約 1,795 件
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/25385.html
登録日:2011/10/08(土) 23 35 28 更新日:2023/02/06 Mon 02 04 19 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 F91 SDガンダム SDガンダム外伝 アンポンタンの保護者 ガンダム ガンダムF91 ナイトガンダム レジスタンス 円卓の騎士 幻影 灼 灼熱卿 灼熱騎士F91 灼騎士 灼騎士F91 祝SDX化 聖機兵の操者 騎士ガンダム 灼騎士(バーンナイト)F91とは、SDガンダム外伝円卓の騎士編に登場するキャラクターである。灼熱騎士(バーニングナイト)はその強化形態である。 モチーフはガンダムF91(~灼熱騎士)からシルエットガンダム(幻影騎士~)。 ●活躍 ファミコン、スーパーファミコン、カードダス、プラモデルに共通して反ザビロニア帝国最大のレジスタンスの隊長をしている。 出会う場所は若干の差はあれど、ブリティス城か、ブリティス城下町のバーリントン市あたり。 その実力はさすがレジスタンスリーダーであり、ふざけた描写の多いBB戦士の漫画でもスキウレドラゴンを一人で倒してしまうほど。ギャグなしで。 BB戦士以外の媒体では皇騎士(クラウンナイト)ガンダムと出会い、共にザビロニアの手に堕ちたブリティス城を奪還する。 奪還したブリティス城の円卓の間にて、キングガンダム一世及び円卓の座に認められ、灼熱騎士F91へと強化された。 そして、他の円卓の騎士たちと共にブリティスを平和へと導いた。 さらに、その後はダバード王国へ遠征、ガンレックス初代操縦者となる。負傷により操縦者はGP01に譲るものの、自身は幻影騎士(シルエットナイト)ガンダムRXF91と更なるクラスチェインジを果たし、その槍で機兵相手に闘うのだった。 なお、ボンボン版では幻影騎士になってからもガンレックスを操縦してGP01の元へ届けている。 キングガンダムIII世の時代になると騎士を引退してブリティス王国の地方領主に収まり、称号も幻影卿になった。 ●人間(?)関係 アンポンタンこと、F90Jr.たちの保護者でもある。漫画やカードダスでは登場前からレジスタンスに参加していた優秀な部下として、またまだ幼い子どもとして見ており、大切にしていたようだ。 BB戦士の漫画では、彼らのお供になりたいという願いを即答で断っており、全力で逃げている。 全力で逃げた先にたまたまクラウンナイトたちがいた円卓の間があり、円卓の座に認められ、灼熱騎士となった。 また、親友の銀騎士ビギナ・ギナとは敵同士で再会…したのだが、あまり話には絡まず、説得したのか聖機兵編で仲間にしていた。 F91の家系となにか関係があるらしいF97(海賊騎士クロスボーン)をビギナ・ギナに銀騎士として鍛えてもらったようで、二人の皇子の円卓の騎士になったクロスボーンのピンチにビギナ・ギナと共に駆けつけて隠していた銀騎士としての力を使うように言い渡している。もしかして親戚か隠し子かなにかだろうか? 息子・蒼炎騎士ガンダムF91と息子の侍従ウーンドウォートも、二人の皇子の円卓の騎士になった。 他の仲間が孫世代の中、息子である。蒼炎騎士が年を取っているわけではなくまだまだ若々しい幻影卿が息子を設けるのが遅かった様子。 ●プラモデルなど BB戦士に灼騎士 ちーびー戦士に灼熱騎士(聖機兵編) 元祖SDに灼騎士と灼熱騎士(円卓) さらにこの度、SDXに灼熱騎士(円卓 聖機兵) となかなか立体化に恵まれている。 カードダスも単体出場を出る毎に果たし、全てキラカード。さらに番外編として「もし、灼熱騎士が負傷せずにガンレックス操縦者を続けていた姿」として灼熱卿ガンダムF91、さらに灼熱卿専用ガンレックスとして紅の真聖機兵ガンレックスもカード化。 驚きの優遇っぷりである。 同じ円卓の騎士であるプラスやヘビー、アンポンタンなどはカード化のみだというのに。 ●武具 バーニングヴェスバー 媒体によるがヴェスバーソードだったり、ツインヴェスバーだったりする。どこぞの包帯男の如く、その気になれば剣に炎を宿す。 バーンシールド 盾。実は銃にもなるよ!(BB戦士オリジナルギミック) 銃 よくみると尻あたりについている。が、使われたことはない。名前もない。 槍 幻影騎士時に持っていた槍。ラクロア産かもしれない。 追記・修正をお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 当時はガンダムF91が最新のガンダム作品だったため、SD作品でもガンダムF91モチーフの登場人物(?)は扱いが良い。SD戦国伝でも2シーズン主役張ってるし。 -- 名無しさん (2013-11-23 23 30 15) F91がモチーフの奴はどれもカッコ良い -- 名無しさん (2013-11-24 10 45 35) それだけに今のF91の扱いを見ると悲しくなる。Vもそうだが富野で宇宙世紀なのおにアムロとシャアが出ないのがみんなそんなに嫌か(まあ子供受けしなかったってのが大きいだろうがそれをいうなら鬱すぎるZの人気の高さはなんなんだ) -- 名無しさん (2014-08-17 15 00 35) ↑まぁSDでは反対に逆シャア組はそんなに目立たないから…(νガンダムモチーフの主人公は未だにいない) -- 名無しさん (2015-10-08 23 03 10) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/junretsuwago/pages/1503.html
辞書 品詞 解説 例文 漢字 日本国語大辞典 名詞 ① 広義には、聴覚で感ずる感覚全般。狭義には、生物(有情物)の「こえ」以外の物理的音声。(イ) 水・風・波などの自然現象や、楫(かじ)などの無生(無情)物の発する音響。衝撃・摩擦によるひびき。楽器でも、古くは特に、鈴、鐘、鼓など打楽器類の音声に偏って使われる傾向がある。後には、生物の声以外の物理的音声全てをさす。 ※万葉(8C後)一七・四〇〇三「立つ霧の思ひ過さず行く水の於等(オト)もさやけく万代(よろづよ)に 云ひ続ぎ行かむ川し絶えずは」 音・声・響 (ロ) 鳥や鹿などの動物の声をさす。特に、遠方から聞こえてくるような場合に使われる。 ※万葉(8C後)五・八四一「鶯の於登(オト)聞くなべに梅の花吾家(わぎへ)の苑に咲きて散る見ゆ」 (ハ) 人間の声。特に、実際には発せられていない状況について、禁止や打消の表現を伴って使われることが多い。 ※風俗歌(9C前‐11C中か)鳴り高し「をとなせそや、密(みそ)かなれ、大宮近くて、鳴り高し、あはれの、鳴り高し」※源氏(1001‐14頃)帚木「物におそはるる心地して、『や』と、おびゆれど、かほに衣のさはりて、をとにも立てず」 ② 人の気配。 ※万葉(8C後)一六・三八七五「ことさけを 押垂(おしたれ)小野ゆ 出づる水 ぬるくは出でず 寒水(さむみづ)の 心もけやに 思ほゆる 音(おと)の少き 道にあはぬかも」 ③ 評判。うわさ。風聞。 「音に聞く」「音に聞こゆ」「音に立つ」 ④ たより。おとさた。音信。「音(も)せず」「音(も)なし」のように、否定表現を伴うことが多い。 ※竹取(9C末‐10C初)「よるひるまち給ふに、年こゆるまで、音もせず」 ⑤ 返事。答。下に否定表現をとることが多い。 ※源氏(1001‐14頃)乙女「『小侍従やさぶらふ』とのたまへど、をともせず」 [語誌](1)現代語の「おと」は無生物の発するもの、「こえ」は動物など生物が主に発声器官を使って発生させている(と聞き手がとらえた)ものを表わし、無情物対有情物の対義関係にあるが、古くは「こえ(こゑ)」は生物の声のほか、琴、琵琶、笛など弦・管楽器、また、鼓、鐘、鈴などの打楽器などの音響にも使われた。特に弦・管楽器については原則的に「こゑ」が使われ、「おと」が使われるのは特別な場合に限られた。このことから、「こゑ」は発生源そのものの性質と深く結び付いた独特の音声を指し、聞けばそのものと認識されるような音声に対して使われていたものと考えられる。それに対して「おと」は、古くは原則的に「物と物とがぶつかった時、あるいはこすれあった時に出る物理的な衝突音、摩擦音」を表わし、そのほか、耳ざわりだと感じられる大きな音声、かすかではっきりとは識別しがたい音声など、「こゑ」としては認識されないものの場合に使われている。(2)類義語「こゑ」(聞き手を意識して出す)と「ね」(おさえきれず自然に出てしまう)とが、意図的か自然発生的かによって区別して使用されるのに対し、「おと」はその区別に中立であって、聞く人の感情移入がない。中古の和歌・和文では、「虫のね」「虫のこゑ」、「琴のね」「琴のこゑ」をはじめ感情移入表現が幅をきかしたが、「平家物語」の頃までに「ね」と「こゑ」の区別は稀薄になり、「ね」が「こゑ」に吸収される傾向が顕著となる。「こゑ」の用法も狭まり、表現も類型化する。 広辞苑 名詞 ①物の響きや人・鳥獣の声。物体の振動が空気の振動(音波)として伝わって起こす聴覚の内容。または、音波そのものを指す。音の強さは音波の物理的強度、音の高さは振動数の大小による音の性質の違い、音の大きさは感覚上の音の大小を指し、3者は区別される。 万葉集7「 細谷川 (ほそたにがわ)の―のさやけさ」。万葉集17「ほととぎす鳴く― 遥 (はる)けし里遠みかも」。「―を立てる」 音 ②おとずれ。たより。音信。風聞。うわさ。 万葉集5「―に聞き目にはいまだ見ず」。伊勢物語「久しく―もせで」 ③応答。返事。 宇治拾遺物語15「寄りておとなひけれど―なし」 ④〔言〕発話の最小単位。子音と母音。単音。 大言海 名詞 〔 當 (アタ)ト通ズルカ、 織衣 (オリギヌ)、ありぎぬ。いたはし、いとほし〕(一)物ノ、動キ當リテ起ル、一種ノ性ノモノ。空氣ニ傳ハリテ、耳ニ聞ユ。ヒビキ。ネ。コヱ。 萬葉集、十四 十七 「 都武賀野 (ツムガヌ)ニ、鈴ガ於等聞ユ、 可牟思太 (カムシダ)(地名)ノ、殿ノ 仲子 (ナカナ?)シ、 鳥狩 (トガリ)スラシモ」(鷹ニツケタル鈴ナリ)同、十七 四十一 長歌「行ク水ノ、於等モサヤケク」字鏡 六十六 「翼聲、波禰於止」 音 (二)動物ノ聲。 萬葉集、十 廿 「ホトトギス、鳴クナル聲ノ、音ノ 遙 (ハル)ケサ」古今集、四、秋、上「秋萩ヲ、シガラミ伏セテ、鳴ク鹿ノ、目ニハ見エズテ、音ノサヤケサ」蜻蛉日記、下、中 廿 「イト奧山ハ、鳥ノ聲モセヌモノナリケレバ、鶯ダニおとセズ」千載集、八、覊旅「小夜深キ、雲居ニ雁モ、おとスナリ」 (三) 人言 (ヒトゴト)。ウハサ。風聞。 萬葉集、二 三十三 長歌「音ノミモ、名ノミモ、絕エズ」同、七 七 「音ニ聞キ、目ニハイマダ見ヌ、吉野川、 六田 (ムツタ)ノ淀ヲ、今日見ツルカモ」 (四)オトヅレ。タヨリ。オトサタ。 竹取物語「夜晝待チタマフニ、年越ユルマデ、おとモセズ」 検索用附箋:名詞名称 附箋:名称 名詞
https://w.atwiki.jp/samuraisouls/pages/19.html
五行属性【土】 ※スキルは、同じカードでも複数確認されている為、とりあえず、段落で分けます。スキル無しの場合もあります。 仙(スーパーレア) 勇(レア) 霊(ノーマル) カード名 レア度 パワー/HP ソウル スキル 説明 絵師 武蔵坊弁慶むさしぼうべんけい 勇 280 7 水防 義経四天王の一人であり、五条の大橋で義経と出会って以来、最後まで彼に仕えたと言われる。衣川の戦で全身に矢を受け立ちながら息絶えたことは「弁慶の立往生」と語り継がれている。 和 カード名 レア度 パワー/HP ソウル スキル 説明 絵師 坂上刈田麿さかのうえのかりたまろ 霊 190 5 威圧 坂上田村麻呂の父であり奈良時代の武人。代々、馳射を得意とする部門の一族として、数朝にわたり宮廷に宿営し、守護してきた。大熊に乗って川を渡ったという逸話が存在する。 中園千春 千葉成胤ちばなりたね 霊 190 5 吸氣 鎌倉時代前期にかけて活躍した千葉氏の第5代目当主。源頼朝が石橋山の戦いに敗れた際、祖父や父と共に頼朝の軍に参加し、藤原親政を生虜にするという快挙を成し遂げた。 塚本愛美 千葉重太郎ちばじゅうたろう 霊 190 5 必殺 江戸時代に生きた剣客。撃剣取立役として江戸 . LiloStudio-毛蟹 カード名 レア度 パワー/HP ソウル スキル 説明 絵師 モルオルト 霊 160 4 ①咆哮②水防③無し アイルランドの王族。アイルランドの使者としてコーンウォールに貢物を要求するが、マルク王は拒否。事態が悪化し、トリスタンと決闘することに。トリスタンに重傷を負わせるも敗北。 LiloStudio-cbx ユリウス・カエサル 霊 160 4 ①黄泉②無し 共和政ローマ期の政治家、軍人であり文筆家でもある。「カエサル」の名は、帝政初期にローマ皇帝が帯びる称号の一つ。「ハゲの女たらし」という異名を持つ。 a++ 柳生連也斉やぎゅうれんやさい 霊 150 4 ①滅殺②必殺③無し 幼少より剣術の才能に恵まれ、尾張柳生で最も高名な剣士である。「尾張の麒麟児」という異名を持ち、その才気は長男をさしおいて流派を継承させる程であったと言われる。 s.wakisaka ウィル・ロングソード 霊 150 4 水防 イングランドの騎士。ルイ9世の十字軍に参加した。戦場で左足・右手を失っても落馬することなく戦い続ける。左手を切られた際、ついに落馬。その瞬間にめった切りにされた。 s.wakisaka デボラ・サンプソン 霊 150 4 狙い アメリカ独立戦争には自らの性別を隠して参加していた。途中でばれてしまうが、名誉の除隊を遂げたため数年後に古参兵の年金を貰うことができた。 亞火 ジャック・ド・モレー 霊 140 4 必殺 中世のヨーロッパで活躍した騎士修道会テンプル騎士団の第23代目総長にして、最後の総長であった人物。ブルゴーニュ地方の小貴族の子であったとされるが、その人生のほとんどが不明。 亞火 カード名 レア度 パワー/HP ソウル スキル 説明 絵師 中条長秀ちゅうじょうながひで 霊 130 3 心眼 念流開祖である念阿弥慈恩の門に入り、慈恩の高弟である「念流十四哲」の一人となる。兵法四大源流とされる中条流の開祖、日本剣豪100の中に名のある人物である。 