約 68,953 件
https://w.atwiki.jp/fukumotoroyale/pages/245.html
偶然と奇跡の果てに ◆zreVtxe7E6氏 民家にたどり着いた石田と黒沢は、治を安静にさせ、気休め程度の…頭を冷やすだけ…といった処置を施す。 その後、2回目の定時放送を待ちながら、二人は軽い食事をとっていた。 次に何時、こうした休憩が取れるとも限らない。休める時に休まなくては…と、飢えた腹を適当に満たしていく。 やがて場違いなクラシックが流れ、必然的に手が止まった。 『────以上で放送を終了する。』 5分程だろうか…放送が終わり、石田はぱぁっと表情を綻ばせた。 良かった…!市川さんも、天さんも…二人とも呼ばれてない。それにカイジ君も…良かった、本当に良かった……! 幸い、自身が知り得る人物の名を、その耳が捉えることは無かった。 ほっ…と胸を撫で下ろし、安堵の表情で止まっていた手を動かす。 しかし対照的に、黒沢の手は止まっていたままであった。 「黒沢さん…?」 怪訝そうに問いかける石田に、黒沢ははっとして顔を上げる。 「…今、赤松…赤松修平って…言わなかったか…?」 戸惑いを隠せない様子で顎に手を当て、動揺に瞳を震わす。 その様子を見た石田は瞬時の内に悟り、表情を強張らせた。 「…もしかして…知り合い…だったのかい…?」 石田の問いに一瞬目を泳がせ、あぁ…と気の無い返事。 本当に…あの赤松修平なのか…?でも…まさか…。 「あ…あぁ、いや…でも……有り得ない…」 そうだ…有り得ない…有り得る筈がない…。 要領を得ない受け答えと自己完結。石田はどう返した物かと、困ったようにポリポリと頭を掻いた。 「えーと…その、有り得ないって言うのはどう言う事かな…?そもそも、どういった関係の人なんだい…?」 その問い掛けに、黒沢は職場の同僚である事やその人柄など、赤松との関係を出来るだけ簡潔に伝える。 その上で、決定付けるように続けた。 「だから…有り得ないんだ。…俺の知っている"赤松修平"なら…こんなギャンブルに参加する、理由…動機が無い…!」 石田も、確かに…と肯定的な意見を述べた。 「…確かに…オレの知り得る帝愛は…借金…それに苦しむ人々に対して、チャンスを与える…そう言った名目で、ギャンブルの場を提供していた筈…」 黒沢はその言葉に、こくりと頷く。事実黒沢がそうなのだ。 赤松と言う人物は少なくとも、黒沢が知る限り借金はしていない。金に困っていると言う線は、限り無く薄いだろう。 更に、赤松の人間性を思えば、仕事を擲ってまでギャンブルに走るとはどうしても考えられなかったのだ。 「けど…保証人とか…そっちの可能性は…」 言い出し、石田は口ごもる。今は余計な事は言わない方が良かったのでは…と。 「…………」 重い沈黙が場を包む。 保証人…確かに、この舞台に上がらせるには充分すぎる理由。 赤松の人柄を考えれば、誰かの代理…と言う線も浮上してくる。 考えれば考えるだけ可能性があり、いやいやまさか…と考え直す。 屠どのつまり埒があかないのだ。 瞳を閉じ、一つの深いため息。 静寂を破ったのは黒沢からだった。 「…まずは情報収集だな…今のままじゃ情報が少なすぎる…。取り敢えず今は…治の容態も良くない…次の放送まで交代で仮眠でも取って…それから改めてどうするか考えよう…」 「あ…じゃあ、オレが先に見回りに行くよ…2時間経ったら戻ってくるから、それまで十分に体を休めておいてくれ…」 知人が亡くなったかもしれない…そんな黒沢を外に出すのは気が引けた。 石田なりに気を遣い、徐に立ち上がる。 黒沢はその言葉に甘えるしかなかった。 「本当は…さっき仮眠を取った俺が行くべきなんだろうが…すまない…」 「気にしないでくれ…じゃあ、行ってくるよ」 微笑みと、扉の閉まる音を残し、石田は姿を消す。 一人残された黒沢は、再び思考の海へと沈んだ。 が…長続きはせず、睡魔に意識を明け渡すのも時間の問題であった…。 まさか、その赤松が己の為にこの舞台に身を投じたなど、夢の中でも…黒沢が思う筈も無かった。 ――――― 手ぶらでは余りにも不安過ぎた為、ダイナマイトを持っていこうか悩んだ石田は、結局のところ、ライターと一本だけをその手中に忍ばせ、民家を後にした。 その直後、石田はある異常に気が付く。 …空が一部分だけ妙に明るいのである。 良く見ると、それは建物を呑み込んでいる炎。場所は確か、ショッピングモールのあった辺りだと石田は思慮する。 しかし、何でまた火事なんか…。 その考えに陥った瞬間、石田に電流が走った…! あ…あぁ…!まさかぁ…っ!! 石田の脳裏に浮かんだひとつの可能性…。 そして次に、己の不注意、迂闊が招いた結果かもしれないと言う疑念が…!! 「た…っ田中さんがダイナマイトを拾って…使ったんじゃ……!!」 口に出してみて改めて思い知らされる、己の致命的ミス…! な…なんて取り返しのつかないことを…!! 誰か死んでしまっただろうか…もしかしたらそれは…カイジ君や天さん、あるいは市川さんかも……!! 「う…うぅっ…何で…っ!!あの時一人ででも探しに行っていればっ…!!ぐっ…ぅうっ…!!!」 弾かれた様に走り出す石田。考えるよりも先に体が動いていた。 近付くに連れてその凄惨さが伺える。 炎の勢いは留まらず、時折爆発音も聞こえてきた。 恐らくそれは、ガスか何かが原因で誘発した爆発だろうが、先入観に支配されている石田には、別の捉え方にしか出来ない。 間違いっ…!やっぱりダイナマイトなんだぁ~…っっ!! ぐしゃぐしゃの顔を何とか前に向け、走る事を良しとしない体躯を意地で動かさせる。 途中何度も転びそうになりながらも、石田は何とかショッピングモールへ辿り着いた。 建物はその全てを紅緋に揺れる炎に身を溶かし、周囲の茂みや木々に自身の燃えカスを撒き散らしている。 黒檀の煙は黙々と吐き出され、漆黒の闇に溶けていく。しかしその勢いは、まだまだ衰えそうにない…。 いっそのこと…この中に身を投じてしまおうか…。 ダイナマイトを落とし、この火災が発生したと誤解している石田が、そう考えるのも無理は無かった。 何故田中沙織から逃げようとしている石田が、このショッピングモールまでやってきたのか? 答は至って単純。 これ以上、カイジ…いや、誰にでも迷惑をかけたく無かったのだ。 その為ならば、田中沙織と心中しても良いとさえ、石田は思っている。 それが石田に出来る精一杯の償い…半ば意地であった。 しかし、そんな石田の思いとは裏腹に、ダイナマイトを握る手が震えだす。 無理もない。先程の一件に加え、他の殺戮者がいるかもしれないのだ。 多少の例外はあれど人間は…恐怖と云うものには、偉く素直な生き物である。 怖い…怖いっ…!!怖くて体が動かない…! 一時の感情に流されたとは言え、いつ殺されてもおかしくないこの地を、石田は独りで走りきった。今までの石田にとってみれば、これはもう賛辞に値する行動と言えよう。 しかしそれは、言うなれば火事場の馬鹿力に過ぎない。市川を助けた時もそうだったが、惰性を失えばあっさりと崩れ去ってしまう。 問題はその先…惰性を失ってしまった後…。 はた…と我に返り、石田は自身の危うさ…余りの心細さに身が震えた。 ざわ…ざわ… 一人じゃ何もできない…役立たず…! 足を引っ張る事しか能のない…クズめ…! ざざぁっ… 風に揺れる木々のざわめきと共に、そんな言葉が谺する…。 少なくとも、石田の耳は確実に捉えていた。 頭を振り、耳を塞ぐ。しかしそれでも頭に刺さる谺の数は減らない。 堪り兼ねた石田は、よろよろとその場を後にした。 「もう…勘弁してくれ…っ!うぅ…ぅっ」 年甲斐とか、もうそんな事に構ってられる石田ではなかった…。 ボロボロと涙や鼻水やらを垂れ流し、おぼつかない足取りでどこともつかぬ闇を行く。 そしてその闇の先には、石田の目当ての人物が待っている事になる。 恐らく相手は石田の存在に気が付いているのだろう。茂みに隠れ、機を伺っている。 腕の中に収まった、イングラムM11をそっと抱きしめながら…。 ――――― 黒沢が意識を覚醒させた理由は、怪音と微かな地響きによるものだった。 「な…なんだぁ!?石田さ…っ!!?」 更にもう一発。 ただならぬ気配に、一気に眠気の覚めた黒沢は、部屋の中を見回し石田を探した。 時計を見れば、約束の2時間はとうに過ぎている。 「お…おい!石田さん…!?…まさかっ…!!」 背筋に冷たいものが走る。 何かあったのか…!?くそっ…!! 慌てて扉を開け放った黒沢。しかしここで、ピタリと足が止まった。 問題が二つある…。 一つ目は治。 意識の無い治をこんな所に置いて行ってしまって良いものか…。 かといって、この先に何が待っているか分からない状況。そんな最中を意識のない重傷人を背負っていく訳にも行かない。 せめて意識さえ戻っていれば…… いや…待てよ、意識がないってことは… つまり動かないって事だよな… じゃあ、見えなくもないか? 死体に…!! 切迫していた事も相成って、黒沢はこの閃きに賭ける事にした。 まず、治をそれらしく見える格好で寝かせ、その上に押し入れに入っていた毛布を掛ける。 次に、デイバックから支給品のひとつであった、スプレー缶を取り出した。 使い道に困っていたが…まさかこんな事に役立つとは… 火元に投げ込めば、ちょっとした起爆剤になるかも、と一応取っておいたスプレー缶…基、カラースプレー。 もしこれが黄色や緑であったなら、今回この策は使えなかったであろう。 