約 1,796 件
https://w.atwiki.jp/ragnabreaksaga/pages/37.html
目次 復刻カタスLR シリーズ 復刻大回数攻撃LR コラボ系 イベント報酬 有料ガチャ 期間限定スキル 復刻カタスLR シリーズ 【UPDATE】 2023/7/24 名前 属性 レア 空 発動 攻UP 防UP 率UP 速UP 他(攻) 攻DN 防DN 速DN 率DN 他(妨) 備考 名前 属性 レア 空 発動 攻UP 防UP 率UP 速UP 他(攻) 攻DN 防DN 率DN 速DN 他(妨) 備考 名湯物語タロス&ジロス 天 GR 2 行動時 超大高確率 07回 大 復刻カタス引換券05 宴会帝王ビンゴ 魔 GR 2 行動時 超大高確率 07回 大 復刻カタス引換券05 緑玲館主 雅 地 GR 2 行動時 超大高確率 07回 大 復刻カタス引換券052023.3 キャンペーンコイン30枚 ア・ウナーズ アータン 天 GR 2 行動時 超大高確率 08回 大 復刻カタス引換券06 アマリリス・ブロッサム 魔 GR 2 行動時 超大高確率 08回 大 復刻カタス引換券06 招福・追儺姫 地 GR 2 行動時 超大高確率 08回 大 復刻カタス引換券06 霊薬研究員ソーニャ 天 GR 2 行動時 特大高確率 08回 大 復刻カタス引換券03 カリタ・ローズ 魔 GR 2 行動時 特大高確率 08回 大 復刻カタス引換券03 用心棒ササヌキ 地 GR 2 行動時 特大高確率 08回 大 復刻カタス引換券03 名前 属性 レア 空 発動 攻UP 防UP 率UP 速UP 他(攻) 攻DN 防DN 率DN 速DN 他(妨) 備考 錬食術師マフィン 天 GR 2 行動時 超大高確率 09回 大 復刻カタス引換券07 婚礼厨魔ベッツィ 魔 GR 2 行動時 超大高確率 09回 大 復刻カタス引換券07 魔界料理長スキュランテ 地 GR 2 行動時 超大高確率 09回 大 復刻カタス引換券07 避暑隠れのナギサ 天 GR 2 行動時 超大高確率 10回 大 復刻カタス引換券08 マルシア・オリベイラ 魔 GR 2 行動時 超大高確率 10回 大 復刻カタス引換券08 電々太子ナルミ 地 GR 2 行動時 超大高確率 10回 大 復刻カタス引換券08 復刻大回数攻撃LR 【UPDATE】 2023/7/24 名前 属性 レア 空 発動 攻UP 防UP 率UP 速UP 他(攻) 攻DN 防DN 速DN 率DN 他(妨) 備考 名前 属性 レア 空 発動 攻UP 防UP 率UP 速UP 他(攻) 攻DN 防DN 率DN 速DN 他(妨) 備考 氷霜操師ユピカ 天 GR 2 行動時 08回 特大低発動更に 超大確率 復刻大回数攻撃LR引換券01 魔導使徒ルビニ 魔 GR 2 行動時 08回 特大低発動更に 超大確率 復刻大回数攻撃LR引換券01 天軍禁衛ベルヴェルク 地 GR 2 行動時 08回 特大低発動更に 超大確率 復刻大回数攻撃LR引換券01 お化け屋敷ダイアナ 天 GR 2 行動時 09回 特大低発動更に 超大確率 復刻大回数攻撃LR引換券02 功夫熊猫リー&リン 魔 GR 2 行動時 09回 特大低発動更に 超大確率 復刻大回数攻撃LR引換券02 温泉谷のモンチー 魔 GR 2 行動時 09回 特大低発動更に 超大確率 復刻大回数攻撃LR引換券02 時空碩学ミンコフスカヤ 天 GR 2 行&後 両隣 超大高確率 両隣 特大高確率 1体 極大高確率 09回 特大低発動更に 極大確率 復刻大回数攻撃LR引換券032023.07.18-カタス順位報酬 悶廟主 孔死 魔 GR 2 行&後 両隣 超大高確率 両隣 特大高確率 1体 極大高確率 09回 特大低発動更に 極大確率 復刻大回数攻撃LR引換券032023.07.18-カタス順位報酬 サンタ・ドレスデン 魔 GR 2 行&後 両隣 超大高確率 両隣 特大高確率 1体 極大高確率 09回 特大低発動更に 極大確率 復刻大回数攻撃LR引換券032023.07.18-カタス順位報酬 名前 属性 レア 空 発動 攻UP 防UP 率UP 速UP 他(攻) 攻DN 防DN 率DN 速DN 他(妨) 備考 ネオブロマ 天 GR 2 行&後 隣接 極大高確率 隣接 特大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 10回 特大低発動更に 極大確率 復刻大回数攻撃LR引換券04 氷原少女ホッペン 魔 GR 2 行&後 隣接 極大高確率 隣接 特大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 10回 特大低発動更に 極大確率 復刻大回数攻撃LR引換券04 乳神ホルスタイナ 地 GR 2 行&後 隣接 極大高確率 隣接 特大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 10回 特大低発動更に 極大確率 復刻大回数攻撃LR引換券04 邪倖貴紳アザルダート 天 GR 2 行&後 両隣 極大高確率 両隣 特大高確率 1体 極大高確率 10回 特大低発動更に 神大確率 復刻大回数攻撃LR引換券052023/03/14-カタス順位報酬 孤高剣豪クライブ 魔 GR 2 行&後 両隣 極大高確率 両隣 特大高確率 1体 極大高確率 10回 特大低発動更に 神大確率 復刻大回数攻撃LR引換券052023/03/14-カタス順位報酬 斉天大聖 孫悟空 地 GR 2 行&後 両隣 極大高確率 両隣 特大高確率 1体 極大高確率 10回 特大低発動更に 神大確率 復刻大回数攻撃LR引換券052023/03/14-カタス順位報酬 コラボ系 【UPDATE】 2023/7/24 名前 属性 レア 空 発動 攻UP 防UP 率UP 速UP 他(攻) 攻DN 防DN 速DN 率DN 他(妨) 備考 名前 属性 レア 空 発動 攻UP 防UP 率UP 速UP 他(攻) 攻DN 防DN 率DN 速DN 他(妨) 備考 ギルガメッシュ 3 GR 2 行&後 1体 極大高確率 12回 大より高確率 フルムーン不可ひつじ村コラボ報酬 ミカエラ 3 GR 2 行&後 1体 極大高確率 13回 大より高確率 フルムーン不可 イベント報酬 【UPDATE】 2023/7/24 名前 属性 レア 空 発動 攻UP 防UP 率UP 速UP 他(攻) 攻DN 防DN 速DN 率DN 他(妨) 備考 名前 属性 レア 空 発動 攻UP 防UP 率UP 速UP 他(攻) 攻DN 防DN 率DN 速DN 他(妨) 備考 酒場のアイドル ジャニ 3 GR 3 行動時 列 超極神大より高確率 列 神大より高確率 1体 極神大より高確率 1体 極神大より高確率 16回、防DN 超神大 大高確率 2023.06.26-ハンハン バトルブック報酬(天) 極北の霧霜フリームスルス 天 GR 2 行動時 1体 神大高確率 19回 大 イベント報酬 カードストレッジ 地 GR 2 行動時 1体 神大高確率 19回 大 イベント報酬 うたい 魔 GR 3 行動時 1体 超神大高確率 20回 特大 2023/03/14-カタス報酬 女王シェヘラザード 天 GR 2 行動時 超神大高確率 20回 特大 2023/04/17-カタス報酬 モレク 地 GR 3 行動時 1体 超神大高確率 21回 特大 2023.05.17-カタス報酬 魔晶石ロッシ 魔 GR 3 行動時 1体 超神大高確率 21回 特大 2023.06.14-カタス報酬 マクスウェル 天 GR 3 行動時 1体 超神大高確率 21回 特大 2023.07.17-カタス報酬 有料ガチャ 【UPDATE】 2023/7/24 名前 属性 レア 空 発動 攻UP 防UP 率UP 速UP 他(攻) 攻DN 防DN 速DN 率DN 他(妨) 備考 名前 属性 レア 空 発動 攻UP 防UP 率UP 速UP 他(攻) 攻DN 防DN 率DN 速DN 他(妨) 備考 ハロウィン・キンバリー 天 GR 2 行&後 隣接 神大高確率 隣接 特大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 17回 特大低発動更に 極神大確率 魔獣ウロボロス 魔 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 20回 特大+低発動更に 極神大確率 赤き運命騎士ラティ 地 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 20回 特大+低発動更に 極神大確率 セイクリッドピクシー 天 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 21回 特大+低発動更に 極神大確率 2023/03/14-カタス3等 アルフェラッツ 魔 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 22回 特大+低発動更に 極神大確率 2023/03/24-聖戦3等 魔人アナベルク 地 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 22回 特大+低発動更に 極神大確率 2023/03/24-聖戦3等 エリスティーナ 天 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 22回 特大+低発動更に 超神大確率 2023/04/17-カタス3等 君と戯れる海 ネネ 地 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 23回 特大+低発動更に 超極神大確率 2023/04/29-聖戦3等 セレーヤ 天 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 23回 特大+低発動更に 超極神大確率 2023.05.17-カタス3等 名前 属性 レア 空 発動 攻UP 防UP 率UP 速UP 他(攻) 攻DN 防DN 率DN 速DN 他(妨) 備考 ホワイトドラゴン 地 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 24回 特大+低発動更に 超極神大確率 2023.05.26-聖戦3等 驚嘆海水博士ロジャー 魔 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 24回 特大+低発動更に 超極神大確率 2023.05.26-聖戦3等 炎天下の幽鬼タキシム 天 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 24回 特大+低発動更に 超極神大確率 2023.06.13-カタス3等 ケペック 地 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 25回 特大+低発動更に 超極神大確率 2023.06.13-カタス3等 鳳凰 天 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 25回 特大+低発動更に 超極神大確率 2023.07.17-カタス3等 衰滅の魔性ヒエンマ 魔 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 25回 特大+低発動更に 超極神大確率 2023.06.13-カタス3等 願希の魔娘ビビアナ 魔 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 26回 特大+低発動更に 超極神大確率 2023.07.17-カタス3等 大吞み女王ジュリ 地 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 26回 特大+低発動更に 超極神大確率 2023.07.17-カタス3等 ペッポ 天 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 26回 特大+低発動更に 超極神大確率 2023/04/17-カタス2等 熱意溢れる旋律トニヤ 地 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 27回 特大+低発動更に 超極神大確率 2023/04/29-聖戦2等 名前 属性 レア 空 発動 攻UP 防UP 率UP 速UP 他(攻) 攻DN 防DN 率DN 速DN 他(妨) 備考 スフェーン 魔 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 27回 特大+低発動更に 超極神大確率 2023/04/29-聖戦2等 トネルカ 天 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 27回 特大+低発動更に 超極神大確率 2023.05.17-カタス2等 エリザ 地 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 28回 特大+低発動更に 超極神大確率 2023.05.26-聖戦2等 小閻魔 魔 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 28回 特大+低発動更に 超極神大確率 2023.05.26-聖戦2等 オルフィー 天 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 28回 特大+低発動更に 超極神大確率 2023.06.13-カタス2等 女神クロノス 天 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 29回 特大+低発動更に 超極神大確率 2023.07.17-カタス2等 旧約者ヌメロ 地 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 29回 特大+低発動更に 超極神大確率 2023.06.13-カタス2等 バルドール 魔 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 29回 特大+低発動更に 超極神大確率 2023.06.13-カタス2等 アステロ 魔 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 30回 特大+低発動更に 超極神大確率 2023.07.17-カタス2等 ハル 地 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 30回 特大+低発動更に 超極神大確率 2023.07.17-カタス2等 名前 属性 レア 空 発動 攻UP 防UP 率UP 速UP 他(攻) 攻DN 防DN 率DN 速DN 他(妨) 備考 魔曲の人魚姫レイチェル 天 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 30回 特大+低発動更に 超極神大確率 2023/04/17-カタス特等 キャロ 地 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 31回 特大++低発動更に 超極神大確率 2023/04/29-聖戦特等、1等 グローア 魔 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 31回 特大++低発動更に 超極神大確率 2023/04/29-聖戦特等、1等 白騎士 フワル 天 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 31回 特大++低発動更に 超極神大確率 2023.05.17-カタス特等、1等 カリン 地 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 32回 特大++低発動更に 超極神大確率 2023.05.26-聖戦特等、1等 魔将 エボニー 魔 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 32回 特大++低発動更に 超極神大確率 2023.05.26-聖戦特等、1等 聖流 リフィア 天 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 32回 特大++低発動更に 超極神大確率 2023.06.13-カタス特等、1等 メリーラン 地 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 33回 特大++低発動更に 超極神大確率 2023.06.13-カタス特等、1等 守鶴 魔 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 33回 特大++低発動更に 超極神大確率 2023.06.13-カタス特等、1等 水着で羽休め ペガサス 天 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 33回 特大++低発動更に 超極神大確率 2023.07.17-カタス特等、1等 名前 属性 レア 空 発動 攻UP 防UP 率UP 速UP 他(攻) 攻DN 防DN 率DN 速DN 他(妨) 備考 エルフスナイパーイリド 地 GR 3 行&後 隣接 超極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 超極神大高確率 1体 超極神大高確率 34回 特大++低発動更に 極極神大確率 2023.07.17-カタス特等、1等 召喚士サルマン 魔 GR 3 行&後 隣接 超極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 超極神大高確率 1体 超極神大高確率 34回 特大++低発動更に 極極神大確率 2023.07.17-カタス特等、1等 リアーヌ 魔 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 全体 21回 特大+低発動1体 更に 極神大確率 愛らしき暗器使いリンリン 魔 GR 3 行&後 隣接 極神大高確率 隣接 神大高確率 1体 極神大高確率 1体 極神大高確率 全体 23回 特大+低発動1体 更に 超極神大確率 2023/04/29-聖戦3等 期間限定スキル 【UPDATE】 2023/7/24 名前 属性 レア 空 発動 攻UP 防UP 率UP 速UP 他(攻) 攻DN 防DN 速DN 率DN 他(妨) 備考 名前 属性 レア 空 発動 攻UP 防UP 率UP 速UP 他(攻) 攻DN 防DN 率DN 速DN 他(妨) 備考 冬将軍アレクサンドラ 天 LR 1 開行後 全体 特大確実 全体 攻防2.2倍 1体 超大 1体 超大 08回 大高確率 2023/03/24-聖戦3等2023/03/26 23:59まで 期間限定スキル 特務騎士長スタニスラフ 地 SSR 1 開行後 全体 特大確実 全体 攻防2.2倍 1体 超大 1体 超大 08回 大高確率 2023.04.29-聖戦2等2023.05.01 23:59まで 期間限定スキル 霊巌乙女バジュラヤナ 地 LR 1 開行後 全体 超大確実 全体 攻防6倍 1体 神大 1体 神大 10回 大高確率 2023/03/24-聖戦3等2023/03/26 23:59まで 期間限定スキル 夏唱隊長ビッキー 魔 LR 1 開行後 全体 超大確実 全体 攻防6倍 1体 神大 1体 神大 10回 大高確率 2023.04.29-聖戦1等2023.05.01 23:59まで 期間限定スキル 浦島アサギ 天 LR 1 開行後 全体 超大確実 全体 攻防6倍 1体 神大 1体 神大 10回 大高確率 2023.05.26-聖戦1等期間限定スキル 邪神愛剣レーヴァーティン 魔 LR 2 開行後 全体 極大確実 全体 攻防18倍 1体 極神大 1体 極神大 13回 大高確率 2023/03/24-聖戦3等2023/03/26 23:59まで 期間限定スキル 谷間の妖精リリーベル 天 LR 2 開行後 全体 極大確実 全体 攻防18倍 1体 極神大 1体 極神大 13回 大高確率 2023.04.29-聖戦特等2023.05.01 23:59まで 期間限定スキル 真砂浜 魁 天 LR 2 開行後 全体 極大確実 全体 攻防18倍 1体 極神大 1体 極神大 13回 大高確率 2023.05.26-聖戦特等期間限定スキル 裁きの蛇神ネフシュタン 魔 LR 2 開&行 全体 特大確実 全体 攻防2.2倍 1体 超大 1体 超大 1体 08回 大高確率 2023.05.26-聖戦2等期間限定スキル 名前 属性 レア 空 発動 攻UP 防UP 率UP 速UP 他(攻) 攻DN 防DN 率DN 速DN 他(妨) 備考 守護天使スローネル 天 LR 2 開&行 全体 超大確実 全体 攻防2.2倍 1体 超大 1体 超大 1体 09回 特大高確率 期間限定スキル2023/03/14-カタス2等 ゴーストハンター・ユリア 魔 LR 2 開&行 全体 超大確実 全体 攻防2.2倍 1体 超大 1体 超大 1体 09回 特大高確率 期間限定スキル2023/04/17-カタス2等 獄門女王マレブランケ 魔 SSR 2 開&行 全体 超大確実 全体 攻防2.2倍 1体 超大 1体 超大 1体 09回 特大高確率 期間限定スキル2023.05.17-カタス2等 次元神官ソーテール 天 LR 2 開&行 全体 超大確実 全体 攻防2.2倍 1体 超大 1体 超大 1体 09回 特大高確率 期間限定スキル2023.06.13-カタス2等 桃太郎 地 SSR 2 開&行 全体 超大確実 全体 攻防2.2倍 1体 超大 1体 超大 1体 09回 特大高確率 期間限定スキル2023.07.17-カタス2等 皿数えお菊 地 LR 2 開&行 全体 極大確実 全体 攻防5倍 1体 神大 1体 神大 1体 12回 特大高確率 期間限定スキル2023/03/14-カタス1等 風霊チリリン 魔 LR 2 開&行 全体 極大確実 全体 攻防5倍 1体 神大 1体 神大 1体 12回 特大高確率 期間限定スキル2023/04/17-カタス1等 彩輝剣ジュワユーズ 地 LR 2 開&行 全体 極大確実 全体 攻防5倍 1体 神大 1体 神大 1体 12回 特大高確率 期間限定スキル2023.05.17-カタス1等 魔軍誅尉ミュルミュール 魔 LR 2 開&行 全体 極大確実 全体 攻防5倍 1体 神大 1体 神大 1体 12回 特大高確率 期間限定スキル-カタス1等 星闇の巫女ユニヴェール LR 2 開&行 全体 極大確実 全体 攻防5倍 1体 神大 1体 神大 1体 12回 特大高確率 期間限定スキル2023.07.17-カタス1等 名前 属性 レア 空 発動 攻UP 防UP 率UP 速UP 他(攻) 攻DN 防DN 率DN 速DN 他(妨) 備考 アニータ・バラッド 地 LR 2 開&行 全体 神大確実 全体 攻防15倍 1体 極神大 1体 極神大 1体 15回 特大高確率 期間限定スキル2023/03/14-カタス特等 盂蘭盆姫ヒャララ 魔 LR 2 開&行 全体 神大確実 全体 攻防15倍 1体 極神大 1体 極神大 1体 15回 特大高確率 期間限定スキル2023/04/17-カタス特等 侍従長カンパーニュ 天 LR 2 開&行 全体 神大確実 全体 攻防15倍 1体 極神大 1体 極神大 1体 15回 特大高確率 期間限定スキル2023.05.17-カタス特等 森林空戦シュンペトラ 地 LR 2 開&行 全体 神大確実 全体 攻防15倍 1体 極神大 1体 極神大 1体 15回 特大高確率 期間限定スキル2023.06.13-カタス特等 夜道怪 明遍 魔 LR 2 開&行 全体 神大確実 全体 攻防15倍 1体 極神大 1体 極神大 1体 15回 特大高確率 期間限定スキル2023.07.17-カタス特等 ページTOPへ戻る
https://w.atwiki.jp/historictears/pages/62.html
日本連合帝國の帝國宰相の一覧 帝國宰相は系譜から言うと大日本帝國内閣総理大臣から通算されるが、大日本帝國の内閣総理大臣は、日本連合帝國成立後は日本帝國内閣総理大臣に継承され、その上に全く新たに日本連合帝國政府が設立され帝國宰相がこの長に任ぜられたため、大日本帝國内閣総理大臣からの起算ではなく、一から新たに数えられている。 初代 廣田弘毅(在1937年11月3日~1940年1月16日) 外務官僚出身。大日本帝國第32代内閣総理大臣から引き続き、新政体の混乱抑止のため事実上の留任。首都防衛に有利な日本本土内陸であり旧都である京都への遷都、遷都に伴う大規模都市開発、日本海沿岸に於ける工業施設の拡大、農地改革、教育改革(史実での日本の高度経済成長期ぐらいの教育制度と水準)、首都防衛軍及び軍隊の相互抑止力としての近衛師団と海軍の即応性の高い部隊を中核とした近衛軍(とその事務処理を行う兵武省、及び国軍を総括する国軍府、備品調達を行う軍需省)の創設などの一大国家事業を行う。1939年12月6日、第二次世界大戦勃発を受け、より軍事に通じた宰相が必要であるとして辞意を表明。自身はつい先頃退役し予備役に編入された米内光政を後継に推挙し(米内は武家ではないので憲法上、予備役は編入したその日から即日、国民として扱われる)、国民の信任を受けた米内に政権を委ね退陣した。 二代 米内光政(在1940年1月16日~1944年1月16日) 予備役海軍大将。廣田弘毅の後を継ぎ、第二次世界大戦初期~中期にかけて連合帝國を指導。日米開戦が迫る中、遣欧艦隊の引き上げを命じたことで一時人気を落とすが、結果的に引き上げ命令により適切な時期に適切な戦力を本土近海に展開出来たことで支持率は上昇。在任中に太平洋戦争終結、サンフランシスコ講和条約締結、日英独講話締結、第三次改訂日英同盟調印を成し、任期満了により退任。 三代 鈴木貫太郎(在1944年1月16日~1946年5月22日) 予備役海軍大将。前宮内省大臣。昭和維新により国政が安定してきたのを見計らい、(外務大臣就任を阻むため)宮内大臣職に追いやられていた松平恒雄を外務大臣に据えたい米内の意向で、昭和天皇の理解もあり松平に代わり、2.26事件で侍従長を辞任した鈴木貫太郎が米内政権下の宮内大臣に取り立てられていた。本人はこれだけでも恐縮しており、帝國宰相となる積もりはなかった。 しかし任期満了を前に昭和天皇から次の帝國宰相は誰になるかと訊ねられた米内が、「最終的に決めるのは国民であるが、日米・日独の戦争が終り、国際情勢の焦点が欧洲大戦の趨勢であり、この帰結が連合帝國の方向性を左右することを考えれば、勝って兜の緒を締められる、比較的穏健派だがいざという時は躊躇しないという今後の方針を示せる、優れたバランス感覚の持ち主が望まれる」という旨のことを答え、高齢ながら軍事にも通じている鈴木を挙げた。米内の任期満了を前に衆議院選挙が行われたが、宰相立候補者は軒並み不信任され(大半が戦争終結の気の緩みを狙った共産主義者・社会主義者だったというオチもある)、米内に推薦された鈴木が衆議院の投票で指名。御前会議で本人は高齢を理由に固辞しようとしたが、昭和天皇を始めとする面々に説き伏せられ就任した(ちなみに史上最高齢での就任であり、この記録は現在も破られていない)。 就任翌日から鈴木政権はアメリカによるソ連への物資援助同盟という問題に直面する。ソ連を伝統的に敵視する連合帝國のあり方として到底受け入れ難いアメリカの行動に対し、鈴木は強い不快感を示しソ連国境部隊をそれとなく増強するなどの圧力を掛け、一部品目の自主撤回に追い込む。一方でイタリア進駐を進め、スペイン独裁政権の打倒工作や、ドイツ敗北時のフランス進駐工作を推し進める。しかし1946年5月22日、2.26事件の古傷が遠因で体調を崩したため辞任した。 四代 吉田茂(在1946年5月22日~1948年2月19日) 前外務大臣。鈴木貫太郎の病臥を受け、衆議院の信任を受け急遽就任。ドイツへの史上初の核攻撃の報に混乱する国内情勢に対し、戒厳令を発令した上で自国も既に同種の兵器を保有していることを明言し国民を沈静化。欧州復興支援部隊と銘打ったフランス上陸部隊に上陸命令を下す。フランス上陸を避難する米ソ両国に対しては「非戦闘員の女子供も何もかも焼き尽くしておいて何を言うかバカヤロー」と罵ってバカヤロー旋風を巻き起こした。衆議院議員の任期満了による解散総選挙に伴ない、自動的に退任。 五代 吉田茂(在1948年2月19日~1952年2月27日) 前政権から引き続き続投。琉球王国の編入やインフラ整備等々。 六代 山本五十六(在1952年2月27日~1955年10月11日) 元日本海軍連合艦隊司令長官、元海軍大将。中国大陸での内戦による緊張の高まりから、太平洋戦争勝利の現場部門の立役者ということで期待され就任。在任中に第一次中華事変が勃発。事変末期の本土核攻撃では水爆による懲罰的報復攻撃を大半が求める中、敢えてビキニ環礁での水爆実験による示威で決着を図り、停戦まで持ち込む。しかしこれに強い不満を持つ世論からの風当たりの強さによって、停戦条約締結を前に本土核攻撃被爆の責任を取って辞職。 七代 石橋湛山(在1955年10月11日~1056年3月10日) 山本五十六の退陣を受け急遽衆議院により指名。第一次中華事変の後始末を行う。衆議院議員の任期満了による解散総選挙に伴ない、自動的に退任。 八代 石橋湛山(在1956年3月10日~1957年2月25日) 引き続き国民投票により信任されたため続投。新幹線計画の本格的調査などのインフラ整備を行う。脳梗塞により倒れたため辞任。 九代 岸信介(在1957年2月25日~1958年6月12日) 石橋湛山の病臥により就任。三悪追放を唱え減税を実行。衆議院の解散により自動的に退任。 十代 岸信介(在1958年6月12日~1962年7月18日) 最低賃金制、国民年金などの手篤い社会保障制度を制定。朝鮮戦争に於いて米ソにハメられ事実上敗戦し、終戦を不服とする連合艦隊部隊の叛乱やそれに便乗した、米ソ(仏)に主導権を握られた国連安保理に対する抗議である安保闘争、更にそれを煽動した財閥の疑獄発覚など、深刻な国内情勢の悪化から一時は政権の空中分解を危ぶまれたものの、皇室を担ぎ出して(一節には皇室が並み居る障害を蹴倒したとも)の事態収拾に成功。米ソに対する敵愾心から「臥薪嘗胆」をスローガンに、新幹線の起工、有人人工衛星打ち上げ、東京オリンピック誘致に成功。宰相職・衆議院議員双方の任期満了により自動的に退任。 十一代 池田勇人(在1962年7月18日~1966年8月1日) 宰相選挙により国民に信任され就任。岸政権に続き、社会保障の充実による多産推奨・保護政策を実行。登極当初にキューバ危機に見舞われるが、米ソの間に割って入り、武力をちらつかせながらの粘り強い交渉を行って、キューバからのソ連撤退を引き出す。しかしその尽力も先走ったキューバ工作員に台無しにされ、その直後には中華人民共和国による中華連邦侵攻を仄めかす動きやテロがあったため、有耶無耶になってしまう。 在任中に、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの日本亡命や、東海道新幹線開通、東京オリンピック開催、山陽道新幹線開通、畿内第二空港建設の決定を果たす。宰相職・衆議院議員双方の任期満了により自動的に退任。 十二代 佐藤榮作(在1966年8月1日~1967年2月17日) 登極当初から政界汚職事件(黒い霧事件)により議会運営もままならなくなったため、徹底した汚職捜査を行った後、最後の仕上げとして議会を解散。 十三代 佐藤榮作(在1967年2月17日~1970年1月14日) 政界の刷新により支持を受け再び登極。畿内第二空港の起工などを始めとした航空網整備、第二次中華事変への対応、ビルマへの武力介入を行う。北印介入を巡り社会党と対立し、日亜欧安全保障条約(日本連合帝國とアジア・ヨーロッパ条約機構加盟国に対する相互安全保障条約)の自動更新を巡る闘争にまで発展し、衆議院を解散。 十四代 佐藤榮作(在1970年1月14日~1972年7月7日) 議会解散の結果、民意が明らかになったことで日亜欧安全保障条約は自動更新され、ビルマ介入も是認。南北ビルマ統合を最後の大きな仕事として退陣する予定だったが、土壇場でフランス赤軍による英国領空侵犯事件で水を差されるも、何とか無事に退任。 十五代 田中角栄(在1972年7月7日~1972年12月22日) 佐藤榮作退任後、衆議院によって指名。しかし1972年11月、帝國陸軍での叛乱計画露見により予想外に広い(現職議員にまで及んでいた)叛乱予備軍が存在することが発覚。関係者を徹底的に処断し衆議院を解散。 十六代 田中角栄(在1972年12月22日~1976年12月24日) 徹底した処断断行が功を奏し、衆議院総選挙・貴族院補欠選挙・宰相信任投票では圧倒的大差により安定多数の信任を確保。1973年8月の金大中事件では工作船を拿捕。朝鮮民主主義人民国(北朝鮮)による連合帝國国家主権の侵害を明らかにし、北朝鮮政府による公式の謝罪を要求。受け入れなければ国交断絶も辞さずという強硬な態度で望んだ。 1974年の第十雄洋丸事件では帝國海軍に海没処分を命令するも火力が足りなかったため、たまたま近在で実弾訓練中だった近衛艦隊の戦艦「大和」の主砲で撃沈させ、軍隊の使い方の一つとして災害への対処というものを示す。混迷の一途を辿り事態解決の糸口を見出せない様相を呈する北印戦争に対し、国連を通じて介入を決定。インド周辺で地理的・物理的に途切れていたユーラシア大陸沿岸に伸びるアジア・ヨーロッパ条約機構の弧を再び繋ぐ契機を作る。 1975年には「日本改造論」を唱え、帝國の肥大化に対応した省庁の効率化を目指し、日本列島本土における道州制(正確には州はないので道政だが)、連合帝國全体に対する都制、全国規模の省庁の窓口業務を一括する高等行政庁の設置や、帝國陸軍予備兵団と帝國海軍海上護衛総隊を高等行政庁国土管理局国土警備部へ統合し、諸外国で言う国境警備隊と沿岸警備隊(それぞれ対内的には陸上自衛隊と海上自衛隊)に再編する「75年体制」と呼ばれる改革を行う。 