山田ゆこ 武田観柳斎たけだかんりゅうさい 霊 130 3 黄泉 新撰組五番組組長。若い頃は医者の道に憧れるが、新撰組に参加すると軍学者として近藤勇に重用され、副長助勤や文学師範、甲州流軍学による調練を任せれた。 s.wakisaka ピーター・ロチェス 霊 120 3 水防 聖職者でありながら自ら剣を手にとる。リチャード1世に、書記、騎士、侍従として仕えた。1217年、フランス王太子ルイの軍勢を撃破した際、彼は中心的役割を果たした。 s.wakisaka パット・ギャレット 霊 120 3 吸魂 アメリカ西部開拓時代に生きたガンマン。カウボーイになった後、バッファロー・ハンターに転身。さらにその後保安官となり、賞金首500ドルのビリー・ザ・キッドたちを逮捕する。 40原 河上彦斉かわかみげんさい 霊 120 3 必殺 幕末維新期に生きた尊攘派志士。「人斬り彦斉」の異名で恐れられていた、幕末4大人斬りの一人である。佐久間象山を暗殺したと言われる刺客のひとりでもある。 165. 藤原保昌ふじわらのやすまさ 霊 110 3 ①吸氣②吸魂③無し 平安時代中期の貴族。藤原頼信・平維衡・平致頼らとともに道長四天王と称された。源頼光と共に大江山の酒呑童子たちを討伐した面々の一人。 びゅ→こ カード名 レア度 パワー/HP ソウル スキル 説明 絵師 義姫よしひめ 霊 90 2 吸氣 出羽国戦国大名、最上義守の娘。永禄7年頃、最上氏と対立していた伊達輝宗の正室となり、伊達政宗を産む。出家後は保春院と名乗る。 komoike 虎千代とらちよ 霊 90 2 無し 上杉謙信の幼名。幼少時代に春日山城下にある林泉寺で天室光育から、厳しい禅の修行と、文武の道を学ぶ。正義感が強く、節目を重んじ、信仰心が厚い。教養高い武将として知られる。 サティ OM・クラントン 霊 90 2 狙い アメリカ西部開拓時代の牧場主。牧場経営に成功し、ツームストーン周辺の有力者となる。「OK牧場の決闘」の仇役で、映画などではゴロツキのボスとして描画されることが多々ある。 jin カード名 レア度 パワー/HP ソウル スキル 説明 絵師 オリバー・WC 霊 70 1 狙い アメリカ合衆国の銃器メーカー「ウィンチェスター・リピーティングアームズ」の創始者。オリバーの改良したライフルは、13連発もできるという優れ物。 亞火 モリー・ピッチャー 霊 60 1 無し 普通の主婦であったが、アメリカ独立戦争に参加し、砲兵であった夫とともに戦場に赴いた。その最中夫は負傷してしまうが、代わって彼女が大砲を操作したなどの伝説がある。 山田ゆこ 情報提供コメント test -- 管理人 (2013-04-17 12 16 10) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/eiketsu-taisen/pages/361.html
前Ver Ver.1.0.0C情報 次Ver Ver.1.0.0E情報 稼働日 2022年5月11日 公式による告知 Ver.1.0.0Dバージョンアップ告知 計略修正 戦器修整 流派修正 兵種修正 軍議パラメータの調整 戦器購入に戦器追加 ターミナルに商品追加 大戦屋に商品追加! 不具合の修正開戦時のミニマップ表示に関する不具合の修正 開催イベント 計略修正 武将名 計略名 内容 変更前 変更後 蒼 蒼008 織田信長 天下布武 ↑ 計略範囲 横幅 7部隊分知力上昇値 +3 計略範囲 横幅 7.6部隊分知力上昇値 +5 蒼017 柴田勝家 掛かれ柴田 ↓ 効果時間 9c 効果時間 8.1c効果上昇に必要な敵城までの距離延長 蒼030 前田利家 天下一の朱槍 ↓ 武力上昇値 +7 武力上昇値 +6 蒼031 まつ 奮激の祈り ↓ 効果時間 8.8c 効果時間 7.1c 蒼024 大喬 魅惑の名花 ↓ 効果時間例知力1に使用した場合 9.2c知力5に使用した場合 7.5c知力10に使用した場合 5.6c 効果時間例知力1に使用した場合 7.9c知力5に使用した場合 6.3c知力10に使用した場合 4.4c 蒼004 お市の方 撃流の祈り ↑ 計略発動時流派ゲージ増加値 ゲージ0.2本分敵撃破時流派ゲージ増加値 ゲージ0.2本分 計略発動時流派ゲージ増加値 ゲージ0.25本分敵撃破時流派ゲージ増加値 ゲージ0.25本分 蒼014 佐久間信盛 退き佐久間 ↑ 計略範囲 直径 7.2部隊分 計略範囲 直径 8.4部隊分 蒼012 坂本乙女 奮激車輪戦法 ↑ 武力上昇値 +3兵力回復量 40% 武力上昇値 +4兵力回復量 50% 蒼003 岩崎弥太郎 獄中の学び ↑ 効果時間 30c 効果時間 25c 蒼025 武市富子 剣武の祈り ↑ 斬撃できるまでの時間 2秒減(4秒で再度斬撃可能) 斬撃できるまでの時間 2.5秒減(3.5秒で再度斬撃可能) 蒼033 望月亀弥太 駿亀戦法 ↑ 効果時間 10c(知力依存 0.4c) 効果時間 15c(知力依存 2c) 蒼022 孫堅 天啓の幻 ↑ 効果時間 6.3c 効果時間 6.7c 蒼023 孫策 小覇王の大号令 ↓ 速度上昇値 +30% 速度上昇値 +20% PL003 河了貂 娘軍師の策略 ↓ 効果時間例知力1に使用した場合 7.4c知力9に使用した場合 5c知力10に使用した場合 4.2c 効果時間例知力1に使用した場合 6.1c知力9に使用した場合 3.8c知力10に使用した場合 2.9c PL008 王騎 天下の大将軍 ↓ 効果時間 7.7c武力上昇値 +8速度上昇値 +40% 効果時間 6.9c武力上昇値 +7速度上昇値 +30% 緋 緋026 内藤昌秀 奮激の采配 ↑ 武力上昇値 +2 武力上昇値 +3 緋005 伊藤俊輔 積水成淵 ↑ 武力上昇間隔 2秒ごとに+1知力上昇間隔 2秒ごとに+1 武力上昇間隔 1.7秒ごとに+1知力上昇間隔 1.7秒ごとに+1 緋014 来島又兵衛 剣豪の意地 ↑ 武力上昇値 +7 武力上昇値 +8 緋031 毛利敬親 後方指揮 ↑ 効果時間 9.8c 効果時間 10.6c 緋003 幾松 良妻の祈り ↑ 効果時間 10.8c斬撃範囲 直径 1.6部隊分拡大 効果時間 11.7c斬撃範囲 直径 2部隊分拡大 緋027 長井雅楽 失墜の献策 ↑ 武力上昇値 +4 武力上昇値 +5 碧 碧025 徳川家康 葵紋の采配 ↓ 効果時間 8.5c 効果時間 7.7c 碧013 酒井忠次 忠臣の援射 ↑ 効果時間 9.2c 効果時間 10c 碧031 土方歳三 局中法度 ↑ 追加効果が発生する武力上昇値 +8(2.5コスト撤退時) 追加効果が発生する武力上昇値 +7(2コスト撤退時) 碧036 山崎丞 身軽な転進 ↑ 武力上昇値 +2 武力上昇値 +3 碧012 斎藤一 太刀一閃 ↑ 武力上昇値 +5斬撃範囲 直径 1.6部隊分拡大 武力上昇値 +6斬撃範囲 直径 2部隊分拡大 玄 玄028 本庄実乃 後方陣 ↑ 効果時間 9.6c(公式の8.8cは誤り)武力上昇値 +3 効果時間 8.8c(公式の7.9cは誤り)武力上昇値 +4 玄029 松永久秀 平蜘蛛の釜 ↓ 計略範囲 縦幅 5.1部隊分 計略範囲 縦幅 4.4部隊分 玄033 三好長慶 混沌の陣 ↑ 知力低下値 -5 知力低下値 -7 玄019 直江景綱 方陣 ↑ 効果時間 9.2c 効果時間 10c 玄011 小侍従 進士流抜刀術 ↑ 武力上昇値 +5 武力上昇値 +6 玄018 塚原卜伝 一之太刀 ↑ 武力上昇値 +7 武力上昇値 +8 玄009 河上彦斎 暗殺剣 ↓ 斬撃範囲 直径 0.4部隊分縮小斬撃時固定ダメージ 40% 斬撃範囲 直径 0.6部隊分縮小斬撃時固定ダメージ 30% 玄038 呂布 天下無双 ↓ 効果時間 3.1c兵力回復量 30% 効果時間 2.5c兵力回復量 20% 玄021 長尾政景 宿業の采配 ↑ 効果時間 7.7c知力低下値 -5 効果時間 8.1c知力低下値 -3 戦器修整 種類 戦器名 内容 変更前 変更後 Lv.1 Lv.2 Lv.3 Lv.4 Lv.1 Lv.2 Lv.3 Lv.4 武器 和泉守兼定 ↑ 5.4c 5.8c 6.3c 6.7c 5.8c 6.3c 6.7c 7.1c 軍配 金箔采配 ↑ 16.3c 17.5c 18.8c 20.0c 21.3c 22.5c 23.8c 25c 流派修正 流派名 型 内容 変更前 変更後 城塞 壱之型 ↓ 城ダメージ軽減率 0.85倍 城ダメージ軽減率 0.9倍 兵種修正 兵種名 内容 変更前 変更後 騎兵 ↓ 攻城ダメージ低下1コスト 武力3 城壁 0.86%2コスト 武力8 城壁 3.84%3コスト 武力10 城壁 6%4コスト 武力12 城壁 8.32% 攻城ダメージ低下1コスト 武力3 城壁 0.7%2コスト 武力8 城壁 3.2%3コスト 武力10 城壁 5.04%4コスト 武力12 城壁 7.04% 剣豪 ↑ 突撃可能状態の騎兵に斬撃を当てた際の速度低下時間 3秒突撃可能状態の騎兵に斬撃を当てた際の速度低下時間(対2倍速以上) 4.5秒 突撃可能状態の騎兵に斬撃を当てた際の速度低下時間 5秒突撃可能状態の騎兵に斬撃を当てた際の速度低下時間(対2倍速以上) 6.5秒 軍議パラメータの調整 全国対戦における武功の増減値、リーグのゲージ獲得値を調整。 戦器購入に戦器追加 「戦器カスタマイズ」内「戦器購入」に戦器を追加。 種類 戦器名 必要大判 宝物 曜変天目茶碗 3000 宝物 和氏の璧 3000 宝物 平蜘蛛釜 3000 鎧兜 鎖子黄金甲 3000 鎧兜 黒糸威胴 3000 鎧兜 朱塗胴 3000 鎧兜 金溜塗胴 3000 武器 大典太光世 3000 武器 天羽々斬 3000 武器 和泉守兼定 3000 武器 青龍偃月刀 3000 軍配 金箔采配 3000 軍配 羽扇 3000 ターミナルに商品追加 金剛石商店に商品追加! 種類 商品名 必要金剛石 武将カード SR羽柴秀吉 1000 肖像 ぷち孫堅 1500 肖像 ぷち望月千代女 1500 肖像 ぷち劉備 1500 肖像 ぷち無二 1500 兵士 侍・青 700 兵士 侍・赤 700 兵士 侍・緑 700 兵士 侍・黒 700 布地 頭斜め分け①・青 500 布地 頭斜め分け①・赤 500 布地 頭斜め分け①・緑 500 布地 頭斜め分け①・黒 500 布地 頭斜め分け②・青 500 布地 頭斜め分け②・赤 500 布地 頭斜め分け②・緑 500 布地 頭斜め分け②・黒 500 大戦屋に商品追加! 種類 商品名 必要クレジット 肖像 武将 2 布飾り 武将・青 3 布飾り 武将・赤 3 布飾り 武将・緑 3 布飾り 武将・黒 3 システムボイス 天真爛漫 6 不具合の修正 開戦時のミニマップ表示に関する不具合の修正 開戦直後のミニマップにおいて、本来表示されるはずのない情報が表示されてしまう不具合を修正。 詳しくはコチラ 開催イベント 『傑士ランキング』開催! 詳しくはコチラ→最新Ver・イベント情報 公式サイトはコチラ→公式サイト
https://w.atwiki.jp/wikiwiki2/pages/347.html
池内紀 『戦争よりも本がいい』 講談社 2014.11 序 ×1 田部君子歌集 池辺淳子・道子編 いちどかぎり 1.偏愛的人間 ×2 みみず 畑井新喜司 生き物の鑑 (復刻 みみず) ×3 新編薫響集 興津要ほか 消化器の末端 ×4 悪態採録控 川崎洋 言葉の下半身 ×5 ちょく 野村泰三 酔ひにけらしも 6 SENTO 町田忍監修 巷の聖堂(『銭湯読本』 8F社会科学383.6セ 市立) ×7 日本タイル博物館 阿木ほか アラベスクの連弾 ×8 愛の詩集 村上菊一郎 宝さがし 9 新編どどいつ入門 中道風○○ ことばの財産 県立 ×10 しぶらの里 西山松之助 少年の記憶 ×11 フランス料理仏和辞典 ナゾの人 ジパング発行(2002) ×12 餅の博物誌 古川端昌 フシギの食べ物 13 美味求真 木下謙次郎 チリ鍋と橙(第3巻 県立) 2 戦争よりも本がいい 14 図鑑 日本語の近代史 紀田順一郎 目で見るコトバ 県立 15 太陽よりも月よりも 平塚武ニ 声に出す 市立 ×16 サボテン綺談 伊藤芳夫 サボテン百科 ×17 饅頭博物誌 松崎寛雄 甘党のお守り ×18 幕末・維新 全藩事典 人文社 変わり身の記録 ×19 庶民のアルバム 明治・大正・昭和 朝日新聞社編 無言の証言 ×20 日本昆虫記 大町文衛 二代がかり ×21 博物誌 恩地孝四郎 生めよ、ふやせよ ×22 日本の遊戯 小高吉三郎 遊びをせんとや ×23 トン・パ 茂田井武 絵日記帳 ×24 戦争と気象 荒川秀俊 科学と神風 ×25 偉人歴 小川太一郎編 人生の手本帳 3.文人たちの遺珠 ×26 澄江堂遺珠 芥川龍之介 ひとりねよとぞ ×27 通俗書簡文 樋口一葉 手紙の書き方 ×28 日本童謡集 寺山修司編著 人生の伴奏歌 ×29 首を賣る店 火野葦平 自画像 ×30 丸山薫詩集 夢の力 ×31 ホーデン侍従 尾崎士郎 主人とお伴 ×32 ドノゴオ・トンカ 堀口大學訳 ×33 李陵 中島敦、郡司勝義校訂(原稿復刻版) 校訂者の目 ×34 大菩薩峠繪本 中里介山 作家と挿絵家 ×35 東は東 岩田豊雄 日本人無情 36 銭形平次捕物控 野村胡堂 足し算と引き算 ×37 木靴をはいて 長谷川 望郷記 ×38 味楽極楽 子母沢寛 下くらべ ×39 食道楽 食道楽社編 彩りと味つけ ×40 銀座 松崎天民 元祖街あるき ×41 新東京文學散歩 野田宇太郎 幻滅と悲哀 4.異能、奇才、名人、達人 42 金谷上人行状記 横井金谷 江戸の自由人 8F書庫 市立 ×43 釣った魚はこうして料理 福田蘭童 名人伝 ×44 鼠夫婦一代記 ガスタフ・エクスタイン 「いのち」の記録 創元社 ×45 冗談十年 三木鶏郎 ノーカット版 46 かぶき入門 郡司正勝 レッパクの気合い 9F 市立 ×47 海と生物 直良信夫 オトナの読書 ×48 わが喜劇 渋谷天外 十円玉一つ ×49 藤原義江 石川秀ほか 我等のテナー ×50 長谷川利行全文集 捨て聖 ×51 大天武一代記 南湖嶺夫 石のカミサマたち ×52 「おかあさん」速記者奮戦記 久保田勝子 わきの人 ×53 岡鬼太郎伝 竹下英一 劇界万華鏡 ×54 花嫁人形 蕗谷虹児 七五調の呪縛 ×55 落語レコード八十年史 声の博物館 ×56 新作落語集 三升家小勝 水道のゴム屋 5.