それを上下に良く振り、キャップを開け噴射…! 治自身にはかからないよう、毛布や床、壁などに勢い良く振り撒いていく。 そう、これは赤い色。更に特殊なタイプであの独特な刺激臭がしない物であった。 一通り散らし終えると、黒沢は血まみれ…否、塗料まみれの治を一見した。 我ながらナイス閃き…!どうみても死体…!圧倒的出血量…っ!! 確かに横たわる治は、誰が見ても壮絶な最期を遂げた死体にしか見えなかった。 …多少やり過ぎな気もするが…。 ともかく、近くで良く確認しない限りは、陽が上るまで誤魔化す事が出来るだろう。 更に黒沢はデイバックをわざと目立つ場所に置き、"殺人鬼が近くにいるかも"と匂わせておく。 こうしておけば最悪、室内に侵入したとしても長居はしないだろう…と、黒沢は結論付けたのだ。 が…どうにもそれが通用しそうにない、支給品が一つ。 残るもう一つの問題がこれであった。 石田の残した4本のダイナマイトである。 当初は10本あったが、道中ホルダーの不備が原因で5本にまでその数を減らし、恐らく石田が持っていったのだろう、更に一本減っている。 これ以上失う訳にはいかない…。 かといって、持っていくのは余りにリスクが高すぎた。 落としてしまっては一貫の終わり…見付け出すのはまず不可能。 最悪の場合、誰かに殺され、このゲームに乗っている者の手に渡る可能性もあるのだ。 それだけは…駄目…っ!! とは言え、このままにもしておけない。隠さなければ。 ダイナマイトを手に取り、どうしたものかと頭を悩ませる黒沢。ぐるぐると部屋を見回し、それに見合った隠し場所を探すが、中々思うようにいかない。棚や押し入れでは、心許なかった。 台所へと移動した黒沢。 そこの床で、正方形に切り取るように嵌められた、銀色の枠が目に映った。 それは…人一人が出入り出来る程の、小さな穴を塞いでいる蓋…。 「そうか…点検口…!!床下収納…っ!!」 思わず叫んでしまう黒沢。 確かに、血塗れの遺体がある上に、荷物が詰まったデイバックが堂々と主張している。 普通ならばその発見に満足し、わざわざ危険を冒してまで、部屋の中を詮索する意味は無いだろう。 仮にそうなったとして、棚や押入れならまだしも、床…それも点検口を利用した、床下収納に気を配る者などいる筈がない。 まさに打って付け…絶好の隠し場所…!! 黒沢は嬉々としてその蓋を開ける。 予想通りそこは、白い仕切りが設けられ、ちょっとした収納スペースになっていた。 広くはないが、ダイナマイトをホルダーごと隠すには充分なスペース。 確かに、完全…完璧と言えた。 普通ならば気が付かない…完全に意中の外。 …黒沢が興奮のあまり口に出さなければ、唯の一人も知る事は無かっただろう…。 全ての行程を終わらせ、勢い良く飛び出していく黒沢。 闇夜はそろそろ、明るさを取り戻しつつあった…。 ―――――― 田中沙織…。 彼女はある意味、一番の被害者なのかもしれない。 汚すことの無かった両手を血に汚し… 捨てることの無かった情を捨て… 無論それは、彼女だけではない。 皆が一様に、この狂った舞台に上がらされ…到底理解出来ぬ悪趣味に、付き合わされているのだ。 この有り様を…狂喜の眼差しで見つめ、どす黒い笑みを浮かべ、観賞しているであろう、主催者の顔が目に浮かぶ。 その悪趣味に、付き合わされた結果がこれだ。 脆く崩れ去った"田中沙織"… そこに残ったのは"理性"や"情"を取り除いた脱け殻のみ。 そんな彼女が、石田を待ち構えていた。 「………」 ゆらりと姿を表した沙織を石田の視界が捉えると、その瞳が愕然と色を変える。 「た…田中さん…」 その台詞を絞り出すのが精一杯であった。 月明かりの下で、不気味に佇む沙織。 その手には銃。 その姿は…さながら、鎌を携えし死神の如く…。 銃口を突き付け、じりじりとその距離を詰めてくる。 圧倒的なそのオーラに気圧され、たじろいでしまう石田。その隙を沙織は見逃さなかった。 刹那、石田の脳天に雷で打たれたかのような衝撃が走る…! 振り上げられた沙織の腕に気が付くのに、一瞬の遅れが生まれてしまった。 …と言うより銃口を向けられ、撃たれるとは思っていても、殴られるとは思っていなかったのだ。 完全な不意打ちとなった打撃を、こめかみ辺りに諸に受け、石田は為す術無く倒れ込む。 眼鏡が地に転がり、レンズがその使命を終えた。 駄目だぁ…オレはもう…… …ここで終わり…もう終わりだ… 全てを諦めたように、倒れ込んだまま瞳を閉じる石田。 やっぱり…オレには… ─その時 『諦めるな…!最後の最期までっ…!』 …カイジ…君? 『生き残りましょう…!見せてやるんです…矜恃を…!!』 …治君っ…!! そうだ…オレは… ここで諦めてどうするんだ…!まだ…まだ終われない…!! 頭に響いた声に、光を取り戻した石田は考えを巡らせる。 そうだ、考えろ…!! …オレを撃たなかった理由…!!これだっ…突破口…!! 何か…何かあったんだ… 実はこの時、沙織は引き金を引いていた。しかし、どう言う訳か、弾が撃ち出されなかったのだ。 ジャム…ジャミングと言われる、ごく稀に起きる現象。 所謂玉詰まりなのだが、そんな現象を沙織が知る筈もない。ただの弾切れだと思ったのだが、マガジンを替える間もなかった為、仕方無しに殴ったのだ。 が、石田はそんな事とは露知らず…。 戸惑い…きっと躊躇したんだっ…! 圧倒的思い違い…。しかし、石田は止まらない。 きっと…襲われたんだ…!有賀の様な…酷い人間にっ…!! きっと…オレなんかには…想像も出来ないような事を…っ!! だから…皆、敵だと思って…くうっ…! 目頭に熱いものが込み上げ、それは耐えきれず、ボロボロと滴となって流れ落ちる。月明かりに照らし出された沙織を見れば、何かあった事など想像に容易かった。 助けたい…!これ以上…誰かを襲わせたくない…っ!! その思いはきっと、自身をも救う鍵になると信じ…口を開く。 「君はこんな事をしちゃいけないっ…!躍らされてはダメなんだっっ…!!」 両腕を使い、上腿を起こしつつ沙織にその視線を向ける。沙織は咄嗟の事に、銃を振り上げた。 「聞いてくれ…!君がこんな目に遭ったのは、他でもない…。こんな滅茶苦茶な舞台を演じた主催者なんだ…!!ぐっ…」 鈍い音を伴い、石田の左肩に衝撃が伝わる。なんとかそれに堪えると、逆にその銃口を空いていた右手で、がっしりと握り締めた。 「オレはっ…君を傷付けるつもりは無いんだっ…!!頼むっ……話を聞いてくれっ…!!」 しかし沙織は、パニックでも起こしたかのようにデイバックで殴り付け、掴まれた銃を取り戻そうと躍起になっている。 それでも石田は、思いを伝えるべく何度も声を張上げた。 彼女を救う為… 戦友‐とも‐との約束を守る為… かつての戦友ともう一度出会う為… そして自身が助かる為に…! 諦める訳にはいかなかった。 しかし現状がそれを許さない…。 自身の非情なまでの無力さと、届かない思い。 そのジレンマが形となって石田の頬を伝う…。 「頼む…頼むよ…話を…」 一瞬の静寂、そして… え…? 石田は我が目を疑った…。 そう、涙を流していていたのは、石田だけでは無かったのだ。 それが、どう言う意味を持つ涙なのかは分からない。 もしかしたら銃を取られ、駄々を捏ねる子供の様に涙いていたのかもしれない。 しかし理由がどうあれ、彼女が泣いている事実に変わりはないのだ。 だから… だから石田は… 沙織はこの時、訳が分からなかった。 仮にも自分を殺そうとしていた相手だと言うのに、何故涙を流しているのか…。 何…?何で泣くのよ… ほんの少しだけ、冷静さを取り戻した沙織。 そう言えば…と、沙織はこれが始めてでは無いことを思い出す。 前にも…いたっけ…傷付けたのに… 諦めず…説得してくれた人… 不意に、涙が溢れた。 私…殺し…私が…コロシタ… 沙織の心が、またしても死神の鎌に千切られそうになった…その時。 何かが…沙織を引き留めた。 突然の出来事に思考が停止する。 けれども…伝わるものがあった。 沙織には、暖か過ぎる程の温もり…。 人の情…慈悲…暖かさ… そう言った目に見えぬ物が、沙織を包み込んでいた。そして理解する。 抱き締められていると言う事に…。 石田は他に、何も思い浮かばなかったのだ…。 決して卑猥な感情から来る行為ではない。 ただ、子を持つ親として…人として…ただ衝動的に、その行動を取ったに過ぎない。 それは、カイジや赤松とはまた違った意思の伝え方…。石田だからこそ、出来たのかもしれない。 腕の中にあった文化の結晶が音を立てて地に落ちる。 一瞬の戸惑いの静止が、この音により沙織を再生させた。 次に沙織を襲うのは圧倒的な拒否感…拒絶! 自信でも驚く程に、心が人の優しさに触れるのを拒んでいた。 思考を支配するのはただ一つ。 遅いのよ…もう遅いの… 殺し…た…コロシタ… 私が… 「あ…あぁぁっっ…!!うぁぁああっっ――――!!!!」 大気を裂く奇声と共に、激しい抵抗が石田を貫く。 離れようともがく沙織だが、石田の拘束が拳固なモノだと理解すると、今度は背中に爪を立てた。 割れていた爪から血が滲もうとも、抵抗が止む気配はない。 石田も、声をかけようとはしなかった。 言葉が駄目なら…態度で示す…!! ただ黙って、強く…それでいて優しく沙織を包み込む。 背中の皮膚が裂けようとも、腕に爪が食い込もうとも…決して放さない。 背中をまるで子供のそれにするように擦り、沙織が落ち着くのをじっと待つ…。 気付けば石田も、沙織に負けず劣らずボロボロになっていた。 