1976年、宰相職・衆議院議員双方の任期満了により自動的に退任。 十七代 福田赳夫(在1976年12月24日~在1980年12月3日) 1977年初旬、北朝鮮が日本列島沿岸から国民を拉致しようとする計画を察知。各軍の特殊部隊や艦船、航空機等を動員し待ち伏せを行う。後、上陸したゲリラ部隊を軒並み一網打尽にし、逃げ出した工作船を追跡し言い逃れ得ぬ証拠を突き付け、在日北朝鮮資産の凍結接収する。また日本赤軍残党によるダッカ日航(日本聯合航空)機ハイジャック事件ではバングラデシュ政府との取引により海軍遣印艦隊を投入し、特殊部隊を突入させ犯人グループを射殺または捕縛、人質を全員救出する。 1979年のソ連アフガニスタン侵攻では安価な携帯火器、特に携帯対空ミサイルや対戦車バズーカなどを「人道支援」名目であの手この手で提供(横流し)し、冷戦を激化させた。 1980年、最後の総仕上げとして教育再改革、第三次中期防衛大綱に基づく第三期中期防衛大綱第一次軍備拡張法案を可決させ、近衛軍と帝國軍の指揮系統を統一。モスクワオリンピックボイコットを経て宰相職・衆議院議員双方の任期満了により自動的に退任。 十八代 中曾根康弘(在1980年12月3日~1984年11月6日) 福田政権に続き対ソ強硬政策を推進。特筆すべきはそれまで非常にお座なりであった米国との関係性を劇的に改善したことであり、伝統的にアメリカと仲の悪いイギリスにある程度妥協させた上で、万一日英ソ開戦の事態となっても原則として米国はアジア・欧州への軍事不介入の約束を取り付けた(N.O.A.C.モンロー主義協定)他、懸案であった貿易摩擦に関しある程度妥協。関税引き下げ、常設国連軍の太平洋演習への同時参加・交流など。三原山噴火でも海軍を派遣し形振り構わないやり方ながら全島避難を成功させる。 最後の仕上げに第三期中期防衛大綱第二次軍備拡張法案を可決。宰相職・衆議院議員双方の任期満了により自動的に退任。 十九代 後藤田正晴(在1984年11月6日~1988年10月31日) 通称カミソリ宰相。前内閣官房長官。 手始めに帝國空軍の宇宙部門を分離し新たに帝國宙軍とし、宇宙開発予算を軍事用も含めて一本化。極めつけに嘉手納宇宙基地では手狭になった(というか南洋一の金融街の近隣にロケット打ち上げ施設が存在する事自体が大問題)ので第二次宇宙開発計画を可決し、トラック諸島へ移転させることを決定。しかもそのトラック諸島に建設する基地は浮体構造(メガフロート)式とし、海上空港の需要の問題からただでさえメガフロートが大量に必要とされていたためメガフロートのモジュールを生産(と将来の保守管理)するためだけに特殊法人浮体構造物供給公社を設立。半官半民にすることで利益の一部が国庫収入となるように図り、増税や赤字国債の発行をなるべく回避させるなど、優れた(ある意味剛腕)根回しを行い、難航が予想された案件を次々と成立させる。 ソ連がアフガニスタンから撤退するや否や素早くアフガニスタンへ進出し、復興支援を行うなど、外交感覚にも優れていた。1985年4月、靖國神社を公式参拝した件を巡ってソ連、朝鮮半島、中国大陸、アメリカなどから批判が上がった際には、「私は靖国へは花見に出掛けただけであり、政治的中立性を重視する余りに宗教施設という場に対し礼を失してはならないという考えから、靖國神社の御祭神にこれから花見をする旨申し上げた次第であります。参拝という形式を取ったのは、靖國神社でのルールに従ったまで。また我が日本連合帝國憲法では、政府は宗教教育をしてはならない、政府は特定宗教に偏った統治をしてはならないと定めており、また私個人が特定の宗教を臣民の皆様方に勧めたわけでは御座いません。我が国は憲法にも明記してあります通り、宗教の押し売り・押し付けをしない限りに於いて、信教の自由を保障しております。私が靖國神社に参ったからと言って、神道以外の宗教を奉じる方々を白眼視するようなモラル・ハラスメントが起きるとは考えておりませんし、万一そのような事態があれば、我が国の良識を持った皆様方がそれを許さないであろうと確信しております」と発言している。ちなみに後藤田は在任中、4月と8月15日(第二次世界大戦・第一次中華事変・朝鮮戦争の実質的終戦記念日)に欠かさず靖國神社を参拝した。 在任中最後の仕上げに第三期中期防衛大綱第三次軍備拡張法案を可決。宰相職・衆議院議員双方の任期満了により自動的に退任。 二十代 竹下登(在1988年10月31日~1989年6月3日) 通称大喪宰相(ある意味二重の意味で)。1988年9月19日の昭和天皇の吐血から、崩御に備え政局の安定化が求められていたことから登極。在任中に消費税を導入。大喪の礼の後、政界の汚職発覚から関係者処断の後、責任を取って辞職。 二十一代 安倍晋太郎(在1989年6月3日~1993年8月9日) 通称外交宰相。登極直後に第二次天安門事件が発生し、軍事的圧力を強化。それにも関わらず中華連邦が民衆弾圧を行ったため外交官引き上げや経済制裁を実行。日ソ冷戦が激化する中でのこの対応には賛否両論だったが、結果的に中華連邦以外のアジア・ヨーロッパ諸国(大半が民主主義国家である)の団結が強まり、中華連邦トップが交代し多大な犠牲は出したものの民主化は進展したため矛を収める。在任中に即位の礼、第一次湾岸事変などを経験。最後の仕上げに第三期中期防衛大綱第四次軍備拡張法案を可決。宰相職・衆議院議員双方の任期満了により自動的に退任。 二十二代 細川護煕(在1993年8月9日~1995年12月11日) 通称空中分解(「宰相」すらつけない)。衆議院議員選挙の選挙運動期間中に露見した主要与党の贈賄疑惑問題により社会党が大勝したため登極したが、外交・内政の双方で腰の定まらない対応を続け、1994年の松本サリン事件、1995年の阪神大地震、地下鉄サリン事件で現場部隊による意図的な文民統制の無視でしか対応を成し得なかった上、地下鉄サリン事件が発生した最中に阪神大地震の視察を行うという危機管理意識のなさや服装の無神経さのため公の場で皇族からビンタを喰らい叱責を受けたばかりか世論・議会の猛烈なバッシングを受け、衆議院を解散総辞職。 二十三代 李登輝(在1995年12月11日~2000年1月19日) 前細川政権が国政を混乱させたことで、「議会多数派を占める日本帝國の政治家は、京都や法律でしかものを考えられない人ばかり」と猛烈に批判し、負い目のある多数派市民であるところの日本帝國国民の(消極的な)支持を受け登極。史上初の非本土人(一応憲法・法律上、構成国全てが本土になるのだが)宰相。在任中に阪神大地震の復興計画の推進、第三次中華事変の対応など。宰相職・衆議院議員双方の任期満了により自動的に退任。 二十四代 小泉純一郎(在2000年1月19日~2004年2月9日) 李登輝政権成立の反動による保守盛り返しにより登極。対立激化するソ連に対し毅然とした態度を示した。9.11世界同時多発テロではテロリズムに対する戦争を宣言する一方、アメリカのイラク開戦を阻止し飽くまで話し合いによる解決を目指すなど、優れた外交感覚を示した。宰相職・衆議院議員双方の任期満了により自動的に退任。 二十五代 上総志津(在2004年2月9日~2006年8月17日) 外務官僚、文部大臣、内務大臣、総務大臣を歴任。消極的開戦論者。ソ連との開戦機運が高まる中、非戦派である皇室の意向を受け宰相選挙に出陣し、並み居るタカ派を抑え(大日本帝國内閣総理大臣から数えても)史上初の女性宰相として就任。武力攻撃を受けるまで連合帝國軍から手を出すことを固く禁じつつ、各地で部隊を増強し上手にソ連を挑発した。 第三次世界大戦では、度々核兵器を搭載していたと見られるミサイルを迎撃し、各軍からの強い報復核攻撃を進言されたが、伝家の宝刀である「陛下が御望みでない」という鶴の一声で却下し続けた。ソ連による横浜、長崎へのレーザー攻撃に際してもよく軍を抑え、軍の独断専行で弾道弾が発射されそうになった際には基地施設ごと破壊を命じた。最終的にはドイツ亡命政府の了解を取り付け、レーザー兵器の存在するソ連領ドイツに帝國海軍によって核攻撃を行った(後にも先にもこれが日本連合帝國が行った唯一の核攻撃)。ソ連徹底抗戦派の自暴自棄による首都諸共の水爆の自爆という形ではあったが、核の冬を招くこともなく(結果的に世界的な放射能汚染は広がったが、基本的には人体に影響ないレベルに収まった)早期に大戦の幕を引くことに成功。 ホノルル講和条約の発効と第一次中期戦災復興計画の素案作成を以て、多大な被害を自国にも齎したことの責任と、核攻撃を許可したことについての良心の呵責を理由に辞任。
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/1529.html
293 :ひゅうが:2013/02/17(日) 06 48 35 提督たちの憂鬱支援SS――「牧野侍従日誌」その3 ――昭和17年12月8日 快晴 なれど帝都は酷寒。 東北にて食糧不足の兆しありとの報により、那須御用牧場より乳製品の放出を決す。 皇后陛下手ずから包装せるとのことに付、典侍侍従奮起せり。 欧州北米にて寒波厳しと倫敦より報あり。とりわけロシアは寒波に閉ざさると。 アナ陛下(註:アナスタシア皇女。ロシア皇室の長として遇するために宮中は率先して「陛下」号を付け呼んでいた。)の手の方々よりの非公式情報によればウラール地方にて餓死者続出とのこと。 連絡がつくモントリオール公使館からの報とあわせて鑑みるに、北米の寒波はさらに厳しとの由。 (註:ロマノフ朝直属の情報網、いわゆる『オリガ・ネットワーク』を通じ、宮中もソ連領内や北米の状況を把握していたことがわかる。 多くが19世紀以降の北米上流階級となったロシア系移民や、ソ連領内に残存した中下級貴族あるいは白衛軍支持者で構成されるネットワークは合法活動だけで両国の実態をつかんでいた。) 北米におけるインフルエンザ流行は誤報。 日本赤十字ならびに帝国疾病予防監視機構(註:通称「能登研」。第2次欧州大戦開戦に伴い陸海統合防疫本部より改組し40年4月より極秘裏に実働を開始していた。42年11月ニューファンドランド島経由での病原体確保に成功。)より報告あり。かの新型伝染病はペスト変異種との由。 北米の惨禍はとどまるところを知らず。 シカゴ暫定政府は強硬姿勢を崩さず傘下新聞各紙を通じ黄禍論を煽る。 矢張り太平洋艦隊と一戦せず停戦講和は望めず。 尤も、本邦においても比島封鎖を非難、支那陸上占領地拡大を強弁せる紙面意見の類も多くあれば五十歩百歩か。 否、彼らもまた長期持久態勢構築を期する者なり。星号作戦案を知らぬといえばまた理解できぬでもなし。 午後2時、大本営より伝令あり。 嶋田総理より「星号前段階開始、なお気候混乱に鑑み捷号大西洋方面準備を中止」との一言のみが伝えられる。 主上、二度頷きて政務に就かれる。 それにつけても今冬は寒し。 ――昭和18年1月1日 梅雪強し。 新年なれど戦時下がため儀典は方通り。 嶋田総理秘書官よりの代奏あり。 攻撃部隊はミ島(註:ミッドウェー島のこと。)を攻略し、布哇諸島方面作戦に備えると。 年末より嶋田総理らは官邸にて激務を続く。 秘書官に弁当類を持たすよう御下命あり。 (註:戦時下のため、必要な儀式以外の新年行事は省略された。 しかしテレビやラジオを通じて新年のメッセージを発するなど慣例を破るようなことがいくつか行われている。 牧野の記述は短いが、一部保守層の反発ほど宮中での反応はなかったものと思われる。 記述内容はハワイ方面作戦が主であり、彼らが並々ならぬ関心を抱いていたことを窺わせる。) ――昭和18年1月7日 快晴 寒波は一段落。 本日、嶋田総理より代奏あり。 「蜂1号発動。連合艦隊全艦は各鎮守府を抜錨し出撃す。」 此れより1月余、主力部隊は内南洋にて訓練待機を行い、中下旬をもって米太平洋艦隊ならびに真珠湾軍港への攻撃を敢行予定。 まさに太平洋の天王山ならむと。 (註:同日、比島および支那大陸封鎖部隊を除く連合艦隊全艦は呉の柱島泊地を一斉に抜錨。豊後水道を抜け太平洋へ出撃した。 太平洋戦争の初期作戦終了後の整備を終えた艦艇群も含め稼働艦艇の大半をつぎ込み、内南洋方面に主力部隊を展開させつつミッドウェー島攻略を支援する目的である。 このため戦力を誇示する目的で出撃は白昼に行われた。 アラスカ侵攻作戦「星号作戦」準備のために嶋田総理らは激務に追われこの1カ月あまり嶋田総理は宮中へ参内していない。そのため、官邸つき武官と秘書官らが代役として奏上する形となっていた。) 294 :ひゅうが:2013/02/17(日) 06 49 13 ――昭和18年1月14日 晴時々曇、遠雷あり。 布哇方面での通信量激増。 大本営よりの報告によればミ島(ミッドウェー島)は無血占領。 いよいよ天王山近し。 本日、近衛公(近衛文麿前首相)参内。 国内食肉の件につき(註:戦時下のうえ満州が戦場となったため穀物輸入量が減少し、東北北海道などでの畜産業に打撃が出始めていた。)暫し懇談後、向後の方針につき二三の問答あり。 以下問答 主上「近衛らはこの戦争をいかな形で終える心算なるか。」 近衛「戦前であれば西太平洋における自主生存圏確立を挙げていたでありましょう。しかし現在は太平洋全域における帝国の管制権確立と、少なくとも米国の半分との和平済民によって向後半世紀から1世紀の帝国の安泰を確保したく思います。」 主上「米国の半分とは、かの華南のようなことを北米にて行うつもりか。」 (註:大英帝国が実施したいわゆる「華南分離工作」のことを指している。こうした分離工作についてはあまり好意的ではなかったようである。) 近衛「いえ。既に分裂は加速しております。そも米国は連邦政府をもって州という名のリパブリック(註:共和国)を束ねる国家連合にございます。 大津波による連邦政府の消滅と北米東岸の主力工業地帯壊滅は、この前提を大いに揺るがし、いっては悪いですが有色人種『ごとき』に敗北する連邦軍は、価値観が遅れてきた19世紀帝国主義の残存各州政治家や無産階級市民の敵意を増大させこそすれ減少させ得ぬでありましょう。既に臨時連邦議会は機能しておりませぬ。それに。」 主上「何か。」 近衛「北米において猛威を振るう疫病禍は、明らかに異常であります。信じたくはありませぬが細菌兵器の漏えいという可能性が現状最も高く、これによって最悪の場合・・・ 災厄は北米大陸にとどめ得ないこととなります。 これを察知してか、残存する米財界は中西部工業地帯を帝国陸海軍の攻撃圏内にも関わらず西海岸各地へ移転。五大湖工業地帯もこれに追随しつつあります。 これが意味することはただひとつ。米国、少なくとも米財界は東部および中部地域を切り捨てたのであります。」 (註:のちにいうアメリカ風邪の情報はカナダ経由で逐一もたらされ、この時点において既に日本の戦争指導方針に大きな影響を与え始めていた。大本営がアラスカ侵攻作戦と核開発に全力を投入し第二次直隷侵攻作戦を中止したのはこの1週間あまり前であった。) 主上「疫病により窮鼠となった米国は、国を割るか。」 主上、一瞬絶句さる。 近衛「御意。『連邦軍』の捷利により政府を再建できればよし。そうでなければ米国は各州ごとに分裂し、大津波の被災者や疫病から逃れる難民の群れと各州軍が相撃つ壮絶な内乱状態となりましょう。 この無政府状態が続けば、疫病は米国軍の圧力の抜け不穏な空気の漂う中南米へ飛び火しましょう。最悪なことに、アルゼンチンやウルグアイをはじめとする南米諸国は、大西洋大津波からの復興のため農作物や畜産物の欧州への輸出を拡大しております。 これを止めよといっても、大西洋上にわが軍の拠点は現在存在しておりませぬ。 この寒波にて、欧州の穀倉地帯は凶作となり、ウクライナやポーランドなどは戦場と化しております。疫病、食糧不足、まさに近代以前の戦争が再現されることとなります。」 主上「なんとおぞましい未来であるか。これを阻止できぬのか。いかな米国といえども良識はあろう。 聞くところによればニューヨーク州知事であったトマス・デューイなるものが副大統領となったとか。かの者は対日和平派と聞いた。」 295 :ひゅうが:2013/02/17(日) 06 50 01 近衛「それが成ればよいのですが、いささか時が遅うございました。もしもこの疫病がなければ――いえ、現状間に合うかどうか。北米の治安は寒波とともに加速度的に悪化しつつあります。ことに有色人種や労働階級の戦争継続への不満…というより食糧不足や疾病対策への遅れは致命的であります。 なまじ豊かであったため、米国の上層階級はロシア革命を誘発した悪夢の螺旋が発生しつつあることを理解しておりませぬ。」 主上「布哇にて日米両軍が激突すれば、彼らはいずれにせよ大打撃を受ける。そうなればもう遅いであろう。 『連邦軍』の重石のとれた米国民は『万人の、万人に対する闘争状態』に入るということか。」 (註:トマス・ホッブス著『リヴァイアサン』の一節。) 近衛「はい。未確認情報にございますが、ソ連が大恐慌以来の新興労働組合などと接触しているとも。手をこまねいていればアメリカという名のパンドラの箱から世界に巨大な災厄が飛散しかねませぬ。」 主上「アメリカはわかっていないのか。」 近衛「少なくとも欧州に残存せる旧国務官僚たちは理解しております。ですが、臨時政府を構成するアパラチア山脈以西の中西部諸州の官僚たちや臨時議会の人々は理解しようともしておりませぬ。 ただ、戦争が事態を悪化させつつあることのみは共通認識で、それも勝てば何とかなると考えているようで。」 主上「なんということか。」 近衛「ともかく、このような情勢下におきましては一戦し、アメリカ太平洋艦隊と戦わねば状況は変化し得ませぬ。英国は仲裁を試みておりますが、米国は逆に独国へ接近する始末にてまったく効果を上げておりませぬゆえ。 ともかくも、このような次第にて最低限米国の西海岸部におきまして政府機関および軍事力を維持した政権を維持し疫病禍を封じ込め、かつ米英の影響力の低下しました太平洋地域の安定を確立することこそ帝国の目指すべき『終戦』の形にあると愚考いたします。」 主上「それは、嶋田総理らも同意見か。」 近衛「疫病封じ込めと太平洋地域の安定については同意見にございます。そして、戦略的な『確定的破壊能力』誇示によりまして米国政府に屈服を強いることについては戦前よりの戦争方針にて、総理においてはかかる情勢を考慮しつつ勝利を希求しております。」 主上「わかった。だが、修羅の道よな。」 近衛「陛下?」 主上「かの者は、主戦派と目されつつも血気盛んなものたちの手綱を握り、勝利を目指す。 その後に残るものをよく理解した上でだ。しかし逃げることはせず。 貴公の言う『終戦』以後はそれも不可能となろう。」 以後、二三の算段となり、枢府上院(註:枢密院と貴族院)が承諾を得る。 (註:対米戦勝利の暁に嶋田総理を叙爵することがここで決した。)
https://w.atwiki.jp/teitoku_bbs/pages/1519.html
286 :ひゅうが:2013/02/16(土) 09 05 24 提督たちの憂鬱支援SS――「牧野侍従日誌」その2 ――昭和17年8月17日 晴れ 蝉声洗うが如し。 主上、主要五紙朝刊を読まる。 米国にて未曾有の大災害発生かとの報は昨夜遅くに入れり。 払暁の御神事(註:宮中祭祀、朝4時30分には起床され国家安泰を願い神祇を祀られる)後に大本営より報告あり。 (註:永田鉄山陸軍大将が大本営情報部と外務省から当直職員を伴い参内。まず報告を入れる。以後戦時中はこの慣例が踏襲され、現場担当者かその代役から可能な限り生の声が奏上されることになった。) 華盛頓をはじめ東海岸各地との通信は途絶。倫敦(ロンドン)にも2米以上の大津波が侵入す。 帝国の新領土カナリア諸島基地とも通信は途絶せり。通信隊は華盛頓が本邦大使館員と同様絶望的か。 加奈陀がラジヲ局はアパラチア山脈が向こうの夜が紅蓮の炎で赤く染まりたると伝え、また倫敦ロイズ本社が鐘(註:ロイズ保険本社の鐘のこと。海難事故で船が失われると鳴らされる)は延々と鳴り続けると吉田大使(吉田茂特命大使)より報あり。 主上、公務を御会所(註:皇居松の間の横にある控室。緊急事態に際して即座に対応できるようにしたものと思われる。)に移され、内大臣府より政府各所へ「伝令」を出さる。 昼食は御一家にて採られる。 連日の猛暑に加え、戦捷祈願を込めてか湯漬けなり。 午後3時過ぎ、嶋田総理参内。 以下問答。 主上「緒戦はよくやったと聞く。陸海軍将兵の奮戦を労りたい。」 嶋田「ありがとうございます。比島の敵航空戦力は駆逐しましたが支那におきます陸上兵力は残っております。これを排除しますれば戦争目的の1つを達成できます。」 (註:大本営戦争指導方針によれば「日本本土に対する戦略的攻撃能力のはく奪」が戦争目的の一つであった。) 主上「そうか。しかし聞くところによれば北米大陸をはじめ北大西洋にて深刻な災害が生じているとか。状況はどうなのか。」 嶋田「非常に深刻な模様であります。総研と地震研(地震研究所)の解析待ちでありますが、少なくとも15米以上の大津波が北米大陸に押し寄せた模様です。加州(カナダ)における通信傍受によれば華盛頓も海に呑まれたと。」 主上「先の三陸の大津波(註:昭和三陸地震)以上か。」 嶋田「はい。被害範囲はあまりに広大です。北米大陸のほぼ全域から南米沿岸の半分、そして西部欧州沿岸から中部以北のアフリカにも大津波が襲いかかった模様にございます。 これは、倫敦駐在の文武官が英国政府に確認をとっております。 ロング大統領をはじめ米国政府は遺憾ながら消滅したも同然と思われます。」 287 :ひゅうが:2013/02/16(土) 09 06 26 主上「恐ろしいことだ。しかし、好機ともとれる。米本土を襲った未曾有の災害は、未曾有の戦禍を抑止できないだろうか。矛をおさめるわけにはいかぬか。」 嶋田「可能であればそういたしたいものでありますが、そうもいきませぬでしょう。」 主上「何ゆえか。」 嶋田「まず、米国は未曾有の危機にあります。その中にあり矛をおさめるのは、米国民には臥薪嘗胆を強いることにございます。余程の指導者がおればそれも可能でありましょうが、華盛頓もろとも失われた米国政府、いえ連邦政府の権威を代替するにはどうしても一戦し悪くとも戦前の権利権益を確保せねば彼ら自身が立ちゆかぬでしょう。」 主上「米国には多くの州政府があり議会がある。ならばそれらが協力し政府再建を為せるのではないか。この難局にあたり手を差し伸べ平和を回復することで米国民の心情を慰撫できぬかと考えているのだが。」 嶋田「ことが平時であれば可能であったでしょう。ですが彼らは嵩にきて拳を振り上げたところで道端に落ちていたバナナの皮で脚を滑らせ転倒したようなものです。 いかに傷が深かろうとも、それが却って戦意を高揚させてしまうでしょう。 『情けをかけられ、足元を見られる』ことほど誇り高き米国人を怒らせるものはありませぬ。いずれ、臥薪嘗胆を経て日露の戦役に臨んだ本邦のごとく我々に挑みかかってくるでありましょう。 また彼らの強大な海軍力はそのまま存在しており、彼らだけでわが帝国陸海軍の3倍はあります。 これをどうにかしない限り和平はできませぬでしょう。それに、彼らから見た同盟国の張作霖軍閥(註:北京政権)もいまだ健在であります。」 主上「安易な和平は将来の禍根となるか。」 嶋田「はい。しかし、開戦前に比べ、和平を結びやすくはなっているでありましょう。かの国の対外侵攻能力を剥奪できれば、実質的に彼らは北米大陸から出ることができなくなります。それだけでなく、ヒットラ総統(註:ヒトラーという英語読みは普及していなかった。これは「わが闘争」の和訳に際し右記の表記がなされていたためである。)率いる欧州と対峙している以上必要以上の海軍力低下は彼らの軍としても望まぬでしょう。 政府といたしましては、的を米海軍に絞り、それでも彼らが根を上げなければ開戦前の方針をとることにしたく存じます。」 主上「わかった。だが、被災した…盟邦(註:友邦とは言っていない)国民への支援は行いたい。また、米国民に向け朕の名で弔意を表したいが。」 嶋田「支援に関してはもちろんであります。また弔意に関しましては願ってもないことにございます。私の名で声明を出そうと考えていたところでございますので。」 主上「そうか。」 主上は満足そうに頷かれる。 嶋田「いくさにあたっては徹底的にやるべきではありますが、人倫を失ってはいかぬ。それを失っては軍は匪賊に同じとかの東郷元帥が示しておりまする。 (註:日本海海戦において白旗を上げつつも機関を停止しなかった残存戦艦への砲撃を継続し、かつ戦後はロジェストベンスキー提督や捕虜への配慮を欠かさなかった東郷元帥の逸話を指していると思われる。) 戦時における公正は、いずれ来る戦後において帝国の見えない財産となり、かつ後世への範となりましょう。」 主上「うむ。」 嶋田総理退出す。 主上は、「朕は嶋田らを誤解していたやもしれぬ」と仰せになられり。 さっそく自ら筆を執られ、推敲をはじめらる。 NHKとの交渉を命じられ、内府(内大臣府)は二徹確定なり。 (註:8月18日午後6時付けでNHKは天皇陛下自らの出御を仰ぎ、生放送で玉音をTV・ラジオ放送した。これに嶋田総理も同伴し、大西洋大災害=大西洋大津波の犠牲者への哀悼の意を表した。これに伴い物心ともに日本帝国は戦時体制へ移行することになる。) 288 :ひゅうが:2013/02/16(土) 09 07 25 ――昭和17年10月25日 木枯らし強し 今冬は厳冬となるやもしれぬ。 主上は昨夜よりあまり眠られぬ由。 矢張り東郷元帥の薫陶ありしか。 (註:東宮御学問所時代から東郷元帥や乃木将軍の薫陶を受けたため軍略方面にも通じていた。そのため比島沖海戦の報告を受け夜遅くまで地図を見ていたと入江侍従日記に記載がある。牧野の筆は若干の呆れを含んでいるようである。) 午前10時、嶋田総理参内。 顔色は先日の参内よりよし。 聞くところによれば新型栄養ドリンクをはじめたとのこと。 主上より那須の蜂蜜を下賜すべしとの命あり。昼食をともにしたしとも仰せになれり。 嶋田総理の秘書官は疲労顕著につき、内大臣府より使いを出す。 会見においてはまず主上が捷利を言祝がる。 総理は肩の荷がひとつ下りた様子なり。 以後、食堂に総理を同伴され、会食。 昼食にも関わらず洋食なり。秘書官ならびに官邸警護官らにも同メニューを出す。 (註:明治時代以来、皇居の昼食は和食を基本としていた。嶋田総理らの激務を労う形で洋食が特に命じられたようである。) 以下問答。 主上「これで太平洋に展開した米海軍の半分を撃破か。」 嶋田「はい。残るはハワイに残存せる太平洋艦隊主力のみであります。幸い、英連邦は中立を維持する方針にて豪州インド洋方面からの圧力は考慮せずともよくあります。 政府としましては、比島については封鎖にとどめ、来るハワイ作戦やアラスカ侵攻に備えたく存じます。」 主上「侵攻はせぬのか。」 嶋田「陸上戦力をとられすぎましょう。早急にアラスカを制圧せねばなりませぬゆえ。 何より時間がかかりすぎましょう。」 主上「であるか。して、戦略兵器の開発は順調か。」 (註:この時点において核兵器をはじめとするアラスカに展開予定であった戦略兵器群の機密情報は存在そのものの秘匿から、存在をにおわせる程度の機密へと格下げされていたようである。) 嶋田「はい。来年春までには初号弾の実験ができますでしょう。長距離爆撃機については試験結果も良好で、初期ロットの製造にかかっております。 弾道弾に関しては少し遅れておりますがこればかりは。当面は新型爆撃機『富嶽』を主力といたします。」 主上「そうか。聞けば、シカゴ政府から和平の申し出があったと聞くが。」 嶋田「米国の対日放送にてグルー大使が出演して呼びかけたと聞いております。政府への正式な通告はまだであります。米本土においては遺憾ながら和平の意思は新聞各紙に存在していないといってもよいでありましょう。」 主上「正式なものが来ればどうするのか。」 嶋田「交渉には入りましょう。しかし、米海軍力への攻撃は継続いたします。彼らは大西洋大津波により戦力の補充能力を喪失しております。 でありますから、交渉にかこつけて戦略的再編や補給を行いおうとするやもしれませんから。」 289 :ひゅうが:2013/02/16(土) 09 11 10 主上「戦いには相手があるか。」 嶋田「左様です。支那や独ソの如き前例もありますれば。」 主上「独ソといえば、欧州の戦況はどうか。」 嶋田「英国情報部によれば、独軍はコーカサス山麓カスピ海沿岸のバクー油田を目指し『ブラウ作戦』を開始しております。モスクワへの正面攻撃は断念した模様で、かわりに石油の確保を優先したと。」 主上「やはり、米国からの輸入が途絶した影響は大きいか。」 (註:日米対立の激化と英独停戦に伴い、米国はメキシコ湾岸やテキサス油田の石油を第三国経由でドイツへ輸出していた。 これには英国系海運会社も関与しており、日本の反英感情を助長する結果となっていた。) 嶋田「ルーマニアのみではとても足りぬでしょう。英国も直接輸出はペルシャの中立撤廃やソ連の中東侵攻を誘発する危険性があり二の足を踏んでいるようで。 慌てて人造石油工場を増設しておりますが、仏大西洋岸の被害状況もありますし何よりコストがかかりすぎ、はかどっておりません。 独ソ両国から遼河油田の石油援助の要望が来ております。」 主上「辻蔵相あたりが喜びそうであるな。」 一同笑い。 以後は歓談に移る。 午後2時頃まで喫茶後、辻蔵相の迎えで嶋田総理一行は退出す。 嶋田総理は参代前より気疲れしたようなり。 主上いわく「大魔王辻はこのことか」と苦笑さる。 (註:米アジア艦隊を撃滅したことで一息ついた嶋田総理だが、仕事は山積していたようである。この時期の嶋田総理の平均休息時間は一日3時間ほどであったと秘書官は記録に残している。)
https://w.atwiki.jp/yaruo-aoiti/pages/138.html