歴史の機敏 ×57 維新農民蜂起譚 小野武夫編著 反抗的日本人 ×58 欧州医学遍路 西川義方 天皇の密使 59 近江商人 幕末・維新見聞録 佐藤誠朗 歴史そのまま 県立 ×60 一揆 雲助 博徒 田村栄太郎 虚像を剥ぐ ×61 明治少年懐古 川上澄生 へっぽこ教師 ×62 南欧遊記 柳澤健 特権シャレ者 63 日本傑作広告 大伏肇 「ひろめ」の天才 県立 9F 市立 64 ポポル・ヴフ マヤ文明の古代文書 林屋永吉訳 全住民の書 大学(第2書庫)250.15 65 イエスという男 田川建三 書かれるべき書 県立 市立192タ ×66 パリの断頭台 バーバラ・レヴィ 首の斬り方 ×67 みっともない人体 バーナード・ルドフスキー 筒っぽ・だんぶくろ ×68 力士漂白 宮本徳蔵 チカラビトの世界 ×69 日本玩具史編 有坂與太郎 子供の世界 ×70 英音論 チャールズ・ダラス 明治五年の英語発音書 71 地球文字探検家 浅葉克己 情報の美 県立 ×72 本木昌造伝 島屋政一 活版印刷に花束 ×73 日本災異志 小鹿島果編 黙示録 6.江戸の知恵 74 江戸晴雨攷 根本順吉 はれあめものがたり 市立 ×75 門谷養安日記 おっとうせ ×76 自刃録 工藤行広 腹の切り方 77 雑兵物語 中村道夫 血と汗と首 (現代語訳 県立 市立210.5ゾ) ×78 丹兵衛日記 猪井達雄編著 紙の力 79 旅行用心集 八隅盧○ 六十一ヵ条(現代語訳 7FT291.0ヤ) ×80 筆満可勢 富本繁太夫 風まかせ ×81 江戸の看板 松宮三郎 売の一術 82 彩色 江戸博物学集成 平凡社編 暇と金と好奇心 8F自然科学460.2サ 83 江戸暦渡世絵姿 今村恒美 季節のメッセンジャー 8F社会科学384.3イ 市立 ×84 おもちゃ絵 広瀬辰五郎 夢の工作 7.旅と民俗 ×85 日本山獄志 高頭式編 天にとどく ×86 甲斐の落葉 山中共古 風俗測定 ×87 秋山物語 浅川欽一採録・編著 紙の碑 88 柳田國男未採択昔話聚稿 野村純一編著 地の塩の記録 8F社会科学388.1ノ 市立388ノ ×89 はきものとのりもの 宮本常一 足の友達 ×90 石の伝説 石上堅 師弟二代 ×91 出雲広瀬 音羽融編 幻の町 ×92 出雲・岩見 田畑修一郎 町が消える ×93 山行 槇有恒 命の尊厳 94 幻のニホンオオカミ 柳内賢治 愛狼記 県立 市立 ×95 猫の民俗学 大木卓 自由の象徴 ×96 たばこの民俗 上田利男 けむりの行方 97 たまがわ 村松昭 視覚の旅 県立 市民 8.美術と工芸 98 『新版 奇想の系譜』 辻惟雄 遊びと風流 県立 8F721.0ツ 市立721ツ 99 蒼蠅 熊谷守一 アリが友達 8Fアート723.1ク 100 中国陶瓷見聞録 小林太市郎 注の織物 8階書庫 ×101 支那版畫叢考 民衆の芸術 ×102 創作版画誌の系譜 加治幸子編著 はげしく求めた人たち ×103 もくはんのうた 高橋輝雄作品集 外村彰 小さな世界 ×104 六十年前の今 河井寛次郎 造形の秘密 ×105 日本色彩文化史 前田千寸 むらさきくさ ×106 文身百姿 玉林晴朗 モービル芸術 ×107 色彩の話 和田三造 視覚の勉強 108 油絵初学 青木茂 青木センセイ 県立 ×109 ものいわぬ壺の話 臼井吉見 ものいう壺 9.人生のデザイン ×110 夢のかたち 澁澤龍彦 情念の標本箱 ×111 心がシャキッとする「言葉」の置きぐすり 寺田スガキ 庶民哲学 ×112 がんで死ぬのも悪くはないかも 栗○茜 メスからペンへ 113 うちの近所のいきものたち いしもりよしひこ 地球の仲間 市民 ×114 スズメ 菅原光ニ 愛しの生き物 115 配色の手帖 堀内誠一 おシャレの秘訣 市立 116 趣味の価値 脇村義太郎 元手の力 9F 市立 ×117 玉饌ふぐを語る 東京ふぐ料理連盟編 大好物中の大々好物 ×118 そうめん 三輪そうめん山本・企画広報室編 細くて長いものの食べ方 ×119 蛸の国 井上喜平治 暮らしの友達 ×120 播州そろばん 久保田輝雄 いとしい小道具 ×121 The 万年筆 梅田晴夫 生涯の友達 ×122 現代おさかな事典 阿部宗明ほか 食卓の友 ×123 明治屋食品辞典・酒類篇 企業の良心 124 求人広告半世紀 リクルート編 シューカツの社会史 県立 125 『音、沈黙と測りあえるほどに』 武満徹 吃音宣言 県立 大学 126 長新太のチチンプイプイ旅行 長新太 永遠の童心 市民 市立914.6チ 127 仕事ばんざい ランベルト・バンキ 県立 7階壁書架973ハ 市立 ×128 明治少年記 藤島○(がい)治郎 よくきけよ、こら 129 『ひとりよがりのものさし』 坂田和實 いただきもの 県立 市立
https://w.atwiki.jp/princess-ss/pages/73.html
パルティア王の三男ファルハードの体躯が獅子に例えられるのに対し、 長子バハラームはよく牛や象に例えられる。 三つ違いの弟がある種の優美さを備えた肉体を持つのに比べ、 第一王子の猪首、平たく垢抜けない顔、大柄な骨格と太い手足は、一見鈍そうな印象を抱かされる。 しかし、宮廷に伺候する青年貴族と比べて、頭や体力で特に劣っているという事は無い。 歴代の王族と比較しても、彼は水準以上のものを持っている。 だから、順当に行けば彼は王位に最も近くに居る筈だった。 ただし非常に出来の良い弟さえ居なければだが。 (阿呆だな、アタセルクス。人の倉を焼こうとして自分の家に火が付いては世話ないわ) 先日の巫蟲騒ぎのお陰で、第二王子は父王の信頼を損なった。 バハラームもその様を傍から見ていたが、 事態が予想外にあっけなく失敗に終わった事に逆に驚いたくらいだった。 (あいつはファルハードを罠に掛けようとしたな。 だが、何かの不具合で失敗して恥をかくこととなったに違いない) さすがに弟が呪詛をかけさせていた事、弟に魔族の姫が影から力添えしていた事までは 推測出来なかったが、証拠もないのにそのような想像を働かせるのは、 健全な知性の結果というよりは狂気か妄想癖の持主だろう。 彼とアタセルクスはある点で似ているため、事件の裏側をほぼ正確に見抜くことができた。 彼らの共通点は、出来のいい弟ファルハードの存在が 自分が王になるための障害であるという認識である。 違いといえば、第二王子は兄も邪魔者だと考えているが、 第一王子はアタセルクスも邪魔者だと考えている事ぐらいだった。 「そもそも、自分が告発者になって点数を稼ごうとするのが、 目立ちたがり屋のさもしい発想というものだ」 そうひとりごちながら大皿から鶏の手羽先を摘み、銀の小皿に盛ったソースをつけて口に運ぶ。 柔らかい肉を齧りとり、染み出た汁の旨みに舌鼓を打ちつつ、何度も咀嚼する。 ポロや狩猟に精を出しているお陰でまだ胴回りはそう太くないが、 王宮一の大食漢が、いずれ象から豚に例えが変わるのは、 預言者ではなくても言い当てられる事実だった。 「上の弟が失点を稼いだのだから、下の弟にも恵んでやらねば不公平というものだろう」 そう心を決めると、油塗れの手を叩いて従僕を呼ぶ。 間を置かずに現れた従僕の耳に何やら囁きながら、彼の手はまた大皿に向かった。 象のように食べるバハラームだが、頭の回転は鈍くない。 上の弟とのもう一つの共通点は、彼も同じく陰謀好きだということだった。 だが、弟アタセルクスと違うのは、彼ならば弟を誣告する場合も 自分の手を汚さずに第三者を使っただろう。 『策を巡らすなら、誰にも知られずに、密やかにやらなければ』 それが彼の持論であった。 しかし、第一王子と従僕しかいない筈の部屋に、小さな密偵が潜んでいたことには気が付かなかった。 バハラームたちの密談を聞き終わると、それはスルスルとその細い体を地に這わせ、 主に報告するため王宮内の誰も知らぬ場所へ向かっていった。 そして寝椅子に横になっていた主の耳元で、先端の裂けた舌をチロチロと繰り返し突き出す。 すると、主人はにこやかに笑った。 「ほほう? また面白い事が起こりそうねえ…… ここは本当に退屈しない所だこと」 ・・・・・・・・・ パルティアは一夫多妻制の国である。 王族ならずとも、資力があるなら幾人でも妻妾を蓄えることが許される。 もっとも、庶民にとっては一人の妻を養う事で四苦八苦している輩が殆どなのだが。 そうやって囲い込んだ美女達をハレムに納めて、金持ちは誰の目にも触れられぬようにしてしまうのだ。 ただし、集めたはのはいいが、男が全員を毎晩可愛がってやれるほどの精力の持主とは限らない。 宝石の様に収集するだけで満足してしまう者もいるのが現実だった。 「ライラさま、またお手紙が届いておりますよ」 「えっ…… そっそこに置いておきなさい。後で読みますから」 内心の動揺を隠そうとしながら、宮女ライラは使いの宦官にそう言った。 「出来ましたら、お返事を賜りたいのですが?」 「へ、返事? 気が向いたら今度書くわ……」 慌てふためくライラの顔に意味ありげな笑みを向け、宦官は一礼して去っていった。 使いが去ったのを確認すると、すぐさま彼女は文机の上に置かれた封筒を破る。 「嗚呼……」 そこにしたためられた甘い言葉に、胸の奥が焦がれる思いがする。 これは、後宮の女には許されぬ恋。 誰にも知られてはならない関係だった。 手紙には、相手がいかに彼女を想って夜を越しているか、 この思いを悟られないように、日々を過ごす事がどんなに辛く苦しいか、 思いを遂げられるのなら、どんな苦難も乗り越えるつもりであるか、切々と書かれていた。 流麗なパルティア文字の見事さと、洗練された言葉使い。 想い人に捧げる一片の美しい詩となって、恋文は綴られている。 (私に会いたいとあの方は仰るけれど、それは許されない事。 仮にも私はあの方の父上の物だもの。もし発覚すれば……) 自分にも手紙の書き手にも、重い罰が下される事だろう。 しかし、禁じられている恋ゆえに、一層想いは深まっていく気がする。 ハレムの女たちとて生身の女である。 恋に憧れる事も、危険な熱情に身を委ねたいと想う事もある。 そもそも男の側がそれを望むというのに、女の側を一方的に責めるのは理不尽というものだ。 危険な、だがそれゆえに甘美な熱情に焼かれながら、ライラは手紙をそっと胸に抱き締めるのだった。 ライラが恋文を受け取って、ニ三日した夜のことである。 新月の空は雲に覆われて星明かりも無く、バハラームは楽師が奏でる音楽を聞きながら、 己の植えた陰謀の実をいつ収穫するべきかに思いを馳せていた。 こう見えて、彼は芸術にも造詣が深い。 ただ、彼が音楽にうっとりしている様子は、水牛が牛飼いの吟じる歌に のんびり聞き入っているかのように見えてしまうのであり、 彼はここでも外見で損をしているのだった。 「……ッ」 楽師が、音を外した。 そこはもっと弦を押さえる指を柔らかく使うべきだった。 あからさまに不機嫌な顔になったバハラームは、掌を叩いて演奏を止めさせると、 手を振って下がるように命じた。 楽師の顔は青くなっている。 もう彼は王宮に出入りすることは難しいだろう。 青い顔になって引き下がる楽師に一瞥さえ呉れず、バハラームは羊の骨付き肋肉揚げに手を伸ばした。 「もっとマシな楽曲を聞かせる者はおらんのか?」 香辛料をふんだんに用いた羊肉に齧り付きながら近習に尋ねると、 主君の性格を心得ている彼は、すぐ次の楽師を連れてくる。 むしろ彼にとって、先に弾かせた楽師は前座だ。 これから見せる者こそ隠し玉である。 (さぞお褒めの言葉を賜れるだろう……) そう思うと、近侍の顔は自然に緩んだ。 「おっ……?」 ヴェールを被った女が、バハラームの前に畏まる。 見た事の無い女楽師であった。 薄絹で隔てられていてさえ、一目見ていたのならば絶対に忘れる筈がない。 そう思えるほどの美女であった。 「新入りか?」 「はい、お初に御目もじ仕ります。殿下」 「ふーむ……、そちは何を奏する?」 「箏を、あとは唄で生業を立てております」 ヴェール越しだが、透き通るような女の声だった。 小脇に抱えていた年代物の箏を絨毯の上に置くと、白魚の如き指がそっと弦の上に置かれる。 「ほほう? 我は箏にはちとうるさいぞ」 「殿下が歌舞音曲にご精通あそばしておられることは、賤の者どもにまで知れ渡っております」 「はっはっは、それを承知で我が前に来たのならば、よっぽど自身があると見えるな。 今は機嫌が悪いゆえ、下らぬ音を聞かせおったならタダでは還さぬぞ? ぬははっ」 「精一杯、勤めさせて頂きます」 「では…… そうだな、『チーナの舞姫』でも弾いてみ──」 王子の言葉が終わりきらないうちに、既に女楽師の指は動いていた。 この曲は、姫君たちが踊る恋の舞の躍動感を表現する、飛び切りの難曲だ。 激しさの中に静けさがあり、幸福の内に苦悩、清らかさの内に隠微さが潜まなければならぬ。 一人前の楽師でもニ三人の合奏で弾く代物であり、 独奏では王室付きの楽師たちでさえ怪しいものだ。 どう考えても、新顔にいきなり弾かせる選曲ではない。 それを、何の躊躇も無く女は始めた。 付け爪を嵌めた指が、弦の上を跳ねる。 始まりは静かに、そして次第に速く、さらに緩急自在に。 バハラームは女の指を食い入るように見た。 箏弾きたちの隠語で『二十本指のための曲』と称される複雑な音曲を、 目の前の新顔が全く澱みなく弾いているのだ。 それも一片の破綻も無く。 「……」 部屋に響く箏の調べは、見事の一語に尽きる。 瞳を閉じれば、脳裏に浮かぶのは東方の姫君の舞い踊る姿。 楽曲などに疎い奴僕でさえ、我を忘れて聞き入っている。 だが、バハラームはそうしなかった。 それよりも、箏を弾く女の姿に目を奪われていた。 曲目の如く、弦の上を華麗に舞い踊る白い指。 迷い無く動く指運の巧みさに、ため息さえ出そうになる。 恋に身を焼く舞姫の悲しい結末を表現する最終楽章に至るまで、その場の誰も席を立たなかった。 否、蝋燭の火が燃え尽きていたとしても、誰も気が付かなかったかもしれない。 それほどまでに、女楽師の演奏は絶品であった。 舞姫の最期を表す一音を、寂静の色を込めて掻き鳴らすと、厳かな余韻が室内に満ちた。 指を止めた女楽師は、改めてバハラームに頭を下げる。 「──拙い技、お耳汚しでございました」 「見事!」 膝を打って、バハラームは賞賛した。 その場に居た近侍や奴僕たちも、手を叩いて口々に褒め称える。 