もう…嫌… 私なんかに…なんの価値があるの…? 何で…皆っ… 私っ…人を… 「人を…殺したのよっ…!!…取り返しの…つかない事っ…うぅぅっ…うぁぁぁあああっっっ!!!!」 最後の一文は、咆哮となって沙織の口から発せられた。 だらりと腕を下げ、観念したかのように項垂れる。 石田は、思ったほど衝撃は受けなかった。寧ろ、ああ…そう言うことか、と凶行に及んだ原因に合点が行くのだった。 「どうして…私なんかに…」 石田の拘束が弛み、沙織はその場にがくりと膝を付いた。 涙が幾重にも流れ落ちる。 そして、間髪入れずに石田の叫びが飛ばされた。 「"私なんか"なんて言っちゃいけない…!!誰だって…死んでほしくないし…殺してほしくもないんだっ…!!皆…皆、人間なんだからっ…!!」 石田も負けじと涙を流す。安堵による物なのか、憤りからなのかは分からない。それでも何とか言葉を紡ぎ、自身の思いを訴えた。 「…確かに、人を殺すって言うのは…良くない事だと思うよ…」 沙織は聞きたくない…と言った様子で耳を塞ごうとする。しかし、しゃがみこんだ石田がその瞳を捉えて肩を掴み、それを許さなかった。 「聞いてくれっ…!確かに、許されない…でも…っ!!逃げちゃ駄目なんだ…」 沙織は弾かれたように顔を上げる。 「向き合って…ちゃんと受け入れるんだ…!!今は…辛いと思う。でも…今の君なら出来るっ…!!涙を流せるんだから……! 遅くなんか無い…っ!大事なのは…この後…」 沙織の脳裏に、赤松やカイジの顔が甦る。そして… 「オレも背負う…っ!!背負うから…そんなに自分を責めないでくれ…」 その言葉が決定的であった。 「うわぁぁぁああっ…!!」 沙織はもう、泣くことしか出来なかった。 後悔…圧倒的に押し寄せる後悔の念。 何故もっと早くに…人の言葉に耳を傾けられなかったのか…。 立ち直る切欠は幾つも有った筈なのだ。 そして…自身の犯した業の重さに、改めて押し潰されそうになる。 「…私…っ…もう…何をしたら…」 「…償い…じゃないかな…そして、罰も…」 瞳を閉じ、冷たくはないが静かな響きで石田は続けた。 「それは…誰も殺さず、自分が生き残る事…。君がどう言う経緯で…その、殺めてしまったかは…聞かないけど…その人の分も生きて…何か目的があって行動していた人だったなら、その意志を継ぐ事。出来ないじゃ駄目…必ず…やり遂げるんだ…!」 それは即ち、有賀はともかく、赤松の意志…対主催者と言う立場を取ること。 そして、例え殺されそうになっても、相手を殺さず…且つ、自分が生きなければならない。 それが、どんなに険しい道だとしても、進まなければならないのだ。 確かに、沙織にとっては償いであり、罰である。 その言葉を噛み締めるように瞳を閉じ、天を仰いだ。 「…ごめんなさい…」 そして 「ありがとう…」 誰に言うでも無く、掠れた声で…それでも確りと呟いた。 石田の顔がみるみる綻び、腰が抜けたように地面に寝転ぶ。 「よ…良かった…本当に…!」 大きく息を吸い込み、大層な声と共に吐き出す。 石田の思いは通じたのだ…! それは、奇跡でも何でもない。石田の信念…誠意…そう言った目には見えない物が、実を結んだ結果である…! 「良かった…本当に…」 石田は生き延び…沙織は自我を取り戻す。そう、全てが上手く行く筈だった…。 しかし、沙織を掴み損ねた死神の腕は、まだ諦めてはいない…。 一息入れた石田がそれに気が付くのに、そう時間はかからなかった。 上腿を起こした視線の先に、ぼんやりと映るのは…。 …ダイナマイト? 眼鏡の無い石田には、はっきりとは分からなかった。しかし、形状は似ている。 自身の持ってきたダイナマイトは、ポケットに収まっている筈。 では、一体…? 「あっ…ああっ…!!」 弾かれたように、本来の目的を思い出す。それとほぼ同時に、石田らの背後で何かが炸裂した! 沙織には、何が起きているのか全く、理解出来ていない。 しかし石田は違った。 一瞬にして悟る…! ショッピングモールの火災が、衰える所か、新たな力を得てしまった事に…!! 「ま…まずいっ…!田中さんっ…!!ダイナマイト…ダイナマイトは…」 慌てて沙織の肩に手を置き、揺さぶるように、詰め寄る石田。しかし、沙織には見当もつかない。当然である。 突然の事に、ただ顔を左右に振るだけ。 「えぇぇと…あ…いや…と…兎に角っ!早くここから離れないと…っ!!」 見れば二人のいる、すぐ近くまで火の手が迫ってきている。更に、何が生んだ偶然なのか、火元に面するようにダイナマイトが落とされているのだ。 例えば、その火がダイナマイトに引火してしまう…果たして可能性は0だろうか…? 否…それは、現実のものとなってしまう…。 石田が、先程見付けた、ダイナマイトを拾おうとした時…。 まるで吸い寄せられるかのように、火の粉が…ダイナマイトの、その上に落ちる瞬間を…。 「まずいっ…!!」 咄嗟に沙織を抱え、ダイナマイトに対し、自身が盾になるよう、庇う石田。 炸裂はそれと同時に引き起こされた…。 黒沢の聞いた怪音の正体とは…これだったのだ。 二人は、呆気なく吹き飛ばされ、意識を飛ばす。 爆風と、地を抉った石やら土やらが、重力に逆らえずバラバラと降り落ち、それを諸に受けた沙織は、意識を取り戻した。 幸い、目立った外傷はない。頭が少しふらついているだけである。 しかし… 石田はそれだけでは済まなかった…。 「早く…にげ…るんだ…」 耳に届いた声を頼りに、石田の姿を探す沙織。立ち込める煙が、爆発の威力を物語っている。 「………っ!!」 ようやく見付けた目当ての人物は…背中に、まるで獣に喰い千切られた様な抉れが生じていた…。 「…逃げろっ…はや…く」 思えば酷く、薄い確率…それこそ偶然が生んだ奇跡に等しい。 何者かが用意したかのように…偶然に偶然が重なってしまった。 一つ目はダイナマイトを落とした位置。 二つ目はそれに面した建物での火災。 そして最後に、火の粉が落ちていった場所。 …確かに可能性は0では無かった…。 しかし、助かる確率の方が、圧倒的に高かった筈だ。 沙織はもう、どうして良いのか分からない。 どうみても助からないのだ…。 医療の現場に携わっていた者だからこそ、余計に思い知らされる…。 思考が付いて行かず、呆然と立ち尽くした。 「早く…逃げて…くれ…」 最期の力を振り絞り、石田は沙織の足を力強く掴む。 はっとしたように石田を捉える沙織。 「君は…生き…て、償う…だろ…?」 途切れ途切れの声に、精一杯の笑顔を見せて、沙織を促す。 「……っ」 悲痛に顔を歪め、返事の代わりに一滴の涙を落とすと、沙織はその場を後にした。 けれども、その足取りは徐々に重くなる。 「私は…もう、逃げちゃ…」 走り去る沙織を見届けて、石田はふっと、瞳を閉じた。 そうだ…早く…早く逃げるんだ…… 君の様な…若い子は…死んではいけない… 死ぬのは…オレの役目… あぁ…振り返らないでくれ… ただ、前だけを見て…進んでくれ… 君は…見ては…いけない… カイジ…君… 結局君には…逢えなかった…… それでも…少しは…役に立たせてくれ… 朦朧とする意識の中、石田はライターを取り出し、その火打を震える手で擦った。 そして自身の持ってきていた、ダイナマイトに近付ける。 …少しでも、拾われるダイナマイトを減らそうとしたのだ…。 カイジ君……君に救って貰った命… 出来ればもう少し…役に立たせたかったなぁ… でも…君なら… やって…くれる…だろう? 石田は閉じた瞳の奥で、今まで出会ってきた人々を、走馬灯の様に思い出す。 そして… 「皆…あとは…頼ん…だよ……」 徐々に失われていく指の力に、ライターは火花を散らすばかり。 それでも、最期の最後に…火は点った。 風が止み…一重の涙が流れ落ち…闇に溶ける…。 沙織は、石田の言葉を思い出していた。 「自分も生きて…誰も殺さない…」 つまりそれは、沙織の中では見殺しも駄目だと言う事…。 止まってしまった両足。 少しの静止の後、沙織は振り返る。 その直後…。 大気が震え、鼓膜を揺さぶる。 その瞳に、閃光が走った。 ─その瞬間を見届けたのは、沙織だけである。 少しの距離と、薄闇の中ではあったが…。彼女はその瞳に焼き付けた。 ─石田の矜恃…意地…後悔…覚悟…それらの思いを受け取ったのは石田の首輪である…。 突然の発破。それは先程まで、石田と沙織がいた場所…。 「…違う…違う場所よ…」 だが、そんな淡い期待は、この距離にまで吹き飛んできた首輪により、脆くも崩れ去った。 「嘘よ…そんな……」 血や肉片がこびりついた首輪…。 だが目立った損傷は無い。 あの爆発の中…そしてこの距離を飛んできた衝撃を、無傷でやり過ごしたのだ。 …石田が最期の最後に起こした…奇跡なのかもしれない。 ぺたりとその場に崩れ、動けなくなった 沙織。 足元に転がるそれを、虚ろな瞳で見詰める。 また…私の…せい…? 彼女はもう…今までとは違う意味で、壊れてしまったのかもしれない…。 全ての思考が停止し、意識の大海を…寄るべ無く…ただ浮かんでいる。 意識はあれど、気絶している…そう言えば近い。 ぽたぽたと、ただ涙が流れた…。 声は出ない…その代わりに流れた…涙が。 何故泣いている…?分からない。 何故ここにいる…?分からない ナゼ…私は生きてイル…? わからナイ… ワカラナイ… 沙織は流し続ける。 この後も…この先も…虚空の闇を、意識の中を…ただ朧気に、さ迷いながら…。 もの言わぬ、無機質の白銀の首輪は、文句も言わずに、沙織の涙を受け止める。 白んできた闇の中では、月明かりも陽光も、沙織を照らし出してはくれない。 