+プロローグ~第10話 プロローグ~第10話 プロローグ 初陣までの流れをダイジェスト。 第1話 赤い血の生き方 森を切り開いて開拓。バイパーの男として日々を過ごすやる夫。 第2話 青い血の生き方 舞台は公都。年頃の青い血の娘として婚約者に頭を悩ませる亜美・ラ・川嶋。悩んだ結果、川嶋邸を訪れた副騎士団長・古泉に相談を持ちかけてみることに。 第3話 風が運ぶ物 開拓の続きをするやる夫と月の元に、道に迷ったジプシー・カイト一家が現れる。カイトの娘・リンは、ジプシーとしての旅に疲れたとやる夫にこぼし、金ができたら妾として自分を買い取って欲しいとやる夫と約束する。 第4話 終わりの始まり 村での祭りも終わり、再会の約束と共に、ジプシー一家は村を去っていく。代わりに訪れたのは、山岳狩猟民の調査に騎士団が来訪するとの知らせだった。 第5話 騎士と農民 住民代表として代官の従士として山岳調査に同行するやる夫。騎士団と山の民の話し合いは無事に済んだものの、村への帰還途中に山犬と遭遇してしまう。 第6話 青い血の証明 負傷しながらも山犬を撃退し村へ帰還を果たす。帰還後、調査騎士団の代表が旧知である副騎士団長・古泉であることを知り、村長をはじめとする名主達は、やる夫の身分証明をして欲しいと陳情を始める。 第7話 血の繋がらぬ親子 青い血としての身の証を立てるため、泣きながら公都への道を歩むやる夫。到着した公都で公王への宣誓を済ませ受勲を果たすと、亡き実父であるキョンの妻であり、血の繋がらぬ母であるハルヒとの面会をする。 第8話 妻との出会い 流され戸惑うだけのやる夫の前に、妻と定められた女性である亜美・ラ・川嶋が現れる。彼女はやる夫に対し「望む望まないに関係なく、あんたは貴族なの!自分の村を荒らされるのが嫌なら、領主として自覚を持ち、騎士として邪魔者を排除なさい!!」という、騎士として生きる覚悟を決める一言を投げかけた。 第9話 再開歌姫 公都の地理を覚えるために散策に出たやる夫は、街頭芸人同士の諍いに遭遇する。そこにいたのは、バイパー村で出会ったジプシーの娘・リンだった。身寄りのない彼女をやる夫は侍女として受け入れ、その様子を近くで見ていた珠姫・ラ・高嶺は、彼を理想の騎士だと憧れを抱くようになる。 第10話 代理権限 川嶋家への結納と家臣団との顔合わせを済ませ、バイパー村の税収の確認と、統治方針の相談を始める。 +第11話~第20話 第11話~第20話 第11話 領主貴族と都市貴族 公王の認可が降り、やる夫の元への嫁入りが決まった亜美の元へ、間が悪くできる夫・ラ・パーソクデが現れ娶りたいと申し出るが当然断られる。帰ろうとするできる夫にハルヒが、彼の父である公爵へと伝言を持たせる。 第12話 王の血脈 川嶋邸のやる夫夫妻の元へ王太子親衛隊が使者として現れる。そして王太子ルルーシュとの面会。関わり合いになりたくない王家の血脈についての真実を知る。 第13話 家臣団再編 公都でやる夫夫婦に雇われた侍従長・やらない夫は、実家の酒場・海王に、バイパー村から出てきたシモン・月の二人を呼び出し、その距離を埋めようと対話を始める。 第14話 二人の人柱 公都・川嶋邸へ王太子ルルーシュ、レテ公爵、クール子爵が集まり、バイパー卿の寄り子となる新規集落2つの開発についての会議を始める。新規集落それぞれの領主に関しては、レテ公爵の三男ランサー、四男できる夫が就く事で合意。 第15話 様々な交渉 先代時代に御用商人だった梅岡を呼び出し、披露宴に関わる物資の相談。その際に、やる夫の実母であり、先代の妾であったノリも現れ、ハルヒとの折り合いを付ける。ランサー、できる夫の二人には、梅岡を御用商人として推薦。独占契約を結ばせる。 第16話 蜘蛛の糸 公王の認可が降り、王家の企画で披露宴の日取りが決まったやる夫だが、彼に懸想する珠姫・ラ・高嶺が、表向きは預かり侍女・実質は妾として押し込まれてくる。 第17話 内なる問題 押し込まれた珠姫に関して、王太子派閥としての考察と、家内での扱いに関する悩み。 第18話 宴の意味 教会での式も終わり披露宴、諸侯・諸卿との顔合わせが行われる。やる夫が最初に顔合わせを行ったのは王女・ナナリー。盲目の彼女は、自分の手を取り、未だ見知らぬ世界を語るやる夫へ執着を抱く。 第19話 祭りの後で 披露宴後、王女・ナナリーは宮廷伯である巌・ラ・鷲巣を呼び出し、やる夫を取り込むべく策謀を巡らす。その頃川嶋邸では、ニューソクデ家に関わる青い血出身者が折り合いを付けるべく話し合いをしていた。 第20話 参陣の心得・貴族編 王女の元から侍女・シャナが高圧的な態度で使者として訪れる。脅迫まがいではあるが、やる夫はその依頼である山賊討伐を受け入れ、その為の準備に奔走をすることに。 +第21話~第30話 第21話 参陣の心得・庶民編 公都にいる従軍組は、従士長・やらない夫の奢りで海王へ。従軍の際の心構えやノウハウをやらない夫から伝える。一方、バイパー村からの追加派遣組は、両名主がどちらが従軍するかで殴り合いをしていた。 第22話 討伐戦・初動 公都組とバイパー村・追加派遣組が合流、初陣組に経験者組からのノウハウの伝授が行われつつ、行軍が開始される。残された人間には、行軍組を案ずる、不安な日々が訪れる。 第23話 軍議・それぞれの立場 現地・メドローアに到着したが、公都で受けた報告との食い違いがあり、山賊の数・質ともに格段に上である事が発覚。軍議の結果、翌日に奇襲を仕掛ける事に決まる。軍議の間はできる夫が代将として指揮、その際にレテ陪臣嫡男・ダイと出会う。 第24話 奇襲 山賊への奇襲の際、現地猟師・誠が、道案内として同行。見張りを弓での奇襲で倒し、山へ攻め入る。やる夫は、騎乗で山賊への降伏勧告を行っていたが、緊張のため舌を噛んでしまう。 第25話 授業 山賊側は、ジャギが先陣で指揮をとり崩れず、一進一退の攻防が続く。その合間に、敵部隊が降伏勧告を続けるやる夫の元へ辿り着き、弩弓で射撃、鎧の羽根に守られたものの落馬した為、戦術的勝利が崩れないうちに、一時撤退を決める。できる夫は森の中でブシドーと遭遇。不意を打たれ、弩弓で射撃されたところを慎二に庇われた。 第26話 敵味方の思惑 新婚で夫を戦場へ送り出した妻・亜美は一人寝の夜を寂しく過ごす。その頃、現地のやる夫達は、今後の対策を軍議で練っていた。対する山賊側は、指揮の低下や物資の不安の為、村への夜襲を仕掛け、略奪の後、逃げ出す方針を固める。 第27話 闇の中の乱戦 火矢が放たれ、混乱するメドローア。そして山賊の夜襲が始まる。総大将であるやる夫は身を隠す為に逃げるが、山賊に襲われるマミを思わず助けに入ってしまい、敵に居場所を補足され追われる事に。追い詰められたやる夫を、命を捨て守り切るひこにゃん。やる夫はその手に持った弓で反撃、山賊の頭であるジャギを射殺し、山賊を壊滅させた。 第28話 終戦の夜・明日への準備 マミが一夜妻としてやる夫の所へ赴き、その間にマトリフは、戦後交渉のためフェザー村、モンク集落へと使いを走らせる。従士・チュウは夜の間にジュンへ名主同士として、失った住民の補填として、移民の斡旋交渉を行う。祝勝の宴の中、月はメドローアの娘さやかと出会う。 第29話 戦後処理 フェザー、モンクより代表者が着き戦後交渉。山賊に加担し、逃げ続けている人間の処理を任せる代わりに、従軍費用の肩代わり及び山賊の物資をバイパーが得る事に決まる。できる夫は、報奨の権利を放棄し泰助の助命を行い、奴隷として所有権を得、助命嘆願をして村にいられなくなった誠・刹那夫妻もまた、できる夫についていく事になる。 第30話 妻達の戦争 従軍組帰還前。王女親衛隊新設に伴う任官の意思確認を、提督・ラ・垣根の一党へと、その妻達を呼び出して行う。その際、相談役として亜美も同席。任官の条件として提示されたのは、ルルーシュよりやる夫に相談があった、南方街道治安維持警備への従軍だった。一方使者としてルルーシュの下へ訪れた珠姫はやっかいな伝言を依頼される。 +第31話~第40話 第31話~第40話 第31話 テーブルの上の戦争 ルルーシュ従軍の意思を珠姫への伝言で聞かされた亜美は、やる夫とも相談の上、戦勝祝いの席で麻呂・ラ・高嶺へと問題を持ち込む。その席上、実戦での功績を上げたできる夫の下にはレテ陪臣や宮廷伯が、自分の娘を押し込もうと画策をしていた。 第32話 適正という言葉 やる夫はルルーシュと従軍させる際の条件についての折衝を行う。条件を聞いた宮廷では、早期に軍を経験させるべきと判断し、最終的な責任の所在などの話をまとめた。 第33話 連合部隊編成 責任及び金銭的な負担は国で持つ事、また、ルルーシュはゼロを名乗り一騎士として従軍すると、ルルーシュよりやる夫に通達される。その後、王太子親衛隊及び王女親衛隊任命予定者が集い、事前の打ち合わせと、交流を兼ねた食事会が執り行われる。 第34話 すがりつく者達 バイパー村より、ジュンとの交代でカミナ達が到着。合流し、警備隊が公都を立つ。暫くすると、旅人の集団も合流し、ルルーシュは、従軍時における部隊間の連携や、民の現実を目の当たりにすることになる。 第35話 野営 騎士たちが野営の焚き火を囲み、行軍について語り合っていると、夜警に付いていたランサー組が、旅人たちの手荷物を盗み出すこそ泥を発見する。声をかけた誠が頭を殴られ倒れるが、同行していたランサーが取り押さえる。 第36話 道半ば 大きなトラブルもなく、メドローアに到着し、一息つくと、指揮官としての精神的疲労で、やる夫、できる夫共にダウン。ここでルルーシュはやらない夫から、今回の治安維持隊は、ルルーシュ総指揮下の手柄と伝えられる。憤るが、戦地になった集落の民との交流等を経、名誉の価値を知る事で、部下の手柄、精勤を無駄にしない事を約束する。 第37話 パーティの準備 舞台は公都。カイジは、失脚した公都巡回使・村岡の役職を餌に波平・ラ・櫛枝を釣り上げ、娘である実乃梨を、できる夫の婚約者レースから引きずり落とそうと画策するが、亜美の指示で櫛枝邸に詰めていた大河らの妨害にあい撤退する。しかし、同時に、王太子殿下の初陣祝いを企画し、出席者を絞ることでできる夫を囲い込む罠を仕掛けていた。 第38話 王子様の初陣 サモトと鬼作に率いられた山賊団20名余りが、公都へ帰還途中のやる夫達を襲うも、弓兵中心の戦闘団には手を出せず壊乱して捕虜となる。ルルーシュは、初陣にして死亡者0での勝利を飾る。 第39話 知恵の輪 公都への道を進むやる夫達の前に、公都北門門番である望・ラ・涼宮が、ルルーシュの鎧であるシナンジュと、乗馬を用意して現れる。帰還時の順列についての指示も携えていたが、ルルーシュはやる夫の位置を自らの直下に配置する事で、その信頼を示した。また、先代以来険悪な関係であった涼宮家とニューソクデ家の間を取り持った。 第40話 立場と役目 公都へ凱旋し、玉座の間で警備の報告とその報奨、及び王女親衛隊任官が行われる。成長を認められたルルーシュは、その場で諸侯間の調停を任される。同じ頃、カイジが画策した祝勝会でのできる夫囲い込みに対抗すべく、大河とフレンダは頭を悩ましていた。 +第41話~第50話 第41話~第50話 第41話 王子様とパーティー カイジ主催での王太子初陣祝勝会がスタートした。ルルーシュは出席していたレテ公爵に、諸侯間調停について情報を引き出す為交渉を持ちかける。同じ会場内では、クール子爵が娘・心をランサーに引きあわせ、また承太郎はやる夫に仗助を引き立てた礼を、カイジは予定通りできる夫を囲い込み既成事実を作ろうと動くなど、それぞれの思惑が蠢く。 第42話 陪臣達の力 ルルーシュより諸侯間調停の助力を持ちかけられたやる夫は、独自に情報の収集を始める。その最中、できる夫の下にレテ陪臣レプラコーンより預かり侍女として芳佳が訪れる。彼女が持ってきた手土産は薬草と、その栽培ノウハウ。手土産を渡す交換条件は、彼女の受け入れだが、手土産の重要度に判断を迷うできる夫はやる夫に相談を持ちかける。 第43話 静かなる準備・結果の為に できる夫の家で、実乃梨と芳佳が調整の為、顔合わせを行っている所へ亜美が現れ、交渉条件として薬草とノウハウを使うつもりなら、自分が奴隷や捕虜の命を使い同じものを手に入れると啖呵を切り、できる夫も決心を固め、芳佳の受け入れを決める。場面は変わりラ・ニューソクデ邸。のび太が訪れ、調定の対策を行う。 第44話 血の流れぬ戦場Ⅰ ネラ子爵家及びタイム伯爵家の諸侯間調停が開始される。最初に、捕虜となり、拷問で両目・指を欠損、精神崩壊したスネ夫が証人として登場。「のび太様の指示で・・・」それだけを繰り返すスネ夫を回収したのび太は、責任の一部を認め、謹慎先として実質的な寄り子であるラ・ニューソクデ家を指定する事で被害を軽減する事に成功する。以降、和解金についての交渉をする事を確認し、第一回交渉が終了。 第45話 血の流れぬ戦場Ⅱ 第一回交渉が終わり、のび太は謹慎先のラ・ニューソクデ家へ。王太子からの監視役が付くまでに家内での処遇を相談し終える。同じ頃、できる夫とランサーの所には、レテの母や兄から愛人役侍女が送られてきて、処遇に頭を悩ましていた。また、ナナリーは、親衛隊婦人団との顔合わせを済ませ、提督と共に公都視察の打ち合わせを済ませる。 第46話 巻き添え カイジは、できる夫を妹に引き合わすため、自らとネウロが立会人で、調定交渉の場に鷲巣邸を使うようにルルーシュに持ちかけるが、やる夫を介して高嶺大臣に立会人を依頼し、回避する。また、やる夫は代替わりでポップが公都にいるのを知り、力を借りることに。のび太は謹慎先で、陪臣達と連絡をとり、暴走をさせぬよう手綱を操る。 第47話 変わりゆく者 ルルーシュは高嶺大臣やポップ達と共に調定交渉の調整にカイジの下へ。やる夫はナナリーの供で公都視察に赴く。公都視察に出たナナリー達は、示威の為に兵を引き連れたジャイアンに遭遇、トラブルになりかけるもその場は踏みとどまる。そして降雪が始まる。 第48話 領地の事情 降雪が始まり、食糧が不安な木の葉一族はバイパー村に食料の交換レート交渉に赴くが、領主の戻ったバイパー村の対応の変化に驚愕する。一方村の中でも、やる夫の同世代の女達が、村の変化に戸惑いを見せる。中でもつぐみは、不満を名主の娘である翠星石にぶつけてみせる。木の葉一族は他部族との話し合いの為、交渉を切り上げ帰還する。 第49話 後始末・整理 ジャイアンの暴走に対し、のび太は謝罪の使者としてロックを送るが、怒り心頭の王太子と王女は共にそれを受け入れず門前払いとなり、面会が叶うまで使者を送り続けることに。一方、川嶋邸では、やる夫と亜美の夫妻が疲労で倒れていた。リンはやる夫の息抜きのために、公都”ネームレス”へとやる夫を連れ出す。 第50話 あっちもこっちも今すぐ 高嶺家主催でポップの歓迎会が開かれる。嫁取りも目的のポップと、独身の招待客である提督には女性の紹介もある。会の裏では、メドローアからきたさやかと、やる夫の供の月が再会する。同じ頃、ラ・ニューソクデ邸でのび太がジャイアンを叱責。謝罪にかかる費用全てと、ロック及び仗助達への謝礼の全てを罰として負担するよう申し渡される。 +第51話~第60話 第51話~第60話 第51話 戻らない砂時計 ネラ側が用意した護衛、エルリック兄弟が登場。ロックに接触を図るが、ジャイアンの登場で失敗。その後ジャイアンの宿で双子の妹と面会し、王城への付き添いとして同行する。舞台は変わり王城。カイジと麻呂を呼び、次回調定の打ち合わせ。ルルーシュはポップに対して代替わり叙勲の世話と、両殿下相談役補佐の役職で答えると確約する。レテ公爵邸では慎二の怪我の治療。化膿が激しく、後遺症が出る可能性を指摘される。 第52話 交渉時の立ち場 鷲巣邸にて第二回調停交渉の開始される。金額を巡る鍔迫り合いのような交渉が続く中、外では警備についたできる夫達が、伏せられた関係領主たちの軍勢の動向に神経をすり減らしていた。結局、金額については銀貨5000枚に確定し、残りの交渉は次回以降に持ち越しとなる。 第53話 交渉の合間に ネルフとの国境戦より、ルルーシュの剣の師匠であるシュドナイが帰還。調定のバックアップを依頼するも断られる。その際、やる夫は、弟子であるルルーシュのお守りの礼だとコンポジット・ボウを受け取る。こなたは、亜美の下へ顔出し。愚痴の聞き役として、定期的に顔を出す約束をし、代わりにと婿探しを依頼する。 第54話 ブラックな立ち場 マジック家・家臣団は、バイパー家を含めた他家・家臣団教育に合流することに。ランサーの下にはキバヤシの息子・禊が現れ、自分を手勢として使うよう交渉を持ちかけてくる。承太郎はやる夫を屋敷に呼び出し、礼と称し、タイムかネラの襲撃を提案し、やる夫は話題を逸すため、仗助とこなたの見合いを持ち出す。ネルフ、ジオンからは王女が到着し、歓迎の宴を催すことに。 第55話 時、すでに遅し 二カ国王女歓迎会が開催される。ルルーシュが目当ての王女二人は早速鍔迫り合い。一方会場では、できる夫が、王族主催の宴席に婚約者と預り侍女二人を同伴することで、実質的な3人のお披露目を果たし、また、主役でないやる夫が亜美達とのんびりしている横で、仗助とこなたの顔合わせが行われていた。宴は進むが、未だ鍔迫り合いが終わらない王女二人に、ルルーシュはある提案をした。 第56話 開かれた鳥籠 ルルーシュは世間知らずな両国王女を街中へ、そして狩猟場へ連れ出す。お仕着せの街、お仕着せの現実だけ見てきた王女たちは、街や自然、そして血で贖うことの現実を認識させられる。 第57話 悪い事は重なるもので 第58話 陰謀不能論 第59話 親目線・子目線 第60話 女達・妻達の・・・ +第61話~第70話 第61話~第70話 第61話 それぞれの環境適性 第62話 イレギュラー 第63話 職責の義務 第64話 後始末・前夜祭 第65話 後始末・本祭運営委員会 第66話 後始末・お祭り騒ぎ、終わりに向けて 第67話 後始末・現場的な終わり 第68話 終わらないうちから次の・・・ 第69話 石橋を叩いて砕く 第70話 忘れられた男・宴の陰で +第71話~第80話 第71話~第80話 第71話 仮面の夜・着ける人外す人 第72話 誰もが仮面の裏で 第73話 玉突き遊戯・盤外編 第74話 縁故・デメリット編 第75話 準備する人、できない人 第76話 プライマリー → アドバンスド 第77話 銃後の守り 第78話 街道警備、異常無し(宮廷的に) 第79話 イレギュラーへの対処 第80話 たらい回し・救出作戦 +第81話~第90話 第81話~第90話 第81話 たらい回し・責任回避編 第82話 権力者の土地 第83話 挟まれた世代 第84話 立場・分かっている人、微妙な人 第85話 宴という名の戦場 第86話 宴の外もやっぱり戦場 第87話 休日の人、働いている人、微妙な人 第88話 要領の良い人、悪い人・私生活?編 第89話 舞台裏の黒子達 第90話 表裏舞台、両方の出演者達 +第91話~第100話 第91話~第100話 第91話 できる事、やらねばならない事 第92話 フォローする人、される人 第93話 火を点けた人、火が点いた人 第94話 平穏という名の準備期間 第95話 ルールは胴元が決めている物です 第96話 下準備は目立たない様に進めましょう 第97話 準備は静かに騙し合い 第98話 勝負しつつも準備、繰り返し 第99話 手綱の引き締め方 第100話 チキンレースの人生 第101話 理解できる人、できない人、あやふやな人 第102話 戻れない変化、止まらない時間 第103話 平穏なイベント、運営者が陰で 第104話 割と平穏な日々、貴族的に 第105話 解っている人の下準備、解っていない人のそれ 第106話 許されない平和 第107話 見えてきた物
https://w.atwiki.jp/nothing/pages/543.html
終末の序曲 霊峰のかなり高い位置にあるというのにマルキオ教の本山の辺りだけは雪が積もっていなかった。それなのに礼拝堂はしんと冷えて、目に見えない空気に閉じ込められたかのようにシンは動けなかった。 うまく息ができない。 ディアッカは何を言っている? 父上が死ん・・・・・・どうして。なぜ。 礼拝堂のある一点を見つめたまま、ただ呆然と立ち尽くした。 真っ先に反応を見せたのはアレックスで、一歩踏み出してフェイス・ディアッカに向き合って問い質す。 「本当か?」 「冗談でこんなことを言うと思うか?」 面識のあるラクスも信じられない思いで言葉を繋ぐ。 記憶にあるかの人の父は皇帝らしく威風堂々とした男だった。誰かに寝首をかかれたり、毒殺される程甘い人物ではないことくらい分かっているつもりだ。直接先頭に立つわけではないとしても、仇敵の頂点に君臨するその人なのだから。 「プラントのパトリック皇帝がお亡くなりに・・・いつ・・・」 フェイス・ディアッカは答えず、いまだ反応のないシンにもう一歩近づいて膝を折って臣下の礼を取る。 「できるだけ火急、且つ速やかに帝都へお連れするよう、兄君より仰せつかっております」 「できるだけ早くだ」 「分かってるさ」 ディアッカにシンを帝都に連れ戻すよう命じたイザークも、知らせを俄かには信じられなかったのだ。この大事な時期にどんな冗談だと、もう少しで使者を張り倒す所だった。 父上が急死しただと? どういうことだ。 今、皇帝を殺害しても何の利も無い。誰にも、帝国内には。連邦が帝国の混乱を狙ったのだとしたら、これは下策も下策だ。あの嫌みったらしい連邦のアズラエルがこのような手段に出るはずがない。 だとしたら敵対しているジブリールか? いや、奴にそんな度胸はない。 まさかレジスタンス・・・・・・バルトフェルト侯が暴挙を許すはずがない。 イザークは帝都への帰路、この死の背景に頭を巡らしていた。 飛行戦艦の中から砂漠の彼方に帝都が見えた時、王宮に翻る弔旗に、イザークは初めて父親の死を実感した。 黒い半旗。 黒いタペストリー。 官吏も宮殿にいる者も議員達も全て礼服を着ていた。緑溢れ花のような王宮が黒一色で埋め尽くされた光景に、イザークは足早に回廊を通り過ぎる。 いるはずの顔が足りない。 老獪で議会を裏で操り、皇帝を意のままに操ろうという輩達の姿が見えないことに、イザークは皇帝の死以外に何かが起こったのだと確信する。 自分の予想通りなら、恐らく・・・。 パレスの大きな扉の前で立ち止まり、微かに指先に力が入っていることに気がついた。 身構えているのだ。 この先に待っている光景を。 あの部屋にもう父はいない。 もう二度とイザークの青い瞳に映ることはないのだ。 そこにいるのは、兄。 何を企んでいる? 扉の向こう、一家の主の部屋でイザークは予想通り、壁に掛けられていた絵画を見ていた兄を見つけた。7つ上の兄、ギルバート・デュランダル・プラント。 「兄上! どういうことですか!?」 「早いな、イザーク。とんできたのか?」 「当たり前です! シンもすぐに」 絵から目を離した兄が机を回りこんで庭を見る。 ゆっくりとした動作にイザークは内心舌打ちした。問い質したい事が山程あるのに、兄ははやるイザークの気勢を削ぐのに長けていた。 「当然だろう。『見聞を広める為にアプリリウス滞在中』と連絡を寄越したのは誰であったかね」 イザークもつられて部屋から見渡せる庭を見る。家出同然で出奔したシンが、空賊に弟子入りしている、などと言うことが公になるわけにはいかない。当然、この大事に帝都にいないことは許されない。 「言いたいことは分かっているよ。元老院どものことだろう」 「・・・はい」 「皇帝暗殺の疑いで元老院議員を全員逮捕した。事実上、元老院は解散だな」 皇帝暗殺の疑いだと?! 奴らがそんな度胸のある事をするものか。 喉まで出掛かって、イザークは拳を握り締めた。急死ではない、明確な他殺。その犯人を巡って帝国は揺らぐだろう、そのリスクを差し引いても兄は犯人を吊し上げた。 なぜだ。 「皇帝1人死んだ所で帝国は揺るぎはせんのだよ」 まさか・・・兄上。 振り向いた兄の瞳が昼の光を差し込んで琥珀色に光る。家族が減った事実を前にして、こうも平然としていられる男をイザークも見つめ返す。真意の読めない兄の心の奥底を覗いてみたいと、このとき初めて思った。 アプリル反乱の兆しと連邦との緊張が高まるこの大事な時期に、なぜ父上は殺された。 他ならない、息子の手に掛かって。 それが帝国の為だと言うのか。 「せめて盛大に送ってやろうではないか」 お前が殺ったのだろう! 皇帝の座を手に入れるために、自らの父でさえ手に掛けるのか。イザークの青い瞳は氷よりもなお冷たい光を宿して、目の前の男に視線を返した。 「そんな事で親孝行できるならよいのですが」 言い捨てて主の変わったばかりの部屋を出ると、侍従長がイザークを待っていた。いつもの服に黒の腕章をつけている。 「殿下、シホがお待ちでございます」 言葉少なくほとんど感情を露にすることもない、この肉付きのよい男はどう思っているのだろう。ふと、そんな事を思ったが、私情を口に出すはずあるまいと、止めかけた足をそのまま踏み出して歩き出す。 「そうか、すぐ行くと伝えてくれ」 「承知いたしました」 旗という旗は黒く半旗となり、帝都は鎮魂に沈んでいた。 と言えば、少し大げさだろうか。 国民には必ずしも優しい皇帝ではなかった。アプリルを始め周辺諸国を併合した武断の皇帝というのが恐らく彼らの印象だろう。だがそれでも、帝国にとっては比類なき皇帝であり、帝国の強さの象徴でもあった。 後継者がなかなか決まらない程君臨していて、歳を取って威光に陰りが見え、ようやく代替わりが行われるかと言う矢先の出来事だった。 イザークは個人的に所有している小型飛空艇を自ら駆って、帝都の空路を急いでいた。銀色に光る白いボディに水色のラインの入った飛空艇は一見、帝都の貴族達が所有しているプライベートリムジンのようでいて、中身は全く違うもの。シホから受け取ったものを手に、建物の間をすり抜ける。 「確かに・・・皇帝が死んでも帝国は止まらない」 悲嘆にくれるけれど、人々は止まらない。 何事もなく帝都には日が昇り、経済活動が動き出す。市場で売買が始まり、建物を覆う緑は花を咲かせる。 「シンが戻ってくるまでか、時間がない」 帝都の中央部から少し外れた高い建物で飛空艇を降り、イザークはとても帝国の王子とは思えない格好をして建物の中に消える。振る舞いや滲み出るオーラが只者じゃないと暴露してしまっていたが。 昇降機を操作しようと手を伸ばした時、突然、所内にサイレンが響き渡った。 緊急性を告げるそれは、明らかに何か良くないことが起こった証でイザークはすばやく辺りを見回した。 そう言えば、警備の者はどうした? 本来なら各階に配置されているはずの警備担当者がいない。どこかの企業、高級住宅ならともかく、ここは帝国でも最高機密を扱う種石の研究所なのだから。シホから手に入れた研究所の極秘キーに何か不首尾でもあったのかと一瞬頭を過ぎったが、ディアッカとは違い彼女は優秀だ。 ミスがあるとは思えない。 だとしたら、自分以外の誰か・・・そう思い当たった所で、バタバタと走る足音が聞こえてきた。近づくにつれ、微かな鎧の音を聞きつけ眉を寄せる。 なぜ、帝国兵が? フェイスまで。 見つからないように咄嗟に物陰に隠れて、その場をやり過ごすと彼らの口走ったことが頭を巡る。 どうやら招かれざる者が俺以外にもいるようだ。 侵入者を探せ、生きて返すなと指示を出していたフェイス。物騒な事だと昇降機に乗り、最上階を目指す。狙いが同じものだとしたら、ぐずぐずするわけにはいかなかった。 シホに渡された2枚の鍵の残りの鍵を取り出して、目的の部屋に入った途端イザークは唖然とした。 先を越された・・・か。 物音を立てないように部屋の中を動こうにも、こう物が散乱していては無理と言うものだ。床やデスクには書類が散乱し、書棚は荒らされ、引き出しという引き出しが開いていた。家捜しでもここまで派手にはやらないのではないか。 その中で、目に付いた書類を拾い上げる。 人工種石の硬度に関するデータ。 人工種石の耐久性に関する考察。 シード最大容量を決定付ける要素。 グラフと表が載っている書類のタイトルにそう記されていた。曲線と細かい数字の載った紙を数枚捲って、散乱したものが山のようになっている机の上に置いた。 「まさか、人工種石とは」 一度は手にした王家の証、黄昏の種石はジョージ・グレン王が大陸の覇業を成し遂げる原動力となった神授の種石の一つだった。当初、イザークが知っているのはそれだけだったのに、ラクス達が王墓へと出向き、第8艦隊が消滅したことでまた別の種石の存在を知らされた。この調子なら覇王が持っていたとされる3つの種石の残りの一つもどこかにあるのだろう。 過去の遺物はただの伝説だと思っていたが、その力を目の当たりにして思うのだ。 世の王が欲しがらないはずがない。 だが、手に入れさえすれば即使えるものではないということも、第8艦隊の件で当たりを付けていた。なんらかの制御が必要なのだ。おそらく通常のシードを含んだ石とは比べ物にならない量のシードを溜めている。魔法を扱うのとは違う、何か別の制御法があって、覇王はそれを知ったから大陸を統一できた。 研究所が開発しているものは、そんな所だろうと考えていたのに。 ここで行われていたのは種石を制御するのではなく、制御できる種石を作り出す事だったのだ。 崩れそうな書類の山を掻き分けてみるが、同じような報告資料ばかり。 イザークはため息をついて部屋を改めて見回す。荒れ果てた光景には、かつての恩師の部屋を髣髴とさせるものは何もなかった。 「狙いは人工種石、それとも・・・」 ドクター・クルーゼなのか。 イザークの中でクルーゼはそのような大それた事をしでかす人物ではなかった。いつも落ち着いていて、やや慇懃と取れるほど冷静に物事を観察する目を持っていた。 現実的だったのだ。 イザークの思いついた歴史に隠された真実に耳を貸してくれることはあっても、覇王の遺産の軍事転用を実行に移すことなど有り得ない。 何かがイザークの知らない所で起こっている。 それは父の死であり、人工種石の研究も、だ。 イザークはそのピースの間を埋める決定的な何かをまだ手にしていない。 ドクター・クルーゼや兄なら、それを持っているというのか。苦虫をかみ締めるように顔を顰めて、拳を握る。 また、あの時と同じだ。 「どこにいる、ドクター・・・」 手に入れなければならない。 それもできるだけ早く、手遅れにならない内に。 倒れたスタンドをおこし、割れた本をいくつか拾って書棚へと仕舞う。自分が立てた音以外が耳に届いてイザークは部屋の入り口を見た。 紙が踏みしめられる音。 「探しているのは、私かな? 殿下」 適当に散乱したものをどけて、デスクの椅子に腰掛ける最重要人物は、相変わらず変な白い仮面で顔の上半分だけを隠して唇の端を上げた。対して、イザークはほとんど本のない書棚に腕を組んで凭れている。 得体の知れなさが増大していた。 兄とは根本的に違う不気味さは目が見えないからだと、まだ学業に従事していた時分は無理やり納得していた。 「さて、ご用件は何かな? このように散らかっていて殿下をお迎えするには心苦しいが」 目の前の男の一挙一同から伝わるのは明らかな壁なのだ。 彼は目の前に帝国の王子が居るというのに、畏怖もなければ動じる所もない。表面上は敬う言葉遣いだが、本当に心からそう思っていれば自然と空気が変わるものだ。 イザークとて無駄に王子として帝都の中枢で生きてきたわけではない。 それくらいの判別はつく。 俺は取るに足らない存在ってことか? だが、自尊心に縛られるわけにはいかなかった。 「人工種石は完成しているのか? そんなものを作って何に使う」 この研究所に侵入した者の狙いもそれだ。 それを知る人物か、現物を探しているに違いない。 「聡明な君が分からないかな?」 「帝国は今でも大き過ぎて、辺境に目が届かず軋みが蓄積している。大陸全土を統一して軋轢を抱え込むのは懸命じゃない」 「よろしい。統治者として合格だ」 「お褒め頂き、ありがとうございます」 小さい頃はこんなやり取りを良くしたものだ。 入れ替わり立ち代り講義をする帝王学講師の1人、授業でともすれば熱くなり理想を追うイザークを嗜めたのも彼だった。 「ではなぜ、種石の力を今になって求めるのです。帝国にとってそれは絶対必要な力ではない」 ドクターは背もたれに凭れていた身体を起こして、デスクに肘を突いて頭を支えた。 少しの沈黙が降りる。 「歴史が繰り返すからだ」 「・・・歴史?」 大陸に現れては消えていった数多くの国家達。現在の2大国家睨み合いは比較的長く続いている方ではないだろうか。歴史が繰り返すならば、このあと訪れるのは小国が乱立する群雄割拠の時代か、巨大な統一国家か。 兄はプラントによる大陸統一を考えているのか? それは有り得ないと即座に否定しつつも、まさかと言う不安がどうしても拭えない。 「始まりは7年前」 何っ! 銀色の髪が広がった。 温めていた書棚からイザークは背を離し、ドクター・クルーゼを見る。 どういう意味だ。 7年前。それは弟を1人失った時。偶然か、それともあの争いに種石が絡んでいた・・・。 イザークは一瞬、頭の中が恐慌状態に陥った。ただの跡目争いではないという情報が追加されただけで、幾つも構成を変えて推測が出来上がっていく。青い瞳は仮面のドクターを映していたけれど、現実には捕らえていない。歴史に埋もれた真実を捉えることに必死になっていたのだが。 くそっ、あと一歩届かない。 「君はもう王宮へと戻ったほうがよいのではないかな」 ドクターの声が、もどかしさに悶えそうになったイザークの意識を現実に引き戻した。 「賊にも逃げられてしまったようだし。殿下からも、もう少し警備を増やしてもらえるよう進言して頂けないかな」 人工種石を狙うのは反帝国レジスタンスか、アプリルか、連邦のスパイか。 どちらにせよ帝国にとって好ましくない相手であり、イザークが否やを唱える理由はなかった。ドクター・クルーゼに飛空艇を泊める所まで付き添われ、研究所を後にする。 「もうすぐイザークがそこへ行くぞ、ギルバート」 クルーゼの独り言は誰にも聞かれることなく、彼は踵を返した。 こんな時でもなければ王宮の聖堂が隅から隅まで磨かれることはない。 3番目の王子が亡くなった時以来で、王宮の聖堂では着々と皇帝パトリックの為の葬儀の準備が進められていた。皇帝の貴色である紫の布で覆われ、香が焚かれ、いつしか王宮全体がその香りで満ちていた。 イザークは纏わり憑く香りに死の匂いを感じて、王宮の自分の宮にとって帰すとそのまま王宮の別の建物へ足を向ける。ずっしりとした木の扉を二つも開けた薄暗い部屋の匂いの方が、たとえかび臭くともイザークには馴染みのあるもの。 明かりをつけると奥が見えないほどの部屋にはぎっしりと書物が詰まっている。 帝国の歴史がそこにある。 帝立の図書館にもかなりの蔵書があるが、ご禁制の記録はここにしかない。 「歴史は繰り返すだと?」 上等だ。 ならば、真実をこの手で掴んでやると、イザークは過去の海へと飛び込んだ。種石の記録、覇王の記録、時間がないからその二つに絞って書物を漁る。こんなに本に埋もれたのは久方ぶりだと軽い感動を覚えていた。 公式記録の次に民間伝承を集めた書物に手をかけた時、王宮の官吏が自分を呼ぶ声が聞こえた。気がつけばかなりの時間が経っていて、長時間姿を晦ます事の失態を悟った。 一瞬、引っ張り出した本を元に戻そうかと考え、自分以外にここに入るものは居ないだろうと推測して蔵書室を出る。途中の頁で開きっぱなしになった革張りの書物がアラバスタの机の上に広げられていた。 しかし、自分が呼ばれている理由が単に行方が分からないからではないことを、イザークは兄のギルバートの口から聞かされた。 アプリリウスの南にアプリル復興艦隊が集結しつつある。 皇帝の死に動揺する帝国の隙を突いてアプリリウスを奪還するのか、先頭に立つのは空中都市の侯爵バルトフェルト。用心深く様子を伺っていた奴が動くなら、勝算ありと踏んでのことなのだろう。 「皇帝崩御の時を狙うとは、人道にもとる!」 「このような時だからこそなのだよ」 分かっている。分かっているが、怒りが収まらない。 冷静になれと強く心の内で念じて、自らのやるべきことを弾き出す。 アプリリウスを統治する執政官としてすべき事。 プラント帝国治世の安定にこの決起が与える影響を。 「例え反乱軍を1人残らず殲滅したとしても、このような反乱を見過ごしたというだけで帝国の負けです」 表情の動かないギルバートも微かに頷いた。 「こんな時ではあるが、鎮めてくれるな」 「分かっております」 「第8艦隊を穴埋めする為に急遽編成を進めていた第13軍がある。急造だが、持って行くといい」 イザークは軽く頭を下げる。 兄やドクターが何を考えていようとも、自らにできることをするしかないと瞳を閉じる。降りかかる火の粉を払わなくてはイザーク自身身動きが取れない。 父の葬儀に出席できないことが心残りだったが、弟の葬儀を思い出して、あんな思いをするのはもう勘弁だと自らを奮い立たせた。 イザークが自分が指揮を取る第3軍と第13軍を伴って帝都を出る日、シンが父の死を知ることとなる。 ディアッカに見上げられて、シンは浅い呼吸を繰り返していた。 どういう事態になっているのか、説明されなくても分かっている。子供子供と甘やかされたシンにだって、ここでシンが取るべき行動は決まっている。 それが分かっていてもなお、ディアッカに返事ができない。 「あっ、でも、俺、まだ」 何もやってない。 あんな野菜のモンスター倒しただけで、他には何も。 だけど、父上が。 でも、空賊としてまだ全然。 「いいからお前は帝都へ戻れ」 肩に手を置かれて、反射的に横に立つ人物を見上げる。 アレックスを見るシンは、泣く寸前をギリギリ耐えてるような顔をしていたに違いない。口にした彼の名が震えた。 「アレックス」 「父親との別れだろう。息子が傍に居ないでどうする」 立ち上がったフェイスの鎧の音が鳴る。 押し出されるように礼拝堂の扉へ数歩進むと、ディアッカが付き従った。自分の足音、鎧の音、どれも小さく耳に届いて足がちゃんと床についているかどうか分からなかった。 どうしてここで後ろを見ようと思ったのだろう。 もうここには戻れないのに。 冒険はこれで終わりなのに、シンは振り返ってしまっていた。 ―――あ 目が合う。アレックスが去る自分をじっと見つめていた。彼のエメラルドの瞳が揺れているように見えて、シンは思わず視線を逸らしてしまった。 「殿下、お急ぎ下さい」 ディアッカに促されて、足早に礼拝堂を出ると霊峰に吹き付ける冷たい風が頬を切る。飛空艦隊がそこに控えているのを見て驚愕した。ここは飛空艇が飛べない山だと聞いていたのに、ディアッカは飛空艇で乗り付けているのだ。 シンを見送りに来た者は誰も居なくて、自分がいかに皆と相容れない存在かを思い知った。マルキオ教の霊峰を見下ろして零れそうになる涙を堪えている時、シンはイザークが帝都を発ったことを知らなかった。 勿論、シンの居なくなった礼拝堂でマルキオ教の教祖がラクスに種石に対抗する切り札の存在を明かしているなど知るはずもなかった。 「覇王の遺産は種石だけではありません」 突然舞い込んだ皇帝崩御の知らせに、ここまで来た目的を一時的に失念していたラクス達は、教祖の声に我に帰る。 「それは・・・一体!?」 繋がった希望の糸にラクスでなくても身を乗り出した。 「覇王は3つの種石と一振りの剣を残したのです。覇王の剣を」 降って沸いた剣の存在に、皆戸惑った。 種石はあの小さな石の中に未曾有のシードを持つ未知の物体であるのに対し、それに対する切り札が剣とは。 「今のあなたにお話するべきか迷いますが、それをどう使うかは殿下がよく考えて下さい。ラクス・クライン殿下、覇王の剣は種石を砕くことができるのです」 戻る 次へ 念願のイザークオンステージです。でも、思ったほど動かせなくて残念、いつかリベンジを。
https://w.atwiki.jp/nothing/pages/1114.html