「なんと、こんな弾き手がこれまで野に埋もれておったとは! 名はなんと申すのか?」 「名乗るほどの者ではございませぬが、『箏弾きのライラ』と呼ばれております」 「ほう、ライラという名の娘などパルティア中に五万と居るだろうが、 『箏弾き』の名を冠する価値のある名手はそち一人に違いない」 「過分なお褒めを賜り、恐悦至極に存じます」 「うむうむ!」 主君の満悦そうな顔を見て、侍従の顔も綻ぶ。 彼にとっても、突然売り込みに現れた女楽師を引き立てた甲斐があったというものだ。 楽曲の腕前より別のところで主人の気に召すだろうと考えていたのだが、 まさかこれ程までとは…… 「ライラよ、そなたの奏でる音曲をもっと聴きたい喃?」 「御意のままに」 「うむ! 我は妙なる音楽を聴くときは、余人の居らぬ所で音色に浸りたい性分があってなあ。 宮の奥まで来てもらうが…… 善いな?」 「何処なりとも、箏を弾ける所なら」 意味ありげな笑みが主君の顔に浮かぶと、侍従は皮算用がもう一つ実現しそうな事を悦んだ。 女学士が楽曲だけでなく、別の意味での王子のお気に入りになったとしたら、 彼女を見出した彼に主人は感謝の気持ちを抱くだろう。 ひょっとしたら、それを形のある物品で示そうとしてくれるかもしれない。 さらに、王子のお気に入りに出世した女楽師も、当然自分を引き立ててくれた相手に感謝する筈だ。 彼女もまた、その気持ちを何らかの形で示すべきだ。 笑いをかみ殺すのに苦労しつつ、侍従は女楽師を部屋に誘う。 残念ながら、その目論見は泡と消える定めだとは知らぬままに。 ・・・・・・ 「では、何をお聞かせしましょうか?」 「それはさておき…… 」 招きよせた自室で、バハラームは箏弾きのライラを手が届くほど近くに坐らせた。 そもそも楽師という稼業は、これほど王族の近くに寄れる身分の者ではない。 恐縮する相手を無理に呼び寄せ、何気ない仕草で彼は手を伸ばした。 太い指が女楽師の細指を握ろうとしたが、すいっと繊手は引っ込められる。 「お戯れを……」 「よいではないか? 」 今度は肩を掴もうとしたが、女はまたするりと身を躱した。 二度も逃げられたばつの悪さたるや相当なものであり、こうなれば彼もむきにならざるを得ない。 両腕で相手を抱き締めてやろうと身を乗り出してかかったが、 その手に掴んだのは、ライラの被っていたヴェールだけだった。 女はどんな体術を使ったか、するすると男の魔手から逃れ王子と距離をとって坐り直していた。 「私めは楽を売るのが生業でございますよ。 そちらの方をお求めなら、花街よりお呼び寄せなさったらいかが?」 「……ほほぉ」 思わずため息が出るほどの美形である ヴェールを剥ぐ前からその麗しさは透けてはいたのだが、 改めて見ても、後宮の美女たちなど忘れる程に妖しい魅力を秘めた女だった。 「ふふふ…… そなたに比べれば、王都の花街など萎れた野草を並べているに等しい」 「まあお上手、王家の方々は皆世辞が巧みでらっしゃいますわね」 「いやいや! 我は王の子になるよりも、いっそお前の手鏡か箏になりたかった」 「おほほ、その心は?」 「手鏡なら、毎日お前に見つめてもらえるだろう? 箏なら、お前の可憐な指先で爪弾いてもらえるではないか」 もはやなりふり構っていられなくなり、バハラームは外聞も憚らず近寄ろうとする。 女も立ち上がって王子から逃げるのだが、扉や窓から逃げるような真似はしない。 まるで追いかけっこを愉しむかの如く、彼女は男の手が伸びる寸前で、ひらりひらりと逃げている。 「あれ、御無体な」 「おのれっ待て待ていっ! 待たぬか!?」 寸でのところで躱されてしまうと、そこに甘く芳しい女の残り香が残っていた。 まるで頭の芯が蕩けて陶然となりそうな、実に摩訶不思議な香りであった。 それを嗅ぐごとに、バハラームはますます女体への熱情が昂ってくる。 もはや見境なく、獣の様に獲物を捕らえようとし始めた王子には、 女楽師の白い手が追いかけっこのどさくさに紛れて、 燭台の灯火を消してしまった事も気にならぬようだった。 むしろ、闇の中で女の気配と匂いを頼りに探すほうが興奮する。 「ぐははっ、どこにいるのかな?」 「おほほ…… こちらですよ」 「そーら、捕まえるぞっ」 「残念、あと少しでございました」 逃げないという事は、口では嫌と言っていても女にその気が無い訳ではないのだ。 これは男を煽る手口の一種だと、バハラームは解釈していた。 今までこんな風に女に手玉に取られた事はないが、大人しく喰われるだけの餌食よりも趣がある。 そんな遣り取りをどれ位続けていた事だろうか? 女楽師の身体から香る匂いの所為で、バハラームにはそれが判らなかった。 自分が部屋のどのあたりに居るかさえ定かで無いまま、 女楽師を押し倒そうと、ただ懸命に追い駆け回った。 「……ええい、今度こそっ」 朦朧とした意識の中で、勢いを付けて飛び掛り、遂に女の身体を抱き締めた。 もう逃すまいと両腕に力が篭る。 「もう離さんぞ、ライラ」 「あっ……」 女の身体は柔らかかった。 蝋燭が消えた所為で顔は良く見えなかったが、 逸る心を抑えきれずにバハラームはその唇を奪う。 とりたてて他の女と違うとも思われぬが、苦労して手に入れた女の身体を確かめるようにきつく抱き締める。 腕の中で、女はやや震えているようであった。 それがまた可愛らしく思えて、バハラームの淫心をくすぐるのだった。 「我に抱かれるのが怖いのか?」 「はい、恐ろしゅうございます……」 「ぬふふ、怖がる事は無い。優しくしてやるぞ」 闇の中、バハラームは急にしおらしくなった女の装束を手探りで脱がしにかかる。 肌は、下々の者にしては実に滑らかだった。 相方の身体から発せられる甘い匂いに鼻をひくつかせながら、唇から頬へ、そして項へと 王子の唇は這い進んで行く。 「ああんっ、殿下! そんなご性急な……」 「ふふふ、これだけ焦らしておいて何を今更? 我はもう我慢の限界なのだぞ」 「でも……」 「怨むなら、我が心を捉えて離さぬ己の美しさを怨んでくれ」 「そんなっ……あぁっ」 女の身体を逃すまいと締め付けるバハラームの指が、女の股座の間に入っていった。 それを拒むでもなく受け入れる女の身体に、王子の身体も反応せずには居られない。 下穿きを押し上げる男性器の存在を、相手の太腿に押し付けてやる。 その感触に驚いたのか、腰が抜けた様に女は床に崩れ落ちた。 「ぬふふふふ……」 すかさず覆い被さったバハラームは、下卑た笑いをあげながら肌蹴させた胸乳を頬張る。 着痩せする性質なのか、灯りが付いていたときに見えたのよりは、若干小ぶりのようだった。 それでも、女の肌から薫る匂いには相変わらず脳が痺れる思いがする。 下半身を指で嬲りながら、乳に歯型が残るほどにきつく貪り、彼は獲物を味わいつくそうとした。 「やっ、」 「痛いか?」 「は……い、どうかもう少しだけ……優しゅうして下さいませ」 「よしよし、優しくだな」 言葉通り、肌を啜る力を少しだけ弱める。 恐らく肌に吸い跡が残るだろうが、構わず劣情のままに口唇での愛撫は続けられた。 女は嫌がり、不安な素振りを見せながらも、王子の行為を止めはしなかった。 否、男が自分の身体に跡を残してゆくのに悦びを感じているとさえ思えるほどに、 女の肉体は反応していたのだった。 「はうっ、そんなに吸われてっ……誰かに知られたら」 「ぐはははは、構うものかっ」 「ああっん…… そのお言葉、本気ですの?」 「疑うのか?」 「いえっ! 嬉しゅうございます!!」 女の腕が首筋に絡み、今度は相手側から唇を合わせてきた。 舌と舌が蠢き、互いの味を確かめようとするかの如く交わる。 思わぬ積極的な求愛に答えようと、バハラームは股座を弄る指の動きを早めた。 陰核を捏ね繰り回し、その度に震える反応を楽しみつつも、技巧の全てを尽くして責め抜こうとする。 男の指戯に、女陰はしだいに潤いを帯びつつあった。 それを頃合と見てか、野太い腕が割り込むように女の足を開かせる。 拒みもせず、脚は自ずから開いた。 バハラームは、裂け目に猛々しくいきり立った肉塊を衝き立てた。 「ああんっ!?」 甘い声を上げて、女はそれを受け入れた。 処女の硬さは無い。 男を知った女の味だ。 別に不自然とも思わない。 楽師や踊り子など、宴席に侍るものたちが世過ぎの糧として身を売るのは当たり前だからである。 この女楽師は先に『楽は売るが、身は売らない』と言ったのも、 『安売りしない』という意味のありふれた口上なのだ。 だが、仮に本当に生娘であったとしても、 今のバハラームにそれを不審に思えるほどの理性が残っていたかどうか? 「おおっ……」 結合の悦びに呻きながら、一息に奥まで突き入れる。 そして引く。 また刺し貫く。 既に盛りの付いた獣と化したバハラームは、ひたすらにそれを繰り返す。 女が手を繋ぎたがるのに答え、彼は相手の小さな掌を握ってやる。 灯りの中で見たあの白い指が、今自分の手の中に在る。 指からも、先程の甘く痺れる香りが漂っていた。 思わずそれを舌でも味わいたくなり、口元に運んで指を一本一本ねぶる。 不思議な味わいが口中に広がっていくのを感じながら、腰の動きは休まない。 胎内をかき回されるたびに上がる嬌声が、さらに彼を煽る。 女の側も、相方の動きに合わせて腰を使い始めた。 もはや二人を止める物はなく、互いの肉体から存分に歓楽を引き出そうと 呼吸を合わせて男女は番う。 肌と肌がぶつかり合う音が小気味良く室内に響く中、次第にそのリズムは速さを増して来た。 こみ上げる放出を予感し、益々強くバハラームは相手の体を穿ち貫いていく。 歓喜の声を上げながら、快楽に酔いしれる二人は絶頂へと向かい、狂ったように動きあうのだった。 「ライラ、そなたは我のものだ…… 誰にも渡さん」 「ああっ! 嬉しゅうございます! もっと、もっと言って下さいませ。私は殿下の物だと」 「可愛いことを言うではないか? 我のライラ、そなたは我の物だ」 「嬉しいっ! 私は殿下の物ですっ!」 暗がりの中で表情は判らないが、男の手を握る指に力が篭り、女は喜びを表す。 その行為に愛おしさが募り、バハラームは最後の打ち込みを膣奥へ目掛けて仕向ける。 「うおっ、ライラ! 出すぞ!?」 「はい! 私の中に、殿下の精を下さいませ!」 「お、おおぅ」 「あああああぁぁぁーーっ!!」 一番深い場所へ、バハラームは存分に精を放った。 女はそれを受け止めつつ達した。 激しい交合の後の気だるい感覚の中で、荒い息を抑えつつバハラームは女の頬を撫でた。 「はあっ…… はあっ…… ライラ、我はそなたの虜になってしまいそうだぞ」 「嗚呼、なんと嬉しいお言葉でしょう。 始めにお手紙を頂いた日より、私はもうずっとファルハードさまの虜ですのに」 「なに?」 「えっ?」 その時である。 部屋の外から叫び声が放たれた。 「誰か、誰か衛兵を呼んで!! ライラ様のお部屋に狼藉者が押し入って乱暴を!」 「何と! 国王の後宮に闖入者が!? ええい、宦官どもは何をしておったのだ! ものども出合え、出合えぃ! 狼藉者を逃すな!! 逃せば国王から厳しい罰を被るぞ!!」 バハラームには、何事が起きているのか見当も付かぬ。 もし彼の頭が不可思議なる香に惑わされていなかったのなら、 叫び声はあの女楽師の声色に似ていた事に気が付いただろう。 余人の侵入を許さぬ王のハレムはこの晩、火の付いた様な騒ぎとなった。 ・・・・・・・・・ 「そうお怒りにならなくてもよろしいではありませんか? ファルハードさま。 そんなにご機嫌が悪くては、わたくしも御前に姿を現せませぬ」 「……」 第三王子宮では、ファルハードが自室でむっつりと押し黙ったまま座に着いていた。 不機嫌そうに腕を組む彼の側には誰の姿も見えぬが、声だけは部屋の何処かから聞こえてくる。 「御義兄さまに、ほんのちょっと箏をお聞かせしただけではありませんか? お聞きになりたいのなら、幾らでも御身のために奏でますわよ?」 「……」 「あら、まさか! わたくしと御義兄さまとの間に何かあったとのお勘繰りでございますか? それはとんだ誤解でございます。 御義兄さまには箏をお聞かせしただけ! 本当に、指一本触れさせはしなかったのですから……」 「そうではない!」 ようやく、ファルハードは口を開いた。 彼も王宮の一員として、宮廷を騒がす事件に無関心ではいられない。 即座に人を遣わして、第一王子と宮女ライラの不祥事について調べさせた。 するとどうだろう、第一王子宮において美しくも妖しい女楽師が現れ、 彼女を連れて兄が自室に篭った後、誰も知らぬまま王子の姿は後宮で発見された。 それも、あられもない姿で。 宮女ライラの方は侍女を遠ざけた上で、何処から手に入れたか周りも知らぬ香水を使っていたなど、 どうも誰かを待っていた様子があるらしい。 「シャフルナーズ、何ゆえお前は我が王家に波風を立てようとする!」 「波風とは?」 「とぼけるな! 兄は後宮に忍び込むような人間ではない。 今宵の騒ぎは、全てお前が元凶だろうが!?」 「おほほほほ、さすがファルハードさま。 わたくしの事は何でもお見通しでいらっしゃいますのね」 笑い声と共に、ファルハードの頭上からひらひらと数枚の紙が舞い降りてきた。 思わず天井見上げるが、相変わらず女の姿は見えない。 「これは何だ?」 「わたくしという者がありながら、御身があんな詰まらぬ女に思いを寄せておいでなので、 ついつい意地悪をしたくなってしまったのですわ」 「我がいつ、父上の側女に思いを寄せたというのだ」 「あら、そのお手紙のご筆跡はファルハードさまの物ではございませんか?」 「確かに我の字に似ているが、こんな物を書いた覚えは無い」 その紙に書かれているパルティア文字の雄渾な筆跡は、自分の字に酷似していた。 十人中九人までが、それを第三王子の手紙だと思うだろう。 その九人の中に、ひょとしたら自分も入るかもしれなかった。 だが、そこにしたためられてある宮女ライラに向けた熱い思いの丈など、 ファルハードは頭の中に浮かんだ事さえも無い。 「偽手紙だぞ、これは」 「おほほ、それではわたくしの早とちりでしたの? 上の御義兄さまの侍従から使いの宦官に手渡され、宮女の元へ運んでいったものですから、 あの方の仲立ちで、二人が文の遣り取りをしていたのかと思ってましたわ」 「馬鹿な! 後宮の女に恋文を出すなど……」 言いかけて、ある事に気が付いた。 後宮で取り押さえられた兄が『これは陰謀だ、誰かに陥れられたのだ』と叫んでも、 周りの者たちはそれを信じなかった。 