【C-5/民家付近/黎明】 【黒沢】 [状態] 健康 やや精神消耗 軽い疲労 [道具] 不明支給品0~3 支給品一式×2 金属のシャベル 小型ラジカセ 特殊カラースプレー(赤) [所持金] 2000万円 [思考] カイジ君を探す 美心のメッセージをカイジ君に伝える 治を気遣う 沙織から身を隠す 情報を集める 石田を探す 音の原因を探る ※メッセージは最初の部分しか聞いてません。 ※田中沙織を危険人物と認識しました。 ※デイバック×3と石田のダイナマイト4本が【C-4/民家】に放置されています ※爆発の原因や、詳しい状況はまだわかっていません。 【C-4/民家/黎明】 【治】 [状態] 気絶(昏睡状態) 後頭部の打撲による軽傷、強い吐き気・頭痛・目眩 [道具] [所持金] 0円 [思考] アカギ・殺し合いに乗っていない者を探す ゲームの解れを探す ※黒沢の手により、死体のようにされています。近くで良く確認しない限り、陽が上るまでは誤魔化すことが出来ます。 【D-6/茂み/黎明】 【田中沙織】 [状態]:精神崩壊 重度の精神消耗 肩に軽い打撲、擦り傷 腹部に打撲 右腕に軽い切傷 背中に軽い打撲 [道具]:支給品一式×3(ペンのみ1つ) 30発マガジン×3 マガジン防弾ヘルメット 参加者名簿 ボウガン ボウガンの矢(残り6本) 手榴弾×1 首輪 [所持金]:1億200万円 [思考]:絶望 武器が欲しい 死にたくない 一条、利根川幸雄、兵藤和也、鷲巣巌に警戒 カイジから逃れる 涯、赤松、その二人と合流した人物(確認できず)に警戒 黒沢に警戒 ※標の首を確認したことから、この島には有賀のような殺人鬼がいると警戒しています。 ※サブマシンガンウージー(弾切れ)、三好の支給品である、グレネードランチャー ゴム弾×8 木刀 支給品一式、有賀が残した不明支給品×6がD-5の別荘に放置されております。 ※イングラムM11は石田の側にありますが、爆発に巻き込まれて使用できない可能性があります。 ※石田の死により、現在全ての思考が停止しています。当分はその場から動けません。 ※爆発の原因や、詳しい状況はわかっていません。 ※B-6,C-6,D-6のどこかにダイナマイトが落ちています(残り4本) ※石田の荷物は【C-4/民家】に放置されています。 ※この火災により、他のダイナマイトが暴発する危険性があります。 ※ショッピングモールの火災は、C-6,D-6まで燃え広がっています。この他にも燃え広がる可能性があります。 ※石田の死体の側にイングラムM11がありますが、爆発に巻き込まれ使用できない可能性があります。 ※石田の死体は原型を留めていません。 ※石田の首輪はほぼ無傷ですが、システムに何らかの損傷がある可能性があります。 【石田光司 死亡】 【残り 24人】 127 帝域 投下順 129 強運 126 本心 時系列順 134 偶然と誤解の末に 105 慙愧 黒沢 138 疲労 105 慙愧 治 134 偶然と誤解の末に 115 金の狩人(前編)(後編) 田中沙織 138 疲労
https://w.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/2860.html
story1 それは偶然?必然? 軽木流(かるき ながれ)はB-2の住宅街に立っていた。 あの酷い様で死んだ女の子を思い出す。 自分もあんな風になりたくない。 「まったく…あの男、ふざけたことしやがって」 彼は能力的には強い方だ。 自分から手を加えずに殺すタイプの過負荷である。 その能力については後で説明しよう。 「さてと…じゃあ人でも探しますかね」 「後ろにいるのが気付かないのか?」 「うおっ!?」 後ろに立っていたのは岡本隆平(おかもと りゅうへい)だった。 急にいてびっくりしたのか、転んでしまった軽木を起こす。 「まったく、お互い運が無いよな…」 岡本が話しかけてくる。 「そうだな…なあ」 「ん?なんだよ」 俺は、合言葉を言った。 これが上手く行けば、俺の勝ちとなる。 「わーるどぷらす、でっどえんど」 「!?」 世界が暗転する。 それは死刑宣告であった。 現実→ → →幻想 「あ、あれ……?」 岡本隆平は自分の家にいた。 先ほどまでいた場所にはいなかった。 「な、なんだ夢かよ…良かった」 そう思うと安心してくる。 なんてひどい夢だったのか、そう思うと腹が減ってきた。 安心すると腹が減るというのは本当なんだなと思う。 「おーい、お袋ー…何かない…ってうわああああああああああああ!!」 目の前に広がっていたのは彼の家族の死体。 あってほしくなかった、あるはず無いと思っていた場面だった。 彼はふらふらとした足取りで家族の死体に触れる。 「うそ、だろ…おふく、ろっ」 起きあがってきた。 死んでいなかったのだ、良かった…とは思えない。 すぐにでも救急車を…と思ったら、親が目を見開いてこっちを見てきた。 「おふ、くろ……?」 「グ、ガアアアアアアアアアアアアアアアアアア」 親は岡本の喉をかみちぎった。 岡本は倒れ込む。 恐怖で頭を支配する。 もう嫌だ、もう嫌だ、もう嫌だ、もう嫌だ、もう嫌だ、もう嫌だ もう嫌だ、もう嫌だ、もう嫌だ、もう嫌だ、もう嫌だ、もう嫌だ 助けてくれ助けてくれタスケテクレ 現実← ← ←幻想 「ぐ、ははははははあはあははっは!!」 岡本は狂った。 その幻想により、狂わされた。 彼の眼に映るのは、化物だけだ。 全てが化物に見えるという状況の中、彼は動き始めた。 【夜/B-2住宅街】 【岡本隆平】 [過負荷]<月光憑依(ウロボロスファントム)> [状態]発狂 [装備] [所持品]基本支給品、不明支給品(1~2) [思考・行動] 基本:化物を殺す。 [備考] ※精神異常により周りが化物(ゾンビ)に見えるようになりました。 場面転換… 「よし、成功したな…」 軽木は陰で岡本の姿を見ていた。 彼の能力は簡単に言えば精神に鑑賞する能力だ。 それを使い、上手く駒を増やしたのだ。 「それじゃあ、行きますかい」 ここに、能力に埋もれた男が行動を始める。 【夜/B-2住宅街】 【軽木流】 [過負荷]<錯誤(ネガティブインストール)> [状態]発狂 [装備] [所持品]基本支給品、不明支給品(1~2) [思考・行動] 基本:周りを利用して優勝する。 1:最高に良い駒が欲しい。 <過負荷紹介> 【錯誤(ネガティブインストール)】 軽木流の過負荷。 キーワードを構成して、相手の精神にその状態を見せる能力。 今回のように発狂させるだけでなく、自殺に追い込むこともできる。 【月光憑依(ウロボロスファントム)】 岡本隆平の過負荷。 月光の力を自分に取り込み、相手の能力を奪う。 しかし夜で満月でないと使えないので超不便。
https://w.atwiki.jp/ruisuouro/pages/8.html
動画(youtube) @wikiのwikiモードでは #video(動画のURL) と入力することで、動画を貼り付けることが出来ます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_209_ja.html また動画のURLはYoutubeのURLをご利用ください。 =>http //www.youtube.com/ たとえば、#video(http //youtube.com/watch?v=kTV1CcS53JQ)と入力すると以下のように表示されます。
https://w.atwiki.jp/ruisuouro/pages/12.html
人気商品一覧 @wikiのwikiモードでは #price_list(カテゴリ名) と入力することで、あるカテゴリの売れ筋商品のリストを表示することができます。 カテゴリには以下のキーワードがご利用できます。 キーワード 表示される内容 ps3 PlayStation3 ps2 PlayStation3 psp PSP wii Wii xbox XBOX nds Nintendo DS desctop-pc デスクトップパソコン note-pc ノートパソコン mp3player デジタルオーディオプレイヤー kaden 家電 aircon エアコン camera カメラ game-toy ゲーム・おもちゃ全般 all 指定無し 空白の場合はランダムな商品が表示されます。 ※このプラグインは価格比較サイト@PRICEのデータを利用しています。 たとえば、 #price_list(game-toy) と入力すると以下のように表示されます。 ゲーム・おもちゃ全般の売れ筋商品 #price_list ノートパソコンの売れ筋商品 #price_list 人気商品リスト #price_list
https://w.atwiki.jp/ruisuouro/pages/6.html
更新履歴 @wikiのwikiモードでは #recent(数字) と入力することで、wikiのページ更新履歴を表示することができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_117_ja.html たとえば、#recent(20)と入力すると以下のように表示されます。 取得中です。
https://w.atwiki.jp/ruisuouro/pages/9.html
