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「少し……気に入らないな」 先ほどの質問の主、エッジが不満を口にする。 「さしずめあんたは月の民の封印を守る者といいたところなのか。結局のところ青き星の人間を監視しているんじゃねーか」 「不満はもっともだ……幾らでも聞こう。既に沢山の者たちを犠牲にしてきた。いまさら責められることが不本意だとも思わぬ」 「もし今、青き星に月の民がやってきても共存なんてできると思っているのか? 俺は完全には出来ないと思うぜ。 それだったらなんだあんた達のいう対等という存在に俺達がなっていないとでもいうのか?」 誰もエッジを止めない。彼のいう事が完全に間違っていない、青き星に生きる者の一意見だからというのもあるが、フースーヤ が黙って批判を受け入れる姿勢だからだ。 「それに、ゼムスって奴との対立も結局は力で押し込めただけじゃないか。それに今もそいつはこの場所に眠っているって? もし俺がゼムスだったらあんた達を恨んでなんとか脱出して、お前達に復讐すると思うね!」 「良い意見だ!」 「なっ! なんだよ!」 さすがに言い過ぎだと思った自分の発言に思わぬ返答が返ってきて驚くエッジ。 「ゼムスはまだ諦めておらぬ! 封印されてもなお、否封印される事によって更に憎しみの力を強めているのだ」 「それがどうしたんだよ? まだゼムスは封印されてるんだろ? だったら……」 大丈夫だと続ける言葉を遮るのはフースーヤの言葉だ。 「ゼムスの体は未だにこの地に封印されている。だが、増幅されし憎しみの力は既に我々の制御できるレベルを越えているのだ!」 「じゃあ、なんだって? 既にゼムスの封印は機能してないって事か?」 「ここから先はお前達青き星の民の方がよく知っているだろう……増幅されし憎しみの力でゼムスは自分と似た者を利用し目的を達成しようとしている」 「!」 「じゃあ……」 一番最初に声を上げたのはローザだ。 「ゴルベーザ。奴がゼムスの力によって利用されてるのか…」 答えを導き出したセシル。 「ゴルベーザは青き星のクリスタル。地上と地底の全てのクリスタルを使い月への扉を開くといっていた……」 「クリスタルとは我々のエネルギー源。 おそらく、バブイルの塔の次元エレベータを作動させる為、クリスタルを集めたのだろう。 次元エレベータで、バブイルの巨人をそなたらの星に降し、全てを焼き払おうとしている……」 明かされる想い 目覚める力9
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「バブイルの巨人!? なんだそりゃ!?」 「先ほど我々の滅びた星の戦争、その時の最後に使われた兵器だ。戦火に投入されたバブイルの巨人は全てを薙ぎ払った……我々の星が 滅びた直接的な理由となった……そこまで戦争をエスカレートさせ強力な兵器を投入した我々なのだが」 「なんでそんなものが残ってるんだよ!」 「星の脱出の際にゼムスが持ち込んだのだ……思えば最初からゼムスはこのような事を考えていたのかもしれんな」 「じゃあなんで、そのゼムスを封印した際に壊してしまわなかったんだよ!」 「もっともだ。だが、巨人の力は我々の星が滅亡した直接的な理由。多くの者が触れる事すら恐れ、そのままにしておいたのだ。強大な力を もってはいても所詮は無人兵器。動かさなければ問題はないと思ってな」 「結局、残った穏健派の連中も力を捨て切れなったってことじゃねえか!」 「そう取られても仕方がない。事実、巨人の力を青き民との交渉に仕えると思ったものも眠っている同胞達にもいなかった事は否定できん」 「いつもいつも力を誇示して上から目線で優位に立つ! それで本当に共存なんかできるのかよ! 俺達だけじゃなく、あんた達月の民の方にも 反省して進化するべきところが山ほどあるんじゃないのか!」 「エッジ! 気持ちは分からないでもないけど」 ローザの叱咤は怒りつける訳でもなく咎めるわけでもなかった。 「今は争っている場合でないわ! ゼムスの目的が本当ならば、彼と操られているゴルベーザの目的は既に達成されている事になるわ。つまり・・・…」 「巨人が既に青き星に向かっている!」 「そんな……」 リディアががくりと膝をつく。 「こうしちゃいられないぜ! 急いで青き星に戻らねぇと!」 「待て!」 脱兎のごとく外へ向かうエッジをフースーヤが呼びとめる。 「私も付いていこう! 青き星とそして月の民の為に!」 「エッジ……」 リディアもローザも反対する素振りは無い。だとすると異論があるのは月の民の行動に異論を付けていたエッジだけだ。 「仕方ねえな……あの竜騎士がいなくなって今は一人でも戦力がほしいしな。それにあんた達のやってきた事は否定したが、目指そうとした事は 間違っているとは思えねえ。そのやり方が問題だっただけでな」 「あり難い……バブイルの巨人を青き星に降ろしてはならぬ! 私と共に行こう……!」 明かされる想い 目覚める力10
