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雑談室へ 雑談室過去ログに戻る 過去ログ94ロック完了。 -- 文芸部顧問 (2007-12-18 22 43 30) いろいろと激しく乙です! -- 名無しさん (2007-12-18 22 45 54) 管理人さん乙です -- 名無しさん (2007-12-18 22 46 25) 先生wwwwwお疲れ様ですwwwww -- 名無しさん (2007-12-18 22 46 56) 5 管理人さん乙です -- 名無しさん (2007-12-18 22 47 27) 多分6。業務連絡ー、業務連絡ー。先生乙ですー。 -- 名無しさん (2007-12-18 22 49 41) 7お疲れ様です -- 名無しさん (2007-12-18 22 51 18) 初1ケタ! 乙です -- 名無しさん (2007-12-18 22 58 02) 管理人さん乙です -- 名無しさん (2007-12-18 23 07 27) 管理人様乙です! やっぱ長門バカはいいなw -- 名無しさん (2007-12-18 23 11 16) 顧問さん乙です! -- 名無しさん (2007-12-18 23 19 36) 下衆谷口www 山手線はねーよw -- 名無しさん (2007-12-18 23 26 43) みくる……木刀……まさかゴットゥーザ様に変身するつもりだったのか!? -- 名無しさん (2007-12-18 23 30 08) 男達の戦い……… 女性陣に歯ぎしりする程イライラしている自分がいる…… エロ本くらいいいだろー!!! そんな俺は変態だ フヒヒッwww サーセンww -- 名無しさん (2007-12-18 23 43 43) 佐々木に獲ろ本見せたらどんな反応をするのだろう -- 名無しさん (2007-12-18 23 55 00) ↑ 特に何も思っていない素振りをしつつ、内心はドキドキ とかじゃん? -- 名無しさん (2007-12-19 00 12 46) 男の戦いは良いね!!!!早く続きが読みたいわ〜。てか涼宮ハルヒの盗賊って明らかFF9だよね?? -- スコール (2007-12-19 00 16 54) ↑↑ 萌え死んだ···誰かこれでSS書いてくれ··· -- 名無しさん (2007-12-19 00 18 57) 盗賊DISK1の時点で 個人的殿堂入りフォルダに保存。 面白くなってきそうな次回にwktk。 -- 名無しさん (2007-12-19 01 01 58) ゴットゥーザ様wwみくるwwwwwwwwwww -- 名無しさん (2007-12-19 01 12 40) ↑↑↑↑ 明かもなにもそう書いてあるじゃないか。よく見ろ -- 名無しさん (2007-12-19 01 15 25) ↑×5 野暮ったいことながら、まずはここ雑談室のルールを読もうか。 -- 名無しさん (2007-12-19 01 20 19) ↑ さらにFF9なのに8の主人公の名を使うのがよく分からん(ぇ あの頃は最初の劇の戦闘死なない程度に盗みと劇用魔法連発して遊んだ記憶が。 -- 名無しさん (2007-12-19 01 25 40) 生徒会室の〜はどちらかというと短編だと思うんやけど… -- 名無しさん (2007-12-19 02 22 32) ↑ 作者さんの自己判断ということで -- 名無しさん (2007-12-19 02 41 32) FF9やった事無いからわかんなかったんだぜ俺。 ていうか木刀って変身アイテムだったのかww -- 名無しさん (2007-12-19 02 58 57) 「ワッフル!ワッフル!」 -- 名無しさん (2007-12-19 06 32 03) 生徒会好きだわ… 何かまともな喜緑さんって癒される -- 名無しさん (2007-12-19 07 39 16) 時空管理局って続編まだ?何気に待ってるのは俺だけ? -- 名無しさん (2007-12-19 09 05 45) ↑俺も楽しみにしている しかしあんまりせっつくな -- 名無しさん (2007-12-19 13 25 25) 穏やかな冬の日は続編を期待してしまうな。完結してるみたいだから少し残念だが -- 名無しさん (2007-12-19 17 32 35) 盗賊、FF9知ってるから展開が読めてしまうな……w クジャは誰なんだろうか、気になるね -- 名無しさん (2007-12-19 18 15 54) ↑ 展開が読めないように、というか人物設定は相当改変します ただ、物語の根本の流れは捉えたままですが -- 盗賊作者 (2007-12-19 18 22 12) ↑ そうか。 頑張れ、wktkしてるぞ -- 名無しさん (2007-12-19 18 23 38) FF9を知らないからこそ盗賊にwktk -- 名無しさん (2007-12-19 21 11 46) FF8に脱力したからこそwktk -- 名無しさん (2007-12-19 21 54 18) ところで、プリン、アナル両スレが見当たらないのですが… 立てないのですか?? -- 名無しさん (2007-12-19 22 00 12) おでん(プリン)、アナルはトップページに載ってる消失限定スレタイで探すと良いお -- 名無しさん (2007-12-19 22 07 55) ↑↑臨時避難所へどうぞ -- 名無しさん (2007-12-19 23 01 46) そうとう今さらなんだけど、マクガフィンってSS面白くね? -- 名無しさん (2007-12-19 23 18 32) ↑読み直してきた。 深いよな、あれ。 若干哲学的でさえある -- 名無しさん (2007-12-20 00 01 33) 今更だろうが村上ハルキョンに惚れた -- 名無しさん (2007-12-20 00 13 18) 今更だろうが、ある日の古泉くん保守は古泉殆んど出ない上にちょっと泣ける。 -- 名無しさん (2007-12-20 01 04 28) ここまで全部俺の自演 -- 名無しさん (2007-12-20 05 29 38) ↑ 惚れた -- 名無しさん (2007-12-20 07 06 20) 俺は嫉妬 -- 名無しさん (2007-12-20 07 46 50) 俺も今更だが、最近『そしてイブはリンゴを齧る』の人の作品にハマった。会長×喜緑ってそれほど好きじゃないんだけど、この職人の2人は俄然続きを読みたくなる。こういうSS書けるようになりたい。 -- 名無しさん (2007-12-20 09 55 11) ↑ そんなこと言われるような職人に俺もなりたい -- 名無しさん (2007-12-20 10 19 10) ↑×3、4 『これ、よかったら』つ□ -- 名無しさん (2007-12-20 10 34 51) あまい短編、最後に残ったのは古泉ですよね。アッー! -- 名無しさん (2007-12-20 12 32 21) ↑ 古泉「ふふっ、僕がメインディッシュですか」 -- 名無しさん (2007-12-20 12 53 12) (これもどぞ 175;( =ω=)つ旦 -- 名無しさん (2007-12-20 14 15 03) 「ゆきりん」、「いっちゃん」に萌えた -- 名無しさん (2007-12-20 15 46 11) 超勇者ハルヒの持ってた剣で 涼宮ハルヒの約束……された勝利の剣! というネタを思いついた -- 名無しさん (2007-12-20 16 53 16) 連投すみません。 公式に文芸部のリンクとパスワード解答のヒントが追加されてます。 っていう事はもうすぐ時間修正による時空震が…! -- 名無しさん (2007-12-20 17 00 12) テスト書き込み -- 名無しさん (2007-12-20 17 29 15) アナル的に〜の作者さんの「とつか再開発\(^O^)/オワタ」に激しく共感。…ほんと何もなくなっちまったよ(´・ω・) -- 名無しさん (2007-12-20 19 05 50) なぜにハルヒニートが上がってるんだ。名作を思い出してしまったではないか -- 名無しさん (2007-12-20 22 37 35) ハルヒニート良かったわ・・・。 泣いた。 -- 名無しさん (2007-12-20 23 34 18) もうすぐタイムリミットだな -- 名無しさん (2007-12-20 23 37 06) 元のまとめサイトにサイトに戻りたいの? うん、それ無理♪ -- 名無しさん (2007-12-20 23 43 13) 「男の戦い」くだらね~www -- 名無しさん (2007-12-20 23 57 14) 長門ぉーーーー!! -- 名無しさん (2007-12-21 00 02 35) 復活おめ! そして緊急脱出プログラムにピキピキ -- 名無しさん (2007-12-21 00 03 58) 長門ぉぉぉぉ!と言っていたら まさに外道wwww -- 名無しさん (2007-12-21 00 04 40) ま さ に 外 道 wwwwwwwww -- 名無しさん (2007-12-21 00 09 35) まさに外道www吹いたwww -- 名無しさん (2007-12-21 00 24 27) もう戻ってるけどなwwwwwwwwwうぜぇwwwwww -- 名無しさん (2007-12-21 00 26 35) 外道wwwwwちくしょうwwwww -- 名無しさん (2007-12-21 02 54 03) 泣ける作品が読みたかです -- 名無しさん (2007-12-21 04 01 37) 乙 ところで、トップページ戻ったんですね? -- 名無しさん (2007-12-21 07 41 20) ハルヒニートだの長門バカだの何故か俺の好きな作品が上がってきてる -- 名無しさん (2007-12-21 08 38 26) ↑↑↑だいぼうけん、読んでないなら是非。 -- 名無しさん (2007-12-21 09 09 22) 何で上がってるんだ?と思いつつ、SOS団の軌跡読み返してしまった 大好きだ! -- 名無しさん (2007-12-21 10 58 47) ながとぅーみーを待ってるのは自分だけですか? -- 名無しさん (2007-12-21 11 39 13) 待ってる人が居たとは感激だ。早急に書かせて貰う!ありがとう!! -- ながとぅ作者 (2007-12-21 12 42 00) 俺も期待 -- 名無しさん (2007-12-21 14 05 47) 夢の中〜の続き見たいお -- 名無しさん (2007-12-21 15 11 17) ヤンキョンはまだかいっ? -- 名無しさん (2007-12-21 17 36 35) ↑×4 俺もずっと期待してます -- 名無しさん (2007-12-21 19 04 09) ちょwwwww 山手線崩壊wwwww -- 名無しさん (2007-12-21 19 23 45) 最近wktkしてる作品何か他にある? おれもwktkしたい -- 名無しさん (2007-12-21 19 43 10) 保父再開してくれないかな〜 -- 名無しさん (2007-12-21 20 10 48) あそこでプランナーかよwwwwwwww -- 名無しさん (2007-12-21 20 51 04) だいぼうけん キョンが別れを~ アンケート~ ってどこに置いてあるんですか? -- 名無しさん (2007-12-21 21 56 39) アンケート,別れを,はキョン長編4に だいぼうけんはわからないです -- 名無しさん (2007-12-21 22 12 37) 随分遅いが、少し前に噂だったわっかーめ↓スペクタルなるSSを初めて読んでみた。 正直ツボったね。 -- 名無しさん (2007-12-21 22 14 45) 久し振りにwiki見たが、更新履歴にやたら過去作品が上がってるな。 -- 名無しさん (2007-12-21 22 20 06) ↑↑ あの作品の最大の見せ場はVSドラゴン戦の古泉のヘタレっぷり -- 名無しさん (2007-12-21 22 37 30) ↑↑↑↑ ありがとうございます。 -- 名無しさん (2007-12-21 23 04 21) 探してみたんですが、だいぼうけんが見当たりません。 どなたかどこにあるかわかりませんか? -- 名無しさん (2007-12-21 23 13 59) ○大ぼうけん ×だいぼうけん -- 名無しさん (2007-12-21 23 25 03) ありがとうございます^^; -- 名無しさん (2007-12-21 23 27 46) キョソテラシュールwww こういうの好きだw -- 名無しさん (2007-12-21 23 55 46) 従順なハルヒの続き書いてください -- 名無しさん (2007-12-22 00 48 14) 俺は乙女ハルヒが気になって夜も眠れねぇ -- 名無しさん (2007-12-22 01 06 59) キョソの旅、アナルスレで見たこと有るんだが…まとめに無かったんだな。感動の名作だからラストまで載せて欲しい -- 名無しさん (2007-12-22 01 22 34) 時折無性に鶴キョンものが読みたくなる おすすめあったら教えて欲しい 大ぼうけんはイイですね -- 名無しさん (2007-12-22 01 33 51) ↑ 鶴屋少女の孤独 エロパロでは非単調ラブロマンスは微睡まない -- 名無しさん (2007-12-22 01 35 21) 公式サイトどうなってんだごらあああああああああああ -- 名無しさん (2007-12-22 02 23 05) 「キョンのその後」 わざわざまとめに投下するのならもっと書いてからにしろよ。ここはチラシの裏か? -- 名無しさん (2007-12-22 02 57 39) ↑知らなかったのか? -- 名無しさん (2007-12-22 03 19 18) ↑13多分だいぼうけんはまとめにあがってないんだと思う。 ここのトップページから涼宮ハルヒのSSDAT保管庫 11/28プリンスレの datファイル落としてを専ブラに突っ込むかもしくは434スレ目から見るといいかも。 ってか実際俺は全部見れなくて日付だけしってたからそうした。 役に立てたのなら幸いだw -- 名無しさん (2007-12-22 03 48 26) ↑http //w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/3678.html-- 名無しさん (2007-12-22 04 39 49) ゲス谷口ktkr -- 名無しさん (2007-12-22 10 06 46) ポンポンに吹いたwww -- 名無しさん (2007-12-22 10 28 09) ↑4 はあぁぁ!? ↑3つhttp //w.atwiki.jp/haruhi_vip/search-- 名無しさん (2007-12-22 10 30 03)