ライラとバハラームの身体に残った確かな情交の跡を見れば、説得力の無い抗弁にしか聞こえまい。 同様に、己でさえ自筆の物と間違えそうな恋文が、 もし誰かの目に触れていたらどうなっていたか? 自分の書いた物ではないと、誰が証明してくれるだろうか? 背筋に悪寒が走った。 「後宮からそれらは全て持ち去って参りましたゆえ、どうかご安心を…… フフフッ」 「シャフルナーズ…… 手紙を渡したのは、兄の手の者だという事は確かか?」 「はい、間違いなく」 ゆるぎなく、確信を込めた声。 そしてそのどこかに、楽しんでいるかのような雰囲気が漂っている。 ファルハードはため息を吐いた。 いかに美しくても、この姫君は邪悪の化身の血を引く娘。 災いと諍いは糧に過ぎぬ。 「そうお気になさらずに。 先だって、御身は謀反を起こした叔父君をお討ちになられたではありませんの」 「あれはカーウース叔父が悪かった。 父の治世に何の落ち度も無く、叔父はただ単に王になりたいだけの謀反だった」 「おほほ、奇麗事で語っても所詮は同じ事。 至尊の座を巡って血で血を洗うのは王家の宿命でございますわ」 「……シャフルナーズよ、お前に頼んでみたい事があるが?」 「ほほほ、何なりと」 「もしこれを叶えてくれるのなら、一晩とは言わぬ。 我の髪が白くなるまで、ずっとお前の物になってもよい」 「そのためでしたら、例え大海を飲み干せとでも、エルヴの山を削って平地にしろとでも、 何でもやってみせましょうぞ? おほほほほっ」 「我が王家に、骨肉の争いが起きぬようには出来るか?」 「……嗚呼っ! 期待で乙女心を昂らせた上で、それを弄ぶ憎いお方!」 ファルハードの問いに、何でもすると言ったはずの姫は恨めしげに答える。 「それはザッハーグ王やカイクバード王でさえ出来ぬ事。 神々でさえ可能かどうか定かではありませぬ。 御身は何ゆえ、私め如きにそれをお命じになられますのか……」 その声は後に行くに従って小さくなり、いつの間にか女の気配も部屋から消えていた。 彼女の言葉に誤りは無い。 悪の王ザッハーグは父親を殺して王位を奪い、カイクバードは兄たちに殺されかけた。 さらに、英雄王は己の子供たちが後継者の座を争って血を流すのを見て、嘆きの中で死んだのだ。 シャフルナーズが去り、一人残された部屋の中で改めてファルハードはため息を吐くのだった。 (終)
https://w.atwiki.jp/nocry/pages/203.html
わがままな巨人 「――夕刻には戻るよ」 背中越しに言い残して、男が恭しく開かれた扉を抜けて回廊へ出てゆく。周りが先を読んで、男の行く手を労苦の無いようにお膳立てする光景にも最近ようやく慣れた。 いってらっしゃいとその背に返すと、肩越しに僅か振り返った男が視線を寄越し、微かに唇を引き結んだのが見えた。 嗤ったのだと思う。 数瞬そのまま見送って、それからチャトラは手にした夜着のほつれを繕う作業に戻った。夜着と言っても、彼女の基準からするとたいそうな上物だ。滑らかで、しんなりと肌になじむ。チャトラ自身、布の材質だとか製法に全く知識がない上に特に知りたいとも思わない。が、とにかく皇宮で使用されるものは、どれも恐ろしく手が込んでいるということだけは、この数日でよく判った。そうして自分とまったく感覚が異なるということも。 なにせ、袖口の部分を引っ掛けただけで、捨てようと侍従が取り上げたのだ。 慌てて制した。 繕えば使える。そう告げたチャトラを奇異の目でみた侍従を、とりあえず同じ目で見返しておいた。捨てるだなんてとんでもない話だと思った。 そもそもチャトラの感覚には、物を捨てるという意識がない。一つのものを襤褸雑巾のようになるまで使う。それは別に、 「もったいない」 という高邁な精神だとか清貧な思考とやらではなくて、単純に、 「新しいものを手に入れる金がない」 のではあったが。 男は面白いものでも見るような――というより、はっきり面白がっていたのだろう、そんなチャトラと侍従のやり取りを、傍観しながら書類を片付けていた。まったく他人事の顔をして楽しむのだ。酷い男だと思う。 この部屋の主、エスタッド皇の話である。 チャトラが男の居室に寝起きするようになってから、数日経っていた。 ここでの仕事として、『エスタッド皇帝の身の回りの世話』を任されることになり、最初は戸惑いも大きかったものの、もともと仕事に対して一定以上の情熱を注ぐ傾向がある。自覚している。 と、言うより、 「働かざる者食うべからず」 だと教え込まれて生きてきた。特定の誰かが教え込んだと言うよりは、生活そのものが「そう」だった、としか言いようがない。食う手段を身に着けなければ餓死するだけなのだ。 自分では何もしない男の世話をすることになった。 と言っても、チャトラには執政の知識もなければ、興味もない。 執務室について行ったところで、読めもしない文字列を追っているだけでこれと言ってすることもない。 必然、男の居室周りを担当することになった。入居を許可されていた女官たちが、若干恨めし気な目で自分を眺めていた気もする。気にしないことにした。 繕う手元を見つめる視界が、なんとなく怠い。 拳で拭うと、粘った涙が滲んですぐに消えた。このところおかしな夢ばかり見る。深く眠れている気がしない。そのせいで不調気味なのかもしれない。 チャトラ。 大きく伸びをした弾みに窓の外から呼ばれた気がして、勢い、出窓を大きく開け放って顔を出す。腕まくりをしたふくよかな女が数人、笑いながら彼女を呼んだのである。 「おばさん」 「トラ坊、今日も仕事を頼んでもいいかね」 「いいよ」 頷いてチャトラは繕い途中だった針を丁寧にしまって、そのまま窓からひょいと体を乗り出した。セヴィニアあたりに見咎められたら、厄介なことになりそうな行為ではあるが、幸い補佐官の目はほとんどこの区画へ向くことはない。 ここは皇宮の中でも、エスタッド皇の生活空間に当たる。 私生活へみだりに足を踏み入れる真似は、仮令三補佐であろうとも許されるものではない。権限として許可されていたとしても、人一倍規律を重んじる傾向にあるセヴィニア補佐官である。ほぼ十割の確率で、この区域へは遠慮した彼の監視の目は届かない。 正直、大変に苦手意識のあるセヴィニアから逃れられる場所があることが、チャトラにはありがたかった。 「アンタ、軽業か何かで陛下に取り入ったのかい」 ひょいと身軽に飛び降りたチャトラに、驚きと感嘆の入り混じった顔で女たちが言った。 確かに、彼女たちの体で同じ行動を起こすのはおそらく無理だろうとは思うが、 「なんで?」 「中二階から飛び降りる莫迦は、いけない事を企んでるヤツか軽業師と相場が決まってるのさ」 「オレ、どっちでもないよ」 「判ってるさね」 そう言って中年の女はおかしそうに笑った。 踵を返す彼女等に後に小走りで付いて行きながら、チャトラは尋ねる。 「何すんの」 「今日は敷布がえらくたくさん出てきてね。一人でも人手が欲しいって言うのに、そこいらでヒマそうに突っ立ってる兵士たちゃ手伝いやしない。まったく何をしているのか判ったもんじゃないね」 「見張りしてんだろ?」 皇宮の警護だと聞いた。確かにあちらこちらに配備されている数は、やや多いような気もしたし、そのうち半数以上は「見張り」だとか「警備」には程遠い、締まりのない顔をしていたが、 「突っ立ってるだけじゃあ、そこいらの柱と変わらないさ」 女の一人が言い切った。 酷評である。 「それなりに役に立ってねぇの?」 「どうだか」 割と本気で吐き棄てる。それを横目で眺めて、 「嫌われたもんだな」 チャトラは苦笑いした。 「役立たずは嫌われるってね」 「陛下がああなったのも、護衛の兵士が、お側にいなかったからと言うじゃないか」 「トラ坊はもう見たかい?」 一つ尋ねると連鎖反応で口々に言い募るので、会話には事欠かない。 「見た、って」 「陛下の腹の傷さ」 「ああ……見たよ」 チャトラは頷いた。 あの浴場以来、まじまじと眺めたことはなくとも、同じ部屋で寝起きしていればそれとなく目に入る。全く陽に焼けていない青白い肌に、抉れ、引き攣れたままの傷跡は妙に生々しい。 雨が降ると疼くのか、無意識に右腕を庇うように体の前へ回す癖にも気付いた。 男が、そのなよとした風体に反して、ほとんど無感動的に理論主義者であることも、 仕事から戻ると小一時間は、思考の切り替えができずに、強張った顔を見せるということにも、 そっけない物言いにも、慣れた。 「執務区域でね」 「柱の陰から襲われたって言うじゃないか」 「妹君を立ててね」 「幼い本人は何も知らなかったそうだろう?」 「ディクス卿はいなかったかい」 「あの日あの方はいらっしゃらなかったらしいよ」 「あの方がいたらねぇ」 黙って言葉の端を拾って状況を読もうとするチャトラは、その言葉にディクスの顔を思い浮かべる。 「あのひと、強いんだ」 やっぱり。 隙のない視線と張りつめた空気。どうしてそこまで緊張を保てるのか、いっそ凄惨なほどに。ふと呟くとそりゃそうさ、とまた返される。 「あの方はこの王都一番の腕を買われて、皇帝陛下の護衛に就かれたんだよ」 「へぇ」 「もう二十年ほどになるのかねぇ」 「二十年」 一年そこらの風格ではないことはよく判っていたけれど、それにしても二十年同じ人間を護衛する任務を遂行できるディクスを、チャトラは思わず素で感嘆した。 何しろ自分の年よりも長い年月と言う物が、実感として湧かない。途方もない話だ。 エスタッド皇の背後に控える影のような男を、チャトラが思い浮かべなおしている間に、女たちの話題はディクスから再び皇帝に戻っている。 「お可哀想に、あの時陛下が生死の境をさまよっていたのは、ふた月?……み月だったかね?」 「み月近くになったと思うよ。その間皇宮はてんやわんやでね」 「いつお隠れなされるかーって、寄ると触るとその話だったっけね」 「不謹慎な話だよ。いつ崩御の半旗が上がるのかって、兵士たちは賭けていたって話」 「補佐官が葬儀の準備をしてたっていう話も本当らしいね」 「まったくお気の毒な話さ」 女たちのもの言いから、男が下働きのもの嫌われている訳ではないのだなと思う。 と言うよりも、直に接する機会を持たないのだ。遠目から眺めるだけならば、あの陶器の人形のような男は、憧れの視線でもって賞讃されているに違いない。 水面に映る玲瓏な月は、手を伸ばして水面は乱れても、その実態に触れ有ることはない。 側に仕える女官や侍従も似たようなものなのだろう。誰も男を直視しようとしないからだ。 ……ここにいるのに。 チャトラにはそれが不思議だ。 そうして、洗濯場に到着すると、確かにそこは戦場であった。 洗う前の敷布が小高く積まれ、洗いあげられた敷布もさらに積まれ、その山の間を忙しそうに女たちが動き回っている。チャトラを呼びに来た数人も現場へ戻るとさて、と腕まくりをし直し、 「トラ坊」 「うん」 「アンタ、片っ端から洗ったヤツを干して行っておくれ」 「わかった」 皺にならないように糊付けされ、軽くたたまれた敷布を、洗濯場に張り巡らされた紐にひたすら掛けるという作業を始める。チャトラの背丈では洗濯紐に届かず、足場を持ちながら彼女は移動した。確かに一枚二枚ならどうと言うこともないのだろうが、それが小一時間に及ぶとかなりな労働だ。額の汗を拭き、丁寧に指先で皺を伸ばし、空を見上げる。四方を建物に囲まれ、切り取ったような洗濯場の空から、それでも燦々と日光が降り注ぎ、 「よく乾くだろうな」 一人語散た。 晴れた日に、洗濯物を干すという行為が好きだ。 汚れていた衣服が、揉まれ叩かれ擦られて汚れを落とされてゆくのを見るのも好きだ。真っ白に洗い上げられて風にはためく様は壮観だと思う。 濡れていたそれらが芯まで乾いて、取り込んだ山の中に埋もれるのも大好きだ。 太陽の匂いがする、と言うと女たちが笑った。 終えると、正午を回っていた。 親切な女たちの勧めで、そのまま昼食を一緒に流し込んだ。薄いスープと固い黒パン。チーズが何欠片。皇宮と言ったところで、下働きに供される食事はそれだけのものだ。チャトラには、よく馴染んだ味だった。 食事の礼を言うと、却って女たちから口々に礼を言われ、おまけに両手に抱え切れないほどのリンゴを持たされた。ありがたく頂くことにする。 部屋へ戻ることにして回廊を小走りに戻っていると、 見なれぬ区画へ足を踏み入れていた。 あれ、と呟き辺りを見回す。 静まり返っている。 男の住まう生活空間を目指していたはずなのに、どこかで曲がる所を間違えたらしい。皇宮は広すぎて、未だにチャトラは把握できていない区画が大部分だった。 継ぎ足した部分や増築した部分があって込み入っている訳ではないので、造りを覚えてしまえば楽なのだろうとは思う。最初から計画的に設計された皇宮は、蜂の巣のように理路整然としている。真ん中に尖塔。それをぐるりと囲む形で幾つかの区域に分類されているのだが、その同じような造りが、今のチャトラには徒になった。 足を止めて辺りをもう一度伺った。このまま進んで男の居室に辿り着くものかどうか、それとも戻った方が無難だろうか。 ただし、無意識に足を運んできたので、同じように元来た道を辿れる自信はなかった。 どうしようか。 小さく息を吐く。 いっそ近くに見張りの兵士でも巡回していると良かったのだけれど、あいにくこういう時に限って人気がない。 と言うより、この区域に人の生活臭がない。 使われていない部屋――例えば何がしかの行事の時だけに使う小部屋だとか、倉庫の役割を果たして、取りあえず荷物を積み重ねておくような部屋――なのだろうか。 僅かに逡巡したものの、時間が押している訳でもなし、いっそ知らない区画の探索も良いかと、チャトラはそのままぶらぶらと進むことにした。昼食は済ませたし、男は夕刻まで部屋に戻らない。今日やるべき男の身の回りの支度は既に終えていたし、繕い物は急ぎではなかった。強いて言うなら男に課せられた朗読の練習がまだ少し残っていたが、道草をして充分間に合う。 薄紫の大理石の回廊の上に、土足で歩くには気が引けるほどの、何層にも織られた幾何学模様の絨毯。大人が腕を広げて三幅ほどの通路の両脇に、薄紗と緞帳で仕切られた部屋がいくつも配置されている。 風が静かに吹く度に、はらはらと揺れる紗と、もったりと動く織布。布の重さで様々だ。 ふと、練り香水の香りがしたような気がして、チャトラは顔を上げた。 「……何者か」 上げた拍子に誰何がかかる。 きんと張りつめた硝子細工に罅が入ったような、擦れた中低音だった。 男だ。まだ若い。 違和感を感じたのは、顔の割に声が妙に老成したものだったからだ。