ドラスティーナ「ヨネア!?」 近くまで行くと、少女の様だが、来ている服が違う。 ドラスティーナ「紛らわしい」 そういいつつも、倒れている少女を摘みあげると、その少女には動物の耳が生えていた。 ローニトーク「はわわわわわ」 その少女は摘み上げられた事で意識を取り戻す。 ドラスティーナ「何よこの子? ゴブリンじゃない」 ドラスティーナはローニトークを頭からつま先まで品定めするかのように見ている。 ローニトーク(悪魔。ど、どうしよう) 頭に生えた角を見て、ドラスティーナが悪魔と言う事に気づくが、下手に抵抗して殺されるのではないかと思いじっとしていた。 ドラスティーナ「ふぅ……。しょうがないわね、ゴブリンがどうなろうと知らないけど、あの子が私達を救助するために派遣した子だろうし。 それにしてもグズねえ、救助にきて救助する相手に救助されるなんて」 ローニトーク(な、何か勘違いされている) ドラスティーナはローニトークをニースルーが派遣した自分達の救助隊と勘違いしていた。 アルナス城まで連れていると、チルク達が使っている執務室まで向かう。 ドラスティーナ「チルクと言ったわね、アンタ達、自分達の人員ぐらいちゃんと管理しなさいよ。この子、遭難していたわよ」 そう言って、ローニトークをチルクの前に突き出した。 チルク(誰だこの子? 見覚えがないけど……。まあ全員の顔を覚えているわけじゃないし……) チルク「今度から気をつけるよ、君だめじゃないか、勝手な行動とって」 とりあえず、適当にローニトークを叱る。 ドラスティーナ「ふん……」 ドラスティーナが背を向けた時、怖くて口を閉じていたローニトークが精一杯叫んだ。 ローニトーク「私、ゴブリンじゃありませんエルフです!」 静まり返る部屋……。そしてしばらくしてその場にいる全員が爆笑しだした。 ローニトーク「? ? ?」 何故笑われているのかわからない。怖いけど精一杯の勇気を振り絞ってまた叫ぶ。 ローニトーク「な、なにがおかしいんですか?」 ドラスティーナ「アンタねえ、エルフの耳を見たことないの?」 ローニトーク「え?」 ドラスティーナ「そんな、耳していないでしょうが! それに見なさいよ」 ドラスティーナは執務室にいるフーリエンやキスナートを指差す……。 ローニトーク「…………」 ドラスティーナ「ね? 同じ耳しているでしょ。まあ、冗談としては中々笑えたわ」 そういって、唖然とするローニトークを残してドラスティーナは執務室から出て行った……。 チルク「んで、君は何処の隊の所属かな、隊長に連絡するから」 ローニトーク「わ、わたし……。その……」 あたふたするローニトーク、 チルク「じゃあ、名前は?」 ローニトーク「ローニトークです。」 チルク「わかった、それじゃフーリエン悪いけど、この子を医務室に連れてってあげて……かなり錯乱しているし」 フーリエンに指示を出して部屋から出した後、このアルナス城に派遣されて者の名簿を確認する。 チルク「ローニトークなんて名前はないなあ」 チルクはローニトークがエルフというのは欠片も信じていなかったが、フェリルに属するものではない事は感づいていた……。 ■蛇王VSラザム ラザムの使徒は、ラザム神殿から溢れ出した死霊軍と交戦していた。 魔王軍と結んでいた停戦は破棄され、挟まれた事になる。 後続はホルスに任せて、ラファエルとイオナは神殿の奪還に向かう……。 何とか、死霊軍を一掃し、リッチースネアを倒す事に成功したが、ラファエルを失う事となった……。 ■VSオステア オステアはムクガイヤ魔術師団と同盟を結び魔王軍と交戦していた。 ムクガイヤ魔術師団は、難民の受け入れ、食糧、医療品などの物資の供給は惜しまなかったが、肝心の援軍は雀の涙であった。 これは、遠まわしに服属を求めていたからである。 しかし、オステアは、ムクガイヤ魔術師団の一部になる事を拒み、実質、自軍だけで魔王軍と戦い続けた……。 ラザムの使徒が撤退したため、よりいっそう魔王軍の猛攻が激しくなり、ピコックは討ち死に、後継者のアルジュナはムクガイヤ魔術師団の領地であるブレアに逃げ延びるしか無く、オステアは実質消滅した……。 ■第六軍団 リュッセルオーダーVS魔王軍 リュッセル国が服属し、リジャースドは新たな第六軍リュッセルオーダーとして、軍団を任される事になった。 リュッセル半島から、フェリル党と共にグリーン地区への侵攻を任される。 リュッセル国の軍師スーフェンは、既に穹廬奴がフェリル党に服属していたため出奔、フェリル党は、グリーンへの侵攻だけでなく、湿地帯よりネルザーン砦の攻略を命じられた。 これを受けルルニーガは、支配下にあった穹廬奴のチョルチョとイオードをリュッセルオーダーに協力させ、自身はゴブリン勢を率いて、ネルザーン砦の攻略に向かった。 リュッセルオーダーは、魔王軍と海を挟んで対峙する事になる。 魔王軍は、宿将であるパルスザンが指揮をとっていた……。 チョルチョとイオードは海峡沿いに部隊を配置、その後ろにリジャースド、セレン率いる竜騎士が控える。 パルスザン「敵の布陣が終わったようですね」 フーリン「ありゃ? 見た事ない奴らだな……」 フーリンの目に映ったのは、リザードマンの軍勢だった……。 この時、まだ魔王軍とリザードマンは一度も交戦したことが無い。 パルスザン「あれはリザードマンという種族です」 フーリン「流石、よく知ってんな」 パルスザン「情報では、気性が激しく戦闘を好み、剣を得意とし、飛び道具は短剣を投げる程度、武一辺倒の種族の様ですね……」 「武勇は侮れませんが、魔法抵抗力が非常に弱く、魔法による攻撃には対処できないようです。」 「リザードマンによる穹廬奴という勢力がありましたが、大した結果も出せずムクガイヤ魔術師団に服属したようですね。」 収集した情報をフーリンに伝えて行く……。 パルスザンの情報通り、リザードマンは魔法に弱く、精神に働きかける闇の魔法を使う悪魔は天敵とも呼べる存在だった……。 フーリン「要するに、俺らと相性が悪く敵じゃねーってことだな。気性が激しい奴は混乱に弱いしな」 パルスザン「情報ではそうなります。しかし、油断は禁物ですよ接近戦に持ち込まれれば我らより有利です。」 「それに後方に控えているのは竜騎士セレン」 フーリン「有名なのか?」 パルスザン「情報では最強の竜騎士の様ですね、貴方が戦った、スヴェステンやアルティナよりもその実力は上の様です。」 フーリン「そいつは楽しめそうだな、つーわけで、行ってくるぜ、出遅れんなよパルスザン」 パルスザン「やれやれ、こちらの被害は最小限でお願いしますよ。」 パルスザンの戦術は、まずノーライフキングにティアマットを召喚させ、ティアマットを盾にしながら、 相手に近づき、コンフュージョンで相手の部隊を混乱させて同士討ちをさせていくというもので、常に被害を少なく相手の被害を大きくを考えての事である。 一方、最速の悪魔と呼ばれるフーリンの戦術は、それこそ単騎で先陣を切り、速い物順に一列で突っ込んで、敵と接触したら散開し、相手を蹴散らしていくというもの……。 全く異なる戦術だが、パルスザンはフーリンに絶対の信頼を置いているため、自分の戦い方を押し付ける様な真似はしなかった……。 イオードとチョルチョは闇の魔法の射程距離を考え、ぎりぎりまでフーリンを接近させる。 チョルチョ「放て!」 号令をかけ、セレンの時と同様、一斉射撃を行う。 新兵器ともいうべき弩による一斉射撃は、最速の悪魔フーリンを見事に撃ち落とした。 フーリン「俺は……どこまでもいけるはず……」 一瞬にして全身に矢が刺さり、何が起きたのか分かっていない感じだった。セレンは自分に起きた客観的光景を見て、弩の威力に改めてぞっとした……。 そのまま海へと落ちて行く……。 パルスザン「フーリン!」 堕ちて行く親友を見て、血相を変えて救援に向かう。 既に生死はわかなかったかが、まだ、息があればシャルロットの魔法で回復させる事ができるからだ。 しかし、その望みも、竜騎士を率いて出撃したセレンとリジャースドに阻まれる。 パルスザン「邪魔だ!」 パルスザンは闇の魔法による攻撃をノーライフキングの部隊に命じるが、セレンは広範囲に及ぶ必殺技、青竜剣を放ち、後方にいるノーライフキング達を一掃する。 最初は、リュッセルオーダーが優勢に進めたが、気持ちを切り替えたパルスザンの巧みな戦術により、次第に劣勢になっていく。 リザードマンの弩の部隊に接近し、混乱の魔法を使い同士討ちを狙い、弩の部隊は統制が取れなくなっていった……。 結局の所、双方の被害が甚大なものへとなり、両軍引き上げる形となった……。 パルスザン(まさか、あの様な兵器を開発しているとは……) 「くそっ!」 いつも冷静沈着であったが、この時ばかりはフーリンの死なせてしまった事に、自身に対する苛立ちを抑えきれなかった……。 シャルロット「パルスザン様……」 一方リュッセルでは……。 リジャースド「くそ、あの厄介な奴を撃ち落とせた時はいけると思ったんだがな……」 セレンは何も言わない。 ここに集まった陣営は、敵同士だったという事もあり、今一つ噛みあっていなかった……。 とくに何か話し合われる事なく軍議が終了する。 この後も、海峡を挟んで幾度も交戦したが、パルスザンの巧みな戦術により、大きく戦力を減らしていったのはリュッセル・オーダー側であった。 ………………………… 滅亡してから隠遁に近い生活をしていたゲルニードだったが、 チョルチョとイオードの活躍により、自身も落とせず難攻不落だったリュッセル城を見事落とした事で、行いを改めていた……。 ゲルニードが向かった先は……。 ゲルニード「頼むスーフェンこの通りだ……」 スーフェン「ふん……。よくここがわかったな……」 穹廬奴と関わりを再びを持つかも知れない事を快く思わず、リュッセルオーダーを出奔したスーフェン……。 その予想通り、現在、リュッセルオーダーは穹廬奴の残党と協力し、魔王軍と対峙している。 ゲルニードは、武だけではダメだという事を言葉ではなく心で理解したが、とはいえどうしていいものかわからず、単于だったという見栄を捨て、自ら処刑しようとした軍師であるスーフェンに頭を下げたのだった。 ゲルニード「このままでは終われん、俺は何としてでも穹廬奴の地を取り戻させねばならぬ」 スーフェン「唯、自分の知を使う者に仕えるのみだ。お前はこの知を使う気があるのか?」 ゲルニード「ある……。俺にお前の知を使わせてくれ」 スーフェン「ふん……。」 スーフェンはゲルニードに背を向け歩きだした…… ゲルニード(ダメか……) スーフェン「何している速くしろ。ここまで言わなくてならぬのか?」 スーフェンは振り向き、ゲルニードに命令した……。 ………………………… ―軍議 セレン「既に、相手とこちらでは戦力差が、既にリュッセル北部を守る防衛力はありません」 リジャースド「リュッセル城に籠城して戦うと言う事か……」 戦線は維持できなくなってきている。しかし、魔王軍にリュッセル半島の上陸を許せば、さらなる猛攻にさらされるだろう。 その時、会議室の扉が開き、二人のリザードマンが入ってきた……。 チョルチョ「単于」 リジャースド「軍師」 ゲルニード「チョルチョを心配掛けたな」 リジャースド「軍師、来てくれたか……。お前が入れば心強い」 チョルチョ「何故、スーフェンが?」 ゲルニード「俺が、お願いしたのだ……」 チョルチョ「単于……」 スーフェン「ふん」 リジャースド「早速で悪いが、何か策はあるか? 軍師」 スーフェン「うむ……。無い事は無い、その前に皆に聞きたい、特にアト、お前にな」 アトとは馬鹿な君主をさした穹廬奴特有の言葉である。 チョルチョ「貴様ーー」 慕う者を貶され、ゲルニードに掴みかかるチョルチョ、しかしそれを制したのはゲルニード当人だった……。 ゲルニード「止せチョルチョ……。それよりもスーフェン聞きたいこととは……」 スーフェン「魔王軍で最も恐ろしいのは誰だ?」 一瞬静まり返った後……。 ゲルニード「そんなもの、ルーゼルに決まっておるだろう……」 ゲルニードが真っ先に答える。周りの者もルーゼルが答えだとは思いつつも、そんな簡単な答えなわけが無いと思考を巡らせていた……。 スーフェン「だから、おまえはアトだというのだ……」 チョルチョ「!!」 また、チョルチョがスーフェンの言葉に過剰に反応し、拳を握りしめる。しかしゲルニードはチョルチョを手で制した。 ゲルニード「そうだな……。知が無い俺にはわからない。教えてくれ」 以前のゲルニードなら、スーフェンを2~3発殴った後、裸にして木に縛り付け晒しものにしていただろう。 スーフェン(少しは成長したようだな……) セレン「おそらく、流れと状況からして答えはパルスザンだと思いますが、何故ですか軍師殿、魔王ルーゼルは本人が絶対的力を持ち、戦略、戦術も確かなものです」 スーフェン「うむ……。確かにルーゼルは魔王軍の誰よりも強い……。」 「だが、悪魔を絶対的なものとし、多種族を見下している」 「一方、パルズザンはどうだ? 人間に関心を示し、決して油断しない男。」 「人間を見下し、圧倒的力を基に前進しかしないルーゼルが、ここまでやれるのは人間を決して侮らない軍師が仕えての事……」 チョルチョ「なるほど」 スーフェンの解説に、快く思わないチョルチョまでもが関心を示す。 ゲルニード「それで、何が言いたいのだ?」 スーフェン「わからんのか、魔王軍など、パルスザンを倒せば後は自滅するという事だ……」 周囲がざわつく……。 リジャースド「軍師よ、そういうなら当然、パルスザンを出し抜く策があるのだろうな」 スーフェン「残念ながら、それは無い、魔王はパルスザンを絶対的に信頼し、パルスザンは魔王に絶対の忠誠を誓っている」 ゲルニード「随分、敵の事情に詳しいのだな」 スーフェン「第十三計……」 ゲルニード「打草驚蛇」 スーフェン「ジェイクから習ってはいるようだな……。知が無いのは馬鹿だが、知があっても使わないのを愚かという」 セレン(うわっ……) リジャースド(軍師は一言多いのはいつも事だが、明らかに悪意があるなこれは……) ゲルニード「そうだ、俺は愚かだった……。ジェイクを死なせたのだからな……」 チョルチョ「単于……」 素直に認め、スーフェンはこれ以上馬鹿にしずらくなった……。 スーフェン「……話を続ける。現状、我らが圧倒的劣勢、なのでここは 連環計を仕掛ける……」 セレン「話が戻りますが、軍師殿、先ほどパルスザンを倒す策は無いと」 スーフェン「うむ……。あの男は隙が無い、馬鹿の振りをしても本当の馬鹿を差し出しても見破られる……」 ゲルニード「では、どうしようというのだ」 スーフェン「策を仕掛けるのはパルスザンではない……」 リジャースド「仲違いを仕掛けるという事か?」 スーフェン「左様……。確かにパルスザンは人間の文化に関心すら示すような悪魔だ。」 「偏見を持たないあの者は情報収集に長け、こちらを侮らない、しかし周りの者はどうだ?」 「自分達を絶対的な者とし、多種族を家畜以下に見ている。」 「そういった偏見を持つ者から見れば、パルスザンの文化に関心を示す一面など、見るに堪えないのではないか?」 セレン「つまり、パルスザンを魔王軍の誰かに討たせるんですね」 リジャースド「悪くないと思うが、そんな事が可能なのか?」 スーフェン「うむ……。絶対は無いが、うってつけの人物がいる。今雪原を支配しているムナードという者だ。グリーンに流言飛語を行う」 ゲルニード「ムナードと言えば、魔王軍一の切れ者、下手な流言に引っかかるとは思えんが……」 スーフェン「お前はまるでわかっていないようだな……。騙される騙されないと頭の良し悪しは関係ない、さらに言えば、騙すのが上手いからと言って、騙されにくいわけでもない」 スーフェン「信じたい事実を流言にして流せば、それが嘘だと分かっていても行動するもの」 意外な事を堂々と言う スーフェン「ようするにだな……、ムナードは誰よりもパルスザンの死を望んでおる。」 「パルスザンに謀反の疑いがあると情報が来れば、信じる信じないではなく、それを信じたいのだ奴は」 一同「なっ!?」 スーフェン「驚くには当たるまい……」 「状況を考えて見れば、パルスザンはまだリュッセルに侵攻できていない、逆にムナードは雪原をほぼ制圧している。」 「グリーン地区の戦力と我々の戦力を考えれば、これだけでどっちが上とかは判断できないが、当人はそう思っていないだろう。」 「パルスザンを無能と思っているだろうな……。」 「そしてムナードは我らを、突っ込んで来るしか能が無いと思っているだろう。まさが自分を騙してくるとは思ってない」 ゲルニード「上手くいくのだろうな?」 スーフェン「絶対は無いと言った筈だ……。ムナードが流言を受けて、魔王に報告するに止めてしまえば、魔王が諫めて終わりだろう。 だが、パルスザンを快く思わない他の悪魔が魔王に報告するまえに討ちとれという事を助言すればムナードは動く」 リジャースド「成程な、まあ、上手くいかないにしてもこちらは流言するだけだからな……。戦力もこの状況だ、やるだけやってみるか」 ゲルニード「連環計といったな? 続きがあるのか?」 スーフェン「当然ある……。が、この策が上手くいかない事には次の策はない、まずはグリーンに流言を行う」 「流言内容は、パルスザンに謀反の疑い有、フーリンは背中を射られて死んだという事にしろ」 流言は、ムナードの支配するグリーンにすぐさま広められた。 この時、グリーン・ウルスはミッドウェイに立て籠もり決死の抵抗を続けていた……。 ショハード「兄貴、面白い噂が流れているぜ……」 ムナード「パルスザンが謀反を考えているというのだろう? 馬鹿馬鹿しい、確かにあの男は愚鈍だが、魔王様を裏切るなどと……」 ショハード「でもよ、フーリンは背中を射られて死んだって話だぜ」 ムナード「パルスザンが背後から殺したという事か?」 「ますます、わけがわからんな、あいつにとってフーリンは親友の筈、謀反を起こすなら共謀した方がよいであろう」 ショハード「反対されたんじゃねーの? それを口封じとか……」 ゼオン「パルスザンは平気で背後から矢を射る汚ねえ野郎だろからな……」 かつて一騎討ちで倒したかった相手をパルスザンが背中から射殺した過去があるゼオンはパルスザンが殺したと決め付けた……。。 ムナード「所詮は噂だろう?」 ショハード「ああ、所詮は噂だ……。だけどそれでいいんじゃねーか?」 この時、ショハードが相手にされてもいないのになおも食い下がってくる真意を知る……。 ムナード「しかし、それならば、魔王様に謀反の疑い有りと報告し……」 ショハード「魔王様に報告した所で、兄貴が諫められるだけじゃねーの。証拠があるわけでもねーんだし」 ムナード「確かに証拠が無いからな……。やはり寝も葉もない噂に過ぎんのだろう。それに奴らの流言という事もある」 ショハード「なあ、証拠ってのは作るもんじゃねーのか?」 ムナード「……ショハード、お前……」 ショハード「俺らがグリーンをここまで制圧したのに、あいつはまだリュッセル半島に侵攻できてねーんだぜ、フーリンは討ち死にしたしよ……。」 「こんな無能が、いつまでもNo.2にいても魔王様の為にならねーよな?」 ムナード「…………」 改めて、状況を考える。現在、グリーンはほぼ平定しており、力は低いものの配下の者は多い……。 パルスザンがリュッセルを再び攻めた時に、背後をつけば討ちとる事は可能だろう。 ショハード「俺らが雪原を完全に支配したら、魔王様からパルスザンの援軍に行けと言われるだろうな、でもって手柄は全部あいつが持っていく……」 ムナード「…………流石は俺の弟だな……」 ショハードは素直に誉め言葉として受け取ったが、この言葉は皮肉を込めたものだった……。 ムナードは演説などで、その気の無い相手を言葉巧みにその気にさせる事を得意としている。 勝ち目が無い戦いに兵を言葉巧みに誘導し特攻させるなど何度も行ってきた。 そして、それを今日は弟にされたのだ……。 パルスザンが謀反等するわけがない、ここで同士討ちをすれば魔王軍は大きく戦力を失い、窮地に立たされる。 それは、わかっていた。 しかしムナードは自分の野心を既に抑える事ができなくなっていた……。 ………………… ―軍議 パルスザンが再び、リュッセルに向かって侵攻を開始したとの方が届く……。 それから程なくして、ムナードが兵を上げたとも リジャースド「上手くいったな……」 スーフェン「うむ……。では、次の策の説明する」 スーフェンは連環計といっていた、最初の策が上手くいったので、それに続く策の解説を始めた スーフェン「今、魔王はゴイザムの入り口の当たりで、ラザムの使徒と交戦中だ……。」 「その魔王の近辺に、ムナードが謀反を起こしたと流言を流す」 セレン(えげつな……) リジャースド「ふははは、軍師よ、容赦ないな……」 スーフェン「これで魔王がムナードを粛清してくれれば御の字だ。まあ流さなくてもお気に入りのパルスザンが討たれれば十分粛清はありえる。 「だが、噂を流した方が話が速くなるからな」 ゲルニード「…………」 チョルチョ「…………」 スーフェン「アト……。どうした? 斬った貼ったがないからつまらんのか?」 全く反応を示さないゲルニードが気になり、嫌味を言う。 ゲルニード「いや、改めて知の大切さと恐ろしさを知ったのでな……」 関心するように言い返した。以前のゲルニードからは決して出てこない言葉だった……。 スーフェンは少し気をよくしたのか、この後、ゲルニードを馬鹿にする発言を一切しなかった……。 チョルチョ「ですが、それも向かってくるパルスザンを撃退できればの話ですよね」 ここで、パルスザンを押しとどめ、撤退させないと挟撃にならない、下手をすればパルスザンを取り逃がす事になる。 取り逃がせば、確実に魔王軍を立て直すだろう。 それに、この手の策は一度失敗すれば、2度は使えない、確実にムナードにパルスザンを始末させる必要がある。 スーフェン「その通りだ……。ここが正念場となる各々油断めされるな……」 ………………… ゲルニード「いつもよりも敵の数が多いな……。」 セレン「今回でリュッセル北部を制圧するつもりなんでしょう」 チョルチョ「負けないもん」 ゲルニードは弩を構えた……。 チョルチョ「単于?」 ゲルニード「使い方はイオードに習った……。良い武器だ……」 穹廬奴では弓の様な飛び道具は邪道とされている。 ましてや、弩は弓と違い、弦さえ引いてしまえば、狙い定めやすくそこまでの鍛錬を必要としなかった。 こういった仕様は穹廬奴の価値観にそぐわない……。 しかし、見栄を捨てたゲルニードは、成果を上げたチョルチョの開発した武器を素直に誉めた……。 チョルチョはそれが何よりもうれしかった……。 いつもは遠方から、弩で射かけても召喚されたティアマットを盾にされ思うように戦果が上がらない。 スーフェン「セレン殿……。弩で射る前にまずはティアマットを蹴散らし、そしてなるべく敵を引きつけるのだ」 スーフェンは弩の力を最大限に発揮できるようにティアマットの撃退を優先させた。 セレン「わかりました」 セレンは青竜ライムに乗って、ティアマットの撃退に向かう パルスザン「いつもと戦法を変えて来ましたか……」 パルスザンはティアマットの防壁を簡単にくずさせないため、冷静にデーモンとリッチーに援護の指示を出していく。 その時、放たれた矢がパルスザンの肩を貫いた。 パルスザン「ぐっ……」 シャルロット「パルスザン様!?」 傍らにいるシャルロットがパルスザンに回復魔法をかける イオード「流石に、竜に乗りながらでは脳天は狙いにくい」 リジャースド「……だが、これで迂闊、前には出られないだろう、このまま引いてくれねーかな」 イオードはリジャースドの竜に乗り、弩で直接パルスザンを狙ったのだった しかし、2人乗りで飛行しながらではかなりの力を使って引かなくてはならない弦を引くことはできないため、一時後方に下がる。 二人乗りをした竜騎士はイオードとリジャースドのみだったが、パルスザンは狙い撃ちを警戒し、部隊を下げた。 ノーライフキングとアークデーモンの援護を失ったティアマット達はセレンの竜騎士部隊に蹴散らされた。 パルスザン「敵もやりますね」 一旦さがり、ティアマットが撃退されたのを見て、歯がみする。 矢の傷は治療され、戦うに当たって、何の問題も無かったが、防護壁ともいうべきティアマットが一掃された事がパルスザンを迷わせていた。 兵力は倍近いので、このまま力攻めでも勝つことはできる。 しかし、無理に突っ込めば多くの兵を失うだろう。 そして、何より今までとは違って明らかに優れた軍師が向こうの陣営にいることは見てとれた……。 パルスザン「一時撤退する」 慎重な性格の為、相手方の情報が無い時は、無理な戦いはしない、パルスザンは兵を引いた……。 リジャースド「ふう……。なんとか追い返したな」 スーフェン「だが、多くの戦力を残したまま兵を引いた……。ムナードが勝ってくれると良いのだが」 パルスザンがクイニックまで戻ると、クイニックに向かって来る一軍を見つけた……。 パルスザン「あれは?」 シャルロット「旗からしてムナード様の率いている部隊のようですね、行って参ります。」 戦で疲労したパルスザンに無理はさせまいと、率先して行動するシャルロット シャルロット「これはムナード様、どういった用件でございますか?」 ムナード「ふん、奴隷が……。魔王様より援軍に向かうようお達しを受けた。門を開けられよ」 シャルロット「しばし、お待ちください」 ムナード「何故、待たなくてはならん。通せ!」 シャルロット「そんな困ります!」 強引にクイニックへ入ろうとするムナードに対し、慌てるシャルロット、しかし見かねたパルスザンもこの場にやってきた……。 パルスザン「ムナード、何の用ですか? 魔王様に援軍の要請などしていませんが……」 ムナード「お前がしていなくても、魔王様が自ら私に命令を下されたのだ」 パルスザン「…………。わかりました」 ムナード「ふん」 パルスザンは当然これが面白くなかった。確かにリュッセルオーダーとは一見、一進一退の互角の勝負を繰り広げているように見えるが、戦果はまるで違う。 パルスザンは自軍を殆ど消耗させておらず、既に兵力は倍の差がついている。 一方、ムナードは無理な攻めをしているため、確かにグリーンをほぼ制圧してはいるが、戦力の消耗は激しかった……。 長期的に見れば、必ずムナードのやり方では戦いを維持できなくなるとパルスザンは読んでいる そしてそれが、ルーゼルがムナードではなくパルスザンを軍師にしている理由だった。 ムナードの軍勢をすべてクイニックに入れた時、ムナードは剣を抜き、切っ先をパルスザンに突き付ける。 パルスザン「何の真似です?」 ムナード「パルスザン、貴様、魔王様を裏切る気だな?」 パルスザン「何を馬鹿な事を……」 (こいつ何を言っているんだ?) ムナード「フーリンは背中を射られて死んだとの報告もある、それに……」 そういって、ムナードは懐から書状を投げる そこには、リュッセルオーダーのリジャースドから内応勧誘の旨が書かれているものだった。 無論、パルスザンには身に覚えが無い。 パルスザン「馬鹿馬鹿しい、こんな物、敵の仕掛けた謀略に決まっているだろう。 こんな手に引っかかるとは……」 書状の内容を否定し、理にかなった弁明を始めるパルスザン、しかし、ムナード側の悪魔達は薄ら笑いを浮かべており全く動じなかった……。 パルスザン(まさか? こいつら……) パルスザンはムナードの真意を読み取った。裏切りが事実かどうかはムナードにとってどうでもいい。 そもそも、渡された書状も、敵方が用意したものではなく、ムナードが用意したものであった。 パルスザンは説得は無理と見て、目くらましを放ち、この場から逃げる。 ムナード「追え、殺せ……。魔王様がこの事実を知る前にパルスザンの首を取るのだ」 自身の配下に号令をかける。 クイニックでは、悪魔同士による醜い戦いが行われた……。 パルスザンは、シャルロットを連れ、僅かな手勢とともに、クイニック北部にある山地に逃れていった……。 …………………… 逃げ場は無かった。ムナード達悪魔に包囲されどう逃げようとも見つかるのは時間の問題…… パルスザンはクイニックから脱出するために交戦し、体はゼオンの攻撃を受け負傷、魔力も空に近かった…… それでも健気に、残り少ない魔力で治療を続けるシャルロット……。 シャルロット「パルスザン様、必ず生きて魔王様と合流しましょう。そこで疑いを晴らすのです」 パルスザン(この子は気が弱い、魔王様の元へ行っても、私が死ねば再び奴隷階級に落とされるだろうな……) パルスザン「シャルロット、私が死んだら、お前はドラスティーナ様の元へと行きなさい……」 「フーリンから聞いた話ですが、お前を仲間に引き入れたがっているそうです」 シャルロット「!? パルスザン様、嫌です死ぬと言われるなら私も共に……」 パルスザン「悪魔らしくありませんね」 シャルロット「パルスザン様こそ」 パルスザン「ふっ……。それもそうですね、わかりました」 そう言いつつも、パルスザンはシャルロットに送還魔法を掛ける。 シャルロット「パルスザン様!?」 パルスザン「どうやら、人間に毒されていたようですね、美学とは逆の行動を取るとは……」 パルスザンはシャルロットをムナード達の敷いた包囲網の外側に飛ばした……。 ムナード「つくづく、愚かな奴だ、奴隷を逃がすために魔力を使い切るとは……」 パルスザン(愚かと言うのは、私利私欲に走ったお前を言うのだ……) パルスザンがその死を覚悟した時、ムナードの元に弟のショハードが血相を変えてやってくる……。 ムナード「どうした」 ショハード「兄貴、大変だ……。魔王様が俺達の粛清の兵を上げ、こっちに向かっている」 ムナード「何だと?」 パルスザン(こんな事も読めなかったのかこの男は……。これで魔界一の切れ者と自称するのだから笑わせる) ムナード(魔王様の動きが速い、これでは……。いやまだパルスザンは死んでいない、ここはパルスザンに私の便宜を計らせて……) パルスザン(と、考えているのだろうな…… 確かに、魔王軍の事を考えればそれが最良……) この時、既にムクガイヤ魔術師団は大陸3分の2を制圧している。 ラザムと魔王軍が交戦している間に、レオームを攻め、ゴート3世はルートガルド城に撤退し籠城した、ムクガイヤは無理に城攻めはせず、その間に経済力が豊富な王都を次々に攻略している。 ラザムも死霊軍との戦いで戦力を減らし、すでに領有しているのはラザム神殿のみとなっていた。 ここで、魔王がムナード一派を粛清してしまえば、大きく戦力を失う事になる。 そうなってしまえば、総合的に見て勝つことは難しい、いくらルーゼルが個々で強くてもどうにもならない。 パルスザンにはそれがわかっていた。 しかし、パルスザンは自分を殺そうとした者の便宜を図るなど、その高位悪魔としてのプライドが許さなかった……。 パルスザン(ルーゼル様、お許しを……) パルスザンは剣を抜き、自ら首を掻き切った……。 ムナード「なっ……!?」 ショハード「兄貴、どうする?」 ムナード「ええい、仕方あるまい、こうなれば魔王と戦うまでだ……」 ムナードは自軍をムナード党と称し、反旗を翻した……。 ………………… 魔王軍で内乱が起きという報は、すぐさまリュッセルオーダーの元へと届いた……。 スーフェン「うまくいったようだな……」 リジャースド「軍師、流石だな」 リュッセルオーダーはこれを機に、グリーンへの侵攻を開始した……。 ■ムナード党壊滅 ムナード党と魔王本軍との戦いはまるで勝負にならなかった……。 ビッテトールとダレスダラムは魔王軍を前にいずこかへ消え、ゼオン、ショハード、ナームは討ちとられた……。 リリック「魔王様、首謀者であるムナードの奴を捕えました……。」 十字架の様な形をした枷に魔法で強化した鎖で縛られて運ばれてくるムナード ルーゼル「うむ……」 ルーゼルは膝まずくムナードを見下ろしながら前に立った。 ルーゼル「ムナードよ、お前は軍師になりたかったのか? 魔王の座が欲しかったのか?」 ムナード「貴方がいなければ、私が魔王になっていました……」 ルーゼル「そうか……」 その瞬間、ムナードの頭部が弾け飛んだ……。 リリック(ムナードの奴は嵌められておったか……) この後、雪原はリュッセルオーダーが制圧し支配下に入れ、グリーンウルスもそれに服属した……。 ラザムは神殿のみの領有となったまま、その辺一帯の攻略を銀の夜明け団に変わって行っていた薔薇十二字団は特に兵を上げる事はせず、交渉による解決を行っていた。 王都はすでにムクガイヤ魔術師団に制圧され、残すはルートガルド城のみとなっている。 ガルガンダのドワーフ達は、ムクガイヤが優勢と見ると、決起しガルガンダ山を攻め、服属を条件に支援を求めた……。 魔王軍の領地は、ガルガンダの山地の一部と廃都ハルトのみとなっており、大局は決していた……。 ルーゼル「リリック、グウェン」 リリック「は」 グウェン「は」 ルーゼル「わかっていると思うが、魔界に帰るつもりはない、防衛は考えなくてもいい、一兵残らず、全軍をハルトに集結させよ」 「あの野郎を殺してくる」 リリック「仰せのままに」 グウェン「現世の果てまでお供します」 ■VS魔王軍 魔王軍が兵をハルトに集結させているとの報がムクガイヤに入る ムクガイヤはこの時、ルートガルドを城以外を全て制圧しており、城の周り大軍で固め、それ以外は王都で毎日大規模なパレードを行っていた。 必死に篭城しているゴート三世に対する嫌がらせである。 城にいるダイナイムから、こっちに寝返りたいとの書状が届けばそれをゴート三世に送り返し、城内を疑心暗鬼にさせていた……。 ムクガイヤ「ククク……。王子自ら、私に忠誠を誓わせてやるわ」 ムクガイヤは徹底的にゴート3世の心を折るつもりである。 サルステーネ「我が君、魔王軍が全軍をハルトに終結させているようです。」 ムクガイヤ「全軍を? 山の守りはどうしているのだ?」 サルステーネ「放棄した模様です」 ムクガイヤ「おそらく、南下し王都に進軍する気だな……」 ムクガイヤ(もはや大局は決している、大方一矢報いてやるといった玉砕覚悟の最後の進軍だろう) サルステーネ「いかがなさいますか? フェリル党に相手をさせますか?」 ムクガイヤ「いや、よく考え見れば私は魔王の顔すら知らん、それではあまりにルーゼルが哀れではないか、お前の暗黒騎士団と私の近衛魔術師団で決着をつけよう」 サルステーネ「御意」 ムクガイヤとサルステーネの軍は、王都をフェリル党に任せてイオナ平原へと出陣した……。 イオナ平原で対峙する事になった両軍。 ムクガイヤの兵力はすでに魔王軍の4倍近いものがあった……。 ルーゼル「お前が俺を召喚したムクガイヤか……、召喚してから今日まで姿をくらましているとはとんだチキンだったな……」 ムクガイヤ「これはこれは魔王ルーゼル、今日は魔王様にお礼が言いたくて一言、言いに参った」 ルーゼル「礼だと?」 ムクガイヤ「天下を取らせてくれてありがとう。 お前が、自称最強の魔王で、トライドと引き分けた時は心底落胆したが、こうして無事役割をはたしてくれて余も感激しておる」 ルーゼル「随分と気が早いな、まだ貴様は天下を取っていないであろう? それにお前はもう詰んでる」 ムクガイヤ「ククク、もはや哀れなピエロにはご退場願いたいのだが、慈悲深い私はお前に選択肢をやる」 ルーゼル「選択肢だと?」 ムクガイヤ「私の配下となれ、さすれば大陸の半分の領地を与えてやろう」 これは、よく物語などで魔王が勇者に言う台詞であった……。 ルーゼル「全部だ」 ムクガイヤ「何!?」 ルーゼル「この大陸は全て私のものだ……。チキンな貴様は南エルタに自治区を与えるからそこに引き篭もってろ!」 ムクガイヤ「ククク……。サルステーネ!」 ムクガイヤが叫ぶようにしてサルステーネの名を呼んだ、号令をかけろの意であった。 サルステーネ「はっ、全軍出撃!」 暗黒騎士団に号令がかかる。馬に乗った部隊がルーゼルの悪魔の軍勢に向かっていった……。 激しい戦いが続いた……。兵力で劣る魔王軍は何度も暗黒騎士団を押し戻す奮闘振りを見せる。 しかし、グウェンが戦死し、それに続きリリックも戦死する。 暗黒騎士団の兵を半分以下まで減らしたが、ついに一兵残らず討ち取られた……。 ルーゼルは魔力も体力も底をつき、近衛魔術師団の精製したゴーレムにうつ伏せにされた状態で押さえつけられる。 ムクガイヤ「流石は魔王ルーゼルよ……。精強な暗黒騎士団をこうもやられるとは……」 ルーゼル「お前の戦での働きはただ喋るだけか? 喋るだけなら誰でもできるぞ?」 ムクガイヤはルーゼルの頭を踏みつけた。 ムクガイヤ「うるさいぞ。貴様は負けたのだ……。最後ぐらい潔く負けを認めろ」 そして、そのまま座り込み、ルーゼルの髪の毛を掴んで強引に持ち上げた……。 ルーゼル「ムクガイヤ、お前の敗因はな、最後までチキンを貫かなかった事だ……」 ムクガイヤ「敗因だと?」 ルーゼルの表情は笑っていた、絶望的状況なのにもかかわらず余裕があった……。 逆にムクガイヤは自分に鳥肌立っているのを感じる。 ルーザル「お前が、私の相手をせずに、配下の者を差し向けていたら勝てたのにな……」 ルーゼルの体に光輝く文字が浮かび上がる。 何かしらの呪法をすでに自分の体に施していたのだ……。 ルーゼル「言っただろう? お前はもはや詰んでいるとな!」 ルーゼルは自爆した……。その爆発はその場にいた者全てを巻き込んだ……。 当然この戦いの生存者はいない……。 ■VSルートガルド ルーゼルの自爆によって発生した爆風による衝撃波は大陸全土に及んだ……。 イオナやハルトでは大地震が起き、イオナ平原に近いルートガルド城の窓ガラスは全て割れた、窓辺に立っていた者にはガラスの破片を浴び、重症を負う……。 ゴート3世「父上!」 ゴート3世は、城を襲った衝撃波を受け、寝たきりのトライド容態が気になったのは当然といえた、血相を変えて病室に向かう。 そして病室で見たものは、想像を絶するものだった。 宮廷医官のデッドライトは窓の近くに立っていたのか、ガラスの破片を全身に浴びていた……。 これだけなら、おかしい事は何もない、ゴート3世が目を疑ったのは、デッドライトが全身にガラスを浴びながらも平然と立っており。 そして、傷口からは全く出血していなかったからである。 人間と同じ姿をしているが、中身は全く異なるものというのが嫌でもわかった……。 ゴート3世「おまえ……。人間か?」 デッドライト「どうも、思った通りに事が運びませんでしたわね」 ゴート3世にではなくつぶやくように喋る……。 ゴートは警戒をしつつも、ベッドで眠っているはずの父親に目をやった。 しかし、ベッドに父の姿は無く、ワームホールの様な物が出来ていた……。 ゴート「貴様! 父上に何をしたあ?」 恐怖に震えつつも、怒り叫ぶゴート、デッドライトは意に介さない デッドライト「貴方の後ろにいらっしゃいますわ」 ゴート「はっ!?」 確かに、ゴートの後ろにトライドは立っていた……。骸の状態で……。 背丈や体格、わずかに残った特徴でそれが父だったものである事はわかった。そして生きてはいない事も……。 ゴート「貴様!」 しかし、デッドライトに何をするよりも早く、死霊と化したトライドに剣を振るわれる。 ゴートは何とかそれを交わし、体制を立て直そうとしたその時、デッドライトの放ったダークレイに肩を貫かれた! ゴートが死を覚悟した時 「地裂斬!」 フィーザレスが救援に駆けつけ、その技によって、床をブチ抜き、トライドとデッドライトを下の階に落とした。 フィーザレス「若! ご無事ですか?」 イオナ「ゴート様」 肩の傷にすぐさま回復魔法をかけて治療する。 ゴート「助かったフィーザレス」 フィーザレス「ここは危険です。一点に兵を集めて包囲を突破するのです、先ほどの衝撃波で敵は浮き足だっております。若なら必ずや突破できるでしょう。」 ゴート「わかった。」 その時、強大な死の波動がフィーザレスの開けた穴より噴出した。 ゴートとイオナ、フィーザレスをそれをかわすが、立ち位置は分断される。 下の階には、六枚の翼を持った人型の化け物がいた……。 フィーザレス「若、先に行ってください、必ず後から追いつきます。」 フィーザレスは既にここを死地と決めていているようだった……。 イオナ「行きましょうゴート様」 ゴート「フィーザレスよ、生きて必ずレオームを再興するのだ、これはお前の天命だ」 フィーザレス「はっ、必ず」」 フィーザレスはそのまま下の階に飛び降り化け物に飛び掛った……。 セトトンネルと呼ばれるその波動を放つ化け物は一体ではなかった……。 すでに、ルートガルド城の上空を何体も飛び回っている……。 ムッテンベル「親父様、城に異変が……」 ルルニーガ「うむ……。わかっておるわ」 苦々しい顔で上空にいる化け物を見つめる。 ムクガイヤと暗黒騎士団が向かったイオナの方で起こった爆音と衝撃波、そして、それに呼応するかのように現れた空を飛ぶ異形の化け物。 関係は不明だが、ルルニーガにはもはやムクガイヤは生きていないだろうという事は分かっていた……。 ルルニーガ「全軍退却」 この様な混乱している状況で、城から現れた化け物を攻めても、勝ち目が無いと踏んだルルニーガは全軍に退却を促した……。 その号令を受け、海路を封鎖していた第3軍、ローイス水軍も撤退を始める。 その時、軍団長であるニーナナスは、レオームの船を見かけたが、もはやそれどころではないとしてこれを見逃した……。 ■代表会議 王都から噴出した死霊の軍勢は止まる事を知らなかった。[[魔王軍]]と違って人を奴隷としてすら使うことはせず、逃げ遅れた人間はすべて魂ごと喰われていった……。 ムクガイヤがイオナ平原にて戦死したとの報を聞いたニースルーは、すぐさま軍団長や地方を治めている有権者達に書状を送って召集をかける。 後継者を特に決めていなかったムクガイヤを後を誰が継ぐのか? これをはっきりさせないと、各軍団や有権者達が独自に動き、再び戦乱になる事を懸念したのである。 王都を見渡す事のできるガルガンダ山で、会議は行われた。 集まったのは 第ニ軍 フェリル党 代表 バルバッタ 補佐 ルルニーガ 第三軍 ローイス水軍 代表 ニーナナス 補佐 ナシュカ 第四軍 薔薇十二字団 代表 ニースルー 補佐 チルク 第五軍 銀の夜明け団 代表 ヨネア 補佐 ドラスティーナ 第六軍 リュッセル・オーダー 代表 リジャースド 補佐 アーシャ オステア 代表 アルジュナ 補佐 キュラサイト パーサ 代表 キニー 補佐 エルフィス 穹廬奴 代表 ゲルニード 補佐 チョルチョ グリーン 代表 カルラ 補佐 ポートニック ガルガンダ 代表 ジャンク 補佐 オートム ラザム 代表 イオナ 補佐 ホルス の22名と、ムクガイヤ魔術師団の初期から在籍しているゾーマも呼ばれていた。 ラザムの使徒はムクガイヤの支配下になったわけではなかったが、王都に現れた死霊に対抗するには必要であり、また、この状況で戦うのは好ましくないためニースルーが書状を送っていた。 ニースルー「わかっていることと思いますが、大陸は今死霊が溢れ、未曾有の危機を迎えております。これを速やかに解決するため」 「まず、ムクガイヤ様の後継者というより、皆の代表を選びたいと思います。」 ニースルーが集めた趣旨を諸侯に説明していく……。 ソーマ「後継者に関して、ニースルー殿を私は推挙したいと思う。 「ムクガイヤ魔術師団の結成時からおり、フェリル島での政治活動、人格を考えて妥当な人選かと」 バルバッタ「俺も、ニースルーがいいと思うな」 ルルニーガにつねられて、ニースルーを押すバルバッタ。 ルルニーガ「ムクガイヤ魔術師団がここまで勢力を拡大したのは一重にニースルー殿の種族を差別しな人柄あってのこと」 ルルニーガの発言は大きかった、大陸制覇に多大な貢献をしており、武勇に優れ、多種族の信頼も厚いものがあった。 全員から賛成を得られることはなかったが、反対意見は少ない。 チルク「本人の意志も重要でしょう。ニースルーはその気があるの?」 ニースルー「…………。皆様に異論が無いなら、私が代表をやらせていただきます。」 沈黙を貫いているものはいたが、多くの賛同者を獲得し、ニースルーが代表に選ばれた……。 ニースルー「早速で申し訳ないのですが、私、ニースルーは代表を辞退したいと思います」 一同がざわつく、代表になっておいて、いきなり辞めたいと言い出したのだ。 ふざけるなと声を荒げるものもいたが、ルルニーガの静粛にという言葉で静まり返った……。 ルルニーガ「ニースルー殿、お考えを聞こうか」 ニースルー「私は、死霊の軍勢を討伐するに当たって、代表は武官の方が勤めるべきと思うからです」 至極、真っ当な主張に異論はおきない ニースルー「しかし、ながら、死霊が討伐されれば復興が次の課題となり、そして大陸の安寧と発展が私たちに課せられることになります。」 「我が君、ムクガイヤはレオーム王朝の腐敗を嘆き、よりよい世を作るため、賢人による統治を理想とし立ち上がりました。 故人を悪くいうわけではありませんが、しかし、彼は領土を拡大すればするほど、傲慢になり、かつて彼が嫌っていた者達となんら変わりない人物になっていました。」 仮に私が代表を務めても、腐敗していくでしょう。誰がなっても遅かれ速かれそうなります。 ならば、民衆一人一人に投票を行う権利を与え、代表を決めるべきです。 皆で代表を選び、代表には任期を定め、例え、政治が間違った方向に行っても、速やかに政権交代が行われるようにするべきなのです。 今するべき事は、ここにいる皆で投票を行い、一刻も速く大陸の平和を取り戻すため、死霊の軍勢に立ち向かう勇者を決めたいと思います。」 突然の提案に再びざわつきだす。代表を投票で決めるというのは今まで行われていなかったからである。 反論は出なかった、まずニースルーが一人の参加者としてではなく、一旦代表になってからの発言というのが大きい、つまり既に代表の言葉として絶対的なものがあるからである。 さらに言えば、この中で一番発言力を持っているのはルルニーガになる。そのルルニーガがニースルーを推す伏しがあるため、反対意見を言いづらい空気があった。 また、異種族が多く参加しているのも大きい。 この場に参加している異種族は、自分たちの種族が今後どう扱われていくのか? そこに関心がある。 大陸でもっとも繁栄している種族は人間であり、当然、極度の差別意識を持つものが代表になる事は好ましくない、ニースルーの主張は、最悪を回避しやすく、最悪の者が代表になっても任期が過ぎれば希望を得られるからである。 ニースルーの意向が通り、投票が行われた……。 大陸の代表となって死霊の軍勢に立ち向かうのはルルニーガが選ばれる……。 そして、代表となったルルニーガは、リッチートライドを滅ぼし、見事死霊の軍勢を打ち破ったのだった……。 ■ラザム裁判 戦乱が終わり、復興が大陸全土で行われ始めた頃、ニースルーは、ラザムを裁判にかけた……。 告訴内容は、 旧・銀の夜明け団の虐殺 闇の魔法を禁忌と定め、闇の魔法を覚えた者に対する迫害行為 光の魔法の独占行為 の3つである。 ラザム側の言い分として、闇の賢者が魔王を召喚し、戦乱を起こす事を予知した結果、それを阻止するため平和を維持する為に行った行為という主張がなされた。 しかし、ニースルーは、その予知をして行動をとった事が、当時の闇の賢者がヨネアに闇の魔法を教える事となり、魔王召喚の流れとなったため、戦乱の責任はヨネアではなくラザムにあるとした。 司法省長官に選出されたサーザイトはこれを認め、ラザムに戦乱の損害賠償を行う事を命じると共に、未来を予知する類の魔法を使用することを禁じた……。 これにより、ラザムの溜めこんだ資金は戦乱の復興の財源にされる事となる。 また、闇の魔法を禁忌としている事も、闇の魔法を覚えたからと言って、その者の人権が無くなるわけではないとし、ましてや迫害の理由にはならないとして敗訴となった。 光の魔法の独占に関しても、ラザムが独占することで、多額の医療費を要求する聖職者を増やす行為とし、敗訴となり独占を禁じた。 以上により、ラザムは深刻なまでの資金難となり組織を維持できなくなったため解散となる。 光の魔法は一般の魔法と同様となり、学校でも教わる事が容易となり、医療の発展を一助となった。 闇の魔法は、禁忌ではなくなったが、悪用される事が多いため、習うには資格が必要と定めれた。 信仰の自由は認められ、ラザムという組織が無くなっても、ラザムの教えを信じる人は無くならなかった……。 イオナ国とかアナザーと同じ系統の、読み応えのある熱い話。面白かった。 -- 名無しさん (2023-10-24 18 38 00) いいねえ -- 名無しさん (2023-12-16 19 20 14) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/gamaran/pages/13.html
人物紹介 海原大仕合~戎簾の里修行(第八十四話まで) 第八十五話~はこちら 大亀流(Giant Tortoise School) 個性溢れるキャラが多い流派。 主人公の流派だから当たり前か。 黒鉄 我間(くろがね がま) この物語の主人公。“迅さ”の雷電型が得意。 15歳までの時点ではつるちん。現在(16歳)生えたのかどうかが話題になっている。 相対した流派の人間を一人だけ生き残らせるという変な趣味を持つ。 大亀流を裏切った父・陣介を倒し、捕らわれているヒロイン(直善様)を助け出そうとしている。 千石 伊織(せんごく いおり) 荒ぶる赤ペン先生。大亀流の高弟。24歳。 我間の兄弟子の1人であり、実際に剣を教えた直接の師匠でもある。 九歳の頃に両親を殺され、自身もいろいろな意味で危機に陥ったところを、通りがかった陣介に救われた。 「いつ見てもいいぜぇ」「あんたにはヌく価値がない」など、解釈次第でいやらしい言葉を吐く。 真ノ丞に大亀流を託し、我間に最後の教えを説き一人陣介に会いにいった。 一匹狼であまり集団行動をしないのは、犬と猿の小競り合い、迷子、メスブタの誘惑などに関わりたくないためと思われる。 桜 真ノ丞(さくら しんのじょう) 我間の兄弟子の1人。大亀流の現当主。真さんで通っている。 “技巧”の水龍型を得意とする。 「フム」が口癖であり、中華一番のハ行五段活用マーボーの「フムフム」を彷彿させる。 10年前は一天流に属しており、いずれは当主の娘である幸と結ばれて一天流を継ぐはずだったが、 双燕流の二階堂美作による流派潰しにより一天流は壊滅、その後に大亀流の門を叩いた。 そのため、唯一の生き場所と定めている大亀流を裏切る者や敵対する者は許すわけにはいかないという思いが強い。 度を超した方向音痴なので、先頭を歩かせてはいけない。 一ノ瀬 善丸(いちのせ ぜんまる) 我間の兄弟子の1人。猿。“力”の焔燃型が得意。 オツムはポンポンだが実家はボンボン。大実賀藩の剣術指南役を務める名門武家・一ノ瀬家の子息。 実家に伝わる巨大な怪刀「久夛良木定長」を使う。 大亀流を捨てた兄の可偉に対抗すべく修行に励む。 様々な場面で「これは技だ」「言っとくが筋力じゃねえぞ」などの発言をするが どう見てもただの馬鹿力です。本当にありがとうございました。 大泉 亀伝坊(おおいずみ かめでんぼう) 大亀流の先代当主。愛称:タートル先生。 “千人斬り”黒鉄陣介の元師匠。初めての強キャラ爺。 名前からして彼が大亀流を立ち上げたものだと当初は思われていたが、大亀流は200年の歴史があった。 一線を退いた現在も、無宝流の軍団長クラスを一撃で倒すなど、その実力は健在。 大泉 千花(おおいずみ せんか) 亀伝坊の娘。18歳くらい。顎にホクロがあるツリ目。豪傑。 ガタイのよさからスレ住人には「ゴリラ」「肩パッド」などと呼ばれて親しまれ、 日向兄弟には「千花の姐さん」「ブタ」「メスブタ」などと呼ばれて恐れられている。 掃除、洗濯等の家事を日向兄弟に押し付け、自分は何もせずに団子ばかり食べている。 我間と善丸が息を切らせて登った戎簾山を難なく登ったり、可士太郎を裸拳ひとつで倒したことから、 少なくとも修行前の我間や善丸よりは強いのではないかと推測される。 団子を食べるときの効果音はモフモフ。 中丸ぁぁんの思う女性の愚かさやカワイさを集めて生まれたキャラ。 描く女キャラがブスだと言われ続け、心が歪んでしまった中丸ぁぁんの心の闇が生み出したキャラなのかもしれない。 ※大亀流列伝・9(21巻) 日向 雅人(ひゅうが まさと) ヤ〇チャ的ポジション。 日向流を名乗り、直善に連れられて大亀流の道場破りに臨むが、我間に敗北。 以降は千花の命令で大亀流の下働きをこなしている。 これだけ大量の〇〇コを見せりゃあ、いくら千花の姐さんとはいえ腰抜かすにちげぇねえ!! 彼に洗濯板を使わせたら右に出る者はいない。 伊織先生の10段階評価:0点 ※ただし、石を割る握力は「(剣の勝負には役に立たないが)すげぇや」と一応は評価された。 ※敗北者列伝・1(6巻) 日向 小三郎(ひゅうが こさぶろう) 日向流を名乗り、直善に連れられて大亀流の道場破りに臨むが、我間(当時14歳)に即負け。 以降は千花の命令で大亀流の下働きをこなしている。 海原一雑巾がけが上手い剣士。前髪をよくいじっている。 当時の武士にはいなかったとされる左利きの剣士設定。 ※敗北者列伝・1(6巻) 妙画 鉄斎(みょうが てっさい) かつて陣介と当主の座を争った天才。 流派を守ることを第一に考えた。六年前、陣介たちが大亀流を抜ける際に殺された。 戎簾の里(Hometown of Juren) 大亀流の初代当主が修行し、流派を興した場所と言われている。 高弟や当主になるための試練を与えられる修行場。 麟太郎(りんたろう) 戎簾の里を取り仕切るオランダの異人。 「ピューと吹く!ジャガー」の間池留(ジャガーさんの父)似。暑苦しい。 オランダ人なのにオランダ語ではなく英語を使うのは大人の事情。 夢路(ゆめじ) 麟太郎の娘で末っ子。16歳。 スレの住人の中には、男の娘と信じて疑わない者も。 普段は気が強い女流剣士だが、海原城下に向かおうとする我間達を 「戦うのやめなよ」「みんなと仲良くなれたのに死ぬかもしれないなんて」と 涙目で引き留めようとするなど、少女らしい一面も。 幼い女子に興味のない中丸ぁぁんにはどうでもいいのだが、 我間のことが好きというベタなツンデレポジションになった。 伊織先生の10段階評価:2点 ※大亀流列伝・10(21巻) 美花(みか) 麟太郎の長女。 雅人、小三郎、善丸、伊織が美人と評している。 涎を垂らしながら鼻提灯で居眠りしたり、妹に夜這いを勧めるなど、案の定「ただの美人」ではなかった。 最近は事ある度に千花さんと張り合っている。 女性キャラを描かなすぎて「このままだと一生、女性を描けなくなってしまうんじゃないか」という 思いだけで登場させた。 ビジュアル的に女性キャラの中では中丸ぁぁんが一番好きなキャラ。 ※大亀流列伝・10(21巻) 川崎クン(カワサキクン) 単なる使用人だが、無宝流の軍団員クラスなら難なく倒せるくらいには強い。 下田クン(シモダクン) 弟子デース。 可士太郎(カシタロウ) 麟太郎の息子で大亀流指南役。 戎簾山の頂上に一人で住み、人体の構造を日々研究している変人。 リンゴの木に「サエコ」と名付けている。 理想はややぽっちゃりのツリ目。 リンゴがナオンのケツのピーにピーってアペッるところを想像してコーフンする変態。 千花さんのデカい尻の(ピー)にリンゴをぶち込んで奴隷にしようと大それたことを考えているが、 その度にフルボッコにされている。 殴られた時の悲鳴は「アプルッ」 鷲津家(Eagle Bay Family) 海原藩は65万石の大藩。 子沢山な家系なり~ 側室だけで何人いるのだろう・・・ 鷲津 直善(わしづ なおよし) この物語のヒロイン。 海原藩の現藩主・鷲津直正の二十八男。 大亀流の主君。寝間着の柄はいろはにほへと。 武芸者でないにも拘らず数々の襲撃から生き延びるという不死身っぷりはテンプレにもなった。 →※旧テンプレ「直善不死身伝説」 鷲津 直正(わしづ なおまさ) 海原藩の現藩主。殿のおいなりであるぞ!! 鷲津 直光(わしづ なおみつ) 鷲津家長男。 二回戦ルール発表時の反応「………」 鷲津 直成(わしづ なおなり) 鷲津家次男。 二回戦ルール発表時の反応「とにかく守備だ!守備をかためさせて死だけは避けるぞ」 鷲津 直継(わしづ なおつぐ) 鷲津家三男。 二回戦ルール発表時の反応「フム…」 鷲津 直茂(わしづ なおもち) 鷲津家六男。もっちもち。 二回戦ルール発表時の反応「勝ちゃいいんだよ勝ちゃ……この程度でビビるかよ……」 鷲津 直定(わしづ なおさだ) 鷲津家十男。 ウジムシ。 天幻流の主君。 エ゛ァ!?。 鷲津 直家(わしづ なおいえ) 鷲津家十一男。 ブタ野郎。 半裸になって弟をいたぶるのが趣味。 鷲津 直重(わしづ なおしげ) 鷲津家十三男。 二回戦ルール発表時の反応「く…そんな俺はまだ死にたくないぞ!!」 鷲津 直治(わしづ なおはる) 鷲津家十五男。 二回戦ルール発表時の反応「一刻も早く外へ出て身を隠すのがよい」 鷲津 直宣(わしづ なおのぶ) 鷲津家二十九男。 二回戦ルール発表時の反応「ウフフ」 鷲津 直勝(わしづ なおかつ) 鷲津家三十一男。 明神流の主君。 ヤンデレブラコンである。 天幻流(Heavenly Illusion School) 巻梅庵と薬師寺栄馬によって旗揚げされた流派。 意外に門下生同士仲がよさそうである。 アル中、武ゲイ者、レイプ魔、脚フェチがそろう。 巻 梅庵(まき ばいあん) 天幻流当主。梅庵ぁぁん。 「酔いの梅庵」の異名を持つ無類の酒好きだが、大仕合ではシラフだった。 彼が遺した数々の伝説はテンプレとなってスレに受け継がれていた。 また、その名前からスレを埋める際にも活躍している。 ※敗北者列伝・2(6巻) →※旧テンプレ「梅庵伝説」 薬師寺 栄馬(やくしじ えいま) 天幻流師範。 梅庵への付き纏い行為や「巻梅庵にホレ込み」という説明から、武芸者ではなく武ゲイ者なのではと言う噂も。 仕込み刀という長刀が全く関係ない攻撃で天幻流内どころか一回戦中でも最大のダメージを我間に与えた。 天幻流で唯一生き残ったキャラ。 日向兄弟が再登場した今、彼の再登場も期待されている…のか? ※敗北者列伝・3(6巻) 赤星 純ノ助(あかぼし じゅんのすけ) かませ其の一。梅庵達が海原に来てから入門した。 管理者はキンモクセイを思い出してしまった 一度戦い始めると女子供まで皆殺しにしないと止まらず、見ていた町娘をレイプしてSATSUGAIしたことがある。 ※敗北者列伝・4(6巻) 雪村 正清(ゆきむら まさきよ) かませ其の二。梅庵達が海原に来てから入門した。 著者のお気に入りだったらしい。 ※敗北者列伝・4(6巻) 日吉(ひよし) 梅庵達が海原に来てから入門した、最強のシールド。 執拗に足ばかり狙ってくる。 ※敗北者列伝・4(6巻) 中泉流(Middle Spring School) “狂弓”の威名を持つ。弓矢はぁはぁ。ワシのユミィ。 中泉 新(なかいずみ あらた) 中泉流当主。ニューさん。ぼっち流派なので、海原大仕合には一人で参戦した。 弓術の特訓を十年以上も続け、オリジナル弓を開発する真性の弓矢オタク。 我間に敗北するも技を認められ生き残った。 我間への恩を返すため、新章に再登場。 ※敗北者列伝・5(7巻) 鏡千流(Thousand Mirror School) 百年以上前に生まれた体術流派。 大丸家兄弟で構成される。魂隠流よりも忍者っぽい。 左近と龍五だけ母親が違うらしいが顔の造作を考えるに五郎もまた別の女が母親か。 大丸 左近(だいまる さこん) 鏡千流当主で大丸家六男。20歳。 流派始まって以来の天才だったが、七年前、強さを求める龍五の手によって精神を破壊されバーサーカーと化した。 小鳥好きのようだ。 我間との戦いで死亡。 ※敗北者列伝・7(7巻) 大丸 龍五(だいまる りゅうご) 大丸家長男。「龍吾」という名だったが、誤植により「龍五」に。 ブラコンで虚蹴跳の使い手。口癖は「フ」 江戸時代なのに、切断された腕を元に戻す外科術があるらしい。 敵味方の区別がつかなくなった左近に頸椎を破壊されて死亡。 ※敗北者列伝・8(7巻) 大丸 双二(だいまる そうじ) 大丸家二男。左近を当主と認めていない。かませ。 実力不足にもかかわらず先走り、我間に返り討ちにされる。 ※敗北者列伝・6(7巻) 大丸 元三(だいまる げんぞう) 大丸家三男。かませ。中丸ぁぁんに感謝される。 先走った三馬鹿の1人。 鏡千流秘伝“月隠しの構え”を披露するも我間にゴミとして処分された。 ※敗北者列伝・6(7巻) 大丸 四ノ介(だいまる しのすけ) 大丸家四男。暴れん坊。しかしかませ。 先走った三馬鹿の1人。 天幻流の二番煎じの下段攻撃は我間に通用しなかった。 ※敗北者列伝・6(7巻) 大丸 五郎(だいまる ごろう) 大丸家五男。 鏡千流唯一の生き残り。すごい常識人。「血液型だってたぶんA型」。 四門と共に素晴らしい解説を見せてくれた。 戦ったらたぶん強いらしい。 ※敗北者列伝・9(8巻) 卍卍流(Piling Swastika School) 伝説の変態、松本無楽が当主を務める流派。 重ねマン汁と呼ぶ住人も。 松本 無楽(まつもと むらく) 卍卍流当主。この物語のもうひとりのチュル人公。 モゾチュル。 我間乱史上最強の変態といっても過言ではないだろう。 中丸ぁぁん的に我間乱ベストネーミングキャラ。 新章では、我間君とのモゾチュル目当てで無宝流入りしている。 蛇牙(じゃき) チビハゲ(と我間は内心で名付けている)。コタロー大好き。 金な玉、もとい武凶具「蛇金(ジャゴン)」を武器に使う。 我間の虎穿お披露目の餌食になって死亡。 ※敗北者列伝・10(9巻) 小太郎(こたろう) 武凶具「三ツ星」を操るテクニシャン。 来世はきっとAV男優。 来世の名前は加〇鷹。 我間の鳴神お披露目の餌食になって死亡。 ※敗北者列伝・10(9巻) 無宝流(No Treasure School) 当主 黒鉄 陣介(くろがね じんすけ) 大亀流元当主で「千人斬り」「剣鬼」と称される伝説の武芸者。 我間の父親。 数年前海原藩城下に突如現れ、1000人もの武芸者を斬ったとされる。 回想シーンでは黒髪だったりイタリア人だったりしたが、実物は伊織に似たごつい人。 直属兵団 伊藤 乱丸(いとう らんまる) 陣介の弟子。睫毛バサバサ。我間のライバルポジション。 その行動と言動により、スレ住人にはウザがられている。 「お前は陣介さんの息子にふさわしくない(キリッ」 陣介と雪尾から大亀流に手を貸すよう頼まれており、大亀流と明神流の決戦の手筈を整える。 彼の発言はまったくアテにならないことで有名。 宮藤 四門(くどう しもん) プロストーカーにしてスカウトマン。いつもニヤついている。 一回戦時に、天幻流の傍に潜む我間の傍に潜んでいた。 しかし鏡千流との戦いを見ていた伊織に気付かなかったことから、ストーキングされる側になると勘が鈍るようだ。 我間を天才とまで評価していたのに、乱丸に聞かれたときには「さあ?どうだろう」と返す変な奴。 スカウト業が一段落した今は、海原城の案内役などもこなしている。 陣介の懐刀的な存在のようだ。 土龍(つちりゅう) 口元を覆面で隠している忍者風の男。 海原城制圧の際、抵抗する鷲津家家臣の処理を担っていた。 参謀 九条 麻里央(くじょう まりお) 参謀長。元大亀流。 オールバック、ロン毛、メッシュの外見から那智ジュニアではと噂されたが、そうではなかったようだ。 一ノ瀬 可偉(いちのせ かい) 善丸の兄。元大亀流。23歳。ドS。 善丸のことを、かわいくて聞き分けの良い弟だと思っている。 村雨 利虎(むらさめ りこ) 元大亀流。ザ・オカッパ。 大亀流を裏切ったくせに亀じいを亀師匠と呼ぶ。 九龍 安吾(くりゅう あんご) 元牙雲流。矢印まゆげ。 長巻「竜桐(たつぎり)」を使う。 城に乗り込んできた伊織と勝負するが、陣介の待ったがかかり、一年後までおあずけになった。 花村 理一郎(はなむら りいちろう) 元宗陣流。 最近のガンダムに出てきそうな顔である。多分変態。 アキャ太郎(仮)(あきゃたろう) 元流派も素性も、日本語が通じるかどうかも不明な謎の人。 ヘケ アキャ! ペペペ 軍団長 名須 早雲(なす そううん) 第八軍団長。28歳なのに学進からはおっさんよばわりされる。 忠次とともに伊織に襲いかかったがあっさりかわされ、一コマで胴体バッサリ。いろんな意味で不憫な人。 ※敗北者列伝・22(12巻) 鞍 四伝(くら しでん) 第十二軍団長。二刀流。 作者的には、「名前もビジュアルもカッコ良くしよう(即死キャラだけど)」と考えたらしいが、 何しろ即死キャラなので顔面ポロリンチョされてしまった。 ※敗北者列伝・21(12巻) 林慶(りんけい) 第十四軍団長。柳葉刀の使い手。 無楽さん唐人verとも言うべきな中々に変態度の高い容姿だったが、 前なんとかさんともどもアペられてしまった。 ※敗北者列伝・21(12巻) 前園 兆栄(まえぞの ちょうえい) 第十六軍団長。第二遊撃師団で言う所の進次郎ポジション。 「なんかもう、ヒゲでいいや!どーせ即死だし!」と考えて描かれた。 田吾作以来の逸材である四伝と中国版無楽さんに挟まれ、それ以上に話題にならなかった。 ※敗北者列伝・21(12巻) 新納 学進(にいの がくしん) 暑苦しい男。任務完了時には常にアピールしている。 私、新納学進、下の剣をおっ勃てましたぁ!! 16歳で功を焦っている。乱丸に嫉妬している。 師団長 馬庭 重法(まにわ じゅうほう) 第弐遊撃師団長。戦場に丸腰で臨んだ阿呆なお人。 当Wiki[[人気投票]]第一位(当時)である神野一翁の愛槍「銀閂」を強奪し、 大宮万里と共に、第二位の桜真ノ丞に襲いかかる。 棒術とコサックダンスを得意とし、そのキレと重さで真ノ丞を防御に徹しなければならないほどに圧倒した。 しかしながら、銀閂を強奪したことにより、蘇生した一翁の特殊能力【四神槍の誇り(ワシのヤリィ)】の発動条件を 満たしてしまうこととなった。結果、時を止められた後に真ノ丞に斬り伏せられ、絶命した。 人気投票一位と二位による夢のコラボレーションの実現のため、師団長でありながら早い段階で最期を迎える ことになってしまった。 ※敗北者列伝・17(10巻) 芝野 一飛(しばの いっぴ) 第八警備師団長。左足の指が右足の指並びになっているため、奇形で生まれたと思われる。 無宝流最速の弓使いにして、伊織の死体を欲しがるなかなかの変態。 会心の矢は伊織にあっさり防がれ、追撃しなかったせいで自分が人間剣山になり、お楽しみされてしまった。 ※敗北者列伝・23(12巻) 軍団員 忠次(ちゅうじ) 馬庭の部下。手甲と鎖の使い手であり、伊織から七点をもらった男。 実力を隠して弱いふりをしていた。 再登場の時にイケメン度が増したが、なんとなーく(作者の)ノリで殺されてしまった。 伊織先生の10段階評価:7点。 ※敗北者列伝・19(11巻) 進次郎(しんじろう) 馬庭の部下。通称「四点さん」。双節棍(ヌンチャク)の使い手。 初登場時、田吾作は名前のおかげで話題になったが、この男はまったく話題にならなかった。 再登場のシーンでも一翁に次ぐ腰砕けっぷりを見せた挙句、妖怪ぬっぺっぽうのような顔にされてしまった。…ち…ちん…。 拷問を受けた時点ではまだ生きていたらしい。 伊織先生の10段階評価:4点 ※敗北者列伝・20(11巻) 山下 田吾作(やました たごさく) 馬庭の部下。棒術使い。 「布に包まれた長物にマフラー」という、善丸に似た特徴を持っていたために、 善丸の兄・可偉か、「梅庵の…」か、そもそもこいつは男か女かと期待されたが田吾作だった。 元々は農家の三男だったが、近所の道場の当主に才能を認められて養子になった。 道場を継ぎそこなった後、陣介に出会い、無宝流の下っ端となる。 伊織先生の10段階評価:3点 ※敗北者列伝・16(10巻) その他 那智(なち) 直正に仕える密事頭取…と思いきや、陣さんの手下でした。 双燕流(Twin Swallow School) 二階堂 美作(にかいどう みさく) 十年前、ほんの数ヶ月で十以上の流派・道場を潰した「断道事件」の中心人物。“凶刃”と呼ばれている。 真さんの元の流派を皆殺しにした張本人。 二回戦で敗退した後、仕合を無視して暴走していた。 フリーザ口調のオカマ。真さん『幸ぁぁんのことかーーーーーーーーーーーーー』 剣技的にも性的にも両刀使い。真さんに両目をえぐられて死亡。 ※敗北者列伝・18(11巻) 雨音(あまね) 梅庵2世と目されるも真さんに瞬殺される。 「殺――」「ん?今何か言ったかノロマ」 右京(うきょう) あぺっ。伊織にゴミとして処分された。 五竜 (笑) 海原の歴史において永きに渡り最強の座を争い続けてきた、大亀流以外の5つの流派。 「海原五大流派」とも称される。 魂隠流(Soul Concealment School) 衣装はノースリーブ、忍者なのに忍ばずに人海戦術で戦う流派。 イケメンが多く、顔に×や-の化粧をすることも。団結力が強い。 藤林 才蔵(ふじばやし さいぞう) 魂隠流最強のひとり。 数年前、魂隠流の者一名を斬り殺した新興流派十数名を、一晩で拷問にかけたかのような皆殺しにし、 「魂縛の才蔵」の名を鬼の巣に轟かせた。 二回戦開始前に直善暗殺の命を受け、他流である白竜らを雇い辻斬りに見せかけて暗殺を企てた。 辻斬りを失敗した白竜に対し、顔も確認出来ない距離から正確に手裏剣で止めを刺す恐ろしい腕前も持っている。 我間に対しても、自身が得意とする不動金縛の術(矮針を打ち込む)により雷電型第二式・紫電閃をも 封じるまでに追い詰めたが、雷電型第三式・鳴神により半蔵と化した。 ※敗北者列伝・12(9巻) バッテンさん(仮) 魂隠流最強のひとり?顔に×マークがついていることから、スレ住人に「バッテンさん」と呼ばれている。 殺人スライディングを得意とする。 数名の部下を連れて大亀流抹殺を図るが、善丸の放った紅蓮旋により部下は全滅。 その後は無宝流に降って門番をしているが、善丸を倒すまでバッテンは消さないらしい。 バッテンは、入れ墨でも罰ゲームでも、ましてや切り取り線でもない。何の意味があるかは訊いてはいけない。 ※敗北者列伝・11(9巻)「名もなき忍達」に掲載 シュウ 直善を総勢3名で追い詰め、魂隠流奥義によって仕留めようとした所に 松本無楽の鎖分銅の攻撃を後頭部に喰らい、絶命する。 ヤゴロー 無楽さんをバックから襲って、逆にヤラれた人。 ※敗北者列伝・11(9巻)「名もなき忍達」に掲載 #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 神成流 (God Becomes School) 五竜の一つ。 鬼崎 玄斎(きざき げんさい) 真さん曰く、鬼の巣で名前を知らない者はいないほどの男。 強盗殺人鬼。2番目の爺。 酔いの梅庵より酔っ払っている。 新章では、協力者として再登場。 明神流 五竜の一つで、五竜の中でも上位の実力を誇る(伊織談)。 百年以上にわたり、四種四本の槍を四名に継承させてきた、得意な技の伝達法を持った流派。 敬称「四神槍」。そんな大仰な・・・ 御堂 心吾(みどう しんご) 重量22kg、全長約3m、穂先の長さ約1mという規格外の大身槍「鬼断(オニダチ)」を操る豪傑。 明神流に弟子入りした当初は細身だったが、師である原城元馬の槍術や強さに心酔し、 寝食以外の全てを鍛錬に費やすことで圧倒的な強さを手に入れた。 鬼断の次期後継者に決定したも同然だったが、黒鉄陣介により明神流は完全敗北し、原城元馬も死亡。 鬼断を継いだ後も更に厳しい鍛錬を続け、槍を操るための最強の身体を完成させた。 師が負けた陣介を倒すために生きてきたが、我間に敗れて槍を構えたまま死亡。 ネタにはあまりならなかったが、我間との戦いは作中随一の出来だった。 ※敗北者列伝・13(9巻) 榊原 佐助(さかきばら さすけ) ポロリンチョ、キャバァー。くびぃ。片鎌槍「紅抜(ベニヌキ)」を操る。 心吾戦を描いて疲れてしまった著者が、とりあえずテンションだけは上げておくかというノリで描いたキャラ。 この頃が一番作画が崩れていた。 十年前、他の「紅抜」後継者候補を惨殺して四神槍になった。 人の血を見て興奮する快楽殺人者だが、純粋に槍を愛していた御堂心吾のことは尊敬していた。 善丸の首をポロリンチョしようとしたが、最期は「影縫×紅蓮旋」で自分がポロリンチョされて死亡。 「(くびぃ!!)ポロリンチョ」のコマは、著者自らも「秀逸」と評する完成度(変態的な意味で)。 ※敗北者列伝・14(9巻) 神野 一翁(じんの いちおう) 抜く価値が見当たらない人気投票第2位。3番目の爺。アペッ。 名槍「銀閂」を操り、20年以上も四神槍の座を守り続けたカリスマ的教祖であり、本作品の3人目の主人公。 12年前の陣介との戦いでは、ワンパンと足元のぬかるみにより、実力を全く発揮できないまま敗れてしまった。 ペッ!ペッ!(ビクンビクン) しかしながら、気絶時に「銀閂」を奪われるという条件を満たした場合、【四神槍の証(ワシのヤリィ)】を発動することができる。 能力発動中は、「銀閂」を奪還するまで相手の時を止めることができるが、能力発動後は記憶障害に陥ってしまうリスクがある。 2010年9月4日現在、googleの検索バーに「我間乱(半角スペース)」と入れると、候補の中に「我間乱 一翁」と出てくる。 これは、我間乱の登場キャラクターで唯一の快挙である。アビィ。 ※敗北者列伝・15(9巻) 大宮 万里(おおみや ばんり) 管槍「九曜」を操る。 七歳当時、既に四神槍の後継者に決まっていた。 主君を差し置いて良い位置に陣取り、仲間が死のうと床が破壊されようと決して立ち上がらなかった。 やっと立ったと思えば主君の首を売り仲間を裏切った予測不能な男。口癖は「フ」 予感が良く当たるらしい。 新章では、無宝流の当主直属兵団に所属している。 栗林流 五竜の一つ。剣術流派。 総勢十名で海原大試合に参加したが、一回戦で無楽さんの卍卍流に敗れて全滅した。 占部一法流 五竜の一つ。その実力は五竜最強とも言われている。 大仕合二回戦の開戦から一日経過した時点では、明神流・卍卍流・大亀流と同様に勝ち遅れていると報告されていたが、 その後の消息は不明。 その他の流派 大仕合に出てないのとか名前だけ登場とか 一光流(いっこうりゅう) 剣術流派。当主は一光田斎(いっこう でんさい)。 海原大仕合の3か月前、御前仕合(第十三仕合)で田斎以下総勢10名で梅庵と立ち合った。 十対一という非常に有利な状況であったにも関わらず、梅庵の圧倒的強さの前に敗れ去る。 肝心の当主対決が描かれていなかった。門弟は「ぴっ ぴっ」という名言を遺した。 我念流(がねんりゅう) 槍術流派。 無限流(むげんりゅう) 忍術流派。 上智流(じょうちりゅう) 忍術流派。 海原大仕合一回戦で明神流に潰され、その道場は明神流の拠点として使われる事になった。 神源流(しんげんりゅう) 柔術を主とする流派。 その他(Others) 茶屋のおやっさん 第2話、第12話(鏡千初登場回)に登場。 12話では、ダンゴを食いにこない我間を心配していた。 進介(しんすけ) 第2話、第12話に登場。 梅庵の凄さを目の当たりにした人。 幸(さち) 真ノ丞がかつて属していた一天流の当主の娘で、婚約者。めさんこかわいい。 二階堂美作の流派潰しに巻き込まれて殺害される。 真さんと寝たのかどうかは謎である。 権(ゴン) 元三にヤラレタ浪人。 谷(たに) 直善様の家臣。 負傷した我間の世話をしていたが、屋敷内に侵入してきた鏡千三馬鹿に遭遇してしまい、 元三に殺されてしまった。 森田(もりた) 直善様の家臣。 我間を探しに出かけた直善様と山本に、首無し死体で発見される。辻斬りの阿権たちに殺されたものと思われる。 森田さんの首がどこに行ったかは我間乱七不思議の一つ。 山本(やまもと) 直善様の家臣。 直善様と共に、戻ってこない我間を探しに出かけたが、辻斬りの白龍に殺される。 雪尾(ゆきお) 直善様の母。見た目は若くて美人。 陣介と手を組み、息子の直善を藩主にしようと企む。 一ノ瀬家(いちのせけ) 善丸と可偉の実家。 大実賀藩の剣術指南役を務め、藩主から千石の知行を受ける武門の大家。 その家伝の剣術は強力無類圧倒的攻めだけで相手の全てを凌駕するという特殊戦闘理論に基づいており、 一ノ瀬家初代はその剣術で生涯無敗を誇ったとされる。 元ネタは薬丸自◯流と思われる。 神野 百翁(じんの ひゃくおう) 「翁」シリーズの第百弾。数が若くなるにつれて1.13倍強くなっていく。 全身金色の塗装がなされている。 「【中丸洋介】我間乱~GAMARAN~二十三の太刀」スレでその存在を確認。 本編にはまだ登場していないが、海原藩の武芸者の幅は天井知らずである。 中丸 洋介(なかまる ようすけ) 我間乱の著者。中丸ぁぁん、または中丸にゃーん。 →著者紹介 クリスタルな洋介(くりすたるなようすけ) 中丸洋介とは全く関係ない漫画家。