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「毎年思ってたけど、トムがこういうのちゃんとやるのって・・・ちょっと意外だよね」 首から下は簡素な黒い魔女のローブと、頭部は特徴的なとんがり帽子という出立ちのサラが、ふと、そんなことを言った。 彼女が視線を向けた先には、彼女と殆ど同じような真っ黒のローブにフードまでついた衣装に身を包んだ、幼馴染であるトーマスの姿がある。彼のこの格好は、魔女ではなく死神を模したものだ。 「そうかな。うーん・・・こういう催しが出来るようになったのは、シノンが昔よりも豊かになった証だからね。それで、気持ちが高揚するからかもしれないな。っていうか、俺は元から案外こういうの好きなんだけどな」 「あは、言われてみれば確かにトムって、意外とイベント事、好きだったかも」 そう言って微笑んだサラは、手元に視線を落として作業を再開する。彼女が作っているそれは、簡素な壁掛け用の装飾品のようだった。既に多く作られた同様の装飾たちは、最後の飾り付けを今か今かと待っている。 今日は、ハロウィンである。 普段は慎ましい暮らしをしているシノンでも、この日は開拓の仕事を休みとし、ちょっとしたお祭り気分で一日を過ごすのだ。 ミュルスやロアーヌではもっと派手な装飾と共に様々な催しが開かれるのだが、生憎と開拓地であるシノンでは、そんなに大それたことは出来ない。 なのでトーマスらは毎年、自警団として集合によく使う行きつけの酒場で身内だけで細やかに楽しもう、という催しを開いているのであった。 ちなみにこの酒場の店主は、毎年この時期は首都ロアーヌで開かれる祭りへ出稼ぎに向かっている。なので毎年この日は、この小屋を好きに使っていいということになっているのだ。 「そういえば、エレンとユリアンは?」 着々と料理の用意を進めながらトーマスが尋ねると、サラは同じく手元を動かしながら応えた。 「お姉ちゃんとユリアンは、村でダックアップルやってると思うよ」 「あぁ・・・そういえば毎年やっているもんな。衣装のままやってなければいいけど」 ダックアップルとは、水を張った大きな桶に浮かべた林檎を口だけで掴むという、この時期に行われる定番の余興だ。 娯楽の少ないシノンでは案外これも盛り上がるのだが、これをすると衣装まで濡れるのでサラは苦手であったし、トーマスは眼鏡をかけているものだから同じく好んで参加はしない。なので、シノン自警団四人の中では、毎年参加しているのはエレンとユリアンなのであった。 去年も盛大に濡れ散らかしてきたものだから、小屋の床まで濡れたものである。 「衣装は多分、後で着ると思うよ。今年はおばあちゃんが新しく縫ってくれたから、お姉ちゃんも着るの楽しみにしてたし」 「なるほど、それなら安心かな」 シノンのハロウィンの仮装は、基本的に男性は死神、女性は魔女で統一されている。 ロアーヌやミュルスではもっと多彩な仮装があるらしいが、そのような装飾を入手するのも難しいシノンでは、ローブ一枚で済む簡素なものくらいしか用意が出来ないのだ。 しかし結果として、一番元々のハロウィンらしい衣装に纏まっているとも言える。 「そういえばハロウィンって、聖王歴の制定以前の風習なんだっけ」 「そうだね。文献によれば昔、今日が年の暮れで、明日からが新年の初め・・・とされている地方があったらしい。その地方のお祭りが後年、今みたいなハロウィンに変化したとされているね」 ふとサラが何気なく口に出した疑問に、トーマスが竈門の火の具合を確かめながら答えた。 「その日には世界に、現世の人間には見えない門が開き、そこから死んだ祖先が家に帰ってくるんだそうだ。ただ、その門からは同時に招かれざる客ともいうべき、悪い精霊や魔女も来てしまう。それらから身を守るため、その招かれざる客に扮して難を逃れようとした・・・というのが、仮装の始まりだとされているようだね」 わからないことをトーマスに聞くと、このように大抵のことは実に明快な説明が返ってくる。それをサラはいつも、ただただ尊敬の念を抱いて見てしまうのだ。 彼に倣って彼女もそれなりに本を読むが、全く彼の知識量には追いつける気がしない。いつかは自分もこうしてさっと答えてみたいなと、密かにサラは思うのであった。 「そういえば、サラは新しく縫ってもらってはいないのかい?」 どうやら焼成の間に時間が出来たらしいトーマスが、彼女の方へと近づきながら言った。 なぜそんなことを聞いたかと言えば、エレンは新しい衣装を縫ってもらったという話なのに、サラの着ている魔女のローブは、去年と同じもののように見えたからだ。なので単純に、そこを疑問に思っただけなのである。 「え・・・っと、実はこの下に着てるんだけど。ちょっと・・・恥ずかしくて」 「恥ずかしい・・・?」 トーマスが彼女の隣に腰掛けて装飾作りを手伝いながら首を傾げてそう問いかけると、サラは少し俯き気味になりながら小さく頷いた。 「お姉ちゃんがリクエストしたんだけど、あの、ミュルスや城下町とかで流行っているみたいな今風のやつ・・・らしいんだけどね・・・」 「今風」 何やら、俄然興味が湧いてきた様子のトーマスは、サラの言葉を断片的に鸚鵡返ししながら聞き返す。 「うん・・・。えっとね、化け猫の衣装、なんだけど」 「化け猫」 トーマスは装飾を作っている手を止めて、おもむろに眼鏡のブリッジ部分を人差し指でくいっとしてみせた。 これはちょっと、是が非でも見たいと思ったのである。 彼は、何かのスイッチが入るときには大抵この仕草をする。それは眼鏡を掛けている人は大抵これがスイッチらしいという様式美に倣ったものであるそうだ。 だが・・・と、彼は考えた。 こうして恥ずかしがっている時のサラは結構強情なもので、下手をしたら今日はこのまま魔女ローブを羽織ったまま、新衣装のお披露目なしで過ごそうとする可能性も、否定はできない。 ここで本当ならば、サラの可愛い姿を見るという目的を達成するためには大いに頼りになるはずの同志であるシスコンエレンは、多分家で既に衣装を着たサラを見ているはず。 だから、サラが嫌がるならば無理にこの場で披露させようとはしないだろうと予測された。 むしろシスコンが過ぎて、男には見せようとしない、まである。 自分の衣装は見せつけながらも、テンション上がった男共を一切寄せ付けないくせに、全く傍若無人なシスコンだ。 そうなるとつまり、サラの化け猫仮装姿が非公開お蔵入りになる可能性は、そこそこ高いのではないか。 このようにトーマスは、頭の中で瞬時に考えた。 ならばつまり、二人だけの今こそが。この瞬間こそが、確実にサラの化け猫衣装を拝む最大の好機であるのでは。 トーマスは、そう結論付けた。 「・・・サラ、俺にサラの衣装を見せてほしいな」 「えっ・・・」 単刀直入に物申してきたトーマスに、サラは思わず作業の手を止めて振り向いた。 その先に眼鏡のレンズ越しに見える、サラを真っ直ぐに見つめるトーマスの瞳は、真剣そのものだ。 「え・・・っと、あの、でも、まだお姉ちゃんたち来てないし」 「勿論、タダで、とは言わないさ」 ローブの胸元を押さえるようにしながら少し警戒気味のサラを宥めるように、トーマスは再び眼鏡をくいっとしながら、壁に掛けられた時計に視線を向けた。 「もし今ここで衣装を見せてくれたら・・・間も無く焼き上がる本日のデザートを、焼き立てのタイミングで試食させることもやぶさかではない・・・と言ったら?」 「今日のデザート・・・。ひ、ひょっとして・・・!」 可愛く眉間に皺を寄せ、顎に手を当て一瞬考えるサラ。だが直ぐにその答えに見当がついたのか、彼女は驚愕の様相でトーマスに向き直る。 「そう。今日はハロウィンさ。そして今、竈門で焼成しているのは、パイだ。ならば自ずと・・・その正体はわかるね?」 「・・・パンプキンパイ・・・!!」 まるで「卑怯な!」とでも言いたげな表情をしながら、サラはトーマスを見つめ返す。 何を隠そう、サラの大好物こそが、そのパンプキンパイなのであった。 特にこの時期は夏と比べ甘みの強いカボチャが収穫できる季節である。 ハロウィンではジャックオーランタンの飾りよりも、トリックオアトリートよりも、何よりその後に後始末として食べる大量のカボチャ料理の方が密かに楽しみであるサラとしては、料理にも長けるトーマスの作ったパンプキンパイともなると、正に至宝と言っても過言ではない代物なのである。 「普段は、事前に焼いておいたものを最後に出すからね。当然、冷めたパイだ。勿論冷めても美味しいように作ってはいるんだけど、焼成直後のホクホクでサクサクのパンプキンパイもまた、絶品なんだよ。これがこちらの用意できるカードだとしたら、如何かな?」 「・・・うぅ・・・っ!」 それでもサラは抵抗する素振りを一応見せてはみたものの、残念ながら既に勝負は決していた。 勝利を確信して静かに微笑むトーマスへと向き直ったサラは、ゆっくりとその場から立ち上がった。そのままおずおずと自らの被っているとんがり帽子へと手を伸ばした彼女は、帽子の先を摘み、すっと取り去る。 すると、帽子の中からは彼女の可愛らしい栗色の髪以外に、ぴょこんと飛び出す二つの突起装飾が現れたのだ。 (猫耳・・・だと・・・!?) トーマスは眼鏡の奥で瞳を今年最大級に刮目させながら、その内心では力強く拳を握りしめ天に向かい雄叫びを上げる。 しかし当然、表面上は柔和な笑顔の完璧なポーカーフェイスだ。 「そ、そんな見ないで・・・」 火を吹きそうなほどに顔を紅潮させたサラは、しかし竈門から既に良い香りを漂わせてくるパンプキンパイの誘惑には全く抗えず、続けて首元のローブの留め具をゆっくりと外す。 留め具を外すと呆気なく黒いローブは、はらりと彼女の足元に滑り落ちた。 そしてその中に在ったのは、どうやら黒い羊毛を用いて作られたらしいふわふわの生地で縫い上げられた、非常に可愛らしい衣装だった。 しかしそれを見て、ここで流石のトーマスも思わず固まってしまう。 無理もない。何しろ彼女が身に纏う衣装は、胸のあたりと腰のあたりを覆うのが精々で、腹部や大腿部より下は肌が曝け出された状態の実に大胆な代物だったからだ。 「お姉ちゃんと二人分作ったら羊毛が足りなくなっちゃったみたいで・・・お腹とか、出ちゃったの。だから、ほんと恥ずかしくて・・・。・・・・・・・ト、トム・・・?」 相変わらず顔を赤らめたままのサラの目の前で数瞬固まったままでいたトーマスは、怪訝な表情で自分を呼ぶサラの声でハッと気がついたように瞬きをすると、ゆっくりとしゃがみ込んで彼女の足元に落ちたローブを拾い上げ、そのままサラに羽織らせてあげた。 「とても・・・可愛い衣装だね。ただ・・・確かにちょっと体を覆う面積が少ないから、これはちょっと・・・寒そうだ」 そう言いながら首元で留め具を締め直してあげるトーマスを、まだ紅潮したままの表情のサラは上目使いで見上げる。 「か、可愛かった・・・?」 「・・・あぁ、とても」 そう応えて微笑んだトーマスは、それではこちらもと言いながら、どこか急ぎ足でカウンターの向こうにある竈門へと向かった。 (・・・いや、あれは反則だろう。ユリアンには見せられないな・・・) 極力平静を保ちながら彼女の前から動いたつもりだが、しかし遂にトーマスは竈門の前にしゃがみ込んだところで無意識に破顔してしまい、片手で顔面を抑えた。 (あぁ、可愛かったな・・・。いや、可愛い。うん・・・可愛いしか出ないな。ていうか危なかった・・・変な声出すところだった・・・。いやしかし、完全に脳裏に焼き付けてしまった・・・) 脳内で騒がしく思考を巡らせながら、先程の映像を反芻させるトーマス。 というか恐らく、エレンはそもそも男衆にはサラのこの格好は見せるつもりはなかったのではないかとすら思う。恐らくは彼女も同じ格好をしているだろうから、村の男たちにはそれだけで十分ではあろうし。 しかしトーマスにとっては、サラの方が思いのほか攻撃力が高かったようだ。 「・・・トム?」 今度は竈門の前でしゃがみ込んだまま動かない様子のトーマスを不審に思ったのか、サラはキッチンカウンターの前まで歩み寄って、上からトーマスを覗き込んだ。 「・・・あ、あぁ、すまない。さぁ、約束の焼きたてパンプキンパイだ。二人が来ないうちに、召し上がれ」 声をかけられて現実に意識を戻したトーマスは、竈門から出したパイを早速切り分け、器に乗せてサラの前に差し出した。 するとみるみるサラの表情は笑顔に溢れ、香ばしい焼き立ての香りを楽しむようにパイの前に顔を寄せて香りを嗅いでいる。 「熱いから、気をつけてお食べ」 「はーい! いただきます!」 先程までの羞恥心はどこへやら、あっという間に上機嫌になったサラはフォークを片手にパンプキンパイ攻略へと取り掛かった。 (猫の手みたいな装飾も欲しいな・・・あとは、しっぽみたいなのも・・・。近いうちにミュルスあたり行ってみるか・・・時期が終われば色々安く売っているだろうし、来年使えるかもしれない・・・) サラが美味しそうにパイを食べる様を見ながら、トーマスは脳内でばっちり保存されたサラの猫娘姿に様々なアイテムを当てはめつつ、妄想に耽るのであった。 「ちょっと、もう少し薪になりそうな枝を集めてから入りましょ」 「え、足りないか?」 「いいから。ほら、いくわよ!」 小屋の扉の前で立ち止まったかと思えば、なんでかエレンは急にそんなことを言い出した。 ダックアップルで髪もびしょ濡れのユリアンは、早いところ暖炉の火に当たりたいところであったが、エレンに急かされるようにして渋々森へと進路を反転させたのであった。 番外編一覧に戻る TOPに戻る
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森の中にゆっくりれいむの家族が住んでいた。両親と数匹の子供という平均的な規模だ。仲良くゆっくり暮らしている。 しかし最近生まれた末娘は生まれつき目が見えなかった。 母れいむがその子を妊娠していたとき、餌が不足してしまったのが原因だった。 両親は悲しんだが、どんな子でも大切な我が子。愛を持って育てることにした。 幸い姉たちともうまくいっている。それにその子はとても利口だった。 ほかの子達よりも早く言葉を覚えたし、数を数えたりもできた。 少し大変ではあったがその一家は幸せだった。 しばらくして目の見えない赤れいむは姉たちの世話もあり元気な子れいむになった。 人間は適当にサイズで判断するが、ゆっくり達の中でも赤ゆっくり、子ゆっくり、大人ゆっくりの区別があるようだ。 「きょうはおちびちゃんがこれいむになったおいわいをするよ!!」 「「「おいわいおいわい!」」」 はしゃぐ姉れいむ達。おちびちゃんと呼ばれた子れいむもうれしそうである。 ところがその時、子れいむに何かが聞こえてきた。足音のようだ。近づいてきている。 当然、子れいむは親に知らせる。 「誰かがこっちに来る音がするよ」 「ゆっ? おかあさんにはなにもきこえないよ?」 「きのせいだよおちびちゃん それよりはやくおいわいしようよ!」 「そうだよおなかすいたよ!」 どうやら他の家族には聞こえていないようだ。しかし子れいむには気のせいだとは思えなかった。 動物的勘というやつだろうか、ここにいたらゆっくりできなくなると子れいむは感じた。 親に必死で訴える。 「どんどん音が大きくなるよ! ここにいたらきっとゆっくりできない!!!」 「やっぱりなんにもきこえないよ?」 「でも、でも! ゆぅぅぅぅ…」 子れいむにはどう伝えればいいのかわからなかった。 しかしいつもはおとなしいおちびちゃんが取り乱す様子に親れいむも何か感じたようだ。 「みんな! ゆっくりおそとでおいわいをすることにしようね!!」 「ゆゆっ! それもいいね!! ゆっくりはやくいこうね!!」 「おそとー!!」 こうして一家は巣を離れた。親が聞き入れてくれたことに子れいむはほっとした。 そしてお祝いをみんなで楽しんで戻って来ると巣の中は無残に荒れ果てていた。 何があったのかわからなかった。集めていた食料は無くなり、子供達が大切にしていた宝物は壊れている。 なんだかよくわからない汚いものが散らばっていた。少し前まで仲良くゆっくりしていた我が家はどこにも無かった。 子供達はあまりのことに泣き叫んでいる。自分も泣きたかった。だが自分は親だ。子供の前で涙を見せるわけにはいかない。 「れいむのだがらものがぁあぁっぁ!!!!!!」 