@wikiにはいくつかの便利なプラグインがあります。 アーカイブ コメント ニュース 人気商品一覧 動画(Youtube) 編集履歴 関連ブログ これ以外のプラグインについては@wikiガイドをご覧ください = http //atwiki.jp/guide/
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/16243.html
5HY/W90-090 カード名:偶然の遭遇? 中野 三玖 カテゴリ:キャラ 色:青 レベル:2 コスト:1 トリガー:1● パワー:2500 ソウル:1 特徴:《五つ子》・《ヘッドホン》 【自】あなたがこのカードの『助太刀』を使った時、あなたは自分のバトル中のキャラを1枚選び、そのターン中、次の能力を与える。「【自】このカードのバトル相手がリバースした時、あなたはそのキャラを思い出にする。」 【起】●助太刀3000 レベル2[① 手札のこのカードを控え室に置く](あなたは自分のフロントアタックされているキャラを1枚選び、そのターン中、パワーを+3000) 別にフータローに会えるかもしれないから前に迎えに来た 記憶を頼りに少し遠回りしてこのお店まで来たわけじゃなく てたまたま歩いてたら自然とこのお店に来ちゃったわけで レアリティ:SR U 五等分の花嫁∬収録
https://w.atwiki.jp/marurowa/pages/387.html
偶然と必然のあいだ◆b8v2QbKrCM 廃坑の周辺は、浅緑の森林に包まれている。 道らしき道など見当たらず、ただ草木が地面に茂るばかり。 こういった場所にありがちな獣道すら出来ていないのだ。 ――そういえば鳥の声も聞こえないな―― 小鳥遊は梢から覗く空を見上げながら、そんなことを思った。 深夜から今に至るまで、そんな当たり前の音に出会っていない。 都会ですら鳥の囀りとは無縁でいられないというのに。 聞こえるのは、小鳥遊と佐山が草木を踏む音と、風が葉を撫でる音。 そして、どこからか響く小川のせせらぎ。 見た目は『自然』そのものだが、感じる気配は『不自然』そのものだ。 ――植物も生き物だけど、動物と扱いが違うのかも―― 思考が脱線しはじめた途端、視界がぐらりと揺らいだ。 足元に感じる固い感触。 でたらめにひっくり返る平衡感覚。 空を見上げたまま歩いていたのが悪かったのだろう。 小鳥遊はひょっこりと顔を出していた石に躓いて、盛大に地面へ倒れ込んでしまっていた。 「痛たた……」 「大丈夫かね?」 前を歩いていた佐山が立ち止まる。 小鳥遊は大丈夫だと答え、すぐに立ち上がった。 露出の少ない服装が幸いして、怪我はどこにも―― 「あ……」 ――無いわけではなかった。 左手の付け根辺りに軽い挫傷が出来ている。 咄嗟に手を突いたときに擦りむいたのだろう。 とはいえ出血もないので、怪我と呼ぶのも躊躇われる程度だ。 「軽傷だが、汚れを水で洗い落としておいたほうがいい。 そこから化膿することも考えられる」 「うん、えっと……」 小鳥遊はしばし辺りを見渡して、林の向こうへ走り出した。 先ほどから微かに聞こえていた小川の水音。 水と聞いて真っ先にそれを連想したのだ。 「待ちたまえ、生水での洗浄は――」 そこで言葉を切り、佐山は小鳥遊の後を追った。 声で制止するより直接止めたほうが手っ取り早いと考えたのだ。 生水には何が混ざっているか分かったものではない。 下手をすれば、洗わないよりも悪くなることまで有り得る。 歩調の違いもあって、佐山は数秒と掛からず小鳥遊に追いついた。 「傷口の洗浄には飲料水を使ったほうが……何をしているのかね?」 「えっと、これなんだけど……」 先に小川へ辿り着いていた小鳥遊は、傷を洗うでもなく、水中に右手を突っ込んでいた。 よくよく見れば、川底の何かを引っ張り上げようとしているようだ。 佐山は小鳥遊の意図を理解し、川底の『何か』を下敷きにしていた大きな石を持ち上げた。 「これは……」 「地図……だね」 小鳥遊が川底から引き上げたもの。 それは一枚の地図であった。 水でくっ付いた部分を、千切れないよう慎重に開いていく。 相当浸水しているが、紙としての体裁はどうにか維持している。 もしこれが全員に支給された地図であったなら、そうと知れた時点で捨て置いただろう。 しかしこの地図に描かれた地形は、二人が未だ見たこともないものであったのだ。 佐山と小鳥遊は、平らな石に濡れた地図を広げた。 一目で分かるその異質。 色鮮やかに塗り分けられた通常の地図と違い、暗色系ばかりが占めている。 山や谷のような地形の起伏すらも描画されていない。 「ふむ」 おもむろに、デイパックから自分の地図を取り出す佐山。 小鳥遊は佐山の意図を汲みきれず、訝しげに首を傾げている。 「何か分かる?」 「ああ、ここを見たまえ」 そう言って佐山が指したのは、濡れた地図の上端の余白であった。 水に浸かっていたせいで読み取りにくいが、算用数字で1から8までの数字が印刷されている。 「そして、左端にはAからHまでのアルファベット――」 「――そうか、地下の地図!」 思わず声を上げた小鳥遊に、佐山は小さく頷いてみせた。 それと分かれば、意味不明だった地図の内容も理解できる。 「色の濃くなっている部分は地中で、根のように広がっている、色の薄い部分は坑道内部。 恐らくはそういう意味合いなのだろう。入り口の位置ももH-2エリアと一致する」 感心したように地図に見入っていた小鳥遊だったが、やがて怪訝そうに眉をひそめた。 坑道の地図が存在すること事態に疑問はない。 迷宮探査ボールという代物がある以上、こんな地図は下位互換の支給品でしかないからだ。 小鳥遊が気に留めたのは、また別の点であった。 「どうしてそんな地図が川の中なんかに……。 わざわざ石の下に敷いてあったんだから、前の持ち主がうっかり落としたってわけじゃないんだよね」 隠し場所としては保存状態があまりにも悪くなりすぎる。 多少の防水加工はしてあるようだが、度が過ぎれば、このとおり。 「君はどう考える?」 「えっと……」 水中は、地図の秘匿には致命的に向かない。 見つかりにくい場所ではあるが、長時間で使用不能になってしまう。 かといって破棄する手段としては悠長だ。 こんな小川で、しかも石を錘にしているのだから殆ど流されないだろう。 水を吸ってダメになるのも、数時間、或いは十数時間は後のこと。 秘匿には不向きで、破棄にも不適。 ならばその間―― 「バレにくい隠し場所で……もし回収できなくなっても、自動的に処理してくれるから……?」 「私も同じ推理だよ。最善の策とは言いがたいが、次善の策としては選ぶ価値はあるだろう」 佐山は腰を上げ、周囲を見渡した。 その表情が変わったことを横目に見止め、小鳥遊も立ち上がろうとする。 「ストップ。動かないように。確かめたいことがあるので、暫くそのままの姿勢でいてくれたまえ」 そう言い残すが早いか、佐山は坑道へと走り去っていった。 「ちょっと佐山君ー!」 取り残された小鳥遊の声など聞き届けずに。 ◇ ◇ ◇ 人の足を停めるのは〝絶望〟ではなく〝諦観〟 人の足を進めるのは〝希望〟ではなく〝意志〟 ―――さあ、行くんだ ◇ ◇ ◇ 「随分と奇怪な姿勢だね。新手の健康法かい」 「佐山君が動くなって言ったんじゃないか……」 小鳥遊は恨めしげに佐山を見やった。 律儀にも同じポーズを続けていたのか、中途半端に立ったままの格好でガクガクと震えている。 「それより、どこにいってたの?」 「これを借りに。事実上の無断拝借なのだが、そこは許して貰おう」 佐山の手にあったのは、片方だけの革靴であった。 小鳥遊が疑問を挟む間もなく、佐山は小鳥遊の足元に屈み、泥に靴底を押し付けた。 「やはり同一だな」 同じ大きさ、同じ形の『二つの』靴跡。 ひとつは先ほど佐山が付けたもの。 もうひとつは、小鳥遊が地図を見つけるよりも前から―― 「まさか……」 「そのまさかだよ。この靴は廃坑の亡骸から拝借したものだ。 単なる地下の地図が、重大な意味を帯びてきたように感じるのは私だけかな」 小鳥遊はぶんぶんと首を振った。 坑道で佐山に聞かされた仮説を思い出せば、これ以外の反応はできまい。 首輪のない参加者――彼が秘匿しようとした地図。 それが無意味であるはずなど。 偶然通ったに過ぎないという考えは、足元を見るだけで瓦解する。 川岸の泥に刻まれた足跡は、佐山と小鳥遊、そして革靴のそれだけだ。 地図を秘匿したのは革靴の主以外にありえない。 獏に『彼』の夢を見せられたとき、小鳥遊は伊波のことばかりに気を取られて彼の行動を注視していなかった。 尤も、佐山もまた『彼』の一挙一動を仔細に記憶していたわけではない。 あのときは首輪に注意を集めており、足跡を見つけたことでようやく、地図との関連性に思い至ったのだ。 「彼はこの地図に何を見たのだろうね。 危険人物には渡せない情報が載っていると確信したのか。 或いは、万が一そんな情報があるといけないという、保険程度のことだったのか」 一端言葉を切り、佐山は生乾きの地図を手に取った。 最初は理解できなかった表記も、地下の地図であると知った上で見れば新たな発見がある。 「差し当たって怪しいと思えるのは、これだ」 佐山は、坑道の北に描かれた歪な青い楕円を指し示した。 座標でいえば、おおよそD-2、D-3、E-2、E-3の4エリアに跨っている。 地上の2つの湖を加えれば、大きな円環を描く形になることだろう。 「私はこれを『地底湖』だと考える」 小鳥遊は神妙に、佐山の言葉に耳を傾けていた。 