https://w.atwiki.jp/nobu6/pages/312.html
シナリオ解説信長誕生(1534年) 信長元服(1546年)PKのみ 信長初陣(1547年)SFC版のみ 桶狭間の合戦(1560年) 信長包囲網(1571年) 本能寺の変(1582年) 関ヶ原前夜(1599年)PCPKのみ 信玄上洛(1572年)CS版PKのみ その他(有志による改造シナリオ) シナリオ・大名別プレイ概況簡易まとめ シナリオごとの各勢力の推移 シナリオ解説 あくまで年代順であって後半ほど難易度が高くなるわけではないので注意、詳しくは下記の簡易まとめを参照。 信長誕生(1534年) 戦国時代の有名武将の多くが元服前あるいは未誕生であり、即戦力の人材もいるが寿命が長くない者が多い。また鉄砲伝来以前であるため鉄砲の使用が9年間出来ない。 難易度が高い場合、南部、長尾、細川、大内、大友あたりがガンガン勢力を伸ばしてくる。信長が元服してくる頃はもとより、鉄砲が伝来する頃には戦国の盛衰が決まっていることだろう。 また、尼子経久、長尾為景、北条氏綱、浅井亮政、松平清康など、このシナリオでしか使えない優秀な武将も多い事から、独特の雰囲気を醸し出している。 その為、ゲームのバランスが他のシナリオとは異なり、また、未来のスター武将を一から育成出来る事と相まって好んでプレーする猛者も多い。 尚、鉄砲伝来以前のシナリオの為、後のシナリオでは鉄砲適性の高い武将も全てEで統一されており、伝来イベントの1543年秋と同時に編成させて実戦でEから育成する楽しみ方も存在する(適性の伸び方は運に依存)。 信長元服(1546年)PKのみ 信長初陣(1547年)SFC版のみ 誕生シナリオと勢力図に大差は無い一方で、鉄砲が使用可能になり、信長を筆頭に優秀な人材が現れ始める。 全てのシナリオの中でも突出するCOM大名が少なく、比較的動きが穏やかで簡単な部類。 一方で優秀な人材が次々と元服してくれることから長く楽しめる。 鉄砲も使え、引篭りプレーも長期間楽しめる反面、武将はどんどん増えるので、暗殺と斬首で人材枯渇を狙うプレーは難しい。 以降のシナリオでは武将によっては登録上限に達して元服年を超えても出てこない事も頻発する。 余談だが、本願寺家は当主(証如)の寿命が近い事から跡継ぎの顕如が元服する前に死去しやすく、一向一揆や内応無効化に苦しめられることは少ない。 桶狭間の合戦(1560年) 最も標準的なシナリオの1つで、最初にプレーするには最適なシナリオ。 元服シナリオに比べ徐々に大勢力が形成されつつあり、大友家を筆頭に勢力拡大の動きの早いCOM大名が増え、若干難易度は上がる。 さらに、九州は島津4兄弟に高橋紹運、中四国は毛利の両川、長宗我部元親、近畿は足利義輝、本願寺顕如に下間頼廉、東海には秀吉に家康とその家臣団、関東は北条一族に佐竹義重、東北の最上義光など、人材もより一層豊富になる。 戦国オールスターを揃えるのも、統一スピードランを競うのも、引篭るのも全てがやりやすく、プレーの幅は広い。 余談だが、織田家でプレイすると、桶狭間の戦いのイベントが起きず、今川・徳川連合軍に攻められるので、意外と苦戦するかも。 信長包囲網(1571年) 桶狭間シナリオと比較して更に大勢力化が進んでおり、大友、武田、本願寺家などはものすごい勢いで勢力を広げていく。 織田家は一見巨大だが、周りの大名はお互いに同盟を結んでおり、かつ織田家との友好は低い。 まさに信長包囲網を敷かれている為、見た目よりも難易度は高く、滅亡することも多い。 反信長の筆頭である本願寺家は、鈴木一門が全員部将の地位、鉄砲部隊を備え人材の厚みが増しているだけでなく、特殊補正である一向一揆に内応無効化とチートの極みである。 織田家を吸収して巨大化した本願寺家を相手に立ち回るのは見た目以上の難易度なので注意が必要。 本能寺の変(1582年) ライバル不在となったCOM織田家が猛威を振るう。それを如何に倒すかが焦点となる中~上級者向けのシナリオ。 この化け物じみた織田家を相手に、それも最高難度(上級、難級)で試行錯誤した結果、鉄砲籠城や諏訪湖に鉄甲船など様々なアイデアが考案された歴史を持つ。 十河家や姉小路家は自分のターンが回ってくる前に屠られることもしばしば。 このシナリオの弱小大名で統一を達成することが出来れば天翔記マイスターと言えるだろう。 人気の真田家でプレーが可能であったり、これまでのシナリオでは優れた武将の少なかった東北も伊達政宗が元服するなど新要素も多く楽しめる。 一方で、今後は登場する武将の数が少なくなる為、暗殺と斬首で武将を枯渇させるプレーには割りと向いている。 尚、PK版では本能寺の変のイベントが発生して織田家が82年夏に分裂してしまうが、環境設定の特殊機能からイベント発生を禁止することが出来る。 関ヶ原前夜(1599年)PCPKのみ 非常に特殊なシナリオで豊臣家と徳川家が天下を二分している状態。両大名とも強力な武将を擁している為かどちらでプレーしても難易度は低め。 ただし、0人プレイでは秀頼はほとんど動かないため、ほぼ100%徳川が勝つ。そのため徳川の難易度は、全シナリオを通して最も低い。 最初に軍団の扱い方を学ぶのに最適。慣れれば軍団を独立させた独自大名を使って無双プレーをしても良い。 ただ、戦国のヒーローの多くが既に亡くなっており、その後も一気に人材の枯渇が進む為、他のシナリオと比べ長く楽しむことが困難。 斬首を縛ることが好ましいか。 新武将登録で江戸時代の人物をたくさん追加して、徳川光圀や鍋島光茂の元服を待つのも一興。最後の武将となる光茂が元服する1646年には、 普通にプレイすると生き残りの武将は100人程度になってしまうため、逆に言えば枠に縛られずに好きな武将を登録できるメリットがあるとはいえ、楽しむには困難が多く、2chスレでも好んでプレーする人は少ない。 ちなみに年代カンストは1708年なので、赤穂浪士討ち入り(1703年)や富士山大噴火(1707年)、イタリアの宣教師・シドッチ潜入(1708年)あたりまでは再現できる。 信玄上洛(1572年)CS版PKのみ 信長の野望シリーズ初の仮想シナリオ。武田信玄が美濃・尾張・近江南部・山城まで勢力を広げる一方で、ほぼ三河一国の徳川、伊勢・伊賀の織田と、両家が一気に弱体化している。 また、明智光秀が独立大名となっている他、織田家の一部武将が武田家臣になっている。 明智や浅井、姉小路などは開始年の春に降伏する可能性も十分高い。 後継の勝頼は勇猛であり、且つ家臣陣も強いため、織田家が真っ先に滅ぶ可能性も高い。また、信玄も何かと長生きする。 織田・浅井・上杉・松永・徳川・三好らと信玄包囲網を作れても戦いづらいのが特徴。 その他(有志による改造シナリオ) 信玄上洛(1572年シナリオ)は上段参照。 シナリオ・大名別プレイ概況 プレーする際の参考に。難易度は編集者の主観です。 各大名ごとの状況は当然違うのでたとえここで難易度が低めに掲載されていても難しいと感じてしまうシナリオもある。 (例)1534シナリオの朝倉は難易度Eだが同盟関係が複雑、近辺大名がどれも強いので入門者には少し辛い。同じ難易度Eでも、領土が程々で周辺大名があまり強くない南部の方が簡単に見えるがこちらもこちらで行動力不足になりがち…等 簡易まとめ 簡単なことで有名 1546~1571赤島津 1534~1571北条 1582織田 1560上杉 1546~1571甲斐武田 1534~1546細川 1560三好 1534~1571南部 1534~1571大友 1534~1571毛利 1599徳川 難しいことで有名 1582十河 1582姉小路 1582大崎 1534~1560大宝寺 1560~1571秋月 1534~1560神保 1571一条 1546斯波 1560若狭武田 1534~1560千葉 即滅亡しやすい大名 1534二本松 河内畠山 若狭武田 神保 千葉 蛎崎 1546二本松 河内畠山 若狭武田 神保 蛎崎 1560二本松 能登畠山 若狭武田 神保 蛎崎 1571二本松 畠山 一条 蛎崎 1582十河 姉小路 大崎 蛎崎 大勢力になりやすい大名 1534大友 大内 尼子 細川 本願寺 六角 朝倉 今川 土岐 長尾 北条 伊達 相馬 南部 1546島津 大友 大内 毛利 尼子 細川 本願寺 六角 朝倉 織田 今川 斎藤 長尾 武田 北条 伊達 南部 1560龍造寺 大友 毛利 三好 本願寺 織田 今川 上杉 北条 武田 相馬 南部 1571大友 毛利 三好 本願寺 織田 徳川 武田 上杉 北条 伊達 相馬 南部 1582(PK本能寺あり)島津 長宗我部 毛利 羽柴 柴田 徳川 上杉 北条 佐竹 伊達 1582(通常版・PK本能寺なし)シナリオ設定を見れば一目瞭然 1599シナリオ設定を見れば一目瞭然、なりやすいも何も・・・ シナリオごとの各勢力の推移 家名左のアルファベットはおおまかな難易度。基本的にABCDEの5段階で、Sが最難関でZが最も簡単。あくまでも参考程度で。 S 超上級者向け。2ターン目(夏)に滅亡も十分ありうる、まさに最難関クラス。これで統一してこそ名人。 A 上級者向け。展開によっては早々に詰む場合もある。多少の運も必要か。 B 中~上級者向け。力押しのみだと苦しくなってくる。頭を使おう。 C 中級者向け。適度な難しさ。様々な戦略を模索できる。 D 初~中級者向け。ちょっと慣れてきた人向け。油断は禁物。 E 初心者向け。まだ余り自信の無い人向け。簡単。 Z 超初心者向け。まずはゲームに慣れるところから。 勢力 難易度 1534 1546 1560 1571 1582 1599 蛎崎 CBABA- 父子共に頼りないが弱くはない 海戦で南部に勝って地の利で南下 同左 しかし義広がすぐに寿命 季広独りなら難易度A 南部が華やいでいるというのに蝦夷は孤独 松前は有能 津軽を内応 晴政は1582に死んだんじゃ…… 政実を内応 南部 EEEEC- 序盤は国力不足気味 蝦夷を獲った後は若き晴政をガンガン鍛えて南下 鉄砲伝来 でも晴政で余裕 九戸加入でさらに賑やか 津軽加入で最盛期 問題は奥羽平定後 晴政は寿命近い 信直も弱くはないがちょっと見劣り 信長に対抗するには序盤が肝心 津軽 ----C- 戦争しまくって能力鍛えるのは難しくない 強いて言えば国力不足 葛西 ABBBA- B×3×3 歳食ってるのに弱い 斯波最強高詮が活躍? それとも浜田待ち? 戦才124でも葛西家では大黒柱 部将の斯波父にも頼らざるを得ない また3人に 対大崎一択 折居がまあまあなので1560よりはまし 寝返った斯波をつぶして大崎から南条を取る 大崎 AAAAS- エース黒川が12歳のひよっこ 正攻法じゃ先にターン来ないと絶対無理 晴氏は育っているが周りはさらに育っている 義直さん頼むよ…… ずっと晴氏のターン ついに入った跡継ぎがこれだから大崎クオリティは困る ついに第二家臣しかも戦得A! しかし野望が致命的 晴氏まだ勲功0かよ 蘆名 CDDDB- 盛舜は弱くはないが家臣全員しょぼい 翌年に盛氏元服→即隠居→一騎駆けが吉 基本的に同左 周辺戦力を蹂躙して北上せよ 盛氏一人で余裕 家臣も少しずつ充実 盛氏51歳 寿命60 生前に何をするか 盛氏死亡 武将も野望も酷くはないが…? 二本松 BBBCA- 周囲全部敵で伊達相馬同盟 標的は蘆名で翌年の盛氏狙い 田村家独立したら詰み 隆顕無双にできればいいが周りも弱くはない 清顕きた しかし周りの壁はさらに高くなっている 義継が入り二本松としては最高の状態 周りにもやや劣る程度 攻めるなら蘆名→相馬か もたもたして周囲に同盟を結ばれたら終了 相馬 DDDDC- 顕胤は近隣ナンバー1 まずは総力を挙げて二本松→葦名にて翌年登場の盛氏を確保 この親にして騎馬B戦才158の倅あり 南方や西方へも突撃可だが基本線は北上 騎馬突撃おいしいです 倅は1562登場 倅が最初から家老なので育てやすい これまで通り騎馬突撃 盛胤騎馬Aに成長 織田が待っているので良将漁りに駆け巡れ まずは伊達から 戸沢 BCCCC- 惟道の初期値良好 超老け顔の道盛は育てたくなることうけあい 景道は頼りになる! 道盛も順調に育っている 義光狙い 政実も可 道盛は若くして隠居したはずだが? 安東攻めから周りを平定 祝・道盛大名皆勤 盛安に家督譲ってもいいが短命なので注意 安東 CCBBA- 浅利を主力に蝦夷まで北上 湊の収入も地味にうれしい 浅利は晴政より強いんだぜ 実は定季も育ってる 戦略は同左 世代交代 愛季はいいんだがのりすけおじさん…… のりすけ自刃 武力では勝てないのでからめ手で 同左 愛季の寿命が近い 下手すれば跡継ぎが元服する前に死ぬことも 大宝寺 ASSBB- 戦才が一番高いのに戦得Cって 最上に勝てるかギリギリ 水軍を活かせ 1534÷2 泣けてくる 最上の良将が取れればいいね(棒) 悪屋形キター! 弟もクルー! 列伝によれば彼はまさしく天翔記の申し子 羽黒山別当が上杉家に侵攻 北上でも吉 最上 BBDDD- 早く出羽を出たいが戦闘員がいない 弁舌定直はある程度救い 知将ばっかで武官不足…… 倅はまだ生後数ヶ月 義光元服 家督譲って蝦夷まで北上 同左だが有能な家臣が徐々に増えていくので1560よりは楽 あえて義時に継がせても勝てる 伊達上杉に見劣りしない家臣団 早めに東北を平定し織田に備えよう 伊達 DDDDD- 稙宗晴宗は共に微妙なライン まずは鬼庭を主力に葦名攻めで翌年登場の盛氏を確保→蝦夷まで北上 加入した武将はまだまだ頼りない やはり物量勝負ですぐ様北上か 9人いるが戦才Aは鬼庭だけ 周囲との婚姻関係を上手く使おう 倅の元服前に何をするかが重要 政宗始め有能武将が大量出現! 輝宗も弱くはないが家督譲ろう まずは2年で奥羽平定 勢力 難易度 1534 1546 1560 1571 1582 1599 佐竹 CBDED- 周りは弱いがこっちの家臣も弱い 義篤単騎が楽か 義篤死んで弱体化 周りは強くなっているというのに 翌年に鬼佐竹こと倅が元服 北上か、或いは…? 1~3騎駆け可能 氏康逝けば好機到来だが綱成 小太郎に注意 北条より伊達・最上の方が武将が充実してるのでまずは北上 小田 CCBAS- 勝貞を活躍させてあげよう 政治も悪くない 勝貞強い! 政貞も戦得A! ただ倅は…… 氏治に世代交代 北条との同盟を活かせ 北条同盟 菅谷家は3代目にして戦得Bに だがそれがいい 佐竹同盟 いかに早く武力のある武将を手に入れるか 結城 CCCBA- 武将は中堅で悪くないが周りの壁が高い 小田が狙い目 部将は増えたがどうもいまいち 高朝にはがんばってほしい 晴朝は政勝が若返った感じ 鬼義重がとれればいいが 触らぬ北条に祟りなし まず迂回 高朝父ちゃんがんばれ 宇都宮→那須が無難か うまく武将を育てないと詰む 古河足利 CA---- 義明無双 史実に反して家督譲るのもあり 義明無双終了 簗田がんばれ! 千葉 SAS--- 関東最弱…… 北条を敵にしたら終了 昌胤の方がまだ良かった 北条とは仲良く これでよく残ってるな 里見 CDDDA- 北条に勝つには海戦が鍵 氏康と綱成に小太郎が取れれば優位に立てる 義弘も入って更にいい感じ 積極的に戦争しよう 成長 北条も強くなっているので燃える 義堯と時茂の寿命が近い 勢力を拡大しつつ義弘を育てよう 一気に瀕死 如何に北条の隙をつくかがカギ 那須 CCBCB- 騎馬C高資と弁舌持ち資清は使い甲斐がある 友好高いが蘆名を攻めるべきか 近隣勢力の中では粒ぞろい 高資が関東平野を駆けめぐる 高資早世…… 資胤も決して弱くはないんだが 1534に似た状況 やはり蘆名か やっぱり大名が強いのはいいね 北西南どこへ向かう? 宇都宮 CBBBA- 興綱野望高い 攻める順序を考えよう 尚綱は頼りない 有力武将も昌綱のみ 広綱さらに頼りない 上杉北条が好戦的でないのが救い 同左 上手く立ち回りたい 国綱もまた頼りない 内応縛りだと難易度S 山内上杉 DD---- 家臣に怪物が2人も 財政難に苦しむ武田を狙うのも一策だが下野経由で蝦夷まで北上も一興 長尾よりも北条に注意 戦略は同左 扇谷上杉 CB---- 朝興強い 山内・武田は頼れないが早々に北条取り込めれば勝機あり 扇谷上杉最強布陣 だが南北がもっと強いんじゃかなわない 東へ 真田 ----C- 父子ともに最強だが引きこもると財政難 織田もじきに攻めてくる 武田同盟を生かすか切るか 北条 EEEZC- 戦才Aの4人で余裕 氏綱存命中に蝦夷まで北上 唯一の問題は盟友今川といつ袂を分かつか 武田今川が敵だがどちらも動かないので気にせずがんがん蝦夷まで北上 上杉強大化も三国同盟+息子全員家老+左の人達で問題なし 氏康寿命 死ぬまでに若手を育成&勢力を広げろ 綱成寿命 小太郎は長寿だが劣化に注意 やや人材不足なので早めに東北の良将を手に入れたい 勢力 難易度 1534 1546 1560 1571 1582 1599 今川 EEE--- 雪斎と義元を鍛えまくれ どこに向かうもよし 勘助をお忘れなく 敵は織田のみ 義元戦得C…… 史実通り織田一択だが史実の二の舞にならぬよう 義元逝去の折には配下の離反覚悟で強引に元康に後を継がせるが吉か 松平/徳川 C--EDZ 清康強いので育成兼ねて一騎駆け 織田とは同盟結びやすいのでまずは今川から まずは武田だが忠勝 半蔵といえども信玄との直接交戦は避ける 鉄砲籠城も可 信玄逝くか本願寺が織田領獲ったら好機到来 速攻で織田との同盟切って忠勝 半蔵と共に攻め込め 同盟維持では間違いなく出遅れる 何もしなくてもだいじょうぶです 史実よりも早く江戸幕府を開くことも十分可能 斯波 AS---- へっぽこ義統 織田父子も微妙 まずは規秀を内応 より絶望的に とにかく頭を使え 3年耐えれば丹羽登場 織田 DDECZ- 信秀強い 翌年登場の勝家と一緒に暴れまくれ 今川迫るが家臣は強い 信長育成に力を注げ どんどん武将が増えるので財政難に注意 東と西どちらに向かう? 速攻で長島攻撃して包囲網を崩せ CPUは長島から領土荒らされて負けることが多い 軍団任せにしても大丈夫だが有能武将を奪われないよう注意 土岐/斎藤 CEE--- 行動力が全シナリオの大名の中で最低レベル 髪結い→即規秀と縁組&隠居で難易度E 道三1人でも余裕だが家臣や在野浪人も優秀 帰蝶を姫武将で育てるも吉 義龍強いが寿命 良臣が取りやすく半兵衛もいる まずは存命中に織田から 後継者は倅よりも縁組した半兵衛が吉 北畠 CCC--- 九鬼水軍を活かせるあなたは北畠向き まずは百地確保→筒井→河内畠山→堺 鉄砲来たので鉄甲船が買えたら勝ち 百地は言わずもがな 忍者剣豪海賊とバラエティに富んだラインナップ 戦略は同左 こまめに取引も忘れずに 勢力 難易度 1534 1546 1560 1571 1582 1599 甲斐武田 EEZZB- 全員戦才Aだが国力不足 解消するには史実の甲信越より関東か東海への侵攻が吉 今川が味方 北条はおとなしいので暴れましょう ただでさえ有能な家臣団に翌年昌幸加入 育成も兼ねて積極的に領土拡大しよう 信玄寿命注意!史実に則って早急に上洛するか、或いは徳川狙いか…? 長篠で有能な武将が散り真田は独立おまけに徳川も強化 しかし勝頼は騎馬A 信忠軍団から切り崩せればいける 村上 DC---- 強いぜ義清! まずは小笠原方面に突撃! 諏訪頼満獲れれば勝ちモード 部下が増えない…… 小笠原以外にはかなわなさそう 小笠原 EA---- バランス良い家臣団 戦得Aの4人だけで今川つぶせる 武田を圧倒せよ 騎馬バカ長時 戦力劣化しすぎ 周り強すぎ 領地は捨てるしかない!? 三木/姉小路 AAAAS- 規秀を取るか本願寺の有能武将奪うかの二択 為爺死亡 斎藤と同盟で余裕ができる 景虎には注意 斎藤と同盟 政虎を避けつつ上杉の良将を得られたら勝機あり 織田はたまにすっからかんになるのでその隙に攻めて武将取り 春に織田より先にターン回ったら速攻佐々滝川を取れ 夏に滅亡もありえる 縛りとか言ってられない 勢力 難易度 1534 1546 1560 1571 1582 1599 長尾/上杉 EEZEC- 為爺が死ぬまでに蝦夷まで北上 謙信こと景虎は1544登場 晴景軟弱 速攻で景虎に家督譲って蝦夷まで北上 1560最強の大勢力 やりたい放題だがやや行動力が低い 1534の為景が謙信に変わった位 存命中に蝦夷まで北上 軍神消え入れ替わるように兼続登場 景勝も育てがいあり 北上するなら領土は捨てる覚悟で 神保 SSS--- 為景が死ぬまでが勝負 為景が死んでも難しいってことですね 変わらぬ家臣団 三木以外には逆立ちしても歯が立たない 能登畠山 BBAA-- 長尾と同盟 しかし兵力不足 本願寺内応効かないし朝倉もしにくい 義続の野望はそこそこ 特殊能力持ちの武将を如何に使いこなすかがカギ 同盟終了で八方ふさがり 野望の高さだけが救い 7歳の義慶が謀将を使いこなす(棒) 朝倉 EEDC-- 孝景と宗滴が老練トリプルA 金持ちかつ畿内方面と同盟 長尾も敵ではない ツートップの存命中に勢力拡大&若手を育成せよ 浅井との同盟が切れてるがすぐに結びなおせる 義景はあれだが家臣優秀だし資金もある 本願寺が半端なくなる前に景健を鍛えろ 若狭武田 ABS--- 武将3人雑魚ばっか 浅井・朝倉の波に飲まれてはならない 武将4人 勝てるのは一色のみ 稲富取ったら堺へ南下 輪をかけて弱体化 朝倉同盟も切れた さあどうする 勢力 難易度 1534 1546 1560 1571 1582 1599 浅井 DCDC-- 亮政強い 死ぬまでに駆け巡って若手を育成せよ 中堅揃いの配下 今浜領有も全員鉄砲E 鉄砲は弱い久政に持たせるが吉 速攻で家督譲ろう 長政配下共に粒揃いだが斎藤織田はそれ以上に強いので注意 油断してると織田に瞬殺される 包囲網を生かせ 六角 DDC--- 定頼強い 百地近い 畿内の細川を蹴散らせば敵なし 滝川いるし百地取れるし問題なかろう 承禎育成も楽しい 周りのどこよりも弱い 百地を取って何とか互角か 足利 BCDB-- へっぽこ将軍 細川に四方を囲まれたら終了なので便乗して攻める 同左 細川といつ手を切るかが鍵 三好がやや脅威だが剣豪将軍が強い 足軽育てば相当楽に 本願寺に便乗 織田から城と武将をどれだけ分捕れるかがカギ 細川/三好/十河 EEEDS- こんだけいて戦才Aは波多野だけ でも長慶と久秀で余裕 問題なし 東西どちらに行く? 問題なし 怖いのは開始早々久秀独立か 第1軍団の攻める方向が東しかない 本願寺より先に織田の有力武将を奪えるか 電撃戦で近隣武将を取り込みつつ存保を鍛えたい 長宗我部の主力が来たら終了 豊臣 -----E まずは軍団長と武将の配置を見直そう 秀頼は育てたくなるよね 波多野 ---C-- 秀治と赤鬼青鬼コンビを鍛えよう まずは一色の稲富獲り→堺を目指す 本願寺/鈴木 DEEED- 鉄砲ないが足軽で十分 流出持ち多く兵力を確保しやすいのも利点 鉄砲が入り最強 細川を早めに倒したらほぼ勝利 鉄砲最強 第三軍団は勝手に暴れてくれる 全戦力を長島へ! 鈴木の家臣増えてる 初手で堺を取ってからの織田の怒涛の反撃を凌げ 長宗我部と結べば大分楽になる 松永 ---C-- 何と言ってもこの野望と高能力だが歳が歳なので倅や配下の育成も 還暦百地と左近をお忘れなく 河内畠山 AAA--- 東上は楽だが河内守護の名が廃る まずは松永内応→即縁組→隠居 百地に長慶も取れたら盤石 3人揃ってBCC 初ターンで先手を取るしかない? 最低レベルの野望 三好は強いやつが身分高いので厄介 対筒井なら勝ち目あり 筒井 CCA--- 順興そこそこ まずは百地を確保 順昭は短命だが案外悪くない とりあえず百地確保 順慶も弱くはないが野望39 百地確保としかいいようがない 左近は1565登場 勢力 難易度 1534 1546 1560 1571 1582 1599 一色 BCCC-- 義幸弱いし鉄砲ない 周りが細川以外弱いのが救い 義幸弱いが稲富鉄砲A 縁組→隠居で砲術娘ウハウハも良し まずは堺を目指す 戦略は同左 義道戦才140は育てがいあり 波多野系浪人は登用しにくい 一色の守護神 その名も祐直 本願寺が恐いがまずは波多野か 目指すはやはり堺 山名 CCCC-- 高信を鍛えろ 長寿垣屋父の知将ぶりも発揮させよ 一門が強ければ…… 元続も鍛えろ 以下同左 同左 顔ぶれ変わらない 波多野系の浪人が取れると良し 豊定はすぐ死ぬ 豊国しょぼい 定勝も鍛えろ 稲富をとれば織田と衝突できる 尼子 ECDB-- 経久77歳 寿命90 能力は元就以上にて一門も家臣も優秀 初ターンで毛利攻め→存命中に種子島へ南下 武将は強いが大内毛利を同時に相手はキツい となれば与すべきは赤松か山名か 強い奴が軒並み消えたところで鹿登場 晴久寿命にて倅よりも縁組した鹿に家督を継がせるが吉 毛利とガチバトルなら難易度A 人気の再興プレー 鹿育成も兼ねて東の弱小勢力を蹂躙 別所 ---B-- 長治・官兵衛が強いが、いずれも若すぎて初期能力が低い 更に長治の野望は41… 赤松 CCDA-- 南部と違いこっちの晴政は激弱にて政宗就治が頼り 浦上の島村中山を内応 家臣に家督を譲りたいところだがまずは直家を内応 義祐は野望こそあれ能力が厳しい とはいえ例の3人に加え官兵衛 直家内応で盤石 織田同盟 目に余る零落 同じ境遇の浦上を攻めざるを得ない 浦上 CDDA-- 戦得Bだが能家だけが頼り 信正で混乱→能家で突撃 島村で格下武将をネチネチ暗殺の陰湿プレイも一興 島村で中山な問題児登場 戦得Aこそいないが彼を主力に周辺を蹂躙 国富登場 浦上最盛期 直家 国富を主力に三好を蹂躙 堺を目指す こっぴどいやられ方…… 沼本への愛着が沸くというものだ 宇喜多 ---DC- 浦上から人材いいとこ取り 元就逝けば好機到来も勇猛な元春が継ぐことが多く注意 存命中に毛利家臣をどれだけ獲れるか 毛利と織田どっちに付くか 武将密度高いので早めに国力不足を解消しよう 三村 ABBA-- 家親が若すぎるのが問題 味方もいないし 家臣が増えた 直家が入ればいける いきなりにぎやかに しかし周りも強い どこから攻めたものか 家親死亡 赤松・浦上よりはましだが…… 毛利 EEZZC- 打倒経久もいいがいきなり盟主大内と袂を分かち種子島へ南下も一興 元就一人で余裕 大内、尼子共に弱体化し元就一人で余裕 元服した息子達も有能 元就一人でも余裕だが息子達に加え清水能島児玉親子天野あたりの配下もなかなか まずは存命中に種子島へ南下 元就一人で余裕 しかし天寿は近いので左の人たち+経家と元長を育てよう お人好し輝元は微妙なので左の人たちをうまく使おう 両川に家督譲るのもあり 大内 EE---- 数で勝負 元就はお早めに 義隆劣化 今からでも武断派を重用せよ 開幕で陶に独立されると難易度C 勢力 難易度 1534 1546 1560 1571 1582 1599 河野 DDCBA- 来島・土居・平岡で陸海ともに四国では優位 大友迎撃の準備を 一条が強くなってるので細川狙う方が楽 ついでに堺も手に入れるとなお良し まったりしてるとどこにも勝てなくなる 速攻で一条坊ちゃんを潰して熟練度稼げ 通宣も育てれば強くなるが野望は兼定公以下 房実の死期が近い 若い方の通直は暗君の代表例 来島一族の水軍を活かせ 長宗我部 CDEED- 国力も人材も不足 流言持ちの重俊と共に活躍 総力で房家の恩義を仇で返すかあるいは細川か 一条速攻で滅ぼして本山父子を確保 国親寿命にて家督譲って元親一騎駆けの傍ら伸び代ある配下の育成も 狙うは九州 国親死亡 元親で大立ち回りだ CPUでも勝率高い 鈴木と組めれば織田第六軍団は敵ではない 一条 CDBS-- 房家の戦才と野望が低い 茂宗が頼り 房基強いし本山父子現役 一条最盛期 兼定…… でも本山息子は元気 河野の猛将が欲しい 左京がんばってー 勢力 難易度 1534 1546 1560 1571 1582 1599 大友 EEEED- まずは道雪 石宗と共に種子島へ南下→盟友大内と決戦 大内弱体化にてまさに余裕 更に鉄砲Cの倅 隣が毛利 暗殺等の謀略に注意しつつ種子島へ南下 同左 毛利を先に攻めるも良し 島津強化に加え宗麟と道雪の寿命が近いも宗茂が新登場 大砲を上手く活かせ 秋月 AASSA- 文種強い 大内が来る前に島原へ 大友を出し抜け 同左 大友の裏をかきたい え? という感じで軽くひねられる ほんとは家臣じゃないけど広門配下なんだが…… 配下が増えているが大友来たら終了 龍造寺 DEEED- 齢80越えの家兼は熟練度が高い 兵力確保の技能持ちにて周りも強いが競り勝てる 爺は齢93にして戦闘92 肥前の熊をガンガン育成しよう まずは大友と決戦 道雪とったら種子島へ南下 同左 さらなる隆盛で余裕 織田が来る前に九州統一 大友と手を組んで島津を潰すか自力で統一するか 少弐 AB---- 家臣はいいのだが行動力不足 もたもたしていると大内の大軍が来る 頼周を縁組→隠居が吉 冬尚はこう見えて野望51 江上も勝利も健在 龍造寺に便乗 有馬 DDCSA- 北の家兼に能力で劣るが攻略に直結した技能持ちの晴純を主力にまずは種子島へ南下 相変わらず晴純無双だが龍造寺も強化 やはり方針は同左か 78歳の晴純は死亡頻度高いとすぐ死ぬ 後進育成&相良狙いが最初の課題 晴純死亡 義貞と大村では龍造寺に歯が立たない さあどうする 義貞よかまし 鉄砲Cなのも救い 火事場泥棒に全てをかけろ! 相良 CCCC-- 二強のどちらを狙うか 配下は育てがいあり 面子は揃ったが南北は強い となれば…… 4人揃って有能 もちろん島津大友龍造寺はそれ以上なので注意 変わらぬ面子が一緒に成長 大友の兵力状況をまめに見るべし 阿蘇 BCCBA- 宗運命 大友に便乗すれば行動力使わずに城取れる 大友が味方なのは安心な反面道雪取りにくいのは痛い 狙うは相良 ほぼ同左 九州武将が粒ぞろいすぎて宗運といえども目立たない 同左 突破口が強くなってるのでやや厳しい 宗運を早く昇進させてあげたい 島津に囲まれ大友弱体化という追い打ち 宗運が死ぬ前に手だてを 伊東 CCBB-- 家臣は弱めだが義祐がなかなか 赤島津を乗っ取れば安泰 同左だが島津が強大化 肝付と相良も意外に手こずる 四国に行く方が楽だったり 義祐はまだまだ生きます 祐兵も戦才あるぞ 肝付 DDBA-- 蒲生・菱刈が戦得A 兼続も戦才148 伊東を倒して忠良をしのげばあとは余裕 伊東→相良→島津 とうとう囲まれた 伊東と友好を保つなら相当厳しい 良兼の戦才は悪くないのだが島津の比ではない 野望も足りない 伊作島津 ZEEEZ- 忠良一人で余裕 2ターンで薩摩平定可にて鉄砲伝来前に九州平定でより優位に 同左 5ターンで南九州平定も可 忠良隠居 一門・部下ともに強いので余裕 3年足らずで九州平定可 島津四兄弟勢揃いに加え部下強いので余裕 大砲鉄甲船揃えてそのうち全国統一可 織田に対抗するためにまずは2年で九州統一 大砲鉄甲船縛りだと難易度D 島津宗家 B----- 宗家<<<分家 実久が大名向きなので即隠居が楽 隠居縛りだと手立ては……? 参考(信玄上洛) 北条 D 氏康死んで氏政に 信玄の裏をつけ 武田 Z ほぼ勝利確実 本願寺には注意 徳川 B 囲まれているが名将ぞろいなのでなんとか 北条と同盟を結べるか 上杉 D 信玄強いがなんとかなる 謙信の寿命に注意 姉小路A 71年と同じやり方になるだろうが、騎馬突撃にやられないように 織田 C 勢力は狭くなった が信長秀吉勝家で余裕 浅井 B 明智から攻めるか朝倉と縁を切るか、それとも… 鉄砲Cの藤堂をうまく使おう 明智 B 一騎駆けでも十分戦える大名 信玄を食い止めよ 松永 B 織田同盟 百地左近取れれば勝ちモード 足利 B 隣国が同盟な分包囲網よりは楽 しかし呑まれるな 三好 C 初期の面子は悪くはないんだが、先のことを考えると織田の良将を1人でも多くとりたいところ 本願寺E 武田同盟切っても勝てる まずは信長 毛利 C 元就死んで輝元に 九州の城と良将をできるだけ早く取ろう 肝付 S 良兼死んでさらに厳しく 伊東をうまく使えるか? 島津 E 貴久死んで義久に クソ坊主共に薩摩隼人の強さ見せつけよ (1582本能寺あり) 羽柴 D 宇喜多・毛利と同盟を結んでおきたい 柴田 D 織田筆頭家老だけあって強い あと上杉 明智 B なぜか村井がいるが気にしない 祐直が鍵 織田信雄 A 典型的な暗君 家臣陣によっては・・・? 織田信孝 B 次男よりはまし 柴田同盟が救い
https://w.atwiki.jp/rowamousou/pages/2661.html
参加者名簿 No. マスター名 クラス サーヴァント真名 出展作 出展作 No.01 野咲春花 セイバー カイム ミスミソウ ドラッグオンドラグーン No.02 ホメロス セイバー ハドラー ドラゴンクエスト11 過ぎ去りし時を求めて ダイの大冒険 No.03 雲母坂まりな アーチャー ジゼル・ジュエル タコピーの原罪 BLEACH No.04 保登心愛 アーチャー 天城カイト ご注文はうさぎですか? 遊☆戯☆王ZEXAL No.05 イーサン・ウィンターズ ランサー 相羽タカヤ/テッカマンブレード バイオハザード ヴィレッジ 宇宙の騎士テッカマンブレードⅡ No.06 恵飛須沢胡桃 ランサー 宮本明 がっこうぐらし! 彼岸島 No.07 ピーター・パーカー ライダー 乾巧 スパイダーマン/ノー・ウェイ・ホーム 仮面ライダー555 No.08 関織子 ライダー 木場勇治 若おかみは小学生! 仮面ライダー555 No.09 バッター キャスター リマージュ・マズルカ・エルマ OFF_by_Mortis_Ghost ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団 No.10 相馬和樹 キャスター レジィ・スター LOST JUDGMENT 裁かれざる記憶 呪術廻戦 No.11 医者 アサシン ディアボロ アクダマドライブ ジョジョの奇妙な冒険 Parte5 黄金の風 No.12 竈門炭治郎 アサシン 雲雀恭弥 鬼滅の刃 家庭教師ヒットマンREBORN! No.13 シャア・アズナブル バーサーカー エレン・イェーガー 機動戦士ガンダム逆襲のシャア 進撃の巨人 No.14 ラウ・ル・クルーゼ フォーリナー セフィロス 機動戦士ガンダムSEED FINAL FANTASY 7 No.15 虎杖悠仁 アルターエゴ ノーマン・オズボーン/グリーン・ゴブリン 呪術廻戦 スパイダーマン(ライミ版) No.16 香風智乃 クリミナル 深海マコト ご注文はうさぎですか? 仮面ライダーゴーストRE BIRTH 仮面ライダースペクター 各参加者のプロフィール + 【主】野咲春花 【剣】カイム 【作者】3C7ccC82 【マスター】野咲春花 【出典】ミスミソウ 【参戦時期】死亡後。 【聖杯への願い】家族に起こった悲劇を無かった事にする。そこに自分の居場所はいらない。 【所持品】包丁、鉄パイプ、鋏、ボウガンなどクラスメイトの殺害に使用した凶器。 【能力・技能】 身体能力は一般の女子中学生の域を出ない。殺人への抵抗が無く、殺ると決めたら殺る。 【人物背景】 家族思いの優しい中学生の少女。田舎へ引っ越してきたが同級生たちから陰湿なイジメを受けてしまう。 やがて彼女へのイジメはエスカレートし、我が家に放火され両親を焼き殺される。 事件の発覚を恐れた同級生たちから自殺を強要された事で復讐を決意、彼らを惨殺していく。 最期は信じていた少年に裏切られ、絶望の果てに殺害。涙を流しながら吹雪の中へと姿を消した。 【ロール】一般の学生。 【方針】 家族の為に聖杯を勝ち取る。もう迷いはない。 【クラス】セイバー 【真名】カイム 【出典】ドラッグオンドラグーン 【パラメータ】筋力:A 耐久:C 敏捷:B 魔力:C 幸運:E 宝具:A+ 【属性】混沌・中庸 【クラススキル】 ○対魔力:C 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。 ○騎乗:C 騎乗の才能。大抵の乗り物、動物なら人並み以上に乗りこなせるが、野獣ランクの獣は乗りこなせない。 ただし自らの契約したドラゴンならば、十分に乗りこなせる。 【保有スキル】 ○戦闘続行:A 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。 狂気と執念により、どれ程の傷を負っても相手を完全に殺すまで戦い続ける。 ○加虐体質:A 戦闘において、自己の攻撃性にプラス補正がかかるスキル。 これを持つ者は戦闘が長引けば長引くほど加虐性を増し、普段の冷静さを失ってしまう。 攻めれば攻めるほど強くなるが、反面、防御力が低下してしまう。 それだけに、バーサーカー一歩手前の暴走スキルと言える。 ○契約:- 齢一万を越える赤き竜との契約。死をもってすら分かつことの出来ない絆。 それにより強靭な肉体と、殺した者の魂を吸収する力を持つ。しかし、代償として声を失っている。 契約相手の赤き竜とは痛覚と弱点を共有し、どちらかが死ねばもう片方も死ぬ。 【宝具】 『我が身に流れるこの血筋(グローリー・オブ・カールレオン)』 ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:- 代々優秀な武芸者を輩出してきたカールレオンの血筋。長物なら、どのような武器であろうと使いこなす技量。 セイバーが手にした時点でそれはセイバーの武器となる。その効果はBランクまでの宝具に適用される。 本来ならそれだけだが、セイバーの場合契約とその復讐心の影響により、セイバーが手にしたその武器で敵を殺すごとに凶器としての格を高めていき、セイバーとの親和性が高まる。 武器との親和性が高まると、外装が変わり、より使いやすくなっていく。 『運命刻む戦士の歯車(ウェポンホイール)』 ランク:D~B+ 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:- セイバーの運命の歯車を鞘として、武器を収納する宝具。 運命を直接書き換え、世界の修正により武器を取り出すため、タイムラグは殆ど存在せず、収納~装備変更~攻撃を一動作で可能とする。 剣10本、長剣14本、槍16本、杖4本、斧6本、長柄斧8本、鎚矛9本、槌4本の計65本の武器が収められている。そのどれもが、宝具級の凶器である。 が、此度はセイバーのクラスで召喚された事が原因で、剣と長剣以外の武器は取り出す事ができなくなっている。 『赤き竜よ、共に世界へ抗え(アンヘル)』 ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:500人 セイバーと契約したレッドドラゴンのアンヘルを呼び出す宝具。 赤い体を持った巨大で猛々しい姿をしており、人語での意思疎通も可能。 ライダーのクラスで召喚された際にはアンヘルへ騎乗する事が可能であるが、此度は援護として火炎ブレスを吐くのみとなっている。 しかし、アンヘルの放つその一撃は強大の一言に尽きる。 【weapon】 『カイムの剣』 カイムの父・ガアプの形見の剣。 長年使う内に彼の憎悪の炎が呪術となり、その剣に宿っている。 【人物背景】 カールレオンという滅びた小国の元王子。 18歳の誕生日に両親を帝国軍のブラックドラゴンに殺され、復讐の為に連合軍へ参戦。 戦闘の最中、深手を負い、その際に瀕死のレッドドラゴンと出会い契約を果たす。 超人的な戦闘能力を得るが、契約の代償として声を失ってしまう。 その後、帝国軍の目的が各地の封印を解き、世界を滅ぼすと言われる「再生の卵」の出現と知ったカイムは、最終封印である妹を救う為にも更なる激戦に身を投じるのだが…。 【聖杯への願い】 ただ殺し尽くす。今更願いたいことは無い。 【備考】 Bエンディングのカイムを想定しています。 + 【主】ホメロス 【剣】ハドラー 【作者】Z4A9g17o(代理投下) 【マスター】ホメロス 【出典】ドラゴンクエスト11 過ぎ去りし時を求めて 【参戦時期】本編開始後~命の大樹墜落前のどこか 【聖杯への願い】真の主君であるウルノーガ様に聖杯を捧げる 【weapon】 ○プラチナソード ホメロス愛用の片手剣。特別な効果はないが中々に高い攻撃力を誇る業物。ホメロスはこれを両手に持ち二刀流で戦う。 【能力・技能】 ○ドルマ系呪文 闇の魔力を放って敵を攻撃する呪文。ホメロスはドルモーア(メラ系でいうメラゾーマ相当)まで使用可能。 ○マホトーン 一定確率で敵を呪文使用不能状態にする呪文。一定時間で効果は解除される。 ○ソードガード 構えをとり敵からの攻撃を防ぐ確率を上昇させる片手剣専用特技。一定時間で効果は解除される。 ○はやぶさ斬り 敵を素早く二回斬りつけるシリーズお馴染みの特技。 【人物背景】 デルカダール王国の将軍兼軍師。親友のグレイグとともに双頭の鷲と称され部下や民衆からの人望も厚い。しかし、内心では自身以上の力と称賛を得るグレイグに対して強い劣等感をもっておりそのコンプレックスを邪悪な魔道士ウルノーガにつけ込まれてしまいウルノーガの忠実な配下として暗躍。結果的に世界に大異変が起こる引き金を引くことになる。 ウルノーガが魔王となってからは魔軍司令を名乗り魔王幹部の六軍王を束ねる地位に就いた。最終的には魔王の居城である天空魔城にて主人公たちを迎え撃ちその身を完全な魔物に変えて襲いかかるも敗北。グレイグに対する心情を吐露しながら死亡した。 グレイグに対しては激しい嫉妬と憎悪を見せる反面友情の証である誓いのペンダントを最期まで所持しているなど複雑な感情を持っている。 ウルノーガについては自身の力を認めてくれた真の王と心酔しているが、主人公が過去に遡りホメロスを打ち破った際にあっさりとホメロスのことを切り捨てておりウルノーガにとってホメロスは使い勝手のよい駒でしかなかったようだ。 【ロール】軍人 【方針】 立場や策謀を駆使しあらゆる手段を使って聖杯を手に入れる。セイバーの強さは認めているが長期戦は不可能であるためサーヴァントの乗り換えも視野に入れている。 【備考】 闇のオーブ未所持のため闇のバリアを張ることはできず、オーブを用いた攻撃も使用できない。 【クラス】セイバー 【真名】ハドラー 【出典】ダイの大冒険 【属性】混沌・中庸 【パラメータ】筋力:A + 耐久:A 敏捷:B 魔力:B 幸運:B 宝具:A 【クラススキル】○対魔力:B ○騎乗:A 【固有スキル】 ○勇猛:A+ 威圧、混乱、幻惑といった精神干渉を無効化するスキル。また、格闘ダメージを向上させる効果もある。 セイバーは相手がたとえ神すら凌駕する大魔王であろうと一切怯まない勇猛さを持つ。 ○呪文:B メラ系・イオ系・ギラ系の呪文を最上級呪文まで使用可能。 今回はセイバーとしての召喚であるため無生物に生命を与える禁呪法など攻撃呪文以外の魔術は使用不可。 ○闘気術:A 己の生命力を放出し操る術。セイバーは暗黒闘気をさらに発展させた魔炎気を操る。 魔炎気は回復呪文を阻害する従来の暗黒闘気の性質に加えて凄まじい高熱を帯びている。闘気は対魔力の影響を受けないが使用者の生命力を糧にしているため濫用すれば霊核に致命的な損耗をもたらす。 ○自己改造:A 自身の肉体に別の肉体を付属・融合させる適性。 セイバーは自身の肉体を多数の魔物の長所を移植手術した超魔生物として改造している。魔獣の怪力を有し全身の細胞から先述の魔炎気を放つためその肉体は高い耐熱性をもつ。 また、元の魔族の姿に戻る機能を敢えて廃したことで超魔生物が使用できない呪文も従来通り使用可能である。本来はこれらの特性に加えて高い再生力をもつがセイバーは諸事情からその再生力を喪失し遠からず朽ち果てる魔獣の身となってしまった。 【宝具】 『覇者の剣』 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1人 ロモス王国に伝わる宝剣。かつて神々が地上にもたらしたとされるこの世で最も硬い金属「オリハルコン」が素材となっている。 普段はセイバーの右腕に仕込まれ使用時に右手甲から伸びて展開される。そのままでも十分に強力な武器だが後述の宝具を使用する際の媒介にもなる。 『超魔爆炎覇』 ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:1~10 最大補足:10人 セイバーが誇る最強の必殺技。展開した覇者の剣と全身にありったけの魔炎気を纏わせて突進し斬りかかる。 吹き荒れる魔炎気は相手の動きを阻害し回避を困難たらしめ、斬撃とともに凄まじい衝撃と爆発が敵に襲いかかる。 【 weapon】 ○地獄の爪(ヘルズクロー) 魔軍司令時代から使用している武装。両手甲から硬質の爪を伸ばし格闘戦に用いる他、突き刺した爪から直接メラ系の呪文を敵に流し込むといった攻撃が可能。 ○地獄の鎖(ヘルズチェーン) 左手首に仕込まれている武装。小さな刃が連なった鎖を射出し対象を拘束するとともにその身を刃で切り裂く。 ○噴出口 両肩に付いているスラスター状の器官。ここからジェット噴射を行い高速で飛行することが可能。 【人物背景】 かつて地上を征服せんとした魔王。しかし地上征服は勇者アバンに敗北したことで失敗。そのまま死亡したと思われていたが魔界の大魔王バーンに救われ以後は新生魔王軍を率いる魔軍司令として主人公ダイを筆頭とするアバンの弟子たちの前に立ちはだかる。 しかし度重なる失態と保身をバーンから咎められ窮地に立たされてしまう。だが、心身ともにどん底まで追い込まれたことで自身を見つめ直しダイたちを倒すために地位への執着を捨て、元の体に戻れなくなることを承知の上で超魔生物となる決意をする。 超魔生物になった後は精神的に大きく成長し正々堂々とした武人となり人間を見下すこともなくなった。 その後も引き続きバーンの元でダイたちと戦うが体内に伝説の超爆弾「黒の核晶」がバーンの手によって仕込まれていたことが明かされダイたちを倒すための捨て駒とされてしまう。爆発からは助かったが既に自身の血肉と化していた核晶を取り除かれたことで遠からず朽ち果てる身となってしまった。 誇りある戦いを汚したバーンと決別し、死期が迫る中残された命で宿敵ダイとの決着をつけることを決断。ダイと一騎打ちを行い真竜の戦いの再来と称される程の激戦の果てに敗北。最期はかつての好敵手アバンの腕の中で悔いのない死を迎えた。 【聖杯への願い】 生前に悔いのない戦いができたため今更叶えたい願いはない。この戦場で自身の力が異世界の猛者たちにどれ程通じるのか試すのみ。 【基本戦術、方針、運用法】 セイバーの霊体化を解除すると肉体の崩壊が進むため基本は霊体化して過ごす。 セイバーとしては自身を呼び出してくれたホメロスにはある程度義理立てするつもりでありサーヴァントの乗り換えを行うつもりでも構わないが、この戦場で好敵手を見いだした場合その人物との戦いに横やりを入れることだけは許さない。 そのため策謀を好むホメロスとは方針が食い違う可能性があるのでお互いがどこまで相手の主義に合わせるかがポイントとなる。 【備考】 黒の核晶を摘出されたことによる肉体の崩壊は霊体化している間は進行しない。令呪で進行をある程度遅らせることは可能だが完全な治癒は不可能。 【筆者コメント】 後の魔軍司令と元魔軍司令のコンビ。主従ともに高い戦闘力を誇るが精神面に難があるマスターと長期戦ができないサーヴァントという箍がありスペック通りの力を発揮できるかは未知数。 + 【主】雲母坂まりな 【弓】ジゼル・ジュエル 【作者】3C7ccC82 【マスター】雲母坂まりな 【出典】タコピーの原罪 【参戦時期】チャッピーが保健所送りになった後 【聖杯への願い】家族を狂う前に戻す 【能力・技能】 一般人の範疇に収まる程度の身体能力。 久世しずかへの度を越したいじめを見るに、憎い相手へは小学生らしからぬ暴力や暴言、悪知恵を発揮する模様。 【人物背景】 主人公、しずかちゃんをいじめる主犯格の女の子。小学四年生。 単なる遊びや嗜虐心の域を超えてしずかちゃんを憎悪しており、人間のクズとまで吐き捨てた。 しずかちゃんの心の拠り所であった愛犬のチャッピーを、保健所送りにして追い詰めるなど悪辣な面で頭が回る。 実は父親がしずかちゃんの母親に入れ込んでおり、それが原因で両親は毎日のように喧嘩、DVにまで発展。 彼女自身も情緒不安定となった母親から暴力を振るわれるなど、家庭崩壊している。しずかちゃんを憎んでいるのはこれが原因。 【ロール】一般の小学生 【方針】 聖杯は欲しい。が、直接人を殺すのには流石に躊躇がある。 【クラス】アーチャー 【真名】ジゼル・ジュエル 【出典】BLEACH 【パラメータ】筋力:D 耐久:C 敏捷:B 魔力:A 幸運:B 宝具:A 【属性】混沌・悪 【クラススキル】 ○対魔力:C 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。 ○単独行動:C マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。 ランクCならば、マスターを失ってから一日間現界可能。 【保有スキル】 ○滅却師:A クインシー。霊力を持ち、虚と闘うことが出来る人間。 大気中に偏在する霊子を自らの霊力で集め、操る技術を基盤とした多種多様な術を使用できる。 アーチャーは滅却師の皇帝が率いる戦闘部隊"星十字騎士団"の一員であり、非常に強力な滅却師の一人。 ○魔力放出:A 武器・自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出する事によって能力を向上させるスキル。 アーチャーの場合、霊力を収束させ霊子兵装の威力を強化する。 【宝具】 『死者(The Zombie)』 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1~20 最大捕捉:1~30 アーチャーが生前、滅却師の皇帝ユーハバッハより賜った"聖文字(シュリフト)"と呼ばれる異能。 あくまでも本来の所有者はユーハバッハであるが、聖杯戦争においてはアーチャーの宝具として登録されている。 自分の血を浴びせた者をゾンビに変え、意のままに操れる。ゾンビとなった者は致命傷を受けても活動を止めず、その肉を自身が受けた傷の修復に利用することも可能。 対象が生存している状態でのゾンビ化では細胞が新鮮に保たれているため戦闘力はほとんど低下せず、もともとの本人の意識も消えて精密な操作ができる反面、死亡後にゾンビ化させた場合は自我が残る代わりに生前よりも力が落ちる。 宝具の性質上自らの体を傷つけなければならないが、アーチャーは大量に出血して尚も平然としていられる高い不死性を有している。 が、回復力に直結しているわけではなく、体内の血液量が不足していると再生に支障が出る。 NPCやマスターに対しては少量の血でゾンビ化が可能であるが、サーヴァントが相手となれば護廷十三隊の隊長格同様、大量の血が必要となる。 また宝具ランク以上の対魔力スキルでゾンビ化を防ぐ事も可能。 本来であれば、奥の手である二段階目の能力解放…『完聖体(フォルシュデンディッヒ)』と呼ばれる形態になることも可能なのだが、 元々この宝具自体が借り物同然のそれなうえ、ユーハバッハによる聖別で力を奪われたというエピソードからか、聖杯戦争に召喚されたアーチャーにはそれができない。 その代わり、後述する宝具が使用可能となっている。 『骸人形(バンビエッタ・バスターバイン)』 ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ1~70 最大捕捉:1~200 パラメータ:筋力:C 耐久:B 敏捷:B 魔力:A 幸運:D 生前ゾンビ化させられた滅却師の少女を召喚する宝具。 アーチャーの趣味嗜好を反映させ、全身継ぎ接ぎの上に言動も曖昧にしか喋れないよう設定されている。 弄れば元の勝ち気で我儘な性格へと戻せるのだが、アーチャーが今の状態を気に入っているので恐らくこのままだろう。 所有する聖文字(シュリフト)は「爆撃(The Explode)」。 小規模なものから周囲を巻き込む大規模までの爆発を自在に起こす。 この爆撃はバンビエッタから発せられた霊子に触れた物体そのものを爆弾に変えて爆破するため、防御自体できない。 アーチャー同様、完聖体には変化不可能。 【weapon】 霊子兵装。骨が連なった形状の弓。 【人物背景】 ユーハバッハが統べる見えざる王国(ヴァンデンライヒ)の精鋭部隊、"星十字騎士団(シュテルンリッター)"のメンバー。 小さな軍帽を被り、長髪の黒髪を結わえて触覚を作っている。一人称は「ボク」で、通称「ジジ」。 女性の外見をしているが、実は女装した少年。男性であることを指摘されると、途端に敵意を剥き出しにする。 狛村左陣に敗れたバンビエッタをゾンビ化し従属させ、死に際の姿に性的興奮を覚えるなど歪んだ嗜好の持ち主。 反面、リルと共に護廷十三隊からキャンディスとミニィを奪還しようとするなど、仲間意識も持ち合わせている。 【聖杯への願い】 あんまり深く考えていない為、使い道は手に入れてから考える。 + 【主】保登心愛 【弓】天城カイト 【作者】E0ZXguE2 【マスター】保登心愛 【出典】ご注文はうさぎですか? 【参戦時期】少なくともチノとかなり仲良くなってから 【聖杯への願い】なし。強いて言うなら聖杯戦争を止めて平和な日常に帰りたい 【能力・技能】 ○パン作り 実家がベーカリーで、ココア自身もパン作りが好き。 パン作りにかけては珍しく真面目で情熱を燃やす。千夜と同じく新地開拓にも熱心。 腕前も(姉には一歩譲るようだが)確かなようで、皆からは好評 ○暗算 天然かつ天下泰平な性格から、一見してただのアホの子であるかのように映るが、学業では理系科目の成績が良く、暗算が驚異的に得意である 【人物背景】 『ご注文はうさぎですか?』の主人公。通称「ココア」。 石畳と木組みの街の学校に通う高校生。 高校入学を期に舞台の街に引っ越してきて、学校の方針もあり下宿先であるカフェ「ラビットハウス」で働くことになる。 可愛いものやティッピーのようなもふもふしたものが大好き(好きな言葉も「もふもふ」)で、特にチノを自分の妹のように扱い溺愛している。特に自分が末っ子だったため、『姉』と言う立場に拘りがあるようで、チノに対して度々「お姉ちゃんらしく」と奮闘するが、基本的に空回りすることが多く逆にチノに叱られている 【ロール】 ラビットハウスの店員orパン屋さん(チノも同時参戦なら前者。違った場合は語り次第で) 【方針】 一般人なので基本的にはサーヴァント頼り。聖杯戦争を止めることを第一優先に、なるべく戦わずに解決したい 自分の協力出来ることはするし、犠牲者も出したくない 【クラス】アーチャー 【真名】天城カイト 【出典】遊☆戯☆王ZEXAL 【属性】中立・中庸 【パラメータ】筋力:E 耐久:D 敏捷:E(ドローの速度など、デュエルに関してはA) 魔力:A 幸運:C 宝具:EX 【クラススキル】 ○対魔力:D(C) 一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。 魔力避けのアミュレット程度の対魔力。 フォトンチェンジを行った場合のみCにランクアップする ○単独行動:C 【固有スキル】 ○決闘者:A アーチャーが決闘者だったことの証とも呼べるスキル A以上となれば相当の決闘者であり遊戯王デュエルモンスターズのカードを実体化できる その他、アーチャーの精神状態次第では決闘者としての生存本能が免疫系を活性化し、熱く燃え盛る抗体が血中の毒を焼き尽すということも可能。アーチャーほどの決闘者ならば毒による幻覚などにも耐性を持つ また普段は他のサーヴァントに比べて貧弱な身体能力だが、デュエルに関する敏捷のみはAクラスに匹敵する ○ 無窮の決闘者:A ひとつの時代で無双を誇るまでに到達したデュエルの手練。 いかなる不利な状況下にあっても十全の戦闘能力を発揮できる。 アーチャーはデュエルが非常に強く、ほぼ無敗を誇る ○ナンバーズハンター:A アーチャーのかつての通り名。 Bランクの心眼(真)とDランクの騎乗、Cランクの直感の複合スキル その他、自身の衣装を変える「フォトンチェンジ」を行うことで対魔力がCにランクアップする。 ○戦闘続行:C 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、死の間際まで戦うことを止めない。 ミザエル戦での逸話が由来 【宝具】 『銀河眼の光子龍(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)』 ランク:C 種別:召喚宝具 レンジ:- 最大捕捉:- 十字架のようなものを投げ、アーチャーのエースモンスターであるドラゴンを特殊召喚する。 アーチャーにとっては基本となる宝具であり、魔力をあまり消耗せずに済む ただし基本であるこのモンスターが他のサーヴァントを相手に決定打になり得るかは微妙なところ 『超銀河眼の光子龍(ネオ・ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)』 ランク:B 種別:召喚宝具 レンジ:- 最大捕捉:- 槍を上空へ投擲することでアーチャーの切り札であるドラゴンをエクシーズ召喚する。 この宝具を使った際、相手サーヴァントのスキルを1つ無効化することが出来る 『No.62 銀河眼の光子竜皇(ナンバーズロクジュウニ ギャラクシーアイズ・プライム・フォトン・ドラゴン)』 ランク:EX 種別:召喚宝具 レンジ:- 最大捕捉:- 高く飛び上がり、剣を真下へ投擲することでアーチャーの真の切り札をエクシーズ召喚する。 このモンスターは戦場にいる者の数だけ強さを増す。この数値はサーヴァント以外の者(例えばサーヴァントの宝具で召喚された者など)も含める。 更にこのモンスターが戦場から離れた時、数分経過することで再び姿を現す。 この効果でこのモンスターを特殊召喚したターン、このカードが攻撃する時の攻撃力はα倍になる。 (α=このカードがフィールド上から離れた時の、このカードのエクシーズ素材の数) 【weapon】 『カイトのデッキ&デュエルディスク 』 アーチャーが使っていたデッキとデュエルディスク。 ちなみに「光子」及び「フォトン」と名の付くカードはDr.フェイカーが異世界科学を利用して生み出したカード群である。 (厳密に言えばフォトンハンドやフォトンチェンジなど「フォトン」と名の付く技術全て) 『オービタル7』 アーチャーと行動を共にするロボット。喋る。 グライダーやバイクに変形できる機能を搭載しており、移動手段としても役立つ。 デュエルを仕掛ける際、時空を歪める事で自分自身と相手だけの世界を作り出すことも可能。 両手足がコードによって伸び、全長は少なくとも2m以上は軽く越える戦闘モードなるものもある。 両手がドリルに変形し、直接攻撃をしかけてくる。