Ab Plante Condita シン達の前に立ちはだかるのは、今や人としての形を失ったギルバートその人であった。端から零れ落ちる黒い闇、炭を溶かし込んだように不気味に固まった髪とひび割れた顔から投げかけられる言葉。表情もなく、息も整わない彼らを見下ろしていた。 「何を」 意味が分からないとシンが呟くが、全員が肩に力を込めていた。敵でもなければ味方とも言い切れない。確かに彼はシン達を助けた、調停者達を敵と定め帝国の存在をかけて戦いを挑んだ張本人である。歴史を取り戻さんとして兄弟達ですら駒と扱った非常の人であった。しかし、今はどうであろう。 「兄上、奴らはもう・・・」 倒したのだと、いなくなったのだと言えない事にシンもアスランも気づいてしまっていた。その危険が完全に取り払われたわけではないことに。そう、ギルバートは不断の人物であるが故に、必要であれば取り込んだコーディネーターの力を使うことに躊躇わないだろう。 「美しい世界だ。彼らが夢見る世界は、そうなればいいと私ですら憧れるほどにな」 「貴方ともあろう人が、そんなものに惑わされるのですか!」 ラクスが問うが、小さな不安の種が何時か芽吹くのではないか、そんな不安を拭いきれない。日常がそっくり消える恐怖が。 涙も笑いも全てなかったことにされる。ここまでの長い苦難の旅でさえ。 これで全てがうまく行くというのに、何を言い出すのか。 これすらもコーディネータの仕組んだあらすじなのか。 足元の石舞台がゆれ、シードの青い輝きが弾けて空に上がっていく。 時間がない。いつだって決断の前に迷っている余裕はなかった。 空の青さが乗り込んだときよりも薄くなっているのに気がついた時、じゃりと破片を踏む音がした。 「こんな事、シンにはさせられない」 抜き身の剣を持つアスランが一歩ずつギルバートへと向かう。藍色の髪が風に舞い、人工種石の透けた刀身からはシードが雫となって彼を渦巻いていく。 「こうもあっさり覚悟を決められると寂しいものがあるな」 「ご自分の剣よりいいかと思って」 二人の間の張り詰めた空気にキラもカガリも口を挟めない。ミーアやラクスならなおさらだ。一歩一歩近づくアスランをギルバートもただ見つめている。 これではまるで。 断罪を待つ罪人。 「兄上!」 叫びはどちらへのものだったのか。 一瞬の煌きの向こうでアスランが剣を振り下ろしていた。 カイィィン。 「・・・お前」 冗談じゃない。 空に響く甲高い音は人工種石同士がぶつかり合う衝撃だった。 波動はシードを乗せて四方に散らばり、見えない空気の振動が石舞台の空間に一気に風を呼び込んだ。 ギルバートとアスランの間には懸命に剣を受けるシンが驚くべき速さで割り込んでいた。キラが一歩を踏み出し、カガリが魔法を投げかけるより早く。ラクスが手を伸ばすより前に。 これで終わりだって? アスランが兄上を倒すだって? 「何やってんだよ! 二人とも!!」 ギリギリと切り結んで剣を受けるシンがアスランを見上げていた。いや、それは力の限り睨みつけていると言ってよく、見下ろす凪いだグリーンの瞳を射抜いていた。仕方ないと、これが正しい選択だと振り下ろした剣を受け止めている。 「シン・・・」 ギルバートもアスランも覚悟を決めていた。 けれど、それは。 「これじゃあいつらと同じじゃないかよ!」 一瞬でも上回った気迫でシンはアスランの剣を打ち返す。肩で息をして、もう一度剣を構えなおす。切っ先は崩れた石畳に置いたまま呼吸を整えて。 「こんなの誰が望んでるって言うんだ! あるかどうか分からない可能性に怯えて兄弟で殺しあうとか! 黙って殺されるのを待つとか! そうすべきだって?! 冗談じゃないっ!!」 舞台の片隅で大きく岩盤が持ち上がって崩れた。 シードの嵐が一層激しく空中に撒き散らされる。 「俺達が選ぶのはもっと違う可能性だろ!!」 シンを挟んだ二人が息を呑んだかは分からない。 ただ確実に言えることは二人の見開かれた瞳にシンが写っていただけだ。 最悪の可能性とは反対の理想、しかしそれは皆が願い、常に心に留めておけば必ず現実となる望むもの。 「兄上のことが怖くないって言ったら嘘さ、でも、それは俺が兄上のことを良く知らないからで!」 もはやシンは誰も見ていないのかもしれない。 叫ぶ相手は自分自身で、戦う相手も自分自身。憧れて、いつも追いかけた自分。 「だから、俺は・・・・・・アンタは間違ってる!」 まともにやり合って勝てる相手じゃない。だけど。 いつまでもそうだとは限らないじゃないか。 最初に鬼気を治めたのはアスランの方だった。内側からシードの光を発する刀身が下がり両手から力が抜けた。 「間違ってるか。そうか・・・」 「これは―――アスランの負けだね」 「本当、主人公だな」 剣を持っていない手でシンの頭に手をやった。 「あ」 「お前の言うとおりだね、俺は何に縛られていたんだろう」 それは気負いのない微笑というものだったけれど、シンはずいぶんと久しぶりに笑った顔を見た気がした。 「和んでいる所悪いけどさ、なんかあちこち崩れてるみたい?」 キラが茶々を入れて初めて、皆は置かれている状況を思い出す。 「少しずつ落ち始めている気がしますわ」 「気がしますわ? じゃなくって、これは落ちてるんだ、王女!」 かわりらしく首を傾げるラクスにカガリが怒鳴れば、まーまーとミーアが諌めに入る。 「さっさとこんな所退散しましょ、ね? アスラン、セイバートリィってこんなに大勢乗れましたっけ」 「満員御礼だ」 言うが早いか全員が走りだした。 シンとアスランが振り返った先でギルバートが手を振る。別れと言うよりは早く行けと追い払わんばかりにシッシッと。 「ラウの力で私はなんとでもなるからね、さあ弟達よ、頑張りたまえ」 「あ、兄上?」 「驚くな、と言うか構うなシン、時間がないぞ」 「でも・・・」 「気にするな、あーゆー人なんだ兄上は」 アスランがシンの背中を蹴って、石舞台からほっぽり出すと最後にもう一度振り返る。動かないギルバートを遠めに視線を交わす。正直これでよかったのかは分からない。世界の為にも、帝国の為にも。 しかし、この不安定さこそ世界に必要なものなのだと思うことにした。 解放された自由意志を常に自分自身に問う為に。 彼が石舞台から大きく飛び降りた時、背後で大きな振動が起こり巨大なシードの柱が立ち上った。岩の大地の割れ目から見えるものは巨大なシードの塊。来る時に駆け上がってきた天空の大地を全速力で駆け下りる。 おびただしい帝国軍の残骸の間を通り抜けると、通り過ぎた2軍のメサイアの装甲がはがれて宙に舞っていた。その中には同じように横たわるレイの身体もあったのだろう。 シンは見たくなくても、その光景を目に焼き付けた。 「セイバートリィまではまだなの!」 「そんなの、走るしかないだろ」 精一杯坂を下り降りる。いっそ、転がり落ちてしまえと思うほど。 「シン、足を踏み外すなよ崩れ始めている」 「分かってるよ!」 足元から立ち上るシードが弾けて、瓦礫と共にぶつかってくる。 先頭を走っていたミーアがうずくまって空の大地に手を当てる。 「ミーア!」 「この大陸全体が燃えるよう。まるで、一つの大きな飛空艇なの?」 「え・・・」 こじ開けた天空の門をカガリを先頭に次々に潜ると、真っ赤なセイバートリィが横たわっていた。 「急げ!」 「早くエンジンを回せ、ヨウラン、ヴィーノ、何やってる!」 しかし機関部からの連絡は冗談にしては性質が悪過ぎで、泣きそうな声で二人が怒鳴り返してきた。 『だから、出力が上がらないんですよ!』 「なんだと、シン、ちょっと代われ!!」 「えっ」 「早く、いいな、教えたとおりにやればいい、合図したら思いっきりやれ、いいな!」 一瞬目の前が真っ白になって、慌てて頭を振った。 代わるって、何を? 問うまでもない、自分がいるのはセイバートリィのコックピットだ。握っているのは操縦桿だ。 「見て、あれ、何?」 「コックピットのキャノピー越しに空の端に黒い帯状のものが見えた」 雲にしてははっきりしている、この上空に鳥や虫はいない。だとしたら、それは。 「飛行戦艦!? そんな所まで落ちてるの」 「やばいよ、ちょっとアスランまだなのさ!」 「アタシもいくわ! シン、しっかりね」 ミーアが慌てて出て行って数分、操作盤の右隅からアスランの声がした。 『今だ、シン。行け!』 シンは間髪入れずにフルスロットルで飛び出した。瓦礫の中を飛ぶのはこれでもう何度か目だけれど自分で操縦するのは初めてで、避け方なんて習っているわけがない。降ってくる瓦礫。横から被さる土煙とシードの嵐に船体が揺れるが、ゴツゴツと派手な音がするのはぶつかっているのが煙やシードだけではないからだ。 「うわっ――――――っ!」 煙の向こうに迫る巨大な岩。 全員の悲鳴が広がった。 「ぶつかった! ぶつかった! まじぶつかった!!」 瓦礫をなんとか避けたものの、ガゴンと船尾をぶつけて操作盤に頭をぶつけそうになる。ブリッジでは皆が何とか身体を支えて怪我がないか確かめはじめて、はたと気がついた。 「そうだ、兄上は!?」 慌てて呼び出すものの、返事はヨウランとヴィーノから無事だと返るばかりで。心臓が一つ大きく波打った。ドクン、と。身体の芯から熱がジワリと広がって、何も不安なことはないはずなのに嫌な予感が一気に広がる。 「この空中大陸落ちるよ」 「落ちるって・・・」 シンはゆっくりとキラを振り向いた。 空中大陸は緩やかに弧を描いて下降していた。垂直に落下すれば被害はまだ少ないかも知れないのに、全員がキャノピーの向こうを見た。帝国、共和国の大船団が会戦中の空域と、その向こうに広がる平原を。 瓦礫の雨も少しは収まってセイバートリィはようやく崩れつつある空中大陸全体を見上げることができた。こんな巨大なものが落ちたら、何もかもがただでは済まない。激しい鼓動を繰り返す心臓を無視して、機関部にもう一度通信を入れる。 「アスランさんとミーアは大丈夫なのか?!」 『・・・・・・』 なぜ、答えない。何よりも沈黙が怖い。 『そう心配するな・・・ガガガ・・・ちゃんと・・・ガサ・・・ガ・・・無事だから』 「今、どこに!?」 シンが叫ぶのと同時にキラがブリッジを飛び出して行った。 『だ・・・そうびびるな・・・ガガ・・・ちゃ・・・イバートリィを操縦でき・・・』 「そうじゃなくて!」 『ガー・・・てた所・・・直して・・・このデカブツの事はなん・・・ガ・・・やるから』 必死に通信を拾おうとつまみを操作するが雑音はひどくなるばかり。 『・・・つも飛空艇・・・俺に動かせないわけはな・・・・・・ガガ・・・ガ―――』 今度こそ通信が途絶える。その瞬間、奇跡的にアスランの言葉を拾った。 お前が皇帝だ。 キラがヨウランとヴィーノをつれて戻ってきたのを見て、シンはアスランとミーアがどこにいるのか上を覗き込んだ。滑空を続けるセイバートリィの上空、シードの光を放ち崩壊しながら空を軋ませて滑り落ちてくるあの場所を。 皆が固唾を呑んで見守る中、一角が大きく崩れ落ちる。 一旦は浮上したものの、落下は免れえず、それはもうどこに落ちるかそれだけだった。帝国、共和国の艦隊が攻撃を仕掛けるもののシードの障壁に守られてて届きはせずただ漫然と見送るのみで。 シン達が両隣を飛ぶ飛空艇に気が付いたのはそんな時。 船体に描かれたマークは帝国軍のそれだった。 独裁官ギルバート・デュランダル・プラントはもはや人前に出ることは叶わず、イザーク・ジュール・プラントも戦火に散った。もとよりアスラン・ザラ・プラントは死して7年経つ。彼らに命を下せるものはこの戦場に一人しかいなかった。 「この飛空艇はこのまま帝都へ戻りますの?」 ラクスが凡庸とシンに問いかける。 ヤキン・ドゥーエと多くの艦隊、飛空艇に囲まれて帝都へと向かうのだろう。だけど、シンは思い出す、この旅の始まりを。 「できれば途中で降ろしてくださいな」 途中の砂漠にある征服した国を。 初めての冒険の地で忍び込んだ王宮で見た種石、数々の奇跡と惨禍を引き起こしたあれは確かにアプリリウスにあったのだ。 あそこで俺は兄上に会って、地下を逃げる途中にラクスと出遭ったんだ。 勇ましく戦う彼女はレジスタンスのリーダーだった。 「僕も途中で降ろしてくれる?」 つかみどころのないアプリルの将軍キラも、彼女を守ると言ったのだから当然だ。彼らの目的はアプリルの復興、帝国からの独立なのだから。 世界を震撼させた未曾有の危機が過ぎ去ってみれば、目の前に残るのは初めから突きつけられていた現実で、シンは一つ深呼吸をした。 あの時感じた違和感を今も持ちつつけている。 けれどアプリルの地理的重要性も分かっているし、最後はイザークが執政官を努めた地でもある。 「いいよ・・・うん・・・送ってやる。俺があの王宮までちゃんとね」 「あらあら、まあ。それは少々予定外でした」 ラクスが笑顔とともに肩の力を抜くと、キラも残念とばかりに両手を挙げた。 「シンにしちゃ上出来な判断だ」 アプリルの復興は許される、シン・アスカ・プラントの名の下に帝国とアプリルとの新しい関係がここに築かれることになったのだ。 カガリに頭をぐしゃぐしゃにされて手を払いのけると、深紅の飛空艇は青い空に大きな弧を描いて砂漠の都市へと進路を取った。 プラント皇帝パトリックの4男にして末弟シン・アスカ・プラント。 この日、少年はプラントの帝位を継承し、皇帝となった。 戦場に立って病床に倒れた第1王子の独裁官の任を解いて療養を許し、会戦状態だったコスモス連邦と即時停戦し、和平協議に入る。 また、イザーク・ジュール・プラント戦死の後空席であったアプリル執政官にかつてのアプリル第一王女であったラクス・クライン王女を指名、アプリル自治領として復領する。 皇帝パトリック崩御、元老院解散、第1王子の危篤、第2王子の戦死と相次ぐ不運に見舞わられながらも、経済面では交易の発展と安全の為に海賊・空賊行為の交易ルートの取締りを強化する。 そびえる様に建つ帝都の王宮の離れ。 木々に囲まれ緑に覆われた庭と、太陽の光を反射する噴水。正午を少し過ぎた日差しが庭を照らし、面した部屋に僅かに入り込んでいた。 その庭を背にしてシンは立っていた。 部屋の隅で畏まるアデスが口を開く。 「亡き陛下もギルバート殿下も、よくその絵をご覧になっておりました」 「兄上は?」 「西の対にてお休みに」 どうにでもなると宣言したとおり、ギルバートはあのあと知らぬ間に帝都へと帰還して西の離宮に居を構えて事実上隠棲した。表向きは慣れぬ行軍に体調を崩し病床に伏したと言う事になっているが、無論事実は違う。 あの変わり果てた姿をどうすこともできなかったからだ。 それでも、ギルバートは彼なりにシンに助言をしながら、穏やかに過ごしているようだった。 「相変わらずか」 向かい合う壁に掲げている絵をもうずっと見つめていた。 まだ両手すら握られたままの自分を見下ろす二人の兄と、3人を見守る一番の上の兄とついぞ笑った所を見たことがなかった父。 あの空中大陸から帰還してからと言うもの、驚くように早く月日が過ぎていった。目まぐるしく過ぎる毎日に無類の冒険を思い出す暇も無い程、それはもう遠い過去のように。 「陛下、お時間でございます」 「時間・・・」 目を離さずにシンは繰り返す。 「コスモス連邦からの使者が到着してございます」 「そうだった」 ようやく絵から目を離して部屋を後にする。 閉じられた扉の向こうでは、誰一人いない空間に整然と並べられた調度品、絵画、そして庭が昔から何一つ変わらずそこにあった。 帝都、王宮の謁見の間の手前でシンは手っ取り早く身なりを正されてる。コスモス連邦からの使者を待たせてしまっていたから、それすらもおざなりに足を進めた。 ハルバートンの後継者として政界入りしたラミアス議員から、連絡があってまた急に来たものだと胸のうちで毒づいた。 要件は使者から直接伝えるゆえと、手紙にはあったそうだ。 少しの間に長ったらしいローブの翻し方も様になったと、カガリに褒められたばかり。皇帝として恥ずかしくないように謁見の間へと踏み入れる。 玉座の前に来て初めて随分と遠くにいる使者を見た。 白く広がったドレスに金色の頭をレースで飾った少女が照らされた光に浮かび上がっていた。 シンは目を瞠る。 かつて一緒に旅をした少女。見知らぬ街で出会い、競い、殺しあって、別れた仲間。あれからどれだけ月日がたっただろう。 彼女が傷つき苦痛に歪む顔を思い出す。 「・・・ステラっ!」 シンが駆け出すより早く、ステラが赤い絨毯の上を駆けていた。並びいる警士、近衛兵に制止の手を上げたのは控えるフェイスマスターのカガリとディアッカで。上段を気にせず思いっきり飛びついたステラを、シンは手を広げて向かえていた。 ステラがラミアス議員の娘となって帝国に輿入れする。それが彼女が携えていた書状の中身だった。 広間に歓声と花びらが舞う頃、帝都からもアプリリウスからも離れた地の湖が真っ青な空を映していた。草原と、白や黄色の小花に彩られた湖は、岸辺の半分を埋める巨大な飛行戦艦さえなければ、さぞや美しかっただろう。 しかし、その湖も実は湖面に突き刺さって佇み今は鳥と魚達の住処となっているヴォルテールが作り出したものだと誰もが知っていた。 「来るのが遅くなってごめん」 湖のほとりに立っていたのはアスランだった。 手には瀟洒な細身の剣を持っていた。華美にならない程度に装飾された鞘を掴んで、鏡のように空と雲を映す湖面の向こうを焦点の合わない目で見る。 「シンとステラはうまくやってるよ。振り回されてるみたいだけどね」 ぽつりぽつりと短く報告していく。 「ラクスとキラはアプリルで何だかんだ言って納まっちゃって、もうすぐ子供が生まれるらしい、カガリが先を越されたって」 何もない空中から青い光が湧き出す。砂が零れるように青いシードが集まって、アスランの前に、水面の上に一つの形を作り出す。 「兄上は・・・西の離宮で静養されてる。もう、自分では起き上がれないそうだ・・・」 静かに差し出した剣を受け取るのは向こう側が透けて見える手で。 グリーンの瞳が見開かれる、唇が音を出さすに名前を紡ぐ。 ―――イザーク 「これは返すよ。もう、必要ないんだ」 アスランの視線が焦点を結んで、ぼんやりとシードを纏ったイザークを捕らえていた。 「俺は、相変わらず空賊やってる、かな。シンのお陰で空の検問は厳しくなったけど、今はコスモス連邦の空も俺の庭だからね」 そう言って、アスランは苦笑した。 「もう行くよ」 手を離すと剣は幻の手に中にとどまり、彼が踵を返した瞬間に湖に落ちた。飛沫のかわりにシードの珠が浮かび、覗き込んでももはや剣を探すことはできなかった。 草を踏みしめて歩き、振り返って眼下に湖を見下ろす。風が吹き上げて、行方に深紅の飛空艇が翼を休めている。 「出発だ、ミーア!」 CAST プラント第4王子 シン・アスカ プラント第3王子 アスラン・ザラ プラント第2王子 イザーク・ジュール プラント第1王子 ギルバート・デュランダル プラント皇帝 パトリック・ザラ フェイスマスター カガリ・ユラ・アスハ フェイスマスター ディアッカ・エルスマン フェイスマスター レイ・ザ・バレル フェイスマスター ハイネ・ヴェステンフルス フェイスマスター タリア・グラディス ドクター ラウ・ル・クルーゼ 侍従長 フレデリック・アデス 第3軍参謀 シホ・ハーネンフース プラント帝妃 レノア・ザラ 元アプリル王女 ラクス・クライン 元アプリル将軍 キラ・ヤマト レジスタンス構成員 マーティン・ダコスタ 自治領ターミナル領主 アンドリュー・バルトフェルト 深紅の空賊 アレックス・ディノ 深紅の空賊の相棒 ミーア・キャンベル 深紅の空賊のクルー ヨウラン・ケント 深紅の空賊のクルー ヴィーノ・デュプレ 空賊 ミゲル・アイマン 空賊 ラスティ・マッケンジー 情報屋 ニコル・アマルフィ キャンベラの里長 ルナマリア・ホーク キャラベラの里の娘 メイリン・ホーク マルキオ教主 マルキオ オーブ地質調査員 サイ・アーガイル 商隊長 ネオ・ロアノーク 商隊の子供 スティング・オークレー 商隊の子供 アウル・ニーダ 商隊の子供 ステラ・ルーシェ 連邦安全保障理事会理事 ムルタ・アズラエル 連邦安全保障理事会理事 ロード・ジブリール 連邦上院議員 ハルバートン 連邦軍大尉 マリュー・ラミアス 連邦軍軍人 アーノルド・ノイマン 覇王 ジョージ・グレン あれから月日は流れ。 一人のキャンベラが窓からを空を見上げていた。 「時の后妃ステラは身体が弱く子供が産めなかったそうです」 その後姿を見つめるのは、喪に服しているプラント皇帝だった。 午後の気だるい空気と日差しが部屋を満たしていた。 「祖父はアプリル生まれの養子に過ぎなかった、貴方は知っているはずですね」 桃色の髪を膝裏まで伸ばした彼女が振り返る。空色の瞳に映るのは、藍色の髪を持ち彼の人の面影を宿す現皇帝。もう若いとは言えない歳の彼が穏やかに問いただすのを風の声のように聞く神秘の一族。 「聞かせてあげるわ、この大地が自ら歩み始めるきっかけを」 懐かしいものを見るように、彼女が歌うように紡ぐそれは もはや伝説の中に消えた種石と4人の王子の物語。 おわり 目次へ 戻る * 終わったと言うか終わらせた感バリバリですが! 終わった~。最初に考えていた話が元からこんな話だったかどうか今となっては思い出せません。
https://w.atwiki.jp/oper/pages/2266.html
第1幕 いくつかの通りがつながっている場所 - 左側手前には居酒屋 「三人従姉妹」がある - この居酒屋は2本の柱で支えられたバルコニーが付いていて天蓋のようになっている - 居酒屋の前にはポットやカップがいっぱい乗ったテーブル 椅子 - 居酒屋の右正面には総督の小さな屋敷 - 奥の少し左手は公証人の家 - ベンチが正面右側にある 第1場 グァダレーナ、ベルギネッラ、マストリッラ、ペルー人たち、何人かのインディオたち 幕が開くと 大群衆と大混雑 - ペルー人たちが座ったり立ったりして飲んでいる 他の人たちはゲームに興じている - コーラスの間に、三人の従姉妹たちが行ったり来たりして飲み物を注いでいる 【コーラス】 総督のための 今日はお祝いの日だ 彼のお祝いをしよう だって一人当たりで結構な額を 支給して下さるというのだからな お触れは言う 「陽気に騒ぎ 叫ぶのだ!…しっかり騒いでくれたなら 一日中飲み続けたとて お前たちは一切支払わなくても良いのだ」そうだ 総督のための 今日はお祝いの日だ… 三人の従姉妹たちがステージの前方に出てくる クープレ I 【グァダレーナ】 急いでお出ししますわ お飲みになりたい方には わたしたち三人の従姉妹 ここでお店をやってます お酒をお売りしてるんです… ワインがお望み?お飲みなさい!お飲みなさい! 【コーラス】 こっちだ!こっちだ!注いで!注いでくれ! 【グァダレーナ】 ペルーじゅうを探してもありませんわ 近くの国を探しても こんなすてきな居酒屋は こんなに楽しくお酒を注ぐ店は 居酒屋 「三人従姉妹」以上のね! 【コーラス】 ああ!とっても楽しく酒を注いでくれる 居酒屋 「三人従姉妹」さ! II 【マストリッラ】 (中央を横切って) 二番目の娘がお相手しますわ 一番目がそこにいない時でも 二人ともいなければ? - 三番目がいますわ 三番目の娘がお相手よ ワインがお望み?お飲みなさい!お飲みなさい! 【コーラス】 こっちだ!こっちだ!注いで!注いでくれ! III 【ベルギネッラ】 (中央から) 若くて 魅力的だから 誰にも分からないでしょう この3人娘の才覚を ほんの少しの努力で! ワインがお望み?お飲みなさい!お飲みなさい! 【コーラス】 こっちだ!こっちだ!注いで!注いでくれ! ああ!とっても楽しく酒を注いでくれる 居酒屋 「三人従姉妹」さ! ドン・ペドロ・ヒノヨーサ、リマの市長が八百屋に変装して右手から登場 第2場 前場と同じ人物たち ドン・ペドロ 【ドン・ペドロ】 (野菜のバスケットを持って) ちょっと良いか 三人従姉妹よ!… 【三人全員で】 どちらさま?… 【ドン・ペドロ】 恩知らずめ 私が分からんのか? 【グァダレーナ】 ドン・ペドロ・ヒノヨーサさま 【ベルギネッラ】 リマの市長どの! 【マストリッラ】 そのようなご格好で?… (ベルギネッラはバスケットを受け取りテーブルの上に置く) 【ドン・ペドロ】 (ベルギネッラの近くを通って) 本物だ …だが話せ お前たちここで楽しんでおるか?賑わいはあるべきように起きておるか? 【グァダレーナ】 ええ 悪くはない 悪くはないですわ… 【ドン・ペドロ】 今日は総督の祝宴 リマの街は陽気に賑わっておらねばならぬ 万一リマの街が陽気でなかった場合には皆思うであろう リマの街の政治が上手く行っていないと そうなると私はこのリマの街の責任者として その地位を失ってしまうのだ 【マストリッラ】 リマの街は陽気ですわ 【ドン・ペドロ】 それは本当か? 【ベルギネッラ】 (群衆を指して) みんなあのとおり…陽気でしょ 【マストリッラ】 (同じように) 飲んでるでしょ 【グァダレーナ】 (同じように) 歌ってるでしょ 【ドン・ペドロ】 私はあらゆるジャグラーや手品師 大道歌手どもにすべての通りでジャグリングや手品 歌うことの許可を与えてやったぞ…ここにも来ておるか?… 【ベルギネッラ】 5分ごとにやって来ますわ 【ドン・ペドロ】 それは良い 非常によろしい…しかしそこで止まってはいかん…もっとやれ 三人従姉妹よ もっとだ!…ワインをすべてのグラスに満たせ!…そして歌え 他の者たちが歌いたくなるような歌を! 【コーラス】 ああ!とっても楽しく酒を注いでくれる 居酒屋 「三人従姉妹」さ! コーラスがまた歌う中 三人従姉妹たちは皆のためにワインを注ぐ それから彼女たちは居酒屋の中に戻って行く - その時右からパナテラス伯爵がパンとバターの行商人を装って登場する 第3場 三従姉妹以外の同じ登場人物 パナテラス伯爵 【パナテラス】 (パン売りに化けて) バターにパン!…いらんかね?… パンにバターはいらんかね?… 【ドン・ペドロ】 私です 閣下… 【パナテラス】 君は我輩が分かるのか? 【ドン・ペドロ】 (その変装をはぎ取って) 気付かぬ筈がございましょうか パナテラス伯爵 第一侍従長ともあるお方を!…私は哀れな市長であったことでしょう もしそんなことも気付かずにいたのならば 【パナテラス】 (左へ動いて) 大した自信であるな 市長よ!…だがきっと知らぬであろう 半時間前に総督の宮殿で起こったことは 【ドン・ペドロ】 失礼ですが閣下:半時間前 ひとりの男が台所のドアを通って宮殿を抜け出し… 【パナテラス】 それから?… 【ドン・ペドロ】 その男 医者の姿になりすましたのは… 【パナテラス】 良いぞ! 【ドン・ペドロ】 ドン・アンドレス・デ・リベイラ、ペルーの総督にしてわれらの寛大なるご主人さまです 【パナテラス】 非常によろしい! 【ドン・ペドロ】 ご満足頂けましたか 閣下? 【パナテラス】 我輩は嬉しいゆえ そなたに半分親愛を示すことを許そう…我輩をこれからムッシューと呼び 友人のように話すがよい…さていかなる目的で殿が今日リマの街をお忍びなのかを そなたはどのように考える?… 【ドン・ペドロ】 (笑いながら) ヘっ!へっ!へっ!… 【パナテラス】 他に何が?… 【ドン・ペドロ】 あのお方は好き者ですからな 敬愛すべき総督は!… (右手の家を指さして) あそこにある小さな屋敷はあの方の持ち物です 宮殿を離れる前に殿は注意深くポケットに鍵を入れておられました きっと今夜花火の後で誰かをあそこに連れ込もうと考えておられるのではないかと… 【パナテラス】 よろしい!… だが そなたはそれだけが理由と思うのか?… 【ドン・ペドロ】 私はさらに想定しております 総督は自分だと気付かれないことを利用して庶民どもにいくつかの質問をしようとしていると …例えばこのような…少なからずあの方ご自身に関わるようなこと この治世をどう思うかといった 【パナテラス】 そなたは心配ではないのか? 【ドン・ペドロ】 私は予防措置を取っております (カスタネットの音 右手遠くから) 【パナテラス】 あれは何だ? 【ドン・ペドロ】 総督がこの近くに来られたという合図ですよ 【パナテラス】 これは素晴らしい! 【ドン・ペドロ】 お気に召しましたか? 【パナテラス】 あまりに嬉しいゆえ そなたに完全な親近感を表すことを許す…ミゲルと我輩を呼び 我輩を叩いても良いこととしよう… (ドン・ペドロは彼の腹を殴る動作をする) どうだ?…その手で… 【ドン・ペドロ】 (パナテラスの腹を指して) ここを…いつでも?… 【パナテラス】 忠実であれ…さすれば見られよう (新しいカスタネットの音 ずっと近くで) してあれは…何じゃ?… 【ドン・ペドロ】 総督です…そこに座って 帽子を目深にかぶりましょう パナテラスは居酒屋の前の左手のテーブルに座る ドン・ペドロは右手のベンチに座る そこへ奥の右手から医師の扮装をしたドン・アンドレス・デ・リベイラが入ってくる くすくす笑いながら気づかない振りをしている群衆の間を彼は横切って行く 三人従姉妹は居酒屋の外で意地悪くドン・アンドレスを観察する 第4場 マストリッラ グァダレーナ ベルギネッラ ドン・アンドレス・デ・リベイラ ペルー人たち その後パナテラス 【コーラス】 (小声で) 彼だ われらの総督さまだ! 動かないでいよう しゃべらないでいよう… われらはとっくに気付いているが 彼には絶対 知られないようにしよう 決して 決して 決して知られないように! 【ドン・アンドレス】 (舞台の正面に着いて) I 誰にも一言も言わず、 庭の門を抜けて 笏と王冠、そこに残し わしは逃げ出したのだ この朝に 今わしは街を歩く 鼻はわしのコートの中に隠されておる わしは行くぞ わしは行くぞ こっそりと 人知れず 【コーラス】 (小声で) ああ!ああ!結構なお忍びで! 【ドン・アンドレス】 ああ! 支配者というのは辛いものだ だから楽しみのため しなくてはいられない お忍びを! 【コーラス】 (小声で) お忍びに気付かぬふりをいたしましょう! 【ドン・アンドレス】 II わしは自らに言って聞かすぞ 自由の身となったからには ここでわしの愛すること わしの愛することをな… 神よ!…罪ではないはずじゃ… それは女を漁ること 悪魔のように飛びかかろうぞ かわいい娘めがけて 人知れず 【コーラス】 (小声で) ああ!ああ!結構なお忍びで! 【ドン・アンドレス】 ああ! 支配者というのは辛いものだ だから楽しみのため しなくてはいられない お忍びを! 【コーラス】 (小声で) お忍びに気付かぬふりをいたしましょう! マストリッラは居酒屋に入って行く 【ドン・アンドレス】 あそこのチチャのグラスを… (グァダレーナへ) おい!お嬢ちゃん わしにチチャのグラスを取ってはくれぬか… 【グァダレーナ】 (笑いながら) はい お医者さま… (彼女は居酒屋に入る) 【ドン・アンドレス】 彼女は陽気だ… (従姉妹と一緒にやって来たベルギネッラへ) ちょっとここに居てくれるかね…他の二人を連れに戻る必要はないぞ…ここに居て ちょっとここに居て話をしてはくれんかね?… 【ベルギネッラ】 (笑いながら) 構いませんわ お医者様… 【ドン・アンドレス】 (彼女の笑うのを見て驚いて) この娘もだ!…ところで教えてくれるかね…そなたかね この居酒屋を経営しておるのは? 【ベルギネッラ】 (笑いながら) この居酒屋をですか? 【ドン・アンドレス】 ああ!そうだ! 【ベルギネッラ】 (笑いながら) はい 私ですわ…私の二人の従姉妹と一緒に… 【ドン・アンドレス】 ああ!それはいい…それで景気の方は? 【ベルギネッラ】 (笑いながら) 景気? 【ドン・アンドレス】 ああ どんな感じなんだね 景気の方は? 【ベルギネッラ】 (笑いながら) どうでしょうかね お医者さま?… 【ドン・アンドレス】 ああ!しかし… (マストリッラが居酒屋から出て来る 彼女はチチャを運んで来て すでに最初の酒飲みが座っている左側手前のテーブル上にポットを置く) 【ベルギネッラ】 (笑いながらマストリッラを指して) ああ!そういうことは 従姉妹のマストリッラにお聞きくださいませ…私には答えられませんから… (彼女はまだ笑いながら居酒屋に入って行く) 【ドン・アンドレス】 (マストリッラを見て) おお これは三番目の従姉妹だな!… 【マストリッラ】 (笑いながら) ええ グァダレーナが戻って参りたがりませんもので…なぜって…(彼女はおかしそうに笑った) 【ドン・アンドレス】 家族なのだな!… (彼はテーブルに座る) 【マストリッラ】 (笑いながら) 鼻が取れてしまわないかと心配して… 【ドン・アンドレス】 鼻?… 【マストリッラ】 (まだ笑いつづけて) お医者さまの鼻ですわ… 【ドン・アンドレス】 (コインを渡しながら) 受け取っておけ 君たち三人とだけ静かに話しができないかね 【マストリッラ】 (左にやり過ごし) でも、お医者さま… (彼女は笑いながら居酒屋に入って行く) 【ドン・アンドレス】 このような娘どもと真剣に話をする方法はないのであるか…何と言うことだ!真実を知るとは何と難しきことかな!… (彼は飲酒を始め 周りを観察する - みんな笑顔で彼を見ている) 結局 こやつらは陽気な時には… 一般的な満足しかつぶやかぬのだな 陽気なときにはな まあそれも良いか… (テーブルにいるパナテラスに) そうではないかね ムッシュー?…苦情を言いたくなるようなことはたくさんあるだろう… 【パナテラス】 (動かずに) 万歳 総督! 【ドン・アンドレス】 本当なのか ムッシュー? 【ドン・ペドロ】 (同じように) 万歳 総督! 【ドン・アンドレス】 (満足して) ああ!万歳 総督!か…それはいい…しかし結局のところ この世界で完璧なものは何もない 諸君にも文句を言いたくなるようなことはたくさん見つけることができるであろう… 【パナテラス】 (立ち上がり) 万歳 総督!…我輩には分かっている… (脅すように) 君は我輩に同意する気はないのかね? 【ドン・アンドレス】 もちろん!もちろんだ! 【パナテラス】 もしかすると 君は我輩の意見と違うんだね… 【ドン・アンドレス】 (驚いて) え!えっ!… 【ドン・ペドロ】 (ドン・アンドレスに近づいて) では叫んでくれ われらと一緒に (大声で叫ぶ) 万歳 総督! 【ドン・アンドレス】 万歳 総督! 【パナテラスとドン・ペドロ】 まさにその通り!… 【ドン・アンドレス】 その通りか!…ここの近所は幸せそうであるな 【ドン・ペドロ】 他の場所ではもっと凄いぞ 【ドン・アンドレス】 君はそう思うのかね?… 【パナテラス】 見に行ってみるか? 【ドン・アンドレス】 良かろう 【パナテラス】 なら 行こう! 【ドン・アンドレス】 行こう! 三人は「総督万歳!」と叫びながら出て行く 群衆たちも笑いながら「万歳 総督!」と叫んでいる ドン・アンドレス、ドン・ペドロ、パナテラスが見えなくなるとオーケストラの音楽 - 群集全員の目が右手奥に向けられる そこに到着したのはペリコールとピキーヨ、流しの歌手で全然豊かではなく ギターを紐で抱えた者たちである 彼らはステージの前に降りてくる - 音楽の最初の和音のところで三人従姉妹は居酒屋の外に出て来る 第5場 マストリッラ、ベルギネッラ、グァダレーナ、ピキーヨ、ペリコール、ペルー人たち それから曲芸師たち 【ピキーヨ】 (グァダレーナへ) ここで演奏してもいい? 