顔の造成がどうだとか、チャトラはあまり評する趣味は持たなかったが、陽光を通さない黒い髪は綺麗だと思った。 こんな場所にいるということは、それなりに位のある役職か、あるいは兵士なのだろうか。 男の身体はエスタッド皇帝と同じくらいに細身で、武功を上げるほどの膂力があるようには、決して見えはしなかったが。 男の陰には隠れるように女が添っていて、それがまた蜉蝣のように細い。 こちらも同じようにどう言った経緯の者なのか、チャトラにはさっぱり判らなかったが、ただ風が吹けば飛んでしまいそうに、あえかな女だとは思った。少なくとも侍女と立ち話していた訳ではなさそうだ。 何者か。 もう一度尋ねられ、チャトラは首を捻る。男の言葉が判らない訳でも聞こえない訳でもなかったが、自分自身の立場を一体どう表したらいいのか、困ったからだ。 男の誰何が名を尋ねている訳ではないのは明らかで、けれどチャトラに役職はない。 「皇帝が自分を気まぐれに飼っている」 それが正しい表現なのかもしれないが、チャトラの自尊心として口に出すのは躊躇った。 まさか、 「しがない掏摸稼業の者です」 と言う訳にもゆくまい。 黙っていると不審に感じたのか眉を顰めた男が、つかつかと彼女へ向かってくる。その右手が腰の帯剣に軽く掛けられているのを見て、チャトラは二、三歩後退した。 「姫君のお命を狙う不届き者にも見えないが――、下働きの者はここへの出入りを禁じられている。知らない訳でもあるまい」 姫君。聞いてチャトラは一瞬ちらと男の背後の女へ視線を流した。なるほど透けるように頼りないのは、庇護され続けた立場だからだ。エスタッド皇帝に通じるものがある。 どこの姫君なのだろうと思った。 後退した背が柱にぶつかり、仕方なくチャトラは静かに威圧しながら近づく男を見上げた。 抱えたリンゴを投げつけてやろうかと一瞬考えて、やめておくことにした。 「それとも新入り……か?」 「新入りだよ。そう脅すなよ、ノイエ補佐官」 不意に響いた第三者に、チャトラも男もその声の主へ視線をやる。 ダインが立っていた。こちらも、若い女を一人連れている。たまたま通りがかった風情、と見えなくもないが、先程までの人気のなさを考えると意図的なものなのかもしれない。そう思った。 白い女だ。 銀と言うよりは白。髪も肌も真っ白な女にチャトラは見覚えがあった。 北の街から皇都へと移動の最中に襲撃されたあの場で、困ったようにエスタッド皇帝へ小言を投げかけた女だ。 この女も確かに透けるように白いのに、ノイエと呼ばれた男の背後に佇む「姫君」より、よほど存在感がある。存在感と言うよりは躍動感、生命のにおいがする、と表した方が、今のチャトラの感覚に、より近いかもしれない。 「ダイン卿。……ミルキィユ殿下」 「殿下はよせ。わたしは一隊を率いるただの駒に過ぎない」 呼ばれた女がひらひらと手を振り、苦笑しながらチャトラと男に近づいた。チャトラを眺めて未だ考える素振りを見せた男が、剣の柄から手を離し、ミルキィユに軽く腰を折る。 女の苦笑がますます深くなった。 「補佐官殿は堅苦しいな」 「生まれつき故お許し願いたい」 返した男が、気配でチャトラを指したのが判る。 「この者は」 「チャトラと言う。先日から陛下の身の回りのお世話をしている」 「……素性は」 「明らかだ」 「何しろあのセヴィニアの遠戚という話だからなァ」 「セヴィニア公の……なるほど」 女の背後から半ば茶々を入れるように重ねてダインが声をかけ、頷いた男が納得したように身を引いた。チャトラを眺め、緊張に強張る顔を見止めたのだろう、不意に頬を緩めて眉が下がる。 笑ったのだと遅れて気づいた。 「……驚かせてしまったな」 困ったような声は、老成したものから、年相応の若いものへと変化している。 「ここ最近、姫君の身辺に不穏な噂が流れていて、少々過敏になっていたんだ」 済まなかったね。 男はそう言って彼女の視線に合わせるように身を屈め、己を三補佐を務めるものだと名乗った。 ああそうか。 そこでチャトラは納得する。 皇帝の香いが僅かに漂った気がしたのは、仕事柄、男が皇帝と接する機会を持つからなのだろう。 三補佐。大柄なアウグスタと、鉄面皮のセヴィニアを思い浮かべ、目の前のノイエと名乗った男の顔を見た。他の二人に比べて随分と若い。 「その不穏な噂のことで、話があって貴方を探していた」 「……僕を?」 話題に出たのを幸いと、ミルキィユがノイエへと話を振り、あまり他には聞かせたくないのか、少し離れた回廊の隅でぼそぼそと何事かを言い合っている。 耳を澄ませて聞き取っても良かったのだけれど、それよりニヤニヤと柱にもたれながら笑うダインに気が行った。 「元気そうだな」 「アンタも」 見上げた男の顔は、あの日分かれて以来久しぶりに見る。人懐こそうな瞳が相変わらずだなと思う。 「皇都に連れてこられたってお嬢に聞いたから、寄って集って人形みてぇに小奇麗に飾り付けられているかと思ったんだが、相変わらず色気のない格好をしてるんだな」 「うん」 「男の装いじゃねぇか」 「うん」 言われてチャトラは自分の恰好を見下ろす。下働きの女たちや、皇宮内で働く侍女たちの装いではなく、ダインにも言われた「男物」、つまりは侍従と変わらない格好をしている。 事情を知る皇帝周りの数人の人間が、何とかチャトラに 「女らしい」 装いをさせようといっそ嫌がらせのように押し付けてきたが、断固拒否した。町の女が履くようなキルトですら身に着けたことがない。理由は単純で、動きにくいからである。ましてや、パニエを履くだとか、とんでもない話だと思った。 頼み込まれても嫌だ。大金を積まれたらさすがに考えるが。 裸でいる訳にはさすがに行かないので、男物を着ることにした。それでも「エスタッド風」なのかどうか、ひらひらと装飾が多いのが気に食わないが、妥協点だ。 自分でも怖いくらいに合っていると思う。 四肢の発育の悪さも相まって、どう見ても少年にしか見えない。おかげで、チャトラの経緯を知らない大人たち――たとえば洗濯場の彼女たち――は、彼女のことを少年だと端から信じて疑わない。 「似合うだろ」 「違和感がねェ」 「うん。女に見えない方が、いいんだ」 「そんなもんか?」 「たぶん」 それ以上チャトラは口にはしなかったが、男を取り巻く環境が、複雑であることは理解している。親と子ほどに、年の離れたエスタッド皇帝の部屋に寝起きするということがどんなことか、男の歓心を何としてでも得ようと画策する女たちが少なからずいることも、勘の良い彼女は頭でと言うよりは肌で理解している。 そもそもセヴィニアあたりは「風紀が乱れる」だとかなんとか、かなり難色を示したらしい。皇宮へ上げるなら上げるで、 「側室」 としての形態を取りたがっている節があったが、一連の元凶であるエスタッド皇帝の 「問題なし」 の一言に渋々口を噤んだようだった。きっと皇帝は何も考えていない。面白がっていただけだろう。 「ここ、どこ」 尋ねたチャトラに、ダインは若干渋い顔をした。 「お前な。ややっこしいところに首突っ込むんじゃねぇ。一体何の用事があってきたんだ」 「来たくて来た訳じゃねェよ。迷ったんだよ」 むっとしてチャトラは返す。言われなくても、戻るつもりだったのだ。 「皇帝の旦那は……あー、仕事か」 「午後まで会議」 「そうか。だよなァ」 ところで、あの人は誰。 言ってチャトラは、ノイエと話し込むミルキィユと、それから離れたところに未だ佇んだままの、人形のような女を顎で指した。 「白い方は俺の上官」 「上官」 へぇ、と見直す気持ちでチャトラはミルキィユを見た。えらく適当に見えて、目の前のダインが本気を出したら、自分では恐らく身を躱すこともできないだろうことは、最初の掏摸未遂で実感済みだ。その男をして従える彼女は、一体どれほどのものなのだろうと思う。 武勲ばかりが強さであるとは限らないし、年功序列、上下身分の差のある軍部で上に立つものが手練れである保証は勿論ないと言うことは、チャトラにも判るが、それにしてもある種の「強さ」がなければ、この目の前の男は誰に対しても膝を折らないような気がした。 確証はない。直感だけだ。 「きれいな、ひとだね」 であったから、見たまま思いついたことを口にした。言うと途端にダインの顔がにやけ崩れるのが判る。 「俺の」 「言ってろよ」 顎に手を当てて言い放つ男に、チャトラは肩を竦めて受け流した。 「……なァ?」 「なんだ」 「でんかって何」 「ああ……お嬢はあれでも旦那の血縁らしいからな」 「妹?」 「だな」 「……そうなんだ」 意外だと、思った。声に表れたかもしれない。ダインがちらとこちらを眺めるのが判った。 何故かは知らないが、何の疑いもなしに皇帝は天涯孤独なのだと信じていた。他を寄せ付けない雰囲気のせいなのかもしれない。 あの男は、全てを拒んでいる。 「向こうの吹けば飛びそうな女のひとは?」 「……吹けば飛びそうって、お前な」 臆面もないチャトラの言い草に今度こそ本気でダインが苦く笑った。 「ノイエ補佐官に聞かれたら引っ叩かれるぜ」 「…セヴィニアのオッサンに聞かれたら、引っ叩かれるだけじゃ済まねェだろ」 おそらくセヴィニアなら容赦なく拳が――下手をすると鞭でも飛びかねない。 ぎょっとした顔のダインに、割と純粋なのだなと思った。 「お前、そんなことされてんのか?」 「今は平気。あのひとが寝込んでた最初の一か月は、何度か食らったけど」 「食らったって」 「なんか、無礼を働いたとか、横柄だとかで、懲罰だって。ていうか、オレ、繋がれてたし」 私の遠縁の娘なのだから、それなりな立ち居振る舞いを身に着けてもらわねば困る。 這いつくばったチャトラの頭上からセヴィニアはそう宣言した。 皇宮と言うところは面倒なところだと思う。街の常識が通じない。素性のはっきりしない、手癖の悪さだけが取り柄の掏摸の小娘だと、いっそ周りにそのまま告げても、大差ない気がチャトラにはするのに、所謂 「建前」 が必要らしい。 セヴィニアの遠縁、と肩書が付いたところでチャトラの何が変わる訳でもない。だのに、今のノイエと言い、他の侍従と言い、その肩書一つを聞いて安心して引き下がる。 「あの補佐官殿の遠戚であるならば」 そう言う。 そんな大人たちが、チャトラにはとても可笑しいと思った。 ……自分の目で見えるものを見ていないんだ。 男がやけに孤独に見えるのもきっとそのせい。 「おい、チャトラ」 不意に真顔になったダインが、顔を近づけ、声を潜める。 「お前、今は本当に何もされてないのか」 「何もって」 「だから、そう言った……、あー、殴るだの蹴るだの、繋ぐだの」 「ないよ」 今は。 応じるとそうか、と僅かに緊張を解いて男が溜息を吐いた。 「言えよ」 「言うって」 「何か嫌なことをことされたり、……されなくてもいい、されそうになったら、言えよ」 何とかしてやるから。 皇宮内の勢力事情に疎いチャトラには、目の前のダインと言う男がどの程度の実権を握るのか、どの程度の発言力があるのか見当もつかなかったが、言葉通りにきっと実行してくれるのだろうと思った。 「見返りがないのに親切な人は信じちゃいけないって、姉ちゃんが言ってた」 「おい」 「見かけによらず親切だよな、オッサン」 「俺はまだオッサンじゃねぇぇ……!」 「ありがとな」 口調とは裏腹に、小さく笑うと、今の言葉が冗談だということに気付いたのか、ダインががりがりと頭を掻いた。 一通りの話が付いたのか、ノイエとミルキィユが二人に向かってやってくるのが見え、チャトラは改めて向き直る。女はいつの間にか消えていた。 そのまま、皇宮内の造りを説明されながら、ノイエがチャトラの横に立ち、皇帝の生活居住区まで送り届けられる。もともと道覚えは悪い方ではない。説明を聞いているうちに、大体の構造が頭に入る。次はきっと迷わないだろうと思う。 ダインとミルキィユは中途まで後ろからついてきたものの、彼らは彼らで忙しいのだろう、じゃあまた、と手をひらひらと振り、回廊で別れた。脇のノイエに聞くと、訓練場に行ったのだ、と返される。皇宮内でも仕事熱心だなとチャトラは少しだけ呆れたが、二人が仕事も境遇も、それこそ時間も忘れて、 「訓練」 と言う名の気晴らしの真剣勝負をしているだけなのだと知ったら、恐らくもっと呆れただろう。 結局、上手い具合に話を躱されて、ダインに女のことを聞きそびれたとチャトラが気が付いたのは、部屋に戻ってしばらくしてからだった。 夕刻には戻ると言った男は、夜半過ぎても戻ってこなかった。会議とやらが長引いたのか、それとも他の仕事が入ったのか、はたまたどこかで倒れでもしているものか。 未だに男がどんな仕事をしているのか判っていないチャトラには、判別がつかなかった。――尤も、判別をつけたいとも思っていなかったが。 課せられていた分の書き取りも、繕いも、終えてしまったし、一人では食欲もあまり湧かず、夕食も適当に済ませてしまった。 手持無沙汰で、おそらく先に休んでいたところで、男は何も意に介さないと思ったけれど、なんとなく寝てしまうのも悪い気がして、ぼんやりと暖炉の前で熱に当たりながら炎の揺れを眺める。暖炉の前は暖かくて気を抜くと睡魔に引き込まれそうだ。億劫で、教練本を開く気にもなれない。 じっと見つめていると、随分離れた場所だというのに炎の熱がじりじり眼球を焼く。 ばちん、と瞬きをすると目の奥に深緑の残像。 じりじり。 ばちん。 じりじり。 ばちん。 暇つぶしに反復運動を繰り返し、揺り椅子の脚に背もたれる。何十か、何百か繰り返したところで、扉の外が不意に騒がしくなり、少し遅れて外に開かれた扉をくぐって、この部屋の主が不機嫌な足取りでようやく自室に戻ってきた。 立ち上がり、おかえりと進みかけたチャトラと、苛々と髪を掻き上げた男がはたと鉢合わせる。 一瞬男が、動きを咎める目をしたのが判った。 「……お、かえりな、……さい」 おかげで妙に裏返った声が出た。 まるで知らない人間を見下す瞳。思わず腰が引ける。 「――“猫”か」 ああ、と己に言い聞かせるように口の中で言葉を転がし、男が眉間を指で揉む。 一瞬この部屋に彼女がいることを理解できず混乱したのだと、遅れてチャトラは気が付いた。 きっと、草臥れているのだ。 会議と聞いていたけれど、纏った礼服は余所行きのそれで、 「どこか、行ったの」 「地方太守との懇談。予定に急に挿まれた」 「お茶……飲む」 「要らぬ」 「メシは」 「気が失せた」 「着替える?」 「そのうちね」 言葉短に応えて男は、部屋の一角に置かれた飾り戸棚へ近づき、乱暴に開いて陳列された酒瓶の一つを手に取る。 そのままぐ、と呷る。