一見強そうだが、運動神経が良いとはいえ達人だとかそういう設定がないほぼ一般人すら倒せてない 【人物背景】 九十九遊馬及びアストラルのライバルであり、各地でナンバーズを狩るナンバーズ・ハンター。 自身の問題が解決した後は遊馬達に協力して良き兄貴分のようになる。 最終的にはバリアンのドラゴン使いであるミザエルと激戦を繰り広げた 【聖杯への願い】 なし。ココアを元の世界、そして妹であるチノの元へ帰してやる 【基本戦術、方針、運用法】 ギャラクシーアイズを召喚して戦うことが基本。安定した性能で素のギャラクシーアイズを召喚するだけならば燃費が良いのが長所。 しかしネオフォトンは普通に魔力を消耗するし、プライムフォトンに至ってはかなり魔力を消耗するので切り札を使うタイミングが非常に大切。というかプライムフォトンは極力、使わない方が良いだろう 移動手段としてオービタルが優秀な他、アニメ本編ではVと共にとはいえ時空移動装置なるものまで作っており、戦闘以外の面も優れている。 カイト自身は聖杯戦争からココアを帰してやる方針なので、悪辣な主従を倒しつつ聖杯戦争を終わらせる方法も同時に模索する しかし一般人マスターを導く都合上、彼女を守りながらの決闘を強いられるだろう 【筆者コメント】 チノ&マコト兄ちゃんと似たようなコンセプト。 あとまあサーヴァントに向いてそうなキャラでゼアルの中だとカイトがパッと思い浮かんだ。候補の中にナンバーズという宝具があったのも理由の1つ 把握率もまあまあ高いと思われる カイトは最初ランサーで考えていたけどプライムフォトンで剣も投げていたからアーチャーに。 + 【主】イーサン 【槍】Dボゥイ 【作者】◆gXaKV49AZQ 【マスター】イーサン・ウィンターズ 【出典】バイオハザード ヴィレッジ 【参戦時期】家族を救い、己を犠牲にした後 【聖杯への願い】家族の元へ戻る 【能力・技能】 ○特異菌 イーサンの体中に蔓延している新種の真菌。 本来であれば特異菌の影響でB.O.W.に成り果てるか、上位の保菌者による精神支配を受けてしまうが、イーサンは特異菌の完全適合者となったため人の姿と自我を保ったままでいる。 また特異菌の力によって深い傷を負ったり手足を切断されても、傷口に回復薬を浴びせることですぐに元通りになる驚異的な回復力を獲得している。 【人物背景】 バイオハザードの「7」および「ヴィレッジ」の主人公。 「7」では行方不明になった妻・ミラの手掛かりを探るためにベイカー邸へ赴き、「ヴィレッジ」では攫われた娘・ローズマリーを助けるために東欧の辺境の村に向かい、それぞれでバイオテロに巻き込まれる。 本来はただのエンジニアで特殊な訓練を受けていない一般人なのだが、家族の為なら如何なる暴力や狂気を前にしても屈せずに数々の強敵を撃退するなど、バイオ主人公の例に漏れず超人じみている。 実は言うと、イーサンは「7」のベイカー邸を探索し始めた頃に一度撲殺されている。 だがこの時点で特異菌に完全適合したことで知らぬ間に損壊した身体が回復し、意識を取り戻してからも自己の死を認識することがないまま生き直していた。 その後、「ヴィレッジ」では攫われた娘を救い出すために数々の死線を乗り越えたものの、突如現われた黒幕の奇襲で心臓を抜き取られ再び死に絶える。 そして死の淵にて旧敵に自身の真相を突きつけられたイーサンだが、それでも愛娘を救い出す意志を貫き通して再び目を覚まして黒幕との最終決戦に向かっていった。 この頃には度重なる肉体の負傷および特異菌の力を酷使したことで余命幾許のない状態であり、身体の崩壊が徐々に迫る最中であった。 それでも自分よりも娘ローズの救済を優先したイーサンは全力でもって黒幕を打ち倒し、我が子をその手に取り戻した。 だが己の死期を悟っていたイーサンは救出に来たクリスに娘ローズを託して一人死地へと舞い戻り、諸悪の根源たる特異菌の菌根に引導を渡すべく爆薬を起爆させて共に消滅した。 そしてイーサンは聖杯の奇跡によって三度目の蘇り、此度の聖杯戦争に参加させられることとなる。。 この召喚に際して彼の活力も少しだけ回復したが、この地で再度命を落とせば二度と這い上がれない深き闇に落ちるだろう。 【ロール】不明(技師、エンジニアが有力候補) 【方針】 家族との再会を望んではいるものの、さすがに他者の命を踏みにじるつもりはない。 そのため聖杯戦争では闘争を求めず、殺し合い以外の方法を模索するだろう。 他の参加者とはなるべく交渉を持ち掛ける友好的な主従と同盟を組みたいと考えている。逆に明らかに邪悪で外道な輩がいれば全力で排除する事も。 特異菌のおかげで多少の耐久力を持ち合わせているが、体の限界も近いのであまり過信しすぎてはいけない。 【クラス】ランサー 【真名】相羽タカヤ/テッカマンブレード 【出典】宇宙の騎士テッカマンブレードⅡ 【属性】秩序・善 【パラメータ】筋力:B 耐久:A 敏捷:A 魔力:C 幸運:E 宝具:B 【クラススキル】○対魔力:A 【固有スキル】 ○変化:C ○自己改造:B 自身の肉体に、まったく別の肉体を付属・融合させる適性。 このランクが上がればあがる程、正純の英雄から遠ざかっていく。 ○戦闘続行:B 名称通り戦闘を続行する為の能力。 決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘可能。 ○無力の殻:C 相羽タカヤの状態である間は三種の固有スキルが発動せず、能力パラメータも低下し、サーヴァントとして感知され難くなる。 逆に、宝具使用によってテッカマンブレードとなった際には能力値が爆発的に跳ね上がる。 【宝具】 『貫け、宙駆ける刃の如く(テッカマンブレード)』 ランク:B 種別:対人宝具(自身) レンジ:- 最大補足:- 相羽タカヤの変身(テックセット)した姿、聖杯戦争における戦闘形態。 元々は地球外生命体ラダムが惑星の知的生命体に寄生して創り出された生物兵器であり、テックセットと同時に外殻の形成と装甲の装着によって攻撃・防御・機動に優れた戦闘用テッカマンへと変化する。 白兵戦用の「テックランサー」とランサー回収用の鋼線「テックワイヤー」を装備し、テッカマン独自の突撃技として「クラッシュイントルード」を攻撃に用いる。 なお、此度は第三次ラダム戦役時の姿で顕界しているため、以前にあったような変身時間の制限や暴走の危険性はなくなり、安定して変身を維持できる状態になっている。 『響け、我が魂の咆哮よ(ボルテッカ)』 ランク:B+ 種別:対軍宝具 レンジ:1~50 最大補足:500人 戦闘用テッカマンの殆どが保有する最大火力兵装。侵略対象の防衛や同族すらも無に帰す破壊の奔流。 体内にある反物質「フェルミオン」を加速させ、両肩の射出孔より放出することで射線上を消し飛ぶ破壊光線となる。 その強力さ故に消耗も激しく、一度の変身で一回しか撃てない。 【weapon】 テックランサー 【人物背景】 侵略生物ラダムによって人生を狂わされた青年。 家族や仲間と一緒にテッカマンへと改造されたが父親の尽力によってラダムに支配される前に脱出、地球を守るために戦うことを決意する。 第一次ラダム戦役では不完全なテッカマンだったために戦闘の度に身体も精神も記憶もボロボロにすり減らしていった。その上敵はラダム側になってしまったかつての家族や同胞であり、それらを全て自らの手で打ち倒した。最終的にはラダムの野望を打ち砕いたものの、全てが終わった時には白き魔人は燃え尽きてしまい廃人に成り果てた。 その後の第二次ラムダ戦役において再フォーマット化を果たし、紆余曲折を経て彼は復活を遂げる。その際に不完全なテッカマンだった欠点の数々も克服し、人の心を持ったままに本来あるべきテッカマンブレードとしての力を十全に発揮できるようになった。 以後は自身の存在がラダムを呼び寄せてしまうことを防ぐために地下に隠れていたが、第三次ラダム戦役において再び姿を現して戦っている。 【備考】 「宇宙の騎士テッカマンブレードⅡ」からの参戦のため宝具としてのブラスター化は封印している。 一応設定上ではⅡでもブラスター化は可能らしいが、以前に暴走状態の際にワームホールを生成して赤色巨星を呼び出し地球を消滅させる危機を招いてしまったため、危険極まるブラスター化を使用しなくなった。 再フォーマットにより安定して強化されたテッカマンブレードになれるようになったのも封印に至った一因である。 【聖杯への願い】 宇宙からラダムを根絶 【基本戦術、方針、運用法】 変身して戦うのがこのサーヴァントの要。 原作では“敵の罠で変身できず生身の状態では太刀打ちできなかった”という逸話もあるため、如何に変身前後の姿を悟らせないかも重要となる。 それとテッカマンブレード状態で戦闘すればそれなりに魔力も消耗し、特にボルテッカを放つと変身を維持することすら困難になるため、戦いの流れと必殺の機会を見極めるのも大切となる。 【筆者コメント】 不幸過ぎる主人公コンビとして結成してみた。 相乗効果で耐久は向上したが、幸運は言うまでもない。 + 【主】恵飛須沢胡桃 【槍】宮本明 【作者】3C7ccC82 【マスター】恵飛須沢胡桃 【出典】がっこうぐらし! 【参戦時期】大学編で行方をくらます直前 【聖杯への願い】「かれら」の存在を無かったことにする 【weapon】シャベル。ゾンビと戦う時のメインウェポン 【能力・技能】 パンデミックにより崩壊した世界で生きて来ただけあって、サバイバル能力はある。 元陸上部で運動能力も高く、シャベルを活かした格闘術でゾンビを撃退してきた。 感染後の後遺症により身体能力が向上している。 【人物背景】 ツインテールが特徴の元気系少女。 学園生活部では主にゾンビの露払いを担当している。 一度感染してしまい、一命は取り留めたが後遺症により肉体的にも精神的にも追いつめられる。 自身の容態を怪しみ追及しようとした男を止むを得ず死に追いやってしまい、もう学園生活部の皆とは一緒にいれないと思い悩んでいる最中、聖杯戦争の舞台に招かれた。 【ロール】女子高生 【方針】 世界に起きた悲劇を無かったことにする為に聖杯を手に入れる。 皆の元へ帰れないなら、勝ち抜く為に人殺しへなったって構わない。 【クラス】ランサー 【真名】宮本明 【出典】彼岸島 【パラメータ】筋力:B+ 耐久:A 敏捷:B 魔力:E 幸運:E 宝具:C 【属性】中立・中庸 【クラススキル】 ○対魔力:D 一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。 魔力避けのアミュレット程度の対魔力。 【保有スキル】 ○戦闘続行:A 往生際が悪い。 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。 ランサーは人間の身でありながら、邪鬼やアマルガムによる致命的な一撃を受けて尚も執念で戦い続けた。 ○無窮の武練:C 常人の数倍の腕力を持ち尋常ではない耐久力を誇る吸血鬼数十人を瞬殺するほど いかなる戦況下にあっても十全の戦闘能力を発揮できる。 また如何なる物でも武器として使いこなせる技巧も含む。 ○心眼(真):B 修行・鍛錬によって培った洞察力。 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理” 逆転の可能性が1%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。 【宝具】 『丸太』 ランク:E++ 種別:対人宝具 レンジ:1~5 最大補足:1~20 彼の主戦場であった彼岸島でのメインウェポン。 ある時は吸血鬼や邪鬼を打ち倒す武器として、ある時は落下するランサーの救世主として、またある時は本来の使い方でもある攻城兵器として彼を救ってきた。 その逸話から対化け物、とりわけ吸血鬼にはより強い威力を発揮する。 また、攻城兵器としての側面もあるためか陣地破壊の力も備えている。 マスターもこれを振り回せば中級の使い魔程度ならば一蹴することが可能。 ただし、使用の際にはランサーの所持の確認と鼓舞が必要。 一説にはアーサー王のエクスカリバーと同等とも、世界樹の枝からできているとも語られている。 『吸血殲鬼』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1 かつて吸血種を狩り続け、人類最後の希望として人々に讃えられたランサーの生き様が宝具となったもの。 近辺に存在する怪物に属する者の気配を察知し、精神干渉を完全に跳ね除ける。 加えてフィールドに存在するあらゆるもの(ロープ、ガソリン、車両、みかん、顕微鏡etc…)に『退魔』の特攻概念を付与、装備する。 化け物が強力なほど、その化け物の被害者が多いほど、そしてその助けや討伐者を願う声が多いほど、ランサーは人間の限界を無限に更新し続け化け物を滅ぼす。 『命ノゼンマイ』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1 無数の仲間の屍を踏み越え、数多の敵を殺し続けた英雄譚。 自身のマスターが死亡した時、スキルを含めたステータスが1ランク上昇しCランク相当の単独行動のスキルが付与される。 更に別のマスターと再契約した後、そのマスターも殺された場合は更に1ランク上昇、といった具合にマスターが死ぬ度に自身を強化する宝具。 この宝具が発動されるのは「マスター不在の間」のみであり、マスターの生存中は元々のステータスへと修正され、単独行動スキルも失われる。 ただし、何度マスターを失っても幸運だけは上昇する事はない。 【weapon】 『義手刀』 かつて友誼を結び、葬った吸血鬼が鍛えた義手に仕込まれた刀。 場面によって明らかに長さが違っていたり、義手に収納出来る形状では無かったりするが深く考えてはいけない。 ランサーは対象の硬度や大きさを無視して両断するなど、物理法則を超越した攻撃が可能。凄ェ! 【人物背景】 彼岸島にて吸血鬼と戦い続け、占領された本土では救世主と崇められた青年。 家族を失い、仲間を失い、故郷を失い、想い人も失い続け、それでも宿敵を殺すため血塗られた道を突き進んだ果てに、彼は何を手にしたのだろうか。 【聖杯への願い】 吸血鬼の根絶 + 【主】ピーター 【騎】乾巧 【作者】3C7ccC82 【マスター】ピーター・パーカー 【出典】スパイダーマン/ノー・ウェイ・ホーム 【参戦時期】メイ叔母さんを殺された直後 【聖杯への願い】メイの蘇生 【weapon】 『インテグレーテッド・スーツ』 アイアンスパイダーのナノマシンを纏わせた、アップグレード・スーツの改良版。 ウェブシューターやウェブウイング、パラシュート等の各機能を搭載。 電圧によってダメージを与え意識を奪う、ショックウェブも装備済み。 【能力・技能】 超人的な身体能力、壁や天井に吸着して移動など従来のスパイダーマンと同様の力がある。 機械工学や数学は天才の領域に達している。 『スパイダーセンス』 危険を察知する、第六感とでも言うべき力。 【人物背景】 MCU版のスパイダーマンである、ミッドタウン高校の少年。 前作「ファー・フロム・ホーム」にてミステリオを倒すも、映像トリックによって殺人犯に仕立て上げられた挙句、全世界に正体を晒される。 とある敏腕弁護士によって起訴は免れたものの、世間からの目は厳しく、親しい者達まで巻き込まれてしまった。 そこでドクター・ストレンジに頼み込み世界中の記憶を操作する魔術を発動して貰うが、その最中にいざこざがあり魔術は失敗、マルチバースからスパイダーマンの正体を知るヴィラン達を呼び寄せる羽目に。 ヴィラン達の処遇を巡ってストレンジとの対立などトラブルが起きるも、ノーマン・オズボーンの協力も有り、ドック・オクを正気に戻す事に成功。 が、グリーン・ゴブリンの人格が目覚めたオズボーンに扇動されヴィラン達は逃走、更には最愛のメイ叔母さんを殺されてしまう。 正史であれば、この後マルチバースのピーター・パーカーと出会い、大切な人を奪われた痛みを共有する彼らのおかげで再起するも、今回はその前に聖杯戦争へ招かれた。 【ロール】 高校生。スパイダーマンの存在が認知されているかどうかは不明。 【方針】 聖杯狙い。ただ本当にこの選択で良いのかという迷いも強い。 【クラス】ライダー 【真名】乾巧 【出典】仮面ライダー555 【パラメータ】 『ファイズ変身時』筋力:C(B) 耐久:C(B) 敏捷:B 魔力:D(C) 幸運:D 宝具:B 『オルフェノク変身時』筋力:B 耐久:B 敏捷:A 魔力:D 幸運:E 宝具:B 【属性】中立・善 【クラススキル】 ○騎乗:D 騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み程度に乗りこなせる。 彼の場合はバイクの操縦。オートバジンに限り、「乗りこなす」だけでなく「従わせる」事が出来る。 ○対魔力:E(C) 魔術に対する守り。 無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。 変身後は()内に修正される。 【保有スキル】 ○仕切り直し:B 戦闘から離脱する能力。 また、不利になった戦闘を初期状態へと戻す。 Bランクである彼は、敵の攻撃で水場に落ちた場合、追い打ちをかけられるリスクが格段に減少する。 ○単独行動:C マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。 ランクCならば、マスターを失ってから一日間現界可能。 ○オリジナルオルフェノク:A ライダーが「死後」に覚醒した、人類の進化系と呼ばれる姿。 そのスキルは他者によって与えられ、資格があれば発動する事になるが、Aランクは自力で覚醒している。 後述する宝具や、その他のベルトを副作用無しで使用可能。 【宝具】 『王を守護すべき戦士(ファイズギア)』 ランク:C 種別:対人宝具(自分) レンジ:- 最大捕捉:1 スマートブレイン社が開発した三本のベルトの一つ。腰に巻いて“555”のコードを入力することで仮面ライダーファイズに変身できる。 装着者の戦闘力を格段に引き出し、フォトンブラッドという高出力の猛毒エネルギーによりダメージを向上させている。 また、高速移動に特化した「アクセルフォーム」へも変身が可能。 ただし、強い能力を使おうとすれば、それだけ魔力も消費される事を留意しなければならず、ライダー自身の身体にもリスクが起こる。 『闇を切り裂き、光をもたらす(ファイズブラスター)』 ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:100 ライダーをファイズの最終形態、「ブラスターフォーム」へと強化する、トランスボックス型のアイテム。 ステータスを()内へ上昇させ、飛行能力を取得。フォトンブラッドの出力も通常のファイズの倍となる。 「アクセルフォーム」と同じく魔力消費も増加される為、考え無しの多用は禁物。 『疾走する本能(ウルフオルフェノク)』 ランク:B 種別:対人宝具(自分) レンジ:- 最大捕捉:1 ライダーが変身するもう一つの姿。狼の特質を備えたオルフェノク。 全身に生えた剃刀のような突起と右手のメリケンサックが武器。また、疾走態という形態に変化する事でより俊敏な動きが可能となる。 【weapon】 『王を守護すべき戦士(ファイズギア)』 宝具欄参照。 ファイズギア、ファイズフォン、ファイズポインダー、ファイズショット、ファイズアクセルと生前の装備一式を持ち込んでいる。 ファイズとしての武器のみならず、日用品としても使う事が出来る。 『機械仕掛けの従者(オートバジン)』 ライダーの移動手段。変形して人型ロボットにもなるバイク。 騎乗スキルによって動かす事が出来るほか、支援メカとして有用。 バイクハンドルはミッションメモリーを装填し、ファイズエッジという剣に変える事も出来る。 【人物背景】 本編の主人公。18歳。 無愛想でぶっきら棒、おまけに口が悪いせいで初対面の相手には悪印象を与えがちだが、心根はお人好しで不器用な青年。 自身が他人の信頼や期待を裏切る事を恐れており、突き放した態度はそこから来ている。 園田真理と出会いなし崩しにファイズへと変身したことをきっかけに、ベルトを巡るオルフェノクとの戦いに巻き込まれていった。 【聖杯への願い】 無い。ただマスターが覚悟を決めて聖杯を手に入れるのなら、彼の代わりに罪を背負って戦う気ではいる。 + 【主】関織子 【騎】木場勇治 【作者】l7eULQT. 【マスター】関織子 【出典】若おかみは小学生! 【参戦時期】鈴鬼登場後 【聖杯への願い】元の世界に帰りたい(できれば両親を生き返らせたい) 【所持品】紅水晶 【能力・技能】 ○若おかみ 温泉地の業界団体が企画した研修企画に参加できるレベルの種々の技能。経営的なものはからっきしだが、現場レベルでのノウハウは大人も認めるところ。 ○霊界通信力 幽霊や魔物などの人ならざる神秘のものとのコミュニケーション能力。人外相手であってもそれを理由に会話に支障をきたさない。 ○生命力 常人ならば霊的な消耗で衰弱していく環境でもお腹がふだんより減るぐらいでしかない旺盛さ。魔力面でのマスターとしての資質は及第点。 【人物背景】 明るく元気で、勉強よりも旅館の仕事の方が好きな活発な女の子。あだ名は『おっこ』。交通事故で間一髪死にかけたのをきっかけに、霊界通信力を得る。両親には亡くなる前から年の割にはしっかりしていると言われていたが、両親を交通事故で一度に亡くしても、めげずに逞しく生きている。タフという言葉はおっこのためにある。 【方針】 もちろん人殺しには反対。ライダーにもなるべく手加減して戦ってもらいたいと思っている。ただ単に戦いを避けるというわけではなく積極的に手の届く範囲の戦いは止めたいとも思っているが、戦わなければいけない事情があることもわかっているのでなんとか話し合いで穏便に済ませたいと思っている。 【クラス】ライダー 【真名】木場勇治 【出典】仮面ライダー555 【パラメータ】 『オーガ変身時』筋力C+ 耐久B 敏捷C 魔力C 幸運D 宝具B 『オルフェノク変身時』筋力C+ 耐久C+ 敏捷C+ 魔力D 幸運E 宝具B 【属性】中立・善 【クラススキル】○対魔力E+○騎乗E 【保有スキル】 ○仕切り直しC+ ○オリジナルオルフェノク:A ライダーが「死後」に覚醒した、人類の進化系と呼ばれる姿。 そのスキルは他者によって与えられ、資格があれば発動する事になるが、Aランクは自力で覚醒している。 後述する宝具や、その他のベルトをリスク無しで使用可能。 【宝具】 『帝王たる戦士(オーガギア)』 ランク:B 種別:対人(己)宝具 レンジ:1 最大捕捉:1 スマートブレイン社が開発した帝王のベルトの一つ。腰に巻いて“000”のコードを入力することで仮面ライダーオーガに変身できる。 心技体に優れたオルフェノクだけが変身でき、仮に変身できたとしても多大な魔力を消費し、ライダー自身の身体にもリスクが起こる。 『激情する理性(ホースオルフェノク)』 ランク:B 種別:対人(己)宝具 レンジ:1 最大捕捉:1 ライダーが変身するもう一つの姿。馬の特質を備えたオルフェノク。魔剣ホースソードと巨大な盾を持つ。また、疾走態という形態に変化する事で敏捷が、激情態という形態に変化する事で筋力が、激情疾走態という形態に変化することで両方がボーナスを得る。 【weapon】 『帝王たる戦士(オーガギア)』 宝具欄参照。 オーガギア、オーガフォン、オーガストランサーと生前の装備一式を持ち込んでいる。オーガとしての武器のみならず、日用品としても使う事が出来る。 【人物背景】 本編のライバルにして劇場版のラスボス。今回はその劇場版の側面が主となり現界した。思い込みや勘違いで過激なことをしがちで、特に嘘や裏切りには容赦が無いが、心根はお人好しで良くも悪くも人をすぐ信用する純粋な青年。 植物人間である間に叔父に遺産を従兄弟に彼女を奪われたことがその攻撃性を増させている。 スマートレディと出会いなし崩しにファイズへと戦闘したことをきっかけに、ベルトを巡るオルフェノクの戦いに巻き込まれていった。 【聖杯への願い】 オルフェノクと人間の共存する世界を見たい。 【基本戦術・方針・運用方法】 マスターの魔力事情がいいとはいえオルフェノクとしての本気を出して戦えば負担は重く、オーガになればその負担はかなりのものとなる。発動時のリスクを考えれば基本的にはホースオルフェノクとして戦うことになるだろう。ただオーガは純粋なステータスで負けていてもフォトンブラッドによる猛毒で格上だろうと削り殺せるだけのポテンシャルがある。どこで勝負をかけるかによって運用方法が大きく変わるので、早めに方針を詰めたい。 【備考】 一応おっこは原作準拠で木場は劇場版準拠だが、語りにくかったら相談して変えてもいいと思う。 【筆者コメント】 高い把握率と相手を選ばずいいプロレスできそうな主従。どっちかを語れなくてもどっちかを語れる人は多いと思う。既に投下済みのファイズとのバーター参戦狙いだが、仮面ライダー系のサーヴァントが複数参戦した場合はすり合わせが必要だと思う。。 + 【主】バッター 【術】マズルカ 【作者】YA8ypa7A 【マスター】バッター 【出典】OFF_by_Mortis_Ghost 【参戦時期】どこでも大して変わらないと思うがzone3で3人目のガーディアン「イーノック」を倒したあたり。 【聖杯への願い】使命を完遂する為に元の世界に戻る。 【所持品】バット:亡霊達やガーディアンとの戦いにも余裕で耐える頑丈なシロモノ 【能力・技能】 野球選手らしい外観に相応しい高いスタミナや高所から煙突を飛び降りても無事な高い身体能力を持つ。 本来は限られたガーディアンしか持たない霊的存在(普通の人間は手も足も出ず瞬殺される)を倒す能力を持つ。 サーヴァント相手に戦うのは無謀だが使い魔程度なら倒せるだろう。 『ワイド・アングル』眼前にいる敵の特徴(弱点など)を分析する。たぶん弱者を装った強者などの判別に役立つ。 『アドオン達』こちらの世界には来ていない 【人物背景】 OFFの主人公。 蔓延る亡霊を駆逐して世界を浄化するという神聖な任務を何者かに任されている。 会話の際にも無駄口を叩くことはほとんどなく、基本は簡潔な質問か断定か沈黙が殆どである。 任務の為にガーディアンを倒してゾーンを浄化する(住人ごと消し去る)事に対して一切の躊躇を持たない。 ひたすら剛腕を振るい立ちはだかる者を殲滅する。 ちなみに作中で「プレイヤー(キャスターの欄とは無関係。)」に言葉を放つ事は稀にあるが「会話することはできない」。 まあメタネタは扱い難しいんでなるべく控えめに。 【ロール】住所不定の根無し草。キャスターの工房を根城にしている。 【方針】元の世界に戻る。 とりあえずキャスターと協力して聖杯戦争を勝ち抜く。 【クラス】キャスター 【真名】リマージュ・マズルカ・エルマ 【出展】ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団 【属性】中立・善 【パラメータ】筋力E 耐久D 敏捷D 魔力A 幸運C 宝具A 【クラススキル】 ○陣地作成:C 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。 移動式の馬車小屋で“工房”の形成が可能。 ○道具作成:A 魔力を帯びた器具を作成できる。 キャスターは作中世界でもトップレベルの腕前を持ち、 高レベル素材さえあれば伝説級の防具・武具の作成も可能。 【固有スキル】 ○魔女:A 魔術の才能を持つ者が修行の果てに至る存在 特徴としては不老(乙女の外見のキャスターの実年齢は100歳を超える)や 魔力さえあれば単純な外傷なら跡形もなく治るなどの回復力がある。 キャスターは1000年に1度の才能の持ち主で魔力も強い 流石に戦闘中に戦いながら再生のような使い方はできずとも 魔力を消費しても短時間の休息で体調・魔力を平時の状態に回復できる。 他には「封印されたアイテムの開封」「結界の解除」「馬車小屋の隠匿」「敵の死骸を炎で焼却」などの細かい魔術が使える ○魂の魔女:A 魔女には通常の魔術に加えて特徴的な魔術(他人の意志の操作や影への潜航など)を扱う者も多い。 キャスターは魂に関する魔術を得意とする。 聖杯戦争中に使えそうなものは魂(霊魂)への高い感知能力や、霊魂との会話。 ○精神異常(鈍感化):C 死んだ仲間の魂を自らの内に取り込んでいる影響で悲しみの感情がやや鈍化している。 【宝具】 『妖路歴程(レキテーちゃん)』 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1~50 最大捕捉:40 "導け!妖路歴程!" キャスターが15年間使用していた本の形の宝具。失われたがキャスターに深く結びつけられた事でサーヴァントの宝具として使用可能となる。 これ自体が強い魔力を持ち、人形兵などの召喚も殆ど妖路歴程の魔力によって行われる。(対人の『螺湮城教本』のようなもの) 「アステルナイト(攻守バランスいい騎士)」「シノブシ(攻撃特化武士)」「シアトリカルスター(踊り子)」 「マージナルメイズ(ドナム使い)」「ピアフォートレス(重騎士。主に壁要因)」「マッドラプター(射手)」 「ゴシックコッペリア(パワー特化型鈍槌使い)」「デモンリーパー(速度特化型人形兵)」 の8種からなる人形兵を、最大40体召喚する。 + 弱点 ◎後述するが妖路歴程に『』(プレイヤー)の魂が込められていないため、他者との会話や臨機応変な対応ができない。 そのため『』の込められた世界の妖路歴程がある世界では数ヶ月だったカラザの井戸の攻略が このキャスターの時間軸では15年以上もかかってしまった。 しかし15年間もの蓄積があるので自動で任せていても戦術面で大きなミスする可能性は低い。 ◎集団戦闘に特化しているので1対1体が弱い。 経験を積んで研ぎ澄まされている(つまりレベルカンスト)の人形兵だが、 戦闘に特化したサーヴァントを相手にするなら20体ぐらいはいないと厳しい。 ◎人形兵が損傷・破壊された場合壊れたままなので、工房に戻り「修理」する必要がある。 多少の損傷なら妖路歴程の魔力で人形たちがドナムなどで修復するが、 クリティカルヒットを受けると部位損傷(クリティカルゴア)を起こし性能が低下する。 ちなみに弱点は頭部で、頭部が破壊されると即戦闘不能になる。 ただ修理のための素材は普通の店で売ってる(お高い)木材や魔力のない普通の人形素体で可能とハードルが低い。 ちなみに原作ゲームでは一度の出撃数は40体だが60体作成可能。 『魔女ノ旅団撃』 ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:50 最大捕捉:40 "魔女ノ旅団よ!こいつをぶっ倒せえ!" 人形達に込められた魔力を解放して放つドナム(魔術)の必殺技。 周囲一帯に炎と無数の斬撃を放つ大技。逆転の一手に使うもよし仕切り直して逃げる時に使うもよし。 発動した際には数体の人形兵が生贄になり破壊される(工房に戻れば修復可能) 『馬車小屋』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:住むなら3人ぐらい "ここをベースキャンプにするよ!" 工房。魔術をかけて声を潜めていれば敵の人形兵が周囲を探し回っていても見つからない程度のカモフラが可能。 人形作成・修理、生活、武具や薬の調合などが行える拠点。 馬車を引く馬(ただの馬)も含めて宝具。 要塞的な使い方はできないのであくまで休息や修理の拠点。 『妖路歴程 時空爆散』 ランク:A 種別:特攻宝具 レンジ:100 最大補足:1~100 "私と死んで!レキテーちゃん!" 妖路歴程に仕込まれている自爆術式。発動には手持ち全ての令呪の使用が必要となる。 キャスター、妖路歴程、人形兵、令呪、全ての魔力を使った大爆発。 爆心地にいれば例え不滅の存在であっても魂は消し飛び、肉体は世界の外側の無の領域に弾き飛ばされる。 聖杯戦争においては単純にサーヴァントを構成する魔力が消し飛び消滅する。 この宝具を使用するとキャスターは消滅するので、使うのは聖杯の入手を諦めた場合に限られるだろう。 【weapon】無し。(本人の戦闘描写無し。)戦闘は人形兵頼り。 【その他】(能力・使用不可宝具・補足) 『フルネラ型人形』 少女の姿をした魔女人形。聖杯戦争中は複数召喚可能なキャスターの使い魔のような存在。 魂の契約によりキャスターに忠誠を誓う人形で忠実な僕。 数が何十体もいるがそれ以外に高い能力などはない。 人形兵と比べると戦闘力は全く期待できないが諜報や監視には役立つ。 (元の世界でキャスターは彼女達にも心があると思っているがそれでも大事の為には多数運用して使い潰すしかない事に心を痛めていた) 壊れても聖杯戦争中は魔力で修復できるが、こちらは人形兵と違ってキャスターの魔力を消費するので 大量に破壊された場合しばらく使用不可になる。 『■■■■型人形』(使用不可) 過去にキャスターと魂の契約を結んでいた魔女人形だが 敵対者のオオガラスの支配下にある事、100年間の戦いでキャスター達人類の敵として認識され座に記録されている事、 キャスターの■■■■への認識が使役の対象ではない事、などのいくつかの理由から使用不可 『ペンダント』 師から譲られた母の形見。 原作トゥルーエンドでは『』の魂が宿る触媒になるが、この聖杯戦争中に関しては特に効果はない。 【人物背景】 ノーマルエンドの世界線のマズルカ(未来)。 この世界ではカラザの井戸を15年かけて攻略し、 バーバを出し抜けずに世界を滅ぼすオオガラスを目覚めさせてしまい幼体のうちに仕留めそこなう そしてオオガラスと100年以上も闘い続けるが仲間の8人の大魔女達と最後のアタックを仕掛けるが負けて死亡した。 アタックの直前に過去の世界に数人の仲間の魂を送り打開の方法を探る「マロニエ作戦」を行った、 例え過去の世界が救われてもこの世界は救われないと思っている。 トゥルーエンドルートでは『』の魂の込められた妖路歴程の帰還するが、ノーマルエンドの滅亡の世界ではそれがないので 宝具の妖路歴程にも『』の魂が入っていないので臨機応変な行動ができない。 性格は暗い世界でも前向きなのが取り柄と自称する明るい性格。 死んだ仲間の魂を取り込んでいるうちに魂は犯され穢され悲しみの感情を失いつつある。 【聖杯への願い】 聖杯の力で不死のオオガラスを倒す力を得る。 【基本戦術、方針、運用法】 普段は工房に潜伏して体勢を整える。 フルネラ型人形で他の主従を見つけたら可能なら不意打ちで一気に大量の人形兵で畳みかける。 人形兵は補修・修理可能だが修理の手間などあり長期戦で削られるのは不利。 闘うとなったら令呪を使ってでもその場で討ち取るぐらいのつもりで出し惜しみせずに行きたい。 マスターには「アステルナイト」「ピアフォートレス」「マージナルメイズ」などを常に護衛につけておき襲撃に備えつつ、 サーヴァント相手にキャスターが妖路歴程に指示を出しつつ戦う。 キャスターは元来優しい性格なので人間は殺したくないが、背負っている物が大きいのでいざとなれば殺害も辞さない。 マスターは敵対者の殲滅に迷いは無いが、 天空の浮遊城の住人や聖杯戦争参加者は本来の任務で浄化する亡霊達とは無関係なので 状況に応じて交渉や放置、様子見なども行う。 + 【主】相馬和樹 【術】レジィ・スター 【作者】SkFUJwzk 【マスター】相馬和樹 【出典】LOST JUDGMENT 裁かれざる記憶 【参戦時期】本編終了後、逮捕された後。 【聖杯への願い】自身の罪を帳消しにし、再び秩序の維持のために動く。 【weapon】ポケットに隠しているナイフ、アイスピック。 【能力・技能】相手の嘘を見抜く洞察力、恐怖を絶妙に扱った拷問による情報収集。 【人物背景】 半グレ集団・RK(アール・ケー)リーダーで、元は東城会直系の日侠連組員。RKの中では最も身なりが整っており、言動もどことなく品性が漂っている。 数年前の東城会(および近江連合)の解散により空席状態の神室町の覇権を狙っている。 基本的に組織は阿久津大夢に陣頭指揮を執らせ、自身は組織の見回りのため稀に顔を出す程度で、あまり表に姿を現さず居場所を転々としている。 かつては東城会の直系団体「日侠連」に所属していた幹部候補生だったが、ある時期に東城会そのものに見限りをつけ脱退。奇しくもその数年後、これまで神室町の縄張りを争っていた東城会・近江連合の二大極道組織が同日解散することになる。 その本性は、自身を必要悪と称して一般人を躊躇なく殺害することも厭わない凶悪な悪党。 また、それ故に部下を切り捨てることにも躊躇いが無く、自身が潜入捜査官であることを知った阿久津を殺害した。 一方で、自身を『必要悪』と称している通り、自分の行う仕事は裏から社会の秩序を守るのに必要な『正義』の行いであるという思想を持ち、そのことを誇りにすらしている。 【ロール】半グレ組織のリーダー。但しRKではなく、天空都市オリジナルの集団。 【方針】 基本的にキャスターの方針に同意する。 逆らう相手は捕らえた後、他陣営の情報を引き出す為に拷問等を行った後殺す。 【クラス】キャスター 【真名】レジィ・スター 【出展】呪術廻戦 【パラメータ】筋力:C 耐久:C 敏捷:C+ 魔力:B 幸運:C 宝具:B+ 【属性】中立 悪 【クラススキル】 ○道具作成 C 魔力を消費し、宝具の発動に使用するレシートや契約書を作成する。 ○陣地作成:E 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。 キャスターは同じ呪力を扱う者の一部が扱う『領域』を中和する「彌虚葛籠」を展開可能。 【固有スキル】 ○呪詛師 B 呪力を操り、呪いを祓える力を持つ人間。 その中でも力を自分の為に使い、非術師を殺害するなど害を及ぼす者を呪詛師と呼称する。 長らく術師として戦ってきたキャスターは豊富な経験や柔軟な発想により、局面に適した戦法を瞬時に編み出すことが出来る。 【宝具】 『再契象』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1人 レシートや契約書を呪力で焼くことで、記入された内容を再現する。 用途は多岐に渡り、単純に武器等を再現し攻撃手段として使用したり、高級温泉旅館の領収書を使い、一瞬で体を癒す事もできる、とにかく万能性が高い宝具。 【weapon】なし。道具作成スキルと宝具で戦う。 【人物背景】 呪詛師・羂索が画策した呪詛師達によるバトルロイヤル「死滅回游」に参加している呪詛師。 全身をレシートや契約書で包み込み繭のように着込んでいるという異様な外見の男。 性格は飄々としながらも狡猾で、甘言や嘘を吐き自分の有利な状況に持っていく頭の回転の速さや、戦闘の術式の欠点を素早く見抜く状況判断能力にも優れている。 また、過去の術師や領域展開の存在も把握しているなどの素振りや、主催者の羂索とも関わりを有している点から、現代人を装っているだけで実際は過去の術師である疑惑も掛けられている。 【聖杯への願い】もう一度受肉し、自身の下手人である伏黒恵の行く末を見届ける。 【基本戦術、方針、運用法】 序盤は他陣営の力量を測り、同盟も積極的に結ぶ。 中盤からは積極的に探りを入れ、一気にケリをつける方針。 【筆者コメント】 掴みどころがない性格ながらも外道なコンビ。 徒党のリーダーであり、人身掌握術にも長けている所も共通点。 + 【主】医者 【殺】ディアボロ 【作者】◆gXaKV49AZQ 【マスター】医者 【出典】アクダマドライブ 【参戦時期】特になし 【聖杯への願い】生も死も自分の思いのままにできる力を得る 【所持品】白衣、薬品、手術道具、催眠ガス 【能力・技能】 ○医術 医者としての能力なのだが、その技量が常人の範疇を超えている。 どんな状況でも瞬時に治療することができ、終いには自分の首や胴体を切断されようとも手術が間に合う限りはすぐに治療して復活できる。 他者にも同様に手早く治療して戦線復帰させることができるが、後々死に至るよう手術を調整することすらやってのける。 この技術の応用して自分自身に整形外科を施している。現在は妙齢の美女だが、実際には年齢や性別すらも詳細不明。 その他、メスで相手の頸動脈を切り殺したり、対象の心臓にワイヤーを打ち込み生死を握る、など正確に急所を狙えるだけの殺人スキルも備えている。 【人物背景】 アクダマドライブに登場する犯罪者「アクダマ」の一人。推定懲役432年の極悪人として指名手配されている超危険人物。 治療と称して不調になった一般人を切り刻んだり、治療の際に邪魔な一般人を治療の片手間に瞬殺してしまう程に、とにかく人の命を弄び自らの愉悦に浸るマッドドクターである。 一時は他のアクダマ達と共同でとあるミッションに挑んでいたが、途中で彼ら彼女らを裏切って処刑課に密告、協力した見返りとしてアクダマ認定を取り消される。 その後も更なる目論見のために処刑課やアクダマ達を利用して上手く立ち回っていたが、最後の詰めで油断した隙に致命傷を負い、治療ままならぬ状況の中で運に恵まれぬままに死亡した。 【ロール】医者 【方針】 基本的に聖杯戦争はアサシンと彼が構築した組織に任せ、必要あらば自らも動く。 それとは別にそこら辺の一般人や役立たずなアクダマを見つけては切り刻んでいそうである。 【クラス】アサシン 【真名】ディアボロ 【出典】ジョジョの奇妙な冒険 Parte5 黄金の風 【属性】混沌・悪 【パラメータ】 ディアボロ 筋力:C 耐久:D 敏捷:C 魔力:B 幸運:B 宝具:A+ ドッピオ 筋力:E 耐久:D 敏捷:D 魔力:D 幸運:C 宝具:C 【クラススキル】○気配遮断:A 【固有スキル】 ○邪智のカリスマ:B+ 国家を運営するのではなく、悪の組織の頂点としてのみ絶大なカリスマを有する。 ○正体秘匿:A サーヴァントとしての素性を秘匿するスキル。 精神と肉体がドッピオの状態である限り、誰もが彼のステータスを視認することはできず、サーヴァントとして感知され難くなり、彼をただの人間としか認識できなくなる。 またディアボロが表に出ている場合、1対1の戦闘だとスタンドに注目が集まり本体の秘匿性が高まる。ただし人数が増えて死角がなくなる程に秘匿効果は薄まってしまう。 このスキルはディアボロとドッピオの正体を知る者やAランク以上の真名看破スキルの持ち主に対しては秘匿効果を発揮しない。 ○単独行動:B 【宝具】 『栄華もたらす貧者の貌(ヴィネガー・ドッピオ)』 ランク:D+ 種別:対人(自己)宝具 レンジ:1 最大補足:1人(自身) ディアボロのもう一つの人格、もう一つの姿、もう一つの魂。 この宝具の使用すると人格・性格・体格が異なる別人ドッピオへと成り代わり、巨大ギャング組織「パッショーネ」のボスというディアボロの正体を秘匿する。 ドッピオの状態だとスキル「邪智のカリスマ」が機能しなくなり戦闘能力も低下するが、代わりにスキルによる隠密性が高まり正体の露見がなくなる。 また非常時にはディアボロの宝具二種を限定的に行使する事も可能である。ただし、その場面を相手に目撃されれば当然警戒度を引き上げてしまうだろう。 なお、この宝具を失う、つまりドッピオの魂を失うと正体秘匿のスキルも消滅し、ディアボロの幸運がBからDへと2段階ランクダウンする。 『真紅の帝王(キング・クリムゾン)』 ランク:EX 種別:対人・対界宝具 レンジ:- 最大補足:- 破壊力-A スピード-A 射程距離-E 持続力-E 精密動作性-? 成長性-? ディアボロの帝王としての絶対を象徴する精神の具現、すなわち幽波紋(スタンド)。 ディアボロに代わって直接戦闘を担う。三騎士とも互角に戦えるほどの近距離パワー型のスタンドでもあるが、この宝具の真骨頂は別にある。 この宝具の真名を開帳した場合、ディアボロ以外の知的存在から数秒間ほど体感時間および意識を消し飛ばし、無意識のままの動作や自然現象の経過のみを許容する特殊な時流現象を起こす。(これをディアボロは「時を消し飛ばす」と称している。) 勘の鋭い者ならば時を消し飛ばされた事で些細な違和感を抱き、そこから異常な状況を感知できる可能性もあるが、だからといって対処が困難であることには変わりない。 この宝具を発動中はディアボロのみが時の流れを認識して行動することができ、またディアボロはこの時間に「存在していない」という扱いを受けるため、あらゆる攻撃・物体はディアボロをすり抜ける。 同時にディアボロ側も時飛ばしの最中には攻撃を仕掛けることはできないが、血飛沫による目潰しや解除の瞬間に必殺の攻撃を仕掛けることで、認知外からの奇襲によって戦闘を優位に進めることができる。 『墓碑銘(エピタフ)』 ランク:A+ 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:- 『真紅の帝王』の額に浮かぶもう一つの顔、『真紅の帝王』が備えるもう一つの側面。 数十秒先の未来の出来事を映像として垣間見ることができる予知能力を備えている。写し出された光景は100%の運命であり、基本的には未来の出来事を覆すことはできない。 この能力でディアボロは未来を先読みし未来に対して事構えることができるが、ただ映像を見るだけなので不可解な状況に対しては独自に解釈する必要が生じる。 『真紅の帝王』と組み合わせると、予知した不都合な出来事を時間ごと消し飛ばすことで“なかった”ことにできるようになり、100%の運命を回避して有利な状況を作り出すこともできる。 【人物背景】 漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の第5部、「黄金の風」のラスボス。 巨大ギャング組織「パッショーネ」のボス。正体も姿も見せぬままに裏社会の頂点に君臨する謎の人物。 自身の経歴や人物像などあらゆる情報を抹消するほどに用心深く慎重な性格であり、なおかつ正体を知ろうとする輩を徹底的に排除してきた冷酷無比な男。 絶対的な支配力と恐怖、カリスマ性によって組織を纏めていたが、暗殺チームやブチャラティチームの反旗によって自身の栄華を脅かされ始める。 それらに対処するために刺客を送ったり自ら動いて彼らを始末してきたが、最終的にジョルノ・ジョバーナとの対決に敗れ、終わりのない死の連鎖から抜け出せなくなってしまった。 【聖杯への願い】「永遠の死の恐怖」を記憶・記録から抹消する 【基本戦術、方針、運用法】 自身の正体を秘匿しつつ、聖杯戦争の参加者を暗殺する。 それと並行して新たに裏組織を形成し、情報網や捨て駒として利用する。 ちなみにだが、ドッピオもスタンドもディアボロの精神であり一心同体の存在であるため、それら宝具を顕現させても魔力消費が増大することはない。 ただし戦闘や能力の使用、宝具『真紅の帝王』の真名開放は魔力消費が大きいので注意。一度の戦闘で複数回は使用できるが、多用しすぎてマスターの魔力が枯渇する危険もあるので過信は禁物である。 【備考】 ○ドッピオについて ディアボロの第二の人格であるが、自分がボスの裏の顔であることを知らず「ボスから唯一直接指令を下される忠実なる腹心」であるとドッピオは信じきっている。 普段は気弱で優柔不断な少年であるが、ボスの正体が露見しそうになると凶暴な性格に変貌し、ディアボロのように冷酷非道な態度をとることもある。 主人格はディアボロであり入れ替わりも彼の意思で行われ、ドッピオが表に出ている時でも裏から彼の行動を垣間見ている。また、肉体をドッピオにしてディアボロの意思で行動することも可能。 ディアボロからスタンド能力の一部を借りて操ることができるが、ドッピオの状態では「エピタフによる未来予知」と「キング・クリムゾンの両腕」と限定的にしか使用できない。 裏に潜んだディアボロから表に出ているドッピオに司令を送る場合は「電話」を通じて連絡を取り合う。その際第三者から見た光景はとても異様なものだが、不思議とそれでバレたり怪しまれることはない。 そして特殊な例だが、魂の入れ替わりなんて異常事態が発生した場合はディアボロとドッピオは各々の魂で別々の肉体に憑依することも可能である。 【その他】 余談だが、一つの肉体で二つの魂を備えたディアボロは魂の操作を得意としている。 たとえば、魂を感じ取って人々を識別している人間に対して、自身の魂を娘のものに似せることで見事欺いてみせた。 たとえば、肉体と魂が無差別に入れ替わる異常事態に巻き込まれた際に、ディアボロの魂とドッピオの魂は別々に分離してなおかつ自身の魂を他人の肉体と魂の陰に潜ませるという離れ業をやってのけた。 もっとも、聖杯戦争において魂の操作が役立つような場面はそうそうないだろうが。 【筆者コメント】 アサシンの適役を探している内にボスに辿り着いた。 大抵のサーヴァントは全盛期の姿で現われるので、今回はGERが関与しない状態でステシを作成しました。 ただし、全盛期の姿であっても「死に続けた記憶」は英霊の座に記録されているので、その抹消のために聖杯戦争に参戦した、といった感じです。 + 【主】竈門炭治郎 【殺】雲雀恭弥 【作者】E0ZXguE2 【マスター】竈門炭治郎 【出典】鬼滅の刃 【参戦時期】少なくとも善逸や伊之助と仲間になってから~禰豆子が人間に戻る前 【聖杯への願い】禰豆子を人間に戻したいが、人を殺してまで叶えたい願いはない 【所持品】 炭治郎の日輪刀 【能力・技能】 ○鬼殺隊の剣士 水の呼吸やヒノカミ神楽などの剣術を扱える。 【人物背景】 遍く万象を照らす日輪を心に宿した少年。 竈門家の長兄として、父である竈門炭十郎亡き後の家族の大黒柱となって家業である炭焼きを営み、つつましくも幸せな生活を送っていた。 しかしある日、いつものように麓の町へと炭を売りに降り、いつものように山の家へと帰ろうとした夕暮れ、知り合いの老人である三郎爺さんに引き止められる。 老人曰く、「日が暮れると人喰い鬼がうろつき出す」と。 孤老が寂しさ故に御伽噺を口にして自分を引き止めたのだと思い、素直にその家に泊まった翌朝。 その後炭治郎の家族は惨殺され、唯一身体に温もりを残していた妹の禰豆子は人喰い鬼へと変貌させられていた。 妹を人間へと戻すため、また家族の仇を討つため。 血風吹き荒ぶ中、今宵もまた炭治郎は鬼滅の刃を振るう──。 【ロール】 思い浮かばないので語りの流れで決める感じで 【方針】 戦えない人々を守り、聖杯戦争を終わらせる そのためにもアサシンさんになんとかして認めてもらう 【クラス】アサシン 【真名】雲雀恭弥 【出典】家庭教師ヒットマンREBORN! 【属性】混沌・善 【パラメータ】筋力:B+ 耐久:C 敏捷:B+ 魔力:C 幸運:C 宝具:A 【クラススキル】 ○気配遮断:E アサシンはマフィアであるが、別にこのスキルについてはこれといった逸話がないので最低ランク そもそも気配を遮断するどころか強者を見つけ次第、襲い掛かる可能性もある 【固有スキル】 ○ 孤高の浮雲:A Aランク相当の単独行動と反骨の相の複合スキル。 ボンゴレファミリー雲の守護者であるアサシンは何ものにもとらわれることなく、独自の立場からファミリーを守護する孤高の浮雲である。 反骨の相こそ持つが、自分が気に入った相手には素直に従わずとも協力的な姿勢を示してくれる。要するに全てはアサシンの気分次第であり、相手のカリスマ性などはあまり関係ない。 ○ 並盛の風紀委員:A Bランク相当の戦闘続行と無窮の武練の複合スキル。 猛毒に侵されてもなお戦い、その強さは並盛の人間ならば知らない者はいない。単独で500人もの敵を相手に圧勝したこともある。 しかし同じ時代に彼と同等かそれ以上の存在も数人存在しているのでBランクになっている。無双を誇るイメージが強いからこそ付与されたスキルだとも言える。 また学校で戦う場合のみ無窮の武練はAランク相当まで上昇し、筋力と敏捷にプラス補正が掛かる ○ 戦場の鬼:C 個人の武勇により自陣営を奮起させるスキル アサシンが活躍することで彼と協力関係にある仲間を強化する ボンゴレファミリー雲の守護者として窮地の仲間を単独で助け、彼らを奮起させた逸話が由来 【宝具】 『雲のブレスレットVer.X』 ランク:A 種別:対人(己)宝具 レンジ:1 最大捕捉:1 雲の守護者、アサシンの専用ギア。 アクセサリーはハリネズミと手錠があしらわれたブレスレット。 形態変化(カンピオ・フォルマ)することで改造長ラン姿になり、ボンゴレギア専用のトンファーを装備する。 この形態変化(カンピオ・フォルマ)をした際に魔力を消耗するのだが、これについてはらアサシンの基本的な戦い方なので燃費は非常に良い トンファーは従来の仕込み機能に加え、後端からチェーンブレードが伸びる。 このチェーンブレードは雲属性の増殖によって長さの調整ができ、遠距離攻撃が可能になった。 その他、アラウディの手錠やロールの球針態など、ボンゴレ匣時の戦闘法も健在。 ○ アラウディの手錠 その名の通り、手錠。雲の属性により増殖し、この手錠のみで相手の肉体を縛り上げるという芸当も出来る ○ ロール 雲雀がロールと呼んでいるだけで正式名称は雲ハリネズミ(ポルコスピーノ・ヌーヴォラ) 死ぬ気の炎の雲属性の作用「増殖」を利用して、球状に膨らんで浮遊・攻撃したり、大量に増えたりすることができる。膨張し空気を遮断する密閉球体「球針態」(きゅうしんたい)となり、相手を閉じ込めることもできる。 この球針態は何も相手を閉じ込めるだけに使用法が限られているわけではなく、ロールを鉄壁のような氷へ撃ち込み、破片を増殖&膨張させることで内部から壊したこともある 【weapon】 ○雲雀の仕込みトンファー ○雲のブレスレットVer.X ○ヒバード 雲雀に懐いている黄色の鳥。 人語を解すことが出来、会話することも可能。雲雀の場合は「並盛中学校校歌」を覚えさせていた。 ちなみに雲のブレスレットVer.Xで形態変化すると何故かヒバードもリーゼントになる 【人物背景】 ボンゴレファミリー雲の守護者にして、並盛中学最強の風紀委員。 【聖杯への願い】 そんなものはない。やりたいようにやるだけさ 【基本戦術、方針、運用法】 暗殺に向いていないタイプの脳筋アサシン。 気に入られたら多少は融通を利かせてくれるかもしれないが、基本やりたいようにやるだけ。 しかしそれが結果的に良い方へ向かうこともあるので、なんというか本当に孤高の浮雲としか言いようがない 一見マスターにとっても厄介なサーヴァントだが、沢田綱吉のように小動物なりの強さを見せる事で認められるのでそこが一番大事だろう 【筆者コメント】 一応マフィアということでアサシン ツナのように心優しくも心に強い芯を持つ炭治郎と雲雀のコンビ リボーンはあまり参戦しないけど把握率はそれなりに高いのでは?と思う + 【主】シャア 【狂】エレン・イェーガー【作者】l7eULQT. 【マスター】シャア・アズナブル 【出典】機動戦士ガンダム逆襲のシャア 【参戦時期】アクシズショック後 【聖杯への願い】叶えたい願いはいくつもあるが、もし叶うなら家族で―― 【所持品】なし 【能力・技能】 ○ニュータイプ 宇宙に進出した人間に起きた神代回帰。第六感的な感覚の鋭敏化。常人よりは魔力が多い。 【人物背景】 ご存知赤い彗星。 【方針】 バーサーカーの第二の宝具は一度発動すると後戻りができない。極力慎重に戦闘を避けつつ立ち回り、最小限の攻撃で最大の戦果を挙げられるようにゲリラ戦を挑んでいく、クワトロのようなことになるだろう。 【クラス】バーサーカー 【真名】エレン・イェーガー 【出典】進撃の巨人 【パラメータ】筋力E 耐久E 敏捷E 魔力A 幸運A+ 宝具B++ 【属性】混沌・狂 【クラススキル】 ○狂化:A+ 通常時は狂化の影響を受けないが、理不尽に自由が奪われる場合に狂化スキルが発動し、全てのステータスがワンランク上がり、理性を伴ったまま行動が自由の獲得へ固定される。 【保有スキル】 ○怪力:D+ 魔物、魔獣のみが持つとされる攻撃特性。使用することで一時的に筋力を増幅させる。一定時間筋力のランクが一つ上がり、持続時間はランクによる。 バーサーカーは第一の宝具で巨人化した時のみこのスキルを使用し、スキルの持続時間が無くなった場合巨人化も解除される。また実際に筋力を使わない時には持続時間の経過が緩やかになり、全く動かない場合はBランク相当の持続時間となる。 ○戦闘続行:D ○単独行動:D ○反骨の相:D ○道具作成:D + 企画主の補記 道具作成はエレンが捕食した「鉄槌の巨人」に由来するもの。 【宝具】 『進撃の巨人 -Attack Titan-』 ランク:B 種別:対人(己)宝具 レンジ:1 最大捕捉:1 負傷することを条件にバーサーカーの体は身長15mの巨人と化す。筋力・耐久・敏捷がワンランクアップし、この状態で狂化が発動すると幸運がフォーランクダウンし、筋力と耐久が更にワンランクアップする。この宝具を発動した時のみ怪力スキルが発動し、スキルの持続時間が終わると巨人化も解除される。 『進撃の巨人 -Attack on Titan-』 ランク:B++ 種別:対界宝具 レンジ:1000 最大捕捉:1000 地ならしで世界に進撃した巨人の逸話の再現。バーサーカーが認識した範囲またはバーサーカーを認識した、バーサーカーの身長より大きい人型のものに狂化Aを与える。影響を受けた全能力が上昇し、理性が無くなりバーサーカーの単純な指示にしか従えなくなる。この宝具を発動した時点でバーサーカーは霊基再臨し、以後宝具は消滅するまで止まることはなく、よって霊体化も不可能となる。 【weapon】 立体機動装置 【人物背景】 人類を絶滅させかけた反英雄。世界に巨人を解き放ち、世界中を更地へと変え、全世界の人間の八割を殺した悪魔。 【聖杯への願い】 叶えたい願いは叶えたが、もし叶うなら家族で―― 【基本戦術・方針・運用方法】 その気になれば身長が高めの人間は小さい巨人のように変えることができるので、NPCの扱い次第で取れる戦略が大きく変わる。基本的にはクルーガー時代のように隠れ潜み、立体機動装置や巨人化で撹乱していくことになるだろう。 【備考】 地味に反骨の相持ちなのでバーサーカーが逆シャアするかもしれない。 【筆者コメント】 情けない奴とかっこ悪い奴主従。把握度の高さと語り易さを重視したが、結構共通点があるので主従仲も悪くはなさそうだし方針の齟齬も少なそうだしでいいコンビになれると思う。 + 【主】クルーゼ 【降】セフィロス 【作者】◆gXaKV49AZQ 【マスター】ラウ・ル・クルーゼ 【出典】機動戦士ガンダムSEED 【参戦時期】キラに討たれ、ジェネシスの光に呑まれた後 【聖杯への願い】人類の滅亡 【人物背景】 SEEDのラスボス。人の業の被害者であり、やがて世界の破滅を目論んだ仮面の破綻者。 とある資産家のクローンとして誕生した複製人間は、しかし技術的問題により短命で老化速度も早いという欠落を抱えてしまい、「失敗作」の烙印を押されてしまう。 自分達の都合で人の命を弄び出来が悪ければ唾棄する人の醜悪さを目の当たりにした彼は、当然のように歪んだ社会を憎み人類の滅亡を望むようになった。 ゆえに愚昧な資産家を抹殺した後に彼は「ラウ・ル・クルーゼ」と名乗り、人類同士が憎しみ合い破滅に向かうように活動を始めた。 その過程でクルーゼはザフトに入隊、ナチュラルでありながらコーディネーター社会に溶け込む為に“ 死 に 物 狂 い ”の努力を積み、ついにはトップエースまで登り詰めた。 地球連合との戦争が始まるとクルーゼは指揮官として従軍しつつ戦争が泥沼化するように情報をリークするなど裏で暗躍し、ついには双方が禁断の兵器を用いて相手の殲滅を望む暴走状態にまで事態を動かすことに成功する。 最後の仕上げとしてクルーゼも最終戦線に出撃して連合軍や第三軍の戦力を削り、宿敵のムウ・ラ・フラガや主人公のキラ・ヤマトをも終始圧倒する程に憎悪を滾らせたが、やがて覚醒したキラの猛攻に押し切られて惜敗、破壊されたジェネシスから零れるガンマ線の光に包まれて消滅した。 ちなみにだが、とある書籍の監督インタビューでは「彼の中には人類を滅ぼしたい自分とそうしたくない自分が同時に存在し、自分に未来が無く死期が見えていた。フレイを送り出したのは意識的に扉を開くというよりもコインを投げる賭けの感覚に近く、世界の行く末を決める重要な場面を人智を超えたところに判断を委ね、結果データは渡った為行くところまで行くしかないのだ、となった。」とある。 つまり人の醜い部分を見てきたとはいえ人類を全否定していた訳ではなく、親友や同じ境遇の存在との出会い、自分を止める存在を渇望したりと、僅かながらの葛藤を抱えていたのではと窺い知れる。 キラに討たれた時に笑みを浮かべていたのも自分を止めた事への納得や安堵によるものらしく、ラウにとってキラは「憎くもあれど、自分と同じく個人の欲望で人為的に作られた影の存在として愛しくも思っていた」という風に親近感を懐いていたようだ。 なおフレイに機密情報を渡して戦場に放出という運任せの賭けは、最終的に連合軍に渡って核兵器の早期投入に繋がるという想定以上の大成功だったらしく、小説版にて「(こんな確率の低い事が成功してしまうなんて)やはりこの世界は滅びを望んでいるのだな」と運命的に感じていたようだ。 【所持品】 『仮面』 老いた素顔を隠すために着用している。正直、着用している姿はなんとも胡散臭い。 ちなみに仮面に隠された素顔を知りたがると長生きできないジンクスがある。ミゲルやニコルがその例。 『抑制剤』 細胞分裂を低減しテロメアを延長させ老化を遅らせる薬。 薬効が切れると全身に激痛が走り細胞の癌化リスクが高まる危険もあるが、クルーゼは身体を保たせるために定期的に服用している。 【能力・技能】 本人はナチュラルであるが非常に高い素質を持っていたようで、想像を絶する努力によりコーディネーターに匹敵する能力を会得している。 以上の事から身体能力や知性も優秀であり、指揮官としても有能で話術や諜報にも長けている。 そしてコーディネーター用OSのMSに登場して大きな戦果をあげる程の高度な操縦技術を有している。 ○空間認識能力 クローンされたことで継承された遺伝特性、先天的特異能力。 読んで字の如く空間を認識する能力が非常に優れており、この天賦の才のおかげでコーディネーター社会でも役立ったようである。 ちなみにこの能力はコーディネイターと同等の高い反射神経をもたらし、直感で敵の攻撃を先読む事さえ可能となるようだ。 特に遠隔操作兵器「ドラグーンシステム」を十全に活用できるようになり、SEED終盤で本領を発揮した。 【ロール】 士官クラスの軍人 【方針】 軍人という役職を生かして情報収集し、時には他マスターをテロリスト扱いして部隊を動かす。 幸い?聖杯戦争で物騒な事件が多発することが予想されるため軍の出動も容易になるだろう。 とにかく自身の立場を上手く利用して立ち回り、同時にフォーリナーにも動いてもらう。 ただしクルーゼ自身の体調不安もあるため、それをなんとか誤魔化しながら慎重に事を進めると思われる。 【筆者コメント】 人の飽くなき歪みから製造され、人生を狂わされ、人類を呪った事のあるラスボスコンビ。軍属経験や英雄視された時期もあるなどの共通点もある。 最初にフォーリナーを構想して相方を誰にするか考えた時に同じような境遇である仮面の男に行き着いた次第です。 身体的問題があるものの結構相方に同調しそうだし、またもや破滅を望み優勝を目指し頑張りそうな気もするので意外としぶとく生き残るかもしれない。 【クラス】フォーリナー 【真名】セフィロス 【出典】FINAL FANTASY 7(その他複数作品) 【属性】混沌・中庸 【パラメータ】筋力:B 耐久:B 敏捷:A+ 魔力:A 幸運:C 宝具:A+ 【クラス別スキル】 ○領域外の生命:EX 外なる宇宙、虚空からの降臨者。邪神に魅入られ、権能の先触れを身に宿して揮うもの。 ○神性:C+ 外宇宙より来訪せし高次生命の因子を宿すため神性を帯びた。星の生命を蝕み破滅を招く計り知れぬ驚異。その代償は、果てなき妄執。 【固有スキル】 ○ソルジャー:EX 巨大企業の人体実験により生み出された超戦士の総称、その祖であり頂点でもあるセフィロスは別格である。 超人じみた瞬発力を発揮し、さらに威圧・混乱・幻惑といった精神干渉を無効化する。 ○無窮の武練:A+ ひとつの時代で無双を誇るまでに到達した武芸の手練。 心技体の完全な合一により、いかなる精神的制約の影響下にあっても十全の戦闘能力を発揮できる。 ○縮地:B 瞬時に相手との間合いを詰める技術。多くの武術、武道が追い求める歩法の極み。 単純な素早さではなく、歩法、体捌き、呼吸、死角など幾多の現象が絡み合って完成する。 ○魔術:B 【宝具】 『片翼の天使』 ランク:B+ 種別:対人宝具(自身) レンジ:- 最大補足:1人 堕ちた天使を象るような漆黒の翼を一枚のみ大きくはためかせる、ジェノバ細胞の力が発露した姿。 この状態になると浮遊による移動が可能となり、より攻撃性・機動性を向上させる。 本来ならばジェノバ細胞に由来するこの宝具により自己改造スキルを保有できるのだが、聖杯からの制限により片翼の発現のみに留められている。 ただ、もしかしたら第二宝具の開帳時にジェノバ細胞によって進化した姿をイメージとして確認できるかもしれない。 『悍ましき熾天の彼方(スーパーノヴァ)』 ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:1~5 最大補足:3人 神に至らんとするセフィロスの妄念、星の生命を喰らうジェノバの本能、それらの暗喩として投影された超常事象。 宝具開帳時に対象を異空に飲み込み、超新星爆発に匹敵する天体破壊、惑星系の連鎖死という認識の次元を超越した理によって対象を矮小化させる。 あり得ざる幻想だと判ってもその衝撃を前にしては対象の心身に甚大な影響を及ぼし、万が一耐えきったとしても何かしらの状態異常に陥る危険性がある。 【weapon】 『正宗』 身の丈以上の長さを誇るセフィロスの愛刀。 彼は鞘を持たず、抜き身のまま各種剣技の構えを取る。 ただし特徴的な刀であるため真名を特定されやすい可能性もある。場合によっては代用品の刀や無刀での戦闘も一興なのかもしれない。 【人物背景】 FF7のラスボス。人の業の被害者であり、やがて超越の思想に目覚めた心ない天使。 始めは自分の出自を知らぬまま常人以上の能力で成果をあげ続け、やがて最強の戦士となり英雄と讃えられた。 しかし隠された真実に辿り着いた時に彼の歯車は狂い、そして人類や星に牙を剝いた。 星の支配者となるべく未曾有の災厄をもたらしたが、星を救うために集結した闘う者達と衝突、死闘の末に敗れ去った。 たがしかし、その後の物語で一度復活しては宿敵に復讐を目論んだり、別世界にも顕現しては宿敵と執拗に対決したりと、自分を倒した宿敵とあらゆる場面で激闘を続けている。 【聖杯への願い】 不明。 【基本戦術、方針、運用法】 基本は剣術と魔術で戦う。 複数の構え方を使い分け、神速の一閃や居合い、連続斬り、カウンター攻撃など多様な武芸でもって相手を翻弄する。 魔術に関しても各種ガ系やシャドウフレア等を使いこなし、剣戟の合間に敵の行動を阻害する。 上記の通常状態でもトップクラスのサーヴァントに匹敵する強さを誇り、加えて『片翼の天使』でパワーアップし敵対者をさらに追い詰める。 ただしその強さ故に魔力消費量も激しいため、マスターへの負担を考えるならば使い所や制限時間に気をつけよう。時には引き際の見極めも大事である。 第二宝具はさらに膨大な魔力を必要とするため、ここぞという場面で勝負を決める切り札として使うべし。 マスターについては一定の理解を示し指示にもそれなりに従いそうだが、セフィロスはセフィロスで独自の別行動をとりそうでもある。 【備考】 FF7シリーズを基軸にDFFシリーズやKHシリーズ、その他出演した作品の要素も複合した性能となっています。 第一宝具はスマブラをベースに、DFFシリーズのEXモードやKHシリーズでのHP減少時における行動パターンの変化、攻撃の激化をイメージしたもの。 