【グァダレーナ】 いいわよ 坊や いいわよ! 【ピキーヨ】 ありがとう やさしいお姉様…素敵なお姉様 どうもありがとう… (彼らは支度してゴザを前に広げ その上に歌の本や金集めの皿を広げて置く) きっと今までぼくたちがやってきた以上にうまく行くような気がするぞ! 【ラ・ペリコール】 ねえ ピキーヨ?… 【ピキーヨ】 何だい? 【ラ・ペリコール】 ほんとに マジで あんた自分でお金集めをしたいの? 【ピキーヨ】 ああ そうするつもりさ 【ラ・ペリコール】 いいわ それだったら!… 【ピキーヨ】 もしぼくにやらせて貰えれば ぼくにはうまく行く勝算があるんだ…君がテーブルの間を金を集めて回るとき ぼくははっきりとあることに気づいたのさ… 【ラ・ペリコール】 それは良かったわね!…だけどあたしは期待しないで置くわ 【ピキーヨ】 十分分かっているさ ぼくには合わないんだけどね… 準備はいい?… 【ラ・ペリコール】 OKよ 【ピキーヨ】 (近くの群衆に曲のタイトルが聞こえるように言う) スペイン男とインディオの娘 (それからふたりで自分のギターの伴奏で歌う) I 【ピキーヨ】 征服者は 若い娘に言いましたとさ お前 ファトマよ わしはお前たちに勝利した だが わしの美徳は そなたたちを尊重せねばならぬ そしてこの心遣いがわが熱情を抑えておるのだ 言って告げよ 娘よ 野生の部族に この地を踏みしめたる異人は モットーとする:禁欲と勇気を 愛を知る者なり スペイン人なればこそ! 【ラ・ペリコールとピキーヨ】 愛を知る者なり スペイン人なればこそ! II 【ラ・ペリコール】 (リフレインの間に語る) この言葉に若いインディオ娘は感動し その勝者に向けて彼女の美しい視線を向けました 彼女は蒼ざめ 一目見て震えたのです 彼女は一目ぼれ この寛大な兵士に 一年後、二人の愛情の証 パラソルの下で眠っている幼子が… そしてこの子の両親はうっとりと歌います: この子は立派に育つでしょう スペイン人なのだから! 【ピキーヨとラ・ペリコール】 この子は立派に育つでしょう スペイン人なのだから! この歌の後、ピキーヨはギターを背に左から群衆の中を回って皿にお金を集めて回る 【ピキーヨ】 紳士淑女の皆さん お願いです 歌手たちにお恵みを…美しい歌姫のために… (誰も金を出さない - ピキーヨは腹を立ててペリコールのそばに戻る) どケチめ 行っちまえ! 【ラ・ペリコール】 あたしが言った通りになったわね?… (皿を受け取って) じゃああたしの番よ…見ててちょうだい!… 【ピキーヨ】 いいよ!行って…でもぼくは目を離さないからね… 【ラ・ペリコール】 (右手を横切り) すればいいわ…あたしに任せてよ… 【ピキーヨ】 それはぼくには無理だな 【ラ・ペリコール】 (小声で) まあいいわ!…でも少なくとも冷静になって 場をぶち壊さないでよ 誰かがあたしにバカなことを言うのに気づいても ピキーヨはギターをかき鳴らし始める ぺリコールは金集めを右側から回り始める - だが彼女がお金を求めようと誰かに近づくと ピキーヨは怒ったように演奏し 脅迫するような態度を見せる 【ラ・ペリコール】 さあ みなさん ポケットからほんの少しの勇気を…やさしいみなさん!… 【太った酔っぱらい】 (右から) 話してくれよ カワイ子ちゃん… 【ピキーヨ】 (間髪入れず) ちょっと待て お前 デブはお断りだ!… 【ラ・ペリコール】 (金集めを続ける) 若い歌手に激励を さあ みなさん! 【痩せた酔っぱらい】 (左から) これ以上嬉しいことはないね 俺のところに来てくれるなら… 【ピキーヨ】 (同じように) おい!ちびのあばた面…そこのとがった髭の奴…ちょっと待て!… 【ラ・ペリコール】 ああ!結局こうなるのね!… (彼女はピキーヨのところに戻る) 【ピキーヨ】 まあね…分かるだろ… 【ラ・ペリコール】 (マットの上に皿を投げて) ちっとも集められないじゃないのよ…お願い 何か別の歌を歌いましょ もっと明るいやつを…その後あたし お金集めをするわ…でも今度はあたしの好きなようにやらせてよ… 【ピキーヨ】 うん… 【ラ・ペリコール】 分かったわね… この台本ではカットされている二曲目「セギディーリャ」はこちら 二曲目を彼らが歌おうとしたとき ショーの音楽に乗せて右から曲芸師たちが現れて奥へ向かって行く 彼らは曲芸犬を乗せた台車を引いている 【曲芸師たち】 寄ってらっしゃい 見てらっしゃい さあ 訓練された犬の芸をご覧あれ! 【群衆】 立ちあがって 見に行こう 訓練された犬の芸を! 曲芸師を追いかけて群衆は左奥に去って行く - 舞台にはピキーヨとペリコールだけが残っている 第6場 ペリコール、ピキーヨ 【ピキーヨ】 みんな嬉しそうだな!… 【ラ・ペリコール】 あたしたちも追いかけて行かない 曲芸犬を見に!…音楽の芸人を聴きに!… (彼女はゴザの四隅を取り その中にすべてのものを包んで腕の下に挟む) 【ピキーヨ】 ぼくたちの方が…芸術を担っているのに… 【ラ・ペリコール】 真面目な芸術をね… 【ピキーヨ】 ぼくたちだけが残ってる…三人だけが … 【ラ・ペリコール】 どうして三人なの?… 【ピキーヨ】 (指折り数えて) ああ そうだろ…君と ぼくと そして芸術さ 【ラ・ペリコール】 ああ!… 【ピキーヨ】 哀れな芸術!…結局…ぼくたち三人の中で …芸術が一番不満を言わないんだ…だって…芸術…それは不滅なものなんだから…そして、そうだろう?…不滅であることは 昼ごはんや晩ごはんが必要ないってことでもあるんだ…なのにぼくたちは…それが必要なんだ そういえば昼ごはんを食べてなかったよね ぼくたち… 【ラ・ペリコール】 じゃあ晩ごはんに あたしたち行きましょうよ… 【ピキーヨ】 そうしたいんだけど 【ラ・ペリコール】 どうかしたの あんた? 【ピキーヨ】 (ポケットをまさぐり) お金が全然ないんだ 【ラ・ペリコール】 それは良くないことね 【ピキーヨ】 それで君は 何か持ってる? 【ラ・ペリコール】 あたし 持ってるわよ…食欲を少しだけね… 【ピキーヨ】 そりゃ高過ぎるよ 【ラ・ペリコール】 あたしだって分かってるわ 高すぎるって でもあたしのせいじゃない… 【ピキーヨ】 おお ぼくの愛しい人! 【ラ・ペリコール】 (彼の腕の中に身を投げて) おお あたしの愛しいひと! 【ピキーヨ】 ぼくを愛してくれるかい?… 【ラ・ペリコール】 ええ 愛してるわ!… 【ピキーヨ】 ぼくたちは二人っきりで残されたんだ 君とぼくと ぼくと君と…もう一度言ってよ ぼくを愛してるって… 【ラ・ペリコール】 えっ!ええ…あたしはあんたを愛してるわ!… 【ピキーヨ】 だって 分かるだろう…すべてのことは基本的に ぼくには結局同じなんだろうから たとえぼくが自分を苦しめるような考えを持っていなかったとしても… 【ラ・ペリコール】 どんな考えなの?ねえ… 【ピキーヨ】 (確信を持って) 何も食べるものがなくても君が気にしないんじゃないかなって… 【ラ・ペリコール】 あたしが!…そんな風に!… 【ピキーヨ】 うん…ぼくはずっとそう思ってたんだけど… 【ラ・ペリコール】 リスクはないわね… 【ピキーヨ】 本当?…君は気にしてないの? 【ラ・ペリコール】 逆よ あんた 逆よ… 【ピキーヨ】 ようし!…その言葉はぼくに勇気を与えてくれる…進め ラ・ペリコール 進め! (彼は行こうとする) 【ラ・ペリコール】 それで どこへ?… 【ピキーヨ】 うん だって…ぼくたちは歌手だろ…だから…別のところで歌ってみるんだ ここじゃ何にも貰えないからね 【ラ・ペリコール】 歌ったらいいわ そうしたかったら…あたしは あたしはもう動く元気もないのよ 【ピキーヨ】 (下がって) だったらどうするのさ? 【ラ・ペリコール】 (右に動いて) もう夜が来るわ…あたしここにいる…それでゆっくり眠ってみるわ…眠る者は食するも同じだ…誰かがそう言ってたじゃない… (彼女はベンチに沿って、床の上にゴザを広げる) 【ピキーヨ】 じゃあ君はここでその食事の代わりを試してみるってわけ? 【ラ・ペリコール】 そりゃもちろん別のものの方がいいけど…これじゃあね… (彼女はベンチの上に彼女のギターを置く) 【ピキーヨ】 おお ぼくの愛しい人! 【ラ・ペリコール】 (彼に駆け寄って) おお あたしの愛しいひと! 【ピキーヨ】 ぼくの愛しのペリコール! 【ラ・ペリコール】 あたしの愛しのピキーヨ! 【ピキーヨ】 もしぼくたちが結婚していたのならなあ!… 【ラ・ペリコール】 何なのよ - もしそうだったら? 【ピキーヨ】 (くちづけして) 君にキスをする権利を持っているだろ…少なくとも…そしてそれはぼくたちは我慢しなくちゃならない (再び彼は彼女にキスする) 【ラ・ペリコール】 ええ 我慢しなくちゃいけないわ 【ピキーヨ】 でも歩こうよ!…ぼくたちは結婚していない 【ラ・ペリコール】 (ため息をついて) それは本当よ まだしていないのは 【ピキーヨ】 結婚するためには4ピアストルも払わなくちゃいけないんだ… 4ピアストルも!…お役所は恥じ入るべきだ…犬の国め! 【ラ・ペリコール】 ひどい日だわ! 【ピキーヨ】 でも君はぼくを愛してくれてる?… 【ラ・ペリコール】 さっき言ったでしょ 【ピキーヨ】 そうだけど…でも分かってるだろ…ぼくを悩ます悪魔の考えが 【ラ・ペリコール】 だからさっき言ったじゃない… 【ピキーヨ】 それはどうでもいいんだ…君が今ぼくを愛してるってもう一度言って欲しいんだ 【ラ・ペリコール】 あんたが大好きよ! 【ピキーヨ】 ああ…ぼくは歌ってくるよ それからいくらかのおひねりを集める… 【ラ・ペリコール】 (カーペットの上に体を伸ばし) だったら歌ってらっしゃいよ…あたしは寝るわ (彼女はベンチに頭を乗せ眠りに落ちる ピキーヨはハミングしながら去って行く) 【ピキーヨ】 突き錐をなくした 貧しい靴屋 彼はとても悲しい もうきれいな靴を作れないから! ピキーヨはささやくような声で歌う - 彼は信じていたのだ 窓が開いて彼にいくらかの小銭が投げるだろうと 彼の声が大きくなる - 彼は一歩踏み出し帽子を差し出す 誰も何も投げてくれない:その後彼の声はすぐに小さくなって左から彼は出て行く - 同時にドン・アンドレスが右から入ってくる 第7場 ドン・アンドレス、ラ・ペリコール 【ドン・アンドレス】 わしと一緒にちょうど今出て行ったあの二人の男 「バンザイ総督」と叫んでおったあの二人の男だが ようやく正体がわかったぞ 一人は一等侍従長 もう一人はこの町の市長ではないか…ああ!真実よ!真実!一体誰がわしに真実を伝えてくれるのか? 【ラ・ペリコール】 (夢をみながら) ひどい日だわ! 【ドン・アンドレス】 何だと? 【ラ・ペリコール】 (同じように) くずみたいな国よ! 【ドン・アンドレス】 (立ち上がり) 間違いない!…言ったのはあの娘だろうか?… (ドン・アンドレスはペリコールに近づき しばらくの間熟考する): 女だ!…若い…美しいぞ!…しかもその経済状態は貧困の際にあると思われる 【ラ・ペリコール】 (目を覚まして) 確かに良く言ったものね…眠りと晩ごはん それは同じものじゃないわ…まだ食べたいと思うもの… 【ドン・アンドレス】 (激しい一撃を受けたかのようによろめく) ああ!神よ!…何がいったいわしに起こったのだ わしに? 【ラ・ペリコール】 (急いで寝た姿勢から起き上がって) 何なの?…何なの?… 【ドン・アンドレス】 何でもない!これは詩人どもが雷と呼んでいるものだ!ああ…わしは恋に落ちたのだ!… 【ラ・ペリコール】 (起き上がって彼に駆け寄り) あんた怪我しなかった? 【ドン・アンドレス】 (動揺して) 大丈夫だ 有難う (やや落ち着いて) わかった わしは捕えられたのだ!…これは恋だ!… (愛情を込めて) そなたの名は? 【ラ・ペリコール】 ペリコール 【ドン・アンドレス】 たった今 わしはそなたの言葉を聞いた…最初はその言葉は真実だと思っていた 【ラ・ペリコール】 真実? 【ドン・アンドレス】 それは間違いだった 疑いもなく…それでもなお わしには思えてならんのだ そなたが着てくれるのではないかと あの衣装を… 【ラ・ペリコール】 (誇らしげに) 自由の女神のね!… 【ドン・アンドレス】 申し訳ない ちょっとふざけた… 【ラ・ペリコール】 ああ!あたしはその気分なのに!… 【ドン・アンドレス】 確かに、そなただけだ お祝いに湧く街の真ん中で悲しそうにしてるのは…わしに引き受けさせてはくれんかね… 【ラ・ペリコール】 何を? 【ドン・アンドレス】 そなたの悲しみを 【ラ・ペリコール】 何のために? (彼女は左に後ずさる) 【ドン・アンドレス】 知ってどうする?… 【ラ・ペリコール】 (独白) ピキーヨ ピキーヨ 戻ってこないわ!…なんかまだ手立てはあるように思えるけど… 【ドン・アンドレス】 えっ?何?聞き違いだったのか しかしまだ不快そうだ…そなたはあまり楽しそうではないが 【ラ・ペリコール】 (引き下がって) どうして?… 【ドン・アンドレス】 ひどい政府だと さっき言っておった 【ラ・ペリコール】 ああ!それはね…あたし退屈してるの…それで政府がみな間違ってると思ってるのね…だけどもし退屈していなかったら、あたしは全く問題ないと思うわ 【ドン・アンドレス】 本当に、そなたは他に何も不満を持っていないのか? 【ラ・ペリコール】 え!ないわ! 【ドン・アンドレス】 だが さっき… 【ラ・ペリコール】 何よ? 【ドン・アンドレス】 何でもない…続けよう 詳しく教えて貰えるか そなたのことを…そなたの家族は? 【ラ・ペリコール】 はっきりしないの 【ドン・アンドレス】 そなたの職業は? 【ラ・ペリコール】 歌手よ 【ドン・アンドレス】 結婚は?… 【ラ・ペリコール】 してないわ 【ドン・アンドレス】 では… (自分自身に) 神よ!ここが重要なのだ…わしは尋ね その答えを待つ わしは震えるぞ (声を上げて) それじゃ…恋人は?… 【ラ・ペリコール】 あんたどういうつもりよ? (彼女は下がる) 【ドン・アンドレス】 どうでも良いではないか!…それで?… 【ラ・ペリコール】 (ピキーヨが戻ってこないか確かめるために左を見て 彼がいないことを見て) いないわ 恋人なんて! 【ドン・アンドレス】 ああ…それは喜ばしい すべてのそなたの苦しみは終わるであろう…わしはそなたを連れて行くぞ… 【ラ・ペリコール】 どこへ? 【ドン・アンドレス】 宮廷だ 総督の宮殿の中の 【ラ・ペリコール】 私は何をするの? 【ドン・アンドレス】 そなたはメイドになるのだ… 【ラ・ペリコール】 (憤慨して) メイド? 【ドン・アンドレス】 いや、名誉なことだ…総督夫人お付きのメイドだから 【ラ・ペリコール】 (驚いて) 総督夫人の? 【ドン・アンドレス】 驚くのは分かる…総督は実際 妻を失って苦しんでいる…だが彼はそれほどまでに愛していたことを思い出させるものを残して置きたかった!…そこで彼は…わしは残したのだ メイドたちのサービスを… 【ラ・ペリコール】 あんたは言ったわね: 「わしは…」って ということは…? 【ドン・アンドレス】 その通りだ…わしは正体を明かすぞ 【ラ・ペリコール】 ああ… 【ドン・アンドレス】 わしは正体を明かした…が後悔はしていない…もしもそなたが そなたがわしを裏切ることがないと約束してくれるのなら 【ラ・ペリコール】 すぐには無理!…だって溢れるほどいるでしょ リマの街には哀れな少女を「俺は総督だ」って言ってからかう人は その後笑いながら言うんだから: 「俺はただのベラスケスだよ とかペレスだよ とか… 【ドン・アンドレス】 疑うのであるか? 【ラ・ペリコール】 ちょっとね 【ドン・アンドレス】 証拠が要るというのか? 【ラ・ペリコール】 もし気を悪くしないんだったら 【ドン・アンドレス】 (彼のポケットから紙幣を取り出し) 良かろう!見るが良い 【ラ・ペリコール】 これは何? 【ドン・アンドレス】 知らんのか? 【ラ・ペリコール】 何となくは分かるけど… 【ドン・アンドレス】 これはピアストル紙幣だ 【ラ・ペリコール】 (紙幣をひったくって) 1ピアストル!…これが これが1ピアストルなの! (彼女は食い入るように見つめる) 【ドン・アンドレス】 (紙幣のおもてを指さして) ここに…見えるであろう…肖像が… 【ラ・ペリコール】 えっ?… 【ドン・アンドレス】 ほら… (ポーズを取って) 分からぬかなあ?… 【ラ・ペリコール】 (じっと見比べて) 本当だ 信じらんない…スゴイじゃない これはあんただわ 【ドン・アンドレス】 うむ!満足しても良いか?… 【ラ・ペリコール】 ああ!ほんと!そっくりね!… 【ドン・アンドレス】 (自分自身に) ああ!真実よ!…真実!… (声を上げて) まだ疑うのか? 【ラ・ペリコール】 (独白) 神さま!… ピキーヨ!…自分にとってはそうするのが良いわよね?…一方で 彼を捨てることになる…ああ!何て状況なの! (左の方を見て) もしも彼が戻ってきたら 彼が戻ってきたら!… 【ドン・アンドレス】 そなたには独り言をいう癖があるようだな…それで!そなたはまだ疑うか?… 【ラ・ペリコール】 もうちょっとだけ…疑わないではいられないでしょ?…ポケットにピアストル札を持つことはできて そうやって総督を集めることはできるけど それは信じさせるためじゃないもの… 【ドン・アンドレス】 うーん…別の証拠か…では わしと一緒に叫んでみよ… (彼は離れる) 【ラ・ペリコール】 叫ぶの?… 【ドン・アンドレス】 そうだ わしと一緒に叫んでくれ 「くたばれ 総督!」と 【ラ・ペリコール】 (下がって) 分かったわ… 【ペリコールとドン・アンドレス】 くたばれ 総督!…くたばれ 総督! この叫びでパナテラスが左からドン・ペドロが右から走ってくる 総督に二人は駆け寄り 掴みかかる 第8場 ペリコール、パナテラス、ドン・アンドレス、ドン・ペドロ。 【パナテラス】 (一般人のふりで) おい!こら!…誰の許しでそのような不作法を?… 【ドン・アンドレス】 (笑いながら) わしだ! 【パナテラス】 (ひれ伏して) 何と 閣下! 【ドン・ペドロ】 (同じように) そのようなふざけたアイディアを思いつかれたのがあなた様だとは 殿 【ラ・ペリコール】 殿って!… 【ドン・アンドレス】 (優しく 彼女に近づいて) 信じてくれたかね お嬢さん? 【ラ・ペリコール】 はい たった今 【ドン・アンドレス】 じゃあ ついて来てくれるね? 【ラ・ペリコール】 何がお望みなのかしら?だって他にどうしようもないじゃない…行くわ でも最初に…あんた便箋持ってない?… 【ドン・アンドレス】 (ポケットから引っ張り出して) ほら ここに 【ラ・ペリコール】 (受け取って) 私にちょうだい…手紙をあんたに付いて行く前に…手紙を書いてくの…とある人に 【ドン・アンドレス】 (不審に思い) 誰に? 【ラ・ペリコール】 (堂々と) 老いた親によ! 【ドン・アンドレス】 ああ!そなたはわしに驚いているようだが!…そなたは知らぬのだ どれほどわしもそなたに驚いているのかを! (ペリコールは離れて左側のテーブルの上で手紙を書く) 【パナテラス】 ああ!ですが私は申し上げねばなりません 殿!申し上げねば!… 【ドン・アンドレス】 (パナテラスとドン・ペドロとの間を通り抜けて) 何をだね 諸君? 【ドン・ペドロ】 この女性を… 【ドン・アンドレス】 何だね 諸君?… 【パナテラス】 われらはご提案したいのですが この女性をわれらの小さな屋敷へ連れて行くことを?…いかがでしょう?… 【ドン・アンドレス】 どちらかと言えば 諸君…わしは宮殿に連れて行きたいのだが 【ドン・ペドロ】 ああ…それでは側室の屋敷は? 【ドン・アンドレス】 側室の屋敷か…三番目の屋敷にでも入れておけ 【パナテラス】 あそこはかつてアカプルコの若い公爵夫人が居たところでは? 【ドン・アンドレス】 それを気にしておるのか 第一侍従長よ? 【パナテラス】 はい 少し気になっております…あの屋敷は空いているのでしたよね?…私が確かたくさんの荷物を詰め込んでいたような… ですが問題はそういうことではありません 【ドン・ペドロ】 (押し付けるように) 規則のことです 【ドン・アンドレス】 規則?…しかしそうすることをわしは禁じられてはいなかったと推測するが… 【パナテラス】 (彼のポケットから分厚い小さな本を取り出して) 確かにそうです…禁止されてはおりません…ですが…それにはいくつかの制限があります… 【ドン・ペドロ】 殿は寡夫でございます… 【パナテラス】 (諭すように) 寡婦じゃ… 【ドン・アンドレス】 独り身は気楽だからな 【パナテラス】 殿…私は寡婦と申し上げねばなりません 【ドン・ペドロ】 (総督を指して) しかし この方は男ですよ!… 【パナテラス】 それが何だというのだ? 【ドン・ペドロ】 私には大事なことだと思いましたが… 【パナテラス】 スペイン語を学び直したまえ (ドン・アンドレスに) 殿は寡婦でございます… 【ドン・アンドレス】 うむ 寡婦じゃな 【パナテラス】 (続けて) そして、それは肩の間に牡牛をぶつけるようなおふざけが容易であるような年齢であれば これは規則で決まっているのですが 殿が…屋敷を貸し与えることができるのは結婚したご婦人に対してのみなのです (彼に小冊子の一節を示す) 【ドン・ペドロ】 (ドン・アンドレスに) 彼女は結婚は? 【ドン・アンドレス】 いや しておらぬ 【ドン・ペドロ】 なるほど それでは?… 【ラ・ペリコール】 ねえ!ちょっと…ねえ!総督!… (彼女は立ち上がる) 【パナテラス】 (ドン・アンドレスに) あなた様を!呼んでおられます… 【ドン・アンドレス】 (ペリコールに近寄って) いとし子よ?…それで その手紙は?… 【ラ・ペリコール】 今書いてます…すぐに書き終えますわ…でもあたし これと一緒に送れたらいいなあなんて思ってたりするんだけど あなたは偶然持ってたりとかしないのかしら…さっきあたしに見せてくれたあの美しい肖像画の一杯詰まったお財布を?… 【ドン・アンドレス】 (不審に思い) 誰にやるのだ? 【ラ・ペリコール】 (堂々と) 私の年老いた叔母にですわ 【ドン・アンドレス】 (彼の小さな屋敷を指して) それじゃ あそこの屋敷 あれはわしのものだが あの中でわしと一緒に食事なとしてくれることを期待しても良いのかね 【ラ・ペリコール】 (勢い込んで) 晩ごはん!… 【ドン・アンドレス】 お望みかね? 【ラ・ペリコール】 ええ とっても 【ドン・アンドレス】 ではここでそなたが望みのものを取らそう わしは行って取って来るぞ 愛しき者よ! 【ラ・ペリコール】 はい、お願い! (独白) 奢ってくれるんだわ あたしが晩ごはん食べたいって言ったら! (彼女はテーブルに座って手紙を書き始める) 【ドン・アンドレス】 (パナテラスとドンペドロに) 確かに 諸君 彼女は結婚しておらぬ だが規則では結婚しておることを必要としておる…思い出させてもらって感謝しよう…わしはそなたに言いつかわすぞ 筆頭侍従長よ すぐに誰か結婚に合意しそうな貧乏な男を見つけて来るのじゃ… (ドン・ペドロに) それから市長よ そなたはすぐに結婚を喜んでまとめてくれる公証人を見つけてくるのじゃ… 二時間のうちにだ…聞いておるか…二時間のうちに…すべてが片付いていないようであれば わしはそなたのあらゆる仕事 オフィス 地位の辞任を受け入れることとするぞ… (彼の屋敷に向かって行き 出て行く前に振り返って) 約束を忘れるでないぞ!… (せきたてるように) すぐにだ! (彼は唖然とした二人を残し 彼の小さな屋敷に入って行く) 【ドン・ペドロ】 何ですって ミゲル?… 【パナテラス】 (彼のポケットに規則集をしまって) 従うのだ ペドロよ…後でまた会おう 【ドン・ペドロ】 (後ろの屋敷を指して) ならば私はそこに行きましょう…あそこにいる公証人に頼んでみることにしますよ 【パナテラス】 では我輩は みずから夫を見つけて参ろう! ドン・ペドロは一番奥にある家に入る - パナテラスはペリコールに大げさにお辞儀をしてから居酒屋に入る ACTE PREMIER Une place où aboutissent plusieurs rues. – A gauche, au premier plan, le cabaret des «Trois Cousines». – Ce cabaret a un balcon soutenu par deux piliers, et qui forme une espèce de marquise. – Devant le cabaret, des tables couvertes de pots et de gobelets, des tabourets. – A droite, en face du cabaret, la petite maison du vice-roi. – Au fond, un peu à gauche, la maison du notaire. – Un banc sur le devant, à droite. SCÈNE PREMIÈRE Guadalena, Berginella, Mastrilla, Péruviens et Péruviennes, quelques Indiens. Au lever du rideau, grande foule et grand mouvement. – Des Péruviens et Péruviennes boivent attablés ou debout; d autres jouent. – Pendant le choeur, les trois cousines vont et viennent et versent à boire. CHŒUR Du vice-roi c est aujourd hui la fête, Célébrons-la; D autant que nous sommes à tant par tête, Payés pour ça. On nous a dit « Soyez gais, Criez!.. Si vous criez bien, Tout le jour vous boirez frais, Sans qu il vous en coûte rien!» Du vice-roi c est aujourd hui la fête, etc. Les trois cousines descendent sur le devant de la scène. Couplets I GUADALENA Promptes à servir la pratique, Nous sommes trois cousines, qui Avons ouvert cette boutique, Pour y vendre du riquiqui... Qui veut du vin? Buvez! buvez! CHŒUR A nous! à nous! Versez! versez! GUADALENA Il n est pas dans tout le Pérou, Ni dans les nations voisines, Il n est pas de cabaret où L on fasse plus gaîment glouglou Qu au cabaret des «Trois Cousines»! CHŒUR Ah! qu on y fait gaîment glouglou, Au cabaret des «Trois Cousines»! II MASTRILLA passant au milieu Adressez-vous à la deuxième, Si la première n est pas là; En manque-t-il deux? -- la troisième, La troisième vous servira. Qui veut du vin? Buvez! buvez! CHŒUR A nous! à nous! Versez! versez! III BERGINELLA venant au milieu Quand elles sont jeunes, aimables, On ne sait pas, en vérité, De quoi trois femmes sont capables, Avec un peu d activité! Qui veut du vin? Buvez! buvez! CHŒUR A nous! à nous! Versez! versez! Ah! qu on y fait gaîment glouglou, Au cabaret des «Trois Cousines»! Entre par la droite Don Pedro de Hinoyosa, gouverneur de Lima; il est en costume de marchand de légumes. SCÈNE II Les Mêmes, Don Pedro. DON PEDRO tenant un panier de légumes Un mot, les trois cousines!... TOUTES LES TROIS Comment?... DON PEDRO Ingrates, vous ne me reconnaissez pas? GUADALENA Le seigneur Don Pedro de Hinoyosa. BERGINELLA Le gouverneur de Lima! MASTRILLA Sous ce costume?... Berginella prend le panier et le pose sur une table. DON PEDRO passant près de Berginella Lui-mème... Mais, dites-moi, s amuse-t-on ici? fait-on du bruit comme il faut? GUADALENA Mais pas mal, pas mal... DON PEDRO C est aujourd hui la fête du vice-roi il faut que la ville de Lima soit gaie. Si la ville de Lima n est pas gaie, on pensera que la ville de Lima est mal gouvernée, et moi, qui la gouverne, la ville de Lima, je perdrai ma place. MASTRILLA La ville de Lima est gaie. DON PEDRO L est-elle vraiment? BERGINELLA montrant la foule Elle l est... on rit. MASTRILLA de même On boit. GUADALENA de même On chante. DON PEDRO J ai fait donner à tous les jongleurs, escamoteurs et chanteurs ambulants la permission de jongler, escamoter, et chanter dans tous les carrefours... En vient-il ici?... BERGINELLA Toutes les cinq minutes, il en vient. DON PEDRO C est bien, alors, c est très bien... Mais ne nous figeons pas... renouvelons, les trois cousines, renouvelons!... du vin dans tous les verres!... et chantons afin de donner aux autres l idée de chanter! CHŒUR Ah! qu on y fait gaîment glouglou, Au cabaret des «Trois Cousines»! Pendant la reprise du choeur, les trois cousines versent du vin à tout le monde. Puis elles rentrent dans leur cabaret. – A ce moment, entre par la droite le comte de Panatellas, déguisé en marchand de pains au beurre. SCÈNE III Les Mêmes, moins les trois cousines, Le Comte de Panatellas. PANATELLAS portant une manne Pains au beurre!... qui en veut?... qui veut des petits pains au beurre?... DON PEDRO Moi, Excellence... PANATELLAS Vous m avez reconnu? DON PEDRO le débarrassant de sa manne Ne pas reconnaître le seigneur Comte de Panatellas, premier gentilhomme de la chambre!... Je serais un pauvre gouverneur, si je ne savais pas mieux ce qui se passe. PANATELLAS passant à gauche Vous voilà bien fier, monsieur le gouverneur!... Je parie cependant que vous ne savez pas ce qui s est passé, il y a une demi-heure, dans le palais du vice-roi. DON PEDRO Pardonnez-moi, Excellence il y a une demi-heure, un homme est sorti furtivement du palais par la petite porte des