口の端から飲みきれなかった酒が溢れ、透明質なそれが喉元に流れて男の片腕が煩わしそうに拭った。 そうして、チャトラの背もたれていた揺り椅子へ、どさりと腰を下ろす。弾みで梳られた栗色の髪が、猥雑に広がった。 長々と男が溜息を吐く。 「――何を見ている」 じっと、チャトラが動きを目で追っていたことに気付いたのだろう、男が仰向け目を閉じながら、尋ねる。その声音から険は既に消えていた。 「疲れてんだろうなって」 「――ふん」 僅かに抜いた息とともに、鼻先で男が笑った。 部屋に戻った瞬間、目の前の小さな体に戸惑った。 己しかいないはずの清潔かつ快適に整えられているはずの部屋の中に、見知らぬ色が紛れ込んでいる。違和感。 流した視線に強張った顔を見て、これはどこかで見た覚えのある顔だと気付き、そこでようやく認識する。 これは懐に飛び込んできた猫だ。 「アンタ、身体があんまり丈夫じゃない割に、結構無茶な仕事ぶりするよね」 「そう見えるかな」 「うん。命削って仕事してるみたいに見えるのは……仕事してると誰にも邪魔されないから?」 「――」 男の具合を気遣っている意味を含むのか、控えめに尋ねるチャトラの声が、普段の滑舌の良さからは少し遠く聞こえる。 興味を覚えて、ようよう目を開ける。足元に座り込んでいた彼女の襟を、無造作に掴みあげた。男の力でも持ち上げられてしまうほど、重みのない未発達な体。これでも少しは皇宮に来て肉が付いたと思いたい。別段均整のとれた体に、男の興味はなかったが、欠食児童のみすぼらしさだけはいただけないと思っている。 少なくとも、見ていて快いものではない。 己の膝に痩せぎすな体を引き上げて浅く腰掛けさせると、暴れるかと思ったチャトラは大人しく収まった。 珍しいな、と思う。 「『日常業務をこなすことがやっと』程度に弱り切っていれば、余計な問題が持ち込まれることもあるまい」 言ってもう一口、手にした酒を呷った。 銘柄も適当に選んだ蒸留酒。素のまま飲むのは喉が焼けるように痛むが、今の割と投げやりな気分にはしっくりくるので気にしないことにした。 何せ不愉快な懇談だった。 生まれた時より、男は「次期皇太子」だった。自身の地位を利用しようと近付いてくる輩には、何の疑問も持たないけれど、それでも揉み手へつらい愛想笑い丸出しで、脂ぎった顔ににじり寄られる趣味はない。 よほど中途で席を外そうかとも思ったが、実行すると更に面倒臭い懸案が増える。 「余計な問題?」 「――後継者であるとか」 「子供ってこと」 へぇ、とチャトラが頷きかけて、それからふと思い当たったように、 「……だって」 不思議そうな顔をした。 「アンタ仕込めねェんだろ」 仕込む。歯に衣着せない物言いに、男は笑いを誘われた。 まったく、あけすけに突っ込んでくれる娘だ。 「実子に限らず」 言われてチャトラが考え込む顔になり、天井を見上げた。彼女の生きてきた人間関係とはまるで違うのだろうと言う程度は、男も理解している。少ない知識の中から、納得のいく「理由」を拾い上げているのだろう。 「えっと、義理の子供とか……に、してくれってヤツの多いって話?」 であったから、次に発した猫の言葉は、彼女にしては上出来だ。「とか」の辺りに確定できない不安要素があるのだろうなと男は聞いて思った。 「それも、あるのだけれどね」 含むように頷く。 一つの問題ではあるのだと思う。ただし、養子ならば片端から却下していけばどうとでもなる話だ。それよりも尚厄介なのは、別の旗下に集結しようと画策する者どもで、 「血縁が後継者の名乗りを上げると、より面倒が増える」 「血縁者……アンタの妹さん、とか?」 「誰に聞いた」 問い詰める気はなかったが、視線が瞬間鋭くなったらしい。吃驚した顔でチャトラが男をまじまじと見つめ返す。 「聞いたらダメな話だった?」 「――いや」 そうではない。そうではないよ。 ゆるゆると首を振って否定してやると、そうか、と膝の上の猫が一人合点して頷いた。 「タネ違いの唯一の妹だ――だと思う」 「結構微妙なんだな」 「生まれた場にも、育った場にも、居合わせなかったのでね」 「へぇ」 薄く笑って男はまた酒を呷る。自分は酔っているのだ。年端もいかない、判別もつかない、ただの下町で拾った猫にこんな話をするのだから、きっと相当に酔っているのだ。 「――一人の女を奪い取り合い争って、二人の男が醜悪に死んだ。腹に、どちらのものとも付かない赤子を宿した時、彼女は自ら身を隠した。数年経ち、無残に焼き払われた村の、たった一人の生き残りの少女がひょっとすると私の血縁者かもしれず、その定かではない情報に踊らされて、あれの名を借りて担ぎ上げる者ども。――何時死ぬか判らない私を排斥しようと画策する、魍魎どものなんと多いことか。今時どんな戯曲家も書かないような構成だ。笑うしかない」 口の端に笑みの残滓を漂わせたまま、男が呟くとチャトラがしんと真顔になった。 「腹のキズ」 「――うん、」 「妹を立てたって、そんでアンタを襲ったって。洗濯場のおばさんたちが言ってた」 「そういうこともあったのかもしれないね」 「……オレも家族とかあんまりいなかったから、はっきりしたこと、言えねェけど。『カゾク』とかって、何があっても一番に自分を味方してくれるようなもんだと思ってるんだけど」 「――味方――」 チャトラの言葉を繰り返す。自分の頬が乾いた嗤いに歪むのが判った。 自嘲だろうか。俯いた。今日はらしくない事ばかり考える。 「味方などどこにもおらぬよ」 「え?」 「『敵』か。『傅くものども』か。ふた種類だ」 「……ふたつだけ?」 「他に何があると言うのかな」 「だから、その、アンタの妹さんは」 「あれは劈頭に私を脅かすもの」 聞いたチャトラが息を飲む。 判らないだろうな。 思った。 喉元に刃を突きつけられる、綱渡りのような日々をして初めて体感する「孤高を持する」意味。 「ひとり。たったひとり、だ」 判らないだろうな。 焼け爛れた喉を引き攣らせて笑って、男が酒瓶を空ける。飲み切るつもりもなかったけれど、勢いだ。そうして暖炉前に瓶を放る。毛足の長い絨毯のおかげで、割れもしなければ甲高い音を立てることもない。 しばらく無言で考え込んでいたチャトラの身体が、妙にぐんにゃりと温かな気がして、男は彼女の顔を覗き込む。 「――猫」 「なに?」 「熱い」 言った直後に彼女の顎を掬い、唇を合わせた。驚いて目を見張ったチャトラが暴れだす。その動きが緩慢で力ない。 構わず舌先を突っ込んだ。噛み切ろうとする動きを、引き出した相手の舌で食い止める。さすがに自分のそれを千切る訳にもいかず、貪られたままチャトラが唸った。瞑目もせず、間近に迫る相手の顔を観察しながら、男が歯列をなぞる。猫が呆気にとられていたのは一瞬で、今は怒りに瞳が爛々と輝いている。 それで良い、と思う。驚かれるのも癪に障る話だ。自分がその話を振っただとか、経緯はどうでもいい。 探った咥内は、男の知る平温よりも、苛立つくらいにかなり高い。熱さが気に入らなくて添えた首筋を軽く締めると、く、とチャトラの喉が鳴った。 音を立てる勢いで、相手の唾液を啜り上げてやる。 「……やッ……め、ろ、よ!」 思うまま弄った後に、腫れぼったくなってしまった相手の唇に指を這わせ、ようやくそこで解放してやると、煮え滾った視線で睨み殺された。 「――ここだ」 薄ら笑って己の左胸に手を当てる。何が、と吐き棄てた彼女に、 「本気で逃げたいのならば、ここを狙うと良い。強い衝撃を与えなさい。きっと私は動けなくなる」 「莫迦じゃねェのかアンタ!できるワケねェだろうそんなこと!」 莫迦。莫迦と来たか。 おかしくなって男は声を立てて笑った。 「牙を立てるならそこまで抗って見せると良い。そうでないのなら――犯すよ」 「やめ……ッ」 反転させて、揺り椅子にチャトラを抑え込む。 かたわであっても、褒められたほどに力はなくても、小娘ひとりの動きを封じるのはそう難しいことではない。ましてや今は熱で弱っている猫だ。 「風邪かな」 喉元に噛み付きながら男は呟いた。鈴があえかな音を立てる。このまま喉輪を食い破ってしまいたい誘惑に駆られた。凄惨で、きっと美しい。犬歯に、僅かに力を込める。 「やめろッ!」 男は気にしていなかったけれど、思えば猫が己の寝台に寄った姿を見たことがない。暖炉前で丸くなるか、せいぜい部屋の隅だった。 寒いだろうかと言う考えは、思いつきもしなかった。床が好きなのかなとちらと思った程度だ。 常識的に考えれば、確かに床の上で掛物もろくに掛けずに寝ていたのならば体調を崩す。 「床でばかり寝ているからだ。寝台で眠れば良いものを」 「誰が、テメェの隣でなんか……!」 「女は進んで股を開く」 「オレはそういう女じゃねェ!」 ぷつ、と音がして噛み切った皮膚に血が滲んだ。べろりと舐め揚げるとすくみ上る。竦んだ隙に片腿を相手の両足の間にぐいと差し込んだ。 ひ、と喉で叫びを噛み殺したチャトラが、切羽詰まって膝を引き寄せるのが見えた。本気で嫌なら相手のことなど思い悩む余裕はない。追い詰められてようやく己を蹴り倒すつもりだろうか。だったら最初から綺麗ごとなど並べずに、即座に蹴れば良い。 甘い躊躇は己を滅ぼす。 暗い嗤いと共に次に来る痛みを覚悟した男は、片眉を上げる。 引き寄せ、力を込めかけた彼女の腿が痙攣して躊躇い、直後に力が抜けたからだ。 ――蹴らぬのか。 意外に思って見下ろすと、涙をいっぱいに湛えた猫の瞳とかち合わせる。できるかよ、唇の動きがそう呟いた。 かっとなった。 こんな小さな生きものに、同情されるなどまっぴらだ。 乱暴に上着を剥ぎ取り、鉤編みレースのタイを引き千切る勢いで解く。半ば強引に引き解いたので、チャトラの首を若干絞めたような気もする。これぐらいで人間は死にはしない。慮るつもりはなかった。 はだけた胸元に唇を寄せる。まるで発達していないそこは扁平で、肋骨が浮いて見えて、お世辞にも男の知る女と同じ生物だとは思えない。少年を抑え込んでいるような気になる。いくつだったか。拾ってすぐに年を聞いたら、首を捻りながら恐らく十四、五と答えた。 十四、五。数え年、まだたったの十四、五。 己とふたまわり近くも異なる時間を生きる彼女が、許せない。醜いと笑いたければ笑え。猫の時間は、まだ動き出したばかりだ。 穢してやろうと、思った。 立ち直れないほどに深く澱んだ沼の底へ落としてやろうと、思った。 爪を立てて掻き毟りかける腕を一つにまとめ、膝頭をさらに相手の股へと進める。己が「仕込」めなくとも、いくらでもその手段はある。もっとも醜く、もっとも卑猥で、もっとも邪悪な手段でずたずたに引き裂いてやろうと思った。 肋骨の上にも歯を立てて、皮膚を小さく噛み破る。血の香に酔う。 ふと。 歯を喰いしばって喚き声を堪えていると思った猫の、細かな震えに気を惹かれて視線を上げ、 「――猫」 空の一点を凝視したチャトラの喉がくぐもった音を立てる。けれど何も見ていない。何度か嗚咽するように肩を揺らし、鳥が鳴くように小刻みに奇声を発した彼女は、 「猫」 呼吸をしていなかった。 (20101128) 皇帝と猫にモドル 駄文とか。つらつらと。?にモドル トップページにモドル
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/27421.html
登録日:2014/02/07 (金) 16 58 59 更新日:2024/02/09 Fri 12 21 59 所要時間:約 4 分で読めます ▽タグ一覧 グレート(笑) デズル トライデント ビーファイター ビーファイターカブト マント メルザード一族 再生怪人 千田義正 塩沢兼人 怪人 次男 深海魚 深海魚人デズル 策略家 青 黒 地上にのさばる奴らに もっともっと悲鳴をあげさせて苦しませねば 我らが目を醒ました甲斐がない 『ビーファイターカブト』に登場した敵勢力メルザード一族の幹部。 CV:塩沢兼人 スーツアクター:千田義正 首領・マザーメルザードがライジャの次に生み出したメルザード怪人。 初登場時のクレジットでは「次男」と表記されており、デズル自身もライジャを「兄者」と呼んでいる。 ブヨブヨした胴体や頭部や腕に生えたヒレを持ち肩書き通り深海魚に似た姿をしている。メインカラーは青と水色などライジャとは対照的な配色となっている。 石貝侍従ドードと自らの親衛隊の他、マザーが生み出した「海の兄弟」を配下とする。 他者を嘲笑い目的のためなら仲間を犠牲にすることも厭わない冷酷な性格。 自身が指揮権を与えられた作戦では一般人を誘拐したり変身前のビーファイターを狙ったりと搦め手を使うことが多く、臆病なのかそれとも用心深いのか自ら戦いに出ることは少ない。 しかし戦闘力自体はそれなりに高くクワガー相手に善戦するなどしている。 兄であり一族の勢力を二分するライジャ達を脳筋扱いし小馬鹿にしており小競り合いを起している(といってもこれ自体は争い強くなることを望むマザーの意図によるものでもあるようだ)。 ライジャ同様マザーの後継者の座を狙っているがそのためならライジャだけでなくマザーさえも蹴落とそうとする腹黒い部分を秘めている。 一方、自身の立場が危うくなると即座に行動に出て手柄を挙げようとするなど足場を失うことを恐れている節もある。 【劇中の活躍】 第1話から登場しライジャ達と喧嘩している。 ライジャの作戦が失敗すれば笑いものする場面も見られたが、ビーファイター達に自身の作戦を阻止され続けてしまう。 中盤インセクトメダル収集でライジャに先を越されてしまい後継者としての立場を取り逃がしてしまう。 その後、マザーの命に従いビークラッシャー誕生のため電気エネルギーの収集作戦を成功させたが…… オレにも意地がある…マザーの次男としての意地が! 何がビークラッシャーだ! 虫ケラの首、マザーに捧げるは、このデズルだ! ◆デズル・ザ・グレート 第31話に登場したデズルの強化形態。 新たな幹部として幅をきかせるようになったビークラッシャーの存在に危機感を覚えたデズルが親衛隊のパワーやエネルギーを吸収したうえでマザーに生み直してもらい誕生した。 通常形態に翼のようなヒレや白い装甲が付加されトライデントと魚型に変形させた左手から放つ衝撃波を武器にする。 新戦士であるミンをも圧倒する強さを見せたが、完成した最強武器インプットライフルのカブトニックバスターを受けてしまい敗北。 生首だけの状態でドードに回収されていった…… 力だけが頼りの兄者たちには互いに潰し合いを繰り広げてもらおう 最後にメルザードの支配者の座に就くのは 知能と策略に長けたこのデズルなのだ! ◆深海魚人デズル(強化復活体) “闇の意思”の力によってデズルが強化復活を果たした姿。 