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es(1) /// / 原因・理由純詞 \ 13 seren klel lumi \ [ ivi ] \ (原因・理由純詞)何故、何ゆえ、どうして、何で \ [ vetyolom ] \ 日本語の疑問詞に当たるものは形骸的な用法を持つが、アルカのは額面どおりの意味しか持たない。それは疑問文を疑問文として保護するためである。アルカでは質問することは重要視されているので形骸的な疑問文は嫌われる。日本語のように形の上では疑問文だが実際には疑問になっていないということなど考えられない。相手が誠実に答えるほどバカを見る。そのようなことをしているとやがて質問者も回答者も忌憚なく質問をしあわなくなる恐れがある。ゆえにアルカでは形骸的な疑問文は使わない \ 「お前何言ってんだよ」では本当に「何」を聞いているのではない。この 場合はtoを使わずala ti ku-i anという。「何ちんたら歩いてんだよ」の何はなぜに当たるものだが、これも理由を聞くというよりは単なる非難である。これもesは使わずala ti lof-i tix soaという。「お前どこ見てんだよ」も実際に「目です」などと答えれば余計に相手を怒らせる。これもamは使えない。ala ti in-i anという。また、非難だけでなくからかいや皮肉にも日本語は疑問詞を使う。「泣いてあたしに謝ったのはいつのことだっけ?」という場合、omは使わない。ti kel-in map ti vant-a an kont enaという \ es(2) /// / (通時継続相)~している \ 14 seren klel lumi \ [ yula ] \ (通時継続相)~している \ es(3) /// / 思う、感じる、想像する 2 \ 15 seren klel \ [ yuo ] \ onを思う、onのことを考える、onを想像する、onを感じる \ [ vetyolom ] na \ [ ova ] \ esk-o ix im fos 明日は雨が降ると思う \ an es-i la ot ma kof 彼の風邪は治ると思う \ an es-i lu ut tap 彼は誠実でないと思う \ osk-o im fos na 明日は晴れだと思われる \ la van poros at lant 彼女は思ったより綺麗だった \ an ot-il ma dankan 私は弁護士になりたいと思う \ es(4) /// / 再起格名詞を作る接尾辞、動作主と対象が同じであることを表わす接尾辞、~する人 \ 16 seren klel lumi \ [ areu ] \ 再起格名詞を作る接尾辞、動作主と対象が同じであることを表わす接尾辞、~する人 \ [ vetyolom ] \ 動作主と対象が同じであることを表わす接尾辞。たとえばlab-eを例にとると、lab-eは「ulはonをtotの内容で働かせる」である。よってlabanは働かせる人であり、labinは働かされる人である。もしこのesがなければ「働く人」も「働かされる人」も区別が付かなくなってしまう。そこでesを使ってlabesとすると、ulに対してonが再起的な意味を持つようにできる。つまりlabesは働かされる人ではなく、自分で自分を働かせる人、即ち働く人である。このように、接尾辞のesが付いた場合、ulに対してonは必ず再起のenを取る。つまりlabesとはan lab-e enするような人のことを表わしているといえる。他にもlofesは歩く人で、skinesは座る人である。姿勢動詞は再起型が多いのでesはよく使う。尚、an,onと違う役割を持つので聞き違いを防ぐため、できるだけ音は離してesにしてある \