cuisines... PANATELLAS Après?... DON PEDRO Cet homme, vêtu d un costume de docteur... PANATELLAS Bien! DON PEDRO N est autre que Don Andrès de Ribeira, vice-roi du Pérou et notre gracieux maître. PANATELLAS Très bien! DON PEDRO Vous êtes content, Excellence? PANATELLAS Si content que je vous permets une demi-familiarité... Appelez-moi tout simplement monseigneur et causons comme une paire d amis... Dans quel dessein pensez-vous que Son Altesse se soit avisée de courir aujourd hui les rues de Lima?... DON PEDRO riant Eh! eh! eh!... PANATELLAS Mais encore?... DON PEDRO Il est toujours gaillard, ce cher vice-roi!... Montrant la maison de droite La petite maison, qui est là, lui appartient. Avant de sortir, il a eu grand soin d en mettre la clef dans sa poche, et je pense que, ce soir, après le feu d artifice, il ne serait pas fâché d y conduire quelque sémillante manola... PANATELLAS Bon!... mais croyez-vous que ce soit pour cela seulement?... DON PEDRO Je crois aussi que le vice-roi,se flattant de ne pas être reconnu, profitera de l occasion pour adresser aux gens quelques petites questions... comme ça, sans avoir l air... afin de savoir un peu, par lui-même, ce que l on pense de son administration. PANATELLAS Et cela ne vous inquiète pas? DON PEDRO J ai pris mes précautions. Bruit de castagnettes dans le lointain, à droite PANATELLAS Qu est-ce que c est que ça? DON PEDRO On m annonce que le vice-roi est à cent pas d ici. PANATELLAS C est renversant! DON PEDRO Monseigneur est content? PANATELLAS Tellement content que je te permets une familiarité complète... Appelle-moi Miguel, et tape-moi... Don Pedro fait le geste de lui taper sur le ventre. Hein?... dans la main... DON PEDRO montrant le ventre de Panatellas Et là... jamais?... PANATELLAS Sois fidèle... et nous verrons. Nouveau bruit de castagnettes, plus rapproché Et ça... qu est-ce que?... DON PEDRO C est le vice-roi... Asseyez-vous là, et rabattez votre chapeau sur vos yeux. Panatellas va s asseoir à une table à gauche, devant le cabaret; Don Pedro va s asseoir à droite sur un banc. Entre alors par le fond, à droite, Don Andrès de Ribeira, en costume de docteur. Il traverse les groupes qui, tout en riant sous cape, affectent de ne pas faire attention à lui. Les trois cousines sont sorties de leur cabaret et observent malicieusement Don Andrès. SCÈNE IV Mastrilla, Guadalena, Berginella, Don Andrès de Ribeira, Péruviens; puis Panatellas. CHŒUR à demi-voix C est lui, c est notre vice-roi! Ne bougeons pas, tenons-nous coi... Nous le reconnaissons très bien; Mais il faut qu il n en sache rien, Rien, rien, rien, absolument rien! DON ANDRÈS arrivé sur le devant de la scène I Sans en souffler mot à personne, Par une porte du jardin, Laissant là-bas sceptre et couronne, Je me suis sauvé ce matin; Maintenant je vais par la ville, Le nez caché dans mon manteau, Je vais, je viens, je me faufile Incognito. CHŒUR piano Ah! ah! le bel incognito! DON ANDRÈS Ah! qu un monarque s ennuîrait, Si, pour se distraire, il n avait L incognito! CHŒUR piano Respectons son incognito! DON ANDRÈS II Je puis me le dire à moi-même, Aussitôt que je suis lâché, Ce que j aime, là, ce que j aime... Mon Dieu!... ce n est pas un péché... C est de prendre la taille aux dames, Et, fringant comme un diabloteau, D aller chez les petites femmes Incognito. CHŒUR piano Ah! ah! le bel incognito! DON ANDRÈS Ah! qu un monarque s ennuîrait, Si, pour se distraire, il n avait L incognito! CHŒUR piano Respectons son incognito! Mastrilla rentre dans le cabaret. DON ANDRÈS Un verre de chicha par là-dessus... à Guadalena Hé! la belle enfant, allez me chercher un verre de chicha... GUADALENA en riant Oui, monsieur le docteur... Elle rentre dans le cabaret. DON ANDRÈS Elle est gaie... à Berginella, qui veut s en aller avec sa cousine Restez un peu, vous... vous n avez pas besoin de vous mettre deux pour aller me chercher... restez un peu et causons, voulez-vous?... BERGINELLA en riant Je veux bien, monsieur le docteur... DON ANDRÈS étonné de la voir rire Elle aussi!... eh bien, dites-moi... c est vous qui tenez ce cabaret? BERGINELLA en riant Ce cabaret? DON ANDRÈS Eh! oui! BERGINELLA en riant Oui, c est moi, qui le tiens... avec mes deux cousines... DON ANDRÈS Ah! c est très bien... Et la consommation? BERGINELLA en riant La consommation? DON ANDRÈS Oui, cela va-t-il un peu, la consommation? BERGINELLA en riant Si cela va, monsieur le docteur?... DON ANDRÈS Ah ça! mais... Mastrilla sort du cabaret, elle apporte le chicha et pose le pot sur la première table à gauche, à laquelle est déjà installé le premier buveur. BERGINELLA en riant et montrant Mastrilla Ah! ma foi, demandez cela à ma cousine Mastrilla... Quant à moi, je ne peux plus... Elle rentre dans le cabaret en riant toujours. DON ANDRÈS regardant Mastrilla Tiens, c est la troisième cousine!... MASTRILLA en riant Oui, Guadalena n a pas osé revenir... parce que... Elle rit de plus belle. DON ANDRÈS C est de famille!... Il va s asseoir à la table. MASTRILLA riant Parce qu elle avait peur d éclater au nez de... DON ANDRÈS Au nez de?... MASTRILLA riant toujours Au nez de monsieur le docteur... DON ANDRÈS lui donnant une pièce de monnaie Tenez, et laissez-moi tranquille toutes les trois. MASTRILLA qui a passé à gauche Mais, monsieur le docteur... Elle rentre dans le cabaret en riant aux éclats. DON ANDRÈS Il n y a pas moyen de causer sérieusement avec ces péronnelles... Mon Dieu! qu on a de peine à savoir la vérité!... Il commence à boire et examine ses voisins. – Ceux-ci le regardent en souriant. Après cela, si elles sont gaies... Murmure général de satisfaction si tout le monde est gai, c est que ça va bien... A Panatellas qui est à sa table N est-ce pas, monsieur?... c est que l on n a pas trop à se plaindre... PANATELLAS sans bouger Vive le vice-roi! DON ANDRÈS Vraiment, monsieur? DON PEDRO même jeu Vive le vice-roi! DON ANDRÈS avec satisfaction Ah! vive le vice-roi!... c est très bien... mais, enfin, il n y a rien de parfait en ce monde, et l on pourrait sans doute trouver bien des choses à redire... PANATELLAS se levant Vive le vice-roi!... je ne connais que ça, moi... Menaçant Est-ce que vous ne seriez pas de mon avis? DON ANDRÈS Si fait! si fait! PANATELLAS C est que, si vous n étiez pas de mon avis... DON ANDRÈS effrayé Eh! eh!... DON PEDRO s approchant de Don Andrès Criez alors, criez avec nous Criant à tue-tête Vive le vice-roi! DON ANDRÈS Vive le vice-roi! PANATELLAS et DON PEDRO A la bonne heure!... DON ANDRÈS A la bonne heure!... Ça va très bien dans ce quartier-ci. DON PEDRO Et dans les autres quartiers ça va encore mieux. DON ANDRÈS Vous croyez?... PANATELLAS Voulez-vous aller voir? DON ANDRÈS Je veux bien. PANATELLAS Allons-y, alors! DON ANDRÈS Allons-y! Tous les trois sortent en criant «Vive le vice-roi!» La foule, tout en éclatant de rire, crie «Vive le vice-roi!...» Quand Don Andrès, Don Pedro et Panatellas sont hors de vue, musique à l orchestre. -- Tous les regards de la foule se dirigent alors vers le fond à droite, par où arrivent la Périchole et Piquillo, chanteurs ambulants, pas riches du tout, portant guitares en sautoir. Ils descendent sur le devant de la scène. – Aux premiers accords de la musique, les trois cousines sont sorties de leur cabaret. SCÈNE V Mastrilla, Berginella, Guadalena, Piquillo, La Périchole, Péruviens; puis des saltimbanques. PIQUILLO à Guadalena Vous permettez, n est-ce pas? Guadalena Mais très volontiers, mon garçon, très volontiers! PIQUILLO Merci, ma bonne demoiselle... Ma bonne demoiselle, je vous remercie bien... Ils se préparent et mettent un petit tapis devant eux. Sur le tapis ils étalent des cahiers de chansons et placent une soucoupe pour la quête. Espérons que nous allons faire ici plus que nous n avons fait jusqu à présent! LA PÉRICHOLE Dis-moi, Piquillo?... PIQUILLO Quoi? LA PÉRICHOLE Décidément, bien décidément, tu tiens à faire la quête toi-même? PIQUILLO Oui, j y tiens. LA PÉRICHOLE C est bon, alors!... PIQUILLO Et si j y tiens, c est que j ai mes raisons pour y tenir... J ai très bien remarqué que, lorsque tu passes entre les tables... LA PÉRICHOLE C est bon, je te dis!... Mais je sais ce qui nous attend. PIQUILLO J l ai très bien remarqué, et ça ne me va pas... Tu y es?... LA PÉRICHOLE J y suis. PIQUILLO dit le titre de la chanson à la foule qui se rapproche pour écouter. L Espagnol et la jeune Indienne. Puis tous les deux chantent en s accompagnant sur leurs guitares. I PIQUILLO Le conquérant dit à la jeune Indienne «Tu vois, Fatma, que je suis ton vainqueur Mais ma vertu doit respecter la tienne, Et ce respect arrête mon ardeur. Va dire, enfant, à la tribu sauvage, Que l étranger qui foule ici son sol, A pour devise Abstinence et courage! On sait aimer, quand on est Espagnol!» LA PÉRICHOLE et PIQUILLO On sait aimer, quand on est Espagnol! II LA PÉRICHOLE pendant la ritournelle, parlé A ce discours, la jeune Indienne, émue, Sur son vainqueur soulève ses beaux yeux; Elle pâlit et chancelle à sa vue, Car il lui plaît, ce soldat généreux. Un an plus tard, gage de leur tendresse, Un jeune enfant dort sous un parasol... Et ses parents chantent avec ivresse «Il grandira, car il est Espagnol!» PIQUILLO et LA PÉRICHOLE Il grandira, car il est Espagnol! Après ce couplet, Piquillo fait le tour de la foule, en commençant par la gauche et en présentant, comme plateau, le dos de sa guitare. PIQUILLO Messieurs, mesdames, je vous en prie, donnez pour les chanteurs... pour la jolie chanteuse... Personne ne donne. – Piquillo, furieux, redescend près de la Périchole. Panés, va! LA PÉRICHOLE Qu est-ce que je t avais dit?... Prenant la soucoupe A mon tour... je t en prie!... PIQUILLO Eh bien! va... mais je ne te perds pas de vue... LA PÉRICHOLE passant à droite Tu devrais... je t assure... PIQUILLO Ça ne me serait pas possible. LA PÉRICHOLE bas Allons, soit!... mais tâche au moins d être raisonnable et de ne pas tout casser, si tu t aperçois que l on me dit des bêtises. Piquillo commence à gratter sa guitare et la Périchole fait la quête, en commençant par la droite. -- Quand un de ceux à qui elle s adresse fait mine de s émanciper, Piquillo joue avec fureur; s agite et prend des airs menaçants. LA PÉRICHOLE Allons, messieurs, un peu de courage à la poche... mes bons messieurs!... UN GROS BUVEUR à droite Dis-moi, la belle... PIQUILLO sans s interrompre Attends un peu, toi, le gros là-bas!... LA PÉRICHOLE continuant sa quête Encouragez les petits chanteurs, allons, messieurs! UN BUVEUR MAIGRE à gauche Mais je ne demande pas mieux, quant à moi... PIQUILLO de même que ci-dessus Eh! le petit grêlé... qui as la barbe en pointe... attends un peu!... LA PÉRICHOLE Ah! si c est comme cela!... Elle revient à Piquillo PIQUILLO Eh bien!... tu vois... LA PÉRICHOLE jetant la soucoupe sur le tapis Ça ne peut pas compter, mon ami... je t en prie, chantons quelque chose encore, quelque chose de vif... après, laisse-moi faire la quête encore une fois... mais laisse-moi la faire comme je l entends... PIQUILLO Hum!... LA PÉRICHOLE Et tu verras... Au moment où, pour la seconde fois, ils vont chanter, des saltimbanques venant de la droite, passent au fond, accompagnés par une musique de foire. Ils traînent un chariot dans lequel sont des chiens savants. LES SALTIMBANQUES Levez-vou et prenez vos rangs, Pour venir voir les chiens savants! LA FOULE Levons-nous et prenons nos rangs, Pour aller voir les chiens savants! Et la foule sort, courant après les saltimbanques qui s en vont par le fond à gauche. – Il ne reste en scène que Piquillo et la Périchole. SCÈNE VI La Périchole, Piquillo. PIQUILLO Les voilà bien!... LA PÉRICHOLE Nous quitter pour courir après des chiens savants!... pour aller écouter une musique de saltimbanques!... Elle prend les quatre coins du tapis et le met sous son bras avec tout ce qu il contient. PIQUILLO Tandis que nous... qui représentons l art... LA PÉRICHOLE L art sérieux... PIQUILLO On nous laisse là... seuls tous les trois... LA PÉRICHOLE Comment, tous les trois?... PIQUILLO comptant sur ses doigts Eh bien, oui... toi, moi, et l art. LA PÉRICHOLE Ah!... PIQUILLO Pauvre art!... après ça, tu sais... de nous trois... c est encore lui le moins à plaindre... car enfin... l art... il est immortel... Et alors, n est-ce pas?... étant immortel, il n a besoin ni de déjeuner, ni de souper... tandis que nous... qui en avons besoin, nous n avons pas déjeuné, nous... LA PÉRICHOLE Et quant à souper, nous nous en passerons... PIQUILLO C est probable. LA PÉRICHOLE Qu est-ce que tu as, toi? PIQUILLO cherchant dans sa poche Moi, je n ai rien. LA PÉRICHOLE Ce n est pas assez. PIQUILLO Et toi, qu est-ce que tu as? LA PÉRICHOLE Moi, j ai... je commence à avoir un peu d appétit... PIQUILLO C est trop. LA PÉRICHOLE Je le sais bien que c est trop, mais ce n est pas ma faute... PIQUILLO O mon amante! LA PÉRICHOLE se jetant dans ses bras O mon amant! PIQUILLO Tu m aimes, au moins?... LA PÉRICHOLE Oui, je t aime!... PIQUILLO Puisqu il ne nous reste plus l un à l autre que toi à moi, et moi à toi... dis-le moi encore une fois, que tu m aimes... LA PÉRICHOLE Eh! oui... je t aimes!... PIQUILLO Parce que, vois-tu... tout ça, au fond, ça me serait encore bien égal, si je n avais pas là une idée qui me tracasse... LA PÉRICHOLE Quelle idée? voyons... PIQUILLO avec conviction J ai peur que ça ne t ennuie de ne jamais rien avoir à manger... LA PÉRICHOLE Moi!... par exemple!... PIQUILLO Oui... j ai peur qu à la longue... LA PÉRICHOLE Il n y a pas de danger... PIQUILLO Vrai?... ça ne t ennuie pas? LA PÉRICHOLE Au contraire, mon ami, au contraire... PIQUILLO A la bonne heure!... et cette parole me donne du courage... En avant, la Périchole, en avant! Il remonte. LA PÉRICHOLE Et où?... PIQUILLO Eh bien, mais... nous sommes chanteurs... alors... allons chanter autre part, puisque ici on ne nous a rien donné. LA PÉRICHOLE Va chanter, si tu veux... quant à moi, je n ai plus la force de bouger. PIQUILLO redescendant Que vas-tu faire, alors? LA PÉRICHOLE passant à droite Voici le soir qui vient... je vais m étendre là... et tâcher de dormir un peu... Qui dort dîne... on le dit, du moins... Elle étale son tapis à terre, le long du banc. PIQUILLO Et tu vas essayer de cette cuisine-là? LA PÉRICHOLE Il est évident que j en aimerais mieux une autre... mais, puisque... Elle pose sa guitare sur le banc. PIQUILLO O mon amante! LA PÉRICHOLE courant à lui O mon amant! PIQUILLO Ma Périchole adorée! LA PÉRICHOLE Mon cher Piquillo! PIQUILLO Si encore nous étions mariés!... LA PÉRICHOLE Qu-est-ce que ça y ferait? PIQUILLO l embrassant J aurais le droit de te prendre un baiser... au moins... et ça nous ferait prendre patience. Il l embrasse encore. LA PÉRICHOLE Oui, ça nous ferait prendre patience. PIQUILLO Mais va te promener!... Nous ne le sommes pas, mariés. LA PÉRICHOLE avec un soupire C est vrai, que nous ne le sommes pas. PIQUILLO