「どうじでぇえぇっぇぇぇ!!!」 「うわああああぁぁぁああぁん!!!!」 「ゆっぐりでぎないよおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」 「「みんな!!! ないてたらゆっくりできないよ!!!! ゆっくりげんきになってね!!」」 「わかった。ゆっくりしたいから……なかないよ……」 「「いいこだね。えらいよ!」」 両親の懸命な励ましで子供達は少し落ち着いたようだ。 そしてこれはどうやらニンゲンのせいだろうと親れいむは考えた。 あの子が気になることをいったから、巣にいなくて助かったのだ。もしつかまっていたら…… だとしたら、ここはゆっくりできない場所になってしまった。引っ越さなければならない。 「みんなここはあぶないからとおくへいっておうちをさがすよ!」 「「「「どうしてあぶないの?」」」」 子供には巣が荒れていたこととこの場所が危ないということは結びつかないようだ。 「これはニンゲンがやったにちがいないよ!!! またきたらつかまっちゃうんだよ!!!」 「ニンゲン!? はっはやくとおくにいこうね!!」 「つかまるのやだぁあぁああ!!!!!」 「だいじょうぶだよ!! さあみんなでおひっこしだよ!!!!」 こうしてこの家族は引っ越した。しかしそこでも同じようなことが起こった。 だが毎回おちびちゃんの聞く音のおかげでつかまらずにすんでいた。 どうやら目が見えない子れいむはその分聴覚が発達しているようだった。 勿論ゆっくりにそんなことがわかるはずも無いが、家族は以前にもましておちびちゃんを大切にしていた。 だがある日、森の中で大きな音がなった。 普通のゆっくりはひどく驚く程度で済んだがおちびちゃんは気絶してしまった。 あわてる家族のもとに一人の男がやってきた。 「やあ、どうしたんだい? ゆっくりしてないねぇ」 「おちびちゃんがあぁぁぁ おにいさんこのこをたすけてあげてえぇぇええ!!!!」 巣の中を見ると、なるほど一番小さな子れいむが目を回している。 ほおっておけば目を覚ますだろうが、親は気が気でないのだろう。 「よし。助けてあげよう。みんな付いてきな」 「はやくたすけてあげてね!!!」 「心配しなくていいよ。ゆっくりに詳しい人に見てもらうからね」 そうして彼らが向かったのは加工所だった。 「おにいさんここはゆっくりできないよ!!!」 親れいむが抗議の声を上げる。どんな所かよく知らないがここはだめだとわかる。 「いいの? この子助からないけど?」 「ゆっ! それはだめだよ!! ちゃんとたすけてね!!!!」 「じゃあここに入らないと」 「わかったよ……ぜったいたすけてね」 「はいはい」 男はその手に子れいむを一匹のせ、その他を引き連れて加工所内を進んでいく。 ゆっくり達は特に怖いことも無いので安心していた。しばらく歩いて、男とゆっくりはある部屋に入る。 そこには白衣を着た男が一人、コーヒーを飲みくつろいでいた。 「よう。暇そうだな」 「いや、忙しいさ。なにせ君が来たからね」 二人は知り合いのようだ。のんびり世間話をしている。その様子を眺めていた親れいむが口を突っ込む。 「おちびちゃんをはやくたすけてね!!!」 「おちびちゃん?」 「ああ、こいつだ。このれいむの子供らしい。気絶してる」 「ふぅん、別に外傷も無い。ほっとけばいいだろう。まっ一応水でも飲ませてみるか」 そう言うと白衣の男は子れいむの口に水を注ぐ。すると子れいむは目を覚ました。 ずいぶん適当な生き物だ。改めて二人の男は思う。 「ほれ、元気になったぞ」 「よかったよ!! おにいさんありがとう!!!」 「「「「ありがとう!!!」」」」 男は(やれやれ加工所にいるってのに暢気なものだ)なんて考えていると、ふと妙なことに気づいた。 目を覚ましたはずの子れいむの目が開いていないのだ。 「なあ、そいつは何で目を閉じてるんだ?」 「おちびちゃんはめをあけてもみえないんだよ。だからとじてるの」 なんと盲目のゆっくりとは。たいていの野生動物は障害のある子供を育てたりしないもんだが こいつらはよくできたゆっくりらしいな。男は俄然このれいむ一家に興味を持った。 白衣の男に研究してもらうつもりのようだ。 「適当に言いくるめてお前のところで調べてみてくれよ。」 「なんでそんなこと、といいたいところだが確かに興味深い。いいだろう」 白衣の男がゆっくり達に近づき話しかける。 少し怯えるゆっくり達 「ゆっくりしていってね」 「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」 「ははっ元気だね。さて、そこのおちびちゃんなんだけど、本当に大丈夫かどうか調べたいんだけどいいかな?」 「ゆ? おちびちゃんはげんきだよ? へんなことしなくていいよ」 「別に変な事はしないよ。ともかく今は元気でも後で大変なことになったりもするんだよ。心配じゃないかな?」 「ゆうぅ……」 「お母さん心配しないでね。この人たちはいい人だよ」 「これいむがそういうなら」 「よし決まりだ。それじゃ君達の家を用意しないとね。それにご飯もだ」 「「「「「わーい! おにいさんだいすきーゆっくりしていくね!!!!」」」」 さっきまでの不安そうな様子は微塵も無い。 「つくづく単純なやつらなんだな」 男は一人つぶやいた。 一ヶ月後、男は白衣の男の部屋に訪れていた。 彼は過程には興味が無いのだ。何か面白いことがわかっていないか様子を見に来たのだった。 「ゆっくりしていってね」 「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」 部屋に入るとまずはゆっくりに挨拶をする。ずいぶんいい暮らしをしているようだ。 元気百倍といった感じだ。あれはアンパンだが。 「どうだい調子は?」 「ああ、君か。なかなか面白いことがわかったよ」 「へえ、聞かせてくれよ」 白衣の男は咳払いをひとつして、語り始めた。 目の見えない個体は家族の中でも特に大事に扱われているらしい。 親れいむに訳を聞いたところ、 「おちびちゃんがきくおとのおかげでかぞくがたすかったから」 だそうだ。よくわからなかったが本人に聞くと理解できた。 本人はまともな会話ができ、おかげで無駄に疲れることも無かった。 その結果判明した事実は非常に価値ある発見となった。 子れいむになる少し前から他のゆっくりに聞こえていない音が聞こえた (極端に小さい音や遠くの音) 音の動く方向が鮮明に把握できるようになっていった 似たような音の聞き分けができた (通常ゆっくりでは一緒くたにされる) これらの能力で外敵に見つかる前に引越しができたということらしい 他には 数を数えられる 簡単な加減算すら可能 論理的思考 そう。知能レベルと聴覚の発達が異常に高レベルでゆっくり種とは思えないほどである。 おそらく視覚が存在しないことがその原因なのだろう。 ともあれこのゆっくりには利用価値がある。 これからどう人間のために役立てるか考えるつもり。とりあえず本部の研究者には報告済みだ。 興奮した様子で白衣の男は語った。目が輝いている。 あまり妙なことをしでかさないといいが、と男は思った。 さしあたってこいつを使って野良ゆっくりを捕まえることになった。 最近はゆっくり共も捕まえにくくなった。意外とうまいこと隠れたりするのだ。 人海戦術という手もあるが面倒だ。そこでこいつの聴覚を利用して、隠れたゆっくり共を見つけ出そうというわけだ。 協力させるに当たっては、他のゆっくりもここでゆっくりさせてあげたいからだ、といったらあっさり信用した。 こいつら一家はここで快適に暮らしているからだろう。 いくら頭がよくても、加工所の本当の姿を知らなければ疑う余地も無い。 おかげで馬鹿な野良ゆっくりをずいぶんと捕まえられた。役に立つゆっくりなどはじめてみた気がする。 その後もこの一家は丁重に扱われた。 加工所である実験が始まった。後天的に視力、聴力などを失った場合の変化を調べることにしたのだ。 実験用のゆっくりは大量に確保できているので遠慮は要らなかった。 殺さなければやり方は問わないとのことだったので、職員達は嬉々としてゆっくりの目や耳(と思われる部位) を様々な方法で痛めつけた。加工所内にゆっくりの悲鳴がこだまする。 「ゆぎゃあぁぁぁあぁっぁぁぁあっぁ!!!!! めがめがめがいだびいぃぃ!!!!!!!」 「だずげでぇぇぇええぇぇ!!!!!! わるいごどじでないびょおおぉぉぉぉおお!!!!!!!!!!!!」 「ぎごえないぃいぃいいぃいぃぃ!!!!! なんにもぎごえないよぉおおぉぉぉ!!!!!」 「まりざのめがえじでえぇえぇえぇええ!!!!!!!」 「どおじでまっぐらなのおおぉぉぉぉ!!!!みんなどごおぉぉぉぉおおおお!!!!!!!」 「おじざんがなにいっでるがわがんないぃぃっぃいぃ!!!!!!!」 中にはやりすぎて殺してしまう者もいたが概ね上手くいった。 しかしながら、その後残った感覚が発達したり知能が向上したりはしなかった。 次に寝ているうちに感覚を奪う実験が行われたが結果は変わらなかった。 どうやら先天的に障害が無ければならないようだ。ゆっくりの場合は。 となれば障害を持ったゆっくりを繁殖させるしかない。 これまでにも障害のある、畸形ゆっくりは生まれたことがある。しかし特に役にも立たないということで 他のゆっくりの餌にするか適当に処分するかだった。基本的に親は育てようとしないし、時には自ら殺してしまう。 だが今回は意図的に作るのである。だがあの子れいむはまだ繁殖には耐えられないだろうし、今では「上手くいかなかった」ではすまない存在になっている。通常のゆっくりで実験は行われた。 方法としては 劣悪な環境での妊娠 妊娠してからの環境の悪化 有害物質を餌として与える 適齢期で無い個体の使用 同一個体に対しての複数回の交尾 といったところである 実験により多くの畸形ゆっくりが生まれた。その多くは見るに耐えないものであった。 あの子れいむのように目を閉じているだけなどといったものはいない。 髪の生えていないもの、飾りの無いものなどマシなほうだ。 片目のもの、歪な形のもの、口が無いもの、色のおかしなもの、二箇所口があるもの 三つ目以上目があるもの、いわゆるシャム双生児てきなもの、ほか様々であった。 役に立ちそうも無かった。 ほとんどの親は 「ごんなのまりざのごどもじゃないぃいぃ!!!」とか 「なにごれぎぼぢばどぅいぃいぃ!!!!」だの わめき散らしていた。まあ無理も無いだろうがやはり醜いものだ。 だが極一部は必死で育てようとしていた。そいつらに期待するしかなさそうだった。 幸せそうに眠るれいむ一家 しかし"おちびちゃん"子れいむは眠れなかった。自分だけにはずっと聞こえていたのだ。ゆっくり達の悲鳴が。 そして頭がよいから理解していた。そんな目にあわせたのが自分であることを。 これほどまでに音が聞こえる自分をいやだと思ったことは無かった。 色々なことをきちんと覚えておけることを恨めしく思ったことは無かった。 どうせなら音も聞こえなければいいのに、何もかも朝になったら忘れていればいいのに せめて家族も同じ思いをしてくれればいいのに。だが叶わぬ願いである。 子れいむの閉じた目からとめどなく涙が流れていた。 おわり あとがき 最後まで読んでいただいてありがとうございます。 初めて書いたのでだいぶ読み難かったかと思います。 他の人の作品を読んでいるとなんだか自分にも書けそうな気がしてくるんですが 甘すぎました。 精進あるのみですね。 ペンネーム ALSUS このSSに感想を付ける
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CUIのせかい1996年頃のCONFIG.SYS 1996年頃のAUTOEXEC.BAT パソコン雑誌EYE-COM 電楽 Oh!PC PCing パソコン倶楽部 アプリンク CYBiZ NetWorks,Netpia PCfan I/O CUIのせかい 1994年2月、お師匠さまに「オールインワンだけは止めなよ」と言われていたにもかかわらず、「買ったらすぐ使える」のコトバに目がくらんで、オールインワン、Windowsがプリインストールされているパソコンを買ってしまったうらん。 同時期に同じパソコンを購入した皆が当然のごとく、Windowsを使い始めたのに反して、うらんはお師匠さまの意向もあって、黒い画面のDOSの世界からパソコンの勉強が始まったのだった。 MS-DOSに関しては、すがやみつるさんの漫画で解説するMS-DOS本というのを読んで、勉強した程度。お師匠さまに「CONFIG.SYSとAUTOEXEC.BATで環境を作るよ」といわれたって、ちんぷんかんぷん。 でも自分で勉強して、わからないことがわかるようになると、俄然楽しいMS-DOSのせかい。 もちろん、かゆいところに手が届くオンラインソフトの助けや、NIFTY-Serveの会議室という情報交換の場があってこそだけど、自分のやりたい処理が、自分の工夫次第で、思うとおりに出来る、というところがMS-DOSで作業する最大のミリョクだった。 ちんぷんかんぷんだったCONFIG.SYSやAUTOEXEC.BATも一人で書けるようになる。でも時が経った今、当時のファイルを見ても、よくわかんないとこがあったりする。(^_^;) ページトップへ 1996年頃のCONFIG.SYS rem DEVICE=B \TOOLS\HSB.EXE VC Y- rem ===== (VC) 環境検査 ======= rem ===== (Y-) 非常駐指定 ===== FILES=30 BUFFERS=3 LASTDRIVE=K SHELL=B \COMMAND.COM B \ /P /F /E 768 DEVICE=A \MEL4WIN\MELEMM.386 /HM /M D0,D4,D8,DC,E8,EC,F0 /NECWIN /SW1 rem DEVICE=B \TOOLS\HSB.EXE VU T2 I26 Y2 X- rem ===== (VU) 環境検査は行なわない・UMBは利用する ===== rem ===== (T2) ホットキー処理ルーチンの指定 ============ rem ===== (I26) 初期化オプション:FM音源の消音 ========== rem ===== (Y2) 常駐タイプ指定 ========================== rem ===== (X-) 標準ブート機能は禁止 ==================== DEVICE=A \MEL4WIN\XMSCACHE.EXE 3072/1024 DEVICE=A \MEL4WIN\EXDISK.EXE 6144 DEVICE=B \TOOLS\CLFIL.COM -N1 DEVICE=A \DOS\KKCFUNC.SYS DEVICE=B \WX2\WXK.SYS /A5 DEVICE=B \TOOLS\CLFIL.COM -N1 DEVICE=B \WX2\WX2A8.SYS /INI=B \WX2\WX2SYS.INI /A5 DEVICE=B \WX2\WX2TX.SYS /DA \WX2TX.DIC /A1 DEVICE=B \WX2\WX2TM.SYS /DA \WX2TM.DIC /A1 DEVICE=B \WX2\WX2TGG.SYS DEVICE=B \WX2\WX2SC.SYS /A DEVICE=B \WX2\WX2CLD.SYS DEVICEHIGH=A \DOS\NECCD.SYS /D CD_101 DOS=HIGH,UMB ページトップへ 1996年頃のAUTOEXEC.BAT @ECHO OFF =============== TSR Loading... LH A \DOS\MSCDEX /D CD_101 /L K /E B \TOOLS\UMBBUF /B99 B \TOOLS\CLFIL B \TOOLS\PPATH B \TOOLS PPATH A \DOS+ NUL PPATH B \BAT+ NUL PPATH B \FILMTN+ NUL PPATH B \JED+ NUL PPATH B \ELIS+ NUL PPATH B \NECO+ NUL PPATH B \FD+ NUL PPATH B \XTR+ NUL PPATH A \NU+ NUL LH APPEND /E =============== Set Env. Each Drive name ENV_DRV -v NUL SET TEMP=%RD1%\ IF "%RD1%"=="" SET TEMP=%HD1%\ IF "%HD1%"=="" SET TEMP=. SET TMP=%RD1%\ IF "%RD1%"=="" SET TMP=%HD1% IF "%HD1%"=="" SET TMP=. PPATH B \WTERM+ NUL PPATH B \OCAL+ NUL PPATH F \UXTL404\BIN+ NUL PPATH F \JGAWK+ NUL PPATH %RD1%\+ NUL rem PATH優先順位 rem B \TOOLS(SCOPY.COM)- A \DOS(SCOPY.EXE)- B \FD(FD.COM)- A \NU(FD.EXE) rem B \TOOLS(FIND.EXE)- A \DOS(FIND.EXE) =============== Set Env. Paramater SET APPEND=B \ELIS;B \XTR;B \BAT SET TZ=JST-9 SET XTRPATH=B \XTR SET XTR=e SET SYS=B \DEV SET KAKEIBO=D \KAKEIBO SET KFEP=/K SET DOSDIR=A \DOS SET BACKUP=B \LIB SET PAGER=MIEL SET NU=A \NU SET EDITOR=MI SET GDISK=GHK SET ELX=B \ELIS\ADI rem SET EXVIEW=KAREN rem SET EXARC=KAREN SET EXVIEW=B \FD\EXVS98.COM SET EXARC=B \FD\EXVS98.COM SET HOME=D \FORUM\LZH SET JBAK=B \JED\BAK SET JTEMP=%RD1%\JX.TMP SET bge_init=b \tools\bge.ini SET MO=B \MEMO\ SET MO_PRN=LAY PROMPT $P$G CLS ECHO IMAGEを実行しますか(Y/N)? ECHO. BATKEY 1 ECHO. IF ERRORLEVEL 255 GOTO NOIMAGE IMAGE A B C D E F /NOBACK =============== 今日の日付を環境変数に設定 =============== CALL SETDATE.BAT ======== "LHA逆引きマニュアル"をRAM-DISKにコピー ========= IF NOT EXIST %RD1%\LHA.MAN COPY B \DOC\LHA.MAN %RD1%\ =============== BATCH FILEをRAM-DISKに作成 =============== R.BAT ECHO @ECHO OFF %RD1%\R.BAT ECHO DSPTIME /M /C2 %RD1%\R.BAT ECHO D %RD1%\R.BAT ECHO CD \98RAY %RD1%\R.BAT ECHO RINPV %RD1%\R.BAT ECHO CD \ %RD1%\R.BAT ECHO DSPTIME /R %RD1%\R.BAT MD %RD1%EX_TMP MOREENV /E 1024 A \DOS\MOUSE.COM rswap -d%RD1%\ EZKEY rem SCAPF.COM ESCP98 -E3 =============== テンプレートの内容を変更... ============== KALOAD B \TOOLS\HD_B.ASN B \TOOLS\CLFIL.COM -J1 MSM PROMPT $e[s$e[1;53H$e[35m$d$t$e[u$e[37m$p$g GOTO END NOIMAGE =============== 今日の日付を環境変数に設定 =============== CALL SETDATE.BAT ======== "LHA逆引きマニュアル"をRAM-DISKにコピー ========= IF NOT EXIST %RD1%\LHA.MAN COPY B \DOC\LHA.MAN %RD1%\ =============== BATCH FILEをRAM-DISKに作成 =============== R.BAT ECHO @ECHO OFF %RD1%\R.BAT ECHO DSPTIME /M /C2 %RD1%\R.BAT ECHO D %RD1%\R.BAT ECHO CD \98RAY %RD1%\R.BAT ECHO RINPV %RD1%\R.BAT ECHO CD \ %RD1%\R.BAT ECHO DSPTIME /R %RD1%\R.BAT MD %RD1%\EX_TMP MOREENV /E 1024 A \DOS\MOUSE.COM rswap -d%RD1%\ EZKEY rem SCAPF.COM ESCP98 -E3 =============== テンプレートの内容を変更... ============== KALOAD B \TOOLS\HD_B.ASN B \TOOLS\CLFIL.COM -J1 MSM PROMPT $e[s$e[1;53H$e[35m$d$t$e[u$e[37m$p$g GOTO END END ECHO. ページトップへ パソコン雑誌 たくさん勉強したことも、どんなコマンドがあったのかも忘れちゃった。MS-DOS本もあれこれ読んだけれど、DOS環境を捨てたときに、もう無用だろうと、本もほとんど捨ててしまった。 現在手元に残っているのは当時読んでたパソコン雑誌が数冊と、写真(下の画像)の本だけ。 #ref error :指定ページの閲覧権限がありません。ログインするか、別のページの画像ファイルを指定してください。 ページトップへ EYE-COM パソ雑誌の名前、コレで合ってたかな。この雑誌、今もある? たまに本屋さんで立ち読みしました。イラストでPC-98とDOS/Vの画面を表示する違いとか・・PC-98は漢字をROMで持ってるから表示が速いとか、そういうの。わかり易かった。 あと、CONFIG.SYS道場とかいうコラムがあったような。当時の流行りというか、どいだけコンベンショナルメモリを空けれるか、ユーザからの投稿が載ったりして。 ページトップへ 電楽 廃刊になったときは悲しかったです。(/_;) パソコン買う前から読んでたりしました。ちほりんさん(作家の高千穂氏)の書くオンラインソフトを扱ったページがスキでした。 他の記事もイラスト多くて、ハードの部品の成り立ちとかそれを開発したヒトのプロフィールとか、ちょっとProjectXライクなものも読んでて面白かった。 読者の声コーナーの「Wordは裁判所で使う文書には対応していないんですよね」という投稿を覚えてます。なんだっけ、ページ番号がヘンなところに付くんだとか。 それでマイクロソフトに問い合わせたら、そういった仕様の不備を電話に出た担当者が認めたって。 ページトップへ Oh!PC PC-98ユーザのための98本。特集は勉強になったし、付録FDも使えました。でも、NECがVALUESTAR出した頃からだんだん98賛歌するの苦しくなってた。 そいえば、当時は500MBでも「大容量ハードディスク」といってたんだなあ。(~_~;)クラスタサイズ考えると、いくつにパーティション切るか悩んだっけ。。 ページトップへ PCing このパソ雑誌、買い始めた頃は付録フロッピーがまだ5インチ。見た目地味なんですが、いかにも学研の本らしく?中身はジュージツしてました。98ユーザのためのDOS/V入門、MS-DOS使いこなし講座などがあった。”ディレクトリエントリとFAT”はNECOツール使い始めたときに役に立ちました。PCingはオンラインソフトに対する扱いもよかったですね。 #ref error :指定ページの閲覧権限がありません。ログインするか、別のページの画像ファイルを指定してください。 パソコン倶楽部 好きな記事は”あなたのハードディスク見せて下さい”。他人の家の晩ご飯のオカズよりも他人のハードディスク環境やCONFIG.SYSが気になったあの頃。(笑)アドバイザーの古庄 歩サンの隠れファンだった。(^_^;) ”買ったソフト・ハードを使いこもう!”の記事も「モトを取る」というコンセプトが気に入って、よく読んでました。 ページトップへ アプリンク Windowsアップデートディスクが、しかも付録メディアが初のCD-ROMで付くと知って本屋に買いに走った思い出が。 市販ソフトやオンラインソフトの活用記事が多くて、実用度高かったです。 ページトップへ CYBiZ CYBiZ(月刊サイビズ)も短命だった?内容よかったのに。文字の多い雑誌だったからか。現在は『SOHO domain』誌に移行? ページトップへ NetWorks,Netpia NetWorksは、うらんが買ってた頃は付録メディアがFDだった(よーな気がする)。毎号、オンラインソフトウェアレビューの特集のトップに「オンラインソフトウェア作者現わる!」という作者のプロフィール紹介やインタビュー記事が載っていて、それを読むと、作者さんの人となりが伝わってきた。 この特集では収録ソフトの各作者さんの「一言」が顔写真入りで掲載されてた。ソフト開発のきっかけとか、ソフトに対する思い入れとか、知ることができた。 こういった記事を読むことで、作者に親近感がわいたし、ソフトに対する思いを知ると、ソフトをもっと大事に使わせてもらおうという気持ちになれた。 でも付録メディアがCD-ROMになってしまうと、ソフトの収録数も桁違いに増えて、ソフト一つ一つについて詳しく紹介するということも、作者のプロフィールを紹介するということも、たぶんスペースの関係だろうけれど、なくなってしまった。 Netpiaは、NetWorksの後継?雑誌だったのだろうか、この雑誌はやたら短命だったように思うんだけど、内容は初期のNetWorksを思い出させる作りで、期待してたんだけど。 今はお懐かしや(^^;)ふかださんやのだめさん(NIFTYのFGAL系フォーラムに出入りしていたヒトなら知っている方々)が記事を書いていらっしゃったなあー。 ページトップへ PCfan 谷山 浩子サンの『半熟コンピューター』って連載、よく読んでました。覚えてるのは谷山サンが、ご自分が使っている「ワープロソフトはテキストエディタVZとWX2(FEP←日本語変換ソフト)とPRT++(印刷ソフト)です」って書いてたコト。 当時は重いワープロソフト(*太郎)より軽いテキストエディタを使うってライターさん、作家さんが多かったです。 PC雑誌の連載記事では、いしかわ じゅんサンの『だサル(だってサルなんだもん)』も面白かったです。どの雑誌に連載されてたかは覚えてないけど(^^;)担当記者さんとの掛け合いが笑えました。 ページトップへ I/O サンデープログラマさんのための本、てゆう印象。読者投稿によるツールやゲームが収録された付録FDをネラッて「たまに」買ってました。 ページトップへ
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—カラカララン…コロロロン…—— 「いらっしゃい」 イスカンダールから見て左側の扉が軽快に開き、それと同時にドアベルがけたたましく響き渡る。 その音に合わせて一切隠すつもりのない大きめの靴音を響かせながら店内に入ってきたのは、十代と思しき様相の少女だった。 その少女の外見的特徴に、思わずイスカンダールも眼を細める。 相剋関係にあるはずの朱鳥と玄武の力がどうしてかその小さな身体には宿っており、それを象徴するかのように左右の瞳がアクアマリンとルビーに煌めく。 またその特性を自身も理解しファッションに取り入れているようで、黒を基調としながらもトリッキーに蒼と紅を大胆にポイント配色した服装でもって、己を着飾っていた。 ここまで個性的な特徴を盛り込んだ人物はこの店の来店客にも中々いないだろうな、とイスカンダールは内心で一人、勝手に関心してしまったほどだ。 「へぇ、バンガードにこんなところあったんだ。結構オシャレじゃん」 そう言いながら物怖じする様子なくカウンターまで進んできた少女は、座っていいか、のジェスチャー代わりにカウンターの椅子を指差しながらイスカンダールを見て、片眉を上げる。 イスカンダールが、勿論と言わんばかりに口の端を釣り上げながらウインクすると、少女は勢いよく飛び乗るように椅子に腰掛けた。 「実は結構前からやっているんだがね。見つけた人はラッキーな、隠れた名店、がコンセプトなのさ」 「名店って、それ普通自分で言うもの?」 「ふふ、これは痛いところを突かれたな。まぁあくまで期待を込めての、経営戦略的な観点さ」 そう言いながらイスカンダールは少女にメニューを手渡す。 「ここは一応バーだからアルコールがメインなのだが、君は酒はいけるクチなのかい?」 「ちゃんと飲んだことはないかな。水は自前で用意できるから困らないしね。あとお酒とか飲んだら多分、ママがすごい怒りそう」 「ふふ、それはいいことだ」 ご丁寧に肩の高さに持ち上げた掌から小さな水の塊を浮かび上がらせつつ少女が言うと、イスカンダールはニヤリと笑いながら返す。 水に比べて腐り難いアルコール飲料は、文明レベルによっては大人だけでなく子供のころから飲料として常飲されることも多い。 それだけ水の確保は文明の発展段階により難易度が大きく異なるのだが、この少女のように術文明が栄えている環境だと、それで用意することができるというわけだ。 「では、ノンアルコールカクテルなど如何かね。まぁ言ってしまえばジュースの類だが、折角バーに来たんだ、雰囲気だけでも楽しんでいってもらわねばな」 「じゃあそれで」 心得た、とばかりに胸に手を添えながら浅く一礼したイスカンダールは、顎に手を当てふむと一瞬考えた後、即座に材料となるボトルのピックアップを始める。 「完全なノンアルコールも勿論出来るんだが・・・数滴垂らすことでアルコール感はほぼ全く感じず本場の風味が加わる、という程度のアクセントはありかな?」 「ん、それくらいなら多分大丈夫かな。昔、おじさんとおばさんが飲んでた術酒を舐めたことくらいはあるし」 術酒とは、魔術を扱う幾つかの世界で定番の、魔力補給を目的として作られる薬酒のことだ。魔術師にとって魔力の枯渇は死活問題なので、彼らは小さな頃から少しずつ術酒を飲んで体に慣らす。そのため副次的に、魔術師は海賊にも負けず劣らずの酒豪なんてこともザラなのである。 だが見たところこの少女は、どうも内包する魔力量が常人とは比較にならない様子。これならば、術酒の類に世話になることはそうそうないだろう。 これは末恐ろしい才能もあったものだとイスカンダールは内心で肩を竦めながら、オーダーに則りカクテルの準備を進めていく。 —カランカラン…コロロン…—— イスカンダールがぐりぐりとオレンジを絞っていると、いつもの様に先程の少女とは反対側の扉が開き、そこからおずおずと店内に入ってくる人影があった。 その来客には流石にイスカンダールも少々驚きの表情を浮かべたが、しかし直ぐに冷静を取り戻して何時ものように落ち着いた声で語りかける。 いつだってここに来る客とは、来るべくして来るものなのだから。 「いらっしゃい」 「・・・ここは・・・って、イスカンダール?」 店に足を踏み入れたのは、一見してさしたる特徴のない、年若い青年だった。 青年はどうやらマスターたるイスカンダールのことを見知っているらしく、彼を見て驚いたような反応をする。 一方、先に来店していた少女は青年から感じる不可思議な「なにか」を敏感に感じ取り、俄然興味津々の様子で青年へと視線を投げかけた。 「ふふ、これは私のちょっとした趣味でな。まぁ気にせず席に着くといい」 青年は、とりあえずイスカンダールに促されるままにカウンター席につこうとし、そして間もなく自分を凝視している少女の存在に気がつく。 そちらをそっと伺うと、隠すこともなく真っ直ぐにガン見されているのが直ぐに確認できた。だがこの少女のことを青年は全く知らないので、なぜ自分が見られているのかは分からない。 その出自やこれまでの経験上、出会った人の顔と名前については正直かなりの精度で把握しているつもりの彼だが、それでもその少女のことは全く記憶になかった。つまるところ、彼女はかつて彼が見てきた世界の住人ではない、ということだけは確かなようだ。 「あの・・・なにか・・・?」 「・・・貴方、人間なの?」 開口一番、少女はとんでもないことを口走る。 その言葉に青年は素直に驚いたように目を見開き、カウンター内のイスカンダールは何故だか関心したように微笑んだ。 「・・・あ、こういう時は先に名乗らないのって失礼なんだよね。あたしはジョセフィン。みんなにはジョーって呼ばれてるわ」 「・・・私はリベルっていうんだ、よろしく。・・・ところでジョー、なんで私が人間じゃないって思ったのかな?」 リベルが改めて椅子に腰掛けながらそう問うと、ジョーはうーんと腕を組みながら首を傾げてみせた。 「・・・なんとなく。あたしもちょっと変な生まれなんだけど・・・でも貴方には、あたしとも異界の戦士とも違う、別の不思議な何かを感じるの。あ、気を悪くしたならごめんなさい」 リベルは「謝る必要はないよ」と応えつつもジョーの第六感とも言うべき直感に驚きながら、状況の説明を求めるようにイスカンダールへ視線を寄越す。 しかし、イスカンダールはニヤリと笑いながら肩を竦ませるだけだった。 どうやら、喋る気はあまりないらしい。 「ま、続きはドリンクを用意してからでどうかな。さて、リベルは何を飲むかね」 何方にとも無くそう言うと、イスカンダールはメニューをリベルに手渡した。 訳は分からない。が、イスカンダールのやっていることならば大丈夫かとリベルは思い直した。彼にとってイスカンダールは、命の恩人といえる存在だ。そのイスカンダールのやっていることならば、そう不味いことにはならないだろう。 リベルは素直にメニューを受け取り、ぺらぺらとめくって中身を見る。 シンプルな文字によるメニューのみの記載だが、中々に分厚い。店の規模にしては随分と種類があるようだ。 「うーん、普段あまり飲まないから、こうもメニューが豊富だと悩むね・・・そしたら、何かおまかせで貰っても?」 「お安い御用だ。そうだな・・・お前さんにディミルヘイムのものを出しても味気ないし・・・」 そう呟きながら腕を組んで数秒思案したイスカンダールは、何かを思いついたのかカウンター下にしゃがみ込み、ゴソゴソと棚下を漁る。 そしてようやくお目当てを見つけたのか、よっこらしょ、と言いながら一本の古びた瓶を抱えて立ち上がった。 「お前さんには、こいつでどうだ。こいつはな、そこのお嬢さん・・・ジョーの世界では幻の酒とも言われている、極上の代物だ」 そう言いながらリベルの前に置いたのは、陶器で作られた酒瓶だ。 自分の名前を呼ばれたジョーも身を乗り出しながらその瓶をまじまじと見るが、酒を飲まない彼女にはいまいちその価値は分かりかねた。 「ふふ、こいつは術酒の系統の頂点にある代物でな、神酒、と呼ばれる。文化や信仰の違いにより、ネクタールやソーマなどと呼ばれることもあるな。まぁ要するに、回復力のすごいお酒、ということだ」 何が回復するのかはさておき、イスカンダールは酒の紹介のあと、改めてカクテル作りに戻る。 予め用意しておいたボトルや絞った果汁などをシェイカーの中に入れ軽くステアし、手際よく氷を詰めて蓋をし、鮮やかな動きでシェイクする。アルコールを入れていないので、シェイクのし過ぎには注意だ。 そして出来上がった代物を少し大き目のカクテルグラスに注ぎ、ジョーの前に差し出した。 「これは、とある地方にある町の名前を関したノンアルコールカクテルでな。名を、フロリダという。禁酒法というバー泣かせの法律が制定されていた時代に考案されたとされる、お酒みたいな雰囲気を味わえるカクテルさ」 「へぇー。見た目は、濃い目のオレンジジュースだね・・・イカ焼きには合わなそう」 ジョーがくんくんとカクテルの香りを嗅いでいるのをよそに、次にリベルの前に置いていた酒瓶を開封し、少し大きめの猪口に神酒を注いでいく。 リベルがその液面を興味深そうにみると、ボトルの外観から想像していたものとは異なり、中身は無色透明だ。香りも主張が激しいわけではなく、しかし華やかでフルーティーな香りが立ち上る。 「いい香り・・・」 「ふふ、そうだろう。この独特な華やかさは、吟醸香といってな。花弁や果実の香りに例えられる」 そう言いながら瓶に封をしたイスカンダールは、召し上がれとばかりに二人に向い両手を広げてみせた。 それに促され、両者はそれぞれグラスを手に持ち、唇につける。 「・・・あ、美味しい」 「ん、美味しい・・・」 二人のシンプルな感想にも、しかしそれこそが最大の褒め言葉だと言わんばかりにイスカンダールが微笑んだ。 大げさではなく、その一言があるからこそバーテンダーをしているのである。 「オレンジジュースを想像したけど、全然違うんだね。なんだろ、ハーブみたいな香りがあってなんか、大人っぽい感じ」 「それが、数滴だけビターズを垂らす効果さ。これの有り無しでは、仕上がりが全く異なるんでね」 ジョーの素直な感想にイスカンダールが応えると、一方のリベルは無言で一通り香りと味を楽しみ、くいっと猪口を傾けて中身を飲み干した。 「お、いい飲みっぷりだねぇ。本当に旨い酒ってのは、気がついたら空っぽになってしまっているものだ。なので普通は飲み過ぎ注意なんだが・・・まぁ、お前さんなら大丈夫だろう」 そう言いながらもう一杯追加で注いでやると、リベルははにかみながらそれを受けた。 そして頂いた杯で再度唇を軽く濡らし、改めてジョーに視線を向ける。 「・・・ジョー。君の言う通り私は、確かに普通の人間というわけではないよ。少しだけ、普通の人よりも長い時間を過ごしているんだ。だから多少は他の人より見知ったものが多いけど・・・でも実は世界の事もお酒の味も思ったより知らない、そんなどこにでもいるような存在だよ」 「それは、長命種ってこと?・・・ロックブーケみたいな古代人とか?」 「ジョーもロックブーケを知っているんだね。うん、まぁ、そんな感じかな・・・?」 リベルが曖昧に笑いながらいうと、ジョーはふぅんと返し、こちらもグラスを傾ける。 「君は、どうなんだい?」 「あたしは生まれつき、人よりちょっとだけ面倒な役割があるってくらいかな。まぁおんなじ境遇の弟がいるから一人ってわけじゃないし、そんなに大変でもないけどね」 「・・・君は、強い人なんだね」 ジョーの言葉にリベルがそう応えると、ジョーは謙遜する様子もなく頷き、ニヤリと微笑んだ。 「うん、あたしは強いよ。最初から強かったけど、ママにも鍛えられたし、お姉ちゃんだし、もっと強くなった」 彼女の言葉の意味はいまいち分からないが、それでもその言葉の中にはきっといろんな出来事があって、様々な経験の末に放たれている言葉なのだろう。 独自にそう解釈したリベルは、目の前の若き才能に対して微笑み、再度杯を傾けた。 「ていうかロックブーケ知ってるってことは、リベルも異界の戦士なの?」 「異界・・・そうだね、多分そうなんだと思う。ジョーはどんな世界に住んでいるんだい?」 「え、外見れば分かるでしょ。ここバンガードのお店だよね?」 「あー・・・うん、ごめん、来たばかりで私自身がよく分かっていないんだと思う」 「そうなんだ、じゃああとで案内してあげるよ」 「それは助かるよ。あ・・・でも残念ながらちょっとこの後たぶん用事があるから、次に会えたら、その時にお願いしようかな・・・?」 二人の中々噛み合いそうにない会話を聞きながら、イスカンダールはあくまで我関せずの表情で、使用したアイテムを洗って清潔な布巾で磨き上げていく。 その後も二人の話題は共通の知り合いたちの話に移行するが、当然それも共通なようで共通ではない知り合いの話であり、そこはかとなく話が噛み合わない。 この組み合わせは中々面白いなぁ、なんて好き勝手に思いながら、イスカンダールはそっと二人の会話に耳を傾け続けるのであった。 登場したお酒(架空物あり) フロリダ 名前の通りフロリダで作られたとされるノンアルコールカクテル。一説では禁酒法の時代に作られたとも言われている。オレンジとレモン、シュガー(orグレナデン)シロップにアンゴスチュラビターズというお酒を数滴垂らしてシェイクしてつくる。お子様向けには、ビターズはないほうが飲みやすい。イカ焼きに合うかどうかは不明。 神酒 RS3世界ではJPを全回復させるというほどの効力を持つ、幻のお酒。術酒、霊酒とは比べ物にならない回復量なので、その分希少性も高い。しかしながら、その希少性故に取っておいた挙げ句に結局使わずクリアしてしまう者も多いという(?)。 作中の味わいとしては、日本酒の吟醸酒をイメージした。吟醸酒の中でも辛口めのあっさりテイストが筆者的には好みです。 BAR「イスカンダリア」一覧に戻る TOPに戻る
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もうちょっとで夏休みを迎えるある夜のこと。一般人が寝静まった深夜に蠢く者達。彼等は自らを救済委員と呼ぶ。 「ここは私が!」 「あ、待って安田さん!!」 救済委員とは、風紀委員や警備員に救われなかった者・正当に評価されない者・それらを嘆く者で構成された組織である。 よく言えば風紀委員や警備員の目が届かない所を補助する自警団のような存在であり、 悪く言えば風紀委員や警備員でもないのに、勝手に犯罪者を取り締まっている存在である。 「(この石を『劣化転送』で・・・)」 バチバチ!! 「キャッ!!」 「爆竹だと!?ハッ!危ないでござる、安田殿!!」 「えっ?」 「死ねええぇぇ!!」 スローガンは何の因果か風紀委員と同じ『己の信念に従い正しいと感じた行動をするべし』というのを掲げている。 主な標的はスキルアウトや無能力者狩りである。今夜はその標的の1つであるスキルアウトを潰しているのだ。 「やらせはせぬぞおおぉぉ!!!」 「鴉!?」 「グハッ!!」 「かつて誓った決意・・・それは決してか弱き者達を見捨てないこと!!俺は俺の誓いに殉じるまでよ!!」 「し、師匠!!」 ピカー!! 「あの光の色は・・・」 「警備員が駆け付けて来たっていう刺界の合図ってね。もしかしたらさっきの爆竹のせいかも?」 「どうする花多狩?」 「すぐにここから離れるべきね。仲場は刺界と連絡を取りながら逃走ルートの確保を!農条は残存しているスキルアウト達を撒いて頂戴!」 「わかった。すぐに合図を送るからな」 「了解ってね。さぁ、『土砂煙幕』の出番だ!そりゃあああ!!」 警備員の接近を知り、戦闘の中断を決める花多狩。彼女は穏健派救済委員の中では指揮官的役割を負っている。 それは、彼女が何の能力も持たないレベル0であることと無関係とは言えないであろう。 そんな彼女の指示を受け、農条は己の能力『土砂煙幕』によって作った土団子を戦闘可能なスキルアウトにブン投げる。 スキルアウトの体や近くの地面に触れた土団子は爆発し、煙幕を発生させる。土団子自体に直接的な威力は無いが、 煙幕を張ることで逃走に役立てるという応用も可能なのだ。 「さあ!!安田さんも早く!」 「で、でも・・・」 「安田ちゃん!ここはさっさとズラがるんだ!警備員に見付かったらメンドクサイってね!」 この場を離れることに躊躇する安田もとい春咲の手を花多狩と農条が引っ張って退散していく。 春咲は思わず後ろを振り向く。その視線の先には煙幕に苦しむスキルアウトと急行してきた警備員の姿があった。 「ふ~、結構ヤバかったってね。間一髪ってヤツ?」 「でござるな。拙者も冷や汗をかいてしまった」 「刺界の的確な誘導が無かったら捕まってたかもな。サンキュ、刺界」 「滅相もありません!!自分には先輩方を後方から補佐する程度のことしかできません!!むしろ、共に前線で戦えないことを恥じております!!」 「そんなことはないわ、刺界。私だって・・・レベル0だけど、こうやって皆に指示を出すことで共に戦えているもの。 大事なのは“自分にできる最大限のこと”を見極めることよ。そして、貴方はそれをちゃんと見極められているわ」 「ありがとうございます!!花多狩先輩!!」 「・・・!!くっ・・・」 ここは、第7学区のある倉庫街の一角。穏健派救済委員の溜まり場の1つである。 彼等は、先程の警備員の追跡を掻い潜ってここに辿り着いたのである。 「“指示を出す”ねぇ・・・。それだけじゃ無いでしょ、花多狩姐さん。もしそれだけなら『演算銃器』なんて物騒な物はいらないし」 「能力者じゃ無い私にとって、これは護身用の武器よ。無能力者狩りとも戦う時もあるんだし、これくらいの武装は必要よ」 花多狩が肩にぶら下げているソレは、引き金の手前に太いマガジンが二本突き刺さった、奇妙なフォルムの大型拳銃。 『演算銃器』と呼ばれる学園都市製の銃器は、花多狩にとっては切り札的武器でもある。 「安田殿。大丈夫でござるか?」 「は、はい。ケガとかは特に」 「あ!でもライダースが土で汚れちゃってるね。俺が慌てて土団子を投げちゃったからなあ。ゴメン」 「い、いいんです。逃走のために土団子による煙幕は必要でしたし。ボーっとしていた私が悪いんです」 「安田ちゃん・・・」 「安田嬢よ!!」 「ビクッ!!は、はい。な、何でしょう、啄さん?」 「お前は・・・似ている」 「はい?」 「かつて俺を救ったあの娘に。俺はあの娘によって生まれ変わることができたのだ」 「え・・・え~と」 「そんなお前が救済委員に入ってきたことに俺は運命を感じずにはいられない!!俺は、お前が傷付く所を、汚れてしまう所を見たくない!!」 「あ、あの~」 「ということで、これを汚れてしまったライダースの代わりに着用するのだ!!刺界のコレクションなるこの『閃天動地』を!!」 「ただの電飾が付いたスーツじゃないですか!!すごい大層なネーミングですけど、これってただの変態スーツですよね!?」 「今度から十二人委員会ではこの『閃天動地』の着用を義務付けようと検討している最中なのだ。どうだ?お前も入るか?」 「何勝手に怪しい委員会に所属させようとしてるんですか!?そもそも十二人委員会って名前の通り、もう十二人いるんじゃないんですか?」 「いや、実を言うと俺、志道、ゲコ太、刺界以外の8名は欠番なのだ」 「はいっ!?それって十二人委員会じゃ無いですよね?四人委員会ですよね?」 「その論理ではな。