皆が立っている地面の下に湖がある。 何の前振りもなく聞けば眉唾だと思うに違いない。 だが、小鳥遊は充分すぎるほど前振りを経験してきていた。 「靴を借用するついでに確認したのだが、この小川は廃坑の付近で地面の下へ流れ込んでいる。 つまり地下にも水の流れがあるということだ」 「てことは、あの人が隠したかったのって」 先走りかけた小鳥遊の思考を、佐山は身振りで否定した。 「先にも言ったが、万が一を防ぐための保険だったのかもしれない。過信は禁物だよ」 とはいえ、この地図が重要な情報源であることに変わりはない。 命を賭して伊波まひるを救った彼が、小鳥遊宗太にも遺産を残したというのは、流石に夢想が過ぎるだろうか。 「道草を食いすぎた。地図は移動しながら乾かすとしよう」 「うん、目指すは――」 小鳥遊は森の向こうを仰ぎ見た。 この選択が正しいのかは分からない。 けれど後悔だけはしないつもりだ。 「――古城、だね」 ◇ ◇ ◇ 「―――さあ、行くんだ。この方向に行けば、とりあえずは安全な場所に出られるだろう」 男は自らのデイパックを少女に差し出した。 近くに落ちていた少女のデイパックを渡したと誤認させるように。 少女は躊躇っていたようだが、真っ直ぐな目でこちらを見つめ立ち上がると、 「ありがとうございました」 綺麗なお辞儀をし、森の向こうへと走り去っていった。 少女の姿が夜闇に消えたのを確認し、男はデイパックを開いた。 『奴』に力を渡すわけにはいかないと考え、少女に“あれ”を託した。 しかしこちらにも“あれ”の類が入っていないとも限らない。 果たして中身は――奇妙な果実と、異様な地図。 「こいつは――」 男は地図を抜き取り、今しがた越えてきたばかりの小川へと踵を返す。 後退、即ち『奴』への接近に他ならないが、もはやそれは度外視だ。 折り畳んだ地図を小川へ放り、足で適当な石を落としておく。 ざぶりと立った水音は、片脚を突っ込んだときと大差ない。 むしろ『奴』を確実に引き寄せる撒き餌になってくれるだろう。 「これでよし、とは言い難いが」 デイパックに入れたままで奪われてしまうよりは幾分かマシだ。 もうこれ以上の措置は取りようがないのだから。 それよりも男は、少女がここから離れてくれた事に安堵していた。 「……私は卑怯なのかもしれないな」 物思いに耽る暇もなく殺気が近付いてくる。 今は、出来る限り時間を稼がなければならない。 そのためには、すぐに殺されるわけにはいかない。 「……―――来たか」 男は小川を離れ、迫り来る脅威へと向き直った。 【H-3 森林/一日目 日中】 【佐山・御言@終わりのクロニクル】 [状態]:健康、左腕欠損(リヴィオの左腕を移植) [装備]:つけかえ手ぶくろ@ドラえもん(残り使用回数3回)、獏@終わりのクロニクル [道具]:基本支給品一式(一食分の食事を消費)、空気クレヨン@ドラえもん [思考・状況] 1:古城へ向かう。 2:優先順位に従い行動する(注1) 3:本気を出す。 ※ポケベルにより黎明途中までの死亡者と殺害者を知りました。 ※小鳥遊が女装させられていた過去を知りました。 ※会場内に迷宮がある、という推測を立てています。 ※地下空間に隠し部屋がある、と推測を立てています。 ※リヴィオの腕を結合したことによって体のバランスが崩れています。 戦闘時の素早い動きに対して不安があるようです。 ※地下鉄を利用するのは危険だと考えています。 ※過去で伊波の顔を知りました。 【小鳥遊宗太@WORKING!!】 [状態]:健康、腹部に痛み [装備]:秘剣”電光丸”@ドラえもん [道具]:基本支給品一式(一食分の食事を消費)、地下の地図 [思考・状況] 1:古城へ向かう。 2:優先順位に従い行動する(注1) 3:佐山と行動する。 4:ゲームに乗るつもりはない。 5:全てが終わった後、蒼星石と吉良吉影を弔ってあげたい。 ※ポケベルにより黎明途中までの死亡者と殺害者を知りました。 ※過去で新庄の顔を知りました。 ※獏の制限により、過去を見る時間は3分と長くなっています。 ※地下鉄を利用するのは危険だと考えています。 注1:これからの行動の優先順位(1から高い順) 1、まずは強力な武器を見つけ、ラズロの様な参加者にも対抗可能な状況を作る。 (戦闘力を持つもの(ゾロなど)との合流なども含む) 2、新庄と伊波を捜索して保護する。 3、4-C駅へと向かい、ストレイト・クーガーの仲間と合流をする 4、地下鉄内を探索する 【地下の地図】 伊波まひるに支給され、高槻巌によって隠匿されていた。 廃坑の内部や地底湖(D-2、D-3、E-2、E-3)などについて記述されている。 どれほどの情報が記載されているのかは不明。 少なくとも、地下鉄の経路については記されていない。 時系列順で読む Back 瞬間 Next 知人の奇妙な行動 投下順で読む Back 拳 Next 銃弾と力だけが真実さ Back Next 境界線上の小鳥遊宗太 佐山・御言 Free Bird(前編) 境界線上の小鳥遊宗太 小鳥遊宗太 Free Bird(前編)
https://w.atwiki.jp/fukumotoroyale/pages/267.html
偶然と誤解の末に ◆uBMOCQkEHY氏 遠藤は目の前に建つ民家を見た。 民家は一階建ての安い借家のような建物で、乾いた畑を連想させるようなやや煤けた壁とこげ茶色の屋根が印象的である。 周囲が闇に包まれていることもあって、人間の生活臭が感じられない外観はどこか不気味さを覚えてしまう。 少し前に遠藤のパソコンに参加者のデータが送信された。 一時間前、黒沢は石田と治と共に沙織から逃れるために民家へ逃げ込んでいた。 そのまま朝方まで身を潜めているかと思われていたが、ショッピングモールが炎上した直後、 石田は突然、ショッピングモールの方面へ移動してしまったのだ。 現在、黒沢もその後を追っている。 なぜ、石田が燃え盛るショッピングモールの方へ向かったのか。 普通、明らかに危険であると認識する場所に赴くにはそれなりの理由が必要である。 主催者はその理由を断定できなかったらしく、パソコンのデータでは経緯についてしか触れていない。 しかし、今までの石田の行動から判断すると、石田は道中、ダイナマイトをいくつか紛失している。 ショッピングモールの火災はそれが原因であると考え、さらなる二次被害を防ぐために・・・。 ここで遠藤は頭を振る。 ――行って何になるっ・・・! ダイナマイトを回収しようというのかっ・・・! 第一、あの火災は沙織が給湯器を撃ったことによって起こったもの・・・! ダイナマイトとは一切関係ないっ・・・! 仮にダイナマイトが付近に落ちていたからといって、あの火災を鎮火できるとでも思っているのかっ・・・! あくまで、遠藤が考えた石田の行動理由は推測でしかない。 しかし、石田がショッピングモールへ向かった理由が二次災害を防ぐためならば、 それは己の罪を滅ぼした気に浸るための自己満足以外の何物でもなかった。 何よりも遠藤には気がかりなことがあった。 石田の位置を確認した時、もう一人の人物の姿を確認することができたのだ。 その人物は遠藤にとっては忌まわしき――― ――田中沙織っ!! マシンガンで撃たれた時の痛みと血飛沫、 己の真上を過ぎていく銃弾、 牙を剥いたオオカミのような沙織の形相、 燃え盛る室内、息苦しさ、骨折の激痛・・・。 ショッピングモールでのおぞましい出来事が、フィルムのコマ送りのように遠藤の脳裏に蘇る。 遠藤は己の肘の下にあるキャリーワゴンを見た。 キャリーワゴンは木の組み方がしっかりした作りで、高さはバーのカウンターぐらいであろう。 今の遠藤は右肩負傷、左足首が骨折という重傷を負っている。 そこでこのキャリーワゴンに両肘を置き、それに寄りかかりながら移動することによって、右肩と左足への負担を軽減させている。 ――あいつのせいで、俺はこんな目にっ・・・! 遠藤は歯がゆさと苛立ちが入り混じった重々しい表情を浮かべる。 熱を持った爆弾のような精神状態の沙織の至近距離に石田はいる。 石田がこのままショッピングモールまで進んでいけば、おそらく沙織と接触し、その命を狙われるだろう。 そして、石田を追っている黒沢も・・・。 もし、そうなれば、石田と黒沢は殺されるか、瀕死の重傷。 仮に重傷を負ってしまい、この民家に戻ってくれば―― ――守ってもらうどころか、お荷物が増えちまうじゃねぇかっ・・・! 遠藤が黒沢たちに目を付けたのも、ほかの参加者に対して何の見返りもなく介抱すること、 腕力に期待できる黒沢がいること、 何より治はともかく黒沢と石田は無傷であり、遠藤を受け入れた時、その介抱に回る余裕があると判断したためである。 しかし、二人が沙織によって負傷されれば、遠藤に目を向ける余裕などない。 それどころか、もし、沙織が追いかけてきたら、遠藤達は沙織のマシンガンで蜂の巣にされるだろう。 ――早くここから離れた方が無難なんだが・・・ それでも遠藤はこの地へ来てしまった。 理由はただ一つである。 ――ダイナマイトっ・・・! 黒沢は石田を追いかける時、何を思ったのかダイナマイトを民家に置いていったのだ。 遠藤は武器としてコルトパイソンを所持しているが、弾数が心もとない。 そこで身を守るための新たな武器として、このダイナマイトを奪ってから、ここを離れようと考えたのだ。 右腕が不自由で尚且つ、ライターなどの点火器を持ち合わせていないが、 相手に脅威を与えることは可能であるし、どこかで某かの点火器を発見するかもしれない。 