Ça coûte quatre piastres pour se marier... quatre piastres!... l administration n a pas honte d exiger... Chien de pays! LA PÉRICHOLE Fichue journée! PIQUILLO Tu m aimes, au moins?... LA PÉRICHOLE Je te l ai déjà dit. PIQUILLO C est vrai... mais tu sais... c est cette diable d idée qui me tracasse. LA PÉRICHOLE Puisque je t assure... PIQUILLO Ça ne fait rien... dis-le-moi encore une fois, que tu m aimes. LA PÉRICHOLE Je t adore! PIQUILLO Ah!... je vais chanter, alors, et tâcher de récolter quelques maravédis... LA PÉRICHOLE s étendant sur le tapis C est cela, va chanter... moi, je vais dormir. Elle pose sa tête sur le banc. Elle s endort; Piquillo s éloigne en fredonnant. PIQUILLO Il a perdu son alène, Le pauvre cordonnier; Il est bien dans la peine, Il n pourra plus fair de souliers! Piquillo chante cela à demi-voix. – Il croit qu une fenêtre s ouvre, qu on va lui jeter quelque chose alors sa voix devient plus forte. – Il revient sur ses pas et tend son chapeau; on ne jette rien alors sa voix redevient traînante, il s éloigne et s en va définitivement par la gauche. – Au même instant, Don Andrès rentre par la droite. SCÈNE VII Don Andrès, La Périchole. DON ANDRÈS Ces deux messieurs avec qui je suis sorti tout à l heure, ces deux messieurs qui criaient «Vive le vice-roi!» j ai fini par les reconnaître. L un était le premier gentilhomme de ma chambre, et l autre, le gouverneur de la ville... Ah! la vérité! la vérité! qui est-ce qui me le dira, la vérité? LA PÉRICHOLE rêvant Fichue journée! DON ANDRÈS Qu entends-je? LA PÉRICHOLE de même Chien de pays! DON ANDRÈS se levant Je ne me trompe pas!... Serait-ce elle, enfin?... Don Andrès s approche de la Périchole et la contemple pendant quelques instants, puis C est une femme!... elle est jeune... elle est belle!... Elle paraît être dans une position de fortune voisine de l indigence. LA PÉRICHOLE se réveillant Décidément, on a beau dire... dormir et dîner, ce n est pas la même chose... J aimerais mieux dîner.. DON ANDRÈS trébuchant, comme s il recevait un coup très violent Ah! mon Dieu!... qu est-ce qui m arrive donc, à moi? LA PÉRICHOLE se mettant précipitamment sur son séant Eh bien?... eh bien?... DON ANDRÈS Ce n est rien! c est ce que le poètes appellent le coup de foudre! Ah!... me voilà amoureux!... LA PÉRICHOLE se levant et courant à lui Vous ne vous êtes pas fait mal? DON ANDRÈS avec transport Non, je vous remercie. Plus calme Ça y est, je suis pris!... c est une passion!... Avec tendresse Votre nom? LA PÉRICHOLE La Périchole. DON ANDRÈS Tout à l heure, je vous écoutais... j ai cru d abord que vous étiez la Vérité. LA PÉRICHOLE La Vérité? DON ANDRÈS C était une erreur, sans doute... Et cependant tout me porte à croire que, si vous daigniez en prendre le costume... LA PÉRICHOLE fièrement Des libertés!... DON ANDRÈS Pardon, je plaisantais... LA PÉRICHOLE Ah! je suis bien en humeur!... DON ANDRÈS En effet, vous seule, au milieu de cette ville en fête, sembles triste... Confiez-les-moi... LA PÉRICHOLE Quoi donc? DON ANDRÈS Vos chagrins. LA PÉRICHOLE A quoi bon? Elle remonte vers la gauche DON ANDRÈS Qui peut savoir?... LA PÉRICHOLE à part Et Piquillo, Piquillo, qui ne revient pas!... il paraît que, cette fois encore, la recette... DON ANDRÈS Hein? quoi? Je n ai pas entendu. Encore quelque méchanceté... Vous n étiez pas gentille tout à l heure. LA PÉRICHOLE redescendant Comment?... DON ANDRÈS Ce pauvre gouvernement, vous tapiez dessus. LA PÉRICHOLE Oh! vous savez... je suis ennuyée... alors, je trouve que tout va mal... Mais, si je n étais pas ennuyée, je trouverais que tout va bien. DON ANDRÈS Vraiment, vous n avez pas d autres griefs? LA PÉRICHOLE Eh! non! DON ANDRÈS Mais alors... LA PÉRICHOLE Quoi donc? DON ANDRÈS Rien... Continuez, donnez-moi des détails, parlez moi de vous... Votre famille? LA PÉRICHOLE Obscure. DON ANDRÈS Votre état? LA PÉRICHOLE Chanteuse. DON ANDRÈS Mariée?... LA PÉRICHOLE Non. DON ANDRÈS Et... A lui-même Mon Dieu! c est cela qui est important... je fais la demande et, en attendant la réponse, je tremble. Haut Et pas... d amoureux?... LA PÉRICHOLE Qu est-ce que cela peut vous faire? Elle remonte DON ANDRÈS Ce que cela peut me faire!... Eh bien?... LA PÉRICHOLE après avoir regardé à gauche si Piquillo revient et avoir vu qu il ne revient pas Non, pas d amoureux! DON ANDRÈS Ah!... Réjouissez-vous alors, tous vos maux vont finir... je vous emmène... LA PÉRICHOLE Où cela? DON ANDRÈS A la cour, dans le palais du vice-roi. LA PÉRICHOLE Qu est-ce que j aurai à faire? DON ANDRÈS Vous serez demoiselle... LA PÉRICHOLE indignée De compagnie? DON ANDRÈS Non, d honneur!... demoiselle d honneur de la vice-reine. LA PÉRICHOLE avec étonnement De la vice-reine? DON ANDRÈS Je comprends votre étonnement... Le vice-roi a eu, en effet la douleur de perdre... mais il a tenu à garder quelque chose qui lui rappelât celle qu il avait tant aimée!... Et, alors, il a gardé... j ai gardé le service des demoiselles d honneur... LA PÉRICHOLE Vous avez dit «J ai gardé...» Vous seriez donc?... DON ANDRÈS C est vrai... je me suis trahi. LA PÉRICHOLE Ah!... DON ANDRÈS Je me suis trahi... mais je ne le regrette pas... pourvu que, toi, tu me promettes de ne jamais me trahir. LA PÉRICHOLE Pas si vite!... Il ne manque pas de gens sur le pavé de Lima qui, pour se moquer d une pauvre jeune fille, s amusent à lui dire «Je suis le vice-roi...» Et puis, après, ils se mettent à rire et ils disent «Je suis tout bonnement Velasquez, ou Perez, ou...» DON ANDRÈS Vous doutez? LA PÉRICHOLE Un brin. DON ANDRÈS Vous voudriez des preuves? LA PÉRICHOLE Ça ne pourrait pas faire de mal. DON ANDRÈS tirant une piastre de sa poche Eh bien! regardez. LA PÉRICHOLE Qu est-ce que c est que ça? DON ANDRÈS Vous ne savez pas? LA PÉRICHOLE J ai bien comme une idée vague, mais... DON ANDRÈS C est une piastre. LA PÉRICHOLE prenant vivement la piastre Une piastre!... voilà donc ce que c est qu une piastre!. Elle la regarde avec avidité DON ANDRÈS montrant la face de la piastre Et là... vous voyez... ce profil... LA PÉRICHOLE Eh bien?... DON ANDRÈS Eh bien!... Se posant Vous ne reconnaissez pas?... LA PÉRICHOLE le regardant et comparant C est vrai, ma foi... vous êtes très flatté, mais c est vous. DON ANDRÈS Comment! je suis flatté?... LA PÉRICHOLE Oh! oui! et ferme!... DON ANDRÈS à lui-même Ah! la vérité!... la vérité!... Haut Doutez-vous, maintenant? LA PÉRICHOLE à part Mon Dieu!... Piquillo!... Pour lui-même ne vaudrait-il pas mieux?... D un autre côté, l abandonner... Ah! quelle situation! Regardant vers la gauche S il revenait, au moins, s il revenait!... DON ANDRÈS Vous avez la manie de vous parler à vous-même... Eh bien! doutez-vous?... LA PÉRICHOLE Mais... pourquoi ne douterais-je pas?... Un homme peut avoir des piastres dans sa poche, un homme peut rassembler au vice-roi, sans être pour cela... DON ANDRÈS Eh bien!... une preuve encore... Viens et crie avec moi... Il remonte. LA PÉRICHOLE Que je crie?... DON ANDRÈS Oui, crie avec moi «A bas le vice-roi!...» LA PÉRICHOLE remontant aussi Je veux bien, moi... LA PÉRICHOLE et DON ANDRÈS ensemble A bas le vice-roi!... A bas le vice-roi! A ces cris, Panatellas accourt de la gauche et don Pedro de la droite. Tous deux se précipitent sur le vice-roi, qu ils saisissent. SCÈNE VIII La Périchole, Panatellas, Don Andrès, Don Pedro. PANATELLAS en homme du peuple Eh bien! eh bien!... quel est l insolent qui se permet?... DON ANDRÈS riant C est moi! PANATELLAS le lâchant Vous. Altesse! DON PEDRO de même Il n y avait que vous à qui l idée pût venir de faire une pareille farce, Altesse. LA PÉRICHOLE Altesse!... DON ANDRÈS avec bonté et allant à elle Êtes-vous convaincue, mon enfant? LA PÉRICHOLE Oui, maintenant. DON ANDRÈS Et vous me suivrez? LA PÉRICHOLE Que voulez-vous? puisqu il n y a pas moyen de faire autrement... Oui, mais, d abord... vous avez des tablettes sur vous?... DON ANDRÈS les tirant de sa poche Les voici. LA PÉRICHOLE les prenant Donnez-les-moi... une lettre à écrire, avant de vous suivre... une lettre à écrire... à quelqu un. DON ANDRÈS inquiet A qui donc? LA PÉRICHOLE avec dignité A une vieille parente! DON ANDRÈS Ah! comme tu m as fait peur!... Tu ne sauras jamais comme tu m as fait peur! La Périchole s éloigne et va écrire sa lettre sur une table à gauche. PANATELLAS Ah! mais, dites donc, Altesse, ah! mais, dites donc!... DON ANDRÈS passant entre Panatellas et don Pedro Qu y a-t-il, messieurs? DON PEDRO Cette femme... DON ANDRÈS Eh bien, messieurs?... PANATELLAS Nous nous proposons donc de l installer dans notre petite maison?... hé?... DON ANDRÈS Mieux que cela, messieurs... je l emmène au palais. DON PEDRO Ah!... En titre, alors? DON ANDRÈS En titre... Elle occupera le petit appartement du troisième. PANATELLAS Celui qu occupait autrefois la jeune duchesse d Acapulco? DON ANDRÈS Cela vous gène, monsieur mon premier gentilhomme? PANATELLAS Oui, cela me gène un peu... parce que, cet appartement étant vacant, n est-ce pas?... j avais pris l habitude d y fourrer un tas de choses... Mais ce n est pas de cela qu il s agit. DON PEDRO appuyant Il s agit du règlement. DON ANDRÈS Le règlement?... mais il ne me défend pas, je suppose... PANATELLAS tirant de sa poche un petit livre richement relié Certainement, non... il ne vous défend pas... mais enfin... il met certaines restrictions... DON PEDRO Votre Altesse étant veuf... PANATELLAS le reprenant Veuve... DON ANDRÈS J aime mieux veuf. PANATELLAS Une Altesse... il faut dire veuve. DON PEDRO indiquant le vice-roi Mais lui, puisqu il est, lui, du genre masculin!... PANATELLAS Qu est-ce que ça fait? DON PEDRO Je croyais que ça faisait quelque chose... PANATELLAS Allez donc apprendre l espagnol. A Don Andrès Votre Altesse étant veuve... DON ANDRÈS Oui, je suis veuve... PANATELLAS continuant Et se trouvant dans l âge où il est plus aisé de faire une sottise que de frapper le taureau entre les deux épaules, il a été décidé par le règlement que votre Altesse ne pourrait... sous-louer le petit appartement du troisième qu à une femme mariée. Il lui montre un passage du petit livre DON PEDRO à Don Andrès Est-elle mariée? DON ANDRÈS Non, elle ne l est pas. DON PEDRO Eh bien, alors?... LA PÉRICHOLE Eh! là-bas... eh! le vice-roi!... Elle se lève. PANATELLAS à Don Andrès A vous! on vous appelle... DON ANDRÈS courant à la Périchole Mon amour?... Eh bien, cette lettre?... LA PÉRICHOLE Je l écris... J aurais bientôt fini... Mais je ne serais pas fâchée de faire parvenir en même temps... Vous n auriez pas sur vous, par hasard, un sac... un petit sac tout plein de ces jolis portraits que vous me montriez tout à l heure?... DON ANDRÈS inquiet Pour qui? LA PÉRICHOLE avec dignité Pour ma vieille parente. DON ANDRÈS montrant sa petite maison Si fait, là, dans cette maison, qui est à moi et dans laquelle j espère que vous me ferez le plaisir de dîner avec moi tout à l heure. LA PÉRICHOLE avec élan Dîner!... DON ANDRÈS Vous voulez bien? LA PÉRICHOLE Oui, je veux bien. DON ANDRÈS J ai là ce que vous me demandez; je le vais querir et je vous l apporte, mon amour! LA PÉRICHOLE Oui, allez! A part Il me demande si je veux dîner! Elle va se rasseoir à la table et se remet à écrire. DON ANDRÈS à Panatellas et à Don Pedro En effet, messieurs, elle n est pas mariée, et le règlement exige qu elle le soit... je vous remercie de me l avoir rappelé.. Je vous charge, vous, monsieur le premier gentilhomme de ma chambre, de trouver au plus vite quelque pauvre diable qui consente à épouser... Allant à Don Pedro vous, monsieur le gouverneur de la ville, de trouver un notaire qui consente à bâcler immédiatement ce mariage... Et si dans deux heures... vous m entendez bien... si dans deux heures... tout n est pas fini, j accepterai la démission de tous vos emplois, charges et dignités... Allant à sa petite maison et se retournant avant d y rentrer sans oublier les appointement!... Appuyant Immédiatement! Il entre dans sa petite maison, les laissant stupéfaits DON PEDRO Que faire, Miguel?... PANATELLAS remettant le règlement dans sa poche Obéir, Pedro... et plus tard nous verrons. DON PEDRO montrant la maison du fond Alors, j entre là... Il y a ici un notaire, je vais tâcher de le décider. PANATELLAS Et je vais, moi, tâcher de trouver un mari! Don Pedro entre dans la maison qui est au fond. – Panatellas entre dans le cabaret, après avoir fait à la Périchole de grandes révérances. この日本語テキストは、 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス の下でライセンスされています。@ 藤井宏行 Offenbach,Jacques/La Périchole/I-2
https://w.atwiki.jp/maid_kikaku/pages/1564.html
(投稿者:Azif730) 1940年 6月某日 ガリア侯爵邸 執務室 「……では、これは事実なのだな?」 提出された報告書を執務室の卓上へと置き狼頭の老人――ヴォルフガング・フォン・ビスマルクが険呑な視線で白衣の男を見やる。 白衣の男の背後には執事服に身を包んだ40代近い男がカップに紅茶を注いでいる。 「事実だよ侯爵。そいつは私が派遣されたグリーデルから持ち帰った仕様書の解析内容さ」 「閣下、各地に撒いた局員からもそれを裏付ける報告が上がっております」 卓上の報告書『MAID研究報告書』を提出した白衣の男――ロバート・ミッドヴィル。 紅茶を差し出した執事服の男――侍従長にして情報局の長たるアルフレッド・ローヴェ。 この2人からの報告は驚嘆に値するものであった。 「MAIDには素体として人間を使用……か」 1939年にグリーデル王国より供与されたMAIDの開発仕様書。 その仕様書をガリアス兵工廠の技術開発部にて詳細に研究、各国の大使館内に潜んでいる諜報局員達からの収集情報を統計した結果であった。 表向きにMAIDは国際研究機関「EARTH」が『開発』した対G用の『人工生命体』 しかしその実態は生きた人間ないし欠損の少ない遺体に核となる『エターナル・コア』を埋め込みMAIDへと『作り変える』というものだった。 ヴォルフガング自身も先月に隣国のルインベルグ大公国にて行われたMAID『ガーベラ』のお披露目に参加したばかりである。 遠目から見ただけであったがガーベラはただの少女のように見えていた。 「侯爵、嫌なら研究は中止するが?」 「いや、研究及び開発は継続してくれ」 「閣下……」 「全てはワシの一存だ、それでよい」 「……畏まりました。では次の懸案ですが……」 少々冷めた紅茶に手をつけながらヴォルフガングは卓上の報告書を見つめる。 3年ほど前から国境付近へ出現し始めたGとの初戦は敗北であった。 武装飛行船群による砲打撃戦ではドラゴンフライ一匹によって2隻の飛行船が大破。 戦車隊による戦闘では消耗戦に持ち込まれて甚大な被害を出していた。 対Gに対応するために始めた軍備再編。 その助けになればと思い、研究を指示したMAID開発計画であったが結果はこの紙が物語っている。 (……世の中此れ正しくとは行かんものじゃのぅ……) 1940年8月1日―――ガリアス兵工廠 試験射爆場 数々の兵器が思案され、制作され、試され、破棄されてきた栄光のガリアス兵工廠の一角。 広大な面積を誇るこの射爆場には今、二人の少女が立っている。 一人は黒を基調としたメード服に漆黒の胸甲と脚甲を身につけ右手に巨大な砲槍を、左手に大盾を持った騎士。 蒼い瞳は閉じられ、毛先が黒く染まった栗色の長髪はポニーテールに纏められている。 もう一人はメード服と肘まで覆う皮製の篭手を身につけ、剣の柄と思われる武器を手にした剣士。 腰まであろうかという赤毛の髪を三つ編みに纏め、翡翠の瞳は戦場を見据える。 『アーサーにアルサレア、準備はいいかね?』 「はい」 「問題ないです」 アーサーとアルサレア。 それがガリア侯国初のMAIDである彼女たちの名前だ。 汎用性を重視しオールマイティーを目指したアーサーと近接戦闘を重視しスペシャリストを目指したアルサレア。 別々の方向性を持った両者の運用によって今後のMAID運用の参考とする。 それが現状のガリアの方針であった。 『……ではこれより最終試験を開始する』 開始の合図と同時に地面からマンターゲットが立ち上がる。 アルサレアは剣の柄『グレンGS』を展開し、特殊金属の刀身を形成しながら肉薄。 アーサーは一旦距離をとって砲槍『ロンゴミアント』を構える。 「斬り捨てる!!」 「撃ちます!!」 白刃の軌跡と共にターゲットが横一文字に割られ、轟音と共に別のターゲットが粉砕される。 破壊を待たずに間髪いれずに次々とターゲットが起き上がり、様々な動きを見せる。 接近して来るもの、距離をとるもの、起伏を繰り返すもの、上空へと飛び上がるもの。 遠隔にて操作されたそれらを二人は次々と破壊していく。 その光景を高台から見るヴォルフガングとロバート。 「撃破率はほぼ同一……か」 「運用構想は汎用型1、特化型3ほどの編成がいいとこかの」 「準備できてもまだ一個小隊ほどだろう……残りの要員は各国からの派遣か?」 「うむ、各国のメードたちの情報も参考にしたい」 ガリアでも始まっているように各国でもメードの試験運用は始まっている。 全てのメードはG-GHQの直接戦力と呼ばれるが現状、EARTH所属のMAID達のみが該当し、各国のMAIDはそれぞれの国の思惑で運用が行われていた。 「グリーデルの『要塞』タワー、ベーエルデーの『赤い男爵』シーア、アルトメリアの『ザ・ボス』ジョアンナ、楼蘭の『カミカゼ』ハジメ……」 「そしてエントリヒの『軍神』ブリュンヒルデ、いずれも一騎当千のメードたちじゃよ、当然戦闘経験もそれなりに多い」 「各国はそれを次代のメードへ貴重な経験を継承して戦力の強化を図っている……そう簡単には情報提供はしては貰えないだろう?」 「なに、共闘するだけでも得られるものは多いさ、無理な攻勢はせんしな」 ガリア軍の現在の戦術は通常兵器による広域砲撃である。 ロケット兵器や野砲による重砲台陣地や武装飛行船による砲撃によって磨り潰す。 メードは制圧射撃後に止めの戦力として投入することが考えられている。 更には対瘴気処理を施した砲甲冑部隊も援護部隊として投入が検討されていた。 