第二宝具はFF7、DFF、スマブラなどを意識。作品毎によって若干演出が違うのでそこは語り次第。開張毎に変化させるのも一つの手である。 【その他】 「ジェノバは外宇宙に潜む邪神の尖兵であり、その因子を宿したソルジャーも眷属にあたる」という個人的発想を基に、FF7の大英雄・反英雄であるセフィロスにもフォーリナー適性があると判断した。 むろん、机上の空論であってそんな事実は存在せず、逆に否定する材料もないが。 とにかく未知なる宇宙からの来訪者に関わり、『人類の脅威』にカテゴライズされ、星が創りし兵装が抑止力として機能せず、第二宝具が特異な演出である事など、なんとなくフォーリナーとしての素養が高そうなので当クラスに当てはめてみた。 【筆者コメント】 最初はセイバークラスで考えていたが、ジェノバ関連を考えればフォーリナーもイケる!と思いクラスチェンジ。そのためパラメータとかスキルとかがセイバー寄りに仕上がっています。 ちなみに以前まではバランスを考えてある程度鯖性能を抑えて候補作を作成していましたが、他の候補作を見ると強力過ぎる鯖もチラホラいたので、自分も今回はセフィロスに色々と強めに盛り付けてみました。 独特の個性や魔力消費が激しいなど扱いづらい部分もあるが、そこにマスターの頑張り具合も加わることで大暴れする可能性も感じられる。 + 【主】虎杖悠仁 【分】グリーン・ゴブリン【作者】1Rzi9SPM 【マスター】虎杖悠仁 【出典】呪術廻戦 【参戦時期】幼魚と逆罰後で交流会前 【聖杯への願い】宿儺の抹消、ただし助けられる者がいるならそれを優先する 【能力・技能】 呪力なしで砲丸を30メートル以上投げ飛ばし、地上から校舎4階までジャンプするほどの並外れた身体能力を有する。 また猛毒である宿儺を取り込んでも平気な「器」な為、あらゆる毒に耐性を持つ。 ○逕庭拳 「通常のパンチ」と「遅れてきた本命の呪力」という一度の打撃で二度の衝撃を生む技。 ただし格上の相手には通じない。 なお宿儺に代わることはできるが、本人にそのつもりは一切ないため、戦闘では出てこない。 【人物背景】 『呪術廻戦』の主人公。呪術高専東京校の1年生。 基本的に明るくフレンドリーな性格であり、初対面の人物ともすぐ打ち解ける。 宿儺の魂を押さえ込み自我を保つ「器」としての素質を持つ「千年生まれてこなかった逸材」。 その身に取り込んだ宿儺とは共生しており、傍目には二重人格のような状態。 悠仁の意思で肉体の主導権を入れ替えることが出来る。 悠仁の呼びかけに対して宿儺が内部で応じたり、悠仁が呼ばずとも勝手に顔や手に口や目を生やして外部と交流してくるが、悠仁との関係は劣悪の一言である。 【ロール】 高校生 【方針】 マスターに関しては基本殺さないが、余程の場合はその限りではなくなる可能性も考慮してる。 サーヴァントに関してはその時々に応じるが、積極的に倒しに行くつもりはない。 【備考】 宿儺の戦闘力は現時点で指は3本吸収した状態。 マスターならともかくサーヴァント相手には敵わない状態。 【クラス】アルターエゴ 【真名】ノーマン・オズボーン/グリーン・ゴブリン 【出典】スパイダーマン(ライミ版) 【属性】秩序・中庸/混沌・悪 【パラメータ】筋力:B 耐久:C 敏捷:C+ 魔力:D 幸運:A 宝具:EX 【クラススキル】 ○ 陣地作成:C 科学者として、自らに有利な陣地を作り上げる。 “研究室”の形成が可能。 ○ 道具作成:B- 魔力を帯びた兵器を作成できる。 ○ 単独行動:A マスター不在でも行動できる。 ただし宝具の使用などの膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要。 なおこのスキルは隠蔽されている。 【固有スキル】 ○ 自己保存:B- 自身はまるで戦闘力がない代わりに、マスターが無事な限りは殆どの危機から逃れることができる。 つまり、本人は全然戦えない。 なおグリーンゴブリンが表に出ている時は発動しない。 ○ 無力の殻:A+ 精神がノーマンの状態である間は「単独行動」と「計略」のスキルが発動せず、能力値も落ち込み、サーヴァントとして感知されなくなる。 なおこのスキルは宝具により「気配遮断」として偽装される。 ○ 計略:C 物事を思い通りに運ぶための才能、状況操作能力。 戦闘のイニシアティブ判定において有利な修正を得る。 なおこのスキルは隠蔽されている。 【宝具】 『狂気を生み出す禁薬』 ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:1人 ノーマンが生み出した身体力補強剤。 使用した者の身体能力を超人化させることが可能だが、副作用として凶悪な別人格を宿してしまう。 『悪辣なる緑の悪魔(グリーン・ゴブリン)』 ランク:EX 種別:人格宝具 レンジ:- 最大補足:1人 ノーマンが宿した凶悪な別人格そのもの。 自らの私利私欲を満たす為だけに、無差別に人々を襲い暴れる悪魔。 基本はノーマンの内に潜み、彼を通して状況を把握し、時にはノーマンの人格を操作して動かすことも可能。 またノーマンとの入れ替わりはグリーンゴブリンの意志で自由に行うことできる。 なおグリーンゴブリンが表に出てる間と操作されてる間はノーマンの意識はなく、記憶は残らない。 ノーマンがグリーンゴブリンであると気づかれるまで、一部のスキルと『悪辣なる緑の悪魔』は隠蔽及び偽装される。 なおこの宝具の存在を他者から教えてもらえない限り、ノーマン自身は把握することができない。 【weapon】 「ゴブリンマスクとスーツ」 ゴブリンを象った緑色のマスクとスーツ。 それなりの耐久性があり、顔を隠すのには十分。 「グライダー」 蝙蝠型のマシンガン付きの無人機である飛行メカ。 基本的には機体の上に乗って操縦するが、かなり遠くの距離から遠隔操作もできる。 先端部分を鋭く尖った突き刺す刃を出したり、機関砲やミサイルなどの武装も搭載している。 「パンプキンボム」 カボチャを象った爆弾。 大きさは小型だが、威力は高い。 「手裏剣」 コウモリ型の手裏剣。 強靭なスパイダーマンの糸を切ったりと切断力はかなりのもの。 他にも意識不明を引き起こす有毒ガスを放出する機械などを腕に装備している。 【人物背景】 「オズコープ」の社長であり、ピーターも尊敬する天才科学者。 ピーターの親友ハリーの父親であるノーマン・オズボーンが、実験用のパワー増強剤を自ら服用し、ライバル企業との競争や重役たちに追い詰められた事で抱えていたストレスや、薬の副作用により、「グリーン・ゴブリン」としての別人格が覚醒する。 ノーマンの人格はプライドが高いところがあるものの、基本は善良であり一人息子を溺愛している優しい父親でもある。 だがグリーンゴブリンの人格は自らの私利私欲を満たす為だけに、無差別に人々を襲ったり、仲間に誘ったスパイダーマンに断られると彼の周りにいる者達を襲って精神的に追い詰めるなど悪辣なものである。 最終的にはスパイダーマン=ピーターに自身の正体を明かし、正気に戻ったふりをして、グライダーに仕込まれているカッターを使って騙し討ちを仕掛けようとするが、直前でスパイダーマンが騙し討ちを察知・回避した事で、自らがカッターの餌食となって死亡した。 【聖杯への願い】 ノーマン・オズボーンという英霊の抹消/受肉もしくは更なる力の獲得 【方針】 しばらくはノーマン・オズボーンに主導権を渡して、秘密裏に情報収集や道具作成。 また同盟等には積極的で自身が万全になるまでや他陣営がある程度減るまでグリーン・ゴブリンは息を潜める予定。 【備考】 スーツとグライダーに関しては魔力により顕現させられることが可能。 またグリーン・ゴブリンは今のマスターと共闘することはほぼないと言っていい。 + 【主】香風智乃 【罪】深海マコト 【作者】E0ZXguE2 【マスター】香風智乃 【出典】ご注文はうさぎですか? 【参戦時期】少なくともココアとかなり仲良くなってから 【聖杯への願い】なし。強いて言うなら平和な日常に帰りたい 【能力・技能】 香りだけでコーヒーの銘柄を当てることができるという特技をもつ。一方で味覚は年相応で、コーヒーはミルクや砂糖を入れなければ飲めない 趣味はチェス、ジグソーパズル、ボトルシップなどの一人遊び系。コーヒー占い(カフェ・ド・マンシー)もできる。 【人物背景】 作中の主な舞台である喫茶店「ラビットハウス」のオーナーの孫娘で、夜間のバーマスターの父と、オーナーである祖父との3人(?)暮らしをしていた。「?」付きなのは、祖父は他界しているはずだからであるが、その辺りの事情は作中ではまだ明らかになっていない。今は居候のココアも同居している。 昼間(下校~夕方)には、ラビットハウスを、ココアとリゼを含めた3人で切り盛りしている。 年齢の割にはクールで大人しい性格をしている。感情表現が薄く、特に物語開始当初は笑顔を見せる描写がほとんどなかった。しかし、ココアをはじめとする周囲の人物との関わりを通じて徐々に柔らかくなり、最近では大人しい性格は変わらないものの表情にはっきり変化が表れるようになった 2歳年上のココアからは妹扱いされ盛んに可愛がられており、本人は当初「妹じゃないです」と否定することが多かったが、物語が進むにつれだんだんとまんざらでもない様子を見せている 【ロール】 ラビットハウスの店員 【方針】 平和な日常に帰りたいだけなので、サーヴァント頼り 【クラス】クリミナル 【真名】深海マコト 【出展】仮面ライダーゴーストRE BIRTH 仮面ライダースペクター 【属性】中立・中庸 【パラメータ】 『変身前』 筋力:D 耐久:E 敏捷:E 魔力:C 幸運:D 宝具:A 『ディープスペクター』 筋力:B+ 耐久:D 敏捷:B 魔力:C 幸運:D 宝具:A 『シンスペクター』 筋力:A+ 耐久:C 敏捷:A+ 魔力:C 幸運:D 宝具:A 【クラススキル】 〇背負いし罪:A 罪を背負いし者。罪人のクラスであるクリミナルのクラススキル。 七つの罪を背負う覚悟を決めたクリミナルは、心技体の完全な合一により、いかなる精神的制約の影響下にあっても十全の戦闘能力を発揮できる。 【固有スキル】 〇仮面ライダー:A 勇猛、直感、騎乗の複合スキル。 〇戦闘続行:B 決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘可能。親友の必殺技を受けても変身解除されることもなく、彼を刺した逸話から。 〇精神異常:B 精神を病んでいる。バーサーカー化による狂化ではなく、周囲の空気を読めなくなる精神的なスーパーアーマー。シンスペクターとして成長した面が主となるクリミナルだが、やはり彼の逸話を語る上でこの要素は欠かせない 〇心眼(真):B 【宝具】 『ゴーストドライバー&ディープスペクターゴーストアイコン』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人 クリミナルが仮面ライダーディープスペクターに変身するための変身ベルト。 本来ならば仮面ライダースペクターに変身出来るクリミナルだが、シンスペクターに成長した逸話を主としたサーヴァントであるため通常の仮面ライダースペクターのアイコンや各種英雄アイコンは所持していない ちなみにゴーストドライバーを操作することでゲキコウモードというディープスペクターの強化形態になることも出来る。 ゲキコウスペクターは筋力にプラス補正がかかるが、技の面なども考えると総合的にはシンスペクターには劣る 『七つの罪を背負いし青鬼(シンスペクターアイコン)』 ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人 自分の兄弟達(クローン)を全てガンガンハンドで射殺し、自らが…そしてダントンが犯してしまった全ての罪を背負って戦う覚悟によって現れた変身道具。それはクリミナル自身の想いにより創造された眼魂。 使用する武器はゴーストチェンジを介さずに全モードを任意で変形と使用可能。 宝具使用時に変身ベルト『ゴーストドライバー』も同時に出現。クリミナルが仮面ライダーシンスペクターに変身する。 当然だがディープスペクター以上に魔力を消費するので要注意 シンスペクターの必殺技はエンヴィースラップ(嫉妬)、ラストバレット(色欲)、スロウスグレイブ(怠惰)、グラトニーバイト(暴食)、プライドフィスト(傲慢)、グリードスラッシュ(強欲)、ラースフレイム(憤怒)とそれぞれ七つの大罪に由来しており、七つ連続で繰り出し、更には後述の宝具に繋げる事も可能。 しかし当然だがそんな事をしたら、魔力の消耗も激しい 『俺の生き様、見せてやる!(デッドリーオメガドライブ)』 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人 シンスペクターの最強技。シンスペクターに変身してる時のみ発動可能。 蒼く輝く巨大な6枚の翼を展開し、堕天使のように空高く飛翔。 巨大な目の紋章を出現させ、そのエネルギーを右脚に纏い、真下へと急降下して強力なキックを放つ。 この宝具を発動してからキックを放ち終えるまで、筋力と敏捷にプラス補正がかかる 【weapon】 『マシンフーディー』 スペクターの専用バイクで、クリミナルは変身前後問わず使用している。 『ディープスラッシャー』 ディープスペクターとシンスペクター時に用いる剣型の専用武器。ソード・ブラスターの2つのモードに変形する。 『ガンガンハンド』 スペクターの専用武器。ディープスペクターでは使用しないので、今回は実質シンスペクター専用。 通常形態であるロッドモードの他、下部パーツの『フォアハンドコンプレッサー』をポンプアクションの要領でスライドすることで、 火縄銃に似た銃モードに変形する。ロッドモードでは如意棒のように自在に伸縮が可能。 【人物背景】 10年前、龍と西園寺の実験が原因でモノリスにできた穴に妹・カノン共々吸い込まれ、眼魔の世界に閉じ込められる。その後、アランたちによって肉体から魂を抜かれて眼魔となってしまい、人間界で仮面ライダーとして活動を始める。 妹のカノンを復活させる為に手段を選ばない強引な方法で眼魂を集めていたが、タケルの自己犠牲とも取れる行動によりカノンが復活。和解する。 以降、幼馴染のタケルや親友のアランと共に様々な困難を乗り越える(何故かマコト兄ちゃんが増えたりもした)。 そして外伝である仮面ライダースペクターで眼魔世界の創設者の一人ダントンが作り出したデザイナーベビーだと判明。マコト兄ちゃんがもう1人出てきたのもそういう理由である。 初めて自分の正体を知った事で絶望するマコトだが、自ら腕を犠牲にしてでもカノンを守ってくれたダントンに心を開く。 しかし彼を危険人物と知る親友、アランと対立。友の罪を止めようとしたアランは友情バーストに覚醒するが、必殺技を放ってもマコトを変身解除させるまでには至らず。そしてマコトは、アランの腹部に剣を突き刺した(その後に発覚した事だが、アランは死亡せず重傷で済んでいた) アランを手にかけてしまったマコトは逃げるようにダントンの下へ戻ったが、そこでダントンの狂気を垣間見てしまい、自分の過ちを痛感する。 マコトはカノンを逃がすと、細々と自分の罪を七つ数え、その過ちを認めた上で背負い生きると覚悟。それに呼応するかのようにシンスペクターアイコンが出現し、変身する。 ダントンを含め3人の父親たちの思いを繋いで生きていく決意と共に、マコトは激闘の末ダントンを倒した。 【聖杯への願い】 無し。聖杯戦争自体を止め、チノを平和な日常に帰してやる 【基本戦術、方針、運用法】 完全に脳筋系のサーヴァント。真っ向勝負は滅法強いが、搦め手はたぶん苦手。 マスターが特別叶えたい願望もない一般人なので、必然的に彼女を帰す為に守ることが第一優先となるだろう 各種フォームチェンジが基本的には出来ず、ディープスペクターやシンスペクターで戦うのが基本となる シンスペクターで全力を出すのは魔力消費が激しいので、ここぞという時に使うのが無難。 作品的に英雄の知識が多少ありそうだが、史実の英雄が居るかもわからない今回の聖杯戦争では大して役に立たないと思われる 【備考】 Vシネで成長後のマコト兄ちゃん。でもマコト兄ちゃんの事だしいきなりマスターを殴ってくるかもしれない 【筆者コメント】 姉のようなココアが好きなチノとシスコンのマコト兄ちゃんの組み合わせ あとそろそろこの時期のマコト兄ちゃんを語りたい! + ??? ※ここに記載しているのは初期案であり、語り中で若干変わっているかもしれません。 【ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ@天空の城ラピュタ】 ご存じムスカ大佐。 原作でラピュタ崩壊に巻き込まれた後、この世界に転移したが、その悪辣さで前回の聖杯戦争の優勝者となりかけた。 しかし、願いを叶える直前に瀕死の善の陣営が聖杯を破壊したことでラピュタ復活と元の世界への帰還、パズーとシータへの報復は叶わなかった。 が、そこで諦めなかったムスカは、その後に奸智を用いて空島の王国を支配。 国王となった。 しかし欲深い彼は国王になっただけで満足いかず、未だラピュタの大いなる力に執着。 そして後年になって聖杯がムーとレムリアにて再生されたことを知り、今度こそラピュタ復活の願いを叶えるために聖杯戦争を起こし暗躍を開始した。 なお、失われた視力はムーの治療魔法で復活し、レムリアの技術で似せて作り上げたロボット兵士を遠隔で操ることもできる。 【クラス】 セイバー 【真名】 草加雅人 【出典】 仮面ライダー555 【属性】 混沌・善 【パラメータ】 『カイザ変身時』筋力:B 耐久:C 敏捷:C 魔力:C 幸運:D 宝具:C 【クラススキル】 ○対魔力:E(C) 魔術に対する守り。 無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。 変身後は()内に修正される。 ○騎乗:C 【固有スキル】 ○異形と戦う者:B Bランク相当の心眼(真)。また人間以外の種族と戦う時は筋力にプラス補正がかかる ○破壊工作:C 戦闘を行う前の準備段階で相手の戦力を削ぎ落とすスキル。 このスキルのランクが高いほど英霊としての霊格は低下していく。 また、NPCを利用する際にはかなり有利に働く補正がかかる ○オルフェノクの記号:C 仮面ライダーカイザ及びファイズに変身できる。 また、仮面ライダーデルタに変身しても狂暴化しない。 オルフェノクであれば誰でも持つスキルだが、セイバーは人間でありながら後天的に記号を植え付けられ、適合した。 ただし一定回数以上カイザに変身するとこのスキルは消える。 ○生への執着:A 一度悲劇の死を遂げたセイバーは自分の命に執着している。 それは後に亡霊として乾巧の前に現れるほどであり、非常にしぶとい だが首の骨を折られたり決定的な致命傷を受ければ流石に死ぬ 【宝具】 『呪いのベルト(カイザギア)』 ランク:C 種別:対人宝具(自分) レンジ:- 最大捕捉:1 スマートブレイン社が開発した三本のベルトの一つ。腰に巻いて“913”のコードを入力することで仮面ライダーカイザに変身できる。 装着者の戦闘力を格段に引き出し、フォトンブラッドという高出力の猛毒エネルギーによりダメージを向上させている。 『孤独も恐れずただ一人(サイドバッシャー)』 ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:2~50 最大捕捉:50人 スマートブレイン社製のカイザ専用可変型バリアブルビークル、サイドバッシャーを呼び出して搭乗する。 通常時のビークルモードのほかに、左腕の6連装ミサイル砲 (その6発のミサイルの中に更に数十発のミサイルが内蔵されている)・エグザップバスターと、右腕の4連装バルカン砲・フォトンバルカンを使用した砲撃戦を得意とするバトルモードにも変形する。 さらに背部のブースターによりその巨体に似合わぬ大ジャンプや、滑走をするように高速で走ることも可能 砲撃戦を得意とすると書いたが、二本の腕を振り回しての格闘戦もできる。 【weapon】 カイザブレイガン:カイザの右腰に装備される銃。ミッションメモリーを挿入するとフォトンブラッドの刀身が出現。 カイザフォン:カイザの変身アイテムの携帯電話。銃としても使える。 カイザショット:カイザの左腰に装備されるデジカメ型マルチウェポン。ミッションメモリーを挿入すると手甲に変形。 カイザポインター:カイザドライバーの背面に装備される双眼鏡。ミッションメモリーを挿入して右足に取り付けるとゴルドスマッシュが使える。 【人物背景】 仮面ライダー555の登場人物でヒロインの園田真理の幼馴染。 そして2号ライダーカイザのメイン装着者。 フェンシング、テニス、乗馬の部長を掛け持ちするほどハイスペック。 部員からも信頼されており、その上笑顔を絶やさない絵に描いたような好青年。 実際には上記の行動はすべて演技であり、本性は自分の邪魔となる人物はどんな手を使ってでも排除しようとする陰湿な性格。 真理に対する執着心とオルフェノクに対する憎悪が凄まじい 最期は園田真理を人質に取られ、一瞬だけ躊躇するも結局は真理を守るためにカイザに変身、ラッキークローバーのオルフェノク3人に戦いを挑み奮戦するが、やはり多勢に無勢。 吹っ飛ばされて変身が解除されたところを、スマートブレイン側に付いた木場に殺された 【聖杯への願い】 受肉を果たしたこの身体で元の世界へ帰り、真理を手に入れる + ??? 【クラス】セイバー 【真名】真・大魔王バーン 【出典】ダイの大冒険 【属性】混沌・悪 【パラメータ】筋力:A 耐久:A 敏捷:B 魔力:A++ 幸運:B 宝具:A++ 【クラススキル】 ○対魔力:A(EX) A以下の魔術は全てキャンセル。 事実上、現代の魔術師ではバーンに傷をつけられない。 また技の一つである「フェニックスウィング」はあらゆる呪文を弾き飛ばすことが可能。 ○騎乗:B ○ 陣地作成:- かつてキャスターとして召喚された名残り。 現在は使用できない。 ○ 魔物作成:- かつてキャスターとして召喚された名残り。 現在は使用できない。 【固有スキル】 ○ 暗黒闘気:A+++ 主に怒りや憎しみと言った『負の感情』や闘争心を力の源泉とした闘気。 この闘気によりダメージを与えられた者は回復呪文等の回復効果を暫くの間は受け付けない。 「カラミティウォール」「カラミティエンド」はこのスキルによるもの。 ○高速神言:A 呪文・魔術回路との接続をせずとも魔術を発動させられる。 大魔術であろうとも一工程(シングルアクション)で起動させられる。 これにより「カイザーフェニックス」は溜めの必要なく発動できる。 ○天地魔闘の構え:A+++ バーンが真の強敵と認めた相手にのみ使う不動の構え。 攻撃してきた敵に対し「天」すなわち攻撃、「地」すなわち防御、そして「魔」すなわち魔力を用いた行動の三動作を一瞬で繰り出して完膚なきまでに粉砕するカウンターをする必殺奥義。 弱点として2つあり、1つは天地魔闘の構えから自分で攻め入ることが出来ないため、敵の攻撃を誘う必要があること。 もう1つは3連必殺技の後、一瞬だけ体が硬直し無防備になるということ。 ○ 鬼眼:A+ バーンの額に存在する、魔力の要たる第三の眼。 実力差が大きい相手や大きなダメージを受けて戦えなくなった相手を”瞳”と呼ばれる宝玉に封印する。 また鬼眼の力を生命体に上乗せすることで、その生物を異形かつ強大な存在へと進化させることが可能。 ただしサーヴァントとして召喚されている影響で生前とは違い魔力には限りがある状態。 そのため、このスキルを使用するとすれば第三宝具の解放時のみとなるだろう。 【宝具】 『大魔王宮殿(バーンパレス)』 ランク:A+ 種別:要塞宝具 レンジ:10~100 最大補足:1000人 大魔王バーンにより建造された地上界侵攻にあたっての彼の居城にして魔王軍の総本部。 自身が勝利したした聖杯戦争の時に崩壊し、残骸が残るのみとなった。 陣地作成により形成するものだったが、スキルが使用不可となり新たに作成することは不可能。 現在は島を浮かせる要として利用している。 『大魔王玉体(シン・バーン)』 ランク:A++ 種別:対人(対己)宝具 レンジ:- 最大補足:1人 バーンの真の肉体にして全盛期の肉体。 老人のバーンとして召喚された場合はこの肉体とこれを守護するミストバーンが宝具として召喚される。 この宝具を使用した場合、キャスターからセイバーへクラスチェンジが発生し、クラススキルと固有スキルが変化する。 現在はこの肉体になっており、ミストバーンは前述した聖杯戦争の折に討伐されている。 『鬼眼王覚醒』 ランク:A++ 種別:対人(対己)宝具 レンジ:- 最大補足:1人 第三の眼「鬼眼」を解放し、自らの肉体を捨て己自身を巨大な魔獣と化す。 元の10倍近い巨人の姿であり、巨人の頭部に本体(本来のバーンの上半身)が半ば埋め込まれるような状態で位置し、胸部には巨大な鬼眼を持つ。 この姿になると二度と元には戻れず、他のスキルと宝具は使用不可となるが、幸運を除くパラメーターは限界以上の上昇し、全ての攻撃が致命傷になり得る力をとなる。 ただし膨大な魔力消費により発動してから十数分経つと、受肉体であろうとその負担には耐えきれずバーンは消滅する。 そのためよっぽどの事がない限り、この宝具は使用しない。 仮に使用するとすれば全てを捨ててでも倒すべき相手が現れたときである。 【weapon】 なし 【人物背景】 魔界最強の実力者にして齢(よわい)数千年余の老魔族の男性。 人間が脆弱であるという理由のみで太陽の恵みを人間だけに与え、魔族と竜族を地底にある暗黒の魔界に閉じ込めた神々を憎む。 胸に心臓が三つあり、左右の心臓が肉体の運動を司り、真ん中の心臓が魔力を司るらしい。 「力ほど純粋で単純で美しい法律は無い」「弱肉強食、力こそが全てを司る真理」を信条としており、強者には種族問わず、敬意を払う。 ただし本性は徹底的な合理主義者であり、危険度の高い敵を排除して確実な勝利を得るためならば卑劣な罠や手段も厭わない。 【聖杯への願い】 地上を消滅させ、魔界に太陽の光をもたらすこと
https://w.atwiki.jp/army2ch/pages/154.html
日本軍の狙撃兵はすごかったのでしょうか? 大戦中の陸軍の船舶について 伺いたいのです。 日本軍の近衛師団って他の師団とどう違うんですか。常設2個師団編成(?)だったそうですが皇居の警備にそんなに人数がいるんですか? よく日本と戦った諸外国の兵士が口を揃えて言うのに、「日本兵は凄まじく強かった」って言いますが、強いと評判のナチスドイツ陸軍に勝てるでしょうか。 辻政信って人はどんな軍人だったんでしょうか?教えていただきたいのですが。 日本陸軍はなぜ兵士全員に自動車の運転技能を教えなかったのですか? 日本陸軍に戦車が登場したのはいつ頃 辻政信って官僚的な陸軍内でよく重大な事件に関わってたり行動したりしていますが、なんで重い左遷をされなかったんですか? 戦死後、階級が上がる特進制度は当時の日本陸軍にもあったのでしょうか? 男爵 滋野 清武大尉について教えてください 八甲田山死の彷徨てどの程度正確なのでしょうか 日本には関東軍が余ってましたよね? 寺内正毅の勲章について教えて下さい。 旧軍青森・弘前連隊の八甲田山行軍があった頃、もっと寒い北海道に駐屯する部隊の冬服は青森・弘前のものに比べてより防寒性の高い物が支給されていたのでしょうか? 日本陸軍の大将って一人? 終戦時、陸軍中将だった篠田鐐氏について 皇道派と統制派の争いを分かりやすく解説した本はあるでしょうか 石原莞爾の世界最終戦論は日蓮宗や、天皇信仰が根幹だと聞いたのですが、本当ですか? 旧軍の行った八甲田山行軍の目的は日露戦争になった場合、冬の八甲田山系での陸軍の移動が可能か否かを確かめるものだったんですよね。 森鴎外の執筆活動は当時の陸軍に知られていたのでしょうか? 旧日本陸軍の下士官は定年が40歳(憲兵だけ48歳)だったそうです。 旧帝国陸軍の陸大っていうのは、かなりの難関だったのでしょうか? 「731部隊」の正式名称って、一体何になるんでしょう? 731部隊の英語表記はUnit731であってますか? 戦前の歩兵旅団は2個歩兵連隊で編制と聞いたのですが, 旧陸軍の植民地出身者部隊について概説していただけないでしょうか。 敵陣に突入する際、銃をもった兵士を従え、先頭の人は刀を振りかざして走ってました。 来栖大尉の顔写真を見ることのできるサイトはどこかにないでしょうか? 旧軍に山田って名の陸軍中将はいたのですか? 旧日本陸軍の「軍」と外国の陸「軍」は、英訳は同じですか? 外国の陸軍の師団長が普通少将なのに、旧日本陸軍の師団長が中将と1ランク高いのはなぜでしょうか。 旧日本陸軍の編成が、師団-軍-方面軍-総軍となっていて他の国の陸軍の師団-軍団-軍-軍集団と違うのはなぜですか。 陸自少年工科学校って戦前で言えば一体どんな学校に分類されますか? 陸上自衛隊で「第○特科団」とか「第○高射特科団」とかありますが、どの程度の規模の物なのでしょうか。 ドイツではヒトラーの命令には「総督云々第何号」と番号が付けられていたと聞いていましたが、旧陸軍の「通達」にも番号が付けられていたのでしょうか? 台湾営林所の陸軍歩兵少尉正八位って身分高いんですか? 日本陸軍は海軍空技廠のような独自に航空機開発を行う組織を持っていたのでしょうか? 乃木将軍ってどのような評価をされている人なんですか? 銀輪部隊とは、必要な量の車両を用意出来なかった日本軍の苦肉の策ですか? 日本のWW2の首相は、「東条」ですか、「東條」ですか? 太平洋戦争中に、師団は出身地別に組織されたらしいですが、~師団がどの出身地とかわかるサイトはないですか? 高倉健主演の八甲田山雪中研究行軍事件を画いた映画ってなんていう映画ですか? 旧日本陸軍の挺進部隊は「空挺作戦を成功させた唯一の部隊」なんでしょうか? 帝国陸軍で、航空機を対戦車兵器として運用する構想はあったのでしょうか。 陸軍幼年学校は学費を徴収したのですか? 旧陸軍が大陸とかに兵を輸送する場合船は海軍の輸送艦とかを使ってたんですか 関東軍って日本陸軍内の一組織ですよね。 関東軍の守備範囲はどのあたりまでだったのでしょうか? 牟田口って一体何をしたのですか? WW2当時の日本陸軍の機甲系部隊の編成内にある「機動歩兵」は、どういった車両装備を持っていたのですか? 「関東軍」はなんで「関東」なんですか?「九州軍」とか「四国軍」とか「東北軍」などもあったんですか? 富士山をバックにした演習の古い写真があるのですが、いったいどこの演習場なんでしょうか 乃木将軍の生涯を描いた書籍はありませんか? 森鴎外の最終階級は何だったけかな? 帝大卒で陸軍少将まで昇進できた? 牟田口と辻ってどんな人? 旧日本陸軍では射撃はどれくらいの位置だったのでしょうか? 親戚の陸軍少将のことを調べたいのですが、どうやって調べればいいんでしょうか 日本陸軍の少将ってどれくらいいたんだろう。 陸軍中野学校ではどんな事を教えてたのですか? 陸軍中野学校に入学するには一体どうすれば入学できたのでしょうか? 日本陸軍には空母や強襲揚陸艦があったと聞きますが、本当ですか? 旧日本陸軍では上等兵から兵長になる為の条件はどんなものでしょうか? 旧陸軍で連隊旗は歩兵連隊と騎兵連隊だけにしか与えられ無かったと聞きました。 日本陸軍の落下傘部隊の作戦戦果又、最終駐屯地を教えてください。 旧日本陸軍では輜重兵は不人気の兵科で 同時期の米陸軍では工兵は人気職種であったと聞くのですがどうして日本陸軍では工兵の人気がなかったのでしょうか? 大日本帝国陸軍の師団数が最大になったのはいつで、何個師団になったかご教授願えますでしょうか シベリア帰還兵の祖父が戦時中は陸軍少尉だったらしいのですが 戦前の陸軍と警察だとどっちが位が上なんでしょうか? 中野学校のカリキュラムを教えて 地方幼年学校は東京出身者も通うのでしょうか? うちの祖父が太平洋戦争の時に出兵したのですが、その時の写真を見せてもらったら軍刀を持っていました。 陸軍幼年学校って何ヶ所にあったのでしょうか。 戦前の日本陸軍による剣道その他日本武道の位置付けはどんなものだったのでしょうか? 近衛師団は宮城の警備に野砲を装備していたんですか? 歩兵第68聯隊ができる前の岐阜市はどこの聯隊区に属していたのでしょうか? 昭和九年に群馬県で陸軍特別大演習を行った際に撮影したという、昭和天皇とものすごい数の将校が写っている写真が見たいのですが 帝国陸軍の幼年学校、陸軍士官学校は入試科目、教育内容がどういうものだったか 陸士卒って今でいったらどのくらいすごいのでしょうか? 「憲兵」は民間人を逮捕できないとの事ですが本当でしょうか? 日本の陸軍航空隊はアメリカのように地上部隊の直協支援を行っていたのでしょうか? 旧日本軍の徴兵検査では肛門に指突っ込んで痔の検査をしたとの事ですが、痔の有無ってそんなに重要だったのでしょうか? 砲工学校と陸軍野戦砲兵学校の違いについて 旧陸軍の、背嚢・雑嚢の中身について、知りたいのですが、 太平洋戦争中の日本軍は弾は何発持てたんでしょうか? 日本陸軍の「留守師団」というのはどの程度の(出征していった野戦師団の何分の1ぐらいの)戦力を持っていたのでしょうか? 旧日本陸軍における、「隷下」と「指揮下」の違いって何ですか? 私の祖父は戦争中河北省で独立警備大隊と言う部隊に所属していたそうなんですが、警備大隊と言うのは具体的に何をしていたんでしょうか? ガダルカナルに投入された「独立工兵第六連隊」の詳細を知っている人はいますか? 宮崎繁三郎って具体的にどのあたりがすごいの? 明治時代の陸軍兵士の背嚢にはどんなものが入っているんですか? 陸軍が機械化を推し進めなかった理由は? 関東軍の司令部は東京にあったんでしょうか? かつて、帝国陸軍には普通の歩兵連隊とは別に機動連隊というものが3つありましたが、この連隊はどのような兵器や車両を装備をしていて、どのように運用されたのでしょうか? 帝国陸軍の機動歩兵連隊とはどのようなものだったの? 帝国陸軍の戦車や装甲車には、いつごろから無線が搭載されるようになったのでしょうか? 師団制毒隊について、教えて下さい。 日本陸軍の師団司令部の構成について、 日本軍の機械化師団は、どのような輸送車両を使っていたのでしょうか? なんで旧陸軍には兵種に獣医科があるの? 旧日本陸軍が、師団の上の部隊単位の名称に「軍団」ではなく、「軍」の名称をつけたのは何故でしょうか? 陸軍で連合艦隊司令長官に相当する役職は何ですか? 書籍スレで石原莞爾が基地外呼ばわりされていたのですが、どうしてでしょうか? 大東亜戦争中の海軍のラジオ放送は、バックで流れる音楽が『軍艦行進曲』ならいいニュース、『海行かば』なら悪いニュースとなっていたそうですが、陸軍はそういうのなかったの? 日本陸軍は何故、独自に空母や潜水艦をつくったのですか? 日本は陸上兵器(特に戦車)の運用思想が遅れてましたが、やはり島国だから陸で戦うことはあまり重要視してないんでしょうか? 太平洋戦争時の日本陸軍兵士の数はどれくらいですか? 日本軍の戦術で優れていた部分はありますか? 陸軍はレーダー連動射撃装置完成して実戦投入したって聞きましたが本当ですか? 松井岩根や杉山元、畑俊六ら大先輩の陸軍大将を抑えて何故、師団長もやってない中将の東条がデカイ顔してリーダーになれたのですか? 大日本帝国陸軍の輸送の主力は何だったのでしょうか? 帝国陸軍では中将の陸軍大臣と大将の軍司令官はどちらが偉いんですか? 旧陸軍は機械化の必要性を重々承知しながらも財政的な制約から断念したのでしょうか? 陸軍の士官学校の予科とは何なのでしょうか。 旧軍が6.5mmだった小銃弾を7.7mmにしたのはなぜでしょうか? 陸軍が土決戦用に編制した迫撃砲の部隊について教えて下さい。 日本陸軍師団に関して、四単位制から三単位制へ移行した後の歩兵団及び歩兵団長職ってどのくらい必要性があったんでしょうか? 日本軍は機関銃の実弾をどれぐらい携帯していたのでしょう 旧日本陸軍では上等兵から兵長になる為の条件はどんなものでしょうか? 日本陸軍の自動車化された歩兵部隊や捜索連隊の乗車中隊に配備された自動貨車と、部隊あたりの配備数などをどうか教えてください。 方面軍直轄の大隊の大隊長が野戦昇進か何かで連隊長になるようなケースはあったのでしょうか。 幼年学校、陸軍士官学校の入試科目、教育内容がどういうものだったか調べたいのですが 東條を始めとする日本陸軍の対米開戦支持派ってアメリカに留学経験とか行った経験ないのでしょうか? 戦前の日本陸軍が大型の火砲の実弾演習をするところは、どこだったんでしょう? 日本軍は大陸などに展開する師団の中に自活班を置いて糧食やらを自弁していたようですが 当初陸軍は各地に鎮台を置き、後にそれを師団に改めましたが、鎮台制と師団制はどのような違いがあるのでしょうか。 日本陸軍の戦車連隊の編成について教えて下さい。 陸軍経理学校について教えて。 日本陸軍の獣医将校の待遇などについて教えてください。 陸軍幼年学校は、陸軍士官学校に入るための学校だったのですよね? 陸軍では将校の拳銃は自前だったようですが、 どの拳銃が持たれる事が多かったのでしょうか? 参謀本部の独立とは具体的にどういうことですか? 連隊長と連隊区司令官との違いは何でしょうか? 鎮台制が廃れたのはなぜですか? 日本陸軍の「勤務隊(中隊)」と「輸卒隊」の違いは何なのですか? 日本軍に「自動車連隊」という部隊は編成されていたんでしょうか? 日本の空挺部隊は41年実戦配備ということですが、空挺部隊員になる道のりを教えて下さい 旧軍の兵営生活とはどんなものだったの? 明治陸軍は初期に師団ではなく鎮台という単位を持っていたそうですが、この鎮台の長はなんという役職なのでしょう? 陸軍士官学校は、現在の市ヶ谷駐屯地の辺りにあったのだと思ってたんですけど、間違ってます? 八甲田山の遭難部隊のビバークをみますと、ただ地面に掘っただけで、吹きさらしの悲惨な状況になってしまっています。 日本軍の狙撃兵はすごかったのでしょうか? 日本の狙撃兵が特に凄かったかどうかは分かりませんが、南洋のジャングルという戦場であればスナイパーはかなり効果的であったのでしょう。 (4 404) 大戦中の陸軍の船舶について 伺いたいのです。 秋津丸 神州丸 弥彦丸など 船舶の利用がかなり盛んであるように見受けられます。 従来の図式では 陸は北進論 海は南進論でありシベリアや中国では 船舶はさほど使い勝手がよくないのではと思います。 陸で 船舶の利用を積極的に推進した方が居られるのか?それとも 島嶼での作戦や 上海など 沿岸部での作戦を想定しての装備ということで整備されたのか そこいら辺を御願いします。 「南船北馬」というように、中国の南部はクリークなど河川が多い。 しかも、長江、黄河、黒竜江といった大規模河川は駆逐艦くらいは平気で遡上できる。 (海軍の河川砲艦などが代表的だし、旧式駆逐艦すらそう言う大河には配備されていた。) 従って、必要は発明の母というように、陸軍ではまず平底船(小発、大発)が 実用化された。(一種の渡河・上陸機材ですね) また、小河川、クリークでは戦車などの重火器が使えなかったので、上陸の 援護用に砲艇が実用化された。 しかし、それらを統括する船と、上陸戦という思想が海軍に無かった(そもそも 陸海軍の仲が悪かったのもあったのだが)ので、仕方なく秋津丸などの上陸用艦艇を開発した訳。 太平洋戦争が始まってからは、海軍は海軍の作戦(攻勢しか考えていなくて 防御的な側面はあまり重視されていなかった)を優先させたため、陸軍としては、守勢 に回った場合の上陸船団攻撃用の攻撃艇、島嶼守備隊の補給用の潜水艦を自力 で開発していかざるを得なかったのだと思うが…。 (8 名無しさん@眠い人 ◆ikaJHtf2) 日本軍の近衛師団って他の師団とどう違うんですか。常設2個師団編成(?)だったそうですが皇居の警備にそんなに人数がいるんですか? 別に皇居の警備だけじゃなくて普通の師団同様の戦闘にも参加します 例:日露戦争の第一軍 (4 930) 戦時中に、近衛第1師団を新設したとき、旧来の近衛師団を近衛第2師団と改称した話を、 何か勘違いしているんじゃないのか? (505 79) 昭和18年6月までは1個師団、20年5月までは2個師団だね。 でもって、5月以降は3個師団。 (505 81) それは戦時に特設されたものであって、常設師団じゃないと思うけど? (505 83) そういう意味でいえば、常設は1個師団のみ。 ただ、日露戦争の記録を見ると3個旅団(第1、第2、後備)編成だったみたいですが。 (505 92) 「後備」というのは、予備役動員で戦時に臨時編成したものであって、これまた常設じゃないだろ それに「旅団」だろ (505 94) 日露戦争の頃は、1個師団は4個歩兵連隊基幹で、これを2個旅団に編制し、戦時には予備役主体の後備旅団を加える 近衛に限らず、他の師団も似たような編制 (505 97) よく日本と戦った諸外国の兵士が口を揃えて言うのに、「日本兵は凄まじく強かった」って言いますが、強いと評判のナチスドイツ陸軍に勝てるでしょうか。 平均的兵士同士の素手の殺し合いなら、体格でドイツの勝ちでしょう。完全充足の同規模部隊の正面戦闘なら、装備でドイツの勝ちでしょう。 むしろ、どのような条件で比較すると日本が勝てるか、という話になると思います。 (7 352) 視界が悪く複雑な地形での遭遇戦ならば勝ち目があると思われ 日本軍 →委細構わず勢いに任せて全軍突撃 ドイツ軍→状況不明かつ不十分な態勢での交戦を嫌って戦術的後退 (7 360) 辻政信って人はどんな軍人だったんでしょうか?教えていただきたいのですが。 経歴は 陸士36期恩賜、陸大43期恩賜 士官学校教官 士官学校事件に関与(士官候補生のスパイを用いて、皇道派を摘発) 関東軍作戦班員 「国境紛争処理要綱」要綱作成(ソ連領内への侵攻もやむなしとした、 強行的なドクトリンを決定、ノモンハンの引き金に) ノモンハン事件(敗北した部隊長に自決を強要) 作戦失敗後、閑職に 参謀本部兵站班長 小冊子「これさえ読めば戦に勝てる」作成 第25軍作戦主任 マレー作戦参加 在シンガポール華僑虐殺 参謀本部作戦班長 第17軍派遣参謀 ガダルカナル作戦参加 ポートモレスビー攻略を命令(大本営命令として、許可無く勝手に命令) 支那派遣軍第3課長 第33軍作戦主任参謀のち高級参謀 第39軍高級参謀 第18方面軍作戦課長 最終階級大佐 著書「ガダルカナル」「15対1」「潜行3000里」など 衆議院議員のち参議院議員 昭和36年、ラオスにて失踪 「下克上」の横行した昭和陸軍の暗部のような男です。一言で言い表せる人間ではありません、 参考になる書籍、サイト等は多々ありますので、これらのワードを元に 検索されることをおすすめします。 (8 98) 日本陸軍はなぜ兵士全員に自動車の運転技能を教えなかったのですか? 不要かつ高価だから。 陸軍で車両を運転する必要がある要員はそこまで多くなかったし、 取得させるには時間と金と機材が必要。 (29 678) 日本陸軍に戦車が登場したのはいつ頃 WWI終了直後の1918年に、英国から早速Mk.IVを一台輸入しています。 次いで、翌1919年には、同じく英国からホイペットA、仏国からはルノーFTを数台づつ輸入し、 部隊運用の研究を開始しています。 (33 663) 辻政信って官僚的な陸軍内でよく重大な事件に関わってたり行動したりしていますが、なんで重い左遷をされなかったんですか? 陸大の恩賜の軍刀組で出世が約束されてた。 そしてヒデキのお気に入りだったから。 統制派の人間にコビ売ってて、その辺の絡みから致命的な失策があっても助かっていた。 (334 690) 戦死後、階級が上がる特進制度は当時の日本陸軍にもあったのでしょうか? 戦死で2階級特進します。 終戦で特進するパターンって有りましたっけ? (22 チェリーブロッサム ◆oGAFW6/A) 必ずしも2階級特進とは限りませんよ。 普通は昇進しても1つ。滅多にないことだからこそ特進と断っているのです。 もちろん昇進しないこともあります。 (22 590) 男爵 滋野 清武大尉について教えてください 文藝春秋から「バロン滋野の生涯」という本が出てました。(今でもあるかな) 滋野氏は長州出身の維新の元勲だったかで男爵を賜りました。 愛する妻に死なれて、自殺をしようと外国を彷徨ったとき、一番危ない 飛行機に乗れば事故で死ねると考えた滋野男爵は、フランスのブレリオ飛行学校で飛行免状をとります。 ところが、飛行機の魅力に取り憑かれ、自分で飛行機を製作したりしてます。 帰国後、陸軍に一時奉職しましたが、徳川好敏との確執で軍を辞め、 第一次大戦勃発直前、フランスに再度渡り、大戦勃発後フランス軍に志願入隊。 最初はボアザン装備の偵察爆撃中隊に配属されますが、そこで数度の空戦の後、 戦闘機を撃墜する勲功をあげ、後に「こうのとり中隊」と言うエース部隊に配属され、教官も務めました。 彼の機体にはコウノトリならぬ、丹頂鶴が描かれ、妻の名を取った「わか鳥」 と言う名称で呼ばれていました。 彼もエースですが何機撃墜したかは覚えてません。 大戦後、フランス人女性と結婚し、民間航空に命を捧げますが、43歳で不帰の客となってしまいます。 (29 眠い人 ◆ikaJHtf2) 八甲田山死の彷徨てどの程度正確なのでしょうか 大量遭難を出した青森歩兵第五連隊は弘前第八師団第四旅団に所属していました。 具体的な編成は第二大隊(山口鋠少佐)傘下の四個中隊から40~45名を選抜し、 第五中隊長神成文吉大尉が率いたものです。 ただし、編成外として山口少佐以下九名が同行し、少佐が指揮に干渉したのが 遭難の間接的な一因と言われています。 一方の福島隊は弘前第三十一連隊第一大隊第二中隊(福島泰蔵大尉)所属の37名です。 「八甲田山死の彷徨」ですが、登場人物の名前を仮名にするなど小説的な 脚色がされていると思って間違いないです。 「われ、八甲田より生還す」「八甲田より還ってきた男」高木勉著 などの 反論本もありますが、「雪の八甲田で何が起こったのか」川口泰英著 北方新社 がこの事件に関しては最も良い本だと思います。 四個中隊から各40~45名を選抜した四個小隊+他の大隊から抽出した特別小隊と 山口少佐以下九名を含めた210名が青森隊の編成内容です。 また、高木勉氏の一連の著書を挙げましたが、彼は福島泰蔵大尉の縁故だとかで、 福島隊に偏った内容になっているようです。 双方を比べるのも一興かと。 (40 名無し軍曹) 日本には関東軍が余ってましたよね? 昭和15年度の対ソ戦予定兵力は陸軍の師団総数49個の内 34個師団を必須としていた。 しかし現実には27個師団は中国で戦っている罠 独ソ戦に呼応した対ソ戦計画である関東軍特種演習では 南進用の師団が更に引き抜かれ、わずか25個師団で作戦が計画された。 参謀本部もこれだけの兵力では極東ソ連軍32個師団に対して兵力が少なく 目標を達成できないとして「師団数が41年9月までに半減すれば武力発動」と したがソ連軍は動かず計画は流産 ここまでは計画の話ですが、仮に強行発動したとして何が得られるでしょうか。 自信過剰の陸軍ですら二の足を踏む兵力不足。ドイツがモスクワを落とすかも未知数ですし、 (参本ロシア課すらドイツによるソ連占領は不可能、ソ連の徹底抗戦は必至と判断していました)、 アメリカもいかに動くやら。 仮にシベリアを手に入れても、地下資源は豊富かもしれませんが 開発には絶望的な時間がかかるでしょう。 (41 537) 寺内正毅の勲章について教えて下さい。 ざっと調べると、これだけの勲章を受章しています。 勲一等旭日大綬章 明治34年12月27日 勲一等旭日桐花大綬章 明治39年4月1日 功一級金鵄勲章 明治39年4月1日 大勲位菊花大綬章 大正8年11月3日 また、防長尚武館の写真もみましたが、内閣総理大臣や外務大臣・朝鮮総督といった要職に ついた関係か外国からも多くの勲章を受賞しているようです。 (45 名無し軍曹) 旧軍青森・弘前連隊の八甲田山行軍があった頃、もっと寒い北海道に駐屯する部隊の冬服は青森・弘前のものに比べてより防寒性の高い物が支給されていたのでしょうか? 旧軍青森・弘前連隊の八甲田山行軍での遭難の件ですが、原因は防寒装備 の不備だけでは無く、雪中行軍の為の事前準備や経験不足、地元民からの情報 の軽視と、行軍路に詳しい兵の不在、指揮官の経験不足と指揮系統の混乱、 当日の悪天候(記録的な寒波による)等、様々な要因が相俟って起きた事件です。 それに、平地の北海道よりも、冬の八甲田山系の方が環境としては遥かに 厳しいです。例えは少し違うかもしれませんが、南極に行ける時代にも関わらず いまだに日本アルプスで遭難者が絶えない例も有ります。 余談ですが、皮肉にも、この行軍そのものよりも、遭難後の捜索活動の方が 旧日本軍に厳冬期の行動データーや装備の開発の役にたったそうです。 (63 25) 日本陸軍の大将って一人? 陸軍の大将は一名ではなく、陸軍解体までに134名が任官しています。 (63 740) 終戦時、陸軍中将だった篠田鐐氏について 陸軍大尉のときに秘密戦資材研究室(別称、篠田研究室)の責任者で1939年8月(昭和14年)の 科学研究所登戸出張所(後の第九技術研究所 登戸研究所)を設立した (66 28) 皇道派と統制派の争いを分かりやすく解説した本はあるでしょうか まず、皇道派・統制派の対立に関しては、「日本を滅ぼした国防方針」(黒野耐、文春新書)あたりが手軽で、 記述も客観的でいいと思う。もっとも、日露戦争直後からの海軍と陸軍の方針の食い違いが主テーマであり、 皇道派・統制派の対立はその中の一部として取り上げられているくらいだけど。 永田に関して言えば、対米戦というのではなく、対ソ戦に対する危機感が非常に強い。 当時は、南進・主仮想敵国は米英と考えていたのは、むしろ海軍。 満州の防衛第1とすれば、南進策は不可。 しかも、近代化が進むソ連に脅威を感じていたわけだから、 満州の防備が再編されるまで、中国本土への拡大方針も論外。 満州事変後は中国への拡大は不可能と考えるようになった石原莞爾を参謀本部に呼び戻したのも、その表れの一つ。 永田斬殺後、彼の路線を継承した石原は、海軍を説得し、 対ソ軍備を最優先とするよう妥協を引き出すことに成功する。 もちろん、中国本土に対しても不拡大方針…ところが、日支事変が起こってしまい… とまあ、そういう流れがある。 (66 566) 石原莞爾の世界最終戦論は日蓮宗や、天皇信仰が根幹だと聞いたのですが、本当ですか? 事実として、かなり信仰心の強い日蓮宗徒であったのは確かです。 最終戦争論の思想には、その影響があったとも言われます。 しかし、ある意味、強烈なカリスマですから、思想的な背景から、 彼を評価したり、行動を解釈したりしようとすると、 記述者の主観が相当に入らざるを得ないと思いますので、 下手にネットワーク上の情報に頼らない方がいい。 彼自身の著作にあたり、複数の伝記を読み、自分で解釈することが大切かと思われます。 本屋のサイトや図書館のデータベースに当たれば、 彼自身の著作も、伝記も出てきます。 例えば、アマゾンなら、「石原莞爾」でサーチすると40冊ほどの本が出てきます。 鬱なことに仮想戦記も含みますが、それらの中の何冊かを読むことです。 (67 771) 旧軍の行った八甲田山行軍の目的は日露戦争になった場合、冬の八甲田山系での陸軍の移動が可能か否かを確かめるものだったんですよね。 弘前連隊の成功、青森連隊の全滅と言う結果を受けて軍はどういう結論を出したのでしょうか? 事実上の棚上げ状態です。 軍は遭難の実態が明らかになってきたころから、現場の捜索隊などに緘口令を引き、 青森連隊の遭難の原因をあくまでも天災であるとして弘前連隊の成功を含めてすべてを うやむやにしてしまいました。 そして遭難自体を美化して遭難者を軍神に祭り上げています。 八甲田山の雪中行軍演習が再び行なわれたのは昭和7年1月で、遭難30周年を記念してのことでした。 (70 名無し軍曹) 森鴎外の執筆活動は当時の陸軍に知られていたのでしょうか? 知られていたならば、陸軍は鴎外の副業を許していたのでしょうか? それとも、お偉いさんだったので何も言われなかったのでしょうか? 森閣下は軍医総監だけでなく文学も軍務でこなしておられたよ。 樋口一葉の葬儀に「陸軍中将 森鴎外」(本名の林太郎ではなく) で花環を手向け大礼服姿に騎乗して葬儀会場に表れて遺族を困惑させたとか。 だけど晩年の作品は文学的な価値はあまりないといわれているが。 (70 22) 旧日本陸軍の下士官は定年が40歳(憲兵だけ48歳)だったそうです。 何でこんなに早い定年にしたのでしょうか? 平均寿命、医療技術や栄養事情まで考えれば妥当だったと思われ。 当時の40は現在なら7、8割として50代相当だろう。 (76 572) 当時は形骸化していたとは言え徴兵制を敷いていて、かつ30年代中頃まで 常備兵力自体は今の陸上自衛隊とたいして変らない人数でしたので。 (76 574) 旧帝国陸軍の陸大っていうのは、かなりの難関だったのでしょうか? 陸大(陸軍大学校)は明治16年に設立された 「高等用兵に関する学術」を教育するための学校です。 陸士卒業後、最低2年間の隊附期間(実務経験)を経て 所属長の推薦をもらって受験します。 一期あたり4,50人ですから大体陸士卒業者の一割程度ですね。 生徒の平均受験回数が2回程度と聞いてますので、かなりの難関であったことは確かでしょう。 入学試験は口頭試問による、という話も聞いたことがありますがすべてそうかは分かりません。 (82 658) 「731部隊」の正式名称って、一体何になるんでしょう? 関東軍防疫給水第七三一部隊。 通称は東郷部隊。 (82 ニセ森村誠一) 先生、通称は「加茂部隊」では? (82 726) 通称は石井部隊 石井四郎中将 (82 剣恒光@自衛隊板 ◆YR1Hskt.M) それは違う部隊名の秘匿になってないぞ。 東郷部隊・加茂部隊両方正解。 (82 770) 731部隊の英語表記はUnit731であってますか? あってますだ。 陸軍中野学校の英語表記は"(Japanese Army`s) Nakano School"でふ。 あるいは単に"Nakano Gakko"とそのままの表記もあるようでつ。 (83 56) 戦前の歩兵旅団は2個歩兵連隊で編制と聞いたのですが, 歩兵第百三旅団は歩兵第六十五連隊と山砲兵十九連隊で,編制されたというのは, 山砲兵連隊とあわせて2個連隊あるからオッケーってことでいいのでしょうか? 戦前の歩兵旅団は2個歩兵連隊で編制までは正しく、後段は誤りがあります。 山砲兵第19連隊は第103旅団他の諸部隊と共に第13師団隷下にありました。 歩兵第103旅団は歩兵第65連隊、歩兵第104連隊で編成されたものです。 これらの軍令に従った編制を「建制」といいます。 「山田支隊」の場合、歩103旅団長である山田栴二少将の指揮下に 第13師団から臨時に山砲19連隊が配属されたということです。 「山田支隊」は「軍隊区分」と言われる臨時編制となります。 (84 213) 旧陸軍の植民地出身者部隊について概説していただけないでしょうか。 詳しい方は夜に来られるでしょう。それまでに簡単な解説を。 台湾では昭和16年より志願兵制度が実施されており、徴兵制は昭和19年に始まっています。 その中でも特にマレー・ポリネシア系の「高砂族」と呼ばれる人々は数多く志願を行なっています。 彼らは「高砂義勇隊」という原住民志願兵として戦争に参加しました。 当初は輜重・軍夫としての従軍でしたが、彼等の能力・責任感の高さに目をつけた軍は 彼らの特性を活かし、南方のジャングルでゲリラ戦を展開する専門部隊として編成しました。 また、昭和19年11月26日に行なわれた空挺隊によるブラウエン飛行場制圧作戦に参加した 特別攻撃隊斬込隊「薫空挺隊」は将校・下士官以外はすべて高砂族の兵員より編成されていました。 高砂義勇隊は六千名とも八千名とも云われ、そのうち約三千名が戦死したそうです。 (85 496) その高砂部隊への戦後賠償はどうなったんですか? 戦後それらの志願兵を含む台湾人は日本の国籍を失ったため、日本政府は 彼らには恩給などの補償や援護を行なっていませんでした。 紆余曲折を経て1987年に議員立法で戦没者遺族に一人につき200万円が支給されましたが、 十分な補償とはいえません。 (85 498) 恩給欠格者でググれ。 (85 501) 敵陣に突入する際、銃をもった兵士を従え、先頭の人は刀を振りかざして走ってました。 第二次世界大戦の日本軍の映像だったと思います。 この刀をもった人はその部隊ではどういう位の人なのでしょうか。 簡単に言えば、刀を持っているのは指揮官で、その背後にいる兵たちの隊長です。 刀は隊長であることの象徴です。 (87 310) 日本陸軍では、士官と准士官・曹長(大戦末期は伍長クラスまで)が軍刀を持つのが基本。 騎兵の場合は、全階級軍刀装備。 階級がある程度より上の者だけが軍刀を持つのは、幕末にヨーロッパの軍隊から輸入された制度。 ヨーロッパの陸軍では、一目で指揮官がわかるから、部下を率いるとき便利って理由があった。 あと、封建時代からの伝統で、指揮官は騎士階級、それ以外の兵隊は平民ってこともある。 騎兵が全員刀を持つのは、当時の銃は突撃中の馬の上での装填なんかできないから。 ヨーロッパでは第1次世界大戦の戦訓で、指揮官が目立つ格好をしていると真っ先に射たれるってことが判っていたから、 突撃時に軍刀を振り回すことは(多少の例外はあるが)していなかった。 (87 311) 米軍でもヘルメットの「I」や「#」マークを 狙われて「大尉」の大量損失があったらしいね (87 317) 来栖大尉の顔写真を見ることのできるサイトはどこかにないでしょうか? 東京近辺に住んでるんなら靖国神社遊就館に行ったほうが早いよ (87 748) サイトじゃないけど、中公文庫「第二次大戦航空史話」下巻P.273に写真が載ってます。 イラストだけど、表紙も飾ってるし。 ISBN4-12-202739-X (87 752) 未知の剣には335ページに写真が掲載されています。 小さいですけどね。 (87 眠い人 ◆gQikaJHtf2) ※2017年6月時点で、ウィキペディアに掲載されています。 旧軍に山田って名の陸軍中将はいたのですか? 西南戦争で活躍した山田顕義中将は長門国だしな~。 もう少し情報がないと特定がむずかしいです。 候補としては 山田隆一中将 山田乙三中将(後大将) (88 機甲自転車) たぶん山田隆一中将です、校長が昔に朝会の時に言ってたのを思いだしました この中将さんは学校の増築の時に来校して村人・生徒を集めて演説してたらしいです、 そして感動した村の人が記念碑を建てたらしいです(親父談) あとその近くに祖父の立てたニノミヤキンジロウの像もあるんです (88 422) 旧日本陸軍の「軍」と外国の陸「軍」は、英訳は同じですか? どっちも"army"です。 (88 455) 外国の陸軍の師団長が普通少将なのに、旧日本陸軍の師団長が中将と1ランク高いのはなぜでしょうか。 師団長が中将なのは、各国では准将を当てている旅団長が、少将職だから。 旧軍の階級に准将がなかった理由はよく判りませんが、これも発足当時は それほど多くの階級を必要としなかったと言うことの影響が大きいかと。 当初は大将も名前だけで実際には一人も存在しなかった時代もあるし。 (88 448) 軍隊の部隊規模というのは同じ名称であっても国や時期の違いによって様々ですので、 日本に限らず、編成の名称だけから戦力や規模を類推することは難しいといえると思います。 逆にいえば、専門家は名称から規模を誤解したりしないよう心がけているといえます。 (それでも誤解は生じるのですけれど) (88 492) 旧日本陸軍の編成が、師団-軍-方面軍-総軍となっていて他の国の陸軍の師団-軍団-軍-軍集団と違うのはなぜですか。 メッケルさんが「日本は狭いから軍団必要ないね」と決めたからです 軍以上は規模が大きくなってから泥縄的に成立。 (88 444) 軍の編制については、明治陸軍発足当時の、こぢんまりとした組織を代々 受け継いでいった結果が大きいようです。 (88 448) 日本陸軍の師団は、平時の最大の軍単位。そして師団は「師団管区」という受け持ち区域を 持っていて、これが複数の県にまたがっている。ということは複数県に渡って活動することになり、 師団長は県知事より上の権限を持つことになる(地域軍政に関する責任者でもあるから)。 で、県知事というのは官職上、少将相当なので、その上になる師団長は中将でないとまずい。 という、組織上の都合だったりするんだな。 (88 556) 陸自少年工科学校って戦前で言えば一体どんな学校に分類されますか? 陸軍幼年学校 (88 511) 陸上自衛隊で「第○特科団」とか「第○高射特科団」とかありますが、どの程度の規模の物なのでしょうか。 群は編制部隊ではない編成部隊で、数個の大隊・中隊等の集まった 連隊相当の部隊。 特科群、施設群、通信群などがある 部隊長は1佐が多く、連隊に準ずるランクの部隊とされる。 400~800人程度で構成される場合が多い。 (88 605) 編制部隊じゃない編成部隊ってどういう意味でしょうか? 編制部隊は建制の部隊で恒久的。編成部隊は臨時的なニュアンス。 自衛隊の場合、団は複数の群or群+α (88 624) ドイツではヒトラーの命令には「総督云々第何号」と番号が付けられていたと聞いていましたが、旧陸軍の「通達」にも番号が付けられていたのでしょうか? 大陸命じゃなくて「通達」? 付いてないんじゃないかな 大陸命には通しナンバーがついてるけど (88 661) 正規の通達なら下書きから通信文までちゃんと保存してあるはずだよ(戦火での散逸分除く) 通しナンバーがあるかないか、漏れは知らないだけ (88 663) 通達だったら、陸軍公報に掲載されるよ。 でも、出された日時が分からないと、探すの大変。 単独の綴り冊子が現存する場合もあり。 (88 665) 台湾営林所の陸軍歩兵少尉正八位って身分高いんですか? 正八位とかの位は位階といいます。 位階は戦前は国家に勲功がある者、有爵者(華族は相応の位階を与えられる特権がある)、 襲爵予定者(爵位を継ぐ予定の華族)、官吏などに与えられました。 戦後は、戦没者などの故人にのみ与えられています。 ちなみに正八位は十六階がある中の下から二番目です。 (90 126) 正八位は士官としてはデフォルトの身分のようですね。 http //www2.wbs.ne.jp/~ms-db/other%20data/rikugun%20rank.htm (90 system) 日本陸軍は海軍空技廠のような独自に航空機開発を行う組織を持っていたのでしょうか? 陸軍も海軍よりは大規模ではありませんが、立川に陸軍航空工廠を持っていました。 殆どは外部に機体製作を委託(特に立川飛行機に多い)していますが、キ-93試作襲撃機 は独自に設計し、1945年3月完成、5月4日に初飛行しています。 ただ、着陸時に脚を折って修理中にB-29の爆撃で焼失。 2号機準備中に敗戦となっています。 (91 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 蛇足だが航空技術研究所なんてものもあります あまり詳しくはありませんが、昭和16年の夏に2種類の機体を設計しています これらは重戦闘機と軽爆撃機で当時の航空技術で開発可能で、斬新な機構を取り入れるというものでした 軽爆撃機の方は双胴式でちょうどP38のコクピット部が無くなったような形でした 重戦闘機の方は最高速度700km/hを目指したA案とB案の2種がありました A案は操縦席を機体前部に置き、その後にエンジンがあるというP-39エアラコブラのような機体で B案は胴体中央部にエンジンがあり、その後に操縦席がある特異な形状の機体でした ソース 光栄「日本陸海軍計画機」 (91 271) 乃木将軍ってどのような評価をされている人なんですか? 軍板でも乃木擁護派(乃木房)とアンチ乃木派(アンチ房)がいつもやり合っております。 評価についてはどちらも両極端なものがありますが、 個人的にはそのどちらも把握して中間を取るぐらいがいいような気がします。 「人気ほどたいした将軍ではない」とか「悪評ほど悪い将軍でもない」ぐらいでしょうか。 (92 555) 乃木についての最終的評価。 「良い人物だったが、良い将軍ではなかった」 部下の兵隊にとってはたまったもんじゃなかったということで……。 (92 Manforstorm) 芥川龍之介の短編「将軍」を一読する事をお薦めする。 当時の世相とかもわかりまつ。 (92 598) 銀輪部隊とは、必要な量の車両を用意出来なかった日本軍の苦肉の策ですか? スイスにも自転車部隊はあったから”苦肉の策”とは言えない。 ”自転車は歩くより早いから戦場でも自転車が使えたら便利だろうなぁ。 燃料も要らないし” 程度の発想だったと思われ。 (92 727) あの時代 自転車部隊は日本固有の特殊な存在というわけではありません (92 732) 日本のWW2の首相は、「東条」ですか、「東條」ですか? 「東條」 「條」は「条」の異体字であり、こっちを使っても間違いではないよん (93 135) 太平洋戦争中に、師団は出身地別に組織されたらしいですが、~師団がどの出身地とかわかるサイトはないですか? 出身地別編成は連隊。 「日本陸軍連隊総覧」(新人物往来社)が参考になる。 師団についてはやはり同社から「師団総覧」が出版されている。 (93 111) 高倉健主演の八甲田山雪中研究行軍事件を画いた映画ってなんていう映画ですか? 八甲田山 (94 50) 旧日本陸軍の挺進部隊は「空挺作戦を成功させた唯一の部隊」なんでしょうか? ドイツはベルギーの空挺作戦を成功させているし その他も多数成功している。 アメリカ・イギリスも、ノルマンディ上陸作戦時に目的を達成している。 結構失敗も多いが成功皆無ではない。 (94 366) 帝国陸軍で、航空機を対戦車兵器として運用する構想はあったのでしょうか。 たしか流星は40ミリを搭載できたと聞いたが (94 421) 一応キ93って言う57ミリ砲を積んだ試作機がありました。 ほかにも、キ102乙とかね。 実戦においては99式軽爆とか、屠龍が爆弾かタ弾で攻撃をしたようです。 {(94 422) 陸軍航空隊に地上襲撃機というカテゴリーがありまして、 大戦後期の試作機は大口径機関砲を搭載していたと記憶しています。 ただ、戦局の悪化で制空機が優先されるようになりました (94 機甲自転車) 陸軍幼年学校は学費を徴収したのですか? 幼年学校は月謝制(昭和13年頃は月20円) (94 766) 旧陸軍が大陸とかに兵を輸送する場合船は海軍の輸送艦とかを使ってたんですか それとも陸軍が自前で持っていたり民間から徴用したりしたものを使ってたんですか また その護衛とかは海軍にお願いしたりしていたんですか 徴用民間船主体 戦争後半には自前で航空機輸送艦や潜水艦を作った>陸助 護衛については、とりあえずやっていたが 結果は無惨 (94 886) 関東軍って日本陸軍内の一組織ですよね。 なんで関東軍なんて特別な名称が付いてるんでしょうか? まず、地方名を冠した軍は、関東軍だけではありません。 朝鮮軍、台湾軍、支那派遣軍などがあります。 「関東」というのは、一都六県の関東地方ではなく、山海関の東、すなわち旧満州を意味します。 要するに、中国の関東地方に本拠地を置いているから、関東軍というだけの名称です。 