また、石田と黒沢は現在、D-6とC-5と民家から離れた位置にいる上、幸いなことに周辺には他の参加者が存在していないのだ。 つまり、長居しすぎると危険だが、短い休憩拠点としては悪くない場所。 しかも、武器が隠されている。 こんな都合のよい状況を遠藤が見逃すはずがなかった。 遠藤はキャリーワゴンを入り口前に一旦置いておくと、やや痛みが和らいできた左足を引きずり、民家の中へ入っていった。 玄関の正面には台所へ続く廊下が伸びている。 廊下には光を受け入れる窓がないため、玄関を閉めれば、探索するのに一苦労するだろう。 しかし、他の参加者の侵入を防ぎたいという無意識の防衛本能から、遠藤は玄関を閉めてしまった。 廊下は墨のような闇に浸される。 しかし、例外的に廊下の先にある台所、廊下の左側にあるわずかに扉が開いた部屋、 この二か所には窓があるためか、扉の隙間からぼやけたような光が漏れている。 遠藤はその光に導かれるままに、廊下を歩きだした。 手始めに、扉が開いた部屋を覗き込む。 遠藤はその部屋の光景を見て、一瞬、言葉を失った。 部屋中に鮮血がぶちまけられ、まるでB級スプラッター映画の惨劇が起きた直後の様相を呈していたのだ。 遠藤は呆れたような溜息をつく。 「これは・・・やりすぎだろ・・・」 状況を見て混乱した人間であれば、殺人が起きた直後の現場と認識するかもしれない。 しかし、仮にその可能性があったとしても、まるで熊が部屋に侵入して大暴れした後のような荒れ具合である。 あまりにも過剰演出すぎて、却って怪しまれてしまう確率の方が高かった。 黒沢の侵入者対策はある意味、初めから頓挫していたと言える。 「それになぁ・・・」 遠藤は部屋の中央に横たわる物体を見た。 物体の上には毛布がかけられており、もともと赤い毛布なのかと誤解させんばかりに血糊がべっとり染みついている。 遠藤は赤い毛布を捲った。 そこには蒼白した表情で眠る青年がいた。 「こいつが・・・治か・・・」 黒沢達と同行していた青年で、道中、嘔吐と頭痛を訴え、倒れた。 原因は不明。 パソコンでの履歴を確認すると、どうもゲーム開始早々、 末崎さくらという男に頭部を殴られたのが原因のようであるが、その病状などどうでもよかった。 むしろ、気になったのは・・・ 「これじゃあ、“彼は生きています”と言っているようなもんだろ・・・」 毛布は部屋のどの場所よりも血糊が集中しているのに、肝心の治自身には血糊が降りかかっていない。 部屋中に血糊をぶちまけたのも、事情を知らない参加者がこの現状を見れば、 碌に確認せずに逃げ出してくれるという考えに至ったからこその戦略なのだろう。 しかし、そんな肝の小さい参加者はほんの一握り。 ほとんどの参加者は生き残るため、死体から犯人――殺し合いに乗っている参加者の特徴を特定しようと治を探り始めるはずである。 毛布を捲って、治にまったく血が付着していないことを確認してしまった参加者は・・・ 「血糊はブラフと判断、優勝に近づくため・・・治を殺すだろうな・・・」 治を庇うどころか、治を更なる危険にさらしてしまう戦略。 この詰めの甘さに、黒沢という男の底が見えてしまったような気がした。 遠藤は毛布を投げ捨てる。 手についた赤い塗料を忌々しく睨みつけたまま呟いた。 「あの男に頼ろうとした俺がバカだった・・・」 黒沢達の唯一のメリットであるダイナマイトだけ拝借し、早々に立ち去ろう。 遠藤はそう決心すると、治の周辺を見渡し始めた。 ◆ ズル・・・ガタ・・・ 耳元で物音が聞こえる。 治はうっすらと目を開け、辺りを見渡した。 治の目に飛び込んできたものは壁から滴り落ちる赤い液体。 ――あ・・・赤い・・・ 治の意識は泥の中に溶け込んでいるかのように、現実と夢が交錯するまどろんだ状況である。 そのため、なぜ、赤い液体が壁に付着しているのかという考えまでには至らない。 ――僕は・・・ 混濁した記憶から、倒れる直前、黒沢と石田と行動を共にしていたことを思い出した。 横を見ると、黒沢と石田とも該当しない背格好の男が自分に背を向けている。 ――黒沢さん・・・石田さん・・・は・・・どこに・・・ 「くろさ・・・」 治は彼らを探そうと勢いよく身体を持ちあげようとする。 しかし、その動きは途中で止まった。 脳の奥が絞られるようにズキンズキンと鈍く疼く。 それに刺激されたかのように、胃の奥で何かが押しあがった。 ――この感覚は・・・ 治はその場でうずくまり、口を大きく開けた。 ◆ 「何っ!」 遠藤は反射的にコートの下に隠し持っていたコルトパイソンを引き抜き、物音の方へ標準を合わせた。 そこには物言わぬ人形も同然であった治が半身を起こし、吐瀉しようとゲェゲェと激しい過呼吸を繰り返していた。 胃に内容物がないのか、涎だけが床に零れ落ちる。 治は標準の定まらない瞳で遠藤を見つめる。 「あ・・・あなひゃ・・・わ・・・」 治の表情が凍りつき、喉に手を添える。 「あ・・・かは・・・」 言葉を発することができない。 自分の身に何かが起き始めている。 しかし、それを考えようとすればするほど、拒むように体中に激痛が走る。 治は身体の痛みを抑えるように、再び、その場に倒れこんでしまった。 遠藤は治の様子を見て一つの結論に行きつく。 「・・・脳挫傷か・・・」 脳挫傷とは、頭部を強打するなどの要因によって外傷を受けた際に、脳組織が損壊してしまう病状を指す。 脳の一部が機能しなくなり、治癒したとしても、言語障害などの麻痺が残る場合がある。 さらにこの時、頭蓋骨が骨折しているとなお厄介であり、骨折により脳内の血管が傷つけられ、血が溜まり、 嘔吐・意識障害・運動知覚麻痺・痙攣発作・視野の欠損などの症状が起き、重症では昏睡状態になることもある。 治の症状はまさにそれであり、頭部の瘤は頭蓋骨骨折でせき止められた血液が溜まったものだった。 遠藤はコルトパイソンを下した。 「哀れだな・・・」 治の状況は事故が起きてから12時間ほどしか経過していない。 しかし、病状はすでに言語障害まで進んでいる。 つまり、急性脳出血。 すぐに医者に見せなければ、治の身体は更なる麻痺、進行すれば、知能障害の可能性もあった。 治に待っているのは死か、人格を失った人形になるか。 どちらにしろ、人間として欠陥品になることだけは確かであった。 本来なら、短時間で、ここまで悪化するのは稀な例である。 悪化の要因の一つに、黒沢達の対応が的確でなかったことがあげられる。 まず、脳内出血を起こしたら安静に横にし、脳に振動を与えないように配慮すべきであった。 しかし、彼らは沙織に襲われ、全速力でD-5の別荘からC-4の民家へ移動した。 揺さぶられた移動という時点で脳にかける負担は大きい。 その上、黒沢達は逃げることに全神経を集中させたため気付かなかった。 脇に抱えられていた治の頭は終始、下を向き続けていたことを。 通常の人間でも苦しい体勢である。 脳に血液が刻一刻と溜まっていく治の肉体とって、どれほどの重荷となっていたのかは想像に容易い。 病状が異常な早さで進展してしまったのは至極当然のことであった。 遠藤はパソコンのデータから治が安静とは程遠い状況下にいたこと、黒沢達が最善を尽くそうとしていたことを理解している。 しかし、全てのタイミングがかけ違えたボタンのようにずれていき、修正が効かないところまで転がってしまった。 遠藤が口にした“哀れ”とは、誰の“努力”も“思い”も報われない結末への無慈悲さに対してであった。 ◆ 「哀れだな・・・」 “この無能者がっ・・・!” 遠藤の一言は治にそう誤解させ、精神を引き裂く破壊力があった。 ――僕は・・・僕の身体はっ・・・! 治の心は抉られたように悲鳴を上げ、慟哭する。 治自身、自分の身に何が起きているかは把握しきれていない。 しかし、直感的に自分の身体はこれから悪化の一途を辿っていくだろう。 それだけは理解できた。 機能しなくなっていく肉体は黒沢や石田に負担をかけさせるだけである。 彼らに迷惑と思われたくはない。 迷惑に・・・ 治は思考を止め、室内を見つめる。 壁は鮮血が滴り落ち、惨劇が繰り広げられていたことを物語っている。 また、目の前の男の右手は血に染まり、拳銃が握られている。 なぜ、壁が血で染まっているのか、 なぜ、黒沢と石田がいないのか、 目の前の男は誰なのか。 疑問を突き詰めた時、パズルの最後のピースを当てはめたように、全てのヒントが一つの真実を導いた。 ――黒沢さんと石田さんは・・・この男に殺されたっ・・・!! 実際は全くの間違いである。 黒沢達がいなくなったのは、石田がショッピングモールの火災に責任感を感じたため。 部屋の血糊はほかの参加者を治から遠ざけるため。 遠藤の手が血に染まっているのは治に掛けられていた毛布を握っていたため。 遠藤がコルトパイソンを所持していたのは己の身を守るため。 これらの偶然は、治が“二人は遠藤に殺された”というシナリオと構築するには十分すぎるパーツであった。 治の中で憎悪がたぎってくる。 黒沢と石田のために一矢報いなければならない。 治が覚悟を決めた瞬間、その機会が訪れてしまった。 遠藤があるものに気付いたのである。 ◆ 「あれは・・・」 遠藤の目にとまったのはディバックであった。 遠藤がここへ来た目的はこの民家にあるダイナマイトを頂くためである。 勿論、手に入れれば、すぐにでも退散する。 ここで善良な偽善者がいれば、治という弱者を見捨てる気かと説教をするかもしれない。 