これは防御戦術及びメードの安全を念頭においた運用であり、現状G勢力下への攻勢は考えられていない。 「各国によるメードと通常兵力の連携方法、メードに対する待遇など得られるノウハウは大きい」 「……ある意味では情報の火事場泥棒だな」 「それに『ヨルムンガンド』が完成すればもう少し楽になるじゃろうよ」 「スクラップ同然の武装飛行船を改造するとかいうアレか?」 「ブリッジや外殻装甲を食い破られただけじゃ!あとメードや歩兵用の対戦車槍なんかも……」 言いかけたヴォルフガングの声を盛大な爆発音が遮る。 アーサーたちか?と視線を戻せばそこには立ち止まり困惑する二人の姿があった。 さらには、試験の為に動き回っていた隊員たちも何事かと慌てている。 「……なんじゃ?」 「アレだろう」 ロバートの視線の先にヴォルフガングは顔を向ける。 そこには外壁は粉々に砕け、黒煙を上げる射爆場の外壁があった。 さらに鈍い重低音と共に黒煙を突き破って巨大な鉄の塊が2輌、進入してくる。 「あれは確か……」 「戦車課の試製砲甲冑車両だな」 それは砲甲冑と呼ばれる人型を模した有脚戦闘車両であった。 だが通常の砲甲冑と異なり進入して来た車両は戦車の車体に人型の上半身を乗せたような形状をしていた。 作業腕には粉砕に使われたと思われる投射鉄球と四砲身回転機関砲が装備されている。 これは砲甲冑のノウハウを取得する為に制作されていた実験車両であった。 ……ちなみに戦車課は技術開発部と共同して新型砲甲冑を開発中である。 「なんであんな物が?」 「閣下!!」 ロバートが思った疑問の答えを駆け寄ってきた憲兵が持って来た。 憲兵の話ではアーサーたちの試験開始をほぼ同じくして所属不明の武装トラックが兵工廠内に侵入。 そこから現れた侵入者達に整備中の試製砲甲冑車両が奪われたというものであった。 「むぅ……犯人の目星は?」 「まだなんとも、ただ恐らくは計画的な物かと」 「根拠は?」 「あの車輌は二人乗りです。事前に知っていなければまともには動かせません」 特殊な形状の為か運用には上半身を動かす人員と戦車を動かす人員が必要であり、突発的な犯行であれば下半身か上半身のどちらかしか動かせないはずなのである。 件の戦車は上半身を頻繁に動かして射爆場を見回している。 まるで何かを探すように。 「なにかの?」 「ろくでもないことだろうさ」 一台の試製砲甲冑車両がヴォルフガングを捉え、右腕の四砲身回転機関砲が向けられる。 「狙いはワシか?!」 機関砲が唸りを上げて40mmの塊を吐き出す。 撃ち出された火線は地面を穿ちながらヴォルフガングたちへと迫る。 その火線に飛び込む二つの影。 「「閣下!!」」 アーサーとアルサレアの二人だ。 自動車すら追い抜く強化された脚力でヴォルフガングとロバートの前に出る。 アーサーは砲槍を置いてきたのか大盾のみを構え、アルサレアは大剣を斜めにして即席の傾斜装甲とする。 コアエネルギーによって強化された大盾と大剣は砲弾にさらされるも何とか持ちこたえ、受け止める。 「お二人ともご無事ですか?!」 「肝は冷えたがのう、すまんのアーサー」 「アレは……どうします?」 ヴォルフガングはアルサレアの問いに躊躇する 彼女達に『殺人』をさせられるかどうか、そしてその行為に二人の精神が耐えられるのか。 ヴォルフガングは眼をつむり思案し…… 「なに、演習が実戦になっただけじゃ……アーサー、サレア」 「「はっ!!」」 「全力であの鉄屑を無力化しろ」 「……無力化?……り、了解!」 「オーダー拝命しました!!」 即座にアーサーとアルサレアが駆け出す。 選ばれたのは対象の戦闘力のみを奪う『無力化』 未成熟である彼女たちの精神に不可をかけるべきではない、ヴォルフガングはそう判断した。 砲弾を受け止めボロボロになった大盾を投げ捨てアーサーは駆ける。 向かうは速度を稼ぐ為に地面に突き立てた自らの武器。 37mm砲槍『ロンゴミアント』 アーサーの意図に気付いたのか一台の砲甲冑が砲槍へと投射鉄球を向ける。 彼女が武器を掴むのと鎖付き鉄球が放たれたのはほぼ同時であった。 背後から迫る鉄球に対して砲槍を両手で掴み、彼女は振り向きながら四番打者よろしくフルスイング。 「基本はセンター!!」 鉄球を砲身基部のカウンターウェイトにぶち当てそのまま打ち返す。 跳ね返された鉄球は打ち出した発射口へ一直線。 鎖の撒き戻しも間に合わず発射口に無理やりねじ込まれて右腕が破損する。 振り抜いたロンゴミアントを返す動作で柄部を捻り、シリンダーを回す。 鈍い音と共にシリンダーが回ったことを確認し、グリップを握る。 同じ動作を3度、早業で繰り返した。 「……文字通り、手も足も出ない」 早撃ちで放たれた砲弾は狙い違わず敵砲甲冑の戦闘力を奪っていた。 左腕、左右軌道部、動力部を撃ち抜かれていたのだ。 ゆっくりと敵砲甲冑へと近づきながら空薬莢を排出し、徹甲弾を装填する。 砲甲冑の前に立ち、槍の穂先を胴体に突きつける。 「これ以上の抵抗は串刺しか風穴、どちらかを選ぶことになりますよ?」 アーサーの投降宣言と共に重量物が崩れ落ちる音がした。 アルサレアは機関砲弾で多少なりと傷ついた刀身部を棄却する。 形成自在剣『グレンGS』 その利点は刀身に特殊金属を使用しており刀身を破損しても棄却・再形成すれば問題ないという点だ。 もちろんそれには柄に内包する特殊金属の残量にもよるのだが。 ちらりとアーサーを見ればちょうど敵車両の右腕を潰したところであった。 (ならこちらも手早く終わらせよう) 柄部の展開を戻して棒状になったグレンGSからアルサレアの意思を受けて長大な薄い刃が形成される。 鞭のようにしなり、柄が振るわれる度にアルサレアの周囲を薄い刃が駆け回る。 敵車両もその脅威は見てとれたのだろう、左腕の四砲身回転機関砲を放った。 火線が再度、アルサレアを襲うが…… 「攻勢防御!!」 荒れ狂う刃の大蛇が乱舞し砲弾を叩き落とす。 攻めるも守るも腕一つ、ゆえに攻勢の名を持つ防御技。 それでも数発は刃の網を潜り抜けてアルサレアを掠める。 火線の元を断つべく大きく腕を振るい、躍っていた刃が目標へと牙を剥く。 蛇のごとく地を這いながら砂塵を舞い上げて目標へ突入、四砲身回転機関砲を貫く。 それだけに止まらず腕を引く。 貫徹した刃が動きに従って身をひるがえして今度は右腕を背後から貫き落とす。 敵車両にしてみればたちまちの内に両腕を失ってしまうという光景であり、操縦士は呆然自失してしまっていた。 「私はアーサーほど優しくはない……生きていれば儲けものだぞ!!」 その宣言が聞こえたのか操縦士の意識がアルサレアへと向く。 眼前に立つは身の丈を超える長大な長刀を水平に構えた剣士。 長刀を振りかぶって肩に背負い一気に車両へ肉薄する。 両腕を失ってしまい丸裸状態の砲甲冑はなすすべがない。 咄嗟に車両部に下がるよう言おうとしたがあとの祭りであった。 「帝剣が一、雷閃(Thunder Flash)」 その一刀は正しく雷の煌きであった。 知覚出来るか否かの速さで振るわれた斬撃は敵車両を両断する。 横一文字に分け放たれ操縦士を乗せたまま上半身が高く舞う。 アルサレアの最大出力に耐え切れず刀身が砕け、破片が幻想的に舞う。 柄を腰のホルスターに戻すと同時に、上半身が大地に叩きつけられる。 その音を聞いてアーサーがこちらを向く。 何かいいたそうな顔をしていたがとりあえずアルサレアは親指を立ててやる。 その光景に気概が殺がれたのか大きくため息をついて…… 「「ミッション・コンプリート(です)」」 「……あれから5年ですか」 「んぁ?……ング、なんか言った?」 アーサーの呟きをホットドッグを食べていたアルサレアが聞き返す。 5年前に運用試験に乱入したのは亜人排斥を訴える過激思想の集団であった。 その後、集団は侯爵と近衛連隊によって無残にも壊滅させられたのであったが…… 「いえ、何でもありません」 「……そっか」 二人は5年前に大暴れした射爆場の壁に背を預けて目の前の光景を眺める。 彼女達の視線の先にいるのはランタンを提げた白髪の少女、狼の亜人と思わしき獣耳の少女、ヘヤバンドで髪を上げた楼蘭系の少女 他にも数名がいたが何れも身を緊張させた新人のメード達。 それを暖かく見るこの5年で増えた古参のメード達。 「そうそう、今回の人員には空戦メードがいるそうですよ」 「ベーエルデータイプ?」 「……ベーエルデータイプのようですが生まれはガリアだそうです。」 「ということは訳在りか」 侯爵は蛮王とでもやりあったか?などというアルサレアの妄想を考えたくもないと無視し、アーサーは目の前の壇上に立った老人を注視する。 (そういえば……) 侯爵の背後に立つ巨大な格納庫の中から異常なほどの気配がするのはなぜだろうか……とアーサーが考えを振り向け――― 「ガリア侯爵、ヴォルフガングだ……新人諸君、この地獄の最前線へようこそ」 開口一番、強烈な一言が飛び出した。 新人達どころか古参たちも呆気にとられている。 「諸君らは対G戦闘を学びこれから戦場にたつ、しかしまだ諸君らはGを見たことはないだろう」 新人達が座学で教えられるのは各種Gの特徴やその対処法などであった。 初期メードのアーサー達などは教えられる情報すら少なく、ぶっつけ本番やイレギュラーなどは当たり前であった。 「これはワシからのアドバイスだ、全てのGにおける最大の脅威はその進行速度と物量にある」 真摯な言葉に新人達も一言一句漏らさぬよう耳を立てる。 「Gはワシ等のような補給線を持たずその場で食い荒らし、腹を満たし、次の餌場へ移動する。 そして一匹では脆弱なワモン、ターマイトでさえ一度の侵攻で数百という膨大な数が動く」 腹を空かした彼らは障害に対して一切容赦せず、逆にその障害すら餌と見なして襲ってくるのだ。 その様子はさながら暴食の津波と呼べるようなものである。 「想像して見るがいい強固な戦車がワモンに装甲を食い破られ群がられる様子を、空を飛ぶ飛行機がドラゴンフライの羽ばたきだけで砕け散る様子を、 海原を行く船がロブスターの大鋏によって真っ二つになる様子を……これから諸君らはこの光景が待つ戦地へ赴くのだ」 ヴォルフガングはゆっくりと新人達を見る。 緊張するもの、恐れるもの、決意を固めるもの……それは様々である。 「メードの死傷率は存外高い、これは初陣ではじめてみたGに対して恐怖し満足に動けないことに起因する」 新人達の研修内容はGの情報や戦術を教える座学と実施訓練などの教練に別けられるがその中に実際のGを見せることは考えられていない。 Gは人体に有害な瘴気を発するうえに捕獲できたとしても如何なる装甲・拘束装置すら強靭な顎によって噛み砕かれてしまうので、捕獲状態を維持することは難しい。 もっともガリアス兵工廠の試験研究棟であればワモンやフライの剥製くらいなら研究用にあるかもしれないが…… 「さて、話が長くなったが言いたいことは一つだけだ……恐れるな」 先ほどGの恐怖を語ったのにそれを恐れるなというヴォルフガングの言葉に耳を疑う新人達。 アーサー達でさえそれは、と思ったほどである。 だがヴォルフガングは優しい笑みで告げる。 「恐れるな……諸君らは一人ではない。諸君らの隣には戦友が、背後には支える為に奔走する者たちがいる」 新人達は自らの傍らに立つ同胞達を見やる。 アーサー達は日々支えてくれる部隊員たちを思い出す。 もっともいるべきはずの部隊員たちはここに姿を見せず、この試験場にはメードたちだけだったのだが…… 「それでも恐れるものはいるだろう。それは当然だ、簡単に恐怖を克服できるものはいない……」 告げたヴォルフガングの口元がニヤリと歪み、目が喜悦を表す。 アーサー達、古参組みはろくでもないことを思いついた表情だと呆れた。 新人達は困惑をいっそう深める。 「……なら擬似的にでもGの物量の恐怖を味わえばいい」 初めて見る、遭遇するから恐怖する……なら先んじて同等の恐怖を死なない程度に与える。 そうすれば初めてのGであっても身を竦ませることは減るだろう。 もっと怖いことを経験済みと思えば。 ここに至ってやっとアーサーは格納庫の異常な気配の正体に思い至る。 「でませい!屈強なる戦場の鉄人たちよ!」 どこかで開かれそうな料理人同士の闘いを告げる支配人のごとくヴォルフガングは指を鳴らす。 それを始まりとして巨大な格納庫の鋼鉄の扉が重々しく開いてゆく。 格納庫の中は暗く奥までは見通せない。 差し込んだ日光に鈍い光が反射し返す。 それは人が身につける物としては既に戦場から退いて久しいものだった。 分厚い黒塗りのフリューテッドメイル。 一時代を築いた騎士達の鎧。 それが現代的な格納庫の中から一糸乱れず異様な闘気を纏って進み出てくる。 その数―――およそ一個大隊。 これには流石のアーサー達も引いた。 呼び出した当事者はしたり顔で 「Gのような恐怖が思いつかんかったのでな、とりあえず暇しとった支援部隊員を総動員してみた」 (し、支援部隊まるごとですか?!) ガリア侯国独立部隊『ヒルドルヴ』 その部隊の内訳のうち大半以上を占める支援部隊員が異様な姿で並んでいた。 対峙者に与える精神的威圧感というのであれば確かにGに匹敵するかもしれない。 「……って、閣下!一般隊員をメードにぶつけたら怪我じゃすみませんよ?!」 「心配はいらん、『今』のこやつ等はちょっとやそっとでは倒れんからな」 (何をした、侯爵?!) そこに佇み一言も発しない部隊員たち。 それだけでも怖い。 怯む新人達に容赦なくヴォルフガングは猟犬を解き放った。 「さぁ……屈強なる戦場の鉄人たちよ!獲物は目前、全軍突撃!!」 【Gung ho!gung ho!gung hoooooooooo!】 闘魂を叫びながら地面を震わせて動き出す漆黒の騎士たち。 向かう先には大慌ての新人メードたち。 手持ちの銃火器も持たずにここにいるのだから仕方ないとはいえ後輩達が潰されるだけ……というのは古参組にとっても面白くないのだ。 アーサーは静かにヴォルフガングを見やる。 「……」 ヴォルフガングは何も告げずにただ頷いた。 「……アルサレア!!」 「おうさ!」 「「メード隊防御隊形、迎撃準備!!」」 その声に新人達がビクリと震え、飛び出した古参のメードたちが騎士たちに対峙する。 「「メード隊、隊規唱和!!」」 【我らガリアの剣にして盾なり、館に繋がれし番犬なり】 ――さぁ伝えよう、彼女らは一人ではないことを。 【我らの背には牙なき人々あり、ゆえに我ら誇りをもって人々の牙にならん】 ――我ら古参のメードたちも共にいると。 【主の御敵を噛み殺す、我らの名は戦の狼(ヒルドルヴ)】 ――ともに戦おうと。 「……主はワシなんじゃがなぁ……こうなりゃ突貫あるのみじゃ、戦士の生き様みせてやれい!!」 宣言された隊規を聞きながら煤けたヴォルフガングが吼える。 漆黒の騎士たちとメード隊は徒手空拳のまま取っ組み合いへと突入した。 ―――以後、ガリアで行われるメード研修での締めくくりには精神的な訓練として、研修項目に無いこのような乱取りが行われるようになったという。 Fin 後書き 読んでいただいた皆様へ感謝を。 ガリアメードの初期の姿から現在の姿へという感じであります。 まだまだ、表現や感情を出せていないので稚拙さを痛感します。
https://w.atwiki.jp/chaina_battle/pages/213.html
大日本帝國 国旗 準国章 菊花紋章 標語 (なし) 公用語 日本語(事実上の公用語)朝鮮語、台湾語なども使われていた。 首都 東京 面積 675千km sup 2 /sup (昭和初期の領土) 人口 9770万人 (昭和10年国勢調査での領土内の人口) 政府 1889年以前は絶対君主制、1889年以降は立憲君主制。1930年代以降は軍国主義の傾向。 国家元首 明治天皇 → 大正天皇 → 昭和天皇 内閣総理大臣 内閣総理大臣の一覧を参照 通貨 円 国歌 君が代 大日本帝国(だいにっぽんていこく、だいにほんていこく、旧字体 大日本帝國)は、1889年(明治22年)大日本帝国憲法発布時から1947年(昭和22年)日本国憲法施行時までの約58年間、天皇が統治する日本が使用していた国号のひとつ。1868年(明治元年)の明治維新から1945年(昭和20年)の太平洋戦争(大東亜戦争)の終戦時までの日本そのものを指す事も多い。最盛時には現在の日本国の領土に加え、南樺太、千島列島、朝鮮半島、台湾などを領有していた他、北東アジアや太平洋にいくつかの委任統治領や租借地を保有した。 以下は大日本帝国憲法下の国家について記述する。 国名 経緯 明治天皇は1868年1月3日(慶応3年12月9日)、岩倉具視や大久保利通らの画策の元で王政復古を宣言。1889年(明治22年)2月11日には大日本帝国憲法(帝国憲法)が発布され、1890年(明治23年)11月29日、この憲法が施行されるにあたり大日本帝國という国名を称した。初め伊藤博文が明治天皇に提出した憲法案では日本帝國であったが、憲法案を審議する枢密院会議の席上、寺島宗則副議長が、皇室典範案に大日本とあるので文体を統一するために憲法も大日本に改めることを提案。これに対して憲法起草者の井上毅書記官長は、国名に大の字を冠するのは自ら尊大にするきらいがあり、内外に発表する憲法に大の字を書くべきでないとして反対した。結局、枢密院議長であった伊藤博文の裁定により大日本帝國に決められた枢密院会議筆記明治21年(1888年)6月18日午後。。 帝国憲法の半公式の英訳(伊東巳代治訳)では「the Empire of Japan」 と訳され、「大」の意味合いはなかった。当時は国名へのこだわりがなく、帝国憲法と同時に制定された皇室典範では日本帝國、大日本國と表記し、外交文書では日本、日本國とも称したし、国内向けの公文書でも同様であった。その後、世界情勢の悪化などにより国名への面子に対する拘りが表面化した1936年(昭和11年)、外務省は外交文書上「大日本帝國」に統一した。国号参照。 第二次世界大戦後、日本政府が1946年2月8日に連合国軍最高司令官総司令部 (GHQ/SCAP) に提出した憲法改正要綱では、国名を「大日本帝國」のままにしていたが、2月13日、GHQ/SCAPのホイットニーにより、憲法改正要綱の不受理通知とGHQ/SCAP草案が吉田茂外務大臣、松本烝治国務大臣らに手交され、その草案の仮訳からは国名が日本國となり、1947年(昭和22年)5月3日日本国憲法施行により憲法上は日本國の名称が用いられることとなった。 通称 通称では帝国と呼び、また皇国とも称した。日本海海戦での「皇国ノ興廃此ノ一戦ニ在リ」が有名。もちろん日本や日本国とも称された。 現在「帝国」の文字が公的機関に記されているのは東京都千代田区に所在する日本水準原点標庫のみである。民間では帝国データバンク、帝国劇場(通称「帝劇」)、帝国ホテル、帝国書院、帝国制帽、帝国石油のように、「帝国」を使用しているものもある。 2004年に東京地下鉄(東京メトロ)が運営を引き継いだかつての営団地下鉄も、運営者の正式名称は帝国の首都を意味する「帝都」を冠した帝都高速度交通営団であった。京王電鉄も同様に、社名変更前は「京王帝都電鉄」(京王電鉄と帝都電鉄が合併した名称)と「帝都」を冠し、警備会社ではテイケイが「帝国警備保障」を、帝人が「帝国人造絹糸」と「帝国」を冠していた。 国土 大日本帝国の国土は、完全な領有権を有する領土のほか、領土に準じる区域として、他国から借り受けた租借地、国際連盟に統治を委任された委任統治区域があった。このほか、行政権及び自国民への裁判権を有する一部統治区域があった。 首都 憲法や法令に首都の規定はないが、大正12年9月12日詔書で「東京ハ帝国ノ首都」とされている。東京は大日本帝国の首都として帝都と称され、宮城(きゅうじょう、皇居)が所在し、内閣、各省、枢密院、大審院が位置し、帝国議会が開かれ、戦時には大本営が置かれた。 東京以外の首都機能としては、天皇の所在を示す高御座が京都御所に安置され、即位の礼や大嘗祭が行われていたことから、京都市がその一部を担っていたといえる。また広島は、日清戦争中に天皇の行在所や大本営が置かれ、帝国議会が開かれたので、臨時の首都を務めたとも言える。なお、大東亜戦争で本土決戦になる場合は天皇と大本営を長野県松代町の地下壕に移す予定であったが、本土決戦が行われることなく終戦したため実現しなかった。 領土 領土は完全な領有権を有する区域であり、内地、樺太(後に内地に編入)、台湾、朝鮮からなる。このほか一時遼東半島を領土としたことがあった。各領土の来歴は下記のとおり。領土面積は最大675千km2。各領土の概要は下記のとおり。 内地 日本列島及び周辺の島嶼からなり、現在の日本国の領土とほぼ一致する。内地の来歴は以下のとおり。 本州・九州・四国:日本の古来からの領土(東北地方は平安時代以降)。古事記は淡路、対馬、壱岐、隠岐、佐渡と合わせて大八島と呼ぶ。 北海道:中世以来徐々に統治権を及ぼす(参照:和人地)。1855年の日本国魯西亜国通好条約(安政元年12月21日締結)により択捉島と得撫島の間に国境を確定。 沖縄:日清両属の琉球王国だったが、1872年、第一次琉球処分により琉球藩を設置して琉球国王を藩王とし(明治5年(1872年)9月14日詔勅)、領土であることを確認(公文録明治5年外務省付録)。 千島:1875年千島樺太交換条約(明治8年太政官布告第164号)により得撫島以北の18島を領土に加える。 小笠原:1876年、官吏を派遣し実効統治する旨を各国に通知し、領土として確定(明治9年10月17日小笠原島ニ関スル在本邦各国使臣宛文書)。 このほか以下の島々を内地に編入した。 北大東島・南大東島:1885年調査隊を派遣し国標を建設。同年沖縄県編入(公文録明治18年内務省ノ部)。 硫黄島・北硫黄島・南硫黄島:1891年小笠原島庁の所轄とする(明治24年勅令第190号)。 南鳥島:1898年小笠原島庁の所管とする(明治31年(1898年)東京府告示第58号)。 魚釣島・久場島:1895年沖縄県の所管とし標杭建設を決定(明治28年内甲第2号閣議決定)。現在は尖閣諸島と呼ばれる。 沖大東島:1900年沖縄県に編入(明治33年沖縄県告示第95号)。 竹島:1905年島根県に編入(明治38年島根県告示第40号)。 中ノ鳥島:1908年小笠原島庁の所管とする(明治41年東京府告示第141号)。その後再発見できず、1946年水路図誌から削除。 沖ノ鳥島:1931年東京府小笠原支庁の管轄とする(昭和6年内務省告示第163号)。 樺太 日持上人が訪れるなど、古くは鎌倉時代から日本との関わりがあり、江戸時代は松前藩の陣屋やアイヌなどとの交易場所なども設けられていたが、樺太島仮規則などの不平等条約でロシアとの雑居地とされた後、1875年、千島樺太交換条約によりロシアに譲渡。1905年、日露戦争(樺太作戦)で占領し、同年のポーツマス条約(日露講和条約、明治38年勅令号外)により北緯50度以南を割譲させ回復。1943年内地に編入した(昭和18年法律第85号)。樺太庁を参照。 台湾 台湾本島と澎湖島を日清戦争で占領し、1895年、下関条約(日清講和条約、明治28年勅令号外)により、清国に割譲させて獲得。1938年、新南群島を台湾高雄市に編入した(昭和14年台湾総督府令第31号、台湾総督府告示第122号)。日本統治時代 (台湾)の項を参照。 遼東半島(奉天半島) 日清戦争で占領し、1895年、下関条約により清国に割譲させて獲得したが、三国干渉を受けて、同年中の奉天半島還付ニ関スル条約(明治28年勅令号外)により返還した。この間、ごく短期ではあるが、領土であった。 朝鮮 1910年、韓国併合ニ関スル条約(明治43年条約第3号)により領土に加え、(明治43年勅令第318号)により朝鮮に改称した。日本統治時代の朝鮮の項を参照。 租借地 租借地は領土とは異なり、潜在主権を租貸国が有し、租借期限があり、また在来の住民に日本国籍が与えられない。中国から関東州と一時膠州(青島)を租借した。 関東州 遼東半島先端の大連・旅順近辺。ロシアの租借地だったが、日露戦争で占領。1905年、ポーツマス条約により清国の承諾を条件に租借権を譲り受け、日清間満洲ニ関スル条約(明治39年勅令号外)により清国の承諾を得て租借した。租借期限は1923年までだったが、1915年、南満洲及東部内蒙古ニ関スル条約(大正4年条約第3号)により1997年まで延長(ポツダム宣言受諾により1945年に失効)。 膠州 山東半島南岸の青島近辺。ドイツの租借地だったが、第一次世界大戦で占領。1920年同盟及聯合国ト独逸国トノ平和条約(大正8年条約第1号)により租借地とするが、2年後の(大正11年条約第3号)により中華民国に返還。 委任統治区域 南洋群島 西太平洋赤道以北の広い範囲に散在する島々。ドイツ領であったが、第一次世界大戦で占領、1920年同盟及聯合国ト独逸国トノ平和条約(大正8年条約第1号)により、国際連盟の委任に基づき統治する委任統治区域とした。国際連盟脱退後も引き続き委任統治を行う。 一部統治区域 南満洲鉄道附属地(満鉄附属地) 南満洲鉄道(満鉄)の線路両側数十メートル程度の地帯、および駅周辺の市街地や鉱山などからなる。満鉄に関するロシアの権利を1905年のポーツマス条約で譲り受けた際に、その一部として鉄道附属地における行政権を獲得した。行政権のほか、治外法権に基づき日本人に関する裁判権も有した。1937年、行政権を満洲国に移譲するとともに、治外法権を撤廃した(昭和12年条約第15号)。 租界 専管租界を1897年杭州と蘇州に、1898年天津に、1898年漢口に、1901年重慶に、それぞれ開設した。また、上海の共同租界に参加していた。北京には正式な租界ではないが、事実上の共同租界として機能した公使館区域があった。このほか沙市、福州、厦門に租界を設置する権限があったが設置しなかった。租界では行政権を行使するほか、治外法権に基づき日本人に関する裁判権も有した。1943年、中華民国(汪兆銘政権)に対し租界を還付し治外法権を撤廃した(昭和18年条約第1号、同第2号)。 住民 大日本帝国の国籍を有する者を日本人又は帝国臣民といった。帝国憲法では日本臣民と呼ぶ。国籍の要件は国籍法(明治32年法律第66号)で規定された。下のいずれに属するかによって法制度上異なる取り扱いを受けることがあった。 国民 内地人 内地人とは戸籍法(明治31年法律第12号)の適用を受ける国民である。現在の日本国民にほぼ相当する。内地人には華族、士族、平民の別があり、華族は貴族院議員たる資格を有するなど特殊な地位にあったが、士族と平民の間に差異はなく、法的にも1914年(大正3年)に族籍記載が撤廃された。1947年の戸籍法改正により、これらの別は完全に消滅した。 樺太人 樺太人は樺太の在来住民であり、樺太ニ施行スヘキ法令ニ関スル件(明治40年法律第25号)などの法令では土人と呼ばれた。また樺太土人ともいう。樺太人は日本国籍を有しなかったという説(百瀬後掲書)もあるが、当時の憲法学書では日本国籍を有するものとしていた(美濃部後掲書)。樺太人のうち8割近くが樺太アイヌであり、他にニヴフ、ウィルタ(当時の通称はオロッコ族)などがいた。1932年、樺太アイヌが内地人になり(昭和7年勅令第373号)、他は1943年の樺太の内地編入(昭和18年法律第85号)の際に内地人になった。 台湾人 台湾人は台湾の在来住民である。本島人ともいう。1895年台湾割譲の際に日本国民になった。戸籍法の適用を受けず、民籍という籍を有した。本島人のうち9割が漢族、1割が高砂族である。行政上は日本国との平和条約の発効により日本国籍を喪失したものとして扱われたが、判例上は日本国と中華民国との間の平和条約の発効により日本国籍を喪失したとされている。 朝鮮人 朝鮮人は朝鮮の在来住民である。1910年の韓国併合の際に日本国民になった。戸籍法の適用を受けず、民籍という籍を有した。朝鮮人のうち旧大韓帝国の皇族は王公族、一部の両班や韓国併合に功績のあった者は朝鮮貴族に封じられた。これらの人々は1952年、日本国との平和条約の発効により日本国籍を喪失した。 国民以外 正式な領土とされなかった統治区域の在来住民は、日本国籍が与えられず、国民として扱われなかった。 国際連盟からの委任統治区域であった南洋群島の在来住民を島民といった。島民は国籍がなかった。島民の大部分はカナカ族であり、他にチャモロ族がいた。 租借地である関東州や満鉄附属地の在来住民は当初清国籍、後に中華民国籍を経て、1932年に満州国が建国されたあとは満洲国籍とみなされたただし満州国には国籍法が存在しなかったため、法的な「満州国民」は存在しなかった。満州国を参照のこと。。租界の在来住民は清国籍・中華民国籍とみなされた。これらの大部分は漢族である。 統治機構 大日本帝国は1890年帝国憲法施行に伴い立憲君主国家に移行した。帝国憲法上は国家元首である天皇が統治権全体を掌握する建前であったが(憲法第4条)、実質上は国家の各機関が権限を分掌していた。これは「統治構造の割拠性」といわれる(辻清明)。 内閣と宮中 統治権に関する天皇の権限は国務大臣の輔弼(補佐)に基づいて行使された(憲法第55条)。内閣は国務大臣で組織され(内閣官制第1条)、帝国憲法上天皇大権とされた権限は原則として内閣の決定に基づいて行われた。 内閣総理大臣は国務大臣の首班であり、重要決定事項を天皇に報告し、その了解に基づいて行政を統制した(内閣官制第2条)。内閣総理大臣の選任方法については、明文の規定はなく、元老(のち重臣)とよばれる有力者たちが内閣総理大臣を選んだ。 天皇の実際の役割は、内閣の決定に従ってこれに形式的な裁可を与えて国家意思を確定することであった。ただし、天皇は単なる傀儡ではなく、当時のイギリス国王など他の立憲君主と同様、政治上の決定に関与していた(伊藤之雄)。天皇の側近には、侍従長や内大臣などがおり、特に内大臣は昭和期に天皇の政治秘書として活動した。その他、皇室の事務については宮内大臣が輔弼した。なお、内大臣と宮内大臣は国務大臣ではなく内閣に関与しない。 帝国議会と枢密院 立法権は、天皇が帝国議会の協賛(同意)に基づいて行った(憲法第5条)。帝国議会は貴族院・衆議院の二院制であり、貴族院は皇族華族と勅任議員(元官僚など)で組織され、衆議院は公選された議員から組織された(憲法第33 - 35条)。 帝国議会は法律の制定について協賛(同意)する権限を持った(憲法第37条)。国民の権利・義務に関わる事項は原則として法律によらなければ(すなわち帝国議会の同意がなければ)侵害されなかった(憲法第2章)。また、帝国議会は毎年の予算に対しても協賛権を持った(憲法第64条)。予算が不成立の場合は前年度の予算が施行されるが(憲法第71条)、前年度予算では行政が成り立たないため、帝国議会の予算審議が内閣の死命を制することとなり、これにより政党内閣への道が開かれた。ただし、他の立憲諸国と比較すれば、以下の点で議会の権限は弱かった。 政府は法律の定めのない事項につき独立命令により法規を定める権限を有した(憲法第9条)。 国際条約の締結に関して帝国議会の協賛は不要であった(憲法第12条)。 教育関係の規定は、国民の権利義務に関わる事項であっても、法律ではなく勅令で定められる慣習があり、帝国議会の協賛は不要であった。 皇室典範改正については帝国議会の協賛は不要であった(憲法第74条)。 憲法改正については帝国議会に発案権がなかった(憲法第73条)。 もっとも、これらの事項に関しても政府が自由に裁量できるものではなく、帝国議会の代わりに枢密院の審議を経る必要があった。枢密院は天皇の諮詢(相談)を受けて重要な国務を審議する機関にすぎないが(憲法第56条)、これらの事項に関して事実上の拒否権を有した。枢密院は行政への関与を禁じられたが(枢密院官制第8条)、しばしば政府に干渉した。 裁判所 司法権は天皇の委任により裁判所が行った(憲法第57条)。民事・刑事の裁判については、大審院を頂点とする通常裁判所が裁判したが(裁判所構成法)、欧州大陸型の司法制度に倣って、行政訴訟は特別の行政裁判所が扱った(憲法第61条、行政裁判法)。 陸海軍 陸海軍の統帥(憲法第10条)は国務大臣の輔弼の外に置かれ、統帥部が担当した(統帥権の独立)。統帥部は陸軍の参謀本部と海軍の軍令部が並立し、戦時に両者は形だけ統合して大本営が置かれた。統帥部は内閣を経ないで天皇に決定を求める帷幄上奏権という特権を有した。陸軍大臣と海軍大臣は、国務大臣であるとともに統帥機関としての地位も有し、やはり帷幄上奏権を行使したほか、帷幄上奏を通じて統帥に関する勅令の決定を求め、これに副署する権限を有した。この勅令は総理大臣の副署を要しなかったが、1907年の公式令制定によって全ての勅令に総理大臣の副署が必要になると、勅令とは別に「軍令」という法形式を新設し(明治40年軍令第1号)、陸海軍大臣のみが副署する権限を保った。 この統帥権の独立によって陸海軍に対するシビリアンコントロール(文民統制)が機能せず、その結果軍部の独走を助長し、国内の混乱及び諸外国との軍事的衝突をいたずらに広める結果になったとする意見もある中曽根康弘、石原慎太郎共著『永遠なれ日本』(PHP研究所 2001年)p.115。 外地統治 内地以外の国土を総称して外地あるいは植民地などという。外地には朝鮮総督府、台湾総督府、樺太庁、関東庁、南洋庁といった官庁が置かれ、統治が委任された。これら外地官庁の要職は内地人で占められていた。外地官庁が定める法令は、法律に相当する規定であっても帝国議会の協賛を要しなかった。 Template Main? 国際連盟常任理事国 大日本帝国は1920年に発足した国際連盟の常任理事国であり、1933年3月27日(正式には1935年3月27日)に脱退するまで大きな役割を果たしてきた。 その他 台湾の領有により、日本最高峰は富士山から玉山(新高山)へと変わった。 第二次世界大戦中、軍部の使用に便を図るため、東京のタクシー会社は4社に統合させられた。これら4社大和自動車交通・日本交通・帝都自動車交通・国際自動車の各社名は、「大日本帝国」を分割したものに由来するといわれている。東京四社営業委員会を設立し、戦後も業界大手として営業し、タクシーチケット、タクシークーポンの共通化など連携した営業行動をとる。現在でも、東京四社営業委員会に属するタクシー会社4社の通称として「大日本帝国」と呼ぶことがある。 脚注 Template 脚注ヘルプ? Template Reflist? 参考文献 美濃部達吉著『憲法撮要』改訂第5版、有斐閣、1932年(復刻1999年) 百瀬孝著・伊藤隆監修『事典 昭和戦前期の日本 制度と実態』吉川弘文館、1990年 ジョン・トーランド著『大日本帝国の興亡』ハヤカワ文庫、毎日新聞社訳、1984年 関連項目 天皇 国体 天皇制 日本帝国主義 明治 大正 昭和 大日本帝国憲法 大日本帝国陸軍 大日本帝国海軍 軍服 (大日本帝国陸軍) 帝国 大東亜共栄圏 君主制 帝国議会 ポツダム宣言 日本国皇帝 統帥権 君主主権 植民地