関東軍は、日露戦争後、日本に経営権が移った南満州鉄道の警備のために編成された軍です。 ちなみに当初の名称は満州駐箚軍、関東軍に改編されたのは大正8年です。 (95 41) 関東軍の守備範囲はどのあたりまでだったのでしょうか? 関東軍の警備区域は、前述のように、満鉄沿線のみからスタートし、 後に東三省(黒竜江省・吉林省・奉天省の総称)に拡大、 満州事変後は熱河省もその勢力下に置いています。 (95 41) 牟田口って一体何をしたのですか? あとなんて読むのですか? 「むたぐち」と読む。 インパール 牟田口 で、ぐぐれば、その所業はかなり判ると思う。 (96 509) 高木俊朗の「インパール」(文春文庫)を嫁! といいたいところだが、あの本絶版なんだよなあ。 (96 515) WW2当時の日本陸軍の機甲系部隊の編成内にある「機動歩兵」は、どういった車両装備を持っていたのですか? もともとの計画では、装甲兵車に乗せる予定でしたが、生産が間に合わず、 ほとんどの機動歩兵連隊ではトラック装備でした。 フィリピン戦のように、単なる「歩兵」として戦った例もあります。 (97 362) 「関東軍」はなんで「関東」なんですか?「九州軍」とか「四国軍」とか「東北軍」などもあったんですか? 中国東北部のことを「関東」という。 朝鮮・台湾各守備隊なら。 (101 639) 中華世界と異界を分ける山海関の東側の東だから「関東」でつ。 (101 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 富士山をバックにした演習の古い写真があるのですが、いったいどこの演習場なんでしょうか 富士山麓の演習場は昔は日本陸軍の演習場だった。 砲の実弾射撃試験や戦車の陣形練習などに使ってた模様。 (101 687) 北富士演習場 戦前戦中は日本陸軍の演習場戦後は連合国軍に接収され昭和48年に返還。 同時に陸上自衛隊の演習場として使用開始。 (101 688) 東富士演習場 もあるでよ (101 689) 乃木将軍の生涯を描いた書籍はありませんか? 「殉死」 司馬遼太郎 文春文庫 人間乃木希典 人物文庫 戸川 幸夫(著) (学陽書房) 乃木希典 河出文庫 大浜 徹也 (著) 河出書房新社 (102 9) 森鴎外の最終階級は何だったけかな? 軍医総監陸軍省医務局長 中将相当 (102 201) 帝大卒で陸軍少将まで昇進できた? 兵科以外だったら普通の大学(通称「娑婆大」)出身の少将もいる。 有名どころでは、731部隊の石井軍医中将も、京都帝大医学部出身。 (102 195) 有名な例をあげると、平賀譲中将も帝大出です。 (102 197) っつーか、帝大出の少将って普通だと思うが。 (102 198) 牟田口と辻ってどんな人? 牟田口廉也 第15軍司令官としてインパール作戦を指揮。 補給を無視した無謀な作戦により、多数の餓死者を出す悲惨な戦いとなる。 作戦間、神懸かり的な発言も多い。 辻政信 作戦参謀としてノモンハンで大コケ。 その後返り咲き、マレー作戦で「作戦の神様」の異名を取る。 しかしその後のガダルカナルや、ビルマではやはり味方に多大な犠牲を出す。 戦後政界に転身、ラオスで行方不明となる。 軍板では辻ーんと呼ばれることが多い。 つか、ググればサイトとか本とかたくさん引っかかるぞ。 102 435) 旧日本陸軍では射撃はどれくらいの位置だったのでしょうか? 米軍が日本軍の恐れたものに擲弾筒と狙撃兵が挙げられます。 (105 19) 親戚の陸軍少将のことを調べたいのですが、どうやって調べればいいんでしょうか 所属部隊等はよく知らないです 大将クラスではなく少将となるとやはりそれなりの人数がいるため、 簡単には調べられないと思います。 こういった本で当たっていくしかないかな。 「日本陸軍将官辞典」福川秀樹編著 芙蓉書房出版 「日本陸軍将官総覧」新人物往来社 前者はかなりお高いですが、後者は比較的入手しやすいかと。 (106 21) 日本陸軍の少将ってどれくらいいたんだろう。 日本陸軍の場合、少将の1つ下の階級である「大佐」が一般将校の出世の一区切りでした。 大将・中将・少将などのいわゆる将官は軍隊の中でも相当限られた存在で、 日本陸軍の歴史の中でもわずかに4.500名、大将に至ってはたったの134名に過ぎません。 同期の中でもかなり優秀な成績でないと将官への道は厳しかったようです。 (106 33) 陸軍中野学校ではどんな事を教えてたのですか? 秘密戦要員の養成学校です。設立は昭和15年(前身の後方勤務要員要請所は 昭和13年設立)、防諜、諜報、謀略、宣伝、遊撃戦の要員を養成することを目的と していました。 『秘録・陸軍中野学校』 新潮文庫 畠山 清行著 『陸軍中野学校の全貌』 展転社 加藤正夫著 あたりをどうぞ。 (106 63) 陸軍中野学校に入学するには一体どうすれば入学できたのでしょうか? そして卒業には何年掛かって、卒業後は一体どんな職に就いたのでしょうか? 入学方法:陸軍の幹部候補生課程を修了したばかりの少尉の中から選抜された。 教育期間:1年 就職先?:当然、陸軍(辞めていないし、陸軍内の教育機関だから当然)。以後情報要員としての任務に就く。 (106 731) 「陸軍中野予備校」安永航一郎著(小学館)に詳しく解説されているので 読んでみてください。 (107 317) 日本陸軍には空母や強襲揚陸艦があったと聞きますが、本当ですか? 「神州丸」でググれ。 (109 712) 旧日本陸軍では上等兵から兵長になる為の条件はどんなものでしょうか? また、兵長から伍曹になる為の条件はどんなものでしょうか? 平時に於いて下士官になるには、徴兵による現役兵期間満了時に志願する形が一般的です。 しかしながら、現役兵期間の成績が参考にされますので、余り悪いと選抜されません。 (とは言え、平時に於いては、軍で必要とする下士官の数と、志願者の数はほぼ同数だったりしますが) 1927~38年に掛けては、歩兵、砲兵科の下士官候補者は、各地の陸軍教導学校で一年間、更に軍教育隊で 教育しています。(それ以外の兵科は各種学校で教育) もう一つ、徴収期間が満了して上等兵として除隊する時、下士官適任証を受けていますと、 再招集された場合に下士官として任官されます。 また、幹部候補生になって将校にならない場合は、予備役下士官に任ぜられます。 六週間現役制の場合、修了者は国民兵役に編入されますが、国民軍幹部適任証書が交付され、 国民軍が編成された場合は、彼らを以て幹部(下士官以上)に充当します。 下士官が足りなくなった1938年以降は、高等小学校卒業程度の者を陸軍航空学校、 戦車学校生徒として二年間教育し、一年で伍長にする少年飛行兵、少年戦車兵の制度が誕生しました。 この制度は、通信、砲兵、防空でも採用され、陸軍通信学校で教育する少年通信兵、陸軍野戦砲兵学校、 陸軍重砲兵学校、陸軍防空学校で教育する少年砲兵、少年防空兵がありました。 1943年より、特別幹部候補生制度が出来、15~20歳の者に一年半の教育を施して現役下士官とし、 二年後に予備役とすることになり、飛行、船舶、兵技、通信、航技について募集しています。 このほか、技術下士官は陸軍兵器学校生徒から、経理部下士官は経理部少年委託生徒から、 憲兵下士官は憲兵上等兵(後に兵長)から昇進させることで対応しています。 戦時には、在隊期間が長くなって、伍長が兵長の昇進先となり、志願に拠らない下士官も多数生まれ、 1938年に召集中の予備役軍曹、伍長で志願する者を現役とする措置が執られています。 なお、下士官の進級の実役停年は、曹長二年、軍曹三年、伍長半年でしたが、1941年以降、 曹長四年、軍曹二年、伍長一年となっています。 (110 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 旧陸軍で連隊旗は歩兵連隊と騎兵連隊だけにしか与えられ無かったと聞きました。 そうすると砲兵連隊や工兵連隊は連隊旗をもらえないということになりますが、 なぜ、歩兵・騎兵だけに連隊旗があり他の兵科には連隊旗がないのでしょうか? また、他の兵科から不公平だと批判されなかったのでしょうか? 突撃しないから。 (110 179) 日本陸軍の落下傘部隊の作戦戦果又、最終駐屯地を教えてください。 終戦を迎えたのは千歳 作戦戦果はなんともはや 成功したのはパレンバンぐらい? (110 450) ブラウエン降下作戦も初動においては成功と言ってもいいのでは? (110 452) 旧日本陸軍では輜重兵は不人気の兵科で 「輜重兵が兵隊ならばチョウチョウトンボも鳥のうち」と言われたそうですが 他の地味な兵科はどうだったのでしょうか? 兵科の中では、輜重の次に工兵(通称ドカタ)は人気がなかった。 士官学校の兵種決定時の人気の順番は歩兵・騎兵(戦車)・砲兵がほぼ同等で、 そのあと工兵、輜重の順。 砲兵の中でも野砲、野戦重砲は人気があったが、要塞重砲や高射砲は不人気だった。 (111 389) 同時期の米陸軍では工兵は人気職種であったと聞くのですがどうして日本陸軍では工兵の人気がなかったのでしょうか? まあ一言で言えば「華やかさに欠けるから」 とにかく華やかで派手なのが好きなのが日本人 裏方の仕事は若者受けしなかった(爆弾三勇士で結構株は上がったけどね) (111 393) 米軍は器材や建機の運転のノウハウが身につき除隊後働ける。 日本軍は人力の土方だから別にノウハウはいらない。 なら楽な兵科のほうがいい(w (111 トルエン大尉) 日露戦争では花形兵科だったとかで橋を架けたり道を馴らしたりダイナマイト を実演で発破させてりして民衆から憧れてられていたそうだ。週刊新潮の記事で読んだ。 (111 395) 戦後間もないJ隊でも免許がイパーイとれるので一時期は施設は花形だった・・・ なら楽な兵科のほうがいい(w (111 トルエン大尉) 大日本帝国陸軍の師団数が最大になったのはいつで、何個師団になったかご教授願えますでしょうか 1945年、根刮ぎ動員で合計192師団になっています。 一年で54個師団急造ですね。 (114 眠い人 ◆gQikaJHtf2) ともあれ、最大になった時期は終戦時。師団数は高射砲・戦車師団各4個を加え192個です。 本土決戦に備えて陸軍は師団数の拡張を行っていたので、このような結果になっています。 根こそぎ動員によって兵員・装備共に質は大きく低下していました。 (114 930) シベリア帰還兵の祖父が戦時中は陸軍少尉だったらしいのですが 階級の位としての少尉の位置は解るのですが実際の所はどのようなものなのでしょうか? 小隊長が基本位置 陸士出身なら、若造の練習士官 下士官出身なら、ベテラン (114 789) どのような役職の少尉で、どのような経緯で少尉になったのか解りませんが、 仮に歩兵小隊の小隊長であれば、指揮下に30~40人の兵隊が付きます。 また、学徒動員だったり、士官学校を出てすぐであればぺーぺーですし、 逆に兵卒から上り詰めたのであれば、相当優秀であると言えます。 (114 790) 戦前の陸軍と警察だとどっちが位が上なんでしょうか? 「ゴーストップ事件」をググって下さい…なんてね。 陸海軍とも官階は同じです。 将校 勅任官 将官 親任官 大将 将校 勅任官 将官 高等官一等 中将 将校 勅任官 将官 高等官二等 少将 将校 奏任官 佐官 高等官三等 大佐 将校 奏任官 佐官 高等官四等 中佐 警察 警視 高等官四等~八等 将校 奏任官 佐官 高等官五等 少佐 将校 奏任官 尉官 高等官六等 大尉 将校 奏任官 尉官 高等官七等 中尉 将校 奏任官 尉官 高等官八等 少尉 警察 警部 判任官一等~四等 警察 警部補 判任官二等~四等 つまり、警察の官階は将校より低いです。 判任官というのは、軍隊では准士官(特務曹長)、下士官(曹長~伍長)に相当します。 (116 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 中野学校のカリキュラムを教えて 中野学校のカリキュラムは甲種から戊種までありました。 甲種は乙丙種出身優秀経験者を対象とした1年制の教育体系(実施されず) 乙種は陸士卒大中尉各部将校対象とした2年制の教育体系(実際は8ヶ月~1年) 丙種は予備士官学校出身者を対象とした2年制の教育体系(実際は8ヶ月~1年) 丁種は戊種出身の下士官を将校とする(実際は実施されず) 戊種は下士官候補者出身者対象の教育体系で1年制(実際は6~8ヶ月) となっています。 (116 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 地方幼年学校は東京出身者も通うのでしょうか? 中央幼年学校と違いはあるのでしょうか? 幼年学校は、全国各地に置かれていた時代がありました。 (具体的な設置場所は、ちょっと資料が出せない) 出身地近くの地方幼年学校で教育を受け、その後、中央幼年学校に進むのです。 (116 272) うちの祖父が太平洋戦争の時に出兵したのですが、その時の写真を見せてもらったら軍刀を持っていました。 階級は軍曹なんですが、将校でない軍人が軍刀を持てたのでしょうか? また、もう一人の祖父は警察官だったのですが、同じく出兵の時に刀を腰に下げていたそうなのですが(階級は上等兵)、 警察官が戦地に行くときもサーベルを持っていったのでしょうが? 上級下士官も、俗に「曹長刀」と呼ばれる軍刀を持ちます。 大戦勃発時は軍曹まで、末期には伍長まで持つようになってます。 騎兵などでは、階級に関係なく、全員軍刀装備です。 (116 382) 陸軍幼年学校って何ヶ所にあったのでしょうか。 また試験は八月だけだったのですか。 東京、仙台、広島の3校。 幼年学校の制度ができた明治29年の時点では 東京、仙台、広島、名古屋、大阪、熊本の6校だったが、統合されて3ヶ所になった。 また、宇垣軍縮の時代は東京幼年学校一校のみだった。 入学試験は昭和の頃は一月だった。 8月の試験というのはおそらく、幼年学校の教育機関が短縮された影響と思われる。 戦中に再びもとの6校体制になった。 (116 196-197) 戦前の日本陸軍による剣道その他日本武道の位置付けはどんなものだったのでしょうか? 剣術なら戸山学校でやってました (116 432) 近衛師団は宮城の警備に野砲を装備していたんですか? 近衛師団はその編制に砲兵連隊を備えています。それに、近衛師団は別に宮城の警備が任務ではなく、 実際太平洋戦争では外征も行っています。第25軍に所属してシンガポールマレー攻略戦に参加してるんですわ。 それ以前にも日中戦争に動員されてますし、南部仏印進駐にも参加しています。 (116 537) 537氏の補足という形ですが・・・。 近衛師団は明治24年12月に東京で編成されました。 編成等は他の師団と変わらず、もちろん砲兵隊も付属していました。 1 以下が近衛師団の編成です。(昭和12年当時) 近衛歩兵第一旅団─近衛歩兵第一連隊 └近衛歩兵第二連隊 近衛歩兵第二旅団─近衛歩兵第三連隊 └近衛歩兵第四連隊 騎兵第一旅団─近衛騎兵連隊 └騎兵第十三連隊 └騎兵第十四連隊 野戦重砲兵第四旅団─近衛野砲兵連隊 └野戦重砲兵第四連隊 └野戦重砲兵第八連隊 この他、輜重兵連隊・工兵連隊・鉄道(第一・第二)連隊・高射砲連隊などが付属。 開戦時は第25軍に所属してシンガポール攻略に参加しています。 その後昭和18年5月には従来の近衛師団を近衛第二師団として、 新たに近衛第一師団を編成しました。 さらに昭和19年4月には近衛第三師団が編成され、どちらも東京で宮城警備にあたりました。 (116 539) 歩兵第68聯隊ができる前の岐阜市はどこの聯隊区に属していたのでしょうか? 中京地区にあった聯隊司令部は名古屋の第六聯隊しかなかったので、 ここに属していたのではないでしょうか。 (119 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 昭和九年に群馬県で陸軍特別大演習を行った際に撮影したという、昭和天皇とものすごい数の将校が写っている写真が見たいのですが 『昭和九年陸軍特別大演習並地方行幸記念写真帖』 という本があるので、国会図書館等で借りるか、 群馬県庁、群馬県立図書館にその写真について問い合わせる。 (120 99) 帝国陸軍の幼年学校、陸軍士官学校は入試科目、教育内容がどういうものだったか 陸軍幼年学校は3年課程です。 入学資格は、13歳以上15歳未満という年齢上の制限だけで、学歴上の制限はありません。 但し、その試験は(当時の)中学校1年程度の学力試験、即ち、国語、漢文、外国語、歴史、地理、数学、 理科(地学・生物学)から出題されたみたいです。 外国語試験は英語、フランス語、ドイツ語から選択されます。 このため、高等小学校卒業程度の学力で幼年学校に入学するのは難しかった様です。 (辻ーんの様な例外は居ますが) 教育内容は、基礎素養教育(普通の中学校教育に相当)が主であり、これに外国語の習得が加わります。 外国語は、フランス語、ドイツ語、ロシア語のいずれかを選択するもので、英語はありませんでした。 (昭和期にやっと英語と中国語が加わりますが) ちなみに、軍事知識の教育は、同年代の中学生が学校教練で学ぶものの方が豊富だったと言われています。 幼年学校卒業、または中学校卒業した者は、その後、陸軍予科士官学校にて2年間教育を受けます。 入学資格は幼年学校卒業生もしくは、中学校卒業程度の学力を有するもので、16~20歳の者です。 この試験内容は、中学校4年程度の学力試験で、国語、漢文、外国語、歴史、地理、数学、理科、公民から 出題されたようです。 ちなみに、東北の中学校の例では、200名中、1935年までは、成績上位30番以内が入学出来、1936年には 上位5、60番以内、1937年には更に増え、100番~120番でも合格出来たそうです。 陸軍予科士官学校では、国語及び漢文、外国語(英独仏露中のうちから一つ)、歴史、数学、理科(物理、 化学)、地理及び地質、心理及び論理、公民(法制及び経済)、図画の様な、高等学校高等科の科目と、 教練、陣中勤務、射撃、剣術体操、柔道馬術、訓話、内務班指導及び検査などがありました。 この過程を修了後、半年間の士官候補生勤務を経て、本科に進みます。 陸軍士官学校では、戦術学、戦史、軍制学、兵器学、射撃学、航空学、築城学、交通学、測図学、馬学、 衛生学、教育学、外国語、校内教練、校外教練、陣中勤務、射撃、剣術、体操、馬術、典範令、服務提要 などのカリキュラムがあります。 なお、教育学を履修するのは、軍隊教育の教育者として、彼等を養成する必要がある為であり、これは 必須科目として、陸士から、東大教育学科に派遣される場合もありました。 (122 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 陸士卒って今でいったらどのくらいすごいのでしょうか? 陸士卒とは陸軍士官学校を卒業と言う意味です。 当時は小学校卒業して直ぐに職に就くと言う人が大半な時代に、 最高学府まで、それもエリートである高級軍人への道が拓ける学校に 倍率40倍くらいの超難関を突破し、それを卒業したと言う事です。 国民の半分が最高学府まで進むと言う現代の我々からすると、 想像も出来ないくらいエリートコースを歩んでいたと言う認識くらいしか出来ないでしょうね。 強いて挙げれば、東大を出て国家Ⅰ種を取って財務省へ入った、 と言うのが比較的近いかと(それでももっと凄いけど) (122 616) 陸軍士官学校、海軍兵学校は帝大にも勝るとも劣らないと聞いたことがあります。 (122 620) 「憲兵」は民間人を逮捕できないとの事ですが本当でしょうか? 治安維持法違反で憲兵に拘禁されたものは多数居りますし、憲兵は軍事警察権の他、 普通警察権も執行出来ます。 後者は、内務省所管の警察が担当する職務を内務大臣の指揮下に(名目上)関与する ものとされていますが、この指揮権はしばしば無視されました。 また、戦地の憲兵は完全に治安維持のため、民間人の逮捕権を有しています。 (122 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 日本の陸軍航空隊はアメリカのように地上部隊の直協支援を行っていたのでしょうか? やってない。 陸上部隊と共同して作戦行動を行うようなことは、日本の軍隊はやってない。 ただ、 「〇〇で□□連隊が苦戦しています。航空機の支援を・・・」 「では航空隊の方へ頼んでみるか・・・」 と言うような事を上級司令部で行ったりはしていた。 それでもアメリカのように中隊、大隊のレベルでの航空支援要請の体系化・・・ みたいなことはやってない。 (123 602) 旧日本軍の徴兵検査では肛門に指突っ込んで痔の検査をしたとの事ですが、痔の有無ってそんなに重要だったのでしょうか? 痔は治りにくいしひどくなると歩くこともできないくらいの苦痛になる。 兵隊は歩くのが仕事だし、戦場は痔持ちに優しい環境ではない。 戦場で行軍も戦闘もできなくなるような爆弾を抱えている人間はとらないってことだね。 ぐぐってみたら徳川の家臣の榊原康勝が、大阪夏の陣の直後に痔で死んでるそうだ。 戦場で痔が破れて鞍が血まみれになるまで馬に乗り続けたのが原因らしい。 (376 57) 砲工学校と陸軍野戦砲兵学校の違いについて 陸軍砲工学校の学生は砲科、工兵科の少尉で、砲工兵各科の勤務に必要な学術を教授する学校となります。 但し、時には中、大尉クラスを学生とすることがあります。 普通科の修学期間は1年ですが、このうち、各兵科毎に3分の1以内を選抜し、更に在学期間1年の高等科に進ませ、 更に枢要な学術を修めさせる様になります。 また、高等科卒業者或は憲兵科を除く尉官中、技術将校に適任な者を選び、員外学生として必須な学科を研究させ ています。 その修業期間は高等科卒業者の場合、3年3ヶ月、歩・騎・航空・輜重兵科尉官の場合は、5年3ヶ月が通常になります。 員外学生は砲工学校で約3ヶ月乃至2年3ヶ月修学の後、帝国大学に派遣し、学術を更に研鑽させます。 また、幾人かは海外駐在員として外国留学させることがあります。 一方の陸軍野戦砲兵学校は、学生に射撃、戦術、観測通信、馭法並びに照空などを教授して、之を各隊に普及し、且つ これら諸学術の研究を行う学校です。 学生は5種あります。 甲種学生は、砲兵科大尉が資格者で、主に射撃と戦術を学び、期間は7ヶ月。 乙種学生は、砲兵科大、中尉が資格者で、主に射撃法を学び、期間は5ヶ月。 観測通信学生は、砲兵科中、少尉が資格者で、主に通信観測術を学び、期間は6ヶ月。 馭法学生は、砲兵科中、少尉が有資格者で、主に馬術と馭法を学び、期間は11ヶ月。 高射砲学生は、砲兵科中、少尉が有資格者で、主に高射法に関する学術を学び、期間は5ヶ月。 即ち、前者は高等研究機関で、ほぼ全兵科から学生を募り、技術の検討を行う場。 後者は、砲兵の専門教育機関で、砲兵がその技術を磨く為の場になります。 (456 180) 旧陸軍の、背嚢・雑嚢の中身について、知りたいのですが、 武器や弾薬ではなく、一兵士・一軍人がそれぞれ国から支給された装備品です。 1941年9月の中国戦線でのある歩兵部隊の装備品の例 携行口糧 甲 4日分 携行口糧 乙 1日分 缶詰 3 食塩 1日分 干魚 1日分 梅干 1日分 被服・日用品 弾薬盒 前2、後1 弾薬実包 120発 鉄帽(ヘルメット) 防毒面 円匙(スコップ) 飯盒 水筒 地下足袋 その他に携帯天幕や外套を持つことも。 日用品は洗面具(歯ブラシ、かみそりなど)、裁縫道具、包帯包など。 (494 717) 太平洋戦争中の日本軍は弾は何発持てたんでしょうか? 歩兵は、腹と背中の弾薬盒に、銃弾を入れました。 それとは別に、背嚢に銃弾を入れました。 こちらは、そのときの作戦の都合によって変わりました。 「歩兵銃用の「弾薬盒」には「前盒(ぜんごう)」と「後盒(こうごう)」があります。 完全軍装の「歩兵」は、腰の「革帯」に「前盒」を2個と「後盒」を1個の計3個の「弾薬盒」を装着しました。 「弾薬盒」は、盒の裏側に付いている「革帯通し」に「革帯」を通して装着をします。 2個の「前盒」は「革帯」の尾錠の左右へ振り分けて装着し、「後盒」は後ろ側へ装着をしました。」 下記、弾薬盒(歩兵銃用)を参照ください。 http //kon-tan.hp.infoseek.co.jp/equip/japarmy_navy/danyakugo.html (616 霞ヶ浦の住人 ◆iQXTBGahk.) 日本陸軍の「留守師団」というのはどの程度の(出征していった野戦師団の何分の1ぐらいの)戦力を持っていたのでしょうか? 動員下令の場合は、留守師団長以下、スタッフのごく僅かな要員のみで編成され、教育訓練とか戦地に出動した師団の人員補充を 担当するだけです。 臨時編成下令の場合は、師団兵力の3分の1が残留し、師団長が師団留守司令官を任命、これを指揮して留守隊の教育訓練や人員 補充を行います。 (但し、これは留守師団ではなく留守隊と呼ばれています) 太平洋戦争時に動員が為されると、留守師団を基幹に新たな師団を興しますが、その補充と従来の留守師団が担っていた人員補充 の為に、留守師団が編成されます。 これは歩兵連隊4個の4単位師団もしくは3個の3単位師団で編成され、編成はほぼ前線の師団と同じです。 但し、人員は平時編制当時の1万人で構成されています。 (360 268:眠い人 ◆gQikaJHtf2) 旧日本陸軍における、「隷下」と「指揮下」の違いって何ですか? 「第十飛行師団は第一航空軍司令官の隷下、防衛総司令官の指揮下にあって・・・・・」と 戦史叢書で言われても、結局指揮官が誰なのかわかりません。 戦史叢書102「陸海軍年表 付 兵語・用語の解」から引用 指揮下・隷下 :指揮下とは一般的に指揮関係下にあることをいい、隷下とは固有の隷属関係にあることをいう。 指揮 :上級官庁が職権または要求により、下級官庁にその職務上の事項につき下す命令で、当該官庁内だけで効力を有するもの。 軍隊において上級者がその職権により任務遂行に際し、所要事項を命令し実行させ、また時々変化する情況に対処して任務遂行を可能容易にするため、下級者に対して指図する等上級者が行う一連の行為をいう。 隷属 :他の上級者に従いつくことで指揮監督の下に入ること。例えば軍令部総長に隷属する海軍諸機関、陸軍大臣に隷属する陸軍諸機関のように使用する。 (508 942) 私の祖父は戦争中河北省で独立警備大隊と言う部隊に所属していたそうなんですが、警備大隊と言うのは具体的に何をしていたんでしょうか? 基本的に現地の治安維持目的の軽装備な歩兵部隊と思っていれば問題ない。 正規軍相手でなく、馬賊や武装ゲリラを主に相手をするのが主目的。 (557 249) 文字通り占領地の警備をするための部隊で後方の拠点や鉄道などをゲリラ等から守ってました 治安師団(華北なら第114師団や第118師団 )から特設治安大隊までいろいろあるけど砲兵など敵の軍隊と殴りあうための部隊が 付属してないことが特徴。 二線級の部隊で人員も戦争が始まってから急遽動員された人たちが多かった。 たびたび正規戦闘に駆り出されることもあったので砲兵がつくこともありました。 第一線の部隊に比べてという意味で (557 モッティ ◆uSDglizB3o) 独立警備隊とは昭和20年に中国で現地編成された部隊です(2月に7個、4月に6個)。 占領地の警備にあたっていた師団が米軍の上陸などに備えて転用された後を警備するために新設されました。 編成は司令部・独立警備歩兵大隊×6・独立警備作業隊×1 各独立警備歩兵大隊は大隊本部・中隊(250名、軽機関銃6・重擲弾筒6)×5・銃砲隊(110名、馬10頭、重機関銃2、大隊砲2)×1 独立警備作業隊は235名で軽機関銃1・重擲弾筒1 なお、大隊本部に通信班があります(12名、電話機20、五号無線機8) 現地部隊から差し出された人員で編成されたため、人員や装備の充足は悪かった模様。 たとえば、第3独立警備隊は編成完結時(3月30日)将校50%、下士官兵65% 河北省ということなら、第3、第5、第6、第7、第10、第13、第14あたりなか? 部隊名、通称号、終戦時所属、終戦地、編成の順 第1独立警備隊(矢石)第13軍 南京 司令部・独立警備歩兵第1~第6大隊・第1独立警備作業隊 第2独立警備隊(至威)第20軍 長沙 司令部・独立警備歩兵第7~第12大隊・第2独立警備作業隊 第3独立警備隊(伸張)北支那方面軍 北京 司令部・独立警備歩兵第13~第18大隊・第3独立警備作業隊 第4独立警備隊(至誠)駐蒙軍 大同 司令部・独立警備歩兵第19~第24大隊・第4独立警備作業隊 第5独立警備隊(至隆)第1軍 運城 司令部・独立警備歩兵第25~第30大隊・第5独立警備作業隊 第6独立警備隊(至毅)第12軍 新郷 司令部・独立警備歩兵第31~第36大隊・第6独立警備作業隊 第7独立警備隊(至武)北支那方面軍 保定 司令部・独立警備歩兵第37~第42大隊・第7独立警備作業隊 第9独立警備隊(至剛)第43軍 済南 司令部・独立警備歩兵第43~第48大隊・第9独立警備作業隊 第10独立警備隊(至敏)第12軍 鄭州 司令部・独立警備歩兵第50~第54大隊・第10独立警備作業隊 第11独立警備隊(至鋭)第43軍 兌州 司令部・独立警備歩兵第55~第60大隊・第11独立警備作業隊 第12独立警備隊(至厳)第43軍 青島 司令部・独立警備歩兵第61~第66大隊・第12独立警備作業隊 第13独立警備隊(疾風)第12軍 鄧城 司令部・独立警備歩兵第67~第72大隊・第13独立警備作業隊 第14独立警備隊(紫電)第12軍 *州 司令部・独立警備歩兵第73~第78大隊・第14独立警備作業隊 (557 263,264) ガダルカナルに投入された「独立工兵第六連隊」の詳細を知っている人はいますか? 独立工兵第6聯隊は昭和12年7月27日に広島で編成された「乙工兵」(船舶工兵)で 工兵第6聯隊とは別の部隊。 大発などの舟艇を装備し、舟艇機動部隊の輸送を担当。 ちなみに舟艇機動部隊に所属する独立工兵第28聯隊の1中隊(2小隊欠)も同じ。 ただし、駆逐艦乗船部隊の独立工兵第15聯隊は「甲工兵」だから普通の野戦工兵。 (341 397) 宮崎繁三郎って具体的にどのあたりがすごいの? 簡単にいえば、情に厚い上に戦では決して負けない指揮官だったことだと思います。 「不敗の名将」という言葉が彼には付いて回ります。 かのノモンハンで第十六連隊を率いてソ連軍を相手に一歩も引かずにこれを撃退、 おそらく唯一と言っていい歩兵部隊での勝利を収めたこと、 また、ビルマでの牟田口軍司令官の無謀な作戦とそれに対する第三十一師団の 佐藤中将の抗命など混乱しきった最前線で長期戦の持久戦を戦い抜き 後退の際も兵の損失を最小限に抑えるなど常に「負けない戦争」を戦ったからです。 その作戦は周到で理詰めであり、なおかつ大胆で果敢な突撃を躊躇うことはありませんでした。 また、彼は仁慈に厚く、部下に対して常に情をもって接したことや上官の批判を 決して行わないなど万人に慕われる人間でした。 「参謀、敵中突破で、分離した部隊を間違いなく掌握したか?」 これが死を目前にした宮崎繁三郎の最後の言葉でした。この一言に彼の人間性が 現われていると思います。 (572 名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE) 明治時代の陸軍兵士の背嚢にはどんなものが入っているんですか? 主に着替え用の下着・軍足・雨具・テント。 冬場は防寒衣料が追加される。携帯口糧の乾パンなど。 当時はフランス軍が軍事顧問なので影響してるね。 大日本絵画・中西立太先生の日本軍の軍装などが参考資料 として充実してます。 (336 一等自営業 ◆JYO8gZHKO.) 陸軍が機械化を推し進めなかった理由は? 仮想敵国がアメリカで仮想戦場が島嶼であれば理解できるのですが、広い荒野の中国や ソビエトを仮想戦場と考えていた陸軍が機械化を推し進めなかった理由が検討つきません まずもって、機械化陸軍作りたくてもそんな金がどこにも無い、というのがある。 日本の軍事予算はみんな海軍が持っていってたので、と言われるが、それ以上に 頭数の多い陸軍は全員に銃を持たせて訓練して飯食わせるだけで膨大な予算を 必要とするので、日本のように列強の中では一番経済規模の低い国ではどうしようも なかった。 構想はされているんだけどもね>機械化陸軍 それと、日中戦争の推移や「関東軍特別演習」だけ見てると誤解するが、基本的に 日本の大陸での戦略は「権益防護」「国境(勢力圏)線守備」の、守りのドクトリン だから、「侵攻」を念頭に置いた兵力の機械化整備は考えられていない。 そういう意味では本来の任務とは全然別の戦争を陸軍は大陸でしていたと言える。 (334 486) 関東軍の司令部は東京にあったんでしょうか? 野中広務がそう言ってましたが 満鉄警備が目的の守備隊として発足、このときの司令部は旅順。 その後、新京(満州国首都)へ移転という流れ。 そもそも満鉄警備のための守備隊が前身なので、東京に司令部を 置く意味が無い。 (330 612) かつて、帝国陸軍には普通の歩兵連隊とは別に機動連隊というものが3つありましたが、この連隊はどのような兵器や車両を装備をしていて、どのように運用されたのでしょうか? 機動連隊はコマンド部隊。 ソ連領内に密かに潜入して、司令部や鉄道などの重要施設を襲撃する目的のもの。 武装は一般歩兵用の軽火器とほぼ同じ。 短機関銃や爆薬なんかも持ってたようだ。 重装備はほとんどなく、迫撃砲若干程度。 移動手段も徒歩。迫撃砲や重機関銃は駄馬で運んだようだ。 特殊な機材として、経空侵入用の小型気球も研究されてたという。 光人社NF文庫から、「関東軍特殊部隊 闇に屠られた対ソ精鋭部隊」という本が出てるから、 詳細はそれを買って読むとよろしいかと。 なお、名前は似ているが、「機動歩兵連隊」「機動砲兵連隊」というのは別物。 こっちは戦車師団隷下の機械化歩兵部隊と機械化砲兵部隊のこと。 (607 258) 帝国陸軍の機動歩兵連隊とはどのようなものだったの? これは失礼。機動歩兵連隊は、戦車随伴歩兵として活動する機械化歩兵です。 各戦車師団に1個連隊ずつありました。ただし、戦車第4師団にはありません。 装備は基本的に一般の歩兵部隊と同じです。 ただし、対戦車砲として、一般歩兵の37mm速射砲より強力な、47mm速射砲を多数持っていました。 移動手段としては、装軌式・半装軌式の装甲兵車に全員乗車する計画でしたが、 実際には装甲兵車の生産が間に合わず、自動貨車(トラック)で代用していたようです。 若干の戦車・装甲車も持っていました。 戦車第1師団の機動歩兵第1連隊の定数として装軌車両222両、装輪車両87両と言います。 実際の終戦直前の機動歩兵第1連隊では、 装甲兵車39両、装軌貨車3両、自動貨車21両、軽装甲車15両、乗用車8両、指揮車1両。 大戦後期の機動歩兵第3連隊(戦車第3師団)では、 自動貨車250両以上と軽戦車10両、装甲兵車2両。 機動歩兵第2連隊(戦車第2師団)は、フィリピン進出時に車両の大半を残置し、 兵員の1/3が乗車、1/3が戦車に跨乗(タンクデサント)、1/3が徒歩。 (607 284) 帝国陸軍の戦車や装甲車には、いつごろから無線が搭載されるようになったのでしょうか? 装甲車両用の車載無線機は、昭和8年(1933年)頃に本格的研究が始まり、 九四式四号乙無線機として最初に制式化されました。 九二式重装甲車に搭載されたようです。 同じころに開発された九四式四号丙無線機は、八九式中戦車などに搭載されました。 いずれも車体レイアウトができてしまった後に、無理やり詰め込めるように設計したもので、 性能的にはあまり良くなかったようです。 その後、九五式装甲軌道車用に九六式二号戊無線機、 装甲作業機・九七式中戦車用に九六式四号戊無線機などが制式。 これらは九四式四号丙に空間的余裕を持たせて再設計したもの。 アンテナの形状も例の鉢巻きアンテナなど試行錯誤されてた様です。 指揮戦車用の高性能通信機としては、三式車両無線機甲がありました。 詳しくは「日本無線史」(電波監理委員会、1951年)の9巻をご覧ください。 (607 416) 師団制毒隊について、教えて下さい。 制毒隊とは、旧陸軍の化学戦部隊のようですが、主に防疫の為の部隊なんでしょうか。 化学兵器で敵を攻撃する能力はあったのでしょうか。 制毒隊は化学戦について、攻防両方の機能を一応は備えています。 攻撃面では、マスタードガスを背負い式の噴霧器や装甲車牽引式の撒布車両で撒き、 嘔吐剤を発煙筒式の発生装置で展張するほか、一般戦闘支援用の煙幕も運用します。 化学砲弾を飛ばすような火砲までは持っていません。 防衛面では、化学汚染地帯の突破用に、汚染を中和する晒し粉の撒布をする(制毒)ほか、 化学剤が付着した衣服などの洗浄(除毒)能力も持っていました。 ただ、充実した方でも200名強、小さくは80名程度の人員しかなく、作戦能力はささやかなもの。 一部師団では制毒隊ではなく制毒訓練所というのを持ってますが、これはもっと小規模なもの。 なお、「防疫」は化学戦ではなく生物戦の領域で、 担当するのは制毒隊ではなく、防疫給水部などになります。飲用水の殺菌とか。 去年復刻版が出たグランドパワー別冊「日本陸軍の特種部隊」が、化学戦部隊についてまとまってます。 (609 317) 日本陸軍の師団司令部の構成について、 師団長の補佐、秘書のようなことをする役職は副師団長と幕僚長のどちらなのでしょうか。 また、師団長と幕僚長では職務内容はどう違うのか、 階級が同じであった場合副師団長と幕僚長ではどちらが偉いのか、教えていただきたいです。 日本陸軍の師団本部の構成は、師団長の下に、 参謀の肩書きを持つ士官が3名(大佐、中ないし少佐、大尉)。 副官の肩書きを持つ士官が4名(少佐、大尉、中ないし少尉2名)。 参謀や副官のサポートを行う曹長ないし軍曹が9名。 計官が3名(主計官=中ないし少尉1名、曹長ないし軍曹2名) 副師団長という肩書きはない。 師団長に何らかの支障があれば、師団隷下の最先任の旅団長(少将)が代理することになる。 参謀の中の大佐が、参謀長=あんたの言う幕僚長ということになるが、あくまでも参謀。 師団長の役割が意思決定して命令を下すことにあるとすれば、 参謀の役割は、師団長の軍事に関する意思決定のサポートをすることにある。 つまりは作戦計画や補給計画の案を作たり、師団内の各部署と調整し、その執行を円滑にすることにある。 一方で、師団長の秘書的な事務的なサポートをこなすことが副官の役割になる。 で、雑用やら小間使いやらは、彼ら士官の指示によって、曹たちがこなす。 ついでに、計官というのは師団の経理をやってる人たち。 (614 152) 日本軍の機械化師団は、どのような輸送車両を使っていたのでしょうか? 国産車と外車がごっちゃになっていたりしたのですか? 主に馬匹(ry。 という冗談はさておき、国産車(豊田、日産、いすゞ(スミダ、ちよだ))と、外国車(組立シボレーと組立フォードが主) の両方が使われています。 とりあえず、数的には初期は外国車が多く、後に国産車が多くなってきますが、外国車を宛がわれた兵士は、 それがどんなに古いものでも喜んで受け取り、国産車が宛がわれた兵士は、水杯を交わしたくらいだったりします。 ちなみに、それらの車両の中で一番嫌われたのは、日産80型トラックでした。 (321 眠い人 ◆gQikaJHtf2) なんで旧陸軍には兵種に獣医科があるの? 旧軍の資料はなくても申し訳ないけど、ドイツ軍の歩兵師団で5000頭強の馬がいました。 旧軍も6000頭程度だったかと。 (320 675,678) 日本陸軍では、獣医部は、軍馬病毒の予防、傷病馬の治療など馬事衛生に関することを 所掌するのが主な業務で、また、食用獣の検査と蹄鉄に関する部分を取り扱います。 1930年代には日本に馬が150万頭おり、そのうち、労役に耐えうる6~17歳までの馬は、雄60万、 雌40万頭です。 平時で陸軍全体の馬匹は36000頭ですが、戦時には70~80万頭の馬を管理しなければならなく なります。 ちなみに、陸軍の軍馬については民間から購入する場合、購入価格は400~500円程度になります。 兵士の人件費よりは高く、維持費が年間1000円程度になりますので、大切にされることが多かった 訳です。 (320 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 旧日本陸軍が、師団の上の部隊単位の名称に「軍団」ではなく、「軍」の名称をつけたのは何故でしょうか? 明治維新後、日本陸軍を編成した際に軍と師団の間に軍団を設ける必要性も師団の数も無かったから。 軍団は普通は常設部隊だってのが分からんと、意味が通らんかも知らんな。 軍団を作らなきゃ成らんほど、平時編制の師団数が無いって話 もともと軍団という部隊単位を創設したのは、仏大陸軍であり、ナポレオンのアイディア。 師団という編成単位が一般化し、国民皆兵の徴兵制の導入によって師団数が急増。 野戦軍(軍)の下に師団が直結する編成方式だと、軍司令官の指揮統制能力を超える 部隊単位が軍の下にアタッチされることになることになる。 伝統的な組織理論だと、一般的に1人の上司が3~5人の部下になるように 組織を分節化して編成するのが良いとされるが、そういった経験則に基づいた処置だよね。 しかしながら、常設師団数が少なく、軍司令官が統率しなければならない師団級部隊の数が少なければ、 敢えて軍と師団の間の中間的な組織は必要はない。 (618 371-392) 陸軍で連合艦隊司令長官に相当する役職は何ですか? ない。 日本陸軍における最大の単位は総軍だが、 人数的な面は総軍のほうが大きいが、ほぼ日本海軍全部といっていい連合艦隊と比べると 総軍でも陸軍の一部。 (314 17) 書籍スレで石原莞爾が基地外呼ばわりされていたのですが、どうしてでしょうか? 石原莞爾が「独断先行」で満州国を作り上げたことは知っているよな? そのせいで日本陸軍では「独断先行」が常套手段になっちゃって、マトモな 軍隊ではなくなっていったわけだが、石原莞爾は現役を引退した(させられた) 後、どんどん中国大陸で無制限に戦線を拡大する現地司令部を批判した。 それに対して、「あんたと同じことをやっているだけだろう?」と反論されて、 石原は絶句したとか。 つまり彼は自分がやったことがどう言う影響を及ぼすのかを全く解ってなかった わけで、批判されてしかるべき人間。 (313 390) 石原莞爾は日蓮宗に傾倒していて、その影響が彼の行動、著作に如実に現れているから。 日蓮宗は終末思想バリバリの宗派。これを現実に反映させようとした時点で基地外と言われても仕方ない。 (313 394) 大東亜戦争中の海軍のラジオ放送は、バックで流れる音楽が『軍艦行進曲』ならいいニュース、『海行かば』なら悪いニュースとなっていたそうですが、陸軍はそういうのなかったの? 陸軍の場合は、「抜刀隊」がそれに当たります。 但し、広報については海軍ほど洗練されていませんでしたので、それ一辺倒だった様です。 (308 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 日本陸軍は何故、独自に空母や潜水艦をつくったのですか? そんなに海軍が信用できなかったのでしょうか。 信用がないと言うか、必要に迫られた訳です。 そもそも、日本海軍は、艦隊決戦に特化した歪な艦隊(上まぁこれは言い過ぎかも知れないが)なので、 陸軍が必要とする揚陸支援とか、そう言ったものに本腰を入れてくれません。 また、部隊の輸送についても、海軍輸送船の護衛が中心で、陸軍は余り考慮されていません。 従って、陸軍と雖も、戦闘機を搭載した揚陸支援用の空母が必要となりますし、物資を安全に前線まで 運搬する輸送用潜水艦が必要になった訳で。 (306 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 日本は陸上兵器(特に戦車)の運用思想が遅れてましたが、やはり島国だから陸で戦うことはあまり重要視してないんでしょうか? 戦車の運用に関しては、1931年の満州事変勃発以降中国大陸で本格的な戦車の 実戦使用を経ており、さらには1934年に独立混成第一旅団が編制されるなど、 機械化部隊の運用としてはむしろドイツやソ連より早いくらいです。 問題であったのは、わが国の乏しい開発力と工業力では機械化部隊を維持発展させることが 出来なかったことです。 独立混成第一旅団は1937年11月に解隊されますが、その理由として 攻撃力の不足 燃料弾薬の補給が大量に必要 などが上げられています。これは裏返せばわが国の乏しい開発力と工業力を如実にあらわしています。 さらに1939年のノモンハン事件で出動した第一戦車団が大量の損害を出して、戦車による 対戦車戦闘の重要性がクローズアップされたにもかかわらずその戦訓を隠蔽してしまい、 高価である戦車の改良や大量生産は後回しにされてしまいました。 (302 名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE) 太平洋戦争時の日本陸軍兵士の数はどれくらいですか? 太平洋戦争勃発時の動員兵力は全体で60個師団220万人(糧食250万人分)、このうち南方作戦に投入したのは、 僅か13個師団30万人(糧食40万人分)。 残りは、満州に24個師団120万人、中国に30個師団65万人に張り付いていた。 以降は以下の通り。 内地 中国 満州 南方 1942年度末 50万人 68万人 70万人 50万人 1943年度末 70万人 68万人 60万人 92万人 1944年度末 121万人 80万人 46万人 163万人 1945年度末 278万人 120万人 78万人 164万人 (110 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 日本軍の戦術で優れていた部分はありますか? 日本軍はソビエトの準備砲撃の後の浸透戦術において、逆に戦訓を与える程の 自動火器による支援射撃の下敵陣に浸透する戦術に優れていました。 (662 三等自営業 ◆LiXVy0DO8s) 陸軍はレーダー連動射撃装置完成して実戦投入したって聞きましたが本当ですか? ドイツのヴュルツブルグレーダーをコピーした物を開発していましたが、 実用にはならなかったはずです。 (58 474) 松井岩根や杉山元、畑俊六ら大先輩の陸軍大将を抑えて何故、師団長もやってない中将の東条がデカイ顔してリーダーになれたのですか? 東条英機はいわゆる統制派に属し、永田鉄山の暗殺や2・26事件を経て統制派の筆頭として 軍の主導権を握っていたからです。 政財界とも繋がりがあったようですし。 (58 624) 大日本帝国陸軍の輸送の主力は何だったのでしょうか? 馬匹です。ドイにもまして自動車化された部隊は少数でした。 輜重部隊の悪戦苦闘振りは光人社NF文庫の「インパール兵隊戦記」なども 参考になると思います。 遊就館に陳列されているのは八九式15センチ加農砲、九六式15センチ榴弾砲のようですが これら15センチ重砲には専用のトラクターが開発されています。 主に独立重砲兵連隊で運用されていました。 それより軽量な7.5センチ・10センチ級野砲を運用する野砲兵連隊は馬匹を用いています。 当時の野砲兵連隊では野砲48門に対し馬匹2269頭で編制されています。 (58 689) 帝国陸軍では中将の陸軍大臣と大将の軍司令官はどちらが偉いんですか? 大将。しかし、陸軍大臣は軍令ではなく軍政の責任者だから、軍司令官とは 命令されたり、命令したりする関係じゃない。 (61 386) 旧陸軍は機械化の必要性を重々承知しながらも財政的な制約から断念したのでしょうか? それとも決定的な破局を迎えるその時まで白兵主義の優位を確信していたのですか。 元々、日露戦争までの日本陸軍は、メッケルらドイツ陸軍の影響を受けて、ドイツ式火力主義、 つまり、迅速に機動する小銃・砲兵火力集中によって相手を圧倒する考えを持っており、歩兵の 白兵(銃剣)突撃に頼ることなく火力(銃砲弾の物量)で勝敗を決しようとする戦術思想が主流 でした。 その萌芽は、既に西南戦争後半の小銃火力の集中使用で見られています。 ちなみに、1891年版歩兵操典は1888年のドイツ帝国陸軍のそれをコピーしたもので、1898年に 日清戦争を受けて改訂されたものも、ほぼそれに沿っていました。 で、日露戦争で欧米列強陸軍が得た戦訓としては、 1. 重機関銃を陣地防御の要とする。 2. 敵陣突破の決め手は榴弾砲、とくに15cm以上の榴弾砲、10cm以上の加濃砲といった重砲の集中使用にある 3. 有刺鉄線の防御効果は絶大である。 と言うもので、各国は重機関銃、重砲の開発、大量配備に躍起となり、陸戦力の主力兵科となりました。 ところが、当事者の日本陸軍が白兵主義、砲兵軽視になるのは、 1. 砲弾、小銃弾の欠乏により火力主義が貫徹出来なかった。 開戦前の1903年から東京・大阪の両砲兵工廠で銃弾、砲弾の大量生産・備蓄と、開戦後の民間工場の 動員による銃砲弾の大量生産をしたが、それでも追いつかない状態(南山の戦闘では2日で3万発の砲弾 を使用したが、これは開戦前の半年分の消費量、砲弾生産量の三ヶ月分であり、旅順第一次総攻撃、遼陽 攻略で完全に欠乏、得利寺の戦闘では小銃弾が底を尽く状態)であったこと。 2. 砲兵運用の根本的誤りで、平坦地の会戦でも要塞戦でも砲弾は榴散弾を多用したこと。 消費された野山砲弾の弾種比率は、榴弾1に対し、榴散弾6であり、戦場からは榴弾補給を養成されていたが、 陸軍中央はこれを黙殺し、前線は効果のない砲撃を行なわざるを得ず、結果として歩兵の大量犠牲を必要と したため、歩兵からの砲兵に対する不信感を決定的なものにした。 3. ロシア陸軍は、フランスの影響を受けており、仏式白兵主義(強固な築城によって相手の火力をかわし、機を見て 火力支援を得て相手に接近し、歩兵の白兵突撃で勝敗を決する)を用兵の基本理念としていて、屡々白兵戦を挑 んできたこと、それに対する味方からの支援砲撃が、前述の通り効果が無く、ロシア兵の負傷率が比較的低い (ロシア側の砲弾による死傷率は14%程度だった)ことで、首脳部中に打撃力が予想外に低い砲兵への評価低下が 植え付けられたこと。 以上の三点があり、火力主義への不信感が芽生え、加えて白兵突撃で日露戦争を「勝利」してしまったことで、「日本式 戦法」が模索され始めました。 そして、1909年の歩兵操典改訂、翌年の野砲兵操典、輜重兵操典、12年の騎兵操典へと進みます。 1898年の歩兵操典では、「歩兵戦闘は火力を以て結晶することを常とす」と書かれ、更に、「多くの場合 に於て、近距離より優勢なる射撃を決勝点に聚注する時は、突撃は敵兵既に去りたるか、若しくは僅に 防支する陣地に向て行ふに過ぎさるものとす」と規定しているのに対し、1909年の歩兵操典改正理由書 では、「歩兵の戦闘主義は白兵にして射撃は此の白兵を使用する為に敵に近接するの一手段なりとの 主義を改正操典にて明確に指示せられたり。我国古来の戦闘法は…白兵主義にして白兵使用は我国人 独特の妙技なり。 故に益々此の長所を発揮して白兵戦闘の熟達を図ることは我国民の性格に適し、将来の戦闘に対する 妙決なれは…此の点に大いに力を作ること肝要なり」 としています。 その後、第一次大戦の戦訓と軍縮の狭間で、一定の近代化を行ないますが、これは、日本固有の地理的条件により、 ロシア帝国崩壊後は、純軍事的に見て欧米の第一級陸軍部隊との大規模戦闘は生起し得ないこと。 従って、欧米軍と同質の火力重視の武装を行なう切迫性に乏しく、陸軍内で対立が起きています。 近代化路線派は、宇垣一成を頂点とする省部中枢の長州系軍政家と永田鉄山ら、日露戦争後に出てきた陸大出の エリート幕僚、但し、これらは装備の更新を漠然としか考えていない層から、欧米流国家総力戦を志向する層まで 様々な層の寄せ集めで、平時の少数精鋭・戦時の大動員、ある程度の機械化のみ一致しているだけでした。 現状維持派は、歩兵中心・白兵主義を徹底的に突き詰めるもので、常時多兵、速戦即決、白兵突撃万能を説く保守派 でした。 彼らは上原勇作、福田雅太郎ら旧薩摩閥の作戦家を糾合しつつ、長州閥優先の派閥人事で左遷された大陸出先軍 の軍人、参謀本部第二部、隊付下級将校を中心に支持を集め、「貧乏所帯の日本が欧米流「長期消耗戦」を行なうこと は出来ないと説き、近代化路線を「器械主義」、欧米模倣の「弊風」、「皇国の独自性の放棄」、「攻撃精神の衰退」、 「国軍を顛覆せむと企図する」ものと非難していました。 この路線・派閥対立の最中の1928年、統帥綱領が改定されます。 これには、「統帥の本旨は常に戦力を充実し巧に之を敵軍に指向して其の実勢就中其無形的威力を最高度に発揚 するにあり、蓋輓近の物質的進歩著大なるものあるか故に妄に其威力を軽視すへからずと雖「勝敗の主因は依然と して精神的要素に存すること古来渝る所なけれはなり」況や帝国軍にありては、寡少の兵数不足資材を以て尚能く 叙上各般の要求を充足せしむへき場合尠少らさるに於いてをや」と有り、更に、1928年以降の歩兵操典などの改定 に於て、その改正理由書には、「我が将兵は陸軍の比類無き歴史と伝統とに思いを致し、益々忠君愛国の至誠を 磨き、訓練の実行を重ね、上下互いに信頼し合って一体となり、かくて生ずべき必勝の信念を常に確保して、如何なる 強敵に会しても恐るること無く勝利の一途に邁進しなければならぬ」 と段々、精神主義が強調されていくようになります。 (149 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 陸軍の士官学校の予科とは何なのでしょうか。 陸軍士官学校予科は大正九年(1920年)に設けられたもので、従来あった 陸軍中央幼年学校を改称したものです。 それ以前の士官への道は 陸軍地方幼年学校(予科)→陸軍中央幼年学校(本科)→士官候補生→陸軍士官学校 中学校(旧制)→士官候補生→陸軍士官学校 の二つがありました。 しかし、この二つは互いに派閥を形成して幼年学校出が中学校出を差別し、また 幼年学校出のほうが優遇される傾向が強くなりました。 このため、これら二つのコースを統合するために中央幼年学校本科を廃止して 陸軍士官学校予科として幼年学校・中学校出身双方を入校させました。 これにより 陸軍幼年学校/中学校4年修了→陸軍士官学校予科→士官候補生→陸軍士官学校本科 というコースが出来上がりました。 残念ながら、幼年学校と中学校出身者の対立はその後も続いたようです。 なお、昭和十三年には入校者の増加に伴い陸軍士官学校予科を陸軍予科士官学校として 陸軍士官学校から分離させています。 (292 名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE) 旧軍が6.5mmだった小銃弾を7.7mmにしたのはなぜでしょうか? 6.5mm弾は、他国の小銃と比較して、弱威力で有る事が目立った他は、 戦闘距離内での威力は必要にして充分、人馬への殺傷能力を保持していました。 7.7mm弾に移行した理由としては、上記の威力不足の他、自動火器への不適合から来る、 限定的な将来性しか無く、いずれにせよ新しい弾薬への移行が急がれたのです。 それについては賛否両論ありますが、理想的なのは、6、5mm弾の小銃、軽機関銃と、 7.7mm弾の中機関銃・汎用機関銃、13mm以上の重機関銃・車輌塔載機関銃と、 用途に拠って三種類程度に弾種を集約する事でした。 実際にはそれらの整備の最中に大東亜戦争の戦端が開いてしまい、結局何種類もの小銃弾薬、 機関銃弾薬をただでさえ乏しい兵站能力を酷使して補給せねばならず、 その混乱は、前線の火器が「補給を受けたのに不適合な弾薬が来たので」戦闘継続が不可能、 と言う、近代軍としては非常に恥ずかしい状況へと追い込まれたのです。 (676 三等自営業 ◆LiXVy0DO8s) 陸軍が土決戦用に編制した迫撃砲の部隊について教えて下さい。 本土決戦師団に於ては、師団砲兵隊の代りに迫撃連隊が編成されています。 また、各歩兵連隊の編成中、歩兵砲中隊の装備に迫撃砲がありますし、各大隊の歩兵砲隊の 代りに迫撃砲中隊が配備されていました。 迫撃連隊は、連隊本部と段列、迫撃砲3個中隊と大隊本部、段列から成る大隊で編成されています。 これには、二式12糎迫撃砲が一個中隊8門充て装備されています。 これで合計24門となります。 また、歩兵砲中隊には同じく二式12糎迫撃砲が4門、迫撃砲中隊には4門それぞれ配備されていました。 (但し、末期になればなるほど、編成が様々なので、定数がこれであるとはっきりは言えません) 装備された迫撃砲は二式12糎迫撃砲のみです。 九六式中迫撃砲は1941年6月から翌年7月までに僅か90門しか生産されていませんし、九七式中迫撃砲 は1941年に40門、42年に40門、43年に30門しか生産されていませんから到底戦力になり得ませんでした。 配備部隊としては、201、202、206、205、214、209、212、216の各師団がそう言った編成を取っています。 他にも配備された部隊があったかも知れませんが、記録は定かではありません。 戦史叢書辺りに掲載されているかもしれませんので、調べられては如何でしょうか。 ちなみに、二式12糎迫撃砲については、1945年に必要数が5500門、九九式軽迫撃砲が600門という数字が 出ていますが、生産予定数ですから、実際に生産されたのかは不明です。 (284 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 日本陸軍師団に関して、四単位制から三単位制へ移行した後の歩兵団及び歩兵団長職ってどのくらい必要性があったんでしょうか? 歩兵団長は平時には閑職だが、戦時には必要。 歩兵団という結節があると、例えば2個連隊に砲兵大隊を付属させて歩兵団長の指揮下で 戦闘に投入し、残り1個連隊は師団長が把握して予備とするとか柔軟な編成が可能。 つうか、そのための三単位師団だし。 (276 60) 日本軍は機関銃の実弾をどれぐらい携帯していたのでしょう 例えば99式 九九式よりも古い十一年式の場合、歩兵で鉄板製の弾薬匣に小銃弾120発、 それが無い場合は、麻布製の弾薬嚢(本来は弾薬匣を包んで運搬するもの)に 小銃弾150発。 これらは弾薬手が運搬していました。 自分で携行する場合は麻布製の弾薬盒に小銃弾60発を入れます。 騎兵の場合は、木製の弾薬箱に360発の小銃弾を収容します。 馬一頭につき、これを4箱駄載します。 射撃に関しては、あくまでも突撃時の支援火器として使用するもので、歩兵に随伴して 火力支援を行ないます。 但し、ドイツのものとは考え方が異なり、面制圧ではなく、拠点制圧として使用していました。 目標手前400~500mで5発点射、300mなら3発点射が標準になっていました。 そんなに、少なくて、機関銃としての十分な威力が発揮できたんでしょうか。 何か弾をケチケチ使うような印象があるのですが。 上でも書いたように、MG34の様な機関銃とは使い方が違います。 日本に於いての軽機関銃の使用は、歩兵と共に機関銃手も突撃し、歩兵の突撃に 邪魔になる目標を狙い撃ちする為のものです。 従って、機関銃手が多量の弾薬を携行していたら、歩兵の突撃について行けず、 有効な支援が出来ません。(一応、手持ち弾薬は弾薬盒のうち、30発入り前盒を2個 ぶら下げ、背部に60発入後盒を持っているので、携帯弾薬定数は120発。これに、 軽機関銃弾薬手が金属製の弾薬箱(120~150発)を抱えると言う形ですが) 一回の突撃で、数回5発ずつ発砲するとしても半分くらいは手持ち弾薬が残るという 計算でしょうか。 実弾に関してはその生産量が急激に増えた訳でもなく、出来るだけ節約する方向に ありました。 つまり同時期の米軍で言うところのBARのような物だった、と理解した方がいいのでしょうか? う~ん、位置付けはBARも同じなんですけど、自動小銃と機関銃の二兎を追う 性格が災いして、重く、反動が大きくて命中率が悪く、銃に装備できる弾薬数が さほどでもないという意味では、日本以上にあまり評価できないと思います。 結局はその穴埋めをしたのがM1Rifleだと思いますが。 (107 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 旧日本陸軍では上等兵から兵長になる為の条件はどんなものでしょうか? また、兵長から伍曹になる為の条件はどんなものでしょうか? 平時に於いて下士官になるには、徴兵による現役兵期間満了時に志願する形が一般的です。 しかしながら、現役兵期間の成績が参考にされますので、余り悪いと選抜されません。 (とは言え、平時に於いては、軍で必要とする下士官の数と、志願者の数はほぼ同数だったりしますが) 1927~38年に掛けては、歩兵、砲兵科の下士官候補者は、各地の陸軍教導学校で一年間、更に軍教育隊で 教育しています。(それ以外の兵科は各種学校で教育) もう一つ、徴収期間が満了して上等兵として除隊する時、下士官適任証を受けていますと、再招集された場合に 下士官として任官されます。 また、幹部候補生になって将校にならない場合は、予備役下士官に任ぜられます。 六週間現役制の場合、修了者は国民兵役に編入されますが、国民軍幹部適任証書が交付され、国民軍が編成 された場合は、彼らを以て幹部(下士官以上)に充当します。 下士官が足りなくなった1938年以降は、高等小学校卒業程度の者を陸軍航空学校、戦車学校生徒として二年間 教育し、一年で伍長にする少年飛行兵、少年戦車兵の制度が誕生しました。 この制度は、通信、砲兵、防空でも採用され、陸軍通信学校で教育する少年通信兵、陸軍野戦砲兵学校、陸軍 重砲兵学校、陸軍防空学校で教育する少年砲兵、少年防空兵がありました。 1943年より、特別幹部候補生制度が出来、15~20歳の者に一年半の教育を施して現役下士官とし、二年後に予備 役とすることになり、飛行、船舶、兵技、通信、航技について募集しています。 このほか、技術下士官は陸軍兵器学校生徒から、経理部下士官は経理部少年委託生徒から、憲兵下士官は憲兵 上等兵(後に兵長)から昇進させることで対応しています。 戦時には、在隊期間が長くなって、伍長が兵長の昇進先となり、志願に拠らない下士官も多数生まれ、1938年に召 集中の予備役軍曹、伍長で志願する者を現役とする措置が執られています。 なお、下士官の進級の実役停年は、曹長二年、軍曹三年、伍長半年でしたが、1941年以降、曹長四年、軍曹二年、 伍長一年となっています。 (110 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 日本陸軍の自動車化された歩兵部隊や捜索連隊の乗車中隊に配備された自動貨車と、部隊あたりの配備数などをどうか教えてください。 小隊や中隊を何両で運んだかとかが知りたいんです。 基本的に自動貨車の配備数は余り多くありません。 例えば、第23師団の捜索連隊には自動貨車30台という数字が残っていますが、中隊毎にどれくらいの 数を配分したかはよく判らない状況です。 輜重兵中隊の場合は、自動貨車40両基幹になっています。 自動貨車には完全武装の兵士15名、または荷物500貫を載せることが出来ましたので、例えば、歩兵 分隊を輸送する場合、単純計算では自動貨車1台があれば足ります。 1個小隊は4個分隊ですから、単純計算で、5台程度の自動貨車が必要になるでしょう。 1個中隊は4個小隊と指揮班、弾薬小隊が付きますから、大体輜重兵中隊の自動貨車分が必要になり ますね。 (275 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 方面軍直轄の大隊の大隊長が野戦昇進か何かで連隊長になるようなケースはあったのでしょうか。 聯隊長には一般的に少将が親補されます。 一方、大隊長は一般的に佐官が任命されます。 但し、戦争末期の聯隊乱造状況では、少将が足りなくなり、大佐でもそれなりに軍歴のある人 であれば、聯隊長への昇進が可能でした。 (274 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 幼年学校、陸軍士官学校の入試科目、教育内容がどういうものだったか調べたいのですが 陸軍幼年学校は3年課程です。 入学資格は、13歳以上15歳未満という年齢上の制限だけで、学歴上の制限はありません。 但し、その試験は(当時の)中学校1年程度の学力試験、即ち、国語、漢文、外国語、歴史、地理、数学、 理科(地学・生物学)から出題されたみたいです。 外国語試験は英語、フランス語、ドイツ語から選択されます。 このため、高等小学校卒業程度の学力で幼年学校に入学するのは難しかった様です。 (辻ーんの様な例外は居ますが) 教育内容は、基礎素養教育(普通の中学校教育に相当)が主であり、これに外国語の習得が加わります。 外国語は、フランス語、ドイツ語、ロシア語のいずれかを選択するもので、英語はありませんでした。 (昭和期にやっと英語と中国語が加わりますが) ちなみに、軍事知識の教育は、同年代の中学生が学校教練で学ぶものの方が豊富だったと言われています。 幼年学校卒業、または中学校卒業した者は、その後、陸軍予科士官学校にて2年間教育を受けます。 入学資格は幼年学校卒業生もしくは、中学校卒業程度の学力を有するもので、16~20歳の者です。 この試験内容は、中学校4年程度の学力試験で、国語、漢文、外国語、歴史、地理、数学、理科、公民から 出題されたようです。 ちなみに、東北の中学校の例では、200名中、1935年までは、成績上位30番以内が入学出来、1936年には 上位5、60番以内、1937年には更に増え、100番~120番でも合格出来たそうです。 陸軍予科士官学校では、国語及び漢文、外国語(英独仏露中のうちから一つ)、歴史、数学、理科(物理、 化学)、地理及び地質、心理及び論理、公民(法制及び経済)、図画の様な、高等学校高等科の科目と、 教練、陣中勤務、射撃、剣術体操、柔道馬術、訓話、内務班指導及び検査などがありました。 この過程を修了後、半年間の士官候補生勤務を経て、本科に進みます。 陸軍士官学校では、戦術学、戦史、軍制学、兵器学、射撃学、航空学、築城学、交通学、測図学、馬学、 衛生学、教育学、外国語、校内教練、校外教練、陣中勤務、射撃、剣術、体操、馬術、典範令、服務提要 などのカリキュラムがあります。 なお、教育学を履修するのは、軍隊教育の教育者として、彼等を養成する必要がある為であり、これは 必須科目として、陸士から、東大教育学科に派遣される場合もありました。 (122 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 東條を始めとする日本陸軍の対米開戦支持派ってアメリカに留学経験とか行った経験ないのでしょうか? 五十六のようにアメリカの強大な工業力を知っていれば対米開戦という愚考を犯すことはなかったのでは? いわゆる「バーデンバーデンの密約」に代表されるように、当時の陸軍では ドイツに留学したメンバーが派閥として非常に大きな勢力を持っていました。 当時の陸軍では、陸大を卒業した将校の多くが一度は専修語学の国を対照とした 外国出張の機会を与えられていました。 