それにお前が加われば五人委員会になるぞ」 「だから、人を勝手に所属させないで下さい!!そもそも十二人委員会って何ですか!?」 「元は俺が作った組織だ。組織の概要や成り立ちを話せば長くなるが・・・そうだな、まず」 「いや、いいです。結構です。聞きたくありません。興味も関心も一切無いので、はい」 「そうか?それは残念だ。ということでこの『閃天動地』を・・・」 「何が『ということで』ですか!?そもそも女の子を無理矢理着替えさせること自体に何の疑問も抱かないんですかー!!?」 啄達の騒がしい声が深夜の空気に木霊する。そのやり取りを眺めながら花多狩は農条に声を掛ける。 「どう思う、農条」 「どう思うって、花多狩姐さん?」 「安田さんのことよ。貴方から見てどう?」 「安田ちゃんか・・・。何て言うか、すごい意地っ張りに見えるってね」 「意地っ張りね・・・。私も似たような感想よ」 2人が話すのは春咲について。ここの所続いている春咲の行動について。 「所謂スタンドプレイ・・・とでも言うのかしら。協調性が欠けているというか、無理矢理出張るというか。 デビュー戦もそうだし今回もそうだったけど、自分が前へ出るって意思が強過ぎるわ。彼女自身は否定するけど」 「最初の自己紹介の時は結構弱気な娘と思ってたけど、案外我が強いタイプだったのかな?」 「それにしたって戦闘慣れしていないのは今日の戦闘でも明らかなんだし。あんな行動を続けていれば・・・本当に命が危ないわ」 「・・・うん」 「そもそも人に頼ることを嫌がってるのがねえ。そりゃあ救済委員って結構自分がーってタイプは多いけど。特に過激派の連中はね。 でも、安田さんの場合は・・・何だか無理をしている風にしか見えないわ」 まだ出会って間もない花多狩や農条の目から見ても春咲の行動や態度に危ういモノが潜んでいることがわかってしまう。 それは、春咲が無理をしていることに他ならない。 「どうして彼女みたいな人が救済委員になりたがったのか・・・。よくわからないわ」 「俺もってね。・・・そこんトコはどうなのさ、刺界?」 農場が声を掛けたのはガスマスクを装着した刺界もとい界刺。彼は啄達の輪から離れており、花多狩達の近くに腰を下ろしていた。 「お前みたいな奴が何であんな娘に付いているのか疑問ってね。アドバイスみたいなことも一切しないし。・・・もしかして惚れた弱み?」 「農条・・・茶化さないの。でも、私も農条と同意見よ。貴方みたいに自分のできることを見極めている人が何で・・・。 こんなことを言うのは失礼かもしれないけど・・・貴方は安田さんの何を尊敬しているの?」 農条と花多狩は疑問を抱く。 “自分にできる最大限のこと”を理解している者が、“自分にできる最大限のこと”を理解していない者に何のアドバイスもせずにただ見ているだけ。 不可解でしかない2人の関係。疑問しか浮かばない農条と花多狩だったが・・・ 「『無能力者やレベルの低い能力者の気持ちを知ろうとすらしない奴なんて生きる価値無し』」 「「えっ?」」 「あの娘はそう言った(厳密には言っていないが)。だから俺は『ここ』にいる。あの娘が言った事が正しいのか。それとも間違っているのか。 あの娘が『ここ』で何を得るのか。希望か・・・それとも絶望か。俺はそれを見極めるために・・・『ここ』にいる。 勘違いするなよ。俺はあの娘のために何かをしようなんざ考えちゃいない。あの娘がどうなろうが知ったこっちゃないよ。個人的にムカつくしな」 「貴方・・・一体」 突如口調が変わったガスマスクの男に警戒心が芽生える花多狩。だが、ガスマスクの男はそんな花多狩の態度を意にも介さない。 「別に君達に危害を加えるつもりは無い。今の所は。それは彼女も同じ。彼女は君達を騙そうとか罰しようとか、そんなことは望んでいないよ。 いや・・・むしろ、彼女は“自分が罰せられること”を望んでいるのかもしれないね」 「“自分が罰せられる”・・・?」 「まぁ、そんなことを今話していてもどうにもならないよ。いずれわかることだし。それまではどうかよしなに、救済委員サン?」 まるで、自分は救済委員では無いとでも言うかのような口振りに言葉を無くす花多狩。 「ハハッ!面白い奴だなあ。君も彼女もってね」 「農条・・・」 そんな花多狩とは対照的に笑い始める農条。 「いいじゃない、花多狩姐さん。俺達に危害を加えるつもりは無いって言っているんだし」 「で、でも」 「彼女が何であんな行動や態度をするのかサッパリわからなかったけど・・・結構根が深そうってね。なのに、君は彼女を見捨てないんだな。 やっぱり・・・惚れた弱みってヤツかな。それともツンデレってヤツ?」 「・・・」 「安田ちゃんが抱えているモノは俺にはよくわからないけど、それってすごく重たいモノなんだってのはわかる。そのせいで彼女が苦しんでいるってのも。 なら、俺達救済委員が責任を持って救ってやらないといけないんじゃないのか、花多狩姐さん? 少なくとも俺は、救済委員ってのはそういう苦しみを抱えてるヤツを見放しちゃあいけないと思ってるってね!」 普段・戦時問わず結構おちゃらけている農条の顔は何時しか真剣な表情になっていた。それは、己が正義を貫くためか。 「・・・そうね。貴方の言う通りだわ、農条。何だか初心を思い出したって気分。私がどうして救済委員になったのかって・・・その初心をね」 花多狩の初心。なんの能力も持たない自分も何か出来ないかと考えたのが救済委員になった根源であった。 「『己の信念に従い正しいと感じた行動をするべし』。今の安田さんがこのスローガンの通りに動いているかは疑問だけど・・・。 だったら、私達が彼女を導いてあげればいいのよね。彼女にも救済委員になろうと思った理由がある。 それは、きっと軽くて・・・でもとても重いモノ。その重いモノを、私達が支えてあげましょう!!」 「そうこなくっちゃってね!よーし!やる気がでてきたぞおおぉぉ!!」 新たな決意を固める花多狩と俄然やる気が出て来た農条。 穏健派救済委員の良心的存在であるこの2人は、何だかんだ言っても他人を見捨てることができない人間である。 「ってことになったけど、刺界はどうすんだ?」 「刺界は・・・やっぱり何もしないの?」 その2人が改めて界刺に問う。問われた界刺は啄達の手によって電飾スーツに着替えさせられようとしている春咲を目に映し、 「ああ。俺は何もしないよ。あの娘に何が起きようとも。ただ見極めるだけさ。・・・・・・今の所はね」 “春咲桜に何かあっても自分は何もしない”。そう言い放ったのであった。 continue!!
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更新日:2010-12-14 作 者 名: ワイルド オスカー ローマ字表記: Wilde, Oscar 作 品: 「ドリアン・グレイの肖像」「しあわせの王子」(別題「幸福な王子」他)「獄中記」「ナイチンゲールと薔薇」「漁師とその魂」(別題「漁夫とその魂」)「テレニイ」 レ ス: 名作文芸・ここがアヤシイ http //www2.bbspink.com/801/kako/979/979005213.html 25 名前: 風と木の名無しさん オスカー・ワイルドのドリアン・グレイの肖像 ドリアン(実在したらしい)が、若く美しいままでいてくれたら・・ というワイルド自身の願いをそのまま小説にしたものなんだって。 ワイルドは恋人も絶世の美男子。。。 33 名前: 風と木の名無しさん 29 「幸福の王子」? 37 名前: 風と木の名無しさん 33 そうそう!それ! 子供のころ大好きだったのだけど、 実は…ワイルド作だったのを大人になってから知りまして お気に入りだった理由がわかった気がしたのだった。 38 名前: 風と木の名無しさん つばめ×王子だよね。 つばめはちょっとサド入ってる・・・ 39 名前: 風と木の名無しさん お仲間が・・・。自分も、最近になって何で「幸福の王子」が 好きなのか気付いちゃったよ。 擬人化萌え。 50 名前: 風と木の名無しさん 37 私も~!! 「幸福の王子」は私の人生における、ホモ道の第一歩でした。 小説@801板 http //www2.bbspink.com/801/kako/1010/10107/1010715899.html 174 名前: 風と木の名無しさん オスカーワイルド系どうっすか? 176 名前: 風と木の名無しさん 174 ワイルドなら「ドリアングレイの肖像」?あれモデルいるらしいね。 ウィトゲンシュタインも同じケンブリッジだし・・。ケンブリッジ萌え~ heart 178 名前: 風と木の名無しさん 176 原本では少し801臭があったらしいね。<ドリアン 作者も、ホモだしね… 179 名前: 風と木の名無しさん 178 え!そうなの?ドリアングレイ801も原本は出てくるの?読みたい・・。 少なくとも岩波じゃ無理か・・。 やっぱり流石オスカーワイルドは正統派のイギリス紳士 ホモだよね♪ 【活字】801図書館【総合】 http //www2.bbspink.com/801/kako/1029/10290/1029095772.html 23 名前: 風と木の名無しさん 子供が読書感想文書くのに「しあわせの王子」を借りてきた。 改めて読んでみて、けなげなつばめに涙してしまった。 24 名前: 風と木の名無しさん 23 「しあわせの王子」は泣ける。ヨコシマ抜きで泣ける。 関係ないけど、作者はホモ裁判で有罪になったんだよ。 26 名前: 風と木の名無しさん オスカー・ワイルドなら「ドリアン・グレイの肖像」が画家→主人公って 感じで萌えました。あと人魚の話(アンデルセンとは別物)もヨコシマじゃ ないけど泣けた。「幸せの王子」でも号泣。 25さんの期待するような話じゃなくてすみません…どなたかよろしくです。 28 名前: 風と木の名無しさん オスカー・ワイルド、「獄中記」というホモ裁判の顛末を 書いた手記も出しているんだよね。 以前、古い本を図書館で借りて読んだときには 相手との恋愛のあれこれとかも書いてあって萌えたんだけど、 その後、復刊されたのを買ったら、萌えどころが全部カットされていた。 ショックでちた。 185 名前: 風と木の名無しさん そんな最近はオスカーワイルドの「サ□メ」に出てくるヘロディアスの侍童とシリア人の どっちが受け攻めなのか気になって夜も眠れません・・・ 誰か教えてくだちい・・.゜.(ノД`).゜.。 【活字】 801図書館 2 【総合】 http //pie.bbspink.com/test/read.cgi/801/1044893532/ 85 名前: 風と木の名無しさん 絶対既出だと思うんだが 「ドリアン・グレイの肖像」 ドリアンがアランを脅して、殺人の片棒を担がせるでしょう。 その脅しのネタは何なのかってのが、最後まで明かされないところがヒワイ。 あと…女性観がムゴイ。 ワイルドってホントーにホモだったんだと、実感できる。 87 名前: 風と木の名無しさん 85 ワイルドで女性観がひどいと言えば、「ナイチンゲールと薔薇」もそうですね。 小学生の頃楽しんで見てた「まんが世界昔ばなし」でやってたのを見て ヒロインに対して、子ども心にも同族嫌悪のようなものを覚えましたが、 大きくなってから原典を見たらもっと酷かった… 【活字】 801図書館 3 【総合】 http //pie.bbspink.com/test/read.cgi/801/1093773483/ 838 名前:風と木の名無しさん :2005/11/30(水) 10 23 03 ID INrmY+8x 837 yeah 今後訳してくれる神はあらわれるだろうか つか原文嫁ってことすねorz でもライトポルノの「テレ二一」ですら息も絶え絶えなんですorz∞ 【活字】 801図書館 4 【総合】 http //sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1140162594/ 55 :風と木の名無しさん:2006/03/20(月) 20 31 15 ID rPk9cIOx 54 情報ありがとう…でも星ch見られないんだ。他の局でやるのを待つよ。 それだけじゃ何なので、先日古書店で買った0・ワイノレド「テレ二イ」 (訳・宮/西豊逸、昭和45年二見書房)を読みました。文学的で散文調の 文章で奔放なエロが綴られてるエロ小説という偏見を抱いてましたが、 今の日本のBLそのまんまでした(文章は格調高いけど)。 19世紀後半~20世紀前半のある種の英国文学って、日本の腐女子と趣味が ものすごく近いと思います。 56 :風と木の名無しさん:2006/03/22(水) 00 26 02 ID QWBWgkgd Telenyって真作論争があるやつかな? 邦訳があるのは知らなかった・・・ 57 :風と木の名無しさん:2006/03/22(水) 00 41 42 ID tKeEal7H 56 戦後、日本では何度か翻訳が出てるらしいよ。ポルノだから小部数でコッソリ、 なもんであんまり出回ってないけど。いちばん新しくて、普及したのがその 二見書房版(ハードカバー)じゃないかな。 作者はスウィンバ一ソ?ワイノレド?みたいな論争はあったけど、今ではどこも ワイノレド作ってことになってるね。英国で彼の著書として売ってるんだから、 ワイノレド決定か。 幻のポルノ、ゲイ小説の古典って扱いだったから、ものすごくレトロなものか 哲学的なものを想像してたんだけど、モ一リスみたいな恋愛小説だったのね。 ベッドシーンが多いけど、でも愛の告白の場面なんか切なくて泣けた! 58 :風と木の名無しさん:2006/03/22(水) 10 26 02 ID 0d1VzK38 ☆chのはそのうちヲウヲウにくることもあるらしいので、是非その時にでも! (って、ヲウも未加入でしたらゴメソorz) でもってテレ二イ!耽美小説・ゲイ文学ブックガイド見て以来とにかく読みたくて 当時国会図書館行って後半分コピり、現地で前半分必死で読んだ土曜の午後。 故・宮西氏訳はかなりドリアソ・グレエ意識したよな格調高い超訳と思いきや 原文もけっこうエロティカ路線じゃない美文調、なるほどワイノレド、と思ったすw (つか、元はフランス語で書かれたそうで。ところどころ仏語入ってワカンネっての) で、そんな苦労したのに、去年ちょろっとググったら某都内古書店で簡単に買え 何年もの片想いが軽く実ったようで拍子抜けしたものですw P・了クロイド「オス力一ワイノレドの遺言」だかに〒レ二イっぽいポルノを 書いて友人知人と回し読み?みたいな場面も書かれてなかったかしら。 ちょっと時代が前になるけど、多分裏イエロ一ブックみたいのもいっぱい あったし、ワイノレドなんかも世にでてないのが沢山あるんだろうなと勝手に想像w スウィソバーソといえば、ゲイものじゃないけどやっぱ似たよなポルノ?ぽい 「フ口ッシ一」が今普通に売られてて隔世。。良い時代だなぁ・・ 60 :風と木の名無しさん:2006/03/27(月) 19 40 46 ID tIJIfee1 58 翻訳版テレ二イを読んだんですが、終わり方が「応援ありがとうございました。 ワイルド先生の新作にご期待ください」みたいなジャンプの打ち切り的唐突さで 少々面食らいました。起承転結の転の所で終了した印象です。 あれは、日本語翻訳版が削られていたとかいうことではなく、原作もああいう 終わり方なんでしょうか? 62 :風と木の名無しさん:2006/03/29(水) 14 45 58 ID eKV0GTZh >60 えーと、自分の持ってるテレ二イは初版(S45年)のもので 原書として出てる洋書の方の版はわからないけど 「で、ブリアソクーノレと母親云々 ~ それはまた別の機会に~」 で終わるラストは同じ。