https://w.atwiki.jp/299nobe/pages/1194.html
「月の民? 月に住んでるやつがいたのかよ!?」 質問に次いで驚きの声をあげるエッジ。 「今はの」 「今は? どういう事だ?」 少しだけ老人――フースーヤの顔が曇った……セシルにはそう感じ取れた。 「私は――我々は元々別の星のものであった」 「じゃあ私たちの住んでいた所?」 今度はリディアが尋ねる。 「青き星か、いや違う。同じようなものといえばそうだが」 青き星……フースーヤ達、月の民はセシル達の星をそう呼ぶのだろう。 「それじゃあ……私達の住んでいる所、青き星以外にも人が住んでいたのね」 「聡明だのお穣ちゃん、その通りだ。我々は元々は火星と木星の間に存在する小さな星に住んでいたのだ。 しかし、ある時その星は絶滅の危機に瀕した――」 何処か遠くを見るようなフースーヤの声。 「どうして絶滅したの?」 子供の心を忘れない無邪気なリディアだからこそできる質問だ。 「いい質問だ、実にな……結論から言えば星の環境が大幅に悪化して人が住めなくなってしまった。 どうにかして生き残った人々は脱出して新天地を探すべく旅を続ける放浪の民となったのだ……」 「環境が悪化って……大きな天災か何かが星を襲ったのかよ?」 「いや」 フースーヤの声が少し淀んだ。 「この際だから話しておこう……我々の星の中にはいくつもの国が存在していた。だがある時……一つの国が 他国を侵攻した。それが切っ掛けで他国をも巻き込む大きな戦争へと発展していったのだ」 誰もが口を閉じ黙って聞いていた。 「その戦争は一行に終わる気配がせずに拡大だけを続けていった。十年が過ぎ……二十年が過ぎた。そして百年が 過ぎた。それでも戦いは終わらなかった……」 「そもそも戦いは何故おきたの?」 「時間がたちすぎて誰も原因が判らなくなっていた、だが戦いは終わる気配は一行になかった……」 明かされる想い 目覚める力5
https://w.atwiki.jp/299nobe/pages/1191.html
月までの航海は穏やかなものであった。 海での旅と違って日は見えなかった為、どれだけの日数が経過しているか は正確には把握できなかったが。 しかし、そこから先は一転して激しい道中となった。 月世界の様相はセシル達のいた青き星とは全くの別物であった。 踏みしめる大地はどこまでも荒れ地が続き、草木一本すらない。おまけに地面の所々には クレーターと呼ぶべき窪みが散見し、歩行を妨げた。 空に日は昇らず、朝と夜の変化もない。 そんな今までとは違う困難な状況に更なる追い打ちをかけたのが、月の世界に生息する 魔物達の襲来であった。 セシル達のいた星に比べても、月の厳しい環境を生きるその物達は地上や地底の魔物達に 比べても桁違いの生命力と力を持っていた。 加えて知能も卓越しており、セシル達を外部からの侵入者だと判断するやいなや、群れをなして 襲いかかってきたのだ。 月の魔物達の思惑が見知らぬ物達の威嚇や迎撃行動なのか、または魔物の本能が形振り構わずに敵を 認識して襲いかかってきているのかは判別できない。 だが、真っ向からぶつかって戦うにはいささか分が悪いものであった ゆっくりと月を探索している暇はないな… ただでさえ馴れない月の大地を歩くのは体力を消耗する。 セシル達は目的地を定めて早々に目的地へと向かうことにしたのだ。 何処へ行くべきなのか? 幸いにしてその問題に関して言えば、さほど悩むことなく結論を出すことが出来た。 白銀とも呼べる白さが続く月世界の中で唯一目に付く場所が一つ。 透き通るほどの薄い結晶で造られた巨大な塔。月の大地よりも更に輝かしい透明なその建物はこの世界のどこからでも見渡せるほどの 輝きと大きさであった。 セシル達の乗ってきた魔導船が着陸した場所からさほど距離が離れていないのも幸運であった。 だが、早々に出た答えとは裏腹にその場所までの道は楽とはいえなかった。 塔への道のりは平坦な大地だけで構成されてはいなかった。道中にはセシル達の星でいう山岳や洞窟といった場所が散在しており 思った以上の時間と消耗がかかった。 明かされる想い 目覚める力2