帰国後も彼らは派閥を形成し、陸軍内部で大きな勢力を形成していきます。 なお、英語専修の場合は英国が出張先に選ばれたようで、今村均大将と本間雅晴大将は 大正7年に英国に出張しています。 (267 名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE) 戦前の日本陸軍が大型の火砲の実弾演習をするところは、どこだったんでしょう? 渥美半島の先端に、陸軍技術研究所伊良湖試験場と言うのがあり、此処で大阪砲兵工廠にて 試作した大砲、砲弾、信管の試験データの採取、鹵獲砲の試験を行っています。 1901年11月30日に開設、敷地面積285万坪の広大な試験場です。 後、赤城山北面山麓一帯では、迫撃砲の演習場ですが、実際は化学戦部隊、 つまり、毒ガス弾専用の射場でした。 後、15糎高射砲弾道試験用には浜松試験場を有しており、他に1920年、海岸砲兵用の 41糎榴弾砲試射の為に、射程が大きすぎて伊良湖試験場では対応出来ないため、今の千葉県富津岬に、 富津試験場が整備されています。 此処では、41糎榴弾砲の他、24糎加農砲の試験も行われています。 これは東京湾元洲砲台の跡地に建設され、射線は房総半島に平行して、上総湊方面に1万メートル、館山 方面に向けて3万5千メートルでした。 伊良湖試験場、富津試験場ともいくらかの遺構は残っているようです。 (266 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 日本軍は大陸などに展開する師団の中に自活班を置いて糧食やらを自弁していたようですが この自活班の編成にさいして、どんな用意がされてたのでしょうか? 情報に関しては、大本営陸軍部で編纂された所謂「戦訓報」、「戦訓速報」によって、 各部隊の有効な経験を各方面の部隊に展開するようにしています。 例えば、「戦訓速報」第二号には、南方第一線から南方への転用部隊に対する教育 訓練についての提言で、大まかな情報が寄せられていますし、戦訓報第十四号では、 無煙竈の作り方について満州の部隊で研究した結果を公開しています。 また、「現地自活(衣糧)の勝利」と言うマニュアルが陸軍省経理局衣糧課で編纂されて 各部隊に配布されました。 これは、随時追加、改訂が成されています。 これをベースに南方軍は独自に「南方地域現地自活教本」を編纂し主要部隊に配布して います。 但し、兵要地誌については、陸軍の研究は後手に回っており(本格研究は1943年以降)、 現地に行って初めて、これが必要とされるケースが多いわけで。 (261 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 当初陸軍は各地に鎮台を置き、後にそれを師団に改めましたが、鎮台制と師団制はどのような違いがあるのでしょうか。 1871年に発足した鎮台は、地方の治安維持を担う為、藩兵の整理、再編成を行なって 編成されました。 当時の模範兵制はフランス式でしたが、これでは、ロシアの脅威に対抗出来ないことから、 山県有朋、川村純義、西郷従道を中心に外征軍への転換に関する意見書を同年に早くも 提出し、その後の普仏戦争でのFranceの敗退で、1886年にドイツ兵制に移行し、1888年に 六鎮台(東京、大阪、鎮西(熊本)、東北(仙台)、名古屋、広島)を廃止して、師団が編成 されています。 師団は、それ自体が一個の戦闘単位となるような編成であり、工兵大隊、大小架橋縦列、 輜重兵大隊、弾薬大隊、衛生隊、野戦病院と言った後方部隊も含めたものになっています。 鎮台の場合は、歩・騎・砲は揃っていますが、工兵、輜重兵は小部隊でしかなく、なおかつ、 衛生関係の部隊はありません。 これは当初、ドイツの山砲兵師団の編制をそっくりそのまま移植したものですが、日清戦争 に至るまでに、輸送部隊関係(弾薬縦列大隊、輜重兵大隊)はやや簡素化されています。 (135 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 日本陸軍の戦車連隊の編成について教えて下さい。 1942年当時の戦車第一聯隊の定数は、 連隊本部:九七式中戦車×2、九五式軽戦車×1 第一中隊中隊本部:九五式軽戦車×1 第一小隊~第三小隊:九五式軽戦車×各3 第二中隊中隊本部:九七式中戦車×1、九五式軽戦車×2 第一小隊~第三小隊:九七式中戦車×各3 第三中隊、第四中隊は第二中隊と同じ 合計して、九五式軽戦車×約20、九七式中戦車×32くらいでしょうか。 これが時代が下ると、更に砲戦車中隊が1個増え、戦車の定数は77両となります。 戦車師団の編成表上では、装軌車1,579両、装輪車875両。 師団司令部:装軌車×35、装輪車×31 旅団司令部:装軌車×10 戦車聯隊:装軌車×178、装輪車×26 戦車聯隊:装軌車×178、装輪車×26 旅団司令部:装軌車×10 戦車聯隊:装軌車×178、装輪車×26 戦車聯隊:装軌車×178、装輪車×26 機動歩兵連隊:装軌車×222、装輪車×87 歩兵大隊×3、歩兵砲中隊×1、整備中隊×1 師団速射砲隊:装軌車×45、装輪車×87、機動47mm砲×18 速射砲中隊×3、整備中隊×1 師団捜索隊:装軌車×91、装輪車×12 歩兵中隊×1、砲戦車中隊×1、整備中隊×1 機動砲兵聯隊:装軌車×89、装輪車×73、九○式野砲×12、九一式重榴弾砲×24 野砲大隊×1、榴弾砲大隊×2、整備中隊×1 師団防空隊:装軌車×105、装輪車×63、八八式高射砲×8、九八式対空機関砲×24 高射砲中隊×2、機関砲中隊×4、整備中隊×1 師団工兵隊:装軌車×122、装輪車×50 師団整備隊:装軌車×15、装輪車×152 師団輜重隊:装軌車×100、装輪車×216 (139 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 陸軍経理学校について教えて。 陸軍経理学校は、明治19年(1886年)に開校した陸軍軍吏学舎が元になっています。 当初は初級経理部士官を養成するため、下士官から選抜された生徒を採用していましたが、 明治23年(1890年)に陸軍経理学校と改称されてから高級経理官の養成を行うようになりました。 陸軍経理学校の生徒は上記の通り、下士官や兵科の尉官から選抜されていました。 しかし、明治36年~大正11年までの19年間と、昭和11年以降敗戦までの10年間は 一般から生徒(主計候補生)を募集しています。 (250 名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE) 日本陸軍の獣医将校の待遇などについて教えてください。 獣医部では陸軍で使用す主に軍馬の医療(稀に軍犬の医療も)を担当します。 その任務は軍馬病毒予防、傷病馬の治療、馬事衛生一般に関する業務と、 合わせて、食用獣の検査、蹄鉄に関する業務を取り扱います。 1930年代、平時の陸軍では36,000頭、戦時になると70~80万頭の馬が必要に なるので、この任務は重要です。 獣医部の将校担当官は、大学・専門学校獣医科卒業生を見習獣医として採用し、 陸軍獣医学校で教育した後、二等または三等獣医に任命します。 もう一つのスキルパスとして、上等蹄鉄工長(後、獣医務准尉)を実業学校令に 基づく獣医学校に派遣し、卒業と共に、獣医師免許を得ることで三等獣医となる ケースもありましたが、実業学校での獣医師免許取得が不可能になったので、 少尉候補者は、陸軍獣医学校で教育した後、獣医務准尉の上の階級としての 獣医務少尉から獣医務大尉までの階級が出来ました。 但し、彼等は、獣医師免許は持っていません。 最高位は獣医中将で以下、獣医少将、同大佐、同中佐、同少佐、同大尉、同 中尉、同少尉が獣医師免許を持っている者で、獣医師免許のない者は、獣医務 少尉、同中尉、同大尉までとなっています。 以下、獣医師免許のない獣医務准尉、獣医務曹長、獣医務軍曹、獣医務伍長と続きます。 (246 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 陸軍幼年学校は、陸軍士官学校に入るための学校だったのですよね? 陸軍幼年学校は、1897年から1918年に掛けては、3年制の陸軍地方幼年学校(東京、仙台、 名古屋、大阪、広島、熊本、後、1903年に東京は陸軍幼年学校予科となる)と、1年8ヶ月制の 陸軍中央幼年学校がありました。 これは中学校4年修了(修了年の9月から)で地方校に入り、次いで中央校に進学すると言う スキルパスを経ます。 1920年に中央幼年学校は陸軍士官学校予科となり、軍縮の影響で、一旦東京以外の地方校 は廃止となります。 しかし、1936~39年に地方校は復活し、三年制4月入学となりました。 年齢的には、12歳は入学資格がありますが、直接尋常小学校卒業生は入学させず、実際には、 13歳以上15歳未満という年齢制限を課しています。 幼年学校を卒業すると、運が良ければ、陸軍士官学校予科進学となります。 しかし、中学校→陸軍士官学校→陸軍大学校のスキルパスが優位にあったりします。 幼年学校的なものは米国にもあります。 映画にも何回かなっていると思いますので、探してみては如何でしょう。 (243 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 陸軍では将校の拳銃は自前だったようですが、 どの拳銃が持たれる事が多かったのでしょうか? 一応、将校が購入する拳銃としては、南部式、14年式といった国産自動拳銃が主だった ようですが、前者は威力が足りず、価格が高くて品切れ状態、後者は大型で重すぎ、 しかも価格が高いと言ったモノでしたので、モーゼル、ブローニング、コルト、ベルグマン、 パラベリューム、エキスプレス、ハーリントン、アストラ、ユニオン、ローヤル、スター、 シムソン、ダントン、ベラー、コンチネンタル、レジナ、ベアード、ビッカース、デモン、 ジュピター、ウェブリー、マンリッヘル、グリセンチ、レキザーなど、東西の拳銃なら何でも 購入し、装備していましたので、兵器部や野戦兵器廠は大変だったそうです。 (有名どころは兎も角、それ以外のものは使用に耐えうるか、現品を見て、実包を装填し、 検査しないといけなかったりするので) 基本的には、国産以外なら、ブローニング、コルト、モーゼルが好まれたみたいで、特に 大陸ではモーゼルが生産されていたことで、部品の供給も容易で、しかも威力があるため、 これが結構好まれたりしています。 前二者に関しては、航空兵が好んで装備していたようです。 また、蘭印占領時にルガーが3000丁没収されています。 (162 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 参謀本部の独立とは具体的にどういうことですか? あと、独立してるなら中の人は陸軍省から出向扱いみたいにして参謀になるのですか? 参謀本部の仕事は軍令…つまりすべての陸軍の作戦・行動を計画実行する機関であり、 統帥権を持つ天皇の手足となって働くことが建前上の存在意義です。 いわば、政府や議会から横槍を入れられることなく、建前上は天皇の意のままに陸軍作戦を考え実行できます。 これが参謀本部の独立性。 参謀本部は、永遠に「極東からロシア人を追放する」方法を考え続け、いつでも実行できるよう備える権利があります。 そこで政府に対して「ここと同盟組め」「この装備をそろえる金をよこせ」「ここに基地を造らせろ」と 憲法にこだわらないで実現化の努力を続けることができます。 これに対し、陸軍省は政府の一部であり、 「金がないんです。シベリアから撤兵します。ついでに師団も減らします」とか 「イギリスと約束してるんです。ドイツと戦ってください」とか、政府を代表して参謀本部と直談判できる立場にあります。 参謀本部が陣取り合戦の夢を見られるのに対して、 陸軍省は日本政府の陸軍担当として、予算や条約を第一にして日本という国家の利益と地位を守る責務があります。 陸軍省が従うのは参謀本部のわがままではなく、 第一に憲法、外務省が主導して他国と結んだ条約、そして国家予算の配分を守る義務を負っています。 (229 鷂 ◆Kr61cmWkkQ) 連隊長と連隊区司令官との違いは何でしょうか? 聯隊は一般に独立団体と言い、一つの兵営を構え、陸軍部隊組織のうち最も重要なものとされています。 聯隊長は、一つの兵営の長として、その統率に当たり、日夜将校以下を訓練して精鋭な軍隊を教育し、 聯隊の戦力を充実し、動員計画を完備する役職にある人のことを指し、歩兵聯隊長は概ね大佐、騎兵聯隊 長は概ね中佐でありました。 聯隊区司令部というのは、徴兵、動員、召集、在郷軍人の指導などを掌る機関として、大正12年勅令第267号 聯隊区司令部令に基づき、全国各地に置かれていました。 平時は師管(各師団の管轄範囲)を四つに分け、ほぼ歩兵聯隊の所在地または近接市に聯隊区司令部を 設置しました。 聯隊区司令部は、長を聯隊区司令官と言い、大佐クラスがなり、他に副官1名、部員数名、下士官2~3名、 属10数名で構成されていました。 1941年に、北海道を除く1府県1聯隊区に再編成され、平時編制の聯隊区司令部は閉鎖し、臨時編制になる 聯隊区司令部と、地区司令官が設置されました。 聯隊区司令官と地区司令官は兼職として、六大都府県は中将、他は中少将が就きました。 地区司令官は、師管区司令官に隷属し、隷下部隊を統率して地区の防衛にあたるものになります。 なお、外地の在留邦人、在留軍人の服役関係事務については、関東軍、朝鮮軍、台湾軍司令官の下、各地に 陸軍兵事部を置いてこれが聯隊区司令部と同様の任務に就いています。 (229 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 鎮台制が廃れたのはなぜですか? 鎮台制は、基本的に歩兵、砲兵、騎兵と言った第一線装備だけで編制されており、 治安維持を目的としていました。 補給段列も小規模で、長期的な外征には向きません。 一方、師団はその第一線を支えるための各種段列が充実しており、それだけで 一つの独立した戦闘単位となります。 但し、鎮台制に比べると必要とする規模は必然的に大きくなるので、軍事費の 割合、募兵する人数が大きくなり、軍備拡張は経済を圧迫する形となります。 (188 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 日本陸軍の「勤務隊(中隊)」と「輸卒隊」の違いは何なのですか? 勤務隊と言うと、師団にある兵器勤務隊と、大戦時に編成された臨時勤務隊があります。 前者は、師団内に於ける兵器修理の為の組織で、それには兵士が所属していました。 後者であれば、補給の望めない地区に派遣される師団や独立中隊などの自活の為に、 鋤や鍬を持って、農地を切り開いたりする軍属の集団で、徴用された人が多かったみたい です。 輸卒隊は、輜重兵部隊に配備され、駄馬や輓馬の馬の口を取る役割を持つ、輜重輸卒 (1931年に輜重特務兵と改称)の集団のことです。 その教育期間は2ヶ月で、その中身は徒歩、輓駄馬、梱包積載、陣中勤務からなってい ました。 彼らは戦時召集されて任務に就きますが、長期にわたることを想定せず、万年二等兵で したが、板垣征四郎が陸軍大臣に就任した1937年に一等兵への進級が認められ、1939年に やっと輜重兵と改称されました。 但し、正規の輜重兵とは武士と足軽のような関係で、輜重兵は長靴、長剣を帯びて馬に乗り、 二等兵でも一個班15名の輸卒を統率するのに対し、輸卒はゲートルにゴボウ剣で馬の口を 取る仕事をしていました。 余談ながら、輸卒を統率する必要があるため、輜重兵は二等兵であっても、軍曹並みの指導力 を必要としたそうです。 (190 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 日本軍に「自動車連隊」という部隊は編成されていたんでしょうか? 自動車連隊とは、関東軍自動車隊を昭和11年に改変して自動車第一連隊を 編成したのが始まりで、六個の連隊が編成されましたが、16年の関特演で これらは独立自動車大隊に改変されました。 同様に中国戦線でも兵站自動車中隊を改変して19個の自動車連隊が編成されました。 その編成は自動車4個中隊と材料廠からなり、傘下には連隊長以下人員700名、 自動車300両を装備しました。 お尋ねの自動車34連隊とは自動車第三十四連隊として昭和16年5月に沙洋鎮で 編成された部隊です。 編成以来十一軍に所属し、湘桂作戦(大陸打通作戦)中の編成表でも軍直轄部隊に 含まれています。 終戦時の所在地は中支。 (198 名無し軍曹 ◆Sgt/Z4fqbE) 日本の空挺部隊は41年実戦配備ということですが、空挺部隊員になる道のりを教えて下さい また米軍の場合どういう扱いだったのですか? 米軍の空挺部隊は、確か1940年9月に一個大隊を編成していたかと記憶しています。 なので、日本軍よりも早くに編成していますね。 日本陸軍に於いての空挺部隊は、軍極秘扱いであり、編成の際には、陸軍の場合、「機動部隊要員」 と言う名目で各部隊から優秀者を集めています。 海軍に関しては秘匿は特に進められていません。 米軍に関しては、特に極秘扱いではないでしょうね。 これも各部隊から選抜されて、空挺部隊に入隊していますので、エリート扱いではあります。 空挺部隊の隊員になる訓練ですが、陸軍の場合、まず、陸軍の体操学校である、陸軍戸山学校に隊員が集められ、1ヶ月間 地上での基礎訓練が行われました。 ここでは関節の柔軟性を高め、筋肉を強靱にするなど、降下に必要な体力作り、運動神経の向上に主眼が置かれています。 翌月に、所沢の陸軍航空整備学校に移り、降下訓練を行い、実機を用いての降下も行っています。 このほか、読売遊園地落下傘塔で、降下訓練も実施しています。 基礎訓練終了後は、三方ヶ原に開設されていた、陸軍飛行学校付属挺進練習部に移り、本格的な降下訓練を開始。 次いで、訓練の秘匿のために、満州の白城子に移駐しますが、最終的には新田原に移って降下訓練を続け、9月に 編成を完了しています。 ちなみに、海軍の方は館山で似たような訓練を行っていました。 (210 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 旧軍の兵営生活とはどんなものだったの? 1. 真夜中に突然点呼ラッパが鳴ることがある。これを臨時点呼という。その方法は日常の点呼と同じである。 2. 起床から夕食時間までの間は、寝台上に横たわらないことになっている。これは放縦に流れないためである。 しかし一般休日と、特に許されたときは、朝から寝台につくことができる。 3. 平常室内では上着の釦を外し、またこれを脱いでもいいが、検閲、検査、巡視の際は許されない。 4. 世論、政治に関することに携わってはならない。学術技芸に関する事なれば、中隊長の許可を受け、これに出席 または参加することが出来る。 5. 軍隊に関する書物以外の書物を見たい場合は、内務班長を経て、中隊長に願い出る。 6. 官給品と金銭は決して貸借してはならぬ。また金銭物品を賭けて勝負事等するのは厳禁である。 7. 柱・梁、羽目板、器具などに妄りに釘を打ってはいけない。 8. 用がないのに工場や倉庫、炊事場などに立ち寄ってはならぬ。 9. 許可のない品物を営内に持ち込んだり、官給品を営外に持ち出してはならぬ。 (しょうもない知識を披露するスレ11 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 明治陸軍は初期に師団ではなく鎮台という単位を持っていたそうですが、この鎮台の長はなんという役職なのでしょう? 確か司令長官だったかと記憶しています。 これは後の師団に当たるものですが、国内治安対策用の編成で地方軍と 言う性格でした。 東京、大阪、鎮西(熊本後に小倉)、東北(仙台後に石巻)に設置され、 主に各藩(後に県)から士族を募り(壮兵)、近衛と併せて常備軍になっています。 その後、壮兵だけでは反乱が勃発した際に、寝返る可能性があるため、山県 によって徴兵令が施行され、各鎮台に徴兵が入ることになりました。 明治6年、名古屋、広島にも設置されています。 明治21年に国内情勢が一段落し、外征を考慮する様になると師団と改称されました。 鎮台の下には連隊が来ます。 編成としては、各軍管区に分かれ、 第一軍管区=鎮台(東京) 第一歩兵連隊(東京) 第二(佐倉) 第三(新潟) 第二軍管区=鎮台(仙台) 第四(仙台) 第五(青森) 第三軍管区=鎮台(名古屋) 第六(名古屋) 第七(金沢) 第四軍管区=鎮台(大阪) 第八(大阪) 第九(大津) 第十(姫路) 第五軍管区=鎮台(広島) 第十一(広島) 第十二(丸亀) 第六軍管区=鎮台(熊本) 第十三(熊本) 第十四(小倉) となっています。 各連隊は初期には二個大隊で編成され、西南戦争直前に三個大隊に拡張しています。 なお、各鎮台には分営と称するものがあり、各道府県に設置されています。 (62 眠い人 ◆gQikaJHtf2) 陸軍士官学校は、現在の市ヶ谷駐屯地の辺りにあったのだと思ってたんですけど、間違ってます? 陸軍士官学校は元々は市ヶ谷にあったのだが、昭和12年に陸軍予科士官学校が分離独立した際に、 それまでの陸士本科が座間に移転した(予科士官学校は市ヶ谷のまま) (俺初質スレ2050 23) だとすると、陸士というのは一般的に本科を指しますから、陸軍士官学校=座間という事でいいんですか? (海兵=江田島というような意味合いで) 昭和12年以降はそうだな 期間で言えば市ヶ谷にあった時代の方が長いが (俺初質スレ2050 25) その当時は座間市はなかったので、相武台と言われてたけどな。 (俺初質スレ2050 27) 八甲田山の遭難部隊のビバークをみますと、ただ地面に掘っただけで、吹きさらしの悲惨な状況になってしまっています。 傾斜地に雪洞を掘れば、かなりマシになるはずですが http //b-spot.seesaa.net/article/21734396.html 右も左もわからんからだろ (俺初質スレ50505 31) 雪洞を掘れるような適当な傾斜地があったかどうかは別としても、 雪洞なら一人乃至二人程度に分散してしまって部隊としての 統制が取れなくなるという危惧はあったんじゃないかな。 リンク先の画像が史実に基づいているなら、分隊から小隊規模で 雪壕を掘ったものと思われ (俺初質スレ50505 32)
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/3023.html
登録日:2011/04/29 Fri 17 41 15 更新日:2024/09/04 Wed 01 30 42NEW! 所要時間:約 4 分で読めます ▽タグ一覧 ガンガディア キギロ ダイの大冒険 デストロール ドラクエ ドラゴンクエスト ハドラー バルトス ヒュンケル ブラス 人格者 勇者アバンと獄炎の魔王 地獄の騎士 壊滅組織項目 悪の組織 旧魔王軍 架空の組織 組織 魔王軍 アバンめ 束の間の平和をせいぜい楽しんでおけ・・ 新生魔王軍が誕生したら・・真っ先に殺してやる・・!! 漫画「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」の過去において語られる敵集団。 ●目次 【概要】 【メンバー】魔王ハドラー 幹部『地獄の騎士』バルトス 『鬼面道士』ブラス 『亜人面樹』キギロ 『デストロール』ガンガディア その他戦力巨大マンイーター エビルマージ 悪魔の大目玉 キラーマシン グランナード 【拠点】『地底魔城』 【概要】 かつての魔王ハドラーに率いられ世界を脅かすも、かつての勇者アバンやその仲間達にハドラーが倒されたことで勢力を失った。 時折その戦いが回想などで描かれるが、そのエピソードは断片的なもの。 ちなみに旧魔王軍の侵略が開始されたのは21年前、ハドラーが倒されたのは15年前である。 地上国家は徐々に生存圏を削られながらもどうにか抵抗を続けており、特にカール王国は手強くハドラーにとっては目の上の瘤だったという。 スピンオフ漫画「勇者アバンと獄炎の魔王」にて、組織の構成など詳細が語られている。 後の六大団長よりは格段に劣る戦力である(*1)ことを意識して描写されているが、地上侵略を目論むだけあって、いずれも曲者が揃っている。 またあちらと異なり、幹部同士の関係が比較的良好(*2)。 野心に燃えるハドラーは自分が最強という自負の元、勢力を拡大しつつ世界征服に向けて邁進していた。 地上には他にも地上支配を目論む魔物やその集団が存在したようだが、ハドラー魔王軍の実力と権勢に気圧されており、機を窺う者が大半だったらしい。 後の新生大魔王軍では部下になる者達とも、この時期からの知己である。 ザボエラとは互いに一目置く取引相手という間柄。 クロコダインは名誉に執着せず武者修行の旅を続けており、地上制覇に挑戦するハドラーに敬意を寄せる武芸者だった。 後のハドラーがザボエラの実力には期待と信頼を寄せしつつも人柄は信用せず、クロコダインに全幅の信頼を寄せていたのもこうした事情故であろう。 【メンバー】 魔王ハドラー 魔界の神……か…… 面白い。ならば見ていてもらおうではないか この地上を獄炎に焼き尽くす我が覇道を! 詳細は項目参照。 当時はフードを被る魔道士然とした風貌。 初戦では後のように闘気を使う場面は見られずアバン相手に肉弾戦で梃子摺ったことから、呪文による戦いに長じている印象が強かった。 だが、実際にはアバンとの邂逅時は人間を見くびり過ぎて面食らっていただけのこと。 本編における神の化身や、神を超越すると謳われる超常の存在達。撫でるような手刀で鋼鉄が粉砕するのは当たり前だったり、あまつさえ切断された腕を瞬く間に生やせる彼等と比べれば、魔王ハドラーが見劣りはしてしまうのは否めない。 だが、この当時のハドラーもこの世界において傑出した存在であるのは間違いない。 意図的にその脅威を隠す超常の存在を除けば、その覇気と魔力によって世界中の魔物に影響を与えるのは魔王ハドラーのみ。 闘気の中でも特殊とされる暗黒闘気を無意識ながらも行使することが出来る他、時間さえかければ切断された腕が生えて、深々と刻まれた傷も癒える再生力は魔族の中でも突出している。 この頃から、幹部のガンガディアと並ぶ怪力で卓越した格闘術を振るい、ただの拳の風圧で前方2メートル程の石畳が砕けてしまう。 掌に微弱な爆裂系魔法を纏わせて敵の剣戟を受け止める等、魔法も器用に駆使し、技巧も卓越している。 そして何より、慢心したままなんでも喰らうのではなく、明敏に危機を察知して的確にダメージコントロールを行う。 直感と洞察で致命傷を避けて敵の攻撃を受け流すか回避する戦闘センスと、高い治癒力で多少の傷は闘いながら再生させる体質がもたらすしぶとさが、ハドラーを難攻不落な強豪足らしめている。 「勇者アバンと獄炎の魔王」時代は大魔王バーン・竜の騎士の存在も知らないようで、後の保身や自分より強い部下に怯える中間管理職魔軍司令時代と違い、魔王として威風堂々と振る舞う。 上述の通りダイの大冒険本編に比べるとハドラー自身の実力もまた落ちるものの、自分が最強と信じつつも飽くなき上昇志向を抱き、より強くなることに余念が無い(*3)。 強い部下にしか興味はないと言い放ち、力を失った部下は容赦なく冷遇するが、これもその部下が這い上がって来ることを期待してのこと。 失態を犯せば即座に処断するような短絡さはなく、曲者揃いの部下達に対しても寛容さと器の大きさを見せていた。 皮肉なことに「成長を期待して敢えて冷遇する」という処遇受けて怯える立場に、後年になって自分が陥ることはこの時知る由もない……。 地上国家の中で最も激しく抵抗していたカール王国から希望の芽を摘むべくフローラ姫の拉致を目論み、アバンにそれを阻止されて以降、5年間遅々としながらも進行していた地上侵略が一変した。 アバンのことを有望な玩具と看做していたハドラーだったが、旅を経て力を付けたアバンへの興味を抑えきれずにつまみ食いの為に襲い掛かり、決死の粘りを見せたアバンの手で想定外の重傷を負ってしまう。 その騒動の終着時に、格下の相手に敗北しかねない体験で抱いた産まれて初めての恐怖と、尊崇しつつも実在はしないと諦観していた魔界の神が実在する事実への高揚を同時に抱え込んだ。 以降、その感情を鎮めるか、自身の鍛錬を魔界の神に見せつけるかのように、魔界の神より下賜された石像の前で鍛錬を続けた。 そうして鍛錬を続けて1月以上を経た折に、アバンが挑戦状を突き付けてきた。 気力充溢していたハドラーは当然決闘に応じたが、この決闘はアバンの仕掛けた一世一代の罠だった。 「仲間の未来を守れるならば魔王と心中しても望むところ」と告げるアバンの様子は清々しくすらあり、その態度と未知の呪法を前にしたハドラーは、未知の現象と相手を前にして恐怖と動揺に浸りながら封印されてしまった。 この封印はガンガディアによって1年後に解かれたが、想定外の副作用をハドラーにもたらした。 未知の現象と相手による恐怖と動揺。その感情に浸ったまま1年間凍結し続けたに等しいハドラーが精神に負ったダメージは深く、かつての覇気と自信はすっかり鳴りを潜めてしまった。 その最中に、これが好機と見たアバン一行が地底魔城に強襲を仕掛け、ハドラーは絶不調のまま最終決戦に臨む事態に陥ってしまった。 「たかが人間に言い知れぬ感情を植え付けられた」という現実を受容出来ないことに由来する恐怖心に翻弄されるハドラーだったが、いよいよアバンが迫る段階に至って、 「自分や手下と同じく、アバンも帰属する種族からは隔絶した突然変異の強者。ただの人間ではないから自分が梃子摺るのも当然」と理屈立てることで恐怖心を呑み込むことに成功。 ある程度精神状態を立て直したハドラーは、「自分達同様の突然変異の強者ならば、仲間に加える価値がある」として、「自分の軍門に下るなら世界の半分をやる」と勧誘した。 対するアバンは、自分のことを皆に支えられて成り立つ一介の人間だと自負するが故に、ハドラーとは価値観が相容れないことを確信。 その勧誘を拒絶し、とうとう決戦の火蓋が切って落とされた。 決戦の末アバンに敗れはしたが、死の直前に魔界の神に命を救われて生き長らえている。 それでも力を蓄える為に長年の休眠を必要とし、十数年の後に再び姿を現すまでは世界は平和が保たれた。 幹部 『地獄の騎士』バルトス 我が名は 地獄の騎士バルトス! 魔王ハドラー様の御前である地獄門の番人だ! CV 平野正人(1991年版)、渡辺いっけい(2020年版) ハドラーの禁呪法によって生まれた「地獄の騎士(*4)」で、旧魔王軍最強の騎士。 戦火の中で捨てられていた人間の赤子を拾い、魔界の伝説の剣豪の名である「ヒュンケル」と名づけ、わが子同然に数年間、地底魔城内で大切に育てていた。 アバンに敗れた際にヒュンケルのことを彼に託し地獄門を進ませたが、死の淵から蘇ったハドラーの怒りを受け裏切り者として処刑されてしまう。 しかしヒュンケルは「アバンこそ父の仇」と誤解(*5)し、これが後に新魔王軍不死騎団長ヒュンケル誕生の原因となってしまう。 「勇者アバンと獄炎の魔王」でも登場。 本作ではフード付きのマントを纏い、6本の剣を背中に背負っている。 この時は人間を育てることについてハドラーにも「酔狂をする」と笑って許されていた。 『鬼面道士』ブラス 人間の子供を育てる……か…… いやいや ワシには縁のない話よ CV 田の中勇(1991年版)、緒方賢一(2020年版) 本編開始時点で182歳。 本家ではダイの育ての親として登場し、過去に旧魔王軍に所属していたことが語られていた。 モンスターでありながら個人名があったり、強力なモンスターを封じた「魔法の筒」を魔王から受け取っていたり旧魔王軍でも比較的高い地位にあったのでは?と思われていた。 そして、アバン主役の物語となる「勇者アバンと獄炎の魔王」にて、幹部級の地位でありブラスという名前も幹部に昇進した際に授けられたものと判明。 他の幹部と比べると分見劣りする感も否めないが、破壊衝動に目覚め呑まれていた頃のブラスは、魔法に頼らない空中浮遊能力等の鬼面道士が会得する筈の無い特殊能力を複数備えた稀少な存在だった。 その逸脱した能力がハドラーの興味を引いたらしい。 『亜人面樹』キギロ 力量の低い奴をいたぶっただけでぼろ儲けだ きっと妬まれることだろうなぁ また出世してしまうから スピンオフ漫画「勇者アバンと獄炎の魔王」に登場。 種族は数百年に一度、突然変異で生まれるじんめんじゅの亜種「亜人面樹」。 魔物の棲家となる「魔の森」を徐々に広げており、後に百獣魔団の拠点にもなっている。 樹木の幹に顔が貼りついたような通常の人面樹と違い、頭はハドラーに支配されていた頃のブラス同様に凶悪な顔つきの人面樹だが、その下には胴体や手足があり肩章付の軍服を身に着けた人間のような出で立ちをしている。 この体に見える部位の正体は異常発達した木の根であり、この根こそが亜人面樹の特徴でもある。 通常の人面樹と同等に備わる本来の小さな二本腕は服の中に隠している。 『デストロール』ガンガディア まあ頭脳だけ優れていても勝てんな やはり……『力』がなくては! スピンオフ漫画「勇者アバンと獄炎の魔王」に登場。 当時のハドラーの側近にして旧魔王軍の参謀格。 彼もまたキギロ同様、同族の中から数百年に一度産まれる希少種「デストロール」である。 巨漢だが他のトロルと違い引き締まった体型で、常人の背丈の倍程もある杖のような柄の長い特別仕様の巨大棍棒を持ち、眼鏡をかけ知的な雰囲気を纏っている。 ハドラーから「粗暴なトロル一族の異端児」と評されている。 その他戦力 巨大マンイーター 各地に配したキギロの腹心にあたる存在にして支配の要。 地中の魔力を吸い上げさせて、そこを中心とした魔物の森を生み出す能力を持ち、通信葉を介して部下の人面樹からの情報を得られる。 この独自に構築した情報網によって、侵入者の技能や特徴を観察してから戦法を練るのが、キギロの基本的な立ち回りである。 エビルマージ ガンガディアにとって大切な憩いの場だったヨミカイン遺跡の魔導図書館にて当館の管理を任されていた、彼の腹心にあたる魔物。 エビルマージ当人は館長を自称するが、実際には番人である。 魔王軍幹部の副官という地位は伊達ではなく非常に多芸で戦闘慣れしている。 メラゾーマをはじめゲームでは覚えていない多種多様な魔法も扱えるどころか、10発程のイオを宙空に発生させて降り注がせる魔界の神の真似事も披露し、アバンの剣戟も物理バリアを展開して咄嗟に防いでのける。 とある呪文を求めてヨミカイン魔導図書館を訪問したアバン一行を阻むべく交戦。 ガンガディアに任された蔵書を傷つけないように強力な呪文は使えない縛りプレイを強いられていることを看破したアバンに苦戦を強いられた。 どうにか手下と連携して彼を追い詰めたものの、ロカとレイラの援護によって傷を負い、暴発した魔法によって自ら蔵書を傷つけてしまった。 自尊心を傷つけれた怒りとガンガディアの制裁も恐れから、火炎の息で増幅した巨大メラゾーマで諸共に消滅させようとするが、剣士として覚醒し始めたロカの必殺技・豪破一刀によってメラゾーマごと両断されて散った。 悪魔の大目玉 後述のザボエラからハドラーが購入した魔物。 普段監視カメラよろしく常用する悪魔の目玉に、魔界の魔物として知られる大目玉を合成した超魔生物の試作品。 悪魔の目玉特有の催眠効果のある甘い香りや大目玉の格闘能力が合わさっただけでなく、全能力が大幅に強化されている。 触手を対象の頭部に当てて脳に干渉することで、記憶の読み取りや幻覚を見せて情報を引き出すことも可能。悪魔の目玉特有の広角カメラのような視野も活用し、極めて高い諜報能力を発揮する。 購入したハドラーは、修行の為に世界各地を転々と移動するアバンの所在を掴む為に利用。数日で容易くアバンの所在を掴んでハドラーに報告した後に、サババの港町にしてアバン一行と交戦。 尾行に気付いたレイラを誘い込んで捕縛しあと一歩のところまで追い詰めるも、アバンが駆け付けてレイラの無力化には失敗。 そのまま二人同時に相手取って互角の格闘戦を演じるも、アバンとレイラの巧みな連携によって撃破された。 キラーマシン 勇者抹殺の目的で開発されたとされる、ドラクエシリーズお馴染みの遠隔型の無人殺戮兵器。 基本デザインはシリーズ従来通りだが、本作においては人の4倍はある巨体であり、装備も相応に長大。 モノアイが受信機になっており、そこで魔王ハドラーの邪悪な魔力を受信することで活動する。 静養の為にパプニカ王国に滞在していたレイラとロカを狙って、ようやく完成した1機をガンガディアが派遣した。 キラーマシンの運搬は最早二階建て家屋を移設するに等しい大仕事の筈だが、パプニカ王都の中心にキラーマシンが 襲来した際には、4本足を収納したボール状に形態で空から飛来した。 どうやらキラーマシンを地底魔城から射出する、投石器さながらの設備も開発したらしい。 その性能は「この1機だけでパプニカ王国を攻略せしめる」とガンガディアが太鼓判を押すほど。 まず何より厄介なのが装甲の魔法耐性。 パプニカの賢者達による中級魔法くらいでは、雨霰と撃ち込んでものけぞるだけで傷一つつかない。 そればかりか物理への耐久力もあり、ロカが繰り出す剣戟さえも闘気剣以外は弾き返してしまう。 そして、侵略兵器なので当然ながら攻撃面でも秀でている。 ロカに勝るとも劣らぬ馬力でもって、巨大剣を振るい石畳を踏み砕き、クロスボウからは人より大きな矢を放つ。 頭部モノアイにはレーザー砲まで搭載しており、石造家屋二軒分をレーザーで軽々焼き切る。 最終的には、パプニカ賢者達による魔法の弾幕によって生じた隙をロカとアバンが見逃さず、 二人の繰り出した豪破一刀が頭部を切断。受信器を失ったキラーマシンは沈黙した。 防衛手段を魔法に頼るパプニカ王国にとってこのキラーマシンが今後絶大な脅威になる。 そう確信したパプニカ王は即刻行動に移り、キラーマシンを鹵獲して側近のテムジン大臣を中心とする解析チームを発足した。 当然ながらこの脅威の兵器の弱点を解明することが使命である。 だが、テムジンは魔王の魔力を受信する代りに人の魔法力で稼働させる改造を施した上で悪用することを思いつく。 それが結実してひと騒動起こすのは16年後のことになる。 パプニカ王都襲撃の時は、レイラの妊娠を契機に即刻魔王を封印して無力化するとアバンが決断して、その計画実行の目途が立った直後のこと。 それからほどなくしてアバンはウロド平原にてハドラーとの決戦に臨み、決闘の末にハドラーは封印されてさながら氷像のようになってしまったばかりか、勇者一行によって拉致された。 結果、魔王軍は一年間以上に渡ってハドラーの捜索や封印の解呪方法の研究に忙殺される羽目になった。 仮にこの封印騒動が無かった場合、キラーマシンの大量生産と全世界への大量展開はつつがなく進行したことは疑いの余地が無く、人類の生存圏は一気に削り取られて窮地に陥ったことだろう。 グランナード 地底魔城を形成する花崗岩から禁呪法によって生み出された禁呪生命体。 アバンとの最終決戦の際にハドラーの手により急遽生み出された。 後に生み出されるフレイザードのプロトタイプとも言える存在であり、追い詰められたハドラーの精神状態が反映されている影響か、人間という種族に対して強い敵意と嫌悪感を持っている。 地底魔城を形成する花崗岩から生み出された為、地底魔城を構成する岩と同化し自在に操る事が可能。 生まれて間もない故に戦闘経験はゼロで技術的にも粗削りだが、鋭利な花崗岩の肉体は堅牢で、繰り出す徒手空拳は並の鎧くらいは易々と砕く。 岩を取り込んで肉体を強化するのみならず、岩の中を移動し潜んだり、岩の壁を生やして敵の攻撃を防いだり、戦法も多彩。 地の利の有る地底魔城で門番として戦う限りにおいては、キギロやガンガディアといった幹部たちにも匹敵する実力者である。 【拠点】 『地底魔城』 旧魔王軍の本拠地は地下へと広がる迷宮、地底魔城である。 本編の登場人物の一人であるレオナ姫の母国・パプニカ王国の付近にあるヴィオホルン火山の中に建造されている。 ハドラーが倒されてから15年後には、ヒュンケル率いる不死騎団のアジトになっていた。 なお、本編においては「死火山」と表現されるが、2023年時点ではこの表現が見直されているのを受けてか単に活動停止の火山としている。 地底魔城がこの地にあるのは本編においては周知の事実同然だったが、その16年前時点では死火山に近付く人間が少なかったからか、地上国家は魔王軍の本拠地を突き止めるのに苦労していた。 堂々と屹立する火山なので場所が分かってしまえばすぐにでも向かえそうだが、外観よりも攻略は難しい。 火口周辺には魔法力を持つ人間を阻む結界が設置されており、ルーラは使えずトベルーラを使うと不発に終わるか弾かれるので、魔法を使わず徒歩で一旦結界の内側に入ってから、維持装置を壊す必要がある。 術者の力量で結界を強引に突破可能かは不明だが、大魔導士マトリフでも強行突破は不可能なので、人間の魔法使いには実質不可能と断じるのが妥当であろう強固さ。 加えて、並の鉄の武器は弾く魔のサソリは山肌から地中を掘って現れ、山頂からはドラゴンフライが飛来し魔物の群が駆け下りて来る。 駄目押しとして、元々活火山だったために登山道が整備されていないので、登山が可能なルートは溶岩が流れ落ちた軌跡が形成した一本道に限られる。 こうした行軍が困難な地形と手数を活かした警戒態勢故に、地底魔城を攻略しようにもおのずと少数精鋭での行軍になってしまう。 そして、山頂に到着して結界を無力化しても、地底魔城の本番はそこから。 本編においてはダイとポップは後述の地底魔城深層までスムーズに踏破出来たが、これは彼らの兄弟子にして魔王軍軍団長のヒュンケルが、因縁の弟弟子と決着をつける為に部下達に敢えて誘導するよう命じたからである。 ヴィオホルン火山の頂上から内壁に沿って続く螺旋階段を降りて、迷路構造の地底魔城に入る。 城内は幹部の居室や一部廊下を除くと、如何にも火山を掘って造ったという風な通路が多く、魔物が4、5体並べば通路が塞がってしまう狭さ。螺旋階段も然りである。 地底魔城を攻略せんとする侵入者が現れても、通路一杯に敷き詰められた雑魚魔物の群を延々と相手にし続けながら延々と迷路を生き続ける必要がある。 本来、地底魔城を攻略するのは容易くはない。 火山の中腹の外縁部には、屋外に突き出した闘技場が設置されており、地底魔城をある程度深く降りるとそこに行き着く。 元々は魔王軍の兵士同士が腕を競い合う練兵所だったようだが、ハドラーは闘技場で魔物と捕らえた人間を戦わせる悪趣味な遊びもしていたらしい。 本編においてはヒュンケルが思う存分決着をつけるべくここを決戦の地としたが、この闘技場から更に下に降りると、かつて魔王ハドラーの玉座だった場所へと辿り着く。 追記・修正は希少種を集めてからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 禁呪法で生み出した魔法生物が作った者の精神の影響受けるなら…ハドラーにもバルトスみたいな優しい心があったのだろうか? -- 名無しさん (2014-07-28 02 12 28) 作中に出てくるのがただのいい人なバルトスとブラス爺ちゃんだから、あまり魔王軍って感じがしないんだよなぁw -- 名無しさん (2014-12-20 22 04 25) ↑確かにwwwwww -- 名無しさん (2015-01-12 14 58 17) バルトスに手作りペンダントかけてあげるヒュンケルの周りで、他の魔物達もほっこり笑顔だったっけ -- 名無しさん (2017-04-17 02 19 53) バルトスの人格ってハドラー不在で温厚になった他の魔物に近いんだよね。あの人格者ぶりは不自然でもあるし、もしかして魔王による凶悪化が例外的に効いてないんじゃないだろうか。 -- 名無しさん (2019-12-16 18 26 58) 幹部が種族中級(地獄の騎士)、中盤の敵(鬼面道士)。やはり旧魔王軍は小粒ではある。 -- 名無しさん (2019-12-18 18 56 28) ↑2下手したら魔物凶暴化ってハドラー関係無しにバーンの瘴気に当てられたからなんじゃあ… -- 名無しさん (2019-12-18 21 49 01) まあ、バルトスに関しては本来なら殺されていたはずの状況まで戦い抜いたとはいえまだ命があるうちにアバンに道を譲ったのは事実なので、門番の役目を放棄した裏切り行為とみなされても仕方ない面もあるかも -- (2019-12-18 22 00 06) フレイザートも凶暴で残忍ではあるがゲスではないし、何気にハドラーが作る魔物ってまともな奴ばっかだよね。 -- 名無しさん (2019-12-18 22 21 33) ↑フレイザードはゲスではない……か?ミストバーンから鎧もらっておいて後で寝首掻こうとか恩知らずなこと考えたりしてたが……。 -- 名無しさん (2019-12-18 23 21 39) バルトスと一緒にいたオークキングとサイクロプスも気のいい奴らなんだろうな。ヒュンケルを笑顔で見守ってたし。 -- 名無しさん (2020-08-08 12 57 16) 別に本人もハドラー恨んでねえしなぁ。 -- 名無しさん (2020-10-06 10 47 57) バラン「ハドラー? あんな小物放っておくわ」 -- 名無しさん (2020-10-06 12 23 45) ↑バーンと同格のヴェルザーと比べるのはさすがにハドラーがかわいそうだろ -- 名無しさん (2020-10-06 13 41 47) 旧魔王軍はバルトス、ブラス、キラーマシーンの三強体制じゃなかったかな。作者が言及してたはず。 -- 名無しさん (2020-10-06 21 29 14) キラーマシーン幹部だったのか というかあれハドラーが作ったのだとすると意外とメカニックに長けてたんだね -- 名無しさん (2020-10-06 23 31 40) 全盛期バルトスのルックス公開されたがこれは魔王軍最強の男ですわ…じいちゃんもダークだ -- 名無しさん (2020-10-22 16 07 29) ↑あれ、でもなんか一人足りない…… キラーマシーン「ミンナ…ハドラーサマヲ…タノム…!!」 -- 名無しさん (2020-10-22 20 03 12) いくら自軍の最強戦士の頼みとはいえ人間の子供を育てるなんて事を許してる時点で当時からハドラーは魔王にしては寛容だったと思う バルトスを処刑した時もヒュンケルの方は見逃してるし -- 名無しさん (2020-10-22 20 14 00) もしかしたら、ブラスじいちゃんがダイを育てたのってバルトス・ヒュンケル親子に何かしら憧れるところがあったとか、魔王軍壊滅時にヒュンケルも一緒にデルムリン島に連れ出してあげたかったけどできなくて後悔していたとかあったのかもなぁ… -- 名無しさん (2020-10-23 02 09 28) グリニデみたいなインテリデストロールさんと性格悪そうな亜人樹がどんなキャラか気になる -- 名無しさん (2020-10-26 12 30 13) ↑2そういえば本編では会う機会が無かったけど、ヒュンケルとブラスじいちゃんって、互いに顔見知りの可能性があるんだよな -- 名無しさん (2020-11-03 01 58 52) ↑4 バランに「放置しても構わない小物」みたいに思われていたのもその魔王にしては寛容さのせいだったのかも 実力の差も当然あるがヴェルザーの方が支配下にも情け容赦ない危険人物だから始末を優先されたとか -- 名無しさん (2020-11-22 10 07 48) ヴェルザーは地上侵略を咎められただけで、人間くさい奴らしいからそこまででもないんじゃないの。魔界編の予定でも魔界の有力者の最後の一角が問題になって新生竜騎衆が必要になったらしいし、誰かが魔界を治める必要があることを思うと竜王のひ孫ポジションぐらいになりそうな気がする。 -- 名無しさん (2020-11-22 11 57 01) ガンガディア辺りがキラーマシーンの開発してザボエラみたいなポジションになるのかな -- 名無しさん (2020-11-22 12 00 33) 「勇者アバンと獄炎の魔王」の展開次第だが、結束が固い分バーンの魔王軍と総合的な厄介さは大差ないみたいなイメージがある -- 名無しさん (2020-11-22 12 04 06) ブラスがアバンと出会わなかった流れがちゃんと出来てたな。んで本編でハドラーがブラスの事をスルーしたのは単に忘れていた可能性がある。描写からブラスが新入り幹部で直後にデルムリン島に行ってるし、その後全然会わずに居たら色々あったハドラーからしたら忘れててもしょうがないわな。 -- 名無しさん (2020-11-26 09 15 44) ↑そんなどっかの社長みたいなハドラーやだよw -- 名無しさん (2020-11-26 09 23 00) 慧眼を持ったトロル族ヒーローズ2に居たっけな。 -- 名無しさん (2020-12-04 15 43 06) よく考えたらバルトスってヒュンケルの両親殺して戦災孤児にした張本人なんだよね。普通なら恨まれてもおかしくないのに実の親以上に慕われるのはすごいよな -- 名無しさん (2020-12-11 22 32 36) ↑手には掛けてないぞ。滅ぼした街を探索してたら捨てられてたヒュンケル拾ったんだから、場合によったらまだ生きてる可能性も。 -- 名無しさん (2021-01-07 18 43 23) ↑2020年版では明言されずに「哀れな…」とだけで描写されたから、どうとも受け取れる描写になってたね。 -- 名無しさん (2021-01-14 12 34 16) まぁもし捨てられてなかったような描写をいれるとしたら親らしき人間の死体も写っていてもおかしくなかったからね -- 名無しさん (2021-05-17 10 49 11) ↑5ジャック将軍ですね -- 名無しさん (2021-12-31 09 41 55) ハドラー、ヒュンケルと戦ったときに「親子そろってこの俺に盾つきおって!」と言ってたが、バルトスに裏切られたことはかなりショックで引きずってたのではないだろうか。 -- 名無しさん (2022-02-27 00 07 06) 四天王といってもブラスとバルトスは設定上あまり出番を作れないから、キギロとガンガディアが主な敵役となるね -- 名無しさん (2022-05-29 23 43 07) ↑2そりゃあ・・・自分の部屋に通じる門を任せていた一番信用している部下だったからね。怒りを通り越して悲しみを知るレベル -- 名無しさん (2022-05-30 01 53 41) この魔王軍何か皆互いに認め合っててめっちゃ仲いい感じがするわw -- 名無しさん (2022-06-01 10 43 19) 認め合ってるし仲違いはない上にハドラーへの忠誠心もしっかりある故に、バルトス裏切りでのハドラーの対応は本人(恨みなどは一切元々見せてない)含めてせやなっていいそう -- 名無しさん (2022-06-01 11 46 22) 「これだから頭のいい奴は面倒なんだよ」アンタが言うな、アンタだけは言うんじゃない…とツッコミたくなるがガンガディアやべぇ -- 名無しさん (2022-06-02 03 22 19) この何処となく和気藹々とした魔王軍の後だと、ギスギスした六軍団+何を考えてるのか分からない上司の中間管理職やらされたらそりゃ余裕なくすよなと何か納得行った -- 名無しさん (2022-12-01 19 52 01) ブラスは早々に出張、キギロは前半戦で殉職、バルトスはアバンの一件で最終評価がどん底なのは分かるけど、ガンガディアに関しては本当に「良い部下」だと思う。でもハドラー的には親衛騎団をもって「最後にようやく部下に恵まれた」との評価なんだよな…作品跨いでるから仕方ない部分はあるけども -- 名無しさん (2023-04-17 20 24 14) 上も下もギスギスしてる奴らばかりで、自分もいつ切り捨てられてもおかしくない立場。そんな中でようやく裏表のない親衛騎団が出来たら「良い部下に恵まれた」と漏らしたくなるのも無理はない -- 名無しさん (2023-04-17 21 08 55) 幸か不幸か、ハドラーにはバーン様のような「自分一人でなんでもできる絶大な魔力」が無かったのが人格を分けたな -- 名無しさん (2023-04-17 22 04 55) マトリフはガンガディアの実力を認めてるからこそのメドローア -- 名無しさん (2023-05-30 00 35 46) ↑ミス。メドローアは「センスのないヤツには出来ねえ」ってポップに言ったんだろうな。ガンガディアが訓練してもモノに出来なかったから実力だけでは出来ないと思うようになったんだろうね -- 名無しさん (2023-05-30 00 38 08) ガンガディアさん好きすぎる。思わず「さん」をつけずにいられないくらい。 -- 名無しさん (2023-06-21 20 57 24) 本気で殺し合った決着後に爽やかに認め合うのが三条キャラ120%すぎたねガンガディア そして怨念の化身と成り果てるあいつ… -- 名無しさん (2023-06-22 13 46 33) ガンガディアの経験を得て「いいからルーラで機動力確保しろ、足の速さは戦いの強さだ」「魔法使いは勝つためにあらゆる手段を考えろ、そういうやつは本当に強い」とか言いたくなるね -- 名無しさん (2023-07-15 19 30 57) ガンガディアがダイ大本編で語られてないのが不思議なくらい良いキャラしてる -- 名無しさん (2023-07-15 21 35 08) とりあえずガンガディアだけでも分割で個別項目にしても良さそうかも? -- 名無しさん (2023-07-17 08 50 58) ガンがディアが良いキャラすぎた -- 名無しさん (2023-07-19 01 26 15) ハドラー「お前は俺のために死ねるか…?」バルトス「もちろんでございます!(即答)」ハドラー「信じるぞ、お前の忠誠心…」おまっ……バルトスおまっ…… -- 名無しさん (2023-07-23 03 21 14) 単行本派だからようやくマトリフVSガンガディアまで追いついたんだけど、互いの実力を認め合ったライバル同士の死闘って本当に良いな…。今際に自分の切り札を託す(そしてオレには扱えないと遠慮される)展開も相まって原作のポップVSシグマの系譜を感じるのもまたスピンオフとして見事な作劇で良い。大魔導士師弟揃って最高のバトルしやがって… -- 名無しさん (2023-08-06 06 26 39) 「ロクデナシ→世捨て人のマトリフがなんでポップをあれほど的確に指導できたのか?」 -- 名無しさん (2023-08-06 19 15 35) ↑失礼、途中送信されてしまった。答えは「過去にとびっきりの弟子を得た(そして無念な別れ方をした)経験があったから」。なんだそれは! -- 名無しさん (2023-08-06 19 16 46) ↑3 ハドラーからすれば「お前約束したのに裏切りやがって!」になるし、バルトスからすれば「決戦前に再確認されるってひょっとして信用されてなかった?」で不信感覚えるし、悲しいスレ違いが起き始めてたんかな… -- 名無しさん (2023-08-28 23 56 32) これはバルトスが忠誠を保ち切れなかったのも頷ける -- 名無しさん (2023-09-21 21 08 53) あるキャラを登場させるだけでファンサービスとかハドラーとバルトスのすれ違いを示唆しつつ、ハドラーの精神状態が悪くなってるってのをわかりやすく示てる。やっぱり三条さんはこういうの上手。 -- 名無しさん (2023-09-22 10 30 35) 裏切ったバルトスも問題あると思うけど結局のところハドラーはいくら強くても精神が未熟だったんだと思うわ。凍れる時間の秘法でアバンにビビってからダイの大冒険の初期の小心者だった部分が垣間見えてるしガンガディアやバルトスもはっきりと違和感を覚えてる。超魔生物ハドラーのメンタルならバルトスも絶対に裏切らなかったと思う -- 名無しさん (2023-09-30 16 53 24) バルトスさんの翻心について滅茶苦茶的確な処理がなされてて三条脚本の真骨頂を食らってる。 -- 名無しさん (2023-10-05 05 41 09) 最終決戦なのに現れないブラス爺ちゃん…ダイ大との整合性をとるためだがデルムリン島で会ってもハドラーから何の反応もなかったあたりマジで忘れ去られてるのか… -- 名無しさん (2023-10-07 08 28 45) ↑戦力としては期待されていなかったんじゃないかな。 -- 名無しさん (2023-10-07 08 43 30) 処刑の際の「何故…!?」はバルトス的に新魔王軍でも働く気だっのかも。それはそれで勇者に門を通しても死罪にはならないと高を括ってたみたいになるが… -- 名無しさん (2023-10-11 18 51 26) ↑3あの場に居た鬼面道士がブラスと認識していなかったのかも。ブラスはキギロやガルガンティアみたく希少種じゃないし、ぶっちゃけ人相が変わりすぎててブラスと認識できなかったとか -- 名無しさん (2023-10-11 19 36 22) 禁呪法にどのくらい魔力を消費するか分からないけど実はグランナードを生み出したせいで最終決戦時のハドラーは戦う前の時点で魔力をかなり消費していたのかも -- 名無しさん (2023-10-31 17 23 59) 「信じるに値しない者のために仲間は身を投げ出したりしない」というバルトスの台詞が如実に心境を物語っている -- 名無しさん (2023-11-23 17 07 05) ↑ その上で骨のあるファイターであろうとする精神は、ある意味でハドラーの底意地が残った結果と考えると何ともやるせない -- 名無しさん (2023-11-23 17 23 11) なぜ…!?はバルトス内のハドラー像はまだ「酔狂をする」のままだったのかな… -- 名無しさん (2023-12-31 11 21 32) まあ、全盛期のハドラーなら「おまえが許したんならしょうがないよなぁ」って笑って許しそうだし「そういうこというほど弱ってたんですね…」ってなるのもわかる -- 名無しさん (2023-12-31 14 08 44) あと個別項目作るならバルトス・ブラス・グランナードあたりだろうか。 -- 名無しさん (2024-01-12 00 24 32) やはりバルトスは消える事は覚悟していたのね -- 名無しさん (2024-01-20 17 43 45) アバンとの対決に悔いはないに感動しつつも馬鹿―!魂の貝殻の位置ー!!ってなるなった -- 名無しさん (2024-01-20 17 50 58) 困った……覇気に溢れてた魔王知ってれば知ってるほど今のハドラーに「こりゃ駄目だわ…」ってなるわ。 -- 名無しさん (2024-01-20 18 48 42) バルトスにしてみればハドラーが勝っても自分は許してもらえないことを考えないといけないぐらいだな。 -- 名無しさん (2024-02-12 16 43 40) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/maikuragunzibu/pages/742.html