60さんの翻訳版がこれ以外の ラストでなければ、削られてはないかと。(全8章・最後はTの死) 正直ググってもあんまりわかりませんね。 読んだ時はパーティーでのワインボトルプレイにおののきまくったせいか 読後はあのラストでもそれほど唐突とは感じなかったっす。。 あ、でもポルノグラフィは往々にして書き手が飽きて途中投げ出し はよくあるみたいだし、ワイノレドも例に洩れなかったのかも…と勝手推測w とりあえず、今読んでる「通/過儀/礼」1/3読んだ。けど なかなか萌え展開にならず悶々中… 63 :風と木の名無しさん:2006/03/29(水) 19 59 53 ID NCsQ8Dpg 62 教えていただきありがとうございます。 ワイルド……同人作家みたいな香具師。 64 :風と木の名無しさん:2006/03/32(土) 19 33 42 ID NjdGH7Og その点、EMフォス夕一はきちんと最後まで書いてて偉い。性格か。 206 :風と木の名無しさん:2006/06/22(木) 09 33 23 ID 6qVzz4ks だけでもなんなので、The Sins of the City of the plainという Telenyより10数年前に書かれたヴィクトリアン時代のエロティカ読んでますが シリアス調のTelenyよりちょっと天然アホアホ入ってて可笑しい。 ほっそり美少年でもモノ自慢な主人公が、筋骨隆々クマ系使用人50歳男と イー感じになっていよいよ夜を迎えたら おじさん「Fxxk me my mancxnt」 Σ(´д`;)?なんかずっこけたw ゲイビでもよく見るけどビミョウ・・ 226 :風と木の名無しさん:2006/07/05(水) 02 52 33 ID MWeO9zay 某出版社から「これが/私たちの/ベスト/セレクション」という、 BL的に読める文芸作品を紹介するような本が出ていたので 読んでみましたが… いまさらだなあ、って感じの本がほとんど。 あと、同じ作者でも「どうしてこっちの作品を選ぶかなあ?」と 首をかしげてしまうパターン多し。 227 :風と木の名無しさん:2006/07/05(水) 07 04 10 ID k/JiqN5N 226 ぐぐってラインナップみたけど海外モノは無いんだね。 あと僧籍の「こころ」があってミツマ作品がないのが意外。 228 :風と木の名無しさん:2006/07/05(水) 07 46 38 ID QwJgCnz3 227 海外物もミツマもあるよ。ミツマのは「仮面の告白」 アン・ライスとかタニス・リーとかオスカー・ワイルドとか。 1作家1作品なためか、無難なものがそろってる感じはある。 【活字】 801図書館 5 【総合】 http //sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1185067304/ 140 :風と木の名無しさん:2007/10/06(土) 18 54 24 ID PqvlxpCmO 男達の死にオチ(心中でも事故でも)な小説で何かお勧めない? 141 :風と木の名無しさん:2007/10/06(土) 19 11 59 ID HZFzkeBw0 140 真っ先に思いついたのは「幸福/の王子」 145 :風と木の名無しさん:2007/10/06(土) 22 24 30 ID G8QWTYQw0 すいません、今読んでる最中の小説のオチ(死に)を上スレでさらっと バラされてしまったので、これ以上死にオチネタの話は勘弁してください(´;ω;`) 146 :風と木の名無しさん:2007/10/06(土) 23 11 25 ID Xm0L54g90 カワイソスww 147 :140:2007/10/07(日) 11 51 57 ID K9XJ8EctO 145 大変申し訳ない!そこに考えがまわらんかったorz 姐さん方ども! 今日いろいろ見てくるよ なぜに幸/福の王子?と思ったが ゲイ短/編/小/説/集なるものを発見して俄然興味が湧いたwww 【活字】 801図書館 6 【総合】 http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/801/1198722830/ 293 :風と木の名無しさん:2008/11/20(木) 20 28 08 ID 1LnXyP/30 オスカー・ワイルドの「ドリアン・グレイの肖像」とかどうか。 言葉攻めヘンリー卿攻め×バジル恥じらい受け。 快楽主義者ヘンリー攻め×ドリアン女王様受け。 ドリアン女王様&バジル百合。 色々できてうまー。 ▲PAGETOP 今日: - 昨日: - 合計: -
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ダーク♂未来日記 ここ、ゲイパレスは一見普通のホテル。 ただし実際、中身はパンツレスラー達が集う場所。 この場所でビリーとカズヤは熱戦を繰り広げた。 ロッカールームではビオランテとTDNが熱戦を繰り広げた。 そう、ここは普通というよりも神聖な場所に近い。 ゲイパレス、君達を歓迎する。植え付けを行う♂ 入るとカウンターがある。受付には鎌田吾作がいた筈だ。 だが彼は今、不在だった。蟹になる為の何かでもしているのだろうか? 一室へと入ると、トレーニングルームがそこにはあります。 ここで歪みねえボディを更に鍛えているという訳です。 別の部屋には、シャワールーム。森の妖精達は気持ち良さそう。 ただし現在は一人もいない無人。それは何処の部屋も一緒。 ………ただ、例外が一つあった。 ビオランテとTDNが戦ったロッカールームに一つの影が存在していた。 ◆◇ 「ふむ……」 一言、そう発した男。 手元には何やら黒い何かがある。 いや彼はTDNコスギ。闇の技を使用する者。 そのアーマーもほとんどが黒、これが似合うのは彼ぐらいだろう。 闇の妖精でもあるTDNが見ているのは黒い紙。 内容は、選ばれたという報告だ。 未来日記というものを所持することが出来るというらしい。 TDNが読んでいるものは、その未来日記の説明書。 説明書なのに黒いのはどういうことなのか………。 尤もTDNにとってはこの方が己に相応しいと思っているようだが。 「ダーク♂日記。エリア内のみで、闇の心による行動を察知出来る。 簡単に言えば、誰かを殺そうとしたり恨んだりする心が日記に現れる。 その心情がエリア内のみという代償もあって繊細に表示される、か。」 TDNの未来日記は、そんな内容のものだった。 直ぐにTDNはこれの活用法を考え付く。 闇は素人には危険な物、闇の部分をつけば精神はいとも簡単に崩れる。 TDN程に闇をマスターすれば闇に負ける事も無く精神は強く持つ。 この未来日記は、所持する者の精神力が強い程活用出来る。 日記に表示されるのは、その者の闇の心。 その闇を知って、耐えれるか?善人にはおそらく無理な話。 例え受け止めても活用出来ない。直ぐにそんな考えを捨てろと言うぐらい。 それじゃ、未来日記の本来の力なんて到底発揮する事は出来ない。 だからTDNなら、これを使いこなせる。 TDNが発した言葉で最も有名であろう言葉、Fuck you。 挑発はTDNの得意分野。ビオランテ戦を有利に運んだのもこれがある。 情に任せて動かす身体なんていとも簡単に動きが読めてしまう。 この日記はTDNの戦法と上手くマッチするのだ。 奇襲として超スピードキックをしたり、ナウイ息子を握りつぶしながら笑ったり、 TDNの戦い方は非常に陰湿で残虐。 もう一人、TDNにはVAN様というキャラがいる。 こちらが本来の姿だろう。TDNはあくまでパンツレスリングにおいての名。 ボンデージ・マスターでの闇の妖精っぷりはまさにVAN様。 吾作やスカル乳首兄弟を執拗にダーク♂潮干狩り。 その後は反乱によって攻撃される立場になるが、最後にはFuck you!!と叫んでいる。 VAN様はまさに闇の住人。凄くドSなのである。 このバトルロワイアルはまさに闇のゲームといえる内容だ。 TDNは少し考える。このダーク♂日記をどんな目的で使用するか。 このダーク♂殺し合いで、どういった行動を取るか。 (俺は別に人を殺すことを躊躇ってる訳じゃない。やろうと思えば簡単だ。 このダーク♂日記があることで、より確実となる。優勝を狙うのも良し。 ……だがここにあのMADを作成した平家BOY達がいたならばどうだろうか? こんな形でも、俺のファンでいてくれる者達がいる。俺はそのファンをどうする? MADは素晴らしい。中でも一番のお気に入りはEvan様だ。あんな動画を作るには、 それだけの時間を費やしたに違いない。それ程に俺を応援してくれる者がいる。 俺が死ぬなんてあり得ない話だ。ただ、万が一……というのもある。 この首輪だ。首輪が俺の命を一瞬で奪う可能性がある。 これを解除する方法を模索するのは、非常に大事な事ではないだろうか? 俺はそう思う。だから、俺は首輪を解除する方法を探しつつ自身を守る。 ………そういった行動でいいだろう。殺し合いも悪くはないんだがな。) そこまで考えて、もう一度ダーク♂日記の詳細を読む。 そして大事な所を復唱。 「……ふむ、これがハカーイされると超スピード!?で存在が抹消されるのか」 未来日記に共通する弱点は、自身の身体に加えて未来日記を守らなければならないという負担。 どんなに強い肉体でも未来日記に一撃が入れば一瞬にして消えてしまう。 それだけは非常に厄介だ。TDNは頻繁に使用するのは危険か、と踏む。 こうしてる間に奇襲でもされて壊されでもすれば冗談では済まない。 「………どうやら、いきなり本番みたいだな」 そう呟くと、TDNはダーク♂日記をデイパック内へと仕舞う。 中に入れた瞬時、静かな空間に僅かな物音が響く。 その場所は、TDNの背後だ。 「Yeah!!!」 TDNがそう叫ぶと、超スピード横っ跳び。 直ぐに自分にいた場所に蹴りを一発いれる。 何もいないなら謎の行為にしか見えないが、これは違う。 奇襲をしてきた者に対しての攻撃だ。 ぶつかる感触がする。TDNの読みは完璧だった。 その通りに奇襲者は引っかかり、地面へと身体を倒した。 直ぐに倒れた場所へとかけつけ、相手を取り押さえようとする。 だが相手もやり手だったようだ。受身を取ると直ぐに隠れてしまっていた。 舌打ちを一つするがTDNはそれでも威圧感を出して相手が出るのを待つ。 「………そこか!」 そう発すると共に、奇襲者の姿がそこに映った。 素早い動き、そして予想外な事が発生する。 相手はナイフを投げて来た。10本程度だ。 ただその方角はバラバラで、斜め上や下、真っ直ぐ、様々な角度に向かってナイフは飛ぶ。 TDNはよく分からない行動に少し戸惑いつつも、自身に飛ぶものだけを交そうとする。 そしてナイフが壁や天井、床にぶつかる瞬間―――そのナイフは謎の原理で反射した。 「何っ……Ah!!」 突然だった。予想外な攻撃にTDNはそのナイフ全てを避ける事が出来ない。 その場の判断によって、命だけは助かった。反射を確認すると態勢を低くして横に転がる。 ダーク♂最強とんがりコーン横ver。それでもナイフの一つや二つには掠った。 身体の一部に斬り傷が入る。初戦から傷を入れられてしまうとは思っていなかった。 それからゆっくりする時間なんて無い。相手はまだ残っているナイフで突撃してくる。 今回はこちらの態勢によって辛い状況だ。避けるには相手を崩すしかない。 TDNは隙を見計らって、相手の足元を崩そうと狙う。 だが相手のが一枚上手だった。相手は壁にナイフを投げて反射。 その反射したナイフはTDNの方へ。TDNから見ればナイフは横から来る。 ナイフを見てからTDNはどこかの方向へと逃げてナイフを避けるしかない。 今の状況だと後ろに逃げるしか道は無い。TDNは後ろへと移動してナイフを避ける。 勿論、頭の良い相手は後ろに逃げると予想していた。 「なっ……くっ……」 相手は後ろへと逃げたTDNに容赦無くナイフを振り下ろす。 不幸中の幸い、斬られた場所は右肩の辺り。 これが首元や心臓部分ならさすがのTDNでも不味かっただろう。 だがTDNもやり手。即座に取り出した熊手型スタンガンで相手の足元を攻撃した。 これが命中して、相手の足元は崩れる。TDNは右肩に傷が入りつつも攻撃のチャンスを逃さない。 地に座った状態から思いっきりキックを浴びせる。 そして相手が投げたナイフを二、三本速やかに回収して一本を投げつける。 これが予想以上に真っ直ぐ飛ぶ。その軌道は確かに相手をとらえた。 ナイフは上手いこと相手に命中。その場所は右肩。TDNが受けた所と同じ。 相手もやり手。痛いダメージを負いつつも周辺に幾つか落ちてるナイフを拾い上げる。 それを投げず、ここは賢く逃走した。今の状況では厳しいと踏んだのだ。 よって、自然の勝者はTDNとなる。だが、傷が深いのはTDNの方といえる。 TDNは相手が置いていったナイフを回収。合計で5本がTDNの手に渡った。 「……成程、それなりに強い奴等が揃っているみたいだな。面白いじゃないか。 女でもあそこまでやるっていうのなら、容赦はしない。いや、始めから女に手加減するつもりはないが。 ………面白い一日になりそうだ。」 TDNは、傷を負いつつも笑みを浮かべて今日を期待した。 強者同士の戦い。見てて面白いものだ。 この自分でも苦戦するぐらい強い相手が揃っている。 一筋縄ではいかないぐらいが丁度良い。TDNは俄然、やる気が入った。 「だが首輪が先か。気に入らない。この首輪一つで俺の命が左右されるなんてな」 無闇に人を襲うつもりはないが、戦う相手は容赦無くぶっ潰す。 そうしたいが、先ずやりたいのは気に入らない首輪の解除だった。 闇の心を読める未来日記も活用して、TDNはどう殺し合いの舞台を進んでいくのだろうか? ◆◇ 「ユッキーごめんね……私、失敗しちゃったよ……」 ゲイパレス内の何処かの一室で、失敗を悔やむ者が一人。 天野雪輝を愛して病んでいる雪輝日記の所有者、2nd。 異常と言われる我妻由乃。彼女こそがTDNと交戦をかわした者。 そして今、言葉の通りTDNを殺害出来なかった悔みを嘆いているのだ。 駄目と感じたのは、あの反射するナイフの策でも殺せなかった時。 力量では不利。だから頭脳で。ナイフの反射で相手の隙を完全に突く。 戸惑う相手を問答無用に刺殺する予定だった。でも相手は強かった。 由乃の異常な強さに敵うぐらいに強者だった。奇襲程度じゃ戸惑わない。 即座にスタンガンで足元を崩され、挙句にはナイフで傷を負って奪われた。 20本あったナイフは15本へと減少。武器を奪われてしまったのは大きな失敗。 ただTDNも日記所有者であるということを知る事が出来た。 相手にはこちらが日記所有者であるとは知られていない。 ただ、こんな事は有利不利を左右しない。由乃の未来日記は雪輝日記だから。 10分おきに天野雪輝の行動が書かれる日記。由乃自身の事はあまり書かれない。 由乃は雪輝日記を閲覧する。今、ユッキーがどうなってるか知る為に。 00 00 ユッキーが目覚める。どうしようか悩んでいる。 00 10 まだユッキーは悩んでいるみたい。 00 20 ユッキーに女が接近。互いに自己紹介をしたみたい。 その文章を見て、由乃の殺意のボルテージが上がる。 ユッキーに汚いゴミが近付いた。この事が許せない。 早くユッキーと出会って、自分がユッキーを守らなきゃ。 由乃はそう思って、直ぐにゲイパレスから出ようと行動を起こした。 TDNの事は保留。第一に考えるのはユッキーの為なのだから。 (待っててねユッキー。私が守ってあげる。) 【B-5 ゲイパレス ロッカールーム・一日目/深夜】 【TDNコスギ@本格的 ガチムチパンツレスリング】 【状態】身体二か所に軽い傷 右肩に斬り傷 【服装】TDNアーマー 【装備】咲夜のナイフ×5@東方Project 【道具】基本支給品 ダーク♂日記@オリジナル未来日記 ダーク熊手@本格的 ガチムチパンツレスリング 【思考】基本思考:先ずは首輪を外す。襲撃者は容赦無く相手にする。 1、あの女やるな……。 2、首輪が気に入らない。 【B-5 ゲイパレス 何処かの部屋・一日目/深夜】 【我妻由乃@未来日記】 【状態】右肩に斬り傷 【服装】由乃の服 【装備】咲夜のナイフ×15@東方Project 【道具】基本支給品 雪輝日記@未来日記 【思考】基本思考:全てはユッキーの為に…… 1、ユッキーを探す。 2、近付く者は全員殺す。 3、男(TDN)は保留 ※【ダーク♂日記@オリジナル未来日記】 エリア内のみで、闇の心による行動を察知出来る。 簡単に言えば、誰かを殺そうとしたり恨んだりする心が日記に現れる。 その心情がエリア内のみという代償もあって繊細に表示される。 ※【ダーク熊手@本格的 ガチムチパンツレスリング】 熊手型スタンガンのようなもの。VAN様が使用していた奴。 これで乳首とかをビリビリ。ドSですねー。 常に研究・開発が進められており、最近ではリモコン付の改修型も確認されている。 ※【咲夜のナイフ@東方Project】 紅魔館のメイド、十六夜咲夜の使用するナイフ。 初心者仕様が何故かバトロワによって含まれており、 どんな人が投げても真っ直ぐ飛ぶ。 床や壁に一回だけ反射もするチートナイフ。 ※【雪輝日記@未来日記】 天野雪輝の行動が10分おきに書かれる。ユッキーには少し迷惑な未来日記。 無差別日記と合わせれば、ユッキーはほぼ無敵。 sm013 禁断の愛、残酷な現実 投下順 sm015 \フーチャーン/ START TDNコスギ sm000 [[]] START 我妻由乃 sm000 [[]]