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団扇 投手 左投げ右打ち 概要 ドラクラベイスターズの便利屋。 左不足のため無理やり左利きに変更させられる。 とにかく左打者に強く、人殺しのような目つきでボールを放り込む。どんな場面でも投球できる為、馬車馬のように働かされる予定。
https://w.atwiki.jp/299nobe/pages/1192.html
どれくらいの時間がかかっただろうか。 おそらくはそれほどの時間がかかっていないはずのなのであるが、セシルの体感では途方もない時間がかかったようであった。 「ねえセシル……」 輝く塔――まるで巨大なクリスタルのような建物を前にしてリディアが心配の声を一つ。 「中に一体何があるのかな? それに大丈夫かな?」 不安をそのまま口に出したような抽象的な問い。そこに文句を言うのは難しいだろう。 見るとローザも同じような心配の顔をしていた。 普段は常に強気なエッジも未知の大地の未知な建物に静観を決め込んでいた。 ましてや先ほどのリディアの心配を否定しきるのは並大抵の度胸では出来ないであろう。 「大丈夫だ」 しかし、セシルはそれだけ一言言って塔の内部へと歩き出そうとした。 「僕についてくるだけでいい。だから大丈夫だ……リディア」 ゆっくりと歩を進めながら少しだけ仲間達を振り返る。 「ローザもエッジも一緒に」 皆驚きはしたが拒否はしなかった。否が応にも従わせる力が今のセシルにはあった。 (ここには何か重要な事が眠っている。それも自分にとって……) 月へ近づくにつれてセシルの中に何か予兆めいた確信が動き出していた。 (僕にとって重大な何かがこの先待ち受けている) 何故急にこんな気持ちが? 否、前々から似たような気持ちが自分を駆け抜けた事があった。 いつ? それは確か…… 何度か駆け巡ったモヤモヤとした気持ち。何かを掴めそうでいて掴めなかった。 だが月の――それもこの場所に近づくにつれて何かが晴れていくような気がしていた。 (ここに来てくれたローザ……リディアやエッジににも知ってもらわなければいけないだろう。きっと……) 幾度もの出会いと別れ……そして再会を経験した自分の仲間……そして生まれ育ったあの場所を代表する人達として (それに、カイン) 今ここにいない者――未だに互いに譲り合う事の出来ない関係の者の名を呼ぶ。 (君ともまた……まだ……) そっと目を閉じて想いを張り巡らす。 (そしてゴルベーザ) あの星を脅威に陥れている者―― (おそらくはまた剣を交えねばならない。その為にも……この先に進む必要がある) 塔の内部、短い距離の静かな道程でセシルは想いを馳せた…… 明かされる想い 目覚める力3
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「愚かな事に惑星を無事に脱出した我々は一枚岩ではなかった……脱出した宇宙船の中でも抗争は続いたのだ」 「そんな……!」 「脱出した人々の二つの派閥が存在した。一つは脱出推進派、戦いに疲れ果て星から逃げ出そうと計画を発足したもの…… その代表が私、フースーヤとその弟クルーヤであった」 「フースーヤとクルーヤ……」 その響きにまたセシルの想いは揺らいだ。やはり自分は…… 「そしてもう一つの派閥は戦いを続けていた者達、いわば戦いの果てに仕方なく星を追われたものだ。こちらの代表と呼べた者 がゼムスと呼ばれる男であった」 「ゼムス……」 「星が存在していた頃から対立していた我々は生き残り脱出した後も対立を止めることはできなかった。ましてや強引に進められ不安定 な状態の脱出であった。舞台を星から狭い宇宙船に変え戦いはより一層醜くなっていっていた」 「な……んだよ……」 「戦いが激化し人々の疲弊は深刻なものになっていた。積極的に戦いを推進していたゼムスにすらも疲れの顔が見えていた。焦った我々は 早く新天地を見つけようとしていたが中々上手くいかずにいた……」 「なんでそこまで行っても争いよ止める事が出来なかったんだよ!」 フースーヤの話が一段落したところでエッジが怒りを口にする。 「そこまでして争うなんておかしい話だぜ!」 「いえ違うわ……」 口をはさんだのはローザだ。 「私達だって……私達の住んでいた青き星だって似たようなものだわ」 否定の声は上がらない。 「原因があったとはいえ、バロンは軍事大国として各国へ侵攻した……反対の声も多かったけど、賛同した人達がいなかったわけでは ないわ。