このページはPCでの閲覧を想定しています。スマートフォン等で閲覧した場合、意図しない表示等がみられる可能性があります。 このページは、ルークリア民主主義共和国とルークリア人民共和国の二ヶ国についての情報を掲載しています。 南亜連邦(南ルークリア)について知りたい方はここをクリック 来訪者数計: - 今日: - 昨日: - 建国から2027日経過しました 国家情報 ルークリア民主主義共和国 1.ルークリア民主主義共和国 2.基本情報 3.ニュース・情報ニュース 国家防衛情報 4.領土 5.歴史 6.政治6-1.分断国家 6-2.議会制度 6-3.特権自治領 7.国内有名企業 8.各都市の特色 9.外交9-1.同盟国・友好国 9-2.警戒国・敵対国 10.経済・産業10-1.経済 10-2.産業 13.軍備 14.人物14-1.イレーナ帝 基本情報 ルークリア民主主義共和国(Democratic Republic of Rookria) は、インド亜大陸に存在する共和制国家である。現在の国家元首は共和国大統領ローザ・カルミン・ヨハニスベーレ。大統領とは別に完全な名誉職として皇帝位も存続しているが国家元首ではなく、あくまで「人民統合の象徴」としての存在であるとされている。自由選挙に基づく社会主義市場経済体制下にあり、現在の与党は南ルークリア共産党。民主社会主義的理念に基礎をおく独自の「平和的二段階革命論」による穏健な形での共産主義の実現を基本方針としているとされる。ルークリア民主主義共和国は北西でルークリア人民共和国と接しており、社会主義的な政権が二つルークリアに並立する状態となっているが、平和的統合の方針を巡って両国間で議論が平行線を辿っており、国際関係上は友好国だが対立状態という奇妙な外交関係にある。領土が広大であるため産業は多岐に渡るが、自由経済の導入後資本家が成長し、現状は各産業において支配的な少数の大企業と弱体な中小企業が乱立している状態にある。現状、政権は所得税・法人税の累進性の強化による所得再分配を推し進めており、また一部事業の買収による国営化を実施している。特にレチアル人民共和国時代に整備された集団農業システムは部分的な国営化に適しており、各地で国営企業による買収が進んでいる。豊富な鉱産資源でも知られ、特に東海岸の天然ガス田や油田は国内の産業発展を強く支えている。正式な国名はルークリア民主主義共和国。ルークリア人民共和国との混同を避けるため南ルークリア・南印、もしくは正式名称そのままで呼称される。 分断国家 でありルークリア人民共和国とともにルークリアの正当政府を主張しているが、「双方共に人民の信任を受けた政府である」として協定締結による相互の国家承認を外交方針としている。-歴史概略#歴史 を参照 ルークリア民主主義共和国Democratic Republic of Rookria 国旗 国章 国の標語自由、連帯、祖国 国歌 愛しき祖国 (原曲 ブルガリア国歌「愛しき祖国」) 公用語 英語 首都 カルカッタ 体制 共和制 政府_共和国大統領_皇帝_与党 ローザ・カルミン・ヨハニスベーレ イレーナ・レヴィンスカヤ・ルクレフ 南ルークリア共産党 人口 約13億4009万2550(法律上)約11億2561万2550(実効支配) 通貨 ネオドル 国教 なし─信教の自由 所属組織 第五インターナショナル ◯政治・経済 ※7月3日現在 民主的 ■–------ 独裁的 政治的左派 -■------- 政治的右派 自由経済 -----■--- 中央計画経済 常備軍 -■------- 徴兵軍 好戦主義 ---■----- 穏健派 国際主義 -■------- 孤立主義 好況 -■----- 不況 食料自給率 190%エネルギー自給率 100% ニュース・情報 ニュース - 民間日刊紙『ルークリア・トゥデイ』より + ... 一般 6月14日 国民投票で憲法改正案が可決憲法改正の国民投票の結果が明らかになった。憲法改正案は64%の賛成で通過し、半年後に施行される予定だ。新たに社会主義的な国家体制が建設され、共産党のもとでの社会主義国家として「ルークリア民主主義共和国」がその歩みを進めていくことになる。 一般 6月13日 憲法改正案が議会を通過、国民投票へ今日の臨時議会で共産党が発議した憲法改正案が承認され、憲法改正の可否は国民投票に委ねられることが決定した。国民の選択がルークリアの未来を占うのである。 一般 6月12日 再選挙で共産党が圧勝、SDP-Rとの連立政権成立へ極右反乱への関与事件を受けてSDP-Zの議席のうち20議席が再選挙となったが、その結果共産党は17議席を獲得して勢力を拡大、これによってSDP-Rのみとの連立で過半数を確保できる状態になった。そのため、SDP-Rの閣外協力のもと共産党単独の内閣が成立することとなり、政権の体制はかなり盤石となった。今後の政策展開に注目が集まる。 一般 6月12日 極右反乱にSDP-Zの一部議員が関与か救国軍との和睦後急速に鎮圧された極右勢力による反乱であるが、これにSDP-Zの一部の議員が関与していた可能性が浮上している。反乱組織のメンバーとなっていた人物の口座を調べたところ複数の不審な口座からの振り込みが確認され、その金銭の流れを辿る中で発覚したもので、既に何人かの議員が反乱幇助の疑いで身柄を拘束され、捜査を受けている。議員資格剥奪となれば規定に則って該当議員が選出された選挙区での再選挙が実施され、その結果に応じて新たに議員が選出されることになる。 一般 6月12日 救国軍反乱終結、両勢力間で合意今日、救国軍を率いるベルンカステル社CEOユースティティア・ベルンカステルと政府との間で会談が行われ、いくつかの合意をもって両者間の和議が成立した。この合意で共産党政府は今後10年間は兵員削減をしないことや皇帝に対して少なくとも一般市民としての権利を保障し財産没収などを行わないことをCEOおよび軍部に対して確約することとなり、その改革指針の見直しを迫られることとなった。CEOはこれを破棄すれば軍部反乱が起きる可能性を示唆したとも言われており、事実であれば同CEOは一般に言われている以上の影響力を保持している可能性がある。ヨハニスベーレ政権にとって、この武装蜂起事件は幸先の悪いスタートとなった。また、極右勢力の反乱については未だ継続しているものの、今後はベルンカステル社の協力も得られる見込みであり、迅速な終結が予想されている。 一般 6月11日 ベルンカステル国際旅団武装蜂起!共産党の勝利という選挙の結果に反発し、危機感を抱いたベルンカステル社がその擁する事実上の民間軍事組織「ベルンカステル国際旅団」による武装蜂起を起こした。国際旅団は賛同する軍部隊を急速に合流させて「ルークリア救国軍」を称しており、共産党本部、議会および官邸を包囲し、新議会の解散を要求している。また、これに呼応してバンガロール等の都市部で極右団体も蜂起を開始し、各地で反乱軍と政府との戦闘が散発的に発生している。議会の信任によって任命された新首相ローザ・カルミン・ヨハニスベーレは対応に追われており、臨時で共産党員から閣僚を任命して一時的な単独与党体制で臨む構えを示している。 一般 6月11日 共産党辛勝、連立政権成立か?第4回総選挙の結果、南ルークリア共産党が最大政党の地位を奪取し、SDP-Zを辛くも下した。とはいえ、下馬評に反して単独過半数にすら到達しなかったため、少なくとも他の2政党と連立しなければならない状態になっている。現状ではSDP-Zと民主党がその相手として有力視されているものの、SDP-Zはともかく民主党はかなり政治的にも志向の違う政党であり、すでに連立政権の安定性に不安が生じている。また、選挙結果に反発して各地で武装組織の活動が見られているとの情報もあり、政情は予断を許さない。 一般 6月8日 民主党が政権を離反、内閣不信任案可決へ南ルークリア共産党主導で提出されていた内閣不信任案が、ルークリア民主党の政権からの離反によって可決された。これによってバイフース内閣は総辞職を余儀なくされ、第4回総選挙の実施が決定されることとなる。最大野党となった南ルークリア共産党の動向が注目される。 一般 5月1日 SDP-Rの一部議員が離反、共産党に合流へ今日正午、SDP-Rに所属する42名の議員が連名でSDP-Rからの離党を発表し、新政党「ルークリア人民民主同盟」の結成と、その将来的な共産党への合流方針を明らかにした。これはSDP-R指導部が規模縮小に対応して大規模な選挙対策のためより融和的な方針に舵を切りSDP-Zと協力しての政権入りを決定したために起こった組織的な反抗の動きと見られており、これによって共産党が最大野党として確固たる地位を確立するとみられる。この発表はSDP-Rの内部をさらに揺るがしており、連鎖的な離党が発生する可能性も指摘されている。 一般 5月1日 開票結果確定。SDP-Z主導の連立政権が存続も、共産党大躍進本日未明に確定した開票結果によれば、現与党であるSDP-Z、VFNuA、民主党による連立のアルテミシア・バイフース政権が二期目を確定させたとのことである。一期目でのマニフェストの達成が影響したとみられ、政府内では強い安堵の声が上がる一方で、南ルークリア共産党が大躍進を遂げ、SDP-Rを追い越して野党第一党になったことは、新ソ連や北ルークリアの影響が急激に増しているとの危機感をもたらした。本当に海外からの影響が存在するのかは定かではないが、特に大企業の多くはこの状況に憂慮をあらわにしており、強力な防諜機関の設立を要求する利益団体も数を増やしている。民主主義と自由が維持され、市民の安寧が守られることを願うばかりである。 一般 5月1日 生存権関連諸法が議会を通過、成立へ第三回の国政選挙が近づく中、ついにバイフース政権は議会での審議と交渉に決着をつけ、マニフェストとして掲げていた生存権関連諸法(所得税法改正、国家社会保障法および関連法案、労働権法、独占禁止法)の制定に漕ぎつけた。これらの法案についてはそれぞれにSDP-Rがより強硬な案を主張して反対しており、さらに民主党や自由党などが各々の主張をもってSDP-Z案の議決を阻んでいたため、長い間膠着状態にあった。最終的には選挙戦を想定したSDP-Zが各党に譲歩することで支持をとりつけ、かなり妥協した形の法案となった。具体的な内容は以下の通り。1.所得税の最大比率を25%まで引き下げ(右派政党の要求)2.「必要最低限度の生活」の基準厳格化(右派政党の要求)3.独禁法の規制基準および規制内容の厳格化(SDP-Rの要求)これらの法律の影響が大きいと考えられる国内最大企業ベルンカステル社の動向が注目される。 一般 3月3日 挙国一致内閣解散総選挙─連立内閣の成立インド戦争による挙国一致内閣の解散に基づく総選挙の結果、SDP-Z、VFNuA、民主党の三党による連立政権が発足し、首相としてアルテミシア・バイフースが就任した。比較的保守的な三政党による協力体制であるが、特にSDP-Zと民主党の関係はSDPの成立経緯からして良いとは言えず、すでに政権の崩壊の不安がささやかれている。新首相の手腕が問われるところだ。 一般 2月29日 レグルス国民会議政府の設立と承認今日、東パキスタン全域にルークリア軍の進駐が完了し、同地にレグルス国民国の樹立が宣言された。同政府はアーデルハイト・クロムウェル暫定議長を中心とした立憲君主制政権であり、憲法のもと民主的な体制が設立されている。ルークリア政府は同政権の成立に対し賛同と祝福の意をもってこれを承認しており、今後は更なる交流を通して関係を深化させていくものとみられる。 一般 2月24日 レグルス暫定政府の成立新ソ連による核攻撃後統治機構が消失していた東パキスタン地域において、在ルークリアレグルス人がレグルス仮政府の樹立を宣言し、ルークリア政府に現地への進駐を要請した。ルークリア政府はこの要請に従って同地に進軍し、これに応じて実効支配を行う政府主体として彼らによるレグルス暫定政府の成立が宣言された。同暫定政府はこれ以降ルークリアが承認する唯一の正当なレグルス政府として承認され、同地域における治安維持を目的とした進駐が継続される見込みである。 一般 2月24日 マノハル=ターナーでの講和ルークリアに絶望的なまでの敗北と損失をもたらした戦争は、これまで頑なに停戦協議を拒み続けてきた赤軍側が突然の停戦交渉の受け入れを表明したことで突然の終わりを迎えた。戦略的・戦術的な観点での圧倒的な優勢にも関わらず停戦交渉に応じた理由は不明だが、出所不明ながらも人民共和国内部での反ソ暴動が限界寸前であるという情報も入ってきており、事実ならこれが直接的な原因とみられる。とはいえ、戦況を鑑みて停戦の条件はかなりの譲歩を迫られ、係争地となったデリーおよびガンジ・サガール周辺の統治の承認や、セイロン島の占領状態に対する現状追認を余儀なくされた。さらには、赤軍の撤退費用の負担が事実上の賠償金として財政に重くのしかかっており、挙国一致内閣の解散後の選挙の結果は現在の与党に対して厳しいものとなることは想像に難くない。 一般 2月24日 ベンガル決戦西ベンガル州ビハールにおいて上陸せし赤軍と我が軍の中央軍管区所属の4個機甲師団を含む防衛戦力との間で決戦が発生した。この戦闘に敗北したことでヒンドゥスタン平原東部からの撤退を余儀なくされつつあり、防衛戦の状況は非常に悪化していると言っていい。既に住民が避難した影響で農業生産が落ち込みはじめており、飢餓の可能性を考慮する必要が生まれはじめている。 一般 2月16日 食糧備蓄関連法可決、一時的な農作物取引の統制へ新ソ連軍の侵攻によって東部の穀倉地帯が脅かされている現状を踏まえ、将来的な食糧不足に備えるため、政府が農作物を強制的に一定割合買い取って備蓄する制度を含む一連の法案が国会で可決され、来月から緊急で施行に移される。一貫して自由主義の姿勢を貫いてきた政府では異例の決定で、反発する資本家や農業従事者による抗議はもちろん、急激な制度の変更による混乱が予想されており、状況が状況とはいえ性急すぎる決定ではないかとの見方も強い。 一般 2月16日 カルカッタ陥落!首都カルカッタに新ソ連軍が上陸、沿岸要塞を駆使して防衛したがこれに失敗し、同市を失陥、パキスタン戦争以来二度目の新ソ連による首都陥落となる。政府は首都機能を北東軍管区司令部がありエーヴェルト特権自治領の領都でもあるパトナーに移して抗戦を継続する方針である。 一般 2月14日 国家緊急事態情報カルカッタ市近郊の沿岸地帯に新ソ連軍の大規模上陸 一般 2月9日 国家緊急事態情報ミサイルが発射されたとの情報あり直ちに避難を‼︎‼︎ 一般 2月8日 中華との講和国家再生政府からの最後通告を受けた大中華からの申し出で、我が国と大中華との間に講和が結ばれた。アルナーチャル・プラデシュとブータンを喪失する屈辱的な講和であるが、政府はこれについて西方と南方から迫り来る共産主義者に対抗するための致し方ない犠牲であるとの見解を示している。 一般 2月2日 アッサム大攻勢北東軍管区司令部は先日、アッサム方面の防衛部隊を前線から撤退させた。同司令部は撤退の理由を中華軍による激しい攻勢によって部隊と補給線が消耗し維持できなくなったためとしており、北印と接する西部への注力と地方自治政府との関係上の配慮の結果対中華方面の航空基地の整備が遅れ、制空権を失っていることが最大の問題であると指摘されている。 一般 1月10日 反攻作戦挫折アルナーチャル・プラデシュにおける攻勢作戦部隊の同地からの撤退が確認された。狭隘な地形に潜伏した中華軍による即席の防衛戦は貧弱な補給線によって弱体の軍をきわめて効果的に迎撃し、我が国はごく限られた占領地の奪還と引き換えに莫大な装備と人命を喪失する結果になった。軍の期待していた現地協力者はすでに中華によって根こそぎ収奪されており、自国領土内ゆえの情報戦での優位を獲得し損ねたのも原因のひとつであると考えられている。 一般 12月29日 アルナーチャル・プラデシュ反攻中華軍の奇襲攻撃によって占拠されたアルナーチャル・プラデシュに対し、国軍はオストラント辺境伯領軍との合同での攻勢作戦を開始した。軍属を含めた総兵力は14万にも上ると言われており、比較的少数と目される中華軍を当該地域から追い出すことが期待されている。この作戦に際して政府は国家再生政府に無害通行許可を求めたが、これは拒否されたようである。 一般 12月26日 赤軍の反転攻勢を撃退攻勢の頓挫によりルークリア軍が戦力を消耗したのを見た赤軍は、ここぞとばかりに追撃戦を展開した。陸軍はこれを首尾よく撃退し、戦役全体の結果として痛み分けと看做せる程度の損害を与えることに成功した。双方から当面の攻勢能力が失われたと見ていいだろう。 一般 12月19日 戦線膠着、攻勢は頓挫か当初こそ電撃的な進撃をみせた攻勢作戦だが、ここ数日の間全く前線が動いていないようである。赤軍の対戦車陣地が用意されていたとの報告がなされており、軍は内部の赤色シンパの可能性を視野に入れ、その摘発に断固とした行動をとると発表した。 一般 12月15日 軍が作戦行動を開始。大規模攻勢か?ここ数日、軍事境界地域での軍の部隊の活動が活発化している。大部隊が集結し、敵支配地域への攻撃を開始しており、国土奪還のための攻勢作戦が発動されたものと見られる。軍情報筋によれば当該作戦は「アクバル作戦」と呼称されているようである。 ---- 社説 12月6日 大中華の蛮行大中華国は、我らがルークリアを奇襲したのみならず、邦人の大虐殺を断行した。あまつさえ、国家の指導者が直々にその事実をさも誇らしげに語り、我々を下等人種と蔑視して憚らない。このような国家との対話の意味があるだろうか。如何なる理由があろうともこのような蛮行は許されるものではなく、また屈することのできる相手ではないという事実がここにはっきりと示された。今こそ祖国の防衛に命を捧ぐべき時であると考え、私もこの度予備役への編入志願をしてきた。我々は陛下のもとで祖国の自由を護るのである。 ---- 一般 12月6日 大中華の奇襲的攻撃と虐殺中華軍が奇襲的に北東の国境を突破し、アルナーチャル・プラデシュを占領した。占領された同州からは空前絶後の規模の難民が発生しており、政府は対応に追われている。難民として占領地を脱出した歴史学者のツェツィーリエ・フォン・リーグニッツ氏は、「思い出したくもないが、彼らはまさにイナゴであった。全てを集団の利益のために収奪して周り、彼らの通ったあとには草一本残っていないのだ。」として、大中華の異常性と危険性、徹底抗戦の必要を訴えている。ルークリアは一致団結してかの脅威に向き合う必要がある。我々は、友を、愛する人を、そして自らと祖国、そして自由と生存権を守るための戦いに身を投じねばならない。 ---- 一般 12月1日 セイロン失陥!制海権の喪失は、想定されていたとおりの結果を齎した。新ソ連の大規模な強襲上陸によって南の要衝セイロン島が奪取されたのである。同島は我が国のインド洋へのアクセスを保障してきた重要拠点であり、西方から東岸地帯への攻撃を防ぐ盾であったと同時に、レグルスの属領時代に建設された国内最大の港湾であるセイロン港が存在しており、ルークリア海軍の要ともいえる拠点であった。この地を失ったことは、今後の戦況において我が国にとって重すぎる足枷となるだろう。 ---- 一般 11月28日 中華によるカシミール進駐大中華が我が国との緩衝地帯として存在していたカシミール藩王国に侵攻を開始した。新ソ連との戦争によって中華方面に対処する戦力が不足しているタイミングでの中華による攻撃的な軍事行動は、間違いなく安全保障上喫緊の課題である。ここにおいて、政府は中華国に対して厳重警告を行うとともに、予備戦力を北方防備の増強に振り向ける方針を示した。 ---- 一般 11月26日 第二次セイロン沖海戦南方セイロン島の沖合にて、新ソ連艦隊との大規模な戦闘が行われたとの情報が入った。いまだ政府からの公式発表はなく詳細は分からないが、近辺の港湾に撤退する海軍の姿を目撃したという民間の情報も寄せられており、少なくない損害を受けたとみられる。敗北となれば、我が国のインド洋上の制海権は失われたこととなり、セイロン島、ひいては東岸全域が新ソ連による上陸作戦の脅威にさらされることになるだろう。国民の間に不安が高まっている……。 ---- 一般 11月15日 デリー包囲さるデリーでの争乱に新展開だ。新ソ連軍がデリー市郊外を進撃し、周辺の都市群が攻略されたとの知らせが入った。現状、デリーへの補給路は完全に遮断されており、デリー市は完全な包囲下に置かれてしまっており、極めて危険な状態にある。政府には一刻も早い状況の打開が期待されている。 ---- 一般 11月14日 和平会談中もデリーでの戦闘、劣勢か?現在政府首脳と新ソ連の代表の間で和平について話し合いが行われている一方で、戦闘はいまだ終了の兆しを見せない。デリー駐在の報道員によると、現在新ソ連軍によるデリーでの攻勢が開始されたようである。敗退する民兵や軍部隊も確認されており、劣勢なのではないかとの憶測も存在している。 ---- 一般 11月10日 デリー事変の勃発国家百合主義者のでも更新は最悪の結果をもたらした。デモ隊が露天商人の男性をリンチした事件を皮切りにデリー市内での市民間の分断はもはや致命的なものとなった。既に現地民による私刑や私闘が横行し始め、組織的な戦闘すら確認されており、政府はデリーからの避難命令を発出している。事態の鎮圧に軍が派遣されるとの予想もあり、情勢は改善の兆しを見せない。 ---- 一般 11月9日 デリー騒擾ガンジ・サガールでの戦闘が終結の兆しを見せないまま、境界での争乱は新たな展開をみせつつある。ガンジ・サガールでの南北間での戦闘の発生は、東西に分割されたデリーの市民の間に更なる断裂を生み出した。都市部ということもありいまだ国家百合主義者の影響は根強く、逆に従属階級から解放された男性市民や人民共和国の影響を受けた社会主義者も活発である。左右双方の過激派が蠢動を始める中、国家百合主義者が政府に対してより強硬な対応と「国土分断問題の最終的解決」を求めたデモ行進を行うとの情報も入っており、治安の悪化も無視できない段階にある。展開の穏便な妥結と民心の平穏の回復を願うばかりである。 ---- 一般 11月8日 ルークリア軍、ダムへ首相官邸によれば、今日、ルークリア軍は「協定に基づき」ガンジサガールダムへの進撃を開始した。軍は現地に不法に進駐している新ソ連軍による攻撃を受けており、本格的な戦争となりかねない状況であり、平和的な解決が期待されている。 ---- 一般 11月6日 ガンジ・サガールダムで紛争、ルークリア軍に集結の動きマディヤ・プラデーシュ州に位置するガンジ・サガールダムは、内戦時の協定とエスファハーン条約に基けば、新ソ連および「人民共和国軍」が撤退するべき領域となっている。しかし、内戦終結後も新ソ連軍は当該ダムの占領を継続しており、これに政府は抗議声明を発表した。しかし、新ソ連の反応は「人民共和国の問題である」という冷淡なものであった。これに対し、ルークリア軍が国境に集結しつつあるという情報がもたらされており、大規模な交戦への発展が懸念されている。 ---- 一般 11月4日 コチにおける造船所と大規模港湾の建設ベルンカステル・グループのユースティティアCEOは今日、西海岸のコチ市に大規模な港湾および造船の施設を建設したと発表した。旧レグルス帝国の遺産であるセイロンの港に頼りきりだった海軍の基地機能を、コチ市に分散させた形だ。これにより、万が一セイロンを失うことになったとしても大艦艇の建造が可能になり、国防上の安全性が増したと言えるだろう。 ---- 一般 11月3日 179年憲法制定、ルークリア国の成立イレーナ・レヴィンスカヤ陛下は今日、新たな憲法となるルークリア179年憲法の公布に署名した。この憲法は6ヶ月後に施行される。憲法は以下のように始められている。「余、栄光ある全ルークリアの女帝、永遠の統治者、国家の建設者、大バーラト女王、ルクレフ女大公、ジーベンビュルゲン、ロイテルツキー及びオルザヴィルの女公、ガンガーの使徒にしてその擁護者たるイレーナ1世レヴィンスカヤ・ルクレフはここに余と余の国家の守るべき法として以下のことを定め、これを認むる。」 国家防衛情報 現在の指標 - Ⅴ + ... 警戒態勢 概要 準備状態 状態Ⅰ 戦時。 総力戦体制 状態Ⅱ 切迫した武力衝突の発生。 予備役招集。軍の展開。 状態Ⅲ 最高度の準備態勢。 通信コールサインを機密化。 状態Ⅳ 強化された準備態勢。事実上の通常状態。 情報収集の強化と警戒態勢の強化 状態Ⅴ 平時における準備態勢。 通常状態 領土 ルークリア民主主義共和国は憲法でインド、カシミール、沿ヒマラヤ地域、セイロン島および周辺島嶼を包括する南アジアの「ほぼ」全域を領土として主張している。実際に支配している領土はグジャラート州、ラジャスタン州、ハリヤナ州、パンジャブ州とカシミール、セイロン以外の主張領土の全域である。 歴史 + ... 1943.3 イギリスからインド共和国が独立。 .5 インド共和国、枢軸に加盟 1944.1 降伏。一時的にイギリスの支配を受ける 1945.3 デリー講和条約締結。北半分はソ連支配下、南半分はイギリス支配下となる 1950.10 北半分がインド・ソビエト共和国として名目上独立 .12 南半分がルークリア共和国として独立、初代大統領にニニ・ヴィハが就任 1954.7.28 ルークリア共和国で軍事クーデター。民主右派が政権を奪取し、ルークリア・レチアル共和国となり、初代首相にギラミア・リーザスが就任する .12 ルークリア憲法が改正され、首相の権限が大幅に強化され、独裁体制になった 1995.1 ソ連崩壊の余波により、インド・ソビエト共和国が崩壊し、ルークリア・レチアル共和国に吸収併合された 2008.12.31 事象 削除済み によって全世界の国家機構が消失 2009.1.1/U.C.1 事象 削除済み が終結、統一暦が制定される 〜U.C.82 群雄割拠の時代。多くの地域豪族が生まれる U.C.82〜85 ルークリア統一戦争(亜大陸大戦) U.C.85 ルークリア再統一、ルークリア・レチアル共和国再建。ディルガディア・レスアリキラが首相就任 U.C.114 ディルガディア首相が死去。その息子であるタンセディア・レスアロメル・アレクサンドロが後任となった U.C.123 選挙でレチアル共産党大勝利。名称変更して首相はそのまま社会主義国家化。独裁者の存在が新政府に都合が良かったためとされる。 U.C.130 インド洋戦争にて敗北。レグルスがバングラデシュ地方、アダマンタン諸島を獲得、セイロン島を100年間租借した。政府は再編、傀儡化され、レグルス属領ルクレフ大公国が成立。 U.C.149 レグルス崩壊。独立し帝国を自称しはじめる。 U.C.171 ペルシア侵攻失敗。 U.C.172 第一皇女によるクーデター。国家百合主義連合成立。 U.C.173 パキスタン戦争での敗戦。北西部にルークリア人民共和国成立。 U.C.178 ルークリア内戦開幕。 U.C.179 ルークリア内戦終結。ルークリア国成立。 U.C.186 186年憲法改正、社会主義を志向する共和政国家へ 詳史 「ルークリア」という国号は少なくとも西暦800年頃の書物には記録が見られるものの、その由来は定かではない。ただ、一説にはチェスのルークと同じくサンスクリット語の“ratha(戦車/チャリオット)”に由来するとされ、これが主流の見解である。 この国号はしばらくの間雅称のひとつとして扱われるに留まったが、西暦1943年にインド共和国が独立を宣言した際に指導政党の名前に用いられた(ルークリア統一労働者党)のを皮切りに主に国粋主義者によって盛んに使用されはじめ、共和国が連合国に降伏した44年1月までにはほぼ全土にこの呼称が定着した。 二次大戦後、南北分割統治下の西側占領地域がソ連によるインド・ソビエト共和国の建設への対抗と統治コストの急激な増加を理由に西側影響下で独立することが決定されると、占領統治への反発に起因するナショナリズムの高揚とともに再度国号をルークリアとする動きが活発化し、これを受け入れる形で西側の占領地域がルークリア共和国として独立することとなった。 53年、ルークリア駐留米軍の問題を発端として国粋主義者によるデモが発生し、これが共和国の腐敗した警察機構によって非合法に弾圧されたことが発覚する。この結果、瞬く間にデモは暴動に発展。経済的な苦境も相俟って国軍の離反までもが発生し、最終的には右派による54年軍事クーデターに決着する。 軍事クーデターの主導者だったギラミア・リーザス大佐が軍部の指示を受けて首相に就任すると、国号はルークリア・レチアル共和国に改められ、憲法改正とともに事実上の独裁体制が成立して、その強権をもって急進的に腐敗の排除が推進された。こののち、独裁体制は維持されつつも、比較的健全な統治のもとにルークリアは冷戦期を潜り抜ける。 一方で、インド・ソビエト共和国は外交的には常に苦境の中にあったと言っていい。そもそも、事実上の宗主国であるソ連とは峻厳な山岳とアフガニスタンをもってほぼ断絶されているに等しく、特に1947年にソ連によって傀儡政権として設立されたアフガニスタン民主共和国が78年に現地反政府ゲリラによって崩壊すると、中ソの対立もあってもはや陸の孤島とも言える状態にあった。ただ、こうした厳しい国外情勢にも関わらず、インド・ソビエト共和国の国内統治はかなり成功していた。豊富な資源と労働力を利用したアウタルキー的な経済が実現され、また官僚主義的側面が多少改善されていたこともあって、物資不足はソ連本国ほど深刻ではなかった。このこともあって、この共和国の崩壊はソ連の崩壊から4年も遅れた1995年に民衆運動が結実する形で穏健に発生し、さらにはルークリア内部に大量の共産主義者が残存する結果を招いた。 2008年末にスウェーデンを発端とする世界的な破滅的事象が発生し、世界各地の統治権力が崩壊を迎えたとき、ルークリアも同様に中央政府を失って分裂状態に突入した。統一暦82年までの間に数多の勢力が勃興を繰り返したが、ルークリアを統一する勢力は一向に現れなかった。しかし、82年に北西部アジュメールを拠点とした軍閥が未だ勢力を維持していた共産党の支持を受けてヒンドゥスタン平原を統一すると、そのあと85年までに遠征を繰り返してルークリア全土を統一し、この軍閥によってルークリア・レチアル共和国が再建された(ルークリア統一戦争(亜大陸大戦))。 その後、軍閥の指導者であったディルガディア・レスアリキラが首相として独裁政権を維持したものの、114年に彼が死去して後任に息子のタンセディア・レスアロメル・アレクサンドロが就任すると事態は一変した。父ほどの求心力がなかった彼は政権維持のために共産党に頼らざるを得ず、結果として共産党の要請に応じて123年国政選挙の実施を余儀なくされた。この選挙の結果、共産党は政権与党を奪取し、ルークリア・レチアル人民共和国が成立した。「統一の英雄」の栄光を借りるための存在として名目上は彼が首相にとどめおかれたものの、実権は共産党が握る形となり、インド・ソビエト共和国以来の共産党の統治が開始された。共産党政権下では、農業の集団化やコンビナートの再建などのちのルークリアの産業の基盤がかたちづくられ、対外的にはオルカモリョフへの加盟などを通して国際的な共産主義による連帯を強めていった。 共産党による統治はかなり安定したものであったが、これは外的要因によって終焉を告げる。 インド洋戦争である。 レグルスから亡命したトロツキストをルークリアが匿ったことをきっかけとしてレグルスとの間に発生したこの戦争は、最終的にレグルスによるルークリアの植民地化という結果に終わった。 レグルス政府によって設置されたルークリア植民地省の元、統治者としてルクレフ公ニコラーエフ・ロイテルツキーが派遣され、ルクレフ大公としてルークリアの統治者の座に就いた。のちに、彼の崩御とともに後継として娘のイレーナ・レヴィンスカヤがこれに即位する。 こうして成立したルクレフ大公国はレグルス最大の植民地として本国に労働力と兵力を供給したが、144年に始まったレグルス戦争で壮絶な絶滅戦争の挙句本国が崩壊すると講和条約に従って独立、レグルスに倣って獅子座の星の名を冠してラス・エラセド連合帝国を称した。しかし、レグルス戦争の余勢を駆ったユークバニア・モレラ・シェラルドの連合軍によってルークリア・レグルス継続戦争が実施され、最終的には国際的な非難にあった三国が撤退することで決着したものの、独立早々に国土が蹂躙される憂き目に遭う。 また、レグルス戦争の結果として、旧レグルス官僚による詳細不明の独裁政権「レグルス国家再生政府」が、条約の穴をついてバングラデシュに成立した。 仏連-OFC戦争ではまたも仏軍に敗北を喫し、ポンディシェリをシェラルドに割譲した。 171年には、隣国のペルシア共和国(当時)での政権交代に反発してこれに侵攻したものの、各国の支援を受けたペルシアに敗北、屈辱的な白紙和平を結ぶことになる。結果的に、これをきっかけとして172年の元旦にクーデターによって女帝イレーナ・レヴィンスカヤが軟禁され、新興の思想である国家百合主義を掲げたエレオノーラ・リリーによるルークリア国家百合主義連合(RNLU)が成立して、ルークリアは国家最長姉を名乗る最高指導者のもとに極端な女権思想を持った国家となった。 しかし、この政権は長続きしなかった。173年にペルシアがルークリアに侵攻を開始してパキスタン戦争が始まると、新ソ連軍のNC兵器までもを使用した攻撃によりルークリア軍は敗退を続け、最終的にエスファハーン条約によって首都を含む北西部を失陥して、第二次世界大戦での敗北以来の南北分裂時代に突入することになると、戦争のもたらした尋常でない被害と敗戦という結果に政府は急激に不安定化し、178年には男性労働者の反乱を契機としてルークリア内戦が開幕した。 パキスタン戦争中の混乱に乗じて軟禁状態を脱出した女帝を担ぎ上げた諸侯の親政派が、労働者反乱を主体とした民主派との妥協を経て新ソ連の干渉軍と政府軍を打倒して内戦に勝利し、女帝の手によって179年ルークリア憲法が制定されてルークリア国が成立した。2度の政権交代ののち、共産党が政権を握り、186年憲法を制定して共和政が発足、ルークリア民主主義共和国に国号を変更し現在に至る。 政治 分断国家 ルークリア民主主義共和国はその国土を南北に分断された国家である。北部は事実上新ソ連の傀儡とされるルークリア人民共和国の統治下にあり、現状は北ルークリアによって両国間の往来はほとんど封鎖されているが、現政府は国境の解放を提案している。北方の大都市デリーは双方の境界上にあるため東西に分割されていたが、インド戦争の結果全域が北ルークリアの施政下に入ることになった。しかし、その性質上今もなおこの都市自体がルークリアの南北分断の象徴と見做されることも多い。また、その性質上常に戦争の可能性を抱える環境下に置かれているため、必然的に軍事費は予算の大きな割合を占めており、財政を圧迫している。 議会制度 ルークリア民主主義共和国の議会はルークリア国民議会のみの一院制であり、定数は300。議員は 小選挙区比例代表並立制 の自由選挙によって選出されている。現在は南ルークリア共産党、社会民主党急進派(SDP-R)の連立政権であり、南ルークリア共産党の党首ローザ・カルミン・ヨハニスベーレが共和国大統領を務めている。 野党第一党は社会民主党中央派(SDP-Z)で、その後にルークリア民主党、統一戦線 国家=労働者 (VFNuA)、新帝国自由党、祖国防衛軍団が続く。 各政党の現況 SDP-Zは、185年選挙の前後でその議席数を変えなかった。一応はマニュフェストを達成したこともあって党勢は維持されたと見られるが、一方で穏健なSDP-Zではこれ以上の改革は望めないとの意見も根強く、政権運営は未だ予断を許さない。連立相手の2政党がどちらも党勢を弱めているため、政権の安定性自体は増したものの、議会における政権の発言力は乏しくなっており、決定力を欠くことが懸念されている。 こうした2政党のひとつがルークリア民主党である。前回の選挙においてすでに退潮気味であった党勢はかつて民主党から離反した社会民主党の一派であるSDP-Zの政権に参加し、あまつさえ任期を満了させてしまったことで決定的に失われた。31議席中10議席を失陥する結果となった今次選挙でもはや再建は不可能となったとの見方が強い。 そして、もうひとつがVFNuAである。第一次バイフース政権ではSDP-Zに追従する姿勢があまりにも露骨であったため大きく支持を損ない、全議席の1/5以上にあたる6議席を失うことになった。今次政権で有権者の期待に応えられるかが鍵となるだろう。 野党第一党である南ルークリア共産党は、その名のとおり共産主義を標榜する極左政党である。北に新ソ連の事実上の傀儡政権であるルークリア人民共和国を抱えるルークリア国にとっては仮想敵の影響力そのものといえるこの政党は、今次の選挙で急速に議席を伸ばし、議席数を大きく減らしたSDP-Rを凌ぐ64議席を確保して野党第一党に躍り出た。現在最も勢いのある政党とみてよいが、一方で規模の拡大に伴い急速に現実主義的路線に舵を切りはじめており、こうした路線変更が次回の選挙にどう影響するかが注目される。185年末の政変により議席数が112議席に爆増、第一野党としての地位を確固たるものにした。 南ルークリア共産党に次ぐ第二の野党が、社会民主党急進派(SDP-R)である。第一次バイフース政権では90議席を抱えた野党第一党であったが、もともとある程度現実的な方針を無視したポピュリズム的な政党であったために、議会での実情をみた支持層が離反し、その議席を大きく失った。しかし、それでも60議席を擁する巨大勢力であることに疑いの余地はなく、引き続きその動向を注視する必要がある。185年末の政変で議席が12議席に激減。いまだ野党第二党ではあるものの、完全に力を失った。 新帝国自由党は、かつての与党の後継政党であるが、もはや小規模政党になったといっていい。それでも旧貴族層や保守的な大企業幹部の支持によって11議席は確保しており、わずかながらの影響力を維持しているため、無視のできない勢力である。 議会に議席を有する最小の政党、祖国防衛軍団はルークリアの右翼勢力を糾合した政党であるが、全国的な左派的潮流の中にあって完全に廃れており、ごくわずかな国家百合主義者の残党とVFAR(全ルークリア統一戦線:連合帝国期の指導政党)の基幹要員のみが残存している。すでに議会での影響力はほとんどないが、地方都市などでは強力な違法武装組織を抱えて力を蓄えているといわれ、「許容できないライン」を超えれば武装蜂起を起こす可能性も指摘されており、潜在的な危険性は非常に高いとみられる。 国内有名企業 ベルンカステル・グループ 沿革 + ... ルークリアの経済において中心的かつ独占的な立場を担う巨大企業。金融はもちろんのこと、農業、工業、観光、その他さまざまな分野に進出しており、独占を禁止する法律がごく限られているルークリアにおいて絶大な影響力を持っている。また、創業者にして現CEOのユースティティア・ベルンカステルの出生には明らかでない部分が多く、その来歴についてさまざまな憶測を呼んでいる。 実権を放棄する際に条件として認めさせた、「庶民としての正体が秘匿できる別戸籍の所持」を最大限活用して、女帝が自らの資産で設立した。「いと美しき」CEOの正体を知るのは、帝室のごく限られたもののみである。 事業 軍事 + ... ベルンカステル・グループは、その軍事部門としてBIB(ベルンカステル国際旅団)を擁しており、これがルークリア国内の唯一の民間軍事会社となっている。国家安全保障法は国家と国家組織(特権自治領等)以外の軍事力の保有を禁じているものの、BIBは「事実上の」国家組織扱いとして異例の目こぼしを受けており、本法の適用外となっている。BIBの装備は、多くはルークリア軍の装備の型落ち品や最新装備の輸出用モンキーモデルであり、その質は正規軍に劣る。しかし、こと練度の点においては、軍量に頼って兵をすり潰しがちな正規軍に優越しており、特に政府が直接介入するわけにはいかないような海外派遣任務に駆り出されることが多い。186年選挙の共産党の勝利に反発して反乱を起こしたが、その後の政治的取引によってごく軽い処罰のみにとどまっている。 BIB部隊一覧 + ... ○陸上戦団 BIB装甲機動旅団第一「カタリナ」 BIB装甲機動旅団第二「ヘートヴィヒ」 BIB装甲機動旅団第三「ヴィルヘルミナ」 BIB装甲機動旅団第四「マルグレーテ」 BIB装甲機動旅団第五「エリーザベト」 BIB武装擲弾兵師団第一「フェアギスマインニヒト」 BIB武装擲弾兵師団第二「ナルツィッセ」 BIB武装擲弾兵師団第三「オルヒデーエ」 BIB独立工兵大隊第一「ミカ」 BIB独立工兵大隊第二「マルギット」 BIB支援砲兵連隊第一「ギェンゼブリュームヒェン」 BIB支援砲兵連隊第二「レーヴェンツァーン」 ○海上戦団 BIB第一艦隊 ライン級原子力戦艦一番艦(元OFC機構軍派遣艦ディー・カイゼリン級四番艦)「ライン」(旗艦) ツェツィーリエ級軽巡洋艦(旧ジェイド級)×2 ドナースマルク級駆逐艦(旧D-1級)×5 BIB第二艦隊 ライン級原子力戦艦二番艦(元OFC機構軍派遣艦ディー・カイゼリン級三番艦)「セーヌ」(旗艦) ツェツィーリエ級軽巡洋艦 ×2 デュ・スタール級駆逐艦(旧D-2級) ×5 BIB第一空母機動艦隊 ベルン級原子力航空母艦一番艦(元ルークリア海軍所属ヴェンツェル級原空三番艦)「ベルン」 艦載機 Ra-80 艦上戦闘機 ガーネット級防空艦 ×3 デュ・スタール級駆逐艦 ×2 フォン・ウビオルム級(旧D-3級)駆逐艦 ×3 ○航空戦団 WB-01 早期警戒管制機 ×10 LG-79 多目的戦闘機 ×750 WB-01T 輸送機 ×20 ABF01「エーリヒ」降下猟兵連隊 ABF02「ジークフリート」降下猟兵連隊 ABF03「カーヤ」降下猟兵連隊 ○親衛戦団 親衛装甲旅団「エイレーネー」 親衛航空魔導連隊「ネメシス」 親衛艦隊 ライン級原子力戦艦三番艦(元OFC機構軍派遣艦ディー・カイゼリン級五番艦)「ドナウ」(旗艦) ツェツィーリエ級軽巡洋艦 ×3 フォン・ウビオルム級駆逐艦 ×5 親衛航空隊 WB-01 早期警戒管制機 ×2 LG-79 多目的戦闘機 ×150 WB-01T 輸送機 ×4 金融業 + ... ベルンカステル中央銀行を中心として、莫大な資金を背景に好景気で活発化する起業の動きや設備投資に対して非常に大規模な出資を行っている。国策と連動した取引が存在すると疑問視されており、何度かインサイダー取引の疑いで監査が行われているものの、いずれも不十分なものに終わっている。 農業 + ... 高度に集団化された旧国営農業機関の払い下げを受けており、ルークリア国の農業生産の約3割を占めるといわれている。もともと発達していた産業分野であることもあり、他の分野に比べるとその影響力は小さいものの、それでも国内で二番目の市場シェアを誇っている。 製造業 + ... 家具や服飾、食品加工から、車両・航空機の製造や造船まで、幅広く手がけている。特に工作機械メーカーとしては国内では他社の追随を許しておらず、ルークリア国全体の製造業の成長において非常に大きな役割を果たしているとされる。 建設 + ... 建設業は、グループでも近年最も成長している部門である。ルークリア国ではその莫大な人口を収容するための住宅が慢性的に不足しており、また平均所得の急激な上昇に伴って常に巨大な住宅需要が存在しているが、ベルンカステル・グループは自社の物流網を活用してより安価に、より大規模に事業展開することで、莫大な利益をあげている。 エーヴェルト公社 沿革 + ... ルークリア国東部のエーヴェルト特権自治領を統治するエーヴェルト家によって設立された大企業。一応名目上政府機関の特権自治領に属するため公社を名乗っているが、事実上は私企業である。農業と食品加工、衣類製造などの軽工業に大きな影響力を持ち、特に農業生産ではベルンカステルを抑えて一位に君臨していたが、インド戦争以降の混乱期に母体のエーヴェルト家の衰退に従って縮小し、現状では全ての分野でベルンカステル社の後塵を拝している。 各都市の特色 カルカッタ + ... 179年憲法によって正式に首都と規定された政治中枢の都市。国内で最大の人口を擁する都市でもあり、近年になって政府機能が移転されてきたために政府が都市の郊外に存在する。 また、この都市とその都市圏はカルカッタ特別区として政府直轄領となっている。 ──カルカッタはルークリアの宝玉だ。この宝玉は貴族という多頭龍の手に握られている。(『われらの祖国』) ムンバイ(カタリナシュタット) + ... パキスタン戦争後に国家百合主義連合の首都が置かれていた、西方最大の都市。近郊には陸軍第一軍の指揮所が、また沿岸地帯には海軍基地が置かれ、人民共和国に対抗する上での重要な軍事拠点のひとつとなっている。ルークリア全体の海運においても重要な地位を占め、ルークリアの西の玄関口としても知られている。 南方に西ガーツ山脈を抱え、海上ルートを主体とした交通網となっている上、大量の人口を支えるために過大な民間の交通需要が存在するため、制海権を失うと補給が貧弱になるという問題点もあり、陸上の大規模交通網の整備が急がれている。 西暦のイギリス統治時代に、この都市を結婚の持参金としてチャールズ2世と結婚したキャサリン・オブ・アラゴンにちなんでキャサリンシティと改名されたことがあり、これを引き継いでカタリナシュタットと呼ばれることもあり、愛称として定着している。 ──カタリナシュタット、それは裏庭への門。(『ルークリア経済誌』) デリー + ... インド亜大陸最大の都市デリーは、パキスタン戦争以降南北ルークリアによって東西に分断されており、国家断裂の象徴となっている。とはいえ、2000万の人口を擁する巨大都市デリーの封鎖は容易ではなく、現状は東西デリー間の行き来はほぼ素通しの状態であり、このことは両政府の間で度々問題になる。 南北国境の壁に開いたこの穴は亡命の温床になっているとともに、両政府間が工作員を派遣するための糸口ともなっており、この影響もあって激しい政治的対立と抗争がこの都市を覆っている。急進派団体によるデモ行進や対立派閥の人間へのリンチも頻発しており、治安はかなり悪い。 インド戦争の結果、183年現在その全域が南ルークリアの統治下にない。 ──デリーは美しいガラス玉だ。南北の2人が引っ張り合い、ついには割れて互いを傷つけるようになってしまった。(『デリー、南北の楔』) ハイデラバード + ... フセイン湖というダム湖を挟んで反対側に双子都市シカンダラバードをもつ、ルークリア中南部最大の都市。シカンダラーバードは空軍基地を有し、発達した交通網をもった南ルークリアの交通ハブとも言える都市になっている。 ──ふたりの乙女は手を結び、かの湖に腰掛ける。(統一暦1世紀初頭に作られた作者不明の詩) バンガロール + ... ルークリア南部の大都市。ルークリア内戦における激戦地として知られる。数週間に及ぶ包囲戦の影響は未だ根深く、企業の進出によって急激な再建がなされているものの、路上生活を強いられている人も少なくない。その性質上多くの過激派国粋主義者や百合主義者の拠点がおかれ、こうした勢力が現在も水面下で暴力による勢力争いを行っており、治安は非常に悪い。 ──バンガロールはレニングラードにはなれなかったのだ。(『ルークリア内戦』) チェンナイ + ... ルークリア東岸地域最大の都市。グジャラートを失って以降、コチ港の大規模港湾施設建設まではセイロン港につづき国内2番目の港であったチェンナイ港を擁しており、今でもルークリア東岸の海上輸送の中心地である。 ──東ガーツの至宝、我らのチェンナイ!(『ルークリア地誌』) 外交 同盟国・友好国 + ... ラティアンス・レフタニア技巧連合 + ... ラティアンス・レフタニアとは、ルークリアの私企業の取引先として比較的友好的な関係を構築していると言っていい。ルークリアは国内需要の高い農業機械を輸入し、余剰の出やすいタミル産の米を輸出している。 一方、彼の国は敵対国である大中華の経済圏に属しており、この取引に政府は渋い顔をしつつも、不干渉原則に基づき黙認している。 警戒国・敵対国 + ... 大中華 + ... 大中華とルークリアは北東部アルナーチャル・プラデシュに領土問題を抱えており、常に対立関係にある。一方で、産業界は中華の巨大な市場に商機を見出しており、中華との関係改善を求める声も多い。 経済・産業・資源 経済 + ... ルークリア民主主義共和国は社会主義を標榜しているものの、その独自の理論に基づいて現在は市場経済が維持されており、企業の国営化が少しずつ進んではいるものの私企業も非常に多い。 通貨はレグルスの属国時代以来のネオドル。ただし、すでに存在しないレグルス本土の造幣局の代わりに国内の造幣局が発行しているため、既にレグルスのネオドルとの連続性は存在しない。 通例、区別して「ルークリア=ネオドル」と呼ばれる。 ルークリア民主主義共和国では、社会権が保障され独占禁止法も整備されたことで物価水準も給与水準も正常化しており、貧富の差は急速に改善されている。 自由経済下で民間投資が増加し産業が成長して拡大した経済規模による利益が国民に潤沢に分配されており、手厚い財政的援助を受けて成功する市民も非常に多い。 産業 + ... まず農業であるが、東海岸地域での米、ガンジス川上流域での小麦の栽培や、デカン高原地域での綿織物産業、アッサム・セイロンでの茶のプランテーションなど多種類かつ豊富な生産量を誇る。 かつての共産主義政権時代に整備された国営農業をもとにした高度に機械化され集団化された農業は高い生産性をもたらしており、市場に安価な農作物を提供している。 ルークリア国は鉱産資源にも恵まれている。西部、東端部、中部のそれぞれに鉄鉱が存在するほか、東部では石炭と石油、クロム、マンガンが、西部では鉄鉱の他にボーキサイトが産出され、中部ではさらにダイヤモンドとボーキサイトが、南部では金が採掘できる。これらの鉱産資源は大企業が採掘権を握っており、こうした企業が独占体として国内での鉱産資源の流通量を操作している。 また、かつて国営で存在した重工業を基盤に、各地で急速に工業が発展しつつある。鉱産資源を活かした重工業と、綿花栽培に根ざした繊維工業中心の軽工業が盛んであり、石油を産出する東海岸では大規模な石油化学コンビナートが整備されてきている。 サービス業は未だ未発達の部分が大きい。大規模な食料品チェーンこそあるものの、ファミリーレストランやコンビニエンスストアといった大衆向けかつ比較的小規模で多店舗を展開する形態の事業はごく少ない。また、インターネット関連の事業も軍事用の国策整備の部分以外は進んでおらず、インターネット環境にアクセスできるのは今のところいくつかの主要都市圏の住民のみである。一方で、運送業はその広大な国土をカバーするために発達しており、各地にハブ拠点をおいて物品を円滑に配達するシステムが構築されている。 軍備 編成情報 + ... 陸軍 最高指揮官 ローザ・カルミン・ヨハニスベーレ 総人員数 軍人のみ 1487032名 軍属含む 4522252名 + ... 北西軍管区 本部 ラクナウ 第一軍 司令部 ムンバイ + ... 第Ⅰ軍団 + ... 第Ⅰ機械化歩兵師団 第Ⅱ機械化歩兵師団 第Ⅰ機甲師団 第Ⅰ独立砲兵旅団 第Ⅱ軍団 + ... 第Ⅲ機械化歩兵師団 第Ⅳ機械化歩兵師団 第Ⅱ機甲師団 第Ⅱ独立砲兵旅団 第Ⅰ独立騎兵連隊 第Ⅲ軍団 + ... 第Ⅴ機械化歩兵師団 第Ⅵ機械化歩兵師団 第Ⅲ機甲師団 第Ⅲ独立砲兵旅団 第Ⅱ独立騎兵連隊 第Ⅳ軍団 + ... 第Ⅰ歩兵師団 第Ⅱ歩兵師団 第Ⅲ歩兵師団 第Ⅳ独立砲兵旅団 第二軍 司令部 インドール + ... 第Ⅴ軍団 + ... 第Ⅶ機械化歩兵師団 第Ⅷ機械化歩兵師団 第Ⅳ機甲師団 第Ⅴ独立砲兵旅団 第Ⅵ軍団 + ... 第Ⅸ機械化歩兵師団 第Ⅹ機械化歩兵師団 第Ⅴ機甲師団 第Ⅵ独立砲兵旅団 第Ⅲ独立騎兵連隊 第Ⅶ軍団 + ... 第Ⅰ軽装甲騎兵師団 第Ⅱ軽装甲騎兵師団 第Ⅺ機械化歩兵師団 第Ⅳ独立騎兵連隊 第Ⅷ軍団 + ... 第Ⅳ歩兵師団 第Ⅴ歩兵師団 第Ⅵ歩兵師団 第Ⅶ独立砲兵旅団 第三軍 司令部 グワリオル + ... 第Ⅸ軍団 + ... 第Ⅻ機械化歩兵師団 第XⅢ機械化歩兵師団 第Ⅵ機甲師団 第Ⅷ独立砲兵旅団 第Ⅹ軍団 + ... 第XⅣ機械化歩兵師団 第XⅤ機械化歩兵師団 第Ⅶ機甲師団 第Ⅸ独立砲兵旅団 第Ⅴ独立騎兵連隊 第Ⅺ軍団 + ... 第Ⅲ軽装甲騎兵師団 第Ⅳ軽装甲騎兵師団 第XⅥ機械化歩兵師団 第Ⅵ独立騎兵連隊 第Ⅻ軍団 + ... 第Ⅶ歩兵師団 第Ⅷ歩兵師団 第Ⅸ歩兵師団 第Ⅹ独立砲兵旅団 第四軍 司令部 ハープル + ... 第XⅢ軍団 + ... 第XⅦ機械化歩兵師団 第XⅧ機械化歩兵師団 第Ⅷ機甲師団 第Ⅺ独立砲兵旅団 第XⅣ軍団 + ... 第XⅨ機械化歩兵師団 第XⅩ機械化歩兵師団 第Ⅸ機甲師団 第Ⅻ独立砲兵旅団 第Ⅶ独立騎兵連隊 第XⅤ軍団 + ... 第X歩兵師団 第Ⅺ歩兵師団 第Ⅻ歩兵師団 第XⅢ独立砲兵旅団 第XⅥ軍団 + ... 第XⅢ歩兵師団 第XⅣ歩兵師団 第XⅤ歩兵師団 第XⅣ独立砲兵旅団 第五軍 司令部 シムラー + ... 第XⅦ軍団 + ... 第XXⅠ機械化歩兵師団 第X機甲師団 第Ⅰ山岳師団 第XⅤ独立砲兵旅団 第XⅧ軍団 + ... 第Ⅱ山岳師団 第Ⅲ山岳師団 第Ⅳ山岳師団 第XⅥ独立砲兵旅団 第Ⅷ独立騎兵連隊 第XⅨ軍団 + ... 第Ⅴ山岳師団 第Ⅵ山岳師団 第Ⅶ山岳師団 第XⅦ独立砲兵旅団 第Ⅸ独立騎兵連隊 第六軍 司令部 ラクナウ + ... 第XⅩ軍団 + ... 第XXII機械化歩兵師団 第XXIII機械化歩兵師団 第Ⅺ機甲師団 第XⅧ独立砲兵旅団 第X独立騎兵連隊 第XⅩⅠ軍団 + ... 第Ⅴ軽装甲騎兵師団 第Ⅵ軽装甲騎兵師団 第XXⅣ機械化歩兵師団 第Ⅺ独立騎兵連隊 第XⅩⅡ軍団 + ... 第Ⅰ機械化砲兵師団 第Ⅷ山岳師団 第Ⅸ山岳師団 第XⅨ独立砲兵旅団 北東軍管区 本部 パトナー 第七軍 司令部 ゴウハティ + ... 第XⅩⅢ軍団 + ... 第XXⅤ機械化歩兵師団 第XXⅥ機械化歩兵師団 第Ⅻ機甲師団 第XⅧ独立砲兵旅団 第Ⅻ独立騎兵連隊 第XⅩⅣ軍団 + ... 第Ⅱ機械化砲兵師団 第Ⅶ軽装甲騎兵師団 第XXⅦ機械化歩兵師団 第XⅢ独立騎兵連隊 第XⅩⅤ軍団 + ... 第Ⅲ機械化砲兵師団 第X山岳師団 第Ⅺ山岳師団 第XⅨ独立砲兵旅団 第XⅣ独立騎兵連隊 第XⅩⅥ軍団 + ... 第Ⅳ機械化砲兵師団 第Ⅻ山岳師団 第XⅢ山岳師団 第XⅩ独立砲兵旅団 第八軍 司令部 カトマンズ + ... 第XⅩⅦ軍団 + ... 第XⅩⅧ機械化歩兵師団 第XⅩⅨ機械化歩兵師団 第XⅢ機甲師団 第XⅩⅠ独立砲兵旅団 第XⅤ独立騎兵連隊 第XⅩⅧ軍団 + ... 第Ⅴ機械化砲兵師団 第XⅥ歩兵師団 第XⅦ歩兵師団 第XⅩⅡ独立砲兵旅団 第XⅩⅨ軍団 + ... 第Ⅵ機械化砲兵師団 第XⅣ山岳師団 第XⅤ山岳師団 第XⅩⅢ独立砲兵旅団 中央軍管区 本部 カルカッタ 第九軍 司令部 カルカッタ + ... 第XⅩⅩ軍団 + ... 第XⅩⅩ機械化歩兵師団 第XⅩⅩⅠ機械化歩兵師団 第XⅣ機甲師団 第XⅩⅣ独立砲兵旅団 第XⅥ独立騎兵連隊 第XⅩⅩⅠ軍団 + ... 第XⅩⅩⅡ機械化歩兵師団 第XⅩⅩⅢ機械化歩兵師団 第XⅤ機甲師団 第XⅩⅤ独立砲兵旅団 第XⅦ独立騎兵連隊 第XⅩⅩⅡ軍団 + ... 第Ⅷ軽装甲騎兵師団 第Ⅸ軽装甲騎兵師団 第XⅩⅩⅣ機械化歩兵師団 第XⅧ独立騎兵連隊 第XⅩⅩⅢ軍団 + ... 第Ⅶ機械化砲兵師団 第Ⅰ支援工兵師団 第Ⅱ支援工兵師団 第Ⅰ独立工兵旅団 第XⅨ独立騎兵連隊 海軍 + ... 全艦 原子力空母12隻(うち初期スクラップ0隻)、航空母艦3隻、艦載戦闘機2960機(0?)、艦載爆撃機2500機(0?)、駆逐艦154隻(0)、輸送船1660隻(0?)、通常潜水艦45隻(0?)、艦載対空ミサイル2000発(0?)、軽ミサイル巡洋艦40隻(0)、航空護衛艦24隻、強襲揚陸艦6隻、輸送艇1000艇、イージス駆逐艦24隻、強襲揚陸艇300艇、戦艦7隻、巡洋艦10隻、軽航空母艦5隻、航空戦艦5隻、防空艦15隻、原子力戦艦3隻、軽巡洋艦27隻、巡洋戦艦10隻、高速戦艦8隻、航空駆逐艦1隻、重巡洋艦8隻 第一艦隊<帝国象徴艦隊(ライヒスジンボルフロッテ、R.S.F)> “ディー・カイゼリン”級原子力戦艦3隻、グローリアス・ルークリア級戦艦3隻、カイザーヴィルヘルム級戦艦2隻、ディクタートル級航空戦艦2隻、カール・エミール・マンネルヘイム級航空戦艦3隻、D-71“サファイア”級巡洋戦艦9(10-1)隻、D-101“エーヴェルト”級高速戦艦8隻、ヴァンガード級重巡洋艦8隻、海風級駆逐艦0(8-8)隻、ライヒスヴァル級イージス駆逐艦7(8-1)隻、マーマイト級軽巡洋艦3(4-1)隻、D-81“アレクサンドライト”級重巡洋艦6隻、D-1級駆逐艦12(16-4)隻、D-201潜水艦6隻、D-91“ガーネット”防空艦5隻、D-92“ジェイド”級軽巡洋艦5(6-1)隻、D-3級駆逐艦7(8-1)隻、フラクタル級駆逐艦12(13-1)隻、I-45型潜水艦5隻、フライハイトⅠ級ミサイル駆逐艦15隻 計121(139-18)隻 第二艦隊<帝国主力艦隊(ライヒスハウプトフロッテ、R.H.F)> ヴェンツェル級原子力航空母艦5隻、イレーナ級原子力航空母艦3隻、ロイテルツキー級原子力航空母艦1隻(艦載戦闘機Figosh-3 240機)、リヒトホーフェン級航空母艦3隻、D-81“アレクサンドライト”級重巡洋艦3隻、エカテリンブルク級航空護衛艦12隻、海風級駆逐艦8隻、ライヒスヴァル級イージス駆逐艦8隻、D-2級駆逐艦14(16-2)隻、マーマイト級軽巡洋艦2隻、D-201潜水艦6隻、D-91“ガーネット”防空艦5隻、D-92“ジェイド”級軽巡洋艦6隻、D-3級駆逐艦8隻、ケーニヒスベルク級航空駆逐艦1隻、デリー級軽巡洋艦9隻、I-45型潜水艦5隻、パイオニア級駆逐艦14(15-1)隻 計113(116-3)隻 第三艦隊<帝国揚陸攻撃艦隊(ライヒスクーストゥナングリフスフロッテ、R.K.A.F)> アスノーヴァ・イズ・スラーノヴィ・コスチⅡ級強襲揚陸艦4隻及び強襲揚陸艇54艇、アスノーヴァ・イズ・スラーノヴィ・コスチ級強襲揚陸艦2隻、イレーナ級原子力航空母艦1隻、ロイテルツキー級原子力航空母艦3隻、D-51軽空母5隻、D-81“アレクサンドライト”級重巡洋艦6隻、エカテリンブルク級航空護衛艦12隻、D-1級駆逐艦8隻、D-2級駆逐艦8隻、海風級駆逐艦8隻、ライヒスヴァル級イージス駆逐艦8隻、マーマイト級軽巡洋艦4隻、D-91“ガーネット”防空艦5隻、D-92“ジェイド”級軽巡洋艦6隻、D-3級駆逐艦8隻I-45型潜水艦5隻、フェノメノン級駆逐艦15隻 計100隻 総計355隻 第一空母機動艦隊概要 + ... 指揮官 艦載機総司令官 構成艦 空軍 + ... 軍備 陸軍 + ... 主力戦車 + ... Vmm-1現代主力戦車 + ... Vmt-1現代戦車 + ... Vmt-2 現代戦車 + ... VMT-3主力戦車 + ... VMT-4 主力戦車 + ... VMT-5 主力戦車 + ... VMT-6 主力戦車 + ... VMT-7 主力戦車 + ... VMT-8 主力戦車 + ... VMT-9 主力戦車 + ... VMT-10 主力戦車 + ... VMT-11 主力戦車 + ... 軽戦車 + ... RLT-1 “オスナブリュック”軽戦車 + ... VMT-4L 軽戦車 + ... VMT-4L2 軽戦車 + ... RLT-2 軽戦車 + ... RLT-3 軽戦車 + ... RLT-3改 軽戦車 + ... 水陸両用戦車 + ... VMT-4A 水陸両用戦車 + ... 歩兵戦闘車 + ... RIFV-001 “ヴォンバート” 歩兵戦闘車 + ... RIFV-002 歩兵戦闘車 + ... RIFV-003 歩兵戦闘車 + ... 装甲兵員輸送車 + ... RAPC-001 “ヴォンバートA” 装甲兵員輸送車 + ... RAPC-002 装甲兵員輸送車 + ... RAPC-003 装甲兵員輸送車 + ... ハーフトラック + ... RHT-001 ハーフトラック + ... 自走榴弾砲 + ... RSPH-001 自走榴弾砲 + ... RSPH-002 自走榴弾砲 + ... RLT-3SPH 自走榴弾砲 + ... 駆逐自走砲 + ... RSPJ-001 重駆逐自走砲 + ... RSPJ-002 重駆逐自走砲 + ... RLT-3SPJ 駆逐自走砲 + ... 自走対空砲 + ... RMSL-001 機動短距離防空ランチャー + ... RSPAA-001 自走対空砲 + ... RLT-3SPAA 自走対空砲 + ... 自走ロケット砲 + ... RSPR-001 自走ロケット砲 + ... RLT-3ATAV 対戦車装甲車 + ... RLT-3SPRAT 対戦車自走ロケット砲 + ... 迫撃砲/自走迫撃砲 + ... 迫撃砲vGw-147 + ... RLT-3SPM 自走迫撃砲 + ... 非装甲車両 + ... TR272 8.5tトラック + ... TR272改 ガントラック + ... その他 + ... Ⅰ型HAMA「ヴェガ」 + ... 地対空広域防空ミサイルシステム + ... VMT-4B 架橋戦車 + ... RARV-001 装甲回収車 + ... RCFV-001 偵察戦闘車 + ... RSPRG-001/002 自走レールガン + ... 退役済み装備 + ... ローゼン型軽戦車 2000台 ガレザ型超重要塞戦車 6台 ローレシル型戦車 8000台 ノストルム型主力戦車 7000台 ケーニヒスベルク型中戦車 5000台 ブルターニュ型49連装地対艦ミサイル自走砲 1280台 軽戦車「ノースランド」 3300台 装甲車輌「エルブレスク」3500台 装甲車輌「ツァーリツィン」4000輌 軽戦車「エスターライヒ」3000輌 軽戦車「ルブリン」 3100輌 軽戦車「アルスト」 3200輌 軽戦車「ハンブルク」 3200輌 主力戦車「フランクフルト」 300輌 中戦車「シュレースヴィヒ」 5000輌 装甲車輌「ミュンスター」 3500輌 装甲車輌「ラインハルト」 3500輌 軽戦車「アルトバイエルン」 3200輌 装甲車輌「ニーダーバイエルン」 3500輌 装甲車輌「ニーダーザクセン」 3500輌 装甲車輌「オーバーザクセン」 4500輌 軽戦車「マーストリヒト」 3000輌 600mm榴弾砲 HOWIT-3 750mm榴弾砲 HOWIT-9 1380mm榴弾砲 HOWIT-12 1000mm榴弾砲 HOWIT-18 960mm榴弾砲 HOWIT-23 800mm榴弾砲 HOWIT-29 1580mm榴弾砲 HOWIT-38 1100mm榴弾砲 HOWIT-45 600mm速射砲 RFC-3 990mm榴弾砲 HOWIT-51 2240mm重榴弾砲 HOWIT-55 720mm重速射砲 RFC-12 海軍 + ... エカテリンブルク級航空護衛艦 24隻 海風級駆逐艦 16隻(27-3[東地中海戦争にて轟沈]-8[グジャラート沖海戦にて喪失]) ロイテルツキー級原子力航空母艦 3隻 アスノーヴァ・イズ・スラーノヴィ・コスチ級強襲揚陸艦 2隻 艦載戦闘機 Figosh-3 300機 艦載ステルス戦闘機 S-Figosh-5 160機 永楓級輸送艦 80隻 1式輸送艇 1000艇 ライヒスヴァル級イージス駆逐艦 23(24-1)隻 1式揚陸艇 300艇 グローリアス・ルークリア級戦艦 5隻 イレーナ級原子力航空母艦 4隻 マーマイト級巡洋艦 9(10-1)隻 アスノーヴァ・イズ・スラーノヴィ・コスチⅡ級強襲揚陸艦 4隻 PROJECT-D-1級駆逐艦 20(24-4)隻 PROJECT-D-51級軽航空母艦 5隻 PROJECT-D-2級駆逐艦 22(24-2)隻 D-81“アレクサンドライト”級重巡洋艦 15隻 ディクタートル級航空戦艦(レグルス第二帝国様より輸入) 2隻 D-201 潜水艦 12隻 D-91“ガーネット”防空艦 15隻 “ディー・カイゼリン”級原子力戦艦 6隻(内3隻機構海軍へ) ヴェンツェル級原子力航空母艦 5隻 D-71“サファイア”級巡洋戦艦 9(10-1)隻 D-92“ジェイド”級軽巡洋艦 17(18-1)隻 D-3級駆逐艦 23(24-1)隻 D-101“エーヴェルト”級高速戦艦 8隻 フラクタル級駆逐艦(レグルスからの供与) 12(13-1)隻 ケーニヒスベルク級航空駆逐艦(4番艦ダンツィヒのみレグルスから供与) 1隻 ヴァンガード級重巡洋艦(レグルスからの供与) 8隻 デリー級軽巡洋艦(レグルスからの供与) 9隻 I-45型潜水艦(レグルスからの供与) 15隻 パイオニア級駆逐艦(レグルスからの供与) 14(15-1)隻 フェノメノン級駆逐艦(レグルスからの供与) 15隻 カイザーヴィルヘルム級戦艦(レグルスからカイザーヴィルヘルム及びカイザーフリードリヒを供与) 2隻 カール・エミール・マンネルヘイム級航空戦艦(1番艦から3番艦までレグルスからの供与) 3隻 リヒトホーフェン級航空母艦(2番艦から4番艦までレグルスからの供与) 3隻 Ra-80 艦上戦闘機 穂波製作所 Ac-128 ヘリコプター(安勢国からの輸入機体) #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 フライハイトⅠ級ミサイル駆逐艦 退役済み装備 + ... ザッファ型駆逐艦 5隻 ルシア型イージス駆逐艦 6隻 スィアナ型小型艦載戦闘機 2500機 リンツェ型小型艦載爆撃機 2500機 レチア型空母 3隻 ネア型輸送艦 1580隻 タンセディア型原子力空母 4隻 ザニヴァ型潜水艦 300隻 アレクシア型原子力空母 4隻 エルザス型原子力潜水艦 35隻 ロートリンゲン型ミサイルフリゲート艦 40隻 艦載対空ミサイル 2000発 バンガロール型艦載・普通・大型両型機可載重原子力空母 3隻(カルカタ・バンガロール・コロンボ) スリジャヤワルダナプラコッテ級原子力戦艦 3隻 アドミラル・トルヴァータ級軽ミサイル巡洋艦 40隻 空軍 + ... 戦闘機 PD-1 ドラグーン(レグルスより50輸入、490ライセンス生産) 戦闘機 SB-01 天剣(レグルスより50輸入、490ライセンス生産) Me-209高速戦闘機 レグルスより500供与、順次生産補充 LG-79 多目的戦闘機 560機 Re-80 防空戦闘機 600機 Re-80A 防空戦闘機 WB-01 早期警戒管制機 WB-01T 輸送機 退役済み装備 + ... ゼニア型準戦闘機兼爆撃機 380機 ルッフェ型戦闘機 450機 ガーハ型戦闘機兼空挺機 220機 ジアルヴェ型多目的機 90機 ツァリツィン型無人偵察機 130機 マーレ型無人戦闘機 250機 ノストルム型ジェット戦闘機 250機 レストルツェ型音速重戦闘爆撃機 450機 戦闘機 Fig-28 450機 戦闘機 Fig-42 300機 人物 イレーナ・レヴィンスカヤ・ルクレフ + ... 南亜連邦 1.南亜連邦 2.基本情報 3.二ュース・情報ニュース 国家安全保障指標 4.領土 5.歴史 6.政治 7.国内有名企業 8.各都市の特色 9.外交9-1.同盟国・友好国 9-2.警戒国・敵対国 10.経済・産業・資源10-1.経済 10-2.産業 10-3.資源 11.陸軍 12.海軍 13.空軍 南アジア高等弁務官区当局グジャラート高等弁務官区執政政府 セイロン高等弁務官区当局執政政府 基本情報 南亜細亜社会主義共和国連邦(Union of South Asian Socialist Republics) 、または南亜連邦は、インド北西部に存在する社会主義国家である。現在の指導者は人民大統領であるエドゥアルト・フィングステン。南アジア共産党を中心とする一党独裁が敷かれている。南亜連邦はその国土の中に ソビエト共産主義共和国連邦 (新ソ連)の信託統治地域(グジャラート高等弁務官区)が存在し、また共和国の政治・軍事に深く関与している。独立国家を称しているが国際的には新ソ連の保護国・衛星国と考えられており、他の社会主義国家などの限られた国々からのみ国家承認を受けている。主な産業は人口と広大な農地を利用した農畜産業。小麦、酪農製品、綿花、アヘンなどの分野で世界有数の生産力を持つ。また豊富な鉱産資源でも知られる。お互いにインド地域の正統政府を称するルークリア民主主義共和国(南ルークリア)とは対立関係にある 分断国家 だが、近年では同国の左傾化に伴って歩み寄りを始めている。また南ルークリアとは異なりレグルス国民国を国家承認しておらず、その全領土であるバングラディシュも請求している。正式な国名は南亜細亜社会主義共和国連邦。略称として南亜連邦、南亜連が呼称として用いられる。また南ルークリアとの対立から北ルークリアとも呼ばれる。-歴史概略 南亜連邦Union of South Asian Socialist Republics 国旗 国章 国の標語連邦・軍国・反帝 国歌 ワルシャワ労働歌 imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 公用語 なし(法律上) 英語 (事実上) 首都 デリー (法律上) ジャイプル (事実上) 体制 一党独裁親軍主義 政府_人民大統領_与党 エドゥアルト・フィングステン=ウルブリヒト ルークリア共産党 人口 約14億1400万(法律上)約1億4000万(実効支配) 通貨 ルークリアテーベ 国教 世俗主義 ◯政治・経済 ※10月8日現在 民主的 --------■ 独裁的 政治的左派 ■-------- 政治的右派 自由経済 ------■-- 中央計画経済 常備軍 -■------- 徴兵軍 好戦主義 -■------- 穏健派 国際主義 -■------- 孤立主義 好況 ---■--- 不況 食料自給率 225%エネルギー自給率 37% ニュース・情報 ニュース - 南アジア共産党党紙『独立』より 一般 imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 10月17日 -ジャイプル本部-テストテスト ---- 国家安全保障指標 現在の指標 -Ⅴ + ... 警戒態勢 概要 準備状態 警戒指標Ⅰ 戦時。 総力戦体制 警戒指標Ⅱ 切迫した武力衝突の発生。 予備役招集。軍の展開。 警戒指標Ⅲ 最高度の準備態勢。 通信コールサインを機密化。 警戒指標Ⅳ 強化された準備態勢。 情報収集の強化と警戒態勢の強化 警戒指標Ⅴ 平時における準備態勢。 通常状態 領土 南亜連は憲法で南アジア全域を領土として主張している。しかしこれらの大部分は南ルークリア・レグルス国民国の実効支配下にあり、実際に支配している領土はセイロン州、デリー特別区、グジャラート州、ラジャスタン州、ハリヤナ州、パンジャブ州とマディヤプラデーシュの一部にとどまる。またこのうちセイロンとグジャラートは信託統治という形で新ソ連の支配下にある、 統一歴175年に制定されたルークリア人民共和国憲法では首都をデリーと定めているが、デリーは南ルークリアとの境界線近くにあり、インド戦争で大きく荒廃したことから政府機能は置かれていない。実際の首都機能は臨時首都としてラジャスタン州ジャイプルに置かれている。 実効支配域の8割以上がヒンドゥスタン平原に属する平坦な土地である。この広大な平原の多くは農地として人民共和国にとって重要な役割を果たしている。 ケッペンの気候区分では離島を除く国土の北西は砂漠気候、残りはステップに分類される温暖な土地である。セイロン島をはじめとするインド洋諸島は熱帯に属する。 歴史 ルークリア国#歴史 も参照 ルークリア人民共和国 統一歴123年、インド亜大陸を統一する国家であったルークリア・レチアル共和国で共産党が選挙で大勝、政権を掌握し国号をルークリア人民共和国へ改めた。ルークリア人民共和国は国際社会主義組織 オルカモリョフ に加盟し国際的な社会主義運動を推進した。人民共和国政府はこの一環としてレグルス第二帝国から亡命したトロツキー主義者を保護したが、この問題が両国政府の本格的な対立に発展した。両者の対立は129年に遂に武力衝突に発展しインド洋戦争が勃発した。 戦争緒戦でアラビア半島戦線を形成し優位に立った人民共和国だったが、アラビア湾海戦以降制海権を喪失しアラビア半島戦線で大敗を喫する。更にレグルス軍はルークリアに逆侵攻を行い人民共和国は急速に瓦解、政府は共戦国スィヴェールヌイ諸島共和国(北連)に亡命し、残された軍部によって終戦協定が締結された。以後南アジア一帯がレグルス帝国の支配下に入る。 エスファハーン条約 149年にレグルス戦争によってレグルス帝国は瓦解しルークリアは独立に成功したが、レグルスの協力者たちが帝国を称する政府を継続政権として確立したため亡命政府は依然として本土復帰ができなかった。また亡命先の北連も仏連=celto戦争で消滅しスティーブ・クラフタリア同盟連邦へのさらなる亡命を余儀なくされた。 しかし173年に始まったパキスタン戦争で新ソ連がルークリア帝国を撃破しエスファハーン条約北西部を割譲させると亡命政府は新ソ連とコンタクトを取り本土帰還を求めていた。当初は分割統治の原則に従って占領地にバラバラの政権を建設しようとしていた新ソ連だが、方針を転換し正当ルークリア政府を擁立することを決定しルークリア人民共和国を再建した。ルークリア人民共和国はルークリアの正当政府を称しルークリア国と対立、南北ルークリアの対立が始まった。 42年ぶりに本土帰還を果たした亡命政府だったが、その前途は多難だった。新ソ連は新生ルークリア人民共和国に影響力を及ぼし、人民共和国は事実上の保護国化を容認するバグダッド議定書への調印を余儀なくされた。その後も新ソ連は度々人民共和国への干渉を繰り返し人民共和国は政治・軍事・経済の全ての面で新ソ連への依存を高めていった。また新ソ連は現地協力者を重視し亡命政府出身者を目障りな存在として排除を試みた。亡命政府出身者は少しずつ政権中枢から排除され180年に最後の亡命政府出身の閣僚が辞任に追い込まれた。 インド戦争と北インド動乱 パキスタン戦争後178年には南ルークリア内戦が発生するなど南ルークリアは政治的混乱の時代が続いた。この間新ソ連は北ルークリアの統治方針について南ルークリアに対する防波堤とし経済的には農業生産地として自国の市場に組み込むことを決定した。新ソ連は以後この方針に従い北ルークリアに干渉するが、強力な北ルークリア軍の創設は工業化を必要としこの二つの方針はそのうちに矛盾を抱えていた。 またルークリア内戦に北ルークリアは介入したが、この際残った係争地を理由としてインド戦争が勃発した。インド戦争で北ルークリアはデリーとセイロンを回復した。しかしこの戦争で北ルークリアは飢餓の恐れに襲われ、デリーで行われた飢餓作戦の情報とともに反ソ感情が高揚した。これを受け新ソ連はインド戦争の早期終結を図らざるを得なかった。 この反ソ感情はインド戦争の直後に暴発した。反政府グループが国土の大半を占領し南ルークリアへの再統合を宣言した。しかしこの動きに敗戦したばかりの南ルークリアは反応せず、新ソ連の信託統治下にあったグジャラートでは反体制運動は鎮圧された。また軍も親ソが大半を占めていたことで動かなかった。結局この運動は新ソ連軍と北ルークリア軍によって暴力的に鎮圧された。(北インド動乱) 北インド動乱後北ルークリアでは戒厳令が継続され軍政が敷かれた。