ライジャと違い復活前とはガラリと印象が変わった。 普段はマントで隠しているが首から下は細長い虫のような手足だけで形成された特異なものへと変化している。 メインカラーも明るいブルーからブラックに近くなっており、パッと見同一人物とは分からない。 右腕から青い破壊光線を出す。 ビークラッシャーを蹴落とすためライジャと手を組むが、腹の底では共倒れを狙っているなど相変わらず狡猾な部分が目立つ。 ライジャとの協力で暗黒合成獣を生み出せるようにもなったが、互いの不和のためか終盤では生み出せなくなってしまっていた。 【劇中の活躍】 第36話でライジャと共に復活。 以降もライジャと共に暗黒合成獣を生み出し作戦を展開した。 しかし、ライジャとデスコーピオン両方に”死闘の腕輪”を渡しカブトもろとも二人を葬ってしまおうと画策。 ドードに憑依し語りかけてきたマザーに 「俺にとって全ては邪魔者。兄者も、デスコーピオンも、今はマザーでさえも!」 と宣言するが、マザーが覚醒したことで計画はご破算となる。 その後ビークラッシャーのネオビートマシン破壊作戦と並行しビートルベース破壊作戦を敢行。 小山内博士に化け自爆装置を起動させる。 しかし、正体が露見しカブトと交戦。ドードと共にカブトランサーに串刺しとなり、そこにカブトニックバスターを打ち込まれたことで撃破された。 追記・修正は兄者と仲直りしてからお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 遊園地でテントウを追い掛けてる時、物凄く歩きづらそうにフラフラと歩いていたのが爆笑もの。 -- 名無しさん (2014-02-07 21 20 05) 9話の「なんだとぉ!?」が完全にぶりぶりざえもんwww -- 名無しさん (2014-02-08 01 01 37) 海産物系のルックスにぬめっとした感じの声があってるw -- 名無しさん (2014-02-08 10 53 31) お皿の水を変えてやったのよ(キリッ) -- 名無しさん (2014-02-11 19 28 43) 声といいやり口といい、ギンガマンのビズネラを思わせるキャラだな。 -- 名無しさん (2014-04-04 20 58 04) 塩沢さんの特撮キャラは頭脳派ばかりwww -- 名無しさん (2015-04-03 19 34 06) どうした?兄者 -- 名無しさん (2016-04-13 13 08 06) デズル一派の声優、二人共亡くなっちゃったね -- 名無しさん (2020-03-29 20 11 10) 別名は怪魚参謀がよかった。 -- 名無しさん (2021-04-15 18 38 58) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/revival/pages/513.html
<コーディネイター> ……それは、ある秋の日の事だった。 キラとラクスは立て込んだ式典を終え、ようやく二人の時間を持つ事が出来た。取り敢えず侍従の持ってきてくれた紅茶とケーキで、少し遅めの午後の茶会にする。 「……参ったね。元ブルーコスモスと言われたレントス候が、僕に握手を求めてくるとはね…。」 キラは、まるで不思議なものを見たかのような反応だ。 「仕方がありませんわ。彼らは今、私達を頼るしか生きる術が無いのですから……。」 ラクスは困ったように言ってみせる。……最も、今のラクスにはどうでも良い話なのだが。 「彼らの主義・主張って何のためのものだったのかな…。」 ぼんやりと、キラ。………本当に政治には無頓着なのだ。そんなキラをラクスは少し窘める様に、しかし諭すように言う。 「……政治とは、理想のぶつけ合いに見えても、実際は『経済の綱引き』という事ですわね。政治家とは理想家に見えても、思考はあくまでも現実的。…ブルコスに旨味が無くなったから私達の所に流れてきただけですわ。」 「手厳しいね。」 「“優しさ”と“甘さ“は政治の世界では天地ほどの隔たりがあります。……あら、このケーキは甘いですわね……。」 キラが政治に興味が無いのは、ラクスには解りきっていた。なので、早々に政治の話は打ち切るとケーキに集中する。キラも興味を失ったように、ケーキを食べ始めた。 「…キラは、この世界の『根本的な問題』に気が付いていらっしゃいます?」 唐突にラクスが口を開いた。 「……藪から棒だね。食糧危機?」 紅茶を片手に、キラ。にべもなく、ラクスは首を振る。 「違います。」 「………エネルギー問題?確かに、ニュートロンジャマーは問題だと……。」 「その二つは、ほとんど同じ問題ですわ。………数年での解決は難しいですが、10年もあれば解決の目処は立ちます。」 キラは、頭をぽりぽりとかいて、ラクスに頭を垂れた。 「………先生、解りません。」 ………とても最強のコーディネイターには見えない。 ラクスはしばらくクスクス笑っていたが、ふと真面目な顔になってキラにこう言った。 「私達、コーディネイターの存在………それが、この世界の本当の問題なのですわ………。」 コーディネイター。なんと人のエゴに満ちた存在である事か。 『人の革新』として生まれたコーディネイター。だが、それは新たな権力闘争の火種となっていっただけの事だった。 集団の中に生まれた、生まれながらのエリート。努力を知らず、環境に適応出来る者達。それは、宇宙空間という厳しい生活空間のために生まれざるを得なかった鬼子でもある。だが、その者達は出生からして問題を山積させるに至っていった。 ―――優秀な人材は、金がかかる。 もはやこの事実だけで、限り無い差別。人類が行った初めての『進化』は、人という存在に問題を提起するだけに飽きたらず、只でさえ広がっていた貧富の格差に止めを指すかのようであった。 加えて、コーディネイターを種族として存続させるためには『理想的な交配』が必要であった。コーディネイターの国家であるプラントに厳然と存在する『婚姻統制制度』は紛れもなく時代を逆行させる制度で、強制力こそ無かったが『婚姻統制制度に参加しなければ満足な出産が見込めない』となれば、是非も無かった。 要するに、種族としてコーディネイターは極めて不完全な存在だった。彼らを支えたのは『ナチュラルよりも優秀な人材』という事実に裏付けられたプライドによるものであり、それはナチュラルとの自発的な決別を意味していた。ナチュラルとコーディネイターが相争うのは自明であり、必然であったのだ。 「…この問題が解決されない限り、私達が居なくなったとしても戦争は決して終わりません。得られるのは『次の戦争のための小休止』という平和のみで、心から怨嗟が取り除かれる事は無いでしょう………。」 ラクスは、悲しそうにそう締めくくった。キラは黙ってそれを聞いていた。・・・が、ややあって口を開いた。 「………でも、君は解決策を見つけたんだね………。」 ハッとして、ラクスはキラを見た。………普段通り、優しく微笑むキラ。 揺るぎの無い、絶対の信頼。―――キラは、静かに頷く。それで、ラクスも決意した。 「私達は、これから『世界の敵』になるのです。コーディネイターですら疑問を抱く、徹底した管理社会を作り、そこで人々を囲っていくのです。誰もが、世界に疑問を持てるように………。」 キラは、少し顔を曇らせたが―――頷いた。ラクスは続ける。 「人々は立ち上がるでしょう。『自由』を声高に。……私達に対抗するために。自らの存在意義をかけて、一握りのコーディネイターとナチュラルが手を取り合い、私達に対抗するでしょう。その者達が、私達を打ち破った時―――初めて、コーディネイターとナチュラルは垣根を越え、新たなる一歩を歩めると思うのです。」 「………管理社会に対抗するコーディネイターは、既にコーディネイターじゃない、か………。」 キラは、ラクスをじっと見据えていた。ラクスもまた。 ややあって、キラはふっと力を抜いて微笑んだ。 「どうせ、君と僕の子供は産まれない。………未来に残せるものは、何も無い。それなら、この世界の有るべき姿を模索するのも、悪くないね。………良いよ、僕の命で良ければ賭けてみよう。」 「私達、ですわ………。」 二人はいつしか絡み合い、一つになった。温もりだけが、彼らの拠り所だったから。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/659.html
818 :YVH:2012/01/30(月) 00 30 26 銀河帝国から慰問使(謝罪の使者)が派遣された事を、レムシャイド伯から聞いた月詠宮は ポレヴィト星域に留めていたシラサギをフェザーンまで呼び寄せる事を命じ、あわせて 本国に「レイの物」を派遣するよう依頼した。 宮に呼ばれたシラサギと護衛(兼実験)艦隊はフェザーン自治政府の許可の下、惑星上に降下し その偉容と大きさでもってフェザーン人たちの度肝を抜いた。 降下した部隊は市街地の近くにある人造湖に着水し、ホテルに居た一行は即日其方に引き移った。 こうして、日本側の準備が整う頃、銀河帝国からの使者たちがフェザーンに到着した。 帝国の使者たちは、現地に到着するや諸準備を整え始めるのだが、一部の者(H伯爵(阿呆ではない)・F男爵)が 先方を呼び出せばよいと騒ぎ、保護者役から叱責されると言う一幕があった。 こうした騒ぎはあったが使者たちは無事、要塞艦の客となる事が出来た。 控え室に招じ入れられた彼らは、その部屋の落ち着きつつも存在感を示す調度の数々に暫し目を見張り 案内役の男爵に促されるまま、席に付いて対面の時間まで待った。 案内役が去るのと入れ違いに執事服をまとった男性と、複数のヴィクトリアンメイドたちが現れ 彼らに紅茶を饗していった。 「ふむ、これは中々。ところで執事殿、このカップはどの様な品なのかな? 帝国では、あまり見かけぬ文様だが・・・?」 紅茶を喫していたランズベルク伯が控えていた執事に声をかける。 「はい。この茶器はマイセンと申しまして、嘗ての地球時代ドイツと申します所で 作られた品でございます。皆様方がゲルマン系と伺いまして、御用意させて頂きました」 そう答え、慇懃に頭を下げる執事。聞いた帝国側はゆっくり茶を楽しむ者と、硬直してしまい カップを持つ手が小刻みに震える者とが現れた。 因みに、付属していたティー・スプーンは、嘗て欧州で名が通っていた銀細工メーカーの物で 柄に精緻な文様が施されている逸品である。 やがて時間となり、帝国の使者たちは再び現れた案内役の男爵に案内され、謁見の間に案内された。 -謁見の間- 東儀家配下の雅楽衆が楽を奏する中、使者たちが入室して来た。 これを迎える日本側は、それぞれの位階に合った礼服を着用しており、 宮も四品・女王の礼装で使者たちを迎えた。 尚、同盟側も礼装着用で臨んではいたが、日本側礼服の中では何となく浮いて見えていた。 「銀河帝国の御使者に置かれましては、遠路の所 よく御出で下さりました。 私(わたくし)が代表を務めます。四品女王・月詠宮皐月です」 そう言って、典雅に会釈した。宮の挨拶に続いて、帝国側の挨拶が始まった。 「初めて御意を得まする。私は銀河帝国皇帝フリードリヒ四世が臣 ヨアヒム・フォン・ノイエ=シュタウフェンと申しまする、女王殿下」 そう挨拶すると公は深々と頭を下げた。随行している女婿二人、マリーンドルフ伯 ヘルクスハイマー伯、ヒルデスハイム伯(当初は出さない予定だったが、道中の様子を見て公が再考) ランズベルク伯、フレーゲル男爵(当初は不満そうだったが、案内役だった男爵の雰囲気に圧倒され改心)も 公に習い、深々と頭を下げた。 続いて、慰労品(という名のお詫びの品)の披露が始まった。目録を読み上げるのはヘルクスハイマー伯である。 「日本帝国御使者への慰労の品 一つ、四百十年産ワイン。赤・白・ロゼ各一ダース 一つ、ゴールデン・フォックスの毛皮、五点 一つ、シルバー・フォックスの毛皮、五点 一つ、パール・ラビットの毛皮、五点 一つ、象牙細工、三点 一つ、絵画、五点 カストロプ公爵家より、絵画二点、エメラルドの首飾りが一点 以上で、あります」 伯は目録を元のように畳み、近づいてきた日本側の者に渡した。 受け取った係官・大原伯爵はそれを副使の広幡侯に渡し、侯はそれを宮にお見せした後 控えていた侍従官に渡した。 819 :YVH:2012/01/30(月) 00 31 36 続いて、日本側からの返礼の品である。最初は挨拶代わりの品だったのだが、 今回の一件でそういう理由では渡せなくなり、本国との相談の結果,返礼の品として渡す事になったものである。 こちらの目録を読み上げるのは、立花伯である。 「銀河帝国への返礼の品 一つ、古黄金十枚 一つ、梨地金蒔絵太刀、一腰(意匠は菊桐紋。中の刀身は徳川宗家より献上の古刀) 一つ、梨地金蒔絵御文具、一揃え(意匠は同上) 一つ、樽(銘酒)十樽 一つ、酒肴二種(相手側に配慮して、チーズと生ハム※御料牧場謹製) 一つ、絹織物、五反(文様は桐竹) 一つ、日本犬、十番〔つがい〕(秋田犬・二番、甲斐犬・ニ番、紀州犬・ニ番、四国犬・二番、柴犬・二番) 以上、であります」 伯が目録をヘルクスハイマー伯に渡した。続いて、使者たちへも慰労の品が贈られた。 正使たるノイエ=シュタウフェン公には 古金、五枚 樽、三樽 酒肴(チーズ)一種 絹、五反(西陣織) 古マイセンの茶器セット、一揃え 副使たる女婿二人には 古金三枚 樽、二樽 酒肴、一種(内容は正使と同じ) 又、これらとは別に妻子への「土産」として 太祖の皇女四名が愛用していたのと同じ化粧品が数点(この為にメーカーに再生産を依頼) 絹五反(加賀友禅) マリーンドルフ伯以下の随員にはそれぞれ 古銀、五~十枚 絹、三反 が、贈られた。また、これらとは別に御上からフリードリヒ四世個人へは ルドルフ直筆の文章(演説原稿の下書き)が黒漆塗りで蓋の表面に銀箔で双頭の鷲の意匠が施された箱入りで 贈られた。 これらの授受が済み、歓迎の宴が催された後、帝国の使者たちは帰還する。 贈られた品の価値に宮廷鑑定家が発狂し、宮廷中が大騒ぎになるのは 皇甥が両国の今後に付いての交渉の代表になり、再びフェザーンに赴いた後である。 【あとがき】 何とか、書き上がりました。 文中の黄金・金は其々、大判・小判になります。 何時頃の品かは、皆様のご想像にお任せします(笑) 漆器関係はこの時代の作で、劣化を防ぐため特殊な加工をしています。