そうじゃなくても私達は各国に分れて時に国同士で争い、時に人同士で憎しみあう時があったわ……フースーヤさん達の星と 全く同じわけではないけど、その星の人達を批判できるほどではないわ」 「そりゃ……そうだけどさ」 反論できずに口ごもるエッジ。 「でも……」 「でも私達は! お互いに許しあう事が出来る」 ローザが言おうとしていた事を引き継いだのはリディアだ。 「セシルだって。自分の運命を受け入れて変わることが出来た。ただ憎しみ合うだけでない、たがいに受け入れる事だって出来る。 その星の人達だって何か切っ掛けさえあれば……許し会う事ができた……かも……ね、セシル」 最後の方は少し自身が揺らいだのか、セシルに話を振る。 「そうだね」 無垢な少女の問いに淀みの無い返答を返すセシル。 「ふふ……」 フースヤの声に明りがともる。 「良い仲間を持ったなセシル。お主らの様なものがもっと我々の仲間にいれば、我々の星の運命は変わっていたのかもしれんな」 「はい」 「今となっては過ぎ去ってしまった事だがな……さて」 口調が再び厳しくなる、話の続きを始めるのだろう。 明かされる想い 目覚める力7
https://w.atwiki.jp/299nobe/pages/1197.html
「星を脱出し、放浪の民となった。しかし中々新たな移住先は見つからずにいた。ここまでは話したな?」 皆黙ってうなづく。 「そこで我々は最後の手段に出ることにしたのだ……新たな星に移住するのではなく、既に生物の住む星に移住する事にな」 段々と話が繋がってきた。点が線になる感じだ。 「目を付けたのは青き星。つまりはお主達の住んでいる星だ」 「!」 セシル達四人。誰もが多かれ少なかれの衝撃を受けた。そしてこの先の展開を想像するだけで身も凍る思いになった。 「それで、俺達の星を乗っ取ろうとしたのかよ」 「否定はせん。だが聞いてくれ、話に続きがある。言い訳と思ってくれても構わん」 「分かったよ」 「我々放浪の民……月の民はまず、青き星の近くにある衛星――つまりは月に腰をおろした。当然ながら環境の厳しいこの場所で暮らしていくのは難しかった。 月での生活は我々により青き星の憧れを強くしていった。しかし、その時の青き星にはまだ新たな生命が芽生えたばかり、進化の途中であった。我々……いや 私とクルーヤは青き星の民との来るべき対話の為に眠りにつき時を待つ事を決めた……」 歯切れの悪い口調は、話がこれで終わりでないこと、この先に悪い展開が待っていることを示唆していた。 「ある者は眠りにつくこと嫌った。私と対立していた強行派、それを代表する者ゼムスだ。ゼムスは青き星の民を滅ぼし、自分達が代わりに住みつくことを 提唱したのだ」 「ひどい!」 リディアが非難と恐怖の二つの悲鳴を上げる。 「我々は決議を行った。数では強行派のものが多かったが、ゼムスの計画には躊躇した者も多かったのか五分の支持であった。結局のところ議論は平行線 を辿り決着がつかぬままであった。しかしゼムスは滅びた星でも戦いを指導した者、その統率力で兵力を形成し、強引に自分の意見を実行しようとしていた」 言葉を待った。 「当然、黙って見過ごすわけにはいかなかった。私とクルーヤはすぐさまゼムスを討伐するための力を集めた」 「結局、戦いになるのかよ……同胞同士で」 「そうなるな……その時の我々には他に方法が思いつかなかったのだ。戦いは熾烈を極めたが……勝ったのは我々であった。勝利を収めた私とクルーヤは すぐさまゼムスを月に造った我々の拠点に封印したのだ」 「それがこの場所……」 「そうだ。そして今、封印したゼムスとは別に多くの月の民がこの場所に眠っている。青き星の者たちが対等に話し合えるだけの進化を遂げるのを、見守っているのだ…… 皆……その日が来るのを夢見て」 「それで全てか?」 「我ら放浪の民――月の民の軌跡としてはな」 フースーヤの言葉はまだ何かを隠しているようであった。 明かされる想い 目覚める力8
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症状 許容範囲が狭い 1ミリも頑張りたくない 箱根駅伝の最終走者みたいにゴールに倒れこみたい 類症 天然でチキンレース病 この上まだ働かされることに悪態つきつつ、しかしその理不尽なきつさに興奮もしてしまってる病 番組 第140回 ギリギリ病 なんであの時放送局