軍政下で市民生活は劇的に制限されたが、新ソ連の経済活動に支障が生じることを懸念した新ソ連の圧力によって徐々に緩和されていった。最終的に187年に新憲法施行とともに軍政は終結した。 北ルークリアで軍政が敷かれている間、南ルークリアでも劇的な政治的変動が発生していた。北ルークリアに影響を受けた左派が南ルークリアでも躍進、君主制を集結させ社会主義体制を築いたうえで第五インターナショナルに加盟した。この動きを新ソ連の大部分は歓迎したが、一方で統一ルークリアの誕生を恐れる者たちは同じく統一されれば職や地位が危ない北ルークリアの要人と接触し統合を可能な限り先送りにすることで合意した。この一環で178年憲法では「ルークリア」という呼称を封建的な名称として国名を「南亜細亜社会主義共和国連邦」へ改名した。 政治 党・大衆組織 南亜連では憲法によって南アジア共産党(CPSA)の指導的地位が明記された党国体制が敷かれている。議会である国家評議会の選挙にはCPSAとCPSAの指導を認める衛星政党からのみ立候補することができる。衛星政党の存在は人民共和国が民主的であるように見せかけ、またCPSAを支持しない人間を体制に取り込むために存在する。 衛星政党のリスト 南亜社会正義党 SJP 自由民主党 LDP バーラティア農労党 BFWP 全ての党は南アジア連帯運動に加盟している。また連帯運動には様々な大衆組織も加盟している。バーラティア青少年協会や南アジア労働者評議会は連帯運動の中で重要な部分を占めている。 連帯運動の設置目的は社会主義の連帯を保ち相互融和を推し進めることとされているが、実際は共産党による衛星政党・大衆組織のコントロールの道具である。 国家評議会 一院制 定員 1089名 任期 4年 小選挙区制 国家評議会は人民共和国の立法府・国会である。一院制であり定数は1089人。しかしこれは法的に人民共和国領とされている選挙区全体で想定される議員の数であり、実際には実効支配されている4州分の1888人の議員によって運営される。人民党の議席は全体の2/3前後であり、残りの1/3は衛星政党に配分されている。 国家評議会は、議員が人民党かその衛星政党のメンバーで構成されるため討論の場としては機能せず、異なる利益団体の調整の場として機能している。 国家評議会の任期は4年であり、解散はない。選挙に立候補できるのは共産党か衛星政党のメンバーのみである。選挙のプロセスは共産党によって厳密に管理され、党内のメンバーであっても反体制の兆候が見られる人物は国家評議会から事前に排除される。 国家評議会は憲法によって広範な権限を認められているが、実際には後述の国務院や共産党の決定を追認する役割しか果たしていない。 国務院 国務院は大統領を長として国家評議会から選出されたメンバーによって構成される行政府。国務院の下に各国の省庁にあたる委員会が設置されている。また人民解放軍の指揮権も国務院と大統領のもとにある。 国務院のメンバーは大統領を除き国家評議会から指名される。メンバーは大統領が指名できるものとされ、大部分は共産党から指名されるが、数人は衛星政党からも指名されている。 国務院は南亜連の意思決定の中枢である。また国務院は国家評議会が開催されていない期間にその職務を臨時に代行する権限が与えられている。 人民大統領 南亜連の国家元首は直接選挙によって選出される人民大統領である。人民大統領は南亜連人民解放軍の最高指揮官であるとともに国務院総裁を務める。また慣例として人民大統領は共産党総書記が務めており、政軍党の最高職務を兼任する事実上の独裁者である。 司法 憲法で司法の独立が保障されているが、実際には立法府の例のように共産党に従属している。高等裁判所以上の裁判官は全て共産党のメンバーで構成され、また司法関係者は「社会主義体制の確固たる確立のため法と正義の番人として全体に奉仕する」ことを宣誓することが義務付けられている。 司法機関は最高裁判所、高等裁判所、下級裁判所、社会裁判所、軍事法廷で構成される。 最高裁判所は憲法によって法制度の最高機関として人民共和国の軍事法廷を除く裁判所を管轄し、すべてのレベルでの法律の統一的適用を確保する責任を負っている。 高等裁判所は殺人や国家に対する犯罪の原審管轄権を担い、概ねの刑事裁判や民事裁判では控訴管轄権を担った。 下級裁判所は最も下位の裁判所で、各郡に一つは設置されている。殆どの刑事裁判や民事裁判の原審管轄権を担っている。 社会裁判所は下級裁判所の負担を軽減させるための裁判所で、企業や労組、住宅地に設置され、軽犯罪や規模の小さな民事訴訟を管轄する。 軍事法廷は例外的に人民共和国軍によって管轄され、軍事裁判を行う。 高級裁判所や下級裁判所、社会裁判所では任期5年の陪審員が存在し、裁判に参加する。 親軍主義 国内有名企業 UAC + ... UAC(Union Agriculture Company) 公社 UAC(Union Agriculture Company)は南亜連で農業生産を中心に多様なな事業を行う新ソ連の官営コングロマリット。新ソ連による南亜連の経済支配に重要な役割を果たしている。 沿革 UACはパキスタン戦争勝利後、南アジア高等弁務官当局が設置され革命省がインド政策に強い力を持つようになった後に設置された。UACはインドの農業生産能力に注目していた農業省の主導で設置されたが、推進者の中には革命省主導のインド政策に反発した様々な部署の官僚・政治家も存在した。 UACはその初期から反革命省の人物による勢力争いの道具であった。UACの設置によって南アジア高等弁務官当局は産業の独占を崩さざるを得なくなった。 UACが初めに行った事業は農地の接収だった。SECTによって消滅した地主たちの土地の権利を極めて安価に接収し広大な土地の所有権を得た。そうして得た土地ではUACは小作人を労働者として契約し農業労働に従事した。この点でUACは地主と変わらないとされることが多い。一方でUACを擁護する人々は小作人は農業生産量の多寡にかかわらず契約通りの現金を得ることができるなど、全く異なると主張する。 UACは数年の間にルークリア人民共和国内で最大の農業企業に成長した。強力な基盤を獲得したUACは支援者たちの求めるままに更なる事業拡大を行った。手始めに農産物輸出のためインフラ事業を開始し、子会社として南亜建設、南アジア鉄道(南鉄)を設置した。この二つの企業はその後もUAC拡大とともに関連施設の建設や、港湾の運営にも進出した。更にUACは農場労働者や新ソ連人のための学校や病院、娯楽施設を建設するなど往年の満鉄や東インド会社のような様相を呈した。当然このような行動は南アジア高等弁務官当局の管轄と衝突し政治問題を引き起こしている。 事業 農業 農業は経営が多角化した現在でもUACの主たる事業である。UACは主に砂糖や煙草、酪農製品、綿花など新ソ連本土で生産できないか、ごく少ない商品作物の生産に注力している。また現地民や新ソ連以外への国に輸出するための小麦や米も生産する。新ソ連に輸出しないのは新ソ連の農業を保護することが必要とされているからである。 なお農業従事者はUACに雇用されるインド住民の中でも最も悪い雇用環境にあるとされるが、新ソ連政府がそれについて回答したことはない。 鉄道 鉄道はUACが最も初期に進出した事業の一つである。UACの鉄道分野は完全子会社である南アジア鉄道株式会社(南鉄)が事業を行っている。当初南鉄は農作物の輸送の目的で設置されたがUACの事業拡大に伴ってUAC関連企業の製品輸送や、旅客輸送も務めるようになった。南アジア高等弁務官当局鉄道部との衝突が激しく、UACと弁務官当局の対立では必ず触れられる問題である。また南鉄は鉄道が接続する港湾施設や橋梁の管理も行っている。 建設 鉄道と同様に初期からUACの拡大を支えたのが南亜建設である。南亜建設は主に初期のUACの建設費の負担を押し付けUACの投資赤字を覆い隠すために設けられた会社だった。しかしUACが拡大するにつれ、事業拡大の必要性に駆られた南亜建設は拡大し、現在ではUACグループで本社に次ぐ巨大さを誇っている。 福祉 UACは労働者に優しいというパブリックイメージ戦略を取っている。新ソ連の支部では新ソ連の労働組合団体と協調し労働環境の改善に取り組む姿勢を見せ、インドでも病院や小学校、映画館を建設するなどの行いを広く宣伝するなど新ソ連市民からは優良企業と考えられている。実際には単に人的資源を確保しているだけであり、インド人労働者には定期的な農場労働者のリストラを行ったり、労働法違反スレスレの労働を「自発的に」行わせている。(技術もない小作農がUACをリストラされた場合行く当てがない場合がほとんどである) 工業 UACは農業製品の加工だけでなく、グループが必要とする工業機械の生産や、さらには南アジア高等弁務官区軍に提供する武器の生産まで行っている。ただしこれらの工業製品の殆どはルークリア国内向けの低品質製品である。 鉱業 UACの工業用の製品を生産しているが、鉱業分野は弁務官区当局が強く管轄を主張したため小さい。 その他 不動産 エンターテインメント アルハンブラ造船 + ... アルハンブラ造船(Alhambra Shipbuilding) 公開株式会社 アルハンブラ造船は人民共和国最大の造船企業。グジャラートの大型ドックを保有し軍艦や客船の建造を行う。株式の51%を新ソ連の企業である西亜重工が保有している。 ザダル + ... ザダルエンタープライズ(Zadar Ent) 公開株式会社 ザダルは人民共和国の重工業企業。ミシンの製造を行う町工場から発展し、現在では自動車用エンジンや企業向けの大型機械の製造を行う。 セインマイニングインダストリー + ... セインマイニングインダストリーズ(Sein Mining Industry) 公開株式会社 セインはラジャスタン州ジャイサルメールに本社を置く採石・採鉱企業。ガーネット類の宝石類、大理石や砂利、石灰石などの岩石類、亜鉛や銀などの金属類の採掘をラジャスタン州を中心に行う。 デルタラバー + ... デルタラバー(Delta rubber co.) 公開株式会社 デルタラバーは人民共和国でゴム農園を運営する企業。新ソ連のD.D.アルケミー社が取引額の8割を占める。 各都市の特色 デリー デリーはルークリア人民共和国憲法によって定められている正式な首都であり、2000万の人口を抱える世界有数の巨大都市である。但し後述のように南北ルークリアの対立の最前線といえる都市であり、実際の首都機能は置かれていない。 人民共和国建国当初、デリーは両国の軍事境界線上にあり都市は東西に分断されていた。インド戦争では凄惨な市街地戦が行われ、南ルークリア側の支配下にあった東デリーは新ソ連軍による飢餓作戦にさらされ100万人近くが飢餓で命を落とした。戦後はデリー周辺一帯が人民共和国領とされたが都市のあちこちに現在でも戦争の爪痕が残り、首都機能の移転も進んでいない。 ジャイプル 1727年にジャイ・シング2世によって建設された都市。赤い城壁に囲まれ、「ピンクシティー」という異名でも知られる。もっともインド的な都市の一つとしても著名であり、観光都市としても栄えていた。 パキスタン戦争以後は事実上ルークリア人民共和国の首都として国家機能が集中している。 ポート・オブ・カンドラ ルークリア人民共和国の実効支配下にある港で最大、貨物取扱可能量ではルークリア全域でも最大の港湾。主に新ソ連との貿易で使用され、ルークリアの天然資源と新ソ連の工業製品の流通拠点となっている。 アフマダーバード 新ソ連の機関である南アジア高等弁務官当局とグジャラート高等弁務官区執政政府の本部が置かれている。街には多くの新ソ連官僚が居住し、新ソ連のルークリア人民共和国に対する影響力を皮肉って「新ソ連領ルークリア・ソビエト共和国首都」と呼ばれる。 外交 同盟国・友好国 ソビエト共産主義共和国連邦 新ソ連は人民共和国にとって最も重要な同盟国であり、事実上の宗主国である。経済の分野では新ソ連は人民共和国の主要な鉱山・インフラを支配し、人民共和国の貿易の8割以上が新ソ連に依存しているほか、軍事では幹部育成や重装備の製造もすべて新ソ連で行われるなど新ソ連への依存は根深い。 警戒国・敵対国 ルークリア国 国家百合主義連合と人民共和国は互いに自身をルークリアの唯一正当な政府であると規定しており、その関係は人民共和国の建国以来一貫して冷え切っている。両国の代表はしばしば国際的な会議で互いに「新ソ連の傀儡」「OFCの傀儡」と罵倒の応酬を繰り広げている。 経済・産業・資源 経済 + ... 人民共和国の経済指標は厳格な情報統制下にあり、その実態を把握することは困難である。 人民共和国の通貨は新ソ連の通貨テーベに対応したルークリア・テーベである。導入時は変動相場制も検討されたが、新ソ連、特に人民共和国に投資したい産業界の強い意向によって固定相場制が導入された。 人民共和国の経済体制は新ソ連と同じく社会主義市場経済を取っているが、自由競争が成立している新ソ連と異なり人民共和国では新ソ連資本の大企業による独占・寡占状態である。このため人民共和国は新ソ連の経済状況に強く影響を受け、その経済方針にも新ソ連の意向を強く受ける。 産業 + ... 農林水産業 農林水産業は人民共和国のGDPの62%、人口の82%を占める最大の経済セクターである。そのうちの76%がUAC関連によって占められている。 農業生産はハリヤナ・パンジャーブの北部州で盛んであり、インド全体の農業生産の5割を占めている。この2州に限らず農地は大部分はガンジス川水系由来大規模な灌漑システムによって支えられている。 小麦、米、牛乳、豆類、綿花、サトウキビが最も有名な人民共和国の生産品である。 その他に鶏卵、鶏肉、ジャガイモ、大麦、たばこ、コーン、玉ねぎ、羊毛、粟、生姜、蜜蝋、ナッツ、オクラ、香辛料、柑橘果物の生産で知られている。 アヘン用ケシ 人民共和国はケシが大規模に生産されている世界でも数少ない国の一つである。生産は新ソ連で行われていたケシの栽培を移設する形で行われた。ケシ・アヘンの生産は国家によって独占されている。生産されたケシの大部分は国内でアヘンに精製され、世界各国に密輸されている。 綿花 人民共和国は社会主義経済圏の主要な綿花生産国の一つであり、新ソ連の軽工業を支えるため大規模に、安価に輸出されている。ルークリア産の綿を使った安価な綿製品は新ソ連の産業上の武器となったが、この過程で新ソ連の脆弱な綿花産業は破壊された。自国産業を強固に防衛する傾向にある新ソ連では珍しい出来事だった。 サトウキビ サトウキビの生産は近年急成長を経験している。この背景には主要な貿易先である新ソ連での中流階級の伸長や、莫大な砂糖需要を持つシュガーランド連邦との貿易に要因がある。 穀物生産 パンジャーブ・ハリアナ州は世界で最も高い穀物生産を誇る地域であり、人民共和国の穀物生産を支えている。小麦、粟、米、大麦、トウモロコシなどの主要な穀物の生産はこの二州に集中している。 これらの穀物のうち粟や米は国内で消費され、小麦や大麦が国外へ輸出される。また穀物は酒に加工され国内で消費されている。 畜産 宗教上の理由から人民共和国でメジャーな家畜は水牛、牛、鶏、ロバ、ウマである。このうち鶏を除いた三種は役畜として用いられ、機械化の遅れた人民共和国の農業を支えている。特に水牛は水田での貴重な役畜として用いられ、また牛と同様に乳を食用にする。またロバやウマは駄獣として用いられ、特に馬は軍事利用のために大規模に生産される。またしばしば新ソ連で盛んな競馬のために輸出される。 鉱業 工業 輸送 エネルギー サービスと観光 資源 + ... 陸軍 人民解放軍地上軍軍旗 総人員数 約330万人モットー 祖国と万国労働階級のために!特徴 赤軍の継承者を自認する巨大陸軍 ルークリア人民共和国人民解放軍の陸軍部門に当たり、人民解放軍の予算の七割、人員の九割超を独占する。 178年度の人民解放軍整備五カ年計画では機甲軍団と500万の戦力への拡充を目指すことが目指されるなど近年急成長を遂げている。この背後には南印との対立を深める新ソ連の意図が深く関与している。 人民解放軍が編成や装備、指揮系統など多くの点で新ソ連のそれを殆ど模倣したものになっている一方で、戦闘教義は新ソ連の物とは大きく隔絶している。新ソ連が一点突破型の機動電撃戦を理想形としているのに対し、人民解放軍は旧ソ連邦赤軍、そして新ソ連の前身であるレグルス帝国に酷似した縦深作戦を採用している。これは新ソ連が同様の戦術を人的資源不足の観点から放棄していたが、縦深作戦をあきらめきれなかった一部の新ソ連軍人が人民共和国にそのノウハウを教授したことが要因の一つである。実際問題新ソ連の工業力によって展開される機械戦力・装備群とインドの人的資源のこのドクトリンへの親和性は高い。 司令部はアフマダーバードに存在する。 装備一覧 歩兵装備 + ... ジャッカル突撃小銃 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 軽戦車 + ... RT-5 センチュリー + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-2 バルバロー + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 中戦車 + ... RT-6 マルクス歩兵戦車 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-3 オックス + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-3ss スーパーオックス + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 T-45クレザンタム + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 重戦車 + ... RT-4 ヴィンデ + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 水陸両用戦車 + ... RT-3dv マリーネ + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-2dv マリナー + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 突撃砲 + ... RT-5st ベッケナー + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-3st ヴィンター + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-2st ベンダー + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 ハインリヒ + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 自走砲 + ... RT-5ar2 ヴァンパイア重自走歩兵砲 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-5ar アラド + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-4ar2 コムンニ + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-4ar グロウ自走臼砲 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-3ar ブラウムベア + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-3ar2 グリー + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-3mo 自走迫撃砲 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-2ar2 ホーネット + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-2ar カバー重自走歩兵砲 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 ロケット自走砲 + ... RT-5ro + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-4ro ディーヴァ + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-3ro ブレイム + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-3ro2 マーダー + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 対戦車車両 + ... RT-5at レジオナーレ対戦車自走砲 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-4at オスト駆逐戦車 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-3at ナグマ駆逐戦車 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-2at バルター対戦車自走砲 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 対空車両 + ... RT-3aa アンフェルド + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-3aa クーラン + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-2aa ベル + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 ベクター対空戦車 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 火炎放射戦車 + ... RT-3fl レイド火炎放射戦車 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-3fl バーナー火炎放射戦車 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-2fl ペント火炎放射戦車 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 工兵車両 + ... RT-4pr 装甲回収工兵戦車 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-3pi ピオネール + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-3mr ヘッジホッグ地雷除去戦車 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-3rcバンダー装甲回収車 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 支援戦車 + ... RT-3cm アルファ指揮戦車 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-3ab 砲兵観測戦車 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-2ab 砲兵観測戦車 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-2rc トレッパー装甲回収車 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 非装甲車両 + ... ジキル + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 ロタリンギア + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 ベルジエン202 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 装甲車両 + ... RT-4am シンセサイズ装甲兵員輸送車 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 RT-3am シュート装甲兵員輸送車 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 エッセル + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 牽引砲 + ... 18cm榴弾砲 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 12cm野戦砲 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 5.7cm歩兵砲 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 10.5cm野戦砲 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 海軍 人民解放軍艦隊軍旗 総人員数 約3万人モットー 勇者の如く進め特徴 限定的な戦力のみ持つ沿岸海軍 ルークリア人民共和国が持つ唯一の海上戦力である。ルークリア人民共和国はその水上防衛は殆どを新ソ連に依存しており、艦隊の整備は殆ど進んでいない。典型的な沿岸海軍であり、新ソ連製の小型艦艇を有する。指揮系統上も地上軍に従属するものとされ、また有事の際には条約上の規定により新ソ連海軍の指揮下に置かれるなど独立性は無い。 最大の軍港はグジャラート州オハ。司令部はアフマダーバードに設置されている。 装備一覧 駆潜艇 + ... B型駆潜艇 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 潜水艦 + ... ムーア級 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 空軍 人民解放軍空軍軍旗 総人員数 約2万人モットー 我らが空、自由なる飛翔特徴 地上軍を支える戦術空軍 ルークリア人民共和国の空軍であり、地上軍と対をなす大規模軍。地上軍を支援することを至上命題とし近接航空支援と航空優勢任務に注力している。機材も任務に合わせた小型機体を多数有する。他方、戦略爆撃任務や海上作戦については疎かにされており、対応する機材もほとんど全く保有していない。 装備一覧 戦闘機 + ... To-48 ファルコ + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 kr-192 フォルクスイェーガーⅡ + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 To-38 フォルクスイェーガー + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 近接航空支援機 + ... kr-250 アドラー + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 kr-36 ヴァルチャー + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 戦略爆撃機 + ... Rn-235 + ... imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 南アジア高等弁務官当局 エスファハーン条約とバグダード議定書によって確定されたルークリア北西地域において新ソ連にルークリア人民共和国から「信託」された領土・権益を管理するため設置された高等弁務官当局。設立根拠は新ソ連憲法及び「176.01.01 南アジア高等弁務官当局に関する法」による。人員は主に新ソ連革命省・内務省・革命軍・保安本部・秩序本部(以下略)からの出向であり、中でも革命省の力が強い。弁務官当局はグジャラート州の統治を行うグジャラート高等弁務官区執政府と人民共和国内の附属権益を保全する一般政府によって構成されている。 南アジア弁務官当局はその特殊性から連邦本国から相当程度の独立が認められている。 グジャラート高等弁務官区執政政府 グジャラート高等弁務官区執政政府はグジャラート州の統治を行う民政機関。執政政府の長官は新ソ連革命省から任命される。執政政府の目的はグジャラート州の統治だが、その実態は革命省による社会実験である。実験的な様々な施策を通して現地人のアイデンティティを破壊し、理想的な社会主義地域を形成する手段を確立する試みが行われている。執政政府には統制総局、革命総局、供給総局、真理総局の4つの部門が存在する。統制総局は弁務官区の秩序維持、市民の管理を行う。統制総局の下で市民は3種類に分割される。中核、外郭、潜在反動である。中核(Core)は執政政府に対する積極的な協力者で構成される。彼らの多くは執政政府に雇用され平均よりも高い収入と配給を受け取る。外郭(Outline)は一般の市民階級である。工場や集団農場での労働者を行う。人口の65%を占める。潜在反動(Potential Reactionary)は旧体制の構成員、富農、ブルジョワジー、聖職者、反体制的とされた人々によって構成されている。潜在反動は一切の社会保障を受けることができず、私有財産も著しく制限される。行動は常に監視され、推定有罪の原則が適用される。彼らの一部は思想矯正を施された後に公開処刑される。これらの区分を厳格に行うため統制府は国民全員に身分証明書を配布し常時携帯を義務付けている。配給の受け取りを含むあらゆる公的手続きを受けるにはこの身分証明書が必須とされる。 この身分階級制は厳密である一方で、決して変化が無いわけではない。外郭でも優秀とされた人物は中核に取り込まれ、一度反体制的とされれば中核であっても潜在反動に階層分けされる。またこの階級制は世襲的ではない。 また確実に階層を高める手段として密告がある。密告し、それが秩序維持に十分な貢献を果たしたと判断された場合階層が上昇する。潜在反動が外郭になる為には密告が唯一の手段である。ただし、殆どの場合無能力のため密告で得た地位は失われやすい。また統制総局は収容所や警察機構も管理する。革命総局は旧体制の残滓を清算するための部門である。主に封建制や聖職者階級に対する行動を行う。宗教改革本部はその名に反して宗教の弾圧を行う。殆どの場合の手法は次のようなものである。1.各寺院、モスク、教会の長の罪を捏造する。この際捏造される罪はその宗派で禁忌とされているものが多い。2.捜査のため建造物に侵入する。3.凄惨な犯罪の現場をでっち上げる。4.付近の集落の中で人望の高い者を連れてきて捏造した証拠を見せる。5.寺院、モスク、教会の関係者を全員逮捕する。これにより宗教の権威を失墜させ、解体をより容易に行うことができる。寺院、モスク、教会の財産はその後接収され、教育施設や福祉施設に置き換えられる。ソビエト化執行委員会(Sovietization Executive Committee,SECT)は社会構造の転換指導を行うとされる部署。社会の監視を行い、反動分子とされる人物を摘発する。SECTは予防拘禁権、無令状逮捕権、独立司法権が認められる事実上の秘密警察である。供給総局は産業及び配給を管轄する部門である。供給総局はグジャラート州の全ての産業を統制し、全体の利益のために運用することを使命とする。また州における懸念である市民の栄養不足問題の解決についても重要な課題とされている。真理総局はグジャラート州全体の情報統制及び宣伝工作を統括する。グジャラート州での全ての新聞含む紙媒体メディアの発行、または全ての情報通信は真理総局の許可を経ずに行ってはならず、また全ての内容を真理総局のしかるべき機関によって検閲した後に公開される手続きを取る必要がある。 セイロン高等弁務官区執政政府 セイロン高等弁務官区執政政府はセイロン島と周辺諸島の統治を行う執政府。新ソ連軍による軍政府であり、高等弁務官も新ソ連将校から任命される。首府はスリジャワルダナプラコッテ。 セイロン島はインド戦争中に新ソ連の占領下に入った。その後セイロン島は形式上北ルークリアの統治に入ったが、セイロン島は伝統的に君主主義者が強力な地域で戦時中から抵抗運動が苛烈だった。そのため戦後も新ソ連軍による軍政が継続した。 セイロンにおける新ソ連に対する抵抗運動は主として旧君主のマリア・テレジア・ティアラントは の復帰と新ソ連軍の撤退を目的としたものである。ティアラント公は旧ルークリア帝国時代の領邦で帝室にも近い一族で住民の人気も高かった。新ソ連軍の侵攻を受けた後、ティアラント公は抵抗運動の象徴となった。新ソ連軍は抵抗運動を鎮圧するため農村の爆撃やティアラント公の誘拐を試みたが、それらは却って抵抗を加速させるにとどまった。抵抗運動は187年現在も継続している。 ペルシルベニア作戦はインド戦争中に新ソ連特殊部隊XEISによって行われたマリア=テレジア・ティアラント誘拐作戦。セイロン島におけるゲリラ的抵抗戦で指導的地位にあった彼女を誘拐することで抵抗運動に決定的な打撃を加えることを目的として実行された。 非協力的な民間人や慣れない密林での戦闘でありながら、新ソ連軍はゲリラ部隊の拠点を特定し、うち赤、青、黄のコードで呼称された農村に偽装した三拠点のいずれかにティアラント公が所在していることを突き止めた。ティアラント公は頻繁に拠点の移動を繰り返していたため、正確な場所を特定することよりも見失うより先に攻撃することを優先した。 部隊の配置は夜間の間に行われ、各拠点を全周包囲するようにXEIS部隊が展開した。赤拠点ではゲリラ部隊の哨戒線に隊員が触れたことで作戦は強襲となったが、青・黄の拠点では奇襲となった。 青・黄への攻撃では夜明けと共に低速性能に優れるTo-36Bによる短時間の爆撃が行われた後、XEISによる襲撃が開始された。また各拠点の農地にヘリ部隊が降下し内部からも攻撃を行なった。 このときティアラント公は青拠点に滞在しており、奇襲を受ける形になった。ティアラント公の宿泊していた家屋は爆撃によって倒壊し、倒壊に巻き込まれたことでティアラント公は片腕を失った。しかし新ソ連軍司令部は最も防衛が強固だった黄拠点にティアラント公が滞在していると判断し戦力をそちらに差し向けたことでティアラント公の脱出を許した。 結果としてこの作戦は3拠点のいずれも攻略しゲリラに打撃を加える事には成功したものの、ティアラント公の誘拐という当初の目的には失敗した。新ソ連司令部は失敗の原因を反ソ的な市民にあると断定し、以後住民に強硬な政策をとる事になった。これはかえって住民の反発を招く事になり、新ソ連によるセイロン島支配は更に困難なものになっていった。 セイロン問題の最終的解決はセイロンの抵抗運動に手を焼いた新ソ連政府と新ソ連軍による民族浄化計画である。新ソ連政府はセイロン島の抵抗運動は住民全体の気質によるものであると断定し、セイロン島の原住民を体制に迎合的な北ルークリア本土人と置換することを目指した計画である。計画は革命省事務次官のベルンカステル・ラインフェルデンによって起草された。計画ではセイロン島の約2000万の人口のうち反体制派1000万を追放し500万を最終的に解決、残る体制派500万と同数の北ルークリア人を移住させ同化する計画である。最終的解決は計画案中で実際に用いられた表現でユダヤ人問題の最終的解決を意識した婉曲表現である。また追放される1000万人は大中華・ ラティアンス を始めとする国々へ移送され強制労働に就くことになっている。 + ... 南アジア高等弁務官当局 ┗グジャラート高等弁務官区執政政府 ┗統制総局 ┗戸籍局 ┗革命総局 ┗宗教改革本部 ┗ソビエト化執行委員会(SECT) ┗供給総局 ┗商工局 ┗農林水産局 ┗真理総局 ┗新語法委員会 ┗セイロン高等弁務官区執政政府 ┗総務総本部 ┗防衛総局 ┗防空局 ┗連絡局 ┗徴税部 ┗内務総本部 ┗保安部 ┗通信部 ┗郵便部 ┗調査部 ┗人事部 ┗地方総本部 ┗附属地部 ┗都市部 ┗現地部 ┗厚生部┗鉄道部┗鉱山部 ルークリアnews archive + ... 内戦の終結 双方共に状況の打開が困難であることを鑑み、政府軍と親政派の間で交渉が為された。結果、現有領域での統治権の承認を引き換えに外交権は親政派のみが持つものとするなどの条件のもと和平が成立し、ここにルークリア内戦は終結をみることとなった。現在親政派と民主派の間でも交渉が進められており、この結果によっては内戦の再開もありうるため、未だ情勢は予断を許さないが、一時的にでも平和が成立したことは事実であり、二派の交渉の平和的な妥結が望まれるばかりである。 “クリシュナの恵み” 北部の平地での大進撃の一方で、南部高原地帯では親政派軍の攻勢は鈍化していた。この局面において、歩兵主体で士気に優れる民主派軍は“クリシュナの恵み”作戦を発動し、多大な損害を被りながらもこれを完遂、南部側の政府軍を一掃した。しかし、北部では山岳要塞に立て篭もった政府軍が頑強な抵抗を続けており、長期戦が予想されている。 クンビーラ作戦 ついに東部正面での親政派の攻勢が開始された。続々と投降しつつあった白百合騎士団や各国の支援によって比較的充足し、十分な突破力と装甲戦力を整えた親政派軍は政府軍の前線を容易に突破し、その兵の多くを野戦にて殲滅した。結果、親政派軍は記録的な速度で進撃し、瞬く間に新ソ連・人民共和国軍と政府軍との前線まで到達して、政府軍を南北に分断した。赤軍は攻撃してきた親政派との交戦を開始したが、脆弱な人民共和国軍が守る側面を突かれて包囲の危機に陥ることになる。これを受けて、新ソ連軍は迅速に撤退を判断し、概ね旧停戦ラインまでの撤退を余儀なくされたのであった。一方で、親政派としても、ここで人民共和国の併合に動いて新ソ連本国の介入を招いては勝ち目がないと判断が下され、利害の一致した両者の間に新ソ連・人民共和国軍の旧停戦ライン以北への撤退を条件とした和平が結ばれた。 バンガロールの戦い─結末 内戦の劈頭より民主派に抗し続けたバンガロールが、ついに陥落した。決め手は、民主派と親政派との“妥協”であった。この妥協によって2派が協力体制を確立したことで、白百合騎士団のうちでも比較的皇帝への忠誠の比重の大きかった第七隊は「親政派に」投降することを選択し、民主派に対していくつかの条件と引き換えにバンガロールを明け渡したのであった。無論民主派はこの条件を反故にすることも可能であったが、2派間の力関係は歴然としており、親政派の再攻撃を招きかねないとして民主派は粛々と彼らを親政派へと送り出したのであった。バンガロールの解放によって民主派の状況は劇的に改善し、親政派の支援もあって対政府軍の戦線を安定化させることに成功する。 “妥協” “タミルの春”の失敗によって完全に追い込まれた民主派では、もともと親政派に近く親政派との協力を訴えていた右派勢力主導で親政派との交渉が行われた。結果として、民主派は最終的には南北に分断された支配領域や諸侯軍どうしの連携に悩まされていた親政派との一時的な協力関係の樹立に成功する。一方、民主派内部では、この“妥協”と呼ばれる関係に対して左派が猛反発し、クーデターの画策まで行われた挙句、これが露見して国外追放処分を受け、人民共和国に亡命する「パン籠事件」まで発生した。また、この厳格な民主主義を放棄したある種権威主義的な選択は、民主派に対する他国の支援の縮小をもたらすことになってしまうのであった。 “タミルの春” 政府軍の攻勢によって北部戦線で敗退しつつある中、反乱軍が結成した「臨時国民議会」は状況打開のため南方の親政派を打倒して戦線正面を減らすことを目的とした“タミルの春”作戦を実行した。しかし、戦力と装備を温存しており、基盤の安定した親政派の精鋭ティアラント軍によってこの攻撃は跳ね返され、あまつさえケーララ州への逆侵攻をもたらす結果に終わった。民主派の内部ではこの作戦の失敗を巡って激しい議論が行われているようである。 一号作戦 国家百合主義連合政府は、新ソ連の進撃を停止させることに辛うじて成功し、前線からなんとか抽出した比較的精鋭の部隊で南方の民主派を攻略して戦略的縦深を確保せんと動き出した。バンガロールで未だ抵抗を続ける第七隊の影響で補給が十分でない民主派は後退を余儀なくされており、政府軍の目標は達成されつつあるといっていい。民主派もまた現状打開の必要に迫られていると言えるだろう。 臨時首都陥落 今日未明、パキスタン戦争以降国家百合主義連合が臨時首都を置いていたムンバイが新ソ連軍によって陥落した。国家百合主義連合はその拠点をナーグプルに移して抵抗しているが、国軍の離反も相次いでおり、戦線の広さもあって政府軍は慢性的な戦力不足に陥っている。現在、国家百合主義連合の支配領域では強制的かつ徹底的な物質徴発や根こそぎ動員が開始されており、それによって新ソ連の進撃を一応は鈍化させることに成功しているようだ。しかし、このような手法が長続きするとは思えず、国家百合主義連合政府は打開を期した作戦を実施すると目されている……。 新ソ連軍越境 エスファハーン条約以後ルークリア北西部に駐留していた在印新ソ連軍が、権益保護と在印連邦人保護を掲げて南北の境界線を突破して電撃的な侵攻を開始した。挟撃を受ける形となった政府軍はこれに対応しきれず、大幅に後退しつつある。 バンガロールの戦い ルークリア南部最大の都市、バンガロールで、政府軍と反乱軍の大規模な衝突が発生した。都市周辺の近郊部や産業区画、農村地帯で蜂起した反乱軍によって同都市は完全に包囲下におかれており、駐屯している白百合騎士団第七隊“η-Leonis”が都市防衛にあたり、今の所全ての攻勢を跳ね返している。この都市には南部全域の物資輸送の要であるバンガロール中央駅が存在しており、これを確保しない限り反乱軍はつねに補給不足に苦しむことになるだろう。 全土での武装蜂起──それから? 国家百合主義連合政府全域において、反政府組織と諸侯が一斉に反旗を翻し始めた。リリウム陥落の際に脱獄を果たした女帝が再び諸侯に担ぎ上げられて「親政派」となり、比較的戦争の被害が少なく国力を維持していた諸侯と、それに賛同する民衆が立ちあがったのである。一方で、デカン地域では綿織物工業従事者や従属階級たる男性たちが「ルークリアの民主化」を掲げて大規模な反乱を起こした。今やルークリアは未曾有の内乱に揺れている……。 エスファハーン条約発効 国家百合主義連合政府と新ソ連との間で講和が結ばれた。ルークリアは北西部を失い、数々の折衝ののちにその地にはかつての人民共和国政権が復帰することと相成った。ルークリアは分断されてしまったのである。 テヘラン核攻撃 レグルス国家再生政府によって、ペルシア共和国首都テヘランに核攻撃が実施された。この核攻撃に恐怖した新ソ連政府は、エスファハーンでの講和会議の開催を決定したようである。この戦争の勝敗がいずれになるにせよ、平和への道筋が見えつつある。政府は、国家の支払った犠牲に見合う結果の獲得を期待されている。 国家広報局に対する中央の指示 今回の新ソ連軍上陸に関して多大な働きのあったティアラント公国軍について、公式ニュースには載せないようにとの指示が下されたようだ。 セイロン沖海戦 友邦たるレグルス政府による警告に対し、新ソ連は屁理屈で答えた。即ち、「パキスタン戦線は動いていない。従って、これは進撃ではない。」という犯罪的な暴論によって、である。斯くしてティアラントに襲来した新ソ連艦隊は、しかして我々とレグルスの間の団結によってその企みを阻止された。ボルシェヴィキに対する連合の勝利である。 国家総動員法改正 西方ボルシェヴィズムの脅威の剣がいまや祖国の喉元に突きつけられている。市民諸君は祖国防衛のための最終的かつ運命的な「世界観戦争」にその身を捧げ、国家と秩序を維持する世界の英雄となるのである。 核攻撃 新ソ連は我が国に対して核攻撃を実施した。この行為は、男性的政府とボルシェヴィズムの攻撃性、そして侵略性を並びなく示すものである。我々は、世界的絶対悪たる新ソ連の破壊的かつ破滅的な戦争行動に決して屈してはならない。我々は、社会正義をなす世界の防衛者である!よって、市民諸君にはここに世界の英雄となる機会が与えられたのである!連合市民、陛下の臣民諸君よ、各員一層奮励努力せよ! 新ソ連による攻撃-対ソ戦争の開幕 新ソ連は、我々の国家の解体とボルシェヴィズムの拡大を企図し、ペルシアを唆してきた。そして彼の国は、我々が侵略者を国境の外に追い出したのを見るや否や、我々に対する無差別爆撃を開始した。これは明確な敵対行為であり、到底許容できるものではない。今こそ西方のアカを打倒し、オリエントに秩序を取り戻すときである!これは我々のボルシェヴィズムに対する最終聖戦となるだろう! 新ソ連からの和平仲介提案 我が軍が侵略者を祖国からほぼ駆逐しつつある中、新ソ連政府からペルシアとの和平を仲介するという提案が為された。だがしかし、ここで和平すれば侵略者ペルシアはさらに傲慢になり、また侵略を繰り返すだろう。祖国に災いをもたらす敵は、悉く破壊されなくてはならないのだ。 陽光作戦 ペルシア軍による傲慢なる和平提案を退け、連合陸軍は反攻作戦として「陽光作戦」を発動した。侵略者どもは直ちに祖国から叩き出されるだろう! リリウム包囲戦 連合領に侵入したペルシア共和国軍によって、首都リリウム(アジュメール)市が包囲下に置かれている。皇帝および国家最長姉をはじめとする首脳部はナーグプル市に避難し、政府機能の順次移転が行われている。 ペルシア共和国、連合に宣戦布告 卑劣なるペルシア=マスキュリズム・ボルシェヴィキ政府はついに我が国にその侵略主義の刃を向けた。かつての戦争において我らのルークリアを貶めんとする諸国がペルシアに与えた剣が、ついに我らの祖国に振り向けられたのだ。国家百合主義、そしてルークリアは侵略者に屈することはない。国家最長姉閣下と我らの正義に栄光あれ! 動員令発令 隣国ペルシア共和国による軍事的な挑発行為への対応と、その侵攻の可能性の増大のため、連合全域に動員令が発布された。成員女性の国外への移動が禁止とされ、また軍務経験者の再徴兵が開始される。 元旦事件 第一皇女は静かに舞う。 インド洋軍事演習 レグルスの地を不法に占拠する新ソ連が、インド洋にて核実験を行った。このような挑発を静観することは不可能である。したがって、帝国軍はインド洋での軍事演習の実施を決定した。この軍事演習には、第一・第二艦隊と空軍の一部が参加する予定である。 OFCによる委任統治の終了 ルークリア地域の統治の安定化と委任統治期間の満了に伴い、OFCによるルークリアの委任統治が終了した。イレーナ1世レヴィンスカヤおよびヴェンツェル1世両陛下による親政が再開され、国号が正式にラス・エラセド連合帝国に復した。中の人の受験が概ね終わったので復帰しました。今後とも宜しくお願いします。 蒼星連邦政府に対してアラスカ人民前進委員会が蜂起!(1/30) 新大陸の冷たい大地アラスカにて、退廃的な連邦政府に対する褐色革命が始まった。 国民諸君には、極北の退廃政権に対して立ち上がった人民前進委員会の同志に対する最大限の援助協力と応援を要請する。(国民啓蒙・宣伝大臣マーリア=ヨゼファ・シュレーベン) 停戦(1/28) 本日、東部連合軍と新ソ連は一時停戦を締結した。新ソ連側は政府内の不和、国内不安を、連合軍はダム決壊による継戦能力の損失を鑑みての結果である。 ユーフラテスの濁流(1/28) 新ソ連の領土を進軍する我ら連合軍に、敵軍は卑劣にも濁流をもって応えた。比喩ではなく、そのものずばりダムの決壊をもって、である。 我が軍は損害を受けながら、辛くも退却した。 新ソ連による停戦要求(12/24) 新ソ連政府は今日正式に我々に停戦要求を行った。 我々はこれを拒否、連合軍は進軍を続ける。 「共産主義は妥協し得ない敵である。宿敵の喉元にナイフを突きつけた状態で、そのまま突き刺さないことが果たしてあるだろうか (国民啓蒙・宣伝大臣マリア=ヨーゼファ・シュレーベン)」 バスラ上陸作戦(12/15) 反ソ十字軍はペルシア湾岸バスラ市に強襲上陸を開始した。 敵の抵抗は寡少であり、連合軍は勝利している。 反ソ十字軍結成!(12/14) ソビエト共産主義共和国連邦に対する十字軍が結成された。 我々と世界は唾棄すべき共産主義を必ずや打ち滅ぼすだろう! カイロ条約(11/27) 本日、シェラルド占領下カイロ市で講和条約が締結された。 以下のようなことが取り決められた。 フランスはインド、ポンディシェリを獲得 シナイ半島を仏連管理区域として租借、スエズ運河の株式の50%を仏連各国で保有 エジプトにおける石油採掘権の独占 等 決戦の終結(11/27) グジャラート沖決戦は終結した。 当方被害は以下の通りである。 + ... 当方被害 超大型戦艦 中破1(ディー・カイゼリン級ツヴァイター・ヤーレシュターク) 巡洋戦艦 撃沈1(サファイア級2番艦クンツァイト) 軽巡洋艦 撃沈2(マーマイト級1番艦マーマイト、ジェイド級6番艦シトリン) 中破1(ジェイド級8番艦シリマナイト) 小破4(マーマイト級2番艦スターゲイジーパイ、5番艦ジェリード・イールズ、ジェイド級1番艦ジェイド、2番艦サンストーン) 駆逐艦 撃沈12(D-1級1,7,8番艦D-1-A,G,H、D-2級5,14番艦D-2-E,N、D-3級16番艦D-3-P、海風級8,9,15,19,23,24番艦【個別艦名略】) 大破6(D-1級15番艦D-1-O、ライヒスヴァル級9番艦アフマダルブルク=ゴダヴァリエンラント、フラクタル級7番艦、パイオニア級9番艦、海風級1,6番艦【艦名略】) 中破3(フラクタル級3番艦、海風級21番艦【艦名略】) 小破8(D-3級19番艦D-3-S、ライヒスヴァル級(以下略)) グジャラート沖決戦!(11/17) 友邦を攻撃し侵略せし卑劣なるシェラルドの植民地主義者の軍隊は、我らの祖国を再び蹂躙せんと迫っている。 栄光ある帝国海軍はこれを勇猛に迎えうつ! 旗艦ディー・カイゼリン率いる我らの艦隊が、奴らの侵略を打ち払うだろう! 女帝陛下生誕大祭(7/20) 本日、帝都レーヴェンキーフェルスで女帝陛下の生誕日を記念するパレードが行われた。 以下は、パレードにおける女帝陛下の演説記録である。 _________________________________ 帝都レーヴェンキーフェルス 紅宮 スカーレット・パレス 前広場 女帝陛下が壇上に登る。 広場の両脇の懸垂幕が、登りきると同時に勢いよく下される。 万雷の拍手。 陛下が手をかざすと、ピタリ、と拍手が止む。 …沈黙。 そして、期待が最高潮になったところで、ゆっくりと口が開かれた。 「有難う諸君。 諸君の献身と尽力によって、ルークリアはさらなる繁栄の一年を歩み得た。 インダスからパトカイ迄、 カジミアからティアラント迄、 あまねく大地に、我々の星の輝きが満ち満ちている。 天空から大地迄、 少年から老人迄、 あまねく臣民諸君の、 不断にして至宝たる努力が、 強固にして美しく、雄壮たる柱として、 偉大なる我らの祖国という歴史的建造物を作り上げているのである!」 広場の雰囲気が、愛国心が高揚する。 そして、万歳三唱。 『我らの祖国に万歳! 偉大にして栄光ある大ルークリアに万歳! 我らの星と両陛下、そして我らの総統閣下に万歳!』 天地を揺るがす大合唱。 この場に愛国者でないルークリア人民はおらず、 両帝を称えないルークリア人民はいないのである。 陛下は続ける。 「侵略者ども、そして卑劣なる国際ユダヤ共と、その手下たる共産主義者は、常にこの偉大なる建築を破壊せしめんとし、悪魔的な誘惑と実力を以って我々を堕落せしめんとしている! 我々は、これに屈することなく、愛国的勤労と闘争によって抗い続けなければならないのである!」 群衆はそれに応える。 『侵略者どもに鉄槌を! 卑劣なる邪悪な神敵に死を! 祖国破壊を目論む共産主義者どもに制裁を!』 (中略) 私は、我々の意志の宣言は、此処に、 亜大陸アーリアの神聖なる精神と誇りにかけて、 帝国は諸君の一層の献身を、 来たる一年、十年、百年、そして千年にわたって要請し、これを称え、聖別するものである! ハイル・ファーターラント! ハイル・カイザーライヒ!」 『ハイル・ファーターラント! ハイル・カイザーライヒ!』 _________________________________ モレラとの講和(7/10) 本日、モレラ政府から講和の打電通知がなされた。 彼らはパリ条約を認める旨をわれわれに通知し、それに対して陳謝したのである…我々の勝利だ! しかし、忘れてはならない。 彼らは我らの地、我らの家族を蹂躙し、破壊して行ったのである。 おまけに、打電で講和などというのは前代未聞の無礼である。 「継続戦争を忘れるな!」 終戦宣言演説における女帝陛下の演説より 女帝陛下誕生祭(6/20) 8/7日、女帝陛下が誕生日を迎えられた。 帝都レーヴェンキーフェルスでは記念として小さな式典が執り行われた。ところで、来年度の式典はなぜかかなり大規模なものが予定されている。おそらくは、来年40歳になられるからなのだろうが、30歳の記念よりかなり規模が大きくなるようである。 まぁともあれ、慶ばしい日である。 ハイル・ルクレフ!ハイル・マイン・フューラー! 勝利、勝利、勝利! CELTO諸国からの指摘によって侵略してきていた各国は撤退命令を発令し、各国軍が撤退していく。一部の軍(主にモレラの海外派遣軍のようだ)は命令に反抗し、本国への反乱を宣言して頑強に抵抗しているが、これを受けて侵攻各国軍はこの反乱軍に対して我々と共同でこの反乱の制圧を開始、各地から勝利と包囲殲滅が届いている。 今回の戦闘は我々のドクトリンの弱点を明確にした。 女帝陛下は既に戦略研究及び兵器研究への資金投入を緊急的に命じ、我が国はこの改善を開始した。 悲惨な防衛戦、残虐な敵 南方の諸都市は次々落とされ、空を失った我々は非道なる敵による爆撃を受けている。一部では毒ガスが使われたとの報告もあり、これは許されないことである。我々は断固抵抗せねばならない。 K.V.G.からの報告(2021/5/19) 沿岸防衛軍集団司令官ヴェッティン=マルニュリエンヴェルト大将から報告があった。その報告によれば、ゴーア県のゴーア市及びグローセカイぜリンスベルク(ムンバイ)特別県に強襲上陸ありとのことである。どうやらモレラ共和国の軍であるらしいが、彼の国と我が国はパリ条約で戦争終結したはずなのだが…。 宗主国の滅亡と帝国建国宣言(2021/5/17) パリ条約の締結によって、我が国の宗主国が滅亡し、事実上の独立状態であった政府は、これに際して建国宣言を発表した。 以下がその全文である。 ルークリアは今まで永らく、他者の軛の下にあった! 古は宗教主義と異民族優位の階級支配、 次に欧州中心主義的なイギリスの支配、 その後に束の間の独立を勝ち取ったものの、 今度は共産主義者による支配に堕した! レグルスの栄光は共産主義という闇を払ったが、その栄光は今や潰えてしまった。 しかし、彼らの残した「パリ条約」は、我々に新たな光を与えたのである! 彼らの課した我々の共産主義への代償である、「我々の完全独立と名誉」はついに回復され、ルークリアは真の栄光への道を手に入れた! 我々の名誉は即ち「新たなる帝国」を意味している。 つまり、ルークリアはここに独立し、大公国は帝国となるのである! 獅子座主星レグルスの輝きは、常に我らと共にある。 我々は、獅子座ε星ラス・エラセド・アウストラリスの帝国ーラス・エラセド連合帝国の建国を、ここに宣言する! 「獅子の頭の南部」を意味するこの星の名の帝国は、全ルークリアのみならず、世界にその輝きを知らしめるだろう…! 永遠にして不滅の我らが連合帝国に---- 万歳! 独立せし輝かしき我らがルークリアに万歳! 天に輝く我らの勝利と獅子座に万歳! 皇女殿下の誕生!(2021/4/4) 枢密局は今日、大公ご夫妻に第二子となるご息女が誕生したと発表した。大公閣下の家系であるティアラント家の第二代当主、及びまたティアラント家現当主シャルロッテ=ヒルデガルト=ヨーゼファ=エレオノーラの二方にちなんでリーゼロッテ=ヒルデガルト=ヨーゼファ=エレオノーラと名付けられた。 嫡子の誕生(2021/1/2) 枢密局は今日、大公ご夫妻にご子息が誕生したことを発表した。以前からご懐妊が騒がれていたが、枢密院は一切そのことに関して口を開かなかった。御大公子はラインハルト=ヴィルヘルムと名付けられ、また公室法に基づきルクレグラード伯に任命された。 女公閣下、御成婚! 本日午前8時、女公閣下の御成婚を枢密局が発表した。お相手はタミル地方を治めるティアラント女候爵家長子のヴェンツェル殿下で、これ以降わが公国はお2人の共同統治とすることとなった。 なお、ティアラント家は女系一家であるうえ、宮家とは昔から深い繋がりがあり、ゆえに干渉の心配は無用であるとの見解が枢密局より示された。 御成婚祭は来月の予定である。 イレーナ級原子力航空母艦、就役!(3/30) 女公閣下の名前を冠した原子力航空母艦が今日、就役した。 名だたる世界列強の主力空母と並ぶ全長415mの原子力艦であり、女公閣下の栄光にあやかりその名をいただいた。 第一近海艦隊の派遣(3/29) 先日トゥルケスタンが神聖ローマ帝国と同盟したことは、我が国に激震をもたらした。 我が国とトゥルケスタンは国境を接しており、我が国の加盟するOFCは神聖ローマ帝国と緊張状態にあるのだ。 インド洋の秩序が脅かされるこの事態に、政府は戦艦グローリアス・ルークリアを旗艦とする第一近海艦隊が警戒に出航させた。 トゥルケスタンは反感を表明しているが、我々に正義があることに間違いはなく、不当であると言えるだろう。 第二次東地中海戦争勃発!(2/9) レグルスがモレラに宣戦布告し、二度目の東地中海戦争が勃発した!既に政府はレグルス側での参戦を決めており、第一艦隊は 既に母港を出発した!ルクレフ大公国万歳!女公閣下万歳! 大公閣下御崩御!新たに女公閣下が御即位。(1/8) 枢密局は今日、大公閣下が御崩御なされたことを発表した。 死因は急性の心筋梗塞であり、大公位は一人娘のイレーナ・レヴィンスカヤ・ルクレフ殿下に引き継がれることに決まった。 イレーナ殿下はイレーナ女公閣下として即位し、新たに政治を執ることが決まった。 国として1週間喪に服し、その後に即位パレードが行われることが決まっている。 我々は軍政府に! 大公閣下はレグルス第二帝国臨時軍政府を正式な宗主国と認定した。シェラルドからの水面下での領土要求もあったが、我々はこれを退けた。 (民間報道)絶望的な防衛 我が国の沿岸5箇所にレグルス軍が上陸した! 守備隊は総崩れであり、すでに港を占領されてしまっている。 敗北は免れ得ないかもしれない…。 (民間報道)セイロン島の陥落 政府は必死に隠そうとしているが、我々はこのたびレグルス軍によってセイロン島が陥落したとの情報を掴んだ。 私たちの思っている以上に祖国の敗北は近いのかもしれない…。 アラビアでの敗北 軍令部は今日、レグルスを侵攻していた110師団のアラビアでの降伏を発表した。 短期決戦は難しくなったがまだまだ互角である。 耐え忍んで戦い抜いていこう! 快調な進軍 軍令部は今日レグルス軍師団の殲滅、的防衛線の突破を発表した! 我が軍は快調に敵本土に向けて進軍しており、すでにアラビア半島南部を制圧した! 勝利に向けて、一致団結しよう! 対レグルス上陸作戦 軍令部は今日レグルス領オマーンへの上陸作戦を実行し、これに成功した! 直ちに後続を送り、アラビア半島の制圧に向かっている! 我々の勝利はそう遠くないのだ! レグルスに宣戦布告! 政府はレグルスとのこれ以上の交渉は無意味であるとしてこれを停止しレグルスに宣戦布告した! レグルス籍タンカーを拿捕! 国交断絶中のレグルスのタンカーが領海を侵犯したため、海軍は当該船を拿捕した!これは我が国に対する威嚇、もしくは攻撃準備であるから、政府は戦時体制に移行することも視野に入れている! レグルスがモルディブを占拠! 政府は緊急広報で、レグルスがモルディブを占拠したことを発表し、遺憾の意を表明するとともに、国防上対策を講じるとし、国交の断絶を宣言し、ハイデラバード協定を破棄した。 レグルスからのトロツキスト亡命(8/12) 我が国はレグルスからのトロツキスト亡命があったことを発表した。レグルス人民共和国、連合帝国の双方から引き渡し要請があったが、政府はこれを拒否した! 事実上の同盟国とはいえ、逃げ込んできた人民を引き渡すことは我らが共和国の恥である! 我々はこの決定に誇りを持ち、誠実に遂行していく。 ハイデラバード協定締結!レグルス連合帝国との事実上同盟。(2019/5/26) 政府外交官は今日、レグルス連合帝国との会談の結果ハイデラバード協定が締結されたと発表した。条文は以下の通りである。 _________________________________ 前文 ルークリア・レチアル人民共和国及びレグルス連合帝国両国は相互の主権及び独立を認め、相互に尊重する関係を築くべく本協定を締結する 1.本協定はルークリア・レチアル人民共和国、レグルス連合帝国両国間における協定である。 2.ルークリア・レチアル人民共和国はレグルス連合帝国の独立を保障し、同国主権を尊重する。 3.レグルス連合帝国はルークリア・レチアル人民共和国の独立を保証し、同国主権を尊重する。 4.どちらか一方が主権を著しく損なう事態、或いはその危険性がある状況になった場合、下記の特別条項に当てはまらない限り、もう一方の国家は適切な対応を取らなければならない。侵害を行なったのが国家の場合、侵害国家、本協定参加国の一方が戦争状態に入った場合、同時にもう一方も戦争状態に突入し、両国は共同作戦を執るものとする。 1項 侵害を行なったものが国家である場合、侵害国家との不可侵、同盟関係、或いはそれに準ずる関係にある場合、戦争状態には突入しないものとする。 2項 侵害を受けなかった側の国家の状態が被侵害国家を援助できる状態にない場合、援助の義務を負わない。 5.両国は技術を共有の要望、人員派遣を互いに要請することができる。 6.両国はお互いの安全を保証するために相互に軍事通行権を認め、互いに軍隊の駐留を容認する。 _________________________________ グランタイア合衆国との同盟締結(2019/3/21) 政府外交官は今日、グランタイア合衆国と我が国の間で同盟が締結されたことを発表した。 我が国の国際的地位の着実な向上を意味する重要な出来事である。 レチアル共産党大勝利!RPRRとして新たなルークリアへ!(2019/3/20) 本日行われた集計で、レチアル共産党が総選挙で大勝利したと発覚した!与党となったレチアル共産党はルークリア・レチアル人民共和国の成立を宣言、憲法改正、改名を決行した! これにより我が国は新たな歩みを始めるだろう! スティーブ・クラフタリア同盟連邦との同盟締結(2019/3/13) 政府外交官は今日、スティーブ・クラフタリア同盟連邦との同盟が締結されたことを発表した。これは我が国の国際的地位の向上を意味している。 大ハルコマ帝国との不可侵条約締結(2019/2/25) 政府外交官は今日、大ハルコマ帝国との不可侵条約の締結に成功したと発表した。 我が国の国際地位の躍進であり、たいへん喜ばしいことである。 また空母開発⁉︎(2019/2/27) 政府軍指導部は今日、またも原子力空母を開発したことを発表した。一部からは「作りすぎじゃないか」、「首相のわがままではないか」との声も上がっている。 大ハルコマ帝国への返答(2019/2/22) 政府は今日、大ハルコマ帝国の同盟打診に対して不可侵条約の締結を提案した。 大ハルコマ帝国は国力もあり、これを結ぶことができれば我が国の国際的立場は大きく向上すると言えるだろう。 スティーブ・クラフタリア同盟連邦、グランタイア合衆国への条約締結の提案(2019/2/22) 政府外交官は今日、南米の強国であるスティーブ・クラフタリア同盟連邦、グランタイア合衆国の二国に、条約締結の提案を行ったと発表した。 スティーブ・クラフタリア同盟連邦には、さらに同盟の提案を行ったとのことだ。 我が国としては、お互いの同盟国が戦争したとき、両国とも参戦しないという平和的な内容が望ましいと考えている。この条約を結ぶことができれば、世界の平和に我が国も少しだけ貢献することができるだろう。 現状主力級原子力空母完成!!(2019/2/19) 政府軍指導部は昨日、現状わが軍の最高戦力となるであろう原子力空母が完成したと発表した。これは、現在高まっている国際緊張に対する警戒であり、自己防衛策である。 なお、この原子力空母は現首相の名をとってタンセディア級とされるようだ。また、初期生産として二隻を生産しており、大きな戦力増強につながるだろう。 大ハルコマ帝国からの同盟打診(2019/2/19) タンセディア首相は今日、大ハルコマ帝国から同盟の打診があったと発表した。政府はこれを慎重に会議し、対応を決定する予定だ。 コメント 同盟等もここへ test -- roemp (2019-02-17 19 04 02) こんばんわ。大ハルコマ帝国の物です。もしよろしければ同盟を組もうと思っているのですが、詳しい内容はDiscordのDMで話したいと思っています。 -- harukoma1703 (2019-02-18 20 18 12) すみません。会議しますので、来週火曜くらいまでお待ちください。 -- roemp (2019-02-18 23 59 26) 大ハルコマ帝国さん、不可侵でどうですか? -- roemp (2019-02-22 20 11 11) 遅れました。了解です。不可侵条約という形で締結しましょう -- harukoma1703 (2019-03-02 15 11 43) こちらこそです。 -- roemp (2019-03-04 22 46 42) Discoredではなくてすみません。ルークリア国と同盟を結びたいのですが、よろしいでしょうか? -- 大中華帝国 (2024-05-27 12 41 27) ↑内容を書き忘れていました。相互友好、軍事同盟です。 -- 大中華帝国 (2024-06-04 18 22 25) ↑申し訳ない、今気づきました。ページ内容の通り選挙の結果政権交代で体制が変わったためおそらく締結不可です。それでもそちらが大丈夫そうなら一応検討しますが -- roemp (2024-06-12 04 48 35) roemp -- あと一応コメント欄用意してますがここの人たちは基本的にはページのコメント欄なんか見てないのでここで交渉持ちかけられても基本気づきません。可能ならDiscordの方に来ることを推奨します。基本皆さんDiscordメインで活動してるので、それなしだとできることの幅もかなり狭くなりますし (2024-06-12 04 51 04) 了解です。返信ありがとうございました。 -- 大中華帝国 (2024-06-12 12 45 15) 名前 コメント