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マコトにはもう、どうすればいいのかわからなかった。 「どうしろ、と言うならこうしろ、と言うよ。」 そんな彼に優しく手を伸ばすように、タナトスは言う。 「降参しろ。そうすれば、全部終わる。」 「なに……?」 「今の君には殺す価値もない。今降参してくれたなら、私の権限で助けてあげよう。」 タナトスの提案はマコトよりも観客たちの心を乱した。怒号が舞う、野次が飛ぶ。 彼女はそれでもなお微笑んでいた。その表情はミコト・イナバのあの明るく優しげなものと同じだ。 その表情を見たマコトは、不覚にも一瞬、彼女は自分を見逃してくれるのかもしれないと信じてしまいそうになる。 だが、そんなことあるわけない、とすぐに考えなおす。 タナトスにとってもう俺を生かしておく意味なんてないはずだ…… でも…… 「本当に……助けてくれるのか……?」 もし本当に助けてくれるのなら…… このままでは俺に勝ち目は無い。 だけどタナトスの素顔を手に入れることはできた。これは全体的に見れば『勝ち』と言えるんじゃないのか。 俺が勝てなくても、アヤカさんなら上手くやってくれるはずだ……。 ユウスケの仇は直接に討てなかったけれども、俺は充分に頑張ったはずだ。 そうだよ、俺は頑張った。 だいたい、どこにでもいる高校生が犯罪組織と戦うなんて現実味が欠けているんだ。 勝てるわけないじゃないか、そんなの。 はじめから警察に任せておけばよかったんだ。アヤカさんに全部任せておけば、今ごろユウスケの仇も討てていたんだ。 結局俺は最後までタナトスのいいように利用されただけだ。 このまま殺されてしまうなんて嫌だ、冗談じゃない。死にたくない。死にたくない! いったいどこで間違ったんだ? 最初にタルタロスにきて、契約書にサインしたときか? アヤカさんの復讐計画に手を貸したときか? ケルベロス――キムラとの戦いを承諾したときか? イナバさんと初めて出会ったときか――? そこまで悔いたマコトの脳裏になぜか浮かんだのは、かつて覚えた違和感だった。 ……そういえば。 マコトはイナバと初めて出会ったあの部屋を思い出していた。 本来ならそんな悠長なことをしているヒマは無いのだが、もうすっかり精神を削られてしまったマコトは 現状にまっすぐ向き合うことにすら嫌気がさし始めていたのだった。 マコトはイナバの部屋をなるべく鮮明に頭に描く。 あの部屋、ウサギのグッズで飾られた、可愛らしい部屋。 机の上にはパソコンがあって、出窓の先にはエリュシオンが見える……。 その出窓に何かがあった気がする……。 ……そうだ、写真立てだ。 イナバさんが、男と写っていた。 あの男、たしかイナバさんの元カレだったっけ。 違和感の原因はここだ。 そうだ、初めてあの写真を見たとき、何かがおかしいと感じたんだ。 なんというか、何かが『違う』ような……。 マコトは気づいて、項垂れていた頭を上げた。 心拍数が上がる。目を見開く。頭の中でパズルのピースが組み上がっていく。 そうだ。 あの写真……、あの写真のイナバさんの外見は、その後自分と話していたイナバさんとまったく同じ外見だったのだ。 色の薄い髪に、茶色の大きな瞳―― だけど問題はそこじゃない。違和感の正体は男のほうだ。 ……そう、たしかに男の瞳は『金色』だったんだ! イナバさんは普通の瞳で、男は金眼。 ……もしそうなら、全てが繋がる。タルタロスも、アヤカさんの復讐も、金眼事件も、タナトスも、全てが。 マコトはぎっと相手を睨んで言い放った。 「その眼は――ハヤタ・ツカサキから貰ったんだな。」 同時に、どこかだらけた雰囲気すらあった空気が、緊迫したものに変わる。 それでマコトは確信した。 通りで写真の男をどこかで見たことがあったはずだ。 ハヤタ・ツカサキの顔はニュースでもネットでも散々見たことがあったんだから。 「アンタ、あいつとその目を――」 言うがはやいか、タナトスは高熱ナタを振り上げてマコトに迫った。 マコトは不意のタイミングで驚き、思わずライフルを乱射する――信じ難いことが起こった。 放たれたライフルの弾丸がタナトスの高機動型の手元を直撃し、そこに握られていた高熱ナタが 火花を散らしつつ根本からへし折れ、飛んだ刃が近くの地面に突き刺さったのだ。 この出来事にマコトはもちろん、コラージュを含むタルタロス全てが一瞬、驚愕のあまり沈黙した。 そのなかで唯一即時に思考の切り替えができたのはタナトスだけで、彼女は機体の軌道をねじ曲げ、 ライフルを数発撃ちつつ、サッカーグラウンドから飛び去っていく。 「追えぇッ!!」誰かが叫んだ。 マコトは応えて、スラスターを点火。瀑熱と轟音と共に三たび空中へ舞い上がった。 歓声があがる。口だけ男がマイクをつかむ。 「YEAH! なんだ今のは見まちがいかぁ!? いやちげぇ! なんとタナトスの武器をオルフェウスが壊しやがった! 俺もナゲーこと実況やってるが、こんなの見るのは初めてだぜ! 見ろよ、タナトスが後退してる!」 マコトはレーダーを見てタナトスを探す。しかしレーダー上に彼女を発見するよりもはやく銃撃が襲ってきた。 高度を低くし、建物を蹴る。機体を捻りつつ飛び上がって銃撃の方向を見るとそこには何もいない。 代わりに別の死角から銃撃が浴びせられる。HPゲージが順調に削られていく。 マコトはペダルを目一杯に踏みつけ、スラスター出力を全開にした。 障害物の多い都市部は不利だ。もっと見晴らしのいい――そうだ、海の方へ行こう。 『グラウンド・ゼロ』は究極までリアリティを追求しているが、所詮ゲームだ、そのマップ容量には限界がある。 この『東京』ステージの、街を走る電車等まであますとこなく再現したフィールドも埋立地から先は存在せず、 東京湾に飛び出した瞬間に反則負けになってしまう。 しかしその湾に浮かぶ埋立地は、大きな施設が数個あるだけなので、ギミックや建造物、 視覚的な障害に溢れた都市部よりも断然戦いやすい。それに…… ……もしかして、『あそこ』なら…… ひと筋の光を見た気がする。少し遠いが目指す価値はある。 東京タワーから南へ飛ぶマコト。タナトスは後を追ってビルの影からの飛び出してくる。 自分がどこに向かっているのか、さとられるべきじゃない――マコトはそう感じて、 振り返ってタナトスに狙いを定めた。が、また、彼女はすでにそこにいない。 ツカサキの話題を持ち出して、一瞬揺さぶられた心もすでにもう持ち直しているらしい。 ハヤタ・ツカサキは彼女にとってどれほどの人だったのだろう、 そのことを考えると少しだけ胸が苦しくなるような気がしたが、今はそれよりも戦いだ。 機体をときどきロールさせ、少しでもダメージを減らそうとする。 さっきの一撃でタナトスの高熱ナタが使えなくなったのは最上のラッキーパンチだった。 今のタナトスにとって、マコトの重装型の装甲を、唯一一撃で貫ける威力の武器はあのナタだけだったから。 残るライフルは、正面から受ける分にはそこまで脅威ではないが、 それでも連続で受けるのは危険だし、背後から銃撃を浴びせられたらあっという間にお陀仏だ。 おまけに機動力は向こうの方が圧倒的にまさっている。だから油断はできない。 日本電気本社ビルの横を過ぎる。遠目に海が見えてきた。 もう少しで着く――思ったそのとき、衝撃がくる! 「うお!?」 いきなりの振動で思わず操作を誤った。機体は制御を失い、田町駅を越えたところの道路に墜落した。 残りHPがもう半分をきっている。なんでいきなり――すぐにわかった。 機体の右肩メインスラスターが吹き飛んでいた。ライフルで撃ち抜かれて爆発したんだ。 周囲の状況を確認する。背の高いビルに挟まれたこのまっすぐな道路は交通量もあるが、 通る車はマコトが突っ込んできたせいで大規模な衝突・玉突き事故を起こしていて、完全に流れが止まっている。 マコトは立ち上がる。今の一瞬でまたタナトスを見失った。 相手はまた建物の影に入ったのだろう、レーダーにもうつらない。 マコトは地図を一瞥する。海はすぐそこだ。せめて海に出られれば、 タナトスも身を隠したままではいられないはずだが……逆に今のままのほうがマコトにとっては安全かもしれない。 タナトスは明らかに慎重になっている。それは重装型のライフルの威力を警戒しているのと、 さっきツカサキの話題を持ち出したときの精神的な動揺を反省してのことだろうが、 あの『擬似ギフテッド理論』――正直マコトにはギフテッドが何なのかよくわかっていなかったが――がある以上、 タナトスにとって、お互いの姿がよく見える状況はかえって望むところのはずだ。 だが、マコトのビジョンではタナトスに勝つには埋立地に行くしかない。 覚悟を決めるか。 使えなくなった右肩スラスターを切り離し、重さのバランスをとるために思い切って右腕の大剣をも捨てる。 ライフルの残弾はまだ余裕があるので問題はない、どうせハイスピードな高機動型にスローな大剣の攻撃は 当たりゃしないんだ。だったらいっそ捨てたほうが機体も軽くなる。 片腕となったマコト機は周囲を警戒しつつ、またアスファルトを蹴って空を飛んだ。 数秒のうちに、芝浦ポンプ所のある埋立地上空に出る。だけど目的地はもう少し先だ。 真下の東京モノレールの線路を目印にしてさらに南下する。おかしい――タナトスが追ってこない。 そう思った次の瞬間、建物の影からタナトスがいきなり進路を塞ぐように飛び出してきて、マコトは面食らった。 同時にマコトはライフルを構えたが、またタナトスは銃口の先にはおらず、すでにマコトの新たな死角、 右側にまわっていた。 輝くマズルフラッシュ、浴びせられる銃弾。いけない、下は海だ、落ちたら負けだ――! そんなマコトの思いもむなしく、HPはさらに減る。もう残りは3割だ。おまけにスラスターの熱も危険域に達している。 その上タナトスの銃撃。マコトは落ちるしかなかった。 マコトが落下するのを見てタナトスは銃を下げる。それはマコトが海中に没するのを見届けるためだったのかもしれないが、 マコトはその期待を裏切る。 埋立地には何隻かのクルーザーが停泊していた。マコトはその船体上に着地し、巻き上がった海水でめくらましをすると 共にそれを蹴り、陸地に上がったのだ。 よし、一瞬だがスラスターを休ませられた。急がなくては、まだ目的地にたどり着くまでは数秒かかるのだから。 スラスターを全開! 「しっぶってぇーぜオルフェウスッ!! 今のタナトスの奇襲喰らってまだ生き延びていやがる! しかし状況、依然不利! 否俄然不利!? バトルはウサギ狩りの様相を呈してきた!」 実況はあいかわらずの調子だ。 マコトはそれをうるさく感じた。こっちはタナトスのアクションの僅かなヒントも逃さないよう、 感覚器官に全神経を集中させているんだ、邪魔するな! そうしているうちに建物を蹴り、次の埋立地に飛ぶ。そこには背の高いビルが集中して建っていて、 マコトはそれを盾にしつつ足で蹴りながら、単純に二倍の負荷がかかっているスラスター を休ませつつ、それらの合間を縫うように飛んでいった。 エリアオーバーが近いことを示す警告表示が画面の真ん中に出る。だがもう目的地は目の前だ。 マコトは最後に一瞬だけ最高速を出し、埋立地の間の海を飛び越える。 辿り着いた先は最後の埋立地だった。広い道路と広い駐車場、コンテナが山積みになっている船の荷卸場に、 大きな工場。ここから先の海は作戦エリア外で、一歩でも飛び出したら反則負けになる。 マコトは一番近いセメント工場のタンクの上に着地した。レーダーを確認する。 タナトスは海の上を飛んで、マコトを追ってきていた。ライフルを向ける。 タナトスはわずかに軌道を変えつつこちらをなおも追ってくる。マコトは跳んだ。 それから近くにある、埋立地を南北に貫いて、東の荷卸場と西の工業地帯を分断している広く長い直線道路の交差点に 立ち止まり、やってくるタナトスを待ち構えた。 まもなく工場の屋根の上に姿を現したタナトスはマコトに向かって言った。 「もう鬼ごっこも終わり?」 言われたマコトは不敵に笑って―― 「なぜここまでお前を誘い込んだかわかるか?」 わざとらしく小首をかしげるタナトス。 「ううん」 「ここはエリアオーバーギリギリで、エリア外にツッコむ様に長く広い直線道路がある、唯一の場所だ、 そんなとこでやることといえば、ひとつだろ?」 「……チキンレース。」 「話が早いぜ。」 「いいだろう、やってやる」 予想外の展開に観客たちがまたにわかに興奮しはじめる。 「俺が右、あんたは左だ。海に向かって道路を南下して、相手より速く、 よりエリアオーバーに近いところで止まった方の勝ち。」 「いいだろう、しかしいいのか?」 「なにが」 「機体のスペック的に君の勝利は厳しいぞ」 「ああそうだ。だから誓え」 「なにを」 「正々堂々戦うことを」 「いいだろう、誓おう、この勝負に負けたら潔く負けることを。だから君も誓いたまえ」 「俺の誓いはこれだ。」 マコトはそう言って左腕に握られたライフルを地面に放った。これでマコト機に武装は無くなり、 もし攻撃されても逃げることしかできない。 「なるほど、了解した。」 「こりゃあまたまた予想外の展開だ! 圧倒的不利のオルフェウスが苦肉の策で持ち出したのは、エリア外へのチキンレース! タナトスが立場上挑戦を断れないことをふんで打ったであろう奇策だが、 単純な勝負よりかはいくらか望みがありそうだ! しかし機体のスペック的にはそれでも勝ち目は薄め!」 実はそうでもないんだけどな、とマコトは思う。右腕は肩から無くなっているし、 まだまだ切り捨てられるパーツはあるので、しようと思えばさらに機体を軽量化できるのだから。 「審判とスターターは俺がやってやるぜ!」 口だけ男はそう叫んだ。 マコトとタナトスは南を向いて横並びになる。 間髪入れず、口だけ男が号令を発する。 「Get ready? .........GO to HELL!!」 2機はスタートした!