しかし、遠藤とて、他人を保護するまでの余裕はない。 遠藤は自分の身を守ることを選んだ。 「悪いが・・・このディバック、もらっていくぞ・・・」 遠藤がディバックに手を伸ばした瞬間だった。 突如、治が遠藤の左足に絡みついたのだ。 「なっ・・・!」 遠藤の身体がバランスを崩す。 「うがぁぁっ!!」 床に叩きつけられた途端、遠藤は苦悶の声をあげた。 治が掴んだ足は遠藤の急所――骨折した箇所であったからだ。 ドリルで穴を空けられているような無骨な痛みが遠藤を苦しめる。 なぜ、治が足に掴みかかったのか、遠藤には理解できない。 それもそうである。 治は直感的に感じたのだ。 あのディバックにはダイナマイトがあると。 二人を殺した男に取られてはいけないと。 “偶然と誤解の末に”決めた覚悟を貫いているのだから。 痛みに耐える遠藤に治の心情を汲みする余裕などない。 遠藤は治の頭を掴み、足から引き離そうとする。 「離れろっ!!!」 しかし、治はそれを聞き入れない。 治にとっては弔い合戦である。 ここで退いては、天国にいる黒沢と石田にどんな顔向けをすればいいのか。 ――僕が・・・二人の仇をっ! 治はあらん限りの力を振り絞って遠藤の左足に噛みついた。 ブッと肉がちぎれる音がする。 その音は遠藤の激痛に悶える悲鳴にかき消される。 「この野郎っ!!!」 ここが遠藤の我慢の限界だった。 遠藤は近くにあった毛布を治に被せる。 視界が暗くなったことに治が驚いた瞬間だった。 遠藤はコルトパイソンの狙いを治の頭部に定めた。 淡い月明かりとそれを呑みこもうとする闇が混じり合う静謐の空間に、乾いた銃声が轟いた。 部屋の中に血臭と硝煙の残り香が立ちこむ。 遠藤はしばらく呆然としていたが、我に返ると足を毛布から抜いた。 不幸中の幸いなのか、病状がかなり進行していたため、治の顎は本来の力を発揮しきれていなかった。 左足の傷は歯型がくっきり浮かぶものの、血がぽたぽたと滲む程度で済んだのだ。 しかし、その足には咬み傷で生まれた血とは別物の血がべっとりついていた。 遠藤はその血の主を見る。 治は毛布を被ったまま横たわっていた。 毛布に広がっていく血痕は映えるような血糊の赤とは異なり、濁った赤茶色という表現がしっくりくる。 治は部屋の状況にふさわしい姿となった。 遠藤は身体を伸ばし、ディバックを手にした。 治がこのディバックを守ろうとしていたのはこの中にダイナマイトが入っていることを知っていたが故であろう。 「さっきのもみ合いは・・・オレとあいつが生き残りをかけた戦い・・・ そして、オレが勝者になった・・・それだけだ・・・」 遠藤は自分に言い聞かせるように、治を殺したことに意味を見出すと、ディバックを開けた。 「え・・・」 中身を見て、遠藤の心の中で何かが落下した。 「う・・・嘘だろ・・・」 ディバックの中には、コートと拡声器、一般支給品のみで、肝心のダイナマイトがないのだ。 ちなみにダイナマイトは黒沢が民家を出る直前、台所の床下収納に隠しているのだが、パソコンのデータはそこまで情報を密に記載していない。 「ふ・・・ふざけるなっ!」 遠藤はディバックを床に叩きつけた。 遠藤と治はこのゲームの流れを大きく覆す恐れのある“ダイナマイト”を手中に収めるために泥仕合をしたのだ。 こんな結末では、わざわざ手を汚した遠藤の行為も、治が命をかけて守った理由も・・・ 「無駄じゃねぇか・・・」 遠藤の心に罪悪感がじわじわと浸食していく。 もし、治が戦闘能力を持ち、且つ、殺意を向けていた青年であれば、遠藤も割り切っていただろう。 しかし、治は怪我に身体を蝕まれた病人、弱者であり、遠藤に立ち向かったのも、ディバックを守ろうとしたためである。 遠藤にとって、生き残るためとは言え、弱者を一方的にいたぶったという行為は不愉快極まりない。 だからこそ、自分を納得させる理由が欲しかった。 しかし、その理由は根底から崩れてしまった。 「畜生っ・・・」 治を殺害する直前に毛布をかけたのは、死体の直視を避けることで、己の罪の意識を少しでも霞ませようとしたため。 佐原には散々、殺し合いに乗ってみろと脅しておきながら、 いざ、自分が殺し合いに乗ると、その罪の重さに押し潰されそうになっている。 はっきり言って、人を殺す前にその重さに気付いた佐原の方がよっぽど賢い。 「おかしくなったのは・・・強運を手放してから・・・いや・・・見放されてからだ・・・」 森田と決別した後から、遠藤の歯車が狂い始めた。 沙織の来襲、 ショッピングモールの炎上、 肩の銃痕と左足の骨折、 そして、治の殺害。 遠藤は森田を手放した代わりに、誰よりも神に近い目を手に入れた。 しかし、運命はあざ笑うかのように、次々と試練を与えてくる。 それは神に近づきすぎた罰のようでもあった。 遠藤は呟く。 「哀れだな・・・」 この“哀れ”とは守る必要のなかったディバックを守って犬死した治に対してなのか、 “全てのタイミングがかけ違えたボタンのようにずれていき、 修正が効かないところまで転がってしまった”自身に対してなのか。 それは本人にも分からない。 【C-4/民家/黎明】 【遠藤勇次】 [状態]:右肩銃創(痛むが腕を軽く動かすことは可能) 左足首を複雑骨折(応急処置済)と咬み傷 頬に火傷 [道具]:参加候補者名簿 コルトパイソン357マグナム(残り4発) キャリーワゴン(島内を移動する為に使う) ノートパソコン(データインストール済) バッテリー多数 CD-R(森田のフロッピーのデータ) 不明支給品0~1 支給品一式 [所持金]:800万円 [思考]:ダイナマイトを見つける 沙織、森田、南郷、佐原から逃げる ※森田に支給品は参加候補者名簿だけと言いましたが、他に隠し持っている可能性もあります。 ※森田の持っていたフロッピーのバックアップを取ってあったので、情報を受信することができます。 データ受信に3~5分ほどかかります。 ※キャリーワゴンは民家の表にあります。 【治 死亡】 【残り 22人】 133 猩々の雫 投下順 135 本物と偽物 128 偶然と奇跡の果てに 時系列順 138 疲労 122 再考 遠藤勇次 138 疲労
https://w.atwiki.jp/aspurand1106/pages/300.html
32話 運と偶然とニアミスと 工場を後にした人狼・コーディはC-2エリアにて小さなガソリンスタンドを発見した。 建物内の明かりは灯っていない。 多少の夜目が利くコーディは遠目から建物内を見てみるが特に動く影は無い。 「ガソリンスタンドか……特に何も無さそうだな」 ガソリンスタンドに有る物で、武器として使えそうな物と言えば、工具類だろう。 だが、先刻の工場で工具類は漁った。 現在コーディはバールを装備しているが工場で調達した物だ。 再び似たような工具を漁る事も無いだろう、とコーディは考える。 (ちと疲れたから休もうと思ったんだけど……中に誰か居たら面倒だな……) 殺人そのものは容易い、だが、疲れている時には戦いたくない。 面倒と言うだけでは無く、疲労で動きが多少なりとも鈍っていれば返り討ちに遭う可能性も有る。 ガソリンスタンド内に動く影は見えなかったが、隠れている可能性も考えられる。 何にせよ今は敵と相対したくは無かった。 (北の森の方、行ってみるか) コーディはガソリンスタンドの建物内には入らず、北方向に広がっている森へ行く事にした。 ガソリンスタンドから離れて行くコーディ。 結果的にコーディの判断は彼にとって正しかったと言えよう。 ガソリンスタンド内には先客が居た。 小学校にてAOKの魔の手から逃れたガーゴイル獣人の呂車である。 呂車は建物内のカウンターの影に身を潜めていた。 顔をカウンターから覗かせウィンドウガラスの向こうを窺う。 動く影は無い。 ついさっきまで殺し合いに乗った人狼が居た事を呂車は知る由も無い。 もしコーディがまだ居た時に呂車がカウンターから顔を出したり、コーディが建物内に入ったりでもすれば、 一戦は回避出来無かったであろう。 (誰も居ないか) そう判断して呂車は再びカウンターの陰に隠れる。 (取り敢えず明るくなるまではここに居よう……) カウンター裏の壁に貼られたグラビアカレンダーや、 タイヤやオイルの広告ポスター等を見詰めながら呂車は会場が明るくなるのを待つ。 【黎明/C-2ガソリンスタンド】 【コーディ@オリキャラ/エクストリーム俺オリロワ2ndリピーター】 [状態]健康 [装備]バール(調達品) [所持品]基本支給品一式、ステーキナイフ@自由奔放俺オリロワリピーター、 千切れた電気コード@オリキャラ/エクストリーム俺オリロワ2ndリピーター [思考・行動]基本:殺し合いに乗り、優勝を目指す。 1:北の森へ向かう。 [備考]※本編死亡後からの参戦です。 ※呂車の存在には気付いていません。 【呂車@オリキャラ/俺のオリキャラでバトルロワイアル3rdリピーター】 [状態]健康 [装備]無し [所持品]基本支給品一式 [思考・行動]基本:殺し合いを潰す。殺し合いに乗っていない参加者を探す。 1:明るくなるのを待つ。 [備考]※本編死亡後からの参戦です。 ※AOKの容姿のみ記憶しました。 ※ガソリンスタンド内に隠れています。コーディの存在には気付いていません。 前:そうです僕は馬鹿なんです 目次順 次:血と炎のカーニバル 前:ああ逃れられない!(カルマ) コーディ 次:さよならありがとう、この次に逢う日には 前:汚濁の御子 呂車 次:結末の価値分からないまま